08/02/18 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 平成20年2月18日議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事次第 日 時:平成20年2月18日(月)13:30 〜15:38 場 所:厚生労働省9階省議室 1 開会 2 食品安全部長挨拶 3 報告事項   中国冷凍食品による薬物中毒事案に関する報告等 4 その他 5 閉会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会」を開催させていただきます。  本日は御多忙のところ、また、突然の依頼にもかかわらず、御出席いただきまして、厚 くお礼を申し上げます。  まず、本日の出欠状況について御報告いたします。本日は、垣添委員、鈴木委員、田中 委員、宮村委員から、事前に御欠席との連絡を、先ほど、長尾委員も、どうしてもおいで いただけないということで、御欠席の連絡をいただいております。5名の委員の欠席でご ざいます。  また、児玉委員、神田委員からは、遅れておいでになるという御連絡をいただいており ます。  しかしながら、現在の分科会委員総数19名のうち、本日、現時点で12名の御出席をい ただいておりますので、過半数に達しているということで、成立することを報告申し上げ ます。  以降の進行につきましては、吉倉先生、よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 それでは、今日は、いわゆる中国産冷凍食品による薬物中毒事案、これ に関する報告等、報告が基本だと思いますが、まずは藤崎部長の方から、よろしくお願い します。 ○藤崎部長 一言ごあいさつを申し上げます。委員の先生方、大変にお忙しい中、また、 大変なショートノーティスでありましたにもかかわらず、本日、本会議に御出席いただき まして、誠にありがとうございます。  本事案、中国冷凍食品による薬物中毒事案につきましては、既に委員の先生方、御案内 のとおりかと思いますけれども、本日は私どもの方から、この事案の概要について御報告 を申し上げ、また、これまで政府、あるいは厚生労働省として取ってまいりました対応を 併せて御報告申し上げ、更には、今後取るべき対策につきましても、私どもが現在考えて いることについて、お諮りを申し上げたいというふうに考えております。先生方から私ど もの報告をお聞きいただきまして、忌憚のない御意見をいただきまして、今後の政策、取 組みに役立ててまいりたい、このように考えております。  さて、本事案の公表、1月30日であったわけでございますが、その直後に総理からの御 指示をいただきまして、関係閣僚会合を翌1月31日の早朝に開催をいたしました。その後、 政府一体となって取組みを進めてまいりました。その対応としては、その時点での申合せ で確認されました、被害の拡大防止、原因の究明、そして再発防止と、この3点であった わけでございます。政府全体として関係省庁での取組みを進めてまいりましたが、当厚生 労働省といたしましても、私どもの所掌の範囲内におきまして鋭意取組みを進めてきたと ころでございます。  特に、今、申し上げた3点の中で焦眉の急でありましたのが、被害の拡大防止というこ とでございまして、危険性が疑われる食品について、国民の皆さんが絶対に摂食されない ように、食べられないようにということで、舛添厚生労働大臣の呼びかけを初め、私ども、 情報提供を、関係製品のリストアップ、あるいは画像情報も含めて提供することを通じま して、国民の皆さんに呼びかけてまいりました。  また、今回の情報提供、注意喚起につきましては、マスコミの関係者の方々が大変に大 きな御尽力をしてくださいまして、テレビ、新聞等、関係マスメディアを通じまして、国 民の皆さんに大変多くの情報が提供され、また、強い注意喚起がなされたというふうに考 えておりまして、極めて効果的な対応が取られてきたのではないかというふうに確信をし ているところでございます。  原因究明、あるいは再発予防対策につきましても、これまで厚生労働省としてできるこ とをやってまいりました。その詳細につきましては、後ほど報告事項の中で御説明をさせ ていただきたいと思います。  本事案につきましては、先生方、御案内のとおりでございますが、大変に特異な要素が あるということでございまして、現時点では原因がまだ確定できないということでござい ます。そういう意味で、予断をもって何かを申し上げるという段階にはないわけでござい まして、また、同時に、そのような理由から、ピンポイントでの対策、今後の再発防止と いうことを立てるのがなかなか難しい側面もございます。併せて、輸入加工食品によって 起きた食中毒事件ということで、なかなか技術的に農薬の検査などが難しいということも ございまして、私ども、どのような手順で、どのように進めていけばいいかということを この間、食品安全部の中でもいろいろと議論をしてまいったところでございます。  いずれにいたしましても、今回の事案により、国民の皆さんの食品に対する安全、安心 ということが大変に大きく揺らいでおりまして、不安が大変大きくなっております。その ような不安を除去するためにも、私ども、できることをできる限りやっていきたいという ふうに考えておりますので、そういう点からも、本日、先生方の忌憚のない御意見、ある いは御指摘をいただくことを願っている次第でございます。どうか最後までよろしく御審 議のほど、お願い申し上げます。 ○吉倉分科会長 それでは、資料の確認を事務局からお願いします。 (報道関係者退室) ○事務局 よろしいでしょうか。では、資料の確認をさせていただきます。本日は資料は 4種類、資料1から資料4までございます。  まず、資料1といたしまして、「中国産冷凍食品による薬物中毒事案について」という ものがございます。これは全8ページございます。  続いて、資料2が「食品による薬物中毒事案への対応について」が1枚でございます。  資料3は「今後の再発防止策」といたしまして、全部で4ページのものがございます。  最後、資料4ですが、「中国産冷凍食品による薬物中毒事案の実態把握に関する調査」 として、1枚の資料がございます。  以上でございます。  不足や落丁等ございましたら、途中でも手を挙げていただければ、差替え等いたします ので、よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 よろしいですか。そうすると、これ、順序はどうしましょうか。資料1、 2、3、4、その順番でやりますか、事務局は。あと、議論のときに少し考えた方がいい かもしれません。それでは、お願いします。 ○事務局 それでは、資料につきましては、1から4まで、まず通しで説明いたしたいと 思います。  まず、資料1をごらんください。この資料につきましては、実際、この事案が発生して から、どのような対応等を行ってまいったかという事実を整理したものでございます。  まず、1ページ目の概要にございますように、私ども厚生労働省が本件について最初に 探知いたしましたのが、1月29日の夜、東京都からの情報提供によるものでございました。  内容はポツ2つに書いておりますが、1月5日に兵庫県、1月22日に千葉県市川市で、 有機リン中毒の疑いの事案が発生した。両事案ともJTフーズ株式会社が中国から輸入し た冷凍ギョウザを摂食していたというものでございました。  これを受け、2にありますように、JTフーズの輸入実績を調べましたところ、天洋食 品工場のものであるということが判明いたしました。  3に移りまして、では、何が有機リン中毒を起こしたかという原因について、関係自治 体、警察等関係機関が調査の結果、メタミドホスが検出されたというのが、まずかなり粗 い概要でございます。  以上まではメタミドホスを探知するまででございます。  4に移りまして、今度、2月5日に生協さんから、同じ有機リン系農薬ですが、別のジ クロルボスが検出されたという報告を受けました。このジクロルボスが検出された製品に つきましては、メタミドホスが検出されたものと同一製品・同一製造者ではありましたが、 製造年月日が薬物中毒を発生させたものとは異なっているというものでございました。  5番のところが、では、これを受けて、国民の皆さんがどういう健康被害等の状況があ ったかというものでございます。先週末の15日時点で、保健所への相談等を行っている方 は全国で5,268名いました。これは今、申し上げましたように、相談事例も含めての、一 番広い形で取っているものでございます。これらの方につきましては、臨床診断ですとか、 検査結果ですとかから、現時点においては有機リン中毒が否定されております。  また、実際に有機リン中毒を確定している方は、先ほど1のところで申し上げました兵 庫、千葉県千葉市のそれぞれ3名、7名の10名が有機リン中毒として確定しているもので ございます。  次のページをごらんください。先ほど申しましたように、実際、我が方が探知したのは 1月30日ということになりますから、29日の夜ということで、実際は30日から動きが始 まったわけですが、政府全体として、翌朝、1月31日でございますけれども、朝8時半に 「食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合(関係閣僚会合)」を設置いたし ました。その下に、今度は局長級による「食品による薬物中毒事案に関する関係省庁連絡 会議」というものを設けております。関係省庁はここの※をごらんください。  この関係閣僚会議では、先ほど藤崎部長の方から申し上げたとおり、(2)の(1)(2)(3)の 対策を行おうと、それについて政府として一体的に取り組もうという申合せを行いまして、 現在、そのように取り組んでいるところでございます。  その中の主なものとして2つ御紹介申し上げます。(3)と(4)でございます。まず、 (3)、31日の翌日1日には、関係省庁が連名で、関係団体に対しまして、事業者に一義 的責任があるということを踏まえて、輸入する食品について、輸出国の製造、加工、流通 段階における有毒有害物質の混入の防止策について、幅広く確認をしてください。それに より同様の事案の発生の予防を図ってくださいということの、会員への周知を要請してお ります。  (4)の内容でございます。これは日本側、中国側、それぞれの調査団ですとか訪日団 を結成いたしまして、まず、2月3日に中国側が来日して意見交換をしました。2月4日 には我が国政府が調査団を中国に派遣しました。そういう取組みを示しております。  このような政府全体の対応の中において、厚生労働省が取った対応も少し細かく御説明 申し上げます。下の方にあります「厚生労働省の対応」というところでございます。  まず、(1)ですが、1月30日、その日に消費者への周知。これは、私どもも記者会見 で申し上げましたし、メディア、マスコミの皆さんの御協力をいただきまして、広く国民 に周知をいただいたところでございます。また、我が方としても、ホームページに掲載を したということでございます。今のが、消費者に対して、メディア側の御協力をいただい て、摂食しないようにお願いしたということです。  (2)は、流通状況を調査するということを、関係自治体、あと、在京中国大使館経由 で中国側当局に調査を依頼したというものでございます。  また、(3)につきましては、更に、関係閣僚会議の当日ですが、安全性が確認される までの間、天洋食品工場のすべての製品の販売の自粛や回収等を、事業者に対して、関係 自治体を通じて要請を行いました。また、先ほど申し上げました、このような内容につい ても、ホームページに掲載しております。  (4)では、検疫所を通じまして、輸入の自粛をお願いしております。  更には(5)でございますが、社団法人日本医師会、正確には医師会長に対しまして、 部長通知の形で、食品による有機リン中毒の疑いのある患者を診断等した場合に、保健所 へ速やかに通報するよう協力をお願いしております。このような、消費者に直接ですとか、 自治体、外交、事業者、検疫所、日本医師会、マルチルートを通じて被害の拡大防止を図 ったというところでございます。  また、(6)でございますが、本件につきましては、単純な食中毒というよりは、意図 的混入の疑いもあったということもありますので、犯罪性の有無にかかわらず、これらの 事案については速やかに国への報告を行うよう通知を行っております。  