10/05/13 平成22年5月13日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年5月13日(木) 15:30〜    厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(15名)  五十音順    天 笠 光 雄、○荒 井 保 明、  荒 川 義 弘、 石 井 明 子、      石 山 陽 事、 小 田   豊、 ◎笠 貫   宏、 川 上 正 舒、     北 村 惣一郎、 塩 川 芳 昭、  正 田 良 介、 勝 呂   徹、     武 谷 雄 二、 寺 崎 浩 子、 松 岡 厚 子  (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人3名   欠席委員(2名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 倉 根 一 郎   3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    関 野 秀 人(医療機器審査管理室長)、    内 海 英 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    重 藤 和 弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、   個別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、これより「薬事・食品衛生審議会医療 機器・体外診断薬部会」を開催いたします。本日も先生方におかれましては、御多忙の中、 御出席いただきましてありがとうございます。本部会は17名の先生方にメンバーになっ ていただいておりますが、本日はそのうち15名の先生方に御出席いただいております。 定足数に達しておりますことを御報告いたします。欠席委員は飯沼委員、倉根委員のお二 人です。  本日の議題1の認証基準案に関すること、議題2の次世代の医療機器の評価指標に関す ることの部分に関しては、薬事・食品衛生審議会の決議に基づき会議を公開とさせていた だいておりますので、傍聴の方が現在この会議を傍聴されております。議題3以降に関し ては、医療機器の審査に関する議題ですので、内容によって企業情報に関する部分もあり ますので非公開という扱いで審議を行います。  この後、議事に入りますが、傍聴の方々におかれまして頭撮りはここまでとさせていた だきます。  4月1日付の人事異動に伴う出席者の入替えですが、これまでは医薬品医療機器総合機 構の豊島センター長に御出席いただいておりましたが、4月1日からは豊島センター長に 替わり、内海センター長が着任されておりますので、本日の部会から御出席いただくこと になっております。以後の議事進行は笠貫部会長にお願いいたします。 ○笠貫部会長 最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。薬事・食品衛生審議会医療機器・体外 診断薬部会の議事次第を2枚めくりますと、配付資料一覧があります。1.公開案件とし て資料1〜資料2-3まであります。こちらを本日配付させていただいております。資料 1-1「医療機器の認証基準案について」、資料1-2「医療機器の審査基準に係る基本要件 チェックリスト案について」です。参考資料1-1「医療機器の認証基準に関する基本的考 え方について」、参考資料1-2「認証基準において引用するJIS」。資料2-1「角膜内 皮細胞シート等に関する次世代医療機器評価指標について」、資料2-2「角膜内皮細胞シ ートに関する評価指標(案)」、資料2-3「軟組織に適用するコンピュータ支援手術装置に 関する評価指標(案)」です。以上でございます。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。それでは、議題に入ります。議題1の医療機 器の認証基準案についてを、事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局 医療機器の認証基準案について御説明申し上げます。参考資料1-1を御覧くだ さい。医療機器の基本的考え方というものです。今回はこちらの基本的考え方に基づき、 認証基準案の制定が8基準、改正案4基準です。基本的考え方として、クラスIIと言われ る管理医療機器について、基本的考え方の4行目からですが、認証基準が定められ、これ に適合する医療機器についてはその製造販売に当たって、登録認証機関の認証を受けなけ ればならないこととされているところです。その認証を受ける上での、認証のための基準 を今回定めさせていただいたものです。  資料1-1を御覧ください。資料1-1に1.〜9.までありますが、今回は1.〜8.までで、 主に歯科用のものの認証基準案を策定いたしました。9.は、この基準案の一部として引 用しております日本工業規格の内容が変わったということで、実質医療機器自体のところ にも影響を与えるものですので今回御報告いたしております。  資料1-2については、基本要件適合性チェックリストということで、それぞれ認証等に 当たって、それぞれの医療機器が備えるべき基本要件についてチェックをするためのリス トとなっています。内容についての詳細は、基準案の調査を行いました、独立行政法人医 薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。 ○機構 資料1-1及び資料1-2に基づき御説明いたします。資料1-1を御覧ください。今 回先生方に御報告する認証基準案は、1.〜8.までが新規に作成した認証基準案8基準で す。9.については、日本工業規格が改正される認証基準が4基準となっております。  1.の新規に作成する歯科用吸引管認証基準(案)から御説明いたします。資料1-1の1 ページを御覧ください。歯科用吸引管は下段の写真にあるように、口腔内に溜まった水分 や切削片を除去するために、吸引装置に連結して用いる歯科用器具です。この器具は、口 腔内に使用されることから、技術基準としては生物学的安全の要求事項を規定した T0993-1を引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果につ いては、1ページ上段の記載のとおりです。  2.の新規に作成する能動型機器接続歯科用シリンジ認証基準(案)について御説明いた します。資料1-1の2ページを御覧ください。能動型機器接続歯科用シリンジは下段の写 真にあるように、チューブ接続部に洗浄チューブを連結し、生理食塩水などを先端ノズル により、口腔内の手術部位に注入して洗浄する歯科用侵襲性器具です。この器具について も、口腔内で使用されることから、技術基準としては生物学的安全の要求事項を規定した T0993-1を引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果につ いては2ページ上段の記載のとおりです。  3.の新規に作成する単回使用歯科用シリンジ認証基準(案)について御説明いたしま す。資料1-1の3ページを御覧ください。歯科用シリンジは下段の写真にあるように、先 ほどの能動型機器歯科用シリンジと同様に、根管などの洗浄に用いる器具で、能動型機器 に接続して用いるものを除く単回使用歯科用侵襲性機器です。この器具についても口腔内 で使用されることから、技術基準としては生物学的安全の要求事項を規定したT0993-1を 引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果については3ペ ージ上段の記載のとおりです。  4.の新規に作成する歯科用電動式ドリル認証基準(案)について御説明いたします。資 料1-1の4ページを御覧ください。歯科用電動式ドリルは下段の写真にあるように、修復 物を保持するためのピンを固定するため、歯に穴をあける回転器具です。この器具につい ても口腔内で使用されていることから、技術基準としては生物学的安全の要求事項を規定 したT0993-1を引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果 については4ページ上段の記載のとおりです。  5.の新規に作成する歯科用根管口拡大ドリル認証基準(案)について御説明いたしま す。資料1-1の5ページを御覧ください。歯科用根管口拡大ドリルは下段の写真にあるよ うに、根管開口部を拡大させる目的などのために、能動型医療機器に接続して用いる歯科 用器具です。この器具についても口腔内で使用されていることから、技術基準としては生 物学的安全の要求事項を規定したT0993-1を引用することといたしました。また、この基 準の使用目的、効能又は効果については5ページ上段の記載のとおりです。  6.の新規に作成する電動式歯科用螺旋状除去器認証基準(案)について御説明いたしま す。資料1-1の6ページを御覧ください。電動式歯科用螺旋状除去器は下段の写真にある ように、ネジの構造を持ち、根管内に挿入し、回転させることで充填物を根管外へ押し出 す器具です。この器具についても口腔内で使用されていることから、技術基準としては生 物学的安全の要求事項を規定したT0993-1を引用することといたしました。また、基準の 使用目的、効能又は効果については6ページ上段の記載のとおりです。  7.の新規に作成する電動式歯科用歯内ペーストキャリヤ認証基準(案)について御説明 いたします。資料1-1の7ページを御覧ください。電動式歯科用歯内ペーストキャリヤは 下段の写真にあるように、ネジ状の構造を持ち、先ほど説明いたしました電動式歯科用螺 旋除去器とネジの方向が逆となって、根管内に充填材料などを送達し、充填する機器です。 この器具についても口腔内で使用されることから、技術基準としては生物学的安全の要求 事項を規定したT0993-1を引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効 能又は効果については7ページ上段の記載のとおりです。  8.の新規に作成する歯科用根管長測定器認証基準(案)について御説明いたします。資 料1-1の8ページを御覧ください。歯科用根管長測定器は下段の写真にあるように、電極 フックと電極クリップ間に生じた抵抗を測定し、根管の先端の位置を確認するために用い る歯科用器具です。この器具は電気を利用した歯科用器具であることから、技術基準とし ては医用電気機器の安全に関する一般的要求事項を規定したT0601-1を引用することと いたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果については8ページ上段の記載 のとおりです。  9.の日本工業規格が改正される認証基準について御説明いたします。資料1-1の9ペ ージを御覧ください。ここに現存する認証基準のうち、今回日本工業規格が改正されるも の4基準をお示ししております。改正される日本工業規格の内容としては、告示番号83 の基準については、ISOの改正に伴う記載内容の整合化などを図る改正です。告示番号 85、86、328の3基準については、日本工業規格の定期改正に伴う記載内容の適正化を図 る改正です。これらの認証基準については、引用する工業規格の規格番号は変更されない まま、規格内容が変更されるものであり、9ページに記載されたとおり現行の認証基準に 変更事項はありません。  最後に、資料1-2の「医療機器の認証基準案に係る基本要件適合性チェックリスト案に ついて」を御覧ください。先ほど御説明いたしました1.の歯科用吸引管認証基準(案)か ら8.の歯科用根管長測定器認証基準(案)までの8基準案は、新たに認証基準案を作成す るものでありますので、資料1-2の1ページ〜49ページにかけて、これらの基本要件適 合性チェックリストを掲載させていただいております。