10/04/27 第1回厚生労働統計の整備に関する検討会議事録 第1回 厚生労働統計の整備に関する検討会 議事録 1 日  時  平成22年4月27日 (金) 13:32〜14:55 2 場  所  経済産業省別館10階 共用1012号会議室 3 出席者  (構成員) 阿藤誠、阿部正浩、今田幸子、大江和彦、 玄田有史、土屋了介、◎廣松毅 (五十音順、敬称略、◎:座長) (事務局) 高原統計情報部長、岩崎企画課長、 小此木統計企画調整室長補佐、中島審査解析室長、 小野人口動態・保健統計課長、武田保健統計室長、 篠原社会統計課長、市川縦断調査室長、 上田国民生活基礎調査室長、本川雇用統計課長、 小玉賃金福祉統計課長 4 議  題 (1)座長の互選、座長代理の指名及び検討会の運営について (2)「公的統計の整備に関する基本的な計画」の別表の検討状況等について (3)その他 5 議  事 ○岩崎企画課長 御出席予定の委員でまだお見えになっていらっしゃらない方もおられます が、定刻になりましたので、ただいまから「第1回厚生労働統計の整備に関する検討会」を 開会させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席いただきま して誠にありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせてい ただきます企画課長の岩崎でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず、当検討会の開催に当たりまして、高原統計情報部長より御挨拶を申し上げます。 ○高原統計情報部長 統計情報部長の高原でございます。本日は、雨の中、お忙しいところ、 御出席いただきまして誠にありがとうございます。  第1回検討会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。  まず、皆様方に本検討会の委員を引き受けていただきましたことに厚く御礼申し上げます。  さて、平成19年5月に交付され、21年4月から全面施行されました統計法におきまして、 公的統計は行政機関や国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報と 位置づけられ、政府は公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、 公的統計の整備に関する基本的な計画を定めることが規定されております。これを受けまし て、今後5年間で政府として継続的な取組を進めることが必要として、いわゆる基本計画と いうものが21年3月13日に閣議決定をされました。この基本計画の中で、別表といたしまし て、厚生労働省統計情報部所管の課題としても15の課題が掲載されており、今後検討してい かなければならないところでございます。  また、一昨年、社会保障審議会統計分科会におきまして、委員の皆様から、統計分科会は 社会保障に係る統計の審議に限られ、労働政策に係る統計の審議を行うことができないこと から、基本計画の課題については、厚生統計、労働統計ともに審議すべきという御意見がご ざいまして、本検討会を設置したところでございます。今後、基本計画の別表に示されてお ります各課題の検討を行うに当たりまして、委員の皆様方の御知見等をいただき、より質の 高い統計調査を目指してまいりたいと考えているところでございます。委員の皆様におかれ ましては、お忙しいことは十分承知しているところでございますが、厚生労働統計の発展の ためにぜひとも御尽力賜りたく、お願い申し上げます。  簡単でございますが、挨拶とさせていただきます。 ○岩崎企画課長 次に、本日の出席状況でございますが、石川委員、岩田委員、大沢委員、 柏女委員、西郷委員、齋藤委員及び津谷委員が御欠席でございます。永瀬委員におかれまし ては、御出席されるとの御連絡をいただいております。  本日は第1回ということでございますので、お手元の資料1の裏側の別紙でございますが、 その名簿に従いまして各委員の皆様方を御紹介申し上げます。  早稲田大学人間科学学術院特任教授の阿藤委員です。  獨協大学経済学部教授の阿部委員です。  独立行政法人労働政策研究・研修機構特任研究員の今田委員です。  東京大学大学院医学系研究科医療情報経済学分野教授の大江委員です。  東京大学社会科学研究所教授の玄田委員です。  財団法人癌研究会顧問の土屋委員です。  情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科教授の廣松委員です。  それでは、本日の議題の1つ目でございますが、「座長の互選、座長代理の指名及び検討 会の運営について」、担当から御説明を申し上げます。 ○小此木統計企画調整室長補佐 まず、資料1の本検討会の開催要項に従いまして、検討会 の目的、主な検討事項、運営等につきまして説明させていただきます。  資料1を御覧ください。「目的」でございます。「公的統計の整備に関する基本的な計画」 において、公的統計の整備に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策に関し、今後5年間に講 ずべき具体的な施策が示された。これを受けて、統計情報部所管統計について当該講ずべき 具体的な施策への対応を検討するに当たり、専門的見地から意見・助言を得ることを目的と する。  「2 主な検討事項」。検討会は、「公的統計の整備に関する基本的な計画」の「別表  今後5年間に講ずべき具体的施策」のうち、「第2 公的統計の整備に関し総合的かつ計画 的に講ずべき施策」の部分に係る統計情報部所管統計の調査事項、調査方法、集計方法等の 改善・充実策等について検討を行う。  続きまして、「運営等」でございます。(1)検討会は、統計情報部長が別紙の有識者を 参集して開催する。(2)検討会には座長を置き、構成員の互選により定める、でございま す。 ○岩崎企画課長 ただいま説明のとおり、4の「運営等」において、本検討会は、構成員の うち1名の方を座長として選出することとされております。これにつきましては、廣松委員 にお願いいたしたいと考えますが、いかがでしょうか。  (「異議なし」と声あり) ○岩崎企画課長 御賛同いただきましたので、本検討会の座長を廣松委員にお願い申し上げ たいと思います。  それでは、以後の進行につきましては、廣松座長にお願いいたします。 ○廣松座長 御指名でございますので、座長を務めさせていただきます。不慣れな点もあっ ていろいろ御迷惑をおかけするかもしれませんが、皆様の御協力を得て、この検討会を実り のある検討会にしたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げます。  それでは、引き続き資料1の「4 運営等」のところについて、事務局から加えて御説明 をお願いします。 ○小此木統計企画調整室長補佐 続きまして、「運営等」の続の説明をさせていただきます。  4の(3)になります。検討会には座長代理を置くことができる。座長代理は、座長が構 成員の中から指名するものとし、座長を補佐し、座長不在の場合にはその職務を行う。(4) 座長は、必要があると認めるときは、構成員以外の関係者に検討会への出席を求め、意見を 聴くことができる。(5)検討会は、原則として公開する。ただし、座長は、公開すること により検討に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があると認 めるときは、会議を非公開とすることができる。(6)検討会の資料は、原則として公表す る。