第10回厚生労働省公共調達中央監視委員会

(第一分科会)審議概要

 

【問合せ先】

厚生労働省大臣官房会計課監査指導室

電話03−5253−1111(内7965)

 

開催日及び場所

平成22年3月24日(水) 厚生労働省共用第6会議室

委員(敬称略)

第一分科会長  上野  淳  首都大学東京副学長

委 員     小川  広  独立行政法人日本原子力研究開発機構

財政部 上席参事

委 員     松原 健一  安西法律事務所 弁護士

審議対象期間

原則として平成21年10月1日〜平成21年12月31日の間における調達案件

抽出案件

  9件

(備考)

「報告案件」とは、各部局に設置された公共調達審査会において、不適切等と判断した案件について、報告を受けたものである。

報告案件

  0件

審議案件

  9件

意見の具申又は勧告

なし

委員からの意見・質問に対する回答等

意見・質問

回   答

下記のとおり

下記のとおり

 

 

意見・質問

回   答

 冒頭、事務局から、24都道府県労働局における公共調達監視委員会の活動状況の報告を行った。

【審議案件1】

審議案件名 :厚生労働省上石神井庁舎新事務棟賃貸借一式

資格種別  :建設工事−建築一式工事(A又はBランク)、物品・役務−役務の提供等(A、B又はCランク)

選定理由  :庁舎等の施工を含む賃貸借契約、低入札価格調査

発注部局名 :職業安定局雇用保険課

契約相手方 :大和リース株式会社

契約金額  :412,650,000円

契約締結日 :平成21年12月18日

庁舎を賃貸借契約する形で実質的に建築工事させるこういうやり方は、ほかでも一般的にやられている方法ですか。

厚生労働省の例では、特段見当たらなかったです。

 

なぜ賃貸借という形にしたのか疑問に思いましたが。

このプレハブの後に、新たなものを建てるかどうかという話もあります。基本的には、予算により電算棟というのを建てていますが、事務棟については、今後どうなるかわからないということで、とりあえず5年間の賃貸借にしたという流れでございます。

 

普通の建物を建築するときですと、設計を別にやって、設計をもとに予定価格を立てて、工事の発注をするかと思いますが、これは、設計も含めて一括で予定価格を立てて発注しており、どういう建物ができるとかを詰めないまま予定価格を出しているような印象を受けますがいかがですか。

基本設計については、事前に作成し、今回の発注は、実施設計も含んだ発注にしており、仕様書に基づいて予定価格を積算しています。

建築部分の予定価格はどうやって決めましたか。

建築部分の予定価格につきましては、何社かから見積を取り、その平均です。

そのときに提示している与条件は、どのようなものですか。

この仕様書を建設会社に渡し、見積を出してもらいました。

この仕様書を見て、こちらが期待している水準のものを確保できるような、あるいはそれが読み取れるようなものになっていますか。

仕様は、チェックはかけて作成しましたので、問題はないと思っております。

 

契約が終わった後はどうなりますか。

 

 

終わった後は、特段まだどうするというのは決まっておりませんが、仕様書には、賃貸借を続けるか、購入するか、更地に戻すかについて、こちらで選べるようになっております。

所有はどこになりますか。

業者です。

工事費を出して、建てておいて、賃貸借ということは、問題ありませんか。

通常のプレハブ等の民間同士でやっている契約でも、長年にわたってリースという形で借りるという方法もございますし、問題は発生しないと思っております。

契約期間いっぱいまで払い終わると、全額払った形になり、その時点では、こちらが建物のお金を100%出したにもかかわらず、所有権は残らない。ちょうど償却できるくらいの期間であれば問題ないと思いますが、建物で4年とか5年とかいうのはどうですか。

敷地は国有地ですね。

そうですね。

4年間この建物は、あくまでも仮庁舎ということですか。

はい。

国有地に建物を建てて、4年間ずっと使い、自分が建物として使い続けていくというときの建設費と維持費と、このような賃貸借にした場合と、どちらが経費的に安くて効率的かという比較はしていますか。

金額的には、庁舎を営繕で建設した場合は、大体17億円かかり、プレハブ5年リースの契約の場合は、諸経費込みで10億円となるという試算をしております。

これだと、リースの方がお得だというところが読み取れませんが、先程、単純に建設して使うと17億円という話と、このプレハブ新営工事のときの6億円という話とは符合しますか。

