10/03/03 平成22年3月3日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 議事次第                  日 時:平成22年3月3日(水)13:05〜15:26                  場 所:三田共用会議所 3階 B〜E会議室 1.開 会 2.議  事  1 議題   I 食品衛生分科会における確認事項の一部改正について   II 食品、添加物等の規格基準について   (1)添加物関係     ○添加物として新規指定並びに使用基準及び成分規格の設定      ・2−エチル−5−メチルピラジン      ・イソペンチルアミン      ・ケイ酸マグネシウム   (2)農薬関係     [1]新規登録等による新規設定に係る品目      ・スピロテトラマト(インポートトレランス(以下、IT))      ・ピリフルキナゾン(国内登録)     [2]適用拡大等による追加設定に係る品目      ・アセタミプリド(暫定基準の見直し)      ・ミルベメクチン(適用拡大+暫定基準の見直し)      ・アミスルブロム(適用拡大)※      ・トリルフルアニド(IT+暫定基準の見直し)      ・ブタミホス(魚介類+暫定基準の見直し)      ・イプロベンホス(魚介類+暫定基準の見直し)      ・フルアクリピリム(暫定基準の見直し)      (※食品安全委員会における食品健康影響評価が2回目以降のもの)   (3)動物用医薬品関係     [1]薬事法に基づく承認事項の変更に伴う残留基準の設定      ・d−クロプロステノール     [2]ポジティブリスト制度導入時に設定した残留基準の見直し      ・イミドカルブ      ・オラキンドックス      ・セフキノム  2 報告事項   (1)米国・カナダにおける食肉処理施設の現地査察結果について   (2)食品衛生分科会における審議対象の経過について 3.閉 会 ○石川補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会」を開催いたします。  本日は、御多忙のところ、委員の先生方には御参集いただきまして、厚く御礼を 申し上げます。  まず、本日の出欠状況について御報告いたします。  本日は、阿南委員、大澤委員、大前委員、鈴木委員、寺本委員、毛利委員から御 欠席との連絡を受けております。また、山内委員は少し遅れていらっしゃるとのこ とでございます。  現在の分科会総数20名のうち、現時点で13名の御出席をいただいておりまして、 出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御 報告申し上げます。  本日の議事でございますが、お手元の議事次第のとおり、議題1、食品衛生分科 会における確認事項の一部改正について。2、食品、添加物等の規格基準について。 添加物関係といたしまして3件、農薬関係で新規2件、その他、適用拡大等におけ る追加設定に係る品目、計7件。動物医薬品関係で計4件について御審議をいただ きまして、その後、2点ほど事務局から御報告を申し上げる予定でございます。  資料でございますが、お手元に、右上、平成22年3月3日開催とある食品衛生分 科会資料、それから、机上に分厚いファイルになりますが、食品衛生分科会資料と いう参考資料を配布しております。また、分科会規定及び法令等につきましては、 勉強会資料という形で参考配布をしております。御審議の際には、併せて御活用い ただきますようお願いいたします。  資料の過不足、落丁等ございましたら、お気付きの際に事務局までお申し付けい ただきますようお願いいたします。  それでは、以後の進行につきましては、岸分科会長にお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、本日の議事を進めさせていただきます。  まず、私の方から、本日は、食品衛生分科会における確認事項の一部改正につき まして、この分科会にお諮りする議題がございます。  平成13年1月23日に分科会において了解されました食品衛生分科会における確 認事項、これにつきまして、部会、分科会での審議又は報告の扱いを、お手元の資 料のとおりに改正をしたいと思います。改正の詳細につきまして、事務局より御説 明をお願いいたします。 ○石川補佐 それでは、お手元の資料の表紙をおめくりいただきまして、1ページ から、それから、こちらの分厚いファイルになりますが、こちらに参考資料1とい うのがございますので、併せてごらんいだたければと存じます。  まず、確認事項でございますけれども、今、分科会長のお話にありましたとおり、 平成13年1月にこの分科会において御了解されたものでございまして、分科会での 審議及び部会からの報告事項についての取扱いを定めたものでございます。  前回の改正が平成13年5月でございまして、それ以降、食品安全委員会の設置や 昨年の消費者庁の設置があり、そういったことを受けて、一部廃止された部会等も ございますが、それらが反映されておりません。また、本分科会における審議の方 法につきまして、今は、すべての剤について御説明をして分科会で御審議をいただ いておりますが、本来こちらの分科会でじっくり御審議をいただくものとそうでな いものとが混在しており、もう少しめりはりをつけた運営ができないかといった御 意見をいただいておりました。この機会に部会の整理と併せまして、確認事項の内 容の詳細につきましても改正をしてはどうかということで、分科会長からの御提案 に基づきまして、事務局から御説明をさせていただきます。  まず、確認事項についてでございます。お手元、厚い資料の一枚、参考資料1の 1にございますが、「審議会に諮問を行ったものについての部会、分科会での審議 又は報告の扱いは原則として別表の表に示す例による。」という定めがございます。  お手元の資料の9ページになりますが、こちらに分科会規程の抜粋を載せており ます。分科会規程の第8条におきましては、「部会における決定事項のうち、比較 的軽易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分 科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。」とされてお りまして、これに沿えば、これまで議題に上がっているものについて、部会の議決 で分科会の議決とすることができるものにつきましては、実質の御審議をいただか なくても、御報告という形での取扱いができるという取り決めが既にこの確認事項 においてなされていたという状況でございます。  具体的な内容につきましては、少し古いのですが、参考資料を一枚おめくりいた だきたく存じます。まず、残留農薬部会ですが、今は既に名前が変わっております けれども、こちら、1と2に分かれておりますとおり、諮問の有無につきましては、 右端にある、有、有、どちらも諮問をさせていただきます。分科会の欄は○、△と なっておりまして、欄外に注釈がございますが、○が分科会でも御審議をいただく 項目でございまして、△印は、実際は部会で議決をされたものを分科会に御報告を するものということで、既にこういう取扱いになっていたところを、余り明確な運 用がなされていなかったといったような背景がございます。  今回、その背景には、2の一番最後の行をお読みいただきますと、「軽微な事項 に関するもの」といったことで、「軽微な事項」といったものが果たしてどういっ たものなのかといった具体的な定めもないといったような状況でございましたので、 今回は、「比較的軽易なもの」というところをもう少し具体的にこの確認事項にお いて定めておきたいといったことが今回の改正の趣旨でございます。  再度、今回の改正のポイントを御説明いたしますと、まず、1番は、この確認事 項が平成13年以降、改正をされておりませんでしたので、今回の実態に合った見直 しを行うといったこと、それから、2点目でございますけれども、分科会規程第8 条に沿った運用について、より具体的な内容をこの確認事項で定めるという2点で ございます。  実際の部会での取扱いにつきまして、担当課の方から詳細を御説明をさせていた だきます。 ○説明者 基準審査課でございます。  今回、改正の御提案をさせていただいております確認事項の別添の表につきまし て御説明したいと思います。  先ほど御説明いたしました分科会規程の第8条におきまして、「部会における決 定事項のうち、比較的軽易なもの」とされるものの明確化を図るということでござ いまして、今回の改正案を一枚おめくりいただきまして、一番シンプルな表となっ ております1番目の食品規格部会を御参照いただくと分りやすいと思うので、そち らをごらんください。  まず、新たな規制物質や、又は項目に係る基準ですとか規格などを策定する場合 と、既に規格や基準が策定されている規制物質又は項目について、その基準や規格 の一部を改正する場合とに大きく2つに大別をいたします。  前者につきましては、比較的軽易なものとは言えないと考えられますので、分科 会審議の扱いとなります。一方、後者のうち、中にはその内容から見て慎重に審議 する必要がある事案もあることから、そうしたものにつきましては分科会審議の取 扱いとなるものの、そうした特段の事由がない一部改正につきましては、基本的に 「比較的軽易なもの」ということで分科会報告の扱いとしてはいかがかということ でございます。  また、分科会報告の扱いとなる「比較的軽易なもの」のうち、食品安全委員会で の評価が既に一度行われていて、その評価結果に変更がない場合ですとか、あるい は、食品安全委員会の評価を要さないような案件につきましては、さらに軽易なも のということで、事務局におきまして作成いたします文書の配布によりまして報告 とさせていただければと存じます。  分科会では報告の扱いとした場合でありましても、当該報告を受けて分科会の委 員の先生方からコメント等御発言がございましたら、承りたいと考えております。  以上、このような明確化を図ることによりまして、新たな規制物質や項目に係る 規格基準の策定などに、よりしっかりとした御議論をしていただけるよう、めりは りを図っていければと考えておる次第です。よろしくお願いいたします。 ○石川補佐 もしこちら御了解いただけました場合には、新年度からの分科会で適 用させていただきたいと考えております。  なお、今申し上げたような具体例につきまして、本日の分科会の審議項目の中で もどういったことに当てはまるかといったことも御紹介をさせていただきます。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの説明、趣旨につきまして、委員の皆様の方からの意見を求めたいと思 いますが、いかがでしょうか。  ○印が審議、△印が報告、▲が文書配布による報告、×は審議・報告なしという ことでございます。じっくり審議すべきことに関しての時間がむしろとれてよろし いのではないかと思いますが、委員から格別な御意見がなければ、具体的な分科会 における見直しにつきまして、提案させていただいた案のとおり確認事項の改正を 行うということになりますが、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 それでは、議題の2に進めさせていただきます。  最初は、添加物関係の議題についてお願いいたします。 ○説明者 それでは、本日は、添加物につきましては、添加物としての新規指定並 びに使用基準及び成分規格の設定に係る品目といたしまして、2−エチル−5−メチ ルピラジン、イソペンチルアミン、ケイ酸マグネシウムの3剤について、御審議を お願いしたいと思います。いずれも国際的に汎用されている添加物として、国が主 体となって指定の検討を進めている品目です。  それでは、分科会資料の11ページをごらんください。  2−エチル−5−メチルピラジンの用途は香料でございまして、ローストナッツ様 の加熱香気を有しており、緑茶等の食品に存在するほか、豚肉等の加熱調理などに より生成する成分でございます。  欧米では、さまざまな加工食品において、香りの再現、風味の向上等の目的で添 加されております。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果につきましては、食品の着香の目 的で使用する場合、安全性に懸念がないと評価されております。  摂取量の推計につきましては、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国 におけます推定摂取量は、1人1日当たり、おおよそ0.8から4.7μgの範囲になる と推進されます。