10/03/03 第80回労働政策審議会労働条件分科会議事録         第80回労働政策審議会労働条件分科会     日時 平成22年3月3日(水)     10:00〜12:00     場所 中央合同庁舎第7号館                           西館9階903会議室 ○監督課長 定刻になりましたので、ただいまから第80回「労働政策審議会労働条件分科 会」を開催します。私は、監督課長の吉松です。今回は、委員改選後初めての分科会となる ため、分科会長が選出されるまで私のほうで議事進行役を務めます。  前回の分科会以降、新しく委員に就任された皆様を紹介します。資料1として委員名簿を 配付していますので、ご参照方、よろしくお願いします。公益代表です。慶應義塾大学法科 大学院教授 岡部喜代子委員、一橋大学大学院商学研究科教授 守島基博委員。労働者代表で す。日本労働組合総連合会総合労働局長 新谷信幸委員、全日本自動車産業労働組合総連合 会常任執行委員 中島裕子委員。使用者代表です。新日本製鐵株式会社人事・労政部部長 伊 丹一成委員、全国中小企業団体中央会調査部長兼国際部長 三浦一洋委員、以上です。本日 は、村中委員、田中委員が欠席されておられますが、定足数は満たしています。  厚生労働省側の担当者に異動がありましたので、紹介します。総務課長 前田、監督課調 査官 青山、勤労者生活部長 八田、勤労者生活部企画課長 野口です。  ここで金子労働基準局長より挨拶申し上げます。 ○局長 おはようございます。労働基準局長の金子でございます。今日は、大変お忙しい中 お集まりいただきまして、ありがとうございます。委員改選後しばらく開かれておりません でしたが、初めての委員会ということでございます。今日はこの後、「労働時間等設定改善 指針」の見直しにつきましてご審議をいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願 いいたします。 ○監督課長 議事に入ります。分科会長の選出について説明します。分科会長については、 労働政策審議会令第6条第6項に規定されているとおり、分科会に所属する公益を代表する 本審の委員から選挙されることとなっています。したがいまして、本審の公益委員である岩 村委員に分科会長をお願いすることになりますので、よろしくお願いします。このあと議事 進行については、分科会長にお願いします。よろしくお願い申し上げます。 ○分科会長(岩村) 分科会長を務めることとなりました岩村でございます。委員の皆様方 にご支援・ご協力を得ながら進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいた します。  最初に分科会長代理を指名したいと存じます。分科会長代理は、労働政策審議会令第6 条第8項の規定により、分科会長に事故があったときにその職務を代理するとされています。 この分科会長代理については、分科会長が指名するとなっています。そこで私から指名をし たいと存じます。分科会長代理ですが、廣見委員にお願いしたいと考えています。よろしい ですか。                   (了承) ○分科会長 ありがとうございました。 ○廣見委員 廣見でございます。ご指名ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○分科会長 早速、今日の議題に移りたいと存じます。お手元の議事次第にあるように、本 日の議題の2番目である「労働時間等設定改善指針の改正について」になります。本件につ いては、今日、厚生労働大臣から労働政策審議会に対して諮問がなされたところです。労働 条件分科会の所掌事務は、労働政策審議会令第6条第1項において、労働時間等の設定の改 善に関する特別措置法の規定により、審議会の権限に属せられた事項を処理することと規定 されています。したがいまして、今日の「労働時間等設定改善指針の改正について」は、労 働条件分科会で審議することとなります。今回の諮問案件の内容について、厚生労働省から ご説明をいただきたいと存じます。よろしくお願いします。 ○勤生部長 勤生部長の八田です。本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、あり がとうございます。改正の中身については企画課長の野口からこのあと説明しますが、その 前に私から一言皆様にお詫びを申し上げたいと思います。  と申しますのは、本件に関するパブリックコメントについて誤りがありました。具体的に 申し上げますと、まだ策定途中の未確定の案が、2月16日(火)から19日(金)までの間、 パブリックコメントを掲載するホームページ、これはe-ガバメントのホームページですが、 そこに誤って掲載されたことが19日(金)夜になって判明しました。直ちに関係部局に削 除をお願いし、19日(金)夜9時ごろに削除されました。この間に約3,400件近いアクセ スがありました。幸か不幸かコメントはありませんでしたが、そういうことがあったわけで す。  なぜ、このようなことになったかを説明しますと、パブリックコメント、本件の場合には 任意のパブリックコメントですが、このパブコメはいまは総務省行政管理局が運営している e-ガバメント運用センターで一括してやっており、各省庁はそこに登録をしてパブコメを出 してもらうことになっています。急にできませんので、何日前からとりあえずの仮案を登録 し、できればこの時期にやるのでよろしくお願いしますとお願いをします。私どもはこれに ついてはできれば2月15日(月)からパブリックコメントしたいと思っており、その前の 週からその時点での仮の案を登録して、皆様方とその時点にすり合わせをして、それでパブ コメをしてよろしいとなったら、その段階で案を切り替えてそれでやろうと思っていたので す。  12日(金)の段階になり、まだその案ではその段階では来週からパブコメは難しいとい うことになりましたので、そこで総務省に連絡をして、来週からのパブリックコメントはし ないのでやめてほしいとお願いをして、了解という返事をいただきましたので、安心をして いたのです。実際は、翌日の月曜日には出てなかったのですが、火曜日の16日から誤った ものが復活し、それが4日間出ていたということです。  これは原因を調べてまいりますと、どうも総務省行政管理局の中で事務的なミスがあり、 こうなったということがありました。私ども厚生労働省としてもこういうことがあったこと を省内に周知し、総務省から連絡を受けても、実際にそうなっているかどうかを我々できち んと確認しようではないか、ということを申し合わせました。総務省でもその後手続きにつ いて分析をし、若干、手続き上のミスがあったようですので、これについては運用方針を変 えて対応するという連絡を受けています。  いずれにしても政府部内のミスで委員の皆様、関係者の皆様、ひいては国民の皆様に大変 ご迷惑をかけたことを深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。 ○分科会長 今後こういうことのないように、是非再発の防止はよろしくお願いをしたいと 思います。企画課長、諮問案件についての説明をお願いします。 ○企画課長 資料2、3です。資料2が実際に労働政策審議会に対して諮問したものです。 まず表紙があり、めくっていただくと、今回のガイドラインの見直しを新旧の形で、いちば んわかりやすいということでこういう形でお示しし、左側が現行の指針、右側が今回提案す る改正の中身です。こういう改正の中身でよろしいかどうか、ご意見を承りたいということ です。  なお、先ほど誤ったパブコメということで部長から謝らせていただいていますが、ガイド ラインの案、いまご覧いただいているものが正しいガイドラインの案として、2月23日(火) から26日(金)まで実際にパブリックコメントをしています。この間、合計1,536件のア クセスがありました。ただ、ご意見は寄せられていません。そういう現状です。  ガイドラインの中身について、説明します。参考資料として、資料3に一括して資料を綴 じています。1頁をご覧ください。今回の改正のポイントをまとめたものです。上の四角が、 現行のガイドラインの概要を説明しています。皆様もすでにご承知のとおりかと思いますが、 簡単に振り返りたいと思います。  2頁で根拠法があります。やや長い名前の特別措置法ですが、かつて時短法といったもの が衣替わりした法律です。第2条に「事業主等の責務」とあり、事業主の方々は労働時間等 の設定の改善を図るため、必要な措置を講ずるように努めなければならないということで、 第2条第1項で努力義務ということでお願いをしているということです。  3頁ですが、第4条第1項で、厚生労働大臣は、第2条に定める事項に関し、必要な指針 を定めるとあり、この指針が「労働時間等設定改善指針」、長い名前です。以下ガイドライ ンと言いますが、このガイドラインを定めるものとするとあります。  2項で、ガイドラインを定める際には、この労働政策審議会の意見を聴かなければならな い、とあります。  なお、第4項においてガイドラインの変更について準用するので、今回これに当たります。 定めたものを見直すということで、今回、審議会のご意見を承るということです。したがい まして、第2条に定める努力義務を具体的にどう果たしたらいいかというよすがとしてガイ ドラインが定められていると、こういう趣旨です。  ガイドラインの本体が16頁になります。そういうことで、現在定められているのが、16 頁以下にあるガイドラインです。ガイドラインの構成ですが、最初に前文があり、背景がい ろいろ説明されています。1とあり、基本的な考え方として総論があります。基本的な考え 方、1(1)「したがって」の所をご覧いただきたいと存じますが、「したがって、労働時間、 休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項について、労働者の健 康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへ改善すること」と、やや長い のですが、これが労働時間等の設定改善の中身です。こういうことについて、事業主の方々 に是非頑張っていただきたいということになるわけです。  なお、総論部分の(5)「他の法令、計画等との連携」という部分ですが、この中でワーク・ ライフ・バランスの憲章・指針がつくられたことを踏まえ、そういうものとの連携を図ると あります。(5)のなお書きの所ですが、「行動指針」、これがワーク・ライフ・バランスの行 動指針、これもガイドラインですが、「においては」ということで、その1つ下の所に別表 のとおり目標が定められているとあります。  