10/03/11 第12回がん対策推進協議会議事録 第12回がん対策推進協議会議事録  日  時:平成22年3月11(木)13:00〜16:47  場  所:三田共用会議所1階 講堂  出席委員:垣添会長、廣橋会長代理、天野会長代理、荒生委員、内田委員、江口委員、       川越委員、郷内委員、永池委員、中川委員、野田委員、埴岡委員、檜山委員、 本田委員、前川委員、南委員、三好委員、門田委員、安岡委員 ○照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室   末政(内線2946) ○鈴木がん対策推進室長  それでは定刻になりましたので、ただ今より第12回がん対策推進協議会を開催いたしま す。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとう ございます。  私は、健康局がん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。  会議の開催に当たりまして、上田健康局長からご挨拶させていただきます。 ○上田健康局長  本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。健康局長の上田 です。  初めに、ご挨拶に先立ちまして、去る1月16日にご永眠されました金子明美前委員に対 しまして、謹んで哀悼の意を申し上げたいと思います。  皆様ご承知のように、本協議会は我が国の審議会としては初めて法律の規定に基づきま して、患者関係者の皆様にご参画をいただいているところでございます。こうした患者関 係者のお一人であられた故金子明美さんにおかれましては、平成20年5月16日から平成21 年4月4日までの任期におきまして、第7回から第9回までの本協議会にご出席をいただ きまして、がん患者としてのお立場から数々の貴重なご意見をいただきました。心よりご 冥福をお祈りをいたします。  それでは、第12回がん対策推進協議会の開催に当たりまして、ご挨拶を申し上げます。  本協議会は平成19年4月に第1回が開催されて以来、これまで11回にわたり、がん対策 推進基本計画の策定についての意見、がん対策関係予算に関する提言など、がん対策を推 進するために必要不可欠な重要な議論を行ってまいりました。このご尽力に対しまして、 深く敬意を表したいと思います。  がんは、昭和56年以降、我が国における最も主な死亡原因となっており、現在では年間 死亡者数が30万人を超え、亡くなられる方の3人に1人ががんということになっておりま す。  また高齢化社会の進展等により、生涯のうちにがんにかかる可能性は国民の2人にお一 人と推定をされており、日本人にとって国民病といっても過言でない状況でございます。 こうした状況を踏まえまして、我々といたしましては、予防、検診、医療など、各種政策 に取り組むとともに、医療機関、研究機関あるいは患者会など、様々な方面でご活躍をさ れている皆様方のご意見と真摯に向き合いまして、さらなるがん対策の推進に努めてまい りたいと考えております。  本日は委員の皆様方に平成22年度がん対策関係予算についてご報告をさせていただくと ともに、平成23年度がん対策に向けた提案書やがん対策推進基本計画の進捗状況などにつ いてご議論をいただければと思っております。  皆様方はふだん、がんの研究や医療に携わっておられたり、あるいは患者会の活動を通 して、地域のがん患者の方々のサポートをされたりと、そのお立場は様々でございますけ れども、その志すところは一つでありまして、がんを知り、がんと向き合い、がんに負け ることのない世界の実現ということに尽きるのではないかと思っております。前向きで活 発な議論がいただけるものと期待をしているところでございます。  今後とも皆様方とより一層の連携を図り、貴重なご意見を賜りながら、がん対策のさら なる拡充を図ってまいりたいと考えておりますので、よろしくご協力のほど、お願いを申 し上げます。  どうしても今日私、国家用務でこの後すぐに退かなきゃいけないわけなんですが、今日 のご議論につきましては担当のほうからよく聞きまして、大臣を初め、政務三役にしっか り後にお伝えしたいと思っておりますので、何とぞよろしく、また失礼の段お許しをいた だきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○鈴木がん対策推進室長  ありがとうございました。  本日の委員の出席の状況についてご報告させていただきます。現在、中沢委員がご都合 によりご欠席との連絡を受けております。また川越委員、本田委員が所用により遅れると のご連絡を受けております。したがいまして、委員数20名に対しまして出席委員が19名と いうことで、議事運営上必要な定足数に達していることをご報告申し上げます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  ただ今ご挨拶いただきました健康局長の上田でございます。  続きまして、医薬食品局審査管理課長の成田でございます。  医政局政策医療課課長補佐の前田でございます。  国立がんセンターがん対策情報センター長補佐の若尾でございます。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  若尾です。よろしくお願いいたします。 ○鈴木がん対策推進室長  国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部長の祖父江でございます。 ○祖父江がん対策情報センターがん情報・統計部長  祖父江です。よろしくお願いします。 ○鈴木がん対策推進室長  本日は、関係省庁からご出席をいただいております。まず初めに、文部科学省より研究 振興局研究振興戦略官の渡辺様。  続きまして、高等教育局医学教育課課長補佐の渡部様。  続きまして、経済産業省より商務情報政策局医療・福祉機器産業室長の増永様にご出席 いただいております。  それでは、以後の進行につきまして垣添会長にお願いいたします。 ○垣添会長  皆さん、第12回の推進協議会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、ご覧のとおり膨大な資料があります。特にワーキンググループのメンバーが現 場の意見をいろいろ取りまとめられて、たくさんの資料をつくっていただきました。大変 なご努力だったと思いますが、その審議になるべく時間をかけたいと思いますので、報告 事項もたくさんありますが、なるべくそれを短時間に済ませて、審議事項をしっかりやっ てまいりたいと思います。  それから、上田局長の冒頭のご挨拶の中にありましたように、これまでこのがん対策推 進協議会の患者さんの立場で委員としてお加わりいただいておりました前委員の金子明美 さんが本年1月お亡くなりになりました。金子さんは、この協議会でがんの診療における お金の問題に関して非常に活発なご発言をいただきましたが、本日、そのことも後ほどの 議論の中に出てまいると思いますけれども、提案でありますが、金子明美さんのご冥福を 祈って1分間の黙祷を捧げたいと思いますが、よろしゅうございますか。  では、ご起立願います。  黙祷。 ( 黙  祷 ) ○垣添会長  ありがとうございました。どうぞお直りください。  それではこれから審議に入りたいと思いますが、まず資料の……。  どうぞ。 ○天野会長代理  ご意見述べる機会をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。  ただ今、金子前委員に関連して、私より一言意見を述べさせていただければと思います。  金子前委員は、ご自身も長期にわたり継続して、抗がん剤の治療を受けながら、がん患 者の治療に伴う経済的負担の軽減を強く求めてこられました。金子前委員のご尽力により、 協議会から本日出ますがん対策に向けた提案書にも、がん患者の長期の化学療法に対する 医療費助成についての施策が4本掲載されています。  金子前委員は、がん患者はお金との闘いを強いられているということを強く訴えていら っしゃいました。その金子委員のご意見、こちらの書籍、『がん患者、お金との闘い』と いう本の中にも記されているんですが、がん患者は今、治療の経済的負担の軽減につきま しては金子委員が強く訴えてきたにもかかわらず、金子委員ご自身もこの本の出版の1週 間前に本の出版を見ることなく、お亡くなりになられました。そしてがん患者の経済的負 担軽減の実現を見ることなく、志半ばにして、金子前委員は力尽き、亡くなられたと私は 思っております。  協議会のワーキンググループが実施したアンケートやタウンミーティングでも、金の切 れ目が命の切れ目であるという声が多く挙がっています。また、医療者の方からも、タウ ンミーティングにおいて、抗がん剤治療に伴う経済的負担により、自分は患者の命を救っ ているのか、がん患者の生活を破壊しているのか分からなくなるといった苦しい胸の内を 訴えられた医療者の方もいらっしゃいました。  こうしたがん医療に関わる多くの方々から治療に伴う経済的負担の軽減を求める声が挙 がっていることを、ぜひ本協議会においても重く受け止めていただきまして、対策の実行 に向けて協議会における今後の議論において重要な視点として、ぜひ取り上げていただき たいと思っております。また、金の切れ目が命の切れ目となることがないように、がん患 者の治療に伴う経済的負担の軽減を目的とした政策の実行を強く求めていきたいと思いま す。  なお、この私の意見につきましては、本協議会の患者関係委員有志一同の意見として、 こちらの本日の第12回がん対策推進協議会資料の405ページのほうに、私ども患者関係者委 員有志一同の意見として掲載させていただいておりますので、ご参照いただければと思い ます。本協議会としても、今後ぜひ、この視点で議論を進めていただくことをお願いでき ればということで申し上げさせていただきます。ありがとうございました。 ○垣添会長  天野委員から今お聞き及びのようなご意見をいただきましたけれども、これから実質的 な議論のときに、がん医療とお金の問題がいろいろ出てくるかと思いますけれども、大変 貴重なご発言だったと思います。承っておきます。ありがとうございました。  それでは、報告事項に入りたいと思いますが、たくさんありますので、要領よく進めて いただければと思いますが、まず、平成22年度がん対策関係予算等について、厚生労働省 よりご説明をお願いいたします。 ○鈴木がん対策推進室長  それではご説明をさせていただきます。資料につきまして、まず最初にご確認させてい ただきますが、本日お配りさせていただいております資料につきまして、まず会議の議事 次第1枚、それから第12回がん対策推進協議会の座席表、それと今回厚い冊子になります が、第12回がん対策推進協議会の資料という本になったもの。それと、平成23年度がん対 策に向けた提案書〜みんなでつくるがん政策〜第1部という、これも本になったもの。そ れ以外に、また別添資料といたしまして、第12回のがん対策推進協議会資料正誤表という ホチキスどめをしてありますペーパーがあると思われます。それ以外に、別冊資料といた しまして、製本された7つの冊子、これですね。それから第3次対がん総合戦略推進事業 市民公開講演パンフレットの関係のもの、それから平成23年度がん対策に向けた提案書 (案)第3部アンケート、及び第4部意見シートの全体版をお配りさせていただいていま す。また中川委員からの提出といたしまして、右肩に中川委員提出資料と書かれたものを 別途お配りさせていただいているところでございます。  なお、平成23年度がん対策にむけた提案書(案)第3部及び第4部の意見シートの全体 版につきましては、委員の皆様方にお配りさせていただいておりますが、傍聴者の方にお かれましてはお示しさせていただいておりません。事務局で何部か用意しておりますので、 お申出いただきたいと思います。また後日、厚生労働省のホームページで公開することと しております。  それでは、冒頭のカメラ撮りは終了させていただきます。ご協力お願いします。 (カメラ撤収) ○鈴木がん対策推進室長  資料のほうのご説明をさせていただきたいと思います。  第12回がん対策推進協議会の資料をあけていただきまして、資料1−1のでございます。 右下に1ページと載っておりますが、平成22年度がん対策関係予算案ということで、一覧 表にまとめております。前回にも同じようなもの示させていただきましたが、前回、概算 要求ベースでの金額でございましたので、今回予算案ベースの金額に直して新しくつくっ ております。  一番右上にありますが、がん対策予算3省全体で平成22年度予算案につきましては559億 円、前年度539億円ということになっております。また、前回資料と違いますのは、前回の 協議会におきまして、廣橋委員のほうから、がんセンターのほうの経費について別途外出 しをしていただきたいというようなことがありましたので、一番下の項目でありますが、 独立行政法人国立がんセンターの経費としまして、厚88億というのを追加しているところ でございます。  また、それ以外にも★印にありますが、文部科学省におきましては、がん研究の関係の 経費、それから厚生労働省におきましては検診の経費、それからがん医療費等々がこれ以 外にもあるということでございます。  続きまして2ページでございます。ここからは厚生労働省のがん対策の予算についてご 説明させていただきます。平成22年度予算案につきましては316億円、21年度当初案では 237億ということになっております。今回ですけれども、前回と同じような資料構成になっ ておりますが、先ほど申しましたとおり、6番として独立行政法人国立がんセンターの経 費として、新しく88億円というのが計上されております。  それに伴いまして、これまで厚生労働省のほうからがんセンターのほうに委託をしてお りました経費が全て運営費交付金の中に組み込まれましたので、ちょっとお間違いいただ きたくない、お気をつけていただきたいと思っておりますが、それぞれの項目ごとに前年 度の予算の考え方と、今年度の計上している予算の考え方が若干ずれてくるということに なります。  例えば、1番の放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師等の養 成ということでございますが、一部、この中にがん医療専門スタッフの育成の中には、こ れまで国立がんセンターのほうに委託費としてお願いしていたものが、そのままがんセン ターの運営費交付金に入ったというようなこともございまして、前年度61億円というもの と今回の43億円というものが、そのままパラレルに比較はできないということになってお りますので、お気をつけていただきたいと思っております。  なお、前年度、前回の概算要求と今回大きく違いますのが、1番の(1)の2ポツ目に あります、新規と書いておりますが、がん医療に携わる医療従事者の計画的育成という2 億円の事業でございますが、これが新たに前回の概算要求から追加されているところでご ざいます。  これの説明につきましては3ページをご覧いただきたいと思います。3ページの中の2 つ目のポツ、マル新と書いてありますが、がん医療に携わる医療従事者の計画的研修事業 ということで、内容につきましては、そういった医療従事者の方々の実態を把握するとい うことと、それから、がん医療に携わる各医療従事者の必要数、充足状況を把握し、計画 的な養成方法の検討を行うということで、その経費にかかるものとして、新しく前回の概 算要求以後、2億円の増額をしておるところでございます。  それから、そのほかの部分につきましては、後で資料をご覧いただければというふうに 思います。  それから5ページになります。5ページは、その年度ごとに予算額、厚生労働省のがん 関連の予算の推移を示したものでございまして、上のグラフを見ていただければ分かりま すが、前年度よりも増えている。一応は増えているということになっております。  それから6ページになります。これは資料1−2の関係になりますが、がんの関係につ きまして、研究費も予算の中で認められておりますので、それにつきましてスケジュール 等をお示ししているところでございます。来年度、22年度の厚生労働科学研究費補助金の 事業のスケジュールでございますが、現在、22年3月でございますので、もう既に事前評 価委員会が終わっておりまして、現在、採択通知、それから交付申請を行うという予定に なっております。  課題につきましては、下のほうにずっとありますが、新規公募課題一覧ということで、 それぞれ3次対がん総合戦略事業、それから7ページのほうはがん臨床研究事業というこ とで、こういった項目を公募し、それらにふさわしい研究について採択を行っているとい うところでございます。  それから、併せまして資料1−4になりますが、平成22年度がんに関する診療報酬改定 の概要ということで、ページ番号につきましては8ページになります。今回ご存じのとお り、診療報酬改定が行われましたので、それの結果につきまして、特にがんに関連すると ころを抜き出して資料として作成しているところでございます。8ページの下のほうです が、診療報酬全体といたしまして、全体の改定率はプラス0.91%、約700億円ですが、薬価 等のマイナス分、約5,000億円の1.36%、約5,000億円分のマイナス分がございますので、 トータルとしては診療報酬本体としてはプラス1.55%、約5,700億円の増ということになっ ております。それぞれ入院と外来の比率がそこの下に出ておりますが、入院が3.03%、外 来が0.31%ということになっております。  次の9ページをご覧いただきたいと思います。9ページの上のほうですが、診療報酬全 体の今回の基本方針ということで、これは中央社会保険医療協議会のほうで決定されたも のでございますが、この方針に基づいて診療報酬が改定されております。これにつきまし て、重点課題として救急・産科・小児・外科等の医療の再建というものと、病院勤務医の 負担軽減、この2つが重点課題。そのあと、そのほかにも4つの支援ということで、充実 が求められる領域を適切に評価していく、以下4つの項目について、こういったところで 重点的、特に評価をしていくということになっております。  文字として出ておりますのは、充実が求められる領域を適切に評価していく視点という 中ががん医療という言葉が載っていまして、やはりがんにつきましても今回の診療報酬改 定の一つの大きな柱になっているというふうにはうかがえるというふうに思われます。  それを具体的に、それでは今回のそれぞれの点数がどういうところで改定された、もし くは影響があったのかというふうなことを、マル・バツ表でつくってみたのが9ページの 下のほうでございます。重点課題と言われておりますが、やはり重点課題の中でもがんに 対するものというのが非常に含まれているというようなことがございますので、それぞれ 縦は先ほどの平成22年度診療報酬改定の基本方針をそのまま載せておりますが、横軸にが んの基本計画の関係、個別目標との関係で、どこが個別目標のどこが今回どの分野で重点 評価がなされたのかということを示すものでございます。  個別な改定内容につきましては10ページ以降になりますが、それぞれ今回の診療報酬改 定につきまして、がんの個別目標という切り口から少し整理をしたものでございます。10 ページが、下のほうにありますが、放射線療法についてこういった改定が行われていると いうことと、11ページは化学療法の関係になります。  それから12ページになりますと、特に下のほうですと、緩和ケアに関する主な研修内容 というふうに書いてありますが、今回、今、緩和ケアにつきまして研修会を開催している ところでございますが、この研修会を受けた者というものが診療報酬の中でもきちんと位 置づけられたというのが今回の成果だと思われます。  それから13ページの上のほうですけれども、やはり今後がんの地域連携ということが重 要だということもありますので、一つは拠点病院についての加算が増えたこと、それから その下の黒い■のところでございますが、いわゆる連携クリパスをつくって計画を立てて、 なおかつ患者さんを地域の病院と連携してということについて新しい評価、また連携され たほうの病院がそういった、もともと連携を策定した病院と密に連絡をとるということに ついての評価というものが行われているところでございます。  それから、看護の関係につきましても、14ページの上になりますが、訪問看護という切 り口から、少し見直しが行われているというところでございます。  また、15ページの上になりますが、手術につきましては、今回、全般的に手術料の見直 しが行われておりまして、その中で、がんの関係する手術につきましても、ここで挙げて おりますのは例示でございますが、そういったところが点数がアップされているというと ころでございます。また、リハビリテーションにつきましても、がん患者のためのリハビ リテーションというのが今回新設をされております。  それから16ページになりますが、下のほうにDPC病院に対する評価というものがござ います。DPCにつきましては、この中の調整係数について今回抜粋をしておりますが、 [2]と[3]のところにありますけれども、がん地域連携、それから地域がん登録、こういった ものに積極的に参加して動いたようなDPC病院につきましては、地域医療指数のポイン トということで評価が上がるということになります。したがいまして、こういった中から もがん登録ということのバックアップになるのではないかというふうに考えているところ でございます。  17ページの下ですけれども、その他のがんに関する事項といたしまして、今回がん患者 のカウンセリング料というものが新しく創設されておりまして、そういった緩和ケアの研 修を行った医師、及び6カ月以上の専門の研修を修了した看護師が丁寧に説明を行った場 合について算定できるというようなことも新しく評価をされているところでございます。 これは今回の診療報酬改定、ここで示させていただいている資料は主なものということで、 これが全てではありませんけれども、がんについてはいろいろなところで評価が、関係す るところが広くされているんではないかというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。本日は報告事項がたくさんありますので、審議の都合上、ま とめてこの後、文部科学省、そして経済産業省の報告をいただいて、それでまとめて議論 したいと思います。  では、文部科学省からよろしくお願いします。 ○渡辺研究振興戦略官  それでは、お手元の資料18ページから21ページにかけまして、文部科学省の予算の概要、 それからがん研究についての検討の状況について、ご報告をいたします。  まずはお手元、18ページをご覧いただきますと、文部科学省のがん関係の予算の全体像 を示しております。文部科学省は、基礎研究としてがんの本態解明を行っており、その本 態解明の成果をトランスレーションリサーチ、いわゆる橋渡し研究ということで、実際の 医療に進めていくような研究、そして革新的ながん治療法の研究開発を行っております。 