2010/03/03 第4回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会議事録 第4回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会議事録 1 日時及び場所:平成22年3月3日(水)午前10時〜午後0時          航空会館702・703会議室 2 出席委員:池田、田中、千葉、藤井、堀田 3 議題 (1)平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果について (2)平成22年度実施予定の調査票等について (説明者)   それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回社会保障審議会介護給付費分科会調査 実施委員会を開催させていただきます。  初めに、本日の委員の出欠状況ですが、村川委員より欠席という御連絡をいただいております。  資料の過不足等ございましたらお申しつけください。  それでは、以降の進行を田中座長にお願いいたします。 (田中座長)   では、早速ですが、議事次第に沿って進めてまいります。  1つ目の議題は、平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果です。これについて事務局から 資料の説明をお願いします。 (説明者)  資料1−1をご覧下さい。  一般的に統計調査の公表に使われるものは、資料1−2の調査の概況ですが、今回、よりわか りやすくするために、資料1−1を作成しましたので、これに沿って説明させていただきます。  表紙の注ですが、文中にあります表番号は、資料1−2の表番号ですので、必要に応じて併せ てごらんいただければと思います。  それでは、めくっていただきまして、1ページです。介護従事者の給与等の引き上げ状況です。 平成21年4月から9月の間に何らかの引き上げを実施している施設・事業所は全体の68.9パーセ ントでありまして、10月以降に実施するものも含めますと81.6パーセントになっていました。  続きまして、2ページで、これを経営主体別に見ますと、給与の引き上げを実施している状況 はある程度見えるわけですが、営利法人におきまして、定期昇給の実施率が若干低く、給与の引 き上げを予定していないところが若干高いというような傾向が見てとれます。  続きまして、3ページで加算の算定状況です。加算が算定されているところは給与の引き上げ を実施しており、加算を算定していないところは実施していない、引き上げの予定がないという ような状況です。  続きまして、4ページの平均給与額です。前回、速報値として9,058円と平均給与額を公表し ましたが、最終的な確定値は約8,930円で、平均で増加しているということです。  前回の委員会の際に、給与の支払い形態で違うとありましたので、月給、時給の別で見ますと、 月給の者では約9,500円、時給の者では約1,600円の増加ということになっております。  続きまして、5ページの職種別の平均給与額です。これは、前回もお示ししたところですが、 職種ごとで約8,000円から1万2,000円の間で増加していました。  続きまして、6ページですが、これは、その平均給与額を分布で見たものです。6ページにつ きましては月給の者の平均給与の分布です。傾向としては、平成21年は、平成20年と比較して高 い方向に推移しているということから増加傾向となっていることが見えると考えております。  続きまして、7ページです。これは基本給の額を月給、時給の者別で構成割合の分布を取った ものです。これも、全体的に高い方向にシフトしているということで、増加傾向が見えるという ことです。  続きまして、8ページですが、これは、平均増加額が約9,000円ということで御説明している のですが、実際の感覚としては、それほど上がっていないのではないかというような声も若干聴 かれるところであり、平均給与額の増減額の分布を見たところ、やはり5,000円未満のところの 増加が多いということで、平均の増加額よりは低い者が多い状況が見えるということです。  次の9ページから11ページまでは、給与等以外の処遇状況の改善についてです。9ページにつ きましては処遇全般についてです。多少特徴的なところを赤で囲っているところですが、今回更 に充実したところについては、職員の増員による業務負担の軽減が多少高いです。今後予定して いるところについては、仕事ぶりの評価と配置・処遇への反映や、昇進・昇格要件の明確化、あ るいは人事制度の整備というようなところも、今後実施予定のについては高くなっています。  次に、10ページの教育・研修ですが、これにつきましても、教育・研修機会の充実あるいは研 修参加に係る費用負担が高目に出ていて、今後では、下の2つが高くなっているます。  次に、11ページの職場環境についてです。定期的なミーティングによるコミュニケーションの 充実というところが、今回、更に充実のところで高い数値になっています。  次の12ページですが、このグラフにつきましては、給与の引き上げ状況と給与以外の処遇改善 状況をクロスさせたグラフです。若干見方が難しいのですが、例えば、一番左の棒グラフの業務 負担の軽減を見ていただくと、職員の増減による業務負担の軽減ということを実施していない施 設・事業所のうち、一番左の青い濃い棒、給与改善において、介護報酬を踏まえて引き上げたと ころの割合が18パーセントとなっており、逆に一番右側の水色のところ、給与改善を予定してい ないところが約50パーセント弱あります。何が言えるかといいますと、給与等以外の改善を実施 していないところは、給与改善も実施していないという傾向が見えるということです。  次に、最後の13ページですが、これは、給与水準別に見た平均給与額です。表側に低、中、高 とありますが、これは、給与水準を低、中、高に分け、介護従事者の平均給与額の上位25パーセ ントを高位、下位25パーセントを低位、それ以外を中位ということで分類したものです。全体的 に低位の者、つまり給与水準が低い者の増加額が高くなっています。給与の低い者には厚く配分 がされているという傾向が言えるのではないかと思います。  調査の結果の概要については以上です。  資料1−2は調査の概況ですが、今、御説明した資料1−1をもう少し細かく、数値的なもの も入っている資料です。重複する点もありますので、説明は割愛させていただきますが、1点だ け、1枚めくっていただきまして1ページ目、調査の概要・集計方法についてです。  