10/02/26 第2回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会議事録 独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会(第2回) 開催日時: 平成22年2月26日(金) 10:00〜12:23 開催場所: 厚生労働省専用第21会議室 出席者: 永井部会長、内山委員、祖父江委員、夏目委員、花井委員、本田委員、三好委員、和田委 員 ○永井部会長  定刻になりましたので、「第2回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会」を開催 いたします。委員の皆様方には、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。 本日は猿田委員がご欠席です。議事に入ります。国立高度専門医療研究センターの中期目標(案)及 び中期計画(案)について、審議に先立って事務局より説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日は、前回の部会でご意見をいただき、一部修正いたしました中期目標(案)、中期計画(案) についてご審議をいただきます。繰り返しになりますが、中期目標は厚生労働大臣が定め、法人に指 示します。これを受けた法人は中期計画を作成し、大臣が認可をする形になっております。この中期 目標の策定及び中期計画の認可について、この部会の意見を聞くこととされていますので、ご審議を よろしくお願いいたします。 ○永井部会長  最初に法人の中期目標(案)、中期計画(案)について所管課から説明をお願いいたします。 ○医政局政策医療課長補佐  本日用意した資料は、前回中期目標でいろいろご指摘いただきましたので、そのいただいたご意見 とそれを踏まえた修正ということで、資料1-1、資料1-2をお示しております。中期目標と併せて、そ れに対するセンターからの返事として計画がまいりましたものが資料2です。いずれも資料の量が多い ですので、まず資料1についてご説明させていただきます。  資料1-1は、第1回会議でいただいたご意見ということで、各委員そのままの回答というわけではな いのですけれども、大体要素的に各部門に落とし込んでみますと、こういうご指摘をいただいている ものと思っております。前文から始まり、国民のサービス、業務運営の効率化、財務内容の改善、別 紙というところでそれぞれご意見をいただいたものと思っております。  それを踏まえて前回お示しいたしました中期目標(案)から修正を加えたものが資料1-2です。こち らの資料の構成としては、目標が6つ並んでいて左側から、1番が国立がん研究センター、2番が国立 循環器病研究センター、3番が国立精神・神経医療研究センター、4番が国立国際医療研究センター、5 番が国立成育医療研究センター、6番が国立長寿医療研究センターとなっております。前文でご指摘を いただいたところですが、研究のところで臨床研究と治験を前面に出しておりましたが、疫学研究で あるとか、それに基づく日本人のエビデンス収集が必要ではないかというご指摘をいただき、資料1-2 の1頁の真ん中の部分で「疫学研究等による日本人のエビデンスの収集」という文言を加えさせていた だきました。  資料1-2の2頁で、さらに「国際水準の研究成果」という記載だけありましたが、「世界をリードし ていく」という形で、世界トップレベルを目指すというところもありましたので、こちらのニュアン スを前文に入れさせていただきました。  第2は「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上」に関する部分です。資料1-2の4 頁で、患者の自己決定のときに、「医療者とともに」という視点が欠けているのではないかというご 指摘をいただき、「患者・家族が自己決定を行う場合に、医療者とともに主体的に行う」といった文 言を加えさせていただきました。  もう1つは6頁の情報発信についてです。単なるホームページの掲載で、単に情報発信と言われるの ではないか。がん対策情報センターで患者支援という形、あるいは患者への理解の促進というところ で、そういう取組みをやっていてそれを応援する、ほかのナショナルセンターに広げていくといった 観点で目標の記載ができないかというお話がありました。これは、がん対策情報センターでも大きな 目標にしておりますけれども、信頼のおける情報をわかりやすくということが情報発信の大きな目的 ですので、当然こういう視点で評価されるという評価のベクトルを示すということで、目的としてこ ういう視点で情報発信を行っていただきたいというところで記載を追加しました。  6頁から7頁にかけての「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」で赤が多いように見えま すけれども、これは特に項目立てをせず6.の中で文章がずうっと続いている形を採っていました。こ れは部会で意見が出たわけではないのですが、項目立てをして、一個一個別々の要素が入っておりま すので、そういう視点で何が入っているかわかりやすくさせていただきました。項目立てとして(1)か ら(4)。(1)(2)で国立国際医療研究センターにおいては(3)のエイズに関する事項と、看護の教育・研 究というところをわかりやすくさせていただきました。  7頁からが第3の「業務運営の効率化に関する事項」になりますが、その中で7頁の1.の「効率的な 業務運営に関する事項」の(2)の共同購入による医薬品購入費用の適正化のところで、「適正」という 言葉で、上がるのか下がるのかはっきりしてはどうかということがありました。当然既存の収載品に 関しては縮減の方向性、これは後ほど計画で改めてご案内いたしますが、そういう方向性でやってい きたいところがあります。今後、医療技術は全体的に高度化ということを考えると、必ずしも額が総 額として減るかどうかという視点もあります。厚生労働省が「適正化」といった場合は1つの方向性を 指しておりますので、そういうところで目標として読み込んでいただきたいということで、文言とし ては特に修正は加えておりません。  一般管理費についても言及がありました。こちらも計画のほうで「節減」という言葉で入れさせて いただきたいと思います。今後、研究機能を伸ばしていく上で、一般管理費的な部分の増も可能性と してはありますので、厚生労働省の案としては、ない形でお出しをして、実際は関係省庁と調整をさ せていただくということを考えております。  第4の財務内容については8頁から始まります。8頁から9頁にかけての2.「資産及び負債の管理に 関する事項」のところで、「固定負債の適正」のところもわかりづらいということがありました。重 要なところは「償還確実性」のところですので、そういうところを目標の部分に書かせていただきま した。後ほど計画をご案内する際にも改めてご案内いたしますが、計画の部分でも当然そういう観点 でやるようにということで記載を増やします。  11頁からは別紙ということで、本文のほうは研究の基盤的な話を記載しておりますが、11頁からは 研究の中身の記載です。こちらについても、冒頭に前文でも書かせていただきましたが、「疫学研究 等による日本人のエビデンスの収集」というところを、研究のテーマとしても改めて重点的な研究開 発戦略の考え方のところに記載させていただきました。  これまた国立精神・神経医療研究センターは非常に修正が多いように見えますが、もともと国立精 神・神経医療研究センターは重点的な研究戦略の考え方を非常にサラッと書いていて、「具体的な方 針で示すようにする」というぐらいにしていたのですが、これは大きな理念的なところもありますの で、精神・神経疾患をめぐる現在の問題点と、それに対してどういう研究テーマを重点的にやってい くかという文言を足してはどうかということで、これも理事長のほうにも連絡をさせていただいて、 問題点と重点的な方向づけを改めて記載させていただきました。  具体的な中身のところですが、大きくは15頁の「情報発信手法の開発」のところです。これは患者 支援の観点を入れ込むということでご意見をいただきましたので、これも情報発信の目的として、1つ は正しい理解を患者・国民を問わず、医療従事者も含めて正確に理解していただきます。さらに患者 ・家族に対する支援の質のところを向上させていくために、情報発信のノウハウを蓄積していただく というところに修正を加えさせていただきました。  もう1点は、13頁から14頁にかけて、医薬品・医療機器の開発の推進のところの数値目標にはどう いう意味があって、数値目標さえ達成すればいいのかという議論がありました。これは、前回私ども の説明が不十分でありまして、この数字だけを満たしていれば、センターは治験をしっかりやってい るというような印象をこの部会で与えてしまったような感がありました。これは、もともと国立高度 専門医療センターの治験・臨床研究のところを大きなテーマにしていて、こちらは別紙ですけれども、 本文のほうに「治験の基盤をしっかり整える」という形で基盤の整備のところを書いております。  こちらの別紙の具体的な成果のところで、ナショナルセンターが目指すところとしては、大きな目 標が2つあります。1つは14頁の1段落目で、医薬品・医療機器の治験をしっかりやっていくところ はあるのですけれども、「特に高度に専門的な知識や経験が要求される等実施に困難を伴う」という ところで、市場性が高くて、どこでもすぐ手挙げをしてもらっている所は大きなトピックではないで すけれども、難病や希少疾患といった難しいものについては積極的にやっていただきたい。さらに未 承認の医薬品・医療機器の国内導入のところが大きな問題点になっていますけれども、そういうとこ ろの治験ができれば理想ですが、臨床研究でも積極的に導入できないか。そこがナショナルセンター の臨床研究・治験の大きなところであろうと。まず、ここで定性的に目標を書かせていただいて、定 性的に結果は返ってくる。  さらに個別のテーマとして、年度計画的にテーマがやってまいりますので、まずはそういう視点で ちゃんとできているかどうかを評価いただいた上で、大体こういう形で治験の最終整備をしていくと、 従前の実績から見て、治験の増が見込めるだろうということで、あの数値を設定させていただいてい ます。前回は説明の重みとして数値目標から入ってしまいましたので、若干部会に誤った印象を与え てしまったかもしれません。定性的なところでしっかりご議論いただいて、個別のテーマが達成でき ているかというところを毎年評価いただくことを考えております。重みの説明が不十分でしたので、 そういうご指摘を頂戴したのかということで、改めてご説明申し上げました。目標の修正については 以上です。 ○永井部会長  前回の議論を踏まえ、中期目標(案)が訂正されておりますが、ご質問、ご意見がありましたらお 願いいたします。 ○本田委員  前回申し上げたような患者・家族支援の部分とか、患者・家族が主体的に自己決定できるよう、医 療者と協力して行うという部分をきちんと書き込んでいただいて本当にありがとうございます。とて もわかりやすくなったと喜んでいます。  1つ、これは後で説明があると思うのですけれども、5頁の4.の「医療の均てん化並びに情報収集及 び発信に関する事項」の前段の「病院間のネットワークを構築し、高度先駆的医療の普及及び医療の 標準化に努めること」という辺りになるかと思うのですけれども、前回も申し上げましたが、医療の 質向上とか、そういうものへの評価という視点をこの辺りに、もしくは14頁の均てん化に着目した研 究のところに、「ガイドライン等の作成及び普及に寄与する研究」のところに、さらに「並びに質の 向上に関する研究」という感じで、質の向上というのは言わずもがなかもしれませんけれども、後で それぞれのセンターが具体的な計画を立てる際に、例えばQIの問題を研究するとか、そういうものの 質を評価していく視点も加えていただけるような一言を加えていただけないかと感じました。 ○永井部会長  よろしいですか。 ○医政局政策医療課長補佐  はい。 ○花井委員  前回欠席して申し訳ありませんでした。先生方に十分ご議論いただいてかなり修正されていると思 うのですが、1つだけ気になるのはナショナルセンターが臨床研究、もちろん治験は行うのですけれど も、国立病院機構との差はより高度な研究体制ということだと思うのです。  一方で患者の視点からすると、良い国立のセンター的病院だと。この中で研究と医療というのは整 理すればわかりやすいのですが、患者からすれば臨床研究がより新しくて良い医療という印象があっ たりする。ドラッグラグにしてもここに記載されている海外で評価されている医薬品が日本では使え ない、というのがいちばん狭義の意味でのドラッグラグです。これは、かねてから患者がなくしてほ しいと言っているドラッグラグです。一般的にドラッグラグというと、欧米と同時に薬の開発を進め ていくことによって解消するという趣旨になると、今度は本当に全く新しい研究をするということで、 患者からすればこの辺の差はわかりにくい話です。  情報発信のところで、一般的な情報発信は書いてあるのですけれども、それぞれの臨床研究のとこ ろで、「臨床研究もしくは治験等々の情報を患者にわかりやすく発信して説明する」という記述だと、 研究をするときにはわりと説明するようにということはあるのですが、情報発信の部分で一般論とし て書き込むのか、もしくは中期計画のほうを見ますと、センターによっては「遺伝子のカウンセリン グについては重点的にやる」とか、計画に落とし込んでいるところがあります。この落し込みはセン ターごとにばらつきがあるようなので、目標のほうでどこか全体的に記述するほうがいいのかもしれ ないという気がします。  もし計画のほうにそれぞれのセンターで落とし込んで書くほうがいいというのであればそれでもい いのですが、要は単なる情報発信というときに、このような研究をやっていて、これは研究ですよと いうような情報発信。治験をするときに、研究をするときに患者にちゃんと説明するということでは なくて、このセンターでこのようなのは研究としてやっていますよということです。これのリスクは こうですよと。欧米で評価されているものについては、相対的にリスクはより低いわけですので、そ ういうことを発信していただく。逆に言えば、治験環境の向上にもつながるだろうと思うのです。全 体のどこにというのを言ったほうがいいのかもしれないのですが、そういう趣旨をどこかに書き込め ないかということを思いました。 ○医政局政策医療課長補佐  前回ご議論させていただいたときには、目標だけお示しをいたしましたので、空虚というか具体性 に欠けるところのご指摘を頂戴したかと思います。本日は計画も用意しておりますので、そこの横並 びで見ていただいて、その意図しているコンテンツが少ないということであれば、統一的にその目標 に書くということもあります。そうしますと自主性が出てまいりますので、実績のところでしっかり やってくれということで、計画にこういう視点で盛り込めないかという形でご意見をいただくという こともあるかと思います。いまの2つのご意見は、これからの医療の中で重要な視点かと思いますので、 入れ込み方はそういう形でバランスを見てご議論させていただければと思います。 ○永井部会長  計画のところを拝見しながら、その議論を続けたいと思います。私からですが、臨床研究に関して コホートを入れていただいたというのは非常によろしいと思います。全体としては新しい技術開発が やや強調されているように思います。もちろん、新しい医療を次々に開発するのはいいのですが、も う一方で既存の医療も本当に有効性があるのか、問題はないのかという研究も同時に高度専門医療セ ンターの大きな役割だと思うのです。 ところどころに、「標準医療の確立」とか、「開発と評価」という言葉が出ています。新しい医療を 開発するだけではなく、既存の医療について、継続的な再評価の重要性を、目標の中でもう少し強調 すべきと思います。 そういう意味から、まさに日本人のエビデンスが重要になるわけです。8頁でそ れに関係してくるかと思うのは、電子化の推進のところです。ここに「業務の効率化及び質の向上を 目的とした電子化」と書かれていますが、この業務というのは臨床研究も入るのでしょうか。これは、 単なるマネジメント的な業務なのでしょうか。 ○医政局政策医療課長補佐  こちらは、まさに業務の効率化のほうに入れておりますので、まさしく後者の視点で、マネジメン トの効率化というところで入れ込んでおります。先ほどの視点でありますが、例えば13頁は別紙の部 分で、研究のテーマごとに書いてあるところですが、(3)高度先駆的及び標準的予防、診断、治療法の 開発の推進の中で、既存の予防、診断、治療法の2カラム目で一応その視点は記載させていただいてい るところであります。前回の、日本人のエビデンスも実態把握で読めなくもありませんというような 話と同じですので、まさしくその方向性として強く記載すべきというところでご意見をいただいてい るというのであれば、全体的な方向づけとして記載させていただくという選択肢もあるのかというこ とです。 ○永井部会長  コホート研究には、どうしても電子カルテとの統合、特に検査所見、処方の情報をデータベース化 していくという電子化の推進が求められると思うのです。いま、厚労省の医薬品安全局のほうでナシ ョナルデータベースの話が出ています。患者の個人情報の保護ということに十分配慮した上で「臨床 研究推進のための電子化推進」というフレーズがどこかにあってもよいのではないかと思います。  もう1点は、11頁に研究・開発戦略の考え方が書かれております。センターだけが頑張っても限界 があると思いますので、関連学会とか、PMDAのような規制当局との連携を一言入れておくとわかりや すいかと思います。ただ頑張るだけではなくて、具体的な目標として連携する、それはお膝元の規制 当局との連携、人事交流などの連携の下に業務を推進するという考え方は重要だと思うのです。 ○夏目委員  細かくて恐縮なのですが、当たり前といえば当たり前なのかもしれません。8頁に電子化の推進とい うことで、業務の効率化等、あるいはこれからいろいろな意味で組織運営に当たってIT化、いまは ICT化と言われていますが、それが極めて重要になるということで、電子化の推進というのは非常に重 要な項目です。  言わずもがなかもしれませんが、その際に大事なのは費用対効果というか、ITでやればいくらでも お金をかけてシステム開発をすればいいという野放図なシステム開発になると切りがないので、やは り効果を十分見ながら費用対効果を十分考慮しながらといったことを一言入れておいたほうがいいの ではないかという意見です。 ○永井部会長  ほかにないようでしたら、計画のほうのお話をいただきながら、また全体の議論をしたいと思いま す。中期計画(案)についての説明をお願いいたします。 ○医政局政策医療課長補佐  資料2-1、資料2-2、資料2-3を用いて、中期目標・計画についてご案内申し上げます。物理的な紙 の量を見ておわかりのとおり結構量があります。中期目標・計画の基本構成として、前文、サービス、 別紙部分のところが主にサービスに着目した部分です。業務の効率化、財務的な話は別紙2以降が財政 運営的なところです。大きくその2つに分けて説明させていただきます。  まずサービス部分についてです。簡単に資料の形をご説明いたします。資料2-1ですが、目標のほう も6つでしたが、基本的な骨格は同じような形でまとめさせていただきました。計画のほうも基本骨格 を作ってみますと、6ナショナルセンターの基本形はこうなっていますということで、ご案内の概要と して用意させていただいております。  資料2-2は、ナショナルセンターは6つありますが、がんセンターから始まって長寿医療センターま で目標と計画の並び表を作るとこういう形になりますということで作成していて6種類あります。  本来でしたら目標と計画の並びが重要ですので、この資料でご議論いただくのがベストかと思うの ですが、限られた時間ということもありますし、かつ計画で各コンテンツごとにどれぐらいセンター がしっかり書いているか、返事をしているかというところも重要かと思いますので、各センターの計 画を6つ並べてみるとどうなるかというのが資料2-3です。資料2-3も目標の資料1-2と非常に形が似 通っていて、左側から国立がん研究センターの中期計画から始まり、国立循環器病研究センター、国 立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿 医療研究センターの横並び表になっております。  資料2-1の目標でこんなことが書いてありますという話をしながら、資料2-3で各センターとして、 このような返事が出ていますということでご案内させていただきます。資料2-1の中期目標・計画で簡 単に比較が書いてあります。前文が記載してありましたが、それに基づいて中期計画の1頁から前文が 始まっています。  2頁は各センターごとに分量は異なっているのですが、コンテンツ的には似通っています。ただ、ど こまで具体化で書くかというところで、若干センターの濃淡があるのかというのが計画の全体的な印 象です。  3頁から第2の業務の質の向上というのが目標で始まりますけれども、それに対する返事が3頁から の「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき 措置」というところで返事が返ってきております。  「研究・開発に関する事項」についても、目標でセンター内の連携強化ということで記載をしてお りますが、それに対する返事として返ってきておりますのが資料2-3の4頁です。研究所と病院等、セ ンター内の連携強化といったところで、各ナショナルセンターなりに返事が返ってきています。こち らの部分は、基本的に6ナショナルセンターで似たような形で、連携して共同研究をやっていきます、 人事交流をやっていきますという返事が返ってきております。合同会議か、人的交流かで書いていま す。  数値目標として設定してきたのが、がんセンター以外です。共同研究を実施する、連携のための会 議を実施するということ。少し色を付けてありますが数値としてもこういう数字ぐらいは最低限やる という返事が返ってきているという構成です。  先ほど電子化のところで話がありましたが、データバンクとかリソースバンク的な話というのは、 がんセンターでしたら研究基盤の整備というところで、4頁から5頁のところで、データバンク、リソ ースバンクといったものを整備していくというところで、大きくトピック的に出してきているところ もあります。がんセンターほど十分書けている所と、まだ大きな計画として書かせていただいて、毎 年これに基づいて年度計画を作成してまいりますので、そういうところで逐次ご説明していきたいと 考えている計画と、2つあるというのが状況です。  順番に行くと、産官学の連携強化を目標に記載して、それに対する返事が5頁の産官学との連携強化 という形で書いてありますが、これも大体同じような形になっております。  さらに研究の企画体制のところで、各疾患分野でテーマを持ってやっておりまして、そういう研究 評価の支援をしっかりしてくださいということで書いておりますので、それに対して返事が返ってき ています。さらに知的財産の管理というところも書いてありますが、それに対して知財の活用という ことでも書いてあります。  この辺から結構差が出てきています。国立がん研究センターでは、個別の知財管理の部門を設置し、 具体的な中身としてこういうことをやっていきますと。マテリアル・リサーチツールの管理、知財権 実施状況の追跡・管理とか、何をやっていきますというのを詳細に書いています。一方で例えば国立 国際医療センターでは、包括的に知財管理を適切に管理するというところにとどめていて、具体的な ところは毎年これに基づいて年度計画を作成してまいりますので、そういうところでご披露させてい ただきたいということです。そういうところで濃淡が若干出てきています。  これが基本的に各センター、各項目同じような雰囲気で続いていて、病院における研究・開発の推 進のところでは、もちろんこれは治験とか臨床研究というところで体制を整備していくということで 返事が来ております。