第5回厚生労働省公共調達中央監視委員会

(第二分科会)審議概要

 

【問合せ先】

厚生労働省大臣官房会計課監査指導室

電話03−5253−1111(内7965)

 

催日及び場所

平成20年12月24日(水) 厚生労働省専用第21会議室

委員(敬称略)

第二分科会長  浅岡 輝彦  あさひ法律事務所 弁護士

委 員     枝松 広朗  あおば公認会計士共同事務所

委 員     松永 賢次  学校法人専修大学ネットワーク情報学部准教授

審議対象期間

原則として平成20年7月1日〜平成20年9月30日の間における調達案件

抽出案件

10件

(備考)

「報告案件」とは、各部局に設置された公共調達審査会において、不適切等と判断した案件について、報告を受けたものである。

報告案件

 0件

審議案件

10件

意見の具申または勧告

なし

委員からの意見・質問に対する回答等

意見・質問

回   答

下記のとおり

下記のとおり

 

 

意見・質問

回   答

 冒頭、事務局から、23都道府県労働局における第三者委員会の活動状況の報告を行った。

【審議案件1】

審議案件名:次世代シークエンサーシステム 一式

資格種別 :物品の販売(A、B、Cランク)

選定理由 :一者応札(一般競争入札)・高落札率

発注部局名:国立がんセンター中央病院

契約相手方:岩井化学薬品株式会社

契約金額 :82,740,000円

契約締結日:平成20年10月27日

予定価格を設定されるときに値引き率を5%にされている根拠はどういうところにあるのでしょうか。

 入札を行うに当たって私どもの方としては市場の実勢価格というものは当然考えながらやるんですけれども、今回の案件につきましては実勢価格ではなかなか出しにくいという事情がございますので、まずメーカー側からの現状での取引の大体どの程度のレベルというところで2%、3%がめいっぱいだという話は事前にいただきました。

 そこで、私どもの方としては2%、3%ということを踏まえながら、落札できる価格はどの程度かということで、可能性として5%というところに一つの標準を置いて設定したということでございまして、なかなか緻密な予定価格の算出までには至らなかったのは事実だと思います。

日本にイルミナ社製の代理店が十数社あり、その中で3社に入札の参加の意思がありましたということなのですけれども、結局1社になって2社が降りられたという理由はどういうところにあるのでしょうか。

結局、値引き価格ですね。参加する意思のある業者に対してはできるだけ安い価格で入札するのは当たり前だというような前提で話をさせていただいておりますので、そこら辺のところは強く受け止められて、多分下りたのではないかとは考えています。

その機械の設置あるいは試運転等につきましては、かなり技術的に難しいものなのでしょうか。

中身はDNAの解析を行う機械ということですので、機器としては相当レベルの精密度があるということは事実だと思います。一種のコンピュータをメインにした機械ということになりますので、言い換えれば代理店になっているということは、その依頼元の方からは一つの御墨付きを受けたということになります。その点では、この機械の販売代理店になっているところのどこでも、私どもの方の予定価格に入れば問題ないという姿勢で入札を行ったということでございます。

結果として1社しか入札する会社はなかったということですか。

そういうことです。書類を取りに来たのは3社ございました。それで、結果的に仕様書を見ながら、あとは価格だと思います。業者側もどの程度の札を入れられるかという点で御検討なされて、結果的には辞退したみたいだというふうに私どもの方は受け止めます。

これはメーカーも製品もその製品の仕様もすべて特定のものに決められているのですか。それとも、そうではないのですか。この入札公告を見ると、別にイルミナ社製である必要はなさそうではありますが。

はい。ただ、仕様書の中に1企業名を入れるというのは公平性から問題がございますので、どういう機械が必要であるかという点で仕様書の中にあります技術的要件をすべて満たしているということ、これを満たしておれば私どもの方としてはどういう機械でも問題はないということになると思います。

すべて満たしているものというのは、このイルミナ社製のものしかないのですか。

結局はこれしかないというのが事実でございます。

その情報を握っていて、イルミナ社にこの見積りの依頼をしているということになるのですか。

そういうことですね。ターゲットはこの研究自体の目的は何かというところにございますので、この研究が速やかに分析、解析ができる機械ということになると、ターゲットはどうしてもこの機械しかあり得ないというのが研究者側からの依頼でございます。