したがいまして、ガイドラインそのものにワーク・ライフ・バランスの目標が入り込んで おり、具体的には21頁です。数値目標が掲げられていますが、真ん中辺りに「年次有給休 暇取得率」とあり、目標値、5年後、2012年、間もなく迎えるわけですが、60%という目 標値が掲げられているということになっています。  17頁ですが、2で、具体的に事業主の方々にお願いしたい措置が掲げられています。(1) に一般的な労働者の方々に対する措置があります。イ、ロ、ハとあり、ハが年次有給休暇を 取得しやすい環境の整備ということで、年休に関わる部分です。  19頁の(2)は、例えば子育てをされている方、介護をされている方、そういう労働者の方々 に配慮してくださいということを掲げています。  なお、現在お示ししているガイドラインは、すでに改正が一部行われており、それが24 頁ですが、すでに審議会でご議論いただいてお認めいただき、昨年5月に告示の改正という 形でなされた部分です。これは労働基準法の改正に伴う見直しで、これがこの4月1日から 施行されるということです。少しわかりにくいのですが、25頁以下にその新旧が載せてあ ります。今回諮問しているガイドライン案は、この4月1日のすでに改正されたものが盛り 込まれています。その分は黒線で引っ張っていますが、この改正はすでにあったものという ことを前提にして、さらに4月1日で見直すと、そういう構成になっています。  資料3の1頁に戻りますが、そういうことで「労働時間等設定改善指針」の趣旨はいま説 明したとおりです。  なお、現在の指針の休暇に関する部分の概要を3つの○でまとめていますが、年次有給休 暇は当然のことながら労働者の権利ですので、完全に取得することが当然であるということ で、完全取得を目指した雰囲気づくり、当然なのだという意識改革を図っていただきたい、 というのが最初のパートです。  2つ目のパートですが、さはさりながら、なかなか全部取れてないではないかと。では、 取るにはどうしたらいいのかということで、計画的に取得をすることが大事ではないかとい うことで、特に計画的な取得について触れているパートが次です。  さらにということですが、2週間程度の連続した長期休暇も重要だと。フランスのバカン ス等も念頭にあると思いますが、そういうことで取得促進も図っていただきたい。なお、そ の際には、取得時期の分散化を図って、より寛げる休暇となるよう配慮していただきたい。 このような中身が、すでにガイドライン上盛り込まれているということです。  それを今回見直したいというので、そのポイントが下の四角です。その背景ですが、最初 の○に書いてあります。昨年12月8日の緊急経済対策で、具体的にガイドラインを見直す こととされたわけです。  具体的には、29頁に資料を掲げています。経済対策を抜き出したものですが、6つの柱 があり、その最後の柱、6の「国民潜在力の発揮」です。この部分は、あまりお金をかけな いで知恵を出すことによって経済を上向かせようという施策が集まっており、(3)が休暇に 焦点を当てた部分です。年次有給休暇の取得促進、それを政労使一丸となって推進し、経済・ 雇用創出を目指すとなっています。  具体的な措置の2つ目の○ですが、休暇取得促進への支援措置として「休暇取得を促進す るため、『指針』を見直し」となっています。したがって、こういう背景のもとで本日提案 するに至ったということです。  経済対策がまとめられた前段階として、「雇用戦略対話」があります。それが資料でいく と30頁からになりますが、戦略対話の設置は32頁です。その趣旨として、雇用戦略に関 する重要事項について、合意形成を図ることを目的として設置されています。  メンバーの方々ですが、各界のメンバーについては33頁、労働界・産業界・有識者とい うことで、要するに各界のトップレベルの方々に集まっていただいて、一定の合意形成を図 っていこうという目的です。  第1回の会合が開かれて合意されたものが、30、31頁ですが、31頁の2として「『雇用 戦略』の本格的な推進」、その2つ目の○ですが、若干飛ばしていきますと、有給休暇の取 得促進は、経済・雇用面で大きな効果が期待されることから、政労使一丸となって強力に取 り組むと、こういうことになっていて、それが経済対策に結びついたと、こういうことです。  経済・雇用面での大きな効果は具体的に何かということですが、そのバックデータとされ たのが、資料の34頁です。これは昨年9月に観光地域経営フォーラムという所から出され た報告書で、有給休暇の活用による内需拡大・雇用創出にテーマを当てた報告書です。  この中でどのぐらいの経済効果があるかという試算がなされており、いろいろ分析されて いますが、結論的には真ん中辺りに書かれていますが、「年次有給休暇の完全取得は、極め て大きな経済効果をもたらすことが明らかになった」。「その規模は」ということで、(1)と して15兆6,300億円の経済効果をもたらす、(2)として187.5万人の雇用を創出すると、こ ういうかなり大きな数字が出されています。このようなことを背景に経済対策に盛り込まれ たと、これは背景ですがそういう状況です。1頁に戻っていただきますと、そういうことで 今回の改正のポイントの最初の○は、そういう背景だということです。  次の○ですが、具体的にはどのように見直したらいいのかということで、3つのポイント を追加したらどうかと考えています。1つ目は、年休は労働者側の権利として労働者側の請 求によって発生するものですので、使用者側・労働者側が十分に話し合って取得を進めてい ただくのが基本だということです。したがいまして、そうした労使の話合いの場において年 休の状況を確認することが大事ではないかと。確認していただくと同時に、例えば芳しくな いということであれば、どうやったら伸びていくのかを労使共に知恵を出していただけない か、ということが最初のポイントです。  2つ目ですが、使用者側としても、そういう労使の話合いを踏まえて、各事業所なり本社 なりで取得率の目標設定のご検討をいただいて、数字を出していただいてご議論いただくの がいいのではないかと。その数字を達成する上でも、昭和62年の労基法の改正で導入され た仕組みですが、計画的付与制度の活用にも再び焦点を当てていただきながら、しかも活用 する際に休暇を割り振る場合に、1日ごとももちろんあるのですが、連続する休暇、2日や 3日などという休暇を割り振ることによってより大きな効果も得られるのではないか、とい うことに配慮いただきたいということです。  なお、計画的付与制度を簡単に下のほうで解説していますが、年次有給休暇の中で5日分 は労働者の留保として残されると。残りの部分については、労使協定を結べば計画的に休暇 の取得日を割り振ることができると。いわば労使間のためらいをなくすという意味で非常に 有効ではないか、という意味でこの計画的付与制度が導入された経過があるわけです。  3つ目のポイントとして、先ほどの長期の連続休暇についても是非さらに本格的な取組を いただけないか、ということで盛り込んだわけです。  なお、※印が下に書いてありますが、育児・介護休業法はすでに改正をされており、本格 施行が今年6月30日です。本格施行に伴い用語等が変わるものですから、その辺は自動的 に変えるという部分があります。  施行時期ですが、やや急ではないかというお話もあるかと思いますが、年度の区切りとし て4月1日にガイドラインの見直しをしたい。それで、徐々にできるところから取り組んで いただけたら、ありがたいと思っています。ただし、いま申し上げたとおり6月30日に施 行する部分があるので、その部分は6月30日からということでお願いしたらどうかという 中身です。  以上が概要ですが、以上のことを具体的に指針の文言に即して説明したいと思います。資 料2の別紙をご覧いただきたいと存じます。左側が現行、右側が改正案です。最初の所、こ れは前文の部分ですが、前文を少し見直したらどうかということです。現行は、平成20年 にワーク・ライフ・バランスが非常に盛り上がりましたときに、全面的に見直しをした所で す。その際に背景の説明として平成18年度単年度の数字を出しました。例えば総実労働時 間は1,842時間、正社員についてはそれが2,024時間になっているということになっていま す。  この辺のデータですが、35頁に具体的な数字を挙げています。年間総実労働時間は、い ま申し上げた平成18年は1,842時間。平成6年は1,900時間ぐらいあったものが、傾向的 に労使の皆様方の真摯なご努力により、着実に低下はしてきたという状況にはあるかと思い ます。ただ、若干上がり、平成20年にまた若干下がる。こういうことで年度ごとに見ると、 若干振れがあるのも事実ですので、あまり単年度を出してもしょうがないのではないかとい うことで、傾向的に1,800時間台前半で推移していると記述をしたほうが、より分かりやす くなるのではないかということです。ただ、1,800時間はパートタイム労働者を含む総実労 働時間で、1,800という数字はいいかもしれないけれども、内実を見るとどうかという議論 は必ずあるわけです。  それが「しかしながら」の所で、正社員の方々はどうなっているかというと、35頁の右 側の上ですが、一般労働者の総実労働時間はほぼ2,000時間で横一線という状況で、よく見 たら改善してないではないかということです。したがって、これは依然として非常に大きな 課題であるということです。2,024時間を2,000時間前後という形で直した、というのが前 文の所です。  1に入り、「基本的な考え方」、総論に入っていくわけですが、他の法令との関係であると、 現在のガイドラインで非常に触れているのが、少子化の問題と極めて関わりがあるというこ とで、累次の少子化対策の大綱や計画などが掲げられています。それが本年1月29日、つ い先ほどですが新たな計画「子ども・子育てビジョン」として少子化対策基本法に基づく大 綱として新たなものが策定されたところです。いわば、これがそれまでのいろいろなものを 踏まえて集大成した形になっているということですので、それをこのような形でまとめたの がその次です。  「なお、行動指針においては」と、この「行動指針」は先ほど申し上げたワーク・ライフ・ バランスの行動指針ですが、数字でいうと先ほど取得率60%という目標があるのだと申し 上げたところですが、38頁をご覧いただきたいと存じます。年次有給休暇の取得率を昭和 63年からのものを挙げました。50%からいちばん高くて56.1%まで行き、その後下がる傾 向にあり50%を切ってしまったと。平成18年あたりで非常に低くなり、また最近少し復活 傾向にあると、こういう流れになっています。  