2010/02/25 第3回 化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会)議事録 第3回 有害性評価小検討会                 日時  平成22年2月25日(木)                     14:00〜                 場所  経済産業省別館10階共用1031会議室 (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部             化学物質対策課化学物質評価室 井上 〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2             TEL 03-5253-1111(内線5518)             FAX 03-3502-1598 ○長山室長補佐 本日は大変お忙しい中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。ただ いまより第3回有害性評価小検討会を開催いたします。本日は全委員の出席となっております。議事進 行につきまして、大前先生にお願いいたします。 ○大前座長 皆さまこんにちは、お忙しいところをどうもありがとうございます。今日は第3回の有害 性評価小検討会になります。お手元の議題にありますように、今日のメインは議事の「有害性評価書、 評価値の検討」でして、今日は積み残しも含めて6つ物質を用意してございます。できるところまでと いう形でやりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。最初に事務局から配布資料の 確認をお願いいたします。 ○長山室長補佐 配布資料と議事次第の確認ですが、いちばん上に議事次第を付けさせていただきま した。本日は議事として「有害性評価書、評価値の検討」、こちらについて、合計6物質を用意させて いただいています。裏に配布資料一覧が付いています。資料1として「有害性評価書(6物質)」とい うことで、それぞれ有害性総合評価表と、有害性評価書がセットになって、6物質分が付いています。  次に資料2として、「平成21年度リスク評価対象物質に係る有害性評価関係資料」ということで、 ホッチキス止めしたもので表になっているものがあります。1番目としては、評価値の候補で、網掛け になっている部分は、第1回、第2回でご議論をいただきまして、評価値が設定されたものになってい ます。本日はまだ網掛けされていない6物質をやっていきたいと思っています。次の頁が許容濃度、発 がん性の考え方について、ACGIHの理由などを整理した表になっています。資料3として1枚もので有 害性評価小検討会の今後の予定を1枚付けさせていただいています。  次に参考資料の1番として、前回第2回で改訂版を議論していただき固まりました、「リスク評価の 手法(改訂版)」を付けさせていただいています。参考2と3は机上配布のみなのですが、参考2とし て「各物質の提案理由書」として、ACGIHとか、産衛学会とかで理由書のあったもの3物質について付 けさせていただいております。  最後に参考3として、「1,2-ジブロモエタンの参考資料」ということで、こちらも机上配布のみと させていただいています。クリップ止めにしていまして、3つ入っていますが、いちばん上の「参考3、 1,2-ジブロモエタンの参考資料」と書いてあるものですが、1,2-ジブロモエタンは昨年度有害性の 評価書は作っていますが、昨年の第9回、最終回のときに、その検討会において配布させていただいた 資料をもう一度付けさせていただいています。  次にインターネットなどで海外の関係機関の頁から該当した部分を抜き出した資料を2番目に付けさ せていただいています。最後にNIOSHの1,2-ジブロモエタンの提案理由書の抜粋版を最後に付けさせ ていただいています。資料は以上です。 ○大前座長 皆様おそろいでしょうか。よろしいでしょうか。それでは早速本日の議事に入りたいと 思います。まず事務局から酢酸ビニルにつきまして、ご説明をお願いいたします。 ○長山室長補佐 資料1の「酢酸ビニル」です。前回の第2回におきまして、二次評価値は設定いたし ましたが、一次評価値について再検討をするということで終わっております酢酸ビニルについて説明 いたします。  有害性総合評価表をご覧いただきますと、ポイントとなったのは、この物質について発がん性につ いて閾値ありとみなすか、閾値なしとみなすかというところで、そこの部分で議論がされました。そ の中で前回議論にあったのは、生殖細胞変異原性の試験結果などを見ても、変異原性に関してはなし とは言えなそうだと。これについては閾値なしで見ておいたほうが無難かと思うということがありま した。あと有害性総合評価表の2枚目に、参考として閾値がない場合、ユニットリスクについての情報 なし、と上のほうに書いてありますが、前回ここで閾値がない場合のときにはこちらを使いますので、 もう一度ユニットリスクがあるかないか、もう一度調べたほうがいいのではないかということで、前 回は議論がされております。  今回ですが、改めてユニットリスクの有無を調べたところ、やはりユニットリスクについてはなか った、ということでした。前回少し混乱しましたが、2頁めの中段ぐらいから参考の下で、「なお、酢 酸ビニルは体内で速やかにアセトアルデヒドと酢酸に代謝して」との記載があって、ここから下は酢 酸ビニルではなくて全部アセトアルデヒドの話であると。だから閾値なしとか、ここに書いているユ ニットリスクはアセトアルデヒドのものですということで、ちょっと話がありましたので、酢酸ビニ ル単体で見たときには、閾値がないとした場合には、ユニットリスクなしという形になるかというこ とで、その場合はユニットリスクが見当たらない場合、評価値は設定なしとなっていくと思われます が、そのような形でよろしいかということを、ご議論いただければと思います。  ○大前座長 ありがとうございました。酢酸ビニルは代謝されてアセトアルデヒドになってしまうと いうことで、その速度が非常に速いということで、この評価表の2頁の参考のところからアセトアルデ ヒドのユニットリスクと、それに基づいた評価値が出ていますが、やはり酢酸ビニルそのものについ ては、残念ながら評価値が見当たらないということでした。したがっていままでのルールでいきます と、一次評価値はなしということでいままでやってきているわけですが、今回はアセトアルデヒドに 代謝があるということはある程度は分かっているわけですが、この物質に関しては第一次評価値なし ということでよろしいですか。それとアセトアルデヒドの評価値を持ってくるのも話としてはおかし な話。逆にこれを言い出しますと、代謝物を全部引っ張り出してきてやらなくてはいけないというこ とにもなりかねませんので、そういう意味ではいままでの物質、あるいはこれからの物質もそうかも しれませんが、なかなか整合性がとれないということで、一次評価値なしということでよろしいです か。では、この物質につきましてはそういう形で終わりたいと思います。  前回から別の問題が残っていました、1,2-ジブロモエタンにつきまして、事務局からよろしくお願 いいたします。 ○長山室長補佐 いまの酢酸ビニルの件で、そういった形で閾値のほうはなしとなりましたので、あ とで事務局で修正いたしますが、総合評価表は閾値の有無のところはなしの形で、あと閾値がある場 合のNOAELの計算式を「参考」にして、いま「参考」になっている「閾値がない場合、ユニットリスク については情報なし。」、こちらは「参考」の文言を取る形で所要の修正をしたいと思っています。 ○大前座長 よろしくお願いいたします。 ○長山室長補佐 次に「1,2-ジブロモエタン」について説明します。こちらについては先ほど申し上 げたとおり、昨年度のリスク評価検討会におきまして、有害性評価書を作成して、報告書としてとり まとめを行っているものです。ただし、1点、二次評価値について検討中ということでペンディングと されておりまして、この物質については今年度、初期リスク評価を行う必要があることから、それに 当たって二次評価値を設定する必要があるということで、今回ご検討をいただきたい物質です。  資料1の中に有害性評価書No.38、1,2-ジブロモエタンがございます。1頁目、物理的性状ですが、 名称1,2-ジブロモエタン、EDBまたは二臭化エチレン、エチレンジブロミドと呼ばれているものです。 物理的化学的性状としては、常温であると無色の液体で融点が10度という形なので、常温であれば液 体の形になっているものです。  (3)生産・輸入、使用量、用途の部分ですが、製造・輸入量としては1,000〜10,000トンぐらいの形 で使われています。用途としてはガソリンのアンチノック剤、土壌および農作物の殺菌剤の形で報告 されているものです。  2番の有害性評価に移ります。発がん性については、IARCが2A、閾値の有無の判断としては閾値は なしということで、ほとんどのin vitroと、あと多種のin vivoの試験において変異原性が確認され ているということで、閾値なしということです。ユニットリスクを用いたリスクレベルの算出という ことで、IRISのユニットリスクを用いて、労働補正を行って、一次評価値は昨年度に決めたという状 況になっています。  2頁目、(2)の発がん性以外の有害性です。こちらの物質、急性毒性はあり。皮膚腐食性、刺激性も あり。眼に対する重篤な損傷性等もあり。皮膚感作性あり、生殖・発生毒性もあり。反復投与毒性も ありという形で、かなりいろいろと有害性をもっている物質になっています。  (3)の許容濃度等のところですが、こちらの物質については調べたところ、ACGIHのTLVとか、あと 産衛学会の許容濃度、こちらが設定されていないということで、昨年も検討という形で終わっている ものです。ドイツのMAKのほうも設定なし。前回の議論としては、イギリスのWELにおいて、0.5ppm が設定されているという情報がありました。ただ、イギリスのWELの0.5ppmにつきまして、提案理由 書が見当たっていないということで、昨年度については終わっている状況です。  ほかの文献を見ましても、あとOSHAとかNIOSHのほうでも濃度が設定されているようなことを書い てある文献もあるということで、改めてその辺を少し海外のデータなども整理した上で、もう一度議 論をしましょうということで、昨年度は終わっているものです。  参考1、総合評価表、3頁です。こちらは1,2-ジブロモエタンについて、まずアの急性毒性につい てです。急性毒性でヒトへの影響ということで中段の辺りにありますが、貯蔵タンクの清掃において、 平均気中濃度28ppmの吸入で30分および45分後の死亡といった報告がなされております。経皮吸収の 報告もなされています。イの刺激性から、4頁のウの皮膚感作性、この辺りについてもありの報告がな されています。  エの反復投与毒性ですが、評価レベル-1と2と2つ掲げています。1番のほうが吸入のほうのもので すが、吸入についてもありという報告がなされている。次の評価レベル-2のラットへの経口投与につ いてもありということで、有意な結果が得られていったという報告がなされている物質になっていま す。  オですが、生殖・発生毒性についてです。1988年の論文ですが、森林作業者について調査した論文 がありまして、ここで生殖能影響の研究がなされています。その中で気中の1,2-ジブロモエタン6週 間の時間加重平均濃度、0.46mg/m3、ppmに直すと0.06ppmになりますが、こちらの濃度において影響 があった。