10/03/26 第15回政策評価に関する有識者会議議事録 第15回政策評価に関する有識者会議 開催日時:平成22年3月26日(金)13:00〜 開催場所:共用第6会議室 出席者:高橋座長、阿部委員、梅田委員、菊池委員、篠原委員、本田委員 ○高橋座長  それでは、定刻を若干過ぎましたが、「第15回政策評価に関する有識者会議」を開催させていただ きます。年度末も押し詰まりまして、皆様ご多忙かと存じますが、その中をお集まりいただきまして 大変ありがとうございました。  今日の出欠の状況ですが、川本委員、野川委員、堀田委員、森田委員がご欠席です。間杉政策統括 官が急遽ご欠席と伺っております。  それでは、開会にあたりまして、政策評価審議官の生田さんからご挨拶があると伺っておりますの で、よろしくお願いします。 ○政策評価審議官  皆さん、こんにちは。政策評価審議官の生田でございます。委員の皆様におかれましては、ご多忙 のところこの「政策評価に関する有識者会議」にご出席をいただきまして、本当にありがとうござい ます。  これまで当省では皆様のお力をいただいて、国民に対する行政責任の説明をきちんと果たすという こと、あるいは効率的で質の高い成果重視の行政の実現を目的として、政策評価を実施してきました。 現在の政府においては、行政刷新会議で事業仕分けをするといったことに見られるように、行政にお けるPDCAサイクルの徹底、外部の視点の導入、透明性の確保などに取り組んでいるところです。  こうした中で、当省では来年度から政策評価について4つの改善・拡充をしようと考えております。 1つ目は、各施策について担当部局で現状把握を徹底するということで、政策評価の中でもそういった 現状把握の中身を書き込んでいくことにしたいと思っております。2つ目は、「アフターサービス室」 を設置して、外部の有識者が日常的に施策の実施状況を把握、効果の測定等を行って、早急に改善に つなげていく仕組みを作っていくということです。3つ目は、この「政策評価に関する有識者会議」を 始めとして、個々の政策評価について第3者評価を導入し、チェックを強化していくということです。 4つ目は、政策評価の結果についてホームページでわかりやすく公開をして、国民の皆様から意見を受 け付けるという考え方です。  本日は、このような最近の政策評価を取り巻く状況についてご報告をさせていただくとともに、平 成22年度における政策評価の進め方についてご議論いただきたいと考えております。これからますま す政策評価が重要になってまいります。委員の皆様には、いままでにも増して大きなお力を賜りたい と考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○高橋座長  ありがとうございました。それでは、議事次第に従い、(1)「最近の政策評価を取り巻く状況につい て」を事務局からご説明をいただき、委員の皆様からご意見を頂戴し、引き続き(2)平成22年度に実施 する政策評価に関し、厚生労働省における政策評価の見直しの内容及びその基本計画の見直しについ て事務局から説明をしていただいて、その後意見交換をしたいと思います。今日大きく2つのテーマが 用意されておりますので、よろしくお願いします。  それでは、(1)「最近の政策評価を取り巻く状況について」を事務局より説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  政策評価官室で室長補佐をしております安里でございます。今日はよろしくお願いいたします。(1) 「最近の政策評価を取り巻く状況について」をご説明します。資料は資料1-1〜1-4まで用意しており ますので、こちらに沿ってご説明します。  資料1-1ですが、「政策達成目標明示制度について」をご説明します。政策評価に関する大きな動き として我々がいちばん大きいと思っているのは、「政策達成目標明示制度」が平成22年度より試行的 に導入されることが決まっているという点です。資料1-1として、その導入が決定された閣議決定を付 けております。  3頁の4ですが、「政策達成目標明示制度の導入」というタイトルがついており、平成22年度は試 行期間と位置づけると、年度開始までに国家戦略室において指針を示すという形になっております。 本日年度末ぎりぎりに会議を開催したのは、この国家戦略室の方針を待って、それも踏まえた上で意 見交換をできればと思っていたのですが、残念ながら、いまの段階でもまだ国家戦略室からの指針の 案などが示されておりませんので、この場ではそういうものが今後始まるというご紹介をする形にし たいと思います。いま明らかに決定されていることは、この閣議決定の中で決まっているものだけで すが、我々がいままでやってきた政策評価との大きな違いは、政策評価は税金を投入している予算、 そういう事業を全部見ようという観点でやっておりますし、自己評価を基本としてやっておりますが、 「政策達成目標明示制度」の場合は、(1)に書いてありますようにマニフェストの工程表などから重要 なものを中心に選び出して、最優先の目標を厳選して「政策達成目標」を定めようと。その際に、ア ウトカムを具体的に明示しようということが決まっており、我々がやっているすべてを見るような形 ではなくて、厳選したテーマになるというのがいちばん大きな違いになっております。  そのほかいろいろありますが、もう1つは(3)の最後の文にありますように、「政策の評価・検証に ついては、政策を担当する府省が自ら行うことに加え、外部による検証を充実させる」としておりま す。政策評価においても、まさにこの有識者会議の場で皆様方からご意見をいただく形で外部の声を 聞くということをやっておりましたが、それをさらに進める内容が予定されております。  関連してご紹介したいのが、同じ閣議決定の2頁の(2)ですが、「平成22年度開始までに、予算監視 ・効率化チームを設置する」という規定があります。これは、年度末の駆け込みで予算を執行してい るのではないかといった発想から出てきたもので、予算の執行状況を監視するチームを設置するとさ れており、実際当省においても設置をしております。それは資料1-2として添付しております。達成目 標明示制度との関係でいくと、達成目標明示制度でまず各省がやる自己評価については、予算監視・ 効率化チームを使ってやりましょうということが、副大臣会合等で示されておりますので、そういう 意味で「政策達成目標明示制度」に選ばれたものについては、いままでは担当部局が評価をしており ましたが、部局の評価ではなく自己評価であるとしても、予算監視・効率化チームにおいて評価をし て、そのあとさらに外部の評価を受ける形になるということが見込まれております。  資料1-2は、予算監視・効率化チームの設置要綱です。裏に、チームメンバーが一覧で見られる形に なっております。チームリーダーとしては長浜副大臣、サブリーダーとしては山井大臣政務官となっ ており、事務局長以下は厚生労働省内の役人が担当することになっておりますが、全部局の総務課長 級が入る形で、全省を挙げた取組みになっております。また、この予算監視・効率化チームには外部 の有識者を入れるようにということが国家戦略室から示されておりますので、2名の方にお入りいただ くこととなっております。  資料を付けておりませんが、関連した動きとして、3月11日に行政刷新会議が開催されましたが、 その場で行政事業レビューをやるようにということが決定されました。この行政事業レビューのやり 方については、今後細かいことが決まっていきますが、名前だけ見ると政策評価と全く一緒ではない かという気がするのですが、いままで得ている情報ですと、補助金の流れ先等をしっかり見ていこう という、執行面でのチェックをしっかりしましょうというニュアンスが強い形になっております。い ずれにせよ行政事業レビューですとか、この予算監視・効率化チームの実際の回し方ですとか、また、 厚生労働省では長妻厚生労働大臣の発案で、昨年秋にやった事業仕分けの省内版をやったらどうかと いうことが言われており、省内の事業仕分けを何かしらやろうかという動きもありますので、こうし た省内の事業仕分け、行政刷新会議で言われた行政事業レビュー、先ほどご紹介した閣議決定で決ま っている予算監視・効率化チーム等が諸々動いております。  当省としては全体を捉えて、当然政策評価の大本である施策を良くする方に動かすように、そうい った工夫をしていきたいと思っております。いろいろな所でいろいろな事業が取り上げられると、担 当部局の負担が大きくなることも予想されますので、ここは会計課とよく相談をして、のちほどご紹 介しますが様式の統一を図るとか、そういった形で担当部局の負担を無駄に増やすことがないように 配慮をしつつ、政策を改善する意味で良い方向に進めていきたいと思っております。  続きまして、資料1-3のご紹介をします。総務省がまとめている資料を添付しました。資料1-1、資 料1-2でお話したのは新しい枠組みの話ですが、それでは従来やっている政策評価については何か動き がないのかということが気になると思います。実は、昨年秋の行政刷新会議の事業仕分けの場で、行 政評価局の業務そのものが仕分けの対象として挙がりました。これは国家戦略室もありますし、行政 刷新会議の事業仕分けそのものが政策評価的な面もありますので、行政評価局が要らないと言われる のではないかと思っていたのですが、ふたを開けてみると逆で、行政評価や政策評価の機能を充実さ せるようにという方向性が示されました。  それを受けて、総務省が1月にまとめたのが、資料1-3[1]です。「行政評価機能の抜本的強化ビジョ ン」としておりますが、見直しの方向性として書かれているのは、真ん中の色が付いている枠にあり ますように、「各省の情報公開徹底の促進や真に役立つ機能への重点化」「行政評価局調査の拡充」 「国民視点の徹底」という3つの点が書いてあります。方向性としては、いままで政策評価が目指して いたものと大きく変わるものではありませんが、特に目新しいものとしてご紹介したいと思いますの は、1点目の真に役立つ機能への重点化のところで、右のほうに主な方策の2点目に「事前評価の拡充 (租税特別措置等)」とあります。これは、税制改正の見直しの中でも出てきた話ですが、税につい ても政策評価をしっかりやっていこうということがありましたので、来年度から税制改正要望をする 際の事前評価を義務づけようという動きが出ております。ただ、税に関しては効果の測定の問題等も ありますので、まずは法人関係の税、法人税や法人事業税といったものについての事前評価の義務づ けが予定されております。  もう1つ大きくなると思っているのは、真ん中の行政評価局調査の拡充の関連ですが、「機動調査チ ームの設置」というものがあります。