本推定摂取量と90日間反復投与毒性試験における無毒性量から 200,000〜900,000の安全マージンが得られております。  食品安全委員会における評価結果等も踏まえ、使用基準につきましては、着香の 目的以外に使用してはならないし、成分規格につきましては、資料の12ページ、13 ページにございますとおり設定したいと考えております。  続きまして、イソペンチルアミンについて御説明いたします。  資料の15ページをごらんください。  本品目も先ほどの品目と同様、用途は香料でございます。  アンモニア様の香気を有しており、トリュフ等の食品中に存在する成分でござい ます。  欧米では、さまざまな加工食品において香りの再現、風味向上の目的で使用され ております。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果につきましては、食品の着香の目 的で使用する場合、安全性に懸念がないと評価されております。  摂取量の推計につきましては、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国 における推定摂取量は1日1人当たりはおおよそ0.1から28.3μgの範囲になると 推定されます。この推定摂取量と90日間反復投与毒性試験における無毒性量から、 8,000〜2,000,000の安全マージンが得られております。  食品安全委員会における評価結果等も踏まえ、使用基準につきましては、着香の 目的以外に使用してはならないとし、成分規格案につきましては、資料の16ページ、 17ページにございますとおり設定したいと考えております。  続きまして、ケイ酸マグネシウムについて御説明いたします。資料の19ページを ごらんください。  本品目は、ケイ酸ナトリウムと可溶性マグネシウム塩の沈殿反応によって製造さ れる、酸化マグネシウムと二酸化ケイ素のモル比が約2:5の合成化合物です。  諸外国では、粉末状の食品の固結防止剤、錠剤・カプセル食品の賦形剤や、分散 剤として用いられているほか、ろ過助剤としても用いられておりまして、使用済み の揚げ油等に添加してろ過処理を行いますと、遊離脂肪酸の減少や、色調・臭いの 改善等が認められております。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果につきましては、日本で新たに追 加実施したイヌを用いた28日間反復投与毒性試験を設定根拠といたしまして、AD Iは0.3mg/kg体重/dayと設定されております。なお、このADIは、ケイ酸マグネ シウムに特化して設定するものであり、栄養学的に必要なマグネシウムの摂取のほ か、ケイ酸化合物またはマグネシウム塩としてその他の添加物の摂取を制限するこ とを意図するものではないと評価されております。  摂取量の推計につきましては、欧米における推定摂取量を踏まえますと、我が国 における推定摂取量は、1人1日当たり、おおよそ0.01から0.12mg/kg体重/dayの 範囲になると推定されます。  続きまして、20ページ、使用基準案についてでございますが、使用基準設定の検 討に当たっては、先ほどの欧米での推定摂取量からの推計とは別に、食品に対する 本添加物の添加量と、対象食品の摂取量からケイ酸マグネシウムの摂取量の推計を 行ったところ、海外でも広く使われている食塩のみでADIを超える結果となりま した。よって、食塩のみならず他の食品に、諸外国と同様に同じレベルで基準値を 設定した場合、1日推定摂取量がADIを大きく上回ることになるため、今回は、 油脂のろ過助剤にのみ使用を認めることといたしました。  成分規格案は、21ページから24ページにお示ししてあるとおりでございます。  ただいま御説明申し上げました3剤につきましては、既に2月3日に在京大使館 への説明は終えておりますので、今後はパブリックコメント及びWTO通報の手続 を開始することを予定しております。  以上でございます。 ○岸分科会長 議論に入ります前に、部会での審議の状況を御説明いただければと 思います。 ○若林委員 それでは、説明いたします。  事務局の方で説明しましたように、3品目とも12月25日開催の部会で審議いた しました。  2−エチル−5−メチルピラジン、イソペンチルアミンについては、特段の議論は なく了承されました。  それから、ケイ酸マグネシウムにつきましては、ケイ酸マグネシウムの一種であ ります三ケイ酸マグネシウムに認められたと同様な腎臓への影響が、我が国で追加 実験しましたケイ酸マグネシウムのイヌでの反復投与毒性試験においても認められ まして、食品安全委員会でADIが設定されたということは説明されたとおりであ ります。  これらのことから、使用基準に関しましては、一定の推定摂取量がその範囲にな るように設定されました。  また、ケイ酸マグネシウムと三ケイ酸マグネシウムが区別できるように、成分規 格の設定をする必要があるとの指摘がありまして、この点に関しましては、酸化マ グネシウムと二酸化ケイ素のモル比と製造方法を規定することで了承されておりま す。  以上です。 ○岸分科会長 若林先生、ありがとうございました。  本件につきまして、委員の皆様の御意見とか御意見を受けたいと思いますが、い かがでしょうか。  格別な御意見がなければ、分科会としましてこれを了承したいと思いますが、よ ろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  今後のパブリックコメント、WTOなどの諸手続につきまして、部会長と御相談 しながら私に御一任いただくということでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  その後の経過につきましては、次回以降の本分科会で御報告をいたします。  次は、農薬関係の議題に移りますので、また事務局から説明をお願いいたします。 ○石川補佐 先に確認ですが、今の添加物の3剤は、先ほど御議論いただきました 確認事項の中では、新規成分ということになりますので、今後も御審議をいただく ○に該当する3剤でございます。次の農薬の新規の2剤につきましても、こちらも 今後も御審議いただく○に該当するものでございます。 ○説明者 それでは、農薬につきましては、新規登録等による新規設定に関わる品 目として2剤、適用拡大等による追加設定に係る品目として7剤の計9剤について 御審議をいただきたく思います。  まず、スピロテトラマトとピリフルキナゾンです。新規登録等による新規設定に 係る品目としてスピロテトラマト及びピリフルキナゾンについて御説明をさせてい ただきます。  お手元の3月3日開催と書かれている分科会資料の概説ペーパーの方で説明をさ せていただきます。25ページになります。  審議の対象といたしましては、農薬の食品中の残留基準の新規設定に当たるもの になります。  インポートトレランス制度に基づく基準設定の要請があったものです。  構造式につきましては、表の中ほどに書かれているものになります。  用途は、農薬の殺虫剤です。  作用機構といたしましては、環状ケトエノール系の殺虫剤ということで、アブラ ムシ類、コナジラミ、ハダニ等のアセチルCoAカルボキシラーゼを阻害することに よって殺虫効果を示すと考えられるものです。 適用作物は、ばれいしょ、キャベツ等はインポートトレランス申請で、我が国の 登録の状況といたしましては、農薬登録はございません。  諸外国の状況は、ばれいしょ、トマト等に国際基準が設定されております。  米国でいちご、あぶらな科野菜等に、カナダでりんご、キャベツ等に、オースト ラリアでかんきつ類、マンゴー等に、EUでオレンジ、ぶどう等に基準値が設定さ れております。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですけれども、許容1日摂取量 (ADI)は、0.12mg/kg体重/dayということで、設定根拠といたしまして、2年 間の発がん性試験(ラット・混餌)投与によるもので、無毒性量12.5mg/kg体重 /dayに安全係数100を乗じた結果として回答いただいております。  基準値案は別紙1に記載してございますが、残留の規制対象物質といたしまして は、スピロテトラマト(親化合物)と代謝物のM1にする予定としております。  暴露の評価ですけれども、TMDI/ADI比ということで表の中に書いてござ いますけれども、国民平均のTMDI/ADI比として14.9%、幼小児で26.4%、 妊婦11.9%、高齢者で15.3%ということで、TMDIは理論最大1日摂取量でござ いますけれども、暴露の評価対象といたしましては、スピロテトラマト(親化合 物)と代謝物M1、M5、M7とM1グルコシドということでの暴露の評価を行っ たものです。  意見の聴取の状況は、平成21年12月8日に在京大使館の説明を実施しておりま して、平成22年2月4日から同年4月5日までWTO通報コメント募集中、パブリ ックコメントの手続中といった状況にございます。  答申案につきましては、別紙2に記載してあるとおりでございます。  後ろの別紙1が参照基準の一覧表でございますけれども、インポートトレランス 申請での新しい農薬ということでございますので、登録の有無欄はITということ で記載させていただいている農薬になってございます。  各基準を設定する農作物についての一覧表でございます。  それで、別紙1の最後の28ページの脚注のところなんですけれども、基準値案及 び参照基準値の規制対象についてということで注釈を付けさせていただいておりま して、基準値案はスピロテトラマト本体及び代謝物M1をスピロテトラマト換算し たものの和ということにしてございます。  国際基準、米国の基準、オーストラリアの基準といったような基準の規制の取扱 いにつきましてまとめましたものを脚注に記載させていただいているということで ございます。  答申案ですけれども、29ページの別紙2になりまして、一番上のところになりま すけれども、規制の対象として適用しておりますスピロテトラマト(親化合物)と 代謝物M1ということで記載をしてございます。  規制の対象の記載につきましては、もとの資料の方の記載になっておりますけれ ども、食品衛生分科会資料ということで事前に送らせていただいている資料の中の 基準値案という項目がございますけれども、そちらの中で規制の対象についての記 載を行っております。 ○石川補佐 厚い参考資料の13ページでございます。参考資料3というところで、 後ろ、農薬関係の資料が付いておりますが、その13ページでございます。 ○説明者 それで、その基準値案のところで規制の対象物質についての考え方を記 載することになってございまして、(1)というところがございますが、スピロテ トラマト本体及び代謝物M1をスピロテトラマト含量に換算したものの和とすると いうことで記載をしてございます。  作物残留試験において、親化合物のほか、代謝物M1、M5、M7、M1グルコ シド(以下、4代謝物)についても分析がされており、食品安全委員会による食品 健康影響評価においては、農産物中の暴露評価対象物質としてスピロテトラマト (親化合物)及び4代謝物と設定されているが、下記の理由から、残留の規制対象 を親化合物及びM1とすることとした。  代謝物M7、M1グルコシドの残留量は、親化合物及びM1残留量に比べて低い こと。  一部の作物において親化合物又はM1より残留量が高いことが確認されている代 謝物M5については、ラットを用いた動物体内運命試験の結果において、M1に比 べ吸収が高く、速やかに排出されていることが確認されていること。  急性毒性試験の結果において、親化合物同様毒性が低いことが確認されており、 化学構造的に見ても親化合物より毒性が高くなることは考えにくいこと。  [3]JMPR評価における農産物の残留の規制対象物質が親化合物と代謝物M1で あることということでございます。  暴露の評価につきましては、この資料の後ろに付けてございますけれども、食品 安全委員会において作成された食品健康影響評価においては、農産物中の暴露の評 価対象物質として、スピロテトラマト(親化合物)、代謝物M1、M5、M7及び M1グルコシドと設定されております。よって、これらの代謝物を規制対象として いる米国の基準が設定される作物については、米国の基準値を用い、そのほかの作 物については、基準値案を用いて、各食品についてそれらの米国基準値又は基準値 案の上限まで残留していると仮定した場合、国民栄養調査結果に基づいて試算され る1日当たりの摂取する農薬の量(理論最大1日摂取量、暫定TMDIと書かせて いただいていますけれども、ADIに対する比を評価いたしました。