10/03/25 第18回 医薬品・医療機器等対策部会議事録           第18回 医薬品・医療機器等対策部会 日時 平成22年3月25日(木)   14:00〜16:00   場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから、「第18回医薬品・医療機器等対策部会」を開 会いたします。本日の部会は、従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。 カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々にお かれましては、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。本日ご出席の委員の 先生方におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうご ざいます。本日は本部会委員14名中11名の出席をもちまして、部会を開催させていただ きます。  なお、木下委員、原田委員、中尾委員は欠席との連絡をいただいております。前回の 部会以降、委員の変更がございましたのでご紹介いたします。日本製薬団体連合会の大 澤委員に代わりまして、大西由明委員でございます。それから、事務局に変更がありま したので、紹介いたします。医政局総務課医療安全推進室中野滋文室長でございます。 この先、議事進行は外部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○外部会長  よろしくお願いします。それでは議事に入ります。始めに事務局から資料の確認をお 願いいたします。 ○事務局  配付資料の確認をいたします。お手元にお配りいたしました資料、一番上に座席表。 次頁が第18回医薬品・医療機器等対策部会議事次第があります。次頁が配付資料一覧、 その次が委員の名簿になっております。  資料1「第30回・31回ヒヤリ・ハット事例等収集結果−医薬品−」。それから別添1と しまして、ホチキスで止めた資料があります。その後、参考1と右上に書かれたホチキ ス止めの資料があります。資料2「第30回・31回ヒヤリ・ハット事例等収集結果−医療 機器−」、それから同じく別添1のホチキス止めの資料があります。右上に参考1と書か れた資料があります。次に資料3-1と右上に書かれたホチキス止めの資料です。1頁資料 3-1。5頁資料3-2次に19頁資料3-3、29頁資料3-4、43頁資料3-5、47頁資料3-6、51頁資 料3-7、55頁資料3-8になります。続いて、資料4ですが、59頁に資料4-1、60頁資料4-2、 そして資料4-3が61頁になっています。それから、参考資料としまして、当部会の設置 要綱が付いております。資料は以上です。過不足等がありましたら、お申し付けくださ い。 ○外部会長  資料はよろしいでしょうか。それでは今日の議事次第に沿って議事を進めてまいりま す。まず、本日の議題は検討事項が2つ、そして報告事項がその他1つということになっ ております。最初に検討事項の1.「第30・31回医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果に ついて」です。事務局より説明をお願いします。 ○事務局  資料1をご覧ください。本報告は独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、医薬品の 使用方法及び名称・包装等の物的要因の観点から、財団法人日本医療機能評価機構がホ ームページ等で公開している医療事故情報収集等事業の第17回・第18回の報告書の中に ありますヒヤリ・ハット事例記述情報及び医療事故事例の概要について、報告したもの です。なお、第30回ヒヤリ・ハット事例は、報告書の第17回に、第31回ヒヤリ・ハット 事例は、報告書の第18回報告書に掲載されています。  第13回ヒヤリ・ハット事例までは厚生労働省において収集分析を行ってきたことから、 報告書の回数とのずれが生じています。内容につきましては、別添の1)、2)、3)、4)と いたしまして、4つの分類に分けて、事例を掲載しています。別添1)及び2)に関連して、 それぞれ参考資料があります。  次頁、今回のヒヤリ・ハット事例等の報告の内容になります。【第17回報告書】の1) 医療事故関係につきましては、平成21年1月1日〜3月31日の間に報告された事例、2)ヒ ヤリ・ハット関係につきましては、平成20年11月11日〜平成21年2月9日の間に報告され た事例となります。【第18回報告書】の1)医療事故関係につきましては、平成21年4月 1日〜6月30日の間に報告された事例、2)ヒヤリ・ハットの関係につきましては平成21 年2月10日〜平成21年5月11日の間に報告された事例です。  医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包 装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代 表等の委員から構成される総合機構での医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討し た内容を報告いただいたものです。今回の調査報告によりますと、報告書中の記述情報 は全例で201例です。その裏面ですが、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等によ る対策が必要又は可能と考えられた事例、製造販売業者等により既に対策が取られてい るもの、もしくは対策を既に検討中の事例、ヒューマンエラーやヒューマンファクター に起因すると考えられた事例、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考え られた事例の4つの事例に分けまして、各報告書の件数を掲げた表です。  今回医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられ た事例は3件でした。また、製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もし くは対策を既に検討中の事例は5件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因 すると考えられた事例は157件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考 えられた事例は36件でした。検討調査の結果については横表になっている別添1をご覧 ください。  1〜3頁はいずれも第18回報告ですが、ノルバスクとノルバデックスの名称類似に起因 する事例となっています。1頁、事故事例として報告された事例で、ノルバスクを処方 したつもりで、ノルバデックスが処方され、患者に投与されています。2頁、ヒヤリ・ ハット事例として報告された事例で、緊急受診した患者に対して、降圧剤のノルバスク を1日分処方するところ、ノルバデックスが処方され、患者が2回分内服しています。こ の事例においては、薬剤師が男性患者にノルバデックスが処方されたことから電話にて、 疑義照会がなされていますが、医師との意思疎通がうまく図れずに、結果として誤投薬 が防げなかった事例となっています。  3頁、ノルバデックスが処方されたが、ノルバスクが調剤、交付され、病棟にて発見 された事例です。ノルバスクとノルバデックスの名称類似性については、これまでも通 知により医療機関に一層の注意喚起をしており、製造販売業者においても誤投与防止の ために製品に対する情報提供を実施しているところですが、繰り返し同様事例が報告さ れていること、また、企業においては患者の安全を最優先に考えた、医療安全を確保す るための積極的な取組みが求められていることから、対策が必要と分類されています。 再発防止の観点から、名称変更が必要であるとの調査結果となっています。  今般の3例の事例を踏まえて、この資料1の後ろに付けています参考1をご覧ください。 こちらにありますように、両薬剤を対比させた注意喚起文書を企業より本年1月から医 療機関、医療従事者宛に配付を開始しています。さらに医療現場からの事故防止のため の意見聴取等を新たに実施して、今後の対策を検討いただいているところです。  続きまして、横表4頁、別添2となりますが、4〜7頁までの4事例は、いずれもガベキ サートメシル酸塩製剤が高濃度で投与されたことにより、注射部位等に静脈炎や硬結、 潰瘍・壊死を起こした事例です。資料1の後ろにあります参考資料2をご覧ください。各 製造販売業者より医療機関、医療従事者に向けて、濃度を0.2%以下にすることについ て、このような注意喚起文書を配付していまして、既に対策が取られているとの分類が なされています。  続きまして、横表8頁ですが、週1回服用のリウマトレックスを連日服用していた事例 です。病院を1つにまとめたいと患者さんが考えられまして、紹介状なしで整形外科へ 受診し、お薬手帳を参照して前医同様の処方をし、これまでどおり服用するよう説明さ れていますが、リウマトレックスが医師の指示どおりではなく、連日服用していたこと がわかった事例です。抗リウマチ剤メトトレキサート製剤については、通知により、包 装・表示等の改良を行うことや医療機関に誤投与防止の注意喚起をしていただいている ところです。なお、当該製造販売業者においては、誤投与防止のために、2009年2月よ り包装デザイン変更品を出荷しているところから、既に対策が取られているとの分類に なっています。  9頁からは別添3としまして、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると 考えられた事例となりますが、時間の関係で説明は割愛させていただきます。なお、血 管外漏出、造影剤アレルギー、薬剤間違い、薬剤量間違い、速度間違い、対象者間違い、 用法・用量間違い、その他としまして、項目別にまとめてあります。  81頁からは別添4としまして、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考 えられた事例となります。1番は第17回の事故事例として報告された事例で、アミグラ ンドにコンクライトCaを混注し、投与2時間半後、患者が呼吸苦を訴えた事例です。