国立精神・神経医療研究センターなどはやや具体的に、丁寧に書いています。 CRCの数や症例登録までの期間というところの記載があります。  さらに透明性ということで7頁から8頁にかけて、倫理性・透明性の確保です。先ほど花井委員から ご意見がありましたが、国立精神・神経医療研究センターでは、遺伝子解析を行う臨床研究の実施に 関して、いちばん下の段で、患者が適切に遺伝子カウンセリングを受けられるような体制を強化する ということで、具体的な顔が見えています。ほかのセンターでは、倫理審査委員会の機能強化、職員 の教育、あとは患者への説明とか問合せに対する対応をしっかりやりますと。国立がん研究センター が標準的な形かと思うのですが、そういう要素は入っているのですが、丁寧に書いている、書いてい ないというところに若干差があります。  「医療の提供に関する事項」についても同じような雰囲気があり、高度先駆的な医療の提供につい ても、9頁で体制整備的なことで、国立がん研究センターは丁寧に書いているのですが、他の5センタ ーはサラッと「しっかりやっていきます」ということで、その実績については毎年の年度計画でこう いう高度先駆的な医療をやっていますというのを披露させていただくという形で計画の作成をしてい ます。  一方で国立がん研究センターはかなり具体性を出していて、「『HER2 陽性胃癌に対する高度医療評 価制度を用いた術後補助化学療法の臨床試験』の実施など」というように具体性を結構出していると ころで差があります。  そういう形で同じような構成が続いて、同じような返事があります。患者の視点に立った良質かつ 安心な医療の提供であっても、自己決定への支援、患者参加型医療の促進というところで、セルフマ ネジメントの観点から、患者・家族に対する知識の醸成みたいな話にも踏み込んで書いているのが国 立精神・神経医療研究センターと国立長寿医療研究センターで、ほかは患者の意見を聞いて病院の体 制を変えていくという記載になっているという差もあります。  チーム医療の推進に対しては、診療科連携、多職種連携というところで同じところが出てきます。 国立精神・神経医療研究センターの場合は、12頁のように電子化をうまく使って、そういう情報を病 院の中でシェアしていくということで、電子化の活用が具体的に入っています。  さらに入院時から一貫して、急性期から慢性期まで含め、それを見通したケアをしてくださいとい うことで目標に記載しております。それに対しては、連携であるとか、地域連携パスを作っていくと いうことで書いてあります。国立がん研究センターでは、緩和医療の点がありますので、相談支援の 強化が出てきます。  医療安全管理体制もしっかりしてくださいということがあり、これも各センターがセンターなりに 書いてありますが、大体同じような話が書いてあります。定期的に調査するといった要素が入ってい る、入っていないというところで若干差があります。  13頁からは、個別センターの医療提供で、国立がん研究センターでしたら緩和医療。国立循環器病 研究センターでしたら移植医療。国立精神・神経医療研究センターでしたら医療観察法病棟であると か重心病棟の医療の提供。国立国際医療研究センターでしたら救急医療や国際的な医療ということで、 渡航者外来的な話が書いてあります。国立成育医療研究センターでしたら子どもの心と、周産期医療。 国立長寿医療研究センターでしたら認知症、在宅医療、終末期医療のモデル的な医療ということで、 それぞれこういうところでやっていくということで記載があります。  人材育成に関しても、研究であるとか、医療に関する人材を育成してくださいということでお願い していますので、若手に対する人材育成であるとか、医師以外のコメディカルに関しても人材育成の 観点でやっていくということで、14頁から「人材育成に関する事項」が書いてあります。これは、セ ンターの中の育成ですので、外部の方に対する研修としては、15頁のモデル研修・講習の実施という ところで書いてあります。具体的な記載がありますのが、国立がん研究センターと国立長寿医療研究 センターです。国立がん研究センターでは、相談支援的な話であるとか、院内登録の実務者研修のと ころで具体的な話が出ています。国立長寿医療研究センターでは、認知症のサポート的な医師の養成 について、特出しで言及しています。残りの4センターについてはしっかりやります、ということで計 画の返事をいただいていて、個別の具体性は年度計画に出していっています。  16頁は「情報発信」に関する部分です。これはネットワークを組んで情報発信をしていくというこ とですけれども、国立がん研究センターは、がん対策情報センターという大きな所が既にありますの で、その磨き上げで個別具体的なものについて記載をしていて、患者と一緒にやっていく。あるいは 運営委員会の話とか、そういう言及が広く書いてあります。ほかのセンターは、まだこれからしっか り情報体制を整えていくという現況もありますので、理念的にこういうところをしっかりやらせてい ただくということで記載させていただいています。  17頁から「政策提言に関する事項」があります。18頁からはその他我が国の医療政策の推進等に関 する事項ということで、公衆衛生上の重大な危害への対応であるとか、国際貢献ということで、大体 は外国からの研究者の受入れということで書いてあります。国立国際医療センターでは、JICAと協力 して多数出して、あるいは多数受入れるといった記載があります。国立国際医療センターは、特にエ イズについて積極的にやっているということもありますので、HIV・エイズに関して計画で記載してい るとか、看護大学校という組織を持っていますので、看護大学校でどういう看護師を養成するかとい う記載があります。  20頁からは業務の効率化に関する話ですが、ここは後ほど説明させていただくということで飛ばさ せていただきます。27頁は別紙の部分として、研究の具体的なテーマを記載しております。「重点的 な研究・開発戦略の考え方」ということで、前回、疫学研究による日本人のエビデンスの収集のとこ ろでご指摘をいただきましたので、それに対する返事として、大きなテーマとして疫学研究をやると いうのはすべてのセンターに書いてあります。いま、そういうところは重点的なテーマとして各セン ターとも考えています。目標で大臣から指示をされて、各センターの理事長もちゃんとやりますとい う返事が返ってきています。  具体的なものは28頁、29頁からになるのですが、28頁からが疾患に着目した研究ということで、本 態解明をそれぞれ各センターなりに具体化しているのですけれども、がんセンターは外的原因、内的 原因の分析であるとか、それががんになってから発生をどうやってしていくか、がんそのものの解析 であるとか、具体的に丁寧に書いてあります。  がんセンターとそれ以外という傾向が続いていて、実態の把握というのが29頁、30頁から始まりま す。がんセンターはがん登録、あるいはコホートも既に動いているところもありますので、そこの磨 き上げの観点から中身を丁寧に記載しています。他センターについては、疫学研究をしっかりやりま すといった形になっています。テーマとして毎年出てくるのを待つというところもありますが、いま の形としては、そういうところで若干濃淡があります。  高度先駆的及び標準的予防、診断、治療法の開発も同じです。センターとしては、それぞれ具体的 なところを書いておりますけれども、国立がん研究センターは詳細に書いています。32頁、33頁を見 ますと、国立がん研究センターだけ非常に長い記載があります。ほかのセンターはないみたいな感じ になっています。ただ、これを一個一個横並びで年度計画的に評価するか、年度計画でそれをやって いる現況で出すかというところで差がありますので、そういうところで若干記載の差が出ています。  医薬品・医療機器の開発については、大きなテーマとしてセンター発でファーストインヒューマン をやるということと、外国で承認されていて、我が国で未承認のものについてやっていくといった2点 が、それぞれのセンターに含まれています。  均てん化の部分についても、先ほどご指摘のありましたQIの視点などは、国立がん研究センターだ けから出てきました。35頁の均てん化に着目した研究、がん医療の質的向上・均てん化のための研究 開発の推進というところで、がん医療の質の推進に関する研究の実施ということで、医療の質を評価 する信頼性・妥当性のある指標の開発を行うという、QI的な視点で記載があります。ほかのセンター に関してはガイドラインを学会等と連携してガイドラインにつながっていくような研究をしっかりや っていくという記載。あとは人材育成ですが、これは幅広にありますので、そのノウハウを蓄積して いくといった記載です。  36頁からは情報発信の手法の開発で、これまた国立がん研究センターはそれぞれ患者支援であると か、そういうところで一個一個項目立てをして書いてあります。ほかのセンターは、大きな理念的な ところを書かせていただいて、一通りこういうのをしっかり出して、そのフィードバックをするとい った記載があります。国立がん研究センターは実績もありますので丁寧に書いています。  37頁の国立国際医療研究センターは、国際医療協力を全面にやっておりますので、国際保健動向の 情報の分析であるとか、開発プロジェクトの知見の情報収集、ネットワーク強化、人材育成といった 研究テーマの記載もあります。以上、非常に駆け足でご説明してしまいましたが、大体のコンテンツ についてご案内申し上げました。 ○永井部会長  ご質問、ご意見をお願いいたします。 ○花井委員  先ほどの件ですが、いまの説明で検討しますと、7頁の(2)の項目で国立がん研究センターと国立精 神・神経医療研究センターは書き込まれています。8頁で、国立精神・神経医療研究センターに関して は、「センターを受診する患者への研究に関する説明を組織的かつ効率的に行う体制を確立し」とい う記述になっています。国立がん研究センターも同様の記述になっています。これを、「センターを 受診する患者並びに受診しようとする患者」というふうに書き加えると、先ほど私が言った趣旨が踏 まえられると思うのです。横並びでというのはよくないのかもしれませんが、このぐらいまでの書き 込みは欲しい気がします。そこは検討していただいて、目標か計画か何かに落としていただけたらと 思います。 ○医政局政策医療課長補佐  はい。 ○祖父江委員  いくつかあるのですけれども、いまご質問のあった7頁ですが、先ほども部会長からお話がありまし たように、知財のことについて国立がん研究センターは比較的きちんと書いてあると思うのです。企 業連携とかいろいろ謳ってあるのですが、それをやるには知財管理とか秘密契約ということを非常に 厳密に管理しなければいけないのですが、その記載がほとんどないです。国立がん研究センターは 「知財関連に関する書類の管理強化」と書いてあるのですが、そういう部署を作るぐらいの意気込み でやらないとおそらく駄目だと思うのです。  もう1つは治験に絡むことです。これも先ほど部会長が言われたのですが、この前もデュークの話を しましたが、規制当局、企業、センターがシステム化しないと駄目だと思います。インフラの整備と いうことが非常に重要だと思うのです。そこの連携、システム化ということがどこにも謳ってありま せん。治験という言葉のことは出てくるのですけれども、実態はどのようにやるのかというのがちょ っと見えませんので、その辺をもう少し書き込むべきセンターがいくつかあるという感じがします。 ○永井部会長  いまの点は非常に重要だと思います。知財、倫理、開発に当たっての規制当局との連携、当然学会 との連携もそこで必要になってまいります。7頁の臨床研究機能の強化のところは、各センターすべて 書き込んでいただいたほうがよろしいのではないでしょうか。どこまで達成できるかは別としても、 そういうスタンスで整備をするということ。  それから、先ほどお話をした診療情報を臨床研究に活用するためのインフラとしてITとか人材育成 もないと、症例のデータベース化もできないと思うのです。