10/03/24 平成22年3月24日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成22年3月24日(水) 10:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(16名)五十音順 飯 島 正 文、 井 部 俊 子、 大 野 泰 雄、 神 山 美智子、    木 津 純 子、 黒 木 由美子、 竹 嶋 康 弘、 土 屋 文 人、  永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 松 井   陽、  松 本 和 則、 溝 口 昌 子、◎望 月 正 隆、○山 口   徹    ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理 他参考人1名   欠席委員(7名)   赤 堀 文 昭、 池 田 康 夫、 笠 貫   宏、 宗 林 さおり、     藤 田 利 治、 本 田 佳 子、 吉 田 茂 昭     3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)、 岸 田 修 一(大臣官房審議官)、 熊 本 宣 晴(総務課長)、 成 田 昌 稔(審査管理課長)、関 野 秀 人(医療機器審査管理室長)、 山 本 順 二(化学物質安全対策室長)、 森   和 彦(安全対策課長)、 國 枝   卓(監視指導・麻薬対策課長)他 4.備考   この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 おはようございます。定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審 議会薬事分科会を開催させていただきます。当分科会の委員数23名のうち16名の委員の 先生方に本日御出席を賜っております。定足数に達しておりますことを御報告申し上げま す。なお欠席の御連絡をいただいている委員は、赤堀委員、池田委員、笠貫委員、宗林委 員、藤田委員、吉田委員です。本田委員は後刻お見えになることと思います。それでは望 月分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせてい ただきます。 ○望月分科会長 それでは本日の薬事分科会を始めます。最初に事務局から配付資料の確 認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をお願いいたします。審議事項につきましては、資料1〜 資料3、報告事項につきましては、資料4〜資料18となっています。また、本日配付資 料として議事次第、座席表、委員名簿、資料14の医療機器「クロッサーシステム」、資 料19の「競合品目・競合企業リスト」、「『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬 検討会議』開催要綱」、当日配付資料2として「薬事分科会における医薬品の『報告』の 取扱等について(案)」の資料を配付しております。なお、文書報告の資料は既に先生方 に送付しておりますが、参考までに「文書報告一覧」を配付しています。  続きまして、審議参加に関する報告をいたします。申請資料作成に関与した委員ですが、 該当委員はいらっしゃいません。また、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業につ いて、資料19として配付させていただいていますが、その選定理由等を説明させていた だきます。いずれも関係部会で報告した内容となっています。  まず、1ページの「ロゼレム錠8mg」です。本品目の申請会社は武田薬品工業株式会社 です。本剤の予定される効能・効果は不眠症における入眠困難の改善であり、その主たる 作用機序はメラトニンMT1及びMT2受容体を介して視交叉上核(SCN)の機能に働き かけ、概日リズムを調整し、睡眠・覚醒サイクルを正常に構築することにより睡眠を促進 するものと考えられています。国内では、メラトニン受容体作用を有する睡眠薬は販売さ れておらず、現在使用されている主な睡眠薬はいずれも中枢神経系のGABAA受容体に 結合して、GABAの抑制作用を強めることにより催眠作用をもたらすものです。したが いまして本申請品目の効能・効果、薬理作用等からみた競合品目としては、これらGAB Aの抑制作用に基づく睡眠薬が候補としてあげられ、また、市場における売上高から上位 3品目のマイスリー錠、レンドルミン錠、アモバン錠としております。  次に2ページ目、参天製薬株式会社から申請されている「モイスティア点眼液3%」で す。本剤の予定される効能・効果は「ドライアイ」です。国内で使用されている類似の効 能・効果の医薬品はヒアルロン酸ナトリウム点眼液のみで、この中で自社製品を除き上記 3製品を競合品目として選定しています。  最後の品目ですが、アレクシオンファーマ株式会社から申請されている「ソリリス点滴 静注300mg」です。本剤の予定される効能・効果は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」です が、当該効能・効果を有する治療薬は国内に存在せず、また、開発中の薬剤に関する情報 も入手できなかったため、競合品目等はなしとしております。競合品目にかかる説明は以 上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明について、特段の御 意見はございませんでしょうか。よろしいですか。それでは本分科会における審議の際の 申合せ事項については競合品目・競合企業の妥当性も含め、了解を得たものといたします。  続いて、委員からの申出状況についての御報告をお願いいたします。 ○事務局 各委員からの申出状況について報告させていただきます。  議題1、「医薬品ロゼレム錠8mg」について、退室委員はいらっしゃいません。議決に 参加しない委員は土屋委員、永井委員です。  議題2、「医薬品モイスティア点眼液3%」について、退室委員、議決に参加しない委 員はいらっしゃいません。  議題3、「医薬品ソリリス点滴静注300mg」について、退室委員、議決に参加しない委 員はいらっしゃいません。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは議事に入りたいと思います。  議題1、資料1「医薬品ロゼレム錠8mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の 要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」 です。本品目は既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 薬事分科会における確認事項第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬 事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに、部会での審議結果等を御報告い ただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。なお、本日は国立精神・神経セン ター精神保健研究所・精神生理部部長の三島和夫先生に参考人として御出席いただいてお ります。それでは、医薬品第一部会長の松井委員から御説明いただきたいと思います。 ○松井委員 議題1、資料1、「ロゼレム錠8mg」、ラメルテオンにつきまして概要を説 明いたします。審査の詳細については後ほど事務局から補足いたします。  本剤の有効成分であるラメルテオンは、武田薬品工業株式会社で合成されたメラトニン MT1及びMT2受容体の選択的作動薬であり、海外では19□年□月から臨床試験が開始 され、2005年7月に米国で初めて承認されて以来、2009年11月現在、4か国で承認され ております。本邦では19□年□月から臨床試験が開始され、不眠症における入眠困難に 対する有効性及び安全性が示され、今般の承認申請が行われております。本剤につきまし ては、去る1月29日に開催されました医薬品第一部会におきまして審議した結果、承認 して差し支えないとの判断に至りました。部会における審議では、本日お越しいただいて いる三島参考人も御出席いただき、不眠症治療の現状、治療上の問題点、本剤の臨床上の 必要について御説明いただきました。また、本剤を漫然と投与することがないよう、定期 的に有効性等を評価する必要がある旨を添付文書で記載し、注意喚起をしております。  以上、概要を説明しましたが、さらに詳細は事務局から説明します。 ○望月分科会長 事務局から補足等の説明をお願いいたします。 ○事務局 議題1、資料1、「ロゼレム錠8mg」、ラメルテオンの審査の概略について臨 床試験の成績を中心に御説明申し上げます。  まず有効性についてですが、審査報告書の47ページの表をご覧ください。国内第III相 試験において主要評価項目であるFASでの投与1週時の自覚的睡眠潜時は、これは眠り に就くまでの時間のことですが、本剤群で61.07分、プラセボ群で65.77分であり、本剤 群とプラセボ群との群間差は−4.54分であり、本剤群で統計学的に有意な短縮が認めら れております。なお、副次評価である投与2週目では群間での統計学的有意差が認められ ていないという結果になっており、提出された結果から本剤の臨床的意義は示されている ものの、漫然とした投与については注意喚起すべきと考えております。そこで資料1.8の 添付文書(案)2ページをご覧ください。添付文書の「重要な基本的注意」の(2)において、 「投与開始2週間後を目処に入眠困難に対する有効性を評価し、有効性が認められない場 合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しないこと」と記載し、注意喚起をすることとし ました。また、審査報告書58ページの表をご覧ください。国内第III相試験では既存の不 眠症治療薬であるベンゾジアゼピンによる治療歴のある患者が組み入れられておらず、国 内第II/III相試験の結果を不眠症の前治療の有無別で事後的に検討した結果が示されてお ります。その結果、不眠症治療薬による前治療歴のある患者では、本剤の有効性が低下し ている傾向が認められました。また、いずれの国内外臨床試験においても、精神疾患を合 併する患者は組み入れられておりません。  そのため、もう一度添付文書の案に戻ってください。先ほどの2ページ目の左側の段で すが、こういった結果を踏まえて添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項にお いて、「ベンゾジアゼピン系薬剤等他の不眠症治療薬による前治療歴がある患者における 本剤の有効性、並びに精神疾患、統合失調症、うつ病等の既往又は合併のある患者におけ る本剤の有効性及び安全性は確立していないので、これらの患者に本剤を投与する際には 治療上の有益性と危険性を考慮し、必要性を十分に勘案した上で慎重に行うこと」と記載 し、注意喚起することとしました。  次に安全性について御説明します。審査報告書に戻りまして、64ページの表をご覧く ださい。既存の不眠症治療薬であるゾピクロン又はゾルピデム、これは競合品目として取 り上げられましたアモバンやマイスリーですけれども、それらを対照として海外臨床試験 において記憶機能に及ぼす影響を検討した結果、本剤はこれらの医薬品よりも影響が小さ い傾向が認められています。  また、審査報告書の65ページの下の表を御覧ください。