10/04/08 第1回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録 第1回 審査支払機関の在り方に関する検討会 (1)日 時:平成22年4月8日(木)9:58〜11:53 (2)場 所:中央合同庁舎5号館 厚生労働省内共用第7会議室(5階) (3)出席者:足利委員、飯山委員、稲垣委員、遠藤委員、齊藤委員、高田委員、高        橋委員、長谷川委員、森田委員(座長)、村岡委員、山本委員、渡辺        委員、高智オブザーバー        〈事務局〉        外口保険局長、唐澤審議官、神田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民        健康保険課長、佐藤医療課長、矢田保険システム高度化推進室長 (4)議事内容 ○吉田保険課長 おはようございます。ほぼ定刻でございますが、委員の皆様方おそ ろいでございますので、早速ただいまから第1回「審査支払機関の在り方に関する検 討会」を開催させていただきたいと存じます。  本日は、委員の皆様方、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうご ざいます。私、厚生労働省保険局保険課長の吉田でございます。本検討会は座長に御 進行いただくということにしておりますが、会議開催の冒頭に当たり、便宜、私の方 で進行を務めさせていただきたいと思います。  まず、本日、委員の皆様方の出席状況でございますが、埼玉県毛呂山町住民課長の 粟生田委員と上智大学の岩田委員から御都合により御欠席という御連絡をいただいて おります。  それでは、初めに事務局を代表いたしまして、外口保険局長からごあいさつを申し 上げます。 ○外口保険局長 「審査支払機関の在り方に関する検討会」の開催に当たりまして、 ごあいさつを申し上げます。  委員の皆様におかれましては、御多忙の中、本検討会への御参画をお引き受けいた だき、誠にありがとうございます。  医療保険の審査支払機関を取り巻く環境は、レセプトの電子化の進展等により大き く変化するとともに、医療費が増嵩を続ける中で、適正な保険診療の確保、貴重な保 険料等を原資とする審査支払事務の効率性への期待はますます高まっているところで あります。  また、行政刷新会議や規制改革関係会議においても、審査支払機関の在り方につい てさまざまな指摘がなされてきたところであります。  こうした状況の下、審査支払業務の質の向上、効率化の推進等により、国民の信頼 に応えることができる審査支払機関の実現を図るため、今後のあるべき姿について、 組織及び業務の両面から総合的に検討する必要があります。  このような観点から、お忙しい皆様に御参集をいただいたところでありますが、審 査支払機関について、このように公開の場において議論をすること、更に、社会保険 診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会の関係者の方々を一堂に会して、ユーザ ーの方々に御議論いただくということは初めての試みでもあります。  委員の皆様におかれましては、それぞれのお立場から、国民の皆様の信頼に応える ことができる審査支払機関の実現を図るため、御意見を賜りますようお願いいたしま して、私のあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。 ○吉田保険課長 次に、御出席の委員の皆様方を簡単に私の方から御紹介させていた だきたいと思います。  委員の皆様方の名簿を配付させていただいておりますので、御確認いただければと 思います。まず、五十音順に御紹介をさせていただきます。  社会保険診療報酬支払基金専務理事であります、足利委員でございます。  東京都国民健康保険団体連合会の専務理事であります、飯山委員でございます。  国民健康保険中央会総務部の主幹であります、稲垣委員でございます。  日本歯科医師会社会保険委員会委員であります、遠藤委員でございます。  社会保険中央総合病院名誉院長であります、齊藤委員でございます。  中国電力健康保険組合常務理事であります、高田委員でございます。  全国健康保険協会理事であります、高橋委員でございます。  東邦大学医学部教授であります、長谷川委員であります。  東京大学大学院法学政治学研究科教授であります、森田委員でございます。  高知市保険医療課長であります、村岡委員でございます。  日本薬剤師会副会長であります、山本委員でございます。  国際医療福祉大学大学院教授、東京女子医科大学客員教授でもあります、渡辺委員 でございます。  冒頭申し上げましたように、本日はお二人の委員が御欠席でございますが、次回以 降御参加をいただくことになってございます。  また、オブザーバーとして、健康保険組合連合会参与であります、高智オブザーバ ーにも御参加いただいております。  事務局、厚生労働省側でございます。  先ほどごあいさつをさせていただきました、保険局長の外口でございます。  担当審議官の唐澤でございます。  保険局総務課長の神田でございます。  保険局医療課長の佐藤でございます。  保険局の保険システム高度化推進室長の矢田でございます。  また、私どもと事務局を共同で務めます国民健康保険課伊藤課長でございます。  改めてでございますが、保険課の吉田でございます。よろしくお願いします。  次に座長でございます。本検討会には医療機関と保険者それぞれの関係者の方々、 あるいは審査関係者の方々、そして学識経験者、法律の方々、それぞれ御参集をいた だいております。  座長としましては、中立的なお立場でございます森田委員にお願いをしたいと存じ ます。森田委員におかれましては、併せて中央社会保険医療協議会の公益委員もお務 めいただいているというところでございます。  これより先の進行は森田委員にお願いしたいと存じますので、よろしくお願い申し 上げます。 ○森田座長 森田でございます。先ほどもごあいさついたしましたが、改めてごあい さつをさせていただきます。  私自身の専門は、行政学という学問でして、医療については必ずしも専門ではござ いませんけれども、進行役ということですので、務めさせていただきたいと思います。 御協力をよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速議事に入ることにいたしたいと思いますが、実質的な議事に入りま す前に、検討会の開催に当たりまして、会議の公開等の取扱いについてお諮りしたい と思います。会議、議事録及び資料は原則公開ということで進めさせていただきたい ということでお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。お認めいただき、 ありがとうございます。次に、この検討会の進め方等につきましては、事務局から御 説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○吉田保険課長 今般、このような検討会を発足させるに当たりまして、事務局とい たしましては、今後の進め方について次のように考えてございます。  まず、本日、第1回の会議、そして既に日程をちょうだいしております第2回、4 月22日の会議、この2回は、言わばイントロダクションということでございまして、 簡単な現状把握資料をこの後御説明させていただくとともに、各委員の皆様方の問題 意識、この問題に関する御関心あるいは御意見というものをいただきまして、論点の 確認をさせていただく。また次回はこの検討会の直接の対象となってございます、社 会保険診療報酬支払基金−私ども支払基金と略称してございます−、そして国民健康 保険団体連合会−国保連と申しておりますけれども−それぞれから、それぞれの組織 として直面しております課題あるいは取組みなどを御報告いただいた上で、重ねて各 委員の皆様方からの御発言をいただくということをもって1回目、2回目というもの を考えてございます。  3回目以降につきましては、まずは委員の皆様方の御議論の進行いかんということ ではあろうかと思いますが、事務局といたしましてはおおむね月1回くらいのペース で委員の皆様方の日程をちょうだいしながら進めることとし、当面1つのめどとして、 年内というところで一連の議論が一巡できればと事務局としては考えております。  大きな総論的な問題あるいは各論、個別的な問題、種々あろうかと思いますけれど も、1回目、2回目の御議論を一通りいただいた後で、また委員の皆様方、座長とも 御相談させていただき、3回目以降の具体的な進行についてはお諮りしながら進めさ せていただきたいと思っております。  なお、私どもとしては、そのようなスケジュールで御議論をいただくことになりま すけれども、当然、審査支払機関の在り方について、より関心の高い中で議論を進め ていただくということでございますので、支払基金、国保連、両当事者も勿論でござ いますし、私ども厚生労働省といたしましても、この御議論の中で改革といいましょ うか、見直しに着手できるものは逐次着手するという姿勢で臨んでまいりたい、また 両機関にはお願いしたいと思っておりますので、そのことを申し添えさせていただき ます。  以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございましたら御発言を いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですね。  特に御質問等がございませんので、このようなスケジュールで議論を進めてまいり たいと思います。  それでは、本日は第1回目ということでございますので、審査支払機関の概要等、 全般につきまして、一括してできるだけポイントを絞って事務局より御説明をお願い したい思います。  よろしくお願いいたします。 ○吉田保険課長 重ねて私の方から御説明させていただきます。資料が直前になって 大変恐縮ではございましたがお届けさせていただいたこと、またできるだけ議論にお 時間をいただくということでございまして、今、座長の方からもポイントを絞ってと いうお話でございますので、多少はしょることをお許しいただきたいと思います。後 ほど御質問等あれば、対応させていただきたいと思います。  資料1〜5まで分冊で用意させていただいておりますが、まず資料1につきまして は、本会議設立に当たりまして、メディアなどリリースをした資料でございますので、 御確認をいただければと思います。  右肩に「第1回 資料2」と書いてございますものが「審査支払機関について」と いうそれぞれの機関について。  資料3が「審査支払業務について」ということで、こちらは業務編という、この2 つの資料をまず簡単に御報告いたします。  資料2、機関の方をお開きいただきますと、1ページ目には支払基金の概要という ことで書かせていただいております。支払基金法という特別な法律によって設立され ている民間法人ということで、47支部を持つ全国組織。  2ページ目をごらんいただきますと、その支払基金の業務といたしましては、箱が 5つ書いてございます左上のところにございますように、基本的に特別な法律によっ て設立されている法人として「健康保険の審査支払を行う」というのがこの基金の本 務でございまして、左側の下にもございます診療報酬の審査支払以外にも、生活保護 でありますとか、いわゆる公費医療の審査を行っているというのがございますし、2 ページ目の右側の箱をごらんいただきますと、高齢者医療あるいは介護保険などの業 務についても支払基金で行われているということでございます。  3ページ、都道府県国保連の関係でございます。国保連につきましては、頭に○が 2つございますように、まず1つは「国民健康保険の保険者が共同で事務処理を行う ために設立をいただいた公法人」ということでございまして、根拠は国民健康保険法 に基づく法人でございます。会員が市町村ということになってございまして、国民健 康保険以外にも市町村に関連するさまざまな業務が実施されていると承知しておりま す。  また、3ページ目の右上のところに点線で囲ってございます社団法人国民健康保険 中央会についてもここに書かせていただいておりますが、国保中央会と略称させてい ただいておりますこの組織、稲垣委員が御参加いただいておりますけれども、この都 道府県ごとの国保連が会員になっている。