医療観察法の医療体制に関する懇談会(第3回)議事録(2019年6月25日)

日時

令和元年6月25日(火)14:00~16:00

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2
中央合同庁舎第5号館9階 厚生労働省議室
 

出席者

伊豫雅臣構成員、柑本美和構成員、関口暁雄構成員、竹村眞史構成員、寺田悦子構成員、中島豊爾構成員、長谷川直実構成員、平林直次構成員、松田ひろし構成員(代理:野木渡 日本精神科病院協会副会長)、南砂構成員、村上優構成員、石津寿惠参考人

議事

議事録

○石田医療観察室長補佐
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「医療観察法の医療体制に関する懇談会」を開催させていただきます。
構成員の方々には、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
座長が選出されるまでの間、事務局にて、議事の進行をさせていただきます。
私は、厚生労働省医療観察法医療体制整備推進室室長補佐の石田と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
なお、本日の会議は公開ですが、カメラの頭撮りは、構成員等の紹介終了までとさせていただきます。プレス関係者の方々におかれましは、御理解と御協力の程、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、配付資料の確認と構成員等の方々の御紹介をさせていただきます。
本日の配布資料としましては、議事次第。
出席者名簿。
座席表。
資料1、医療観察法の医療体制に関する懇談会開催要項。
資料2、医療観察法医療の現状について。
資料3、保護観察所における医療観察制度の運用状況。
資料4、診療報酬の改定について。
以上でございますが、お手元に無い資料はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
なお、本懇談会は公開のため、配布資料、議事録は、厚生労働省のホームページに後日掲載されますので、あらかじめ御了承ください。
本日の出席者の構成員、代理出席及び参考人の方を御紹介させていただきます。
お手元に出席者名簿を配付させていただいておりますので、お名前のみの御紹介とさせていただきます。
伊豫構成員です。
柑本構成員です。
関口構成員です。
竹村構成員です。
寺田構成員です。
中島構成員です。
長谷川構成員です。
平林構成員です。
南構成員です。
村上構成員です。
松田構成員におかれましては、本日、所用のため御欠席ですが、松田構成員の代理としまして、公益社団法人日本精神科病院協会の野木副会長に御参加いただいております。
医療経済の専門家の石津明治大学経営学部教授にも参考人として、御参加いただいております。
事務局及びオブザーバーについては、時間の都合がございますので、省略をさせていただきます。
懇談会を開催するに当たり、座長を選出させていただきたいと思っておりますが、前回の懇談会でも座長をお願いしておりました、伊豫構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(拍手起こる)

○石田医療観察室長補佐
ありがとうございます。
それでは、伊豫構成員に座長をお願いしたいと思います。
伊豫構成員におかれましては、座長席に御移動をいただけたらと思います。
それでは、伊豫座長から、一言、御挨拶をよろしくお願いいたします。

○伊豫座長
ただいま御指名されました、千葉大の伊豫と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、医療観察法の医療の今後のあり方をどのようにしていくのか、考えていくのか、あるいは具体的にどのように改善していくのかということについて、皆様の御意見を伺う会でございます。
円滑な議事を進行していきたいと思いますので、何とぞ御協力の程、よろしくお願いいたします。
事務局、お願いします。

○石田医療観察室長補佐
それでは、これより伊豫座長に議事の進行をしていただきます。よろしくお願いいたします。

○伊豫座長
それでは、議事に従いまして、会議を進めていきたいと思います。
資料2の医療観察法医療の現状について、事務局から御説明をお願いいたします。

○田中医療観察室長
医療観察法医療体制整備推進室長の田中でございます。
着座のままの御説明を御容赦ください。
お手元の資料2を御覧ください。医療観察法医療の現状について、御説明申し上げます。
1ページ目、医療観察法制度全体の模式図でございます。厚生労働省と法務省の共管でございまして、厚生労働省は、主に対象者の社会復帰を実現するための医療の提供、法務省は、主に精神保健観察等を担当しております。
医療観察の主な制度の特徴といたしましては、裁判所による非同意入院の決定を行うこと、あるいは手厚い医療の提供、社会復帰調整官が活動を行います精神保健観察によって、社会復帰へ結びつける、そのような3つの大きな特徴をお示ししたものでございます。
2ページ目でございます。医療観察法の地方裁判所の審判の終局処理の状況ということで、平成17年制度発足から平成29年までの数字をお示ししております。
入院決定に関しましては、一番右側、通算で3,007例の入院決定が行われている形になります。各年を見ますと、入院決定は、およそ250人前後で推移しております。また、直接の通院の決定がされている事例が30名強という、そんな実績になっております。
3ページ目では、指定医療機関等の状況をお示ししております。指定入院医療機関は、現在33カ所、予備病床を含めて833床の整備をしております。
指定通院医療機関に関しましては、病院、診療所等を合わせて600強、全体を合わせると、指定数3,600となっております。
鑑定入院医療機関に関しては、現在296カ所が推薦されている状況です。
精神保健判定医に関しましては、現在1,082名、精神保健参与員に関しては、現在831名、推薦されている状況でございます。
4ページ目ですが、先程、指定入院医療機関33医療機関と申し上げましたが、色で分けられているところが既に整備されているところでございますが、平成30年から新たに北海道、福島、京都での整備が始まったということで、緑色でお示ししております。
5ページ目は、指定入院医療機関の病床の整備状況でございます。
6ページ目ですが、病床整備と入院対象者数の推移ということで、青と黄色の棒グラフで示しておりますのが、病床の整備数でございます。一番右側の一番てっぺんが833床になります。
御注目いただきたいのは、紫色の折れ線グラフでございますが、およそ720名から730名のところでプラトーになっているのではないかと分析しております。
7ページ目でございます。棒グラフに関しましては、入院者数の実績、折れ線グラフの青いほうに関しては入院者数、折れ線グラフの赤いほうに関しては退院者数ということで、平成28年、平成29年、平成30年のところが入院者数と退院者数が均衡しており、全体の入院者数も安定しているという状況になっております。
8ページ目でございます。対象者の診断名別を示しておりまして、一番多い診断名は、統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害となり、続いて、気分障害、あるいは精神作用物質使用による精神及び行動の障害という頻度になっております。
9ページ目でございます。指定通院医療機関の整備状況でございますが、一番左側には、必要数ということで、都道府県の人口100万当たりに対して、3カ所程度の数字を目標数として設置しております。
各都道府県、あるいは厚生局、保護観察所の取り組みによって、現在、その目標数に対しては、愛知県のみ目標数が足りていないところですが、他のところに関しては、当初設定した目標数よりも多く指定している状況になっております。
10ページ目に関しましては、最近のトピックとして話題提供をさせていただいております。共通評価項目を御紹介させていただきます。共通評価項目は、医療観察法対象者の状態、社会回復に向けた環境等を評価するものとして、開発されたものでございます。
医療観察法の処遇における治療の一貫性、多職種チーム間の評価の視点の統一、各施設の治療の標準化を目的に開発されたものでございます。例えば現在、精神症状でありますと、全く精神症状がない方を0点として、妄想等がある方に関しては2点、いい状態から0、1、2という点数のつけ方をして、各医療者の共通の評価軸を設定するためのものでございます。
ただし、この共通評価項目は課題がございました。評価者間でばらつきがあり、あるいは社会復帰要因等の予測能力の統計的な検証がされていなかったという課題がございました。
これに対して、研究班が医療観察病棟におけるデータを収集しまして、定義等の修正の改訂作業を行いました。これを受けまして、平成31年4月から、新しい改訂版の共通評価項目を33の指定入院医療機関、あるいは600の指定通院医療機関に導入するというものであります。
これにあわせて、入院処遇ガイドライン、通院処遇ガイドラインの改訂も行うということです。
11ページ目は、その共通評価項目の主な項目でございます。現在、新しいものになったことで、19項目を各対象者に対して検討していただいて、0点、1点、2点というような形で点数をつけて、その方の評価をするという内容になっております。
12ページでございますが、共通評価項目の改訂にあわせて、通院処遇ガイドラインの改正をするという作業の上で、1つ、現場からの声として、指定入院医療機関と比較して、指定通院医療機関では、医療観察に係る事務作業を行うマンパワーが限られていまして、その事務手続が非常に煩雑であるというお声をいただいていました。
ガイドラインを改訂するという作業にあわせまして、通院医学管理料の請求に必要な報告様式を簡便化するということで、業務量の軽減を図ったという取り組みを行っておりますので、御紹介申し上げました。