国内臨床試験において、本剤 の治療期最終時及び後観察期における自覚的睡眠潜時は延長する傾向は認められておら ず、ベンゾジアゼピン退薬症候質問票の合計スコアの変化量も国内臨床試験で変化が認め られなかったことから、本剤投与により退薬症候が発現する可能性は低いと考えておりま す。なお、これらの事象の発現状況については、製造販売後調査において引き続き検討す る予定としております。  審査報告書の68ページの上から6行目をご覧ください。本剤につきましては、欧州に おいて2008年6月にnegative opinionが発出されている経緯がありますので、その点に ついて説明します。欧州における審査の主な論点は3点あります。1点目は睡眠潜時以外 の睡眠パラメータに対する有効性が示されていないことです。この点については、国内臨 床試験では総睡眠時間や中途覚醒といった指標でも改善傾向は認められておりますが、主 な有効性は睡眠潜時の改善として認められており、国内での本剤の効能・効果については、 不眠症における入眠困難の改善と規定することが適切と判断しております。  2点目は、実薬を対照とした臨床試験結果がないことですが、本剤は既存の不眠症治療 薬であるベンゾジアゼピン等とは異なり、抗不安作用や筋弛緩作用を有さないことが特徴 で、これまでの不眠症治療薬とは位置付けが異なっていることから、承認に際して実薬を 対照とした試験の実施は必ずしも必須ではないと考えております。  3点目は、プラセボ群でも経時的に睡眠潜時が短縮しており、長期投与時の有効性が示 されていないということです。この点につきまして、国内の長期投与試験では本剤の6か 月までの有効性が示唆されており、海外臨床試験では睡眠潜時のデータにおいて6か月ま でのプラセボに対する有効性が示されておりますので、本剤の漫然とした投与は避けるべ きであると考えておりますが、先にも述べたような注意喚起を行うことで問題はないので はないかと考えております。  以上、総合機構における審査、医薬品第一部会の審議の結果、本剤の不眠症における入 眠困難の改善に対する効能・効果を承認して差し支えないと判断され、薬事分科会で審議 されることが適切であると判断されました。再審査期間は8年、原体は劇薬、製剤は毒薬 及び劇薬のいずれにも該当せず、特定生物由来製品又は生物由来製品には該当しないと設 定することが適切と判断されております。  なお、事前に神山委員より添付文書の高齢者への投与の項、添付文書の3ページ目の右 側の段ですけれども、「高齢者においては血中濃度が上昇するおそれがあるため、患者の 状況を観察しながら慎重に投与すること」と記載されていることについて、「外来で投与 された患者がすぐに再来するとは考えられないが、どのように観察して対処するのか」と いうご質問をいただきました。これについてですが、本剤は高齢者で本薬の血中濃度が上 昇する傾向が認められていることから、投与前によく患者の状態などを観察し、通院中も 医師が患者の状態を慎重に観察していただきたい、ということです。先ほども説明しまし たとおり、本剤は漫然と投与することのないようにとしており、投与開始2週間後を目処 に有効性を評価するようにといった注意喚起も行っておりますことから、そういったこと も合わせて慎重な観察をしていただくことと、患者さんにつきましても投与中に異常を感 じた場合にはすぐに医師に連絡するように指導していただくことを想定しております。説 明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、次に、参考人の三島先生の方から補 足等ございましたら、お願いいたします。 ○三島参考人 国立精神・神経センターの三島です。私は不眠症の診療と研究に携わって いますので、不眠症の治療の現状と問題点について、日ごろ感じていることを少し御説明 したいと思います。  様々な疫学調査があるのですが、日本国内では、いわゆる医療が必要だと考えられる不 眠症の方というのは、大体5%〜7%ぐらいと言われています。一方で、睡眠薬の処方率 ということになりますと、大体4%前後、約半数ぐらいの方が医療を受けられています。 やはり不眠症は加齢とともに増加しますので、睡眠薬の処方実態の解析を詳細に行います と、大体50歳以上の中高年層の方が睡眠薬の7割ぐらいを服用しているといったことで、 いわゆる中高年層の病気とお話をしてもよろしいかと思います。  今、国内に20数種類の睡眠薬がありますが、バルビツレートのような古いタイプの睡 眠薬が1割ほどありますが、現在、私たちはほとんど使用しません。残り9割は、先ほど 厚労省側から御説明がありましたが、ベンゾジアゼピンと言われる、作用機序がほとんど 同じ薬剤が大部分です。逆に言うと、私たちはその全く同じ作用機序を持つ薬物を、その 患者さんごとに使い回しをして不眠医療を行っています。しかし、これらの薬剤も、以前 に比べては安全性は優れているとはいえ、特に中高年層においては、転倒、骨折ですとか、 記銘・記憶障害のような副作用があって、リスクベネフィット・バランスが低いために、 多くの不眠症患者さんがおられるにもかかわらず、なかなか自信を持って投薬できないと いう現状にあります。そのために、患者さんの方も睡眠薬に対して抵抗感が非常に強くて、 実地臨床の現場においては、不眠症があってもなかなか治療を受けてくださらない、その 結果、初期治療を誤ったために慢性的な不眠に陥るというような現状があります。  今回審査対象となっているラメルテオンは、そのような意味で、既存のベンゾジアゼピ ン系の睡眠薬に比較して、先にお話したような、特に中高年で問題になりそうな副作用の 発現率が低くなるのではないかということを期待しております。私たち不眠医療を行って いる者にとっては、既存の薬物の作用機序と違う新しい治療のオプションを必要としてい ます。特に、繰返しになりますが、中高年層において安心して使える薬物、新たなオプシ ョンとして本剤が認可されますと、私たち実地臨床を行っている者にとっても非常に助け になるのではないかと私自身は考えております。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、これまでの説明につきまして御意 見、御質問等ありましたら、お願いします。神山委員は、先ほどの回答でよろしいですか。 ○神山委員 添付文書の2週間後にもう一度確認するというところが、有効性しか書いて いないのです。それで、「その後も定期的に有効性及び安全性を評価すること」と書いて あるのですが、せっかくなら、有効性だけではなくて、2週間後に、血中濃度が上がって いないかというような安全性に関することも確認するようにと書いていただいた方が良 いと思います。「その後」だけではなくて「2週間後の時点で」を入れていただけないの かと思います。 ○望月分科会長 ただ今の点について一般的な注意、基本的な注意の方の説明に加えると いうことでしょうか。 ○神山委員 「用法・用量に関連する使用上の注意」というところとか、いろいろなとこ ろに。例えば「重要な基本的注意」の(2)のところにも同じことが書いてあって、「有効 性を評価し」云々とあって、「また、その後も定期的に本剤の有効性及び安全性を評価し た上で投与継続の要否を検討すること」となっていて、安全性が出てくるのは2週間経っ てから後なのですが、その点について、2週間後にも評価していただいた方がいいのでは ないかと思うのです。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。 ○事務局 いただきました御意見を踏まえまして、来院のときにその有効性と安全性をき ちんと確認するように、添付文書を工夫したいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかには、どなたか御意見ございますか。 ○松本委員 このラメルテオンでも高度の肝機能障害というのは禁忌になっています。先 回も質問させていただいたので、重複は避けますが、この場合は薬物動態が示されていま す。添付文書の4ページを見ますと、「薬物動態」の6に肝機能障害患者における薬物動 態が示されていますが、これによりますと、未変化体のAUCは健康人と比べて軽度の肝 機能障害で3.6倍、中等度で10.7倍と非常に高いようです。このことから、「高度は検 討されていないが、禁忌にする」というような書き方をされています。この軽度、中等度 に関しては慎重投与ということで処理をされているようなのですが、この程度でよろしい でしょうか。こんなに高くて、投与量をある程度減らすとか、そういう指示は必要ないか どうか、事務局で教えていただきたいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の点につきまして、事務局からお答えく ださい。 ○機構 本剤に関しましては、臨床試験の中で32mg若しくは60mgまで投与されていまし て、その中でも特に目立った有害事象は認められていません。実際、この薬剤に関しては 8mgを投与するということで、血中濃度は確かに十分上がるのですが、そこまでの安全 性はある程度確認されているということで、特に大きな問題はないと考えています。 ○望月分科会長 松本委員、よろしいですか。ほかには、どなたか御意見ございますでし ょうか。 ○山口分科会長代理 この効能・効果の後に、ベンゾジアゼピン系の薬剤とは併用しない、 というようなことが書いてあるのだと思うのですが、不眠症の人というのは、こういう薬 剤をかなり持っているので、効かなければ併用して、つい飲んでしまう可能性はかなり高 いのではないかと思うのですが、実際に併用した場合どういう危険性があるかということ について、三島先生、いかがなのでしょうか。 ○三島参考人 併用した場合の危険性ですか。恐らく、先ほどの併用を推奨しないという のは、ベンゾジアゼピンに比べてラメルテオンは効果がマイルドという印象がありますの で、従来のベンゾジアゼピンの使用によっても効果が認められないような、いわゆる中等 度以上の不眠症の方に対しては、ラメルテオンを改めて使い直しても効果が期待できない という意味合いだろうと私は受け取っていました。そういう意味では、併用した場合には、 それぞれの薬物の副作用というものは当然想定されると思うのですが、併用したことによ って、とりわけ重大な副作用の事象が起こるかと言われると、私の知識では、相乗作用に よる副作用という意味では、頻度は低いと思います。  ただ、一般的に重度の不眠症の方は、手持ちの睡眠薬などを医師の指示に従わず、自己 判断で重ねていくということがあり得ますので、このラメルテオンにかかわらず、新たな オプションと私は申し上げましたが、外来において新しい薬物を求めて来られた方には、 今までの治療歴をよく伺った上で、重ねて使用しても効果は期待できないのだということ をよく説明した上でお渡しする必要があります。確かに外来では、5錠、6錠まとめて飲 んでおられる方もいらっしゃいますので、これはラメルテオンにかかわらず、不眠医療の ときには注意が必要なことだと思います。 ○望月分科会長 ほかには、どなたか御意見ございますか。 ○早川委員 今のことと関連するのですが、添付文書の「効能・効果」のところで、最初 に「不眠症における入眠困難の改善」というのが効能・効果になっているのですが、外来 などで投薬をするときに、どのようなケースにこれを新たなオプションとして投薬するの かというところを示す必要はありませんか。この書きぶりや、先ほどの議論によると、使 っている人には、多分使わないわけですね。つまり、新たな患者さんに投与するのですが、 そのときの判断基準というか、オプションというのはどういう判断基準に基づいて使うの かということが明確であれば教えて下さい。