10/04/16 平成21年度第2回化学物質のリスク評価検討会議事録 第2回化学物質のリスク評価検討会 (有害性評価小検討会、ばく露評価小検討会合同開催)         日時 平成22年4月16日(金)         16:00〜          場所 経済産業省別館10階1014号会議室 (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部    化学物質対策課化学物質評価室 寺島    〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL 03-5253-1111(内線5518)    FAX 03-3502-1598 ○寺島化学物質情報管理官 本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうござい ます。ただいまから第2回化学物質のリスク評価検討会を開催いたします。以下の議事進行については、 座長にお願いいたします。 ○名古屋座長 第2回化学物質のリスク評価検討会です。まず、資料の確認を事務局からよろしくお願 いします。 ○寺島化学物質情報管理官 議事次第の裏面に配付資料一覧がありますので、そちらをご確認くださ い。資料1「リスク評価書(案)」の一塊です。最初のホチキス止めが初期リスク評価書(案)ですが、 前回の検討会の修正版の3物質のものについてです。次のホチキス止めが初期リスク評価書のコバルト 及びその化合物です。次のホチキス止めが酢散ビニルの初期評価リスク書です。続きまして、詳細リ スク評価書が3物質、クリップ止めでそれぞれございます。以上が資料1となっています。  続きまして、1枚紙で資料2「今後の予定」です。その次に参考資料1から5が1つのホチキス止め になっていますが、参考1「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」。参考2「リスク評価の 手法」、参考3は「初期リスク評価書」の昨年度のものです。今回、詳細リスク評価書を提出していま すので、それに係る「初期リスク評価書」となっています。参考4「リスク評価の進捗状況」。参考5 は、中央労働災害防止協会に委託しています事業の成果物として「有害性評価手順」を添付していま す。参考6「平成21年度ばく露実態調査の結果」として、別綴りで横のA3の紙をお配りしています。 これにつきましては、事業場の実態調査の結果となっていますので、机上のみ配付、非公開資料とさ せていただいています。委員のお手元に西川委員からのご指摘事項で別冊のクリップ止めを配付させ ていただいています。間に合いませんでしたので、机上配付とさせていただきたいと思います。併せ てご検討いただければと思います。最後に、英文の追加資料を1枚つけさせていただいています。以上 です。 ○名古屋座長 これは7としなくても大丈夫ですか。このままでいいですか。 ○島田室長 我々の方で手続きして直しておきます。 ○名古屋座長 わかりました。本日の議題に入ります。「平成21年度リスク対象物質のリスク評価」 ということで、事務局から資料の説明をよろしくお願いします。 ○長山室長補佐 資料1から説明します。最初に初期リスク評価書の前回検討していただいた3物質の 修正のものから説明します。直しの方向としては、前回、数字は半角でとか、そういったところを全 体的に直しています。若干見切れていない部分がありますので、また適宜、反映していく部分もあり ます。有効数字もすべて見切れていない部分もありますので、気づいた点はどんどん直していくとい う形でやっていきたいと思っています。  まず、アクリル酸エチルです。1頁は、特に直しがないですけれども、1頁の下の「有害性評価」の 「発がん性の閾値の有無の判断」のところで、こちらの物質は「不明」の物質です。2頁に、閾値がな い場合の参考で書いたものがあったのですけれども、これを書くとまぎらわしいということで別添の ほうに参考は委ねるということで、こちらのほうは削除して、不明の根拠だけを書くという直しをし ています。  2頁の27行目から(4)「評価値」とあります。前回は、一次評価値、二次評価値と2行だけ書いてあ りましたけれども、これだけだとぱっと見たときにわかりにくい。評価値だけを書くと読む人の立場 から、ちょっとわかりにくいのではないかということで、少し何かこういうことですというものを書 いたほうがいいのではないかということで、本日お出しする評価書も含めて、こういった形で評価値 だけではなく、こういうものから設定しましたということを書かせていただきたいと思っています。  2頁から3頁にかけては、半角にするとか、そういった直しを行っています。3頁の21行目からの測 定分析法のところで、「ポンプを使用して捕集」というのを「接続して捕集」ということで直してい ます。これは、ほかの各物質も同じように直していくということで考えています。  4頁の20行目、※で書いてありますけれども、「個人ばく露測定については、呼吸域でのばく露条 件下でのサンプリングである」ということで、この※は3頁の28行目、「労働者に対する個人ばく露 測定(※)を行う」という、ここに繋がっているのですけれども、前回、ご議論の中で超えた部分を 全員が吸っている、濃度を超えたものを実際に吸入している人たちがたくさんいるという誤解をされ るのではないか。大体、マスクといった措置をとってやっているので、そういったことがわかるよう な書きぶりにできないかということで、※のような形で注釈を入れています。これは、各物質につい ても同じように注釈を入れたいと考えています。以上がアクリル酸エチルの直しになります。  次は、アセトアルデヒドの修正の部分を説明します。1頁は変わりませんけれども、2頁で、こちら は閾値なしのものですので、ユニットリスクを用いてリスクレベルを算出することになります。右上 の1行目から12行目までに書いてありますけれども、前回、ユニットリスク、生涯過剰発がんリスク レベルの書き方でちょっとわかりにくい。少し表現を修正したほうがいいのではないかということで、 特に労働補正のところが混同しやすいのではないかとご指摘いただきましたので、少しなお書きのと ころで労働補正後のリスクレベルということで、計算式そのものを1行加えて、少し混同しないように 書かせていただいています。労働補正の関係なのですけれども、前回どういう形で労働補正を行って いるのかという議論がなされまして、何らかの参考で示したほうがいいのではないかという意見があ りました。  お手元の参考資料の77頁から参考5として、委託先の中央労働災害防止協会で有害性評価の手順を 決めたものを本日つけさせていただいていますので、参考に示しておきたいと思っています。77頁に 評価手順がありまして、「有害性評価書」と「有害性総合評価表」の作り方を示しています。79頁に4 番ということで、「有害性の評価と『有害性総合評価表』の作成」という章があります。ここで作成 について、いろいろ記載していまして、それぞれの場合どういうふうに記載するかというのが書かれ ています。  80頁の中段の下に(4)「発がん性の評価について」という項目があります。ここでどういうふうな記 載をしていく、どういう判定をしていくということが書かれています。下のほうに(3)という形で発が ん性の評価、こちらで評価値の算出ということで、算出方法をポツで、箇条書きで書いてあります。 こちらでは、閾値がある場合、ない場合はどういうふうに算出していくかという中で、81頁に移りま すけれども、真ん中辺り、いちばん最後のポツになりますけれども、「労働補正の取扱」ということ で、こういった得られたユニットリスクなど、また生涯過剰発がんリスクレベルを算出したあとに前 提として呼吸量、10m3/日とか、ばく露日数240日/年とか、そういった労働年数45年といった補正を して、その労働補正とした値を評価表に書いていくという手順を経て、こちらを作っているというこ とを参考として示させていただきたいと思っています。  資料1に戻りまして、そういった形での労働補正後のリスクレベルということで、こういった式によ って補正するとこういう値が出てきますということで混同しないように記載させていただきました。2 頁は、同じように評価値のほうで説明を加えています。3頁、4頁は同じように数値を修正したり、呼 吸域でのサンプリングであるという形で同様の修正を行っているということを行っています。  次に、インジウム及びその化合物についての修正点を説明します。1頁、2頁は特に変わりなく、3 頁から4頁にかけての「閾値の算出」の部分のところで、労働補正後のリスクレベルということで少し わかりやすいように表現をさせていただいています。評価値の説明とか半角にする部分は同様の修正 をかけています。若干違うのは、6頁の6行目から9行目に※で注釈をつけています。1番目の※は、 各物質同じですけれども、2番目の注釈で、委員から「頻度が非常に低いけれども濃度が高かったとい う表現があったほうがいいのではないか」というご意見を踏まえまして注釈をつけました。委員の指 摘で「頻度が非常に低いけれども」ということだったのですけれども、頻度の関係はなかなか書きに くいという部分もあって、1回当たりの作業時間のほうで記載させていただこうか。