なお、日本工業規格が改正される 認証基準に係る基本要件適合性チェックリストについては、文言などを整合させたもので すので、今回は割愛させていただきました。  以上、1.〜8.の認証基準案、9.の日本工業規格が改正される認証基準案については、 今後パブリックコメントを実施し、広く意見をいただいた後に、認証基準の改正を実施し ていく予定であります。説明は以上です。 ○笠貫部会長 認証基準案として制定が8基準、改正が4基準ということで御説明いただ きましたが、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。  特に御意見等はないようですので、次の議題に移らせていただきます。議題2、次世代 医療機器評価指標について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2-1を御覧ください。1.の背景の部分ですが、平成17年度から、医療ニ ーズが高く、今後の実用の可能性がある次世代、今後出てくるであろう医療機器の審査の 迅速化、それから製品開発の円滑化を目的として検討分野を選定し、その評価に当たって のポイントをまとめた評価指標を作るということで、次世代医療機器評価指標という事業 を行っております。今般、角膜内皮細胞シート、それから軟組織に適用するコンピュータ 支援手術装置に関する評価指標の検討が終了いたしましたので、今回御報告させていただ きます。角膜内皮については資料2-2、軟組織に適用するコンピュータ支援手術装置に関 しては資料2-3です。  資料2-1に戻りまして、評価指標の内容・位置付けですが、いわゆる次世代医療機器に 関しては個別に性能等の試験が行われ、審査が行われるというのは、通常の医療機器と変 わらないところです。評価に当たってどのようなポイントを見るべきかという点につい て、評価指標という形で作り、その医療機器の開発段階、さらには審査の段階が迅速化で きないかと考えており、このような指標の作成を始めました。開発審査の段階において重 要になってきますのが、評価のポイントとなってきますので、その評価ポイントを事前に 示していくことで、その審査だけではなく、開発も迅速化が可能と考えている次第です。  なお、これは承認の基準ではありません。あくまでも評価のポイントということですの で、法令的な基準とは異なっているものです。これまでに人工心臓、DNAチップ、骨折 修復支援装置、関節手術支援装置、重症心不全治療用細胞シート、角膜上皮細胞シートに 関する評価指標を公表しております。  3.のその他の部分ですが、引き続き再生医療(関節軟骨再生)、体内埋め込み型材料、 ニューロモジュレーション分野のところに評価指標を現在作成しているところです。以上 です。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局の説明について御質問はございますか。 ○寺崎委員 細胞を培養するときにフィーダー細胞を使っているか、例えばマウスの細胞 を使ったかなどの評価指標はどこかに記載がありますか。網膜色素上皮細胞などでは、実 験的には使う場合も使わない場合もあり、細胞を一層だけのシート状にするにはフィーダ ー細胞は使用されないのかもしれませんが、角膜内皮細胞の場合にはそのような評価指標 が必要でしょうか。 ○事務局 こちらの評価シート自身には入っておりませんが、実際にされるときには作ら れる方がそこはよく御存じのところだと思います。そのような細胞治療については、別途 細胞治療に関する指針が出ており、そちらにはフィーダー細胞について、例えばウイルス の点だとかそこの部分をどのように評価するべきかという点が出ておりますので、そちら も併せて参照していただきながら実際に進めていただくことになろうかと思います。 ○笠貫部会長 寺崎委員、それでよろしいですか。 ○寺崎委員 はい。 ○北村委員 これはまだ「案」が付いておりますけれども、関連する再生医療学会や眼科 学会が作ってきたのを審査されたのか、どこまで実際にやっている学会の方が包含された 形で、今ここに出てきていると理解すればよいのかを教えてください。 ○事務局 学会の先生方には、個別に意見を聞いているほか、あとはパブリックコメント を実施し、実際にそちらで御意見という形で出していただいて、それを反映しております。 ○北村委員 この案は、パブリックコメントが済んだ後なのですか。 ○事務局 はい。 ○北村委員 あと2、3個の会議を通せれば、「案」を取るという形にまで来ているわけ ですね。 ○事務局 はい。 ○北村委員 分かりました。 ○医療機器審査管理室長 補足させていただきます。それぞれこの部会に上がってくる評 価指標の案は、ここに至るまでにWGを形成し、学会推薦というところまではいかないの ですが、いろいろな関係者が集まって積み上げてきているものです。 ○笠貫部会長 道しるべというべきものであると言いながら、この評価指標についてはか なり重いものだという捉え方でよろしいですね。 ○医療機器審査管理室長 そこは、おそらく科学の水準とか、検討時点でのいろいろな状 況がありますけれども、少なくとも作業をしている現時点において、ここだけは有効性・ 安全性・品質を確認する上で押さえておいていただきたいものを、可能な範囲で網羅した ものになります。それ以外のところを全く要求しないかどうかというものは別ですけれど も、示されているものに関してはある程度審査の段階で必要になってくるだろうと思われ るものですので、それなりの意味合いはあるかと思います。 ○笠貫部会長 こういうものを前もって示すことにより、審査の迅速化も図れるという説 明だったと思います。次世代医療機器の評価指標については、これからもまた引き続き出 てくるかと思いますが、是非審査の迅速化を図っていただけたらと思います。ほかに御意 見、御質問はありませんか。  それでは、公開案件の方は以上とさせていただきます。 ○事務局 非公開案件については、今から5分後の16時5分から開始させていただきま す。傍聴の方におかれましては、恐縮でございますが御退席のほどよろしくお願いいたし ます。 ○笠貫部会長 準備が整いましたので、これから非公開案件の審議報告に入ります。最初 に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料を確認させていただきます。議事次第の2枚目の配付資料一覧の左下 の非公開案件の部分です。資料3-1〜参考資料8-1までが非公開案件の資料です。そのう ち右側の下線が引いてあります資料4-2、資料4-4については本日配付させていただいて おります。その他の資料については事前にお送りさせていただいたものです。資料3-1は ELVeSレーザーの資料です。資料3-2は「ELVeSレーザーの審査報告」で、パワーポイン トの打ち出しです。参考資料3-1は「適正使用のための実施基準」です。X-STOPに移っ て資料4-1は申請資料です。資料4-2は、資料4-1の「諮問書」です。こちらは本日配付 させていただいております。資料4-3は「X-STOP PEEK インプラントの審査報告」で、パ ワーポイントの打ち出しです。資料4-4は「新医療機器等の使用成績調査の計画書(案)」 です。こちらは、本来であれば資料4-1に挟み込まれているべきものですが、抜けていた ということで本日、当日配付させていただいたものです。参考資料4-1は「医療機器のク ラス分類ルールについて」です。資料5-1はバード アジェント I.Cですが、こちらは 申請資料です。資料5-2はパワーポイント打ち出しの「バード アジェント I.Cの審査 報告」です。資料6-1は「医療機器『ビズラスPDTシステム690S』の再審査報告につ いて」です。資料7-1は「医療機器・体外診断薬部会報告品目」のExcelの表です。資料 8-1は「競合品目・競合企業リスト」です。参考として薬事分科会審議参加規程を配付さ せていただいております。以上です。 ○笠貫部会長 本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申し出状況につい て事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局 本日の審議対象となっている品目について、申請資料及び利用資料の作成に関 与された先生はいらっしゃいませんでした。競合品目については参考までに資料8-1を御 覧ください。ELVeSレーザー、X-STOP PEEK、バード アジェント、それぞれ1ページずつ 記載させていただいております。ELVeSレーザーについては使い得るもの、それから今後 承認申請の可能性があるものを選定しております。2ページのX-STOP PEEK インプラン トについては、必ずしも同じようなものがあるわけではありませんが、脊柱間狭窄症の患 者さんに使用される可能性があるものを2品目選定しております。バード アジェントに ついては気管内チューブですが、市場性のもので3品目を選定しております。  これらの審議品目の製造販売業者、又は競合企業について委員の先生方、参考人の先生 方から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、本日の審議品目については 御退室いただく委員の先生、それから議決に御参加いただけない先生はいらっしゃいませ んでした。したがって、本日の議題についてはすべての委員の先生が審議及び議決に加わ れることを御報告させていただきます。 ○笠貫部会長 事務局からの説明について御意見がありましたらお願いいたします。  よろしければ議題に入りたいと思います。議題3、ELVeSレーザーの製造販売承認の可 否等について審議を行います。本品目の審議に当たりましては、参考人として山口県立総 合医療センター外科部長の善甫宣哉先生に御出席いただいております。よろしくお願いい たします。審議品目の概要について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 品目の御説明を申し上げる前に、一点だけお願いがあります。この品目だけで はなく、全品目について事前にファックスにて御意見を何名かの先生からいただいており ます。ありがとうございます。本日御出席をいただいております先生方もいらっしゃいま すので、本部会の議論の場にて、直接御意見を賜れればと思いまして、机の上にいただい たファックスの写しを置かせていただきました。該当品目の御議論の際に御発言をお願い できればと存じます。  資料3-1に基づいて、ELVeSレーザーについて簡単に概要を御説明申し上げます。資料 3-1の申請書の部分ですが、承認申請書としてかなり厚いものが添付されております。3 枚めくりますと製品の外観があります。8ページは、レーザーを出力する装置です。これ に、経皮的に挿入するカテーテルに接続し、光ファイバーで、下肢静脈にレーザーを照射 し、下肢の静脈瘤のもととなる伏在静脈を閉塞させるものです。品目の内容の詳細につい ては、審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。 ○機構 資料3-1を御覧ください。総合機構での審査に当たり、御覧の専門委員の御意見 をいただきました。  審査報告書4ページの品目概要をお示しします。本品は、下肢静脈瘤の血管内レーザー 治療を目的とするシステムです。レーザー発生装置本体、経皮的に標的部位に誘導してレ ーザーを照射する光ファイバー、またイントロデューサー等の付属品から構成されるシス テムです。イントロデューサーを介して経皮的に治療対象の伏在静脈に挿入した光ファイ バーの先端を、伏在静脈と深部静脈の接合部から1cm以上末梢側に導いた後、光ファイ バーを引き抜きながら血管内でレーザーを照射することにより、治療対象の血管を閉塞さ せ、下肢静脈瘤の原因となる伏在静脈本幹の血流を遮断することが可能です。  