10/03/29 第100回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第100回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2010年3月29日(月) 13:00〜14:00 場所:金融庁 共用会議室-2(9階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、奥山委員、佐藤委員、田島委員  労働者代表委員   石川委員、小林委員、冨高委員、山口代理  使用者代表委員   川崎委員、瀬戸委員、中西委員、布山委員  厚生労働省   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、美濃短時間・在宅労働課長   定塚職業家庭両立課長、田河総務課長、吉本雇用均等政策課長     堀井総務課調査官、大隈均衡待遇推進室長、西村均等業務指導室長    議題:   1.雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)   2.平成22年度雇用均等・児童家庭局予算について   3.その他 配付資料:   資料No.1  雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱   資料No.2  両立支援に取り組む事業主への助成金制度の改正について   資料No.3  短時間正社員制度に対する助成措置の拡充(案)   資料No.4  平成22年度雇用均等・児童家庭局予算の概要   資料No.5  新成長戦略(基本方針) 議事: ○林分科会長  ただ今から、第100回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は樋口委員、山 川委員、齊藤委員、山本委員より欠席されるとの連絡をいただいております。  それでは、議事に入りたいと思います。議題1に入ります。議題1は、平成22年度予算に盛り 込まれた事項に係る案件である「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」 です。  これにつきましては、3月23日に厚生労働大臣より労働政策審議会長あて諮問が行われました。 これを受けて、当分科会において審議を行うこととしたいと思います。  まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  説明に先立ちまして、育児・介護休業法の施行予定について一言ご報告申し上げたいと思いま す。11月に当分科会でご審議いただき、省令・指針に関して答申いただいて、12月28日に省令・ 指針を公布、告示いたしております。また、一部の規定においては常時100人以下の労働者を雇 用する事業主については猶予規定が置かれておりますけれども、こちらの政令を先日25日に定め まして、猶予につきましては平成24年6月30日まで、すなわち平成24年7月1日から施行する 予定でおります。本体部分の100人を超える事業主につきましては予定どおり6月30日の施行。 また、調停につきましては4月1日の施行ということで準備や周知を進めておりますので、引き 続きよろしくお願いしたいと存じます。  では、資料の説明をさせていただきます。資料No.1は「雇用保険法施行規則等の一部を改正す る省令案要綱について」で、23日付で諮問があったものでございます。説明はNo.2以降の資料を 使ってご説明いたします。  まず、「両立支援に取り組む事業主への助成金制度の改正について」でございます。左側に現行 の平成21年度の助成金の概要、右側に平成22年度の予算の概要を載せております。最初に、「両 立支援レベルアップ助成金」でございますが、こちらは21世紀職業財団において支給している助 成金でございます。5コースございますが、このうち「代替要員確保コース」と4番目の「休業 中能力アップコース」の二つのコースにつきましては、今まで休業開始日までの1年継続雇用要 件が付いておりましたが、今回廃止するということで、1年継続雇用されていない、もっと短い 方でもこのコースを利用できるという改正をいたしております。また、子育て期の短時間勤務支 援コースの詳細は次のページでご説明いたしますけれども、中小企業子育て支援助成金の中の短 時間部分をこちらのコースに併せて支給することといたしております。また、職場風土改革コー スでございます。こちらは募集をした上で企業を選定し、選定した企業に職場風土の改革、男性 の育児参加促進についての計画的な取組を行っていただいて、成果を上げたときに助成金を差し 上げるという2年間のコースでございます。来年度につきましては、2年目は実施いたしますが 新規指定はないということで考えております。  次に、「事業所内保育施設設置・運営等助成金」についてですが、こちらは平成21年度より労 働局雇用均等室において支給を開始しているものでございます。