頻度のほうは「企 業秘密から不明だが」と書きましたけれども、実際、書きにくい部分もありますので、そこは特に書 かずに作業時間のみを書こうと思いますので、※の2番は前段のほうの表現を取りまして、後段のみの 「1回当たりの作業時間は約10分程度である」だけを残して「濃度は高いけれども作業時間は短時間 である」旨を注釈で加えて修正させていただこうかと考えています。その他同じです。本日、別添1か ら別添4をつけていませんけれども、同じ本文でご指摘があった部分、修正を加えた部分は別添1、別 添2を同様に修正させていただきますし、前回指摘のあった部分についても修正していますので、また まとめて議論していただくときに出したいと思っています。この3物質についての前回の修正版の説明 は以上です。 ○名古屋座長 前回の説明のところで、皆さんにご指摘をいただいたところを修正したということで す。ただいまの説明に対してご意見、ご質問等ありますでしょうか。よろしいですか。それでは、こ のまま修正されたということとします。また、お気づきの点がありましたら事務局にお願いいたしま す。 ○西川委員 前回、出ていなかったのでコメントを出していなかったと思うのですが、3物質に共通し て「発がん性以外の有害性」の部分、「急性毒性:あり」などという記載になっていますが、通常、 急性毒性はLD50とか、強さで表現することが多い。同様に、反復投与毒性についても無毒性量がいく つかというような、毒性の強さで表記することが多いと思いますので、あるかないかという評価は少 し曖昧のような感じがします。 ○名古屋座長 これはどうしましょうか。従来はそのまま、急性毒性ありなしでずっと来ていました が。 ○大前委員 別添のほうに書いてあるので、ここにはあえて書かないでそういうような方針でよろし いのではないかと思います。これは本文だけでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 西川先生にお届けしている資料がもしかしたら、参考資料というものが抜 けていた関係でそういうご理解になっているかもしれません。別添の資料にはご承知のような資料が 付いております。例えばほかの資料で見て、今回お出しした評価書を見ていただきますと、いまの紙 が表紙みたいな形になり、「リスク評価書」というメインの紙になります。その後ろに別添1、別添2 という有害性に関する2つの資料が付いてはいるのですが、表現上、いままではそういうようにさせて いただいてしまったわけですが、もう少し書き下しをしたほうがよろしければ、ここはご検討の上で させていただこうと思います。 ○西川委員 少し変えたほうがいいと思います。というのは、反復投与毒性試験というのは毒性の出 る量、出ない量を想定して試験をするわけですから、毒性が出るのはある意味当たり前なのです。で すから、ありなしという表現よりは、例えば無毒性量がいくつかというような表記のほうが、より正 確であると思います。 ○名古屋座長 これはここで扱いますか、それとも「影響」のほうの表記で扱ったほうがよろしいで しょうか、どちらにしましょうか。 ○島田化学物質評価室長 ここでご検討いただいた上で、もしその辺りの表現の適正化を図るのであ れば、大前先生のところでやっていただくことになります。 ○名古屋座長 これに対して皆さんからご意見をいただきます。 ○宮川委員 いまの点で急性毒性等、もともとのデータがLD50のものはよろしいかと思いますが、臓 器毒性等では疫学データ等があって必ずしも動物試験だけではない場合もあります。多少、考えなく てはいけないこともあると思いますので、もし時間があれば大前先生のところで検討していただくの がよろしいかと思います。 ○名古屋座長 大前委員、よろしいですか。表記等についてはもう一度、そちらの委員会等で検討し ていただくということでよろしくお願いいたします。ほかによろしいでしょうか。  それでは、初期リスク評価に進んでいきたいと思います。これも今回新しく出た物質ということで す。事務局からよろしくお願いいたします。 ○寺島化学物質情報管理官 「初期リスク評価書」の「コバルト及びその化合物」の項をご覧いただ きたいと思います。有害性評価について長山からご説明いたします。 ○名古屋座長 2つあるのですが、最初に配ったほうでいいのですか、それとも修正のほうですか。ど ちらのほうを見たらよろしいですか。 ○寺島化学物質情報管理官 西川委員からの意見については、後ほど参照していただければと思いま す。 ○名古屋座長 わかりました、ありがとうございます。よろしくお願いします。 ○長山室長補佐 1頁、1として「物理的性状等」です。コバルト、また酸化コバルト(II)、酸化コ バルト(III)、両方書いています。(2)「物理的化学的性状」ですが、コバルトで沸点、融点を見ると、 基本的に固体で取り扱っていく。ただ、ばく露作業報告などで見ると25%液体、メッキや印刷など、 そういった溶液で使う場合もありますので、そういった形で使われていることになります。2頁に移り ます。(3)「生産・輸入量、使用量、用途」です。生産量は約47万トンと多く、用途としても各種材料、 触媒などに使っていくというものになります。  2頁の下のほうから2として「有害性評価」です。発がん性については、IARCで発がん性は2Bに分 類されている。コバルトと炭化タングステン合金については2Aということですが、それ以外は2Bに分 類するということで、「ヒトに対する発がん性が疑われる」という区分になっています。  次の「閾値の有無の判断」ですが、こちらについては数多くの変異原性の試験などで報告があり、 こちらについては、閾値がないというように考えられるとなっています。閾値がない場合ですけれど も、ユニットリスクを用いたリスクレベルを算出するのですが、こちらについては特に「情報なし」 ということになっています。  3頁、「発がん性以外の有害性」ということで急性毒性や皮膚感作性というものが挙げられるという ことになっています。こちらの書きぶりについてはまた工夫して、急性毒性の致死性をどう書くかと いうのは全体的に見直していきたいと思っています。  (3)「許容濃度等」、ACGIHのTWAが0.02mg/m3コバルトとしてと書いてあります。1点記載漏れがあ りまして、許容濃度としてはもう1つ産衛学会のものがあります。日本産業衛生学会のほうが 0.05mg/m3を1992年に出しており、2つあります。  (4)の「評価値」の一次評価値としては、評価値なし、発がん性の閾値がないとみなされる場合であ る。ただ、がんの過剰発生率が算定できない、定量的なリスクの判定ができないというものなので、 一次評価値は、なしとなります。二次評価値については、有害性の小検討会において議論し、この ACGIHと産衛学会、0.02と0.05をこちらで考え、新しい値、より低い値のほうを取ろうということで 議論がなされ、ACGIHの提言しているばく露限界値の0.02mg/m3を二次評価値としていますので、こち らを記載しています。次に、3の「ばく露実態調査」から説明いたします。 ○寺島化学物質情報管理官 有害物ばく露作業報告ということでコバルトの結果をいただいています。 これは1点補足しますと、今回、この初期リスク評価書については、コバルト及びその化合物(塩化コ バルト及び硫酸コバルトを除く)となっているのですが、平成21年に報告いただいたコバルト及びそ の化合物のばく露作業報告においては、塩化コバルト、硫酸コバルトを分けるというのではなくて、 コバルト化合物全体について報告をいただくということで、この点については全部合計のデータにな っています。合計296事業場から報告がなされておりまして、取扱いの労働者数は1万3,000人余りと なっています。  ばく露実態調査の結果ですが、委員の皆様におかれましては机上にありますA3の横表をご覧いただ ければと思います。「コバルト化合物のばく露評価」、1頁めくって、コバルト及び化合物の個人ばく 露測定の結果で最大値となったデータなのですが、0.875となっています。A3のほうの表をご覧いただ きますと、1枚目のいちばん下、D社のところ、0.875ppmという値が出ています。  この結果については本文のほうの4頁、22行目に書いてございます。「労働者40人の個人ばく露測 定結果、8時間TWAの結果」について、最大値をすみません、ここで0.974と書いていますが、測定の 実測値の最大値を入れてしまったもので換算した8時間TWAでいきますと0.875となります。申し訳あ りません、修正をお願いします。同じ修正を26行目、それから28行目、0.974が0.875の誤りですの で修正をお願いいたします。このような形で、0.02となっている二次評価値を大幅に超えたものとな っています。  スポット測定の結果ですが、31行目をご覧ください。6単位作業場のうち、幾何平均値が0.0375で したが、最大で1.25というのが出ています。さらに34行目、A測定の結果ですが、最大値が 0.598mg/m3というのが出ており、二次評価値を上回っています。  ということで、コバルトのばく露実態調査なのですが、7事業場の合計でいくつかの事業場において 出ています。それをまとめたのが5頁の4になります。