10/3/8 第3回「日本人の食事摂取基準」活用検討会議事録 第3回「日本人の食事摂取基準」活用検討会 議事録 1.日時:平成22年3月8日(月) 14:00〜16:00 2.場所:経済産業省別館1012会議室 3.次第 (1)「日本人の食事摂取基準」活用検討会報告書(案)について (2)その他 ○河野栄養・食育指導官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「日本人の食 事摂取基準」活用検討会を開催いたします。  委員の皆様方には御多忙のところ御出席いただき、ありがとうございます。  本日、吉池委員は15分程度遅れる予定でございます。  それでは、着席して資料の確認を行わせていただきます。 (配付資料確認)  それでは、これ以降の進行につきましては、中村座長にお願いいたします。 ○中村座長 本日は、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。これから議事 に入らせていただきます。  本日は、活用検討会報告書(案)について、章ごとに進めていきたいと思っております。事前 に委員の先生方には御一読いただいておりますので、全体の内容とともに事前にいただいた意見 で加筆修正を行ったところを中心に、この場で最終的な確認を行っていきたいと考えております。  それでは、まず、報告書(案)の全体の構成と「I はじめに」「II 食事摂取基準の活用の基 本的考え方について」、事務局から御説明のほどよろしくお願いいたします。 ○河野栄養・食育指導官 まず、全体の構成につきましては、報告書(案)を1枚おめくりいた だきまして、目次をごらんいただけますでしょうか。「I はじめに」以降「V おわりに」を全 体の骨子(案)より加えまして、5つの柱で構成を組んでおります。  具体的な中身につきましては、1ページ目「I はじめに」というところでは、大きく3点要 素を含んでおりまして、1つ目は1パラグラフ目になりますが、2段落目「日本人の食事摂取基 準」(2010年版)では、前回(2005年版)の策定方針を踏襲し、膨大な研究結果を収集し、系統 的レビューを行い、最終的に参考文献として整理されたものは1,244本(うち日本人を対象とした 論文約350本)に及んだ。また、基準を定めるだけでなく、栄養業務等に活用することを念頭に 置き、『策定の基礎理論』と『活用の基礎理論』を新たに項立てし、記述を行った」ということで、 エビデンスに基づいて策定を行い、また、今般は活用の基礎理論についても項立てをし、記述し ております。  また、次のパラグラフでは、中ほどになりますが「食事摂取基準の活用に当たっては、策定検 討会報告書を熟読し、策定や活用の基本的考え方を理解することが重要となる」については、前 回の検討会において2010年版の報告書を読むことが基本となるということを、「はじめに」にす べきとの御意見がございましたので、こうした形で記述を行っております。  また、2010年版に関しては、策定値の周知ではなく、こうした基本的考え方の理解を深めるこ とを目的にということで、既に昨年の秋から冬にかけまして、国の主催で関係団体・学会の連携 のもとブロックでの講習会が開催された折に、理解度についての講習会後の回答も取りまとめて おりますので、その部分についての記述も若干行っております。具体的には「指標の概念等の理 解の重要性や策定値の根拠の違いに関する参加者の理解度については、講習会後に『よく理解で きた』『まあ理解できた』と回答した者の割合が約8割にのぼった。このように基本的考え方の理 解を浸透させつつ、その実践としての活用を進めていくことが、2010年版の食事摂取基準の使用 開始となる平成22年以降の課題である。具体的活用事例が増えなければ、活用の課題や限界を明 確にすることはできず、活用方法の確立には至らない」という記述を行っております。   また、3つ目のパラグラフにつきましては「『日本人の食事摂取基準』活用検討会報告書では、 食事摂取基準の活用における基本的考え方とともに、食事改善、給食管理における活用の考え方 とそのポイントを整理した。また、食事改善のためのツールや調査等においても、活用に努める ことでその課題や限界を見極めていくことが重要であることから、食事バランスガイドの見直し の必要性の検証や食事摂取基準の適用に向けた国民健康・栄養調査の課題等についての整理も試 みた」ということで、一部、国レベルにおいて食事摂取基準をどう活用するか、食事バランスガ イドあるいは国民健康・栄養摂取状況調査の部分での適用等の問題についても今般整理を行って おりますので、このような記述にさせていただきました。  また、最後の文章になりますが「今後、食事改善、給食管理において、食事摂取基準の活用が 積極的に行われることにより、それを支える実践的研究の充実が図られ、習慣的な摂取量をはじ めとした各種データの収集・蓄積を通して、活用の理論の構築に向けた検証が進み、栄養管理の 質の向上につながることを期待している」。  以上が「I はじめに」でございます。  続きまして、2〜13ページまで「II 食事摂取基準の活用の基本的考え方について」でござい ます。「1.食事摂取基準の基本を理解する」ということについては大きく4点ございまして、(1) 食事摂取基準の意義、(2)食事摂取基準を適用する対象、(3)食事摂取基準を適用するねらい、(4) 用いる指標の概念の特徴ということで構成されております。  食事摂取基準の基本を理解する、(1)食事摂取基準の意義につきましては、前回の検討会の骨子 (案)にもお載せしましたが、「『真』の望ましい摂取量はわからない。だが、食事摂取基準を使 えば、その人やその集団の習慣的摂取量が適切な摂取量かどうかの可能性(確率)を知ることが できる」ということで若干解説を加えてございます。  (2)は「食事摂取基準は、健康な人々を対象としている」ということで、食事摂取基準策定検討 会報告書の内容の該当部分を引用してございます。  (3)食事摂取基準を適用するねらいにつきまして、(1)エネルギーの指標は1つ、(2)栄養素の指標 を適用するねらいは3つということで、点線で囲んでございますように、適用するねらいについ ては摂取不足を防ぐため、過剰摂取による健康障害を防ぐため、生活習慣病の一時予防に資する ため、それぞれのねらいに応じた指標として推定平均必要量、推奨量、目安量、耐容上限量、目 標量という整理をさせていただきまして、その後に、摂取不足を防ぐため、過剰摂取による健康 障害を防ぐため、生活習慣病の一次予防に資するためということで指標の内容について触れさせ ていただいております。  4ページに移りまして、(4)用いる指標の概念と特徴につきましては、5ページに書いてござい ますとおり、策定検討会の報告書に表1の栄養素の指標の概念と特徴のまとめがございます。こ の一部について解説をつける形で、1つ目は、値の算定根拠となる主な研究方法の違い。2つ目 として、健康障害が生じるまでの典型的な摂取期間の違い。更に3つ目として、食品・サプリメ ントの摂取による健康障害が生じる可能性について、それぞれ見出しの下に表がございますとお り、こちらも摂取不足を防ぐための指標、過剰摂取による健康障害を防ぐための指標、生活習慣 病の一次予防に資するための指標といった、3つの適用のねらいに応じて記述を改めて整理し直 すという形式をとってございます。  続きまして、6ページ以降は「2.食事摂取基準を活用する場合の基本的考え方を理解する」 ということで、(1)マネジメントサイクル(PDCAサイクル)に基づいた食事摂取基準の適用につ いての解説を整理してございます。  3つ目にありますように、PDCAサイクルは評価から始めてもよいということで、アセスメン トからということが基本になりますが、結果的にどの段階からでも評価を行い、改善を行うこと で、食事の質を高めていくことがそのねらいにあるということを踏まえまして、図2を最終的に 整理してございます。  また、(2)アセスメントの方法と留意点ということで、まず、図3として食事摂取基準を適用し たアセスメントの概念として、食事調査によって得られる摂取量と食事摂取基準の各指標で示さ れている値を比較することによって、アセスメントとしてエネルギーや栄養素の摂取量が適切か どうかを評価することになるわけですが、例えば、図3の下にございますとおり、エネルギーや 栄養素の摂取量には測定誤差があることを考慮する。あるいはエネルギーの摂取量のアセスメン トについては、エネルギー摂取量の過少申告等の課題も含めまして、BMIにより行うこととい った留意点を記述しています。  続きまして、8〜9ページにつきましては、特にアセスメントにおける留意点ということで3 点ほど記述してございます。1つは「食事調査の測定誤差の種類とその特徴、程度を知る」とい うことで「食事調査の測定誤差で、特に留意を要するものは、過少申告・過大申告と日間変動で ある」ということで、過少申告・過大申告、日間変動について解説の記述を行ってございます。  また「食事調査以外でアセスメントに役立つ情報には、身体状況調査、臨床症状・臨床検査が ある」。また「栄養価計算を行う際の誤差や調理による栄養素の変化率を正確に反映させることは 困難であることを知る」という観点から、食品成分表、あるいは調理中に生じる栄養素量の変化 率に関する記述を行っております。  また、「習慣的な摂取量を把握するための食事調査とは」ということで、前回の検討会の骨子(案) で若干説明が必要な部分については、コラム的に解説をつけた方がいいのではないかということ で、9ページの下にありますような整理を最終的に行わせていただきました。  続きまして、10〜11ページにつきましては(3)食事摂取基準の指標別にみた活用上のポイントと いうことで、推定エネルギー必要量、推定平均必要量と推奨量、目安量、耐容上限量、目標量に ついて、それぞれの指標ごとのポイントを記述しております。  