10/05/31 第49回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録 第49回労働政策審議会職業能力開発分科会      日時 平成22年5月31日(月)      19:00〜             場所 厚生労働省省議室9階 ○今野分科会長 それでは時間になりましたので、「第49回労働政策審議会職業能力開発 分科会」を開催いたします。本日は、黒澤委員、水町委員、大江委員、中村委員、大野委 員が欠席です。  今日の議題はお手元の議事次第にありますように、「職業能力開発総合大学校における 指導員訓練の在り方について」と「求職者支援制度における訓練の在り方について」の2 つの議題を予定しています。それでは、最初の議題について事務局から説明をお願いしま す。 ○井上総務課長 お手元の資料1-1と1-2に沿って説明させていただきます。まず資料1-1 「現行の職業能力開発総合大学校における指導員訓練について」をご覧ください。こちら の資料は、指導員訓練についてそれぞれ長期課程と再訓練に分けた上で、現状、役割と機 能、各方面からなされた主な指摘について整理しているものです。  1の「長期課程」ですが、(1)が現状です。対象者は新規高卒者等で、定員は現在1学年 120名となっていまして、4学年合計して640名です。学科は、機械システム工学科など4学 科です。訓練時間は4年で5,834時間、就職率については98.9%で、そのうち訓練指導員と しての就職率は39.1%です。  次に、(2)は長期課程の役割と機能です。(1)は、5,834時間のカリキュラムによりまして 、訓練指導員に必要とされる技能の習得と同時に、人に技能を教える方法を習得すること が可能なものです。特に、「専門実技」を重視し、あるいは工科系大学では実施していな い「能力開発専門科目」を実施しているといった特徴があります。(2)は、生産現場で活用 している実機を使用した実践的な製品の加工実習を設定し、実践的なスキルの習得を可能 としています。  (3)主な指摘ですが、これまで各方面からこの総合大の長期課程についてなされた指摘 について整理したものです。まず(1)ですが、これは平成19年に会計検査院から出された報 告書の内容です。2つ書いてありますが、1つは長期課程では就職対象者の90%以上が職業 訓練指導とは関連のない民間企業に就職していると。2つ目には、効率化による経費の節 減に努めるとともに、社会的ニーズ等を十分考慮して、学校施設の規模等の在り方を見直 すことが必要としているものです。  (2)は、平成19年12月の閣議決定「独立行政法人整理合理化計画」の中の記載です。ここ では、今後の指導員需要に応じ、訓練化の再編、定員の削減等運営の在り方を抜本的に見 直すという指摘がなされています。ここには記載していませんが、この閣議決定において は雇用・能力開発機構の法人としての存続についても1年間かけて検討するとなっていま して、それが2頁の(5)の閣議決定に結びついてまいるところです。(3)は、平成20年9月の行 政減量・効率化有識者会議において取りまとめられた方針です。その中では総合大学校に ついて、廃止又は民営化(学校法人化)と述べられています。それから卒業生の1〜2割程 度しか指導員に就職していない指導員養成業務については、廃止するということが述べら れています。  2頁に移ります。(4)は、平成20年12月に出されました「今後の雇用・能力開発機構の在 り方について」です。この中では1つ目の○で、指導員養成のための施設であることを踏 まえ、その在り方を抜本的に改革すると。2つ目の○で、総合大は、短期の指導員養成研 修、指導員の再訓練、調査・研究を行う組織として、再編すると。4つ目の○で具体的な 改革としては、例えば、現在の4年制の長期課程を廃止するなどといったことが述べられ ているところです。次の(5)は、平成20年12月の閣議決定で、ここでは職業訓練指導員養成 の在り方、コストパフォーマンスを抜本的に見直した上で、ものづくりに関するセンター オブエクセレンスとして、企業の競争力の強化に資する取組を行うということが述べられ ています。(6)は、平成21年11月に行われた「行政刷新会議事業仕分けとりまとめコメント 」です。ここでは総合大について、廃止を含めて検討してもらいたいと。大学校の在り方 によっては広大な土地が不要となるので、資産売却を進めるべきとされているところです 。(7)は、本年3月23日に当職業能力開発分科会において取りまとめをいただいた報告です。  次に3頁に移ります。2「再訓練」です。(1)の現状ですが、対象者としては在職の訓練 指導員です。実績としては、スキルアップ訓練を年度で1,900人、職種転換訓練を46人と なっています。(2)は再訓練の役割と機能です。3つに分けて書いてありますが、(1)は、新 訓練コースの実施、カリキュラムの充実など、スキルアップ訓練によって訓練指導員のス キルアップを図ることが可能と考えられるということです。(2)は、受講頻度として全国の 公共職業能力開発施設の訓練指導員が平均して3年に1度受講しているということです。(3) は、産業構造の変化等による訓練科の統廃合に伴う新たな職種の訓練科への転換を図ると いった訓練を実施しているということです。  (3)は各方面からの指摘で、(1)は平成20年9月の行政減量・効率化有識者会議における方 針です。その中では、訓練ニーズに応じた再研修の必要性の観点から、研修又は職業訓練 に関する他法人に移管すると。それから、研修プログラムの抜本的な見直しが必要といっ たことが述べられています。(2)は、平成20年12月の「今後の雇用・能力開発機構の在り方 について」の、先ほどご紹介したものの再掲です。(3)も先ほど紹介しました当分科会の報 告です。  4頁に移ります。こちらは、本年4月下旬から5月にかけまして、都道府県立の職業能力 開発施設、企業の認定職業訓練校、専修学校各種学校などに対して、アンケートを実施し たものです。「指導員訓練のニーズ調査」です。対象となる指導員については、1に書い てありますように、「平成17年度〜22年度に採用した指導員・指導者の経歴」です。この 平成17年度〜22年度に採用された指導員の経歴を、都道府県認定職業訓練校といった施設 の類型別に、枠囲みの中で整理をしています。  (1)が都道府県で、最も多いのが企業からの採用で44%です。そのほか、都道府県の職 員からの採用が続いています。総合大学校からの採用が6%ということです。(2)が認定職 業訓練校です。企業からの採用が67%、総合大からの採用が17%です。(3)の専修学校各 種学校は、企業からの採用が36%です。(4)株式会社系教育機関については、企業からの 採用が37%です。  2ですが、「採用した訓練指導員に必要な能力を付加する訓練」ということで、アンケ ートしたものです。まず(1)が、外部の研修を必要とする場合の必要な研修期間について ですが、これも施設別に分けています。都道府県については1週間が28%、1月間が35%、 2年間以上が20%となっています。認定職業訓練校については1週間が22%、1月間が44% 、6月間が22%です。専修学校各種学校は1週間が71%、株式会社系教育訓練機関は1月間 が24%ということです。(2)は、採用した指導員に付与することが必要な能力及び知識で す。都道府県では生活指導が84%で最も多く、認定職業訓練校では指導技法が83%で最 も多くなっています。  3は、「在職指導員のスキルアップを図るための訓練」について、アンケートをしてい ます。(1)は、スキルアップを図るための訓練の必要性です。都道府県においては100%が 必要としています。認定職業訓練校などにおいても、多くが必要としているところです。 (2)が、スキルアップを図るための訓練の受講間隔で、ここで言いますのは、何年に一度 必要かということです。都道府県では1年間に1回とするものが47%となっていまして、専 修学校各種学校では1年に1回が69%ということです。(3)が、研修で付与すべき必要な能 力及び知識です。(4)が、必要な能力及び知識を付与するために必要な研修期間ですが、 都道府県の回答結果では、担当業務の最新の知識などについて1週間とするものが多くな っているところです。  6頁をご覧ください。「職業能力開発総合大学校における指導員訓練の見直しについて 」です。これは、いまご紹介しましたような指摘あるいはニーズ調査といったものも踏ま えつつ、総合大の今後の指導員訓練の在り方について、どのような視点から考えるかとい う、視点について整理させていただいたものです。1は「長期課程について」ということ で、3つに分けています。