10/06/22 第2回石綿による疾病の認定基準に関する検討会議事録 第2回石綿認定基準検討会議事録(平成22年度第2回) 1 開催日時及び場所   開催日時:平成22年6月22日(火)午後5時30分〜午後7時   開催場所:共用第7会議室 2 出席者 参集者:審良 正則、岸本卓巳、三浦溥太郎、宮本顕二、森永謙二 厚生労働省:渡辺輝生、桐生康生、幡野一成、柘植典久他 3 照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部  補償課職業病認定対策室  (電話) 03(5253)1111  (内線) 5571 4 議事内容 ○柘植中央職業病認定調査官 定刻より少し遅れましたが、ただいまより「第2回石綿に よる疾病の認定基準に関する検討会」を開催したいと思います。  検討会を開催する前に、傍聴されている方にお願いがあります。携帯電話などの電源は 必ず切るか、マナーモードにしていただくようお願いします。そのほか、別途配付してい ます「傍聴される方へ」という、留意事項をよくお読みの上、会議の間はこれらの事項を 守って傍聴していただくようお願いします。万一、留意事項に反するような行為があった ような場合には、当会議室から退出をお願いすることがありますので予めご了承ください。  では、これより「第2回石綿による疾病の認定基準に関する検討会」を開催いたします。 本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきまして感謝申し上げます。それでは、座長で あります森永先生に議事の進行をお願いいたします。 ○森永座長 まず先に、資料の確認だけお願いします。 ○柘植中央職業病認定調査官 資料の確認をさせていただきます。その前に傍聴されてい る方にお願いがあります。写真撮影は以上とさせていただきます。以後の写真撮影等はご 遠慮いただきます。よろしくお願いします。  資料のご確認をお願いいたします。本日の資料は「石綿による疾病の認定基準に関する 検討会 第一次報告書(案)」、また前回、第1回のときに配付した資料として資料1 「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」開催要綱、資料3「石綿健康被害救済制度 における指定疾病に関する考え方について」、資料4「じん肺法におけるじん肺健康診断 等に関する検討会報告書」を配付しています。  さらに、参集者の先生方には報告書(案)の中の参考文献を別途、水色のファイルにし て机上配付しています。その中で、31番につきましては先ほど宮本委員からお持ちいた だきましたので綴じずに、いちばん後ろのほうに入れてありますのでよろしくお願いいた します。資料の不足等、ございますでしょうか、よろしいですか。以上です。 ○森永座長 報告書(案)は何頁ありますか、確認だけ。 ○柘植中央職業病認定調査官  報告書(案)ですが、参考文献を入れまして11頁まで ございます。 ○森永座長 わかりました。今日はこれを検討するのがメインの仕事ですので、早速、こ の 報告書(案)文を検討していきたいと思います。「はじめに」は要領だけ簡単に言っ ていただいて、2.以降をきちんとやっていきましょう。よろしくお願いします。事務局も お願いします。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 「はじめに」は。 ○森永座長 要領でいいです。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 とりあえず頁半分ぐらいですので、環境省においては石 綿による健康被害の救済に関する法律以下「石綿救済法」に基づく救済給付の対象となる 指定疾病の考え方等について検討を行うため、平成21年10月に環境大臣から中央環境審 議会に諮問が行われたが、平成22年月に石綿健康被害救済制度の在り方についての一次 答申が「石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する考え方について」(以下「一次 答申」という。)として行われたところである。  この一次答申において、「石綿を取り扱う作業に3年以上従事し、石綿を吸入すること により発症したびまん性胸膜肥厚については、著しい呼吸機能障害をきたしている場合に は、救済の対象とすることが適当」とされ、「著しい呼吸機能障害の有無を判定する考え 方」が示されたところである。  一方、上記の環境省における検討を踏まえ、厚生労働省労働基準局安全衛生部では、じ ん肺法に基づくじん肺健康診断の在り方について検討を行うため、「じん肺法におけるじ ん肺健康診断等に関する検討会」が開催され、平成22年5月に同検討会の報告書が取り まとめられた。  この報告書において、じん肺の肺機能検査の結果において、「著しい肺機能障害と判定 する基準」が示されたところである。  当検討会においては、これらの検討会報告書を参考にしつつ、労働者災害補償保険法 (以下「労災保険法」という。)に基づく保険給付又は石綿救済法に基づく特別遺族給付 金の対象となるびまん性胸膜肥厚を認定する際に用いる著しい呼吸機能障害の判定方法に ついて検討を行ったので、その結果をここに報告する。  以上です。 ○森永座長 下から8行目、「じん肺の肺機能検査」、ここは「肺機能」になっているの ですか。これはこれでいいのですか。ほかに何か、意見はございますか。  宮本先生、よろしいですか。「じん肺の肺機能検査」。これは法律でそうなっていると 理解していいのですね。 ○桐生主任中央じん肺調査医 はい、じん肺はそうです。 ○森永座長 何か、ここに""を入れておいたほうがいいのかな。2.に行きましょう。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 それでは、2について読み上げます。 2.石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害について。びまん性胸膜肥厚の定義は McCloudら、Lynchら、Peacockらにより試みられているが、まだ国際的な合意が得られ るには至っていない。