10/05/28 第17回高度医療評価会議議事録 第17回高度医療評価会議 (1)日 時: 平成22年5月28日(金) 10:30〜12:30 (2)場 所: 中央合同庁舎第4号館(財務省)1階共用108会議室 (3)出席者: 猿田座長、山口座長代理、伊藤構成員、金子構成員、        川上構成員、佐藤構成員、柴田構成員、竹内構成員、        田島構成員、林構成員、堀田構成員、村上構成員、 山中構成員、山本構成員、出口技術委員、西岡技術委員、松 山技術委員       (事務局) 医政局研究開発振興課高度医療専門官・治験推進室長補佐        保険局医療課企画官   他 (4)議 題   1 新規申請技術の評価結果   2 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長  時間になりましたので「第17回高度医療評価会議」を始めさせていただきます。朝からお忙し いところを委員の皆様にはご出席をいただきましてどうもありがとうございました。まず、本日 の出席状況については、関原構成員、藤原構成員からはご欠席という連絡を受けております。本 日は技術委員として西岡技術委員、出口技術委員、松山技術委員にご出席をいただきまして、ど うもありがとうございました。議事に入る前に、この間から構成員としてお入りいただきました 林邦彦先生が今日お出ですので、群馬大学の医学部保健学科医療基礎学の教授であられます林邦 彦先生、一言ご挨拶をお願いします。 ○林構成員  林です。よろしくどうぞ。 ○猿田座長  本日の資料の確認をお願いします。 ○事務局  資料の確認の前に、本日は急遽仕分けの業務の関係が入りまして、研究開発振興課長が来られ ませんことをお詫びいたします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。「議事次第」から始まり、「座席表」「開催要 綱」「構成員名簿」「技術委員名簿」と続きます。この資料に、新規申請技術についての資料と して、資料1-1、1-2、1-3と続きます。そのあとに参考資料として、1から5までを付けており ます。また、別紙として、関原構成員より「意見書」をいただいておりますので付けさせていた だきました。本日の資料は以上です。過不足等ございましたら、事務局までお知らせいただきま すようにお願いします。  利益相反の確認については、対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1に記 載している「医薬品・医療機器情報」をご覧ください。対象となる企業または競合企業に関して 事前に確認をさせていただいております。事前の届出以外に特別に関与するような事例はござい ませんでしょうか。該当なしということで、よろしいでしょうか。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは早速議事に入りたいと思います。この議題に従って、 第1番目の「新規申請技術の評価結果」について、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  事務局よりご説明させていただきます。資料1-1をご覧ください。「新規申請技術の評価結 果」として、整理番号025、高度医療名はレプチン補充療法導入後の脂肪萎縮症患者を対象とし た長期安全性臨床試験です。適応症は脂肪萎縮症が対象となっております。申請医療機関は、京 都大学医学部附属病院です。審査担当構成員として、主担当に竹内構成員。副担当として猿田構 成員、佐藤構成員。技術委員として、西岡技術委員に審議に加わっていただいております。以上 です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。整理番号025、レプチンの補充療法導入後の脂肪萎縮症患者 を対象とした長期安全性臨床試験ということで、これは竹内構成員からまずご説明をお願いでき ますか。 ○竹内構成員  先ほどご紹介がありましたように、本申請に関しては、レプチン補充療法導入後の脂肪萎縮症 患者を対象とした長期安全性臨床試験に対してです。  脂肪萎縮症というのは、脂肪組織の消失または減少を特徴として、米国では100万人から500 万人に1人とも言われており、非常に希な希少疾患で、日本国内では50症例から100症例の患者 さんが存在するのではないかと予想されています。  本申請の前に、すでに臨床試験が当機関で実施されており、2002年より8症例、脂肪萎縮性糖 尿病の患者様に対して、この療法が実施されております。現在では、1年以上維持できておりま す。本申請では、その患者さんの長期安全性及び有効性を確認する試験ということで申請されて おります。  また本申請に関して、ロードマップが提出されており、薬事承認に向けて医師指導試験が開始 され、本申請で得られた結果をもとに、長期安全性の試験を実施するという開発ロードマップの 中で、この高度医療が位置されております。  本申請に対しては、まず実施体制の評価を猿田構成員、西岡技術委員に評価をしていただいて おりますので、まず、猿田構成員から、実際性の評価につきましてご意見をお願いいたします。 ○猿田座長  先に西岡技術委員からよろしいですか。 ○西岡技術委員  全般的にずっと拝見していたのですが、試験計画等も含めて、すべて非常によくできたものと して感じています。  4年の期間に対象症例が目的とした症例数だけ集まるかどうか。その間に評価でき得るものか どうか、その点だけが気がかりになって、以上で、あとはプロトコール・デザインとしては非常 に完成されたものと評価いたしました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。実は脂肪萎縮症というのは、非常に希な病気で、面白いこと に、40数年前に初めて日本で見つけたのは、実は私がこれを見つけまして、治療法が全くなかっ たのです。どうしていいかわからないということでした。そのあとずっと研究が進んで、京都大 学のほうでレプチンの効果を証明されておられ、本当に希な疾患です。先天性と後天的なものが あることもあとになってわかってきたということです。そのあと京都大学のほうでレプチンを使 っての治療を行い、非常に効果が見られている。使った症例に対して非常に効果があることと、 副作用も問題とならない。いま西岡技術委員がおっしゃったように、患者さんは非常に少ないで すが、しかしながら、非常に価値ある治療法ということで、アメリカでもこれが進んでおります。 そういった形で、いままでの体制、そのほかに関しても私は非常に画期的な治療法だということ でいいのではないかと思います。それでは佐藤構成員からご説明をお願いします。 ○佐藤構成員  この件につきまして、倫理的な観点から評価をいたしました。結論としては、以前京都大学か らあった申請と同じように、同意文書等も非常によくできていると思いました。別添の資料があ りますので、そちらをご覧いただければと思います。ただ、少しコメントを付けさせていただき ました。*の部分が2つです。申請書間で齟齬があった。つまり、患者負担について少し食い違 いがあったものですから、その点について確認をしていただくこと。もう1つは、同意文書、つ まり署名をいただく欄がわかりにくいと思いましたので、その点についても少し直していただけ ないかと事務局を通してお願いをしたところ、評価表の10頁、11頁に詳しく経緯が書いてあり ますが、このように修正をしていただいたということです。  なお、この件に関する希望としては、1つは、フォローアップを京都大学附属病院ではなくて、 指定病院で行うものですから、そこで検査をして、減量とか中止の判断を指定病院の医師がなさ るので、それについて綿密に連携をとるとともに、実際の注射というのは家庭で行われるので、 その際にもきちんとご本人、あるいはご家族に指導をお願いしたいというコメントを付けてあり ます。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは全体的なことについて、竹内構成員、お願いします。 ○竹内構成員  プロトコールの評価としては、提出された申請書類、またはプロトコールを拝見いたしました。 プロトコールも非常によく書けていると私は判断いたしましたので、プロトコールの評価6から 16番目はすべて「適」にしております。  