改正の内容が右側にございます けれども、一つ目としては中小企業への助成率です。こちらは平成21年度末までの時限措置とし て2分の1から3分の2に助成率がアップしました。ただ、この期限が切れますので、来年度以 降も継続するという改正をいたしております。また、保育遊具等の購入費についてでございます が、現状ではこの助成金および「こども未来財団」において保育遊具の助成制度がございまして、 どちらかを利用できることとしております。しかしながら、両方あるということも適当ではない ということで今回整理をいたしまして、こちらの購入費は事業所内保育施設の新設または増築を 行う場合に設置費・増築費と同時に申請する場合のみ助成するということで、他の場合の助成に ついては「こども未来財団」の助成を活用していただくという形に整理をさせていただいており ます。  また、最後の「中小企業子育て支援助成金」についてでございます。こちらは、初めて育児休 業を取った場合に100万円という高額の助成金でございまして、大変活用も進んでいるところで ございます。今回の改正としては、「ア」として先ほど申し上げたように短時間勤務制度の部分に ついては、上の両立支援レベルアップ助成金の短時間勤務支援コースに統合する。また、休業復 帰後の継続勤務要件は現在6か月としておりますけれども、継続勤務をしていくということは、 この助成金の目的でございまして重要な項目でございますので、1年間ということで少し厳しく 見させていただくという改正を加えております。  次のページをご覧いただきたいと思います。先ほど簡単に申し上げた「子育て期の短時間勤務 支援コースの改正について」でございます。現行は上半分でございますけれども、今年度の補正 予算の際に大幅に拡充した内容を現行に載せております。改正後でございますが、まず、常時雇 用労働者数1〜100人のところは、中小企業子育て支援助成金からの統合部分ということで、額は 最初の支給対象者が100万円、2〜5人目までが80万円という高額の助成額とさせていただいて おります。また、101〜300人のところにつきましては、3歳までの子を養育する者が利用できる 短時間勤務制度、こちらは義務化されますので助成対象から除外いたしまして、少なくとも小学 校就学前までをカバーする制度を設けていただいた場合に支給対象とすることとしています。そ れに伴いまして、支給額も最初の支給対象者は50万円、2〜10人目までは40万円ということで 充実を図っております。301人以上は従来と同じでございまして、最初に40万円、2〜10人目ま では10万円となっております。この制度を利用する被保険者は、いずれにつきましても小学校3 学年修了前の子を養育する被保険者であれば対象となるということとしております。また、平成 22年4月以降に初めて制度を6か月以上利用した被保険者が出た場合、また、短時間勤務制度に ついては今般の改正を踏まえた制度としていただくことが必要ということで、具体的には所定労 働時間が原則6時間というものを含むものである場合に限るとしております。また、次世代育成 支援対策推進法の行動計画を策定、届出、公表、周知している事業主に限るという要件を付けさ せていただいております。なお、上の欄の現行の※印にございますように、期間雇用者の場合に も、この助成金は当然支給対象となるわけですけれども、それとは別に、さらに1回に限り20万 円の上乗せという制度がございました。また、現行の(1)の助成の他に、101人以上300人以下の 事業主についてはコンサルティングを受けた場合に30万円を上乗せするという助成もございま した。しかしながら、助成金制度が細かくなり過ぎて、かえって使い勝手が悪い、また額等を充 実させたということもございますので、この2点については今回廃止する予定にしております。 以上が改正の概要でございまして、あとは参考資料として、次のページに両立支援レベルアップ 助成金の改正後の姿、また事業所内保育施設の助成金と中小企業子育て支援助成金をお付けして いるところでございます。資料No.2のご説明は以上でございます。 ○美濃短時間・在宅労働課長  続きまして、資料No.1の3ページをご覧ください。第三「短時間労働者の雇用管理の改善等に 関する法律施行規則の一部改正」の関係でございます。これは、短時間正社員制度の導入・定着 促進のための助成措置を拡充するものでございます。具体的な内容につきましては、資料No.3「短 時間正社員制度に対する助成措置の拡充」に基づきまして、ご説明いたしたいと存じます。  資料No.3の3ページをご覧いただければと思います。短時間正社員制度でございますけれども、 短時間正社員制度とは、その所定労働時間ないし所定労働日数が短い正規型の労働者でございま す。次のいずれにも該当する方としております。一つは、期間の定めのない労働契約を締結して いる方、二つ目は、時間当たりの基本給ならびに賞与・退職金等の算定方法等が同じ事業所に雇 用されている同種のフルタイムの正社員の方と同等である方となっております。