そういう点も併せてインフラということ なのではないかと思うのです。その点はいかがでしょうか。 ○祖父江委員  いまのに関連して6頁、7頁のところに、発明委員会をやるとか、知財に関する説明会をやるという のも結構なのですけれども、インフラをどうしていくのかという形の目標を立てていただいたほうが、 我々としてはぴったり来る感じがします。ナショナルセンターとしてのリーダーシップというか、日 本におけるこういうものを構築していくのだという意気込みを見せた書きぶりにしてもらう必要があ るのではないかと思うのです。 ○永井部会長  これはおっしゃるとおりで、私どもも橋渡し研究で、PMDAの方に2年間おいでいただいています。 その方がいるかどうかでも全く臨床研究の進み方が違うのです。研究者が講習を受けながらやってい くような世界ではなく、仲介する人材が必要なのです。研究費でそういう人を置くのも1つの方法です けれども、PMDAとの人事交流が各センターで行われれば、自然にボトムアップになっていくのではな いかと思うのです。それは知財についても同じなのです。そういう専門の方が常勤でなくて、週に何 日かでもおられると連携体制を作るのに有用だと思います。  また、企業が持ち込んだ治験だけではなくて、こちらから適応拡大などで、こういう治験をやった らどうですかと企業に持ち込むこともあります。そういうときに、当然知財や規制の問題が出てくる わけで、そういう方と一緒に企業と話を進めていけば非常にスピーディーになっていきます。そうい う体制を是非各センターで作っていただきたいと思います。 ○本田委員  2点あります。1つは、先ほど花井委員がおっしゃっていた8頁の上のほうの「センターを受診する 患者だけではなくて」というところなのですが、私もとても重要なことだと思います。患者・国民に とっては、ここがどういう所なのかということがわかるように、受診しようとする患者だけではなく て、広く国民にこういう所なのだと、こういうことを推進する所なのだという情報提供する視点を、 臨床試験のところなのか、情報提供のところなのかわからないのですけれども、ちゃんと書いていた だいたほうがいいのではないかと感じました。  もう1つは同じく情報発信のところで、16頁になるのか36頁ぐらいになるのかどちらかわかりませ んが、国立がん研究センターは患者・家族・国民に対してこういうことを発信する。医療者への医療 の提供の支援というか技術支援という形でこういうことを発信するということを書き込んでいます。 ほかのセンターは、「医療従事者・患者・家族が信頼のおける情報をわかりやすく入手できるよう」 としか書いていないので、そこはもう少し国全体への支援という意味でせめて書き分けていただきた い。どういうものを出していくのだというのを書き分けていただくことはできないのかを感じました。  先ほど申し上げた質の評価とか、QIの視点については、35頁に国立がん研究センターと国立循環器 病研究センターにはそういう文言が入っていて、疾患によってそういうことは違うと思いますので全 部横並びにはできないのだと思います。ここに入っているからいいのかなとも思いますが、目標の中 にも一言入れていただいたほうが明確ではないかと感じました。 ○祖父江委員  これもいろいろなところに書いてあるのですが、5頁だったり、後ろの均てん化のところであったり、 臨床研究のところだったり、3カ所ぐらいに書いてあります。これもデータバンクというか、コホート スタディというのが出てくるのですが、どうやるのかが見にくい感じがします。がんセンターは「全 国ネットワークのがん登録システム」をやると書いてあるのですが、それに倣うわけではありません が、ほかも所内のみではなく、全国的なコホート展開を目指したいという視点が出ると非常にいいと 思います。  均てん化のところも、ガイドラインを作るということは謳ってあるのですが、このガイドラインの 基がいま話題になっている日本でのEBMを踏まえた均てん化をやるのだという書きぶりにつながると、 我々としては非常にわかりやすいメッセージになるのではないかという気がします。コホート研究と いうのは、実態が見にくい書き方がしてあるので、本当はもうちょっと骨格が見えるような書きぶり にしていただけるといいという感じがします。 ○永井部会長  私も全く同意見です。ガイドラインを作るにも、いろいろなレベルがあるわけです。外国の文献を 集めてきて、とりあえずガイドラインを作るというのもあります。しかし、そこには日本人のことは 何も書いていない。レベルが少し低くても、日本人のエビデンスが非常に重要です。日本人のエビデ ンスを集積しつつ、ガイドラインを作るという姿勢を強調すべきとと思います。  そういう意味で、27頁以降の別紙1に当たる「具体的な研究の例」ということになります。この辺 の書きぶりが、国立がん研究センターとほかとで大変に違う。国立がん研究センターは先行して充実 した組織ということかもしれませんが、非常によく書かれていると思います。やはりこの型に沿って、 各センターも目標や計画を立てるべきではないかと思います。先ほどの祖父江先生のがん登録なども、 もちろんがんはすでに先行していますが、私が関係する循環器でも、薬物治療とインターベンション と外科手術で、どういう場合にどちらがいいのかということで、いま論争をしています。しかしイン ターべーションはレジストリーも全くされていない。もちろん国立循環器病研究センター単独ではで きないと思いますので、そういう意味でも音頭を取って学会と連携して、日本人のエビデンスを集積 してガイドラインを作っていただきたいわけです。  そういう足元の問題というのが、かなりありますので、少なくとも今の治療法の比較のための検証 を、できれば前向きがいいのでしょうけれども、それはなかなか難しいですから、レジストリーだけ でも始めることは、各センターにすべて言えるのではないかと思います。目標を具体的に挙げていた だきたい、ということを伝えていただければと思います。 ○三好委員  私の印象では、中期計画は目標だけを見ていたときよりも、具体的なものがはっきりしたとは思う のですが、一つ気になるのが、6つのセンターが入っていますよね。例えばデータセンターの話とか、 知的財産の話とかです。これらを別々に具体的に書いたとして、そこの連携がはっきりしていないと、 個別に一生懸命やり出すと、今度はバラバラになってしまうのではないかという印象を持ったのです。 ですから全体のコントロールタワーというものを、別にどこかにつくっておかないと、何年か経った らバラバラだったということがあるので、そこが1点気になったところです。  もう1点が、人材の育成のところです。ネットワークを構築してと書いてあったかもしれないのです が、人材の流動化というところも、非常に重要ではないでしょうか。人材育成の項しか見ていなかっ たので、海外も含めて人材の流動化という視点を、きっちりと書いておいたほうがいいのではないか という印象を持ったのです。 ○永井部会長  いまの点ですが、「データセンター」と言ったときに、皆さんのイメージがかなりバラバラなので す。トランスレーショナルリサーチのためのデータセンター、治験のためのデータセンター、レジス トリーのためのデータセンターなど、規模も方法もみんな違うのです。中期計画はそういうことを全 部踏まえた統合的なデータセンターですから、やはり臨床研究全体のためのデータセンターである、 ということを強調していただきたいと思います。 ○夏目委員  独法化の意義というのは、もうここで言うまでもないと思うのですが、いままでの国の機関のよう に、しがらみや制度やいろいろなものに拘束されていたことから、少し解きほぐして、その代わりミ ッションを明確にして目標を与え、自主性や自由度を理事長以下に付与し、国民生活にとって不可欠 な公共的なお仕事をしてもらうことだろうと思うのです。目標が極めて大事だというのは前回も申し 上げたところで、その目標をできるだけわかりやすく具体的にして、数値に馴染むものはできるだけ 数値にしたほうが、みんながそこを目指していけるという意味ではいいのではないでしょうか。  今回の中期計画ではいろいろなものがあって、結構数値が出ているので、私は非常にいいことでは ないかと思うのです。ただその際、私は医療の専門家でないので中身はわからないので恐縮ですが、 いちばん最初に数値が出てくるのが4頁です。この4頁で申し上げますと「連携強化」の所で、国立が ん研究センターだけ数値がないのです。いろいろなご事情があるのだろうと思いますが、ほかの5セン ターはそれぞれ数値目標が明記されています。その数値目標も、平成21年度に対して何パーセント増 加させるということだと、結構わかりやすいわけです。その際に数値目標が到達不可能なものだと、 やる気をなくしてしまいますし、かえって弊害を生みます。  しかし、あまりにも到達確実性ばかり考える数値目標だと、何のために目標をつくったのか、当た り前ではないか、目標にもならなくなります。その数値目標のレベルが、みんなで努力すれば到達で きるぐらいの目標にするのが、組織を活性化させたり、組織に活力を与えたりするために、私はいち ばん必要ではないかと考えます。その観点で、あまり到達確実性を考えないで、ちょっと高い目標を 是非目指していただきたいと思います。そういう観点で申し上げると、絶対値で、例えばいま申し上 げた所で年10件以上実施するとか、年20件以上実施すると書いてあるけれども、いまも10件やって いるのなら、10件以上実施するというのは、いままでと同じことをしなさいということになるだけで す。  その点、平成21年度に対して10%以上増加させるということになると、1割ぐらいは上を目指しな さいという意味での目標が明確になります。私は、今よりはこのくらいのところを目指してください という書き方が。それぞれの数値目標によって性格が違いますから、そういうことに馴染まないもの もあるだろうとは思うのですが、でき得れば現状よりはこのくらいというものを。5%を目指すのか、 10%を目指すのか、20%を目指すのかというのは、事柄によって違うと思います。でき得れば、現状 よりは上をというところが入る数値目標にしていただくといいのではないかと思います。 ○永井部会長  確かに「10%」と言っても、今10件で1件増やせば10%になります。現状はこのぐらいなので、そ れに対してどのくらいを目指すというのが重要です。 ○内山委員  おっしゃるとおりです。細かいところですが、論文の数を英文と和文を合わせて、5年間で5%とい う記載がいくつかのセンターで見られます。そうすると200編出ていても、わずか10編増えるだけな のです。しかも和文も含めてだと向上の度合いは少ないように思います。一方、現状でも十分にやっ ていらっしゃる所だったら、5%でも立派ですねということになります。確かに「年10回」と言うより も「5%」と言うほうがいいのですけれども、現状がわからないと5%の持つ意味というのが、なかな か伝わってこないというのが気になります。 ○祖父江委員  私もいまのと同じ意見です。国立精神・神経医療研究センターが、「セカンドオピニオン外来件数 を年間50件以上とする」と書いてあるのですけれども、これは普通の大学のレベルから言うと、めち ゃくちゃ少ないですね。ですから、これを目標にしてやるというのは、ちょっと奇異な感じを受けた ので、今おっしゃるとおりです。それぞれの数値がどういう意味を持つのかということを、もう1回検 証というか、それぞれの所で吟味していただくといいと思いました。 ○三好委員  今のところは私も大賛成です。まずは数値目標のバックグラウンドのところですね。きっちりやっ ていただきたいと思います。何に対して10%なのか、前年に対してなのか。その数字には意味がなく て、たぶんその裏にあるのは、どういうところを目指すから10%、論文だったら普通、このぐらい出 てなければならないから何パーセントだと。質の問題もありますので、そこはやはりやっていただい たほうが、今度、年度計画に落とし込むときに、非常に重要かと思います。 ○内山委員  それだけ、ナショナルセンターに対する私たちの期待が大きいということになると思います。 ○永井部会長  そういう意味では、単なる国際的なレベルではなく、世界をリードするのが重要だと思います。 ○和田委員  いまの目標を数値で示すというところです。財務関係で言いますと、予算というのがありますので、 概ねそれを頭に置かれると思うのですが、ほかのものを見て思うのは、23頁に「自己収入の増加に関 する事項」というのがあります。「民間企業等からの資金の受入体制を構築し、寄附や受託研究の受 入等、外部資金の」とあるわけです。この辺は今どのぐらいで、これを中期目標で何件でどのくらい に伸ばしたいという数値がないと、なかなか評価しにくいのではないかと思うので、お考えいただい たらいいのではないかと思います。 ○永井部会長  財務関係はどうしましょうか。いま一緒に議論しますか。 ○医政局政策医療課長補佐  もしサービス部分で大体意見をいただいているということでしたら、逐次移らせていただければあ りがたいと思います。 ○永井部会長  それでは先に研究や臨床の話を終えてからにいたしましょう。医療の標準化がどこかに書いてあり ましたね。 ○医政局政策医療課長補佐  9頁から10頁になります。 ○永井部会長  これは開発というよりも、標準化、均てん化に関係します。ただ、いま医療現場で問題になってい るのは、医療の質の向上をどうするかということで、それも1つの研究なのです。安全を図るというこ ともありますし、病院の平均点を上げつつ、バラつきをなくすということも、かなり大事な研究です。 専門の人が取り組まないといけないわけですので、ここに臨床指標の開発ということを入れていただ きたいと思います。  これはいろいろな意味で、自分たちが行っている医療行為のモニターです。もちろん、それは安全 につながるし、標準化にもつながります。そういうものを自分たちで開発して、あるいは全国の学会 や病院とも連携して、それぞれの領域の臨床指標の開発を継続的にモニターし、医療の質の向上を図 る、あるいは運営の改善を図るという研究もしてほしいわけです。これは各センター共通の非常に重 要なことではないかと思います。新しい技術開発ばかりに目を奪われないで、自分たちがルーティン で行っている仕事のモニター、改善です。ほかに何かありますか。 ○花井委員  いちばん最後に、「情報発信手法の開発」というのが36頁にあります。「疾病に対する正しい理解 の促進」というのは、そのとおりでいいのですけれども、疾病に基づく偏見の払拭というのが、課題 としてずっとあります。いちばん典型的なのは、やはり感染症と精神だと思います。例えば、国立国 際医療センターで言えば、18頁に戻って「公衆衛生上の重大な危害への対応」というときに、ベトナ ムに速やかに飛んでいくのはいいけれども、一方で国内で過剰な消毒行為をマスコミが流すことがあ ります。「人権」という書き方をするかどうかは論点ですが、要は正しい科学的知識によって疾病を 理解することで偏見も払拭するというときに、その辺のオピニオンリーダーとしてナショナルセンタ ーは重要な役割だと思うのです。特に感染症と精神に関しては踏み込んでほしいし、一般論としては 疾病に対する偏見を払拭するというニュアンスを、情報発信のほうに入れていただけたらと思います。  感染症センターであれば、やはり現地に行ったときです。これまでの反省からすれば、鳥インフル エンザの医師の事件もありましたし、20年以上も前なら、エイズの神戸のこともありました。そのと きに科学的知識のちゃんとある人がそこにいて、科学的にちゃんと正しい知識を発進することによっ て、実は人権が守られるということがわかっています。ですから、その辺の機能も是非書き込んでい ただけたらと思います。 ○永井部会長  非常に大事なご指摘だと思います。よろしいでしょうか。もし、また追加のご意見がありましたら 後で伺うとして、業務運営の事業的な部分についてご説明いただけますか。 ○医政局政策医療課長補佐  それでは業務運営に関してご説明申し上げます。資料2-3の20頁からです。まず「業務運営の効率 化に関する目標を達成するために取るべき措置」という形で、6つのセンターは大体似たような構成、 記載ぶりで計画を立てております。はじめに「効率的な業務運営に関する事項」として、業務運営体 制をどうするかという点での計画です。  1つ目は組織内の企画立案、調整、分析機能を高めるという点です。これは従来、管理的な機能の部 分があったのですが、それを柔軟な組織体制に変えていくという形で、人的・物的資源を有効に活用 する体制の構築、センターのミッションに応じて効率的な成果を生み出すということで、各部門の再 編を行うことを体制の基本的な考え方として置いております。  具体的に、1点目として副院長の複数制の導入です。副院長の役割と院内での位置づけを明確にし、 特命事項を担う院長・副院長の設置も可能にするということを考えております。2点目は事務部門の改 革です。効率的・効果的な運営体制とするという観点で、事務部門としてのガバナンスの体制をきち んとつくるという点で、見直しを図っていくという計画となっております。続いて、効率化に係る収 支改善です。要は5年間で累計した損益計算において、経常収支率を100%以上となるような経営改善 に取り組むという点が、大きなポイントになっております。具体的には以下に記載されております。  1点目は材料費の節減として、購入方法の見直しによって材料費率の抑制に努めます。2点目は給与 制度の適正化という観点で、社会一般の情勢に適合するように、民間の従業員の給与等を踏まえて、 業務の内容や実績に応じたものとなるような見直しを図るという計画です。3点目は一般管理費の節減 です。平成21年度に比して中期目標の期間中において、一般管理費率の抑制に努めます。4点目は投 資の関係です。建築コストの適正化でコスト削減を図り、投資の効率化を図ります。5点目は収入の確 保です。1つは、医業未収金の新規発生の防止に取り組みます。定期的な督促業務といった観点で努め、 平成21年度に比べて医業未収金比率の縮減に取り組みます。もう1つは診療報酬の関係です。院内の レセプト点検体制の確立を図り、適正な診療報酬請求の事務を行って、収入をきちんと確保していく という点を考え、計画を立てております。  次の頁が「電子化の推進」です。1点目が電子化の推進による業務の効率化です。要するに、職員に 対する通報等の文書の電子化に取り組み、当然セキュリティもきちんと確保するという点です。次の 電子カルテの導入については、各センターによって多少計画の立て方が違っております。これは電子 カルテの導入、更新や現状を踏まえて書きぶりが若干変わっています。結論として、電子カルテの導 入に向けての具体的な取組みを行うという点では、一緒の形になっております。  続いて財務会計システムの導入による月次決算という形で、財務会計システムをきちんとやるとい うことです。官庁会計から企業会計に移行になりますので、財務会計システムもそれに合わせたもの を導入して、月次決算を行います。財務状況を毎月きちんと把握して、その結果を踏まえた経営改善 に努めるということを計画として考えております。  3点目が「法令遵守等内部統制の適切な構築」という観点です。入札・契約事務の公正化、透明化の 確保を図るという観点で、法令遵守の内部統制のための内部監査の組織を構築します。契約業務につ いては原則として一般競争入札により、競争性、公平性、透明性を確保して、適正な契約に努めるこ とになっております。  次は財産ということで、「予算、収支計画、資金計画」に関することです。いまご説明した第2の業 務の効率化の目標を達成するために、計画を確実に実施するという点で、財務内容の改善を図ります。 1点目は先ほど和田委員からご指摘がありましたように、「自己収入の増加に関する事項」として、寄 附金、受託研究の受入れで外部資金の獲得を目指します。2点目は「資産及び負債の管理に関する事 項」です。大事なことは、センターの機能の維持・向上を図って、投資を計画的に行うという点です。 併せて、長期的な固定負債を償還確実性が確保できる範囲として、適切なものに努めるという形にな っております。また、大型医療機器の投資についても、原則、償還確実性を確保します。別紙2から3 の「予算」「収支計画」「資金計画」については、別の資料でご説明させていただきます。  次に、「短期借入金の限度額」です。短期借入金の限度額の理由としては、1点目が運営費交付金の 受入遅延による資金不足への対応、2点目が業績手当の支給に関して、その資金繰り資金の出費への対 応、3点目が予定外の退職者の発生など、偶発的な出費への対応という形で、短期借入金の限度額を設 定したいと思っております。  第5の「重要な財産を処分し、又は担保に供するときの計画」というのは、基本的な有形資産のない 形で独法に移行しますので、ここの計画はありません。  24頁が「剰余金の使途」についてです。決算によって剰余を生じた場合、その剰余金をどう使うか ということです。建物の整備、医療機器の購入の投資の部分、あとは従来、ナショナルセンターが引 き継ぐ借入金の償還に対しての財源として、剰余金の使途を定めたいと考えております。  第7の「その他主務省令に定める業務運営に関する事項」として、1点目は「施設・設備に関する事 項」です。目標期間中に整備する施設・設備の計画は、別紙5という形で別の資料でご説明したいと思 います。  続いて「人事システムの最適化」です。職員が業務で発揮した能力、適性、実績を評価し、職員の 給与に反映させる、業務遂行意欲の能力・意欲の向上を図るという意味で、業績評価制度を導入する、 業績評価制度の適正な運用を行うことによって、優秀な人材の定着を図って、人事制度の活用、セン ター全体の能率的運営につなげたいという計画になっております。2つ目として、非公務員型という独 法になりますので、その特性を活かして、人材交流の促進、優秀な人材を継続的に確保するという観 点から、人材の適切な流動性を有した組織を構築するという点で、国立病院機構等の他の独立行政法 人、国立大学法人、民間との円滑な人事交流を行う体制を構築するという点となっております。また、 病院という点もありますので、看護師等の女性が働きやすい環境整備、医師の役割が発揮できるよう、 医師とその他の医療従事者との役割分担の見直し等を考え、職場環境を整備していくことを考えてお ります。  続いて「人事に関する方針」です。良質な医療を効率的に提供するという点で、医師、看護師等の 医療従事者については、医療を取り巻く状況の変化に応じた柔軟な対応と経営にも十分に配慮しなが ら、人事に関する方針を考えています。特に医師、看護師不足に対する観点からは、離職防止や復職 支援、幹部職員などの専門的な技術を有する者については公募を基本として、優秀な人材の確保に努 めるということを考えております。このような大きな3つの点を、人事に関する方針として考えており ます。  続いて指標です。センターの平成22年度の期首における職員数は、まだ○○○人とされていますが、 組織なども含めて、その中で人員を書くという形になっております。医師、看護師の医療従事者は医 療ニーズに適切に対応するために、変動が見込まれるという点があります。当然、医療や研究の部分 での目的を達成するためには、医療ニーズの適切な対応という観点での変動があります。あと、中期 目標の期間においては、安全で良質な医療の提供に支障がないように、適切な人員配置に努めます。  続いて「その他の事項」です。センターのミッションを理解し、ミッションを実現するというのが、 いちばん大きなポイントになります。そのために必要なアクションプランを立てるという点がありま す。それを踏まえて、具体的な行動に移すことができるように努めるという形になっております。ア クションプランやセンターの成果についても、一般の国民が理解しやすい方法、内容で情報開示をホ ームページ上で行います。併せてミッションの確認や現状の把握、問題点の洗出し、改善策の立案、 翌年度の年度計画の作成等に資するように、職員の声、職員の意見をきちんと聞いて、そういうもの に努めていくようなものをつくっていきます。  先ほど別紙となっていた部分については、資料2-2でご説明いたします。