また、12ページには「目標量を活用する場合における予防を目的とする生活習慣病に関連する 因子の考慮の仕方とは」ということで「目標量は、生活習慣の一次予防に資することを目的に設 定されているが、生活習慣病の要因は多数あり、食事はその一部である。このため、目標量を活 用する場合は、予防を目的とする生活習慣病に関連する因子の存在とその程度を明らかにし、こ れらを総合的に考慮する必要がある。したがって、対象とする栄養素の摂取量の改善だけを目指 すのではなく、関連する他の危険因子や予防因子にも十分に配慮する」ということで、2点小見 出しをつけさせていただきまして、「予防を目的とする生活習慣病に関連する因子の存在とその程 度を明らかにする」ということで、具体的には図4にお示ししますように、佐々木委員に御提供 いただきました資料をもとに記述を行っております。  また、併せて2つ目の小見出しにありますように「その疾患を予防するという観点から、目標 量について考えることが重要である」ということで記述を行っております。  13ページにつきましては「栄養素の特性から見た分類と優先順位とは」ということで、策定検 討会報告書20ページにございます表3の内容をベースにしまして、左側の食事摂取基準の適用の ねらいは、先ほどの適用のねらいに準じたもので、解説につきましても、この表3を基に検討会 報告書の概要を引用しながら記述しているということでございます。  以上です。 ○中村座長 ありがとうございました。  それでは「I はじめに」と「II 食事摂取基準の活用の基本的考え方について」、確認してい きたいと思います。御意見ございますか。 ○佐々木委員 小さなところでもいいですか。本来はあらかじめ指摘して意見を出しておくべき ところだったんですけれども、忘れているところがありましたので。  9ページの「◆習慣的な摂取量を把握するための食事調査とは」の第3段落の3行目「なお、 習慣的な摂取量を把握するために、国際的に認められた食事調査日数は、非連続2日間または連 続した3日間である」という文章は「集団の摂取分布を推定する目的においては」というのが入 ると思うんです。個人の習慣的な摂取量を把握するためには、この方法では十分ではないという のがコンセンサスだと思いますので、集団の摂取分布を推定するためには、非連続2日間または 連続した3日間が国際的に認められた食事調査日数であるというように、やや限定した方がいい かなと感じました。 ○中村座長 今の文章を入れるということでいいでしょうか。  ほかにございますか。 ○田畑委員 4〜5ページで用いる指標の概念の特徴ということですけれども、これには表1に 書いてありますように、栄養素の指標の概念と特徴のまとめとなっているので、エネルギーはこ こには入っていないことになっていますから、ちょっと書きぶりを変えて、エネルギーではない ということですよね。もしくはエネルギーのことも1行入れてくれると、あとが全部つながるか なという気がします。 ○中村座長 今の御提案はいかがでしょうか。栄養素の指標だけになっているということですね。 ○佐々木委員 田畑先生のおっしゃるように、栄養素として4〜5ページでは入れて、エネルギ ーとして並列して書かないと、用いる指標と言いますと推定エネルギー必要量がありますから、 それを書かないのはまずいだろうと思います。 ○中村座長 そうすると、3ページの前のエネルギーの指標は1つという……。 ○田畑委員 (4)のところでエネルギーという項目を出していただいて、数行書いていただければ。 ○佐々木委員 (4)でエネルギーという項目を立て、そして、推定エネルギー必要量の説明をここ の栄養素の指標の説明と同じくらいのボリューム、5行ぐらいで書いていただくと、10ページの (3)に推定エネルギー必要量と出てきますから、ここにうまくつながっていくだろうと思います。 ここにつなげると、うまくいくんじゃないかと思います。田畑先生、そういうことですよね。 ○田畑委員 ほんのちょっとでいいです。しっかりちょっと。 ○中村座長 事務局いいでしょうか。  ほかにございますか。 ○山本委員 佐々木先生に教えていただきたいんですけれども、先生は、非連続2日間または連 続した3日間が集団の栄養摂取測定のために国際的に認められた方法であるというように言われ ました。しかし、私たちは2日とか3日間の調査結果をメタボの栄養指導のような個人に使いま すが、それは間違いだということでしょうか。  吉池先生らの研究では、ビタミンAなどの摂取は100日以上といった長期間の調査でないと個 人の正しい摂取量とは言えないと報告されているのは知っていますが、それでは私たち栄養士が 栄養指導をするときに現実に可能な方法はどういうものでしょうか。  もう一点教えていただきたいのは、2日間で500人と1,000人で1日の結果を、同じとして扱う ことは可能でしょうか。 ○佐々木委員 恐らく、具体的にはちょうど吉池先生が研究班でされたのが34ページにあります ので、私が付け加えさせていただいた文章は集団の代表値ではなくて、集団の摂取分布を求める ため、その「分布」という言葉が必要になってきます。集団の平均値であれば1日間の摂取で、 ある一定人数以上を確保できれば問題なく推定が可能です。しかし、集団摂取の分布の広がりを 見るためには、非連続、連続でも2日以上あると個人間変動と個人内変動が統計量として得られ るので、統計学的に分布幅の推定が可能であるということになります。ですから、ここでは非連 続2日間または3日間と書いてあることから推定して、集団の分布を知るためとなるはずです。  そして、人数の問題ですが、人数が少ない、多いというのは、個人内変動と個人間変動が得ら れれば、あとはランダムエラーとして数値が触れるということを考えれば、ほぼよいということ になって、信頼度をどこまで高めるかという、ランダムエラーをどこまで減らすかというところ に人数はかかってきます。 ○山本委員 そこで教えていただきたいのは、500人で2日するのと1,000人で1日やるのでは。 ○佐々木委員 全く目的が異なります。 ○山本委員 幅の問題ですよね、ばらつきの問題ですよね。 ○佐々木委員 いえ、そういう意味に結果としてはなると思うんですが、1日間は人数を幾ら増 やしても理論的に分布の広がりは求められません。 ○山本委員 中央値や平均値の値でいうと、それは大丈夫だと。 ○佐々木委員 中央値は分布の形によってしまうので、やや異なるんですけれども、ほぼ求めら れます。 ○山本委員 この文章には、「集団の場合は」と入れる必要があるということですね。 ○佐々木委員 集団の分布を得るためにはということです、広がりを得るためにやっています。 集団の平均値を得るためにはという意味ではありません。吉池先生、そうですよね。 ○吉池委員 はい。 ○山本委員 要するに、過剰者がどれくらいいて、不足者がどれくらいいるかという意味ですよ ね。 ○佐々木委員 そうです、そういうことを知りたいためには平均値では不十分であり、分布を知 る必要があると。そのために理論的に、また、実践的に要求されるのが非連続2日間または3日 間というところが世界のコンセンサスであろうというところです。  しかし、個人の場合は話が異なってまいりまして、非連続であっても2日間で個人を推定する のは、栄養素の種類によっては困難なものがある。 ○山本委員 私は学校給食の調査などで子どもの摂取量調査をすると、エネルギーなどは、1日 のときでも5日の平均でも、7日の平均でもばらつきにほとんど差が出てこないのです。 ○佐々木委員 平均は差が出ません。 ○山本委員 平均値も標準偏差もほとんど変わらないんですよ。だから、それは何か理由がある のかなと思って。これなら1日でいいじゃないかという気がしたものですから。外国のデータは 確かに一般的には不連続の3日間が一番よく使われるかと思うんですけれども、そこがちょっと 困っているところなんです。 ○中村座長 吉池先生、いかがですか。 ○吉池委員 学校についてのデータの具体的な状況が十分把握できていないのですが、複数日の 調査を行って、その平均値を個人の値として、その分布を求めるという2段階の作業をすれば標 準偏差も小さくなるとは思います。それが思ったほど小さくはならなかったということでしょう か。子どもたちが毎日毎日同じような摂取パターンをしているという個人内変動が小さい集団で あれば、一般に報告されている大人よりはこれらの標準偏差の差が小さいということはあり得る と思います。少なくとも成人など、日々食べ方が大きく異なるような集団に対して、ハイリスク 者をEARカットポイント法などで求める場合は、集団としての分布をしっかり見たいというこ とで、今のような記述になるわけです。 ○山本委員 酒を飲む日があったり、飲まなかったり、そういう集団と子どもたちの集団ではち ょっと違うかもわからないということですね。 ○佐々木委員 その可能性はありますね。 ○中村座長 そうすると、この文章を全体的に整理しますが、「特に、いずれの調査方法にも日内 変動が存在する。この問題に対処するためには、2日間以上の日数にわたって調査を行い、その 平均値を用いることが望ましい」ということは、平均値であったら集団に対しても、個人に対し てもこの方法でいいということですか。 ○佐々木委員 程度問題なんですけれども、個人に対しては難しい栄養素がたくさんあります。 ○中村座長 そうすると、どうやって求めるんですか。 ○佐々木委員 まず、文章を3つに分ける必要が本来はあります。1つは、集団を集めて集団代 表値を得たいのか、それとも個人の摂取量を知りたいのかの二通りです。更に、集団の方が2つ に分かれまして、集団の平均値という代表値を知りたいのか、それとも分布を表す統計量を知り たいのかという、その2つに更に分かれて、全体が3つに分かれることになります。