また、これまでに報告された石綿ばく露者の呼吸機能検査成績につ いては、びまん性胸膜肥厚及び胸膜プラークの両者を含む、胸膜肥厚について検討された ものが多い。ここでは、びまん性胸膜肥厚の定義を明らかにした上で呼吸機能との関連を 検討した論文についてレビュウする。  Lumleyは28歳から64歳までの造船労働者194人を対象に、呼吸器症状等の質問票、 胸部エックス線及び呼吸機能調査を行い、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、胸膜プラーク、胸 膜異常所見なし別の呼吸機能検査成績を比較検討した。異常所見なし群と比べて、びまん 性胸膜肥厚群は1秒量、努力性肺活量、1秒量、全肺活量、肺拡散能のいずれも有意の差 が認められた。びまん性胸膜肥厚群を、さらに石綿肺の所見あるいはチアノーゼ、ラ音、 バチ指等、肺線維化の可能性のあるものを除外したびまん性胸膜肥厚群でも、石綿肺有所 見群に次いで、1秒量、努力性肺活量、1秒率、全肺活量のいずれもさらに悪い結果を示 した。結論として、びまん性胸膜肥厚は胸膜プラークに比べて、呼吸機能障害と関連して いるものと思われる、と述べている。  McGavin CRらは胸部エックス線で石綿肺所見のないびまん性胸膜肥厚を呈する37人の 造船労働者の呼吸困難度、呼吸機能検査、胸部エックス線におけるびまん性胸膜肥厚の拡 がりと肋横角の消失について検討した結果、肺活量の低下は有意に呼吸困難度及び胸膜異 常所見の程度と相関が見られたと報告している。  Keeらは石綿の職業ばく露を受けた1150人のうち、胸部CTでびまん性胸膜肥厚所見を 確認した84人中の53人と、年齢をあわせた同集団の中からCTでびまん性胸膜性肥厚の 所見のないもの53人を対照に選び、呼吸機能検査成績を比較した結果、努力性肺活量の 有意の低下、並びに一酸化炭素拡散能の有意の低下を認めたが、1秒率の差は認めなかっ た、と報告している。  Yatesらは石綿ばく露歴のあるびまん性胸膜肥厚症例の平均8年間の呼吸機能検査成績 の変化を観察した結果を報告している。対象はロンドン呼吸器疾患医学委員会で中等度以 上のびまん性胸膜肥厚と診断された64人で、そのうち36人については平均8.9年後の呼 吸機能検査も調べることができた。64人の初回の呼吸機能検査では、%努力性肺活量は 77%、%全肺気量71%、対標準1秒量62%で有意に予測値より低く、残気量は90%、一 酸化炭素拡酸能は74%でやや低かったものの、Kcoは104%で低下はみられなかった。追 跡調査ができた36人を喫煙別に年当たりの変化をみると、1秒率及び肺活量の減少は現 喫煙者及び過去喫煙者の方が非喫煙者に比べて大きかった。著者らは石綿によるびまん性 胸膜肥厚は、努力性肺活量と対標準1秒量のみが有意に減少すると結論している。  石綿ばく露労働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会において検討された15例 のびまん性胸膜肥厚症例の呼吸機能検査では、%肺活量は平均値57.7%、中央値61.5% であったが、1秒率は平均値76.8%、中央値74.6%であった。  ヘルシンキで開催された専門家会議のコンセンサス レポートでは、「びまん性胸膜肥 厚はマイルドな、稀には中等度若しくは重症の拘束性呼吸機能障害と関連する。」、「び まん性胸膜肥厚は高濃度のばく露レベルが必要だろう。」とも述べている。  アメリカ胸部学会の2003年12月12日の公式声明でも、石綿によるびまん性胸膜肥厚 は胸膜プラークに比べて呼吸機能の有意な影響を及ぼしうるとし、努力性肺活量の低下は 壁側胸膜と臓側胸膜の癒着によるものであり、比較的拡散能が維持されたままの拘束性換 気障害は特徴的である、と述べている。  これまでの諸家の見解をとりまとめると、石綿によるびまん性胸膜肥厚の呼吸機能検査 では拘束性換気障害を呈するとされる。 ○森永座長 ここまでのところで、何かご意見はございますか。 ○宮本委員 何点かよろしいでしょうか。まず、真ん中に全肺活量と書いてあるのは私の ミスで全肺気量です。申し訳ございません。 ○森永座長 TLCのことね。 ○宮本委員 そうです。その4行下も全肺活量ではなくて全肺気量です。ミスで申し訳あ りません。 ○森永座長 "Medical Research Council"は何か、適切な訳があるのですか。 ○宮本委員 以前調べたことがあるのですが、「イギリス王立医学会」とか言うのでしょ うか、ちょっとわからなかったのです。 ○宮本委員 それ以外に、肺拡散能のことなのですが、用語を統一したほうがいいのでは ないかと思いました。 ○森永座長 はい、「一酸化炭素拡散能」とかいうところですか。 ○宮本委員 はい。まず、上のLumleyから6行目、肺拡散能(DCO)となっていますけれど も、これは「DLCO」に変更をお願いしたいと思います。  それに伴い、下から6行目、並びに一酸化炭素拡散(DLC)の、ここを肺拡散能にして、 英語の略字もここは必要ないと思います。  それに関連して、次の頁の上から4行目、一酸化炭素拡酸能は肺拡酸能に変更されては いかがかと思いました。  同じ頁の下から4行目、比較的拡散能が維持されたままですが、「比較的肺拡散能が維 持されたまま」に直したら統一されるかなと思います。 ○森永座長 事務局、よろしいですか。全肺気量と肺拡酸能(DLC)のところ、肺拡酸能で 3カ所ですね。次に行きましょうか。また、意見があったら、いつでも元に戻ってもよろ しいですから。とりあえず、今度は4頁目に行きましょう。どうぞ、(2)まで行ってくだ さい。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 それでは読み上げます。 3.びまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の評価について (1)肺活量及び1秒率の正常予測値について。肺活量及び1秒率の正常予測値については、 「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会」報告書で述べられているように、 これまで外国人のデータを基にしたBaldwinらによる予測式が用いられてきた。