40人のうち4事業場の8人(20%)で二次評価 値を超えていますので、多くの事業場で高いばく露が発生するリスクが高いということが推測される というまとめとさせていただいています。コバルトについては発がん性が疑われるという段階にある のですが、高いばく露が推測される事業場があちこちにあるだろうということで、今後、さらに詳細 なリスク評価が必要であるとまとめています。また、詳細なリスク評価の実施にかかわらず、自主的 なリスク管理を推進することが必要と考えています。以上です。 ○名古屋座長 二次評価値を超えているばく露の発生するリスクが高いということで、こことしては 詳細リスクに移ったほうがいいのではないかということです。データ等、その他について、何かご質 問等ありましたらお願いいたします。 ○花井委員 表現の問題なのですが、3頁の(4)の「評価値」、一次評価値で「評価値なし」というこ とでした。これはいいと思うのですが、「発がん性の閾値がないとみなされる場合のうち、がんの過 剰発生率が算定できない場合であり」云々というのは、上に書いてあることから言うと要するに情報 がないからということですか。 ○長山室長補佐 そうですね。 ○花井委員 それでは、情報がないので「一次評価値なし」だけでいいのではないでしょうか。算定 ができないというと、データとか情報はあるけれども計算ができないということに。 ○長山室長補佐 データの元がないのかということですね。そこは誤解のないような形でちょっと工 夫したいと思います。ここら辺の表現は、参考資料の43頁から評価値を決める「リスク評価の手法」 が付いています。ちょうど、発がんのところの「リスク判定方法」が46頁にあって、このあたりの表 現を取っています。(4)のアの(イ)の部分になるのですが、発がん性の閾値がないとみなされる場合 の(ア)が算定できる場合、(イ)が算定できない場合、この算定できない場合で「定量的なリスク 判定ができない」という表現にしました。そうすると、データはあるけれども計算できないととられ かねない。ちょっと、ここはこれにとらわれず、少し表現ぶりを大前先生と相談させていただきたい と思います。 ○名古屋座長 ガイドラインは参考だからですが、あえてこちらを直さなくてもこちらをわかりやす くという形かなと思います。 ○島田化学物質評価室長 関連して事務局からお聞きしたいことがあります。「有害物の有害性評 価」という2頁の2に、「発がん性」が書いてあります。これはまだIARCなり、その他の機関のもの からすると「疑われる」という表現をそのまま載せています。この表現がいちばん最後、「結論」の5 頁の8行目のところに「当該物質は発がん性が疑われる物質であり」という表現になっています。ただ、 実質、ここで評価していただいたところは、一次評価値を出すべき物質だけれどもデータがないとい う表現になっていますので、多分評価の結果としては「発がん性がある」というように判断をしてい ただいているのではないかと思います。ただ、この表現でよろしいでしょうか。それとも、「発がん 性がある」という表現に直したほうがよろしいでしょうかというご質問なのですが。 ○大前委員 これはやはり、まだ疑われる、2Bの段階ですので「疑われる」という表現でよろしいと 思います。あるとなってしまいますと、いわゆる1価となりますので。 ○島田化学物質評価室長 この場では、IARCの判断をそのまま踏襲するということでよろしいでしょ うか。 ○名古屋座長 それでは、表現はこのままということで。ほかにお気づきの点はありますか。 ○西川委員 先ほどと同じですが、3頁の(2)、急性毒性が「致死性」とあります。これはどのぐらい の量、半数ぐらいの動物が死ぬかなどを表現したほうがいいと思います。2枚めくりますと評価結果で 動物に対してLC50やLD50があるので、こういうものを利用したほうがよろしいのではないかと思いま す。 ○島田化学物質評価室長 ほかのものも同様の表現になっていますので、統一して大前委員と相談さ せていただきます。 ○櫻井企画検討会座長 先ほどの「発がんが疑われる」ということですが、5頁の8行目、「当該物質 は発がん性が疑われる物質であり」は「ヒトに対する」と入れておいたほうがいいですね。前にも入 れてあるのですが、ここで抜けているのです。 ○名古屋座長 ありがとうございます。事務局、よろしくお願いします。あとはよろしいですか。 ○圓藤委員 西川委員のご意見のことなのですが、急性毒性はGHSみたいに区分がありますよね。普通 の人が見たときにその区分にしたほうがわかりやすいですよね。例えばLD50を書いても、それがどの ぐらいなのかというのがあると思います。強・中・弱のような。 ○島田化学物質評価室長 記載については出来るだけわかりやすい記載方法がいいと思いますので、 また大前委員を中心に決めていただけたらと思います。 ○名古屋座長 よろしくお願いいたします。いずれにしても二次評価値を超えている、作業場形態を 見てくると1事業場だけではなくて、いろいろなところで存在しているものがあるということなので、 詳細リスクに行くという形でよろしいかと思います。それでは、次に酢酸ビニルについてよろしくお 願いします。 ○長山室長補佐 酢酸ビニルの説明をさせていただきます。まず、1頁には「物理的性状等」というこ とで、外観としては無色の流動性の液体、沸点が72℃、融点が-93℃ということで、液体の状態で主に 使われるものになっています。  (3)の生産・輸入量、10万トンを超えるという形で使われています。酢酸ビニル樹脂用モノマー、あ と接着剤、そういった形の用途などがあるということが書いてあります。  2の「有害性評価」ですが、こちらについては表現が間違っています。IARCが2Bですので、「ヒト に対して発がん性が疑われる」です。「おそらく発がん性がある」は2Aの表現になりますので、「疑 われる」という表現に修正していただきたいと思います。  もう1点、大きく間違ったところがあります。次の「閾値の有無の判断」なのですが、「閾値あり」 と書いてしまいました。こちら、第2回と第3回の有害性の小検討会で議論し、ここは結構議論になり ました。最終的に、第3回で「閾値なし」に修正となったものです。事務局で修正を忘れて、前のバー ジョンで書いてしまいました。「有無の判断は閾値なし」という形になって、「変異原性は否定でき ない」と結論づけられました。ここを修正するとともに、次の2頁の「閾値の算出」のNOAELのところ はなくします。ユニットリスクは見当たらなかったというものなので、そういった情報なしという旨 を書かせていただきたいと思います。  また、(2)の「発がん性以外の有害性」の部分、こちらも同じように工夫してまいりたいと思います。 (3)の「許容濃度等」、こちら、ACGIHでTWAが10ppmを定められている旨などが書いてあります。  (4)の「評価値」ですが、一次評価値のほうは閾値は修正としては「評価値なし」になります。発が ん性の閾値がないとみなされる場合、こちらも情報がないということで「算定できない」「評価値な し」ということを修正させていただきたいと思います。  二次評価値のほうはACGIHのマクロ限界値10ppmを二次評価値としました。一次評価値はなし、二次 評価値10ppmという形で修正させていただく。それとともに後ろの別添1、別添2のほうも、同じよう に小検討会後の修正漏れがありましたので、同様の修正をしてまたお出ししたいと思います。1、2に ついては以上です。 ○寺島化学物質情報管理官 続いて、ばく露実態調査についてのご説明をいたします。2頁の(1)から ご覧いただきますと、有害物ばく露作業報告は合計121事業場から248作業について、従事労働者の数 は2,550人(延べ)となっています。対象物質の取扱量の合計がおよそ100万トンと、かなり多くなっ ています。  (2)として「ばく露実態調査結果」、「測定結果」の27行目からご覧ください。ばく露実態調査につ いては、ばく露作業報告のあった事業場の中からばく露が高いと思われる12事業場を選定しまして、 74人の労働者に対する個人ばく露測定を行っています。その結果によると、35行目にありますように、 労働者74人中、最大値が21ppmとなっています。この21ppmはカッコ内にありますように、ビニルポ リマーの合成原料としての使用で、原料投入、攪拌作業等でございました。  次の頁、取りまとめた結果なのですが、4「リスクの判定及び今後の対応」のところをご覧ください。 労働者74人のうち、個人ばく露測定で3人が二次評価値を超えています。それをグラフにしたものが 次の頁の上にあるとおりです。3つ二次評価値を超えているものがあるのですが、これらは同じ事業場 のものです。  元に戻っていただいて、4頁の16行目あたりからご説明いたします。3人が同じ事業場のものである こと、その他の作業、その他測定を行った、「接着を目的とした使用」であるとか、「酢酸ビニルそ のものの製造」の作業においては、いずれも二次評価値を超えているものは観測されておりませんで した。  「以上から」ということで25行目ですが、酢酸ビニルについては最大値が二次評価値を超えており、 詳細なリスク評価が必要とするものの、二次評価値を超えた作業というのが「他の製剤等の製造を目 的とした原料としての使用」における作業のみであり、かつ、1事業場のみということですので、事業 場に固有のものか、作業工程に共通した問題かを分析する必要があるという取りまとめとさせていた だいています。  