10/03/04 第58回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第58回) 開催日時:平成22年3月4日(木) 14:59〜18:56 開催場所:専用第21会議室 出席者:井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、寺山委員、小畑委員、本寺委員、中村委員 ○井原部会長  定刻になりましたので、第58回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。委員 の皆さんにおかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は、今 村委員、川端委員、宮本委員、松田委員がご欠席です。また、堺委員が遅れて出席となります。また 本寺委員からちょっと遅れるという連絡が入っています。事務局から今日の議事を説明してください。 ○政策評価官室長補佐  それでは本日の議題についてご説明いたします。初めに勤労者退職金共済機構関係として、平成21 年度以降の業務実績評価を行う上での評価の視点の変更について、役員の退職に係る業績勘案率の算 定について、役員報酬規程の変更について、ご審議いただきます。  2点目として、労働者健康福祉機構関係ですが、こちらは評価の視点の変更についてご審議いただき ます。  3点目として、高齢・障害者雇用支援機構関係ですが、中期目標、中期計画の変更について、評価の 視点の変更について、役員の退職に係る業績勘案率の算定について、役員給与規程の変更についてで す。  続きまして、労働政策研究・研修機構関係です。評価の視点の変更、役員の退職に係る業績勘案率 の算定について、役員報酬規程の変更についてです。  最後ですが、雇用・能力開発機構ですが、重要な財産の処分がございまして、国際能力開発支援セ ンターの処分についてご審議いただきます。これは2月10日の労働部会においてご指摘いただいたこ とを踏まえて、再度の審議となっています。それから、業務方法書の変更について、評価の視点の変 更について、平成21年度長期借入金及び債券発行の実績報告並びに第4四半期長期借入金及び債券発 行の計画及び償還計画について、平成22年度長期借入金計画、債券発行計画及び償還計画について、 役員給与規程の変更について、以上、大量ですがご審議いただきたいと思います。  今回の議題で、評価の視点の変更の話を何度も申し上げましたが、皆様のご記憶を確認していただ くために、参考資料1をご覧ください。前回の部会のときにも部会長からご紹介いただいて、私からも 説明申し上げましたが、参考資料の1-1がお手元にありますでしょうか。おさらいですが、これは井原 委員長名で出させていただいた通知ですが、昨年末に長妻厚労大臣も評価委員会の総会に出席されま して、厳正な評価をしていただきたいという要請をしました。また、総会の場でも独法の評価をより 国民の皆様にわかりやすく伝えていくために、アウトカム指標などの数値目標の設定をしたほうが良 いなどの話がありましたので、それを受けて出した委員長通知です。  この通知の中で、大臣からも要請のあった点について、厳正に評価をすることを法人に伝えるとと もに、アウトカム指標の設定や自己評価欄の記述を充実させてほしいという依頼を行ったものです。 今回の評価の視点の変更は、こちらの通知を受けまして、事務局と法人で相談をいたしまして、例え ば、新たにこういう数値目標を設定できないか、評価の視点をより具体的にできないかということで、 案を作りましたので、こちらについて皆様にご審議いただくことになっています。  参考資料2-2に、委員長通知を受けまして、事務局のほうで評価の視点に書き込んだらどうかという 案を作り、各法人にはこちらをお示しして、法人の独自の事情などもありますので、表現を参考にし ながら、各法人の評価の視点に書き込んでいくという形になっています。私のほうからは以上です。 ○井原部会長  それでは議事に入ります。樋爪理事長がお見えになっておりますので、一言ご挨拶をお願いします。 ○勤労者退職金共済機構理事長  理事長の樋爪です。ご審議をいただくに当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。私どもの機構 は、ご存じのとおり、中小企業の従業員に向けた退職金共済事業を運営しているわけですが、昨年秋 のいわゆる事業仕分けによりまして、一般会計からの運営費交付金が廃止になるといったようなこと で、大変厳しい運営環境を迎えております。こうした状況ではありますが、与えられた役割、使命の 重要性にかんがみまして、私ども役職員一同、これまでどおり全力をもって業務に当たってまいりた いと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。本日は議事次第にあります3つの案件について、 ご審議をいただくということですので、よろしくお願いします。 ○井原部会長  ありがとうございました。最初の議題は「業務実績評価を行う上での評価の視点の変更について」 です。まず事務局から詳細な説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐   お手元の資料1-1をご覧ください。この評価シートをめくりながら説明させていただきます。2頁で す。こちらは勤退機構の評価項目1「効率的な業務実施体制の確立」ですが、先ほどご紹介した委員長 通知を受ける形で、評価の視点のいちばん最後に1点追加をしていただいています。「国民のニーズと ずれている事務・事業や、費用に対する効果が小さく継続する必要性の乏しい事務・事業がないか等 の検証を行い、その結果に基づき、見直しを図っているか」という視点を追加しています。  続いて追加をいたしましたのが、6頁の評価項目4の「一般管理費及び退職金共済事業経費、人件費 の節減」の項目です。数値目標に「一般管理費及び退職金共済事業経費については」というような注 釈を追加していますが、数値目標の明確化を行ったものです。そのほか、評価の視点に、冗費の点検、 諸手当の検証、法定外福利費の支出云々とありますが、こちらも他法人と同じようなものですが、委 員長通知を受けて、いくつか追加をしています。  10頁は、数値目標を従来から設定していますので、参考までにご説明しますが、評価項目6ですが、 これまでと同様の数値目標を維持しています。  さらに14頁の評価項目の7です。「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」のと ころですが、こちらも数値目標の内容は現行どおりですが、表現を明確化いたしまして、「共済証紙 の販売額の累計と貼付確認額の累計の差額を」というのを追加しています。  続きまして16頁です。「業務処理の簡素化・迅速化」のところですが、これまでも数値目標を置い ており、継続する形で数値目標としています。評価の視点に「職員等の提案を受けながら、業務改善 の取組を適切に講じているか」というものを追加しています。こちらも委員長通知を受けまして、大 臣からの申し出により「業務改善に当たって職員の声を聞く」などの例示を盛り込んだものです。  17頁の評価項目9「情報提供の充実等」のところです。こちらは新たな数値目標を設定しています。 「第一期中期目標期間の最終年度(19年度)と比べてホームページアクセス件数が10%以上増加して いるか」という数値目標を立てています。また、評価の視点にも「共済契約者等からの要望・苦情に 対して、分析対応など業務改善の取組を適切に講じているか」というのを追加しています。  続きまして25頁です。評価項目の11「加入促進対策の効果的実施」のところです。数値目標はその ままですが、目標の明確化をいたしまして、「新たに加入する被共済者目標数」を付け加えさせてい ただいています。  26頁です。こちらは累損解消計画についての目標を設定しています。「累損解消計画の年度ごとの 解消目安額中退180億円、林退9,200万円を達成しているか」という数値目標を追加しています。  28頁です。こちらも新たな数値目標を追加しています。評価項目の13の「健全な資産運用等」のと ころですが、「各事業本部の委託運用について概ねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成 されたか」というのを目標として追加しています。駆け足でしたが、評価の視点の変更については以 上です。 ○井原部会長  ただいまの説明に対しまして、ご質問等はありますか。 ○篠原部会長代理  この新たな視点は、今年の3月期において利用されるかということと。 ○政策評価官室長補佐  今年度の夏の評価のときに使うものですので、平成21年度の評価にもちろん使いますが、法人と事 務局の間では、当然、22年度以降もこういう視点で継続性をもって評価をしていきますので、そうい うつもりでいていただきたいという話をしています。目標として掲げたものについて、例えば極力年 度計画などに盛り込んでいただいて、達成する方向で頑張っていただきたいというお話をお伝えして あります。 ○篠原部会長代理  数値目標が入ったのですが、大変な作業になるかと思うのです。前の年、いわゆる当期だけだとな かなかわからない場合があるので、前年ぐらいはという感じもあるのですが、その辺は考えているの ですか。 ○政策評価官室長補佐   前年ぐらいはというのは。 ○篠原部会長代理  2期出してもらいたい。当期とその前ぐらい。 ○政策評価官室長補佐   比較する数値としてということですか。前年度の実績、例えばここでいきますと、20年度の実績や 19年度の実績を踏まえて目標設定をしていただいていますので、いままでもそうだと思うのですが、 評価シートの中には、実績として各年度の推移が出てきまして、それも踏まえた上で、目標として設 定したものを達成しているかどうかを見ていただいて、これはあくまでも評価をする上での部会とし ての指標の1つですので、仮に達成していたとしても、別の要因があるのではないかということであれ ば、そういう評価をしていただきたいと思いますし、達成していなかったとしても、また別の要因が あるのではないかということであれば、当然それも加味して評価をしていただきたいので、あくまで も評価をするときの1つの道筋として決めるものです。この場では目印として考えるにしても、これは あまりにも不適切ではないかとか、逆に勤退機構ではなくて、すべての法人についてですが、例えば もっとここは数値目標にしておいたほうが、国民に大手を振って、成果をアピールできるのではない かとか、そういうことがありましたら言っていただけたらと思います。 ○井原部会長  とにかくわかりやすい数値を並べてほしいわけですね。 ○篠原部会長代理  そうですね。 ○井原部会長  何かございますでしょうか。よろしいですか。評価の視点等の変更につきましては、当部会として は了承ということでよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○井原部会長  法人は夏の評価に向けて準備を進めていただきたいと思います。次に役員の退職に係る業績勘案率 についての審議に入ります。まず事務局から説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  勤労者退職金共済機構の理事長から、独立行政法人評価委員会委員長あてに、役員の退職に係る業 績勘案率の算定について依頼がございました。独立行政法人の役員の退職金につきましては、平成15 年12月19日に閣議決定が出ておりまして、そちらによりまして、在職期間に応じて算出した額に0.0 から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とすることと決まっていますので、この場で業績勘 案率を決定いただきたいということです。  進め方ですが、まず事務局において、当評価委員会が定めております、独立行政法人の役員退職金 に係る業績勘案率の決定方法についてというのがありますので、そちらに基づいて業績勘案率を試算 しております。これは後ほど私のほうからご説明いたします。その試算結果に基づきまして、皆さん でご審議いただけたらと思います。今回決定した数値につきましては、その後、総務省の政策評価・ 独立行政法人評価委員会に通知いたします。  総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会のほうから、これでは低過ぎる、高過ぎるとか、仮に 意見がありましたら、厚生労働省の独立行政法人評価委員会、親会議のほうになりますが、こちらで 改めてご審議いただきまして、もう一度決定をするという手順になっています。なお、もし総務省の 委員会から意見がない場合には、部会長にご報告をいたしまして、最終決定いただくという流れとな っています。訂正です。もし総務省の評価委員会のほうから文句が付いた場合には、親会議ではなく て、またこの場でもう一度ご審議いただきます。失礼いたしました。  資料1-2に沿って説明させていただきます。今回申請がありましたのが、蝦名好直さんでございまし て、独立行政法人の勤労者退職金共済機構で監事をされておりました。在職期間は平成19年10月1日 から平成21年9月30日となっております。業績勘案率の算定ですが、先ほどご紹介したように、委員 会として定めている方法に基づいて算出しています。そのやり方ですが、(1)に書いてありますが、在 職期間のうち法人の年度評価が実施された期間については、その年度評価を基に算出することにして います。  資料1-2の後ろの別添1を見ていただきます。蝦名さんが在籍されていた平成19年度と20年度につ いては、業績評価が確定しておりますが、各評価項目ごとにSABCDを付けて数値化しております。Sは 2.0、Aは1.5、Bは1.0、Cは0.5、Dgは0.0という形で数値化をいたしまして、その平均をそれぞれ の年度ごとに出しております。そうしますと、平成19年は1.31、平成20年度は1.19となっています。 幅を持ちます1.19と1.31をそれぞれXYZというような分類に分けるのですが、XYZが平均値が1.5か ら2.0の場合はX、0.51から1.49の場合はY、0.00から0.50の場合はZという3分類に分けることに しておりまして、勤退機構の場合は平成19年、平成20年度は、ちょうど真ん中のY分類に当たります。 Y分類に当たる場合は、さらにそれを1.0という数値として置き換えるという計算をすることとしてお ります。これが委員会で定められている計算の仕方です。  この数値と、年度評価が確定していないものについては、実際在籍された間の業績を見比べて率を 出すことにしているのですが、これが(2)でございまして、蝦名さんの場合は平成21年4月から9月ま での間について、年度評価が未実施でございますが、当該期間の実績を別添2として付けていますが、 別添2と平成20年度の実績を比較考量いたしますと、ほぼ同水準とみなすことが適当と考えておりま す。そうしますと、平均値の分類としては同じくYになりまして、Yに対応する率としては1.0と考え ております。  以上の(1)と(2)の計算を基に、計算式を(3)に立てています。平成19年度の1.0、平成19年度につ いては6カ月在籍されていましたので、×6です。平成20年度の1.0、この期間は1年いらっしゃいま したので、×12、平成21年度の半年分ということで、1.0×6とし、足した数を全体の24カ月で割り ますと、1.0という数が出てきます。この1.0をさらに増減させる場合には、評価委員会を通して定め ているルールによりますと、目的積立金を積んでいるかどうかをまず見ることになっておりますが、 機構は目的積立金を積んではおりません。また、退職役員の方に関しまして、機構のほうから申し出 があるかということも、考量要素の1つですが、勤退機構からの申請は特にないとなっておりますので、 以上を踏まえて試算の結果は1.0とさせていただいております。  なお、ご審議に先立ちまして、お手元に非公開資料としまして、退職金の見込み額を入れたものを 配付させていただいていますが、こちらは個人情報にかかわりますので、金額をご発言することはお 控えいただければと思います。また、個人情報に関するものですので、本日、議事は公開としており ますが、傍聴されている方には、非公開資料はお配りしておりません。以上です。 ○井原部会長  続きまして、退職役員につきまして、在任期間中の監事の担当業務等を法人から簡単に説明してい ただきます。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  蝦名前監事ですが、昭和43年に当機構の前身の中小企業退職金共済事業団に採用されて以来、当機 構で業務をいただいてきましたが、平成19年10月に勤労者退職金共済機構の監事に就任しております。 そして2年間の任期満了に伴いまして、平成21年9月に退任しております。職務内容ですが、他の法 人と同様に、当機構の業務を監査し、その結果に基づき、必要があると認められたときは理事長また は厚生労働大臣に議案を提出するということで、19年10月から21年9月30日までの任期期間中、業 務の的確な実施、特に契約の適正化にかかる監査等に尽力いただいたところです。以上です。 ○井原部会長  ただいまの説明に関しまして、ご質問はありますか。 ○篠原部会長代理  いまの説明で、私も賛成で、退職金の金額を見ると、よく言われる渡りとか何とかいう、この程度 なら2年間やったらという感じもします。いまごろになって質問というのは変なのですが、10年かか わっていて、これを聞いていてハッと感じたのですが、この評価は実績で評価していますよね。いま 言われたように監事の仕事は全然別なのです。政・独委にも言ってもらいたいのですが、監事の評価 は別だろうという気がするのです。理事長と監事は大臣任命で全然役職が違う目的でやっていると思 うので、これは参考になるとは思うのですが。というのは最近、規約監視委員会とかで、監事の働き を私なりに考えているものですから、ちょっと違うと。これはいまの問題ではなくて、制度として考 えないといけない。 ○政策評価官室長補佐  ご指摘、なるほどと思いましたので、我々のほうでも、他省庁はどうなっているのかなど、検討を いたしまして、もしかしたら、我々のほうの算定方式を変える必要があるのかもしれませんし、制度 全体として考えなければいけないかもしれません。ちょっと研究をしてみたいと思います。ご指摘あ りがとうございます。 ○井原部会長  そのほかに何かございますか。そうしますと、いまの篠原委員の追加のご意見を一緒に総務省の政 策評価・独立行政法人評価委員会のほうに伝えまして、意見を確かめたいと思います。政・独委から 意見がない旨、当委員会に通知された、意見がないということは、この評価についてですが、いまの ご意見はまた別なのですが、1.0を当委員会として、勤労者退職金共済機構理事長に提出するという手 続きをしたいと思います。よろしいですか。 (各委員了承) ○井原部会長  それではそのようにいたします。勤労者退職共済機構の議事はここまでとします。事務局の入れ替 えをいたしますので、しばらくお待ちください。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長  それでは労働者健康福祉機構の議事に入ります。伊藤理事長がお見えでございますので、一言ご挨 拶をお願いしたいと思います。 ○労働者健康福祉機構理事長  労働者健康福祉機構の理事長を務めている伊藤です。よろしくお願い申し上げます。委員の皆様方 には、日ごろからいろいろとご示唆、ご意見を賜りまして、私どもの業務に活かしてきております。 改めて御礼を申し上げたいと存じます。目下、経済情勢も大変厳しいのですが、働く人たちの健康を めぐる環境も大変厳しいものがございまして、労災病院事業の運営、あるいは産業保健推進センター を通じて、こうした方々を懸命に支えていこうと努力をしておりますが、やはり、こうした業務を効 率的に進めることが、目下の限られた資源の中では大変重要でございまして、今日ご審議をいただく 評価の視点につきましても、これから十分念頭に置いて対応していきたいと考えております。  例えば労災病院の事業について見ますと、今は国からの診療活動、機器整備及び建物の建替え等に 係る資金は一切入っていない形になっておりますが、第1期の中期目標期間を振り返っても、大体医業 活動には支出を伴いますが出てくる収支差から機器整備等へ回して、残りの大体30億円とか40億円を 将来の大規模投資に向けて積み立てているという形がとれてきております。今後ともそうした形でこ れからの医療に応えていくための必要な投資をし、医療の質を高めていくことは大変大事かと思って おりますので、今後とも評価の視点も十分踏まえて、努力していきたいと思っております。  そういう中で、1点だけご理解、お願いがございます。