ただし、座長は、公表することにより検討に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める とき、その他正当な理由があると認めるときは、資料を非公表とすることができる。(7) 検討会は、議事録を作成し公表する。ただし、会議を非公開とする場合には、議事要旨を公 表する。(8)検討会の庶務は、統計情報部企画課において行う。(9)前各項のほか、検 討会の運営その他検討会に関し必要な事項は、座長が定める。  「5 開催期間」。検討会は平成25年まで、年に3回程度開催することとする。  以上でございます。 ○廣松座長 ありがとうございました。資料1全体に関しまして、何か御質問、御意見ござ いませんでしょうか。よろしいでしょうか。  そういたしますと、ただいまの説明「4 運営等」の(3)のところで、検討会に座長代 理を置くことができるとなっており、この座長代理に関しては私が指名するということにな っておりますが、先ほど伺いましたところ、本日は御欠席の委員も多いということですので、 この場では決定せずに、私に御一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろし いでしょうか。  (「異議なし」と声あり) ○廣松座長 ありがとうございます。それでは、後ほど事務局と相談の上、座長代理を指名 することにさせていただきます。  ほかにございませんでしょうか。それでは、この検討会の開催に当たりましては、資料1 の開催要項に基づき運営をさせていただきますと思います。  さて、それでは本日のメインの議題でございます、お手元の議事次第の「2.『公的統計 の整備に関する基本的な計画』の別表の検討状況等について」に移りたいと思います。これ については、資料が準備されているようでございますので、それに基づいて事務局の方で御 説明をお願いいたします。 ○小此木統計企画調整室長補佐 資料2−1、資料2−2を用いて説明いたします。  まず、資料2−1でございますけれども、これは、「公的統計の整備に関する基本的な計 画」別表のうち、担当府省が厚生労働省になっているものの抜粋でございます。先ほど説明 がありましたとおり、全部で15の課題があるという状況でございます。この15個の課題につ きまして、1つ1つの進捗状況を説明した資料が続きまして資料2−2でございます。資料 2−2につきまして、事務局より簡単に説明をさせていただきたいと思います。  まず、一番最初の項目でございます。これは、国民経済計算の整備と1次統計の連携強化 に関する課題でございまして、毎月勤労統計調査における抽出替えにおける断層の解消や、 退職・離職事由を解雇・退職と転職に分けること。また、退職金の調査を検討するという課 題でございます。これにつきましては、基本的には、毎月勤労統計調査の課題ではございま すけれども、調査対象者の負担の抑制などが最大の課題でございますけれども、幅広い観点 から引き続き検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、(2)、(3)の転職・退職、または退職金の調査に関係いたしましては、関係する統計 調査といたしまして、厚生労働省におきましては、雇用動向調査におきまして、半年ごとで はございますけれども、減少労働者数を離職したものと同一企業内の転出者等に分けて把握 しておりますし、就労条件総合調査におきましては、5年に一度、退職金の調査を検討して いるというところでございます。  一通り、それぞれの課題の進捗状況につきまして説明させていただきたいと思います。  続きまして、裏面になります。この課題は医療費に関するものでございますけれども、保 健医療等の分野全体の医療費をマクロで捉えるような統計、具体的にはOECDのSHA手 法に基づく推計を公的統計として位置づけることについて検討するというものでございます。 これにつきましては、有識者を招いた検討会を立ち上げまして、そちらの方で検討を進めて いきたいというふうに考えているところでございます。  続きまして、次のページになります。これは就業と結婚・出産・子育て・介護等の関係を 詳しく分析する観点から、関連する統計調査において必要な項目の追加等を検討するという ものでございます。就業と結婚等の事項につきましては、関係する統計調査において、従来 より統計の企画の際に検討しているものでありまして、今後も引き続き検討していくという こととしております。関係する統計調査といたしましては、統計情報部所管の調査といたし ましては、雇用動向調査で基本的には直前の勤め先を辞めた理由や離職理由において、結婚 ・出産・育児・介護等のものを調査しておりますし、縦断調査、出生児、成年者、中高年そ れぞれにおきまして、以下に掲げるような項目について調査をしているというところでござ います。  続きまして、裏面のものになります。これは、21世紀縦断調査について、新たな標本の追 加等を検討するという課題でございます。これにつきましては、有識者からなる「縦断調査 の充実に関する検討会」を設置し、検討いたしまして、最終取りまとめを行い、新たな標本 の追加が必要であるという提言をいただいたところでございます。今後、この提言を踏まえ て、新たなコーホートの追加等について実施していくという方向で検討しているところでご ざいます。  続きまして、次のペーパーにまいりますけれども、人口動態調査における集計の充実、具 体的には、出生・婚姻・離婚の月別、年齢各歳・出生別の集計等について検討してください というものです。これにつきましては、ここに掲げる統計表につきまして、新たに作成する ことといたしております。  続きまして、裏面になります。これは国民生活基礎調査の所得票等の都道府県別表章が可 能となるよう、調査規模を拡大することについて検討するというものでございます。これに 関しましては、外部有識者による研究を21年度は行っておりまして、今後は、この調査研究 結果を踏まえまして、対応の可能性を検討とし、試験調査の実施などを検討していくことと しております。  続きましては、やはり国民生活基礎調査でございます。国民生活基礎調査で使用している 世帯票、健康票、介護票、所得票、貯蓄票について、相互のクロス分析等を充実させるとい うものでございます。これにつきましては、平成22年度の大規模調査において、所得票と世 帯票、健康票をクロスさせた統計表を、ここに掲げている6表を、拡充する方向でおります。  続きまして、裏面になります。これは雇用・労働と教育の関係を分析できるようにする観 点から、関連統計調査において、学歴等の項目を追加することについて検討するというもの でございます。関係する統計調査といたしましては、国民生活基礎調査におきましては、平 成22年度大規模調査において教育の項目を追加し、把握することとしております。その他の 調査といたしましては、21世紀出生児縦断調査や賃金構造基本統計調査、雇用動向調査等に おきまして、学歴を把握しているところでございます。  続きまして、次のペーパーになります。人口動態調査における外国人の集計の充実につい て検討するというものでございます。これにつきましても、具体的対応状況等に掲げている 集計表を作成することとしております。  続きまして裏面になります。実労働時間の適切な把握の観点から、世帯に対する雇用・労 働関係の統計調査において、ILOの国際基準を踏まえた上で調査事項の見直しについて検 討するというものでございます。世帯に対する雇用・労働関係の調査ということでございま すけれども、厚生労働省が行っているものといたしましては、平成22年度の国民生活基礎調 査の大規模調査におきまして、1週間の実労働状況を把握することとしました。  