その製品の仕様はすべて決まっていて、それであとの問題は代理店をかませていますが、代理店をかませる理由も余りなさそうにも思うのですが。

ただ、国内での販売ということはこのイルミナ製は実質行っておりませんで、入札資格もございませんので、どうしても私どもが手に入れようとすれば入札資格をお持ちになっている代理店が相手になるということになります。

要するに、入札資格の問題ということですか。

そういうことです。

そうなると、それが何となく競争でもって安くしようという方向に働かないようなことにもなるのでしょうね。代理店がかめば、代理店の手数料がそこに落ちる。価格は仮にその製品が特定されていれば、そのメーカーの意向によらざるを得ないということですね。

現状もしほかの会社がないという説明が正しいのであればこういうことになってしまうのはやむを得ないのかなと思います。

それでは、御苦労様でした。

 

【審議案件2】

審議案件名:自動再来受付システム用呼出受信機一式の調達

資格種別 :−

選定理由 :随意契約(新規)

発注部局名:国立成育医療センター

契約相手方:パナソニック四国エレクトロニクス株式会社

契約金額 :10,762,500円

契約締結日:平成20年9月10日

例えば、価格が妥当であるというのは何か根拠はあるのでしょうか。

当初、導入のときの価格を参考にいたしまして、業者様から参考見積をいただいてということで予定価格を算出させていただいております。

当初、購入されたときの台数とか単価、それから契約方法はいつかという辺りにつきまして御説明をしていただけますか。

19年度くらいしか今は記憶にないですが、台数については250台でありました。

それで、今回更に250台追加されたということですか。

当初は一般競争入札でやらせていただいております。

そのときの単価は幾らだったのですか。

申し訳ありません。単価は今わかりません。

積算の根拠がないので、適正なのかどうかというのはこちらでは意味がわからないですね。予定価格は前年の価格を参考にしたかもしれないけれども、もしそうだとしたらそれなりの資料を付けていただかないとわからないですね。

では、宿題ということにしましょう。

 

【審議案件3】

審議案件名:医療情報システムのための医療知識基盤データベース研究開発事業

資格種別 :−

選定理由 :1者応札(企画競争)、再就職者2人、国庫債務負担行為

発注部局名:医政局

契約相手方:国立大学法人東京大学

契約金額 :172,103,085円(平成20年度)

      160,250,475円(平成21年度)

契約締結日:平成20年5月16日

今回の案件につきましては、東京大学以外のところで受注ができる可能性というのはあるのでしょうか。

ほかの大学でも研究はやられているという話は聞いておりましたので、ほかのところも手が挙がってくる可能性はあったと思われます。資料を求めたところは何者かあったというふうに聞いております。

それで、審査をされたときに、審査内容の資料というのはこの中にはあるのでしょうか。

はい。細かい審査内容は付けておりませんが、参考のところを見ていただければ企画審査委員会の委員に個別審査をしていただきまして点数化しました。それが平均点という形になっており、東京大学と締結したという形になります。

この審議案件は何を達成すれば出費が妥当かということになってくるのですか。

実際にこれをソフトウェア化しまして、各医療機関とか研究機関においてそれぞれの症例とか、そういったものを活用できるような形にするということでございます。

 平たく言えば、辞書をつくるというイメージではあるのですが、それを利活用していただかないと、ただつくっただけでは何もならないという形になりますので、そのソフトウェアまで開発していただく。それを実際は医療機関なり研究機関が利用していただくということになるかと思います。

支出予定額内訳にあるこれだけの人を雇って働かせればできるということの妥当性というか、そういうものが直観的にはよくわからないところがあります。

 これですと、人件費というと特任教員が650万円の人が14人いて、600万円の人が2人、技術支援員が400万円の人が1人いらっしゃるということで、あとはデータ処理とプログラム開発の人がこれくらいいますということなのですが、どうもこの辺がかなり大ざっぱな感じを受けるのですが、何かこういう人たちを集めた根拠というのはあるのでしょうか。

予算要求するに当たりましてはデータベースの専門家とか、そういった方からも話を伺いまして、大学の先生などからも話をいただいてつくったという形になります。

 それで、実際にイメージ的には今あります本当に紙になっている各医療用語集みたいなものを体系づけてすべて整理していくという形にはなるのですが、それが実際にプログラム的にコンピュータ処理をしていくことになりますので、かなり時間を要するという形にはなるかと思います。

 

