プレスリリース

平成20年 3月 5日
厚 生 労 働 省
農 林 水 産 省

第32回コーデックス連絡協議会の概要

平成20年3月3日(月曜日)に、第32 回コーデックス連絡協議会を開催しました。主な質疑応答事項及び意見は下記のとおりです。

本協議会では、まず、第8回乳・乳製品部会、第8回ナチュラルミネラルウォーター部会及び第29回魚類・水産製品部会についての報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。次に、今後開催が予定されている第29回分析・サンプリング法部会及び第2回汚染物質部会の概要、検討議題等の説明を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。さらに、その他において、第1回急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する特別部会についての報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされたほか、委員からの要請に応え、1月にガーナで開催された遺伝子組換え食品の表示に関する作業部会について報告を行いました。

1. コーデックス委員会の活動状況について

(1) 第8回乳・乳製品部会

・発酵乳飲料の規格の検討において、生菌数についての議論は無かったのかと問われ、例えば発酵乳であるヨーグルトについては、StreptococcusLactobacillusの生菌数についての基準があるが、今回は品質についての議論が主であり、生菌数についての議論は特に行われなかった旨説明した。

・発酵乳飲料に含まれる発酵乳の割合の議論(40%以上とするか、50%以上とするか)について、定義で定めるのでなく表示で対応してはどうかと問われ、現時点の議論は、どの程度、発酵乳を含む製品までを当該規格の対象とするかという、定義を検討している段階であり、まとまらない場合は表示で対応するなどのやり方も有り得る旨説明した。

・プロセスチーズ規格におけるチーズの含量についての今後の対処方針を問われ、我が国としては高いチーズ含量を求めるというスタンスは変えず主張していく旨回答した。

・個別食品規格については、各国で販売されているものが含まれるように対象を広くしているようだが、商品の定義において、限定すべき部分については、厳しく制限する内容とすべき、との意見に対し、コーデックス規格作成作業を開始するに当たっては、国際取引があることなどが要件となっており、地域によって差がある食品や差別化を目的とする食品は国際規格に馴染まない、と説明した。

(2) 第8回ナチュラルミネラルウォーター部会

・亜硝酸塩の基準値について、日本政府は今回の決定についてどのように考えているかと問われ、科学的根拠に基づけばWHOの飲料水質ガイドラインの値をそのまま活用すべきかもしれないが、今回決定された基準値はこれよりも低く、なおかつ、達成できる範囲内であると考えられることから、妥当な結果と考えている旨回答した。

(3) 第29回魚類・水産製品部会

・二枚貝の規格における貝毒について、今後日本においても規格ができるのか問われ、日本で規格のない貝毒(ドーモイ酸等)については、国内産の二枚貝からはこれまで検出された事例が無いこと、また輸入に際しては輸出国の貝毒・微生物等のモニタリングシステムも含めた包括的な協議を行っており、規格が無いからといって日本ですぐに健康被害が生じるものではないと説明した。

・二枚貝のサルモネラ属の微生物規格について、今後どのような作業になるか問われ、FAO/WHOが二枚貝におけるサルモネラ属の汚染率、汚染濃度について各国に対しデータを求め、それらのデータを用いてリスク評価を行うことになると考えられる旨報告した。

・二枚貝の微生物規格(大腸菌とサルモネラ属)と日本の規格との差について問われ、大腸菌については、日本の現在の規格と厳しさにおいて大きな差は無いと考えられること、またサルモネラ属については日本では特に問題となっていないことから規格が設定されていない旨回答した。さらに、当該微生物規格については、大腸菌に加えサルモネラ属菌の指標も必要なのかどうか等含め、CCFHにおいて今後議論される予定である旨説明した。

・急速冷凍ホタテ貝柱製品の「有意な水分の吸収を招くような貝柱の取扱いまたは保管は認められない」との記述に関し、これを判断する手段はあるのかと問われ、検査で確認するのは難しいため、別途検討中の実施規範に基づき、営業者が適切な工程管理を行い、また行政がその実施状況を監視することで担保するのが効果的ではないかとの見解を述べた。