続きまして、次のペーパーでございます。雇用動向調査等をもとにして、雇用創出・消失 指標を推計し、公表するというものでございます。これに関係いたしましては、労働政策研 究・研修機構にお願いしておりまして、当該指標の推計方法を検討中でございます。  続きまして、裏面になります。ビジネスレジスターの整備を待って、毎月勤労統計調査や 賃金構造基本統計調査と工業統計等の結合を図るため、共通符号を持たせることについての 措置を講ずるというものでございます。ビジネスレジスターの整備につきましては、現在、 総務省の「事業所母集団データベースの活用等に関する検討会議」で検討中でございます。 これらの毎月勤労統計調査、賃金構造基本統計調査につきましては、共通キーといたまして、 センサスキーなどの保有の方向で対応が可能かというふうに考えているところでございます。  続きまして、次のペーパーになります。非正規雇用の実情を継続的に毎年把握する調査に ついて検討するというものでございます。これにつきましては、21年度は既存調査で把握し ている事項の整備等を行っているところでございます。  続きまして、裏面になります。これは、ハローワーク以外のルートによる求人・求職活動 を含めた総合的な労働の需給動向を示す指標について検討するというものでございます。こ れにつきましては、昨年度は労働政策研究・研修機構におきまして、諸外国の状況の調査を 行いました。今後は、この諸外国の状況調査の結果を踏まえて、日本における総合的な労働 力需給の指標を導入する際の諸条件の整理等を行うこととしております。  続きまして、医療施設調査及び患者調査につきまして、23年度以降の行政記録活用等につ いて検討するというものでございます。これにつきましては、23年度以降の調査の設計に当 たりまして、行政記録の活用等について検討していくこととしているところでございます。  以上、簡単でございますけれども、進捗状況について説明させていただきました。 ○廣松座長 ありがとうございました。基本計画の別表の中に挙がっております厚生労働省 関係の事項に関して、まとめて御説明をいだきました。本日は、この資料に基づき、いろい ろ皆様方から御意見を伺うことが主たる議題でございますので、どうかお気づきの点を御自 由に御発言いただければと思っていますが、いかがでしょうか。  では、私の方から。これは確認ですが、検討する課題を資料2−1の一覧表でまとめてい ただいています。ここに平成21年と21年度が混在していますが、幾つか平成21年中に、ある いは21年度中に結論を得るというふうになっているものがあります。21年度はもう過ぎまし たので、これに関しては一応、資料2−2で挙げられている内容で結論を得たという解釈で よろしいのでしょうか。 ○小此木統計企画調整室長補佐 21年もしくは21年度に結論を得るというものにつきまして は、ただいま説明のとおり、とりあえずの部分もございますけれども、一定の結論を得たと いうような整理をさせていただきたいと思っているところでございます。 ○廣松座長 そうしますと、それらに関しては今後見直すということはあり得るにしても、 一応の結論を得たということであるとすると、今日は主としてそれ以外のものに関して、特 に21年度から検討する課題について主として御意見を伺えばいいということで、よろしいで すか。では、大江委員、お願いします。 ○大江委員 今の廣松座長の質問にも関連いたしますが、結論を得たというものについては、 恐らく時期的にまだ暫定的なものもあるかもしれませんが、この資料2−2を見ただけでは、 得た結論というのがどのような結論なのかというのがちょっと私には把握できません。今日 準備いただくことは無理だと思いますけれども、次回以降で、21年度中あるいは21年中にひ とまず得た結論というのを少し御説明いただくような資料を出していただけないものでしょ うか。 ○小此木統計企画調整室長補佐 わかりました。21年度に得た結論につきまして、また別途 整理して資料を準備したいと考えておりますけれども、基本的に、例えば頭から順番に見て いただきますと、3枚目の「具体的対応状況等(番号3)」と書いてあるところがありますが、 ここが1つ、21年度中に結論を得るということになっており、これにつきましては、基本的 には、従来から検討していて、今後も引き続き検討するということで、従来からとっている ような関連事項について、引き続き調査をしていきたいというふうに考えているものでござ いますし、1ページまためくっていただきますと、裏面になりますけれども、これは縦断調 査について新たな標本の追加等の検討をするというものでございますけれども、これにつき ましては、基本的には有識者からなる検討会を設置いたしまして、その結果、標本が追加で あるという提言を受けまして、新たな標本を追加する方向で予算要求等、今後の措置を行っ ていきたいと考えているということで、結論としては、その方向で進めることとしたという ような結論になろうかと思います。具体的に21年もしくは21年度中に結論を得るとされてい るものについては、また整理をして御提示させていただきたいと思います。 ○大江委員 結論を得るということになっていて、得られていない、まだ検討中であるとい うものはもちろんあって然るべきだと思いますので、それはそれで検討中であるということ で理解できますが、先ほど結論を得たものもあるというニュアンスでお答えいただいたので、 それについては、どういう結論になったかというのをやはり明確に示した方がこの議論もわ かりやすいですし、情報をホームページなどで御覧になった方も、どういう結論を得たのか わかりやすいと思います。先ほど3ページの番号3で書いてあるとおっしゃいましたが、こ れは必要な事項の追加等について検討して結論を得るというのが上の部分ですね。そうしま すと、それに対して、何と何は追加する、何と何は追加しないというような結論がはっきり 書かれているようには読み取れませんので、そこは御配慮いただけないかと思います。  もう1つ別のことで。次は、門外漢ですので単に質問ですが、12ページ、番号12のビジネ スレジスターの整備云々のところで、総務省の事業所母集団データベースというのは非常に 簡単に言うとどのようなもので、この活用に関して、この検討会ではどのような活用方針が 議論されているのか教えていただけますでしょうか。 ○小此木統計企画調整室長補佐 総務省の「事業所母集団データベースの活用等に関する検 討会議」でございますけれども、まず、事業所母集団データベースは何かというところでご ざいますけれども、これは総務省が基本的には5年に1回行っている事業所企業統計調査、 これは事業所に対する全数調査になります。その調査結果をデータベースにまとめているも のでございまして、基本的には、事業所を対象とするような統計調査を行うときの母集団に なるものでございます。現在は母集団情報として活用している事業所企業母集団データベー スですけれども、これを発展的に進めて、ここでいうビジネスレジスターという形を整理し ていきたいというようなことになっておりまして、今回、席上配付資料を参考資料として配 付している中の、参考資料7に簡単な資料を付けさせていただいております。まず、検討会 の進め方ということで、これは総務省が設置している検討会についての進め方のメモでござ いますけれども、基本的にはビジネスレジスターの整備・充実、あとは行政記録の活用等に ついて検討することとしておりまして、検討スケジュールが1枚めくったところに記載され ております。