10/04/28 第8回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会議事録 第8回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 議事録 1.日時及び場所   平成22年4月28日(水)10:00〜   経済産業省別館1111号会議室(11F)   (東京都千代田区霞が関1−3−1) 2.出席委員(11名)   ◎相澤 好治(座長)、漆原 肇、鍵 直樹、沢田 純一、武田 繁夫、土肥 誠太郎、   内藤 恵、中原 富美子、福島 葉子、三柴 丈典、望月 友美子(50音順、敬称略)   欠席委員   なし 3.行政機関出席者   平野 良雄(安全衛生部長)、高崎 真一(計画課長)、   鈴木 幸雄(労働衛生課長)、亀澤 典子(環境改善室長)、   永田 和博(主任中央労働衛生専門官)、徳田 剛(副主任中央労働衛生専門官)、   森 淳一郎(健康局生活習慣病対策室たばこ対策専門官) 他 4.議題   1.検討会報告書(案)について   2.その他 5.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○徳田副主任 それでは定刻となりましたので、第8回「職場における受動喫煙防止対策に関 する検討会」を開催いたします。  本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日の検討会は公開で行 われ、議事録は厚生労働省のホームページで公開されることとなっております。また、本日は 委員全員に御出席を頂いております。  続きまして資料の確認をさせていただきます。資料1が「第7回検討会の議事概要」、資料2 が「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会報告書(案)」です。落丁等ありましたら、 お気付きになり次第事務局にお知らせください。なお、マスコミ関係の頭撮りはここまでとさ せていただきます。  それでは座長、お願いいたします。 ○相澤座長 おはようございます。雨の中お集まりいただきましてありがとうございます。そ れでは議事に入ります。はじめに資料1の「第7回検討会議事概要」について、事務局から御 説明をお願いします。 ○徳田副主任 資料1です。これは2月15日に行われました第7回職場における受動喫煙防止 対策に関する検討会の議事概要です。1の検討会報告書骨子(案)について、事務局より説明 したあと、委員より以下のような意見が出されました。骨子の項目順にまとめてありますので 読み上げさせていただきます。  1 はじめに、ここに記述する際には、受動喫煙問題の今後の展望について書かれているとよ い。2 職場における受動喫煙防止対策に係る国内外の動き。喫煙対策の改善を望む労働者が 92%いるということは、喫煙者からも受動喫煙防止対策を進めることについて理解が得られて いるということである。3 受動喫煙の有害性(健康リスク)に係る認識。IARCの発がん性分類 に係る表現について、誤解のない表現に修正すべきである。たばこのリスクについてはここで 詳しい記述を要しないが、明らかに発がん性が認められるということは共通認識である。4 今 後の職場における受動喫煙防止対策。労働安全衛生法では、業種や事業場規模による例外は設 けていないが、顧客が喫煙する職場に係る対策については、段階的措置という整理ができるの ではないか。たばこの特有の事情として、「たばこが販売されている現状をかんがみると」と いう表現はあえてこの報告書に記述する必要はない。全面禁煙について、事業場とすると敷地 まで含まれるので、建物内に限定する表現とすべき。また、車内も入るようにすべき。事業規 模によって労働者の健康に格差があるべきではない。受動喫煙防止対策として、「防止」と「低 減」の2通りの表現があり、若干ニュアンスが異なるので、整理したほうがよいのではないか。 たばこ煙による健康影響が生じた場合であったとしても、そのすべての原因が職場における受 動喫煙とはいえないと記述するのは、受動喫煙防止対策を進める観点からは適切ではないので はないか。5 具体的措置。事業者が措置を講じる際、労働者についても対応が必要となるが、 協力という言葉では弱いので、表現を検討したほうが良い。受動喫煙による健康影響だけでな く、喫煙による健康障害ということも入れることを検討してもよいのではないか。国の責務に ついて、記述することが適当であるかを含め検討してもよいのではないか。6 事業者に対する 支援。事業者に対する技術的支援、財政的支援について、もう少し具体的に記載できないか。 中小企業だけでなく、全般的な援助があると助かる。事業者にとって、受動喫煙防止対策に関 して何らかの相談体制があるのは、望ましいことである。7 留意事項。受動喫煙防止対策が今 後どのようになるのか、進捗状況の確認についても記載したほうがよいのではないか。建物貸 与者の協力については、この表現ではわかりづらいので、もう少し具体的に記載したほうがよ いのではないか。以上です。 ○相澤座長 ありがとうございました。議事概要について、委員の先生方から何かお気付きの 点ございますか。よろしいですか。                  (了承) ○相澤座長 それでは次に資料2 検討会の報告書(案)について事務局から御説明をお願いし ます。 ○亀澤環境改善室長 それでは資料2に基づいて御説明いたします。これは前回お示した骨子 案に対して頂いた御意見を元にして作成したものです。変更したところを中心に御説明いたし ます。  1 はじめには、前回の案では項目のみでしたが、資料1で今事務局から御説明しました、委 員から今なぜ職場の受動喫煙防止対策について検討を行うのかとか、今後の展望などについて 記載すべきとの御意見がありました。このうち、今なぜ行うのかということについてここに記 載しております。これは本検討会の開催要綱を参考にしてまとめたものです。なお委員の方か ら御指摘いただきました今後の展望については8番に表現して入れています。後ほど御説明い たします。  2 職場における受動喫煙防止対策に係る国内外の動きについては、骨子を踏襲しながら若干 の情報追加をしております。まず(1)我が国における受動喫煙防止対策ですが、第1パラグラ フは平成4年労働安全衛生法が改正され、快適な職場環境を形成するように努めることとされ た労働安全衛生法の改正について記載しています。それに伴い同じく平成4年7月に「事業者 が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」が公表されまして、その中に「作 業場内に喫煙場所を指定する等の喫煙対策を講ずること」と書いております。さらに同指針に おいて定められた、職場における喫煙対策が適切に実施されるよう、平成8年2月に「職場に おける喫煙対策のためのガイドライン」が策定されたことを記載しています。第2パラグラフ は平成15年ですが、健康増進法が施行され、同法25条において多数の者が利用する施設の管 理者は、これらの施設を利用する者の受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努め ることとされています。  次のパラグラフは、同じく平成15年にこのような動きを背景とした、「職場における喫煙対 策のためのガイドライン」改正の動きを記載しています。ここでは事業者が事業場全体を常に 禁煙とするか、一定の要件を満たす「喫煙室」でのみ喫煙を認め、それ以外の場所を禁煙とす ることが望ましい、とされています。次のパラグラフはまた以下が新たに追加したもので、本 年2月に健康増進法25条に関連した健康局長通知が発出されました。そのためにそれを書いて おります。本年2月には健康局において「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」 が取りまとめられたことを踏まえ、健康増進法25条に規定された受動喫煙防止対策の基本的 な方向性について、「多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であ るべき」とする健康局長通知が発出されたというふうにしております。(2)の職場における受 動喫煙の現状と課題の最初のパラグラフは、新たに追加をしています。平成19年の労働者健 康状況調査による状況について、何度か御説明いたしておりますが、ここにおいて何らかの喫 煙対策に取り組んでいる事業場は全体の76%でした。それを遡り平成9年、14年と5年ごとに 行っている調査の結果を書いておりまして、事業場の取組の進捗について、ここでコメントを しています。11頁に別添1と参考資料がありますが、そちらのほうに関連のグラフが載ってお ります。また後ほど御覧いただければと思います。  第2パラグラフは前回の骨子と同じですが、具体的な対策、取組の内容を見ると、「事業場 全体を禁煙にしている」又は「喫煙室を設け、それ以外を禁煙にしている」といった有効な措 置を講じていない事業場の割合は全事業場の54%であるということです。その次の学校、病院、 都道府県庁等についてコメントをしたものをここで新たに追加をしております。それぞれ文科 省や厚生労働省の調査と比較し、学校、病院、都道府県庁等がほぼ100%全面禁煙、又は、空 間分煙の措置が講じられていることと比較すると、職場における受動喫煙防止対策の取組は遅 れていると言わざるを得ないというふうにまとめております。その理由としては前回の骨子で 書かせていただいたとおりです。同様に別添1のほうに関連資料を掲げております。  一方、労働者において、職場における受動喫煙に関する意識が高まってきているということ で、訴訟の例を示しております。この職場の受動喫煙により健康被害を被ったとする労働者が 損害賠償を求めた訴訟について、第1回に資料をお示しした江戸川区の職員の判例です。  