10/03/17 第5回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録 化学物質のリスク評価に係る企画検討会(第5回) 日時 平成22年3月17日(水) 14:00〜 場所 経済産業省別館10階1031号会議室 (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部             化学物質対策課化学物質評価室 長山 〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2              TEL 03-5253-1111(内線5511)              FAX 03-3502-1598 ○長山化学物質評価室長補佐 ただいまより「第5回化学物質のリスク評価に係る企画検 討会」を開催します。本日は、委員の皆様全員の出席です。議事進行は櫻井座長にお願い します。 ○櫻井座長 今日の議題は、平成21年度のリスク評価の実績など、4つの議題を予定して います。まず最初に事務局から、今日の議事予定、資料の確認をお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 それではお手元の議事次第から説明します。本日の議事は 4つ用意しています。まず1番目に「平成21年度のリスク評価の実績について」、2番目 に「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成22年度)について (案)」、3番目に「がん原性試験(フィージビリティーテスト)対象物質の選定について (報告)」、4番目に「情報収集結果について(報告)」となっています。  資料の確認です。いま説明した議事次第の1枚もの、その裏に配付資料一覧が付いてい ます。資料1-1「平成21年度のリスク評価の実績について」、資料1-2「平成21年度リス ク評価の進捗状況」、資料2-1「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針 (平成22年度案)」、資料2-2「平成22年度におけるリスクコミュニケーションの進め方 (案)」、資料3「がん原性試験(フィージビリティーテスト)対象物質の選定について」、 資料4「鉛含有塗料の実態について」、資料5「化学物質のリスク評価にかかる企画検討会 の今後の検討予定」、参考資料1「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方 針(平成21年度)」、参考資料2は「有害物ばく露作業報告書の書き方」のパンフレットと なっています。 ○櫻井座長 議事に入ります。「平成21年度のリスク評価の実績について」の説明をお願 いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 資料1-1です。平成21年度のリスク評価の実績についてと いうことで、各検討会においてどのような形で、平成21年度の検討を行ってきたかについ て、取りまとめています。参考1の中に、去年の夏に議論した平成21年度のリスク評価方 針があります。そのときに策定した中で、2頁から3頁にかけて、平成21年度のリスク評 価の方針の中で、各検討会でどのようなことを検討していくかを策定しています。その検 討する事項の該当部分の抜き書きしたものを資料1-1に書き込んでいます。見方としては、 (1)に企画検討会とありますが、「平成21年度のリスク評価の方針」というのは、去年の夏 に決定したものの企画検討会の抜き書きを前段に置いて、後段に「平成21年度のリスク評 価の実績(主なもの)」ということで、こちらに実績を記載しています。  まず1の「各検討会における検討実績」で、(1)「化学物質のリスク評価に係る企画検討 会」です。リスク評価方針の中では、企画検討会においては、平成21年度のリスク評価に かかる基本方針の策定を行うとともに、平成22年度の有害物ばく露作業報告を求める物質 の選定作業を9月までに実施し、12月には、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドラ イン」に沿って報告を求めることとする。また、国によるがん原性試験の実施が必要な2 物質の選定を行うこととする。このほか、いろいろなリスク評価の結果等、関係者間の相 互理解を促進するため、リスクコミュニケーションのあり方について企画検討会で検討す るということで、挙げていたものです。  実績の主なものとして、下記のとおり企画検討会を開催して、各項目について検討しま した。平成21年度については、本日の会合を含めて、延べ5回開いています。  ポイントだけを説明しますと、第1回昨年7月においては、平成21年度のリスク評価 方針を定め、今後のリスク評価候補案件の選定ということで、選定手順の承認、そこの中 での手順の大枠を議論していただきました。あとリスクコミュニケーションのあり方につ いて議論していただきました。  昨年9月の第2回は、選定基準の承認ということで、どのようなものをリスク評価対象 に選定していくか、発がん性や生殖毒性、神経毒性などの有害性を考慮していって、優先 的に対象物質を絞り込む選定基準を作成し、それに基づいて、そのときに物質また案件と いうことで、選定を行っていただいたところです。  2頁です。そのときに、そういったリスク評価対象物質の案件の選定を行っていただい て、対象とされた物質については、平成21年12月に告示ということで発出され、平成22 年の有害物ばく露作業報告の対象物質とされたということです。これについては、参考資 料2でパンフレットを付けています。このときは対象物質が43物質ありますが、特に新規 の22物質については、発がん性、生殖毒性、神経毒性を勘案し、企画検討会で議論してい ただいたものを行政施策に反映していきました。23番からは継続報告で、その前の年など に決まっていたものです。  平成22年1月の第3回です。がん原性試験(フィージビリティーテスト)の対象物質 の選定の考え方を議論していただきました。この中でその手順の検討として、優先試験物 質リストを作り、その中から専門的知見を有する方の意見、エキスパート・ジャッジメン ト、構造活性相関を考えながら、フィージビリティーテストをどういった優先順位でやっ ていくかの流れの手順を検討していただきました。  次に酢酸イソプロピルのがん原性試験です。こちらはがん原性試験で、長期試験が終了 した物質について、その評価結果については有害性小検討会で評価結果を議論していただ き、その結果を踏まえて、酢酸イソプロピルについてはリスク評価の対象物質としていく と。平成22年度については、ばく露作業報告のスキームではなく、有害性評価を先行して 実施していくということで報告があって、企画検討会でそのような形で実施していきまし ょうと決められたものです。こちらについても、その事項を踏まえて、来年度のリスク評 価事業に反映させていこうと考えています。  今年1月の第4回です。その前の第3回で議論していただいたフィージビリティーテス トの選定手順を踏まえて、2物質の選定を行いました。議題3と絡みますが、結果として はその中で「アリルアルコール」と「アクリル酸メチル」の2物質を選定しました。こち らについても、来年度のがん原性の試験事業、委託事業に反映させていきたいと思ってい ます。あとリスクコミュニケーションの進め方について議論を行っていただきました。第 5回は本日です。  次に、(2)「化学物質のリスク評価検討会」です。こちらの方針は、平成21年度から有 害性評価とばく露評価を平行して審議することとし、同検討会の下に以下の2つの小検討 会を設け、効率的な検討を行うということで、有害性評価小検討会と、ばく露評価小検討 会の2つの小検討会を行い、それぞれで議論を行ってきたというのが、平成21年度の実績 です。  検討会のそれぞれの審議事項を説明する前に、資料1-2で、評価検討会の検討の対象の 範囲を説明させていただきます。資料1-2に「進捗状況」というものがあります。いまこ ちらの初期リスク評価や詳細リスク評価の検討で対象となっているのは、主に平成21年の ばく露作業報告の対象の20物質の関係と、平成20年の対象物質です。  資料1-2の表面です。いまの現状としては、平成21年の1月〜3月までに報告のあった 対象20物質について、その当時報告有りとなった18物質がありまして、その中で平成21 年度に行ったものとしては、18のうちの7物質について、初期リスク評価に着手しました。 残りの11物質については、有害性評価のみを実施しています。報告無しの2物質について は、有害性情報の収集ということです。  初期リスク評価対象物質の7物質については、本年度ばく露調査も行い、初期リスク評 価を行い、次年度以降に詳細リスク評価に移行するもの、その段階で終了するものに分か れていきます。あと有害性評価のみを行った11物質については、来年度にばく露調査を予 定して、初期リスク評価に着手していくという段取りとなっています。  緑で書いてある下の2物質と、11物質のうちヘキサクロロエタンについては、新たな報 告スキームで報告を求めるということで、先ほどのパンフレットにあった継続報告の対象 物質として、また報告していただくという状況となっています。  裏面の「その2」です。こちらはその前年の平成20年1月〜3月に報告のあった44物 質の状況です。この報告のあった24物質のうち、平成20年度に初期評価の済んでいるも のが20物質あり、その中で詳細リスク評価に移行したものが7物質で、平成21年度はこ ちらの7物質について、詳細リスク評価として追加調査などを行ってきました。  