都道府県の国保連は市町村などの保険者が 会員になっていて、その都道府県の国保連を会員とする社団法人が国保中央会という 構図になっているということでございます。  4ページ目をごらんいただきますと、国保連の業務ということでございまして、今、 申しました左側に「審査支払業務」というものがあると同時に、左側の下の箱を見て いただきますと「保険者事務の共同処理・共同事業」ということで、いわゆる市町村 の保険者の業務を共同管理するという仕事、また右側にはその他の業務といたまして、 高齢者医療、介護保険などあります。先ほど左側は保険者事務の共同処理、右側は市 町村等の事務処理ということで、市町村等の事務の共同処理としてそこに掲げてござ いますような業務を担っていただいているというのが都道府県の国保連のお仕事と承 知をしております。  5〜6ページ目は非常に簡単でございますが、それぞれの2つをあえて対比的に並 べさせていただいたものということですので、5〜6ページはまた後ほど御参照いた だければと思います。  7〜8ページ目は、それぞれの審査支払機関の役員の方々の構成。役員の構成にあ る程度法人の性格というものが出ているのでないかという事務局の問題意識から付け させていただいております。  7ページ目が支払基金の役員ということで、ごらんいただきますと、監事さんがそ れぞれ4人おられると同時に、理事が4者構成になっている。保険者の代表の理事さ ん、被保険者の代表の理事さん、診療担当者の代表の理事さん、公益代表の理事さん ということで、この4者構成で法人のガバナンスが図られているというのが支払基金 の1つの特徴かと思います。  8ページは全国の47都道府県ごとの国保連の理事長さんだけのリストをつくらせて いただきました。これは「現職」というところをごらんいただきますと、3つほど例 外はございますが、全国47のうち、多くの国保連の理事長さんは、先ほど申しました 構成員であります市町村の国民健康保険の代表者でもあります首長さんがそれぞれの 組織の理事長として御就任をいただいているという意味で、国保連の構造はこのよう なものになっているということを御確認いただければと思います。  資料3、審査支払業務編でございます。御案内のところは多いかと思いますが、改 めて確認をさせていただきます。  1ページ目でございますが、医療保険における請求・審査・支払というものがそれ ぞれ法律に基づくものであるということ。また、1ページ目の下の箱にございますよ うに、審査支払というものは、法律上も保険者の方々におかれては、保険医療機関等 からの請求に対して、審査の上支払うということが求められているということでござ います。  2ページ目でございますが、そのような医療保険における審査の特性として事務局 が考えておりますもの、数点まとめさせていただいております。  1つ目の○が、この審査というものは、保険診療のルール、この後資料に付けさせ ていただいておりますが、あまたありますルールに適合しているかどうかを確認する という行為であるというのが1点でございます。  2つ目の○が、そのルール、また後ほど出てまいりますが、多様な患者さんのそれ ぞれの状況に応じた医療の提供ということでございます性格上、診療するお医者さん 等に一定の裁量が認められているというのがまず大前提でございます。  3つ目の○が、したがって、それを審査する、ルールに適合しているかどうかを確 認するに当たりましては、最終的に医師などの専門家の目による医学的妥当性の判断 というものが不可欠になっておりまして、このような人による審査というものが不可 欠であるという反面として、その審査の公正さを担保するために、診療側、保険者側 双方の信頼をいただけるような仕組みであるということが大事であろうと思っており ます。  資料の3ページ目でございますが、そのような基本に立って、現在の審査体制とい う形で求められているものがどのように担保されているかというものを真ん中の箱の [1][2][3]、3点にわたってまとめさせていただいております。  重ねてになりますが、[1]にございますように、その審査は医師等が当たっていただ く。[2]その最終決定は審査委員会という構造をとった三者構成によりお決めいただい ている。[3]診療側であれ、保険者側であれ、それぞれ再審査という形で公正性を担保 する仕組みというものを用意しているというのが資料の3ページ目でございます。  4ページ目以降は、審査支払に関して、先ほど来申しております参照すべきルール に関して、確認的にまとめさせていただきました。  4ページ目にございますようにいろいろなルールがございますが、その大宗の部分 は法律に根拠を持ちます−[1][2]と真ん中辺に書かせていただいておりますような−療 養担当規則あるいは個々の診療行為に対応する診療報酬の算定方法、いわゆる点数表 というものによってそれぞれ請求のルールが定められております。  5ページ目はその療養担当規則の抜粋がございます。6ページ目は1つの分厚い本 となっております診療点数告示の中、こんな感じで書かれているというものを抜粋さ せていただいておりますので、後ほど御参照いただければと思います。  7ページ目からは、具体的にそのような審査がどのような流れで行われているかと いうものをまとめさせていただいております。  7ページ目をごらんいただきますとおわかりいただきますように、毎月毎月日々の 行為に基づく請求は月単位で医療機関さんから提出されているわけでございますが、 それに対する支払いも今の仕組みから言うと毎月の月締めで会期内に行うということ から、重点化というものが講じられているということでございまして、そこに審査専 門部会という形で高点数の審査における審査と、重点審査区分による審査という2つ の手法が用いられているということをまとめさせていただいております。  8ページ目はその審査に当たって、どのような項目があるかというものをある程度 整理させていただいたものでございますので、御参照いただければと思います。  業務フローをまとめさせていただきましたものが資料の9ページからでございます。  9ページは支払基金の業務フロー。後ほどこの後ろに同じような形で国保連の業務 フローも付けさせていただいております。  9ページでごらんいただきますと、左側の医療機関から業務は流れてまいりまして、 右側に向けて最終的にいただいた請求を審査し、保険者にお返しし、保険者からの診 療報酬の収納をいただいた上で医療機関にお支払をする。審査と支払というものが一 体的にこのような形で流れているというものを御確認いただければと思います。それ を時系列で置かしていただいたものが10ページ。ある月の業務の流れとして、このよ うなものをまとめさせていただいております。  11〜12ページはそれぞれ国保連の同じような業務の流れと、12ページはそれを少し スケジュールという形で置かせていただいたものでございます。  今、9〜10ページの支払基金と11〜12ページの国保連について並べて資料を用意し 御説明をさせていただきましたが、13ページをごらんいただきますと、この2つの大 きな流れにおいて、基本的なたたずまいが違うということを御確認いただければと思 います。  あえて簡略化しておりますので、正確さの点についてはまた御議論があれば補足さ せていただこうと思いますけれども、全国的に動いておりますオールジャパンで見た 場合の審査支払業務について、13ページ目の左側、支払基金。従来これは被用者保険 関係の審査支払を御担当いただいているということでございますが、図の左側の真ん 中に縦に棒があって、※が4つほど書いてございますが、左上の※をごらんいただき ますと、被用者保険の場合は、被保険者の方が全国に居住をされている。ある企業が 全国に展開をされているということがございます。  支払基金は単一の法人として全国をカバーしているというのが1つでございまして、 全国に展開している被保険者の方々であっても、基金からは被用者保険の本部がござ います保険者所在地に請求をするという形。  また、支払基金の方の右上の※にございますように、支払基金は保険者から独立し た審査支払機関という位置づけでございます。その点を踏まえた上で、全国を一本の 組織で、それぞれの支部が担当しながらも支部ごとにやりくり、言わば情報の受け渡 しをしながら全国一本の処理を行っているというのが支払基金の業務の流れでござい ます。  なお、右の下の※にございますように、本部は何をしているのかということになれ ば、システム開発運用あるいは全体の支部に対する指導支援というものを担っていた だいていると承知しております。  右側、地域保険の審査支払を担当いただきます国保連に関係しましては、左側の※ にございますように被保険者の方々は地域保険ということで、基本的に住所地を念頭 にそれぞれの医療機関で受診された場合の国保連に審査が上がっていくという形にな っております。仮に住所地以外の都道府県で受診されたという場合は、この国保連間 の決済を全国規模で行う。基本的には都道府県単位である国保連の中で業務は回って いるけれども、他の都道府県で受診した場合については全国決済という仕組みで、国 保中央会が担っていただいているということでございます。  そういう意味では先ほど前の方の資料で御確認いただきましたように、『支払基金』 は保険者から独立した機関でございます。一方、『国保連』は保険者の共同事業、共 同体としての組織という性格がございますので、そのような性格を踏まえた上でこの ような地域保険の特性に応じた業務の流れを行うとともに、『国保中央会』はその上 での中央決済組織ということで、保険者から独立した形で運営されている。  それぞれ3つの登場人物の性格が違うという点を御確認いただければと思います。  14〜15ページはそれぞれ支払基金と国保連における審査の現状ということでござい まして、この後それぞれ御議論が深まるにつれて追加の資料を提出させていただこう かとは思っておりますが、ざっくり概略を御確認いただければと思います。  件数とございますのは、御案内のようにレセプトの単位での数え方。点数というの は、診療報酬点数。これが結局1点10円という形で金額ベースに置き直る。今後の資 料の中で件数ベース、金額ベースという言葉が出てまいりますが、レセプトの1件当 たりか金額ということでございますので、御確認いただければと思います。  なお、資料4、電子レセプトの状況でございます。冒頭、保険局長のごあいさつの 中にも触れさせていただきましたように、この医療保険の審査支払業務のインフラと なります請求の状況が大きくここ数年変わってきておる。特に電子化が進んでおると いうことを御確認いただきたく用意をさせていただきました。  1ページ目でございますが、従来、紙で行われていたレセプトが電子レセプトにな るとどう変わるのかということについて、例示的に挙げさせていただいております。  左側は紙レセの時代。すべて目視でやらなければいけないことにより、そこの[1][2] あるいは幾つかの対策ということで課題を抱えてございました。これが電子レセにな りますと、例えばということでございますが、電子情報でございますので、抽出をす る、並べ替えるという操作が容易になること。あるいはデータとして蓄積するという ことが非常に容易になるということから、そこの[1]〜[5]に書かせていただいているよ うなことが審査支払においても可能になる、期待されるという状況ではないかと思っ ております。  では電子レセプトがどのように普及、進行しているかというものを、2ページ目が 件数ベース。3ページ目が施設数ベース、電子化をしていただいている医療機関ある いは薬局の数という形でまとめさせていただいております。  2ページ目で御確認いただければ、これは今年2月の請求分ということでございま すが、大きく紙か電子情報かということで、電子レセか紙レセかというのがあり、電 子レセプトの中にも医療機関から審査支払機関までのオンラインという形でつながっ ているものと、電子媒体をもってして送られてきているものという2種類がございま すので、都合3つのカテゴリーに分かれてございますが、今年2月の請求分で見れば −レセプト件数ベースで申し上げて−全体の約73.8%が電子レセプト、電子情報とい う形で今扱われている。その下に医科の中でも病院、病床数規模あるいは診療所、歯 科、調剤という形で、少しばらつきがあることを御確認いただけるかと思いますが、 全体のレセプト件数ベースのデータでございます。  