さらにはこうした研究開発を支える人材の育成も行っております。  19ページにそれぞれの事業の個別の予算の概要を書いております。特に概算要求から変 わった点についてご説明いたしますと、まずはがん・生活習慣病のための先端医科学研究 開発イニシアチブ、これにつきましては全体50億になっております。概算要求段階では51 億円でした。約1億円分の減額となっております。  それから、その次の革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアチブにつきましても、10 億円の概算要求が9億円。  そしてがんプロフェッショナル養成プランにつきましては、概算要求段階では事項要求 という形式でしたが、最終的には前年と同額の予算が措置されております。  最後に国立大学法人運営費交付金等の確保については、これは概算要求24億円から22億 円という形になっております。  それで一番上にある科学研究費補助金ということで、これは予算として2,000億円が全体 措置されておりまして、本年度まではがん特定研究5領域というのが45億円という予算で 初めから内訳として入っていたんですけれども、来年度はこれが明確に45億円という数字 で予算措置されているのではなく、その下にあります新学術領域研究の262億円の内数とな ります。まさに今現在、審査が進行中でありますので、最終的には審査の結果として、い くらの予算が措置されるかわかりませんが、この中でがんの研究も運用させていただくこ とになります。審査にはもうしばらく時間がかかると思います。  それから20ページ、21ページは、現在こうしたがん研究について、文部科学省において、 もう一度これまでのがんの研究を、文部科学省の成果を評価し直して、具体的ながん研究 について、今一度、きちんと議論し直そうということでございます。昨年の11月から議論 を開始したことにつきましては、昨年12月の本協議会に報告したところであります。現在 まで6回の議論を行っています。さらに来週7回目の議論があって、3月中には中間取り まとめということで、まずはまとめたいと思っております。最終的には6月ごろをめどに 最終取りまとめと思っております。  実際、この議論の主査としましては、この協議会の会長であります垣添先生にお願いし ておりまして、そのほか、廣橋会長代理、野田委員、門田委員にも中心的なメンバーとし てこの研究戦略というご議論をいただいているところであります。これまで医療関係者、 企業の関係者、それから若手の研究者に加えまして、メディアの方でありますとか、患者 の支援者の方などからもご意見をいただきながら取りまとめているところであります。本 日のご議論もぜひ生かせるものがありましたら、中間の取りまとめの際にも生かしたいと 考えております。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。  続きまして経済産業省、お願いします。 ○増永医療・福祉機器産業室長  経済産業省でございます。資料の22ページでございます。  私ども経済産業省は、産学官連携によります、産学官によります医工連携により、主に がんの研究、がん研究を進めているところでございます。この資料がその資料でございま して、全体の総額といたしまして70.5億円ということになっております。大きく4つに分 かれます。左上でございますけれども、医療機器の分野。左下でございます、これは基礎 研究から臨床研究、いわゆる橋渡し研究、TR研究でございます。右側でございます。こ れが創薬の分野でございます。左上のほうに医療器具とございますけれども、これは新規 の予算要求を立てまして、がんをとにかく早期に診断すると、さらに早期に治療するとい う、早期診断装置、早期の治療装置をそれぞれ2つ立てまして、これの研究開発を22年度 から開始するという予算を見出しをしているところでございます。  下でございます。左の下でございますが、TR予算ということでございまして、4分野 でございます。創薬技術、診断技術、再生細胞技術、あと治療機器の4分野につきまして、 TR―橋渡し研究を引き続き続けていくということにしております。  右側でございます。創薬でございますが、これが大きく、ゲノムの関連、糖鎖関連、あ と抗体関連、最後のバイオ診断の関連を行う予定でございます。これも新規でございます けれども、これも後天的と申しましょうか、要すれば後天的な遺伝子の変化でございます。 これを解析することによりまして診断につなげるという技術、基盤技術の開発を来年度よ り進めたいと考えているところでございます。  糖鎖につきましては、引き続きたんぱく質に結合することによって、いろいろな機能を 及ぼすという糖鎖でございますけれども、この分野の基礎研究を進めたいと考えておりま す。  抗体でございますが、これは治療薬として大変期待がされているところでございますけ れども、とにかく高いということでございますので、この低コストで効率的に作成する技 術の開発を進めてございます。  一番下でございますけれども、特にがんなどを初めといたします疾病に対します個別化 の医療でございます。個別化の医療に資するために染色体の異常を高感度に検出する技術 の基礎研究を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。  続きまして、報告事項の2であります、平成22年度予算に向けた提案書への対応につい て、厚生労働省から説明をお願いいたします。 ○鈴木がん対策推進室長  それでは資料にページ番号は23ページでございます。がん対策推進協議会からの提案書 に係る予算案の対応についてというところであります。提案書の骨子といたしましては、 ご存じのとおり(1)番から(3)番まで、(1)番ががん対策予算を大幅に増やす必要 があること、(2)番ががん対策予算の策定プロセスを改善すべきであること、(3)番 が70本の推奨施策への取組を進めることというふうになっております。  これらにつきましての対応状況といたしまして、(1)番につきましては、その下にあ りますが、平成21年度予算額237億円に対し、79億円増、33.5%増の315億円が認められた ところです。  (2)番のところに関しましては、昨年度末に全都道府県に対しヒアリングを実施し、 地域や現場におけるニーズを把握したところでございます。本年度につきましては、同様 に全都道府県に対して、現在の各都道府県で行っております事業のヒアリング等を行って おりまして、2月21日から予定といたしましては、3月12日までに全ての都道府県のヒア リングを終える予定にしております。  それから(3)番につきまして、推奨施策につきましては、今回、新規事業で計上した もの、既存事業でも一部対応できるもの、それから研究事業への対応をするもの、それか ら診療報酬の4つの枠組みを整理したということと、それからさらに5番目といたしまし て、今後やはり、もう少し時間がないとできないというようなもので、今後検討を要する 施策ということで、その5つの分野に分けておるところでございます。  24ページ以降は、我々が行っております事業から見た対応する施策というところでつく らせていただいておりますが、前回の協議会の中で委員のほうからもご指摘がありました が、今度は推奨施策のほうから見てどういう事業が関係しているのか、マル・バツはどう なっているのかというようなことのご意見がございましたので、それにつきましては、27 ページ以降、27、28、29というところでございますが、それぞれ左側に70本の施策と、分 野と施策番号、施策名というものを列挙させていただきまして、それの対応状況といたし まして、右側に22年度の概算要求、それから22年度の予算案の段階でどうだったか。  一番右のパラグラフになりますが、それぞれマル・バツ、○をつけておりますが、新規 で対応したもの、それから既存の枠組みの中で対応するもの、それから研究について対応 を予定しているもの、それから診療報酬で対応しているもの。  その後に、最後になりますけれども、今後検討を要するものという5つのカテゴリーで それぞれ○をつけているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  ただ今の報告事項の1及び2について、何かご意見、ご発言ありましたら。廣橋委員、 それから荒生委員。 ○廣橋会長代理  まず全体について恐縮なんですけれども、やはり本当、十分な議論ができるような場を 設定していただかないと、この協議会が形骸化すると思うんですね。ですから、もし4時 間で足らないようであれば1日の会議にすればいいし、何かそれで徹底的に議論するとい う場に、私はしていただきたいというふうに、最初に申し上げたいと思います。まず第1 点。  それから第2点は、厚労省のがん対策費、これが今、最後の棒グラフの表を見て、増え ているというふうにお話になりました。でも私には、特会の中に入っていたがんセンター に関する予算の部分が外に、運営費交付金に出てきているから増えているのであって、実 質的には増えていないように感じているんですけれども、どうなのかということが2番目 です。  それから3番目が、今後の中間取りまとめの対策のところにも書いたんですけれども、 3省庁が別々にがん研究の行われているというのは、いかにもそうなんですけれども、そ れを我々患者さんの方々に、あるいは国民の方々に理解していただくためには、全体の中 でどういう研究を、どのポジションが担ってやっているのかと、あるいは連携してやって いるのかと、力を合わせてやっているのかということが分かるように、全体が俯瞰できる ような整理がなされてここに出てくるというのがしかるべきことであって、私最後の提言 のところでは、今後の課題のところでは、やっぱりがん研究を含む全体の司令塔、あるい はそういう機能が必要だということを書いておいたんですけれども、それともつながるん ですけれども、ただただ各省がこういうふうにやっていますと言われても、きっと専門の 方は分かるだろうけれども、一般の方には非常に分かりにくいんじゃないかというふうに 思います。ですので、そこは申し上げておきたいと思います。  そういうふうに分かりにくいというのがありましたので、今回、こういうふうにパンフ レットと、それから抄録集を置きましたけれども、厚労省で支援されている団体さんの研 究がどんなものを行われているかというのを市民に分かりやすく説明するような会を開き まして、たくさんの方に参加していただきまして、講演会だけではなくて、ポスター発表 や、あるいは実験室も見学していただくということで、直接若いに人の話を聞く機会を設 けて理解を進むところであります。こういうことで、患者さん方もがん研究というのがど ういうものであるか分かっていただければ、課題の提言にも生かしていけると、現にそう いうシステムがあるんですけれども、そういうことの方向に向けての努力を始めたという こととしております。 ○垣添会長  ありがとうございます。最初におっしゃったこの会、本日3時間の予定でセットされて おりますけれども、ご覧いただくように膨大の資料と、それから今の予算の関係の話だけ でも駆け足で説明を受けて、十分議論できないというご不満でしょうが、私も座長を努め ていて、毎回不完全燃焼ということで大変忸怩たる思いがありますので、今後のこの会の セットに関しては、本日は3時間といっても、恐らく4時間かかるでしょうね。それから、 途中で休憩を入れます。  それから4時間でも、恐らく、今のような膨大の予算の説明を受けても十分把握しきれ ないというところがあると思います。ですから、やっぱりこの会の運営に関しては、13回 以降に関しては少し考える必要があるんじゃないかなというふうに思いました。  それから予算の、がんセンターのためのお金が表に出てきたので増えているように見え ているけれども、実質的には増えていないという意見に関しては、これは事務局からちょ っとご説明してください。  最後、3省別々に研究を進められていると、それで司令塔というのが必要だというのは、 おっしゃるとおりです。これは別途、また全体で考えなくちゃいけない話だと思いますが、 予算も、厚労省は予算が増えているように見えるということに関していかがでしょうか。 ○前田医政局政策医療課長補佐補佐  医政局政策医療課でございます。それ、先ほどご指摘のございます額が一見増えている ように見えるところのご指摘でございますが、従前、国立でございましたので、国立がん センターの経費のうち、研究に関する事項でございますとか情報発信に関するところを重 点的にがん政策ということで費用積み上げをさせていただいていた経緯がございますが、 来年度より独立行政法人化ということがございまして、後ほど報告事項の8としてお時間 をちょうだいしておりますので、丁寧にご説明を申し上げたいと思っておりますが、運営 費交付金の積み上げはあるんですけれども、執行自体は理事長の裁量ということで、特に 細分化せずにまとめてご報告させていただきましたので、額が増えているような見え方を しているところは恐縮でございますが、この独立行政法人化に伴う費用の移転というのは 今年だけでございますので、これをベースに来年以降もご議論いただければと思います。 ○垣添会長  関連ですね、野田委員。 ○野田委員  今のちょっとお二人の議論はかみ合っていないと思いますね。ちょっとすごく分かりや すく、前田さんが言われるようにこれからのことなんです。去年から今年にかけてのとこ ろを廣橋委員は問題にしているので、見かけで増えたかどうかではなくて、前は潜ってい て実際に行われていたものが違う計上されているだけで実質は増えていないのか、それと も計上の仕方が違って見にくくなっているけれども実質増えているのかと。このグラフの 316、236から316のこの部分は、本当に実質的に増えたのか、計上の違いだけなのか。それ が半分は増えている、半分は増えていない、そういうお答えが欲しかったんだというふう に思います。 ○鈴木がん対策推進室長  そこは、運営費交付金の中の切り分けがきちっと、もともとのがんセンターの経費と、 あと私どもが委託した経費というのがきちっと切り分けられていれば、そこの部分を切り 分けて、前年度の比較というのができると思うんですけれども、そこが非常に今回の合計 の性格上、そこが切り分けができないということがありますので、どれだけ見るというこ とが、数字の上でできないことになっているというのが今の現状でございます。 ○垣添会長  じゃ、ここまでにします。荒生委員。 ○荒生委員  女性特有のがん検診についてですけれども、前回の協議会で事務費2分の1に減額にな ってしまって、各地方自治体ではちょっときついというようなお話をさせていただいたん ですけれども、結局検診費も2分の1の減額ということで、残りは地方交付税で対応して いただきたいというような感じで通達のほうがありまして、各市町村のほうでは、実際戸 惑いの感が大きくなっています。  ただ、今日、資料見させていただいて、1−1で地方交付税の一応、予定額が女性特有 のがん検診推進事業76億円ほど予算がつくような形で記入、書かれてありますけれども、 こちらのほうは2分の1の減額になった分、全て網羅できるような予算であるのか、どの ぐらいの割合で対応されたのか、ちょっと示していただきたいということと、あと、各自 治体のほうにはもう少し納得するような形で説明していただきたいなと思います。 ○鈴木がん対策推進室長  今回の女性特有のがん検診につきまして、前年度、150億円少しありましたが、今回につ きましては、中身を少し、これまでの交付金との整理というものをさせていただき、なお かつ、市町村への2分の1の負担ということもありまして、最終的な計上といたしまして は、約76億円という額にさせていただいたところでございます。  したがいまして、この事業の、いわゆる裏負担と言われます地方交付税の負担2分の1 につきましても、私ども総務省のほうにお願いさせていただいたところ、総務省からも76 億円のいわゆる交付税措置が行われることとしているというようなご回答をいただきまし たので、それについて記載をさせていただいているところでございます。  また、こういった今回の女性特有のがん検診、前回概算要求では、当方の補助率の考え 方が違って訂正させていただいておりますが、今、先ほど申しましたとおり、今、自治体 のほう、特に都道府県とのヒアリングを行っている最中でございまして、その際には今回 の経緯等、ご協力について全都道府県に対してお願いをしている。説明してお願いさせて いただいているというところでございます。 ○垣添会長  天野委員、それから檜山委員。 ○天野会長代理  私から2点ございまして、まず1点目でございますが、平成22年度がん対策予算に向け た提案書に対する平成22年度予算の反映状況について、先ほどご説明いただいたかと思い ます。  これについてでございますが、あとでまた別途、埴岡委員からも説明があるかと思いま すが、平成23年度がん対策に向けた提案書の中で、ページでいいますと47ページのほうで、 ワーキンググループのほうで詳細な検討がされています。ワーキンググループ、ご存じの ように、20名のうち14名の委員が参加した中で、こういった結論が出ているということで ございますが、例えばですが、70本全体の施策についての反映状況ということについては、 ワーキングの提案書の中では70本全体のうちでは、ごく一部に反映状況がとどまっている というような認識であるということはここで述べさせていただきたいと思います。  2点目についてでございますが、診療報酬について、平成22年診療報酬改定に対する反 映状況についてということでございますが、こちらにつきましても同じようにワーキング グループの提案書の中で、59ページから同じように診療報酬についての対応状況について、 ワーキングで一定の見解をまとめていると思います。この中では、例えば放射線療法や化 学療法の推進と医療従事者の育成であるとか、緩和ケア、あと在宅医療の分野、医療機関 の整備等といったような分野についてはある程度の反映は見られたものの、反映されてい ないものもあり、またほかの分野については反映されていないといった見解が出されてい ますので、こういった見解を基に引き続き予算や診療報酬の充実に努めていただきたいと 思っております。 ○垣添会長  ありがとうございました。檜山委員。 ○檜山委員  私から2点ほど少しお伺いしたいと思います。  一つは、先ほど廣橋委員からおっしゃられた研究の部分ですけれども、3省について、 我々専門家から見てもやはり同じような研究がならんでいるような形が見えていて、やは りトランスレーションリサーチとか診断とか治療とかいう言葉が、どの省にもやはり見え ているということで、やはり専門家から見ても分かりにくいというところがあると思いま す。ぜひ、文部科学省から出されました、いわゆる委員会、ライフサイエンス委員会には、 ぜひこの3省込みできちっと精査をしていただいて、ぜひ成果を見せていただくとありが たいと思います。  先ほど見せていただいたんですけれども、これは次の研究に役立てるような、そういう ストーリーをきちっと出していただくような、そういうプロセスもきちっと出していただ くのが大事ではないかなと思います。  それから、先ほど厚労省のほうから、各自治体に対してヒアリングを実施されていると いうことをお伺いしましたが、これもタウンミーティングでもまたいろいろ出てきたんで すけれども、やはり都道府県と厚労省のほうがきちっとネットワークを組んでいただいて 施策を動かしていただくということが非常に大事だということはみなさんがが分かってい るんですが、このタイミングについて教えていただきたのです。都道府県が予算を組むと いうタイミングがあって、このヒアリングを受けた時点で既に自治体レベルでは既に予算 案を組んでしまっているというようなご意見があったので、その辺のタイミングについて、 今、3月10日とか12日とか言われたと思うんですけれども、その前にヒアリングを終える というようなお話だったんですが、この辺りのタイミングについて、今後このままでいい のか、もう少し早目に行われたほうがいいのかなというような感じがするので、その辺の ご意見をいただければありがたいと思います。 ○垣添会長  前段の3省の研究、主に基礎研究、あるいはトランスレーションリサーチが分かりにく いという話ですけれども、今、先ほど渡辺さんのほうから説明がありましたように、文部 科学省の中で検討は進められていますが、これは23年度に向かった文部科学省のそういう がんの研究の話と、いろいろな問題が起きて、22年度をどう対応するかという問題を議論 していますが、さらに中長期的にどう進めていくかということは、協議会の中では繰り返 し議論されています。それで、文部科学省と厚生労働省と経済産業省が一緒になってやっ ぱり進めていくべきだということで、先ほど廣橋委員からもご指摘の司令塔、がん研究に 関する司令塔というものがないというような話がありますから、これはやはり文部科学省 としても報告書を取りまとめられた後で3省一緒になった形が必要になんだと私は考える んですが、そういうことを進めていかれるようにしたいと思います。  後段の部分に関して何か事務局からありましたら。 ○鈴木がん対策推進室長  都道府県とヒアリングの時期でございますが、私どもも予算案が決まらないと、やはり こういったことについてきちっと都道府県のほうにご説明ができないというような時期が ございまして、いずれにせよ、この時期か、早くてもちょっと早くなるというぐらいには なってしまうということでございます。 ○中川委員  文部科学省の予算のご説明の中で、がんプロフェッショナル養成プランが当初、事項要 求ということだったんですが、大学病院の人的環境がますます悪くなる中で、特に放射線 治療や緩和ケアで―特に緩和ケアは講座もありませんし、こういった中でがんプロの存 在が非常に大きい。あるいは放射線治療の中でも、診療報酬上なかなか表に出てこない金 額も出るし、これは提言の中でも取り上げていただいていますが、こういったものをかな りがんプロの中で登用しているということをぜひご理解いただいて、継続的な予算化をし ていただきたいと思います。 ○垣添会長  埴岡委員。 ○埴岡委員  予算の現状と診療報酬の関係のご説明がありました。それに関しまして、私から少し取 り上げさせていただきたいと思います。  分厚い本編資料の97ページから、後ほどご説明しますワーキンググループからの提案書 の要旨がございます。こちらに、その2点に関します見解が14人の委員として取りまとめ てございますので、ご紹介をします。  要旨の中のページ数で4ページ目の2の(1)に、がん対策「予算」に関してという項 目があります。「実際に平成22年度予算案に採用されたものが一部あったことは評価でき る。しかし、それはごく一部にとどまっており、推奨施策の採用をさらに進めることが必 要である。また、都道府県間で活用されるがん対策予算の額に格差が見られるのは、都道 府県によって財政力が異なるためで、これを是正するため、2分の1補助ではなくて10分 の10補助の仕組みを主流とするなど、抜本策を打つ必要がある」としています。