・生鮮/活及び冷凍あわびの規格原案において対象となったHaliotis属に、トコブシなどの日本の市場に出回って入るあわびが入っているか問われ、我が国の主要なあわびは対象となる旨回答した。

・くん製品の表示について、この定義の対象となる製品を伝統的なくん製品と区別して表示する決定権は輸入国にあるのかと問われ、実際に販売される場所(輸入国)である旨回答した。

・食品衛生法の微生物規格は定性的な規格(例:大腸菌群陰性)が多いが、日本も確率論的な手法を用いたリスク評価に基づく微生物規格を今後検討すべきとの意見が出された。

(4) 第29回分析・サンプリング法部会

・分析(試験)結果の違いに起因する紛争を解決するためのガイドライン案について、日本は輸入大国として早急にガイドライン作成を進めるべきとの意見が出た。また、測定の不確かさについての考え方を問われ、測定結果を出す時には、不確かさを含めて出すということが行われており、その不確かさは室間再現性を用いた方法がよく用いられているが、その他の方法もあること、ISOのような計測学の分野ではつみあげ方式が推奨されているが、食品は変動が大きいため、トップダウン方式が望ましいことなどを説明した。

・バイオテクノロジー応用食品の検出と同定に関する分析法の規準について、バイオテクノロジー応用食品特別部会における議論では、分析法のリストをまとめ、その承認を検討するという話になっていたと思うが、現在はどのような状況になっているのかと問われ、新たな分析法が次々と開発されるため、個別の分析法を承認するのではなく、一定の規準を満たすか否かで判断するという考え方の下、その規準を作成すべきかどうかの検討が進められている旨を説明した。

(5) 第2回汚染物質部会

・アクリルアミドの低減に関する実施規範について、技術、製造条件など日本国内における情報提供を求めるとともに、部会における積極的な対応を期待するとの要望があった。

2. その他

<第1回急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する特別部会(TFQFF)の概要について>

・柔軟な取り扱いを求める国と厳格な取り扱いを求める国の間で調整が難航していた点について問われ、改定案の「範囲と目的」の項で各国の状況を考慮しつつ適宜変更を加えることができる旨記載することで柔軟性を認めた内容で合意が図られたと説明した。

・温度管理について、「所管官庁が-12℃以下の範囲内で許容できる温度を設定すれば、一時的にはその温度まで上昇することも認められた」とあるが、「一時的」とはどういう意味か、また食品衛生法では-15℃の規定があり、将来的にそれが改正されることはあるか、さらに、温度管理が行われるべき範囲はどうなっているのかと問われた。

・これに対し、温度管理が行われる範囲は、製造から流通、保管、小売の全ての段階を対象としている。このコールドチェーンにおいて、温度の変化を最小限とすべきであるというのが原則であるが、全く温度変化が生じないというのは非現実的であり、どこまでならよいのかについて、各国が決められることになっている。食品衛生法の温度の規定を変更する議論にはなっていない旨を回答した。

<遺伝子組換え/遺伝子操作技術由来食品及び原材料の表示ガイドラインに関する作業部会について>

・議論は以下の3点について行われた旨説明した。

(ア)各国の遺伝子組換え由来食品の表示制度についての意見交換

(イ)米国、カナダ、ナイジェリアが共同で作成した現行コーデックス規格における遺伝子組換表示の取扱いについて解説した文書の説明及び議論

(ウ)当該文書の後の取扱い

・今回の作業部会で各国が合意できた点は以下の2点であったと報告した。

(ア)表示は安全性の代替とはならないこと。

(イ)パブリックとのコミュニケーションが重要であること。

<日本語版食品添加物に関するコーデックス一般規格について>

・厚生労働省、食品安全委員会、さらに日本食品添加物協会の協力の下に、「食品添加物に関するコーデックス一般規格(前文及び付属文書A)」の日本語版を作成し、農林水産省のホームページ上で公表した旨を報告した。

【お問い合わせ先】

厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室
国際食品室長 池田 千絵子
担当:福島(電話:03-5253-1111 内線2407)
農林水産省消費・安全局国際基準課
国際基準課長 小川 良介
担当:宮廻(みやざこ)(電話:03-3502-8111 内線4471)
((直)03-3502-8732)



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