機動調査チームとは何かと言うと、行政評価局は、年度末に行 政評価として何をやるかというプログラムを決めてやっていくのを基本としているのですが、原口大 臣が就任された際に、各省がやっている競争入札について二社応札になっているものは隠れ一社応札 なのではないかというご疑問を持たれて、これを緊急調査せよという話があり、昨年秋ごろに1カ月ほ ど調査したことがあります。今後、そうした政務三役なりいろいろな社会状況なりで必要があると思 われたものについて、機動的に対応できることをやっていこうということを打ち出しており、税の関 係と機動調査の2点が特に大きな拡充のポイントなのかなと思っております。  資料1-3[2]以下は、これまで総務省の行政評価局が何をしているかを皆さんにご説明したことがあま りなかったので、ご参考として付けているものです。行政評価局が何をやっているかが資料として載 っておりますので、お時間があるときにお目通しいただければと思います。  資料1-3[3]として、いちばん最後に税制改正大綱の抜粋を載せておりますが、こちらの大綱のいちば ん下で、「政策評価を厳格に行う」ことが決定されているものです。以上が、全省庁的な政策評価を 取り巻く動きです。  最後に、資料1-4のご説明をします。厚生労働省内の動きですが、昨年夏の有識者会議の場で、厚生 労働省としては平成21年度からPDCAサイクルを導入して頑張っていくというご説明をしたかと思いま すが、そのPDCAサイクルに関するものです。平成21年度からPDCAサイクルを回すということで、各 課室に課室目標を立ててもらい、課室ごとに目標が達成されているかどうかを検証しながら改善を進 めていこうと、平成21年度は考えていたのですが、残念ながら新政権になったこともあり、あまり動 きがスムーズにいっていない状況にあると認識しております。  そうした中で、来年度以降どうするかという話になったときに、課室の目標だけでは足りないので はないかという話が出ており、いま決まっているのは、まずは省の目標があるだろうと。省の目標が あり、それを局の目標に落とし、さらに課室の目標に落とし、本年度から開始されている職員の人事 評価、業績評価に結びつけていくと。そういう動きが必要であろうということが決まり、現在、省の 目標を含めて課室の目標設定について作業をしているところです。PDCAサイクルの導入ですが、こう した課室目標なり局目標、省の目標の設定を受けて、ちゃんと改善に結びつく動きとなるように、今 年度も頑張っていきたいと思っております。(1)に関する説明は以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。いろいろ入り乱れているので、よくわからないところもあろうかと思い ます。ご意見、ご質問もあろうかと思いますので、よろしくお願いします。いろいろな所で花火が上 がっているので、なかなかわからないところもあろうかと思いますが。 ○篠原委員  遅れてきてすみません。厚生労働省ではいろいろな施設の処分が多いのですが、そういうことに関 して事後評価、ここでもあまり事後評価をやったことがないのですが、当然そこには学ぶことがいっ ぱいあると思うのです。この制度の中でもあるのですが、これは制度外なのかなと。私も競争入札で 施設を売るところに関わったときに、いま競争入札を進めているけれど、いま言った事後評価ともう1 つ問題があって、競争入札と言いながら、官のやっているものは実は市場がないとか、競争の業者が いないとか、そういうものが残ってしまうのです。だから、そこの部分をどうするのかなと。いわゆ る適切な価格とか、そうすると評価の問題も関わってきて、いろいろとやっていて、評価の部分がす ごく強いのだと。  3番目には、これは愚痴なのですが、監査はもう50年以上経つのですが、ほとんど日本の社会には 受け入れられていなくて、この5年ぐらいなのです。英語で「Acceptance(受容)」という言葉で、こ の5年ぐらいは監査は社会的に受け入れられたかなと。評価を見ますと、たしか10年ぐらい経つので すが、決して受け入れられていないと、まだまだ余分なものと、ここへ来てやっと具体的になってき たなと。これは、オーストラリアやニュージーランド、アメリカ、イギリスでは、評価の業績指標を 監査の方向でやっている所もあるのです。そうすると、この時点でも日本はかなりずれていて、動き はそこにいくという意味では大歓迎なのですが。3番目は私の愚痴ですが、1番目と2番目は質問とい うことで、簡単にお答えいただければと思います。 ○政策評価官室長補佐  施設の処分の関係の事後評価をどうしているかという話なのですが、それに特出しをした評価は、 実際いまも特にしておりません。ただ、ご指摘の結局施設を売ることになってしまった経緯とか、そ ういうものをしっかり検証したほうがいいのではないかと。 ○篠原委員  そういうことはやらないという、いちばんの目的はそこです。二度とやらないと。だけど、おそら く二度とやるだろうなという感じで、やはりそれは検討したほうがいいだろうなと思います。 ○政策評価官室長補佐  もしかすると、政策評価というよりは、予算監視・効率化チームとかお金の関係の評価をする中で、 そういう視点を取り込んでいくのがいいのかなと、お話を伺って思っておりまして、そういう視点が あることも踏まえて会計課等と、今後、調整をしていきたいと思っております。 ○高橋座長  篠原委員がご指摘になったことは、ある意味では盲点みたいなところがあって、地味な話に見える のです。だから、政治主導では起ったときに事件としてしか取り上げられないので、委員の中でこの 議論を伺って、なるほどと思いました。  3番目の問題は、本当は森田委員がいらっしゃったらもっとよろしかったのですが、梅田委員から何 かコメントはございませんか。 ○梅田委員  いろいろな制限問題があって、いろいろな手法が出ていて、もう少し様子を見ないと正確なコメン トはできないかなという気がします。1つだけ言いたいと思っているのは、いろいろな手が打たれ、い ろいろな手法が出ていますが、根本は1つなので、たぶん皆さんもそのように受け止めておられると思 うのですが、余分な作業が1+1で2になったとか3になったというのは逆に誤りであって、そこはもう 少し様子を見ないとわからないですが、同じことをやっているにすぎないというか、別の資料を全く ゼロから作るということではないので、それがいまどれだけわかっているのか。それはもう少し様子 を見ないとわかりません。ご存じのとおり、年末に行われた事業仕分けという名前も世間には受けて いますが、問題事例だけを集めて公開で議論したということであって、全く別のことが始まったとい う風評というか、世間の受け止め方を非常におそれます。また今度は行政事業レビューと。言いたい のはやっていることは1つ、そういうことを言いたいだけなのです。 ○高橋座長  この問題は、花火ばかり上がって実質が伴わないというのは、日本の公務員制度と欧米の公務員制 度は違いますから、専門性という意味でははるかに欧米のほうが、レビューはレビューでエキスパー トが育つわけですね。それがいないのにやたらに打ち上げたって、結局、賽の河原みたいな話で、ジ ェネラリストが一生懸命勉強してやるという文化だけれど、監査は監査で、オーディットも含めてそ ういうエキスパートが、ナレッジというか知識が集約されていると、これは間違いではないですね。 これはあらゆる行政分野がそうなので、専門性が極めて高いのです。  人事異動の見方もそうですが、そうなると、日本の公務員のいままでの構造や仕組みと評価はどの ように考えたらいいのかという根本の議論が、意外とやられていなくて、言葉に飛びつく。それもい ろいろな所から花火が上がるということ自身が、ある評価が、ジャーゴンワードでは誰でもすごいこ とだと思う言葉としてレビューとか何々チームとか言うのですが、全く同じことを、着実にやるべき ことなのです。そこにきちんとノウハウを蓄積していくというプロセスがなかったら、上が変わった からすぐできるなどという話はありませんから、そういう意味で着実に制度に乗せながらやっていく ことが、どうも疎かになっているという印象を、これは政権交代があったからということではなくて、 いろいろなことをずっと感じておりますので、座長としては言いすぎたかもしれませんが、ここはそ んな印象を持ちながら議論をしたいと思います。 ○政策評価官  座長がおっしゃるように、いろいろな所で花火が上がっておりまして、まだ整理されていないとこ ろや決まっていないところが非常に多いのですが、例えば先ほどの政策達成目標明示制度などについ ては、総務省の行政評価局の業務と重なり合う部分がありますので、総務省も整理をして、整合性を 取ってやっていくということも言っています。これから新しい動きがいろいろ出てくると思いますの で、情報提供は随時、委員会が開催されないときにもやっていきたいと思っております。 ○高橋座長  私が大変心配しているのは、こういう制度が入ってくることの屋上屋とは言いたくないけれど、そ のことによって業務量がものすごく増えていって、ワーク・ライフ・バランスを所管している省庁が、 ワーク・ライフ・バランスを崩すようなことを平然とやっているのです。ワーク・ライフ・バランス をお守りの方もいらっしゃると側聞しておりますが、そういうことを含めて、日本の行政は足りてい ない、少ないですね。相当少数制に近いのです。世の中の人は無駄が多いと信じていますが、少なく とも国際比較すれば、そういう意味ではきつい状況で仕事をなさっているということを痛感しており ます。その中でそれぞれの本来業務が主で、評価ばかり大きくなってしまっても、それが本来業務を 圧迫することになり兼ねないという印象を持たざるを得ない。私は割と控え目に言っているつもりで すが、どうもそういう印象を持たざるを得なくて、政策評価官室はそこをコントロールするお立場で すから、外と中との間に立ってご苦労されることとは思いますが、是非本来の着実な仕事ができるよ うな体制をお作りいただくのが、もちろんそれぞれ政治主導と称する動きがありますので、それはき ちんと対応することは組織としてはやむを得ないし、当然のことだと思いますが、その中でも資源に は限りがあるわけですから、その資源をどう集中するか、何でもかんでもという話ではなさそうな気 がしますので。ということぐらいで、次の議論に行ったほうがいいでしょうか。 ○政策評価審議官  非常に温かいお言葉ありがとうございます。次の議題の中でも出てくるのですが、政策評価の手法 についてはいろいろな工夫をするようにしているのですが、それを今後新しく打ち上げられるものに 転用していくという方法でやらないと、座長がおっしゃるように作業が増えてしまいます。