10/05/28 第59回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録         第59回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 日時 平成22年5月28日(金) 17:30〜 場所 中央合同庁舎5号館(厚生労働省)14階                      職業安定局第一会議室 ○岩村部会長代理 「第59回雇用保険部会」になります。今日、清家部会長は都合がつか ないということでご欠席ですので、私が部会長代理ということで議事進行をしますので、 どうぞよろしくお願いします。本日の出欠状況ですが、いま申し上げたとおりで清家部会 長がご欠席のほか、野川委員、橋本委員、塩野委員、坪田委員、古川委員、三木委員がご 欠席です。なお、今日は資料の関係もあり、職業能力開発局総務課の高橋企画官、同局能 力開発課の渡部補佐にご出席をいただいています。よろしくお願いします。  早速、議事に移ります。本日の議題は、お手元の議事次第にありますように、「求職者 支援制度について」です。今日も求職者支援制度の創設に係る論点(素案)の各項目につ いてご議論をいただきたいと考えています。前回は、求職者支援制度の位置づけ、対象者 給付要件といったものについてご議論いただきましたが、それに加えまして今回は、新た に給付額というものについてもご議論をいただきたいと思います。最初に、事務局から、 今日、ご提出いただいている資料についてご説明をいただきたいと思います。どうぞよろ しくお願いします。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 資料の説明をします。本日の資料ですが、議事次第の後ろのほ うに資料1、資料2、資料3とあります。メインは資料2にありますが、資料1の「論点 の素案」についても、委員の皆様のご意見について追加的に記載していますので、こちら も参照しながら見ていただければと思っています。  資料1の「素案」について、前回から追記した部分を簡単に説明します。「求職者支援 制度の創設に係る論点(素案)」のI.位置づけについて、委員からの主な意見ということ で、ポツの3つ目を追加しています。「恒久的な制度を考える上では、持続可能性・公平 性に留意することが必要」ということを付け加えています。  III.給付の[1]対象者についてどのように考えるかで、ポツの2つ目と3つ目を追加して います。具体的には、「対象者を考える上では、訓練を受講するための要件と給付金を受 給するための要件について、それぞれ整理する必要がある」「65歳以上の者の取扱をどう するかなど、年齢要件についても明確化すべきではないか」というご意見をいただいてい ます。  [2]給付の要件について意見をいただいています。3頁です。こちらは3つ追加をしてい ます。給付の要件についてのご意見です。1つ目は世帯の主たる生計者要件を設けると、 論理的には世帯に対する給付となるのではないか。2つ目は恒久的な制度を創設するに当 たっては、世帯の主たる生計者要件は外してもよいのではないか。3つ目は年収要件を設 けた場合、収入調整を行うことにより、労働のインセンティブを阻害する恐れがあるので はないか。  [3]給付額についてどのように考えるかについてです。ポツの3つ目です。求職者支援制 度は拠出制の雇用保険制度とは異なるので、雇用保険と同様の待期手当までつける必要は ないのではないかという意見をいただいています。こちらもまた後段を参照しながら説明 をします。  資料2をご覧ください。資料2、各論資料としていますが、今回はPART3「給付額につ いて」を追加していますが、PART1「位置付けについて」、PART2「対象者及び給付要件に ついて」も資料を追加した部分がありますので、PART1、PART2は資料の追加部分を中心 に説明をします。  「位置付けについて」の資料、6頁です。これは失業者に対するセーフティネットにつ いてということで、イメージ図として用意をしました。失業者に対するセーフティネット として第二のセーフティネットを構築することが必要としていますが、いちばん上に労働 市場があり、基本的には、1つ目にあるような雇用保険制度で、離職した方々に対しては、 雇用保険制度を利用していただきながら速やかに労働市場に戻っていただく、ということ がいちばん望ましい部分であると思います。ただ、それでも就職できなかった場合、雇用 保険をそもそも受給していない方、長期失業者の方に対しては、第二のセーフティネット による給付・貸付制度がある。  いちばん下としては、生活保護における給付というものがあると。こういった中で生活 保護においては、自立支援プログラムなども行われていますが、こういった形で労働市場 から外れてしまった場合についても、さまざまな制度を利用して労働市場に戻っていただ くということで、イメージ図ということで用意をしました。基本は、雇用保険制度がしっ かりしていることが第一に必要であろうとは考えています。  9、10、11頁ということで資料を用意しています。こちらは第二のセーフティネットの 中に、いま議論しておりますもののほかにも様々あるということで、厚生労働省で作って おりますリーフレットをコピーしたものです。特に表題として「離職により住宅等にお困 りの方のために」ということで書いてあり、右上のほうにマークがありますが、大まかに 支援対象として、例えば住居入居への支援、家賃の支援、生活費の支援、就職の支援とい うマークを付け、それぞれの制度がどういったことを中心に支援するようになっているの かということ、それぞれの制度でどこに問合せをすればいいのかをまとめており、これは ハローワークのみならず、自治体や、その他社会福祉協議会でやっている制度も掲載して いるものです。  簡単に紹介だけしますと、Aは就職安定資金融資です。これは、事業主都合による離職 に伴い住居を喪失した方に対する貸付制度です。一部就職をして一定の要件を満たす場合 には、返済の免除などもあります。Bは住宅手当です。こちらは、離職者であって住居を 喪失または喪失するおそれがある方に対する、賃貸住宅の家賃のための給付となっていま す。Cは総合支援資金貸付です。