例えば、特任教員と言ったときにどういう人を想定して650万円ということなのでしょうか。これは、どちらかというと助手に近いようなレベルだと私は思うのです。ですから、比較的、年の若い研究者が多くいると達成できるという判断でよろしいでしょうか。

実際の話としましては工学系の方、医学系の方、それぞれを集めましてやっておりますし、実際は教授クラスとか、そういう形ではなくて、やはり研究員クラスの方々に集まっていただいてやっていただいているという状況になると思いますが。

実際のプログラム開発費というのは540万円で済むとは思えないから、割と若手の方で工学の方からきた人がプログラム開発もかなりやるということが想定されていると。

全体でやっていくという形になろうかと思います。初めてのものと言っていいのかどうかわかりませんが、まだ日本の医療界において確立されたものはでき上がっていないということなので。

これは、外観だけから見ると、国が旗を振ってこういう研究をしてデータプロジェクトをつくろうというふうに見えるのですけれども、実際には東大ならば東大の中でこういうものが事実上進められていて、それでそれを国がオーソライズして実際には研究助成金みたいな形で使おうと、こういうふうなことなのでしょうか。

 そうじゃないとすると、参加というか、募集要領を公布するのが3月4日で、企画書を提出するのが21日と、14日間でそこまでやるというのは、先行している研究とか、そういうものがないと無理だろう。例えば、ほかの大学なりほかの研究所がこういうことをやろうとしても、そんなに短期にこういうことを企画するのは無理だと思うので、実際はそうではないのではないかと。

実際に19年度につきましては企画競争入札で単年度予算という形でやっておりまして、そのときに実際は東大が取ったということにはなっております。それで、今回20年度、21年度の国庫債務ということで、事業としましては今回データベースの構築ということで5ページにあるのですが、19年度につきましては委託済みということになっています。ですから、ちょっと期間が短くなっているというのは確かにあるかとは思います。ただ、19年度につきましては実際に企画競争入札を行った案件ではございます。

今回の開発につきましては、財政当局からも国庫債務負担行為でやった方がいいのではないかという御指摘もいただきまして、20年度、21年度の国庫債務負担行為の予算が確保できましたので、その形で執行したという形になります。

ただ、事業的には一応切れる部分がございましたので、再度企画競争入札に付した形にはなってございます。

では、終わります。御苦労様でした。

 

【審議案件4】

審議案件名:国立高度専門医療センターの独立行政法人化に向けた会計制度構築に関する支援業務

資格種別 :役務の提供等(B、C又はDランク)

選定理由 :1者応札(一般競争入札)

発注部局名:医政局

契約相手方:牧公認会計士事務所

契約金額 :11,970,000円

契約締結日:平成20年6月11日

予定価格調書のところに予定価格算出内訳という別紙があるように書いてあるのですが。

こちらの方には添付していないのですが、積算の根拠といたしましては、公認会計士1人当たりの1時間当たりの時間単価プラス1か月当たり業務にかかる時間ですね。それをこちらの方で算出いたしまして、予定価格を6月16日から21年3月31日の分を算出して予定価格とさせていただいております。

何時間仕事をするというのは、6月16日から3月31日にフルタイムということはないですよね。フルタイムで1人が張り付くとか、そういう計算なのでしょうか。

月に1、2回なりの会議でもって専任の方を当然付けていただくのはもちろんです。あとは、協力体制でということで今回お願いしていますので、各担当ということで選出された委員の方にも御出席いただいて、そこで議論をするというような形で考えて算出をしております。

1か月当たりの作業時間は、58時間程度を見込みました。

時間当たりの単価はどういう根拠なのでしょうか。

公認会計士ほか2社の単価を見積りでいただきまして、それと公認会計士事務所の時間単価を比較して、一番低い牧公認会計士事務所の単価を採用しました。

このアドバイザーは非常に高度な専門的能力と実務経験が必要だと思うのですが、調達概要書の中の「受託者にかかる要件等」に「独立行政法人及び国立大学法人の病院の監査または制度設計に関する業務の実績を2法人以上有している」というふうに要件が書いてありますが、この辺のチェックはどんなふうになさったのでしょうか。

実績報告書をいただいて、そちらの方では確認をしております。

競争入札のところで、公告日と入札日が非常にぎりぎり10日間になっています。この辺についてはもう少し余裕がないといけないかなとも思うのですが、いかがでしょうか。なかなか入札に参加できる法人の方、会計士の方がかなり制約されてしまうようにも思うのですが、いかがでしょうか。