34行目にありますように、さらに「詳細なリスク評価の実施に関わらず、自主的なリスク管理を行 うことが必要」ということを付け加えています。簡単ですが以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明に対して、ご質問等ありますでしょうか。 ○花井委員 これは結論には関係ないのですが、「有害性評価」の中の2頁、上のほう「閾値の算出」 に書いてあるもので「労働補正」という言葉がある。これには6/8と45/75という補正が書いてありま す。先ほど見たものでは240/365も入っていたような気がします。この6/8というのは8時間と6時間 ということですか。 ○長山室長補佐 そうです。 ○花井委員 その辺、全体を統一してやるようにしないと、それぞれ違う係数がかかっているとまず いのではないかと思います。一応、生涯の年数と1年の日数、週何日、1日何時間、その4つで構成す るということですか。 ○長山室長補佐 そうですね、大体そういった時間、年数、日数ですね。 ○圓藤委員 ユニットリスクは一般の人から計算しているので、365日と240日をしなくてはいけない のですが、この場合は週5日ばく露なので、それによってちょっと計算が違うのです。この場合は作業 者と一緒なので、結局240日ということで、240/365というのはないのです。ただ、ばく露している時 間が6時間なので、一般の労働者は8時間と考えるのでその補正をする。そのデータによって違うので すが、EPAのユニットリスクをそのまま使うときは一般の人なので労働補正が必要になる。 ○花井委員 一般の人で出しているから、それを労働者に当てはめるときには必要である。6/8は労働 者は8時間、ラットは6時間ということですか。 ○圓藤委員 この実験ではね。これがもし、ずっと連続ばく露だったらやはり補正はしますというこ とです。 ○長山室長補佐 これが毎日、週7日などとなると何らか要りますけれども。 ○花井委員 そうすると、週に5日というのはヒトもラットも同じだったからやっていないということ ですか。 ○長山室長補佐 そういうことになります。 ○櫻井企画検討会座長 私は、45/75というのはちょっとおかしいなと思っています。閾値がない場合 には全部補正しますが、閾値があるような場合、いちいち何十年のオーダーで補正ということはちょ っとどうかなという気がしています。これはまた、どこかでご検討いただければと思います。 ○名古屋座長 中災防の委員会からの情報なので、中災防でやるという形でしょうね。 ○長山室長補佐 生涯リスクなのかどうなのか。その辺をまた確認してみます。 ○櫻井企画検討会座長 閾値がない発がん性だったらそのようにするのです。この場合はたまたま 「閾値のある」と言っているから。そうすると、閾値を超えたものは追加されないわけです。 ○名古屋座長 そこは具体的に決めておいたほうがいいですよね。 ○清水委員 それはできていますよね、ちょっと間違っただけでしょうね。 ○櫻井企画検討会座長 もし、中災防のほうがここのところがこうなっていたとしたら、 それは多分ちょっとした間違いだと思います。 ○圓藤委員 細かいところですが、4頁の4「リスクの判定及び今後の対応」の13行と14行、一次評 価値はなくなるのですよね。 ○長山室長補佐 そこは削ります。 ○圓藤委員 あと、37行、38行のところもそうですね。 ○長山室長補佐 はい。 ○西川委員 細かい言葉の問題ですが、2頁の(2)「発がん性以外の有害性」の中に「生殖細胞変異原 性」という項目があります。これを別添の1のオのところを見るとin vivo somatic testと書いてあ って、明らかに体細胞だと思うのです。ですから、これは生殖細胞を削除したほうがいいと思います。 ○名古屋座長 ここの項目そのものですね。 ○西川委員 そうですね。ですから、2頁のところも「変異原性」としたほうがよろしいかと思います。 ○宮川委員 この大本の中災防での作業で長い歴史がありまして、最初のころはGHSのエンドポイント に沿った形でデータを整理して見ていこうということでやっていました。ただ、今のようなわかりに くい例が出てくる。急性毒性を致死性を中心としたLD50だけにするのか、それとも急性のいろいろな 影響も含めるのかいろいろ出てきました。途中からところどころ、中災防の事業でもそのときの担当 の方ごとに、「担当」というのは専門家として加わった者ごとにやり方が違うところがあります。  整理をすると、時期によって、生殖細胞変異原性が表に出ているときと出ていないときといろいろ あると思います。ほかのエンドポイントもそうなので、全体を振り返ってどうするかを大前先生の委 員会から、元のほうに戻って整理し直すことを考えるのがよろしいかと思います。 ○西川委員 変異原性も遺伝毒性にするのか、そのような言葉の使い方もあると思います。ちなみに、 コバルトの場合は「遺伝毒性」という記載がありますので、その辺も統一していただけるとわかりや すいと思います。 ○名古屋座長 よろしくお願いいたします。いまのような形のペーパーがあると見ながらできるとい うことがあるかもしれません。これは先生方にお任せしていますのでよろしくお願いいたします。い ずれにしても、事業場の中で、1箇所のところでかなり多いばく露があるということで、詳細リスクに 行くということは必要でしょうが、多分これは皆さんご了解いただけるのではないかと思います。こ こに書かれているような形の取扱いをしてよろしいでしょうか。それでは、検討ありがとうございま したということで、酢酸ビニルの議論は終了させていただきたいと思います。  続いて、平成20年度の初期リスク評価を行って、詳細リスク評価に進むこととされた物質について 資料があると思います。そこについて、事務局、またよろしくお願いいたします。 ○長山室長補佐 「詳細リスク評価書」、3物質あります。まずNo.20とあります「2-クロロ-1,3-ブタ ジエン」から説明させていただきたいと思います。  1枚めくっていただき「物理的化学的性質」の区分ですが、こちらについては沸点59.4、融点も-130 ということで、無色の液体という取扱いが多いのではないかというものです。  2の「有害性評価の結果」ですが、こちらに関しては昨年度、平成20年度に初期リスク評価を行っ ております。有害性の評価書や総合評価表、あと分析法、そのあたりは昨年のものをそのまま使わせ ていただこうということです。その後の情報収集においても、特に追加すべき知見等は得られていな いというものになります。  2頁、「重視すべき物質性状」としては、常温の液体、オクタノール/水分配係数は比較的高く、蓄 積性も懸念があるような物質である。(2)「重視すべきばく露ルート」としては、蒸気圧が比較的高く、 吸入とともに、経皮吸収も注意を要する物質であるということが書かれています。発がん性について は、IARCで2Bということで、「ヒトに対する発がんが疑われる」という区分にされています。  3頁、4行目から遺伝毒性の記載があります。9行目辺りから、「染色体異常試験で陽性としてい る」とか、そういった形で「閾値はなし」と判断することが妥当としています。ただ、ユニットリス ク等の情報は得られず、リスクレベルの計算はできないとされたものになります。  「発がん性以外の有害性」、ここはまた工夫するとして、(4)として「許容濃度等」です。ACGIHの ほうで、TWAで10ppmというものが1980年に出されています。こちらは、気道、眼に対する刺激性を 根拠にして出されているというものになります。  (5)の「評価値」としては、閾値のない発がん性ということですが、ユニットリスクの情報はないと いうことで、一次評価値としては設定はなし。二次評価値として、ACGIHのTWA、こちらの10ppmを採 用したということです。昨年のものですが、一次評価値は「設定なし」、二次評価値は「10ppm」とい うことで、昨年と同様に書かせていただいています。ただ、カッコ書きにあるとおり、この10ppmで昨 年も決めましたが、1980年のものということで、また、有害性評価書のほうでは、より低濃度でNOAEL がとられているものも見受けられる。ここは妥当かどうか、再度検討いただければと考えています。 それでは、ばく露評価の結果に移ります。 ○寺島化学物質情報管理官 4頁、3の(1)、ばく露作業の報告の結果ですが、平成20年における報告 では合計4事業場から6作業についての報告がなされました。作業者数は209人、取扱量は7.6万トン となっています。  そのうち、ばく露が高いと思われる事業場についてばく露実態調査を行った結果ですが、26行目に ありますように、ばく露が高い作業としては、2-クロロ-1,3-ブタジエンの製造、あるいはそれを原料 とした合成ゴムの製造という作業が確認されています。平成21年度においても事業者団体のご協力の もと、1事業場において追加の調査を実施しています。  作業の概要ですが、次の頁の上に例示しましたように2-クロロ-1,3-ブタジエンの製造・取扱いの方 法について図示しております。合成や重合といった原料としての使用というようなものがあります。  