しかし、 80歳以上の高齢者が含まれないこと、用いられた背臥位の肺活量は座位又は立位の肺活 量に対して低いことから、労災保険におけるびまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害 の判定においても、80歳以上を含めた日本人データを基に日本呼吸器学会が2001年に提 案した予測式を用いることが適当である。  日本呼吸器学会が提案した肺活量及び1秒量の正常予測値の予測式とは以下のとおりで ある。(1)肺活量 男性:0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258(L)。女性:0.032×身長(cm)- 0.018×年齢-1.178(L)。(2)1秒量 男性0.036×身長(cm)-0.028×年齢-1.178(L)。女 性:0.022×身長(cm)-0.022×年齢-0.005。  最近では、閉塞性換気障害の重症度判定は1秒率と対標準1秒量の両者をもって行うの が一般的である。  (2)石綿によるびまん性胸膜肥厚による呼吸機能障害の判定方法について。びまん性胸 膜肥厚による呼吸機能障害は、上記で述べたとおり、拘束性換気障害を呈するものである ことから、労災保険におけるびまん性胸膜肥厚による著しい呼吸機能障害の判定について も%肺活量が60%未満である場合をもって、著しい呼吸機能障害があると判定すること が適当である。  石綿によるびまん性胸膜肥厚では、拘束性換気障害に閉塞性換気障害を合併するかどう かについては統一した見解は出ていない。Cotesらは、172名の石綿関連疾患及び疑い例 の胸部エックス線検査と呼吸機能検査所見から胸膜肥厚は努力性肺活量と1秒量の低下を 伴うが、閉塞性換気障害の指標である1秒率は関連しないと報告している。しかし、対象 者全員の1秒率の平均値が65.3%と正常下限の70%より低く、閉塞性換気障害を合併し た者が対象に多く含まれているものと思われる。Schwartzらもばく露歴のある60人を対 象に、胸部エックス線所見から、異常所見なし、石綿肺、胸膜線維化、石綿肺+胸膜線維 化の4群で呼吸機能を比較しているが、胸膜線維化は拘束性換気障害が有意であるが、1 秒率は4群で差を認めなかったと述べている。しかし、対象の多くは喫煙者であり、かつ、 胸膜線維化と診断した群の1秒率の平均値は68%であった。このことはCotesらの報告 同様に閉塞性換気障害の者が対象に多く含まれていたことを意味している。石綿ばく露労 働者に発生した疾病の認定基準に関する検討会においても15例のびまん性胸膜肥厚症例 の1秒率は平均76.8%であることから、びまん性胸膜肥厚症例の中に1秒率<70%の閉 塞性換気障害の者がいるものと思われる。  胸膜肥厚と呼吸機能に関するその他の研究報告をみると、はじめから閉塞性換気障害患 者を除外して、胸膜病変の程度と拘束性換気障害の程度を比較検討している場合が多い。 すなわち、Aljardらは1秒率<70%でかつCTで胸膜病変のみを確認した症例で呼吸機能 検査を行い、努力性肺活量や全肺活量の低下、すなわち拘束性換気障害が胸膜病変の程度 と相関することを提示した。当然ながら閉塞性換気障害の有無についての記載はない。同 様にMcGavinやYaetzらも1秒率の低下した症例を除いて検討している。ただし、Yates らは8〜9年の経過で1秒率は変化しなかったと報告していることから、閉塞性換気障害 がこの観察期間内に進行しなかったことは興味深い。また、Bourdeauらも拘束性換気障 害のみに着目し、1秒率については一切検討していない。進行した珪肺症については、肺 気腫が合併症のひとつであることは知られている。しかし、石綿によるびまん性胸膜肥厚 の場合に石綿ばく露が肺気腫の危険因子のひとつであるという報告はこれまでのところな いようである。石綿ばく露によって、small airway diseaseとの関連は指摘されている が、臨床における有意な影響はこれまでのところ不明である。ところで、Beginらは生涯 非喫煙者の石綿労働者で石綿肺所見のないもの8人中1人に、%1秒量が80%未満で、か つ1秒率が90%未満の者が1人いたことを報告している。また、Huuskonenらは、高濃度 石綿ばく露者は喫煙量に差がないにもかかわらず他の石綿ばく露者に比べて胸部CTでの 肺気腫所見の頻度及び程度が高いことを報告しており、肺気腫における石綿の役割につい ては更に調査が必要と述べている。  このように、石綿によるびまん性胸膜肥厚については、閉塞性換気障害、すなわち混合 性換気障害の有無については、今のところ定まった知見はないと思われる。  以上のことから、石綿によるびまん性胸膜肥厚の事案には、石綿肺の所見もなく、%肺 活量がそれほど低下していないにもかかわらず、呼吸機能が低下する場合も想定される。 したがって、%肺活量が60%を超えている場合であっても、%肺活量が80%未満である 場合のうち、一定の閉塞性換気障害や低酸素血症の状態が認められる者については、現時 点では暫定的に著しい呼吸機能障害があると判定することが望ましい。  具体的な判定方法をまとめると以下のとおりである。  (1)%肺活量(%VC)が60%未満であること。又は、(2)%肺活量(%VC)が60%以上80% 未満であって、(1)1秒率が70%未満であり、かつ、%1秒量が50%未満であること。又は、 (2)動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下であること。又は、肺胞気動脈血酸素分圧較差 (AaDO2)の著しい開大が見られること。注)その他の呼吸機能検査結果が提出された場合 には参考とする。  ここで「%VCが60%未満」、「%VCが60%以上80%未満」及び「AaDO2の著しい開 大」はじん肺法による判定基準を、「1秒率が70%未満」は閉塞性換気障害の一般的基準 を、「かつ、%1秒量が50%未満」はCOPDの病期分類で「重症」に相当する基準を、 「PaO2が60Torr以下」は呼吸不全に相当する基準を意味する。  