輸 液ライン内が白色化していたことから、アミグランドとコンクライトCaの配合変化によ るものと考えられますが、配合変化と患者の呼吸苦及び死亡との因果関係等の詳細な情 報が不明であり検討困難と考えられた事例です。2〜6番は抗ガン剤の血管外漏出事例と なっていますが、手技を含めた原因等の詳細な情報が不明であり検討困難と考えられた 事例です。  続いて、7〜30番まではその他としまして、薬剤の副作用症状と考えられる事例など となりますが、いずれも詳細な情報が不明であり、検討困難と考えられた事例となりま す。  97頁からはヒヤリ・ハット事例として報告された事例です。1番は速度間違い事例、 2〜4番は抗ガン剤血管外漏出、5番は点滴漏れ事例、6番はその他の事例となっています が、こちらもいずれも詳細な情報が不明でありまして検討困難と考えられた事例となっ ています。資料1については以上となります。 ○外部会長  医薬品ヒヤリ・ハット、そして事故事例について、ご説明がありました。今回は名称 類似による取違え事例、特にノルバスクとノルバデックスの類似している薬品事例があ り、それに対する今回の調査結果と対策がこのように示されております。又、ガベキサ ートメシル酸塩製剤の高濃度投与事例そして、抗リウマチ薬メトトレキサート製剤の使 用方法間違いで、それぞれ調査結果と報告が示されました。あとヒューマンエラーの事 例が非常に多いですね。そこにも何らかの問題が含まれているのかもしれません。今回 のこの検討結果の調査結果については、委員の皆様からご意見ございませんでしょうか。  まず、ノルバスクとノルバデックスです。随分前から名称類似については注意喚起が なされ、いろんな薬物の名称類似についての指摘があるわけですが、抗ガン剤のノルバ デックスとノルバスクについては以前にはあまり報告がなかったのでしょうか。そして、 最近、なぜこういうように出てきているのでしょうか。 ○土屋委員  私どもも、これについては、2番目の例がそうでありますが、普通、疑義照会をかけ やすいものですから、たしかに名称は類似しているのですが、ノルバデックスが出たと きには、ノルバスクの処方違いではないかということを前提に疑義照会をするというこ とで、それを少し織り込んでいますが、今回、疑義照会したにもかかわらず、それがそ のままいってしまったというのは、ちょっと残念な事例です。1の事例も2の事例も結局 オーダリングシステムの問題といえば問題なのですが、基本的にオーダリングシステム の持つ意味を少し考え違いをしているといいますか、そもそも頭3文字で入れるという こと自体は、決して安全な選び方ではありません。50音で並べておいたら、隣の薬と全 く違う作用の薬が入っているということは当然ありうるわけでして、我々は以前から、 こういう3文字入力というのは、これは以前いろいろと計算をしまして、2文字入れたと きにブランド名が1つになる確率が11%、3文字だと67%、4文字入れると、91%になる ということから、利便性と安全性を考えて、せめて3文字入力はすべきではないかとい うことを言っているのですが、それが何か安全基準のように、3文字を入れたら安全だ というように取られているというのは、そこは注意喚起をしなくてはいけないのかなと 思います。  当然、以前問題になりましたサクシン、サクシゾンとか、タキソール、タキソテール もそうですが、このように3文字で違っているというものは当然あるわけですから、そ れに対しては警告画面を付けるようにしなさいということを一応推奨しています。それ に伴う費用というのは、ほとんどかからないというわけですので、確実にまず警告画面 を出すということが本来、医療機関側で取れる対応であると。ところが、今度はそれに 対してさらにサクシン、サクシゾンのときはそうだったのですが、こういう場合に、特 にノルバスクについては当然併売品、あるいは後発品が出ていますので、それに切り替 えるということが対策として取ら れるのですが、それを取ったときに、今度は逆に先生が相変わらずノルバスクを出そう として、「ノルバ」とやると、注意喚起もいかないまま、スルーしてしまうというのが、 このオーダリングシステムが持っている欠陥ではないのですが、そうならざるを得ない 部分があります。そういった、自分のところがほかのものに替えて対策を取ったという 安心感が、逆に落とし穴になっているという事例があります。  従いまして、この調査結果では名称変更が必要であると言っているわけですが、病院 側としてみれば、そのほかに製品を変えるとか、そういうことは今はできるわけですか ら、そういう対策を取るが、ただしその取ったときにも入力が相変わらず「ノルバ」と 入れてしまったときに、それでノルバデックスにならないような注意喚起をするような 仕組みを作っておかないと、この手のものは、あのサクシン、サクシゾンがそうだった のですが、取った対策がA病院とB病院では全く逆だったために、逆に医師が移ってき たときにそれでスルーしてしまったということがあります。こういったときには、オー ダリングを使う上での注意事項、もちろん製薬企業に対する注意事項もありますが、医 療機関に対して、オーダリングを使う場合には、「こういうことを注意しなさい」と言 わざるを得ないのかなという気がします。 ○外部会長  この件についていかがでしょうか。ノルバスク、ノルバデックス。非常に類似してて、 あたかも同じように聞こえてしまうのですね。これは健康被害という意味では、乳癌治 療薬、抗癌剤くらいですが、高血圧で癌の患者さんにこちらの降圧剤が入ると、やはり 血圧が下がり過ぎて重篤になる可能性もありますね。逆の健康被害というのは、そんな に大きくないのでしょうか。 ○土屋委員  おそらく、ノルバスクのところにノルバデックスを処方した、あるいは調剤してしま ったという場合には報告が来ると思いますが、逆の場合というのは、なかなかわからな いので、結局その次の調剤があったときと、あるいはその次の処方があったときに何か 前回と違うんだけどというような形で、気がつくということはあるかと思いますので、 やはりこういう事項には名称類似にも方向性があり、より危険なほうに行ったときには、 実際患者さんに対して被害、もちろん効かなかったという意味では被害があるわけです が、やはりそういったところがあると思いますので、報告としてはノルバスクを出すつ もりがノルバデックスを出してしまった、あるいは調剤してしまったという報告は上が るけれども、この3番目の例は逆でも上がっていますが、逆の場合は、基本的にはあま り上がってこないのかなという気がします。 ○外部会長  いかがでしょうか。これについては、参考1でこの1月に「注意のお願い」という文書 が出ております。あと、医薬品に関する事例がありますが、何かご意見はございません か。 ○北澤委員  質問してよろしいですか。ここで名称の変更が必要であると考えると調査結果として 出ているのですが、実際に名称の変更を企業はいま考えているのですか。 ○安全対策課長  本件のような指摘の事例も今回出ているということもありまして、まず企業の対応状 況について、直近でも確認しているのですが、名称の変更をすぐさま行うという段階に はありません。ただ、この1月にこういう形の注意喚起を行っているものですから、お そらく、大体この4月に医療現場でも新しい方がいらっしゃって、新人がいろんなこと をやるという、そういう時期を迎えるときにまずは注意喚起をして、こういうものに対 する認識をちゃんと持つ機会を持って、それで実際に今後こういう事例が本当に減るの かどうかということを少し評価をする必要もあるのではないかということです。  そうは言っても、毎年こういう注意喚起をくり返しやり続けることが本当に効果的な のかと思います。医療現場における、いろいろな注意をしなければいけないこともほか にたくさんあるものですから、できるだけ注意しなければいけないことをたくさん背負 わせることは、いけないだろうということもありますので、抜本的に名前を変えること によって、そういう負荷がグンと軽減できるのであれば、そうすることもやったほうが いいということも十分考えられます。ただし、急激に名称を変えると、先ほど土屋先生 がおっしゃいましたような、前の名前のイメージが残っていて、取り違えるというよう なパターンもあるので、仮に変えるとしても、変えた後に発生すると想定される取違え パターンを想定して、それに対する十分な備えもした上で、切り替えていくというよう なことも必要ではないかと考えています。  いずれにしましても、医療現場で実際に、例えばオーダリングシステムを使っている 施設はどれくらいの割合があって、手書きでやっている所はどれくらいであって、それ ぞれでどんなパターンのエラーが出そうなのかというような実態を調べるようなことも 検討を求めています。企業の側としても、こういう注意喚起を進める一方で実態を調べ るということについても、検討に値すると言っています。まずは現状どのくらい、こう いった類似名前で、「ノルバデックスとノルバスクでどうですか」という聞き方をしな いと具体的なことはわかりませんので、そういったことを調べて、どういう対策でやる のがいいのか、あるいはいまやっている、この情報提供が効果があるのかどうか、そう いうことを確認しながら、1つの選択肢としては名称を変えるということも考えて、検 討を進めるということで回答を得ています。現状はそういうことですが、名前を変える ということを、その先の展望として考えてくれとは言っています。ただ、それが本当に 有効な形で、事故を減らす格好で対応が行われるには、十分な準備が必要だということ もあると思いますので、慎重に事を進めるということで、対応しています。 ○土屋委員  名を変えるというのは知的財産権のところに触れますが、少なくとも、いま医療機関 は医薬品の安全使用のための手順書には、局長通知によって、「採用の基準をきちんと しなさい」ということが決められています。これだけ続いていながら、例えばノルバス クは併売品もあり、後発品もある。それなのに変えないというのは、そこで事故が起き たときには、そこの薬事委員会が責任を問われるということにもなると思います。たと え製薬企業が名前を変えるつもりがないとするならば、それは医療機関側がきちんとし た対応を取らなくてはいけないし、採用しているにつき、よほど合理的な理由がない限 り、これだけ事故が続いているということは、製薬会社が変えないということが理由に はならない。