なお、そこに例えば医科の病院400床以上、99.4%という箱にかかった数字を入れ てございますが、これは上でいいますと電子レセと紙レセの線引きのところのライン でございまして、ですから、99.4%の400床以上医科病院については、オンラインか 電子媒体かはあるにしても、電子レセになっているという数字だということをこの表 の見方として補足させていただきたいと思います。  3ページ目が施設数ベースということでございまして、4ページ目はこのような現 在の電子レセプト請求状況がここ数年非常に大きく急速に動いているということを御 報告するべく資料を用意させていただきました。  平成20年4月、一番上の時点では電子レセプトが46.6%ということで、大宗はまだ 紙だ、過半数が紙だという状況から、ここ1〜2年の状況、進展の中で、先ほどごら んいただいたように22年2月が73.8%になってございますけれども、22年10月の時点 では7割を超えるという形で急速に進んでいる。これにどのように対応するかが課題 であるということでございます。  最後、資料5でございますが、審査支払機関に関するこれまでの指摘事項というこ とで、2つ、行政刷新会議あるいは規制改革会議の御指摘をまとめさせていただいて おります。  昨年11月にございました行政刷新会議において、審査支払機関につきましても、あ またの医療関係の事業と並んで御指摘をいただきまして、1時間の議論ではございま したが、そこの議論の中で幾つかの論点として挙げられたものを踏まえて「見直しを 行う」というWGとしての評決をいただいているところでございます。  備考のところにございますように、レセプトの審査率と手数料を連動させるべきで はないか。あるいは国保連と支払基金を統合すべきではないかという点を御指摘いた だいております。  2つ目にございます規制改革。これに先立っての政府内でのいろいろな御議論の中 では、医療保険者の機能を強化するという文脈の中で、特に直接審査、保険者自らが 行われる直接審査というものについてより進めるべきではないかという観点から、ま とめさせていただいたのは20年12月22日に決定されました会議の3次答申、その中の 問題意識部分というところをまとめさせていただいておりまして、より競争性を高め るという方向、あるいは問題意識というものはこれまでも指摘されていると承知をし ております。  なお、資料の2枚目につきましては、今申しました行政刷新会議、その他幾つかの ところで支払基金について公になっております問題提起、問題指摘についてまとめさ せていただきますので、御議論の参考にと思います。  少し長くなりましたが、資料は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○森田座長 大変要領のいいプレゼンテーションありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明を踏まえまして議論を進めてまいりたいと思います。 本日は第1回目ということでもございますので、まず、各委員から審査支払機関の現 状や課題について、どのような認識をお持ちになっているかということ。  第2点目としまして、今後この検討会における議論について、どのような方向で議 論していくべきなのか。それについてのお考えを、時間も限られておりますので、で きる限りお一人5分程度で御発言をいただきたいと思っております。  順番につきましては特に「あいうえお」順とか、着席順ということを考えておりま せんので、どなたから御発言になっても構いませんけれども、お一人1度、それらの 点について御意見を御披露いただきたいと思います。  それでは、どなたからでも構いませんが、どうぞ。いかがでしょうか。  では、齊藤委員、お願いいたします。 ○齊藤委員 社会保険中央総合病院の齊藤でございます。私も約10年ぐらい前まで栃 木県の自治医科大学に勤めておりまして、支払基金の審査をやってきたのですが、膨 大な資料で現場の負担も非常に大きいということもあるのですが、常に底流として国 保の審査と支払基金の審査は別で、その厳しさとか認定基準とかそういうものが多様 であるということが指摘され、私たちの意識にも染み付いてきております。  過去8年ほど、日本病院会で活動しておりまして、そのときも保険診療の問題につ いていろいろ話したときが多いのですが、やはりその中身についてまず地域ごとの審 査基準の濃淡が非常にある。ある部分では地域ではこれが認められるが、ある地域で はこれは認められないという当惑の声がありますし、支払基金と国保についても、こ れは国保だから何々なんですよとか、そういう前ぶりのようなものがあってみんな何 となく納得するという現状がございます。  一方、翻ってみると、御承知のように国民皆保険制度で国の支援の下に保険診療が 行われているわけですから、それについてまず審査の段階でダブルスタンダードまで あるというのはかなり理解しにくいところである。これは諸外国で公的な医療保険を 展開しているところで2つの機能が別々に作動しているというのは、私の知る限りで は余り見聞しないのですが、やはり基本的には少なくとも審査の段階では1つの視点 ですることが、医療の下で国民の平等、納得、安心・安全を保障する上で必須のこと ではないかなということがございます。  もう一つは、ここに2つの法律があるということで、支払基金法と国民健康保険の 方とそれぞれ別々の法律で担保されていたわけなので、どちらが先にできた法律か知 らないんですが、2つ目の法律ができるときに、こちらの法律で合わせることはでき ないんだろうかという議論は当然あってしかるべきかなと。なぜこの二本立ての法律 が一人歩きしてしまったのかという経緯、これは恐らく随分古いことになるんだと思 いますが、長い視点で国保と支払いを何らかの形で統合的な立場にとりまとめていく というときに、なぜ2つに分かれしてしまったのかという淵源を探ることもとても重 要ではないかなと考えています。  以上です。 ○森田座長 今後の議論についてはどういう方向で進めていくべきかということにつ いてはいかがでしょうか。 ○齊藤委員 今後の議論については、まず審査について合わせにくいという2つある わけなんですが、仮にそれを合わせるとしたときに、どういう支障が実際にあるか。 これは支払基金についても国保についても、これこれこういう事情があるから1つに 一本化するのはなかなか難しいんだと。まず今後の議論では、一本化が困難である理 由を審査についてできるだけ分析したいと思います。  あとは支払です。お金の集め方とか支払いのこと。これは更に大きな根深い問題が あるんだろうと思いますけれども、当然避けて通れないことでありますので、今後の 議論としてはこれこれこういう事情があって1つにすることは難しいんだと。  難しいと言っても、これは未来永劫難しいのか、5年とか10年という長い移行期を 持てばできるのか、そこら辺のところを是非議論したいなと思っております。 ○森田座長 ありがとうございました。続いていかがでございましょうか。  では、渡辺委員、お願いいたします。 ○渡辺委員 渡辺でございます。まず、私としては、齊藤委員からもお話が出ました けれども、特に審査支払の今の問題点、特に47都道府県ごとの地域ごとの濃淡という お言葉をお使いになりました現状もありますし、都道府県ごとによっても、あるいは 市町村ごとによっても、現状が違うといったこともございますが、要するに問題点は どこかと大きくいえば、そういったことをまず明らかにしなければいけない。  問題点の中には、例えば審査員の確保の問題もあると思います。それは地元のお医 者さんの確保もあるし、例えば連合会、支払基金ごとの人員の確保といった問題も少 ない都道府県も当然あるわけでありますから、そういった人材の確保をどのように行 っているか、あるいは行うべきなのかといった問題。  更に先ほど吉田課長の方からもオンラインのお話がございました。厚生労働省は自 公政権時代、2011年度までにオンライン化100%という目標を掲げましたが、それは 義務化から原則化に変わったのはいいんですが、オンラインによって果たして査定率 がどの程度改善されるのかといった問題。オンライン化ということは叫ばれているん だけれども、その査定率というんでしょうか、いまだ基金も連合会も零点何%という ときに毎年合わせてこのレセプトは10億枚を超えるわけですか。こういったものがオ ンライン化によってどのように改善が図れるのかといった、もしシミュレーションみ たいなものを示していただきながらといった問題点。  更に言うならば、病院と診療所という医療機関の機能別で、これもまた先ほどお話 があったように400床以上の場合は99%、多分これはDPCの問題も大きく関わって きていると思うんです。DPCが進んでいるところは当然オンライン化も進んでいる。  一方で診療所、特に歯科診療時の場合には非常にオンライン化が進んでいないとい った、歯科の場合は圧倒的に診療所が多いわけでありまして、更にこれから地域の医 療計画の中において、例えば診療所は総合的な仮に診療、一時的な医療をあずかって、 病院は高次、2次、3次といったことという機能分化が進むとするならば、そういっ た中における審査支払がどうあるべきかといった医療提供体制と審査支払の在り方と いうのでしょうか、そういったものも理論として進めていかなければ、審査支払だけ を取り上げてやっていってもなかなか国民のためにはならないといいましょうか、そ ういった気がいたします。  最後にこれは次回で結構なんですが、資料としてお示しいただきたいのは、今、問 題になっているのは審査手数料及び審査手数料の違いです。  国保連合会でも47都道府県によって手数料が違う、支払基金とまた違うといった、 ここはなぜかという疑問が常に提起されるわけでありますので、もし可能ならば審査 手数料の基金あるいは連合会ともに都道府県ごとで、次回にそういった資料提示をし ていただきたい。  とりあえず以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。続いていかがでございますか。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員 審査を受ける側の視点でありますけれども、先ほど齊藤委員がおっしゃ ったこともそうですし、渡辺委員のお話もそうなんですが、まず業務の範囲を拝見す ると基金・連合会ともほぼ似たような範囲を担当されていて、設立母体が違うそのこ とへの賛否両論があることは別にして、地域性のある問題と全国レベルの見方とで多 少違っているんだろうという気がしています。  そういう意味で本日の資料をみると、電子化がかなり進んだという中で98%、99% と、調剤はほぼ全数が電子化されているにもかかわらず、審査支払機関の資料2ある いは3を拝見すると、調剤はいつも欄外です。その扱い自身がそもそも都道府県を含 めて、もちろん支払基金もそうですけれども、一体だれが適正な審査を進めるのか、 例えば薬剤師が医科の審査ができないように、調剤の審査はだれがするんだというこ とになります。  また一方には調剤があり、他方にはない。しかも審査の概要を見れば欄外に何件や っています、という記述で、さらに電子化になると、なんと調剤は99%も進んでいて えらいと褒められる。私どもとしてはその差に愕然とするわけです。  それが審査・支払機関の現状だとすれば、まずそこ辺りからきちんと整理をしてい ただかないと、現状把握としては甚だ差別があるのではないかという気を持っていま す。先ほど齊藤委員がおっしゃったように、それが実は支払基金と国保の間での差で あるとすれば、調剤では大変な差があるのではないか。それは極めて患者さんにとっ て不利益な話になりますので、そこは現状認識としてつかんでおいていただきたい。  その上で、では今後どうするかということですけれども、最初のペーパーの見直し をしてという中にある、今、御指摘があったような質の向上であったり、あるいは審 査の質の均一化であったりという点は大事だと思いますし、それは当然保険診療をす る上では欠くべからざることだと思っています。しかし、それが進み過ぎるために、 例えば診療そのものの障害になってしまったり萎縮したりということになると、それ は結果として国民が不利益をこうむりますので、仮に質を向上するということにしま しても、提供する側でも無秩序なことは問題がありますが、審査の質は少なくとも国 民が不利益をこうむらないように、あるいは電子的な操作にしましても、機械的にた だ切っていくのではなしに、この資料の中にもやはり人の目が必要なんだとすれば、 一定の基準を持った裁量権を残しつつ、支払基金と国保連合会がどういうコンビネー ションを組むのかということを考えていただくことが必要と思います。  