10/06/02 平成22年6月2日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事次第               日 時:平成22年6月2日(水)13:00〜15:52               場 所:厚生労働省6階共用第8会議室 1.開 会 2.審 議 1 議 題   食品、添加物等の規格基準について  (1)審議品目     [1]添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定     ・フェネチルアミン     ・ブチルアミン     [2]ポジティブリスト制度関係(農薬)     ・ピリミスルファン(国内登録に伴う新規の基準値設定)     ・1−メチルシクロプロペン(国内登録に伴う新規の基準値設定)     ・プロチオコナゾール(インポートトレランス(以下IT)申請に伴う       新規基準値設定)     ・スピロメシフェン(適用拡大に伴う残留基準の改定                          +暫定基準の見直し)※     [3]おもちゃ関係     ・フタル酸エステル  (2)報告品目    ポジティブリスト制度関係    (農薬)     ・プロパモカルブ(国内登録に伴う残留基準の改定+暫定基準の見直し)     ・メトラクロール(国内登録に伴う残留基準の改定+暫定基準の見直し)     ・フルシラゾール(IT申請に伴う残留基準の改定+暫定基準の見直し)     ・ペントキサゾン(適用拡大に伴う残留基準の改定+適用拡大)     ・ルフェヌロン(適用拡大に伴う残留基準の改定+暫定基準の見直し)     ・クロメプロップ(魚介類への基準値設定要請に伴う残留基準の改定 +暫定基準の見直し)     ・イミベンコナゾール(暫定基準の見直し)     ・アジムスルフロン(暫定基準の見直し)     ・シフルフェナミド(暫定基準の見直し)    (動物用医薬品)     ・コリスチン(暫定基準の見直し)     ・ラフォキサニド(暫定基準の見直し)     ・オキシベンダゾール(暫定基準の見直し)     ・カルプロフェン(暫定基準の見直し)     ・クレンブテロール(暫定基準の見直し+薬事法に基づく再審査申請に       伴う残留基準の改定)  (3)文書配布による報告品目等    ポジティブリスト制度関係    (農薬)     ・クロフェンセット(使用実態がないことによる残留基準の消除)     ・プロファム(暫定基準の見直し:現行の規格(不検出)を改正しない)     ・ピリプロキシフェン(IT申請に伴う残留基準の改定+適用拡大)※    (動物用医薬品)     ・ニューカッスル病・マレック病(ニューカッスル病ウイルス由来F蛋     白遺伝子導入マレック病ウイルス1型)凍結生ワクチン     (食品安全委員会の食品健康影響評価の結果から、食品中の残留基準を設      定しない)    (その他)     ・農薬の成分である物質の試験法に係る規格の一部改正等について     (食品安全委員会において食品健康影響評価を行なうことが必要でない      改正)      ※食品安全委員会における食品健康影響評価が2回目以降のもの 3.報告事項  1 高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の食品健康影響評価に係る補足資    料の提出について  2 食品中のカドミウムに係る規格基準について  3 魚介類の摂食と水銀に関する対応について  4 平成22年度輸入食品監視指導計画について  5 厚生労働省におけるリスクコミュニケーションに関する取組について  6 食品衛生分科会における審議対象品目の処理状況について   4.閉 会 ○石川補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会」を開催いたします。本日は御多忙のところ、委員の先生方に は御参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。  まず、5月28日付で委員の辞任と新委員の就任がございましたので報告させてい ただきます。  内田健夫委員が薬事・食品衛生審議会委員を辞任されまして、新しく石川広己先 生が委員に就任され、本分科会委員に指名されました。  次に、宮村達男委員が同じく辞任され、本日御欠席でございますが、5月28日付 で国立感染症研究所所長の渡邉治雄先生が当審議会委員に就任され、当分科会委員 に指名されました。  なお、分科会長代理につきましては分科会長が指名することになっており、渡辺 先生に分科会長代理をお願いするということで分科会長から御指名をいただきまし たので、併せて報告をさせていただきます。  次に、4月1日付で事務局の異動がございましたので紹介させていただきます。  医薬食品局食品安全部企画情報課国際食品室の日下室長でございます。  それでは、本日の出欠状況について報告いたします。  本日は伊藤委員、大前委員、寺本委員、山内委員、渡邉委員から欠席との御連絡 をいただいております。  現在の分科会委員総数20名のうち、15名の御出席をいただいており、出席委員が 過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを報告申し上げ ます。  本日の議題につきまして、お手元の議事次第をごらんください。「1 食品、添 加物等の規格基準について」(1)食品添加物関係、(2)農薬関係、(3)おも ちゃ関係の3題について御審議をいただきまして、その後、報告品目を数点、報告 させていただきます。  また、最後に報告事項といたしまして、6点ほど事務局から報告申し上げます。  資料につきましては、机上に配付しております「薬事・食品衛生審議会食品衛生 分科会資料」、(平成22年6月2日開催)に加えまして、お手元には参考資料1〜 9及び用語集、関連資料のハードファイルを2冊お配りしておりますので、審議の 際には併せて御活用いただければと存じます。  資料の不足や落丁等がございましたら、お気づきの際に事務局までお申し付けい ただきますようお願いいたします。  また、6月1日より厚生労働省はクールビズの月間となっており、事務局は軽装 となっております。先生方もお暑いようでしたら、適宜、上着をお取りになって会 議に御出席いただければと思います。  それでは、以後の進行につきましては、岸分科会長にお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、早速、議題の審議に進めさせていただきます。  まず添加物関係の議題について御審議いただきますが、事務局の方から添加物に つきまして御説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 本日、添加物につきましては「添加物としての新規指定並びに使用基 準及び成分規格の設定」に係る品目として、フェネチルアミン、ブチルアミンの2 剤について御審議いただきたいと思います。いずれも国際汎用香料として国が主体 となって指定手続の方を進めてきた品目でございます。  それでは、各剤について説明申し上げますので、資料の1ページをごらんくださ い。まずフェネチルアミンでございます。  本品の用途は香料でございまして、チーズ、魚の加工品などの食品中にも存在し ている成分でございます。  欧米では、焼菓子、ゼラチン・プリン類等のさまざまな加工食品において香りの 再現、風味の向上等の目的で添加されております。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございますが、食品の着香の 目的で使用する場合、安全性に懸念がないと評価されております。  摂取量の推計につきましては、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国 における推定摂取量は一人一日当たり、およそ0.05μgになると推定され、90日間 反復投与毒性試験における無毒性量との比較から安全マージンは124万が得られる という結果になっております。  以上を踏まえまして、使用基準案につきましては、着香の目的以外に使用しては ならないといたしたいと思います。  成分規格につきましては、JECFAの規格を踏まえまして、2〜3ページに記 載がございますような形で設定したいと考えております。  意見聴取の状況につきましては、パブリック・コメントは既に終了しておりまし て、現在、WTO通報手続中でございます。  続きまして、ブチルアミンについて説明申し上げます。5ページをごらんくださ い。  本品目も用途は香料でございまして、ケール、チーズ等の食品中にも存在する成 分でございます。  欧米では、植物性たんぱく製品、肉製品などの加工食品において香りの再現、風 味の向上等の目的で添加されております。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果につきましては、食品の着香の目 的で使用する場合、安全性に懸念がないと評価されております。  摂取量の推計につきましては、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国 における推定摂取量は一人一日当たり、およそ0.01〜104μgの範囲になると推定さ れております。90日反復投与毒性試験における無毒性量と推定摂取量から安全マー ジンは9,000〜9,000万が得られるという結果になっております。  以上を踏まえまして、使用基準案につきましては、着香の目的以外に使用しては ならないといたしたいと考えております。  成分規格案につきましては、6〜7ページにございますとおり、JECFA規格 を踏まえた規格を設定したいと考えております。  意見聴取の状況につきましては、パブリック・コメントは終了しておりまして、 現在、WTO通報手続中でございます。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  今、2剤につきまして報告がございましたけれども、ここでの議論に入ります前 に、部会長の若林先生に部会での御審議の様子をお伺いしたいと思います。 ○若林委員 わかりました。説明します。  2品目とも3月5日開催の部会で審議されました。ブチルアミンにつきましては、 特に議論となるような点がなく、了承されました。  フェネチルアミンについてですけれども、比重の測定温度が、JECFAの報告 によりますと25度Cと書いてあるんですけれども、それをよく調べてみますと、20 度Cの誤りではないかというようなことが日本の方、こちらの方の分析結果からわ かりました。この点についてはJECFAの方に情報提供を行うことになりました。 その他の点については、フェネチルアミンに関しても特に議論になるようなことは なく了承されました。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、本件につきまして、この分科会としての御意見・御質問等を受けたい と思いますが、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○西島委員 ブチルアミンの推定摂取量が非常に幅があるんですけれども、こうい うものは、このぐらいの幅があるのは普通かどうかということですが、特に幅が非 常に大きいように思えるんですけれども、その理由について何か御説明いただけた らと思います。 ○岸分科会長 確かに、大変な幅ですね。  いかがでしょうか。 ○磯崎補佐 それでは、原因について説明申し上げます。  香料物質のようなものの場合、世界的に製造事業者数が少なく、物によっては数 年に1度、在庫がなくなるたびに製造するということもございます。今回の推定摂 取量は、ある年にアメリカ、ヨーロッパで使用された量を調査し、それを基に摂取 量の推定を行っておりますが、今ご説明申し上げたような事情もございまして、生 産量は極端に少ないときと多いときがあり、今回、このような幅が広い数値になっ たことが考えられます。 ○西島委員 わかりました。 ○岸分科会長 そのほかにございますか。  もし、ほかに御意見がないようでしたらば、分科会としてこれで了承ということ にいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、今後、WTO通報とかパブリック・コメントなどの諸手続に関しまし ては、部会長と相談しながら、私、分科会長に御一任いただくということでよろし いでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。その後の経過につきまして、次回以降の本 分科会で報告するようにいたします。  それでは、続きまして、農薬関係の議題に移ります。  最初に、事務局の方から報告をお願いいたします。 ○茂野補佐 本日は、農薬につきましては「ポジティブリスト制度関係」として4 剤について御審議いただきたいと思います。  国内登録に伴う新規の基準設定に係る品目として、ピリミスルファン及び1−メ チルシクロプロペン。インポートトレランス申請に伴う新規基準値設定に係る品目 として、プロチオコナゾール。適用拡大に伴う残留基準の設定改定及び暫定基準の 見直しに係るスピロメシフェンについて、説明いたします。議事次第のところで、 スピロメシフェンに「暫定基準の見直し」という記載がございますが、誤りでござ いますので、これは訂正させていただきます。  資料の9ページをごらんください。ピリミスルファンでございます。  本剤はスルホンアニリド誘導体で、植物の分岐鎖アミノ酸の生合成に関与するア セトラクテート合成酵素の活性を阻害することにより植物の生育を阻止すると考え られている除草剤でございまして、適用作物は水稲です。  農薬登録はなく、米に新たに農薬登録申請がなされました。  国際基準は設定されておりません。諸外国での残留基準もございません。  食品安全委員会でADIを0.35mg/kg体重/dayと設定いただきまして、3月2日 の部会で御審議いただきました。  基準値案は10ページにございます。今回、米について登録申請がなされ、国内作 物残留試験成績を参照いたしまして、米の基準値を0.05ppmとする案を御審議いた だきました。  暴露量評価は、TMDI/ADI比として、国民平均で0.0%、幼小児で0.1%で ございます。  3月9日に在京大使館への説明が終わりましたので、今後、パブリック・コメン ト、WTO通報手続を進めていく予定にしております。  続きまして、13ページをごらんください。1−メチルシクロプロペンでございま す。  本剤は植物成長調整剤でございまして、植物体中のエチレン受容体と結合するこ とによりエチレンの生理作用を阻害し、その結果として処理した収穫後果実の貯蔵 性や日持ち性が向上するとされているものです。適用作物はリンゴ、ナシ、カキで す。  農薬登録はなく、リンゴ、日本ナシ、西洋ナシ、カキに新たに農薬登録申請がな されました。  