経皮吸収が顕著であり、あとそのばく露群では精子運動率や精液量が有意に減少したとい う報告がなされています。  カの遺伝毒性ですが、こちらについてもありという報告になっています。5頁に、in vitroでもほと んどの試験で陽性、in vivoについても、一部に陰性はあるものの、多くのもので陽性を示すというこ とでありという形となっています。  キの発がん性です。IARCが2A。閾値のほうは変異原性がほとんどのもので確認されているというこ とで、閾値なしということでユニットリスクから一次評価値のほうは定めたところとなっています。  いちばん下の許容濃度の設定ですが、ACGIHはTWAとして、数値は割り当てないという形で書かれて います。経皮吸収がありといった注意の勧告をするという状態となっています。日本産業衛生学会に ついては未設定。ドイツでも未設定で経皮吸収の注意書きがあるという状況となっています。 こうい った中で、その後事務局でいろいろ調べましたので、本日は机上配布のみとさせていただいています が、それについて参考資料3で説明させていただきます。  前回の資料としてはWELは、提案理由書が見つからなくて、あとその類似物質として1番目にあると おり、ブロモエタン(臭化エチル)の提案理由書はありまして、ACGIHの提案理由書ということで、こ ちらブロモエタンについてはTWA、5ppmというものが設定されているということ。  (2)の1-ブロモプロパンは類似物質として、こちらについては同じくTWAで10ppmが勧告されている ものがありました。(3)と(4)は有害性総合評価表にもありました反復毒性の吸入試験と経口試験の試 験結果の元の論文となっています。  (5)の30頁目からが森林作業者の生殖能影響調査の結果が付いています。30頁目をご覧いただきた いのですが、こちらは1988年の論文となっています。その中でいろいろ影響があったというこの論文 の中で30頁目の下のほう、INTRODUCTIONのいちばん下の行から右側に移るこの辺りに、いろいろと海 外の濃度設定について書かれています。前回も下から5行目辺りから、OSHAで20ppmから0.1ppmに8 時間TWAを減らすような話もあるとか。あと(3)として、NIOSHで0.045ppm、8時間TWA。あと天井値が 0.13ppmというものがrecommendationされているとかいったことが記載されていまして、では、こち らのほうも調べてみましょうということになりました。こちらの論文が25年前ぐらいの報告だという ことで、この数値がまだ生きているのかどうか分からないので、その辺を調べてみましょうというこ とで、前回は終わっています。  参考資料の2番目に付けました、海外の機関のホームページを印刷させていただいた資料に移りたい と思います。こちらは全部で17頁ほどありますが、まず最初に付けましたのが、OSHAのホームページ から取ってきたものです。アメリカのOSHA(労働安全衛生庁)が規定する関係の資料となっています。 特に濃度関係で書かれているのは、2頁目の下のほうにEXPOSURE LIMITSということで書いていまして、 そこにOSHAとNIOSHの関係が両方書かれています。ここにおきましてOSHAのPEL(permissible exposure limits)、許容ばく露限界、こちらのほうでいま現在20ppmの8時間TWAと、あと天井値は 30ppmということで書かれているものがありましたので、特に0.1ppmというものはその後変更はされ ず、20ppmのままでいまも計算されています。こちらはPELで、アメリカの労働安全衛生庁が規定する 許容濃度で、物質の健康影響のみでなく、行政的な考慮も加えた規制値です。  次のNIOSHについて、REL(勧告ばく露限界)が書かれています。こちらのほうはTWAとして 0.045ppmと、あと15分の天井値として0.13ppmということが書かれているものとなっています。  11頁目にOSHAの濃度のテーブルが書いてありますが、上から8番目にEthylene dibromideという 形で、1970年と書いてあって、先ほどの8時間TWAは20ppm、あと天井値30ppmということが書かれて いる状況です。  12頁目、こちらNIOSHのホームページから取ってきたものになります。この表の中で上から4番目 辺りにありますが、ここにまたばく露限界が書いてありまして、同じようにNIOSHとOSHAが書いてあ って、同じような数値が載せられています。  あと、NIOSHのほうが、文献を調べたところ、1977年に提案理由書を出されていまして、3番目に付 けている資料は後で説明をしますが、そちらにおいては、0.13ppmの天井値だけそのときは書かれてい まして、タイミングは正確には判明できなかったのですが、その後に0.045ppmのTWAが設定されたよ うに思われます。  13頁目から同じくNIOSHの関係で、1985年の報告があります。こちらについてはいろいろな物質ご とにサマリーが付いていまして、14頁目の下のほうの3番目にEDBが付けられています。  パラグラフとしては2番目、いちばん下の固まりになりますが、1977年にNIOSHとしてドキュメン トを発行しましたということで、そのときは天井値0.13ppm、こちらのほうを発行しましたということ で書いてあります。あとOSHAのPELが20ppmとなっています。  15頁目のいちばん上になりますが、1984年にOSHAの結果を踏まえて、NIOSHとしてもこのPELを8 時間TWAを0.045ppmに下げることがいいのではないかと、いまの天井値を合わせてTWAの0.045がよ いのではということが書かれております。  16頁目、こちらはイギリスのHSE、安全衛生庁のホームページから引っ張ってきたものですが、2007 年の向こうのプレゼンテーションの資料の中から抜粋したものになっています。  