それに応じ た調査方法の記述になります。ただし、なお書きになるかもしれませんけれども、個人に関して は何日以上というのは栄養素やその個人の特性により大きく変わるために、ここに文章化するの は極めて難しいのではないかと思います。 ○山本委員 もう一つよろしいでしょうか。自分の経験で困ってくることは、現実にビタミンA だとかは100日とかでないと信頼できない栄養素もあるが、現実に我々が調査できるのは2〜3 日しかない。その中で栄養指導もやっていかないといけない。栄養調査の結果というのは、一つ の指標であり、血液の指標等いろいろなものから出してくるという視点で考えていくと、ここは まさに栄養素として、あるいはエネルギーとして正確な数字を出すことが目的であって、栄養指 導の活用だとかそういう中ではちょっと現実には不可能な点で出てくるように思うんですけれど も、その点はどうでしょうか。 ○佐々木委員 山本先生がおっしゃることはそのとおりだと思います。そのとおりと申しますの は、活用というのは広いもので、活用の中の1つのアセスメントの方法として食事のアセスメン トがあるという位置付けですよね。ですから、これがアセスメントのすべてではないということ は食事摂取基準の本編にも記述がなされていたと記憶しております。そして、食事のアセスメン トをするならば、それに対してこういうところを注意または念頭に置いておいてくださいという ような目的で、この9ページの文章があると私は理解しました。 ○山本委員 繰り返しになりますが、私たちは現実には2〜3日の調査で個人に対応しています。 そこでこれは集団しか使えないとなってしまうと、現実問題で少し困るのですが。私たちは、個 人の食事調査は2〜3日でやって、あとは身体計測や血液検査結果などを考慮して指導します。 食事だけで判断はしません。判断すると、糖尿病と診断されているひとは、もうエネルギー摂取 量などが既に低くなってしまっているケースもあります。そういうものを総合的に判断していく ので、個人への対応として2〜3日でもよろしいのではないでしょうか。 ○吉池委員 9ページの下の記述を余り長々と書くのはコラム的な整理なのでいかがかと思うの ですが、もう少し丁寧に書いた方がよいのかと思います。今のやりとりを聞いて思ったことは、 この問題に対処するためには2日間、できれば非連続した2日間以上の日数について、個人ごと にその平均値を用いるということですが、これがどういう意味があるのかという山本先生の御指 摘だと思います。そういう意味では、「1日調査よりも個人の習慣的摂取量に接近することができ る」というぐらいですよね。そこのところは「個人の代表値として、1日調査よりは少なくとも 2日間調査を行う」ということにし、「EARカットポイント法などで集団のハイリスク者を推定 する場合には、その習慣的分布が重要となることから、それを推定するためには非連続2日間ま たは連続した3日間の食事調査を行うことが、国際的に認められている方法である」など、ここ のところを切り分けて丁寧に書いた方がよいと思います。 ○山本委員 もう一つ、FFQなどのときの習慣的なものを出してきたとき、これとの関係はど うなりますか。これは24時間リコールなり秤量法という形になりますけれども。 ○佐々木委員 まず、ベストではなくベターであるという書き方に、この文章がグレーになって しまうかもしれませんけれども、例えば、ここで把握するためには2日間または3日間であると くと、2または3がベストであって、4、5、6、7よりもよいという解釈も成立しますよね。 そういう書き方ではなくて、把握するためには「以上」は含みますから、3日間以上であるとか、 より長い方がよいという文章の方が近いかなと。  同様に、個人に対しても栄養素によって異なるんだけれども、1日よりは2日、2日よりは3 日、そして、その現状、実施可能性を考慮した上で、測定誤差を知って使ってほしいというよう な記述が必要かなと思うんです。現実に3日やれ4日やれと言っても、個人に対してそれほどで きるものではありません。それをベストとして文章化するというのは、むしろ適切な活用を妨げ ることにもなりかねないかなという危惧を持ちました。  あと、これは初めから連続したかなり長い日数の記憶による情報を得てしまいますので、日間 変動の影響というものはこれほどはかかりません。しかし、日間変動とは全く別種の大きな測定 誤差をはらみます。その測定誤差は、ここに書かれている日間変動による測定誤差よりも、まだ 大きいぐらいでして、それに関して、そういうアセスメント法を使う人は、そういう知識が必要 であろうと思います。ここに書くかどうかは別問題としまして。 ○山本委員 これからも多分出てくると思うので、また後の方でいろいろと質問したいと思いま す。 ○中村座長 では、伊達先生。 ○伊達委員 FFQの場合は、相対的な摂取量という形で、どうしても妥当性の検証がそうなっ ていますので、絶対値というものはやはり難しいと思います。ですから、概念的に食事摂取基準 の出てきた数値とはレベルが違うものなので、ですから、やはり先生がおっしゃったように、こ の中に特別な説明が入っていると混乱しないかもしれません。 ○中村座長 よりベターな方法として提案することしかできないのではないかと思います。  ほかにありますか。  では、時間を多く使ってしまったのですが、続きまして「III 食事改善、給食管理を目的とし た食事摂取基準の活用の基本的考え方とそのポイント」について、事務局から御説明をお願いし ます。 ○河野栄養・食育指導官 14ページの「III 食事改善、給食管理を目的とした食事摂取基準の活 用の基本的考え方とそのポイント」ということで、ここでは食事改善の個人を1、集団を2、給 食管理を3ということで、それぞれ目的とした活用ということで整理させていただいております。 骨子案のときには入っていなかったものとして、例えば、14ページの図5には、食事改善(個人) を目的とした食事摂取基準の適用の基本的概念とありますが、青の部分が今回のポイントとなる 食事摂取基準を実際に適用する部分であり、栄養教育の企画と実施、評価という白い部分まで含 める活用全体について、この報告書で整理をするというものではなくて、青の部分、食事摂取基 準を適用する部分に焦点を当てて、今回はもともとの策定検討会の報告書を踏まえて整理をする ことを明確にするという意味で、食事改善(個人)を目的とした活用については図5、食事改善 (集団)を目的とした活用については、18ページの図8、給食管理を目的とした活用については 23ページの図13といたしまして、活用という観点は非常に広いですので、今回は特に食事摂取基 準をどう適用させるかという部分について焦点を当てた整理ということで、いずれの目的の活用 においても、今申し上げた図をまず冒頭に入れてございます。  また、このことの具体的な記述として、14ページのIII章の冒頭には4行で「食事摂取基準の策 定の理論を理解し、食事改善、給食管理を目的として食事摂取基準を活用する場合には、アセス メント及び計画等において、食事摂取基準を適用し、適切なエネルギーや栄養素の摂取量につい て目標となる値を提案・決定することになる。ここでは、その適用の方法を中心に解説を行うこ ととした」ということで、今申し上げた白い部分まで含めて活用についての御議論をいただくと、 かなりアセスメントの方法であるとか、実施、計画につきましてさまざまな問題が出てきますの で、ここでは科学的根拠に基づいた形ということで、青の適用の部分を中心に解説を行うことと した」と加えております。  その上で「1.食事改善(個人)を目的とした活用」は、(1)食事摂取状態の評価(アセスメン ト)、(2)食事改善の計画と実施という構成になっております。  具体的に「1.食事改善(個人)を目的とした活用」については、「食事摂取基準を適用し、食 事摂取状態のアセスメントを行い、個人の摂取量から、摂取不足や過剰摂取の可能性等を推定す る。その結果に基づいて、食事摂取基準を適用し、摂取不足や過剰摂取を防ぎ、生活習慣病の一 次予防のための適切なエネルギーや栄養素の摂取量について目標とする値を提案し、食事改善の 計画、実施につなげる。また、目標とするBMIや栄養素摂取量に近づけるためには、料理・食 物の量やバランス、身体活動量の増加に関する具体的な情報の提供、効果的なツールの開発等、 個人の食事改善を実現するための栄養教育の企画や実施、評価もあわせて行うこととなる」とい う文章を、図5の解説として記述しております。  また、図6につきましては、先ほどの基本的な考え方の7ページに、食事摂取基準を適用した アセスメント、図3をお示ししてございますが、これを個人を目的とした場合の適用ということ で整理し直したときに、例えば、今ほども御議論いただきましたが、個人の摂取量に「個人の摂 取量には、大きな測定誤差があり、特に日間変動が大きいことを理解する」ということが、個人 の場合の適用として重要な部分になりますので、囲みとして記述する形にしております。  19ページにまいりますと、これと対比ということになりますが、これも同じく今のアセスメン トの集団を目的とした場合の適用の整理をした場合については、摂取量自体の分布ということに なりまして、そこにも測定誤差があることの理解が出てくるんですが、そのことよりも、分布に ついてEARを用いて統計学的手法で確立法・カットポイント法を理解することであるとか、あ るいはそのために摂取量と必要量との相関関係、必要量の分布が正規分布であるか、摂取量の分 散と必要量の分散のどちらが大きいか、そういった栄養素の特徴であるとか、集団の特徴を理解 することも必要ということで、個人、集団の目的に応じた特徴についてわかるように、図の整理 も行っています。 