なお、上記(2)の(1)又は(2)については、実際の検査数値がそれらにわずかに満たないも のである場合にあっても、その他の呼吸機能検査の結果が提出された場合や、これまでの 経過等総合的な評価でもって著しい呼吸機能障害の判定を行う運用が望ましい。以上です。 ○森永座長 なかなか難しい表現ですが、ご意見ございますか。 ○宮本委員 5頁目の真ん中、全肺活量とあるのは全肺気量の間違いです。申し訳ござい ません。  同じく5頁の下から2行目、閉塞性換気障害(1秒量と1秒率両方の低下)となっていま す。前の頁に両者という言葉を使っていましたので、両者の低下に統一させていただきた いと思います。  それに関連して、閉塞性換気障害(1秒量と1秒率両者の低下)の合併、すなわちとい うようにして、「の合併」を入れていただくと文章がわかりやすいかと思いました。お願 いいたします。 ○森永座長 閉塞性換気障害(1秒量と1秒量両者の低下) ○宮本委員 「の合併」。 ○森永座長 「の合併」。 ○宮本委員 つまり、拘束性換気障害は明らかにあるので、それに閉塞性換気障害を合併 していると考えたほうがストーリーがしっかりします。あるいは、閉塞性換気障害の合併 (1秒量と1秒率両者の低下)としたほうが読みやすいかもしれません。 ○岸本委員 %1秒量が80%未満で、かつ1秒率が5頁の下から6行目ぐらい、90%とあ るのは90%ではなくて70%ではないのですか。 ○森永座長 文献で当たってみたほうがいいですね。 ○岸本委員 90%未満というのは多分1秒率が70%未満で、%1秒量が80%未満ならわ かるのですが。 ○森永座長 これはまた、(5)の文献でもう一遍確認しましょう。 ○三浦委員 同じく上のほう、Aljardらのこれは1秒率<70%ではなくて逆ではないで すか。 ○宮本委員 何頁ですか。 ○三浦委員 5頁の真ん中、胸膜肥厚と呼吸機能に関するその他の研究報告を見るとの3 行目、Aljardらは1秒率<70%でかつCTで胸膜病変のみを確認した症例でなくて、これ は、1秒率<70%を省いた症例ではなかったですか。そこを確認する必要があると思いま す。 ○宮本委員 そうです。そのまま文章をコピー、ペーストしてしまったのでしょうね、申 し訳ありません。1秒率が70%以上、つまり、閉塞性換気障害をもともと省いた症例で検 討しているので。閉塞性換気障害の検討はないということですから。 ○岸本委員 不等号をやめて。 ○宮本委員 不等号を省いたほうが誤解を生まないかもしれません。 ○森永座長 先ほどの2カ所はもう1度、文献はあとでもう1度チェックしましょう。こ れの趣旨は純粋な、石綿によるびまん性胸膜肥厚、石綿肺のない例は、基本的には拘束性 の換気障害ということを大体、石綿の専門家は言っているんだけれども、実際の例ではな かなかいろいろややこしい例が出てくる。問題はたばこがメインだけれども、粉じんも以 前から言われていますので、そこはきちんと調べないと、ちょっと判断が難しい。とりあ えずは環境省の基準でいきましょうということでよろしいですか。お二人が委員でおられ るのですが、三浦先生と岸本先生は環境省の委員でしたからそれでよろしいですか。暫定 的にそうしましょうということです。 ○岸本委員 それでいいのではないですか、暫定的であれば。 ○森永座長 では、留意点にいきましょう。6頁です。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 (3)著しい呼吸機能障害の判定に当たっての留意点。び まん性胸膜肥厚の著しい呼吸機能障害の判定に当たっては、以下の点に留意することが必 要である。  一般に、呼吸機能障害は検者が適切に指示を行い、被検者の十分な理解と協力を得なけ ればならない。検査結果の妥当性と再現性を確保するためには、日本呼吸器学会のガイド ラインに従い、検査は最低3回実施し、このうち最も良好な結果を採用することが必要で ある。さらに、判定の際は、呼吸機能検査や血液ガス測定の結果が記録されたグラフ、検 査報告書等の提出を求めて、これを確認することが必要である。  びまん性胸膜肥厚以外の他の疾病が合併することにより呼吸機能が修飾されている可能 性がある場合には、医療機関において得られた呼吸機能検査結果だけでなく、胸部CT等 の諸検査の成績も含めて総合判断し、当該疾病による著しい呼吸機能障害があると判断さ れる場合は補償・救済の対象とする。ただし、気胸や良性石綿胸水など急性の疾病が合併 している場合は、状態が落ち着いたあとに行われた呼吸機能検査結果を評価すること。  びまん性胸膜肥厚の所見が認められる場合であっても、1型以上のじん肺の所見が認め られる場合には、じん肺法に基づいた取り扱いをすることとなること。 ○森永座長 特に2番目と3番目ですが、これでよろしいですかということ。 ○宮本委員 1つよろしいですか。大筋ではいいのですが、実は基準にAaDO2の著しい開 大が見られるということで、項目が入っているわけですが、これを求めるときに、動脈血 ガスから求めるのですが、酸素吸入下に中に計算してくる方がおられまして、一応、室内 吸入下に動脈血を採血するというのが原則なのですが、じん肺法では何も書いていなくて、 そのままAaDO2を採用するということで、具体的なことは書いていません。  それで私も、あえて書く必要はないかなと思ったのですが、申請の際に酸素を吸入しな がら計算してくる方がたまにおられますので、やはりちょっと明記したほうがいいのかな ということが気になりました。もちろん明記しなくても、何も構わないのですが、じん肺 のハンドブックには室内気で吸入するということは、明記はされていないです。よくよく 見ると、室内気で採血しなければならないことがわかるのですが、ちょっと曖昧な書き方 をしています。  それで、いま頃になって言うのは恐縮ですが、AaDO2の計算においては室内空気下の動 脈血ガス分析結果を採用するということ、ちょっと1行入れたほうが、そういう申請のチ ェックが楽になるかなという気もしました。あえて書かなくても全然問題ないのですが。 ○森永座長 入れるとしたら、いちばん上の所ですか。 ○宮本委員 7頁の所で、上から5行目の次の所に、動脈血のことを書かれたらいかがで しょうか。