米国の基準値 よりも別紙2に示す基準値案の方が高いものについては、基準値案を用いて試算し たということでの暴露の評価結果として、概説表の方に転記をさせていただいてお ります。  スピロテトラマトにつきましては以上でございまして、次のもう一つの新規剤に なりますけれども、概説表の方に戻っていただきまして、31ページでございます。 ピリフルキナゾンで、農薬の食品中の残留基準の新規設定ということで、こちらは、 農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴って基準設定の申請がなされたものと いうことになります。  構造式は、中ほどに書かれているものになります。  用途は、農薬の殺虫剤でして、キナゾリン環を有する殺虫剤ということで、アブ ラムシ類、コナジラミ類等のカメムシ目の害虫に高い殺虫効果を示すと考えられて いるものです。害虫の摂食行動を制御する神経系又は内分泌系に作用すると考えら れております。  適用作物、適用病害虫等は、いちご、りんだ、ぶどう等でして、我が国の登録は、 新たに登録申請がされたものということになりますので、登録は今のところござい ません。  諸外国における状況なんですけれども、国際基準は設定されておりません。  諸外国においても参照基準国におきましても、基準値は設定されていないという ものになります。  許容1日摂取量ですけれども、0.005mg/kg体重/dayということで、1年間の慢性 毒性試験、イヌのカプセル経口投与によるものですけれども、無毒性量0.5mg/kg体 重/dayという結果に安全係数100を乗じた結果として回付いただいております。  基準値案は別紙1のとおりでして、残留の規制対象としては、ピリフルキナゾン と親化合物及び代謝物Bということでございます。  暴露の評価結果ですけれども、EDI/ADI比ということで記載をさせていた だいております。国民平均で18.5%、幼小児で35.6%、妊婦で16.6%、高齢者で 16.5%と推定されます。  推定1日摂取量ということで、EDIということで、脚注に書いてございます。  意見聴取の状況でございますが、平成22年の2月に在京大使館への説明を実施し ております。  今後、パブリックコメントとWTO通報の手続を予定しております。  答申案につきましては、後ろに付けている別紙2ということでございます。  裏側にいきまして、32ページ、33ページが別紙1、別紙2になりますが、別紙1 が、参照基準値の一覧表で、新規の登録申請がされたものということで、登録の有 無の欄は、申という文字が並んでございます。  作物残留試験、提出されたものに基づきまして基準値案を置かせていただいてお ります。答申案は、基準を置かせていただく予定の農作物についての基準値の一覧 表となってございます。  事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 やはり部会の審議の状況を教えていただけますでしょうか。 ○大野委員 それでは、部会の審議の状況を簡単に説明させていただきます。  スピロテトラマトについては昨年の12月1日、及びピリフルキナゾンについては 今年1月27日開催の農薬・動物用医薬品部会でそれぞれ審議されました。  スピロテトラマトに関しては、先ほど丁寧に説明いただきましたけれども、残留 規制対象物質が食品安全委員会での考えと若干ずれているところがありまして、そ の理由について、食品安全委員会で審議したものを全部やる必要があるかどうかと いうことについて審議いたしました。  その結果、親化合物と代謝物M1とM5とそれ以外のものを調べた結果では、適 正に使った場合に残留するものとしては、親化合物とM1とM5が大体検出された んですけれども、それ以外はほとんど検出されない。M5に関しては、ほとんどの 農作物でM1の方が数倍以上多いということと、先ほど説明がいろいろございまし たけれども、安全性の懸念がM5で特に強いということはないということ、国際的 な整合性も見まして、今回の資料にも添付されていますけれども、アメリカを除い て、ほかの国では、親化合物とM1だけでやっているということで、実際の国際的 整合性と運用の問題で、M1と親化合物にするのがいいんじゃないかということに なりました。  それから、ピリフルキナゾンについては、内容的には特に問題になることはなか ったんですけれども、報告書のところには、ちょっと細かいところを申し上げます と、大きな間違いと思われるところがありまして、それを本当に間違いかどうかお 願いしているところです。 ○岸分科会長 大野先生、ありがとうございました。  今、部会での審議の御様子をお話しくださいましたけれども、いかがでしょうか。  これは、アメリカの基準値に関しては、M5、M7、M1グルコシドを入れてい るので、それを日本に親化合物と代謝物M1にするときに、そこの部分を加味して ということですよね。 ○大野委員 アメリカは入れていますけれども、日本とか欧州では入れていないと いうことで、JECFAもたしか入れていなかったと思います。安全性上の懸念を 呼ぶものではないということで、いいんじゃないかと思っています。なぜアメリカ で入れたのかというのはよく分からないんですけれども、EPAの報告書も見たん ですけれども、EPAも国際的な整合性について考慮して、評価対象物質を決める という形に書いてあるんです。 ○岸分科会長 それから、ピリフルキナゾンの方は、お茶が残留基準値が結構高い ように思うんですけれども、これは、お茶は可食部ではなくてということなんでし ょうか。33ページの答申のところですけれども。 ○大野委員 全体としての摂取量として、特に安全性の懸念を与えるような量では ないということでよろしいのではないかと思います。  以上です。 ○俵木課長 それでは、32ページのお茶の作物残留データをごらんください。浸出 液は大変低くなりますけれども、荒茶のデータとして14.4という高いデータがござ いまして、そのほか、5.6、3.3ということで、その作物残留データを踏まえて、基 準値としては20ということで御審議をいただいたところでございます。もちろん大 野先生がおっしゃいますように、最終的にトータルとして対ADI比としては、先 ほど御報告したとおり、十分に80%を下回っているということでございます。 ○岸分科会長 お茶を粉末にして食べたりしない限りは大丈夫ということですよね。  委員の皆様から何か御意見ございますか。どうぞ。 ○西島委員 お茶、新茶だと食べますよね。青々したのを。 ○岸分科会長 そうですね。 ○俵木課長 もちろん、お茶をそのまま食べるというのは、いろいろな、最近は特 に、新しい料理の仕方としてもあるんだと思いますけれども、そこは20ppmのお茶 の粉末を食べたからすぐに問題があるということではなくて、これは一生涯食べ続 けても大丈夫ということですので、毎日お茶の葉ばかり食べていると、ちょっと計 算をしてみないと分かりませんけれども、トータルな食事としては問題はないとい うことで評価されたものと理解しております。 ○大野委員 私も前に気になって伺ったことがあるんですけれども、この値は、生 のお茶の値ではありません。生のお茶だと、それを更に乾燥させて濃縮されるので はないかということが気になったんですけれども、一応、乾燥処理して、荒茶とい う形にしたものの残留ですので、そういうことだと、もっと前の生の場合は、基準 はないですけれども、低くなっているのかなと思うんです。それは想像ですけれど も。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○若林委員 次に高いものはレタスなんですけれども、レタスが高い理由というの は何かあるんですか。 ○大野委員 大体いつもレタスとか、農薬をかけて、そのままのものというのは高 くなっちゃっているんですね。皮をむいて、中のものだけを測定すれば低くなると 思うんです。そういう設定はできると思うんですけれども、そういうことをしない で、そのまま測定しているので、大体高くなるということだと思います。それでよ ろしいですかね。 ○俵木課長 32ページでございますけれども、作物残留試験データの欄のところに ございますように、レタスの基準値でカバーしております作物群は、私どもは通常 レタスと言っている結球性のレタスと、ここにありますように、サラダ菜とかリー フレタス、いわゆる開いた状態のレタスも全部ここに入っております。データをご らんいただきますと、サラダ菜のところで4.23ppmという作物残留データがござい まして、これを踏まえて10というのが置かれておりますが、結球性のレタスですと、 ♯の印が付いておりますのは、適正使用基準よりもさらにオーバーに過大にかけた ときでもこのぐらいの数字ということで、結球性のものは中にはなかなか入らない ので低くなりますけれども、葉っぱが開いているようなサラダ菜のようなものにつ いては、残留性がどうしてもあるということで、この4.23という作物残留試験デー タを踏まえて10ppmというふうに設定をさせていただいたものでございます。 ○岸分科会長 よろしいでしょうか。やっぱり作物はいろいろなので、どうしても 残ってしまうんでしょうかね。  もしほかに御意見がありませんでしたならば、一応分科会としてこれで了承とい うことにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  今後のパブリックコメント、WTO、諸手続きに関しましては、部会長と御相談 しながら、分科会長一任ということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  また、今後の経過につきましては、次回以降の分科会で御報告をいたします。  それでは、次に移らせていただきます。 ○説明者 次は[2]になるんですけれども、適用拡大等による追加設定に係る品目と いうことで、1剤目なんですけれども、アセタミプリドということでございます。 こちらの説明をまた概説表に基づきまして説明させていただきます。概説表は35ペ ージになります。  審議の対象といたしましては、農薬の食品中の暫定的な基準、残留基準の見直し ということで、ポジティブリスト制度を導入時に設定した基準値がございますけれ ども、それを全般的に見直したという形になります。  構造式は中ほどに書かれているものになります。  用途は農薬の殺虫剤でして、作用機構といたしましてはネオニコチノイド系の殺 虫剤ということで、昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に 作用して、シナプス伝達の遮断を起こして殺虫活性を示すというふうにされている ものです。  適用作物につきましては、とうもろこし、ばれいしょ、キャベツ等がございます。  我が国の登録の状況といたしましても、とうもろこし、ばれいしょ、キャベツ、 りんご等に農薬登録がされております。  諸外国の状況ですけれども、国際基準は設定されておりません。  米国において、葉菜類、ベリー類果実、畜産物等に、カナダにおいて、アブラナ 科野菜、なす科野菜、畜産物等に、オーストラリアにおいて、ばれいしょ、綿実、 畜産物等に、EUにおいて、葉菜類、畜産物等に基準が設定されてございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果なんですけれども、許容1日摂 取量(ADI)といたしまして、0.071mg/kg体重/dayということで、2年間の慢性 毒性/発がん性併合試験、ラットの混餌投与によるもので、無毒性量を7.1mg/kg体 重/dayということで、安全係数100を乗じた結果として回付いただいております。  参考ということで、農薬評価書の方の記載がされていますけれども、急性参照用 量(ARfD)というものも記載されておりまして、0.1mg/kg体重/dayということ でございます。  設定根拠は、急性神経毒性試験、ラットの強制経口投与の単回によるものでして、 無毒性量として10mg/kg体重ということで、安全係数を同じように100を乗じた結 果として参照記載がされております。  基準値案は、別紙1ということで後ろに付けておるものになりますけれども、残 留の規制対象物質といたしましては、畜産物については、アセタミプリド(親化合 物)及び代謝物IM−2−1ということで、農産物については、アセタミプリド(親 化合物)のみということになってございます。  現行の基準値が削除されてまいりますけれども、そちらにつきましては、一律基 準への適用ということに移ってまいります。  