更にもう1枚めくったところで、「ビジネスレジスター(各事業所母集団デー タベース)の概要イメージ」というところがありますけれども、事業所企業統計調査、今度 新しく経済センサスという形で発展的に統計が見直されていると思いますけれども、それら の情報のみならず、その他母集団情報として、例えば登記簿情報とか、雇用保険情報とか、 そういった情報を踏まえて、統計調査をやった以降に改廃された事業所の情報などを反映さ せることにすることや、また、ビジネスレジスターの充実・拡充ということで、事業所情報 以外、経済センサスで得られる以外の各種情報などもそれぞれの事業所情報としてその情報 に付けてデータベースを整備していくといったようなものでございます。 ○大江委員 わかりました。ありがとうございました。 ○廣松座長 よろしいでしょうか。では、阿藤委員、お願いします。 ○阿藤委員 3ページと10ページで、担当府省というのが複数で総務省と厚生労働省という ふうにまたがっているものがあるのですが、特に今関心が強いのは3ページの同じ課題を総 務省と厚生労働省で個別に検討するのか。あるいは、両者で協議しながら、各々が持ってい る調査の中でどのように対応していくのかとか、対応に関する協議会や検討会というものは 行われているのでしょうか。ここで見る限りは、厚生労働は厚生労働で個別に対応していま すという結論になっていますが、その辺をちょっと伺いたいと思います。 ○小此木統計企画調整室長補佐 課題の番号でいいますと、3番のところや10番のところ、 複数の省庁が出ているところですけれども、これらにつきましては、関係する統計調査にお いてというようなことで複数の省庁が掲げられているのかなというふうに理解しておりまし て、厚生労働省、総務省それぞれが検討しているというところでございます。総務省、厚生 労働省の一緒になった検討会が設置されているかというようなことにつきましては、合同の 検討会という形では設置はされていませんけれども、例えば労働時間の関係等におきまして は、総務省の方でも有識者を交えた研究会を開催しておりますが、そういった場には、厚生 労働省の職業安定局の方の担当になりますけれども、そちらから会議の方に参加させていた だており、そういった意味合いでの情報の共有は図らせていただいているところでございま す。 ○廣松座長 いかがでしょうか。では、玄田委員。 ○玄田委員 2点ほど伺わせていただきます。1点目は、先ほども御質問があった番号順で ビジネスレジスターの件でございますけれども、端的に申し上げると、事業所の同定という のをどういう基準でなさろうとしているかという質問であります。つまり、この事業所は同 じ事業所であるというような判断基準というのは、おそらく複数の判断基準があり得ると思 われます。例えば、一番単純には名称が同一であるかどうかですとか、あとは立地の場所・ 位置が同一であるかとか、もっと踏み込んで言えば、誰が所有者であるのかというふうな観 点ですとか、あとは業務内容というような経営の観点ですとか、幾つかの同定の基準という のが存在し得るというふうに思っております。私自身は、どれが特に優れていて、どれが劣 っているという判断基準を持ち合わせるものではありませんが、今後、レジスターを活用し ていく場合には、その判断基準をどこに置くかということが極めて重要であろうと思います し、こういう問題について国際比較というふうな観点から考えた場合に、同定というのはど のような観点でなされているかというようなことの国際的な観点からの言及も必要だと思っ ているのですが、その点について、検討状況等がもしおわかりであれば教えていただきたい というのが1点目であります。2点目は、続く番号13であります。非正規雇用の実情を継続 的に毎年把握する調査内容についてというような大変重要な問題提起だと思いますが、書か れた対応状況については、いたってシンプルに整理を行っているというふうに書いてあり、 その内容について、こちらの文言から把握することは少々難しゅうございます。重要なのは、 実情を継続的にというふうな点ではないかと思うのですけれども、これを率直に見ますと、 縦断調査もございますが、非正規雇用を中心とした、いわゆるパネル調査等々の必要性につ いて何かお考えであるのか。むしろそういうことではなく、もっと別の観点でクロスセクシ ョン的なものも含めて、継続的になされるというふうなことを考えているのであれば、今現 状として、どのような非正規雇用の実情に対する継続的な内容が欠如しているというふうに お考えであるのか。つまり既存の整理を行った結果、重要なこういう項目について非正規の 実情についてわかっていないというようなことが既に何か合意等があれば、少し教えていた だきたいと思います。個人的な感覚としましては、重要なのは非正規からの移行状況という のが非常に重要だというふうに思っております。労働力調査等を拝見しますと、転職による 非正規からの移行、正社員ですとか、無業化ですとか、非正規からの移行というのは毎年調 査されているようですが、一方で、転職ではなく、同一の企業内、事業所内での非正規から の移行等々については、私の理解する限りでは、厚生労働省を含めて、日本の政府統計の中 にはそういう移行に関する企業内での移動については調査がなされていないのではないかと いう認識を持っております。そういう点も含めて、今どういう点について、実情についての 十分な統計が整備されていないというお考えなのかということを教えていただければと思い ます。以上です。 ○小此木統計企画調整室長補佐 ありがとうございます。まず、ビジネスレジスターの件で ございます。こちらは、総務省主催の会議に現状としては参画しているというような状況に なっておりまして、どういった単位をもって事業所として把握するのかというようなことに ついては、私が承知している限りでは、今の検討会ですと、そういった議論になっていない というふうに考えております。ただ、事業所母集団データベースの整備に当たって、行政記 録の活用というようなことを現在進めているところでございまして、例えば厚生労働省関係 で言いますと、雇用保険の適用事業所の情報をもちまして、ビジネスレジスターというか、 事業所企業データベースの方に反映できないかというような方策を考えているところですけ れども、その関連づけにつきましては、単位の話とはまた違うのですけれども、基本的には 事業所の名称、住所等をもとに突合作業などを進めているというような話は聞いております。 済みません、あまり詳しくなくて恐縮でございます。  続きまして、13番目の課題のところでございます。これにつきましても、大変難しいとい うか、御指摘をいただいたのかなというふうに思っております。現状の検討状況でございま すけれども、ここに書かれているのがこの程度のことしか書かれていなくて、資料といたし ましては、席上配付資料の方では、資料の8番といたしまして、雇用の多様化に関係した統 計調査というようなことで、現状どういう統計調査があるのかというようなものを整理した ものをここに掲げているところでございます。現状が把握できているのは、どういうものが 把握できているのかというようなことについて整理をしているところでございますけれども、 実際には、移動状況とか、そういったものについて把握できているものというのは、御指摘 のとおり、なかなかないのかなというふうに考えているところでございまして、この課題が 非正規雇用の実情を継続的に毎年把握するというところで、この実情というのが具体的にど こまで整理する必要があるのかというようなところも含めて検討しなさいということになっ ているのかなというふうに認識しておりまして、そういう観点から申し上げますと、まず、 非正規労働者の数などにつきましては、継続的という言い方をするとなかなか難しいところ もあるのですけれども、ある程度わかるところもあるのかなというようなことで整理してい まして、では、非正規労働者の実態という面におきましては、どの程度把握できるのかとい うと、厚生労働省の統計ですと、なかなか把握できるようなところも少ないのではないか。 