現在既設の建物を解体した額も含めた額で試算しておりますので、建設費だけを見ますと、庁舎の営繕ですと13億円で、プレハブリースが5年で6億円ということになります。

官庁営繕の方が何億円も高いのは、プレハブ以外のものを建てるということだから高いということですか。

プレハブと営繕で建てる建物では、建材が違うので額が違います。

営繕工事としてプレハブを建てて使うというプロジェクトと、この5年間リース賃貸借というプロジェクトとは、どのくらい効率的かとか、安いかとか、高いかとかいう、その一連の考え方が見えないんですけど。

システムの最適化計画に合わせまして、仮設の庁舎を建築して、システム最適化が終わりましたら、新電算棟の方に支援業者が今使っている部屋の枠が空きますので、そこに職員を入れ込むという計画が当初ありまして、それで、仮設のプレハブという計画を当初立てています。

基本計画と仕様書で発注したわけですが、普通の実施設計で全部のディティールが決まった工事の発注ではなくて、かなり価格に幅があり得る発注をしているということがまず1つあります。

一方、そうなったのは、賃貸借という発注形式により、そのような問題点ができてしまう。

プレハブはいいですが、プレハブ、リースという方式なのか、自前でプレハブを建てた方式なのかです。勿論、工事費は発生しますが、リースとの効率をちゃんと比較した結果、そういう方式が選ばれたかどうかということについて、理解ができるような資料が添付されてないと、ルーズじゃないかという批評ができなくもないと思います。

 

基本的に、リースになりますと、プレハブ関係の維持管理関係の経費とかも発生しますので、そのことも踏まえ検討をしたいと思います。

今後こういう方式が定着していくとすると、なお一層エビデンスをしっかり残して、こっちの方が有利で、財政的にも効率的なんだということを示しながらこういうプロジェクトを進めていかないと、世間の誤解を招く原因にもなりかねないので、御努力をよろしくお願いいたします。

 

 

 

【審議案件2】

審議案件名 :国立感染症研究所戸山庁舎RI処理設備等改修工事

資格種別  :建設工事−「電気」、「管」及び「機械器具設置」(A又はBランク)

選定理由  :一者応札、総合評価落札方式未実施、高落札率

発注部局名 :国立感染症研究所

契約相手方 :富士電機システムズ株式会社

契約金額  :138,600,000円

契約締結日 :平成21年11月24日

この工事の規模は、総合落札評価方式をとることの必要はなかったのですか。

基本的には、現状の機能維持ということですので、一般競争入札で良いと思います。

1者しか応札がなかったということは、何か思い当たる節はありますか。

その業者の担当者に聞いたことがありますが、特殊な施設の特別な設備を改修するような工事については、その現状維持をそのほかの会社が確保し、責任を持つことが難しいので、新規の参入は難しいということでした。

新設のときには、この富士電機システムズが行っているのですか。

はい、そうです。

改修工事になると、競争原理が働かなくて、1者応札になり、落札率が100%近い契約金額に落ち着いてしまい、あまりよろしくないような気がしますがいかがですか。

予定価格を算出するに当たりましては、設計業者に委託をしており、その設計業者に参考見積書を出していただきまして、積算しています。また、その設計会社と施工会社は全く関係ないところです。

改修工事でもなるべく1者応札をなくして、多くの業者さんに入札してもらうためにはどうすればいいのですか。

公告期間も十分取っていますし、公告の方法も他の工事と遜色なく行っておりますので、もう少し考えなければいけないかと思います。

改修工事の設計をし、そこが見積を出して、そして予定価格を積算していますが、その情報が設計会社から施工会社に漏れているということは絶対にないですか。

守秘義務の範疇だと思います。

極めて不適切なということは特に思いませんけれども、さりながら、これは業界全体の話だと思ますが、何か工夫改善する方法はありませんか。つまり、新設にかかわったら、無競争で改修工事が引き受けられるということは、何か釈然としないものが残りますので、このことについて今後考えていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

【審議案件3】

審議案件名 :国立療養所沖縄愛楽園不自由者棟更新築等追加整備その他工事

資格種別  :建設工事−建築一式工事(A又はBランク)