おそらく、いまはノルバデックスのほうはちょっとどうしようもないです が、少なくともノルバスクについて言えば、この組み合わせについて言えば、医療機関 が対応を取らなかったということが問題になるという日もおそらく出るだろうと思いま す。少なくとも、そこら辺まではいま採用基準をきちんとして、そのときに外観類似で あるとか、名称類似であるというものについての事故を発生する要因は、この対応は企 業だけが取るものではないということで、医療機関側にもかなりの責任がいま負わされ る状況になっています。  ただ、それで採用薬を変えたときには、先ほど申し上げたような注意喚起のことを少 し考えておかないと、変えたから、すぐそれが対策になるということではないという理 解をしておいたほうがいいかなというふうに思います。 ○外部会長  ありがとうございました。ほかによろしいですか。このノルバスクのほうはシートの ほうに「高血圧薬・狭心症の薬です」と丁寧に書いてあるのですが、ノルバデックスの ほうは何の薬かわかりません。抗癌剤というのは書きにくいのかもしれませんが、抗腫 瘍薬とか、何かあると、パッとわかりますが、この辺はルール化されているわけではな いのですね。ほかにご意見はございませんか。全体を通じても、この医薬品に関する事 例についてもよろしいですが。  もう一方では、点滴漏れというか、静脈炎による事例があって、ガベキサートメシル 酸塩の濃度の違いということであったようです。この0.2%と言われても、何ccを何ミ リで溶けば0.2%になるかというのは、普通の人は簡単には計算できないようです。非 常に注意が必要な薬の1つです。  あと、ヒューマンエラーのところにも注意すべき事例もあるように思います。特にカ リウムの間違いは以前からいろいろな所で言われているのですが、相変わらず、カリウ ムの10倍投与がなされたというようなこともありますし、消毒液と局所麻酔薬を間違っ て注射したというのもなかなか厳しい事例が起きているなという印象を受けます。今回 のこの対策については、よろしいでしょうか。 ○土屋委員  おそらく調製に関する問題については、やはり病院のほうで薬剤部が調製すれば、こ ういう%だって割と簡単にいくかもしれませんが、薬剤部による調製というのがまだ、 あまり進んでいない現状においては、少なくとも、調製について注意が必要なことをき ちんと病棟のほうへ伝えるという情報提供するということを、医療機関の中で注意を払 っていく必要があるのだろうと思います。やはり、先ほどありましたが調製が難しいも の、最近そういう製剤が結構出てきていますので、そういったものについて、製薬企業 だけではなくて、製薬企業が注意喚起するのはそれはそれで必要ですが、それ以外に、 おそらく医療機関の中で薬剤部が看護部のほうへ情報伝達をするということが、必要で はないかと思います。 ○外部会長  ありがとうございます。 ○石川委員  私は医薬品とは全く関係ない目で見ていたのですが、土屋先生にお聞きしたほうがい いかもしれません。2例目のところで、オーダリングシステムで見ると、「ノルバ」と3 文字検索で入れたら、もちろんノルバが出るのは当然だと思うのですが、何でアムロジ ピンが出てくるのかというのは、どういう仕組みでこれが出てくるのかなというのと、 その次の例を見ていると、入力と出力の形が違って、処方箋には薬品名のみが出てきた という記載がありますね。名前は名前かもしれないのですが、同じシステムのプロセス がどこかで違っているのではないですか。そう思ってしまったのですが、いかがでしょ うか。 ○土屋委員  実はオーダリングシステムが持っている機能というのがいろいろ多岐にわたっていま して、それの使い方の適正さというか、適正使用が必ずしもなされていない。例えば何 でも引けるようにするために一般名の略称も入れ、販売名の略称も入れるとか、利便性 をやるために様々なことをやっているのですが、結局それが安全性を損なうということ が出ているのですね。ですから、アムロジピンという一般名でも出せる、あるいは院外 に出すときにはこうするとか、いろいろなルールが後発品の推進で様々あるのですが、 ただ名称というだけではなくて、システムがらみの話も含めて、安全性を考えていかな いといけないのです。これは後から申し上げようと思ったのですが、実は最近出ている のが医師による入力ではなくて、医師以外の方が、クラークが入力することも当然いま 許されているわけですが、クラークが入力した、あるいは事務員が入力したものが、も ちろん医師が確認することにはなっているのですが、そこでエラーが起きているという ことから言いますと、いままでのオーダリングシステムというのは、医師が入力したと きに医師に対してわかるように注意喚起をしていたのです。  そうすると、ほかの人が入力するということはあまり想定していなかったものですか ら、今後はそこに対して、ちょっと対策を取っておかないといけない。ただ、それはシ ステムが悪いというのではなくて、使う人が違ってくるというと、想定外の話がだんだ ん出てきているものですから、そこら辺に対して、どうするかという対策を考えなくて はいけない。だから、もちろんここの部会は物を直すことでという部会ではあるのです が、物を超えてオーダリングシステムとの兼ね合いというのをやはり考えなくてはいけ ない時代になっているし、これから電子カルテがいろいろ普及してくるとか、そういう ことになってくると、そこのところでのオーダリングシステムの安全基準とか、チェッ クの仕方とか、そういうものがより簡単にできるような仕組みを作っておかないと、実 効性が低くなってしまうということはあり得るかなというふうに思いました。 ○外部会長  よろしいでしょうか。 ○目黒委員  全体を通しての印象ですが、結局流量の間違い、多剤、例えば2剤以上を使うと、右 と左の薬剤の間違いとか、要するに実際に使う現場での間違いというのも、目立つ。い まオーダリングの話もあったのですが、もう少し現場でそういう指示間違いを防止でき るようなシステムを、今後本当に考えていかないといけないのかなという気がするので す。  そうでないと、倍量とか、そういうふうな間違い、あるいは思い違いというのは、い っぱい出てくるので、私は輸液ポンプをずっと見ていて、輸液ポンプは最近「何ミリリ ットルを何ミリリットル/hで入れますよ」みたいなアナウンスメントをするんですね。 機械のほうでね。それが使う人によってはうるさいというのもあるのですが、何かうま くオーダリングと連動していて、こういう量を確認しながら入れるようなシステムが出 来ていけば、もう少し間違いが、少しずつでも減ってくるのかなという印象を受けてい ます。今後考えていったほうがいいのではないかという気がします。 ○外部会長  貴重なご意見ありがとうございました。 ○伊関委員  おそらく医師もITというものをかなり利用していくことをしていく必要があります。 例えば注射薬のラベルの中に注意事項をボンボン書き込むようになったら、ただでさえ 見にくいものがよけい見にくくなってしまいます。本来事故対策というのは簡潔にする ということで、必要なときに必要な注意を喚起するというとですから、これは本当にIT でないと、なかなかできない部分があるはずです。そういったことを含めて、安全対策 を考えていかざるを得ないのかなという気がします。 ○外部会長  それでは、次の検討事項に進みたいと思います。2番目です。今度は、医療機器のヒ ヤリ・ハット事例と収集結果についてです。  まず、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料2をご覧ください。こちらは、先ほどの医薬品と同様で、医療機器に 関す るものといたしまして、「第30回・第31回ヒヤリ・ハット事例等収集結果−医療機器−」 です。報告書で言いますと、第17回、第18回のものとなります。内容につきましては、 別添1)、2)、3)、4)の4つの分類ごとに分けて、各事例を記載しております。別添1)に は、参考資料がございます。報告内容といたしまして、第17回、第18回の報告書の医療 事故については、平成21年1月1日〜6月30日までに報告された事例です。ヒヤリ・ハッ ト関係につきましては、平成20年11月11日〜平成21年5月11日までに報告された事例で す。検討方法については、医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医療 機器としての観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係の職 能団体代表等の委員から構成される総合機構の医薬品・医療機器安全使用対策検討会に おいて、医療機器の物的要因に対する安全管理対策について検討されたものです。  今回の調査報告によりますと、報告書中の記述情報は全例で91例でした。その次の頁 となります、医療機器の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と 考えられた事例は1件でした。製造販売業者等により既に対策がとられているもの、も しくは対策を既に検討中の事例は11件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起 因すると考えられた事例が62件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考 えられた事例は17件でした。  医療機器の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた 事例は、バイポーラ電極を有する電気手術器における出力端子への誤接続事例です。別 添1の1頁目をご覧ください。こちらは、第17回報告の事故事例です。後ろにつけてあり ます参考1、また電極コードをお回しいたしますので、併せてご覧ください。手術室に おいて、全身麻酔による手術の準備を進め、創部消毒、リネンをかけた後にコード類を 術野から下ろして外回りの看護師に渡したが、外回り看護師が、バイポーラのコードを モノポーラの端子に誤って接続したため、常に通電状態となりました。手術医は通電し ていないと思いS状結腸を把持したため、熱傷をきたした事例です。