ただ1つコメントとしては、10番の「有効性及び安全性の評価方法」については、通常の臨床 検査におきましては、コメント欄に書いてあるように、有害事象及び副作用と試験薬との因果関 係の判定が、実際に関わられている研究責任者の先生、または担当医師によって実施されます。 本申請では、有害事象、副作用が主要評価項目になっておりますので、この試験の結果から、医 師主導型の長期試験に対する考察ということになっております。有害事象、または副作用の因果 関係を、効果安全性評価委員の先生方でもう一度検討をしていただきたいと事前にコメントを出 しておきました。  事務局のほうから確認していただきまして、第三者の立場である先生方でもう一度再確認をし ていただくというコメントをいただいておりますので、これは私も「適」といたしました。  総合評価としては、実施体制、倫理的観点、プロトコールの評価、すべて「適」と判断できま すので、総合評価としても「適」の判断をさせていただきました。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまお話がありましたように、すべての点で大きな問題がな いということで、全体として「適」としてよろしいのではないかというご判断です。それでは委 員の方からご意見をいただけませんか。どなたでも結構です。非常に希な病気ですが、画期的な 治療ということで、是非、こういう形で進めればいいと。堀田構成員、どうぞ。 ○堀田構成員  私も資料を見せていただいて間がないのですが、全体的に非常に完成度の高い試験計画であり、 倫理的にも問題が少ない、そういう意味では問題のないケースだと思います。  この疾患自体が、日本で100例程度と極めて希少で、しかも、日常生活に致死的でないにしろ、 大きな制約を受ける。また代替治療がないということから言いますと、本来ならこれはコンパッ ショネート・ユースで対応すべき疾患であります。日本ではそういう制度が整備されていないも のですから、保険診療との併用ができるという、高度医療評価制度に乗って申請が行われている わけですが、非常に敬意を表したいと思います。  こういった稀少疾患について、今回提出された課題のようにがっちりやって、そのエビデンス が出されればそれは言うことがないのですが、このために4年間ぐらいの研究期間が必要です。 その間にこの研究に乗れない人たちに対するケアといいますか、そういったものについても一定 の配慮を、この会議でやるべきことではないかもしれませんが、是非お願いしたいと思っており ます。 ○猿田座長  ありがとうございました。貴重なご意見をいただきました。ここがもし正式に認められたとき に、京都大学とも相談しながら、是非、そういう形で検討していきたいと思います。ありがとう ございました。ほかにご意見はございますか。西岡技術委員、どうぞ。 ○西岡技術委員  私はこのドラフトをずっと拝見して非常に興味深かったのですが、レプチン補充療法導入後の 脂肪萎縮症患者を対象とした長期安全性臨床試験ということで、この治療法そのものが、こうい う希少疾患ではなくて、将来、これは知財とも絡んでくる可能性があるので、私が個別にご質問 していいかどうか迷ってはいたのですが、他の病気にも使える可能性があるとか、そういうふう な広がりを将来持っている可能性があると考えてもよろしいのでしょうか。差し支えのない範囲 で結構です。 ○猿田座長  どうでしょうか。 ○事務局  事務局で答えるべきかどうかのご質問ですが、基本的にはレプチンという薬は、もともとは肥 満症の薬のほうで期待されていたという経緯もございます。そこの部分についてはまだ開発段階 と考えております。今回の脂肪萎縮症という疾患は、レプチンそのものがまさにその原因にかな り大きく関わっているということで、まずはこの疾患について開発が最も進んでいると考えてお ります。以上です。 ○猿田座長  ほかにご意見がなければ、皆様はこれでお認めいただくということでよろしいでしょうか。 ○山中構成員  九州がんセンターの山中です。目標症例数について、確認させていただきます。実施計画書の 32頁をご覧になってください。その部分に、目標症例数は12例とあります。希少疾患というこ とを鑑みまして、現在、導入療法中がすでに8例集まっている。それで今後4例を足すという試 験内容になっています。2カ月以上補充療法を受けた症例が対象になると読み取れるのですが、 導入療法中の8例については、安全性の評価とか、そういったものはすべて2カ月のスパンでや るように明記されていますが、それは遡ってちゃんとデータは取れていると解釈してよろしいの ですか。 ○竹内構成員  本申請では、すでに8例の患者さんは1年以上経っておりますので、まずいちばん初めに1週 間後、3週間後、それから2カ月後に評価され、その1年後に評価された後は、6カ月毎に評価さ れています。先ほど説明があった4例は、私の理解では、今度医師主導型治験が始まりますので、 それが始まる前にすでに臨床研究の枠組みで4例入ってきて、4例の患者さんがこの4年間で長 期安全性の試験に入ってくるという理解をしております。 ○事務局  関原構成員の意見書を読ませていただきます。「脂肪萎縮症に対するレプチン補充療法。患者 視点からは、本件は超希少疾患への先進性のある新しい治療で、安全性、品質にも問題はなさそ うであり、また、費用負担も軽く、患者にとっては光明です。ただ、米国でも治験段階であり、 有効性評価は更なる症例の積み重ね、フォローアップが不可欠です。症例も乏しく、治験等薬事 法に基づく申請はエコノミックスとしてもハードルが高く、本制度の趣旨に適った申請と考えま す。」以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。関原構成員の場合は患者さんの立場からのご意見でした。それでは ありがとうございました。この案件はお認めいただいたということにさせていただきます。続き まして、次の案件に移ります。これは事務局から先にご説明をいただけますか。 ○事務局  番号026についてご説明させていただきます。もう一度、資料1-1をご覧ください。新規申請 技術の評価結果として、整理番号026、高度医療名は転移・再発を有する腎細胞癌に対する自己 活性化γδ型T細胞と含窒素ビスホスホン酸を用いた癌標的免疫療法です。適応症はサイトカイ ン療法不応の進行性腎癌が対象となっております。申請医療機関は、東京女子医科大学病院です。 審査担当構成員として、主担当として林構成員、副担当として村上構成員、田島構成員となって おります。技術委員として、出口技術委員、松山技術委員に審議に加わっていただいております。 以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それではこの案件の審議に入りたいと思います。まず、林構 成員のほうからご説明をよろしくお願いします。 ○林構成員  それではさっそくご説明させていただきます。いきなり主担当という形なので、要領がよくわ かっていないのかもしれませんのでよろしくお願いします。  いま説明があったように、資料1-3の12頁以降に、いままでの評価のやり取りが抜粋されてお りますのでご覧ください。当申請の医療技術は、腎癌のサイトカイン療法に効かない患者さんを 対象に行おうとしている治療です。基本的にはサイトカイン療法不応の症例に対して、いま現在 はソラフェニブなどが使われているわけですが、それらよりもQOLの維持等で良いだろうと思わ れる治療法になっています。  これまでにフェーズI/IIaとして、11例の症例にすでに実施されておりまして、良好な成績 を見ているということです。今回この治療法が申請されました。それでは評価された先生方から 順番に。 ○猿田座長  そういうことで、まず実施体制の評価で副担当として、村上構成員のほうからお願いできます か。 ○村上構成員  実施体制を評価させていただきました。項目の順番に説明させていただきます。実施責任医師 等の体制については、腎細胞がんで十分な治療実績があり、かつ、今回申請の医療技術につきま しても、11例の経験があるということから、問題なく「適」といたしました。  実施医療機関の体制については、診療体制につきましては、特定機能病院として全く問題はご ざいませんが、一方で、今回使用するγδ型T細胞は院内のセルプロセスセンターで製造される ということですので、その体制についても評価させていただきました。