参考として、食品安全委員会から急性参照用量というものを回付いただいており ますけれども、今回の基準値案の設定におきましては、厚生労働科学研究の中で 「食品中残留農薬等の汚染実態把握と急性暴露評価に関する研究」というのが行わ れていますけれども、そちらで利用可能と判断される暫定的なパラメータを用いま して短期暴露評価の試算を行いまして、基準値案の参照にしたというところがござ います。  暴露の評価の結果なんですけれども、36ページにまいりまして、TMDI/AD I比をそういうことで記載をさせていただいております。国民平均といたしまして、 21.6%、幼小児で42.3%、妊婦で18.0%、高齢者で23.1%で基準値を使わせている といった形になってございます。  意見聴取の状況なんですけれども、平成21年の2月16日に在京大使館への説明 を実施いたしました。  平成21年の3月から5月にかけましてWTO通報を実施いたしまして、こちらの 意見聴取によりまして若干の意見をいただいて、基準値の変更等も行っております。  平成21年の3月19日から21年の4月17日にパブリックコメントを実施いたし まして、こちらにつきましては、安全性の食品健康影響評価についての確認を行っ て、薬事食品衛生審議会の農薬・動物用医薬品の審議を経まして、今回、分科会の 方にお諮りさせていただいているという経緯になります。  答申案は別紙2に付けさせていただいている、後ろの方になります。  次の36−1ということで枝番が1、2、3と付けてございますけれども、先ほど の概説表の下半分のところに参照の記載ということで、食品安全委員会から急性参 照用量という指標の回付をいただきました。その補足のペーパーということで付け させていただいている資料になるかと思います。  1番目ですけれども、基準性参照用量(Acute Reference Dose:ARfD)とは ということですけれども、ヒトが24時間又はそれより短時間に経口摂取しても健康 に影響を示さないと推定される摂取量をいうとされております。農薬等の急性的な 暴露による健康影響を評価する際の参照値として用いられるというようです。  ARfDは、その単回投与又は短期の反復投与試験の結果に基づく無毒性量から、 これに動物とヒトとの差や個体差を含めまして、通常100倍の安全係数を乗じて設 定されるということで御回付いただきました。  ADIにつきましては、毎日一生涯にわたって摂取したとしても健康の影響を生 じないとされる量ということですので、こちらは慢性毒性試験の結果をもとに、無 毒性量から通常100倍の安全係数を乗じて設定されたものということでございます。  ARfDを用いた短期暴露評価ということで2番目のポツが書かれてございます けれども、農作物等の残留基準の設定に当たりましては、一生涯にわたって毎日食 べても健康に影響が生じないように、各農作物等における残留量にその平均的な日 本人の1日当たりの摂取量を乗じた暴露量の総和がADIの80%を超えないよう確 認して、長期暴露の評価を行っております。  農作物等を一度に相当量摂取する場合ということでございますけれども、そこに 残留する農薬等による急性的な影響の評価ということで、今回はARfDというも のが参照として回付されまして、具体的には、農薬が基準値ギリギリまで残留した 農作物等を多食者が一度に摂取した場合を仮定いたしまして、農作物ごとに短期暴 露量を試算して、ARfDを超過しないかどうかということを見ていただきました。  36−2が国際機関における短期暴露評価手法ということなんですけれども、国際的 な農薬のリスク評価を行うJMPRという機関があるようですけれども、こちらで 短期暴露評価の手法というものが提案されてございます。ただし、算出法というの は検討中のところもございまして、過大評価であるということで精密化が必要とい ったような指摘もされて、今後、更なる研究も必要とされているというところでご ざいます。3つほどそういった指摘の点が書かれてございます。  4番目といたしまして、我が国における取組みというところでございますけれど も、短期暴露量の試算におきましては、農作物ごとの多食者の推定摂取量と農作物 ごとの可食部の重量等に関するデータが必要になります。この点につきましては、 厚生労働科学研究の食品の安全・安心確保推進研究事業の「食品中残留農薬等の汚 染実態把握と急性暴露評価に関する研究」というのを行っていただいておりまして、 日本人における各農作物の摂取量データや可食部重量のデータの収集が進められて いるというところでございます。  データを整備していく必要がありますので、食品中に残留農薬等のより精密な短 期暴露評価手法の検討を進めるとともに、パラメータの整備に努めていく予定とい うこととしております。  36−3というところが別添でJMPRにおける短期暴露量の算定法ということで、 算出パターンが幾つかのパターンに分かれてまいりますけれども、その算出の仕方 を記載をさせていただきました。  元資料の方に短期暴露評価の推計表が出てまいりますけれども、ケースというか、 算出パターンのところに書かれている1、2、3といった数字は、1とか2aとか 2bといったような数字は、こちらの算出パターンに基づいて算出をいたしました ということを示している部分になります。  一枚めくっていただきまして、37ページからが参照基準値の一覧表ということで ございます。別紙1が37から39ページにかけまして記載をしてございます。  部会を開かせていただいて、また意見を聞かせていただく中で、えんどう、そら まめ、その他のなす科の野菜、これはとうがらしということになりますけれども、 マルメロ、クランベリー等についてデータをセットがあり、基準の設定を考えてほ しいといった御意見もいただきまして、それを反映させた上で、部会の方で御審議 をいただいて、基準値案ということで、別紙2になりますけれども、40ページから 41ページの表ということで、基準値の表を取りまとめさせていただきました。  また、パブリックコメントの中で食品健康影響評価に関する御意見もいただいて ございます。そちらにつきましては、こちらの厚生労働省の方から食品安全委員会 とやりとりをさせていただいて、ADIの設定等が適切に行われていますかといっ たようなこと、それから、代謝物の取扱いについての部分についてのお問い合わせ、 確認をさせていただいて、基準値案というものを今回置かせていただいたというよ うな形になってございます。  概要といたしましては、アセタミプリドにつきましては以上になるかと思います。 よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 こちらのポジティブリスト導入時に設定された基準値の見直しとい うことでございますけれども、部会ではどのような議論というか、状況だったんで しょうか。 ○大野委員 アセタミプリドについては、平成20年の12月9日と平成21年の2月 3日、平成22年の1月27日開催の農薬・動物用医薬品部会で審議されました。  内容は、今、説明をしていただきましたけれども、初めて急性参照用量に基づい て短期暴露評価を行ったということです。それに基づいて基準値の見直しを行いま した。  それについては、部会としても、JMPRで基準参照用量の考えを導入した際に、 中心になった人が農林水産省にいましたので、その方に来ていただいていろいろ説 明していただいて、基本的なことを理解させていただきました。その上で、その国 際的な考え方に基づいて設定をさせていただいたところです。  具体的には、今日の資料に載っています、ほうれんそうが急性参照用量を設定し なくてはいけないような状況にあるということで、それに基づいて基準値を修正し たところでございます。  ただ、今説明にございましたけれども、急性参照用量の設定の方法自体が、まだ いろいろな問題点があるということがありましたので、今後、さらに適切なものに していかなくてはいけないんじゃないかと思っています。  前回だったと思いますけれども、日本で残留の測定、作物中の残留のサンプル数 が2例では少ないのではないかということがありまして、2例だけだと、例えば 95%タイルだとか、どのくらいだとか、計算できないわけですね。そういうことに ついても、今後、例数を増やすとか、そういったことをしていかなくては急性参照 用量を設定していけないということでして、そういった形で、より適切なものに日 本としてもやっていく必要があるのではないかと思っています。  それから、WTO通報については、パブコメで幾つかの国から御意見をいただき まして、データも併せてそういうコメントをいただきましたので、それに基づいて 修正をしたところです。その項目自体は、今御説明をいただいたように、とうがら しとかえんどうとか、そういったところだったと思います。  最後に、一般の方々からアセタミプリドが原因となって症状が出ているんじゃな いかというようなコメントが寄せられまして、それについて御説明を事務局からい ただいて、審議をしました。ただ、安全性についての最終判断を我々の部会でやる のは筋じゃないので、食品安全委員会の方にお願いして、確認をしていただいたと ころです。食品安全委員会としては、適切にADIを設定されているということで すし、特に保健所を介して、実際にそういうことが起きているという情報も寄せら れていないということもありますので、今のところ、今回の設定した値でよろしい のではないかと考えているところです。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  アセタミプリドの内容について、委員の皆さんの御意見をお伺いしたいと思いま すが、いかがでしょうか。  私がちょっと教えていただきたいのは、許容1日摂取量(ADI)とARfDが、 考え方といいますか、見ているものが違いますよね。それで、今回、急性参照用量 を使うように、これは食品安全委員会の方でも設定に、ただ、平成20年度の厚生労 働科学研究でのパラメータを使ってやったということですよね。その辺のことを多 分委員の皆さんも十分関係が分からないかもしれないので、ちょっと教えていただ けますか。 ○大野委員 今までどういういきさつで決めてきたという厚生科学研究の流れを理 解していないので、事務局から説明していただければありがたいですけれども。 ○俵木課長 厚生科学研究で今進めておりますのが、急性参照用量による短期暴露 評価手法の検討です。今後、食品安全委員会も順次必要な農薬について急性参照用 量を設定をしていくというお考えのようですので、急性参照用量が提示されたとき に、どのように短期暴露評価をすればいいかということで、先ほどから御説明あり ますように、JMPRでの短期暴露評価の手法がございますので、それをそもそも 日本に導入できるのかということも含めて御検討いただいた上、JMPRの方法論、 先ほどの資料の36−3というところにある算定式ですけれども、これは、多食され る方でも大丈夫かどうかを見るということで、りんごをたくさん食べる人が日本人 の中でどのぐらい食べるのかというようなデータを広く持っていないと算定ができ ませんので、そういったJMPRの算定方法に基づいて、日本人用の多食者推定摂 取量であるとか、各作物ごとの可食部重量、そういったものが変数として出てきま すので、それについて厚生科学研究で今データベースを作っているところでござい ます。  したがって、厚生労働科学研究は、JMPRに基づきます短期暴露評価手法が日 本人に当てはめて適用できるように、日本人用の必要なデータベースを策定してい ただいて、そもそもこの手法の適用についての御研究をいただいているということ で、食品安全委員会の方でARfDについては国際的に評価されている一定のルー ルで算定が行われてくるということでございます。 ○岸分科会長 ほうれんそうがと言われたのは、個別の作物に関して何か問題があ るということなんでしょうか。 ○大野委員 急性参照用量が決められたときに、特定の作物を食べて、多食者が食 べたときに、それを超えちゃうと、それでもNOAELの100分の1ですけれども、懸 念があるということで、個々の作物ごとに超えないかどうかということを調べてい ただいて、特に平均摂取量だけではなくて、摂取量のばらつきを含めて考慮してい ただいて、超えた場合にそれを設定するかどうかを考えるということです。そうや ったら、ほうれんそうがそれを超えたということで修正したということです。 ○岸分科会長 分かりました。  委員の先生方から御意見等ございますか。どうぞ。 ○山内委員 今の件に関して、厚い冊子の資料303ページに、日本での多食のケー スの計算表があります。部会ではこの資料を使って説明いただきました。