図6の個人の摂取量につきましては、14ページの(1)食事摂取状態の評価(ア セスメント)の2段落目として記述をさせていただきました。具体的には「アセスメントには、 食事調査による個人の摂取量を用いるが、個人が日々選択する食品は異なり、食欲も違うなど、 日々の摂取量に影響を及ぼす様々な要因が存在するため、個人の習慣的な摂取量を把握すること は困難である。このように個人の摂取量は、大きな測定誤差が含まれた値であり、特に日間変動 が大きく、個人の真の摂取量ではないことを理解する。そうした数値の限界を理解した上で、摂 取量から、食事摂取基準の指標を適用して、アセスメントを行う」ということで、アセスメント については、それぞれの目的ごとにこうした図に伴う特徴的な部分に記述を行うという構成をと ってございます。  15ページですが、具体的には、前回の検討会の骨子(案)でお示ししたとおり、エネルギー摂 取の過不足の評価、栄養素の摂取不足の評価、更に16ページにまいりまして、栄養素の過剰摂取 の評価、生活習慣病の一次予防を目的とした評価という形で整理させていただきました。  これを受けまして17ページには、エネルギー摂取の過不足を防ぐため、栄養素の摂取不足を防 ぐため、栄養素の過剰摂取を防ぐため、生活習慣病の一次予防に資するためということで、(2) 食事改善の計画と実施につきましては、食事摂取状態のアセスメント結果に基づいた食事改善の 計画と実施ということで、図7にお示しします表をもとに記述を行ってございます。  また、図7の上の文章になりますが「計画で目標とする値は、あくまでも得られた情報から推 定しているものであり、絶対に守るべき値ではない。不確定な要素を含む値であることを理解し、 体格と摂取量のモニタリングを行い、計画を修正していくことが必要となる」ということについ て、同様の文章を集団でも給食管理においても記述しております。  続きまして、18ページに移らせていただきます。「2.食事改善(集団)を目的とした活用」に つきましては図8、先ほど申し上げたように、食事摂取状態のアセスメントの評価では「集団の 摂取量やBMIの分布と食事摂取基準の指標から、摂取不足や過剰摂取の可能性がある人の割合 等を推定」ということで、それを受けて食事改善の計画と実施では「摂取不足の人の割合をでき るだけ少なくし、過剰摂取の人の割合をなくし、生活習慣病の一次予防につながる適切なエネル ギーや栄養素の摂取量の目標とする値を提案」ということで、ここまでが主に適用をイメージし た部分で、それに付随して活用の視点ということでは、公衆栄養計画の企画と実施、評価という ことで、具体的には図8の上の文章になりますが「また、目標とするBMIや栄養素摂取量に近 づけるためには、そのための食行動・食生活や身体活動に関する改善目標の設定やそのモニタリ ング、改善のための効果的な各種事業の企画・実施等、公衆栄養計画の企画や実施、評価もあわ せて行うこととなる」ということで、活用全般についての概要をお示しした上で、(1)のアセスメ ント、あるいは(2)食事改善の計画と実施について、解説を行う構成にしています。  19ページの図9については、先ほど申し上げたように、確率法、カットポイント法を理解する といった部分が出てきますので、18ページの(1)食事摂取状態の評価(アセスメント)の2段落 目には「アセスメントには、食事調査による集団の摂取量の分布を用いるが、栄養素の摂取不足 の評価として、推定平均必要量を下回る人の割合を算出するためには、統計学的手法(確率法、 カットポイント法)を用いることになる。その手法の活用に際しては、必要量や摂取量の相関関 係、それぞれの分散の大きさの違いなど、エネルギー・栄養素や集団の特性の特徴について理解 する必要がある。また、食事調査による集団の習慣的摂取量も、過少申告・過大申告など、測定 誤差が含まれた値であり、集団の真の摂取量ではないことを理解する」というものが、先ほどの 個人とは若干異なる記述が集団において記述されている部分となります。  また、19ページは先ほど申し上げたように、アセスメントのところでエネルギー摂取の過不足 の評価、栄養素の摂取不足の評価、更に、20ページに栄養素の過剰摂取の評価、生活習慣病の一 次予防を目的とした評価という構成は先ほどの個人のものと同じ構成になっております。  また、19ページの一番下につきましては、前回の検討会の骨子(案)で御提示させいただきま した集団摂取量の平均値を推奨量で割るといったことを集団の摂取不足のアセスメントには用い ないということで、具体的な記述としましては「食事摂取基準が導入される以前の『栄養所要量』 の時代には、対象集団の1日当たりのエネルギー・栄養素摂取量の平均値が、その集団の平均栄 養所要量(現行の推奨量の各人の該当する値の平均値)に対してどのくらいの割合を示すかを、 『充足率』として示していた。しかし、この方法では、どのくらいの人が充足(不足)している のか、その割合を評価することはできなかった。仮に、集団の摂取量の平均値/推奨量=100%で あっても、推定平均必要量を下回る人が存在するからである。したがって、集団の摂取不足のア セスメントには、集団の摂取量の平均値/推奨量は用いることができない」ということを簡単に 記述させていただきました。  続きまして、20〜21ページでは、確率法、カットポイント法につきましても策定検討会報告書 の確率法、カットポイント法のそれぞれの概念・解説を基にして記述を行ってございます。  なお、21ページの下の部分につきましては、先ほど統計学的手法を理解するためには、特徴を 理解する必要があるということが記述してありますので、具体的には「カットポイント法は(1) 摂取量と必要量が独立した関係にある、(2)必要量の分布が推定平均必要量を中心とした正規分布 に類似している、(3)摂取量の分散が必要量の分散よりも大きい場合に、不足者の割合を算出する のに適している。エネルギーのように必要量の増加に伴い摂取量が増加する(必要量と摂取量が 相関関係にある)場合、月経のある女性における鉄の必要量の分布のように正規分布から大きく ひずんでいる場合、また長期入所施設等の対象集団で摂取量の分散が必要量の分散より小さい場 合は、カットポイント法で求めた値が真の割合から遠ざかることが知られているため、カットポ イント法の使用は適さない」という記述を加えさせていただきました。  続きまして22ページの(2)食事改善の計画と実施につきましては、先ほどの個人をベースにし たものを、集団を目的とした場合に整理をし直したものでございます。  23ページ「3.給食管理を目的とした活用」につきましては、図13にお示ししておりますが、 具体的に解説を読み上げますと2段落目からなります。「対象集団の特性の把握を行い、食事摂取 基準を適用し、食事摂取量のアセスメントを行い、集団の摂取量の分布から、摂取不足や過剰摂 取の可能性がある人の割合等を推定する。その結果に基づいて、食事摂取基準を適用し、摂取不 足や過剰摂取を防ぎ、生活習慣病の一次予防のための適切なエネルギーや栄養素の摂取量につい て目標とする値を決定し、それに基づいて具体的な献立を作成し、適切な品質管理のもとで調整 された食事の提供を行う。個人や集団への食指改善を目的とした食事摂取基準の適用に比べ、食 事提供によって特定多数人に対して継続的に介入する給食管理は、PDCAサイクルに基づき食事 摂取基準を適用する観点から、最も適したものといえる」ということで、先ほどの個人や集団の 場合ですと、目標とする値を提案という青地の部分が中心になっておりましたが、図13にお示し しておりますとおり、給食管理については実際に食事を提供するという部分まで入るので、より 適用の部分が広がっているという形で整理をしております。  また、24ページにつきましては、(1)食事摂取量の評価といたしまして、図14に給食管理を目 的とした食事摂取基準の適用による食事摂取量のアセスメントの概要をお示ししましたが、食事 の改善と異なる点は、集団の特性を把握した上で、推定平均必要量等が類似のグループごとにア セスメントをすることが基本ということで、集団の特性の把握の枠内にございますように、性、 年齢、身体活動レベルに分類し、推定エネルギー必要量、推定平均必要量、推奨量、目安量が同 じかどうか確認し、特性が類似するグループを決定するということを概要の中にも盛り込んでご ざいます。  具体的な構成につきましては、エネルギー摂取の過不足の評価、栄養素の摂取不足の評価、栄 養素の過剰摂取の評価、生活習慣病の一次予防を目的とした評価ということを食事改善と同様に 25ページに記述しております。  また、(2)食事計画の決定につきましては、26ページに図15ということで、先ほどの食事改善 のものと同様の図を入れておりますが、これも異なる点は、集団の特性の把握をした上で、推定 平均必要量が類似のグループごとに、給与栄養量を決定することが基本という流れがあって食事 計画の決定を行うということです。  また、先日、先生方に報告書(案)をお送りした以降修正をかけている点は、一番下の「決定 された値に基づくよう、献立作成基準を作成し、献立を作成。食事を提供、評価」というところ から、また、食事計画の決定に戻る矢印を加えさせていただきまして、1回で確実に正確な値を 基にした計画が決定されるものではなくて、それを繰り返し行っていくということで矢印を加え させていただきますとともに、表題を「PDCAサイクルの概要」とした方がいいのではないかと いう御指摘もあって整理をさせていただいております。  また、ここの食事計画の決定の記述の特徴的な部分としましては、25ページの下から2行目か らなりますが、「また、対象の特性を考慮して、提供量の調節や工夫を行う。食事摂取基準に従っ た食事計画に基づく献立であっても、摂取されなければ、食事摂取基準を正しく適用したことに はならない。