少し略し まして、その後ろに「がん対策予算の総額は増加したが、分野別に見ると増額となったの は主にがん検診の分野のみであり、医療機関、医療従事者育成、緩和ケアなどの分野は減 額となっているために高く評価をすることはできない」とあります。  続きまして5ページの2の(2)のところに、「がん対策『診療報酬』に関して」とい う項目で記載しております。これに関しまして、ワーキンググループとして、「平成22年 度診療報酬改定において、がん対策推進協議会が平成21年12月4日に提出した提案書によ り推奨したがん施策26本のうち、実現した施策が一部ある。中医協においてがん対策推進 協議会の提案を参照とした議論があったとは進歩であり、今後の改定作業においても同様 のプロセスを経ることが必要である。ただし、積み残された問題も多いために、引き続き 次期改定に向けて取組を進めるべきである」と、総括をしております。詳細については、 先ほど天野委員からありましたように、提案書本編にそれぞれ10ページずつぐらい評価分 析を記載していますので、ご覧いただければと思います。  以上が予算と診療報酬に関してのワーキンググループ委員14人の見解となります。  それからもう1点。先ほどからがん研究に関する用語が分かりにくいというお話が出て おります。それに関連して、本編資料20、21ページにライフサイエンス委員会のがん研究 戦略作業部会のことが書いてあります。この部会のメンバーが専門家だけとなっています。 専門的な話をするときだからこそ非専門家の委員もいらっしゃるというのが、むしろ分か りやすさのチェックなどの面で必要ではないかというふうに思います。  以上です。 ○垣添会長  これはお受けしていると際限なく続くと思いますので、申しわけありませんけれども、 この辺りでいったん打ち切って、先に進ませてください。  審議の進め方に関して、また別途、廣橋委員からご提案のことは、また別途考えさせて いただきます。  続きまして、報告事項の3、がん対策推進基本計画の進捗状況について、厚生労働省か ら説明してください。 ○鈴木がん対策推進室長  それでは資料の3−1、30ページのところから関連する資料でございます。  まず30ページが、がん対策推進基本計画に掲げる主な目標に対する進捗状況、これは前 回の資料と同じでございますが、改めてつけさせていただいているところでございます。  それから資料の3−2、これも前回の時点が1月27日現在ということで、若干時点が前 となっておりますが、基本的には同じものでございます。  それから次のページで32ページでございます。資料3、緩和ケア研修会修了証書の交付 枚数ということでございまして、これは2月28日現在、1万1,129万が交付されている。33 ページのほうで書いておりますが、前回の協議会のときには9,260、12月2日現在でござい ましたが、今回、直近の2月28日現在ですと、またその後また若干増えてきているという ようなことでございます。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  続きまして、資料3−4、34ページ以降につきまして、がん対策情報センターからがん 医療における相談支援及び情報提供に関する報告をさせていただきます。報告事項4点で す。相談員研修について、拠点病院における診療実績等の情報の充実について、がんに関 する情報を掲載したパンフレットの種類の増加について、患者必携についてです。  まず、相談員研修ですが、34ページの下側です。平成21年度、相談員の基礎研修会 (1)(2)(3)で、およそ1,500人の研修を行いまして、その結果、基礎研修(1) (2)を修了者684名、(1)(2)(3)を修了した516名となっています。その結果、 拠点病院375施設のうち、(1)(2)(3)の修了者、及び(1)(2)の修了者1名以 上を配置している病院が97.9%となっております。  それから2番目、35ページの上側です。拠点病院の情報の充実としまして、来週ですね、 22年3月に平成20年度の現況報告書の情報を掲載する予定です。今の時点で130項目のもの が、来週になりますと480項目に増えます。さらに4月になりますと、4月1日に指定され る施設の基本情報を追加しまして、さらに5月には21年度の現況報告に基づく病院の情報 に更新する予定です。さらに5月以降、拠点病院の現況報告及び推薦書のPDFファイル を掲載する予定です。  順番が前後しますが、36ページ以降、ご覧になってください。これが現在準備していま す新しい拠点病院の情報のページです。まだ確定前ですので、最終的に一部変更になる可 能性がございます。今までない機能としましては、36ページの下側ですね。がん種ごとの、 がん種を選んでいただいて、そのがん種に対応している情報を37ページの下側のような形 で、これは脳腫瘍なんですが、それぞれ手術、放射線療法、どのような治療に対応してい るかという情報で、一覧で見ることができまして、さらに詳細情報を見ますと、38ページ の下側ですね。施設における対応状況及び実績に合った疾患名などを掲載しています。  それから39ページ、基本情報の部分ですが、これはがん対策情報センターの患者、市民 パネルからのご意見で、病院の顔が見えないということで、現況報告書の中にメッセージ を入れていただきまして、一番上側ですが、診療拠点病院からのメッセージという形を追 加しております。それから、下側ですが、患者さんや家族が、ご家族が心の悩みや体験等 を語り合う場の情報ですね。これを病院ごとに掲載しております。  さらに40ページ、これは現況報告書の中から治療、手術、あるいは放射線療法、化学療 法、あるいは緩和ケア、相談支援等の実績の情報を掲載する予定です。  資料戻っていただきまして、35ページに戻ってください。このようなページを来週中に 公開する予定です。  それから3番目です。がん対策情報センターが発行する冊子について、平成19年4月の 時点で4種類だったんですが、3月4日、先週に新たに7種類の冊子を作成しまして、P DFファイルをがん情報サービスに掲載しました。そのうち、委員の先生方には本日プリ ンターでカラープリントで出力したものをお手元にお配りしております。それから実際の ページとしましては、本日の資料の45ページ以降にツーアップとしました資料で、一つサ ンプルとして、軟骨肉腫を掲載しています。この結果、現在46種類となりまして、今まで 平成17年以降、570万冊ほど配布しています。以前から報告していますとおり予算に限りが あるため、我々だけの予算では配布しきれないということで、今年から拠点病院等での印 刷もお願いしていまして、実績としまして14万冊、今年度、拠点病院で印刷していただい ています。これはまだPDFが載っただけで冊子体は今年の7月以降、相談支援センター 等から配布していただく予定となっております。  それから、資料、また先に進んでいただきまして、41ページをご覧になってください。 患者必携についてのご報告です。  まず41ページの上側ですが、これは12月2日に行われました11回の拠点病院の資料から そのままコピーしてきたものです。11回で完成版に向けた方針案と、配布に向けた方針案 について、ご確認いただきまして、それに基づいて作業を進めております。まず、完成版 に向けた方針、対応としまして、41ページの下側です。もともとA4判ですね、大きな冊 子で、この中には各種のがんの情報も含んでいたんですが、これだとやはり持ちにくいと いうことで小さなものに変えまして、それと、各種のがんの情報を全部外出しにして16種 類の冊子に分けました。その結果、それほどボリュームが増えない形で「患者必携 手に とるガイド」も携帯できるような形に変更しています。こちらはまだ最終版、作業中でし て、予定としましては、4月の上旬にPDFファイルをがん情報サービスに掲載する予定 です。  さらに、より皆様に使いやすくしていただくよう、4月の下旬には携帯電話のページを 患者必携について開始しまして、携帯からも見られるような形を考えています。  冊子体の配布ですが、今年の10月以降、拠点病院からの配布を想定しております。  次、42ページをご覧になってください。冊子の配布につきましては、今までの冊子は積 んであるのを持っていっていただくような形で配布させていただいたんですが、患者必携 になりますと、やはり一つ一つ患者さんに対して医療者から手渡しすることが望ましいと 考えています。そのためには、やはり病院側、配布側の体制も整える必要があると考えて おりまして、まず県内で配布する病院―まずは体制が整うということで、都道府県拠点 病院が最初になると想定しているんですが、配布の中核となる病院を決めていただいて、 さらにそこから地域の拠点病院へということに開始していくようなことを考えて、そこの 辺りのまず体制づくりが必要となってきます。  43ページの下側の絵をご覧になってください。各病院では、ただ単に配布するためには、 まず関係者が必携について周知徹底されているということ。さらに、それをがんと診断さ れて間もない患者さんに対して、お話をしてお渡しする体制が整っていること。さらに在 庫などの管理ができていて、あるいは渡した患者さんからの相談にも応じる対応ができて いること。ただ、配るだけではなくて、配る上での課題の報告あるいはモニタリングなど の協力いただけることなど、このような体制が整ったところから配布することを想定して おります。  最後のページ、44ページをご覧になってください。配布につきましては、まず全体のア ウトカム評価、それから配布のプロセスの評価、さらに今お配りしています、今度完成版 が4月にできますが、そのコンテンツの評価、さらにはオペレーションの評価などを配布 と同時に行いながら改善を加えていきたいと考えています。  44ページ下側、最後です。22年度につきましては、10月からの配布ということで、現在、 いただいた運営費交付金の中で対応できると考えております。ただ、23年度、スライドは 間違って22年度と書いてありますが、23年度に向けた事業拡大と書いてありますが、今年 度22年度は半年分の予算なんですが、23年度からは1年分配る、4月から3月まで配る必 要がありますので予算拡大が必要です。ところが、運営費交付金という形ではなかなか増 えないというどころか、毎年どんどん減っていくという中で、この必携を1年以上、1年 続けて、通してコンスタントに配る、さらには拠点から非拠点に拡大していく、さらにが ん患者さんの数も増えていくと、このような中でしっかりと必携が配布できるためには、 十分なご支援をいただく必要があると考えております。  がんセンターからは以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。資料3−1から4までまとめてご報告いただきました、何か ご質問、あるいはご発言がありましたら。本田委員、それから三好委員。 ○本田委員  ありがとうございます。37ページ、すみません、その前に一言だけ。先ほど廣橋委員が おっしゃったように、この会議のことなんですけれども、私も前回も前々回も各委員がお っしゃっていたと思いますけれども、1回でこれだけの分量を議論するというのは基本的 に無理があると思います。回数を増やすなり検討してくださいと何度も申し上げているの で、ぜひ次回から、次回は次年度になるんでしょうか、からぜひご検討くださいというこ とを一言申し上げさせていただきます。  それで37ページの、この新しいがん情報サービスの病院を探す新しい取組について、と ても頑張っていらっしゃると思って、とても興味を持ったんですけれども、これ、例えば 手術、開頭手術○とかバツとかいうのは、これは1件やっていても○ですよね。今後こう いうものを件数としてあらわしていくというような、今後の展開はあるんでしょうかとい うのが1つ。でないと、ちょっと患者さんにとって、どう信じていいのか分からない情報 になっていくんではないかと感じました。  もう一つは患者必携の件なんですけれども、今年度はモデル的に10月から配布されて、 どういう配り方、どういう使い方がいいのかということを見ていくということで拠点病院 からというふうに理解しましたけれども、今後はこういうものが出ていくと、今までのシ ンポジウムなり患者さんからのご意見なりで、既に患者になっているけれども、まだ初期 段階の患者さんというのが大変欲しいとおっしゃっている方々からの声が結構ありますの で、それの対応はもう考えていらっしゃるんでしょうかというのが2点です。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  ありがとうございます。まず1点目なんですが、今の時点で手術件数、細かくがん種ご との手術件数までは情報がございません。それを対応するためには、現況報告書自体を更 新しまして、そういう情報をいただくようなことが必要かなという気がします。それにつ いてどこまで情報を集めるかということについては、がん対策推進室等と意見交換しなが ら検討してまいりたいと思います。  今の時点で言えますのは38ページのところの一番下のほうにありますが、19年度に治療 実績があった疾患名ということで、どんな細かい疾患名までも挙げているということと、 あと、先ほどの40ページのところで全体の、がん全体となりますが、その件数などが出て いると。ただ、がん種ごとの、五大がん以外のがん種ごとの件数は今の時点では出ていな いという状況です。  それから、患者必携の既にがんと告知されている患者さんへの対応ですが、それも44ペ ージ、先ほど私が説明の際、飛ばしてしまったんですが、これも大きな課題となりまして、 まず22年度については、現在、予算内の中で対象としておりません。ただ、恐らく予想と しまして、ぜひ欲しいという方多くいらっしゃると思いますので、そういう方に対して、 一部実費負担という形で配ることができるか、あるいは何か民間企業等の協力を得た形で 安く配ることができるかということも今後検討していきたいと考えています。  できましたら、協議会としまして、やはり新患だけではなくて既存の患者さんにも配る べきだというような方向性だけでも示していただければ、今後動きが、方向性がはっきり 見えると思いますので、ご検討お願いしたいと思います。 ○垣添会長  先に三好委員。 ○三好委員  鹿児島の三好です。患者委員として、32ページ、33ページの緩和ケア研修会について、 先日ちょっと見学をさせていただいたので、ご意見を3つほど言いたいと思います。  後ほどの中間評価のところでも書かせていただいたんですけれども、まず最初に感じた のは、とても中身はよくできていて、ケアのこと、疼痛のこと、よくできていると思った んですが、まず1つ目に、やはり患者さんの目線というか、そういうものがまだ足りない のではないかなと思うシーンが幾つかありました。  ロールプレイをされる場合もお医者さん同士されていることもありまして、医療用語を そのまま使って通じてしまっているとか、横でちょっと患者として聞いていて、これは実 際には通じないなというシーンが幾つかあったのがありましたので、できれば、先ほどの 埴岡委員がおっしゃっていたがん研究戦略作業部会に患者か分かりませんが、一般の人の 意見もというのがありましたが、ぜひ緩和ケア研修会の中身についても、患者の意見とい うのをもっと取り入れていただきたいと思ったのが一つです。  そして2つ目が、どうしても2日間で行っているところが多いと思うんですけれども、 出さえすればいただけてしまう修了証書というイメージがありまして、本当にこれが臨床 の現場で役に立っているのかというチェックをされているのかなというのを疑問に感じま した。受けさえすれば緩和ケアができるというものではない中身だと思っていますので、 今から先、前後の行動変容というか、お医者さんがどのように変わったのかというチェッ クをぜひしていただきたいと思います。  3つ目に、やはり最初の初心者研修というものだと思いますので、今後もっともうちょ っと進んだ緩和医療、疼痛医療などのそういう研修会というのに発展していっていただき たいなと思った、こういう3つの意見というのを感じました。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございます。いずれももっともなご発言だと思います。  それと、先ほどの患者必携の話ですけれども、国立がんセンターの若尾先生からの発言 は、患者必携を新患だけではなくて、がんの、希望者には、既存のがんの患者にも配るよ うにしてほしいという、それをこの協議会として、その方向に動いてほしいという要望で すね。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  どちらに動くべきか方向性を決めていただきたいというのが希望です。 ○廣橋会長代理  決めて財政的支援をしていただきたい。 ○垣添会長  そういうことですね。財政の予算の問題もありますから、特に、またそういう方向に進 めるということに関して、ご異議のある方おありですか。ないでしょうか。よろしいです ね。  そういう方向で、患者必携をさらに充実させるというのは、ずっとこの協議会で議論し てきたことですから、先生の要望に関して、その方向に進めるように、本協議会の意見を まとめたい、と思います。 ○埴岡委員  資料の30ページに関連して。今の時間は、報告事項3の「がん対策推進基本計画の進捗 状況について」のパートだと理解しています。言うまでもなく、進捗状況は非常に大事な テーマです。がん対策は、10本余りの柱から成り立っていると思います。それに対して、 さきほどの進捗状況の報告の内容はバランスを欠いていると思います。柱のすべてに関し て評価していかなければいけないのではないか。  一方で、質問があります。今日のメーンテーマである協議事項の2番目に、「がん対策 推進基本計画の中間報告(案)について」がございます。配布資料のページ数で263ページ からとなっています。重要な中間報告案が会議当日に初めて委員に配られていることが驚 きであるということは置いておいて、報告事項3の「がん対策推進基本計画の進捗状況に ついて」と協議事項2の「がん対策推進基本計画の中間報告(案)について」の2つの関 係が分かりません。本来、進捗状況がよく議論されて、それが中間報告に反映されると思 います。中間報告書の中には、それぞれ進捗状況に関する記載が項目ごとにあります。む しろ資料263ページ以降の中間報告案のところで進捗状況を議論するべきではないかとも思 います。関係性がはっきりしないので、この辺りどのように理解と整理をすればいいか、 教えていただければ幸いです。 ○鈴木がん対策推進室長  全体的な、埴岡委員からご指摘ございました、がん対策基本計画につきましては、それ ぞれ柱がございまして、それぞれに対して進捗状況というものを検討するということが基 本であると思います。それが今回の中間報告(案)の中で、それぞれのご報告について、 今現在どういう状況なのかというもののデータを載せさせていただいているところでござ います。  また一方で、今回ここでご説明させていただいておりますのは、その中の特にかなり数 字が、変動が割としやすいといいますか、データとして出てきやすいものについて、特に 載せさせていただいております。もちろん先ほどの緩和ケアの研修も人数など、切りよう においては今回、毎回毎回協議会に合わせて数字が出てきますので、その都度ご紹介する という形でございます。ただ、一方でがん検診のようなものにつきましては、やはり年度 ごとに行っているということがございますので、協議会ごとにご報告するというのも非常 に難しいということもありますので、その辺は取捨選択しながら、直近のデータが増える ものについてご報告をさせていただいているというところでございます。 ○垣添会長  前川委員。 ○前川委員  先ほど三好さんがおっしゃったことに追加したいんですけれども、私も緩和ケア研修会 を見学しました。そのときに、ロールプレイなどをするのに全く患者不在というか、医療 者同士がされているので、私はじっと、ただ見学だけだったんですけれども、ちょっとそ の中に入りたいなと思いました。本当むずむずするような感覚で、表面上だけのロールプ レイという感じで、今後もう少し中身を検討していただきたいなというふうに、そのとき 感じました。  受講者の数が増加しているということはすごく順調に滑り出しをしているということで、 すごく評価できると思います。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございます。今の件に関して、江口委員、あるいは中川委員、ご発言ありま すか。 ○中川委員  緩和ケア研修会、医者としては結構大変なんですね。特に外科の先生が土日をつぶして、 1日ということもあるんですけれども、やっているほうは非常に怒られます。つまり我々 が研修を進めると、外科の先生、この忙しいのに早く終えてくれというような感じがある んですね。  ただ、内容は結構いいところもあって、受講者の先生方も評価してくださいます。ただ し、患者さんがいないんですね。医療者だけなんです。ぜひ患者会の方にお出ましいただ いて、患者側として参加いただく。そうすると、物すごく臨場感が出るんじゃないかなと。 参加される側も物すごく大変だと思うんですけれども、提案をさせていただきます。 ○垣添会長  江口委員、どうぞ。 ○江口委員  研修会プログラム規定があり、統一した形式の研修が行われています。今後、必要に応 じ、患者さんのご意見が反映されるような形に改訂すべきです。  研修会のアウトカムについて、研修会プログラム規定では、実施前後に自己テストを行 って、効果の分析をすることを毎回行っているはずです。今後は、実際の臨床がどう変わ ったかということを、ぜひ評価すべきと考えます。 ○垣添会長  ありがとうございます。  じゃ、どうぞ。永池委員。 ○永池委員  私からは必携事業のモニタリングについて質問をさせていただきたいと思います。ペー ジは44ページの上のスライドにありますが、このようにアウトカムとかプロセスとかコン テンツのところに、構造上だけではなくて、評価の視点からさらに進んだことは評価が必 要だと思います。  具体的に、やったままを評価するというよりは、事前からアウトカムを高める、プロセ スの内容を高めるといったような働きかけがあって、その後にモニタリングを経た上で評 価がなされることが大事なことかなと思います。  そういたしますと、今ご説明がございました41ページの上の配布に向けた方針はありま すが、事業を高めるための何か方針としては、今、具体的な事業の検討がなされているの か、この辺についてお伺いしたいと思います。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  まずモニタリングについては、まだ構造を考えたという段階で、中身については、今の ご意見を参考に今後詳細に検討していきたいと思います。  それから事業を高めるということにつきましては、そこは事業を進めると、ほぼ同じ意 味のところもあると思うんですが、やはり前回もご指摘いただきましたけれども、これは 医療者の協力が必ず非常に大事でして、医療者に対するマニュアル、あるいは啓発等のツ ールをつくっていって、医療者のご理解をいただいた上で、患者さんと医療者が同じ情報 を共有していくという、そういう意識の改革のようなものを含めて進めていければと考え ております。 ○永池委員  ありがとうございます。まさしくその点が大変重要であると思いますので、医療現場に どういう情報を発信していくのか、何を共有するのかが重要だと思いますので、お願いい たします。 ○垣添会長  まだいろいろあるとは思いますけれども、とにかくこの患者必携をこの協議会として、 新患の患者だけではなくて、既存のがん患者さんに希望者には配るようなことを考えると いうことを協議したということと、もう一点は、緩和ケア研修に患者さん、あるいは患者 会の参加を求めるということで、患者さん側からもそういう要望があり、研修を行う側も それを受けて立つということで、大変前向きな対応であったかと思いますが、この辺で、 この項目は打ち切らせていただきまして、先に進ませていただきます。  報告事項の4は、第6回のがん診療連携拠点病院に関する指定検討会の報告ですね。こ れは私が座長をしておりましたので、私から説明させていただきます。  資料4で、50ページになりますが、これは今年の2月3日に、まさにこの三田の共用会 議所の同じ場所で朝9時半から18時まで、各拠点病院のプレゼンテーションがありまして 長時間かかりました。委員は10名全員参加しております。  結果として、拠点病院、都道府県の拠点病院が2つ指定が変わりました。徳島大学の病 院と佐賀大学の医学部附属病院の2つが都道府県の拠点病院に変わったということ。それ からあと地域拠点病院として324病院、それから都道府県の拠点病院51病院ですから、全体 として数は375病院で、総数は変わりません。新規に推薦された病院も幾つかあるのに総数 が変わらないというのは、例えば地域によってはリニアックの装備ができないということ で指定を取り下げるということも出てまいりましたので、結論としては375病院なんですが、 途中の議論の段階ではそういう、5つのがんの全ての機能を持つ病院のみを指定していく べきかどうかとか、あるいは二次医療圏ということ自体をもうちょっと考え直すべきじゃ ないかといった議論もいろいろありました。  本日、ワーキンググループのほうからも、またそういうご提案をいただくことになるか と思いますが、拠点病院の指定の検討会の中でもそういった議論が進められているという ことであります。一応、数に関してはそういう報告をしておきます。  あと問題は、先ほど予算の中で54億だったのが、今年34億に減っている。つまり、2分 の1補助だと、だんだん予算が消化しきれないで減っていくんだと思いますけれども、こ れは拠点病院の強化という観点に関して言えば、むしろ逆行しているんじゃないかと私は 思っております。これはまた後ほど議論したいと思いますが、この拠点病院の検討に関し て何かご意見はありましょうか。  どうぞ、廣橋委員。 ○廣橋会長代理  今、まさに二次医療圏の問題と、それから機能が違うような病気と連携してやっていく というやり方に関していろいろな、ご意見をいろいろあったことですが、これを継続的に 議論して結論を出すという、そういう仕組みはあるんですか。 ○垣添会長  そうしたいと思います。今までは、この検討会は、拠点病院の申請が上がってきた病院 を指定するということが機能でしたけれども、これからはやっぱりそういう、大体あらか た指定を済ませましたので、これからは質が問われるというときに、今のような話も当然 加えていかなくてはならない。そういう形で進めていきたいと考えています。  どうぞ、南委員。 ○南委員  先ほどのがん情報サービスでの拠点病院での、本田委員の意見とも関係しますが、評価 をする際に、件数も大切ですが、その質をどう評価していくかということも、ぜひ今後検 討する必要があると思います。質をどのように評価するかということは難しい問題だと思 ういますが、ぜひそれを検討していく必要があるかと思います。 ○垣添会長  ご指摘のとおりだと思います。質の評価というのが、ここ何回か議論されていますし難 しい作業ではあります。しかし、それをしていかないと、外形評価だけでは駄目だという ことになっていますから、何とかそういう方向性に進めてまいりたいと思います。  では先に進ませていただきます。  安岡委員。 ○安岡委員  がん拠点病院に対しては、すごい苦情が来ています。その評価をどうするかということ なんですが、じゃ、患者さんから来た苦情とか不安とか愚痴だとか、そういうのをどこに 持っていけばいいかという部分がありまして、そういうのを挙げて、その病院に返してく れる制度みたいなのがいるんじゃないかと思います。その辺もちょっと検討してみてほし いと思います。 ○垣添会長  大変重要なご指摘だと思います。ありがとうございます。お答えはすぐできませんけれ ども承っておきます。  では、申しわけありません、先に進ませてください。  報告事項の5、がん検診50%推進、受診率50%推進に向けた取組について、厚生労働省 からお願いします。 ○鈴木がん対策推進室長  資料については5号からになります。ページ番号52ページからでございます。がん検診 についてのお話でございますが、私のほうからは、全体の話をさせていただきます。  まず52ページ、上はいつも使わせていただいている資料でございますので割愛させてい ただきますが、53ページの上をご覧いただきたいと思います。  今年度行われましたが、21年度行われましたが、来年度もがん検診受診50%達成に向け た集中キャンペーンと推進大会を行う予定としております。  昨年同様、集中キャンペーンの月間といたしまして、22年10月1日から10月31日までを 月間として、国だけではなく地方自治体、企業、患者団体、関係団体等と連携をさせてい ただきたいと思います。昨年度は時間がなかった、今年度は時間がなかったというところ もございましたので、余り私どものほうも声をかけられなかったところもございますが、 本年度は時間の余裕をもって関係団体のほうにお話をさせていただきたいと思いますので、 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。  また、平成22年度がん検診50%推進全国大会につきましては、来年度、22年度は10月9 日土曜日に行うことにします。これは日付は決定をしております。ただし、開催場所につ きましては調整している、関係団体と調整しておりまして、また、決まり次第ご報告させ ていただきたいと思っております。  続きまして、54ページですけれども、女性特有のがん検診につきましては、先ほど申し ましたことを繰り返しますが、現在、がん検診受診促進企業連携事業、これは通称がん検 診企業アクションと呼んでおりますが、電通のほうに委託をして、いわゆる企業のほうに 働きかけをかけて、企業が自主的に従業員の方の健康を守るためにがん検診、もしくはが んの受診を受けるというようなこともやっていただくというようなことを行っている事業 でございます。  その事業につきまして、55ページ上にありますが、今そういった活動にご賛同いただい ておりますパートナー企業・団体といたしまして、平成22年2月18日現在でございますが、 53社がパートナーとして参加をしていただいておりまして、この企業だけで、企業総従業 員数としては、23万4,000人の方々が受けるというふうに思われます。3月、今現在ですと、 もう少し増えて58社まで増えておりますが、こういった企業を増やしていくことで、最終 的には企業の従業員さんに影響があるということがありますので、こういった事業は推進 させていただきたいと思っております。  またそれと同じようなことでございますが、都道府県におきましても、その下にありま すがん検診受診促進企業連携委託事業ということで行っていただいておりまして、21年度 の委託予定は29都道府県市が行っていただくということになってございます。  以上でございます。 ○垣添会長  続きまして、がん検診関係の報告書としまして、皆さん既にご承知かと思いますけれど も、隣国の韓国ががん対策法といいましょうか、ナショナル・キャンサー・アクトを2003 年に決めてから、がん検診の受診率は急速に高まっております。受診率50%を達成してい ます。その現状につきまして、がんに関する普及啓発懇談会の座長であります中川委員か ら報告をお願いします。 ○中川委員  本編資料の56ページから66ページなんですが、ちょっとまとめてみましたので、別途A 4の3枚、私が今日お配りしております別紙を見ていただくほうが分かりやすいと思いま す。  2月10、11日に鈴木室長、末政さん、それからこちらにおられるがんセンターの祖父江 さん、若尾さんと私とで、韓国のがんセンター、それから保健所、それから韓国の厚労省 に当たる保健福祉家族省、それから唯一の健康保険者である国民健康保険公社、こちらを 視察してまいりました。  3枚の紙の1ページの下側です。そもそも今ご指摘あったように、韓国では検診受診率 が53%にまで達しました。これは私どもが目指している基本計画の実現に必要な、基本計 画の実現に必要とされるがん検診50%を既に達成している。その背景として、こちらにあ るようなことがあろうかと思います。  まず韓国では、健保が単一です。これは統一といってもいいかもしれません。かつては ばらばらだったのを統一しています。一つだけです。それから、住民登録番号があります。 要するに全国民に番号が与えられています。この2つがありますので、極めてIT管理が うまくできます。したがって、全てIT上で処理ができています。  もう一つ、このがん検診の事業が健康保険でカバーされています。そして指定を受けた 医療機関であれば、例えば我々が高血圧の治療薬をどこでも受けてもらえるように、フリ ーなアクセスがあります。  それから、公団、公社から個人受診勧奨用のパンフレット、これは3ページ目の上にあ りますけれども、これは日本語に訳して書いてありますけれども、がん検診のご案内、こ れが個人に送られてまいります。そしてもう一つは、保健所が受診していない患者に関し ては訪問、あるいは電話での直接の勧奨をするということをしています。  それからがん登録が進んでいます。100%がん登録データがありますので、このデータが 活用できる。  それからCM、ドラマなどのメディアですね。実は3ページ目の下側、我々がちょうど 伺っていたときに放映されていた韓国の政府がスポンサーになっているCMですね。これ は日本語に訳したものです。これは映像ですので、かなり長いんですね、3分ぐらいあっ たでしょうか。非常に分かりやすい。それから、ドラマでもがんのテーマが非常に取り上 げられていまして、こういったことがあるのかと思います。  2ページ目に戻っていただいて、今、上のほうですね。今申し上げたようなことを分か りやすく書いておりますが、今申し上げなかった中で、たばこ税のことです。たばこ税年 間、たばこ税から国民健康増進基金というものを設置して、それに年間、確か1,900億円の 基金が入る。これががん検診の財源の一つになります。  そのことを含めて今申し上げたことが、こちらにまとめられているんですが、ここにも 書いてあるんですが、やはり政府が国家プロジェクトしてがん検診事業を推進していると いうところが大きく違う。したがって、先ほど申し上げたようなCMを繰り返して流す。 費用については、2ページ目の下側にまとめています。子宮頸がんは、これはどんな方で も本人負担はかかりません。そして、韓国の場合には、所得に応じて違ってくるんですが、 所得が上位50%以上の方に関しては本人負担が10%、50%以下に関しては、基本的には無 料と、こういった安価であるということもあるかもしれません。  ただ、一方で、国民性というか、がん検診の一種のブーム化しているんですが、この50 %の約半数近く、いわゆる民間のがん検診、日本でいうところの人間ドック的なものです。 こちらでは、実は、例えば甲状腺がんの検診なども項目化されていまして、この結果、甲 状腺がんの発見率、罹患率が急速に上がって、本質的に罹患率が上がっているんではなく て、発見率が上がっているということでございます。これによって今、韓国の女性の罹患 率ナンバーワンは何と甲状腺がんになりました。こういう、何というか、弊害といっては 語弊があるかもしれませんが、見つけなくていいものを見つけていると。基本的に見つけ たら手術しますので。  実は韓国のがん保険の会社も、数年前から甲状腺がんには給付をしないということにな って、大きな話題となっております。こういった問題もあると思いますので、我が国の先 を行く韓国の姿をよく見て、我々も50%を達成したいと思います。 ○垣添会長  ありがとうございました。では、今のがん検診に対して、ご発言あるでしょうか。 ○天野会長代理  すみません、ただいま中川委員からご発言いただきましたが、引き続き、私もがんに関 する普及啓発懇談会の構成員の1人として、私のほうからご説明と提案をさせていただき たいと思います。本編資料、恐れ入りますが407ページのほう、ご覧いただけますでしょう か。  こちら、「がん会社団体連絡会議」(仮称)の設置についてという資料がございます。 こちらについて私からご説明させていただきます。  がん検診の推進に当たっては、厚生労働省では、がん検診受診率50%達成に向けた集中 キャンペーンが実施されているということで、その中で関係団体、国や自治体、医療提供 者、民間関係団体等が相互に連携・協力し、一体となった受診勧奨事業を展開するとされ ていますが、現状としましては、国や自治体等と企業などとの連携が先行しているような 状況にあると考えておりまして、患者団体との連携について、まだ十分ではないというの が実状であると考えられています。  また、こういったがん検診の受診勧奨にとどまらず、がん対策推進基本計画におきまし ても、がん患者及び患者団体等は、がん対策において担うべき役割として、医療政策決定 の場に参加し、行政機関や医療従事者と協力しつつ活動していくということが定められて おりまして、これはがん対策推進基本計画に掲げられた目標の早期実現に向けて国と患者 団体とが意見交換や連携を進めていく場が必要ではないかというふうなことを考えており ます。  そこで、こういったようながん患者団体連絡会議を設置するというご提案をさせていた だきたいと思います。内容としましては、意見交換や連携を行う場であるということ。ま た、こういった連絡会議に参加することに関しましては、がん患者団体に関するガイドラ インというものを制定してはどうかというご提案でございます。このガイドラインにつき ましては、厚生労働省がん対策推進協議会の有志の委員から成る、(仮称)がん患者団体 に関するガイドライン取りまとめワーキンググループがその策定を行うこととするという ご提案をさせていただきます。  ガイドラインについてでございますが、先ほど緩和ケア研修におきまして、患者団体の 参加が必要ではないかといったようなご提案があったかと思いますが、そういった場合に 必ず問題になってくるのは、医療者の方が、どういった患者団体の方と連携していけばい いのか分からないといった声をたくさんいただいておりまして、実効性のある連携を進め ていくためにも、こういったガイドラインが必要ではないかと考えられます。  この連絡会議の運営指針、その他内容につきましては、当ワーキンググループにおいて 別途定めることとするという提案をさせていただきたいと思います。  私からは以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。今の天野委員の提案というのは、がん対策を進めていく上で 重要ではないかなと私は思いますけれども、がん患者団体連絡協議会といったような組織 をつくるという話があって、その中でガイドラインをつくって対応していこうという話で ありますが、何かこのことに関してご発言はありますでしょうか。  どうぞ、郷内委員。 ○郷内委員  天野委員が提出になったこの資料に関しては、今回、5名の患者関係委員がある程度協 議をした上で出させていただいたもので、ぜひこの機会に、このようなワーキンググルー プなどの設置をお認めいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○垣添会長  これはここで協議会をつくるとか、ガイドラインをつくるということに関してのワーキ ンググループの設置を希望したいということですか。 ○郷内委員  はい。 ○垣添会長  分かりました。特に反対される方はないと思いますが。廣橋委員、お願いします。 ○廣橋会長代理  私、よく分からないのでお聞きして誤解のないようにしていきたいんですけれども、も ちろん本当に患者さんのこういう団体の連携、協議会ができるということはすばらしいこ とですし、本当に我々そういうものがあれば、そういう方々と連携していけると思うんで すけれども、大方の団体が一緒になっていいという、そういうコンセンサスみたいなもの というんですか、そういうものが、機が熟していると、きっと今回の取組が重要になって くるんじゃないかなと思うんですけれども、いろいろ対立なんかがあると、そういうこと が難しいこともあるかと思うんですけれども、その辺はもう克服されているんでしょうか ね。 ○郷内委員  視線が何か私のほうを向いているようですので。  患者団体のコンセンサスがとれているかというお尋ねですが、それについては、まだ私 たちは十分なお答えが用意できていない状態ですが、ただ、ちょっとご参考ですが、先ほ どの若尾先生からご説明がありました、資料でいいますと40、ちょっと戻るんですが、39 ページのところで、拠点病院のデータを全部公開されるというところで、拠点病院の中で、 患者サロンやそういう活動、患者関係の活動を協働があるかないかということを、今回は このデータの中に盛り込むと、これが非常にちょっと画期的なことでありまして、おかげ さまでこういうふうな方針を示していただいたことによって、現場の拠点病院は、自分た ちは拠点病院なので患者会とちゃんと連携をしていかなきゃいけないと、そういうふうに 受け止めて、現に大学病院のようなところは患者サロンの設置ということで、各地で動き 始めております。  その場合は、患者サロンを運営するのに協働する患者団体、どういうところと組むかと。 それをやっぱり地域でいろいろとやる場合には、それなりのやはり健全な団体という言い 方はどうかと思いますが、やはり健全な活動をしている団体ということに集約されていく と思いますので、私たちもそういう団体であるべきというふうには自覚をしております。 ○垣添会長  ありがとうございました。本田委員。 ○本田委員  先ほど廣橋委員がご心配されていた一つの団体になるということをおっしゃっていたの かと思いますけれども、私の理解では、天野委員が提案されたのは連絡会議というような ものをつくるということだと思います。私はそのほうがいいと思っています。それぞれの 患者団体はそれぞれの方針とか考え方があるので、それはそれできっちりやっていただい て、何かをしようというようなときに連絡協議会みたいなものを持つというのは、とても。 例えば難病の患者団体の連絡協議会とか連絡団体とかありますよね。そういうイメージで はないかなと思うんですけれども、そういうものであったら、今後必要になってくるんで はないかと思います。 ○垣添会長  ありがとうございました。多分皆さん、そうお考えではないかと思いますが、これまで のところは、患者団体の力を一つに結集するというのはなかなか難しい問題がいろいろあ りましたけれども、こういう患者団体連絡協議会のようなシステムをつくり、それで患者 団体そのものに関するガイドラインをつくっていけば、だんだんと機が熟してくるんじゃ ないかということで、廣橋委員のご心配も払拭されていくんじゃないかということで、も し特に反対がなければ、協議会としてそういうものをつくっていこうというふうに考えた いと思いますが。どうぞ、門田委員。 ○門田委員  全体的な流れに決して反対するものではないんですが、必ずしもこの協議会の下に、そ ういうものを置くべきかどうかということは一致したものではないんじゃないのかなとい う感じがしますね。  公的なこの委員会の中に下部として設置するということになれば、それは相当違った意 味が出てくるんではないかというふうな気がします。私はできれば、患者会の皆さん方が 横の連携でもって十分ディスカッションしていただいて、そこの意見を集約されることに なるのが非常に重要なことだと思うんです。ここの下部の組織としてということには、少 し私は疑問があります。 ○垣添会長  ワーキンググループとしてつくるのはちょっと疑問であると。  このことに関して、何かご意見ありますか。  それでは、この協議会としてワーキンググループをつくるということに関して、ちょっ と踏みとどまって、今、門田委員からご指摘のように実質的にがん患者団体協議会のよう な、連絡協議会のようなものをつくっていただいて、そこでいろいろ検討いただいて、意 見がまとまってきた段階でこの協議会に出していただければ、正式な議論ができるんじゃ ないかと思いますが、そういう集約でいかがでしょうか。 ○天野会長代理  今、門田委員のご指摘があったように、この協議会としてというのはなかなか難しい面 があると思います。一方で、その患者団体との連携ががん対策推進基本計画の中で定めら れている中で、実質的な連携が十分進んでいかないということがある中で、一定オーソラ イズされた、こういった少なくともガイドラインみたいなものがないと、なかなか実際の 医療現場では連携が進まないかというふうなことが考えられるかと思います。このガイド ラインについては何らかのオーソライズされた見解が必要ではないなと考えますが、いか がでしょうか。 ○門田委員  やはりそのガイドラインが、この組織の中に、下に必要かどうかということに、やはり 私は一抹の疑問を感じるというところがあるんですね。私たちも、医師のサイドから入っ ていますが、医師のサイドでもいろいろな問題を抱えております。そういう問題も、やは り医師の中で意見を調整して、そして最大公約数的なものを持ち上げて、徐々に形成して いくということで問題は解決の方向に向かうんではないのかな。  そうでなくて、公的なところにつけるということについては、多分、ほかの幾つかグル ープの中では違った意見を持たれる方がいらっしゃるのではないでしょうか。私はそうい うふうな意見をも含め十分醸成された後にしていってもいいし、あるいは少なくとも皆さ ん集まって、こうこうこういう申し合わせでいきましょうよということをしていかれれば、 ここである必要ないところで十分でき上がってくるんじゃないのかな。  私はいろいろなところでいろいろな患者さんたちとの会を持っていまして、違った立場 をとられる方がいらっしゃることも事実なんですね。そこのところは本当に患者さんの立 場をとれば、心一つにできるはずと私自身思うんですね。その段階でやっても遅くはない んじゃないのかなというふうには私は感じましたので、そういう意見を申し上げます。 ○内田委員  検診の話から大分ずれているんですが、今の話題に沿って発言させていただきますと、 私は門田先生の考え方にかなり近いんですが、恐らくこれからの疾病対策、このがん対策 協議会というのは疾病対策の中で一番進んだ協議会なんですね。