いずれにしても先ほど申し上げた当面の60%から見ると、まだまだかなり遠い状況であ るのが率直な現状ですので、「しかし」ということで、「年次有給休暇の取得率については、 目標に比べて顕著な改善は見られない状況にある」と。したがって、いわば、より気を引き 締めながら目標達成に努力をいただきたい、という意味で盛り込んだらどうかという中身で す。  なお、説明を端折ってしまいましたが、38頁の前の36頁に、先ほど申し上げた「子ども・ 子育てビジョン」の概要のペーパーを付けています。「政策の4本柱と12の主要施策」と なっていますが、4本柱の4番目の柱に「ワーク・ライフ・バランスの実現」が挙げられて いて、(11)で「働き方の見直し」です。そこで「『ワーク・ライフ・バランス憲章』及び『行 動指針』に基づく取組の推進」とあり、その中身を抜き出したのが具体的に37頁です。ポ ツですが、「長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等、労働時間の設定の改善につい て、事業主等が適切に対処するために必要な事項を定めたガイドラインを周知」する、とい うことが子育てビジョンの中でも盛り込まれているということになっています。  2番目の(1)ハの具体的な年次有給休暇の措置の部分に入るわけですが、最初のほうで年 次有給休暇の意義を説明しています。40頁をご覧いただきたいのですが、年休は非常にい ろいろな意義があるにもかかわらず、なかなか取れていない現状もあるということで、なぜ 取れていないのかということです。40頁で簡単な意識調査をしていますが、これは例年だ いたい同じ傾向です。「年休取得にためらいを感じるか」「ややためらいを感じるか」、2つ 合わせると3人に2人の方がためらっているという現状で、なぜためらうのかが右の四角で す。「みんなに迷惑がかかるから」「後で自分が忙しくなるから」「職場の雰囲気がちょっと よくないのではないか」ということで、このあたりが課題としてあるわけです。  ということで「しかしながら」の中でこのような理由を挙げています。逆にいうと、3人 に1人の方はあまりためらっておられない。ということで、なぜためらわないのかが左の四 角で、1番目が「職場の雰囲気がいい」ということです。したがって、職場の雰囲気が重要 ではないかということで、この部分の記述も付け加えています。  その下ですが、年休の取得が企業にとっても非常に意味があるのだということを述べたも のであり、一言でいうと、生産性の向上に資するということで、企業業績にとっても重要で はないかと言っています。その下に「さらに」ということで、先ほど雇用戦略対話等でも触 れていましたが、「取得率が向上すれば、経済・雇用面への効果も期待できる」。つまり、一 企業の取組にとどまらず皆さんがおやりいただければ、それが翻って自分の企業の業績にも またつながってくると、こういういい循環になるのではないか、ということで付け加えたわ けです。  「このため」ということで、先ほど最初の○で申し上げましたが、「事業主の方々は完全 取得を目指して、雰囲気づくり、意識改革を図っていただきたい」とあります。  その下の「また」から有休の計画的な取得の話に入ってまいります。いちばん下の行です が、「計画的な年次有給休暇の取得には、労使間で1年間の仕事の繁閑や段取りを話し合う ことが必要」だということが書かれていますが、話し合う中身として、「達成すべき目標と しての取得率の目安」という形で、いわば数字を少し出しながらご議論をいただいたらどう かということです。  なお、話し合う機会ですが、41頁に先ほどの意識調査の中で把握している数字ですが、 労使が話合いの機会を設けているかどうかという現状です。ほぼ半数の所が設けている、あ るいは今後設けていただくというのを入れると、7割ちょっとのところで話合いの機会を設 けていただいている。しかし、残念ながら「設ける予定なし」がまだ4分の1ぐらいあると いうことで、これは是非話合いの機会を設けていただいた上で、年休について是非どうやっ て取ったらいいのか、どういう目安をしたらいいのかを話し合っていただけたらと思ってい ます。  次ですが、そうした労使の話合いの上で事業主の方々が具体的に年次有給休暇の取得促進 を図るために業務量の正確な把握、個人別のカレンダー表の作成、年休の完全取得に向けた、 例えば職員の交代勤務制とかそうした業務体制の整備、取得状況の把握を行うことと現状で もなっているわけですが、是非、数字の取得率の目標設定の検討もいただいて、数字でご議 論いただきながら労使で進めていただきたいという意味で、取得率の目標設定の検討もやら せていただいたらどうかということです。  なお、その際に労使の話合いの機会において、実際どの程度取れたのかというフォローア ップをしていただけないかと。その結果があまり芳しくないのであれば、それでおしまいと いうことではなくて、当然どうやったらもう少し上がるかについて具体的に知恵を出してい ただきたい、ということを盛り込んでいます。  また、先ほど申し上げている計画的付与制度についても、さらに今回焦点を当てて活用を 図っていただきたい、その際、連続した休暇の取得促進に配慮いただきたい、制度自体につ いていろいろ抵抗感があるということですので、どうしたら導入できるかについてご検討い ただけないか、ということを盛り込んでいます。  計画的付与制度に関して若干の資料があり、42、43頁です。42頁で計画的付与制度をど の程度導入しているのかですが、調査産業計のいちばん上で見ていただくと、計画的付与制 度の有るのが15.7%で2割いっていませんで、したがいまして無い企業が85%弱と、これ が現状です。したがって、まだ普及が進んでいるとは言い難い状況にあります。  なお、導入されている場合に平均的に導入されている日数は4日間、つまり4日間を計画 休暇に割り振っている現状です。ただ、その結果は当然出ており、年休の平均取得日数でい うと、入れてない所に比べて2日多く年休が取得されており、率にして7%弱上がっている ということですので、簡単に申し上げれば、15.7%が増えていけば年休の取得率は明らかに 進むということです。  先ほど導入に向けて課題をご検討いただきたいと申しましたが、43頁に実は制度につい ては労働者の皆様にも若干抵抗感があるというのが出ています。まず問題なのが、「その他 わからない、無回答」がいちばん下ですが、半数、2人に1人の方がわからないということ で、あまり制度自体ご存じない、馴染みがないという現状があるので、これは私どもも反省 としてもう少し計画的付与制度はこういう意義、こういうねらいがある、こういういいとこ ろもあるのです、ということを私どもとしてもさらに頑張って周知しなくてはいけないと思 っています。  計画的付与制度についておわかりの方、半分の方について聞くと、肯定的な方がこの割合、 否定的な方がこの割合。なお、無回答を除きそれを分母にすると、4割、2割ということに なっていますが、いずれにしても否定的な評価の方々もかなり多いのが現状です。その1 番の理由は、必ずしも希望しない日に取得しなければならない、休暇が割り振られるもので すから自分の都合と合わない、というところがあるということだと思います。もちろん、す べての皆さんの希望をかなえることはなかなか難しいかもしれませんが、こうした意味での 不満をいろいろな工夫、運用の改善により、少しでも満足度の高い方向に持っていくことは 不可能ではないのではないかということで、もう少しご検討いただいたり知恵を出していた だく余地はあるのではないかと考えている次第です。という意味で、もう1回計画的付与制 度に焦点を当てていただいたらどうか、という中身です。  「さらに」ということで、先ほど申し上げた2週間の連続休暇の取得促進を図っていただ きたい。その際、たまたまある1人が取れるということではなくて、組織的に取れる工夫を 是非講じていただけないかということです。2週間の長期ですので、これは一斉に取るとい うと、また昨今の分散化の議論もありますが、なかなか議論があるということで、取得時期 については、休暇中の渋滞、混雑の緩和等から分散化を図り、メンタルの面でより寛げると いう面も含まれているわけです。今回、労働者の経済的負担、混雑時期であると、当然、ホ テルや旅館のお金も高いということですので、労働者のお財布の面から見てもやさしいとい うことで、長期に取っていただくと同時に分散化を図ることも重要な課題ではないかという ことです。  次頁、特に配慮を必要とする、子育てや家族の介護を行う労働者の方々に対して、是非温 かい配慮をいただきたいという部分です。その部分で最初に、育児・介護休業法に基づく様々 な措置が述べられています。この部分が先ほど申し上げたとおり変わるものですから、この 部分を6月30日施行で変えたい。なお、時間の関係上、省略しますが、44頁に具体的な今 回の育児・介護休業制度の見直しについて資料を付けています。  非常に簡単ですが、以上で諮問の内容の説明に代えさせていただきたいと思います。よろ しくお願いします。 ○分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきました諮問案件 につきまして、意見あるいはご質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○小山委員 本論に入る前に、先ほどパブリックコメントの問題について事務局から謝罪と 経過の報告をいただきました。今日、本日付で大臣からの諮問があり、この案が明らかにな ったわけですが、本来でいえば、この分科会で最初に議論を行って、その後からパブリック コメントを実施し、その結果を受けて、この分科会でとりまとめを行うことが議論の筋道で はないかと思っていたのです。また、事前に指針の改訂案が出るということの問題もあると 思います。その辺の考え方なり、いままでのルールをお教えいただきたいのが1点です。  2点目は意見として申し上げておきたいと思います。2月17日付の日本経済新聞の夕刊 に、この指針の改訂の記事が一面に大きく掲載されました。その段階で、まだこうした公式 な告示案も提示されていない段階で、特定の新聞社からそういう記事が出ることについて、 是非、事務局にそうしたリークは絶対にしないようにということで私の意見として申し上げ ておきたいと思います。以上です。 ○分科会長 では、ご質問の点について、企画課長、お願いします。 ○企画課長 最初の御質問は段取りの問題です。おっしゃるとおり、そういう例も多いと思 います。そういう例というのは、最初に諮問させていただいて、その諮問した案を審議会で ご議論いただくと同時並行的にパブリックコメントもさせていただきながら、その両方のご 意見を踏まえながら、更に答申の場面を迎えたところでどうするかをやるということが、1 つのオーソドックスなやり方としてあります。