また、(7)は、先ほどジクロルボスが検出されたという生協の発表があったというこ とを申し上げました。これを受けまして、当面の措置として、自治体に対して、健康被害 事件の調査等については、ジクロルボスを含めて対応するようにお願いしているところで ございます。括弧のところですが、このジクロルボスが検出された食品につきましては、 現在、販売中止の措置等の対象となっております。このため、新たな被害拡大防止の措置 のは現在既に取っているということで考えております。  (8)ですが、先週のことでございます。今回の本事案の原因となりました農薬メタミ ドホスにつきましては、現在、国内の流通はしておりません。ポジティブリスト制度を導 入いたしましたときに設定した残留基準の見直しに向けて、食品安全委員会に諮問を行っ たところでございます。  今、申し上げましたのが我が方について御説明差し上げたものでございます。次の4ペ ージ、5ページは、自治体がどういう対応を行ったかというものでございます。今回の件 につきましては、4ページの左上、平成19年、昨年の12月28日に最初の事例が発生して おりながら、先ほど申し上げました日まで約1か月、間を置いていたところが指摘されて いる点でございます。これについて御説明申し上げます。  まず、昨年12月28日でございますが、千葉市において2名の被害が発生しております。 ここでポイントになるのが、ポイントの1つ目が、医療機関から保健所に届出がなかった という点でございます。  また、その翌日ですが、平成19年12月29日ですが、販売者が保健所に電話したところ、 休日のためつながらなかった。よって、メールのみ送信したということで、ポイントの2 つ目、休日における保健所の連絡体制について、御指摘をいただいているところでござい ます。  次の1月4日でございますが、千葉市保健所が患者本人から通報を受けました。ここで 調査を実施しておりますが、実際は苦情を本人から受理して、有症苦情として処理、例え ば、医師に問い合わせをしていないですとか、事業者における微生物検査だけをもって判 断したというところが指摘されております。患者からの検査の依頼を受け付けするところ がポイントなんですが、患者本人からの通報に対しての保健所の動きということが御指摘 いただいているところの3点目でございます。  翌1月5日でございます。まず、千葉市のところで御説明申し上げます。1月7日にあ りますが、実際は1月4日以降という趣旨ですが、この間、有症苦情として保健所が対応 していたため、千葉市の本庁ですとか、その先の厚生労働省に報告がなかった。報告の遅 れというところがポイントの4つ目として御指摘いただいております。  右に移っていただきまして、兵庫県の事例でございます。この事例は、1月5日にまず 最初に被害が発生し、このケースについては医師から食中毒の疑いという通報を受けてお ります。それを受けて、兵庫県は東京都に対して、当該食品に係る類似の苦情の報告例等 を照会。また、兵庫県警と本事案について調査を実施した。ここがポイントの5つ目の御 指摘でございまして、警察との連携というのを図ったものの、私ども厚生労働省には通報 がなかったというものでございます。  ページをめくっていただきまして、5ページ、真ん中が千葉県のケースでございます。 1月22日に千葉県市川市において被害が発生しました。翌日、医師は、保健所と千葉県警 の方に通報を行い、千葉県と千葉県警は連携して調査を実施いたしました。先ほどの兵庫 のケースと同様、厚生労働省に対しての報告はなかったと、ポイントの5つ目と同じでご ざいます。  最終的には先ほど申し上げました1月29日に私どもは東京都に情報提供いただいて知 るところとなり、1月30日には千葉市も、一連の同じ事案であるということから、千葉市、 千葉県、兵庫県、そして私ども厚生労働省と公表に至ったというところでございます。  資料1の6ページ以降が参考資料でございます。この後、御議論いただく際に参考にし ていただければと思います。6ページは、先ほど申し上げました5,000件余りの相談等の 事例と、あと、10名の確定事例と申しますか、どの県でどういう状況かというのをまとめ ております。  7ページにつきましては、食品衛生法上、食中毒が発生した場合に、どのような対応を するかというのをコンパクトにまとめたものでございます。  8ページ、輸入食品の監視体制の概要をまとめております。  続けて、資料2でございますが、資料2につきましては、藤崎部長の方から申し上げま した関係閣僚会議の申合せのペーパーになっているものでございます。1の被害拡大防止 のところで、(1)で積極的に情報を提供しよう、(2)で窓口を設置して対応しよう。 2番の原因究明について、関係国の協力を求めながらやるということ。3番が再発防止策 を講じていくというものでございます。  一番下の関係省庁の局長級による会合というのは、先ほど資料1の1ページのところで 申し上げました連絡会議というものでございます。  資料1、資料2につきましては、以上でございます。 ○吉倉分科会長 後でまとめて議論をしようと思っていますので、もしも今すぐ事実関係 などでお聞きになりたいことがあればお願いします。では、次をやって、最後に皆さんか らいろいろ御意見、質問いただきたいと思います。お願いします。 ○加地課長 それでは、資料3について御説明申し上げます。資料3の今後の再発防止策 ということで、厚生労働省のものでございます。先ほどの関係閣僚会議、局長級の連絡会 議等で、これまで厚生労働省として、再発防止策として挙げてきたものについて、少し具 体的にしております。これについて御説明申し上げます。  まず、1でございますが、これは2つの大きな柱からなっております。1が食品に由来 する健康被害等に関する情報収集システムの改善、2点目が、輸入食品で、特に加工食品 に関する安全性確保ということで、2本柱でございます。  まず、最初の情報収集システムの改善でございますが、先ほどの資料1、2の説明であ るとおり、既存システムのまずは徹底というところが(1)の第1の点でございます。輸 入食品原因事案、あるいは疑い事例についての報告義務が課せられているにもかかわらず、 今回の事例では、保健所からの情報発信がされてこなかったというところでございます。 ※のところにも書いていますように、自治体においては犯罪性の観点からの調査が先行し たため、厚生労働省への情報提供に遅れが生じた。また、本人から保健所に対して直接通 報があったにもかかわらず、疑い事例ということで報告がなされなかったという点が指摘 されているところでございます。  これにつきましては、矢印が2つ書かれておりますが、まず、2月1日に、都道府県等 に対しては、輸入食品が原因の事案、あるいは疑いの事例については、犯罪性の有無にか かわらず、速やかに厚生労働省に報告するよう、これは通知を出したところでございます。  それからまた、先般、2月14日に開催されました全国食品衛生主管課長会議におきまし ても、輸入食品原因事案については、速やかな報告について改めて要請をしたところでご ざいます。  次に、(2)でございますが、食品衛生法に基づく届出、その中の速報対象の拡大とい う点でございます。先ほどの説明では触れませんでしたが、資料1の7ページにポンチ絵 がございます。食中毒への対応ということで、食中毒の患者等が発生した場合、それを診 断した医師は届出をしなければならない。また、保健所が直接探知した場合も、速やかに 報告をする事例といたしまして、食中毒患者が50人以上、あるいは死者が発生した場合、 それから、下線を引いていますが、輸入食品が原因と疑われる場合、こういったものにつ いては直ちに厚生労働省の方に報告をしていただくという法的な枠組みができておりまし た。  しかしながら、今回は、かなり重篤な症状であったということになりますが、これは速 やかな報告の対象にはなっていなかった。輸入食品については、そもそも対象になってい たにもかかわらずということでディマインドさせていただいているわけですが、重篤な有 害事象についても、今後は速報の対象に追加すべきではないかというふうに考えておりま す。  また、病因物質、現行規定は9種類の細菌性の食中毒を症例で規定しております。これ はその後の4ページ目を見ていただきますと、別添という形で、食品衛生法施行規則第73 条と、その別表17というのが4ページ目につけておりますけれども、73条の第2項の第 1号「当該中毒により死者又は重篤な患者」の下線を引いたところを追加しようというも のでございます。  それから、第3号を見ていただくと、「当該中毒が別表第17に掲げる病院物質に起因し、 又は起因すると疑われるとき」ということで、その下に別表第17を1号から9号まで、サ ルモネラ・エンテリティディスからパラチフスA菌まで載せておりますが、これに今回の 事例のような化学物質を追加すべきであろうというふうに考えております。  それから、1枚めくっていただいて、(3)でございますが、次が情報の共有システム の改善ということでございます。現在、我が国は、都道府県、政令指定都市、中核市、保 健所設置市、特別区という行政区画で130の自治体が存在するわけでございますが、今回、 千葉県、千葉市、兵庫県というように、個別の発生事例を調査、あるいは捜査していると きに、全国的な状況というものがなかなか見えてこないということの反省に立って、個別 発生事例の情報を関係者が共有して、もし全国でまた同じようなものが、2例目が発生し ているというような、2例目以降との共通事項を早期に把握する、そういったシステムの 改善が必要なのではないかということでございます。  これにつきましては、矢印のところにございますが、食品保健総合情報処理システムを 活用して、情報交換の迅速化と情報共有、これを充実させるべきであろうというふうに思 っております。括弧でくくっておりますが、この食品保健総合情報システムと申しますの は、厚生労働省、感染研、国衛研、地方自治体、保健所等々、WISHと呼んでいますが、 厚生労働行政総合情報システムというネットワークを使用してオンラインで結んでおりま す。これの食中毒情報等の情報交換の迅速化、それから、それの解析でありますとか、と にかく情報をしっかりと共有していくということが重要かというふうに思っております。  (4)事業者による問題把握の強化ということで、これは、特に今回、千葉市の事例等 では、苦情等の情報がかなり早い時期にあったにもかかわらず、それが業者間ではなかな かその原因を一致させるには至らなかったということで、情報集約システムの導入、こう いったものを今後、指導すべきではないか。また、そういった食品に係る苦情等を受け付 けた、あるいは探知した場合に、行政機関への報告、こういったものを促すべきではない かということでございます。  矢印で書いていますが、食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針というの が現在でもございますが、これは食品衛生法の50条第2項に基づいて、都道府県で条例と して定める場合でございます。これにおいて、食品事業者が消費者からの健康被害や食品 衛生法に違反する情報等を保健所に速やかに報告する旨を規定すべきではないかと、規定 すべき方向で検討すべきというふうに考えております。  以上、まず1つの柱でございます。  引き続いて、輸入加工食品に関する安全性確保でございます。先ほど部長よりのごあい さつでも申し上げましたが、まだ原因がはっきりしておりませんけれども、現時点で我々 として考えられるものとしては、まず、輸出国政府への対応といたしまして、政府、事業 者の管理強化、あるいは管理状況の確認をきっちりと要請すべきであろうということで、 2国間協議、また、検証のために我が国の方から査察に行く体制の強化、こういったもの を考えております。  それから、(2)ですが、輸入者の対応ということで、輸入者自身が食品の輸出国の段 階での管理をきっちりとやっていただく、強化をしていただくということも必要でありま すので、ここにつきましては、既に2月1日に、内閣府・厚生労働省・農林水産省の3府 省で関係団体に有害有毒物質混入防止対策の確認を要請しているところでございますが、 更に厚生労働省の方で、私どもの方でガイドラインを、例えば、指導基準を策定して、こ れを輸入業者に指導していくという方法を考えております。  (3)監視体制の強化でございます。これは水際での監視体制の強化ということですが、 当然ではございますが、食品衛生監視員の増員、検査機器の整備、こういったものを通じ て輸入食品の監視体制を強化する。また、しばしば指摘のあった加工食品についての残留 農薬検査の対象を拡大していくという方向でございます。現時点でいろいろと技術的な問 題もありますが、技術的な観点等で実行可能となったものから、順次これは実施していく という方向で考えております。  最後、(4)ですが、やはり試験法の検討・開発というものが何よりもベースになるも のでございます。ガイドライン、先ほど申し上げた輸入業者が自主的な管理を行うものに 使うにしろ、また検疫所が監視強化に資するためにも、国衛研において加工食品の残留農 薬に係る試験法を検討、開発していくということが何よりも重要であろうと思います。予 定でございますけれども、今月中に試験法に係る検討会を設置して、検討を開始していた だくという方向で現在、進めているところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 続けてください。 ○事務局 それでは、資料4について御説明申し上げます。表題が「中国産冷凍食品によ る薬物中毒事案の実態把握に関する調査」とございます1枚紙でございます。冒頭説明の ありました資料1の6ページには、これまで都道府県などで相談があった事例につきまし て集計がまとめられておりまして、およそ5,300件余りの御相談が寄せられているという ことでございます。それから、10件の確定事例というのがそれぞれ調べてございます。  本調査の目的でございますが、1でありますように、まずは確定患者、それから、相談 ・報告のあった事例につきまして、詳細な分析と、並行して調査を行っております食品の 流通状況の情報を併せまして、まず全体像を把握・整理をする、こういうことを進める。 これによりまして、今後、類似事案が発生するとか、発生時の対応について、検討する材 料にしようとするものであります。  調査の内容は大きく分けて2つございまして、1つは、確定患者、私どもがそう申して おりますが、確定と言われている患者。それから、相談・報告のあった事例につきまして、 まず、その患者さんの詳細情報、実際、どのような、原因となった食品の喫食の状況であ りますとか、臨床所見でありますとか、その経過を取りまとめる。それから、保健所に相 談・報告があった事例につきましては、保健所への報告の内容。ここにつきましては、各 保健所で様式などを整理しておるようですけれども、それら、もしくは食中毒調査票とい うのを個々の事例ごとにつくるような形を食中毒調査では行っておりますので、それを準 拠した形で検証を行う。  それから、もう一つが回収食品の調査でございますが、実際に食品が流通した実態、回 収廃棄された状況などについてまとめるとともに、実際に回収された食品の中で、どれぐ らいの有機リン系農薬が検出していたのかという検査結果。それから、実際に被害が出た 事例であれば、その食品、もしくは吐瀉物から検出される事例がございますので、それら の結果をまとめるという、2つの大きなものを調査の内容という形にしておられます。  調査の体制でございますが、保健所、事業者などの御協力を得ながら、専門家による検 討会を別途設けて実施する。  実施時期は、今月中に検討会を設置をして、調査を開始したいと考えております。  併せまして、この調査の中では、確定患者、要するに、中毒の患者さんについては、そ のフォローアップする際に留意すべき事項についても併せて検討を行うというようなこと を考えております。  資料4につきましては、以上です。 ○吉倉分科会長 そうすると、大体、この資料の説明が終わったわけですけれども、どう しましょうかね。資料1について、少し丁寧に見ていきたいと思いますが、先生方で何か 気づかれたことがありましたら。例えば、6ページの参考資料で、全部で5,000人少々、 問い合わせその他あったわけですけれども、この中で、本当に病気だった人は909人で、 この人たちは別にきちんとした診断がついているわけですね。 ○事務局 そのように聞いております。 ○吉倉分科会長 はい。それで、5,000何人というと、かなりの数なんですが、これは一 体どういうところが対応したんですか。 ○加地課長 保健所でございます。 ○吉倉分科会長 そうですか。保健所がみんな丁寧に、この5,000人の、全国ですから結 構な数だと思うんですが。わかりました。ほかに何かありますか。はい、どうぞ。 ○渡邊委員 ちょっと教えていただきたいんですが、資料1の8ページに輸入食品の監視 体制というポンチ絵がありますけれども、基本的にこれは輸入業者がきちっとチェックし ないといけない部分がかなりあるわけですね。それで、この天洋食品というのは100%向 こうの会社なのか、JTの子会社みたいなのか、契約関係がどうなっているのかという点 が1点。  もう一つは、生協の方で検査して、ほかにポジティブなのが出てきましたが、こういう 輸入冷凍食品というのは給食のように一定期間保存する義務があるのかどうかという、こ の2点を教えてください。 ○吉倉分科会長 お願いします。 ○加地課長 まず、この10人の事案につきましては、すべて同じ会社ということでござい ますが、輸入者の場合はJTフーズです。向こうの工場のいわゆる品質管理を請け負って いたのが双日食品ということでございます。それから、日本国内での販売先としてはJT フーズと日生協ということになります。  それから、2点目の御質問の保存食を義務化されているかということになりますと、そ れはされておりません。 ○渡邊委員 天洋食品自体は100%中国の会社なんですか。出資関係といいますか。 ○加地課長 100%だそうです。 ○吉倉分科会長 この2ページの政府の対応の中で、「事業者が一義的責任を有する」と、 この事業者というのは、今の渡邊先生の質問とも関係があるんですが、一体どこからどこ までを、輸入会社から小売店、どの辺を言っていられるんですか。あるいは漠然と指して いるんでしょうか。 ○加地課長 これは、この事案に関連したところの事業者というのは全部、本来係るんで すが、ここで特に言っているのは輸入業者ということでございます。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。はい、どうぞ。 ○内田委員 4ページの対応経緯につきまして、最初のところの千葉市で、医療機関から 保健所に届出なしということでございますが、先ほどの資料によりますと、有機リン中毒 の確定している方10名はいずれも医療機関を受診されていますね。ある程度重篤な症状が 出れば、医療機関を当然受診されると思うんですが、現場からの報告、当然、医療機関が 窓口になる場合が非常に多いと思うんですけれども、現場にしますと、原因究明の熱意と いうのが、実際にお薬を出してしまって症状が改善してきたとか、そういうケースも結構 あって、検査の報告や何かを出す、その結果が返ってくるよりもはるか前に患者さんが来 なくなるというか、回復してしまうというケースが非常に多いものですから、なかなか報 告義務というのが周知されていないというか、実際には対応されていないケースが結構あ るんではないかというふうに思います。  今回の事例もたまたまそれが非常に裏目に出たというか、遅れるということになったと 思うんですけれども、この辺の周知の体制というのは、あるいは薬物中毒ということに関 しても、この辺の研修であるとか、周知であるとかということが非常に大切になってくる というふうに考えているんです。  今、日本医師会では、健康食品による副作用の情報収集体制というのを取っていて、た またま兵庫県も千葉県も委員会の担当理事がおりまして、モデル事業をやっている県には なっているんですけれども、そういう県でも、それは健康食品に限った話なんですけれど も、こういう薬物中毒であるとか、食品の食中毒であるとか、そういう報告というのが現 場ではちょっと身についていないというか、周知されていないというところが非常にある かと思います。  今回、非常に典型的なのは、流通経路が非常に多様化し、広域化し、迅速化していると いう中での情報収集体制、あるいは情報を周知する体制がすごく重要になってくるかとい うふうに思いますが、現場でやっている医療機関、医師としましては、特に病院関係や何 かについての、勤務医で、外来診療などをやっている先生方に関しては、そういうものの 届出のシステムや何かについて、なかなか周知されないというところがあるかと思います ので、この辺の対策は今後、非常に重要ではないかというふうに感じます。 ○品川(邦)委員 それに関連して。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○品川(邦)委員 今、食中毒の場合は、医師の届出というのが絶対的になっているわけ です。今回の事例もそうですけれども、特に散発事例、患者1名の事件のときに、この対 応がなかなか難しいと思われます。先ほどから言われましたように。ましてや、病院にお いては、今回のように化学物質による事件では、どこまで化学物質の検査ができるのか。 患者材料、食品については、届出を受けた保健所なり、衛生研究所で行われるでしょうけ れども、そういう体制において、一番最初の医師の届出というのが非常に難しいのではな いでしょうか。この制度がある限り、保健所も患者から有症苦情として、届出を受けたと しても、対応が難しいと思われます。有症苦情をどこまで対応していかなければいけない か、ということになってきます。この辺のところが一番難しく、食中毒の情報把握におい てネックになるんではないか、と思われますが、いかがでしょうか。 ○吉倉分科会長 加地さん、どうぞ。 ○加地課長 まず、現在の食中毒の届出というのは、確かに医療機関、医師からの届出が センサーとして、最初、一番、これが根幹になるわけです。今、先生おっしゃるように、 医師が届け出るかどうかというところの判断が、それぞれの医師会なり、あるいは保健所 単位で考えますと、これは少しばらつきがある。医師会と保健所との間で届出を密接にし ていただこうというところは、何かちょっとでも疑いがあれば、現在の法律でも、食中毒 の疑いも入っておりますので、まずは疑いがあったら一報いただければ、保健所の機動力 も使って、また検査能力も活用して、最終的に食中毒かどうかを、医療機関と保健所で二 人三脚で詰めていく。その中で中毒だということが考えられれば、その時点で正式に医療 機関からは届出を出していただくということで、ちょっと役所的なんですが、後づけでも 出していただけるようなシステムもございます。ただ、そうは言っても、特に大きな医療 機関は、自分のところで検査能力もあるものですから、確定した上で届出をしていただく というケースがままありまして、そうすると、もう事件は終わってしまっているというこ とで、保健所が残りの食品を調査に行ったりとかしても、残ったものが全然なくて調査が できないというようなこともままありまして、そういったところの事例を拾いながら、少 しずつ各地方自治体において改善をしていっているというような状況だと思います。  もう一つ言えば、医療機関だけからの通報で保健所が食中毒調査に入るかといいますと、 そうではなくて、先ほど先生おっしゃった有症苦情も含めて、保健所の方で積極的に調査 に入る。もしそのときに医療機関に受診されていれば、医療機関に確認をする。それから、 まだ受診していなければ受診を進めるというような方法も取っているところもありますの で、その辺を全国で確実にやるということが必要だという御指摘はまさにそのとおりでご ざいます。 ○吉倉分科会長 渡邊さん。 ○渡邊委員 私も薬のアドバースイベントで、副作用の関係をずっとやっていたんですが、 疫学的にはルールオブスリーといって、3例以上のイベントが重なったら本格的に調査し ようというのが一般的な考え方なんです。といいますのは、1,000に1つのことが3例も 重なりますと、10億分の1ぐらいの非常にあり得ないことが起こっているというのがわか るわけです。広域な中毒ですと、その3例がどこで発生しているかというのが、迅速にど こか1か所に集まらないと、3例かどうかわからないということになります。