10/05/21 平成21年度第3回化学物質のリスク評価検討会議事録 第3回化学物質のリスク評価検討会 (有害性評価小検討会、ばく露評価小検討会合同開催) 日時 平成22年5月21日(金) 14:00〜 場所 経済産業省別館827号会議室 (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部    化学物質対策課化学物質評価室 寺島    〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL 03-5253-1111(内線5518)    FAX 03-3502-1598 ○寺島化学物質情報管理官 ただいまより「第3回化学物質のリスク評価検討会」を始めます。本日は、 大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。以下の議事進行については、座長 にお願いいたします。 ○名古屋座長 事務局から、資料の確認をよろしくお願いします。 ○寺島化学物質情報管理官 議事次第の裏面に「配布資料一覧」がありますので、そちらをご覧いた だきながらご確認ください。資料1については、リスク評価書をまとめたものとなっています。最初の 初期リスク評価書、「コバルト及びその化合物」となっている一綴りは、前回の修正分の5物質を1つ にまとめています。次に、ジブロモエタン、エチルベンゼン。詳細リスク評価書の「コバルト化合物 (塩化及び硫酸コバルトに限る)」、ジニトロトルエン、ジメチルヒドラジン、プロパンスルトンと いうことです。資料2は「有害性評価書(案)」、全部で6物質、一綴りになっています。1枚紙で資 料3「今後の予定」。参考1から参考4までは、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に 始まり、1から4までを一綴りとしています。参考5については、「平成21年度ばく露実態調査の結 果」となっていますが、これは非公開、机上のみ配付としています。落丁等がありましたら、事務局 にお申し出いただければと思います。  本日、リスク評価書を2時間ご検討いただきましたあと、有害性評価の小検討会を開催の予定として いますので、よろしくお願いします。 ○名古屋座長 よろしいですか。本日の議題に入ります。「平成21年度リスク評価対象物質のリスク 評価について」、事務局から説明をよろしくお願いします。 ○長山室長補佐 資料1の中で前回検討会の修正版で一綴りにしています「コバルト及びその化合物」 の中に、前回の5物質、修正したものを入れていますので、修正点の主なところのみをかい摘まんで説 明します。  1頁、2頁は、特に修正等はありません。コバルトの3頁ですが、「有害性評価」の(2)発がん性以外 の有害性につきまして、前回の急性毒性とか毒性で、「あり」「なし」という形で、どれぐらいの強 さか、その辺りをもう少しわかる表現にしてはどうかということで、急性毒性の中では、LC50とか、 LD50とか、この辺りの数値も入れるという形です。ほかの物質も同様に、大体どれぐらいのオーダーか ということがわかる形で修正をしています。反復投与毒性も、あり、なしではなくて、どの辺りに主 に出てくるのか、そういったところをほかの物質も含めて全体的に修正をかけています。  (3)許容濃度等です。14行目のコバルトについては、ACGIHだけではなく、産衛学会のほうも数値が あり、漏れていましたので付け加えています。(4)の評価値です。結論は変わらないのですが、一次評 価値の評価値なしのところで、ユニットリスクの表現として「算定できない場合」と書いてしまうと、 ユニットリスクの情報そのものがなくて評価値なしなのか、情報はあるが計算できなくてなしにした のか、その辺をわかりやすくしたほうがいいのではないかということで、ユニットリスクの情報がな いときは、下線の修正のとおり「ユニットリスクについての情報がなかったことから、一次評価値な し」という形で、誤解のないような表現に修正しています。  5頁になりますが、こちらは文言修正で4「リスクの判定及び今後の対応」の14行目で、「ヒトに対 する」という文言が抜けているということで、そこを修正しています。  「酢酸ビニル」に移ります。1枚目です。主なポイントとして2「有害性評価」の(1)発がん性で表現 が間違っており、「IARC:2B」ということなので、「2A」の表現になっていたので「2B」の表現に修正 しています。  前回の検討会の中でも口頭で説明して、こちらのほう「閾値なし」で、有害性の評会の検討会の中 でも「閾値なし」としていて、それを事務局で合同委員会の資料にするときに修正ミスがあり、「閾 値なし」という形で次回までに直しますという形で報告していたものについて、今回、所定の修正を したということになっています。  (2)発がん性以外の有害性は、同じように「LD50」と入れました。変異原性のところは「生殖細胞」 の文言は削除したほうがいいのではないかということで、ここを削除しています。  (4)の評価値です。こちらは前回、口頭で申し上げたとおり「評価値なし」という形で、今回は修正 したバージョンでお出ししております。  4頁になりますが、11行目、12行目、前回、原料投入時の防じんマスクと洗浄作業時に防毒マスク と書いていたのですが、酢酸ビニルですので、現状は通常、液体で使われるということで、防毒マス クは関係ありますが、原料投入時の防じんマスクは酢酸ビニルに直接関係ない記載で、たぶん材料を 入れるときのほかの物質のためのものではないかということです。こちらは直接関係ないということ で削除してはということで、事務局の提案で削除させていただこうかと考えているものです。  4「リスクの判定及び今後の対応」です。先ほど申したとおり、前回、一次評価値なしという形で申 し上げて、後ろの部分で一次評価値に絡む部分の表現がありましたので、そちらについては同様に修 正に伴う削除ということで削除しています。4頁と、5頁も5、6、7行目に一次評価値を言及している ところがありますので、そこについては一次評価値の部分は削除しているという修正を行っています。  詳細の3物質についてですが、「2-クロロ-1,3-ブタジエン」です。こちらの修正は半角に直すとか、 有害性の記載を先ほどのLD50とかを修正というところのみです。2頁に若干修正と、3頁も有害性のと ころを少し充実したという修正のみとなっています。  「酸化プロピレン」の詳細リスク評価書です。こちらについては2頁になりますが、(3)重視すべき 有害性の[1]発がん性のところで、前回、記載漏れということで口頭でも説明いたしましたが、「IARC では2Bに区分される」と、ここの行が抜けていましたので追加しています。2頁の32行目の鼻腔の腺 腫ですが、ここは「乳頭状」の「状」という単語を入れて、意見を踏まえて修正しています。  3頁、有害性のところを少し充実したというところ。4頁の中段、「評価値」ですが、こちらについ ては労働補正の表現を修正しています。その後は、7頁の8行目、9行目、この辺りも「上側5%」の 部分の記載の修正を行っているところがあります。  8頁の35行目と36行目です。「サンプリング作業については、おおむね2〜5分程度の比較的短時 間の作業を1日数回程度行う場合が多く」というところで、「当該物質の濃度が高濃度にならない環境 下では、呼吸用保護具の使用が有効と考えられる」ということで、少し文言を付け加えています。  9頁の(2)判定結果の表で、前回、数字だけ書いていて、単位がなくて何の数字かわかりにくいとい うことで、今回、単位を書きました。これは「測定点数」と、括弧書きの中はパーセントですという 形で、表をわかりやすい形で修正を行っています。酸化プロピレンについては、以上の修正になって います。  1,4-ジクロロ-2-ブテンの修正箇所について説明します。2頁の(3)重視すべき有害性の[1]発がん性の 真ん中辺りですが、記載に誤りがありました。前回もこれは「IARC」でのものではなくて、「ACGIH」 の評価の記載ミスですということで口頭で申し上げまして、それのとおり文言で直したところです。3 頁の有害性のところの所要な修正を行う。あとは半角に直すとか、その辺りの修正を4頁、5頁に行っ ている。  6頁の[2]の「測定結果」のいちばん下、22行目の参考で、上位10データの推定値が書いてありまし たが、前回、こちらも口頭で説明しましたが、データは4つしかないということなので、上位10とい うのは意味を成さないのでこちらは削除しますと申し上げたものですが、そこを削除しています。あ とは、半角に直すとか、所要の修正を行ったところです。  前回の検討会を踏まえた修正については、以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問等はありますか。前回の修正版ということ ですが、よろしいですか。 ○宮川委員 例えば、8頁の真ん中辺りの表で、「区間推定上限値(上側5%)」というところがあり ます。これは前回の会議のあとで事務局にメールで意見を送り直していただいた部分が反映されてい ると思うのですが、3物質中、1物質まだ直っていないものがあります。物質で言うと「2-クロロ-1,3 ブタジエン」の中の9頁の上のほうの表が前のままになっていますので、ここも同じように「信頼率 (ppm)」を先ほどの表と同じように直していただければと思います。 ○西川委員 最後の化学物質の「1,4-ジクロロ-2-ブテン」の3頁目に、[2]発がん性以外の有害性のま とめがあるのですが、そこに反復投与毒性で「無毒性量等」ということが記載してあります。これは 非常に重要な値ですので記載するのはいいのですが、逆にそれ以外の物質については無毒性量の記載 がないのです。これは特定できなかったのかどうかというのを確認したいのですが。 ○島田化学物質評価室長 参考資料として通常付いてきます資料が、それが算定できているものにつ いては記載があります。いま見ていただいたのは、変更部分の報告書の本体の部分だけです。例えば、 今回ご議論いただくほかのものについては、そういうものが付いていますので、その中でまた確認し ていただいてご指摘をいただければと思いますが。 ○名古屋座長 確認をお願いします。あと、よろしいですか。修正版ですが、また見て何かありまし たら、事務局にメール等でよろしくお願いします、ということで先に進めます。それでは今回初めて 出てきた物質に移りたいと思います。それでは事務局から「1,2-ジブロモエタン」について、よろし くお願いいたします。 ○寺島化学物質情報管理官 本日は初期リスク評価書ジブロモエタン、エチルベンゼン2物質と、詳細 リスク評価書4物質をお出ししております。以上で平成21年度に初期及び詳細リスク評価を予定して いる合計14物質が3月31日の第1回目の検討会以降、全て出揃ったことになります。本日は、このあ と、有害性評価のみの小検討会での検討が終了した有害性評価書6物質についてもご検討いただく予定 になっておりまして、これらの検討を踏まえて、次回は平成21年度の報告書の形で取りまとめたいと 考えております。  それでは、1,2-ジブロモエタンについてのご説明に移ります。 ○長山室長補佐 それでは1枚めくっていただきまして、1,2-ジブロモエタンの有害性のほうから説明 したいと思います。1頁目、「物理的性状等」ですが、1,2-ジブロモエタン。二臭化エチレンとかEDB と呼ばれているものです。(2)物理的化学的性状としては無色の液体というのが常温での状態となって います。(3)に生産と用途が書いてありますが、ジブロモアルカンとして製造・輸入量が1,000から1 万トンぐらいのものとなっています。用途としてはそのまま載せていますが、ガソリンのアンチノッ ク剤とか、土壌および農作物の殺菌剤という形で書かせていただいています。  2「有害性評価」の区分です。(1)発がん性についてはIARCは2Aということで、「ヒトに対しておそ らく発がん性がある」という物質となっています。閾値の有無としてはほとんどの試験で変異原性が 確認されているということで、閾値なしということで判断しており、ユニットリスクを用いたリスク レベルの算出においては、EPAのIRISのユニットリスクを用いまして、労働補正後のがんの過剰発生 率に対応する濃度としては、1×10-4mg/m3(1.3×10-5ppm)というのが対応する濃度となります。  (2)発がん性以外の有害性として急性毒性、こちらに書いてある量など。また、皮膚腐食性や感作性、 また生殖・発生毒性、こういったものなどが挙げられているというものになっています。  (3)許容濃度等です。こちらの物質についてはACGIHと日本産衛学会について、いずれも「設定な し」ということになっています。その他海外の機関で見ますと、イギリスのWElが0.5ppm、OSHAのほ うでPELが20ppm、NIOSHのほうで0.045ppmというものがそれぞれあります。OSHAのほうはこのPEL (許容ばく露限界)の濃度になっています。NIOSHのほうはREL(勧告ばく露限界)の値というものが それぞれ調査しております。  (4)評価値です。一次評価値は先ほどのユニットリスクから得られた濃度ということで、一次評価値 としては1.3×10-5ppmということで設定しています。二次評価値のところですが、こちらは本日の合 同委員会で、その前に有害性の小検討会とばく露の検討会を分けて議論しておりまして、有害性の小 検討会のほうでほかの物質については一次評価値、二次評価値、そちらの小検討会で決めておりまし たが、こちらの物質については小検討会の中で二次評価値についてまだペンディングの状態で終わっ ておりまして、合同検討会の中で引き続き決めていこうという形で終わっていたものです。  二次評価値については前回の小検討会の中では、この海外の3つ、参考となる濃度の中でどれがいい かということで議論しました。その中では第一候補としてはNIOSHの0.045ppm、次がWELの0.5ppmと いう辺りが優先としては考えられるのではないかということで、検討されていたものです。  なぜそういう形になったかというと、WELもNIOSHのRELも、こちらの濃度のときの提案理由書がい くら探しても見当たらなかったと。前回、平成20年度のリスク評価のときもここは検討中で終わって おりまして、UKのWELを調べましょうといって、結局最後まで見つからずに、二次評価値検討中とい う形で、昨年の報告書は終わっております。平成21年小検討会、有害性の小検討会で議論して、NIOSH のほうが見つかったと。ただ、こちらのほうも提案理由書がない。ではどちらにしようかということ で、次の合同委員会までに事務局で何らかを見つけていきましょうと。どうしてもない場合は安全側 の厳しい値のほうが第一候補ではないかと。  ジブロモエタンについて用途として農薬ということで書いてあるけれども、果たしていま使われて いるのかどうか、失効していないかどうか、その辺りを事務局で確認して、それを踏まえて第一候補 というか、その値にするかどうか決めましょうということで小検討会でそこまでの議論がなされたも のです。  その後、事務局でもいろいろと調べましたが、特にNIOSHの辺りを見ても、こちらの理由書のほうは 見当たらずということで、変わっていない状況になっています。農薬としては国内の状況ですが、こ ちらについては1990年ぐらいまでに大体の製品が農薬として失効されているということで、そういっ た意味では農薬として使われているのはほぼ考えられないのではないかというところで、事務局の調 べではそういった状況となっています。  引き続きばく露のほうも含めて説明しますが、本日は二次評価値の部分についてもご検討いただき たいという形で考えています。それではばく露の説明をさせていただきます。 ○寺島化学物質情報管理官 ばく露実態調査ですが、3頁からです。有害物質ばく露作業報告は1事業 場から3人ということで提出がありました。主な用途が計量、配合、注入、投入等の作業でした。その 作業なのですが、20時間以下の作業である、局所排出装置がない、防毒マスクの着用があるという作 業でした。この当該事業場に対しまして、ばく露実態調査を実施した結果が、下のとおりでした。24 行目辺りから実態調査の結果がありますが、8時間TWAの幾何平均値が0.037ということです。31行目 に最大値は0.089ということで、ドラム缶から当該物質を反応槽へポンプで仕込む作業で二次評価値を 超えたということです。二次評価値をどこにするかによって、評価が変わってくるということです。  1点補足させていただきたいのですが、ここで書いてある0.089というのは実測値になっていまして、 8時間TWAではありません。8時間TWAだと0.0679となります。新ばく露評価のガイドラインのほうで すと、評価は8時間TWAに基づいて行われることになっていますので、ここは昨年に引き続いて実測値 になっていますが、このジブロモエタンもそうですし、これまで出させていただいた初期リスク評価 書その他についても、測定値最大値というのを8時間TWAに置き換えるということで、全体的に見直し たいと思っております。8時間TWAですと0.0679となるわけですが、スポット測定の最大値が1.17と、 二次評価値を上回っています。  4頁です。4「リスクの判定及び今後の対応」ということです。8時間TWAの最大値が二次評価値を超 えているということですので、詳細なリスク評価が必要ということでまとめさせていただいています。 ただし、1事業場1作業のみですので、事業場の広がりとか、作業工程に共通した問題かというのは、 詳細リスク評価書のほうで検討していく必要があるということでまとめております。 ○名古屋座長 どうもありがとうございました。二次評価値の0.045を取ると超えるものがありますが、 一方0.5を使うと2つとも超えていない。その辺があるので、二次評価値について、大前先生よろしく お願いします。 ○大前委員 これ1事業場でやっていますが、この事業場で作っている1,2-ジブロモエタンは何に使 うのですか。アンチノック剤でもなくて農薬でもなくて、用途は何なのですか。 ○長山室長補佐 用途は製品を作るときの原材料です。 ○大前委員 原材料。二次の評価値の部分ですが、先ほども説明がありましたように、UKもNIOSHも 根拠がよくわからないという状態で、前のときの議論ではよくわからなくて、農薬としても失効して いるし、アンチノック剤としても使われていないということで、一般論としては小さいほうを取ろう ということで、0.045というような形で二次評価値を前の委員会では決めたと思います。  