期間については御指摘を受けて今後の参考にさせていただきたいと思いますが、一応法律及び通知等に定められている期間の10日間は守っておりますし、ちなみに申し上げますと入札説明書ですね。こちらの入札案件に記入していただいた業者は落札業者を含めまして8社ございましたので、著しく短かったとは言えないのかと考えております。

受託者にかかる要件の「独立行政法人及び国立大学法人の病院の監査または制度設計に関する業務の実績を2法人以上有している」というのが今の期間の短いことと合わせて事実上の参入障壁みたいになっているようには思いませんか。

 ある程度うちの方も経験を有した方がどうしても欲しいということも考えていましたので、そこについては最低限の条件として私どもは考えておりました。

1法人を有しているだけでもよさそうに思いますね。

なかなか1法人というよりも、複数経験があればそれに越したとはないというようなイメージでいたのですが。

こういうものをどんどん付け加えていくと既得の権益化しますよね。

そういう条件的なところは限界のレベルであるとは感じています。

もともと独立行政法人にしても国立大学法人にしても最近つくった制度ですから、先行した利益のところがどんどん取っていってしまうというのはどうなのかなと、競争を推進するという立場からするとそういう気がします。

ほかによろしいでしょうか。御苦労様でした。

 

【審議案件5】

審議案件名:監督・安全衛生等業務及び労災保険給付業務の業務・システム最適化に係る運用等業務一式

資格種別 :役務の提供等(Aランク)

選定理由 :一者応札(一般競争入札)、再入札2回目、高落札率

発注部局名:労働基準局労災補償部

契約相手方:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

契約金額 :3,549,000,000円

契約締結日:平成20年9月12日

大変大きな金額の仕事なのに1者しか出してこないというのは、何か理由が考えられるのでしょうか。

6者が説明会には参加してきておりましたけれども、今般の調達が運用業務ということでございますので、一般の調達と異なりまして、技術者を含めましてその間のマンパワーの確保を確実にされなければいけないというようなものもございまして、そういったところである程度大手の会社であっても他との契約等の状況でマンパワーの確保の見込みがつかないとか、そういったような状況もあったのかなというふうに個人的には問題として考えるところだと思っております。

逆に言えば、仕事が大き過ぎるから入りにくいと。

システム自体が全国展開で一体的に運用されておりますので、どうしてもそういった形での発注をとらざるを得なかったというところでございます。

システムそのものの導入につきましては、業者さんはどちらだったのですか。

開発業者はNTTデータでございます。運用につきましては、伊藤忠です。

それで、ずっと前からおやりなのですか。

分割発注をそれぞれしておりまして、設計開発はNTTデータですが、ハード業者がCTC、ここの会社が既に落札していたということで契約しております。

そうすると、どちらかというと伊藤忠が運用せざるを得ない。中身については伊藤忠がすべて理解しているので、運用につきましても伊藤忠がならざるを得ないということになるのですか。

理解しやすいという意味で言いますと、NTTデータが開発していますので、正直な話、ハード業者だとかはやはりそういう携わっているところの方が理解しやすかったのだろうとは思われます。

ほかの会社さんでもできないことはないですか。

できるような仕様書を作成しております。

ちなみに、NTTデータは当初から参加する意思はなかったのですか。

入札説明会には来ておりましていろいろ検討したようなのですけれども、金額が折り合わなかったのか、それとも手が回らなかったのか。ちょっとわからないのですが、結果としてはこなかったということです。

作業する人の確保などというのは、やはりメーカーの方が確保しやすいのですか。

NTTデータは先ほどありましたように、今はソフトというか、開発の方の契約をしておりますので、そちらで相当要員は使っていらっしゃるのではないかと思われます。

わかりました。よろしいですか。では、御苦労様でした。

 

【審議案件6】

審議案件名:機械設備に係る危険性・有害性等の調査等の実施促進事業

資格種別 :―

選定理由 :1者応札(企画競争)、再就職者数3人

発注部局名:労働基準局労災補償部

契約相手方:中央労働災害防止協会

契約金額 :22,368,876円

契約締結日:平成20年7月7日

この事業につきましては、ずっとやられている事業なのでしょうか。それとも、今回初めてという事業なのでしょうか。

当初、19年度に全般的な研修会のようなものを実施しておりまして、それを受けまして20年度は中小の遅れがちな事業者を対象として個別の指導を中心としたものを実施するという計画で進めております。