今日は保健 所にその役をお願いしようということになっているようでありますが、保健所自体、数も 地域保健法で削減しておりますし、所員も減ったりしていまして、実際、保健所の業務と いうのは100以上、ずらずらあるということで、本当にそれができるのかというところが 検証されませんと、現場での保証というのは全くない空論になってしまうのではないかと 思いますが、そこはどうなんでしょうか。 ○吉倉分科会長 みんな、このことはよく知っている話だと思うんですが、いかがですか。 ○加地課長 まず前半の話でございますが、確かに自治体としては130ございます。今、 先生おっしゃったように、今回はルールオブスリーだったわけです。ルールオブツーで本 当にチェックできるかどうか。広域な食品が流通している場合には、その自治体の中で発 生するということは非常にまれでございますので、全国ベースでないと、なかなかそれは 検知できない。  今後の再発防止策として入れているのは、いわゆる保健情報ネットワークをもっと運用 を生かして、最終的には厚労省、国の方に上がってくる情報を突合させながら、2例なり 3例、共通するものがないかどうか、私どもだけでは見られませんので、都道府県単位で も情報ネットワークを見ていただいて、自分たちのところで起こっている苦情がよその地 域でも起こっているのかどうかということを常にチェックする体制が必要なのかなという ふうに思っております。  その後の質問というのはなかなか答えづらくて、現在、保健所がその機能を果たせるの かどうかということになりますが、現時点では果たせると言うしかないわけで、果たして いただく必要があるというふうに言うしかないと思います。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、神田さん。 ○神田委員 関係団体への周知を要請したという、それに関連するんですけれども、こう いった点は、要請はしたということで報告は聞きますけれども、きちんと受け止められて、 それなりのことをやられているのかどうか、その辺、何かつかんでいれば教えてください。  それから、もう一つ、今日の報告にはありませんけれども、この問題を最初に知ったと きには、あたかも原材料の残留農薬というような報道があったかと思います。それについ て、最初のマスコミ発表に問題がなかったのか、あるいはマスコミ発表の仕方で改善しな ければならない点はあるのかないのか、その辺が非常に気になります。当初は、中国産の ものがあたかもみんな心配になってしまうような受け止めをした瞬間があったかというふ うに思うんですけれども、マスコミ対応の辺りを少し。拡大防止のためにいろいろマスコ ミが尽力してくださったという話は、私もそのとおりだというふうに思っていますが、そ れは対象商品がどれであるのかということを知らせてくれた、その点においては非常によ かったと思うんですけれども、その2点、お願いいたします。 ○吉倉分科会長 どちらからか、質問は2つあったと思います。 ○加地課長 まず、後の方のマスコミ対応のことを先に御報告しますと、確かに最初の時 点で、濃度がはっきりしなかったという点もあって、私どもの方の発表としては、予断を 許さないような形で、原材料に残留していた可能性も否定しない、かつ犯罪的なものも否 定できないといいますか、いずれにしても、予断をもって発表するということはできませ んので、事実を淡々と発表したわけでございますけれども、その過程の中で、当初、残留 農薬といいますか、原材料に高濃度の汚染があったのではないかというふうな誤解を与え た嫌いは残念ながらあったかもしれません。それは私どもも非常に遺憾に思っていますが、 そうは言っても、当初の時点で、現時点でもまだ原因がはっきりしていないわけでござい ますが、ただ、その後の材料別といいますか、皮でありますとか、あるいは包装紙の表と か裏とか、そういった情報が出てくるに従って、正確な報道に努めた次第でございます。  それから、最初の方の関係団体の要請をしたというところでございますが、これも、そ の時点ではまだ、現在の時点でも原因がはっきりしていないというところから、まずは各 社、各メーカーがやっている、例えば、有害有毒物質の汚染をいかに会社内で防止してい るのかどうかということを、まずは自分のところで何をやっているのかということをきっ ちりと検証していただいた上で報告をしていただく。そういった部分で何か問題点がない かどうかをきっちりと見ていただこう。その上で、また私どもの方の再発防止策の中でガ イドラインを示すなり、あるいは調査で原因がはっきりしてくれば、そこのところをもう 少し、先ほどのあいさつのようにピンポイントで改善できるところは指導していきたいと いうふうに思っていますが、まずは現時点でどのようなものをやっているのか。全く何も 考えていないというような企業、メーカーであっては困りますので、まずは自分たちのと ころで、セキュリティーを含めた対策をどういうものをやっているのかということをきっ ちりと認識をしていただきたいということで、これについても追って報告をいただいて、 それをまた私どもの方としては解析をしていきたいというふうに思っております。 ○吉倉分科会長 藤崎さん。 ○藤崎部長 1点、今の、マスコミの方への私どもの情報提供を若干補足をさせていただ きたいと思います。1月30日に私どもが公表したときに、最初はプレスリリースという形 を取って、いわば資料を提供したという形を取ったわけですけれども、やはり反響は極め て大きいということ、情報がどんどんそれぞれのメディアに流れていくという中で、きち んと記者会見という形でやった方がいいだろうという判断の下で、夜に入ってから私の方 で、担当の輸入食品安全対策室長と記者会見を行いました。そこでいろいろな質問をいた だいて、なるべく共通の、きちんとした形でリスポンスしようという対応を取ったわけで す。  そのときに私が申し上げたのは、やはり通常の残留農薬のケースとはちょっと異にする ように、私としては、個人的にはそう思える。というのは、これだけ初発のケースから時 間がたって、3例ぐらいである。これがもし残留農薬だとすれば、もう少し均質に分布し て、もっと多くの報告があってもいいのではないかという、通常の疫学的な発想から、イ ンプレッションとしてそういうことを申し上げたわけです。したがって、そういうような 事案なので、同じような事案の再発の防止も当然考えて、原因究明、被害防止というのは あるけれども、そういうことも当然考えていかなければいけないというようなことを申し 上げました。  それで、翌日の報道などを見ても、私の発言が引用されているメディアもございました し、また、そうでないところもあったということで、そういう点が反映された部分もあっ たかとは思います。  我々の方として、今、神田先生御指摘のように、確定的に、これは残留農薬とは絶対違 うと私が言い切って、事件性のあるものだというふうに断定ができたかというと、あの時 点では情報が余りに少なかった。これから先、場合によって健康相談などをやりながら、 もっと出てくるかもしれないという可能性もございましたので、ある程度個人的なインプ レッションというような形で申し上げながら、あとはやはり事実関係というものを淡々と 述べていったと、こういうことでした。  食品のこういう事案の場合には安全性を最優先しながら正確な情報を提供するという、 我々の行政に求められる一番必要なことです。また、もう一方で、不確実な情報で何か判 定をする、あるいは規制を行う、あるいは情報を流すということが、さまざまな現実の商 行為に対して問題となるようなこともまたあり得るだろうと思います。しかしながら、や はり安全を大前提にやっていくということは当然であります。そこら辺で、どの程度の情 報をどのような形で出していったらいいのか、検討課題ということで、今の神田先生のお 話もいただきながら、また改めてその点も検証してまいりたいというふうに考えておりま す。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。はい。 ○犬伏委員 今回は、被害拡大ということと、輸入加工品に対する安全性確保というのが 2つ、大きな失態なんだと思うんですけれども、被害拡大という意味からしますと、同じ 中国製ギョウザで有機リン系の中毒症状があったというのがほかに909件あるんですね。 これは重篤にはならなかったけれども、もしかしたら、なっているかもしれない。それを 考えますと、ストップするということは絶対的に必要だった処置であろうというふうに思 うので、このギョウザのことはともかくとして、今後、被害拡大を防止するためには迅速 な動きが必要なんだということは絶対的に事実だろうと思うし、してほしいと思いますし、 それをするために3つの事例などと言っていていいのかどうかということだってあるのか もしれないというふうに思うんです。  例えば、輸入食品、大量に輸入されていました。今回、学校給食に多く使われていると いう報道があったりしたものですから気になるんですけれども、そういうようなものがあ るんだとするなら、1例でも、多くのようなところに行くようなもののときに、まずスト ップさせる。事業者も生活していかなければいけない、事業者の権利というのがあるわけ でしょうから、そう簡単にストップすることはできないという思いが当然あるのはわかる んですけれども、被害拡大をするのはやめましょう、もしかしたら違う原因かもしれない けれども、一時、今、やめますよという報道というか、そういう行為というのは国として できないんでしょうかという思いが1つあります。  輸入食品の場合、先ほど渡邊先生もお尋ねになっていらしたんですが、今、外国に委託 加工というのがかなり多いような気がするんですが、委託したときの責任というのはどこ まであるんですかというのを私は知りたい。国内法の中に、委託をしたときには、確実に どれだけのものを調査するのかしないのか、あるいはどこまで、メーカーさんというんで しょうか、委託業者のところはしているのかいないのか、そのガイドラインというのは、 今、現にあるガイドラインという部分の中に含まれているのかどうかというところが、私 は知らないので、教えてほしいと思います。 ○吉倉分科会長 それでは、さっきの909人の説明と、あと、加工食品の輸出入の関係、 説明をお願いします。 ○加地課長 まず、909名というのは、ちょっと誤解されているのではないかというふう に私は恐れるんですが、参考のところに付けました中毒産ギョウザによる健康被害が公表 された日以降の報告数でございます。これは資料の6ページでございます。今、先生が御 指摘のですね。10例につきましては、注1に書いていますように、次のすべてに該当する 事例ということで、注1は下に書いていますが、神経症状を呈して有機リン系農薬の中毒 症状がある。それから、血中の、例えば、コリンエステラーゼの活性が低下をして、有機 リン系の確定診断が行われている。また、吐瀉物、あるいは食品からメタミドホスが検出 されているということで、今回の中国産のギョウザとの因果関係がついている事例でござ います。その右に、有機リン中毒が疑われ、現在、調査を行っている事例数というので、 これは入院あり、入院なしというところは、すべてゼロでございます。今回の事例との関 係が疑われるものというのは、現在までのところ報告はありません。  御指摘の909名というのは、一応、先ほど言いました保健所に相談があって、保健所の 方で、例えば、医療機関に受診しているのであれば、医療機関と連絡を取って、お医者さ んがどういう診断をしたのか、そういったところも確認の上、注3と書いていますところ がありますが、何らかの健康不調を訴える事例ではあったんですけれども、臨床症状、あ るいは検査結果、検査も行いました。例えば、持ち込まれたギョウザを検査したりとか、 そういったものもやっておりますが、そういったもので、今回の事例とは関連性がないと いうことで否定された事例が実は909、医療機関に受診されたところで909例あったとい うことです。 ○犬伏委員 それは読みましたけれども、注2のところに、有機リン中毒を疑わせる症状 が認められる事例が909件あったわけですね。 ○加地課長 いいえ、違います。 ○犬伏委員 ここにそう書いてあるのは違いますか。 ○加地課長 注2です。