○伊豫座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対して、御意見や御質問がありましたら、挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
関口でございます。御説明をありがとうございました。
目標数につきまして、施設の目標数につきましては、おおむね達成しているという御説明がございましたが、地域を見ますと、通院までにかなりの時間を要しながら通院します。その後の継続が危ぶまれるという、まだ点在しているような状況にもございますので、この目標数については、今後、見直す必要があるのではないかと思っているところなのですが、それについての御見解をいただきたい。
ページが戻りまして、3ページにこれも数が出ておりますが、精神保健判定医の1,082人で、参与員が831人ですが、埼玉県に限っていいますと、判定医が参与員の半分なのです。継続事案の負担量が判定医に相当かかっています。地方、地域によっては、判定医と参与員の数のバランスが悪いところもあるのではないかと私は思っておりまして、そうすると、先生方への負担が相当多いと私は思っているところです。これについての地域毎の格差をどうするかということもあると思うのですが、それについて取り組む方法があれば、また御検討をいただきたいと思っているところです。
以上です。

○伊豫座長
事務局、いかがでしょうか。

○田中医療観察室長
まずは指定通院の目標数でございます。おっしゃるとおりで、こちらの表で示している数字は、人口100万に対して3カ所以上という形で、かなり機械的に設定しているものなので、あくまでも目安として、達成状況をお示しした内容でございます。現場では、社会復帰調整官の方がいろいろな通院医療機関の開拓も行っていただいています。継続的に開拓を続けていきたいと思っております。
判定医に関しましては、実際、そういった地域不均衡のお話しを耳にしているところでございます。今、日精協さんと判定医養成研修等を行って、養成しているところなのですが、少しできることを検討しながら、確保に努めたいと思っております。

○伊豫座長
よろしいでしょうか。
実際、指定通院医療機関がなくて、入院自体も延長されてしまうという場合もあるようですので、地域差が大きいので、結構重点的に広げていかないといけないところがあるのかと思いますが、その辺のところも御考慮いただければと思います。
その他、いかがでしょうか。野木副会長、どうぞ。

○野木副会長
野木です。
初めてでよくわからないところがあって、教えていただきたいのですが、指定入院医療機関は、整備中が3カ所あるということなのですが、北海道は、位置的な感じでわかるのですが、福島、京都は作られていくのはいいと思うのですが、現実的に大分ベッドが空いてきているという現状の中で、また増やしていかれるという意味合いがちょっとよくわからなかったのです。
逆にベッド数が少ないところを、今後は整理していかれる気があるのかどうか、そのあたり、なぜそうでないと、全部の都道府県で、うちはないと困るみたいな話、それは一方ではありがたいことかもしれませんが、ベッドが結構あいてくる可能性が出てくるのではないか。
それと、もう一つだけ、先程言いました判定医の問題ですが、大阪で考えますと、判定医がたくさんいるのです。研修会を受けても、今度は回ってこない、1つも回ってこないということがあって、今、私は、判定医の講義もさせていただいていますが、必ず受けてください、そうでないと、次に回ってきませんという話をしているので、
実際、私も裁判所から電話がかかってきたら、どんなことがあっても絶対に受けます。1回断ったら、次、いつ来るかわからないみたいな形で、3年間、実際、うちの若い先生が受けられましたが、3年間、1回も来なかったのです。そういうことになるところもあるという、その辺の不均衡は、大分出てきているような印象も確かにあります。その辺になります。

○伊豫座長
事務局、お願いします。

○田中医療観察室長
まず前の入院医療機関に関しましては、かなり不足しているときから、長い交渉の中で建設をやっていきましょうという経緯でできているものでございます。
今後ですが、確かに病床が十分に整備されていると分析はしております。その中でより必要なものかどうかを十分に吟味して考えていくので、これからも無尽蔵につくるという考えではございません。
大阪の件は、御意見という形でよろしいですか。

○伊豫座長
どうぞ。

○村上構成員
村上でございます。
総論的には、1つは、先程から出ております、さまざまな意味での地域偏在という問題とかあるのだろうと思っています。例えば入院医療機関は、ベッド数としては過剰になってきているという現状ですが、そうは言っても、四国をどうするのかというのは、どんなふうにお考えなのかということもございます。
それから、もう一つは、先程から出ているように、通院をしている機関の数は足りていても、地域差はすごく大きいのが実情でして、かつその活動的な医療機関もあれば、1人ないし2人ぐらいが打ちどめだと位置づけている施設の多くがございます。多分そちらのほうが多いではないかと思います。そういうことになってくると、数だけ足りていたとしても、実際上、機能上は不足しているという事態がございます。
そういう意味で、医療職の地域偏在は、最近、いろいろな数が出ていて、非常に大きな問題になっているのだろうと思いますが、例えば私は、今、新潟におりますが、精神科医師の充足率は、今の数字で出ていても、新潟は66%ぐらい、それで、66%のうち、主に新潟市に中心があるので、今、私は上越というところにおりますが、充足率は3割ぐらいあるのではないかと推測を立てています。
例えばそういう地域偏在があるというのは、今に限らないことなのですが、法律できちっと数が決まって運営していかなければならないときに、この問題は、もう少しというか、大きな問題としてありますので、ここでどう答えていただくという問題ではないが、今後、これをどのように変えていくのかというのは、厚生労働省としても、しっかり考えていただかなければ、地域はもっていかないだろうと思っています。
ただ、そうなってくると、医師が増えればいいという問題だけではなくて、考え方の違いが出てくるのだと思います。一番は、例えば上越に医者を増やすことは、実際上、無理だと思っているので、働き方を変えないといけない。それはどういうことかというと、医師の役割に関して、タスクシフトといいますか、業務をいろいろなところに移譲していかなければ、何もかも医師にやらせる状態ではパンクしていくだろう。そういう大きな考え方を含めて、御検討いただければと思ったりもしております。
それと、もう一つは、ベッドが過剰になっていく中で、残っているベッドといったらおかしいのですが、使っていないベッドに関する使用をどのように考えていくか、具体的に御検討いただきたいと思っています。幾つかの提案がなされているのだと思います。例えば精神鑑定、ないしは他の鑑定のときに、このベッドは使えるか、使えないかという議論は出ておりましたし、これは意外と考え方としては、ハードルが低い問題だろうと思いますが、もっと言えば、例えばダイバージョンという言葉で、今、研究班なども来られたようですが、難しい患者さんをこういう豊富な医療機関の中に1回はダイブアウトして、例えば矯正施設などからダイブアウトしていくことは、今の法律ではとても難しい話だと思いますが、こういうことの可能性があるのか、ないのかということに関してとか、幾つかのポイントがあると思いますので、御検討いただきたいと思っています。

○伊豫座長
よろしくお願いします。

○田中医療観察室長
四国に関しては、まず大前提といたしまして、病床がある程度整理されているという背景の中で申し上げますが、北海道のように、移動が飛行機とかではなく、橋が3つ架かっていて、車等、いろんな交通手段で移動ができるという状況に関して、それを総合的に見て、今後、どうするかということを判断しているような状況で、現在は、直ちに必要とは評価しておりません。
医療職のいろんな働き方改革というか、そういうことに関しては、障害保健福祉部の分野からはちょっと外れていて、非常に難しいので、医政局等と議論しながら、少し方向性を探りたいと思っております。
ベッドの有効活用に関しましても、またいろいろな御意見をいただきながら、少し勉強させてもらえればと思います。

○伊豫座長
今の四国が必要と評価していないというのは、それはそれでいいと思うのですが、時々問題になるのが、入院対象者が地元に戻る、地域に戻っていくときに、距離があり過ぎて入院医療機関と通院医療機関の連携がとれない、または、外泊練習が非常に難しいこともあるようなのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○田中医療観察室長
そこは全くおっしゃるとおりです。総合的に考えて、整理するべきものだと考えております。

