10/02/19 独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会(第1回) 議事録 独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会(第1回) 開催日時:平成22年2月19日(金) 10:00〜12:24 開催場所:富国生命ビル中会議室 出席者 :永井部会長、猿田部会長代理、内山委員、祖父江委員、夏目委員、本田委員、三好委員、 和田委員 ○政策評価官  定刻になりましたので、ただ今から第1回厚生労働省独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会 を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありが とうございます。この部会は、昨年7月29日に開催されました第23回独立行政法人評価委員会総会に おいて設置されました新しい部会です。平成22年4月設立予定の国立がん研究センター、国立循環器 病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究 センター、国立長寿医療研究センターの6法人が所属する部会となります。  本日は第1回の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長をご選出いただきますが、その間、 政策評価官の私、塚崎が議事を進行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  議事の説明の前に、1点ご報告いたします。参考資料1-1をご覧ください。昨年12月16日に開催さ れました独立行政法人評価委員会総会において、評価委員会をより開かれたものにするということで、 議事を原則公開することにいたしました。原則公開でありますが、厚生労働省独立行政法人評価委員 会の運営規程第4条第1項の規定にありますとおり、公平かつ中立な審議に影響を及ぼすおそれがある と認めるときは、委員会にお諮りしまして、全部または一部を非公開にすることができることとして おり、この規定は部会にも準用されますので、必要に応じて非公開にすることも可能です。  また、会議資料については、公表すると個人情報の保護や法人の適正な業務運営に支障を及ぼすも のもございますので、それらにつきましては、参考資料1-2の会議の公開に関する規程第2条に列記す る形で非公開とすることとしております。本日につきましては、報道各社の方々と一般の方々、合わ せて28名傍聴される予定となっております。  それでは委員の皆様方をご紹介いたします。皆様には昨年辞令を郵送いたしましたが、厚生労働省 独立行政法人評価委員会委員又は臨時委員として、平成21年6月30日付けで厚生労働大臣の任命が発 令されているところです。  また、昨年7月29日に開かれました委員会総会において、皆様方の高度専門医療研究部会への分属 が正式に決定しております。五十音順にご紹介いたします。お手元の資料1の上から、内山聖委員、猿 田享男委員、祖父江元委員、永井良三委員、夏目誠委員。花井十伍委員は本日ご欠席と承っておりま す。本田麻由美委員、三好敏昭委員、和田義博委員の方々です。  それでは議事に入ります。まず、議事(1)「部会長及び部会長代理の選出について」です。最初に部 会長のご選出をお願いいたします。選出の手続きはお手元の資料2-1をご覧ください。厚生労働省独立 行政法人評価委員会令の第5条第3項において「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選に より選任する」こととされています。したがいまして、委員の皆様方からご推薦をいただけますでし ょうか。 ○内山委員  学識と経験が非常に豊富であり、また、この分野で幅広い見識をお持ちで、そして前期まで国立病 院部会の部会長代理を務めておられました永井委員が適任と思いまして、推薦いたしたいと思います。 (異議なし) ○政策評価官  どうもありがとうございます。それでは永井委員に部会長をお願いしたいと思います。以降の議事 進行については永井委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 (永井委員は部会長席に移動) ○永井部会長  それではご指名ですので、部会長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は、先ほどご紹介がありました評価委 員会令の第5条第5項において「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長 があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされております。したがいまして、私のほうか ら指名させていただきますが、医療関係全般に造詣が深く、本委員会の委員長代理及び国立病院部会 の部会長をお務めでいらっしゃいます猿田委員に、本部会の部会長代理をお願いしたいと思いますが いかがでしょうか。 (異議なし) ○永井部会長  それでは猿田先生よろしくお願いいたします。 (猿田委員は部会長代理席に移動) ○永井部会長  早速、議事に入ります。議事(2)「高度専門医療研究部会の役割と当面のスケジュールについて」事 務局からご説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  ご説明いたします。資料2-2をご覧ください。「高度専門医療研究部会の役割」として、<業務開始 時>の1つ目の○の「業務方法書の認可」です。独立行政法人は業務開始の際に業務方法書を作成し、 または変更し、主務大臣の認可を受けることとなっております。主務大臣がこの認可をしようとする ときには予め評価委員会の意見を聴かなければならないとなっております。  2つ目の○の「中期目標の策定」、主務大臣は3から5年の期間、多くの例では5年となっておりま すが、独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、これを法人に指示するということに なっており、主務大臣がこの目標を定め、またそれを変更するときには、予め評価委員会の意見を聴 かなければならないとなっております。  3つ目の○で「中期計画の認可」、これは独立行政法人は、先ほど説明しました大臣が定める中期目 標の指示を受けたときに、これに基づいて中期計画を作成、または変更する際に主務大臣の認可を受 けるという手続きがあります。主務大臣がこの認可をしようとするときには予めこの評価委員会の意 見を聴かなければならないとなっております。  4つ目の○の「長期借入金の認可」は、国立高度専門医療研究センターにおいて、施設整備あるいは 医療機器の整備等が必要になるということもありますので、この整備に必要な費用に充てるため、厚 生労働大臣の認可を受けて、長期借入金、または債券の発行等を行うことができることとなっており ます。この際に、厚生労働大臣がこの認可をしようとするときには予め評価委員会の意見を聴かなけ ればならないとなっております。これについては長期借入金及び債券の償還計画の認可を受けるとい うこともありますが、そのときも同様の手続きとなります。以上が法人の業務開始前にこの部会で審 議していただく事項となっております。ご審議していただき、意見を出していただくという形になり ます。  それから<毎事業年度終了時(H23年7月以降)>とありますが、このような手続きを終えて、法人 が発足し、毎事業年度、法人として活動し、年度が明け、その6月末に大臣に対して事業実績の報告と いうものが上がってきますので、この報告に基づいて各事業年度の実績の評価をこの部会でお願いす るということになります。併せまして、このときに財務諸表というものが出てまいりますが、この財 務諸表について大臣が承認するという手続きがありますので、その承認の際に評価委員会で審議して いただき、意見を出していただくという手続きになります。  それから<中期目標終了時>の手続きですが、中期目標期間は多くの場合が5年間となっております が、この目標期間が終わりますと終了時には、先ほどの毎年度評価していただくというものとは別に、 評価期間分、5年であれば5年分の実績の評価をお願いして、中期目標の終了時にはさらに組織と業務 全般にわたり検討するという形になっておりまして、その際にもこの部会で審議していただき、意見 の提出をいただきます。  この中期目標期間が終わった場合、それと組織業務全般にわたる検討の際には、この部会で審議し ていただいた後に、厚生労働省独立行政法人評価委員会の総会のほうでも審議していただくという手 続きになります。  その他の例としまして、例えば短期借入に係る認可、法人の財産処分等の認可に際してのご意見を いただくということもありますので、よろしくお願いします。  2頁は、この部会の当面のスケジュールとなっております。本日は第1回ですが、このあと起草委員 の分担について了承していただきまして、それから国立高度専門医療研究センターの概要、中期目標 (案)について所管課より説明をしていただき、ご審議いただきたいと思います。  第2回は中期計画(案)について審議をお願いします。第3回は業務方法書(案)、長期借入金計画 (案)と償還計画(案)について審議をお願いします。予備日につきまして3日取らせていただいてお りますが、この予備日については、第3回までの審議がまとまらなかった場合等に備えて設定しており ます。