体制に関わる情報に関し ては、少し不足しておりましたので、追加の情報をいただきまして、それも確認した上で「適」 とさせていただいております。詳細は、松山技術委員から説明していただけると思いますので割 愛させていただきます。  最後の医療技術の有用性等ですが、この医療技術につきましては、2003年度から実施された文 部科学省の「革新的ながん治療法等の開発に向けた研究の推進」、通称がん・トランスレーショ ナル・リサーチ事業と言われるもので、それで研究が開始され、臨床試験がスタートされたもの です。開始された後に分子標的薬であるソラフェニブ、あるいはスニチニブが承認されたという ことで、この分子標的薬との比較を常に意識しながら、医療技術の評価をしていかないといけな いということです。ただ、この医療技術につきましては、CRも1例ある。有害事象に関しても、 いまのところ重篤なものについてはそれほどないということで、次の段階として高度医療の枠組 みで、さらなる臨床評価をきっちり行い、臨床効果を評価することが適切であると考えておりま す。そういうことから「適」とさせていただきました。  ただ、11例中10例に一過性とされていますが、リンパ球減少があり、しかもそれがGrade3以 上の有害事象であったということで、有害事象対応マニュアルに則り、厳格に実施していただけ ればと考えております。私からは以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。いま副作用の問題がありましたが、この紙の順序で泌尿器科の立場 から出口技術委員にお願いできますか。 ○出口技術委員  臨床の立場からいろいろとコメントとして書いてありますが、評価1、2、3に関しては、村上 構成員がおっしゃったとおりです。普通は腎癌がありますと手術で取るというのが第1段階です が、進行、あるいは転移したものに対しては、いままではサイトカインで、インターフェロンと かインターロイキン-2です。それが分子標的薬が近年出てまいりまして、それが結構な効果を得 られているということです。欧米ではサイトカインよりも先に使うということは第1選択として の推奨もされています。ただし、どうも人種の差とか、いろいろなことがあって、日本では意外 とサイトカインを先行すると分子標的薬と同じぐらいの効果が出ているというデータも出ており まして、この辺のところは今検討している最中です。  いずれにしても、サイトカインとしては20%〜30%ぐらいの効果で、サイトカイン不応例とい うのが結構逆にあるということになりますと、次に打つ手を分子標的かなというふうにはなって おります。しかし、分子標的を両方一緒に使う場合が最近は出ていまして、そういうことも踏ま えて考えてみますと、分子標的だけでもCRが得にくいとか、有害事象があるとか、そのために投 与を中止すると急速に増殖する傾向が見られて、急に止められないのでずっと続けていかなけれ ばいけないことも問題になっています。  実際、本邦でのソラフェニブの臨床試験では、腎癌129例に投与されていますが、PRが19例 で、CRが見つかっていない、存在しないということを考えまして、今回の癌標的免疫療法という のは、癌の制御率、疾患の制御率としては54%ぐらいで見られた。先ほども村上構成員がおっし ゃったように、CRがあるということが期待されるところです。特に、腎癌細胞に標的を定めてい る免疫療法ということで、そういう意味での新しい治療法としての期待はあるかと考えておりま す。  分子標的薬を先にやって、そのあとにこれをやっても臨床成績としては上がるのではないかと いう期待もあるわけで、その点については問い合わせをしました。24頁にその答えが出ておりま す。現段階でこの療法というのが、本当に効果があるのかどうかというのは、まだ11例では決し て十分とは言えないと思います。ここには書いていないのですが、そういう意味で善意に解釈す ると、早くその効果を確認した上で、次の段階にいくと私は解釈いたしました。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。貴重なご意見をいただきました。続きまして、松山技術委員、 お願いいたします。 ○松山技術委員  私といたしましては、条件付きで今回は了承とさせていただければと思っております。コメン ト欄を読ませていただきますと、転移を有する腎癌患者より末梢血単核球を分離して、2メチル3 ブテニル1ピロリン酸(2M3B1-PP)にてγδT細胞を誘導して、IL-2にて選択的増殖をはかり、 経静脈的に加工。これは培養増幅、形態等は言っていませんが、加工している。γδT細胞を全 身に投与して、当該細胞の腫瘍への集積による癌細胞障害を期待するものです。  加えて、加工γδT細胞の生体内での活性化持続・増殖のみならず、標的癌細胞の易標的化を 期待するとの観点から、IL-2及びゾレドロン酸を全身投与するとの新規コンセプトを有する臨床 研究プロトコールです。  従前の癌免疫療法と比較しまして、細胞製剤としての有用性が期待されると私は思っています。 加えて、投与後の活性化とその維持にまで配慮されている。臨床研究プロトコールでのIL-2及び ゾレドロン酸使用による相乗効果という、まさに新規コンセプトを有するsophisticateされた新 規細胞製剤・治療法であり、将来的に治験からの薬事承認を目指す高度医療評価制度(第三項先 進医療)のトラックによる臨床応用にふさわしい申請と考えております。今回のこのような素晴 らしいプロトコールを見させていただいて光栄でございました。  ただ、一方で、今までドクターが非常に小さい院内でされていたということもあって、細胞自 身の品質が本当に均一なものであるかということを考えると、若干、心許ない点があると。これ はやはり均一のものが投与されないと、本当にそれが効いたのか、効かなかったのか。効かなか ったときに製造プロトコールが悪かったのではないかという疑念もあります。また万が一、何ら かのトラブルが起こったときに、このプロトコール自身が潰れてしまいますし、癌免疫療法その もの自身が疑われることになるので、これは大事にすべきではないか、という観点で条件付きの コメントをいくつか書かせていただいております。  コメントに関しては、資料1-3の17頁の部分から、私がコメントを書かせていただいておりま す。1.の17頁の部分はこれで了承だということです。2.の18頁の部分に関しては、試験開始前 には独立した管理体制をお取りいただけるということで、これはさほど大変なことではありませ んし、今回はプロトコールの策定の部分で京大の探索医療センターにご参画をいただいて、我が 国で最高峰のサポート機関ですので、ここの所は十分に相談いただければ速やかに対応できるも のと認識しております。  4.に関しては、製造手順書とか指図書とか、かっちりやる。これを自己目的化することはよろ しくないと思うのですが、やはり再現性の観点から、もう少しこういう文書を整理したほうがよ ろしかろうということと、今後は確認申請等に向けてトレーニングになるだろう、という観点か らお書きいただければいいだろうなと。その部分は記載していただいたあとに、私のほうでチェ ックさせていただければ十分だと思っています。  21頁、11.の製造担当者の教育等の部分に関しては、藤井先生はきっちりと本をお書きになっ ているのですが、これを使って教育ということも含めて明文化していただければいいのかなと思 います。  22頁のところで若干気になったのですが、CPC内での作業についても、1人1回3時間以内の 作業時間を担保するため、午前、午後で1症例の細胞精製の調整ですが、これはおそらく同一固 体のものだと思っていますが、それであれば問題はないのですが、もし午前、午後で別のケース を培養するのであると、コンタミネーションのリスクと未知のウィルスの伝播のリスクがあるの で、ここはもう1回確認をさせていただこうと思っているところです。概ね、非常に素晴らしい プロトコールで、京大の探索研もサポートに入っているということで、これは是非とも前向きに 進めていただきたい案件でございます。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。私も気になったのは、CPCの問題ですが、これはどうですか。 ○松山技術委員  CPCのスペック自身はもう問題はないだろうと。あとはハードの面、ソフトの面をどうやって ブラッシュアップしていくか、そこだけだと思います。