1つ目は、閣議決定等で職業訓練指導員養成の在り方、コストパ フォーマンスを抜本的に見直すとされているが、見直しに際して、現行の長期課程が確保 している指導員訓練のレベルなどをどのように確保していくことが必要かということです。  2つ目ですが、都道府県や民間教育訓練機関等においては、即戦力志向により一定の知 識や経験を有する民間企業経験者等、多様な人材を採用しており、これらの多様な人材を 育成するための研修について、外部で実施してほしいというニーズがある中で、どのよう にしてそれらのニーズに応えることとするかというものです。3つ目ですが、都道府県等 において採用された民間企業経験者など多様な人材に対し、指導員として必要な能力を付 加するための訓練を行うことで、指導員の能力の維持向上を図ることが可能かとしている ものです。  2の「再訓練について」には2点書いてあります。1つは、産業構造の変化等により訓練 ニーズが変化する中で、スキルアップ訓練について訓練内容の充実を図るとともに、受講 頻度を高めることが必要かとするものです。2つ目は、民間教育訓練機関などにおいても、 スキルアップ研修のニーズが高い中で、総合大がトータルコーディネート機能の一環とし て人材育成をしていくために、どのような訓練体系を構築するかとしているものです。資 料1-1については以上です。  続いて資料1-2をご覧ください。こちらは「参考資料」と題していまして、1枚捲ってい ただいて目次をご覧ください。1.職業能力開発総合大学校の概要から、11.職業能力開発 総合大学校のパンフレットまで、これら資料については、これまで分科会に提出をさせて いただいた資料ですので、説明は省略をさせていただきます。今回新たに提出させていた だいた資料が、12.総合大卒指導員に対する評価についてというものです。69頁をご覧く ださい。この69頁以下の資料ですが、2つの概要から構成しています。1つは、平成20年3 月に都道府県立職業能力開発施設などにヒアリングをした結果を取りまとめたものです。 「訓練指導員に関する訓練施設に対するヒアリング」です。  まず、都道府県立職業能力開発施設の校長のコメントですが、主なものを3つ挙げてい ます。1つ目は、総合大出身者は、指導員は何をすべきかということを、一般大学卒業者 に比べて明確に認識している。訓練指導には秀でたものがあり、施設の中心的な指導員 となっている。2つ目は、指導技法を学んでおり、コーディネート能力が高い。一方で、 3つ目のコメントとして、総合大の卒業生については、卒業時に指導員免許は取得してい るが、実践力が不足しており、実務実習等をさらに充実させてほしいというコメントです 。  2つ目は、法務省矯正施設にも指導員が就職していますが、そこの主管部局担当者のコ メントです。総合大の卒業者は、法務省施設でも中心的な役割を担っている。採用後にお いても、矯正局内で必要とされる多様な分野の指導員免許を積極的に取得しているといっ たコメントです。  次が、認定短大校からのコメントです。総合大の卒業生はものづくり技術を有するとと もに、職場をまとめる力などが優れているというものです。  次に70頁をご覧ください。大きな2つ目の内容ですが、「訓練指導員に関する都道府県 の訓練施設に対するアンケート」として本年1月に実施した結果です。その概要を大きく 2つに整理しています。1は、「訓練指導員の属性」です。都道府県の職業能力開発施設 における総合大卒の指導員の占める割合は、約4分の1であることがポイントです。2は、 「総合大卒の指導員の能力・評価」です。1と2-1〜2-7という、大きく2つのことを聞い ています。まず1ですが、総合大卒の指導員が施設における訓練実施に役立っているかと いうことで、これは「役立っている」という回答が約9割です。それから、2-1〜2-7まで については、例えば、2-1ですと、担当科目に係る専門知識・技能といった指導員として 必要とされる能力について、それぞれ総合大の卒業者と総合大卒以外の大学の卒業者を 比べた場合にどうかということを質問しています。いずれの項目についても、総合大卒 業者と総合大卒以外の指導員とを比べた場合に「違いがない」と。選択肢で申しますと (2)の回答が最も多くなっていますが、総合大の卒業者と総合大以外の卒業者を比べた場 合には、(1)と(3)ということにもなってまいりますが、いずれの項目についても、(1)の選 択肢のほうが多くなっています。資料についての説明は以上です。  ここで、3月23日に当分科会に対して厚生労働省から諮問をさせていただき答申をい ただきました雇用・能力開発機構の廃止をする法案についての状況をご報告申し上げま す。「雇用・能力開発機構法を廃止する法律案」については、他の法案の審議状況を見 ながら提出のタイミングを図っていきたいと私どもは考えていたところです。現在の状 況では、まだその環境が整っていませんので、この「雇用・能力開発機構法を廃止する 法律案」については閣議決定はしておらず、国会にも提出していないという状況にあり ますので、ご報告させていただきます。以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。以上の説明についてご質問、ご意見をお願 いします。 ○高倉委員 資料1-1の2頁の(5)のところなのですが、ここに「コストパフォーマンスを 抜本的に見直した上で」という言葉があるのですが、これを読むと、その対象が4年制 の長期課程について見直すというように言っているようにも取られるのですが、確か閣 議決定においては総合大全体について見直すと決まったというように理解をしているの ですが、そうであれば再訓練課程も含めて、トータルで検討すべきではないかと思いま す。 コストパフォーマンスを上げるというのは、コストを下げることだけが手法ではなくて、 例えばコストは現状維持でも、パフォーマンスを上げていくというやり方もあるとは思 うのですが、そういうことも検討すべきか、どうなのですか。その辺の見解をお伺いし たいと思います。 ○井上総務課長 まず、平成20年12月の閣議決定ですが、ここに記載している部分につ いては、閣議決定全体の中の「業務・組織の見直し」という項目の中で「職業能力開発 業務」と区分され、さらにその中で「職業能力開発総合大学校」と区分された中での記 述です。総合大学校についての記述ということで、長期課程にもかかわってきます。同 時に2のところで再訓練も同じように整理させていただいておりますが、再訓練にも同 じようにかかわってくるということで、このような記述をさせていただいているところ です。 ○今野分科会長 いまのご質問でコストパフォーマンスの向上というのは、コスト一定 でパフォーマンスを上げるというのもそうだし、パフォーマンス一定でコストを下げる というのもあって、いま言ったことは前者も含まれるのですよねという、そういう質問 ですよね。それについてはどうですか。 ○井上総務課長 それは含まれてまいります。 ○新谷委員 いまのご説明に関連して教えてほしいのですが、資料1-1の1頁から2頁に かけて、主な指摘がずっと記述されておりまして、日にちを追って見ていったときに、 (4)と(5)は非常に近接しているのではないかと思って見ていたのです。(4)の報告書の記述 はかなり踏み込んだ中身になっているのに対して、(5)の閣議決定はいちばん重いと思う のですが、「ものづくりに関するセンターオブエクセレンス」として取組を行うべしと 書かれてあり、非常に近接している中で、この最終報告書と閣議決定の記述との関係が おわかりになれば教えていただきたいと思います。 ○井上総務課長 1つには、(5)は閣議決定という文書であり、(4)は雇用・能力開発機構の 在り方について、平成20年3月来、有識者の方にお集まりいただいて行ってきた研究会の 報告であるという、文書の性格の違いによりまして、記述ぶりについては細かさが違っ ているのということが1点あります。  また、平成20年の閣議決定につきましては、直接該当すると考えられる部分を引用さ せていただきました。20年の閣議決定におきましては、業務・組織の見直しの各論でこ の記述があるわけですが、全般的事項という総論の部分では、今後の雇用・能力開発機 構の在り方について、国の産業政策などとの連携を強化し、雇用対策など、国の責任に おいて職業訓練を行う組織とするといった事項についても触れられています。 ○新谷委員 前回申し上げたのですが、日本の国の競争力の維持、中でも製造業、もの づくりの競争力の維持のためには、ものづくりの技能の育成が重要だと思っておりまし て、それを教えるための指導員の養成というのはこれまた重要だと思っております。