今回の評価の視点で出てきます給与の適正化、 あるいは事業における冗費を点検し、その節減等々は努力していきますが、その中に国の方針に基づ く総人件費改革の項目があります。国家公務員の給与等に合わせるのかどうかわかりませんが、平成 17年度以降5%の総人件費の削減を求められているところです。しかし、医療というものを提供する独 立行政法人にありましては大変な問題でございます。と申しますのは、やはり医療機関は医師がいて 何ぼというところがありますし、特に医療が高度専門化していく過程では、むしろ医療安全のために も医師の増員は避けられません。  また看護師についても同様で、目下診療報酬上の評価も、手厚い看護をして医療の安全を図ってい くところに評価が高いわけです。とりわけ私どもが展開する労災病院のような急性期医療を担う部門 におきましては、看護体系が7対1というのが流れで、これを維持していくためには毎年40人、50人、 病院によっては100人近い増員をしなければならないわけです。これもみな医療の安全を図るためであ り、これができなければ診療報酬上の評価も下がり、経営も悪化させるということにつながっていく わけです。  こうした観点から行う増員につきましては、総人件費改革の枠外として考えていかないと、医療そ のものが成り立たなくなります。また病院関係者の私どもとしても、やはり良心に照らして、そこを 削減して医療の安全を損ない、経営を悪化させてまで総人件費を減らしていく訳にはいかないことが 事実です。その辺につきましては是非ご理解をいただきながら、評価をお願いできればと願っており ます。大変僭越でございますが、そんなことをお願い申し上げまして挨拶に代えさせていただきます。 よろしくお願い申し上げます。 ○井原部会長  それでは労働者健康福祉機構についての議題は、「業務実績評価を行う上での評価の視点の変更に ついて」です。まず事務局から詳細を説明してください。 ○政策評価官室長補佐  それでは労働者健康福祉機構の評価の視点、数値目標の変更案について、事務局として考えている 案をご説明申し上げます。なお労働者健康福祉機構につきましては、この夏の評価が第2期中期目標期 間の初年度の評価となります。そのため第1期中期目標期間中に定めていた評価の視点について、第2 期中期目標期間においても妥当なものであるか否か、という観点から全面的に見直しをしております。  また労働者健康福祉機構につきましては、中期目標・中期計画に数値目標を多く設定しているもの がありますので、これらの数値目標を評価の視点としても設定をする形をしております。  概要を先にご説明したいと思います。資料2-1の縦の資料をご覧ください。評価の視点等(案)の位 置づけは、先ほどの勤退のときにも申し上げましたが、第2期中期目標期間の労働者健康福祉機構の業 務の実績を評価するための指標ですので、この夏の部会の審議の際に検討するに当たっての目印、目 安としてよいのかどうかという視点でご議論をいただければと思います。  主な改正の内容は、第2期中期目標・中期計画で定める事項ごとに評価項目1〜16を設定しておりま す。別紙の1〜16は次のような形にしております。評価項目ごとに第2期中期目標・中期計画に対応し た数値目標や評価の視点の改正を行っております。その際に政・独委から示されている評価の視点、 平成21年3月30日に示されたのが直近ですが、こちらの視点とか、冒頭でご紹介した評価委員長の通 知「平成21年事業年度以降における業務の実績評価について(要請等)」という通知を踏まえた改正 を行っているところです。  改正のポイントです。数値目標につきましては、先ほども申し上げましたとおり、中期目標・中期 計画で定めた目標値に合わせてあります。また「委員長通知」のほうでアウトカム指標の設定をお願 いしておりますので、それを受けた形にもなっております。  評価の視点については、第2期中期目標・中期計画で定めた業績の達成水準に対応した評価の視点を 設定しております。また先ほど紹介した「政・独委評価の視点」に対応したものを、評価項目では13 〜15になりますが、業務運営の効率化や予算、短期借入金の話のところに組み込んでおります。また 「委員長通知」で示している評価の視点、大臣から厳正に評価をするようにというお願いがありまし たが、こちらについては1番、13番、16番に盛り込んでおります。  評価シートをご覧いただきながらご説明したいと思います。資料2-2をご覧ください。大量になりま すので、3回に分けて説明を一旦切らせていただきます。評価項目1についてご説明いたします。2頁 目、評価項目1は「業績評価の実施等」です。国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上 に関する機構としての取組については、評価項目としては2〜12までのところで、個別の業務ごとに各 々設定しております。共通する部分として評価項目1では、外部有識者による業績評価の実施と事業実 績の公表を通して、国民の声を聞く取組や、不断の事務・事業を見直す観点を設定しております。具 体的な評価の視点については、これまでもありました2点を残して1点を追加しており、いちばん最後 の点です。国民のニーズとずれている事務・事業がないかどうかといった点で、これは委員長通知を 受けて、追加しております。  評価項目2については6頁目です。こちらは「労災疾病等に係る研究・開発」に関するものです。数 値目標につきましては中期計画に基づき設定しております。評価の視点では、これまでのところを継 続している部分と、また追加をしているところがあります。シートの説明が欠けておりましたが、こ のシートのいちばん左のほうに現行である第1期の評価の視点を示しております。真ん中に今回の改正 案です。第1期のほうでは、例えば勤労者医療総合センターの組織体制の構築についての評価の視点を 入れておりますが、これは構築済みですので、削除しております。それ以外に追加をしているところ は、6頁目の下から2点です。研究体制の集約化がなされているか。または連携体制が構築されている かという点を入れております。  大量になりますので、かいつまみながら進めさせていただきます。続いて評価項目3については12 頁目です。こちらは勤労者医療の中核的役割ということで、「高度・専門的医療の提供」について定 めているものです。ここでは数値目標の設定の充実という観点から、職員の資質の向上を評価する指 標として、職員研修の有益度を設定しております。この目標値の設定については、第1期中期目標期間 の実績を踏まえて設定しております。  一方、救急搬送患者の受入れ及び救急救命士の病院研修の受入れ等につきましては、第1期中期目標 期間中で数値目標等はすでに達成しておりますので、第2期においては勤労者医療を継続的、安定的に 支えるための基盤として、4疾病5事業等の診療機能の充実をより図っていこうとされておりますので、 この関係で救急搬送患者の受入れ及び救急救命士の研修の受入れ等に関する目標を削除しております。  追加をしている点としては、12頁の真ん中辺りです。メディカルソーシャルワーカー等の活用の関 係などの追加をしております。13頁の下のほうには、医療情報のIT化や災害対策医療チームの危機管 理マニュアルが整備されているかという点を追加しております。  16頁の評価項目4については、「過労死予防等の推進」です。こちらも数値目標につきましては、 中期目標に基づいた設定としております。評価の視点については、新たに何点か追加しております。 これは第2期中期計画で定めたメンタルヘルス不調者への職場復帰支援体制の整備及び産業医活動に必 要な臨床医学的素養の維持、向上のための育成支援体制の整備、構築に関するものを追加しておりま す。  19頁の評価項目5については、「勤労者医療の地域支援」に関するところです。こちらも数値目標 については、中期目標・中期計画に基づき設定をしております。評価の視点につきましても、第1期か ら引続き同様の視点の設定としております。一部文章が直っているのは、より具体的なものにしてあ るところです。19頁、20頁が評価項目5の関係です。  22頁の評価項目6については、「行政機関等への貢献」に関する項目です。ここでは数値目標を設 定しておりませんが、視点を追加しております。新たに追加した視点としては、第2期の中期計画で定 めているとおり、医学的知見については、政策立案等との連携を深めるために、速やかに行政機関に 提供をしているかという視点を追加しております。またアスベスト関連疾患については、今後は増加 が予想されておりますので、こちらへの対応として、アスベスト関連疾患診断技術研修会を開催した かを追加しております。ここで一旦説明を区切らせていただきます。 ○井原部会長  ここまでのところで何かご質問等がありましたらお願いいたします。 ○篠原部会長代理  我々が実績評価をやってきて、世の中でいろいろと批判されるのとはちょっと違うよなという感覚 を実はしているのです。今回、新たな視点を見ると、従来の実績評価から拡大したなと。1つは公的病 院として期待される果たすべき機能があるではないですか。そこまで進んできているなという気がし て、これはいま独法の改革を言われているのですが、おそらくここまで果たさなければ駄目なのかな という気もしているのです。この視点を見ると、我々としてはしんどいというか、時間をかけなけれ ばならない部分もあって、その辺の配慮は今後はしていただけるのか。 ○政策評価官室長補佐  それは委員の先生方が評価をする際に、十分な時間が必要だなということですよね。 ○篠原部会長代理  はい。 ○政策評価官室長補佐  それについては当然法人のほうでもこの評価の視点に基づきまして、ちゃんと資料を作っていただ くとともに、去年の夏は非常にタイトなスケジュールで部会を組んでいたと思うのですが、今年は極 力もう少しゆとりのある日程にできないかと評価官室でも考えておりますので、日程の組み方や資料 の事前配付はいまも心掛けておりますが、なかなかうまくいかないこともありますので、この辺を配 慮させていただいて、時間をきっちり取っていきたいと思っております。私はいまはそう思っており ますが、夏の部会の場で時間が足りないことがありましたら、その場でいつでもおっしゃっていただ いて、予備日を各部会で設けておりますので、こちらを活用するとか、書面で意見を聞く機会を設け るとか、いろいろなやり方を工夫させていただきたいと思います。 ○井原部会長  そのほかにありますか。 ○寺山委員  12頁の真ん中より少し下に、「中期目標期間中に研究成果に基づきガイドラインが作成されたか」 というのは、何のガイドラインを期待したらいいのでしょうか。中身について教えていただきたいこ とが1点です。  16頁の上から3分の1ぐらいのところに「利用者の満足度調査を実施し、80%以上を得ること」と 右側に書いてありますが、左側では「70%」ということで、これは数値目標を上げたわけですか。こ の理由を2つお願いします。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  12頁の「中期目標期間中に研究成果に基づきガイドラインが作成されたか」というご質問だったと 思うのですが、このガイドラインは職場復帰両立支援分野の第2期の計画において、ガイドラインを作 成することにしておりますので、最終的には研究成果に基づきガイドラインを作成する計画で、両立 支援のガイドラインということです。 ○寺山委員  職場復帰に関する研究のガイドラインですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  職場復帰両立支援です。 ○寺山委員  それは一般市民向け、それとも専門職向けですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  疾病の治療と職業生活の両立支援を図るということで、医療スタッフ向けのガイドラインです。 ○寺山委員  ありがとうございました。利用者の満足度が70%から80%になったというのは結構なことです。 ○労働者健康福祉機構総務部長   16頁の利用者の満足度については、直近の値ですでに80%を超えていたりもしております。そうい うことで、第1期の目標の70%から嵩上げをしたということです。 ○寺山委員  直近がもうすでに80%を超えているので、これは自信を持っていけるだろうと。 ○労働者健康福祉機構総務部長  そこを発射台として頑張っていこうといった目標です。 ○中村委員  ご質問させていただきたいのですが、13頁の真ん中ぐらいに「患者参加型の医療安全が推進されて いるか」の「医療安全」ということは、私たちが評価するに当たって、もう少しわかりやすいものが 出てくるのでしょうか。医療安全というのは何を言っているのかということです。参加型の医療安全 が推進されているか。具体的にこれはどういうことを言っているのですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  毎年11月の第3週に医療安全週間というのを、労災病院を含め、全国の医療機関で実施しておりま す。一般的には、医療スタッフ、医師、看護師、コメディカル、その他諸々の人が医療安全に関する 意識を高めるということで、いろいろなチェックをしたりするのですが、その中で患者様や地域の住 民の方を呼んで講演会を開催したり、あるいは一緒に巻き込む形で患者様の安全を守るための医療関 係者の共同行動の一環で行っております。 ○中村委員  それは月間とか週間があるということですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  医療安全週間があります。 ○中村委員  具体的な内容は、例えば前年度は何カ所でどういうことを実施して、今年度はこうしているという ことが実績として出てくるのですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  具体的な内容を説明します。 ○中村委員  その次は下のところですが、「さわやか患者サービス委員会」という言葉がありますが、これはど ういったメンバーで構成されていて、この方々が満足度調査の結果の改善活動を推進していくという ことですが、この人たちの職務権限といいますか、改善活動に対してこの委員会が持っている権限と いうのはどの程度のものがあるのですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  さわやかサービス委員会というのは、各病院にある委員会の1つであり、これは院長の諮問機関とな っております。これは病院によって若干違うのですが、構成としては医師、看護師、コメディカル、 事務職、その他諸々で委員会を成し、企画、立案をしたものを返すとか、あるいは患者様からの投書 箱等を見て、例えば提案、不満、苦情等に関して分析し、改善案を検討していく委員会です。 ○中村委員  ですから、その権限はどこにあるのですか。推進していくときに、この委員会がやりましょうと言 ったら、それが推進する形になっているのか。ただキャッチフレーズみたいに言っているだけという のは。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  運営会議が全体を決定する機関です。それは全職種の幹部職員が出席する会議です。その会議では、 各委員会が報告を行い、審議したうえで決定します。 ○労働者健康福祉機構理事長  病院長の諮問機関の形で、サポート機関として機能しております。委員会では、投書を含めたいろ いろな患者様の声を整理・分析を行い、こういう改善策でやりましょうと運営会議で報告します。ま た、病院の運営を変更する必要のない軽いものはその都度回答書を本人に渡し、理解を求めておりま す。あと院長が鶴の一声で、「これはやろう」と受けてやると、事務局以下、患者様の主張に必要な 予算の確保等々に走って対応するという流れになっております。 ○中村委員  最後にもう1つですが、下から2行目の「医療情報のIT化が推進されているか」ということですが、 医療情報におけるIT化というのは様々なものがあると思うのです。例えばいろいろな備品とか、薬剤 品のオーダリングシステムをIT化していくとか、あるいは電子カルテを推進していくとか、具体的な 目標があって、これを推進しようとしているのですか。その内容はなんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構経営企画室長  医療情報のIT化の推進というのは、私ども労災病院の場合は、1つはオーダリングシステムを各病 院に導入していくということです。さらにオーダリングシステムから発展させて、電子カルテを導入 していく。逐次、その数は増やしているわけです。ですから、これもオーダリングシステムを導入し ている施設、電子カルテを導入している施設が拡大の方向でどういうことになったかということです。 ○中村委員  例えばやっていなかった所にオーダリングシステムが入って、それによってどのくらいの効率化が 図れたか。例えば人件費とか、あるいは時間とか、そういったものは検証されているのですか。IT化 することによって投資があって、何千万か何億か使ってやって、その結果、どのくらいの効率化が経 営で図れたか何か検証されているのですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  これは統計的には出てこないと思うのですが、医師からのオーダーがコメディカル部門等に伝わり、 会計までつながっていく。あるいは電子カルテでフィルムの電子化とか、いろいろな形をやっていき ますと、一番端的に表れてくるのは患者の待ち時間が短くなるとか、そういう形で、医療で使う材料 や何かの軽減にはつながっていません。フィルムレスを導入すればフィルム費用は削減できますが、 これ自体で医療の効率化そのもので言うと、材料費等の節約にはつながりません。むしろ働いている 人たちの医師の勤務の過酷さを緩和する形とか、そういう形で表れてきます。 ○中村委員  それは明確化されたほうがいいと思うのです。なぜIT化を推進するのか。その目的は医師の煩雑さ を解決するとか、あるいは患者の待ち時間を短縮するためとか、あるいはそこにまつわる人件費のコ ストを30%カットできるとか、そういうことが、民間企業でIT化するためには大体人件費を省力化す るか、作業を早くスピード化するか、要するに目的がバンと前に出て、だから何億円を投資して、開 発をしますということで、稟議で取締役会でオーケーになるのです。その辺が、ただ導入する、推進 するではなくて、どういう目的のためにというのが共有されると。 ○労働者健康福祉機構理事長  それは例えばオーダリングや電子カルテを成長させていく過程というのは、病院の業務全般の流れ を相当検証してこう変えていく、という病院の業務の流れをもう1回体系化し直すことでもあるのです。 その結果で待ち時間をどのくらいにするとか、いろいろなことを私どもは目標管理をPDCAのサイクル で実施していますので、病院によってはその中で待ち時間短縮の目標を掲げたりしております。シス テム化に伴い、事前に業務を洗い出して、電子カルテによってどことどこを効率化する。できていな かったらシステムが悪いのか、ソフトが悪いのか見直してまた直していく。こういう循環型の管理は しております。それが統計データになるかというと、それはないと思います。 ○中村委員  なぜこういうことを言うかというと、いま日本というのはいろいろな意味において医療危機です。 本当に国民の皆保険でこのままいって、財政が持つのかということがあって、各界でそういうことが 問われていると思うのですが、労災病院というのは本当に国が後押しをして、素晴らしい実績を残し ながら現在まできているわけです。もっとそこでIT化を進めることで、これだけの省略化、あるいは 効率化につながるということが1つデータとして残っていれば、それがほかの所でも参考になるのでは ないかと思ったものですから、入れることと検証を同時にしていただければと感じたものですから申 し上げたわけです。 ○労働者健康福祉機構理事長  数字になって表れる努力はいたしますが、正直に申し上げて、電子カルテ等々は医療費用の削減、 あるいは人件費の削減効果というものは、いまの医療の提供の現状の中では、人手不足による業務の 過酷さを緩和することはあっても、それによって人件費が浮くことよりも、むしろ患者さんの待ち時 間が短くなったとか、処理が早くなったという形です。  例えばMRIのオーダーを入力することで、患者様がコメディカルの放射線部門に行くまでに、既にシ ステム上で撮影条件が簡単に伝達されていますから、コメディカルの放射線部門では準備ができてい るわけです。そういう形の効果はものすごく大きいのですが、それによって人を削減できるかという と、今の医療のやり方では、すぐに何パーセント人件費を削減できるという形には正直なってこない です。生産内の合理化とはだいぶ違う感じはいたします。 ○中村委員  だいぶ民間と医療機関におけるIT化の推進というのは、少し感覚的に違うものがあるのかなと思い ます。 ○労働者健康福祉機構経営企画室長  個別の病院では、1つの例ですが医師がオーダーして、検査のオーダーを受け取ってそこから検査を 始めるということです。いままではこういったオーダリングシステムが入っていないと、検査のオー ダーを常に待機して待っているということで、いわゆる民間の生産ラインだったら手待ち時間が多い とか、その辺が解消されることによって効率化が進んでくるかと思います。ただそれを実証的に何時 間縮まったかというところまでは残念ながらまだ。 ○中村委員  電子カルテというのは、すでにあるのですか。 ○労働者健康福祉機構経営企画室長  ございます。 ○中村委員  ということは、パスワードを患者さんは自分で持っているわけですね。要するに患者さんが北海道 で倒れたときに、自分の個別情報は全部労災病院にあるとなると、そこでお医者様にパスワードを聞 けばバンと電子カルテが北海道の病院に飛んでくる。そこまではいっていないのですか。 ○労働者健康福祉機構経営企画室長  そこまではいっていないです。1つの病院の中だけです。ネットワークではございません。 ○中村委員  そういう理想的なことがあればいいなと。 ○労働者健康福祉機構理事長  例えばMRI、CT等を導入している病院での電子カルテ、あるいはオーダリングを入れていない病院と、 入れている病院と待機期間を比較した場合、入れていない病院ではMRI等の待機期間が2週間待ちとか、 3週間待ちのケースも出てくるわけです。それがこういうシステムを導入することによってスピードが アップされて、ものすごく早くMRIも撮れる、CTも撮れる。したがって患者さんも早く安心していた だける。こんな効果があって、時代によって省略化効果というのは、いまの医療界の中では無理では ないかと思います。 ○井原部会長  おそらく中村委員がおっしゃるのは、省略化だけが頭の中にあるのではなくて、単にIT化を進める というのではなくて、目的を明解にしてくださいという話だと思うのです。それで待ち時間が短縮し たとか、強度な労働が緩和されたとか、いろいろな目的があると思うのです。そこを明解に認識して おいてください。それが現実に達成されたかどうかということを後ほど評価して出してください。そ ういう話ですよね。 ○中村委員  そうです。 ○本寺委員  ほかの機構ではチーフ・インフォメーション・オフィサーという責任者を置き、IT化を推進するリ ーダーの人とそういう体制を作っているケースがありますよね。単に推進するだけだと、それを進め る組織体がない限りは進まないので、先ほど中村委員がおっしゃったように、予算とか、どういう人 が指導的な役割を担うとか、体制があって初めて物事は進むと思うのです。そういうものは併せて示 していただきたいということです。 ○労働者健康福祉機構理事長  また整理してお示ししますが、私ども各病院で、全体も作っていますが、診療科ごと、放射線なら 放射線の部門ごとにバランス・スコアカードで管理しているわけです。ですから電子カルテ化すると、 MRIの画像件数を何件までやっていたのか。この期間に今度は何件やれるとか、そういう目標を掲げる わけです。それがまた一定期間終えて、達成したかどうかを検証して、できなかったらどういう問題 があったのか、というような各病院の各部門ごとに検証をしています。それを統計的に本部で全部一 括して集めるかどうかということになると、これは毎日のことですから、そこは。 ○中村委員  IT化イコールMRIの使い方とか、回数とか、ちょっとそことは違うと思いますが。 ○労働者健康福祉機構理事長  それは1つの効果ですが。 ○篠原部会長代理  私は事業仕分けを5日間傍聴して、行政刷新会議の加藤事務局長の話を聞きますと、非常に抽象度が 高いことは反対にできないのです。いま問題になっているのは、もう少し具体的なものを言ってもら わないと、我々は評価でもうまくいかないのです。これを見ていると、こんなことを言うとあれです が、役所というのは非常に抽象的なことで、だからいいだろうということで、やはりここは違い過ぎ るということがいま実はものすごく問題になっています。だから、これをもう少し具体的なレベルで 書いてくれないと、評価もしづらい部分があるので、それはお願いします。やりたくないのはわかる のだけれども。 ○労働者健康福祉機構理事長  いや、やりたくないのではなくて、その辺を検証するためには、毎日毎日のオーダリングからいろ いろつながって、各部門が動いていることを、本部で毎日統計を取るとなると、これは忙しさが増す だけでとてもできません。しかし、検証は各病院で1回業務を洗い出して電子カルテにし、初期の検証 をして目標としたところに沿っているかどうかというのは、病院の中で検証しているわけです。我々 はそれを見に行って、そこで聞くわけです。そういう意味で是非現場を見ていただかないと。 ○篠原部会長代理  具体的な細かい話ではなくて、もっと中間のまとめたことをしてくださいということです。具体的 にはわかります。ただ我々は評価するときに、大学の評価もそうですが、中間点のないところという のは、細かいことをバラバラ書かれても困ると。抽象的に書かれても困ると。やはり評価するときに 間の概念でまとめてもらいたいということです。 ○井原部会長  できるだけ全部細かに全部やれという話ではなくて、ここまではこういう形で成果が出ましたよと いうことを言っていただければいいわけです。 ○労働者健康福祉機構理事長  だから、それを各病院ごとに特性の違う病院が行っているわけですから。 ○井原部会長  そこまで要求をしているわけではないのです。 ○労働者健康福祉機構理事長  ある病院の例として電子カルテを導入した結果、どういうメリットが生じたか、ということは十分 ご説明できると思いますので、それは用意させていただきます。 ○堺委員  いまのご議論にありました「患者満足度調査」のところですが、これは実際にいたしますと、大き く分けて3種類あります。診療のスピードとか治療成績のように診療そのものに関わるところと接遇に 関するところがあります。病院がいちばん苦慮するのが、施設設備に関わるところです。古い病院の 場合に、そうそう改装の予算がないということがあって、一定の期間内にそこのところが満たされな いことが起こります。患者満足度もある程度トータルで70%を80%にするというのは大変意欲的でよ ろしいと思うのですが、いまの篠原委員のご発言にも多少関わりますが、ある程度満足度の中身を何 種類かに分けておいたほうが判定しやすいかなという気がいたします。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  「満足度調査」というのは何項目かありまして、いままで表していたのがこの病院についての総合 的な評価ということです。ただ全体評価の項目の1つに、「労災病院で受けた治療の結果に満足したか どうか」「受けている治療の内容についてどうなのか」「入院や通院期間はどうなのか」「治療に患 者の声が反映されているのかどうか」とか、そういう評価をした上でこれを評価するような形でいま やっております。先生がおっしゃるのは、設備とか治療内容というふうに分けて出したほうがいいの ではないかということでしょうか。 ○堺委員  はい。項目もあらかじめ固定して聞いていらっしゃるのでしたら、これは年次の比較ができると思 います。そうではなくて、自由意見を求めるやり方もあります。そうすると施設設備に関するご要望 というのは結構多いのです。ですから、その辺を固定されているのか、それともある程度自由意見も 入れていらっしゃるのか、そういうことも伺いたかったわけです。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  自由意見もあります。ご自由に書いてくださいということもあります。おっしゃるように、毎年同 じ調査票でやっていますので、全体としてこの病院についてはどうでしたかというのを最後に聞いて、 先ほど申し上げたような評価をしているということです。 ○労働者健康福祉機構理事長  各病院が投書箱を用意していて夕方には回収して回答を書いて掲示板に貼り出す。ただ貼り出すだ けでは済まないような大きい問題であれば、名前が書いてあれば話し合いに入るとか、自由意見はそ ういう形でも吸収させていただいています。 ○井原部会長  それでは先へ進めさせていただきたいと思います。評価項目7以降の説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  25頁目になります。評価項目7、「医療リハ・せき損センターの運営」に関するところです。重度被 災労働者の職業・社会復帰の促進ということで、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損セ ンターの運営についての項目です。数値目標については、これまでと同様第2期の中期目標・中期計画 で定めているとおりです。第1期より引き続いて同じ目標値を設定しているものです。新たに第2期よ り患者満足度についても数値目標を設定しており、3点目に追加されております。評価の視点も第1期 と同じものに満足度調査の観点を入れております。  評価項目8の「労災リハビリテーション作業所の運営」についてです。数値目標は第2期中期目標・ 中期計画に基づいて、社会復帰率を定めておりますが、第1期より引き上げまして30%となっており ます。評価の視点につきましては第1期と同じものです。  31頁の評価項目9の「産業保健推進センターが実施する研修・相談や情報の提供、その他の援助」 についてです。数値目標については同じように中期目標・中期計画に基づいて決定しております。第2 期より評価の視点、数値目標に加わっているところがありますが、これは産業保健推進センターの利 用者に対する追跡調査の結果、改善が見られたものの数値目標及び評価の視点です。  産業保健の関係者にとって法人は、総合情報センターの地位を築けているか、という観点からの評 価の視点も設定しております。一方、ビデオの貸し出しの事業につきましては、事業の見直しの中で 廃止しておりますので、第2期の評価の視点からは削除しております。  34頁の評価項目10は「産業保健助成金の支給」の関係です。産業保健推進センターが行う助成金の 業務に関するもので、数値目標は第2期中期目標・中期計画に基づいて、申請書の受付の締切日から支 給日までの期間を、第1期よりさらに短縮させるという目標を設定しております。評価の視点につきま しては、助成金における支給業務の評価方法の検討、策定、支給業務マニュアルの作成及び事務処理 用コンピュータシステムの見直しについては第1期中期目標期間中に達成しておりますので、第2期中 期目標期間においては引き続き評価結果に基づく業務運営の改善、ホームページ公表及び支給業務マ ニュアルの徹底による適正かつ効率的な運営を図られたか。さらに助成期間終了後、助成金事業の効 果について把握をしているかといった評価の視点を設定しております。ここで一旦切らせていただき ます。 ○井原部会長  だいぶ時間が押しておりますので、最後まで説明してください。 ○政策評価官室長補佐  評価項目11、38頁をご覧ください。こちらは「未払賃金の立替払」についてです。この項目におい ても中期目標・中期計画に基づいた数値目標を設定しております。また請求に不備があっては速やか な支給とはならないことから、「請求者にわかりやすい情報提供を行っているか」という視点を追加 しております。  評価項目12、39頁、「納骨堂の運営」についてです。これは第1期より引き続き同様の視点の設定 をしております。数値目標につきましては、第1期から引き上げており、評価を90%以上としており ます。  評価項目13、45頁、「業務運営の効率化」に関するところです。数値目標はこれまでと同じく中期 目標・中期計画で定めております。なお、追加で設定している産業保健推進センターに係る運営費交 付金の3割削減については、勧告の方向性及び整理合理化計画を受けて、産業保健推進センター業務の 集約化及び効率化を図ることとされたことを受けたものです。視点の欄については、院長通知を踏ま えて業務経費冗費の点検、削減、給与水準や諸手当の適正化、契約の適正化が行われているか等の視 点を追加しております。  評価項目14、49頁、これは「予算、収支計画及び資金計画」に関するところです。労働安全衛生融 資の回収目標額を年度計画に基づき数値目標として設定しております。なおこの数値の考え方につい ては、平成21年度の正常債権回収見込額から貸倒引当金を差し引いた額の計算になっております。ま た評価の視点の一部を削除しておりますが、これは運営費交付金を充当して行う事業について予算が 作成され、当該予算の範囲内で執行されているかというのを削除しております。これは50頁のいちば ん上にある「運営費交付金を充当して行う事業」云々と同じですので、同様なので削除をしておりま す。労働安全衛生融資につきましては、財政投融資への償還が完了しておりますので削除しておりま す。  評価項目15、52頁目です。これは「短期借入金等」のところです。第1期より変更なく、引き続き 同じ評価の視点を設定しております。  55頁の評価項目16は、「人事・施設・設備に関する計画等」です。これは施設の廃止等についても 定めているところですが、第1期まで設定されていた運営費交付金を充当して行う事業に係る常勤職員 の削減目標は達成しておりますので、数値目標からは削除しております。また、海外勤務健康管理セ ンターと労災リハビリテーション工学センターについては、今年度限りで廃止となることから、数値 目標の設定は行っておりませんので、廃止に向け適切に取り組んでいるかの観点を評価の視点として 設定しております。さらに委員長通知を踏まえて、天下りポスト等の見直しを図っているかといった 観点を追加しております。駆け足ですが、以上です。 ○井原部会長  ただいまの説明に関してご質問がありましたらお願いします。 ○篠原部会長代理  時間も押しているので、質問は基本的なものをいたします。1つは、内部統制に関して運用している かと言っていますが、確かいま総務省に独立行政法人内部統制に関する検討と言って、民間はそのま ま使ってこれないので検討しているはずです。そうすると、ここの評価は困ってしまうのです。 ○政策評価官室長補佐  ただ検討はしておりますが、政府としても決定がなされているわけではないのです。評価の考え方 としては、検討しているという話はこちらでも極力情報提供はいたしますが、例えばそこで方針が決 まったらおそらく各省に通知が来て、各省からまた法人に対してこうしてくださいと通知が行きます。 そういう通知が行ったら、その通知に従った内容が適正かどうかを評価していただきたいのです。そ れがまだ決定される前の段階でしたら、そういう検討があると踏まえた上で、現時点の内部統制の状 況をシンプルにといいますか、普通に見ていただいて、委員の皆様のご見識と比べてどうかという点 を評価していただければ、それで十分かと思っております。 ○篠原部会長代理  内部統制というのは、整備状況と運用状況とあるのです。いまはおそらく一生懸命整備しているの ではないかという気がするのです。先ほどの話と同じように、もう少し具体的にやらないと、これは 出来上がったときの視点なのです。これは政・独委に文句を言っていただきたいのですが、これでは ちょっとできない。これはもういいです。  2点目はワーク・ライフ・バランスで理事長も言っていた専門職が非常に大変だと。そうすると、い ま国のレベルでも国民の幸福度と言っていますが、いわゆる専門職の魅力度というか、そういう評価 はここに入ってこないのかもしれませんが、それをやらないとお医者さんとか専門職がいなくなって しまうというか、給料を一生懸命下げろと。  当機構は区分経理で法律上は1区分です。これは国立病院も同じですが、前々から疑問を持っていて、 国立医療事業というのは、いま民間と比較しろと非常によく言われる。今日の説明にあるように、公 的病院になるがゆえのいろいろな作業もやっているので、それを除いてきちんと補助金などでやって いる部分と、医療事業ときちんと分けなければいけない。いま我々が見せられるのも、分けるところ が少なくとも監査済みではないのです。これもどうのこうのより検討していただきたい。おそらくい まの流れから言うと、やはり医療事業と補助事業というのはきちんと分けて、監査も必要ではないか という方向にいくと思うのです。やはり官の負担はあるのだから分けて、これは堂々と補助金をもら うのだと。これも監査で費用をきちんと受けていますという体制を今後は検討していただきたい。こ れは回答はいらないです。今後の話としてよろしくお願いします。 ○労働者健康福祉機構理事長  最初の医療スタッフから見た魅力度については大変大事だと思っています。やはり基本は患者の視 点に立った医療政策をして病院運営というのが最大の課題です。そういう患者さんの視点に立った医 療提供を支えているスタッフを、どう優秀な人材を集め確保して機能させていくかということは大変 大事だと思っています。ただ魅力度を計る指標というのは大変難しく、ドクターの場合は必ずしもお 金ではありません。自分にとってやりがいのある症例が多いことや、専門医になるための専門分野の 勉強が早くできること、これは自分の好きな道の研究もさせてくれながら歩んでいくとか、いろいろ あります。看護師から見ても勤務体系をワーク・ライフ・バランスのような形の配慮がされているか ということを見る方も多いですが、同時に育ててくれるかという、入職後の研修や教育体制等々を見 る人もいらっしゃいます。大変広範な問題がありますが、その辺は我々も取り組んでみます。1区分の 問題につきましては制度の問題でもありますので、厚生労働省と問題意識を共有していろいろ検討さ せていただきたいと思います。 ○寺山委員  これは8月にやる評価に対するお願いですが、いつもこの機構で評価をするときに何かもどかしいの は、労災病院はいくつかありますが、私が知っている限り労災病院はいくらもないので、それぞれの 労災病院がどういう個性を持って、どういうデータで、だからこうなのだということで最初からまと めないで、基礎データというか、各アイテムについてできるだけ各論的にお示しいただくと納得でき ると思います。できるだけそういう形でお願いできないでしょうかということです。 ○労働者健康福祉機構理事長  わかりました。労災病院は30を超えているわけですが、政策医療の側面等で持っている強みがそれ ぞれ異なっていますので、特徴もだいぶあります。個々の病院の診療内容の特性、政策医療面での役 割を一覧にしたものを、今後評価を受ける際に工夫させていただきたいと思います。 ○中村委員  25頁に、脊椎を損傷した方たちのリハビリテーションをして、退院患者の割合を80%にすることが 評価で出ているのですが、いわゆる評価というのは、退院させるというところだけでしょうか。要す るにもう少し時間を短縮する、あるいは期間を短縮させて退院させていく期間というのは評価の対象 にはならないのでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  それは難しいです。それはせき損センターのお話だと思うのですが、総合せき損センターはかなり 広域的にヘリコプターで運んでくる急性期の手術から、どうしても障害が残りますからリハビリをし て社会復帰が可能までということで、相当長い期間がかかります。 ○中村委員  それは平均大体どれぐらいですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  どのくらいかは、患者さんの状態によります。 ○中村委員  いちばん長くてとか、普通の平均はこのくらいとか。要するに1日でも早く社会復帰に出していくと いうインセンティブが働くと、それなりのリハビリのされ方がまた違ってくると思うのですが。 ○労働者健康福祉機構理事長  3カ月とか、そういうケースはざらにあると思います。例えば横浜労災病院というのは大体12、3日 の在院日数でやっているわけです。診療報酬上も在院日数が短くなるほうに評価されていく形になっ ていますが、総合せき損センター等はそれとはちょっと別格で、ある意味で早く退院させるというよ りは、急性期を過ぎてから社会復帰させるまでは他の医療機関へ転院させればいいと言っても、ほか にそれを受け入れられる病院は日本には残念ながらないのです。 ○中村委員  だからそこに留まってしまうのはまずいですよね。 ○労働者健康福祉機構理事長  それはございません。80%が自宅復帰なり、何らかの形で社会復帰をしていっていますから。 ○中村委員  社会復帰ではなくて、させるまでの期間というので、いままで何かお考えがあってされてこられた のか。ただ自然体に任せておられたのか。やはりこれも全部コストですよね。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  今回この評価の視点の中では、職場とか自宅復帰可能である退院患者の割合が80%以上で、いわゆ る労災病院の治療が終わった患者様は下半身不随とかかなり重度の人なので、一般的に言えばほかの 施設に移る方がいらっしゃるのです。