最後の資料5の中には規制改革並びに行政刷新会議の方から問題点を指摘されてい ますが、そのことは恐らく皆さんおわかりの部分を更に直そうということなので、極 端に合体をさせてしまうということではなしに、実態として医療がきちんと提供され る体制を組むような課題をうまく整理しつつ議論を進めていかないと、1年間ただ何 となく審査料が高い安いとかそういう話で終わってしまっては何の意味もないと思い ますので、是非今後の議論としてはそうしたことを踏まえて議論を進めていただきた いと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。続いていかがでございましょうか。  それでは、遠藤委員の方からお願いします。 ○遠藤委員 私は歯科医師会の方から出ておりますけれども、歯科の方でレセプトの 電算化は遅れております。これはまだシステムが立ち上がって1年ということで、こ れから増えていくものと思っています。  私自身も審査委員を現在務めておりまして、この審査の在り方という中で、先ほど 来の審査率、具体的に言えば査定率ということだろうと思いますけれども、そういっ た観点で審査機関というのを見るのはどうかなと思っております。  審査というのはあくまでも適切な医療を提供するための機関、そのための組織だと 理解しております。当然、日本は皆保険でございますから、患者さんが診療所に来れ ば当然それは診察しなければいけませんし、それぞれの患者さんに対して適切な医療 を実施していくということが必要になります。  また、医療の中では救急救命医療から慢性疾患、またQOLを支える医療とそれぞ れに方法がかなり違うと思うんです。ある病名が付いたからといって1つの流れだけ で済むということではないので、そうすると、特にQOLを支える医療が現在重視さ れていますけれども、そういった中ではかなり幅のある、また患者さんの要望によっ て相当違う治療も出てくる。そういった中での先ほど来の裁量権の問題でございます けれども、そういったものが審査の中で生かされないと医療がゆがんでしまうのでは ないかと考えております。  ですから、国保、基金の統一というのが目的ということではなくて、医療を適切に 提供するための審査機関という観点から、それが統一が必要であれば考えていくとい うことが必要ではないかな。統一を先やってということではないような気がいたして おります。  また、今後の方向としても、そういった医療の担保、当然公的な制度の中で医療は 実施されておりますので、限られた財源の中でルールに従ってやらなければいけない んですけれども、ルールのための医療ということを我々はやっておりませんので、患 者さんが来ればその患者さんに必要な医療を提供する、そのことをどう評価していく のかということが必要かと思うんです。  組織上でも、支払基金は中立的な立場で、国保連合会が保険者からの成り立ちとい うことですけれども、国保連合会の場合は、先ほど代表がそれぞれ首長となっており ますが、ある意味で住民からの選挙で選ばれているというような側面もございます。  具体的に申しますと、町村から町民とか市民からの突き上げて変わってしまうとい うようなことも実際あるわけであります。そういった中での対応で、大分性格が異な るかもしれませんけれども、それぞれに支払いの後、医療提供側の間に立って、ある 程度の中立性を保ちながら実施されている、それが絶対に必要だなということで、直 接審査の問題もございますけれど、こういった審査機関が間に入ってコントロールす るということはこの皆保険を維持する上では大変重要ではないかなと現状思っており ます。  議論の上でも、医療費削減のための審査では本来ないと思っていますので、適切な 医療を国民にどう提供するか、それを限られた財源の中でどうやるか、その際の組織 づくりはどうなのかというような観点で議論されてはいかがかなと思っております。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、長谷川委員、お願いいたします。 ○長谷川委員 長谷川でございます。初回でブレーンストーミングということですの で、多少私の私見ですが申し上げたいと思います。  世界的にはここ10年ぐらいで医療というのは劇的に変わりまして、質とか安全とい うのが非常に無視できないキーワードになってきました。お金をどういうふうに付け るかとか、基金というのはある種のオーディットですが、これがただ単に経済効率だ けではなくて、いかに質とか安全にプラスで寄与するかということで考えるというの が世界的な主流だと思います。  米国ですと、質を担保して、そうするとボーナスで付加的にお金を差し上げるパー チェスとか、間違った手術とかやりますと、例えば手術でガーゼとかを残すとお金を 払わないなどというのも現実にも導入されていますし、あるいはEHRといって電子 カルテで、向こうではミーニングフルユースと言っていますが、一定の基準を満たさ ないとボーナスが付かないというようなことももう2014年に導入されるというような 形で、これはアメリカの例ですけれども、世界共通して見習うというのが現状です。  そうすると、審査支払基金の機能を考えるときに我々としては外せないのは、1つ は質をどう考えるか。質というのは勿論、審査の質もあるんですが、医療の質にプラ スに貢献するような仕組みというのはどういうふうに考えるべきかというのが1つ。  もう一つは効率です。例えば基金のコストの構造に対して医療費をどれぐらい削減 しているのかとか効率だと思いますし、もう一つは法規制の問題だと思います。レギ ュレーションの問題。  もし効率だけの話になりますと、最初に齊藤委員が御指摘になったように、実態と しては地域で違うんですが、本当は支払の基準は一緒なんです。一緒であれば、あと はいかにコストを削減するかというだけの単純な議論になってしまうんです。多分そ れだけでは今の社会が要求していることに対して我々が答えを出しているということ にはならないと思います。  そうしますと、質と効率と法規制、どういうふうに考えているかということで、1 つのキーワードは総合性なんです。例えばよくありますのは、保険者機能の強化とい う言い方があるんですが、保険者が審査支払を自分でやる、あるいはどこかよそに委 託するとしても、個別にはまた後日議論させてもらえればいいと思うんですが、実際 にはできないです。非常に特別な契約を個々に結んでいかないといけない。そんなこ とは実際にはできないなと。  逆に今度は医療機関からすると、審査支払でどこかで査定されて切られる。本当に それは正しいのかどうか。今度は全国の診療の状況はどうなのか。この病気のときに この薬は何日使うのが標準で、我々はそこから逸脱していたのかどうかというのは実 は確認のすべもない。すべての情報は審査支払機関が持っているし、もっと大事なこ とは国民のだれ一人実態を知ることができないです。  そういった意味では非常にバランスということを考えた上で、欠如している部分が 非常に多いし、しかもその情報というのは公開することによって多くの人が使うこと ができるんです。  そのために基本的な要件としては、ITの整備というのがあります。ただ、ITを 整備するとどうなるのか。ITを整備しても、例えば審査支払のプロセスで全く業務 フローが変わっていかなければ、これはプラスの効果はないに決まっているんです。 ITについて一体何がもたらせるのか。しかも、今、審査支払をやっておられるよう な組織というのはそれをどういうふうに認識して、どういったところに改善するとし たら余地があるのかといったことは1つ論点として議論しないといけないと思います。  あともう一つは、非常に大勢のお医者さんが三者構成で審査に当たられるし、紛争 処理に当たっておられます。最後はもう医者が確認しないといけないというのはわか るわけですが、やはりITによってかなりの時間を置き換えることは可能ですし、も う少し重点的にそういった人の目というのは遣うことができるだろうと。そうすると、 単純な審査支払という機能から最終的にお医者さんの目を通すというのは、ひょっと したら分離できるかもしれないし、あと紛争処理に関しては、やはり分離すべきとい うことで議論をお進めになった方がいいと思います。  あともう一点は、やはり質というものを考えないといけないです。日本では残念な がら、例えば技術評価であるとか、診療の規範である診療ガイドラインであるとか、 そもそも座長は地域の人で申し訳ないですが、値付けです。プライシングで、きちっ とした根拠を基に、勿論コスト積み上げはいいと思うんですが、トータルの疾病管理 という概念からのプライシングという概念はそもそもないので、こういったことは国 として考えていかないといけないし、そのための非常に大きな情報を持っているとい うのが実は審査支払機関なんです。こういったことを併せて御検討いただけると、多 分社会が期待しているようなことに対して一定の回答を得られるのではないかなと思 います。 ○森田座長 ありがとうございました。いろいろな論点を御指摘いただいたと思いま す。それでは、ほかの方、いかがでございましょうか。  では、高田委員、お願いいたします。 ○高田委員 私は健保組合の常務理事というのをやっておりますが、2年ほど、今も 基金の監事もやっておりますので、その点を踏まえて実務的な面を含めて話させてい ただきたいと思います。  まず一般の商慣習からいたしますと、この医療保険における医療費というのが多分 国民は今は知らないからだと思いますけれども、知ったら不思議に思うのかなと。レ セプトは個別明細が付いている請求書ですが、それを現物給付された診療側から支払 基金でいただいて、その支払基金で審査支払をしていただく。その審査支払にかかる 方は我々の保険者。保険者というのは国民の方から保険料を出していただいていると ころ。ですから、普通の民間で考えますと、請求書を出したところのチェックをお金 を払うところが、またお金をかけてやる。これが多分それ自体は知られていないです からわかりにくい、理解されにくいのかなと思います。  そういった中で、先ほどの資料の最後の方にありましたけれども、支払基金に対す る主な指摘事項ということで、私は勿論、経済効果だけではないと思いますけれども、 資料2の事務費、860億円、私ども被用者保険、サラリーマンの方から払っている、 査定がすべての効果だとは思いません。これが232億円。勿論、支払のところの事務 の部分にかかっていますのでこれはそうではありませんけれども、その後に支払基金 の方で審査をされて問題がないとして診療報酬の支払が確定したレセプトを私ども保 険者の方で健保組合でもまた50〜60億円お金をかけて事後点検をしまして、それでま た査定が出てくるということになると、事後点検をして再審査で認められるというの はあくまで保険者が努力をした結果であります。ですから、本来こういうものは、言 い方はきついかもしれませんがもっと支払基金がきちっとしておれば1回で済ますべ きものではないかなというのがふだんから思っていることでございます。  経済効率だけの話で、すごいはっきり言いますと、審査を委託しない方が保険者、 保険料を納める国民にとっても低コストであがるという非常に皮肉なことでございま すし、審査委員会も実情をある程度私も存じておりますので2回目以降のときに話を させていただきますけれども、やはりともすれば「自分の答案を自分で採点する」と、 揶揄されるような現状というのは変えていかなければいけない。そうでないと、私ど もが加入している被保険者とか国民の方になぜそこにしか審査支払を頼めないのか、 もっとお前たちは保険者なのだから効率的にできるところにできないのかと言われた ときに、今のままではそれに対する答えを持ち合わせておりません。多分それはどこ の保険者も同じだと思います。  そういったところで、やはりこういう部分は審査委員会できちっとやっているとか そういうところを含めて、医療情報によく言われる非対称性の最たるものであると思 いますし、きちんとやっているならば外からチェックできるような仕組みを自らつく っていく必要があろうかなと思っております。  