先ほど先生が御指摘になったように、パネル調査みたいなものの個票を見ていくとかという ところではある程度見れないところもないのかもしれませんけれども、統計として継続的に 把握していくというようなものということでしたら、ちょっと難しいのかなというふうに考 えているところです。 ○玄田委員 2番目の点で1点だけ補足で申し上げさせていただきますと、恐らく一番重要 なのは、いわゆる常用という概念を今後どういうふうに活用していくかという点ではないか というふうに個人的には考えております。毎月勤労統計、雇用動向調査を含めて、厚生労働 関係の雇用統計では、常用という概念はこれまで大変重要なものとして認識されてきたとい うふうに思っております。ただ一方で、日常的に常用という概念が果たしてどれだけ被調査 者に対して伝わるのかどうかとか、今、常用というのは通常は期間の定めがない、もしくは 1年超というふうな形で書いてあるけれども、それではあまりにも漠とし過ぎているのでは ないかということで、1つの案としては、雇用契約の期間などをもう少し詳細に把握するこ とが、特に非正規の実情段階については重要ではないかという意見が少なからず存在してい るように思っております。ただ一方で、現実問題として、果たしてどれだけ雇用契約の期間 ということを非正規労働者本人が認識しているかということを考えますと、今、現実的に調 査は難しいというのも一方であろうかと思っております。私が1点申し上げたいのは、こう いう統計整備をする場合に、恐らく非正規については、常用、臨時、日雇いという概念を今 後どのような形で活用するか、もしくは変更・修正するかということが極めて重要なテーマ になると思っております。一方で、統計の継続性から考えた場合に、常用ということを果た してどうするかということは、ぜひぜひ慎重に御検討いただきたいということを申し上げた くて、1点ほど補足させていただきました。以上です。 ○小此木統計企画調整室長補佐 引き続き先生方の御指導を受けながら検討してまいりたい と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○廣松座長 では、土屋委員。 ○土屋委員 土屋ですが、ちょっとお答えにくい問題だと思うのですけれども、今の事業所 の識別もそうですけれども、個人の識別で、識別番号が話題にはなっていると思うのですが、 ID番号の社会保障番号その他の見通しはどうか。25年まで検討の間に可能性が考えられる のであれば、作業としてはかなり楽になるかなと思うのですけれども、その辺の見通しがあ る程度あればお教えいただきたいのが1点。  もう1点は、今も話題になっていた 191ページのビジネスレジスターですね。これは、四 角の中を見ると、事業所母集団データベースの目的(統計法第27条)とあるように、正規の 名称は日本語で、ビジネスレジスターというのは呼称でしょうか。とかく最近、政府の書類 で片仮名用語が多用されていて、分野が違うと定義がよくわからずに迷います。例えば、我 々医療関係者ですと、レセプトと言う用語ですけれども、これも一般の方には大変わかりに くいのではないか。その辺の用語の使い分けを今後どうされるのか。その2点、ちょっと教 えていただければと思います。 ○小此木統計企画調整室長補佐 まず、ビジネスレジスターに関係して、個人のIDの識別 の話ですけれども、現状、省内で一応そういった検討について動いているということは承知 しているのですけれども、具体的にどういうめどで、どういう段階になっているのかという ところは、済みません、ちょっと把握してございません。  続きまして、「ビジネスレジスター」という言葉が片仮名用語でわかりづらいというよう なことでございますけれども、基本的には閣議決定の中で「ビジネスレジスター」という用 語が既に用いられていて、それをそのまま引き続き使用しているというような状況かと思い ます。ただ、御指摘のとおり、ビジネスレジスターと言われても、たぶん一般には何のこと かよくわからないということかと思いますので、総務省などが開いている会議の場などでも、 呼び方につきましては今後検討する余地があるのかどうかなどにつきましては、引き続き御 提案というか、確認をさせていただきたいと思います。 ○廣松座長 では、阿部委員、お願いいたします。 ○阿部委員 この検討会で何をどこまで検討するかというのが、今日いただいた資料2−2 からはあまりにも漠として見えないのではないかというふうに思っています。例えば、1ペ ージ目の毎勤の対応状況等というのを読んでも、(1)では幅広い観点から検討していくと いうことのみで、、(2)と(3)は把握しているということで、これは把握しているから これ以上しなくてもいいのかなというふうにも読めますし、そうではなくて、把握している けれどももっと把握すべきだというふうな議論なのか、ちょっとここからは漠として読めな いと思います。次回以降で結構だと思うのですが、我々が何をどこまで検討するかというの を明確にしていただけたら、もう少し議論ができるのではないかという気がいたしました。 ○岩崎企画課長 今日お出ししている資料ですが、いろいろとタイムスケジュールがバラバ ラなものでございまして、例えば1ページであれば、25年度までに結論を得るということな ので、かなり長いタームのものなので、まだまだ中途段階といいますか、1割とか2割の段 階のものを記しているというものもございますし、一方では、人口動態調査のように、こう いう集計を行うという形で最終結論まで出しているものもございます。この検討会でござい ますが、基本計画自身が25年までに講ずる措置を決めているということでございますので、 ぜひ25年度までに、いろいろなスケジュールがございますが、どういう調査を行っていくか ということを、先ほど玄田委員の方からもございましたように、どういうコンセプトで調査 を行って、既存の調査との関係をどう整理して、どういう新しい統計を創出するかというこ とについて、私どもの方で資料をお出しして、皆様から御意見をいただきながら中身を固め ていくということで、この検討会での御検討をお願い申し上げたいと思います。 ○廣松座長 ほかにいかがでしょうか。先ほど事業所母集団データベースとか、ビジネスレ ジスターに関して御質問が出ましたが、それについての現時点での位置づけは、先ほど事務 局の方からも御説明がございましたとおり、これまで、5年ごとに事業所企業統計調査とい うものが行われてきました。その主たる調査方法は調査員調査です。したがいまして、事業 所の同定に関しては原則目視です。ただし、経営形態は、見ただけではよくわからないとい う限界はあるのですが、事業所の特定というか、あるいは先ほどのご質問で言えば、同定は 調査員の目視によります。その上で、もう20年近くになると思いますが、これをデータベー ス化してきたわけです。この事業所企業データベースがほかの例えば経済産業省が行ってい る工業統計調査とか、いろいろな基本的な調査の母集団名簿になっていますが、それぞれの 調査によって事業所番号の振り方や、あるいは特に改廃があったときの処理の仕方が違いま す。ある省で行っている調査では廃業したところはブランクにしてしまうのに対して、ある 省では、ある年にそれを全部またバサッと総入替えをする、すなわち、番号をつけ替えてし まうようなことが今まで行われていたものですから、せっかくこういう形で事業所企業の母 集団のデータベースがある程度整備されているにも関わらず、必ずしも有効に使われてこな かった。