そ ういった意味では、平成20年の閣議決定の「ものづくりに関するセンターオブエクセレ ンス」というのは、非常に的を射た決定であり、かつ非常に重い決定ではないかと考え ています。 ○井上総務課長 閣議決定は政府としての決定ですので、重みがあるものと私どもも考 えております。 ○今野分科会長 ほかにいかがですか。 ○浅井委員 こちらのほうにスキルアップの問題であるとか、再訓練の問題が指摘され ておりますが、私はずっと製造現場の部門から技術革新の問題等々、製造業を中心に研 究してまいりました。改めて思うのですけれども、この場合の指導員に問われる、ここ で言われるような「産業構造の変化や技術革新に伴い訓練ニーズが変化する」といった 場合の新技術であるとか知識というのは、どの程度まで最先端の技能が問われるのです か。  と申しますのは、現在、産業界の方ですら、技術や世界経済の劇的な変化の中で、既 存の技術を根本から否定されるような、非常に大きなパラダイムシフトが起きています 。象徴的なものを挙げれば、スマートグリッドの問題にしても、水ビジネスの問題にし ましても、例えばEV1つとっても、インフラ整備との進み具合によっては、どういう方 向に、どの速さで進むかは予期できないと。スマートグリッドの動きの中では、車と言 えども蓄電池としての小さな役割になるかもしれませんし、また水ビジネスのようなも のにおいても、RO膜は強いだけではなくて、ポンプ、それからオールジャパンの総合力 が問われていくわけです。また、従来のミクロレベルでの技能、特に中部地域が得意と するようなレベルから、ナノレベルのものが非常に問われていくような最先端の技術革 新になっていくと。そういった非常に激しい動きがある中で、ここで言うスキルアップ とか、再訓練に要求されるのはどこまでなのか。  もちろん指導員一人ひとりの方は日々、一生懸命に研鑽に努められていらっしゃると 信じたいのですが、その場合に、こういった集合教育でちょこっと勉強しましたという 程度ではとても把握できるような劇的な動きではないように思うのですが、そういった ことの整合性。それとも、最先端のことは別の部分で見て、それをブレークダウンして 、細かい個々の分野を個々の指導員が教えるという形にされるのか、どういった形で指 導員の再教育、知識、技術面を磨いていくというように考えたらよろしいのでしょうか。 ○井上総務課長 現在、スキルアップの訓練につきましては、大体1週間以内で終わる ような形で実施しています。このスキルアップ訓練につきましては、雇用・能力開発機 構や都道府県の職業能力開発施設の指導員の方のほか、企業の認定訓練施設の指導員の 方、企業で技術や生産の部門に携わっている方も、少数ですが現在もご参加をいただい ています。  本日の資料の6頁の「指導員訓練の見直しについて」と題する資料ですが、2「再訓練 について」のところで、視点として2点挙げさせていただいていますが、特に(2)に書か せていただいていますように、総合大が今後は民間の教育訓練機関、あるいは民間企業 におけるスキルアップ訓練についてもトータルコーディネート機能の一環として、人材 育成に対する支援として、充実していかなければならないと考えております。  その意味では、いまご指摘のありました訓練の内容につきましても、基本的なものか ら最先端の技術・技能にわたるものまで、訓練内容の充実を図っていく必要があると考 えております。 ○杉浦審議官 今日お配りしております参考資料の12頁以降に、再訓練についての現状 の資料を何頁かにわたって付けております。目的はいろいろあるのですが、例えば13頁 辺りになりますと、専門技術等研修ということで、新訓練コースの実施とか、カリキュ ラムの充実に向けたスキルアップというようなことで、1つの新しい技能・技術を身に つけるというようなものを目的としてやっているというのがあります。  それ以降、14頁〜16頁についても、それなりの新しい技術等が導入された場合に、そ れを訓練に反映させるための勉強ということで、短期間ですがやっています。前にもこ の分科会でも一度、同様のご質問が出たことがあると思うのですが、もちろん、日本あ るいは世界の最先端の技術をまさにいま開発している企業の技術をたちどころに持って きて、それを訓練生に教えるというところまでは、なかなか難しいのが現実だと思うの です。  ただ、こういった技術の革新というのはスピードが速いですから、少し新しい技術 が導入されて普及すれば、それがある程度の常識になってくるというのは、ものすご く速いスピードで起こってくるのは事実ですから、やはり我々が教えている6カ月の離 職者に対する訓練や、あるいは2年間の学卒カレッジというところで教えている訓練生 に対しても、いまの動きの中で、このぐらいのことは覚えておかないと、現実に就職 しても役に立たないというところは、知らないと意味がないわけですから、そういっ たところを指導員に知っていただくというぐらいのところをやっています。超最先端 の部分を全部持ってくるということは、なかなか能力的にも難しいですし、あるいは まさに企業秘密にかかわることまで持ってくるというのは不可能ですので、その辺は 先ほども申しましたように、最先端の潮流の部分をできるだけアップトゥーデートな ものとして教える側も知っておくという意味での訓練になろうかと思っております。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○大久保委員 ここにいままでの議論が書かれて整理されているものに関して、ほぼ 言われてきていることは一貫している話で、私もその前の雇用・能力開発機構の在り 方検討会のときから議論に参加していますが、両方の議論を踏まえて言えば、ものづ くりの指導員訓練そのものを不要であるとか、あるいはないがしろにしていいという お話がされているわけではなくて、そのような訓練の機能は非常に重要であるし、あ るいは再訓練の機会が担保されないと技術の変化に対応していけないので、そのよう な機能も含めてそれを維持することは非常に重要であるけれども、総合大のような4 年課程のカリキュラムを持ち、そして広大な敷地を持っていることについては、その 機能に対する国の負担や投資という意味でのバランスからすると、大き過ぎるのでは ないかということがずっと言われ続けているのだと私は思っています。  今回やりましたアンケートなどを踏まえながら、もともとの必要性のものづくり教 育指導員の必要な人数の養成とか再訓練という機能を全く別のやり方で、その本質を 損なうことなく、そのレベルを下げることなく、代替的にやる方法があるのかないの かという話なのだろうと思います。もし、いまのやり方以外に有効な方法があるので あれば、それを議論すればいいと思います。その方法がなくて、ただ単純に効率化を 進めなさいという話で、自らその機能を失うような決定をすることは望ましくないと 思います。 ○今野分科会長 ご意見ですのでいいと思いますが、何かもしあれば。 ○井上総務課長 本日は先ほどの資料1-1の6頁にありますように、視点となるところ を出させていただきまして、ご議論いただき、そのご議論を踏まえた形で次回以降、 今後の具体的な在り方について、私どもとしての素案を提出させていただきたいと考 えています。その際にも、こちらの6頁の「長期課程」の(1)にも書いていますが、現 行の長期課程が担保している指導員訓練のレベルを維持していくことや、中核的な指 導員を養成するという機能についても、維持・担保できることが必要だと考えていま す。 ○上原委員 長期課程の話なのですが、普通の大学で言うと、学部に当たる部分だと 思うのですが、いま現実に地域のポリテクセンターなどで職業訓練で教えている指導 員の方も多々いらっしゃると思いますが、いずれ定年で退職されるというような方も たぶんいらっしゃると思います。省内の事業仕分けで、ものづくりはあまり重要では ないというような発言もあったやに報告を受けておりますが、やはり、GDPの支出の 部分でも民間投資というのは2割ぐらいあるわけで、全体の雇用なり製造付加価値も 2割前後はウェイトを占めているのではないかと思います。引続きそこが重要だとい う前提に立つと、長期課程をいきなり廃止するのはいかがなものかと思います。  というのは、たぶん定年退職で、数字を教えていただければいいわけですが、毎年 卒業生が出ていくと。そこに対して新たに埋めていくという作業が、職業訓練の指導 員でも必要だろうと考えられるのです。事業仕分けの中で、確か120名の根拠を示せ という質問があったかと記憶しているのですが、その辺が関係あるのかなと。仮にそ うであるならば、効率を上げる意味で、将来減らすとしても、暫時減らしていくよう な、減らすなら減らす、やめるならやめる前提で、ほかの方法とラップするような考 え方を持つ必要があるのかなと思います。  