そこは我 々でコントロールして、省内の担当者の負担が増えて、本来業務に支障が出たら困ると思っています ので、それは工夫していきたいと思っています。後半の説明の部分でも、そういった点について若干 触れながらご説明しますので、よろしくお願いします。 ○本田委員  私はあまり理解できていないので、確認なのですが、政策達成目標明示制度とか、急に言われた行 政事業レビューというのは、いまある行政評価の仕組みの上に、さらにそれもやるのですか。それと も、そういうものを新しく考えて、いまのは見直してなくしていくということではなくて、あれもこ れも全部やろうということなのですか。 ○政策評価官室長補佐  我々としては、総務省に対して、いろいろ出てくるのだから整理をしてくれと事務方ではお願いし ているのですが、結果としては、いまのところいままでやっていたものをやめることはなく、追加で 作業として組むという状況になっています。ただ、政策評価官室としては、いま審議官が説明したよ うに、極力作業の重複を減らそうとか、そういうできる限りの努力をしようということです。 ○政策評価審議官  基本的には転用するという方向で、作業を増やさないようにしようと思っております。そうしない と大変なものですから。 ○篠原委員  それに関連して質問したかったのは、今回の事業仕分けで我々がやっていた評価のこれを仕分人側 がほしいと言ったか、あるいはこちらの説明者側がこれを参考にしてやったのか、役立てたかどうか が、ある意味ですごく興味があるところです。役立つはずだと。 ○政策評価官室長補佐  非常に厳しいご指摘なのですが、使った例は承知していません。というのも、そもそも事業仕分け の場ではそれ専用のシートを作れと言われてしまったので、いまやっている政策評価書を持ってこい という投げかけではありません。また、評価をするときの単位をどうするかという問題が、どこでも ついて回ると思うのですが、事業仕分けのときは、行政刷新会議事務局が選んだものを選んだ範囲内 で出せという形になりましたので、いままで我々がやってきたもう少し大きな政策の単位で作ってい る評価書は、そのまま転用できなかったという事情があります。 ○梅田委員  よい質問が出たので発言したくなってしまうのですが、そういう意味で私が先ほど言ったように、 仕分けが世間に一般的な喝采を受けてしまっていますが、全く部分の事業だけを取り上げて、しかも それはあらかじめ財務省が毎年予算編成しているし、会計検査もしているし、やや問題がありそうだ と思う事業だけを取り上げて公開で、国の場合は議院内閣制ですから、座長になっているのは内閣の 代理人ですが、予算編成過程の一部としてやったわけです。要するに、あの場合は概算要求が出たあ と、予算編成の前の査定なのです。だから、内閣の代理人が座長になってやるというのは、正当性が ありますからいいですね。予算編成権がありますからいいと思いますが、それに一般の人を入れて公 開でやる。概算要求に対して査定するのは普通内部で、権限のある人がやってきたわけです。それを、 問題のある事例だけ取り上げてというところが問題というか、一般的に受け入れられている。私に言 わせれば、問題があるのだったら査定すればいいのです。そう思いませんか。 ○高橋座長  お立場上言いにくそうなので。 ○梅田委員  要は、問題があるとわかっているのだったら、査定権のある人がやればいいのです。内閣は編成権 があるから、やれるわけです。しかも、仕分人がAと言ったのに、座長がBと言ったこともあったとい う報道もあって、そうなると一体何だろうと。一般的には採決で多いほうの結論でやったみたいです が、違う結論を出したとか、あるのでしょう。  そうなると、あらかじめ決めていることをやる、しかも事業レベルで取り上げているだけなので、 施策レベルとか全然議論していない。  私が先ほど言いたかったのは、政策評価の不十分なところも、もちろんあります。不十分というか、 私はあると思ってこの委員会で毎回発言しているわけで、それは全然否定はしませんが、政策達成目 標明示制度と言っても、やっていることなので、それだけを一部取り上げて、いかにも新しいことを やりますよというのはどうか。本来政策評価にはなければいけないわけで、転用とおっしゃったけれ ど、転用ではないのです。そこだけ見せるだけの話ですね。もともと政策評価の中に本来なければい けないものを、こういう制度を作ったなら、それはこの部分ですよと、転用ではないですね。その部 分だけスポットライトを浴びせて、特にフォローするだけのことなのです。だけのこと、でなければ ならないのです。だから、政策評価が不十分な点があれば、それは政策評価を補充すれば対応できる わけで、いまの政策評価の現状が完ぺきだと私は全く思っておりません。そういう部分があるかもし れないけれど、政策達成目標明示制度は完全に中の話ですね。  長くなって申し訳ないですが、もう1つ言いたいのは、予算の査定と執行監視。例の一社応札とか随 契とか、ああいうことまで評価と絡めて。本来的には査定というのは評価ではないのです。査定とい うのはあくまでも内部で要求をして、要するに予算編成は国の場合は内閣にあるわけです。自治体の 場合は、編成権は首長にあるわけです。編成権のある人が編成するだけの話なのです。だから、それ は各部局から要求を出させて、それを部局的には財務省が内閣のあれを受けて、査定をして編成する だけの話なのです。その編成するにあたって、もちろん政策評価をブレンドし、活かしながら編成す るのは当たり前の話であって、予算編成自体とか評価の話をゴチャゴチャにさせてしまったのが仕分 けですよ。  4月から仕分けができるかと、要求していないのに仕分けができるかと思ったら、行政事業レビュー というのが出てきて、やはりレビューにしたのだなと。レビューということは評価と全く一緒でして、 ただそれを細かい事務事業単位でみるのかとか、そういうレベルの違いはもちろんありますが。先ほ ど言いたかったのはそれで、やっていることをただそこだけ特出しで重点的にやりたいというのはわ かりますので、やるだけのことで、転用ではないですね。転用ではなくて、その部分だけ特に重点的 にやるというだけのことであらねばならないというか、あってほしいですね。  その会計の執行、それから予算編成というのは、評価とは切れているのです。編成というのは決定 ですから。評価は決定ではないですよ。これも国民が皆さん誤って、マスコミも含めて誤解されてい る点が昔からあると思って言い続けているのですが。予算編成というのは決定ですからね。決定と評 価は違いますからね。最近行われている執行状況、予算監視・効率化チームだとか、これもまた評価 とは違うのです。 ○政策評価官室長補佐  ちなみに、今日は資料をお配りしていなくて申し訳ないのですが、事業レビューの関係で、政策評 価と同じほうに寄ってくるのだと思ってはいたのですが、いま言われているのが事業ごとに最終的に 予算がどこに渡って、何に使われているのか、そちらのほうが。 ○梅田委員  そうでしょう。だから、そっちへ行くのです。それは評価ではないと言うと、またちょっと不正解 みたいな。 ○高橋座長  何か幹と枝がゴチャゴチャになって、しかも木が何本も生えていると。それで、こちらの話はまた 言葉遣いが混乱していて、ここで使うべき話がこちらで使われているということかなと思っていて、 これは本当に。 ○梅田委員  だから、監査と評価は違います。 ○高橋座長  おっしゃるとおりです。 ○梅田委員  それは学問的に昔から言われているし、違うのです。会計の執行状況とか、そういうのは監査です よね。 ○高橋座長  監査と評価と摘発がゴチャゴチャになっているのです。 ○梅田委員  長々となりましたが、前から言いたかったもので、要するにそれに巻き込まれないように是非やっ てほしいと思います。巻き込まれるというか、ある程度内部にいると巻き込まれるのはしょうがない から、皆さん巻き込まれるのでしょうけれど。だけど、それは見ている人は見ているというか、私は いずれわかると思って夢をつないでいるのですが。  要するに、このままずっと行くと、そのうち学会からも発言があると思うのですが、仕分けについ て私の属する学会で扱おうかという議論をしたときに、あれはこうだとちゃんと言っておられる方も いたのですが、そういうのはいま表に出てこないのです。 ○高橋座長  これは評価官室で梅田先生に見ていただくことにして、残してください。というのは、実はそれほ ど深刻なのです。組織運用について、どうも疎い人たちのことが生の形で入ってくることについても 大変憂いておりまして、政策評価法という法律があって、それをミッションとして積み上げてきた世 界と、内閣から政治的な形で下りてきた話との整理がつかないまま、現場が混乱している。どうして もその省庁で上に立つ方のお考えもあって、そこでまたいろいろ発散するということがあって、先ほ どあえて申し上げたのは、業務過重のワーク・ライフ・バランスを狂わすような形で業務が、という ことまで言わざるを得ない状況が起きていると。資源は有限なのに。それが評価から始まった話で、 そういうことを無視した議論が、調整が下手ではないかと。  要するに、そういう法律はないように動いているという感じがあって、そうすると、行政評価局と してはやはりここでと言わざるを得なくて、そこにまた新しい仕事が積み重なるみたいな、とても不 幸な状況になっている。混乱は半年で収まるかと思ったら、ますます混乱しているようですので、現 場の立場としては物申す立場にはないので、お辛いかなと思いますが、別に本田委員をやり玉に挙げ るつもりはないのですが、ジャーナリズムが誰もそこをわかっていないのです。  最近思うのは、有識者と称する人が、無識者が多いということを痛感しております。このところ何 回か国会へ呼ばれて参考人質疑をやっていると、そのことを痛感します。エコノミストと称する人が 経済学のことをわかっていないらしいということが最近わかって、えらく強気なのです。この人より 私のほうが経済学をわかっていると思ってしまったとか、本当のエコノミストがいらっしゃって恐縮 なのですが。   ○阿部委員  ネガティブな発言が続いておりますので、少しポジティブな発言をしないといけないと思って、バ ランスを取ろうかなと思ったのですが、私はたぶんこの会議に最初のときから出ておりますし、その 前の事前の評価に関する会議にも出ていまして、それでずっとやっているわけですが、この間政策評 価をやりたいと心から思っている人たちがどれだけいたかを考えると、まだまだ根付いていない。何 で根付いていないかというと、政策評価をして、しっ放しというところがまだあるのではないかと思 います。  今回いろいろ問題はあるのですが、これだけ政策評価にスポットライトが当たったのは初めてのこ とではないかと思うと、これを機にいろいろある問題は放っておいて、本来の政策評価とは何なのか。 