10/04/14 第5回高齢者医療制度改革会議議事録 第5回 高齢者医療制度改革会議 (1)日 時 平成22年4月14日(水)17:20〜19:41 (2)場 所 中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階) (3)出席者 阿部委員、池上委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田委員、神田        委員、見坊委員、小林委員、齊藤委員、対馬委員、堂本委員、樋口委員、藤原委        員、三上委員、横尾委員        長妻厚生労働大臣、長浜厚生労働副大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労        働大臣政務官        〈事務局〉        外口保険局長、唐澤審議官、神田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、        伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、佐藤        保険局医療課長、岩渕医政局総務課長 (4)議 事 保険料・給付・医療サービス等について        費用負担のあり方について        意識調査の実施について (5)議事内容 ○岩村座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第5回高齢者医療制度改革会議」を開催さ せていただきます。  委員の皆様には、今日は御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。  今日の委員の出席状況でございますが、岩見委員、近藤委員、宮武委員が御欠席ということで ございます。  また、今回から、全国町村会は長野県川上村村長の藤原委員が御就任されていらっしゃいます。 ただ、今日は御到着が遅れるという連絡を頂戴しております。  今日は、先ほど申し上げましたとおり、第5回目の改革会議ということでございます。前回は、 「費用負担のあり方」ということで熱心な御議論を頂戴したところでございます。今回は、「保 険料・給付・医療サービス等」につきまして御議論いただきたいと思います。また、前回御議論 いただきました「費用負担のあり方について」でございますけれども、その際、さまざまな財政 試算の御依頼を委員の皆様から頂戴したということもございますので、これにつきましても前回 に引き続きましてあわせて御議論いただければと考えております。  更に、この改革会議の議論に役立てるということで、高齢者をはじめとして、国民の方々に対 して意識調査を行うということも予定されてございます。これにつきましても、後ほど御議論い ただきたいと考えております。  それでは、まず最初に、長妻厚生労働大臣からごあいさつを頂戴したいと思います。その上で、 事務局からお配りしております資料の構成について簡単に説明していただくという順序で進めて いきたいと思います。それでは、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。 ○長妻大臣  どうも皆様、本日もお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。  今日は、朝9時から衆議院厚生労働委員会で国民健康保険法の改正案を審議いたしました。そ の中では、支援金の報酬割の件などもいろいろな質疑が出まして、先ほど採決がありまして衆議 院は通過しました。そして、その質疑の中でも、この改革会議がかなりに話題になっておりまし て、国民の皆さんも国会も大変注目している会議でございますので、今後とも御指導いただきま すようお願いいたします。  先ほども座長の方から触れていただきましたけれども、この意識調査、アンケート調査という のもきちっとしていきたいという思いがございます。前回の後期高齢者医療制度では、その意見 聴取という部分が不十分ではなかったのかという問題意識もございますので、今回は2段階に分 けて、一般の国民の皆さん、そして専門家の皆さんにかなり大規模な形で調査していきたいと考 えておりまして、先日も調査の専門家の方を厚生労働省にお招きして、調査の中身というのも御 指導を受けております。今日もその案をお配り申し上げ、皆様方にも御審議いただく予定にして おりますので、是非皆様方の御意見をまたいただいて、御指導いただければありがたいと考えて おります。  この医療というのは、国民の皆さんが大変注目している大きな課題・問題でもございますので、 是非皆様の英知を結集した案を御議論いただければありがたいと思っております。よろしくお願 いします。 ○岩村座長  大臣、どうもありがとうございました。  それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでにさせていただきたいと思います。  では、事務局の方から配付していただいた資料について御説明いただきたいと思います。 (カメラ退出) ○吉岡課長  それでは、配付しております資料につきまして、あらかじめ委員の先生方にはお渡しさせてい ただいておりますが、傍聴の方もいらっしゃいますので、資料の構成だけ御紹介させていただき ます。  お手元の左側に置いてある資料の方でございます。クリップを外していただきますと、まず最 初が、表に議事次第と書いてある束でございます。  これを1枚おめくりいただきますと、右上に資料1と振った「各委員の主な意見の概要」とい う資料でございます。前回までの各委員の御意見を項目別に整理して、各委員の御確認をいただ いた上でお配りさせていただいているものでございます。  次の束の資料2でございます。「本日の議題に関する基本資料」というものでございます。  1枚おめくりいただきますと、目次がございます。まず最初が、2ページから8ページまでで ございますが、本日の中心議題であります「保険料・給付・医療サービス等のあり方」に関する 論点と各委員の主な御意見ということで、2ページから3ページが保険料のあり方について、4 ページから5ページが給付のあり方について、6ページが医療サービスのあり方について、最後 7ページと8ページが保健サービス等のあり方についてということでございます。これまでの各 委員の主な御意見を踏まえた上で、左側に主な論点を整理しておりますので、こうした論点一つ ひとつにつきまして、この会議での結論をいただければと考えております。  それから、9ページでございますが、前回、二通りの財政影響試算を出させていただきました が、前回の会議で更に財政試算を行うようにという御指摘をいただきました。そうしたご指摘を 踏まえ、65歳以上の被用者保険の被保険者の方及び被扶養者の方が、すべて国保に入るケースを A案、被用者保険に入るケースをB案、本人は被用者保険、被扶養者は国保に入るケースをC案 ということで、それぞれ5割の公費を投入する医療給付費の対象年齢を、75歳以上の場合、70歳 以上の場合、65歳以上の場合という3通り、すなわち3掛ける3の9通りについての財政影響試 算を行ったものの総括表でございます。  それから、10ページが前回と同様の現行制度の財源構成。  そして、11ページからが、ただいま申し上げました9通りの財政試算につきまして、それぞれ A案−Iから順次、1枚ごとにその個別の状況の資料を付けさせていただいているところでござ います。それが19ページまででございます。  そして、20ページが、委員からお求めがございましたが、いずれの試算におきましても市町村 国保が負担増となるわけでございますので、その要因について説明した資料でございます。  21ページ以降は、その関連資料でございます。  そして、26ページは、4案における新たな制度への移行方策についてということで整理したも のでございます。前回の委員の御指摘の中で、現在、具体的に提示されている4つの案につきま しては、いきなり最終形に行くというのではなくて、多段階で進むような形になっているのでは なかろうかという御指摘をいただきましたので、各委員に改めて確認させていただきまして、そ れぞれ25年4月時点の制度の概要と、そしてその先の将来的な各保険制度の概要という形で整理 しております。  27ページ、28ページは、従来の資料でございます。  次の資料3でございます。  先ほど大臣から話がございましたように、資料3の1枚目が意識調査の実施方法の案でござい ます。  そして、次のページからが、まず第1段階で行います調査の調査票を付けさせていただいてお ります。1ページから6ページまでが高齢者の方を含む一般用の調査票でございます。  7ページからが有識者の方に対する調査票ということで、これが最後の14ページまででござい ます。  次の資料の束、資料4につきましては、本日の議題に関しますデータや施策の状況等をまとめ た参考資料でございますので、適宜ご覧いただければと考えております。  そして、最後に1枚紙で資料5というものがございます。この次の改革会議におきまして、有 識者の方からのヒアリングを行うことになっていたところでございます。ヒアリングの対象者に つきましては、最終的に座長に御一任いただいていたところでございまして、ご覧の5名の方を お招きして、次回はヒアリングを行いたいと考えております。  もう一方、右側にございます資料が、各委員から提出いただいている資料でございます。  クリップを外していただきますと、まず最初の資料が池上委員から「高齢者医療制度改革の方 向性」と題する資料の御提供をいただいております。  次の束が、全国市長会の調査結果につきまして、岡崎委員の方から御提出いただいているもの でございます。  また、次の束が、全都道府県のアンケートを踏まえた「新しい高齢者医療制度について」とい うことで、愛知県知事の神田委員から御提示いただいているものでございます。  それから、次の資料が「新たな高齢者医療制度の運営主体について」ということで、全国健康 保険協会の理事長、小林委員の方から提出いただいているものでございます。  最後に、本日、御欠席の宮武委員の方から意見書を頂戴いたしております。  本日の資料は、以上でございます。どうぞよろしく御議論のほどお願い申し上げます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、今日は論点がたくさんございますので、なるべく効率的な議論を進めたいと思いま すので、どうぞ御協力をいただきたいと思います。  最初に、池上委員の提案されております改革の方向性ということについて、説明する時間をい ただきたいというお申し出がございました。今日、あわせて資料もいただいているところでござ いますので、10分ほど、池上委員の方から資料に基づきながらお考えを御説明いただきたいと思 いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○池上委員  どうもお時間いただき、ありがとうございます。それでは、別とじにありました「高齢者医療 制度改革の方向性」という資料に沿って御説明申し上げます。  1ページおめくりいただいて、医療におけるお金の流れ。財政問題を考える上で、財源はすべ て国民・患者にあるわけでございますけれども、その中で患者として医療機関に直接払う患者負 担の流れというのは、赤い矢印で記しております。これは何割負担にするかの問題でございます が、いずれにせよ、この矢印の太さは細くて、主なお金の流れは保険料や税金という形で保険者 及び政府に流れて、そのお金が診療報酬あるいは補助金という形で医療機関に流れていくわけで ございます。補助金は、主に公的病院が中心となっております。  この会議の課題は、専ら緑の保険料・税の問題が中心であると私は考えまして、それに基づい て以下の資料を作成したわけでございます。  時間の関係で次を飛ばしていただいて、4ページの日本の公的保険の構造をご覧いただければ と思います。  公的保険の原則は相互扶助と応能負担で、相互扶助は助け合いをする、応能負担というのは、 能力(所得)に応じて保険料をおさめる。この原則は、それぞれの保険者単位に適用されていま すので、問題点としては下にございます。加入者の所得・年齢構成は保険者によって大きく異な っておりまして、所得が低く、年齢が高い保険者の保険料は高い。そして、所得が低い保険者は、 公費で、国保や広域連合、協会けんぽに対して行っています。年齢が高い保険者に対しては、若 人の多い保険者からの拠出・支援金を受けるという形で行ってきました。  