ただこの評価会議でモノ案件かというと、 そこまで先生方のお手を煩わす必要はないのかなと思いますので、チェックさせていただければ いい。そこでもしどうしてもということがあれば、また事務局と相談させていただこうかなと思 っています。 ○猿田座長  ありがとうございました。それぞれ技術委員の先生方のコメントをいただきまして、非常に画 期的な方法であると。ただ少し検討する面が残っているということです。田島構成員のほうから お願いします。 ○田島構成員  説明文書中に必要な項目は適正に網羅されておりますし、患者相談の対応も整理されておりま すので「適」とさせていただきました。 ○猿田座長  よろしいですか。ありがとうございました。それではまとめて林構成員のほうからお願いいた します。 ○林構成員  私のほうはプロトコールを評価させていただきました。評価の結果は14頁、15頁に書いてあ ります。一部「適」にするのか「不適」にするのか、条件がよくわからずに迷いながら付けたと ころがあります。コメントの1番目は、計画書の34頁、35頁についてです。先ほど松山技術委 員からも言われましたが、計画書は非常によく書かれています。かつ、目的とする症例数の設定 の根拠も、統計的にいろいろ検討されています。ただ、疑問として出させていただいたのは、2 つの条件で検討されているわけですが、プラセボの効果を54.6%とされていると思います。もう 一つの条件の「期待する値」は、日本語で「期待する」と言うと誤弊があって、これぐらいを期 待するというよりは、この値を下回る確率が90%を超えたら、治療としては意味がないだろうと いう設定です。それが75%になっているのですが、その75%の設定の根拠がよくわからない。一 般的なルールで20%上回ればいいのだというルールがあれば結構だと思いますが、もし先行の臨 床試験結果から持ってくるのであれば、標準的に使われているソラフェニブの有効率は83.6%な ので、その辺りが順当なのかなと考えました。そのような設定の根拠を書かれたほうがいいので はないか、というのが1つ目のコメントです。  もう1つは、先ほど出口技術委員からもお話が出ていたと思いますが、CRが出ているというの は良い面で、11例でも1例出ている。その辺も設定の根拠に使うほうが良い。つまり、いまサン プルサイズは31例、もしくは35例ぐらいですので、CRと書くべきかどうかわかりませんが、PR かCRが1例は観察できると前もって設定すべきと思いました。そういう記述も加えたほうがいい というコメントを書かせていただきました。あとこの治療法の設定位置づけというか、治療法の 確立は、いわゆるセカンドラインとされるのか。先ほど言われたように、もう1段階あとの治療 法とされるのか。いまの選択基準では分子標的薬の治療歴がない方に限定されているので、その 辺りを再考すべきと1つコメントをさせていただきました。あとは細かな点です。CRFに書かれ ているのに、計画書に記述がなかった点等を埋めていただきました。以上が私から出したコメン トです。  あと実施の条件として、中間解析をしながら、なるべく患者さんの数を少なくしながら評価を されるようなので、中間解析をするのであれば、是非、独立データモニタリング委員会の中に統 計家を入れて、継続もしくは中止という判断をしていただくような役割を持つ委員を入れたほう がいいのではないかというのが1つです。  もう1つは、これはいままでの審査でどのようにされてきたかよくわからないのですが、1つ の試験、1つの医療機関で行われる試験の場合、研究の外部の独立モニタリング委員会の委員が、 その施設の先生方だけというのはいかがでしょうか。同じ施設にいるから独立していないとは必 ずしも言えないとも思うのですが、外から見たときに、いわゆる独立をどういうふうに担保する かということで、できれば所属されている先生ではなくて、外部の施設の先生に委員になっても らったらいいのではないか、というのを実施条件として書かせていただきました。以上です。 ○猿田座長  特に最後の部分は、やはりこういった場合にはモニタリングは非常に重要ですから、本当であ れば外部の人にやっていただきたい。人数の問題もございますが。ありがとうございました。そ うすると、全体として、先生は「条件付きの適」で具体的にはよろしいですか。 ○林構成員  全体としてほかの先生方からも指摘されている点が盛られていると思いますので、それをクリ アすれば「適」ということだと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは構成員の先生方から、是非、ご意見をいただきたい と思います。堀田構成員、どうぞ。 ○堀田構成員  技術的な面で確認したいのですが、γδT細胞の免疫療法というのは巷で非常によくやられて おります。例えば、ヤフーで調べてみると、γδT細胞と免疫療法のキーワード検索しててみる と、日本で大体2万3,000件ぐらい出てきます。これは単に用語ですから、診療としてはクリニ ックが結構やっておられるので、クリニックを追加して検索してみると1,000件ぐらい出てきま す。ただ、これは重複があるものですから、もちろんそれだけやっているわけではなくて、私が ざっと見たところでは、日本では20施設ぐらいで、いわば医療として行われています。もちろん これは自主診療ですから、別に止めるものではないわけです。  一方では、今回申請の医療技術ようにピロリン酸の抗原を抽出して、それで特異的な刺激をし て、しかも、IL-2で増幅してゾレドロン酸で体内刺激をして、かつ、またIL-2を使うというこ とで、理論的には非常に素晴らしい構築がなされているのです。一方では、いわゆるγδT細胞 免疫療法と言われているものと、これとどういう差があって、これでなければならない理由は何 なのか、ということについて書かれておりません。一般的にやられているγδT細胞免疫療法で は駄目なのかということについて書かれていないのはどうなのかなと思いましたが、いかがでし ょうか。 ○松山技術委員  非常に難しい課題だと思います。どうしても臨床研究のような形で、すべてデータがオープン になっているのであれば比較もできますし、どんなプロセスで細胞が加工されているのかという ことがオープンになっていれば比較は可能だと思いますが、そこのところは各研究者もそうです が、やはりオープンにしたくないというところもあって、第三者が比較できるかというと、現状 のところは難しいだろうと。  私どもとしては、そういうネット上の情報を見つつ、本案件と比較はさせていただきましたが、 本当にγδT細胞は効くのだということを仮定すると、やはり、2メチル3ブテニル1ピロリン酸 によってどうもγδT細胞のポプュレーショが上がっていそうだと。それを考えると非常に confidence in mechanism、CIMの観点から考えるとリーズナブルだろうと思います。これは製剤 という発想からもそうだろうと。  加えまして、投与したあとに実際にIL-2とゾレドロン酸を入れるということで、中で細胞を活 性化させるということは、これは非常にsophisticateされた方法であって、この2点から私が考 える限りでは1つアドバンテージがあるのかなと。ただ、私もすべての情報を知っているわけで はないので、そこのところは少なくとも劣ってはいないのだろうということは、本研究プロトコ ールから見ると言えるのではないかと思います。 ○堀田構成員  おっしゃることは大変よくわかります。この研究自体、単独で取り出してくると、非常に素晴 らしいコンセプトになるテーマだと思います。ただ、免疫療法というのはいろいろあって、これ でなければならないことはないけれども、それでは他のものと同列なのかという話で言うと、こ ういったものをきちんと評価して、科学的なたエビデンスに基づいて行われる必要があるという 意味では、こういうものを取り上げて高度医療評価できちんと科学的に評価するというのは非常 に大事だと思った次第です。  そういう意味で、γδT細胞の免疫療法というものの現状はこうであるが、自分たちはもっと 特異性の高い治療法として、こういう基礎実験として積み上げたということが書いてあると、も う少し理解しやすかったかなと思った次第です。 ○猿田座長  ありがとうございました。事務局、どうぞ。 ○事務局  今回のγδTリンパ球に関しましては、事務局にいろいろな情報が集中して、我々も構成員、 技術委員になかなか十分な情報を供給できていないこともあろうかと思います。