○伊豫座長
ありがとうございます。
中島構成員、どうぞ。

○中島構成員
四国の方が外泊等で非常に不便だということですが、うちの岡山県に入院されている場合は、ほとんど不便はありません。問題は鳥取です。鳥取に入院していて四国へ外泊となると大変なのです。
そういう場合は、うちの病院へ転院をして、そこから退院の調整をいろいろやっていく形をとっています。今のところは、田中室長がおっしゃるように、四国については優先して考える必要はないと思います。○伊豫座長 ありがとうございます。
今、私は四国というよりも、今回、3カ所整備中ということで、そちらの意味で発言させていただきました。。
その他、いかがでしょうか。平林構成員、どうぞ。

○平林構成員
資料を作成していただきまして、ありがとうございます。
研究班のデータとかを見ていくと、医療の受け持つ範囲以外の生活障害に対する手当が非常に退院の促進とか、その後の安定さ、予後に重要な影響を与えているというデータも出つつあるように思います。
そこで考えるのは、これまでもいろいろ対応をされてはきていらっしゃるのですが、入所、通所の施設が、法で定められた指定医療機関とは別で、正確には把握するべき数字だとは思わないのですが、今後、増やす必要があるのか、ご説明をお願いします。

○伊豫座長
施設というのは、グループホームなどですか。

○平林構成員
グループホームとか、通所も含めてです。

○伊豫座長
いかがでしょうか。関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
それについては、私からもお話しできればと思うのですが、現状としましては、指定入院医療機関から御依頼があった場合は、断る施設が圧倒的に多いです。半分ぐらい断っているのではないかと思います。昨年度、医療観察法の対象者が受けた場合は、通所系も、入所系も加算が相当つきました。1日当たり4,000円、7,000円とかついたのですが、それでも受けられないという状況は、普及が足りないのか、医療観察法対象者の支援についてどうするのかとか、そういう責任問題についての明確なものはあったりします。
八尾の事件で施設の方が訴えられてしたりしている事件もございますので、受けたら、その方の支援について、施設側の責任がどうなるかということも、不明確な点もあるのです。不明確の点のところで受ける心配は、施設側としてはあると思いますが、受けるとしたら、まだまだ十分ではないと思っています。

○伊豫座長
ありがとうございます。どうぞ。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
法務省保護局の滝田と申します。
社会復帰調整官が所属しております保護観察所を所管していまして、今の受け入れ先の確保については、私どもの業務に関連する部分が大きいと思っています。今、数が多い、少ないという点の御質問というか、お話があったと思いますが、数というよりも、受け入れていただくに当たって、偏見の除去といいますか、普及啓発のところが非常に重要ではないかと思っております。
保護観察所は、入院中の生活環境の調整ということで、退院先の確保を担うわけでございますが、それに当たって、急にお話を持っていっても、御理解、御協力は得にくいということですので、普段、ケースのない段階からいかにこの制度について御説明をするか、ですので、日ごろから特に受け入れ経験のない施設を重点的に、例えば連絡協議会とか、説明会を行うなどし、制度の説明をするところに力を入れています。
あと、これまで受け入れ経験のある施設の方に、そういった説明会の場に参加いただいて、説明をいただくとか、さまざまな工夫をしながら、理解を広めていくというところで、努力しているところでございます。

○伊豫座長
ありがとうございました。
その他ございますでしょうか。村上構成員、どうぞ。

○村上構成員
今の点なのですが、実際、最近、増えていく傾向にまだあるのかどうかというのは、この法律が施行されて14年になって、運営そのものがかなり軌道に乗っているのだと思うのです。ただ、先程、話が出ているように、通院をしている機関は、まだ課題がかなり残っていて、いろいろ働きかけを実際もされているが、これから先、新たに前に進むためには、かなり大幅な考え方を変えない限りは、今の延長線上には増えていかないのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

○伊豫座長
どうぞ。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
増えている、減っているという点については、例えば受け入れ施設が登録制になっていて、どれだけ受けていただける施設が確保されていますということではなく、個別の調整でいかに確保できるかというところの問題かと思います。この点、厚労省さんの方で例えば加算措置を導入いただいたことで、関心を向けていただいた施設はあると思いますし、今、申し上げたような、普及啓発を地道に継続することで、何とか確保しているところです。今、入院の長期化のことが若干課題になっておるのですが、どうにも帰る場所がないがために、退院ができないというケースは、調整官が、現場で努力し何とか防いでいる状況だと思っております。

○伊豫座長
関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
今、村上先生がお話しされた、なかなか伸びていかないのは、私は、今回、厚労省がつくった加算について、1人当たり利用した場合の加算なのですが、もし施設側として、医観法の方が来なければ、そのお金がなくなるわけです。
そうすると、医観法を受けるためには、人の配置を余分にしなさいという条件があるのですが、人の配置を余分にしたのはいいのですが、今度、医観法の方が来なくなったら、その人件費をどう確保するかということが残ってくるのです。受け入れたときはいいのですが、常にいるわけではないということがありますので、私は、一人当たりの加算よりも、例えば医療観察法の対象者の方を受け入れるために、人を配置して、1人分の加算をつける、そちらのほうが受け入れ体制の整備としては、広がっていくのではないかと思っています。
状態が悪いといいますか、身体介護が必要な看護職配置加算があるのですが、看護配置加算というのは、その方に看護職を配置したならば、いようが、いまいが、加算がつくのです。医療観察法の対象者は、いないと加算がつかない、その差は大きいと思います。

○伊豫座長
柑本構成員、どうぞ。

○柑本構成員
今の点に関連して伺いたいのですが、今、厚労と法務省と共同で特別調整をやっていらっしゃって、特別調整で言えば、刑務所から出てくる満期の人たちで福祉が必要な人たちについては、結構いろいろな施設が預かってくれるようになっていると聞いているのですが、今の医療観察の通院の話を聞いていると、なかなか難しい。それは受け入れ施設にかなりばらつきがあるということなのですか。例えば特別調整は受け入れるが、医観法は嫌だという感じなのでしょうか。教えていただけるとありがたいです。

○伊豫座長
関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
特別調整の場合は、昔からある知的障害者、老人系施設の大きな施設のほうが一部受け入れています。精神障害者の施設は、元々事業所の単位が小さいのです。そこで受け入れるとなると、職員体制の問題で受け入れられないということで、元々の施設の成り立ちが全く違うことが背景にあると思います。

○伊豫座長
対象が精神の方で、ある程度特化しているグループホームで、その中で選んでいくことだと思うのです。それが少し難しくなっているところでしょうか。
その他、いかがでしょうか。長谷川構成員、どうぞ。

○長谷川構成員
地元で調整が難しくなった場合に、どれくらいのケースが地元ではないところに行きますでしょうか。それと同じような視点で、薬物乱用が対象行為に関わる人は、地元で薬物を入手していたので、帰ってくると、わざわざリスクにつながることになるのですが、他の土地に調整する可能性はないでしょうか。お願いします。

○伊豫座長
その辺のところはどうでしょうか。どうぞ。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
医療観察制度における生活環境の調整については、入院をした時点で着手をして、社会復帰調整官が指定入院医療機関に出向いて、御本人の希望、退院先を含めてお聞きするところからスタートをいたします。基本は元々住んでいた場所、地域から調整をするというところからスタートするのですが、案件によっては、住んでいた御自宅を放火でなくしてしまったとか、賃貸で住んでいたところで事件を起こして、その住居自体に戻れないという場合には、元の地域では調整できないということで、順次、それでも御本人の意向を踏まえつつ、次に関係するような場所へと調整の場所を移していくという経過がとられる場合がございます。統計的に元々希望されていた場所での退院がかなわなかったかどうかというものは、とっておりません。