次をめくっていただいて、5ページ目、これまでの対応で問題になるのは、所得水準の格差と いうことは、国保に対しては、確かに公費を投入して、投入幅は所得水準に合わせてあるのです けれども、また広域連合に対しては、都道府県の所得の格差に対応した国の調整交付金があり、 また協会けんぽに対しては公費で負担しています。  そして、年齢の格差に対しては、これまでの議論は高齢者だけに注目していまして、高齢者を 分ける年齢として65歳、70歳、75歳ということが議論されています。  次のページをご覧になってください。これまでの対応の課題としまして、所得・年齢構成の相 違に対する対応が不十分である。国保の間あるいは健保組合の間に保険料の3倍以上の格差があ る。あるいは、健保組合の中には協会けんぽよりも高い保険料率のものがある。高齢者以外の年 齢構成の相違を無視しておりまして、加入者の平均年齢が50歳の保険者の1人当たりの医療費は、 30歳の保険者の2倍になるので、保険料率は被用者保険の場合は2倍になる。高齢者だけを差別 する保険をなくすということが本会議の課題でありますが、実は高齢者以外にも年齢構成によっ て違いがあるということに着目する必要があると考えます。  もう一つの課題は、保険料の負担と給付される医療サービスの関係が不明確である。  また、3,500に保険者が分立しているということでございます。  それに対してどうすればいいかということで、次のページ、改革試案となっております。  リスク構造調整というのは具体的に何かというと、所得の調整というのは、加入者の所得が高 ければ拠出し、低ければ交付を受ける。年齢の調整というのは、年齢による医療費の調整を「高 齢者」と「それ以外」ではなく、5歳階級で行う。具体的には、若年者が多ければ拠出し、中高 年が多ければ交付を受ける。このようにリスク構造調整すれば、保険料は平準化し、合併しやす くなるわけです。  もう一方の柱は、都道府県単位に保険者を再編することで、同じ県内で医療サービスの9割を 充足する。そうすることによって、保険料の負担と給付される医療サービスの関係が明確になる。 都道府県の間の所得・年齢構成の格差は、国の公費で対応するということでございます。  次のページ、これに対する障壁として2つあります。  一つは、理念的な障壁です。リスク構造調整をすれば保険料は平準化されますけれども、平準 化されるということは、所得が高く、若年者が多い保険者の保険料は上がる。これは確実に上が ります。上がらなければ保険者の統合というのはできないのですけれども、保険料が上がること に対する、上がる保険者からの反対でございます。それは国民に問う必要があって、医療保険は 各保険者の加入者に限った相互扶助ということを踏襲した場合には、保険料の格差は今後拡大し て、格差を是正するための公費を増やす必要があります。一方、医療保険は国民全体の相互扶助 という中で公費の大幅増額が難しい状況では、こちらの方は適切と考えまして、それに対する激 変緩和措置は用意する必要があると考えています。  一方、都道府県単位に保険者を再編・統合するということは、国の責任であるので、国の保険 者としての機能が低下するという理由がありますけれども、医療サービスの9割は県内で完結し、 都道府県ごとの医療費に格差がある以上、都道府県単位の統合・一本化が最適だと考えておりま す。  以上が所得、年齢構成を調整して、できるだけ保険料が平準化するということ、及び都道府県 に統合・一本化に向けて行うということに対する反対の立場からの反対論を挙げましたけれども、 次のページにあるのは、実務的な課題として、国保を統合しようとした場合には、現状では同じ 県内で国保がばらばらに運営されていますので、保険料の賦課というのは、所得に基づいて保険 料を計算・徴収する際に、総所得から各種の控除を行う方式が異なる。  保険料を賦課する際に、所得に応じて払うのか、何人加入して払うかによって違いますので、 これを統一しないと統合ができない。  それから、一般会計からの繰り入れを廃止しない限り、これはできない。それをするのにかな り時間を要するということでございます。  次のページをめくっていただいて、もう一つは、被用者保険と地域保険の統合でございまして、 これは所得捕捉の徹底、あるいは保険料の賦課方式をどうするか。私は、人頭割部分を最終的に はなくした方がいいと考えております。  それから、被扶養者の保険料負担ということは、基本的には世帯単位の収入を合算して追加徴 収しない方がいいという考えでございます。  被用者保険の事業主負担については、これは経済学においては、事業主が負担している保険料 は被用者の給与の一部であるので、このまま改める必要はないと考えております。  また、各保険者の保健事業については、このまま保険者が引き続き担当するということで存続 することがあり得るのではないか。  そういうことに対する政策課題として、段階をおった改革が必要であるということで、11ペー ジの政策課題への対処の(1)として、10年後を見据えた改革をしないと、制度が複雑になるば かりで国民の理解を得られないということで、25年度の目標としては、後期高齢者医療制度を廃 止し、地域医療保険というものを創設して、広域連合が地域医療保険を運営する。世帯主が地域 医療保険に加入していれば、被扶養者は75歳未満でも同保険に加入する。被用者保険の本人は、 75歳以上になっても被扶養者とともに被用者保険に。国保の世帯主が75歳以上になれば、地域保 険に加入。  国保については、保険料の賦課方式の統一、一般会計からの繰り入れの廃止にそれぞれ向けて、 段階的な対応を行う。  それから、被用者保険の健保組合、共済組合のそれぞれにおいて、リスク構造調整を段階的に 導入し、都道府県に支部を設置する。  支援金・納付金による財政調整及び国からの公費は、すべての保険者を対象としたリスク構造 調整が導入されるまで現行基準で継続する。  最後は、平成30年度の目標としては、地域医療保険と協会けんぽを統合する。これは、地域医 療保険と被用者保険を統合する際のひな形になりますし、他の保険者の受け皿にする。そして、 地域医療保険の被保険者については、年金ゆえ捕捉済みである。国保は賦課方式が統一して、一 般会計からの繰り入れが廃止された都道府県から、順次、まずリスク構造調整を行って、次いで 統合を進める。それから、被用者保険は、健保組合、共済組合のそれぞれにおけるリスク構造調 整の完成、都道府県単位の分割開始。  平成35年度の目標は、すべての保険者が都道府県単位の地域医療保険に統合・一本化される案 でございます。  その詳しい内容は、「社会保険旬報」の4月11日号の論文に書いてございます。その中で、特 に後ろのページの5となっています工程表に、今申し上げたことが詳しく書いてございます。  なお、最後になって恐縮ですけれども、先ほど事務局から、本日の議題に関する基本資料の27 ページに私の案が記されておりますけれども、これは事務局が作成したものを、私の今回整理し たものに書き改めてありますので、その点はお断りさせていただきたいと思います。  どうもお時間をとって恐縮でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。ただいまの池上委員の御説明につきましては、後ほどの議論 の中でもし御質問や御意見があれば承りたいと思います。  それから、先ほど事務局の方から御紹介ありましたように、全国市長会と神田委員と小林委員 から、あと実は宮武委員も出していただいておりますが、今日御欠席でございます。それぞれ市 長会、神田委員、小林委員、時間の限定がございますので、ポイントだけ御説明をいただければ と思います。  それでは、岡崎委員からお願いいたします。 ○岡崎委員  市長会からの資料を出させていただいておりますが、高齢者医療関係で私たちも国保の特別委 員会の各市に、95市ありますが、これからの高齢者医療制度の設計についてのアンケート調査を 行っております。手前の方が概要で、後ろの方がその詳細になっております。  今回、95市ある中で93市に回答をいただいております。  新たな高齢者医療制度の基本的な枠組みの部分ですが、質問の設定が、先ほども池上委員さん からございましたが、一定年齢以上でリスク構造調整を行う。2点目が独立保険方式、これは今 のやり方に近い方式です。3番目が突き抜け方式、4番目がその他という形で第1問目の設問に しております。  今の後期高齢者医療制度が全国市長会ではかなり安定しているという意見も多くございまして、 このアンケートの中では、一定年齢以上の独立保険方式が7割ぐらいを占めております。これは 逆にいいますと、今の後期高齢者医療制度がいい側面もあるということの評価がここでは出てい るのではないかと思います。  2点目の設問が、財政調整を行う場合の対象年齢を、65歳以上、70歳以上、その他という形で 聞いておりますが、年金の支給等の関係で65歳以上が適当であるという意見が約7割を占めてお ります。この場合、先ほどの厚労省の資料もそうですが、当然、国保財政に非常に大きな影響が 出ますので、それにつきましては国が責任を持って国庫負担割合を拡大する等の措置をとってい かなければならないということは、当然の意見としてあるということでございます。  それから、運営主体ですが、1番目が都道府県、2番目が広域連合、3番目が市町村単独、4 番目がその他ということですが、都道府県が保険者となるべきというのが8割強、広域連合が約 1割ということで、やはり都道府県が担うべきという結果が非常に多かったということでござい ます。  4つ目が高齢者医療に対します財政負担の問題ですが、現行の後期高齢者医療制度の5対4対 1のやり方、2番目が国庫負担の割合を更に拡大していく、3つ目がその他に財源を求めるとい う3つで、これは複数回答ありにしております。現行の5対4対1の方式と国庫負担割合を更に 拡大という、この2つの複数回答が非常に多くて、約9割以上を占めているということでござい ます。  5つ目が、国保の赤字等の補てんでございますが、これは国が責任を持って補てんすべきとい う意見が約8割を占めております。  あと、主だった意見を最後の方にちょっと載せてございますが、国保そのものは非常にわかり にくい制度となっておりますので、わかりやすい制度ということ。  それから、都道府県間で差異がないように、公平・公正な制度。  それから、新制度へ移行するときに、システム開発費が相当かかると思いますので、全額国庫 負担。  それから、将来の医療を支えるための公費の負担の拡大ということは避けられないので、消費 税を含めた財源論議を早急に進めるべきであるという意見があります。  それから、今も池上先生からございましたが、保険者間の財政調整については十分に検討され るべきだということでございます。  それから、国保の保険者でもある地方に対して負担を転嫁しないようにということもございま す。  最後の2つにつきましては、さきの後期高齢者医療制度のときに現場もかなり混乱しましたの で、十分な論議をしてほしいということでございます。これが主だった意見でございました。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、神田知事、お願いいたします。 ○神田委員  ありがとうございます。お手元に「新しい高齢者医療制度について」という資料を配付させて いただきました。  以前にも申し上げましたとおり、全国知事会でもこの改革会議の検討に合わせまして、後期高 齢者医療制度改革プロジェクトチームを立ち上げ、これまで検討を進めております。2月末でご ざいましたけれども、47全都道府県のアンケートを実施して各知事の意向を把握したところでご ざいます。本日のペーパーは、1ページから4ページまでがそのアンケート結果の紹介でござい ます。5ページ以降は、このアンケート結果やプロジェクトチームでの検討を踏まえて、私の方 で整理したものであります。  まず、アンケート結果でございます。  1ページ目から各論点が整理されておりますけれども、論点1は、従来、全国知事会は、将来 の保険制度のあり方として、国の責任において全国レベルでの医療保険の給付と負担の公平を実 現していくべきという主張をこれまでしてまいりました。それを維持するかどうかということで ございますけれども、この考え方は今も変わらないというのが3分の2を超える多数意見でござ います。  ただ、後期高齢者医療制度の見直し論議の中で、当面のあり方としては、現実的な対応として 地域保険のあるべき姿を明確にしていく必要があるというものでございます。  論点2でございますけれども、新しい高齢者医療制度では、年齢を区分しない。すなわち、独 立した制度としないという趣旨で厚労省の方から御説明がありましたが、そういう前提であれば、 高齢者は現行の保険制度のいずれかに属するということになります。どの保険者が高齢者医療を 担うのが適当かということを伺ったものであります。  