今回のγδT細 胞というものは、いわゆる京都大学で2メチル3ブテニル1ピロリン酸という独自の抗原といい ますか、そういったものを開発されて、それを用いることが今回のγδT細胞が最も特徴的なも のです。  実はγδT細胞と言いましても、いろいろな作り方をされたγδT細胞があるわけで、高度医療 でもしお認めになられたγδT細胞が、ほかで行われているγδT細胞と同じかというと、必ずし もそうではないということにはご留意願いたいと思います。以上です。 ○猿田座長  そこで伺いたいのは、安全性がどうしても気になるところがありまして、11例で10例がリン パ球の減少が出ているのは、どこのところがいちばん原因になっていますか。 ○松山技術委員  少なくとも2M3B1-PPに関しましては、すぐアルカリ発作が失活していくので、夾雑物がないの であればさほどリスクが高いものではないのだろうと。むしろ、品質管理の部分で、合成の過程 で夾雑物がないところは、品質管理の部分で見ていただくべきかなと思っています。これ自身は 残存はほとんどしないですし、体内でアルカリ発作が出てすぐに失活しますので、比較的安全な ものかなという感覚で見ております。 ○猿田座長  データを見ると一過性なのですよね。すべて一過性に戻っているので、どこが悪いのかなと思 ったのですが。その原因はわかりますか。堀田構成員、ありますか。ちょっと気になって。是非、 この点に関しては山口構成員からコメントをお願いします。 ○山口座長代理  これは2つ疑問があるのですが、簡単のほうから申し上げます。いろいろ細かい指摘があって 回答が書いてあるのですが、「する予定」とか「するつもりです」というあいまいな回答がいく つか散見されるので、やはりそれはきちんと実行しますというスタンスに是非していただきたい ということが1つです。  もう1つは、この臨床成績からだけで、高度医療でこれは是非やってみたいなという感じがす るのか私はちょっと疑問を感じました。というのは、申請書の8頁に、パイロットスタディの結 果が書いてありますが、奏効率で言えば、CRが1例だけで、PRは0なのです。本来、CRをどん どん期待するのであれば、CRが1例あれば、PRは2、3例あっても当然だと思うのです。これが ないということで、困ったのかどうかわかりませんが、SDを入れて、疾患の制御率ということに してしまって、それが高いという話になっています。しかもそれは本当にインターフェロンと正 確に比較されていません。この1例だけをもって、ほかのこういう類いのものに比べて、これが 本当に格段に期待できるのかというところが私はよく理解できないので、その辺りで担当の先生 のご意見を伺いたいのです。 ○松山技術委員  インターフェロン等との比較に関しましては、私自身は若干の門外漢なので正直わかりません。 少なくとも、細胞の品質からはいいのだろうなという感覚で、このところはどう比較していくか ということ。例えば、抗体製剤であったとしても、従前はさほど成績はよくなくて、どんどんプ ロトコールのバージョンアップと同時によくなってきたと。これも実はバージョンはプロトコー ルのバージョンアップでどんどんよくなっていく過程なのだろうという感覚ではありますので、 劣っていないのであれば、ほかと明確な比較は可能かどうかわかりませんが、劣っていないので あればいいのかなと。  疾患制御率に関しましては、癌というのは完全に治せなくても、ある程度折り合いをつけて生 きていくという考え方もあると思うので、疾患制御率に変更しているのは私も実は気付いてはい たのですが、それはリーズナブルかなという感覚で見ています。これは私の感覚なので、皆さん の意見とは違うのかもしれません。 ○山口座長代理  資料の7頁には、この施設でやった110例のインターフェロンの成績が出ています。7頁の真 ん中ぐらいで、これではCRが7例あって、PRが13例あるのです。これは奏効率が18.2%で、こ れは明らかにこちらのほうが優れていると考えざるを得ないと思うのです。しかも、症例数も多 いです。それに対して、奏効率に関してはそれよりも劣っているわけです。そこでなぜそれが優 れていると言えるのかどうか、私には理解できない。 ○出口技術委員  応援演説をするわけではないのですが、一応、インターフェロンでセーブした症例を対象にし ているというのが第1点にあると思います。ですから、インターフェロンの奏効率とは比較がで きないところはあるかと思います。 ○山口座長代理  奏効例はインターフェロンをやった症例ですが、それは「不応」と書いてあるのです。詳細が 見えていませんのでわかりませんが、前治療としてインターフェロンがあったので、それが効い た可能性もあるのではないかと思います。というのは、実際にインターフェロン、CRがこれだけ 出ていますから、たまたまそれが当たっただけであるという可能性もあって、そういう意味でも、 私はいまの応援演説に「そうですね」とはなかなか言えないわけです。 ○出口技術委員  ちょっと思い出しましたが、確かにCRが1例で、PRがないというお話だったのですが、進行 を止めているSDがこの中に含まれていて、成績としては疾患の制御率になるかと理解しています。 ○山口座長代理  くどいようですが、SDというのは、すごく悪くなっていないものも含まれているわけです。少 し悪化したものも含まれているわけで、したがって、普通、化学療法をやるときにはあまりそれ は当てにならないというのが普通です。確かにそれはドーマントのままでいたらいいのだとか、 そういう意見もあるのはわかりますが、普通はどちらを優先するかというと、客観的には奏効率 を選択すべきだと思うのですが、いかがですか。 ○事務局 出口技術委員と申請者の間で我々を通していろいろとそういったディスカッションもございまし た。参考資料4をご覧ください。これは前回の第11回高度医療評価会議で、皆様、構成員でお まとめいただいた観点です。「国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる医療技術を評 価する際の観点について」です。Iの2.は、少し端折りますが、「数例以上の当該施設での臨 床使用実績があること及びその1症例ごとの十分な検討がなされていること」ということです。  これに関しまして、今回CRが出た1例に関してどのような症例だったかということを申請者に 確認しますと、基本的にCRに至ってから3年間ほど全然再発はないということをおっしゃってお りました。出口技術委員にその辺を確認いたしますと、インターフェロン治療はCRになる症例が あるのだけれども、ただ、結構早期に再発してくるという実情がありまして、CRに至ったと言え ども、またそこから後から出てくると。今回の1例に関しましては、3年間再発がないというこ ともありまして、もちろん座長代理のおっしゃるとおり、インターフェロンがたまたま当たった だけではないかという可能性はもちろん否定できないわけですが、今回の高度医療に来られた臨 床研究の結果をもって、これが有効であると、これが確定するわけではもちろんございませんし、 いわゆる臨床研究として、今後はそういった有効性の蓋然性といいますか、有効性がありそうだ というところを見ていく研究であると理解しています。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございます。山中構成員、どうぞ。 ○山中構成員  山口構成員と同じことを思っていました。それにも関連しますが、臨床試験ですので、どこの 患者集団を対象に治療開発するかということを考えなければいけない。  16頁のプロトコールの適格基準を見ますと肺に転移がある症例となっています。ですから、原 発巣が進行しただけではなくて、遠隔メタも起こっている症例のみを対象に最初からしている。 これがなぜかということをまずお聞きしたい。 いまこの試験で対象としようとしている集団に 対しては、海外のIII相試験をくぐり抜けてきたソラフェニブやスニチニブといった効果の高い分 子標的薬がもう利用可能です。確かに、CRが1例あったというのは非常に有望だと思うのですが、 山口構成員がおっしゃったとおりPRは0であると。オーソドックスに考えれば、分子標的のあと にやるということも考えられる、そういう対象をこの試験の対象集団にすることは十分に考えら れると思うのです。