こちらは、失業等により日常生活全般に困難を抱えてい る方に対して、住宅の入居費等の資金を貸付けるものです。受付先は社会福祉協議会とな っています。Dは訓練・生活支援給付です。これは現在ご議論していただいている制度で すが、ハローワークのあっせんにより職業訓練を受講する方に対する、訓練期間中の生活 費等の給付となっています。Eは臨時特例つなぎ資金貸付、Fは就職活動困難者支援事業、 Gは長期失業者支援事業となっています。簡単ですが紹介を終わります。  12頁以降をご覧ください。PART2の「対象者及び給付要件」です。  13頁をご覧ください。資料を追加している部分です。前回の部会の際にも緊急人材育成 支援事業において、基金訓練と訓練・生活支援給付を受ける方の関係が少しわかりづらい というご指摘もありましたので、表に整理をしています。色の塗られている部分が緊急人 材育成支援事業ですが、この中には基金訓練として訓練をする部分、下のほうですが訓 練・生活支援給付ということで、給付をする部分という大きく2つあります。この図を見 ていただければわかるように、訓練を受けた人すべての方に給付をするわけではありませ ん。訓練を受けている人の中にも給付を受けずに訓練だけを受ける方、下のように給付を 受けながら訓練を受ける方というのがあります。  訓練を受ける要件としては、下の[1]〜[6]にありますが、ハローワークのあっせんにより 受講するといったもののほかに、年収要件、世帯の年収要件、資産要件等々があります。 一方、基金訓練についてはどういうことかというと、[1]から[5]までありますが、[1]安定所 に求職申込みを行っている、[2]安定所長の受講勧奨を受けた者、[3]訓練を受けるために必 要な能力等を有する者、[4]公共職業訓練の受講修了後1年未満でない者、[5]従前に受講し た基金訓練又は公共職業訓練の期間と、新たに受講しようとする基金訓練の期間が合計し て24ヶ月を超えない者となっています。なお、左のほうに公共職業訓練とありますが、 こちらを受講した場合であっても、下の訓練・生活支援給付の要件に満たす場合について は、訓練・生活支援給付が出るという仕組みになっています。  21頁をご覧ください。こちらは前回提出したアンケートを再度載せている部分ですが、 21頁以降、基金訓練受講者のアンケートについて、これは全員がその給付を受けている 人ではないという所がわかりづらいというご指摘もありましたので、真ん中に注を入れて います。この中で注として「基金訓練受講者に対する調査であるため、訓練・生活支援給 付を受けている者と受けていない者の双方が存在する」ということで、このアンケート自 体は基金訓練を受けている方ですので、全員が給付を受けているわけではないと。このア ンケートの個別の項目の中に給付を受けている人向けの分析がありますので、このアンケ ート全体は基金訓練の受講者であることを明確にしようということで注を入れています。  28頁以降です。「給付額について」です。こちらの資料ですが、資料1の3頁、「求職者 支援制度の創設に係る論点の素案」も見比べながら見ていただければと思っています。素 案のほうでは給付額についてどのように考えるかということで、緊急人材育成支援事業に おける給付額は、単身者は月10万円、被扶養者のいる方は12万円になっているという制 度を紹介した上で、これまでの委員の皆様からのご意見としては、「生活給付だけではな くて、交通費等さまざまな給付の種類についても考える必要があるのではないか」「地域 差を認めるか否か」「雇用保険の失業給付の金額との関係をどのように考えるか」「拠出制 の雇用保険制度と異なるので、雇用保険と同様に待期手当まで付ける必要はないのではな いか」というご指摘をいただいていますので、PART3においては現行の制度について雇用 保険制度の給付額、雇用保険制度における給付の種類等々について紹介をしようと思って います。  29頁をご覧ください。29頁は、これまでも説明した部分がありますので簡単に説明し ますが、訓練・生活支援給付ということです。真ん中の(2)にありますが、給付としては 単身者10万円、別途貸付としては上限5万円があります。被扶養者を有する方は給付が 12万円、これに加えて別途貸付として希望する方には上限8万円があります。  30頁です。こちらは、訓練・生活支援給付を受けている方の年齢別の分布です。上段が 平成21年度をまとめたもの、下段が平成22年度5月25日までということですが、4月1 日から5月25日までの認定状況を示しているものです。上段と下段、トータルでいいま すと平成21年度、上段の右下ですが、合計で37,441人、下段の右下ですが平成22年度、 現段階でも20,306人が認定をされています。年齢の特徴としては、上段も下段もほぼ共 通ですが、30〜39歳層、40〜49歳層が多くなっている。扶養者ありよりは単身者のほう が多いとなっています。  31頁です。こちらは訓練・生活支援給付に加えて融資を受けている件数です。上段の右、 平成21年度計で見ますと4,912件となっています。これは給付の合計が37,441件でした ので、大体1割程度の方が貸付を利用していると。平成22年度も現段階で1,488件とな っていますが、これも概ね1割前後となっているという状況です。  32頁は「融資の地域別の分布」です。この融資については、労働金庫が実施をしていま すので、労働金庫ごとの集計という形になっていますが、おおよその地域は見てとれるの ではないかと思っています。こちらを見ますと、当然、東京を含む中央労働金庫が1,618 件という形で多くなっています。  33頁以降は雇用保険制度の概要です。基本的な仕組みは省略をしまして、34頁をご覧 ください。雇用保険における基本手当日額と書いています。雇用保険制度においては、年 齢ごとに賃金日額の上限、実際に受け取れる基本手当日額の上限を設けています。また、 基本手当については、賃金の低い方に手厚く、具体的には給付率が80%になります。賃 金の高い方は逆に薄くということで、具体的には給付率50%という設計になっています。  例えば、(60歳未満の方)を見ますと、賃金日額が2,050円の方であれば基本手当日額 は1,640円となります。賃金日額2,050円という方は月で換算すると大体6万円程度の賃 金という方ですので、具体的にはフルタイムというよりは、大体週20時間程度働く方が この辺に該当してくるのではないかと考えています。  