選定理由  :総合評価落札方式中契約金額最大、高落札率

発注部局名 :国立療養所沖縄愛楽園

契約相手方 :東洋建設株式会社

契約金額  :548,730,000円

契約締結日 :平成21年12月7日

結果的に1者入札になっていますが、公告の方法として、ここに書かれている掲示板、ホームページ、地元建設新聞が一般的というか、考えられるのはこれぐらいですか。

建設工業関係の新聞が一番参加しやすいところで、一番広報的に向いていると思います。

地元というのは、沖縄県内という意味ですか。

そうです。

1013日に公告して、提出締切の1020日には3社とも技術資料は出したんですか。

はい。

技術資料は項目を入れてないですが、もともとやる気がなかったのではないですか。

これは、入札時の評価点をつける場合の点数になり、入札時に参加が決まれば、提案書等を含めて出しますので、それに基づいて評価ができますが、それまでに参加辞退をしておりますので、辞退という形になっています。

これは総合評価落札方式ですね。

はい。

入札のときに、そういう提案書が出されるのですか。

提案書とともに出すということです。参加のときには、こういう施工実績があります、主任技術者等の参加資格がありますというところまでしか求めませんので、入札前に、技術提案書を評価するためのいろいろな提案をもらい、入札に至るということです。

金額とともに、技術提案書を出すわけですが、その前に、もう辞退していたということですか。

はい。

実際は、技術提案書を先に出していただき点数化した後に、金額を出します。

 

1013日から、技術資料提出依頼1020日、この7日間は特段短いわけではないんですか。

はい。実績だけですので、資料を集めるだけで、新たな提案をするわけではないので、過去の契約書、もしくはそれを確認できるような資料を求めるだけですので、1週間あれば十分準備はできると思います。

入札日までに技術提案書を事前に出していただいて、12月7日に価格とともに入札を決定するわけですね。

はい。

5億円の仕事で、1者しか応札がなかった。かつ、高落札率。

入札辞退届の中で、「技術者の確保が困難である」というのが書いてあるんですけれども、これは当初からわかるような話ではないのですか。

この病院の現場に誰を配置するかというのは、参加業者が決めますので、その会社の事情で、ほかの物件もあり、例えばそちらの方にもその担当者を同じように配置することにしていると、もしも落札するとなると、そちらにも張りつく状態になり、今回は参加を辞退しますと言うところもあります。

参加希望だけ出しておくということですか。

はい、そうですね。参加業者の社内事情で、例えばほかの現場にどうしても張りつく、もしくは、ほかの現場が延長して、こちらに張りつけられないというふうな状況で辞退してくることも考えられますが、そこまでは把握をしておりません。

特段不適切とか、そういう指摘は特に当たらないと思いますが、一般論として、なるべく競争が働くということが求められるわけですから、例えば、期間の問題とか、入札に応札する会社が少しでも増やせるような努力を、是非していただきたいと思います。 

 

 

【審議案件4】

審議案件名 :神戸検疫所輸入食品・検疫検査センター増築等整備工事の実施設計業務

資格種別  :測量・建築コンサルタント等(A又はBランク)

選定理由  :総合評価落札方式の設計・コンサルタント案件中契約金額最大、低入札価格調査

発注部局名 :神戸検疫所

契約相手方 :株式会社丸川建築設計事務所

契約金額  :19,950,000円

契約締結日 :平成21年11月26日

辞退届というものがありますが、参加は3社ということですか。

参加は3社で、1社が辞退、入札は2社で行いました。

丸川建築設計事務所と、もう一つがA社と書いてあるのは、普通こうやって匿名で扱うものですか。

公表をする際に、落札業者のデータは公表しているのですが、落札しなかった業者の点数がすぐ結びつかないように、例えばA・Bというような記載の仕方を行っております。

評価値みたいなところは、その会社の守秘すべきことなので、匿名で扱うという意味ですか。

はい。

基本設計がもう既にできていて、実施設計という発注なわけですか。

はい。基本設計は、私どもがやっております。

低価格入札で、もう1社の方もかなり安い値段を入れているわけですね。

はい。

設計事務所の仕事が少ないから、こういうことになっているのですか。

神戸検疫所の検疫検査センターは、こんなにたくさん仕事が出ないので、こういう検疫検査センターというようなものの実績を取りたいというところがあったものと思います。

特段の意見はございません。

 

 

【審議案件5】

審議案件名 :中央合同庁舎5号館ゴンドラ設備更新工事

資格種別  :−

選定理由  :随意契約中契約金額最大、高落札率

発注部局名 :大臣官房会計課

契約相手方 :日本ゴンドラ株式会社

契約金額  :60,900,000円

契約締結日 :平成21年8月18日

最初のゴンドラを設置したときの会社はどこですか。

日本ゴンドラ株式会社です。

設備工事で、1者しか応札がなく、応札したのはもともとつくった会社で、しかも不落随契ですが、ゴンドラの更新ということなので、別の会社が新しいものを入れてもいいのですね。