短時間正社員の 例としましては、そこにございますようにフルタイム正社員が、育児・介護、自己啓発、病気か らの復職等の事由により、一時的に短時間勤務をする場合、あるいはパート労働者が短時間勤務 のまま正社員になる例等がございます。本日お配りしております「子ども・子育てビジョン」に もありますけれども、その施策の具体的内容にも「ライフスタイルに応じた多様な働き方の選択 肢の確保」という項目におきまして、「短時間正社員制度等の企業への制度の導入・定着により多 様な働き方を推進する」とされているところでございます。  それでは、同じく資料No.3の2ページをご覧いただければと思います。「短時間労働者均衡待遇 推進等助成金」の概要と全体像でございます。パートタイム労働者と正社員の共通の評価・資格 制度や短時間正社員制度を導入し、最初の制度利用者が出た場合に助成金を支給するものとなっ ております。この4番目の「短時間正社員制度の導入」ですけれども、先ほども申し上げました ように、育児・介護、自己啓発、病気からの復職等の理由によりまして短時間正社員制度を導入 し、最初の利用者が出た場合に1回目、一定期間経過後、6か月後にその対象者が雇用されてい る場合の2回目を合わせて30万円、中小企業の場合は40万円が支給されることになっておりま す。  それでは、資料No.3の1ページをご覧いただければと思います。拡充案の具体的な内容でござ いますけれども、短時間正社員制度の定着を促進する観点から、制度利用者の2〜10人目までの 支給額を増額するものでございます。中小規模事業主にあっては15万円が20万円、大規模事業 主にあっては10万円が15万円と増額したいということでございます。また、現行の短時間労働 者均衡待遇推進等助成金から短時間正社員制度に係る部分を独立させまして、短時間正社員制度 に係る他の支援策、短時間正社員ナビですとか、導入マニュアル等と併せて積極的な活用を推進・ 促進していければと思っております。  最後に、この拡充内容につきましては、4月1日より施行できればと思っております。よろし くお願い申し上げます。以上でございます。 ○林分科会長  ただ今の事務局の説明を踏まえて、ご質問・ご意見等がありましたらお願いいたします。助成 金は現場でなければ、私たちにはなかなかわかりにくいところがあるのですが、ご質問等があり ましたら、ぜひお願いいたします。  冨高委員、どうぞ。 ○冨高委員  直接この助成金の額についてということではありませんが、先ほどご説明いただきました資料 No.2の「事業所内保育施設設置・運営等助成金」についてです。私どもの産業別で加盟している 単位労働組合でもこれを利用しているところがあるのですが、21世紀職業財団から各地域の監督 署に管轄が移ったと認識しているのですが、実際にこの助成金を利用している現場の方からは申 請が厳しくなり助成金の継続利用が難しいかもしれないというような声が出ていると聞いており ます。そういった意味で、この助成金が利用できるかどうかというのは企業内保育施設を運営し ている現場としては大きな問題となりますので、せっかくこの助成金が5年から10年に延びたと いうことで、我々としてもこのような施設を運営するところがますます増えていくのではないか と考えておりますので、そのような現場の声があるということも踏まえて、企業内保育施設の利 用が進むような運用をお願いしたいと考えております。以上です。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  今年度から雇用均等室に支給機関を移したところですが、助成金の要件等に大幅な変更は加え ていないわけでございますけれども、支給機関を移した後、あらためて支給要件に適合するかを チェックしたところ、合っていなかったところが幾つかございまして、そうしたところについて は改善をお願いしているところでございます。ただ、今のご意見にもありましたとおり、できる だけこの助成金を使いながら安定して保育施設を運営していただくことが、助成金の本来の趣旨 でございますので、本省としても雇用均等室にできるだけ改善を図った上で引き続き助成金を受 けられるようにと指導をしてまいりたいと思っております。なお、この運営等助成金は10年間と いうことになっておりまして、例えば途中で1年間受けられないことが判明したとしても、その 要件を満たしていただければまた次の年から受給できるというものでございますので、そうした ことも含めてそれぞれの受給されている事業主あるいは事業主団体に改善について助言・援助を してまいりたいと思っております。 ○林分科会長  他に何かございませんか。  石川委員、どうぞ。 ○石川委員  資料No.2の助成金制度の改正の年度の対比について質問させていただきたいのですが、両立支 援レベルアップ助成金で、対象者の要件の1年継続雇用要件を廃止するなど拡大すること自体は 賛成ですが、予算が29億円から15億円とマイナス14億円になっているのですけれども、さまざ まな財政の問題等があると思いますが、対象は広がったのですがこの15億円の内訳についてご説 明をお願いします。