○伊豫座長
よろしいですか。
薬物等に関しては、指定入院医療機関の先生方、社会復帰調整官の方と、個別については相談して、退院先も考えていたりすると思うのですが、そのようなケースがもしありましたら、または法務省でも把握しておられましたら、お伺いしたいのです。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
薬物依存のある対象者については、御指摘いただいたような懸念といいますか、元々住んでいた場所に戻ることによって、当時の薬物の入手を可能とするような環境に戻ってしまうという懸念はあるのですが、医療観察制度においては、先程申し上げたような、御本人の意向を尊重して、調整をするというところに変わりはございません。
保護観察所では、刑務所出所者である薬物事犯者も多く担当をしておって、そちらは再犯防止という観点も踏まえ生活環境調整を行っており、御本人の希望を尊重しつつも、例えば一時的に出所者を受け入れる更生保護施設という民間の施設がございますが、そういったところに帰住をさせて、プログラムを受けさせるという調整をするような場合もございます。元に戻りますと、医療観察の対象者につきましては、基本的に御本人の意向を尊重して、元の居住地にという方針で対応しております。

○伊豫座長
よろしいでしょうか。
そろそろ次に移りたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
中島構成員、最後でお願いします。

○中島構成員
先程、四国は慌ててつくる必要がないと、強目に言ってしまったので、補足しておきます。四国は医者が非常に少なくて、きちんと医療ができている病院は非常に少ないということがありますので、じっくり構えて、四国にちゃんと入院医療ができる病院が1カ所はないと、将来的には、医療観察法に対する理解が進んでいかないだろうと思います。誤解がないように、一言、申し上げます。
もう一つは、現在、厚生労働省は、入院期間を短縮することに主眼を置いて、今までさまざまな施策を打ってこられ、そして、医師等が実際に診るということもやってきたわけです。しかし、これから必要なことは、医療の質をいかに上げるか、少なくとも平準化しないとだめということだと思うのです。医療観察法ができたにもかかわらず、将来的に似たような事件を起こすことがあれば、根幹からこの法律の是非が問われますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。医療の質が非常にばらついているということが気になりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○伊豫座長
ありがとうございました。
最後、お願いします。

○村上構成員
ガイドラインのことですが、共通評価項目を新たに変えていただいたということは大変ありがたかったと思いますが、もう一回、ガイドライン全体を再点検して必要なところを、要するに法が施行される前に、一応こうではないかということで仮設でつくったものですから、検討するという計画はおありでしょうか。
例えば具体的には、倫理会議が月に2回ということになっていますが、実際上、多分1回前後のところが多いのだろうと思うのです。ですから、現状に合わせて変えないと、指摘を受けることでございますし、そういう計画はございますでしょうか。

○伊豫座長
簡単にお願いいたします。

○田中医療観察室長
今のところ、何か動くということではなかったのですが、いろいろな御意見いただきながら、あるいは研究班等と相談させてもらいながら、検討していきたいと思っています。

