10/05/27 第40回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第40回)議事録 日  時:平成22年5月27日(木)10:00〜11:40 場  所:ホテルフロラシオン青山「ふじ」 出席委員:山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、      野上委員、林委員、       議題   1.平成20年度財政状況について        −厚生年金保険・国民年金(基礎年金)−      2.その他   ○石原首席年金数理官   定刻になりましたので、ただいまより第40回社会保障審議会年金数理部会を開催させていただ きます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。  資料1は、「平成20年度財政状況−厚生年金保険−」でございます。  資料2は、「平成20年度財政状況−国民年金(基礎年金)−」でございます。  このほか、参考資料としまして、「平成20年度の公的年金各制度の財政収支状況」をお配りして おります。  配布資料は以上でございます。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、翁委員が御都合により御欠席とのことでございます。御出席いただきました委員の方 が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。  なお、年金局長、総務課長、年金課長は公務のため欠席させていただいております。  それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長   おはようございます。委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして、大変ありがとう ございます。  本日は、厚生年金保険及び国民年金の平成20年度財政状況についての報告を聴取いたします。  まず、厚生年金保険の平成20年度財政状況につきまして、御報告を聴取いたします。  それでは、説明をお願いします。 ○安部数理課長   厚生労働省年金局数理課長でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、厚生年金につきまして、資料に基づきまして御説明を申し上げます。 まず、1ページ目。ここに収支状況を、5年分の時系列を記載させていただいております。これ の一番右、平成20年度、今回の御報告の数字でございます。項目ごとにご覧いただきますと、ま ず、収入の内訳といたしまして、まず、保険料収入でございますが、こちらの方、伸び率、一番 右に前年との比較、差額と伸び率をお示しをいたしておりますけれども、プラス3.3%増となって ございます。これは、1つは被保険者の数が伸びていることの増加と、あと、現在、保険料率の 引き上げを行っております。この2つの要因によりまして、保険料収入が約3.3%の増というふう になってございます。  また、その次、国庫負担でございますが、これは基本的には、支出の側にあります基礎年金拠 出金、これに対する国庫負担と、あと、厚生年金独自の給付部分の国庫負担の合計でございます が、基本的に、基礎年金拠出金が増えていることをほぼそのまま反映をいたしまして、プラス5.2% の増となってございます。  また、運用収入ですが、ここは2種類書いていまして、簿価ベースと括弧の中は時価ベースと いうことで、特に時価ベースの方をご覧いただきますと、平成19年、そして、20年と運用環境が 悪かったということがございまして、時価ベースで見ますと、約8.7兆円マイナスという結果が出 ているところでございます。  また、その下にあります基礎年金交付金。これは次の国民年金のところで少し数字なども併せ て御説明を申しますけれども、昭和61年改正で基礎年金が導入されたわけですけれども、そのと きに、本来の基礎年金として出る部分のほかに、厚生年金を始めとします被用者年金から出て行 く部分の中でも基礎年金に相当する部分があると。それらを含めて拠出金として一旦お金を集め た上で、それぞれの被用者年金、ここですと厚生年金が払う部分については交付金ということで、 今度は収入として入ってくる、そういったものでございます。  また、その下幾つかございます。これは旧3共済の統合に関係します数字が幾つか並んでござ います。  また、解散厚生年金基金等徴収金という数字がございます。これは「解散」と書いてあります けれども、中身としましては、代行返上に伴いまして、その代行返上した基金から代行部分のお 金が国の方へ移る。そういう数字でございまして、かつては非常に多額でございましたが、代行 返上も落ち着いてきているということで、平成20年度、約3,500億の金額が入ってきたというとこ ろでございます。  また、その下にあります「積立金より受入」といいますのは、これは予算を編成する段階にお きまして、大体どれくらい積立金から充当する必要があるかというようなことを設定をいたしま して、必ずしもその数字そのままではありませんけれども、一応設定して、これだけ積立金が入 るということで項目を立てておりますので、実際に充当ということを行った金額をここに書いて いると、そういった数字でございます。  一方、支出の方は、実際に厚生年金自体が給付する部分の給付費というものと基礎年金拠出金 と2つあるわけですけれども、どちらも高齢化の進展、受給者の増加ということで、給付費につ きましてはプラス1.3%、基礎年金拠出金についてはプラス5.5%の増という形になってございます。  そのような収入と支出のバランスがありまして、最終的に収支差というところをご覧いただき ますと、簿価ベースで見れば、若干プラスではありますけれども、時価ベース、時価評価した後 の数字で見ますと、約△10兆という結果が平成20年度の収支の差ということでございます。その 結果といたしまして、年度末の積立金(時価ベース)をご覧いただきますと、約117兆円というの が20年度末の数字。そして、1年間の時価ベースでの運用利回りが△6.83%、これが平成20年度 におきます収支の概況でございます。  2ページにつきましては、今申し上げた数字を図でお示しをいたしたものでございますので、 これは特に御説明は省略をさせていただきます。  3ページ以降につきましては、受給権者の状況がどうなっているかということを時系列でお示 しをしたものでございます。基本的に形としては、受給権者数と年金総額、それがそれぞれどう なっているかということを、まず3ページでお示しをしておりますけれども、これは高齢化の進 展で必然的に年金制度が成熟しておりますので、受給者数が増加し、併せて年金総額も増えてご ざいます。全体で見ていただきますと、一番右に前年度の比較伸び率がございますけれども、受 給権者数、総数ではプラス5.7%、年金総額につきましては、プラス2.4%となってございます。  この相対関係を見ていただきますと、受給者数が伸びているほどは年金総額は伸びておりませ んので、後でご覧いただきますけれども、平均年金額自体は少し減っております。これは、支給 開始年齢を引き上げたりしていること、これも後で御説明申し上げますけれども、そういったこ との要因などが影響しているものと思われます。  以下、支給と全額停止の内訳などをお示しをしてございます。  また、4ページでございますけれども、この上にありますのは、減額支給・増額支給された部 分の数字ですが、これは繰上・繰下といったものを行ったときに減額して支給され分、そして、 増額して支給された分という結果でございます。こちらはご覧をいただければと思います。  4ページの下からは、今度は、平均年金額をまとめたものでございます。4ページが男女合計、 そして、5ページに男性・女性に分けたものでございます。  4ページの男女合計をご覧いただきますと、上半分が老齢相当、下半分が通老相当でございま す。まず、老齢相当のうちの一番上に書いてあります数字。こちらはいわゆる本当に老齢厚生年 金の部分ですので、老齢基礎年金の数字は含まない数字を記載いたしております。それですと、 本当にその人がもらっている年金額がわかりませんので、その3行下に、上記の老齢年金平均年 金月額に老齢基礎年金額の推計値を加算した額を特に計算をいたしまして、お示しをしていると ころでございます。  いずれにいたしましても、この数字、時系列でご覧をいただきますと、少しずつでございます けれども、減少してきているわけでございます。これにつきましては、支給開始年齢の引き上げ などが影響をいたしております。後で、年齢別の数字がございますので、支給開始年齢の引き上 げの影響については、そちらの方で御説明を申し上げます。  6ページにつきましては、新規裁定者の状況で、こちらの方も、男女計、男性・女性というこ とでお示しをしております。こちらにつきましても、特に男性ですけれども、19年から20年にか けて、平均年金額をご覧いただきますと、若干ですが、減少しているという結果になってござい ます。  