しかしながら0.045に根拠があるかと言うと、いま言ったように単に低いほうを取っておこうかとい うくらいしか根拠がないわけなので、これはちょっと困ったなと。例えばこの評価書の別添1の有害 性総合評価表がありますが、この2頁目の反復投与毒性のところで「評価レベル-1」というのがありま すが、これでいきますとNOELが3ppmという数字があります。評価レベルは経口試験なので、吸入試験 ではないので、こういう状態に出ているので、どちらを取ってもそんなにしっかりした根拠にはなら ない。いままでの事例を拒絶するのだったら、低めを取っておこうかという判断で、大した根拠はあ りません。ただ、いま言われたようにそっちを取ると、今度は詳細評価のところのラインになると、 たぶんこの一次事業場しかないのですよね。 ○長山室長補佐 基本的には事後報告ですので、500キロ以上を使っているというところはこれしかな いはずなのです。 ○大前委員 そうすると詳細評価をやるにしても、ここでしかできないということですか。 ○長山室長補佐 そうですね、またそれ以外の何らかの情報を少し取り集めて、もしかするとやはり ほかを当たっても見当たらないという可能性はあります。 ○名古屋座長 一応0.045という感じですか。 ○圓藤委員 不思議なのはアルカンとしては1,000〜1万トン。なのにこのエタンが1トンしかないと いうのは解りません。アルカンとしていちばん作られているのは何なのですか。毒性が全然違うと考 えられるのでしょうか。 ○長山室長補佐 そこはまた。引用文献も経済産業省の化学物質の製造・輸入に対する実態調査が平 成16年の調査なので、そこにもたぶん細かく書いてはないかと思います。 ○名古屋座長 調べられたらという形でよろしいですか。そうしますと、参考とする値が2つあったと きは、参考値に確たる根拠がないときには低いほうが安心だろうということで、一応0.045という形に します。そうすると、詳細リスク評価は一応はやらなければいけないということになって、そのよう に整理しておいてよろしいですか。 ○圓藤委員 濃度は3つあるのですよね。 ○名古屋座長 そう3つあるのです。レベルが違いすぎるのです。 ○圓藤委員 20と0.5と0.045といったら0.5でいいのではないですか。ちょうど10倍ずつ違う。 ○名古屋座長 同じオーダーのところでよければいいのですが、濃度が違いすぎるのですね。辛いで すね。 ○花井委員 NIOSHの一覧表に出ているだけということなのですか。 ○長山室長補佐 そうですね、一覧表をホームページで見ますと、NIOSHのほうで0.045と、あと天井 値が0.13ppmというところがポッと出ていると。 ○圓藤委員 不思議なのはこのNOELが3ppmになっているのですが、3ppmは13週で半分死んでしまっ たというのが書いてあるのですよね。それでNOELが3.3ppmというのが何か解せないのですが。 ○名古屋座長 反復のところですよね。 ○圓藤委員 ええ。 ○櫻井企画検討会座長 同じ頁の生殖・発性毒性のところのLOAELが0.46mg、これを使ったのではな いですか、NIOSH。これはLOAELなのですよね、0.46mgというのは。 ○名古屋座長 そっちが0.46だったら0.5に近いから、数字はいいのですが、NOAELは1桁違います からね。 ○圓藤委員 だから10分の1にしたら0.046ですよね。 ○名古屋座長 0.046ですね。 ○圓藤委員 これを10分の1にしたら。 ○大前委員 0.046はmgでppmにすると違ってきます。 ○名古屋座長 そうしますと、ここのところは二次評価値がクエスチョンなのですが、取りあえず、 もしかしたら0.045になる可能性があるということで、詳細リスクの評価が必要だというところで一応 止めておいていただいて、そこが確定すれば、移らなくて済むのです。それでは、取りあえずは詳細 が必要だということでよろしいですか。  判定する根拠がクエスチョンなので、何とも進めがたいところはあるのですが。でも、それは別に しましても、事業場への自主的なリスク管理は当然必要だと思いますので、そこは事業場が少ないと いうことですので、取りあえず今後はほかの事業場でも同じことをやっているといけませんので、二 次評価値が仮の二次評価値なのですが0.045として、詳細リスクのほうに進んでいくという形でまとめ させていただいてよろしいですか。 ○櫻井企画検討会座長 それは賛成なのです。先ほどの生殖・発生毒性の毒性量で0.46mg/m3をそのま まとると、0.005をまたさらに1桁下になってしまいますが、経皮吸収が顕著であると書いてあったの です。だから、それは割り引かなければいけないと思いました。それで、だから中間の0.045でよさそ うな気もするのですが、経皮吸収に気を付けるということが必要ではないかなと、実態を調べるとき に、リスクのほう。 ○名古屋座長 詳細のときにそういう事例があるといけないから、そこのところは詳細のところでは 盛り込んで調べてみるということですね。 ○櫻井企画検討会座長 はい。 ○名古屋座長 ではそういう形のところで、詳細にいくのだけれども、いま先生が言われたように経 皮吸収があるところがあるといけないので、詳細を調べるときには、なるべくそこのところのある事 業場があるかどうかを調べてという形で、詳細という形にしたいと思います。あとはよろしいですか。 ○西川委員 その発がん以外の毒性のところで、反復投与毒性。いま2頁です。鼻腔の変化があったと いうことについて、別添1の2頁目にその所見があり、いまの議論の中でこれが本当にNOELかどうか という問題があるのですが、NOELが数値として示されているという点で、こういうのを評価書の中に 盛り込んだらどうかと思います。  先ほどご指摘があったように、いちばん低い用量で4匹死んでいるにもかかわらず、NOELはいちば ん低い用量であるという考え方をしています。ということは、著者らはおそらくその死亡が吸入に関 連ないものであるというような考え方をとっていると思います。ですから、厳密に言えば、論文をも う1回チェックしたほうがいいのではないかと思うのです。真ん中の用量で見られた変化は、鼻腔の扁 平上皮化生とか過形成で、これは単なる影響ではなくて、通常毒性ととるべき変化でありますので、 この最終評価としてNOELでなくてNOAELが23.1という判断をしたほうがいいというふうに思います。 ○圓藤委員 NOAELが3ppmになるのですか。 ○西川委員 おそらくNOELが23.1と書いてあるのは、文献にそう書いてあるからだと思うのです。死 亡が吸入に関係したものであれば、NOAELが23.1にしないといけないのではないかと思います。 ○圓藤委員 そうするとNOAELもエンドポイントは死亡ということですか。 ○西川委員 そうなってしまいますので、おそらく実験者というか著者らは、それ以外の要因で死亡 したというような考察をしているはずだと思います。さもなければ。 ○圓藤委員 もしそうだとしたら、この実験そのものが、、、。 ○西川委員 不十分ということになり兼ねないですね。 ○名古屋座長 先生が言われたように、論文を調べるのだったら、たぶんそこではないかという気が します。 ○長山室長補佐 また原案を作るときの委託事業のところで原文の論文がございますので、そこを当 たって、そこでまた表現ぶりを大前先生にご相談させていただいて、どれが原文の趣旨にあたるか、 確認したいと思います。 ○名古屋座長 確たる根拠があって0.5になったときは、またいまの皆さんの了解が変わるかもしれま せんが、取りあえず0.045だと、いまの形で進めるということでよろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 そうしますといまの部分については、一応事務局は原文なりをまた集めて みて、見ていただこうと思いますが、0.045の数値として、いま二次評価値を超えているものがあると いうことで、詳細にいくというようなことでよろしいのでしょうか。 ○名古屋座長 そのときはまたデータの集め方を少し、櫻井先生が指摘したところだけ注意して集め てくださいと。 ○島田化学物質評価室長 それで、もしデータに間違いがあるような状況であれば、初期の段階で直 させていただきますが、判断ということになれば、詳細リスク評価のところで改めて有害性のご検討 をいただいた上で、そこで再考していただければと思います。 ○名古屋座長 それでよろしいでしょうか。そうしましたら、次に「エチルベンゼン」のところに進 めていきたいと思いますが、これも事務局、よろしくお願いいたします。 ○長山室長補佐 それでは「エチルベンゼン」のほうにいきます。1枚めくっていただきまして「物理 的性状等」ということです。こちらは常温ですと無色の液体ということで、液体に扱われるというこ とで考えています。(3)生産・輸入量、使用量、用途ですが、数々の原料とか有機合成の用途とかに使 われておりまして、使用量としてもかなりあるというものになっています。  2「有害性評価」です。発がん性についてはIARCが2Bという形になっていますので、発がん性はこ ちらは「あり」と書いていますが、ほかは2Bの表現で全文を書いていますので、発がん性のところは 「ヒトに対する発がん性が疑われている」と2Bの表現をそのまま入れたいと思います。閾値の有無で すが、判断としては「あり」ということで、陽性を示す試験もあるけれども、多くの試験系では陰性 という報告ということで、閾値判断としては「あり」ということです。