そうしない理由として、分子標的薬をやって、それを切ってしまうと急速に 増大するということが書かれていますが、それは確かにそういうことがあるので、いまビヨンド PDという、PD以降もお薬を続けましょうという治療法がいくつか検討されています。しかし、お 薬を切って急速に増大する症例がほとんどでしたらともかく、これがごく一部でしたら、理屈と しては少し弱い。もっと言えば、ビヨンドPDが一番言われているのはアバスチンだと思いますが、 ほかにいくつかの薬剤でビヨンドPDはささやかれていますが、1つもビヨンドPDの効果をちゃ んと証明したIII相試験というのは現時点ではないのです。実際ビヨンドPDは本当に効くのかどう かはわからない。お薬を切ったら急速にグロースしてしまうことがあるから、最初に分子標的薬 をやるわけにはいかないという理由は、私はちょっと納得がいかないです。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○出口技術委員  おっしゃるとおりだと思います。コメントのところで質問をさせていただいたのですが、その 答えしか返ってこなかったので、ちょっと不満は持っております。 ○山中構成員  実際、お薬を切ると急速に腫瘍がグロースするような症例の割合がどれくらいなのかを知りた いと思います。その他に肺メタ症例に限る理由がもしおわかりでしたら、教えていただきたいの ですが。 ○出口技術委員  急性ドロックの例が何パーセントぐらいかは、いま私は手元に持っていませんが。肺に標的を 定めたのは、おそらくサイトカイン療法のときも肺の転移層には結構効いていたのです。それが あるので、肺に定めて、サイズとかそういうものが測定しやすいというようなことぐらいしか考 えられないのですが。 ○山中構成員  臨床試験なので、どこを対象に治療開発するのかはこの試験以降につながる話です。肺メタが 縮んだ経験があるから、そこだけに限って試験をしようというのはどうかと思いますが。 ○出口技術委員  同感ですが。 ○西岡技術委員  私も12頁にあるコメント欄のCRが1で、それから有害事象が、11例中10例というこの冒頭の を見て、ちょっとどうかなという感じはしていた。今サイトを調べたら2万件ぐらいががんなど に対するリンパ球療法の施設があるということですか。あるいはそのγδを含めて、こういうの が何となく巷で、あたかも癌療法に効くというふうなメディアがちょっとやると、すごく患者さ んが殺到してしまう、という状況にあることも片一方では事実だろうと思うのです。  これを機会に、この臨床試験での、私は、サイトカイン製剤に関して、いくつか開発してきた 経過があるのですが、GMPレベルが非常にレギュレーションがきついのです。この細胞製剤の作 成プロセスの段階が、そういうことを考えますと、細胞療法に用いる時は薬になるわけですが、 その辺の品質管理がどういうふうになっているのか、あるいは、なっていなければ、どういうふ うに今後していくのかということが、別の問題になるかもしれませんが、やはりGMPのレベルに 近いようなものにも導入して、きちんとした治療に確立されることを望みたいという感じはして いるのです。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○林構成員  先ほどのCRの件ですが、症例数の設定の根拠のところでしつこく聞いたのは、実は、そのこと もあったのです。つまり、制御率で例数を設定しているのですが、謳い文句としてはCR、PRを高 くすると想定しているので、今回申請された研究で、効かないものは効かないと分かるような組 立ての研究にしておくべきです。  それで、症例数の設定根拠にも記載しておくべきです。CR、PRが確か標準的なセカンドライン の治療法であるソラフェニブの奏効率は4、5%だったと思います。せめてそれぐらいを目指すの であれば、35例で少なくとも1例はCR、PRが出てくるだろうと書くべきだと思います。逆に言 うと、それが出なければ、想定しているものが見られてなかったと結論できるのではないでしょ うか。例数設計のところにそれを書いていただければと、少しコメントさせていただきました。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○竹内構成員  いまの議論を通しまして、やはり中間解析も非常に重要になってくるのではないかと思います。 もし仮に35例やるということであれば、何らかの形で症例数設定もして、患者さんのターゲット を絞って、どういう結果が出て来るかがカギになると思います。  そこで、この中間解析のプロトコールを見ていますと、まず、免疫性の評価をする。ただし、 その免疫性があるかどうかに関しては、「トライアルはとまらない」と書いてありますので、現 状では、半分のところで、条件付き確率でどのぐらい、このまま続行したらトライアルが成功す るか成功しないかの確率の計算は出てきますので、やはり、先ほどお話がありましたように、独 立した統計学者の方に入っていただいて、しっかりと中間解析をやって、奏効率がこれだけだっ た、このままトライアルが続いた場合に、成功する確率を計算したうえで、有効性または安全性 を検討していただいて、試験のゴーサインをしていただくことは非常に重要だと私は考えます。 ○猿田座長  その際にやはりモニタリングをしっかりやることは非常に重要ですね。 ○竹内構成員  はい。 ○猿田座長  ということで、効果に関することはなかなか難しいのですが、安全性のほうがある程度大丈夫 だということであれば、一応、私ども、この高度医療としては、安全性が非常に重要で、それか ら、もちろん効果面ですが、臨床試験としてやっていくわけですから、あとは山口構成員に任せ ましょうか。 ○山口座長代理  あとで関原構成員のコメントが出ると思うのですが。 ○猿田座長  関原構成員の意見書を読んでいただけますか。 ○事務局  関原構成員の意見書を読ませていただきます。  転移・再発した腎細胞がんに対する免疫療法。標準治療法は乏しい転移・再発腎がん患者にと っては微かな希望が持てる治療法と言えますが、症例が少なく評価は容易でないと思われます。 臨床実験中の欧州諸国との比較では日本の本治療がリンパ球活性化の点で優れているようで、本 制度で症例を重ね、欧米に先行する治療法になる可能性があるように思われます。  ただ、私自身、24年前大腸がんの肝転移が確認された時、自己リンパ球を取り出し、インター ロイキン2で活性化させ、再び体内に戻すLAK療法を試みましたが、後年全く効果なしと判明し た体験があります。本件は当時のものとは格段に進歩し、プロセスも違っているはずですが、こ の種の治療の性格上、転移・再発の腎がんに本当に効果があるのか未知数です。安全性にはあま り問題ないと思われますが、患者負担が重いだけに患者に対する正確な説明と納得が特に重要と 考えます。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。貴重なご意見をいただいております。 ○山口座長代理  関原構成員は、やはり患者さんの立場と言いますか、こういう医療を受ける側の立場の貴重な 構成員ですが、いつもはわりと積極的に新しい技術を取り入れようとしておられる方です。しか しこれを見ると、全体としてこれは症例数が少な過ぎて何とも言えないし、高いから、もうちょ っと考えたらどうかというようなメッセージと受け止められるのではないでしょうか。もちろん 評価した方は、有効性を十分感じられるということであれば、これはやむを得ませんが、私自身 は先ほど述べたような理由で、積極的にこれを採用したいとは思えません。 ○柴田構成員  山口構成員のお話と、最初に出て来ました林構成員の、期待する成績がこのぐらいなのかとい う話についてちょっとコメントさせていただきます。  ちょっと仕事のことを置いておいて、普通の素人の目で考えた時に、良い、良いと言われてい る似たようなこういうものの成績を考えると、既存のソラフェニブが奏効率として84%ぐらいの ところに対して、そこまで求めずに、75%ぐらいのところを目標として試験が組まれていること は、ちょっと素人的な目で見ると意外に思うところでもあります。これは山口構成員がおっしゃ っているような、それほど高い効果がないではないかという話になると思いますが、裏を返すと、 この治療法に何を求めているのかをきちんとはっきりプロトコールの中で、実は行間には書いて はあると思いますが、明示的に書かれていないように思います。  