審査報告書6ページと7ページの、外国における使用状況及び不具合の発現状況の概要 について御説明いたします。2010年3月31日の時点で、本品及び本品と外観操作スイッ チのみが異なる旧モデルが、既に欧州、米国で承認を受けており、旧モデルは1,350台、 本品は261台販売され、年間約8万肢に対して使用されております。現在までに、こちら にお示しした不具合が報告されておりますが、当該不具合に関連した合併症は報告されて おりません。  審査報告書の8ページ〜9ページに性能に関する資料として記載されている、非臨床試 験の概要をお示しいたします。機器の性能を裏付ける試験として、1.にお示しする試験 成績が提出され、特に問題は認められませんでした。さらに、2.にお示しする血管閉鎖 の作用機序及びレーザーエネルギー設定について、参考資料をもとに説明がなされまし た。総合機構は、本品を用いた血管閉鎖の作用機序は明確に示されていないと考えますが、 前述の海外における使用実績、及び後述する臨床試験成績も踏まえ、本品を用いた血管閉 鎖性能については確保されていると考えられることから、これらの性能評価に関する資料 について了承いたしました。  続いて、本品の審査における主要な論点である臨床部分に関して、審査報告書10ペー ジ〜12ページの概要を御説明いたします。臨床試験は国内の5施設で、本品群62例、対 照群として標準治療法であるストリッピング手術群30例を設定し、一次性下肢静脈瘤患 者を対象として、スライドのお示しする対象患者及び評価項目を設定して実施されまし た。  有効性評価については、主要評価項目が2項目設定されました。一つ目は、CIVIQ2の 合計スコアのAUCに関する優越性。二つ目は、術後4週間におけるVFIの減少率に関 する非劣性が設定されました。結果としてCIVIQ2合計スコアのAUCについては、優越 性が検証できませんでした。一方、VFIの減少率については非劣性が示されました。ま た、有効性の副次評価項目については、スライドにお示しするような結果が得られました。 安全性については、因果関係の否定できない有害事象として、麻酔による有害事象が本品 群に1例、対照群に12例発生し、統計学的な有意差が認められましたが、これ以外に有 意差が認められた有害事象はありませんでした。  総合評価の概要を御説明いたします。審査報告書に記載した一つ目の論点、すなわち有 効性の主要評価項目の一つである低侵襲性評価のためのCIVIQ2合計スコアに関して、既 存治療に対する優越性を検証できなかったことを踏まえ、本品の有効性が確保されている と言えるかについてです。臨床試験では、本品の低侵襲性を示すことができませんでした が、有効性の主要評価項目の一つである静脈血の逆流阻止については、標準治療法である ストリッピング手術との非劣性が検証されたことから、治療上の有効性に関しては、当該 臨床試験で評価可能と考えます。  また、前述の外国における使用実績及び各種非臨床成績から、本品の有効性はある程度 評価可能であること、さらにスライドのお示しするような期待されるメリットがあること について、専門協議も踏まえ、総合的に判断した結果、本品を下肢静脈瘤治療の選択肢と して、医療現場に提供することは妥当と判断いたしました。  次に、審査報告書に記載した二つ目の論点です。本品の使用が想定される対象患者にお ける、臨床上の有効性及び安全性が確保されているかについてです。まず、重症度につい ては、不全穿通枝は有効性の評価に影響を及ぼす可能性が高いため、不全穿通枝を伴う場 合が多いCEAP分類C4b以上の患者は臨床試験では除外されましたが、諸外国におけ る本品を用いた治療は、ストリッピング手術と同様に、静脈血の逆流を阻止する治療法と して、CEAP分類C4b以上の患者であっても実施されており、一定の治療成績が得ら れているとの報告があります。  次に小伏在静脈については、臨床試験では62例中6例と少数ではありましたが、大伏 在静脈治療例の成績と比較して大きな違いは認められませんでした。やはり諸外国におい ては、小伏在静脈であっても、本品による治療が実施されており、一定の治療成績が得ら れているとの報告があります。  以上の点を踏まえ、本品についてはスライドにお示しする条件が確保される限りにおい ては、外国における使用成績も踏まえ、対象となる重症度を限定する必要はないと判断し、 また小伏在静脈本幹を対象に含めることは妥当と判断いたしました。  今度は、膝下の大伏在静脈本幹を対象に含めるか否かという点です。本品を使用する場 合、皮膚までの距離を取り、冷却効果も期待できるTLAの実施が必須であること。また、 大伏在静脈瘤に対して、膝上まで処置した群と、膝下も処置した群の、無作為化比較試験 によると、膝下までの治療により神経障害が増えたとの結果は認められていないこと。こ れらの点を踏まえ、本治療の対象にすることは可能と判断いたしました。  次に抗凝固薬服用中の患者を対象とするか否かについてです。臨床試験では、ストリッ ピング手術群を対照群に設定したことから、抗凝固薬服用中の患者は除外されましたが、 本品の場合には直接的な影響はないと考えられること、また外国では抗凝固薬服用中の患 者を除外していないことなどを踏まえ、本治療の対象にすることは可能と判断いたしまし た。  次に、審査報告書に記載した三つ目の論点である、適応及び使用方法の設定、承認後の 妥当なトレーニング等により、十分かつ妥当なリスク低減措置が講じられているかについ てです。深部静脈との接合部付近でレーザーを照射してしまうと、深部静脈血栓症を引き 起こすおそれがあります。本品の使用に当たっては、手技に伴うリスクを極力低減し、治 療中又は治療後に生じる可能性がある有害事象に十分対処できるようにすることが必要 であると考えますので、医師が本品の特徴を十分に理解し、手技に習熟することがリスク を低減させると考え、後述の承認条件1を付することが妥当と判断いたしました。また、 病態を十分に把握した医師が、適切な医療体制の下で本品を使用できるようにすることも 重要と考え、承認条件2を付すことが妥当と判断いたしました。  また、リスク低減の面で重要な事項について添付文書で注意喚起するとともに、適正使 用に関して関係学会の協力を得て、さらなる適正使用につなげることが重要と考えます。 現在、関係学会により、参考資料3-1にお示しする、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー 焼灼率の実施基準案が作成されているところです。  最後に、審査報告書に記載した四つ目の論点である、本品を用いた治療の長期成績につ いてです。申請者が提示したメタ解析の結果によると、長期成績は、ストリッピング手術 と比較して劣るものではないことが示唆されていますが、本邦で実施された臨床試験に は、長期成績に関する情報はありません。さらに、再疎通した場合の、本品の頻回使用の 可否、ストリッピング手術への移行の可否に関する情報は十分に得られていないのが現状 です。したがって、本品を用いた治療の長期有効性及び安全性、再疎通の際の治療成績を 収集することが重要と考え、承認条件3を付すことが妥当と判断いたしました。以上の結 果を踏まえ、御覧の承認条件を課すことが妥当と判断いたしました。  総合機構は、本品の位置付けを明確にするため、こちらにお示しする使用目的で承認す ることが妥当であると判断いたしました。なお、本品は新性能医療機器であり、再審査期 間は3年とし、生物由来製品には非該当と考えております。以上、御審議のほどよろしく お願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、参考人の善甫先生から何かございますか。 ○善甫参考人 山口県立総合医療センターの善甫です。本品目を3人の先生方の専門協議 で審査させていただきました。本品の位置付けは、一次性下肢静脈瘤を治療するために、 大伏在・小伏在静脈本幹に適用し、血管内にレーザーを照射し、対象血管を退縮・閉塞さ せ、逆流を阻止して治療をするということで問題ないと思います。  諸外国におけるレーザーの現状ですが、既に2002年ごろから血管内レーザー治療は下 肢静脈に対して行っていて、広く用いられております。本邦では個人輸入等で、保険外で 4%程度されているという調査報告もあります。  臨床試験成績の論点ですが、有効性主要評価項目のうち、VFIは、普通、静脈瘤の患 者さんは大体4とか6という値を示します。正常人は2未満です。このVFIの減少に関 しては、対照のストリッピング処置と比べて、統計学的な非劣性が検証できましたけれど も、CIVIQ2という、質問表によるQOLの評価では、優越性は検証できませんでした。 その理由の一つは対象のストリッピング手術は、すごく手術成績が良好で、QOLを余り 害さなかったという結果により、結局優越性が検証できませんでした。  今、機構の方から説明がありましたように、皮膚切開を加えない点と、あとは全身麻酔 や腰椎麻酔が必要なく、局所の膨潤麻酔でできる。さらに入院を必要としない、若しくは 入院しても日数の短縮が得られるということで、本品の有効性が確保されていると考えま す。  適用に関してですが、臨床試験では不全穿通枝を伴うことが多いCEAP分類のC4 b、C5、C6患者、すなわち皮膚硬化、潰瘍瘢痕、皮膚の潰瘍の患者は除外しています けれども、そのような患者さんでも日常臨床ではストリッピング手術は行われております ので、本品がストリッピング手術に劣らない手術成績を示しておりますので、CEAP分 類の適用は課さなくても問題ないのではないのではないか、制限を課さなくても問題ない のではないかと考えます。  小伏在静脈に関しても、適用症例はかなり少ないと思いますけれども、神経障害もそん なに多くは発生していないという論文もありますので、問題はないかと思います。膝下の 使用に関しては、本来下肢静脈瘤は、伏在静脈の本幹が逆流し、その枝の前脛骨静脈又は 後方弓状分枝という枝が拡張することが一般的です。その枝が膝下から分岐することも非 常に多くあります。完全な弁不全のある伏在静脈を閉塞する必要から、膝下の使用は必要 かと思います。膝下の使用で神経障害が増えたという結果も出ておりませんので、問題な いかと思います。  それから、抗凝固療法に関してですが、私は抗凝固療法は慎重に使わなければいけない かと思います。というのは、レーザー治療は皮下に打ち身のような出血斑が起きやすいと 言われています。今回の臨床試験でも少数例ながら起きております。もし可能であれば、 抗凝固療法はしていない方がよいのですが、実際に本品は皮膚切開を加えず、その出血の リスクは、対照のストリッピング手術と比べてほぼないと考えられますので、問題ないか と思います。逆にこの治療において深部静脈血栓症の発生が、頻度は非常に低いですけれ ども可能性がありますので、その予防のために抗凝固療法を使ったという外国の論文もあ りますので、そういう意味では問題ないかと思います。  使用の基準に関しては全く異論はありません。長期の使用に関しては、いわゆる長期の データは出ておりません。ただ、対照のストリッピング手術と比べて明らかに劣っている データは得られていませんので、問題はないかと思います。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見がありま したらお願いいたします。 ○荒井部会長代理 大変基本的なところなのですが、海外で8万例やられていて、時期も 海外は2008年代。米国では510(K)で承認ということです。また、今回の治験の結果と解 釈を伺っていると、治験で行われた適用に比べて今回の承認における適用の方が拡大して いる。あるいは長期成績はこの後市販後調査で見るということのようです。要するに、治 験で非劣性が証明できたからいいという意味にもとれます。このように考えると、そもそ もこの製品は本当に治験をやらないと日本で承認できない機器だったのでしょうか。