10/04/05 第9回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会議事録 第9回労働政策審議会 安全衛生分科会じん肺部会          日時 平成22年4月5日(月)          13:30〜          場所 厚生労働省仮設第3会議室 ○労働衛生課長(鈴木) お待たせいたしました。まだ桐明委員がご到着にな っておりませんが、遅れられるという連絡が入っておりますので、ただいまか ら、第9回「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会」を開催いたします。 委員の皆さま方におかれましては、大変お忙しい中、当部会にご出席いただき まして、誠にありがとうございます。  本来、部会長が議事進行を行うところですが、前部会長が退任されていらっ しゃいますので、新部会長が選出されるまでの間、労働衛生課長であります私、 鈴木が議事を進行させていただきます。  お手元に座席表と委員名簿がありますが、また後ほど確認していただきたい と思いますけれども、まず、委員の交替についてご紹介いたします。公益代表 として、工藤委員、名古屋委員、平野委員の後任に、北里大学医学部長の相澤 委員、東洋大学経済学部教授の神山委員、東京大学大学院工学系研究科教授の 土橋委員が就任されていらっしゃいます。  また、労働者代表として、中桐委員の後任に日本労働組合総連合会総合労働 局雇用法制対策局長の市川委員、松下委員の後任に日本化学エネルギー産業労 働組合連合会セメント部会執行委員長の川原委員が就任されていらっしゃいま す。  使用者代表としては、藤原委員の後任に株式会社神戸製鋼所執行役員の金子 委員、緑川委員の後任に社団法人日本造船工業会常務理事の桐明委員、林委員 の後任に住友金属鉱山株式会社常務執行役員人事部長の橋中委員が就任されて いらっしゃいます。  相澤委員から順番に自己紹介を、簡単に一言ずつお願いできればと思います。 よろしくお願いします。 ○相澤委員 ご紹介いただきました北里大学の相澤です。よろしくお願いしま す。専門は公衆衛生で職業病の予防などを行っております。よろしくお願いい たします。 ○土橋委員 東京大学の土橋です。専門としては燃焼とか、安全工学をやって おります。よろしくお願いいたします。 ○市川委員 連合の市川です。安全衛生を担当しております。よろしくお願い いたします。 ○川原委員 今回初めてとなります。JEC連合のセメント部会の川原です。是 非、よろしくお願いいたします。 ○橋中委員 住友金属鉱山の人事部の担当をしています橋中です。5年前までこ の委員会の委員をしておりました。出戻りですけれども、よろしくお願いいた します。 ○金子委員 神戸製鋼の金子です。安全健康を含む人事労政部門を担当してお ります。よろしくお願いいたします。 ○労働衛生課長 本日は神山委員及び清川委員からご欠席の連絡をいただいて おりますが、その他の委員は、いま遅れていらっしゃいます桐明委員を除きご 出席いただいております。労働政策審議会令第9条第1項及び第3項により、 定足数を満たしております。  次に、安全衛生部長が前回から交替しておりますので、平野安全衛生部長か らご挨拶を申し上げます。 ○安全衛生部長(平野) 安全衛生部長の平野です。よろしくお願いいたしま す。  このじん肺部会は、じん肺に関します予防、健康管理、その他の重要な機構 を調査審議するために労働政策審議会安全衛生分科会に設置されております。 じん肺につきましては、新規有所見者数について、長期的には減少傾向にあり ますが、近年は横這いといった状況であります。また、現在も40万人を超える 労働者が粉じん作業に従事されておりますし、いまだに5千人を超える方がじ ん肺の有所見となっております。そういうことで、いまなお重要な職業性疾病 というように私ども認識しております。  厚生労働省としましては、こういうふうな状況も踏まえまして、今後とも皆 さま方のご協力もいただきながら、じん肺法、労働安全衛生法に基づいて予防 対策、あるいは健康管理対策等につきまして、最新の科学的知見や、技術の進 歩の状況を踏まえたじん肺対策を進めてまいりたいというふうに考えておりま すので、よろしくお願いいたします。  