プロトコールの10頁目には、「ソラフェニブに比べて毒性の軽減が期待できる」と書いてあり ますが、そのこととのトレードオフとして、有効性はそこそこであっても、Proof of Conceptが とれたと判断するという意識が、このプロトコールを書かれた先生方にはあるのだと思います。 そのようなものをオーケーと見なすかどうかという話は、また別の次元としてあるとは思います。  つまり、現状、ソラフェニブを使っている患者さんに対して、将来、これはまだ分からないで すが、同じぐらいの成績あるいは少し劣るぐらいの成績であっても、ソラフェニブよりも楽に受 けられる治療だから、医療として成立し得るのであれば、このような目標の設定の仕方はあるか もしれませんし、そうではなくて、やはりソラフェニブと同じぐらい、あるいはそれに勝ってほ しいということであれば、そういう目標で行うべきであるし、そこの整理は、やはり明確にして いただいたうえで、明確に書き下していただくほうがいいのではないかなと思います。進めるべ きか、進めないほうがいいかという話とは別の問題として。 ○猿田座長  そこは確かに大切だと思います。ほかにご意見はありませんか。いま先生方のご意見をいただ いたとおり、いろいろな問題があると思いますが、安全性にはそんなに問題はない。 ○事務局  事務局です。先ほど山口座長代理から、関原構成員の意見書についてのコメントがありました が、事前に関原構成員とは、いわゆる対面でこの辺のことについてご意見を伺いました。  その際には、もちろんご自身のご経験から、こういった治療について、受けることについては、 何より大事なことは正確な説明を受けることと、患者さん自身がよくよく納得するということが 大事だとおっしゃっていただいたこと、あと前段で、「欧米に先行する治療法になる可能性があ るように思われます」というところにおいては、いわゆる関原構成員の思いとしては、いわゆる ドラック・ラグとかデバイス・ラグとかにならないようにと、なるべく日本で先行した形で、こ ういったプロミッシングな必要があるということであれば、その開発を進めてほしいという思い もあって、それは2つ相反するようなことではありますが、そういった思いで書かれたものとい うことです。  あとは、先来、米国においても、いわゆる樹状細胞免疫療法に関しては、FDAで新しく承認を 受けたということで、それに関しても、数百人規模でかなり慎重に有効性・安全性が検討されて、 臨床試験で有効性・安全性を確認し、薬事承認を受けたというケースがあります。  関原構成員も、そういったことも含めて、いかに早く開発を進めていくかということとともに、 患者さんの同意説明が大事だということもおっしゃられています。 ○猿田座長  ありがとうございました。この治療法は、プロミッシングなものであることは間違いないです が、ただ、実際に安全性の面では大丈夫なようですが、問題の効果の面は、いま山口構成員がお っしゃったとおりで、確かにもう一つ読めないところがある。実際この対象となる患者さんは、 再発の癌、非常にクリティカルなところの患者さんに対しての使用であり、どれだけのものを、 本当に少しでも早く混合診療として、認めてあげたいという気持ちがあります。そこで最終的に、 山口構成員、どうしたらよいか非常に難しいところだと思いますが。 ○山口座長代理  理論的にプロミッシングなものを推進することは賛成ですが、やはり臨床でそれが本当にどう かということは、もう大きなギャップがあると思います。これを高度医療として認めることは、 本当にその進歩になるかどうかということを明らかにする必要があります。こういう方法は高度 医療に採用されたとなれば、一般の方から見たら、国がこういう医療の有効性をちゃんと認めて やっているではないかと誤解する可能性もあります。やはり相当有望なものでないと、こういう 制度の中には入れないほうがいいのではないかと思います。その切り分けは難しい点があります が、少なくとも、いま説明を聞いた範囲では、私の個人的な見解では、魅力が少ないという意見 です。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○山本構成員  それほどCR、1例だけで、それほど高い有効性が、ほかの既存の療法に比べて、前評判ほどで はないのではないかというところは、全くそのとおりだと思いますが、なにぶん11例という数が 少な過ぎて、現段階で、その可能性がないとまでは言えないというところと、もう一つ、山口構 成員がおっしゃるように、γδT細胞がすでに巷で使われていることに対して、この試験をGoと することが、もう一つその内容が分からないものに対しても、その背中を押してしまうことにな る、そういうメッセージになるというところも、そういう心配ももちろんあるのですが、逆に言 うと、こういう場でここまで東京女子医大の先生と京都が支援に入って、ここまで精度の高い試 験をしていただいて、それで結果が出るという、その結果をそうして世に曝すということが、い まこれを通すことが一時的に、巷のちょっとクリニックの宣伝に使われるかどうかということも ありますが、そういう行為は、結果も曝すことができるような場で行われない限りは、ずっと巷 にγδT細胞と称する治療法がいつまでも蔓延することも一つあると思うのです。  ですので、これを、もし高度医療でやらなかったとしたら、パブリッシュ以外の方法でこの結 果を知らせるということができない可能性があります。そう考えますと、ここで、それをしてい ただいて、なおかつその結果を報告していただくことも重要ではないかと思いました。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○堀田構成員  私も同感です。こういうものを、先ほど最初に申し上げたように、いわば、あまりきちんとし た形で評価もなしに、巷に流布している状況を申し上げたわけです。一方で、こういったものに 対して期待感も高いわけです。ですから、それをきちんとした科学的な評価を与えるということ は、一方では非常に重要なことだと思います。  ですから、治療成績をちょっとでも良いほうへと評価を引っ張っていくことなく、本当にこの 技術が日本の国民医療にとって必要なのかという観点で、高度医療で評価していただきたいと思 います。そうでないと、この会議はは保険診療につながるということが前提の会議と位置づけら れているので、医療として認められているという印象を与えるような誘導はやめていきたいと思 います。そういう点で、ある一定のポピュレーションにきちんとした評価を与えることは、重要 なことかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○村上構成員  いろいろな意見がありましたが、まず、この先行する臨床試験に関して、少しコメントを追加 させていただきます。  冒頭にも私言いましたように、文科省のトランスレーショナル・リサーチ事業の中で、きちん とした評価検討委員会の下に管理された臨床試験をされたデータということで、この11例のデー タは、私は、非常に重たく受け止めています。そういう意味では、このCRが1例出たということ は、やはりプロミッシングな医療技術だということで、巷にいろいろありますようなγδT細胞 のものとは全然質が違うものであるという、まずそれがベースにあるということが、まず1点で す。  もう1点、分子標的薬との関連ですが、医療技術を開発していく中で、新たなものがどんどん 出てきますから、常にそういうことを意識しながら、比較、検討していかないといけないわけで すが、いま、この医療技術も、エビデンスをとるとした場合は、やはり前段の先行試験でやられ た内容について更なる評価を行って、ちゃんとエビデンスを確立するという立場に立てば、この プロトコールのデザインがやはり私は最適だと思っています。  ただ、ポイントは、やはりこのデザインは、分子標的薬との比較、検討になろうかと思います。 ですから、分子標的薬よりも非常に劣ることになるならば、そこで、no-goの判断をきっちりと するということで、やはりもしプロミッシングの医療技術を早期実用化を図り、早く治験へつな げていく観点に立てば、引き続きこのデザインでエビデンスをつくって、白黒つけていただくと いうことが一つの考え方であるのではないかなと思っています。 ○猿田座長  ありがとうございました。