事故のあった当該 バイポーラコードは、フライングリードという差込み口が、自由な幅で差し込めるタイ プとなっておりまして、三つ口のモノポーラ出力端子へ誤接続するリスクがあります。  これに関して既に注意喚起がなされ、業界団体もフライングリードの販売に際し、情 報提供を行っております。この電極コードに関しましては、IEC(国際電気標準化会議) が定めております国際的な規格において、フライングリードの製造が禁止され、既に欧 米では販売が中止されていることから、国内においても、フライリングリードの販売中 止等の安全使用対策が必要との調査結果となっております。現在、国内において、フラ イングリードの販売をしている各社及び業界団体と医療現場への混乱を与えずに、販売 を中止するための検討を進めているところです。  2頁目別添2となりますが、こちらからは既に対策がとられているもの、もしくは対策 を既に検討中の事例となっております。1番、第17回事故事例として報告された事例で す。人工呼吸器が始業前点検時に内蔵したバッテリーが駆動しなかった事例です。バッ テリーの寿命は3年ですが、納入後1年程度で内蔵バッテリーが劣化に至っておりまして、 さらなる品質向上のために、バッテリー製造日の管理及び製造から6カ月以内の再充電 を行うとしたとのことで、対策済と分類されております。  続いて3頁2番、BiPAPフォーカスと言います軽量タイプの人工呼吸器の電源が切れ、 アラームが鳴り続いた事例で、患者移動に際して、駆動スイッチに触れたために発生し たものです。本体を駆動させるスイッチが背面の奥に配置され、容易に電源が切断され ることがない構造となっておりますが、在宅で使用されることもあり、取扱説明書によ る注意喚起のみでなく、本体背面に触れない旨の注意喚起シールを貼付したとのことで、 対策がとられていると分類されております。  3番、業者が交換のために持参した人工呼吸器の使用前点検、セルフチェック、回路 リークテストを行い、機械の交換を行ったが、20分後に停止していることを発見した事 例です。製造元による点検で、ガス送気用駆動ポンプを制御するメイン基板の故障が判 明したために、当該基板を交換していることから、対策がとられていると分類されてお ります。  5頁4番から7頁8番にかけましては、電気メスに関連した熱傷事例となります。4〜6番 は、いずれもアルコール含有消毒剤等と、電気メス使用により発火した事例です。アル コール含有消毒剤等や電気メスの添付文書には、既に注意喚起がなされております。ま た、のちほど関連したPMDA医療安全情報をご紹介いたします。  7番は、左口腔粘膜切開及び排膿時に止血に使用したバイポーラが、患者の口唇に当 たり熱傷をきたした事例です。非絶縁型バイポーラ電気メスの添付文書には、意図しな い組織への熱傷に注意するよう記載されております。  8番も同様事例ですが、普段使用していたバイポーラ電気メスに不具合があり、他社 の製品を使用した際に非絶縁部が触れ、熱傷をきたした事例です。  9番は横隔膜下にある肝癌を、CT下で経皮経胸腔的にラジオ波焼灼療法終了2時間後、 呼吸状態が低下し、胸水が大量に貯留していた事例です。ラジオ波焼灼療法施行時の当 該事象などに関しては、注意喚起がなされ、添付文書の改訂も行われているところです。  8頁目からは、ヒヤリ・ハット事例として報告された事例です。1番は気管切開術後、 気管切開チューブを皮下に異所留置したことにより、皮下気腫を生じたものと考えられ る事例です。気管切開チューブの抜けや再挿管時のリスク等に関しましては、添付文書 においても、注意喚起がなされているところです。2番は人工呼吸器の作動状況確認の 実施中に、ウォータートラップからのエアー漏れの音に気付き、蓋を閉め直したが音が 消えなかったことから、回路交換を実施した事例です。業者による検証で、ウォーター トラップの蓋に付いているプラスチックの一方弁が上がったままになっていることが判 明した事例です。当該事例については、ウォータートラップの品質上の問題から当該企 業により自主回収が実施され、既に対策品が出荷されていることから、既に対策がとら れているとしております。  9頁目から別添3といたしまして、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因す ると考えられた事例、41頁から別添4としまして、情報不足等のため製造販売業者によ る対策が困難と考えられた事例がありますが、これらにつきましては、時間の関係で説 明は割愛させていただきます。資料2については、以上となります。 ○外部会長  医療機器に関する事例の報告、そして、調査結果がご紹介されましたが、委員の皆様、 ご意見ございませんでしょうか。それでは、目黒委員お願いします。 ○目黒委員  人工呼吸器に関しては、やっぱり出てきたなというのが全般的な印象なのですが、ど ういうふうな対策をというと、細かな対策をそれぞれしていかざるを得ないのだろうと 思います。全般的に見ていくと、臨床工学技士がいたら、多少なりとも防げている部分 もあるし、機械そのものの故障もあるのですが、トータルで考えると、私はいつも言う のですが、人工呼吸器を使う所には専門の技士なり、誰かがいる所で使うのがいいかな という印象を受けました。  あと1つは、ちょっと気になっていい対応をされたところがあるのですが、医療ガス というか、酸素に窒素が混じってしまったという事例がありましたよね。あれは、非常 に先生の対応もよくて、その施設の対応もすごくよかったというのがあったので、個別 にまた何かあったらお話したいと思います。 ○外部会長  ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。はい、土屋委員。 ○土屋委員  2頁の例ですが、これはバッテリーが不良品かもしれないということで、院内の8台の バッテリーを交換したというのは、その施設としてはいいのかもしれないですが、その 調査結果で、1年以内で内臓バッテリーが劣化したものですが、出荷検査では、特段の 問題が確認されなかったが、というのは、それはそうだと思いますが、この企業は、こ れを使われている全部の医療機関に、「そういうことが起きていますか」という調査は したのですか。それとも、その出荷検査で、こういうものは、本来なら全部見つかると したらこんなことは起きないだろうし、そこら辺が対策として、実際こういうバッテリ ーが動かないということは極めて厳しい話だと思うのですが。 ○外部会長  この辺は、いかがですか。 ○事務局  他施設につきましても、企業が調査をいたしまして、ほかの施設には問題はなかった ということで、報告を受けております。 ○外部会長  はい、ありがとうございます。 ○石川委員  いまの件なのですが、確かに私もちょっと調べましたが、出荷時にはそのとおりの様 でして、出荷時にだめだったら、そんなもの出荷しないわけで、それはあり得ないです が、たぶん、流通も含めてその間にどれだけ滞留していたかということで、放電もして いるということで、たぶん、大変ライフが下がってきたのだと思うのですね。そういう 意味では、ここでいま対策をそのメーカーがしようとしているように、出荷前にもう1 回再チャージをしてから出荷するということをやろうということは、1つの方法かなと いう気がします。あとは、目黒先生がおっしゃったように、実を言うと、今度は受け取 った側のメンテナンスとしては、一応もう1遍チャージをする作業をしていれば、二重 で防げるのではないかなという気がしますが。 ○土屋委員  添付文書等には、そういう注意喚起はしてあるのですか。それこそ、臨床工学技士が いらっしゃる所は、わりと簡単に実行しますが、むしろ、いない所がたくさんあるとい った現状を考えると、そういうところにどうやって注意喚起をしていくのかなというよ うな。 ○目黒委員  それは今後考えていかなければいけないと思います。実は、私の施設でもやっぱりこ ういうことがありまして、交換したりすることがあるのです。今後広めていく場合には、 検討が必要かと思います。最近、メーカーの対応としては、製造した年月日から「半年 以内に使うようにしてください」とか、そういう注意書きができているものですから、 例えば1月だったら「1月から6月の間に買ったものについては使ってください」と、そ ういう注意書きを書いたバッテリーが納品されて、その期限を越えたものについては、 メーカーも「保証できませんよ」ということが多くなってきました。バッテリーに関し て言いますと、人工呼吸器は大変なので、きちんと換えるのですが、私たち臨床工学技 士は、稼働テストをして時間がきちんともつことを確認し場合によっては、インピーダ ンスというか、その抵抗とかを計って、性能が維持できるかを確認します。ずっと患者 さんが使っていると、時間が来たからもう交換というわけにはいかないので、しばらく 経ってから交換ということはあり得ます。ただ、数が多いとものすごくコストがかかる のですね。輸液ポンプを含めてバッテリーを使っているものすべてそうなのですが、輸 液ポンプは当センターの場合は500台位あります。多い所では500台以上の所はたくさん ありますので、非常に多くのメンテナンス費用がかかります。ですから、余裕のある所 は、きちんとやるだろうし、規格上やらなければいけないということを決めている所は やるのだと思うのですが、それ以外の所は、どうなっているかというのは、見えない所 だと思います。 ○外部会長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。はい、伊関委員。 ○伊関委員  基本的には医者としては、たぶん、医療機器に完全なものはないという前提でシステ ムを動かしているので、やはり使う前に一応点検をして使うという前提で行動していま す。現実に、例えば我々の所で極端に言うと、手術中に単なるスイッチの間違いや、も しくは差し間違えとか、結構存在します。そういう意味では、これはシステムの問題で、 もともと機械で絶対安全ということはあり得ない仕組みであれば、そういう安全対策は 何か起こるということを前提に実施するべきではないかと、私は思います。それから、 この最初の差し間違えも私どもの大学では、バイポーラとモノポーラの機械は別々に存 在しているので、同じ場所に差すという発想は今まで存在しなかったのですが、同じ場 所にあるのであれば、それなりの注意喚起の対策をとるべきだと思います。