あと24物質の報告があり、初期評価が平成20年度に終わっていないものについて、有 害性評価のみが終わっていた4物質については、平成21年度に初期リスク評価に着手して います。報告無しの20物質については情報の収集とともに、緑色の字にしているものにつ いては、継続報告ということで報告を求めるスキームに移行しています。いま現在こうい った形で、いろいろな物質がそれぞれのステージで評価を行っている段階で、その中で各 小検討会において、議論を行ってきました。  資料1-1に戻ります。2頁の(1)で、有害性評価小検討会の実績を説明します。まず方針 としては、こちらの小検討会においては、国内外の疫学、毒性等にかかる情報をもとに、 平成21年度に新たにリスク評価を行う20物質の有害性評価を行うこととする。また、国 によるがん原性試験の結果について評価を実施すると書かれています。本年度の実績の主 なものですが、単独の小検討会を3回開いています。第1回は去年の12月に開催してい ます。1ポツに、リスク評価の手法(改定案)について、とあります。ここで、どういっ た形で有害性評価に当たっての評価書、手順を定めていくかを議論し、その中で有害性の 種類、その程度の把握の手法、あとリスク評価を行うに当たって判定に用いるために、一 次評価値、二次評価値を設定しますが、その設定の手法、そういったプロセスについて定 めたものを、ここでまず議論しています。  また、先ほどもありましたが、がん原性試験(長期試験)の終わった酢酸イソプロピル について、評価の検討を行いました。その検討結果については、企画検討会に提案しまし た。また、第1回、第2回、第3回とかけて、有害性評価書、評価値の検討ということで、 何物質かの検討を行ってきました。  第2回は今年の1月に開催しています。1ポツ目で、がん原性試験対象物質、長期試験 に移行する物質の選定について議論しています。こちらはフィージビリティーテスト終了 物質からの選定ということで、がん原性試験、長期試験に移る前に、企画検討会でフィー ジビリティーテストの対象物質を決めて、その年度でフィージビリティーを行って、その 中からどれを優先して長期試験に移行していくかを考えますが、それをこの小検討会で検 討を行い、5物質の対象候補のうち、「アクロレイン」を選定しました。これは平成22年 度から長期のがん原性試験を行うということで、行政の事業に反映させていただきます。  あと有害性評価書、評価値の検討ということで、いくつかの物質について行いましたが、 特に初期リスク評価を行うに当たり、どうしても一次評価値、二次評価値が必要となって きますので、特に平成20年度、平成21年度の初期リスク評価着手物質の評価値を、こち らの小検討会で優先的に検討してきました。資料1-2の3枚目をご覧ください。こちらの 小検討会は3回行いまして、この中で一次評価値、二次評価値を設定してきました。いま までで言いますと、二次評価値を超える超えないというところで、詳細リスク評価に移行 するとか、そういった判断に使っていく値を決めていくものになっています。特に平成21 年度に報告があり、初期リスク評価に着手する7物質、あと平成20年度には有害性評価の みを行い、平成21年度から着手した4物質の辺りの評価を優先的に行い、13物質につい て検討を行っています。  左から3番目の列の「実態調査」の「●」が付いているものは、初期リスク評価に着手 して、あと実態調査も着手できたものです。「●」の付いている8物質については、ほとん ど一次評価値、二次評価値を設定することができました。ただ9番についてだけ、1 ,2-ジ ブロモエタンについては、二次評価値のところで一部検討中のものがあります。こちらに ついては引き続き、第4回からばく露の小検討会と合同になり、それ以降の中で議論して 設定していく段取りで進んでいますので、概ねは今年6月を目処に作っていく評価書に必 要な評価値は、大体出揃ってきた状況になっています。資料1-1に戻ります。「第4回」と ありますが、ばく露評価小検討会と合同の検討会を月末に予定しています。  3頁の(2)「ばく露評価小検討会」です。方針としては、「労働者の有害物によるばく露評 価ガイドライン」に沿って、前年度のリスク評価において高いばく露レベルが確認された 7物質について、詳細なばく露評価を行うとともに、平成21年度の有害物ばく露作業報告 を求めた20物質について、優先度の高い物質からばく露評価を実施することとするとなっ ています。  4頁です。実績の主なものとしては、単独の検討会を5回開いて、第6回は月末に行う 合同検討会となっています。第1回目は、「少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会報告 書」及び「ばく露評価ガイドライン」について議論していただくとともに、平成21年度に、 どういった形で実態調査をやっていくかということの事業所の選定の方針、調査の方針を 決めていただくとともに、平成21年度に実態調査を行う物質についての測定分析方法につ いて、議論を行ってきました。  第2回についても、同じように分析方法について議論を行いました。第3回は去年の12 月ですが、ばく露評価ガイドラインについてと、省令改正についての報告を行っています。 少量の検討会の報告書と、ばく露評価ガイドラインの2本については、平成21年度12月 にこちらの小検討会として報告の形で公表しています。  また、ばく露評価ガイドラインについては、行政として、この内容を踏まえて、有害物 ばく露作業報告を求めるときに監督署に報告を求めますが、報告事項を見直すために様式 を改正していまして、平成21年12月に様式の改正の省令改正を行ったということで、行 政施策にも反映してきたところです。また、先ほどのパンフレットの中に、こういった形 で様式が改正されたということで反映してきました。  第4回、第5回について、平成21年度のばく露評価について、先ほど資料1-2にあっ たとおり、詳細リスク評価に着手したもの、初期リスク評価に着手したもので、実態調査 を行ったものについて、各それぞれの物質について測定結果が出てきますので、そういっ た測定結果等について検討を行っていただきました。第6回を合同開催で考えています。  5頁です。(3)「化学物質の健康障害防止措置に係る検討会」です。こちらの評価方針と しては、リスク評価結果が取りまとめられた物質について、政策ベースの検討が可能とな るよう、関係事業者、保護具メーカー等からもヒアリングを行うなどして、最新の技術開 発動向や規制の導入に当たり考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害 防止措置の導入を目指すこととする。  ただし、平成21年度においては、詳細リスク評価が実施されている状況であって、実質 的な検討は平成22年度以降になる見込みということです。また、発がん性が確認された物 質についての検討を行うほか、一酸化炭素の検討を行うということです。  こちらは平成21年度の実績としては、第1回が昨日行われましたが、詳細リスク評価の 検討会で検討している最中ですので、昨日行われた中では、いずれ評価結果が出てきます ので、そういった対象物質の健康障害防止の措置に係る方針の検討についてということで、 評価結果が出てきたときに、それを踏まえてどのような措置が必要かをこの検討会で議論 しますが、そのやり方について、どのような観点を議論すべきか、またどのようなフォー マットで議論をしていくかについて、昨日議論していただきました。  あと労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針、がん原性指針と申していますが、 こちらの長期のがん原性試験が終わり、何らかの対策が必要なものについて指針を出して いますが、それは8物質ありまして、その指針について議論いただきました。こういった 形で、当初の予定を踏まえまして、それぞれの検討会において議論したというのが実績と なっています。  5頁の下で、2「リスク評価に係る情報提供等の推進」です。こちらの評価方針としては、 まず情報提供等についても、規制措置の導入に際して、パブリックコメントを通じて意見 を募集するとともに、そういった節目にリスクコミュニケーションを実施し、国民にわか りやすい情報提供に努めることとするということです。また、取りまとめられたMSDSと か、測定・分析方法などの情報についても、いろいろと情報提供をしていくということを 書いています。  6頁です。実績の主なものとして、まず平成21年度はリスクコミュニケーションは合計 2回実施しています。第1回目は、去年7月に開催していて、内容は、前段で情報提供で、 各委員4名からそれぞれ情報提供していただき、リスク評価の現状、対象物質の状況、そ れぞれの産業の具体的な例、状況を情報提供していただきました。後半は、会場の参集者 と意見交換を行いました。参加人数は7月は120名程度です。  第2回目は去年12月に開催しました。前半は情報提供で、リスク評価のばく露報告の物 質が決まっておりましたので、その選定の考え方、評価ガイドラインを踏まえた評価の進 め方、ホルムアルデヒド、ニッケル化合物など、物質ごとの取組例の情報提供をいただき ました。後半は意見交換を行いました。参加人数は、140名程度でした。以上のように、 本年度については、リスク評価方針について、それに基づいて各それぞれの検討会におい て議論を行い、その中で決定されたものについては、行政施策などに反映してきたところ です。資料1-1、資料1-2の説明は以上です。 ○櫻井座長 ただいまの説明内容で、お気づきの点などがありましたら、ご発言、ご指摘 をお願いします。 ○堀口委員 パンフレットを作って配布していることもリスクコミュニケーションの一環 なので、「情報提供等の推進」のところにその話を入れるのがいいのかわからないのですが、 実績のところの、主なものの、「下記のとおり、リスクコミュニケーションを実施した」と いうのは、「下記のとおり、リスクコミュニケーション(意見交換)を実施した」になると 思います。 ○櫻井座長 「リスクコミュニケーション」のあとに「(意見交換)」と入れるということ ですか。 ○堀口委員 はい。それでこのパンフレットを作られていることも実績とすれば、「情報提 供の推進」の「評価の方針」の「わかりやすい情報提供」の1つかなと思うので、せっか く頑張って作られたので、入れておいたほうがよろしいのではないかと思います。 ○長山化学物質評価室長補佐 6、7頁で、前段ではリスクコミュニケーションの実施につ いて書きまして、7頁目のリスクコミュニケーションのあとに、情報提供としてこういっ たパンフレットを作って、広く国民に周知しましたというトーンで、追加させていただき ます。 ○堀口委員 はい。 ○櫻井座長 そうですね。6頁のいちばん上は、「リスクコミュニケーション(意見交換) を実施した」として、それはそれで終わって、最後の7頁のいちばん終わりに、1、2行付 け加えると。 ○長山化学物質評価室長補佐 そうですね。評価方針の中でも、国民にわかりやすい情報 提供に努めるという、その一環で、手法として、意見交換とパンフレットということです。 ○漆原委員 パンフレットの件ですが、これは今般こういった報告書ですとか、様式が変 わったからこれが出たということであって、次年度、またこのような形のものが出るとは 限らないということですか。それとも、報告書の様式が同じであっても、こういう情報提 供としてパンフレットは作るということですか。 ○長山化学物質評価室長補佐 毎年報告対象物質を告示で決めていまして、毎年度パンフ レットを作っていますので、そちらの物質の周知は毎年行ってきています。今年に限って は、ちょうど様式改正のタイミングと合いましたので、一緒にパンフレットにまとめたと いうことです。時期がずれると別のパンフレットになったかもしれないのです。ですので、 様式の改正がなくても作って、広く周知していく予定と考えています。 ○堀口委員 そのときに、Q&Aのところが情報提供の一環だと思いますので、ここが充実 していくことが望ましいのではないかと思います。 ○櫻井座長 ほかには何かございますか。ないようですので、先に進みます。次に、平成 22年度リスク評価方針(案)について、事務局から説明をお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 議題2は、資料2-1と資料2-2に分かれています。全体の 説明事項がありますので、まず資料2-1の全体の方針の部分を先に説明させていただき、 ご検討いただき、そのあとに資料2-2の説明をさせていただき、ご検討いただきます。  資料2-1です。こちらが先ほどの参考1にもあったリスク評価方針で、平成21年度と同 じように、平成22年度の評価方針の案として、事務局で作成したものです。1の「リスク 評価の目的」です。基本的には、こちらの部分は昨年と同様で、同じ趣旨で書いています。  2の「リスク評価の現状」です。(1)には、それぞれの年度で、どのような物質、何物質 を対象に施策を行ってきたかを書いています。この中で、[1]から[3]については、平成21 年度と同じです。今回は[4]として、平成21年度の実績について追加しています。[4]の中で、 「平成21年度については」ということで、20物質について報告を求めているので、リス ク評価を行っています。そのうち7物質については、初期リスク評価に着手して、あとの 11物質は有害性評価のみ、2物質は情報収集をやります。平成21年度については、7物質 については詳細リスク評価に着手したということです。4物質についても、初期リスク評 価に着手したということで、実績を追加しています。  2頁です。「以下の事項について検討を実施し、リスク評価の推進を図った」と書いてい ます。こちらについては、各検討会でいろいろと議論していただいた中で、施策などに反 映したものについてピックアップして、現状を書いています。(1)「リスク評価対象物質案 件の選定を行った」ということで、その対象とされた物質について、告示発出され、報告 の対象とされたということです。(2)では、リスクコミュニケーションを2回開催したとい うこと、(3)として、少量製造の検討会の報告書、ばく露評価ガイドラインを公表したこと、 またそのガイドラインを踏まえて様式改正の省令改正を行ったこと、(4)としては、がん原 性試験(フィージビリティーテスト)やその後の長期試験に移行する物質の選定、また長 期試験の終わった結果の評価をやってきたということを書いています。  3の「平成22年度のリスク評価の方針」です。次年度は、どういったことを主にやって いくか、その枠組みを書いています。(1)として、検討体制の確保です。基本的に昨年と同 様の検討体制を確保し、議論していきたいと考えています。昨年は、ここにあるように、 以下の5点の観点から体制を見直してやっていくということで書いていましたので、来年 度の方針としては、同じ観点から、平成22年度においても、同様の検討体制を確保してい って、リスク評価の推進を図るということです。1)から5)の観点については、昨年と同様 の観点となっています。  次に(2)の「各検討会におけるリスク評価検討の加速等」ということで、それぞれの検討 会における実施事項、検討事項を書いています。まず企画検討会については、リスク評価 に係る方針の策定を行うとともに、リスク評価対象物質・案件の選定作業を平成22年7 月までに実施することとし、平成22年12月までに告示が発出される、平成23年の有害 物ばく露作業報告の対象物質に反映されるようにするということです。  去年の選定作業は、7月に基本の手順を示し、9月に実際の案件について選定を行い、12 月に告示となりました。去年は厳しいスケジュールでしたが、来年度については、7月に 第1回を予定しているので、そのときに物質の選定作業を行い、その後に所定の手続きを 行い、12月までに告示、そしてパンフレットで周知していくという段取りを考えています。  「さらに」ということで、国によるがん原性試験(フィージビリティーテスト)の実施 が必要な物質2物質の選定を平成23年1月までに行うということです。こちらについて、 今年度と同じタイミングということで書いています。委託事業の関係で、平成23年1月に は、物質名を決めておくことが必要ということで、1月までに選定を行うとしています。 また、この議論については、ある程度平成23年度、次々年度の予算の感触が見えた段階で、 検討を行っていくということと、ここにもあるとおり、2物質の選定も平成23年度の予算 を見ながらということになりますので、いまのところはこのような書きぶりになっている ということです。  がん原性試験、長期試験終了予定物質、平成21年度までの吸入試験1物質、経口試験1 物質をやっていますので、そちらが終わり次第、有害性小検討会で評価を行い、その結果 を踏まえてどうしていくのか、リスク評価対象としていくかどうかなど、その辺りについ てご提案があれば、その進め方について検討していくことが議題として挙げられます。  このほか、リスクコミュニケーションのあり方についても検討するということで、企画 検討会の方針としては、このような議論を平成21年度と同じような形で、タイミングとし ては、物質選定は7月、フィージビリティーテストの選定は去年と同じタイミングで、予 算の状況が見えてきた段階で、行っていくのかなと考えています。  2)リスク評価検討会です。こちらについても、本年度と同じように、有害性評価、ばく 露評価を平行して審議するということで、2つの小検討会を設けて、効率的な検討を行い たいと考えています。こちらについて、「また」で書いてあるとおり、各小検討会において、 平成21年度より検討してきた有害性評価結果、ばく露評価結果に基づいて、いまそれぞれ の検討会で議論を行いまして、3月末の合同の検討会から、そのそれぞれの結果を持ち寄 って、平成22年6月までに、平成21年度に行ったリスク評価の検討会の報告書を取りま とめていくという動きになっています。  6月までというのは、昨年もその検討会の報告書は6月に作成していますので、同じス ケジュールを目処に日程調整もしていますので、6月としています。評価検討会は平成22 年度の継続になりますが、前半は報告書を取りまとめる作業になります。  あとそれぞれ、(1)として、有害性の小検討会においては、平成22年度に新たに初期リス ク評価を行っていくので、そういった物質を優先して有害性評価を行っていくということ で、対象としては平成21年度に有害性評価のみを行って、まだ実態調査を行っていないよ うな物質、また平成22年度にばく露調査がまだ未了のものがあるので、そういったものを 優先して、有害性評価を行っていくと考えています。また、先ほどあった平成21年度に終 了する長期試験のがん原性試験の結果について、評価を行います。こちらは、まとまり次 第、早い時期でやっていくという段取りになっています。  (2)ばく露評価小検討会については、6月までに報告書を取りまとめていきます。その中 で、初期リスク評価において、高いばく露レベルが確認されたものが、詳細リスク評価に なっていくので、そういったものを含めて実施していきます。物質数については、まだ議 論中なので、ここにはまだ書けないということです。また、初期リスク未了物質、有害性 評価のみ実施した物質、その他優先度の高い物質について、初期リスク評価のばく露評価、 測定を含めて実施していく予定となっています。その実態調査の対象物質について、分析 方法についても、併せて検討を行っていきます。