後ほど担当より詳細にご説明させていただきますが、現在、石綿健康被害の 救済制度における指定疾病に関する考え方について、環境大臣から中央環境審 議会に対して諮問が行われまして、この同審議会環境保健部会石綿健康被害救 済小委員会において審議された結果、この3月に石綿健康被害救済制度におけ る指定疾病に関する考え方の案が取りまとめられております。その中で石綿肺 につきまして、著しい呼吸機能障害を来している場合は、この制度の救済の対 象とすることが適当であるというふうにされておりまして、著しい肺機能障害 を伴う石綿肺にかかったことを判定するための考え方についても示されており ます。現在、意見公募手続きにおいて、いわゆるパブリックコメントにより広 く一般の方々の意見を求めているところです。  本日は、そのような動向も踏まえた対応方針等についてご説明をさせていた だきますので、委員の皆さま方よりご意見をいただきたいと思っております。 よろしくお願い申し上げます。 ○労働衛生課長 その他事務局に異動がありましたので、私から紹介いたしま す。桐生主任中央じん肺診査医です。 ○主任中央じん肺診査医(桐生) よろしくお願いいたします。 ○労働衛生課長 次に、部会長の選出について説明いたします。労働政策審議 会令第7条第6項に基づき、部会長は、部会に属する公益を代表する労働政策 審議会の委員から選出されるということになっております。当部会の委員のう ち、労働政策審議会の委員でいらっしゃるのは相澤委員のみということになり ますので、相澤委員に部会長に就任していただくことになります。よろしくお 願いいたします。  では相澤委員にご挨拶いただいたあと、議事進行をよろしくお願いします。 ○相澤部会長 部会長にご推挙いただきました相澤です。大変若輩者でござい ますけれども、じん肺、非常に重要な疾病ですのでこれを予防する、あるいは 健康管理をする、そういったことでこの部会が慎重に、また、適切に進められ るように司会を務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。  それでは、議題に入る前に事務局から本日の資料の確認をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医 それでは資料の確認をさせていただきます。お手元 の議事次第と冊子になって1つありますけれども、1枚めくりまして、頁が下か ら連番になっておりますが、1頁の資料の内訳に基づいて確認させていただきま す。  資料1は「平成19年、平成20年じん肺健康管理状況」という3枚のA4の 紙と、もう1枚A3の大きな紙の「平成20年業種別じん肺健康管理実施状況」 です。資料2は、「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会開催要綱 (案)」の1枚紙です。資料3-1は、新聞広告の写しのリストと新聞の一覧の2 枚紙です。また、資料3-2は「健康管理手帳とは」というポスターの縮小版です。 以上がメインの資料です。  参考資料として、先ほど部長のご挨拶にもありました「石綿健康被害救済制 度における指定疾病に関する考え方について(案)」という冊子です。最後に、 じん肺部会の委員名簿の1枚紙です。それと部会の座席表になっています。以 上ですが、何か不足等ありましたらお願いします。 ○相澤部会長 それでは本日の議題に移ります。最初に「平成20年じん肺健康 管理状況について」、事務局から説明をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医 資料1、下の通し番号の2頁の「平成19年、平成20 年じん肺健康管理状況」ですが、大きく3点あります。1点目が、じん肺健康診 断結果ということで、在職者のみの結果になっております。2点目が、随時申請 に係るじん肺管理区分決定状況です。3番目が、在職者で平成19年、平成20 年中に合併症により療養を開始した者の内訳となります。  1と2については、3頁と4頁が総括で時系列になっておりますので、1枚め くっていただき、3頁のいちばん下が平成20年の直近のデータです。それぞれ 適用事業場が約4万、粉じん作業従事労働者数として約46万になっております。 