そのため、その使い勝手をもっとよくし、調査の効率化につなげるために、データ ベースを充実することが基本計画にも取り上げられたということです。  また、事業所企業に関する調査では、同じところで別の経営形態が別々に活動しているよ うな場合の把握が一番の課題です。それに関して現状では大変難しいことですが、税務情報 があれば何とかなります。今のところ、先ほどの席上配付資料7のポンチ絵にございますと おり、登記簿情報とか、労働保険適用事業所等の情報などの、行政記録情報を今後使えるよ うにしたいということで、行政記録情報の保有部局と今交渉しています。登記簿情報に関し ては既にもう出ているのですが、今のところ、税務情報に関してはその利用の見込みが立ち ません。  一般に経済統計の分野で、レジスターといった場合には、事業所が消滅した場合は別です が、ほとんどの事業所の番号が変更がなされず恒久的につけられることになります。そして、 新しく出てきた事業所に関しては、全く新しい番号を割り振って、それがその事業所が消滅 するまで続くという使い方をすることを想定しています。そういうある程度完成され、整備 された母集団データベースを「レジスター」と呼んでいます。それは、まさに登録番号その ものと考えて良いと思います。そして、必ずしも事業所企業だけではなくて、特に北欧の国 では、日本の国勢調査に相当するものをレジスターに基づいて行っており、統計調査はほと んど行わないというような方法をとっているところもあります。 ○玄田委員 座長自ら御説明いただいてありがとうございました。よく理解できました。併 せて、その観点でいくと、番号11とも若干関わってくるわけですけれども、レジスターの問 題というのは開廃の理解ということと密接不可分ということになるわけで、今、日本の公的 統計で非常に難しいのは、そういう開廃に伴う雇用の移動状況というのが、間接的には把握 できたとしても、よりダイレクトな形で把握できていないという非常に大きな問題があろう かと思っております。恐らく、今の日本の雇用状況の厳しさの中には、そういう開業に伴っ て雇用をつくり出すパワーというのが社会・経済全体で失われているのではないかというふ うな予想はあるわけですけれども、なかなかその部分についての厳密なデータがないという ことに政策的にも非常に難しさがあろうかと思っております。ただ、今、座長のお話にもあ りましたとおり、恐らく厳密なことを言うと、開廃をつかむというのは極めて困難で、非常 に幅をもって解釈しなければならないというふうに思っております。目視もそうですが、何 らかの基準をもって調査員の方がなさっていると思いますし、先ほどお話があった雇用保険 業務統計などを使う場合には、おそらくまた別の基準で同定ができるのではないかというふ うに思っておりますし、今、北欧の話が出ましたが、欧米等の事業を考えていくと、日本で もこれからは自営業の部分が非常に幅が広がってきて、全体数としては減っているわけです が、いわゆる独立請負業のようなものを考えていくと、ロケーションで事業をアイデンティ ファイするというのが極めて難しい状況というのが今後、非常に広がっていくというふうな ことも踏まえつつ、一定の基準をもってこういうアイデンティファイをするんだという合意 をできるだけつくりながら、開廃業も含めて、ぜひ何らかの基準を提案していただき、また 御議論いただきたいというふうなことを今併せて思いました。以上です。 ○廣松座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。では、今田委員、お願い いたします。 ○今田委員 教えていただきたいのですけど、ここで検討の項目が15挙がっているのですが、 この項目15というのは与件として考えられるわけですか。この項目について議論することは ないと考えていいわけですか。あるいは、「具体的な措置、方策等」で述べられていること は中身を議論するということなのか。今、各委員の先生方から、具体的な中身について議論 されているのですが、そういう項目と措置というのは与件で、そこに書かれている情報に関 しても議論をするということは可能なのですか。 ○小此木統計企画調整室長補佐 まず資料2−1は、これは既に閣議決定された「公的統計 の整備に関する基本的な計画」という中に掲げられている別表の抜粋になってございます。 したがいまして、厚生労働省に閣議決定でここに掲げられている項目、ここに掲げられてい る具体的な措置・方策等の内容について検討しなさいという宿題が与えられているというよ うな状況になってございまして、これらの宿題に対しまして、厚生労働省として、それぞれ 期限がバラバラですけれども、平成21年度の検討状況、一部検討結果につきましては、資料 2−2のパワーポイントの方でつくった「具体的対応状況等」のところに一応取りまとめさ せていただきました。先生方にお願いしたい事項といたしましては、基本的には、この「具 体的対応状況」に掲げられた内容につきまして、この内容で十分なのか、もっとこういった 観点から掘り下げたものをつくるべきではないかといったような御意見などをいただければ というふうに思っているというところでございます。 ○今田委員 理解できました。ありがとうございます。 ○廣松座長 その意味では、この検討会の第一義的な役目は、今御説明がありましたとおり、 閣議決定されたということは、厚生労働大臣も合意なさったということですが、そういう意 味をもつここに挙がっている15項目に関してどういう対応をとったかということを確認する ことです。そして、それを総務大臣に報告をすることになります。その際、この報告でいい か、この内容でいいかということに関する検討も必要です。その意味では、かなり受け身的 な対応です。ただ、当然のことながら、ここに掲げられていることを実現するときに、それ に付随して新たな課題が発生するかもしれませんし、さらに受け身ではなくて、能動的にと いうか、ポジティブに、もし特定の調査の調査事項を変更するのであれば、それと連動して、 もっと調査項目なり、調査方法なりを変えてもいいのではないかというような形で、積極的 な御意見もいただければというふうに思います。 ○玄田委員 番号5ですが、実施時期では平成21年中に結論を得るとありますので、既に遅 きに失しているのかもしれませんが、この回答に関しては若干不満があるというのが率直な 意見であります。つまり、集計を充実することの必要性というのは改めて論じるまでもあり ませんが、どの段階までくれば集計が充実したかという判断基準というのが、これをもって して十分かというようなことはなかなかないものです。もちろん外部の有識者の方々にお話 を伺っているということで一定の基準というのはあり得るのだと思いますが、集計の充実と いうのは、最終的には、適宜必要に応じて適切な集計ができ得る環境を整備するということ に尽きるのではないかというふうに思っております。したがって、より具体的に申し上げる とするならば、番号5への対応というのは、人口動態調査という大変重要な調査について、 例えば適宜オーダーメイド集計ですとか、今、既に地方で行われている匿名データの作成等 の環境整備をするということが本来原則的には集計を充実させるということに対する最も適 切な対応策ではないかというふうに思っておりますので、ぜひこれは平成21年中に結論を得 るということで、もう既に解決したというふうに思っていただくのではなく、人口動態調査 について、適切に速やかに必要な集計情報を集めることができるべく、匿名データの作成に ついてぜひ検討いただきたいというのが、私自身の意見でございます。以上です。 ○小野人口動態・保健統計課長 人口動態・保健統計課長でございます。