35頁です。こちらが雇用保険の受給者の1ヶ月当たりの給付額です。これによると、雇 用保険の1ヶ月当たりの給付額は月額10万円以上の方が約9割を占めています。こちら は、平成22年3月の実績に基づいてその給付日額を単純に30倍して試算しているもので す。  36頁です。雇用保険制度においては、公共職業訓練を受けた場合は基本手当のほかに受 けられる給付がありますので、そういった給付も含めて具体的にどういう給付額になるか を示したものです。公共職業訓練を受講する雇用保険受給者には、1日当たり基本手当日 額に受講手当を加えた額が支給される仕組みになっています。これに加えてまた別途、交 通費を支給する通所手当といったものも支給されることになっています。  例としては、最低賃金でフルタイムで働いた方が公共職業訓練を受講した際に受ける1 ヶ月の給付額を示しています。この場合としては、最低賃金で週5日、1日8時間働いた 場合、賃金日額は4,074円になります。この方の基本手当日額が給付率を約8割とすると、 3,253円になります。この方が公共職業訓練を受講した際に受ける給付総額は、月で見る と108,590円になります。具体的な内訳としては※の1つ目にありますが、基本手当日額 の30日分に加えて受講手当が1日当たり500円出ます。これが訓練日数を22日として 108,590円としています。この他、通所手当は支給されますが、これは人によって額が異 なるという形になっています。  37頁です。雇用保険制度においては、職業訓練の受講に関する主な手当としてここに示 した手当が存在しています。[1]は訓練延長給付です。公共職業訓練を受講する場合は、所 定給付日数を超えて基本手当を支給する形になっています。[2]は訓練が始まるまで待期す る期間に支給をする待期手当。[3]は訓練終了後に就職が相当困難であるものについて認め られる終了後手当があります。[4]は受講手当。先ほども説明しましたが、訓練を受けた日 に1日当たり500円を支給するものです。なお、これについては、平成21年の法改正に より、平成23年度までの暫定措置として200円上乗せして1日当たり合計で700円とい う形になっています。[5]は通所手当です。これは公共職業訓練を受講する所に通うための 交通費の実費です。上限は42,500円となっています。[6]は寄宿手当です。公共職業訓練 を受講するために、生計を維持している同居の親族と別居して寄宿する場合に、月額 10,700円を支給する仕組みがあります。以上が雇用保険制度における職業訓練受講時の 手当です。  38頁をご覧ください。最低賃金制度(水準)です。最低賃金制度の趣旨については、最 低賃金制度とは、国が法的強制をもって賃金の最低額を定め、使用者に対してその金額未 満の賃金での労働者の雇用を禁止する制度でして、その水準については、労働者の生計費、 労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を総合勘案して定めるものとされています。な お、労働者の生計費を考慮するに当たっては、その労働者が健康で文化的な最低限度の生 活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとされている ところです。  下段ですが、平成21年度の最低賃金の平均水準ということで、全国、都道府県ごとに 違いますが、これを加重平均した時給額が713円となっています。なお、加重平均で計算 をして最低賃金でフルタイム働いた者が得る1ヶ月の手取額としては、106,447円となっ ています。  39頁は生活保護制度(水準)です。生活保護で実際に受け取る金額は人によって違うも のですが、具体例ということでここに掲げています。1つ目、33歳の方の単身世帯の具体 例としては、東京都区部に住む場合については合計で138,690円。内訳としては、生活扶 助が84,990円、住宅扶助が53,700円となっています。また、この単身の方が地方郡部等 の場合については、合計が92,070円。内訳としては、生活扶助が65,870円、住宅扶助が 26,200円となっています。2人世帯の場合については、合計で東京都区部の場合、200,080 円、地方郡部の場合、135,060円となっています。3人世帯の場合は、合計で東京都区部 の場合、244,970円、地方郡部で172,780円となっています。  資料3「緊急人材育成支援事業関係資料」です。前回、「未就職卒業者向け」の訓練につ いてすでに始まっているので、状況の報告をしてほしいというご要望がありましたので、 資料を用意しています。41頁については、この訓練のスキームを示しているものです。 この訓練は、民間の教育訓練機関を活用して未就職卒業者向けにコースを新設して実施し ているものです。基本的には学卒未就職の方ですので、社会人としての心がまえや基礎力 の養成に重点を置くということ、また、キャリア・コンサルティングについても、他の訓 練よりは重点的にやるということで実習をしているものです。なお、この訓練については 主たる生計者要件はなくて、世帯年収が300万円以下の方については訓練期間中の生活費 を月10万円出すというスキームになっています。  42頁、未就職卒業者向けの基金訓練の実施状況です。5月12日現在で把握したもので すが、認定済みコースが182件、うち、すでに開始済みコースが73件あります。認定済 みコースの定員数が4,274人、うち開始済みコースの定員が1,678人となっています。ま た、受講者数については887人となっていますが、これについては先ほどの開講済みコー スのうち把握している57コース、定員1,320人分に対する暫定値ですので、後日、また 変わってくる可能性はありますが、現在のところ受講者数は887人ということで把握をし ているところです。資料の説明は以上です。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。ただいま資料についてご説明をいただきまし たが、それに関しましてご意見やご質問などがありましたらお願いしたいと思います。 ○藤原委員 最後にご説明いただきました未就職の卒業者向けの教育訓練について、これは 標準6カ月のカリキュラムということですが、この表に書いてあるように基金訓練の実践 演習とか公共職業訓練のほうに、6カ月の研修が終わって就職先が見つからなかった場合 には、受け渡しをされると考えたらいいのですか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 未就職卒業者のコースが終わった後について は、本人の希望に応じてということになりますが、就職が決まっていなくて、また訓練も やりたいということでありましたから、未就職卒業者向けのコースは基礎演習コースに準 じるコースということでやっていますので、より実践的なコースを受けることとか、公共 の職業訓練を受けることが可能です。 ○藤原委員 では、レベルとしては基礎コースに準ずるというような感じですか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 はい。 ○藤原委員 同様にこのコースに関して、おそらく未就職者の学歴構成がいろいろバラエテ ィーがあって大卒、高卒、高専卒、短大卒とあると思うのですが、この方々は基本的には 一緒に受けるということですか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 訓練の実施機関によっては大卒者向けのコー スという設定の仕方をしていたり、高卒者向けのコースという設定をしている場合もあり ますが、多くはそういう学歴で区別せず、未就職者向けということでやっていますので、 そういうコースについては、そういう方が一緒に受講するというような形になります。 ○岩村部会長代理 では、どうぞ。 ○豊島委員 1つ質問があるのですが、給付要件のところで、現行が世帯全体で保有する金 融資産が800万以下というのがあるのですが、具体的にはどういう形でチェックがされて いるのでしょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 世帯を構成する人それぞれの預金通帳ですと か、残高証明を出していただいて、そういうもので確認しております。 ○岩村部会長代理 そうすると、言い換えれば自己申告ですね。 ○岩村部会長代理 それ以上に生活保護みたいに承諾書を取って、金融機関に照会をかける とかということまではやっていないということですね。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 はい。 ○豊島委員 ある程度厳密にやる必要はあるというような気持ちはありますが、この間どこ でしたか忘れましたが、800万円という額が話題になったときに、一般的に800万円貯金 を持っているとなると、「ええっ」というような反応があったので、この額が適正なのか どうか、800万円の金融資産がある方に国民の税金から支給することがいいのかどうか、 それが駄目ということを私が言うには少しまだ勇気が要るような気がしますが、イエスと いうのにも、また少し勇気が要るような気がしますので、意見として申し述べておきたい と思います。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。新谷委員どうぞ。 ○新谷委員 非常に充実した資料になってきたと思っております。良い資料をありがとうご ざいました。中身の数字の件で教えてほしいのですが、通し番号13頁の横長の資料で基 金訓練と生活給付の要件を書いていただいていて、上のほうには平成22年度の基金訓練 の受講目標者(15万人)というのがありますが、下のほうは括弧がなくて数字が書かれて いません。教えてほしいのは、給付についても何万人という予算上の目標はお持ちだと思 うのですが、このときの給付月数です。これは12カ月まるまる支給するとか訓練を受け るということではなくて、1人当たり何カ月ぐらいの給付期間を見込んでの計算値になっ ているのかを教えていただきたいことと、同じことを30頁に、今度は平成21年度分予算 が締まって、訓練・生活給付の実績が(平成21年度)は合計で3万7,441人というのが出 てきましたので、これも平均すると、これは7月からスタートしているので中途半端かも しれませんが、支給月数の平均値がわかれば、教えていただきたいと思っています。数字 の確認です。 ○岩村部会長代理 それでは事務局、お願いします。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 基金訓練15万人の受講に対して訓練・生活支 援給付の目標ということではありませんが、予算上で想定しておりますのは12万人分で す。基本的に訓練を受けている期間と給付を受けている期間は同じになるということで考 えておりまして、平均6カ月の訓練期間という想定で考えております。  実際の給付をもらっている期間なのですが、給付をもらっている期間ということで数は 取っていないのですが、訓練期間が平均何カ月かというところで見ますと、3カ月の訓練 のコースが多いので、3.何カ月というのが平均で受けている期間と言えると思います。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○新谷委員 はい、結構です。 ○岩村部会長代理 では遠藤委員どうぞ。 ○遠藤委員 先ほどご説明いただいたことに関連するのですが、資料3の「未就職卒業者向 け」の訓練コースについては、基金訓練の基礎的な部分とほぼ同じというご説明がありま した。ほぼ同じであるのであれば、なぜ既存のコースを使わないで、この未就職卒業者向 けコースを作られたのかというのが1点目の質問です。2点目としては、年収要件のかけ 方について、個人と世帯の両方にかけているのですが、この理由をお伺いします。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 未就職者向けのコースですが、いまの雇用情勢 の中で未就職卒業者の問題をどのように取り扱っていくかというのを、政府のほうでいろ いろ施策を検討したときに、必要があるのではないかということで、特にこういうコース を設けたということになります。その際に、一般の基礎演習コースをベースにしておりま すが、未就職卒業者を対象にするということで、職場体験みたいなものをしっかり盛り込 んでいただく。そういうことを加えた上でコースを設定したというところです。