やはりここはPDCAサイクルをしっかり回していくと。結果的に政策評価をやると、行政にとってプラ スになりますよという動きをしっかり作っていくことが大事なのではないかと思いますので、ネガテ ィブなところもあると思いますが、せっかく政策評価にスポットライトが当たったので、これをポジ ティブに捉えて、内部でPDCAサイクルをしっかり根付かせて、政策評価をやりたいと思うような仕組 み作りをしていったらいいかなと思います。 ○高橋座長  大変ポジティブな発言で、そういう意味では政策評価官としてのスタンスをお示しいただいたと思 いますので、是非そういう方向に持っていくということで、よろしくお願いします。  あとで時間があればまた戻ることにして、具体的な2の話をしてから議論するということで、厚生労 働省における平成22年の実施要綱のご説明をお願いします。 ○政策評価官  温かいお言葉、ありがとうございます。来年度から政策評価で拡充していきたいと思っている点に ついてご説明します。  具体的には、資料2をご覧ください。1頁にありますように、いま阿部先生が言われたPDCAサイク ルのCの部分を拡充していくと、それによって施策の改善につなげていくという趣旨での説明です。 (1)から(4)まで挙げておりますが、第1点目は現状把握の徹底です。これは担当部局で取り組んでいた だきたいと思っております。政策評価の前提として、当然現状をしっかり把握していくことが求めら れますが、現状把握をしっかりして、施策の改善につなげていこうということです。施策の実施状況 をより迅速・こまめに担当部局に把握していただく仕組みを構築したいと考えております。  具体的には、現在行っている現状把握の方法を見直していただき、例えば実態調査をやっていると すれば、その頻度をもっと多くできないか、あるいは実態把握の時期がずれているというか、非常に 遅くなる場合もありますが、そうした時期を早められないか。また、いま実施している実態調査に加 えて、(1)に例を挙げておりますが、「事業者からの報告聴取」です。事業者と言っているのは、補助 事業、あるいは委託事業などの事業を実施している地方自治体や民間の企業ですが、そちらから報告 を受ける、あるいは苦情や相談を分析して実態を把握する、自治体の職員と交流をして実情を聞く、 また、全体的な調査が難しいとしたら、モデル的な調査を実施していくというような、いろいろな別 の形での実態把握をできないかといったことを検討してもらおうということです。政策評価の前提と なる実態把握を、いろいろな形で迅速に、頻度を上げて実施をしていこうということです。  (2)ですが、先ほど審議官から説明がありましたとおり、「アフターサービス室」を設置するという ことを考えております。アフターサービス室という言葉は耳慣れないものかと思いますが、大臣の命 名によるものです。どういうものかと言うと、外部の有識者に施策の実施状況の把握、効果の測定な どをしてもらって、その結果を担当部局に報告して、施策の改善につなげていくというものです。先 ほどご説明した行政刷新会議の事業仕分けにおいても、外部の視点の導入が1つのポイントとなってお りますが、このアフターサービス室も、政策評価に外部の視点を導入するために設置するものです。  具体的には、厚生労働省の施策分野はいろいろありますが、大体4つぐらいに分け、それぞれの分野 について外部の有識者の公募を行って、4人の外部有識者を集めてアフターサービス室の専任スタッフ となっていただきます。この専任スタッフに加えて、これは兼任になりますが、専任スタッフと政策 評価官室の現員の一部を合わせて構成するアフターサービス室を、政策評価官室の中に設けるという ことです。アフターサービス室の専任スタッフの職務としては、施策について現地を調査したり、専 門家の話を聞いたり、その施策の実施状況、あるいは効果について調査や分析をしてもらい、担当部 局と連携を取りながら施策の改善策、どういった改善策があり得るのかを練っていくというものです。 専任のスタッフが調査した結果については、レポートとして取りまとめていただいて公表するという ことも予定しております。現在、このアフターサービス室について、7月に設置できるように準備を進 めております。  (3)ですが、「有識者による評価内容のチェック」の拡充です。3点目も、外部の視点を導入すると いう趣旨でのものです。現在でも、まさに本日のですが、政策評価全体の見直し、基本計画、実施計 画、あるいは政策評価の内容について先生方にご意見をお伺いし、議論をいただいているところです が、それに加えて各施策について、各担当部局に政策評価書を作成するにあたって、外部の有識者の チェックの過程を入れるというものです。  具体的な方法としては、(3)の2行目に書いてありますとおり、審議会にお諮りする、あるいは個別 の有識者の意見を聞く、検討会を立ち上げて意見を聞くなど、いろいろ方法がありますが、いずれの 方法を取るかについては各担当部局で施策の特性などに応じて検討していただいて、決めていただく 形にしたいと思っています。とにかく、各局が政策評価書を作る過程で、有識者の意見を何らかの形 で聞くプロセスを入れるということです。先ほどの(1)もそうですが、今回政策評価書の様式を見直し ましたが、この様式変更において(1)、(3)の部分について新たに欄を設け、政策評価書の中に現状把 握をどのようにしたか、あるいは有識者の意見をどのように聞いたかを入れていただく欄を設けるこ とにしております。  (4)ですが、「国民によるチェックを機能させる」です。政策評価の目的は、そもそも国民に対する 行政の説明責任を果たす、あるいは国民本意の質の高い行政を実現するということですが、そのよう な意味で国民にわかりやすい政策評価を行い、政策評価をチェックしてもらう。それも政策評価の根 幹に当たる部分かと思っております。こうしたチェック機能が働くために、政策評価を国民の皆さん にわかりやすく伝えて、また意見を受け付けることは非常に重要だと思っており、その部分を拡充す るというものです。  現在も、政策評価書については公表して、ホームページに掲載しているのですが、必ずしもわかり やすいものではなかったという反省に立っての見直しです。今回の評価書の様式の変更においても、 のちほど詳しくご説明しますが、多くの皆様に読んでいただけるように、できるだけわかりやすく見 やすいものに変更しようと工夫をしたところですが、来年度の政策評価書の公表のときの話になりま すが、公表時に合わせて作る政策評価書の要旨をわかりやすく読みやすいものにする、あるいはホー ムページについても政策評価の部分を見やすくして、情報がほしい方がすぐに見られるようにしてい くなど、工夫をしていきたいと思っております。  それに加えて、政策評価の方法、結果について、国民の皆様のご意見を随時メールで受け付けてい くということもやっていきたいと思っております。こうしたわかりやすい政策評価にしていく、ご意 見を随時受け付けることにより、国民の皆様によるチェック機能を働かせようということです。  2頁をご覧ください。いまお話した4点を図でまとめているものです。○のところで4点お示しして おります。担当部局による現状把握、あるいはアフターサービス室による実施状況の把握、効果の測 定の部分については、政策を実施する中でこまめにPDCAサイクルを回していくということで、小さな PDCAサイクルのCの部分の見直しに位置づけております。政策評価書の作成にあたっての有識者によ る評価内容のチェック、国民によるチェック機能については、大きなPDCAサイクルのCの部分の拡充 と位置づけております。これらの4点の拡充により、よりよい施策に改善をしていこうということです。 来年度の政策評価の拡充の4点については以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○篠原委員  これは平成22年度の4月からすぐ、その体制から準備から研修から終わっているのですか。これか らやるのですか。 ○政策評価官  担当部局には、こういったことでやっていきますということであらかじめ伝えて、いろいろ準備は していただいております。現状把握の部分については、例えば調査などを地方自治体でやっていると か、そういうものもありますので、全国厚生労働関係部局長会議のときにも実態把握をしっかりして くださいとお願いしております。  アフターサービス室は7月からということで、4月からはまだ始めないということです。 ○高橋座長  どうもよくわからないのですが、国民、国民と出てくるのがちっともわからないのです。インター ネットで何か書く人だけが国民だという話と、そうではなくて、行政はさまざまな主体に対して施策 を打っているので、役務行政なら役務行政の主体があり、それが全部「国民」という言葉で一括され ていることがものすごく基本的な理解が行われていないと。また梅田委員が何か言いたくなるような、 国民目線と言ったって、国民というのは世の中にはいないですよ。一人ひとりのそれで飯を食ってい る事業者だったり、介護サービスを利用しておられる方だったり。介護サービスを利用しておられる 方は一方で税金も払い、年金も払い、いろいろな利害が重なっているのが国民なのです。それを、単 純に国民と言うなよというのが、少なくとも政治学や社会学や、社会科学をやってきた人間としては、 はっきり言って世論調査の国民だと思っているのです。  世論調査で、意見を抽象化された国民なのです。ところが、行政サービスというのは、個々の生業 を持ち、営みを持ち、必要を持ちということですから、その辺のことがどうも政策評価の肝のところ に触れてこないのは、こういう概念がまかり通ることだと。これは皆さんに言わずに、もう少し別の 方に言わなければいけない話なのですが、常日ごろそう思っています。 ○梅田委員  結構なことです。それは前座です。結構なことだからそれで終わってしまってもいいのですけれど も、あえて言わせてもらうと、これをやるのは結構ですが、全体に満遍にやるのは絶対にやめたほう がいいです。そういうつもりはないと思いますけれども。そういう説明がなかったので、一応建前だ け言われたので、建前どおりやられるはずはないと思うけれども。やれないからね、このとおりやれ ないですよ。座長の先ほどの発言ではないけれども、このとおりやれるはずはないです。だからどう いう年度計画、厚生労働省の仕事だってすごい広範囲で、政策評価ひとつ取っても6、7年経って今の 現状でしょう。だから、これもさらに充実していくのは大変結構です、何回も言いますけれども大変 結構です。  重点的にやるというか、それがいまの政府の重点事項が出てきますよね。