つまり、比較的マイルドな方に投与するとか、 添付文書に何かそういう表現があってもいいのではという気がしたのですが、いかがでし ょうか。 ○望月分科会長 これは、事務局からお答えいただけますか。 ○機構 添付文書の中におきましては、この薬剤とその他の今の既存の薬剤とを直接比較 しているデータもないことと、既存のものに関しては不眠症という効能・効果ですが、本 剤に関しては、入眠困難と効能・効果できちんと書かせていただいたこと、あとは、効能 ・効果に関連する使用上の注意で、ベンゾジアゼピンを使った経験のある患者さんにおい ては有効性及び安全性は確立していないことをきちんと示させていただいて、注意喚起さ せていただいております。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。 ○神山委員 今のことに関連してなのですが、先ほど三島先生が、これまでの入眠剤、睡 眠導入剤は結構副作用などもあって、転倒、骨折などもあるので、こういう新しいものが 必要だとおっしゃったと思うのですが、この効能・効果に関連する使用上の注意を見ます と、「ベンゾジアゼピン系薬剤と他の不眠症治療薬による前治療歴がある患者における本 剤の有効性」云々と書いてあるのです。つまり、これまでベンゾジアゼピン系薬剤という のを投与されていて、もうろうとして転倒したとかいう人を本剤に切り替えるということ はないわけでしょうか。 ○三島参考人 睡眠薬の大体60%〜70%は内科、外科の先生が出されています。やはり 専門の先生ではありませんので、不眠症治療の第一線の先生でおられながら、なかなか使 いづらい睡眠薬しかなかったというところが、一番大きな問題点だったと思うのです。確 かに今、神山先生がおっしゃられたように、ongoingで睡眠薬を使っている方をすぐに切 り替えて同等の治療効果が得られるという薬剤ではないような印象を持っていますが、少 なくとも今後、一般身体科といいますか、内科、外科で不眠を訴えて現れた患者様に比較 的安心して投薬できる有力なオプションになるという意味合いで、私は先ほど申し上げま した。  また、このラメルテオンは、確かにマイルドな効果ではありますが、中高年以降の不眠 症というのは長い経過で治療していかなければなりませんので、十分な治療効果とは言え なくても、安全性が担保されることによって最終的に治療効果を達成するということもあ ります。その意味では、現在睡眠薬を使っている患者様が日中の眠気等を訴えて困ってお られる場合には、adherenceを高めて、安心して使っていただけると思います。この添付 文書の記載とは若干異なりますが、今の睡眠薬で非常に問題のある方の場合には、置換を して使うというようなケースも当然臨床の現場ではあると私は思いますし、それが非常に うまくいくケースもあるのではないかと思います。いずれにしても、この薬剤のメインの ターゲットというのは、非常に頻度が高い、内科、外科などの一般身体科において登場す る軽度から中等度の不眠症の方だと私自身は考えています。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。 ○土屋委員 この品目も、次の品目もそうなのですが、「主要文献」のところで、8割と か9割が社内資料でいいのかということが気になりました。「主要文献」に挙げるのに7 割、8割、9割が社内資料というのはいかがなものか、という気がいたします。 ○望月分科会長 今の点については、どなたにお答えいただければいいですか。 ○事務局 本剤は完全に新薬ですので、現時点ではこういった臨床試験等のデータがなか なか発表されていませんが、臨床試験成績については論文等で公表するように働きかけて いきたいと考えています。 ○望月分科会長 ありがとうございます。そういうことですが、よろしいでしょうか。ほ かには、どなたか御意見ございますか。特段ないようですので、新しい選択肢を不眠症治 療に与えたということで、本分科会で議決に入ってもよいという気がするのですが、よろ しいですか。それでは、三島参考人には、本日は貴重な御意見をありがとうございました。 どうぞ御退室ください。 ── 三島参考人退室 ── ○望月分科会長 土屋委員、永井委員におかれましては、寄付金等に関する申出に基づき まして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。後ろに用意してある席にお移りい ただけますでしょうか。  部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について製造販売承認を可、再審査期間 は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬、劇薬に該当しない、生物由来製品及び特定生 物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、 よろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程 第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣 に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては、私に御一任いた だいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次の議題に入りたいと思います。議題2、資料2「医薬品モイスティア点眼液3%の生 物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定 並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有 効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基づ き、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっており ます。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたい と思います。それでは、医薬品第一部会長の松井委員から御説明をいただきたいと思いま す。 ○松井委員 議題2、資料2、「モイスティア点眼液3%」、ジクアホソルナトリウムに ついて、概要を説明します。本剤の有効成分であるジクアホソルナトリウムは、粘膜組織 に発現するプリン受容体の1つであるP2Y2受容体に対しアゴニスト作用を有するジ ヌクレオチド誘導体です。本剤の予定効能・効果であるドライアイは、涙液の減少や質的 な異常に伴って引き起こされる角結膜上皮障害であり、既存の薬物治療としては、人工涙 液やヒアルロン酸ナトリウム点眼液が用いられており、これらの点眼剤で十分な効果が得 られない患者に対しては、自己血清の点眼や涙点プラグ挿入術、涙点閉鎖術等の外科的処 置が行われています。本薬は、結膜のP2Y2受容体へ作用することにより水分及びムチ ン分泌を促進し、涙液の異常を量・質の両面から改善すると期待されたことから、ドライ アイに対する新規の作用機序を有する点眼剤として開発されたものです。  海外においては、現時点において本剤が承認又は開発されている国はありませんが、米 国インスパイア社において開発された本剤とは別製剤の本薬点眼液が、米国において現 在、承認審査中です。本剤については、去る2月26日に開催された医薬品第一部会にお いて審議した結果、承認して差し支えないとの判断に至りました。なお、本剤の販売名は 「モイスティア点眼液3%」として申請されましたが、「ジクアス点眼液3%」に変更さ れています。以上、概要を説明しましたが、さらに詳細については事務局から説明します。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から補足の説明をお願いし ます。 ○事務局 資料2、ジクアス点眼液3%の審査の概略について御説明します。審査報告書 24ページの下から3行目、4)第III相試験の項を御覧ください。ドライアイ患者を対象に、 本剤又は0.1%ヒアルロン酸点眼液を1日6回、4週間点眼した際の有効性及び安全性を 比較する試験が実施されています。その結果、次の25ページの表4に示していますよう に、有効性の主要評価項目とされた角膜上皮障害の指標であるフルオレセイン染色スコア のベースライン値からの平均変化量、FLスコアと書いてありますが、それは本剤群では −2.12、ヒアルロン酸群、この表の中ではHA群と書いてありますが、そちらでは−2.08 であり、本剤群のヒアルロン酸群に対する非劣性が検証されています。また、その下の表 5についてですが、これは2つ目の主要評価項目とされた角膜及び結膜上皮のムチン被覆 障害の指標であるローズベンガル染色スコアのベースライン値からの平均変化量を示し ています。こちらについては、本剤群では−3.06、ヒアルロン酸群では−2.38であり、 こちらの指標については本剤群の優越性が示されています。これらの成績により、ドライ アイに対する本剤の有効性は示されたものと判断しています。  次に、審査報告書の30ページ、(2)安全性についての項を御覧ください。臨床試験に おいては、問題となる全身性の有害事象は認められていません。また、本薬は点眼後には 眼内で速やかに生体成分であるウリジン、ウラシル等に代謝され、本薬未変化体及び代謝 物の全身への移行はわずかであるということが示唆されています。比較的発現率の高かっ た眼局所の有害事象として、上から7行目以降に記載していますように、眼刺激7.3%、 眼脂6.6%、結膜充血7.3%等が認められていますが、そのほとんどは軽度で回復性が認 められていることから、現時点では本剤の安全性に大きな問題はないと判断しています。 なお、製造販売後調査においては、臨床試験で組入れの少なかった重症例なども含めて使 用実態下での安全性が引き続き検討される予定となっています。  以上、機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤の有効性が認められ、安全 性は忍容可能であるということから、承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議 されることが適当との判断に至りました。なお、再審査期間は8年間、原体及び製剤は毒 薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当 しないと判断しています。説明は以上です。御審議をよろしくお願いします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明につきまして御意見、 御質問等をお願いします。 ○神山委員 事前にファックスでお送りしていたのですが、24ページ、3)長期試験(1)の 最後の方の文章で、「有害事象は58.7%、141件に認められた」というようなことがいろ いろ書いてあって、「このうち14件は副作用とされた」と。大したことではないのです が、「副作用とされた。以上より申請者は、ドライアイ患者に対する本剤の28週までの 長期投与時の有効性が示され、安全性について臨床上問題はないと考える旨を説明した」 と書いてあって、「副作用とされた」というその後に「以上より安全性について問題はな いと考える」というのは、文章として全然続いていないのではないかという気がして、ど ういう意味でしょうかと御質問しました。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。