「肺胞気動脈血酸素分圧較差を求めるに当たって、動脈血ガス、採血は室内空 気下に行う」というのを入れれば、混乱がないような気もします。 ○渡辺職業病認定対策室長 いまのお話は、採血の方法のお話なのでしょうか。 ○宮本委員 採血の方法です。よく酸素を吸いながら、動脈血で酸素を計る方がおられま して、患者さんの状態が悪いから、酸素を吸いながら計るのだということを、よく書かれ ているのですが、そうするとAaDO2の判定は一切できないことになるのです。 ○柘植中央職業病認定調査官 すみません。6頁の四角で囲った部分の次のところですが、 宮本先生に用語の解説を付けていただきましたよね。 ○宮本委員 はい。 ○柘植中央職業病認定調査官 その中で、「PaO2が60Torr以下」(室内空気吸入下)は とあるので、これでは駄目なのですか。 ○宮本委員 または開大ということで。いいのですが、誤解している方が多いのです。 AaDO2は酸素吸入下でも計算できるのです。それを利用して患者さんの状態を把握すると いう方法が、教科書によく書かれているので、酸素吸入下で計っても、悪いことではない のです。  ですから申請のときに、それを書いてくる方もおられるので、7頁に具体的なことを書 いていますよね。その注意点を。 ○森永座長 先生の言われていることは、呼吸器学会のガイドラインにも書いてあるので すか。 ○宮本委員 書いていません。 ○森永座長 書いてない。 ○宮本委員 はい。AaDO2の測定に関しては、室内空気下で行うとは書いてないです。と いうのは酸素吸入下で行っても一向に構わないのですが、この判定基準は室内空気下の値 を使わなければ、じん肺の判定はできないのです。酸素吸入下でしてしまうと、AaDO2は 開大してしまうのです。ですから本来基準に満たない人でも、酸素吸入下でこれを計算し てしまうと、F(++)くらいになってしまうということが起こります。じん肺法の判定 には、室内空気下で測定しなければいけないというのが、一応常識になっているのですが、 そういうことをはっきりとはハンドブックにも書いていないのです。  そのこともあって悩んでいて、いま改めて読むと、やはり将来の混乱を防ぐためにも、 一言書いたほうが誤解されないのではないかという気がしまして、いま頃になって申し訳 ありません。 ○森永座長 三浦委員、岸本委員、どうですか。 ○岸本委員 それについては私のほうから。確かに宮本先生がおっしゃるとおりですが、 じん肺法でのAaDO2の測定というのは、暗黙下に酸素を吸入しない、普通の状態でという ことになっているので、入れること自体が決して間違いではないけれども、じん肺法のほ うではあえて書いていませんので、私としては入れる必要はないのではないかと思ってい ます。  これは宮本先生がおっしゃったとおりで、わかっている方は決して酸素吸入下にはやら ないのですが、わからない先生方がじん肺の定期報告などでも、酸素2リッター吸入下の PaO2、CO2を書いて、AaDO2を測定するということになる場合が、確かにあります。ただ、 びまん性胸膜肥厚だけにそれを入れてしまうということになると、ちょっと問題があるの かなと私は思いました。 ○宮本委員 納得しました。私も書かないことに賛成します。というのは私もずっと悩ん でいて、じん肺法に書いてないのに、あえてここで書くのはどうかなと思っていて、それ でいままで考えていたのですが、岸本先生が言われたとおりですので、あえてここで書く 必要はないと思います。提案を変えさせていただきます。 ○三浦委員 私も基本的には、ここだけに書くのはおかしいので、ここだけ書くと逆に他 のほうがおかしいということになってしまうので、書かないことには賛成ですが、何らか の運用上のことで、どこかに書いておいたほうが確かにいいと思います。この答申ではな いところにでも。  といいますのは、この基準だけが一人歩きして、文句を言ってくる人が必ずいるのです。 ですから、その辺は考慮しておいたほうがいいと思います。 ○宮本委員 それなら、書いたほうがいいのかな。 ○三浦委員 というのは、呼吸生理がある程度わかっている先生でないと、全然チンプン カンプンな話になってしまうのです。その先生を説得するのは意外と大変なものですから、 どこかに運用上のことを入れておいたほうがいいのですが、逆にいいかなと現実には思い ます。  ここにあえて載せると、かえって統一性がなくなるので、AaDO2については宮本先生の おっしゃるとおりで、この基準はルームエアー(室内気)で測定しないと、まったく意味 がない値ですので、それは間違いないことですので、そこを何か問い合わせがあれば、そ ういう答えをするとか、何かどこかにとめておいていただくといいなと思います。 ○森永座長 いや、別に7頁の4行目、血液ガス測定の結果の所に、「酸素吸入下でない 状態での測定結果」と入れておいてもいいのではないですか。よくないのですか。評価の 際に、判定の際は。 ○岸本委員 よろしいですか。動脈血酸素分圧というのは、これは常識的に酸素を吸わな いときに言うべきデータですよね。60Torr以下というのは。  だから、AaDO2も同じということに常識的に考えれば、私はいいのではないかと思うの ですが。 ○三浦委員 酸素分圧のほうは、酸素を吸わなければ下がるだけですから、低いだけです から、それは基準を満たしているのでいいのですが、逆に酸素を吸うと開大するのですよ ね。 ○岸本委員 はい。 ○三浦委員 ですから、きちんと酸素濃度が、ある程度わかる状態での、酸素を吸入して AaDO2を測れば当然開大してきますから、これをもって開大していると言われたときに、 混乱が生じる。 ○森永座長 もう地方じん肺診査医の先生はわかっているのですね。 ○岸本委員 それはわかっています。よくある話で、宮本先生が言われるとおりでして、 酸素を吸った状態でAaDO2を算定される方が、多いとは言いませんがありますので、著し い開大だということで、よく聞いてみると酸素吸入中だったりということがあるので、そ れは確かに。 ○森永座長 では、それは記載しないままでいきましょう。あとの2つの・印の所はどう ですか。合併症の場合、特にびまん性胸膜肥厚は、良性石綿胸水がある場合は、やはりそ れがある程度落ち着いた後に当然評価してくださいよと、まあ当然ですね。いいですか。  