基本的に去年と同じような形で議論して いくと考えています。  4頁です。3)の化学物質の健康障害防止措置に係る検討会です。前段は昨年と同じよう に、評価結果が取りまとめられた物質について、政策ベースの検討が可能となるように、 ヒアリング等をいろいろ行って、措置の導入を目指すための検討を行う。ここは同じ文言 となっています。先ほど申し上げたように、昨日措置に係る方針の検討を議論いただきま して、そこでいろいろと意見もございました。この検討会は次回は4月を予定しているの で、平成22年4月に、健康障害防止措置に係る方針の検討を行って、検討手順を作成する ということで、そこで、どのようなことに考慮しながら、必要な措置を考えていくのかを 決めていきたいと。  そのあとに、リスク評価検討会で取りまとめられていく平成21年度リスク評価検討会報 告書を踏まえて、それぞれの物質ごとに、どういった措置が必要なのかの検討を行ってい くと考えています。目処としては、報告書の取りまとめられた6月以降に、議論していく ということです。時期としては、報告書の中身によって、どれぐらいの物で、どれぐらい の物質数なのか、あとどれぐらいの内容なのか、評価結果なのかによって、多少検討事項 のボリュームも変わってくるので、時期は記載していません。また、がん原性指針につい ても検討を行うということで、これは引き続きこの検討会で行うと考えています。  (3)として、「リスク評価にかかる情報提供等の推進」です。こちらについても、昨年と 同様にリスクコミュニケーションを実施し、国民にわかりやすい情報提供に努めることと、 MSDSに情報提供をするとか、測定・分析方法といったものについても情報提供をしてい く形で、昨年と同じように情報提供を推進してまいりたいと書いています。リスクコミュ ニケーションの実施については、資料2-2で詳しく説明します。資料2-1については以上 です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。ただいま、労働者の健康障害防止に係る化学物質 のリスク評価方針についての説明がありました。これについて何かご意見、ご指摘等があ りましたらどうぞ。 ○山口委員 3の「平成22年度のリスク評価の方針」の2)に「科学的判断が求められる云々」 とありますが、後ろに「リスク管理の検討会の分離」と書いてあります。このリスク管理 の検討会と申しますのは、措置の検討会のことを指しているのでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 そのとおりです。「措置の検討会」と書いたほうがよろしいかも しれません。 ○山口委員 4)に「リスク評価結果を受けた健康障害防止措置の検討における最新の健康 障害防止云々」とありますが、「及び」の後ろの「健康障害防止措置の導入が必要な事業場 等の動向の検討」という意味は、どういった具体的な内容をイメージしているのか。この 意味合いがきちんとわからないところがあるので、イメージとしてはどんな形のことです か。 ○長山化学物質評価室長補佐 こちらの措置検討会のほうで関係事業者のヒアリングなど を行い、その規制の導入に当たって考慮すべき事項を聴取していくということですので、 実際の事業場でどんな形で取り組まれているかといったものをヒアリングして、その動向 を。 ○山口委員 ということは、具体的に実際に事業場で、どういった扱われ方をしているの かの取扱いの状況を調査するという。 ○島田化学物質評価室長 取扱いの状況という実態と、例えば事業場あるいは業界が安全 あるいは衛生に関して、どういう取組みを行っているかの動きということです。 ○山口委員 これを見ると、健康障害防止措置の導入が必要な事業場というと、何か健康 障害に問題のあるような事業場を調べているようなイメージになるので、表現を考えてほ しいのです。 ○島田化学物質評価室長 齟齬のないように修正します。 ○櫻井座長 「導入が必要な」と、既に決まっているような書き方になっています。まだ 導入が必要であるかどうかは未定の段階で。 ○山口委員 何か探すようなイメージがあるので。 ○櫻井座長 これはその前に決めたことなのですが、この分ね。 ○長山化学物質評価室長補佐 個別企業のターゲットを決めているというように誤解され ないように表現は工夫したいと思います。 ○堀口委員 日程が決まっているものがありますよね。4月までに検討手順を作成すると か、6月までに報告書を取りまとめるとか、7月までに選定作業を終わらせるとか、5項目 あったと思います。期限が決まっているものは、本当に予定表なので(予定)でいいので すが、一覧が最後に付いていると何月までに何が起こってきて、何月までに何が起こって くるというのが全部読まなくても、必要な人が一目で大体わかると、それを踏まえて「も うそろそろ出るな」と思われると思うので、予定表が最後に1枚付いているといいなと。 わかっているところだけでいいと思います。期限が決まっているものというか。 ○長山化学物質評価室長補佐 その辺をもっと見やすいように工夫して、事務局で作りた いと思います。 ○櫻井座長 1つ気が付いたのは、昨年度の予定では一酸化炭素中毒の防止措置の検討を 実施することとなっていたけれども、事情があって実施しなかったのですよね。それは、 全く触れない。先ほどの資料1-1で言うべきだったのかもしれないですが。 ○長山化学物質評価室長補佐 一酸化炭素中毒の関係については、当初この検討会という ことで言っていましたが、昨年の12月に業界とか取り扱うところに対しての周知というか、 そういった通達内で注意喚起をしていまして、あとは主要の具体的な検討の場ですが、い ま同時並行で化学物質のあり方検のほうもあったり、こちらにもあったりということで、 まだ不確定要素があり、どこで議論するかということもあるので、そのあたりは状況が見 えた段階で。 ○櫻井座長 ですから、今年度にはあえてそれは書いていないわけですよね。昨年は書い てあったけれども、今年は書いていないので。それはそういう状況だと思いますので、こ のままでよろしければ。 ○名古屋委員 どこで一酸化炭素の議論をするのですか。 ○島田化学物質評価室長 先ほど申し上げたように、現状応急措置として通知を出す作業 が先になされたものです。人の命に関わることなので、そちらの行政的対応を先に進めた ということです。また、本件は、技術開発動向を見ていかなければいけないと伺っており ます。例えばCOの検知器の開発とかボイラー作業や厨房におけるオーブン等の機器の配 置といったものを見ていく必要があるということはわかっていますが、本検討会でそうい う機器的なものをどのぐらい検討できるかということが未知数ですので、どういう形で検 討するかを改めて課内でと相談した上で報告したいと思います。そういう状況なので、当 該方針においてCOの扱いが書かれていないのは片手落ちですので、再整理いたします。 COはこういう状況に置かれていると現状を記述し、その上で、今後の方針については書け る範囲で検討してみることといたします。そういうことでよろしいですか。 ○名古屋委員 ただ、早めにやってほしいなと思うのは、現在COの測定法とその評価法 を検討しています。A測定における測定方法だと作業者のばく露濃度を過小評価すること もあると考えられ、実際に疾病が起こる可能性があるわけです。要するに、A測定で測定 した場合、最も高い濃度10ppmでも、その現場でばく露濃度を測ると100ppmとか 1,000ppmのばく露濃度であることもあります。ガス溶接や鋳込み作業場で作業者が作業 中にふらつくことがありますが、これはCOによる影響ではないかと思います。そうする と粉じんと違って、溶接とか鋳込み作業のようなCOが発生する現場では、早めに何らか の措置を取らないといけないと思います。COは命に直結してくるから、早く何らかの措置 をして欲しいと思います。 ○島田化学物質評価室長 いまのご指摘は、中で早速詰めさせていただくようにします。 ○山口委員 いまのお話ですと、COを原料として扱っているだけではなくて、二次的に発 生したCOも含めてということですよね。 ○名古屋委員 疾病は、二次的のほうが多いでしょうね。 ○山口委員 それが、ある労働環境でいろいろ疾病をもたらすということですよね。いま までは化学物質というのは、化学物質を原料として扱ったり使用するというものです。、原 料として取り扱う場合の労働環境の話と二次的な発生による疾病の部分と、検討すべき範 囲が広くなってしまうというか。 ○島田化学物質評価室長 確かに、非意図的に発生するCOというもので、そういう切り 口でこの物質の評価というのがあまりなされていないです。例えば、ニッケルなどでステ ンレスを削ったときにヒュームとして酸化ニッケルが発生する。こういうものについては どうしようかという議論はしたことはありますが、もともとはニッケルという物質を扱っ ている場合のリスク評価となっていましたので、確かに性格が違うものだと思います。 ○山口委員 そういったものは、また別の切り口で整理しておかないと、見落としが出る 可能性もあると思いますので、そういったことを考えるときにもう少し幅広い観点から考 えていく必要があるかもしれないです。 ○島田化学物質評価室長 いまの件については、課内で対策の検討を進めさせていただき、 その対策の進捗状況はこの場でもご報告をする形にします。いずれにしても、早急に対応 すべき問題というご指摘は、重く受け止めたいと思います。 ○櫻井座長 ほかに何かありますか。特にないようですので、資料2-2の説明をお願いし ます。 ○井上労働衛生専門官 資料2-2について説明します。平成22年度のリスクコミュニケー ションの進め方(案)です。