以上です。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  先ほどの説明が十分ではなくて失礼いたしました。両立支援レベルアップ助成金の左側の方を 見ていただきますと、平成21年度で28億円強、右側の方で15億円となっております。これが大 幅に減った原因の一つとしましては、ここに明示的には出ていないのですが、平成21年度につい ては事業所内保育施設設置・運営等助成金で既に21世紀職業財団が支給を始めていた運営費につ いては、経過措置として平成21年度の予算額に入っております。これが9億円強ということでし て、この経過措置部分を平成22年度については両立支援レベルアップ助成金から、事業所内保育 施設設置・運営等助成金の方に移しまして、今までの経過分も21世紀職業財団ではなく雇用均等 室の方で支給を行うという形にしましたので、そこの部分の助成金の額が減っているということ です。  もう一つは、職場風土改革コースの2年目の新規指定をしていないということ。さらに、育児・ 介護費用等補助コースについては実績の見込み等を踏まえて、若干の減とさせていただいており ます。その他については増額ということになっております。なお、事業所内保育施設設置・運営 等助成金でございますが、平成21年度については36億円強、平成22年度については38億円強 としております。本年度平成21年度については、実行が20億円台から23億円ぐらいと予想され ておりまして、かなり余りが出るという状況です。こうしたことから、来年度の見込みを修正し てそこの部分を減額すると同時に、先ほどお話しした経過措置分を両立支援レベルアップ助成金 からの移管ということを含めて計算した結果、38億円という予算にしております。また、中小企 業子育て支援助成金でございますが、本年度は22億円の予算のところ、既に30億円以上の支給 が見込まれているということで、大変利用が促進されている助成金でございまして、来年度は32 億円を予定しているところでございます。以上でございます。 ○林分科会長  その他に、ご質問・ご意見はございませんか。  布山委員、どうぞ。 ○布山委員  短時間正社員制度等の件でお伺いしたいことが2点あります。まず、先ほど資料No.3の3ペー ジで、この助成の説明を受けたのですが、ここでいっている短時間正社員の定義は助成措置を受 けるときの定義ということでよろしいかどうかということが1点です。  それから、同じく3ページのところに短時間正社員制度の例としてフルタイムの正社員が育 児・介護、自己啓発、病気等の事由によって一時的に短時間勤務をする例というものが入ってい て、この育児の部分と先ほどの両立支援の子育て期の短時間勤務支援コースの関係を教えていた だければと思います。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  まず1点目の短時間正社員制度の定義についてでございますけれども、資料No.3の3ページに 掲げておりますのは、もちろん助成金の支給の前提ともなり得るものですけれども、社会保険の 取扱いといったときに、短時間正社員制度がどういうものかといったことを社会保険事務所に対 しても通知を行っております。その定義がこうした内容になっているということです。助成金の 前提条件ともなっているということでございます。  2点目の一時的に短時間勤務をする場合のお話ですけれども、恐縮ですが、机上配付資料の「パ ートタイマー均衡待遇推進助成金のご案内」をご覧いただけますでしょうか。こちらの6ページ に短時間正社員制度の助成金の細かな受給要件が書いてあります。まず、短時間正社員制度の助 成金の支給としましては、短時間正社員制度を設けた上で、自発的な申出による連続3か月以上 の期間この制度を利用した方が制度導入後5年以内に出た場合となっております。具体的な要件 としましては、例えば2番目の丸のところをご覧いただければと思います。これはパートタイマ ーから短時間正社員になる場合だけではなくて、フルタイムの正社員や有期契約労働者から短時 間正社員になる場合、あるいは新規雇入れ当初から短時間正社員になる場合も支給の対象となっ ているということでございます。ただし、下から2番目の丸のところをご覧いただければと思い ますが、フルタイムの正社員から短時間正社員への転換については以下の要件が必要ですという ことでありまして、転換の場合につきましては、制度に育児及び家族の介護以外の転換事由が含 まれていることとなっております。さらに加えて、括弧書きでありますけれども、実際の制度利 用者につきましては、育児のみの事由により短時間正社員に転換する場合は、助成金制度の対象 となりません。したがって、この関係につきましては両立課の助成金の対象となるかと思います が、介護の場合であれば、これは短時間正社員の助成金の対象となり得るということになってお ります。