 なお、この事業としては1920年度限りということです。

この入札した中央労働災害防止協会というのは、どういう団体でどういうことをされているのでしょうか。

労働災害防止団体法という法律に基づき設立された団体でして、主に労働者の安全を守るための活動を自主的に行っている民間団体です。

厚生労働省から中央労働災害防止協会にこういうような関連で仕事がいくというケースは、一般的に見てかなり多いと思ってよろしいのでしょうか。

安全衛生に関します業務について、今はすべて企画競争なりでお願いをしていますが、そういったところで当然参加されてこちらが落札者になればお願いをしております。

では、大抵はこういう案件であればまず入札してくるであろう会社であるということですか。

こういった専門性が特に問われる事業になりますと、一般の民間の事業所でも、特に専門性の高いものについてはノウハウがあるところが非常に限られてくるということは事実だと思います。

機械設備の危険性が現実化して、何か事故が起こった。そういうことの情報というのはどこに寄せられるのですか。

まず労働安全衛生法に基づきまして機械設備の事故、特定の機械ですけれども、それについては事故が起こった時点で報告する義務があります。

また、死傷病報告と言いまして、労働者が1日以上休業するような災害については労災の請求より前に、遅滞なく労働基準監督署に報告するように定められております。

そういう情報というのは、すべて行政の方に集中されることになりますね。その集中された情報を今この企画競争の中央労働災害防止協会に提供するのも、やはり厚労省ですか。

災害情報につきましては毎年統計を取りまとめておりまして、大体月の初めの7日くらいに厚生労働省のホームページにアップするようにしています。中災防だけではなく、一般の方々も御利用できるような状況にはなっています。

その情報を使えば、ほかの団体もこういう企画競争をするのに必要な情報は得られるであろうということになりますか。

情報の発生状況とかは当然つかめますし、国がそれで何を求めるかというのは企画書を求める際に提案としてこれについてということで求めておりますので、そこの発生と防止の間にありますノウハウといいますか、専門性が確立されていれば、一般の事業者でも当然参加は可能ではないかと思います。

結局は、厚労省の外郭団体だったから過去の蓄積でそういうノウハウも蓄積されて、それが優位に働いてほとんど1者しか企画競争に参加できないということになるのですか。

これまで一般の事業所ではそういったものを専門にする事業が余り出ていないということはあるかもしれません。法令の下では、安全のコンサルタントでありますとか、労働の衛生コンサルタントでありますとか、こういったものの制度もございますので、そういった業の方々が実際に参画するという意思を持たれれば、当然ある程度のものはできるはずでございます。

過去の蓄積がないから、結局は企画競争になっても負けてしまうかなという感じでしょうか。

専門のそういったスタッフを確保さえできればよろしいのではないかと思います。

 ただ、このように単発ですので、その年だけ人を確保できるかとか、そういった問題はどうしてもあろうかと思います。

よろしいですか。では、御苦労様でした。

 

【審議案件7】

審議案件名:仕事と生活の調和推進モデル事業に係る周知広報事業一式

資格種別 :役務の提供等(A、B又はCランク)

選定理由 :総合評価落札方式、低入札

発注部局名:労働基準局

契約相手方:株式会社電通

契約金額 :78,645,000円

契約締結日:平成20年6月13日

低入札価格での落札ということになっておりますけれども、その主な理由としてはどういうものが考えられるのでしょうか。

今回の事業といたしまして、一番金額の高いものというのは新聞への公告掲載というふうに考えておりました。

 まず、積算金額としては、新聞掲載の料金を予定価格の大半であると見込んでおりました。これに対して落札業者から示された内訳で差額が1億円弱生じておりました。私どもの資料をよく読み取れなかった部分や公表されている資料の割引制度をよく適用していなかった面ですとか、あるいは落札していただいた業者さんがある程度企業的に努力をしていただいた結果だとか、そういったものが今回合わさった結果として低い落札率になってしまったものと考えております。