そうした患者様ではなくて、自宅か職場復帰するのを80%以上 にしようということにしています。こうした患者様を早く退院させるということは、患者様の満足度 は落ちると思うのです。重度の脊髄損傷者とか脳の障害により麻痺をしている患者様の在院日数は、3 カ月とか4カ月とか100何日だと思うのです。申し訳ないのですが、平均在院日数を短くするというの は。 ○労働者健康福祉機構理事長  先生、ここは急性期病院の診療報酬上評価されていく、いまの医学……であれば在院日数を縮めて いくということは、我々も努力しています。ただこうした特殊なせき損から全身麻痺、四肢麻痺にな って、場合によっては唇でパソコンの動かし方まで教えながら自宅復帰へ持っていくわけです。それ を病院の効率的な回転という視点から、もし。 ○中村委員  回転という意味ではなくて、リハビリの力とか技術、方法、教え方を常に改善していけば、短くな るということは。そこは絶対評価の対象にしてはいけないということですね。 ○労働者健康福祉機構理事長  こうした業績評価という視点ではなくて、医学評価には馴染むと思います。もっと早くできたので はないかとか、こういう医学の方法を施せばできたのではないかというのですが、例えば急性期病院 では脳卒中の患者についても、翌日からベッドサイドでリハビリが始まっているわけです。そういう ことも行っていますが、同時に社会復帰までのリハビリをやっていきますので、手足が動く患者様と はだいぶ違うのです。模造の部屋を用意して日常生活ができるところまでのリハビリを行っていくわ けです。 ○中村委員  そういうふうな時間を短縮するということは、全く評価の視点には当たらないというのであれば、 それはそれで結構ですが。 ○労働者健康福祉機構理事長  たぶん医学的評価には当たると思います。 ○中村委員  いろいろな進歩の中で、その部分の努力というのもおありになってもいいかなと思ったのでお尋ね したのです。 ○労働者健康福祉機構理事長  私どもが悩むのは、医学上の評価と業績としての評価と、その間に入ってくる患者満足度との関係 です。在院日数を短くしろと言うと、クリニカルパスを徹底することでかなりできるのですが、必ず しも患者さんは満足しません。あるいは地域によっては引き受ける候補病院が整備されておりません。 そうした関係の中で在院日数を決めていくことは普通の急性期病院の悩みですが、総合せき損センタ ーとか吉備高原リハビリテーションセンターでは、ほとんど手足の動かない患者様が中心で、特に総 合せき損センターはヘリコプターで運ばれてきた緊急手術から始まって、自宅へ帰って日常作業があ る程度できるところまでを目指した治療をしており、これを何らかの評価基準を入れないで何日以内 に退院させているかという数値目標を作った途端に、おそらく医療従事者、特にリハビリテーション 技師たちは相当しらけた感情を覚えるのではないでしょうか。 ○寺山委員  よろしいでしょうか。私はリハビリテーションの専門家なので。昔の労災のせき損患者さんという のは本当に3年だの、10年だの、長く滞在しておられましたが、最近は非常に短くなって、しかもリ ハビリテーションの社会復帰、職業復帰までの期間はものすごく短くなっています。それは医療のリ ハビリテーションの質が技術的に上がっていることと、昔のせき損の患者さんの障害の受容というか、 これでやっていくというまでにはものすごく時間がかかったのですが、最近は心のケアまでも進んで、 大変短くなってきているという事実はあります。  リハビリテーションとして重度の頚椎損傷の人たちの社会復帰までの質的な問題というのを、業績 評価をする我々が知らなくてもいいかということではないと思います。だから、データとして最近は このくらい短くて、こういうことをやっているのだということと、参考資料として。先生がおっしゃ るように、最近は6カ月以内ぐらいです。昔私がやっていたころは本当に3年から10年ぐらいかかっ て、そのくらいかからないとやれなかったのですが、最近はこうだという形を理解すると。データと しては参考資料としてお示ししていただくと非常に勉強になるのではないでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  おっしゃるとおりだと思います。その辺のデータは、どのくらいいるかということは整備できると 思います。短いほうがいいという価値観ではなくて、どういう運営実態にあるかということについて はデータをお示しできると思います。 ○井原部会長  アウトプットは難しいけれども、インプットのほうだったらできるのではないでしょうか。努力の ほうを。それではよろしいですか。この問題につきましては、いろいろな委員の方から貴重な意見が たくさん出てきましたので、その意見をできるだけ評価の視点の中に取り込んでほしい。それはでき ないものもあると思うのですが、できるだけ取り込んでもらって、それを前提として評価の視点等の 変更を了承したいと考えますが、それでよろしいですか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは法人は夏の評価に向けて準備を進めていただきたいと思います。ここで法人及び法人所管 課の入替えがございますので、しばらくお待ちください。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長  それでは、議事を進めさせていただきます。高齢・障害者雇用支援機構ですが、戸苅理事長がお見 えですので、ご挨拶をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  高齢・障害者雇用支援機構の戸苅でございます。先生方には中期計画の策定、業務実績に関する評 価をはじめとしまして、当機構の事業運営をご指導いただいておりますことを、この場を借りてお礼 申し上げます。本日は、当機構の中期計画及び評価の視点の変更、理事の退職に係る業績勘案率の算 定、役員給与規程の変更についてご審議いただくということです。よろしくお願いいたします。  高齢者、障害のある人たちの雇用ですが、高齢者については、昨年の厚生労働省の調査で51人以上 の企業における65歳までの雇用確保措置の実施状況は、前年からさらに1.0ポイント上昇して97.2% に達しております。障害者の雇用率についても5年連続して上昇してきまして、過去最高水準の1.63 ということで、着実な進展をしておりますが、ご案内のとおり一昨年秋以降の雇用失業情勢の急速な 悪化の中で、高齢者あるいは障害のある方の雇用も厳しい影響が見られる状況です。当機構としては、 厚生労働省、関係の医療機関、福祉機関、教育機関等と連携、協力しながら、高齢者、障害のある方 々の雇用の安定・促進のために、より積極的に事業運営に努めてまいりたいと考えておりますので、 よろしくお願いいたします。  ご審議いただく中期計画の変更については、昨年11月の行政刷新会議の事業仕分けの結果等に沿っ て、「高齢期雇用就業支援コーナー」の廃止、あるいは「高齢者雇用フェスタ」等のイベント、研修、 講習、広報関係事業の廃止・縮減等を行うというものです。事業費について、本年度の予算に比べて 24.8%の削減という内容になっており、いま国会で審議中の来年度の予算案に盛り込まれているもの です。  私どもとしては、人口減少下で急速に高齢化が進んでいる、また国連において障害者権利条約の採 択がなされた中で、高齢者あるいは障害のある人たちの雇用の重要性の一層の高まりにきちんと対応 していきたいということはもとよりですが、いま申し上げた来年度廃止・縮小することとしている事 業についても、企業あるいは高齢者の皆様方から引き続き実施を望む声も寄せられておりますので、 こうした声にも応え得るような工夫を限られている予算の中でしながら、当機構の役割を的確に果た すべく役職員全員で取り組んでいきたいと考えておりますので、よろしくご指導をお願い申し上げま す。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。最初に、「中期目標・中期計画の変更について」、審議いたしま す。事務局から中期目標・中期計画の変更の流れについて説明をしていただいて、そのあとに変更案 について所管課から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  流れについてご説明します。中期目標は、厚生労働大臣が定めて法人に指示をするものです。法人 は、この指示を受けて中期計画を作成し、大臣が認可をすることになっていますが、また一部を変更 する場合にも大臣の指示、指示を受けた計画の変更という、同じ流れになっております。こうした認 可・指示の際には、独法の通則法に基づいて評価委員会の意見を聞くこととされておりますので、今 回ご審議いただくものです。  正式な流れを追いますと、まず中期目標の変更案をご審議いただいて、それを策定したあとに、改 めて中期計画の変更申請が法人から上がってきたのを待ってご審議いただくのが本来の姿ではあるの ですが、その都度お集まりいただくのは物理的に非現実的ですので、今回一度にご審議をいただくも のです。以上です。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  本日、第2期の中期目標の変更についてお諮りしたいということと、いまほど評価官室からの説明に もありましたとおり、この変更案を前提として高齢・障害者雇用支援機構で別途中期計画の変更につ いてあらかじめ案を作成しておりますので、これについて一括でご説明して、ご意見を頂戴できれば と考えております。  資料は、資料3-1-(1)から(3)まで3点ご用意しております。(1)が中期目標と中期計画の変更点の概要 (案)になっております。(2)が現行と改正後の形で変更箇所の新旧対照表、(3)がそれぞれの変更箇所 を明確にしたものです。このうち(1)と(2)を中心にご説明します。  高・障機構においては、平成20年度を初年度とする第2期中期目標に基づく中期計画により、業務 の効率化を進めてきました。昨年、先ほどの理事長の挨拶にもありましたとおり、大臣からの指示あ るいは行政刷新会議等々大きな流れがある中で、さらに効率化を進めるべきであると、特に地方委託 業務をはじめとして大幅なスリム化を行うように指示を受けました。それを受けて業務全体の見直し を行ったという状況です。  こうした中で、中期目標の変更が必要なのではないかということで、資料3-1-(1)の2に変更の内容 がありますが、大きく4項目について変更をしたいと考えております。第1点目が、高齢期雇用就業支 援コーナーの廃止に伴うものです。これについては第1期の中期目標の時期から見直しを進めてきまし て、これまで改善の努力をしてきたわけですが、実績が伸び悩んでいることもあり、全体のコスト等 を考慮した上で、平成21年度をもって全廃することとしました。これに伴い、全体で14のコーナーが あったわけですが、そのうち3つのコーナーについて、今年1月から民間の市場化テストにかけて、さ らなる効率化を図ることを予定していましたが、これも中止ということで、すべてを廃止することに しております。それに伴って、所要の中期目標・中期計画の変更をしております。  資料3-1-(2)ですが、1頁目のいちばん左の現行の「第2期中期目標」の第2の2にコーナーの記載が あります。また、5頁目の左から2つ目の欄の真ん中辺りに市場化テストの記載があります。こういっ たコーナーと市場化テスト関連の記載を削除することとしたものが1点目です。  2点目が、冗費の削減の取組です。冗費の削減については、現政権の中で喫緊の課題になっており、 昨年11月に、厚生労働大臣から機構にさらなる冗費の削減をということで要請をしたところです。そ の内容を中期目標・中期計画の中に明記したものです。具体的には、資料3-1-(2)の3頁に記載してお ります。いままでも取組を進めてきましたが、さらなる取組を進めるということで、改めて明記をし たものです。  3点目が、契約の見直しに伴う変更です。これは先ほどご説明した地方業務について大幅なスリム化 を行うという大臣の指示の下で、現在都道府県の雇用開発協会に委託している事業を、今年まで随意 契約でやっていたものを来年度は企画競争にする予定でしたが、それを一般競争入札にするというこ とで、いま手続を進めているところです。これに伴い、資料3-1-(2)の5頁ですが、「一般競争入札、 公募・企画競争等競争性のある契約形態へ移行する」と記載していたものを、左から3つ目の欄が今回 の目標の改正案ですが、「一般競争入札等競争性のある契約」ということで、一般競争入札を原則と したと記載を変えております。  4点目は、平成22年度からの業務見直しに伴う変更です。(4)で業務の見直し、地方委託業務の廃止 ・大幅スリム化を行うことに伴って、平成22年度から実施しない事業を削除するということで、先ほ どご説明したコーナー事業のほかに雇用管理に関する研修等、あるいは情報提供等の事業を廃止する ということです。資料3-1-(2)の資料の中では、7頁の下のほうに、職場活性化の研修、雇用管理担当者 に対する各種講習、高年齢者雇用管理研修等と記載がありますが、これについて廃止するということ で、削除するものです。また、9頁に啓発広報事業がありますが、その中で10頁の高齢者雇用フェス タについて廃止をするということです。  以上が、今回の中期目標及び中期計画の主な変更点です。以上の内容について、現在財務当局と調 整をしている状況ですが、厚生労働省としましては、平成22年4月から施行したいと考えております。 資料3−1−(3)に、いまご説明したものをもう少し細かく記載したものがありますが、説明は割愛させ ていただきます。以上です。 ○井原部会長  法人から何か追加説明はございますか。よろしいですか。それでは、ただいまの説明に関してご質 問等があればお願いします。 ○篠原部会長代理  26頁の別紙-1に予算額が書いてあるのですが、いろいろな事業が廃止されたら、予算には影響しな いということですか。これを入れてある理由、何のために入れたのか。どこが変更になったと書いて いないので、いろいろ中期目標・中期計画が変わって、予算に関係あるか関係ないか。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  現行の予算について、全体として中期計画の期間中の上限の額を定めていると考えておりますので、 この予算より下回ることは確定的に決まっておりますが、先ほど申しましたように、冗費の見直し等 々削減の過程であり、明確に平成22年度の予算がありますが、具体的にどこまでいくかはまだ定まっ ていない状況です。そういう中で、この中期計画の予算については現行のものをそのまま掲載してい るものです。 ○篠原部会長代理  もう1点ですが、現行と改正表の対比表の3頁の右側に、「なお、上記目標の実現に当たって」と書 いてあって、目標も計画も同じ文章なのですが、もう少し計画が何とかならないのかなという気がす るのです。かなり内容が具体的なので、もう少し具体化できるのではないかという気がします。これ は今どうのこうのというより、もう少し検討して味をつけてもらうというか。どうでしょうか。 ○本寺委員  そもそも冗費はどのぐらいなのか、何が冗費の費目なのか、何かわからないのですが。冗費の削減 というのは、50%削減ですか、それとも80%削減か3%削減か、何かあるのではないかと思うのですが、 それを是非、せめて計画には出していただきたいと思います。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  おそらく、全独法というか、厚生労働省所管の各独法は同じことになっているのだろうと思います。 これから何が冗費かを精査するようにと、厚生労働省から指示が来ている状況です。この例示も、厚 生労働省からそれぞれこういう例示でということで、各独法はおそらく同じ書き方で出ていると思う ので、我々の立場からすると、まだ計画でどうするかというところまで全く詰めていない状況だと思 います。 ○篠原部会長代理  全独法と関わるとなると、少し頭を働かせていただいてという感じがします。 ○政策評価官室長補佐  全法人に対して指示をしているのは評価官室ではなく、また別の所になりますが、当室は評価をし ていますので、指示と一緒にしてしまうと関係性が問題だろうということで分かれているのですが、 担当部局に一応伝えております。ただ、新政権になっていろいろ削減しようという中で、本省も手探 りという状況がありますので、どれほど具体的な指示が改めて出せるかというと、少し難しいところ もあるかなと思っております。 ○中村委員  14頁ですが、評価の視点の中で数値目標は1つですね。「支給要件等の変更があった場合は当該変 更が確定した日から7日以内にホームページ等で公開すること」、これが1つ数値目標として出ている のですが、ここでお聞きしたいのは、いろいろな高齢者向けのセミナーや講習会等いろいろ支援のも のをPRするときに、ホームページあるいは『ELDER』という6万部出している雑誌、あるいは新聞とか テレビとか、いちばん大きくいま告知能力があるのはどれですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  新聞ですね。 ○中村委員  そうすると、ホームページに関しては今後どのようにお考えですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  新聞、パンフ、リーフ、ホームページ、こんな感じだと思います。 ○中村委員  ホームページがそれほど低い理由は何かあるのですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  おそらく各独立行政法人同じだと思うのですが、独立行政法人に対する関心を持たれている度合い の差だと思います。私どものホームページでも非常に関心が高いのが、いま寺山先生がおられますが、 研究などはかなり高いです。そういう意味で、ここに書いているのは支給要件の変更で、ほとんど1日 ないし2日後には出しているのです。ただ、関心を持たれているのが事業主の方なので、むしろパンフ レットで詳細を知りたいという感じが強いのではないかと思っています。ホームページも、委員がお っしゃるように、せっかく急いで2日以内に出しても、どれだけアクセスしてくれるのかということが あるので。 ○中村委員  そうですね。私は、今後いちばんコストが安くてPR効果があるのはホームページだと思います。で すから、この数値目標の中に、例えばホームページのペーパービュー数を何万ぐらいにするとか、あ るいは問合せ件数、そこからセミナーとか講義に申し込んできたのを年間いくらにするとか、そうい った具体的な数値目標があってもいいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  項目によっては入れたりしているものもあります。もう1つは、第1期の計画のときには、アウトプ ットというか、数値を出すということでやっていたのですが、第2期中期計画は、むしろそれによって どういう成果が上がったのかというふうに切り替えてきたというのがあって、割合に直接的な数値目 標は少なくしてきているのです。項目によってはいま申し上げたようなことで、アクセス件数を目標 にしていて、我々もアクセス件数は非常に意識していて、四半期に1回ぐらいずつどの程度アクセスが あるのだろうかと項目ごとに見て、低いものは何かとということで。いま当機構のホームページにつ いてのアクセス件数が、平成20年で1,040万件あるのです。 ○中村委員  少なくはないですね。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  平成19年度比50%増です。ですから、逆に言うと、新聞の力がもっと偉大だということなのかもし れないのですが。 ○中村委員  1,040万があるということですね。独法のホームページの作り方は面白くないのです。ですから、そ こを完全にデザイン性を変えるなりSEO対策をするなりして、せっかくすばらしいことをしているので すから、PRということをもう少し考えていただくと。また、評価もその辺を評価の視点としていけれ ばと考えております。  すみません、次の議題を言ってしまったみたいです。先に進んでいました。いま計画の話をしてい たのですが、私は自分で自宅で読んできてしまったものですから、そちらの評価の視点の話にいって しまいました。 ○井原部会長  わかりました。そこにそれが入るということで、そのようにしたいと思います。それでは、「中期 目標・中期計画の変更について」は、異存はないということでよろしいですか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは、これを厚生労働大臣にお伝えすることにしたいと思います。所管課においては中期目標 の策定を、法人においては厚生労働大臣への認可申請の手続を進めていただければと思います。