3分の2近くを占めた多数意見は、高齢者でも、現役の被用者とその被扶養者は引き続き被用 者保険に加入し、それ以外の方は市町村国保に加入するのが適切であるという意見でございまし た。ちょっと細かい点は省きます。  3ページでございますけれども、新たな高齢者医療制度を市町村国保が主体になって担う場合、 広域化や保険者の見直しをすべきという考え方についてどう考えるかという点でございます。  これも3分の2近くを占めた多数意見でございますが、都道府県単位に広域化し、保険者につ いて見直しをすべき。ただし、都道府県が保険者になるのは適切ではないということが多数意見 でございました。  理由はそこに書いてあるように、被保険者情報の管理、保険料の徴収など、どうしてもこれは 市町村にゆだねざるを得ない。あるいは、市町村が保険者でなくなることによる収納の確保のイ ンセンティブが働きにくいこと。あるいは、健康づくりに市町村が大きな役割を果たしておられ ること。医療と介護の連携が重要であることなどが、理由となっているところでございます。し たがって、保険者について最も多かった意見は、市町村による広域連合ということでございまし た。  それから、都道府県が保険者になるべきという少数意見もございましたけれども、共通してお りますのは、その場合でも国の財政措置の強化、あるいは市町村の保険料徴収事務の維持など、 前提条件が整備されることでございます。  4ページでございますが、どこが具体の保険者になるにしても、新たな高齢者医療において国 が条件整備すべきこととして5点挙げておりますが、一番多くの団体から意見がありましたのは、 [4]の被用者保険からの財政調整による支援、国の公費負担の拡充、それから都道府県間の格差の 是正、これが一番多かった意見でございます。  5ページ以降でございますが、先ほど申し上げましたとおり、これはアンケート結果などを踏 まえ、私の方で整理したものでございます。私、この会議でもしばしば申し上げてまいりました が、今回、後期高齢者医療制度の見直しに当たって、昨年11月30日がたしか第1回だったと思い ます。本年夏までという非常に短い期間で骨子案をとりまとめることになっているわけでござい ますが、現在、新たな制度設計をするに当たり、受け皿に想定される市町村国保の有様に深く踏 み込んだ議論がなされております。しかし、本当に国保の有様を、こうした短期間で議論が尽く せるのか、大変疑問を持っておりまして、将来に禍根を残さないよう、十分時間をかけて議論を 尽くすべきだと考えております。  5ページから6ページにわたって、検討を進めるに当たっての基本的な考え方として、重要な ことを指摘させていただいております。  まず、国民皆保険を維持するためには、社会保障全体を視野に入れて医療給付費の急激な増嵩 に対応できるような持続可能な制度にすることが必要であります。これも何回も繰り返して申し 上げているわけでございますけれども、最新かつ的確な医療費の将来推計に基づいた議論が不可 欠であると思っております。これなくして、幾ら議論をいたしましても、実態の伴わないものに なる心配がございます。  私は、この会議でも、以前、私の方で行いました粗い将来設計を御紹介したわけでございます けれども、後期高齢者医療と国保の保険給付費でございますが、現在の約20兆円から、10年後の 31年度には7〜8兆円の増になります。国・地方自治体の負担は4兆円の増、保険者からの支援 金は2.5兆円の増加となるわけでございまして、議論の前提として、一刻も早く全体的な将来推計 をお示しいただく必要があると考えております。  6ページの検討の進め方についてでございますが、これも以前から申し上げておりますけれど も、後期高齢者医療制度の利点を今回の議論の中でどう生かしていくのか。新たに生じた問題を どう解消していくのか。制度の移行を短期間で円滑に行うためには、やはりそういう視点が必要 になってくると思いますので、その点を指摘しておきます。  さて、7ページでございますが、新たな高齢者医療制度の受け皿に想定される市町村国保のあ り方の検討についてでございます。  それぞれ問題がございまして、このように指摘させていただきました。財政負担上の問題、広 域化に対する問題、あるいは運営主体に関する問題ということでございます。  財政上の問題でございますけれども、先ほど。 ○岩村座長  すみません、ちょっと時間もございますので、ポイントの方でお願いいたします。 ○神田委員  わかりました。後でこの文書をお読みいただくとして、いずれにしても大変難しい問題が山積 いたしておりますので、短期間での制度設計を、この問題を克服するために余りにもはしょり過 ぎることを心配しているということでございます。  なお、9ページ、10ページには、各委員からお示しいただいた4つの案についても、私どもの 立場でのコメントを記させていただきました。  以上です。 ○岩村座長  どうも急かせて申しわけありません。  それでは、小林委員、お願いいたします。 ○小林委員   資料を「新たな高齢者医療制度の運営主体について」ということでお出ししてあります。先ほ ど池上委員からも地域保険と協会けんぽを統合するというお話がございましたが、これまでも職 域保険と地域保険を統合するという提案が幾つか出されておりますので、これまで申し上げた内 容をペーパーにまとめております。これについては今まで私から御説明させていただいた内容で すので、繰り返して申し上げませんが、これをお読みいただけたらと思います。  結論を申し上げますと、最後のまとめのところに書いてございますが、高齢世代の方々の多く は地域で生活されているということから、職場に連帯の基盤を持ち、事業主を通じて保険運営を 行っている協会けんぽには、地域保険の事務処理に関する体制やノウハウの蓄積等は全くありま せんので、新たに事務処理の体制を構築して高齢世代の方々の医療保険の運営主体になることは、 事実上困難であると考えております。  次にもう一枚ございまして、これはジェネリック医薬品の使用促進についてでございますが、 これは後ほど意見の中で触れさせていただきたいと思います。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、今日、資料をお出しいただいた方、御欠席の宮武委員を除きまして、一通り、資料 について御説明を頂戴しました。これから、今日の資料2にありますように、保険料・給付・医 療サービス等のあり方につきまして御議論いただきたいと思います。あわせて、今日のそれぞれ の今、御説明いただいた方々の中にもありましたように、費用負担のあり方ということについて も御議論いただきたいと思います。順序を決めて順番にやっていってもいいのですが、必ずしも それも効率的ではございませんので、順不同で、各テーマ、それぞれ委員の御関心のところで御 発言あるいは御質問、その他を頂戴できればと思います。  それでは、お手が挙がりましたので、阿部委員、岡崎委員、小島委員という順番で、まずお願 いいたします。 ○阿部委員  ありがとうございます。本日の議題の費用負担のあり方につきましては、前回申し上げました ので省略いたします。  そこで、保険料のあり方についてでありますが、前回、応能負担を原則とするということを申 し上げております。ただ、本日の基本資料に「現役世代より低い保険料水準でよいか」という問 いがあります。これは多分に後期高齢者のことを指しているのだろうと思いますが、これに関連 して年金受給者についてなのですけれども、2004年に年金税制の改正がありまして、年金の課税 が強化されております。年金の所得税が強化されたことに伴い、国民健康保険料の負担が大幅に 増えておりますので、税制が改善されるまでの期間は考慮してもらいたいと思います。  つまり、2004年の所得税法の改正で、65歳以上の年金の老年者控除が廃止されています。それ から、公的年金等控除の最低保障も減額されている。その結果、所得税が増えたわけですが、所 得税が上がれば住民税が上がる。住民税が上がれば国民健康保険料と介護保険料が上がる。その とおり上がったわけであります。  例えば、これは当時の国会に出した資料でもあるのですけれども、年金年額250万円の方で、 国民健康保険料は1.85倍、いきなり約2倍になりました。その後、国会審議を通じて、また厚生 労働省の努力もあって、この国民健康保険料の激変緩和措置というものがとられまして、3年間 の経過措置がとられました。しかしこれも既に終了して現在は約2倍の保険料を払っているわけ です。  前政府に対して元に戻すように要請してきましたけれども、今日時点でまだ実現できていませ ん。民主党のマニフェストでは、これは元に戻すことになっていますから、政府として是非元に 戻すようにしてもらいたい。それが実現できれば、冒頭言いましたように保険料は応能負担を原 則として納入するということになるわけであります。実はこういう大変大きな問題がありまして、 冒頭言いましたように、この点は考慮していただきたいということであります。  保険料の2つ目は、国保の賦課の上限、これは職域保険と均衡するように引き上げるべきだと 思います。  3つ目は、後期高齢者医療制度における個人単位の保険料賦課は、世帯単位に戻す。地域保険 に加入する方の保険料は、世帯主に賦課すべきだと思います。また、被用者保険に加入する方の 保険料は、被保険者から徴収する。  大きい2つ目の給付のあり方につきましては、65歳以上の患者負担の割合は1割負担とする。 これは前回申し上げました。なお、65歳未満の窓口負担についても、現行の3割負担というのは 非常に高過ぎるのではないかと考えますので、2割負担にすべきだということを申し上げておき たいと思います。  次に、医療サービスについて。高齢者医療制度は、年齢による別制度としないということは当 然のことでありますけれども、診療や健康診断についても年齢による区分はしないということを 明確にすべきだと思います。  また、基本資料に「かかりつけ医の普及を図る」という方向が示されていますけれども、この かかりつけ医というのは、医師と患者の信頼関係がなければ成立しないと言われております。主 として、医療機関の努力によるところが多いと思いますけれども、制度として導入するにはまだ 無理があると考えております。  最後に、4点目の保健サービスなどについてでありますが、生活習慣病の予防については、今 までどちらかというと自治体任せで、国として本腰を入れてやってこなかったのではないかとい う気がします。かつて長野県で、医療機関、県の保健所、市町村が一体となって取り組んで大変 立派な成果をあげております。これを念頭に政府、自治体、医療機関を挙げて予防医療に取り組 むという壮大な方針を今回、示すべきではないかということであります。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、岡崎委員。 ○岡崎委員  それでは、今日出てきました資料に基づきまして、少し意見を述べさせていただきますが、市 町村国保は広域化は避けられないわけでございますが、やはり国保制度を守っていかないと国民 医療は支え切れないので、国保の立場から申し上げますが、今日は幾つか試算を出していただい ておりますので、資料2の9ページが総括表みたいな形になっていますので、9ページをお開き いただきましてちょっと意見を申し上げさせていただきます。  例えば65歳で想定しておりますが、それぞれの保険、協会けんぽ、健保組合、そして市町村国 保という並びになっております。どの試算を見ましても、市町村国保の負担が大体5千億円から 9千億円ぐらい増えるということで、大変な負担になっております。それで、公費が同じく9千 億円ぐらいマイナスになっておりますので、こういうふうに見ると、公費が浮いた分で市町村国 保を助ければという感じに見えるのですが、幾つか課題があります。  次の10ページのカラーの資料を見ていただいたらいいのですが、ここに総報酬割で算定されて いるということが少しだけ出てきております。これは余り詳しい説明はないわけでございますが、 いわゆる公費の9千億円ぐらいを浮かすという中には、総報酬割制の導入が入っております。こ れは御承知のとおり、非常にそれぞれまだ反対が強い、総報酬割が入れられるかどうかは全く未 定でございまして、むしろ入れられないのではないかと我々は思うところです。例えば公費が浮 かなければ市町村国保を助ける財源は出てこないわけでございますので、ここがどういう見通し なのかというのは、また事務局からもここはどうなるのかということは少し御説明いただきたい と思います。  それと、先ほど神田委員もおっしゃられていましたけれども、今の団塊の世代が2025年ぐらい に75歳に到達しますので、そこから75歳の年齢がどっと膨らんでいきますので、支え切れるかど うかというのが非常に大きな問題でございます。  