その位置づけの中でこの 患者代表の方がここに入っていただいて、かなり積極的な活動を展開されている。そうい う位置づけがある中で、恐らく今の天野委員のご提案だと思うんです。ただ、それをいき なりワーキンググループをつくるというところに踏み込む、しかもがん対策協議会の下、 あるいは中にそれを設けていくということについては、門田先生がおっしゃったように、 まだちょっと時期尚早という気がします。少し患者さんの間で、もう少し煮詰めていただ いたうえで、こういう形で立ち上げていきたいからという具体的なところまでご提案いた だければというふうに感じるんですけれども。 ○垣添会長  ありがとうございました。 ○安岡委員  患者中心の医療と言われまして長くなりますけれども、今決して患者中心の医療ではな いということなんですね。患者が声を上げなければ、患者中心の医療にはならない。今こ こが踏ん張り時だと私は思っています。  その中で患者がみんな一つにまとまって目的を持ってやるべきだと、その時期に来てい るんじゃないかと思うんですが、なかなか意見がなかなかの統一が出せないんで、これか ら皆さん、患者会団体として一生懸命意見を一つにまとめてやっていくべきじゃないかと、 今思います。  以上です。 ○垣添会長 安岡委員、それから数多くご発言いただきましたけれども、まさにその方向性に関しては、 皆さんの認識は一致していると思いますが、実際に進めていく場合になかなか難しい問題 があるということで、一応とりあえず整理としては、天野委員からの本来の提案は、がん 検診に関して、企業を募って進めるだけじゃなくて患者会も一緒に協力するような形でと いうことで提案をいただきました。がん患者団体連絡協議会というか、あるいはガイドラ インをつくるということに関しては、一応今の時点では、この協議会の中に設置はしない で、患者団体の中でいろいろご検討いただいて、ある程度熟成した段階で提案いただくと いうような形に整理させてください。よろしくお願いします。  では、検診に関して。本来に戻って江口先生、先ほど手が挙がっておられました。失礼 いたしました。 ○江口委員  検診について、韓国の体制をお聞きしました。やはり国家プロジェクトとして検診の受 診率を上げるには、検診のインフラをどうすべきかということが重要です。徹底的に論議 し、インフラ整備に充分な予算を費やすべきだと思います。  そういうことを考えながら、がん検診に関わる予算を見てみると、55ページ、例えば企 業との連携の話ですが、これで3億円近く予算があります。ところが、本日資料のアクシ ョンパートナー企業を見てみると、大企業ばかりです。多くは製薬会社や生命保険会社な どです。社員の方々は、恐らく検診などに関してはアクセスし易い社内体制だろうと思い ます。  問題は、やはり中小企業などです。職域検診の中で大きな障害は、中小企業の実力では 検診が経済的負担となり、例えば検診団体との契約のときに、多少質が悪くてもやむを得 ず安いほうをとるとか、そういうような実態が全国のあちらこちらで言われています。や はり国のプロジェクトとしては、しっかりとした検診体制として整えることが重要で、そ の仕組みの整備に、まずは予算をきっちり重点配分すべきと考えます。 ○垣添会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○内田委員  検診の問題は、非常に私も関心を持っているんですけれども、韓国の状況の詳細な報告、 大変参考になると思います。確かに今、江口先生がおっしゃったように、国家プロジェク トとして取り組んでいるということ、それから保険者が一元化されているということ、患 者負担が非常に小さいということ、こういうことからがん検診の受診率が非常に急速に高 くなったという認識でいますが、これをそのまま日本に持ち込むにはかなりハードルが高 いかなという印象は一つあります。  もう一つ、韓国でちょっと気になるのは、今インフラ整備という話がありましたけれど も、これだけ急激に受診率が増えたときに、検診を実施するほうの体制、あるいは精度管 理とか、その辺がどれぐらい整備されているのか、どういう形で整備が進んだのかという ことに非常に関心があるんです。  と申しますのは、私は受診率向上のアドバイザリーパネルでもちょっと発言させていた だいたんですが、実は私の診療所では、これ以上、検診の受診率が増えると対応に困難が 生じます。つまり、これ以上検診受診者数が増えると日常の診療に支障が出てくるんです。 そういう現状が実際にはあるわけで、恐らく日本で検診を実施している検診実施体制、そ してその検診の質の担保といいますか、精度管理といった点では、現状でもかなり問題が あるけれども、これが検診受診率が倍になったら、すごく大きな問題になってくるという ふうに感じているんですが、その辺の韓国の実状はいかがだったでしょうか。 ○祖父江がん対策情報センターがん情報・統計部長  同行して行ってまいりました祖父江です。  精度管理に関しても、記述をしているのが62ページの真ん中辺りに、韓国のこれからの 体制というのも含めてでしょうけれども、検診の精度管理のプログラムを実施していると いうことです。検診を提供する機関は、先ほど中川委員のほうからフリーアクセスという 話でしたけれども、一応指定をしているようです。2,000から3,000の指定機関があって、 そこのところからのデータを全て保険の仕組みを通じて国立がんセンターのほうに集約を するという仕組みができています。そのデータを使って精度管理をすると。受診者数、受 診結果も含め、それからがん登録との照合の結果で発見率を把握をして、各施設別にそう いうものを計算して、それを管理していくという体制ができております。  ただ、それを強制的にするのではなくて、施設側からの手挙げ方式でその数字を提供す るということで、何も悪者を捕まえるという形ではなくて、それぞれの施設が質を上げる ための道具としてそういうのを使っているというスタンスで精度管理を行っているという ようなことのようです。 ○内田委員  公表はしないんですね。 ○祖父江がん対策情報センターがん情報・統計部長  公表は、手挙げ方式で行うということになっております。 ○廣橋会長代理  やはり国家プロジェクトとして行うということが一番大事であって、韓国から学ぶこと は、国民がちゃんと番号で管理されていて、それが検診に、そしてがん登録にも使われて いるということが大事だと思うんですよね。つまり、ちゃんと個別勧奨ができると。  日本でもソーシャルセキュリティーナンバーが入れられる可能性があるんですから、特 に絶対にがん対策にこれが使えるようなことに今回ならないと、またずっとおくれてしま うので、それに対する取組を充実することが一番大事じゃないかなというふうに私は思い ます。 ○垣添会長  大事な点ですね。 ○中川委員  おっしゃるとおりで、保健所へ行きましたんですが、この住民番号を2年に1回やるわ けですから、例えば奇数の方だけがリストアップされて、その中でやっていない方だけが 簡単にリストができるんですね。これはがん登録とも関連しますけれども、この制度を協 議会の中で提案していくということが大事だと思います。 ○垣添会長  埴岡委員。 ○埴岡委員  がん検診に関しまして、こうした世界の好事例を勉強して、できるところは取り入れて いくということはとても大事だと思います。それから、日本の現行の制度にとらわれず、 あるべき姿のために、変えられることは変えていくことも大切だと思います。  ただ、同時にお願いしたいことがあります。それはがん検診率を25%から30%や50%あ るいは70%に上げた場合、どれだけ救命効果などが出るのか仮説を明らかにしていただき たいということです。それによって、がん検診に取り組む方々のモチベーション、やる気 が引き出されると思います。  これに関しましては、これまで何度もお願いをしましたが資料が出てきません。これま でのがん検診に関して、都道府県別にどれだけの検診をして、何人のがん発見があったの か。検診でがんが見つかった場合と自覚症状などで見つかった場合の推定生存率格差から して、検診を行うことで何人が追加的に助かったといえるのか、と。現状の検診率で、都 道府県別に何人が助かって、全国では合計何人が助かっているといった推定数字です。同 時にそれを実現するためにかけている費用と関係者の努力も合わせて、どれだけの投入で どれだけの成果が出ているのかを算定して示す。それができてこそ、検診率が2倍になっ たときに、投入する努力と成果がどうなるかもイメージできる。また、みんなでがんばっ て検診率を5%上げれば何人が助かりますよといったことも訴求できるようになる。やは りこれまでの結果の数値を見せていただく必要があります。これまでの検診事業の評価に も関わることです。そういうデータをぜひ次回の会議に出していただければ、全体の姿が 見えますし、やるべきかやらざるべきか、やるならばどれだけ成果があるかということが 見えてくるのだと思います。何度もお願いしていますが、ぜひこれは見せていただきたい。 ○垣添会長  ありがとうございました。ではこれは事務局で。 ○鈴木がん対策推進室長  江口委員のほうから企業、職域検診というお話がありましたので、今回、確かに53社に つきましては、大手、特に保険会社ですとか製薬会社、そういった医療関係が多いんでご ざいますけれども、これは実は私どもも初年度ということがありまして、やはりアドバイ ザリーボードのご意見等を踏まえまして、まずは関連する大企業というものが中心になっ て行っている、をターゲットとして参加の呼びかけを行っているところでございます。  また、地域の中小企業等、そういったところにつきましては、こういったところで今後 どうしていくかというお話もありますし、また一方で、その下の55ページの下のほうにも がん検診受診促進連携委託事業ということで、自治体、いわゆる市町村で行えるそういっ た企業連携の予算、こういったものも活用していただきながら、地元のほうでも企業との 連携をとっていただくということで、国が行う、自治体が行うものということの両輪を行 いながら参加する企業というものを増やしていくというのが必要ではないかというふうに 考えております。 ○垣添会長  言葉としてはそうなんですけれども、きのう、実は日本対がん協会の理事会、協議会が ありまして、そこでも全く同じ発言がありました。挙がっている大企業は恵まれた状況で、 むしろ問題は中小企業なんだという話です。今の室長の説明だけでは、やっぱり事は動か ないんじゃないなと、私はそういう感じがあります。  がん検診に関して、これは非常に重要な話でいっぱいまだ議論があるとは思いますが、 一応ここまでにさせていただいて、次に進ませていただきます。  次は、がん登録に関して、資料6について説明をお願いします。 ○鈴木がん対策推進室長  それでは、がん登録の関係で、資料番号6−1、67ページでございます。6−1につき ましては、前回の協議会のときに、廣橋委員のほうからご提案ありましたがん登録の推進 に関する提言というものをいただきました。その際に、垣添会長のほうから同趣旨で協議 会としても提出するべきということがございましたので、その後、文書等まとめさせてい ただいて、12月11日に大臣のほうにこういう形で提出しているということを、文書をその まま参考資料としてつけさせているところでございます。  続きまして、68ページでございますが、現在、地域がん登録事業を実施している都道府 県につきましては、地図であらわしておりますが、36都道府県1市でございまして、下に、 実施している自治体数を並べているところでございます。  また、先ほどのお話の中でありました韓国の関係でございますが、先ほど検診だけでは なくて、今回韓国の登録を行う施設についての視察を行っているところでございますので、 これにつきましては、祖父江先生のほうからご説明をいただきたいと思っております。 ○祖父江がん対策情報センターがん情報・統計部長  検診とともに、がん登録のことに関しても視察してきましたので、その報告をいたしま す。  ページ69、資料6−3のところですけれども、まず概要です。韓国は人口は、大体日本 の半分ぐらいで、罹患数、死亡数に関しては、日本で1年間60万罹患、30万死亡というこ とに比べると、比較的まだ若い世代が多いというようなことで、罹患して死亡するのが日 本に比べてやや低い水準。  がん登録の精度ですけれども、正確さということですけれども、指標上のみの割合とい うことで、DCO%という数字を出しますけれども、これは小さいほど登録漏れが少ない という数字なんですけれども、この数字が1993年には、国全体の数字ですけれども31.4% であったものが、2002年には6.2%と急速に改善していてきています。  これが国全体をカバーする形で、しかも2007年の罹患情報を2009年に発表できるという ような即時性に関しても良好な状況を達成しています。これを行うということですけれど も、さらにそのがん検診との照合を通じて利用するというようなことも実現されます。さ らに医療の質を評価するというところまで展開できる可能性も秘めています。  この急速な質の改善の背景には、教育病院における院内がん登録の整備、それからがん 管理法の中で、がん登録を国の事業として位置づけたこと。さらに韓国においても個人情 報の問題があったんですけれども、がん登録事業、統計法に準ずる事業として個人情報保 護適用除外とした。さらに国民健康保険の状況について、個人情報の規定があるときでも 使用できるというふうなことまで、法律の中で明記をしたと。  さらに、先ほど廣橋委員のほうからありましたけれども、全国をカバーするような個人 識別番号というものが存在して、これがいろいろな機会で使われていて、照合のキーとし て利用できるというようなことがあります。スライドは幾つか用意して、残念ながら、ち ょっと英語のものもありますけれども、幾つかの説明を日本語で書きました。  ページをめくっていただいて、ちょっと時間の関係で全て報告はできませんけれども、 例えば図8、75ページのところに韓国がん管理法2003年のオリジナルのところであります けれども、第8条として、がん登録統計事業の実施等というところに、向こうの厚生労働 大臣に当たる保険福祉長官が、この事業を実施しなければならぬというようなことも明記 されているということです。  それからページをめくっていただいて、図10、76ページの改定された2006年バージョン 今の第8条のところには統計法に準ずると、個人情報に関する法律の適用されない個人情 報とみなすというようなこと等の記述とともに、国民健康保険の情報を必要な資料の提出 を要求することができるというようなことまで記述がされている。  さらに図11ですと、個人識別番号として13けたの番号がいろいろな機会で使用されてい るというようなことが、その背景としてあるというようなことであります。  アメリカのほう、資料の6−4、79ページのほうで説明します。これは従来から蓄積し ているデータとともに、3月の初めに行く機会がありましたので、そのときにアップデー トしてきた情報です。アメリカの場合は人口が3億人、がん罹患率、がん死亡率、148万人、 56万人、これを2009年と言っていますが、これは実は実測値でなく推定値です。実測値は 2006年とか7年で2年間ぐらいラグタイムを埋めるための短期予測をしています。ただ、 この2009年という情報を使う場合は非常に多いです。  これが実態でありまして、国レベルのデータとしては、地域がん登録としてSEER、 NAACCRが行っているSEER、それからNPCR―ちょっと英語で申しわけない ですけれども―が、国のがん登録プログラムをやっております。  それから院内がん登録の集合体としてのNCDB―ナショナル・キャンサー・データ ベース、この3つが国レベルとしては存在します。前者が地域がん登録、後者NCDBが 院内がん登録の集合体です。  地域がん登録のほうの精度指標は、先ほどのDCOがSEERで1.何%、NPCRで2 %、もう極めて正確、ほぼ完全に把握ができている。NCDBのほうは、全米の罹患の約 80%をカバーしております。これはかなり詳細な情報を把握している。こうした院内、地 域の項目を標準化する仕組みとして、またNorth American Association of Central キャ ンサーCancer Registriesというような組織もあります。  今のところ、生存率はSEER、それからNCDBで計測されていますけれども、NP CRというのができた、1990年ぐらいからできている仕組みなんですが、そこでもサバイ ブ、生存率を計測できるように、今、仕組みを改善しているところのようです。SEER は、かなり1970年代からあったわけですけれども、それに加えて1990年代からNPCR を 加えることで全米の罹患率を実測するという仕組みができてきた背景には、院内がん登録 が既に整備されていて、標準化、研修システムという仕組みがあり、さらに連邦政府、州 政府が強力に推進したということです。  申し遅れましたけれども、州において、州を単位として地域がん登録をやっているんで すけれども、必ず州法で届出義務のある疾患としてがんを指定している。法的に届出義務 を課しているというところが、全ての州で実現しています。  今後の方向性としては、SEERはかなり研究的なところで、それからNPCRがサー ベランスの主たる仕組みとして展開していくのかなと。NCDBが質の評価といったもの を主に担当していくのかなというような感じでやっております。  スライドもちょっと英語で申しわけないですけれども、例えば82ページを。 ○垣添会長  ちょっと短くして。 ○祖父江がん対策情報センターがん情報・統計部長  じゃ、終わります。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。  がん登録に関しては、前回の12回の会議のときに、全がん協の代表として廣橋委員から、 協議会の私宛てに、67ページにありますようながん登録の推進に関する提言というのをい ただいて、それを協議会の提言にまとめて、了解いただいて、それを長妻厚生労働大臣に お渡ししたということがあります。  それで本日これから協議のところでワーキンググループから、やっぱりがん登録に関し ていろいろご提案があると思いますので、一応今の時点でここまでにしておいて、つまり、 我が国でがん登録を抜本的に進めるために、やっぱり法律に基づいた、かなり強制力のあ る形で進めないと、いつまでも思い切ったことが進まないということがあると思いますの で、そういった議論を後ほどさせていただきたいと思います。  それで、もう一つ先に進みまして、報告事項7、がん対策推進計画を推進するために都 道府県の主な取組みの進捗状況について、厚労省より説明してください。 ○鈴木がん対策推進室長  資料につきましては、本日、冊子体資料、正誤表というふうにつけさせていただいた別 紙のほうの2枚目以降になりますが、資料7と番号を振っているもの、そちらのほうをご 覧いただきたいと思います。  がん対策推進計画を推進するための都道府県の主な取組報告状況というものでございま して、平成22年3月1日時点のデータでございます。  これは前回にも書かせていただきましたが、前回の中でもご指摘ありました、今回先ほ どご指摘ありましたが、このいわゆるアクションプランの策定に当たって、がん患者・家 族等の代表が参画しているかどうかということも併せて調べていただきたいというふうな ご指摘がございますので、それについて入れているものがこれでございます。あとは、中 身は後ほどご覧いただければというふうに思います。  以上でございます。 ○垣添会長  続きまして、報告事項8、国立がんセンター独立行政法人化後のがん対策を、国立がん センターの独立行政法人化について、続けて厚生労働省から説明してください。 ○前田医政局政策医療課長補佐  医政局政策医療課でございます。国立がんセンターの独立行政法人化につきまして、簡 単にご案内を申し上げたいと思います。資料でございますが、冊子のほうの92ページ、資 料8でございます。  国立高度専門医療センター、がんセンター以外の6センターございまして、がんセンタ ーも含めまして、来月平成22年4月からがん研究センターということで、独立行政法人化 をさせていただくという予定でございまして、業務でございますが、がんセンターであり ましたら、がんその他の悪性新生物に関しまして、従前医療の提供が前面に出ておったん ですけれども、調査研究及び技術の開発ということを冒頭に挙げさせていただいて、密接 に関連する医療の提供でありますとか技術者の研修、医療政策の提言等々といったところ で業務等を定めさせていただいたところでございます。  次の資料でございますが、独立行政法人制度といいますと、国から完全に民間に移行し てしまうようなイメージも一部ございますが、そもそも独立行政法人というのが民間にゆ だねた場合は実施されないおそれがある業務といったところを確実に実施していただくこ とが目標でございますので、もちろんこのがん対策協議会でありますとか基本方針、ある いは基本計画に基づいていることというところ、これを民間にゆだねると実施されないお それがある業務に属することだと思いますので、そういったところは着実に実施をしてい ただくと。  じゃ、国と何が異なるかといいますと、大きく、やはり国としての規制がたくさんござ いますので、そういったところを改装した上で、効率化、効率的というところは民間なの でぜひ実施をするといったところが独立行政法人化の趣旨でございまして、これ、2枚目 のスライドの設立・運営のところにございますが、法人の長と監事というのは大臣が任命 いたしますけれども、その他の部分については、理事長の権限が非常に大きくなるといっ たところもございますし、国でありましたら評価体制というところはなかなかないところ でございますが、中期目標・計画といったところで、目標として大臣がお示しをして、計 画として理事長がお答えをするという形で、毎年外部評価によって、外部委員によって評 価を行っていただくということもございますので、そういったところで毎年の進捗状況を 把握できるようになるといったところでございます。  資料の3枚目でございますが、先ほど申し上げました国の制約といいますと、やはり国 家公務員でございますので、外国人が就業できないでありますとか、あるいは外部資金の 受け入れが難しい、あるいは人的交流であっても兼業というのはなかなか難しいところが ございますので、あるいはもちろん組織決定する場合に、国としての諸手続を経なきゃい けないということでありますので、まさに研究、開発、情報発信といった、そういう柔軟、 かつ迅速に対応が求められるところについては、こういった国の規制を取り去りまして実 施をしていただくというところが大きな趣旨でございます。  次の4枚目のスライドで、その独法化といったところの上で、重要な点を3つ大きく述 べておりますが、まずは財政的な支援ということで、国立高度専門医療センター全体で長 期債務、非常にたくさんあったところでありますが、そちらを独立行政法人化時に縮減を して出発をするということと必要な運営費交付金を確保するということでございます。