10/06/23 平成22年度第1回 薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会及び      平成22年度第3回 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録 平成22年度 第1回 薬事・食品衛生審議会血液事業部会安全技術調査会及び 平成22年度 第3回 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録 1.日時及び場所   平成22年6月23日(水)15:00〜16:49   航空会館(7F)701・702会議室 2.出席委員(13名)五十音順   大戸斉、岡田義昭、佐川公矯、白阪琢磨、杉浦亙、新津望、水落利明、山口一成、   山口照英、◎吉澤浩司、脇田隆字   五十嵐隆、○松本和則   (注)◎安全技術調査会委員長(座長)、○安全対策調査会委員長   欠席委員(4名)   内山巌雄、高本滋、大野泰雄、土屋文人 3.行政機関出席者   高井医薬食品局長   岸田大臣官房審議官(医薬担当)   森安全対策課長   佐藤安全使用推進室長   光岡血液対策企画官 他 4.議題   1.血漿分画製剤とウイルス性肝炎症例等の調査について   2.その他 5.備考   本合同委員会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは、ほぼ定刻となりまして、安全技術調査会の先生方については引き続きでご ざいますので、皆様おそろいでございます。ただいまから、先ほどに引き続きましての「平成22 年度第1回の血液事業部会安全技術調査会」と「平成22年度第3回医薬品等安全対策部会安全対 策調査会」を合同で開催させていただきます。  本日も公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。  カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、御理解・御協力をよろしくお願い申 し上げます。  また、傍聴者の方々におかれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば、静粛を旨とし、喧 噪にわたる行為をしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなどの厳 守をお願いいたします。  本日、御出席の先生方におかれましては、お足元の悪い中、お忙しい中をお集まりいただきま して、まことにありがとうございます。  合同開催という形になりますので、まずは、委員の先生方のご紹介を事務局よりさせていただ きたいと存じます。  まずは、安全技術調査会の常任の委員の先生方、五十音順でございます。  福島県立医科大学輸血・移植免疫部教授の大戸先生でいらっしゃいます。  国立感染症研究所血液・安全性研究部第一室長の岡田先生でございます。  久留米大学医学部附属病院臨床検査部教授の佐川先生でございます。  独立行政法人国立病院機構大阪医療センター免疫感染症部長の白阪先生でございます。  独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫研究部長の杉浦先 生でございます。  埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科教授の新津先生でございます。  国立感染症研究所血液・安全性研究部第二室長の水落先生でございます。  国立感染症血液・安全性研究部客員研究員の山口一成先生でございます。  独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査第一部テクニカルエキスパートの山口照英先 生でございます。  広島大学名誉教授で、本安全技術調査会の委員長でございます吉澤先生でございます。  国立感染症研究所ウイルス第二部長の脇田先生でございます。  なお、本日は内山委員、高本委員から御欠席と連絡をちょうだいしてございます。  次に、医薬品等安全対策部会安全対策調査会の委員でございますが、国立大学法人東京大学医 学部小児科講座教授の五十嵐先生でございます。  獨協医科大学特任教授で安全対策調査会の委員長でございます松本先生でございます。  なお、本日は大野先生、土屋先生、御欠席の御連絡をちょうだいしております。  それから、事務局側でございますけれども、まず、医薬食品局長の高井でございます。大臣官 房審議官(医薬担当)の岸田でございます。  医薬食品局安全対策課長の森でございます。  同じく安全使用推進室長の佐藤でございます。  同じく課長補佐の野村でございます。  それから、血液対策企画官の光岡でございます。  課長補佐の難波江でございます。  最後、私が安全対策課長補佐の堀内でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それではまず、冒頭に、本日、合同で開催させていただきます点につきまして、安全対策課長 の森から御説明をさせていただきたいと存じます。 ○安全対策課長 安全対策課長でございます。先生方におかれましては、多忙な中、お集まりい ただきましてありがとうございます。  本日の検討課題は、過去に使われておりました血漿分画製剤、これをお使いになった患者さん の中で、肝炎とか、あるいは肝機能異常の副作用報告をいただいた、その内容を丹念に調べて、 その中に問題のあるものがないのかということを継続して精査をしている一連の検討の、一つの 区切りとして、先生方に御意見をいただくという趣旨で開かせていただいております。  本日、二つの調査会の合同開催をお願いしましたのは、これまで検討いたしました、主として 肝機能異常を示された1,500ぐらいの患者さんの副作用症例報告につきましては、それらの症例 の詳細を調べるのも限界があるということもございまして、それに加えて、そこで使われた各製 剤、約70ございますが、これらにつきまして、製造工程中のさまざまな不活化処理方法、原料の スクリーニングの仕方、そういったことについて、それもあわせて評価をすることによって、で きる限り精査をしたいということで、御指導をいただいてやってまいりましたものですから、こ れについても御検討いただくということで、安全技術調査会の先生方にもお知恵を拝借したいと いうことがございまして、副作用の専門である安全対策調査会と、それから処理方法、あるいは そういう感染について詳しい安全技術調査会の先生方、両方にお集まりいただいて、十分に御検 討いただければということでお願いをした次第でございます。  限られた時間ではございますが、ぜひともよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、あと1点、会議に入りますまでに、本日、今お話し申し上げましたような 趣旨から合同開催とさせていただきますが、事前に両座長の先生方とも御相談させていただきま して、本日の合同会議としての委員長は、安全技術調査会の委員長でございます吉澤先生にお願 いさせていただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○事務局 ありがとうございます。それでは、本日の合同会議のこの後の進行は、安全技術調査 会の委員長でございます吉澤先生にお願い申し上げます。  カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。 ○吉澤委員長 それでは、本日の合同会議の座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお 願いいたします。  それではまず、事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは、薬事分科会の審議参加規程に関する御報告をさせていただきます。  本日、御出席の委員の方々の過去3年度において関連企業からの寄附金・契約金等の受け取り 状況の御報告でございます。本日の議題は「血漿分画製剤とウイルス性肝炎症例等の調査」に関 するものということで、今回、対象になります製剤の詳細を報告いただきました日本赤十字社、 それから株式会社ベネシス、一般財団法人化学及血清療法研究所、日本製薬株式会社、バクスタ ー株式会社、CSLベーリング株式会社、日本臓器製薬株式会社、富士レビオ株式会社、ユニチ カ株式会社、大日本住友製薬株式会社、バイエル薬品株式会社、以上11社からの過去の状況につ いての申告をいただいております。  申し出状況につきまして、今回審議への不参加の委員、議決不参加の委員はございませんでし たので、御報告申し上げます。  また、50万円以下の受け取り状況につきまして、安全技術調査会の大戸先生が日本赤十字社、 日本臓器製薬株式会社より50万円以下の受け取りでございました。佐川先生が日本赤十字社、株 式会社ベネシス、一般財団法人化学及血清療法研究所、日本製薬株式会社より、それぞれ50万円 以下の受け取り。白阪先生が日本赤十字社、バクスター株式会社、大日本住友製薬株式会社より、 それぞれ50万円以下の受け取り。新津先生がバイエル株式会社より50万円以下の受け取り。山口 一成先生が日本赤十字社より、同じく50万円以下の受け取りという申告でございましたので、冒 頭、御報告申し上げます。 ○吉澤委員長 ただいま、事務局から説明がありましたが、審議の際の参加規程につきましては、 よろしゅうございましょうか。 (「了承」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、特にないようですので、御了解いただいたものとしまして、審議に入 らせていただきます。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認、お手元の一番上に座席表がございまして、その次が本日の議 事次第、1枚めくっていただきますと、委員等名簿と、最後のページに配付資料の一覧がござい ます。  本日、資料は1の関連だけですけれども、1−1、平成20年のプレス発表資料、1−2は今回 の精査の説明資料、1−3は、ちょっと分厚い資料ですけれども、症例のラインリスト、1−4 は135例に関する症例ラインリスト、1−5は1枚で、5症例のラインリスト、1−6は同じく 1枚、7症例のラインリスト、1−7は、39症例のリストとして5ページの資料、1−8は、製 剤ごとの製造工程の一覧資料でございます。  それから、参考資料が1−1としまして、ウイルス肝炎の検査受診呼びかけの公表資料と、1 −2は参考文献の一覧、裏表の1枚。参考資料1−3が「ティシール」の治験調査の過去の発表 資料。それからポンチ絵A4横の、当日配付資料−1と2を裏表のカラーで御用意しております。 当日配布資料3が、A4縦1枚の資料でございます。  配付資料は以上でございます。 ○吉澤委員長 資料のほう、よろしゅうございましょうか。  それでは、議題に移りたいと思います。  本日の合同会議の議題は、「血漿分画製剤とウイルス性肝炎症例等の調査について」のみです が、膨大な作業をしていただいておりますので、説明資料に従って、順次進めていきたいと思い ます。  では、まず精査の経緯、それから精査の内容につきまして、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○事務局 それでは、お手元のほうに資料1−1と1−2を御用意お願い申し上げます。  資料1−1からごらんいただいたほうがわかりやすいかと存じますが、平成20年4月30日の資 料ですが、その1年前、平成19年11月に、血漿分画製剤に関しまして、特定製剤となっておりま すフィブリノゲン製剤以外の血漿分画製剤に関するウイルス性肝炎、またはその可能性のあった 症例ということで、企業に対しまして、肝機能異常等も含めまして、過去に報告を受けていた症 例すべての提出を求めております。  また、厚生労働省医薬食品局が医療機関から報告を受けておりました症例に関しても、血漿分 画製剤の使用が認められるものに関して、調査を行っているということがございます。  当時の副作用、肝炎、肝機能異常等の症例に関して、本日の資料1−3にあるように、1,650 例余りの症例の報告がありまして、製剤にして約70ほどございました。これらのうち、当時、特 定製剤を定めます特措法ができております関係で、特定製剤を含む投与例に関して抽出し、この 際に公表するとともに、お知らせをするという対応をとっておりますほか、1−1の2ページ目 にまいりまして、特定製剤以外の分画製剤の投与例について、ウイルス性肝炎またはその可能性 のある症例を抽出いたしまして、これが135例あったということでございます。  2ページ目から3ページ目にかけまして、その整理結果が[1]から[4]まで分類されておりまし て、関連が否定できないと考えられる症例が1例ございました。そのほか、[2]、[3]、[4]とい たしましては、関連が極めて薄い、関連が認められない、評価困難というものがそれぞれごらん のような症例数あったということでございます。  これに関して、当時の今後の対応としまして、肝炎に関しての御本人への受診の勧奨など、お 知らせをするという対応をとりますとともに、4ページ目にまいりまして、この際は、厚生労働 省におきまして整理をしました結果を速やかにお知らせするということでございましたので、4 ページ目の(2)、丸の二つ目でございますが、この整理結果について、念のために専門家に内 容を精査いただくということにしておりました。  4.その他とございますけれども、この135例以外に肝機能検査値の上昇等の症例が1,500ほど あったということで、これについては、4の二つ目の丸にございますように、肝機能異常のみで は、肝炎ウイルス感染の可能性は低いと考えられるものの、念のために、これらについても専門 家に内容を精査いただくということがございました。  また、三つ目の丸につきましては、輸血用の血液製剤投与に血漿分画製剤を併用しておりまし たものが39例、日本赤十字社で保有していたということから報告を受けまして、これについても 必要な調査を行うよう指示をするという対応をとってございます。  6ページ目までが企業からいただいた報告に関する、この際の公表でございまして、7ページ は医療機関から厚生労働省の医薬食品局が報告を受けていた分でございます。  同じように、特定製剤を含む投与例を抽出しまして、これに関しては、お知らせをするという 対応などをとりますとともに、特定製剤以外の血漿分画製剤投与でウイルス性肝炎が判明するも のが5例あったという7ページ中ほどの※3の部分と、それから最後、8ページにまいりまして、 丸の二つ目でございますが、その5例に関して、ウイルス性肝炎との関連についての内容を精査 するということと、8ページの※[1]の部分でございますが、企業からの報告と同じように、血 漿分画製剤投与での肝機能異常の症例が7例ありまして、これらは企業の報告同様、精査をいた だく予定という対応にしておったものでございます。  こちらに関して、今般、この合同会議にお諮りを申し上げるということでございまして、資料 1−2の1ページ、2ページの冒頭に書いている部分が、今申し上げたものを症例数ベースで記 載した部分で、ちょっとこれもわかりにくいですけれども、経緯としてはそういうことでござい ます。 ○吉澤委員長 精査の経緯と、精査の内容の説明をいただきましたが、ただいまの説明につきま して、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。ここまではよろしゅうございましょ うか。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、次へまいります。  平成20年の厚生労働省からの公表の際に、特定製剤以外の製剤投与に関連して、ウイルス性肝 炎の疑いも含めて135例が確認されておりますが、これについて、次に説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の1−2の2ページ目の中ほど、2.精査についてというところの、 1(1)の135例のリストに関する部分でございまして、資料1−4とあわせてごらんをいただ ければと存じます。  この135例に関しましては、既に平成20年4月の整理におきまして、四つに分類をいたしまし て、1番としまして、過去の不適切な製法によるB型肝炎の感染事例が1例ございました。  それから、2番といたしまして、アルブミン製剤やグロブリン製剤などを中心にいたしまして、 製造方法などから見て関連が極めて薄いと考えられるものが79例あったということでございま す。3番としまして、投与直後に抗体が出現しているものなどについて、製剤の感染による検査 結果によるものではないであろうというものが28例ありました。  それから、報告情報からは関連評価が困難と思われるものが27例ありまして、こちらは第8因 子などの凝固因子製剤中心と、アルブミン製剤、グロブリン製剤の一部にもこういった症例がご ざいました。  これらにつきまして、整理を行った際の個々の評価につきましては、資料1−4にございます が、一番右から二つ目の整理結果ということで、個々の症例についての当時の整理結果をごらん いただけるような形にしてございます。こちらについては、症例の、それぞれ評価をさらにいた しまして、1、2、3に分類しました症例については、特に整理結果の変更をするようなものは ございませんでしたけれども、この後、御説明をいたします、この135例以外の約1,500例の症例 評価に際して、各製剤のウイルス安全性の評価をしてございますが、それらの評価とあわせまし て、血漿分画製剤と肝炎ウイルス感染の関連が極めて薄いと、従来評価困難としておりました部 分の一部がこのような評価をできるのではないかということで、1−2の3ページ目の(1)に ございます液状加熱処理による第8因子製剤でございますとか、SD処理を施されている血液凝 固第8因子製剤、そのほか、アルブミン製剤とグロブリン製剤に関しまして、製剤による感染可 能性は極めて薄いであろうというような評価をさせていただいております。  アルブミン製剤とか、それからグロブリン製剤の評価について、またグロブリン製剤のうちガ ンマガードの一部に関しては、このような評価をしてございませんけれども、これにつきまして は、後ほど全体の評価の中で説明をさせていただきたいと思いますが、このような見直しを一部 してございます。  それから、製剤の関連評価が困難と考えられる症例が、27ありました中から、さらに9例は、 やはり残ってしまいましたということでございます。こちらに関しましては、参考資料の1−1 というものがございますが、参考資料1−1、A4縦の資料でございます。B型肝炎、C型肝炎 ウイルス検査受診の呼びかけにつきましては、本日の御検討の前提にもなるわけですけれども、 過去の血液凝固因子製剤の中に、不活化処理などが不十分であった、非加熱製剤などでウイルス 性の肝炎の感染も生じていたということは既知の事実でありますので、これらについては、既に このような形で、厚生労働省としても、参考資料1−1の3/5ページ、4/5ページに第8因子製剤 の非加熱のもの、それから乾燥加熱のもの、第9因子製剤の非加熱、乾燥加熱のもの、それから、 その他の凝固因子製剤の関係ですけれども、非加熱のもの、乾燥加熱のものに関しては、ウイル ス性肝炎に対する安全対策として、不十分な可能性もあるので、検査の受診を呼びかけていると いうものと重複する製剤でございましたが、1−2の資料に戻らせていただきまして、コンコエ イトHTというもので8例、症例がございました。個々の症例につきましての情報についても、 詳細はなかなかわからないわけでございますけれども、こちらは乾燥加熱というウイルスに対す る不活化処理が施されているものでございました。乾燥加熱については、温度、時間の条件のみ ならず、含湿度とか、たんぱく質の濃度や安定剤の添加などにより、効果に大きな差が生じてし まうということが知られてございます。 本剤に関しては、60℃/72時間で、本剤の試験条件と しては、BVDVに対して5.3以上のウイルス低減率があり、かなり安全性は高いというふうに 考えられる方法ではございます。しかしながら、コンコエイトHTに、より安全性が高い液状加 熱が導入される1988年までの使用者数は各年ごとの累計でも5,000人程度ということと、今回の 症例もそうですけれども、前後関係などが非常にはっきりとはしていない症例で、疫学的な安全 性評価なども困難であるということから、引き続き評価不能というふうに考えられるということ にさせていただいております。  それから、4ページ、コーエイトの1例、これはB型肝炎の症例でございますが、1985年に製 造中止をされている非加熱の製剤でございました。HBs抗原検査の実施はございますが、それ 以外のウイルス除去不活化処理がないということから、ウイルスの感染リスクを否定できないと いうことでございます。  当該症例についても、輸血の使用が判明しているほか、投与前後のほかの製剤の投与状況など の詳細なども不明であることから、本剤による可能性、ほかの可能性も合わせて、評価は詳細に はわからない、不能ということになっております。  こちらのコンコエイトHTとコーエイトに関しては、先ほど申し上げました参考資料1−1に おいて、既に検査の受診勧奨の対象とさせていただいている製剤でございます。  135例の見直しの内容の概要に関しては以上でございます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。只今の事務局からの説明につきまして、御質問、コメ ントがございましたら。山口先生お願いします。 ○山口(照)委員 今、事務局から乾燥加熱製剤のことについて、ちょっとコメントがございま したけれども、私からも、ちょっとコメントをさせていただければと思います。  乾燥加熱製剤については、特に、含湿度の関係で、含湿度が非常に低い場合には、十分な不活 化効果は得られないという論文報告もありますし、その点を含めまして、平成20年度で、私が主 任研究者になってやったフィブリノゲンの調査研究においても、その点を考慮しまして、報告を まとめさせていただいております。したがいまして、乾燥加熱のある条件下では、非常に十分な 不活化が認められるのですけれども、かなり古い資料でもありますので、その点も、含湿度の点 なども考慮しまして、この勧奨を引き続き行うことが妥当ではないかなというふうに考えており ます。 ○吉澤委員長 135例については受診勧奨の対象にするということでございますが、いかがでしょ うか。よろしいですか、ここまでは。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは次に、企業から出されていた残りの症例について。これはかなり膨大に なりますので、製剤ごと区切って確認していきたいと思いますので、順を追って事務局から説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは、その135を除きました残りの肝機能異常等の症例、およそ1,500例の部分に 関してでございます。個別の製剤の説明に入ります前に、資料1−2の4ページの中ほどからの 部分と、それから資料1−8、製剤ごとの製造工程の一覧をあわせてごらんいただければと存じ ます。  今回、報告されております中で、抽出しました135例以外に関しては、ウイルス性のマーカー が投与後に陽性になっているというものではなく、GOT、GPT異常なども含まれており、肝 機能異常の症例がほとんどでございます。  使用の用途としましては、川崎病の治療でございますとか、CIDP治療に対する免疫グロブ リンの大量投与による検査値異常というような報告が相当程度ございますほか、肝炎のウイルス 安全対策が施されている製剤に係る報告が相当数含まれるということでございます。ただし、時 期に非常に幅がありますことからも、念のために精査を行うということにさせていただいている ものでございます。こちらの評価に関してでございますけれども、そもそも製剤がそれぞれ使用 される状況におきまして、肝機能検査値異常などはまれな所見ではないということで、健常者の 人間ドックなどでも検査値異常が見られることは、それほど珍しいことではないということと、 それから各症例に関して、投与前後の詳細な関係などがきちんとわかるような検査所見が判明し ていない症例がほとんどであるということから、この症例情報からのウイルス肝炎か否かの判断 は、極めて困難であるということでございました。135例の整理に際しても、血漿分画製剤の製 造方法の面から、ウイルスに対して効果のある処理方法は、これまでにわかっておりますので、 改めて資料1−8にありますように、製剤ごとに時期によって製造方法は異なりますが、ウイル スに対して効果のある製造方法がどのように取り込まれて、ウイルスクリアランスなどの評価が どういうものであったのかということを洗い直すという形で精査をするということを進めてまい りたいということで、今回の作業を実施したものでございます。  そのような状況で、現在の、特に血漿分画製剤では、原料血漿プールで、そもそもHCVであ れば、100 IU/mL以下に管理されておりまして、ウイルス低減率も9以上のものを要求水準とし て、通常求めているというか、取り込んでいるということで、非常に大きなウイルス低減率のマ ージンをとっておりまして、高い水準での安全確保がなされているわけでございます。  時期に非常に幅がありますので、例えばHCVの、現在行われているNAT検査が行えない抗 体検査の時代、あるいは抗体検査も行えない時期のものも今回の評価の中には入ってございます。  参考文献にも一つ挙げさせていただいておりますけれども、2004年度WHOのテクニカルレポ ートなどでは、ドナースクリーニング導入前のHCVのウイルス混入程度についての考察がござ いまして、1万プール程度のものでは、HCVが大体10の2乗から4乗GE/mLということで、コピ ーやIUなどで、それほどオーダーが変わるようなものではありませんが、プールに混入していた ことが推定されるというようなことでございます。  不活化工程として、したがって10の9乗程度のクリアランスがあれば、スクリーニング前でも、 まだ安全マージンはそれなりに確保されていると考えられると。実際には、10の2乗から4乗程度 であれば、10の4乗から5乗ぐらいの処理方法、液状加熱処理やSD処理、あるいはウイルス除去 膜などの処理に関しては、それらの方法が開発された当時に、大体10の4乗から5乗ぐらい以上、 以上ですので、それ以上の10の6乗から7乗の効果がある場合もあるわけですけれども、そういっ た製剤の使用成績から見て、ウイルス感染が発生していないというような報告もございますので、 そういった製剤に関しては、特に感染報告などがないものに関して、一般的にはウイルス性肝炎 に対する安全性は高いと考えられるであろうという考え方で、今回資料1−8をもとに、これか ら御説明申し上げる、各製剤ごとの安全性評価をさせていただいております。  方針としては以上でございます。 ○吉澤委員長 ただいま基本的な方針について説明していただきましたが、ここまでの説明につ きまして、コメントございましたら。山口先生、岡田先生のほうからお願いします。 ○山口(照)委員 安全域の問題についてだけ、ちょっとコメントさせていただきます。例えば、 我が国では、現時点での安全域のマージンとしては10の9乗以上のクリアランスがあるというこ とにしているのですけれども、例えばEUでは、頑健性のある工程ということで、頑健性がある のはどのぐらいの工程かというと、一つのカラムの工程で10の4乗以上のウイルスのクリアラン スがあるような工程、それが二つ以上重なっていることを求めています。すなわち、EUでは10 の8乗のクリアランスを一つの目標値にしているわけです。それは一応、Cとか、Bとか、エン ベロープを持ったウイルスについてです。FDAは10の10乗と言っております。これは公表され た文献ではなくて、ガイドラインではなくて、FDAの人が発表されたもので、直接FDAの審 査官にも確認をいたしました。  先ほど、どのぐらい入っているかということと、マージンとの関係があるのですけれども、F DAの人は、10の5乗ぐらいのセルフマージン、要するに安全域を設けている。例えば、10の5乗 入っていても、さらに10の5乗あれば十分な安全域だと、そういうふうな判断だろうと思います。  日本の場合には10の9乗としておりますけれども、その判断がFDAとEMEAと日本でそん なに大きく変わっているわけではなくて、そのマージンの部分が少し変わっている。要するにど れだけ取り方があるかということだと思いますので、日米欧でそんな大きな差があるわけではな い。もう一つは、安全域のマージンの考え方は、共通しているものだと考えていただいて結構だ というふうに思います。 ○吉澤委員長 十分な安全域を設けてあるということですね。  岡田先生いかがですか。 ○岡田委員 時代的に古いものも新しいものもあるということで、現実的に、今、我々が得られ る情報というのは限られていますので、そうすると、個々の症例で危険、リスクを評価するとい うのは非常に困難でありますので、製法に基づいて、やはりリスクを評価していくべきだと考え ます。 ○吉澤委員長 お二方からのコメントをいただきましたが、これを踏まえた上で、御質問、コメ ントをお願いいたします。 ○松本委員 安全対策調査会の松本です。安全対策調査会の委員といたしましても、やはりこの 件、事務局からいろいろと説明を受けました際に、ウイルス性肝炎症例の評価につきまして、時 間的経過から製剤との関係が疑われるようなケースもありますが、やはり適切な時期に検査がな され、また各種検体や製造記録などが保管され、あるいは同一のロットの感染発生状況などの報 告がなければ、やはりこれは評価するのはなかなか難しいのではないかと思います。ということ から、やはり今、岡田先生や山口先生、また事務局が検討されたような方法しかないのではない かと、私、安全対策調査会の委員としては考えております。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、ここまでのところはよろしいということで、次へ進ませていただきま す。  それでは、各製剤ごとの評価に入っていきたいと思いますので、事務局から説明をお願いいた します。 ○事務局 それでは、幾つか区切って、説明させていただきたいと存じます。  資料1−2の4ページの下のほう、コーンの低温エタノール分画法というところから進めさせ ていただきたいと思います。  今回の1−2の最後、13ページ、14ページに、コーン分画のフローチャートをつけさせていた だいておりまして、視覚的には13ページの縦に落ちていくほうが見やすいかと存じますけれども、 通常血漿分画製剤はこのような形でアルコール処理を何度も繰り返しまして、分離、精製されて いくというものでございます。この工程自身にもウイルスに対して一定の除去でありましたり、 あるいはまた不活化の効果がそれぞれの工程に得られるということで、この分画製剤の製造工程 を川にたとえますと、上流から下流に至るまでのプロセスがございますけれども、下流に行けば 行くほど、ウイルスに対する除去でありましたり、不活化の効果が積み重ねられていきますので、 安全性が高まっていくと。逆に、上流のほうにつきましては、危険性が高い部分が存在するとい うことで、13ページの上のほうから第8因子や第9因子、フィブリノゲンなどというところでは、 過去に感染が見られた製剤もあると。それ以降の部分に関しましては、多くはそういった感染が 認められている製剤は余りないという状況がおよその概括かと思います。  そういったことに基づきまして、4ページの下のほうに戻らせていただきまして、このような 分画処理を進めていくことと、それから製剤の製造工程等をあわせまして評価が可能と考えられ るのではないか。特に、一般的に広く使われておりますアルブミン製剤とグロブリン製剤に関し まして、5ページ目に記載してございます。この1−2と資料1−8を照らし合わせていただけ ればと存じますけれども、今、アルブミン製剤は資料1−8で申し上げると、2ページ目、3ペ ージ目にまたがりまして記載がございます。今回、副作用報告がありましたものが、アルブミン 製剤、11番から22番までそれぞれございまして、表の見方でございますけれども、販売名、それ から報告企業名というところが一つの製剤をあらわしております。