もう1つの視点で、効率を上げるということで、仕分けの中でも民間企業の、ここ にも出ておりますが、職業訓練をしている経験者だとか、ポリテクカレッジの短大を 出た人をさらに1年か2年教育して訓練生に当てて、いわば総合大以外のパワーを活用 したらどうかというような意見もありました。それがまるまる4年間長期課程を出た 人と、技量のレベルがイコールかどうかは別にして、確かにそういう考え方があるの も事実で、そういう考え方を検討することも踏まえて、下げるのなら下げるというこ とで、企業の人たちをさらに訓練する、短大の人たちについて、4年制にするのであ ればさらに2年ぐらい教育訓練して、長期課程イコールぐらいのパフォーマンスを得 られるように検討するというような視点も必要なのかなと思います。 ○今野分科会長 何かございますか。先ほどの大久保委員のご意見と通じているので すが、1つの代替的な案があるのだったら考えろということだと思うのですが。また 次回まで考えてくるということでもいいのですが、何かあれば。 ○井上総務課長 先ほどお答えさせていただいたことと重複してしまいますが、将来 にわたりまして、この指導員訓練において養成される指導員の質、レベルの維持・確 保、中核的な役割を果たす指導員の育成という機能は、維持・確保していくことが必 要だと考えております。都道府県のほうはなかなかわからないところもあるのですが 、雇用・能力開発機構におきましても、現在、年代的なものとして、かなり現役指導 員の退職が出ている状況です。その中で、雇用・能力開発機構や都道府県におきまし ても、財政事情等が厳しい中で、必要な指導員を確保するという形で対応しています 。ただ、そうは言いましても、退職していく指導員を即戦力志向で埋めていくだけで は、先ほど申し上げましたが、将来にわたって安定的、計画的な指導員の養成、質や レベルの維持・確保は困難になると考えておりますので、そうした点を踏まえまして 、次回以降、具体的な案についてお示しをさせていただきたいと思います。 ○井上委員 いまの定年退職者の関係なのですが、私のほうでもデータを入手をした ところがありますので、ご披露したいと思います。雇用・能力開発機構の今後10年間 の職業訓練指導員の定年退職者数が、全体で540名を超えるということで、そのうち ものづくり系が75%、406名。年間では大体41名が平均で定年退職をしていくと。そ して都道府県や法務省、高齢・障害者雇用支援機構における今後10年間を見ると、 800名が定年退職をしていく。毎年平均80名と推計では出ているのです。それでいく と、毎年大体平均で120名程度の需要が見込まれるということで、引続いて長期課程 というのは、今後のものづくりということを考えていけば、当然必要になってくる のではないかなと思います。データで何かというところではないのですが、それだ けこれから定年退職者が増えていくということで、過去の分科会でも委員の方から その点を指摘される発言等もありましたが、世代交替のことも考えていかなければ いけないのではないかなと思います。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○三村委員 先ほど浅井委員からも、高度な技術革新の中で、職業訓練を行う人材の 質を維持することが非常に重要だというお話がありました。コストを維持してパフォ ーマンスを上げるという1つの方法で、私は前回もお話したと思うのですが、大学校 のいわゆる大学院化の方向で考えるというのも1つの方法ではないかなと思っていま す。最終報告の中でも、調査・研究を行う組織ということで求められております。  私がいま所属している教職大学院は、高度な指導力や展開力を備えたという形で、 教員の再訓練、あるいは学部等の新卒学生が共に学ぶという場です。研究あるいは専 門職として技能を高めていくという機能を担った、いわゆる専門職大学院の1つとし て活動しております。同様に、職業訓練学、エルゴナジーという部分を、我が国の中 で高めていく必要があります。総合大学校がそして高度技術革新の中で、それに見合 う形で職業訓練を行える指導力や専門性に優れた人材を育成する専門職大学院に近い 機能を担った研究機関として存続していくのもひとつの考え方だと思います。175名 の職員の方達の中にもそうした機能を果たすことできる研究者も多いと思いますので 、研究機関としての専門性を高めていくという意味で、総合大学校の在り方を考えて いくというのも1つの方向性なのではないかなと考えております。 ○新谷委員 いま三村委員から大学校の大学院化というお話もあったと思いますが、 その際考えなければいけないのは、ものづくりの指導員というのは、言葉で教えると いう部分だけではなくて、実際に身体を使って技能を教えるという専門技能が必要だ と思います。ですから、いただいている資料の中でも、実技の時間が非常にたくさん 取ってある。一般の工業大学とは違って、倍近い講義時間を取ってあって、その中で も実技の時間が非常に多いという所があろうかと思いますので、ものづくりの指導員 として求められる資質なりスキルと、一般の教職員の方との違いというのも考えてお かなければいけないなと、いまお伺いして思いました。  もう1つ。今日いただいた資料1-1の4頁から5頁にかけてのニーズ調査の結果で、よ くわからないところがありました。これは対象とした年度が平成17年度〜平成22年度 に採用した指導員の経歴というところなのですが、資料1-2の9頁に過去の総合大学校 卒業生の就職状況が出ていますが、ちょうど指導員としての就職率が非常に低いとき のデータにたまたま当たっているということがあろうかと思います。例えば、資料1-1 の4頁に、都道府県の訓練施設における総合大学校の採用者数は6%であったという数 字が出ています。この6%をパッと見たときに、17年〜22年の間に採用した人数のトー タルがこういうことだったということなのですが、一方で、資料1-2の70頁に、都道府 県の施設の指導員のトータルの在籍者数が出ていて、(1)(1)のところに、指導員全体で 総合大の卒業者が25.1%を占めているということで、ストックの構成が出ているわけ です。そういうデータをどう見るかというときに、パッと見るとミスリードしてしま いがちな錯覚を与えますので、そこは注意して見ないといけないなと思います。  それと資料1-1の6頁に、都道府県においては、民間から採っているということで、 即戦 力志向があるのではないかという分析が書かれているのですが、本当にそうかなとい う気もします。資料1-1の5頁(2)の都道府県のところで、民間が非常に多いという中で 、「採用した指導員に付与することが必要な能力及び知識」というところを見ると、 赤い字で(1)だけ入っているのですが、よく見ると生活指導だけではなくて、能力、知 識の研修が81%、担当分野の技術・技能が80%、カリキュラムの作成法が79%、キャ リア・コンサルティング76%と、ほかのところに比べたら、皆、軒並み高いのです。 これが本当に即戦力を求めた結果なのか、どうしてこういう分析につながるのだろう というところが、単純な疑問としてあろうかと思います。  それと、民間企業の経験者を採用するということなのですが、確かにいまの労働市 場を考えたときに、安定的な都道府県のような公共の職場を求めて転職をされるとい う方が多いのかもしれませんが、通常考えたときに、民間で勤めておられて、企業の 中でも指導員ができるほどの優秀な方というのは、企業の中でも抱え込む人材だと思 われるのですが、民間企業経験者の方々が、どういう年齢層で入ってきておられるの か。今回のアンケートでは、そこまでたぶん聞かれていないでしょうから、例えば機 構の指導員の中で、民間出身の方がおられると思うのですが、機構の中でも民間から どういう年齢層の方を採用しているのかわかれば教えていただきたいと思います。以 上です。 ○井上総務課長 まず都道府県の職業能力開発施設の指導員に占める総合大卒業生の割 合ですが、全体に占める割合につきましては、いまご指摘がありましたように、参考資 料2の10頁、あるいは70頁にありますように、トータルとして見ると、約4分の1です。 と同時に、資料1-1の4頁の(1)に「平成17年度〜22年度に採用した指導員・指導者の経 歴」ということで記述しておりますように、最近におきましては、その割合が低いとい う2つの状況があるということです。それが1点です。  本当に即戦力志向なのかという点ですが、4頁の1の(1)の都道府県のところにあります ように、都道府県が指導員として採用する方の経歴や前職が多様化しているということ が、まずはあろうかと思います。