「閾値の算出」の中でNOAELの 250ppmの結果がありまして、その結果を踏まえて2頁目、不確実性係数で、あと労働補正を行ったと ころ、3.2ppmという値が算出されるということになっています。  (2)発がん性以外の有害性については、こちらに書かれているとおり、感作性は報告なしですが、生 殖毒性ありとか、各種臓器に対する影響が挙げられています。(3)許容濃度等については、ACGIH値の TWAで100ppmというもの、産衛学会で許容濃度の50ppmというものがあります。  (4)評価値については一次評価値についてはこちらの発がん性の閾値がある場合と、あるとみなされ ている場合で、こちらについては無毒性量、NOAELから不確実性系数を考慮して求めた評価レベルとい うことで、これを一次評価値としたということで、3.2ppmと。二次評価値については、日本産衛学会 が提言している許容濃度の50ppmを二次評価値という形でまとめさせていただいています。  次はばく露に移ります。 ○寺島化学物質情報管理官 ばく露実態調査の結果です。2頁目の34行目にありますように、有害物 ばく露作業報告は合計は9,800、1万近くの事業場から2万3,000作業について出されておりまして、 労働者の数は21万人余りとなっています。そのうちガソリンスタンドなのですが、9,007ということ で9割がガソリンスタンドの事業場、労働者数で言いますと、半分がガソリンスタンドということにな ります。対象物質の取扱量は390万トンでした。  ガソリンスタンド以外の事業場での主な用途なのですが、塗料等の使用が最も多かったということ で、エチルベンゼンが含まれる溶剤を用いての吹き付けの作業とか、エチルベンゼンや混合物の計量、 配合等の作業が多かったということです。  ガソリンスタンドの事業場ではガソリンに不純物として含まれることで、ガソリンを給油する作業 がこれに当たります。ガソリンスタンド以外の事業場においては作業時間が比較的短い20時間以下の 作業が52%、局所排気装置が設置されている作業が54%、防毒マスクの着用されている事業場が26% であったのに対し、ガソリンスタンドにおいては、ほとんど作業時間がいちばん長い。保護具がなく、 局所排気もなしということです。  (2)ばく露実態調査の結果ですが、ガソリンスタンド以外と、ガソリンスタンドと両方行っています。 3頁の30行目からですが、全体で14事業場81人に対する測定を行っておりまして、その全体での幾 何平均値が34行目にありますように、0.277ppm、最大値は8時間TWA91.3となっています。全体で統 計分析をして区間推定した上限値は90.82ということで、ばく露濃度として予測される最大値が91.3 となって、二次評価値が50ppmを超えているという状況です。  この詳細ですが、4頁。ガソリンスタンド以外の事業場の実態調査の結果です。7行目にありますよ うに57人のばく露測定の結果、平均は0.513ということで、二次評価値をかなり下回っていますが、 最大値が91ということで、造船における船体への吹き付け塗装及び塗装に必要な塗料の調合作業等で す。  この作業の詳細なのですが、造船所において船体ブロックを超大型の塗装ブース内で塗装するもの で、シンナー等の塗料の混合、刷毛、手で塗るものから、エアレスガンで塗装する作業ということと、 最後に洗浄する作業となっており、船体ブロックの内面塗装に従事していた方で最大のばく露がみら れています。当該塗装ブースが非常に大きいということがあり、局所排気装置ではなく、全体換気装 置が設置されており、作業者は基本的に送気マスクを使って作業をしております。  なお書きのところにあるのは別の事業場におけるものですが、エチルベンゼンを含有する塗料を使 用した製品への塗装作業ということで、造船所だけではなくて、ほかの塗装作業においてもスポット 測定で上回った値が見られております。  26行目にありますように、ガソリンスタンドの事業場においても測定を実施しています。24人の幾 何平均値が0.00889ppmということで、最大値でも0.019ppmということで、非常に低くなって、ばく露 平均は相当低くなっています。  5頁にまとめがあります。4「リスクの判定及び今後の対応」ですが、ガソリンスタンド以外の事業 場においては、全体のうち2人が二次評価値を上回っています。この2人を含め上位の10人が同一の 事業場で占められております。そういったことからこのばく露リスクなのですが、多くの事業場にお いてはさほど高くはないと考えられるのですが、一部のこの事業場で特定の作業においてはリスクが 高いと考えられています。ということなので、まとめとしては事業場固有の問題であるのか、同種の 作業に共通した問題があるのかということについて、さらに詳細な評価が必要ということでまとめて います。 ○名古屋座長 ありがとうございました。いまの説明について質問等、ご意見はありますでしょうか。 これを見ていると造船のところは大きいから対策がなかなかとりにくいということだと思いますね。 同じ塗装ということなので、たぶん同じようなことがあれば、同じようなことが起こるだろうという ことで、詳細評価という形になるのかと思いますが、何かここにご質問はありますでしょうか。 ○大前委員 細かいことですが、2頁の許容濃度の産衛学会の50ppmのところに年度があったほうがい いと思うので、2002というふうに入れてください。 ○長山室長補佐 2002年提案で2004年決定で産衛学会はやっていますので、そこを入れさせていただ きたいと思います。ACGIHのほうは2009年に50ppmの提案をして、ただ、下がったとしても同じ50だ と思います。 ○名古屋座長 よろしいですか。ガソリンスタンド以外のところということで。そうしましたら、二 次評価値を超えている作業があるということで、さらに今後、詳細リスクのほうにいくということで よろしいでしょうか。そうしましたら、ありがとうございました。次に進めていきたいと思います。 次は詳細のところになります。「コバルト化合物」のところでお願いします。 ○寺島化学物室情報管理官 次に詳細リスク評価書「コバルト化合物」です。本物質評価書なのです が、お手元の資料には「詳細リスク評価書」とさせていただいていますが、コバルトの化合物、「初 期リスク評価書」というのを今日も資料の最初のほうに配らせていただいていますが、今年度、初期 リスク評価書ということで、コバルト全体、金属コバルトとその化合物について初期リスク評価を進 めているという状況にありますので、この詳細リスク評価書については、全体のまとめを行ったあと、 結果を取りまとめたいということで、本年度は中間報告とさせていただきたいと思います。タイトル もそのように変更させていただく方針でさせていただければと思っています。 ○長山室長補佐 それでは次に中身に入っていきたいと思います。まず、1枚めくっていただきまして、 「物理化学的性質」ということです。コバルト化合物、塩化、硫酸、いずれも常温で固体という形で、 こちらに化学式等を書いております。3頁目からはそれぞれ「有害性評価の結果」という形で書いてい ますが、こちらのほとんどが平成20年度の昨年度の初期リスク評価を実施した以降、特段追加すべき 知見等は得られているものではございません。(1)重視すべき物質性状としては、いずれも常温で固体 ということで、ほとんど気化しないけれども、粉末の状態で拡散するなどした場合には高いばく露の おそれがあるというものが考えられる。ばく露ルートとしては固体という形なので、粉体とか、取扱 い時の飛散による吸入ばく露といった経路からのばく露が考えられるということと、溶液やミストの 吸入、経皮ばく露も懸念されるということを留意するというような形で書かせていただいています。  (3)重視すべき有害性のところですが、こちらについては発がん性についてはIARCのほうでは2Bと なっています。コバルトと炭化タングステン合金については2Aというような評価になっています。1 枚めくっていただき4頁です。発がん性以外の有害性としては各種急性毒性、反復投与毒性でも肺への 影響など、こういった影響が見受けられるという物質となっています。  (4)許容濃度等です。ACGIHのほうではTWAでコバルトとしてという評価ですが、0.02mg/m3というも の、日本産衛学会では同じくコバルトとして0.05mg/m3となっています。設定年度はいずれもそれぞれ 記載されているとおりになっています。  (5)評価値です。5頁目に続きますが、こちらについては、昨年と同様閾値のない発がん性が認められ て、ユニットリスクに関する情報がなく、一次評価値なしとされております。また、その後も追加の 情報がありませんので、同様に一次評価値なしということです。二次評価値については、ACGIHのTWA を参考に0.02mg/m3を昨年採用しており、特にその後新たな設定等はありませんので、そのまま 0.02mg/m3を二次評価値として引き続き採用したいと考えております。 ○寺島化学物質情報管理官 続きまして「ばく露評価の結果」についてです。平成20年におけるコバ ルト化合物の作業報告は、42事業場から57作業で、取扱量の合計は3,000トンでした。ばく露実態調 査ですが、下の製造・取扱作業の概要にあるような作業についてばく露の評価を行っております。