御指摘の点は全く ごもっともでございます。オーダーメイド集計につきましては、これとは別に準備している ところでございまして、今年の秋には募集することができるのではないかと考えております。 ここでは、集計の充実といたしまして、具体的に出生・婚姻・離婚の月別、年齢各歳、生年 別の集計等をつけ加えよと具体的な御指示がございましたので、これについて対応したとい うことを述べているものでございます。以上でございます。 ○阿藤委員 今、玄田委員から御指摘のあった匿名データの作成、公表やオーダーメイド集 計も含めてですけれども、そういうものがここには挙がっていないわけですが、公的統計全 般について、そういう方向で進めていくという基本計画の条項があるわけですね。その点に 関する議論というのはここでは扱わないのか。個々の調査項目についての問題についてだけ 議論するということなのか。そういう厚生労働として、例えば国民生活基礎調査とか、今出 ましたような人口動態とか、そういう主要統計について匿名データを作成していく手順とか、 スケジュールとか、どういう問題があるのかとか、そういう議論というのはここではないの でしょうか。 ○小此木統計企画調整室長補佐 ただいま玄田委員から意見をいただいたように、この基本 計画の整備に関連して、例えばこういった点でオーダーメイドなどをもう少し充実してほし いとか、そういった意見がございましたら、とりあえず、この場でも発言していただいて一 向に差し支えないというふうに考えております。ただ、実際にオーダーメイド集計なり、匿 名データの作成方法につきましては、この検討会とはまた別途の場で検討を進めているとこ ろでございますので、具体的な内容はそちらにお願いすることになろうかと思っております。 ○廣松座長 ほかにいかがでしょうか。今の御意見と関連して言いますと、省庁横断的な課 題の中に、厚生労働省に関係するものが幾つかございます。具体的には、例えば生産動態統 計の統合ということが言われているわけですが、その中に、薬事工業生産動態が含まれてお り、それは厚生労働省が所管している調査です。それをほかの生産動態統計調査との関係で どういう形で今後考えていくのかということに関しては、当然、生産動態統計全体を見てい る委員会なり、研究会がまた別途動いているようですので、そちらの動きをこの検討会の方 に御報告いただき、情報を共有できるようにしていただければと思います。  この基本計画の進捗状況に関しては、6月末までにまず21年度中ぐらいのものに関して総 務大臣に報告をし、それを統計委員会で議論した上で、当初想定していた進捗状況よりも遅 れている、あるいは問題がありそうな点に関しては、統計委員会が担当大臣に意見表明を行 うということを想定されております。本日は厚生労働省の中の検討会でございますが、その 1つの役目として、先ほど申し上げましたとおり、総務大臣への報告として、これでいいか というような御判断もいただければということかとも思います。  そういうことで、今日は特にどの点に絞ってということではございませんので、まだほか にお気づきの点がございますれば、どうぞ御自由に御発言をいただければと思いますが、い かがでしょうか。 ○阿部委員 今、座長が6月までに出すということで、これがいいのかということをお話し されましたので、しつこいようですけれども、1枚目の毎勤のところですが、毎勤だけじゃ なくて雇用動向もそうですけれども、これはそもそもSNAの四半期推計の際に必要な1次 統計として求められているということで、実は私、統計委員会の検討会でこの点を担当して、 こんな形でまとめた張本人ですが、なぜこういうふうなことが出てきたかというと、内閣府 でのデータ、SNA統計の作成者からヒアリングした結果、かなり大きな問題を抱えている ということで、こんな具体的な措置・方策等ということで出てきたというふうに思います。 下を見ていただいておわかりになると思いますが、四半期推計の際の1次統計として、半年 ごと、あるいは5年に1回という統計で大丈夫かという問題意識だったろうと思います。実 際に加工している現場でどんなことが起こっているかとデータを見させていただいたところ、 やはり誤差が非常に大きいということ。それから、(1)もそうですけれども、標本替えの ところの断層の大きさは相当大きいということが確認できておりますので、このままだと、 たぶん6月に何か言われて返ってくるのではないかというふうに私自身は懸念をしておりま すので、平成25年度までに結論を得るということではあるのですが、ここで把握しているけ れども、どういう問題があるのかというのをきっちりお書きにならないといけないのではな いかというふうに思います。以上です。 ○本川雇用統計課長 毎月勤労統計調査を担当している雇用統計課長でございます。この問 題につきましては、内部ではいろいろと議論はしておるのですけれども、なかなか悩ましい ところがたくさんあって、今回の会議に資料としてお出しできるところまではいっていない ということで、こういうちょっと不十分な形のメモにしかなっていないのですけれども、言 い訳程度になるかもしれませんけれども、今どういうところで悩んでいるかというところを ちょっと御説明申し上げたいと思います。  まず、(1)の5〜29人の事業所の調査における断層の問題ですが、毎月勤労統計調査という のは5〜29人と30人以上で調査の方法が若干違っております。30人以上については、事業所 をほぼ3年間固定しておりまして、3年ごとに交代している。その交代のときには、ギャッ プ修正といいまして、断層を解消するという手続をとっております。5〜29人の方は小規模 でございますので、事業所を固定することができないということで、半年に1回、3分の1 ずつ事業所をローテーションしているという状況でございます。1つの事業所については、 そういうわけで1年半継続して調査をしているというものでございます。それで、半年の一 度のローテーションのときに、サンプルの交代が3分の1起こるわけでございますので、そ こに断層が生じて、それが統計を使いにくくしているという御指摘だと思っております。  これの解決については、一番根本的には、ローテーションの入替えの事業所の割合を少な くするというのが一番根本的な解決になろうかと思っておりますけれども、そうしますと、 1つの事業所にお願いする期間を長くせざるを得ない。あるいは、長くするか、あるいは小 刻みにたくさんローテーションするかということですが、そうすると、今度は行政側の事務 手続等が大変になってしまうという状況になりまして、そこをどうしたものかというのが非 常に悩んでいるという状況でございます。  それで、幾つか代替案というのも考えておりまして、1つは、このローテーションによる 断層というのは、事後的には時系列的分析、ARIMAモデルを使いまして、この断層を同 定して解消するというのは技術的には可能です。ですから、少し時期が遅れてもいいのだっ たら、その時系列モデルを用いた解消というのが1つの選択肢としてあるだろうということ です。  それからもう1つは、日本の毎勤に相当するアメリカの調査でCESという調査がござい ます。このCESという調査も、日本と同じように交代をしていまして、1年に1回、約8 割継続して、2割ぐらいが交代するという調査ですが、この調査につきましては、少し巧妙 な集計の方法をやっておりまして、ちょっとリンクリラティブに似ているのですけれども、 純粋なリンクリラティブだとベンチマークがないとどんどん発散してしまうので、それをう まく発散しないようにする巧妙な方法というのをやっているらしくて、その方法を少し勉強 して日本でも取り入れられないかということも1つの選択として考えている。