これまでの企画検討会において、昨年の7月と12月の計2 回に分けて行いましたリスクコミュニケーションの結果、また今後の進め方についてご議 論をいただきました。前回は文書という形ではなくて骨子という形でご提出したもので、 今般、1枚目の基本方針、2枚目以降の実施の考え方に分けて、進め方として整理したもの です。  1頁の1「基本方針」です。労働衛生分野においては、国が平成18年度からリスク評価 制度を導入し、これに基づく健康障害防止措置(リスク低減措置)の導入を進めています。 これに伴い、国はリスクの評価を踏まえたリスク低減措置の円滑な導入に向けて、利害関 係者間、いわゆるステイクホルダー間の相互対話を行うリスクコミュニケーション(以下 「リスコミ」という)についても開始したところです。  平成21年度においては、国におけるリスク評価制度全体の説明ということで、東京都内 で計2回会合を開催したところです。ホームページでの参加者の公募、関係業界団体など を通じた呼びかけの結果、100名強の参加を得ました。この会合ではリスク評価の専門家 から、国が行うリスク評価対象物質の選定方針、ばく露評価手法等の講演をいただくこと と、企業の専門家等からリスク評価に基づいて導入された規制に対して企業等の対応のテ ーマについて講演をいただき、その後、参加者から当日募集した質問・意見に応える形で のパネルディスカッションを行い、意見交換を実施しました。  このリスコミは、国からの一方的な説明に終始するものではなくて、リスク評価の開始 からリスク低減措置の導入に至る各段階において、利害関係者間双方向の情報交換、対話 を通じて相互理解を促進すること。また、適正なリスク低減措置を取りまとめて、措置の 円滑な導入を図ることを目的とするということです。  このことから、来年度におきましても、引き続きリスコミを実施すること。特にリスク 評価対象物質の追加選定や措置の導入が予定されていることから、各段階においてリスコ ミを開催することとします。各段階については、後ほどご説明します。その際、健康障害 防止措置にかかるリスコミについては、措置の導入に際しての技術的な問題点などを掘り 下げて検討する必要があるということですので、事業場での労働衛生を担当する者、いわ ゆる労働衛生担当者なる方を中心とした20〜30人規模程度の、比較的小規模なリスコミ 会合の開催を工夫していく必要があるとしています。  2頁です。また、労働衛生分野におけるリスク評価を踏まえた健康障害防止措置を導入 する現行のリスク評価制度への一層の理解促進というものは重要なテーマで、引き続きリ スク評価全般にかかるテーマを取り上げること。このテーマについて、リスコミを効果的・ 効率的に推進することとします。また次年度においては、参加者の利便性を考慮した地方 開催も考慮するということです。  2の「実施の考え方」です。(1)開催時期は、1の基本方針に従ってリスク評価制度全般 への理解促進、このリスコミと詳細なリスク評価結果を踏まえた対策の導入にかかるリス コミを予定しています。このうち、リスク評価等、これを踏まえた対策の導入に伴うリス コミについては、以下の3つの作業が予定されています。第1四半期は、平成21年度に 詳細リスク評価を実施した物質の評価結果を公表すること。第2四半期は、これらのもの にかかる健康障害防止措置の検討が取りまとめられること。第3四半期は、この検討結果 を踏まえた規制導入という流れを予定しています。  また、昨年の手順に従いますと、7月には新たに対象物質とすべき物質・案件を検討す る。第3四半期には、リスク評価対象物質を追加する流れになります。このため、次年度 においては、以下のタイミング、具体的には(1)健康障害防止措置のパブリックコメントの 開始直前というものと、(2)有害物ばく露作業報告対象物質のパブリックコメントの開始直 前、それぞれ第3四半期のタイミングで、リスコミを開催することとするとしています。 このパブリックコメントの開始直前については、事前に周知して意見を広くいただくとい う意味では、パブリックコメントの開催途中よりは開始の直前ぐらいに中身も固まってい る段階で行うのが適当ではないかということで、このタイミングで案としたものです。  なお書きで、リスク評価制度全般にかかるものについては、そのテーマに合わせて開催 時期を設定することとしています。  (2)開催テーマです。平成21年度の1回目の7月においては、リスク評価の専門家から 国のリスク評価制度の概要について説明をいただくことと、企業の労働衛生専門家からリ スクアセスメントの取組事例の紹介をいただきました。2回目の会合の12月では、リスク 評価対象物質の選定方針、ばく露評価手法の見直しについて説明をいただくなどを行いま した。  3頁です。次年度においても、国のリスク評価制度にかかる理解促進の観点から、これ までの検討を踏まえ、以下の選定手順でリスコミのテーマを選定してはどうかと考えてい ます。選定手純の(1)テーマの募集です。まず、リスク評価検討会の各専門家の先生方から テーマを募集することを第1四半期に行うこと。(2)テーマの設定は、提案のあったテーマ 候補をもとに、この企画検討会の場で検討を行い、テーマを設定することを同じく第1四 半期に行いたいということです。なお書きですが、この設定に当たっては、狙いというも のを明確化することを委員の中からも意見がありましたが、当該テーマにおける意見交換 の狙いなどを明確化することとしました。  また、過去の企画検討会において、重要とされたテーマとその狙いは以下のとおりです。 「事業者の自主的なリスクアセスメントの推進」「個人ばく露測定、作業環境測定等の手法 の説明」「リスク評価に基づく規制措置の導入の意義」。導入の意義というのは、法令だか ら管理しなければならないという意識ではなくて、企業が自主的に労働者の健康障害を防 止する観点からの自主的な取組みを推進していくことを含めた理解促進です。  一方の健康障害防止措置の導入にかかるリスコミとして、今後、規制対象物質を作って いった場合には、これに特化したテーマとなる場合もあり得るところです。そうした場合 には、これに特化した参加者だけに限定される恐れがありますので、参加者が少なくなる 懸念を留意しつつ、「規制の遵守状況及び今後のあり方」といったテーマなどの設定など、 一般化する工夫も必要ではないかと考えています。  (3)開催要領です。効率的・効果的な開催方策として、1)参加者公募型リスコミです。こ れは、今年度行ったリスコミが、この公募型に当たります。当日、参加者から募集した質 問・意見に、講演者が説明のあとに応えるパネルディスカッションのことで、次年度にお いては以下の点に留意していきたいということです。参加者の募集ですが、今年度のリス コミ参加者は、主に企業の安全衛生部門の担当者が中心であったと見ています。労働者の 参加が低調だったのではないかということですので、パネリストに労働者の代表を加える など、労働者の参加促進の工夫を図っていく必要があるということです。  4頁です。企業の規模で比べますと、大企業に比べ、中小企業からの参加が低調ではな いかということで、これまでも開催案内には工夫してきていますが、その通知等について の工夫が必要ではないかと整理しました。地方開催については、この場合は特に参加者の 周知が必要ですので、毎年行っている「全国産業安全衛生大会」や産業医の方などが参加 している「日本産業衛生学会」などに、開催情報を提供していくことも考慮していく必要 があると考えています。開催地とテーマの設定は、参加者の利便性も当然ですが、一方で 複数回の開催が困難な地方における開催においては、公募等により広く参加者を募集する ことが適当ではないかと考えています。  会合の持ち方は、今年度実施した全体で3時間というものが最大かなと考えています。 最大でも、現在実施しているリスコミ時間、意見交換がこのうち1.5時間、休憩も入れて 全体が3時間が適当ではないかと考えています。意見交換の方式については、現行方式で ある、当日参加者から募集した質問・意見に応える形で、パネルディスカッションを行う ことが有効ではないかということ。また、この質問・意見が出しやすいように、特に労働 者が参加される場合にこの意見・質問が出やすいように、予め質問や意見の提出用シート を配付する方式も適当ではないかと考えています。参加者については、今年度の実績も踏 まえ100名、マックスは200名程度の規模までの会合が適当ではないかと考えています。  2)です。公募型とは別に、労働衛生関係者参集型リスコミという位置づけです。健康障 害防止措置の技術的問題の検討といったことにかかるリスコミについては、事業場におけ る労働衛生担当者などを対象として、より専門的な意見交換を行うリスコミが有効な場合 があります。このため、国は事業場における労働衛生の推進体制を十分理解し、参集者を 決めることが重要で、別添1に労働衛生の推進体制の概要を付けています。先生方にお配 りしている別添1のカラー資料の中に、青い線で2つの事業場を括ったところが、一般的 な事業場における労働衛生管理体制で、「衛生管理者」を置いている事業場は常時50人以 上の労働者を使用する事業場。また、「安全衛生推進者」だけが書かれた事業場については、 常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場の衛生管理体制です。また、規制対象 物質の製造取扱いを行っている作業場においては、その作業にかかる「作業主任者」とい うものが選任されています。  このほかにも労働者の健康管理等を行うため、衛生管理者と同じ常時50人以上の労働者 を使用する事業場においては、「産業医」が配置されていること。また、その他に事業者と 契約の下、事業者の衛生についての診断や、これに基づく指導を行う「労働衛生コンサル タント」といったものも、この労働衛生管理の推進に関わっています。  