お答えください。 ○事務局 失礼しました。事前にいただいた質問について言及をしていませんでした。御 指摘の記載部分は、試験結果の事実と、それを踏まえた申請者の見解が最後に示されてい ますが、見解に至った理由が記載されていないことで御懸念を抱かれたのではないかと推 察しています。機構の見解が30ページに記載してありますので、そちらを御参考いただ けますでしょうか。副作用とされた事象のほとんどは眼局所の事象となっていまして、発 現率の高い眼局所の有害事象、眼刺激7.3%、眼脂6.6%、結膜充血7.3%のうち、結膜 充血の1例を除くいずれも軽度のものであったということです。また、臨床検査値の異常 についても、申請資料から、変動は非常に小さかったと、医学的に問題となるものではな いことが確認されています。こういったことから、機構の審査においては、本剤の安全性 及び忍容性については大きな問題はないと考えたという次第です。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。 ○神山委員 機構の判断がそうであるというのはよく分かるのですが、申請する方も、こ んな急に変な文章にならないように、その間に「副作用は軽度なものと判断したので」と か何とか文章を続けないと、読んでいて非常に違和感があるように思います。 ○望月分科会長 審査報告書の訂正を求めるということですが、よろしいですか。 ○事務局 審査報告書の記載が誤解のないものとなるよう今後注意いたします。 ○望月分科会長 ほかには何かありますか。 ○飯島委員 ドライアイの患者さんというのは、例えばスティーブンス・ジョンソン症候 群の後遺症というのはしばしばドライアイが認められるのですが、この患者さんを見てい ると、1日に6回ではなくて8回も10回も点眼しているのです。これは用法・用量は1 日6回となっていますが、頻繁に使った場合の安全性については確認されているのでしょ うか。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。お答えいただけますか。 ○機構 臨床試験では1日6回が最高の点眼回数として実施されていますので、それ以上 投与した場合というのは、有効性、安全性ともに確認されていません。 ○飯島委員 実用上は問題ないと考えられるのでしょうか。 ○機構 スティーブンス・ジョンソン症候群の患者様で、臨床試験に入られた患者様は少 ない症例数ではありますが、有効性は1日6回の投与で全体集団とほぼ同様の成績である ということが確認されていますので、これらの重傷度の高い患者様においても1日6回の 投与でも有効性は期待できると考えています。 ○飯島委員 ありがとうございました。 ○望月分科会長 ほかには、どなたか御意見ございますか。 ○井部委員 「モイスティア点眼液」という名前が「ジクアス点眼液」に変わったという ことです。私としてはドライアイにモイスティアの方が理解しやすいのですが、どうして 「ジクアス」という名称に変わったのか、分かるようでしたら教えてください。 ○事務局 正に、先生に御指摘いただきましたとおり、「モイスティア」という名称その ものが本剤の効能・効果をあまりにも直接的に想起させるようなところもありますので、 審査の過程において、そういった効能・効果をより強く誤認させるおそれも考えられるこ とから名称の変更に至ったという経緯があります。 ○井部委員 「ジクアス」というのは何か意味があるのでしょうか。それとも、単なる記 号でしょうか。 ○事務局 本剤の一般名が「ジクアホソルナトリウム」ですので、そういったところから 取っているのではないかと思います。 ○井部委員 以前、テレビで、点眼というものはどうやったらいいかという放送をしてい ました。薬液を入れたら目を閉じているというのが正しい点眼で、目をパチパチしない方 がいいというような説明がありましたが、それは何か根拠があるのか、点眼はどのような 方法がよろしいのか。添付文書にはもちろん書いていないのですが、何か教えていただく ことがありますか。 ○事務局 お医者様の方が詳しいかもしれませんが、点眼は、目に1滴垂らして目を閉じ 目頭を軽く押さえるといったような投与方法で行って、目全体に薬液が行き渡るようにす るといったやり方が一般的であろうかと思います。こういった一般的な投与方法は、各薬 剤共通的なところでもありますので、添付文書の記載にはないとは思います。現状でなか なか正しい点眼方法がなされていないといったような報道もありましたが、各社で、様々 な資材と言われる患者用の説明資料等で、正しい点眼の仕方について説明をしているよう な実態はあります。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。ほかには、どなたか御意見ございますか。 ○木津委員 添付文書(案)のところなのですが、「ジクアス点眼液」の上に「P2Y2受 容体作動点眼剤」というような表記になっているのですが、添付文書を見たときに、私た ち薬剤師でも、ここの上のところで判断をするのですが、ごく一般的な医療従事者の中で 眼科の先生以外の方は、P2Y2という受容体作動ということはなかなか馴染みが薄いと 思うのです。例えばここは、「ドライアイ治療剤」というような形に、という御意見は出 なかったのでしょうか。お教え願えればと思います。 ○機構 御指摘のとおり、この「P2Y2受容体作動点眼剤」という書き方は、少々分か りにくいかと思います。このほかの書き方というのは今のところ特段は検討していないの ですが、もう少し分かりやすい形に変更できないか、申請者と相談したいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかには、よろしいでしょうか。それでは、新 しい機序の点眼薬として一応いいだろうというようなことかと思います。特段の御異議が なければ、議決に入りたいと思います。部会の報告を踏まえ、当分科会としても、本品目 について製造販売承認を可、再審査期間を8年、原体、製剤ともに毒薬、劇薬に該当しな い。生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める 旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程 第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣 に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては、私に御一任いた だいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次の議題に入りたいと思います。議題3、資料3、「医薬品ソリリス点滴静注300mgの 生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指 定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新 有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基 づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなってい ます。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思 います。それでは、医薬品第一部会長の松井委員から御説明をお願いします。 ○松井委員 議題3、資料3-1及び3-2、「ソリリス点滴静注300mg」について説明しま す。発作性夜間ヘモグロビン尿症は、後天的な遺伝子疾患であり、終末補体制御因子CD 59の欠損により、赤血球表面で細胞融解を引き起こす補体複合体のC5b-9が蓄積し、 血管内溶血が誘発されます。血管内溶血により、ヘモグロビン尿を呈し、貧血状態から疲 労等が認められ、また、溶血により過剰に遊離したヘモグロビンが血小板の活性化などを 引き起こし、血栓症を誘発すると考えられています。さらに、遊離したヘモグロビンが腎 臓に蓄積し、腎障害が認められることもあります。本症に対する現在の治療法は、貧血な どに対する症状の緩和を目的とした対症療法のみであり、血管内溶血を効果的に抑制する 薬剤は存在していません。  本剤の有効成分であるエクリズマブ(遺伝子組換えによるエクリズマブ)は、ヒト補体で あるC5に対し高い親和性を示すヒト化モノクローナル抗体であり、C5の作用を阻害す ることによって補体複合体C5b-9による血管内溶血を抑制することが期待され、本薬 が開発されました。  本邦における本症の推定患者数は、1998年の調査結果において約430人とされており ます。また、本薬は、2008年12月22日付で希少疾病用医薬品に指定されています。本 薬は、2007年3月、米国において承認された後、2009年10月現在、米国、欧州など世界 33か国において本症を適用として承認されています。  提出された資料からは、国内外で実施された臨床試験において、本薬の溶血抑制効果が 認められ、有効性は示されているものと判断いたしました。また、安全性については、髄 膜炎菌感染症の感染リスクが上昇するおそれがあることなどに関して、患者の安全確保の ための対策を取る必要があります。しかし、その他の臨床試験で認められている有害事象 については、現時点で特段問題とすべき点はないものと判断いたしました。  本剤については、去る2月26日に開催された医薬品第一部会において審議し、承認し て差し支えないとの判断に至りました。以上、概要を説明しましたが、さらなる詳細につ いては事務局から説明します。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から補足等の説明をお願いし ます。 ○事務局 議題3、資料3-1及び3-2、「ソリリス点滴静注300mg」の審査の概略につい て、臨床試験の成績を中心に御説明します。主な臨床試験に関する資料として、国内1試 験と海外2試験、計3試験の成績が提出されています。まず有効性に関しては、報告書 37ページ10行目を御覧ください。主要な臨床試験である海外TRIUMPH試験は、プラセボ 対照二重盲検比較試験として実施され、主要評価項目である「投与期間中のヘモグロビン 値が各患者の輸血設定値を上回り、かつ輸血を受けなかった場合」と定義される「ヘモグ ロビン安定化」の達成率及び「濃厚赤血球輸血単位数」のいずれにおいても有意な差が認 められたことから、本薬の溶血抑制効果は示されたと判断いたしました。  安全性に関しては同じく、報告書の37ページの表15を御覧ください。対照群と比較し て本薬群での頭痛発現率が高く、頭痛に対する注意が必要であると考えられますが、その 他臨床上注意すべき有害事象は認められておらず、次に説明します髄膜炎菌感染症以外に ついては、特段問題とすべき点はないと判断しております。  報告書の56〜62ページに、髄膜炎菌感染症についてまとめております。本薬は補体第 5成分C5の作用を阻害するため、莢膜多糖体を有する細菌、特にナイセリア属の髄膜炎 菌による感染に対する防御系が抑制されることが懸念されており、開発の途中から髄膜炎 菌ワクチンを接種した上で、臨床試験が実施されております。また、本薬の既承認国では 髄膜炎菌感染症に対する注意喚起、並びに早期発見、早期治療の体制構築とともに、本薬 投与前の髄膜炎菌ワクチンの接種が必須とされています。髄膜炎菌感染症は、重篤化する 例も認められる感染症であることから、本邦においても十分な対策が必要と考えておりま す。