その後、三つカラムを飛ばし ましたところに、販売期間(治験期間)というものがございまして、これが当該製品の一定期間、 使用される、販売される時期になりますが、その時期における製造方法あるいはスクリーニング の方法を右にずっと記載しているという状況でございます。  クリアランス指数に関しましては、試験条件によりまして数字が変動するというか、試験条件 から数値が一定以上という形でしか出ないというようなものもありますので、単純にこの数字の 大小が効果の大小には必ずしも一致はいたしませんけれども、わかる範囲での数字をここにも記 載させていただいております。  アルブミンは、縦に見ていただきますと、液状加熱処理が60℃/10時間というものと、出発原 料がコーン分画の4あるいは画分の4あるいは5という部分から製造されているものでございま す。  これに関しては、世界的には、これらの製法でつくられているアルブミンについてウイルス肝 炎、B型、C型についての感染リスクは生じない方法であるということが確立しておりますもの であることから、この分類に関しては、まず問題はないであろうというふうに考えられるという ことでございます。  それから、免疫グロブリン製剤は、1−8のほうで申し上げますと、3ページ目の中ほどから になります。グロブリン製剤は筋注用と静注用がございまして、画分の2あるいは2+3という 部分から製造されまして、静注用のものなどでは、それぞれの画分からポリエチレングリコール の処理や、スルホ化処理、ペプシン処理などの工程を経て、さらに製造されるというものでござ います。  概括しますと、製造工程におきまして、モデルウイルスのBVDVでも、大体4程度以上のウ イルス低減率が得られるほか、さらにそれぞれのウイルスの除去処理、あるいは不活化処理など が組み合わされるというものが現在主に使われており、特に、最近のものでは、入念的にSD処 理や加熱処理などのウイルスの除去・不活化工程も含まれてございます。  免疫グロブリンも非常に古くから臨床で使用されているものでございまして、無または低ガン マグロブリン血症や重症感染症、そのほか特定の疾患の感染の予防などにも使われております。  免疫グロブリン製剤のウイルス性肝炎の感染リスクに関する文献報告などは、これまでにも多 く公表されておりまして、一部、ドイツ、アイルランドで見られた、製造方法が通常のものでは ない形の筋注用の抗D免疫グロブリン、あるいは94年に回収措置がとられましたガンマガードに よるHCVの感染事例というものはございますが、これら以外には免疫グロブリンでの、市販さ れている製剤での一般的なHCV感染というものは確認されていないということから、免疫グロ ブリン製剤全般に関しても、ウイルス性肝炎の感染リスクは低いものと考えられるというふうに 評価をいただいております。ガンマガードにつきましては、この後、5ページ、6ページ、7ペ ージにわたりまして記載がございますけれども、後ほど、当日配付資料のポンチ絵とあわせまし て御説明をさせていただくということで、ここは一旦それを除いた部分についての御報告とさせ ていただきます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ここまでの事務局からの説明につきまして、御意見ございますでしょうか。  アルブミンとガンマグロブリンにつきましては、特に御意見はないものと思いますので、よろ しければ、その次へ進めていただきます。 ○事務局 それでは、次の部分ですけれども、1−2で申しますと、7ページの中ほど、アルブ ミン、グロブリン以外の製剤に関して御説明させていただきます。資料1−8については、1ペ ージにお戻りください。  まずは、血液凝固第8因子、第9因子製剤でございます。1−8を見ていただきますと、この 網かけ、グレーになっているカラムがございますが、これは先ほど135例の資料で御説明いたし ました際の、製造方法などから感染リスクが過去のもので否定できないということで、ウイルス 肝炎の検査の受診を呼びかけさせていただいている製剤、製造方法の時期を示しているものでご ざいます。  白抜きの部分に関しましては、その受診勧奨をさせていただく際にも、一定の区切りといたし まして、受診勧奨をしている製剤においても、受診勧奨をしている時期と、ウイルス安全性が高 いと考えられるということから勧奨をしていない時期があるというものになっているわけでござ いますけれども、このグループの中では、そのホワイトの部分の製剤に関しまして、液状加熱処 理でございますとか、SD処理、あるいはウイルス除去膜処理などが実施されておりまして、ウ イルスクリアランスが6〜11.6という形で出ておりますが、ウイルスクリアランスがある程度確 保されているということから、感染リスクは低いと考えられる。しかしながら、この網かけの部 分に関しましては、従来受診勧奨を行っているものでございまして、コンコエイトHTは、先ほ ど申し上げたとおりの部分でございます。それから、コンファクトFに関しても、こちらも勧奨 しているものの中でも、乾燥加熱の処理を施しているというものでございまして、コンコエイト HTなどと同じように、ウイルスクリアランスの数値も5程度以上のものがあるほか、チンパン ジーの感染実験もHCVが判明する以前の時点でNANBの感染実験などが行われ、安全性が確 認されているというような報告もございました。  コーナインHTに関しても同じような状況でございました。8ページにまいりますけれども、 このグループにございます、このグレーの部分を含む五つの製剤でございますけれども、それぞ れの製剤によって、ウイルス感染リスクは、やはり加熱処理が行われているものと、非加熱のも のとでは、感染リスク程度は異なると考えられるものの、先ほどのコンコエイトHTと同じよう に、使用状況などは、現時点で詳細には把握は困難であるということから、従来の受診勧奨が引 き続き適当ではないかというふうに考えられます。  それから、その他の血液凝固因子製剤、(2)の部分でございますけれども、資料1−8では、 1ページ目の8番から10番の症例になりまして、こちらのグループに関しましても、2ページ目 の一番上にございますファイバ「イムノ」という製品では、86年までは非加熱あるいはそのほか の処理も含めてですが、十分なウイルス不活化処理がない時期のものがございまして、受診の勧 奨を実施しております。  今回の副作用報告、この製剤の2例につきましては、時期的には恐らく加熱蒸気化処理の可能 性が極めて高いと思いますが、非加熱製剤の有効期間のぎりぎりの部分に入ってくるような報告 があったということでございます。こちらの報告の製剤に関しましても、このファイバ「イムノ」 以外の部分で副作用報告がありました分は、ウイルス除去膜、SD処理、蒸気加熱などの処理が ございまして、ウイルス安全性は一定程度以上の安全性が確認されるのではないかということで すけれども、このファイバ「イムノ」の非加熱の時期に関しては、従来どおりの勧奨の対応は引 き続き必要と考えられるということでございます。  一応、ここまでのグループで一たん切らせていただければと思います。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  安全を見込んで受診勧奨しておいたほうがいいというものは、既に受診勧奨しているというこ とでございますが、ここまでのところでコメントがございましたらお願いいたします。  乾燥加熱の件について。山口先生、何か御意見ありますか。 ○山口(照)委員 やはり乾燥加熱の部分については、その条件によって、随分不活化のほうが 違ってしまっているということと、もう一つは、余りにも古い時代のものであるので、その点に ついては、今の事務局の判断はやむを得ないものだろうというふうに思っております。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。岡田先生。 ○岡田委員 乾燥加熱に関しては、やはり安定化剤の性質によって、その効果があったりとか、 逆に期待されたほどの効果がなかったりというのは、経験的にありますので、そういう面では、 ある程度の効果は期待できたとしても、完全に大丈夫かと言われると、液状加熱に比べれば、大 分不安定なというか、アンノウンの部分もありますので、やっぱり現状と同じで、検査を勧める ということにしたほうがいいかと思います。 ○吉澤委員長 受診勧奨しておいたほうがいいということですね。  では、ここまでのところはよろしゅうございましょうか。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、引き続き、説明をお願いいたします。アンチトロンビンのところから でございます。 ○事務局 それでは、資料1−2で申し上げますと、8ページの中ほど、アンチトロンビン製剤 のところから進めさせていただきます。資料1−8で申し上げますと、5ページ目をごらんいた だけますでしょうか。  アンチトロンビン製剤に関しまして、資料1−8の5ページ目、6番の部分にございますけれ ども、コーン分画法の上清1あるいはそれ以降の上清、または画分から製造されまして、クロマ トグラフィー処理でございますとか、ウイルス除去膜処理、加熱処理、液状加熱(60℃/10時間) というものと、それから最後のノンスロンに関しては、除去膜や乾燥加熱などが行われていると いうことで、クリアランスに関して、ほとんどのもので9以上の確保が当初からされている。一 部、初期のアンスロビンPという製品、ベーリング社と化血研から報告されている分の製剤に関 してございますけれども、上清1から製造されました後に、液状加熱処理を実施しておりまして、 副作用の報告、治験の際のものなどがございますけれども、ウイルス性ということではないもの でございますので、肝炎ウイルスの感染リスクは低いものと考えられるということでございます。  それから、資料1−2の8ページの(4)その他の血漿分画製剤は、資料1−8で申し上げま すと、6ページ目、献血ノンスロンの次の、7番のところから、字が小さくて恐縮ですけれども、 ごらんいただければと存じます。  こちらは、ハプトグロビン、ベリナート、それからアナクトCというような、80年代後半から 使われている製剤と、58番、59番はちょっと古い製剤になりますけれども、その55から57番の新 しいほうの製剤では、それぞれアフィニティクロマトや、ウイルス除去膜、加熱処理などを施さ れておりまして、ウイルスクリアランス指数は十分なマージンがあるという状況でございます。  それから、58番、59番に関しまして、リゾチーム注とセルロプラスミンというものは、資料1 −8の一番右のほうを見ていただきますと、治験症例で開発中止となっておりまして、これらは 実際に発売されているものではございません。ただ、この際の調査では、治験症例も含めて、す べて肝機能異常、肝炎症例の提出を求めているということで、提出のあったものでございます。 したがって、治験期間も1975年ごろということでございます。