あ とは従前、国の組織から独法の組織ということで変わりますので、運営組織を再構築して、 よりミッションを果たしやすい形にしていくと。当然、研究でありますとか診療といった ところも充実をしていくと。IIの適切な安定的な運営体制の確立のところに、中期目標・ 計画といったところがございますが、こちらにつきましては、これは独立行政法人や評価 委員会という外部委員がございまして、そちらでご議論をいただきまして意見をいただい た後に、大臣の承認を得るという形で確定ということにさせていただいておりまして、現 在まだ議論中というところでございますが、情報発信でありますとか、特にがん対策情報 センターも含めて、がんセンター、がん対策基本法に基づきまして、いろいろな事業をや っておりますので、そういった要素が着実に実施されるように目標に織り込むとともに、 計画のほうでも具体的な顔が見えるような形で記載をしていただきたいということで、こ れは理事長の予定者と調整をさせていただいているところでございます。  最後のスライドでございますが、これ、国立高度専門医療センターのうち、がん研究セ ンターの運営費交付金について記載をさせていただいておりますが、通常、運営費交付金 といいますと渡しきりで必要な費用と経費の差額で要求をする場合がございますが、国立 がん研究センターを含めナショセンの場合は、どういった事業が政策的に必要かというこ とで積み上げを行いまして、例えば、がん対策情報センターでありますとか、そういった 形でどれぐらい費用がかかるかとことで見積りを行った上の積み上げということで、総額 88億円といった額を計上しておるというところでございます。  簡単でございますが、以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  それでは、都道府県の取組の進捗状況、及び国立がんセンターの独法化に関して、何か ご発言、ご質問ございましょうか。  どうぞ、檜山委員。 ○檜山委員  独法化に対して少し教えていただきたいんですが、一つはさっきの中期目標・中期計画 については、いつごろ一体それが我々の目の前で見せていただけるのか。いわゆるがんセ ンターにいろいろな業務を委託されたりされていると思うんですが、がんセンターはどう いう方向で日本の高度医療を引っ張っていこうとしているのかというのを、やはり皆さん に分かりやすく見せていただくというのが一つは大事じゃないかなと思うんです。  もう一つ、小児がんであれば、成育医療センターとのすみ分けというのどうなるのかと いうのを我々いつも気にしているところで、子供のがんは、じゃ一体どこが見るのかとい うことがいつも議論になるところなんですが、その辺りも、子供のがんはがんセンターが 見るんだということであるんですけれども、子供はだんだん大きくなるので、やはり成育 医療センターがきちっと関わらないといけないので、やはりその辺りの中期目標・中期計 画については、どのセンターがどういう形でやられるのかというのが、いつごろ我々のと ころに見せていただけるのかなというのが、いつも思っているところなので、教えていた だければと思います。 ○前田医政局政策医療課長補佐  中期目標・計画の進捗でございますが、今まさに、独立行政法人の評価委員会で、国立 高度専門医療センターの部会ということがございまして、こちらの部会、公開でございま すが、そちらで目標・計画ということをご議論させていただいて、その際に案という形で お示しをさせていただいたことがあるんですけれども、状況といたしましては、部会のご 意見を踏まえまして、今、関係省庁と調整しつつ最後は大臣の認可をいただくという状況 になっておりまして、まだちょっと未確定な部分が相当程度ございますので、本日口頭で のご案内だけにさせていただいて大変申しわけなかったんですけれども、最終的な確定と いうところになりますと、4月1日にさせていただくということになりますので、また、 お時間をちょうだいできるようでございましたら、ぜひこの場でもご披露させていただき まして、ご意見をいただいて、次期目標・計画に入れる、あるいは年度計画でどういった ところを要求していくかといったところでご意見をいただければというふうに思います。 ○垣添会長  ほかにはないでしょうか。 ○前田医政局政策医療課長補佐  小児がんについては、センターとしての考え方もあると思いますけれども、基本的には 協議会でもしそういう小児に着目した形がいいのか、あるいはがんという疾患に着目にし たほうがいいのかというところの政策的なすみ分けはあると思っております。  当然国立がんセンター、国立成育医療センター、どちらも医療の提供もやっております し、研究や情報発信あるいは他病院との連携といったところも個々でやっているところで ありますので、どちらに重みをつけてというよりも、むしろ両方でやっている今の状況で、 どっちのセンターにするかというところで旗を立てるということは今特に考えていないと いうところであります。  ちょっと雑談的で恐縮なんですが、ほかに例えば認知症を国立精神・神経センターと国 立長寿医療センターとどちらが担うべきだとか、いろいろなところで境界線というところ は難しいところがありますけれども、そういったところは特にはっきりした旗を立てずに、 各センターの努力といいますか、そういったところにゆだねているというのが現状でござ います。 ○垣添会長  それでは……、川越委員。 ○川越委員  この問題については余りよく分からないんで教えていただきたいんですけれども、一つ は厚労省の関係ですね。お金を出すということはよく分かったんですけれども、そのこと と関連しますけれども、人事の件というが厚労省とどういう関係になっているのかという のを、差し支えなかったら教えていただきたいということと、それからがんセンターの役 割というものがかなり増えるんじゃないかなという印象を持っているんですけれども、そ の点についてのことについて、ちょっと教えていただきたい。 ○前田医政局政策医療課長補佐  一つは人事というところでございますが、従前から上位職につきましては厚生労働大臣、 それ以下の職種につきましては総長が任命をするといったところがあったわけであります が、特に具体的に言いますと部長さんでありますかとか病院長、研究所長といった幹部は 厚生労働大臣の任命になっていたというところがございますが、独立行政法人化後は理事 長のみ、あと監事という外部的な評価をされる方がございますが、その方のみ大臣が任命 をいたしまして、それ以下、病院長でありますとか事務方でありますとかいうのは理事長 の任命になるといったところがございます。  ただ、従前から国立施設としてやってきたという人選もございますし、例えばがんセン ターとか各センターだけですと、当然、人事の停留といいますか、次の職場といったとこ ろでも引っかかりがあるということもございますので、厚生労働省であったりとか、他の 国立病院でありますとか他のナショナルセンターでありますとか、そういったところの人 事交流も見据えながら、最後は理事長にご判断をいただくという形になるわけであります。  当然役割につきましては増えていくということも期待を十分いただいているところであ りますので、これは今、私もそういうナショナルセンターを所管している部局としてご説 明を申し上げましたが、政策的なところについては、この協議会でも意見をいただくとこ ろと思いますし、がん対策推進室、健康局のご意見もいただいて、必要な事業というのを 入れ込んでいって、運営費交付金なり、そういった財政的な措置についても十分検討させ ていただきたいというふうに思っております。 ○垣添会長  ありがとうございました。大分、予定の時間をオーバーしていますが、ここで休憩をと りたいと思います。10分休憩とりまして、3時半から後半の、本来の予定をしておりまし た協議事項に入りたいと思います。よろしくお願いします。 15:19(休憩) 15:30(再開) ○垣添会長  それでは時間ですので席に戻っていただけますでしょうか。席に戻ってください。  それでは短時間でありましたが休憩をとりまして、これから後半の協議事項に入ります。 まず協議事項の1、平成23年度がん対策に向けた提案書(案)についてであります。  委員の皆様方はご承知のとおり、昨年6月に開催されました第10回協議会におきまして、 この提案書(案)を取りまとめる有志のメンバ、14名を決定しまして、その取りまとめ責 任者として埴岡委員をお願いしておりました。したがって、この提案書の説明は埴岡委員 からお願いします。 ○埴岡委員  それでは25分ほどいただいて、説明をしたいと思います。  冒頭にまず20人のうちの14人のワーキンググループ委員の方々、恐縮ですが、挙手をお 願いいたします。ありがとうございます。この14人で作成をいたしました。  今回、日本中から非常にたくさんのご意見を集めて提案を取りまとめました。タウンミ ーティングも全国で6カ所開催し、430人の意見をいただきました。アンケートも520通戻 ってまいりました。タウンミーティングでいただいた数々のご意見、それからアンケート に記載されたコメントをみんなで読みました。たくさんの意見がフラッシュバックでよみ がえってくるような気がします。皆さんから背負いきれないぐらいのたくさんのご意見を いただきましたけれども、それと苦闘しながら14人で取りまとめをしました。  恐らくワーキング委員全員で一致する認識でしょうが、今のがん対策がなかなか現場に 届いていないということ、がん対策基本法ができてがん対策推進基本計画を進めています が、なかなか患者や現場にその効果届いていないということ、もっと対策を進めなければ いけないということ、そうした思いが共有されていいたと感じています。それに背中を押 されて取りまとめたということです。  この取りまとめ方について、そもそものところを少しご説明したいと思います。これま でのいわゆる提案書のまとめ方とは全くプロセスが違います。まずワーキングの位置づけ は、この協議会からワーキングで作業をやりなさいと指示を受けて進めておるわけですけ れども、事務局は、ワーキンググループで行って、自主的に取りまとめております。厚生 労働省の方でたたき台をつくってあり、それを少し修正するというような形ではなく、ワ ーキンググループが全て自主的に取りまとめております。  ワーキンググループ会議の設定、会議の議題、アンケートの企画・立案・発送・回収・ 分析、タウンミーティングの開催、その場所の選定、あるいは実際の開催及び意見聴取、 そして本日用意しております提案書の文章の取りまとめまで、一切ワーキンググループの 方でやらせていただきました。  厚生労働省にほぼ毎回、陪席をしていただきました。また、情報提供等にはご協力をい ただいております。  ワーキンググループのモットーとして、患者さん、医療現場、そして地域の声を大事に しようということでつくりました。そして、いただいた声を積み上げる形で提案をつくろ うということでやってきました。そういう意味で、ワーキングの14人が自分の意見や知見 を集めてつくるということではなく、たくさんのいただいた意見を編集して取りまとめた といえます。  先ほどご紹介しましたけれども、アンケートとタウンミーティングを合わせますと約 1,000人から約7,500の意見をいただいております。それを委員が分野別に担当をし、それ ぞれの分野のご意見をよく読んで、指摘をされている現状の問題点と、どのようにすれば 解決するのかといういただいた改善のアイデアを整理して、論点を抽出しました。そして、 それを実現するための施策はどういうものかということで施策案をリストアップし、議論 をして、今回の施策集をまとめたということでございます。  日本でがん患者さんやご家族は数百万人規模でいらっしゃるでしょうし、がんに関わる 医療従事者の方も十万人単位でいらっしゃるのでしょうが、想定できるほぼあらゆるご意 見を拝聴できたのではないかなと。そういう意味で、日本全体の声を集めてつくれたので はないかと思っています。  以上が全体の概説です。次に、資料に基づきまして、内容をご紹介いたします。お手元 に資料がたくさんあるのですけれども、ごく簡単に説明をいたします。まず、見ていただ きたいのは冊子となっています本日の資料集の97ページです。第1部の要旨と書いてあり ます。これが提案書全体の要旨になっております。そして、提案書本編の第1部は、別冊 の製本になっております。表紙に、「平成23年度がん対策に向けた提案書〜みんなでつく るがん政策〜第1部」と書いてあるものでございます。これが340ページの分量があります。  それから資料集の121ページからが第2部に当たる施策提案シートでございます。これは 本編で提案しております施策に関しまして、1ページに1項目ずつ概要を説明しているも のでございます。施策の内容を知るのに便利なようにつくってあります。  それから、資料集の231ページからが第3部になります。アンケートの解答集です。都道 府県のがん対策推進協議会があって、県のがん対策を考える役割があり、様々な立場の方 々が委員になっていらっしゃいます。また、がん拠点病院等の集まりである、都道府県が ん診療連携協議会という組織もあります。これらの協議会の委員の立場の方々に伺ってお ります。さらに、都道府県庁のがん対策の担当者にも伺っております。第3部はその520名 からの回答集であり、ここにあるのは抜粋でございます。第3部本編は私の手元にあります が、このように262ページにわたり、回答の掲載を可としていただいた方のコメント、お名 前等、全て掲載しております。これが本当の生の声で、我々の提案書のなかでも大切な部 分でございます。傍聴の方々にはお手元にございませんけれども、回覧用のものが何部か 用意されているそうですので、ご覧いただければと思います。また、ウエブサイトには別 途掲載がされる予定と聞いております。  次に資料集の252ページからでございます。こちらのほうが提案書の第4部で、タウンミ ーティング会場での意見シートの集約結果でございます。この資料集についておりますの は抜粋でございますけれども、委員の席上にはフル版が配布されておりまして、114ページ となっております。これも回覧用のものが用意されていると思います。やはり、いただい たフリーコメントの回答、どういう問題があって、どういうふうに対処すればいいのかと いうことを書いていただいているものを、そのままお出ししております。先ほども申しま したけれども、第3部、4部にありますご意見を取りまとめる形で、施策にした形でござい ます。  以上、全体が5部構成になっていることをご説明いたしました。  続きまして、本編第1部の構成を少しご説明いたします。  別冊になっております本編第1部を見ていただければと思います。まず冒頭に目次がござ います。目次の次に、8ページにまいりますと、本編の中にも要旨が入っております。非 常に大部の提案書になっておりますけれども、全体のエッセンスの要約が、この8ページ から31ページまでですので、お時間のない方はここだけを読んでいただければ全編が理解 できるようになっています。  32ページからが本編でございます。まず32ページから97ページに、がん対策の総論的な ことが書いてあります。そして、98ページからが具体的な施策の提案になっております。  32ページから98ページの総論部分に書いてあることを簡単にご紹介します。冒頭の33、 34、35ページ辺りにはこのワーキンググループの位置づけ等が書いてあります。  それから39ページからは、がん対策の現況としての予算の状況が書いてあります。  そして47ページからは、先ほども話題になりましたが、昨年度の提案書がどれぐらい平 成22年度予算に反映されているかという、いわゆる進捗状況、プログレスレポートがつい ております。58ページまでのところです。  それから59ページから、今回の診療報酬改定に関する我々の評価が出ております。69ペ ージまでが該当いたします。  それから70ページから81ページまでが、今回は、予算、診療報酬、制度改正の3つの柱 でご提案申し上げましたけれども、分野ごとにこの3つの柱を横断的に見て、どういう関 連になるかというのをまとめているところでございます。  その後、86ページからはアンケートの説明、タウンミーティングの説明というふうにな っております。  89ページから90ページにタウンミーティングの実際の会場の写真が載っておりますけれ ども、こういう雰囲気で行われました。がんワーキングのメンバーも毎回4人から6人ぐ らいが出席しまして、直接、来場された方々のフロアからのご意見を拝聴してまいりまし た。  98ページからが具体的な施策の提案の部分でございます。99ページから、「がん対策全 般」に対する提案が出ておりまして、予算の推奨施策、診療報酬の推奨施策、制度の推奨 施策の順で記述をされております。その後に皆様から寄せられた意見から抽出をいたしま した問題点と、予算の改善点、診療報酬の改善点、制度の改善点が出ております。  それから、実際に皆様からいただいたフリーコメントのご意見を採録しております。こ こを見ていただくと、実際にどういうご意見があって、どういう問題点がご指摘をされて、 どういう論点整理がされて施策になっていったかということをたどっていただけるという 形です。  この後は同じパターンの繰り返しでございます。110ページから「全体分野のがん計画の 進捗評価」に関して。116ページからは、がん対策の個別分野11の柱に関して同様のパター ンが続くようになっております。116ページからが「放射線療法及び化学療法の推進と医療 従事者の育成」、そして132ページになりますと「緩和ケア」。この形でずっと続きまして、 最後の11分野「疾病別、がんの種類別対策」が208ページから214ページまで続くという形 であります。  216ページからは付録になっております。今回図示して特に推奨する9本の施策をポンチ 絵で示しております。それが218ページから243ページまで続きます。244ページからは昨年 12月4日、この協議会で審議された上、大臣に提出された診療報酬改定に関する提案書で ございます。  それから259ページからは、「がん診療連携拠点病院制度の見直しについて」という提案 書でございます。ワーキンググループとしては、それが必要であるという結論に至りまし た。  271ページからはタウンミーティングでいただきましたご意見を一つずつ拾って記録して おります。6カ所続きますけれども、ここも非常に大事ですので288ページまでご覧いただ ければと思います。289ページからは1回から5回のワーキンググループ会議の議事要旨、 そして、297ページからは公開で行いました6回、7回ワーキンググループの議事録が出て おります。  336ページは、今回、520人から回答をいただきました都道府県がん対策推進協議会等委 員アンケートの中で、昨年度提案しました70の施策に関しまして必要度の高さを伺ってお りますが、回答数の多かった施策から並べたものが336ページでございます。  それから338ページは、同様のアンケートでございますけれども、日本医療政策機構が患 者さんと家族に伺ったものです。先ほどの336ページの協議会委員等アンケートは、協議会 委員の構成は医療従事者が多く、患者関係委員は大体都道府県ごとに1人か2人程度しか 入っていないことから、患者関係者からの回答は少なくなっております。一方、338ページ は患者さん、患者ご家族からのアンケートでございます。私どもは、患者さんからの要望 の多い施策、医療従事者を中心とした方からの要望の多い施策、そしてワーキンググルー プ委員から大事だと思われる施策、その3点から施策の重要さが何かということについて 考える場面を持ちました。  以上、全体の構成を説明いたしましたけれども、以下、さらに少し時間をいただきまし て、要旨の部分を使って内容の説明をしたいと思います。要旨の部分は、本編97ページで ございます。中のページ番号を使ってご説明をいたしますので、よろしくお願いします。  2ページ目に要旨の要約があります。「提案の骨子」といたしまして、「国民の2人に 1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっている。患者、医療現場、地域から多 くの声を聞いて分析した結果、現在のがん対策を大きく変革していくことが、国民の命と 生活を守るために不可欠であると考える。提案の骨子は以下の3点である」としています。  1点目です。「がん対策の変革を」ということで、その中に3つの項目がございます。 (1)が、「がん対策の現状」ですが、がんに対する社会資源の投入が不十分であり、投 入量を増やす必要があるということ。(2)は、「政策立案プロセスに関して」で、患者、 現場、地域との対話により、必要で有効な対策を優先順に留意しつつ進める必要があると いうこと。(3)は、「予算、診療報酬、制度改正の横断的検討に関して」でございます が、3つの側面について横断的に有機的に検討を行って、効率的で有効な対策を進めるべ きであるということ。そのように書いております。  2点目ですが、予算、診療報酬、制度の3側面から140の施策を推奨しております。今回 の特色は、昨年度は予算に対する提案のみでございましたけれども、実際の問題解決には 診療報酬、制度もセットで考えなければいけないということで、3側面から考えたことで す。(1)は、がん対策の予算に関しまして74本の推奨施策を提案したということ。これ は後ほどご紹介いたします。(2)は、がん対策の診療報酬に関しまして29本の推奨施策 を提案したということ。そして(3)は、がん対策の制度改正に関しましては37本の推奨 施策を提案したということ。そうしたことを記述してあります。  そして3点目ですが、「重点項目に入れるべき施策」という項目をつくりました。140本 の推奨施策全てが大事ではございますが、ある意味で特に重点項目であると考えられるも のを抽出しております。「9本の予算措置」として、数多く提案された予算措置の中から 緊急に重点的な実施が必要と考える9本のがん予算施策を図示とともに示しております。 それがこの要約版の中の14ページから22ページに9点ございます。付録のところには、さ らに詳しい文章による説明もございます。2点目が、「がん診療連携拠点病院制度の抜本 的改正について」でございます。がん診療連携拠点病院制度の改革の方向を示し、その機 能を強化するための抜本的な制度改正を求めるという内容でございます。  3ページ目からは細かに説明は省かせていただきますけれども、お読みいただければと 思います。冒頭に本提案書の位置づけを簡単に書いております。その後、先ほど説明いた しました3つの項目と8つの細目に関しまして、少しずつ解説をしておるところでござい ます。  7ページ、8ページが総括表になっております。3つの分野で140本の施策があるわけで すけれども、この一覧表を見ていただきますと、その全貌が分かるようになっております。  9ページ、10ページは、そのうちの制度面の施策でございます。昨年は70本の施策提案 をいたしましたけれども、今年は74本になっております。それはなぜかと言いますと、5 本新たに増えまして、1本減りまして、差し引き合計プラス4になっておるということで ございます。