実 際、日本にもかなり患者さんがたくさんおられますし、もちろんストリッピング手術は確 立した方法ですが、こういう優れた機器が出てきたときに、それが米国で510(K)とは言 え承認されている場合に、日本でもう一度対照群を設定したトライアルをやらないと承認 できない。なおかつ、長期成績については後で経過を追って報告しなさい、というのが適 切なのかどうか。大変根本的なことで申し訳ないのですが、御意見を聞かせていただけれ ばと思います。 ○機構 ELVeSレーザーのような、下肢静脈瘤治療のためのレーザー治療機器については、 まだ日本では承認を取っていないのが現状です。そうなったときに、そのものを臨床現場 で使ったときにどういう成績になるのかを評価することは必要であろうと考えます。その 評価の中で治験という方法があるわけです。これは治験相談をお受けいただいた品目です が、どういうデータがあるのかということについて、申請者と相談して実情を調べていた だきました。海外でGCP準拠で行われた試験というのは、特に本品ではなかったという ところがあって、そういう観点から、日本人にこの機器を適用したときに、本当に有効性 と安全性が確保されるのかを評価する資料がなかったのが現状でした。  その当時の現状というのは、下肢静脈瘤を治療するための治療方法としてストリッピン グ手術がありましたので、それを対照群に設定した臨床試験が設定され、実施され、それ で申請されたというのが経緯です。 ○荒井部会長代理 事情は大変よく分かります。勿論、根拠がなく承認するのはよくない ことだと思います。私は静脈瘤が専門ではありませんが、海外の患者さんの静脈と、日本 の患者さんの静脈が大きく異なるとは想定できません。60数例という治験はかなりコン パクトで、短い期間で終わらせて、大きなデバイスラグにはなっていないかもしれません が、この治験の結果から読み取れないところも含めて承認しておられるわけですから、ど うせならもっとコンパクトにできないかということで質問させていただきました。御回答 としては十分理解できますし、今の答えで了解いたしました。 ○川上委員 認可に関して特に異議があるわけではありません。荒井先生のお話の裏返し なのですが、治験をしていない部分に関して適用を広げておられることについて、その中 で添付文書では抗凝固剤の使用については治験をしていないという記載があります。CE APのC4b〜C6に関して、あるいは膝下の血管に関しての記載は全くないです。そう いうことをしてはいけないということを言うわけではないのですけれども、何か付け加え た方がよいのかなという考えを持ったのですが、いかがでしょうか。 ○機構 御指摘のとおりだと思っております。下腿については、添付文書、今回お配りし ている資料の58ページの右下の7.に「その他の注意」という項目があります。7.の「そ の他の注意」の5)に「下腿の大伏在静脈瘤を治療した場合の安全性は本邦で実施された 臨床試験では確認されていない」ということで、膝下についてはこういった形で注意喚起 をしているのが現状ですが、先生が御指摘のとおりCEAP分類C4b〜C6について は、この中で特段アナウンスをしていないというのが事実ですので、この点については申 請者に整備を依頼しております。 ○北村委員 石英のファイバーでレーザー光を通すのは結構硬いですね。操作性とか、例 えば今も出ていた膝下の静脈瘤のような非常に多数存在する場合は、刺入棒を何か所も入 れて誘導するのですか。それとも、1か所からだけで、あの硬い石英ファイバーは、血管 内を移動できますか。 ○善甫参考人 基本的には1か所、伏在静脈の根幹の一番下の逆流の終わりの部分から刺 入しまして、中枢側に向けて刺入します。北村先生がおっしゃった、余りにも蛇行してい ますと、やはりスムーズには入らないかと思います。私自身も本品の使用経験がありませ んが、たくさん静脈瘤のストリッピング手術をしております。それでも、やはり太いカテ ーテルを入れていくのですが、なかなか容易に挿入できない場合もあります。ですから、 余り拡張していて、屈曲の強い下肢静脈瘤には適用外ではないかと思います。一応、本品 の適用に伏在静脈の径が20mm以下というのがありますので、余り拡張して蛇行の強いも のには、例えばカテーテルが穿孔したり、そういう可能性があるかと思います。 ○北村委員 この病気にはほかのたくさんの方法があるのですが、良い成績が出ているか らよいと思うのですが、実際はレーザーを使ったり、一部を手術によるライゲーションと か、あるいは内視鏡を用いる方法は先進医療に認められましたが、内視鏡を使っての治療 とか、併用した場合は実際行われると思うのですね。こういういろいろな方法を併用した とき、この委員会では問題ないと思いますが、どのように保険を適用するとか大切でしょ うね。レーザー単一で終わらないと駄目ということは無理で、先生も外科医だから思って おられると考えますがいろいろな方法を併合して組み合わせてやるということになると 思う。そういう組合せのことも結構あると思うのですが、どうですか。 ○善甫参考人 実際、先生がおっしゃられるとおり、伏在静脈の逆流だけで治らない静脈 瘤は結構あります。特にCEAP分類のC4b〜6という場合、ほとんど不全穿通枝の逆 流が絡んでおりますので、たとえ本幹だけをレーザーで焼灼して閉塞させても、静脈瘤は 消失しません。その場合に、不全穿通枝、内視鏡下若しくは直接に結紮、離断したり、若 しくは圧迫療法を長期間続けたり、硬化療法をしたり、そういう併用をC4b若しくはC 4aも含めて、併用する可能性は十分あると思います。 ○北村委員 併用使用を認めるという形での医療機器になると私は思うのです。その辺を 書く必要があるのかどうか、ちょっと分かりませんけれども、これは単独ですべて終わら なければいけないとなると難しいだろうなという気がします。 ○機構 今御指摘の点については、機構の見解としては、例えば不全穿通枝の処理が必要 な症例についてはレーザーだけで終わってしまうのではなくて、適切な処置までした上で 終えるということになろうかと思っています。 ○北村委員 薬事からは当然そうでしょうね。ですから、この委員会ではそれでよいと思 います。 ○機構 併用を禁止するものではありません。 ○笠貫部会長 私も荒井委員の御指摘は今後の課題として十分考えていただきたいと思 います。欧米で非常に多く使われていて、そのデータがあるとき、日本で60例のデータ をどう位置付けするのかということについては、御検討いただきたいと思います。特に添 付文書の中には、実際、適用は重症のものも小伏在静脈も膝下静脈も、欧米のデータをも とにして認めているわけですから、日本のデータではない。そのときに、添付文書の臨床 成績の所は、国内のものしか書いていないのです。私はこれでは不十分で、患者さん側に 十分こういった適用を拡大する根拠が、海外のデータならば海外のデータを添付文書に含 めていただくのが必要だろうと思うのですが、この点についてはもう少し添付文書の検討 はできますでしょうか。 ○機構 お答えいたします。基本的には国内での臨床試験の成績をもとに評価したわけな のですが、そうは言っても先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、膝下の適用であ るとか、抗凝固療法中の患者に対しても、本品を使うことを禁止する、禁忌には入れない という判断をいたしました。その根拠となる論文については、添付文書の中の文献という ことで、きちんと記載を整理して、そのように判断した根拠を引用する形で整理等を検討 させていただこうと思っております。 ○笠貫部会長 できるだけ日本のデータでなく適用を拡大したものについては、こういう リスクがあるということを添付文書で分かるようにしておいていただくと、実際使用する ドクター、あるいは説明を受ける患者さんにも役立つだろうということで御検討いただけ たらと思います。欧米でたくさん使われているこういった医療機器について、これから日 本での治験をどうするかということは、大きなテーマとしてはこれから御検討いただくと して、今回の機器についても御検討をいただけたらと思います。ほかにはありませんでし ょうか。 ○石山委員 資料の21ページのレーザーの照射モードですが、このやり方としては連続 モードと繰返しモードということで、実際に操作する上ではジュール熱を一つの目安とし てやっているようですが、連続照射の場合には連続ですから、ジュール熱がかなり発生し て効果があると思うのですが、繰返しモードの場合に同じジュール熱でも、オン時間とオ フ時間の一つのポーズ時間。この間に関しては熱が発生していないわけで、血流によって 熱が逃げてしまうわけですね。そうなると、表示としては同じジュール熱でも、繰返しモ ードの場合にはデューティータイムによっても違いますが、効果がどうなのかなという疑 問がありまして、温度と連続モード、繰返しモードの関係はどのようになっているのかな と。あるいは効果がどうなっているのか、お聞きしたいと思います。 ○機構 今の点についてお答えいたします。石山委員が御指摘のとおり、パルスオン時間 に比べてパルスオフの時間が極端に長くなるようなケースでは、温度低下の作用が無視で きなくなることが考えられます。委員が御指摘のレーザーオン時間に比べてレーザーオフ の時間が極端に長いケースについては報告を受けておりませんので、こちらとしてもデー タを持ち合わせておりません。  一方、海外で本品を繰返しモードで使用した例としては、参考資料として幾つか論文が 提出されているところです。1、2秒程度レーザーオン又は、オフして、すなわちオン時 間とオフ時間を1対1程度の割合で繰り返して、数mm/sの速さでファイバーを引き抜い て、10数ワットの電力で血管内にレーザーを照射するというものに関しては報告があり ます。この場合にはストリッピング手術と比較して成績が劣っているという報告がないの が現状です。これらの点と専門協議での議論も踏まえて、繰返しモードの使用を否定する ことにはしませんでしたが、添付文書の中で、58ページの右側の7.のその他の4)で、 「繰返しモードによる治療の有効性と安全性は本邦で実施された臨床試験では確認され ていない」ということを記載しております。 ○小田委員 この申請書の78ページ、「本装置と構造、原理が同一な他装置の開発状況」 のページに、これは申請機器が第2世代で、第3世代の装置が1,470nmのダイオードレー ザーが出て、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□2008年に承認を得て、海 外では販売しているということが書いてあります。□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□その辺りは申請者はどのようにお考えなのでしょうか。 ○機構 この件、非公式に申請者に確認したところ、□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□と話はしておりました。 ○笠貫部会長 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□この会での要望として挙げられたと、会社の方には伝えていただ きたいと思います。ほかにはありませんでしょうか。議決に入りたいと思います。医療機 器ELVeSレーザーについては、本部会として審査報告書にある条件を付した上で承認を与 えて差し支えないものとし、審査期間は3年間として、また生物由来製品及び特定生物由 来製品への指定は不要とするということで、よろしいでしょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につい ては、次回の薬事分科会において報告することといたします。これで本議題は終了いたし ますので、善甫先生には御退室をお願いいたします。