一番最後の所が難しい話ですが、じん肺法は管理体制がきちんと出来ていますので、そ ちらでじん肺の所見があれば、そちらで取扱ってくださいという意味になっているのです が、それでよろしいですね。  2つ可能性があって、ハツリの人で石綿肺を合併する場合と、珪肺症を合併してびまん 性胸膜肥厚を合併するという場合、両方ありますね。両方とも、みんなじん肺法で管理し てくれと。 ○岸本委員 これは、いま先生が言われたとおりですよね。じん肺法の1型があって、び まん性胸膜肥厚があって、著しい肺機能障害をきたす人がいるのですよね。これはどちら が原因だと言われると、石綿肺であれば拘束性肺機能障害があるというのはいいのですが、 いま森永先生が言われたように珪肺があって、びまん性胸膜肥厚があって、珪肺のほうは 陰影が非常に軽くて、肺気腫だというような場合に、%肺活量が落ちた場合にどちらのせ いかというと、びまん性胸膜肥厚のせいだろうと考えたいのですが、そうした場合は適宜 ということにはならないのでしょうか。あくまでもじん肺法の、じん肺のということにな るのでしょうか。これは判定で苦慮することがあったということなので、お聞きしていま す。 ○渡辺職業病認定対策室長 制度的には、両方満たすのであれば、どちらも適用させると いうことでいいのだろうと思いますし、そうなった場合にどちらを選択するかというと、 普通はじん肺で著しい呼吸機能障害があったら、もう管理4ですから、そうするとその人 は、もうずっと労災の補償の対象で、死ぬまで、死んでからもそうかもしれません。とい う立場になりますから、普通はそちらを選択するだろうと思いますし。 ○岸本委員 それでいいですか。というのは、主な呼吸機能障害は、じん肺というより珪 肺ではなくて、びまん性胸膜肥厚の拘束性の肺機能障害の%肺活量が60%未満なのです が、それもじん肺法でということで考慮していいわけですね。 ○渡辺職業病認定対策室長 ぎりぎり言って、科学的にどうかという話になると、それは いろいろあるかもしれませんが、少なくともいまの制度上は、じん肺法の呼吸機能の判定 のほうが少し緩いわけですし、ですから当然ここの要件を満たすということは、じん肺の 要件も満たすということですね。  それで、じん肺の1型以上あるということであれば、当然じん肺法上も要件を満たすと いう、それは制度上、間違いないのだろうと思います。 ○岸本委員 そうですね。医学的にはクエスチョンなのですが、制度上ではいいというこ とで、合わせ技であるけれども、それはもう、じん肺法上でやるようにしてくれという、 そういうことでよろしいわけですね。 ○森永座長 いや、びまん性胸膜肥厚だけがあって、著しい呼吸機能障害がない場合は、 これは健康管理体制としては、石綿則のほうの管理になるわけですね。 ○岸本委員 そうです。 ○森永座長 ところが、じん肺が少し、1型以上あればじん肺法の管理下に入るという整 理をするのがいいのではないかと、こういう案ですよね。 ○岸本委員 はい。それは、労働者は非常に助かると思いますので、通常の珪肺ではあま り%肺活量が悪くなりませんので、気腫化が起こってきて、1秒率が70%を切って、%1 秒量が10%を切るということで、そちらのほうであるようになるのですが、そうではな くて、びまん性胸膜肥厚があって、なおかつ珪肺も10以上あるといった場合のときの、 その肺機能の著しい障害が、%肺活量が54%であっても、これはじん肺法に準ずるとい うような、そういう考え方でいいわけですね。 ○森永座長 何か実際は石綿よりびまん性胸膜肥厚があれば、両方の管理下になるわけだ よね。石綿則と。 ○岸本委員 いや、森永先生が言われたようにハツリとかであれば、石綿肺ではなくて珪 肺があって、不整形陰影はなくて、びまん性胸膜肥厚があるという例があるのですよね。  石綿肺プラスびまん性胸膜肥厚なら、これは非常にわかりやすいのですが、珪肺があっ て。 ○渡辺職業病認定対策室長 よくわからないのですが、そうするとそれは石綿によるびま ん性胸膜肥厚ではないかもしれないという観点ですか。 ○岸本委員 いや、ハツリは両方吸うのです。石綿と珪素と両方吸っているので、びまん 性胸膜肥厚は石綿によるのだけれども、じん肺は石綿肺のような不整形陰影ではなくて、 粒状影がある、どちらかというと珪肺だと。肺機能が普通の珪肺の悪化したときのような 閉塞性の肺機能障害であれば、これは仕方ない、肺気腫もあるしということですが、そう ではなくて、びまん性胸膜肥厚があるために%肺活量が減ってくるということになると、 じん肺は珪肺なのだけれど、石綿によるびまん性胸膜肥厚がある場合は、これは珪肺はじ ん肺だから、じん肺則で見てあげるという、そういう考え方でいいのかどうか、ちょっと 教えていただきたかったのです。 ○渡辺職業病認定対策室長 私の理解で言うと、じん肺のほうは拘束性だろうが閉塞性だ ろうが、そこをいちいち問わないという、そういう立前ではないかと思います。 ○森永座長 何か労働衛生課の意見はありますか。 ○桐生主任中央じん肺審査医 労働衛生課の桐生と申します。先ほどから議論になってい るところに関して、じん肺法上の肺機能障害の判定基準のところについては、基準として は珪肺も石綿肺も同じ、全部カバーしたような基準になっているところです。  ただ、それぞれの個々のケースで見た場合には、エックス線検査の所見の結果や、肺機 能検査の所見、またはばく露歴、そういったものを見て総合的に判断していくことになる と考えておりまして、そういう意味で岸本先生から言われたようなケース・バイ・ケース による診断になっていくのかなと考えているところです。 ○岸本委員 もう一言よろしいですか。じん肺はやはり粉じんによって起こってくる、肺 の機能障害です。肺実質に起こった機能障害が、著しい呼吸機能障害を起こした場合、管 理4と診断されるのですが、びまん性胸膜肥厚というのは肺の病気ではなくて、胸膜の病 気なのです。  