7ページからは、先ほど申しました平均年金額の状況をもう少し詳しく、特に支給開始年齢の 引き上げの状況の影響をご覧いただくために分けて作成をいたしております資料でございますが、 7ページが男女合計、そして、8ページ男性、9ページ女性となっております。支給開始年齢の 引き上げのスケジュールは男性と女性とで違っておりますので、別々にご覧いただいた方がいい かと思いますので、まず8ページの男性のところをご覧いただきたいと思います。  ここに掲げておりますのは、老齢相当の平均年金額、一番上にありますけれども、その数字で ございます。上に掲げておりますのは、本当に老齢相当の厚生年金部分だけでございますが、そ の何行か下に、基礎年金の推計値を加算した平均年金額も併せてお示しをいたしております。こ れもを時系列でご覧いただきますと、基本的に少しずつ下がっておりますけれども、特に平成19 年3月末から20年3月末のところで大きく減少しております。その要因を下の年齢別のところで ご覧をいただきますと、新法部分の特別支給というところの62歳の欄がございます。これを横に 見ていただきますと、19年3月末までは183,217円という数字が出ていたわけですけれども、その 翌年、平成20年3月末で109,285円というように、ここで大きく低下をいたしております。現在、 少しずつ支給開始年齢引き上げをしているわけですが、現在は、定額部分の支給開始年齢を60歳 から少しずつ引き上げをしている段階でございまして、ちょうど19年3月末から20年3月末、年 度で言いますと平成19年度にちょうど支給開始年齢に当たる人から、定額部分の支給開始年齢が 62歳から63歳に引き上がりました。そういった影響でここで大きく減少しているという要素がご ざいます。  また、それ以外にも全体的に減少しているという要素がもう一つございます。こちらの方は61 年の改正におきまして、給付乗率とか定額部分の単価などを少しずつ落としてきております。そ の一方で、現在、賃金上昇率などもなかなか上がっていかないというようなことがございますの で、全体的な傾向として、少しずつ低下しているというところがあることに加えて、この支給開 始年齢の段階的な引き上げといったものが合わさりまして、こういうふうな結果になっていると いうように考えられます。  9ページは、同じ表、女性についてあるわけでございます。女性につきましては、男性よりも 引き上げのスケジュールが5年ほど遅くなっておりまして。これは特別支給のところの60歳の欄 をご覧いただきますと、18年3月末までが約103,000円となっておりましたけれども、その翌年に 約43,000円と大きく低下をいたしております。ここが先ほどの男性と同じことでございますが、 支給開始年齢が1歳引き上がったということの影響がここに出てきているわけでございます。で すので、来年22年3月末、1年後にまた御報告をすることになるわけですけれども、今度は61歳 の欄の平均年金額が低下するということが予想されているところでございます。  以上が、平均年金額の推移でございます。  10ページは、老齢年金受給権者の年齢構成と平均年齢を男性・女性別にお示しをしているとこ ろでございます。平均年齢をご覧いただきますと、男性で70.8、女性で72.2、合計で71.2歳となっ てございます。昨年と比較しますと、男性は昨年も70.8で、ほぼ同じで、女性は72.0でしたので、 0.2歳ほど増加となっております。基本的には高齢化の進展ということで、平均年齢も少しずつ上 昇していくことが予想されているところでございます。  11ページは、今度は被保険者の人数、また、平均年齢、そして、標準報酬月額の平均、これの 推移をまとめたものでございます。まず、被保険者数をご覧いただきますと、平成20年3月末ま での数年間をご覧いただきますと、少しずつ増加をしてきたわけでございますけれども、今年、 平成21年3月末をご覧いただきますと、若干ですが、マイナスになってございます。特に男性に おいて、若干ですが、マイナスになっているということで、まだ単年度ですのでわかりませんけ れども、これまで続いてきた増加傾向がちょっと頭打ちになっているというのが、1年分だけで すけれども、21年3月末時点での状況です。  平均年齢は下にございます。こちらの方は少しずつ上昇してきております。  また、その下にあります標準報酬月額の平均ですけれども、20年3月から21年3月までで、特 に男性は0.1%とほとんど横ばい。女性は若干上がっておりますが、0.8%増となっております。  また、下には、さらに標準賞与なども含めての平均値を示しております。一番下にありますも のが、ボーナスなども含めた全体の平均値、それの1人当たりの月額の数字を出しておりますけ れども、これで見ますと、男性の方は△0.6%とマイナスになってございます。女性は若干プラス で0.4%でございます。  12ページ以降は、年齢と加入期間の分布を示しております。こちらの方も平均年齢が少しずつ 上がってきていると、先ほど時系列の表でも申し上げましたとおりでございます。また、分布な ども見てみますと、少しずつですけれども、高齢者の方の構成割合が高くなっております。こち らの方は、男女計もそうですし、13ページ男性、14ページ女性ということで、少しずつ高齢化し ておりますけれども、大きな傾向の変化は特段ございません。  また、15ページは、これは標準報酬の分布でございますが、平均値、先ほど申しましたとおり、 そんなに大きな変化はないことから、分布の方も昨年と比較してみましたが、そんなに大きな傾 向の変化というものは結果としてございません。  以上が、被保険者の状況でございまして。  16ページには、積立金の運用状況ということで、時価ベースでの資産構成をまとめた数値でご ざいます。また、この上にありますのは、厚生年金の部分の数値で、この年度末積立金の承継資 産、損益を含む場合の117兆円というのが一番最初1ページ目に御説明した数字でございます。  また、特記事項として、それの資産の内訳。これは注にもありますとおり、厚年・国年とを一 緒に一括して運用をしておりますので、それをまとめた数値でございます。  17ページからは、そういった実績値と、あと、平成20年度ですので、16年財政再計算の数値と の比較になるわけですけれども、その再計算のときの将来見通しとの比較を行ってございます。 一番上が実績値ですけれども、ただ、厚生年金の場合には、厚生年金基金の代行部分がございま す。今御説明しました実績値には代行部分は入っておりませんが、私どもで行っております財政 再計算、財政検証では、代行部分も含めて試算をいたしておりますので、それを揃えるという意 味で、上から2つ目の実績推計、将来見通しとベースを揃えた数値ということで、代行部分を加 えたり、その他、特記事項のところでいろいろと書いてございますけれども、ベースを揃える操 作をいたしました結果の数字を計上しております。そして、その下に比較の意味で将来見通しの 数字を掲げてございます。  これをご覧いただきますと、まず、保険料につきましては、23.5兆円ということで、見込みと 実績値とほとんど乖離はございません。ただ、要因をみますと、プラス要因とマイナス要因が打 ち消し合ってほぼ同じ水準になっております。まず、被保険者数につきましては、ここ数年、見 込んでおりました以上に被保険者数が増えております。そういう意味でプラス要因が一方である 中で、今度は逆に賃金上昇率の方は見込みよりも低いという結果が出ておりまして、その2つの 要因が相殺いたしまして、このようにほぼ見込みどおりの結果ということになってございます。  また、運用収益につきましては、平成20年度につきましては3%と見込んでおりましたけれど も、先ほど申しました、この運用環境が悪化しておるということで、ここで大きな差が出てきて いるということでございます。  また、「その他」は、ほとんど基礎年金拠出金等に対する国庫負担でございます。これが大きく 見通しよりも増えておりますが、これは、右側の支出の方にありますように基礎年金拠出金その ものが見込みよりも大きくなっているという要素と、あと、国庫負担率の見込みが、若干ですけ れども、当初、平成16年に見込んでいたよりも少し引き上がっているというこの2つの要素で見 込みよりも高くなっております。  一方、支出の方は、給付費につきましては、若干ですが、見込みよりも少なくなっております が、そんなに大きな差はございません。大きな差がありますのは、基礎年金拠出金が12.0兆円と 見込んでおりましたのが、13.3兆円となっております。これは下に「差の主な要因」で書いてお りますとおり、被保険者数が見込み以上に増えておりましたので、拠出金を算定するときの按分 するときの対象者数が増えたといったことが大きな要因として考えられます。以上のことから、 収支差につきましては、これは運用のマイナスが大きく効いておりますので、見込んでおりまし た収支、△1.9よりも大幅なマイナスになっておりますし、また、それが影響いたしまして、年度 末積立金も見込んでおりました数字より低めになっている約150兆円という結果になってござい ます。これが全体像としての再計算、将来見通しとの差でございます。  