しかし、髄膜炎菌感染に対する予防手段の一つとして期待される髄膜炎菌ワクチンに ついて、本邦では髄膜炎菌が比較的まれな感染症であることもあり、現在までに承認され たワクチンが存在しません。  報告書の78〜80ページを御覧ください。機構は、専門協議結果を踏まえ、申請者に髄 膜炎菌を含めた感染症に対する十分な対応を求めたところ、申請者より、本薬の投与を必 要とする患者全例を登録し、本薬のリスクとベネフィットについて、十分な情報提供が行 われることを確認すること、また、本薬治療は血液内科が中心となりますが、感染症に対 する治療体制が整った施設と連携するなど、髄膜炎菌を含めた感染症の早期発見、早期治 療のための対策を構築すること、さらに髄膜炎菌感染予防対策として、(1)髄膜炎菌ワクチ ン製造企業と協力して、速やかに本邦で発作性夜間ヘモグロビン尿症患者に対する髄膜炎 菌ワクチンの治験を開始し、希望する患者は治験への組入れを行う、(2)治験には参加しな いが、髄膜炎菌ワクチンの投与を希望する患者に対しては、日本渡航医学会の協力を仰ぎ、 海外渡航用ワクチンの接種施設を紹介するなどの体制を構築するとの回答が得られまし た。これらを踏まえ、本薬については髄膜炎菌感染症等に対する製造販売後の安全対策を 講じる必要があり、適正な安全管理体制の下で使用することで、本剤の安全性は許容可能 と判断いたしました。  以上のとおり、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本薬の発作性夜間 ヘモグロビン尿症に対する有効性は認められ、必要な安全管理対策を取ることで、安全性 は許容可能と考えられることから、(1)全症例を対象とした製造販売後調査を実施するこ と、(2)適正使用のための措置を講じること、以上2点に関する承認条件を付した上で承認 して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが妥当と判断いたしました。な お、本薬は生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、また、希少疾 病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判 断しております。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明に基づき御意見、御質問等がありましたら、どうぞお願い いたします。 ○土屋委員 本剤の警告欄で、髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染 症の初期症状について確実に理解させ、そういうことが発生した場合には、主治医に連絡 するよう患者に注意を与えること、というのがあります。この実効性を高めるための手段 というのは、何か用意されているのでしょうか。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。事務局からお答えください。 ○機構 警告欄に記載されている初期症状の徴候等については、もちろん先生方にもアレ クシオンファーマ社から、資材とともに説明していただきますし、患者様用の資材も作成 しております。髄膜炎菌感染症に関しては一気に重篤化するおそれもあることから、患者 カード等も随時持ち歩いていただくよう、指導していこうと思っております。その資材に ついては現在、アレクシオンファーマ社と調整中です。大枠についてはできているのです けれども、細かい文言や、こういった注意を加えた方がいいということに関しては、承認 までにはしっかりしたものを作っていきたいと考えております。 ○望月分科会長 ほかにどなたか、御意見はありますか。 ○木津委員 この製剤ですけれども、希釈が非常に面倒というのが、特徴的な部分として あるかというように理解しています。添付文書の用法・用量の所だけを見ますと、そこが 分からなくて、終わりの「適用上の注意」の調整値の所へ行くと、非常に細かい注意がた くさん書いてあります。特にinfusion reactionのこともありますし、適正な濃度に希釈 をするということと、室温まで温めるということ、さらに「加熱しないこと」となってい ますが、普通は「室温になるまで放置をする」という表現をするかと思います。希釈に関 しても用法・用量の中に、「適正な濃度で調整した希釈液に希釈し」とか、何か書いてい ただけると分かりやすいのではないかと思いました。  もう1点は警告の髄膜炎菌感染症の所で、「抗生物質を投与」と書いてあるのですけれ ども、今、注射用の抗菌薬ニューキノロンのキノロン系は抗生物質ではないので、今後、 ここは「抗菌薬」の方が、正しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 ただ今の2点に関してお答えいただきます。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。検討させていただきます。 ○望月分科会長 ほかにはいかがですか。 ○大野委員 この審査内容に関することではないのですが、機構の姿勢として、問題があ るのではないかと思ったところがあったのです。この審査報告書は、医薬品医療機器総合 機構の報告書で、会社の報告書ではないですね。しかし、この審査報告書はアレクシオン ファーマ社として出した形になっています。審査報告書の上の方に全部、「Alexion Pharma」「SOLIRIS」と書いてあるのです。これは非常にまずいと思いますが。 ○望月分科会長 ただ今の審査報告書について、いかがでしょうか。 ○機構 確かにおっしゃるように、機構が作成したものです。先生方に送付させていただ いた資料の中で、恐らく上に記載されている「Alexion Pharma」というヘッダーの部分か と思われます。この点については特に機構から指示をしておりませんが、このような形式 になっておりました。確かにおっしゃるとおりですので、今後は気を付けていきたいと思 います。申し訳ありませんでした。 ○大野委員 この部分は医薬品医療機器総合機構として印刷をして、ファイルしてもらわ ないとまずいですね。表紙が「アレクシオンファーマ」となっていますから、アレクシオ ン社からの報告書ということになっています。 ○望月分科会長 機構が出した報告書であるので、アレクシオン ファーマの報告書では ないということですね。 ○大野委員 公文書としては、これを入れ替えていただかないとまずいと思うのです。 ○望月分科会長 文書として入れ替えるということでよろしいですか。ごもっともな意見 だと思います。 ○機構 はい。 ○望月分科会長 よろしくお願いします。 ○神山委員 今のことがよく理解できなかったのですが。つまり審査報告書というもの は、会社に作らせているのが一般的ということですか。なぜ会社のヘッダーが付いている ようなものができてしまうのかが、一般論として理解できないのですが。 ○審査管理課長 事務局から説明させていただきます。この資料を作成する際に、厚い申 請資料を企業でまとめていただいております。その際の組み方として、一応、審査報告書 の最終版はPMDAで作るわけですが、その原稿をお渡しして印刷をお願いしているとい う状況です。企業の資料の組み方としても、そちらの方が効率的に早いということでお願 いしているわけです。少なくとも審査報告書はPMDAの報告書であり、申請企業の報告 書ではありませんので、それは誤解のないような形にさせていただきたいと思っておりま す。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。以後、そういうことがないようにしていただきま す。 ○溝口委員 この薬は素晴らしい薬だと思いますが、お聞きしたいことがあります。日本 の患者では大量の溶血をきたすような重症者は少ないと聞いております。審査報告書の 41ページでは、PNHの疫学に対する国内と米国との比較でも、LDHを見てもかなり 差があるので、それを反映しているのではないかと思います。遺伝子組換えの薬ですから、 ものすごく高価な薬ではないかと思いますが、対照症例が430人しかいないということだ と、財政を圧迫するようなことはないのかもしれませんし、承認条件や添付文書にもきち んと書かれていますので、問題はないかと考えます。  ただ、軽症者に使われる可能性を少し配慮した方がいいと思います。報告書の34ペー ジに、治験のときもLDHが最小値627の方に使われています。多分、かなりの専門家で ないと使わないとは思いますが、今後の問題として、例えばLDHが1,000を超えた患者 や、肉眼的にヘモグロビン血症を認めた患者を対象とする、という縛りを入れる必要はな いのでしょうか。ここに書かれていることだけで、軽症者に使われる心配はないと考えて いいのでしょうか。と、申しますのはかなり副作用のある薬剤であると思いますので、お 教えいただきたいと思います。 ○望月分科会長 ただ今の点について、事務局からお答えいただけますか。 ○機構 機構より説明いたします。ただ今の御指摘の点については審査の段階でも、患者 の背景により、どのような患者に効くのか効かないのかというところに関しては、議論を させていただきました。審査報告書の46ページから、各患者背景による有効性について、 サブグループ解析をした表になっています。いくつかサブグループ解析をしたのですが、 有効性に関して一定の傾向が明らかにクリアに認められているところがありませんでし たので、どういった患者で区切るという点に関しては、非常に難しいのではないかと判断 させていただきました。  ただ、先生もおっしゃるように、軽症で溶血も余り起こらない患者には使ってほしくな いというのは、機構もそう思います。したがって、基本的には臨床試験で組み入れられた 患者に対して使っていただく必要があるだろうと考えております。その点に関しては、効 能・効果に関連する「使用上の注意」の2番になります。基本的には溶血のために赤血球 輸血が必要と考えられ、今後も輸血の継続が見込まれる患者を対象とすることで、後は先 生方の御判断に委ねる形になると考えます。 ○望月分科会長 そういうことでよろしいですね。ほかに何か御意見はありますか。外国 でも33か国で承認されているということですので、特段の問題はないと思います。前の 議題1、議題2もそうですけれども、書類の書き方について御指摘を受けた点は修正をお 願いします。特段の異議がなければ議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会とし ても本品目について、製造販売承認を可、再審査期間を10年、原体、製剤ともに劇薬に 該当し、生物由来製品に指定することが適当であると認める旨議決したいと思いますが、 よろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程 第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣 に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては、私に御一任いた だいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  これからは報告事項に入ります。御担当の部会ごとに区切って報告いただくことにいた します。まずは、副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会 の関係の議題4から、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料4を御覧ください。