次に、「以上のことから」というところは新しく出しておりまして、職場における受動喫煙 防止対策の現状は十分なものとは言えず、労働者からは一層の対策の充実が求められている状 況である、というふうにまとめております。  (3)国際的動向では、最初のところWHOたばこ規制枠組み条約の策定、批准と発効について 述べております。その次にそのようなことを背景とした諸外国の法律等による規制の状況をコ メントしていますが、最後の3行分、例えば英国においてはということで、例として一番進ん だ国の例を示しています。なお諸外国の状況については第1回目にも御説明いたしましたが、 この資料の13頁の別添2概要としてまとめております。  3 受動喫煙の有害性に係る認識について、IARCの発がん性分類において、受動喫煙というも のがグループ1に位置付けられていますが、委員から御指摘がありまして、表現をこのように 改めております。第2パラグラフは、先ほど申しました健康局の報告書ですが、ここにおいて 国際機関とか、アメリカ、イギリスをはじめとします諸外国における公的な総括報告に基づい たまとめがあります。ここでは職場に関連すると考えられるものについてそのまま抜粋をして おります。[1]〜[4]まで同じく記載しております。  次に7頁の4 今後の職場における受動喫煙防止対策について、(1)基本的方向、これは骨子 から内容の変更はありません。まず有害性の認識、国際動向等の受動喫煙を取り巻く環境が変 化していることを踏まえると、今後は、快適職場形成という観点ではなく、労働者の健康障害 防止という観点から対策に取り組むことが必要であるということ。さらに職場について、労働 者が選択することが容易ではなく、しかも一定の時間拘束されること。少し飛びますが、事業 者には安全配慮義務があることを考慮に入れると、事業者の責任において措置を講ずる必要が あることから、労働安全衛生法において、労働者の健康障害防止に着目した受動喫煙防止対策 を規定することが必要、というふうにしております。(2)たばこ特有の事情、これは少し整理 いたしまして、特有の事情とは事業者から見るとたばこ煙の発生源となる人には2種類あると いうことで、たばこ煙の場合は喫煙する者が発生源となると。その発生源は当該事業場の労働 者であれば事業者が全面禁煙や空間分煙に関し、事業場の中でルールを定めて取組を進めるこ とが可能としていますが、顧客に対しては、禁煙等とすることを事業者に一律に求めることは 困難であるというふうにまとめております。先ほどの資料1の説明で前回の骨子の、受動喫煙 の機会がほかの場合でもあるといったことを書いてありましたが、この表現は職場の対策等は 関連が薄いと考えまして削除しております。それと法の中でどういうところに位置付けられる かということについて御議論を頂いたことも書いていましたが、これも同様に、ここでは削除 をしております。  5 具体的な措置として、(1)は骨子からの内容の変更はありません。受動喫煙を防止するた めにはたばこ煙にばく露しない対策を講ずる必要があるが、この方法としては全面禁煙又は空 間分煙とすることが必要であるとしております。  8頁の(2)顧客が喫煙するため、(1)の措置が困難な職場における措置、これも骨子から内容 の変更はありません。飲食店、ホテル・旅館等の宿泊施設等の場所においても顧客にサービス を提供する労働者の受動喫煙防止という観点からは、今申しました全面禁煙又は空間分煙への 措置が必要。ただ現時点においては第2段落の顧客に対して、喫煙等とすることを一律に事業 者に求めることは困難である。そのような場合においても事業場に示る喫煙区域の割合を少な くして、当該喫煙区域からのたばこ煙の漏れを防ぐとともに、換気等による濃度の低減や、適 当な場合においては保護具の着用等の措置によって、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低 減させることが必要としております。ここで「低減」という言葉を使っております。  次の措置の効果を評価することが重要であることから、それが行えるように換気量や、何ら かの濃度規準等の設定を検討することが必要。その効果の評価方法は、簡便なものとするよう 留意することが望ましい、というふうにまとめております。このような換気等の措置を講じた 上でさらなる上乗せの対策メニューとしては、禁煙タイムの導入、人員配置に係るローテーシ ョンの導入が考えられるとしております。  (3)その他の対策ですが、(1)(2)の職場に共通の対策をここに書いております。まず最初は、 喫煙区域、禁煙区域の区域分けの表示を行い、労働者等に周知することが必要としております。 その次に事業者及び労働者双方が対策の必要性を理解することが不可欠として、それぞれ事業 者及び労働者に対して、受動喫煙による健康影響について教育を行うことが重要と書いており ます。前回委員から喫煙による健康影響についても入れることを検討してもいいのではないか という御意見を頂きましたが、この検討会の趣旨が受動喫煙防止対策であることから、ここに は盛り込んでおりません。次に、事業場内で行う受動喫煙防止対策の取組について、これを検 討する組織や責任者を明確にするなど、体制整備を行うことが必要。最後に屋外に喫煙所を設 置するような場合には、たばこ煙が屋内に流入しないことや、付近を通る労働者がたばこ煙に ばく露しないような措置を取ることが必要としております。  次の(4)受動喫煙防止措置に係る責務の在り方は、後段のほうについて若干文言を整理いた しました。上記(1)から(3)までの措置を取ることにより、労働者の受動喫煙の機会を低減させ ることは、事業者の努力義務ではなく、義務とするべきである。これについて骨子案では「労 働者の協力が不可欠」と書いてありましたが、その表現では弱いのでもう少し表現の検討が必 要という御意見を頂きました。その結果、事務局の案として「労働者が当該措置に関する事業 者の指示に従うべきことは言うまでもない」という表現にしてみました。  次の6 事業者に対する支援については2つありまして、技術的な支援、それと御意見も少し 頂戴しておりますが、財政的な支援を行うことが望まれると書いております。ここにつきまし て、様々な対象が有り得るのだろうと思いますけれども、対象を少しここで明確にして案をお 出ししております。すなわち、5の(2)の職場、顧客が喫煙するために対策が取りにくい、そう いう職場において、喫煙専用室の設置など、労働者の受動喫煙防止に有効な対策を講ずる中小 企業に対しては、財政的支援を行うことが望まれる、ということで案を作成しております。  7番の留意事項は、委員の御指摘を踏まえて、7番の後段のほうを少し詳しく書いておりま す。まず最初は関係する事業者等に対して十分に周知をを行うことが必要、ということですが、 その次のまた以降、事業者がテナントとして貸ビルに入居する場合についてどんなものが留意 事項としてあり得るかについて2つ書いています。1つはテナントとして入居している事業者 は自社エリアで、受動喫煙防止対策の取組を実施しているものの、当該貸ビルのロビーや廊下 を禁煙としていない、という場合。それからもう1つ、貸ビルに入居する事業者が自社エリア で有効な受動喫煙防止対策の取組を実施するに当たって、障壁や換気装置などの設備の設置が 必要となる場合があるだろうということで、この2つを例として挙げてみました。  8番は、前は7番の留意事項にそのまま付いておりましたが、そこから独立させて、今後に 向けどういうことが有り得るのか、ということを展望も含めて書いています。1つは、顧客が 喫煙するために、現状では直ちに労働者が勤務する場所を禁煙とすることが困難な場合ですが、 将来的には全面禁煙又は空間分煙による受動喫煙防止対策の導入が必要だと思われます。これ について、国民のコンセンサスが必要ということで、それを得つつ、社会全体としての取組を 計画的に進めていくことが必要としております。そのあとは飲食店・宿泊業に関してアンケー トの結果を御紹介していますが、今後もそのあとに続き、適宜職場における受動喫煙防止対策 の取組の進捗状況を確認し、その結果を踏まえて対策を進めていく必要があるということを入 れております。職場における対策の取組をするに当たっては、広く国民一般に対して、たばこ への有害性に関する一層の周知が必要、ということをまとめております。  最後に、実効性をもって持続的に推進するため、地域保健の関係機関との連携が必要という ふうにしております。  このうしろに関連の資料として、別添1が11頁から12頁にわたり、13頁に別添2の諸外国 の規制の概要、これについては本文中で触れたものです。その次の別添3、4は今までの検討 会の開催状況、それと委員の方々のお名前です。以上です。 ○相澤座長 ありがとうございました。先生方の御意見も入れていただいて、うまくまとめら れていると思います。今回は最終ですので、最後のまとめをお願いしたいと思います。  それでは、一応順番に頭からやっていきたいと思います。4頁のはじめにという所ですが、 ここはよろしいでしょうか。 ○望月委員 事務局の御説明でよくフォローができたのですが、はじめにの7行目「また健康 志向の強まりなどから」という文言があるのですが、これは既にたばこの有害性や受動喫煙の 有害性に対しては、志向とか好き嫌いの問題ではないというところまできています。受動喫煙 に関する知識の普及などから、職場における受動喫煙に対する意識が変わってきたということ ではないかと思います。 ○相澤座長 少し強めにという感じでよろしいですかね。ほかに何かありますか。健康志向の 強まりと両方ありますが。 ○武田委員 この文章は、きつい表現だと思います。 ○相澤座長 その辺りはどうしましょうか。特別なければ、それでもいいという見方もありま すし。また、最終版を委員にお回しします。 ○土肥委員 1のはじめにの最後の部分で「このような環境変化を踏まえ、今後の受動喫煙防 止対策の在り方について」と書いてありますが、ここは1の結論の部分ですので「今後の職場 における受動喫煙の防止対策について」と明言しておいたほうがよろしいのではないかと思い ます。 ○相澤座長 職場という限定をしておくということですね。今後の職場における受動喫煙防止 対策、これは防止ですね。ありがとうございます。 ○亀澤環境改善室長 先ほどの望月委員の御指摘で、健康志向の強まりという所を削除して、 受動喫煙の有害性に関する知識の普及にすべきという御意見を頂きましたが、両方あるのかな と思います。健康志向の強まりもそれはそれとしてあったうえで。 ○望月委員 有害性に関する知識の普及とともに、健康志向の強まりと併記でよいと思うので すが。 ○相澤座長 では両方、健康志向の強まりと、受動喫煙の健康有害性の知識の普及などからと いうことでよろしいですか。それでは、2番目の国内外の動きの所はいかがでしょうか。(1) の我国における受動喫煙防止対策については、よろしいですか。そうしますと、5頁の(2)の職 場における受動喫煙の現状と課題についてはいかがでしょうか。 ○望月委員 (2)の7行目なのですが「しかしながら」のパラグラフです。有効な措置と書い てあるのですが、事業所全体の禁煙は有効な措置だということは間違いないのですが、例えば それ以前の禁煙区域などは必ずしも有効だという評価は得てないと思うのですね。ですので、 そもそもWHOのガイドラインなどでは全面禁煙を国に勧告していますので、ここでは有効なと いう評価を入れずに、実態としては様々な具体的な取組があるので、「といった措置を講じて いない」「といった措置をいずれも講じていない」というように、有効かどうかという評価を 入れないで淡々と記載するに留めたほうがいいと思います。 ○三柴委員 たぶん報告書案自体が、現状認識を出発点にしているのではないかと思います。 ですから、現場はたぶん中小企業等の多くでは、まだまだ野放し状態という実態があって、そ ういう中で1歩でも対策を前進させるといったときに、事務局として現状では「有効な」とい う文言でいいのかなとお考えになったようにも思います。確定的な文言として捉えてしまうと どうかという疑問は残りますが、そのような感じはします。 ○土肥委員 この部分は、これが完全な方法ではなくて、分煙すること自体は低減としては有 効な方法かということだと思います。ここで書いてある喫煙室をどういうレベルで設けるかは もちろん分かれると思うのですが、喫煙室を設けそれ以外を禁煙としていること自体は、まっ たく効果がないわけではなくて低減としては有効なので、現状認識としてはこれはこれでよろ しいのではないかと私は思います。 ○望月委員 誰が有効かどうかを判定しているのですか。これは、たぶん労働者健康状況調査 では、有効かどうかの判定を入れずにいくつかのオプションをやっているかどうかを聞いたう えで、様々な取組があったという実態を私たちは把握しています。そこに、おそらく事務局の 調査、主体そのものも有効かどうかということは、そこには判断を入れていないと思うのです ね。ですので、そういった措置のどれも講じていないというのが、やはり我々にとって問題だ と思いますので、そういった意味の現状認識であれば、あえて有効という言葉を入れる必要も ないと思うのです。  もしここで現実に実施されている事業者が少なかろうと、全体を禁煙にしているということ が有効だということを前提にすれば、そこまで書けると思うのですが。ここは、あくまでも淡々 といくつかの取組を把握したものを紹介するに留まっていると思うのです。 ○亀澤環境改善室長 事務局で書いたものは、第1パラグラフの2行目にあります「何らかの 喫煙対策に取り組んでいる事業場は」ということと、比較をして書いたつもりです。11頁の別 添1を御覧いただきますと、様々な選択肢がこの調査には用意されています。禁煙場所、喫煙 場所を設けている、そのほかに会議、研修の場を禁煙にしているということもあります。何か をやっている所はあるのですが、それでも完璧ではないという所もこの選択肢には含まれてい ると。その中から、事業場内全体を全面禁煙にしているということと、それから喫煙室以外を 禁煙にしている、これはまさに土肥委員のおっしゃった喫煙室のいろいろな性能によって若干 の違いはあるのかもしれませんが、一定の有効な措置であろうと考えています。それをピック アップした結果、今は全事業場のこの逆の46%がやっているという結果でした、ということを 事実として述べたものです。 ○三柴委員 いいのかどうかわかりませんが、例えば相対的に有効な措置とか、比較的有効な 措置という表現ではいかがかなと思いますが、それは私から強く申し上げるべきことではない のかなと。 ○望月委員 より積極的な、具体的な。やはり、等という言葉は、何らかの判定をしているか に捉えがちなので、もちろんやるに超したことはないという意味で、先生は何らかの低減に効 果があるのではないかと考えていらっしゃるのかもしれません。結構この有効な措置というの は、ここでお墨つきを与えてしまっているかに、あるいはどこかでそれがお墨つきが与えられ ているかのように受け止められるのではないかという懸念です。 ○相澤座長 この報告書でも、喫煙室を設けるとか、これは有効などと勧めているわけですね。 有効なというか、喫煙室を設けること自体を勧めているわけですから、有効だと考えていいの ではないですか。 ○鍵委員 喫煙室には、たぶん一定の要件を満たす喫煙室か、そうではないかという議論もあ ると思いますので、一定の要件を満たす喫煙室を設けた場合にはたぶん有効であって、ただ単 に仕切ったというものに関しては、もしかしたら有効でないかもしれないというところがあり ますので、そういう分け方もできると。 ○相澤座長 書かないほうがいいですか。 ○鍵委員 いや、わからないですが。 ○亀澤環境改善室長 本文のほうでは、一定の要件と書いているのですよね。ですから、この 頭では別にそこまで書かなくてもよろしいのでは。 ○鍵委員 あともう1つこの報告書ですが、一定の要件を満たす喫煙室を設置しているかどう かまでは、分けられてないということなのですよね。ですから、そういう意味では確かに有効 かどうかはわからないですね。 ○相澤座長 有効と思われるというのは駄目でしょうか。取ってしまうとどうなのですかね。 それ以外を禁煙にしていると、それが限定されてしまうのかな。全面禁煙か禁煙にするという ことですから。望月先生と三柴先生は、有効なというのを取ると。 ○望月委員 たぶん、ここですと問題意識は、一応3つのオプションで聞いているわけで、よ り積極的にやっている事業場もある一方で、何もやられていないことがあるのが現状だという ことをここで指摘しているのではないかと思いますので、こういった措置をいずれも講じてい ない事業場の割合が、ここで実際に53.6%、引いて54%だと言っているのだと思います。こ こでの問題は、いずれもやっていないのが54%だよということを指摘しているのではないでし ょうか。 ○武田委員 いずれもやっていないというのは、76%の残りの24%のことだと思います。前半 の、何らかの喫煙対策に取り組んでいる事業場は、全体の76%とされています。ですから何も やっていないというのは、24%です。対策のうち事業場全体を禁煙したり、喫煙室を設けてい ない所が54%です。 ○亀澤環境対策室長 事務局からの提案ですが、今の所に少し言葉を加えて修文をしたらいか がかと思います。「しかしながら」の所についてですが、「事業所全体を禁煙にしている」の後 ろに「措置」と入れまして、「又は喫煙室を設け、それ以外を禁煙にしているといった一定の 有効な措置を講じていない事業場の割合は」としてはいかがでしょうか。 ○相澤座長 いかがでしょうか。 ○沢田委員 これの数値の見方ですが、ずっと文章を読みますと76%は検討している。検討は しているが、実際にやっていないのは54%ということは、実際にやっているのが46%ですか。 何か対策を講じているのは46%となりますよね。そうすると、46%と76%の差が何なのだと。  これは私がパッと読みますと、76%は取り組んではいるけれども、取り組んでいるという内 容が何なのかと。例えば、検討会をやっているとか、組合と話し合いをしていると。しかし実 際には、何も講じていないですよという解釈ですよね。ですからそのように捉えますと、この 46%の企業は私が以前お話したレベルのいくつかの中のゼロではなくて、換気扇を付けるとか 場所を作るといったことの何らかの形で対策は取っていると。それが、有効的な措置なのかど うかはレベルの問題はあるとは思うのですが、そのような認識でいますので、レベルの有効的 な措置が私の頭の中で、どこからが有効的なのかというのは確かにわかりません。  ほかの先生方もどうかわかりませんが、そこは、この文章だけではちょっとわかりにくい所 だと思いますね。76と54という数字だけを見ますと、やっていない30%の企業は、ここで言 う取り組んでいることの内容がどういうことなのか、話し合いをしていれば取り組んでいると いうことなのか。実際に取り組んでいるということは最低でも換気扇を付けるとか、分煙室を つくる、喫煙室をつくるということがないと、結果的に取り組んでいるとは言えないと思うの ですね。ところがここは76%となっていて、下から見ると46%がやっているという解釈です から、3割の企業は実際には取り組んでいないのではないかというような解釈に取られないで しょうか。 ○相澤座長 そうすると、有効はむしろ取ったほうがいいという御意見ですね。 ○沢田委員 そういうことですね。そこがちょっと弱いような気もしますが。 ○相澤座長 なるほど。どうしましょうかね。一定というのを付けるか。 ○内藤委員 私はこの(案)を拝読したときに、望月委員のおっしゃる一番有効な措置といえ るものは、事業所全体を禁煙にすることなのだと。