当時、HCVの同定は当然されて いない時期になるわけですけれども、こちらのリゾチーム、胎盤由来のものに関しては、液状加 熱処理でございますとか、セルロプラスミンに関しては、画分の4−1からというようなところ からとってきた上に、BPLとUVの処理を施しているということから、ウイルス肝炎に対して も、肝炎ウイルスに対する効果のある方法も取り込まれていたということから、安全性はあると 考えられるのではないかというものでございます。  以上で一旦、また切らせていただければと思います。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ここまでの製剤に関しましては、およそ安全性に問題はないという説明でございましたが、こ こまでのところで御意見ございますでしょうか。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、次に進めさせていただきます。ティシールというところに入ります。 お願いいたします。 ○事務局 それでは、製剤ごとの分類では最後になりますけれども、生体接着剤等に関してとい うことで、1−2の9ページからの部分でございます。9ページの一番上にございますように、 資料の1−8で申し上げると、今御説明した6ページから7ページ、8ページにかけての部分で ございます。  液状加熱処理や乾燥加熱処理、ウイルス除去膜処理などを含めまして、BVDVのウイルス低 減率が9以上というものが確保されているものは、基本的にこれまでの御説明のとおりに、ウイ ルス肝炎の感染リスクの低い製剤と考えられるということでございまして、一部に若干解説評価 が必要なものがあるということで、そちらの説明をさせていただきますが、この9ページにござ いますティシールに関しては、後ほど、別途の資料を用いまして御説明させていただきますので、 1−2は10ページまで進めていただきまして、フィブロガミンという製品についての評価でござ います。こちらは、資料1−8の工程一覧の7ページ、一番上、62番という製品になります。大 きく分けまして、フィブロガミンの製品として三つの販売期間、製造工程に分けられますけれど も、当初は1980年より製造販売が開始されていると。当時のものは胎盤由来の製品でございまし た。80年から86年までの部分に関してでございますけれども、当時、まだHCVがわかっており ませんので、HCVに対するモデルウイルスなどでの安全性評価資料はないということでござい ました。ただ、この際の処理方法は、胎盤を由来としまして、リバノール、それから塩化セチル ピリジニウムによりまして、沈殿分離処理を繰り返すという工程によって製造されていると。製 法もコーン分画ではないというものになります。この際に、当時、HIVに関しては、その製品 の製造工程においても評価がされているということで、リバノールに関しては5.8以上、CPC に関しては5.2以上というクリアランス数値がございました。塩化セチルピリジニウムについて、 特に具体的なウイルス不活化作用についての検討を報告企業からも頂戴しまして、本剤のウイル ス不活化作用というのは、界面活性剤でございますので、ウイルスのエンベロープに対して破壊 作用をもたらすということで、HIVに対しても効果があったと。いわゆるSD処理というもの と同じ機序に分類される不活化作用でございます。SD処理に関しては、今でも広く用いられて いる不活化方法でございまして、ウイルスの性質として、エンベロープを持つHIVのほか、H BV、それからHCVに対しては、通常、同じ程度、若干HIVよりもHCVのほうが高目に出 ているような製品もございますけれども、効果が確認されているということから、当時において 検証されていたということではございませんけれども、当該処理に関しては、HCVに対するウ イルスの不活化効果もあったと考えられると。また、海外でも本剤は1973年以降、欧州を中心に 承認・販売されているという状況にございまして、製造元におきまして確認いただいた部分では、 ウイルス性肝炎の報告が確認されているものはないということから、本剤のこの時期の製造方法 に関しては、直接的なHCVの不活化データはございませんものの、HCVに対しても効果のあ る方法が用いられていたと考えることが妥当ではないかというものでございました。  この製剤に関しましても、その後、86年以降は、液状加熱処理も、従来の方法に加えて導入さ れておりますので、それ以降はなお一層の安全性の向上が行われているというものでございます。  それからあと何点か、この分類ではございますけれども、1−2の11ページの中ほどでベリプ ラストPという製品がございまして、資料の1−8では、64番の製品になります。こちらは、フ ィブリノゲンと13因子を用いまして、生体接着剤として使用される製品でございます。フィブリ ノゲン部分に関しては、液状加熱処理とグリシン沈殿などによりまして、クリアランスの評価と しては、BVDVで9以上のものがあると。それから、13因子に関しては、これは当初、胎盤由 来のものをベリプラストPの時代には使用しておりまして、88年から使用されているわけですけ れども、液状加熱処理としまして、HBV、HCVに対して、4.9から5.4程度のクリアランスが あると。さらに、その前段階としまして、リバノール沈殿とCPC沈殿、先ほどのフィブロガミ ンと同じ処理が施されているということから、こちらの13因子に関しても安全性は高いであろう というふうに考えられるというものでございました。  そのほかでは、一番最後の69番、70番になりますけれども、現在は、取り扱っておられません けれども、ユニチカさんが1980年代から90年の前半にかけまして、一部お取り扱いでありました ジーティーサーティーンやケレスという製品がございますが、こちらに関しても、13因子やトロ ンビンが使用されておりますが、液状加熱処理やその前段階としましての、先ほどと同じような 処理が施されているということから、ウイルス安全性評価に関しては、先ほどの評価と同様と考 えられるというものでございます。  以上でございます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  製造方法が、コーンエタノール分画法とは違う方法であるということと、まだ当時C型肝炎ウ イルスが見つかっていなかったというハンデはありますが、幸い不活化処理は適切に行われてい たと考えられるということですが、ここまでのところで御意見ございますでしょうか。  岡田先生、不活化のところで何かありますか。CPC処理のところですね。 ○岡田委員 フィブロガミンでしょうか、これは効果的には界面活性剤の作用ということで、一 般的というか、エンベロープを有するウイルスは界面活性剤でかなり不活化されるというのは周 知のとおりですので、今、何種類か種類がありますけれども、それと同等の作用があると考えら れますので、その辺では、HCVに対しては有効な方法だというふうに考えます。 ○吉澤委員長 エンベロープ型のウイルスですから有効ということで。  では、ここまでのところ、よろしゅうございましょうか。 (「はい」との声あり) ○吉澤委員長 では、ここまでで、企業から提出された分がこれで終わりましたけれども、これ からは、医療機関から報告があった分と、日赤の輸血症例をやってから、問題品目に入りたいと 思いますが、その順番で説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料1−2で申し上げますと、11ページの下のほうからになりまして、資 料の1−5という部分になりますが、冒頭、資料の1−1で申し上げました企業にあった肝炎、 肝機能異常等の症例の分が今までの説明で、厚労省が医療機関から報告を受けて保有していたも の、特定製剤以外でウイルス性肝炎、その可能性のあるものが5症例ありましたというものが資 料1−5でございます。  それぞれ一番左に、医療機関からの報告でございますので、1症例に対して複数の分画製剤が 使用されているケースがございますけれども、ごらんのような製剤、アンチトロンビンや、グロ ブリン、トロンビン、それからグロブリン、アルブミンもございますけれども、そういうものが 使用されていた症例でございます。初回投与日は、こちらの分に関しては、いずれも2000年以降 の症例でございまして、先ほど、資料1−8でいろいろと御説明申し上げました諸製剤の評価の 中に入ってくる分で、1−5の一番右から二つ目の部分に、当該ロットへの肝炎対策、1−8で 説明したようなものを書かせていただいておりますが、製造方法からそれぞれ評価させていただ くことによりまして、いずれも、先ほどの御説明で安全性が高いと考えられるというものでござ いました。  それから、1−5とあわせて資料の1−6まで御説明をさせていただければと思います。  今申し上げました1−5はウイルス性のマーカーが確認されている症例でございまして、1− 6は肝機能の上昇、検査値の上昇などの症例で、ウイルスマーカーは検出されていないという症 例でございます。こちらは7例ございまして、使用されました製剤に関しては、いずれも免疫グ ロブリンということでございました。1−6の7番に関しましては、詳細に確認いたしましたと ころ、HBs抗原の陽性がありましたけれども、いずれもこれらの製剤、今まで申し上げました 中に含まれるものでもございますので、ウイルス性の肝炎に関する安全性に関しては、懸念され るようなものではないのだろうというふうに考えられます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ただいま説明いただきました資料の1−5の症例と1−6の症例につきましては、問題はない ということでよろしゅうございましょうか。 (「はい」との声あり) ○吉澤委員長 では、今度は輸血の分についてお願いいたします。 ○事務局 説明が長くなりまして恐縮ですけれども、それでは、資料の1−7に移らせていただ きまして、日本赤十字社さんで輸血に関連しまして、ウイルス性肝炎の報告がありましたと。そ の際に、血漿分画製剤の併用があるものが39例報告されておりましたという分に関してでござい ます。  1−7のちょうど真ん中あたりのカラムに、使用された輸血製剤という欄がございまして、し たがいまして、こちらの39例は全部輸血、何らかのものが使用されております。これらの報告に 関連して、一番左にあります輸血の併用被疑薬、被疑薬となっていないケースも含まれますけれ ども、血漿分画製剤の併用がされていたというものでございます。  リストとしましては、こちらにあるような39症例になりますが、主にアルブミンでございます とか、グロブリン、アンチトロンビンなどが多くございまして、2ページ目以降の分に関しては、 おおよそ2000年以降の症例、1ページ目、1990年代の症例が一部ございますが、一番右のほうに 企業の調査及び備考としまして、先ほどの整理しました結果と含めて、工程評価などをさせてい ただいていますが、いずれも不活化に効果のあるような方法、製造方法がとられているというよ うなものでございます。  