まず資料の23頁をご覧く ださい。国立がん研究センターの中期計画の予算、中期期間中の予算です。これからまた関係省庁と も協議をしながら、係数等を精査していくという手続的なものがあります。ですから今の時点での案 という形で数字を置いておりますので、そういう前提でお聞きいただければと思います。  まず、国立がん研究センターの予算については、収入がトータル2,373億円あります。この中で運営 費交付金が約440億円計上されております。これは平成22年度の予算で計上した運営費交付金を、単 純に5年間の計画同額という形でやっております。それと同じ頁の下のほうに「運営費交付金の算定ル ール」というのがあって、※で「調整中」となっております。運営費交付金の算定ルールについては、 これから財務省とも具体的に協議をしてセットしておきますので、運営費交付金については、この数 字から多少の変動があり得るという状況になっております。施設整備補助金、長期借入金、業務収入、 その他収入を合わせて、この収入に対する支出については、それぞれ必要なものとして現在個別の経 費を積み上げて、さらに計画に伴う必要な経費を計上し、2,288億円という計画になっております。こ れが5年間の予算(案)という形で、今のところ計画を考えております。  24頁が中期計画期間中における収支計画です。一般的にはPLという形に近いものになります。先ほ どの中期計画の中で、5年間累計で収支が100%を超える形になっておりますので、国立がん研究セン ターで申し上げると、総利益の部分で13億円です。次の頁が別紙4です。資金計画としてキャッシュ の部分の計画も、5年間で資金が回るような形になっています。26頁が別紙5です。中期期間中におけ る施設・設備に関する計画です。先ほどの投資とも関係しますが、償還確実性を見込んだ上での施設 ・設備に関する計画として、ここでは長期借入金と、施設・設備費補助金を財源として計画している ものを計上しております。  同じように各センター、国立循環器病研究センターであれば41頁から入っております。循環器病セ ンターの予算計画であれば、収入が1,365億円程度、支出が1,288億円程度です。同じように運営費交 付金については調整中という状況になっております。42頁の別紙3の収支計画についても、純利益で 11億円です。別紙4の資金計画に関して申し上げますと、資金はきちんと中期期間中に回るという計 画になっております。そして44頁の別紙5、国立循環器病研究センターの施設・設備に関する計画で は、長期借入金の整備として14億円、医療機器の整備を考えております。  国立精神・神経医療研究センターについては、61頁からです。別紙2の予算については、収入がト ータルで716億円、支出が685億円程度という形になっております。収支計画については、2億3,000 万円程度の利益が発生するということです。別紙4の資金計画については、資金がきちんと回るような 形のものになっております。64頁が別紙5です。施設・設備に関する計画としては、施設整備費22億 円程度を考えております。  国立国際医療研究センターは83頁にあります。中期期間中の予算としては合計で1,839億円程度、 支出では1,771億円程度となっています。収支計画は84頁にあります。先ほどの中期計画期間中の経 常収支は100%となっておりましたが、国立国際医療研究センターの場合は、経常収支では100%を超 えるけれども、臨時損失、臨時利益が発生しますので、純利益、総利益で見ると△の13億円となって おります。ただ、経常収支で見ると100%を超えております。特別にいま整備している部分の臨時損失 などが発生するという状況がありますので、収支計画上は△という形で赤字の部分が出ております。 別紙4の資金計画では、基本的に資金がきちんと回るような計画になっております。86頁の別紙5、施 設・設備に関する計画としては、期間中で75億円程度の施設整備を考えて、医療機器については長期 借入金を財源として、7億円の整備を考えております。  101頁が国立成育医療研究センターの中期計画の予算です。ここも同様に5年間の予算として、いま の時点で収入を989億円、支出を963億円程度を計画しております。102頁が中期期間中の収支計画で す。利益としては6億円程度です。別紙4の資金計画としては、期間中で資金がきちんと回っていくよ うな計画にしております。104頁が施設・設備に関する計画です。医療機器整備を1億7,000万円程度 と考えております。  最後に国立長寿医療研究センターの予算案が、121頁にあります。収入のトータルが440億円、支出 が434億円という計画です。122頁の収支計画では、期間中で7,500万円の利益が出るという計画です。 別紙4の資金計画ではほかのセンターと同様に、資金上は回っていくという形になっております。最後 の124頁に、期間中の施設・設備に関する計画として、医療機器整備で2億6,300万円の予定を考えて おります。  併せて参考資料を付けております。参考資料1で各センターの平成22年度予算額、運営費交付金の 予算額をお示ししております。それぞれにIからVなり、IからVIなりの項目に合わせて、それぞれ の事業に必要なものを所要額として個別に積み上げて、予算を計上しております。先ほどの予算の中 ではこれを単純に5倍していますので、この関連で運営費交付金の算定ルールを別途、財務省などの関 係省庁との協議が必要になってきます。  参考資料2は、ナショナルセンターでいちばん大きな問題になっていた、平成21年度末見込みで 1,732億円あった借入金の取扱いをまとめたものです。この1,732億円を各センターが引き継ぐ債務は、 トータルで524億円です。そのほかは1,208億円を一般会計に承継するという形になっております。一 般会計に承継する債務の考え方としては、研究所等本来一般会計で整備すべき資産に関する債務、医 療機器等の償却済資産に係る債務、鑑定評価後の資産価値を上回る負債に係る債務として、一般会計 に導入するという考え方でやっております。  それぞれのセンターごとのものは、次の表の中にあります。国立がん研究センターであれば171億円、 国立循環器病研究センターであれば22億円、国立精神・神経医療研究センターであれば34億円、国立 国際医療研究センターであれば186億円、国立成育医療研究センターであれば102億円、国立長寿医療 研究センターであれば9億円という数字が、各センターが承継して持っていく債務となっております。 こういう借入金の債務をきちんと処理した上で、各センターの計画として立てているという状況です。 当然、移行する前には資産鑑定の専門家を通して資産鑑定をやっております。それを踏まえた形で、 今回の計画をきちんと立てています。 ○永井部会長  それではご質問、ご意見をお願いいたします。 ○夏目委員  いま説明のあった所に質問があります。23頁の別紙2の中期計画の予算、あるいは収支計画、資金 計画の所ですが、ここで人件費の見積りがあって、期間中総額536億円となっています。これが今度、 25頁の参考の中期計画に計上されています。この人件費ですが、次の頁の収支計画というのが損益計 算書みたいなものなのでしょう。ここでは業務費用の中の給与費が該当するのかと思って見ると、5年 間で745億円となっています。前のほうの人件費総額は536億円だと。人件費より給与費のほうが小さ な概念ではないかと思っていたのですが、給与費のほうが人件費よりも200億円ぐらい上回っていると いうことは、どういう関係があるのですか。 ○医政局政策医療課長補佐  24頁で言えば、収支計画の給与費の中に挙げているものとしては、前の頁の見積りに加えて、退職 手当などが給与費として計上されています。 ○夏目委員  退職手当がこの中に。  ○医政局政策医療課長補佐  もっと申しますと、退職手当のほかに共済の負担金や人件費系統の費用が、給与費として整理され ております。  ○夏目委員  結構な額ですね。200億円ぐらい違うわけですね。 ○三好委員  いまのに関連しますが、この費用はどこに計上されているのですか。退職積立金か費用かわかりま せんが、その部分はどこに入っているのですか。24頁の損益ではなくて、どこに積んであるのですか。 ○医政局政策医療課長補佐  退職手当の額などを含めて給与費として挙げています。 ○三好委員  もう1点。私も実態をよく知らないので質問しているのですが、こういうセンターというのは、病院 と研究の機能が大きく分かれていて、両方とも損益構造は丸きり違うような気がするのです。一緒に するとよく見えないけれども、そういうものは分けて明示できるものですか。できるのだったらした ほうがいいと思ったのです。 ○医政局政策医療課長補佐  当然、経理とすれば病院部門なり研究所部門なりがありますので、それぞれセグメントという形で 分解して経理をしていきます。これは合算した形で中期計画の中での資金計画、収支計画として資料 として出させていただいておりますが、基本的にはそれぞれ病院なり、研究所なり、ほかの大学校な りという部分で、それぞれ経理をしておくという形で考えております。 ○祖父江委員  その場合、セグメントは病院と研究所とで分かれますよね。それを一体化運用して、例えば病院で 儲ければ、それを研究所に回してもいいということはあるのですか。医学部と病院がセパレートして いますから、大学はなかなか難しいですよね。ナショナルセンターの場合はどうですか。 ○医政局政策医療課長補佐  一定のルールを考えていくという形になると思います。基本はセグメントごとにきちんと経理をし ていくのが原則と考えています。 ○祖父江委員  もし病院のほうで非常に余剰が出た場合は、それを研究のほうに回す道はあるということですか。 ○医政局政策医療課長補佐  運営費交付金との関係も出てきますが、病院の利益は基本的に病院という形で考えていくべきでは ないかと考えております。というのは、運営費交付金の積算がそれぞれ事業に必要なもの、研究所に 必要なものとして所要額が計上されておりますので、基本的には運営費交付金財源で研究所が運営さ れるという形になっています。病院の利益は病院での剰余という形で、きちんと捉えていかなければ いけないのではないかと思っています。 ○祖父江委員  大学がセグメントにしてあるので、病院と医学研究科が非常に硬直化しているのです。その辺がど うなのかと思ったのですが、わかりました。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  いまのお話ですけれども、先行して独立行政法人にしていただいた国立病院のほうは、パブリック な病院ですから、ナショナルセンターとは全然構造が違って、研究所という部分がありません。臨床 研究という概念自体がないということではないのですが、財務のほうで申し上げますと、ほとんど収 益部門の病院事業というシンプルな形になっております。運営費交付金自体も、ほとんどシングルス タンダードで配置されていますので、いま450億円前後で、過去債務が専らです。そして国期間の退職 手当については、運営費交付金でいただいて、儲かった分は国立病院の汗という形で、建物の投資や 医療機器の投資のほうに活用させていただくように、決算が打てるようにしております。その後、国 立病院部会の評価委員会で認めていただいて、キャリーオーバーするという形です。  難しいのはナショナルセンターの場合、情報発信や教育セグメントなどの研究部門といった不採算 な部分がたくさんあります。そこはもう原則として益は生まないですから、運営費交付金で対応させ ていただきます。仮にそのセグメントの運営費交付金が多くて剰余が出たら、国庫納付対象になると 思うのですけれども、いまご議論のあった病院セグメントは、やり様によっては今まで全体で特別会 計でどんぶりでやっていた部分が、きちんとセパレートした場合、必要な部分だけは運営費交付金で 下駄を履いて、あとは病院の努力で益を出した場合は、研究所も含めたナショナルセンター全体の活 用を、次年度以降に評価委員会で認めて回させていただくようなこともどうかと、我々は考えている のです。これは今後の議論、これからのルールです。