事務局か ら御説明をお願いします。 ○俵木課長 303ページは、アセタミプリドにつきましての短期暴露量推計を概算し たものでございまして、例えば、一番上のばれいしょでございますけれども、基準 値0.3というふうに置かせていただいたときに、日本人の大体3万人弱ぐらいだっ たと思いますけれども、四季のそれぞれの季節、数日間ずつの、食事量を調査した 結果から出してきました97.5%タイル、全員を並べたときの97.5%のところにいる 多食者が188.7gを一度に食べると。そのときの平均体重。これはデータのとれた方 の平均体重なんですが、54.5キロで、じゃがいもの一つの可食部重量を162gといた しますと、先ほどのJMPRの算定式に変数というのが1個出てくるんですが、そ れを通常は3を置くということで、ばらつきのあるようなものについては3を置く ということで、これはJMPRのルールでもあり、我が国でもおおむね3を適用し ていいだろうということで御評価をいただいておりまして、それで先ほどのJMP Rのケースの2aの算定式を適用することが妥当だということで、それで計算いた しますと、1日当たりの摂取量、じゃがいもを一度に食べたときですけれども、3 μg/kgになると。それが先ほどのARfDに対して何%になっているかというと、 3%になっているということで、じゃがいもを非常に多食する人が基準値ギリギリ のじゃがいもを選んでしまって、それを食べたとしても、ARfDの3%であるか ら、これは大丈夫ですねといってやっていったところ、2つ目の表が小児の適用の データでございますけれども、ほうれんそうのところで変更前の基準値案、下から 5個目のデータですけれども、変更前の基準値案、13ppmというふうに考えていたの で計算いたしますと、対ARfDが190%になってしまうということで、適用の基準、 使用基準を変えまして、基準値としては3ppmになるような適正使用基準にしていた だくと、対ARfDが一番右側の欄の下から4番目ですけれども、40%ということ で低減できるということで、ほうれんそうの数値については、ARfDを超えてし まったので、基準値の見直しを行って低減をしたということでございます。  ただ、まだ厚生科学研究で、先ほど申しましたように、多く食べる人がどのぐら い食べるのかというデータが日本人としてのデータが完全にまだそろっておりませ んので、現在、入手できている範囲、研究班からいただいている範囲で、暫定的に 算定をした範囲でございます。よく食べられるような主要な作物については計算が できたものと考えております。 ○岸分科会長 国民がどういうものをどのぐらい食べているのかという、特に極端 に同じものを食べる方というのは注意しないといけませんよね。実際はこれは何人 ぐらいの調査をされているんでしょうか。 ○説明者 現在のいただいているデータですと、大体2万6,000人ぐらいのデータ を集められたと聞いております。 ○岸分科会長 分かりました。  さて、アセタミプリドに関しまして、委員の皆様、御意見いかがでしょうか。  私からも大分質問させていただいたので、よろしいかなと思いますが、特に加え ての御意見がないようでしたら、分科会としてこれを了承ということでよろしゅう ございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 それでは、今後の諸手続につきましては、部会長と御相談しながら、 分科会長に御一任いただくということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、次に移らせていただきます。  ミルベメクチンほか3剤ですね。 ○石川補佐 また先ほどの補足ですが、今回、[2]の適用拡大による追加設定に係る 品目については原則△で、今後は口頭による御報告の予定ですが、今のアセタミプ リドのようなもの、こういった新規の評価項目が出てくるものについては、○印と いうことで御審議をいただく予定でございます。  以下のものについては、原則口頭での御説明。つまり、一枚裏を返していただき まして、この次の次になりますアミスルブロムは健康影響評価が2回目以降という ことになっておりますので、これは▲で、今後は紙での報告予定のものとなります。 では、続けてお願いします。 ○説明者 引き続きまして、適用拡大等による追加設定に係る品目といたしまして、 ミルベメクチン、アミスルブロム、トリルフルアニドについてを御説明させていた だきます。また概説表の使わせていただいて説明させていただきます。  43ページがミルベメクチンになります。  農薬の食品中の残留基準の追加設定及び暫定的な残留基準の見直しということで、 経緯といたしましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う要請がありまして、 併せてポジティブリスト制度導入時に設定した基準値がございますので、見直しを 図ったというものです。  構造式につきましては、中ほどに書かせていただいている2種類の混合物という ことであります。  用途は、農薬の殺虫剤ということで、作用機構といたしましては、16員環マクロ ライド骨格を有する殺虫剤ということで、ダニ、昆虫及び線虫の神経系の塩素イオ ンチャンネルを活性化し、運動麻痺により殺虫活性を示すものと考えられているも のです。  適用拡大のあった農作物ですけれども、大豆、ピーマン、えだまめということで、 我が国の登録の状況といたしましては、かんしょ、アスパラガス、かんきつ類等に 登録がされております。  国際基準は設定されておりません。  オーストラリアにおいて、いちごに基準が設定されているといった海外の状況に なってございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですけれども、ADIは 0.03mg/kg体重/dayということで結果を回付いただいております。  基準値案は別紙1のとおりですけれども、残留の規制の対象は、上に掲げた混合 物ということでの記載です。  なお、現行の基準値案が暫定基準の見直し等に伴いまして削除されるというもの がございますけれども、こちらにつきましては、一律基準の適用に移るということ を付記させていただいております。  暴露評価の欄ですけれども、TMDI/ADI比の試算の結果といたしまして、 国民平均で4.9%、幼小児で12.3%、妊婦で3.9%、高齢者で4.8%といった形で基 準値を使わせていただいているものになります。  意見聴取の状況ですけれども、平成21年の12月8日に在京大使館への説明を実 施いたしまして、22年の2月4日から4月5日に向けまして、WTO通報のコメン ト募集期間中に入っておりまして、パブリックコメントの手続等を行っているとこ ろです。  答申案につきましては、別紙2のとおりということでございます。  44ページ、45ページ、46ページ、47ページというところまでが参照基準値の一 覧表で、現行基準の欄に網かけがされている農薬ということですので、暫定基準が 設けられている農薬ということでございます。  登録の有無の欄に申請の申という文字が入ってございますけれども、こちらにつ いて申請があった農作物で、○が入っているものが登録がされている農作物という ことでございます。  48ページが別紙2ということなんですけれども、今回、基準を設定をさせていた だく農作物と基準値の一覧表になってございます。  引き続きまして、49ページがアミスルブロムということですけれども、こちらは、 審議の今回の対象といたしましては、農薬の食品中の残留基準の追加設定というこ とです。農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴いまして要請がされたということで、 構造式は中ほどに書かせていただいているものになりますけれども、用途は、殺菌 剤です。  トリアゾール骨格を有する殺菌剤ということで、作用機構は、卵菌類のミトコン ドリア内の電子伝達系の阻害であると考えられております。  適用作物は、あずき、レタス、みょうが等に適用されるということで、我が国で の登録といたしましては、大豆、ばれいしょ、トマト、きゅうり等に登録がされて ございます。  諸外国における状況なんですけれども、国際基準は設定されておりません。  諸外国の参照基準国においても残留基準値は設定されていないということでござ います。  食品安全委員会における評価結果なんですけれども、ADIは0.1mg/kg体重/day という結果を回付いただいております。  基準値案は、別紙1のとおりで、規制の対象物質は、アミスルブロム(親化合 物)のみということです。  暴露評価の結果は、中ほどに書かせていただいておりますけれども、TMDI/ ADI比ということで、国民平均25.3%、幼小児で39.5%、妊婦で19.3%、高齢者 で27.7%で基準値を使わせていただているものになります。  意見聴取の状況ですけれども、平成22年の2月3日に在京大使館への説明を実施 しております。  今後、パブリックコメントとWTO通報の手続を予定しております。  答申案は別紙2のとおりということでございます。  50ページ、51ページが別紙1と別紙2になりますけれども、50ページは参照基準 の一覧表で、登録の有無の欄に申と書かれているのが申請があった部分、○印が登 録がされている部分ということになりますけれども、作物残留試験の結果を確認さ せていただいて、基準値を置かせていただいて、今回、基準を新たに示させていた だく部分として、51ページの答申案ということでお示しをさせていただいておりま す。  53ページの方に移りまして、トリルフルアニドということでございますけれども、 審議の対象といたしましては、農薬の食品中の残留基準の追加設定と暫定的な残留 基準の見直しということです。  経緯は、インポートトレランス制度に基づきまして、海外からの基準設定の要請 がありまして、併せてポジティブリスト制度導入時に設定した基準値がございます ので、その見直しを行ったという形のものでございます。  構造式は中ほどに書かせていただいている形のものです。  用途は、殺菌剤でして、フェニルスルファミド系の殺菌剤ということで、SH基 の阻害剤として、菌の様々な代謝を阻害するということで効果を発揮すると考えら れているものです。  適用作物は、インポートトレランス申請というか、要請があったものは、とうが らし、高麗人参ということで、我が国の登録の状況としては、農薬登録はございま せん。  諸外国における状況なんですけれども、仁果果実、ぶどう、トマト等に国際基準 が設定されている農薬です。  米国において、りんご、トマト、EUにおいて、ぶどう、たまねぎ等、オースト ラリアにおいて、きゅうり、いちご等、ニュージーランドにおいて、ぶどう等に基 準値が設定されております。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果なんですけれども、0.036mg/kg 体重/dayという結果を回付いただいております。  基準値案は別紙1のとおりでして、規制対象物質としてはトリルフルアニド(親 化合物)のみということでございます。  現行の基準値が削除されるというものがございますけれども、こちらは一律基準 への適用になるということを付記させていただいております。  暴露の評価結果なんですけれども、EDI/ADI比ということで、国民平均で は4.7%、幼小児では10.7%、妊婦では3.8%、高齢者では4.1%という暴露評価の 推定残留量と試算されております。  暴露の評価対象物質ですけれども、トリルフルアニドとDMSTというもので暴 露の評価を行った結果で記載をしております。  意見聴取の状況ですけれども、平成22年の2月3日に在京大使館への説明を実施 しておりまして、今後、パブリックコメント及びWTO通報の手続を予定してござ います。  答申案は別紙2のとおりです。  54ページが別紙1ですけれども、網かけがされている農薬ということですので、 暫定基準が設定されていたものになりますけれども、インポートトレランス申請が あったということは、登録の有無の欄でITという略語で書かせていただいており ますけれども、その作物残留試験の結果に基づきまして、基準値を置かせていただ いたということです。  この表の下のところに※印が付けてございますけれども、参考基準値のうち、韓 国の基準値は、トリルフルアニドとDMSTをトリルフルアニドに換算したものの 和となっているわけなんですけれども、作物残留試験の結果の記載といたしまして は、規制の対象ということで、トリルフルアニド本体のみの残留量として記載をし てございます。  別紙2は答申案の記載になります。  