それと、統一していったときに、75歳以上は個人個人で保険料をお支払い願っていますが、国 保は基本的に世帯単位での保険料賦課になりますので、ここもどういう調整をしていくか、非常 に技術的に難しい問題もあります。我々市町村国保を広域化して国民健康保険を守っていかなけ ればならないと思っていますので、国保の財政が崩れると全部が守れ切れないということになる ので、非常に重要な要素を含んでおりますので、その点を御指摘しておきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。1点、事務局に御質問ありましたが、小島委員にまず発言いただい て、それからということにさせていただきたいと思います。 ○小島委員  ありがとうございます。今日出されている資料2の論点に沿って何点か絞って。  まず、2ページの保険料のあり方について、後期高齢者医療制度廃止後の姿として、高齢者が 地域保険か被用者保険のどちらに加入するかによって、その保険料をどう考えるかという論点の 立て方になっております。具体的に新たな高齢者医療制度をどう制度設計するかによって、この 保険料のあり方も当然変わってくると思っております。この分け方ですと、私が主張している突 き抜け型が入っていませんが、サラリーマンOBをどう位置付けるかという議論はあると思いま すので、そこをちょっと触れたいと思います。  とりあえず新しい制度に移ったときに、従来、被用者保険に加入していた現役世代に雇用労働 者であった人たちについては、引き続き被用者保険に加入するのは当然だろうと思っております。 そのときに、被用者保険の保険料は現役の保険料率と同じ保険料というのは、これまた当然の話 だと思っております。  私どもの考え方によりますと、サラリーマンOBの方を被用者グループに位置付けるのですが、 その際には事業主負担がありませんので、サラリーマンOBについては半分、つまり事業主負担 に相当する分を現役被用者グループ全体で負担する、支援するという考え方です。  それ以外の方については、地域保険、これも現在の市町村国保か、あるいは広域化された都道 府県単位の国保になるか、ここの制度設計がどうなるかわかりませんけれども、現在の国民健康 保険のうまく広域化されたものが受け皿になれば、そこは原則は現役の方と同じ保険料設定の仕 方というのが合理的であると思います。現在は国民健康保険とは別立てにしているからこそ、後 期高齢者医療制度は個人単位ということになったと思います。現在の国民健康保険をベースにし た受け皿にするのであれば、世帯単位という流れではないか。ここは制度設計をどうするかに関 わってくると考えております。  それから、高齢者の保険料の上限のあり方について、これも制度設計をどうするかによると思 いますけれども、国民健康保険が受け皿となれば、現在の世帯単位での上限の見直しも必要では ないかと思います。所得、負担能力に応じたということでありますので、ここはもう少し見直す 必要があるだろうと思います。  それから、次の3ページの保険料の軽減措置も、廃止後に高齢者がどこに加入するかというこ とによりますが、地域保険であれば地域保険と同じ考え方が原則だと思います。しかし、経過措 置的には現在よりも負担が増えないという措置は当然必要だろうと思います。  それから、3ページの2つ目の丸、被用者保険に本人が加入して、その被扶養者について地域 保険の保険料軽減措置をどのように考えるべきかという論点ですが、これについては本人が被用 者保険に加入する場合には、被扶養者も被用者保険に加入することが基本だろうと私は思ってお ります。  それから、3つ目の丸にあります、現在保険料の年金天引きかあるいは口座振替を選択できる ようにしている点について、基本的には年金天引きにするか口座振替にするかは本人の同意を前 提にするべきでありますので、年金受給者については選択制というのが必要だろうと思っており ます。  それから、4ページの給付のあり方についてですが、現在の窓口負担は、75歳以上が1割、70 歳から74歳は2割、それ以外は3割ということであります。これ以上の負担をするということは すべきでない。私どもは、70歳以上については1割負担と考えており、70歳以上の高齢者の窓口 負担を軽減することを基本的に考えるべきではないかと考えております。  また、乳幼児は現在でも2割負担に軽減されておりますが、そこは原則無料という形で乳幼児 の負担軽減を図るべきではないか。これは、医療制度全体の負担のあり方という考えであります。  窓口負担割合についてはで、即70歳以上を1割にするのは困難だとすれば、高額療養費制度の 中で実質的な負担軽減を図るという措置も当然検討すべきだと思っております。  最後に、7ページの保健サービスの件であります。  現役については、特定健診等が保険者に義務付けられている。法律上は5年後には現在の後期 高齢者支援金について、プラスマイナス10%の加算金あるいは減額するという措置を導入するこ とになっております。保険者が保険者機能を発揮するという意味で、健診なり保健指導を徹底す るというのは当然のことであります。これを法律上、義務付けるかどうかは議論があるところで あります。ましてや、特定健診等の実施率で後期高齢者支援金を増減させることはやめるべきだ。  もっとも、新たな高齢者医療制度の仕組みによって、現在の支援金制度がどうなるかというこ とがありますので、そこは当然、具体的な新しい制度をどう設計するかによっても変わってくる と思います。そこは、今後、別のところで検討していただければと思います。  なお、費用負担のあり方については、どういう制度設計をするにしても、公費の負担増を検討 していくということでないと、医療保険制度全体の維持にはならない、持続可能性はないと考え ております。例えば今日示されている9ページのA、B、Cも22年度をベースに試算しておりま す。これが長期的に、あと10年後、20年後、どうなるかということも当然試算しなければならな い。難しいと思いますけれども、10年後、20年後を考えた場合には、各被用者保険も国保も負担 は増えていくことになりますので、そこは公費の負担増、一定年齢以上、あるいは国保への集中 的な支援という形で、現在以上に行っていくことが必要ではないかと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、先ほど岡崎委員から御質問のあった点につきまして、簡単で結構ですが、お答えい ただきたいと思います。 ○吉岡課長  今回の試算に当たりましては、宮武委員の方から前提をいただいたわけでございます。11ペー ジ以降の資料、それぞれのところに前提ということで書かせていただいておりますけれども、11 ページであれば、[4]にございますように、市町村国保と被用者保険の間は加入者数に応じて按分 し、そして被用者保険間は総報酬額により按分するという前提のもとで試算を行ったところでご ざいますので、このこと自体については、またこの会議で御議論いただければと思っております。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、お手が挙がったのが齊藤委員、それから対馬委員と樋口委員ですので、その順番で 齊藤委員からお願いいたします。 ○齊藤委員  まず費用負担について3点申し上げておきたいと思います。  第1は、A、B、C案のいずれにするかという議論の前に、先ほど市長会、全国知事会、連合 の方からも話が出ましたけれども、まず高齢者医療制度の見直しに当たりまして、真水の公費投 入を拡大するという方向性について、この会議の委員の間で是非一度、共有していただけたらと いう点です。保険者間の負担の付け替えのような議論を繰り返しておりましても、現役世代を含 む医療保険制度全体の持続可能性を確保することはできないのではないかと考えております。  第2に、繰り返しにはなりますけれども、経済を活性化すれば保険料の収入も拡大して、よい 循環が生まれるという点です。そのためには現役世代のやる気や活力が不可欠です。高齢者医療 制度への拠出のあり方を考える上では、現役世代にとって過度に重い保険料負担にならないよう な制度改革を是非お願いしたい。  第3に、これも市長会とか知事会から出ましたけれども、持続性という意味から、現時点のみ ならず、団塊世代が後期高齢者となります2025年時点までの財政影響を是非しっかり見て検討し ていただきたい。以上3点でございます。  次に、高齢者の保険料、患者負担等についてでございますけれども、国民皆保険を守る観点か ら、自助・自立の視点で、負担能力と受益に見合った負担を求めることが重要であると考えます。 高齢者の方にもその負担能力に応じた適切な負担を求めるべきであり、医療保険財政の現状をき ちんと御理解いただきたいと思います。  また、総収入ということがいろいろ議論になりますけれども、現役世代は高齢者に比べて確か に収入は高いものの、その分、教育費であるとか住宅ローンの返済とか、家族を養うために支出 も多いということも踏まえて、いわゆる可処分所得ということも十分念頭に置いた形で検討いた だけたらと思います。  以上でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員  私の方から2点ほどお話をさせていただきたいと思います。  一つは、保険料・給付・医療サービスのあり方の問題、2ページからの問題ですけれども、私、 前にもちょっと申し上げましたけれども、大変敬服しましたのは、高齢者の方々から、応能負担 とか応益負担という意見が出るということでして、大変ありがたいなと思うのです。こういった 保険料でありますとか給付費ないしはサービスですけれども、今回いろいろ見直しに当たっての 議論というのは、若い人となぜ差をつけるのかというところも随分あったと思います。  ということからしますと、例えば保険料について言いますと、基本的には65歳でどうするかと いうのはあるのですけれども、地域保険としての一体的な運営を行っていくということからしま すと、若い人と同じようなやり方でやる。ただ、無職の方とか所得が低い方とか年金をもらって いる方が多いので、結果的には保険料は随分低いということが自然なのかなと思います。勿論、 医療サービス、保健サービスについては差をつけるべきではないと思います。  ただ、患者負担については、現役と同じ3割というのはなかなかしんどいかもしれないという ことで、まずは2割にして、更に高額医療費等々の適用のところで工夫ということではないかと 思います。  もう一点、試算のところであります。9ページを見ますと、大変きれいに整理されていますの でわかりやすくなっています。ただ、これも前回ちょっと申し上げたのですけれども、A案であ れ、B案であれ、C案であれ、75歳以上に公費5割投入としますと、各保険者はあまり差が出て こない。公費と市町村国保をある意味調整しますと、ほとんど差がないではないか。そうします と、これでいいではないかという議論というのは、私としては危ないといいますか、非常に危惧 するところであります。  といいますのは、22年度は一体どうなのかということも少し踏まえて議論しないと危ないので はないかということです。つまり、健保組合、22年度の予算は6,600億円の赤字です。これは、 規模としては6兆円規模ですから、経常赤字11%ということです。なお、その上に、今日、衆議 院厚生労働委員会において採決が行われましたが、国庫負担肩がわり、330億円ほど我々の負担 が増えることになりますと、7千億円の赤字という状況です。ですから、単純に今、議論してい って、数字のつじつまが合えば、これでいいのだということにならないと思います。  特に私どもの拠出金の負担というのは44%です。50%以上というのが健保組合の大体27%。で すから、自分たちが集めた保険料をそれ以外の方々にということでありますと、事業主、被保険 者の納得を得るのは難しいという状況もございますので、そういったことを含めて、国費の投入 ということを、先ほどお話があったとおり、全体的に共有していければ大変ありがたいと思いま す。  また、足元だけの議論ではなくて、何人かの方がおっしゃられましたけれども、2025年、この 9通りでやることはないのかもしれませんけれども、試算をぜひお願いしたいと思います。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、樋口委員、お願いいたします。 ○樋口委員  私どもは75才以上という該当年齢の立場で出ておりますけれども、何より持続可能性、安定性 ということを願っています。もともと国家百年の計と言われてきましたが、人生百年社会になり ましたからには、せめて今回変えるときに、あと十年は変わらない制度にしていただきたい。