新聞掲載についての価格差が非常に大きいということですけれども、厚生労働省さんの方が予定価格をつくったときは、どういうものをベースにつくられたのでしょうか。

基本的な資料となりますのは、一般的に新聞広告料金表というのが示されており、そちらの金額を基に積算をいたしました。

余りにも隔たりが大き過ぎるなという気がするのですが。

今回私どもが積算をした際には、例えば新聞掲載につきましては段ごとに掲載量を増やせば増やすほど割引制度が適用されるということがございますが、これを適用せずに本当に1段当たりの単価掛ける30段ですとか、45段ですとか、そういった単価で積算いたしましたので、結果的にある程度乖離してしまったということもございますし、また業者に伺ったところもやはり今回の調達案件をある程度取りたいという意欲があったので、普通の入札する金額よりも低目に入れてきたといった事情もございました。

例えば、1者しか入札者がいなくて、その1者につきましてもこの辺の金額については非常に大ざっぱな見積りをしてきた場合、非常に高い価格で落札される可能性もないとは言えないということからすると、やはりこの辺の予定価格の見積りにつきましてはもう少し厳重にチェック体制等を考えてやられてはどうかという気がいたします。

そうですね。一般的に公表されている資料に基づくというのはもちろんですが、実勢がどれぐらいなのかというのはやはり入札を積み重ねていって経験した中で、ある程度の割引率ですとか、そういったものを把握する必要があると考えております。

少し専門的な方にチェックをしていただくとか、そういったことにつきましてはいかがですか。

やはり金額がある程度の規模になれば、外部の意見ですとか、そういったものも拝聴するといったことは考えていかなければならないことだとは思います。

この全体の中で新聞掲載の割合が非常に大きい入札というときに、言ってみればほかのものが新聞の値段に隠れてしまうということになりかねないと思うんですけれども、全体の中で余りにも新聞の掲載だけが大きいパッケージというのでしょうか、それがそもそもいいのかどうかというのはちょっと考えてしまうところあるのですが、どうなのでしょうか。

今回、厚生労働省の取組みを広く周知するに当たりまして、厚生労働省側として一番有効だと考えました媒体が新聞だったということになりましたので、今回の金額になっております。今後、例えば追加していくとしても、インターネットのバナー広告ですとか、駅張り広告ですとか、そういった媒体の比率を高めて、新聞に突出しないような広告の構成にしなければならないというのも一つの考えではあると思います。

この採点結果によると、価格点が1マイナス予定価格分の入札価格掛ける60点で、技術点は何点になるのですか。

技術点につきましては、120点満点で採点しております。

価格点は1対2で分けているのですね。

そうなります。

技術点でもトップで、価格点でもトップになるのですか。

技術点、価格点、共に1番であったということになっております。

そのようですね。ほかに御質問ありますか。よろしいですか。

それでは、御苦労様でした。

 

【審議案件8】

審議案件名:平成20年度ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合開催事業

資格種別 :−

選定理由 :1者応札(企画競争)、再就職者数4人

発注部局名:大臣官房国際課

契約相手方:社団法人国際厚生事業団

契約金額 :38,372,821円

契約締結日:平成20年6月23日

企画競争をしてはみたものの、1者しか現実には入札してこないということなのですが、ただ、入札に変えることによって例えば提案する金額が下がってくるとか、あるいは企画内容がよくなるというような効果がある可能性もあるとは思うのですけれども、企画競争にしたことによる変化というのは何かあるという話は聞いていますでしょうか。

それまでの随意契約に比べると公示、それから募集要領の段階で内容の明確化により、契約相手が変わらない場合であってもどこまでを受託業者が、どこからは委託者本人がというところは、よりわかりやすい形になったのではないかと考えております。

 金額については、予定価格どおりの金額で、内容が明確に仕様書等に示されていないだけに、どこまでの範囲というのがわからないままに出された実績報告が、この金額を超えれば金額いっぱいに支払っていたという実情があったところ、最初の見積り段階、契約する段階で内容をかなり細かく書くという姿になっておりますので、徐々に予定よりは下がった契約で、しかもそれが実績報告では、それは年によって違うと思いますが、より中身を見ていっぱいいっぱいに払うという姿は直っていくのではないかと考えているとこです。

私どもとしましても企画書を、より提出いただけるようにという観点では、参加資格はもう少し広く、限定しないようにして、質の採点のところで相手との調整能力や、その政策分野にどれぐらい精通しているかというのは加点要素で多少見るということで、門戸をもっと広くできないかということは来年度に向けて検討しているところでございます。

