第9回厚生労働省公共調達中央監視委員会

(第一分科会)審議概要

 

【問合せ先】

厚生労働省大臣官房会計課監査指導室

電話03−5253−1111(内7965)

 

開催日及び場所

平成21年12月21日(月) 厚生労働省専用21会議室

委員(敬称略)

第一分科会長  上野  淳  首都大学東京副学長

委 員     小川  広  独立行政法人日本原子力研究開発機構

財政部 上席参事

委 員     松原 健一  安西法律事務所 弁護士

審議対象期間

原則として平成21年7月1日〜平成21年9月30日の間における調達案件

抽出案件

  9件

(備考)

「報告案件」とは、各部局に設置された公共調達審査会において、不適切等と判断した案件について、報告を受けたものである。

報告案件

  1件

審議案件

 10件

意見の具申又は勧告

なし

委員からの意見・質問に対する回答等

意見・質問

回   答

下記のとおり

下記のとおり

 

 

意見・質問

回   答

 冒頭、事務局から、22都道府県労働局及び社会保険庁における公共調達監視委員会の活動状況の報告を行った。

【審議案件1】

審議案件名 :国立成育医療センター医療クラスター整備工事

資格種別  :建設工事−建築一式工事(Bランク)

選定理由  :1者応札、総合評価落札方式

発注部局名 :国立成育医療センター

契約相手方 :立花建設株式会社

契約金額  :435,750,000円

契約締結日 :平成21年7月22日

応札者が1者の場合、総合評価を実施し、この会社でいいものができるという最低点はありますか。

予定価格の範囲内で、過去15年間に同等以上の規模の施工実績があれば参加を認めておりますので、技術点が0点であっても参加できます。

Bランク工事で1者しか応札がなかったということについては、何か考えられることはありますか。

ホームページと電子入札のホームページで募集していたのですが、業界紙に募集をかけることを全く意識していなかったので、今後はこういうことがないように必ず業界紙に掲載するようにしたいと思っております。

図面からはそんなに難しい工事とも思えず、かつ、1者応札で、総合評価落札方式も全く機能していないということは遺憾な案件と思います。今後1者応札ということが起きないように公報の工夫等をよろしくお願いしたいと思います。

わかりました。努力して複数以上の参加をできるだけ促すようにしたいと思います。

 

【審議案件2】

審議案件名 :国立がんセンター東病院外来管理治療棟改修整備その他追加工事(電気)

資格種別  :−

選定理由  :随意契約中契約金額最大

発注部局名 :国立がんセンター東病院

契約相手方 :株式会社きんでん東京本社

契約金額  :44,100,000円

契約締結日 :平成21年8月21日

本体工事のときに、この追加工事が一緒に発注できなかったのですか。

予算の制約もありまして、設計がどうしても厳しい内容になったという経緯がありました。また、施工するに当たりまして、現場の状況等を調査したところ、取合いの関係で追加で出さざるを得ない部分が出てまいりました。加えて、施工を進めるに当たり、医療スタッフから聞き取り調査等も行って、いろいろ追加要望等が出てまいりまして、当初はそれほど大きな話になるとは思っていなかったのですが、これらが積み上がりまして、最終的に現場変更レベルの話では無理という判断をするに至りまして、この工事を発注するに至った次第です。

本体工事には何者が応札して、どのくらいの落札率で決まったのかという経緯を教えてください。

本体工事の入札では1回目で2者が応札しましたが、そのうちの1者が辞退し、不落になったため、随意契約になったところです。

適切に競争力、公平性・透明性が働くようにということが省庁に求められており、本体工事の入札の経緯はどう考えても適切な競争力が働いているとは言えませんし、もともとの設計概要が不十分であったので、その後の医療現場との話し合いで追加工事を発注せざるを得なくなったので、追加工事で随意契約にしたと。これは国民に対して十分納得のいく説明だとはどうも思えないので、遺憾の意を表させていただきたいと思います。

電気工事というのは特異な業者しかできないというものではないから、普通は何者か入ってくる工事ではないですか。

どうしても工期的なものもございますので、追加工事をやるに当たりましては、設計の中でどうしても難しいというか不備なところもございますので、いろいろ検討して追加の工事を発注しました。