そういう状況 で、いろいろ考えていることはあるのですけれども、まだちょっと悩ましいことはたくさん あるということで、今回はなかなかここに書きづらかったということです。  それから、(2)の方です。解雇・退職、転勤等に分離するということですが、実は毎勤につ いては、昔、毎勤の離職者については、解雇と転勤を区別するような調査をしていた時期が ございました。そのあと、毎勤でパートタイム労働者の調査を追加するときに、記入者負担 を軽減するという趣旨でこの分離をやめたという経緯がございます。そういうこともありま して、今回新たに解雇・退職と転勤を分離するというので、事業所負担の関係から、事業主 の方々の理解を得るのがなかなか難しいのかなという気がしているということです。  それで、代替案としまして、一応考えておりますのは、雇用動向調査というのは年に2回、 四半期に足りないわけですけれども、一度分離されております。それと、今回、雇用動向調 査のほかに、実は年に4回実施している調査がございまして、労働経済動向調査という調査 があるのですけれども、その辺の雇用動向調査と労働経済動向調査を少し組み合わせる形で SNAの集計に使えるようなものができないかという検討の方向も1つ考えているという状 況がございます。  (3)の退職金の問題でございますけれども、ここは実は全く見当がつかないという状況で、 御存じのように、退職金というのは、事業所の側でもそれを算出し、統計の調査票に記入す るのは大変な事務負担が生じている問題でして、正直言って、ここはどんなふうにしたらい いかというのは今本当に悩んでいるという状況でございます。 ○廣松座長 ありがとうございました。今の御説明でいかがでしょうか。 ○阿部委員 非常にありがとうございます。私、ここにそれを書かれた方が、むしろ議論に なってよろしいのではないかというふうに私自身は思うのですが、それをベースにして、も ちろん予算、時間、いろいろな制約条件がある中で、どこかをあきらめて、どこまで精緻し ていくかという議論を立てるといいと思うので、そのような形の方が、この状況よりもかな りよろしいのではないかというふうに思いました。 ○廣松座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○阿藤委員 3ページの就業と結婚・出産、いわゆる家族の関係に関する統計ということで、 総務省と厚生労働省にいろいろ検討すべしという基本計画の指示があるわけですが、これも (1)と(2)で、統計情報部が行っている調査2つについての現状を書かれているのです が、厚生労働省ということになると、これは基幹統計ではないわけですけれども、国立社会 保障・人口問題研究所の例えば出生動向基本調査とかもカバーしてここで報告するのかしな いのかが判断の1つではないか。  それから、詳しく分析する観点というときに、今までの公的統計全体としての雇用・労働 に非常に力点があって、雇用・労働といわゆる結婚・出産・子育てという家族との相互関連 というものが比較的手薄であったのではないか。時代的には、いわゆる女性の社会進出に伴 う仕事と子育ての両立という問題が非常に大きくなっているのにもかかわらず、それを全国 規模かつ例えば都道府県とか、細かく集計するようなデータが国にはないというふうな問題 意識も統計委員会で議論したときにあったように思うのですが、そこらあたりへの対応とい いますか、何か考えておられるのか。先ほど総務省と厚生労働省が別々に検討しているとい うことだったのですけれども、その辺も含めて、両方の間で何か議論はないのか、もう少し 伺いたいと思っています。 ○小此木統計企画調整室長補佐 ありがとうございます。まず、国立社会保障・人口問題研 究所等の調査についても、この場で含めた議論をされるのかというような件でございますけ れども、基本計画の課題につきましては、基本的には厚生労働省に与えられた課題ですので、 この課題に対応するためには、統計情報部の調査のみならず、国立社会保障・人口問題研究 所その他の統計調査も含めて対応策を検討していくということになろうかと思います。ただ、 今回、先生方にお願いしているのは、そのうち特に統計情報部で整理している調査の整理に つきまして中心的に御議論をいただければというふうに考えているところでございます。で すから、基本的には、統計情報部の調査を中心に改善の方策等を御提案いただければ幸いで ございますけれども、その他の調査につきましても、関連情報等ございましたら、併せて御 提案いただければ幸いだと思っているところでございます。  あとは、この課題が総務省、厚生労働省にそれぞれ与えられている課題で、先ほども説明 しましたとおり、それぞれの調査課というところでそれぞれ検討しているところでございま すけれども、確かに調査規模の問題等があって、1つの調査で細かく、例えば都道府県表章 までさせようとかというと、費用等の問題などもあり非常に困難というところがございます。 総務省、厚生労働省合わせて1つの統計ができれば、その辺も解決できる手段もあるのかも しれませんが、現状そこまで議論ができていないというのが現状でございます。 ○廣松座長 ほかにいかがでしょうか。私も、先ほどの玄田委員、それから今の阿藤委員の 御意見を伺っていて、やはり1つ大変気になるのが、常用雇用者のことです。さっきおっし ゃいましたけれども、これは英語で言うとインプロイー(非雇用者)ですよね。ところが、 最近は就業形態がさまざまな形に多様化してきていて、最近はほかの調査では、「雇用者」 という言葉ではなくて、「従事者」という言葉を使っています。「従業者」ではなくて、 「従事者」です。英語でいうとエンゲージド・パーソンズです。必ずしもパートとか、アル バイトとか、正規とか非正規だとかは問わずに、その活動に従事している人という意味です。 そうすると、確かにおっしゃるとおり、今まで主として常用雇用者というか、常雇と呼ばれ る概念を核にしてつくられてきたいろいろな労働統計とか、今、阿藤委員がおっしゃったよ うなワーク・ライフ・バランスの問題なども少し焦点が移るというか、力点が変わるように なり、根本的に見直さなければいけない部分が出てくるような気がします。その点は必ずし も今回の公的統計の整備に関する基本計画の中で明示的に問題提起されているわけではない ですが、全体の大きな流れとして、やはりそういうことがあるのではないかと思います。可 能であれば、先ほど申し上げましたとおり、この検討会として、いわば与えられた宿題を果 たすという受動的な役割だけではなくて、そういう基本的な考え方の転換に伴う統計のあり 方ということに関してもいろいろ積極的な御意見をいただければというふうに思います。  さて、大体予定をしておりました時間でございますが、今日、全体を通じまして、委員の 方々の方から御発言ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、議事次第には3番目として「その他」というのが入ってございますが、事務局 の方から何かございますか。特によろしいでしょうか。  それでは、今日の段階では、とりあえず基本計画の特に別表に関する対応に関して御説明 をいただくと同時に、それに関して委員の方々から、もう少し積極的に書いてもいいのでは ないかというような御意見も出ましたが、いろいろ御意見をいただきました。その御意見等 を踏まえまして、事務局の方で対応いただけるようお願いしたいと思います。  それでは、本日の検討会はこれで終了したいと思います。どうも御協力ありがとうござい ました。 照会先 厚生労働省 大臣官房 統計情報部 企画課 統計企画調整室 統計企画係 電話 03-5253-1111(内線7373)