それから、 急いでいる場合には差せる所に差してしまうというのは人間的な本能なので、そういう ものを含めて直せばいいということではなくて、やはり、システムは完全なものはなく、 機械は完全なものがないという前提で、使う前に一応点検をするということを、もう1 回見直したほうがいいのではないでしょうか。いくら対策をとっても、たぶん、金がか かるだけです。先程の事例の時は、バッテリーがだめになったときに初めて交換する事 で対応しています。そのための予備は準備してあります。全量点検をするというのは、 非常に高コストと、高品質であり、ガラポンス化に近い日本の状態ではないかと私は思 います。 ○外部会長  ありがとうございます。最終的な確認と言いましょうか、チェックというのは非常に 重要で、そこのところを押さえることによって、事故対策というのは、できていくのだ ろうと思うのですが、この委員会としては、そのまた以前のモノの改良、医薬品や医療 機器の改良でリスクを減らすことが、どれぐらい可能かということで検討しているとこ ろでもあります。先生の言われるシステムの問題は、非常に重要なことだと思います。 バイポーラ電極に関しては、今後、販売中止という方向で動いていくということで、よ ろしいわけですね。ただ、医療現場ではまだ、こういう可能性があるというようなこと なので、そういう意味での注意喚起が必要かと思います。  それ以外の機器は、いかがでしょうか。人工呼吸器に関しては、基板故障、スイッチ 等ありましたし、電気メスとアルコールの消毒は、今回事例が取り上げられていますが、 これはいかがですか。以前は、あまりなかったように思いますが、実際、火花が散って も熱傷が起きます、それはびっくりする事態が生じるわけです。目黒委員、何かありま すか。 ○目黒委員  これは電気メスを実際に扱う看護師さんや先生たちが消毒をするときの問題だと思う のですが、電気メスは単純に切るものだというだけで考えていて、電気メスは、どうい う基本的な機能を持っていて、どういうふうに動作しているかというのを皆さんで周知 するというか、勉強して、みんな理解しながら使わないと、同じようなことが何度も起 きるのかなという気がします。医療法も改正になって、医療機器の安全対策ということ で、医療機器安全管理の問題で「医療機器の取扱いなりの説明をしなさい」ということ が、いろいろ言われてきていますので、そういうところができる人や職場に技士がいた り、メーカーの人を呼んでやるにしても、そういう安全対策を定期的にやっていかない と減っていかないだろうという気がします。実際に経験すれば対応策はどんどん出てき ますが、知らないところではまた出てくるのかなという気がします。PMDAでも対策を少 ししているみたいなので、そういうのが皆さんに広がっていければいいなと思います。 ○外部会長  あとで資料の説明があると思いますが、医療安全情報で流しているようです。たぶん、 アルコール性の消毒液、含有消毒液は改良されたものであろうし、電気メスは普通に使 う機器で、それぞれの医療機器に問題はないです。プラスして外科医側も早く先へ進ん でしまうというか、まだ乾燥していない状況で敷布を被せて、しかも敷布そのものが以 前はまだ布だったので、液体も気化して貯留するようなことはなかったのですが、今は 不織布でしっかり止めるので、液体が貯留したり、こもってしまうような気がします。 そこにメスが入ると発火してしまうという、いろいろな複合要因が重なっているように も思います。 ○目黒委員  電気メスに関していいますと、対策が困難と考えられた事例の中にも、よくわからな いけれども動作してしまった事例が出ています。こういうところは保守点検がきちんと されていたのか、原因を明確にしないと、次の対策が取れないなという印象を受けるも のがここに書いてあるので、それが少し心配な点で気にかかっていました。それで先ほ どの話で、電気メスという機械の動作原理が簡単にわかるような勉強会は必要かなとい う印象を持ちました。 ○外部会長  ありがとうございます。ほかによろしいですか。私としては、気管切開チューブの異 所留置のことを今後ずっとマークしていかなければいけないし、直接死亡につながるよ うな非常にリスクが大きい事態だと思います。気管切開そのものは、チューブがあると いうことで安心するわけですが、それが抜けてしまうと再挿入が非常に困難になる可能 性があって、慌てた状況で処置することになります。今回は気胸が発生したということ でしたが、これまでも死亡例がありますので、是非この辺は医療関係者への注意喚起が 必要かと思いました。 ○伊関委員  医師の手技の問題かもしれないと思います。私は気管切開で電気メスを使って手術を した経験が無いので理解できません。これはいくら業者を含めて対策をとっても解消で きない事例では。気管切開で出血する場所は限られており、出血に対し予め予測してい るので、電気メスを使う理由がよくわかりません。 ○外部会長  気管の近くで、気管粘膜に対して使われている。 ○伊関委員  その近傍の動脈と、出血する場所は決まっているので、先輩からここは気を付けろと いう手技を習ってきたのですが、電気メスを使うという手技は習ったことはありません。 ○外部会長  あとでPMDAの詳しく写真入りで、気管切開チューブの発火ということがありますが、 これは大体してはいけないようなところでメスを使っている。 ○伊関委員  考えられない事です。 ○外部会長  実際にはこういう事故があるということです。 ○目黒委員  先ほど説明できなかった10頁の17回2の事故事例ということで、人工呼吸器、ヒュー マンファクターに関する部分は非常に示唆に富んでいて、忘れたころによくこういうこ とが起こります。以前も病院で、麻酔配管と酸素配管を工事のときに間違えて、患者が 大変なことになったという事例がありました。これも同じような問題になりますが、結 局いまは、酸素と窒素を合わせて人工空気を作るものですから、そのときに酸素が流れ なくて窒素が多く流れてしまった事例で、それを実際にICUの担当医師が気が付いて、 全部の病棟に指示を出して、なるべく酸素ボンベで換気を行って、大事に至らなかった という事例がありました。これはすごく良い事例で、場合によっては象徴的な事例でも あるので、どこかで載せてもいいようなことだと思っています。  改善策のところで、混合防止のための逆流防止弁とか、いろいろな安全対策項目がた くさんありますが、どうしてこれが事前になされていなかったのかなというのが不思議 だったものですから、お金がかかるのか施設の設備の問題になるとは思いますが、これ がすごく印象に残った事例です。 ○外部会長  酸素ボンベ、液体酸素タンク、病院全体に酸素が送られる場所に駆動用の窒素ボンベ からのエアーが漏れた。圧が低下した。この辺が理解できないですが、こういうことが あっていいのか。酸素供給の近くに窒素が供給されるような状況があるというのは、す ごく怖いような気がします。漏れるだけで酸素濃度が低下することは、あってはいけな いように思います。今回これについては、この病院そのものは早期発見、対策が速やか に取られたということで影響が少なかったということですが、何か示唆するところがあ るかもしれません。 ○目黒委員  これはPMDAのほうでは、細かい情報がこれ以外にはありますか。ないのですね。わか りました。ありがとうございます。 ○外部会長  これはもう少し検討してみましょう。ほかに、この医療機器に関する事例についての ご意見はよろしいですか。それでは検討事項1.2.を終わりまして、またご意見があれば、 最後に議論いただければと思います。  報告事項に移ります。「その他」について説明をお願いします。 ○事務局  資料3をご覧ください。こちらは、前回の本部会以降に発出されました医療安全関連 の通知です。資料3-1は「サリドマイド製剤の入院時持参薬の取扱いについて」です。 昨年の8月に、厳格な安全管理方策が必要なサリドマイド製剤を、入院時に持参した患 者とは別の患者へ誤投薬した事例が判明したことから、サリドマイドの管理、特に外来 処方時の他施設や他科への入院時の取扱いについて、医療機関に注意喚起及び周知徹底 をするようにお願いした通知です。  5頁の資料3-2は「血液浄化療法における血液回路の接続部位のルアーロック化につい て」です。血液透析、血液濾過、血漿交換等の血液浄化療法において、血液回路の接続 部位が外れたことにより、血液が漏出するなどの事故事例が知られていることから、日 本医療器材工業会は、血液回路の血液漏出のリスクが高い接続部位をルアーロック式の 製品へ統一化し、スリップイン式(差し込み式)の製品については、順次ルアーロック 式の製品に切り替えることになりました。ルアーロック式に統一されること及び血液浄 化療法時の血液回路に接続する医療機器の接続部位には、ルアーロック式を採用すべき ことを医療機関へ周知いただくよう、お願いした通知です。これに併せて、当該製造販 売業者に対して添付文書の改訂を求める15頁の通知を発出しています。  19頁の資料3-3は「在宅酸素療法における火気の取扱いについて」です。在宅酸素療 法に使用する酸素濃縮装置、液化酸素及び酸素ボンベについては、酸素は支燃性の強い ガスであることから、添付文書等に火気を近づけてはならない旨が記載されております。 また、医療用酸素ガス等の事業者の業界団体である一般社団法人日本産業・医療ガス協 会が、啓発のためのパンフレットやDVDを作成・配付したり、PMDA医療安全情報を公表 するなど、注意喚起が行われているところですが、酸素濃縮装置等を使用中の患者が、 喫煙等が原因と考えられる火災により死亡するなどの事故が発生しております。同様の 事故を防止するため、在宅酸素療法を受けている患者やその家族に対して、適切な注意 喚起が継続的に実施されるように医療機関へ周知いただくよう、お願いした通知です。  29頁の資料3-4は「耳朶穿刺時等の微量採血のための穿刺器具の取扱いについて」で す。 微量採血のための穿刺器具は、血糖値の測定時等に指先等の皮膚を穿刺する器具です。 通常は指先での穿刺が行われることが多いですが、痛みの軽減や指先を傷つけたくない との患者の希望等から、指先以外の部位での穿刺も行われております。医療従事者が穿 刺器具で、指先以外の部位での採血として患者の耳朶を穿刺したところ、穿刺針が耳朶 を貫通し、耳朶を支えていた医療従事者の指を穿刺したという事例が複数報告されてい ます。