ばく露実態調査の結果については6頁をご覧ください。6頁の(2)「測定結果」、平成20年度のばく 露実態調査においては、2事業場の7人の労働者について個人ばく露測定を行い、4単位作業場につい て作業環境測定基準に基づくA測定、8地点についてスポット測定を行っております。その結果、個人 ばく露測定結果の最大値として、二次評価値10ppmを上回る13ppmが見られております。このため詳細 リスク評価に移行して、平成21年度においては10人の労働者に対して個人ばく露測定を行っておりま す。この合計の2年間の調査において、3事業場において17人の労働者に対する個人ばく露測定の結 果、最大値は13ppmとなっております。この高いばく露が認められた作業の詳細は、(3)以下に書かれ ているとおりです。  クロロブタジエンの製造事業場において、合成プラント及び貯蔵タンクからのサンプリングといっ たものがばく露作業となっております。27行目にあるように、合成プラントのコックを開放し、サン プリング(1分間)を行う労働者で3.2ppmのばく露。同種の作業のスポット測定は、最大92.2ppmと いう高い濃度が示されております。ただし、このサンプリングに要する時間が1分から数分程度と短時 間であること、それから屋外作業であることから、このものについては局所排気装置はないというこ とと、有機ガス用のガスマスクが使用されております。  次の頁に示すような作業があるということで、フィルターの洗浄、サンプリング、ストレーナー (フィルター)の洗浄といったものがあるわけですが、こういったものの洗浄を行う作業でいちばん 高い、二次評価値を上回る13ppmが観測されております。  23行目にあるように、以上から、このクロロブタジエンについては、当該物質を原料とする合成ゴ ムの製造工程における重合プラントのストレーナーの洗浄作業及びサンプリング作業については、比 較的ばく露の高い作業と考えられるということです。  しかしながら、局所排気装置を備えていない単位作業場が多いこと。また、有機ガス用マスクの呼 吸用保護具を使用している労働者が5人にとどまっているということがありました。  評価結果は8頁をご覧ください。上から3行目にあるように、17人中1人が二次評価値を上回って いて6%ということです。16人については二次評価値を下回っております。  18行目をご覧ください。ただし、高いばく露が認められたフィルターの洗浄を行うスポット測定の 結果は2.64〜2.7と二次評価値を下回っている。1回当たり5分程度、1日の作業当たり2回程度の作 業であって、これも個人ばく露のものは高かったものの、ばく露の高い作業とは言えないということ です。  26行目になお書きがあります。この物質については、粘膜や眼を含む経皮膚浸透によるばく露の有 意な増加の危険性を有している。経皮の吸収があるということですので、この吸収のばく露に留意す る必要があるということです。  9頁の5「ばく露要因の解析」です。このクロロブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエンは、蒸気圧が 比較的高く、当該物質の製造・取扱い全般について、揮発したガスを吸入する危険性もあると指摘さ れております。また、経皮の浸透性が高く、皮膚によるばく露、皮膚の接触によるばく露の危険性が 指摘されております。  前述のとおり、1人のみということですので、18行目、以上から、クロロブタジエンについてはフィ ルター洗浄等について二次評価値を超えるばく露が見られたものの、作業工程に共通するリスクとは 考えられず、当該作業場、当該事業場での作業方法の点検等によって経過を見ることが妥当と考えら れるということでまとめております。ただし、サンプリングについては概ね二次評価値未満であるも のの、比較的高いばく露が見られますので、これについては自主的なリスク管理を行うことが必要と 考えております。  10頁の「結論」には同様のことが書いてあります。11行目、作業工程に共通するリスクとは考えら れませんので、経過を見ることが必要です。また、保護具の適切な使用によって経皮のばく露を防ぐ ことが必要ということでとりまとめております。以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明についてご質問、ご意見等がありましたらお願いします。 ○大前委員 4頁の7行目、二次評価値が10ppmというのは、1980年の値で高いのではないかという点 に関してですが、その裏付けは、有害性総合評価表、別添1の2頁、例えば、反復投与毒性のところで、 動物の実験のNOAELの12とか、あるいはキの発がん性の項目で、LOAELが2.9というのがありまして、 こういった数字から見ますと確かに10は現段階での情報だけを見ると少し高いかなというのはござい ます。ただし、この作業を進めるに当たってのルールとしては、二次評価値は産衛もしくはACGIHの値 を使うということでやっておりますので、そのルールに従う限りでは10を使わざるを得ないというと ころで、確かに高いと思いますが、ルール上はこういう状態だということです。 ○名古屋座長 作業の形態を見ると、10を超えた3人のほかというのは、そんなに高いわけではない のです。それが半分になったから超えるかというと、そうでもないことがあるので、やはり、ここを 見ていると10で評価して、それが仮に半分になるかどうかわかりませんが、いまのルールで言うと、 詳細リスク評価の要因分析の中では、当該事業場の中では明確化して指導するという形に落ち着くの ではないかという気がしますが、それはどうでしょうか。ここに書かれた結論のとおりになるかと思 います。経皮毒性のところは指導しないといけないのかなという気がします。この点はこのままでよ ろしいですか。そうしましたら、一旦ご検討をいただいたということで、また何かありましたらご意 見をいただければと思います。次の物質の酸化プロピレンというところに進めていただきたいと思い ます。よろしくお願いします。 ○長山室長補佐 次の酸化プロピレンにいきます。1頁の「物理化学的性質」については、無色の液体 の状態で使われることが多いかと思われます。2の「有害性評価の結果」については、特段、昨年度評 価書は作成されておりますが、その後追加すべき知見等は特にございませんので、昨年のままです。  2頁の(1)「重視すべき物質性状」については、常温の20℃では液体ということですが、沸点が34℃ と低めなもので、蒸気圧は非常に高いということで、吸入の危険性が高いことが示唆されるというも のになります。  (2)「重視すべきばく露ルート」としては、特に吸入を挙げさせております。(3)「重視すべき有害 性」ということで、(1)「発がん性」を書かせていただいております。IARCの評価は書いておりません が、昨年の評価書には書いてあるのですが、発がん性の根拠としてはIARCが2Bとなりますので、「ヒ トに対する発がん性が疑われる」という区分になります。昨年の評価書においても、参考でEUは2の カテゴリーになっておりますので、そちらのほうを本年度に記載したいと思います。  遺伝性の突然変異試験など、そういった染色体異常が誘発されたことが報告されておりますので、 いちばん下にあるとおり、発がん性については閾値が設定できないと考えられるものになっておりま す。  3頁、(2)「発がん性以外の有害性」については、表現ぶりを工夫したいと思います。(4)「許容濃度 等」については、ACGIHのほうがTWAの2ppmというものを設定しております。設定理由は、上に書い てあるとおりの感作、眼、粘膜、皮膚の刺激、細胞増殖の増大の可能性といったものを最小とする意 図ということで提案されているものです。産衛学会は設定なしということです。  (5)の「評価値」としては、閾値のない発がん性が認められたというものです。こちらはユニットリ スクから算定した労働補正後のリスクレベルを計算していくということで、26行目から算出の方法が 書いてあります。カリフォルニア州EPAの値をもとに労働補正を行っていって、4頁に移っていきます が、その補正後のリスクレベルとしては、0.057ppmが算出されるものになっております。  10行目と11行目にありますとおり、一次評価値としては、ユニットリスクから算出したリスクレベ ル0.057ppm。二次評価値としてはACGIHのTWAを参考に2ppmという形で設定しております。これは昨 年度も同様の形で設定しているものです。それでは、3番のばく露評価のほうに移ります。 ○寺島化学物質情報管理官 4頁の18行目をご覧ください。平成20年における酸化プロピレンの有害 物ばく露作業報告の結果です。合計37事業場から60作業について、労働者の数が652人、取扱量合計 は100万トンとなっております。  28行目、ばく露実態調査の結果については、ばく露が高い作業としては、酸化プロピレンの製造、 他製剤の製造原料としての取扱い、燻蒸用途の耐圧容器(ボンベ)への酸化プロピレンの充填の3作業 が確認されております。  平成21年度において追加実施したばく露実態調査の結果においては、添加剤としての使用、あるい は器具洗浄を目的とした使用というものが確認されています。