だったら肺だけでは著しい肺機能障害は起こらないだろうと、これはあくまでもハツリ という特別な方で、PRが1/0あって、レントゲンやCTで見て著しい肺機能障害が起こら ないだろうと思うけれど、びまん性胸膜肥厚があるために%肺活量が例えば54%になっ ているといった場合に、総合的に判断をすると、これはびまん性胸膜肥厚のために著しい 肺機能障害が起こっていて、珪肺やじん肺ではないだろうといった場合は、私はいままで 岡山局の労災医員としては、これはやっぱり、びまん性胸膜肥厚による著しい肺機能障害 であって、じん肺ではないという認定をしてきておりましたものですから、いまのところ はちょっと引っかかったもので申し上げました。  というのは、石綿肺だと不整形陰影があって、肺活量が減ってきますので、ちょうど合 わせ技という感じで、石綿肺プラスびまん性胸膜肥厚で%肺活量が減るというのはわかる のですが、CTで見ても不整形陰影はない。ただ、珪肺は立派にある。これはレントゲン で見てもPRが1/0以上の珪肺があるというのが、ハツリという一連の方々、解体作業者 でもそうなのですが、あるので、そこがちょっと引っかかったものですから、そういう場 合はどうしましょうと申し上げました。 ○渡辺職業病認定対策室長 純粋に医学的に、例えば不整形陰影の原因が珪肺によるもの であって、石綿はまったく関係ありませんと。それから呼吸器の機能が落ちたことが、こ れがまったく珪肺によるものではなくて、石綿によるびまん性胸膜肥厚によるものですと、 こうやって全て断定ができるのであれば、そういうことも言えるかなと思うのですが、な かなか。 ○岸本委員 断定はできませんよね。 ○渡辺職業病認定対策室長 だから断定ができない中で、その可能性が十分ある。だから 今回も拘束性だけど、閉塞性の基準も参考にしましょうと言っているようなところもある のだと、私はそう理解したのですけれども。  だから、どうもそういう両方の粉じんが影響しているような場合には、両方の可能性が 考えられるという状況下では、じん肺として見てもいいのかなと思っていますが、それが 医学的にどの程度確証を持って言える話なのかというのが、私にはちょっとわからなかっ たものですから。 ○森永座長 珪肺が1型だと、シリカよりもびまん性胸膜肥厚だと考えるのが普通なのだ けれど、そういうきちんとした物差しを作って、石綿によるびまん性胸膜肥厚の認定件数 を上げろとか言われても、実際はなかなかそれが難しいということを、今日傍聴している 方にも理解してほしいです。  なかなかそこは室長がおっしゃったように、物差しを作って勘定すればできますけれど もね。物差しを作らなければ、はっきり言ってどちらかはわからないですよね。また、物 差しを作る必要があるのかというと、その患者さんがとにかく著しい呼吸機能障害があれ ば、補償の対象にしましょうということなのだけれどね。これは、本当にそういう例は、 やはりハツリでは結構出てくるので。 ○渡辺職業病認定対策室長 労災の補償の立場から言えば、じん肺と認定して、じん肺の 著しい肺機能障害ということで、管理4と認定したとしても、その後何らかのことで呼吸 機能が正常に戻りましたということになると、それは給付の停止状態になるのだろうと、 要件を満たさないことになるのではないかと思いますけれども。もし明らかに呼吸機能が 落ちたことがびまん性胸膜肥厚の影響であって、そのびまん性胸膜肥厚の部分が良くなっ て、そしたらそれに伴って呼吸機能が改善して、正常に戻りましたという状態になれば、 また認定の見直しということになって、その運用でいいのではないかなという気がします けれど。 ○森永座長 議論はたくさんあるとは思いますが、じん肺法のほうが少し基準がゆるいの だから、それでいいよねという話で皆さんご理解いただくということでよろしいですか。                  (異議なし) ○森永座長 では、8頁。 ○幡野職業病認定対策室長補佐 4.その他です。石綿によるびまん性胸膜肥厚については、 胸部CTの有用性を含めて、最近の医学的知見等を踏まえ、厚さや広がりに関する要件、 呼吸困難度の評価方法等、今後本検討会において更に検討すべきと考えるということです。 ○森永座長 これは平成15年度でしたか。たしか15年度ですよね。びまん性胸膜肥厚を 入れたのはね。そのときにある程度は検討しましたが、石綿関連疾患についてはCTを使 うというのが、これは欧米では常識になっていますから、そういう知見も踏まえて整理を する必要があるという理解でいいのですが、審良先生、そういうことでよろしいですよね。 欧米はCTですよね。じん肺はCTを使わなくても、そのままでいったらいいという話はあ りますが、石綿関連疾患はCTですよね。岸本先生、それでいいですよね。 ○岸本委員 はい、私はずっとそのように言ってまいりましたので、そのとおりだと思い ます。 ○森永座長 三浦先生もそれでよろしいですね。では、先ほど修正すべき箇所がいくつか ありましたが、それは私と事務局で。 ○渡辺職業病認定対策室長 事務局として今後、通達という形でまとめていくのですが、 それに当たって確認をさせていただきたい点があります。6頁の具体的な方法として四角 で囲っていますが、そこの下の所に、「ここで」という所があります。%VCが60未満で、 それからAaDO2はじん肺法による判定基準を意味するということになるのですが、ここの 意味合いというのは、じん肺法と同じ意味ですという、そういう意味合いなのでしょうか。 ○森永座長 ここの部分はそうですね。そういうことですね。じん肺法の部分、前から言 われている、前から言われていなかったのかな。60%未満というのは、少なくとも前から そうですね。ここの部分は新しく、この間の検討会でも述べた、扱っている部分を採用し ていると、そういう意味ですね。そうですよね。 ○宮本委員 ちょっと追加させてください。この部分は私が書いたのですが、じん肺法に は昔のガイドライン、ハンドブックがありますね。そこからという意味で書きました。と ころが厚生労働省のホームページに掲載されている新しいもの、手元にあるのですが、そ れでも%肺活量が60%以上、80%未満である場合云々ということ。その云々は今回と基 準が違いますが、でも80%と出ているので、この数値自体は昔のハンドブックも現在も 残っているという意味で、整合性はとれるのではないかと考えています。 ○桐生主任中央じん肺審査医 よろしいでしょうか。