よろ しいでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  いまご説明した中で、調整中の所があるという話がありましたので、その点についてご提案をさせ ていただければと思います。所管課において財務省なりと調整が終わり次第、当室で速やかに報告を 受け、部会長にご相談をさせていただき、もちろん内容によると思うのですが、その上で委員の皆様 にご報告をするか、または改めてご意見をお伺いするか等の対応を決めることにしてはいかがかと思 っております。いま調整中という話以外にもさらなる事情が、いま独法はいろいろ動いておりますの で、何があるかわからないところがあるのですが、そういう変更が必要になった場合にも同様の扱い をさせていただければと思っております。 ○井原部会長  それでは、審議を行った中期目標・中期計画の変更(案)の内容に修正があった場合の取扱いにつ いては、私と事務局に調整をご一任いただきたいと思います。  次の議題に入ります。「業務実績評価を行う上での評価の視点の変更について」です。事務局から 説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  高齢・障害者雇用支援機構の評価の視点、数値目標の変更(案)について、事務局としてご用意し た案をご説明します。なお、数値目標ですが、中期目標、年度計画等に多くの数値目標が設定されて おりますので、新たな設定はいまのところほとんどありません。また、時間の関係上、変更があった 所を中心に説明させていただきます。  資料3-2をご覧ください。6頁ですが、評価項目1に変更があります。6〜7頁が評価項目1について ですが、7頁を中心に冗費の点検、契約の関係、普段の事務・事業の見直し等の視点が入っております。 これは会議の冒頭にご説明した委員長通知等を踏まえて、全法人について記載をいただいているもの です。8頁にも同様に契約の関係がありますが、これも委員長通知に基づいて記入をしているものです。  続いて、19頁、評価項目4に飛びます。変更しているのは、企業診断システムの運用件数の数値目 標です。これは年度計画に基づき設定しており、考え方としては平成21年度の企業診断システムの運 用件数、直近3年間の運用実績の平均値から設定しているものです。  23頁、評価項目5です。5団体の括弧書きの中が変わっておりますが、平成21年度の計画に基づい た変更です。5団体の下の印刷業等の10団体も変わっておりますが、これも年度計画に基づく変更で す。  29頁、評価項目7です。こちらは相談支援件数とセミナー受講者の数値目標を変更しております。 これも先ほどと同様、直近3年間の実績の平均値を出して、これを1割増しにした数値としております。  34頁、評価項目8です。34〜35頁を通じて評価項目8ですが、ジョブコーチの支援事業、精神障害 者への支援事業の関係の数値目標を年度計画に基づいて設定しております。考え方としては、ジョブ コーチ支援事業については、社会福祉法人等に配置されるジョブコーチの活動領域の拡大を図ろうと いう考え方がありますので、機構が独自でやる分については年々の逓減を見込んでおり、平成21年度 においては2,300人以上という目標としております。精神障害者支援事業については、平成21年度よ り実施体制を強化しております。リワークカウンセラーを27名配置しており、新たに個別実践型リワ ークプログラムによる復職支援を実施しておりますので、目標値を1,850人と変更しております。  39頁の下のほうですが、評価項目9です。こちらは今年度から取り組んでいる地域の関係機関に対 する助言・援助等の事業に関係する数値目標・視点を設定しているものです。  41頁も、同じように新たな業務についての目標の設定です。  44頁、評価項目10です。こちらは調査・研究事業の数値目標を変更しております。これは年度計画 に基づき設定しているもので、考え方としては平成21年度の調査・研究計画において、平成21年度に 終了するテーマが6テーマですので、変更しております。  48頁、評価項目11です。48〜49頁と続いておりますが、こちらは職業訓練上特別な支援を要する障 害者を積極的に受け入れることを勧める観点から、対前年を上回る目標を数値目標として設定してお ります。また、49頁の変更ですが、今年度から取り組んでいる特注型の訓練メニューに基づく先導的 職業訓練に関する視点を設定しております。  最後になりますが、73頁、評価項目19です。こちらは人事に関する計画、施設設備に関する計画の ところです。74頁に変更箇所がありますが、給与水準の話、諸手当、天下りの関係で、これも委員長 通知に基づいて、各法人で同様の視点を追加していただいているものです。以上です。 ○井原部会長  それでは、ご質問等をいただくわけですが、先ほどの中村委員のお話は、PRにおいてはホームペー ジをもっと充実せよと、その評価を入れなさいということですね。 ○中村委員  はい。 ○井原部会長  そのほかに何かありましたらお願いします。 ○篠原部会長代理  この前の事業仕分けで、評価があまり機能していないと。これは政策評価で、独法評価も入ってい るのかもしれませんが、我々も両方に関係すると忸怩たる思いで、どうなのかなという気はしている のです。昨日の行政刷新会議で加藤事務局長が言っていたように、ある抽象度の高いものから、与え られているデータは原始データがいっぱい出てきて、間のサマリーがあまりないのです。監査という のは財務諸表があって、原始データがあって、ずっとサマリーをして、それぞれ分析していくのです。 効率的ポイントというと、間の情報がもう少し何とかならないのかなと。正直言うと、ジャングルに 入れられて目くらましにあっている感じがするのです。  疑問を感じたのは、具体的に言うといろいろな委員会があって、我々評価は委員会がやっているの も、どういうことをやって、どういう結論というのも、我々の評価で重要なのです。私は今回契約監 視委員会をやったのですが、契約監視の内部に委員会が作られているのです。私は前もって聞きたい と言ったのですが、一切ないのです。当然機能しているのだから、我々も依拠したい。我々としてど こを見るか。これは当機構だけでなくて、全体的にその辺をもう少しやってもらわないと、我々が効 率的にポイントを押さえる、おそらく中村委員がおっしゃるのもその辺のいらだちがあるという気が しているのですが、もう少し体系立った情報を与えてくれないとよくわからない。これは要望なので すが、そちらからしたらあまり有効な評価をされたくないのかなという感じがしないではないのです が、いまの流れを見ていると、もう少しポイントを突いた評価をしたいという気がするのです。これ は要望というか今後の話で、答えはいいです。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  非常に難しい問題だと思います。私ではなく彼女がコメントする立場にあるのでしょうけれど、業 績評価というのは、独立行政法人は国から目標を示されて、それを計画に落として、それぞれの目標 を数値目標に細かく分解して、それをどれだけ達成しているかということだと我々は理解しています。 そういう意味で、毎回それぞれの事業を目標数値を中心に、当該目標数値をどこまで達成しているか、 あるいはそれに及ばなかったとかそれを上回っているとか、それに関してこういう取組をしたのでこ ういう結果になっているとか、こういうことを一連のものとして説明して、それを先生方に評価して いただいているというのがいままでのやり方だったと思うのです。  それを変えるとなると、政府の我々に示してくる計画というか、目標をどのように示してくるのか、 独立行政法人の独立性は一体どこまで発揮し得るものなのかということになって、篠原先生の思いと 私の思いは全く同じなのですが、私は答える立場になくて、厚生労働省等で決めてもらわないと、我 々はいまの枠組みの中でしか動けないし。正直言って、今回しみじみ思ったのは、独立行政法人の独 立性は一体どこにあるのだろうということです。 ○篠原部会長代理  前のところでも言ったのですが、いままさに言ったように数値目標に対して評価すると。ところが、 先ほど言った契約とか、だんだん広くなって、我々も困ったなというところがあるのです。いままで の狭かったところなら何とかできたのにと、かなり変わってきたという感じがあって。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  我々も同じ思いなのです。我々も抽象的に示されるものですから、一体どうやってこなすのだろう と。こなすときに、先生方にどのように評価していただけるのだろうという辺りが非常に難しくなっ ていて、間が飛んでいる感じは確かにあります。そこは厚生労働省の評価官室にきちんとやってもら う以外手はないなと思っています。 ○篠原部会長代理  1つは、政・独委が我々に対して過剰ないろいろなことを要求してくるなと。できないことはないと 思うのですが、もう少し時間がほしいとか、いろいろな部分があって、これは今後いろいろ議論され ていくと思うのですが。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  そこは詰めていただく以外、我々では何も手が出ない。 ○篠原部会長代理  我々も過剰になってきたなと。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  我々もそう思っています。我々に対するいろいろな指示も、この評価制度の中でちゃんと収まり切 るような指示になっているのだろうかと、しみじみ思っています。この辺りは、厚生労働省にもっと 真剣に考えてもらう必要があると思います。 ○政策評価官室長補佐  耳が痛いお話なのですが、まさにいま理事長がおっしゃったように、そもそも独立行政法人は目標 だけを与えて自由にやってくれと言っていて、後追いの評価をして、それを改善していくから、それ でガバナンスが効いているということで始まったのですが、いろいろな外野情報で天下りがいるので はないかとか、そういうところでやんや、やんやと言われたところもあり、年々政・独委もいままで は示していなかったことを、あとからこういうことは評価しているのか、していないではないかとい う形で叩いてきたり、全然安心できない土壌の上に立っている気がしています。  一方で、国民から見るとという点は常にあると思っていて、確かに国はこういう目標を立てた。だ からと言って、独法はそれだけやっているからいいですよという関係でいられるかというところが、 いられないようになっている。例年、ここの評価の場でも中期目標や中期計画に書かれていること以 外にも、データを法人が丁寧に説明してくれて、こうやっています、ああやっていますと、なので評 価してくださいという形で、裾野が広がっていっている状況になっていると私は認識しています。頑 張っていただいている法人は、高・障機構などは非常にしっかりした評価の視点をセットしていただ いているのですが、頑張れば頑張るほどデータがいっぱいあって、一体何がメイントピックなのかが わからなくなってくるというのは、確かに篠原先生のおっしゃるとおりだと思っています。  これは、すでに各法人において夏の部会の評価のときに工夫をしていただいているのですが、評価 シートは国から与えられた目標に関連するものについて、きちんと全部書いて評価をする形にしてい ますが、一方で各法人で説明用のシートを作っていただいていて、その中で法人としての数値と数値 をつなぐストーリーなどを語っていただけるような資料の設定を、いままでやってきてもらっていま す。  今後も、委員の皆さんがジャングルの中で迷子にならないように、こういう資料をちりばめて評価 はしているけれど、もちろん評価官室としてはこの法人はここを頑張っているので、この点をしっか り評価していただきたいと思うとか、プレゼンの仕方を工夫するというやり方で、当座を凌ぎたいと いうと変ですが、いまの時代を生き抜くのはそれかなと思っております。  先ほど中村委員からもお話がありましたが、PRをどうするのかが、独法においても厚生労働省本省 においても非常に重要になってきていて、騙すのではなくて、いろいろなデータについて我々が考え ているストーリー性をちゃんと伝えて、それをオープンにすることで国民の皆様から「そういうスト ーリーになっているけど、違うんじゃないか」という厳しい突っ込みもあれば、「いいんじゃない か」というお褒めの言葉もあれば、そういうものをもらいながら評価のやり方を手探りしていくのか なと思っています。  余談なのですが、政策評価自体がいま本当に過渡期になっていて、新政権になって「政策達成目標 明示制度」というのを本省部分について始めようという話になっていまして、平成22年度から試行的 にやることになっています。例えば、子育てについて安心する社会を実現することを、政府として目 標として決定して、それについてこの指標で評価するのだということもあらかじめ決定して、それを しっかりやっていこうということになっているのですが、それもまだ始まったばかりで模索中です。 本当は、各省で政策評価として同じような取組をやっているはずなのですが、それがちゃんと機能し ていないのではないかという反省点に基づいて、新しいものを導入しようという動きがあります。ご 存じのとおり事業仕分けもあって、一体どういう形で、どういう単位で評価をしたらいいのか、非常 に模索中ということです。  全然回答になっていないのですが、逆にこれまで長らく関わってこられた方も、最近関わられた方 もいると思いますが、評価の際にこういう視点で評価があるべきだとか、そういう制度論についても 引き続きコメントをいただければ、我々も参考にして厚生労働省としての政策評価をどうするか、ま た総務省に伝えて、政府としてどうするかということに活かしていきたいと思っております。 ○中村委員  少しクリアにすると、厚生労働省は独法に対してやるべきテーマと予算と、どこを評価指針にしま すよと、この3点セットが入ってくるわけですね。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。それを全部まとめて、中期目標という形で示す形になっています。 ○中村委員  それに対してどのようなやり方、手段、方法を取ってやるかは、ご自由に任されていると考えてい いですか。 ○政策評価官室長補佐  それは建前論というか、それが本当のあるべき姿なのですが。 ○中村委員  それがなっていないと。 ○政策評価官室長補佐  最初はそうです。でも、いまは。 ○中村委員  そうしたらいいのではないですか。 ○政策評価官室長補佐  そうしたらいいなと思うのですが。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  それは我々も望むところです。 ○中村委員  みんな真剣勝負でやっているわけで、仕分けでいろいろなものが入ってきていますが、本当にあれ がすべて良いわけではなくて、やるべきことはあるのです。私たちも、本当に真剣になさっているか ら評価も真剣にしようと思うのですが、評価でき得ない、数値目標が入っていなかったり、抽象的な 言い方になっていると、なかなか評価ができません。だから、こういう会でご質問をしながら、確実 なものでやっていきたいと思っているのです。横からいろいろ入ってくるものを、厚労省としてスト ップするなり交通整理するなりしなければいけないと思います。 ○政策評価官室長補佐  確かにおっしゃるとおりで、我々としても意見を言う場を捉えてそういうことを言っていきたいと 思うのですが、独法制度については制度そのものを見直そうという動きが一方でありますので、そこ の様子を見ながら。ただ、そのときに、見ていただけばわかるように、独法になってだいぶ改善が進 んでいるのではないかという事例もあり、そこは独立性がキーワードだったのではないかと思ってい ます。そこを変に後退させないようなものにしたいなと、一行政官として思っていますので、尽力し ていきたいと思います。 ○井原部会長  この独法評価が始まってから随分時間が経つのですが、その間は全部試行錯誤の過程だったような 気がします。いろいろな環境を考えると、理想的な評価の仕方はなかなか定まらないのが現実だと思 うのですが、そういうことを踏まえても、より良い評価の方法にしていくのが我々の使命だろうと思 っております。  それでは、この評価の視点の変更等について、当部会として了承してよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは、そのようにさせていただきます。法人は夏の評価に向けて準備を進めていただきたいと 思います。  次に、「役員の退職に係る業績勘案率の算定について」の審議に入ります。事務局からご説明をお 願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料3-3をご覧ください。高齢・障害者雇用支援機構の理事長から独立行政法人評価委員会委員長宛 に、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がありました。手続については、先ほどの勤労 者退職金共済機構と変わりありませんので、資料3-3に沿ってご説明します。資料3-3は続いて何枚か ありますが、1枚外して、(1)〜(6)の表示があるものをご覧ください。  退職される役員の方ですが、古曳享司さんで、理事をしておられました。業績勘案率の算定ですが、 先ほどと同じようにまず在職期間について計算したところ、平成20年度が1.55、各分類に対応する率 としては1.5となります。また、在職期間のうち年度評価が未実施のものは、平成21年度の実績につ いて資料を付けておりますが、こちらを見たところ前年度と同様のものと期待できますので、平均値 の分類はXとして、率は1.5と計算しております。  (3)ですが、それらを計算して在籍月数で割ると、1.5となっております。1.0以上の算定をする場合 には、目的積立金の状況を勘案することとなっておりますが、高齢・障害者雇用支援機構については 目的積立金は積んでおりません。また、退職役員に係る職責事項についての申し出ですが、特に機構 からは来ておりません。  1点補足しますと、高齢・障害者雇用支援機構については、昨年来雇用安定事業等に関する委託契約 について、競争性のない入札になっていること等が新聞などで報道されております。先ほどの中期目 標・中期計画の見直しのときにもありましたが、平成22年度からの契約方式の見直しや平成23年度か らの委託方式の全廃の形に至っておりますが、古曳前理事はこうした委託契約と関係がないと聞いて おります。詳細は、のちほど機構から説明をしていただくことにしております。  以上を踏まえ、事務局としては、単純に計算すると1.5になりますが、目的積立金を積んでおりませ んので、1.0という形で試算をしております。以上です。 ○井原部会長  続いて、退職役員について、在任期間中の理事の担当職務等について説明をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  古曳前理事は、平成20年8月25日から平成21年9月30日まで在職し、高年齢者の雇用に係る相談 ・援助、実践的手法の開発・提供、啓発事業、給付金支給業務、中高年齢者に対する相談業務といっ た高年齢者等雇用支援業務の担当でした。  なお、昨秋来、一部マスコミにおいて雇用開発協会の委託業務に関する報道がありました。内容に ついては、必ずしも当機構の取組が伝わっていない面もありましたが、指摘を受け、さらに効率的な 業務運営を図るべく厚生労働省の指導を踏まえ、平成22年度から業務見直しによる委託費の大幅な削 減、また47地域中46地域で応募が1社にとどまった企画競争入札については、大臣の指示を踏まえて 中止し、過去3年以上の雇用支援を行っているとの実績要件の撤廃、ジョイントベンチャー方式の導入 など、より入札に参加しやすい条件を整備した上で、改めて一般競争入札により実施しているなどの 対応を図ったところです。  今回業績勘案率のご審議をお願いしている理事については、ただいまご説明した委託業務に関わる 担当ではなく、冒頭に申し上げたとおり高年齢者等雇用支援業務担当であり、当該理事が担当してい た業務に関しては、昨年度の業績評価では担当5事業区分のうち1事業区分についてS評価、4事業区 分についてA評価という大変高い評価をいただいております。また、今年度から上半期の業務実績につ いても、昨今の大変厳しい雇用失業情勢の中において、おおむね前年度実績を上回る実績を上げてお ります。  業績勘案率については、こうしたことを踏まえつつ、当機構として給与構造改革等による総人件費 改革に取り組んでいることも考え合わせ、先ほどの説明にありましたように、1.0ということでよろし くお願いします。以上です。 ○井原部会長  この点について、何かご質問があればお願いします。 ○篠原部会長代理  目的積立金を積んでいないということは、絶対条件なのですか。 ○政策評価官室長補佐  これは委員会独自でというか、委員会として定めているやり方なのですが、お手元の黄色い資料の 112〜113頁に、業績勘案率の決定方法について書いてあります。書き方が漠然としたものではあるの ですが、113頁の(4)に「1.0を超える業績勘案率を決定する場合は、当該退職役員の在職期間における 目的積立金の状況等に照らして適切であるのかを考慮することとする」と書いており、これまでの運 営上、業績がよかった場合は当然目的積立金につながっているでしょうと。そういうことがない場合 には、さすがに1.0を超えるのは厳しいのではないかという運用を、いままでしてきております。 ○篠原部会長代理  目的積立というのは、ある業務にものすごく限られているのです。いまほとんど独法は積み立てて いないと思うのですが、質問したのは、国立大学の場合は1割以下だと思うのですが、1.0以上になっ ているのです。おそらく、独法は1.0以内のものはほとんどないような気がしているのです。 ○政策評価官室長補佐  業績勘案率の算定としてですか。 ○篠原部会長代理  はい。 ○政策評価官室長補佐  厚生労働省の関係ですと、国立病院機構が運営がよくて、目的積立金も積んでいて、1.2だったかと 思いますが、プラスになった方がいらっしゃいます。全政府を見て、非常に少ない数だったとは思う のですが、うちの省の関係ですと。ほかの例としては宇宙航空研究開発機構で1.1の方がいらっしゃい ます。決定しているものでは、1.0を上回っているのは全政府を通じてお2人です。  一方、参考に申し上げますと、1.0を下回った例は21名いるということです。これもまた独法のや る気を削ぐ方向にしか働いていない現状なのですが、政府の閣議決定をした背景にある方針自体も削 減する方向にいくというか、例えば会計検査院で在職期間中に何か問題が発覚した場合には、責任が あるだろうとしてマイナスになるとか、そういう厳しい運営がされていて、それが政・独委でチェッ クされますので、どこだったか忘れましたが、1.2か3で出したところ、会計検査院の指摘があっただ ろうと、それがあるのだからマイナス査定ではないかと差し返されて、すったもんだした挙げ句0.9に 落ち着いてしまったという、非常に悲しい例もあると聞いております。  ですから、委員会の決定のやり方で、目的積立金は積んでいないけれど、この方は非常に頑張った から1.5にしようとか、1.2にしようという決定を一旦してみるという手もありますが、おそらく政・ 独委では形になっていないではないかと、こういう珍しいケースでしかプラスになっていないのだか ら、本当にそこまでの価値があるというか、評価を評価委員としてしているのかということを、厳し く査定されていくという関係になると思っております。 ○井原部会長  よろしいですか。法人のほうも1.0でお願いしますと。 ○本寺委員  この方たちは、任期が14カ月というのはあれで、1期だけなのですが、この評価を我々がもしきち んとやったということで、1.55というのは、このルールどおりに考えればXを出していいということ なのですよね。そういう意味で、逆に言うと我々がちゃんと評価しているかしていないかが、チャラ にされているような気がするのです。それを1.0だと言われてしまうと。 ○政策評価官室長補佐  それはあるとは思います。ただ、どうしてもお金との関係があると思っているのです。法人で黒字 になっていて、その結果は目的積立金に表れてくるだろうというのが、全体を通じた共通理解として あるので、まず目的積立金を積むというところがファーストステップとしてあるのかなと思っていま す。  ただ、一方で目的積立金を積むにも要件がいろいろあって、その辺も改善していかないと、評価が うまく反映できないという形になっております。 ○本寺委員  目的積立金というのは、私は退職金の引当金ぐらいに思っていたのですが、違うのですね。 ○中村委員  参考までに、この古曳さんですが、評価項目で1から19まであって、AとかSとかずっと入ってい ますね。その内容がそのあとに業務の実績として細かく書いてあるのですが、おそらく1年ちょっとで これだけのことをその方がやったとは思えない、この独法自身がずっとやってこられたことを書かれ ていて、この人個人のパフォーマンスはどう見ればよろしいのでしょうか。これ全体で、何年も前か ら継続している調査・研究がたくさん出てきていますね。あたかも古曳さんが1年間でそれをスタート して、終わったということであればSSを付けてもいいぐらいなのですが、ここに書いてあることと古 曳さんとの個人的な関係をどう解釈すればいいのでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  理事でいらっしゃったので、理事としての成果は法人の業績として表れてくるという考え方から、 業績勘案率と組み合わせております。それについては当然これまでの蓄積の上にいらっしゃると思う ので、古曳さん自身の成果と言えないものも含まれているかもしれませんが、そういうことについて は、もし調整をすべきものがある場合には機構から申請をしていただくと。 ○中村委員  すごい量ですよね。たった1年ちょっとでは、スーパーマンでないととてもできない。ですから、本 当に古曳さんの評価が、理事は4人ですね。そうすると、ほかの理事であったとしてもこういう形で出 てくるのでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  いま見ていただいているものは、機構全体の業績の話ですので、中村委員がおっしゃっているのは、 おそらく別添2の細かいものですね。 ○中村委員  そうです。業務の実績ということで、古曳さんという方がAとSをずっともらってきていて、その1 つの項目で何をしたかがここで書かれているわけですよね。 ○政策評価官室長補佐  別添1というのは平成20年度の評価で、これは評価委員会で確定した機構の評価です。別添2は平 成21年度、この夏に評価をしていただくものの基になる資料といった扱いで、評価が確定していない ものについての細かいものなので、古曳理事がこれをやったというものにはなっていないものはなっ ていない。 ○中村委員  そうすると、この1個1個がそこでどのぐらいのパフォーマンスがなされて、これはSだったとかA だったとかいうのは、私たちはわからないわけですね。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。そういったことについての交通整理をしたルールが、先ほどご紹介した112〜113頁に なっています。退職される役員の方個人をつぶさに見てどうだったかという話も、もちろんやるとい う選択肢もありはするのですが、とても手間がかかるのと、先ほど申し上げたように理事としての業 績は結局機構のパフォーマンスにつながるだろうということで、そこに一つ、みなしを置いています。 ○中村委員  例えば、会社の場合には、理事というのは取締役ですね。取締役は、営業担当とか財務担当とか、 必ず担当を持つのです。ですから、4名おられる場合には、法人がこれだけのことをたくさんやらなけ ればいけないときに、おそらく理事1人ひとりが専門分野を見ているのではないかと私は想像したので す。そうすると、古曳さんが専門的に扱われていた分野でA、Sクラスが出たと理解すればいいのです ね。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  そうです。これは私が解説するのも変なのですが、お手元にお配りしている資料が、私も実は今回 びっくりしたのですが、同じ思いを持ったのです。なぜかというと、厚生労働省の指示によると理事 は共同連帯責任になっているのです。全体の成績になっているのです。ですから、いま説明したのは、 古曳が担当していた事業については全部で5事業分野で、そのうちSが1つで、残りの4つはAですよ というご説明を我々としてはしたのですが、厚生労働省の指示による評価は共同連帯責任で、理事全 員の成績で、どの理事も同じであるという評価の仕方だということです。私もおかしいなと思うので すが、どうもそういう方向のようなのです。これは厚生労働省の方針というよりは、全体の方針がそ うなっていると。 ○中村委員  でも、これは改革すべきではないですか。 ○政策評価官室長補佐  確かに、調査をしてみようかと思います。やり方としては、おっしゃったように、例えばいま評価 項目でお配りしているもので1から19までありますが、この理事の方が担当していた業務は3〜8だと いうことで、ここのものを見て数式の基のデータにしましょうと。 ○中村委員  そのほうがクリアだと思います。 ○政策評価官室長補佐  そういうやり方も確かにありますので、各省の並びと言うと変ですが、いろいろ調べて研究させて いただければと思います。 ○中村委員  各省ではなくて、厚労省というのを改革していけばいいのではないですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  そう思います。 ○中村委員  各省なんて横並びしないで。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  そう、横並びを気にしすぎなのです。 ○政策評価官室長補佐  ありがたいお言葉として、これを励みにまた原案を考えて、これは評価委員会の総会で決定をして いく話になりますので、夏の部会のときに議論をさせていただければと思っております。 ○寺山委員  それでは、監事の場合は、また違う評価の仕方を研究するということですね。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。監事の場合の扱いをどうするかというのも、併せて夏のときにご議論させていただけ ればと思います。 ○井原部会長  ほぼ1年間在籍しているわけですが、ここに出てきた評価は、おそらく過去の積上げの結果だろうと 思うのです。だから、それから言ってご本人の全くの成果であるとも言えない。そこは非常に曖昧な ものであって、それを非常にわかっているのは法人の理事長だろうと思いますが、それが法人から1.0 でお願いしますということは、もしすごかったら1.5でお願いしますということも出てきそうな気もし ています。ということを前提にすると、申請のあった業績勘案率は原案のとおり1.0ということでよろ しいでしょうか。 (各委員了承) ○井原部会長  そのようにさせていただきます。それでは、先ほど同様、政・独委に通知するなどの手段を進めた いと思います。  次に、高齢・障害者雇用支援機構の「役員給与規程の変更について」、法人から説明をお願いしま す。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  資料3-4をご覧ください。具体的には、資料3-4-(1)の「役員給与規程一部改正新旧対照表」に沿っ てご説明します。  改正の要点は、私ども役員の給与水準についてはこれまでも国家公務員の指定職の俸給表が適用さ れる職員の給与水準を踏まえ、必要な改正等を行ってきております。  今般も人事院勧告、国家公務員の給与法の改正を踏まえた改正ということで、具体的には常勤役員 の本俸月額について、左が改正後、右が改正前ですが、本則第4条で常勤役員の本俸月額を規定してい ます。これについて、この頁の下のほうに附則第3条という部分があります。当分の間、この本則第4 条にかかわらずということで、本俸月額の特例を定める形にしております。こうした規程について、 人事院勧告を踏まえた指定職俸給表の改正を踏まえ、引下げを措置しているということです。指定職 の俸給表の改正については、月例給でマイナス0.3%と承知しておりますが、これを若干上回る率での 引下げとなっております。  また、本則第10条ですが、この間の部分に非常勤役員手当があります。これは非常勤監事の手当の 月額を定めており、これについても常勤の役員に係るものと同様の考え方で引下げを措置していると いうことです。  以上の改正について、昨年12月1日より施行しております。以上で役員給与規程の改正についての ご説明とさせていただきます。 ○井原部会長  何かご質問等ございますか。 ○篠原部会長代理  いまごろ何で質問かと言われるかもしれませんが、職員は給与体系がありますね。理事長、理事は 何か体系があるのでしょうか。最初に独法が作られたときに、理事長の給与を見たことがあるのです が、どうも格で決めたという話もあるのですが、それぞれの役所の。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  私が言うのも変なのですが、私が独法を作るときに関与していて、そのときに財務当局と随分調整 したのですが、基本は規模なのです。職員数を基本に、あとは業務の専門性、困難性、その辺りを見 て決めているということで、職員数が5,000人以上だったか、何人以上の所は大体どのぐらいの額とい うことになって、理事長の額がある程度固まると、それに従って理事も決まってくるということで、 当時は決めました。当機構もそれなりに規模があったものですから、少し高い額だったのですが、財 政事情に鑑み下げていったものですから、当初スタートしたときに比べると、当初スタートしたとき に同じ水準だった独立行政法人に比べると、かなり低くなったということだと思います。先ほど総務 部長が申し上げたように、本則は残しておいて附則で下げたということです。基本は規模です。 ○井原部会長  よろしいですか。それでは、役員給与規程の変更について、当部会として了承してよろしいでしょ うか。 (各委員了承) ○井原部会長  そのようにいたします。それでは、高齢・障害者支援機構の議事はここまでといたします。事務局 の入替えを行いますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。  時間が1時間押しております。ですから、6時までの予定が7時を過ぎるかもしれませんので、よろ しくお願いします。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長   労働政策研究・研修機構の議事に入ります。最初の議題が「業務実績評価を行う上での評価の視点 の変更について」です。事務局から詳細の説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐   労働政策研究・研修機構では、同じ委員長通知に基づいて評価の視点の変更をしておりますが、既 に中期目標・中期計画にいろいろと数値目標が記載されているということで、変更点は各法人横並び のものを追加しているものだけであります。29頁からの業務運営の効率化の関係ですが、実際には30、 31頁のところに契約の透明性の話ですとか、給与水準の話、諸手当のことを追加しております。  次の32頁は、業務改善に関する取組についてです。続いて34頁は、法定外福利費の支出の関係等に なります。変更点は以上です。増えてないところについても、昨年の夏の部会とかを基に何かご提案 とかありましたら合わせて受けたいと思いますのでよろしくお願いします。 ○井原部会長  ご質問等がありましたらお願いします。 ○篠原部会長代理  これはほかの機構も同じなのですが、31頁の評価の視点で、最後に、非人件費ポストの見直しとか、 新たにこういうものが入ってきますけれども、本当にここの評価委員の機能かなと。やってくれとい うのだったらというか、何かちょっと入りすぎではないかという気がしないでもないのですが。 ○政策評価官室長補佐  人件費の関係とか、ポストの関係とかそういうことですか。 ○篠原部会長代理  そうです。 ○政策評価官室長補佐  独法の評価をするのがこの評価委員会しかないということで、昨年末に大臣のほうからその点も評 価をしてほしいという依頼を受けたという関係で、評価の視点に追加しているものですので、先ほど のお話の流れの中で、評価委員会の機能が広がりすぎではないかというところがありますが、過渡期 として、厚生労働省としてはこういうことを法人についてちゃんと大手を振って、適正に業務をして いますというお墨付きをもらう場がここしかありませんので。またここら辺の視点は縛りすぎではな いかというところはありますが、時代の要請と言いますか、大臣からの指示もあるところですので、 大変ではありますが、評価をしていただければと思っております。 ○井原部会長  そのほかに何かございますか。よろしいですか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは評価の視点の変更について、当部会としては了承とさせていただきます。では、法人は夏 の評価に向けて準備を進めてください。  次に「役員の退職に係る業績勘案率について」の審議に入ります。事務局から説明をお願いいたし ます。 ○政策評価官室長補佐  先ほど来の資料と同じですが、資料4-2に沿って説明いたします。退職をされる役員の方は、若木文 男さん、理事として平成19年8月25日から平成21年12月31日まで在職されておりました。先ほど と同じ計算をしましたが、(3)にありますとおり、機械的に計算しまして1.0と出てきております。目 的積立金は積んでおりません。また、機構からのプラスしてくれというような申請はありませんでし たので、計算として1.0としております。以上です。 ○井原部会長  続いて、この退職役員について、在任期間中の理事の担当職務等について、法人から簡単に説明を お願いいたします。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  労働政策研究・研修機構の総務部長をしております友藤です。よろしくお願いします。若木ですが、 先ほどご説明がありましたとおり、平成19年8月25日から21年12月31日まで29カ月在任をしてお りました。管理担当理事として、機構の組織、あるいは運営の基本方針の策定、人事労務管理、予算 計画の策定・執行、決算など、主に総務、経理などの管理部門の業務運営を担当いたしておりました。 また、平成21年10月から、大臣のご指示もありまして、理事ポストを3ポストから2ポストに、2名 体制に移行させていただきました。これに伴い、管理業務だけではなく、研修の業務の担当もされま した。なお、理事の1人として他の理事とともに理事長の補佐をいたしまして、管理業務以外の労働政 策の研究業務など幅広く機構の業務運営に参画していただき、機構全体の業務推進及び発展に尽力を されたと考えております。以上です。 ○井原部会長  ご質問等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。これは問題ないと思いますが。それ では申請のあった業績勘案率について、原案のとおり1.0と決定することとしてよろしいでしょうか。 (各委員了承) ○井原部会長  なお、先ほど同様、政・独委に通知するなどの手続を進めてまいります。  次に労働政策研究・研修機構の「役員報酬規程の変更について」です。法人から説明をお願いいた します。 ○労働政策・研修機構総務部長  お手元の資料の4-3-(1)になります。今回、Iの一部改正の趣旨にありますとおり、平成21年8月の 人事院勧告において、国の指定職の俸給表について、管理職層の引下率0.3%を踏まえた改正を行うこ とが決定をされたということで、そうしたものを斟酌しまして、役員報酬規程の改正を行うこととし、 IIの役員の本俸月額を0.3%引き下げるという改定を行っております。  具体的には、お手元の資料の2頁目、新旧対照表の右側が新しい部分になります。第4条のとおり理 事長につきましては94万8,000円から94万5,000円に、理事につきましては78万4,000円から78万 2,000円に、監事につきましては70万9,000円から70万7,000円になっております。それから資料6 頁の、第10条の第1項のとおり、非常勤監事につきましては月額24万3,000円から24万2,000円に という形で規程の変更、手当の引下げを行わせていただいております。  実施時期は1枚目にありますとおり、平成21年12月1日より施行させていただいております。私か らの説明は以上です。 ○井原部会長  この点に関して、ご質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは、役員報酬規程の変更につきましては、当部会として了承をさせていただきます。労働政 策研究・研修機構の議事はここまでといたします。  最後に稲上理事長より、一言ご挨拶をお願いいたします。 ○労働政策研究・研修機構理事長  理事長の稲上でございます。評価委員会の先生方には毎年度の業績評価をはじめ、私どもの業務運 営につきまして、種々ご指導、ご助言をいただいておりまして誠にありがとうございます。この場を 借りまして改めて御礼の言葉を申し上げたいと存じます。  