私、 いろいろな高齢者に「あなた、あと何年生きたいですか」と問うと、その人の年齢を問わず、 「あと10年は生きたい」と言います。高齢者にとっての未来である「あと10年」はもつような安 定的制度をつくっていただきたいと思います。  どちらの保険者が得になるか、損になるかということは置きまして、今日の御議論を伺ってお りましても、この会の最初の出発点、まずは75歳で線引きをした制度をつくったのは、これはや めよう。全世界にもこのような高齢者を線で引いた医療保険制度はないようでございます。私は 自分が当事者であるかどうかにかかわらず、これは恥ずかしいことだと思いました。  この前も申し上げたことでございますけれども、若いときは元気で、年をとったら病気になる。 これが人生百年社会の人間の宿命でありますから、これは生涯を通しての国民全体の助け合いと いうことで負担し合おう。収入のある高齢者はどんどん負担したらよかろうと思いますので、収 入のある高齢者は、ただ乗りする気などは決してございません。  とは言いながら、この間も生活保護の中に占める高齢者の比率が高いことを厚労省は発表され ましたけれども、その点は踏まえていただきたいと思います。それは、低所得者層に関しては、 2ページの、各制度の最も低い保険料、全国平均月額というところを見ますと、介護保険は平均 4千〜5千円でございます。後期高齢者医療制度では、何とわずか350円しか払わず、日本の高 い水準の医療を受けられる。オバマ改革など見ておりますと、私は日本に生まれた幸せを本当に 思います。  しかし、中流のそこそこ暮らしている高齢者の家計簿を、私はどうぞ幾つか出していただきた いと思う。年収四百八十万円くらいの75歳になった人の今年の保険料の徴収が、45万円ほど。収 入の1割までは行きませんけれども、ほぼ1割に近い保険料というのはちょっと過酷なのではな いでしょうか。この方は75歳でも少し働いている人ですけれども、その上に介護保険料と税金、 勤労意欲をそぐものではございませんでしょうか。  高齢者が安定して安心して生きられるような制度、そのことが国民全体の幸せにつながるよう な制度として考えていただきたく、高齢者の家計簿から見た保険料負担ということを是非考えて いただきたいと思っております。  後はちょっと簡単なことですけれども、3ページにございます被用者保険の被扶養者が地域保 険に加入する場合ということで、小さい黒ポツの中で、被扶養者の保険料の軽減措置は、制度加 入時に被扶養者であったことにより、対象としているが、その後、扶養関係がなくなった方の取 り扱いについても考慮する必要がある、とあります。  よくぞ書いてくださいました。女性の立場から言いますと、被用者保険に加入している人の被 扶養者である後期高齢者である女性というのは多いのですけれども、夫が亡くなりまして被扶養 関係がなくなりますと、うっかりするとかえって負担が増えてしまうという二重の問題が起こっ てまいります。是非お願いしたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。  そのほかに何かございますか。それでは、鎌田委員、それから小林委員ということでお願いい たします。 ○鎌田委員  利用サービスのあり方からちょっと意見を言わせていただきたいと思います。  お金がこれからなくなる日本の国の中で、国民皆保険制度をどう守るかということで、それぞ れの代表と思われる人たちが必死に資料を出して、自分のところへ負担が来ないようにという論 戦を張っている感じがするのだけれども、もう一回、国民が安心できて、いい医療が受けられる ためにどうしたらいいかという議論にちゃんと戻りながら、長期的に続く制度、しょっちゅう変 わらない制度を是非考える必要があるのではないか。  そういうふうに考えるために必要なのは、国民が納得できるような、がんになったときとか心 筋梗塞になったときに、それなりの先進国のいい医療が受けられるためには、OECDの先進国 の平均並みの医療費は、幾ら削ってでも、今、イギリスにも抜かれて非常に低いわけです。10年 ぐらいかけてでも、ゆっくりでも、先進国の平均並みまで上げる。その上げた以上は、今度は天 井知らずに上げさせないというシステムを今からきちっとつくっておいて、日本医師会などは反 対でしょうけれども、総枠制を導入してでも、とにかくOECDの平均のところで、いつも日本 は医療サービスをしていく。  恐らく日本の医師や看護師たちの今までの努力から考えれば、せめてOECDの平均並みぐら いの医療費をかけることが決まれば、かなりいい医療を国民に与えることができるのではないか。 そういう制度設計のもとに、では、どういう負担をみんなでしていけばいいかということを考え た方がいいと思います。  今回、0.19%のアップを診療報酬でしたわけですけれども、実際のところは700億円から800億 円のわずかな増額だけれども、レバレッジはきいていますね。それは、薬価をものすごく切り下 げることによって5千億円ぐらい浮かしているわけです。ですからやれたことですけれども、こ れをいつまでもやっていると、恐らく医療機器メーカーとか製薬会社は、日本はスイスなどに負 けない、世界で競争できる産業になるはずで、ここを細くしてしまうと、雇用の問題とか日本全 体の元気さを失うことで、どこかに何回も無理をさせていると、結局安定したいい医療というの はできないのではないか。  だけれども、上げればいいというものでは決してないわけで、先ほど阿部委員から長野のお話 が出ましたけれども、競争原理、全国一元化で保険者を一つにしようという意見もありますけれ ども、私は都道府県別ぐらいに競争するという。市町村でも、今まで競争してきたから、あると ころでは健康づくり運動をしたことによって、医療費が少ない地域は保険料も少なくて済んだと いうこと。そういう意味で考えると、やはり都道府県別ぐらいで競争原理がきちっと働くような 保険者機能というものを持って、そこで3次救急はどうするか、健康づくり運動はどうするかと いう競争がきちっと行われていくことによって、国民は安心できるのではないか。  医療費をある程度抑制させる一つのコツは、阿部委員は余り賛成ではないと言われましたけれ ども、かかりつけ医制度。総合医を充実させて、かかりつけ医制度をつくるということが、私た ち長野県が医療費を少なくしてきたという意味では、健康づくり運動とか、できるだけたくさん の医師が、これしか見ないという医療、スペシャリストを養成することも大事ですけれども、こ のところの20年ぐらいの医師の養成の中では、総合医の養成が世界の先進国から見れば大変遅れ てきた。この辺の医療のサービスのあり方も是非視野に入れた上で、医療費を少し上げて、それ 以上上がらないという前提の上で10年先、20年先も安定した制度設計をしていただきたいと思い ます。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、小林委員、お願いします。 ○小林委員  個別のテーマの議論については、今回で一巡し、6月に総括的な議論に入るということですの で、保険料のあり方について関連して申し上げたいと思います。毎回申し上げていることであり ますが、最も強調したい箇所でありますので、既に何人かの方からお話がありましたが、改めて 公費の拡大について申し上げます。  高齢化の進展に伴いまして、増え続ける医療費の負担につきましては、公費の役割の拡大を明 確に位置付けた上で今後議論を進めていく必要があるのではないかと思います。このため、夏の 中間とりまとめに当たりましては、公費の役割の拡大という方向性について、是非とも盛り込ん でいただきたいと思っております。  また、具体的に費用負担についての議論をまとめていく上では、将来の医療費の負担や現役世 代の負担の水準がどうなるかという将来の負担の推計も、複数のシナリオで示していただくこと が必要だと考えておりますので、この点も是非お願いしたいと思います。  それから、保健サービス等について幾つか申し上げたいと思います。8ページの2つ目の丸の 関連であります。特定健診・特定保健指導については、引き続き同様の仕組みが必要ではないか とありますが、この点について、初回でしたか、全く同じ仕組みは困ると既に申し上げていまし たが、改めて申し上げたいと思います。  特定健診・特定保健指導は、加入者の健康増進のために必要な取り組みであるということで、 これは更に進めていく必要があると考えておりますが、私ども協会けんぽの状況を考えますと、 協会けんぽというのは5人未満の従業員の事業所が約6割、10人未満の事業所が4分の3であり、 全国各地に事業所が点在しているということ、それから事業主や地域との関係が薄くて、効率的 な事業の展開が非常に難しい状況にあるのが実態であります。  各保険者の皆さんも置かれた状況がそれぞれ異なっている中で、事業を行う上で大変御苦労し ながら進めておられると思いますけれども、そういった異なる中で、問題は、各保険者が事業を 行う上でイコールフッティングになっていない、同じ土俵に立てていない状況の中で、先ほども お話が出ておりましたが、各保険者に対して加算や減算によってペナルティーをかける制度にな っている点です。こういう状況の中で、保険者の取り組みの結果を国が定めた同一の基準あるい は同じ物差しによって、強制的に賦課を行う支援金の額が増えることは、負担が増える加入者や 事業主の方々の納得を得ることは困難であり、実施した場合の問題が大きいと考えております。 したがいまして、保険者にペナルティーを課すような制度は早期に廃止していただきたいと思っ ておりまして、改めて意見として申し上げたいと思います。  また、特定健診・特定保健指導の検討に当たりまして、これは現場の声としまして、保険者が 行う特定健診と市町村が行うがん検診が分離されていることについて問題意識を持っております ので、別の検討の場かもしれませんが、是非検討していく必要があると思っております。  それから、先ほど資料のところでちょっと触れましたが、私どもで提出させていただいた資料 の2枚目をご覧いただきたいと思います。  ジェネリック医薬品の使用促進について、これは昨年7月に私どもの広島支部で先行的に、パ イロット事業として行った事業であります。広島支部は、100万人のうち5万人に対して、先発 医薬品を長期服用していて後発医薬品を使うと200円以上軽減される40歳以上の方たちに、個々 に通知書を送らせていただきました。その結果、下の効果に書いてございますように、8月のレ セプトを見たときに、22%、約2割の加入者が先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えて おります。  表をご覧いただきますと、特に軽減可能額が上がるほど、これは200円から、右は千円以上に なっておりますが、先発医薬品から後発医薬品に切替えている方が増えている。もっと申し上げ ますと、より高齢の方のほうが先発医薬品から後発医薬品に切替える割合が高いということであ りまして、財政影響も広島支部だけで1か月で1,250万円軽減されている。こういった結果を踏 まえまして、今年度、全支部、残りの46支部で全国展開しておりまして、これを更に進めていき たいと思っております。  御高齢の方がこういった行動変容を起こされているということなので、広域連合でも、あるい は広域連合だけでは無理だということでありましたら、これは国の御支援をいただきまして是非 進めていただきたい。高齢者医療費の効率化あるいは高齢者の方の窓口負担の軽減につながると 考えております。  それから、9ページの被用者保険の被保険者及び被扶養者についてでありますが、いずれも被 用者保険に加入するというB案が保険者間での移動が少なくてわかりやすい仕組みでありますが、 いずれの保険者においても財政状況が厳しい中で、制度改正の影響によって負担が増えるところ に対しては、加入者や事業主の保険料負担が増えないように、公費でカバーすることを前提に議 論を進めていくべきと思っております。  また、これは22年度予算をベースに現時点での保険者間の負担の状況ということになっており ますが、お話がありましたように、持続可能なという意味からしますと、5年後、10年後と時間 が経つにつれて、特定の保険者に負担が偏ることのないようにする必要があると思いますので、 将来推計を是非出していただきたいと思います。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、まだ御発言いただいていない方を優先させていただいて、こちらサイドは見坊委員 がお手を挙げていらっしゃるので、まずお願いいたします。 ○見坊委員  前回の会議では発言をいたしませんでした。