給与エネルギー量や栄養素量は、あくまでも得られた情報から推定しているもので あり、絶対に守るべき値ではない。不確定な要素を含む値であることを理解し、摂取状況のモニ タリングを行い、計画を修正していくことが必要となり、PDCAサイクルにより、評価に基づい て次の食事計画を行うことが重要となる」という記述を盛り込んでおります。  また、27ページにつきましては、先ほどの食事改善と同じ構成になっておりますが「栄養素の 摂取不足を防ぐため」の3点目に、分布シフト法の記述を加えてございます。「対象集団において、 栄養素の不足者の割合を少なくするための単純な方法として分布シフト法がある。この方法はベ ースラインとなる習慣的な摂取量の分布の形を変えることなく、不足者の割合を少なくするため に必要な栄養素の増加量について、単純にシフトさせる方法である。不足者の割合が2〜3%以 下になるように増加量を決定し、その量を実際の摂取量に加えることになるが、実行可能性を考 慮するとともに、その場合の摂取量の中央値が推奨量を超えることもあるので留意する」という ところが骨子(案)以降に加えたものでございます。  また、28ページにおきましては、一部の食事(例えば昼食のみ)を提供する場合の食事計画の 決定方法ということで、特に、データの収集が難しいという御意見もいただいていますが、2段 落目に書いてございますように「対象集団の一部であっても、その人々を対象とした習慣的な摂 取量調査を実施するように努める。いったん習慣的な摂取量調査の結果が集積されれば、類似の 施設で参考にすることもできる。健康増進や生活習慣病予防の観点からは、昼食だけでなく1日 当たりの習慣的摂取量を考えることが基本となるが、昼食での摂取量がその改善に大きく影響す る低栄養時代とは異なり、肥満など摂取のアンバランスが課題となる現代では、昼食のみの管理 には限界があり、1日のうちの何%の提供がよいかについてはさまざまな検討が必要となる」と いうことで、ここで具体的に社会情勢あるいは栄養へのニーズが異なる中では、非常に1日1食 何パーセントということについては、検討も幅広い視点が必要であるということを記述さていた だきました。  なお、図16には学校給食摂取基準における食事摂取基準の活用例ということで、委員の先生方 のところでは、国で策定した児童・生徒の1日の摂取量の把握から給食の目標とする量を決定、 学校給食摂取基準の策定までを食事摂取基準の適用の今回の焦点だと考え、整理したものを送ら せていただきましたが、その後今日、オブザーバーとして同席いただいております文部科学省さ んとも相談させていただき、その後に各学校で実施評価をする、各学校において給食の目標とす る量を決定するには、地域の実情や児童・生徒の特性を把握していくということも必要ですし、 またそれを受けて、献立作成、給食の提供、更には給食の評価も、提供した給食の全体量及び内 容の適切さの評価という左側だけではなくて、当然これからは児童・生徒の個別の摂取量の適切 さの評価もあり、この2つの評価が連動して動くことによって、給食の評価がなされ、給食を生 きた教材として望ましい量やバランスを理解するための食に関する指導の計画実施ということで、 ここは学校という場面が具体的に想定されますので、食事摂取基準の適用部分だけではなくて、 全体を見据えて若干広い整理となっております。  また、前回の検討会の骨子(案)につきましては、例えば、摂取量調査の方法で、給食からの 寄与についての情報を得ることが難しい場合の対応方法であるとか、あるいは対象集団の特性が 性、年齢階級、身体活動レベルから見て2つ以上の群に分かれる場合の決定方法についても、若 干解説で整理するということでお出ししていましたが、今現在の得られる情報としては、先ほど 申し上げました例えば、給食の決定のところですと24ページあるいは26ページに記述しました 推定平均必要量等が類似のグループごとに給与栄養量を決定することが基本というところを集団 の特性の把握を踏まえて決めていただくという記述にとどめさせていただいております。現行い ろいろな方法論で現実的に動いている部分は「おわりに」のところになるんですが、38ページの 2つ目のパラグラフの3段落目に、「現状においては、アセスメントを行う場合に必要とされる情 報の収集が困難な場合もあると考えられるが、実践の質、例えば対象者(対象集団)の食事の質 の向上のためには、そうした情報の収集が不可欠であることの理解を広げていくことも重要とな る。また、これまで便宜上実施されてきた方法についても、その方法が適切であるかどうか、あ るいはその方法で実施した場合に改めて評価を行うことで計画に修正を加える必要があるかどう かの検証も必要となる」ということで、今回については食事摂取基準の基本的考え方を踏まえ整 理できる部分についてのみ記述を行い、例えば、人口構成で重み付けをしている部分等について は、現段階で記述をしてしまうと、不明確な部分まで記述することになり、現時点では加えてお りませんが、委員の中にはそういったことについても若干触れるべきではないかという御意見も いただいていますので、併せて御検討をいただければと思います。  以上でございます。 ○中村座長 ありがとうございました。とても長い報告文書になっておりますが、御意見ござい ますか。 ○石田委員 全体について「適用」という言葉と「活用」という言葉をきちんと使い分けていた だいたことによって、整理が進んだと理解しています。その中で、図5、図8、図13に関しては、 今の説明によれば、ここは「活用の基本的概念」というタイトルにしていただいた方がよろしい のではないかと思います。 ○中村座長 図5、図8、図13は「適用」ではなく「活用」だと。いかがでしょうか、よろしい ですか。  ほかにございますか。 ○吉池委員 細かいことで恐縮です。20〜21ページです。20ページの中程の確率法の解説で、確 率法の使用には習慣的な摂取量ということで「習慣的な」というのがついております。ただし、 流れとしては摂取量という言葉が習慣的摂取量を暗に意味しているように思えるのですが、21ペ ージを見たときに「カットポイント法は」と下にあって、(1)(2)(3)とあります。(3)の摂取量の 分散というのも暗に「習慣的」と理解しておりますが、分散の話は1日なのか、何日なのかとい ったところが直接かかわるので、うまく表現できないかと思っておりました。佐々木先生、御意 見をいただけますか。 ○佐々木委員 やはり習慣的であるものは習慣的な摂取量と書いた方が誤解を招かないと思いま す。ただ、それを何回も繰り返すとくどいと言われるかもしれませんので、その辺りをどうする かは一つ一つ文章を見ながら決めていくかなという気持ちですね。 ○中村座長 ここに書いてある摂取量というのは、すべて習慣的な摂取量ということですね。 ○佐々木委員 この説明の一番最初とか、または「*」をつけて図10とかに「摂取量は習慣的な ものとする」という一文を加えるという手があるかもしれませんね。 ○由田委員 図5や図7のあたりは、ずっとBMIを使って評価するという書きぶりになってお り、これは成人を想定しているのだろうと思います。まず、勘違いすることはないと考えますが、 念のため成人の場合という断り書きを入れておくことが望ましいと思います。 ○山本委員 15ページの図6ですが、これは個人を対象にしたわけですが、個人の摂取量に大き な測定誤差があり、特に日間変動が大きいことを理解するとある。しかし、具体的に活用してい くときに、これでは何日をやればいいかとか、そういうようなちょっとした記載はできないもの でしょうか。 ○佐々木委員 恐らくそれをしようとすると、この報告書のページ数がかなり増えてしまうこと になります。つまり、何日をするというのは、どの辺りの信頼度のときには何日、この信頼度で は何日、この栄養素でこの信頼度のときには何日、更に、こういう特性を持った人の場合で、こ の栄養素でこの信頼度で欲しいときには何日というように、場合をいっぱいつけていかなければ いけないことになって、恐らく今回の報告書が出さねばならないところを超えてしまうように私 は感じています。 ○山本委員 私が質問した理由はさっきと同じで、現実にどうするのか、できるのかということ が心配なんですよね。個人の指導というのは一体どのように行えばいいのかということです。そ ういう場合は血液性状とかBMIとかそちらの方向からはできるけれども、食事の活用で個人は 一体どうやって現実にはやっていくのかというのが、なかなか見えてこないんですけれども。 ○中村座長 この報告書全体に流れているコンセプトになっていることだと思うんですが、食事 の調査は調査時の条件の下にできる範囲内でやるという話だろうと思うのです。あとは、他のパ ラメーターを参照しなさいというのが一つと、あとは、モニタリングをしてやりなさいという考 えが全体的に流れているんじゃないかと思います。 ○山本委員 私が心配なのは、例えば吉池先生も論文を出されているんですけれども、非常に個 人になってくると日数が長いんですよね。個人に対応できるのかというのが、例えば、エネルギ ーが一番短いと思うんですけれども、エネルギーでも最低数日かかりますし、多くの要素が非常 に長い日数を要してくる。その中で個人というのは一体どうやっていくのかというのが、ちょっ とよくわからない。 ○中村座長 吉池先生、いかがですか。 ○吉池委員 この報告書の範囲としては、先ほど先生がおっしゃったように、こういう記述まで しかできないのではないかと思います。山本先生がおっしゃることはよくわかるのですが、参考 となるような資料は他に求めることができますし、また、それぞれ目的に応じて適用する必要が あり、目的もかなり多岐にわたりますし、集団によって違います。ですから、ガイドの資料を見 てくださいということになるかと思います。 ○山本委員 活用は現場の栄養士が現実にやっていくわけですよね。