貴重な御意見をどうもありがとうご ざいました。 ── 善甫参考人退室 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題4、X-STOP PEEK インプラントの製造販売承認の可否に ついて、審議を行います。本品目の審議に当たりましては、参考人として福島県立医科大 学理事長兼学長の菊地臣一先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたしま す。審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 御説明申し上げます。資料4-1を御覧ください。二つ目の緑色のタブ、審査報 告書を御覧ください。審査報告書の4ページに模式図があります。こちらの品目は、イン プラントとして用いるもので、腰部の脊柱管狭窄症の患者さんにおける腰部痛に対して用 いるものです。使用目的が1.の審査品目の概要の部分にありますが、下肢痛の緩和のた めに罹患した部分を屈曲位に保つインプラントです。伸展位になったときに痛みが生じる ことが多いので、それを制限するといった品目です。チタン合金製で、局所的な手術なり で埋め込むことが可能というものです。根本的な治療については狭窄部分を削る等の対応 になりますが、そのような侵襲が高い手術をしなくても、こちらで痛みを緩和することが できれば、患者さんにとって福音となるものかと思っております。こちらの品目は全く新 しいもので、医療機器は一般的名称で分類しておりますが、今までこれに該当するような 一般的名称はありません。  一つ戻って、青いタブです。「新一般的名称クラス分類等」というタブをめくると、高 度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器の指定という1枚紙があります。こちらの 品目については、「単回使用棘間留置器具」という名称案として、「下肢痛の緩和のため、 棘間に留置することにより、腰椎を屈曲位に保ち、伸展位になることを制限するために用 いる器具をいう」という定義を案としております。  高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器、それぞれ主に大臣承認、それから先 ほどの第三者認証、管理医療機器の指定されたものについては第三者認証、一般医療機器 については届出ということで、製造販売可能になるわけですが、こちらの品目については 長期にわたって埋め込むもので、参考資料4-1にクラス分類のルールがあります。こちら は国際的なGHTFのルールに基づき、このようなクラス分類とすると定められているも のですが、参考資料4-1の3ページの一番上に8.という部分があって、「すべての植込 み型機器及び長期外科的侵襲型機器はクラスIIIである」となっております。その他の例外 に該当するものではありませんので、こちらの品目はクラスIIIということで提案されてい ます。機械的に保守が必要なものではありませんので、特定保守については非該当です。  資料4-1の一般的名称の青いタブの部分について、下の表ですが、クラス分類はIII、特 定保守は非該当。生物学的なものを使っているものではありませんので、生物由来製品等 については非該当という案としているところです。品目の詳細については、審査を行いま したPMDAより御説明申し上げます。 ○機構 総合機構より説明申し上げます。資料4-1、緑の仕切りが付いている審査報告書 を御覧ください。本品の審査に当たり、御覧の専門委員の先生方から御意見をいただきま した。品目の概要について、審査報告書の4ページを御覧ください。本品は、腰部脊柱管 狭窄症の棘突起間に留置し、腰椎を屈曲位に保ち、伸ばすことを制限することによって腰 背部痛及び下肢痛などの症状の緩和を目的とするインプラントです。スライドに示すよう に、ユニバーサルウィングアッセンブリーとスペーサーアッセンブリーと二つの部品より 構成され、8又は16と数字が書かれているスペーサー部分が上下棘突起の間に挟まれる 形で留置されます。  起原又は発見の経緯について、審査報告書の5ページを御覧ください。腰部脊柱管狭窄 症に対して、基本的には安静臥床などの生活指導や薬物療法といった保存療法及び硬膜外 ブロック注射などが行われますが、病状が進行し安静時でも症状が現れたり、急性馬尾障 害を来す場合、手術療法が適用になります。また、腰部脊柱管狭窄症の病態として、個人 差や日常生活レベルに依存し、手術のタイミングなど、治療法の決定に患者が関与するこ とが多いと言われています。本品は、局所麻酔による手術が可能で骨や棘上靭帯などの軟 組織を温存する低侵襲な手術として、非外科的治療と従来の外科手術の中間に位置する治 療方法になります。  海外での使用状況については、審査報告書の6ページを御参照ください。海外では構造 が若干異なる製品を同時に販売しています。X-STOPと名付けたのは本品の前世代品で、 スペーサーはチタン合金による一層構造でした。一方、本品はチタン合金製のインナーハ ブとポリエーテルエーテルケトン(以下PEEK)製のアウターシェルによる二層構造に なっております。X-STOPは2002年にCEマーク、2005年にFDAのPMA承認を取得し ました。本品は2004年にCEマーク、2006年にX-STOPのPMAサプリメントとして非 臨床試験をもってFDAに承認されました。両者合わせて2007年〜2009年12月までに 約□万個が販売されており、2009年末の調査結果では約0.2%の発生率で有害事象が報告 されています。また、今朝入手した情報によると、FDAの指摘を受けて、不具合の再解 析を行っており、その中で2例の死亡例が報告されておりますが、因果関係は不明として おります。  提出資料の一覧です。非臨床試験において、チタン合金製のX-STOPと比較し、各構成 品は十分な強度を有することを確認いたしました。臨床試験成績として米国で実施された X-STOPを用いた多施設共同前向き無作為化試験が提出されました。これを以下、pivotal studyと言います。また、参考資料として、pivotal studyの延長として実施されている 長期使用成績調査と本品を用いた承認後状況調査の中間報告が提出されました。pivotal studyの概要は、審査報告書の9ページからとなります。本試験はX-STOPの安全性及び 有効性を評価するために行われたもので、50歳以上で非外科的治療を6か月以上受けた、 このような患者を対象として、X-STOPを留置した群100例と非外科的治療が行われた対 照群91例で実施されました。主要評価項目はチューリッヒ跛行質問票による有効で、か つ機器関連不具合なしの症例の割合を表す臨床的有用性で、治療開始以後24か月での臨 床的有用率はX-STOP群43.6%、対照群4.6%でX-STOP群が有意に高かったです。また、 副次項目として腰背部痛、下肢痛の頻度と重症度が評価され、24か月目でX-STOP群は対 照群と比較して、頻度、重症度とも有意に低く改善を示しました。また、健康関連QOL 尺度であるSF-36においても、X-STOP群では身体的サマリースコア、精神的サマリース コアともに有意な改善を示しました。  安全性について、インプラント関連の有害事象が3件報告され、うち転倒の際のインプ ラント転位によるインプラント抜去が1件、無症候で処置の必要がなかった棘突起の骨折 及びインプラントの後方移動がそれぞれ1件ありました。また、症状が改善されず、観察 期間中に椎弓切除術が実施された割合は、X-STOP群6%、対照群26.4%でした。  以下、総合機構の審査における論点を説明いたします。審査報告書では15ページから となります。pivotal studyを本品の有効性及び安全性評価に外挿する妥当性について、 まず機器についてです。申請者は、本品はスペーサー部に弾性率の低いPEEKを用いる ことによって、棘突起との接触面積を広げ、棘突起への強度ストレスを減らす目的で開発 されたもので、二層構造以外はX-STOPと同一であること。また、棘突起間に留置し得る 十分な強度を有することが非臨床試験で確認されたことから、本品の有効性及び安全性 は、X-STOPと同様であると説明しました。  また、海外臨床試験成績の活用について、本品の作用機序は棘突起間に挿入し、その間 隔を保持するという物理作用にあるため、人種差が臨床成績を左右することはないこと。 また、腰部脊柱管狭窄症の治療方針、手術適応等の医療環境及び生活様式について、日米 間に差がないことを踏まえ、pivotal studyの結果に基づいて、本品の本邦での臨床使用 に際しての有効性及び安全性を検証することは可能と説明しました。総合機構は、申請者 の説明を了承いたしました。  次に、本品の臨床的位置付け及び適応の妥当性について、申請者は非外科的治療に副作 用や無効例が存在すること、外科手術の侵襲が大きく、合併症等のリスクを伴うことを踏 まえ、局所麻酔による手術が可能で、骨や軟組織を温存する本品は侵襲が低く、非外科的 治療に奏効せず、従来の外科手術に適応するまでの中間段階の患者に適応することで、外 科手術までの期間を延ばす可能性が期待されると説明しました。  また、pivotal study及び文献報告に基づいて、6か月以上の非外科的治療に奏効しな い症例に適応すべきと説明しました。さらに、高齢者が本品の適応となる可能性が高いこ とを勘案し、棘突起骨折のリスク低減措置として、重症骨粗鬆症患者を禁忌・禁止とする と説明いたしました。  総合機構は、申請者の説明をおおむね了承しましたが、pivotal studyでは50歳以上 で6か月以上の非外科的治療に奏効しない患者に対して、有効性及び安全性が示されてい ることを考慮し、専門協議等の議論を踏まえ、本品の適応を原則6か月以上の非外科的治 療に奏効しない、50歳以上の腰部脊柱管狭窄症患者とすることが妥当と判断しました。  また、個人差が大きいという腰部脊柱管狭窄症の病態及び医療実態に鑑み、本品が安易 に使用されないために、適応を慎重に選定する必要があると考え、そのための承認条件を 付すことが妥当と判断しました。  また、長期成績について、申請者はpivotal study、その後の長期使用成績調査及び本 品の承認後状況調査において、十分な有効性を示しており、症状が改善されず外科手術へ 移行した割合は対照群より有意に低く、従来の外科手術後の再発率に比較しても高いもの ではないと説明しました。  総合機構は、非外科的手術に奏効せず、外科手術までの期間をなるべく延ばすという本 品の臨床的位置付けを踏まえると、実際に外科手術へ移行するまでの期間をどのぐらい延 ばせるのかなど、本品の長期使用成績は非常に重要と考えています。本品の本邦における 使用経験がなく、海外においても12か月の使用成績しかないことを勘案し、今後は米国 で実施中の承認後状況調査を含め、長期的有効性及び安全性の検証が必要と考え、そのた めの承認条件を付すことが妥当と判断しました。  まとめまして、総合機構の総合評価として、審査報告書の19、20ページに記載した内 容となります。承認条件として、1.「使用する医師に対する講習等の実施」、2.「実施 医療機関の選別」、3.「長期成績等収集」となります。以上を踏まえて、総合機構にお ける審査の結果、本品を原則6か月以上の非外科的治療に奏効しない、50歳以上の腰部 脊柱管狭窄症患者における腰背部痛及び下肢痛の緩和のため、対象棘突起間に留置するこ とによって、罹患椎を屈曲位に保ち伸展位になることを制限するという使用目的で承認し て差し支えないと判断しました。なお、本品は新使用目的医療機器であると考えて、再審 査期間は3年とし、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと考えております。 以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 参考人の菊地先生から、何か御意見をいただけますでしょうか。 ○菊地参考人 簡単に六点ほどお話したいと思います。一つは、この機器は脊柱管の外だ けの操作で神経組織の除圧を行うという点で、従来の圧迫を取り除く手術とは全く異なる 発想からなっているというのは大きな特徴だと思います。二点目は、従来の手術はどうし ても受け入れ難い、あるいは高齢者では全身的な問題により、手術が不可能な症例に対し ても適用可能であるというのがもう一つの特徴だと思います。  三点目は、脊柱管狭窄に対する本格的な手術を受けなければならない時期、タイミング を後ろに延長できる可能性が期待できます。四点目は、海外にはほとんど報告がなく、我 が国で非常に多い馬尾障害に対して、確実な除圧効果が認められているという結果は、我 が国でしか出せませんので、我が国での追跡調査でこれを検証する必要があるかと考えま す。  五点目は、先ほど指摘があったように、海外も含めて中長期成績が出ていません。それ から、屈曲位をとるというので、周囲の組織、椎間板や椎間関節に対する影響、これが分 かりませんので、ここでもこの点も含めると、我が国での市販後の追跡調査はやはり必須 であると考えます。  最後に、手技自体が非常に容易です。それがゆえに、脊椎外科の十分な知識や技術を有 さずに、安易に実施されてしまう危険性があります。この結果、この機器の本来の意義ま で損なわれてしまうのではないかということが危惧されます。したがって、これを避ける ために、承認事項に指摘されているように、適応を選択できる施設、あるいは医師による 使用が望ましいと考えます。以上です。 ○笠貫部会長 本件について、委員の皆様方からの御意見、御質問はありませんでしょう か。 ○荒井部会長代理 本件の議論になじまないので、最初に発言をさせていただきます。こ れもやはり海外で8万件ぐらい使われていて、これは国内の治験なしで、海外のpivotal studyのデータを外挿して承認されています。そうすると、前のものとこの場合とでスタ ンスというか、基準が異なっているように思われます。本品に対しての疑問ではありませ んが、そこに齟齬を感じるという点だけは発言として記録しておいていただきたいと思い ます。 ○医療機器審査第二部長 前の製品と本品との大きな違いは、このものについては海外で の臨床試験が行われております。一つ前の製品については、米国では510(K)で承認され ているとおり、特に臨床試験が全く行われていない。臨床成績の蓄積がありますが、試験 が行われていないという大きな違いがありますので、これについては海外で適切に行われ た臨床試験を評価させていただいたということです。 ○荒井部会長代理 余り話を戻したくないのですが、しかし、先ほどのは適用を治験以上 に拡大する段階でかなりいろいろ海外のデータを使っていらっしゃる。あれは臨床試験と しては認めなかった筈ですが、これは認められるという。実際には、先ほどの製品では、 適用のぎりぎりのところで、臨床試験として認めないわりに、そのデータを参考にして判 断されていた。要するに、どのレベルのデータならデータとして活用できるのか、という 境界線が明確でないと感じる訳です。笠貫先生の御意見にもありましたように、一度、御 検討いただければという希望を申し上げておきたいと思います。 ○笠貫部会長 今の問題は、これからこれはこういう根拠でということでお話していただ くということですね。無作為試験がなかったということが根拠なら根拠として挙げていた だいて、そうでないデータをもとに日本の適用というときにはこういうものでということ をきちんと述べて、説明の中に入れていただきたいというのが荒井委員の御指摘とさせて いただいて、これからそういう形でお願いしたいと思います。  この機器に戻りまして、御質問、御意見はありませんでしょうか。先ほど、素晴らしい 六点の特徴が挙げられましたが、日本で導入がこれまで遅れたという理由は何かあります でしょうか。 ○菊地参考人 こんなもので治るかなと思っていたのではないでしょうか。 ○笠貫部会長 これは早期導入の希望のあるという医療機器の中のものではありません でした。早期導入が望まれる医療機器を取り上げるシステムはあるのですが、そこにも上 がってこなかったという中で、先生の六点の指摘からこれが通ることは素晴らしいことと 思いました。どなたか御意見がありますでしょうか。 ○塩川委員 私は脳外科なのですが、脊椎脊髄は専門でないので、承認条件で「十分な知 識を持った者が十分に」という記載がありまして、先生から比較的、手技として難度が低 いので濫用が危惧されるということですと、例えば実施施設の基準とか、実施医の基準と か、指導医の基準とか、そういうことを脊椎脊髄の学会などで決めるような方向にあるの でしょうか。 ○菊地参考人 それが非常に難しい問題がありまして、脊椎外科を取り扱っている学会 は、先生の所の脊髄外科学会、それから整形外科にある今度法人格を取った脊椎脊髄病学 会の二つがあります。どちらもまだ政府が認定しているような専門医制度でなくて、学会 認定の専門医、両方ともそうですね。そんな中に指導医がありますので、指導医に限定す るのも一つの手だと思いますが、本当にそこまできちんとオーソライズされていないもの に、そういう権限が与えられるのかどうかが非常に不安というか。本当はそれが一番簡単 で、一番よいのはメーカーがこの品質、このような高齢者、プアリスクの患者さんに、う まくいけば非常に恩恵を与えるものなので、そのイメージを壊さないことはメーカーが見 れば絶対分かるはずですね。この施設は駄目だとか、いいとか、そういうことが一つかと 思います。 ○塩川委員 自主規制だというようなことですか。 ○菊地参考人 学会の指導医に施設認定をしてくれというのであれば、脊髄外科と脊椎脊 髄病学会でやれば、ほぼ100%カバーはできると思います。 ○笠貫部会長 その点に関して、この部会の方向として、企業にそれを全面的に依存する のはリスクが高すぎるということで、複数の学会に跨がる場合には、複数の学会で一つの 基準、ガイドラインを作っていただき、適応、あるいは医師、あるいは医療機関という承 認条件は、そういうことを意味していると考えてもよろしいかと私は思っているのです が、委員の先生方はそれでよろしいでしょうか。 ○菊地参考人 私は今、脊椎脊髄病学会の理事長をしているのですが、国民にとってこの 機械の導入は、選択肢の多様性を与えるという点ではよいので、そのための手段として脊 椎脊髄病学会と脊髄外科が一緒に、合同で適正使用ガイドラインを立ち上げるというのは 何の問題もなくて、むしろ良いことなのだと思います。私がこんな発言をしていいのかど うか分かりませんが。 ○笠貫部会長 これまでもこうした医療機器については、二つ、あるいは三つ、多いとき は四つぐらい学会が複数で作っていただいていますので、是非それをお願いしたいと思い ます。ほかにはございませんか。 ○石山委員 ちょっと教えていただきたいのですが、添付文書の3/5の所です。この器具 はチタン合金ですが、MRIとの親和性です。使用上の注意で、「次の条件下で安全にス キャンされた」ということで、静磁場のMRIで3.0テスラ以上で安全にスキャンされた ということは、これはそれ以上で使うことがいいということになるのですか。今現在、M RIですと2.5テスラとか4.0テスラもありますが、これは3.0以上で使うことが望まし いという意味でよろしいのでしょうか。 ○機構 これは、多分メーカーの方で実際3.0テスラ以上で実施した場合、安全だったと いう一つの目安として提示していただいていることだと思います。 ○石山委員 それ以下ですと、これはどうなのですか。むしろそれ以下の方が多いのです か。 ○機構 そうですね。それ以下でまだ情報は入手はしておりません。確認してまいります。 ○菊地参考人 これは多分これ以上でやっても大丈夫だったから、これ以下では大丈夫だ ろうということなのだと思うのです。 ○石山委員 そういう意味ですか。そうすると、「次の条件下でも」と、「も」が入らな いとまずいですね。「次の条件下で安全にスキャンされた」。「も」が入ればいいわけで すね。 ○審議役 さらにそこのところは、もっと上のMRIアーチファクトが生じることで知ら れているチタン合金を使用しているということで、要するにこれ以下だと画像が。 ○石山委員 歪んでくる。 ○審議役 アーチファクトで診断が困難になってきて、3.0以上だったとすれば、きちん と画像がクリアに鮮明であったと、スキャンされたという事実を書いてあるという。 ○石山委員 3.0以下ですと、歪んでくるわけですか。 ○審議役 アーチファクトが心配されるということではないでしょうか。 ○石山委員 そうすると、やはりこの文書のように3.0テスラ以上のMRIを使いなさい ということですか。 ○審議役 使えば、クリアな。 ○石山委員 クリアな像が。 ○審議役 アーチファクトということでは、影響が少ないのではないかという目安ではな いかと思います。 ○石山委員 逆にテスラを上げると、今度、温度が上がりますよね。 ○審議役 ここのところは画像と判断基準で3.0ぐらいの所でアーチファクトの影響に ついてはあれだという、一応目安が書いてあるので、そこは選び方だと思います。 ○石山委員 使用上の注意、重要な基本的注意という中では、3.0以上を推奨しますとい うニュアンスでよろしいのですか。 ○審議役 それでアーチファクトの影響については3.0でスキャンされたということで、 参考にしてくださいという数字です。 ○石山委員 そういう意味ですか、分かりました。 ○笠貫部会長 ほかに御意見がありませんでしたら、議決に入りたいと思います。医療機 器X-STOP PEEK インプラントについては、本部会として承認を与えて差し支えないもの として、再審査期間は3年間とする。また、高度管理医療機器として指定し、特定保守管 理医療機器、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要とすることでよろしいで しょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議については、 次回の薬事分科会において報告することといたします。この議題については終了いたしま すので、参考人の菊地先生におかれましては御退室をお願いします。本当に貴重な御意見 をありがとうございました。 ── 菊地参考人退室 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題5、バード アジェント I.Cの製造販売承認の可否等 について、審議を行いたいと思います。本品目の審議に当たっては、参考人として国立病 院機構名古屋医療センターがん総合診療部部長の坂英雄先生に御出席いただいておりま す。よろしくお願いいたします。審議品目の概要について、事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局 御説明申し上げます。資料5-1、資料5-2、参考資料4-1、これはクラス分類 ルールですが、先ほども御覧いただいたものです。資料5-1、審査報告のタブ、オレンジ 色のものですが、4ページに審査報告があります。こちらは、ものとしてはよく御存じの 気管チューブで、今回何が新しいかというと、審議品目の概要の2.の一番下の部分にあ るように、親水性の銀コーティングが施されているというもので、使い方などは既存の気 管チューブと全く一緒のものです。  1.の審議品目の概要の一番下の「申請時の使用目的」ですが、こちらについては親水 性の銀コーティングということで、菌の生着を防止する作用があるということで、24時 間以上の挿管時間が想定された患者さんについて、こちらを使うことによりVAPの発症 率の低減を期待できるというものです。  こちらの抗菌性がある品目については今までなかった品目ですので、今回御審議をお願 いしているところですが、この品目についても今まで該当するものがないということで、 一般的名称の追加が必要になります。