さらに、フルタイムの正社員に戻る場合は、原職ないし原職相当職に復帰できることい う支給要件になっております。以上でございます。 ○林分科会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  今のことに関連してですが、これは両方もらえるのでしょうか。つまり育児を目的に導入して 育児を事由に出たときはこちらがもらえて、育児以外はこちらがもらえるということになるのか どうか。つまり、金額が相当違うのです。ですから、短時間正社員制度を導入しても育児ではも らえないわけですね。そうすると、育児で出たときはこちらの両立支援の方でもらえるというこ とになるのですか。そうはならないのですか。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  育児の場合は両立課の助成金の対象になると理解しております。先ほどご説明した下から2番 目の丸のところをご覧いただければと思いますが、実際の制度利用者が育児のみの事由により短 時間正社員に転換する場合については、短時間正社員制度の助成金の対象にはならないとなって おりますので、それに関しては両立課の制度の対象になると思います。 ○佐藤委員  例えば企業が導入するときに、まず、育児の方を導入してこの助成金をもらって、しばらく経 ってからこちらも導入すれば両方もらえるのですね。時期をずらせば。あるいは重なっていても 出るのですか。一度に両方もらえるのでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  今は特段その点の調整規定は置いていませんので、佐藤委員がおっしゃったように、まず育児 の助成金をもらっていたところが、次に他の事由の自己啓発等も整備したということであれば、 それは短時間正社員制度の助成金の対象となると思います。 ○佐藤委員  両方一度には無理なのですね。 ○定塚職業家庭両立課長  現在は調整規定を置いておりませんので、両方出ることになると思います。 ○佐藤委員  あり得るのですね。 ○定塚職業家庭両立課長  基本的には利用者が育児の場合は「子育て期の短時間勤務支援コース」で出ていて、介護・そ の他の場合には「短時間正社員」で出ています。両方もらうと額が多くなるのではないかという ことはあるかもしれません。 ○佐藤委員  利用者が出たときに、両方の制度で育児が出たときにもらえて、介護が出ればこちらをもらう ということができるわけですね。 ○定塚職業課程両立課長  はい、そうです。 ○林分科課長  よろしいですか。他に何かご質問・ご意見等がございますか。  それではその他のご発言がなければ、当分科会としましては諮問のございました「雇用保険法 施行規則等の一部を改正する省令案要綱」については、「概ね妥当」と認めることとし、その旨を 私から労働政策審議会長あて報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○林分科課長  それではご異議がないようですので、その旨報告を取りまとめることにしたいと思います。事 務局から案文が用意されていますので配布願います。  概ね妥当と認めるというこの報告文は、案文どおりでよろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○林分科課長  それでは、この案文でもって、私から労働政策審議会長に報告いたします。  次に議題の2に入りたいと思います。議題2は「平成22年度雇用均等・児童家庭局予算につい て」です。これについて、事務局より報告がございます。 ○堀井調査官  総務課調査官の堀井でございます。資料No.4をご参照いただきながら、平成22年度雇用均等・ 児童家庭局予算の概要について、ポイントをご説明したいと思います。  まず、表紙の部分でございますが、予算のポイントがいくつかございます。一つ目は、子育て に係る経済的負担の軽減でございますとか、安心して子育てができる環境整備のための施策など、 総合的な少子化対策。そして働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現に向けた仕事と家庭 の両立支援対策、男女雇用機会均等、パートタイム労働者の均衡待遇確保などによる公正かつ多 様な働き方の実現、こういったことを目的としまして、主要事項を大きく二つの柱ということで 掲げてございます。  1枚おめくりいただきまして、予算金額の全体像をご覧いただきたいと思います。こちらに平 成21年度予算額、そして平成22年度予算額を記載しておりますが、局の合計ということで、児 童関係、雇用均等関係のトータルの部分の予算額でございます。平成22年度をご覧いただきます と、非常にその金額が増えておりまして、2兆2,861億円。伸び率でいいますと、132.9%。金額 でいいますと、1兆3,046億円の増となっております。