それで、トリルフルアニドの方は、元の資料の方の先ほどの規制対象との兼ね合 いの部分が最初の2剤目と同じような形で、資料の558ページになるかと思うんで すけれども、厚いファイルの方の食品衛生分科会資料ということで送らせていただ いているものになりますけれども、基準値案の項目、6.の項目のところで記載を させていただいております。  残留規制の対象としては、トリルフルアニド本体のみということで、一部の作物 残留試験においてDMSTというものが分析されておりまして、りんご等を用いた 植物代謝試験で主要な代謝物は親化合物であり、ぶどうを除いて、DMSTとその 代謝物はいずれも微量残留物でした。また、JMPRにおいては、暴露評価対象物 質がトリルフルアニドとDMSTの和をトリルフルアニドに換算したものと評価さ れている一方で、残留の規制対象は、親化合物のみとされていて、国際基準を基本 として基準を設定することを踏まえて、残留の規制対象としては、トリルフルアニ ド本体のみとすることといたしましたということでございます。  なお、食品安全委員会において作成された食品健康影響評価におきましては、農 作物中の暴露評価対象物質としてトリルフルアニド(親化合物)及びDMSTとい う記載がされてございます。  (3)の暴露評価のところなんですけれども、食品安全委員会によって作成され ました食品健康影響評価においては、農作物中の暴露評価対象物質としてトリルフ ルアニド(親化合物)及びDMSTと設定をされております。よって、各食品につ いて、作物残留試験成績等のデータから推定される量のトリルフルアニド及びDM STが残留していると仮定した場合に、国民栄養調査結果に基づき試算される1日 当たり摂取する農薬の量、EDIのADIに対する比を評価してございます。  EDIの試算につきましては、ここに出していただいてございますけれども、韓 国の作物残留試験を参照した作物については、当該試験成績の値を用いたというこ とでございます。  具体的な暴露評価は別紙3ということで後ろの表に付けさせていただいておりま して、562ページになりますけれども、注釈を付けてございますけれども、暴露評価 に用いた値は、農作物の暴露評価対象物質であるトリルフルアニド及びDMSTを トリルフルアニドに換算したものの和といったような脚注を付けさせていただいて おりまして、戻りまして、先ほどの概説表の暴露評価の結果の表として記載をさせ ていただいたということでございます。  概説表の方の55ページが今回基準を置かせていただく農作物についての基準値の 一覧表として取りまとめましたものになります。  事務局からの説明としては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、やはり部会長の大野先生に議論の状況をお聞かせいただ ければと思います。 ○大野委員 ミルベメクチンにつきましては平成21年の12月1日、アミスルブロ ム及びトリルフルアニドについては今年の1月27日開催の農薬・動物用医薬品部会 で審議されました。  ミルベメクチンとアミスルブロム、これは特に問題となるようなところはござい ませんでした。  トリルフルアニドについては、今御説明がございましたけれども、食品安全委員 会では、親化合物と代謝物であるDMSTについて暴露評価対象物質というような 御意見があったんですけれども、実際のトリルフルアニドの使用実態を踏まえた残 留試験で代謝物を測定したデータがJMPRの報告に載っていまして、それで見ま すと、特定の作物を除いて、それ以外では微量だったということで、特にそれを入 れなくてもよろしいのではないかということになったところでございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  この3剤につきまして、委員の皆様の御質疑を受けたいと思います。いかがでし ょうか。  もし格別なことがなければ、分科会として了承ということでよろしゅうございま すか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  それでは、この後のパブリックコメント等諸手続きに関しましては、部会長と御 相談しながら、私、分科会長に一任ということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  また、報告は次回以降の本分科会で御報告するようにいたします。  続きまして、ブタミホスほか3剤につきましてお願いいたします。 ○説明者 [2]の適用拡大等による追加設定に係る品目の残り3剤ということなんで すけれども、暫定基準の見直し等による追加設定に係る品目といたしまして、ブタ ミホス、イプロベンホス及びフルアクリピリムについて御説明をさせていただきま す。  概説表の方をごらんいただきまして、57ページがブタミホスでございます。  審議の対象といたしましては、農薬の食品中の残留基準の追加設定と暫定的な残 留基準の見直しということで、魚介類への基準設定の要請がありまして、併せてポ ジティブリスト制度導入時に設定をいたしました基準値の見直しを行ったものです。  構造式は中ほどに書かせていただいているものになります。  用途は除草剤です。  作用機構といたしましては、有機リン系の除草剤ということで、主として生長点 に作用いたしまして、微小管重合阻害によって細胞分裂を阻害して、生育の異常、 さらには生育の停止を起こして雑草を枯死させるということで、除草効果を発揮す ると考えられているもののようです。  適用作物は、稲、ばれいしょ、はくさい、いちご等ということで、我が国の登録 の状況も、稲、ばれいしょ、はくさい、いちご等で登録がされてございます。  諸外国の状況ですけれども、国際基準はございませんし、参照基準国においても 残留基準は設定されてございません。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果なけれども、0.008mg/kg体重 /dayということで結果を回付いただいております。  基準値案は別紙1になりますけれども、規制の対象物質は、ブタミホス(親化合 物)のみということです。  暫定基準の見直しを行いまして、基準が削除される部分については一律基準に移 行いたします。  暴露評価の結果なんですけれども、TMDI/ADI比ということなんですが、 国民平均で5.8%、幼小児で10.5%、妊婦で5.0%、高齢者で5.5%で基準値を使わ せていただいているものになります。  意見聴取の状況ですけれども、平成21年の12月8日に在京大使館への説明を実 施してございます。  22年の2月4日から4月5日にかけまして、WTO通報のコメント募集中で、パ ブリックコメントの手続中ということになってございます。  答申案は別紙2ということで付けさせていただいております。  58ページ、59ページが参照基準の一覧表ですけれども、網かけがされている農薬 になりますので、暫定基準が設定されていたということで、そちらの見直しを併せ て行ったということでございます。  魚介類の欄ですけれども、推定残留量の算出をいたしまして、申と書いてあるん ですけれども、0.03という基準値案を置かせていただくという形で入れさせていた だいております。  60ページですけれども、答申案ということで、基準値の一覧表をまとめさせてい ただきました。  61ページにいきまして、イプロベンホスですけれども、農薬の食品中の残留基準 の追加設定及び暫定的な残留基準の見直しということで、魚介類への基準設定の要 請がありまして、併せてポジティブリスト制度導入時に設定した基準値の見直しを 行ったものです。  構造式は中ほどに書かれているものです。  用途といたしましては、農薬/殺菌剤、スクミリンゴガイ駆除剤ということにな るようです。  作用機構といたしましては、有機リン系の殺菌剤に区分されておりまして、いも ち病菌のリン脂質合成系を阻害することにより細胞膜を損傷させることでの殺菌効 果を示すと考えられているようです。スクミリンゴガイに対しても効果を示すとい うことが確認されているということです。  適用作物は、稲ということで、我が国の登録の状況は、稲に農薬登録がされてお ります。  諸外国の状況なんですけれども、国際基準はございません。参照基準国において も残留基準値は設定されていないということであります。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果なんですけれども、0.035mg/kg 体重/dayという結果を回付いただいております。  基準値案は別紙1のとおりで、規制の対象物質としては、イプロベンホス(親化 合物)のみということでございます。  暴露の評価結果なんですけれども、TMDI/ADI比ということでの表ですが、 国民平均3.5%、幼小児で5.9%、妊婦で2.9%、高齢者で3.5%で基準値を使わせ ていただいているものになります。  意見聴取の状況は、22年の2月3日に在京大使館への説明を実施しております。  今後、パブリックコメントとWTO通報の手続を予定しております。  答申案は別紙の2に示すものになります。  62ページが設定基準の参照基準の一覧表なんですけれども、作物残留試験の結果 と、先ほどと同様、魚介類の推定残留量の結果から、米に0.2、魚介類に0.3という ことで、基準値案ということが記載されています。  答申案は、63ページで基準を置かせていただく農作物、水産物についての表とな ってございます。  一枚めくっていただきまして、65ページがフルアクリピリムということで、農薬 の食品中の暫定的な残留基準の見直しが今回の審議の対象ということです。  経緯は、ポジティブリスト制度導入時に設定した基準値がございまして、その見 直しを行ったものということです。  構造式は中ほどに書かせていただいているものになりますが、用途といたしまし ては、殺虫剤(殺ダニ剤)という分類になります。  作用機構は、各種ハダニに対して殺ダニ活性を示すということで、ミトコンドリ アにおける電子伝達系阻害による呼吸阻害作用であると推察されているということ でございます。  適用作物は、りんご、なし、かんきつということで、登録は、その農作物につき まして農薬の登録がされているということでございます。  国際基準は設定されておりません。  参照基準国においても残留基準は設定されていないという農薬でございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価の結果なんですけれども、ADIは 0.059mg/kg体重/dayということで評価結果を回付いただいております。  基準値案は別紙1に示すものになりますけれども、残留の規制対象は、フルアク リピリム(親化合物)ということで、暫定基準の見直しに伴いまして基準が作成さ れる部分については一律基準適用の旨を記させていただいております。  暴露評価の結果はTMDI/ADI比の表になってございますが、国民平均で 2.7%、幼小児で9.1%、妊婦で2.3%、高齢者で2.7%ということで基準値を使わせ ていただいております。  意見聴取の状況ですけれども、平成22年の2月3日に在京大使館への説明を実施 しております。  今後、パブリックコメントとWTO通報の手続を予定しております。  答申案といたしましては、別紙2ということで、残留基準値の表を付けてござい ます。  66ページ、67ページが、別紙1、別紙2になりますが、様式は同様で、網かけが されている農薬ということで、暫定基準が置かれていた農薬ということになりまし て、基準値の見直しを成績に基づいて行って、新たに基準値を示させていただいた という形で、67ページに答申案として農作物の基準値の一覧表をまとめさせていた だきました。  事務局からの説明としては以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、やはり議論に入ります前に部会の状況につきましてお伺 いしたいと思います。 ○大野委員 ブタミホスとイプロベンホスとフルアクリピリムについてですけれど も、ブタミホスについては、去年の12月1日に審議しました。イプロベンホスとフ ルアクリピリムについては、今年の1月27日の農薬・動物用医薬品部会でそれぞれ 審議いたしました。特に問題なく承認されたところでございます。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、この3剤につきまして、委員の皆様の質問ですとか意見とかをちょう だいしたいと思いますが、いかがでしょうか。  