今回も今の議論をずっと聞いておりまして、大変 疑問があるのですが、とても発言するだけの知識もありませんし、あるいは間違ったことを言っ て混乱させてもいけないと思って、ちゅうちょしていたところであります。今日の会議でほぼ各 論の意見はみんな聞いたということになって、次回は勉強会、その次はもうまとめを出さないと、 当初に示されたスケジュールに合わないわけです。そういう段階にあります。  しかし、今日、それぞれの運営者サイドの御意見なり問題指摘を伺っておりましても、基本的 なところでそれぞれ御意見が微妙に異なっている。特に方向性がどうもはっきりしない。方向性 の議論が十分なされないまま、結局委員から出された4案を中心に検討する。その4案に対して、 全体の場でそれぞれが意見を言って、それがどのように方向付けられるのか、私ども利用者サイ ドとしては見当もつきません。  何が一番問題かというと、先ほど来何人かの委員がおっしゃっていましたが、非常に時間が少 ない、短期間にこれだけ大きな問題を議論するというのは無理だと。そのような状況の中で、私 は意見の言いようがないのです。何かもう少しわかるような資料と説明がなくては、我々は判断、 意見が出せないと思っております。  今回初めて後期高齢者医療制度についての意見を申し述べる機会を与えられたのわけですが、 議員が財政調整から入っております。しかし、財政自体が我々にはわからないのです。私が一番 長く入っていたのは協会けんぽ、政府管掌健康保険です。大変多くの加入者がいるわけですが、 この財政状況を加入者である私も十分に理解しておりません。説明を受けたことがあったのかと いう疑問を持っております。  そのようなことでありますから、ましてや健康保険組合あるいは国保組合などの財政状況とい うものは、大きくこうなっているということが理解できません。したがって、反対もできないし 賛成もできないというのが正直なところです。 会議も5回目を数え、そのことに時間を費やすわけにはいかない状況だと思いますが、何か事務 当局には工夫をしていただきたい。一般の国民、加入者がわかるような説明資料が欲しい。  特に、宮武委員が要請して、いろいろな試算が出されました。しかし、我々にはこの試算の数 字が妥当なのかどうかがわからないのです。どういうデータで、どういう方式で計算されたのか、 それは是非示していただきたい。といいますのは、国民、熱心な方が、場合によっては自分で試 算してみることができる。つまり、検証できるものでないと、国民一人ひとりに関わるこれだけ の大きな制度、それを短時間に議論して方向付けるのは難しいと思っております。ですから、そ のことを事務当局に是非お願いしたい。  そして、基本的な方向付けはどうなるのか。4案があり、さらにA、B、C案。それがどのよ うに方向付けられていくのかわからないということがありますので、この点は我々利用者サイド がもう少しわかるようにお示しいただきたいと思っております。  保険料や給付という問題については、自分たちでもある程度の意見を持っております。今日発 表したいと思いましたが、時間の関係もございますので、遠慮いたします。以上、そういう点で、 ひとつよろしくお願いします。 ○岩村座長  ありがとうございます。今の見坊委員の御意見ですけれども、事務局の方でどれだけできるか、 工夫していただくことができるか、ちょっと検討したいと思いますが、もともと各制度の財政の 仕組み自体が非常に異なっていて、そしてそれをわかりやすく説明するということ自体もかなり 至難な作業であり、更に、その複雑な制度の上に高齢者の制度が乗っているということで、その 複雑さに更に複雑さがかかっているというものですから、見坊委員のおっしゃることはよくわか るのですけれども、他方でそれをわかりやすく説明するというのも非常に難しいところがあると 思います。そこは、私と事務局の方でちょっと御相談させていただきたいと思います。  データの件についても、出せるものは勿論出せると思いますし、やや限界はあろうかと思いま すが、そこも資料的に検討させていただきたいと思います。  それと方向性ですけれども、これはまさに一わたり、とにかく今日挙がっているところまでを 議論していただいて、先ほど見坊委員おっしゃったように、次回は有識者の方からお話を伺うと いうことをした上で、その後、とりまとめに向けての議論に入りますので、その段階ではある程 度の方向性というものをお示ししながら議論していただくようなことになるだろうと思います。  ただ、いずれにしろ、今までの議論を聞いていただいても皆さんおわかりのように、もともと 複雑な各制度の上に高齢者の制度が乗っているので、議論自体が非常に複雑でテクニカルな部分 が多いということから、方向性を出すにしても、ある程度関係者の方々、勿論高齢者の方々のお 話を伺った上でないと、なかなか方向性が出せないというところもございますので、その点はち ょっと御理解賜ればと思います。  見坊委員、もう一度どうぞ。 ○見坊委員  座長がおっしゃったようなことなのです。  ただ、後期高齢者医療制度は廃止するとマニフェストに書かれて、今回の6ポイントにもその ことがはっきりと書いてあるのですが、一般の高齢者はすでに廃止されたものと思っています。 次の法律ができるまで継続されるとは理解しておりません。そして、現在の制度の問題点は凍結 されていると理解しておりますので、そのことはちょっと申し上げておきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございます。  それでは、たくさんお手が挙がっているのですが、神田委員に発言していただいて、その後、 こちらで三方挙がっていらっしゃると思いますので、順次御発言いただくことにしたいと思いま す。なお、時間が大分押してまいりましたので、それぞれ手短にお願いできればと思います。 ○神田委員  先ほどは資料を御説明申し上げました。今日のテーマについて触れたいと思います。  6ページに医療サービスがございますけれども、ここに記載のとおり、75歳に着目した診療報 酬体系が廃止されました。これはこれで理解できないわけではありませんけれども、この報酬体 系は平成19年4月の社会保障審議会特別部会における基本的な考え方がベースになっていると思 います。複数の疾患あるいは重複受診をどう避けて、より効果的な医療にしようかという考え方 そのものは、私は大いに参考にすべき考え方だろうと思いますので、診療報酬体系は廃止されま したけれども、何らかの形でこれは生かしていくことを考えなければならないと思っております。  それから、同じく6ページに、医療サービスのあり方についての視点で、それぞれの地域にお いて、入院に頼り過ぎることなく、切れ目なく必要な医療・介護・リハビリが受けられる体制を 構築することが必要。これも大変重要な指摘だろうと考えております。これからは、健康づくり あるいは健康相談・指導、保健サービスといった点がとても重要になってくると思いますので、 現実に今、市町村が御苦労いただいておりますし、介護との連携も必要になっていますが、これ をどう支えていくかという視点での制度設計も必要になってこようかと思います。  それから、先ほど来、長期的な見通しの基に持続可能というお話がありました。私は、先ほど 鎌田委員もおっしゃいましたけれども、各保険者がお互いの立場を言い合ってということの堂々 めぐり的な議論について、同じような印象を持っています。10年前の議論も同じでした。何が足 らないのかということをよく考えてみると、いずれにしても今回の話は、現状、市町村国保が受 け皿になるということがベースにあると思う。  ところが、それが赤字体質になっています。これはやむを得ません。年金生活者あるいは高齢 者、低所得者が入る構造の国保に行くわけですから、当然のことだろうと思います。今、1兆 1,700億円ぐらい、市町村は繰り入れをしております。それでも赤字がたくさんある。  何が足らないのか。国のこれに対する、どれだけ公費を投入するなり、どういう財政負担をし ていくかという覚悟が何も示されていない。その辺の覚悟が示されていない中で、10年前と同じ ような堂々めぐりが進んでいることを私は大変心配しております。  そこで一つ質問なのですが、片や社会保障審議会の医療保険部会があるわけでありますけれど も、そちらの方で市町村国保の広域化ということが今、議論されて、昨年12月4日には広域化支 援方針の案も示されたところでございまして、この方向でいろいろ議論が進展しております。  本来、この保険制度の本体的な議論はその場で行われるのでしょうが、広域化支援方針の中身 と、現在ここで議論しております広域化と大きなギャップがあり、齟齬があり、それから進捗に 全く大きな差があるということについて、我々躊躇しております。これは、先ほど大臣がいらっ しゃったので、大臣にお聞きすればよかったのかわかりませんが、社会保障審議会の医療保険部 会と、この改革会議の広域化の考え方をどうとらえたらいいのか、大変戸惑っております。  それから、今、政務官がいらっしゃったわけですが、途中でいらっしゃいましたのであれです けれども、本当に国の覚悟、それからこれに対するどういう財源補てんをするのか、ここら辺が 示されていませんと、空疎な議論になっていくということを指摘したいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、一わたり御発言いただいて、御質問にまとめて事務局の 方で答えていただくことでお願いしたいと思います。  それでは、こちらから順番ということで、横尾委員からお願いいたします。 ○横尾委員  ありがとうございます。  今も神田委員から御指摘があったように、自治体、特に都道府県側から見ると財政のことを大 変懸念されているというのが、先ほどのアンケート結果にも出ておりましたし、一方で市長会と 知事会からの所見には、我々広域連合が取り組んでいること、「まあまあ頑張っている」という 意味での評価的なこともありますので、是非よいものは生かすようにした方がいいのかなと感じ てはおります。  しかし、全体的なトーンとして、今まさに神田委員がおっしゃったとおりなのですが、「市町 村が主体で運営は広域連合がやってよね」というロジックでいきますと、財政負担は地方へ地方 へ行くような感じがしますし、国はそれで助かるかもしれませんが、先々はどうか。樋口委員が おっしゃる「持続可能性」が非常に懸念されます。一方では、世界に冠たる国民皆保険制度を我 が国は持っておりますので、このことを持続可能な仕組みとして継続することは極めて重要だと 思っています。  その上で、今、御指摘もあった、話題にもなった「赤字体質の解決」というものがどうしても 課題でございまして、昭和36年から本格的な皆保険制度になっておりまして、昭和33年12月27日、 法律192号で可決されて、34年1月1日から施行と、インターネット上で調べたら出ています。 第4条には、「国は・・・健全な運営ができるようにつとめなければならない」。その2項には、 「都道府県は・・・健全な運営ができるように、必要な指導をしなければならない」という法律の 下に、市町村主体の国保ということになってきているわけです。  大ざっぱに見てみますと、これだけ窮地に陥っている財政状況とか、なかなかうまくいかない 状況を見ると、言葉を選ばないで失礼を顧みず申しますと、この50年ほど、半世紀近く、改善と いうものがなかなかできなかったのではないかということを大いに省みて、今後のことを検討す べきだと感じております。  2点目に感じることは、その上で都道府県側の非常に厳しい状況というか、難しさを、コメン トとしても出ているアンケートなどを見て感じることは、ポイントが3つあると思っています。 一つは財政、もう一つはマネジメント、そしてその他の運営に関することです。  財政は何かというと、神田委員もおっしゃるとおりでございまして、国がどの程度財政支援を して、これを支えることができるかというのが一つ。このことが明らかになれば、かなりの部分、 都道府県としてもやれるのではないかという認識の方が、関係担当幹部にもおられるのではない かという感じがしております。  2つ目はマネジメントでありますが、保健事業のマネジメントについては、制度とは別に適切 に運営していく、効率的な運営をしていくということが重要ですので、ピーター・ドラッカー、 経営学の大家がおっしゃるように、非営利組織の経営力を高めていくような努力をどんどんやっ ていけばいいと思うわけです。  その他、人材確保とか説明責任とかわかりやすさという問題もありますが、この3点を押さえ ながら議論していく。  そういった中で、知事会からいただいた資料によりますと、7つの団体でございますか、その 他少数意見ではございますけれども、新たな取り組みとか、都道府県としても大いにやってみる べきではないか、あるいは麻生知事会長さんのほかの報道に出ておりましたが、「都道府県とし ても何か関わるようなこともすべきではないか」というコメント等がありまして、こういった姿 勢には私は本当に高く敬意を表したいと思っております。