これは資料中にはございませんが、平成 20年度と平成21年度の当初比が約2%の伸びであったことからしても非常に大きく伸びている ということでございまして、この要因の大きなものとして、下の一般会計のところも伸び率が 141.2%となっておりますが、この中の大要が子ども手当の予算に係る部分になっております。そ して、雇用均等関係の予算でございますが、お開きいただいている2ページの下の方に労働保険 特別会計の金額がございます。平成22年度で137億円ということになっておりまして、資料中に 数字がないのですが、一般会計部分が約2.5億円ございます。したがいまして、雇用均等関係予 算が約140億円という形になっているところでございます。  続きまして、3ページ以降をご覧いただければと思います。予算の主なポイントのところのみ をかいつまんで説明いたします。まず局の予算立て2本の柱の1本「安心して子育てできる環境 の整備など総合的な次世代育成支援対策の推進」に関してですが、1として「子ども手当の創設(国 庫負担金)」の部分がございます。金額で言いますと、右側にございますように、1兆4,722億円 余ということになっております。こちらは給付費と事務費をそれぞれ合わせておりまして、10か 月分を計上ということで書いております。基本的に平成22年度の子ども手当につきましては、な るべく円滑な支給ということで現行の児童手当と同じような手続きで考えておりまして、児童手 当の支給期月が6月と10月と2月という年3回、その前月までの4か月分をまとめて支払うとい うことになっております。したがいまして、平成22年度の予算と計上した場合に10か月分の計 上となっているわけでございます。そして、こちらの文章のところにも「以下の方針に沿って所 要額を平成22年度予算に計上」ということで、さらにはこの「平成22年度分の支給のための所 要の法律案を提出」と書いております。こちらの資料は若干古くなっておりますが、この法律に つきましては、委員の方々ご案内のように、先週金曜日3月26日に成立したところでございます。  そして、方針のところで[1]〜[4]がございます。こちらは昨年の12月に関係の4大臣で合意した 基本的な方針ということでございまして、[1]で中学校修了までの児童を対象に1人につき月額 13,000円、[2]としまして所得制限は設けない、また[3]、[4]という形でいくつかの基本的な要件を 設定させていただいております。さらには注4のところでございますが、平成23年度における子 ども手当の支給については平成23年度予算編成過程において改めて検討し、その結果に基づいて 所要の法律案を平成23年通常国会に提出と考えているところでございます。  続きまして、3ページの下の2は「ひとり親家庭への自立支援策の充実」ということで、こち らも昨年度に比べて予算が増えておりまして、1,764億円余ということになっておりますが、こ の中のポイントで(1)のところでございます。現在支給対象となっていなかった父子家庭に対して も児童扶養手当を支給するということで、こちらは予算は約50億円という金額を計上しておりま す。なお、こちらは現在、児童扶養手当の改正法案を国会に提出しているところでございまして、 その法律が成立しましたら、平成22年8月施行、12月支払いということで考えております。  続きまして4ページのところでございます。3の(1)「待機児童の解消等の保育サービスの充実」 ということでございます。こちらは先ほど美濃短時間・在宅労働課長から言及がございましたが、 皆さま方の机上に「子ども・子育てビジョン」という冊子を配布させていただいております。こ ちらは少子化社会対策基本法に基づきます同法の大綱ということで策定したものでございまして、 さる1月29日に閣議決定したものでございます。この中にさまざまな保育サービスをはじめ、仕 事と生活の調和のメニューを盛り込み、一定のものについては数値目標を盛り込むということで、 引き続きこのプランの実施に向けて進めていくこととなると考えているのですが、お戻りいただ きまして、予算の資料4ページの下のところでございますけれども、この「子ども・子育てビジ ョン」の内容もにらんだ形で、さまざまな保育サービスをはじめとした項目を盛り込んでいると ころでございます。なお、ビジョンの策定自体は1月の末ということでございましたので、具体 的な予算ということでは、数字も含めて平成23年度以降に進めていくことになると思いますが、 方針としては今後、この「子ども・子育てビジョン」をベースに進めていくことになろうかと思 います。  そして5ページのところでございます。四角枠のところで保育所の待機児童解消についての記 載がございます。「安心子ども基金」という形で、基金を平成20年度の第2次補正予算で設定い たしまして、平成21年度に第1次・2次それぞれ拡充し、現在総額2,700億円の基金を各都道府 県に設置して各施策を講じているところでございますが、平成21年度第2次補正予算におきまし て、200億円積み増しをしまして、待機児童解消のために地域の余裕スペースを活用したさまざ まな取組をしていただくための措置を盛り込んでいるところでございます。  