もし格別なことがなければ、分科会として了承ということでよろしゅうございま すか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございます。  それでは、今後のパブリックコメント等、諸手続に関しましては、部会長と御相 談しながら、分科会長に御一任いただくということで進めさせていただきます。  ありがとうございました。  また、報告は次回以降するようにいたします。  ちょうど1時間半ぐらいたちまして、皆さんお疲れかもしれないので、10分程度 休憩をとろうかと思いますが、よろしいですか。  それでは、事務局から10分後ぐらいにスタートをお願いします。 (休  憩) ○岸分科会長 それでは、委員の皆様、おそろいようですので、始めさせていただ きます。  動物用医薬品関係の議題に移ります。  事務局からの説明をお願いします。 ○説明者 動物用医薬品につきましては、薬事法に基づく承認事項の変更に伴う残 留基準の設定に係る品目として1剤、ポジティブリスト制度導入時に設定した残留 基準の見直しに係る品目として3剤の計4剤についての御審議をお願いしたいと考 えております。  まず、薬事法に基づく承認事項の変更に伴う残留基準の設定といたしまして、d −クロプロステノールについて御説明いたします。  分科会資料の69ページをごらんください。  こちらの動物用医薬品でございますけれども、牛の発情周期の同調、黄体退行遅 延に基づく卵巣疾患の治療、豚に対しては分娩誘発の目的で使用される合成ホルモ ンでございます。  我が国の承認状況でございますけれども、平成18年より動物用医薬品として承認 されておりまして、その際にも本分科会で御審議をいただいたところでございます けれども、今般、搾乳牛に係る使用禁止期間、現在は投与後12時間は搾乳してはな らないとの規定がございますけれども、これを削除するという変更の要望が追加の データとともに提出されたものでございます。この規定が削除されることによりま して、生産者の経済的及び作業の負担を軽減できるということでございます。  諸外国の状況でございますけれども、国際基準は設定されておりません。  EUにおきましては承認されておりまして、牛、豚、馬を対象に使用されており ますが、基準値は設定されていないということでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果でございますけれども、これは、 先ほど申し上げました平成18年の御審議をいただくに当たりまして、食品安全委員 会において評価をいただいたものでございまして、今回の御審議に当たりましても、 この評価を参照することが可能と考えているところでございます。  内容といたしましては、クロプロステノールにつきましては、各種の遺伝毒性試 験から生体において遺伝毒性発がん性を示す可能性は低い、催奇形性はないと認め られるということでございます。  それから、2パラ目でございますけれども、薬剤の性質から使用機会が限定され ており、また、動物体内における代謝・排泄が速く、投与1日後にはppbオーダー でほとんど検出不可能となる。これらのことから、本製剤が適切に使用される限り において、ヒトが食品を通じてd−クロプロステノールを継続的に摂取する可能性 は事実上ないものと考えられる。  これらのことを考慮しますと、d−クロプロステノールを有効成分とする牛及び 豚の注射剤は、適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を 与える可能性は無視できるものと考えられるということでございます。  続いて、基準値案でございますけれども、今般の変更の要望に当たりまして提出 された残留試験の結果によりますと、投与2時間後にはppbオーダーで検出不可能 となっておりますので、今申し上げた食品健康影響評価結果を踏まえますと、現行 の取扱い、前回も基準値を設定しないことが適当であると御審議いただいておりま すけれども、この取扱いを変更する必要はないということとさせていただきたいと 考えております。  続きまして、ポジティブリスト制度導入時に設定した残留基準の見直しといたし まして、イミドカルブ、オラキンドックス、セフキノムについて御説明をさせてい ただきます。  71ページをごらんください。  こちらにつきましては、牛、羊等の内寄生虫の駆除に使用される剤でございまし て、注射して使われることが一般的ということでございます。  我が国におきましては、動物用医薬品としては承認されておりません。  諸外国の状況でございますが、牛に国際基準が設定されております。  EU、豪州において、牛に基準が設定されております。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果でございますけれども、許容1日 摂取量として0.005mg/kg体重/dayが設定されております。  設定根拠としては、ここに記載しておりますように、90日間の亜急性毒性試験と いうことでございます。  安全係数が1000になっておりますけれども、種差が10、個体差が10、それに加 えて発がん性試験が必ずしも十分でないといったこと等がございましたので、追加 の10を適用して1000とされているという評価結果でございます。  基準値案でございますけれども、別紙1、72ページをごらんください。  残留の規制対象物質は、イミドカルブ本体としてございます。  72ページの基準値案を見ていただきますと、基本的に国際基準が設定されており ますので、国際基準を参照して設定させていただいているというところでございま す。  また71ページにお戻りいただきまして、暴露評価でございます。この基準値が設 定された場合の推定摂取量を試算しているところでございますけれども、TMDI /ADI比としまして、国民平均で5.6%、幼小児で16.6%、妊婦で6.2%、高齢者 で5.5%ということとされております。  意見聴取の状況でございますけれども、現在、パブリックコメント手続、WTO の通報中でございます。  答申案につきましては、73ページにございますけれども、基準値案のとおりとさ せていただきたいということでございます。  続きまして、75ページのオラキンドックスをごらんください。  こちらにつきましては、豚の成長促進、豚赤痢、細菌性下痢症の防止としまして、 主に飼料に添加をして用いられる合成抗菌剤でございます。  我が国の承認状況でございますけれども、平成13年に飼料添加物の指定が削除さ れております。これは、今後、製造の予定がないということで削除されたと聞いて おります。また、動物用医薬品としての承認はございません。  諸外国の状況でございますけれども、国際基準は設定されておりません。オース トラリアにおいて、豚、鶏等に基準値が設定されており、使用も認められていると いうことでございます。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果でございますけれども、この物質 につきましては、現時点で評価した知見から見る限り、遺伝毒性を有しているもの と考えられるほか、発がん性、催奇形性を有する可能性も否定できないということ でございまして、ADIを設定することは適当でないという結論をいただいており ます。  これを踏まえまして、基準値案といたしましては、別紙76ページに現行の基準値、 こちらにつきましては、オーストラリアの基準値を参考に暫定基準を設定させてい ただいておりますけれども、食品健康影響評価結果を踏まえまして、これについて は食品に含有されるものであってはならないものとするということが適当であると いう部会の御審議をいただいております。  残留の規制対象物質としましては、代謝物の3−メチルキノキサリン−2−カルボ ン酸を検出しないことで管理するということが適当とされております。これにより オラキンドックスが食品に残留しないことを担保したいと考えているところでござ います。  意見聴取の状況でございますけれども、現在、パブリックコメント及びWTOの 通報手続中でございます。  答申案につきましては、食品に含有されるものであってはならないとする食品規 格を設定することが適当であるということでございます。  最後の剤は、77ページのセフキノムでございます。  こちらは抗生物質でございますけれども、牛、豚、馬それぞれの肺炎、乳房炎等 の治療に使われるというものでございます。  我が国の状況でございますけれども、動物用医薬品として承認されております。  諸外国の状況につきましては、国際基準は設定されておりませんが、EU及びニ ュージーランドにおいて、牛、豚等に基準値が設定されているということでござい ます。  食品安全委員会における食品健康影響評価結果でございますけれども、許容1日 摂取量としまして0.0014mg/kg体重/dayというのが設定されておりますけれども、 設定根拠といたしましては、毒性学的ADIを0.025mg/kg体重/dayをここに記載の 試験で設定されているということに加えまして、抗生物質ということでございます ので、ヒト腸内細菌叢への影響の観点から、微生物学的ADIが検討されておりま す。こちらの方が0.0014mg/kg体重/dayということで、毒性学的ADIと微生物学 的ADIの低い方の微生物学的ADIを採用されまして、0.0014mgということで設 定がされているということでございます。  基準値案でございますけれども、別紙1のとおりでございます。78ページをごら んください。残留の規制対象物質としては、セフキノムということでございます。  こちらにつきましては、表の右側に残留試験の成績というのが記載されておりま すが、見直しに当たりまして、牛については、国内の承認の際に提出された残留試 験のデータ、豚、その他の陸棲哺乳類、これは馬のデータでございますけれども、 これらについてはEUの残留基準設定の際に根拠となる残留試験データ、こちらの 提出がございましたので、これらを参照いたしまして案を設定させていただいたと ころでございます。  77ページに戻っていただきまして、暴露評価でございますけれども、TMDI/ ADIの比を算出しましたところ、国民平均で7%、幼小児で24.2%、妊婦が8%、 高齢者が6.9%ということで、問題ないという御判断をいただいております。  意見聴取の状況でございますけれども、現在、パブリックコメント及びWTO通 報の手続中でございます。  答申案といたしましては、79ページにございますけれども、先ほど御説明させて いただきました基準値案のとおりでございます。  事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、この4剤の審議に入りますが、部会での状況をまた大野 部会長から伺いたいと思います。 ○大野委員 d−クロプロステノール及びイミドカルブについては、昨年の12月1 日に開催した部会で審議いたしました。オラキンドックス、セフキノムについては、 今年の1月27日の部会で審議いたしました。それぞれ、特に問題なく了承されたと ころでございます。  d−クロプロステノールにつきましては、18年に残留基準を設定しないというこ とで了承をいただいたところでございますけれども、今回の審議においては新たな データが提出されたんですけれども、特に残留について考慮しなくてはいけないと いうことではなくて、残留を無視できるということを確認できたということで、引 き続き残留基準を設けないでもいいのではないかということになりました。  それから、オラキンドックスについてですけれども、これは、特にここで評価と いうことではないですけれども、これは残留基準を設けない方がいいということで すけれども、in vitro遺伝毒性試験で陽性が出るというのは時々あるんですけれど も、これについては、in vitroですべての試験で陽性で、10個以上の試験をやって いて陽性で、しかも vivoでも、骨髄細胞に対する影響とか、みんな陽性で、優性致 死試験も陽性だと。こんなのを今までよく使われていたなという感じです。そうい うことで発がん性についても懸念をぬぐえないということで、設定しないというの が適切じゃないかと思ったところです。  以上です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  4剤それぞれの考え方で出てきておりますけれども、委員の皆様、御意見ござい ますか。どうぞ、山下委員。 ○山下委員 2点ほど確認をお願いしたいのですが、1点目は、d−クロプロステ ノールですが、乳等省令との整合性についての確認です。つまり、牛乳につきまし ては、結構、幼小児あるいは病弱者が召し上がるということで、厳しい法令の規定 がございます。