18ページ以降は、その内訳ということで、被保険者数や受給者数の見込みと実績の差をまとめ ておりますが、大きな違いは、一番上にあります被保険者数が見込みよりも増えていることが大 きな違いになっております。受給者数等につきましては、それほど大きな見込みとの乖離はない と考えられます。  また、実績値としては以上ですが、19ページからは、今申しました実績値が財政指標にどのよ うな影響を与えているかということで、幾つかの指標につきまして、実績値と再計算結果を比較 しております。まず、年金扶養比率につきましては、この2つの数字、実績値のところで括弧の 外と括弧の中の数字がございますが、再計算の方は受給者数をベースにして計算をしております ので、実績値の括弧の中の方の数字と下の再計算結果が大体対比をできるかと思われます。平成 20年度につきましては、実績値として2.8、再計算の見込みとしては2.7ということになっておりま すので、被保険者数が見込みより多かったというようなことがここで効いているのではないか考 えられます。  20ページにつきましては、これは補完する指標ということで、年金種別の費用率をお示しをし ております。上下2つございますが、ご覧いただくのは、下の*が付いております代行部分を補 正した数字、これの括弧のない数字、これがご覧いただく数字かと思いますが、20年度におきま しては、老齢の方が10.8、障害0.1、遺族2.7という結果でございます。時系列で構成割合などもお 示しをしておりますが、この中では、遺族の割合が少しずつ高くなってきているというのが実績 でございます。  また、21ページ、こちらは総合費用率について、実績と再計算の対比をしております。これも いろいろと数字がございますが、ご覧いただくべきものは、実績の中の下半分の*のある欄の総 合費用率の括弧のない数字で、平成20年度をご覧いただきますと、19.0となっております。一方、 下の再計算結果の20年の19.3、これが大体対比をすべき数字になるわけでございますけれども、 若干ですけれども、見込みほど総合費用率が高くなってない。少し低いというのが実績として出 てきております。  22ページは独自給付率ですが、これも構造としては同じです。20年度、*のある欄の括弧の外 の数字、13.6と再計算の14.2、これを対比してご覧いただくということで、総合費用率と同じです が、若干ですが、見込みより低くなっているという結果でございます。  23ページは収支比率でございます。これも*の20年度、196.7と下の106.1と。こちらは運用収入 の状況が大きく左右をいたしますので、平成20年度におきましては、見込みよりかなり高くなっ ている。収入に対して支出の方が大きくなっているという結果になってございます。  最後でございますが、24ページ。これは積立比率ということで、20年度の下の*のところの5.5 と、再計算20年度5.3というものを対比していただくことになるわけです。若干ですが、見込みよ りも少し高めには出ておりますけれども、そんなに極端に大きな差が出てきているわけではござ いません。  以上で、厚生年金につきましての御説明を終了させていただきます。よろしくお願いいたしま す。 ○山崎部会長  ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。  では、田中委員。 ○田中委員  それでは、何点か御質問したいと思います。第1点ですが、被保険者数がこの数年減少したり、 増加したりということで、ほぼ収入要因としてはプラスに働いているということですが、失業率 は増えているとか、それから、企業数が不況の影響で大きな減少があると思われるのですが、な ぜ被保険者数が増加しているのか。それと、今後、被保険者数が増加していくと予想されるのか どうかという点について、まずお聞きしたいと思います。  第2点ですが、基礎年金拠出金の効果でございますが、基礎年金拠出金は、被保険者数、人数 ×定額という形で国民年金の特別会計の方に行くということになっていると思うのですけれども、 被保険者数の増減によって、結局、厚生年金の特別会計の方に行く保険料はそのバランスによっ て左右されると思います。要するに、定額の基礎年金拠出金ですが、現在は恐らくプラスになっ ているのかなと思いますが、このバランスが崩れてきたときに、例えば基礎年金の方に多くの財 源が行くことになると、厚生年金の特別会計の収支バランスが崩れてくるというようなことも考 えられると思うのですが、その点は今後どのようになっていくのか。その2点についてお聞きし たいと思います。 ○安部数理課長   2つ目につきましては基礎年金拠出金のバランスが崩れていくということでしょうか。 ○田中委員   バランスが崩れていく懸念があるのかないのかということですね。すなわち、定額の保険料を 拠出金として支払っていますので。ところが、収入は基本的には厚生年金は標準報酬比例という ことで扱われますので、その部分の、つまり保険料と給付が見合ってないですので、厚生年金の 中の基礎年金部分とのバランスは、長期的には崩れていく可能性もあると思います。そのへんは 現在顕在化してないのですが、何か検証されているのかということです。 ○安部数理課長  確かに保険料収入が定率という、報酬に比例していることと定額ということの違いはございま す。ただ、定額の方も、基本的には基礎年金の給付費も経済状況によって、給付自体が連動して 変動していくという要素がございますので、拠出金の方も全く違う動きをするということではな いだろうと考えております。5年に1回財政検証するに当たって、経済状況に勿論影響は受ける わけですけれども、そのあたりのところのバランスは一応確認をしながら、きちんと財政運営し ていけるかということは確認をしております。逆に言いますと、だからこそ、定期的にそういっ た見通しをつくってはチェックをしていくことは不可欠になるわけですけれども、そういったこ とをやりつつ検証していくと。直近で言いますと、平成21年に行っているわけですけれども、そ ういうことで特に極端に財政におかしな影響を与えるというようなことはないだろうというよう に考えております。 ○武藤課長補佐  1点目でございます。被保険者数が最近増加しているではないかということ、あるいは最近失 業率が増加しているではないかということで、御質問がございましたけれども、平成16年財政再 計算をやりました当時、16年よりもちょっと前の時期の基礎データをもとに将来の見込みを立て ることになりますが、その当時の状況を踏まえつつ被保険者数の推計がされたということで、そ れよりは実績は上回ってきているという状況でございます。  なお、失業率につきましては、ここ最近は増えているような感じも見受けられるところでござ いますけれども、平成15年当時の失業率が5.3%で、平成19年に3.9%まで下がりました後、その後、 20年にまた上がって4%という状況になっていますので、それらいろいろな要因を受けてこうい う結果に なっているということではないかと思われます。 ○山崎部会長  よろしいですか。  では、牛丸委員。 ○牛丸委員  ありがとうございます。3点お聞きいたします。  1ページの概要の「積立金より受入」という項目です。平成17年度から始まりまして、先ほど の御説明にありましたように、予算の段階でこの額を設定するということですが、具体的にここ に数字が出ていますこの額は、どういう基準というか、収支を見ながら取り崩すのですか。どう いう基準でこの額が出てきたのか、そのことを教えてください。これが1点目です。  2点目は、「国庫負担」関係です。この表によりますと、平成20年度の国庫負担、それから、下 の支出の基礎年金拠出金を見ますと、中心的なのは、基礎年金拠出金のこれまでは3分の1と、 それが国庫負担としてこっちへ回ってくるということですが、先ほど御説明ありましたように、 基礎年金の拠出金への国庫負担だけではなく、厚生年金独自の国庫負担もあるということです。 それがどういうものなのかということをまず教えていただきたい。  それから、私の解釈が間違っていないかということで確認したいのですが、2分の1になりま すね。2分の1というと、下の拠出金の額に応じた2分の1が上の国庫負担の収入で入ってくる。 従来は、その分として厚生年金の保険料財源を回さなければいけなかった。それが国庫負担が上 がったことによってそちらへ税金で入ってくる。ですから、これまでそちらに回さなければなら なくなった保険料が、独自の厚生年金に使えるようになる。だから、厚生年金財政としては、基 礎年金の国庫負担の比率の上昇は、当面は非常にプラスになる、そう解釈してよろしいかという こと、これが2番目の国庫負担に関する後半の質問です。  それから、3番目は「給付費」です。この支出の中に給付費がありますが、60年度改正といい ますか、61年4月以降、いわゆる新法適用者は基礎年金に相当する部分は基礎年金勘定から出る。 旧法適用者に関しては、各制度の中に2階部分とともに出るということですので、ここの給付費 に関しては、古い方は基礎年金相当がここに入っている。具体的には何歳以上の人たちがここに 入っているのか、年齢に関係ないのかと、そこを知りたいのです。