先生方、ご承知のように今日の経済・社会情勢を考えますと、雇用問題は多くの構造問題を含めま して、到底楽観視することができないというふうに考えております。私ども労働政策研究・研修機構 としましては、その実態を明らかにいたしますとともに、あるべき政策的手立てが何であるかにつき まして、更に検討を深めてまいりたいと考えております。今後とも引き続き、先生方のご指導、ご鞭 撻をお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それではここで事務局の入れ替えをいたしますので、皆さましばらくお 待ちください。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長  雇用・能力開発機構の議事に入ります。最初の議題は、国際能力開発支援センターの処分について です。これについては、2月10日の労働部会において、不動産鑑定を行った2者の鑑定評価額に開き がありまして、もう1者、不動産鑑定評価を行い、先の2者の鑑定評価と比較検証して、評価額を決め るべきであるというのが当部会の意見でございました。これを受けまして、再度審議するものです。  なお、当該議事に係る資料の取扱いですが、資料5-1の中に不動産の評価額が記載されていますが、 その額が公開されてしまいますと、契約に支障が生じます。したがいまして、この資料については契 約締結時まで非公開とします。委員の皆様におかれましても、資料の取扱いについてはご留意をお願 いするとともに、本日の審議において、評価額に係るご発言を控えていただくようにお願いします。  今日は理事長が急遽欠席のため、羽毛田理事から冒頭のコメントをお願いします。 ○雇用・能力開発機構理事  ただいまご紹介にあずかりました、この3月1日から雇用・能力開発機構の総務担当を拝命しました 羽毛田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。評価委員の皆様方におかれましては、日頃か らご指導、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げる次第でございます。  本日は部会長からお話がありましたとおり、丸山理事長が出席する予定でしたが、今朝急用ができ て、やむを得ない事情で出席できないということになりましたので、代わりに出席させていただきま した。そこで、一言だけご挨拶申し上げさせていただきます。  本日は、重要な財産処分あるいは業務方法書の変更、評価の視点の変更などにつきまして、ご審議 いただくことになっているかと思います。特に、評価の視点の変更につきましては、長妻厚生労働大 臣からのご指示でもございまして、業務経費に冗費が生じていないか、あるいは業務運営について透 明性が確保されているか、あるいはサービスの質を高める努力をしているかといったこと等につきま して、より一層今後重視されることになりますので、当機構としましても、こうした面でできるだけ 努力をいたしまして、その結果につきましても、国民に対してわかりやすい説明となるように、可能 な限りの努力をしてまいりたいと考えています。  さらに、今後雇用情勢に対応した、私どもの雇用のセーフティネット機能をますます発揮していく 必要があろうかと考えておりまして、役割の発揮に向けて総力を挙げてまいりたいと考えております ので、今後ともご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただ きます。本日はご審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井原部会長  ありがとうございました。法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構経理部長  国際能力開発支援センターの譲渡処分について説明させていただきます。資料は5-1です。国際能力 開発支援センターの処分については、先ほど部会長から申されたように、前回2月10日に開催の評価 委員会において、ご審議をいただいたところですが、不動産鑑定士2者から聴取した鑑定評価額に格差 があるというご意見があり、もう1者の不動産鑑定評価を行うようご指示があったところです。それに 伴い、今般、新たに1者を入れた不動産鑑定評価をしたところです。その結果については資料の最後に 「評価額比較表」を付けていますので、ご覧いただきたいと思います。  前回の2月10日の2者の平均額と、今回新たに入れた評価額が、ほぼ同額まではいきませんが、近 似値となっていること、それから当機構の内部規定におきまして、鑑定評価を2者以上から徴収した場 合の評定価額については、その平均の価格にすることとなっていることも受けまして、また前回のご 意見等を踏まえまして、評価額についてはより客観性を高めまして、適正な評価を行うという観点か ら、資料の参考にあるように、不動産鑑定3者による鑑定評価額の平均額としたいと考えています。ご 審議のほどをよろしくお願いします。 ○井原部会長  この前、散々議論したことではありますが、ご質問等はございますか。 ○篠原部会長代理  この業者を選んだ過程はどのようなものでしょうか。それと、我々は鑑定評価額が上がるかと期待 したのですが、これは下がってしまったようです。ほかのところでこのような処分をする話を聞いた ら、市場性のない資産が多いと言われて、鑑定も大変だと。これは非常に難しいなと。そのときに出 た話は相場観みたいな話で、このようなものかという感じは持っているのでしょうか。 ○雇用・能力開発機構経理部長  第1点目の、今回の3者目を選んだ理由は、当初の2者を決めるときに、一般競争入札を行っており ます。そのときに複数者が参加しておりまして、最低価格の上位2者を選んでおります。それで、今回 はそれよりちょっと高めのところの業者の中で、この額を提示するのに期間的に間に合うかどうかと いうことを確認して、それで受けていただいたところがこちらの業者です。通常の場合は、1カ月半ぐ らいは期間がかかることなのですが、どうしてもということで、理事長からも、期間的に間に合うか どうかはわかりませんがという話はありましたが、ここは受けていただいたので、この業者に評価し ていただきました。  それから、評価額は原価法ということで各社やっておられるのですが、その中身としては、建物を 新たに建てた場合の額の算出の中で減ずる額を指数的に掛けていく、その答えの中で各社がいろいろ と自分のところの中での考え方の処理の中でやっていきます。  特に、先ほど篠原委員からお話がありました市場性の問題を非常に重視しているとか、あと観察減 価率といって、見た目のところでの減ずる額といったものの中で、各社が若干違ってきまして、土地 代についてはほぼ同額です。建物の評価に差が出ていて、このような3種類の金額になっています。私 どもは正常価格を各社に出していただきたいということでお願いしておりますので、その中での個々 の鑑定評価士の考え方が反映された結果だと考えています。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。本部会としては、本件について異存はないということを厚生労働大臣にお伝 えするということでよろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  法人においては、この厚生労働大臣の認可を受けたあとは、処分に向けて手続を進めていただけれ ばと思います。  次の議題は、「業務方法書の変更について」です。法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構総務部長  総務部長でございます。業務方法書の変更について、資料は5-2です。資料5-2-(1)に概要がありま すので、そちらをご覧ください、変更点は3点です。  1点目は、「私のしごと館」がこの3月末で廃止になるので、しごと館の関係の業務の規定を削除し ます。  2点目は助成金業務の関係です。助成金のうち、中小企業人材能力発揮奨励金というものがあります が、その助成金は今年度限りで廃止するという厚生労働省の方針ですので、その関係を削除します。  3点目は、財形融資の関係です。住宅ローン、教育ローンの返済が著しく困難となった方について、 償還期間を最長15年まで延長するという規定があります。この規定については、暫定措置ということ になっていまして、今年度末でその暫定措置が切れることになっているのですが、現在の経済情勢そ の他に鑑みまして、来年度も延長するという規定の整備です。以上です。 ○井原部会長  何かございますか。よろしゅうございますか。それでは、本部会としましては本件については異存 がないことを厚生労働大臣にお伝えするとしてよろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  所管課においては、厚生労働大臣の認可を受けて手続を進めていただければと思います。 ○政策評価官室長補佐  今後、もしこの案からさらなる変更が必要となった場合には、これまでの諸々と同じでございます が、事務局から部会長にご相談させていただきまして、委員の皆様にご報告または改めてご意見をお 伺いするなどの対応をさせていただきたいと思います。 ○井原部会長  本日審議を行った業務方法書の変更案の内容に修正があった場合の取扱いについては、私が事務局 と調整して決めさせていただきます。  次の議題は、「業務実績評価を行う上での評価の視点の変更について」です。まず事務局から詳細 を説明してください。 ○政策評価官室長補佐  雇用・能力開発機構の評価の視点、数値目標の変更案について、事務局として用意した案をご説明 します。なお、これまでの法人と同様ですが、数値目標については、中期目標に設定されているもの が多いところですので、新たな設定はほとんどないこととなっています。時間の関係上、変更を行っ た箇所を中心にご説明します。  まず全般に関することを先に申し上げます。例えば評価項目1ですが、全般にわたってアンケート調 査等によって満足度を測定するという数値目標が多くあります。これはこれまでの議論でも出ていま したが、実際に満足といった言葉だけでは評価できないものがあると思っておりますので、夏の評価 をいただく際には、内訳として、どのような具体的な回答があったのかといったことも資料として記 載したいと思っていますので、ご承知おきをいただければと思います。それでは変更箇所を中心にま いります。  まず19頁の評価項目9です。技能者育成資金の返還率について、中期計画に基づいて平成21年度の 数値目標を追加しています。  続いて20頁の評価項目10です。この項目について変更点というか、現時点では数値目標を設定して おりませんが、平成22年度の評価までに、数値目標の設定が可能かどうか、検討を進めたいと思って おりますので、申し添えておきます。  続いて26頁の評価項目14です。こちらは各法人並びのところですが、天下りポスト等の見直しにつ いて記載しています。  続いて27頁の評価項目15です。こちらも業務改善の関係で、各法人にお願いしている評価の視点を 追加しています。  続いて29頁で、こちらも業務経費(冗費)の点検・削減、給与水準、契約の適正化などの観点、各 法人同じようなものですが、評価の視点を設定しています。  続いて33頁の評価項目17です。こちらは雇用促進住宅の廃止に係る中期目標を昨年度変更したこと に伴い、数値目標の削除や評価の視点の追加を行っています。雇用促進住宅の受託団体である雇用振 興協会との関係、その他企業との不適切な取引が行われていないかをチェックする観点からの視点の 設定をしています。具体的には34頁に記載しています。  36頁です。平成21年度の常勤職員の削減数を中期計画から起こして書いています。  以上です。 ○井原部会長  何かご質問等はございますか。 ○篠原部会長代理  ほかの法人でも言わせていただいたのですが、中期目標と中期計画の視点がほとんど同じなのです が、もうちょっと具体性というか。基本的に、今までこうだったのだから、今頃言うなと言われそう な気もするのですが、できないのもあるのかもしれません。できなければそれでいいのですが、どう ですか。 ○政策評価官室長補佐  中期目標・中期計画については、一旦決定しているものですので、もちろんご指摘を踏まえて修正 案を出すこともあり得るのですが。 ○篠原部会長代理  視点のほうの話です。これを見ているとほとんど同じ文章なので。ああ、これはいいか、現行と案 なのですね。 ○政策評価官室長補佐  はい。左が現行で、右が改正案になっています。 ○篠原部会長代理  それでしたら、もうちょっと具体的に書いてほしいと思います。抽象度が高いと思います。 ○政策評価官室長補佐  ご指摘を踏まえて、夏の部会に向けて、極力評価をするときのポイントがより明確にわかるように 法人とも相談をしながら進めたいと思います。この場で、具体的にこの視点については、これをポイ ントとして盛り込むべきだというものを今いただけましたら、活かしていきたいと思います。 ○堺委員  当機構に直接ということではなくて、ほかと全般に関わることなのですが、ホームページへのアク セス件数を指標にしているところがかなりあります。それはそれで数値目標としていいのですが、公 的な機関の場合、どれだけ多数の人々、あるいは多数の機関がアクセスしてきたのかも、もしわかる なら知りたいと思います。具体的に言えば、IPアドレスがいくつあったかということについて、技術 的にそんなに難しくなければ、アクセス件数とIPアドレスの数の両方を取り上げることを、将来ご検 討いただけたらと思います。よろしくお願いします。 ○篠原部会長代理  これは当機構だけではないのですが、視点がだいぶ増えました。ということは、夏にどのように効 率的にやるか。我々に与えられる資料は評価しやすいとか、あまり時間は延ばしたくないと。その辺 の早くやる工夫をお願いできればと思います。 ○井原部会長  具体的に、パッと頭に入るような形で表現をしてほしいということですね。 ○政策評価官室長補佐  その方向で頑張ってまいります。 ○本寺委員  例えば、13項の目標がありますが、絶対にこれは同じウエイトの目標ではないという感じがしてい るのですが、この中の重要な項目で評価が大方決まるのではないかと思うので、そういうこともでき ればやっていただければと思います。我々も、本当に重要な目標で、本当によくやったのかどうかと いうところに、集中的な審議ができたほうがいいのではないかなという気もしているので。 ○政策評価官室長補佐  一律に、今の段階で数値目標に順位づけをするのは、非常に厳しいものがあるとは思っているので すが、夏の部会の際に、先ほどの話にもありましたが、ストーリーがわかるような形で組むことで、 評価官室として思っています重要なものとかを、プレゼンスを高めるような説明をさせていただいて、 評価の際の参考資料として役立てるようにしたいと思っています。  また、実際その評価項目のウエイト付けというのは、まさに部会の皆さんの中で、こんなに4つも5 つも数値目標があるけれども、重視するべきはこれなのではないかということをご指摘いただく中で 決めていくのがいいのではないかと思っています。今回は夏の部会に向けて、今の段階で考えている 評価の視点の案をお示ししていますが、例えば夏の部会をやる中で、そういったことも来年度の視点 のほうは、ここに特に注目したほうがいいとか、そのような視点の議論もしながら、評価を進める形 にしていければよりよいのかなと思っていますので、夏の部会が正念場ですので、そこをどうやった らうまくやっていかれるかを極力事前に相談したり、資料を用意させていただいたりしながら、進め たいと思っています。 ○篠原部会長代理  政・独委から要求された項目が視点の中にありますが、それぞれの10何分類は総合的に評価するの ですが、中でそのこと自体がどうだったのかの結論を出さないとまずいのではないか。その辺はトー タルの評価はやっていくのだけれども、項目を見ていくと、政・独委のほうは、どう評価したのと言 われてしまうと。 ○政策評価官室長補佐  政・独委のことに関しては、これまでも政・独委からあまりにたくさんの項目を求められていると いう話もありましたので、まだ具体的なシート等は作っていませんが、漏れのないように、下手に叩 かれないように、政・独委に言われた視点については、例えば評価書のどこに書いてあって、どのよ うな評価をしたか。評価をする際の漏れがないような工夫を、まず事務的にしたいと思っていますの で、そうした中でチェックは可能かと思っています。 ○篠原部会長代理  先ほど言った総合的に評価するのと、個々の部分が、何らかの議論をされて評価していかなければ いけないから、時間がものすごくかかる。単に新たに視点が追加されて、我々は総合的な評価だけを していればいいのではなくて、1個1個を議論して、例えば契約監視委員会は適切にやったかと言われ ると、それは評価の1つの視点なのだけれども、それ自体も評価しなければならないというような気が するのです。だから、結構時間がかかるというか、前もってそのような資料を与えてもらって、私た ちが評価していかないと。  我々は、今までの時間は総合的評価だけでいいのだと。個別には、資料で書いておくとかしないと、 今回見ていると不可能に近い。両方の作業をしなくてはいけないですよ。 ○政策評価官室長補佐  そうですね。さらに時間がかかってしまうというのは、おっしゃるとおりだと思っています。  ただ、評価の視点は、今回委員長通知を基に、各法人に具体化をしていただいたりしているのは、 事務局の気持としては、委員の方の負担を増やすというより、これまで夏の部会等での議論をお聞き していまして、このようなデータが足りないのではないかとか、そういうことを言われていること、 そういう視点が足りないのではないかということを、あらかじめ評価の視点に入れておいて、法人側 も事前に資料を用意しておこうという、評価に役立てる資料を前もって準備しておく方向に、用意し たつもりになっています。その結果、見なければいけない資料が多くなることにはなっているかとは 思うのですが、評価をする際の切り口をより多くもって、より総合的な評価ができるようにしたいと いう思いもあって、諸々を進めているところです。  集約してしまうと、夏の評価の視点がたくさんあって、資料もたくさんになりそうで大変だという ことになると思いますので、そこはどのような形でやったほうが、皆さんの負担も軽減されて、法人 側にも無駄な作業をお願いしないかという点で、事務局のほうで頭に汗をかいて考えていきたいと思 います。また、やり方については、このようなやり方でやりたいというのを、夏の部会が始まるより 前に一報申し上げて、その点でこうしてほしいとか、ああしてほしいという話がありましたら、それ も踏まえて全体を決めていきたいと思いますので、そのような形で、この評価の進め方も手探りなの ですが、よろしくお願いできればと思っています。 ○中村委員  この雇用・能力開発機構について、大きな問題は、民間へどのように運営委託が毎年具体的にされ ているのかということを、評価の視点として拝見させていただきたいところなのです。  もう1つは、雇用・能力開発機構でなくてはできないこと、例えば日本版デュアルシステムとか、実 践型人材育成システムなど、いろいろなものを作り上げてくださって、これは一民間企業ではできな くて、まさに独法が音頭を取ってやっていただきたいところなのです。ただし、これが出来上がった ときというのは、おそらく製造業中心の考え方でこのようなシステムができているものですから、い ま日本の社会は、介護、医療、保育など、かなりサービス業にシフトし始めてきているのです。こう いったところで、この実践型人材育成システムとか、デュアルシステムを使おうと思うと、制度上不 具合があるのです。使い勝手が悪いのです。  そこをもう少し瞬発力をもって、中の仕組みを見直していただいて、これから日本を背負っていく サービス業にも、是非こういったものを実施していただきたいという姿勢を見せていただけるような、 15頁の評価の視点のところに、「実践型人材育成システムや有期実習型訓練の導入・実施のための各 種施策を実施したか」とあるのですが、そういうことも踏まえた形でやっていただけると、独法の今 の時代の必要なことに対して、きちんとそれに応えているという評価が出てくると思うのです。  いま保育業界は人材不足で大変なのです。医療も、介護も、そうです。こういった緊急人材育成・ 就職支援基金とかを使って人材育成をしようと思っているのですが、こういった既にあるものの中で もやっていきたいと思うのですが、そもそも使い勝手が悪くて、スピード感が違うのです。 ○雇用・能力開発機構理事  今、委員のおっしゃられた官民の役割分担で、できるだけ民ができることは民へという思想につい ては、我々もそのような考え方でおりますので、例えば民間の専門学校等への委託訓練なども、これ は国の施策として、そちらにできるものはシフトしていくという方向性ですので、それに合わせて我 々もそのような実績をつくり、かつそのような説明をできるだけさせていただきたいと思います。  