今回のようなやり方もないかというと、ない わけではありません。なるべく早く有給の取得ということで、経済の問題もありますので実 現させたいということが1つの理由としてあります。  それから、このパブリックコメントというのは、実際には国民の権利義務に関わる問題に つきまして、義務的にしなければいけないということなのですが、今回のガイドラインはそ の義務的な範疇のものには入りませんので、いわば任意で行うものであるという性格のもの です。したがいまして、そういう手続きも許されるものではないかということと、そのパブ リックコメントを踏まえたご意見を審議会の場でご紹介をし、それを踏まえてご議論いただ いた上で結論をいただくというやり方もあり得るのではないかと。私どもとしましては、そ ういう意味でも、いろいろな部分で努力させていただきながら、是非ご理解を賜りたいと、 本日臨ませていただいております。というのが私どもの思いです。  それからもう1点、新聞記事ですが、これは私どもも大変びっくりいたしました。当然パ ブリックコメントの前ですので、恐らく記者の方もこのパブリックコメントになっているよ うな案そのものは、お手元にはなかったんだろうと想像します。ただ、なぜそういうことに なったのかといいますと、もう既に12月に経済対策としまして、指針を見直すことが決定 されているということがあります。それを取材のとっかかりにされたのかなと思います。し たがって記事の中身も、現在ここに示されている案とやや微妙に違うような部分もあるのか と思います。おそらくガイドラインの中身そのものをお持ちでなかったからかと思います。  私どもとしましても、この記事によりまして皆さま方にいろんな意味でご心配をおかけし たことについて大変危惧いたしました。今後ともこのようなことがないように、私どもがリ ークしたということは決してございません。確かにご心配おかけしましたので、引き続きこ のようなことがないように気を引き締めまして取り組ませていただければありがたいと思 います。この辺についてもご理解を得るしかないのですが、どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○分科会長 小山委員、よろしいですか。 ○小山委員 ちょっと経過の点で1点だけ補足します。先ほどのご報告の中では2月16日 に間違ったパブリックコメントをしてしまったとおっしゃられていますが、新聞記事は2 月17日ですから、間違った告示案を見て記事が書かれた可能性があるわけです。そういう 意味では、パブリックコメントの扱いも、私が当初申し上げたようにきちんとした段取りを 踏んでいかないとそういう間違いにもなるということだと思います。事前に聞いてからとい うよりは、きちんと分科会において議論してからパブコメをやったほうがいいと思います。 2点目についてはそれ以上申し上げるつもりはありません。 ○分科会長 いまいただいたご意見も踏まえて、今後、分科会の運営についても検討してい きたいと思います。よろしくお願いします。その他、いかがでしょうか。 ○神津委員 具体的な内容について、まず前文のところなのですが、これはいろんな目的、 趣旨、要素を勘案し練られたところで、こういった文書を現時点で書かれているということ なのでしょう。結果として、一気通貫で内容を読み下すと、少し流れとしておかしなことに なっているなというところがあります。どういうことかと申し上げますと、この改正案の4 行目からなのですが、この「過去に目標として掲げられてきた年間総実労働時間1,800時間 については」ということで、その他「労使の真しな取組により労働時間短縮は着実に進み、 近年は概ね1,800時間台前半で推移している」と。これはもうご説明にあったとおりで、「し かしながら」のところではこの趣旨が結局ひっくり返って、実は短縮は進んでないのですと 記述されています。ここは事実として1,800時間台前半で推移しているということをいわれ るということであれば、事実としての記述にとどめるべきなのかなと思います。「労使の真 しな取組により労働時間短縮が着実に進み」というのは、かえって全体の流れに矛盾してい るところがありますので、むしろこの部分をすっぱり削除したほうがいいのではないかと考 えます。 ○分科会長 事務局のほう、何かありますか。 ○企画課長 この1,800時間の目標につきましては、累次の様々な経済計画、あるいは時短 法の計画の中でも1,800時間という目標が掲げられてきておりました。それから、昔の労働 時間の現状からみますと、ついこの間、1,900時間だったものや、もっと前には2,200時間 とか長い時間でしたので、長いスパンでみるとこの1,800時間に向けてある意味では着実に 短縮は図られてきたのではないかと思います。長い経過を見ればですね。その背景といたし ましては、もちろん労働時間自体の短縮もそうですし、休暇の問題もそうですから、これは 労働側、使用者側、双方の真しなご努力があったのではないかなと思います。それがまさに 事実としてあったのではないかということで、従来の記述を維持したほうがいいかと思いま してご提案させていただいた次第です。  なお、指針につきましては、平成20年のときにも全面手直しされていますが、この部分 につきまして、このことについて特段、あまりご議論なく、左側の原案が認められてきたと いう経過もあります。この平成20年のときと平成21年、いまの現時点とでは、もちろん 雇用構造の面でいろんな非正規労働者の問題とか大きな問題となってきておりますが、その 経過は経過として、その経過の中でこういういまの文言になってきてるということでご提案 させていただいたという、私どもの趣旨だけを述べさせていただきました。 ○分科会長 よろしいですか。 ○神津委員 この先ほどの35頁のグラフを見ても、これは結局、時短の中身が問題だとい うのは一目瞭然だと思うのです。今回のこの改正が何を目的にしているのかとの関わりがあ ると思います。少なくとも「労働時間の短縮は着実に進み」というと、いや、それなら何で 今回改正するのですかということの根本の問題にも関わる話だと思うのですね。労使が努力 をしたことは事実なのでしょうが、「労働時間の短縮は着実に進み」ということが冒頭から ここにあるということが、なぜこの最初の2つ目の段落が、全体の改正の目指すところとの 関係で必要なのでしょうか。こういうことを勘案して意見を申し上げているわけです。 ○分科会長 はい、企画課長、お願いします。 ○企画課長 現在、別紙として示されている案には書いてないのですが、16頁に指針の全 体文を掲げさせていただいております。着実にということがご議論ありましたが、事実とし て1,800時間という目標が掲げられてきて、結果として1,800時間台前半に推移していると いう事実があることを述べさせていただいて、しかしながら、それでもなかなか問題がある ということがあります。この指針の中においても、「このような情勢の中」、真ん中よりちょ っと上の辺りですが、「このような情勢の中、今後とも労働時間の短縮が重要であることは 言うまでもないが、全労働者を平均しての年間総実労働時間1,800時間という目標を用いる ことは時宜に合わなくなってきた」ということで、いままさに委員ご指摘の問題意識は盛り 込まれていると私ども考えております。  したがって、話の枕として、1,800時間という目標を作ってきて、その目標を大事にして きた、労働側、使用者側が同じ思いで大事にしてきたという前提に立ちながら、しかし、中 身を見るとそんなに単純な問題ではなく、その目標自体がどうなのかということはしっかり 議論されて、このガイドライン上にも書かれていると、その上で、このような提案をさせて いただいているということです。補足として説明させていただきました。 ○分科会長 この指針との関係で言いますと、やはり年間総実労働時間、1,800時間という ことで、目標として掲げられてきて、そして、労使に取り組んできていただいています。そ ういう意味では1,800時間を目指して頑張ってこられたという経緯があって、そういう経緯 を前文のところで書いておくというのは大事なことではないかと私は思います。ただ、恐ら く、近年は概ね1,800時間台前半で推移しているということで、一応そういう認識、事実自 体を述べたあとで、そこから先、「しかしながら」ということで、率直にむしろまた別途の 新しい問題が実は生じてきているということをそこで書き、それを今後またどうするかとい うことで、今後考えていきましょうと。そういうつながりで前文のところはできているのか なというように理解したものですから。そうしますと、これまでの取組があったということ を何か前文からすっぱりと落としてしまうというのは、私はちょっとどうかなというように 思うのですね。 ○神津委員 この流れの中で、どうしてもやはりここの2段落目というのは違和感があって、 いまのご説明を踏まえれば、「平均の労働時間の短縮は着実に進み」という、「平均の」を盛 り込むというのは、やはり事実の認識としての話であり、有りうべしの内容なのではないか と思うのです。 ○分科会長 ただそこは、やはりこれまでの経緯があって、労働時間の短縮の目標としてま さに総実労働時間1,800時間ということでやってきていますので、それに沿う形ということ からすれば、こういう文書でよろしいのかなというように思いますが。 ○新谷委員 神津委員のご指摘は、ここに書いてある「労使の真しな取組により」まではい いとは思うのですけれども、そのあとの論理展開との関係で、「労働時間の短縮は着実に進 み」と、ここで評価を下していることに対して、後の文脈とに論理矛盾が生じるのではとい うことではないかと思います。しかし、先ほどの企画課長のご説明では、ここで着実に進ん だと評価してしまうので、「しかしながら」以降で書かれることとの内容が若干ずれている のではないかとのご指摘だと思うのです。ですから、前段のこの「真しな取組により」とい うところまではいいのですが、後に書いてある「労働時間の短縮は着実に進み」は要らない のではないかという趣旨だと思います。確かにそう言われてみれば、そういう感じもします。 ○廣見委員 この問題は、これができた経緯を振り返ってみる必要があるのかなという気が します。確かにいま、両委員からのご指摘のとおり、白紙で見ると正直言って違和感を感じ ないわけではない点もあろうかと思います。ただ、指針ができましたときの経緯と我々がし てきた議論を振り返ってみますと、この1,800時間をどうするのか、どう受け止めるのか、 ということで大きな議論がありました。ここでも大変侃々諤々の議論があり、その上で一定 の整理がなされた、このように理解しております。