注2は、入院あり、入院なしという、左から数えて3列目と4列 目です。 ○犬伏委員 あっ、そうなんですか。注2、上なんですね。これはゼロだということです ね。では、909というのは注3なんですね。 ○加地課長 そうです。909というのは注3です。 ○犬伏委員 わかりました。ごめんなさい。注2と思っていました。失礼しました。 ○加地課長 それから、2点目の、輸出国でつくった、委託生産等も含めて、これは一義 的に責任はどこにあるのかと申しますと、食品衛生法上は輸入者でございます。 ○犬伏委員 委託した場合は。 ○加地課長 輸入したものは、委託しようがしまいが、その製品を輸入した。 ○犬伏委員 そうではなくて、それは当然ですよね、全部のことにあるわけですが、委託 というときには、双日さんが今回、そのあれがあるのかもしれませんけれども、どこまで 入れるんですか。委託という限りは、日本の法人の、空洞化ではないですが、外に持って いった、日本である工場を外でつくってもらっているというような、今回のではないです よ、いろんなもので委託したとき。そのときは、日本国内のメーカーさん、業者さんは、 どこまでそこの中できちんと責任を持つんでしょうか。 ○吉倉分科会長 今の話は、要するに、委託ということが輸出入の中でどういう行為かと いう話なんですよ。要するに、中国でつくったものをね。だから、「委託」という言葉を 使うのが適切かどうかということだと思うんです。どうぞ。 ○道野室長 多分、法人間の契約関係の問題なので、多様なケースがあると思うんですけ れども、例えば日本の冷凍食品メーカーが中国側の企業なりに投資をしたりするケースも ありますし、今回のケースでは余り聞いたことはなかったんですけれども、OEMの中で 品質管理だけを商社に部分的に委託をするという形で、実際には事業をやっていたという ことであります。そこは2社間の契約の問題なので、こういう場合、こういう場合といろ いろあります。 ○吉倉分科会長 今の話は、委託しようが何しようが中国から輸入したことには変わりな いわけですね。 ○加地課長 そうです。 ○道野室長 一義的には輸入時点の責任で、1社にございます。 ○吉倉分科会長 そういうことでいいでしょうか。  ほかにいかがですか。渡邊さん。 ○渡邊委員 加工食品の検査体制は今まで取られてこなかったということでありまして、 これからそれを重視しようということなんですけれども、全部をできるはずがないので、 やはりサンプリング調査になると思うんです。今まで、農薬とか、いろいろなことを、検 査体制、水際で、検疫所が随分努力してなさっていたと思うんですが、現実に何検体から 幾つぐらいピックアップして調べたら何が見つかったのか、見つからなかったのかとか、 そういう科学的なデータというのはあるのでしょうか。 ○吉倉分科会長 いかがですか。要するに、簡単に言うと、サンプリングでこういうのが 見つかったかどうかという可能性があったかという話なんだと思います。 ○道野室長 済みません。農薬を含めて、輸入食品のモニタリング検査は年間8万件ぐら いある計算になっています。それは、考え方としては、輸入される食品を衛生上の観点か ら百数十種類に分類して、各食品群ごとに、同じような残留構成物質の問題があり得るも の、農薬の問題があり得るものということで分類をして、サンプリング検査をやっていく というような仕組みを取っています。  ただ、当然のことながら、一定の管理がされているもの、一定の共通性を持つロットと して検査をしていますので、当該ロットの検査にしても抜き取り検査ですから、今回の場 合、例えば千葉で問題になったものに関して、輸入時に約2,000カートンが入りましたの で、その中で、多分、1箱か、それ以下かというような汚染率だと思います。  そういう管理されていないものに対して検査で検証するというのは、もともと意味がな いということがありまして、今回の事案について対応できるような、食品衛生一般にそう なんですけれども、検査の意識で取っているというわけではございません。ただ、全体と しては、計画に基づいた、食品の生産から消費までの中で起こり得るような衛生上の危害 に対しては対応してきたわけでございますけれども、今回の事例に関してまで想定したも のではないということでございます。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○渡邊委員 今のお答え、もっともだと思うのですけれども、私がむしろ聞きたかったの は、今回は農薬の異常な濃度のギョウザが混じっていたということなんですが、これを限 りなくリスクをゼロにするためには、例えば、もしこれが農薬でなくてダイオキシンが食 品に混じってきたとき、それがピックアップできるかどうかとか、そういう問題もあるわ けです。ですから、それはまた別の法律でカバーするんだとか、そういうことならそうい うことでいいのですが、消費者としては、どこまで食品が本当に安全が担保されているの かというのは、やはりとても重要なことだと思うんです。  ですから、年間8万件も分析するのは大変な御苦労だと思いますが、それに更にプラス して、例えば1,000ぐらいのことをやっても今回のことは発見できたかどうか、とても難 しいと思うんです。人員増も何もなしで、ひたすらやれというのは精神主義で、私は余り 好ましくないと思うんです。ですから、対策を取るなら、きちっと体制を固めて、科学的 にこれぐらいのリスクはやむを得ない、リスクがゼロなどということはあり得ないと思う んです。ですから、そういうことで国民にきちっと理解を得るようにしませんと、スタン ドプレー的に、これでゼロになりますとか、絶対安全ですというのは、私はむしろとても 危険なことだと思います。 ○吉倉分科会長 道野さん、どうぞ。 ○道野室長 そういったことで、私どもとしては、これで大丈夫ですというのは多分難し いというのもございまして、勿論、原因がどこにあるかということがわかってこなければ いけないということは前提条件としてございますけれども、やはり輸出国政府ともよく協 議をして、特に相手方の国での管理の問題、輸入者自身が輸入する食品について、かなり 輸出国側に踏み込んだ確認なり管理なりということを、今後やはりしてもらわないといけ ないんではないかというような、勿論、国内もそうですけれどもね。  それから、それに併せて、監視体制の強化ということで、これは従来からも継続して対 応してきているわけですけれども、そういったスタンスについても継続をしていくという ような、そういったことを、いろいろな対策を取っていきながら、全般としてそういうリ スクを低くしていくということが適切なのではないかというふうに考えております。 ○吉倉分科会長 この件、完全に原因がわかっていないという状況なので、これ以上言う のは難しいとは思うんですが、先ほど神田先生がおっしゃった「残留農薬」という言葉が 出た。かなり均一に汚染されているものだとサンプリングでうまくいくわけですね。この ケースは、ひょっとしたらそうではない。そうすると、輸入時検査で本当にうまくいくか どうかというのは、真相がわかってみると、必ずしもそうはいかないかもしれない。むし ろ生産現場での管理、そっちの方の話で、ものの話ではないかもしれない。そういうのは 調査するとだんだんにわかってくるだろうと思うんですが、そこの辺も、検査すれば全部 うまくいくよというのは確かに、渡邊先生おっしゃるように、かえって誤解を招く状況か もしれないと思います。今の話は事実関係がはっきりしてからもきちんとした議論をした 方がいいように思います。必ずしもサンプリングを全部やればいいという話ではない可能 性がありますね。  ほかにどうですか。どうぞ。 ○品川(森)委員 今のお話と関連するんですが、要するに、ここで再発防止策を検討す るということで、非常に物事がこれからスムーズにいくように一般的には感じられるかも しれないんですけれども、例えば、このような人為的な汚染というようなものの場合には、 全くどうにもならないんではないですかね。ですから、そういうようなところは、やはり 正直に、できないこととできることを明らかにしておく必要はあるんではないかと思うん です。 ○吉倉分科会長 藤崎さん、どうぞ。 ○藤崎部長 今、先生方に御指摘いただいたのは、まさしく私どもがこの間、食品安全部 の中でも議論し、関係者の方と話をしながら、やはり難しいと思ってきた点でございます。 まだ原因が確定していないということで、これが意図的な混入なのか、それとも本当に事 故的な意味での混入なのか、これもわかりません。残留農薬という可能性はそう高くはな いんだろうと思いますが、全く否定されたわけではないのかもしれません。そういう中で、 おっしゃられるように、そういうものであれば、これはサンプル数を幾ら上げても無理な んではないかというふうな気がいたしております。そういう意味で、原因がはっきりした 段階で、そのことを防げるのかどうかということについては、私どもも明確な見解を持っ て、また先生方にも御指導いただきながら、国民の皆さんにも明確に述べていくべきだろ うというふうには考えております。  現時点での再発防止策、また後ほど御議論いただきますけれども、その中では、現在、 我々がやり得ることとして、ある程度、加工食品における残留農薬の検査も、どれだけ輸 出国において管理されているのかどうかということの国民の皆さんの不安もあるだろうと 思いますので、技術的に可能な範囲で、物理的にも体制が整う中で、やれるものについて は拡大をしていきたいと考えております。しかし、それはあくまでも今回のようなケース を防げるという意味ではなくて、今やっております加工品の比較的シンプルなものから始 めていって、メタミドホスとかジクロルボスのような、問題となった農薬から始めていっ て、可能な限り、それを広げていくと、こういうような方向で、国民の皆さんの不安を少 しでも払拭できる方向でやっていくべきではないかと考えております。今、先生方から御 指摘いただいた点を十分に肝に銘じながら、今後の原因究明を待ちたいというふうに考え ております。 ○吉倉分科会長 大野先生、どうぞ。 ○大野委員 日本政府が調査団を送ったということですけれども、その報告があるのかと いうことと、これはというものが見つかったことがあるのかどうか教えていただきたいん です。 ○吉倉分科会長 質問わかりましたか。ちょっと私はよくわからなかった。もう一回、済 みません。 ○大野委員 2ページの1の政府の対応の(4)に現地調査を、日本政府が調査団を送っ て行ったと書いてあります。2月3日から7日まで。それは報告書が出ているのかどうか ということと、まだ早いから出ていないんだったら、気がついたような何かがあったのか ということを教えていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長 もしも報告できることがあれば、その範囲でお願いします。 ○道野室長 2月4日から7日の間、内閣府、外務省、厚生労働省及び農林水産省で、今 回の健康被害に関わる日本側調査団ということで中国に派遣をしています。行った先は、 北京のほかに河北省の当該工場であるとか、向こうの輸出検査をやっている中央政府の機 関があるんですが、そこの出先といったところを回って、あとは公安等とも情報交換運を しています。  現地調査の結果ですけれども、少なくとも工場においては、これは発生から少し日にち がたってはいたわけですけれども、操業自体が止まっていまして、掃除もきれいにされて いるというような状況で、その時点での異常というのは見つけられていません。  それから、メタミドホスについては、当該工場において購入、使用された記録はなかっ たというようなことでありました。ただ、メタミドホスにつきましては、中国側でも、20 07年の1月に使用が禁止されておりまして、輸出等も含めた完全な禁止は今年の1月9日 というふうな状況でありますけれども、実際にどのようにして禁止措置が取られ、在庫等 について、どういう処理がされたのかということについては、追加的な情報として、今、 中国側に詳細情報を要求している、そういうような状況でございます。 ○吉倉分科会長 神田先生、どうぞ。 ○神田委員 話の流れから言って資料3の方に入っているのかと思って手を挙げたんです けれども、よろしいでしょうか。 ○吉倉分科会長 そろそろ時間もありますから、そっちに移りたいと思います。どうぞ。 ○山本委員 その前にちょっとお聞きしておきたいんですけれども、症状が出たのは3件 ということを探知されていますけれども、その前に、例えばJTフーズの苦情相談窓口と か、そういうところに事前に情報が入っているとか、そういうことはなかったんでしょう か。 ○吉倉分科会長 お願いします。 ○加地課長 いろんなケースがあって、早いものは事前に入っております。ですから、生 協さん、JTフーズまでは行っている、そこから保健所の方には来ていないというケース、 後で調べていくと、そういう事例はありました。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○山内委員 実際の当事者でございまして、この件につきましては、本当に全国の皆さん に御心配と御迷惑をおかけしております。おわび申し上げます。  今の、事前に情報がなかったのかということにつきましては、実は私どもも、警察から 要請があり、サンプルを提出せよと言われた段階で、私どもの商品のクレームを調べまし たところ、関連事故の情報がございました。実際には、昨年の10月に宮城県で出たもので す。生協では、お店での販売と配達で販売するものとございまして、配達で販売するもの は生協のセンターで箱を開けて、配達の個数をそれぞれの配達先に仕分けをする作業をし ておりまして、その仕分け作業のところで異臭がするというクレームがございました。こ の件もJTフーズさんに併せて調べていただきましたが、流通過程での何かの移染ではな いかということで、農薬のところまでは至りませんでした。  同様に、同じく10月31日にみやぎ生協から配達でギョウザを購入した組合員から、変 な匂いがして、少し食べたけれども、味も変だったという苦情がございました。それにつ きましても現品を回収しJTフーズさんに調査を依頼しておりますが、最終的には結論ま で至っていないということです。  実はもう一件ございました。11月10日、福島県のコープあいづという生協で、お店で 購入したが、オイルのような匂いがきつくて食べられないという苦情がございまして、そ ちらにつきましても私どもで現品を回収し、JTフーズさんにも調査を依頼したところで ございますが、最終的に包材の分析をしたところ、トルエン、キシレン、ベンゼンは検出 されておりましたが、こちらも流通上の移染の関係かということで、調査は終了しており ます。  1月になりましてから事態がわかりまして、2月1日でしたか、大阪の枚方で、包材に べたつきのようなものがあったということがございまして、再度、あいづの件の調査を私 どものところでいたしましたところ、ジクロルボスが出たということになっておりまして、 先ほどルールスリーというのがありましたけれども、私どもの苦情の中でも、もっと気が つけば、もう少し調べられたかもしれないものもあったということでございます。 ○吉倉分科会長 生協その他、山本さんのところでやってこられて、そういう検査その他 について、行政の何らかの、必ずしも行政というわけではないですが、今、JTさんにい ろいろ頼まれたわけですね。検査体制とか、その辺、もしもこういう具合であれば、もう 少し早目に調べられたとか、そういうことは特にありませんか。 ○山内委員 これも生協の商品に対する皆様の期待との間に少しギャップがあることとも 関連するのかなと思いますけれども、JTフーズさんとの契約の関係で、基本的に問題が 起きたときに、一番最初に御報告し、調べていただくのは、お取引先というルールになっ ておりまして、食中毒のような症状が出ましたときは回収をして、我が生協のところで、 細菌ですとかについての調査をするというルールになっています。 ○吉倉分科会長 基本的にJTフーズは輸入業者さんですよね、生協の場合は。 ○山内委員 はい。 ○吉倉分科会長 そうすると、内容的におかしいときは、輸入会社さんに種々の検査を頼 むという、そういう契約になっているんですか。 ○山内委員 契約の詳細は、今、わかりかねます。 ○吉倉分科会長 要するに、そういう具合にやっていらっしゃるわけですね。わかりまし た。  ほかにいいですか。さっき、山内先生でしたか、資料1の4ページを見ると、医療機関 が保健所に出さなかった、それから今度は販売者が保健所に電話したところ、つながらな かった、保健所が患者から、7ページの絵で見ると、非常にきれいな絵になっているんで すが、ここは非常に錯乱していますね。現実はこうなんではないかと思うんです。どんな 場合でも。ということは、本当にこういうきれいな絵でうまくいくのかなという、次の議 題とも関係あると思うんですが、ちょっと確認しておいた方がいいのは、4ページの販売 者というのは、これは一体どういう販売者なんですか。保健所に電話したというのは。な ぜ販売者が電話したんでしょうか。 ○加地課長 このケースは生協ですね。苦情受付を生協がされまして、食べた人から生協 の方に苦情があった。生協さんの方では、それを調べて、とりあえずこういう苦情があっ たということを保健所の方に電話をしようとしたんですが、29日で、もう年末の休みに入 っていたということで、メールでもって、29日付で事情の報告を保健所の方にしていたと いうことです。 ○吉倉分科会長 そうすると、この販売者は患者さんから何かクレームを受けたわけです ね。そういうことですね。 ○加地課長 そうです。 ○吉倉分科会長 今度は、その患者が保健所に文句言ったわけですね。 ○加地課長 4日の日ですね。年明け。 ○吉倉分科会長 わかりました。それから、こういうときに地方自治体というのは余り出 てこないんですが、千葉市役所というのが一番下に出てくるけれども、これは一体どこか ら来た苦情なんですか。 ○加地課長 これは健康危機管理の一環といたしまして、食中毒にかかわらず、感染症も 含めて、全国の保健所に対しましては、24時間365日の体制を取っておいていただくとい う要請を国の方からしています。医療機関から保健所へは24時間365日のホットラインを 設置しているというふうに聞いておりますので、千葉県、あるいは兵庫県については、そ れはちゃんと機能していたということでございます。ただ、千葉市の場合は、医療機関か らの保健所への通報が残念ながらされなかったので、販売者から保健所にコンタクトしよ うと思ったけれども、販売者の方、生協さんは、ホットラインの番号を知らなかったとい うことでございます。ただ、千葉市といたしましては、本庁については、24時間365日の 体制があったというふうに聞いておりますので、もしかしたら、そちらの方にかければ、 保健所の担当者の方に連絡が行ったというふうに考えています。 ○吉倉分科会長 済みません。この苦情は一体どこから来たんですか。 ○加地課長 どこの苦情でしょうか。1月7日。 ○吉倉分科会長 千葉市役所のこれ。1月7日の。どうぞ。 ○藤崎部長 これは上の方から来ていまして、1月4日に千葉市の保健所が調査を実施し た結果、本来、これが食中毒の疑いとか、そういう判断があれば本庁に上げるんです。本 庁を通じて厚生労働省に行く。その間、有症苦情ということで、結局、食中毒、あるいは 食中毒の疑いということで判断ができなかったので、本庁まで上がらなかったということ を1月7日のところでは書いてございます。 ○吉倉分科会長 要するに、保健所から市役所に上がったということですか。 ○藤崎部長 上がっていなかったということです。有症苦情として対応していたため、千 葉市役所及び厚生労働省に報告がなかった。つまり、千葉市の保健所が1月4日に御本人 から相談を受けて、そして調査ということで判断をしていたわけです。その際に生協さん の方で検査をしていて、微生物の検査とか、そういうのをして異常がなかったという情報 なども得ながら、保健所としては、これを食中毒事案だというふうには考えずに、そのま ま、有症苦情ということで処理されて、本庁の方には上がってきていなかったわけです。 したがって、後になって指摘があるまで保健所のレベルでとどまっていたと、こういうこ とでございます。 ○吉倉分科会長 わかりました。先生、どうぞ。 ○内田委員 28日に受診された医療機関というのは、病院ですか、診療所ですか。 ○加地課長 よろしいですか。28日に、まず、母とお子さん2名が千葉市立海浜病院に搬 送されて、その後、母親だけが市立青葉病院の方に転院され、1日入院後、退院、子ども さんは、23時ごろ、治療後に帰宅というふうに聞いております。 ○内田委員 救急車ですか。 ○加地課長 千葉市の海浜病院には夜間救急で、転送されたのが夜間救急だから、救急車 ですね。家からも救急車だそうです。 ○吉倉分科会長 そろそろ次の話題に行きたいと思います。本当は資料2なんですけれど も、続いて資料4で実態把握に関する調査というのがありますが、この辺は今までの質疑 で大体出てきたようにも思いますけれども、資料4について何か御質問ありますか。  今回の事件で回収食品というのは一体どのくらいの量になったんでしょうか。 ○加地課長 2月15日にまとめたものがございまして、公表もしてあるわけでございます けれども、18社で68品目が対象になっています。まだ数字自体の報告が回収中ですけれ ども、まだまとまっていませんという品目が一部ございますけれども、本体としては5% 程度ですか、現在、回収が終わったということで報告が来ております。詳細につきまして は、非常に細かな数字がたくさん出ている資料ですので、概要的にはそんな状況になって います。 ○吉倉分科会長 量的には何トンというような量なんですか、回収量というのは。 ○藤崎部長 数字の割合というのはなかなか難しくて、全体で今、分母として考えており ますのが、昨年の1月から今年の1月30日までに輸入された天洋食品の全製品が全体の分 母になります。問題となったのは冷凍ギョウザ2種類でありますけれども、一応、全部回 収していますが、当然にその間にもう消費されたものがたくさんございまして、どれぐら い消費されているかというのはつかみようがないわけです。そういう中で、現実に回収を して、事業者の下に戻ってきて、これだけ回収できたという数字だけが今わかっていると いう状況でございまして、それが全体の中で、輸入届出のトン数に対しての回収された重 量と、そんな数字になろうかと思います。 ○吉倉分科会長 たくさんたまると大変だろうと思って、どのぐらいたまっているのかな と思っただけです。 ○道野室長 全体では、今、対象にしていますのは3,710トン、部長が申し上げた去年の 1月からということでありますけれども、冷凍食品の場合、通常、1年とか、そういった ぐらいの賞味期限をつけていまして、実際、流通管理自体は、日本での保管期間を短くす るようにということで動いていますので、そもそも市場に流通しているものというのは、 勿論数字はわからないわけですけれども、3,710トンの一部であろうというふうに考えて おりまして、それの回収状況について、一応、毎週、都道府県から報告を受けて、データ 的にはアップデートしているという状況でございます。  この中で、都道府県なり、事業者なりの方で、問題になった物質について検査をできる 限りやってもらっている状況です。 ○吉倉分科会長 相当な量なわけですね、回収されたものというのは。3,000の5%だか ら。 ○道野室長 そうですね。15日の前に12日に一応公表を1回していますけれども、その ときで170トンというふうに数字としてございます。 ○吉倉分科会長 これは最後には全部焼却か何かするんですか。 ○道野室長 結果として焼却するかどうかはあれですけれども、結局は廃棄物で処分せざ るを得ないんではないかと思います。 ○吉倉分科会長 廃棄料も結構なお金になると思いますが、それはそれとして、それでは、 資料4について、ほかにありますか。確定患者の詳細情報、先ほどちょっとあったと思い ます。それから、事例の検証についても大体ありましたし、検査その他、よろしいですか、 これは。  そうしたら、神田先生、どうぞ。 ○神田委員 済みません。資料3の再発防止策というところで、1と2に分けて書いてあ るわけですけれども、1のところは、再発防止策というか、問題の正確な把握と被害拡大 の防止策というような点が多いかなというふうに思いますが、これはこれで今回の問題点 をきちっと検証した上で、必要なところをやってほしいというふうに思っております。