また、本体工事は、予算も厳しいということがありますので、仕様的にはかなりスペックを落とし、スペックを落としたのは積算も厳しくなっているので、多分こういうことになったと思うのですけれども、結局スペックを落としたものでやりますと、特に国立がんセンターという日本を代表する医療機関ということもありまして、やはり医療スタッフの意識がかなり高いもので、どうしても不満が出ますし、これでは診療ができないじゃないかという大クレームになりかかったいきさつがあります。

御事情は説明されればわからなくはないのですけれども、あくまでも透明性とか公平性とか国民の目から見てわかりやすいか、そのことについて十分御留意いただく必要があると思います。今後こういうことが繰り返されないように十分設計のプロセスから御留意いただくことが必要ではないかと、強い懸念を示させていただきます。

 

【審議案件3】

審議案件名 :国立感染症研究所サーバー設備強化及び情報分析システム整備等に伴う工事

資格種別  :建設工事−建築一式工事、管工事、電気通信工事(Aランク)

選定理由  :1者応札、総合評価落札方式未実施

発注部局名 :国立感染症研究所

契約相手方 :株式会社協和エクシオ

契約金額  :366,240,000円

契約締結日 :平成21年9月10日

1者しか応札がなかったことの背景は何かありますか。

説明会には3者が参加したところです。当該整備の内容につきましては、今、流行しております新型インフルエンザの対策にも活用したいという要望がございまして、工期を今年度の3月31日までとはしておりますが、一部の機能につきましては、この冬の流行前に整備を終えたいので、10月末で一定の機能を持てるよう説明会のときに説明をいたしました。工期の短さ等と、調達内容にあります3つの工事の三位一体の工事で契約の内容が多様であったことが理由になるのかなと考えております。

総合評価落札方式にする必要はなかったのですか。

調達の中身につきましては、前年度までに感染研の研究者等で議論を重ねて煮詰めておりました。当該工事の詳細仕様書、設計書等につきましては業者委託をしておりまして、その設計書等に感染研の要望はすべて盛り込ませていただいておりました。その設計書等を正確に整備していただくという調達の内容でありましたことから、設計書の中に感染研の要望はすべて盛り込まれていると考えております。

公告方法と現場説明会の実施について説明してください。

公告方法は、感染研の掲示板への掲示、ホームページに掲載しています。説明会につきましては、平成21年9月3日に感染研で行いました。

広告方法として、業界紙への掲載はされましたか。また、業界紙に出す基準というのはあるのですか。

掲載されております。多くの場合こちらから積極的に業界紙に働きかけなくても、業界紙からの問い合わせがあります。感染研で工事の関係でこれまで公告をした中では、すべて業界紙から問い合わせがあって、業界紙に掲載されていると聞いております。

サーバーの整備等分析システムとそれに伴う部屋の改修と、かなり性格の異なるものを一本にしているので、応札がしにくかったという側面はないですか。

サーバーの増強を行うことと併せて、そのサーバーで感染症情報の集約や分析を行わせるので、それを運用・活用する場所が必要となりますが、その場所を既存の会議室を改修して行ったという工事の内容であり、今の新型インフルエンザ対策に活用することも併せて効果的な契約を行ったということです。どうしても分けて契約のできないような中身であったということになります。

著しく不適切だったと思いませんが、1者応札は国民の目から見たときに、適切な競争力や公平性が働いているかということについては誰しもが疑問を抱くところなので、期間の問題等いろいろあるのでしょうけれども、1者応札という事態が発生しないようにいろいろな工夫をしていただくことを是非よろしくお願いしたいと思います。

 

【審議案件4】

審議案件名 :国立総合児童センター(平成21年度)改修工事に係る設計及び施工監理業務

資格種別  :測量・建築コンサルタント等(Aランク)

選定理由  :指名競争入札、設計・コンサルタント業務

発注部局名 :雇用均等・児童家庭局育成環境課

契約相手方 :株式会社山下設計

契約金額  :20,475,000円

契約締結日 :平成21年7月29日

昨年も同じ案件で審査した際には、改修設計で2,000万円ぐらいの案件で、Aランクである必要があるのでしょうかという指摘があったにもかかわらず、また、指名競争入札でも同じ会社というのが繰り返されていて、去年指摘したのは一体、何だったのかということになるので、経験がないのであれば、例えば、案件をたくさん持っている会計課施設整備室にご相談していただくなどして、次回は是非工夫をしていただくということでよろしいですか。