というのは、4ページで、1 人当たりの金額の変遷というか推移を説明していただきました。これで、下の表の男女計の老齢 年金平均年金月額が傾向的にだんだん下がってきていることと、もう一つ、4つ下の基礎年金を 加えたものも下がってきている。基礎年金を加えた方の下がり方の方が大きい。これは恐らく基 礎年金分の支給開始年齢の引き上げによる影響なのかな。いわゆる特別給付と言っても、2階部 分の支給開始年齢の引き上げはまだ進んでいませんね。上の部分の基礎年金を除いた部分の下が り方はわずかですけれども、これは先ほど説明あったように、乗率の変化とかそういうことなの か。そこを確認させていただいた上で、というのは、この背景には、先ほど言いました1ページ の給付費の中にどこまで入っているのか。結局、新法適用者の場合には、ここに入らないで、全 く厚生年金以外の基礎年金勘定のところに出るわけですね。そこをちょっと教えていただきたい。 3番目はちょっとあちこちしましたけれども、よろしくお願いいたします。 ○安部数理課長  まず1つ目でございますけれども、「積立金からの受入」、基本的には予算段階でキャッシュ・ フローを考えまして、勿論、取り崩さなくて支障がなければいいわけですけれども、取り崩さな ければ支障が出てくると見込まれた額を一応予算段階で設定をします。ただ、実際は、予算段階 で設定して、必ずそのまま決算に同額が行くかというと、いろいろな状況を見ながら、それほど 取り崩さなくてもよかったとかというように修正はするわけですけれども、そのへんはキャッシ ュの動きなどを見て、支払に支障がないように取り崩すというような処理をしているということ であります。  2つ目ですけれども、基礎年金拠出金に対する国庫負担以外の独自の国庫負担ですが、これは、 基礎年金対象期間は、36年4月以降の加入期間ですけれども、従来、厚生年金は、61年改正以前 ですが、給付費の20%という国庫負担を行っておりました。これは61年改正以前です。そこを61 年改正のときに基礎年金を設定して、その3分の1というように国庫負担を集中したわけですが。 ただ、従来から、20%は全部の給付に行っておりましたので、この36年4月以前の加入期間に基 づく給付の20%というものは、厚年独自の国庫負担ということで負担が続いている。当然、昔の ものですから、どんどん減っていくものではありますけれども、そういったものがここに入って おります。  そして、その関連で御質問にありました、20年度はまだ国庫負担は3分の1プラスアルファぐ らい付いているところですが、これが2分の1になりますと、おっしゃるとおりでございまして、 保険料から出て行く分は当然それだけ減る。そういう意味で厚生年金の財政ということで見れば、 プラス効果ということはお尋ねのとおりでございます。  3番目ですけれども、給付費の中の交付金の対象になっている。要するに、厚年の方から出て いってクルッと回って交付金として出て行くものは、基本的には、61年4月時点で60歳以上であ った人の給付ですので、その時点で受給者になっていた人が対象になります。そういう意味で今 はかなり高齢になり、80歳は超えておられます。そういう意味で、これも当然のことですけれど も、将来的には減っていく傾向にございます。  あとは、支給開始年齢の引き上げなどの効果と旧法部分との差ですと、例えば資料でご覧いた だきますと、7、8、9ページ辺りには年齢別に分かれていて、なおかつ、新法と旧法に分けて 数字をお示しをいたしております。例えば7ページをご覧いただきますと、新法の部分は、これ はまさしく新法で、下にあります旧法というのが、今申しました昔既に旧法適用になった人たち になります。そういう意味で、今申しました人たちは、この旧法部分の方に入ってきますので、 この辺りをご覧いただきますと、その辺の影響というもの、そして、段階的な支給開始年齢がど ういうふうに影響を与えているかということなどがご覧いただけるのではないかなと思います。  男女計だとわかりにくいのですが、男性・女性というふうに分けて見ますと、先ほど御説明し ましたとおり、かなり定額部分の支給開始年齢が引き上がることによっての平均年金額が低くな っているという結果が出ております。 ○牛丸委員  1点だけ関連で。そうしますと、4ページに参考として、基礎年金を加えた金額が出ています ね。ここの基礎年金は、今のお話ですと、給付費の中には旧法の人しか入ってないわけですね。 2階部分は全部ですけれども、1階部分に関しては、旧法適用者だけしか入ってないということ ですね。1ページの概要表のいわゆる収支表の給付費。ここに参考に出てくる基礎年金を加えた 額、この人たちはここに数字を出していますけれども、実際は基礎年金勘定の方から出て、厚生 年金と関係ないということでよろしいんですね。参考のために数字は出していますけど。 ○安部数理課長  ここで加えている老齢基礎年金というのは、そういうことでございます。 ○牛丸委員  わかりました。ありがとうございました。 ○山崎部会長  では、野上委員お願いします。 ○野上委員  2点ほどお聞きしたいと思います。  まず、運用の方なんですけれども、16ページの資料を拝見いたしますと、20年度末で、国内株 式、外国株式等を含めて運用されているということなんですが、先ほど御説明がございましたと おり、運用損が出ているということで、これは恐らく時価ベースですので、この後の構成割合だ と思うんですが、例えば運用方針をもって答申されていると思うんですが、いわゆるリバランス とかそういう動きをした後の数字なのか。あるいは、市場が動いているということで、当初どお り、いわゆるバイ・アンド・ホールドで運用した後の数字なのか、あるいは、一般的な質問とし ては、そういうバランスといいますか、アセットのアロケーションをやり直すようなサイクルを どういうふうに設定して運用をされているのかという点についてお聞きしたいと思います。  2点目でございますが、ちょっと前後しますが、1枚目の資料で、積立金の額は、定性的に減 ってきているという数字が見て取れるんですが、先ほど来御説明ありますように、支出の方の削 減の効果は後年度にかなり効いてくると。保険料の方は、保険料料率の引き上げは全体にかかっ てきますが、これもかなり経過措置があって、かなりの限度、再集計になるまではかかるという ことで、全体としてうまくいっているのか、あるいは将来的にどうなるかというのは、なかなか 見通しにくいということだと思うんですが、例えば民間でやっていますような年金債務的な管理 をされると、そのへんはある程度一覧的に状況が把握できるのではないかというように思うんで すが、その辺の体制の点について、内部的に何か御検討をされているようなところがあれば、お 教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○安部数理課長   まず、2番目のお尋ねでございますけれども、20年度まで、特に19、20とマイナスということ で減っておりますけれども、直近の財政につきましては、5年に1回、財政検証ということで見 通しを作成をいたしております。直近、昨年行いました平成21年の財政検証では、この20年度ま でのマイナスの運用状況なども織り込んだ上で、21年度以降の見込みを立てて、そして、一応約 100年間の将来見通しを立てて、財政的に均衡することができるというような見通しを立てている ところでございます。ただ、それは勿論21年に行ったときの結果でございますので、当然、これ もそのまま放置するわけにはいきませんので、今後も定期的にチェックをしていくことが必要に なるわけですけれども、現段階では、この20年までの状況を踏まえた上で、それでも財政的には 均衡していくだろうというふうな見込みを立てているところでございます。 ○八神参事官  それから、1点目の運用に関しまして、16ページに出ております特記事項の数字でございます が、これはGPIF、独立行政法人の方で持っております運用資産の20年度末の時価総額、特記 事項の一番下にも注記しておりますが、年度末の市場価格ということです。リバランスとの関係 ということで申しますと、20年度まで、昔の財政投融資の預託をしていたものが順次返ってきて おりまして、この資金をいわゆるニュー・マネーとして資産構成割合を見ながら配分をしてきて、 それぞれを各資産に配分をしてきてございます。その結果として、20年度末に集計をした時価評 価の数字がこれだということでございます。 ○野上委員  ありがとうございます。  1点目の方は、将来収支で100年間プロジェクションされているというのは理解しているのです けれども、それに加えて、債務的な管理もそろそろ考えられた方がいいのではないかなと。これ は意見でございます。  2点目のリバランスについては、いわゆるニュー・マネー・ベースでアセットアロケーション されて、その後はバイ・アンド・ホールドだという理解をしてよろしいでしょうか。 ○清水調査室長  バイ・アンド・ホールドが基本ということではなくて、あくまでも基本ポートフォリオを定め ていますので、それから一定の許容乖離幅を設けてございまして、それを超えた場合には、基本 ポートフォリオに近づくようなリバランスは当然行うというルールでございます。