以上です。 ○永井部会長  ただいまのご説明にご質問、ご意見はありますでしょうか。4月以降のスケジュールはどんな感じで しょうか。 ○政策評価官室長補佐  4月以降は、来年の今ごろ評価に入る前になります。1年事業していただいたあとこの、目標とかを 立てていただいたものについて、どういうふうな視点で評価をしていただくか、評価の視点というも のを所管課で考えていただき、この部会で審議をしていただくということになります。その後、6月に 出てきた実績報告書を見ていただきます。途中で情勢も変わるということもありますので、業務方法 書なり中期目標を変えようかというような話もあれば、それと先程例として挙げました財産処分なり、 そういうものがあれば、随時お集まりいただくような形になるかと思います。 ○永井部会長  よろしいでしょうか。それでは次の議題に移ります。起草委員の分担について、事務局よりご説明 をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料3をご覧ください。各法人の評価書案を作成いただく起草委員につきましては、各委員のご専門 を踏まえ、担当案をこちらで作成しております。ご紹介いたします。  国立がん研究センターにつきましては猿田部会長代理、国立循環器病研究センターにつきましては 永井部会長、国立精神・神経医療研究センターにつきましては祖父江委員、国立国際医療研究センタ ーにつきましては兼任となりますが永井部会長、国立成育医療研究センターにつきましては内山委員、 国立長寿医療研究センターにつきましても兼任となりますが祖父江委員、財務諸表等会計に関する意 見担当を和田委員、という形でご確認とご了解をいただければと思います。よろしくお願いします。 ○永井部会長   いかがでしょうか。このような起草担当案ということでご了承いただけますでしょうか。 (了承) ○永井部会長  それでは、そのようにさせていただきます。続いて議事(4)「国立高度専門医療研究センターの概要 について」、所管課からご説明をお願いします。 ○医政局政策医療課長  この国立高度専門医療センターを担当しております医政局政策医療課長の武田でございます。どう ぞよろしくお願いいたします。  お手元の資料4-1、4-2で概要についてご説明いたします。資料4-1をご覧ください。まず1頁目は、 国立病院・国立療養所の歴史です。やや時代背景もありまして、いちばん上が終戦後から始まってお りますけれども、厚生労働省がいま所管をしております国立病院・国立療養所につきましては、戦後、 旧厚生省が旧陸海軍病院と傷痍軍人療養所などの移管を受けて発足をしたという経緯です。旧陸海軍 の廃止に伴い、所管替えをして、そこを出発点といたしまして、その後の我が国の医療ニーズに応じ て変遷を辿ってきたということです。当初、戦後の混乱期にありましては、絶対的な医療施設不足と いう中で役割を果たし、さらにその当時は結核対策という意味で非常に大きな役割を果たしたという ことですが、その後昭和30年代については、疾病構造の変化に対応し、がん、高血圧、心臓病、障害 施策の拡充といったことを図ってまいりましたが、その中でも右の点線の中にありますように、昭和 36年度に国民の大きな関心事といいますか、重要疾病であるがんについての国立がんセンターが発足 をいたしました。これが本日議題になっております国立高度専門医療センターの第1号です。  その後、昭和52年には国立循環器病センター、昭和61年は国立精神・神経センターというように順 次、高度専門医療センターを整備してまいりまして、私どもはこれを通称、ナショナルセンター (NC)という言い方をしておりますが、現在6センター8病院となっております。  一方、その他の国立病院・療養所につきましては、再編統合、経営移譲という大きな課題を抱えな がら推移をしてきたところであります。その下に「国病機構独法化」とあるように、平成16年度にな り新たにできました独立行政法人制度の中で、特にこの国立病院は独立採算制とし、国の会計から切 り離してやることによって、むしろ効率的な運営ができるのではないかということで、国立病院機構 が発足をいたします。旧厚生省がもっておりました国立病院・療養所のうち、このナショナルセンタ ーと、ハンセン病療養所を除いたものがすべて独立行政法人化されております。  経緯で申しますと、なぜ、今日の議題の「ナショナルセンター」が独立行政法人に移行しなかった かということですが、このナショナルセンターについて、大きな特徴としては、病院だけではなくて、 それぞれ研究所をもっておりまして、研究部門と臨床部門が一体となって高度先駆的医療、研究を担 うということですので、かなり国の一般会計からの支援がなければ運営が困難であるということで、 それ以外の病院のみが独法化されたわけです。