コ バルト化合物、塩化コバルトや硫酸コバルトの入った粉末やフレーク状のものを、フレコンから溶解 槽等に投入して反応させるような作業。6頁ですが、同じようにメッキ液として調合したメッキをする 作業。中に金属コバルトとほかの原料から溶融して鋳造を行う作業も、1事業場ですが含まれておりま す。また、コバルト化合物を触媒として利用する作業があります。  その調査の結果ですが、6頁の下から8行目ぐらいからありますように、平成20年度は7事業場、 平成21年度も7事業場ということで、調査対象を追加しなくて調査を行っております。2年間のばく 露調査において50人の実態調査をしておりますが、最大値が0.396となっております。  6頁のいちばん下にありますように、二次評価値を大きく上回った0.396mg/m3ですが、この最大値は 金属コバルトの取扱いにかかる作業で、コバルト化合物を塩化コバルトと硫酸コバルトに限ると、8時 間TWAの最大値は0.0974となっております。これでも0.02を上回っているということは同じです。2 年間の調査結果で0.396mg/m3がいちばん高かったのですが、全体で50人について機械的に統計を取る と、最大値は区間推定した上側限界値は0.07で、二次評価値を超えているということです。  (3)ばく露の高い作業の詳細ですが、7頁の「一方」という辺りからが、フレコンの硫酸コバルトを 溶解層に投入する作業において、0.0974mg/m3ということで、金属コバルトを除くといちばん高い作業 はこれであったということです。その上にあるのは、鋳造の作業の研磨においてばく露がいちばん高 かったということが書かれております。また、メッキの作業においては8時間TWAで0.0428mg/m3とい うことで、これも二次評価値を上回ったということです。このメッキの作業においては、最初の投入 のあとのアノード位置の調整やメッキ作業、メッキ済みの製品のサンプリング分析等で、それぞれば く露の機会があるということです。  8頁ですが、4「リスク評価の詳細」です。このような作業をどのように評価するかということで、 なお書きにありますように、例えばメッキ作業であれば、コバルト化合物の槽への投入作業は比較的 短時間なのですが、全体としてサンプリングとか調整といった作業でばく露が推測されるということ で、ここについては何らかの低減が必要であろうと。  一方、触媒としての利用における作業では、ばく露の測定においてもさほど高い値は見られていな いことや、投入作業後のばく露が少ないこと、コバルト含浸シートについても実態調査を行っており ますが、これについては二次評価値を大きく下回っております。飛散がないためばく露の可能性が低 い、ということでまとめております。  このコバルト含浸シートは、塩化コバルトの青い色を使ったもので、昔はシリカゲルなどに使われ ております。そういったものを、ばく露がどの程度であるのかということで実態調査をしており、こ の結果非常に大きく下回った測定となっております。他方、コバルト化合物については、皮膚、呼吸 器の感作性が指摘されておりますので、呼吸用保護具、保護手袋等の保護具が必須と考えられます。  以上をまとめて、(2)判定の結果で措置の要否にまとめております。区分として、金属コバルトとの 合金の製造作業については、最大値も非常に高かったことから、判定は「要」、措置が必要、それ以 外のコバルト化合物の製造、製造原料とする作業、メッキ作業等についても必要ということでまとめ ております。触媒としての利用、コバルト含浸シートの取扱いについては、ばく露の実測値が非常に 低かったこともあり、不要ということでまとめております。  結論としてはいま申し上げたような措置になるわけですが、冒頭に申し上げたように、コバルト化 合物全体としての初期リスク評価を踏まえて、次に詳細リスク評価にまとめていくという前提のもと に、健康障害防止措置の検討が必要ということでまとめております。以上です。 ○名古屋座長 どうもありがとうございました。次年度以降また出てくるということで、今回は中間 ということですが、扱っている量も多いし産業も多いと。健康防止措置のほうに移っていくような予 感はしますが、この文章の中で何かご指摘、質問等はありますか。 ○寺島化学物質情報管理官 1つ訂正があります。8頁の表の区間推定上限値23.3とありますが、これ は誤りで、0.0707です。修正をお願いします。 ○名古屋座長 「上側5%」のところの数値の23.3が0.0707ですので、よろしくお願いします。 ○花井委員 これはすでに前に議論で出たと思うのですが、塩化コバルトと硫酸コバルトに限ると。 その限った理由は何かあるのですか。 ○島田化学物質評価室長 これは物質の選定の際に、IARCのがんのランクが高いものを最初に選んだ という状況があって、それで当該物質について評価することとなったものです。 ○西川委員 別添1の4頁の真ん中辺りに、ヒトで得られたNOAELが5.3×10-3/m3とあります。これは 反復投与毒性のデータですので、これを評価書の反復投与毒性のところに追記されたほうがいいので はないかと思います。 ○名古屋座長 4頁の反復毒性のところに、いまの数値「5.3×10-3」を書いたほうがいいということで す。よろしくお願いします。「あり」というだけではなくて、濃度を書いてくださいということです。 ○小嶋委員 些細なことですが、7頁の下から11行目の「作業場所には囲い式外付け式局所排気装 置」とあります。囲い式と外付け式は、一般には全く別の形状のものをイメージされますが、これは どういうものでしょうか。 ○名古屋委員 「及び」が抜けているのですね。つながらないので。 ○小嶋委員 そのすぐあとで、これも些細なことですが、「保護具として使い捨て粉じんマスク」と ありますが、防じんマスクですね。 ○名古屋座長 そうですね、防じんマスクですね。ありがとうございます。その2点、「作業場におけ る囲い式及び外付け式局所排気装置」、「使い捨て防じんマスクを使用する」と。ほかに何かありま すか。 ○小嶋委員 9頁に表が2つあって、下の表ですが、判定の理由・根拠の上のほうに「当該物質のヒュ ームや粉じんにばく露」とありますが、金属ヒュームも粉じんの一種ですので、こう書くのであれば 「ヒュームや研磨粉じんにばく露」としたほうがよろしいのではないでしょうか。 ○名古屋座長 そうですね。そこの修正もよろしくお願いします。よろしいですか。それでは、検討 いただきましてありがとうございます。今回は詳細リスクはせずに中間報告ということで、来年のコ バルト全体として詳細リスク評価に内容を反映させていただけると思います。次の「2,4-ジニトロト ルエン」をお願いします。 ○長山室長補佐 それでは、「2,4-ジニトロトルエン」に入ります。1枚めくって1「物理化学的性 質」ですが、(2)にありますように、外観としては黄色の結晶の形で固体で扱われるものとなっており ます。  2「有害性の評価の結果」ですが、こちらも昨年度初期リスク評価を行っており、今年取りまとめに あたっても、その後情報収集で特に追加すべき情報は見当たらなかったということです。2頁に移りま す。(1)重視すべき物質性状は、常温で固体ということですが、体内に蓄積しやすい水分配係数が比較 的高いと。(2)重視すべきばく露ルートとしては、経皮吸収にも注意を要する物質という結果が出てい るものもあります。  (3)重視すべき有害性ですが、[1]発がん性としてはIARCでは2B、「ヒトに対する発がん性が疑われ る」と区分されております。3頁ですが、こちらについては上から8行目にあるとおり、各種遺伝毒性 の試験において陽性との結果があり、閾値はないと判断することが妥当というものになっております。 [2]発がん性の有害性としては、こちらに書かれているように各種あり、反復投与等でも各機関に対し て影響を及ぼしているというものとなっております。  (4)許容濃度等ですが、こちらについてはACGIHでTWA0.2mg/m3というものが設定されており、産衛 学会では設定されておりません。  (5)評価値ですが、一次評価値に関しては閾値のない発がん性ということで、ユニットリスクはカリ フォルニアEPAのユニットリスクから、こちらについて労働補正後のRLに対応する濃度としては、505 μg/m3が設定されると。二次評価値については、ACGIHの0.2mg/m3ということで、その後特段設定等変 更はありませんので、昨年と同様に一次評価値は0.0055mg/m3、二次評価値は0.2mg/m3と設定したいと 考えております。 ○寺島化学物質情報管理官 3「ばく露評価の結果」、5頁からです。平成20年におけるばく露作業報 告は、8事業場からなされております。4事業場に対してばく露の実態調査を行っております。その結 果、ばく露作業として4作業が確認されております。下の図に示したような作業ですが、トルエン等か ら対象物質を合成し、サンプリング等を行って貯蔵する作業。それを原料としたほかのものの製造の 作業。その固体を火薬原料として使うということで、充填機への投入、秤量等の作業。フレーク状に なっている当該物質を粉砕機で粉砕し、それを計量して袋詰めして搬出する、粉砕機内部の清掃と。 この4つの作業が確認されております。  実態調査の結果ですが、6頁の[2]測定結果をご覧ください。4事業場に対して6人の労働者に対して 個人ばく露測定を行っております。