再 発防止策というと、どちらかというと、2の方がどうできるかということではないかとい うふうに思うわけですけれども、2の中で、1つは質問ですが、3ページの方の、厚労省 がガイドライン、指導基準を策定して指導するというのがあるんですが、これはもう既に できているものなのか、これからつくるんでしょうか、その辺を教えてください。  それから、(3)と(4)は先ほど来、何人かの委員から意見が出されていたのと私も 同じ意見です。これは通常のリスク管理という面で必要なところは評価していくというこ とが必要だろうというふうに思っております。  それと、再発防止という視点から言うと、局長が、現在でやり得ることを書いたという ことですから、これはこれで仕方がないとは思うんですか、今回の問題が原因究明がまだ されていないということがあるのでそうだと思うんですが、消費者の方からしますと、今 回の原因はともかくとして、意図的に混入されるような問題について不安を感じていると いう、そういったことも現象としてはあると思うんです。そういったことについて、それ は厚労省だけでできることではないというふうに思いますけれども、意図的な混入問題に ついて、きちっと、国としてでも検討してほしいなというふうに思っています。今日、こ こで言うことではないのかもしれませんが、この問題から、そこまで受け止めていただけ るといいなと思っています。それはやはり生産から製造、流通、販売、それから、消費者 の手に渡った段階での消費者の意識の問題も含めて、トータルでそういった意図的混入な どの問題について対応できるような体制を考えていく必要があるのではないかなというふ うに思っています。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○道野室長 1つ目の、厚生労働省からガイドラインを策定しているとお伝えしています けれども、御質問は、既にもうできているのかということですけれども、正直なところ、 これから策定をするということにしています。ただ、内容的には、生産から、最終的な販 売に至るまでのそういった管理ということになるわけです。勿論、原因究明の状況を見な がら策定しなければいけないわけですけれども、例えば、コーデックスなどの一般ガイド ラインみたいなものでも、要するに、食品の製造加工、そういった取扱い施設での、当然、 有毒有害物質をある程度置かざるを得ないわけですが、そういったものの管理についての ルールというのが定められていますし、国内の、それを踏まえた管理運営基準、国内の事 業者が守らなければならないソフトの技術、これは最終的には国がガイドラインをつくっ て、自治体が条例として施行しているわけですけれども、そういったものでも、そういっ た扱いについてのルールというのを求めています。そういったことを具体的に整備して変 えていって、輸入者サイドから輸出国の製造者に対して、そういった確認なり、要請なり ということをきちんとできるような、具体的な内容について法整備をしていきたいという ふうに考えています。 ○吉倉分科会長 どうぞ、國枝さん。 ○國枝課長 先ほど品川先生、渡邊先生、神田先生から御意見あった件についてです。い わゆる加工食品について、どのように検査をするかということで、意図的に混入したのを 見つけるのはなかなか難しいという話もありましたが、意図的なものと、過失でいい加減 にやって残留農薬が入ってくるという2つのケースが想定されるということで、先ほど部 長の方からもお話ありましたけれども、私たちの内部でも、加工食品の検査法として、ど ういった形がいいかということについて、いろいろなディスカッションをしました。  現在のところは、加工食品の残留農薬基準の設定状況というのは、ポジティブリストを 一昨年の5月に導入したときの原則ということになりますけれども、加工食品というのは さまざまなものがあるということで、原則、原材料の、農畜産物の段階で管理されるのが 一番合理的であり、国際的な基準であるコーデックスとか、国内外の食品規格においても、 基本的にはそういった形で定められている。  他方、一部のもの、例えば、単一原料、あるいは簡易な加工のものということで、果汁 類とか、あるいは油脂みたいなもの、濃縮されてくるようなもので簡単な組成のものとか、 あるいは乾燥果実というようなものはコーデックスでも基準が定められているということ で、こういったものについては、加工食品であっても基準を定める形になっております。 このため、水際の検疫所などの具体的な対策としては、こういった食品プラス、乾燥とか、 ボイルなど、非常に簡易な加工のものについてのみ、加工食品としての残留農薬などの検 査をしていたわけでございます。  この難しい理由というのは、御承知のとおりだと思いますけれども、いろいろな原料が あるということで、分析時の夾雑物が多いということとか、あるいは試験法の中に、例え ば、穀類とか豆類のようなものとか、あるいは果実とか野菜類というような、それぞれ抽 出方法も違いますし、あと、ギョウザのようなものですと、皮のものとか、あるいは中に キャベツだとかタマネギだとかニラだとか肉とか、いろいろございますけれども、実際に 最終的な製品としてあるものの量を調べた場合に、いわゆるポジティブリストの場合には、 原材料でOKな場合には加工食品であってもOKということになりますので、実際に残留 基準などが出た場合に、それがそれぞれ各原材料の配合割合がどの程度だとか、水分含量 がどうだとか、あるいは加工調理の過程がどうだとかいうことで複雑な計算をしなければ ならないということで、なかなか判断が難しいというような問題もございます。また、感 度も非常に悪くなるということもございます。  他方、今回の事例があったときに、意図的、あるいは過失、誤って入るという両方のパ ターンがあるかと思いますが、1つは、事業者が責任を持つというところで、先ほどもガ イドラインというのがございましたけれども、原材料の管理から製造、最終的には製品と してつくり上げるという各段階のチェックを輸入事業者、あるいは製造業者がするわけで すけれども、そういったものを実際に確認をするというか、検証するようなものを国でも 音頭を取って事業者の方に示していく必要があるだろうということをまずやらなければい けない。  もう一つは、加工食品そのものをもう少し感度をしっかりして、国自身でも行う。ここ の部分というのは、先ほどもご説明したように、アウトかイエスかというのは実際上非常 に難しいということで、今までは事実上されてはいなかったわけですけれども、こういっ たものについて、検疫所の人的な体制だとか機器とかの問題もございますが、初めからや らないということではなく、まずは何ができるのかということを少し考えていこうという ようなことで、先ほど2月にも検討会を設けることとしたところです。 ○吉倉分科会長 藤崎さん、お願いします。 ○藤崎部長 神田先生から、意図的混入の不安をどう取り除くのかと、あるいは緩和する のかという御質問です。また、そうすべきではないかというご意見です。これは先ほど申 し上げたように、サンプリングによって対応するという意味では、そこで引っかけるとい うのは難しいということだろうと思うんですが、意図的な混入にどう対応するんだと。今 回のような非常に高濃度の有機リンが入っていて、人の健康に極めて危険な状況を引き起 こすようなものをチェックできないのか。結論から申しますと、これは私の考えでありま すが、先生方にまた御意見いただきたいのですが、これはやはり2で書いてあります(1) (2)に基本的には尽きるんだろうと思います。国内に入ってこないようにするためには、 やはり製造国、製造者、輸入者がまずきちんとやってもらわない限り、水際でのチェック をどんなに行っても極めてまれなケースであれば、サンプル等を上げても防ぐことはやは り難しいだろうと。まず、これが1点です。  その上で、仮に国内に入ってきた場合に問題になるのは、実は1の方です。情報収集シ ステムの改善ということで、第1例目がもしかしたら出てしまうかもしれないが、それを いかに迅速に発見をして広がりを防ぐのかという考え方がもう一つ重要になってくると思 います。  あと、神田先生もおっしゃられたように、では、消費者自身はどうなんだろうというこ とをおっしゃられましたけれども、食べるときに何に注意したらいいか、特にこういう化 学物質のようなもので危険度の高いものについて、味の問題とか、匂いとか、いろいろあ るかとも思うんですが、そういうものをどうお考えいただくか。あと、国内に流通してか らのレベルで、それぞれ国内での流通の段階で、事業者の方々がそれぞれ販売のレベルま で、さまざまに製品を扱うわけですので、そこのところの管理をどうしていただくか、そ ういう国内の方の話になってくるんだろうと思います。  私どもは、今申し上げたことしか現時点ではアイデアがないわけなんですが、是非先生 方から、こうすればその部分を防げるとか、あるいはこういう対策を取るべきだと、ご教 示いただきたいと思います。これは厚生労働省だけに限るわけではなくて、恐らく警察で すとか、さまざまな関係する省庁があろうかと思いますけれども、それぞれがどのように 知恵を出し合いながら努力をしていったら、今、神田先生がおっしゃられたような消費者 の方の意図的混入に対する不安がやわらげられるのかということも課題だろうというふう に思っております。是非また、そういう具体的な御示唆があれば、御指摘願えればありが たいと思います。 ○吉倉分科会長 岸先生、お願いします。 ○岸委員 公衆衛生の立場で少し意見を申し述べたいと思います。今回は中国でしたけれ ども、タイですとか、フィリピンですとか、アジアからの食料の輸入はこれからも、急に は食料の自給率を上げることはできないと思います。多くの方が自給率が低いということ を今回、非常に重く受け止めていると思いますが、そうしますと、臨床の先生方、保健所 のドクターたちも、今回、有機リンの急性中毒ですので、それでもこれだけ初期の段階で 時間がかかっております。保健所や千葉市役所等から厚生労働省に報告がなかったという ことで、有機リンで急性中毒、私は公衆衛生で中毒をやっておりますので、新聞を見た途 端に、これは有機リンの急性中毒だと思いましたけれども、多くの先生がそういうふうに 認識をされないんだと思うんです。ですから、これからの再発防止策を考えますときに、 モニタリングをしたり、サーベイをしたり、いろんなことをやらなくてはいけないんです けれども、初期に診られる先生方が、日本国内で流通していないようなものも含めて中毒 を起こす可能性があるということをもう少しよく知ることができるようになれば、それに 対応できるようなことを、厚労省は行政の立場で、各都道府県に、あるいはドクターたち に流していただきたいと思います。これは年末、お正月ということもあったかもしれませ んけれども、恐らく先生方の中で、これは有機リンだというふうに考える、私は普通の先 生はいかなかったんではないかなと思うんです。  もう一つは、警察が関与するようになって、非常に微量分析で実施しますと、不純物も 含んでいるような農薬の、日本で使われていないというようなところまで今、分析の結果 が出てきておりますけれども、もう少し近い都道府県レベルで、早期対応で測定、例えば、 衛生研究所等で、少し相談できないのかどうか。そうしますと、消費者の方、あるいは私 ども国民も、科捜研までいかなくても、もう少しその辺のところが認知できないのかとい うような、特定機関の体制の問題もあるかと思います。結局、日本の食料自給率もまだし ばらくは上がらないであろう、このような非常に低い情勢でいくだろうということを考え ますと、いろいろなアジアの国々等で使われているものも含めて、そういうことが予測し たり、問題があるんだということが食料に関して認識できるような、あるいは測定も対応 が取れるようなことを少しお考えいただければ、安全といいますか、安心というレベルで、 大分国民側に、少しその辺のところがよくなるんではないかと思うんですが、いかがでし ょうか。 ○吉倉分科会長 加地さん、どうぞ。 ○加地課長 2点目の御意見については、現在、都道府県の地方衛生研究所の方で、今回 の事例を踏まえて国衛研に検査方法を至急見直しをしていただきまして、ギョウザについ て、有機リン系45種類は一遍に検査できる、ジクロルボス、メタミドホス、こういうふう になっております。