国際基準は設定されておりません。カナダにおいてリンゴ、トマト等に、EUに おいて豆類等に、ニュージーランドにおいて果実及び野菜に基準値が設定されてい ます。  本剤の有効成分は気体でありまして、原体の経口または経皮投与及び長期の試験 は技術的に困難であること。また、作物残留試験の結果から、残留量は非常に低く、 高濃度による長期暴露は起こり難いと判断されたことから、食品安全委員会におけ る食品健康影響評価の結果では、吸入暴露試験で得られた無毒性量の最小値である ラットを用いた90日間亜急性吸入毒性試験の0.95mg/kg体重/dayからあえてADI を算出するとすれば、安全係数1,000で除した0.00095mg/kg体重/dayが得られると の結果を回付いただいております。3月24日の部会で御審議いただきました。  基準値案は14ページにございます。国内の作物残留データに基づいて、リンゴ、 日本ナシ、西洋ナシ、カキのすべてに対して基準値を0.01ppmとする案を御審議い ただきました。  暴露量評価では、TMDI/ADI比として、国民平均で1.4%、幼小児で3.2% でございます。  3月30日に在京大使館への説明が終わりましたので、今後、パブリック・コメン ト、WTO通報手続を進めていく予定にしております。  続きまして、17ページをごらんください。プロチオコナゾールでございますが、 本剤はインポートトレランス制度に基づく残留基準の設定の要請が行われておりま す。  本剤の用途は殺菌剤でございます。トリアゾール系殺菌剤で、脂質生合成経路中 の2,4−メチレンジヒドロラノステロールのC14位の脱メチル化を阻害することに より細胞膜の合成を阻害し、殺菌作用を示すと考えられております。  穀類、豆類、畜産物等にインポートトレランス申請がありました。  穀類等に国際基準が設定されており、米国、カナダ、EU、オーストラリアにお いて、穀類及び畜産物に基準値が設定されています。  食品安全委員会で0.011mg/kg体重/dayとADIを設定いただきまして、3月24 日の部会で御審議いただきました。  基準値案は18ページにございます。海外の作物残留データに基づいて、穀類、豆 類、畜産物等に基準値を設定する基準値案を御審議いただきました。  暴露量評価は、TMDI/ADI比として、国民平均で6.5%、幼小児で14.2% でございます。  3月30日に在京大使館への説明が終わりましたので、今後、パブリック・コメン ト、WTO通報手続を進めていく予定にしております。  続きまして、21ページをごらんください。スピロメシフェンでございます。  本剤は殺虫剤でございまして、アセチルCoAカルボキシラーゼを阻害することに より殺幼虫、殺卵効果等を示すものと考えられています。  ミニトマト、桃、ネクタリン等に適用拡大申請がありました。  国内では、茶等に農薬登録がございます。  国際基準はなく、米国及びカナダにおいて、トウモロコシ、アブラナ科野菜、イ チゴ、乳等に、EUにおいて、イチゴ、トマト、豆等に、ニュージーランドにおい て、ピーマン、トマト、キュウリ等に基準値が設定されています。  食品安全委員会でADIを0.022mg/kg体重/dayと設定いただきまして、3月24 日の部会で御審議いただきました。  基準値案は22〜23ページのとおりです。国内の作残データに基づきまして、基準 値の設定を行う基準値案を御審議いただきました。残留の規制対象物質は現行のま までございまして、農作物につきましては、スピロメシフェン及び代謝物M1。畜 産物につきましては、スピロメシフェン、代謝物M1、M2及びM2の抱合体とい たしております。規制対象物質につきましては、米国では後作物としての小麦、大 麦、てんさい、畜産物について、代謝物M2及びM2の抱合体も含めて規制対象に しておりますが、主な代謝物はM1でありまして、作物残留試験の結果、玄米及び 稲わらにおいて、いずれの化合物も定量限界以下でした。  また、食品安全委員会において、農産物中の暴露量評価対象物質としてスピロメ シフェン及び代謝物M1が設定されています。また、代謝物M2及びM2の抱合体 を含めて規制対象とした場合を考えて、EDIを算出して検討いたしましたところ、 含めない場合と比べまして大差がありませんでした。  以上のことから、残留の規制対象を現行のまま、スピロメシフェン及び代謝物M 1とする案で御審議いただきました。  暴露評価は、EDI/ADI比として、国民平均で38.0%、幼小児で76.2%でご ざいます。  3月30日に在京大使館への説明が終わりましたので、今後、パブリック・コメン ト、WTO通報手続を進めていく予定にしております。  以上、4剤について説明いたしました。御審議のほどをよろしくお願いいたしま す。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、この4剤につきまして議論に入ります前に、部会長の大野先生から部 会での審議の様子をお伺いしたいと思います。お願いいたします。 ○大野委員 ピリミスルファンの代謝物を暴露評価に入れるかどうかに関しては、 玄米中にM14という代謝物が若干出るんですけれども、それは残留量がTRR比で 10%より低いものであること、特にM14とその抱合体は毒性学的に懸念があるもの ではない、ということで、親化合物だけでもって暴露評価をしてもいい。また、暴 露評価のTMDIとADI比との関係でも非常に低いものなので、特に問題になる ことはないとされました。  1−メチルシクロプロペンについては、先ほど御説明がございましたように、揮 発性のもので、毒性実験が非常にやりにくいということで、90日間の亜急性毒性試 験の結果に基づいて、安全係数を、通常の100に更に10倍をかけて1,000として、 食品安全委員会ADIを設定しているということで、それはよろしいのではないか ということです。  若干、気になったところは、この化合物がエチレン受容体と強固に結合するとい うようなところがありました。血中の半減期でも結構、12時間とか、比較的長いん です。揮発性なので、呼気中に出てきてしまうのではないかと思っていたんですけ れども、比較的長いということです。ただ、実際に使用現場がリンゴ、ナシ、カキ の収穫後の貯蔵や日持ちを良くするために用いられるということで、残留は極めて 少ないということで、特に問題にならないのではないかと考えたところです。また、 TMDI/ADI比でも非常に低い。幼小児でも3.2%と低いので、問題ないであろ うというふうに考えました。  プロチオコナゾールですけれども、これについては暴露評価に代謝物を含めるか どうかということについて考えて、M3とか、M4とか、M17とか、いろいろ出る んですけれども、ここで問題になるのは、構造の中の硫黄の部分がOに変わったも ので、それが動物とか麦とかで残っているということで、M17については若干注意 した方がいいであろうとされました。  それで、M17について毒性実験をやっていまして、2年間の慢性毒性/発がん性併 合試験で1.1mg/kg体重/dayということで、安全係数100で割って0.011mg/kg体重 /dayに設定されたところです。通常は親化合物で毒性実験をやった結果に基づいて ADIを設定するんですけれども、この場合は代謝物での毒性実験の結果に基づい て設定されました。それで、M17も含めて暴露評価をして、TMDI/ADI比を 計算したところ、幼小児で14.2%ということで、特に問題ないであろうというふう に考えたところです。  それから、次のスピロメシフェンですけれども、これについては、特に暴露評価 のところで書いてございますように、EDI比とADI比で、値が幼小児で76.2% ということで、80%に非常に近いということで、注意して検討いたしました。それ で、ラットとかでは親化合物とM2が出ていた。M2は、水酸化体です。トマトと か、リンゴとか、レタスとか、植物性の食物に関しては親化合物のみで、綿だけM 1が出ていたというような結果が食品安全委員会の報告で掲載されていました。そ ういうことで、M1が綿に出てきているということで、M1を加えた値で農産物を 設定すべきであろうとされました。  ただ、お茶にはM2とM2の抱合体が結構あるということがデータとしてござい ます。ただ、これらを入れたとしても暴露量はそれほど上がらないということで、 農産物については入れなくてもいいであろうとされました。それから、畜産物に関 してはラットでM2という代謝物が出ていたということもございますので、親化合 物と代謝物M1、それから、M2とその抱合体、それを含めて設定されたところで す。  若干、欧米の基準と代謝物の設定については違うところがございますけれども、 今、申し上げたような検討で、こういう設定でよろしいのではないかということに なりました。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、この農薬につきまして、この分科会で質疑をしたいと思いますが、御 質問とか御意見とかはございますでしょうか。  どうぞ。 ○若林委員 21ページのスピロメシフェンですが、この基準値案のところで代謝物 のM1とM2がありますけれども、M1の場合には抱合体は形成しない構造なんで すか。M1の場合は抱合体を含めないということでよろしいわけですか。M2の場 合だけに限るわけですか。 ○大野委員 水酸化を受けたものですので、抱合は受けると思うんですけれども、 実際の食物中での残留でそれが検出されていないんです。ですから、特に考慮する 必要はないのではないかと考えているところです。トマトとか、リンゴとか、レタ スで親化合物しか出ていなかったということがございます。 ○若林委員 畜産物の方でも、構造上、M1の抱合体はつくらないから、この中に は入っていないというように考えていいんですか。 ○大野委員 畜産物の場合では、ラットのデータが食品安全委員会の方にあったん ですけれども、それですとM1はそんなに出ていないんです。それでM2が生じて おりました。そういうことで、M1のことはそれほど気にしなくてもいいのではな いかとなったところです。 ○岸分科会長 よろしゅうございますか。  そのほか、いかがでしょうか。 ○大野委員 出ていないといっても、それは基準とする、親化合物の10%を超え る量は生じていないということです。 ○岸分科会長 若林委員、よろしゅうございますか。 ○若林委員 はい。 ○岸分科会長 そのほかに御意見はございますか。  もし、ほかに御意見がないようでしたらば、一応、分科会としてこれを了承とい うことにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 それでは、この4剤につきまして、今後のWTOやパブリック・コ メント等の手続に関しましては、部会長の大野先生と相談しながら、私に御一任さ せていただくということでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。また、その後の経過につきましては、次 回以降の本分科会におきまして報告するようにいたします。  それでは、次が「(1)審議品目」の[3]ですけれども、おもちゃ関係で、フタル 酸エステルに関してでございます。  事務局から御説明をお願いいたします。 ○今井専門官 本日は、おもちゃに関しますフタル酸エステルについて御審議いた だきたく思います。  それでは、指定おもちゃに関しますフタル酸エステル類に関する規格の一部改正 について、資料の27ページからに沿って説明します。併せて、改正のイメージ図、 99ページ目もごらんください。    フタル酸エステルは、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂の可塑剤として汎 用される化学物質で、これらの一部に、胎児や乳幼児が多量の暴露を受けたときの 毒性、特に生殖発生毒性が疑われたため、平成14(2002)年に指定おもちゃについ て、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHP)を原材料として用いたポリ 塩化ビニルを主成分とする合成樹脂の使用が禁止され、更に、そのうち歯固めやお しゃぶりなどの乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃについては、 フタル酸ジイソノニル(DINP)の使用も同様に禁止されました。  一方、EUでは、1999年に、3歳未満の子どもが口に入れることを意図したおも ちゃ・育児用品について、DEHP、DINP、フタル酸ジ−n−ブチル(DB P)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジオクチル(DNOP)また はフタル酸ベンジルブチル(BBP)を含有するポリ塩化ビニル製のものの販売が 暫定的に禁止されました。その後2005年に恒久措置として、可塑化された材料にD EHP、DBP、BBPを0.1%を超える濃度で含有してはならないとし、このうち 口に入るものについてはDINP、DIDP、DNOPの使用も同様に規制すると いう指令が公布されました。  更に、米国では、2008年におもちゃ・育児用品に恒久的にDEHP、DBPまた はBBPを0.1%を超える濃度で含有してはならないとし、更に、おもちゃのうち口 に入るもの及び育児用品には、暫定的にDINP、DIDPまたはDNOPを0.1% を超える濃度で含有してはならないとする法規制が成立いたしました。これには第 三者による検査を義務付ける制度が導入さましたが、現時点でもその施行が延期さ れております。  28ページ目に移っておりますが、このように、欧米においては、規制対象とする フタル酸エステルの種類等が拡大されてきていることを踏まえまして、規制を見直 すことにつき器具・容器包装部会にて審議を行ったものです。  なお、フタル酸エステルにつきましては食品用の器具・容器包装にも使用されて おりますが、こちらにつきましては食品安全基本法に基づきまして、昨年12月に食 品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しているところで、この結果を待って規制 の見直しを検討することとしております。    審議に当たりましては、まず、日欧米のおもちゃに関するフタル酸エステルの使 用規制の経緯とその背景について整理し、その上で[1]フタル酸エステルの毒性、[2] おもちゃのMouthingによるフタル酸エステルの暴露、[3]リスクの試算につきまして、 別添1、2、3のとおりに整理しました。その上で、検討課題としまして、以下の 括弧に示します5つにつきまして検討いたしました。審議では、フタル酸エステル の毒性及び暴露評価に関する有識者の招聘、関係業界からの意見聴取を行いました。 その後、検討結果を中間的にとりまとめ、パブリック・コメントを求めたところで あり、寄せられた意見も踏まえて、審議結果をとりまとめました。  以下、順を追って説明いたします。  