ただ、これま で、結果として、そういうような事態が起こったことは今はまだないと。それはなぜならば、ま さにニュー・マネーによって、なるべく基本ポートに近づけるようにリバランスを行っていた結 果ということでございます。 ○野上委員  わかりました。ありがとうございます。 ○山崎部会長  では、佐々木委員お願いします。 ○佐々木委員  3点お伺いしたいんですが、1点目は、今の野上さんの質問と絡むんですが、いろいろな指標 を出していただいているのですが、現状、財政運営が予定どおりいっているのか、よいのか悪い のかメルクマールは、何を重視したらいいのか、あるいはその順序があるのかどうかですね。  現状で懸念要因というのは、例えば21ページのとおり、昇給は5年間で10%の見込みがマイナ スですね。こういったあたりはどうお考えなのかということが第1点です。  それから、運用面でお聞きしたいんですが、国内の債券が約7割を占めている。今、国債の問 題はいろいろ出ているのですが、インフレになると当然弱い。リスクが低いことはわかるんです が、そのへんのお考えのところをお聞きしたいと思います。また、国内債券自体の目標はどうい うところに置かれているのか。何かベンチマークがあって、それとの対比なのか。今どれぐらい のデュレーションなのか、それは短縮されているのか、長期化されているのか、そのへんのとこ ろもわかればお聞かせいただきたいと思います。  3つ目は、これはちょっと認識が間違っているのかもしれませんが、代行制度が40年前にでき て、代行部分との連結決算も出ているんですが、代行制度は、基本的に事前積立方式ではないか と認識しています。ただ、本体が賦課方式に向かう中で、財政運営としての整合性というか、矛 盾はないのかどうか。その3点について教えていただきたいと思います。 ○安部数理課長  私の方からは、1つ目と3つ目について申し上げます。  まず1つ目ですけれども、いろいろと指標がありますので、それぞれ見ていかなければいけな いだろうというように思っております。特に、基本的に賦課方式で運営していることから考えま すと、総合費用率というような指標が重要だと考えておりますし、さりとて、その一方で、ある 程度積立金を持ちながらという運営もしておりますので積立比率も重要ということで、どれがと いう優先順位はなかなかつけ難いと思います。ただ、いずれにしましても、こういうように毎年 チェックをし、そしてまた、5年に1回見直しをするというようなことを継続的にやりながら運 営をしていくということに尽きるのかなということは考えております。  また、将来に向けて懸念要因といたしましては、まさに今、佐々木委員がおっしゃいましたと おり、例えば賃金上昇率などもなかなか上がっていかない。要するに、日本経済全体がデフレと いうことで続いているということが、これは年金制度だけの話ではなくて、社会全体の中での一 つの制度ですので、そういった意味でデフレというものは、当然日本経済社会全体に対しての懸 念要因ですし、それが当然のことながら年金制度に対しても懸念要因であろうと考えております。  それと、3番目ですが、代行部分が事前積立ということで、当然そうですが。ただ、今、代行 部分は、昔とちょっと性質が変わっておりますのは、最低責任準備金なども転がし方式に今はな っているというようなこともありまして、基本的には一定のルールで厚生年金基金の持つべき金 額は決められて、もし、代行返上とか、解散とかしたら、その金額をお返しいただくと。当然、 私どもの財政運営としては、それを前提として運営をしているということで、そこの間に特に矛 盾はないと考えております。 ○山崎部会長  佐々木委員、今のお答えでよろしいですか。 ○佐々木委員  代行部分は、基本的に、将来保険料は平準化したベースでやっている。中立化というのはよく わかっているんですが、要するに、代行保険料自体は将来的な収支均衡レベルで計画を立てられ ている。そういうものとの兼ね合いはどうなのかなということで御質問をしたんですけどね。必 要な準備金をころがしの実績で返すというのはよくわかっています。 ○安部数理課長  いわゆる標準保険料で代行の保険料率が決められてというのは、当然、厚生年金基金の財政運 営としてはそういうやり方で行っているわけです。ただ、それはあくまでも厚生年金本体の外の ところで、それぞれの厚生年金基金はそういうように運営をし、代行保険料とか、基本部分の保 険料、そういう考え方で設定をされているというのはそのとおりです。それはあくまでも厚生年 金基金の財政運営であって、それと本体との関係は、基本的には最低責任準備金というものをど うやりとりするかということが、厚生年金保険の財政としては一番重視すべき点になるわけで、 リンクとしてはそこだけしかないわけです。免除保険料として厚生年金基金に渡して、それがそ のまま永続的に行けばいいですし、解散なり代行返上をしたら、その転がし部分が戻ってくると。 そして、財政運営としては、それを前提としてやっているわけですので、そこに特に何か齟齬が あるとかというにようなことはないのではないかなとは思っております。 ○佐々木委員  もう一度考えてみます。ありがとうございました。 ○山崎部会長  そのほか。  では、駒村委員お願いします。 ○駒村委員  2点ほど教えていただきたいことがございます。  17ページですけれども、この実績推計という数字をつくっていただいたのは、将来見通し、16 年財政再計算との比較をすることによって、どのくらい予定どおりいっているのか、どれくらい どこを修正しなければいけないのかということを見るようにはできているのではないかと思いま す。1つは、先ほどお話があったかもしれませんが、支出の給付費のところで1兆円ぐらいの差 が出てくるところについて説明がございませんでしたので、聞き逃したかもしれませんが、ここ の補足説明をお願いします。  それから、収支残のところのギャップが12兆円出ているのは、これは運用収益の差が13兆円出 ていますので、これが決定的に効いたのかなというのはよくわかるのですが、逆に、積立金の差 が7兆円という差になっております。このへんの数字を見ている中で、本来は、16年財政再計算 は、これはマクロ経済スライドが効いている状態で予測をされていると思うのですが、結局、そ れはこの期間に実行は起動していないはずなので、そのへんのマクロ経済スライドが効かなかっ たことによる不安定効果のようなものが、一体どこを見ればわかるのかということを教えていた だきたいと思います。よろしくお願いします。  以上、2点です。 ○安部数理課長  まず、給付費の差が0.9兆円があるわけですが、1つは非常にテクニカルな話になってしまうの ですが、実績から補正をするときに、給付費から代行部分の補正もしているんですが、それとと もに、下にありますように、基礎年金交付金というものも、収入と支出の両方から差し引いて、 支出の方は、給付費から交付金を減らしているわけです。その時に、交付金は決算の数字をその まま使っているんですが、それは概算と精算というようなやりとりをしておりまして、実際にそ の1年間に出た給付費とは若干ずれが発生します。そこを補正して、本当に例えば実績、給付費 と揃った形で補正をいたしますと、今は0.9兆円ほど差があるのですが、それは0.5兆円ぐらいの差 になります。ですから、0.4兆円は、これは経理処理上のテクニカルな話で申しわけないのですが、 交付金の概算・精算の影響分だけちょっと数字がずれているというところでございます。ですか ら、実質的には0.5兆円ほど差があるわけですが。その要因の1つは、遺族年金の方で少し見込み したほど給付費が出ていないことがあります。  これは資料といたしましては、18ページをご覧いただきたいと思います。18ページの一番上に 被保険者数と受給者数、それの将来見通しと実績の比較表を記載いたしております。将来見通し の方は年度平均の数値ですので、実績値の19年度末と20年度末の真ん中ぐらいの数字と対比をし ていただくような形になるのですが、これをご覧いただきますと、老齢相当といった老齢の受給 者はそれほど見込みと違ってないのですが、遺族年金だけは見通しよりも少し少なめになってい るといったことがございます。そういうこともありまして、給付費が見込みよりも少し少なくな っていると。ちなみに、マクロ経済スライド、16年の財政再計算のときには、19年からスタート するという見込みにしております。実際は発動されておりませんけれども、2年分ですので、こ の1年でそんなに大きな影響はないのではないかなと考えております。 ○清水調査室長  あと1点、先ほどの佐々木委員からの御質問で、国内債券の御質問でございますが、まず、国 内債券7割弱とかなり大きいのではないかという、これにつきましては、そもそも財政検証にお いて、目標となる運用利回り、これの決め方が国内債券並みのリスクで分散投資効果によりどれ だけプラスアルファが取れるかと、こういう考え方に基づいて設定されているところから、ある 意味債券中心ということになるのだろうと理解しております。  