調査の概要・集計方法は、前回御説明したとおりですが、回収状況の最終的な数字ですが、こ の表にありますように全体で82.9パーセント、各施設・事業所ごとに見ても75パーセントという 回収率となっております。  前回、有効回答率について御意見がございましたが、この回収数にあるものにつきましては、 基本的には何らかの集計に活用しているものです。例えば、一部データが未記入であった場合で ございましても、一部使えるデータがあれば集計対象となっているということです。  続きまして、資料1−3ですが、これは、前回の委員会の際に各委員の皆様からいただいた御 意見を踏まえて、当然、本体資料の中に入れている部分もあるのですが、それ以外のものについ て、ここで集計しているものをお示ししているものです。  基本的に、概況などに載せているものに比べてサンプル数が少ないということで、若干数字の ばらつきが見えるものもありますので、その点は御了承いただきたいと思います。  中身の説明は、細かくなりますので割愛させていただきますが、1点だけ、7ページについて 御説明させていただきます。  収支差率について把握する必要があるのではないかということで前回御意見をいただいたので すが、これについて提出させていただいたのが、7ページ別紙5の表です。上の表を見ますと、 収支差率がプラスのところは、介護報酬改定を踏まえて給与を引き上げたところが多くなる傾向 が多少見えるというのと、収支差率がマイナスのところは、引き上げる予定はないところが多い という傾向が若干見えます。  下の表は、介護報酬前に比べて収支差率が落ちているか、増えているか、変化がないかという のを比較したものです。見ていただければわかるとおり、それほどの傾向が見えない、下落して いても、上昇していても、それほど割合的には変わらないという状況が見られます。  最後に資料1−4ですが、これについては今回の調査の集計一覧表です。1枚目が単純集計、 2枚目がクロス集計のものです。基本的には、これに沿って、後日、調査結果報告書を作成する こととなります。  資料1関係の説明につきましては以上です。 (田中座長)  では、ただいま説明のあった平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果について、委員の 方々から御意見、御議論をお願いします。  池田委員、お願いします。 (池田委員)  資料1−1の4ページですが、施設・事業所別にみた介護従事者の平均給与額の状況について の表を見ますと、実労働時間が減少しています。時給の場合はそのままの金額を受け取ればよい と思うのですが、月給の場合ですと、実労働時間が短縮して、給与が上がったということは、実 労働時間が下がった分も給与が上がったということが言えると思われます。要するに、実労働時 間の減少を給与の引き上げ分とみなすと、もう少し給与の引き上げ額は高くなる、そう理解して よいかということが1つ質問です。 (説明者)  時給の者の場合は、実労働時間もかけて計算していますので、平均給与額に連動してくるので すが、月給の場合は、そういうことではなくて、月給の額そのものが記入されていますので、そ れと別の要素というか、違う要素として実労働時間が減っているということになっています。そ こは、給与額に反映されているかというと、反映されていないのかなと思います。 (池田委員)  それであれば、7ページの基本給でみた方がよいということですか。 (説明者)  7ページの分は、あくまでもレート分、基本給でみておりますので、単独で見るとそういうこ とになるかと思います。 (田中座長)  堀田委員、お願いします。 (堀田委員)  関連して、7ページに基本給別の構成割合を出していただいているのですが、月給、時間給そ れぞれ、平成20年、平成21年の平均給与額を教えていただけますか。2点目は質問になりますが、 12ページに給与の引き上げ状況と、給与の引き上げ以外の処遇改善の状況、組み合わせの傾向が ありますが、これは、やっていないところはいずれもやっていない、やっているところはやって いるだろうという傾向と解釈したのですが、給与も引き上げられていなくて、それ以外の処遇改 善にも結びつけられていないような施設・事業所というのは、例えば規模であるとか、地域区分 であるとか、事業種であるとか、そういった点で何か特徴がみられるのであれば教えていただき たい。 (説明者)  1点目にありました、7ページの平均給与額ですが、月給の者につきましては、平成20年が18 万4,960円、平成21年が18万9,200円で、その差分が4,240円です。時給の者につきましては、平 成20年が1,130円、平成21年が1,160円で、その差分が30円です。  2点目のご質問についてですが、規模別、地域区分別、これに限らず、いろいろとクロス集計 はしているのですが、なかなか傾向がみえないところです。少なくとも規模別、地域区分別にみ ても、傾向はみえませんでした。 (田中座長)  藤井委員、お願いします。 (藤井委員)  まず、4ページ、5ページで、全体の合計については月給、日給、時給となっており、それを 分類したものに日給がありません。恐らく日給の方が非常に少ないということで分類から外れて いるのではないかと思いますが、月給のものに含めているのか、それとも少ないから除いたのか 教えていただきたい。  また、先ほど、池田委員がおっしゃったことに関わることですけれども、7ページの基本給額 でみた方がよいかもしれないという議論がありましたが、手当で給与を引き上げているケースも あるとなると、7ページでみるよりも、やはり4ページではないかと思いますが、御意見をお聴 かせいただきたい。 (説明者)  まず1点目ですが、4ページ、5ページの日給の者についてです。おっしゃるとおり、集計対 象数が少ないので、ここには表記していません。報告書には、実際掲載させていだく予定として おります。日給の者の平均給与額は、平成20年が16万1,180円、平成21年が16万5,030円で3,850 円の増加となっています。  2点目の御質問につきましては、要は、どの切り口で分析していただくかということになりま す。様々な見方があると思うので、むしろ、いろいろな提案をしていただければ今後の分析に活 用できます。ただ、実労働時間については、先ほど申し上げたように、実際の給与には反映され ていませんが、業務負担の軽減ということで、それが見える数字になろうかなという分析はして いるところです。 (田中座長)  池田委員、お願いします。 (池田委員)  これは質問ではなく意見であり、前回も申し上げたと記憶していますが、ここにある資料は、 クロス集計等、一定のカテゴリーを置いて平均値を出しています。