構いません。

ゴンドラは、別の会社は何社かありますか。

あります。

公告については、どのようにしていましたか。

 7月24日に公告を行い、貼り紙とホームページへの掲載を行っております。参加資格の表明締切は8月6日にしており、入札書の提出期限を8月10日としています。

予定価格は、どういう形でつくられましたか。

ゴンドラ会社3社に声をかけまして、そこから見積をいただき、それを基準として、予定価格を作成しております。

その会社が入札に来なかったのですか。

1社提出日が間に合わなかったということはありました。その会社が来ていれば1社応札ではなかったです。

一般論として、例えばこの件だと、ゴンドラを何年かたち、更新をしなければいけない時、例えば公示したときに、業者の中では、あの会社がやったところだからあの会社だろうから、うちはやめておこうとかいう意識は働くものですか。

そのようなことはないと思います。

 特段の意見はありません。

 

 

 

【審議案件6】

審議案件名 :サイクロトロン棟・画像解析センター整備工事実施設計

資格種別  :―

選定理由   :随意契約の設計・コンサルタント案件中契約金額最大、高落札率

発注部局名 :国立精神・神経センター

契約相手方 :株式会社佐藤総合計画

契約金額  :25,830,000円

契約締結日 :平成21年11月16日

この新棟の設計を受託したのが佐藤総合計画ですか。

はい、そうです。

サイクロトロン棟・画像情報解析センターは新棟と接続した一体建物として計画しており、法的手続の申請に当たり設計者の明確な区分が出来ないことから随意契約としております。

新棟とサイクロントロン棟と画像解析センターを何で一緒に出さなかったのですか。

新棟の新築のときには、サイクロトロン棟・画像解析センターについて計画はありましたが、まだ予算化されていなかったということです。

工事の予算化はされてないということですか。また、設計の予算化がされてないということですか。

厚生労働省では、工事の予算化がされないと、設計費も計上されないことになっております。

新棟の方は総合評価落札方式で決まったのですか。

これはプロポーザルです。

プロポーザルで新棟の設計が取れたら、一体的な建物だから、サイクロトロン棟の仕事も随意契約で入ってきたということですが、プロポーザルには、この新棟だけのプロポーザルですか。それとも、サイクロトロン棟とか画像解析センターも含まれたものでしたか。

新棟だけです。

その時期には、サイクロトロン棟・画像解析センターはまだ具体化されていませんでした。

落札率が非常に高いですが、面積や工事費で、人・時間というものが自動的に積算されるのですか。

はい。積算は国土交通省の基準に基づいて行っています。

仮にこれをまとめて発注したときの合計金額を分けたときの発注額を足したものとどのくらい差があるんですか。

あまり変わらないはずです。

随意契約の理由に、責任区分などに関する詳細資料の提出が義務づけられているとありますが、別の設計者が担当してもいいということですか。

担当した場合の責任は、全て申請者である設計事務所の管理責任者がその責任を負うことになります。

仮にこれを競争しても、手を挙げる人はいないということですか。

今の建築基準法がそのようになりましたので、判を押す本人が了解すれば、それは届出はできますが、責任を全部負うことになりますので、ほとんどの設計事務所は、ほかの設計事務所が設計した責任までは負わないです。

その上、処分もあり、1級建築士の資格もなくしてしまう可能性もありますので、そこは非常にシビアに各設計事務所は動くと思います。

随意契約が極めて不適切だとは言えないまでも、一体的にやったと見なされる建物を、予算年度の都合で本棟だけ建てておいて、次年度に画像解析センターを分離発注して、わざわざ随意契約にせざるを得ないようにしたという印象はありますね。

 

設計を待って、一つに発注するという方法もありますが、時間的な問題もあって、先に本体工事が出たということです。

建築基準法上、確認申請上、一体的に認められるということはわからなくはないですが、例えば差し支えない範囲で、渡り廊下とか、建物の軀体とか構造体を切り離して、エクスパンションジョイントでつないで一定の距離を置いて、別棟と見なされるようなふうに配置計画をして、これは別に発注するということもあるわけですね。