そういう意味で、現時点からそれを見る と、いろいろな思いやご意見もあろうかと思いますが、その当時、一定の整理をして、こう いった評価をしてきたものです。ただ、その後にあるように、当時も「しかしながら」とい うことで個別の問題は指摘されていたわけです。  今回もそういう流れの中で、個別の問題、特に正社員の問題等の指摘をしながら、更なる 労働時間の短縮、あるいは年休の取得促進、このような具体的な対応をこの中に書いていこ うではないかと、こういう流れであります。いまここでこれを修正したりしますと、当時と の関係、すなわち、これを比較したときに、なぜいまそういう評価になってきたのか、すな わち、これをやったときの時期と、2年ほど経つのでしょうか、その間にその評価を変える ほどの事実の変化、事態の変化があったということになりますと、かえって説明がつかなく なるのではないか。当時の関係者のいろんな議論の上で合意をした、ということを踏まえて、 ここは若干の違和感が仮にあったとしても、そういうことを大切にしていったほうがいいの かなと私は思います。 ○神津委員 あまりこの問題だけに時間をかけてもしょうがないので、全体の議論の中で、 もし必要であればまた振り返っていただければと思います。そもそも「何でこの改正をする のか」についてです。今ほどお話がありましたそのきっかけになったことを考えますと、こ れまでの経過はあるのでしょうが、そのことだけで考えるということではなくて、今回何を アピールしていくのかということを中心に考えるべきだろうと思うのです。したがって、こ の全体の中での論理矛盾についてはやはり残ってしまうわけで、どこまで本気でやろうとし ているのかということが問われる中での全体の議論だと思います。そういった意味でその後 の内容も含めて議論の対象としていただければありがたいと思います。 ○中島委員 私からは、一般的な措置で、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備の内容に ついて確認をさせていただきたいと思います。配付資料の4枚目になります。上から7行目 の赤の下線が引いてある部分です。「取得率の目標設定の検討」という言葉があります。こ れは取得率の数字を検討するという解釈でよろしいのですか。 ○企画課長 まさにポイントは数字を出すということがいいのではないかと思います。取得 率という数字をどう目標として設定したらいいのかということについて検討いただきたい と私どもとしては考えて、提案させていただいています。 ○中島委員 取得率の数字を検討する、数字を検討しようということでよろしいと思うので すが、いろいろな方が読まれたときに、「目標を設定することを検討」との記述ですので、 「数値」となかなか読み取れないものですから、少しそのように読めるように修文をしたほ うがよろしいのではないかと思います。例えば、目標を設定する、取得率の目標を設定する とか、数値を検討するというように具体的に出されたほうがいいのではないかと思います。 ○企画課長 まず、取得率という率という言葉を使っておりますので、率というのは数字し かあり得ないと、おそらく思います。それを目標として設定することになりますので、私ど もとしては、その取得率の目標設定ということで、当然その数字としての率を設定するもの だと読めるものと考えておりましたが、またご議論いただければと思います。 ○神津委員 これ、すんなり「目標の設定」という言い切りにしたほうが、趣旨がきちんと 伝わるのではないでしょうか。 ○企画課長 もちろんそういうご意見はご意見として承れると思います。ただ、取得率の目 標設定の前提として、労使の話合いをしながらその目安として、前段のところの当面達成す べき、なお、この「当面達成すべき」といいますのは、もちろん7割取っていらっしゃる方 がいて、事業所として私どもとしては6割を考えたいといった場合に、その7割にブレーキ をかけるような意味ではなく、完全取得という目標に向けて、当面の達成すべき目標として、 いわば上向きの目標としての取得率の目安を労使で話し合っていただくと。やはり年休とい いますのは、労働者側の意識を是非持っていただいてという部分もあります。使用者側だけ でない問題もあるということで、その労使の話合いの中において、その目安を話し合ってい ただいた上で、事業主としても是非、今度目標を設定しようではないかと、こういう段取り になるということですので、その流れの中で、いわば自然な形での目標設定の検討をいただ くということにして、事業主だけで目標設定をするというのも、その前段としての話合いを した上でやらないと、うまくいかないという意味でのニュアンスを含めまして、目標設定の 検討ということでどうかなというのが、元々の趣旨です。 ○八野委員 今の議論に関連するのですが、この改善指針が官報に公示されて以降、これが 確実に周知されるのかという課題も出てくるのだと思うのです。今回は、年休という問題に なっています。これは、例えば労基法の考え方からすれば、皆様ご承知のとおり、労働基準 の最低のものであるわけです。この年休ということで考えれば、それが半分しか取得されて いない。改善指針ができても、一向に改善する余地がないというところに大きな問題点があ るのだと思うのです。  実は、これはILOの132号条約の中でも、国際的な最低な労働基準の1つとして位置づ けられているということだと思うのですね。よく経営側の方たちは、企業経営や労働条件の ときに、「グローバル」なという言葉を使って、「グローバル競争の中で生き残るためには」 ということを言われますが、グローバルな労働基準も、やはり日本の中にきちんと位置づけ ていかなくてはいけないのだろうと思います。改善指針の基本的な考え方の中にも、きちん と経営者に求められる役割というものが明記をされており、この改善指針で挙げられたもの が着実に進むような経営者の役割ということも出ているわけです。  そういう観点から、今回の改正箇所を見ていくと、先ほどのところは半分以下しか取得で きていないものをどのように進めていくのかというところが具体的な施策が伴ってなかっ たというところも、労使ともに反省すべきところがあるのではないか。そう考えると、この 目標設定の検討で終わっていいのか。いままでこういうレベルで持ってきたものがあったの で進んでいなかったということも、1つ言えるのではないか。やはり、ここは「目標の設定」 とすべきだと思います。  もう1点、IFRS(国際会計基準)が変わろうとしています。これはもしかすると、グロ ーバル企業であるだとか、ある程度の上場企業であるだとか、対象はそうなってくるのかも しれませんが、そこの中でも有休の未消化分を、いまの計画では引当金として負債に計上す るという形になっていて、ある程度進んだ企業はもうそろそろ準備に入られるのだと思いま す。そういった要素も勘案すれば、ここは検討という段階で終わるのではなく、やはりこの 取得に向けた実行というような形で、目標設定を具体的に行うというようなものに直してい くべきなのではないかと思います。以上です。 ○輪島委員 いろいろなご意見をいただいたところですが、私どもも、ここをどう考えるの かというのは非常に悩ましいところなのですが、表現としては「取得率」という数字が入っ ていることというのは、今回の改正のポイントとしては非常に大きな意義があるのではない か。ですから、先ほど事務局からご説明がありましたように、取得率というのは数字ですの で、数字というのは動かないものなので、それについてどういうふうにしていくのかという ようなことがこれから求められることになりますので、非常に重いというように思っており ます。  その点で、労使の話合いの中でそれぞれのところで、どういうふうに完全取得に向けてや っていくのかというところが、これからかかってくるのだと思います。表現ぶりとしては現 状のものが穏当なのではないかと、私どもとしては思っております。 ○新谷委員 中島委員のご指摘もそうですし、企画課長のご答弁もそうですし、輪島委員の ご発言もそうですが、中身についてはたぶんこの場におられる方は認識が一致していると思 うのです。ただ、この文章自体が指針という形で世の中に出ますので、読まれた方が、これ は数値目標の検討をするのではなくて、その目標設定するかしないかの検討で止まってしま う可能性もあるのではないかと思うわけです。  それが中島委員の指摘の趣旨だったわけですが、例えば「取得率として設定する目標の検 討」のようにすれば、非常にクリアな中身になると思うのです。意図しているところは同じ ですが、目標設定することを「するかしないかを検討する」というところで止まるのではな くて、「数値の検討をする」ということで言えば、いま申し上げたように「取得率として設 定する目標の検討」と、順番をちょっと入れ替えれば、非常にクリアな内容になるのではな いかと思いますが、いかがでしょうか。 ○分科会長 1つ気になる点で、いまの新谷委員のご示唆は非常にいい筋かという気はする のですが、他方で、実は全体の構成として、その前のところで、「労使で」というのがまず 最初にきていて、そこでは「達成すべき目標としての取得率の目安を話し合う」となってい るものですから、そこをまず話し合ってくださいねということから出発して、その上でたぶ ん事業主がそれを受けてどうしますかということだと。そういう論理の流れだとすると、結 局1つは労使の話がどうなるかということもあるでしょうし、企業のそれぞれの置かれた状 況とかもあるでしょう。その後にもついてくる業務体制の整備とか、取得状況の把握という ようなさまざまな企業の状況というものも踏まえて、たぶんその取得率の目標を設定すると いうことについて考えてくださいという趣旨だろうと、私は読むだろうと思うのですね。  労側がおっしゃるように、確かに望ましいのはもちろん目標の設定だということは最終目 標としてはあるのでしょう。ただ、今回ある意味では、初めて具体的にこういうことを労使 で取り組んでやってくださいねと、さらに使用者としてももっと踏み込んでこういうことを 考えてやってくださいねということを、指針の中で、ガイドラインの中で書くということに あるのだとおもうのです。今回、最初にこういう形で、さっき輪島委員もおっしゃったよう に、取得率ということそれ自体が指針の中に非常に明確に入っているということは、具体的 に年休の取得率を向上させていくための方策をきちんと考えろと、労使そして特に事業主の ほうで考えろ、というメッセージであり、これはかなり大きな意味を持つのだろうと思うの です。ですので、労側のご主張もよくわかるのですが、他方で、いちばん最初のワンステッ プとして踏み出すものとしては、私は穏当なところではないかという気はするのです。  