これらの作業を図示しますと、5頁の上 のほうに図があるとおりです。  製造としては、対象物質の製造をして貯蔵して小分けして出荷する。製造原料としての取扱いであ れば、原料として投入して合成していく。燻蒸用途のボンベへの充填作業としては、ローリーで荷受 してから充填容器に詰めて出荷する。ウレタンフォームの発泡助剤としての添加剤としての使用であ れば、そこに添加していくというようなことになっております。  ばく露実態調査の結果については、6頁の6行目から「測定結果」があります。平成20年度のばく 露実態調査の結果は、8事業場に対し16人の労働者に対する個人ばく露測定を行っております。7単位 作業場において作業環境測定に基づくA測定を行い、25地点においてスポット測定を行っております。  この結果、個人ばく露測定で二次評価値を上回る5.949ppmが見られたことから、詳細リスク評価に 移行して、平成21年の結果においては、6事業場において15人の労働者に対する個人ばく露測定を行 い、2単位作業場において作業環境測定に基づくA測定、17地点においてスポット測定を実施しており ます。これを合わせた結果は、2年間の調査で14事業場において31人の労働者に対する個人ばく露測 定が行われて、最大値は1年目の5.949ppmとなっております。  ばく露の高い作業がどういったものであったかということで、31行目以降に書いております。酸化 プロピレンの製造1事業場においては、製造された物質のサンプリングを行う1労働者で二次評価値を わずかに上回る2.6ppmが確認されております。このスポット測定では最大70ppmという高いばく露が 示されておりますが、この作業においては囲式の局所排気装置が稼働して、その中で作業をしている ということです。  7頁の上、また、他の製剤の原料として取扱う労働者の23人中、反応釜を開放して投薬液を行うと ともに、サンプリングを行う。この労働者のところで最大値である二次評価値を上回る5.949ppmが確 認されております。この事業場で測定したスポット測定(当該物質投入後に反応釜の蓋を開放し、他 の薬剤を投入する作業を対象とした測定)では、963という極めて高い濃度が測定されております。  また、同じ作業場において実施された作業環境測定、A測定の結果では、反応釜を開放して柄杓を用 いてサンプリングを行う作業の結果でも、51ppmというかなり高い濃度が記録されております。  ウレタンフォームを製造する1事業場において、発泡剤として添加する作業においては5人の労働者 のうち4人で二次評価値を超える比較的高いばく露が確認されております。ここでは局所排気装置がな くて、マスクが使われていたということです。以上から、酸化プロピレンは揮発しやすいということ ですので、蒸気圧の高い酸化プロピレンについては、当該物質を含むいろいろな工程の中でサンプリ ングを行う。あるいは開放系で作業する所についてはリスクが高い作業ということが考えられます。 リスク評価の結果については、4以降にあります。まとめとして30行目、個人ばく露測定を実施した 31人中6人(19%)が二次評価値を超えて、リスクが高いと考えられるということです。  次の頁の1行目、区間推定した限界値については8ppmということで、ほかの作業場における二次評 価値を超える高いばく露が発生するリスクは、統計的にも高いと考えられるところです。以上のとこ ろから、酸化プロピレンの取扱い事業場における一部の作業、充填作業等を除きますが、これについ てはリスクが高いと考えられております。また当該物質を製造し、取り扱う14事業場のうち、一部の 単位作業場に局所排気装置を設置しているのが29%にとどまっております。また保護具を使用してい る事業場も43%にとどまっております。  酸化プロピレンのサンプリング等の作業においては、概ね2分から5分程度と比較的短い作業を1日 数回程度行う場合が多く、呼吸用保護具などの使用が有効と考えられます。一方、洗浄槽において当 該物質を含むものを洗浄作業を行うような作業場については、二次評価値を超える濃度が確認されて おりまして、作業が比較的長く続く可能性があるということですので、こういった作業場については 全般的にばく露濃度の削減を図る必要があるということです。また、酸化プロピレンについては、眼 や皮膚等への刺激が指摘されており、開放系で作業する場合には皮膚や眼を保護することが必須と考 えております。このほか、ボンベへの充填作業についても、一次評価値を超えるばく露が確認されて おりますので、自主的なリスク低減措置の導入が必要ということでまとめております。  以上、まとめますと、9頁の上の表にあるように、一般的に製造、あるいは原料として他のものを作 るという作業においては比較的ばく露が高いということから、いろいろな措置が必要ということです。 ボンベへの充填については、二次評価値を概ね下回ることから、自主的な管理を進めるところです。 10頁の結論のところにあるのも、同じようにこの結果をまとめたことが書いております。サンプリン グを行う作業等でばく露が認められておりますが、こういったものはいろいろなもので作業工程に共 通する問題ということですので、全般的に健康障害防止措置の導入が必要と考えております。このほ か二次評価値以下であったものの、ボンベへの充填作業についても自主的なリスク低減措置の導入が 必要である。また、開放系で作業する場合には、皮膚や眼の保護等の措置は併せて検討する必要があ る、ということでまとめております。以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明に対して、ご質問、ご質疑、ご意見等がありましたらお願いします。 ○清水委員 2頁の30行目から、遺伝子毒性、障害性があるということで、閾値なしということです が、別添1の有害性総合評価表では、有害性はおそらくなしという、ちょっと矛盾することが出ていま す。これはin vivoだけで評価しているようで、in vitroではかなり陽性になっている。この辺の整 合性をとらないといけないのではないかと思います。私がこれを読む限りは、やはり閾値はないと判 定していいと思います。 ○名古屋座長 ありがとうございました。ほかにお気付きの点はございますか。 ○花井委員 細かいことですが、9頁の判定結果の表の表題というか、区分があって「評価値との比較 結果」と書いてあるのですが、数字が6とか15というのはデータの数、件数ですよね。そういうふう に書いていただかないと、何を比較しているのかわからないので、一生懸命考えて、これは全体が31 でとか考えなければいけないので、何か工夫していただきたいと思います。 ○島田化学物質評価室長 承知いたしました。 ○花井委員 ほかのところでもそうだったのかもしれませんが、これは濃度の有効数字が4桁か5桁ま で書いてあるのですが、せいぜい2桁ぐらいで止めておいたほうがいいのではないかという気がします が、ご検討をいただければと思います。 ○島田化学物質評価室長 前回もご指摘をいただいておりますので、その辺りは検討の上、整合性を とりたいと思います。 ○名古屋座長 一次評価値のところで有効数字を考えればいいですね。評価値が例えば2ppmのところ なら、4桁までしか入れませんよということだと思います。 ○花井委員 ばく露のところでも、平均が563.465とか、そこまで書く必要はないと思うのですが。 ○名古屋座長 よろしくお願いします。 ○花井委員 場合によっては必要な場合があるかもしれませんが、基本的には2桁、多くても3桁ぐら いでいいのではないかという気がします。 ○名古屋座長 要は、我々がそれで判断するための材料であればいいわけですからね。ほかにありま すか。 ○西川委員 2頁の発がん性のところの2つ目の段落に、NTPのラットの試験が書いてありますが、鼻 腔の乳頭腺腫という言葉にちょっと引っかかりがあります。これは乳頭腫なのか腺腫なのか。あるい は乳頭状腺癌という言葉を使うのですが、乳頭状腺腫とはあまり聞いたことがないので、確認できれ ば確認していただきたいと思います。 ○島田化学物質評価室長 一応、取り急ぎで恐縮ですが、追加資料を用意させていただきました。こ れはこの根拠となったAbstract、NTPのTR-267というのがPropylene Oxideということで、この物質 ですが、線が引いてある部分が、この表現になっているのではないかと思います。papillary adenoma という表現ですが、これは何というふうに表現したらよろしいですか。 ○西川委員 乳頭状腺腫がよろしいのではないかと思います。状が入ります。 ○名古屋座長 そこは修正をお願いいたします。酸化プロピレンに関しては、作業が若干あって、そ こに対しては健康障害防止措置の導入が必要だと。しかし、ボンベの充填は若干違うので、これは自 主的ということで、もしかしたら作業をうまく分けてまとめるという形で考えてよろしいのですか。 ここに書かれているとおりということで、よろしいですか。 ○櫻井企画検討会座長 小さなことだけで、全体については全く異存はないのですが、例えば、4頁の 2行目辺り、常に出てくるのですが、リスクレベル10-4という表現はピンとこないのです。10-4という リスクレベルに対応する濃度という意味なのですよね。だから、何か気になるのです。