「(1)規制対象とするフタル酸エステルの範囲」において、「[1]DEHP、D BP、BBP」につきましては、DEHPに認められた精巣毒性は、幼若ラットで 感受性が高いことが明らかとなっており、DEHPと同様に、精巣毒性及び次世代 での精巣発育異常が認められたDBP及びBBPにつきましては、乳幼児への暴露 について慎重に対応することが必要であると考えられました。また、暴露について 推定したところ、点推定法による最大暴露シナリオにおいて、おしゃぶりのような 長時間にわたるMouthingを想定した場合は勿論、長時間にわたるMouthingを想定 しないおもちゃのみに使用された場合にも健康上問題となる暴露が起こる可能性が 否定できないとされ、従来のDEHPと同様に指定おもちゃ全体について使用を禁 止することが適当と考えられました。  次に「[2]DINP、DIDP、DNOP」については、精巣毒性及び次世代での 精巣発育異常は認められていないものの、肝臓等への影響が認められ、点推定法に よる最大暴露シナリオにおいて、おしゃぶりのような長時間にわたるMouthingを想 定した場合には、健康上問題となる暴露が起こる可能性を否定できないとされまし た。したがって、おしゃぶりなどの乳幼児が口に接触することをその本質とするお もちゃについては、口に接触することをその本質とする部分への使用を禁止するこ とが適当と考えられました。  なお、EU及び米国では、これら3物質については、口に入れることをその本質 とする部分だけではなくて、口に入れられる部分についても使用を規制しておりま すが、科学的な知見が不足している部分があるため、見直しが必要であるとされて おります。  また現在、我が国では、これまで規制されていなかったため、DINPやDNO Pが使用されている実態もあり、この使用が禁止されると、安全性がまだ評価され ていない他の代替可塑剤の使用が促進されることになることが懸念されるという指 摘がされているところです。  以上より、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃの、口に接触す ることをその本質とする部分以外に使用されるDINP等につきましては、現在、 食品安全委員会に依頼しておりますフタル酸エステルに関する食品健康影響評価の 結果を踏まえて、結論を得ることといたしました。  「(2)規制対象とする材料の範囲」については、現行の規制では、ポリ塩化ビ ニルを主成分とする合成樹脂を対象としております。フタル酸エステルは主にポリ 塩化ビニルの可塑剤として使用されておりますが、その他の一部の材料にも可塑剤 として使用されている実態があります。また、EUでは規制対象を「可塑化された 材料(Plasticized Material)」としており、米国では、法律には明示しておりま せんが、試験の対象とする部分について「可塑化された構成部品(Plasticized Component Parts)」としております。  以上の使用実態や規制状況を踏まえまして、規制の対象とする材料の範囲を、ポ リ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂に限定せず「可塑化された材料」とすること が適当とされました。  「(3)規格の限度値」については、我が国では指定おもちゃについて、これま で、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂にDEHPなどを使用することを禁止 し、その遵守を確認する方法として、0.1%を超えて含有することを確認できる分析 法により管理してまいりました。EU及び米国の現行の規制においても、0.1%を限 度値としており、我が国と同じレベルで管理をしております。  今回、規制対象とするフタル酸エステルの種類、規制対象とする材料の範囲を拡 大することに併せまして、規制の限度値につきましては「0.1%以下」と明記するこ とが国際整合の観点から妥当であると考えられました。  なお「0.1%以下」という限度値を設定する場合、可塑剤としての意図的な使用を 規制するという趣旨のため、個々のフタル酸エステルごとに0.1%以下という制限を 課する対応で十分と考えられました。  「(4)代替物質に関する情報収集」については、EU及び米国では、使用を禁 止した6物質以外の代替物質についても、今後調査等を行い、必要な場合には規制 の見直しを行うとされています。我が国においても、代替物質について、海外の動 向や使用状況も見ながら、今後、必要な規制の見直しを行うことが適当と考えてお ります。  「(5)規制の拡大に伴う実施上の留意点」については、フタル酸エステルの主 たる使用はポリ塩化ビニルの可塑剤としての使用ですが、今回、規制対象とする材 料の範囲が拡大されたことに伴い、ほかの材料も確認したところ、フタル酸エステ ルは、ポリプロピレンやポリエチレン等一部のポリオレフィン類の重合時に触媒の 助剤として使用されている実態がありました。しかし極めて微量な使用であり、こ の規制の限度値を超えることはありませんでした。このようなフタル酸エステルを 可塑剤として、または大量に使用している可能性の低い合成樹脂等については、輸 入時等に必要以上に検査を求めることがないようにすべきという指摘がございまし た。  以上、まとめまして、審議の結果、当部会では、おもちゃに係るフタル酸エステ ルの規格基準の見直しについて、以下のとおり、とりまとめました。  「[1] 以下の規格基準の改正を行うことが適当と考える」。指定おもちゃに対し て使用を禁止するフタル酸エステルの種類を2物質(DEHP、DINP)から6 物質(DEHP、DINP、DBP、BBP、DIDP、DNOP)に拡大する。 ただし、おしゃぶりなどの乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃの乳幼 児が口に接触することをその本質とする部分以外に使用されるDINP、DIDP 及びDNOPの規制の見直しについては、食品安全委員会の評価結果を待って検討 する。  規制の対象とする材料をポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂に限定せず、可 塑化された材料から成る部分に拡大する。  規制対象とするフタル酸エステルの限度値については、0.1%を超えて含有しては ならないものとする。  「[2] 代替物質についての情報を収集するとともに、必要により、規制の見直し を行う。」  「[3] 規制を実施する際には安全性を確保しつつ、事業者にとって過度な負担と ならないような運用を行うべきである。」 また、現状では、日本玩具協会におい てフタル酸エステルの自主規制の取組みが進められていると聞いております。  さらに、今年度、市販のおもちゃについてフタル酸エステルおよびその代替可塑 剤について実態調査を行う予定です。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  議論に入ります前に、部会での様子を先に伺いたいと思いますが、いかがでしょ うか。西島先生、お願いいたします。 ○西島委員 なかなか複雑でわかりにくかったと思うんですけれども、部会の状況 について少し追加の説明をしたいと思います。  この改正につきましては、平成20年11月5日から平成22年2月22日まで、器 具・容器包装部会にて6回にわたりまして審議を重ねたところです。  ただいま事務局からの説明にありましたように、日本では平成14年よりおもちゃ に対して2種のフタル酸エステルが規制されてきたわけですけれども、これは99ペ ージをごらんいただきますとわかりますが、現行のところで一番左の方です。乳幼 児が口に接触することをその本質とするおもちゃについては、DEHPとDINP の規制が引かれてきました。ところが、近年、欧米におけますおもちゃ等に対する フタル酸エステルにつきまして、先ほど御説明がありましたように、規制拡大があ りまして、これを背景として、日本でも規制の見直しを行うということになったも のです。  部会におきましては、特に精巣毒性及び次世代での精巣発育異常、今、述べまし たような毒性が現在までの知見ではまだ認められていないDINPとDIDP及び DNOPの3種類について、指定おもちゃの口に入れられる部分にまで規制を拡大 するかどうかについて議論がありました。その点は、この99ページの絵を見ていた だきたいんですが、現在は、この3種類は特に規制がかかっていないわけですけれ ども、先ほど欧米の話がありましたが、この3つについては欧米では暫定的に規制 がかかるようになりました。  それで結論として、改正案の方で「P」と書いてありますが、これはペンディン グなんですけれども、この紫部分で囲ったところは、欧米では規制が暫定的にかか っているということです。これをどうするかということが議論の中心であったわけ ですけれども、これを日本でも禁止してしまうと、かえって安全性が十分に確認さ れていない代替可塑剤が使用されてしまうのではないかという懸念が表明されまし た。これが1つ、すごく大きな議論の対象になったわけです。  しかし、欧米でもこれら3物質の規制は、今後、再評価を行うということもあり まして、今回、我が国で規制するおしゃぶりなどの乳幼児が口に接触することを本 質とするおもちゃの乳幼児の口に接触することをその本質とする部分以外につきま しては、このDINP、DIDP及びDNOPの規制については、先ほど述べまし た欧米における再評価の動向や、あるいは我が国での容器包装についての食品安全 委員会での評価結果を踏まえて結論を得るということにいたしました。そういうこ とで、改正案の紫の「P」のところがペンディングとなっております。  また、代替可塑剤につきましては、今後、海外の動向とか使用状況も見ながら必 要な調査を実施することとしまして、安全性に関する情報を調査分析して、必要な 規制の見直しを行うということといたしました。  これが一番大きなところなんですが、もう一点、基準値なんですけれども、欧米 の規制との整合性や規制の明確化のために、DEHP等が意図的に使用されていな いことを確認するために、従来設定してきました運用基準の0.1%以下というものを 規格基準に明示する点についても議論がありましたが、これにつきましては0.1%以 下のフタル酸エステルについては、意図的に使用したものかどうか、あるいは非意 図的に混入したものか、その区別が困難であるということ、また、国際整合性の観 点からも0.1%の限度値を設定するということにいたしました。  なお、これまで把握していたフタル酸エステルの使用用途としては、可塑剤とし ての大量の使用が目的でありまして、これまでどおりの可塑剤として、あるいは大 量の使用について意図的な使用を容認するものでないということには変わりない。 その点は確認しております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  確かに複雑といいますか、いろいろな点を考慮されてお出しくださったんだと思 いますけれども、いかがでしょうか。御意見あるいは御質問を受けたいと思います。  どうぞ。 ○栗山委員 是非、これに関してはこの変更のとおりに変えていただいていいと思 いますが、それとは少し外れるのかもしれないんですけれども、代替物質としてゴ ムが上がってこないかということを少し懸念しております。それで今後、情報を収 集するというところで、ゴムについて情報収集を特にお願いしたいと思います。ア レルギーではゴムはとてもハイリスクなので、表示か何かという御配慮をいただき たいと思いますので、調査のときによろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 今の御意見ですけれども、代替物質の使用状況の調査にゴムを入れ てほしいということでございますね。 ○栗山委員 はい。 ○岸分科会長 いかがでしょうか。  どうぞ。 ○俵木課長 天然ゴムのアレルギーの問題を御指摘であると思いますので、事務局 の方で御意見を踏まえて対応してまいりたいと思います。 ○岸分科会長 よろしくお願いいたします。  そのほかはいかがでしょうか。  先生、どうぞ。 ○若林委員 31ページの最後のところで「DINP、DIDP及びDNOPの規制 の見直しについては、食品安全委員会の評価結果を待って検討する」と書いてあり ますけれども、こちらの方の結果についてはいつぐらいを予定しているのかをお聞 きしたいんです。 ○俵木課長 昨年12月に評価をお願いしておりまして、これから実質的な審議が始 まりますので、今の時点では予定を明確にするのは難しいかと思うんですけれども、 非常にデータも限られておりますし、6種類ございますので、順番にやっていただき ますけれども、難しいものについては若干時間がかかるのではないかというふうに 予想しております。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○児玉委員 新しい話が多くてわからないことが多いので、何点か教えていただけ ればと思うんです。  まず1つ目で、29ページの「[2]DINP、DIDP、DNOP」で「精巣毒性及 び次世代での精巣発育異常は認められていないものの」とあるんですが、これは今 のところというようなニュアンスなのか。ないだろうということなのか。それとも、 形が似ているんだから、あるかもしれないというようなニュアンスなのか。この辺 がどうなんだろうかというのが1点目です。  2点目は、毒性として肝臓等への影響というのはどれぐらい重大なものがあるの かというのがわからなかったので、教えていただければと思います。  それから、大きい2点目なんですが、Mouthingということと、今までIntakeがど れぐらいなのか。それを使い続けたら、どれぐらいのIntakeになるかということを 推測して、それが安全域かというパターンで議論をしてきたのに慣れていますので、 このMouthingでずっとかんでいると、一体、どんなIntakeがあるかというのを想 定されているのか。あるいはわからないということなのか。どういう感じなんだろ うかというのが2点目の質問です。  3点目は31ページのところで、この0.1%以下の限度値というものは、つまり検 出限界ということなのか。それとも、0.1%までならいいというお話なのか。それか ら、先ほどからの御説明で、0.1%以下にするということと、意図的な使用かどうか ということが何度か出てきたので、要は何らかの化学変化によって意図的に混和し なくても0.1%程度ぐらいまでは通常含有されてしまうんだというようなお話なのだ ろうか。  大変申し訳ありません、素人の質問なんですが、全く新しいパターンのお話であ ったように感じたので、お教えいただければと思うんです。 ○岸分科会長 4点、御質問になられましたけれども、事務局の方からお答えをお 願いできますか。 ○俵木課長 まず、DINP、DIDP、DNOPについての精巣毒性ですが、詳 細は別添1の52ページ辺りから書かれているんですけれども、今までに得られてい る試験では、これら3物質については生殖毒性が出ていないということですが、ま だデータの不十分な部分があるという認識です。  