資料5-1の一番上のタブ、「新一般的名称クラス分 類等」をご覧ください。新たな一般的名称ですが、抗菌性のある物質がコーティングされ ており、VAPの防止を目的としてコーティングされているものについて、新しい名称を 案としているものです。  一番下ですが、クラス分類としては分類III、高度管理医療機器、特定保守、生物は非該 当という案としております。品目の概要、詳細については、総合機構より御説明申し上げ ます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料5-1を御覧ください。本 医療機器の審査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただいております。審査報告書4、 5ページの品目概要をお示しいたします。本品は呼吸管理に用いられている気管内チュー ブに、挿管時におけるチューブへの微生物の付着を抑制することを目的に、気管チューブ に親水性の銀コーティングが施されており、銀の持つ抗菌性により人工呼吸器関連肺炎 (以下VAP)、VAPの発症率の低減、発症期間の遅延を意図しています。  審査報告書6ページの本品の海外における承認・使用状況と副作用の概要について御説 明いたします。本品は、米国で2007年に510(K)を取得し、他、カナダ、メキシコ、韓国 でそれぞれ承認を受け、これまでに約□□□□本の販売実績があり、スライドに示すよう な不具合、有害事象が報告されております。  本品の審査に当たり、御覧の資料が提出されております。審査報告書6ページ〜12ペ ージに、各資料に対する審査結果を記載しております。本品の新規性である銀コーティン グの安全性・有効性についての論点を除く他の資料には特段の問題を認めなかったことか ら、専門協議の議論を踏まえ、これを了承いたしました。  審査における銀コーティングの安全性と有効性に関しての論点を御説明申し上げます。 本品は、生物学的安全性試験において、細胞毒性所見が見られており、その件について、 本品の安全性について、申請者の見解を求めました。申請者は、スライドにお示ししてい るように、検体抽出液の希釈サンプル及び他の非臨床及び臨床試験で問題が見られていな いことから、安全性については許容可能であると説明しております。しかし、総合機構は 細胞毒性試験において抽出液を2倍希釈したサンプル、約□μg/cm2相当では、仕様の範 囲内にも関わらず細胞毒性が見られていることから見て、本品の仕様である銀含有量□〜 □μg/cm2の範囲において、上述の細胞毒性を示す可能性が払拭できないと判断いたしま した。  一方、実際の製品の銀含有量はおおむね□〜□μg/cm2となるように製造されており、 実際の製品においては臨床試験成績、市販後の臨床使用を通じ、銀に由来すると考えられ る有害事象は認められておりません。そのため、現状の製造方法では、製造方法の工程管 理上、規格値を厳密に設定することが困難であるため、銀含有量を□〜□μg/cm2とする ことは当面やむを得ないと考えますが、適切な製造管理において、「早急に、本品の銀含 有量の規格値の幅を適切な値に見直すこと」の指示等、銀コーティングの影響について調 査を行うことにより、本品の銀の安全性については許容することといたしました。  また、銀コーティングの有効性については、スライドに示してある1)〜4)の理由から、 気管チューブ表面において微生物付着の抑制効果がある程度維持されるとする申請者の 見解を、妥当と判断しております。ただし、動物による使用模擬試験についての試験実施 期間は4日間であり、動物試験による長期的な有効性は確認できていない。また、長期の 有効性に関しては、いずれも銀含有量□μg/cm2以上の検体を用いて、微生物付着試験を 実施したものであり、本品の使用最低値の□μg/cm2の有効性については、長期的な有効 性に関する十分な根拠が不足していると考えられ、安全性において述べた本品の銀含有量 の規格値の範囲の見直しにより、長期的な抗菌性能が確認されている範囲に調整すること が必要と判断いたしました。  続きまして本品の臨床試験に関して、審査報告書12ページ〜21ページの概要を御説明 いたします。本品の臨床試験として、米国及びカナダで行われ、非銀コーティングの気管 チューブを対照とした単一盲検比較対照試験の結果が提出されています。  各種評価項目においてVAPを微生物学的に起炎菌を同定したVAPをmVAP、X線 写真及び臨床的な徴候により診断されたVAPをcVAPとし、御覧の項目について評価 が行われております。  mVAP及びcVAPの詳細な診断基準についてはスライドには示しておりませんが、 審査報告書13ページの表1を御参照ください。  審査報告書14〜15ページに記載されております臨床試験成績の概要を示します。本臨 床試験において、主要評価項目であるmVAPの発症率、また副次評価項目であるmVA Pの発症までの期間、及び挿管後最初の10日間でのmVAPの発症率について対照群に 対して有意差が見られており、他のcVAPに対する評価項目や、死亡率については差を 認めておりません。  審査報告書17ページに記載されている有害事象の発生率と発生件数についての概略を 御説明いたします。被験群と対照群において重篤及び重症度、また治験機器との関連性、 手技との関連において両群での差は認められておりません。また、機器との関連性につい て、スライドには示しておりませんが、審査報告書18ページの表4に記載させていただ いたとおり、本品に特有な事象は認められておりませんでした。  審査報告書18〜21ページにおける臨床試験に対する審査上の論点について御説明申し 上げます。まず、臨床試験の主要評価項目を臨床現場で診断されるVAPに近いcVAP の発症率ではなく、mVAPの発症率としたことについて、申請者の見解を求めました。 申請者は、臨床現場においては気管支肺胞洗浄液の培養を日常的に行っていないため、臨 床症状及びX線写真上の判定で通常VAPを診断している。その意味では、臨床現場へ外 挿できる指標としてはcVAPが適切であると考えるが、cVAPは気管チューブを介し た感染によること以外に、様々な原因で発症するため、cVAPを主要評価項目に用いる と、それらのノイズにより本品の評価が適切にできないことが懸念されたため、mVAP の発症率を主要評価項目としたと回答しております。  総合機構は本品がVAPの原因の一つと考えられている気管チューブ表面での微生物 の増殖を抑制することにより、効果を発揮することから、本品の有効性を直接的に確認で きる指標であるmVAPの発症率を主要評価項目として本品の有用性を評価することに ついては、おおむね妥当と判断いたしました。  次に臨床試験において、死亡率やcVAP関連の観察項目に有意差が確認できなかった 点を踏まえ、本品の臨床的な有用性と位置付けについて申請者の見解を求めました。  申請者は本品の対象患者は重篤な疾患を併発している場合が多く、先ほどの論点でもあ ったように、cVAPの発症が気管チューブ関連以外に原因が考えられることをかんがみ ると、本臨床試験のみで、本品による死亡率の低減及びcVAPの低減を評価することが 困難であること、また、cVAP関連の評価項目、死亡率についてはそれらの項目につい て十分な検出力を有する試験デザインとなっておらず、本臨床試験のみでは厳密な意味で の有意差を議論できない。  しかしながらmVAPの発症群、非発症群での比較解析の結果、挿管期間、ICUの在 室期間、入院期間に関し、mVAPの非発症群において短縮が認められていること、及び 国内外での臨床研究で、VAPの発症が死亡率を高める報告がなされていることをかんが み、mVAPの発症率を低減することは臨床現場におけるVAP発症率の低減を期待でき るものとしています。  総合機構はmVAPの発症率の低減により、臨床上の有用性が期待できると判断するこ とは妥当と考えるが、本臨床試験からcVAP及び死亡率の低下については観察されなか ったことは事実であり、VAPの発症リスクの高い患者を選択して使用するなど、慎重に 適応を選択して使用することが必要と考えております。  また、本品には細胞毒性所見などが認められていることをかんがみると、本品をVAP の発症リスクに関係なく、人工呼吸器を使用する患者に漫然と用いることは現時点では妥 当でないと判断いたしました。  以上より、申請当初の使用目的、効能又は効果から「挿管時間の予測がつかない場合」 を削除することにより、本品の使用を長期的な挿管による呼吸管理が必要なVAPの発症 リスクが高い患者に制限すること。また、臨床試験においてcVAPの発症率や死亡率に 対して有意差は確認されていないこと、及び本品を使用することのリスクとベネフィット を勘案し、有用性が見込まれる患者に適切に使用することについて、添付文書で注意喚起 することといたしました。  また、本品は通常行う感染予防措置を軽減して使用することは適切でなく、通常の感染 予防措置を十分に行った上で使用する旨を、添付文書で同じく注意喚起することとしまし た。  なお、本品は国内医療環境における有効性及び安全性は確認されていないこと、本品の 有効性及び安全性を確保するためには、患者を適切に選択することが重要であることか ら、御覧の承認条件を付すこととしました。  製造販売後、一定数の症例が集積されるまでの間は、全症例を対象として、使用成績調 査を実施することにより、患者背景を把握するとともに、本品の安全性及び有効性に関す る情報を収集し、また、必要により適切な措置を講じることとしました。  総合評価です。総合機構は以上の審査の経緯を踏まえ、こちらにお示しします使用目的 で承認することが妥当であると判断いたしました。なお、本品は新性能医療機器であり、 再審査期間は3年とし、生物由来製品又は特定生物由来製品には非該当と考えておりま す。以上、御審議のほどお願いいたします。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。それでは参考人の坂先生の方から何か御 意見はございませんでしょうか。 ○坂参考人 この新規の銀コーティングのチューブというのは、アメリカ等では既に使わ れていると聞いておりますので、それを日本に導入するということになるわけですが、し っかりした比較試験がありますので、主たる項目であるmVAPについて幾つかの項目で 有意差があるということは、科学的に見てそれなりの効果があるということは証明されて いるという点で、科学性は担保されていると思います。ただ、今お話がありましたように、 cVAPに関して有意差がなかったという点は多少問題になりますが、それは幾つかの指 標の中で総合的に判断すべきだろうという点は今総合機構が述べられたとおりだと思い ますし、その判断は総合的に見て妥当であると考えました。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。それではこの機器について委員の先生方から御 質問、御意見はございますでしょうか。 ○荒川委員 銀の濃度が製造段階でうまくコントロールできないという、その辺の説明を いただきたいと思います。 ○機構 基本的に本品の仕様は品目仕様の銀含有量が□〜□μg/cm2という形で規定され ていることに関しては、最初の安全性及び有効性の非臨床試験から決定されていることな のですが、実際に総合機構に関しても先ほどスライドの中でお示ししましたように、細胞 毒性が範囲内では見られておりましたので、品目仕様に関してもう少し狭い範囲で規定す ることはできないかという形で、申請者に対して照会を投げております。  申請者から返ってきたところでは、この気管チューブの銀コーティングの製造工程にお いて、気管チューブを銀コーティング材に□□をする製造管理において、比較的ばらつき が見られていることと、実際に個別のサンプルの銀含有量についての標準偏差を管理する 上では、現状の製造管理のところではある程度大きな幅を持つことが、どうしても避けら れないという回答が得られております。  