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 年収要件ですが、基本的に今の基金事業については、 給付をするときの考え方として、一家の大黒柱、世帯の主な家計の担い手が失業して訓練 を受けるときには、やはり収入が途絶えて一家全体の生活が苦しいであろうというコンセ プトで、個人の収入や家計全体の収入、さらに金融資産の要件、先ほど800万円というご 指摘がありましたが、そのようなもの諸々をかけて、それで生活が通常考えて困らないで あろうという人には給付をしない。逆に世帯全体で見ても、この一家がこれでは食べてい けないだろうという場合には給付を支給させていただくというコンセプトで要件を作ら せていただいています。 ○遠藤委員 どうもありがとうございました。そういうことであるのだとすれば、別に双方 にかけなくても、世帯年収で縛っておけば、十分に対応できるのではないでしょうかとい うのが1点目です。その前提に立って、幾つか意見を出させていただければと思います。 1つは前回ご議論の中でも出てきたのですが、世帯の主たる生計者を要件として入れるの かどうかということなのです。仮にこの部分がなくなってくると、世帯当たりで複数人の 受給というような状況も当然あり得ることになりますので、そうなってくると、制度を支 えていく納得性といった観点から、例えばですが、手厚くなりすぎることをどう考えてい くかということです。そこは世帯年収で縛っていくという整理が考えられ得るのではない か。額そのものはどうするのかということはこれから議論があるかと思うのですが、1つ はそこで縛っていきたい。 それから、先ほど豊島委員から800万円についてご指摘がありました。どういう数字 を置くかということはこれから議論していくことを求めていきたいと思うのですが、私も やはり直感的に800万円という数字は、これからみんなで支えていく制度の中では、ちょ っと高い数字ではないかと率直に感じます。もう1つは、自分が住んでいる建物・土地以 外のものを持っている場合についてですが、例えば本当は手放したいのだけれども、手放 せないような価値がそれほどない山林を持っているケースですとか、あるいは親が農家を やっていたのだけれども、自分は農家をそのまま続けるというような状況に至らないとい ったようなケースとか、いろいろとそういう本来は見てあげたいような状況も出てきてい ると聞いております。一概に、ほかに持っているからという縛りだけではなく、その辺の 対応策みたいなものも、今後は議論を詰めていかせていただければと思います。 ○岩村部会長代理 ありがとうございます。新谷委員どうぞ。 ○新谷委員 遠藤委員がおっしゃったところは、我々が今後検討すべき論点の1つであると 考えております。先ほどもご質問の中に出ておりました新卒未就職者については世帯主要 件を外して、世帯全体の年収要件だけは残しているということですから、例えば世帯主の 方が不幸にしてというか、受給をされていて、まだ毎月10万円ずつか12万円になるのか どうかよくわかりませんが、120万円なり、144万円なりを支給されている。それで子ど もさんがまた不幸にしてこれに頼らざるを得ないといったときに、年収要件としては300 万円にいかないという状況で、併給が可能になってくると思います。ですから、世帯主要 件のあり方というのは、世帯全体の年収要件との関係で、十分考え得られるところではな いかと思っておりまして、これも今後の論点の1つに置きたいと思っております。  もう1つ、いま土地の要件が、私もよくわからなくて、現在いただいている資料の13 頁ですと、パワーポイントの資料なので、簡潔に抜粋されているのだと思いますが、「現 在住んでいるところ以外の土地・建物を所有していない者」というのがあって、これは土 地の所有者と世帯の構成員との関係で、これをどのように読んでいけばいいのか。例えば 世帯主はたしかいちばん年収が多い人という定義だったと思うのですが、その人の名義の 土地のことを言っているのか、あるいは遠藤委員がいまおっしゃったような、同居してい る年金生活をされているおじいさんの土地の名義になっていて、それが同じ世帯の構成員 だから駄目なのか、いいのか要件がわからなくて、その辺を明らかにしていただいたら、 今後の論議がはっきりするのではないかと思います。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。いまの土地・建物の件についてはいかがでし ょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 ちょっと整理させていただきたいと思います。 ○岩村部会長代理 ではまた次回以降ということでお願いします。 ○新谷委員 では、論点の件でもう1点申し上げたい点があります。以前この部会で、たし か私どものほうから論点の資料1の3頁に記載していただいた通所手当を論点として入れ てはどうかと申し上げたところです。私どもも地方連合会を含めた論議を開始しており、 この点を申し上げますと、東京に住んでいるとあまり実感がわかないのですが、地方は1 つの訓練施設が広域をカバーしていますので、そこに行くまでの交通のアクセスが非常に 大変なのです。もちろん公共交通機関の便の問題もありますし、運賃の高さも公共機関を 維持する運賃になっていますので、結構な負担になっているということが出ています。中 には自動車教習所のバスではないですが、グルグルッと回って受講者を集めるようなバス を運行してくれないかという要望などが出ており、通所手当については、今後の論点の中 で、現場の実態を、すでにもう地方で受託機関、訓練機関が開拓されていますので、そこ の実態がどういう地域から来られて、大体いくらぐらいかかっているのかも含めた実際の 把握をしていただきながら、論点の中に入れていただければありがたいと思っております。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。座長が発言するのもあれですが、伺ったよう な気もするのですが、この訓練給付10万円というのはどういうことで決まったのかとい うのを、もう一度復習のために教えていただけるとありがたいのですが。