1例、2ページ目の15番の症例につきましては、フィブリン糊ということしか判明しておりま せんで、不明ということになっております。1987年の時点では、特定製剤のフィブリノゲンの使 用の可能性が最も高いということで、これは今回の企業の調査に際しまして、当該医療機関にそ の旨の御説明などをいただいているというものでございます。  この1例を除きますと、一部、具体的な個別製品が不明というものが、例えば1枚目のNo.4、 アンチトロンビン3というものもメーカーさんが不明と、日赤さんに報告があった分でございま したけれども、1995年当時のアンチトロンビン3に関しては、国内で製造されている分について、 それぞれいずれの製剤に関しても不活化の処理などが導入されていることから、分画製剤として のリスクは低いであろうという評価になっております。  アルブミンなどでも同じようなものがございますけれども、同様でございます。  以上でございます。 ○吉澤委員長 資料1−7の症例に関しましては、製造工程、それから不活化の工程からみて、 問題はないと判断してよろしいのではないかということですが、ここのところはよろしゅうござ いますか。 (「はい」との声あり) ○吉澤委員長 では、次に進めさせていただきます。  最後に、問題品目については一つ一つの品目ごとに議論していったほうがいいと思いますので、 問題品目につきまして、順次、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明を後に回させていただいておりました分を資料1−2でいきますと、 9ページのティシールという製品、当日配付資料の1番、2番が表裏になっておりますけれども、 表のポンチ絵とあわせてごらんいただければと存じます。  今回、本剤につきまして、過去に企業において保有されている副作用症例について提出を求め たところ、御提示をいただいておりますのは、当日配付資料1番の中ほどに抜き書きをしており ます非加熱の国内治験におきまして、当時、肝機能異常が3例あったと報告されております。  今回の肝機能異常3例につきましては、当日配付資料1番の中ほどに示しているとおり、術直 後に、1番であれば翌日に肝機能が上昇しましたが、3日後に回復。それから、2例目に関して は、10日目に症状が発現しておりますけれども、抗生剤か麻酔の可能性を当時の担当医も疑われ、 抗生剤変更により一月で改善し始め、回復と。それから、3例目に関しては、輸血を併用してい る症例でございますけれども、術6日目に肝機能検査の検査値の上昇が見られ、9カ月目に回復 しているという症例で、これらに関しての経過自体では、ウイルス性のものというような所見は 余り見られないのではないかというふうに思われるものでございます。その製造方法の評価とい う点では、ポンチ絵のほうでごらんいただきますと、今申し上げました、当初1980年から84年に わたりまして、非加熱の製剤で国内での治験が実施されていたというものでございます。  当時、既にHIVの問題等がございましたので、申請以降に、加熱製剤の国内治験が開始され まして、88年に承認になったという製品でございます。  さらに、不活化方法のより頑健性の高いものにするということで、加熱蒸気化処理に国内でも 1991年に一部変更されているというものでございます。  本剤に関しては、この非加熱の部分と、それから乾燥加熱の部分がございますけれども、先に 乾燥加熱のほうは、1986年に国内で治験をされ、その後、88年に承認されて、国内では、この91 年3月の蒸気化処理への切りかえまでに約4万例ほど出荷されているということでございます。  それから、当時使用成績調査としましては、4,905例、1980年代後半でございますので、新薬 が承認されましたら、再審査のために調査をするという制度が既にあった時期でございます。こ れらの調査におきましては、肝炎、肝機能異常の関連副作用は見られなかったという製品でござ います。もう1点、乾燥加熱の条件としましては、本剤のウイルス性安全性評価としましては、 当時まだ、現在HCVのモデルとして主流でございますBVDVでの評価が行われてございませ んで、シンドビスウイルス、耐熱性が高いというウイルスではございますので、そちらで行われ ていたというものでございます。特定製剤のフィブリノゲンとウイルス安全性評価としては、か なり近似をするものではあるということになります。  一方では、乾燥加熱の時期に関しては、欧州で約50万例の使用があるということで、その間、 ドイツやオーストリア、イタリアなどで1985年か86年ぐらいから、加熱蒸気化処理が1989年から ベルギーが一番遅いですけれども、97年に導入されるまでの間に、欧州でも相当量が使われてお りますが、この間もNANB、HCVは確認されていないという状況でございます。  乾燥加熱に関しては、このような状況からは、ウイルス性肝炎の伝播リスクというものはうか がうことができないのかなという状況と考えられるのではないかと思いますが、非加熱の製剤に 関しまして、開発段階で治験の報告が20編ほどございまして、一部の報告では、ウイルス性の肝 炎に関する注意が払われ、NANB肝炎の発生が見られなかったということを報告書中に記載さ れている論文もございますが、観察期間や、NANB肝炎の発生状況に関して考察されていない という論文もかなりございました。  この非加熱部分に関しては、1996年、平成8年に非加熱治験製剤について、第四ルートの問題 から、HIVの感染調査も行われております。こちらに関して、556例の治験がございますけれど も、一部重複がございますので、約500例ぐらいの患者さんだということですが、これまでに319 例に調査をし、一部、非加熱の凝固因子製剤の投与も受けておられた血友病患者の方以外では、 HIVの感染は見られなかったという状況でございますが、残念ながら、平成8年の調査におい ては、明示的にウイルス性肝炎の調査まではお願いしていなかったという状況であるという報告 を受けております。  海外での状況におきましても、非加熱の時期においても、ウイルス性肝炎が確認されていると いうケースはないというものではございますけれども、明示的な調査が、国内のこの556例の患 者さんに対して行われていないということからは、当時の調査で、必ずしも十分に把握し切れて いないという可能性も否定できないのではないかということが懸念されるところでございます。  したがいまして、資料1−2の9ページの部分でございますけれども、当該部分について、念 のための受診勧奨の必要性に関して、あるか、ないかということについて、御検討をお願いでき ればと思います。以上でございます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  状況からすると、限りなく大丈夫だろうということですが、念のために、受診勧奨の対象にし てはいかがかということですが、ここはいかがでしょうか。 ○脇田委員 糊製剤ということだと思うのですけれども、このティシールという製剤ではないの ですが、我々のところでフィブリノゲンを使って、静注といいますか、ウイルスが糊状態の中で 感染性がどうなるかという研究をやりました。要するに糊製剤として使って、ウイルスの感染性 が強くなるか、弱くなるかということなんですが、普通の血液の中にウイルスが入って、それが 感染する場合と、糊製剤のような形にして、傷口に塗りつけるような形ですね、そういうので比 較してみますと、静脈に血液を投与するのと同等以上と、むしろ強くなる場合もあるというよう なことがわかりましたので、もし汚染していれば、感染があってもおかしくないというふうには 考えます。ただ、症例が非常に、これは少ないのではないかというふうには感じますけれども。 ○吉澤委員長 症例がそんなに多くないということ、それから、ウイルスは、毛細血管から血流 中に入りますから、念のために受診勧奨の対象にしておいたほうがいいのではないかという御意 見ですが、よろしいでしょうか、ここまでは。 (「はい」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、このティシールにつきましては、非加熱製剤による治験症例に関して は受診勧奨の対象にするということにさせていただきます。  乾燥加熱したものについては、どうしようかという問題が残るかと思いますが、これについて はいかがでしょうか。  これまでの議論からして、これは受診勧奨の対象にしなくてもよろしいのかなとは思いますが、 いかがでしょうか。 (「はい」との声あり) ○吉澤委員長 では、そういうことにさせていただきます。  それでは最後にもう1品目についてお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料1−2では、5ページまで戻っていただきまして、5ページの一番下、 ガンマガードについて、実際には6ページ、7ページの部分になります。それから、今ごらんい ただきましたティシールの裏側がガンマガードのポンチ絵になっております。  本剤に関しては、免疫グロブリンのところでも申し上げましたけれども、実際に感染が確認さ れている、極めてまれな免疫グロブリン製剤というものでございます。  我が国においての経緯といたしましては、1985年、昭和60年に承認を受けまして、以降、製造 販売がされていると。1992年の9月以降、HCV抗体検査を原料に対して導入いたしまして、こ の時点では第1世代と言われるものでございました。したがいまして、それまでの間には原料血 漿のスクリーニングがないという時期に逆になるわけでございますけれども、その後、93年9月 には、HCV抗体検査の第2世代の製品が出荷開始されているという状況にございます。本剤の 感染が起きたという部分に関しては、この第2世代のHCV抗体検査の出荷時期、世界的に各国 で若干時期はずれておりますけれども、これらが出始めまして、1994年の2月に至りましてHC V感染例が本剤使用において起きているということから、世界的な回収措置がとられまして、我 が国でも同様に自主回収が実施されております。この際には、明確に感染とロットとの関係が不 明でありましたので、当時、回収が可能でありました製剤、抗体スクリーニングをする前と第1 世代と、それから第2世代、5ロット、5ロット、3ロットというものが、実際に回収可能な状 態にあったものは回収が行われているというものでございます。  当時、感染状況調査の実施が回収に合わせて納入全医療機関、700ぐらいの医療機関に対しま して行われているものでございます。当時の調査におきましては、主に肝炎患者の発生の聞き取 りを行っておりますほか、一部の施設では抗体検査も実施しているということで、製剤による感 染の確認はされていないということになっております。  