その結果、個人ばく露測定の最大値は二次評価値を上回る 2.31mg/m3、0.2をかなり上回る値が確認されております。これを受けて実態調査、詳細リスク評価に 移ってきたわけですが、追加聞き取りを当該事業場に関して実施しております。その結果、当該作業、 最大の値が見られたばく露作業については受注に基づいて発生した作業ということで、現在すでに終 了し、生産ラインも撤去の予定であるということで、追加の測定は実施しておりません。  2年間の実態調査においてまとめると、2.31mg/m3が最大値として測定されております。6人の値で区 間推定した上側限界値は7.96ということで、参考値ですが出ております。  (3)ばく露の高い作業の詳細です。最も高いばく露濃度が示された作業は、フレーク状の2,4-ジニト ロトルエンを機械で粉砕して火薬原料を製造する作業です。主なばく露作業ですが、フレーク状のも のを手作業で投入、粉砕して、その粉砕されたものはその下にあるコンテナに落ちる構造となってお ります。粉砕したあと、粉砕機内部のブラシの洗浄等の作業があります。そして、当該物質の秤量・ 袋詰めの作業ということで、1日に3回程度ということでした。粉砕製品の落とし口の所に囲い式フー ド付き局所排気装置が設置されており、有機ガス用防毒マスクも使用しているということですが、こ の作業はすでに終了しており、今後再開される見通しはないということです。  この2.31を除くその他の作業については、一次評価値を超える濃度は確認されておりますが、二次 評価値は超えておりません。具体的な作業は、合成におけるサンプリングの作業等でした。  4「リスク評価結果」ですが、4頁の(1)からです。最大値は2.31mg/m3で、一次評価値を超えたのが 1人です。全体から推測した値は、参考値ながら7.96mg/m3ということです。ただし、すでに中止され た粉砕作業を除くと、最大値は実測値で0.034mg/m3で、二次評価値を下回っております。以上から、 当該物質のばく露については、粉状の物質を取り扱う場合においてはリスクが高いと考えられますが、 それ以外のものについてはばく露濃度は低いと考えられます。なお、2,4-ジニトロトルエンについて は、経皮膚浸透によるばく露量の有意な増加の危険性があるので、皮膚の接触によるばく露の危険性 に留意する必要があるということでまとめています。  9頁の5「ばく露要因の解析」です。同様に粉砕作業でリスクが高かったということですが、21行目 にありますように、この作業については今後、継続・再開される場合には対策が必要ということです が、現在のところ再開される予定もないということですので、必要性は低いということです。  まとめとして、10頁の6「結論」にありますように、ばく露リスクの高い作業としては粉状製品の粉 砕作業、サンプリング作業等が確認されております。二次評価値が低いということで、粉状物質の飛 散は共通のリスクと考えられるので、それに対する対応が必要ということですが、これについてはす でに終了していますので、対策をとる必要は低いと。一方、いまはなくなっているわけですが、事業 者の自主的管理の指導等の検討が必要と考えられるということでまとめております。  資料はこういった形でまとめておりますが、この点についてこちらの内部で検討したところ、確か にいちばん上回っている所については現在もう作業が行われないということで、フォローの必要はな いのではないかということですが、今後同じような作業がほかの事業場で再開されることも、完全に 否定できるわけではないので、事務局提案として、「しかしながら」のあとに、ただし、同様の作業 が今後別の事業場で行われる可能性が否定できないので、当該粉砕・ふるい分けの作業等の実施状況 について、今後注意深く調査なりしていく必要があるということを書き加えさせていただければと思 っておりますが、ご意見をいただければと思います。 ○名古屋座長 ありがとうございました。いまの説明の特に最後のところ、現状ではこの作業はない のだけれど、もしかしたらこういう作業が行われたときにいまと同じことが起こる可能性があるから、 そういうことを付記したいということだと思います。この説明について何かご意見等ございますか。  9頁の表の「上側5%」のところの7.96は、データ数が少ないので、出すのは括弧にしておきましょ うか。参考値にしておいたほうがいいと思います。それに合わせて、8頁の文章の21行目のところに、 参考として書かれたほうがいいのかなと思います。数が少ないので、7.96とすごく高いのが出ますが。  ほかにお気づきの点はありますか。反復の値は書かなくても大丈夫ですか。別添の値を使って書い ておかなくても大丈夫ですか。 ○西川委員 それは書いてあるのですよね。その下の生殖・発生毒性については情報なしとあるので すが、混餌投与の繁殖試験のデータがありますので、吸入ばく露試験の情報はないということだと思 うのですが。別添1の総合評価表の2頁を見ますと、オの「生殖・発生毒性」で、混餌投与の3世代繁 殖試験があって、NOAELまで出ているのです。発生毒性に関する情報はないと。餌に混ぜた試験は、結 構きちんとしたのがやってあるようなのです。ですから、単に情報なしというのはどうかなと思うの ですが。 ○名古屋座長 そうすると、別添のオのいちばん下にある「発生毒性に関する情報はない」と、ここ も誤りということになりますか。 ○西川委員 これはこれでいいのです。別添2を見ますと、4頁にオ「生殖・発生毒性」のところで、 「吸入ばく露を行った実験研究は存在しない」と書いてありますので、経口投与による試験はあると いうことで、単に情報なしというのは間違いだと。 ○長山室長補佐 こういう試験でのデータはあって、発生毒性に関する情報はないと、合わせて両方 書いておきたいと思います。 ○名古屋座長 では、情報なしのところの修正をお願いします。あと、お気づきの点はございますか。 ○小嶋委員 単に言葉の問題なのですが、7頁の25行目の後半で「落とし口に囲い式フード付き局所 排気装置」とあります。普通、落とし口の周囲を囲うように付けるフードは円形スロットフードと呼 ぶのですが、それのことなのでしょうか。 ○名古屋座長 測定に行かれた方、いかがですか。 ○島田化学物質評価室長 現場の報告書には囲い式フードという表現が使われていたのですが、確認 していただいて、適正に直そうと思います。 ○棗田(中災防) これは変形スロットのフードではないので、あとで囲いを付けたと。 ○名古屋座長 では、それで。自作なのでしょう。 ○棗田(中災防) もともとはなかった所に被せるような形で付けているので。 ○名古屋座長 それでは、このままでよろしいでしょうか。それでは、対策をとる必要性が低いとい うことは、自主的管理の指導の検討が必要ということですが、またいまと同じような作業が起こった ときに、こういうことは起こり得ないかということを付記した形でお願いしますということで、よろ しいでしょうか。  次に進みます。「ジメチルヒドラジン」について、よろしくお願いします。 ○長山室長補佐 1枚めくって1「物理化学的性質」ですが、(2)にあるとおり、液体の状態で通常の業 務では使われるものとなっております。  2頁の2「有害性評価の結果」ですが、重視すべき物質性状としては無色の液体ということと、皮膚 粘膜から吸収されることも懸念される物質となっております。3頁です。(2)のばく露ルートとしても、 蒸気圧が比較的高いということで、吸入によるばく露が問題になると考えられます。経皮吸収にも十 分な注意が必要となっております。(3)重視すべき有害性の中で、[1]発がん性についてはIARCが2Bと 評価されております。4頁です。[2]発がん性以外の有害性としては、各種急性毒性や反復性による体重 減少など、さまざまな影響が見られるということです。(4)許容濃度等について、ACGIHでTWA0.01ppm というのが設定されており、産衛学会では設定されておりません。  (5)評価値は、閾値のない発がん性が認められるということですが、ユニットリスクの情報がないと いうことで、昨年も一次評価値は設定せず、評価値なしとしております。また、二次評価値もACGIHの 参考に0.01ppmというのを昨年採用しております。昨年から今年までに特段追加の情報はないというこ とですので、このままの値で詳細も検討していきたいと考えております。ばく露に移ります。 ○寺島化学物質情報管理官 5頁から3「ばく露評価の結果」です。ばく露作業報告は、3事業場の4 作業についてなされております。作業人数が52人ということでした。  ばく露が高かった作業の概要ですが、ここに図示しておりますように、ヒドラジン等からの原料の 対象物質の合成、貯蔵した対象物質をドラム缶に充填する作業、ドラム缶から反応槽等に仕込んでほ かの物質を製造する作業の3作業が確認されております。  (2)ばく露実態調査の概要です。6頁の[2]以降にありますように、平成20年のばく露実態調査におい ては、ジメチルヒドラジンを製造している2事業場に対して、8人の労働者の個人ばく露測定を行って おります。その結果、最大値が二次評価値を上回る0.577ppmということで、詳細リスク評価に移行し ました。平成21年度については、別の取扱い事業場等に聞き取り調査を実行しましたが、ラベルの張 替え等の作業のみでしたので、測定を実施しておらず、ばく露が高かった事業場の作業の詳細につい て追加の聞き取りを実施しております。