そういう中で、現状国内債券はどうなっているかということでございますが、これは16ページ でございますけれども、この特記事項でございます。国内債券86兆9,000億と、あと、61兆8,000 億の括弧のところでございまして。実は、この差額の約25兆程度、これにつきましては、財投改 革に伴う引受財投債ということで、これで先ほどの御質問につながりますが、そこについてはい わゆるバイ・アンド・ホールドという形で簿価で管理しております。一方、62兆円につきまして は、BPI総合という形で運用しておりますので、そういう意味からしますと、デュレーション につきましては、大体6年強という形でございます。引受財投債につきましては、今現在もキャ ッシュ・アウト局面になってございますので、そういうようなものにも活用しながら対応してい るということでございます。  インフレに関する考え方についてでございますけれども、結局、国内債券はインフレに弱いと いうことはよく言われるわけでございますけれども、現状の長期金利には、当然将来のインフレ 率がある意味織り込まれているわけでございまして、そういう意味で、インフレ連動債との関係 から申しますと、実際のブレーク・イーブン・インフレレートと言いますけれども、名目の国内 債券に織り込まれたインフレ率と実際に実現したインフレ率との勝ち負けで結局決まるというこ とでございますので、長い目で見れば、それなりのインフレ体制は通常の債券でも持っていると いうふうには一応考えているところでございます。 ○山崎部会長  それでは、これで、厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了します。  引き続き、国民年金の平成20年度の財政状況について報告を聴取いたします。予定の時間をか なり超えておりますので、可能であれば、少し簡潔にお願いしたいと思います。よろしくお願い します。 ○安部数理課長  それでは、国民年金の資料に基づきまして、手短に御説明を申し上げます。  まず、1ページ目でございますけれども、国民年金は、1つは基礎年金を管理する勘定と、保 険としての国民年金の勘定と2つございます。1ページ目にお示しをしておりますのは、まず、 基礎年金の勘定の収支状況ということで整理をしたものでございます。この収入は基本的には、 各制度が払います基礎年金の拠出金、これが収入の大部分を占めておりまして、これが20年度で すと、プラス4.1%と大きく増加しております。また、その下にあります特別国庫負担相当額とい いますのは、これは免除者に対する給付ですとか、二十歳前障害基礎年金の給付の国庫負担など は、基礎年金の拠出金の算定の外に別枠で計算し、国庫負担として入ってまいります。それがこ こに挙げられている数値でございます。これらが収入としてあります。  そして、支出といたしましては、1つは、基礎年金給付費の本来の基礎年金として出す部分と、 先ほど申し上げました各制度の中で基礎年金相当分として出されるもののための費用手当として、 基礎年金交付金が出て行くということでございます。基礎年金交付金の方は、昔のものというこ ともありますので、今回、△3.2%と減少しております一方、基礎年金本体の方は、プラス6.8%と 大きく増加しております。  また、年度末積立金、これをご覧いただきますと、同じ額がずっと並んでおります。これは61 年改正前に、サラリーマンの奥さんが任意加入で払われた保険料の累積値があるわけですが、こ れを現在、基礎年金勘定の方で管理をいたしております。それが積立金として、ずっと同じ額が 計上されております。また、積立金の上の欄にあります収支差も毎年あまり変化しない額が出て きており、この収支差が翌年の収入の「その他」にほぼ繰り入れられるという格好になっており ます。これは、今申しました年度末積立金から発生する累積の利息、若干それ以外のものもあり ますが、それが収支差として出て、それが翌年の収入に繰り越される、そのような構造になって おります。  2ページをご覧いただきますと、これも基礎年金の給付費の状況とか、そして、それらをもと にして拠出金がどのように計算されているかということについて20年度の確定値をお示ししてお ります。なお、こちらの方は、20年度の確定値でして、先ほど御説明した1ページ目の収支表に 出てくる数字は、概算と2年後に行われる精算が入り混じった数字ですので、両者が一致してな いのはそういう理由でございます。20年度の確定値といたしましては、基礎年金の給付費総額で 約18兆8,800億となっておりますが、その内訳として、本来、基礎年金という名目で出てくる分と、 あと、各制度がそれぞれ出している分が大体このような内訳になっております。例えば厚生年金 ですと、約1.5兆円が給付費という名前で基礎年金相当が出ているという構造になっております。 そして、各制度、基礎年金拠出金として分担をするわけですけれども、その構造を示しておりま すのが下の表でございます。総額は18.88兆円ということで、そのうち特別国庫負担はまず別に分 けまして、残りの部分を拠出金算定対象者数で按分をしていって、各制度に割り振られる。その ような構造になっていることをお示ししている資料でございます。  以上は、基礎年金の収支の構造でございます。  3ページ以降は、今度は、国民年金本体、国民年金勘定の収支の状況というものを整理したも のでございます。まず、収入の欄をご覧いただきますと、保険料収入が△6%ということで、大 きく減少をいたしております。大きく分けまして2つの要因がございます。1つは、1号被保険 者数の減少というもの、そして、もう一つは、保険料の納付率が低下していること。大きな要因 としては、この2つの要因がございますが、こういったことも影響しまして、保険料△6%減少 という結果となっております。  また、運用収入につきましては、厚生年金と同じような状況で、簿価ベースでは約1,000億なっ ておりますが、時価ベースで見ますと、約6,000億のマイナスという結果になっているところでご ざいます。支出の方の給付費と基礎年金拠出金の関係は、先ほど申し上げたとおりでございます ので、厚生年金と構造としては同じでございます。  以上のような収入・支出の関係から、収支差といたしましては、括弧の中にあります時価ベー スで見ますと、約1.1兆円のマイナスというのが20年度の時価ベースでの結果となっております。 その結果として、時価ベースの積立金、下から2行目でございますけれども、約7.2兆円という結 果になっているところでございます。  4ページは、今申し上げましたお金の流れ、これを図でお示しをしたものでございます。これ は後でまたご覧をいただければと思います。  5ページからは、受給権者数、年金総額、先ほどの厚生年金と同じでございますけれども、こ れの5年分の時系列の整理をしたものでございます。これは厚生年金と同じでございますが、特 に老齢年金中心として受給権者数・年金総額といったものが増加しております。また、こちらの 方は、厚生年金のような段階的な支給開始の引き上げはございませんで、もともと65歳支給とい うこともありますので、受給者数も伸び、年金総額も伸びているという結果になってございます。  6ページには、その平均年金額、これは男女計、男性、女性と、それぞれ別に出しております。 若干ずつですけれども、20年3月から21年3月末にかけて上昇しておるところでございます。  7ページは、新規裁定者のこれまた同じように平均年金額の推移でございます。これも後でま たご覧をいただければと思います。  8ページは、老齢年金受給権者の年齢構成でございます。下に平均年齢がございますけれども、 例えば男子ですと、昨年は72.8歳でございました。それが73歳ですから、0.2歳上がっております。 女性が昨年74.6が74.7ということで、厚生年金と同じでございますけれども、少しずつ高齢化をし ているという結果になっております。  9ページは、今度は被保険者の状況ということで、1号、3号、それぞれにつきましての人数 と、そして、平均年齢、そして、保険料免除の状況というものを時系列でお示しをしたものでご ざいます。この1号被保険者の人数、推移をご覧いただきますと、減少傾向にございまして、20 年度末で見ますと、約△1.7%減となってございます。3号の方も、約△1.8%減少でございます。 また、平均年齢ですけれども、ご覧いただきますと、今回ですと、全体で39.9から39.7へと下がっ ており、男性・女性も同じように、少し平均年齢が下がっております。年齢分布が次のページ、 10ページ、これは男女計、11、12ページに男女別のものがございます。これをご覧いただきます と、例えば10ページの男女計、これの55〜60歳の一番右側に年齢構成17.6%とありますが、ちな みに、1年前はここが18.8%でございました。大きく落ちております。ここはベビーブーム、団 塊の世代が今ちょうど60を超えて上の年齢階層に移っているところですけれども、恐らくそうい うことで、この一番年齢の高いところから被保険者が抜けている、そういったことがあって平均 年齢が少し下がっているのではないかというふうに考えております。