重点というか、要するに 同じことをやるのだけれども重点にライトを当ててきますよね、そこと厚生労働省としてスポットラ イトを当てるところが、別に合わなくてもそれはいいのだけれども、先ほどから座長が何回もおっし ゃっているように、作業量とかいろいろなことを考えたりすると、全体に満遍に一律にやるというこ とだけは絶対にやめたほうがいいです。これは無駄な作業になるだけなのです。 ○政策評価官  まさに重点化しながらやっていかなくてはいけないと思っています。例えば、アフターサービス室 が実施状況の把握や効果の測定をする対象施策についてもちゃんとテーマを決めて、全部やるという ことではなくて考えております。 ○梅田委員  やるつもりなのですね。そういう説明がなかったので、これだけ見ると、またまた始まった。大風 呂敷がまたまた始まって、いつ閉じるんだという感じがしてしまうわけです。 ○政策評価官  現状把握の仕方とか、有識者にご意見を聞く仕方なども、柔軟にやりやすいやり方で担当部局にや ってもらおうと思っています。 ○高橋座長  私は先ほどから言っているのですけれども、有識者というのは無識者なのです。しかも、ここで聞 かされているのはフルタイムのシフトをしなさいという話でしょう。アフターサービス室でいろいろ、 そんなのは無理です。要するに、そういうリアリズムがないのです。外部にお願いするという場合は、 どういう形でお願いができたらいいのかということについてのリアリズムが本当にないなという気が しています。やはり、識者の活用の仕方というのは、相当いろいろなノウハウが必要で、しかも本当 に有識者かどうかというのはさっぱりわからないのです。そういうのに最近はいろいろな所で遭遇し ています。だからといって、自分は有識者かというと、天に唾しています。あることについては全く わからないということを、やはりソクラテス的原理というか。  評価というのはまさにそうですよ。だからインテリジェンス相当を、自分は知らないのだからイン テリジェンス相当を集めて、別の角度から見てもらうということだと思います。そういうことを含め て知識論というか、それに関わるような話でもあるし、そういう意味で専門的な知見の集め方という のは古来大問題なので、そういうことを含めてやれることから。要するに、大きな話をきちんと、要 するにターゲッティングをきちんとして、やれることからやって、その実績を積み重ねていくという 愚直なやり方しかないのです。記者発表をして、やりましたというような話ではほとんどないと思い ます。すみません、本日はだいぶ厳しいね。 ○篠原委員  これも失礼な話だと思うのですけれども、いままでこういう会議をやっても、おそらく心としては 我々が追認すればいいと。出したものが機能しない。私は最近いろいろな会議に出ていて、自分は何 なのかという部分。いまは官庁が要求しているのではなくて、社会の要求に機能するかということは、 ある意味では腹が立つことも言わなくてはいけないねという部分。それを活用していかない限りは、 座長が言ったようにいまの社会は変わらないだろうという意識があります。  官も大体持ってきたなという感じを私はなんとなく受けているのだけれども、まさにその活用を考 えないと。知恵を出し合っていてね。だから。無識者が多いという気が私もしているのです。それで は、自分は有識者かどうかと。昔、事務所で笑われたことがあるのですけれども、「俺、有識者と言 われてんだよ」と言って笑ったけれども、やはり何らかの貢献をお互いにしなければいけない。官が 持っているのもすごいのだけれども、我々も少し貢献できるではないかというつもりで入っていて、 それを官も認めてくれないと困るよねと。 ○高橋座長  たぶん市民的感覚というのがあると思うのです。市民社会を構成するそういう話と、それからある 分野に精通したエキスパートという話。それから行政のほうはそういうことを実施するデュー・プロ セスがいろいろあるわけで、それは組織固有のプロセスがあって、そのことに精通した人が必要だし、 それに対応すると民間は民間のさまざまな意思決定のやり方があって、それと突き合わせてみる。だ から、それぞれいろいろな形で噛み合わさらないと物事はうまくいかない。  そこをうまく捌く話は、本当はそれは政府三役がおやりになるそうですが、捌いているのかねとい う話がたくさんあるので、これは速記から削除してくださいという発言が増える理由はそういうとこ ろにあるのであります。 ○菊池委員  既に具体的な議論が出ていますけれども、要望というか何というか、どうしてもいまお話に出たよ うに、上からポンと違うものを入れていくような印象が拭えないのです。例えば(1)のところを見ます と、先ほど本省の負担という話がありましたが、自治体の負担がただ増えることになりはしないかと いう懸念があります。苦情・相談分析というのは、特に福祉。苦情というと、もちろん年金も医療も 各分野ありますけれども、自治体でかなり対応しています。第一次的には自治体の対応になると思う のです。医療の場合も多くはそうかもしれないのですけれども、そのサービス給付に係る部分につい てはすべての自治体がやっているわけではないのですけれども、わりと先進的な所でやっています。 個別の福祉特化型のオンブズマン組織を設けたりなどしています。そういうものとの兼ね合いという のはどうなのだろうかがちょっと気になります。  それから(2)に係るのですが、これはたぶん行政評価局だったと思いますけれども総務省でそういう 自治体の組織を束ねています。そういう組織をつくって、定期的に会合を設けていますし、勉強会も 催しています。そういうものとのすり合わせというのはきちんとなされているのかということです。 オンブズマン組織でも行政一般型のものと、福祉特化型のものがあって、福祉領域に関わるオンブズ マン組織も総務省のほうに入ってそちらでやっていますので、そういうものをきちんとすり合わせを することが必要ではないかと思います。  その中で、先ほども言いましたけれども、そういう自治体の組織では医療は扱わずに福祉サービス です。福祉、所得保障、生活保護も含めますけれども、やはり医療は触れないのです。それは医学的 判断とかそういうのにかかわるので、どうしても行政の苦情解決システムには乗らないというのはど こでもそうだと思うのです。その中で先ほど話がありましたように、何をどこまで扱えるのかという ことです。扱う場合にも、市民から直接国にアフターサービス室を設けて、介護保険の事業者に関わ る苦情を、国がこのアフターサービス室で受けるのが適切なのか合理的なのか。たぶん、それは自治 体に基づいてつくったほうが適切だと思うのです。もう少し細かいサービス、あるいは事業ごとにど こが対応すべきなのか、どこまでできるのか、国はどこまでできるのか。むしろ自治体に任せたほう がいいのではないか。そこまで議論しないと、ただ看板を掛けただけで終わってしまう可能性が強い のではないかという懸念があります。そこは意見です。  もう1つは質問です。評価内容について、審議会等にも諮るというのは、それはそれでその施策の実 態的な中身をある意味でここよりはいちばんよく知っているわけですから、適切な面があると思うの です。各個別の施策との関係で、それぞれチェックしてもらうというのはわかるのですが、やはり全 体に関わるというか、もっと広い制度横断的な視点も必要です。そういうのが、ここの役割になるの かと思うのです。  ただ、ここで評価の仕方とか、評価手法といったことに関して私は専門家ではないのですが、個別 具体的な社会保障なり厚生労働省の実態的な施策の中身の評価にかかわってくる部分と、むしろ審議 会等のほうが適切な面があるかもしれないと思うのです。そこで全体にかかわるような視点が必要な 部分というのは、例えば福祉部会とか何とか部会では足りないような部分、そこはどこができるのだ ろうということです。社会保障制度審議会が廃止されて、私の理解だとその機能は社会保障審議会で はなくて、経済財政諮問会議がそれを受け継いだことになっていると思うのですが、それはもう機能 しなくなりました。それに代わり得るものはどこなのだろうか。私の理解だと、社会保障審議会は、 当初はそういう位置づけでは必ずしもなかったと思いますので、そうだとするとどこなのだろうか。 全体を見渡せるようなところはどこなのか、そこをお聞きしてみたいと思っていました。 ○政策評価官  2つ目のご質問のほうなのですが、政府全体の話としては、まだいろいろと決まっていない部分もあ るかと思うのです。国家戦略室がある程度、そういう国全体の方向性的な部分は担っていくのだとは 思うのです。先ほどの、政策達成目標明示制度も、省庁の縦割りを排除しながら、政府全体としての 目標を立てるというものですので、そういう意味でも、その役割を果たしていくのかと思っておりま す。  ただ、先ほど言われていた政策の中身の話については、まさに厚生労働省ですとここでやっていた だくというふうに考えております。今回は政策評価の見直し、それから実施計画と基本計画について 議論していただいているのですけれども、夏の委員会のほうでは、具体的な政策評価書を見ていただ いて、政策評価の中身についても議論していただいていますので、厚生労働省の政策評価全体のこと については、まさにこの場で見ていただくということになるかと思います。  初めの点については非常に難しい点なのですけれども、地方自治体の協力、あるいは民間の場合も あるかもしれませんけれども、まさにそういう調査をやってもらっているというような場合について は欠かせないと思うのです。なるべく負担をかけない形で、できる範囲でやっていただくという趣旨 でお願いをしているところです。苦情や相談については、厚生労働省のほうにもかなり件数が来てい て、これは必ずしも市町村の苦情や相談だけではなくて、うちのほうに来ている、霞が関あるいは地 方支部部局のほうに来ている相談もイメージして書いているところです。いまは毎週毎週どういう苦 情が来たかということと、その対応について発表をしているのですが、そんなこともやっております ので、そうしたものの分析から、問題があるところについてはアフターサービス室が調べているとい うことになると思います。アフターサービス室のほうで苦情を受け付けるという趣旨ではありません。 既存に来ているいろいろなものについて分析をして、問題がありそうなところについては調べていく ということです。 ○高橋座長  いまの議論は、厚生労働行政の複雑怪奇さとものすごく関係しています。結局、厚生労働行政の中 でアクターのレベルが揃っていないわけです。都道府県対象の場合は、ある意味では都道府県がユー ザーなのです。その都道府県を媒介にして国民がつながっている。その国民の話が全部厚生労働省に 来るというのは異様な話なのです。それが大事な情報だと思うほうが間違いで、それは全部グレった 話なのです。