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 一人当たりの単価の設定ですが、まずその前身になる 公共職業訓練などを雇用保険の受給資格のない方が受けていたときに、技能者育成資金貸 付というのを支給しており、そのとき貸付額が1人当たり10万円で設定していたという 経緯があるのです。この10万円という金額の妥当性ですが、家計調査で一般の勤労世帯 における1人当たりの消費支出額がその当時9万8,000円余りということでしたので、そ れぐらい最低限はかかるのであろうということ。さらに、通常フルタイムで働いた方の時 給換算で700円程度が最低賃金の水準ということで、フルタイムで1日8時間、月22日 働いた場合の雇用保険の基本手当の金額が、大体この程度になるということで、諸々いろ いろな統計、あるいは実際にフルタイムで少なくともこういう最低賃金で働いたときの基 本手当ということで、10万円ぐらいが妥当ではないかというような結論を出したわけで す。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。これは今日給付額の関係で資料も出していた だいているのですが、10万円全国一律なわけですね。 ○栗田委員 基金訓練受講者向けアンケートの中で、少しわかればということでお聞きした いと思うのですが、世帯別年収300万円以下ということで、論点にもなっているとおり、 その中で訓練生活支給を希望したのだけれども、実際には受けられなかったという方が、 年収300万円以下要件のところで、約40%近く、人数的には100人程度なのかもしれま せんが、この受けられなかったという人の中に、どういう属性なのか、例えば年齢で何か わかるところがあればとか。失業期間がどれくらいの人だったのか、わかればですが教え ていただければと思います。 ○岩村部会長代理 ここはクロス集計したものがそういう観点からしたものがあるのです か。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 すみません、受けられなかった方だけを取り出して、 その属性を調べたものが今手元にありません。ただ、受けられなかった方について、どの 要件で受けられなかったのかという、全体的な集計は通し番号の27頁にあります。 ○岩村部会長代理 27頁ですね。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 それをさらに細かく属性で分析、ということはしてい ないです。ただ、問題は母数がだいぶ小さくなってしまうので、統計的にやってみて意味 があるかどうかということは、どうしても問題になると思います。 ○岩村部会長代理 先ほど地域別ではなくて一律なのですねというお話を申し上げたのは、 今日生活保護給付の額が資料で出ていたからです。 ○小林委員 私も感じるのですが公共的な措置という形と、今回やっているのは基金事業で 緊急対策という形でわかりやすく、よりPRしやすいような形でという事業だと思うので す。だから、全国一律10万円の生活給付という形はわかるのですが、恒久的措置になる と、この資料でいう6頁の第二のセーフティネットというのは、雇用保険制度があり、生 活保護との間で、新しい仕組みを作るということになると、どうしても雇用保険も過去の 収入に応じての地域の所得の違いが反映された形のものですよね。生活保護についても、 住宅費等の違い等で、地域に違いが出てしまうのです。その中で、一律にということにな ってしまうと、生計費の低い所がかなりの額をもらえる形になってしまうと、モラールハ ザードではないですが、甘える現象が出てきてしまうと、もともとの第二のセーフティネ ットは就職に結び付けていただくための一時的な生活費等を含む給付なわけですから、そ れは違いがあってもいいのかな、検討することが必要なのかなと私は感じます。 ○岩村部会長代理 それとの関係で、たぶん私の理解したところでは基金訓練が終わると給 付も終わるのですよね。だから基金訓練が終わって給付が終わった後の人の行く末がどう なっているのかというのが、データ的にはまだわからないですか。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 就職状況ですか。大体今集計を随次、アンケート形式 で訓練を終わった方に3カ月後の就職状況を出してもらうようにしていまして、それを今 回収中です。今手元の数字では、大体6割を若干切るくらい、59%台ぐらいの就職率にな っているようです。ただ、母数としては100人程度しか出ていませんので、そういう意味 ではもう少しアンケートを回収して、データを精査していく必要があるのかなと思ってい ます。 ○遠藤委員 いまの点についてですが、私どもも就職にどうつながっていくのかということ で大いに関心を持っています。いま小林委員の指摘された6頁のところ、ここにもう一度 立ち返ってみますと、自立支援プログラムが、生活保護制度の中にあって、これは地域で 行われているものだと聞いているのですが、このプログラムの中には複数の施策があり、 その1つに、生活保護受給者等就労支援事業というのがありまして、その就職率でさえ 50%と聞いているのです。そうなってくると、現状の数字というものが、果たして今後目 指していく数値であるのかどうかということです。また、2010年度の目標値が先日承認 されたかと思うのですが、生活保護受給者等就労支援事業も、基金訓練も60%以上とい う形で、数字を置いているのです。新しい枠組みに変えていった場合、ある程度の目標値 を立てて、それに合致するような形での支援体制を作っていったときに、どの程度の数字 を置いていくのかということについても議論をさせていただければと思います。 ○新谷委員 まだ私どもニュートラルな立場で申し上げているのですが、就職率の点はいろ いろと見る必要があると思っていまして、例えばハローワークに来られている求職者の平 均の就職率は、2009年度実績で23.7%となっています。それと公共職業訓練(離職者訓 練)を受けている方が2009年度実績で施設内訓練73.7%、委託訓練63.2%となっていま して、さまざまなチャネルのいろいろな施策が行われている中で、就職率が施策間でどの ように位置づけるのかといった視点からも、ここは見ておいたほうがいいのかと思ってい ます。  