確かに、「取得率の目標設定の検討」という表現もありますが、ある意味そこではいろい ろな事情というものを勘案して、それぞれの状況に応じた取得率をどうするかということを、 事業主、事業所ごとでまた考えてくださいという趣旨をここに込めているということではな いかと思うのです。  そういう意味では、今回取得率の目標という言葉を入れたという点で、そこはご評価いた だいた上で、今後またこの指針を基に、事務局、行政のほうで積極的に事業主あるいは労使 等に働きかけていただくということで、それをまた基にして、次のステップを考えるのかど うかということではないかという気はするのですが。 ○企画課長 若干また補足させていただきたいと思います。資料の22頁をご覧ください。 これは、いまのガイドラインの先ほどの数値目標の別表が掲げられていて、その数値の意味 を解説したところです。備考の1で、「別表に掲げる数値目標の趣旨は、次のとおりとされ ている」と書かれてあります。ちょっと飛びまして、「この数値目標は、社会全体として達 成することを目指す目標であり、個々の個人や企業に課されるものではない」と。実はワー ク・ライフ・バランスの議論をしたときに相当ご議論があったと承っております。したがっ て、先ほどの有休の取得率60%も社会全体の目標として受け止められているのですけれど も、それを今回のガイドラインにおきましては、個々の企業に対して取得率を検討するとい う、いわば一歩踏み込んだ中身になっているのではないかと、私どもとしては承知させてい ただいたという経過だけご説明させていただきます。 ○分科会長 この場でも1回やって、だいぶもめた経緯がございますので、それ以来、委員 やっていらっしゃる方はご存知かとは思います。 ○大沢委員 ちょっと違った観点からお伺いしたいのですが、労使間で話し合うということ ですが、そういう環境にない企業もたくさんあるわけです。そういった所に対しての周知徹 底はどういうふうにするのかということが1つです。それから、これは正社員を対象として いるものなのか。いま連合の調査結果でも、非正規労働者の2割ぐらいは長時間労働に苦し んでいるということです。決して、その二極化と最初に読むと、非正規労働者の労働時間は 下がっていて、正社員の労働時間が増加しているというように読まれがちですが、実はもう 正規、非正規関係なく、長時間労働の所は非常に長い時間になっているということで、社会 全体としての目標をワーク・ライフ・バランスで掲げることになりますと、もう少し平均値 で見て、平均値の議論だけで留まっていていいのかという問題が出てくると思います。  もう1つ、やはり労使間だけではどうしても限界が出てくるところを、どう周知徹底して、 国民全体で有給休暇が取得できるような環境を整えるのかということも考えていかないと、 やはりこれが雇用を創出して、経済効果を持つまでには至らないと。そこら辺のステップに ついても、何かお考えがあるのでしたら、是非伺いたいと思います。 ○企画課長 まず私ども、このガイドラインの見直しにつきまして結論が得られましたら、 直ちに告示の手続に入らせていただいて、その中身を地方の労働局単位で、それこそ都道府 県単位で労使の皆さんが集まる会合がございますので、そういう場で真しに訴えさせていた だいて、非常に重要な課題なのですということを改めて周知、啓発ということで取り組ませ ていただき、真剣にやらせていただきたいと思っております。  先ほど、委員からご発言がありました、長時間労働の是正は非常に重要な課題です。私ど も労働基準行政は第一線の労働基準監督官によって指導監督の中でさまざま最低基準を確 保しながら、その上を目指していくということですので、そこのまさに焦点が長時間労働の 是正ということだろうと思います。  したがって、長時間労働の是正をしていないような所の事業所を、そういう所は得てして 労使の話合いの機会も少ないのかもしれません。そういう所も含めて、直接ご訪問させてい ただきながら、その強行法規違反という問題だけではなくて、よりそれをどうしたらいいの かということで、私どもの局に置かれていますさまざまなコンサルタントなども活用してい ただきながら、また職場意識助成金といったような形で、その職場意識を変えていこうとい うような中小企業向けの助成金もあります。そういう所をターゲットにして、むしろそうい う取り組みをしたらどうかという働きかけをしながら、そうしたハードな手法、ソフトな手 法を取り混ぜながらこれまで進めてきております。私どものまさに労働基準行政の真価が問 われる時代ですので、是非長時間労働の是正に向けて頑張っていきたいと、私ども局の決意 です。 ○大沢委員 育児・介護休業法が改正された関係で、これは今回、特にどうすべきかという 具体的な案ではないのですが、日頃から少し気になっているところがあります。それは、い まの若い女性たちの中で非正規化が非常に進んでいて、20歳から24歳ですと、正社員の割 合がいま5割を切っていると思います。こういう中で、いままでの子育て支援というのがど うしても企業の中での継続して働く女性たちのみに対しての労働時間の削減であったりと いうことで、いくら良いものを作っても、その適用を受ける割合が非常に減っているという ことがあって、結果として少子化の流れが全然止まっていないということになっています。  少子化への効果が表れていない、これはどこで話し合うのかわからないのですが、先ほど ちょっと見ておりましても、やはり枠組み自体が、いま起きている大きな変化というのは、 正規が減って非正規が増えている。その影響というのが、まさに子育て世代のところで非正 規化が進んでいるという中で、働き方の問題、ワーク・ライフ・バランスというのが正社員 だけの問題として取り上げられていることによって、社会全体として少子化への効果が表わ れずに、少子化が止まらないということがあるように思います。  参考意見として聞いていただきたいのですが、ですから先ほど労働側からご指摘のあった、 この1,800時間が短縮されているから、これは労使が真しに話し合った結果であるというこ とは、やはり言えない。つまり、実際に起きている、現在の社会の中に起きていることは、 まさに雇用の質の劣化といいますか、つまり、ここで議論されているような対象となる労働 者の割合が減少しているという形で、いま労働市場に大きな変化が起きていると思います。 それがこうした審議会の中でも語られずにきていることに対して、やはり直視すべき問題と して労働力の非正規化の問題を見ていかないと、究極的にはこの有給休暇の取得の問題、あ るいは少子化の問題の流れを止めることができなくなっていると思います。  私が、これは正社員だけに適用される制度ですかというふうに伺った趣旨です。そういう ことで、労働政策一般が、いままで扱っていたところ以外の部分が非常に大きくなって、社 会問題化しているということについても、労働時間を考えるときに非常に重要になってきて いる。それから労働時間だけではなくて、やはり経済力ですね。日本の成長力を維持してい くために、その部分をどうやって活性化させ、息づかせて日本の中核に位置づけるのかとい う問題を抜きにして、考えることができないと思います。ちょっとわかりにくい発言になっ てしまったかもしれませんが、言いたかったことはその周辺部分に位置する労働者が非常に 増えているという問題について、これは長時間労働だけではないのですが、その部分に対し ても適用できるようなルールを作っていかないと効果が見込めないのではないかというこ とを一言申し上げます。参考意見です。 ○分科会長 いまの点は、たぶん基準行政全体に関係するので、もし、できれば事務局のほ うで少しお答えいただければと思います。 ○局長 雇用労働政策全体の中で、おっしゃったように非正規の問題をどう取り扱っていく か、特に、若い人たちの雇用の状況も大変厳しくて、いま職業安定局のほうで雇用政策研究 会を立ち上げて、ご検討していただいております。これから政府の内部でも、雇用戦略、成 長戦略の中で雇用問題も取り扱っていこうということです。おっしゃったような視点は大変 重要だろうと思っております。  もちろんこの指針についても、非正規の方も含めてそういうターゲットとして当然入って いるわけですが、なかなか労使の話合いの機会の枠組みの中にうまく入ってくるのかどうか ということもありますので、結局最後はこういう指針の十分な周知をいろいろな方法で図っ ていくことに、当面行政としてはそうした辺りに意を注いでいく必要があるのだろうと思い ます。  非正規雇用の問題については、いま労働者派遣法の問題も出ておりますし、今日ご出席い ただいている荒木先生も入っていただいているのですが、有期雇用の問題についての調査研 究会をやっております。こうした視点での議論も深めながら、いまご指摘のありましたよう な点について一歩ずつ一つずつ答を出していけたらと思っております。 ○小山委員 いまの議論に関連しますが、連合は必ずしも正社員だけの労働組合ではござい ません。非正規の問題の取組みも強化をしておりますが、問題は先生がおっしゃるとおり、 いわゆる有期契約であったり、派遣で就労する労働者が、1日12時間ずつ働かないと、と ても30万の賃金を稼げないという現実があるわけです。ですから、むしろ労働時間を短く しろと言う意見だけでなく、もっと働かせろという声が出てきてしまうという現実は、これ はいまの労働のあり方に大きな格差の問題があるのだと思います。  それと同時に、有給休暇は有期契約であっても当然取れるはずなのですが、それがきちっ と周知されていない、あるいは取りにくくしているという現場の実態があるわけです。これ は我々労働組合にも責任があるかもしれませんが、特に、やはり使用者側の中には違法すれ すれのような人事管理を行っている実態もあります。今度派遣法が改正されますけれども、 非正規労働者が、いわゆる有期契約であって、有給休暇がちゃんと取得できるにもかかわら ず、取ったら、次は契約更新してもらえないのではないかと推測し、休みたくても休めない という現実を変えていくように是非努力していただきたいと思うのです。  一方で、法整備で言えば、派遣法の改正について、職安審において一定の結論が出ている わけですから、やはり違法は当たり前みたいなことが現実におこっているところについては、 きちっと基準行政の中で厳しく取り組んでいっていただかないと、いくらお題目を並べても 実態は改善しないということになりかねません。是非それらも含めて取組みの強化をお願い したいと思います。 ○島田委員 いま局長も含め、いろいろな方から、この周知が問題だという意見が述べられ ました。要するに、指針で出されると、基本的に我々労働組合のある所、あるいは経団連に お入りの所、中小企業の所には説明は行かれますけれども、実際はその場で終わってしまう のです。