むしろ問題なのは、政府間関係の仕事の世界と、もちろん労働行政の場合はハローワー クは直轄業務だから当然そこを経由して国民までつながっている世界です。  そういうことを含めたアクターの整理をきちんとしないと何から何まで。この間火事があって、す ぐ調査をしろというのはものすごく変な話だと思っていて、あれは北海道庁の責任なのです。北海道 庁がやるべき話を、なぜ厚生労働省がまた言うのだと。これはパターナリズムが残っているからです。 これは措置の時代、国庫補助金を突っ込んでいた時代の幻影が残っているだけで、厚生労働省が基準 を作るというのは仕事だけれども、実態調査は本来都道府県の仕事なのです。だけど、都道府県はそ れが充実しているかというと全然そうではないので問題なのです。そういうことも含めて、何でもか んでも厚生労働省、中央官庁。  実態は地方主権という話で、その矛盾が少なくとも政府間関係の話ではある。行政の関係でもそう で、その辺がすごく入り乱れていて、そういうことを含めた整理をしておかないと、前から評価のと きにその話はずっと積み上げてきたつもりなのですが、それで先ほど私は国民という言葉にケチを付 けたのです。それぞれそういう施策構造のことをきちんと踏まえた仕掛けを作らないと、先ほど言っ たような大混乱になる。  すべてが国民で、文句を言う国民しかいないと思っている節があって、インターネットで苦情を言 う人が国民だと思っている。本来それはさまざまな中間の所が、直接の施策の作用を受ける主体です から、施策作用を受ける主体の議論としてしか本当はやれないのです。そういうことを、国民なり新 聞が理解していただかなければしようがない。だけど、肝心のこのデザインをする方たちのほうでき ちんと理解をされていない節があるというのは大変由々しいことです。最近、組織構造さえわかって いないのだよなと思うことがしばしばです。  地方分権をあれだけやったのに、なぜ相変わらず中央集権的な発言が続くのだ。しかも、それでや れるかと思ったらやれるわけないではないですか。やれるわけのないことを言おうとしている。これ が、ものすごく無責任を生み出していて、逆に言うと国民に誠実でないという感じが非常に強く危惧 をしております。すみません、何か政策評価の話ではないな。 ○梅田委員  政策評価の拡充だし、政策評価の改善だから大賛成ですが、どこを改善しようとしているのかが見 えないです。ちょっと厳しい意見になってしまいますがということなのです。どこが悪くて、どこを 改善しようと思っているのかが見えない。原因究明がないままに、改善策だけ打っている。よくある 行政の姿勢は、とにかく悪いから何か対策を打たなければいけないということで、すぐに対策に行く という一般的な傾向があります。私もずっと役人でしたので、長くそういうことをやっていましたの で痛いほどわかります。  要するに原因です。悪くなっている原因を潰すために対策を打つわけですが、その原因が何か。い ま厚生労働省がやっている政策評価の悪い面はどこなのかということが明確にならないまま、対策を 打っているきらいがあるということだけは言いたいです。 ○高橋座長  診断がないまま治療が行われているという表現でしょうか。 ○梅田委員  ちょっと厳しすぎますけれども、先ほどの議論を本論に戻すとそういうことかなと。だから何を直 そうとしているのか。いや結構ですよ、拡充だし私も政策評価を始めた人間としては大賛成なのです けれども、何を直そうとしているのか。また2、3年経ってそのときに私がもし委員をやっていて、何 だったのだということになりはしないかということなのです。 ○政策評価官  1つは外部の視点がこれまで十分ではなかったということです。自己評価ではあるのですけれども、 中でいろいろ決めていて、そういう評価自体がなかなか外に出ていかなかったという部分を変えてい こうということで(2)とか(3)なのです。  現状把握の徹底については、まだ現状把握自体が不十分で、それに立って評価をするわけですので、 もっとしっかり現状把握をした上で評価をやっていく。(4)は、先ほどの外部の視点とも共通する部 分なのですけれども、政策評価というのはなかなか見えにくいというかわかりにくい部分があったの で、それをわかりやすくして、できるだけ意見を受け付けましょうということです。診断がないまま というのはおっしゃるとおりだと思うのですけれども、いろいろ見直しをしてより良くしていこうと いうことです。 ○篠原委員  私もこの10年間、官に関わって市場化テストを、指名管理者とか、いろいろな新しい制度を見てい ると、いま梅田さんが言ったような、どうもアメリカとか何かのをポコッと持ってきて、現状からこ う来たのではなくてやるから、実際の齟齬というのがわからなくてやっているなということを、私も この辺にいるとものすごく感ずるのです。  そういう意味では、やっとこれは実態がわかるようなものにしたのかと。反省ではなくて、とにか くこれをやらないと実態がわからないではないかという意味で、すごく進んでいるかもしれない。私 は2、3年前から大学の評価でも、くたびれ儲けだねと。すごく一生懸命やっているのはわかるのです けれども、何か形だけやっているのではないのと。本当に求めているものに行っていない部分がいろ いろなところにかかわっています。何かというと、きれい事でポッと来ているから、これをやればい いんだという、まさに梅田さんが言った、日本人は実態から来ていない。イギリスの政策評価を見て いると、サッチャー、ブレア、いまのブラウンは全部ちゃんと改善しています。だけど、日本は新し いのがパカッパカッと来てよくわからない。  実態の話をすると、これは国民なのですが、先ほど言ったように濃淡があります。我々の財務諸表 は利害関係者とか、これも国際公会計のあれでやっているので、1年ぐらい前にユーザーとは誰だろう かという議論したことはあります。おそらく、これは政策とか事務事業になれば具体的に出てくるの だけれども、大きくなってしまうと言いようがないから「国民」と言ってるのかなと。私たち利害関 係者とか、行政サービスの受益者とか、何か国民というと浮かばないのです。 ○政策評価官  実態把握のところなのですけれども、現場の意見を聴くのは非常に大事だと思っております。まさ にいま言われたような受益者とかサービスを受けている方、あるいは提供しているほうも含めて、現 場の意見を聴いていこうという意味で(1)がありますので、そういう趣旨はある程度入っているのでは ないかと思います。 ○政策評価審議官  (4)のところは表現を変えたほうがいい。注を書いたり。「国民」というからちょっと幅広くなりす ぎているのです。 ○高橋座長  国民というのは常に2つあって、タックスペイヤーとしての国民と、受益者としての国民があるので す。ところが、受益者としての国民がものすごく肥大化してしまうのです。それから、あとステイク ホルダーが間に絡むわけです。それで飯を食っている人たちと言えばいいわけです。  それで飯を食っている人たちと、そこに負担をしてお金を出している国民と、そこで受益を受けて いる者と、少なくともその3つは分けないと。その3つが分けられなくてもいいから、分けることを意 識しています、というメッセージは出さないと。このままでいくと、タックスペイヤーは反乱を起こ しますよ。タックスペイヤーを馬鹿にしてはいけませんよ。  それは、3月4日に『週刊東洋経済』で、慶應大学の権丈善一先生が、福祉政策の歴史を紐解いて、 善意と誠意に満ちた政策が地獄を呼び起こした。イギリスの1835年の救貧法というのは大変過酷な貧 困になることは刑務所へ行くようなものだというのは、その前に善意に満ちた、今でいうとベーシッ クインカムみたいな制度を作ったのが大失敗をしてそうなったという話があります。これこそ、歴史 を見るとマクロな意味では巨大な政策評価の話なのです。  そういう議論があるので、いつも受益者だと思っているのです。そこだけは間違わないようにしな いと、負担者としての国民というのが、いつも陰に隠れてしまう。そういうことを含めて、国民の持 っている重層さみたいなものをちゃんと認識しないといけないのではないですか。それは、政策評価 の原点だと思うのです。政策評価というのは、受益者の視点と同時に、税金を払った我々の視点から、 それが効率的にやられているかどうか、不適切でないかという話です。  それから、そのサービスが初期の目的をターゲッティングされて、ちゃんと需要を満たしているか という、その2つをどうバランスするかというのは、いつもイロハのイのメタ政策評価論なのだけれど も、そこがどこか忘れられて形式化してきてしまうというのが、いつも気になって気になって。  もう1つPDCAサイクルというのは合理主義モデルなのです。ところが、最近うちの学生が合理主義 モデルの限界という、要するに緊急対応は合理主義ではいかないという話をしていて、政策の中でも さまざまな形でPDCAが効かない世界が相当ある。インフルエンザ対策などはPDCAは効かないです。そ ういうことを含め、モデルそのものもこれが絶対ではないです。政策目的に応じて、どういうモデル を選択するかというのは結構大事な議論なのです。その辺も含めた整理をされたほうがいいと思いま す。  とりわけ厚生労働行政というのは災害対策を含めて緊急対応がありますから、そうすると必ずしも PDCAだけではうまくいかない。そういうことを含めた議論の精査をされたほうがいいと思います。も う少しいろいろあればお願いいたします。 ○本田委員  単純なことなのですが、(4)の国民によるというのは、確かに先生方がおっしゃるとおりだと思って います。ホームページでこういう政策評価のことが議論されていて、こういうことがまとまっている ということは、全くどこにあるのか私にはよくわからないのです。なお言うと、厚生労働省のホーム ページは検索も厳しいですし、なかなか使い勝手も悪いですので、そういう意味ではこれを機にきっ ちりしていただくのは大変意味のあることだと思います。受益者にしろ、タックスペイヤーにしろ、 どんな立場の人でも、まず情報にアクセスしやすくするというのは最低限のことだと思うので、それ はやっていただきたいと思いました。 ○高橋座長  ものすごく大事なことで、情報にアクセスできるようにする。それもインターネットだけかという 話になるのですけれども、少なくとも現代の社会ではインターネットがいちばんコスト、効率、アク セシビリティという意味ではいいからそうなるのだけれども、常にそれが完全ではないということも あります。だからといってほかに良い手段があるかというと、冊子を配ってここの下に置いておくと いうわけにもいかないので、そういう意味でいえば、是非マスコミの活用ということでご協力もいた だくような、魅力のある政策評価とは何かというと、地味な世界だからなかなか記事にはならないの です。 ○本田委員  ただ、最近私はがん対策とか、医療政策の分野で、いろいろな患者の団体だとか医療者の方々と議 論することが多いです。患者団体というのは受益者かもしれませんけれども、一方で医療費負担、保 険料負担、税負担もやっているという視点も持ちながら、最近そういうことを議論する方々が少しず つ増えています。そういう方々は、いろいろなホームページや資料を見ているのですが、この政策評 価があるということはほとんど知られていません。  例えば、がん対策がこの中でどう評価されたのかとか、そういうことをやっているということも全 く知らないと思いますので、そういう方々に少しずつ見ていただく。そういうことで草の根ではない ですけれども、興味のある方から見られるような体制が必要だと感じています。 ○高橋座長  それでは、具体的な見直しのことについて、いままでは総論的な説明を政策評価官からしていただ きましたが、具体的な政策評価に関する基本計画・実施計画の見直しについての説明をお願いいたし ます。 ○政策評価官室長補佐  資料3-1、資料3-2、資料3-3を用いてご説明させていただきます。厚生労働は行政評価法に基づい て、さらに基本計画(資料3-1)、実施計画(資料3-2)、実施要領(資料3-3)の3つの階層でどの ようにやるかを決めているところです。それぞれご説明させていただきます。  資料3-1の基本計画です。いろいろな表現はこれを機会にわかりやすく直したところもありますが、 内容について変更といいますか、追加等をしているところにだけ下線を引いております。基本計画の ほうに加わっていますのは、税制の関係の事前評価が加わる話とか、用語の修正等です。最初に修正 箇所が出てくるのは6頁です。5頁から始まり、事前評価の対象となる政策を全部挙げているところで す。こちらにホとして、租税特別措置の事前評価が始まりますので、その点を入れております。関連 する注釈等も追加しております。7頁では税が出てきますので、関係課として査定課を追加したりして おります。  8頁は大きな修正ではなくて用語の話です。第7の1の(1)のイのところですが、厚生労働省では政 策体系を設定して、その体系に沿った評価をするのを基本としております。いままで「基本目標」 「施策目標」「個別目標」という表現を使っておりましたが、階層がちょっとわかりにくいのではな いかということがありましたので用語を見直しました。「基本目標」「施策大目標」「施策中目標」 「施策小目標」という言い方をすることにしております。  いままでも、施策中目標、施策小目標ごとに指標を設定していて、なおかつその指標を設定する際 には、この年度中にはどこまで辿り着きたいという目標値を設定しておりましたが、その点に関する 記述が基本計画上ありませんでしたので追加しております。  ロとして、評価の単位を入れております。こちらも、これまで施策目標ごとに、いままでは施策目 標の枝という単位で評価を行う形にしておりましたが、用語を改めますと施策中目標に当たるもので すが、そういう評価の単位を混乱がないように明示したものです。  9頁で変更を加えておりますのは、ニに関する部分です。先ほどご紹介した政策体系に基づいて、ど の事業について実績の評価をしてもらうとか、今年度は評価ではなくて指標だけのモニタリングをす るということを決めていきます。その決める際の指針として、ニに[1][2]と掲げております。例えば、 施政方針演説で示されたような、重要性の高いものについてはちゃんと実績評価をしましょうという ことを掲げておりました。いままでは骨太の関係の記載をしていたところですが、新政権になり、経 済財政諮問会議が動いていないということですので、要件から骨太関係を除く修正をしております。  10頁も用語の修正等です。(5)のところに、「法第7条第2項第2号に規定する政策」というのがあ りましたが、これだけでは何を意味しているかわからないだろうということで、実際その意味すると ころは何かという注釈を盛り込んでおります。  11頁は、社会保険庁の実績評価に関するところです。社会保険庁については、実施庁評価として、 この評価委員会の下に置いているワーキンググループのほうで評価をしていただいておりますが、年 金機構のほうに移行いたしましたので、その関係の修正をしております。日本年金機構については、 また独自の評価を別の組織でやることが決まっておりますが、社会保険庁時代の実績でまだ評価を受 けていないものとして、平成21年度の12月末までのものがありますので規定は残していて、「社会保 険庁」と書いているところを「日本年金機構」に直すなどの修正をしています。基本計画についての 修正は以上です。  実施計画について、資料3-2のご説明をさせていただきます。こちらも基本的には税の関係の修正を しております。それから、これまでやっていたけれども、明示的に入れていなかったものをわかりや すくということで盛り込んでいるという修正をしております。例えば、3頁の8として税関係を追加し ております。真ん中辺りの第5ということで、こちらもいままでやっていたものですが、平成22年度 の政策評価は平成21年度の実績を評価するものではありますが、こちらの計画において平成22年度中 にどういう目標を立ててやるのかを、昨年度以降しっかり設定しておりましたので、その関係の記載 を設けています。  5頁の上のほうですが、これは先ほどご説明いたしました平成22年度以降の改善の(3)に関する部分 です。有識者に見ていただいた場合には、その旨を評価書に明記しましょうというものを盛り込んで おります。本文のほうは以上です。  実施計画の中に別紙として政策体系が盛り込まれております。皆様には、A3判として別立ての資料 をお配りしております。こちらは、これまでの政策体系の様式と一部変えておりますのでご説明させ ていただきます。いままでの政策体系では、「責任課室がどこか」ということは書いてありませんで したが今回は盛り込んでおります。A3判に[1][2]と上の欄があります。[2]として「責任課室(課室長 名)」という形で盛り込んでおります。[5]に「目標達成手法」という欄を設けております。これは、 これまでも主な事務事業ということで、夏の評価をするときに、評価を個別に行うような事業などを 掲げてきたところですが、今回、政策の全体像をつかむには予算事業だけではないだろうということ で、目標を達成するための手法として考えられるもの、デイとか、介護保険制度の見直しということ についてもきっちりこの表に入れ込んでいただき、これをご覧になった方が、厚生労働省はこの目的 のために、こういう手法をいろいろ展開しているのだな、ということを理解していただけるような狙 いをもってこの様式を修正しております。  目標達成手法の欄のところに「◎」になっているもの、「●」になっているもの、「・」になって いるものがあります。「◎」になっているものは、現時点において、個別に評価をしようという予定 をしているものです。実際に評価書を書く段階の状況を見て、先ほど第1部でといいますか、いちばん 冒頭でご説明いたしましたような、行政事業レビューとかいろいろな動きがありますので、もしそち らで取り上げられたものは、そちらで取り上げたものを評価するというように、同じ様式をそのまま 使えるような工夫があればしようと思っております。実際の評価を行うのはまた別の事業になってく ることもあります。「●」は税制の関係です。  情報として追加しておりますのはいちばん右の「最新値」というのを設けております。これまでの 政策体系では目標値までは書いておりましたが、ご覧になっている方はこの目標値が適正かどうか判 断できなかっただろうと思いますので、最新値として、いまこういう目標を立てているのだけれども、 最新の状況はどうかというのが一覧でわかるような工夫をしております。  これまで、この様式のいちばん最後のところに、「今後、事情変更とかを受けていろいろ変更する 旨があり得る」という記載があったのですが、場所がわかりにくいということで戻っていただきまし て、資料3-2の2頁の上のほうに「政策体系に基づき」から始まる文章の2行目の後ろのほうの「な お」以下です。「なお、別紙1に示す指標、目標値、事務事業等については、評価書作成時に、より適 切な評価を実施する等の観点から必要があれば、追加等を行うこととする」という記載を、いままで は別紙の中に溶け込んでいたものを、はっきり示しておこうということで本文に盛り込む形にして修 正しております。以上が実施計画です。  次に実施要領のご説明をさせていただきます。実施要領のほうは、具体的な様式等を定めていると ころです。今回、実施要領についても、作成部局の負担を極力軽減しようという観点から、基本的な 理念等を前に括り出すような修正をしております。資料3-3の1頁の第1章総則です。これまで総則中 に書いていたのは、基本計画、実施計画、あとは本実施要領で評価していきますという内容だけだっ たのですが、今回は2として全体像がわかるように、政策評価の対象と評価の実施方式を作って付けて おります。  図1、それから3の評価書作成上の留意点として、記入する際にいろいろ注意することはあるのです が、根本として守っていただきたい点を書いてあります。こちらにもうるさく「国民」というのが出 ておりますが、タックスペイヤーである国民が、自分たちの税金を使っていることについて納得が得 られるような情報をちゃんと出していこう。また、調べたいと思った人が、この評価書を読めば、ど こに行けばちゃんとその原典資料が得られるというようなことがわかるようにしよう。そもそもなの ですが、評価をするに当たり、その評価の内容が対外的に説明がちゃんと立っていられるものになっ ているかどうかを留意しながら作成してくださいということが書いてあります。  2頁では用語の定義として、これまで実施要領中に散らばっていた定義をまとめて示すような修正を しております。  3頁の第2章以下は、政策評価はいろいろな評価の方式がありますが、その様式ごとにいろいろ書い てあります。例えば第2章については、いままで実績評価の実施要領だけで、モニタリングについては 別の章を立ててやっていたのですが、実際に作業をしている所から、実績評価とモニタリングの違い がわからないという苦情が寄せられていました。実際は政策評価体系の中で評価書を書くか、それと も今回は評価書を書かずに指標を見ていくかという、その裏表的な関係がありますので、第2章として まとめて示す形にいたしました。  内容については基本的に変更はないのですが、内容を変えているところだけご説明させていただき ます。2の(2)の評価対象事業の選定の関係です。