ずっとこれは 使われているのですが、ご検討をお願いします。 ○名古屋座長 表現ですよね。 ○櫻井企画検討会座長 はい。これはガイドラインのほうでこういう表現になっているので、こっち に問題があると思います。 ○名古屋座長 私のほうで検討させていただきます。 ○棗田氏(中災防) 8頁に「呼吸用保護具の使用は有効と考えられる」と書いてありますが、過去の スポットサンプリングのデータから見ると、非常に高濃度で、900とか500というふうに出ているもの もあります。そうすると、普通の呼吸用保護具では破過するおそれがありますよね。そうすると、単 純にサンプリング作業だからといって短くても、短時間ばく露がものすごく超えると破過してしまう おそれがあるようなものに、こういうふうに書いてしまうのはどうなのかなと心配があるのですが。 ○名古屋座長 エアレーションとかがありますからね。そういうふうに書かれると、普通の活性炭マ スクと思ってしまうが、もしかしたらそうではないかもしれないねということですよね。 ○棗田氏(中災防) 本来であれば、濃度を調査してという部分なのでしょうが、ちょっと書き振り を何か考えていただいたほうがよろしいかと思います。 ○名古屋座長 そこはばく露調査の濃度が極端に高いところがあるので、そこだけはイレギュラーす る可能性、ばく露する可能性があるということで、やっぱり、マスクの選定にも注意してくださいと いうような書き振りにしていただければありがたいということです。 ○櫻井企画検討会座長 油圧のものはだいぶ進歩しているでしょう。これならいいかなという感じが。 ○名古屋座長 ボンベ式のものも軽くなってますから。だから、ラインを引くのはしんどいかもしれ ませんが、その他は安心だと思います。 ○島田化学物質評価室長 このあと健康障害防止の措置の検討をいただきますので、誤解があっては いけませんので訂正をさせていただきます。具体的にどの保護具を使ったらいいかは、こちらに検討 をお願いしたいという形の評価書にしていただくとありがたいのですが。 ○名古屋座長 わかりました。このところでは、まとめのところでよろしいかということです。よろ しいでしょうか。それでは最後の物質の1,4-ジクロロ-2-ブテンについてお願いします。 ○長山室長補佐 最後の1,4-ジクロロ-2-ブテンの説明をしていきます。「物理化学的性質」として、 こちらのほうも常温であれば液体の状態で、沸点156℃、融点は-20℃ということになっております。  2「有害性評価の結果」につきましては、昨年の評価書からは特に追加すべき知見等は得られていな いということです。「重視すべき物質性状」としては、液体ということで、オクタノール/水分配係 数が比較的高く、蓄積が懸念されるものです。「重視すべきばく露ルート」としては、蒸気圧が比較 的高いということで吸入が上げられますし、また、経皮吸収にも注意を要する物質ということで書か れております。  「重視すべき有害性」のところですが、(1)「発がん性」ということで書いております。この発がん 性については、IARCでは2B、EUでは2と書かれておりますが、昨年の初期リスク評価書の同じものを 見ると、IARCではなくてACGIHのほうで、昨年は根拠としてACGIH、A2で「ヒトに対しておそらく発 がん性がある」という形で、あと参考でEUが2ということで書いております。その辺りを確認して、 書き振りを書きたいと思います。  昨年の資料については、参考資料の64頁が昨年の初期リスク評価の1,4-ジクロロ-2-ブテンとなっ ております。下のほうで、発がん性のほうでACGIHを引っ張っておりますので統一させていただきたい と思います。いずれにしろ、おそらく発がんがある物質という形で判断しております。31行目からあ るとおり、遺伝毒性試験に関して、陽性結果が示されていて、遺伝毒性があると判断できるというこ とで、閾値はなしと判断しているというものになります。  (2)「発がん性以外の有害性」については、強さが書けるかどうか工夫したいと思います。(4)「許容 濃度等」については、ACGIHのほうでTWA0.005ppm、換算すると0.025mg/m3というものが設定されてお ります。経皮吸収性のほうも書かれております。こちらについては、上に書いてあるとおり、1993年、 当該物質は強度の刺激性、変異原性、動物発がん物質でありという形で書かれております。根拠とし て、かなり低めの濃度として設定されているものになっております。  (5)「評価値」としては、初期リスク評価において、閾値のない発がん性が認められたということで、 ユニットリスクに関する情報はないのですが、USEPAが実施したリスク分析による結果、こういったも のをこちらのほうで生涯過剰発がんリスクにかかる結果が出ており、これをもとに算定していきます と、いちばん下にあるとおり、対応する濃度としては6.3×10-5ppmという濃度となっております。  4頁の右上になりますが、二次評価値についてはACGIHのTWAを参考に作っております。こちらは昨 年と同様に一次評価値としては6.3×10-5ppm。二次評価値としては0.005ppmという形で設定しており ます。次は、ばく露評価の結果に移ります。 ○寺島化学物質情報管理官 3の「ばく露評価の結果」については、(1)「主なばく露作業」報告をご 覧ください。14行目にあるように、有害物ばく露作業報告は、1事業場の2作業からの報告で66人の 作業者でした。取扱量は合計3,220万トンとなっております。24行目、ばく露の実態調査を実施した わけですが、この原料として1,4-ジクロロ-2-ブテンを使用する、あるいはそれを製造するという2作 業が確認されております。また、平成21年度についても追加調査を実施しましたが、その調査の事業 場においても同じ作業であったということです。  2年間に2つの事業場を調査しておりますが、どちらも1,4-ジクロロ-2-ブテンの製造、それを原料 とした合成ゴムの製造を一貫して実施しており、それを概略で図にしたのが5頁の上のほうに図として あります。原料から1,4-ジクロロ-2-ブテンを製造し、それを中間体として合成ゴムを製造する工程に なっております。  「ばく露実態調査結果の概要」です。26行目から測定結果があります。平成20年度のばく露実態調 査においては、取り扱っている1事業場の2人の労働者に対して個人ばく露測定、作業環境測定を2単 位作業場について、スポット測定を3地点において行っております。その結果、個人ばく露測定の最大 値は、二次評価値の0.005ppmを上回る0.074ppmとなっております。  これを受けまして、詳細リスク調査に移行し、平成21年度においては、同様の事業を行っている事 業場を調査対象として、3人の労働者に対する個人ばく露測定を行っております。これを2年間合計で 2事業場において4人の労働者に対する個人ばく露測定を行った結果、最大値は0.074ppmということ でした。(3)以降、ばく露の高い作業の詳細が記載されております。このばく露におきましては、1,4- ジクロロ-2-ブテンの製造事業場における合成プラントからのサンプリングの作業が該当するというこ とです。22行目から詳細が書いてあります。循環ポンプ配管からのサンプリング(2分間×1回)、こ の分析を行う1労働者で0.074ppmというばく露が確認されております。この作業のスポット測定で最 大0.21ppmという高い濃度が示されております。ただし、このサンプリングにかかる時間は2分程度と 短時間であること。屋外であること。局排は使用されておりませんで、防毒マスクが使用されており ます。なお、分析の作業においては囲式の局排が使用されておりました。  次の頁、なお書きが5行目からあります。当該物質の下流配管でのストレーナー(フィルター)の洗 浄については測定がなされていないということですが、サンプリングに比べて洗浄作業については長 時間になることが予想されますので、ばく露濃度は実測されておりませんが、ばく露のリスクは高い ことが予想されるということです。  製造し、取り扱う事業場においては局排は設置されております。またばく露が見込まれる労働者は、 すべて防毒マスク等の保護具を使用しており、一部の労働者は保護衣も使用していたということです。  ばく露の評価結果については、22行目にありますように、測定を実施した個人ばく露測定の結果で は、3人(75%)が二次評価値を超えております。以上のことから、32行目以降にあるように、ばく露 濃度の最大値実測が0.074ppm、いずれも統計的に区間推定した上限値が1.42ppmということで、二次 評価値を上回っているのでリスクが高いと考えられるところです。また、フィルターの洗浄について は実測されていないものの、高いばく露が確認される可能性があるということです。  8頁の上のほうへいきますと、この物質については、経皮吸収によるばく露が有意に増加するという ことで、危険性が指摘されておりますので、この点にも注意が必要ということです。  5「ばく露要因の解析」です。この物質については、二次評価値が非常に低いということと、当該物 質の蒸気圧が比較的高いということから、揮発したガスを吸入する危険性があると全般的な作業にお いて指摘されております。また、経皮膚浸透性が高いため皮膚からの経皮吸収によるばく露の危険性 が指摘されております。