そのうちのじん肺検診の実施事業場数は約2万、そしてそのうちのじん肺検診 の実施労働者数は約24万人となっております。それらの検診のうちの新規の有 所見労働者として、平成20年が244名となっております。  右側にはやや詳細なデータがありますが、じん肺管理区分決定件数が計5,200 名ということです。管理区分の内訳がありまして、有所見者としては4,752名 で、合併症り患件数は4件、有所見数率は1.9%という状況です。これが先ほど の1枚目の紙の1に該当するところです。  次の4頁が、2番目に該当する随時申請による管理区分の決定状況の推移も含 めた表です。いちばん下の20年のデータをご説明いたしますけれども、随時申 請での管理区分の決定としては合計2,346名です。管理区分の内訳としては、 このようになっています。有所見者数は1,595名で、合併症り患件数としては 386名です。先ほどの表も、併せていずれも減少傾向にはありますが、近年は、 部長からのご挨拶にもありましたように、やや高止まりの状況もあります。  頁を戻って2頁の下の3番、在職者で平成19年、平成20年中に合併症によ り療養を開始した者の内訳の表があります。これも平成20年のところをご説明 いたしますが、合計で148名、肺結核47名、次に高いのが右側の原発性肺がん 40名という状況になります。以上が資料1についてです。 ○相澤部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質問 等がありましたらお願いしたいと思います。 ○田上委員 教えていただきたいのですが。2頁にもかかわってきますが、3頁 の推移のところで、粉じん作業従事労働者数が約45万7,000名というのが20 年の値ですね。前年度より3万6,000名ぐらい増えているということですけれ ども、この数値は17年前の平成3年の粉じん作業従事労働者数に匹敵します。 この17年ずっと減少してきて、ここでこのような数値が出たのは何かそういう 事業所、粉じん作業従事労働者が増えた背景をつかんでおられますでしょうか。 ○主任中央じん肺診査医 正確な背景については把握してないのですが、近年 の石綿の関係の関心とか高まって、その影響でこういった作業者数が増えてい るのではないかという推測をしておりますが、正確なところははっきりわかり ません。もちろん石綿作業従事者自体については、いまは使用禁止となってお りますので、その数自体は多くはないというそういったところを考えておりま す。 ○労働衛生課長 5頁の資料に業種別のがありますので、これは20年しかあり ませんが、手元に19年と比べて、どの業種で増えているかを至急確認いたしま す。 ○相澤部会長 あとでご返事いただくということでよろしいですか。 ○主任中央じん肺診査医 すみません、あとでご報告いたします。 ○相澤部会長 ほかに何かご質問ございませんか。よろしいでしょうか。調べ ておりますので、わかりましたらそのときにお願いしたいと思います。  それでは、「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討について」のご 説明をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医 6頁の資料2をご説明いたします。「じん肺法におけ るじん肺健康診断等に関する検討会開催要綱(案)」は、検討会の開催というこ とで考えておりますが、これがその要綱ということです。  1番の目的では、じん肺の健康診断について、従来から「じん肺診査ハンドブ ック」に記載された内容を基本として行うこととされてきました。今般、先ほ どの部長からの挨拶にもありましたように、環境大臣から中央環境審議会に対 して「石綿健康被害救済制度の在り方について」という諮問が行われ、それを 受けまして環境省の中の石綿健康被害救済小委員会において、石綿肺に関する 最新の医学的知見等が示され、その石綿健康被害救済法の趣旨に照らし、石綿 肺の取扱いに関する考え方等が検討されているところであります。これらを踏 まえ、じん肺法におけるじん肺健康診断のあり方についてということで、最新 の医学的知見を基に必要な見直しの検討を行う、そういったことを考えており ます。  