また、5ページの(2)で「総合的な放課後児童対策(放課後子どもプラン)の着実な推進」などの ための予算を計上しているところでございます。  続きまして6ページのところでございます。5は児童虐待などの対応などについて、小規模グ ループケアなどを含めました施設機能の強化をはじめとする社会的養護体制の拡充などの予算を 計上しているところでございます。  また6は「母子保健医療対策の充実」ということで、特に(1)「不妊治療等への支援」というこ とで医療保険が適用されず高額の医療費がかかる配偶者間の不妊治療に対する費用補助というこ とで、こちらは平成21年の第1次補正で1回当たり10万円から15万円ということで金額を上げ ておりましたが、年に2回までにした措置ということで予算を計上しております。昨年は当初46 億円でございましたから、かなり増えて約80億円という予算になっているところでございます。  続きまして、7ページでございます。7の「仕事と家庭の両立支援」関係の予算でございます。 こちらはまず(1)で「改正育児・介護休業法の円滑な施行」ということになっております。こちら も分科会の方でも種々ご議論いただきました改正法の定着のための必要経費ということで計上さ せていただいております。金額自体は48億円余という金額でございますが、対前年当初から比較 しますと13.7%増ということで計上させていただいております。そして(2)の「男性の育児休業の 取得促進」も改正育児・介護休業法でパパ・ママ育休プラスという形で成立いたしましたが、男 性の育児休業取得率の目標の達成に向けたさまざまな意識啓発なども含め、全体として3,000万 円。こちらも前年度と比較しますと、1,400万円の予算を3,000万円に増やしたということで、 金額としてはかなり増やしているということで取り組んでいきたいと思っております。(3)が「育 児休業等を理由とする解雇等不利益取扱いへの対応の強化」ということでございます。こちらも 前年度と比較しますと39.7%増ということで予算は計上させていただいておりますが、主な内容 といたしましては、「育児・介護休業トラブル防止指導員の設置」は平成21年度の第2次補正予 算で計上したものですが、これを引き続き平成22年度の予算でも計上させていただいている内容 でございます。また、具体的にはこちらには記述がないのですが、夜間ですとか土曜日に男女雇 用機会均等法、育児・介護休業法、そしてパートタイム労働法などについての電話相談を受ける といった事業も新規で実施するための予算をこちらで計上しているところでございます。また(4) で先ほどの議題でいろいろとご議論いただきました助成金でございますとか、(5)につきましては 次世代法の改正によりまして平成23年の4月から101人以上規模の企業で届出が義務化される ということも踏まえた形での2か年で実施している「2か年集中プラン」事業の継続なども考え ております。  続きまして、8ページをご覧いただければと思います。こちらは当局の予算の2本目の柱とい うことで「安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる環境整備」の中の主な 内容ということでございます。まず(1)の「職場における男女雇用機会均等の推進」、そして(2)「ポ ジティブ・アクションの取組の推進」などを計上しております。特に「ポジティブ・アクション」 につきましては、その取組企業の割合を高めるというのが非常に重大な課題となっておりますの で、普及・促進を行うための周知と取組のノウハウの提供、そのようなことを考えています。  また3は「パートタイム労働者の正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進」ということ で、こちらは助成金支給の内容とすることに加えまして、「均衡待遇・正社員化推進プランナー(141 名)」、こちらは今、社会保険労務士など専門の方を都道府県雇用均等室に配置して相談・援助な どを行っておりますが、そのような予算を計上しているところでございます。  そして4でございますが、こちらは「多様な働き方に対する支援」ということで、(1)短時間正 社員制度の導入・定着の推進のための助成措置。そして(2)のところにつきましては良好な在宅就 業環境の確保ということで、在宅の就業に関する相談対応、セミナーの開催など、そういった形 で実施しているところでございます。  全体として、例えば雇用均等関係で言いますと、労災保険あるいは雇用保険という特別会計の 保険収入が景気動向等で非常に厳しいという状況がございますが、さはさりながらメリハリ付け をして、予算と執行の実績が乖離しているものを縮小するようなことで必要最小限の予算を確保 していると考えているところでございます。  簡単ですが、以上でございます。 ○林分科会長  事務局からの予算の概要についてのご報告について、ご質問等がございましたらお願いいたし ます。