○伊豫座長
ありがとうございます。
医療の質に関しましては、医療観察法の指定入院医療機関等がかなり頑張って、日本の精神医療をリードしてきた部分がいろいろあると思うのですが、今後、さらに質の向上をお願いしたいということだと思います。
続きまして、資料3の保護観察所における医療観察制度の運用状況について、法務省保護局滝田精神保健観察企画官から、御説明をよろしくお願いいたします。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
改めまして、法務省保護局の滝田と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、保護観察所における医療観察制度の運用状況ということで、お手元の資料3に沿いまして、実際の社会復帰調整官の動きなども含め、御説明させていただきたいと思っております。
着座にて失礼いたします。
2ページの保護観察所についてを、御覧ください。医療観察制度では、法務省の出先機関でございます保護観察所が、当初の審判から入院中、通院中を通じて、一貫して対象者の処遇に関与することとされておりまして、その専門職員として、社会復帰調整官が配置されているところでございます。
保護観察所は、御覧いただきますとおり、全国50庁、各都道府県庁所在地と、北海道には、札幌の他、函館、旭川、釧路に置かれておりまして、50カ所がございます。
保護観察所の内部組織がどのようになっているかというのは、次の3ページでございます。これは東京保護観察所、全国でも一番大きい観察所の例でございますが、保護観察所は、元々は犯罪者や非行少年の再犯、再非行の防止と、自立更生の支援といった業務を主としておりました。中核になりますのは、保護観察という業務になります。
組織的には、御覧いただいている図の右側の中段あたりに、処遇部門というところがあると思いますが、そこに保護観察を担う保護観察官という職員が多数配置されております。
医療観察を担っておりますのは、その下にある社会復帰調整官室でございます。東京保護観察所の場合ですと、立川に支部があるのですが、支部を合わせて、管理職として首席・統括社会復帰調整官が計3名、その下に一般の社会復帰調整官が18名配置されております。
この社会復帰調整官は、国家公務員は試験採用が基本でございますが、社会復帰調整官については、精神保健福祉士等の有資格者であって、精神保健福祉に関する実務経験が8年以上といった要件を満たす者から選考採用という形で、観察所に配置する職員を主に採用しております。
社会復帰調整官について、次の4ページを御覧いただければと思います。社会復帰調整官の定員の推移というグラフがございます。平成16年度、制度施行当初のちょっと前から、地域の連携確保ということで、社会復帰調整官の配置を始めております。全国56人からスタートいたしました。
先程、保護観察所が全国50庁ということでございましたので、多くの保護観察所においては、1名のみの配置からスタートをしたという状況でございましたが、現在は、管理職を含めて、全国に220人まで配置が増えております。
先程、東京は、管理職を含め20人以上という多くの配置でございましたが、そういった多数の調整官が配置されておりますのは、まだ少数でございまして、多くの庁が2人の配置、当初、1人というのがしばらく続いていて、それは本当に業務上、いろいろ支障があるということでありましたので、増員に努めていたところですが、現在は2人配置の庁が多くを占めております。
その下に首席・統括社会復帰調整官の配置状況がございます。所長の下に置かれるいわゆる中間管理職でございますが、これについても、順次増やしております。現在、こういった管理職の社会復帰調整官、医療観察業務を統括する管理職が置かれておりますのは、28庁ということでございます。ですので、まだ残り22庁については、専従の管理職が置かれていない状況でございます。
5ページ目を御覧いただけますでしょうか。医療観察制度における審判・処遇の流れということで、これは御承知のとおりということかもしれませんが、保護観察所は、業務でいいますと、左の審判の欄であれば、生活環境の調査、中段の入院中における生活環境の調整、右側の地域社会における処遇においては、精神保健観察と関係機関相互間の連携確保といった業務に当たっております。
6ページからは、生活環境の調査という当初審判から始まる業務についてでございます。検察官の申立てにより審判が開始されまして、通常というか、当初審判においては、ほぼもれなく裁判所から保護観察所に対して、生活環境調査の嘱託がございます。
嘱託がありますと、おおむね1カ月ぐらいの間に、御本人でありますとか、御家族を含め、関係各所に出向いたり、照会をしたりして、例えば住まいや生計がどうなっているか、頼れる家族、親族はいるのか、過去の生活や病状がどうであったか、どういった保健福祉サービスをこれまで利用していたか、あるいは今後、利用できるかといったようなことを調査いたしまして、裁判所に対して、調査結果報告書ということで取りまとめて、保護観察所の意見を付して、提出するといった業務になります。
少し具体的なイメージを7ページ、8ページにかけて、写真つきで掲載させていただいております。細かくは御覧いただければと思うのですが、御家族との面談の場面もございます。御家族が被害者であるようなことも多くございますが、1回目の面談などは、調査を受けていただく御家族も、調査をする調整官も、お互いにただ涙を流すだけで終わることもあると聞きます。生活環境の調査は、裁判所の求めに応じて実施する業務ではございますが、その後の処遇に一貫して関与する社会復帰調整官にとりましては、御本人、あるいは御家族との最初の出会いにもなるということで、この段階から信頼関係を築くことにも十分配慮しながら、実施しております。
9ページに生活環境調査事件数の推移がございます。各年に3本セットの棒グラフがございますが、左端の青い開始件数というグラフは、すなわち、これが裁判所から調査嘱託を受けた件数となっておりまして、400件を超える年もありましたが、近年は350件前後ということで、年によって振れ幅が大きいのですが、350件前後で推移している状況でございます。
10ページを御覧いただきますと、制度施行当初からの当初審判の結果がどのような数値、割合になっているかの記載がございます。入院決定が全体の67.6%、通院決定が12.8%、不処遇が15.7%、却下が3.2%という状況になっております。
11ページでございます。生活環境調整についてでございます。入院当初から、指定入院医療機関に社会復帰調整官が出向かせていただいて、CPA会議に参加させていただくことがございます。また、調整計画を立案いたしまして、退院後の住居や地域でのサポート体制を検討して、さらに指定通院医療機関を確保しなければいけないということで、これは地方厚生局さんと連携して、内定手続を進めることでありますとか、あと、退院が近くなりますと、外泊訓練の機会もございますので、それに合わせて、地域の関係機関の皆さんに集まっていただいて、ケア会議を開催するという、もろもろの業務をしながら、退院後の地域支援の体制を整えていくことが、生活環境調整でございます。
先程、居住地の希望というお話がございました。原則として、対象者の従前の居住地を管轄する保護観察所が生活環境調整を担当いたしまして、まずは元々居住していた地域を退院予定地として、調整を開始いたしますが、その居住地への退院に支障がある場合には、御本人の希望に基づいて、退院予定地を設定し直して、調整を継続する事案もございます。
調整官は、指定入院医療機関にお伺いして、CPA会議などに参加させていただいたり、御本人の面接もさせていただいたりしながら、退院先となる地域等とつないでいく役割を持っているということでございます。指定入院医療機関には、CPA会議が3カ月に一度ぐらいでしょうか、入院医療機関によって違いはあると思いますが、その合間に1回か、2回ぐらいは訪問させていただくことが通例ですので、1カ月から2カ月に一度ぐらいは、訪問させていただいております。
12ページに生活環境調整事件数の推移ということで、グラフを掲載させていただきました。これも各年で3本のセットになっております。左端の青いグラフが開始です。開始というのは、すなわち、指定入院医療機関に入院した件数で、中程が終結ということで、これが何らかの形で退院をした件数でございまして、右側の緑のグラフは、年末現在の継続件数ということで、これが入院中の対象者数に当たる数字になると思います。
13ページ以降でございます。通院期間中の通院処遇、精神保健観察の実施体制でありますとか、その内容について、幾つかスライドを準備させていただきました。
通院期間中は、指定通院医療機関による医療と地域の保健福祉機関等による援助、保護観察所による精神保健観察が、統一した方針の下で一体的に実施されるようにというところを大切にしておりまして、そのために社会復帰調整官がコーディネートと書きましたが、コーディネート役となって、処遇実施計画を作成しましたり、ケア会議の開催を通じまして、関係機関相互間の連携確保を図るといった構造になっております。
15ページ目に、ケア会議のイメージがございます。定例の会議は、3カ月に1回、1時間程度ということで、御本人、御家族を含め、関係する皆様方にお集まりいただいて、現在の状況と今後の方針等について話し合うという場を開催させていただいております。3カ月に1回が定例の基本的なスパンですが、これに加えて、臨時的、緊急的に開催する、例えば病状悪化が見られたとか、転居の必要が生じたでありますとか、入院継続、あるいは処遇終了といった各種申立てを検討するに当たっては、ケア会議を開催させていただいております。
参加いただく各機関には、結構御負担をおかけする部分もありますので、例えばあまり長時間にわたらないようにというところも配慮しつつ、実施をさせていただいているところでございます。
通院期間、地域処遇の期間、医療観察法による処遇が終わりますと、そういった支援体制を地域へ引き継いでいかなければいけないということでございます。これも難しい課題ではありますが、地域処遇中のケア会議の中で、いかにその後の体制に引き継いでいくかということを検討するところも、ケア会議の重要な機能、役割になっております。
16ページに精神保健観察事件数の推移のグラフを掲載させていただいております。係属事件数は常時何件の対象者が地域処遇を受けられているかというところですが、御覧いただきますとおり、おおむね近年650~700件の間で推移している状況でございます。
17ページでございます。関係機関との連携の確保でございます。今、申し上げたような、地域における生活環境の調査、調整、精神保健観察といった業務を円滑に実施する上では、地域の関係機関の皆様と平素から連携を確保していくということが非常に重要であるということで、いずれの都道府県においても、地域社会における処遇のガイドラインに基づいて、それぞれ医療観察制度の地域処遇の運営要領を策定いただいておりまして、それに基づいて、各都道府県の運営連絡協議会を毎年開催いただいております他、各地域でさまざまな形の地域連絡協議会という、これも1つの例示でございまして、研修会であったり、連絡会であったりという集まりを調整官から呼びかけをさせていただくなどして、開催しております。
対象者は、都市部では多く生じますので、そういった関心、意識も保たれるのですが、各県、地域によっては、ほとんど対象者が生じないような地域もございます。そういった中でも、いざそこにお住まいになるケースが生じた場合には、きっちり対応いただかなければいけないということで、そういったある意味ケースの空白地域の関係機関の方にも、常に医療観察の現状などをお伝えして、関心を持っていただく、そういう意味での普及啓発を継続していくところが非常に重要なところではないかと思っております。
最後、保護観察所における医療観察制度運用上の課題ということで、幾つか挙げさせていただきました。あくまでも保護観察所、あるいは現場の社会復帰調整官からの意見ということで、幾つか挙げさせていただいております。
指定医療機関の整備・確保につきましては、先程来、御議論があったところでございます。指定入院医療機関については、北海道・四国と書かせていただきましたが、先程御説明がありましたとおり、北海道は、具体的な整備の見通しが立ってきたということで、それについては、大変期待をしておるところでございます。
四国については、空白が続いておりまして、病床数が足りてきている状況下での設置の必要性については吟味が必要というお話もあったところではありますが、調整官の立場としては、生活環境調整を実施するに当たって、どうしても遠方になってしまいますと、御家族の面会も少なくなったり、外泊訓練の機会も限られたりということで、地域とのつなぎが不十分になりがちだということで、できれば四国においても、設置を検討いただければという要望が強いということで、申し上げさせていただきます。
指定通院医療機関については、先程も目標数はおおむね達成されたということで、御説明がございました。ただ、地域的にかなり広域の県で空白地帯が生じているところもございますので、これについては、各地方厚生局さんと連携して、引き続き、開拓に取り組んでいるところでございます。
近年になって、クロザピンに対応する指定通院医療機関が県によっては限られていて、その治療が必要なケースについて、受け入れ先が若干偏ってしまうというところも、調整官としては苦労している部分がございまして、そういったクロザピンに対応可能な指定通院医療機関の拡大について、期待する声も大きいということで、お伝えさせていただきます。
長期入院者への対応のところでございます。厚生労働省さんで、昨年度から訪問調査をされて、中間的な御報告では、入院長期化の要因のところで、対象者の病状によるところが多くを占めているところでございますが、他方で、社会復帰調整官と対象者、医療スタッフとのコミュニケーションが十分でないといった事例も認められる御指摘もいただいております。長期になると、どうしてもかかわりが薄くなりがちな面がございますので、そこは心してというか、計画的な生活環境調整と、入院が長期化しても、地域とのつなぎを途切れなく継続するところに努めていくことが重要だということで、調整官とも話をしているところでございます
地域における受け入れ先の確保ということで、これも先程、御議論がございました。対象者に対する差別の解消・偏見の除去ということは、かねてよりの引き続きの課題でございます。平素から地道に普及啓発をするところに尽きるということで、先程もちょっと触れましたが、さまざまな協議会の場面、説明会の場面、研修会と銘を打って、関係する皆さんにお集まりいただいて、工夫といたしましては、医療観察の対象者の受け入れ経験がある施設のスタッフさんにお話をいただいたり、最近、これは必ずしも多くはないのですが、処遇を終了した対象者、当事者の方にお話をいただく、そういったことを通じて、御理解を深めていただくという取り組みを進めております。最近、高齢の方の対象者も結構増えてきているということで、これまでの障害福祉サービスの事業所さんだけではなくて、高齢者施設への普及啓発なども必要があるのではないかということを、調整官では意識しているということを聞いております。
最後、保護観察所の体制整備でございます。社会復帰調整官の人員的なところは、かなり増えてきたというところでございますが、都市部では、1人当たりの負担件数なども多くなっていて、なお、体制強化が必要であるということと、さまざまな処遇困難事例にきっちり対応していくためには、研修の実施等、そういったソフトの面でも対応を強化して、体制整備を図っていく必要があるということで、課題として考えているところでございます。
保護観察所における医療観察制度の運用状況に関する説明は、以上でございます。ありがとうございます。