それとサービス業のほうについても、デュアルシステムというのは、学科と実技と、現場の実習的 なものが。座学だけではなくて。 ○中村委員  勉強と介護の現場、勉強と保育の現場。 ○雇用・能力開発機構理事  先生のおっしゃるように、貴重なご意見をいただきましたので、そういう方向でやっていただきた いと思っておりますし、例えば、デュアルシステムについて申し上げれば、私どもの施設内でやるも のはものづくりが多いですからものづくり関係なのですが、委託訓練型のデュアルシステムというも のもありまして、例えば情報関係とか、まさに介護なども含めて、デュアルでやっていただくという ものも予算化をされておりますので、先生の貴重なご意見を踏まえて、うまくいっていないところも あれば、できるだけ是正しながらしっかりと実績を出して、こちらにもまたご報告させていただきた いと思っています。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。それでは、この評価の視点等の変更については、いまいろいろとご意見 をいただきましたので、そのご意見をできるだけ盛り込んでいくことを前提として、当部会として了 承するという形でよろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  法人は夏の評価に向けて、準備を進めていただきたいと思います。  次に、長期借入金・債券発行の実績報告(第2四半期及び第3四半期)です。それと第4四半期の長 期借入金・債券発行の計画(案)についてです。事務局からの説明、続いて所管課からの説明をお願 いします。 ○政策評価官室長補佐  資料5-4-(1)です。これは借入金の関係です。仕組みとして、年度を通じた長期借入金の計画、それ から債券発行の計画について、まず部会の了解を得まして、その当該計画に基づく実際の個別の認可 については部会長一任とするという仕組みで運営しています。  そして、個別の認可を得て、実際に実施したことについて、部会に事後報告をするという流れにな っていまして、本日は雇用・能力開発機構の平成21年度の長期借入金及び債券発行の実績について、 昨年8月に第1四半期の分のご報告は終わっておりますので、今回は第2四半期、第3四半期の実績の 報告をする形になっています。また、第4四半期の長期借入金計画及び債券発行計画(案)についても、 ご説明することとしています。所管課からお願いします。 ○労働基準局勤労者生活部企画課長補佐  勤労者生活部の企画課です。雇用・能力開発機構の長期借入金と債券発行実績等について、ご説明 いたします。まず資料5-4-(2)です。雇用・能力開発機構においては財形融資の貸付のために資金調達 を、毎年度6月、9月、12月、3月と、年4回行っております。平成21年度の第1四半期実績について は、先般の8月に開催されましたこの部会においてご報告させていただいております。本日は第2四半 期と第3四半期の資金調達の実績について、ご報告させていただきます。  第2四半期においては、9月に長期借入金により303億円、債券により364億円、第3四半期におい ては、12月に長期借入金により166億円、債券により350億円を、それぞれ調達いたしました。それ ぞれの期において、当省が認可を行うに当たり、あらかじめ年度計画額の限度内であることを部会長 にご確認いただいております。  次に資料5-4-(3)です。平成21年度4回目となる第4四半期の資金調達(案)です。第4四半期につ いては、資金調達自体が今月下旬ですので、事後のご報告の形ではなくて、本来の形式である当部会 のご了承をいただいた上で、当省として認可をしたいと考えております。  第4四半期の調達額ですが、長期借入金により507億円、債券により318億円を予定しています。借 入条件ですが、長期借入金については、償還期間が1年で、金利は今月1日時点の短期プライムレート の業態平均ということで、1.572%となる予定です。債券については、償還期間が5年で、金利は債券 発行月の5年利付国債と同一利率となりますので、5年利付国債の入札日である3月11日に条件が確 定することになります。  下の参考の表です。これは平成21年度の年度計画額と第4四半期までを含めた調達見込額です。年 度計画額の欄ですが、長期借入金は1,299億円、雇用・能力開発債券は1,483億円となっております。 この年度計画額については、昨年3月のこの部会において、平成21年度の調達限度額としてご了承を いただいているところです。  雇用・能力開発機構が今回の第4四半期の資金調達を行うに当たりまして、当省としては、この年度 計画額の限度内であることから、当部会のご了承をいただいた上で、認可を行いたいと考えています。 平成21年度の第4四半期の資金調達案に係る説明は以上です。 ○井原部会長  何かご質問があればどうぞ。よろしゅうございますか。それでは、この雇用・能力開発機構の平成 21年度第2四半期及び第3四半期の長期借入金及び債券発行の実績については、当部会として報告を 承ったことにします。また、第4四半期分の長期借入金及び債券発行計画案については了承し、仮に今 後の手続の過程で内容に変更があった場合の取扱いについては、私が事務局と調整して決めさせてい ただく形でご一任いただければと思います。 (各委員了承) ○井原部会長  続いて、平成22年度の長期借入金計画、債券発行計画と、その償還計画についてです。法人から説 明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  資料5-4-(4)です。これは平成22年度の長期借入金計画と債券発行計画の表です。まず、平成22年 度の計画額です。長期借入金が1,230億円、雇用・能力開発債券が1,485億円で、合計で2,715億円の 調達を予定しています。この調達額については、平成22事業年度貸付見込み等をベースに、新規融資 と償還金等の合計額から、回収金を差し引いた額となっています。  その積算内訳です。まず支出として、(1)新規融資資金です。最近の貸付実績を勘案し、498億3,900 万円としています。(2)過去に調達した長期借入金、債券の償還額等として、3,097億9,400万円があり ます。これらの支出に対して収入となる(3)回収金等ですが、これが881億3,300万円です。これを差し 引くと、資金計画の調達額は2,715億円となります。  この資金調達に係る発行条件、借入条件です。長期借入金については、償還期間1年、借入利率につ いては6月、9月、12月、3月の各1日における財形貯蓄取扱機関の各業態の短期プライムレートの平 均金利で借り入れることとしております。債券については、5年満期一括償還で、その借入利率は6月、 9月、12月、3月発行の5年利付国債のクーポンレートと同率としています。ただ、発行価格について は、5年利付国債の発行価格より25銭安い価格としています。したがいまして、当機構債券の応募者 利回りは、国債よりも若干高い利回りとなるというものです。  次の頁です。これは平成22年度の償還計画(案)です。まず平成21事業年度の未償還未済額(A)で す。平成21年度末における長期借入金、債券の残高で、長期借入金が1,264億円、雇用・能力開発債 券が7,281億円で、合計8,545億円となる見込みです。平成22年度の借入見込みは、先ほどご説明し ましたとおり、長期借入金が1,230億円、雇用・能力開発債券が1,485億円の計2,715億円を予定して いるところです。  一方、平成22事業年度の償還計画ですが、長期借入金が平成21年度に借り入れた1,264億円の償還、 債券については平成17年度に発行し、平成22年度に償還期日が到来するもので、1,683億円で、合計 2,947億円の償還を予定しています。結果、平成22事業年度末の未償還未済額は長期借入金が1,230 億円、雇用・能力開発債券が7,083億円、合計8,313億円です。なお、参考までに、平成23事業年度 の償還予定額を記載しています。以上で、債券発行、長期借入金計画、償還計画の説明を終わらせて いただきます。 ○井原部会長  今のご説明に関して、ご質問等があればお願いします。 ○中村委員  新規融資資金が498億円とあります。この498億円というのは、何に使うかという目的は、雇用促進 融資というところに使っているのですか。雇用促進の融資として、この財源がいっているということ でしょうか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  この使途目的は、勤労者財産形成持家転貸資金というもので、勤労者の方が住宅を取得するために、 私どもが調達して、融資をするものです。住宅取得のためです。 ○中村委員  どうして勤労者の住宅まで融資をする必要があったのでしたっけ。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  財形貯蓄制度の中で、勤労者の方が給料から天引きされて財形貯蓄をされます。私どもは、その財 形貯蓄をやっている勤労者の方が住宅を取得するときに、融資をするという制度がありまして。 ○中村委員  それでなさっていて、それに関して融資をしたことによって、ちゃんと戻していただいているとい う、回収率はどのくらいですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  回収率は99.9%で、ほとんどリスクを抱えていません。 ○中村委員  もう1つ、資料5-3の31頁にありますが、雇用促進融資ということをされておられて、この債権管 理が難しそうに書かれています。リスク管理債権というものが生じているということですが、評価の 視点として、きちんと債権管理ができているかを数字で出すことはできるのですか。要するに、今年 度は前年度に比較して、リスク管理債権をどのくらい減らしているとか、前年度のものをどのくらい に減額しますということを、数字の額で出せますか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  雇用促進融資については、平成14年度で新規融資が廃止されているものでして、今は債権の管理と 回収しかやっていない状況です。  ただ、これはほとんど中小企業向けの融資だったものですから、私どもがリスク管理債権をコント ロールするというメルクマールはなかなかつくりがたいもので、経済情勢によって中小企業の経営が どうなるかはなかなか見通しが立たないこともありまして、数値でというのは。 ○中村委員  そうすると、貸してしまっているけれども、貸し倒れになっている可能性がかなりあるということ ですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  リスク管理債権では、いま307件程度しか残高が残っておりませんで。 ○中村委員  307件というのは、総額でいくらくらいですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  107億円です。 ○中村委員  それは回収可能ですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  107億円のうち、リスク管理債権としては52億円ほどですので、40数%のリスク管理債権という状 況になっています。 ○中村委員  そうすると、今後もこの雇用促進融資はストップされているということで、債権の回収だけという ことなのですね。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  はい。 ○中村委員  今、いろいろな事業仕分けの中で、経済産業省でも、中小企業の支援でいろいろなことの融資をし ています。厚生労働省の雇用・能力開発で、なぜ中小企業にお金を出しているのだろうか、何の目的 なのだろうか。一見曖昧な感じがするのです。なぜ融資をしなければいけないのか、本来の業務なの かということがあるのです。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  雇用促進融資の制度を発足したときには、中小企業者の方の労働者住宅、福祉施設に対して、私ど もは財投からお金を借りて融資をしていたものです。ただ、なかなか件数が伸びてこないということ で、平成14年の特殊法人の改革のときに廃止になったという経緯があります。 ○中村委員  そうすると、残りの約50億円ぐらいは評価の視点として評価をしていい部分でしょうか。いくら回 収しましたということは見えますか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  先ほど申しましたように、いま現在でリスク債権が52億円ありますと。 ○中村委員  はい。だから、残りの約50億円は回収できるということですよね。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  ただ、今、残りはリスク債権ではない債権になっていますが、これから景気の状況がどうなるかと いうことで、私どもがお貸ししている中小企業さんの経営がおかしくなったら。 ○中村委員  もっとリスク管理に入っていってしまう可能性が大きいですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  可能性もあります。 ○中村委員  ちょっとその辺がどうかなと思います。 ○政策評価官室長補佐  事務局でも、数値目標化が厳しいところかなと思っております。ただ、評価の対象から外れるわけ ではなくて、資料として、今年度はどうだったかというのをお示しして、それについて目標が先には ないけれども、出されたものを見て、いまの現下の雇用情勢を考えると、よかったのか悪かったのか、 もっと頑張れたのではなかったのか、そのようなご指摘を夏の部会でいただく形がいいのかなと、事 務局としては思っています。 ○中村委員  パーセンテージはいくらぐらいで貸しているのですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  利率は貸したときの財投金利に、プラスマイナス1%程度の幅で貸しております。 ○中村委員  いまの1.5とか、1.7〜1.8で借りられるのに比べると、高いのですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  ええ。平成14年以前の貸付ですから、高い金利にはなっています。 ○中村委員  貸したものはきちんと回収していくところを徹底させる意識がないと、これからは本当にまずいと 思うのです。だから、その辺がきちんと機構さんの中に、回収をするノウハウと、やっていくのだぞ という意識を高めていただければと思います。 ○井原部会長  それは評価の視点の話ですね。 ○中村委員  視点です。 ○井原部会長  今の話ではないですね。 ○中村委員  今の話ではないです。 ○井原部会長  よろしいですか。 ○中村委員  はい。 ○井原部会長  それでは雇用・能力開発機構の平成22年度長期借入金計画及び債券発行計画とその償還計画につい ては、了承したいと思いますが、よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  今後の手続の過程で内容に変更があった場合の取扱いについては、私が事務局と調整して決めさせ ていただくということで、ご一任いただければと思います。  次に、雇用・能力開発機構の「役員給与規程の変更について」です。法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構総務部長  役員給与規程の変更で、資料5-5です。資料5-5-(1)をご覧ください。1枚目が、平成21年11月30 日の改正で、翌日の12月1日を施行日としています。役員の本俸月額の改正と、期末手当の支給割合 の改正です。本俸月額の改正については、昨年の人事院勧告を受けて、国家公務員の指定職の俸給が 0.3%引き下げられています。それを踏まえて、当機構においては、それを上回る改定率で、2.5%の マイナス改定で、お手元の資料のような数字にしたところです。期末手当の支給割合の改正について は、国家公務員指定職の期末手当の支給割合の改正を参考に、100分の90から100分の80に引き下げ ています。  2枚目です。これについては、平成22年2月9日の改正で、これは4月1日から施行する予定のもの です。これについても、国家公務員指定職の期末手当、勤勉手当の支給割合の改正を参考としていま す。6月期、12月期の支給割合の変更を行ったものです。以上です。 ○井原部会長  ただいまのご説明について、何かございますか。 ○本寺委員  国家公務員のマイナス0.3に対して、マイナス2.5とされたお考えはどういったことですか。 ○雇用・能力開発機構総務部長  職員の給与についても、国家公務員を上回るマイナス改定を行っています。職員に対して姿勢を示 すという観点から、役員についても、国家公務員を上回るマイナス改定を行うこととしました。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。それでは、この役員給与規程の変更については、当部会として了承して よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  そのようにいたします。本日の議事は以上です。事務局から何かありましたらお願いします。 ○政策評価官室長補佐  最後に2点ほどご報告いたします。参考資料2と参考資料3です。参考資料2で付けているのは、前 回の部会で篠原委員からお尋ねがありましたが、独法の通則法の改正の法案の概要です。これは行政 仕分けの場で、各法人は持っているものを国庫に差し出せというような決定がありましたので、それ を受けた内容になっていまして、法人が保有している資産を国庫に返納できるという改定になってい ます。  独法の通則法については、それより以前に評価のあり方にかかわることとして、各省の評価委員会 ではなくて、総務省に一元化して評価をしたらどうかといった議論もありましたが、今回その点に関 する規定は何も盛り込まれておりません。  参考資料3です。こちらは「独立行政法人における元国家公務員の非人件費ポストへの対応につい て」です。こちらは2月の前回の部会で、嘱託の役員など、人件費ではない形で給料をもらっている方 について、厚生労働省として調査をしたことをご報告していたかと思いますが、その動きが全省庁に 及びまして、総務省の音頭の下、全省庁が所管している法人について調査をしまして、その調査結果 を踏まえての政府全体の方針として、まず年収1,000万円以上の非人件費ポストの新設をしないことが 決まりました。また、年収600万円以上、1,000万円未満についても、原則として新設はしない。  原則と言っているのは、もし人件費ポストにするよりも嘱託のままでいたほうが経費の節減になる とか、高度に専門的な技能・知識が必要であるので、そういうものを確保するために、雇用契約では ない形がいいのだとか、そのような理由がある場合には許されるけれどもという内容になっていまし て、お付けしている参考資料3は、厚生労働省において大臣官房長から、各法人に要請の形で、こうい った形で対応してほしいという依頼を行っているものです。  2頁目、3頁目には、総務省から当省宛てにきました事務連絡等を付けていますので、ご参考にして いただければと思います。  それから、続いて今後の予定です。本日は大量にいろいろとご審議をいただきましたが、法人及び 所管課において、各種の手続を進めてまいります。今回ご審議いただいた内容について変更が生じた 場合の取扱いですが、その都度部会長から確認をいただいておりますが、部会長にご相談をして、必 要に応じて書面なりでお諮りをする形にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたし ます。  次回の開催は、夏の業績評価になってきますので、それまでにお諮りする案件が生じた場合には、 書面または緊急の開催の形で対応していきたいと思います。  本日は大変長期間になりまして、議題の設定を事務局でも分散させようと工夫はしたのですが、独 法をいろいろと取り巻く環境から、どうしても各法人とも、この日でないと対応できないとかいろい ろありまして、大量の議題になってしまったことを、この場を借りてお詫びをいたします。夏の部会 においては、このようなことがないように頑張っていきたいと思います。また、評価の視点について、 本日も非常に有意義なご指摘をいただきましたので、それを踏まえて事務局としてもいろいろ考えま して、夏の部会に臨みたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上です。 ○井原部会長  これで終わりにします。本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)