基本的にやはり法律事項でなく、罰則のない、要するに強制力がない指針では、ど れだけ書いてもむなしいというのが現実です。  今回の改正は、その年次有給休暇に焦点を当てたことを打ち出したわけです。政府がこう いう指針を出したことによって切り換えようという話ですから、国として、今回は有休を本 当に完全取得に向けて頑張っているのだという趣旨で言ったら、いままでの周知方法で本当 にいいのですかという部分があると思うのです。実際にできるかどうかは別にして、マスコ ミに訴える、テレビ宣伝する、何か有休を取れるようにしましょうとか、完全取得に向かっ て国は2015年に向けて60%なり、2020年には完全だというようなことを広報しないと、 たぶん実際には周知できないのです。いままでどおりの周知方法では、現実的に1つも進ん でいないわけです。だから、国の予算が十分にあるか分かりませんが、周知方法というもの をいままでどおりではなくて、本気で国として、有給休暇なり時短なり、それをやるんだと いう意気込みを見せるような周知方法をしていただければ、ありがたいというのが要望です。 ○局長 いま島田委員からお話ありましたことは、実は長妻大臣のほうからも、きちんと周 知をするのであれば、道筋を立ててきちんとフォローアップをしろということの指示も受け ております。私どもとしても、今回この指針を策定させていただけたら、やはりどういう周 知の方法でやっていくかもきちんと整理をいたしまして、それからフォローアップもさせて いただくということで当然考えていきたいと思っております。やり方についてはいろいろな 方のご協力も得なければいけないということが当然あるわけですので、少し時間をいただい て、詰めさせていただきたいと思います。また、次の機会にご報告できるような形で準備を させていただきたいと思います。 ○輪島委員 周知の件ですが、それも私どもも非常に重要だというように思っております。 その点で言うと、もう1つ、4月1日から改正労働基準法が施行されるわけですが、その中 にも時間単位年休が入るわけです。それを入れた目的というのは、明らかにワーク・ライフ・ バランスに資するようにということで、大きな制度改正をして、これから法律改正事項でや るということですので、それについても周知はしていただくにしても、フォローアップも含 めて導入がどれぐらい行っているのかとか、それからむしろ導入がなかなかうまく行かない ということになると、それはどういう制度的な課題があるのかというようなことも含めて、 非常に分析をしてお知らせをいただければありがたいなというふうに思っております。  別の件で、計画年休の関係で、後ろに資料がありますが、ご説明の中では、その計画年休 が年休の取得率の向上に資するという評価があるというような説明であったとお聞きした わけです。確かにそのとおりだと思うのですが、その計画年休を実際にどうやって話合いを して、どうやって取得をしているのかというような詳しい事例というか、そういうのはあま り見たことがないような気がするのです。  例えば、今年のゴールデンウイークを見ると、4月30日がちょうど4月29日のはざまで 金曜日で、土日お休みにするのかどうか、この日を計画年休にするのかとか。5月1日はメ ーデーなので、そこはお休みのところも多いのかもしれません。  あと昨年ですと、12月28日が月曜日で、25日までで終わって、28日を計画年休でとい う事例は結構お聞きはしました。そういうように実際にやっているよということを含めて、 周知をしていただくことが重要なのではないかと思います。周知の仕方は、指針の周知はも ちろん大事ですけれども、実際に労使の話合いで進んでいくという手法を、むしろ好事例と していろいろ示すことが重要なのではないかと思っています。  それから資料43頁で、これは連合総研の資料なので新谷さんにお伺いをしたほうがいい のかどうかよくわかりませんが、上から4つ目の否定的評価というところに、「必ずしも希 望しない日に取得しなければならないこともあるので、良くない」というのがある。これは 確かに取得率の高い人には迷惑なのかとも思うますし、こういう計画年休に対しての否定的 な評価も出てくるのではないかなという気もするのです。もう少し分析をして、計画年休と 取得率とのマルチでかけて出てくるものなのかどうかというところも含めて、これは厚生労 働省のほうにお願いするのかとは思いますが、そういうようなことも含めて周知をしていた だくことが重要なのではないかと思っています。 ○分科会長 いますぐと言っても、たぶん難しいのでしょうから、新谷さんの顔を見ても難 しいと思いますので。 ○輪島委員 そういう意味ではそういうふうに。 ○新谷委員 現場でやっているときには、こういう声を上げられる方というのは、子育て期 に育児のために取得したいというニーズの方で、予め4日なり5日決められてしまうと自由 度が落ちるから困るという声は聞いていますけれども、これを定量的に分析しているものも あるかと思いますので、もし必要があれば取り寄せてみたいと思います。 ○輪島委員 では、そこは勉強したいと思います。 ○分科会長 然るべくお願いしたいと思います。 ○安永委員 いまの議論に少し関連しますが、いまお話があったように計画的付与をされる と困るという世代は、子育て世代に多く、何かあったときのために年休を残しておきたいと 思っています。本当は、その世代がいちばん年休としては取得ニーズが高いのに、残してお きたいという方が多いのです。したがって、安心して年休が取れるようにほかの制度によっ て、何かあったときのためのフォローを可能にすべきです。育児・介護などの制度の充実を することで、安心して自分自身のワーク・ライフのために年休が取りやすい環境を整備する ことによって、子育て世代も、年休を残しておかなくともいいという全体的な雰囲気を作っ ていくことが大切なのではないかと思います。今回の改正に入れるとかまでは求めませんが、 今後の検討の中でこの問題の対策は必要だと思います。 ○分科会長 貴重なご指摘だと思います。私も、先ほど輪島委員がおっしゃったこととの関 係で言うと、是非これから年休の取得促進を進めていくに当たって、どのようにすればやれ るのかという経験例であるとか、労使での取組例とか、事務局側、行政側で周知していくに 当たって、そうしたものも併せていろいろ周知していくことが良いのかと思いますので、そ こは労使のそれぞれにご協力をいただいて、これまでのいろいろな取組例その他を行政側に 対して少しご提供いただく。併せて、周知の際に、あるいは課長がご紹介いただいた地域の 労働局での労使を集めての会合などの場などで、こういう取組例があるというようなことを ご紹介していくということだと思います。そこにおいて、それぞれの事業主、使用者側、組 合側にまたご協力を是非お願いできればと思います。 ○大沢委員 先ほど輪島委員がおっしゃられた、有休を時間割りにして提供するという考え 方については、いつ頃決まって、どういうふうな過程でいま広がっているのですか、具体的 にお願いします。 ○監督課長 先の国会で労働基準法の改正がありまして、この4月1日から施行になります。 労使協定を結べば5日間の範囲内で時間単位で年休が取れるようになるというような改正 がされましたので、この周知をいま一生懸命やっているところです。先ほど輪島委員からご 指摘のありました、今後どういうような導入条件になっていくのか、この辺についてもどう やってその辺のフォローアップができるか、検討してまいりたいと考えております。 ○大沢委員 重要なことだと思います。 ○分科会長 時間もありますが、その他、では新谷委員、いかがでしょう。 ○新谷委員 先ほど周知の話も出ておりましたが、この指針ができた後は、これを実施に移 すことになります。労使が真摯な協議をして、企業内で数値目標の設定等を検討していくこ とになるかと思うのです。先ほど大沢先生からもご指摘いただきましたが、非正規の方々は たしか1,700万人ぐらいおられると思います。実は、労働組合のカバー率で見ますと、非正 規労働者よりも中小企業に働く正規労働者の方々のカバー率が非常に低いということです。  私ども労働組合も組織化に努力しておりますが、中小企業での組織率は1.1%というよう な状況です。ボリューム的にも3,000万人近い方が中小企業で働いておられると思います。 そういった意味でいくと、今回のこの指針で決められた労働時間の短縮、中でも有給休暇の 取得率の向上ということについては、労使での取組みとともに、行政としての予算措置を背 景とした助成金なり、いろいろな事業の推進も重要な項目になると思っております。  現在中小企業の事業主に対して労働時間設定等改善推進助成金という制度があろうかと 思いますが、この行政側としての評価、この助成金制度なり、事業について、特に中小企業 の方々への促進という面で、どのように評価しているのか、お聞かせいただきたいと思って おります。 ○分科会長 事務局のほうでわかりますか。では、お願いします。 ○企画課長 私どものほうで、特に職場意識改善助成金という形で、おっしゃるとおり中小 企業の事業主の方々が対象です。それはノー残業デーをやるとか、有休を取得しやすくする とか、労使の話合いの機会を設けるとか、そうした、いわゆる労働時間等の設定改善に向け た取組みを始めるというときに、2カ年間の計画を作っていただいて、実際にそれで効果が 上がったというようなことを点数化いたしまして、その点数によって評価をしながら、そう した場合に、一定の奨励的な助成を行わせていただいているという仕組みがあります。  今回、この指針の改正ということを念頭に置きながら、より計画的な休暇を活用して連続 した休暇を取れるようになったとか、制度的な改善をした場合には、初年度にいままで50 万だけであったものを、もう1回50万を乗せようとか、既存の予算の非常に苦しい予算の 範囲の中ではありますが、内容の改善を図りたいということで、現在も検討させていただい ているところです。 ○荒木委員 最初に神津委員がおっしゃった点に関連して確認したいのですが、目標として 掲げられていた年間総実労働時間1,800時間、これが設定されたのはいつのことでしょうか。 ○企画課長 すみません、ちょっと正確な年次がいま手元にないのですが、遡れば前川レポ ートの辺りが、まさに経済摩擦が騒がれていたときに、内需主導型経済の転換という中で構 造転換しようという1つの旗印で、1,800時間というのが盛り込まれました。その後、累次 の政府の経済計画の中で、1,800時間というのが盛り込まれてきました。ところが、最近は この1,800時間という目標自体は、例えば前の小泉内閣の構造改革計画の中にも、1,800時 間はたしか入っていなかったと思います。