17頁の表にあるとおり、上から4番目、Ethylene dibromideということで、3.9/m3(0.5ppm)という ことです。最初1ppmで提案されて、1993年に0.5ppmに設定を変更されたということが書かれていま したが、提案理由書は見当たらなかった状況になっています。  次も机上配布のみの資料になっていますが、参考3の3番目の資料としてNIOSHの提案の理由書の抜 粋版が付けられています。こちらのポイントだけ説明いたしますが、こちらができたのが1977年です。 最初の辺りは目次とかが付いています。1番のRECOMMENDATIONSのところの章の2頁目になります。右 下の所にsection1として、ここで濃度の話が出てきています。ここの中で先ほど申し上げたとおりの 0.13ppm、15分天井値が書かれています。  143頁目になります。こちらでDEVELOPMENT OF STANDARDということで、各種、以前のstandardに ついて、いろいろと記述がなされています。ここでACGIHとかいろいろなところで決められた濃度がい ろいろ書かれています。158頁目の真ん中少し上ぐらいのところから、いまのTWAの20ppmよりは低く する必要があるとNIOSHは考えるとか。少なくとも生涯の摂取とか取り込みを十分におさえる必要があ るとかいうことで、下のほうにありますとおり、NIOSHとして15分間で天井値0.13ppmに下げるとい うようなことが158頁から159頁目辺りにかけて書かれています。以上駆け足ですが、そういったこと で、いまある中ではACGIHもなく、産衛学会もないということになっています。  前回議論をしていただきました濃度の決め方です。リスク評価手法の改訂版にもありますとおり、 そういったACGIHとか産衛学会の許容濃度がない場合には、海外のRELとか、ドイツのものとか、イギ リスのものとかいった海外の機関において職業環境に関する濃度基準が定められている場合は、そう いった最新の知見を考慮していずれかの値を用いる形で書かれていますので、この手順で考えるとい ま候補としてあるのがOSHAのTWAでいうと20ppmと、あとイギリスのWELの0.5ppmと、あとNIOSHの 0.045ppmと、この3種類がいまのところ海外の機関で見当たった基準となっております。以上でござ います。 ○大前座長 ありがとうございました。最後にありましたように日本、ドイツ、ACGIHがなければその 次の段階でOSHAとか英国とかの数字をとなっているわけですが、その数字がOSHAが20、NIOSHが 0.045、HSEが0.5と、すごく大きなバラツキがある。したがってこの3つのうちどれかを取るとした ら、どれを取るべきかということを、皆さんに今日ご意見をいただきたいと思います。ご意見をいた だくときの数字の根拠が先ほどの評価表のところなどに、反復投与毒性のところの計算された評価レ ベル、あるいは生殖・発生のところもそうですが、評価レベルとか、これが一応数字としては計算さ れていますが、このような数値、あるいはその論文そのものの質といいますか、そういうものも含め てご意見をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。  単純に反復投与でいきますと、吸入ばく露の場合ですと、評価レベルが2.2×10-1と、0.2ですか、 これが評価レベルになっておりまます。経口の場合ですとその下で0.31になっています。それから生 殖・発生毒性を取ろうということになると、その下のオの6×10-3ppmということなので、0.0006です か、そのような非常に小さな数字になるということでこざいます。この物質の難しいところは皮膚吸 収があるので、林業労働者のばく露の場合に皮膚からの量の把握ができないというのは、このデータ 解釈をするのが難しいところであると思います。  これも一般論ですが、屋外で仕事をする場合は、たぶん屋内で仕事をするよりも測定すると外気の 影響等で低めに出る可能性があるということで、そういうところもこのヒトのデータ、ヒトの生殖・ 毒性といいますか、生殖・毒性に対する影響の評価を難しくしている。Nもたかだか10しかいないと か、このヒトのデータを採用するかどうかというところは、なかなか判断が難しいところだと思いま す。  このNIOSHの0.045の根拠に関しては、まだよく分からないわけですね。先ほど突然0.045が出てき て。15頁に出ていますが、その0.13が出ているのが1977年のNIOSHの分で、先ほどMMWRからもって きておられるのが1985年ですか。8年くらいの差があるので、その間で最初0.13という天井値しかな かったのが、TWAが0.045というのが出てきたということで、そこのところの推移がよく分からないの が現状なのです。 OSHAは2006年のいちばん新しい評価でも相変わらず20を使っているということで、 OSHAの場合は先ほどの林業労働者の数字は採用していないということになろうかと思いますけれども。 ○清水委員 いままで皮膚吸収が非常に強いもので、何かこういうような、似たような物質はあった のでしょうか。  ○大前座長 たぶんいままで議論したことがないと思うので、なかったのではないかと思います。よ くあるのは新しいのを使うか、数字の小さいのを使うかという議論はよくやるわけですが、それが林 業労働者のデータを使ったNIOSHの0.045と、OSHAはこれを採用しないで20という、このギャップが ずいぶん大きいものですから、単純に新しいか小さいだけでは、なかなか言いきれないなというとこ ろはあるのです。いまの情報としてはこのぐらいの情報しかない。HSEは先ほど言いました0.5でその 中間なのですが、これもその提案理由がないということなので、これも根拠はよく分からない。 ○池田委員 いちばん低い数値を採用したときに、大きな問題があるとすると、どういう問題がある のか私も分からないのですが、要するに安全性の問題でみれば低いほうがいいのでしょうが、根拠が ないのでは困るということになるわけですね。 ○大前座長 この物質は土壌の殺菌剤で、これはまだ使われていますか。これは使用量がどこかに書 いてありましたよね。生産量があるのだ。2004年ですが、103から104と。これはこの物質ではなくて、 αとオメガのジブロモアルカンという形で入っているので、この物質かどうかはちょっと分からない というところがあるのですが、これは土壌殺菌剤として使われているかどうかということは、情報と して得ることは可能ですか。農水省辺り。 ○島田化学物質評価室長 可能でございます。最近までは使われておりました。 ○大前座長 そうすると、そういう場所あるいはこれを作る工場ではばく露のチャンスはあるという ことですね。 ○池田委員 結構高いのかどうか、そこが問題ですね。 ○清水委員 ガソリンなどは添加剤としてどのぐらい入っているのですか。これだとかなり、ガソリ ンスタンドでの作業者がばく露する可能性は高いのではないでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 通常の土壌殺菌剤の場合は、土壌の上にビニールをかけまして、その下に EDBを注入して揮発させるものです。したがって、その間は基本的には作業者が触れないような状況 を作っています。 ○池田委員 定量的な数値は私も分かりませんが、低い濃度でも長い間ばく露すると、結構危険な化 合物のような気がするのですよね。だから低くしてもいいのかなと思っていたのですが、その低い数 値が実際作業をするときに、全くとんでもない数字だということになるかどうかというところが気に なったのです。いまちらっとお話を聞いた感じでは、現実にはそんなに高いところにばく露される状 況はなさそうだというお話のようですので、低くしても大丈夫ではないか。そのほうが安全側に立っ ているような気はするのです。だから、それがクリティカルかどうかというだけの問題です。そうす ると、森林作業者の数値を採用するべきかどうかということですね。 ○大前座長 これは燻蒸剤としても使えますかね。燻蒸剤としては特には、ここは土壌殺菌ですから、 先ほど室長が言われたような扱い方だと思うのです。燻蒸ですと、結構燻蒸作業というのは、ヒトが ばく露するチャンスはありますよね。これはOSHAの20というのは、何らかの根拠。 ○長山室長補佐 これも、見当たらないのです。 ○大前座長 これはないないづくしで困ったものですね。いかがいたしましょうか。いまの中でまだ はっきりしていないところは、1つは用途のところでどうかということ。2つ目がいまこれを使ってい るかどうかということ。3つ目がNIOSHの何もなかったところから0.045が出てくるまでに8年間くら いの間があるので、ひょっとしたらその辺を探すことができれば、情報が出てくるかもしれないとい うところ。  この委員会はもう1回3月31日にありまして、それが最終なのでそこでは決めなくてはいけないわ けですが、そういう意味ではもう1回チャンスがないことはないということです。池田委員がおっしゃ ったように、いま3つ出ている数字でいちばん低い数字0.045を取ってもいいのではないかというのも 見解だと思うのですが、20と0.045の間にはすごい差があるので、これはちょっと。 ○清水委員 OSHAの20ppmというのは、有害性総合評価表の急性毒性のヒトへの影響の4行目に28ppm の吸入で30分から45分後に死亡例があります。20ppmというのはリスクが高いと思われます。 ○大前座長 これ見るとそうですよね。OSHAはceilingを30にしているのですよね、天井値を。だか らいま清水先生がおっしゃった28ppmというのを見ると、何でceilingを30にしたのだろうなという のもあるし。 ○長山室長補佐 あとジブロモエタンでモデルMSDSのほうを見ましたら、用途のほうでは燻蒸剤とい うのも書かれていましたので。 ○大前座長 燻蒸作業をやっていると、結構ばく露するチャンスはあるかもしれませんね。毎日やる わけではないと思うので、ならしてしまえばあるかもしれませんが。そうしましたらちょっと20はま ずいだろうというところは、皆さん合意ということでよろしいですか。そうしますとHSEの0.5かある いはNIOSHの0.045かということになりますが、いずれにしてもその根拠となる提案理由の文書はない わけなので、より安全側に立って0.045ということに、とりあえず今日はしましょうか。  それで先ほど言いましたように、もしその8年間の間で何らかの提案理由が出てくれば、それは非常 にありがたい。もう1つは用途が現在でも使っているのかどうかということも、はっきり分かればあり がたい。皮膚吸収もどれぐらいのスピードで吸収するのか。非常に吸収しやすいものなのか、あるい は大したことないものなのかということが分かれば非常にありがたい。 ○池田委員 0.045の実際測定されたときに、サンプリングが相当希釈されているような状況で、おこ なわれているようなことが分かれば、その数値は少し信用できないということになるのですが、その 論文を詳しく読んで、どういうことなのか分れば。それが分からなかったらやむを得ないということ なのですが。 ○大前座長 そういうことで非常に不確実数がやたらたくさんある物質ですが、とりあえず、いまあ る情報の中でもし判断をするとしたら、0.045という判断がいいのではないかということですが、よろ しいでしょうか。  それプラス先ほど言いました情報をもし次の会までに集めていただければ、それを見てひょっとし たらそこで変わるかもしれないという、ペンディングみたいな状態ですが、そういう形でよろしいで すか。 ○長山室長補佐 はい、事務局でその7年間のあたりを少しまた調べて。 ○大前座長 よろしくお願いします。こういう難しい物質は初めてなのでちょっと困りますが、こう いう物質もこれから出てくるかもしれません。どうもありがとうございました。この物質に関しまし ては、そういう形でお願いしたいと思います。  残り4物質については、2つの物質は一次評価値、二次評価値が一応あるものなので、まず最初に一 次評価値があるものからやっていただきたいと思います。5番と6番が一次評価値、二次評価値がある 物質です。ものでいいますとジアゾメタンとジメチルカルバモイル=クロイド、この2つは両方の評価 値がありますので、こちらから先によろしくお願いします。 ○長山室長補佐 資料1の5番目についています「ジアゾメタン」から説明したいと思います。まず評 価書、3頁目になります。ジアゾメタン、別名アジメチレン、ジアジリンという形でなっています。物 理的化学的性状としては、黄色の気体ということで扱われているものです。いちばん下にありますと おり、生産量とか使用量、用途、この辺りは報告なし。用途として実験室でのメチル化剤という形で 書かれているものになります。  1頁目の総合評価表に戻ります。アの急性毒性については、動物についての報告はあります。あと刺 激性、感作性とか、反復投与毒性、生殖・発生、遺伝毒性、この辺りについては、その他は報告なし というものになっています。  キの発がん性のところについても、おそらく発ガン性があるという形になっています。こちらにつ いては閾値の情報はない。  6頁目、評価書のほうで上から3番目に、キの発がん性ということで書いてありまして、調査した範 囲内では報告は得られていない。あと発がんの定量的リスク評価ということで、ジアゾメタンについ てユニットリスクに関する報告はないということで書かれています。  総合評価表の1頁目に戻りますが、許容濃度の設定ということで、ACGIHでTWA0.2ppmと書かれてい ます。こちらの物質は毒性ホスゲンと同等のように見られたということで、そういった気道への刺激 性とか、それに関連する毒性といったものが0.2ppmという設定がなされているものになります。  そういうことから、こちらについてまず一次評価値のほうですが、発がん性で特に報告や、閾値の 情報とかもなく、またユニットリスクに関する情報もないということから、一次評価値としては、評 価値なしという形で設定して、あと二次評価値としてはACGIHのほうがありますので、こちらの 0.2ppmでTWAのほうを二次評価値として設定してはどうかという形で、候補値として挙げさせていた だいているものです。 ○大前座長 ありがとうございます。すみません、間違いました、下2つは一次評価値ではなくて、二 次評価値のあるもの、3、4は両方ともないものという整理でした。ジアゾメタン、ご覧になって分か りますように、非常に情報が少ない。これぐらいの情報しかない物質でして、ACGIHの提案理由もジア ゾメタンの毒性はホスゲンと同等と見られるという、この物質そのものによる毒性ではなくて、ホス ゲン類似ということで、なぜ類似なのかもよく分からないのですが、ホスゲン同等のレベルだという ことで、0.2という数字を、しかも1965年ですから非常に古い数字ではありますが、これを使ってや っているということです。いかがでしょうか。 ○池田委員 これは実際工業的には使うのですか。実験室でしか使わないのかと思いましたが、そう ではないのですね。 ○大前座長 たぶん工業的な用途はあまり出てこないので、相当反応性は強そうですね。 ○池田委員 私も学生時代は使ったことがありますが、ガスですので怖くてドラフトの中でやっても 遠巻きにして見るようなものなので。だから、相当厳しく設定しても外へ漏れるような使い方はしな いと思うのです。設定値として何らかの数値があれば、最低でもそれを守る努力はすると思います。 明らかに事情を知っている人ならば、恐くて仕方がない化合物です。 ○大前座長 では、この話はこれでよろしいですか。一次評価値はないと。一次評価値はACGIHの 0.25(「0.2」の間違いかと思います。)を採用すると。残念ながら、情報は十分ありませんが、十分 ない中でもこの数字がありましたので、この数字を使いましょうということでよろしいですか。  ありがとうございました。それでは、ジアゾメタンはそういうことに取り扱いたいと思います。次、 よろしくお願いします。 ○長山室長補佐 次は、順番としては6番目につけていた、ジメチルカルバモイル=クロリドについて 説明します。同様に、3頁目の評価書のほうからまいります。別名、略してDMCCと書かれます。こち らについては、2番の、物理的化学的性状ですが、無色、淡い黄色で、不快な刺激臭の液体で、常温で 液体として取り扱われることが多いようです。  3番の、生産・輸入量/使用量/用途という所です。生産・輸入とか、このあたりの報告はなく、用 途としては、医薬、殺虫剤、顔料を製造する中間体、写真層の硬化にも使用できるという形で使われ ているものです。  1枚目の総合評価表のほうに移ります。まず、イの刺激性ということで、皮膚刺激性、腐食性とか、 目に対するものがあるとなっていますが、ウの感作性とか、エの反復投与毒性とか、オの生殖・発生 毒性、このあたりについては報告なしとなっています。カの遺伝毒性の所ですが、遺伝毒性ありとの ことで、in vivoで試験結果陽性と。in vitroでもほとんど陽性ということで、遺伝毒性ありと判断し た形になっています。  次に、発がん性の部分です。発がんとしてはIARCが2A、閾値はなし、変異原性が認められたという ことです。閾値なしの場合という形で進みますが、ユニットリスクに関する情報もないものになって います。  2頁目です。許容濃度の設定の所ですが、こちらについてはACGIHのほうで設定されていて、TWAで 0.005ppmということで、こちらも経皮吸収と書かれています。