そのときに、理解できるか なという疑問なんですが。 ○中村座長 ほかに御意見ありますか。 ○佐藤委員 給食管理の部分でございます。先ほど河野さんのお話にもございましたが、最初の 段階で対象者の習慣的な摂取量を測定できないことが多いという入り口の課題について、なかな か根拠となるものがないので、こちらでは明記できないとのことでございましたが、現場の意見 といたしましては、このようなときにどのような方法をとればいいのかという、例えば、国民健 康・栄養調査の結果というものも一つの方法であるということを明記したほうが良いのではない のでしょうかということです。  それから、もう一点、「対象者全員が困難な場合は、無作為抽出で一部の人々を対象に、習慣的 な摂取量調査を実施するように努める」という記述があるのですが、これを可能にするには、施 設側の管理者、栄養士等の専門職ではない管理者への行政からの働きかけというものもやはり必 要になるかと思いますが、この辺りについては、今後行政の方でどのようにお考えになっている のか伺えますでしょうか。  あと、もう一点ですが、26ページに図15の上に「推定平均必要量が類似のグループごとに、給 与栄養量を決定することが基本」と書かれていますけれども、これに当たりまして、先ほど19ペ ージの下で充足率について「『栄養所要量』の時代には」という記述がありましたが、このような 記述と同じように、過去は荷重平均を用いることようなことがありましたが、ここではそういう ことは行わないというような、はっきりした明記があった方がわかりやすいのではないかと思い ますが、それについていかかでございましょうか。 ○中村座長 事務局、どうですか。 ○河野栄養・食育指導官 私どもからは行政的な部分だけ、あと給食管理の部分については、委 員の先生方に御確認をいただけたらと思いますが、まず、1点目の国民健康・栄養調査について ですが、これ以降の議論にも出てまいりますが、国民健康・栄養調査のデータ自体にも食事摂取 基準の適用という観点から言うと幾つかの課題が含まれるので、何を持って利用していいと書け ばいいかが、現時点では判断ができなかったので、ここでは記載しないという整理をしているこ とが1点。  2点目の行政の働きかけの部分につきましては、「おわりに」のところで記述させていただいた こととか、あるいは今、佐藤委員から御指摘いただいたような、対象者全員が困難な場合はその 一部であってもという部分については、必ずしも現場の管理栄養士の方々個々にこれをお願いす るというよりは、どこかで管理栄養士がこういった形で習慣的な摂取量を把握していかなければ、 ここから先また同じ状態が続いて、要は、確かか不確かかがわからないままでやり続けることが 継続していくことも課題だと考えておりますので、健康増進法の中に特定給食施設の栄養管理が あって、栄養管理の実施は設置者の責務がありますので、その辺りにどういった方法で情報提供 できるかについては考えてまいりたいし、「おわりに」に実践的な研究と書いておりますとおり、 必ずしも現場の方だけでデータを集めるというよりは、実践的研究についてサポートを得ながら 現場で実施していくような体制の仕組みも、これから考えていく必要があるのではないかと考え ております。  また、3点目については、委員の先生方からどういった形で記述することが適切かを御検討い ただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○佐々木委員 現実にそういうアセスメントがやりにくいというのは当然なので、その場合どう するかという記述は私は必要だと思うんですが、たしか本編にはアセスメントが困難な場合は、 サンプリングとして一部でもよいと書いてあって、更にその次にそれもできない場合は類似のほ かの集団の既存データを利用することもやむなしというような文章が入っていたと思うんです。 そういう意味で、ここに書くべきことは、ベストとしては食べてくださる人たちのアセスメント ですよと。それをちゃんと頭に置きましょうよねということで、その次に、全部ができない場合 は少しだけやろうよね、それができない場合は類似の集団のデータを使おうよね。だけど、類似 の集団は待っていてもデータはできませんので、積極的にそういうことをやらねばならないとい う文言をここに入れることが適当であろうと。しかし、それは実施義務ではなくて、努力目標と いうところがよいのではないかと思います。  では、どの既存データをというところに当然なるわけですが、それも国民健康・栄養調査は全 体のうちの1つでして、ほかにもたくさんの調査データは存在し得るはずです。そういうものを 積極的に公開する、積極的に調べにかかる、積極的に活用する、その活用するための方法論を考 える、改善していくというように動いていくために、この報告書にそのきっかけとなる文言が入 っているということが重要ではないかと感じました。 ○中村座長 ありがとうございました。  最後の3番目の質問に関して、石田先生どうお考えですか。加重平均栄養摂取量から算定して、 栄養管理をする方法に対してコメントを出すべきだという意見ですが。 ○石田委員 先ほどお話ししたように、適用と活用を考えたときに、活用していく中では、加重 平均栄養摂取量から算定するその方法論をとらざるを得ないときもまだあるだろうと思いますの で、今回はここには書かなくてもよいかと最終的には判断しました。  まず、ここでは適用してみる、それぞれの現場に応じたいろいろなやり方が、その次の展開と して活用されていくという2段構えになっているところを、そういう意味を理解してもらいやす い表現がどこかに必要という気もします。  最後の「おわりに」の38ページの頭に書いてあることがすごく大事だと思っていて、個々の管 理栄養士の経験に委ねられてきた、その経験的に考え出した一つの方法が加重平均で、これを求 めてやってみるというものだったのではないかと思います。こうした方法の確からしさをきちん と確認しながらやっていかなければいけないということが、ここに書かれていると私は理解しま した。。ですので、加重平均栄養摂取量という1つの言葉が入っていた方が、そのような理解につ ながるのであれば、入れた方がいいとも思いつつ、でも、そのように言い出すといろいろなやり 方が出てきてしまうので、今回はこのままでいいと最終的に判断しました。 ○中村座長 ほかにございますか。 ○山本委員 15ページのエネルギー摂取の過不足の評価のところで、田畑先生に教えていただき たいんですけれども、エネルギー摂取の過不足のアセスメントにBMIを用いると。そして、指 標のところでBMI18.5未満が不足、25.0以上が過剰と書いてありますが、これはそのとおりで これがよいとは思うのですが、疾患罹患率などのデータを見ると、性、年齢階級別に見ていくと BMIがかなり違いますよね。恐らくそれがあって食事摂取基準2010年版には書き込まれていな いのだろうと考えているのですが、ここにおいてもそう考えて、この四角内の表現にとどめる方 がよいですか。それとも、性別や年齢などを考慮した上で使ってほしいというような、なお書き を入れる方がよいでしょうか。 ○田畑委員 18.5〜25.0というのは、ここ10年ぐらい使われているわけですけれども、確かに、 目的は生活習慣病とか総死亡というものがアウトカムとして出ていっているわけですが、年齢が 違ったり、性別が違ったりということで、かなり最近25ぐらいでもいいんじゃないかみたいなこ とが出てきますよね。ですから、その辺のただし書きを書いた方がいいというのはあるかもしれ ませんが、それは本当は基準に書くべきだったという気がしていますので、2010年版ではこれで いいんじゃないかと思います。余り混乱するのもあれですので、今からたくさんデータが出てく れば、特に過剰の方もそうですけれども、不足というのも実はどこまでエビデンスがあるかは疑 問がありますので、その辺は次までに多分データが出てくる。BMIだけではなくて、確かに腹 囲だとか、内臓脂肪も出てくると思いますので、その辺を今後の課題にした方がいいと思います。 ○中村座長 ほかにございますか。 ○吉池委員 23ページの中程で、表現だけのことなんですが「個人や集団への食事改善を目的と した」ということで、要はPDCAサイクルが大事だということが書いてある一文ですが、日本語 としてすんなりと頭に入りにくいと思ったことと、特に、優劣をつけて個人・集団への食事改善 と比べてと言わなくても、「給食管理の場合はPDCAサイクルが極めて大事だ」とさらっと言った 方が読みやすいと感じました。  以上です。 ○中村座長 ほかにございますか。  由田先生、御意見ありますか。 ○由田委員 今のところは給食管理と示せば、それですんなり理解できると思います。 ○中村座長 ほかにございませんか。この章はこれでいいでしょうか。  なければ、最後になると思いますが、「IV 国レベルにおける食事摂取基準の活用における方向 性と課題について」ということと「V おわりに」を事務局から御説明をお願いします。 ○河野栄養・食育指導官 IV章につきましては、29ページ以降になりますが、3つ目に管理栄養 士養成課程の教育体系の例について、先般骨子案のときに御意見をいただいたものを加えた関係 で、表題については「国レベルにおける食事摂取基準の活用における方向性と課題について」と いうことで表現を変えさせていただいております。  29ページは「1.食事摂取基準の改定を踏まえた食事バランスガイドの見直しの必要性につい て」ということで大きく3点、カギ括弧の部分でございますが、まず1点が、料理区分ごとの摂 取の目安(SV)の基礎となるエネルギー量の区分について変更が必要かどうか。2つ目につい ては、新たなエネルギー量の区分に応じた摂取の目安(SV)について変更が必要かどうか。