それと岩村先生がおっしゃった10万円の根拠は何かということに関連するのですが、 この論議を始めるときに私が申し上げたかと思うのですが、この施策は雇用政策なのか、 社会保障政策なのかというところが、スタートラインにあると思っていまして、ここの6 頁の絵ですと、下が社会保障ですから、生計費なり生存権に基づく関係で、生計費が出て くるということになりましょうし、小林委員がおっしゃっている雇用保険については、も ちろん結果としての地域における賃金差は反映されているとはいうものの、雇用保険の基 本手当の中には地域差という概念は入っていませんで、その辺の制度を作るときに、この 給付金の10万円というのは一体どういうお金なのか。いまの制度は中途半端でして、12 万円というのがさらにあるわけです。12万円というのは何かというと、これは扶養家族 がいると2万円上乗せするという、それは緊急避難的に作った制度ですから、納得性があ るかどうかはこれから考えればいいのですが、いずれにしてもいまの制度は恒久化するに 際しては見直しをしないといけないし、そのときにどこに立脚点を置くかということによ って、地域差を設けるか設けないか、生計費概念を入れるかどうかということを考えてい くべきではないかと思います。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。いずれにしても何らかの金額を定めるにして も、そのベースは何なのかという話は常に出てくるし、たぶんそれは政府部内でこの制度 を作って説得していく上で、そのベースはどうやって決まっているのという話は、必ず出 てくるので、そこのところは我々としても少し考えなければいけないのではないかという ことだろうと思います。  あとはおっしゃるように、地域差というものが賃金水準でも何でもある程度あるといっ たときに、雇用政策の観点から考えたときに、論理的に全国一律になるかというと、賃金 も地域ごとに違うでしょうということであれば、雇用政策であるということから直ちに全 国一律という論理が出てくるわけでもないので、その辺をどう整理するのかというのはあ るでしょうね。  2万円はこの前のご説明で大体企業で出している扶養手当の額の見合いで2万円という ご説明だったので、それもそういう考え方で扶養家族分を乗せるのか、そもそも先ほど議 論があったように、世帯にという考え方でいくのか、そうでないのかというところの出発 点とそこは絡むし、さらにその話は結局年収要件プラス世帯年収要件をかけるのか、かけ ないのかという、そこの問題に最終的に要件の問題にも結び付くだろうと思います。それ が結局回り回って、また給付の水準のところに跳ね返ってくるだろうという全体構造の中 で、どこにポイントを置くのか、出発点というか基礎となるところを考えるかという話に なると伺っていたのですが。  また話が戻って、要するに訓練が終わったら給付も終わりで、就職できないと結局あと はない。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 引き続き次の訓練をしていくという流れも1 つありますし、未就職ということでハローワークのほうに戻っていただいて、就職の支援 をしていく。その中で住宅手当の関係ですとかいろいろな政策がありますので、訓練が終 わってしまって、なおほかの手当が必要ということではハローワークの相談でそういう施 策をご案内するようになっています。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 要するに訓練が終わったらもうこれで雇用対策は全 部終わりというわけではないのです。だから、訓練はあくまでも安定した雇用に結び付け るための1つのツールでありまして、ハローワークでも他にいろいろな施策があります。 若い人であればこういう基本的な訓練が終わって、大体就職できる準備ができたら、トラ イアル雇用、あるいはほかの施策でどんどん色々なツールをつないでいけば、それは就職 もできますでしょうし、ハローワークで職業相談して、仕事をあっせんすれば、それで就 職を成功させる人もいると思うのです。それは個々人のニーズや状況に応じて、色々対策 はあり得ると思います。 ○岩村部会長代理 そうすると、そこは1つすでにやっておられるということなのですが、 ポイントは結局訓練期間が終わった後、大体就職に結び付けるか、うまくいかなかったと きにどのようにオリエンテーションするかという、そういうコンサルティングなり、カウ ンセリングや相談の体制をどうするのかというのを、もう1つ組み合わせを考えることに なる、そこはすでにビルトインされていて、ちゃんとなっているという理解でいいのかど うか。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 現行制度ではまず入口のところでしっかりと、ハロー ワークの窓口で訓練に対する意思や能力があることを確認した上で、ご本人のご希望を聞 きながら、適切な訓練に誘導させていただく。訓練に入りましたらば、訓練の受講期間中 から、ハローワークが訓練機関を通じて、その人に合った訓練のコースに即した求人等を 随次提供していきます。  訓練実施機関の中にも就職支援を必ずしていただくような、これは訓練の計画の認定基 準の中にビルトインされていますので、そういう訓練機関独自の、例えばキャリア・コン サルタントを配置する、あるいは訓練機関が独自に得た求人を紹介するとか、ハローワー ク、あるいは自前の就職支援を訓練実施期間中から継続していき、最終的に修了したとき に、さらにコンサルティングやカウンセリングをしながら、就職指導をする、あるいは実 際に求人を紹介して、そちらに行っていただく。それは常にハローワークと訓練実施機関、 色々コーディネートをしている雇用・能力開発機構の地元のセンターとタイアップして取 り組んでいるということです。 ○岩村部会長代理 さらについでに、それをやったけれども、結局駄目でという人は、また 基金訓練に戻ってくるということは。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 基本的に基金訓練の中で複数受講が認められていま して、基礎的なもの、例えばITで基本的なソフトウェアを使いこなす3カ月の訓練や、 先ほど学卒などもその1類型でしたが、3カ月か6カ月の基礎演習コースというのをセッ トしており、そのいずれかを受けた方については、希望があればさらに実践的な就職の不 足した専門分野の訓練を受けていただくなど、複数の訓練をつないで受講していただく。 