勿論、厚生年金の方もそう いう構造はあるのですが、厚生年金は必ずしも60歳になってすぐパッとなくなるわけではないの ですが、1号の場合、原則として60歳で被保険者ではなくなりますので、その効果が大きく出て きているのではないかと考えております。  11ページ、12ページ、これは男性と女性の年齢と加入期間の分布でございます。  13ページからは、今度は3号被保険者でありますけれども、こちらの方は同じように、55〜60 歳の構成割合が落ちておりまして、13ページの男女計でありますと、55〜60歳が14.1%という構 成割合ですが、昨年は14.8%ですので、ここが大きく低下をしているところでございます。これ も同じように、男性、女性、14ページ、15ページ、性別に書いてございます。  16ページが時価ベースの資産構成ということで、上半分は国民年金部分の結果、そして、下に 特記事項、これは一体で運用しておりますので、先ほどの厚生年金と同じでございますけれども、 特記事項として掲げております。  17ページからは、16年財政再計算におきます見通しと実績の比較ということで整理をいたして おります。同じように、一番上は決算の数字そのままですけれども、将来見通しと比較できるよ うに、ベースを揃えた推計をその次の2行目に書いております。そして、それと、3行目にあり ます将来見通しとを比較してご覧いただければと思います。1つ大きな差として出てきておりま すのが、保険料の収入が将来見通し2.5兆に比べて大きく下がってきております。これは、納付率 につきまして、16年再計算におきまして80%と見込んでいたところですが、平成20年度ですと、 62.1%でございました。そういったことが大きく影響して、見込みよりも低下しているという結 果となっております。  一方、支出の方をご覧いただきますと、給付費、非常に小さい0.1兆となっておりますが、これ は先ほどから御説明しております基礎年金の交付金を支出から引いているのですが、国民年金の 場合はほとんどがそれに該当しますので、名目としては、一番上にあります1.6兆円給付している のですが、ほとんどが交付金で賄う部分ですので、差し引きますと0.1兆円だけになるわけですが、 この部分は特に見通しと大きな差はございません。大きな差となっておりますのは、基礎年金拠 出金が見込みよりも下がっている。これは、基礎年金拠出金を按分するときの対象者数が、保険 料の納付実績を反映して按分することになっておりますので、見通しから大きく低下していると いうことで、拠出金の実績が見込みよりも下がってきているという結果になっているところでご ざいます。  そういうふうなことで収支差を見ていただきますと、こちらの方も厚生年金と構造としては同 じでございまして、運用収入の差といったものが、この収支差に影響してきて、そしてまた、年 度末積立金も同じような状況になっているという結果でございます。  18ページは、被保険者数、受給者数、それぞれにつきまして、実績と将来見通しとの比較とい うことを整理をしたものでございます。こちらにつきましては、そう大きな差はありませんが、 1つ、障害年金、遺族年金、これは差の主な要因として掲げておりますけれども、これは統計上 と、あと財政再計算の仕組みとのことで発生するものですけれども、遺族年金と障害年金につき ましては、実績値は、全額支給停止を含んだ数字になっておりますけれども、再計算の見通しと して出てきます数字は含んでない数字になっております。そういったことがありまして、ここだ けちょっと大きく差が出てきているというのは、そういったことが影響しているというふうに考 えられます。  19ページからは、いろいろな財政指標との比較ということで掲げております。年金扶養比率に つきまして、これは先ほどの厚生年金と同じ構図ですが、括弧の外は受給権者数で、括弧の中が 受給者数をベースとしたものですので、この括弧の中と下にあります再計算との比較ということ になろうかと思いますけれども、実績値としては2.56、下の再計算の見通しの20年は2.6というこ とになっておりますので、ほぼ大体見込みどおりの結果になっているというふうに考えておりま す。  20ページは収支比率でございます。これは厚生年金と同じ構図でございまして、運用の状況の 影響ということで、この下にあります16年の再計算の見込みよりも高い数値が出てきているとい う結果でございます。  最後、21ページ、積立比率でございます。こちらの方は2つありますが、下の*の方の数字を ご覧いただくことになるわけですけれども、下の見込みとの差が出てきているという結果でござ います。  駆け足になって恐縮でございますけれども、以上でございます。 ○山崎部会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問などございますでしょうか。 ○宮武部会長代理  3ページで、国民年金の勘定の運用利回りが△7.29%でございますが、本来は、厚生年金と一 括して運用なさっているわけなのですが、むしろ、厚生年金より成績が悪いという形になってい ます。国債を買うようなときの時期のずれとかそういうことによって起こるのかどうか、それを 教えていただければと思います。 ○八神参事官  運用利回りの関係ですが、まず、国民年金の積立金も厚生年金の積立金も、GPIFで一体で 運用しておりますので、運用をしている分の利回りという意味では変わりません。ただ、国民年 金と厚生年金でこのように数字の違いが出てくる理由は、積立金自体は、それぞれの給付に充て るために特別会計自身にそれぞれ保有している部分がございます。ですから、GPIFに運用を 寄託した部分の運用利回りは一緒なんですが、厚生年金と国民年金ごとに分けたときに、それぞ れ特別会計で保有している分を足して利回りの計算をしていますので、その結果、この違いが出 てきていると、このように御理解いただきたいと思います。 ○宮武部会長代理  わかりました。 ○山崎部会長  田中委員お願いします。 ○田中委員  2点ほど質問があります。  先ほどの被保険者数のお話ですが、国民年金の場合は、被保険者数が傾向的にずっと減ってい ます。これは納付率の低下であるという御説明だったのですが、厚生年金は大体少し上昇して、 今年だけ少し下がったということなので、恐らくこれは国民年金分、いわゆる自営業者の部分が 大きな原因があると思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。  それから、各共済も多分厚生年金と同じような動きなので、そこに大きな原因があって、納付 率の大きな低下があったのかということ。これは確認です。  それから、もう1点は、受給者と受給権者ということで区分がおありなんですが、いわゆる受 給待期者という統計が全くないのですけれども、受給待期者というのは、恐らく途中保険料を免 除されたり、あるいは失業して保険料も払わないとか、そういったときに待期者になると思うん ですが、それが財政に与える影響ですね。勿論給付も減るんですが、保険料収入も減るというこ とで、その待期者が増えているかどうかですね。もし増えているとすれば、増えることによる財 政上の効果というようなことについて何か分析はされているかということについてお聞きしたい と思います。 ○安部数理課長  まず1つ目ですけれども、被保険者数が減少というのは、御指摘のとおり、1号被保険者が減 少傾向にあるということでございます。ただ、納付率の低下は、それとはまた別に要因としてあ って、その2つが合わさることによって保険料収入は△6%と大きく減少しております。被保険 者数が減少していることと納付率の低下が独立して起こって、それが保険料収入に影響を与えて いるという構造だろうと思います。  それと、受給待期者についてですけれども、特に受給待期者の統計というものはないわけです が、ただ、勿論、財政再計算とか、財政検証などを行うに当たりましては、被保険者と受給者と は別に待期者のデータなども収集をいたしまして、その人たちが今度将来、年金の支給開始年齢 に到達すれば当然支給開始になるということは織り込んで財政検証などは行っておりますので、 財政に与える影響ということについては、それも見込んで見通しは立てているというところでご ざいます。ただ、毎年こういう業務統計としては取っておりませんものですから、今ちょっと直 近でどのようになっているかということについては、申しわけないんですが、今ちょっとわかり かねるところでございます。 ○田中委員  もし増えているのであれば、それが年金財政に与える効果は無視できるほど小さいのか、ある いはそうでもないということなのか、そのへんを少しお聞きしたいと思ったんです。 ○安部数理課長  実績値としてはどうなっているかはわかりませんが、いずれにしましても、その直近の実績を 踏まえて、それを加味して財政の見通しは立てております。そういう意味で何か予想外の要因と して、考えてない要因として、受給待期者の攪乱要因としてあるというわけではないと、そこは 一応直近の実績も踏まえての見通しということで運営しているというふうに考えております。 ○山崎部会長  駒村委員お願いします。 ○駒村委員  お金の性格を教えていただきたい項目が冒頭ありまして、1ページの基礎年金勘定の「年度末 積立金」の数字が7,246億円動いていないのがありまして、これはサラリーマンの奥さんが任意加 入のときに積み立てておいた積立金で、運営も運用も何もされずに持ち続けている。これは、ま ず運用は何もしていないのかということと、これをこれからどうするのかということを教えてい ただきたいと思います。このお金はどのような位置づけと考えていらっしゃるのでしょうか。 ○安部数理課長  まず、数字につきましては、ここに全く同じ数字が挙がっておりますのは、元本部分だけをこ こに積立金として計上をしておりまして、そちらから発生する累積の運用利回りは、収支差のと ころの中に入っております。こちらの方はちょっと扱いが違って、毎年収支差として出して、そ して、それを翌年、収入の「その他」の部分で受け入れてというような経理処理を行っておりま す。ですので、積立金として表示されているのは元本だけで、当然それについてのこれまでの累 積の利回りは別途あるということでございます。  これを今後どう整理していくかということは、一元化法案の中では、これを整理をするという ことで法案とかは出したのですが、残念ながら、今はそれが消えておりますので、今後検討をど ういうふうにしていくかということは問題としてはあろうかと思います。 ○山崎部会長  佐々木委員お願いします。 ○佐々木委員  1点だけよくわからないのですが、2ページの基礎年金の給付について「負担状況」というと ころ、国民年金というのは、対象者が1,000万人ということですけれども、これは納付している人 について1人当たり幾らという、そういう按分なんですか。 ○安部数理課長  まず、被保険者の免除等の人も除きますし、また、納付していない人も除いて、実際に納付し ている人の年度平均値としての数字がここに掲げられているということでございます。 ○佐々木委員  今は、収支約20兆円でほぼ均衡していますが、そういう負担との兼ね合いは別に矛盾ではない のですか。このあたりは問題はないんですか。納付率が下がると、出す金も減ってくるというこ となんですか。 ○安部数理課長  20兆円と言われますのは。 ○佐々木委員  今、収支大体20兆円ぐらいで均衡しているわけですね。 ○安部数理課長  はい。 ○佐々木委員  ほぼ賦課方式になっており、それを各制度から按分で出してきているわけですね。 ○安部数理課長  はい。 ○佐々木委員  例えば国民年金のこの対象者が少なくなってくると、出す金も少なくなる。そういう点の矛盾 はないわけですか。 ○安部数理課長  単年度としては、基礎年金が基本的に賦課方式のように按分して、収支は勿論バランスするわ けですが、ただ、将来的には、例えばこういうふうにして保険料を納付しない人がいれば、将来 はまさしくその人は年金給付を受けられませんので、その分、将来の支出は減るということで、 長期的にもバランスはとれるというふうに考えております。 ○山崎部会長  短期的には、国年の1号の拠出金が減った分だけ被用者年金の拠出金が上がっているというこ とですね。それでバランスをとっていると。 ○安部数理課長  はい。  将来的には給付が減りますので、その分、基礎年金拠出金も減って、当然、被用者年金の方の 拠出金が減ると。長期的に見れば、そういうバランスをとっているということでございます。 ○山崎部会長  よろしいでしょうか。  では、牛丸委員お願いします。 ○牛丸委員  1点だけ確認させてください。61年4月以降の新法適用者にとって、国民年金制度は、勘定は 違いますけれども、イコール基礎年金と考えていいのか。つまり、国民年金独自の何かがあるの かどうかということです。というのは、民主党政権によって今後年金制度がどうなるかわかりま せんが、もしこの制度のままだとするならば、3ページの収支状況、今私がお聞きした点、イコ ールだとするならば、将来的に旧法適用者がいなくなった場合に、収入の基礎年金交付金、それ から、支出の給付金はゼロになると、消えていってしまうということでしょうか。つまり、国民 年金制度というのは、単なる通過組織にすぎないので、保険料拠出でそれが通過して基礎年金勘 定へ行って、そこから将来的に基礎年金をもらう。ただそれだけの制度になってしまうのか。独 自の何かが残っているのかどうか。旧法はいいですけれども、新法に対してどうなのかというこ とを教えてください。 ○安部数理課長  大部分はおっしゃるとおりで、国民年金イコール基礎年金です。ただ、それ以外に、死亡一時 金とか、寡婦年金という、ウエートは非常に小さいですけれども、独自の部分もないわけではな いのですが、大層はほとんど基礎年金とイコールという形です。 ○牛丸委員  そうしますと、収入表の基礎年金交付金は消えますね。ただ、下の給付費に若干の何かが残る と、そういうふうに解釈してよろしいですね。 ○安部数理課長  はい、将来的にはそういうことになります。 ○山崎部会長  よろしいでしょうか。  野上委員お願いします。 ○野上委員  先ほどの田中委員の質問と関連するんですけれども、納付率が、全体的に財政状況にプラスな のか、マイナスなのかという単純な質問をした場合、その答えをお持ちなのか。あるいは、単純 に考えますと、25年という足切りとかがございますし、そのへん見直しとか、あるいは年金制度 の改革とかいろいろあるのですけれども、そのへんの数字の把握といいますか、そのへんは何か 把握されているのかどうかということをお聞きしたいと思います。 ○安部数理課長  21年度の財政検証を出しましたときに、納付率の変化がどのような影響を与えるかという試算 も行っております。その結果といたしましては、保険料を納付しなければ、先々その人は年金を もらえなくなるという構造から、納付率が例えば低下したとしても、ほとんど財政には影響を与 えないという試算というものはやっております。 ○山崎部会長  ほかに。  林委員お願いします。 ○林委員  毎年聞いていたと思うんですけれども、9ページの3号の女性がずっと減っていますね。うろ 覚えですけれども、1つは、若い方は晩婚化みたいなのがあるのかなと。それから、もう一つ、 年配の方は、御主人が早期退職みたいな感じで1号になってしまって、ここの女性の1号はちょ っと減っているのですけれども、そういったことで2号はやや減ったり増えたりしていますけれ ども、被保険者数は安定していますね。それに比して、女性がじりじりと減っているのはどうし てかなということで、先ほど申したような理由を聞いたような覚えがあるのですけれども。 ○下島調査室長  調査室長でございます。  先ほどの厚生年金の資料をご覧になっていただきたいのですけれども、11ページに被保険者数 の推移が出ています。厚生年金も20年度は全体では減少に転じたということなんですけれども、 実は女性はまだ減ってないんですね。伸び続けていまして。何となく、年齢分布の状況とかも併 せて見てみますと女性の厚生年金における定着率が結構高まっているような気がいたします。人 口全体で見ますと、男子も女子も減っておりますので、全体が減っている中で厚生年金の被保険 者が女性の場合増え続けているということもあって、1号なり3号の女性は減っているのではな いかなというふうに思っています。 ○林委員  わかりました。 ○山崎部会長  ほかにございませんでしょうか。  田中委員。 ○田中委員  厚生年金の質問なのですが、15ページの標準報酬の分布ですけれども、標準報酬のランクの見 直しについてです。特に上限のところに、男子だと9.65%、全体では6.81%というところでかなり の方が集中しているのですが、この見直しルールというのが、5%ぐらいを基準にして引き上げ を行うというような、あるいは医療保険は違うと聞いているのですが、この辺りのことをお聞か せ下さい。それから、ランクの下の方ですが、これは国民年金の保険料よりも安い方もおそらく いらっしゃると聞いているのですが、この辺りのバランスはどのように考えられているのでしょ うか。 ○安部数理課長  一応上限のルールですが、医療保険とちょっと違ったルールで、平均の2倍で上限というルー ルで厚生年金の方は上限を決めておりますので、そのために、かなり上限にたまっている割合が 医療保険などに比べると大きくなっているのですが、そういうふうなルールの違いに起因すると ころでございます。 ○山崎部会長  それでは、以上で国民年金の財政状況についての報告の聴取を終了します。  報告者の皆さんには、お忙しい中ありがとうございました。  これで、平成20年度の財政状況についての報告聴取はすべて終了しました。  今後の取扱いですけれども、昨年は、11月に平成19年度までの聴取をとりまとめた「公的年金 財政状況報告」を作成・公表いたしました。今年も、「公的年金財政状況報告」を作成してはどう かと考えていますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○山崎部会長  それでは、今年も、「公的年金財政状況報告」を作成することといたします。  本日は、これで終了いたします。どうもありがとうございました。 − 了 − (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)