介護事業というのは非常に傾 向が読めないというか、ばらばらであるということは、皆さん御存じのとおりだと思います。カ テゴリーを分けて平均値をみるということも意味があると思いますが、それ以上に重要なのは分 布の状況を見ることではないかと思います。そういった意味では、散布図を作成していただくと 非常にわかりやすいと思います。つまり、例えば、縦軸に給料がいくら上がったかというものを みて、横軸に、従来の給料は高かったのか、低かったのかを置きます。そうすると、それが一定 の傾向を示しているのか、全く傾向を示していなく、ばらついているのかが一目でわかると思い ます。傾向がばらついているということも一つの読み方として非常に重要なことですので、いく つかそういった散布図をお示しいただきたい。  これは、個々のデータをエクセルデータでいただければ、だれでも簡単にできるので、そうい った意味では、こういったデータをどこまで公表するか、勿論プライバシーに関わる部分もあり ますので、当然そういったところは修正しなければいけないにしても、データそのものは公開し ても問題ないと思われますので、御検討ください。 (宇都宮老人保健課長)  今後、介護保険制度改正の議論をしていく上で、これで終わりではなく、いろいろな分析は必 要だと思っておりますので、分析に関する御提案がありましたら、またお申しつけいただければ、 我々ができる分析はさせていただきたいと思います。  データ公表の件は、個別データの話になると、統計法や個人情報保護法の関係もありますので、 また別途御相談させていただきたいと思います。 (田中座長)  藤井委員、お願いします。 (藤井委員)  先ほど堀田委員が御指摘された資料の説明を見る限りにおいて、給料を上げないところは、給 料以外の処遇改善もやっていないという困った事態が見てとれるわけでありまして、今回のこの 調査の目的からいうと、老人保健課長がおっしゃったように、今後の介護保険制度を議論される、 あるいは介護報酬を加算したことが、どの様な効果があったのかを検証していただき、給与を上 げて、給与以外の処遇改善を実施したところが、より報いられるようなインセンティブを与える ものに、このデータをもう少し分析していけるのかなと思いますので、是非そのあたりをお願い したいことが1点です。  2つ目は、大変細かく技術的なことになりますが、資料1−2の8ページ以降がパーセント表 示になっておりまして、これはこれでよいと思いますが、先ほど御説明があったように、ものに よって集計客体数が違ってくるということがありまして、中には集計客体数がとても少ないもの があるのではないかという気もするもので、可能な限り8ページ以降については、集計客体数も 表示できるものは表示していただいた方がよいのではないかと思いますので、御検討ください。 (田中座長)  できるかどうか、事務局において御検討ください。  千葉委員、お願いします。 (千葉委員)   2つありまして、1つは、先ほどの実労働時間が短くなり、給与が上がったことについては、 逆に言えば、この表にもあるよう、給与を時間で割れば、その額がどれぐらい伸びたかといった 計算を二次的にできるのではないかと思いますので、情報がうまく伝わればよいのではなでしょ うか。  2点目は、資料1−1の最後のページが一番わかりやすいかと思うのですが、この資料には、 藤井委員のおっしゃったように、分布があったり、パーセントになっていたり、またはヒストグ ラムになっていたりというようなものが混ざっています。例えば、最後の13ページの表ですと、 例えば、これは月給の者、時給の者が、そもそも水準が低かった方がどれぐらい上がったかが施 設・事業所別になっている表だと思いますが、この上がり具合が、果たして上がったと言える範 囲にあるのか、ほとんど上がっていないという範囲にとどまってしまっているのかというのは、 分布の形状によって違ってくると思われます。例えばこの介護老人福祉施設の月給の者で、もと もと低い者の増減額は、2万4,570円となっていますが、これがもとの平均給与額、21万2,330円 が出てくるもとのヒストグラムといいますか、度数分布表がかなりフラットな形だった場合は、 誤差の範囲内にはまってしまうし、もし、かなり尖っていれば、このぐらいずれていると相当変 わったと言えることになる。従って先ほどの7ページ、8ページ等にあるような階層別のヒスト グラムになっているものがあると、この平均の意味というのがなおよくわかるのではないかとい う気がいたしました。  あと、できればこれに信頼区間か何かのデータがあると、本当は技術的には一番判定しやすい と思いました。  以上です。 (池田委員)  資料1−3の8ページ、事業活動収入の内訳として介護収入と書いてあります。この介護収入 というのは、自己負担も含めた収入なのか、それとも介護報酬の給付分を意味しているのか、教 えていただきたい。  また、事業活動収入というのは、介護収入が介護サービスに関わるものすべてを意味している とすれば、それ以外のものになるので、具体的にはどの様なものかについても教えていただきた いと思います。 (説明者)  通常の収支計算書における事業活動収入が入っている項目です。介護収入には、1割分も含ま れています。 (池田委員)  食費や居住費も入っていると理解してよろしいですか。 (説明者)  介護収入には入っていません。事業活動収入に含まれています。 (池田委員)  食費と居住費は介護収入には含まれていない。介護サービスの1割自己負担及び補足給付は含 まれているという理解でよろしいですか。 (説明者)  はい。 (池田委員)  含まれるものによりこのパーセントの見方が変わってきます。例えば施設系ですと、特養が50 パーセントを超えていて、あとは50パーセントを切っている。訪問介護が65から67パーセントぐ らいに移っている。このことは介護報酬の設計上すごく重要なことであり、今までのいろいろな ものを分析し私が立てた仮説とほとんど同じ数字になっているので非常に役に立つものでありま す。 (田中座長)  堀田委員、お願いします。 (堀田委員)  資料1−3の8ページで、事業活動収入に占める給与総額の割合が全体として少しずつ下がっ ているところがいくつかみられます。個人に配分される月給や時間給なり平均の月収を計算され た場合では給与は上がっているけれども、給与総額で見るとやや下がっているところもあるとい うのは、報酬引き上げ分を経営の安定に充てた部分があると解釈すればよいのでしょうか。  それから、今後の制度改正、報酬改定をどうしていくかを考えると、傾向が見られなかったと いうことも含めて、その散布図等を地域区分別、規模別等でつくっていただけると、参考にしや すいのではないかと思います。 (池田委員)  関連して、私、とんでもない勘違いをしていまして、平成21年と平成20年を逆さまに読んでい まして、下がっているというのは不思議だなというのに今気がついたので、すみません。普通、 上がるのが当たり前ではないかと思います。 (田中座長)  収入は数パーセント増え、人件費の割合が減少しています。数値の読み方について、堀田委員 から質問がありましたが、いかがですか。 (説明者)  実際、非常に難しいところで、分析し切れていない部分もあるのですが、基本的に給与費の総 額が全体的に増加しておりして、その一方で、介護報酬改定による影響で収入も増加しているわ けです。報酬改定の収入の増加分がすべて給与費として支出されていないというようなことは、 傾向要因の一つとして挙げられるのではないかと思います。その中には、堀田委員が言われたよ うな、経営の安定化に回っていくような状況もあるのではないかという想定はしているのですが、 実際そうだというところまで分析はし切れておりません。 (堀田委員)  例えば、今の解釈で、資料1−3の7ページにあるように、経営の安定に向けられたのかどう かというのをみるにあたり、収支差率別、収支差の改善、下落、変化なし、上昇というこの区分 別に給与費をみると、もしかすると、収支差率の低いところは経営の安定の方に向けているとい った傾向も確認できるかもしれないという印象を持ちましたので、やや気になるところでもあり 少し分析していただければと思います。 (田中座長)  労働の取り分も資本の取り分も、両方とも介護報酬引き上げ率に合わせて上がったとすると、 労働分配率は変わりません。労働分配率が少し下がっているから、介護報酬全体の取り分のうち、 資本と言っていいかどうかわかりませんが、労働ではない部分の割合が少し増えていると読むこ とはできます。ただ、それが収支差別にみるとどうなるかは、この表からはまだわかりません。  その他、読み方のサジェスチョンがほかにありますでしょうか。 (藤井委員)  資料1−3の9ページですが、まず、この読み方で合っているかどうかということですけれど も、これを見ますと、月給が低、中、高順になっていまして、例えば介護老人福祉施設を見ます と、低と高では倍近く差があります。これは地域差もあるので、一概にこれがどうかとは言えな いと思うのですが、平均給与増減額をみますと、低い方はしっかり上げられているけれども、高 い方は余り上がっていないという状況はあるかと思います。低い方を上げることの方がおそらく 優先事項だろうと思うので、これはむしろ好ましいことと見てもいいのではないかと思いますが、 高い方は上げられなかったというのは、2つ原因が考えられます。私が今思いついた範囲ですけ れども、1つは、既に非常に収支差率が悪い状況になっているがために上げられないという問題 と、もう1点は、その地域の労働市場の状況で、これ以上上げるとアンバランスが生ずるといっ たような話を、現に地方部では、なかなか上げられないという話を聞いたことがあるものですか ら、そういう解釈が可能であると思います。  今の点をどのように思われますか。また、意見になりますが、今後、報酬を上げる、給料の処 遇をよくするといった点において、給与水準の既に高いところをどう考えるかという点を是非御 検討いただければと思います。 (田中座長)  読み方における一つの仮説でした。そこまでは調査していないと思いますが、何かお答えにな りますか。 (説明者)  前回の委員会のときにも、仮説を立てたらどうかというようなことで、いろいろやってはみた のですが、なかなかその点も難しくて、例えば加算が取れているところと取れていないところと いうようなところで、いろいろとクロスをしてみても、数字がもともと少ないというのもあるの ですが、それほど傾向が見えなかったので、今回そこまで踏み込んでいないのですが、当然、今 回は時間的制約もある中でできる限りのことはしたわけですが、そういった御提言についても、 今後活かして分析していきたいと思っています。 (藤井委員)  もう1点よろしいですか。またこれも提案ということになりますが、資料1−1の9ページで すが、給与以外の処遇状況ということで、改善の実施を中心に御説明いただいたのですが、改善 の予定なしというところを見ますと、高いところが、職員の増員による業務負担の軽減、あるい は非正規職員から正規職員への転換機会の確保、比較的高い方から見るとこの2つだと思うので すが、職員増というものは、これは事業の状況もあるので、これが一概に高い、低いはわからな いのですけれども、非正規から正規への転換機会の確保が、4分の1が従来もやっていないし、 今回もやっていないというのは、私の感覚ではちょっと高いかなという気がいたします。キャリ アパスとか、あるいは人材確保指針のところでも非正規を正規化というのはあったと思いますの で、これは、この委員会のミッションとは全然違う話になるのですが、この数字は重く受け止め るべきではないかと思います。 (堀田委員)  1点は確認ですけれども、資料の1−3の4ページから6ページあたりにかけて、事業の組み 合わせ、法人の事業展開、多角化しているかどうか、併設サービスがあるかどうかということの 集計をされたのだと思うのですが、全体とすると単一サービスしかやっていないところは、なか なか今回引き上げられていない、あるいは引き上げ予定なしというところが傾向としては多いの ではないかとざっとみて思ったのですが、すべての集計表をごらんになっていて、そういうよう な傾向と理解してよいでしょうか。  それから、もう1点はとても細かなところですけれども、資料1−1の4、5ページで、前回 も申し上げたことと関係するのですが、月給と日給と時間給のものを全部まとめた集計について は、報告書なり何なりに掲載されるときに、この一番上の部分は、日給であれば実労働日数の増 減、時間給の方であれば実労働時間の増減というものも全部吸収された数字になっているので、 解釈に注意が必要であるということについて、読み手が分かるように工夫してください。 (田中座長)  前段の質問についてはいかがですか。 (説明者)  資料1−3の4ページからの部分、併設サービスの状況について、基本的には、おっしゃられ るような傾向が見てのとおりかと思います。ただ、ここもサンプル数が非常に少ないものですか ら、そういう点ではそういう傾向は見えるということですが、サンプル数が少ないということは 御留意いただければと思います。  2点目の件については、注書きをどうするかということなので、その辺は検討させていただき たいと思います。 (田中座長)  よろしいですか。  全体として介護報酬が上がった後、働く方への給与はさまざまのグラフから、ばらつきはある ものの上がっているということがわかりました。本日いただいた意見も踏まえて、更にきちんと した上で、この調査については介護給付費分科会に報告することになります。 事務局から、今 後の作業について予定があればお願いします。 (宇都宮老人保健課長)  今、座長からありましたように、今後、介護給付費分科会に報告をさせていただきます。先ほ ども申しましたが、今後の介護保険制度の改正に向けて、まだいろいろ分析が必要な面もあると 思います。報告書としては一応このような形にさせていただきたいと思いますが、本日いただい た御意見、あるいは、おそらく介護給付費分科会においても、こういう分析をやってはどうかと いった、御意見をいただくこともあるかと思いますので、そうしたご意見を踏まえ、我々として も今後必要な分析を進めたいと思います。その場合に、また委員の先生方にいろいろと御相談さ せていただくこともあるかと思いますが、そのときには、また御協力をよろしくお願いいたしま す。 (田中座長)  では、議題1についてはここまでといたします。ありがとうございました。  引き続き、2つ目の議題である平成22年度実施予定の介護事業経営概況調査と介護従事者処遇 状況等調査について、事務局から説明をお願いします。 (説明者)  資料2−1です。来年度実施します介護事業経営概況調査及び介護従事者処遇状況等調査の実 施案についてです。  介護事業経営概況調査についてということで1つになっておりますが、2つの調査に共通する ことでございまして、まず、調査時期、公表時期です。これは平成22年7月となっております。 経営概況調査と処遇状況調査を同時に実施いたします。前回委員会の際に、夏ごろという御提案 をさせていただいておりましたが、季節変動の影響などから、前回調査に合わせた方がいいので はないかというような御意見がございましたが、これにつきましては、主に夏の賞与の取扱いが どうかということだと思いますが、調査票において、一時金の額を4月から9月の間に支払われ た、または支払う予定を含めて記入していただくということで、完全一致はしないものの、ほぼ 同様の把握ができるものと考えております。  調査対象ですが、経営概況調査につきましては、すべての介護保険サービス、処遇状況調査に つきましては前回同様7種類、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪 問介護事業所、通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所と居宅介護支援事業所、この 7種類を対象といたします。  抽出率についてですが、資料2−2の2枚目、別表をごらんいただければと思います。処遇状 況調査を実施します7サービスにつきましては、平成21年の処遇状況調査と同様の抽出率、施設 系は4分の1、訪問介護事業所、通所介護事業所、居宅介護支援事業所につきましては20分の1、 認知症対応型共同生活介護事業所については10分の1の抽出率で実施いたします。処遇状況調査 を実施するところにつきましては、同時に、経営概況調査も御協力いただくことになっておりま して、同じ時期に実施しますので、別々に送るわけではなくて、2つの調査票を同時に同じ封筒 で発送することになっております。  その他のサービスにつきましては、経営概況調査のみ、この別表におきます抽出率において実 施することといたしております。  資料2−1に戻っていただきまして、次に、記入者負担の軽減あるいは回収率、有効回答率の 向上・確保のための方策ということで、次の2ページを見ていただきたいのですが、2ページの [2]のところです。基本的に、回収率、有効回答率を向上あるいは確保するために方策を講じてい るところです。  1点目が、経営概況調査で決算額を調査する。これまでは1月分の収支を記入していただいた ものを、決算額を調査します。更には、所定の会計基準に基づき行っている場合は、決算書類の 添付をすることを可能としているところです。  イの既存状況の活用ですが、これにつきましては、介護サービス施設・事業所調査及びWAM −NETの情報を活用できるものにつきましては、それを活用して、本調査の調査項目を減らす こととしております。  それらによりまして、調査票の枚数は、平成19年度の調査におきましては約40ページございま した調査票が約15ページとなっております。これも、会計基準ごとに書くページがありますので、 実際は約7ページということになり、見た目の負担感はかなり軽減されるのではないかと考えて いるところです。  具体的な調査項目の変更・削除につきましては、次の3ページ以降に一覧があります。真ん中 ほどの方針のところでバツがついているところは削除しているところです。上から、施設名、所 在地、経営主体、これにつきましては既存情報から情報を得ることができますので削除しており ます。土地の状況、現有建物の状況、これらにつきましても、記入者負担の軽減を図るために削 除しています。サービス提供の状況の事業開始年月、指定年月につきましても、既存情報から得 ることができるため削除します。規模につきましては、基本的に既存情報から得ることができる ものについては削除して、ただ、一部項目、得ることができないものがありますので、それにつ きましては引き続き調査することになっております。次が体制・加減算の状況あるいは保険医療 機関の受診状況、次のページに行きまして、食事提供数、おむつ実使用者数、この辺は、基本的 に前回調査においても調査していたのですが、それぞれの項目の記入の有無の確認をするための 項目でございましたので、これにつきましても記入者負担の軽減という観点から削除していると ころです。社会福祉法人等による軽減の状況、これについても削除です。  第2の居室・設備等の状況、職員配置、給与、収支、これらにつきましても、それぞれここに ありますように、記入者負担の軽減を図っておりますが、既存状況で得ることができないものに ついては、引き続き調査をするということになっております。  それと、新たに追加する調査項目につきましては、前回の委員会の際などで御指摘いただいた ことなどを踏まえまして、新たに追加しています。  まずは、会計の区分状況ということで、調査票を実際にごらんいただければと思いますが、資 料2−3です。1ページの一番頭、問1の会計区分の状況ということで、調査対象サービス、単 独か一体的な会計かを調査するものです。  次に併設サービスの状況は、ここにありますように既存情報とマッチングするための情報とし て、併設サービスの事業所の事業所番号を記入していただくという項目です。  