唯一1,800時間が残っているのはもしかしたらこ のガイドラインの中だけかなとは思います。 ○荒木委員 文言の修正はもうしないほうがよければ、もう発言は控えますが。 ○分科会長 もし文言の修正あれば、それは読み込んだ形で最後答申をすると。それで文言 の修正自体については、座長と事務局にお任せいただくということでも処理はできると思う のですが。 ○荒木委員 処理はお任せするということで、神津委員がご指摘になったように、この前た しか時短促進法は平成4年ですか。それ以降のことを考えますと、今日の35頁の資料にあ るとおり、時短促進法以降、平均としての総実労働時間が減ったのは労使の努力というより もパートが増えたということがおそらく客観的な評価だろうと思います。  しかしながら、以前1980年代の2,000時間近いところからずっと下りてきた、これは労 使の努力だったと思います。  そのことを踏まえて、前回では、左の現行のところですが、このような中で、「労使の真 しな取組みにより労働時間短縮は着実に進み」については、1980年代以来の努力について 触れているという理解が可能です。そういうものとしてここでも書くべきではないかという 気がいたします。  そうしますと、私の提案はそこまでは前回と同じようにしまして、「このような中で労使 の真しな取組みによる労働時間短縮が着実に進み、近年は」、そしてその右のほうの赤のほ うにいきまして、「近年は、過去において労働時間短縮の目標として掲げられてきた年間総 実数労働時間1,800時間にほぼ近い水準である1,800時間台前半で推移している」。こうい う書き方をすれば、先ほど廣見委員が言われた趣旨も反映しておりますし、おそらく理解と しては誤っていないということになるのではないかと思います。 ○分科会長 私も、実は考えていて、もっと簡単なのを考えたのです。改正案の指針のほう の、いまのところで、「このような中で」という2行目で、「1,800時間については」という その後で、「労使の真しな取組み」というところまで一緒なのですが、「労使の真しな取組み を得て、進めてきたところであり」というふうにして、そして「近年は概ね1,800時間台前 半で推移している」というのを考えていたのです。荒木委員、どうですか。 ○荒木委員 これはもう座長にお任せいたします。 ○分科会長 いまのような修文で、使側、労側よろしいですか。 ○輪島委員 にわかに何とも言えないです。見せていただいて2つ比べてみないとすぐには。 ○分科会長 わかりました。それでは、こうさせてください。いずれにしてもどちらかとい うと、評価よりは進めてきたという事実に力点を置くということと、それから「労使の取組 み」というのはやはり残すと。それは過去の事実として非常に重要だと思いますし、これか らも重要だと思いますから、そこはやはり残すべきだと思います。そのところの修文につい ては事務局と私とにお任せいただいて、本来であれば、異例なのでしょうけれども、今日の ところは答申としては概ね妥当であるということで頂戴し、文案についてはちょっと検討さ せていただいて、早急に労使にお示しいただいて、ご了解をいただくという、そういうやり 方で、もしよろしければやらせていただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○分科会長 文案のほうは取り急ぎ固めた上で、早急に労使にお示しをして、事後的であり ますけれども、ご了解を得る。答申そのものについては、予定どおり今日させていただくと いうことで、よろしいですね。ちょっと異例ではありますけれども、そのようにさせていた だければと思います。  いま申し上げたような点は留保した上で、指針の改正案については妥当なものということ で、審議会長宛ての報告をまとめるということにさせていただきたいと思います。そうしま すと、労働政策審議会令の第6条第9項及び審議会の運営規程によりまして、分科会の議決 を持ちまして審議会の議決ということになります。ですから、今日の報告が、審議会の答申 ということになります。形式的には本報告につきまして、分科会から審議会への報告に基づ きまして、審議会が厚生労働大臣に答申をするということになっております。それでは、報 告文の配付をお願いしたいと思います。                (報告案配付) ○分科会長 それでは配付された案文について、事務局のほうで読み上げていただきたいと 思います。 ○企画課長補佐 「概ね」を入れて読み上げたほうがよろしいでしょうか。 ○分科会長 「概ね」を入れてください、そのようにお願いします。 ○企画課長補佐 はい、わかりました。それでは、標題と本文のみ読み上げをさせていただ きます。  労働時間等設定改善指針の一部を改正する告示案について。平成22年3月3日付け厚生 労働省発基動第0303第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分 科会は、下記のとおり報告する。記。厚生労働省案は、概ね妥当と認める。 ○分科会長 お手元にあるのは、単に「妥当と認める」ということですが、先ほど申し上げ たように。 ○輪島委員 事務局にお伺いしますけれども、手続的には瑕疵がないということでよろしい ですが、中身についてはわりと空手形っぽいのでどうしようかなという気がしないでもない です。分科会長がおまとめいただいたもので、趣旨は理解したつもりです。 ○分科会長 議事録に残しませんが、いまここで閉じて、すぐ文案を作って。それでなけれ ば、1回ここで休憩を入れてとか。 ○輪島委員 いいえ、手続的に瑕疵がなければ大丈夫だと思うのです。 ○企画課長 手続的な問題で言いますと、審議会に意見を承るということでして、審議会の ご意見は承っておりますので、手続的な問題はないと思っております。 ○分科会長 もしあれでしたら、1回ここで暫時休憩を入れて、文案を確定して、そのもの で答申を出すということもできますが、事務局の意向はどうでしょうか。 ○審議官 審議会令には、あまりここまで詳しいことは書いてないはずなのですけれども、 今回仮に、「概ね妥当」という形で答申をいただいたということになりますと、諮問案自体 もフィックスしてますし、答申案に付く別紙もそれでフィックスしているわけですが、その 後、概ね妥当と認められた範囲で、行政責任で案文を変えるという構造になります。これが、 いま座長がお考えになっている最初の案になります。  もしここで一旦休憩をうって、修文自体をして、案文をフィックスして出すのであれば、 一部案文自体が変わるという形にすると、修正が入ったものが審議会から出てくるという形 になります。ただいまのご議論を私どもの責任で反映するということであれば、この概ね妥 当方式も、もしかしたら初めての例になるかもしれませんが、それは十分可能だろうと考え ています。 ○分科会長 ちょっと異例ではありますけれども、そういうことでご了解をいただいて、早 急に案文をいまこの場ですぐに確定して、それでお見せした上でということにしたいと思い ます。使側はそれでよろしいですか。 ○新谷委員 一応この諮問・答申の手続はそれで終わるということに、私どもは異論ござい ませんが、最後にちょっと要望なり、意見表明をさせていただきたいと思っております。1 回締めていただいた後で結構でございます。 ○分科会長 はい、承知しました。それでは厚生省案は、概ね妥当と認めるということで、 先ほど審議官からご説明いただいたような手順で進めていくことにいたします。それでは、 「概ね妥当と認める」という案文で、労働政策審議会会長宛て報告をしたいということです が、よろしゅうございますか。                   (了承) ○分科会長 ありがとうございます。それでは新谷委員、どうぞ。 ○新谷委員 1年ぶりに開かれた分科会ですから、意見を申し上げたいと思っています。2 点ございます。その1点は、先ほど小山委員も触れていただいたのですが、個別労使紛争の 増加についてです。いま3つのチャンネル、つまり労働局、労働審判、労働委員会というチ ャンネルで処理をしてございますが、非常に増えている現状にございます。  その中身は、例えば長時間残業の手当か残業割増賃金の不払いであるとか、解雇の案件な どが増えています。内容的には、労働基準法違反とかかわりのある案件が非常に増えている と思いますので、監督行政として、その是正勧告等々について今もやっていただいていると 思うのですが、是非一層の強化をお願いしたいと思います。行政による取締まりをもう少し 強化して、紛争を未然に防いでいただきたいというのが、1点目でございます。  次に、4月1日から改正労基法がいよいよ施行されます。今回の改正の中身については、 先ほどもありましたが、いちばん大きなものは、やはり60時間を超える時間外に対して割 増率を引き上げるということだと思ってございます。ところが、この割増率の適用について、 中小企業に猶予措置が付けられています。この猶予措置は3年以内の間に必要な措置を検討 するということが法改正の中で決められておりますが、私どもといたしましては、労働基準 法といった最低限のミニマムの労働条件を決める法律が、企業の規模によって適用が二重に なっている、いわゆるダブルスタンダードになっているというのはいかがなものかと、常々 申し上げており、できるだけ早くこの中小企業の猶予措置の取扱いについて検討を開始して いただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。以上です。 ○分科会長 それでは最後に、基準局長のほうからご挨拶をいただきたいと思います。 ○局長 今日は大変長時間にわたりましてご審議をいただきまして、ありがとうございまし た。今日伺った議論の中で、当面行政としてはこの指針をどうやって周知をして、実効たら しめて、この経済対策の中で求めているような効果というものを出していくかということが 大事になると思います。  先ほど申し上げましたように、きちっとしたプログラムを作りまして、また周知状況につ いてのフォローアップもきちんとした形で進めてまいりたいと思っておりますので、労使の 皆さま方にもよろしくご協力をお願いしたいと思います。どうも本日はありがとうございま した。 ○分科会長 それでは、今日の分科会はこれで終了とさせていただきます。なお、議事録の 署名でございますが、労働者代表につきましては神津委員、それから使用者代表は渡邊委員 にそれぞれ署名のほうをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。それ では本日はどうもお忙しい中ありがとうございました。 照会先:労働基準局監督課企画係      03−5253−1111(内線5423)