今回の3つの事例につきましては、先ほど申し上げましたように、警 察の捜査が入っているということで、証拠物件はほとんど捜査の段階で押収されておりま して、衛生部局の方で検査することは今、不可能な状態になっております。ただ、そうは 言っても、残っていたりしたものがあれば、それは衛生部局でもちゃんとやるようにとい うふうに私どもは指導をしております。  あと、今後のこととしては、これはジクロルボスとか有機リン系に限らず、今日、提案 しております化学物質の食中毒というものを早く上げてもらうためには、検査法、それか ら、先ほどの先生の御意見のように、第一線の医療機関でこういうものを早くキャッチで きるような体制というのが何よりも重要だと思っておりますので、そちらの方もまた鋭意 進めていきたいと思っています。 ○吉倉分科会長 先生、どうぞ。 ○内田委員 医療機関の話が出ているので、現場からちょっとお話をさせていただきます。 今の体制の整備につきましても、いろんなことで、人と金という話が最後は出てくるとい うふうに思うんです。我々の情報提供の義務にしましても、なかなか現場で浸透しないと いうのは、これはボランティアとしてやるという話ですし、その体制についても、しっか りした予算がついているというわけではないということですので、そこでしっかり頑張り なさいよとしりをたたかれても、例えば、暮れの28日などというのは、インフルエンザも はやっていましたし、今日でおしまいということで、恐らく患者さんもかなり集中して、 昼の診療をやった後に夜の救急を受けるという状況になるし、役所もやっているかどうか、 その辺の情報周知もされていない。中毒に関しては、中毒情報センターがあって、更に情 報提供されているんですけれども、特に救急外来の先生辺りはその辺をしっかり当たって いただくということは必要かもしれませんが、現場では、そういう忙しい中で、情報も当 たり、患者も診、なおかつ報告もしというところまでなかなか手が回らない。特に今、医 師不足と言われていますけれども、その辺の体制はもっと根本的なところに原因があると いうふうに私は感じます。 ○吉倉分科会長 先生、どうぞ。 ○品川(邦)委員 まず1つは、先ほど言いましたように、一番最初の医師からの届出で あり、実際にそういう事件が発生したとき、診察した医師が何を食べたかを聞いているか、 聞いていないか。ただ事件として上がっているということになりますと、これらはなかな か届けられない、ということがまず第一に考えられることではないか。そうしますと、実 際の救急医療にしても、そういうところでは、複数の患者がいましたらまだ比較的発見し やすいですが、単発事例、患者1名しか来ない場合、このような事例では非常に難しいの では。これらの発見には限度があるんではないかと思われます。  もう一点は、ここに書いてありますように、輸入原因食品であるというのは、はっきり すればいいですが、複合食品として使われているときには、どれがというのかなかなかわ からない段階で、自治体の保健所、ここでもまた職員が非常に少ない中で、どこまで判明 したときに上に報告したらいいのかということは、保健所でも非常に不安を感じるのでは ないでしょうか。ましてや、そこに警察事件が絡んでくると、ほとんど調査することもで きない状況の中で、保健所はどこの段階で上に報告するのか、この辺の判断をある程度示 してあげないと、報告してこいと言っても、現場ではなかなか難しいことと思います。 ○吉倉分科会長 道野さん。 ○道野室長 例えば、海外でのそういった中毒の発生情報とかいうことに関しては、実は、 国立医薬品食品衛生研究所とか、それから食品安全委員会の事務局なんかで、論文の情報 以外に、そういった発生情報について収集していまして、公表もしています。我々もそう いった情報を見ながら、例えば、フィリピンで、タピオカなんかで青酸中毒があったとい うようなことであるとか、そういったことも情報提供しながら対応はしているんですけれ ども、なかなかその情報が行き渡っていないということは現実にはあるかと思います。  そういった情報をいかに伝えていくかということ、それから、内田先生からも御意見あ りましたが、中毒センターの活用ということも地域保健の中でも従来から周知しているわ けですけれども、現場レベルでいくと、なかなかそういった対応にならない。そういった ことに関して、こういったことを機会にまた我々の方としても、情報を積極的に伝達して いく努力はやはりしていかなければならないのかなというふうに考えます。  それから、検査機関については、恐らく有機リン系の毒物だということがわかれば、都 道府県、衛生研究所を含めて、検査は対応できるというふうに思います。やはりそこに行 き着くまでの情報について、どう選別していくかということは大事なのかなというふうに 思います。 ○吉倉分科会長 藤崎さん、どうぞ。 ○藤崎部長 今、それぞれのお立場、あるいは御見解で、現場での運用がどうなのかとい うような、大変に難しい、そして現実的なお話をいただいたんだろうというふうに思って おります。私ども、今回の3件の事案、それぞれに制度運用上の問題点というのは指摘を してまいりましたが、それぞれの現場でやっておられる方々が決していい加減にやってい ると思っているわけではございません。それぞれが一生懸命にやっている中で、結果とし てこのような形になってしまったということは、システムとして何か反省すべきことがあ るんではないかとか、あるいは再発防止という観点から、やはり考えていかなければいけ ないんではないかという意味で整理をさせていただいているわけであります。  例えば、食中毒事案にしても、かなり非特異的な症状で出てきて、結果的に食中毒にな い訴えというのは数多くあるわけでありまして、それをすべて国に上げるかというと、そ ういうことでもないわけでありますし、また、医療機関からすべて行くのかというと、そ うでもないわけです。そういう意味で、やはりケース・バイ・ケースで、非常に難しい判 断がそれぞれに求められていくんだろうということで、現場の医療機関の先生方、そして 自治体の方々、本当に御苦労いただいているというふうに我々は認識をしております。  そういう中で、それでは、今回のようなことが起きないために、どのような形で運用を 改めて、どのような判断基準を設けるか。あるいはどのような知識、専門的な内容をそれ ぞれの分野で勉強していただくか、また、情報提供をどのようにしていくか等、非常にプ ラクティカルな形での整理といいましょうか、具体的なやり方の提示というものを我々は していかなければならないと、このように考えております。そのために今回の事案全体の 検証をしている最中でございます。つまり、それぞれの、医療機関、自治体、あるいは事 業者がどのように考え、どのような点が難しくて、どのような点が御本人たちとしても改 善すべきと考えておられるのか。こういうことをよく検証した上で、少なくとも同じよう な事案についての再発防止はできるような何らかの形での工夫をして、現場で御苦労され ている方々とよくコミュニケーションを取りながら進めてまいりたいというふうに考えて おります。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○犬伏委員 先ほどちょっと先走った話をしてしまったんですけれども、今回のギョウザ のことに関しても、この事例に載っていましたけれども、年末、もっと前に、1人の方が 保健所に行ったけれども、問題にされなかった。たった1人だったから。テレビで見る限 りでは、私みたいな1人の人間が言ったのでは、数がないとだめなのよと、私のときにも しこれを取り上げられていたら、10人もの人がこんな思いをしなくて済んだのにという話 をしている方があったんです。それは保健所に行った。だったら、保健所がダブルチェッ クというのがあってもいいのかなというふうに思うんです。  もう一つ、千葉だの東京都だのが、犯罪性というところを考えていたから、厚労省の方 に言わなかった、そっちの方に主体を置いていた。同時に進行するというのは当たり前で はないかと、わからない人間には思えるんですけれども、同時進行してくれないんでしょ うか。ダブルチェックしていけば早くに気がつくんではありませんか。被害の拡大防止と いうことに関しては、さっきも言いましたが、わかるんです。もしかしたら、1,000のう ち3つも事実はないといった話がありますから、そんなことでお金かけられない、大変だ よという話もあるので、そこを何とか英知で、ダブルチェックすることによって、何とか 早くに、とにかくこういう事実があって、このものを食べたら、どうもあったらしい、ち ょっと待ってと、業者の方は実際にやりましたよね、今回。やっていらっしゃる業界の方、 いらっしゃるはずです。わからないけれども、とにかく今、ストップしよう。ストップし ておいて、大丈夫でしたよとしている業者があったと聞いていますので、そういう方たち の処置の仕方というのが、国としてもあっていいんではないかしらと思うんです。業界に 大変な被害を与えてしまうのは困るというのもわかりますが、今回亡くならなかったから いいですけれども、少子化といわれているときに、小さなお子さんが重篤になってしまっ たなんていうことも、早くに処置すれば出なかったという、ダブルチェックの方法をここ に書かれていいのかなと、再発防止等については。そんなところが、ガイドラインの具体 性のところで載るかもしれませんが、国同士のだけというのではなくて、具体的なところ、 細かいところ。 ○吉倉分科会長 ほぼ時間が来てしまったんですが、食中毒に関しては、食品衛生研究所 は、感染症法の場合はそれなりに位置づけがあるんですが、そういうのは余り書かれてい ないんですか。 ○品川(邦)委員 よろしいですか。食中毒について保健所が探知すれば、やはりその検 査や分析については衛生研究所などで行われており、化学物質や細菌は全部そこにおいて 検査を行うというシステムにはなっていると思います。 ○吉倉分科会長 いえ、書かれているかという話なんです。 ○加地課長 法律的には書いておりませんけれども、実際上、菌を分離して、例えば、0 −157であれば、感染研の方に送っていただいて、そこできっちりと疫学情報を収集して いただいている。あれは病原体の方も一緒に送らせていただいていると思います。 ○吉倉分科会長 感染症法改正の中で、あれを書いてもらうのに随分何回もやった記憶が あるので、食中毒の方も、やはりああいうのに書いてあるかないかで予算の取り方が全然 違いますから、どうかなと思って。蛇足です。  それでは、時間が来ましたので、もしもよろしければ、今日は。 ○品川(邦)委員 もう一点だけ。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○品川(邦)委員 資料3の4ページのところに、今回、化学物質という項目を新しく追 加するというところがありますが、その上に書かれている項目は、みんな微生物であり、 しかも個々の菌であります。そこに化学物質という非常に大きな項目が出てきており、こ ういうものが原因物質であった場合、すぐに厚労省に届けなさいよということになってい ます。その中で、化学物質元素または化合物を言いますと、何かわかりにくいのではない かと思いますが、この辺はどういうことなのでしょうか。どういうことを意図しているの かということを、皆さんが知っておく必要があると思いますが。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○加地課長 ここはとりあえず化学物質という名称で、法律に使われているものはこうい う書き方をされているということで挙げておきました。ここの趣旨は、なるたけ早く上げ ていただくということで、化学物質の定義はこの範囲ですよとか言わない方がいいだろう ということで考えております。とりあえず化学物質らしいものであれば、何でも早目に上 げてくださいという趣旨でございます。この表現がいいか悪いか、今後検討したいと思い ます。 ○吉倉分科会長 これはいずれにせよフォローアップで、また分科会で報告その他ありま すね。今、品川さんがおっしゃったのは省令ですか。 ○加地課長 省令です。 ○吉倉分科会長 その改正の話とか、そのときにまた。  では、長い間どうもありがとうございました。ちょっと長くなりまして済みませんでし た。 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449) - 1 -