問3は建物床面積について、問4は属する法人についてです。問4につきましては、今回新た に追加した項目ということで、まず、施設の状況、法人の状況についてお伺いしているものです。  問5については、それぞれ保険医療機関である場合、あるいは訪問介護である場合、居宅介護 支援の場合、これらの利用者数などを調査しています。  問6は新たな項目ですが、勤続年数、職員数を前回調査ではかなり多く調査していたのですが、 簡略化するということで、問6の(1)については常勤・非常勤別の職員数、この職種の部分に ついても若干減らしているところです。(2)につきましては、勤続年数についてお伺いしてお ります。  次に、調査票の5ページですが、問7のところで会計期間を調査します。年単位か年度単位か ということ、問8については、職員給与についてお伺いしているところです。  それと、問9から13については、決算の状況ということで、該当施設・事業所の決算の状況を お伺いしております。基本的には、そのそれぞれに沿った会計基準等に基づきまして記載してい ただくわけですが、ここの2段目の点線の[1]お選びいただく会計基準のところにあります5種類 の会計基準等に沿って、それに該当するところに御記入いただく。更に、所定の決算書を作成し ている場合は、決算書の添付でこれに替えることができることにしております。該当する会計基 準がない場合は、問9に合わせて記載していただくことになっております。  6ページの下の方で、細かいところですが、利用料収入ですとか交付金の状況等を御記入いた だく項目があります。  次の7ページ、この辺は2枚で1組みとなっておりまして、基本的には、それぞれの施設・事 業所の会計に合った2ページ分を記入、または決算書の添付をしていただければいいという状況 になっております。  この中で貸借対照表について今回新たに追加しております。これは、資金繰りの状況を把握す るということから、貸借対照表を調べる項目を追加しているところです。これも、添付を可能と しておりますが、貸借対照表につきましては法人ごとでやっているなどで、事業所ごとに分かれ ていないケースが多いかと思いますので、その辺につきましては、8ページの(2)の(イ)の ところで、単独なのか一体的なのかということをあらかじめ把握した上で調査をするということ です。  経営概況調査については以上です。  資料2−4以降は、処遇状況調査の調査票ですが、2−1で行きますと、5ページの半分から 下、基本的に目的、調査時期、公表時期等は、先ほど申し上げたとおりです。  調査項目のところで、6ページの中段から、これも調査項目の変更、削除について一覧にして いるところです。  これも資料2−4を併せて見ていただければと思いますが、思料2―4の調査票の1ページの 問1のところ、給与等の引き上げ状況、これも今年と若干項目を変えているところですが、給与 等を引き上げたのか、1年以内に引き上げる予定なのか、今後予定はないのかという項目を設け ております。  その下の(2)のところですが、その引き上げの状況といいますか内容について、給与表を改 定したのか、定期昇給なのか、各種手当を引き上げたのか等について調査しているところです。  (3)については、介護報酬改定を踏まえて引き上げたのか、あるいは交付金を踏まえて引き 上げたのかについてにかかわらず、引き上げたについて調査しているところです。  (4)につきましては、対象者の状況、職員全員なのか、従事者全員なのか、介護職員全員な のか、あるいは何らかの要件に該当した者を上げているのか、この辺の定義は、記入要領の方で 詳しく示していければと考えているところです。  次の(5)について、引き上げ要件、これは今年度、前回と同様のものです。  それと、調査票の2ページですが、次に手当の状況、その次に引き上げを行わなかった理由に ついて調査しております。  問2については、介護職員処遇改善交付金の状況について調査しております。まずは申請状況、 それと基本給、手当、一時金のいずれを引き上げることで対応しているのか、あるいは介護報酬 等や介護職員数等について、更には申請を行わない理由について記入いただくことになっており ます。  調査票の3ページです。これは、前回も実施しております給与等の引き上げ以外の処遇の状況 について、今回についても調査することにしております。  4ページ目が、併設サービスの状況です。これも前回調査しているところですが、併設サービ スの状況と、その下の問5、収支の状況、これにつきましては、収支差額が増加したのか、減少 したのか、10パーセント程度、5パーセント程度の刻みで書いていただくということで、これに ついては新規の項目です。  問8については経営概況調査と重なる部分もありますので、処遇状況調査につきましては、採 用・離職の状況について調査します。  5ページの従事者票については大きな変更はないのですが、前回の委員会のときに、単年度だ け調査すればいいのではないかというような御意見もございましたが、これは、やはり前年度か らの増加額を把握したいということから、今回につきましても2年分記入いただくということで 整理しております。  資料2関係については、以上です。 (田中座長)  ありがとうございました。  先ほどの平成21年度従事者処遇状況等調査は、回収率が80パーセントでした。前回の介護事業 経営概況調査は50パーセントでした。回収率を向上させるための努力が今いろいろと説明があり、 調査票が40ページであったものを15ページにした点は、これは確かに画期的な削減だと考えます。 その他、決算書の提出を可能とすることといった調査の手間が減ったことについては調査票を記 入する方々に知っていただく必要があります。調査票が来て、これは大変だと思う前に、前回よ り大分手間が減っている、決算書の提出でよいとそれぞれの団体などを通じて宣伝しておく必要 があると思われます。  それから、バランスシートは一般に各事業ラインを細かく分けると記入できないことが多いで す。私もこのような研究をしていて、バランスシート以外は記入できる事業所を医療機関の調査 の際にもよく見かけました。そのような際はどう対応しましょうか。バランスシートは書けなく ても、記入できる範囲で調査票を記入し提出してくださいということも言っておいた方がよいか と思います。 (説明者)  理想としてはすべて出していただきたいと思います。 (田中座長)  勿論そうです。ただ、バランスシートだけが記入できないがゆえに、全体を回答することをや めてしまう事態が起きないように、バランスシートの記入ができなくても、他は全部記入いただ き提出する道も残した方がよいのではないかと考えます。 (説明者)  正面から言うのはなかなか難しいですが、その辺は工夫させていただきたいと思います。 (田中座長)  わかりました。  それでは、ただいまの2つの調査について、御質問、それから御提案等ありましたらお願いい たします。  堀田委員、お願いします。 (堀田委員)  本当に画期的に薄くなったと思いますが、4点あります。まず、前回の説明でもあったと思い ますが、経営概況調査の4ページ問6の職員数については、この常勤・非常勤別で専従、兼務、 更に常勤換算というでの記入率がさほど高くなかったことを踏まえると、これはこれで残し、一 番左側に実数で合計を入れてもよいのではないか。  それから、2点目は問6の(2)ですが、勤続年数の分布を調査する項目が追加されており、 これは大変貴重であり、このように調査できるとすばらしいのですが、この常勤、非常勤、各職 種別に分布を書くことがどの程度手間となるのか。これは事業者の方々に確認してから決めてい ただきたいと思います。この項目を見て調査に回答することをやめたいと思われるようであれば、 例えば合計で平均勤続年数をだいたいで書いていただく方がいいのか。情報としては、今の形で 調査できるとベストですが、回答される事業者の方々に負担がかかりすぎないよう、妥協案も考 えられてもよいのではないかと思いました。  3点目。処遇状況調査について、目的をみると、介護報酬改定の影響に加えて介護職員処遇改 善交付金の影響を把握するということであると思います。もしそれを前提とするのであれば、資 料2−4の調査票問1や3ページの問3は、平成22年4月から6月までの実施状況を調査の期間 としていますが、介護報酬改定あるいは交付金の影響という事実が起きてから今までの影響とい うものを、既に実施された調査と、この次に行う調査とあわせて把握したいということであれば、 この3カ月間に実施したか実施していないかというのは余り意味がないのではないか。前回の調 査では、平成21年4月から9月までの状況を調査していますが、まず、その段階でどうか、10月 1日から次の調査時点までに実施したのかを調査するのであればわかりますが、介護報酬改定な り交付金の影響を把握するに、3カ月間だけ取り出して引き上げたかどうかというのは、問題が あるのではと思います。次の調査については、10月以降調査時点にかけて実施したのかという形 で尋ねてはどうか。  4点目は、問1の(5)ですが、給与などの引き上げの要件について、これは、前回の調査結 果をみると、「その他」を選択した割合が20パーセントを超えていたと思います。その他の具体 的な記入内容を精査していただいて、選択肢として新たにつくるべきものがあるのであれば、努 力していただければと思います。  以上です。 (田中座長)  4点ご意見をいただきました。3つ目の給与等の引き上げの時期については、これは大変重要 な点です。平成21年度の10月以降、交付金によって給与が上がったけれども、来年の4月からは そのままである場合、これだと引き上げられていないことになってしまいます。時期については どう考えるかについて何かお答えになりますか。 (宇都宮老人保健課長)  貴重な御意見ありがとうございました。確かにそのとおりだと思いますので、委員の先生方が よろしければ、そのように変更するよう検討したいと思います。 (田中座長)  先の調査では9月までを調査期間としたので、10月以降、特に交付金の影響が見られるように した方が、交付金を判断する上で重要であると思います。  千葉委員、お願いします。 (千葉委員)  経営概況調査については、まず、今回は調査票が画期的に薄くなったということですが、もう 一つ大きく変わった基軸として、会計情報を取るのが決算書になるということで、例えば概況調 査の調査票で言うと、5ページの問7のところに会計期間の回答をいただいているかと思います。 要は、今回、我々が調査しようとしているのが平成21年度決算という会計年度に属するのだろう と思いますが、問題は、この問7の3はどこの範囲まで含めるのか。例えば、今回、調査時期が 平成22年7月ですから、6月30日までの決算日であるものを入れるのか、7月末までのものを入 れるのか。7月末までの会計期間であるとすると、そこから決算書をまとめ、承認を得て、確定 するまで、早くても半月から1カ月ぐらいはかかると思います。調査時期との兼ね合いでいいま すと、どこの会計期間、決算日までのものを今回の調査対象とするのかというのは、お考えいた だいた方がよいのかと思います。社会福祉法人や大半の法人は3月決算だろうとは思うのですが、 医療法人、その他株式会社等においては決算期がかなりまちまちになる可能性がありますので、 どこまでを平成21年度決算とするかというのは、検討される必要があるのかと思います。  また、今回もう一つ画期的なものが、資金繰りの状況ということです。以前指摘させていただ いたことを反映いただいて、貸借対照表を今回から取っていただくことになっています。ただ、 先ほど座長からお話があったように、貸借対照表を事業ごとに取ろうとすると、結構取れないケ ースもあるかと思います。そこで、1つ提案ですが、問9とか問10、いわゆる社会福祉法人会計 基準や指導指針の2つについて言えば、資金収支計算書を調査してはどうかということ。経営状 況の中で特に問題になってくるのは施設整備の借入金の返済額で、おそらく、資金繰り上一番の 圧迫要因にもなっていると思われます。従って資金繰りを確保するために、一生懸命収支差額を 確保せざるを得ないという経営状況もありますので、貸借対照表が取れないというリスクがある のであればなおさらですが、資金収支計算書ないしは収支計算書を加えてはどでしょうか。病院 会計はキャッシュフロー計算書があるので、できればその辺も含めてキャッシュフロー計算書的 なものがあれば、そこを書くということで、他の会計基準についても調査項目として入れてもよ いのではないかと思います。 (田中座長)  決算時期について御質問がありましたので、お答えください。 (説明者)  決算時期については、基本的には、直近の決算を記入していただく予定です。6月30日という ところが微妙な時期ですが、できるだけ近い方がよいかと思いますので、その辺は、6月30日が ちょうど調査日なので、決算書が作成されているかどうかにもよりますが、原則としては、直近 でわかり得る決算を記入していただくことにしております。 (千葉委員)  基本的にそれでよろしいかと思いますが、問題は、過去のどこまでを平成21年度決算とみなす かというところも問題だと思います。