今年度、また意見集約を行ったわけですけれども、ほぼ昨年の提案で網羅が できていたということ、そして新たに5本の施策をつけ加えたということ、それから1本 は若干重複のあるものを取り下げたということでございます。  11ページは診療報酬に関する29本の提案でございます。昨年の12月4日には26本の提案 をしておりましたが、改めて意見集約と整理をした結果、26本はそのまま該当いたします が、追加で3本の必要性を認めまして、3本追加したものでございます。  それから、12ページ、13ページ、これは制度面に関する37本の提案でございます。これ はすべて今回新たにつくったものでございます。  14ページから、特に推奨する施策としてポンチ絵で説明しています。[1]が「緩和ケアを 担う施設などの拡充事業」です。[2]が「長期の化学療法に対する医療費助成事業」です。 これは、今日も会議冒頭で話題になっておりましたけれども、患者さんの経済的負担の問 題への対処案でございます。[3]が「専門・認定看護師・薬剤師等、育成配置支援センター 事業」でございます。[4]が「副作用・合併症に対する支持療法のガイドライン策定・普及 事業」でございます。[5]が「地域がん登録・全国集計活用事業」、[6]が「がんベンチマー キングセンター事業」、[7]が「患者・家族のためのがん相談総合支援事業」、[8]が「がん 患者満足度調査事業」、[9]が「サバイバーシップ事業」というものでございます。  23ページ、24ページをご説明いたします。これはがんワーキンググループからの提案で すが、審議のうえ協議会からの提案としていただければと思います。「がん診療連携拠点 病院制度の見直しについて」でございます。アンケートにおきましても、各地のタウンミ ーティングにおきましても、拠点病院制度がもう一段変わった形になる必要性があると、 現状では多々ふぐあいが感じられているというご意見をたくさんいただきました。  そこで制度面の対応で、C−26番の施策として「がん診療連携拠点病院制度の見直し」 を打ち出しております。23ページ下のほうのゴシック表示のところでございます。この施 策に関しまして、特にきっちりとした提案が必要であるということで別紙にまとめたもの です。24ページにあります、6つの留意点と6つの検討点、合わせて12項目に着目しつつ、 大幅な改正が必要ではないかと提案しておるものでございます。  なお、この23、24ページにある拠点病院制度についての提案に関しましては、ここでは 2ページだけになっておりますけれども、本編の付録のところに、その他の分析やご意見 の取りまとめも含めまして、10ページほどで提示をしておるものでございます。  この後、本協議会で提案書についてご審議いただき、ご意見をいただき、協議会として 承認いただきたいとワーキンググループ一同思っております。提案書が非常に大部となっ ておりますので、ご意見をいただきますときには恐らく、7ページ、8ページの施策総括 リストあるいは要旨の部分を参照にしていただきながらご意見をいただけると、整理がし やすいかというふうに思います。  私からの説明は以上です。大事なポイントを抜かしてしまったかもしれませんので、も し補足やコメント等ありましたら、残り13人の方から話していただければと思いますが、 何かございますか。 ○垣添会長  ワーキンググループのメンバーから特に、今の埴岡委員からのご説明に補足されること はありませんか。  檜山委員。 ○檜山委員  大変分かりやすくご説明していただいたと思うんですが、一点、こういうワーキングに 参加させていただいて、今回、非常に多くの方の意見を、患者さんだけではなくて、地域 の医療政策、医療を提供されている方あるいは立法の方、あるいはメディアの方、その辺 りの意見をいただくことができて非常に、何が問題点なのかかなり浮き彫りにできたなと いうところがあって、先ほどもありましたけれども、厚労省と地方公共団体もうまく連携 が必要ではないかとか、拠点病院に関しても地方とやっぱり都市部では、かなり要望が違 うというところもあって、我々この要望書を出させていただいたというようなところは現 実非常に大事なところであると思って、あえて追加させていただきます。 ○垣添会長  川越委員。 ○川越委員  私も2カ所、タウンミーティング参加させていただいて、すごく勉強になったと思いま す。  それと、埴岡さんが中心になって、本当にこれ大変な作業だったと思いますけれども、 まとめていただいて、非常に感謝しております。  ただ、このタウンミーティングに出ていて非常に感じたことは、発言する―昔、声な き声という声がございましたけれども、発言する方というのが、ある意味で偏っていると いう感じがしました。どうしてもこれは仕方のないことですが、どういうことを国民の意 見としてとらえたらいいのかという根本的な問題にちょっとかかわると思います。このが んというのは、今日の最初の話からありましたけれども、がんという体験をして初めてお 金が大変かかるんだと分かる、というようなところがあるんですね。そういう点からいう と、例えば、並べてみるとこういう点についてやってほしいという順位が出るわけですけ れども、例えば研究とか何かというのについては、関係している方が非常に少ないから声 としては少ないわけなんですね。ですから、そういう点を踏まえた分析を、やはりタウン ミーティングの中で、ただ一覧でやっていくということじゃなくて、必要じゃないかなと いうことを感じました。 ○垣添会長  ありがとうございました。 ○埴岡委員  今の点、補足をしてよろしいでしょうか。  実はそのことは大変気を使っておりまして、それについては昨年度も今年度もかなり工 夫をしております。おさらいになりますけれども、例えば、ワーキンググループの中でも 声が大きい人の意見だけになると困るということで、昨年度来、意見シートを提出するか たちで、節目ごとで声の小さい人もおとなしい人も意見を出していただくという仕組みを 実行しております。  それからタウンミーティングでも工夫しています。皆さんのお手元に使用しているご意 見集約シートがありますが、これによって来られた方に意見を書いていただきます。これ は8割ぐらいの回収率があります。このシートによって実際書いていただいたご意見を集 めた冊子が、傍聴席には配布はされていませんが、回覧はされていると思います。このシ ートによって、細かな意見までたくさん出てきます。ですので、例えば110枚の意見シート の回収というようなことが、1会場だけでもできるわけです。会場では25人ぐらいしか発 言されないかもしれませんけれども、意見シートを書いて出していただくということで、 来られた方のほとんどから意見をいただけると。そういう工夫をしてやってきたわけです。  ワーキンググループは、がん対策に詳しい方々が多いので、専門的な意見、あるいはよ く考えている方々としての意見を出す役割があります。それからアンケートの対象は、都 道府県のがん計画を考えるという役職にある方となっています。そしてタウンミーティン グは、会場まで来られるのですからがん対策に関心のある方の意見が得られるということ ですね。ただ、我々は国民一般を対象としたアンケートなど各種の調査にも触れ、情報と して活用できます。国民一般のアンケートなどに表れる意見、そしてがん対策に熱心な方 のタウンミーティングでの意見、がん対策を考える任にある委員等の意見、そうした各種 の意見を尊重し、相互に対話をしながらまとめていくという、そういう仕組みと位置づけ になっているということです。改めておさらいですけれども、そういうかたちで意見が集 約されてきたといえるということでございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  どうぞ、本田委員。 ○本田委員  今のおさらいなんですけれども、私、このタウンミーティング等でいろいろな方のお話 を聞いたのは本当に、私も2県行ったんですけれども、本当に意義のあることだったと思 います。  ただ、私たちも反省しなきゃいけないなと思ったのは、どういう方が集まっているのか ということを考える際に、余りにも周知が、周知するのが直前過ぎて、もう少し早く教え てくれたらもっと医療関係者に声をかけられたのにという声を、私は2県ともに聞いてい ます。なので、それは今後の運営、今後こういうことを続けていく際の大きな反省点とし て、みんなで共有しておきたいと思いました。とても意義のあることなので、そこのとこ ろをもう少し大事にしたいと思いました。 ○垣添会長  ありがとうございます。  とにかく、この埴岡委員を初めとして、14名のワーキンググループのメンバーの皆さん 方、大変お疲れだったと思います。この膨大の資料をまとめていただいた労力に関して、 感謝申し上げたいと思います。  ただ今説明いただきました提案書の案につきまして、委員皆さんからのご意見をいただ きたいと思います。よろしくお願いします。  どうぞ、永池委員。 ○永池委員  ワーキンググループの皆様、ありがとうございました。ここで改めまして敬意を表した いと思います。  私からは施策の3、ポンチ絵のところでいろいろ認定看護師、専門看護師、薬剤師等の 育成配置支援センター事業をご提案いただきましたことに関しまして、これを実現可能性、 フィージビリティーを高める視点で、少し質問と現状について、お話をさせていただきた いと思います。  ここに上のほうに3点ほど中黒でいろいろ趣旨が書かれていると思います。こういう点 はそれぞれに関係省庁、部局の中でも恐らく厚生労働省の中でもいろいろな対策がとられ ているかなと思います。例えば、この支援センターの中で行おうとしています再就職の支 援、こういった辺りは看護職の人材確保法がございまして、そこでのナースセンター事業 は、求人情報を発信したり潜在看護師の再就職の支援を行っている、いわゆるハローワー ク、人材データバンクといったような機能を持っているところでございます。そういった ところとの整合性は、あるいは連携を図るのか、役割分担なのか、集約化なのか、具体的 にどう進めるか、ご意見がもうまとまっているのか、今後さらにそういったところを詰め ていくことを踏まえつつご提案いただいているのか質問します。それからもし特にがん医 療に従事する人たちの専門性を高めていくということで考えていらっしゃるのだとすると、 その点に関しては、むしろ汎用性を考えて、例えばですけれども、これから在宅医療推進 されます。その中で、在宅でがん患者さんが療養する意味では、例えば、がん看護の専門 看護師といった、がんの名称がついている肩書を選択をしていくということになりますと、 訪問看護の認定看護師の人では対象外になってしまうのか。こういった区分けのところは、 どのように考えていったらいいのだろうと思いました。ご支援をいただくのは大変うれし いんですけれども、その辺りを汎用性の広いものに考えてとらえてよろしいのでしょうか。 むしろそうしていただきたいという思いもございます。  あと、いろいろな予算の確保の点でいきますと、看護職の、確保対策の予算も別途とら れているところの中では、研修のことが入っています。研修費の補助がございますのと、 それから配置状況の把握であったり、ニーズの把握といったところでこれまた別の事業等 がございまして、配置状況の把握は、日本看護協会も資格認定制度の中でできているとこ ろでございます。が、もっとこれを高めていくためには本会の事業のものとの整合性をど うとっていくのか。  それからニーズの把握といったようなところでは、今別途厚生労働省の中にチーム医療 の推進の検討会がございまして、そちらでもどのような評価体制を、それぞれの専門性の 高い人たちの評価をどうしていったらいいのか、その教育機関の評価をどうしていったら いいのだろうか、第三者機関が必要ではないかといったような声もございますので、こう いったところをどのように考えていったらいいのか、少し提案の趣旨も含めまして、お話 を伺えればと思います。 ○垣添会長  たくさん指摘がありましたが、何か答えられるところがあったらお答えいただけますか。 ○埴岡委員  まず、この提案の趣旨についてですけれども、多くのこうしたがん専門・認定看護師等 の育成に関する要望の声と応援の声があったということで、それに基づいて我々は取りま とめさせていただいているところでございます。その内容はまだまだ生煮えかもしれませ ん。これだけ膨大な施策の取りまとめですので、一本一本に関する詳細度というのは限界 もあろうかと思いますが、我々が考えた範囲としましては、本編224、225、226ページにあ るようなことを考えております。  まだまだ何らかの意味で内容を強化しなければならないと思いますので、まさに看護協 会を初めとした、いろいろな関係者等でもんでいただいて議論していただいて、皆様方が 求められていらっしゃる結果が出るような形に整合するように進めていただければと思い ます。 ○垣添会長  廣橋委員。 ○廣橋会長代理  この重点施策というのを見てみただけなんですけれども、直前に資料拝見、いただきま したので、もちろんどれも重要な施策だと思うんですけれども、これまで既に行われてい る事業をうまく充実発展させるという形でできそうなものもあるし、それからそうでなく て、新規に必要なものもあるというふうに感じました。  それから例えば、緩和ケアを担う施設などの拡充事業、これは本当に大事だと思うんで すね。いかに年齢調整死亡率がもし計画どおりに下げられたとしても、この高齢化の社会 の中では、がん死は必ず増えるんですね。そういう中で、在宅で看取らなければいけない ところとか、そういうものも含めて、もうちょっとはっきりシミュレーションがあって、 どのぐらいの数が必要なのかというふうなことを明らかにして、それでそれに対応するよ うなこの状況をつくるというような、研究の要素と両方を組み合わせてやっていただく必 要があるんじゃないかなというふうに私は感じました。 ○垣添会長  それは大変重要なご指摘だと思いますが、何か答えることはありますか。 ○埴岡委員  それに関しましては、本編7ページ、8ページをご覧ください。これは推奨施策の総括 表で提案施策の全貌でございます。常にこれを参照していただき、どこにどういう施策が あるか、関連する施策はどうなっているかなどを見ていただくと助かります。A−13番に、 「がんに関わる医療従事者の計画的育成」という施策がございます。これは日本中で病初 期から緩和ケアまで、どういうふうな患者さんがいらっしゃって、それに対する医療資源 がどういうふうな形であるかをまず調べることになっています。さらにどこにどのような ミスマッチがあるのかを見つけ出して、それをどのように補っていくか対処していくとい う事業でございます。  これは幸い年間約2億円で数年間、国立がん研究センターに補助金がつくことになりま した。これで医療資源のマッピングが行われ、それに基づきまして、こうした各種の事業 も行われていくという、そういう関係性になっております。大変大事なことをご指摘され ましたが、それに関連する施策として「がんに関わる医療従事者の計画的育成」という施 策が用意されました。今回の提案書のプログレスレポート、すなわち進捗報告の中で触れ ておりますが、我々が提案した中で、こうした非常に斬新な施策も採用されております。 ○垣添会長  どうぞ、川越委員。 ○川越委員  今の廣橋先生からのご指摘、私も全く賛成です。やはり、がん患者さんがさまよってい るのは、治療病院を卒業したといいますか、治療病院から、言葉はよくないんですけれど も、もう見放された方がどこへ行ったらいいのかということが一番問題になっております。  今、病床自体削減というのが国の大きな方針だとしますと、やはりそれは在宅の充実 ―在宅は患者さんの家ということがメーンですけれども、それだけでやはり考えるんじ ゃなくて、今回のポンチ絵、この110ページのところでしょうか。今まで治癒の見込みがな くなったがん患者さんが行く場所は、やはり病院ベースで考えていたということがどうし てもありますが、そうではなくて、患者さんの生活を支援する場所として、患者の家がも ちろんベストですけれども、介護力が非常に弱っていくという中では家だけではやっぱり 問題解決しないことから、こういうグループホームを持っていくとか、そういう施策が制 度の検討というようなことを含めて、ぜひやらなきゃいけない。それで、ポンチ絵の施策 [1]のところには施設とあえて書きました。  その前に、こういうものをどのくらい総合的に整備していったらいいのかというシミュ レーションをしていかなきゃいけない。やはりこの大きな柱になりますので、この点をこ の中に盛り込んでいただいたということは、これはまだこういきますということじゃなく て、ある意味でこういうぐあいに、こういう方向でいったらどうだろうかということを示 したものじゃないかなということを考えております。  在宅に行ったらもう駄目だということじゃなくて、高品質なケアを最後まで受けられる 保証を、国として考えていかなきゃいけないと考えております。 ○垣添会長  ありがとうございます。  どうぞ。 ○埴岡委員  このポンチ絵[1]は、川越先生を中心にまとめていただいたものです。コメントありがと うございました。  それから、提案書の説明で漏らしたところがありますので、1分だけ追加説明の時間を お願いします。  要旨の14ページ、15ページにある表についてです。縦には分野別になっておりまして、 横には予算、診療報酬、制度という形になっています。同じ分野の中で、横に見た総合的 施策が必要であるということを強調しておきたいと思います。例えば、15ページの「がん 登録」分野のところを見てください。制度面でがん登録法を制定して、予算面で地域がん 登録の費用を手当てする。そしてがん登録の運用がうまく進展していった場合には診療報 酬でいろいろなコストもカバーしていくといったような、セットとしての施策の捉え方で す。例えば、「医療機関の整備等」の分野5番では、がん診療連携拠点病院制度の見直し という制度見直しを行った上で、予算も拡充し、診療報酬でも評価していくという、そう いった総合的な見方が必要だということです。  あるいは、がんの早期発見に関しましても、既存の枠組みを所与のものとするのではな くて、制度的に大きな改革を考え、同時にそれに呼応した予算的対応も行うといった、そ ういう力の入れ方が必要であるということです。この提案書を、このように施策横断的に 読んでいただくことも大切であると思います。 ○垣添会長  ありがとうございました。この提案書をおまとめになったのはこの委員20名のうち14名 の方がワーキンググループに加わっておられて、大変長期間、激しい議論を経た上でまと められていますから、この場でそんなにたくさんの議論はないかもしれません。私自身も 1回、公開のワーキンググループの会に出席をしますと、やっぱり非常に熱心な議論がさ れていました。  冒頭、埴岡委員からご紹介のように、1,000人近い国民から7,500件の生の現場の声が集 まったということで、それをワーキンググループメンバーが分担して整理して、このよう に取りまとめられたということで、それ自体極めて貴重な提案書ではないかというふうに 思います。  それで、私からの提案ですが、これは今、要旨のほうは表紙をご覧いただきますと、第 1部要旨、一番下に、がん対策推進協議会で、括弧として、提案書取りまとめワーキング グループが出したということになっておりますが、この「みんなでつくるがん、がん対策 に向けた提案書」を、このがん対策推進協議会の意見として取りまとめるということで、 つまりワーキンググループというところを取り除くというふうに提案したいんですが、い かがでしょうか。  よろしゅうございますか。  それを機会を見まして、埴岡委員や何人かのワーキンググループ代表と一緒に、長妻厚 生労働大臣にお届けするというふうにしたいと思います。  今日の協議会の中でもいろいろ議論がありました、がん診療連携拠点病院、例えば安岡 委員から文句がいっぱい現場から出ていると、あるいは患者さんや家族から出ているとい うことをどうあれすればいいかというようなことを考えますと、23ページかな、がん診療 連携拠点病院制度の見直しについてということで、ゴシック体でいろいろ集まった意見を 整理して、こういうまとめをしていただいていますので、提案書という形、がん対策推進 協議会としての提案書にまとめる。それからもう一つはがん登録に関して大分ご議論いた だきまして、前回も大臣にお届けしていますが、がん登録の部分をこの協議会の拠点病院 制度の見直しと同じような形で取りまとめていただければ、この要旨だけでもまだ大部で すから、大臣になかなか見てもらえないという心配をしますので、そういう取りまとめを もししていただければ大変ありがたいと私は思っております。  つまり、このみんなでつくるがん政策第1部要旨を、がん対策推進協議会の意見とする ということ、それを大臣に届ける。この中身の中で、拠点病院に対する要望と、がん登録 のことも別出しの形で取りまとめていただければ大臣にお届けするときに、特に強調して 申し上げることができるんじゃないかと私は考えますが、よろしゅうございますか。  じゃ、その文言に関しては、埴岡委員を中心にご検討いただければと思いますが、よろ しいですか。  じゃ、そのように整理していただきます。 ○廣橋会長代理  がん登録のところとかもあるので、関係者の間ぐらいは回していただくと。 ○垣添会長  当然そうですね。よろしくお願いします。  それでは、続きまして協議事項の2、がん対策推進基本計画の中間報告(案)について、 厚生労働省から説明してください。 ○鈴木がん対策推進室長  続きまして、それでは協議事項2に入らせていただきたいと思います。  資料番号は10−1、ページ数にしますと、263ページからでございます。前回ご議論して、 お示しいたしました資料につきましては、その前に297をちょっとご覧いただきたいと思い ます。資料10−2としておりますが、前回、がん対策推進基本計画中間報告骨子案のため の整理票ということで、分野別施策、それから個別目標、ベースライン、進捗状況、それ からそれに対しまして、どういう予算が使われているのかということについての資料をご 説明させていただいて、その後の評価ないし対応について、その後、委員の方々からメー ルをいただくというようなことで、ご意見いただくというようなことで取り扱いをさせて いただいたところでございます。  そのご意見につきまして、今回評価というところで対応という、右側、網かけになって おりますが、いただいた意見を全て集約させていただいて、文章が長いものもございます ので簡潔に網羅させていただいているところでございます。  それ以外に、今回の計画にはなかったものでございますが、計画に記載されていません が重要であり、今後も取り組むべき事項ということで313ページ以降になりますけれども、 そういったところで、がん計画の関係につきまして、ご議論いただきましたので、お示し させていただいているところでございます。  こういったものも踏まえまして、先ほどの資料の10−1に戻っていただきますが、263ペ ージのような形で中間報告(案)というものをまとめたいというふうに思っています。  