○伊豫座長
ありがとうございました。
いかがでしょうか。お時間の関係がありまして、お一人か、お二人から御意見を伺いたいと思います。柑本構成員、どうぞ。

○柑本構成員
ありがとうございます。
時間が限られている中、大変申しわけないのですが、一番最後の方の保護観察所の体制整備というところでお伺いしたいのですが、本当に社会復帰調整官の人数が増えているといえ、先程の御説明だと、まだ2人体制のところも多いのです。例えば昔は、生活環境調査をやるときなどに、情報を入手しなければいけないが、それがとても難しい場合があるというようなことを割とよく調整官の方たちはおっしゃっていたのですが、今、そこは解消されているのですかということがまず1点です。
もう一点は、正直なところ、社会復帰調整官の方たちには、物理的な何かの手立てがなくて、例えば医療に通ってこない対象者の方たちがいても、それに対して、説得をもって働きかけるしかないというような現状があるわけですが、そこについては、どのようにお考えなのか、御意見を聞かせていただけると大変ありがたいです。とても大変だと思います。

○伊豫座長
いかがでしょうか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
さまざまな情報を得ることが、特に重要になるのが生活環境調査段階で、例えば保健福祉サービスをどの程度これまで受けていたかとか、障害年金の状況がどうなっているかなどを含めて、調査をさせていただくのですが、これについては、施行から十数年を経て、この制度自体の認識が進んできたということと、年金に関する情報などは、照会をすれば、医療観察の関係では答えていただけるように、厚労省さんの方で協議を整えていただいたりということで、情報入手はそれなりにやりやすく、円滑にできるようになってきたと認識しております。
もう一点について、例えば通院拒否といいますか、ある意味指導的に関わるようなことが必要なケースが生じた場合については、御承知のとおり、医療観察制度においては、通院処遇中に守るべき事項ということで、住まいをはっきりさせてくださいということでありますとか、面接に応じてくださいということなどが定められております。調整官といえども、強制力はもちろんないのですが、そういった枠組みの中で、一般の精神保健福祉のスタッフの皆さんよりは、指導的に関わることが許容されている部分があるということです。また、調整官が1人でやるというよりも、ケア会議とか、さまざまな連携の仕組みがございますので、なかなか通院しないという状況が生じた場合には、保健所さんでありますとか、関係する機関の方と一緒になって御自宅を訪問してお話しするというところで、苦労はあるのですが、指導的な関わりが可能だというところで、医療観察制度上の医療の確保に寄与しているということで考えております。

○伊豫座長
よろしいでしょうか。

○柑本構成員
はい。

○伊豫座長
どうぞ。

○竹村構成員
竹村です。
1点だけになるのですが、先程、地域における受け入れ先の確保の関係で、高齢者が対象者の方が増えている関係で、老人施設の受け入れ先を考えなければいけないというお話があったのですが、私どもが付添人活動をやっておりますと、対象行為が何かによって、受け入れ先から拒否をされることがかなりあるということ、その視点を持ってこの制度を運用してほしいと思うことと、調整官がいつも御苦労されているのですが、法務省におかれましても、そちらの点をしっかりと踏まえた上で、どんどん調整していただきたいと思います。
その絡みではないのですが、制度的な問題が絡むのですが、心身耗弱で入院された方に関しましては、前もお話ししたと思うのですが、何か事件を起こしてきた場合について、損害賠償責任がそのまま残ってしまう。それが社会復帰阻害要因になる可能性があります。そういう方は、大体お金がないので、どうしたらいいかということで、そこも含めて対処しなければいけません。別の問題で、医療を行わない決定が出た方についても、損害賠償責任が生ずることが幾らでもあります。そういった場合も体制もつくっていかなければいけないということの視点を持っていただければと思います。これは意見ということでお願いします。

○伊豫座長
ありがとうございました。
それでは、お時間の関係で申しわけありませんが、次に移りたいと思います。
次に、資料4の診療報酬の改定について、事務局から、御説明をよろしくお願いいたします。

○田中医療観察室長
お手元の資料、診療報酬の改定について、御覧いただきたいと思います。現在は、まだ確定しているわけではないのですが、恐らく10月1日に8%から10%へ消費税が増税されることを前提での御報告になります。
1ページ目でございます。医療観察の診療報酬についてということで、これは総論的にお示ししておりますが、基本方針といたしまして、基本診療料のうち、入院料・通院料に関しては、平成29年度の医療経済実態調査から算出された医科の改定率0.48%を用いる、2番、医療観察訪問看護について、健康保険の改定点数に倣うというようなことで、大きな方針をお示しします。
内容を御説明します。2ページでございます。こちらは平成31年1月9日実施された、中医協の消費税分科会の資料をお示ししております。これが平成29年度の医療経済実態調査の結果でございまして、ここで下の計算式に示すように、8%から10%に増税した場合の費用に関する課税経費が計算されております。
こちらは報酬全体の0.41%をお示しているのですが、上の四角囲い、各課改定率医科というところで、0.48%という数字がございます。医療経済実態調査、実際には、診療所であるとか、病院であるとか、多くの医療機関を抽出した中での数字でございますが、こちらを参照させていただくという方針でございます。
3ページ目でございます。左が現行の入院対象者入院医学管理料でございまして、例えば急性期の入院医学管理料でございますと、6,705点となっております。こちらを非常に単純に1.0048倍して、四捨五入したものが右側の数字で、でき上がりとして6,737点、同じように、回復期、社会復帰の入院医学管理料の点数を1.0048倍したものが右側でございます。
同様に、通院対象者通院医学管理料に関しましても、例えば前期通院対象者通院医学管理料に関しましては、8,296点を1.0048倍して、出来上がった数字の8,336点が改定案になります。
5ページでございます。こちらは平成31年2月13日に行われた中医協総会の資料でございまして、具体的に健康保険の訪問看護に関する点数をお示ししてございます。医療観察は、これに該当するものが「02 訪問看護管理療養費」の「ニ」に関する「イからハまで以外の場合」の月の初日の訪問の場合は7,400円、月の2日目以降の訪問の場合は2,980円が設定されてございます。
各7440円、3000円という形に改められておりますので、医療観察法でもそれに倣いまして、6ページでもお示してございますように、右側、月の初日の訪問に関しては744点、月の2日目以降の訪問の場合は300点という改定案を考えているところでございます。
医療観察室からは、以上でございます。

○伊豫座長
ありがとうございました。
ただいまの御説明に御意見や御質問がありましたら、挙手をお願いいたしたいと思います。どうぞ。

○石津参考人
御説明をありがとうございました。
実態ベースのことがよくわからない中での質問で恐縮なのですが、消費税10%に上がることと、医療観察診療報酬の引き上げとの関係というか、その理由についてのところでお伺いしたいのですが、一般の病院につきましては、収入であるところの社会保険の診療報酬は、非課税であります。出の部分については、薬と施設設備については、消費税を払っているということで、入りと出の関係が不均衡になっていることによる仕入れ税額控除の問題が、大きい問題として存在することが根拠になっていたと思います。
薬については、別になりますので、設備のところを考えますと、自前で整備をする私立の医療法人から、困ったという声が非常に多いので、したがって、これを上げようというのが、主たる根拠だったと理解しているところなのです。そうして見ますと、こちらの医療観察法に関係します部分は、国公立病院が主たる役割を担っていらっしゃると考えているのですが、そういう意味で、消費税が上がることと、報酬改定との関係は、どのように考えていらっしゃるのか。限定的なのかと思うのですが、いかがでしょうか。