別添1の資料の中では、いま申し上げた2つの事業場のタイプの周辺として、業界団体、 地域住民や消費者、日本化学工業協会さんで行っているレスポンシブル・ケアといった形 での事業場と地域住民・消費者との対話の促進といった活動もありますし、厚生労働省か ら業界団体などを通じて、事業場へ指導をすることもあります。また、労働災害の防止団 体である中央労働災害防止協会もありまして、そちらで主催する全国産業安全衛生大会や 全国衛生管理者協議会といった大会などがあります。それ以外にも、日本産業衛生学会や 都道府県産業保健推進センターなどが存在します。  本文に戻ります。4頁の下の部分を別添1に沿ってご説明しましたが、いちばん最後の 段落部分です。労働衛生分野のコミュニケーションの体制としては、事業場内では労働衛 生にかかる取り組みを検討する場として「衛生委員会」が設置され、「衛生管理者」等がそ の中核的な役割を果たしていることを認識する必要があります。また、5頁ですが、この 衛生管理者がメンバーとなって、事業場間での意見交換の場としては都道府県ごとに設置 されている「都道府県衛生管理者協議会」があります。また、「産業医」間の意見交換の場 としては別添1にも出ていますが、「産業衛生学会」が機能している状況です。措置の導入 にかかるリスコミを開催する場合においては、こうした協議会、学会など、既存の体制の 活用ということを念頭に置く必要があります。  また、来年度、労働衛生関係者参集型リスコミにおいては、いま申し上げた点のほか、 以下の点にも留意していく必要があります。参加者の募集については、効率的な意見交換 とするために、この労働衛生の中核的な役割を果たします「衛生管理者」や「安全衛生推 進者」、また労働者の健康管理等に携わり、豊富な知見を有する「産業医」、「労働衛生コン サルタント」の参画が重要です。  開催地やテーマについては、テーマごとに参加者の利便性を考慮していくことでの開催 地を選定することが重要です。事業場間での「衛生管理者」等の意見交換の場としては、 先ほど申し上げた「都道府県衛生管理者協議会」などの活用が有効ではないかと考えてい ます。会合の持ち方については、規制対象物質のリスコミということですが、事業場で労 働衛生を担当する者を中心とした、より専門的な意見交換が可能な20〜30名規模の会合 が妥当ではないかということと、健康障害防止措置の検討をテーマとするリスコミにおい ては、事業者のニーズも高いということですので、講師を派遣したり資料提供をして、支 援していくことも妥当ではないかと考えています。  3)開催地については、今年度は東京で開催しましたが、地方の事業者の参加が容易な開 催の検討、選定ということで交通アクセスの考慮、その場所、機会についても考慮してい くということです。地方については、交通アクセスの観点からは主要地方都市での開催が 念頭に置かれます。  (4)その他です。国は、事業者、業界団体の呼びかけ、講師派遣、資料提供など、連携強 化を図っていくことが求められます。最後になりますが事業を実施した場合には、実施し たあとのチェックと改善というものが必要になってくるわけですが、PDCAサイクルを成 立されることから、リスコミの事業評価手法を策定していく必要があります。この評価手 法として考えられるのは、例えばリスコミ会合参加者へのアンケート、リスコミのパネラ ーへのインタビューなどが挙げられます。本文は以上です。  先ほど見ていただきました別添1の労働衛生の推進体制の裏の頁に別添2として、「今後 のリスクコミュニケーションの体制(案)」を書いています。点線で括りました四角の中に あるものは、基本的な事項にかかるリスコミの対象、利害関係者間でのものを想定してい まして、楕円形の点線で囲んだところは専門的なテーマにかかるリスコミの対象と考えて います。先ほどの別添1でも事業場の規模に応じて、衛生管理者、産業医を選任する所と、 安全衛生推進者を選任する所の大きく2つに分かれますが、中央労働災害防止協会の下に 都道府県労働基準協会、また都道府県衛生管理者協議会があります。  この都道府県衛生管理者協議会を活用する形で、事業場における衛生管理の中心的な役 割を担う衛生管理者や安全衛生推進者と、その専門的なテーマにかかるリスコミを実施し ていくことについての支援を行うことなどが考えられること。また、産業医については、 日本産業衛生学会での情報提供をして、産業医間での情報収集を図っていくこと。また、 労働衛生コンサルタントの活用などが専門的なテーマについては、主体的な役割を担うイ メージで、四角の点線においてはその専門的なテーマではないですが、繰り返しになりま すがステイクホルダー間、利害関係者間における基本的な事項におけるリスコミの対象と いう整理とした案です。リスクコミュニケーションの進め方の案については、以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。ただいま、平成22年度のリスクコミュニケーショ ンの進め方(案)について説明がありました。これについてのご意見をどうぞ。 ○堀口委員 先ほど、漆原さんのご質問から、平成22年度のパンフレットを作る予定とあ りましたので、これは直接的に対面式の話ばかりが書いてありますが、リスクコミュニケ ーション全体としてはパンフレットの話が欠落しています。それと、平成21年度はパブリ ックコメントをやりましたよね。資料1-1でパブリックコメントを実績としてやったこと の一文が抜けていたのと、平成22年度にパブリックコメントをやるのであれば、それも一 応リスクコミュニケーションの1つのやり方なので、大項目として抜けていたと思います。 対面式のところは、ほかの委員の先生方がそれぞれのお立場でいろいろご意見があろうか と思うので、全体のところではそれに気付きました。 ○櫻井座長 ありがとうございました。 ○島田化学物質評価室長 パブリックコメントについては、行政手続法という法律に基づ くものですので、私どもでそれに則った形でこういうことをやりますということを書かせ ていただくようにします。一方で、パンフレットについては当然わかりやすいものを提供 していくということでしょうけれども、もし書くに当たってもう少し突っ込んでアドバイ スをいただければ、ありがたいです。 ○堀口委員 例えば、その意見交換会などを踏まえて、このQ&Aを充実させていくとか、 そういう単純なことでいいと思います。 ○櫻井座長 ほかに何かありますか。 ○漆原委員 中災防が毎年実施をしている全国産業安全衛生大会と同じタイミングで開催 されるというのは、参加者としては大変参加しやすいと思っています。ただ、1つ付け加 えさせていただきますと、労災防止指導員が全国47都道府県の労使で大体1,500名程度選 任されておりまして、都道府県労働局がそのうち労使それぞれ1名ずつを選んで、中災防 の大会に参加できるよう、往復の交通費や参加費を支給されているようです。もし大会に 併せて開催するのであれば労働局より「化学物質のリスコミにも是非参加してください」 ということを一言言っていただけると、労働者側としての参加率が上がるのかなと思って います。 ○島田化学物質評価室長 いまは、その労使間の会合が、全国労働安全衛生大会と一緒に 開かれるということですか。 ○漆原委員 労使間の会合ではなく、都道府県労働局が労使1名ずつ指名をして、中災防 主催の全国産業安全衛生大会に旅費・参加費を支給し、大会で発表される研究成果等を見 せるという研修の一環ではないでしょうか。そこで、その指導員に声をかけると、リスコ ミにおける労働者側の参加率が上がるのかなと思っています。もちろん、「安全」の担当者 で「衛生」や「化学物質」の担当者ではないというケースもありますが、どちらにしても 職場の安全衛生に興味を持たれて参加される方だと思います。 ○櫻井座長 ありがとうございました。 ○山口委員 別添のところですが、団体として日本化学工業協会だけ書いてあるので、ち ょっと申し訳ない。化学関連の団体とか、表現をもう少し幅広くしていただいたほうが、 何かすべて日本化学工業協会が背負っているような。化学関連の業界団体とか、そういう ようにしていただいたほうがよろしいと思いますので。 ○島田化学物質評価室長 レスポンシブル・ケアの取り組み自体は、日化協さんですか。 ○山口委員 基本的には日化協の取組みですが、日化協に入っている団体が無機とか農薬 とか、いろいろな協会と両方入っている場合もありまして、活動としてはレスポンシブル・ ケアをやられています。レスポンシブル・ケアという考え方は幅広い考え方ですが。 ○島田化学物質評価室長 もう少し、一般化をするような表現のほうがよろしいというこ とですね。 ○山口委員 申し訳ないですが、日本化学工業協会が背負っているような、というところ が1つです。基本方針の書き方ですが、パラグラフの上から3つは、これまでのリスクコ ミュニケーションの進んできた状況というか、そういうことの説明で、この基本方針とい うところは「リスコミは、単に国が云々」とあって、「このことから、次年度において云々」 とあって、「各段階において、リスコミを開催することとする」というここが中心的なので す。上の3つをまとめてするとか、ここのところをもう少し強調するような形にしたほう がよいです。 ○堀口委員 たぶん背景というのが最初にあって、それが3つのパラグラフに分かれて、 次に基本方針というのが来てかなと。 ○島田化学物質評価室長 そこは工夫させていただきます。 ○名古屋委員 5頁の参加者の募集の中に「豊富な知見を有する産業医、労働衛生コンサ ルタント」と書いてあるのですが、ここにいつも作業環境測定士が入らないです。それか らこの図のところもそうですが、いつも作業環境測定士が入っていません。