更 に3つ目としまして、妊産婦のための食事バランスガイドにおける摂取の目安(SV)について 変更が必要かどうかということで、具体的には30ページになりますが、必要なエネルギー量につ きましては、下限には1,400kcal、上限には3,000kcalということで、少し現行よりも幅を持たせ る形で整理をし直すということで、図17にお示ししてございます。それに伴って、例えば男性の 70歳以上では、普通以上の点線が加わると言ったような変更点も含めて整理を行っております。  新たなエネルギー区分を踏まえまして図18に移りますが、実際の各エネルギー区分で摂取目安 の範囲で摂取した組み合わせで試算した平均値と食事摂取基準2010年版の推定エネルギー必要 量あるいは推奨量等との比較を行ってございます。ここには、エネルギー、ビタミンB1、ビタ ミンC、食塩相当量しかお出ししておりませんが、「*」にございますように、エネルギー及びた んぱく質、脂質、炭水化物、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンA、B1、B2、C、コレス テロール、食物繊維、食塩相当量について同等の検証をし、ここでは一部を示しているというこ とになります。  また、併せて、前回にも報告がございましたが、上記と同様の検証を前回の食事バランスガイ ド策定以降、研究で整備された品目数か多いデータベースを用いて行った結果、32ページの図19、 対象者特性別、料理区分における摂取の目安については、ほぼ現行どおりで問題がないが、2,400 〜3,000kcalの主食については、7〜8SVだったのを6〜8SVに変更した方が組み合わせ等の適 用がしやすいということで、1点のみ変更になってございます。  また、図20につきましては、妊産婦の食事バランスガイドにおける食事摂取基準2010年版に よる同様の摂取の目安の案ということで、33ページの一番下の表の右側が食事摂取基準2010年版 による付加量が中期、末期、授乳期という形で記述がございまして、その左側が食事バランスガ イド策定値のSVの付加量ということで、両者を比較した場合についても、特段大きな乖離はな いということで、このままでいいのではないかという結論を得ております。  なお、この食事バランスガイドにつきましては、農林水産省との合同で決定している部分です ので、この検討会での検証結果を用いて今後、両省で議論して最終的な決定をするという手順に なってまいります。  続きまして、34ページに移らせていただきます。「2.食事摂取基準の適用に向けた国民健康・ 栄養調査(栄養摂取状況調査)の課題について」では、まず(1)国民の習慣的摂取量の把握を目的 とした場合の国民健康・栄養調査の課題についてということで、前回、前々回に議論をいただき まして、現行の国民健康・栄養調査は先ほども議論いただいているように、1日調査であるため に長期間にわたる習慣的な摂取量を把握しているわけではなく、1日の調査から得られる摂取量 の分布曲線は、習慣的な摂取量の分布曲線に比べて幅がかなり広いため、推定平均必要量未満の 人の割合を過大に評価するおそれがある等の問題もございまして、2日間できれば非連続した2 日間以上の日数にわたって調査を行うことが望ましいという意見が多く出ておりましたが、現行 の調査において調査協力率の低下等の課題が見られていることから、調査日数の変更には慎重な 検討が必要ではないかという御意見もございましたので、このような形の記述に整理をさせてい ただきました。  また、厚生科学研究においても、図21にお示ししておりますが、いわゆる1日調査の結果を基 に習慣的摂取量を推定するための検証方法のようなものがもっと進めば、すべての対象を複数日 にしなくても利用可能な部分があるということも含めて今後、研究での検証が必要という部分に ついて、併せて記述をさせていただきました。  また、35ページの上の部分については、現行食事摂取基準2010年版の中でも幾つかの栄養素に ついては目安量の策定に国民健康・栄養調査のデータが用いられているという現状がございます が、1日調査の結果を活用することの妥当性や方法についても、検証が必要ではないかという部 分について若干、記述をさせていただきました。  (2)国民健康・栄養調査結果におけるエネルギー・栄養素の摂取量の食事摂取基準を適用した評 価方法につきましては、これ以降、検証をしつつ、場合によってはその方法論を研究において検 討しながら食事摂取基準を適用した評価方法がどうあるべきか整理を進めていくことが必要とい うことを書かせていただきました。  また、国民健康・栄養調査においても身体活動レベルの判定というものが含まれておりますが、 この方法の妥当性についても検証を行う必要があるということがまず1点と、特に今般の策定検 討会報告書では、小児の身体活動レベルが3区分になっているけれども、その活動内容例が示さ れていないということがございまして、ここには小児の活動レベルの根拠になった論文から、こ ういった形の活動内容が例示として考えられるのではないかということを参考として記述させて いただきまして、この内容についても今後、検証を行い、修正を行っていくことになるというこ とで整理をさせていただきました。  続きまして36〜37ページにつきましては、前回の骨子(案)の議論のときに教育基盤の整備も 必要ではないかという御指摘をいただきましたので、管理栄養士養成施設で食事摂取基準を体系 的に教えて学んでいくという観点から整理した例ということで、37ページにお示しいたしました。  例えば、現行の国家試験のガイドライン等では、公衆栄養学を中心に食事摂取基準の内容が記 述されているところですが、ここに記述してございますとおり、いろいろな分野、学問でそれぞ れの担当で教授すべき内容がございますので、そういったものをもっと連動して整理していくこ とが必要ではないかということで、36ページに文章も併せて記述させていただいております。  37ページにつきましては、先生方に資料を提供した後、応用栄養学については、ライフステー ジ別の身体状況、必要量、食事摂取状況の特徴ということも必要ではないかということで盛り込 んでおります。  IV章につきましては、以上でございます。  最後「V おわりに」については、先ほど一部を読み上げさせていただきましたが、文章を読 ませていただきます。「これまで、対象者や対象集団のエネルギーや栄養素の摂取量が適切かどう かの判断は、体格や身体症状などを含め総合的な評価のもと、個々の管理栄養士による経験に委 ねられてきた。その判断の確からしさを、科学的根拠に基づき行うことで、より高めていこうと するのが、食事摂取基準である。  国際的に、食事摂取基準の考え方が導入され、その活用方法の議論が進められる一方で、国内 においては、食事改善や給食管理での専門職種としての管理栄養士の役割に期待が高まっている。 食事摂取量の適切さを的確に評価し、望ましい摂取量を提示し、それに基づく計画や実施を図る ことは、健康増進や生活習慣病予防にとって、重要かつ基本的な事項である。  食事摂取基準の活用のためには、理論と実践の両者の質の向上が必要となる。理論の質の向上 のためには、理論を正しく理解し実践した結果に基づき、理論を修正しつつ、その構築を図って いく必要がある。また、実践の質の向上のためには、理論の質の向上が不可欠であり、理論を正 しく理解し実践できるスキルが求められる。  2010年版の食事摂取基準策定検討会報告書において、『活用の基礎理論』を新たに項立てし、記 述したのは、こうした理論と実践の質の向上を目指した第一歩といえる。理論に基づき食事摂取 基準を適用することにより、その方法論としての理論の検証が可能となり、少しずつ具体的な方 法が明確になることで、その確からしさを高めていくことができるのである」。  次の段落は先ほどお読みしましたので、飛ばせさていただきます。  「こうしたことの実現に向けては、なにより実践的研究や教育の基盤整備が進むことが必要で ある。  本検討会報告書は、活用マニュアルの作成をねらいとしたものではなく、現時点で得られてい る情報に基づき活用の基本的考え方やポイントを整理することで、手法や数値の限界を共有し、 今後、そうした課題の解決に向けて、習慣的な摂取量をはじめとした各種データが収集・蓄積さ れることをねらいとしている。食事摂取量の値も、食事摂取基準に示された値も、不確定な要素 が含まれる完璧な値ではないからこそ、それらを用いた判断には、専門職種による判断が必要と なる。この判断の参考として、2010年版の食事摂取基準策定検討会報告書と、食事摂取基準の活 用のための本検討会報告書を役立てていただきたい。そして、次回2015年版の食事摂取基準の策 定までに、専門職種による数多くの活用結果としてのデータが蓄積され、その検証が進むことで、 次回策定時に活用の理論のさらなる充実が図られることを期待している」。  なお、39ページの参考資料につきましては、各図表で引用した場合については下に引用、出典 を示していますが、それ以外で参考にさせていただいたものを整理させていただいております。  以上でございます。 ○中村座長 ありがとうございました。  御意見ございますか。 ○田畑委員 最後の38ページを今、読まれたんですけれども、「不確定な要素が含まれる完璧な 値ではないからこそ」というのは、ちょっと表現がおかくして、多分「不確定な要素が含まれる 値であるからこそ」でいいと思うんです。「完璧」というのは、何かそれならいいと思ってしまう ような言葉が出てきてしまうので、不確定な要素を持っている値が食事摂取基準だということだ と思うんですけれども。 ○中村座長 そのように直していいでしょうか。「不確定な要素が含まれる値であるからこそ」と。  今日が最後になりますから、これからの思いも含めて発言していただければありがたいと思い ます。 ○吉池委員 36〜37ページに、教育のことをしっかり整理していただいて大変嬉しく思っていま す。  図22も大変よく整理されていると思います。本文で「知識の習得」というのが2つほど出てく るんですが、座学の知識だけではなくて、実践・応用につながるものと考えておりますので、例 えば36ページ最後で「各分野横断型での講義・演習・実習を通じて、知識やスキルの習得」とし ていただくと、さまざまな実習などでこれを使ってどう展開するかという教育につながると思い ますので、追加を検討していただけたらと思います。 ○中村座長 吉池先生、教育機関に入っていらっしゃると思うんですが、37ページのこの表はい かがですか。 ○吉池委員 いろいろ学校の教員の事情もあるかと思うのですが、一つの形としてはとてもわか りやすい、つながりやすいのではないかと思います。座学だけではなくて演習、更に隣地実習と つながるとよいなと思っています。 ○中村座長 ありがとうございました。ほかにございますか。  できましたら、お一人ずつ総括的な御意見もいただきたいんですが、山本先生いかがですか。 ○山本委員 さっきたくさんしゃべったので、最後にしてください。 ○中村座長 では、由田委員、いかがですか。 ○由田委員 36ページの中ほどの辺ですが、「今後は、管理栄養士等の養成課程や卒後教育」とい うことで、卒後教育のことはこの部分にしか示されていません。勿論、養成施設の教育は大事な んですけれども、現場に出ている人の教育はもっと重要で、そこが今一番ネックになっていると 思います。できればこの部分は改行して、もう少し卒後教育もしくは現場に出ている栄養士に対 する積極的な対応が求められるぐらい追加して示して頂いてもよいのではないかと思いました。 ○中村座長 ありがとうございました。  石田先生、いかがですか。 ○石田委員 私ももう発言したので、特にございません。 ○中村座長 では、佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 2015年に向けてどうしていくべきかという基本方針が多分、この報告書の役割だ ろうと思っています。そのために最も重要なことは、信頼できるデータが余りに乏しい。それが ために現場が動けなくなっている。信頼できるデータをどのようにつくるか。それはもらうかで はなく、つくるかというところを国レベル、地方レベル、そして、研究者レベル、現場レベルが 真摯に考えるべきときであると。結論を急がずに、自分たちで協力してつくり上げる。そういう 方向性こそが、食事摂取基準を現実に使えるものにしていく唯一の方法であり、最も効率的な方 法であるということを理解していただきたいなと、この報告書を読み返して感じていました。そ うすることによって、2015年版は徐々に実際に信頼して使えるもの、使って効果の上がるものに 育っていくだろうと期待しています。 ○中村座長 ありがとうございました。  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員 先ほども意見を述べさせていただきましたが、やはり現場で食事摂取基準を活用す る中では、こういうときどうすればいいんだろうということがございます。そのときにさまざま なお立場の栄養士や先生に御相談させていただくと、違った答えが返ってくるというケースも 多々ございまして、現場の栄養士が最終的にこの食事摂取基準を用いて判断していかなければな らないという考え方は非常によく理解できますが、ある意味でベースとなるところで、もう少し 共通の土台が現場レベルで示されるともっと活用が進む、更に次のステップへ進むことができる のではないかということを感じております。そしてまた、このような食事摂取基準を現場で活用 する側としては、これを活用した結果がどうだというエビデンスを社会に示していくような仕事 も、もっとしていかなければならないんだなということを今、感じております。 ○中村座長 ありがとうございました。  伊達先生、いかがでしょうか。 ○伊達委員 管理栄養士の養成に携わっている者としては、この報告書はすごく学生にとって役 立つものになると思います。といいますのは、教科書自体で、答えはこれ1つだというようなも のではなくて、やはりその場その場に合わせて状況を把握して、自分の力で考えてしていかなけ ればならないということが根底に書かれておりますので、こういう教育をしながらいろいろな場 で考えていける学生をつくるには、この食事摂取基準というのは非常によい教材になると思って 喜んでおります。ですから、答えは1つではない、例えば、食事調査にしても何日したらいいん だというのは、それぞれの状況に合わせてしなければならないけれども、例えば、2日した、3 日した、5日したということだったら、それぞれにどのような状態が把握できているかというこ とを自分で考えて、そして、それに基づいて対策がとれるというような思考ができるような学生 を育てたいと考えております。ですから、これは非常に役立つと思って喜んでおります。 ○中村座長 どうもありがとうございました。  田中調査官、オブザーバーとして何か御意見ございますか。 ○田中学校給食調査官(文部科学省) 今回、2010年版に合わせて初めて学校給食摂取基準を同 時期にスタートできるようにということで現在検討を進めております。やはり国としての基準を つくるに当たってもさまざまな問題点があります。示されていない数値もありますし、先ほどの 活動量の問題とか、それから、評価をどのようにしようかとか、さまざま悩んでおります。文部 科学省が基準を示したらば、きっと現場の栄養士たちもこのように悩んでいくんだろうなと。悩 む過程で栄養士、管理栄養士としてのレベルが着実に上がっていくのだろうなということを感じ ながら、現在ここにいらっしゃる先生方の力をかりながら基準をつくっています。まさしく栄養 士・管理栄養士のレベルを高めていくという意味では、この食事摂取基準はとても有効だと考え ていますので、できるだけ多くの方がそういうことを理解して使っていただけたらと思っていま す。 ○中村座長 ありがとうございました。  山本先生、忘れてました。 ○山本委員 38ページの最後のパラグラフで「本検討会報告書は、活用のマニュアルの作成をね らいとしたものではない」と書かれています。マニュアルではなくて、もうちょっと基本的な考 え方であるということで、そのとおりだと思うんだけれども、やはり現場としては最終的にはマ ニュアルが欲しいので、マニュアルは全然無関係だというような表現にとられないかなと心配で す。これをベースにして、だんだんマニュアルみたいなものをしっかりとつくっていくんだと書 かれた方が、方向性がよく見えるかなと思ったんですけれども。 ○中村座長 ありがとうございます。いいでしょうか。そういう軟らかい表現にした方がいいと いう。  田畑先生、いかがですか。 ○田畑委員 特にありません。 ○中村座長 時間がほぼ定刻になりましたので、これで検討会は終了させていただきます。まだ 100%ではなくて、本日御意見をいただきました修正部分に関しましては、事務局と相談しながら 再度修正を取りまとめまして、先生方にもう一度確認させていただきたいと思っております。  ただ、時間がないので、確認が行きましたら数日間、数時間の間に見ていただきまして、対応 のほどよろしくお願いしたいと思います。  それでは、事務局から今後の取扱いも含めて一言よろしくお願いいたします。 ○木村室長 本日、委員の皆様方におかれましては、今回で3回目の検討会ということでござい ますけれども、昨年7月からスタートして以来3回にわたって貴重な御意見を賜りました。私は 遅れてきて本当に申し訳なかったのでございますけれども、私が来た少しの時間でも、こんなに たくさんの貴重な御意見を賜ることができました。これをもちまして報告書を取りまとめるとい う段取りをさせていただきたいと思いますけれども、ただいま座長からも御案内がございました ように、今、先生方からいただきました意見をもう一度、修正を加えるところは加えさせていた だきまして、座長とも御相談申し上げまして、今週中には委員の方々にもう一度御確認をいただ きまして、そして、今月下旬ぐらいをめどにして報告書を公表させていただきたいと考えている ところでございます。  また、これまでも議論がございましたが、食事バランスガイドの件につきましても、見直しの 必要性も出てまいりましたので、これらにつきましては農水省さんとも意見調整をさせていただ きまして、その上で今月末を目途に内容を公表させていただきたいと考えているところでござい ます。  また、今後のこの報告書の活用でございますけれども、早速、今月26日に全国栄養士養成施設 協会主催の研修会が開催される予定になってございまして、ここにおきまして管理栄養士養成校 の教員の皆様方を対象に、この報告書についても御説明を申し上げさせていただきたいなと思っ ているところでございます。  また、最後に、先ほど田中調査官からもお話がございましたけれども、給食管理の活用という ことで学校給食摂取基準の改定作業を、この2010年版の私どもの直接基準に合わせてスタートす るという御案内がございました。こういうことで文科省とも連携を深めて対応していきたいと思 います。  いずれにしましても、中村座長を初め委員の皆様方には大変お世話になりました。今後とも私 どもの活用の推進に引き続き御鞭撻願えますよう、心よりお願い申し上げまして、最後に当たり ましての事務局のごあいさつに代えさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○中村座長 どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省健康局総務課 生活習慣病対策室(2343)