ちなみにこの国立病院機構は国家公務員型の独立行政 法人としてスタートをいたしました。  その後、いちばん下の欄に「NC独法化」と書いてありますが、行政改革の流れの中で、1つは特別会 計を極力廃止、統合すべきだということがありまして、一方で国家公務員の削減というテーマもあり ましたので、この国立高度専門医療センターにつきまして、独立行政法人に移行するという決定がな されたところです。  平成16年の時点では独法化せずということで一旦判断があった中で、なぜ22年度からこの6センタ ーを独法化するのかという議論がございますけれども、これは平成16年度から先行スタートしました 国立病院機構において、病院経営という意味ではかなり経営効率、経営改善がなされたという実態も 踏まえて、このようなことになっていると承知しております。  もう1つの特徴ですが、国立病院機構は現在145病院、これが1つの独立行政法人、1法人となって おりますが、ナショナルセンターについてはそれぞれの特殊性が非常に強いということで、センター ごとに法人化するということで、6つの法人ができるということになっております。本日は後ほど中期 目標(案)を見ていただきますが、この点につきましては、6つそれぞれの目標を立てるわけですが、 ある程度横の整合性を取って進める必要があると私どもは考えております。  続いて2頁は「国立高度専門医療センターの概要」です。それぞれ目的とする疾病分野があります。 高度先駆的医療の研究・開発・普及、医療従事者の研修及び情報発信等を総合的・一体的に行うとい うことで、それぞれ運営局、病院、研究所を設置しているところに特徴があります。先ほど歴史のと ころで見ていただきましたように、設立順にご紹介をするのが通例となっておりますので、この資料 もそうなっております。  まず、国立がんセンターは2病院あります。定員は1,342名、病床数は中央が600床、東が425床と いうことで、がん対策の中核的機関としての機能を担っています。  2つ目が国立循環器病センターです。これは大阪の吹田市にありまして、昭和52年創設で定員1,010 名、640床、循環器病という名前が表しますように、脳卒中、心臓病等の循環器病の中核的機関となっ ております。  3つ目が国立精神・精神センターです。昭和61年に設立をされ、東京都小平市ですが、定員616名、 病床数890床、精神・神経疾患の中核的機関です。精神という分野と神経という分野の両方を統合的に 行っているという非常に世界的にも珍しい組織になっております。  次の3頁に移りまして、国立国際医療センターです。ここは戸山病院、国府台病院の2病院になりま す。国立看護大学校も付いており、国際医療協力局という局があることも特徴となっておりまして、 国際貢献の中核的機関としての役割が期待されており、特に感染症等、国際的な調査研究がメインで あります。  次の国立成育医療センターは平成14年創設です。東京都世田谷区にありまして、定員751名、病床 数460床、成育医療の中核的機関としての役割が期待されております。  いちばん新しいのが国立長寿医療センターです。愛知県大府市にありまして、定員434名、病床数 300床、加齢に伴って生じる疾患・その他に関するものが中核的な役割とし期待されております。  いま定員を見ていただきましたが、その内訳が次の4頁です。職員数につきまして、医師・看護師・ 医療技術職員・事務職・研究・その他ということで、6センターについてそれぞれの内訳を示してあり ます。先ほどの概要のところではいちばん右の欄の合計の数字だけ出ていましたが、その内訳となり ます。ちなみに医師数で言いますと、例えば、がんセンター239名となっておりますが、これはあくま で定員としての職員数ということですので、このほか、それぞれのセンターにレジデントという形で 別途、医師が勤務しながら研修をしてるということです。  5頁です。「NC」はナショナルセンターの略称で、職員の採用・異動についての状況を書いてありま す。これもそれぞれ職種ごとに採用方法、人事交流が異なっておりますので、ご参照いただければと 思います。特に看護師、事務職についてはもともと国立病院として発足をした経緯もありまして、ナ ショナルセンター、国立病院機構、ハンセン病療養所の3者の人事交流も現在実施されております。先 ほど申しませんでしたが、国立病院機構が独法化され、今度6センター8病院が独法化されますと、国 に残るのはハンセン病療養所が13カ所です。これが国立直営として残るという形になっております。  6頁は国立高度専門医療センターの全体的な予算ですが、この特別会計は今年の3月31日をもって 廃止をする予定となっています。