昨年度から政策評価については個別の事業もいくつ かピックアップして評価することを始めております。その事業の選定の基準を一部修正しております。 いままではABCという形にしていましたが、Cのほうに旧政権で取り組んでおりました「無駄ゼロ指 摘」を入れておりました。最近では、省内で事業仕分けをしようというのがいちばん関連が深いもの になりますので、例示をそちらに変えることをしております。そのほかには4頁で、平成22年度から の見直しのところで、有識者からの意見聴取を行う旨をご説明いたしましたが、その関係のことの記 載を盛り込んでおります。あとは大きな修正はありません。以下同じようなことが、各評価方式ごと に続いております。  実際の様式をどう変えたかの説明を最後にさせていただきます。評価書の様式も、それぞれの評価 手法ごとにありますが、皆様に見ていただいております実績評価書の様式の修正についてご説明させ ていただきます。資料の途中から別紙1となっております。10頁まで本文が続いていますので、11頁、 12頁辺りになりますが、別紙1として様式を付けております。改善点として、実績評価書の後ろに括 弧して(平成21年度の実績の評価)ということで、いままで評価をする年度がいつなのかは書いてい ましたが、対象としている期間がどこなのかというのを明記しておりませんでしたので、そちらを明 記しております。担当課室は明記しておりましたが、課室長の名前までは入れておりませんでしたの で、そちらを修正しております。政策体系上の位置づけのところは図式化をして、視覚的にもわかり やすくしようということを考えております。  1頁の下のところに(予算書との関係)と書いてありますが、政策評価は予算書と対応させて、予算 書の大事項と呼ばれているものと対応した単位で評価を行っております。いままでは、具体的に予算 書でいう何というものに当たるのかを書いているところがありませんでしたので、そちらを導入して おります。  2頁では、実際の予算との関係で、いままでは個々に取り上げた事業ごとに予算の推移がどうなるか を出しておりましたが、まさに評価をしている政策そのもの全体の予算額の推移等を出しておりませ んでしたので、そちらを示す形にしております。新規的な修正としてはこちらを行っております。  9頁で6として、施策の随時の見直しとして来年度からやろうと思っている現状把握について書く欄 を設けております。アフターサービス室のほうは、本年7月からの設置予定ですので、今年度夏に見て いただく評価書にはアフターサービス室のことは言及がないと思いますが、来年度以降の評価書では、 例えばアフターサービス室で得たような状況についてもこちらに書き込んでいく形にしたいと思って おります。9頁の下のほうで、「有識者の知見の活用について」を書く欄を設けております。  以上が様式の修正なのですが、具体的なイメージとしては別紙1-2の記載要領をご覧ください。こち らは、評価官室のほうで実験的に書いているものです。中に書かれている事業の解説などは真実であ るとは言えませんので、そちらはご留意の上ご覧いただければと思います。当室として、例えば事業 の評価をするに当たってはこれぐらいの分析はしていただきたいということがわかるといいと思って 書いているところです。  物事を理解していただくときには見やすさも重要だと思っていて、改頁などの細かい指示も今後は していこうかと思っております。文章のほうも基本的に箇条書きにしたいというような修正を行って おります。  前後してしまうのですが、この綴じているものとは別に、事業評価シートをお配りしております。 こちらは、実績評価を行う際に個別に取り上げた事業について書いてもらうシートです。ベースとし ては、昨年秋の行政刷新会議で使われた事業シートを基にしております。我々は刷新会議の議論を聞 いて、我々が反省点だと思うようなところを追加して整えております。  これはA面とB面がありますが、A面の下のところで予算案の説明をするところがあります。一般会 計、特別会計の別があれば書きましょうということ。B面では、アウトプット、アウトカムという括り を分けて実績を出したり、達成目標について言及したりするのを書いております。いちばん下の特記 事項のところに、我々が考えております事業の評価は、施策目標を達成するための事業ですので、そ の事業だけではない、ほかの要素でいろいろ目標が達成されたりということもありますので、そうい う注釈についてこの特記事項に盛り込んでいく内容になっております。  こちらは会計課と十分調整をして作っているものです。今後どうなるかわかりませんが、省内で事 業仕分けをするとか、先ほどの行政レビューをするというときには極力といいますか、いまの時点で はこの同じシートを使って評価をして、特に負担がないようにしようということを考えております。 長くなりましたが以上です。 ○高橋座長  結構膨大な説明でした。かなり細部にわたるものですが、何かありましたらお願いいたします。 ○篠原委員  資料3-1の8頁の下から5行目ぐらいのところに、「指標の設定に当たっては、目標値として達成水 準及び達成時期を定めるよう努める」と書いてあります。評価の単位を原則とすると。最近テレビを 見ていると、官庁用語として「努める」と言うのですが、ここはもうちょっとキュッとしたらと思う のですが、あえて「努める」にしているのですか。 ○政策評価官室長補佐  こちらは、例えば麻薬監視官の実績を評価するときに、どれだけ摘発したかということを指標とし て設定する場合があります。これは、目標値としてどこが目標なのかがわからないところがあります。 そういうものがあるので「努める」という表現にしております。ここを「定める」としてしまいます と、必ず何か置かなければいけないということになります。そのために「努める」としているところ です。 ○篠原委員  そのころあいというか、私たちが受け取るのと、そちらで書いた意図がわからないのです。これで 逃げられてしまうかもしれないという不安があるから質問しただけなのです。 ○梅田委員  私がたくさんしゃべってしまって、失礼の段お許しいただきたいと思います。期待というか、是非 ここの制度を充実して、いま具体的にいろいろ説明を聞いて、これから外部の人というか、第三者と 言ったり外部と言ったりいろいろしますけれども、要するに役人以外の人、政治家を含めるかどうか は別ですけれども、要するに外部の人からいろいろな場で指摘を受けたときに、こういう改善をする ということは、きちんと説明ができるということであって、その政策の当否は議論のあるところであ ります。なにも外部の人が言うことが全く正しいかというとそうではなくてそこは議論なのです。  ところが、昨年暮の仕分けをテレビでやっていて、厚生労働省があるかどうか知りませんけれども、 説明できないところをマスコミで強調されてしまったのは非常に悲しかったです。せっかく政策評価 を、ベストではないと先ほどから何回も言いますけれども、6、7年いろいろやってきたのに、優秀な 行政府がなぜ説明できないのか。マスコミの扱いはどうか知りませんけれども、実際に私はそこにい たわけではないから知りませんけれども、こういう改善をしたら、少なくとも説明はきちんとできる。 当否の議論は別であって、是非の議論というか。是非そういうのは期待したいと去年の仕分け以降思 っていました。 ○篠原委員  私は、仕分けに5日間通いました。冗談で、役人をどうやって攻めるかの口がよくわかりました。そ れは別として、いままで役人は、私どもはこういう法律においてこうやっていたと。それ以上のこと はあまり言わなくてもよかったのではないか。ところがあそこでの質問とか、我々がいろいろな委員 会で質問するのは効果とか、よりコストが安いとか、違う観点があるので、おそらく官の場合は説明 が難しいのではないかと思うのです。 ○梅田委員  政策評価をやるということは、それをきちんと説明するためにやっていたはずなのに。 ○篠原委員  そうなのです。 ○梅田委員  完璧でないことはわかるのだが、部分的にしどろもどろになったりするのはいいのだけれども、そ のために良くも悪くも政策評価をずっとやってきたわけです。 ○篠原委員  そう思います。 ○梅田委員  それなのにというところを本当に最後は期待したいのです。 ○高橋座長  梅田委員のご発言をもう少し言えば、ここでやっている実績をちゃんと説明人に伝えていただくこ とが重要だと。たぶんその上での話にしてほしいということです。その辺が説明される方たちにきち んと。政策評価の認識そのものが従来の話で、まだ血肉化していないからという側面もあるだろうと。 そういうことを含めて、政策評価官室の鼎の軽重をこれから問われ続けるであろうと。  一方でプレゼンテーション技術が拙劣だというのは、大学教師の授業もそうで、いつも学生たちに 怒られている世界であります。授業評価というのがそのうちにありますけれども、そういう世界と2つ、 いま梅田委員が指摘されたことと両々相俟ってきちんとした説明能力のある行政官を育てていく必要 があると思います。 ○梅田委員  そうなのです。もう一言言わせていただきますと、評価というのは政治レベルの話ではないという のが基本です。いまの日本の法律では行政レベルなのです。だから政治上で議論することは、それは 政治レベルで議論すればいいことであって政治の話なのです。それが、何か政策評価と混同している。 ○高橋座長  本日の話を全体に整理すると、カテゴリー論をちゃんとやってほしいと。要するに、どこの世界で やられることなのかということをちゃんとやってほしい。そうしないと、本来の政策評価に期待され ていることが歪められてしまうのではないかという警告というか、危惧に基づくご発言が多かったと いうのが、改めてそんなことかなと思って整理させていただきます。ほかに委員の皆様のご発言がな ければ、これで事務局のほうにお返しいたします。今後の予定等があればお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今後の予定ですが、本日ご審議いただきました平成22年度に実施する政策評価については、本日の ご議論も踏まえて年度内に計画を策定し、評価書の作成に向けて作業を進めてまいりたいと思います。 なお、実施要領など、本日配付した資料についてはさらに精査を加えていきたいと思います。文言な どのいろいろな修正があるかもしれませんが、その点はお含みおきいただければと思います。  次回の有識者会議は7月を目処に開催を予定しておりますが、具体的な日時等については追って事務 局よりご連絡させていただきます。 ○高橋座長  本日はどうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 連絡先:03−5253−1111(内線7780)