乳等省令の第3条の別表に、以下のものについては乳を搾取しては ならないという中に、例えば分娩後5日以内のものであるとか、乳に影響を及ぼす 薬剤であって、乳に残留している期間のものは搾乳してはならないとなっておるわ けです。d−クロプロステノールにつきましては、乳への影響は無視できると解釈 されたということでよろしいですね。 ○大野委員 ええ。 ○山下委員 それと、もう一点は、イミドカルブですが、こちらは、これから休薬 期間を設定されると思いますが、これにつきましても、薬事法の動物用医薬品の使 用の規制に関する省令、農水省さんの所轄になると思いますが、搾乳牛に使用でき る薬剤と動物用医薬品というのは非常に種類が限られておるわけですね。駆虫剤に つきましては、搾乳牛に使用できる薬剤は今まで承認されておらなかったと記憶し ておるのですが、イミドカルブについて、今後どのような休薬期間、あるいは制限 を設定されるのか、この辺を乳等省令、あるいは既存の動物用医薬品の使用実態を 踏まえて設定していただければなということの2点でございます。 ○大野委員 d−クロプロステノールについては、投与して筋肉内注射するわけで すけれども、そのときのCmax、血中濃度が最高に達するのは2時間で達し、急速に 低下していくんですけれども、その時点で乳中のこのものを測っても無視できる量 だということで、特に健康に影響を及ぼすことはないだろうということで、それ以 前でも血中濃度がそれよりもずっと低いですから、乳にいく量はもっと少ないので はないかと。それ以上短い時間では測っていないんですけれども、ただ、Cmaxは2 時間なので、それ以前についてはそれ以上投与は少ないと想像してもよろしいかと 思いました。  それから、イミドカルブについては、事務局の方から説明をお願いいたします。 ○俵木課長 イミドカルブにつきましては、71ページの概説表のところにあります ように、我が国での医薬品としての承認はございませんし、現在、申請があるわけ ではないので、EU、オーストラリアで使用されているものについてのポジティブ リスト制度導入時に基準値を作られていたものの見直しということでございます。 ちなみに、EUでの搾乳牛での休薬期間は2日間となっております。 ○山下委員 理解しました。 ○岸分科会長 そのほか。どうぞ。 ○若林委員 オラキンドックスについてお聞きしたいんですけれども、かなり遺伝 毒性が強く出るようなことが予想されているということで、実際には日本ではその 使用が認められておりません。オーストラリアで実際に豚に使用されていると書か れておりますけれども、オーストラリアからの輸入のものに関してはどういうよう に対応されているのですか。 ○大野委員 それは事務局からお答えいただいた方がよろしいかと思います。 ○俵木課長 今回そういう御評価をいただきましたので、不検出の取扱いというこ とになりますので、オーストラリアで基準値がまだ設定されてはおりますけれども、 我が国に輸入されるものについては検出されてはならないということになります。 ○道野室長 オーストラリアから年間40万トンぐらい牛肉は輸入されているんです けれども、豚肉、鶏肉については輸入実態も現在のところございません。 ○岸分科会長 これでよろしいでしょうか。  そのほか、委員の方からございますか。  格段今以上の議論がないようでしたらば、一応分科会として了承ということでさ せていただきたいと思います。ありがとうございます。  今後のパブリックコメント等の手続に関しまして、また、対応につきましては、 部会長と御相談しながら分科会長に御一任ということでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○岸分科会長 ありがとうございました。  また、報告は次回以降に分科会でするようにいたします。  この後、報告事項なんですが、事務局の方にバトンタッチしたいと思います。 ○石川補佐 報告事項の前に、動物用医薬品につきましても、次回からの取扱いに ついて御参考までに申し上げます。  まず、[1]のd−クロプロステノールにつきましては、▲ということで、次回から 文書での御報告とさせていただく予定です。  [2]の3剤につきましては△で、口頭での御報告予です。ただ、報告事項でありま しても、疑問点等ございましたら、今のようにお答えをさせていただく予定でござ います。  以上です。 ○岸分科会長 報告のときに質疑があれば受けるということで、是非よろしくお願 いいたします。 ○道野室長 それでは、報告事項の1番目、事務局の方から、米国、カナダにおけ る食肉処理施設の現地査察結果の内容について御報告申し上げます。  資料81ページをごらんください。  米国産及びカナダ産の牛肉につきましては、平成17年の12月以降、それまでB SE発生国ということで輸入を禁止しておった牛肉について、一定の輸入条件、20 カ月齢以下の牛に由来する。それから、日本の特定危険部位(SRM)に該当する ものを除去するという2つの条件で輸入を再開しております。  現時点では、年間、米国産については6万6,000tぐらいの輸入がございます。カ ナダ産については6,000t弱の輸入が年間にございます。  先ほど申し上げたとおり、オーストラリア産が40万tということでございますの で、それに比べるとかなり少ないわけでございますけれども、毎年度、対日輸出基 準の遵守状況について、米国、カナダにつきまして査察をやっております。本件に つきましては、今年度に実施した査察の結果について御報告をしたいということで ございます。  81ページの1番目が米国における食肉処理施設の現地査察結果についてというこ とでございまして、資料の下の方を見ていただきますと、1の経緯というところに ございますとおり、昨年の11月11日から22日の間、農林水産省と厚生労働省で担 当官を米国に派遣いたしました。全部で9施設についての査察を実施してございま す。  この9施設の中には、(2)にございますように、混載事案、先ほど申し上げた 輸入条件に違反したものを輸出したという施設2施設についての調査も含めて実施 しております。  2番目の結果概要ということでございます。御案内のとおり、米国産牛肉につき ましては、米国政府の方で対日輸出プログラムということで、そういった対日輸出 条件を守れるプログラムを持っている施設だけ輸出を認めるという仕組みになって おるわけでございます。各工場では対日輸出基準を守れるようなISOに基づく品 質管理プランを作って遵守するということをやっておるわけですけれども、今回、 混載事案が発生した2つの会社につきまして調査をしたところ、米国側からもとも と調査結果がきておりまして、それを検証するという形での調査を行ったわけでご ざいますけれども、訓練を受けていない従業員が繁忙期に作業を手伝ったりである とか、従業員の不注意によって混入されたということが米国の報告であったわけで す。それにつきまして日本側でも確認をしたということでございます。  ページをめくっていただきまして、82ページでございますけれども、再発防止措 置ということでございまして、基本的には、どちらの施設もそういった混入防止を する仕組みというのはできていたわけでございますけれども、人為的ミスで今回こ ういった事案につながったということがございまして、再発防止措置の内容としま しては、要は日本向けに輸出できない、せき柱を含む製品を日本向けの製品を処理 する時間帯には、そういう工程では製造しないと。日本向けに輸出するものと併せ て日本向けに輸出しないものを製品として包装して出荷していたわけですけれども、 それをやめるということ。それから、対日輸出品の内容チェックをそれぞれ2カ所、 ダブルチェックをするというような改善措置を講じるということでございました。  それから、(2)でございますけれども、その他もともとの問題の発生していな い7施設についての査察結果でございますけれども、一部の施設に指摘事項があっ たというのは、枝肉のせき柱の一部にせき髄がきちんと取り除けていない施設があ ったということがあったり、あとはペーパーワークでの問題というのがあったよう ですけれども、いずれについても指摘をして改善がとられたということでございま した。  そういったことで、特に混載事例を起こした2施設については、それまで輸入手 続をストップしていたわけですけれども、この査察結果を踏まえて、輸入手続の再 開ということを決定いたしました。  本件につきましては、1月20日に公表してございます。  それから、ページをめくっていただきまして、資料の95ページでございます。  同様にカナダについても現地査察をやってございます。カナダにつきましては、 混載事例等はございませんでしたので、2施設についての査察ということで、昨年 の8月18日から27日に実施をしております。  結果の概要にございますとおり、月例確認、SRM除去等の現場作業、記録状況 を確認したところ、問題はないことを確認しましたという結果でございました。  以上でございます。 ○岸分科会長 ただいまの御報告に何か質問等ございますか。  不注意とか慣れていないということで、システム的な問題でないというふうに結 論したということなんですね。どうでしょうか。 ○道野室長 本件につきましては、もともと数百カートンの荷物の中に1カートン だとか、2カートン混じってきたということ、それから、あと、通常、食肉の輸出 入に関しましては、輸出国政府が証明書を出します。米国側の政府の証明書の中で も、せき柱が、要するに輸出できない部位がくっついた牛肉の部位の名前というの は出てこない。彼らも輸出を許可したということにはなっていないということで、 当初から誤って混載されたものではないかという蓋然性はもともと強いものであっ たわけでございますけれども、米国側で調査をし、私どももその結果について検証 を行ったということでございます。 ○岸分科会長 どうぞ。 ○西島委員 最近のアメリカ、カナダにおけるBSEの発生状況についてはいかが ですか。 ○道野室長 米国につきましては、最初の1頭目というのは、実はカナダで生まれ たものということで、カナダ産という整理になっています。それを除くと2頭で、 最近は発生しておりません。  それから、カナダにつきましては、先日、済みません、間違っていたら申し訳な いですけれども、たしか17頭目が発見されたと承知をしております。 ○岸分科会長 ほかの委員からいかがでしょうか。  よろしゅうございますか。  それでは、次に報告を移らせてください。 ○説明者 続きまして、お手元の資料、食品衛生分科会における審議対象の経過に ついて御報告ということでございます。こちらの分科会におきまして御審議いただ いた基準、規格等につきまして、その後に行った、また、現在実施中のWTO通報 及び食品衛生法第64条の規定に基づくパブリックコメントの状況につきまして、既 に前回の分科会までに御報告差し上げておりますものの重複は避けまして、今回ま とめたものでございます。資料の101ページと102ページでございます。  ごらんいただきますように、提出された意見から、分科会におきまして審議され た基準規格の案の変更を生じるものはございませんでした。  以上、報告です。 ○岸分科会長 ありがとうございました。  ただいまの経過についての報告に関しまして、何か質問等ございますか。  パブリックコメントが余りないような感じがしてかえって心配になるんですが、 それは特別のことではないんでしょうか。ありますね。ごめんなさい。 ○説明者 農薬の剤の品目によりましては、意見提出がされているものもございま すし、あと、本日までがちょうどコメント提出期間になっているものが102ページ の方に並んでおりますので、こちらの方も今日までに提出された意見がございまし たら、次回に報告となる可能性はあるということでございます。 ○岸分科会長 ちょっと私が見間違えて失礼いたしました。  そのほかに事務局の方から何か私どもへのお知らせ等ございますか。 ○石川補佐 本日予定されておりました事項は以上でございまして、次回の分科会 につきましては、また開催日時、議題等につきまして、後日、確定次第お知らせい たしますので、よろしくお願いいたします。 ○岸分科会長 それでは、長時間でしたけれども、皆様方のおかげでいい審議がで きたのではないかと思います。本当にどうも御苦労さまでした。これにて閉会いた します。                 照会先:                                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                  TEL:03−5253−1111(2449)