具体的に言うと、「公募に参加する者に必要な資格」の「(5)過去3年以内に、社会福祉及び保健医療分野の国際会議運営又は開発途上国政府を対象とした国際協力事業を受託した実績があること。」とか「(6)前記1の事業を適格に実施するに足りる程度、ASEAN諸国の社会福祉及び保健医療分野の政策・現状並びにASEAN事務局の業務遂行の方法等について精通しているとともに、ASEAN加盟各国政府、ASEAN事務局及びWHOとの調整能力を有している者であること。」というのが条件として厳しいということなのでしょうか。

はい。(5)につきましては、実は厚生労働省は余り国際協力事業というのは広くやっているとは言えないものでして、主に外務省やJICAが大きな予算を持って実行しているので、必ずしもこの実績が厚労省だけに限らなければ、むしろいらっしゃるのではないかと考えているところではあるのですが、これもどこまで広くできるか。(5)についてはまだ検討が足りないところはあるのですが、(5)も(6)も俎上には上げて検討しているというところでございます。

確かに、競争入札といっても過去の実績等を強調すれば、それは本当に隠れみのにして応募者がなく、随意契約でなされるということになりますね。この採点表にしても、随分過去の類似事業と実績とを重視しているような感じはあるので、これは今おっしゃられたような形で改善していかないと、やはり隠れみのであると言われてしまうと思います。

 

公募に参加する者に必要な資格の(6)などではその調整能力などというものを要求していますね。こういうのは、会合での調整をこの事務局あるいは縁の下の力持ち的なところがやるなどというのは、やはり会合としてもおかしいように思うのです。それから、調整というものはやることが不明だと思うので、こういうあいまいな能力を要求するのはやはりおかしいかとも思うのです。やはりこういう要件はなくしていかないと、透明な競争入札制度というのは育たないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

19年度に切り換えた際に、その当時の繰り返しですが、それまでずっと同じところが受託していた。そこでは人の移動がなかったというところでのノウハウが蓄積されてしまったことと、役所の側にそれができないわけではないのだけれども、どうしても寄り掛かっている姿をそのまま文字にしたものが(6)にあるのですが、同じような御指摘は実は総務省からもいただいているので、これを少なくとも参加資格ではないし、それから加点だとしても余り門戸を閉ざすような使い方をするというのはおかしいという指摘はちょうだいしておりまして、来年度からこれをどう変えていくか、まだ決まってはいないのですが、変えていかなければならないという認識でいるところです。

来年度に期待してみるということでしょうか。よろしいですか。では、御苦労様でした。

 

【審議案件9】

審議案件名:若年者向けキャリア・コンサルティング普及促進事業

資格種別 :−

選定理由 :1者応札(企画競争)、再就職者数5人

発注部局名:職業安定局雇用保険課

契約相手方:中央職業能力開発協会

契約金額 :6,738,304円

契約締結日:平成20年7月2日

内容がちょっとよくわからなくて、価格が適当かどうかわかりにくいところがあるのですが、この検討委員会の実施が主であるというものですか。

実際に検討委員会と作業部会という2つの委員会がありまして、作業部会ではより詳細な、例えばニート支援を行っている施設に対してヒアリング調査を行ったりしながら、実際にどういったキャリア・コンサルティングが必要なのかなどを詳細に話し合う部会になっておりまして、本研究会ではもう少し大枠に若年者の能力開発だったり、職場定着を促すためにキャリア・コンサルティングはどういった役割が必要なのかというようなことを検討しております。大きく分けて2つの研究会になっております。

余り仕事として魅力的ではないから1者しか応募しなかったのですか。

キャリア・コンサルティングという言葉自体が平成14年度に生まれたもので非常に新しく、非常に専門的なものでして、かなり専門的な内容になってしまうので少なかったのではないかと思っております。

予定価格調書の積算内訳についてはほとんど実費に近いものかと思えます。この金額を協会さんの方にお出しになるわけですね。そうすると、協会側としては外部者に支払うお金以外のところで当然人件費、時間を使っているわけですが、そういったものが全く考慮されていないというふうにも思うのですが、いかがでしょうか。受ける側の経営から考えると非常に厳しいものなのだろうとは思います。

嘱託設置費というものが付いておりまして、事務担当者として1人、人件費を計上しております。

基本的に予算がありますので、予算の積算自体も結構厳しいところがあって、謝金単価等につきましてもこういった額になりますし、旅費につきましても一応平均という形で取りますので、あとは大変難しいんでしょうけれども、受託者側でそれなりに考慮して効率的に考えていただいて、その範囲内でしていただくような形でお願いする。