そういった意味で今回の今後の議論として、要は関係者だけのあれではなくて、広 く国民のためにこの審査支払がどうあるべきか、そこを重点に置いていただき、そう なると今いろいろ問題に上がっている部分というのは、少し小手先でいじったのでは もうどうにも解決しないような問題が非常に多いと思います。ですから、単に統合と かではなくて、もう少し諸外国の事例とかを研究し、要はできないことを理由にする のではなくて、諸外国とかいろいろできることを前向きに少しずつやっていくとか、 そういうことをやっていく必要がある。今のように我が国が高成長が望めなくて、企 業も被保険者も保険料の負担が非常に厳しいという中で、医療費は診療報酬がない年 でも、直近のデータでも4%ぐらい増加しております。  そういった中、急激な少子高齢化がこれから進んでいく中で、保険料を納める現役 世代はどんどん減っていくわけでございますから、保険料が減っていくと医療費が増 えて、今の国民皆保険制度というのはもう崩壊してしまうのではないかなという危惧 を非常に持っております。そういった意味でも、こういう審査支払という部分は、き ちっと国民からわかるように公開をして、なるべく最小のコストで、ITで全部やる というわけではなくて、勿論、人の目も入れる必要はあると思いますので、その中で より効率的にきちっとやっていますよというのを担保してやっていく必要があるので はないかと思いますので、今後の議論、国民のためになるような議論をさせていただ きたいと思います。  事務局の方に次回の資料のことで2点ほどお願いなんですが、先ほど長谷川委員の 方からもありましたが、諸外国と日本が独自になっているという話もありましたが、 諸外国におきますこういう審査支払の制度がどうなっているのか。特に近い所の韓国 などでかなりドラスチックに変えていますので、そういうところも含めて、いい面、 悪い面はあると思いますが、いい面があればそれを積極的に取り入れる方向でも考え ていただきたいし、今日のお配りいただいた資料の中で国保連の理事長の一覧がござ いますが、理事長を除く役員の方の一覧をいただいて、その中で例えば厚生労働省の 関係者がどれぐらいとか、そういうところもわかるように示していただきたいなと思 います。  ○森田座長 ありがとうございました。続いてまだ御発言がない方でいかがでござ いましょうか。  では、高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員 私ども全国健康保険協会は、一昨年社会保険庁から健康保険部門を分離 して発足し、保険者としては新参者ですが、ボリュームとしては私ども3,500万人加 入者を抱えておりまして、レセプトの枚数は、支払基金は8億枚処理していますが、 ほぼその半分近く、4億弱です。審査支払機関の在り方と言われても、特に規制改革 会議は直接審査という話を持ち出されていますが、私どもに直接審査という命題を与 えられても、わずかな職員で自分でやるというのは当然パンクするのは目に見えてい るわけで、目の前の効率性から考えれば、自前でやるよりは、はっきり言えば自分で うまくコントロールできる審査支払機関をきちっと外につくってもらって、そこで効 率的にやるというのが私ども3,500万人を抱えている保険者としての本音です。  そういった意味で、では外側にそういった保険者とは独立の機関としてどういうも のをつくっていくか。それは現実には確かに選択肢としては2つありますが、その中 で2つを並べてみると、はっきり言えば査定率から見るとかなり違いがあるわけで、 同じ点数表を見ながら、しかも地域的にもみんな同じですから、査定率がなぜ倍の開 きがあるのか。そのときに逆に言えばなぜ仕分けのときにその査定率が倍のところに ついて統合という話が出されているのか。査定率の低いところに合わせるというのか。 高いところに合ってくるようならいいんですけれども、低いところに合わせられたら とんでもない話になるわけで、そこについて統合ありきで話が始まるのは私どもとし ては乗れない感じがします。   あと抽象的な話を申し上げれば4〜5件ありますが。  まず審査行為についてどう考えるかということで、その議論のスタートはそこにな るんですけれども、今日の資料ではこれは確認、チェックだと。この意味するところ は、査定、切るということではないというメッセージが込められていると思うんです が、私は別に異論はありません。  そうすると、手数料との関係では、いわゆるパフォーマンスフィーの導入の議論が ありますが、つまり、切った分だけ、手数料を払うというものですが、その議論は審 査は確認であるという理解と齟齬を起こしているのではないか、ということです。手 数料の体系の話は、審査の性格が確認なのか査定なのか、そこをきちっと議論しない と何も議論は進まないだろうと思います。  二つ目は、審査機関の在り方についてですが、ここはポイントは専門性と独立とい うか、偏らないという不偏性です。先ほど他の委員からもお話がありましたが、情報 公開。この3つがポイントになるんだと思います。  三つ目は、支払基金での各支部の間の査定率の差です。なぜ支部の間の格差が存在 するのかといえば、勿論いろんな考え方の違いがあるんでしょうけれども、その違い の源泉は、そもそも診療報酬自体があいまいな部分が相当多いので、そこで後は個別 の医療判断ということになって、その部分のところでかなり違いが出てくるのではな いかなと思われます。日本全国一律の医療をやれと言うつもりもありませんけれども、 支部の間の格差というのをいかに縮めていくかということです。  四つ目は、制度自体の建て方の問題です。よく頭の整理がついていない話なのでぶ つぶつ言っていると受け止めていただいて結構なんですが、国保連はよくわかりませ んが、支払基金は法的な位置づけがあいまいになっているのではないかと。つまり、 審査は、以前は被用者保険は支払基金がやる。国保の方は国保連がやる。保険者が委 託することは義務になっていて、その義務に対応する形で支払基金あるいは国保連の 特別な法律上の地位が認められていたんだと思いますけれども、それが選択制に変わ った。直接審査をやってもいいんです、保険者は自分がやってもいいんですというと、 支払基金という存在は一体何なのか。法律上残しておく意味があったのか。あるいは 行政庁の関与が残っている理由は一体何なのかということがよくわからなくなってい るのではないかということです。  逆に見方を変えて、審査機関の審査サービスは経済的に自由にやれるサービスでは なくて、これは公共財だと。ベースには国が定めた診療報酬があるので、それにのっ とって審査をするのだから、これは公共的な財サービスだという理解をすれば、審査 業務への自由な参入というのは認めるべきではないということになります。保険者は 自分でやっていいというのはある意味では審査業務で自由参入を認めているというこ とになりますので、そういう立場だったら、一方では支払基金でなくてもいいと言い ながら、自由な審査業務への参入は完璧には認めていないということで、一体今の制 度はどちらを向いているのかなと。規制緩和の方はもっと自由化の方向ということの ようですけれども、その辺の議論がはっきりしないとだれが決めるかというのは保険 者が考えるべき問題かもしれませんけれども、その辺をはっきりさせないと、制度の 建て方がなかなか決められないのではないかという感じを持っております。  現実論を申し上げると、国保連はどうかわかりませんが、支払基金は先ほど申し上 げました支部間格差がかなりあります。あると言っても1%の中の差ではありますが、 支部間の格差の問題は保険者側は皆不満を持っていますけれども、制度上の問題とし て支払基金は法人としては1本ですけれども、実際は各都道府県にある支部の審査委 員会が査定についての最終権限を持っていますので、支払基金は実際には審査機関と しては別々のものの各47都道府県の審査機関の連合体でしかないわけで、本部には何 の審査権限もない。いろんな連携をとるとか調整というのはありますが、審査権限と いう目から見ると、本部は何もないということで、実際には47連合体だということで、 これは率直に言って支部間格差は、そこに1つの原因があるのではないかと思われま すので、そこは少し考えていただきたい、検討してみたいということであります。  1つ脱線になりますが、今日出ている資料5、審査支払は実は医療、医科、歯科、 調剤だけに限りません。この資料5の行政刷新会議の仕分けのところ、上の箱の右側 の備考の3つ目ですが、通常の診療報酬点数表は医科、歯科、調剤といわゆる医療の 部分ですけれども、通常の医療とは別の施術、柔道整復とあんま、はり、きゅう、マ ッサージの世界があります。これについては現金給付を実際には保険者が行っていて、 かつ柔道整復の場合には事実上現物給付となっています。ここは施術の報酬は法律的 な根拠は何もなくて全部通知で決まっていますが、審査支払は支払基金はやっていな くて、保険者が全部自分でやっています。この辺ももう少し整理していただきたい。  率直に言いますと、先ほど言いましたように私どもは3,500万人いますから、柔道 整復もどこかに出したいわけです。医科ならばまだ自分でやってみるかという感じも ありますが、柔道のところから自分でやれというのは話が逆なのではないかと思いま す。  また内容面で問題の多いケースがかなりあります。例えば家族4人で捻挫、骨折が 4人とも3か所ぐらいあって、1か月に20日間柔道整復に通いましたとか、そんなレ セプトが出てきます。それを必死になって審査しますが、少し報酬体系自体を見直し てほしい。つまり、報酬体系があって審査がありますから、審査で幾ら査定せよと言 われても、報酬体系の根っこがおかしいと審査のやりようがないんです。そういった 意味では報酬体系を根っこから見直してほしいというのが私どもの本音で、これは健 保連も全く同感だと思います。  以上です。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、まだ御発言のない方、いかがでございましょうか。  では、村岡委員、お願いいたします。 ○村岡委員 高知の保険医療課の村岡と申しますが、保険者の立場で今回の委員に参 加させていただいています。着任したばかりでまだ十分何を言おうかというのはまと まっていないところもあるんですが、先ほど各委員の皆さんから出ておりましたよう に、診療報酬の問題につきましては、保険者側からすれば私どもは国保連合会の方に 審査を委託するということになっておるんですが、3月末まで医療機関に勤めておっ た関係から、審査基準の統一というのは、基金と国保の間で同じ病名であってもなか なか点数がすぐ付かないという問題が発生するということがございましたので、その 辺りは今回の審査支払機関の在り方の議論の中でも非常に重要な問題ではないだろう かと考えています。  国保連合会、基金の統合という問題以上に、この審査の基準を全国的にも標準化を していくということがまず先に議論されていくべきだろうと思いますし、一方で競争 性だとかということを導入した場合に、そこに対しての国民の医療に対する適切な医 療が提供かされるのかどうか、逆に審査のところに力点が置かれて、そこの医療がな いがしろにされるということ自体は私どもの市民、県民のためにも避けて通らなけれ ばならない。単に効率化だけで議論がされていくべきではないのではないかと考えて おります。  国保連合会については、特に私どもの保険者の業務ということで、当然保険者とし ての業務の代行ということと、もう一方で市町村が共同して実施をする業務を国保連 合会の方にも成り代わって実施をしていただいているというところがありますので、 その辺りの基金との違いというところは十分にお考えをいただいて、その中で特に保 険者としては全国の市町村が保険者として参加をしておりますので、そこの意見とい うのは十分に反映をした形で議論を進めていただければと考えております。  保険者の側で設立をしたという形になっておりますので、国保連合会については医 療費の抑制という視点では、今回も高知県などでもジェネリックを県民に対して情報 提供しながら、全体的に保険者の負担も減らしていこうという取組みは実施しておる ところでございますので、そういった取組みと併せて適性な医療費の問題であったり、 今回の支払機関の統合の在り方というのを総合的に議論していくべきではないかと考 えておりますので。  以上です。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、まだ御発言のない方でいかがでしょう。  