17行目、ばく露の高かった作業では、4人中3人に二次評価値を超えるばく露 が見られる。スポット測定の結果においても、7作業中5作業でレベルを上回っております。以上のこ とから、22行目にあるように、二次評価値を超えるばく露濃度を下げるため、作業環境の改善及びこ れに加えて健康管理等の確保の対策が必要ということでまとめております。  結論として、二次評価値が非常に低い。要因解析をしたところ、作業工程に共通のリスク、サンプ リング作業等ということですので、共通のリスクと考えられるということです。この結果、有害物ば く露作業報告があった事業場が非常に少なく、追加調査をした事業場も2事業場しかないということで、 サンプリング作業等についてはこの作業に従事する労働者を対象として、発散抑制装置の設置、ある いは保護具の使用等にかかる対策の検討が必要ということでまとめております。経皮吸収を避ける意 味での保護具の使用ということも併せて検討する必要があるということでまとめております。以上で す。 ○長山室長補佐 4頁の取扱量のところですが、3,220万トンではなくて3,220トンで、昨年の報告書 はちゃんと3,220トンと書いてあります。1事業場ですので。 ○名古屋座長 頑張って2社しかないのに、3,220万トンはすごいなと思いました。 ○島田化学物質評価室長 もう1つ、修正していただければと思うのは、6頁の14行目、これは統計 データとして4つしかデータがありませんので、上位10は無意味ですので、計算が単純に自動的にさ れてしまうものですから、これは削っていただきたいと思います。 ○名古屋座長 お気付きの点等、ご意見がありましたらお願いします。 ○花井委員 いまの取扱量のところで、合計3,220トンで年延べというのはどういうことになるのです か。何回か繰り返して、バッチ処理か何かをして足すと3,220トンになるという感じなのですか。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおりで、報告そのものがそういう形で上がってきているもの ですから重複なり、何なりが出ているということです。 ○花井委員 年間の取扱量の項目に書いてある数字を足すと、こういう形になるということですか。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。例えば、10%の当該物質と50%の当該物質は違うものとして 扱われることになりますので、そういう計算だと重複してカウントされてしまうということです。 ○名古屋座長 先ほど櫻井先生が言われたRLのところを文章として、がんの過剰発生率という形の文 章にしてもよろしいですか。それでは駄目ですか。10-4という言葉ですけど、何かありますか。RL (10-4)が先生から指摘されましたが。 ○細田氏(中災防) 過剰発生リスクが10-4に相当する濃度としたのです。 ○名古屋座長 それは日本語のほうがいいですね。RLにしないで。それでよろしいですか。 ○櫻井企画検討会座長 わかりやすく書けば。 ○名古屋座長 ガイドラインのところにはそう書かれているので、それを略すとRlになっている。そ れではガイドラインに合わせて、日本語で書く形で今後は統一してもらってよろしいですか。そうす るとわかりやすいということです。 ○櫻井企画検討会座長 ガイドラインでもそう書いて、RLと書いてしまっているからいけないのです よね。あんまりそういうのはよくないですね。 ○名古屋座長 略語にせずにそのまま、がんの過剰発生率に対するという形で、日本語に直していた だければいいという形で了解をとりましたので。 ○細田氏(中災防) リスクのところには出てこないほうがいいです。 ○名古屋座長 リスクのところにはどこにもないです。 ○花井委員 これは対応する濃度でいいのだと思います。 ○名古屋座長 そのガイドラインはそういうふうに書かれていますので、一次評価値のところの書き 方はそう書かれていますので、そのガイドラインに文章を合わせていただければという形で。 ○島田化学物質評価室長 ガイドラインの部分で、特に座長が前に少量製造の小検討会で作っていた だいたガイドラインには出てくるものではございませんので。むしろ、先ほど花井先生からもお話が ありましたように、国としてそういった面はどういうふうに作るか、もう一度検討し直させていただ いたほうがいいかなと思っております。労働補正の部分も、国のレベルとしては何もコミットしたも のがないものですから。 ○花井委員 そういう意味では、ついでに申し上げたいのですが。今日の参考資料1と2、1の最後の ところに、「リスク評価のフロー図」というのが書いてあり、その後ろに「リスク評価の手法」とい うのがあるのですが、これは全体のリスク評価のフロー図ということで見ると、特に有害性の評価の ほうから入ると、発がん性の評価をして、閾値がない場合にそれで計算して、10-4レベルと比べてばく 露が低ければ、それで問題なしで終わってしまうフローになるのです。これは化学物質のリスク評価 全体から考えると、少し変わったやり方だと思うのですが。  よくわからなかったのですが、今回この委員会に参加するようになって、とりあえず作業現場にお ける発がん性の物質をまず評価する、という歴史的な背景の中で検討されたリスク評価のフローであ る。それはそれで、これで正しいのだと思うのです。ただ、全体から考えると、やはり少し特殊と言 うと言い過ぎかもしれませんが、変わったフローになっていると思うので、その辺のところは厚生労 働省の狙いとか、歴史的な経緯とか、化学物質のハザードをよく評価して、その中で発がん性をまず やるとか、その次には生殖毒性云々とか、そういった考えをまとめたところが、どこかリスク評価全 体の初めに書いてあったほうがいいように思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 歴史的に職業がんというものが重視されてきた経緯がございますので、特 に有害性の部分で、また先生方とご相談をして、そういう考え方をまとめていきたいと思います。 ○花井委員 詳しくやろうとすると、またとてつもない仕事になってしまうので、考えのポイントを サラッと書いて説明しておくことは必要だし、それは可能だと思いますので、是非お願いしたいと思 います。 ○名古屋座長 もともとの趣旨が選定するときの方法をどうするかということで、がん原性が多かっ たものですから、たぶんこのフローになってガイドラインをまとめたので、これから先そのルートで いくと、いま言われたことが起こってくると思いますので、次回以降検討していただく形になると思 います。  ここのところは結論で言いますと、作業性も少ないしということで、ここに書かれてあるような形 のまとめになるかなと思いますが、このままでよろしいですか。どう頑張っても、最終評価でも2社し か出てこないという、ごくごく限られた所と、このルートに従いますと本当に個別対応の形になると 思います。 ○櫻井企画検討会座長 これでいいと思います。全く別のコメントですが、感想と申しますか、ACGIH が決めている数値の根拠は興味があります。EPAは雄ラットの鼻腔腫瘍の発生から、0.025ppmが4× 10-2に相当するというデータです。これは詳細リスク評価の頁は。 ○島田化学物質評価室長 3頁のいちばん下のところにございます。 ○櫻井企画検討会座長 感想ですが、結局、これは動物実験で0.025ppmだと、100人中4人に発がん がある。これを使って1,000人に4人だったら0.025ppm。その2倍の0.005ppmだと1,000人に8人に 発がんがある。1,000人に8人だからいいよというところからきているのではなくて、0.005ppmがおそ らくフィージビリティーの点からいってもギリギリではないかというので、その数値を出すけれども、 それだと、それでも1,000人に8人は出ますよということを言っているのですが。  この判断は1993年の設定と書いてあるのです。要するにACGIHもその時その時でいろいろなものが 出ていまして、これは比較的早い時期に動物実験のデータを使って、こういう判断をしている。しか し、その後同じような判断があるかというと、おそらくないですね。1つや2つはあるかもしれません が。大変興味のある1つの例だと思います。 ○名古屋座長 時代によって評価のところは違うので、なかなか難しいのですかね。よくわかりませ んけれども。そうしましたら、ここのところは大方のところではいいということですので、検討をど うもありがとうございました。以上で本日予定した8物質について検討は終了いたしました。本日の議 題は以上をもって終了します。次回以降のところで、事務局からよろしくお願いします。 ○寺島化学物質情報管理官 それでは資料2「今後の予定」ということで、1枚紙を配らせていただい ております。第3回化学物質のリスク評価検討会は5月21日(金)14時から16時、場所は経産省別館 8階で開催予定ですので、よろしくお願いいたします。 ○名古屋座長 どうも長時間にわたりまして、検討をありがとうございました。第2回化学物質のリス ク評価検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。