そういうスタンスでこういった改革が できればとてもいいのになということを強く感じております。  なお、資料の中に、広域化に関してもいろいろ課題があります。例えば統一化することによっ てサービスが落ちるではないかという御指摘等もあるようですけれども、我々の実際の運営をこ の間やってきて思うことは、ある自治体がやっている給付サービスを全体に広げると、それは保 険料のアップになりますので、全体はとりあえず控えておこう。個別にやりたければ個別の自治 体で、それを過去の例に従って給付してくださいということはあり得ますけれども、それを結果 で見ると、報道に出るときには「全体としてはしなくなった」と出てしまいますが、そういった 財政を考えながらのやりとりが各都道府県で今あると思っております。是非そういったところも 踏まえて、今後の議論をしていただければと思います。  また、保健サービスにつきましては、私は「サービス」という言葉を本当にこのまま使ってい いのかということも正直、最近感じております。それは、「サービスは受けるもの」という認識 がどうしてもありますが、実は根本のテーマである「国民の健康の維持」というのは、受けるも のではなくて、与えられるものでもなくて、国民一人ひとりが自らはぐくまない限り、多分でき ないと思います。  健診はちゃんと受ける、適切な時期に早くかかりつけ医に行く、そして自分の家族と一緒に健 康増進していくということをしない限り、健康はなかなか維持できない時代だと思いますので、 保健サービスについては、「サービスが低下することがよくない」、「統一するとそうなりがち だ」ということがコメント的にも書いてありますが、そういったみんなの意識改革でこれを高め ていくことも、是非今後は重視しなければならないだろうと思っております。  番組名を出すとよくないのですけれども、「ためしてガッテン」という健康で非常に有名な番 組がありますが、ディレクターの方にこの間お話を聞きましたら、本当にその意識を持つかどう かで大いに変わるわけです。企業関係でもそういう取り組みを取り入れられたところは、歴然と して健康が回復していく、負担も減っていく、みんなハッピーになる。そういった善循環を生み 出す必要があるのだなということを改めて感じております。  そういった点で、一つ厚労省にお願いがありますのは、「健診受診率」のことです。自治体も 我々広域連合も取り組んでおりますが、健診の受診率が非常に重要でございまして、国保は国保 しかわからないのですけれども、全国民の健診受診を自治体単位でわかるとか、都道府県単位で わかるということを是非情報を相互に共有して、この改善ができるように今後何か手を打ってい ただくとありがたいなと感じております。以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、三上委員。 ○三上委員  先ほど鎌田委員の方から、医療費の問題で医師会の話題が出ましたので、少しお答えいたしま すが、現在、日本の医療費がOECDよりかなり低いレベルにある。これを少し上げることが必 要だということはありがたいことだと思いますが、平均レベルがある程度上がれば、それ以上上 がらないように総額管理をするような工夫が要るのだということですが、私たちは御指摘のよう に、これには反対しておりまして、財政に医療を合わせるのではなく、医療に財政を合わせるべ きだと申し上げております。これから医療費が高齢化に伴って増えていく中で、財源をどのよう に確保するかということを考えるのが、この高齢者医療制度改革会議の保険制度のあり方を考え る会議の主な目的ではないかと考えております。  本論に戻りまして、今回の議論の中で、負担の公平と給付の平等ということについては、皆さ ん理念としては一致していると思います。負担の公平につきましては、神田委員の方からも、皆 さんが公平に負担すべきであるということが多数を占めたという良識を示していただいたことは ありがたいと思います。  また、阿部委員の方から、国保と被用者の上限限度を合わせるべきであるとか、あるいは対馬 委員の方から、被用者保険の方が高齢者になっても被用者保険に入ったまま、現役と同じように、 若人と同じような保険料を払うべきだということは、応能負担という考え方から、そのとおりだ と思います。  また、応益負担の問題では、窓口負担がございますが、これについては、年齢によって、病気 がちの方、何度も病院にかかるような方については、窓口負担は一定程度引き下げるということ。 これは対馬委員の方からも御指摘がありましたが、これもそのとおりだと納得しております。  ただ、ここで理念を共有しておきたいのは、池上委員が整理していただきましたけれども、池 上委員の資料の4ページの公的保険の構造のところで整理いただきましたが、日本の公的保険が 職域と地域と2つありまして、もともと職域からスタートしたということもあり、相互扶助の考 え方が保険者単位になっているということで、大きな考え方の違いがここで起こっているのでは ないか。  今回の検討の基本的な考え方の中に、地域保険としての一元的運用を目指しているということ ですけれども、最終的には地域保険になっていくということは、職域保険がなくなるということ でありまして、これは保険者単位での相互扶助ということから、皆さんが思っているような国民 全体の社会連帯という形で行くのだということが前提になるのだろうと思います。  ここのところが皆さんの間で合意できているかどうかということで、議論の進め方が変わると 思います。これは言いかえれば、保険者、組合健保を廃止するということにつながっていくのだ ろうと思うのですけれども、この辺のところが皆さん合意できているのかどうかということをお 聞きしたいと思います。 ○岩村座長  それでは、藤原委員、済みません、先ほど途中からお見えになったので、こちらで把握してお りませんで。 ○藤原委員  まず、自己紹介させていただきます。私、全国町村会行政部会長の長野県川上村長の藤原であ ります。今回から参加させていただきます。当初から遅刻して恐縮しております。  まず、これまでの議論の経緯と本日の議論を伺いまして、私の感ずるところを一言述べさせて いただきたいと思います。本日は横尾委員も御出席でありますが、私も長野県の後期高齢者医療 広域連合の連合長をしております。現場等も多少は熟知していると思っておりますが、現行の後 期高齢者医療制度につきましては、現在では非常に定着していると思っておりますし、苦情もほ とんどない状況で運営されております。したがって、新たな制度をつくるとしても、無用な混乱 を避けるため、現行制度の根幹や利点は引き継いだ制度設計を行うことが現実的であります。現 場を預かっている市町村長の意見はほとんどそうだとお聞きしております。  特に、加入者の保険料負担が大きく変化すると非常に混乱するということであります。保険料 負担は、現在の制度とほぼ同水準で移行できれば、非常にいいと思っております。  今日の資料等にもさまざまなパターンの試算が出ておりますが、これを見ますと、いずれにし ても市町村国保は負担増となっています。公費が減少することも踏まえまして、市町村国保等の 負担軽減策を講じることが必要となると資料にはありますが、市町村国保の財源は本当に限界に 来ております。これ以上の負担増は考えられず、十分な支援が必要だと思っております。この点 につきましては、各委員の皆さん方、是非共通の認識として共有していただければと思っており ます。  また、今回は保険料・サービス給付が議題となっておりますが、そもそもどこが運営主体とな るかによって議論が相当変わってくる可能性があります。基本的には、医療保険制度は国で一本 化すべきであるということが我々の主張でありますが、それまでの過程として、都道府県単位で 一本化することが望ましいと考えております。少なくとも保険の財政運営上の単位としては、保 険の数理計数上の原理からしても、まず都道府県単位での広域化は避けて通れないのではないか と我々は思っております。ついては、市町村国保の都道府県単位による広域化についても、この 会議で十分に議論いただければと思っております。  いずれにいたしましても、町村としては非常に国保の加入率が多いこともありまして、いずれ 意見を集約しまして、今後改めて意見を述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願 いいたします。 ○岩村座長  ありがとうございます。  それでは、お待たせしました。堂本委員、どうぞ。 ○堂本委員  どうもありがとうございます。最後なので、短く意見を言いたいと思いますが、今日の資料で、 いろいろな案、4つの案の財政的なことを整理してくださって、前よりわかりやすくなったと思 いまして、それは御礼申し上げたいと思いますが、同時に、もう一つ大きな疑問がございます。 今、問題になっているA案、B案、C案とか宮武案とか、いろいろ案があるのですが、これは行 政の側から見て本当に全部の案が実現可能性のある案なのかどうかという抜本的な問題、もう実 現できないような案を議論することは無意味なのではないか。  先ほどもどなたかおっしゃいましたけれども、結局は最終的には、ほかの審議会でも議論され ているように、市町村国保が受け皿になるとすれば、それ以外の方法での議論というのが相当む だなのではないか。そして、先ほどから出ていますように、いろいろな案が示されて、それを比 較するということのために議論が大変複雑になってしまって、そういう複雑さの中で、先ほど見 坊委員が言われましたように、専門家はおわかりになるかもしれませんけれども、私どもも本当 に細かいところはわかりません。  ですけれども、先ほど座長は高齢者の意見を聞いてとおっしゃいました。これだけ複雑で、私 たち、こうやってずっと出していただいて、勉強させていただいて、説明を受けて、なおわから ないもので、どういう形で実際にお聞きになるのでしょうか。それは、先ほど質問票もございま したけれども、高齢者に対してのクエスチョン・アンド・アンサーはどうしても単純化されたも のになると思います。そういたしますと、ここで展開されている議論との間のギャップはすごく 大きいのではないかと思います。  市町村国保が受け皿になった場合に、それは今度は都道府県にという拡大の案が皆様から出て いるわけですけれども、私はやはりそうなった場合には、今度は巨大な赤字が都道府県に出てく るということは、神田知事さんの言われたとおりであろうと思います。  しからば、そこでもって何が今、欠落しているのかといえば、後期高齢者あるいは65歳以上の 高齢者でもいいのですけれども、高齢者の医療費をだれが、どのような形で負担するのかという ことが、先ほどから、保険者の方たちは別として、利害が絡みますけれども、そうでない方たち、 鎌田先生などもおっしゃっていた、本当に抜本的にそこでもってだれが負担するのかという基本 的な議論が行われていないのではないか。そして、それの保険料あるいは計算式といったものが 示されていない現状でございます。  そういたしますと、座長が言われたように、今までの資料は複雑になってきて、その上にとお っしゃっていますが、私、1回目に申し上げたことは、本当の意味の公平ということを担保する のであれば、この複雑な中でどのように公平を担保できているのかということが国民にはわかり ません。そうすると、せっかく改革をしようというのに、改革ではなくて、むしろ逆戻りをして いるような要素がなきにしもあらずではないか。  そして、その場合に、国の方の負担が5割ということで、今日のいろいろな資料が出ているわ けですけれども、先ほどから出ているように、本当に5割なのか。それ以上なのか。あるいは、 もっと医療の適正化をいろいろな形でやっていった場合に、それ以下なのか。そういうことにつ いての議論は余りなされないで来てしまいました。  ずっと最初から同じことばかり申し上げているわけですけれども、本当に国民に対しての見え る制度、そしてそこで公平が担保されているということで、今回のこの会議の意味があるのでは ないかと思うので、回を重ねるたびに複雑になっていき、そしてわかりにくくなってきていると 思います。  ちょうど山井政務官、いらしたので、特にそこのところは政治家に是非お願いしたいのです。 行政の側でできないことがいっぱいあると思います。厚生労働省も、もともと老健制度や何かを 改善しようということでずっとやってきて、それで後期高齢者の制度ができた。そして、今回、 更に、もしそれを抜本的に国民にわかりやすい、そして本当に公平な制度なのだ、すべての国民 が、現役世代も高齢者もみんなが思えるようなものにするのであれば、そこは相当政治家として の御英断、そして今の新しい政権交代を成し遂げた政権としての、この領域に本気で取り組むの だという姿勢をお示しいただく。  