もう少し業者さんも多く参加してもらいたいと思っておりますので、来年は改善したいと思っております。

【審議案件5】

審議案件名 :国立療養所栗生楽泉園建物解体整備工事

資格種別  :建設工事−建築一式工事(C又はDランク)

選定理由  :低入札価格調査

発注部局名 :国立療養所栗生楽泉園

契約相手方 :株式会社オーケンコーポレーション

契約金額  :24,748,500円

契約締結日 :平成21年9月3日

4者の入札者が低入札価格調査基準額を下回っています。予定価格そのものが妥当だったかどうかというのは検討されましたか。

予定価格については、当初設計依頼しました設計事務所で積算しました工事費をもとに、直接工事費から経費等を積算しました。

要するに、すべての業者が低入札で入れているものですから、果たして積算そのものが正しいものかという疑問を持ったということです。

妥当価格というのが我々には少々わかりにくいところもあり、設計業者さんにお任せしてしまったところでございます。

4者の応札があり、適切な競争力が働いているところは特段の指摘はありませんが、少なくとも4者とも60%近い値段で入れているというところで、やはり原設計の価格が適切であったかどうかということについては若干疑点が発生していますので、今後そういうことについて是非精査をしていただくようによろしくお願いしたいと思います。

 

【審議案件6】

審議案件名 :N95微粒子用マスク(折りたたみ式)他1,913点

資格種別  :物品の販売(A、B、又はCランク)

選定理由   :高落札率

発注部局名 :国立国際医療センター戸山病院

契約相手方 :株式会社イノメディックス

契約金額  :431,565,831円

契約締結日 :平成21年9月25日

イノメディックスという会社が1,913点分を契約しているのですか。ほかにもいろいろな会社がありますよね。それがまたほかに何点という契約のやり方なのですね。入札は1回で全てやるのですか。

はい。品目の予定価格を立てまして、4,295品目ありますので、それを11者で入札しております。

その中で一番安いところを拾い上げて一本の契約にして、単価契約とするということですね。その場合の予定価格は、どのように積算するのですか。

前回の納入価格をベースにし、他施設に照会をかけ、ほかの施設の納入価格を参考に、予定価格を設定しております。

落札率が極めて高いというのは、何か背景は考えられますか。

予定価格が前回の価格を参考としていますので、1年に上期・下期と分かれてやっていますが、前回の価格から余り落ちないという部分があり、品目によっては予定価格と100%の価格という部分もあるので高くはなってしまうと思います。

毎回同じ業者が落札するのですか。新しいところが落とそうとすれば前のを調べて、自分はそこより安く入れないと多分入れないですよね。

医療材料というと、今落としているところは大体メーカーの代理店等になっていて、直接メーカーが販売していただければもっと落ちるとは思うのですが、やはり代理店、卸になってくるので、メーカー得意先の代理店等であれば、そこのメーカーに固まってしまう場合もあります。

手続的に特に問題があるとは見受けませんが、こういう状況が固定化されて、ずっと現状が維持されてコスト競争が働かないという要因が、システムにもしあるとすると、工夫の余地が何かあるのではないかと思いますので、できればそういう努力を今後していただくよう要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

【審議案件7】

審議案件名 :Cdkal1マウスに関するフィジビリティスタディ契約

資格種別  :−

選定理由  :新規の随意契約

発注部局名 :国立国際医療センター戸山病院

契約相手方 :株式会社トランスジェニック

契約金額  :2,100,000円

契約締結日 :平成21年7月17日

契約の性質が競争を許さない、特許を持っていて販売しているのは当社だけであると、これはやむを得ないですか。

ここしか特許を持っていないということですので、特許を取っていればやむを得ないとは思います。

もし、相当金額が高くて、どうしても随意契約せざるを得ないときには、随意契約理由書で、これがどうしても国家施策上必要でというようなことを、かなり述べなければいけなくなると思います。

御説明はよくわかりましたので、随意契約のときには、すべからくこのようにしていただくと国民にもわかりやすいかと思います。

 

【審議案件8】

審議案件名 :輸入食品中の放射性核種に関する調査研究一式請負契約

資格種別   :役務の提供等−調査・研究(A、B、又はCランク)

選定理由  :一般競争入札、1者応札

発注部局名 :国立保健医療科学院

契約相手方 :財団法人日本分析センター

契約金額  :21,945,000円

契約締結日 :平成21年8月14日

この業務をできる会社というのは少ないのですか。

入札の説明書を取りにきた業者は3者ございました。私どもといたしましても、日本分析センターに同じような業務ができる会社はほかにないものでしょうかと聞きましたが、具体的にはわかりませんという答えでした。