○伊豫座長
いかがでしょうか。

○田中医療観察室長
当然医療機関というところは、費用がございまして、そこには例えば人件費であるとか、それは非課税部分でございます。それに課税経費がございまして、医療経済実態調査に関しましては、その課税部分の場合に、当然それは費用として税金が転嫁され、費用として物を買ったり、あるいはサービスを利用した場合に、その費用がかかりますので、その課税経費の部分に関しては、しっかりと課税分を転嫁しなければいけないという考え方に基づいて、この0.48の数字を使っているところです。

○伊豫座長
どうぞ。

○石津参考人
それで、先程お話し申し上げました、課税部分が主な部分として、仕入れに関わる薬価の話と、施設設備だということで、通常、説明されていると思うのです。でも、私立は、自分でそれを設備しなければいけないが、国公立については、後追い的かもしれませんが、その分が公的に入ってくるのだったら、その部分よりも私立が問題だということで、一般の診療報酬は、改定の根拠にされていると認識しているのです。

○田中医療観察室長
例えば施設の整備があると思うのですが、他にも例えばクリーニングであるとか、そういう他のサービス等でも課税部分がございますので、そこの部分には補塡をしなくてはいけないのだろう。もちろん設置設備に関しても、この計算では補塡しているのですが、費用に係る課税部分を補填するという考え方でございます。

○伊豫座長
どうぞ。

○石津参考人
ありがとうございます。
細かいお話はいろいろあると思うのですが、一般のところとちょっと違うところがあるというのが御質問の根拠なのですが、そうした場合に、私立を考えますと、入院は多分国公立さんがされているということですね。通院は、一般の病院さんがいろいろされていらっしゃる部分があるということで、そちらには、あるいはそういう意味では、影響が大きいという感じもしておりまして、そうであった場合に、あるいはこの改定率が0.48%で合わせることに異論があることをお話ししているわけではないのですが、実際、中のことを考えたときに、どちらかというと、こちらの医療観察診療報酬に関していうと、より通院に消費税の関係が重く影響してくるという印象を持ちましたので、そういったようなところについて、今後、検討する余地があるのかと思うのですが、いかがでしょうか。

○田中医療観察室長
本当にしっかりやらなければいけないことは、指定入院医療機関のまさに医療観察にかかる費用がどれだけかを調査して、あるいは指定通院医療機関の医療観察にかかる費用がどれだけかかるかを調査して、その元で課税経費をしっかり算出しなければいけないと思うのですが、費用的にも、我々のマンパワー的にも難しいので、既存の数字で代替できるものを算出させていただいているのが実情でございます。

○伊豫座長
よろしいでしょうか。

○石津参考人
はい。

○伊豫座長
その他、いかがでしょうか。中島構成員、どうぞ。

○中島構成員
先生がおっしゃっていることが、いま一つ、よくわからないのです。一体どういう御質問だったのですか。

○石津参考人
結局、消費税がかかる分というお話の中で、もちろん人件費等はかかっていませんが、通常のところであると、収入と支出があって、収入も支出も両方とも消費税がかかるのであれば、その相殺した分だけを払えばいいということになるわけですが、医療機関の場合は、その収入については非課税であります。

○中島構成員
入院より外来をやっているところがずっと大きいのではないかという御趣旨ですね、それはおかしいと思います。

○石津参考人
私の話し方が下手だったのだと思いますが、入院より外来というお話ではなくて、入院をやっていらっしゃるところが国公立病院でいらっしゃるわけです。

○中島構成員
当然です。人権を厳しく制約しているわけですから、公的なところがやらなければ、民間ではできません。

○石津参考人
そうです。すごく重要なお仕事をされていらっしゃると認識しているところです。
一般病院に話を戻させていただきますと、診療報酬の改定に消費税を上乗せするというお話のときには、私立の医療機関が主な課題になっているのです。というのは、施設を自前で整備するので、その分についての消費税分は、はっきり言えば、とれなくなってしまうところが大きな課題になっていることでございます。

○中島構成員
私立というのは、精神科ということですか。

○石津参考人
通常の中で科毎の話は出てこないのですが、手術設備をするのに当たって、自前で手当をしなければいけない施設ということです。

○中島構成員
そういう話では、大体民間しかルートがほとんどないことになります。

○伊豫座長
実際、国公立でも、例えば私も国立大学法人ですが、全て国からいただくわけではなく、自分たちがどれぐらい収益を上げたかによって整備が変わってくるわけです。そうすると、収益を我々自身も上げておかないと、職員の確保においても、機器の整備においても、そこでの医療が成り立たせられないのが実情です。そういう意味では、民間とほとんど変わらないと思っていただいたほうがいいと考えております。
その他にいかがでしょうか。どうぞ。

○寺田構成員
全国訪問看護事業協会の立場から、やっと医療観察法も訪問看護管理料がついたというか、これが看護師からの要求が多かったのです。現実に精神科の訪問看護は、診療報酬改定の平成24年から、かなり数が増えてきて、一般の訪問看護ステーション、介護保険や、医療保険をやっている方も、精神科の訪問看護ステーションの数がかなり増えてきています。今、訪問看護ステーションの数は、1万1000以上に超えました。その中でかなりの数が精神科の訪問看護をやっています。医療観察法は、パーセントにも満たない、0.1%以下という感じです。それと、いろんな研修などがあるのですが、医療観察法に全く触れていません。ですから、精神科の訪問看護の中の医療観察法の認知度は、とても低いのです。
現実的に私どものところで、医療観察法の訪問看護をかなりやっているのですが、ステーション1カ所につき1~3件です。看護師さんの希望を聞いてきたのですが、細かい話になってしまうのですが、最初に保護観察所から依頼が来て、いろんな関係機関が集まるときに、ぜひいらしてくださいということで、初回なのですが、私ども多摩地域でやっているもので、病院に行くまで時間が割とかかったり、半日ぐらいかかるのですが、そこの初回の訪問看護の診療報酬は、全くついていないのです。細かい話なのですが、看護師から言われてきたので、とりあえずお願いします。
今、医療観察法が終了して、その後は自立支援医療という形で医療が入っていて、ほとんど訪問看護師がいつの間にか取り残されている感じが結構強くて、また1年、2年という形で経過が過ぎていくと、いろんな問題が起きてくるのです。そのときのフォローアップというか、その辺の仕組みはどうなっているのかを聞きたいところです。

○伊豫座長
いかがでしょうか。
御質問は、そうすると、最後のところでもよろしいでしょうか。どうぞ。

○得津精神・障害保健課長
精神保健課長の得津でございます。
処遇終了した後は、一般の精神保健福祉の枠組みで対応するということになっております。従来から変わらないということですが、我々の課では、精神障害者が地域で安心して暮らせるようにということで、精神障害者に対応した地域包括ケアを各地域でそういった環境づくりをするように、少しずつ改めています。医療観察法の処遇が終わった方については、地域で生活される精神障害者となりますので、我々としては、そういう枠組みでしっかり支えていく必要があると思います。
ただ、今、十分な基盤があるわけではないので、自治体にも働きかけて、基盤づくりをしていかなければいけないと思いますし、個別に困ったケースがあれば、例えば訪問看護ステーションだけで抱えているのではなくて、周りの福祉サービスの事業所など、そういった関係者とよく連携して、あるいは自治体とよく連携をしていただいて、その方の処遇が適切になるようにしていただければと思っております。

○伊豫座長
関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
先程、平林先生から通院に係る支援が後程に寄与するということがあったと思うのですが、この点数を見ると、後期通院に係る支援は、かなりボリュームが大きいのです。でも、点数的には低くなっています。この支援についての評価はあったほうがいいと思いますし、今のお話の中でも、地域にどうつないでいくかということが安定に寄与していくと考えますと、この点数についての再考について、私はぜひお願いしたいところがございます。
あと、訪問看護につきましては、精神保健福祉士は、医療観察法の訪問看護指導料に入っていないのです。精神保健福祉士が訪問した場合にも、医療観察法の訪問看護指導料にぜひ加えていただきたい。多職種で訪問する、それで支援すると、地域包括ケアの1つの流れになろうかと思いますので、そこもぜひ考えていただけることができたら、ありがたいと思いますし、そういうところの考えは、今、お聞きしながら思いました。
以上でございます。