もともと旧労 働省がが作った資格で、かなりレベルの高い資格に関わらず、こういうところで作業環境 測定士が抜けるのはいかがなものかと、いつも思っています。必ず入れてほしいのと、図 の中にも必ず入れてほしい。だって、安全衛生管理者に比べたら作業環境測定士のほうが はるかにレベルが高いし、下手したらコンサルタントよりレベルが高い人はたくさんいま す。産業医も、メタルを専門にしている人と化学物質を専門にしている人とでは、豊富な 知見も違ってくると思います。法律できちんと決めた資格ですから、そこにいつも入れる 姿勢があってほしいなと個人的にはいつも思っているので、是非よろしくお願いします。 ○堀口委員 産業医より前に書いたほうがいいと思います。現実的に働いているのは。 ○名古屋委員 私もそう思います。産業医の講習会の講師をしていると産業医の先生には 申し訳ないけれども、下手な産業医だったら、はるかに測定士で上の人がたくさんいると 思っています。 ○山口委員 そうてすね。作業管理、作業環境管理、健康管理で3本柱。 ○名古屋委員 3本柱で、いつも抜けている。赤い枠のこの辺でもいいですが、測定士が どこかにあってほしいなと思います。ましてや現場のことを聞いたときに、リスクコミュ ニケーションでリスクの評価を測定しているわけだから、それをいちばん知っているので、 必ずどこかに入れてほしいなと思います。 ○櫻井座長 もう1つは、化学物質管理者は、化学物質に関するリスクアセスメントの指 針の中に明記されているので、これを抜くわけにはいかないと思います。現実にどれだけ いるかは別問題ですが、衛生管理者の指揮の下で仕事をやることになっていますが。 ○島田化学物質評価室長 実は、そのリスクアセスメントに化学物質管理者が入っている ことは認識していますが、すべてのところにあまねくそのものが入っているわけではない と。つまり事業の受け手として、その役割がセットされているのは認識していますが、中 身でどのぐらいそういう方が任命されているのかはないので、そこを確認させていただい た上で検討します。 ○漆原委員 いまの話にありました別添1の表ですが、安全衛生推進者を任命しているこ の小規模事業場は、たぶん推進センターよりも、地産保がサポートしているケースが多い のではないかなと思います。ここに地産保をあえて入れずに、推進センターから矢印を引 いているのは、化学物質については何か特別な意向が働いているのではないかと思ったの ですが。 ○櫻井座長 地域産業保健センターですね。私も、これはどうかなと思ったのですが、あ えて書かなかったのは、それほど専門的ではないからと判断されたかなと思ったのです。 ○半田化学物質対策課長 例えば、測定や衛生管理の工学的な対策等々のアドバイスをや るとなった場合、都道府県の推進センターだと思います。もちろん、地産保でやっていら っしゃる所もあると思いますし、やってはいけないわけではないですが、その辺は推進セ ンターのほうが実質的にワークしているのかなという認識です。 ○山口委員 いまの提案ですが、「推進体制図」というと確定的になるので、厳密に言うと あれが落ちている、これが落ちているとなるので、「概略」とか何かを入れたほうが、あれ が抜けている、これが抜けているという話にならなくて、別添2も「体制イメージ」とか 「体制概要」にしていただいたほうが、またあれが落ちる、これが落ちるという指摘が出 てくるかもしれないので。 ○櫻井座長 しかも、化学物質関連に関する今後のリスクコミュニケーションですね。 ○山口委員 そういうふうに、ある程度限定的に。作業環境測定士のように、本当に落ち たらまずいところは入れないといけませんが、細々といくとあれが落ちている、これが落 ちているということが出てくると思いますので、そういうところが多少あっても仕方がな いと思います。 ○島田化学物質評価室長 そういう趣旨で見ると、確かに抜けているところがあるようで、 リスコミの裏の紙を推進する体制の中で重要と思われるものを入れた傾向がありますので、 全部入れるとスペース的に非常に難しかったのでこうなっていますが、少しご意見を伺っ て検討するようにします。 ○櫻井座長 これは大したことではないですが、3頁の参加者公募型リスコミの第1パラ グラフで、当日参加者から募集した質問に応える、いわゆるパネルディスカッションを行 うようなタイプを「参加者公募型のリスコミ」と定義しているように見えますが、それは おかしいのではないか。そうではなくて、広く出席者を公募するという意味だとすると、 ちょっとおかしい。 ○山口委員 そういう意味合いで書かれていますよね。 ○島田化学物質評価室長 記述して確かに定義になっているような感じになりますので、 実際に参加者を公募して開催した検討会のパネルディスカッションでは当日提出頂いた意 見を集約しています事実関係だと思います。 ○櫻井座長 それは1つの方法であって、それをこういう名前にすることはない。 ○島田化学物質評価室長 いまのご趣旨は修正します。 ○櫻井座長 あとは労働者の場合、特に予め配るというところの意味も、よくわからなか ったです。この前のようなやり方で、当日最初に配付しますよね。それとは違って、もっ と前に配っておくという意味ですか。 ○島田化学物質評価室長 まず労働者の方々の視点というのは、通常専門家が思われてい るよりもレンジが広いのではないかというのが1つあります。それから、労働者の方が安 全衛生に関するご意見をまとめていただいた上で提出していただいたほうが、議論が進む のではないかという趣旨です。 ○櫻井座長 ご指摘いただく前に、予め質問等をまとめていただいてご指摘いただけると、 ありがたいという意味ですね。 ○山口委員 当日の紙で配る場合も含めてということですよね。 ○島田化学物質評価室長 タイミングとしては2つありまして、参加申し込みの紙に書い ていただく方法と、当日の意見・質問を募集する紙に書いていただいて、お休みの時間に それを埋めていただいて回収するという、物理的にできるのはたぶんその2回だと思いま す。 ○櫻井座長 わかりました。その辺は、整理をしていただければと思います。ほかに何か ありますか。そろそろ次へ進みたいと思いますが、よろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 来年度の進め方については、いま意見をいただきましたので、 これら意見を踏まえて方針案を修正の上、各先生方にお投げをして意見を伺った上で、座 長の取りまとめとさせて頂きたいと存じます。 ○櫻井座長 今回が最後ですので、いま事務局からご提案のあったような形で処理させて いただいてよろしいですか。                  (異議なし) ○櫻井座長 そのようにさせていただきます。  議題3「がん原性試験(フィージビリティーテスト)対象物質の選定について」です。 これは報告事項です。よろしくお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 資料3について説明します。先ほどの実績でもあったとお り、がん原性試験のフィージビリティーテスト吸入試験の対象物質について、平成21年度 でいうと2物質選定することで行っています。前回1月21日に開催しました第4回の企 画検討会の中では、候補として当時は1として既存化学物質のアリルアルコール、2とし て新規化学物質のトリフルオロメタンスルホニル=フルオリド、3として既存の化学物質 のアクリル酸メチルで、そのときには1、2、3という順位で考えて、最終的な対象物質の 選定においては、2の新規のトリフルオロメタンスルホニル=フルオリドの産業的利用状 況を考慮して、最終的な2物質についての選定は座長に一任するということで、第4回が 議論されたところです。  今般、事務局のほうで第2順位とされていた新規化学物質について調べまして、例えば 化学工業日報社のデータや、いろいろな製造輸入に関する実態調査の実績等々。また、実 際事業者のヒアリングを行ってまいったところ、資料3の下の※にありますとおり、届出 事業者においては、製造中間体としてすべて社内で消費しているという回答がありまして、 また使用状況も確認できないことから、なかなか産業利用がないことから、フィージビリ ティーテスト対象物質から除外するということです。こちらについて座長にお諮りしたと ころ、2の新規化学物質については対象としないということを確認されまして、こちらに ありますとおり、(1)のアリルアルコールと(2)のアクリル酸メチルの2物質を対象物質とす ることが妥当であるという結論になりました。1月21日に開催後、座長と相談しまして、 1月中にこの2物質ということで結論づけられたものです。  なお、この結論について、1月28日に各委員の方々には結果を既にお知らせしているも のです。資料3については以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。何かご質問、ご意見はありますか。これは事務局 と私に一任されて、この新規化学物質について検討することの意義は非常に少ないという 判断をしました。ただ、下から2行目に、すべて社内で消費しているとの回答、また、使 用状況も確認できないという意味がわからなくなってしまったのですが。要するに社内で ほとんど使っていて、ほかへ出ていく。 ○長山化学物質評価室長補佐 他の事業場への産業利用というか、そういうのがないとい う。 ○島田化学物質評価室長 新規届出になりますと、その1年後に名称が公表されることに なって、ほかの事業場でも届出なしで使えるということになりますが、ここでの意味はこ の事業場では社内で全部消費している。ほかの事業場での使用は確認されないということ で、ほかにも広く使われているものではないという判断を書いています。 ○櫻井座長 使用状況も確認できないというのは、使用状況が全然わからないという意味 ではなくて。 ○島田化学物質評価室長 使用していることを特定できなかったということです。 ○櫻井座長 私もそのように理解して、ほかで使っている可能性は低いという判断をした わけですが。 ○島田化学物質評価室長 修正します。大変失礼しました。 ○櫻井座長 全くわからないのではなくて、使われている事実がどこにも確認できないと いう意味ですよね。 ○島田化学物質評価室長 あまり汎用されている物質ではないという意味です。 ○清水委員 使っているのは、回答した1社だけということですか。 ○島田化学物質評価室長 それは、あまねく調査することができないので、当該事業場以 外で使われているかどうかは確認ができないのですが、主要な事業所ではほとんど使われ ていないと思います。 ○櫻井座長 そういうことでよろしいですか。ありがとうございました。  議題4「情報収集結果について」です。これも報告事項です。事務局から説明をお願い します。 ○井上労働衛生専門官 資料4について説明します。資料4の鉛含有塗料の実態について 説明する前に、背景をおさらいしたいと思います。昨年の7月29日に第1回目のリスク コミュニケーションが行われまして、企業の専門家ということで講演をいただきました橋 本先生から、鉛塗料については欧米やシンガポールでは禁止されているけれども、日本で は規制がなく、塗料の4分の1は有鉛であるというご発言がありました。また、昨年9月 の有害物ばく露作業報告対象物質を選定する企画検討会の場において、この鉛含有塗料は 候補として挙げられました。最終的には対象になりませんでしたが、この物質については 情報収集を行い、リスク評価の必要性を検討するという位置づけにされて、今般情報収集 した経過について簡単にご報告させていただくという位置づけです。  1の「鉛含有塗料の取り扱い状況」については、大きく2つの用途に分けられます。さ び止めの塗料に鉛が含まれるものと、着色するための有着色塗料として鉛が含まれるもの です。有着色の中には黄鉛・オレンジと、鉛系の顔料を含む塗料という位置づけになりま す。1つ目のさび止め塗料の生産量を確認したところ、塗料全体で生産数量が183万8,000 トン、このうち、さび止め塗料全体が5万2,000トン、さらに鉛を含有するさび止め塗料 は1万2,000トンで、さび止め塗料全体の0.7%程度の生産数量であるということです。  もう1つの鉛含有着色塗料は、塗料用途向けの出荷実績で確認したところ、黄鉛・オレ ンジそれぞれ1996年には4,500トンなり1,360トン程度だったものが、2007年度にはそ れぞれ80%強減少しまして、849トンや241トンになっています。2)のさび止め塗料の話 に戻ります。塗料全体の0.7%ですが、鉛を含有する塗料の規格について、後ほど廃止状況 といったものについて説明しますので、その時点で触れたいと思います。  2番目は、「塗料製品のJIS規格」です。全部で53件あります。JIS規格については先 生方ご承知のところだと思いますので、1)鉛塗料製品について触れます。(1)鉛含有さび止 め塗料の代替製品としては、平成15年に鉛・クロムフリー(これは塗膜中の含有率として、 鉛とクロムがそれぞれ0.06%以下、0.03%以下のものをフリーと言っています)さび止め ペイントのJIS規格(K5674)を制定されています。K5674については、確認できる資料で は年々出荷実績が数百トン単位ではありますが、増加しています。  (2)のJIS制度の変更は、平成18年度に生産数量が少ないとか、環境汚染や安全衛生の 懸念がある製品(有害金属、VOCなど)が見直されまして、鉛含有塗料JIS規格は4件廃 止されたということです。その下の鉛含有塗料の規格7件あるうちの上の4件で、正確に はJISCと言われているところで廃止が承認されて、今後承認された廃止についての手続 が進められます。こちらについては廃止の手続中ということで、出荷実績は年々減少して います。  一方で、暫定的に継続する規格がありまして、こちらは平成23年度までに廃止ではなく、 見直し予定です。生産数量の推移はここには付けていないですが、廃止手続中の4件の減 少分を、既存の継続として残るJIS規格3件のほうが吸収するような形で推移しているよ うな状況にあります。  3は、「国交省の公共建築工事標準仕様書の見直し」です。これは官庁営繕工事などで使 用する材料などの基準が記載された、いわゆる国の技術的統一基準で、民間工事での使用 にも当たっても促進されています。この仕様書の平成19年度の改正に当たりましては、下 線を引いていますが、人体や環境に悪影響があることが指摘されていることから、使用頻 度が少ないといった規格についての記載が、平成16年度版から平成19年度版の至る所で 削除されています。残る3規格が平成19年度版に残っていますが、鉛丹さび止めペイント (K5622)についてもJIS規格の廃止に伴い、次回の改訂版仕様書では削除が検討されてい ます。  4の「業界の取り組み」では、1点修正が必要です。「社団法人日本塗料工業会」と書く べきところを「料」を「装」と書き間違えています。これは、後ほど訂正します。業界団 体である塗料の団体と塗装の団体の2つがありますが、それぞれでコーティング・ケア活 動や鉛・クロムフリーの独自規格の作成、また代替品の検討を推進しているといったこと などが確認されました。駆け足ですが、鉛含有塗料の実態については以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。何かご質問、ご意見はありま すか。 ○名古屋委員 これではないですが、1つだけ。ここで言う話かどうかはわかりませんが、 鉛則では、鉛の含有率が10%以上の鉛合金はその適用を受けますが、鉛の含有率が5%の 場合は適用外ですよね。実態は、例えば鉛合金を溶解した時、銅合金の規格のBC6は鉛が 5%、亜鉛が5%、スズが5%、銅が85%です。このBD6銅合金は、銅合金の中でもいち ばん使っている合金です。要するに、水道とかバルブに使っています。これは適用外です よね。ところが、銅合金の規格のLBC3という銅合金は、スズが10%、鉛が10%、銅が 80%で、鉛の含有率が10%以上ですので鉛則の適用を受けます。でも、鉛の発生量は圧倒 的に鋳込みの温度が違いますから、BC6のほうがLBC3に比べて発生量が多いのではない か。BC6は鉛則の適用を受けず、除外になっているのです。  もう1つは、BC6に亜鉛が入っているので、BC6溶解時にはBC6から亜鉛の中に夾雑 物として含有するカドミウムが発生しますが、BC6溶解時に発生するカドミウムの実態が 十分に把握されていない点で、BC6溶解時にはカドミニウムが発生しているけれども、鋳 物作業場では測定が義務付けられていないのです。でも、本来的には鉛は発生するし、カ ドミニウムも発生するけれども、測定義務のないのはどうなのでしょうか。これは、鉛則 を変えないとどうにもならないけれども、塗装に比べたらはるかにヒュームとして出てい るから、環境中に存在する量はものすごく多いし、カドミも存在する。ここは化学物質だ からいいのかどうかはよくわからないけれども、やはり実態を十分に把握できていないの かなと思います。カドミニウムも鉛も出ているのに、測定から外れているのはどうなのか なと。 ○半田化学物質対策課長 それは非常に重要なご指摘をいただきましたので、検討させて いただきたいと思います。1つお尋ねしますが、鋳込云々のところはとりあえずの話とし ては粉じん則の適用はあろうかと思いますが、その中でやっていけばとりあえずのばく露 リスクは抑えられていると考えていいのでしょうか。 ○名古屋委員 鋳込作業の中で銅合金の鋳込は鉛10%が鉛則の適用で、5%は鉛則にもひ っかからないし、粉じん則にも引っかからないと思います。鉛合金の中でも鉛の発生量の 少ないLBC3の溶解は月に1回か2回あるかないかだけれども、鉛の発生量の多いBC6 の溶解は毎日溶解していますし、それも、多くの銅合金鋳物工場で。特にいちばん気にな るのは、BC6溶解時にカドミニウムが発生していることです。亜鉛があるところは必ずカ ドミがありますので、そこが十分に把握されていないのではないかということです。 ○半田化学物質対策課長 鉛則のカバーする部分だからどうこうというつもりは全くあり ませんので、早急に対応できることからやっていきたいと思います。ありがとうございま した。 ○櫻井座長 ありがとうございました。ほかに何かありますか。 ○島田化学物質評価室長 これの前提条件としては、去年の7月から9月にかけてリスク 評価の対象物質を選定する際に、こういう情報を得た上で改めて次年度を検討しましょう ということになりましたので、今日は情報提供ですが、7月なりその直前の段階でまたお 諮りをしようということですので、よろしくお願いします。 ○棗田(中災防) 1つだけ質問しますが、この塗料自身はどこで使われるのですか。ほ とんど建物とか、そういうもの。 ○井上労働衛生専門官 業界団体に確認しましたところ、建物の外だけでなく、中でも使 われること。また、公共工事で橋を作った際に、大型建築物として塗装することなどがあ ると聞いています。 ○棗田 ありがとうございます。 ○櫻井座長 ほかにないようでしたら、ちょうど時間になりました。今後の予定について、 事務局から説明をお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 資料5は、企画検討会の今後の検討予定です。次回は平成 22年度の第1回として、7月9日(金)14時〜16時を予定しています。議題は、平成22年 度のリスク評価対象物質案件の選定についてなどを検討いただきたいと考えています。以 上です。 ○櫻井座長 これで閉会とします。今日は、貴重なご意見をありがとうございました。