ISOIEC17025の認定書がないと、この調査が的確にできないという判断なのですか。

ISOIEC17025というのが、こういう試験等を行う機関のマネジメントシステムですとか、技術的に適格もしくは技術的に妥当な結果を出す能力があるというようなことで、精度自体をきちんと担保できる上で、やはりこういったものが必要ではないかと思います。

見積もりをとった2者のうち1者が落札した会社だったということですが、こういうことはよくあるのですか。

一般的な役務などであれば、積算資料といったものを参考にして予定価格を立てることもできるわけでございますが、専門的な試験の内容になりますので、資料をもとに予定価格を立てることはほとんどできないので、こういった結果になっております。

検査項目をバラバラに発注するというのは、余り現実的ではないのでしょうか。

1つの食品につきまして5つの項目を検査するということですので、1つの食品のうちの2つをA社、3つをB社となりますと、やはり検査精度等の問題が生じる可能性があるということだと思います。

一定程度特殊性がある業務ですが、やはり国民の目から見て1者しか応札がないということについては、今後、少なくとも改善していただく努力をしていただく必要があるのではないかと考えますので、その点どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 

【審議案件9】

審議案件名 :がん検診向上指導事業支援業務

資格種別  :役務の提供等(A、B、C又はDランク)

選定理由  :随意契約(企画競争)

発注部局名 :国立がんセンター中央病院

契約相手方 :株式会社キャンサースキャン

契約金額  :40,920,390円

契約締結日 :平成21年9月9日

企画競争を行って1者しか応募がない場合、これがよろしくないときには排除できる仕組みではあるのですか。その基準はどのようなものですか。

基本的には評価基準にのっとって採点をします。当然、出てくる業者によって評価ラインというのは自ずと決まってくると思っております。今回は、内容を審査させていただいた上で、我々が委託するに十分な資質を持っているというところで評価したところです。

こういう支援業務について、この会社以外に中央省庁や地方公共団体でこういう業務をやっているという調査はやられたことはありますか。

がん検診の受診率は、国もさることながら各市町村、県も、それぞれ受診率の向上については従前から取り組んでいるところでありまして、各自治体で、それぞれがん検診の受診について独自に取り組みを行っています。その中で、シンクタンク系が過去に自治体からの依頼をもって応札し、受託しているという実績はあります。

今回キャンサースキャンになったというのは、そういうほかのシンクタンクなどは出てこなかったのですか。

企画競争におきましても、ホームページで公開しておりますので、情報は十分お伝えしていると認識しておりますが、仕様書等をみていただいて、残念ながら1者だけが上がってきたと理解しております。

来年も同じような調達があるとすると、1者応札にならない努力をしていただくということを是非お願いします。また、企画競争の後の価格については、適切な予定価格を持っておられて、それとの関係で金額が定まっていくような方法を考えていただくのが妥当かなと思いましたが、いわゆる総合評価方式等の方式を工夫していただくということはあり得る方向だと思いますので、そういう工夫を是非よろしくお願いします。

 

【報告案件】

審議案件名:平成21年度有線放送聴取料契約

資格種別 :役務の提供等(A、B、C又はDランク)

選定理由 :

発注部局名:国立塩原視力障害センター

契約相手方:株式会社USEN

契約金額 :1,033,200円

契約締結日:平成21年4月1日

この会社以外が応札する可能性は現実にあるのですか。

調査したところ、USENは業界のシェアの8割ということで寡占状態になっております。実際に公告をかけたところ、USEN以外には現れず、1者応札になりました。ただ、競争がないのも問題ですので、来年度に向けてまた調査したいとは思っております。

公共調達審査会で不適切と指摘があった内容はどのようなものですか。

空き部屋が多いのに全居室に有線放送のチューナーがついているのはむだだということで指摘を受けまして、改善したいと考えております。

入所者に合わせて、チューナーの台数を減らすということはできますか。

3月に平成22年度の入居予定者が分かりますので、利用者さんの数に応じて契約を結びたいと、それでむだを省きたいと考えております。

センターの方では不適切とされた意見に従って、更に実情に合わせて契約を見直すということなので、改善を是非よろしくお願いいたします。