もし今回の調査範囲に8月決算を入れるとした場合、今回 の調査では21年8月決算のデータとなってしまう。そうすると、22年3月決算のグループと 比べれば、ほぼ半年以上前の状況を調査することになるので、どこまで対象にするかというのも 一つポイントがあるかと思います。 (説明者)  その辺は、当然違いが出ますので、ただ、基本的には決算額をとりあえず出させていただくと いうことで、分析するときに、決算期の違いですとか、そういうものも併せて分析できればと考 えております。  2点目借入金の返済額の点につきましては、御提案ということでいただきましたので、これに ついても、よろしければ、またこちらの方で検討させていただきたいと思っております。 (田中座長)  藤井委員、お願いします。 (藤井委員)  3点、質問を交えながら提案の部分もあるかと思いますが、今、千葉委員の御指摘があったバ ランスシートですが、バランスシートを調査することは目的によっては意味があるのではないで しょうか。特に池田委員がおっしゃっているように、どれぐらい現金をためているのかというこ とを見ようとするとバランスシートだと思います。ただ、そうであれば、この票のままでは少し わからなく、社会福祉法人の場合ですと、その他固定資産のところに基金という形で預金があり ますし、また、流動資産の現預金を細項目で出さなければいけないところがありますので、どう いう目的でバランスシートを取るのか少し議論して、取るのか取らないのかということをお決め いただければというのが1点目です。  それから、交付金に関してですが、経営概況調査には交付金に関する項目がないようですが、 交付金をもらっている、もらっていないによって、あるいはどれぐらいもらっているか、もらっ ていないかによって、当然、人件費が違ってくると思います。そこは明確にできた方がよいので はないかと思います。勘定科目上交付金をどこに入れるかというのは、一応決めはあるのですけ れども、現場の会計を見ていますと、いろいろなところに入れているものですから、その数字だ け別に調査してはいかがでしょうか。  最後はお願いになりますが、今回の一番ポイントである、例えば資料2−3の6ページの、要 は決算書の添付でよいということですが、これが、先ほど座長がおっしゃったように、非常に楽 になり、これだけでよいのだということをもう少しわかりやすく、しっかり書いていただくとよ いと思います。  例えば[2]の決算書の添付についてという部分が、私が読んでもわかりにくいですし、下の表で 会計基準を書いていますけれども、会計基準と言うと、業界用語でいいますと指導指針に対する 会計基準なので、必ず勘違いして読むだろうと思われるところがありますので、是非ここがポイ ントになるということも含めて書いていただく、一番表紙に書いてもいいぐらいのことではない かと思いますので、その点、御工夫いただければと思います。 (田中座長)  統計調査に答えていただく一種のマーケティングと理解すると、専門家である藤井委員がわか りにくいのでは問題ですし、また、調査票を読んでいくとやっとわかるのではなく、今回は決算 書の添付で結構ですとのあり方は、全面に出したらどうかとのご指摘でした。 いくつか質問も含まれていましたので、お願いします。 (説明者)  交付金の関係ですが、経営概況調査の6ページ[3]の共通事項の中で、交付金の収入の状況を調 査します。また、処遇状況調査を実施するところは経営概況調査も同時に実施いたしますので、 その辺につきましては、両調査のクロス集計というのは当然見据えておりますので、そういうと ころでも把握はできるかと思います。  また決算書の関係については、あくまでも今の時点での行政の固い頭で考えたものですので、 今後、委託業者と調査票を作票する中で、工夫していきたいと思います。 (田中座長)  千葉委員、お願いします。 (千葉委員)  経営概況調査と処遇状況調査の2つにまたがる話だろうと思うのですが、経営概況調査1ペー ジと、処遇状況調査4ページですが、それぞれ展開している事業、これはおそらく、法人として 展開している事業としてどこまでやっているか、拠点がいろいろな場所でやっているかどうかを 調査しているのが経営概況調査であると思いますが、処遇状況調査では、同一敷地、いわゆる併 設かどうかというところが出てきます。これは分けておく理由があるのでしょうか。要は、併設 かどうかというのは、確かに職員の共有化ができるかどうかという大きな情報源になるので、調 査することは必要であろうと思いますが、もう少し整理がつくかないのかお伺いできればと思い ます。 (説明者)  経営概況調査は、マッチングに必要と先ほど申しましたけれども、事業所番号を調査する部分 と、処遇状況調査は、経営の状況を見る中で、これも併設の状況とその割合を按分する際等に使 用しているところですので、ここについては、当然、同じ項目ですから重複するということで検 討はしたのですが、ここはこの形で仕方ないという状況です。 (田中座長)  よろしいでしょうか。  決算書を添付しない場合でも、調査票に記入する部分は、7ページ以降のうちのどこかでよい のですよね。調査票を記入する方が、調査票の初めにこれだけの量を記入しなくてはいけないの かと考えないよう、実質的に御記入いただくのは5ページです、と宣伝しておいた方がよいかと 思います。調査票をめくり、これだけの量を記入しなくてはいけないかと思う前に、分かる方が よいでしょう。  何か御提案、御質問ありますでしょうか。  細かく見て気がついた点は、今日でなくても、事務局へお伝えすればよろしいのでしょうか。 (説明者)  はい。お気づきの点があればお知らせいただければと思います。 (田中座長)  では、この平成22年度実施予定の調査については、本日、いくつか大変重要な点もありました 御意見、御要望を踏まえて更に検討を進めてください。そして、具体的な最後の修正については 座長に一任させていただきますが、よろしいですか。 (田中座長)  調査の実施について、やはりこれも介護給付費分科会に報告することになります。  平成21年度の調査の読み方、それから平成22年度の調査のあり方について、本日の議論はここ までとさせていだたきます。どうもありがとうございました。  今後の日程について事務局から連絡をお願いします。 (説明者)  今の段階で具体的な日程は決まっておりませんので、今後、改めて御連絡させていただきたい と思います。 (田中座長)  委員の先生方、貴重な御意見をありがとうございました。本日はこれにて閉会します。  どうもありがとうございました。 照会先 老健局老人保健課 調査係 TEL:03(5253)1111(内3960)