2番の検討内容としまして、石綿健康被害救済法における石綿肺の取扱いを踏 まえたじん肺健康診断のあり方について、そういったことを中心に検討を考え ております。3番のその他として、ここにあります必要な事項を定めているとこ ろであります。  以上のような検討会ですが、具体的には参考資料のほうに石綿救済制度にお ける指定疾病に関する考え方がありますので、もしよろしければそれも併せて ご説明させていただきます。  10頁の参考資料を基に説明いたします。若干重複するところもありますが、 簡単に1の「はじめに」を説明いたします。平成18年に施行されました石綿健 康被害救済法ですが、当初は、中皮腫及び肺がんの2つの悪性腫瘍が指定疾病 にされておりました。石綿肺とかそれ以外の疾患については、法の施行から5 年以内に見直しを行うとされていました。  そういったことを受けて、昨年の10月に環境大臣から中央環境審議会に対し、 この救済制度のあり方について、ということで諮問が行われ、中央環境審議会 の下に石綿健康被害救済小委員会が設置され、検討が重ねられてきました。特 に、指定疾病に関する考え方がまとめられてこの資料になっております。この 資料の位置づけとしては、環境審議会の答申案ということで、現在、パブコメ 意見募集をしており、これを踏まえ小委員会としての答申案がまとまる予定に なっております。  次の11頁、2番目の「救済給付の対象となる指定疾病の追加について」です。 この小委員会での検討の中において、石綿肺とびまん性胸膜肥厚の2つの疾患 について救済法上の指定疾病に追加するべき、という答申案です。(1)の石綿肺 について、(1)の救済給付の対象となる病態として、詳細は省略しますが、著し い呼吸機能障害を来している場合には、肺がんや中皮腫と同様に重篤な病態と 考えて、救済対象とするのが適当であるということが書かれております。(2)の びまん性胸膜肥厚についても、同様に著しい呼吸機能障害を来している場合に は、救済対象が適当ではないかと指摘しております。  次の12頁です。3の「著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺にかかったことを判 定するための考え方について」です。(1)の総論(判定に必要な情報について) といたしまして、具体的には石綿への大量のばく露歴や、画像所見、呼吸機能 検査、そういった情報を基に総合的に行うとされ、また、病状の経過や既往歴、 喫煙歴といった情報も必要とされています。  (2)の石綿肺にかかったことを判定するための考え方についてです。(1)として 石綿ばく露の確認ということで、大量の石綿へのばく露を確認するため、従事 状況等について確認を行うことが重要とされております。若干補足させていた だきますと、石綿救済法において、一般の環境のばく露を対象にしております ので、じん肺法のように従事歴が必ずしも明確でない方も対象になっているの は、制度的にはじん肺法とは違うところです。  13頁は、ばく露歴イの、ばく露の従事状況が明らかでない場合があり、石綿 小体の計測等も含め、総合的に評価するということが書いてあります。次の(2) 画像所見の確認として、救済法の対象としては、じん肺法に定める第1型以上 と同様の所見が認められることということで、所見の把握は、胸部CTの写真が 重要であるとしています。また、所見の変化を確認することが望ましい等の指 摘があります。  下の(3)の著しい呼吸機能障害の有無を判定するための考え方について、1つ は石綿肺の呼吸機能障害は、基本的には拘束性障害であることから、パーセン ト肺活量が大きく低下している場合、そういったときに判定することが適当で あるということです。また、肺活量の正常予測値としては日本呼吸器学会が提 案したものを用いることが適当としています。パーセント肺活量が一定程度低 下している、著しいほどではなくても、ある程度低下している場合には、閉塞 性換気障害や、低酸素血症の状況を考慮して判定することが必要であるという ことです。  次の14頁の点線の枠で囲んでありますが、これが具体的な指標です。パーセ ント肺活量が60%未満の場合には著しい呼吸機能障害を認めると判定する。も しくは(2)パーセント肺活量が60%には下回らなくても60〜80%の場合には1 秒率が70%未満、かつ、パーセント1秒量が50%未満であること。