平成21年12月ないし平成22年2月に開催された、 判定第一部会及び判定第二部会の結果について御報告いたします。資料は3回分をまとめ たものをお示しし、その後ろに各部会の判定結果をお示ししております。それでは資料の 1ページ、「判定結果(まとめ)」に沿って御報告いたします。  副作用被害判定については新規302件、継続14件、現況50件の計366件を御審議いた だきました。結果は、支給決定することが適当と考えられるものが312件あります。その 内訳は、請求どおり支給決定するものが161件等です。また、不支給決定をすることが適 当と考えられるものが51件あります。その内訳は、医薬品の使用が適正であったと認め られないため、不支給とすることが適当であるというのが14件等です。感染被害判定に ついては、3件御審議いただきました。結果は、支給決定することが適当と考えられるも のが3件です。その内訳は、請求どおり支給決定するものが1件等です。  副作用・感染等被害判定第一部会及び第二部会の結果は以上ですが、事前に神山委員よ り御質問をいただいております。御質問は、資料の12ページの139についてです。「発 熱にPL顆粒、カロナール錠200、クラビット錠を投与して不適正使用とは、どのような 状況ですか」ということです。139については、残薬を医師の指示によらず自己判断で使 用しており、不適正とされております。事前にいただいた御質問は以上です。 ○望月分科会長 ただ今の説明について、委員の方々から御意見、御質問をいただきたい と思います。いかがでしょうか。神山委員の質問についてはよろしいですね。  それでは、本件については御確認いただいたものとします。続いて医薬品第一・第二部 会の関係、議題5〜9についての説明をお願いいたします。 ○事務局 まず、新薬の承認の関係で三つ御説明いたします。資料5からです。議題5、 「医薬品リリカカプセル25mg他」です。本剤は帯状疱疹後神経痛を効能・効果とする、 新有効成分プレガバリンです。本剤については、本年2月26日の医薬品第一部会におい て御審議いただき、承認して差し支えない旨の結果をいただいております。  続いて資料6を御覧ください。本剤は2型糖尿病、ただし下記のいずれかの治療で十分 な効果が得られない場合に限る、(1)食事療法、運動療法のみ、(2)食事療法、運動療法に加 えて、α-グルコシダーゼ阻害剤を使用という効能・効果である一般名アログリプチン安 息香酸塩です。本剤も2月26日の医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差 し支えない旨の結論をいただいております。  三つ目は、一般名「パニツムマブ」です。本剤の効能・効果は、KRAS遺伝子野生型 の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌です。本剤は本年2月22日に開催された医 薬品第二部会において御審議いただき、資料7の10の備考欄にある承認条件である「国 内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータ が蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用 患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収 集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずること」との承認条件を付した上で、承認して 差し支えない旨の御結論をいただいたものです。以上です。 ○事務局 続いて、議題8について御説明いたします。資料8を御覧ください。「ドキソ ルビシン塩酸塩注射液50mg『サンド』の毒薬指定からの除外について」です。現行の規 定ですが、抗悪性腫瘍剤のドキソルビシンは現在、その化合物と製剤が毒薬に指定されて おり、1バイアル中にドキソルビシンとして20mg力価以下を含有するものは毒薬から除 外されて劇薬に指定されております。したがって、先発品のアドリアシン注用10は毒薬 から除外されております。しかし今回の品目は、現在の規定では毒薬に該当してしまいま す。当該品目は先発品と同一濃度であり、入れ目が違うものですので、先発品と同様に毒 薬から除外し劇薬とすることが適当である、として医薬品第二部会で了承されました。薬 事法施行規則の改正案では、上の表が毒薬の規定、下の表が劇薬の規定です。それぞれ 20mgとあるのを50mgに改正するものです。以上です。 ○事務局 続いて資料9、「医薬品エビリファイ錠3mg、同錠6mg、同錠12mg、同散1 %及び同内用液0.1%の再審査期間延長の可否について」、御説明いたします。薬事法で は再審査期間を延長できるという規定があり、通知により小児の用量設定等のための臨床 試験を計画する場合にあっては、再審査期間を10年を越えない範囲で、一定期間延長す ることができることとなっております。今回の再審査期間の延長の可否と申しますのは、 その通知を受けたものです。  まず、品目について御説明いたします。本剤の対象となる品目は、先ほど申し上げたと おりです。一般名はアリピプラゾールです。本剤の申請者は大塚製薬株式会社です。効能 ・効果は統合失調症です。現在の用法・用量ですが、通常、成人にはアリピプラゾールと して1日6〜12mgを開始用量、6〜24mgを維持用量とし、1回又は2回に分けて経口投 与します。なお、年齢や症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超えないこととい う書き方となっております。本剤の承認は平成18年1月23日、再審査期間はそれから8 年とされておりましたが、本剤については別紙(1)を御覧ください。別紙(1)の中段より 下に、「再審査延長案」と「根拠」と書いてあります。本剤について小児の用法・用量の 設定及び小児集団における有効性・安全性を把握する目的で、治験を計画するということ でしたので、平成22年2月26日の医薬品第一部会において、再審査期間を当初より2年 間延長するのが適当とされたところです。以上です。 ○望月分科会長 医薬品第一部会長の松井委員から追加のご発言はございますでしょう か。では委員の方々から御意見、御質問等はありませんか。土屋委員、お願いします。 ○土屋委員 2件あります。一つ目は資料7の販売名の件です。「ベクティビックス」と いうブランドを使いながら、(2)ではその後に「武田バイオ」という製薬会社名が、ありま す。ここが販売するのかもしれませんが、そういうものが付いてくるというのは、やはり 構造としておかしいのではないかという気がするのです。もし会社名を付けるのであるな らば、そこは一般名にしておくなり、成分名を入れるなりするのが基本ではないかという 気がいたします。こういうことは本当にいいのかというのが一つです。  もう1件は資料8の毒薬から外すという件です。毒薬から外れますと、現実的に我々と しては、管理が楽になるのですが、ここのところ今まで劇薬だったものが、OTCが出る からといって、突然普通薬になったりします。これは入れ目の問題で、10はこうで、50 は高用量だから、本当は毒薬だけれども劇薬にしようというのは、これはサイエンスでは ないのかと。もともとの定義が、劇性が強いとか毒性が強いといって、訳の分からないこ とになっているのです。そういう入れ目の話になると、例えば25mg以上は普通薬だけれ ども、50mgは劇薬というのはいくらでもあるわけです。この通知で規定を変えれば、確 かに規定には合うのかもしれませんけれども、サイエンスというものは一体どこにあっ て、どうなっているかというのが、最近分からなくなっています。  教育をするときにも、そもそも劇薬、毒薬というのは一般の方にはなかなか分かりにく いところがあります。25mgを2錠飲んでいる人は普通薬を飲んでいて、50mgを1錠飲む 人は劇薬を飲むというのは、恐らく普通では分からない議論です。ただ、我々は1個中に 入っている量がこの量に満たないから一応劇薬、こちらは普通薬という説明をするし、 「調剤されたものは薬事法上の医薬品ではないから、それは普通と一緒ですよ」などと言 うのですけれども、その辺が教育上も説明しにくくなってきています。こういうものは本 当にケースごとに変えていい話なのでしょうか。 ○望月分科会長 ただ今の2点についてお答えいただけますか。一つが武田バイオという 名称の件です。 ○審査管理課長 資料7の件ですけれども、武田バイオということで、後ろに屋号が付い ていることについては、特に否定するものではないと思っております。ただ(1)と(2)につい ては、同時に販売されると問題になる可能性がありますので、そこは混乱のないようには したいと思っております。  資料8については製剤によってと言いますか、現状で20mg力価の製剤、つまり製剤に ついては毒薬から外しているということです。少なくともこの件に関しては、混乱はない のではないかと思っております。ほかの毒薬・劇薬の取扱いについては、そういうものが あるのかどうか、もう一度見直してみたいと思っております。 ○土屋委員 資料7の件について言えば93号通知の中に、一部を省略したときにほかの ものと似ないこと、というのが(3)に付いているのです。ただし、一般名の場合は屋号がく ることを想定していますから、それは問題ないのですが、ブランド名が付きながら屋号が くるということは、本来想定していないわけです。そうしたときに、93号通知の(3)「一 部を省略したときに他の医薬品としないこと」というのに該当するのではないかという解 釈も、当然できると思うのです。本来、同じブランド名ならば別にこんなものは付けなく てもいいわけです。どうしてそういうことをするのかという意味が分からないのです。 ○審査管理課長 説明を補足させていただきます。実は、これは海外からの導入品で、海 外の会社の関係で、今のところ基本的には武田で販売を予定するという話になっておりま すけれども、最終的にどちらで売るかというのは、まだ決まっていなかった段階でしたの で、その状態で御説明させていただきます。基本的に(1)と(2)が共存することはないと考え ております。そういう意味では問題はないのではないかと思っております。 ○土屋委員 共存することがないというのはどういうことですか。 ○審査管理課長 それぞれが販売することはなく、最終的にはどちらかにするということ です。 ○土屋委員 それでしたら、二つも販売名は要らないのではないですか。 ○審査管理課長 そうです。海外の導入品ですから、契約の問題や販売の形をどうするか というところがあるので、とりあえずこのように出させていただきましたが、最終的に出 すのはどちらかです。今のところは(1)にする方向で検討していると聞いております。両方 とも販売されることはないということです。 ○土屋委員 もし薬価基準に乗るときに(2)が乗ってきたら非難されますよ。ブランド名を 付けていながら会社名を付けるなどというのは、やはりイレギュラーですよ。それでした ら(1)に統一するということでやられた方がいいと思います。 ○審議官 要は二つの会社が申請してきているというところで、販売名を一応分けざるを 得なかったのです。ただ、最終的には一方にまとめますので、先生が御指摘のように、販 売名に「武田」が付かないような形にしていきたいと思います。 ○望月分科会長 そういうことでよろしいでしょうか。毒薬の件もお認めいただけます か。説明を伺った上で、とりあえずいいだろうということです。ほかに御意見はあります か。溝口委員、お願いします。 ○溝口委員 お伺いしたいことが三つありますので、一つひとつ伺います。議題5に限っ ての質問です。皮膚科で帯状疱疹後神経痛のPHNの定義がはっきりしておりません。