血液を介した感染のおそれがあることから、同様な事例の発生が防止されるよう 関係者に対する周知をお願いした通知です。これに併せまして、当該製造販売業者に対 して添付文書にこのような注意喚起が記載されているか等の自主点検を求め、結果に応 じて33頁の添付文書の改訂を求める通知を発出しております。  43頁の資料3-5は「PMDA医療安全情報、止血用圧迫帯(止血用カフ)の誤接続使用に ついて」です。止血用圧迫帯の使用時には、「専用加圧器」を使用すること。専用加圧 器が空気注入口に正しく接続されていることを確認すること。院内において、誤接続防 止対策の取られていない古い製品を発見した際には、事故防止の観点から廃棄すること を注意喚起しております。  47頁の資料3-6は「PMDA医療安全情報、ガスボンベの取り違え事故について」です。 ボンベの色がガスの種類により決まっていること。種類の異なるガスのボンベを同じ場 所に保管しないこと。工業用のガスボンベを院内で使用しないこと。ガスごとに特定化 された医療用ガスの小型ボンベを使用することを注意喚起しております。  51頁の資料3-7は「PMDA医療安全情報、電気メスの取扱い時の注意について(その1)」 です。気管チューブ挿管下での電気メス使用時の注意点について、酸素が支燃性物質で あることから、電気メスの電極先端で発生する火花や熱で引火すると、急激にその火が 大きくなることを注意喚起しております。  55頁の資料3-8は「PMDA医療安全情報、電気メスの取扱時の注意について(その2)」 です。アルコール含有消毒剤の使用時の注意点について、大量の消毒剤の使用により、 気化したアルコールに引火することを注意喚起しております。資料3については以上で す。  続いて資料4について報告します。59頁の資料4-1は「メテナリン販売名変更のお知ら せ」です。前回の部会において、メテナリンの名称を変更する方針が決定された旨報告 しましたが、本年1月に一般的名称を基にしたメチルエルゴメトリン錠0.125mg「あすか」 及びメチルエルゴメトリン注0.2mg「あすか」の販売名変更の承認がおりました。本年 5月、薬価収載される予定となっております。  60頁の資料4-2は「内服薬処方せんの記載方法の標準化に向けた取組について」です。 昨年、内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会において検討された結果が、 報告書としてまとめられております。「内服薬処方せんの記載の在るべき姿」が掲載さ れておりますので、ご覧になってください。  61頁の資料4-3は「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業について」です。昨年4月 より事例収集が開始されていまして、次回以降の本部会においても、薬局ヒヤリ・ハッ ト事例収集・分析事業から上がってきた事例についても、併せて検討させていただく予 定となっておりますので、よろしくお願いします。資料4については以上です。  昨日、財団法人日本医療機能評価機構から医療事故情報収集等事業第20回報告書及び 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第2回報告書が公表されています。公表の際に は都道府県をはじめ、関係団体等へ報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再 発防止及び発生の未然防止のために報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報 等の内容に留意されるとともに、注意喚起を促すよう周知を依頼しています。この報告 書の中のヒヤリ・ハット事例記述情報等の中から、独立行政法人医薬品医療機器総合機 構が医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えた報告書 を次回の本部会で審議いただきたいと思います。以上になります。 ○外部会長  資料3、資料4の説明がありました。これについて、委員の皆様からご意見はありませ んか。 ○木村委員  いまほどの最後の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業として、日本薬剤師会の立 場とこの検討会の中に入っている立場ですと、1つ報告があります。薬局ヒヤリ・ハット の調剤ミス的なことが非常に多かったわけですが、この収集・分析事業には発見という のがありまして、処方せんに書かれたまま患者にこの薬が渡ると非常にリスクが高いと いうことで、そこに薬剤師が入って疑義照会をして変更した、1例を紹介します。バル トレックス500mgは、抗ウイルス薬ですね。処方せんに500mg3錠と書いてありましたが、 患者にインタビューしていましたら帯状疱疹である。そうなりますと、適応症の関係と いうか、この3錠の量だと足りないということで、500mg6錠というのが答えになるわけ ですが、このまま投薬したら、この帯状疱疹に対しての効果が薄いだろうと薬剤師が判 断しまして疑義照会をし、量の調整をして治癒に至ったという形の事例も逆に上がって きています。ですから、単なるヒヤリ・ハットというか調剤ミス等々で事故につながっ ていく前の話だけではなくて、適正な使用のところにもこの薬局ヒヤリ・ハット事例収 集・分析事業が効果的に働いていくものと考えています。できるだけ多くの日本中の薬 局が登録できるように、いま日本薬剤師会も頑張って進めています。以上、報告です。 ○外部会長  ありがとうございます。現場というか、薬局の果たす役割というのは非常に大きいと、 私も実感しています。疑義照会については私も電話をいただいて、自分のちょっとした ミスとか間違いを訂正されることがありまして、感謝しています。そういう意味でのこ の事例、薬局からの事例収集というのは、非常に大事なメッセージが得られると思いま す。  あとはいかがでしょうか。PMDAから、非常に詳しい写真の安全情報が今回出されてい ます。こういうふうにして、医療者へわかりやすい説明がなされることは、非常に良い ことだと思っています。メテナリンについては、あすか製薬のほうで名称変更していた だいたということで、あすか製薬に感謝しなければいけないような気もしますが、これ によってこの2つの事項については、名称類似からの間違いというのはかなり減少する だろうと考えてよろしいでしょうか。 ○土屋委員  基本的な対策が取られたので、今後そういう間違いはなくなっていくと思いますが、 当初は先ほどの処方をするときに、つい間違えてしまうことは私が前の病院にいたとき も、産婦人科の先生からウテメリンとメテナリンの片方は一般名にしてくれというよう な話がありまして、「先生、専門なんだから間違いないでしょう」と言ったら、「専門 家だから間違えちゃうんだよね」とかおっしゃっていたので、勘違いによるエラーはま だありますが、こういうことで名前が変わっていくことによって、それは減っていくと 思いますので、こういう対策が取られるということは製薬企業の努力を認めなくてはい けないのではないかという気がします。 ○外部会長  ありがとうございます。今回の処方せんの記載方法の標準化は、画期的というか全体 で取り組むべきこととして大きいのではないかと思いますが、現在の動きというのはこ ういうのが出されたあと、どうなのでしょうか。あるいは、このことの重みというのは 薬剤関係者のほうでは、効果の検証を含めていかがでしょうか。 ○土屋委員  私は検討会の委員だったので申し上げますと、まずこれで基本のスタンス、あるべき 姿が決まった。本来ですと、すぐ切り替えるといいのですが、長年親しんだ中で急激に 切り替えるというのは逆にそこが問題ですから、医療機関等においてきちんと教育をし て、試験にも出すよということが報告書に書いてありますので、まずそういう教育をす る。いままでは先輩から習うというような形で保険のルールは決まっていたのですが、 そういったことで今回きちんとしたルールが明示されたということは、すごく根本的に 大きな話だろうと。これによって情報システムとか、そういうものの作り方というもの も基本的に変わってきますので、これが及ぼす影響はかなりあるだろうと思っています。  つい先日も1回量と1日量を間違えて、患者が1回に3錠を飲んでしまったという事故が 最近報道されていましたが、そういったことも1回量になってくると減ってくるかなと 思います。過渡期の過ごし方は確かに非常に難しいところがありますが、なるべく早く そういうものが進むことが望まれると思います。最大の問題は、オーダリングシステム を変えるとなると多大なお金がかかるので、こういったところには是非国がお金を出す とか、補助金を出すということが本当はできないのかなという思いはありますが、なる べく移行期間は短いほうがいいということはあると思いますので、そういった点を含め てやっていけばと思っています。 ○外部会長  ありがとうございます。望月委員、この辺は薬学部教育というか、当然こういうふう にするんだという動きで教育していくというやり方はいかがでしょうか。 ○望月委員  処方せんは医師にお書きいただくことになりますので、薬学は薬剤師の教育の上では、 こういう処方せんの標準的な書き方が決まりましたということで、もちろん教育の場で は活かしますが、この内容については書く側の医師の先生方にも、教育の場で是非ご徹 底いただけたらと思います。 ○外部会長  医学教育では、書き方は詳しく教えないですよね。 ○土屋委員  国立大学病院は、薬剤部長が医学部教授となっていまして、医学教育の中で教えると いうことで、今回はこの徹底のために医療機関に対しては、医薬品安全管理責任者とい ったところを含めて、講習会をして徹底をしていきたい。まず教える側がきちんと理解 をしていないといけないので、医薬品安全管理責任者に対する教育をまず徹底し、各医 療機関においては変わる時期がそれぞれ違いますから、そういったところへの対策はど う取っていくのかを検討してくださいということを講習会でやっていこうと思っていま す。 ○医療安全推進室長  医療安全推進室長です。この処方せん検討会の担当課です。いま大学教育という話が ありましたが、実は文部科学省のほうにもこの検討会の報告書をお伝えして、是非とも 医学部教育の中でも活用していただきたいということで、早速医学部長病院長会議等の 医学教育に関係する先生方に周知をして、対応していただきたいということのお願いを しています。 ○木村委員  いま現場にいて、このことはとても素晴らしいことだと思っています。その前提でお 願いがあります。保険局で出ている通知が、1日量で薬価を計算するようになっていま すから、1日量と1回量の両方を書くようにというふうに通知を書き換えてもらわないと、 ドクター側は1日量だろうという話です。ちょうど通知の内容で、現場は戸惑っており ます。私も地域の医師から相談されて、これを見てすぐに切り替えなければ駄目なのか という話で相談を受けますが、根っこは薬価もすべて1日換算で全部やっていく形にな っていますから、そこのところを保険局と医政局で早急に詰めていただかないと本当に 混乱してしまう状況になって、それがイコール事故につながる話になってしまうと思い ます。1日量なのか1回量なのかがわからない状況に、薬の種類によっては薬剤師が判断 できないようなことにもなりかねないものがありますから、なんとか保険のルールのほ うも一緒に変えていただければ、かなり早いスピードでこのことは実現するのではない かなと思いますので、よろしくお願いします。 ○医療安全推進室長  ただいまのご指摘もありまして、以前検討会での話もありましたので、一応保険局に 対しても依頼はしています。いずれにしても、この検討会報告書は先ほど土屋委員から お話をいただいたとおり、混乱のないように経過措置を置いていますので、今回は我々 としては保険局にお願いはしたのですが、この報告書については通知の中には記載はし ていただけますが、徐々に変えていくということでご理解をいただければと思っていま す。 ○寺井委員  この内服薬の処方せんの記載方法について、オーダリングシステムの対応がいつごろ になるのかということをお教えいただきたいと思います。実は、医療機関でも早急に変 えたいのですが、既にオーダリングシステムを導入している場合は対応が難しいという こともあります。また、当院では来年に新しいシステムを導入することを予定している のですが、来年には間に合わないとメーカーから言われている状況もあります。いまの 時点で、大体どの時期からオーダリングシステムでの対応が可能となっているのか、も しわかればお教えいただきたいと思います。オーダリングの対応がされないと、医療機 関としては対応が難しいと思います。 ○医療安全推進室長  この分野は、土屋委員にいろいろとお願いしているところがありますが。 ○土屋委員  用法のマスターというものを標準化するということも同時に考えていまして、記載で さまざまな表現がなされているので、この際そういったこともやろうということで用法 マスターというものも現在作られて、間もなく出るわけですが、そういったものが今度 厚労省の持っている標準化会議のほうで検討されて、実際は医療情報学会がやることに なると思いますが、医療情報学会が標準マスターというものを厚生省標準という形に持 っていくことがあります。おそらく、そこは秋ぐらいにはマスターのヘリックス協議会 という名の登録ということが終わると思いますので、それ以前からベンダーとは既に話 合いはしていますが、そういう意味で言えば年内には対応のベースが出来上がるという ことで、いろいろ考えていけば。いますぐ新しいシステムが出ると、データベース構想 も変わってしまいますから、そこはありますが、基本的には例えば1回量と1日量の両方 が見えるようにしておくとか、用法も含めて秋以降ぐらいかなと思っています。 ○永池委員  私も、この検討会に参加をさせていただいておりました。あるべき姿の中で示された 1回量とか、誰が見てもわかりやすい記載のあり方といったところで、一定の姿が整理 されたことは大変重要なことであると感じています。これまでの皆様のご発言の中にも ありましたように、教育の重要性もさることながら、移行機関の現在臨床現場にいる皆 様方が、どのようにこのあるべき姿に向けて対応ができるのか、行動変容ができるのか といったようなところも、また大変重要だと考えています。いま日本看護協会が職能団 体として、直接看護師がこうした処方せんを受け、安全に患者に薬剤投与をしていくた めに間違いが発生しないためには、情報伝達が重要ではないかと考えています。今後は 医療安全推進室の行政の方々と一緒になりながら、看護協会の機関誌の中等で十分に情 報通達をしながら、間違いなく移行できたらいいと思っています。  また、これは看護職だけではなく、薬剤、もちろんベンダー・メーカーの皆様方、PM DAといったところの共同によって安全なやり方で短期的、長期的方策と示されたものが ありますので、報告書が出たからそれで終わりではなく、今後関係者が連携を取りなが ら安全に移行できたらなと考えていますので、また皆様のご協力もお願いしたいと思い ます。 ○外部会長  ありがとうございます。今回の動きは国全体で動く、そしてシステムを動かす医療安 全の本当に核となるような動きだと思います。是非これを実りあるものにしていただけ ればと思います。 ○土屋委員  以前から申し上げておりますが、この4月からさらなる後発品推進策がいろいろ起こ ります。例えば病院ですと、採用薬の後発品が20%を越えていれば、それに対して点が 取れるみたいなところがあります。ただ、その一方で懸念されることが、青森のほうで 事故が起きました。アルマールとアマリールというのはありましたが、アルマトールを 出すところにアマリールを出して死亡事故になって、つい最近書類送検されたというこ とがありました。後発品にブランド名が残っているということは、かなり現場にとって は負担の大きい話ですので、ルールとして、いまは新たなものは全部付けられないよう になっていますが、昔ブランド名を持っていたものについては規制がないのです。  こちらは、今後懸念されるのは先ほど言いましたように、クラークによる入力という こともあるとすると、後発品にブランド名を認めるべきかどうかということで、新たな ものは閉じてありますが、既存のものにも後発品として、みんな同じ一般名プラス剤形 プラス規格プラス屋号というルールで統一したほうがいいのではないか。新たな後発品 のブランド名を覚えることによるエラーというものが心配されます。実際は、それによ る死亡事故も起きていますので、この4月以降それが発生しなければいいなということ を懸念しながらですが、名称類似の対策として、そういったことも今後重要なことだと 思います。一方で、推進策が出るために、推進されるために起きることというのが予測 されるものですから、そこは今後注意をしていかないといけないのかなと。そういった 場合に、おそらく薬局でのヒヤリ・ハットで後発品を巡る取り違えというのも出てくる かと思いますが、そこら辺は対策を考えなくてはいけないことだろうと思います。 ○外部会長  ありがとうございます。 ○望月委員  少し違う切り口になってしまいますが、名称に関してですが、薬局でもこうしたヒヤ リ・ハット事例の報告を集めるということになってきますと、薬局の場合、医療用医薬 品だけではなく、OTC薬品と言われるものも扱っているので、生活者自らがヒヤリ・ハ ットを経験したというものも集められるところがあるのではないかと思います。その場 合に、OTC薬品の名称は、名称の頭が同じで、お尻のほうがほんの少し違うだけという ものが少なからずあります。あまり個別の名称を挙げられないですが、そこのブランド を印象付けられる名称が頭に付いてしまっていて、終わりのほうはIHやNHと少しだけ違 う。でも、その中に入っている成分は結構違ったりしている場合もありまして、大人用 にしか使えないもの、小児でも使えるものが同じような名称になっていることもありま す。ある意味ではリスクを孕んだ名称になってしまっています。これは変えようと思う と、非常に影響の大なところではあるので、いますぐにというわけにはいかないと思い ますが、少しそのあたりも今後は考えていただくことも必要なのかなと思っています。 ○大臣官房審議官  いろいろご意見をいただいて、参考にさせていただきたいと思います。いまのところ について申し上げますが、この部会はものに着目した安全管理というところでいろいろ ご審議をいただいていますが、昔からある問題も、どういう経緯で増えてきているのか といったところに着目していかなければいけないなと。新たな問題として、ものだけで はなくて先ほどオーダリングシステムの話がありましたが、そういったところに起因す るような問題といったもの、ヒューマンエラーにおいても何か気付いたところで意見を 出していただければありがたいなと思っています。  後発品のところでいきますと、販売名を変えることに対して企業はなかなか難しいと いうところで、新たに販売するものから一般名を付けるというルールで来たので、言う なればそういう約束事で来たので、また遡ってということになると、先ほど言ったそれ なりの理由を挙げながら業界の協力を得ていかなければいけないなと思っています。  もう1つのOTCですが、難しいのはほとんどが配合剤ですから、医療用医薬品のような 一般名でもってものを整理していくこともできない。大体同じような名前のあとに、い ろいろな記号を変えて製品を区別しているのが実態かと思います。望月先生ご存じのよ うに、一般用医薬品の販売制度の改正があって、薬局、薬剤師、登録販売者が消費者に 対してきちんと説明をして販売をすることになったわけですので、そこでしっかりした 説明をしていくことが肝心なのかなと思っています。 ○外部会長  ありがとうございます。よろしいですか。以上で、予定していた事項は終わりますが、 何か追加発言はありませんか。 ○望月委員  全体的なことでよろしいですか。前からそうだったのだろうと思いますが、今日資料 1と資料2を見ていまして、医療機能評価機構のホームページで公開されたものを医薬品 医療機器総合機構が分析をして、その下のワーキングが検討をした結果出された対処法 等をこういった形のリストとして、この部会に報告していただいているのだと思います。 この部会では、その対処が適切であったかどうか等の意見を出すのだと思って聞いては いますが、第17回の報告書と第18回の報告書、例えば医薬品の資料1を見ますと、事例 が発生しているのは1年前の平成21年1月から3月です。