中間報告(案)でございますが、1ページあけていただいて、264ページ、265ページで ございますが、目次につきまして、いわゆる目次はこのような形で考えているところでご ざいます。まず第1章で基本計画の策定の趣旨、これは全体的なお話でございます。それ から中間報告の目的と検討経緯、それから中間報告、ここまでは既存の資料ということで 文章から作成できると思います。そこまでにつきまして、266ページ以降、現状の資料を参 考にして文章化をしているというところでございます。これは事実関係として載せている ところでございます。  キーとなりますのは、第4章以下、今後の対応、全般的な課題というところと分野別の 課題、それから終わりにというところが、今回のご意見を踏まえて記載するということに なると思われます。  これにつきましては、まだ文章が入っておりませんが、先ほどの先生方のご意見等を踏 まえまして、一度文章化をしたものを報告をさせていただきたいと思っておりまして、そ れについて、またメール等でご意見いただきまして、最終版として早急に中間報告として まとめたいというふうに考えているところでございます。  概略でございますが、以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。その中間報告のまとめのタイムスケジュールはどうなってい ますか。 ○鈴木がん対策推進室長  タイムスケジュールにつきましては、318ページをご覧いただきたいと思います。今の段 階、21年度終わりでございますが、今回、この後すぐに中間報告の案を作成させていただ いて、22年度の最初のうちに中間報告ということで、成案をつくるというようなスケジュ ールにさせていただきたいと思います。  それが終わりましたら、この中間報告、いろいろとご議論いただいてご指摘もいただい ているところでございますので、それを踏まえながら最終報告、ないしは今度の新しい24 年度から始まります新計画のほうに反映していただくというようなことになると考えてお ります。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。ただ今の報告に関して、何かご意見はありましょうか。  天野委員。 ○天野会長代理  今後、この取りまとめに当たって、メールなどで委員から意見を得た上で取りまとめら れるというふうに伺ったんですが、これだけ重要な審議の事項が、次回の協議会で、それ が成案ができるという理解でよろしいんでしょうか。  その場合、例えばメールだけの審議だけで協議会、先ほどから協議会の回数など在り方 について意見が多数出ていると思うんですが、これだけ重要な案件がそういったことで済 んでしまっていいのかというのがまず一つございます。  あともう一点でございますが、本編資料の267ページの下から5行目ですね。進捗状況と いうことについて、この目標達成に向けた進捗について把握すべく厚生労働省研究班にお いて指標の開発を行っているところであるというふうな指摘があると思います。  指標については、前回の協議会でも多数、委員の方々から定量的なものではなくて、定 性的なものの評価はできないかということで指摘が出ていたかと思うんですが、これは今 回の計画の評価には間に合わないかもしれないんですが、この指標の開発というのがいつ ごろになるのかというのが非常に関心のあるところでして、これについてどういったスケ ジュールで指標をつくっていかれる予定になっているかということについて、ぜひ明確に していただければというふうに思っております。  2点でございます。 ○垣添会長  事務局から2点。 ○鈴木がん対策推進室長  まず第1点でございます。今回の中間報告につきましては、一度メール等でもご議論い ただいて、ご意見いただいておりますので、このご意見をまとめるというような形で文章 を作成させていただいて、それに対して、一度意見をいただいているものですので、それ に対してのさらなる追加のご意見等をお聞かせいただきたいというふうに思います。  また、開催につきましては、また別途こちらのほうで、事務局で検討していきたいと思 います。  それから、ここの267ページの厚生労働研究班による指標の開発を行っているところであ るというのは、今年度から来年度以降ですね。来年度、新しく厚生労働がん研究で提出班 を立ち上げて行っていただくということでございまして、早目にこれについては成果を出 していただくよう、お願いしたいというふうに考えております。ですので、ちょっとスケ ジュール的にはまだいつになるかは分かりません。 ○天野会長代理  ありがとうございます。あとは全体的なトーンということで、これはぜひお願いなんで すが、何を実施したとか何を行ったというアウトプット的なものは明確にある程度示され ている面もあるかと思うんですが、その結果、アウトカムはどうなっているのかというこ とは必ずしも明確ではないように感じましたので、その辺りの記述についてもぜひご配慮 いただければと感じました。 ○垣添会長  ほかにいかがでしょうか。  どうぞ、本田委員。 ○本田委員  先ほどご説明いただいた、164ページの第3章まではこれまでの基本計画と出ているデー タに基づいて、ほぼ文章にするだけということで、そういう理解でよろしいんですよね。 第4章以降、今後どういう指標なり、計画に足りなかったものがあるのかというようなこ とをある程度まとめて、次期計画に、策定の際にはそういうことを入れていくかどうかと いう議論をする題材になっていくということなんですよね。その第4章以降の部分で、確 か年末だったと思うんですけれども、各委員からご意見をということで、意見を出すよう にと言われていたと思うんですけれども、恐らく年末年始のことで、全部の委員から意見 が出ていない可能性がありますし、私も割となぐり書きで出したということもありまして、 そういうここに第4章で書かれていることは、既に出ている後ろの313ページから317ペー ジ辺りに出ている内容だけで書かれていくんでしょうか。それとももう少し余裕を見て、 これからの今後の議論、もしくは議論する場を持つ、またメールでもう一回出し合うとか、 そういうことは検討されるんでしょうか。 ○鈴木がん対策推進室長  一度、年末にご意見をいただいて、委員のほうからご意見をいただいているところでご ざいまして、ある程度それを基に一度文章をつくってみるということが大事だというふう に思っております。  ですので、それをつくった上で、またそのものを皆さんにご提示していただいて、さら なる追加意見ですとか文章の変更ですとか、その辺は行っていただくような機会というの も設けながら、最終的な中間報告の策定に向けて作業を続けたいというふうに思っており ます。 ○垣添会長  そうすると、先ほど天野委員からも質問がありましたけれども、この最終的な中間報告 書をまとめるに際して、もう一回この協議会を開くんですか。 ○鈴木がん対策推進室長  必ず協議会は一度、全委員のいらっしゃるところできちっと、こういう形で成案が出さ れると、案としてお示しさせていただいて、それについて成案ということでご意見いただ くというふうに。 ○垣添会長  よろしいですか、今の説明。  本田委員。 ○本田委員  天野委員と同じですけれども、できるだけ早くそういう会議を、その項目だけでも結構 ですし、こんなにたくさんのものを一気にそろえて会議を開くというんではなくて、その 項目だけでも結構ですので議論する場をいただければと感じます。 ○垣添会長  よく分かります。中間報告書の最終バージョンを一応出して、それを皆さんでもんでい ただいて、それを最終版にするという、そういう会議を設定してほしいと。だから、テー マを、議論すべきものをうんと絞り込んじゃって協議会を開いていただければありがたい と思います。  どうぞ、前川委員。 ○前川委員  今この場で発言するべき内容かどうか、ちょっと迷いつつ終わってしまってはいけない ので、発言させてください。  314ページで、がん対策推進基本計画の目標設定の妥当性についてで、早期からの緩和ケ アというのが書いてありますね。がん対策基本法で本当にうたわれている、がんになった ときから緩和ケアというのを、すごく重要だと思うんですけれども、今日の会議において でも緩和ケアというものが余り出てこなくなってきたんですね。  数字とかハードとか、施設とか、そういうものばかりが表に出てきて、本当に患者の声 とか、患者の気持ちというのが、この会議の場ではほとんど話題にならないので、あれ、 どうしてかなと思っております。  それで、ちょっとだけ、もし許されるならば、実例というのをお話ししたいんですけれ ども、いかがでしょうか。もしお時間がなかったらやめます。 ○垣添会長  短くならどうぞ。 ○前川委員  短く、分かりました。  乳がんになった患者さんが、骨転移というふうに言われて、そこで手術するというふう に言われたんですね。でも、そこは乳がんとか、余り手術された先生ではなかったので、 セカンドオピニオンに行きたいといったら、セカンドオピニオンも嫌な顔をされたと。で ももう一度セカンドオピニオンを申し出ました。結局、患者本人にも問題があるんですけ れども、両方に問題があって、お互いに信頼関係がないまま、最初の先生に手術をしても らった。手術をしてもらったはいいけれども、また患者は迷い始めたということで、お互 いに信頼関係ができない、コミュニケーションも余りうまくできなかったということでが ん難民のような今状態になっております。  それは自分ができないという、この手術は無理だなと思ったら、ほかの専門病院、専門 医に紹介するとか、そういうこともすればいいのではないかなと思います。それはがんに なったときからの緩和ケアというのが全く、この場合、なされていないという気がいたし ます。  医師の最初の対応でその人のがんとのつき合い方が、ずっと最後まで続くと思いますの で、ぜひその辺りのことも患者の声として認識していただきたいなと思います。何か、患 者が今、置き去りにされているという感がします。  以上です。 ○垣添会長  患者が置き去りにされているということはないと思いますよ。 ○前川委員  ちょっと言い過ぎかもしれません、すみません。 ○垣添会長  この協議会でも随分患者さんの声が挙がっていますし、それを極力取り入れるというこ とで、特にこのワーキンググループの提案なんかはまさにそうだと思いますよね。患者さ んを含めた声を広く集めてということで、それをいかに政策に反映するかということです から、それはちょっと言い過ぎではないでしょうか。 ○前川委員  分かりました、すみません。 ○垣添会長  でも、今いただいた意見もぜひ取り入れさせていただこうと思います。  川越委員。 ○川越委員  このがん対策推進室のほうで案をつくって、報告をして最終的にいくという方向はよく 分かるんですけれども、一つ目の質問は、この先ほど出ております中間報告というのは、 いつまで許されるのかということと、二つ目の質問は、がん対策推進協議会の意見という のはどういう形で反映されるかということです。私の理解では直接大臣のところへ行くと いうことですけれども、基本計画となりますと、やはりどうしても厚労省がつくって、最 終的に国会を通してというような格好になると思うんですけれども、我々の意見というの がどういう形に、ただこの陳情を聞くということでしょうか。それとも、かなり厚労省は これで心動かされて、こうしなきゃいけないというような、そういうところにいくのか、 その辺のところが微かにでも見えるようにしていただきたいなということ、これは希望で すけれども、よろしくお願いします。 ○鈴木がん対策推進室長  そもそも今回の中間報告の位置づけが問題だというふうに思います。中間報告につきま しては、基本的には、もともとがん対策推進基本計画という、これは閣議決定された計画 がございまして、これは閣議決定されておりますので、政府全体の計画として今進んでい るものでございます。  ただし、5年間という計画で、新しく計画を策定、次期計画につきましては、そうしま すと、新計画として24年度以降、また新計画をつくらなければいけないということになり ます。  5年間の計画の中で、やはり5年間とずっと、一度計画をつくるんではなくて、中間報 告という形で今どれだけの進捗状況になっているのかということをきちんと把握しなさい というのが国会質問であったということもございますので、今回そのための中間報告とい うことで、進捗状況がどうなっているのかということを取りまとめるために、今回中間報 告をつくることになります。  ただし、その中間報告をつくってどうなっていくかというだけではなくて、問題点があ るんであれば、次また新計画をつくらなきゃいけない、もしくは最終報告書をつくらなき ゃいけないという中で、どういった問題が今、現時点で分かっているのかということも併 せて、この中間報告の中に記載し、その後の新計画、もしくは最終報告に資するようなこ とをしようというのが今回の中間報告の役目だというふうに私は理解しているところでご ざいます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  安岡委員。 ○安岡委員  提案書として出したかったんですが出せなくてすみません。  ちょっと皆さんにお聞きしたいんですが、保険は国保と社会保険と2つありますよね。 その社会保険の中に、協会けんぽというのがあると思うんですが、その部分が外来のとき に一時、高額医療の貸付制度が病院でなされていないようなんですね。もし、15万かかっ た場合に、その15万を先に払わなきゃいけない、8万100円で高額医療がいいはずなんだけ れども、その後に、残りのお金は返ってくるんだけれども、それが一時払っておかなきゃ いけない。その金額が結構大変だというお話を伺ったんですね。  どうしてできないんだろかと病院のほうに問い合わせたところ、協会けんぽのほうが、 患者さんのほうにお金を返すから、病院側にもしかしたら入ってこない可能性があるので、 病院側が受け付けないんだと。だからそれは非常に患者さんに、患者さんはすごく困ると。 その制度を協会けんぽからそのまま病院に、同じことだと思うんですよね、患者さんに返 すのも、病院に返すのも同じことだから、そういう制度の改めができないだろかと。これ によって患者さんはかなり助かってくると思うんですが、こういう制度の改正というのは、 ちょっと無理なんでしょうかね。  以上です。 ○垣添会長  すみません、私も正直なところ、まだ知識がないので、担当部局のほうに調べさせてい ただきます。 ○安岡委員  すみません、よろしくお願いします。 ○垣添会長  どうぞ。 ○埴岡委員  中間報告の案を読ませていただきました。方向感と認識のところの押さえについて申し 上げます。例えば、266ページのところに、「がん対策を着実に実施し、成果をおさめてき たものの」という文言がありますけれども、こうした表現でいいのか疑問を感じます。こ れは、がん対策推進基本計画をつくる際の初期の議論でも指摘されたことで、本田さんも 積極的に意見をされたことと記憶しています。  「今までうまくいっていたけれども、高齢化に対処するために」のような書きぶりに、 基本計画作成のときもなっていたのです。ただ、あのときの議論を思い出してみると、や はりがん対策基本法を求める声というのは、がん診療体制にいろいろ問題があるので出て きたのであるし、がん対策をもっと良くしていかなければならないと位置づけたのだと思 います。現状全て完全だった上にさらに力を入れるというのではなく、不十分な点が多か った中で巻き返さなければという気持ちが、そもそもがん対策基本法の制定やがん対策推 進基本計画の策定の際には入っていたと思います。  いま議論している中間報告に関しましても、これまでの議論の中で、そもそも、我々の 反省も含めて、もともとつくった計画自体も少し不備があったねとか、そもそも計画評価 の枠組み等に弱点があるねという認識があったと思います。それなのに、こういう全てオ ーケーみたいなトーンで書かれていていいのかなと感じます。まだまだ遅々として進まな い部分があるとか、あるいは計画の枠組み自体に関しても悩んでいるのだというところを、 しっかり書いていただくといいと思いました。 ○垣添会長  役所としてはなかなか書きにくい部分があるかと思いますが、しかし今、このワーキン ググループの提案書の一番最初の部分に書いてあるとおり、必ずしも十分な成果が挙がっ ていないという認識ですよね。だからこれからこういうことをしっかりやっていかなくち ゃいけないという話になってくるんだと思いますので、今の意見もちょっとぜひ参考に取 り入れていただければというふうに思います。  この中間報告に関しましては、一度メールを通じて皆さんの意見を集めて、さらに意見 をちょうだいして、それを整理して、最終案ができる前に協議会を開くということであり ますので、それでさらにもんでいただければというふうに思います。  協議事項はこれで一応終わらせていただきまして、あと、事務局からそのほかの報告事 項がありましたら、お願いいたします。 ○鈴木がん対策推進室長  それでは、参考資料としてつけさせていただいておりますが、資料はページが319ページ 以降になります。まず第1でございますけれども、参考資料1ということで、米国におけ るマンモグラフィーに係る勧告への対応ということで、前回の協議会のときに米国のほう で40代の女性に対してマンモグラフィーを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨し ないという勧告が出されたということのお話がございまして、それに対しまして、厚生労 働省としてはどう考えるのかというようなご指摘があったというふうに認識しております。  それに対しまして、平成22年1月7日でございますが、掲載先がありますけれども、厚 生労働省のホームページのがん対策情報、国民の皆様からのご質問への対応というところ で、こういった回答文を作成し掲載をしているところでございます。  キーとなりますのは一番最後のパラグラフであると思いますが、結論といたしましては、 厚生労働省では、現時点において、日本におけるマンモグラフィーを用いた定期的な乳が ん検診の対象年齢を変える必要はないと判断しておりますが、いずれにせよ、乳がん検診 について、引き続き国内外の科学的知見の集積を進め、国民の皆様にとってよりよい乳が ん検診が実施できるよう努力していきたいと考えておりますということで、検診は今のと ころ、急には方針は変えておりません。ただし、やはりいろいろな情報、このような情報 はしっかり入れていきたいというふうに思っておりまして、それの一環といたしまして、 実は今回、中間報告とここにいらっしゃる祖父江先生のほうとで、こちらのほうで今現状 について、調査を行ってきていただいたというところでございます。また研究事業も行い ながら、これについては正確なデータを把握して、適切ながん検診に向けて努力したいと 思っています。  それから、続きまして、参考資料2でございます。これが320ページでございますが、こ れは昨今話題になっております子宮頸がんの予防ワクチンに関するものでございます。  国会質問でもございましたし、新聞、マスコミ、テレビ等でもいろいろとございますが、 やはり私どもこのワクチンと子宮頸がんということについて、正しい情報を正確に、まず は知っていただくという観点から、現在作業を行っているところでございます。  まだ最終的になる前の案といたしまして、隣の321ページ以降載せておりますが、事実関 係として、こういったワクチンがあって、そのワクチンについては、子宮頸がんに関連が 高いということ、それからワクチンというものが今回市販されているワクチンを受けても やはり検診が重要であるということにつきまして、なるべく分かりやすい言葉でホームペ ージ掲載をしたいというふうに考えております。  今、現在学会との調整も行いながら、最終校正を行って、ホームページに掲載を念頭に 置いているというところでございます。 ○野田委員  322ページの一番上には、「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)」と書いてあります ね。ちょっと言葉のところをきちっとしていただいて、子宮頸がん予防ワクチンというの は割とみんな認めていると思うんですが、子宮頸がんワクチンとなると、ちょっとやっぱ りがんワクチンとの混同もありますから、ターミノロジーは学会とも一緒になって、きち っと統一して、いつも同じのを使っておかないと、ちょっと患者さんが混同することがあ ります。そこを気をつけて。 ○鈴木がん対策推進室長  そこは気をつけさせていただきたいと思います。 ○廣橋会長代理  これは国立がんセンターのがん対策情報センターのホームページにもし掲載するのであ れば、がん対策情報センターには編集委員会といって、独自に評価して採択を決めるシス テムがございますので、そこでも最終的にチェックさせていただくということになります。 ○鈴木がん対策推進室長  そういった関係者のお力も添えていただきながら、正確な情報を流したいというふうに 思っておりますので、ご協力のほうよろしくお願いします。  それから、参考資料3は、前回といいますか、昨年度出していただきました、委員から 出していただきました平成22年度がん対策予算に向けた提案書〜元気が出るがん対策〜と いうものを、そのままおつけしております。  それから参考資料の4につきましては、前回の協議会で出していただきましたがん領域 における診療報酬改定に関する要望書をつけさせていただいております。  参考資料5でございます。それに参考資料5は受動喫煙防止対策ということで、先般、 平成22年2月25日に、健康局長通知ということで、受動喫煙防止の関係で、通知が出され ましたので、それを参考にさせていただいているところでございます。  これにつきまして、こういったところで都道府県、もしくは保健所設置市、特別区等に おいて受動喫煙防止の取組を行っていただきたいというふうに考えているところでござい ます。  こちらからの参考資料は以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  では、最後に事務局から連絡事項等、お願いします。 ○鈴木がん対策推進室長  今回は非常に長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。  最後になりますけれども、次回の開催につきましては、中間報告案の作成状況も踏まえ、 また後日ご連絡をさせていただいて、日程の調整をさせていただきたいというふうに思っ ております。その際はまたよろしくお願いいたします。 ○垣添会長  それでは司会の不手際で大変予定時間が延びてしまいましたけれども、一応本日の協議 会はこれで終了させていただきます  ですが、冒頭ご指摘いただきましたようにこの協議会、特に本日は報告事項も協議事項 も非常にたくさんありましたので、これだけの、約4時間近くかかってもまだ消化、十分 に消化できなかった感じがいたしますので、今後の協議会の設定等に関しましては、いた だいた意見などを参考にしながら、ぜひ考えてまいりたいと思います。  本日も長時間、本当にありがとうございました。終わらせていただきます。 (了)