もしくは、 動脈血酸素分圧が60Torr以下、または肺胞気動脈血酸素分圧較差の著しい拡大 が見られること。そういった指標ををもって著しい呼吸機能障害が有りという ふうに判定するということが答申案として書かれております。  その下のところに注意事項ですが、呼吸機能検査の実施に当たって、検査の 妥当性や、再現性を確保するために、呼吸器学会のガイドラインで、検査は最 低3回実施し、このうち最も良好な検査を採用することが必要であるというこ とが書かれております。真ん中より少し下のなお書きのところですが、その議 論の中で、「厚生労働省と環境省で異なる規準が存在することになった場合、患 者と臨床現場に混乱をもたらすおそれがあるため、じん肺法におけるじん肺健 康診断の方向と同様にすべき」という意見がありました。  次の15頁は、(4)は死亡者ということで省略いたします。4のびまん性胸膜肥 厚の判定の考え方を簡単にご説明いたします。基本的には石綿肺に準じた形で、 (1)総論(判定に必要な情報について)として、石綿へのばく露歴や、画像所見、 呼吸機能検査所見といった情報を基に総合的に行うことが必要であるとしてお ります。(2)のびまん性胸膜肥厚にかかったことを判定する考え方についてとい うことで、やはり同様の所見を基にしております。細かく言いますと(1)ばく露 の確認として、3年以上の従事期間が必要とあります。(2)画像所見の確認として は、胸膜肥厚ですので、胸膜の所見として厚いところが5mm以上ということや、 胸膜の広がりの状況についての条件が書いてあります。  次の16頁、(3)の著しい呼吸機能の有無を判定するための考え方については、 石綿肺の考え方と同様というふうにしております。(5)その他として、びまん性 胸膜肥厚は、石綿肺等に比べて、疫学的臨床的知見が少ないため、今後さらに、 臨床経過や鑑別診断について知見の収集に努めるべき、というふうにされてい ます。5のその他として、認定の有効期間については、中皮腫や肺がんと同様に、 5年間が適当というふうにしております。以上がこの答申案です。取りあえずご 説明ということで、この答申案の説明だけさせていただきました。 ○相澤部会長 ありがとうございました。石綿健康被害救済制度の中に中皮腫 と肺がんが2つ対象疾患だったわけですが、石綿肺が入ってきたこととびまん 性胸膜肥厚が入ってきたということで、その肺機能の基準が示されたわけです。 そうすると、いままでじん肺法で行っていた健康診断の肺機能の著しい障害、 あるいは障害についての基準ということも併せて検討しないと、2つが齟齬が出 てしまうということで、このハンドブックで示された内容を検討するというこ とです。専門的なことでわかりにくいところがあったと思うのですが、この検 討会開催につきまして、あるいは石綿救済法についての考え方についてでもい いと思いますけども、ご意見がありましたらよろしくお願いいたします。  ハンドブック改訂については何回かいままで試みられてきておりまして、私 も一度、肺機能の改訂にも携わったことがあるのですが、問題は基準値が外国 の、しかも古い基準値を使っていますね。ですから、やっぱり日本人のデータ で基準値を作るべきだということはありますし、それから1秒率というのは肺 活量で割るわけですから、肺活量の値によって1秒率が変わってくるわけです ね。今回は、石綿の場合は、%1秒率というのと%1秒量、%1秒量というのは 基準値に対するその人のパーセントですから、1秒量が評価されているというこ とで、これもいいことだと思います。そういうことも含めて検討したいという ことであります。 ○加藤委員 そうすると、15頁の4番の著しい呼吸機能障害を伴う云々の判定 するための考え方、考え方については非常にわかったのですが、ただちょっと、 どこもかなり高度な技術というか、僕ら、まあ、医者じゃないのでちょっとわ からないのですけれども、CTについては、特にHRCT(高分解能CT)が必要 だとか、その辺のことで、この病院の方の指定と言いますか、この呼吸器学会 に入っているところのお医者さんがいる病院だとか、あるいはこのHRCTのあ るところの病院だとか、そういう指定というのはないのですか。