その中で、即戦力志向の部分もあるのではないかと考 えた理由の一つとしては、(1)の都道府県のところで、最近6年間の中で企業から44%、 都道府県職員から19%、雇用・能力開発機構の指導員から10%といった採用がされてい るというところです。  もう1つは、2の「採用した訓練指導員に必要な能力を付加する訓練」のところで、(1) の外部の研修を必要とする場合の必要な研修期間につきまして、都道府県のところを見 ますと、大きな山として1週間、1月間、2年間以上という3つの山があると。これは採用 している指導員の経歴が多様であり、その中に都道府県が即戦力と見ている人材も含ま れているのではないかと考えたところです。  一方で、新谷委員ご指摘のように2の(2)で、都道府県の区分で見ても、生活指導のほか にも追加的に付与する能力として必要なものは同程度にあるのではないかという点につき ましてはおそらく、複数回答で回答を求めておりますので、都道府県としても、都道府県 の指導員として必要な能力といったときに、例えば担当分野の最新の知識なりについても そこに追いつくだけのものを補充するところから、キャリア・コンサルティングなどにつ いてはもう少し基礎的なところから身につけてほしいといった様々な要望が混合している のではないかと考えております。  それから雇用・能力開発機構において、民間企業からの採用の指導員について、入職の 平均年齢がどの程度かということについては調べまして、次回お示しさせていただきたい と思います。 ○今野分科会長 それに関連してもう1つ。いま問題になっている資料1-1の4頁を見ると、 民間出身というか、企業出身者がとても多いわけです。これは人数なのですが、例えば指 導員のやらなくてはいけないことというのは、カリキュラムを開発するとか、設計すると か、あるいは生活指導するとか、キャリアカウンセリングするとか。その中に、機械をい じってスキルを教えるというのが、1分野としてあるわけです。そうすると、もしかしたら 企業の人は、そこだけオッケーだけれども、ほかは難しいということはあり得るのです。 従って、人数だけ見てしまうと、民間ばかりで平気かなというように見えてしまうのです が、民間でずうっとやってこられて、現場のスキルを積み上げていた人が、急に、じゃあ カリキュラム開発まで担当してくれとか言われると、なかなか難しい。あるいは全体のマ ネージメントまでと言うと、難しいかもしれない。ですから役割が違うかもしれないので 、その辺もちょっと念頭に入れておかないと、今後その在り方を考えるときにミスリード になってしまうので、それも考えておいていただければと思います。ほかにありますか。 ○大久保委員 この総合大の卒業生の中には、民間のものづくり企業に就職している人が 結構な数いるわけですけれども、そのような人たちが民間企業の中で経験を積み上げた後 に、再度指導員として中途採用で採用されるというケースはあるのでしょうか。  これは、もともと総合大を卒業して、そこで学んでいるわけですから、それならまさし く即戦力ということになるわけです。あるいは、もしそういうケースがあるのであれば、 別に民間に就職して実践を積んで、その後、指導員になったっていいじゃないかという議 論になると思うのですが、その辺はいかがですか。 ○井上総務課長 確かに、総合大を卒業してそのまま指導員になるというケースもあれば 、企業での勤務経験を積んで、指導員になるケースもあると思います。それは公共訓練施 設の公共職業能力開発施設の指導員になる場合もあれば、企業の認定施設の指導員になる 場合もあるかと思います。ただ、いまちょっと具体的なデータが手元にありませんので、 この点についても次回までに調べた上で、ご報告をさせていただきたいと思います。 ○浦元委員 質問です。職業訓練指導員の養成ということに関しまして、指導員の需要等 に応じた抜本的な見直しを行ったと。その抜本的な見直しがどんなものかわかりませんが 、結果として、定員を200名から120名に削減したことが記載されていますが、これはどう いう理由で削減されたのか、教えていただけますか。 ○井上総務課長 これは今後の指導員の需要といいますか、ニーズを一定予測し、それに ついて総合大の長期課程でどの程度養成する必要性があるかということを検討して、200 名から120名にしたものです。その内容については、次回出させていただきたいと思いま す。 ○浅井委員 先ほど、技能は体を使って教えるというもの、それから定年退職による世代 交代で、若い人にどう伝えていくのかという議論も出ました。現実に私どもも、ついつい 大学で研究をしておりますと、机上の空論になって、世界の最先端のことを文字では知っ ているけれども、現場がわかっていないのではないかと非常に危機感を持ちまして、数年 前から私もツナギを着て、現場の技能員に指導を受ける。それこそヤスリかけやノギスの 使い方から溶接、板金といった技能の基盤技術まで、技能員の方に教え導かれ、お叱りを 受けながら鍛えていただくことを、体で経験しております。改めて、体を使って技能を教 える、伝えるということの重要性、そしてそういったことが日本のものづくりの基盤をい かに支えているかということの重要性を体で教えていただくことができました。  その後、技能五輪のほう、あるいは静岡の国際技能五輪であるとか、それから技能マイ スター等々の場で勉強させていただいているのですが、そうしたときに、やはり最先端の 技術をしていかなければならないという問題と、最後の裾野の末端で、こういった基盤技 術を支えているという二面性が必ず出てきて、この両方を見ていかなければならない。こ のまま放っておくと、おっしゃられましたように世代交代のときに、非常に力を持った方 が韓国や中国にみんな行ってしまう。そういったことは何とかこうした職業訓練の場を使 いながら、できたら日本で若い人に力や思いというのを伝えていってほしいという面と、 それから、では最先端の技術はどうするのかと、二面性が必ず出てくる。最先端のところ を、カリキュラムの開発に至るようなところまで彼らに押しつければ、彼らは悲鳴を上げ て、中国、韓国に行ってしまうという事態になりますから、この辺のバランスのとり方を 非常に心して施策を作っていかないと難しいのではないかなというふうに、非常に難しい 矛盾、ジレンマがあるのではないかと考えております。 ○今野分科会長 ご意見としてお聞きしておけばよろしいですか。 ○上原委員 このものづくりに関するセンターオブエクセレンスというのがありますが、 問題はこれの中身だと思うのです。資料1-1の2頁の(5)に、閣議決定、先ほど出ましたが、 センターオブエクセレンスとして企業の競争力の強化に資する取組を行うと書いてあるの で、だからもともと失業者を仕事に就けようという、例えばポリテクセンターなどに誘導 して、ものづくり系の資質を教える。そのための指導員を養成する。それを再教育訓練す るという、本当のアウトプットはそこだけで見ると、失業率なのかもしれません。それを 、やれ就職率だとか、1人当たりの学生に対するコストが高いということだけで、どんどん 切り崩してきているわけだけれども、中小企業の立場からすると、もともと社内の教育訓 練もなかなか不十分なわけですね。特に、不景気になってくると、よけいそうだというデ ータも出ているわけです。ここの中身をもう少ししっかり詰めることがある意味では重要 です。そういう職業訓練の動機づけだとか、やる気だとか、効率的な作り方だとか、さま ざまなものを公開していただいて、場合によったらリクエストがあれば、来て話してくれ るとか、やってくれるとか。そうなってくると失業対策だけではなくて、もっと幅広く使 えるのかなというような感じはしますね。 ○今野分科会長 このセンターオブエクセレンスって、何なのですかね。また後から、次 回にでも。そろそろ時間ですが、どうぞ。 ○高橋委員 今後の議論をしていくに当たっても議論の土俵をしっかり作らないと、やは り皆さん意見がいろいろあって、なかなか議論がまとまっていかないような気がいたしま す。今日皆さんのお話を伺っていましても、ものづくり系の養成をしっかり的確に実施し ていくんだというところについては、おそらくコンセンサスはあります。そうであるなら ば、現行の指導員の総数を減らしていいと誰も考えないわけでありまして、そう考えれば 、現在程度の指導員の総数は今後とも養成していくんだという下で、どう在り方を考えて いくかということではないかと思います。そのためには、ですから安定的にどうやって指 導員を供給できる体制を考えていくのかという観点に立って、議論をしていきたいと思い ます。  