2年間の実態調査において、8時間TWAの最大値は0.577ppmで す。対象となった8データをもって、最大値の区間上限値の推定を行ったところ、23.3ppmとなってお ります。  (3)ばく露の高い作業の詳細ですが、6頁の下のほうにありますように、2事業場において二次評価値 をはるかに上回る値が確認されております。いずれの事業場においても、当該物質を使ってほかの物 質を製造する仕込みの作業工程において、ドラム缶に吸引ノズルを挿入し、ポンプで吸い上げて反応 槽に注入し仕込みを行う作業において、ドラム缶を開けてノズルを抜き差しする際、また充填後のジ メチルヒドラジンが少し残ったドラム缶に窒素を吹き込んで置換する際に、作業者が高濃度の当該物 質の蒸気にばく露していると考えられます。作業場所には外付け式局所排気装置、あるいはフレキシ ブルホースに接続された局所排気装置が設置されておりましたが、離れているとか吸引能力が十分で ないということで、十分に有効なものとはなっていないということです。  ばく露が見込まれる作業に従事する労働者については、1つの事業場では有機ガス用の防毒マスク、 保護手袋、保護メガネが使用されていたのですが、片方では軍手を使っておりました。  製造工程におけるばく露ですが、貯蔵タンクからドラム缶への充填作業においても、二次評価値を 大きく上回る0.17ppmという高いばく露が認められております。ここでは、A測定でもかなり高い濃度 が記録されております。ここでは、当該貯蔵タンクからドラム缶へ当該物質を充填するわけですが、 空のドラム缶が前にジメチルヒドラジンを充填されていたということで、窒素ガスで置換するのです が、その際に、残っていたジメチルヒドラジンのガスに作業者がばく露するおそれが高いと考えられ るものです。  7頁の下のほうで4「リスク評価の詳細」です。測定を実施した8人のうち6人、75%が二次評価値 を超えております。最大値が二次評価値を大きく上回っておりますので、リスクが高いと考えられま す。参考値ながら、区間推定すると23.3ppmとなりますので、ほかの事業場においてもリスクは高いの ではないかと考えられます。特にジメチルヒドラジンを用いてほかの製品を製造する際、この作業は 10〜30分程度の作業で年間20〜30回で、さほど少ないとも言えないということで、呼吸用保護具の使 用が有効と考えられます。  8頁の上のほうにありますが、ドラム缶への充填作業についても1回当たり50分、3日に1回程度と いうことで、これも頻度が必ずしも低いとは言えないので、ばく露濃度の低減を図る必要があるとい うことです。  (2)判定結果の表ですが、全体の8測定件数のうち6つで二次評価値を超えており、充填作業、ほか の物質の製造作業において措置が必要という判定としております。この調査では、隣接する別の建屋 における作業についても測定を行っており、それではかなり低い濃度となっておりますので、不要と しております。  5「ばく露要因の解析」です。ばく露の高かった作業のうち、ほかの製剤を製造するためのドラム缶 からの仕込み作業については、2つの事業場でほとんど同じ作業をしており、4人中4人が二次評価値 を超えております。作業工程に共通するリスクと考えられます。8頁のいちばん下の行ですが、「但し、 国内で当該物質を製造する事業場は極めて少数」ということで、ほかの事業場に製造工程におけるリ スクは高くないと考えられます。  6「結論」として、ばく露要因の解析の結果、貯蔵タンクからの仕込み作業、ほかの物質を製造する 作業において高いばく露が確認されております。二次評価値0.01ppmを大きく超えるものですので、作 業工程に共通の問題として、健康障害防止措置の導入が必要ということでまとめております。また、 ジメチルヒドラジンについては、刺激性や経皮吸収による急性毒性等もかなり高いものがありますの で、皮膚や目の保護の措置義務を併せて検討する必要があるということでまとめております。  補足として、ジメチルヒドラジンの結果ですが、2事業場で8人の測定を行い、6人、75%が二次評 価値を超えているという結果になっております。前回ご議論いただいた1,4ジクロロ-2-ブテン、本日 初期リスク評価書の修正版のいちばん後ろに付けているものについても、測定を2事業場で行っており ます。4人測定を行って、3人が超えているということで、結果だけ見ると非常に似通った結果になっ ております。二次評価値を超えているのが75%ということです。  ところが、前回ご議論いただいた1,4ジクロロ-2-ブテンについては、合成ゴムの中間原料で、基本 的にはその事業場から出ていくことはないのかなということです。反応釜で作って、それをさらにフ ィードしてほかの反応槽へ入れていくということで、ばく露の機会はサンプリングだけだろうという ことです。しかし、結果が非常に似ておりますので、これについては措置の検討会へ向けて情報収集 し、本当にそれでいいのかどうかを検討していきたいと思います。ジメチルヒドラジンについては、 医薬品の製造原料として販売されているということでもあるので、健康障害措置の導入が必要という ことでまとめております。以上です。 ○名古屋座長 ありがとうございました。充填作業と仕込み作業ということの中で、事業場の違う所 でも同じようなことがあって、二次評価値を超えている部分があるから、最終的には健康障害防止措 置の導入が必要であろうと判断するということですが、ここで何かご意見、修正等はございますか。 ○棗田(中災防) 呼吸用保護具ですが、ジメチルヒドラジンの場合、有効な呼吸保護具はおそらく 普通の有機用でもアンモニアでも駄目で、海外の事例だとサプライエアの送気マスク以外認めていな いと思うのです。書き方は別に呼吸用保護具でかまわないと思いますが、注意喚起が必要ではないか と思われます。 ○大前委員 アンモニアは駄目ですか。 ○棗田(中災防) そうですね。メーカーに聞いたのですが、保証できないと。 ○寺島化学物質情報管理官 片方の事業場ではアンモニア用の防毒マスクを使って、片方は有機用な のです。 ○棗田(中災防) アンモニアだと多少取れるとは言っているのですが、メーカーとしては保証でき ないと。 ○寺島化学物質情報管理官 どちらも駄目だと。 ○棗田(中災防) はい。有機用のカートリッジでは全く駄目だということです。 ○名古屋座長 これを使って、実際にどのぐらい補集するかという実験はしていないからということ なのでしょう。それはどこかに注意喚起するということで、入れていただいたほうが情報としてはい いかなと思いますね。誤解されて使ってばく露されるのは、特に評価値が低いですから。高ければい いですが、低いですから、誤って使うのはまずいと思いますので、そこはどこかで付記されるような 形のほうがいいかなと思います。 ○西川委員 別添1の総合評価表の2頁で、ケの項目にNOAELの数値が出ています。これの評価書に相 当するところを見ますと、4頁の反復投与毒性のところにただ「あり」と書いてありますが、これは NOAELを追記したほうがいいと思います。 ○名古屋座長 よろしくお願いします。 ○小嶋委員 7頁の4の(1)の「暴露限界値との関係」なのですが、ばく露がここだけ漢字になってい ます。 ○名古屋座長 ありがとうございます。ほかにありますか。よろしいですか。それでは、先ほどお話 したような形で、共通性が高いということで健康障害防止措置の導入が必要と判断すると同時に、呼 吸保護具については誤解があってはいけないということで、それを付記する形でよろしくお願いしま す。  最後になりますが、「1,3-プロパンスルトン」をお願いします。 ○長山室長補佐 こちらについては、いままでの物質とは少し毛色が違いまして、昨年の初期リスク 評価の結論としては、個人ばく露測定、A測定、スポット測定いずれにおいても定量限界値未満であっ たと。ただし、動物実験において極めて強い発がん性が認められていると、単回ばく露で発がん性が 認められるという状況に鑑みて、事業場における使用動向や取扱い状況について、引き続き調査を行 う必要があると昨年結論づけられて、その辺りを考慮して詳細に見ていきましょうという形で、今年 挙げられているものです。  1頁、1「物理化学的性質」です。性状としては白色の結晶または無色の液体で、(2)に書いてありま すように融点が31℃という温度ですので、取扱い方によっては両方のパターンがあり得るものです。  2「有害性評価の結果」です。(1)重視すべき物質性状ですが、性状は常温で20℃では固体であるが、 融点が低く31℃で、容易に液体になるという使われ方です。また、(2)のばく露ルートとしては液体の 可能性もありますし、飛沫を浴びる可能性もあるということで、蒸気圧としては比較的低いという物 質です。(3)重視すべき有害性ですが、発がん性についてIARCは2B、「ヒトに対する発がん性が疑わ れる」という区分にはなっております。ただ、21行目からあるとおり、これまでの結果で吸入ばく露 以外の投与による動物実験で、反復投与だけでなく単回の静脈投与、単回の皮膚投与によってもがん の発生が確認されているという物質ということで、本年詳細リスク評価をやっているものです。  根拠資料として、2〜4頁にかけて書いてありますが、ピックアップして単回ばく露のほうで説明し ます。3頁の15行目に「単回静脈投与」ということで、ラットの静脈投与で腫瘍発生が見られるとい うことです。