方向として、 認定の基準として、そういうところで、指定医というか、指定病院でやれます よとか、そういうような考え方というのはないのですか。 ○主任中央じん肺診査医 いま現状では、特に指定ということではありません。 認定という視点がどうしても頭に大きくなってしまうのですけれども、元々、 健康診断ということで、働く人の管理をする、健康状況を把握するという視点 なので、事業者が実施しやすい方法でやっていくということも視点としては必 要なのではないかと考えております。 ○相澤部会長 参考までに。 ○主任中央じん肺診査医 環境省のほうでもそういった医療機関を指定すると いうふうには特に伺ってはいないところです。検査自体はどこでもやれるもの ですので、そんなに難しいものではないかと思います。普通のCTと厚さが違う だけですから。 ○加藤委員 そうですか。 ○田上委員 こういう検討をされているということですが、非常に専門的なこ とですから、私たちにとってはよくわからないのですけれども、要は、今日あ るじん肺診査ハンドブックというのがありますが、それが変わるわけですよね。 変更する部分が出てくるということですよね。目的は今回はその石綿肺に対し ての救済を目的とした変更を検討していくということなのですが、その他、広 い意味でのじん肺の審査・判断について、今回のこの処置が何て言いますか、 有所見者が救われる方向にあるのか、非常に際どいところで除外される方向に 成り得るのか、そういった点でどうなのでしょうか。影響を及ぼさないのかど うか。 ○労働衛生課長 まず、環境省が今回行うのは対象疾病の拡大、あくまでも原 因は石綿です。ただ、厚生労働省のほうでは粉じん全般によるじん肺ですので、 その環境省でいま設定しようとしているパブリックコメントにかけてる基準が、 あるいは手順がそのまま適応できるかどうか、これをまず医学的にきちんと検 討会でご議論いただきたいと思っております。当然、その前提となる科学的エ ビデンスに関してはもちろん環境省のほうで、更にその下の検討会で検討され たと聞いていますが、一応、こちらでも再確認はした上で、じん肺全般に適応 すべき基準かどうか、これを慎重にまずはご議論いただくことになると思いま す。  ただ、医学的に合理的である、あるいはエビデンスがはっきりしてるといっ ても、やはりこれは、このじん肺法におけるものは、認定ではなくその前に至 る予防のための健康管理が目的でありますので、著しく対象者が限定されるよ うなことになれば、これは、もう少し早めに何かしておけば最終的な重症、悪 化が防げたということになったら困るわけですから、やはり、従来の対象者が 著しく狭められるというようなことになると、健康管理という意味からすると 少し問題が起こるだろうと。  ですから、これについては以前に行政のデータを基に解析したものがそのま ま残っておりますので、新しい環境省のデータを、例えばじん肺全般に広げて 適応することが妥当であるというようなやり方が定まった段階で、シミュレー ションする必要があると思っております。それで、そのシミュレーションの結 果、どのような方たちが、どのようになるのかというのも含めて検討会でご議 論いただいて、その結果と併せてまた、じん肺部会で最終的なご判断をいただ ければというふうに思っておりますので、そのご心配のところについてはきち んとシミュレーションということになりますけれども、個々のこれまでに持っ ている患者さんのデータで一定の判定をしてからというふうになると思います。 ○相澤部会長 わかりました。ほかにはございませんでしょうか。よろしいで しょうか。またもし、後でありましたらば、ご質問受けたいと思います。先ほ どの件はまだですか。 ○事務局 事務局から失礼します。平成19年の粉じん作業従事労働者数、平成 19年のデータはいま、お手元にないかと思いますが、こちらを比較して増えた ところを申しますと、上記以外の化学工業、これは無機、有機ですとか化学繊 維の方々、プラスチック、そういった化学工業の方々で主に増えたところを挙 げていきます。化学工業、そして鋳物業の方々、金属製品製造業、一般機械・ 器具の製造業、造船業、輸送用の機械・器具製造業、そしてトンネルの建設工 事業、こういった方々が主に粉じん作業労働者数として増えておりまして、い ま挙げたところは1,000人以上増加しているところを抽出いたしました。 ○労働衛生課長 これはまた後ほど、平成19年データと合わせて比較してお手 元に提供させていただきたいと思います。 ○相澤部会長 ……のほうがいいかもしれませんね。先ほどの統括していると ころが。 ○田上委員 ずっと減少してきて、ここにきてこうなってますから、そこのと ころをどう見るか。 ○労働衛生課長 そうしましたら、平成19年に限らず少し見て、傾向がわかる ような年次推移に加工して提供させていただきます。 ○相澤部会長 ご指摘のように何か減っているように感じるのですけれどね。 逆に増えているのでおかしい。是非、大事なデータですのでお願いします。  それでは、2番目が終わりましたので、その他としまして、「粉じん作業、石 綿の取扱の業務などに従事されていた方への健康管理手帳に係る周知について の報告について」、事務局から説明をお願いいたします。 ○主任中央じん肺診査医 お手元の資料3-1、3-2に基づいてご説明させていた だきます。7頁の資料3-1です。今年の3月の新聞広告ですが、健康管理手帳制 度の周知を図るために、このような新聞の広告を掲載して周知を図ったところ です。8頁に広告が掲載された新聞社の一覧がありますが、中央紙や各地域の新 聞、それらに掲載して健康管理手帳制度の周知を図ったところです。9頁の資料 3-2です。これはポスターですが、縮小したポスターです。こういったポスター を関係の事業場や医療機関、そういったところに配布しまして、健康管理手帳 制度の周知を図っているところです。これらを通じて健康管理手帳を少しでも 周知して利用していただくようなことで進めて行きたいと考えているところで す。以上です。 ○相澤部会長 ありがとうございます。健康管理手帳についての周知徹底をと いうことですが、これについてご質問をお受けします。 ○市川委員 このような周知をしていただくことは非常に結構なことだと基本 的には思いますが、最近、非常に懸念されますのが、派遣とか日雇い派遣とい う形で、そのときだけ解体現場に出されるという労働者が非常に増えているわ けです。そういう方たちが果たして自分がこういう作業をしていて、仮にこの 広告を見た場合に、自分のことだと本当にわかるのだろうかというところが危 惧されます。  と言うのは、日雇い派遣の方たちというのは今日はあの現場、明日はあの現 場というふうに移るわけです。現場の事業所の責任者は自分のところの正規の 従業員でずっと使っている者に対してはこのような、例えば先ほどの健康診断 の対象にすると思うのですが、1日、2日だけ来た人はこういう対象にしていな いことが少し危惧されるところです。  そういう方々が先ほどのここの資料の健康診断などの数字にも本当に入って いるのかどうか。こうすべきという案があって言っているわけではないので心 苦しいのですが、こういう日雇いの方への啓発と事業者への指導が必要ではな いかと思います。日雇いで、しかも派遣ですから、自分が雇った労働者ではな いし、場合によっては名前も知らないで使っているわけですから、そういうこ とに対してきちんと管理ができるような方策がないのかどうか、ご検討いただ ければと思っています。 ○相澤部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、いまのご要望とい うことで何か質問、お答えありますか。 ○主任中央じん肺診査医 また委員の皆さま方から何かいい知恵があればご指 摘いただければというふうに思っております。なかなか難しい領域のアプロー チかと思っております。 ○安全衛生部長 いま、市川委員からも言われました、派遣労働者、この健康 管理手帳の問題も含めて、特に安全衛生の確保ということは非常に重要な課題 だと、安全衛生部も考えておりまして、こういうことも含めてきちんと対応し ていきたいと思っております。 ○相澤部会長 対応していってください。ありがとうございます。貴重なご要 望をいただきまして、ありがとうございました。他には何かありますか。 ○田上委員 その他で、少し戻るようなことになるかもしれませんが、あえて ご質問させていただきます。2つお尋ねしたいのですが、5年、6年前でしょう か、法定合併症に6番目の肺がんが設定されまして、その後、有所見者につい ては、肺がんの検査を事業主はじん肺健康診断では必ず行うことと、このよう に取り決められております。