いろいろ皆様方に貴重な意見をいただきました。 ○柴田構成員  これは、先ほどの山口構成員のコメントに関連して思ったことですが、やはり誤解されると困 ると思います。関原構成員のコメントもそうですが、あるがままに受け止められる必要があると 思います。ですが、最近、例えば先進医療で認められたもの、高度医療が先進医療の会議で通っ て、認められたものの新聞記事、あるいはプレスなどを見ますと、「評価を受けている段階のも のである」と書いてある記事は、やっぱり少ないのです。  やはりこれは、今日、保険局の方がいらっしゃっていますが、プレスリリースを出される際に、 高度医療としてやるのは期待もあるが、ちゃんとしっかり臨床試験が研究段階のものとして行わ れて、それが最終的にもしかしたら悪くなるかもしれないし、やっぱり期待どおり良くなるかも しれないというものであると、きちんとプレスリリースを出していただかないと、非常に危ない ことになると思いますので、そこのところは一言付け加えさせていただきます。 ○猿田座長  それは柴田構成員がおっしゃるとおりです。いま高度医療評価の意味と先進医療と保険との関 係でだんだん分かってこられて、いま堀田構成員がおっしゃったように、本当にこの効果を認め るかどうかを検討していただくというところにあると思います。  実際、先ほどお話がありましたように、この技術に関しては、がんのトランスレーショナル・ リサーチということで、かなりしっかり検討されてきています。11例やられて、いま村上構成員 がおっしゃったとおり、かなりそういった形でしっかりした検討がなされています。  私としては、これは条件付きで認めてもいいかなと思っているのですが。やはりもう一回プロ トコールのこと、先ほどの生物統計の方を入れていただくこと、モニタリングのこと、そのあた りもう一回しっかり検討して察していただいてはということです。すなわち条件付きでもう一回 検討するということにさせていただければと思います。  これは貴重な技術ですし、日本としても、確かに大切な技術ですから、そういった形でいかが でしょうか。 ○山口座長代理  基本的には、スタンスは皆さん一緒だと思いますが、どこで線を引くかということで、少し感 覚的に違うと思います。  いま、村上構成員がおっしゃいましたように、科研費をもらってやったものが生きてこなくて はいけないという観点では確かにおっしゃるとおりですので、私自身はもう絶対駄目という意見 ではなくて、きちっと評価できる体制であれば、進めることに賛成です。 ○山本構成員  先ほど村上構成員は、分子標的薬と匹敵する成績が出ないといけないとおっしゃったのですが、 やっていらっしゃる先生方が本当にそう思っていらっしゃるのか、あるいは柴田構成員がおっし ゃったように、トレードオフでより安全で同等あるいは少しいいか悪いかという程度の効果を期 待されているのか、あるいは無増悪の期間が長くなるということを、PRはそれほどなくても、無 増悪であるということを重要視されているのか、まだ、それの位置づけがちょっとはっきりして ないような印象を受けました。  ですので、その背景とか、最初にこう書いてあることと、評価項目が微妙に合わないような気 がしますので、そちらをはっきりさせていただくことが、よりプロトコールがはっきりして、 POCにつながるのだと思うのです。 ○猿田座長  ありがとうございました。では、一応、そういう形で、条件付きで、ここでは認めさせていた だいて、もう一回今日議論に出ました点を、構成員及び技術委員にもう一回検討していただくと いうことにいたします。 ○保険局医療課企画官  保険局企画官ですが、この個別技術の話ということではなくて、ここの何度かのご議論で頻回 にご指摘いただいています保険導入という目で見た時に、つまり、一般医療、保険医療に至る技 術という意味で見た時に、ここでご審議いただいている技術がどういうもので、もし、ここの高 度医療評価会議を経て先進医療専門家会議でお認めいただいた場合であっても、その時のエビデ ンスレベルと言いますか、取扱いについてはさまざまなバリエーションや位置づけがあります。  そこについて、きっちり国民の皆様に伝わっていないのではないかという柴田構成員のご指摘 をはじめとして、いま非常に貴重なご意見をいただきましたので、この個別技術ということと並 行して、私どもで、制度上と言うと大げさになりますが、評価をしていただく際に、あるいは最 終的に先進医療専門家会議でご議論いただく際にも、いまご指摘いただいたことをどういった形 で反映できるか少し検討させていただきたいと考えています。 ○猿田座長  ですから、先進医療の構成員の方々にも、そのあたりをしっかり分かっていただくことが大切 だと思っています。 ○事務局  研究開発振興課です。申請書のロードマップをご覧いただきたいと思います。この開発ロード マップは、いわゆる、今回の高度医療で予定しています臨床研究が、いわゆる単一施設における 第II相臨床試験ということで、真ん中に書いてあります。右側にPOC、いわゆるProof of Conceptということですが、POC取得と。そのあと、医師主導の可能性も含め治験ということで予 定されているのがロードマップです。  そういうわけで、申請者側としては、有効性、安全性ということが確立されて、特に今回、高 度医療に出されているというわけではありません。もちろん、そのソラフェニブを前にするか、 上乗せするか、あとにするかというのは、申請者、担当の構成員の間でも、事前にかなりディス カッションがありました。そこのところに関しては、課題もあるだろうという認識で皆さんあろ うかと思いますが、そのような状況です。  もう一つ、高度医療で認めることが、厚生労働省として、こういった療法を標準的な医療とし て認めていくのかというご発言があったわけですが、基本的には、そういうスタンスではありま せん。参考資料5をご覧になっていただきたいのですが、今回これは初めて付けた資料ですが、 癌細胞免疫療法が初めて高度医療評価会議に上がってきたわけです。これに関しては、昨年度の 「再生・細胞医療枠組み検討会」がありまして、そちらでどういうような安全衛生体制でやるべ きかというものをかなり議論したわけです。  それに関しては、西岡技術委員のコメントにも関わることであろうと思いますが、基本的に参 考資料5の47頁をご覧いただきますと、加工・品質管理体制ということで、例えばCPCの施設要 件があるとか、CPCの人員要件、さらに48頁に治験薬GMPに関する基準について等さまざまなも のを守っていただく方向で考えたほうがいいのではないかということもありまして、これについ て医政局長通知としてまとめています。ですので、いかに安全にやっていただいて、臨床試験と いう形で評価をするといったことが大事なのではないかと考えております。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。いまのご意見に対して何かご質問はありますか。よろしいですか。 それでは、この案件に関しては、いま申し上げたように条件付きという形で認めていただく形で 進めさせていただきたいと思います。  ほかに全体的に何かご意見はありますか。高度医療評価委員会の意義づけがだんだん分かって いただいたようですね。 ○事務局  猿田座長にちょっと確認したいのです。もう一度会議にかけるということでしたら、継続審議 という形でよろしいですか。 ○猿田座長  はい、そういう形でお願いします。 ○事務局  了解いたしました。 ○猿田座長  特に今日挙げた点のところを中心に検討していただいて、プロトコール、その他です。  ほかにご意見はありますか。もし、なければ、一応、今日議論する案件はこの2つですが、そ のほか、これからのことで事務局のほうで。 ○事務局  事務局です。次回の日程について述べさせていただきます。6月25日(金)午前10時30分か ら12時30分を予定しています。詳細等が決まりましたら、追ってご連絡いたします。  また、本日の議事録は、作成次第、構成員及び技術委員の皆様にご確認をお願いし、そのあと 公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。以上です。 ○猿田座長  これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局研究開発振興課 TEL 03−5253−1111 高度医療係 松本 内線2589