32行目からが「単回の皮膚投与」ですが、1つ目のポツでは1,3-プロパンスルトンとト ルエンの溶液、これは単回で皮膚に対する塗布の試験ですが、塗布によって腫瘍発生が見られたと。4 頁は皮下投与ですが、こちらでも見られたということです。5行目からなお書きで、ヒトに対する調査 としては、化学工場でヒトに対する影響も見られるという形で、さまざまな報告が挙げられておりま す。12行目から、変異原性としては陽性ということで、閾値はないと判断されます。[2]発がん性以外 の有害性として、4〜5頁にさまざまな影響が書かれております。  5頁、(4)許容濃度等としてはACGIHにおいては「できるだけ低く」という形で、産衛学会では設定 されていないという状況となっております。  (5)評価値です。閾値のない発がん性ということで、カリフォルニアEPAのユニットリスクで労働補 正後に対応する濃度として、31〜32行目にありますとおり0.7μg/m3というものを昨年設定しておりま す。34行目からあるとおり、許容濃度で数値としては設定されておりませんが、昨年も初期リスク評 価において個人ばく露測定の8時間における定量下限値を参考にして、0.005mg/m3を二次評価値として 設定しておりました。昨年以降、特に新たな設定等は確認されておりませんので、6頁の上にあります とおり、今回も一次評価値は0.0007mg/m3、二次評価値としては0.005mg/m3という形で、ばく露のほう も検討していきたいと考えております。 ○寺島化学物質情報管理官 「ばく露評価の結果」ですが、ばく露作業報告は2事業場から6作業につ いて報告がありました。その大まかなところが、下の図にありますように、対象物質を仕入れてきて、 それを温めて液化し、蒸留器へ吸引、手動で小分けして、蒸留器等の洗浄等を行って蒸留残渣の回収、 貯蔵を行うという作業がありました。また、対象物質を原料としたほかの物質の製造ということで、 対象物質の小分け、反応槽への投入、他物質の合成(サンプリング作業)、手動で小分けするという 作業がありました。対象物質を原料とした混合物の調整ということで、対象物質を分けて量って調合 層へ投入するというものがありました。  測定の結果ですが、平成20年度のばく露実態調査においては、2事業場の4人に調査を行っており ます。これを受けて、平成21年度は、ばく露実態調査を実施した事業場2事業場で追加調査を実施し ており、5人の労働者に個人ばく露測定を行っております。2年間のばく露実態調査において、4事業 場の9人に対して実態調査を行っておりますが、いずれも定量下限値以下となっております。  8頁の17行目辺りですが、当該物質を製造し取り扱う屋内事業場には、局所排気装置が設置されて いる場合もある。ばく露が見込まれる作業については、エアラインマスクや有機ガス用防毒マスク、 保護メガネ、保護手袋が使用されている場合もあるが、保護具がない作業も見られるということです。  4の(1)ばく露限界値との関係です。9人の労働者に対して実施した個人ばく露測定の結果については、 いずれも定量下限値以下となっておりますが、二次評価値を下回っております。ただし、定量下限値 よりも一次評価値が低いので、当該ばく露濃度が一次評価値を下回っていたかどうかは確認できてお りません。  以上から、当該物質のばく露については、吸入ばく露のリスクは低いと考えられます。しかし、当 該物質の有害性評価の結果では極めて強い発がんが報告されており、特に動物実験の結果で単回の皮 膚投与、静脈投与等によってもがんの発生が確認されております。吸入によるばく露がばく露限界値 を下回っているといって、リスクが低いとは判断できませんので、吸入ばく露以外のばく露ルートに ついて、ばく露を最少限とする必要があるとまとめております。  5「ばく露要因の解析」です。11行目にありますように、当該物質は通常、固体または液体で蒸気圧 も低いので、吸入ばく露の危険性は低いと考えられますが、発がん性が極めて強く、当該物質の飛沫 等が一度でも皮膚に付く場合、がんが発生する可能性が指摘されるということですので、この対象物 は飛沫が飛散して労働者に付く、また機器に付いてそれに労働者が接触するというリスクがある作業 を避ける必要があります。  具体的には、対象物質の蒸留作業においてそのサンプリング作業、高純度製品の手動ポンプを使っ た小分け作業、洗浄または中和の作業とありますが、この手動ポンプを使った小分け作業というのは、 ある事業場においては、家庭で使う灯油をシュポシュポする手動ポンプを使ってやっている所があっ たということです。  10頁の7行目ですが、以上から、1,3-プロパンスルトンの取扱い作業については、液状の1,3-プロ パンスルトンを取り扱う作業についてはリスクが高い。飛沫等の接触によるばく露のリスクを回避す るということで、作業環境の改善措置に加えて、作業管理、健康管理等の対策が必要と考えられると いうことです。また、対象物質の蒸留器、反応槽に付帯する送配管設備の不具合等フィジカルリスク についても、対象物質の漏洩・流出事故の発生時にこれらの対応に当たる労働者に同様のリスクが生 じることから、これについての対策も必要と考えられます。さらに、これらの物質を保管する施設に おいても、誤って対象物質に触れる可能性がないように、部外者の入出を禁止する、あるいは制限す るようなリスク回避の対応が併せて考慮される必要があると考えられます。  6「結論」。まとめですが、プロパンスルトンは蒸気圧が低いということで吸入ばく露の危険性は低 いのですが、飛沫が皮膚に付いた場合のリスク等を回避するということです。以上から、作業環境の 改善措置のみならず、作業の管理、健康管理の確保ための対策が必要ということを付け加えておりま す。さらに、通常の作業のみならず、漏洩・流出時の対応、当該作業で誤って労働者に接触するよう なことがないように、そういった対策についても考慮する必要があると考えるということでまとめて おります。以上です。 ○名古屋座長 ありがとうございました。ここについて何かありますか。濃度も低いですし、特にリ スクがすごく高い物質だということですので。 ○大前委員 別添のいちばん最後に測定分析法が載っているのですが、これの定量下限が採気量2Lの ときで0.05ppm、6Lで0.02ppmなのです。今回全部定量下限以下だったというのは、一次評価値の値と 比べて測定の問題がまだ残っているということですか。少なくとも、一次評価値、二次評価値のレベ ルだと測定方法でうまくいかないと。 ○棗田(中災防) 採気量を増やすことで感度が上がります。今回の評価データは個人ばく露なので、 これは別添の採気量の書きぶりが問題かと思います。 ○名古屋座長 当然、それに応じて定量下限が下がってきますからね。 ○高田委員 4頁目なのですが、「ヒトでの発がんに関する調査として以下の報告がある」の次の行で、 たぶんドイツの化学工場の「ド」が抜けている。「イツ」になっています。 ○長山室長補佐 ありがとうございます。 ○名古屋座長 4頁の6行目ですね。 ○小嶋委員 細かいことですが、10頁の20行目で「誤って対象物質に触れる可能性が」。 ○長山室長補佐 そうですね。ありがとうございました。 ○原委員 日本語だったら結構曖昧でいいのかもしれませんが、単位と数字の間に半角を入れている のといないものがあるのです。全体を直すのが大変なので、放っておいてもいいと言えばいいのです が、空けるほうがいいような気がするのです。 ○名古屋座長 半角空けるかどうかは、事務局にお任せしましょう。よろしくお願いします。 ○圓藤委員 言葉なのですが、2頁のいちばん下の「反復経口投与」の30行は、「1,3-プロパンスル トンを0、28、56mg/kg/日の投与量で週2回」に、したほうがいいのではないかと思います。括弧の投 与量を前に持ってくると。 ○名古屋座長 順番を、流れるように。 ○圓藤委員 4頁のこれは直っているのですか。4頁の32行の無気力の括弧の中の言葉の意味がわから なかったのですが。 ○長山室長補佐 初期段階でということなのですが、「得」は間違いです。 ○名古屋座長 よろしいですか。それでは、ここの結論のとおりということで、ばく露に対するリス クが特に高いということで、「作業環境の改善措置及びこれに加えて、作業管理、健康管理の確保の ための対策が必要」という結論でよろしいかと思います。ありがとうございました。それでは、その あとの有害性評価書は次回以降で。 ○長山室長補佐 結構です。 ○名古屋座長 わかりました。2、3分過ぎてしまいました。最終的な詳細評価のところが、このあと まとめるということで重要だったのですが、有害性評価まで行けませんで申し訳ありませんでした。 それでは。本日以降の予定を事務局からお願いします。 ○寺島化学物質情報管理官 資料3の「今後の予定」をご覧ください。次回は「第4回化学物質のリス ク評価検討会」ということで、6月11日(金)16時から、同じ建物の1038号会議室で予定しておりま す。報告書の取りまとめを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 ○名古屋座長 できなかったところを前にやって、それからということです。ありがとうございまし た。以上をもちまして「第3回化学物質のリスク評価検討会」を閉会させていただきます。どうもあり がとうございました。