検討会がいろいろ検討した結果 は、ほとんどの通知案内は昨年の9月ぐらいからのものですので、半年ぐらい前から対 応されていたことになっていると思いますが、そこの時間の経過がかなり空いているの は、少し気になります。そうなることは、ある意味では仕方のないところではあると思 いますが、ワーキングが作ってくださった対策が、その経過期間の間に結果としてどう 機能できたのかというあたりを、一度、上の部会に挙げてみていただくことができたら ありがたいなと思ったのです。  今回いろいろな形で、もう既に何らかの処置は行われていらっしゃるわけですから、 それの結果としてどうなったかというのはもう少し先に得られるのだと思いますが、そ の時間軸で講じた対策がどうなったかみたいなものを一度提出していただけるとありが たいなと思いました。 ○外部会長  何かコメントはありますか。 ○安全使用推進室長  いろいろご指摘いただきまして、ありがとうございます。確かにおっしゃるように、 ここに挙がってくる前にPMDAでいろいろな評価をしたり、実際急いで対応するものにつ いてはそれなりの通知を出すとか、PMDAからの情報を出すとか、一定の措置を取った結 果をここにいつも挙げてきているという時間軸になっています。そういった時間軸を少 し整理して、わかりやすい形でプレゼンテーションするのは全くおっしゃるとおりだと 思います。先生方のいろいろなお知恵をいただきたいなと思っている部分は、今回の事 例でいいますと第17回や第18回の報告があって、9月に通知を出しましたこと今回3月に こういった部会を開催するときに、9月に打った通知の効果みたいなものをどういう形 の物差しで評価をして、こういうところに出せばいいのか。一般的な医薬品だけではな くて、医療機器に関する製品によっても特徴がいろいろとありますし、どういう形でそ の効果の評価をして、こういった場にご紹介していいのかのあたりについて、我々も日 頃から頭を悩ませている部分で、そういう評価法も含めて先生方からご提案をいただき ながら、そういう対応を今後進めたいと思っていますので、是非ともいろいろなご意見 をお願いしたいと思っています。 ○外部会長  ありがとうございます。 ○北澤委員  いまの点に関連して、今日説明のあったノルバスクとノルバデックスの薬の間違いに ついても、ここを読むと平成15年から通知などで注意喚起をしているけれども間違って いるということは、厚労省の対策というのは有効ではないのではないかと素朴に思いま す。今日ご案内のあった、バイポーラコード接続というものも、参考資料の1を見ると、 もともと自主点検をやってくれと厚労省が通知を出しているのは2004年で、6年経って も間違っているということなので、そこは対策の効果という点でかなり怪しいのではな いかと。良くなっているところもあるでしょうけれども、対策が周知されていない点も あるのではないかと思いました。  もう1つは、以前のこの部会でも発言したことがあると思いますが、全体を通じてこ うした対策が医療関係者の中でも周知されているかどうかが怪しいけれども、それ以上 に患者に伝わっていないのではないかと感じることがあります。逆に言うと、もう少し 患者も医療ミスの防止に関与できる余地があるはずなのに、やっていないのではないか と思います。  今日ご説明のあった中で、いちばんおかしいと思ったのは、別添資料1の2の薬剤師は 医師に疑義照会をして、「男性なのに乳癌というのはおかしいのではないか」と言って いるけれども、「それでいいです」と医師が言ったので、薬剤師はそのまま出して間違 ったということですが、この薬剤師は、なぜ患者に「乳癌の薬が出ているんですけれど も、どうですか」と聞かなかったのかが、全くわかりません。もう少し患者に説明すれ ば、患者も間違っているかどうかをチェックできるのに、それをやっていないというの が非常におかしいと思います。 ○外部会長  貴重な意見をありがとうございます。北澤委員の意見を是非受け止めて、対応してい ただけたらと思います。 ○安全使用推進室長  どうもありがとうございます。確かに北澤先生のおっしゃるように、前にも対応を取 っているけれども、その効果という部分で見ると、また同じようなミスが繰り返し起こ っているというような先ほどの販売名の事例を例示されたわけですが、こういった事例 は前の対応において取ってきた部分が十分ではなかったのではないかと考えるのは当然 で、その次にもう1歩進めるとすれば、どうするのか。実際、このウテメリン、メテナ リンの件においても同様の経緯を辿ってきて、最初はパッケージを工夫するとか、処方 の部分での注意というものをやってきたわけだけれども、それでもミスが起きるという ことで最終的に販売名の変更に至るとか、いろいろなステップを踏みながら来ている部 分もあります。そういった評価をしながら、1歩ずつ新しい対策にしていくということ でも、毎回同じような議論になっているのかもしれませんが、こういう場でご議論いた だくのは非常に価値があるのではないかなと考えています。  患者への情報提供については、患者は病気でかかっておられる方ですので、患者に何 か厳しい義務を負わすようなことだけはないようにしたいと思っていますが、全体的に 医療の安全や医薬品・医療機器の安全使用の中で、患者が知らされることによって何ら か防ぎ得る事故があったり、そういう部分についてはまた薬害肝炎の検証委員会等でも、 リスクコミュニケーションをより充実させるべきだというご指摘もいただいていまして、 総合的な観点からもいろいろと対応を考えていきたいと思っていますので、この部会で も先生方からいろいろなご意見をいただきたいなと思っています。 ○土屋委員  もう一度ですが、平成14年に出ている医療安全総合対策というものを、あの中では製 薬企業、当時は医療用具でしたから医療用具の企業の責務と役割、もちろん、医療機関 あるいは行政等と書いていますが、是非そこをもう1回徹底させる必要があるのではな いかという気がします。私はあまりに対策を取らないある会社に、この総合対策を読ん だことがある役員の数を聞いてくれと言ったら、1人も読んでいないという答えが返っ てきました。平成14年当時といまは、おそらく役員がかなり変わってしまっているので、 責務と役割についてよく理解をしていないと、知らなければ企業は対応を取りようがな いのだと思います。そういったことについては、是非もう一度よく読んでくださいとい うことを言っていただくと助かるかなという気はします。ただし、これはもちろん医療 機関もそうですし、みんなの協力でやっていかないといけないことですが、製薬企業に 対しては一言言っていただいたほうがいいのかなという気はしています。 ○大西委員  製薬企業の代表として、今日初めて出席させていただいています。土屋先生のおっし ゃったことは、まさに本部会の目的の1つだと思います。医療事故を少なくしようとい う目的の下で、いろいろな対策が取られ、それを周知徹底するためには、医療安全対策 の啓発が重要です。医薬品や医療機器を扱っている会社という企業単位ではなく、医療 関係者全体が医療安全対策の重要性を認識することが必要です。改正薬事法において、 医療用医薬品では総括製造販売責任者、安全管理責任者及び品質保証責任者という製造 販売三役が安全対策の責任において大きな役割を果たします。しかし、製薬企業の中で も製造販売三役は変わってまいりますから、医薬品の事故に対する対策及び責務につい て、製造販売三役を中心として関係者に教育や伝達をしています。医療安全対策は、企 業だけの役割ではなく、医療機関や行政皆さんと力を合わせて統一してやっていくこと が最も大事なことだと思っています。また、患者さんを含めた情報交換も重要と考えま す。 ○外部会長  ほかにありませんか。 ○永池委員  これは、ここで申し上げるべきことなのかどうか。いま頂戴しました私どもの会議と 全体の流れのテーマを見ていますと、国としては医療安全に対して、さまざまな対策を 現在も推進しているところだろうと、関係者は頭の中に全体像を描くことができます。 しかしながら、患者さんにとって、国民にとって国がどのように中長期的に、これまで の過去の10年の医療安全の初期から、また向こう10年これから何をするのかといったよ うな、何かメッセージを発信することも必要な時期に入ってきているのかなということ と、医療安全対策を臨床現場で自発的にできる医療機関は、それなりの力を持ち合わせ てはいるかと思いますが、そうでないところへは本当に四苦八苦しながらやっている実 態もあるかと思います。医療安全は、ただ単に自然に生まれるものではなく、皆様方の 努力で医療安全対策の活動を推進し、医療の質を安全に保とうといった努力があります ので、こういったところの対策費用といったものも、どのようにしてどのくらい掛ける べきであるとか、さまざまな検討等もこれからの中長期的な目線の中に入れていただき、 医療関係者並びに国民にわかるようなメッセージをまた改めて出していただくことも大 切なのかなと思いましたので、この医療安全対策検討会議の中で、どなたかがご発言い ただけるようであればお願いしたいと思いますし、事務局にその点もよろしくお願いし たいと思います。 ○外部会長  ありがとうございます。審議官、いまのことに何かコメントはありませんか。国とし ても、ここらで新たな戦略を立てるというような。 ○大臣官房審議官  全体の中でといいますか、こういう仕組みでやっているのだというところを医療関係 者、企業、患者さんにしっかりと理解をしてもらって、先ほどご指摘がありましたよう に、患者さんとしても何らかで自分たちも参加していくのだといった意味合いも重要だ ろうと思います。いろいろな会議の場を通じて、そういったメッセージを伝えていきた いと思っています。 ○外部会長  ありがとうございます。今日の審議事項、検討事項、報告事項は終了します。事務局 から何か追加はありますか。 ○事務局  次回の部会開催の予定については、委員の先生方の日程を調整しまして、ご連絡させ ていただきます。また、本日の議事録については後日送付させていただきますので、内 容のご確認をお願いします。  なお、修正、ご確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載しますので、 よろしくお願いします。以上です。 ○外部会長  これで閉会いたします。今日はどうもお疲れさまでした。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751)