こ の臨床試験は、発症してから何日後まで疼痛が残った患者さんを対象にして行ったものか を、まず教えていただきたいと思います。 ○機構 事務局よりお答えいたします。詳細な資料は持ち合わせておりませんので、後ほ どお答えさせていただきたいと思います。 ○溝口委員 それでは後ほど教えていただければ結構です。二つ目は、この試験結果を見 ますと、疼痛スコアの有意な減少が認められているので、これは優れた薬剤かと思います。 ただ、PHNを発症する人は圧倒的に高齢者が多いものですから、55ページにある健康 高齢者の症例数も少ないように思われます。それと、国内臨床試験の第II・第III相試験で 65歳以上がどのぐらい含まれているのか、65歳以上で有効性を検討したデータがあるの か、その二つを知りたいと思います。いかがでしょうか。 ○機構 事務局よりお答えいたします。まず55ページの高齢者の単回投与試験に関して は、薬物動態の検討ということで、実際の治療に関してではなく、動態だけを確認する試 験です。ですから8例程度ということになっております。  また、審査報告書の70ページを開いてください。国内第III相試験で組み入れられた患 者の年齢層を区分けして提示しております。65歳以上74歳までが36〜52例です。75歳 以上も30例程度入っており、この試験においても高齢者は結構たくさん入っているとい う状況になっております。 ○溝口委員 分かりました。それで高齢者だけで検討しても、疼痛スコアは有意な改善を 見ているのでしょうか。見落として申し訳ないのですが。 ○機構 75歳以上の300mg群、600mg群に関しては有意な結果です。症例数は若干減って おりますので、統計的な有意差をきちんと求めることは、なかなか厳しいところではある のですけれども、65歳以上においても改善傾向は認められています。 ○溝口委員 では改善傾向なのですね。三つ目の質問ですけれども、これは用量依存性で、 副作用も結構強くなっていると思います。高齢者を対象に使われることが多い薬だと思い ますので、添付文書(案)の2ページと3ページに、高齢者に対する注意が書かれています けれども、できればもう少し目立つ位置とか、目立つ方法で書いていただいた方が、臨床 医が使うときに間違いが起こりにくいのではないかと思いますがいかがでしょうか。 ○機構 事務局よりお答えいたします。先生より御指摘いただきましたように、慎重投与 の項及び高齢者への投与の項で、高齢者への注意を書いているところです。添付文書上、 特に慎重に投与していただきたいという項で、きちんと書かせていただいていることか ら、これ以上強めるというところでは、なかなか書きづらいのが現状かと思っています。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。溝口委員、よろしいですか。 ○溝口委員 確かに書かれているのですけれども、目立たないと思います。添付文書の1 ページはスペースが少ないですね。難しいのかもしれませんが、例えば2ページの注意を 少し太字にするなどして、臨床医が忙しいときに間違って処方してしまわないようなこと であればいいと思います。いかがでしょうか。 ○機構 現状では基本的に高齢者を対象としたというか、ある程度入ったような臨床試験 もやっております。この中で高齢者の方で大きく認められている有害事象として、特に目 立ったものはありませんので、今はこの程度で書いておりますが、そこはもう少し検討さ せていただきたいと思います。 ○望月分科会長 処方するのは高齢者が多いということで、実際に使う高齢者によく分か るような、目立つような書き方をしてほしいということですので、御検討ください。ほか に何かありますか。よろしいですか。  それでは、本件については御確認いただいたものとします。続いて、医療機器・体外診 断薬部会の関係、議題10〜15についての説明をお願いいたします。 ○事務局 議題10〜15までは、医療機器・体外診断薬部会で御審議いただいたものです。 議題10〜12までが、昨年12月24日の部会、議題13からが2月19日に開催された部会 で御審議いただいたものです。まず議題10から御説明申し上げます。  資料10です。「迷走神経刺激装置VNSシステム」というもので、日本光電工業株式 会社から申請されています。「使用目的」を御覧ください。薬剤抵抗性の難治性てんかん、 つまり薬剤でてんかんの大発作が治まらない患者さんに対して、発作頻度を軽減する補助 療法として、電気的に迷走神経を刺激する電気刺激装置です。迷走神経を刺激することに より発作の軽減が行えるもので、欧米においてはかなり使われているものです。次のペー ジに外観の写真図があります。これは実物よりも少し大き目の図になっております。これ を鎖骨の下の部分に埋め込み、首の部分にある迷走神経を刺激するように、リードを皮下 に配置します。こちらについて昨年の部会で御審議いただき、承認して差し支えないとさ れたものです。  なお、神山委員より御質問をいただいております。黄色いタブの添付文書(案)の、3/ 7ページの右のカラムの下から三つ目のポツにありますが、「強力な磁石、ヘアピンや電 動マッサージ器などの磁場から、最低15cm離れてくださいという注意書きがありますが、 携帯電話については問題ないのでしょうか」という御質問をいただいております。磁石に ついては、その前の2/7ページを御覧ください。マグネットを患者さんに持っていただ いて、発作がきそうになったときにマグネットをこの機械の上にかざすことにより、この 機械を作動させることができるという構成になっております。実際に大発作がくるという 予兆が、患者さんによっては分かるということなので、発作が起こる前に刺激を与えて大 発作を抑制するものです。それがマグネットのような非常に強い磁場を近づけますと、誤 って作動してしまう可能性がありますので、こちらの注意事項を入れております。携帯電 話については、電磁両立性や電波の影響を測定しております。そちらは特に誤動作を生じ るものでないことを確認しておりますので、特に問題のないところです。  議題11は、資料11です。こちらは「コッドマン エンタープライズVRD」という品 目で、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社から承認申請がなされたものです。8を 御覧ください。再審査期間が7年となっております。こちらはオーファンデバイスとして 御指定をいただいているものですので、7年とさせていただいています。5を御覧くださ い。ワイドネック型という、少し膨らんだ脳動脈瘤に対して使います。このような脳動脈 瘤ですと、コイルでクリッピングをすることも難しいですし、コイルを経皮的に入れて埋 めることも難しいので、治療の難しい脳動脈瘤です。下から2行目に「最大径7mm」とあ ります。これ以上の大きさになると破裂する可能性が高くなってくるということで、何ら かの治療法が望まれています。  こちらについては別紙1を御覧ください。1枚タブをめくって、右下の図です。ワイド ネックの動脈瘤というのが、一番上の部分にあります。「VRD」という矢印のあるのが 本品目です。デリバリーワイヤーとイントロデューサーで血管の病変部に持って行き、右 上の「展開中」の部分のように血管内にこれを入れることにより、実際に脳動脈瘤をコイ ルで埋めることが可能になります。普通に埋めますとコイルが血管内に落ちてきてしまっ て、実際には非常に困難なものですが、この医療機器を使用することにより、治療可能に なります。こちらも昨年の部会で御審議いただき、承認条件は三つありますが、承認して 差し支えないとされたものです。  資料12が薬剤溶出性ステント、冠動脈ステントです。こちらの品目はアボットバスキ ュラージャパン株式会社から承認申請がなされている、「XIENCE V 薬剤溶出ステント」 と「PROMUS 薬剤溶出ステント」というものです。これは現在、世界的に一番多く使われ ている薬剤溶出性ステントです。こちらの品目は、薬剤としてこれまでもいくつかの薬剤 があり、こちらが四つ目の薬剤です。既にサーカイン錠という医薬品として、免疫抑制の ために承認されている成分が、溶出薬剤として塗られている冠動脈ステントです。こちら も昨年12月の部会で御審議いただき、承認して差し支えないとされたものです。  資料13は、資料10のVNSシステムとともに、海外で既に承認されており、日本でも ニーズが高いということで、ニーズ選定品目にされているものです。5の「使用目的、効 能・効果」を御覧ください。急性期の脳梗塞治療、原則として発症8時間以内にt-PA 適用外、若しくはt-PAを使用しても血流が得られなかった患者さんを対象として、実 際に機械的に血栓を除去するという機器です。こちらは2月19日の機器部会で御審議を いただき、再審査期間3年、承認条件として別紙の赤いタブの所を付して、承認して差し 支えないとされたものです。  資料14は、「クロッサーシステム」という販売名の医療機器です。2の「名称」の上 の「一般的名称」の欄を御覧ください。こちらはカテーテルのシステムですが、今までに ない振動式ということで、新しい一般的名称を新設させていただくということと、この品 目自身の承認の可否について御審議いただいたものです。経皮的な血管形成術で、4にあ りますように末梢血管内の狭窄病変に対して、本当に微細な機械的な振動を用いて、ガイ ドワイヤーの貫通補助を行うものです。具体的には20.5kHzと、動き自体は非常に細かく、 ほとんど分からないぐらいのマイクロメーターオーダーの機械的振動を、カテーテルの先 端チップに伝えることにより、今まで通過が困難であった血管の貫通を補助する品目で す。こちらも2月19日の部会で御審議いただき、再審査期間は3年、承認条件について はタブの三つ目の審議結果報告書にありますように、こちらの三つの承認条件を付した上 で、承認して差し支えないとされたものです。  資料15は承認の可否ではなく、希少疾病用医療機器の指定の可否です。「希少疾病用 医療機器概要」を御覧ください。これは胎児シャントということで、妊婦の胎内の胎児に 対して使用するものです。「予定される使用目的、効能又は効果」の一番下に、「胎児水 腫」というのがあります。妊娠中に胎児が水腫を発症して肺が低形成になり、非常に予後 が悪く、死産になってしまう可能性が高いものです。今までそのような患者さんに対して は、「医療上の必要性」の3行目にありますように、超音波のガイド下や、お母さんのお 腹から子宮内の胎児の胸腔を刺して水を抜いていました。このシャントを付けることによ り、胎児の水腫がお母さんの羊水の方に持続的に自然に排出されることになり、下から8 行目にありますように、胸水や胎児水腫を改善したり、肺低形成の予防を可能としたりし て、妊娠期間を延長することや生存を得ることが期待できるものです。対象患者数は年間、 大体100例です。  「開発の可能性」ですが、下から2行目にありますように、現在は高度医療評価制度な どにより、既に使用実績も積んでおり、開発の可能性があります。今も超音波ガイド下と いう治療法がありますが、感染のリスクなど、なかなか持続的に何回もできない部分もあ り、医療上の必要性が高いだろうと判断され、指定して差し支えないとされたものです。 以上です。 ○望月分科会長 委員の先生方から御意見、御質問等はありますか。よろしいですか。そ れでは御確認いただいたものとします。  続いて血液事業部会の関係、議題16〜18についての説明をお願いいたします。 ○血液対策企画官 議題16、資料16について御説明いたします。「平成22年度の献血 の推進に関する計画」についてです。