今回、御説明をさせていただいております経緯と申しますのが、その後、資料の1−1で御説 明申し上げました平成19年から20年にかけまして、肝炎・肝機能障害・異常の症例を全部出して いただくということで御提出いただいたものの中に、ウイルス性肝炎のマーカーが確認されるも のが、このポンチ絵の右下のほうにあります1番と2番の症例が135例の中にも抽出されている ものでございます。  1番につきましては、HCV抗体検査の第1世代が平成3年に実施されまして、陰性で、その 後、平成6年の回収調査の時期に抗体検査を実施しまして、陽転化しているという症例が当時の 調査で判明していたというものでございます。ただし、その当時の調査におきまして、医療機関 への聞き取りが行われた結果、報告医のコメントとしては、この報告にあわせまして、過去の試 験結果が擬陰性であって、感染既往例という評価がなされておりまして、回収報告などにも記載 されているというものでございます。  それから、2番の症例に関して、今回の調査にあわせて報告があった分で、情報入手日が94年 3月ということで、この感染調査の実施時期に該当するものでございます。  こちらは、投与前の検査がございませんで、投与後の検査としまして、HCV抗体陽性という ものが確認されたという症例でございます。この症例に関しての、当時の感染調査の位置づけに ついて確認をさせていただきましたところ、当時の回収報告の中には、本症例に一致するものが 確認できないということでございました。しかしながら、当該症例については、ポンチ絵の[1] 番、症例の表の下のところに書いてございますけれども、いずれも北海道地域の症例であること までは特定できております。北海道で当時の調査によって検査が行われている施設というのは、 極めて限定的でありましたので、当時の担当者などにも聞き取っていただいたところ、恐らく2 番の症例に関して、さらに詳細な状況を聞き取ったところが、1番の過去の検査結果と感染既往 であったと思われるという報告でございましたが、これも平成6年の報告でございますので、記 録としましては、現在、そこを完全につなげるだけのものが残っていないと。それから、医療機 関にも確認いただきましたけれども、そこまでの確認が現時点ではできないという状況でござい ました。  当時、全国の700の医療機関に調査をし、肝炎発生患者はいなかったと。また、ポンチ絵の一 番下にあるように、保管検体はすべてHCVのPCRは陰性でございましたけれども、さらに原 料血漿などの面から、当該国内に入っておりました第2世代の3ロットに関して、感染の可能性 について確認を求めましたところ、原料血漿のプール使用状況が今回調査で確認できた。海外で、 当時、第2世代の製品で一部感染が見られるロットがあったということでございますけれども、 海外ではHCVの製品レベルでPCRのポジティブの製品がやはりございまして、そういうもの で感染が多く見られたということがわかっているようでございますが、一部、HCVのPCRで、 製品レベルでプラスの原料に二つ原料プール血漿が使用されていまして、うち一つが国内の3ロ ットの中の一つと共通しているということが判明したというお話がございました。  この国内のロットに関しては、当時におきましても、nested PCRによりまして、すべて陰 性とは確認されておりますけれども、原料血漿の一部が共通していることから、感染可能性が完 全に否定できるかどうかという観点から考えました場合に、当該部分に関しては、検出限界が感 染限界にかなり近いレベルまで検査はされたということも考えられるところではございますけれ ども、完全な記録の確認できない1例などで感染がなかったかどうかということまでは、評価が 十分に行えないという状況が現在ございます。したがいまして、その当時の3ロットが納入され ている医療機関というのは、427にわたるということでございますので、この部分に関しまして の受診勧奨などの対応が必要かどうかということについて御意見を賜れればと存じます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。  ただいまの説明について御意見ございますでしょうか。安全であることが確認できないものに ついては一応念のために受診勧奨の対象にしておいてはいかがかということですが。脇田先生、 どうぞ。 ○脇田委員 私もその意見に賛成なのですけれども、ただ、吉澤先生の研究の結果にもあります し、それから文献的にもあるのですが、nested PCRの検出限界と、それから実際の感染限界と いうのは、かなり近いということで、多分、限りなく広く感染が広がるような状況はなかったは ずということなので、入っていた可能性は非常に低いだろうというふうには、科学的に見れば推 定できるというふうに判断したいと思います。ただ、念のためという形で勧奨することがよろし いのではないかというふうに判断します。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。よろしいですか。  岡田先生、どうぞ。 ○岡田委員 ガンマガードの件ですけれども、米国というか、世界じゅうで200例の感染例なの です。それで、実際のロット数はかなりのロット数で、本数にすれば、本当に10万本近いぐらい あると思うのです。そうなると、入っているウイルスの量は非常に微量、でも感染力があるウイ ルスが、それこそ5,000本に10本とか20本ぐらい入っていた計算になるのです。ですので、そう 考えると、確率論の話になりますけれども、日本国内もゼロとは言えないということで、あくま でも追っかけてありますので、ほかの製剤に比べて、これだけは一応原料血漿で起こっていると いうものが海外でありますので、非常に見つかる率は少ないと思いますけれども、勧奨というこ とはいいのではないかと思います。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。 海外で感染例がある限り、可能性は少ないものの、一応念のために受診勧奨の対象としておくと いう線が望ましいということですが、いかがでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○吉澤委員長 では、この製剤については、そのように対処していただくということでお願いい たします。  それでは、きょうの合同委員会で検討すべき症例につきましては、これをもって終わらせてい ただきますが、今後の対応につきまして、事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、事務局からでございますけれども、今回、平成20年4月の公表における精 査を行うという部分に関しましてお願いをしたところでございます。一部、念のために、受診勧 奨を行うことが適当ではないかという御意見をいただきました二つのものに関しましては、今回 の平成20年4月のケースでも整理結果の公表後に、この135例等に対しまして、企業を通じまし た受診勧奨などを行わせていただいておりますので、同様の対応を念頭に速やかに進めさせてい ただきたいと考えております。 ○吉澤委員長 どうもありがとうございました。  先生方、追加の御意見はよろしゅうございますか。 (「なし」との声あり) ○吉澤委員長 それでは、その他について、事務局からお願いいたします。 ○安全使用推進室長 それでは、その他でございます。  本日は本当にお時間をいただきまして、こういった貴重な精査結果を御議論いただきまして、 どうもありがとうございました。  それで、今、事務局から申し上げましたように、本日、整理をいただいたところでございます けれども、こういった過去の症例報告、そして当時の医薬品の血漿分画製剤の製造方法その他に ついての御理解を深めていただいたというところで、もう一つ、事務局から御意見をお伺いした いことがございます。  本日、当日配付資料の3ということで、縦の1枚紙をお配りさせていただいております。ここ に課題と書いているものでございます。本日、御議論をいただきました本体資料につきましては、 基本的には企業と行政が保管していた資料をもとに、その文献的な部分、そしてまたデータ的な 部分から御評価をいただいたということでございます。一方で、別途、全体的な評価結果の内容 の信頼性を確保するという観点から、患者に直接投与された最終製品における、これは過去の製 品も含むということでございますけれども、そういった最終製品の核酸増幅検査、NATを国が 実施する必要性があるのかどうかといった点について、この機会に先生方にも御意見をいただき たいということで、この課題と書いてございます紙を用意させていただいてございます。  そういった課題を検討するという点におきまして、少し事務局で整理をさせていただいたもの を論点として四つ書いてございます。これ以外にまたいろいろと先生方がお気づきの点があれば、 ぜひ挙げていただきたいと思っておりますけれども、直接的に最終製品のNATを国が行う必要 性を考えるという中で、製品の種類の範囲という部分。本日は70という製品の数が資料1−8に もお示しさせていただいておりますけれども、そういった部分の御議論。そしてまた全体の全ロ ットを検査する必要があるのか、そのロットの検査の範囲といった部分での御議論。また、3番 目としては、当然製造時期によって、製造工程が変わったり、品質管理の方法も違うわけでござ いまして、そういう製造時期の範囲といった議論。90年代の前半のHCV検査等がある程度ロバ ストな方法として確立されてくる前後とか、そういう年代の区切り等があるかと思いますけれど も、そういった製造時期の範囲の部分。あと4番目としては、国が実施するとした場合でも、国 立の試験研究機関で実施するようなものもあるでしょうし、そのキャパシティーの問題から(2) と(3)といったオプションも書いてございます。一応四つの論点を挙げてございますけれども、 こういう部分につきまして、あらかじめ整理をしておくべき論点があるか、また各論点について、 先生方、どのようにお考えになるかについて御意見をいただければと存じております。よろしく お願いいたします。 ○吉澤委員長 ただいまの説明につきまして、御意見を伺いたいと思います。 ○山口(照)委員 多分二つに分けたほうがいいと思うのです。過去の経緯というか、きょうの 対象の議論でもずっとやってきましたように、古い製剤について、非常にわかりにくいところが ある、もしそういうものについて調査をするという話であれば、僕はやる可能性はあるんだろう と思うんです。ただ、今後、こういう血液製剤について、今の血液製剤について、最終製品につ いてのNATをやるべきかどうかについて言えば、これは物すごく否定的です。今、血液製剤は 原料血漿の検査から、それから製造工程における先ほどの、どれだけのウイルスバリデーション を求めているか、その辺まで含めて、非常に安全性が担保されていると僕は思っております。そ の上で、最終製品にNATを入れて検査をすることの意味がどれだけあるかということだと思う のです。  