肝毒性ですが、例えば52〜53ページにかけてDINPの一般毒性についての概要 がまとめられておりますが、53ページの上の方に肝海綿状変性とか、肝細胞肥大や 肝酵素活性の変化がラットまたはマウスで認められたということで、ラットではペ ルオキシゾーム増殖に伴う肝への影響も認められているようでございます。  Mouthingにつきましても、79ページから別添2ということで、かなり詳細に御検 討いただきまして、まず子どもたちがどのぐらいMouthingをするのかということで、 推定Mouthing時間というものを、お母さん方に観察記録のようなものを付けていた だくような形で、それをビデオで収録して、1日の間にどのぐらい子どもが Mouthingをするのかということを測定しています。  それで、81ページの表1を見ていただきますと、我が国での研究によりますと、 おしゃぶりの場合には口に入ったまま両手が自由になりますので、そのままずっと 口に入れたまま遊び続けるということもありまして、最大のMouthing時間としては 314分ですので、5時間ぐらいは口の中に入れっぱなしで吸っているということを想 定しております。ただ、これは非常に稀な子どもの場合でございまして、平均的に はもう少し低いんですけれども、最大の場合にはこのぐらいにもなるということで す。  また、同じ表でごらんいただきますと、Health Canadaのデータでも最大値として は6時間というようなデータも出ていますので、そのぐらい、おしゃぶりの場合に は口に含んだまま両手が自由になるので遊び続けるということがあります。  そのときにどのぐらい暴露するかということで、83ページから溶出量、しゃぶっ たときの溶出がどのぐらいあるのかということをみています。これはなかなか子ど もさんで唾液を取るのが難しいので、大人で試験が行われております。その溶出量 と、先ほどのMouthing時間から推定暴露量というものを算定しておりまして、97ペ ージにいろいろな推定によりますリスクの試算の表がございます。  点推定法というものによる最大の暴露を想定した最大暴露シナリオによりますと、 おしゃぶりを含めた総Mouthingとしての暴露量が、この97ページの一番下の表8 のちょうど真ん中のラインでございますけれども、0.169mg/kg体重/dayということ で試算をして、暴露の評価をしたということでございます。  それから、3つ目の0.1%の考え方でございますが、資料の30ページの方に戻っ ていただきますと、一番下のカラムの「(3)規格の限度値」のところにあります が、これの5行目に、この0.1%の限度値というものは欧米でも同じなんですけれど も「材質への製造工程からのコンタミネーション等を考慮したもの」ということで、 これ以下ですと、工程からのいろいろなコンタミネーションが考えられるというこ とで0.1%とされております。通常、可塑剤としてのフタル酸エステルの使用は 10%程度、多い場合は30〜40%ぐらいまで入れられるものですので、可塑剤として の使用で0.1%の使用は考えられないということで、十分な規制値となっているとい うふうに国際的にも考えられているものであると思います。  それで、先ほど説明いたしましたように、31ページのちょうど真ん中辺りにあり ますように、フタル酸エステルがポリプロピレンとかポリエチレンというような一 部の合成樹脂の重合時の触媒として使用されている実態がありまして、これらにつ いて実態も確認したところ、数ppmということですので、パーセントにしますと 0.1%よりずっと低いパーセントになるということで、勿論、可塑剤としての使用で はなくて、合成樹脂重合時の触媒ですので、極めて少ない量なんですけれども、可 塑剤としての使用というものは通常数十%で、工程からのコンタミネーションを考 慮して、現実的な限度値として0.1%を置いているということで、分析技術的な検出 限界ということではございません。 ○児玉委員 ありがとうございました。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  そのほか、いかがでしょうか。  フタル酸は生殖次世代影響がメインなものですから、委員の皆様も、今、御質問 があったように、普段のそれ以外のといいますか、添加物とか農薬とかといってい るものと少し違う、使われている場所も違いますし、いろいろ気にされるところは あるのではないかと思いますが、もし、これ以上、特段御質問・御意見がないよう でしたらば、今回の規格基準改正に関しまして、分科会として了承といたしたいと 思いますが、よろしゅうございますか。  どうぞ。 ○栗山委員 一言だけいいでしょうか。  これを読む限りにおいてはといいますか、いろいろ資料を拝見させていただいて、 疑わしきは使わずという気持ちがとても強いんですが、そうなると、ほかの認可さ れていないものが使われる危険性があるということで、使用について異議を挟まな いことにいたします。わざわざ言うのも何か変ですが、一言申し上げさせていただ きました。 ○岸分科会長 今、栗山委員の方から御意見がありましたが、その点も含めて、使 用状況の調査をこれからするということですね。代替物質、代替可塑剤は必ずしも 安全とは言えないというのは大事なところであると思いますし、事務局の方のお答 えでも、現在、精巣への影響なしというのが、全くないのではなくて、データ不十 分というような認識であるということをおっしゃられましたので、これから食品安 全委員会の評価結果を待って、もう一度、ここのペンディングの部分についてはま た御提案があるというふうに理解してもよろしいんですね。  よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 それでは、そういうことで、分科会として、この案で了承というこ とにしたいと思います。ありがとうございました。  今後の手続に関しまして、また、その対応に関しましては、部会長と相談しなが ら、私に御一任させていただくということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。その後の経過につきまして、次回以降の 本分科会で報告いたします。  それでは、ここまでで「(1)審議品目」は終わりまして「(2)報告品目」に 入りますが、ポジティブリスト関係の品目につきまして御報告をいただきたいと思 います。 ○茂野補佐 それでは、3月2日、3月24日及び5月11日開催の農薬・動物用医 薬品部会で審議がなされました、既に残留基準が設定されている農薬9剤に係る基 準の改正について報告いたします。机上に配付いたしております「報告品目一覧」 をごらんください。  プロパモカルブとメトラクロールは、国内登録に伴う残留基準の改定と暫定基準 の見直しを行うものです。  プロパモカルブは殺菌剤でございまして、農薬登録申請がハクサイ、タマネギに ありました。  国際基準と、アメリカ、EU、カナダに基準がございます。  食品安全委員会で、ADIを0.29mg/kg体重/dayと設定いただきました。  基準値案は102ページのとおりでございます。国内作残データに基づき、ハクサ イ、タマネギに基準値を設定し、国際基準に基づき、畜産物、トウガラシに基準値 を設定するとともに、暫定基準の見直し等を行う基準値案を御審議いただきました。  暴露量評価は、幼小児における対ADI比で18.6%です。  続きまして、メトラクロールでございます。  メトラクロールは除草剤です。農薬登録申請がトウモロコシ、大豆、小豆等にあ りました。  国際基準は設定されておらず、アメリカ、豪州、EU、カナダにおいて基準がご ざいます。  食品安全委員会で、ADIを0.097mg/kg体重/dayと設定いただきました。  基準値案は106〜107ページのとおりです。国内と海外の作残データに基づきまし て基準値を設定するとともに、暫定基準の見直し等を行う基準値案を御審議いただ きました。  暴露量は、幼小児で3.1%です。  続きまして、フルシラゾールでございます。  本剤は殺菌剤です。インポートトレランス申請がトウガラシ、かんきつ類等にあ りました。  国際基準と、アメリカ、豪州、EU、カナダ、ニュージーランドに基準がござい ます。  基準値案は112〜113ページのとおりです。海外作残データに基づき、その他のナ ス科野菜及びかんきつ類に基準値の設定を行うとともに、暫定基準の見直し等を行 う基準値案を御審議いただきました。  ADIは0.0014mg/kg体重/day、ADI比はEDI試算で幼小児が57.3%です。  続きまして、ペントキサゾンとルフェヌロンでございます。これらは適用拡大に 伴う残留基準の改定を行うものです。  ペントキサゾンは除草剤です。その他の穀類と魚介類での適用拡大申請がありま した。  国際基準、諸外国における基準値設定はありません。  基準値案は116ページのとおりです。国内作残データに基づき、米、その他の穀 類の基準値を設定し、魚介類への推定残留量より魚介類の基準値を設定する基準値 案を御審議いただきました。  ADIは0.23mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で0.2%です。  続きまして、ルフェヌロンでございます。  ルフェヌロンは殺虫剤です。大豆、ブロッコリー等に適用拡大申請があり、更に トウガラシにインポートトレランス申請がありました。  国際基準はなく、豪州、EU、ニュージーランドに基準がございます。  基準値案は120〜123ページのとおりです。国内作残データに基づき、大豆、レタ ス、ブロッコリー等の基準値を見直し、韓国のトウガラシのデータに基づき、その 他のナス科野菜の基準値見直し等を行う基準値案を御審議いただきました。  ADIは0.0014mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で59.4%です。  続きまして、クロメプロップですが、本剤は魚介類への基準値設定要請に伴う残 留基準の改定を行うものです。  本剤は除草剤でございまして、国内では米に農薬登録がございます。  国際基準、諸外国での基準値設定はございません。  基準値案は126ページのとおりです。国内作残データに基づき、米の暫定基準値 を見直し、魚介類への推定残留量より魚介類の基準値を設定する基準値案を御審議 いただきました。  ADIは0.0062mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で15.1%でございます。  続きまして、イミベンコナゾール、アジムスルフロン、シフルフェナミドですが、 これらは暫定基準の見直しを行うものです。  イミベンコナゾールは殺菌剤でございまして、国内では大豆、かんきつ類、リン ゴ、茶等に農薬登録がございます。  国際基準、諸外国での基準値設定はございません。  基準値案は130ページのとおりです。国内作残データに基づきまして、暫定基準 の見直し等を行う基準値案を御審議いただきました。  ADIは0.0098mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で65.2%です。  続きまして、アジムスルフロンでございます。  本剤は除草剤でございまして、国内では米に農薬登録がございます。  国際基準、諸外国での基準値設定はございません。  基準値案は134〜136ページのとおりです。国内作残データに基づき、米の基準値 を見直す等の基準値案を御審議いただきました。  ADIは0.095mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で0.1%でございます。  続きまして、シフルフェナミドでございます。  本剤は殺菌剤でございまして、国内では小麦、イチゴ、メロン、桃等に農薬登録 がございます。  国際基準はなく、EUに基準がございます。  基準値案は140ページのとおりです。国内作残データに基づきまして、暫定基準 値の見直しを行う基準値案を御審議いただきました。  ADIは0.041mg/kg体重/day、ADI比は幼小児で10.8%でございます。  報告は以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいま、ポジティブリスト制度関係の農薬で、本分科会では報告ということに なりました9品目についての説明がございました。このプロパモカルブからシフル フェナミドまでの9品目に関しまして、分科会の委員の先生方から御意見・御質問 等はございますでしょうか。  どうぞ。 ○石川委員 諸外国の状況で、これがないというのは、要するに諸外国で使ってい ないのか。それとも、諸外国の方では全くこのことを無視しているのかとか、何か コメントはございますでしょうか。 ○岸分科会長 国際基準について、いかがでしょうか。  事務局の方からお願いいたします。 ○俵木課長 恐らく、基準値のない各国については使用の実態がないんだと思いま すけれども、特に米の適用しかないようなものについては我が国だけの登録の剤が 多いようでございます。個別に全く使用がないのか、確認していないんですけれど も、恐らく基準設定がないので、使用実態もないんだろうというふうに理解してお ります。 ○岸分科会長 そのほかにございますか。  どうぞ。 ○山下委員 フルシラゾールなんですが、この剤だけは値の検討としましてTMD I/ADI比ではなくてEDI/ADI比で評価がなされております。それで、こ ちらの事前に配付された分厚い資料の287ページを見ていただくと、このADI比 の部分でごらんいただけるとおり、超えてしまっておるんですが、この部分につい てどのような検討がなされたのか、お聞かせ願えればと思います。 ○俵木課長 ごらんいただいております、厚い方の287ページのフルシラゾールの 推定摂取量からの対ADI比の試算でございますが、基準値最大まで残留したこと を仮定したTMDIの対ADI比は確かに100%を超えておりまして、そのために、 暴露量評価の精密化の研究の成果を踏まえてEDI試算が本剤について行われてお ります。この表にございますように、幼小児でもEDIについては57.3%というこ とで、80%の中に入っておりますので、最大の残留があったことを仮定すると超え ますけれども、もう少し現実に近い推定をした場合に十分に下回るということで、 部会では特にその点については問題とはなりませんでした。 ○山下委員 わかりました。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○徳留委員 ペントキサゾンについてお伺いしたいんですが、配付されました401 ページ、以前配付された資料で、ペントキサゾンの原体の経口投与では、コメット アッセイ及び小核試験の結果が陰性であったので、遺伝毒性は考えられない。