安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第 9条に基づく基本的な指針、及び同法第10条第1項に基づき、厚生労働大臣が毎年度定 めることとされている、献血推進に関する計画について御報告するものです。内容として は、平成22年度に献血により確保すべき血液の目標量を定めております。全血採血によ る目標量として139万L、成分採血によるものとして63万L、合計202万Lを献血によ り確保することとしております。  また、この目標量を達成するために必要な事項としては、効果的な普及啓発や献血者募 集の推進をして、例えば幼少期を含めた若年層とか企業や団体、複数回献血者に対しての 普及啓発、重点的な献血募集を実施する取組みをすることが盛り込まれています。そのほ かに献血の推進に関する重要事項として、血液検査による健康管理サービスを充実させ る、採血者等の利便性の確保、検査目的の献血の防止のための措置を行う、採血基準の見 直し等の対策が盛り込まれているところです。本年3月11日に開催している血液事業部 会での御承認をいただき、今週末の3月26日に告示し、4月1日から適用する予定にし ております。  議題17、資料17、「平成22年度の献血の受入れに関する計画の認可について」の御報 告です。この計画は、採血事業者である日本赤十字社が作成する献血の受入れに関する計 画でございまして、血液法第10条に基づく基本指針、先ほど申し上げた献血推進計画に 基づき、毎年度作成されるもので、厚生労働大臣の認可を受ける形になっております。内 容としては、献血により受け入れる血液の目標量を確保するために、必要な措置や取組み 等について定めております。推進計画と同様に、今週末に認可をする予定で、4月1日か ら実施される予定です。  議題18は、「平成22年度の血液製剤の安定供給に関する計画」、いわゆる「需給計画」 と呼ばれているものです。この計画は、先ほど申し上げた血液法に基づく血液製剤の安定 供給に関する計画でして、平成22年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量、国内 において製造され又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標、そのために確保され るべき原料血漿の量の目標等が定められているものです。本計画も献血推進計画と同様 に、3月11日の血液事業部会での御了承をいただき、今週末の3月26日に告示され、4 月1日から適用される予定です。以上です。 ○望月分科会長 それでは委員の方々から御意見、御質問等はありますか。 ○神山委員 資料16、「平成22年度の献血の推進に関する計画」についてです。献血を 推進するために、いろいろと啓発運動をするとか、環境整備をするということが書いてあ る最後の方に、「採血基準の在り方の検討」というのがあります。これはかなり重要なこ とではないかと思うのですけれども、後ろの方に書いてあります。最後に、法律の施行規 則をこういうように改正するという所で、たくさんの人から献血ができるように基準を緩 めているわけですが、このように緩めても大丈夫だという根拠はどこかに書いてあるので しょうか。 ○望月分科会長 事務局からお答えください。 ○血液対策企画官 今回の献血推進に関する計画の中では、採血基準の見直しについて周 知徹底をするということが盛り込まれておりますが、献血基準の見直しについては、昨年 度から血液事業部会の中で御議論していただき、献血基準の見直しの改定を行う形になっ ており、来年の4月から実施される予定です。また、これは直接の審議事項ではありませ んでしたので、今回の分科会の中で直接、資料等はお示ししておりませんけれども、ホー ムページ等の中で資料等を公表して、血液事業部会での御議論の経過等についても公表さ せていただいています。その場合においても、採血に当たっての副作用等を十分考慮した 上で、データのあるものについては採血基準の見直しを図ったものです。データ等がない ものについて、採血を緩和しているものではありません。 ○望月分科会長 部会では十分な検討をして見直したということですね。 ○血液対策企画官 はい。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。ほかにどなたか御意見はありますか。それでは御 確認いただいたものとします。本日の議題はすべて終了いたしましたが、ほかに何かあり ますか。 ○事務局 農林水産省より動物用医薬品の文書報告に対していただいた、神山委員からの 御質問に回答させていただきます。まず、資料117、「ノルバックスPLV3種Oil」 についてです。これはブリ用のワクチンで、御質問は「休薬期間が343日とされているが、 対象となるブリの通常の生育期間はどれくらいか」というものです。ブリは普通、4年〜 5年生きる魚ですけれども、養殖魚としての生育期間は1年半〜2年となっております。 稚魚の導入段階のときに投与されて、それから1年半〜2年後にブリとして出荷されます ので、この343日というのは十分クリアしています。  二つ目の御質問です。資料121、「ピレキシン10%」です。これはアセトアミノフェン 製剤で、「投与後1日間は食用に供する目的で出荷しないこととされているが、1日でヒ トに対する有害性がなくなる資料はあるか」という御質問です。ピレキシン10%に関し ては、申請書に「毒性試験」「残留試験」という資料が添付されております。この毒性試 験のデータを基にして、ヒトが生涯にわたって毎日摂取し続けても問題のない量、これは ご質問いただいた「有害性を示す量」よりもはるかに少ない量と御理解いただきたいと思 うのですが、これを推定いたします。次に対象動物である豚を使った残留試験により、投 与された製剤が豚にどれぐらい残るかを調べております。  この二つを比べて、本製剤投与1日後の豚の中に、残留するアセトアミノフェンは、「ヒ トが生涯にわたって毎日摂取し続けても問題のない量」と比べて約3%と十分に低かった ということです。それほど少量しか豚の中には含まれていないということが、資料として 確認されております。これは農林水産省で確認しておりますけれども、そのほかに食品安 全委員会における健康影響評価で、この考え方や資料が正しいかどうかを評価していただ きます。残留については食品衛生分科会で、今後審議される予定です。以上です。 ○望月分科会長 神山委員、よろしいですか。そのほかに何かありますか。 ○審査管理課長 当日配布資料が二つありますので、御説明させていただきます。最初が、 「『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』開催要綱」の件です。当日配布 資料の1ページです。欧米では認められているけれども、国内では承認されていない医薬 品や適応について、医療上の必要性を評価するとともに、公知申請への該当性や承認申請 のために追加で実施が必要となる試験の妥当性を検討することを目的とし、この検討会議 を発足させていただいております。2ページにあるのが、構成員のメンバーです。  3ページが未承認薬・適応外薬について、どのぐらいの御要望があったかという資料で す。これは昨年の6月〜8月にかけて、要望について募集した結果です。学会・患者団体 等から374の御要望をいただいています。基本的に未承認薬・適応外薬ということで、欧 米4か国のいずれかで原則として承認されているものを対象としております。この中では 募集した要件に合っていないものも含めて一応全部挙げて、374件の御要望がありました。 今後は未承認薬の検討会で御検討いただいて、医療上の必要性を考慮して、製薬企業等に 開発の要請をしてまいります。  4ページが、「検討会議における検討の進め方」です。まず2月8日に第1回の検討会 議を始めて、医療上の必要性についての検討を開始しております。その結果に応じて製薬 企業に開発を要請します。製薬企業では要請を受けて開発の工程表、公知申請、追加試験 に関する見解を提出していただきます。それを受けてまた検討会で検討して、結果につい ては企業の方に御連絡をします。公知申請では要請を受けてから6か月以内、あるいは治 験が必要なものについては12か月以内に、各企業に着手していただくというスキームを 考えております。この結果として、また申請が上がってくるわけですけれども、これにつ いては改めて医薬品部会等にお諮りすることになります。  5ページですが、これに関連して「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」というのが、 この4月から中医協で新たに試行的に行われます。これにより、企業の適応外薬等の開発 状況については、中医協にも御報告させていただき、それに応じて促進加算をさらに継続 するかどうかについて検討されるというように聞いております。  15ページ以降最後までが、「未承認薬・適応外薬の開発の要望の一覧表」です。これ が374の概要です。適応外薬については検討を開始させていただいて、公知申請あるいは 治験等の結果がまとまり次第、また部会等でお諮りして承認させていただくというスキー ムになります。  続いて、当日配布資料2を御覧ください。「薬事分科会における医薬品の『報告』の取 扱等について(案)」です。1が、「新医薬品第一部会及び医薬品第二部会の所掌の見直し について」です。平成21年度の審議、報告品目数を御覧いただきますと、第一部会・第 二部会で数にかなりの偏りがありますので、所掌については第一部会の先生方、第二部会 の先生方と御相談の上、対象医薬分野について検討を開始させていただきたいと思ってお ります。  2番目が、「薬事分科会報告品目のうち希少疾病用医薬品の取扱について」です。薬事 分科会の「報告」については事後報告(答申後)で差し支えないとされているところですけ れども、実際上は薬事分科会の開催の際に報告した上で、答申させていただいているとい うのが現状です。しかしながら、日本脳炎ワクチン等の場合、事務手続きを速やかに行う べきという部会の意見をいただきましたので、分科会長の御了解を得ながら、分科会の報 告を待たずに委員の先生方に審査報告書等の資料をお送りした上で、答申手続きを行って きたところです。先ほど御説明したように、未承認薬・適応外薬については、特に患者団 体等の御希望も多いものですから、今後は希少疾病用医薬品についても、同様の事務手続 で速やかに行い、部会の意見があった場合は、同じような取扱いをさせていただきたいと 思っております。 ○望月分科会長 そのほかには何かありますか。 ○土屋委員 質問です。この適応外のことというのは、すごく大事なことだと思います。 副作用救済制度で適応外だから駄目だというのがありますから、こういう仕組みはすごく 大切だと思うのです。1回これで募集しましたけれども、今後も募集する予定はあるのか どうかということをお伺いしたいのです。 ○審査管理課長 今回募集した数が374と、少々多うございますので、処理に時間をいた だく必要があろうかと思います。この処理等が進んだ段階で、改めて御希望いただく形を 考えたいと思います。御希望いただく仕組みについては同じようにするのか、改めて検討 させていただきたいと思っております。 ○望月分科会長 ほかによろしいでしょうか。次回の薬事分科会は6月を予定しておりま す。今後、日程調整の御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、 これで薬事分科会を閉会させていただきます。本日は長い時間、どうもありがとうござい ました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 高林(内線2714)