確かにおっしゃるとおり、一般管理費的なものを今ですとシンクタンク系でも10%から15%くらい取っていますので、本来であればそれくらい積むべきだと思いますけれども、なかなか予算がものによってそういった形でできるものとできていないものが実際にあるということで、これについてはできていなくて少しぎりぎりの形で立てているということです。

協会さんの方にお出しになるこの案件につきましては、1回限りの事業なのですか。それとも、来年も継続されて同じようなことをされるということですか。

若年者調査研究のものにつきましては今年度のみです。局の方では来年度の要求で普及促進事業としてはまたこれから継続しますが、ただ、具体的な件名とか内容につきましては更に発展的なものを予算要求して、それを来年度ということですから、中身的には、より進んだ形になるかと思います。この案件につきましては、今年度限りということです。

かなりやられる方も苦労してなさっているのかもしれないですね。

そういったところもあって、確かに実際に少なかったというのもあるかもしれないです。

ほかにはよろしいですか。では、御苦労様でした。

 

【審議案件10】

審議案件名:厚生労働省ネットワークシステム進捗管理一式

資格種別 :役務の提供等(A、B又はCランク)

選定理由 :1者応札(一般競争入札)、連名契約(総額85,050,000円)

発注部局名:大臣官房会計課

契約相手方:アクセンチュア株式会社

契約金額 :66,679,200円

契約締結日:平成20年5月8日

入札者が1者しか出なかったという主な理由はどういうところなのでしょうか。

経緯を申し上げますと、入札をしたいとの申入れがあったのが3者ございました。それで、一応入札適合条件というものを決めていまして、その内容についてその3者からそれぞれ必要な書類を提出していただいたのですが、それを我々側で精査した結果、2者に関してはそれに不備な部分があるということから結果的に1者になったということがございます。

これは進捗管理の企業になると、逆に何か越権で導入できなくなってしまうとか、そういうことはあるのでしょうか。

当然、この後に続く開発の受注とかというのは制限がかかってきます。

そうすると、後で入札したい会社がやらないということは当然そういうブレーキがかかるということですね。要するに、建築と違ってどうしてもIT系というのは1者が全部やってしまうという業態になっているので、進捗管理だけをやりたいというような会社がある程度限定的になってしまうだろうということは想像できるのです。建築でしたら設計会社があって実際に建てる会社は別ですけれども、ITの場合は大抵同じ会社が従来慣行でやってしまうので、そうするとアクセンチュアのような割とコンサル系の会社しかなかなか出てこないだろう。

コンサルティングを中心にやっている会社の方が、こういう進捗管理については多くなります。

あとの2者というのは、そういうコンサルティング系の会社ですか。

1者はコンサル系の会社です。もう1者はどちらかというと両方やっている会社だと聞いています。

本体ねらいだと、当然ここには応募しないですね。

そうですね。

一般論からすれば、どうしてもITは建築と違って分離されていないところが従来は問題だったと思いますので、こういう発注がなされることはよいとは思うのですけれども、ただ、従来の日本の慣行においては入札しにくいだろうなと思います。

ネットワークシステムそのものの調達の方が後になるのですね。

はい。

それで、この進捗管理の方をまず先に選んでおいて、来年度の予算か何かからやろうということなのですか。

既に実際の更改のための業者は選定しております。その後ですけれども、この調達の後に。

この調達の後に選定されたと。

一応今年の9月に入札が終了しております。

そういうものは余り例がないので、予定価格が妥当かどうかというところはなかなか難しいところで、やはり3回目にならないと予定価格を下回らないというのは多少試行錯誤が必要なのかなというように私の個人的な感想としては持っています。

予定価格については、統計情報部の方である程度その工程でどれぐらいの人数をやるかというのは概算要求の段階である程度いろいろな業者からヒアリングをした上で想定の工程をつくっておりますので、それを元に会計課の方で積算をしています。

予定価格調書のSE等の単価ですけれども、プロジェクト管理者、その他の開発者で価格の高い低いがありますがいかがでしょうか。

大企業であればこの金額ではなかなか難しいのかもしれませんが、会計サイドとしてはどういう企業が入ってくるかという想定をするわけではなくて、資格を満たしていれば可能ですので、そういったことから積算資料から価格を算定しております。

一般の市場価格からすると、かなり安目であるかもしれませんね。結果的には1者しか応募がなかったということになるのですね。よろしいですか。では、御苦労様でした。