○伊豫座長
今、PSWに関してもというお話も出ましたが、今後、その辺のところも検討していただければと思います。
先程、寺田構成員のお話を切ってしまったような形になったのですが、申しわけありませんでした。先程のことで何かございますでしょうか。よろしいですか。
その他、いかがでしょうか。どうぞ。

○野木代理人
野木です。
鑑定入院のときの費用について、ほとんど書いていないのですが、これは同様と考えていいのですか。民間は、鑑定入院がほとんどだと思うのですが、そのときの費用についてはどうなるか、全く書いていないのです。

○田中医療観察室長
申しわけございません。今の医療観察の医療の入院に関してということで、今回のテーマとしては、鑑定入院の医療機関の費用は、対象としてございません。

○伊豫座長
裁判所管轄でしょうか。

○野木副会長
これは消費税も関係がない、今回の改定には入らないということですか。

○伊豫座長
恐らくそれは厚生労働省ではなくて、裁判所で決めていくことなので、こちらの診療報酬改定にはタッチしていないことだと思います。

○野木代理人
その辺の気持ちはわかりますが、同じ医療観察法をやっているので、ここは違うからというのはちょっとあれなので、そこも要望としてはお願いしたいというところです。
あと、通院のところも含めてですが、今回、上げていただくということで、非常にありがたい側面はあるのですが、診療報酬は、基本的に2年に1回ずつ改正されて、変わっていくわけです。突然ここで消費税だけ上げるのは、何となく腑に落ちないということがずっとありまして、民間からして通院対象がほとんどなのですが、まだまだ費用的にはかなり負担が多いのが現実的にありますので、ここで消費税のときに是正を入れていただけるなら、2年に1回ぐらいの見直しを診療報酬と同時にしていただきたいというのが、要望としてはあります。当然入院もそうだと思うのですが、診療報酬が変わっているのに、ここだけ突然消費税だけぽんと上げていただくのは、ありがたいのですが、もうちょっとそこは考えていただきたいと思います。

○伊豫座長
いかがでしょうか。田中室長、お願いします。

○田中医療観察室長
健康保険の診療報酬の改定にあわせて、医療観察でも改定の作業を行う予定でございます。どの項目をどうというお約束の確約はできませんが、関係団体の方とは議論させていただいて、進めたいと思っております。

○伊豫座長
中島構成員、どうぞ。

○中島構成員
蛇足ですが、これはあくまで10月の消費税アップに係るもので、他の科のさまざまな点数も調整されるわけですから、それと同じということなので、2年に一度の見直しはずっとやっていますから、それはしていただけると思っております。

○伊豫座長
よろしいでしょうか。
その他、いかがでしょうか。関口構成員、どうぞ。

○関口構成員
報酬改定とは少し話がずれますが、先程の地域包括の話をされました。地方包括と医療観察法を考えたときに、指定医療機関の期間は3年、延ばして5年、私が支援してきた人たちの中には、指定医療機関が終わったら、私は誰の言うことも聞かないと言って、でも、延びることはないのですが、確かにそういう人は一部にいます。
その方々は、大体支援が切れていくので、支援が切れた中で入院をしてしまうということが散見されている状況がございます。3年から5年に延ばすときの5年に延ばしたからといって、それが確実に本人の治療、コンプライアンスがよくなるかどうかはわかりませんが、そこのハードルは結構高くて、簡単に延ばせないのだろうと思ったりもするのですが、本人がこれが終わったら自由の身で勝手にやると言っている人を3年で切ってしまうということも少し悩ましいと思ったりもしていますので、検討する余地があるかどうか、御意見です。

○伊豫座長
これは裁判所の決定でしょうか。

○滝田精神保健観察企画官(法務省)
通院期間の延長の申立ては、保護観察所の長が指定通院医療機関の意見を添えて裁判所にするということになっておりますので、通常、その3年の期間満了に当たって、対象となる方がその後の地域支援に、きっちり医療を含めて乗っていくかどうかというところを、医療機関の方、支援に携わっていただいている機関の方とケア会議で検討をした上で、その延長の要否を考えるということをしております。
その結果として、このケース、患者さんについては、延長したほうがいいとなれば、そこを観察所で受けとめて、期間延長の申立てをするということございますので、今、お話のあったような医療観察の期間が切れたら、通院も支援も受けないというようなケースであれば、まだまだそういったところに働きかける必要性があるという状況でありますので、一般的には、延長を検討することになろうかと思います。
早期終了と通院期間の延長は、統計的なものがあると思います。平成30年、年間の件数でいいますと、全国で16件の延長をしております。他方、早期終了の決定があったものが65件でありますので、早く終わらせるというケースよりは、通院延長の決定がなされるケースは少ないのですが、個別のケースに応じて、延長するべきは延長するという対処をとっていると思います。

○関口構成員
そこのハードルは実感しております。医療観察法が終わって、1週間後に放火した人もいました。2週間後ぐらいに自殺した人もいました。そこの支援が切れたときに、皆さんが羽ばたいてしまって、自分のブレーキを持っていない、支援者も薄くなってしまう、医観法が切れると、支援者は一遍に薄くなるのです。マネジャーがいないとなると、本人の支援をどうするかということが宙ぶらりんになってしまうケースが多々ある、でも、切れてしまうということは現実にあります。そこはお伝えしておきます。

○伊豫座長
どうしても申請するとしたら、通院の主治医等が社会復帰調整官にお伝えしてということもあると思うのですが、対象者の方も、一般の患者さんたちも、医者の前だと「ちゃんとやります」とおっしゃる方が多くて、もしかしたら、支援の方々と意見の違いもあるのかもしれません。その辺、今、重要なことなので、今後、検討していただければと思います。
その他、いかがでしょうか。平林構成員、どうぞ。

○平林構成員
今の件に関して、1つ質問があるのですが、5年は結構長いので、1回事件を起こされて、強制的な通院を5年やったら、いろいろな考えはあると思うのですが、1回切ってみるというのは、適当ではないかと思うのです。なぜかというと、重大な再他害行為の予測は、予測した人たちがほとんど他害行為を行わなかったというデータがあるわけで、終了にするのは1つの選択肢として残すべきだと思います。
もう一つ、5年たった時点で通院しないという意見を言っていらっしゃるということは、疾病教育とか、医療者との信頼関係の構築とか、いろんな治療において、何か課題があって、それが解決されないままだった可能性もあって、そういう難しいケースに関しては、少し検討などを進めて、最終的には精神保健福祉法の医療で対応出来る方向へ持っていけるようにする必要があるというのが、一つの意見です。
それと、もう一つは質問で、厚生労働省の方にお願いできればと思うのですが、先日、たまたま経験したのですが、病状が不安定になって、アパートに引きこもられて、社会復帰調整官から連絡いただいて、調整官が訪問して、どうも必要だということで、まずは病状を診てもらうということで、地域の看護師の方とか、ソーシャルワーカーの方、後見人をされていた弁護士の先生などといろいろ連絡をして、結局、本人を説得して、入院の方向にということになっているのですが、場合によっては、医師も行って、病状を評価した上で、入院治療の必要性を判断するとか、緊急時の多職種チームの訪問をすると、朝から日程調整しておいて、10時に出発して、帰ってくると、患者さんに入院をさせたりしますと、夕方に帰ってきて、みんなで1日使っているようなときがたまにあるのですが、そういう緊急時の体制が発動したときに、見合ったような診療報酬の考え方も必要だろうと考えています。それに関して、検討していただければありがたいと思っています。

○伊豫座長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
あと、診療報酬のことになってしまうのですが、クロザピンが出来高になって、千葉県ではクロザピンを使用する入院患者さんが相当増えています。一方で、先程のお話にもあったように、クロザピンで、しかも、指定通院というと少ないので、診療報酬上の工夫も必要だと思いますので、御検討いただければと思います。
その他、よろしいでしょうか。
御協力ありがとうございました。これで、事務局にお返ししたいと思います。

○石田医療観察室長補佐
本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、これで閉会とさせていただきます。
 
 

照会先

厚生労働省

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課
医療観察法医療体制整備推進室
TEL:03-3595-2195