その際に、先ほど新谷委員もおっしゃっていましたが、私の調べでは、能開機構で総合 大以外の方もいらっしゃるわけですが、その方の年齢構成を見ると、50代が62%なのです 。民間企業の方、中堅層を引き入れるというのはなかなか難しいと思うのです。だから、 単に先ほどのニーズ調査だけで、企業が多いから企業で即戦力だというのは非常に危い分 析であります。やはり年齢構成等もしっかり踏まえて、今後いろいろと検討していったほ うがいいのではないかと思っております。 ○今野分科会長 そういうふうな年齢構成ということは、私がちょっと言ったことと関連 するかもしれません。役割分担が違う可能性がありますね。それと、そろそろ時間ですが 、ほかにどなたかなければ、私、一言いいたいと思ってずっと待っているのですが、よろ しいですか。  この指導員養成は、能開機構の訓練センターに指導員を供給するということとともに、 指導員養成のオールジャパンの仕組みみたいなものにしようじゃないかということになっ ている。例えば、都道府県とか、あるいは認定訓練とか、いろいろ広げたときに、実はよ く考えてみると、この長期課程、あるいは再訓練でもいいのですが、我々が何となくイメ ージしている内容がそれらをどの程度カバーできているのだろうか。言っている意味、わ かっていただけましたか。  例で言えば、長期課程でいま4学科があって、機械、電気、電子、建築とあって。それに 対応する技能検定の職種を考えると、たぶんそんなに多くないのではないか。技能検定職 種って、ものすごく多いわけですね。そういうことまで含めて、実はもう少し広い意味で、 いろいろな分野に指導員を供給していくような仕掛けとしても重要なのだということを考 えておく必要がある。再訓練を含めてね。我々が想定したときは、全体の中でどの程度カ バーしているのだろうか。もしかしたら意外に、こんなぐらいしかカバーしてないのでは ないかというようなこともあり得るので、そこも少し考えながら。もし、オールジャパン で作るならエリアのカバー率を上げておこうとすると、それだけで放っておくと、ものす ごく人員が増えてしまう。いや、そうではなくて、何かそれこそコストパフォーマンスを 上げながらカバー率を上げて、全体のものづくり教育を上げるというような、そんな視点 も必要かなと思っております。それもちょっと考えておいてください。  それでは、だいぶご議論をいただきましたので、今日の議論を踏まえて、今後の進め方 について、事務局のほうからお願いします。 ○井上総務課長 本日いただきましたご議論、ご意見を踏まえまして、次回、今後の指導 員訓練の具体的な在り方について素案ないしはたたき台を出させていただきたいと考えて おります。 ○今野分科会長 次回は、そのたたき台をめぐって議論をさせていただければと思います ので、お願いします。  次の議題にいきます。2番目は、「求職者支援制度における訓練の在り方について」説明 を事務局からお願いいたします。 ○高橋総務課企画官 求職者支援制度の創設に向けたご議論の中で、ご参考いただくため の現行の基金訓練の実施状況から説明させていただきます。お手元の資料2-1をご覧くださ い。前回、資料を一連データでお示しをしたところですが、一部データの更新ができたと ころがありますので、ご覧ください。まず1枚めくっていただき、2頁ですが、これは設定 された基金訓練のコースを開講月ごとに見たものです。ご案内のように、3月以降定員数で 見たボリュームが大幅に増加しています。  3頁目と4頁目ですが、これは設定された訓練コースを認定月ベースで見たものです。3頁 目が、年度が変わってから以降認定されたものです。また、比較のために4頁目には、昨年 度末である3月31日までに認定されたものを掲載しております。  ここで注目していただきたいのは、実践演習コースです。実習演習コースの合計に対す る割合は、昨年平成21年度では4割弱であったものが、半分近くにまで比率が増加しており ます。  次に、5頁と6頁です。5頁では、年度が明けましてから、また、6頁では前年度の実績と いうことで、認定された訓練コースを地域別に見たものです。  さらに7頁と8頁をご覧ください。こちらは実際に開講され、訓練が行われた訓練コース について開講月別に見たものです。簡単に要約をしておりますが、冒頭の○2つです。応募 倍率については、事業を開始した昨年7月当初では1倍に満たない状況が3カ月ほど続いてい ましたが、その後は応募倍率が上昇し、最近の月ですと1.4倍程度にのぼっています。また、 分野別では介護系の応募者が非常に増えてきているところです。定員の充足率についても当 初7割程度でしたが、最近は大幅に改善して85%前後になっています。そういうふうに制度 の浸透に伴い、実績も高まってきているところです。  9頁は、「未就職卒業者向け基金訓練実施状況」です。先ほどの実施状況の中では、基礎 演習コースの中に含まれておりますが、基礎演習コースの内数として特に取り出して計上し たものです。認定済みのコースで、定員ベースではこれまでに4,200人余りを設定し、受講 者数は887人となっています。  10頁は、「訓練・生活支援給付の受給資格認定件数」です。  また11頁は、その受給資格の認定者数について年齢ごとに、決定が行われた年度ごとに集 計したものです。  12頁は、訓練・生活支援給付を受けた方について、必要な場合に融資ができることになっ ていますが、その融資の実施件数です。「件数」と書いてありますが、融資を受けた人数で す。最初の融資が行われた月にのみ、その人数を計上しています。したがいまして、「件数 」とありますのは、融資を受けた実人員に相当するとお考えください。  なお、13頁目以降には参考として、訓練実施機関が基金訓練を実施する上で事前に受けて いただくべき認定の際の基準、「基金訓練の認定基準」を添付しておりますので、ご参照く ださい。  次に、資料2-2です。基金訓練の受講者のアンケートを、前回4月23日の分科会でお示しい たしましたが、もう少し年齢あるいは性別、さらに家計の主な担い手か否かということで、 詳しく分析してみるべきだというご意見をいただきました。それを受けまして、若干私ども でクロス集計したものです。  1頁目の冒頭に書いてありますように、年齢を若年層(40歳以下)、中年層(41歳以上55 歳以下)、高年齢層(56歳以上)の3つに分けて集計しています。このうち56歳以上の高年 齢層についてはサンプル数が非常に少なく、なかなか有意な分析がしにくいので、ここで は割愛しております。主な特徴ですが、年齢層によって雇用保険を受給しているかどうか というような経緯、あるいは終了してどれぐらい経っているか、さらに失業、離職期間あ るいは訓練受講中の就職活動の状況、それから収入や資産、そういうものがかなり違って きているという特徴が見られますので、ご紹介いたします。  2頁目、3頁目は、年齢構成、性別です。2頁と3頁の上半分ですが、男女比はいずれも半 々で、受けている方の年齢層は30代を中心に、40代といった働き盛り、さらにそれ以外の 幅広い年齢層に及んでおります。3頁目の下は直近の就業状況です。この訓練自体が、もと もと雇用保険受給資格のない方、あるいは切れてしまった方等を対象にしていますので、 非正規の方の割合がある程度高いというのは当然ですが、それがここでも如実に表れてい ると思います。ここでは、家計の主な担い手ということで取り出していますが、特に男性 では、女性に比べて常用労働者であった人の割合が高いのですが、全般に非正規労働者の 割合が高い、また就業していなかった方が相当見られるということです。  4頁目は直近の仕事における労働時間です。これは、先ほどの就業形態を反映しているよ うな結果が出ております。男性は、女性に比べて35時間以上の仕事をしていた割合が高く なっています。訓練の申込時の雇用保険の受給状況ですが、家計の主な担い手である場合 もそうでない場合も、中年層では若年層と比べて雇用保険の受給終了あるいは雇用保険の 受給中であったという人の割合が高くて、逆に若年層ではそもそも雇用保険に加入してい なかった、あるいは給付を得るまでに被保険者期間が至らなかったという人の割合が高い ということです。  5頁は、雇用保険の受給期間が終わってどれぐらい経過しているかですが、家計の主な担 い手と担い手でない方の場合とを比較しますと、特に雇用保険の受給期間終了後1年以上経 過している人の部分に着目しますと、家計の主な担い手でない人のほうが長期間に経過した 人が多く、特に、2年以上の割合も多いということです。雇用保険を受給した後、訓練の開 始までどう生計を立てていたかということで特徴的なのは、家計の主な担い手の場合は貯金 の取り崩しや、ご本人の臨時的な仕事による収入の割合が多く、家計の主な担い手でない場 合にはほかの世帯員からの収入の割合が大きいということです。