先ほど示しましたように、現状で製造されているものに関しては□〜□μg/cm2ぐらい の銀含有量として出てきているのですが、製造工程の管理の上で正確に言いますと□〜□ μg/cm2の幅が必要だということで、製造業者は現状のところの管理では、品目仕様の幅 が必要であると回答してきたために、現在のところではもう少しきちんと製造管理するこ とで、現状の品目仕様の幅を狭めていただけないかということで、現在協議をしていると ころです。 ○荒川委員 濃度が高いところが本当に臨床的に問題であるならば、やはり製造した後の 製品チェックのところで高いものは撥ねるというようなことをすべきではないですか。 ○機構 結局幾つかのサンプルで抜き取りのチェックはやっておりまして、実際に製造さ れているものの中で、□μg/cm2を持つような製品は出荷されておりません。抜き取りで 銀含有量を今計っておりまして、その結果、大体□〜□μg/cm2のところに収まっている という形で報告はされています。 ○機構 少し補足をさせていただきます。結局これは想定される幅の範囲での議論と、実 際に測ったものの数値とのギャップに基づくものになっています。工程の揺らぎがありま して、その工程間の揺らぎの幅を勘案し、さらにその銀のコーティングにおける濃度の幅 やいろいろな工程中の揺らぎを総合すると、今のこの工程をそのまま維持するのであれ ば、この□〜□μg/cm2という形でしか、製造元が担保ができないという、揺らぎの幅と して担保ができないという回答が出ております。  こちらとしてもその点について非常に重要な項目だと思っておりまして、早急に見直す ように、今指示を出しております。ただ、市販された後に、銀に関する不具合に関する報 告が出ていないということ、それも含めまして、早急にその部分を押さえたものでないと、 健康被害が出るという点では、今の時点でそこまでのものではない可能性もありますが、 やはりデータから見ますと、□、□という辺りを押さえていますので、もう少しというか、 適切に絞った形に変更するように、審査報告書ではなくて指示事項という形で指示を出さ せていただいておりまして、承認後、早急に見直して、そこは適宜見直し次第、申請の内 容を変更するという形で対応させていただいております。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。 ○正田委員 やはりmVAPとcVAPの差があるということが気になって、実際の臨床 の現場でcVAPというか、いろいろなことが起こること全部を含めて患者に何が起きる かということが問題になるだろうと思うのです。逆にmVAPが少ないにもかかわらず、 cVAPは差はない。あるいはこれを見ると数値が少し高いぐらいなのですが、その引算 の部分というのはどう考えればいいかというと、どうなのでしょうか。  これは細菌はいないけれども、患者に何かが起きることがより銀コーティングしたこと で起きているという裏返しにはならないのでしょうか。そのことがすごく気になってい て、重症化するのかとか、顕在化するのか、ほかに起きていること、つまり、細菌は押し 込まないけれども、ほかのことでcVAPがより増えているという可能性がないのかとい う点だけが少し気にはなっているのです。 ○坂参考人 それはこの試験の一番の問題点だと思います。それに関しては先ほど機構か らも説明がありましたが、どうしてcVAPで差が出ていないけれども、それが有用であ るかということのもとになるわけですが、彼らの説明でもあるように、確かにcVAPと いうのはいったん起こってしまいますと、致死率がかなり高い病態ですので、それをいろ いろ改善する意味でいろいろな機材を投入するという観点から言えば、この挿管チューブ だけで総体としてのcVAPというものを全部うまく改善できるかどうかというところ までも、どうも少なくともこの数では、それは証明できないというふうにとらえるべきか なという解釈をせざるを得ないかと思っています。  もっとより厳密に洗浄というような、普段は余りやらないことまでやって、科学性を高 めたところの調査ではじめて差が出るという程度のことであって、細菌学的に減らす効果 は有意差はあるけれども、総体として見た全体像としてのVAPまでは全体をこれだけ、 挿管チューブではコントロールは、そこまで力はないというところが解釈すべき点だと理 解しております。 ○正田委員 細菌に関しては押さえていくということで、幾つかある因子の一つはこれで やりましょうと考えればいいということですか。 ○坂参考人 はい。 ○笠貫部会長 私もこのmVAPを主要評価項目にしているというこの試験のプロトコ ル自身に、一つ疑問を感じないわけではありません。それと価格は私は分かりませんが、 コストパフォーマンスがどうなのでしょうか。坂先生にお聞きしたいのですが、アメリカ ではこれだけ売れていて、ヨーロッパでは全然入っていない。日本ではかなりニーズとし て実際に高いものでしょうか。 ○坂参考人 これはディスカッションの中でも、どのくらい実際に出るものかというのが なかなか読めないということが結論だと思います。機構側もそのようなことをお考えのよ うですし、お聞きしますと、実際は挿管チューブが使われている全体の中での使用パーセ ントはアメリカでも□%以下という使用の本数であるということで、あれはかなり特殊な リスクの高い患者に実際は使われているという、価格がかなり高いということも影響して いると思います。ヨーロッパの実情は存じませんけれども、アメリカではそういった意味 でそういう点で抑制がある程度かかって使われていることが実態だと思います。恐らく日 本でも価格のこともありますし、保険制度のこともありますので、そうは安直に使うもの ではないというのが大前提だと思います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ほかにはございませんでしょうか。ありませんで したら、議決に入りたいと思います。医療機器バード アジェント I.Cについては、本 部会として承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とする。また、高度 管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器、生物由来製品及び特定生物由来製品 への指定は不要ということでよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議については、 次回の薬事分科会において御報告させていただきます。それではこの議題は終了いたしま したので、参考人の坂先生には御退席をいただきたいと思います。貴重な御意見をどうも ありがとうございました。 ── 坂参考人退室 ── ○笠貫部会長 それでは報告事項に入りたいと思います。議題6、医療機器の再審査結果 について、事務局より御報告をお願いします。 ○事務局 資料6-1を御覧ください。ビズラスPDTシステム690Sですが、こちらの医 療機器は1ページ目の確認等の結果の真ん中の部分の5行目にありますように、入院管理 により、ベルテポルフィンによる光線力学的療法を施行するときに、そのレーザーとして 使われる医療機器です。  2ページを御覧ください。これまでの経緯という部分があり、2パラグラフ目の下から 2行目に、医薬品、ベルテポルフィンが平成15年10月に、この医療機器自体は平成15 年12月に承認されています。医薬品の方は希少疾病用医薬品ということで再審査期間10 年で、まだ再審査期間中です。医療機器は希少疾病のみに用いられるものではないので、 通常3年の再審査がついていたもので、今回再審査期間が終了して、その審査結果を今回 御報告するというものです。  その下を御覧いただきますと、本機器の承認条件という部分があり、2つの承認条件が 課されて承認されているところです。1つ目はレーザー照射、光照射による十分な知識、 経験がある医師により使用されるように措置を講ずることということを製造販売業者に 課していること。2番目はベルテポルフィンを投与することにより、後で日光などに当た りますと過敏症等を発症する可能性があるということで、それを予防するためにこのよう な条件を課して、今は入院管理を必須としているというところです。  今回の再審査により、医薬品も同様に評価しており、この入院管理まで必要とする事例 があったのかどうなのかという観点からの評価も行われているところです。  使用成績調査の概要は3ページにありますが、医薬品の販売業者と医療機器の販売業者 の共同で行われ、2パラグラフ目の3、4行目にありますが、全国99施設より3,230例 の成績が報告されています。  使用効果、安全性については特に承認前の知見と特に問題になる事例はなく、この医療 機器についてはそのまま製造販売を継続して差し支えないのではないかという結果です。  承認条件の部分については14ページを御覧ください。一番下に表3があり、こちらに 光過敏症反応の年度別発現件数という形でまとめさせていただいています。本邦では管理 は非常によくされており、海外では合計13件ありますが、日本では若干ポツポツはあり ますが、合計10件で、承認条件の入院管理については、対応は可能ではないではないか ということで、承認条件の2は解除してよいものと、総合機構の調査により判断はされて いるところです。  総合評価としては15ページの一番下ですが、薬事法の第14条第2項のイ〜ハまでに該 当しないということで、効能効果がなかったりだとか、そういうような不承認の事由に該 当しないということで、このまま再審査の結果、製造販売は継続して差し支えないという ものです。以上でございます。 ○笠貫部会長 委員の先生方から御意見、御質問はございませんでしょうか。再審査とい うことで少し時間が経っていますが、この十分な認定された医師についてもきちんと守ら れていたということです。今承認条件がたくさん付いていますので、こういったことをき ちんとフォローして、こういうところで報告されるということは、大変大きな意味がある ことだと思います。この件について御質問はございませんでしょうか。それではこの議題 については終了させていただきます。  続きまして議題の7、部会報告品目について、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局 資料7-1、横の資料です。本年1月1日〜3月31日までの3か月間に承認さ れた品目のうち、本部会への報告対象となっている品目について、こちらの一覧表にまと めさせていただいたものです。医療機器が10品目です。こちらについては時間の都合上、 詳細な説明は割愛させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。この報告品目についての御質問はございますで しょうか。それではこの議題も終了とさせていただきます。私の方の進行はこれで終わら せていただきます。事務局から何か御報告はございますでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 本日もどうもありがとうございました。次回の予定について御 案内させていただきたいと思います。次回の部会は8月19日(木)、午後3時からの開催 を予定しております。通常2時間を目処にしておりますが、品目数によっては2時間半程 度ということで、御予定をいただければ幸いに存じます。連絡事項は以上ですので、特に 御意見等がないようでしたら、部会は終了させていただきますが、よろしいでしょうか。 それでは終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 高江(内線 2912)