場合によってはそれは公共職業訓練でも構わないのですが、そのように訓練をつないで受 講していただくこともあります。いずれにしても仕上がり像の訓練、実践的な訓練まで進 みましたら、その成果をもって、まずは就職活動をしていただく。そのためのハローワー クや訓練実施機関がバックアップしているので、当面今私どものスキームでは、1回訓練 を最後の段階まで受講したら、1年間ぐらいは就職活動を頑張ってください。ハローワー クや他の支援機関もありますから、そういうような所で頑張って就職をしましょうという 指導をしています。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。小林委員どうぞ。 ○小林委員 もう1つ、訓練期間という部分ですが、いまのところ基金事業では3カ月、6 カ月となっていますが、これは職業能力開発分科会のほうで考えるのか、どちらかになる のだろうと思うのですが、訓練はどのくらいの期間が必要なのかというのが1つあるでし ょう。その間の給付という形になるわけですから、そこも1つ考えておく必要があるのだ ろうと思うのです。海外ではかなり長い訓練期間を設定していて、オランダだったか、か なり長かったような記憶があるのですが、いま日本の場合は先ほどの話を聞いていると、 この基金事業では3カ月か4カ月ぐらいということですね。それから公共職業訓練は長く て2年ですよね。その間にそれなりの資格を取ってもらったり、職務技能を付けてもらっ て、就職先を探すという形になると思うのですが、その辺の長さの検討も必要かと思いま す。 ○岩村部会長代理 先ほど訓練が終わって生活支援給付が終わって、その後どうなるかとい うことを尋ねたのは、海外の例では訓練をやったけれども、結局就職には結び付かず、ま たもう1回訓練に戻ってくる。それをずっと繰り返すという、そういう海外のいままでの 経験もあるものですから、そこのところがこの仕組みを作って、恒久化して、さらにそれ に給付も付けてとやったときに、そういう循環型になってしまう懸念があるのかなと思っ たものですから、その出口のところを実際どのように就職に結び付けて、また元の振り出 しに戻ることにならないようにするのか、そこがどうなっているのかというのに関心があ ったのでお聞きしたのです。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 制度としましては先ほど申しましたように、1回仕上 がり像の訓練までいきましたら、次は同じような訓練は1年間はあっせんしないというこ とで運用しています。したがって、きちんと訓練を受けたら、就職するのがいわば当たり 前なのですよということを、最初からご本人もある程度納得されてそれで受けられている ということだと思います。  あと訓練の期間ということでご指摘がありましたが、受けていらっしゃる方は失業中の 方です。中には一部生活費の足しにということで、合間でアルバイトをされている方もわ ずかではありますがいらっしゃいます。基本は失業されている方で、この訓練を受けて1 日も早く就職したいという思いを持っていらっしゃる方です。したがって、訓練の期間が 1カ月や2カ月だと、手に職を付ける実効あるものまではなかなかこれまでの経験ではい かない。そうかといって、6カ月、1年、2年ということになりますと、訓練を受ける、 離職して非常に不安定のままそれがかなり長期間続きますと、不安にもなるでしょうし、 早く安定した生活に移行したいという希望からすると、少し外れてくるのかと思います。 結局、私どもは今の基金訓練でも幅をもたせて、色々な長さの訓練をセットしています。 同じ分野でも3カ月の訓練もあれば、4カ月、5カ月、あるいは6カ月というように、色々 幅もあるのですが、大体施行されるのは、今ですと3カ月か4カ月ぐらいです。中には6 カ月受けられる方もいらっしゃいますが、それを加重平均すると、大体3カ月半とか4カ 月と、時期によって違ってきますが、そういう構成になっています。 ○新谷委員 いまの論議を聞いていて、現在の基金訓練は時限的な措置なので、今年度中に 終わってしまう、当初は3年、2年で終わってしまうという前提の制度ですので、恒久化 するときに、オン・オフではないですが、繰り返しといいますか、インターバルといいま すか、受給期間の間隔をどのように置くのかというところとか、また、雇用保険の失業給 付との併給なり支給調整との考え方をどうするのか、要件を満たしていて失業手当をもら えるのだけれども、金額が低くて給付が仮に10万円という制度で恒久化されたときに、 先ほどの日額が1,640円という最低額で、1カ月の30日分であると10万円のほうが魅力 的になったときに、併給なり支給調整のあり方をどう考えるかとか、恒久化という視点で 考えたときの論点ポイントがいくつか出てくるのではないかと思いますので、私どもも考 えますが、事務局でも恒久化という視点での論点ポイントを発掘していただければありが たいと思っています。 ○岩村部会長代理 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。今日のところ はご用意いただいた資料についての議論は大体出たということでよろしゅうございまし ょうか。事務局のほうは何か付け加えるようなことはございますか。 ○坂口雇用保険課長 特にありません。いま新谷委員がおっしゃったような論点も今日も最 後のほうは給付期間であったり、恒久化にあたってというようなところもありましたので、 そういった点は論点も整理して、また議論に供させていただきたいと思います。 ○岩村部会長代理 それでは特にご発言がなければ、以上をもちまして、今日の第59回雇 用保険部会は終了とさせていただきたいと思います。本日の署名委員は、雇用主代表は遠 藤委員、労働者代表は栗田委員にそれぞれお願いをしたいと思います。それでは委員の皆 様方、お忙しいところをどうもありがとうございました。これで閉会させていただきます。 次回の日程については事務局のほうで、改めて皆様方にご連絡を差し上げるということで すので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)