そこのところを解決していくということが、先ほどから何人かの方から、国の態度も大事だと いうことをおっしゃっていますけれども、それは政治家として、私自身は十何年か政治家をやっ て、今度行政の方を8年ほどやらせていただいたから、なおそう思うのかもしれませんが、ここ は厚労省の方たち、本当に大変な資料をつくってくださっているのですが、政治家の決断を必要 とする極限的なところに来てしまっていると思うので、お願いして、終わらせていただきたいと 思います。ありがとうございました。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、先ほど私の理解では、神田委員からの御質問があったのと、それから横尾委員から 御要望だったと思いますが、ありましたので、ちょっとそれを事務方の方でお答えいただければ と思います。お願いします。 ○伊藤課長  国民健康保険課長でございます。  現在、国会に提出しております国保法等改正案に、広域化等支援方針を都道府県知事が策定す ることができるとなっているわけでございますけれども、これは今後の本格的な国保の広域化に 向けた環境整備という位置付けでございまして、指針を策定する作業を通じまして、都道府県の 中で市町村とよく協議していただいて問題意識を共有していただく。それでもって、どう広域化 を進めていくかということを検討していただくという趣旨かと考えております。  これは、国保の広域化の姿はどうなるかということによって、また修正する必要が出てくるか もしれませんけれども、できるだけ取り組んでいただいて、法案が通れば、我々としては年内に できるだけ各都道府県に策定に取り組んでいただく。そのために、助言とか会議を開いたり、い ろいろな形で支援していきたいと考えております。 ○岩村座長  神田委員、よろしゅうございましょうか。 ○神田委員  ちょっとお願いします。 ○岩村座長  はい。 ○神田委員  今、御説明があったとおりでありまして、医療保険部会での議論を経て、今度の改正案という のは、広域化に向けてのある意味では環境整備なのです。広域化だとか、あるいは次のステップ にまだまだ遠い環境整備で、例えば財政の安定化だとか改善計画だとか、そういうレベルの話で す。  ところが、ここでは一挙に広域化を進める。それはどういう受け皿がいいのかというところま で行ってしまっている。そうすると、社会保障審議会の医療保険部会の議論と、こちらの議論が どこでどう接点があるのか、あるいはどう調整するのか、あるいはここでの議論を向こうへその ままフィードバックするのか、そこら辺が全然見えないのです。私は向こうも委員ですが、こん な議論は全くない。  社会保障審議会のこれまでの役割は、日本の医療制度あるいは医療保険制度をどうするかとい うことを、専門家やら関係者がそこでしっかり議論してきた場なのですが、今のような大きなそ ごがあったり、あるいは熟度に差があるということについて大変大きな戸惑いを持っています。 したがって、その辺はよくわかるように、向こうでも議論されるならわかります。また、この場 でも、今日でなくていいのですが、どのような方針なのかをお示ししていただく必要があるので はないかと思います。 ○岩村座長  それでは、今、神田委員の方から御指摘ございまして、私も医療保険部会の委員でございます ので、また事務局の方でその辺をどう整理するのかということを。では、審議官、お願いします。 ○唐澤審議官  審議官でございます。神田委員の御指摘は大変ごもっともでございますので、私どもとしても、 議論のレベルといいますか、進みぐあいというものが確かに違っておりますので、そこは私ども の方もよく検討させていただいて、それからよく御相談させていただきながら、医療保険部会で も御議論していただきたいと考えております。 ○岩村座長  それでは、先ほど横尾委員の方から、健診の受診率等についてということでちょっとお尋ねが ありましたけれども、課長、お願いします。 ○吉岡課長  各広域連合等の健診の受診率につきましては、一覧表にした形で全国の状況を公表させていた だいているところでございます。全国的に健診の受診率はちょっと低くなっているということも あり、そのリカバリーに努めていただいている状況ですので、引き続き各広域連合の状況を私ど も、そうした形で公表させていただきながら、それぞれの取り組みを再度促していきたいと思っ ております。 ○岩村座長  では、横尾委員。 ○横尾委員  それはわかっているのです。私が申し上げたかったのは、首長は域内におられる一人ひとりの 人に対して、生命の安全と財産の保全とか、いろいろなことに関して責任を感じるわけですね。 そうすると、例えば「健康」も重要なものなのですけれども、そのときに「受診率を高めてくれ」 という施策で、国のもと我々も努力しているわけですが、企業とか共済とかに入っている方のデ ータは入ってきませんので、わからない。しかし、全体に関して首長は主導しなければいけない。  そこを補うためにも、情報が、全体のことがわかって、受診の勧奨あるいは啓発ができるよう にしてほしいという意味でございますので、即答でなくてもいいのですが、是非そういった部分 を、高齢者医療制度に限らず、今後の中で是非やってほしいと思っています。これは現場の保健 師は強く感じています。 ○岩村座長  ただ、名寄せをしなければいけないということになりますので、その辺の方法があるのかどう かという実務的な問題があるでしょう。 ○横尾委員  そうです。年金問題とか背番号制度とか、いろいろ関係しますけれども、将来的には射程に入 れてほしいということです。 ○岩村座長  では、審議官、どうぞ。 ○唐澤審議官  私ども、健診、保健指導の実績を把握するという年になっておりますので、その中で今、御指 摘のあった点も、どういうふうにできるか、今、見当がつきませんけれども、よく検討させてい ただきたいと思いますし、また何か御意見があれば御指示いただければと思っております。 ○岩村座長  では、よろしくお願いいたします。  時間が大分過ぎておりますが、先ほど堂本委員が触れられまして、最初に大臣も触れられまし たが、国民の方々、そして有識者に対する意識調査というのをやろうということでございまして、 今日、資料も用意してありますので、簡単に事務局の方から説明いただきたいと思います。 ○吉岡課長  お手元の資料3でございます。先ほど大臣からも御紹介ございましたように、今回、この改革 会議の議論と並行して、高齢者を初めとする国民の方々に対する意識調査をきめ細かくやってい きたいということでございます。  今回のこの調査の実施方法あるいは調査票の検討に当たりましては、下にございますような調 査の専門家の方々の御意見をつぶさにいただきながらとりまとめたところでございます。  実施方法につきましては、第1段階と第2段階に分けて取り組むということで、第1段階は、 この5月に行い、7月にとりまとめる。すなわち、夏までの中間とりまとめまでの議論に反映さ せたいということでございます。第2段階の方は、9月に実施するということで、年末までの最 終的なとりまとめの議論に反映させたいという趣旨でございます。  そこで、まず今回の第1段階の調査でありますが、65歳以上の方4千人、それから20歳から65 歳未満の方4千人の計8千人の方に対する調査を実施したいと考えております。数につきまして は、最終的に回収率の見込みを立てますと、それぞれの層で、65歳以上と未満で最低千人以上の 回答を得たいと考えているものでございます。  また、これと並行して、社会保障の分野の有識者の方に対する調査、あるいは厚生労働省の行 政モニターの方々に対する調査を行うことを考えております。  本日、お手元に調査票をお配りしたところでございますけれども、今日は時間の都合もござい ますので、できましたらば、これから1週間程度の間で点検いただいて、お気付きの点がござい ましたら、御意見をお寄せいただき、そして個々にまた先生方と調整したいと考えておりますの で、もしよろしければ、そのようなことで進めさせていただければと考えております。 ○岩村座長  今、課長の方からも提案がありましたように、今日はもう時間が過ぎておりまして、意識調査 の内容というものについて細かく御議論いただく時間をとれませんので、お持ち帰りいただいて、 中をご覧いただいて、もしお気付きの点等ありましたら、先ほど課長からもありましたように、 できるだけ早目に、1週間ぐらいの間で御連絡いただければと思います。その上で、いただいた 御指摘あるいは御意見というものをどうするかということについては、大変恐縮ですけれども、 私に一任していただければと思います。  私自身も拝見させていただきましたけれども、第1段階の調査の方は、非常にシンプルであち こち枝番がなくて、あっちに行け、こっちに行けというのがないので、答えやすいものになって いるのかなと思います。それとの関係で、先ほど堂本委員が御指摘になったこととの関係で言い ますと、見坊委員もおっしゃいましたように、確かに非常に複雑な話なのですが、ポイントは、 要するに大筋のところがずれていないかどうかというところに、一つあるのかなと思います。そ れは、この意識調査で把握できるのではないかと思っています。  ただ、大きな枠の中で細かい技術的なところをどうするかというのは、これはかなり専門的な 話になるので、事務局を初めとして、そこは必要に応じて、この場で議論するなりということを させていただくという性格のものではないかなと私自身は思っております。  何分にも、今日いろいろ御議論いただきましたけれども、問題の根底というのは、やはり従来 の老人医療制度からずっとそうですけれども、どうしても多くの病気を抱えていらっしゃったり ということで医療費がかかる高齢者の方々の、その医療費をどういった形で皆さんで負担するの かというのが、まさにこの問題の一番の肝要なところであり、それについて、今まで5回にわた ってさまざまな形から、財政の問題もあり、それから今日御議論いただいたように、保険料のあ り方とか一部負担のあり方とか、サービス、保健活動、その他も含めて、そういう問題を幾つか の角度から眺めて議論していただいたと思います。  そして、例えば公費の役割をどうするかという点であるとか、あるいは国保の問題は、先ほど 神田委員が御指摘になりましたように、非常に厄介な話ではありますけれども、広域化というこ ととの関係で受け皿をどうするかという点であるとか、それから、一部負担の問題については、 高齢者の場合、どうしても医療費がかかるので、余り負担は多くできませんねという点であると か、幾つかの点ではある程度皆様方のそれなりのコンセンサスはあるのかなという気が致します。  ただ、根本の制度をどうするかということについては、先ほど堂本委員もおっしゃったように、 まだいろいろな案があって、実現可能なものも、ないものもあるのかもしれないですが、それに ついては次回、有識者の方々のお話を聞いた上で、6月以降、もう少し突っ込んで具体的な制度 の方向性ということについて御議論いただければと思っております。  見坊委員のおっしゃるように、確かに非常に複雑でわかりにくいので、それを簡明に説明する のは非常に困難でありますが、逆にいえば、ポイントは先ほど申し上げたようなところであって、 要は全体としてどういうふうに高齢者の方々の医療費を負担するのかということと、個別のとこ ろで見たときに、保険料の問題、一部負担の問題ということが最終的にどういう制度設計になる のかというところがもう一つの問題だろうと思います。  今日は、済みません、座長の不手際で20分も時間がオーバーしてしまいまして、夜遅くまで御 迷惑をおかけすることになってしまいましたけれども、ありがとうございました。先ほど来何回 か触れましたように、次回につきましては、高齢者の医療問題について見識のある有識者の方々 からお話を伺うということでございまして、これも冒頭の事務局からの紹介にもありましたよう に、資料5にありますヒアリングの対象者の一覧の先生方からお話を伺うことにしてございます。  次回の日程でございますけれども、5月17日月曜日午後5時20分から7時20分までということ で予定しております。詳細につきましては、事務局の方からまた改めて御連絡さしあげますので、 どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、今日は御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございました。これで散会と いたします。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199