足利委員、お願いします。 ○足利委員 支払基金の足利でございます。私どもはこの検討会のまさに検討対象と なっている組織、法人でございます。本日の説明にありましたように、被用者保険の レセプトを中心に全国の健康保険組合や協会健保さん、高田委員、高橋委員からの委 託を受けまして審査支払を行っているということでございます。  本日の説明にありましたように、これまでレセプトは紙が中心であったわけですけ れども、近年急速に電子化が進んでおる。直近では7割がもう電子レセになっている ということで、電子化されることによりまして、支払いの業務につきましては人手が 余りかからなくなるということになりますが、電子になることによりまして、これま で紙では十分にできていなかったこと、コンピュータによるシステムチェックといっ たことがどんどん可能になってまいります。審査の効率化、質の向上というのが求め られているんだと思っております。  こうした電子レセの時代にいかに対応をしていくか、保険者や医療機関、皆さん方 の要請にどう応えていくかという観点から、実は私どもの中で審査の根幹をなします 審査委員会の在り方、先ほどからも御指摘がございますが、審査委員会の各都道府県 単位で行われております審査の実働部隊といいますか、審査委員会の在り方を今後ど う考えていくかということで実は私どもの内部で検討会をこしらえまして、9か月に 当たる議論を経まして、先般報告書のとりまとめを行ったところでございます。  この検討会の報告につきましては、また次回以降御紹介の機会をいただきますれば 御紹介をさせていただきたいと思っておりますが、審査の充実ですとか、御指摘のあ ります支部間の取扱いの違い、そういったものの解消に向けて取り組んでいくべしと いうことが私どもの検討会の報告で方向付けをされております。  私どもとしては、こういったことで引き続き努力をしてまいる所存でありますけれ ども、この検討会ではそうした審査支払の実態につきまして、皆さん方の御理解をい ただきながら、組織なり業務なりをどう進めていけばいいかということを御議論いた だきたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、続いて稲垣委員、お願いいたします。 ○稲垣委員 稲垣でございます。各委員の方々からいろいろ御指摘をいただきました けれども、次回、各審査機関の方から審査機関が何をやっているかという御説明をす る時間をいただけるということでございます。  私どもとしましては、委員の皆様からお話のありました、なぜ都道府県で審査格差 があるかですとか、国保連合会の場合、手数料に確かに格差があります。毎年下げて はきておりますけれども、それでも都道府県間にかなりの格差があります。なぜここ に格差があるのかということ。  あと、調剤のレセプトにつきまして、今どのような審査が行われていて、また今後 どのような審査を行おうとしているのかということについても御説明をさせていただ きたいと思っております。  また、高橋委員の方からお話ししました柔道整復の審査につきましては、国保の場 合は国保連合会が審査を行っておりますので、そこで起きている問題点というものも 次回御説明をさせていただきながら、審査機関としての課題への取組みということの 御説明をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○森田座長 それでは、飯山委員、お願いいたします。 ○飯山委員 私は国保連の飯山と申します。審査に関しましては、理想を言えば、審 査委員会が幾ら目を凝らしてレセプトを審査しても、すべて正しいレセプトだという 状態になるのが一番理想的な状態だと思います。そういう状態を確保するためにも一 定の権能と能力を持った審査機関が必要であると考えているところであります。  実際問題といたしまして、先ほどから議論になっていますように、国保連合会と支 払基金との間で、いわゆる査定率について格差がある。あるいはそれぞれの支部、県 の間でも差があるということがございます。御指摘もありましたように、こちらの県 については認められるけれども、こちらの県は認められないというようなばらつきも 出ていることも事実だと思います。そういうダブルスタンダードが出てしまうという ことが国民が医療を受ける上でのいろいろ医療に対する不信感につながるというよう なこともあろうかと思いますので、私ども審査の精緻化という問題につきましては、 審査委員はいろいろ努力をしておりますし、支払基金さんとの間でお互いに意見交換 できるものは意見交換して統一を図っていくという姿勢が望ましいと考えております。  わずかでございますけれども、お互いに情報交換をしたりとか、面談をした場合の 情報の取扱いとかいろいろ努力はしておるところでございますけれども、これからい ろいろ御指摘いただいた面を踏まえまして、国保連合会としても適正な審査に務めて いって、医療の質の担保というものに側面からでも御協力できればと考えているとこ ろでございます。  国保連合会が何をしているかということにつきまして、今、稲垣委員から申し上げ ましたように、次回、私ども保険者が設立した団体、あるいは区市町村との密接なつ ながりの中で区市町村の業務をいろいろ行っておりますので、そういったことも含め て御説明を申し上げていきたいと考えております。 ○森田座長 ありがとうございました。これで一応一巡して1回は御発言いただいた と思いますが、まだ少し時間に余裕がございますので、最初にお話しされた方で、そ の後の発言につきまして補足ないし反論もあり得るかとも思いますけれども、そうし た御発言をいただければと思います。  これは時間が限られておりますので、今回は全員というわけにはまいりませんけれ ども、どうぞ御発言の御希望のある方はお手をお挙げください。  齊藤委員、お願いいたします。 ○齊藤委員 資料5の「行政刷新会議『事業仕分け』評決結果」の備考のところに「 国保連・支払基金の統合」という課題が指摘されていますね。こういう問題をこの委 員会としてどのぐらい正面から取り組むのかということが結局1つは大きな問題だと 思うんです。それぞれ支払基金とか国保でありようを検討するという御努力が今それ ぞれのお立場から伺ってよくわかったのですが、その問題を細かく分析していっても、 この備考を統合についての答えというのはなかなか出てきにくいという気がいたしま すので、統合に向けて何が障壁になるのかとか、どこが違うのかとか、そういう視点 を見失わないで議論を進めることがこの支払機関に対する指摘事項に応えるこの委員 会の役割ではないかなと。ただ細かいことを議論していくのであれば、結局この指摘 事項の中身に応えることにはならないような気がいたします。 ○森田座長 ありがとうございました。今の点ですけれども、この検討会でのミッシ ョンにも関わります。資料1にございますペーパーですと、検討事項としては統合と いうことは入っていないのですが、その辺を含めて事務局の方のお考え少し、どこま でどういう議論をするかという御質問がございましたので、それ自体ここで決めるこ とかもしれませんけれども、そもそもこれを設営された事務局の方のお考えを少し伺 っておいた方がいいかと思います。お願いいたします。 ○吉田保険課長 まさに今、座長の言葉の中にありましたように「この御参集いただ きました委員の皆様方の御議論を踏まえて」というのが本来の答えだと存じます。あ えての御指名でございますので、事務局として考えていることの一端を御披露申し上 げるのをお許しいただけるとすれば、確かに刷新会議においては「統合」ということ の方向を見直しとしていただいておりますので、これに対して私ども担当課としては、 今の齊藤委員のお言葉を借りれば、きちっと正面から受け止めなければならないとま ず思っております。  一方、この資料5で書かせていただきました、あるいはこれまでの委員の御発言の 中にもありましたように、これまでの議論の中で審査に限ってなのかどうか、そこも 議論の要るところではありますが、競争性を確保するという方向性をもってこのシス テム全体の効率性あるいは質を上げるという問題提起が出てきていることも事実であ ります。  言葉として見れば、統合、競争性の推進というのはそれ自身、どちらかというと反 対の向きのベクトルのように私どもには思えてしまうのですが、もう少し丁寧に組織 の問題なのか、業務の問題なのか、あるいはどこの部分の統合により効率性あるいは 質を上げるのか、どこの部分の競争性を高めることによって効率を上げ質を高めるの かということを丁寧に議論する必要があるのではないかというのが事務局としての出 発点にございます。  そういう意味では統合という言葉が、言わば金科玉条ということではなくて、この 統合という問題点の背景にある、先ほどのあえて齊藤委員の言葉を借りれば「細かい こと」かもしれませんが、今日、委員の方々からそれぞれいただいた御発言は、私は 「細かい」と思っておりません。審査支払機関の在り方の本質にわたる部分もあろう かと思いますので、そのような御議論を積み重ねていただく中で、統合を仮に進める とすれば、できるのかできないのか、あるいは何があるのかという問題意識、あるい は競争性を高めるということで進むならばどういう形で競争性を高めることによって 質を上げ、効率化をするのか。そのためにインフラは何が必要か。高橋委員からそも そもの考え方の整理も要るのではないかという御指摘もいただいておりますが、その ようなことも含めて議論をしていただく。  端的に言えば、この統合という問題についてきちっと受け止めながらも、統合あり きというよりも統合するべきもの、あるいは競争すべきものということをこの議論を 通じて私どもも整理をさせていただければありがたいなと思っています。 ○森田座長 ありがとうございました。なお、補足ではありませんけれども、私の方 から申し上げさせていただきますと、先ほどから昨年の秋に行われました事業仕分け の評決結果が議論になっておりますけれども、実は私自身事業仕分け人をやらせてい ただきまして、しかも厚生労働省の担当でございました。  そう言いますと中立性を疑われる可能性があるかと思いますけれども、同時に中医 協の公益委員もやっていたものですから、医療関係については事業仕分けには携わっ ておりませんので、その点はあらかじめ申し上げさせていただきます。したがいまし て、中立的な立場は貫かれていると御理解いただければと思います。  それはともかくといたしまして、今のようなことでもう少し全体的な仕組みそのも のも射程に入るということですけれども、これに関しまして更に御意見等ございます でしょうか。  高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員 先ほど私は抽象的な言い方をしましたが、資料5に書いてある1と2の 話は私は矛盾していると思うんです。  上の方の仕分けの国保連支払基金の統合と言うと、統合ということは1つにすると いう意味ですから、そうすると組織体として1つはいいんですけれども、業務として それは業務独占なんですかと。その組織体が審査業務をやって、世の中のほかにはだ れもさせない。保険者は全部その組織体に請求しなさい。支払いなどはいいんですけ れども、審査はそこでやるんだ、全国唯一オンリーワン。ところが、下の方を見ると、 保険者が直接申請をやっていいんだと。直接審査ができるように、できるだけハード ルを下げなさいと言っているわけです。かなり矛盾しているんです。  つまり、保険者が自分で入れるのだったら、国保連、支払基金が1つであろうが2 つであろうが3つであろうが、幾つあっても別に構わない。オンリーワンと言われれ ば、自分が入る直接審査のこういう話が消えるんです。  そこは事務局が整理するのは大変かもしれませんけれども、これは議論を続けてい るとここはどこかデッドロック、暗礁に乗り上げて進まなくなるのではないかと思い ます。 ○森田座長 わかりました。事務局にも後でお答えいただければと思います。  それでは、渡辺委員、お願いいたします。 ○渡辺委員 今、高橋委員がおっしゃったこともわかるんですが、我々はこういった 確かに矛盾しているようなことにある意味では関係なくと言ったら何なんですが、要 するに先ほど来、皆さんの意見が出ているような審査支払レセプトの問題をどうある べきかということを考えればいいわけであって、その結果、統合なのか統合ではない のか、あるいは競争原理の導入なのかということは、言わばその結果としてついてく るものであって、どういう審査支払の在り方が一番いいのかというのをここで議論す るのではないでしょうかと、私はそういう認識でおりますので、そのために皆さんが おっしゃったように、また私も申し上げたような今の在り方が患者、国民にとって、 あるいは保険者にとって、被保険者にとってもどうなのかということを1つやること は極めて重要な問題なのであって、そういうアプローチをしていけばおのずから結果 は出てくるのではないかと思っております。 ○森田座長 この件ついてはほかにございますでしょうか。  では、山本委員、お願いいたします。 ○山本委員 統合するかしないかという議論は先の話だという事務局のお話なので、 そこはそのように信頼をするしかないと思いますが、事務局には時たまだまされてし まいますので、本当にかなという疑いを持ちつつ、そうなんだろうと承っておきます。  その上で仕分けの中身を拝見すると、結局はお金の話に思えます。例えば、審査料 と審査率はどうなんだと論点はその良い例です。となると、確かに競争性を向上させ るというのは良いことなのかもしれませんけれども、それは単純に査定率の競争にな ると、その競争だけでは結果として良い医療は提供されないわけですから、そこはこ の資料5については事務局のお立場上尊重しないわけにもいかないということはよく 理解できますけれども、何のために競争するか、よりよい医療が提供できるための競 争というのはあってしかるべきなので、そういった意味では民間が入ってくるのは本 当にいいのかどうかというのはかなり慎重に議論が要るんだろうと思います。  その一方で、保険者機能を強化するという命題があって、それが例えば直接審査で あったりあるいは途中に審査支払機関も入れるということがあったにせよ、結果とし ては審査率とか、査定率が上がることが強化なのかというと多分そうではないと思い ます。  例えば今日は実際に保険者の方がいらっしゃいますけれども、その保険者がどれほ ど自分たちの組合員に対して適切な医療が提供できる体制を組んでもらうかというこ とも強化でありましょうし、先ほど長谷川先生のおっしゃったようなさまざまな機会 を使っていろいろな情報をとってということも強化の一方法です。単純に審査料だけ の問題で議論が進み、そのために費用削減のため統合するというのはあるいはうまく いくのかもしれませんけれども、診療報酬体系や、調剤報酬体系の話も含めて、何と なく根本が崩壊してしまうでしょうし、結果として国民が困る形になるので、そうい う視点での議論はおやめいただきたいと思います。 ○森田座長 事務局にお答えしていただいてもいいんですけれども、少しその前にも う一点一言私から言わせていただきますと、先ほどから事業仕分けの方で統合と書い てありまして、これを皆さんかなり気にされているというか、論点になっているかと 思いますけれども、先ほどこの仕分けそのものには関わりませんでしたけれども、事 業仕分けのときの考え方としましては、あくまでもこれは組織面の話と御理解いただ いた方がいいかと思います。  同様なことを複数の組織でやっているということについて、これが無駄ではないか という考えであって、審査そのものの内容についてどの程度踏み込んでここで議論さ れたかということについては、私自身は必ずしもそこは十分な認識の下に行われたと は思ってはおりません。  したがいまして、もし現状で2つの組織でやるとするならば、これは重複ではない かという指摘だということだと思いますので、その前提そのものも変えるということ であれば、高橋委員の御疑問もありましたけれども、そもそもどういう競争をさせる のか、統一するのかということを組織そのものではなくて、むしろその審査の内容に ついても議論をする必要があるのではないかと思います。  長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 国保連、審査支払基金というのは審査機能なんですね。多分3つだと 思うんですけれども、医療機関から来たレセを各保険者へ振り分けする機能と、医療 が適切かどうかという審査の機能と、紛争処理の3つの機能。  国保連は更に保険者機能があるので、そもそも組織体としてはそのままの統合とい うのはあり得ないんです。仕分けでどういった御議論があったかどうかというのは、 もし詳しくおわかりになる方がいらしたら教えていただきたいのですが、いきなり統 合ありきという話ではなくて、それぞれ機能と重複なのか、あるいは競争なのかによ ってまた考え方も違うでしょうし、どういった環境を整備したらいいかということで 御議論いただければいいのではないかなと私自身は思いますし、また国保連でレセの 審査料が違うんです。  違うといっても、私の推測では国保連の中で部門別の会計をしていないので、これ はしているところもおありかもしれないですけれども、そうするといわゆる保険者と してのコストと審査機能としてのコストを多分分けていないんです。それが一緒くた になってレセの審査料というような形で出てくるので、その辺りも本当にどこがきち っとした組織体として機能しておられるかどうかというときに評価する上では非常 に大事な部分なので、また機会があったらそこを議論させていただきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。議論を整理していただいたと思いますが、今 の点について、事務局、何か補足ないし御意見がございましたらどうぞ。 ○吉田保険課長 意見ということではないのですが、各委員の今の御発言から私ども 事務局が心得るべくものとして、今日の資料もそのように意識をさせていただいたん ですが、審査支払のシステム業務をどう質を上げ、効率化するかという視点からの切 り口と、実際に担っていただいておる現在の審査支払機関、組織といいましょうか、 法人といいましょうか、具体的には国保連であり支払基金との在り方、審査支払シス テムの中における業務のやり方、やられ方という部分とオーバーラップしつつも、多 少切り口しては切り分けられる。また、逆に言うと、あえてそこを切り分けて考えな いと議論がぐちゃぐちゃになるのではないかという危惧を事務局としては持っており ます。  また、こと資料5の2枚目に付けております支払基金を例にとってこれまで指摘さ れている問題点としては、審査支払機能をこえて「法人としてのガバナンス」として の支払基金の在り方、場合によっては国保連の在り方というものも国民の皆様方に対 して説明責任を果たす、あるいは御指摘をいただくものがあればそれに対して改善を するという法人独自の問題というのも実はあるんだろうと。この3つの在り方、シス テムあるいは業務としての効率化、質の向上、そこにおける審査支払機関の組織のた たずまいの問題点、そして目の前にある法人の抱える課題というものをできるだけ我 々事務局は頭を整理しながらとは思っております。それが密接に絡む問題であること はまた当然でありまして、委員の皆様方の御指摘を十分踏まえながら事務局で準備し たいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。それでは、この点。  齊藤委員、どうぞ。 ○齊藤委員 統合というのが事業仕分けからの課題というか問題提起であると思うん ですが、統合といってもいろいろな会社の事案を見るように、すんなり合併する場合 もありますし、いろいろ話し合ったけれども、結局合併は無理だということがわかっ たという最近の事例もございます。いろいろな会社のある部門についてそれぞれ切り 分けて新しい組織をつくるという、一般的に言えば同じようなことを別々にやってい るよりは1つにした方がコンピュータの設置1つ見ても、効率的だということはしば しばあることですから、今後の議論の進め方としては、国保と支払基金について、ど ういう部分についてオーバーラップするところがあるのか。そうしたらそれを統一す ることはできないのかというところもありますし、何もかも全部一緒にというのは非 常に荒っぽい、しかも非現実的な議論になるかなという気がいたしますので、その辺 この委員会のミッションとして、是非しっかりみんなで認識していきたいことだなと 思っております。 ○森田座長 ありがとうございました。  では、高田委員、お願いします。 ○高田委員 今の齊藤委員のお話にも関連するんですけれども、統合ありきではない というのは十分理解しましたんですが、今後の中でそれぞれ国保連のときに持ってい るいろんなシステムのプラットホームとかを国全体で見て最適になるような部分の、 例えば審査と支払いのところだけのプラットホームは、先ほどありましたようにコン ピュータシステムもかなりかかりますので1つで運用するとか、そういったことも今 後考えていただければいいのかなと思いますし、今回の中で競争という話があります けれども、私は個人的に実務を支払い側としてやっている中で思うのは、競争という よりは、正直言いまして今のシステムがちゃんと機能しているのかどうか、そこをま ず検証する必要があるのかな。それを一番切に感じております。  そういった意味で、次回ではそれぞれの方からプレゼンをいただきますけれども、 そういった中で例えば今現役を離れている支払基金の審査委員をやられている人とか、 そういう関係者の方にも、また実態がどうだったのかそういうお話を聞くような機会 も持っていただければ、広く皆さんに実態がわかるのではないかと思います。  やはり現役の組織の人だったらそこは言えないこともあるでしょうから、そういう 関係者の人もまた健保連の中でも探して、私どもも何人か知っていますから、そうい うことも考えていただければ、あとは今のがきちっとなっていて、コストだけの問題 なのか、単に競争すればいいという上っ面だけではなくて、本当にきちっとやれるよ うなことが担保されて実際今の三者構成とかそういうようなものが本当に機能してい るのかどうか、そこも検証する必要があるかなと思っておりますので、その辺も議論 の中にいれていただきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。  では、課長、お願いいたします。 ○神田総務課長 先ほども議論に出ていましたけれども、規制改革会議と行政刷新会 議である程度方向性が違うのではないかというお話がありましたけれども、私自身は 規制改革会議のヒアリングにも行きましたし、事業仕分けにも立ち会いましたので受 けている印象ということで申しますと、両方とも審査支払業務を効率化しようという 点においては共通しているのではないかという印象を受けておりますが、方法論が違 うのではないかと。  規制改革会議で言われましたのは、直接審査して費用対効果が悪いならば自分たち が直接やった方がいいというようなことですとか、電子化されていればもっと破格的 に手数料を引き下げられるはずだというようなお話があった。  たびたび言われましたように、ここには直接審査のことしか書いてありますけれど も、国保連と支払基金との間の競争条件を十分整備して、競争によってより審査支払 手数料を下げる、それを保険者、被保険者に還元すべきだというような強い意見をい ただいたと認識をしております。  そうであるのに対して、事業仕分けではどうであったかというと、専ら費用対効果 という点で、裏に書いてありますけれども、800億かけて230億の水揚げしかないとい うのはいかにも非効率ではないかということが中心で、審査の在り方に及ぶ議論とい うのは余りなかったかと思っている。  そういう意味で言いますと、もとも刷新会議は統合して共通経費ですとかシステム 経費とかそういうようなコスト削減をしてもっと安くして保険者、被保険者に還元し ようというのであるのに対して、規制改革会議の方は、競争させてコストダウンを図 って、それをIT化しているのだから破格的に価格を下げて被保険者、保険者に還元 しようということであって、正直、同じ内閣でやっておられますけれども、受け止め る方としてはかなり方向性が違うので、この場の議論としては組織論から入ると非常 に組織をどうするかという議論から入っても非常に難しいものがありますので、先ほ どから御議論に出ていますように、審査支払の問題点を解消するにはどちらがいいの かとか、保険者、被保険者の立場に立って、国民の皆様方に還元するとか、医療の質 の向上に資するという点からはどうあるべきかという議論がないと、かなり方向性と してもいろんな御意見があり得るんだと思っております。 ○森田座長 どうぞ。 ○長谷川委員 規制改革関係の会議で私は専門委員でしたので、補足で申し上げます。  規制改革会議は総合規制改革会議から9年間あったわけですが、審査支払機関に関 して言うと、競争原理を導入する。ただ導入と言っても、紙レセプトで仕分けしてい るときにはそもそもそんな振り分けはできない。だからIT化を促進する。IT化の 促進のためには高度化がされていないといけない。まず高度化されていないものがい っぱいあったので、そこの高度の標準化をしていただきたい。それが整った段階でレ セプトのオンライン請求をしていきたい。それがインフラなんです。それがあって初 めて、インターネット上で例えばデータをどこかの指定した審査支払機関にお送りす ることができるだろうと。どこの支払機関がいいのかというのは、情報公開がなけれ ばそもそも議論ができない。だから、査定率は1つの基準だろうし、それ以外の基準 も当然あるであろうということが基本だったんです。  あと質の担保についても、そういったデータの公開のルールをきちっとつくってい ただきたいということは毎年毎年の報告書にはお書きしていますので、これはいわゆ る政策パッケージなんです。だから、基金の部分だけ取り出すと、一方は競争原理で、 一方は統合でというようなお話になって相矛盾するような印象があるわけですが、そ こは是非周辺部分も見ていただきたいなというのが私自身の思いです。 ○森田座長 ありがとうございました。組織の話になっておりますので、私は一委員 として発言させていただきますと、私自身の専門は行政改革とか行政の能率の研究を やっておるものですから、その観点から言いますと、同じ業務をやるときのコストを どちらの方が下げることができるのかというので、少なくともサービスの質そのもの を落とすという話はまた別だと思いますけれども、質が変わらない限り、1件当たり の処理のコストをどうやって下げるかという観点から見ますと、それを一元的に統合 した方がいいのか、あるいはそこで競争原理を入れた方がいいのか。これは選択肢と してあり得ると思います。  競争の方が絶対いいとも言えないと思いますし、一元化は勿論のことですけれども、 いろいろと弊害があるのも間違いない。ただ、現状においては、それぞれ寡占的なと いいますか、すみ分けている二元状態があるというのが批判の対象になっていると思 っておりまして、更に効率化を進め一件辺りのコストを下げるという方法としまして は、うまくいくならばオンラインといいましょうか、IT化を進めていくという方法 が有効であると思っております。  ただ、それが実質的な審査の質を下げるということになりますと、また別の問題が 出てくる。その辺について、審査の質の方については専門ではございませんので何と も申し上げられませんけれども、そこをきちんと担保しながらどのような形でコスト を下げていくのか。そうした方向で考えていくというのがここで期待されていること ではないかと私自身は理解しております。  ということで、また進行役に戻りますけれども、よけいなことを申し上げたかもし れませんけれども、だんだん残り時間が少なくなってまいりましたが、いかがでござ いましょうか。  どうぞ。 ○齊藤委員 今、座長が言われたことで、競争原理といって支払基金と国保の競争と いう意味だとすると、それぞれのバックグラウンドも環境も全く違うものなので、イ ーブンな土壌における競争ということはなかなか議論しにくいのではないかなという 気がいたしますが、その辺はどうなんでしょうか。 ○森田座長 私に対する質問だと思いますけれども、そこまで深く考えて申し上げた わけではなくて、最初の資料1にありますペーパーですと、審査支払業務の効率化、 民間参入の促進とか書いてありまして、その辺は既存の組織をどうするかということ もありますけれども、先ほどお話がございましたように、幾つかに切り分けて、その 一部において競争を入れるということもありますし、そこで担い手をもっと効率的に 質を担保できるならば、民間の組織が担うという可能性もあり得ると思います。その 辺は幅広く考えていってもいいのではないかというのがこれまでの御議論から感じ たところでございますけれども、よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○長谷川委員 審査支払業務に民間を含めて新しい参入者、あるいは逆に言うと退出 者がいらっしゃって、これは競争、ある種のマーケットを考えた場合、当然あり得る わけですが、先ほど申し上げたように振り分けに余りにコストが高い、そもそもそれ ができない。そうすると、レセプトのオンライン請求というのがインフラとして必須 なものになるわけです。  もう一個大きなネックがございまして、それは三者構成で医師から構成される審査 体制あるいは紛争処理体制なんです。非常にある種の名誉職的な要素もありまして、 非常に安いコストで大勢の医師を既存の国保連合会では、支払基金はそういった先生 方の協力を得られる。  新規に参入しようとすると、それはどういうふうに計算してもペイしないんです。 そうすると、民間の新しい参入者というのは、今の条件の下では多分想定できないだ ろう。そうすると、1つ競争原理が成立すると、今の要件をすべて満たしているとい うのは47の国保連合会と支払基金であろうと。だから47プラス1の48の競争というの が多分第1ステップとしては実現可能ではないかということで、資料5にいろいろ記 載がございますが、それはそのときの考え方を反映したものだと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。それでは、あといかがでございましょうか。 第1回で一応皆様御発言いただきましたけれども、他に特に御意見とか御質問がない ようでしたら、少し予定の時間より早いんですけれども、もう本日の議論はこれくら いにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○遠藤委員 最後になって申し訳ありませんけれども、先ほどからの議論の中で支部 間格差、県別、いろいろな格差について述べられているんですけれども、格差そのも のが悪かなというのは若干疑問の点もあるわけです。  診療報酬については教育機関である大学病院等においても医科、歯科問わず差もご ざいます。そういった中で絶対的な正しさというのが本当にあるのかな。現場を見て いれば患者さんごとの対応というのは絶対必要な場面も出てきますので、そういった ものに対して各審査委員はそれぞれの見識の下に判断していくと各審査会ごとに若干 の差が出る。その差は数%の範囲で出るんだろうと思いますけれども、そういったも のをなくすということが即正しいことなのかな。そこの差に含まれるもの、その差が 意味するものは何なんだろうなというのは、議論としては必要なのではないかなと、 現場で医療を担当する者としては考えていますので、よろしくお願いいたします。 ○森田座長 重要な御指摘だと思いますが、それも含めて、格差という場合に一般的 なケースですけれども、格差がどういう要因で生じているのかということについて少 し考えてみる必要があろうかと思います。仮に同じ条件の人が違う都道府県に行って、 違う結果だとしますと、これは問題があるでしょう。ただし、違うのが当然の要因が そこに働いているとしますと、その格差自体は肯定されるものであろうかと思います。  その辺につきましてもまた資料等ございましたら提出していただきたいと思います し、検討させていただきたいと思います。それでは、これで本当によろしいでしょう か。  それでは、次回は本日の御議論を踏まえまして、支払基金、国保連合会からそれぞ れ直面する課題や取組みなどにつきまして御報告を行っていただきまして、更にそれ について各委員からの御発言をいただいて、議論を進めてまいりたいと思っておりま す。  それでは、あとは事務的なことにつきまして、事務局より次回の日程について御説 明があるようですので、よろしくお願いいたします。 ○吉田保険課長 ありがとうございました。次回の日程を、という座長の御指示に便 乗して、3点ほど最後に申し上げます。  1点は、この委員会のメンバーの話でございます。先ほど全体の御審議の中で高田 委員からゲストスピーカーといいましょうか、外の方を呼んでお話を聞くというよう な御提案もいただきました。あるいは本日、第1回から高智オブザーバーに入ってい ただいております。また議論の流れに応じて、場合によっては委員を追加するという ことも今後出てこようかと思っておりますので、その辺りにつきましてもまた御意見、 御指摘等あれば私どもの方に寄せていただき、事務局として委員に御相談するととも に、政務三役とも御相談しながら進めさせていただきたいというのが1点でございま す。  その政務三役という意味では−本日この会議はこの時間で閉まることになりそうで ありますが−私どもの長妻大臣が、この検討会には非常に関心あるいは意欲を持って おります。  先ほど来のお話がございますように、刷新会議での御議論もございましたが、省内 でも長妻大臣の下の省として、特に私ども担当課として指示を受けておりますのは、 税金かどうかは別にして、公的にいただいております保険料をもって賄っている審査 支払機関の在り方について、またその業務品質については、非常に関心が高いし、き ちっと議論すべきであるということで、本日ここに至るまでも内部的にはいろいろな 御指示、御指導もあったところでありました。本日も時間がかなえば、実は冒頭から 出て大臣としての思いを、ということもあったんですが、委員の皆様方の日程と国会 日程というのが若干うまく合いませんで、本日この場に大臣に来ていただくという形 にはなりませんでした。けれども、非常に思いが強い中、今日いただいた議論もきち っと復命したいと思いますし、また何かあれば皆様方にもそれぞれお伝えしながら進 めさせていただきたいと思っております。  大臣の方からは「本当に参加し、委員の皆様方にお願いし申し上げたかったんだけ れども、国会の都合で出られないことが残念だ」というメッセージも届いております ので、この際御披露をさせていただきたいと思っております。  最後、3点目は、これもまた今日の審議の中で委員の何人かから御指摘がございま したように、資料について、本日はプレゼン資料ということで用意をさせていただい たものでございますが、議論の中身の中で、あるいは委員の皆様方の御関心の中でこ んな資料、あんな資料を事務局として用意できないか。私ども事務局で用意するもの もありましょうし、国保連、支払基金さんの方にそれぞれ飯山委員、足利委員にも御 協力をいただいて整えていただくのもあろうかと思いますが、できる限り議論が深み の増すように事務局としてやりたいと思います。  特に国保連は47それぞれ主体が別なものです。支払基金は一元管理という形になろ うかと思いますが−誠に事務方のつぶやきではございますが−事務方からすると集計 するのにお時間をいただかなければいけないという話もございますので、資料要求な どございますときは前広に事務局の方にお声をかけていただいて、集めるのにお時間 をいただきたいということでございます。  以上3点ほど申し上げましたが、次回につきましては先ほど座長からもお話がござ いました、4月22日の木曜日、午後3時ということで、場所は省内で確保できません でした。麹町にございます全国都市会館2階の第1会議室という所を用意させていた だきました。  また、3回目以降につきましてもお忙しい皆様方のお時間をいただくことから、な るべく前広に御希望日あるいは都合のよい日というのをちょうだいして、それぞれ事 務的にセットをしてまいりたいと思いますので、その辺りにつきましても御協力のほ どをお願い申し上げたいと思います。  事務方からは以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。  次回は4月22日午後3時から開催したいということでございますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、長い間ありがとうございました。  本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省保険局保険課 03−5253−1111(内線3249) 厚生労働省保険局国民健康保険課 03−5253−1111(内線3265)