した がって、観察された結果は、細胞増殖活性の亢進が誘発されたものであるというこ となんですが、395ページの表32を見ますと、染色体異常試験、これは特にS9 mixtureを加えた場合にだけ陽性であったということです。次の396ページを見ます と、これもS9を加えた状況下であると思うんですけれども、原体そのものではな くて、誘導体あるいは代謝物質の場合は陽性あるいは弱陽性であったわけです。こ の辺りのディスカッションといいますか、先ほど申し上げた401ページの表現をさ れた根拠を教えていただくとありがたいんです。 ○岸分科会長 事務局の方からお願いできますか。  それでは、大野先生、お願いいたします。 ○大野委員 これについては、特に議論したわけではないんですけれども、食品安 全委員会の審議について、私、何年間か関与していましたので説明させていただき ますと、in vitroの遺伝毒性試験でポジティブになった化合物について、がんが発 生したということになりますと、通常それは遺伝毒性に基づくがんであるというこ とで、閾値を設定できないということになってしまうんです。ところが、それでも 使いたいというようなものがありますので、そういう場合にはin vivoの遺伝毒性 試験をやって、in vivoの試験で陰性であったならば、がんが起きたとしても、それ は遺伝毒性によるものではない。ですから、閾値を設定できるという形で、対応し ているんです。この場合も多分、そういう議論の下でこういうまとめを食品安全委 員会の方がされたんだと思います。 ○徳留委員 わかりました。ありがとうございました。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  そのほか、御意見はございますか。  先生、どうぞ。 ○大野委員 in vitroの変異原性試験では、False Positiveが非常に多いんです。 それで、必要な場合にはin vivoで確認しているということです。 ○岸分科会長 ありがとうございます。私もわかりました。  もし、これ以上ないようでしたら、これは報告事項なものですから、次の動物用 医薬品関係の5品目に移りまして、その後、少し休憩を取りたいと思います。いか がでしょうか。  それでは、お願いいたします。 ○浦上専門官 それでは、動物用医薬品、それから、飼料添加物の残留基準設定に 関しまして報告させていただきたいと思います。先ほどの農薬の「報告品目一覧」 を裏返していただきますと、動物用医薬品の一覧表になりますので、こちらをごら んいただきたいのと、あとは分科会資料の方の143ページからごらんいただければ と思います。  これらの品目につきましても、農薬と同様に3月2日、3月24日、5月11日の 農薬・動物用医薬品部会で審議をいただいたものでございまして、既に残留基準が 設定されているものの基準の改正ということでございます。  コリスチンから説明をさせていただきたいと思います。コリスチンはポジティブ リスト制度導入時の基準の見直しということでございます。  用途は記載のとおり、飼料効率の改善。こちらの方は飼料添加物として使用され た場合の用途ということです。下の方は細菌性下痢の治療。これは動物用医薬品と して使用された場合でございます。  ADIにつきましては、食品安全委員会の方で評価をされておりまして、記載の ように、0.004mg/kg体重/dayということでございます。  基準値の設定でございますが、基準値の案につきましては144〜145ページをごら んいただきたいと思いますけれども、若干、この一覧表の基準値を設定している部 分が抜けているということになっていまして、申し訳ございませんが、鶏の後ろに、 その他の家禽、鶏の卵というものが抜けてございます。  コリスチンにつきましては、ポジティブリスト制度導入の際には国際基準が設定 されておりませんでしたけれども、その後、設定されたということでございますの で、基本的に国際基準が設定されたものにつきましては、今回の見直しにおいて国 際基準を採用するということとさせていただいております。  そのほか、EUの基準値を参考に設定した部分がございますけれども、こちらに ついては、今回の見直しに当たりまして根拠となる残留データの方が確認できませ んでしたので、こちらの方は削除とさせていただいております。  なお、コリスチンにつきましては抗生物質ということでございますので、基準値 が設定されていない食品につきましては含有してはならないという食品規格が適用 されるということでございます。  暴露評価につきましては、幼小児における対ADI比は32.4%ということで、A DIの範囲内ということで御結論をいただいております。  続きまして、ラフォキサニドで、こちらにつきましてもポジティブリスト制度導 入時の基準の見直しということでございます。  用途は、寄生虫の駆除でございます。  ADIは、0.0004mg/kg体重/dayということで設定をいただいております。  基準値案につきましては148ページで、現行の基準値は暫定基準としてEUの基 準値を参考としまして設定したものでございますが、今回の見直しに当たりまして 根拠となるデータの提供がなかったということでございますので、こちらにつきま しては基準値を削除させていただいております。  したがいまして、すべての食品について一律基準を適用ということで御結論をい ただいたものでございます。  3剤目のオキシベンダゾールで、こちらにつきましてもポジティブリスト制度導 入時の基準の見直しということでございます。  用途は、記載のとおりでございます。  ADIにつきましては、0.03mg/kg体重/dayということで食品安全委員会の方で 評価をいただいております。  オキシベンダゾールの基準値案につきましては、150〜151ページに記載がござい ます。こちらにつきましてもラフォキサニドと同様でございますけれども、EUの 基準値を参考に暫定基準を設定したということでございますが、やはり残留データ 等の提供がなかったということでございますので、基準値を削除させていただいて おります。  それから、ほかのEUを参考としていない部分につきましては0.03ppmという基 準が入ってございますけれども、こちらはポジティブリスト制度導入時の試験法の 定量限界が0.03ppmで、一律基準の0.01ppmを確保できていなかったということで この値を入れておいたところでございますが、その後の分析法の改良によりまして 0.01ppmまで測定できるようになったということでございますので、こちらについて も削除しまして、すべての食品について一律基準で管理をするということとさせて いただくという御結論をいただいております。  4剤目のカルプロフェンでございます。経緯は同様に、ポジティブリスト制度導 入時の基準の見直しということでございます。  用途は、記載のとおりでございます。  ADIは、0.01mg/kg体重/dayということで食品安全委員会の方で御評価をいた だいております。  基準値の設定につきましては、154ページに案がございます。EUの基準を参考に 暫定基準を設定していたところでございますが、こちらについても今回の見直しに 当たりまして残留データの提供がありませんでしたので、削除させていただいてお ります。  カルプロフェンの「報告品目一覧」の「基準値の設定」のところに(一律基準を 適用)が抜けております。大変失礼いたしました。  それから、最後の5剤目のクレンブテロールでございます。こちらにつきまして は、経緯としましてはポジティブリスト制度導入時の基準の見直し、それから、薬 事法に基づく承認後の再審査申請ということで、国内でも使用が認められている動 物用医薬品でございます。  こちらにつきましては、ADIの方がこちらに記載のように0.000004mg/kg体重 /dayということで、非常に低い値が設定されているということでございます。  基準値案につきましては156〜157ページをごらんいただければと思いますけれど も、今回、暫定基準をつくるときにも国際基準、コーデックス基準の方が策定され ておりましたので、これを基に基準値案を置いているところでございまして、今回 の見直しにつきましても基本的には国際基準を採用するという案とさせていただい たところでございます。  それから、ほかの部分、基準値が設定されていない部分でございますが、ここは 現行も不検出とさせていただいているところでございます。これにつきましては先 ほど御説明さし上げましたように、ADIが非常に小さい値であるということで、 ポジティブリスト制度導入時に設定した一律基準、0.0単位1ppmの設定の根拠とな った一日許容摂取量が0.03μg/kg/day、mgで言いますと、0.00003mg/kg/dayでござ いまして、これより今回のクレンブテロールのADIの方が低いということでござ いますので、一律基準を適用することは不適当という御結論をいただきまして、基 準値を設定されていない食品につきましては不検出とさせていただいたところでご ざいます。  暴露評価につきましては、記載のように、対ADI比は幼小児で18.8%というこ とでございます。  説明は以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  何か委員の皆様の方から御意見・御質問はございますでしょうか。  どうぞ。 ○若林委員 「報告品目一覧」の方のテーブルのADI表記がmgになっていて、分 科会資料の方の表記がμgになっています。mgにした場合に、クレンブテロールと かは随分ゼロが多くなっていますけれども、ADIという数字を表す公式の文書と しては、統一をして表示をしっかりした方が後々間違いがないのではないかと思い ます。 ○俵木課長 次回から気をつけたいと思います。 ○岸分科会長 やはりmgとμgですと、見間違ったりしたら大変ですので、よろし くお願いいたします。  そのほかにございますか。  どうぞ。 ○石川委員 素人で大変申し訳ないんですけれども、先ほどの諸外国の状況なんで すが、分析とかそういうものはやったことがないのでわからないんですけれども、 例えば輸入されたお米があった場合に、国内で基準があっても、外国とか国際基準 がない場合、それでも調べるわけですね。調べて、一応、やるわけですね。向こう で使っていないだろうからという推測ではないわけですね。例えば、ペントキサゾ ンというものは米の除草剤で使っている。これは国内で基準をつくってあるけれど も、向こうでは使っていないだろうというふうに推定すると、これは検査しないと いうことですか。  少しわからないので質問なんですけれども、一生懸命、国内で基準を決めても、 向こうでこれを使っているか、使っていないかはわからないんですけれども、そう いう可能性はないということで判断しているということなんですか。 ○俵木課長 恐らく農薬については非常にたくさんございまして、今、基準値の定 まっているものが八百二十ぐらいありまして、基準値のないものも0.01ppmという ことで規制対象ですので、輸入時の行政的なモニタリングといいますか、検査に当 たっては、かなりの数の農薬が一斉に分析できるような方法でやりますので、特に この作物についてはこれが危ないということがわかっていれば、ねらい撃ちで特定 の農薬をやることもありますけれども、何が使われているかがわからないことが通 常ですので、一斉にたくさんの農薬について分析しますので、例えばこのペントキ サゾンについても分析法が確立できれば一斉にはかるということになるというふう になっていると思います。よろしいでしょうか。 ○岸分科会長 お願いいたします。 ○加地課長 今、輸入食品の担当がいないんですけれども、私の方から補足します と、基本的には外国で使われているかどうかというよりも、その検査法ができれば 輸入時のモニタリングは一律でやります。相手国が使っていようが、いまいが、や っています。そういった形でやっていきつつ、違反が見つかればそれは重点的にや りますけれども、モニタリングにつきましては、まず使っているかどうかがわから ないので、こういう基準値ができれば必ずやるというふうにお考えいただければい いと思います。 ○石川委員 どうもありがとうございます。 ○岸分科会長 諸外国の状況のところが本当に空白ですと、先生の御心配はもっと もと思います。  いかがでしょうか。  それでは、一応、これも報告事項なものですから、これで終わらせていただきま して、ちょうどスタートから1時間半ちょっと経ちましたので、ここで10分ほど休 憩を取らせていただきたいと思います。今、14時37分ぐらいですから、この時計で 14時47分ぐらいから始めたいと思いますので、よろしくお願いします。 (休 憩) ○岸分科会長 それでは、再開させていただきます。  審議の後、報告品目でポジティブリスト関係、動物用医薬品関係が終わりまして 「(3)文書配布による報告品目等」でございますが、この農薬、動物用医薬品、 そのほかに関しましては、事前に先生方のところに郵送で配付されていると思いま すので、この場で格別な御意見がなければ次に移らせていただきたいと思いますが、 よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 それでは<報告事項>に移りたいと思います。今日は結構、報告事 項がたくさんございまして、最初に「1 高濃度にジアシルグリセロールを含む食 品の食品健康影響評価に係る補足資料の提出について」から、事務局からお願いい たします。 ○俵木課長 資料の177ページでございます。高濃度にジアシルグリセロールを含 む食品の食品健康影響評価に関しまして補足資料の提出がありましたので、報告を させていただきたいと思います。  高濃度にジアシルグリセロールを含みます食品、これは実は花王株式会社が販売 しておりましたエコナでございますけれども、これにつきましては現在、食品安全 委員会におきまして食品健康影響評価が行われております。本剤のジアシルグリセ ロールのプロモーター作用が懸念されておりまして、評価が行われているものでご ざいます。  その評価の途中で、昨年7月にグリシドール脂肪酸エステルという、いわゆる不 純物が一般の食用油に比べまして高濃度に含有しているということが判明し、食品 安全委員会の方から補足資料の提出が求められているものでございます。  花王から今般、遺伝毒性についての試験の提出がありましたので、報告をいたし ます。  また、併せまして、このエコナ以外の通常の食用油の中にグリシドール脂肪酸エ ステルがどのぐらい入っているかという実態についても調査するよう宿題をいただ いておりましたが、国立医薬品食品衛生研究所において実施いただいた結果がとり まとまってまいりましたので、報告させていただくものでございます。  2番目のところに、食品安全委員会からの宿題事項が書かれております。これ以 外にも実は食品安全委員会から宿題がございますが、優先してやるべきということ で、この(ア)〜(ウ)、それから、今回報告させていただきます食用油中での実 態調査が宿題となっております。  (ア)につきましては、グリシドール脂肪酸エステルと、それが分解しました、 発がん物質として知られておりますグリシドールの毒性についての文献情報の収集 でございまして、これにつきましては12月に分科会にも報告いたしましたし、食品 安全委員会にも既に報告をしたところでございます。  2番目の、グリシドール脂肪酸エステルを経口投与した場合に体内でどのぐらい グリシドールに分解するかという体内動態の試験につきましては、現在、まだ実施 中でございます。  (ウ)のグリシドール脂肪酸エステル、それから、グリシドールの遺伝毒性につ きまして、今回報告があったものでございます。  (エ)と(オ)については、国立医薬品食品衛生研究所での結果がとりまとまっ たということでございます。  1枚めくっていただきまして、179ページが、花王からの報告書でございます。  1.にございますように、遺伝毒性試験の報告が上がってまいりました。  2.にありますように、体内動態研究の分析方法の開発でございますが、この体 内動態研究を進めるに当たりましては、血液中でのグリシドール脂肪酸エステル、 またはグリシドールの分析法、特に微量の分析法が必要になりますけれども、これ についてはいまだ十分な感度の分析法ができていないということで報告がございま した。  3.は、食用油中のグリシドール脂肪酸エステルについての分析法の開発をいた しましたということで報告であり、また(2)では、ヨーロッパでの取組みについ ての情報提供があったものでございます。  メインは、1.の遺伝毒性の報告でございまして、180ページを見ていただきます と、その概要がまとめられておりますが、グリシドール脂肪酸エステルとグリシド ールにつきまして遺伝毒性試験を行っております。  この表1と表2にありますように、それぞれにつきましてin vitroの遺伝毒性試 験でありますAmes試験、染色体異常試験、それから、in vivoの試験でございます 小核試験。この3つの試験がそれぞれ行われております。  グリシドール脂肪酸エステルにつきましては、表1の「結果」の欄、一番右側の 欄でございますが、ごらんいただきますように、in vitroの試験のAmes試験で、一 部の株で陽性結果が認められておりますが、染色体異常は陰性、小核試験は陰性で ございます。  また、表2のグリシドールでございますけれども、これは遺伝毒性のある発がん 物質として知られているもので、改めて実施いたしました遺伝毒性の試験におきま してもAmes試験では陽性、染色体異常も陽性、それから、in vivoの小核試験では 陰性というふうに報告をいただいております。  概要の上のところに何行か書いてございますが、上から4行目のところにありま すように、グリシドールリノール酸エステルのAmes試験におきまして、陽性結果が 得られたサルモネラのTA100株の実験系について、花王におきまして自主研究が実 施されたということでございます。この実験系におきまして、遺伝毒性がある場合 に、復帰変異コロニーが増えてまいりますけれども、その数の増加に見合う程度の グリシドールがこの実験系の中で生成していることがわかった。したがいまして、 グリシドールリノール酸エステルが一部グリシドールになって、それが陽性結果を 示したのではないか。その可能性を示唆する結果が得られているということでござ います。  そのグリシドール脂肪酸エステルがグリシドールになる、エステルが外れるとこ ろを行いますリパーゼを阻害する薬剤を添加いたしますと、そのグリシドールの生 成が抑制され、かつ、変異コロニー数の増加も抑制されたということで、Ames試験 の一部陽性結果については、グリシドールリノール酸エステルより生成したグリシ ドールによるものではないかということが報告されております。  別添2の方が、国立医薬品食品衛生研究所で実施いただきました、通常の食用油 中のグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査でございます。  分析法がその次の182ページからずっと書いてございます。結果が185ページで ございます。「DAGを主成分とする油」と書いてございますものがいわゆる花王 のエコナでございますが、エコナでは含有量が、この「合計」の欄をごらんいただ きたいと思いますけれども、この合計というものはグリシドール脂肪酸エステルの パルミチン酸グリシジル、オレイン酸グリシジル、リノール酸グリシジルの合計で ございますが、DAGを主成分とする油につきましては、最も多いもので286ppm、 最も少ないロットで166ppmということで、ロット間に差はございますけれども、百 数十ppmから二百数十ppmの結果となっております。  それ以下の菜種油、大豆油、コーン油からパーム油まで、市販されております食 用油を提供いただきまして分析した結果でございますが、括弧で数字が入っている ところについては検出限界を超えて検出されておりますけれども、定量限界以下と いうことで、若干、数字には信頼性がないということでございます。  ちょうど真ん中にございます米油につきましては16ppmまたは11ppmということ で一製品について定量されています。結果といたしましては181ページの一番下に ありますように「食用油等に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析法を検討 し、これにより分析を行ったところ、DAG油のみにその他の食用油等に比べ、高 濃度のグリシドール脂肪酸エステルの含有が認められた」という結果になっており ます。  申し訳ございません、一部説明を省略してしまいましたが、186ページに常温で、 液体でないマーガリンとかファットスプレッド、また乳幼児用調製粉乳についても 分析をいたしましたが、いずれも定量できるほどの量は検出されていないというこ とでございます。  この結果につきましては、食品安全委員会からの提出資料の要求ということで実 施してきたものでございまして、これにつきましては食品安全委員会に報告する予 定で、具体的には明日、食品安全委員会の定例の委員会が開かれるということでご ざいますので、そこで同様に報告させていただく予定にしております。また、食品 安全委員会の御評価を待って対応してまいりたいと思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの御報告に、委員の皆様の方から御意見・御質問等はございますでしょ うか。  どうぞ。 ○西島委員 私の方から、今、御説明ありましたことについて、追加で説明を加え たいと思います。  報告にありましたように、花王の方で行った試験結果につきまして、専門家によ るチェックをすべきであるということが前回、ここで議論になったと思います。そ れを受けまして、国立医薬品食品衛生研究所のメンバーを中心としまして、このエ コナオイルの補足試験の信頼性確保を確認する委員会をつくりました。それで、国 立衛研の職員以外に大学の先生を数名、分析の先生等を交えまして確認を行いまし た。  これについて、花王株式会社が外部の試験研究機関に委託して実施した試験でこ ざいますが、この委託機関に、先ほどのメンバーの何人かが実際にその現場に行き まして、確かにその試験が確実に行われたかどうか。動物の数とか投与の方法とか、 それがきちんとプロトコルに従って行われたかどうか、その点をきちんと確認しま した。それに基づきまして試験結果を検討したわけです。それで、先ほどの御説明 にありましたように、確かに間違いないということを確認いたしました。  試験結果は出たわけですけれども、これをどう解釈するかにつきましては食品安 全委員会においてよく検討していただく必要があるというふうに現在は思っており ます。  以上です。 ○岸分科会長 補足の御説明をいただきまして、ありがとうございました。  委員の皆様の方から、この花王の報告及び国立医薬品食品衛生研究所の含有実態 調査の結果の報告につきまして、御意見とか御質問を受けたいと思いますが、いか がですか。  どうぞ。 ○若林委員 180ページのところですけれども、表2のグリシドールの結果概要で、 in vivoで、小核試験で陰性になっていますが、グリシドールそのものの発がん性は 既に証明されています。これに関しては小核試験をした骨髄細胞のところではたま たま陰性だが、ほかの臓器では陽性になる可能性があるというように判断をするべ きものなのかということが1つ。  もう一つは、表1でS9mixのマイナスのものでも変異原性が出ているということ は、サルモネラ菌自体の中にグリシドールリノール酸エステルを分解するエンザイ ムが存在するというように解釈するということでしょうか。  この2つの質問です。 ○俵木課長 1つ目のグリシドールの方の小核試験でございますけれども、これま で行われているグリシドールの小核試験は米国NTPの試験がございますが、それ は腹腔内投与をした試験でございまして、陽性ですけれども、非常に弱い結果のよ うでございます。  今回は経口投与での小核試験を実施しておりますけれども、結果としては陰性で すが、非常に陽性ぎりぎりのところの陰性ということで、もしかすると骨髄への到 達性の問題なのかもしれません。腸管で吸収される際のいろいろな分解とかという ことが関与している可能性があるのかなというふうに考えておりますが、その点も 含めて食品安全委員会で御評価をいただくものと思います。  それから、先ほどのS9mixのプラスマイナスの点については先生のおっしゃると おりなのではないかと思いますけれども、この点も含めて御評価をいただければと 思います。 ○岸分科会長 そのほか、いかがでしょうか。  今、陽性ぎりぎりの陰性というふうにおっしゃられたんですが、マウスで1群が 雄5匹というのはサンプルサイズがやや小さいように思うんですけれども、これが 普通なんでしょうか。  何かございますか。 ○俵木課長 恐らく、この遺伝毒性試験の小核試験としては標準的なやり方なので はないかと思いますけれども、大野先生、いかがでしょうか。 ○大野委員 申し訳ないですけれども、数までははっきり覚えていません。  今、若林先生がおっしゃったことですが、先生のおっしゃるとおりで、小核試験 で陰性だからin vivoで大丈夫だというのは、先ほど私が食品安全委員会の判断の 考え方を申し上げた部分と若干食い違うところがあるんですけれども、この件につ いては西島先生が中心となった検討会でも問題になりまして、やはりあくまで骨髄 に対する影響を評価したものであるので、全身的に遺伝毒性を検出できるような方 法が今はありますので、そういったものを含めて検討する必要があるというような ことをうちの能美変異遺伝部長がおっしゃっていました。そういった面からも、こ れから実験をやるかどうかはいろんな予算とかそういったものが関係してきますの でわかりませんけれども、そういった面での考察も必要になってくるのではないか と思っています。 ○若林委員 先ほど岸先生の方から質問があった、遺伝毒性のショートタームアッ セイの場合の匹数ですけれども、ロングタームの場合は1群、40匹、50匹ぐらいで すけれども、ショートタームの場合は1群、5匹とか10匹ぐらいでやっているケー スが多いと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  どうぞ。 ○毛利委員 マウスの頭数ですけれども、こういう実験をやる上で、公定法のよう な何か公にきちんと決まった匹数とかというものはないのでしょうか。 ○大野委員 それについては小核試験についてのガイドラインというものがありま すので、それにきちんと例数とか、用量はどのくらいの用量にするかとか、そうい う決まりがあります。ただ、私が覚えていないだけです。 ○毛利委員 それに則ってやっていれば匹数も問題にならないと思いますけれども、 逆にそれに則っていなければ問題かもしれません。 ○岸分科会長 ありがとうございます。 ○俵木課長 その点、OECDで毒性試験のガイドラインが出ておりまして、この 試験についてはOECDのガイドラインに従って実施しているということで、今、 確認いたしましたので、大丈夫だと思います。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  そのほか、御意見・御質問等はございますか。  そうしましたら、この結果が明日、食品安全委員会の方に報告されるということ ですね。 ○俵木課長 はい。 ○岸分科会長 よろしくお願いいたします。  続きまして「2 食品中のカドミウムに係る規格基準について」、事務局から御 説明をお願いいたします。 ○入江補佐 資料の187〜188ページを使って説明いたします。1つ目の資料が「食 品中のカドミウムの規格基準改正に係るその後の動きについて」。これは5月18日 の食品規格部会の資料そのままでございます。2つ目が「畑作物指定要件等検討基 礎調査について」。これも同じく食品規格部会での資料ですが、環境省が作成した 資料となっております。  まず1つ目の資料から説明いたしますが、食品中のカドミウムの規格基準改正に つきましては、昨年10月の食品規格部会での御審議を経て、この食品衛生分科会で 昨年12月に御審議をいただきました。今年2月に答申を得て、4月に成分規格の改 正を行ったところでございます。  一方、今年3月初旬でございますが、平成19年度及び20年度に環境省が実施し た「畑作物指定要件等検討基礎調査」について、カドミウム汚染地域の畑作物のカ ドミウム含有濃度データが含まれているにもかかわらず、この調査結果が厚労省の 薬事・食品衛生審議会での審議の際に提出されていなかったことは問題であるとの 指摘がございました。  環境省が実施した調査につきましては、環境省作成の188ページの資料をごらん いただきたいのですが「1 経緯」の2行目ですけれども「土壌と農作物のカドミ ウム含有量の相関関係を把握するため」というふうに目的が書いてございまして、 現在、環境省の方で土壌の性質と作物中のカドミウム含有量について解析中という ことです。  そもそも、目的がこのように土壌と農作物中のカドミウムの相関関係を見るもの でしたので、我が国における農作物の含有実態を把握するというものではございま せんでした。よって、農業試験場で実験的に栽培されたデータも含んでいると聞い ております。  187ページに戻っていただきまして「2.厚生労働省の対応」でございます。  3月に以上のような指摘がありましたので、ホームページで公開しているQ&A に、この環境省調査結果への対応に関する質問を追加いたしました。これは参考資 料9として付けておりますが、それの23〜24ページに新たに追加したQを載せてお ります。この問いに関しては、カドミウム濃度が高い畑作物について不安に思われ る方もおられるだろうということで、食品安全委員会の評価書を引きながら、カド ミウム濃度が比較的高い農作物の流通も想定して推計された我が国のカドミウム摂 取量分布というものを紹介しております。この分布を見ますと、カドミウム摂取量 が多いと推定される人でも健康に悪影響を及ぼさない摂取量を十分に下回っている という説明でございます。  