ただ、東京都の多摩事務所で事前に調整をした結果、一体の建物として届出なさいというふうな判断があったということもあります。

随意契約、全く不当なことではないですが、やはり今後工夫した方がいいと思います。

 

 

【審議案件7】

審議案件名 :指定添加物(トランスジェニックマウス突然変異試験)一式

資格種別  :役務の提供等(A、B、又はCランク)

選定理由  :低入札価格調査中契約金額最大

発注部局名 :国立医薬品食品衛生研究所

契約相手方 :財団法人食品農医薬品安全性評価センター

契約金額  :22,197,000円

契約締結日 :平成21年10月5日

昨年までは、どのような形だったのですか。

昨年までも、一応入札を行っておりましたが、実際に入札資格を持って、その試験を実施しているところはなかったので1者入札でした。

そのときの予定価格はどうしていましたか。

業者からの見積書の平均額を用いて予定価格を作成しました。

予定価格には、相場というのがあるのですか。

このトランスジェニックマウスを用いた遺伝毒性試験1添加物当たり1,000万円前後というのが一般的に言われている相場です。

これが、もし相場感で1,000万円×5で業者が入れてきていたら、その値段で落ちてしまっていたということになるかと思いますが、ほかの検査についても同じような発想で予定価格をつくられているのですか。

予定価格自体は、実際に立てるときは、市場実勢価格調査を用いてやるのが望ましいという形になっておりますので、複数者見積が徴収できるのであれば、その複数者から見積を徴収して、予定価格を立てることになります。

基本的に、人件費1人当たり幾ら、あと、動物を買うのが幾ら、ケージにかかるのが幾ら、技術料幾ら、それはそれぞれ単価が異なりますので、それを用いて一つ一つやっていくと、もしかすると、安いところというか、一般的に言われている金額よりも低くなってしまう可能性が出てきます。

類似の試験が、来年また出るとすると、予定価格はどうやって組み立てますか。

予定価格に、今年の契約金額は参考にできないと思います。

この業者に、本当にこの金額でできるのかと確認したとき、トランスジェニックマウスGTPデルタを用いるという形にはなっていますが、マウスじゃなくてラットの方で積算した金額だということです。本当にできるのかを確認したところ、正直言えば降りたい金額らしいのです。こちらとしては、契約を破棄しても構わないので、その旨通知を行ったところですが、の業者は、公共性の高い事業であるので、契約をしたいということでした。

入札決定してから分かったのですか。

低入札調査のときに、これは用いる動物が違うのではないかと考え、確認したところ、動物を間違えて計算していたということが分かりました。

予定価格は、業者から相見積を取り、一番安いものから取るということですか。

安全面を取って、一番高いところは省いて、安いところの平均値を使うとか。前年度の入札実績と今年度の安いところのその平均額を使うとか、なるべく予定価格自体を抑えようとはしていますが、一番安いのを用いるということは基本的にはないです。

今回は、この2者しかございませんので、応札してきた2者からの平均を用いております。

入札資格についてお伺いします。

トランスジェニックマウス自体は、特許の絡みもございまして、扱える者が、研究者個人が扱う分には扱えるものですが、請負の場合には、流通できない代物になっているらしいです。そのときに、そこの研究所でこれを扱える人がいる場合は入札に参加できます。去年までは1者でしたが、現在は2者ということです。

その予定価格を決めた方自体に、何か結構問題になるような気がします。予定価格を決め、それで入札してみたら、結果、低入札だったということのロジックが全然わからないです。

予定価格算出のところで、もうちょっと緻密なやり方とか適切なやり方があったのではという疑義が出されたということで、この件はまとめたいと思います。

 

 

 

【審議案件8】

審議案件名 :リニアック(直線加速器)治療システム一式

資格種別   :物品販売―医療用、化学用及び精密機器類(A、B、又はCランク)

選定理由  :総合評価落札方式中契約金額最大、1者応札、高落札率

発注部局名 :国立がんセンター東病院

契約相手方 :東芝メディカルシステムズ株式会社

契約金額  :967,260,000円

契約締結日 :平成21年11月6日

積算したときに、定価証明を先に取っているくらいですから、東芝のこの機械ではなくても入れる仕様になっていますが特定の機種を想定していますね。

予定価格算出内訳書の資料は、東芝メディカルから取っていますか。

応札希望業者が1者のみだったので、そこから提出された資料に基づいて予定価格を弾いておりますが、他の業者から資料等が出ていれば、他の業者のも提案した内容を加味した上で、予定価格を算出するようになります。