私もできるだけいろいろなところで聞くようにし ているのですが、なかなかその実施状況があまり芳しくないというようなこと を耳にしているものですから、これは、確たるあれはありませんが。実施状況 はどの程度きちんとなされているのか、一度、本省で調査をお願いできればと いうふうに思います。これが1点です。  それから、2つ目は、このデータの2頁目ですが、平成19年と平成20年の 健康診断結果のいちばん右端に、合併症り患件数というのが平成19年が7、平 成20年が4と出ておりますね。それで、いちばん下の在職者で平成19年、平 成20年に合併症により療養を開始した者の内訳となると、平成19年が177、 平成20年が148名が合併症で療養を開始しているというデータになっています。 これは何を表しているかというと、定期じん肺健康診断をやったときに合併症 にり患していたというのが4名だったと、7名だったということであって、年度 中に療養を開始した人は177名、148名ということだと思うのですね。それで、 これを見ますと、原発性肺がんが6番目の法定合併症になってから、この40と いう数字がどのような推移となっているのかということもちょっと気掛かりで あるのですが、法定合併症になった以降の動きについて、つかんで見えればお 教えいただきたいと思います。 ○相澤部会長 はい、いかがでしょうか。 ○主任中央じん肺診査医 1点目の肺がん検診についてですけれども、若干肺が ん検診の位置付けについてご説明をまずさせていただきたいと思います。平成 15年からいまのご指摘のようにじん肺の管理区分の2又は3の方を対象として 肺がん検診が導入されております。その内の管理区分2で、粉じん作業に従事 していない方については3年に一度のじん肺健診を行うわけですが、間の2年 について労働安全衛生法上の定期健康診断で肺がんの疑いがないと診断された 方以外については、定期外じん肺健診として肺がん検診の検査を行うこととさ れております。そして、事業者についてもその実施状況において報告を求めて いるところです。これは労働安全衛生法に基づく定期健診においても事業者が がん検診を適切に実施するように促すような効果があるというふうに期待して いるところです。その間の2年間の定期外のじん肺健診が、平成20年ですが 2,716件実施されておりまして、その内の肺がん検診を実施した件数は750件と いうことでした。一応、実績としてはそういうことになっています。  今後についてもご指摘を踏まえて、現状でも第7次粉じん障害防止総合対策 において事業者に対して肺がん検診の働き掛けを行うことと、今後もそういっ た総合対策を踏まえて肺がん検診については適切な指導をしていきたいという ふうに考えております。そういった中で把握できることについては把握してい きたいと思っています。 ○相澤部会長 もう1つありましたね。年度内に発生した。 ○主任中央じん肺診査医 2点目のご指摘のところはちょっと手元にデータが ないので、また次回かもしくはまた別にご報告したいと思っております。 ○相澤部会長 ということですがよろしいですか。 ○田上委員 はい、わかりました。 ○相澤部会長 ほかに何かご質問とか、全般的に結構ですけれども、何かあり ますでしょうか。よろしいですか。なければ、当部会としてこれらの報告を承 ったということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうござ いました。それではほかに特段ございませんでしたらば、本日の会議を終了し たいと思います。  なお、議事録については労働政策審議会運営規程第6条第2項によりまして、 議事録には部会長の私と、私の指名する委員お二人が署名することとされてお ります。署名は労使代表1名ずつとしたいと思います。本日の議事録の署名は、 市川委員と加藤委員にお願いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 それでは皆さん、お忙しいところ、今日はどうもありがとうございました。以 上をもちまして閉会とさせていただきます。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課(内線5493)