次に4月のところでございますが、4月8日に規格基準の改正を行いました。  同日付で地方自治体に対して通知を出しまして、この中で食品からのカドミウム 摂取について、特にバランスのよい食生活の重要性について、消費者への情報提供 を要請しております。また、特に汚染地域を有する地方自治体においては、当該地 域等で収穫される農産物を自家消費等によって継続的に摂取する住民に配慮した情 報提供を要請しております。  また、同日付で農林水産省及び環境省に対しても通知文書を発出しておりまして、 関係者による低減対策の推進を要請しております。  5月18日、食品衛生分科会の食品規格部会で、環境省にも出席をしていただき、 この環境省の調査結果を報告いたしました。食品規格部会における御議論ですが、 まず低減対策の推進を行っていくこと、それから、消費者への情報提供の重要性が 確認されました。情報提供といった場合、一般的なバランスのよい食生活というこ とに加えて、特に汚染地域での自家消費のことについても情報提供が重要であると いうことが言われました。  なお、この点に関しては今月と来月、農林水産省と共催で、生産地におけるリス クコミュニケーションのための説明会を予定しておりますので、その中で農家の 方々等への情報提供を行っていく予定でおります。  以上でございます。 ○岸分科会長 御説明ありがとうございました。  ただいまの「食品中のカドミウムの規格基準改正に係るその後の動きについて」 の御報告に対しまして、委員の皆様の方からの御意見や御質疑をいただきたいと思 いますが、いかがでしょうか。  私からお聞きするのもなんですけれども、新聞報道があったので委員の皆様も心 配されているかとも思うんですが、一応、この報告でもって、その説明としたいと いうことですね。  皆様方から何かありますか。  もしなければ、これで報告いただいたということで、前へ進めたいと思います。 ありがとうございました。  続きまして「3 魚介類の摂食と水銀に関する対応について」の報告をお願いい たします。 ○浦上専門官 それでは、分科会資料の189ページをごらんください。「魚介類の 摂食と水銀に関する対応について」、今年の5月18日の乳肉水産食品部会で御議論 いただきましたので、その概要につきまして報告させていただきたいと思います。  まず「1.魚介類の摂食と水銀」でございますけれども、鯨類を含む魚介類は、 良質なたんぱく質、EPA、DHA等の高度不飽和脂肪酸を多く含み、また、微量 栄養素の摂取源である等、健康的な食生活にとって不可欠で優れた栄養特性を有し ているというものでございますけれども、その反面、自然界に存在する水銀を食物 連鎖の過程で体内に蓄積するため、日本人の水銀摂取の80%以上が魚介類由来とな っているという状況でございます。また、一部の魚介類につきましては、特定の地 域等に関わりなく、水銀濃度がほかの魚介類と比較して高いものも見受けられると いうことでございます。  また、近年の研究報告でございますが、低濃度の水銀摂取が胎児に影響を与える 可能性を懸念する報告がございまして、妊娠中の魚介類の摂食には一定の注意が必 要であるということを周知させていただいてきたところでございます。  「2.対応の経緯」でございますけれども、これまでの対応を説明させていただ きたいと思います。  妊娠中の魚介類の摂食への注意事項でございますが、平成15年6月に本審議会の 乳肉水産食品・毒性合同部会の意見を聞きまして、注意事項、それから、Q&Aを 公表させていただきました。  その後、平成16年7月に、食品安全委員会へ食品健康影響評価を依頼いたしまし て、その結果が平成17年8月に出ましたので、それを受けまして、平成17年11月 に審議会の乳肉水産食品部会の御意見をお伺いしまして、注意事項の改定、それか ら、併せてQ&Aを公表させていただいたということでございます。また、妊婦さ んにより理解いただきたいということで、パンフレットを作成し、周知を図ったと ころでございます。  更に、母子健康手帳に掲載することを自治体の方にも推奨させていただいている ところでございます。  190ページの方にまいりまして、5月18日の部会で議論いただいた事項について 説明をさせていただきたいと思います。「3.『太地町における水銀と住民の健康 影響に関する調査』」でございます。  太地町は、和歌山県にある、捕鯨の行われている町でございまして、ここの住民 の健康影響に関する調査が環境省国立水俣病総合研究センターで行われておりまし て、その結果が本年5月9日に公表されたところでございます。  この結果につきましては、別添1の方に概要がございますが、ここの190ページ の[1]と[2]が結果をまとめたものでございます。  [1]として、太地町住民の毛髪水銀濃度は、国内の14地域、国立水俣病総合研究セ ンターの方で国内の一般的な毛髪水銀濃度を把握するために以前に行った調査でご ざいますけれども、それと比較すると非常に高かった。それと併せて、過去1か月 間に食べた魚のアンケート調査もしておりますので、それと比較すると、鯨とかイ ルカの摂取と関連するということが示唆されるという結果が[1]でございます。  [2]といたしまして、そういった毛髪水銀濃度が高いという状況があったわけでご ざいますけれども、この調査結果の範囲内で、併せて神経内科的な健康診断も行わ れていまして、その結果、メチル水銀中毒の可能性を疑わせる例は認められていな いということでございます。  この調査につきましては、毛髪水銀濃度が高い住民の方がいらっしゃったという ことで、国立水俣病総合研究センターにおきまして調査を継続する予定というふう に聞いているところでございます。  この調査を受けました対応ということで「4.対応」でございますが、ここに記 載のように、今回の調査結果を受けまして、調査結果自体は、健康に影響があると いうことではありませんでしたけれども、鯨・イルカの多食者に対する注意喚起を 目的としたQ&Aの見直しを行うということとさせていただいているところでござ います。  こちらにつきましては、208ページに新たに追加したQ&Aがございます。今回の 調査を受けまして2つの問いを追加させていただいたところでございます。  まず問20でございますが、こちらにつきましては国立水俣病総合研究センターの 方で実施した調査の内容に関する説明ということでQ&Aを設けさせていただいて おります。  内容としましては、先ほど説明させていただきました調査結果の概要を1番目に、 それから、2番目といたしまして、これも説明しましたが、今後も健康影響調査を 継続することを検討されているということです。厚生労働省としても調査結果に注 目して、今後とも知見の収集に努めていくということとさせていただいております。  それから、2つ目に追加させていただいた問いは209ページの問21でございます けれども、こちらは問としまして「一部のクジラ、イルカなど水銀の含有量の多い 魚介類を比較的多食する習慣のある地域があるようですが、妊婦以外は魚介類の摂 取量に注意しなくていいのでしょうか」というQ&Aを追加させていただいたとこ ろでございます。  答といたしましては、厚生労働省が実施している食品中の汚染物質の一日摂取量 調査を厚生労働科学研究によって行っているところでございますが、平均的な日本 人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではない。しかしながら、 一部の鯨、イルカなど特に水銀含有量の高い魚介類については、偏って摂食しない など、バランスのよい食生活を心がけることが大切であるということとさせていた だいております。  なお、国立水俣病総合研究センターの報告によれば、全国14地域での調査による 「よく食べる」魚介類というものがございましたので、それを下の表に掲載させて いただいておりますけれども、平均的な食生活と比較して、多食かどうかの判断を する参考としてごらんいただきたいということで示させていただいているところで ございます。  また2つ目といたしまして、鯨、イルカを含む魚食の栄養面でのメリット、バラ ンスのよい食生活が大事であるということを記載させていただいているところでご ざいます。  こちらの方が、太地町の調査結果を受けたQ&Aの追加でございます。  続きまして、部会の方で検討いたしました2つ目でございますが、213ページの別 添3の方をごらんいただければと思います。こちらにつきましては従来、最初に説 明をさせていただきました妊婦さんへの注意喚起の件でございまして、平成17年11 月2日に乳肉水産食品部会の方でとりまとめをいただいた「妊婦への魚介類の摂食 と水銀に関する注意事項」を見直すということでございます。  今回の見直しにつきましては、平成17年11月の注意事項公表後に自治体におい て実施された魚介類の水銀含有量調査結果等をとりまとめまして、対象魚介類の見 直しを行ったということでございます。  注意すべき魚介類につきましては214ページの表にございます。こちらの選定は 平成17年11月と同じ方法で、耐容量を超えない範囲で、一回当たり80g、大体、魚 一切れに相当する量でございますけれども、80gといたしまして、1週間に3回以上 食べられないというような算定になった魚介類に対して注意事項の対象とするとい う方式でさせていただいております。  各魚介類の平均水銀濃度を基に食べられる量を試算いたしました結果、今回、追 加になった魚種が1つございまして、表の一番下のクロムツというものがございま すが、こちらが1週間に2回までしか食べられないという結果になったことから注 意事項の対象とさせていただいたところでございます。  もう一点、部会委員の方から情報提供がございましたことを踏まえまして、前に 戻っていただいて恐縮ですけれども、213ページの<魚介類の有益性>のところがあ りますが、そこの第2パラグラフの「なお、魚介類を全く食べない集団では、高度 不飽和脂肪酸が欠乏し、小児の知能低下や成人の心臓病のリスクが上昇することが 報告されています」という情報をいただきましたので、ここに掲載させていただい たところでございます。  ただいま説明させていただきました注意事項、それから、Q&Aにつきましては、 今後、厚生労働省のホームページに掲載させていただくとともに、自治体の方に通 知を発出する予定とさせていただいているところでございます。  事務局からの説明は以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明に関しまして、御意見・御質問はございますでしょうか。  どうぞ。 ○栗山委員 この場合、妊婦さんの魚を食べるということについて全部書かれてい るのですが、少し気になるのが、テレビの宣伝などを見ておりますと、魚を食べる のは大変なので、健康食品みたいなものでDHAとかEPAを摂取しようみたいな 宣伝がよくなされているのですが、そういうものはこれの対象外といいますか、そ ういうものはその心配がないということでよろしいでしょうか。といいますか、検 討していらっしゃるのか、想定の範囲外なのか。範囲外であれば、どうなんでしょ うか。あれだけ宣伝しているものなので、そう思うのですが、もしかして、これは ここの検討会の対象ではないのかなと思いつつ質問させていただいております。 ○岸分科会長 DHAをサプリメントで取ろうとすることに関してという質問でし ょうか。 ○栗山委員 はい。言われているものが魚由来なのか。それから、それにこういう ものが含まれているのかどうかというのは全くわからないでの質問なんです。 ○俵木課長 DHA等のサプリメントを魚食の代わりに食べた方がいいというよう な報告がされているということでしょうか。 ○栗山委員 いや、食べた方がいいという報告がされているということではなくて、 報告がされているかどうかの確認はしていないのですが、例えば健康食品として、 サプリメントでそういうものを補おう。魚を摂るのは大変だからみたいな宣伝がテ レビでされているのですが、ああいうものを摂ることによって過剰摂取になるとい うような心配はしなくてもいいんでしょうか。 ○俵木課長 水銀のということですね。 ○栗山委員 はい。  全く関係ないんですか。 ○若林委員 DHAとEPAに関しては、私、がん予防の観点からいろいろ研究し てきましたが、今、販売されているものに関しては魚から抽出しているもので、合 成品ではありませんから、抽出した油分の中に水銀がどのくらい入っているかを調 べた結果はありますかという質問だと思います。 ○俵木課長 今、手元に何の情報もないので、また確認いたしまして、先生に報告 したいと思います。 ○栗山委員 お願いしてもいいんですか。  例えば、大豆イソフラボンなどもとても体にいいものとはされていましたが、多 分、妊婦さんはたくさん摂らないようにという情報提供が後でされましたね。それ から、つい1週間ぐらい前に、薬の飲み合わせですと、例えばお医者さんに行って 体調が悪いときに、薬ですと飲み合わせとかは考えますけれども、健康食品ですと 飲み合わせとか摂取量についての値を、お医者さんもなかなか確認しませんし、そ の資料がなかったりするので、そういうこととの関連も含めてです。 ○岸分科会長 何か事務局で資料はございますか。  どうぞ。 ○松井専門官 サプリメントについてなんですけれども、業界団体ではございます が、日本健康・栄養食品協会という財団法人がございまして、こちらの方でJHF Aマークという健康食品の自己認証のシステムをつくっておるんですが、その中で DHA、EPA等に関しまして、重金属に関して規格を設けていると聞いておりま す。  また、サプリメントは基本的に、今、私どもの方で業界に言っておりますのが、 妊婦さんとか幼児といった方には勧めないでいただきたい。要するに、健康食品の パッケージの中に、妊産婦・授乳婦への使用はお控えくださいというものを書いて いただくようにお願いしているところではございます。 ○岸分科会長 栗山委員、よろしゅうございますか。 ○栗山委員 ということは、パッケージに書いてあることを守っていれば問題はな いということなんだと思うんですが、実際の含有量というものは。 ○松井専門官 実際のサプリメント中の重金属類の含有量の調査というものは、今、 私どもでぱっと出てくるデータとしては恐らくないかと思いますので、そういった データが存在するのかということについては確認をさせていただきたいと思います。 ○石塚部長 今回出した通知の趣旨は、水銀を怖がる余り魚を食べなくなっては困 る。それを防ぐためのものでございまして、魚の代わりに健康食品を食べましょう ということでは決してございませんので、そのような誤解を受けないようなQ&A のつくり方を心がけていきたいと思います。 ○栗山委員 私も、魚が心配だからサプリメントを食べようというふうにはゆめゆ め思っておりません。ただ、そういうふうに考える人がいたときの安全性というこ とで伺いました。 ○岸分科会長 ありがとうございます。何しろ私たち日本人は魚を好んで食べてお りますので、健康にもなりますし、いろいろな質問がこのように出てくるのだと思 いますが、特にこの場所は。  どうぞ。 ○栗山委員 今のような質問をさせていただいた一つの理由は、Q&Aをおつくり になったときに、いわゆる普通に生活している人からの質問を反映したものという よりは、省内で御検討いただいたものというふうに伺いましたので、テレビなどを 見ている普通の人間はこんな発想をしますということで御理解いただければと思い ます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  阿南委員、どうぞ。 ○阿南委員 ありがとうございます。  私は、前回厚労省がこうした摂食指導を行ったときに、すごくパニックが広がっ たといいますか、風評被害にもなってしまったというところがありましたので、こ うしたことは注意してやらなければいけないと思っております。今回のQ&Aの改 定についても特に妊婦さんたちに適切な指導をしていくことは大切であると思いま す。  同時にこうした情報によって水銀が入っているので魚介類を食べたくないという ようなことが広がらないように、そして貴重な栄養素としてそれを摂取していく、 生かしていくということをちゃんと消費者が冷静に判断できるような情報提供の仕 方が必要であると思っています。  その観点から言いますと、今回の調査ではっきりしたことは、やはりイルカとか コビレゴンドウを食べている方々についてということですね。ハクジラ類と呼ばれ るものなのだそうですけれども、しかしそれは本質的に言えば魚介類ではなくほ乳 類なんですね。ですが、こうした食文化がある地域も多いと聞いていますので、そ こはちゃんと丁寧に説明する必要があると思います。  またこの前、厚労省に調べてもらいましたら、このハクジラ類も、魚介類ではな いけれども、魚食と同じような機能、栄養素を持っているということでしたので、 こうした情報もちゃんと積極的に提供していくことが必要であると思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。皆様がおっしゃるとおりであると思いま すが、厚労省も、今回の和歌山の映画で有名になった場所で、普通の庶民がいろい ろ新聞やらテレビなどで心配しているところであろうということで、文書的には非 常に丁寧につくられているのではないかと思うんですが、ただ、とにかく国民はい ろんな方がいるので、おっしゃるように、風評被害に惑わされたり、本来食べた方 がいいものを食べなくなったり、そういうことのいろいろな危惧がございますので、 是非、これからも続けて、臨機応変に国民の各層に焦点を当てて書いていただける ととてもありがたいと思います。  どうぞ。 ○若林委員 太地町での調査に関しては今回初めてやられたと思いますが、これは 何年かフォローアップをするような計画になっているんですか。それとも、今回だ けに限られたものですか。 ○俵木課長 環境省の国立水俣病総合研究センターでは引き続き研究をするという ことにしておりまして、私どももその研究班に参画させていただいて、協力して情 報を集めていきたいと考えております。 ○岸分科会長 それでは、次に移らせていただいてよろしいでしょうか。  その次の報告事項は「4 平成22年度輸入食品監視指導計画について」でござい ます。御説明をお願いいたします。 ○道野室長 「平成22年度輸入食品監視指導計画について」を説明させていただき ます。  食品衛生法の第23条におきまして、毎年度国が行う輸入食品に関する監視指導計 画を策定するということが定められております。特に輸入食品の安全対策の中でも 国として担当している部分は、輸出国での安全対策の推進とか、輸入時の監視指導 というようなことでございまして、その内容について平成22年度の計画としてとり まとめて、3月29日に官庁報告という形で官報に掲載いたしました。  策定に当たりましては、1月下旬に東京と大阪で意見交換会を開催し、1月22日 から2月28日までの間、パブリック・コメントということでコメント募集をしてお ります。  内容につきましては、資料の215ページをごらんいただければと思います。  目的でございますが、書いていますとおりで、監視指導を重点的、効果的、効率 的に実施することを推進するということでございます。  今年度の主な計画のポイントというところで「3.重点的に監視指導を実施すべ き項目の実施結果」でございますが、モニタリング検査につきましては、今年度、 平成22年度の計画は約8万5,000件を予定しております。昨年度が8万3,400件と いうことで、これは勿論、予算措置にリンクしておるものでございますけれども、 増加して実施をするというようなことでございます。  それから、書いていませんけれども、併せて検疫所に配置している輸入食品の監 視指導を行う食品衛生監視員につきましても、368名から383名に増員しているとい うような状況でございます。  「4.輸出国における衛生対策の推進」でございまして、特に水際の監視だけで はなかなか限界があるということで、本質的には輸出国での安全対策を推進してい くということで対応してきているところでございます。  今年度の新しいものといたしましては、報道等もされておりますけれども、去る 5月31日に日中食品安全推進イニシアチブに関する覚書ということで、厚生労働省 と中国の担当省庁との間で覚書を結んでおります。内容的には、こういう輸出国で の安全対策を推進するという観点から、担当閣僚間の年1回の定期協議とか、食品 安全分野における情報共有、相手国の関係施設への立ち入りについて相互にやって いくというようなこと、それから、問題発生時の対応等々について、こういった枠 組みをつくって協力してやっていきましょうというようなことで対処しているとこ ろでございます。  216ページ以降に、そのほかについても、平成22年度の新たな追加事項につきま しては下線を記して整理してございますので、ごらんいただければと思います。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの輸入食品監視指導計画に関しまして、委員の皆様の方から御意見・御 質問等はございますか。  このアンダーラインのところに書かれているとおり、昨年10月、日中食品安全推 進イニシアチブということで新しく、韓国も入れまして、日中韓の三国間の覚書に 署名されたとのことで、輸入が最も多い中国あるいは隣の韓国との間でもこのよう な形になったのは大変よかったと思いますが、先生方から格段の御意見がなければ、 この件はこれで済ませたいと思います。ありがとうございました。  続きまして「5 厚生労働省におけるリスクコミュニケーションに関する取組に ついて」、事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○渡補佐 「厚生労働省におけるリスクコミュニケーションに関する取組につい て」を報告させていただきます。資料は219ページからでございます。  平成21年度のリスクコミュニケーションの取組みということで、6点ほど挙げさ せていただいております。  まず1点目ですけれども、意見交換会を開催しておりまして、昨年は14回、厚生 労働省主催で実施しております。  [1]として挙げております講演などを実施する形式では、添加物や食中毒をテーマ に行いました。  また、[2]は現地視察型として挙げておりますが、こちらでは検疫所の見学や工場 見学などを行いました。  次に220ページにまいりまして「2 情報の発信」でございます。  「(1)ホームページによる情報発信」は、「食品安全情報」において、報道発 表資料、Q&A、審議会等の会議資料等を掲載しておりますが、平成21年度につい ては、ホームページの掲載内容について、わかりやすくなるよう整理を行っており ます。  参考として、平成21年度の閲覧回数を挙げております。  また(2)ですが、パンフレット等の作成・配付も情報発信の一環でしておりま す。そちらに挙げてありますような項目でパンフレット、リーフレット等を作成し ております。  次に221ページですが「3 意見募集(いわゆるパブリック・コメント)の実 施」ですけれども、基準値などをつくるときには国民から意見を聞く手続を取って おり、いわゆるパブリック・コメントについて、平成21年度は47回実施いたしま した。  「4 関係府省との連携」ですが、リスクコミュニケーション担当官連絡会議を 4府省で開催しておりまして、消費者庁にも参加していただいております。  5点目以下、いろいろと挙げておりますけれども、団体等での講演や食育のイベ ントでのパンフレット配付、また、子ども霞が関見学デーを利用した活動なども行 っております。  次に、222ページには本年度のリスクコミュニケーション事業の運営方針を記載し ております。  まず1番として、意見交換会の開催等を実施する予定です。  また「2 情報の発信」として、ホームページの充実、パンフレット・DVD等 の作成や改訂、  「3 意見募集(いわゆるパブリック・コメント)等の実施」、  「4 その他」で、各関係団体主催の意見交換会への参加等を行う予定となって おります。  本年も分科会や部会の先生方の御協力をいただきながら、いろいろなリスクコミ ュニケーション活動をしていきたいと思っておりますので、声をかけさせていただ いたときには、是非、御協力をお願いしたいと考えております。  以上でございます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  委員の皆様から、何か御意見・御質問はございますか。  どうぞ。 ○栗山委員 最後に、声をかけさせていただいたときには御協力をということだっ たんですが、例えば「4 その他」で関係府省とか関係団体主催の意見交換会への 参加というようなところでは、団体からの希望を募るというようなことはしていら っしゃらないんでしょうか。少し教えていただきたいだけなんです。 ○渡補佐 関係府省の方々等から何かお声がけがあった場合というのもございます し、自治体につきましては御希望を聞く機会はつくろうと思っております。  団体というのもいろいろございますので、お話しをいただいた場合には積極的に 協力したいと思っております。 ○栗山委員 ありがとうございました。 ○岸分科会長 このホームページの年度別の、平成20年度や21年度の閲覧回数と いうものは結構、食品に関する国民の関心を反映して増えているとかというような ことがあるんですか。  どうぞ。 ○塚原参事官 参事官の塚原でございます。  データ的には手元にないものですから、今、調べていると思いますけれども、恐 らく一昨年などは非常に閲覧件数が多かったと思います。といいますのは、毒入り ギョウザの問題とかメラミンとかというような問題がありましたので、今、比較的、 お陰様で食品に関する社会の関心を集めるような問題が起こっておりませんので、 余りそういう意味では、それほど今年は閲覧件数が多くなる要因はないように思い ますけれども、やはりそういうイベントがあったりしますと下げ止まったりします ので、そういう影響があると思います。  もう一つは、わかりやすい、国民の皆様に関心を持っていただけるような内容を つくっているかという、つくっている側の問題もありますので、そちらの方は随時、 いろんな御意見をいただきながら向上させていただきたいと考えております。  データ的なことで何か説明できれば、事務局の方からお願いします。 ○渡補佐 済みません、1年分のデータしか今持っておりませんが、春は多いよう でございます。 ○岸分科会長 やはり厚労省のホームページを見てみようという、事件度というも のが背景にありますね。おっしゃるとおりであると思います。  そのほか、委員の方から御意見はございますか。  どうぞ。 ○阿南委員 消費者庁ができて、情報が一元化され、消費者安全法に基づいて公表 されたところを見ていますと、食品関係は食中毒が結構、重大事故で多いんですよ。 ところが、消費者庁は、その辺の注意喚起というものがうまくなくて、情報を集め るんですけれども、うまく注意喚起できていない、していないんですよ。ここは厚 労省がもう少し助けてあげて、一緒に注意喚起していくということをもっと推進で きないものでしょうか。 ○塚原参事官 御指摘、大変ありがとうございます。  他省庁との連携というものは、リスクコミュニケーションの関係で隔週木曜日に 関係省庁、具体的に言いますと、食品安全委員会、農水省、厚労省、消費者庁、環 境省というところのリスクコミュニケーションの担当者が集まって定期的にやって いますので、今、いただきました御指摘を踏まえて、その場で少し問題提起をして 連携を取るような、こちらも助けていただく立場にもなろうかと思いますので、積 極的にやりたいと思います。 ○岸分科会長 それでは、よろしくお願いいたします。  最後の「6 食品衛生分科会における審議対象品目の処理状況について」の御報 告をお願いいたします。 ○工藤補佐 それでは「食品衛生分科会における審議対象品目の処理状況につい て」を報告いたします。お手元の資料では、最後の223ページに表でまとめてござ います。  こちらは、当部会におきまして御審議いただいた規格基準等につき実施いたしま した、あるいは実施中のWTO/SPS通報ですとか、食品衛生法第64条の規定に 基づきますパブリック・コメントの状況につきまして、既に前回までに報告させて いただいているものの重複は避けましてまとめたものでございます。  意見またはコメントの提出がありました件につきまして、当部会において御審 議・御了解いただいた規格基準案の再検討の必要を生じるものはございませんでし た。  以上、報告です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの御報告に何か御意見等はございますでしょうか。  よろしゅうございますか。  これで、ほぼ予定の審議・報告を済ませましたが、事務局の方から何か連絡等は ございますでしょうか。 ○石川補佐 本日は長時間の御審議、誠にありがとうございました。  次回の分科会の予定でございますが、また先生方の日程調整をさせていただきま して、開催日時・議題等につきましては、改めてお知らせいたしますので、どうぞ よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、長時間でしたけれども、ほぼ時間内に終わることができ まして、ありがとうございます。委員の皆様方の大変熱心な質疑がございまして、 いろいろな課題について検討できましたこと、よかったと思っております。厚労省 の抱える食品衛生の問題はたくさんございますので、また国民も期待しております ので、引き続きましてよろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。                  照会先:                                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                  TEL:03−5253−1111(2449)