こちらについては、ラットなどを用い たテストを踏まえて、そういった有害性に対する保護として十分な余地をもつことを意図して、かな り十分低い値ということで0.005ppmが勧告されています。ということで、候補値としては、一次評価 値は評価値なしと、二次評価値はACGIHのものを使って0.005ppmでどうかということで出しています。 以上です。 ○大前座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。この物質も、残念ながらユニットリスク の情報がありませんので、一次評価値がなくて、二次評価値がACGIHの0.005ppmです。発がん性は、 多分NTPの実験ではないかと思いますが、2年間の3濃度のばく露実験があって、鼻腔前部あるいは 鼻咽頭部の腫瘍が出ています。その他、1濃度とか、時間が短いものもあります。そういうことで、2A でしょう。場所が上気道、鼻腔だけですので、刺激の反復によるかもしれません。 ○池田委員 0.005ppmというのは、絶対値としても結構低い数値だと思います。だから、安全性は十 分担保された数値だと思います。同じガスでも、ジアゾメタンなども相当に可能性が高いと思います が、これは0.2ppmで通って、こちらのほうが0.005ppmですから、十分に配慮されている数値ではない かと思います。 ○大前座長 よろしいですか。一次評価値はなし、二次評価値はACGIHの0.005ppmですね。ありがと うございました。  次は、一次評価値も二次評価値も見つからないという物質です。よろしくお願いします。 ○長山室長補佐 それでは、資料1の3番目に出ていた、「アルファ、アルファージクロロトルエン」 から説明します。3頁から、有害性評価書のほうから説明したいと思います。こちらの物質は、別名で 塩化ベンザルとか、いろいろな呼び名で呼ばれているものでして、物理的化学的性状としては、刺激 臭のある無色の液体で、通常は液体として使われるものになっています。生産・輸入量/使用量の関 係ですが、生産・輸入の報告なしと、用途としては、工業関係で使われるとなっています。  1枚目、総合評価表のほうに移ります。まず、アの急性毒性ですが、こちらについては急性抑制の報 告ありということで、マウスラットのほうで報告がなされています。また、イの刺激性/腐食性でも 報告があるとされています。ウの感作性、エの反復投与毒性、オの生殖・発生毒性、こちらについて は報告なし、または、評価できる試験はなかったとなっています。カの遺伝毒性としては、判断でき ないと書いてありまして、陽性の結果もありますが、報告数が少なくて判断できないとされています。  次に、キの発がん性の所ですが、おそらく発がん性があると。2頁目に移ります。IARCが2Aとなっ ていまして、先ほどの、遺伝毒性としては判断できないということで、閾値のほうも判断できないと されています。  最後の許容濃度の設定の所ですが、こちらの物質はACGIHも産衛学会も設定されていないものになっ ています。あと、ドイツのほうで、皮膚吸収ということでなされている状況になっています。  以上のことから、まず、一次評価値のほうですが、こちらのほうは閾値の部分で判断できないこと から、評価値としては設定できず、評価値なしとなります。ただ、二次評価値のほうですが、この2つ のACGIH、日本産衛学会における濃度の設定がありません。前回の決め方に従いますと、次の手順とし て、海外の濃度を少し見ていくことになります。いま現在、ドイツのこれで、他はないとなっていま す。事務局のほうで、海外の濃度とか、海外の濃度基準に関する証拠を集めたりとか、それがなけれ ば類似物質の情報を集めるなど、再度調査して、またご検討いただく形になるかと考えています。以 上です。 ○大前座長 参考資料1の、「リスク評価の手法(改訂版)」が皆さんのお手元にあります。これの5 頁、7行目のイに「二次評価」がありまして、(ア)のi、許容濃度又はTLVが設定されている場合は、 これを使うと。それから、i以外の場合、REL、MAK等が定められていれば、最新の知見を考慮してい ずれかの値を使うと。もしそれもなければ、一般環境に関するものがあれば、またそれを使う等とあ りまして、(ア)のiはないので、iiの所でもう少し探してみて、もしあれば、次回にまたそれを提 案するという話です。  したがって、一次評価値はなく、二次評価値は、今日の段階ではまだないという状況で、他のとこ ろで精査されて出てくれば、またそれが二次評価値になります。一次評価値、二次評価値はそういう 形ですが、中身はいかがでしょうか。先ほどの、変異原性に関しては2つの陽性の試験がありますが、 in vitroだけの試験、しかも最近の試験だけでは十分ではないから、これだけで判断できないという ご説明でした。 ○池田委員 キの所で、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と書いてあるのですが、何らかの 根拠があって書いてあるというか、文献にはそういう結論の根拠が何かあるのですよね。 ○長山室長補佐 評価表の1頁目の下から2頁目につながっていまして、根拠としてIARCとか、産衛 学会の2Aという、この分類の所につながっています。 ○大前座長 評価書の5頁に、キの発がん性という所がありまして、ここに発がん実験がいくつかあっ て、これを基にIARCが2Aと。したがって、ヒトに対して発がん性があるだろうという判断になってい ます。ただし、ユニットリスクの情報はないので、一次評価値は決められない。これは経皮ばく露の 実験しかないようなので、労働現場で使えるかどうかわかりませんが、定性的には発がんがある。 ○池田委員 化学構造から類推しても、反応性があると考えられますから、あって当たり前という感 じがするのですが。 ○大前座長 中間体ということはあまり出てこないのですか。これは染料か何かを作るときの中間体 ですか。いずれにしても、今日の段階では、一次評価値、二次評価値もなしということでよろしいで すね。他の国のことも少し精査していただきまして、それがあれば、次回にでも提案していただくと いうことにしたいと思います。どうもありがとうございました。それではもう1件、ウレタンをよろし くお願いします。 ○長山室長補佐 次に、「ウレタン」にまいります。3頁目の評価書のほうからです。こちらのウレタ ンについてですが、別名としてカルバミン酸エチル、こちらのほうの扱いで、ウレタンとしています。 物理的化学的性状としては、無臭、無色の結晶またはペレットとか、粉末状という形で、固体の状態 で扱われています。生産・輸入や使用とかは、生産・輸入は報告なしで、化学系のほうで扱われるも のとなっています。  1枚目の総合評価表に戻ります。イの刺激性、エの反復投与毒性、オの生殖・発生毒性、このあたり について報告ありとなっています。感作性については判断できないという結果になっています。  2頁目、カの遺伝毒性の所です。遺伝毒性としては、ありということです。根拠としては、in vitro に加え、in vivoの試験でも陽性であることから、遺伝毒性を有すると考えられるということで、あり とされています。キの発がん性の部分ですが、発がん性としてはIARCが2Aという形で分類されていて、 おそらく発がん性があるとなっています。閾値の有無ですが、閾値はなしで、変異原性が確認されて いて、閾値なしとなっています。閾値なしの場合ですが、こちらの物質については、California EPA のほうでユニットリスクが設定されていまして、こちらについて労働補正を行いました。いちばん下 にあるとおり、1.7μg/m3、こちらがユニットリスクから労働補正して求められた値という形になって います。最後の許容濃度の設定ですが、こちらについてもACGIHと産衛学会は設定なしとなっています。  以上のことから、候補としては、一次評価値については発がん性で、閾値なしということで、ユニ ットリスクから労働補正して求めた1.7μg/m3を一次評価値としての候補と。二次評価値については先 ほどと同様に、また、海外の機関とか、そのあたりを調べて、それでも見つからなければ、類似物質 とか、先ほどの順番を追って、いずれかで設定していくという形で、資料等を集めて、今回検討中で どうかということで作っています。以上でございます。 ○大前座長 ポリウレタンというのは別物です。ウレタン樹脂とは全然別物です。ウレタンというと、 私の頭の中はいつもポリウレタンが浮かぶのですが、それとはまったく別物です。California EPAの ユニットリスクは使うことになっていたのですか。 ○細田(中災防) ある場合には使うことになっています。 ○大前座長 わかりました。いかがでしょうか。発がん性は、相当たくさんの実験があって陽性、そ れから遺伝毒性も、in vivo、in vitroともほとんど陽性所見で、IARCが2Aです。このメカニズムを 考えると、評価書の11頁のキの発がん性ですが、「ヒトとげっ歯類におけるウレタンの代謝活性化機 構が非常に類似している」ので、どうもヒトでも、ある可能性は結構高いのではないかと。メカニズ ムの面からも十分ヒトであり得ると。幸いヒトでの情報はないのですが。  これは多分、本当に情報があれば、ヒトでも発がん性は証明されているのではないですか。報告が まとまっていないので、情報がないということですが、誰かが気がついて集めていれば、多分、昔で すが、当時も出ていたのでしょうね。元々は抗がん剤だから、発がん性があってもおかしくないです。 この薬に関して、いまのCalifornia EPAの値がありましたので、これを用いて、一次評価値が1.7μ g/m3、それから、二次評価値に関しては、先ほどありましたように、ACGIH、日本産衛学会がないので、 その他の所を少し精査してみて、あればそれを提案していただく、なければなしとなります。  先生方、よろしいですか。 ○西川委員 結論はいいと思います。多分誤植だと思いますが、総合評価表のエの所、反復投与毒性 です。「NOAEL」と書いてあるのですが、根拠に最低用量1mg/kgにおいても毒性が認められていて、そ の下に、「LOAELからNOAELへの変換」と書いてありますので、最初の所は「LOAEL」ではないかと思 います。そうしないと根拠とは合わないです。いかがでしょうか。 ○細田(中災防) だから、いちばん上が「LOAEL」ですね。 ○大前座長 そうですね。大きな間違いですね。その他、よろしいですか。それでは、どうもありが とうございました。そうしたら、今日予定していた6物質が終了しました。先ほど、まだ少し宿題が、 1,2-ジブロモエタンと、それから、二次評価値のない物質については少し精査していただいて、もし 両方が見つかれば、次回の委員会でまた出していただいて、二次評価値を決める、あるいは変えると いう作業も残ることになります。  これで終わりたいと思います。その他、事務局のほうから何かありますか。 ○長山室長補佐 あと、今後の予定です。資料3として、有害性評価小検討会の今後の予定です。次回 は3月31日ですが、これは前から言っているとおり、ばく露評価の小検討会との合同開催です。リス ク評価小検討会としては第1回というカウントになりますが、初めての合同検討会となります。こちら でいろいろ定めた評価値と、あと、ばく露評価小検討会で実態調査等いろいろやっていますので、そ この値とつき合わせていく形になっていき、今後、報告書のほうなども議論していただこうと考えて います。以上でございます。 ○大前座長 それでは、今度は3月31日、年度末ですが、予定のほうはよろしくお願いいたします。 では、今日は検討会をありがとうございました。終わりたいと思います。