ただ財務省や評価委員会などは、どういう評価 になるかという感じです。研究所も競争的資金などで当然、予定よりも自助努力というのが今後もあ ると思うのです。そういったところの汗の部分というのは、やはり現場に還元できるような仕組みに していただければと思っております。 ○祖父江委員  ナショナルセンター全体とおっしゃったのは、6センター全体でという意味ですか。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  法人は6つの法人になっておりますので、例えば国立がん研究センターの中央病院、東病院で益が出 た場合は、国立がん研究センターの研究所や教育発信のでき得るセクションなどに還元できるものと いうことです。運営費交付金が多くて剰余が出たら、国庫納付という形は当然であると思います。 ○和田委員  もともと独立行政法人は1つですから、事業別で、セグメント別で損益を出すことは大事なことです が、国立大学法人で、こちらで儲かったお金をこちらで使ってはいけないというような決めは、特に はないように思います。ただし剰余金が出たときには、資料2-3の24頁のいちばん上に、「剰余金の 使途」として、「決算において剰余を生じた場合は、将来の投資及び借入金の償還に充てる」と書か れています。ただ、こういうことで運営費交付金が配分されているのに、やるべきことをやらないで 運営費交付金が余って、それが剰余だという部分については、財務省は概ね「返せ」と言うようです。 経営努力によるもの、ならびに事業収益から生じた利益については、国に返すということではなく、 目的積立金にして、この法人が24頁に書かれているような方法で剰余金を有効に利用できるという解 釈でよろしいのでしょうね。  また別のことで質問があります。例えば、24頁は損益計算構造ということですが、もし分かれば、 この中で減価償却費は一体どのぐらい見込まれているのでしょうか。給与費のご説明で、退職給与給 付引当金が含まれているとおっしゃいました。その分のお金は出ていきませんね。同じように減価償 却費もお金が出ていかない。たぶん、それが設備の購入費になり、取替更新費になり、借入金の償還 もそこからしていくから、がんセンターで言えば承継債務171億円は、そこから返していくということ になるだろうと思うのです。参考までにどのぐらい減価償却費が入っているのかが分かれば。 ○医政局政策医療課長補佐  国立がん研究センターについては、減価償却費として172億円程度です。 ○和田委員  24頁の別紙3の中で言うと、設備関係費の所に入ってくるのでしょうか。 ○医政局政策医療課長補佐  そうです。設備関係費の中に減価償却費が入ってきます。 ○和田委員  172億円くらい見通しているということですか。 ○医政局政策医療課長補佐  はい。 ○和田委員  それが概ね承継債務のほうと、たまたま金額が合ってきているのですか。 ○医政局政策医療課長補佐  そうです。 ○夏目委員  25頁の「人事に関する方針」は中期目標にはなくて、中期計画から出てくる部分だろうと思うので す。人事に関する方針の方針指標ということで、書いてあることは何となくわかるのです。ただ、 「医療を取り巻く状況の変化に応じて柔軟に対応する」とか、「経営に十分配慮する」となっていま す。この「経営に十分配慮する」というのは、どう配慮するのですか。なかなか書きにくいのかもし れないけれども、大きな総枠としては5年間収支相償という収支改善目標がありますね。それを踏まえ て人件費というのは、先ほどの給与費等だと全体の3分の1で、人件費総額も500何億円というのは業 務費用の約4分の1と、大変大きな部分を占めるわけです。ですから方針に「経営に十分配慮する」と 言うより、「収支相償に貢献」というか、「収支相償を十分考慮した上で」とか、何か大きな枠組み ぐらいは、歯止めぐらいはここら辺に書き込めないかと思います。  また、次の指標の所です。これもなかなか難しいだろうと思いますが、「適正な人員配置に努め る」ということと、「技能職については外部委託の推進に努める」ということで、計画として人件費 にとっては、指標らしい指標はほとんどないわけです。人件費というのは、業務収支改善に当たって の非常に大きな要素なので、私は単に減らせばいいということではないと思うのですが、独法化した 以上は成果が上がれば、それを従業員に還元して、より意欲を持って仕事をしてもらうという意味で は、非常に大事な要素なので、単純に縮減すればいいという事柄ではありませんが、ただ何も書かな いということでいいのかどうか、ちょっとご検討いただきたいという感じがします。  古い資料を持ってきたのですが、例えば国立病院機構のときは中期計画で、技能職については何人 純減するというように、人数まで書いてあるのです。人数の1桁まで書いてあるので、これはもう退職 者を想定した数ということで、わかり切った数を入れているのではないかという質問をしたのです。 数まではなかなか難しいのかもしれませんが、外部委託の推進に努め、技能職についてはどのくらい の適正化をするというようにする。官庁用語なのかもしれませんが、「適正化」という言葉を上手に 使って、その方向性を示すような工夫があったほうがいいのではないかという意見です。 ○医政局政策医療課長補佐  いまのご指摘の部分を含めて、改めて検討したいと思います。 ○祖父江委員  副院長複数制の導入とか、事務部門の改善という、最近の言葉で言えばガバナンスを強化していく というお話が、業務運営の効率化の最初にきているのです。非常に効率的に、しかもみんながやる気 を持ってやるためには、上意下達でやるシステムと同時に、現場の意見をいかに取り入れるかという システムを考えます。それが最後の「その他」にあって、「院内メールなどで意見を取るように」と 書いてあるのです。  「その他」には非常に重要なことが書いてあります。理事長はミッションを掲げて、それが見える ような形にして、見えるような形にしたミッションがうまく回るように、現場の声も収集せよという ことが、最後の「その他」に書いてあるのです。しかし、これは「その他」ではなく、非常に重要な ガバナンスを本当の意味で発揮していくのに重要なからくりではないかという気がするので、むしろ 最初にそういう命令系を。  私は神経の医者です。運動神経に比べて感覚神経というのは、人の体の数倍の本数でセンサーをし ているので、そういうものを受け取ってモーターで発信するというシステムが、組織体として非常に 重要ではないかという気がするのです。ですから、これを「その他」にちょっと書くというのではな く、もう少し位置づけを上げてもらうといいのではないかという感じがします。 ○医政局政策医療課長補佐  今回、職員の声を最後に置いた経緯ですけれども、もともと中期目標の構成は、国民のサービスと 業務の効率化と財務内容というのが基本形になっておりました。その後に「その他」ということで、 センター全体にかかわる話を書くという構成になっていましたので、当初は業務の運営の効率化に職 員の声も入れ込もうかと思ったのです。しかし、そうしますと国民のサービスには直結しないのかと いうようになります。そこで、場所として「その他」で中期目標全体として、ガバナンスの事項とし て書かせていただいたという整理でした。ですから最後の最後でちょっと書いたというような感じに なってしまって、大変恐縮なのですが、思いとしては一応、全体に、国民のサービスにも、業務の効 率化にも、財務内容にもかかるような形でその意見書を書きたいというところもありましたので、 「その他」に書かせていただいたのですが、当然そういう組織とともにというところもありますので、 そういった趣旨を盛り込めないか、しっかり検討させていただきたいと思います。 ○医政局政策医療課国立病院機構管理室長  1点だけ。先ほどの夏目先生のお話なのですが、国立病院部会に最初からお世話になっていて、熟知 されているのですが、さっきの書きぶりのところは、国立病院も同じなのですが、平成16年に国立病 院機構もスタートしましたが、平成18年の行政効率化といいますか、人件費の5年5%削減というも のが、いますべての独法に被ってきます。この22年4月1日から、ナショナルセンターが独立行政法 人化するのですが、国立病院でも、医療の現場というのは、縮小傾向では、とてもではありませんが 医療の質も保てませんし、人を5年で5%も減らせというのであれば、医療の質は低下しますし、収益 も破綻して、収支相償などとても見込めません。ですから、ほかの事業はよくわかりませんが、少な くとも病院事業においては、いま5年5%という行政改革推進法の平成18年のあの被りがすべての独 法に被ってしまって、ましてや、今日の時点ではまだ国立直営店であるナショナルセンターが、4月1 日からは、その法律とか、いま独法の枠組みの中で問われている、5年で5%も人とか人件費を減らさ ないといけない。これでは、世界一を目指す研究も、世界トップを目指す医療の現場も。診療報酬の 世界でも、7対1とか、ナースも増やすと。お医者さんも、育てていくためには、指導医も育てないと いけませんし、研究員も増やさないといけない。この矛盾をどう書くかというところが、いつもあれ なのです。総務省の政独委という独法所管の親元の委員会なれば、厳しく言われてくるのですよね。  これは、もう明らかに4月1日の段階で、6センター機種の人員を明記して船出しないといけません が、事実関係だけ言いますと、国立病院機構は平成16年、4万6,000何がしでスタートしていますが、 今日の時点では、夏目先生ご承知のとおり、5万を超えた常勤数ということで、矢崎理事長の責任にお いて、医療現場を守るということでやっております。  本当に国自体から求められている、行政職、技能労務職といったところの退職後の不補充は、アウ トソーシング、表の力を借りるというのはいいのですが、医療と研究の現場をアウトソーシングとい うわけにいきませんので、ここは、その書き方が非常に難しい。医療職を考えた場合、引いた書き方 はできないというところなのです。でも、あえていま制度上、喧嘩を売るように、増える明記をする こともできません。申し訳ありません。少し長くなりました。そういう事情です。 ○永井部会長  私も全貌を理解しているわけではないのですが、国立大学の法人化を経験した立場としては、これ は非常に甘いという印象です。大学の教育・研究は5年で交付金の5%が削減なのです。ところが、病 院に関しては、建物の負債も全部含めて、独法化直前の収入の2%削減されていったわけです。これは、 補助金、運営費交付金から見ると、大体6.5%ぐらい削減されて、プラス教育・研究の1%削減されて、 5年間で30数パーセント削減されているのです。でも、7対1看護体制にしても、人を集めれば収入も 増えるわけです。そういう覚悟と意識改革が重要で、これをを進めていかないと、何のための独法化 だったかということになりかねない。この借入金、債務も、税金で結構面倒を見てくれるという考え 方が私はまだよくわからないのですが、今後の効率化に対してどういう姿勢で臨むのか。どうでしょ うか。祖父江先生、そう思いませんか。 ○祖父江委員  全額でなくても、かなりの分はチャラにするわけですよね。その発想は国立大学病院だったので。 あと、削減も2%。 ○永井部会長  国立大学病院は収入の2%削減ですから、診療用交付金の6.5%ぐらいなのです。 ○祖父江委員  同じ国のものでこれだけ違うというのは、国立大学法人からいうと、どうしてだという。そこを説 明してほしいという感じもします。 ○永井部会長  例えば医療機器の償却済みの資産に対する債務というのは、医療機器でまだ借金を返し切れていな いものということですか。それは当然、自己責任で返さないといけない部分ですね。使わない機械を、 買ってくださいということになりませんか。 ○医政局政策医療課長  まず、いまお話に出ました債務処理の関係は、債務の話と、運営費交付金の削減の話と、人件費の 総枠規制の話と、いま3つお話が出ていると思うのですが、私ども、このナショナルセンターの独法化 に関しまして、いままでのやり方でいいかどうかという観点から、独法ガバナンス検討チームが内閣 府に設置されて、そこで議論されたということなのです。