それ以外は、有効性に疑義がある、疑問が あるという発言だと私は理解しています。ただ、実は私自身はこの(案)を拝読したときに、 ここにむしろ有効な、もしくは何かそういった文言があってもよいのではないかと思ったので す。  それはなぜかと申しますと、たぶんこの報告書を踏まえたうえで、次の段階としていずれは 労働安全衛生法そのものを改正できるかはともかくとして、何らかの手段を取らなければなら ない、そのときにおそらく先ほど諸委員がおっしゃった76%と46%の違いは何かといえば、 別添の1の図の上と下を比べたときに、喫煙対策に取り組んでいる、あるいは会議、研修の場 を禁煙にしているという多少の措置程度では足りないのだよと。でき得るならば、喫煙室を設 ける等の完全分煙へという方向性を示唆しているのかなと、私は読んだのですね。  そう読みますと、一応多少取り組んでいて、それに関心をもっている企業は76%まできたの だけれども、実際に分煙措置以上という、多少有効なという所に、望月委員の疑義はおありに なったとしても、より高いレベルの措置を講じている所がまだ46%だと。だから、何らかの推 進策が必要であるというコンテクストで読みますと、今まさに諸委員がおっしゃった会議をし ている程度ではなく、もう1歩進めてほしいという意味合が読み取れるのかなとも思ったので すが、いかがでしょうか。  この次の段階を考えますと、何らかの形でこちらの第2パラグラフに少し注意を向けていた だいたほうがよいのかなと、私は個人的には思いました。 ○漆原委員 今の点なのですが、実は5頁もさることながら、有効な対策、有効な措置は、9 頁の6の事業者に対する支援の所にも出てきます。「特に」のあとなのですが、有効な対策を 講じる事業主、中小企業に支援を行うと。それで最初の有効がないときに、次に出てくる有効 というか、何をもってどう支援するかが曖昧になるのかなという所を、若干危惧しています。 ○相澤座長 有効をそのままでいいということですね。一定のというのが出ましたが。 ○三柴委員 「一定の」という文言を加えるかというのは、私としては挿入して賛成いたしま すが、改めて委員の方々や事務局の方々に御検討いただく問題かと思います。それに関連して、 先ほどの労働者健康状況調査でのグレーゾーンにある内容について述べますと、これには禁煙 タイムの実施や気流の測定など、様々な人的措置と物的措置が含まれています。中には健康指 導をしているとか、担当者、担当部署を決めるという人的措置も含まれている。要するに、や やソフトなといいますか、ハードの面の措置を後押しするような措置も含まれているようです。 そういう中で喫煙室を設けるというのは、相対的に有効な措置であることは間違いないと思い ますので、まずはそこに誘導する意味でも、有効なという文言自体は残されたほうがいいので はないかというのが私見です。 ○相澤座長 有効なというのを残していいということですね。 ○三柴委員 有効という文言自体は、残されたほうがいいのではないかと思います。そこに何 か形容詞を付けるかどうかは別ですけれども。 ○望月委員 何段階かに示して、そしてより効果のあるものに対して、支援なり奨励していく ことはもちろんやっているのですが、ここの有効かどうかのディスカッションは具体的にやっ ていなかったと思います。それは暗黙の了解で、どこかで段階をスケールでやったらどうかと いう御意見はあって案も出ましたが、それをこの中に入れてどれに対して積極的に支援をやる かというところまでは、具体的な議論は私の記憶ではないのです。 ○相澤座長 喫煙室の機能や換気の機能というのは、これからやるということで、提案はして いますよね。 ○望月委員 そういう意味で三柴委員に賛成する点では、より高いものに対して積極的な奨励 や支援をするということは間違いないのですが、ここでやはり有効な視点をどこかに残すとい うことと、ここにこの2つの取組を有効な措置と断定することは違うと思います。というのは、 この内容の調査そのものが、この検討会の前に行われたことですし、その調査をどうするとい う議論は、たぶんなかったと思います。 ○三柴委員 望月委員として、先ほどの事務局の修文(案)についてはどう思われますか。 ○望月委員 もう一度言っていただけますか。 ○亀澤環境改善室長 事業所全体を禁煙にしている措置、または喫煙室を設けそれ以外を禁煙 にしているといった一定の有効な措置を講じていない事業場の割合は、全事業場の54%である。 ○望月委員 その一定の有効というのは、どこに係るのですか。2つに係るのですか、それと も2つ目に係るのですか。 ○亀澤環境改善室長 いえ、事業所全体を禁煙にする措置のものは、ただの措置です。 ○望月委員 では、どうして2番目のより有効でないと思われるものが一定の有効になるので すか。一定の措置ではないのですか。それならば、1つ目をそこまで有効という言葉に拘わる のであれば、1つ目はより有効ですよね。ですからそれを有効な措置で、2つ目はもう少しグ レードを下げるのではないでしょうか。 ○相澤座長 一定なということでしょうね。完全に有効ではないけれども、現時点では一定と 思われる所というのですかね。ですから、時間分煙やそれだけを測定するとか、それよりはは るかに有効だということでそれを勧めているわけですから。 ○望月委員 ならば、やはり1つ目のカギ括弧は有効ですよね。これは、たぶん何ら疑うこと なく有効な措置なので、そのニュアンスが込められないと。すごくそれに拘っているわけでは ないのですが、先ほどから言っているように、有効という言葉をどこに配置するかとか、その 判断を何によって下すのかは大事なことだと思うのですが。 ○三柴委員 何で一定の有効ではいけないのですか。 ○望月委員 一定の有効というのは、より有効でないと言い換えました。一定の有効というの は、どういう意味ですか。 ○三柴委員 有効性が一定程度にとどまるということかと思います。 ○望月委員 では、1つ目は間違いなく有効だという、それを形容詞を付けていらっしゃいま すか。 ○亀澤環境改善室長 そこまで、皆様方いろいろな関係者の認識で、事業所全体を禁煙にする というのが最も優れた措置であるというのは、たぶん周知というか、ここで改めてコメントす ることもないかなと考えて、そのまま禁煙にしている措置と、先ほど御提案申し上げたところ です。 ○相澤座長 一度進めて、最後にまたやりましょう。現状について、ほかには何か御指摘はあ りませんでしょうか。6頁(3)の国際的動向、それから3番の受動喫煙の有害性に関わる認識は いかがでしょうか。よろしいですか。 ○望月委員 国際的な動向なのですが、条約のことは書かれているのですが、第8条のガイド ラインがこの検討会のもう1つ前の健康局の検討会の資料にもあったように、ガイドラインで はあるけれども全面禁煙を勧告しているものですので、条約及び第8条ガイドラインという言 葉を入れていただけるといいかと思います。第8条ガイドラインという言葉が、どこにも根底 に流れていないように思うのですが。 ○相澤座長 どこに入れるのですか。 ○望月委員 (3)の「なお同8条ガイドラインでは、すべての人々が受動喫煙から守られなけ ればならない、すべての屋内職場とすべての公衆の集まる場所は禁煙でなければならないとさ れている」です。 ○三柴委員 1点だけよろしいですか。このFCTCの条約やガイドラインは、一般にやや誤解さ れている傾向があると思うのですが、実はさほど拘束性が強いものではなくて、各国独自の措 置というものを、ある程度許容した書き方になっています。ガイドラインには、そもそも法的 拘束力はありませんし。ですので、細かく書き始めることになると、正確性を期すために、そ ういうことまで本当は書かなければいけなくなってくると思うのですね。ですから、どこまで 書き込むかということは、客観的に判断されるべきことなのかなと思います。 ○望月委員 では、WHOがいきなり完全禁煙を勧告しているということがあるのでしょうか。 ガイドラインの前に勧告が出ていまして、それを踏まえてガイドラインが裁決されている。た だし、ガイドラインであれ勧告であるので、各国はそれに必ずしも従うことではないけれども、 もう既にベストプラクティスとして出されているという事実なのです。ですから、屋内完全禁 煙という健康局の方向性も出ていますし、それからエビデンスに基づいて先ほどから拘わって いる全面禁煙というものが、誰の目にも明らかな最も有効な措置だということにも繋がってい きますので、どこかに、もしかしたら一番最初だったのかなとも思うのですが、国際的な動向 の中で、国際的なポリシーの動向及びそれの基になっている科学的なエビデンスということも、 文言として残していただきたいと思います。 ○相澤座長 それは、前回のものには書いてあったのですかね。また新たに加えるということ ですね。 ○三柴委員 どこかで場面があれば、ガイドラインも資料的に併記するのはいいかもしれませ んが、本文でガイドラインに無理に言及しなくてもいいのではないかなというのが率直なとこ ろです。 ○相澤座長 望月委員、よろしいですか。 ○望月委員 では、資料には残していただけるのでしょうか。 ○相澤座長 参考資料ですね。次に3番です。受動喫煙の有害性に係る認識のところですが、 いかがでしょうか。よろしいですか。7頁にいきます。4番の今後の職場における受動喫煙防 止対策(1)基本的方向です。これは非常に大事な所で、快適職場形成でなくて、労働者の健康 障害防止という観点から対策に取り組むということです。 ○望月委員 骨子ですので、基本的方向性の有害性の認識について、もう少し詳しく書かれて いたいものなのですが。「職場でばく露する、たばこ煙は職場における健康リスク要因」とい う文言や、「このように有害性がはっきりと認識されていることに鑑みる」というような文言 がちょっと欠けてきています。これは、どうして骨子にあった文言を直したのでしょうか。 ○相澤座長 その基本的方向の所でしょうか。 ○亀澤環境改善室長 事務局で(案)を文章化して整理していくうえで、重複したりするよう なものについては、整理したほうがいいのかなと考えて、やや骨子と違う書き方にはなってい ますが、内容は変わりないと認識しています。 ○望月委員 職場でばく露する、たばこ煙が職場における健康リスク要因という認識は、どこ かで明記されていますか。 ○相澤座長 これは、場所的には5頁の「職場における受動喫煙の現状と課題」という所でし ょうかね。事例があって、安全配慮義務違反とありますね。4番は防止対策ですから。 ○武田委員 有害性に関わる認識であれば、6頁の3番に「職場に関連すると考えられるもの」 と書いてありますので、そこでも読み取れると思います。 ○相澤座長 望月委員の御提案は。 ○望月委員 ここをもう少し明文化して、私もそうかと、気がついたので。でなければ、[1]〜 [4]のあと、「職場における云々」の前ぐらいに。 ○相澤座長 [3]は受動喫煙ですよね。職場についてのことはあまりないですね。そこに職場に おける有害性についてきちんと書いておけばいいということですか。7頁の一番上の2行では 足りない。 ○福島委員 ただ、そのあと、たばこ特有の事情のところの職場での状況という、ある意味特 徴的なことが書かれていて、だから職場でのリスクはこういうところにあるのだなというのが、 一見読み取れるように思えるのですが。 ○相澤座長 (2)ですね。 ○望月委員 たぶん、(1)と(2)の間ぐらいではないかと思うのですが、(2)で書かれているた ばこ特有の事情というのは、職場におけるばく露で健康障害が起きるよと改めて言っているわ けでなしに、「ばく露するたばこ煙は職場における健康リスク要因であり」、この場合は喫煙者 が発生源だとしてはいかがでしょうか。 ○武田委員 ただ、受動喫煙について言えば、職場だけで受動喫煙が起こるわけではないので、 ここだけで示すという示し方をすると、職場でそういうことが起こっていることがクローズア ップされすぎるのではないかなと思います。外でもばく露するわけなので、職場での受動喫煙 だけが悪いというわけではないと考えています。 ○望月委員 でも、職場でのばく露は長時間であり、非常に閉ざされた人間関係の中で簡単に は解決がつかないので、このように行政が介入してきているわけですよね。 ○武田委員 一部の要件であるとは思いますが。 ○相澤座長 労働者はたばこの受動喫煙を避けたくても仕事を続けなければいけないから、そ れを保護するためにやっているわけですよね。それで事業者責任が出てくるのでしょう。 ○三柴委員 望月委員の方向性というか、趣旨をもう一度確認させていただきたいのですが、 要するにどうであればいいということですか。 ○望月委員 職場でばく露するたばこ煙は、職場における健康リスクの要因で、もちろん家庭 でもばく露する可能性はあるし、居酒屋でもする可能性はある。でも、職場での発生は職場で 解決をしたいわけですよね。 ○三柴委員 それはそのとおりかと存じます。しかし、おっしゃる趣旨はすでに盛り込まれて いませんか。福島委員がおっしゃるように、4の(1)でも明確に配置を含めた労働条件の他人決 定性というのは書かれているわけだし、それは厚生省の時代から行政の報告書などで言及され てきたことで、ここでも触れていただいているわけで、事業者責任の原則というのもあるわけ ですから、すでに盛り込まれているとは言えませんか。 ○望月委員 これが出たあと、様々なことが起こると思うのですが、それを利用者、政策決定 者、あるいは労働者の方々が十分理解できるのであれば問題ありません。ただ、できない場合 もあるので、やはり明文化すべき場所は指摘しておいたほうがいいのかなと思いました。配置 換えまでできる権利なのだということが、実際に運用されなかったと。どこでもばく露できる のだから、職場でなどというのが、相対的に価値が低まってしまっているかもしれない。それ を何とか逆転するために、今年は職場での長時間、拘束時間でのばく露が重要なのだという視 点を、どこかに盛り込んでいただきたいと思います。 ○武田委員 そこは教育で受動喫煙の教育をすることになっているので、教材を作るときにそ ういうことを含めればいいと思います。 ○望月委員 事業者向けにですね。 ○亀澤環境改善室長 今望月委員が御指摘になったものについては、4の今後の職場における 受動喫煙防止対策の(1)の基本的な方向に盛り込んでいると考えています。骨子に書かれた表 現はそのまま使っていないかもしれませんが、今後は労働者の健康障害防止の観点から対策に 取り組むことが必要だということを書いているのと、職場においてなぜしなくてはいけないの かというと、働く人は職場を選べないとか、長時間拘束されてしまうという職場での問題と、 事業者に安全配慮義務があるということを考慮に入れると、事業者の責任において措置を講ず る必要があると書いていますので、骨子の表現とは少し違いますが、そういうことを踏まえて 書き込まれていると理解していただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○望月委員 わかりました。 ○相澤座長 よろしいでしょうか。それでは、4の(2)たばこ特有の事情についてはいかがでし ょうか。よろしいでしょうか。 ○望月委員 たばこ特有の事情の最後のほうなのですが、このパラグラフの下から3行目で、 実際に現状では困難な場合もあるということをヒアリングでもお聞きしました。ただ、困難で あるかどうかは、実際にそれを難なく超えている経営努力によっている人たちもいるので、こ れは普遍の原理ではないと思うのです。ヒアリングできめ細かくお聞きすると、客離れに対す る不安だとか本当に困難かというので、先ほどの有効と同様に困難であるという一種の現状を、 そのまま丸飲みしているようなニュアンスがあるのです。だから、現状では困難かもしれない けれど、それは顧客に対して禁煙を強いることができるのだろうかという、事業者の不安だと 思うのです。不安を困難と簡単に置き換えてしまってよいのでしょうか。 ○亀澤環境改善室長 ここは2つあると思うのです。1つは、事業者と労働者の関係のように は、事業者と顧客の関係はいかないということ。それから、今の現状を見ると、今の段階で一 律に禁煙等とすることを求めることは困難であるということで、何でも困難だとは書いている つもりはなくて、一律に求めることは困難であると。そのために、少し言葉を足したつもりで す。 ○望月委員 でも、現状ではリスクコミュニケーションの規則があるし、まだ浮き上がってい ないということなので、現状では困難であると。あくまでも現状認識であって、ほかの国の事 例ではそれを超えているわけなので、日本だけの困難さをことさらに強調することはないと思 います。 ○三柴委員 諸外国とおっしゃったので申し上げますが、例えばドイツであれば連邦最高裁が 飲食業で一律の禁煙措置なりを義務付けるのは無理だから、先行してしまった州法の定めを違 憲だと言って修正しています。何年何月までに州法を直しなさいという強い判決を出したりし ているわけです。確かに国によっていろいろ違いがあることは事実です。けれども、客観的に 困難であるという表現、ましてこの報告書は職場の労働衛生の観点で何が事業者にできるかと いうことをメインにしているわけだから、客観的に一律の措置が困難であるという言い方に何 ら問題はないと思います。 ○望月委員 すると、法律的に困難であるということですか。 ○三柴委員 客観認識として困難であるという趣旨だと思います。 ○望月委員 先生はドイツの例を引合いに出されましたが、一方アイルランド、イギリスの、 先生が調べられた国々では大変な努力をしてコミュニケーションを図り、法規制によって進め てきたと。一気呵成にはいかないというのはもちろんわかっていますが、ドイツがそうだった からといって、先生と全く同じ論理で言うと、それは1つの例であると。日本は、ドイツ並み に今後最高裁で決着がつけられるようなところまで、まだ全然いっていないわけです。そこを 困難だと決めつけるのは、一種ミスリードな気がするのです。 ○亀澤環境改善室長 事務局から修文の御提案をしたいと思います。「顧客に対して禁煙等と することを事業者に一律に求めることは」のあとに、「現状では困難である」と入れてはいか がかと思います。 ○相澤座長 「現状では困難である」と。5 具体的な措置、(1)一般の事業所工場等における 措置はいかがでしょうか。 ○鍵委員 空間分煙について、5の(1)では「一定の要件を満たす喫煙室の設置が必要である」 とあるのですが、4の(2)で全面禁煙・空間分煙という所を括弧付けで定義されて、そのときに は空間分煙、喫煙室でのみ喫煙を認め、喫煙室以外の場所を禁煙とするということで、その一 定の要件を満たす喫煙室とは言っていないのです。空間分煙とイメージしてしまうと、レスト ランなどで場所を区切って喫煙できるスペースとできないスペースとか、仕切りがあるとか、 もう少しいくと換気装置がついているとか、そういう段階があるということだと思うのです。 ここで言う空間分煙がどちらなのかというのが、少しわかりにくいかなという気がします。 ○亀澤環境改善室長 今の喫煙室については、5頁の上から3行目に定義を入れております。 ガイドラインの説明の中で、事業場全体を常に禁煙にするか、一定の要件を満たす喫煙室、あ とはこの報告書の案では「以下、単に喫煙室と言う」としておりますので、一定の要件を満た す喫煙室において喫煙を認めて、それ以外の場所を禁煙とすることを空間分煙と呼ぶと考えて おります。 ○武田委員 (2)のまた以下のところですが、「換気量や何らかの濃度基準等の設定を検討する ことが必要である」ということですが、これは設備の設置基準という形で捉えていいのですか。 それとも、換気量を定期的に図って、それをずっと実施し続けるという、測定の義務を入れる ということでしょうか。 ○亀澤環境改善室長 ここに書きましたのは、一定の面積とか一定の顧客の層によって、ある 濃度以下にするためにはどれほどの環境が要るのだろうかと、計算をして求めていくというこ とを考えております。また、これからの検討ですが、濃度基準はどういう視点で定めればいい かということですが、そこの確認をどの程度の頻度で行うのかということについても、よく御 相談していきたいと思っております。 ○相澤座長 設備基準と測定の両方が、可能性があると思うのです。まだ決まっていないと。 ○望月委員 今の(2)に、また「困難」という言葉が2カ所あるのですが、これも現状では困 難とできませんか。「顧客が喫煙するため、(1)の措置が現状では困難である」「一律に事業者 に求めることは現状では困難である」と。 ○武田委員 文章の中に、「現時点では」と書いてあるのでこれで良いと思います。 ○望月委員 そうですね。では、(2)のタイトルのところで。 ○相澤座長 「措置が現状では困難な職場における」。 ○望月委員 くどいですか。 ○三柴委員 具体的な措置だから。 ○望月委員 では、いいです。 ○相澤座長 撤回ですね。(2)はよろしいですか。  それでは、(3)その他の対策はいかがでしょうか。 ○武田委員 (3)ですが、順番は体制の整備が先なのかなと思います。いろいろな対策を行う ためには、体制が整備されていることが必要です。体制の中で、この報告書は労働衛生関係の スタッフのことに全然触れていないので、そういうスタッフとの連携を図るとか、そういった 文言で体制を作ることがあるといいなと思いました。 ○相澤座長 体制について後ろのほうでは述べていますが、それを前のほうへ持ってくるとい うことですね。 ○武田委員 体制の整備を、「その他の対策」の一番最初に持っていってはどうかと。 ○相澤座長 それから、労働衛生スタッフの連携についても強調すべきだということですね。 第3パラグラフに書いてありますが、これ以上にもう少し詳しく。 ○武田委員 組織を作るときには、そういうスタッフも加えるような文言が入るといいのかな と。 ○土肥委員 この中で、労働安全衛生法の下で行いますので、これを検討する組織や責任者を 明確にするなどというところでは、安全衛生委員会に関して言及する必要はないのかと思いま して、可能であればここで安全衛生委員会等ということを入れられたほうが明確になるのでは ないかと思います。  また、(3)の最後の部分ですが、「たばこ煙が屋内に流入しないことや付近を通る労働者がた ばこ煙にばく露しないような措置をとることが必要である」というのは、かなり強力なイメー ジを持つのですが、これは配慮とか努力とかいう言葉でないと、全くばく露しないようにしろ と言われると非常に難しい課題になってくるかと思います。もちろん、配慮することは絶対必 要だと思うのですが、措置というのは適切ではないのではないかと思います。いかがでしょう か。 ○亀澤環境改善室長 今の御指摘ですが、私どもがここに書いた趣旨は、場所をよく考えてと いうことですので、配慮と改めたいと思います。先ほど土肥委員から御指摘があった委員会の ことにも触れるということについては承知しましたので、表現ぶりはまた相談したいと思いま す。 ○望月委員 体制整備のところで、その中に入るでしょうけれど、体制整備と評価を行うと入 れては大変ですか。もう1つ、その前のパラグラフで、受動喫煙による健康影響だけでなしに、 喫煙及び受動喫煙による健康影響と入れていただくと。ここは教育ですので、受動喫煙の健康 影響だけでなしに、そもそもたばこを吸う人たちに対しての健康教育が一義的に大切ではない かと思うので、いかがでしょうか。喫煙及び受動喫煙による健康影響についてということで。 ○亀澤環境改善室長 前回も、委員の方から、そのような喫煙による健康影響についてはここ に含めるべきではないかという御意見を頂いたのですが、先ほどお話したとおり、ここは受動 喫煙の問題なので、そのように書いてはどうかと思っていて、後ろのほうに8の今後の課題に 入れるのがいいのかどうかわかりませんが、第2パラグラフに対策の取組を進めるに当たって は、広く国民一般に対し、たばこへの有害性等に関する周知が必要ということがありますので、 そこで含めて読み込んでいただけたらと思っております。 ○望月委員 でも、広く周知と職場における教育というのは相当濃度が違うし、最初のほうに 申し上げたと思いますが、受動喫煙対策は禁煙支援とセットで進むと思うのです。たばこを吸 わない方も、よそで吸ってくれというふうにならずに、一番リスクが大きいのはたばこを吸う 御本人なのです。そこが理解されていかないと、職場の喫煙率が下がり、あるいは顧客の喫煙 率も下がりというふうにはいかないと思うので、ここは一言「喫煙及び受動喫煙による健康影 響」と入れていただきたいと思います。  それと関連して、IARCで受動喫煙がヒト発がん物質とありましたが、そこで引用されている 報告書そのものも、たばこ煙と付随喫煙と両方を評価しているのです。なので、これは受動喫 煙の害だけ取り上げることはできない、セットのものなので、同様に健康影響も本人及び他人 に対する影響ということで、教育を進めていただけたらと思います。何度も申し上げますが、 リスクがより高いのは本人に対するリスクなので、そこが認識されないと進まないかなと思い ます。 ○相澤座長 そうですね。確かに、発生源がなくなればいいのですね。 ○福島委員 おっしゃっている内容でもかまわないと思うのですが、受動喫煙による健康影響 についての教育で期待したいのは、たばこを吸う人が吸わなくなるというのが1つあるかもし れないのですが、職場で受動喫煙に配慮しなければいけないのだということ自体の理解を深め ることを、少し強調したほうがいいのではないかと思っているのです。ですから、自分はたば こを吸うから勝手に吸うということではなくて、職場で分煙なり吸わない人への配慮というか、 対策をしっかりしなければいけないのだということを教育することも含めてになるのかなと イメージしております。それで言うと、受動喫煙による健康影響についての教育というのも一 定のしっかりした内容というか、吸う人にとってやらねばならないこととか、たばこの煙が漂 っている所で、煙にばく露されないために気をつけなければいけないことというか、そういっ たことをある程度具体的に習得するというか、周知される場合として、確立したほうがいいの ではないかと思っております。 ○望月委員 そこはすごく誤解があって、WHOの第8条、ガイドラインは、受動喫煙対策では あるのですが、ユニバーサル・プロテクションなのです。たばこを吸う人も吸わない人も守っ ていくと。ユニバーサルの意味は、労使のユニバーサル、赤ちゃんからお年寄りまでというユ ニバーサルなのです。だから、非喫煙者、たばこを吸わない人だけを守るのが第8条の理念で はないことをここで理解していかないと、円滑かつ継続的に実施もできないし、双方が対策の 必要性を理解することにもならないのではないかと思います。 ○相澤座長 それはわかるのですが、受動喫煙防止対策の報告書ですから、あまりいろいろな ことを言っても。 ○望月委員 それは、たばこを吸う人も守っていくのだよということが職場で浸透していけば、 排除するわけでもないし、あなたの健康は勝手でしょうではなくて、実はたばこを吸う人たち の健康も守るのだよというメッセージが伝わると思います。そこが今までの中で全然共有され てこなかった。実際にはたばこを吸わない人が守られるかもしれないけれど、それをきっかけ に、たばこを吸う人たちが禁煙のきっかけをつかんでいって世の中が進んでいくのが、円滑か つ継続的に実施するために不可欠ではないかなと思うのです。私は教育の話をしているので。 ○沢田委員 会社でこういったところの教育をしようと思うのですが、禁煙者に対して、吸わ ない人に対しては受動喫煙というたばこを吸う部屋を作りましたから、それ以外を使えばいい というのは割と簡単なのです。ところが、喫煙者に対しての教育のほうが大変なのです。場所 は作ったよ、ですからそこで吸ってくださいということまでは簡単にできるのです。ところが、 それを禁煙者に対する受動喫煙としての意識をちゃんと持ってくれという教育は、結構骨が要 る作業になります。ですから、今おっしゃったように喫煙者自体の健康に対しての考え方を教 育するというのも、結構力を入れてやらないと、なかなか向いてくれないと。実際に「やめま せんか」と言っても、「自分の体は自分でわかってるよ」みたいなことが、大体喫煙者から出 るのです。これは常識的にみんなそうだと思うのです。  ですから、そういった部分で受動喫煙という今回の検討会をどういう方向性で持っていくか というのはありますが、私の立場で民間の企業として考えますと、そういった部分もやってい こうという気持ちはあります。そういったところも配慮しながらやっていきなさいということ があれば、もちろんそのようなことを謳ってありますから、喫煙者の方々も受動喫煙は吸わな い方だけの問題ではなくて、一緒に会社の取組に対して協力していただき、自分の健康につい てもよく考えて、「控えなさいよ」ぐらいは会社の中の運動としてやっていかなければいけな いのかなと思います。そういうことをここでどう謳っていくかですが。 ○中原委員 私も今沢田委員がおっしゃったとおり、実際新入社員が入ってきて、先日健康教 育をやったのですが、たばこの害についても入れました。受動喫煙に対して教育を行う場合に、 最初はこのままでいいなと思っていたのですが、喫煙というのが普通に入ってきてしまうので す。ここからその文言を外すこともないかなと。どうしても受動喫煙だけの話では終わりませ んし、教育といったときには両方ともせざるを得ないし、対象者もいろいろな人がいますので、 どうしても外さなくてはいけない理由もないのかなと思うのです。 ○相澤座長 御意見が多いようですが。 ○三柴委員 今回の対策案は、労働衛生の観点から1歩でも2歩でも先に進めようということ で、1から7までの項目でまずやらなければいけないことについて提言をされて、8で今後の展 望を示されて、それらを一体として読むような形で構成されているものだと理解しています。 この問題は、今沢田委員ほかからも御示唆がありましたように、いざ施策を前に進めようとす ると非常に難しい、いろいろな有形無形の障害が生じ得る問題でもあると思うのです。そうい う中で、喫煙者にとっては、今時点でも間接的な圧力が様々にかかる状況があるわけなので、 ここでは受動喫煙というところで、労働衛生の観点からとりあえず1歩進めるというのを考え ることが重要かなと思っています。 ○相澤座長 そうすると、受動喫煙に絞ったほうがいいというお考えですね。 ○三柴委員 私はそう思います。そうでないと、かえって進めにくくなることが危惧されます。 ○相澤座長 これはなかなか意見が分かれますね。 ○内藤委員 私個人としては、望月委員がおっしゃる国家として、あるいはその国民全般の健 康ということももちろん重要だとは思うのですが、本報告書が将来的に労働安全衛生法、もし くは労働安全規則等の改正、あるいはそれによる事業者への義務付け等を、ある意味で想定し ている報告書だと思いますので、私はただいまの三柴委員の御意見に賛成なのですが、いかが でしょうか。 ○武田委員 今言われたとおり、書き込むのはこれで十分だと思います。やるほうは、それに 上乗せしてやる分には、事業者側はやるのはかまわないので、法的に書かれるのはこのとおり ある程度限定した書き方のほうがやりやすいと。それでやっていただきたいと思います。 ○相澤座長 という御意見が多いようですが。 ○望月委員 今法文みたいなものまで想定しているとすれば、それは法制化の段階で、逆に文 言を落としてもいいわけですね。法に馴染まないと。これは検討会の報告書で、実際の現場の 方たちは法律ができる以前からこれをいろいろな形で、いろいろな視点が盛り込まれていて気 付かされ、進めていくと思うので、現場の方により近いところであると、教育は本当に大変だ と思います。でも、大変だからこそこの検討会の報告書に盛り込んで、そういう力に進めるこ とになるだろうし、それからこの理念を法律に落としていく作業が、この次にどこかの段階で されると思うので、これはあくまでも検討会の報告書だと思いますので、ここに喫煙及び受動 喫煙という、まさに教育の文脈で入れることにどうして抵抗が出てくるのか、私はすごく理解 に苦しむのですが。 ○亀澤環境改善室長 職場の受動喫煙防止対策は、労働安全衛生法に大いに関わるわけですが、 受動喫煙全般に関しては、健康増進法が多数の者が利用する建物に対する管理者に関わってお りまして、私どもは健康局ともよく連携を図っていかなければいけないと思っております。そ ういう中で、受動喫煙による健康影響と喫煙による健康影響を同列に扱うのは、若干難しいか なと思っております。例えば、別の項目などに、なお喫煙の健康影響についてとか、禁煙支援 とかそういうところまでは難しいかもしれませんが、喫煙の健康影響に関しても留意しておく とか、そういう言葉を考えた上で、なお書きのような形でどこかに入れるという手はあるのか なと思います。 ○相澤座長 今後の課題の、先ほどお話があった一層の周知というのを、健康教育とか、そう いう言葉で置き換えていくということではどうですか。 ○望月委員 では、周知はどなたがされるのですか。行政が周知するのですか、研究者が周知 するのですか、事業者、その連合が。 ○相澤座長 教育ですから、労働者に教育するのでしょうね。 ○望月委員 周知というのはよく使うのですが、実態が見えない。 ○相澤座長 周知ではなくて健康教育、教育にしたらどうですか。 ○望月委員 でも、ここで今後の課題というよりも、当然すでにやっていなければいけないこ とですね、教育というのは。 ○相澤座長 実際やっているのです。 ○望月委員 でも、それが足りないから困っているのです。しかも、重要だという認識をここ で込めることによって、健康教育の仕方も変わってくるだろうし、対策を進めるための教育の 仕方はまた違ってくると思うので、現場の方をより助けるという意味であれば、最初の本文に 入れたほうがいいのではないかと思うのです。 ○沢田委員 実際にここに入るか入らないかでどこまで影響を受けるかですが、もちろん文章 として入ってくるほうが相当の強制力というか、そういうイメージを受けますね。ただ、武田 さんも先ほどおっしゃったように、教育する段階で工夫をする必要がありますので、今までこ ういう形でいろいろな意見を聞いていると、現状のままで来てもいろいろなことを工夫すると いう部分ではやっていこうと思います。  ただ、事業者への支援ということでやった中で、相談窓口があると望ましいというところも あって、こういうことに対して今まで意識の低い企業が、今後こういう指導を受けたときに、 相談窓口に頼っていくときの相談窓口のほうの進め方とか指導の仕方が、どういう形で現場の 小さな中小企業、飲食店の方々に指導していくのか、以前にレベルを作って指導していくこと を言っていきましたが、ああいったことも相談窓口のほうでは現実的な問題としては取り込ん でいただいて、話していただいたほうが、相談窓口の機能もうまくいくのではないかと。これ は私の要望ですが、今回は法的な中には入ってこないと思いますが、是非そういう活用をして いただいて、具体的にやりやすいような指導をお願いしていかないと、法改正と通達だけで終 わってしまわないようにしないといけないなと思います。 ○相澤座長 どうしましょうか。それでは、何らかの形で入れるということで、ここに入れる かどうかは別ですが。 ○亀澤環境改善室長 場所は少し検討させていただいて、表現ぶりも健康局で行われた検討会 の表現を見ながら検討して、御相談をしたいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございました。それでは、(4)受動喫煙防止措置に係る責務の在り方 についてはいかがでしょうか。 ○土肥委員 ここでは責務の在り方を書いておられるので、第1番目の文章「上記(1)から(3) までの措置をとることにより、労働者の受動喫煙の機会を低減させることは」が主語ですね。 これは義務とすべきだということになっていますが、そうすると(1)から(3)の措置をとること は必須だという理解をするのか。今までの趣旨ですと、私がこの文章を考えると、「上記(1)か ら(3)までの措置を積極的に推進することにより」というイメージだったのですが、そこをど んなふうに受け取ったらいいのかが、イメージとしてわかりづらかったものですから、(1)か ら(3)は絶対必須だということなのか、その辺のイメージが少しわかりづらいなと思った部分 がありました。 ○亀澤環境改善室長 言葉としては、労働者の受動喫煙の機会を低減させることは義務とすべ きということで、どんな方法があるのですかというところで、(1)から(3)までメニューとして 出てきたので。 ○土肥委員 それは(1)から(3)を絶対やれということではなくて、こういう方法があるから低 減できるのだということで書いておられるということでよろしいわけですか。 ○亀澤環境改善室長 (1)も具体的には2とおりあって、全面禁煙にするのか空間分煙にする のか。 ○土肥委員 そうですね。(1)はいいのですが、(2)が内容的にはいろいろなメニューが書かれ ているので、全部できることではないと思ったものですから。 ○亀澤環境改善室長 ここは上乗せのメニューもこんなものがありますと書いておりますの で、そういういくつかの方法の中で適当なものを行うことによって。 ○土肥委員 2つ目の文章で「このような対策を徹底させるには」云々という部分があります が、ここにも労使の協議に基づいてということがきちんと盛り込まれたほうがいいのではない かと、私の感覚としては思うのです。例えば、「このような対策を徹底させるには、当該事業 所の労働者が受動喫煙による健康影響及び受動喫煙防止の重要性を理解した上で、労使の協議 に基づき労働者が」とすることで、最後はきちんと協議して合意したことを実行していくとい うことが盛り込まれていたほうがいいような気がします。 ○相澤座長 いい御意見を頂きまして、ありがとうございます。よろしいでしょうか。  それでは、6 事業者に対する支援です。これは技術的な支援とか経済的な支援ですが、よろ しいですか。 ○望月委員 ここで想定しているのは、おそらく分煙のようなことに対する技術的支援だと思 うのですが、まず全面禁煙が最もメリットがあるということを事業者に周知することもこの支 援の1つだと思うのです。全面禁煙というのはどういうメリットがあるかというと、言うまで もないのですが、最もその健康被害が少なくて、労働者の健康が守られると。分煙では効果が ないということは、もう指摘されていると。それから、コストがかからないということを事業 者に周知して、その次善の策がいろいろ分煙を講じるこということで、分煙ありきのようなニ ュアンスがあるので、全面禁煙のメリットに対してもまず周知すると。選択肢としてまずある ということは知らしめるべきではないかと思います。 ○相澤座長 何か入れますか。 ○亀澤環境改善室長 言葉を足していきたいと思います。 ○相澤座長 全面禁煙ができない場合は、こういうことがあると。ありがとうございました。  7 留意事項、貸ビルの件ですが、いかがでしょうか。これは鍵委員からこの間いろいろ御指 摘がありましたが、よろしいですか。 ○漆原委員 7に入れたほうがいいのか8に入れたほうがいいのかと悩むところなのですが、 今望月委員から有効ではないという話がされたところと絡んで、支援という言い方で言えば6 に入るかもしれませんが、新たな分煙関係の技術開発、例えば安くて効果のある局排施設とか エアカーテンといった技術開発にも、何とか支援というか、国として協力していただけるよう なことがあるといいかなと思っております。 ○相澤座長 事業者ではなくて、製造者ですかね。 ○漆原委員 それか、研究開発ですね。 ○相澤座長 それは今後の課題でしょうかね。どういう形で入れるかは課題ですが、そういう 御希望がありましたと。 ○望月委員 今のことですが、日本はまだ技術開発ができると思っていらっしゃる方が多いの ですが、技術開発をやっているアメリカの空気清浄機協会みたいな団体が、それをもってして も受動喫煙を防ぐことはできないと、専門家の意見を取り入れつつ声明を出しているのです。 それを踏まえても、なおかつ技術開発に何らかの支援を求めていくのでしょうか。 ○漆原委員 たぶん、7で問題になっているのは、例えばビルが貸ビルで、穴を開けて局排を 作ることが消防法や建築基準法でできないとか、そういった所に窓に付けられるようなものを 付けるだけで現状よりは効果が上がるとか、そういった安くて法律に抵触しないような、日本 の法律上に配慮できたようなものはないのかなという意見です。 ○相澤座長 もし入れられればということですね。8 今後の課題ですが、いかがでしょうか。 よろしいですか。  よろしければ、前に戻っても結構ですので、全体にわたっていかがでしょうか。5頁の(2) の「有効な」というのはペンディングですが、望月委員、いかがでしょうか。 ○望月委員 今の意見とも関連するのですが、全面禁煙が最も有効だと、コストもかからない、 健康も守られるということがあった上で、次善、あるいはその下の策であるということが、リ スクコミュニケーションなり何らかの段階で示されることが必要かもしれないと。今全面禁煙 または空間分煙というのが全く並列で記載もされているところから、どちらでもいいのではな いかと、それもミスリードされると思うのです。だから、もちろん今一律に全面禁煙を実現す ることは無理だとしても、国際的に業界団体までそれがいいと言っていることをどこかの段階 で、今後の課題にも関係すると思うのですが、将来的には全面禁煙による受動喫煙防止対策の 導入について、国民のコンセンサスとつながっていくと、この間の健康局の数値にも乗ってい くのかなと思います。だから、今全く同列に空間分煙という、空間分煙の何が一番有効かとい うことも検討されないままに並列しているというのも先走りすぎるし、むしろ向く方向がスト ップしてしまうのではないかと思います。またはと言うと、本当にA or Bでどちらでも有効 みたいに見えてしまうのを、少し段階をつけていただけるとよいのかなと。それが文言の上で 反映されればいいと思います。  全体を通して、たくさん箇所があったので1つひとつ言わなかったのですが、「受動喫煙に よる健康影響」という言葉があちらこちらにありますが、これは「健康障害」「健康被害」、あ るいは「健康への悪影響」に置き換えていただけたらと思います。 ○相澤座長 ということは、全体的なことになりますね。 ○亀澤環境改善室長 事務局から、その2つの点について御提案したいと思います。第1点目 の全面禁煙が最も有効で、空間分煙は一定の有効性は若干落ちるというところについては、先 ほど5頁をいろいろ御覧いただきましたが、事業所全体を禁煙にしているというところについ て、例えば最も有効な措置である、事業所全体を禁煙にしているとか、そういう修飾語を検討 したいと思います。  先ほどからある「健康被害」「健康影響」「健康障害」という言葉ですが、労働者の健康障害 防止というところについては「健康障害防止」という言葉を使っておりますが、「健康影響」 のほうは、健康被害と言うと若干狭まってしまう気もしますので、幅広く捉えるという点では 健康影響としておいてはいかがかなと思います。最終的な目的は何かというと、職場で働く労 働者の健康障害を防止するための措置だということになりますので、今の案のままではいかが かなと思います。 ○望月委員 健康への悪影響ではいかがですか。 ○相澤座長 あまり行政的には使わないですね。悪影響というのは、あまり医学的な言葉では ないですね。健康影響ではないですかね。気持ちはわかりますが。 ○望月委員 健康局は。 ○森専門官 悪影響だった気がします。念のため、御確認いただいたほうがいいですが。 ○相澤座長 健康への悪影響。いい影響もあるからね。 ○亀澤環境改善室長 健康局の報告書の表現とよく比較をして、検討したいと思います。 ○鍵委員 6の1段落目で「喫煙専用室」とあるのは、喫煙室でよろしいのかなと思うのと、 ここで書かれている内容を5の(2)に特定することなのかどうかがよくわからなかったのと、5 の(2)は飲食店やホテルといった措置の困難な所ということでしたが、(1)にも該当するのかな という気がしたのですが。 ○亀澤環境改善室長 6に書いておりますのは、(1)においては基本的に禁煙か分煙をしていた だきたいということで、そうは言っても顧客が存在するために難しいところがあります。そう いう難しいところにおいて、わざと喫煙専用室という言葉を使っていますが、喫煙するための 部屋を設ける場合に対しては、限定的に財政的支援をしてはどうかと思って書き分けたところ です。「喫煙専用室」という言葉については、結局何かというと喫煙室と同じなのですが、こ こでわざわざ「喫煙専用室」という言葉を使ったのは、8頁の(2)に関係しますが、食事の提供 等のサービスを行わない喫煙専用の部屋と、ここを明確にするためにそういう表現を使ってみ たということです。 ○相澤座長 よろしいですか。ほかに、全体的に何かございますか。 ○望月委員 今後の課題の最後のほうですが、下から2つ目のパラグラフで「研究機関等によ り、調査研究の結果を踏まえて、有効性についてわかりやすい説明がなされることを期待した い」と。研究機関に対して我々の責任ではないかと思いますが、それと同時に政府もそれを普 及させるように努めるべきというか、協力すべきであると。それは一層の周知が必要だという ところとも関連するのですが、日本ではパブリックキャンペーンがほとんどなされていないと 思うのです。健康局の通知が出る前に、去年報告書が出て、そこでも同様に啓発が必要だとい うことが盛り込まれてはいたのですが、その1年間健康局として具体的なメディアキャンペー ンをやってきているかというと、それはすぐはできない。新聞に出たことは非常に大きなメデ ィアキャンペーンだと思うのですが、継続的にきちんとデザインされたリスクコミュニケーシ ョンをやっていくべきで、それは一研究機関の力ではとてもできないのです。なので、あらゆ るレベルでそれを普及していただきたいし、特にそれは行政に対してもお願いしたいと思いま す。政府もそれを普及させるようにすべきであると思います。  もう1つは、研究結果は多く論文に出て、あるいは学会発表なのですが、様々なエビデンス が個別に出るのが普通なのです。それを本当に確固たるエビデンスとしてまとめ上げて、権威 あるところできちんとオーソライズしてそれが共有されるという仕組みが、本当に日本では少 ないので、それも今後の課題だと思いますし、受動喫煙にとどまらず、本当にエビデンスに基 づいた公衆衛生政策を実現していくために、決定的に必要だと思います。職場における問題に とどまらないのですが、もしかしたらここに書かれた委員それぞれの責務かもしれないのです が、お持ち帰りの宿題として普及に努めることには力を注いでいただきたいと思います。特に 今後の課題で検討会の報告書として残すとしたら、政府もそれを普及させるようにすべきであ るということでお願いしたいと思います。公的機関と言ってもいいかもしれませんが。 ○相澤座長 ありがとうございました。ほかにはございませんか。  それでは、大変貴重な御指摘ありがとうございました。本日の御議論を踏まえて、事務局に は報告書案について必要な修正をお願いしたいと思います。それについて、事務局から何かご ざいますか。 ○徳田副主任 ただいまの御議論を踏まえて必要な修正をさせていただき、修正した案につい ては後日各委員に送付させていただきます。 ○相澤座長 その結果については事務局と調整しますが、座長である私に御一任いただくとい うことでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○相澤座長 ありがとうございます。  次に、議題2「その他」ですが、事務局から何かございますか。 ○徳田副主任 検討会については、今回で終了となります。最後に、安全衛生部長から御挨拶 がございます。 ○平野安全衛生部長 委員の皆様におかれましては、去年の7月の第1回検討会から大変長い 期間にわたり、また業界からヒアリングなども実施していただいて、大変熱心に御議論を頂き ました。本日報告書を取りまとめていただきまして、どうもありがとうございました。  職場における受動喫煙防止については、国民の関心も非常に高くて、マスコミなどでもこの 検討会の検討状況について頻繁に取り上げられてきております。また、対策の進展に対する期 待を含めて、私ども行政に対しても大きな反響がありました。それだけに、逆に課せられた責 任も大きいと考えております。今回取りまとめていただいた報告書を踏まえて、今後専門家に よる濃度基準の検討、その後審議会に検討の場を移して、職場における受動喫煙防止に必要な 施策について議論をしていただくことになろうかと考えております。  いずれにしても、厚生労働省としては、この検討会で検討いただいた内容を職場における受 動喫煙防止のための施策に着実につなげていきたいと考えております。引き続いて、委員の皆 様方におかれまして御協力をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。 ○相澤座長 どうもありがとうございました。それでは、本検討会はこれで終了いたします。 皆様、どうも御協力ありがとうございました。 ( 了 ) (照会先)  厚生労働省労働基準局安全衛生部  労働衛生課環境改善室  03−5253−1111(内線5506)