特にないということでよろしいですか。  それでは、次の議題に移りたいと思います。次に「その他」ということですが、事務局から報 告があります。 ○堀井調査官  それでは引き続きまして、資料No.5「新成長戦略(基本方針について)」という内容について、 簡単にご報告したいと思います。こちらは昨年の12月30日に、政府により閣議決定された内容 ということでございまして、新しい政権になりまして、いくつかの大きい柱を立てて新成長戦略 を策定したということでございます。  1枚おめくりいただきますと「目次」ということで、ご覧いただきますと大要をご案内いただ けるかと思いますが、六つの戦略分野を立てていくということでございまして、例えば(1)「グリ ーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」でございますとか、(2)「ライフ・イノ ベーションによる健康大国戦略」、そのような形で記載されているところでございます。  そして、この中で23ページの(6)で「雇用・人材戦略」という部分がございます。「出番」と「居 場所」のある国・日本ということで記載されておりまして、この中では2020年までの目標という ことで以下の項目について雇用戦略対話等を踏まえ具体的目標を定めるということで記載がござ います。「若者フリーター約半減」など、いろいろな項目が書いてあるのですが、例えば真ん中の 方に「女性M字カーブ解消」でございますとか、下の方に「有給休暇取得促進」「労働時間短縮」 といった内容が掲げられており、さらにその下の方に「主な施策」ということで、このような目 標に関連した下支えのためのさまざまな施策の例を記載しております。  そして「雇用戦略対話」というものが先ほど出てきましたが、この雇用戦略対話について若干 ご説明申し上げますと、昨年の11月24日に設置されたものでございまして、雇用戦略に関する 重要な事項について内閣総理大臣の主導の下、各界の方々が参加し、意見の交換などを図ること を目的とし設置されたものということになっております。その構成員でございますが、閣内の構 成員としましては内閣総理大臣、副総理大臣、国家戦略担当大臣、内閣官房長官及び厚生労働大 臣ということになっておりまして、さらには労働界、産業界、そして有識者ということで各界の 方々がお入りになっているという状況でございます。ちなみに、この有識者の中に本日はご欠席 でいらっしゃいますが、当分科会の委員であられる樋口美雄委員がお入りになっているという状 況でございます。  したがいまして、新成長戦略の方ではこういう戦略対話の場における議論なども踏まえて具体 的な目標、例えば「女性M字カーブの解消」などについて定めていこうということが盛り込まれ ている状況でございます。  時間の関係もございますので、この23ページ以降についての詳細な説明は省略させていただき ますが、例えば25ページ以降の「子どもの笑顔あふれる国・日本」ということで書かれておりま す項にも、例えば26ページの真ん中よりも少し下辺りですか「育児休業の取得期間・方法の弾力 化」といった内容なども盛り込まれているといるところでございます。  そしてこの新成長戦略の基本方針の今後についてでございますが、ページでいいますと29ペー ジの(2)に「新たな成長戦略の取りまとめに向けた今後の進め方」という記載がございます。こち らに書いてございますように、この閣議決定された文章はあくまで基本方針ということになって おりますので、今後これに肉付けを行っていく。そしてその結果も踏まえて本年の6月を目途に 成長戦略の取りまとめをすることになっているということをご紹介させていただきたいと思いま す。  また、昨年の12月に先ほどご説明しました雇用戦略対話の会議が開催されましたときに、一部 のご意見といたしまして「雇用戦略については数値目標の設定と具体策の明記とともにPDCAサ イクルに則り、その運営実態を検証・改善する必要がある」というご意見が出たということがご ざいました。今後、またこの新成長戦略の肉付けですとか、雇用戦略の進め方といったことにつ いて膨らませていくということになろうかと思いますが、引き続き厚生労働省としましても、関 係者のご意見も伺いながら効果的な雇用対策を進めていくことになると思いますので、取り急ぎ、 この雇用均等分科会におきましてもご報告させていただきました。  以上でございます。 ○林分科会長  この新成長戦略は今後の大きな政策方針になっていくと思いますが、今のご説明で6月には取 りまとめが出るということで、今の時点で特に質問等がありましたら、お願いいたします。  それでは、特にご意見がないようですので、本日の議事はこれで終了いたします。  最後に、本日の署名委員は石川委員と川崎委員にお願いいたします。お忙しいところ、どうも ありがとうございました。これで終了します。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)