そういうことが1つあります。もう1つ、こ のナショナルセンターも、研究開発法人という位置づけがなされる予定になっていますが、この研究 開発法人に対する規制がいままでどおりでいいのかどうかというのは、別途、またもう1つ政府部内に 検討チームが出されていますので、そこで、一律に独法の規制を当てはめたのではなかなか研究開発 法人の本来の機能が発揮できない、という議論が進行中です。そういう意味で、過去のこういう分野 の法人と比べて並びがおかしいのではないかというご議論はあると思いますが、そこは、今まさに政 府全体で、もう一遍どういう仕切りにするかというのが検討されています。その中の先行的な当ては め事例として、このナショナルセンターが取り扱われています。そういう意味では、必ずしも過去の ものとそろわないところも出てくると思いますが、それは、むしろ過去の反省に立って、いま見直し が行われていると我々は理解しています。  それに加えて、借入金債務のところですが、これは、確かにいまお話が2、3出ましたように、全く 債務をゼロにすべきだというご議論も、ガバナンス検討チームの中では出たのですが、私どもが財政 当局と整理をしたのは、参考資料2のとおりです。  医療機器で「償却済資産にかかる債務」と書きましたのは、通常医療機器は3年とか5年とか7年と かで償却されていますが、財投制度が、いまは改善されましたが、かつては15年でしか借りられなか ったので、現時点で見ると、借金は残っているけれども、現物がもうすでに償却済みであるとか、も うすでに現物そのものがないとか、そういうずれがありましたので、いま独法化に伴って持っていく 資産に見合う分の債務という整理をしましたので、いまお話が出ましたような、自分で使う見込みで 買って、それが現物があるのに債務が免除されるということではないのです。そこだけご理解いただ きたいと思いました。 ○祖父江委員  そうすると、いま、借入金債務についても先行例として動いているというお話でしたので、国立大 学法人などもゆくゆくはこういうシステムで動く可能性はあると考えていいのですか。 ○医政局政策医療課長  それについては私どもは答える立場にないので、何とも申し上げられないのです。 ○和田委員  国立大学法人の病院の借入金は、確かに持っていったのです。ところが、あれは少し、これと同じ ような考え方がありまして、返済補助、借入利子と借入返済補助が、その後、付いてきているのです。 補助金が。返済するためのものが。一方で、減価償却費の中から全部借入金は返済できないから、当 然、ここに書いてある一般会計の承継債務に相当するようなものについては、国がその後、出してい るのです。そのために、国立大学法人の会計金額は、全部を足すと1,000億円の利益が出てしまった。 でも、あれはもともと利益ではないのだということで、一生懸命説明したのです。その辺のところは、 私は、このシステムを見て、一般会計のほうで1,200億を負担して、ここへ切り出すナショナルセンタ ーに承継させたのは524億円というのは、いかにも新しい考え方だなと思いました。ただ、この524億 円を背負っていったときに、借入金の償還補助というのはもう付いてこないですよね。減価償却費の 自らの中で、買った設備をいま使っているわけですから、その減価償却費は病院のほうで負担をして、 その減価償却費相当分で借入返済をしていくなら可能なのかなと。それで、先ほど減価償却について お尋ねしたので、国と独法との関係でいえば最終的に違いはないように思います。 ○祖父江委員  国立大学法人と、これと、あまり変わらないでしょう。 ○和田委員  ええ。 ○永井部会長  そんなことはない。実際に起こったことは、借入金の返済がどんどん増えていく状況の中で、独法 化直前の収入の2%ずつ、毎年削減されていったわけです。借入金返済額と交付金削減額が一緒に増え ていくとか一緒に減っていくのなら、問題はないわけです。返すお金が増えていく状況の中で6.5%ず つ減っていくというのは、ものすごく厳しいわけです。それで、経営効率改善とか意識改革をやって いくわけですが、今回、そのシナリオが本当に出てくるのか。そこを認識しないと、意識改革や経営 改善などできません。日本全体としてどういう仕掛けになっているのかが、この表では見えませんね。 ○祖父江委員  いま永井先生がおっしゃったように、我々国立大学法人は、ものすごく必死の意識改革をやったの です。ですが、このやり方だと、最初からチャラになるという印象が強いので、そういう感覚が芽生 えるかどうかということですよね。 ○永井部会長  そうしないと、これは発展も成長もないと思うのです。 ○医政局政策医療課長  私どもがどこまで説明できるかということがあるのですが、いまのお話でいうと、やはりそういう 過去の経験があってのことだと思うのですが、運営費交付金に頼らない経営、借入金債務を出だしの 時点で適正化して、運営費交付金に頼り、運営費交付金が財政状況で左右される、または運営費交付 金が定率でカットされるということで、独立の法人と言っておきながら、かなり経営が制約されると いうことのないように、という議論がありまして、いまお話がありましたが、1つの考え方として整理 をされたのだと私どもは思っています。 ○永井部会長  これは5年分のまとめての予算になっていて、年度ごとが見えないというのが、もう1つの問題なの です。毎年どう変わろうとしているのかというのが、全く見えない。 ○和田委員  この目標の数字は、もう確定していますか。していないですよね。22年度予算の運営費交付金など は、これを単純に5倍した数字が、中期目標期間にとにかく置かれてはいますよね。この数字は、今後 折衝して決まっていくものなのですか。 ○医政局政策医療課長補佐  下のほうの「運営費交付金の算定ルール」というところに「調整中」と書かせていただいています が、ここの部分が関係省庁との調整が必要になってきます。簡単に申し上げますと、先ほど永井先生 が言われたように、効率化係数の問題などの整理をこれからしていくという形になりますので、それ を踏まえて、運営費交付金については改めて計算をしなければならないということです。 ○和田委員  この予算そのもの、中期計画書の予算が、まだ動くのですよね。 ○医政局政策医療課長補佐  はい。 ○和田委員  そうすると、もしかすると運営費交付金の算定ルールの中で、ほかの独法が、あるいは国立大学法 人がやられたように、一般の運営費交付金については、年1%ずつとか、1.5%削減ということも、な いわけではない。先の見えぬことですから、わからないでしょうが。 ○医政局政策医療課長  むしろ、かなり確実に、その点は強い要請がありまして、現在調整中ということです。 ○永井部会長  そのシナリオがいちばん大事なのだと思うのです。独法化していかに改善していくかという、その 負担がどう変わるかということをバネにして頑張っていただきたいというのが、我々の要望です。そ れが見えないと、現状と同じでいいのかと思われてもいけない。どのぐらいこれから厳しくなるのか、 その上でどうするか、という1つの文脈ができてくるのだと思うのです。 ○医政局政策医療課長  そういう意味におきましては、ご指摘いただいているような財政当局その他との調整が済んでから ご提示できればよかったのですが、時間の関係で、並行的にご審議いただくという関係になってしま いましたので、その点に関しては、事務局としても誠に申し訳ないと思っています。 ○永井部会長  まだまだいろいろな変化があり得るわけですね。そんなフラットではないだろうと私は思うのです が。総額がたとえ決まっていたにしても。 ○医政局政策医療課長  ただ、これはあくまでもいまの私どもの立場ですが、それでは運営費交付金がいまどこに当てられ ているのか、その運営費交付金が当てられている対象経費を政府部内として調整したものとしては、1 つは運営経費、それから研究所の経費、人を育成する経費というのがありまして、それぞれ財政当局 と折衝しながら今年の予算を編成した経緯があります。すべてに一律に削減がかかるということです と、例えば研究部門がどんどん削減される。その分外部資金を持ってくればいいではないか、という ことも言われますが、今日十分ご議論いただきましたように、例えば日本人のエビデンスを収集して いこうという地道なデータをとっていくものというのは、なかなか外部資金とか民間からの委託費と いうわけにはいきませんので、一律なカットでは、この研究開発法人としてのナショナルセンターの 役割が十分発揮できなくなる恐れがある。ただ、それでは一般管理経費的なところについてはどうな のか。そういう議論をいまやっているということで、今日の時点ではご理解いただきたいと思います。 ○内山委員  現在の論文数がどのぐらいで、5%というのはどの程度のものなのかが、少し気になっています。 ○永井部会長  具体的な計画を、より明確に書いていただきたいということになりますね。何をしようとしている のか。 ○三好委員  そこから話がずれるかもしれないのですが、20頁目の行程表の業務運営体制に、私は背景を全然知 らないのですが、「副院長複数制の導入」というのがあって、これはガバナンスの意味からいうと、 どちらでもとれるような感じなのですが、役割については、この中で位置づけて明確化すると書いて あるのです。普通、計画だと、こういう機能、ガバナンスが必要だから副院長制にする、だから何人 要る、というのが計画かなと思うのですが、ここの背景の意図が全く理解できなかったのですが。 ○医政局政策医療課長補佐  副院長の複数制の導入に関しては、副院長の役割をどうするか。一般的には院長を助けるという形 の部分もあるのですが、そのほかに、例えば経営部分をやるとか、看護の担当をするとか、医療安全 をやるとか、そういう特命事項を明確にして院内での位置づけを明確にするという観点で、複数制の 導入をしていくという形を考えています。 ○三好委員  必要がない場合というのはあるのですか。牽制の意味で必ず1人は付けるよとか、それはわかるので すが、必要性がなければ付ける必要はないわけで。 ○医政局政策医療課長補佐  そうですね。特命事項として。 ○三好委員  特命事項と書いてしまうと、何のことかわからなくなるのですが、それぞれセンターによって違う のでしょうが、そこは具体的に書いてもいいような気がするのですが。もう1点は、人事制度のところ です。24頁の「人事システムの最適化」で「業績評価制度を導入する」。これは、これから導入する、 まだできていないということですね。 ○医政局政策医療課長補佐  独法になってからの業績評価もきちんと作るという形もありますし、いま国自体でもやっている部 分もありますが、基本的には、独法化に向けて、独立行政法人としての業績評価をきちんとしていく という形のものを導入していくということです。 ○三好委員  中期計画があって、年度計画があって、それがそれぞれにブレイクダウンされて、それが業績評価 になるものだから、これはもう一連のものなので、もうすでにできているのか、できていないのか、 ちょっと気になったものですから。 ○永井部会長  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いまの議論でいろいろなご意見が出ました。この あとの扱いですが、事務局と私のほうで少し取りまとめて整理させていただくということで、ご一任 していただけますでしょうか。もしよろしければ、そのような形で進めますので、よろしくお願いし ます。ありがとうございます。議事は以上ですので、事務局から今後の予定等をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、今後の予定についてご連絡します。次回の高度専門医療研究部会は、3月4日(木)の10 時からです。専用第21会議室ですので、よろしくお願いします。審議案件については、業務方法書、 長期借入金計画および償還計画の案について予定しています。 ○永井部会長  それでは、本日の部会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)