もう一つは、実質、やったとして意味があるかどうかということもあります。要するに、どう いうことかというと、原料血漿で、今NATで一番問題になっているのは、NATのウィンドウ 期ですね、免疫学的検査法ではなくて、NATのウィンドウ期をすり抜けているやつがどうかと いう話になっているわけです。もちろん、技術的なケアレスミスで抜けてしまうというケースも あると思うんですけれども、では、実際にどれだけの原料血漿で入るかという、そのときのリス クを考えるときに、それから109とかという工程を経ているわけですから、最終製品でポジティ ブになり得ないと思うのです。それを検査する意味が本当にあるのかということだというふうに 思うのです。  ですから、例えばNATガイドラインではなくて血液製剤のガイドラインがあるのですけれど も、あのときでも、やるとすれば、むしろ適切な時期を、確認のためにやるというのはいいでし ょうと。僕は、最終製品でいろいろ検査することの意味がないと言っているわけではないのです けれども、上流できちんと検査をした上で、最終製品までやったときに、NATで検査をすると いう意味はそれほどないだろうというふうに思っております。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。 ○岡田委員 確かに、最近の製剤に関しては、原料血漿で規格が設けられていますので、そうい う原料からつくった最終製品を幾ら調べても、すべてネガティブだと、やる意味はないと思いま す。  昔の製剤はどうだということなのですけれども、もし陽性になった場合、次に、そのウイルス は感染性があったのか、ないのかというのが、実は大きな問題です。残念ながら、今の技術をも ってしても、発見されたウイルスが感染性を持つか持たないかということは判定できません。ガ ンマガードの件で、その当時、世界じゅうで研究が行われていて、その当時、米国で市販されて いた筋注用グロブリンは50%から実際にC型肝炎の核酸が検出された。静注用に関しても3分の 1ぐらいのロットから検出されたと、そういうデータもあって、それで患者さんは特に発生はな かったし、あとはそういうものをチンパンジーに接種しても感染例がなかったと、そういう報告 があります。  あとは、コーンのフラクションをやって、アルコール処理をやったときに、C型肝炎がどうい うふうに形状が変わるのかということで、高密度遠心法によってRNAが出るピークの比重を調 べてみますと、20%のアルコール処理をやっても血漿と同じところにピークが出るということで、 その粒子を保ったまま製剤の中にいるということが、その当時にもわかっています。そうします と、不活化、つまり除去の場合は、その製剤から除去できますから、陰性ということが言えるの ですけれども、不活化の場合は、感染力を失っていてもそこにいると。そうなると、陽性になっ た場合の解釈が困るということです。  それと、除去工程がというか、不活化、除去の工程がありますので、最終製品はかなりウイル スの量が少ないと予想されます。そうすると、今の技術をもってしても、かなり高感度の方法を やらないと、すべて陰性となる可能性があると思います。そうしますと、やる意味は大分厳しく なるかなと。  あとは、昔の製剤がどの程度集まるか。ここに書いてある平成15年以降のものは逆に安全です から、そういうものはいっぱい調べても意味がないと思うのと、昔の製剤を集めて調べて陽性に なった場合、感染性があるかどうか、次の大きな問題が出ると思います。そうしますと、やっぱ り製造工程から、これは危ないとか、リスクが否定できないというものに関しては勧奨をして、 リスクがないと思うものに関してはそのままということでいいかと思います。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。大変貴重な御意見だったと思います。  ほかに御意見ございますでしょうか。 ○山口(一)委員 私は、山口先生の意見に基本的には賛成をしたいと思います。NATの検査 を新たにやる必要は多分ないだろうと思います。ただ、これまでの経緯、現状ではHIV、HB V、HCVと三つのウイルスをターゲットにしていますけれども、今後の問題もございますので、 私はむしろ、現状で検査をするよりも、こういった最終製品の保管をむしろ充実させるという方 向を追求するべきではないかなと。これは、私が感染研に在職していたときから言っていたので すけれども、やはり長期間の保存を国の機関でやっておくべきと。ばたばたと検査する必要は全 くないわけで、問題が起こったときに、いつでも対応できる形にしておいたほうが、コスト的に も、あるいはそのとき、そのときの科学の進歩に対応できるという意味からも、一番いいのでは ないかというふうに考えます。 ○吉澤委員長 ありがとうございました。これも大変貴重な御意見だと思います。 昔の製剤も含めて、全てのロットについてNATを実施する必要があるかどうかということについ ては、その必要はないのではないかと私も思います。過去のロットについてはどうすべきかもう 少し先生方の御意見をうかがいたいと思います。先生、いかがですか。 ○山口(照)委員 過去のと言った経緯は、逆の否定の意味でちょっと申し上げたかったわけで、 要するに、フィブリノゲンの製剤の調査をやらせていただいたときにも、非常に古い調査なわけ です。1970年代から90年代までにかけて。そのころの資料は本当に残っていないわけですよ。検 体もほとんど残っていないわけで、それをどうやって調べるのかという問題もまたぶち当たると 思うのです。検体が残っていれば、まだもちろんやれる可能性もあるのですけれども、そういう ようなときの資料すらも残っていないのに、どうしてやれるのかという観点からも、非常に困難 だろうと僕は思います。 ○吉澤委員長 昔のロットについて、NATを実施すること自体が非常に困難であり、しかもそのこ とをやっても限界があるということですね。ここで委員会としての意見をまとめておいたほうが いいのですか。 ○安全使用推進室長 きょう、この四つポイントを書いてございますけれども、もし可能であれ ば、それぞれについて大体の先生方の御意見をいただけると大変助かります。 ○吉澤委員長 まず、NATを全くやらないと言い切るのは、なかなか難しいだろうと思うのです。 そうしますと、やはり現実的な対応としまして、1番目につきましては、製造方法と製造の時期、 そして、感染例の報告の内容などから見て、リスクが否定できないものは対象としていいのでは ないかという線が残るのではないかと思いますが、これでいかがでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○吉澤委員長 2番目につきましては、副作用報告があったロットが特定できた場合でも、今ま での議論からもわかりますように、科学的に、感染の因果関係までさかのぼれるものは極めてま れであって、可能性というところで止まるものがほとんどであると。また、多くの場合、特定の ロットは残っていないという制約もあるということから考えると、該当する製剤の全てのロット を対象とするのではなく、該当するロットを入手できた場合にのみ実施するとしておくのが妥当 なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○吉澤委員長 3番目につきましては、これはもう先ほど山口先生が言われましたように、現時 点の製剤については、その必要性は科学的に見れば存在しないということになると思います。し たがって、過去のもので、リスクが完全には否定できないという不確かな部分が残されているロ ットについて、もし必要が生じたら実施するということになるのではないかと思いますが、いか がでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○吉澤委員長 あとは、もし実施するとなれば、やはり国立の研究機関でするというのが妥当な 線で、あえて民間に委託する必要はありませんし、もちろん製造業者にこれを任せるということ はあり得ない話ですから、これは国立研究機関で実施するということが委員会からの提案になる かと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」との声あり) ○吉澤委員長 では、以上のことについて御了承いただいたということで、この部会としての意 見とさせていただきます。 ○安全使用推進室長 その際に、客観的にリスクが高いものについては、どういった目安を考え ればいいかなというところ、もし山口先生でも、岡田先生でも、御意見をいただけると、考える ときの参考になるかと思っておりますが。 ○吉澤委員長 では、山口先生からお願いします。 ○山口(照)委員 具体的にアイデアはございません。ただし、過去の事例から見ていても、例 えば、きょうの分画の中で、要するにコーンの分画の初期に当たるところで、しかも一番ウイル スが来やすいところは、もうわかっているわけですよね。それからあと、不活化工程の非常にか けにくい製剤、そういうものに限定してというふうに考えたほうがいいのではないかなと思いま す。 ○岡田委員 対象は確かにそれでいいのですけれども、ただそうなると、第8因子にしろ、第9 因子にしろ、危ないものは既に勧奨になっていると。そうすると、残りは一体何だろうかと考え てしまうのです。ですから、あえて言えば、フィブリノゲンも、さっき言ったティシールの非加 熱、あれは実はクリオからつくっているんですね。なので、非常に限られるのではないでしょう か。もうそれは一応勧奨すると言いましたので、並行して、もしくはその当時の検体があれば、 やってみてもいいかなとは思いますけれども、その程度になってしまうと思います。 ○吉澤委員長 対象は、非常に限られますけれども、やっぱり全くやらないという態度ではなく て、必要に応じて実施し、確認をしておくとすればよいのではないかと思いますが。そういう結 論でよろしゅうございましょうか。 (「異議なし」との声あり) ○安全使用推進室長 どうもありがとうございました。 ○吉澤委員長 では、その方向でよろしくお願いいたします。 ○安全使用推進室長 今の御意見をいただきまして、事務局でもこういった対応につきまして、 今後の整理をいたしまして、また先生方に御相談、個々にということにもなるかもしれませんけ れども、御相談させていただきながら、進めさせていただくことにいたします。どうもありがと うございました。 ○吉澤委員長 おしまいに、先ほど、山口先生から御意見いただきました保存のことにつきまし ては、将来、この度のようなの膨大な作業を繰り返さなくて済むように構えておくという意味か らも、検討しておいていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議題はこれで終了させていただきたいと思います。  御多忙のところ、大変ありがとうございました。 照会先:医薬食品局安全対策課 電話番号:03−5253−1111