宮本先生が言われているとおりなの ですが、おそらく事務局としては文言の整理という意味で、ということだと思っておりま して、じん肺法による判定基準というと、判定基準がこの数字単独で使われているように とられかねないので、例えばじん肺法で用いられている基準値とか、そういう言い方にす れば誤解がないのかなと思ったのですが。 ○森永座長 そうですね。そのとおりです。 ○岸本委員 数値自体は確かにじん肺法の、あのハンドブックで使われている数字です。 以上です。 ○森永座長 じん肺法で用いられている判定基準。ありがとうございました。いい意見だ と思います。 ○渡辺職業病認定対策室長 さらに具体的に言いますと、AaDO2のところは、そうすると ハンドブックに載っている、この限界値を上回る場合ということでよろしいわけですね。 あとはよかったですか。 ○森永座長 それは環境のほうを考えたらね。 ○三浦委員 細かいことですみません。用語といいますか、PaO2、AaDO2の表記ですが、 これは呼吸器学会は、たしかO2は下げるのですよね。 ○宮本委員 書き方は、PaO2については本当はダンダンダンと3段階に下げていくという のが原則なのですが、現在のワープロではできないので、いまはこういう書き方が暗黙の 了解になっています。  確かに先生がおっしゃるとおりです。厳密に書くと4段階に下がってくるのですよね。 次々に半行ずつ下げなければいけないという規則で。 ○三浦委員 そうなんですよね。 ○岸本委員 これには、そのような記載になっています。 ○三浦委員 もともと呼吸器学会が表記を統一したときに、そういう表記になった。ワー プロでは、なかなか大変なのです。だから結果的には基線を同じにしたOを小さくして、 またさらに2を小さくしたというような、下付け、下付けに下へ持っていくのですが。 ○宮本委員 いまの学会誌の研究論文も、こういう正式な記載はしていない。いまのワー プロで打てないということで、出版社に頼るしかできないので、やむを得ないのかなとい う気がしています。 ○柘植中央職業病認定調査官 では、Oを小さくするのは。 ○森永座長 いや、下げなければいけないですから、仕方がないですね。 ○三浦委員 小さくする所は下付きにして。 ○森永座長 2も下付きにしないと。 ○三浦委員 これは2だけ下付きになっているのですね。 ○宮本委員 そうです。 ○森永座長 他の労働衛生課のものも、環境省のものも。 ○岸本委員 こうはなっていないです。それは実際に無理ですから、ここまでやるという ことはいいのではないですか。環境省でも労働衛生課でも、呼吸器学会のような形式には なっていないと思うので。 ○森永座長 他に断り書きを書いておきますか。 ○宮本委員 きっと時代と共に変わってくると思うんですよね。ですから昔はそうだった けれども、きっとこれが暗黙の了解になって一般化されているので、きっと将来はこうな るという定義がされるかもわからないので、これでいいのではないでしょうか。すごい手 間がかかります。 ○三浦委員 AaDO2はAとaの間にハイフンなしでもよろしいのですね。 ○宮本委員 それも実は昔、調べたことがあるのですが、2つの説があります。ちょっと 確認させていただきます。すみません。  日本呼吸器学会の用語集があるので、それで統一したいと思います。 ○森永座長 そうですね。それに従ってやるということでチェックしましょう。 ○岸本委員 じん肺法は昔の昭和54年のハンドブックに由来するのではないですか。 ○森永座長 もう、みんな呼吸器学会に倣ってやるということでよろしいですか。だから じん肺法だけ肺機能だけど、それ以外はみんな呼吸機能で統一して、他の用語も英語も略 語も、みんな日本呼吸器学会のものに統一するということでよろしいですね。ワープロで 無理なものは仕方ないです。  そうしましたら、あと呼吸器の所は宮本先生と私で相談して、また事務局に相談して、 もうマイナーな修正だけですので、一応私に預からせていただいて、私と宮本先生で調整 して、事務局とやりますので、これを報告書にするということで、これは労災補償部長に 返したらいいですね。 ○柘植中央職業病認定調査官 そうです。労災補償部長です。 ○森永座長 労災補償部長に提出するということですね。 ○柘植中央職業病認定調査官 はい。 ○森永座長 では、そういうことで、これで一応検討会の私の仕事は終わりということで、 事務局にお返しします。何かありますか。 ○柘植中央職業病認定調査官 本検討会の第一次報告書(案)ですが、いま座長に一任と いうことでしたが、よろしいですね。 ○森永座長 もうちょっと時間がいるね。ちょっと修正が。 ○柘植中央職業病認定調査官 はい。それで、この報告書については提出がなされた後に、 厚生労働省のホームページへの掲載等で公開することを考えています。よろしくお願いし ます。 ○森永座長 公開までにもう一度、各委員の先生方に回してということですね。 ○柘植中央職業病認定調査官 そうです。では、最後に事務局を代表して、職業病認定対 策室長の渡辺よりご挨拶を申し上げます。 ○渡辺職業病認定対策室長 すみません、今日は本当は部長も課長も出席予定だったので すが、急に所用が生じましたので、代わりまして一言、最後にご挨拶申し上げたいと思い ます。  この度は大急ぎで、びまん性胸膜肥厚の関係を取りまとめていただきまして、ありがと うございました。本当に先生方にはお忙しい中、ご無理を申し上げて恐縮に存じておりま す。最後に座長にはもう少しご苦労をおかけしますが、何とかまとめて、環境省あるいは 衛生課と同じように、7月1日に施行できるように、最後にまとめていきたいと思ってい ます。  いまのお話にありましたが、びまん性胸膜肥厚についてもまだいろいろ検討課題がある ということで、引き続き先生方にはいろいろな角度からご協力をお願いしたいと思ってい ます。本日はどうもありがとうございました。 ○柘植中央職業病認定調査官 それでは、本日の検討会はこれで終了します。先ほどの話 にもありましたが、今後の検討会の開催等については、追って各委員の先生方にご連絡さ せていただきたいと思います。よろしくお願いします。  先生方におかれましては非常にご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにあり がとうございました。