ここでは女性を取り上げて いますが、男性でもほぼ同じ傾向が見られます。  6頁は、前職を離職した後、どの程度の期間、仕事を探しているかということです。これ も先ほどの雇用保険の受給終了後の期間と同じように、主な家計の担い手の場合にはそう でない場合に比べて、1年以上の長期失業者の割合が少ないといえると思います。また、就 職活動の状況ですが、訓練期間中の就職活動ということで聞いたものですが、中年層です と、若年層よりも行っている割合が高い、女性よりは男性のほうがその割合が高いという ことです。 7頁は実際の就職活動の状況ですが、上にあるように、先ほどの6頁の下とほ ぼ同じ結果が表れています。  最後に、家計における収入や資産の状況です。ここでは女性を取り上げていますが、男 性でもほぼ同じ結果が見られます。家計の主な担い手の方が失業し、訓練を受けることに 至った場合、家計全体で見ても無収入が過半数を占めています。また、収入が200万円以下 のところも入れると、回答者の大勢を占めてしまうということです。一方で、家計の主な 担い手でない方については、幅広くより高い収入階層にも分布が見られます。資産につい ても、ほぼ同様の状況です。  最後に資料2-3は、これからご議論いただく上での論点です。1枚めめくっていただき、1 頁目と2頁目にありますが、前回の職業能力開発分科会が4月23日に開かれた後、雇用保険 部会が2回開催され、そこでの委員からのご意見が加わった部分がポツで書き加えられてお ります。 お手元の1頁目と2頁目については、前回5月28日の雇用保険部会で提出された論 点ですので、ご参照ください。  3頁目と4頁目をご覧ください。今回の議論のたたき台として、これも前回お出しした部 分に、前回いただいた委員からの主な意見を斜字体で追加しております。このあと、この 項目の論点について全体的なご意見をいただいた後、できれば各論的に上から順番にご意 見等をいただければと思います。よろしくお願いいたします。  なお、いちばん最後の5頁目ですが、現在の緊急人材育成支援事業における対象者につい て、基金訓練を受ける対象者と、訓練・生活支援給付を受けるときの対象者とは、若干要 件が違っております。基金訓練を受ける方の中でさらに訓練・生活支援給付を受ける際に 、下半分に書いてあるように(1)から(6)までの要件がさらに課されるということです。議論 の中でご参照いただければと思います。以上です。 ○今野分科会長 ご意見、ご質問がありましたら、どうぞ。 ○高橋委員 意見です、質問ではございません。今回の制度を考えるのに当たりまして、 基本的には現在の基金制度をベースに考えていくことが適当だと思いますが、基本的な考 え方としては現在の基金訓練を限定的な制度としていくことが望ましいのではないかと思 います。その理由としては、1つはこの基金訓練、リーマンショック後の百年に一度と言 われる経済不況の中で今やっているものですが、こういうものはいつまでも百年に一度の 経済が続くわけではございません。恒久的な制度を模索していくのであるならば、基本的 には平時の経済ということを前提に制度を構築していくことが望ましいのではないかと思 います。  2点目としては、雇用保険法が改正になりまして、基金訓練創設当時と違い、雇用保険の 対象者が拡充されております。そういうことも踏まえていく必要があるのではないかとい うような理由、あるいは生活支援の給付を受けないで、能力開発訓練を行っている方との 公平性ということも十分考慮していかなければなりません。そういう観点から考えますと 、基金訓練よりは、どちらかというと、少しそのままではない制度のほうがよいのではな いかという、まず基本的な考え方だけ述べさせていただきます。以上です。 ○今野分科会長 ちょっと待ってください。いま方向の協議ですよね。 ○大久保委員 私も、ベースはいま高橋委員がおっしゃったことと同じようなことを思っ ているのですが、現在この基金訓練を受けている方の中には、かなり長期失業者の人たち が多いわけで、長期失業者対策をどういうふうにこれから取ろうとしているのかというこ とが非常に大きく関連してくるのだろうと思います。現在、長期失業者の割合が非常に増 えていますので、そこが1つは気になることです。  もう1つは、今日資料を配られた中で着目したのは、資料2-1の9頁に、「未就職卒業者 向け基金訓練実施状況」が載っています。これは、雇用保険のほうが改正されてもまた全 然別のところで継続的に発生する、学卒未就者問題があるわけです。ただ、これを見ると 、いちばん下に書いてあります、定員1,320人分に対する暫定値とはいえ、受講者数887人 、定員が埋まりませんという状況です。非常に就職内定率が厳しいと言われた大卒が91.8 %という就職率と、労働力調査の直近のデータを見る限り、学卒未就職業者・失業者は21 万人ぐらいいるという状況の中で、一方で1,320人分の枠は埋まりません。ではこの講座 は一体どういうことを意味しているのかということなのです。もう1つは大変気になる、 これは意見というよりは質問として教えていただければと思います。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 2点目のご質問にお答えしたいと思います。充足率、 未就職卒業者向けの基金訓練について低いということですが、充足が進んでないというの は、十分に周知したつもりでございますが、周知面に問題がなかったのかという部分と、 あと未就職の卒業者の方がすぐの再就職を望んでおられた可能性が高いのではないかとも 考えていますが、データ的な裏付けを持っているわけではありませんので、少しサンプル で既に受講を開始しているところに聞いて、次回どういう状況かということをお示しでき ればと思います。 ○上原委員 基金訓練を何万人やるということは、それはそれで数字がわかるのですが、 その結果、就職した人がどれぐらいいるかというのは捉えられるのでしょうか。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 就職率は、基本的に把握しております各コースごとに データを管理しております。私どもといたしましては、訓練終了後一定の就職活動期間が あるということで、訓練終了後3カ月経過後の就職率ということで把握しております。前回 少し触れましたが、11月末終了者の3カ月経過後の就職率が54.9%、12月末終了者までを含 めると59.3%というような状況になっております。今後も、各月ごとにそれらのデータを 揃えていきたいと考えております。 ○上原委員 想像していたよりもちょっとデータが高いのですが、本当かなという気がす るのですが。 ○今野分科会長 就職率が高い。 ○上原委員 ええ。まず、そうなのでしょうね、データがあるから。 ○井上委員 訓練・生活支援給付のほうなのですが、こちらのほう8割以上の出席が必要と いうことで記載がありますが、現場のほうから聞くと、なかなか本当に8割以上出席してい るのかと、半日で帰るとか、そういう実態があるというのも聞いています。そういう意味 では、この8割というものをどういうふうに把握をしているのかというのがわかれば、教え ていただきたい。  やはり現場のほうで出ているのですが、訓練を受けるのに、同じ教室にそれぞれ基金訓 練と離職者訓練がいる。そしてモチベーションがそれぞれ違っているので、なかなか訓練 教室の中がまとまりづらいというのも聞いています。ですから分けるのは難しいのかもし れないのですが、実際に現場ではそういうものが出ていることをご承知おきいただければ と思います。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 訓練の8割出席か否かについては、基本的に訓練の実施 主体の報告に基づいて判断させていただいております。ご指摘のように、訓練の受講態度 に問題があるという者に対して、一定程度何らかの措置を今後検討していかなければいけ ないということは考慮しております。 実は、基金訓練が昨年に始まって、当初訓練コース の数、充足数あるいは定員数も含めてあまりよくなかったということもあり、数の確保とい うことで、かなり開拓を雇用・能力開発機構をはじめ、いろいろな所にお願いしていた経緯 があります。一定の定員数あるいは受講者数が確保できる状況になっていますので、今後は 基金訓練の質的な面についての対策も考えていきたいと思います。あとは、本来的には基金 訓練と離職者訓練は分けた教室でやっていただきたいということで考えておりますが、それ らの事例あるいは苦情等があった場合は、適切な対応をしてまいりたいと考えております。 ○井上委員 現場では、分けていないというのを聞いていますので、そこはきちっとご指導 いただければと思います。 ○今野分科会長 それではほかにございますか。 ○新谷委員 今日いただいた資料2-3の3頁の3.に、「訓練コースの設定と実施機関の確保」 ということが書かれています。現在の基金訓練は緊急避難的に受けてもらえる委託訓練機関 を探すということから「確保」ということになっているのでしょうけれども、今後恒久化を するに当たっては、やはりこの訓練コースの中身あるいは機関についてももう少しじっくり 考えたほうがいいと、私は思っています。  例えば、今やっている政策の中に、企業実習と座学を組み合わせて、職業の形成機会が少 なかった方に対するデュアルシステムというのがやられていると思います。これは、その出 口戦略を考えたときに、やはり企業実習という、まさしく現場体験というか、企業の中で実 習されて、うまくいけばその実習先のところに採用される可能性もあるということから言え ば、この訓練コースなり機関の中にデュアルシステムとの関係を位置づけることができない かと。これも今後、検討の中に入れていただければどうかと提案申し上げたいと思います。 これが1点です。  もう1点は、今の資料の4頁の6.に「訓練の事業運営体制の確保」、いま見て気がついたの ですが、「確保」というのはよくわからないのですが、今の事業運営体制が、基金訓練はた しか民間法人となった中央職業能力開発協会が基金を造成して、取りまとめ事務をやられて いる。それがハローワークと機構をかませて運営をされていると思うのです。今後この制度 を運営するに当たっては、やはり国の責任といいますか、全国津々浦々ユニバーサルサービ スとしてこの事業が展開できるように、やはりセーフティネットですから、ある地域だけへ こんでしまうということではいけないと思っています。ユニバーサルサービスとしての国の 責任を考えていくべきだと思っています。ちょうど今、地域主権戦略会議や全国知事会で議 論が進められているようです。地方自治体、特に都道府県との労働行政における役割分担の 在り方が論議されているようですが、ここの恒久化に当たっては、やはり国の責任というこ とも含めて事業運営の体制について考えていくべきではないかと思っております。以上です。 ○今野分科会長 いまの2点目は、ご意見としてお伺いしておきます。では1点目で、デュア ルシステムとの関連はどうなのかというご質問です。 ○田畑能力開発課長 現行の基金の認定基準の中でも、そういったデュアルシステム的な実 施を組み込んだ訓練というものは設定できます。例えば、介護の訓練などは通常の離職者訓 練、ヘルパー2級の訓練に比べて、長い期間の実習を組み込んでやっていただいているもの も多いと承知をしております。今後の制度の在り方の中で、デュアル的な訓練についてどう 位置づけるかについては、本日いただいたご意見も踏まえて、今後制度を検討する中で考え ていきたいと思っております。 ○高橋委員 やはりこの制度の究極の目的は、訓練をするのではなくて、一刻も早く職を見 つけていただくということです。それに公費を投入するということですので、ご希望を十分 踏まえることは重要なのですが、どちらかというと訓練の内容は労働需要の逼迫している分 野とか、社会的な要請が大変高い分野になるべく特化していくような形、あるいはそちらの ほうに誘導していくようなキャリア・コンサルティングも非常に重要なのではないかと思っ ております。  いまの基金訓練で、基礎演習ですとか、基礎的な職業横断的スキル向上訓練をやっており ますが、ああいうものは1回受講すれば、2回目は受講なしというふうにするのが適当ではな いかと思います。循環的な受講というものをいかに防いでいくのかという視点も非常に重要 ですから、原則でよろしいかと思いますが、1回訓練を受けたら一定期間、再度の受講はで きないということを定めていくことについても、検討していく必要があるのではないかと思 います。 ○新谷委員 いまの高橋委員のご意見を伺っていて思ったのですが、実はこのセーフティネ ットの在り方については今日の論点ペーパーにもありましたが、雇用保険部会と並行して論 議されています。いま出された訓練のオンオフの在り方については、雇用保険部会でも論議 、論点になっているのです。それで、今後これを検討していくに当たって、事務局としてそ れぞれの分科会の報告の概要を資料として出していただいたほうが、論議に重複がなくなる と思いますので、そういうことで対応できればどうかと思います。 ○高橋総務課企画官 雇用保険部会との役割分担ですが、制度全体並びに訓練以外の部分に ついては、雇用保険部会のほうでご審議をいただいております。また、訓練の部分について は職業能力開発分科会でご審議いただいているということです。ご審議いただく主なテーマ には一定の役割分担があるかと思いますが、ご指摘を踏まえまして、もう少しそれぞれの審 議内容や、あるいは資料はどんなものが出ていたかを各委員にわかるよう、資料の出し方を 工夫していきたいと思います。 ○上原委員 これは入口として、やはりハローワークか何かに行かないと、たぶん駄目なの でしょうね。だから、引きこもっている人たちなんかを呼び込む、もっとPRみたいなものも すれば。また、年齢層で見ると31〜40歳というのが多いわけですが、その前段の部分の21〜 30歳という部分とか、最近大人も引きこもっているそうですから、そういう人たちについて も、もっと取り込めるようなことをしたらいいのではないかと。 ○今野分科会長 ご意見として伺っておきますか。何かコメントをもらいますか。 ○上原委員 そういうところに何かやっているのかどうかですね。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 周知につきましては、私どもの大臣のほうからも徹底す るように話がございまして、各種の求人情報紙に掲載したりとか、ハローワーク以外での周 知ということにも努めております。当然、厚生労働省のホームページ等でも出しております 。現時点において、先ほど少し触れましたが、受講者数が非常に増加してきているというこ ともありますので、一定程度の周知はできてきているのかと。ですから、この基金訓練であ る程度ご存じの方が、求職者支援制度について興味を持つというような構図になっていくの ではないかと考えております。 ○荒委員 目標設定の在り方ですが、この資料の作り方のせいかもしれないのですが、とか くこの受講数、受講率とか、そちらが目標であるかのように見受けられるのです。目標とし てはやはり就職率ではないかなと思うのです。毎回気になるのですが、だんだん3月に近づ くにつれて、累積ではなくて月数で、だんだん人数が多くなると、まるで押し込んでいるか のように見える数の増え方が、私は大変気になっています。やはり目標は就職率でお願いし たいと思います。 ○今野分科会長 いまの件は、この基金訓練ですね。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 委員ご指摘のとおり、基本的には受講者数をどれぐら い確保するかということと、あと就職率ということで考えております。ただ、折角そのコ ースをニーズがあるからということで立ち上げたわけですので、当然その目標として具体 的な数字を上げるわけではないですけれども、一定以上の充足率をやはり確保していきた いと思います。応募倍率は、裏を返せばそれだけ人気があるコースということにもなるで しょうから、それらのデータも参考資料として提供申し上げているというところです。な お、その見せ方についてちょっとわかりにくい、あるいは押し込んでいるという表現があ りましたが、その点については今後工夫させていただきたいと思います。 ○今野分科会長 いずれにしても、これから資料2-1のような資料を作られる場合は、や はり就職率のデータはずっと欲しいということでしょうね。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 今後、順次付けていきたいと思います。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは今日は概括 的なご意見をいただいたので、またこれを事務局で整理をしていただいて、さらに今後 の議論につなげていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれで終了いたします。次回以降の日程については、事務局から改めて連絡を させていただきます。議事録ですが、今日は労働者側委員は瀧澤委員、使用者側委員は 荒委員にお願いいたします。ありがとうございました。 【照会先】職業能力開発局総務課総括係(5738)