例えば、ここのドクターなり、事務長なり、この病院関係者が、東芝メディカルのリニアックを入れたいと思って、仕様書とかを作成したので、結果、そこしか応募できなかったという構図はありませんか。

それはございません。

9億円で、高落札率で1者応札ということは避けられないものですかね。

リニアックと言っても、性能はいろいろあるのでしょうけれども、1億円とか2億円で入っているものもあるみたいですが、仮にここが出してきたら、技術評価が0点ということはないでしょうから、9億円対1億6,000万円であれば、それでも技術評価の方がそこそこ行ってないと、1億6,000万円でも負けるんでしょうか。

総合評価落札方式になりますので、これが最低価格入札方式であれば、安いところになるとは思いますが。

このようなことがずっと繰り返されると、高額の医療機械は必ずこうなっているみたいで、そのロジックはよく分かりませんが、このようなことを続けていって大丈夫かなという一抹の不安感があります。これは特に不適切だというエビデンスは何もありませんので指摘はしませんが、大きい課題ですね。少なくとも公正な原理が働いている、透明性がある、公平性がある、あるいはわかりやすいとか、そういうことを何かうまく説明責任を果たせるような努力は別途必要ではないかと思います。

 

 

 

【審議案件9】

審議案件名 :残留農薬等試験法の妥当性評価試験(新規告示試験法11試験法)一式

資格種別  :―

選定理由  :公募案件中契約金額最大、1者応募、高落札率

発注部局名 :国立医薬品食品衛生研究所

契約相手方 :一般社団法人食品衛生登録検査機関協会

契約金額  :53,000,000円

契約締結日 :平成21年11月17日

試験の妥当性評価のため最低3機関で同じ試験を行うとのことですがこの「機関」というのは、どういうふうに理解したらよろしいですか。

3つの試験所ということです。

それは経営母体が違ってもよくて、これは一般社団法人が3つの検査所を持っているということですか。

協会に所属しているところで、別々な試験機関ということです。

個々の検査機関の運営主体は別法人ですか。

別法人です。

これは、再委託にならないですか。

登録検査機関協会の傘下機関であれば、委託には当たらないだろうと考えております。

そういう協会が1つしかなければ、これは未来永劫ずっと随契で続きますね。

今回は、11試験法でございまして、ちょっと分析する数も多いということになっていますので、これを1者ではないかというふうに思われますが、検査数が少なければ、ほかのところも入って来る可能性はあると思います。

3つの機関に分割発注したことによって高くなる可能性がもしないのであれば、むしろ、そのようにして競争原理を働かせるために分割発注した方がいいのかなと思いますが。

3機関でそれぞれに合っているかどうかをチェックするという方法もないわけじゃないですね。

最終的に出てきたデータをどこかに一括してまとめるとしたときに、その親となるところがあった方が非常にまとめやすいということもございます。

形は公募でやっていますが、結果、この一般社団法人食品衛生検査機関協会というところが、このままだと未来永劫ずっと随契ということになって、正当な価格競争が働かないし、予定していた価格が本当に妥当なのか、いわゆる説明責任が働かなくなるというおそれはありますね。

一般的に分析をしてもらうというのは、簡単なもの、例えば、食べ物の中に何が入っているか、1つの品目を探してくださいということであれば、一般の分析機関では、2030で大体分析してもらえると思います。また、残留農薬を1検体当たり何が入っているかという分析をする場合は大体100万円前後という相場は存在します。それから、衛生研究所としては、どのぐらいの範囲になるのかなという計算になりますが、それが25検体ございまして、3つの妥当性評価ということで、3機関ということで、25×3で7,500万円というのが大体の価格です。

国民に対して、説明責任とか、透明性ということについてはどうですか。

相見積は取っておりますので、A社、B社という形で、それぞれ取った金額を反映させている一覧表は付けさせていただいております。

今後も続くということですか。

事業として、これをこのままやるのか、どのぐらい続くかということはわかりませんが、あるとすれば、同じような形になってしまう可能性は否定できません。

随意契約というのはいろいろな意味で注目されているわけですので、随契にならざるを得ないということであれば、それに足る資料を付けてあれば、これはやむを得ないかなと我々が納得できるわけです。そこに至るプロセスとか、予定価格の設定とかということについて、口頭ではなくて、適切な添付資料を付けて説明される方がいいと思います。