おおざっぱな言い方をいたしますと、歳入のところの一般会計繰入 が463億円、29.9%となっておりますように、収入の約3割が一般会計繰入金ということですので、独 立行政法人となりましても一定額の運営費交付金としての国の支出がなければ、なかなか経営は直ぐ には独立運営はできないような状況です。したがいまして、22年度予算におきましても運営費交付金 を計上しているところであり、特に研究所、臨床研究の部分、またその人材育成の部分といったとこ ろに運営交付金を充て、病院については経営改善を求めていくのが基本的な姿ではないかと考えてい るところです。  7頁以降は各センターごとに特徴、設置目的などを整理したもので、詳しくは重複しますのでご説明 はいたしませんが、例えば「国立がんセンター」のところで見ていただきますと、右側に2つ病院の写 真が付いておりまして、上のほうが築地の中央病院、下のほうが柏の東病院の全景です。右下の写真 は、がんにつきましては入院から外来化学療法の流れもありますので、外来での化学療法の写真を載 せております。また、がんセンター東病院では陽子線治療などの先進的医療も行っているところです が、こういう先駆的な医療に取り組むのがひとつの役割であります。一方、がんにつきましてはまだ まだ研究しなければいけない分野がありますので、研究部門というのも非常に大きな役割を担ってお ります。  8頁は「国立循環器病センター」です。右上に全景の写真が付いておりますけれども、特徴のところ の、年間3,000件の重症循環器病救急搬送を受け入れ、ということで6センターの中でも救急受入れの 件数が非常に多くなっておりますし、心臓移植の48例のうち22例を実施するとか、脳梗塞に対する超 急性期血栓溶解療法を積極的に実施をしているなど、最新・最善の医療の提供特徴があります。  9頁は「国立精神・神経センター」です。東京都小平市で、現在建替え中ですので完成予想図の絵が 付いております。特徴として、精神・神経外来患者は1日平均400名以上、特に筋ジストロフィー、パ ーキンソン病、難治性てんかんなど、大変特徴的な研究・治療の実施を行っております。  10頁は「国立国際医療センター」です。ここは国際的に調査研究が必要な疾病、特に感染症、肝炎、 糖尿病といったところを重点としてやっており、特にエイズ外来患者につきましては月平均約1,000名 ということで我が国の中核的な役割を果たしていただいております。また、国際医療協力ということ で途上国への専門家派遣、研修生を我が国に受け入れるといった点、感染症対策として、新型インフ ルエンザ、鳥インフルエンザの関係の研究への取組みなどを実施しているところです。  11頁は「国立成育医療センター」です。こちらは成育医療ということで、小児、産婦人科、母性、 父性といったところに取り組んでおります。年間1,600件以上の分娩、6,300件の小児手術など、いま 特に充実強化が必要だと言われている分野を担当しております。  12頁は「国立長寿医療センター」です。高齢者疾患の包括的・全人的医療の提供ということで、や やほかのセンターと趣が異なりますが、例えば在宅医療モデルの開発ですとか、全国の認知症サポー ト医という全国の医師に対する研修を実施したりするなど、特徴的な取組みを担っているところです。  続きまして資料4-2を併せて見ていただきたいと思います。いま概要を申し上げましたナショナルセ ンターが今後どういうことを期待されていくのかということです。1頁が独立行政法人制度の概要で、 説明は省略をいたしますが、2頁目は個別法としての独立行政法人法です。がんセンター、循環器病セ ンターなどの今のセンター名が、がん研究センター、循環器病研究センターというように、名前にそ れぞれ「研究」の2文字が入っております。右の「業務等」のところに下線を付しておりますが、それ ぞれの疾患について、医療の調査、研究及び技術の開発、これらの業務に密接に関連する医療の提供 ということで、名前のところも業務のところも、この臨床部門を持ち研究所も併せ持つという特徴を 活かして、まずその調査研究が主な業務であるという位置づけがされております。  3頁は「現状と非特定独立行政法人との主な相違点」です。これも時間の関係で詳しくはご説明はし ませんが、基本的には理事長に対して大きな裁量権が与えられ、業務運営の責任の所在を明確化する ということですので、国立病院機構の経験も踏まえて、効果的、効率的な運営が期待されております。  4頁を飛ばしまして、次の5頁です。この6つのナショナルセンターが独立行政法人化されることに 決まったときに、それでは今後どういうふうにこのセンターを考えていったらいいのかということで、 有識者会議を設けております。そこで出された報告の概要が付いておりますが、右上のところで、今 後の医療政策におけるナショナルセンターの役割としては大きく3つあるだろうと。1つは「臨床研究 の推進」です。2つ目が「医療の均てん化等の推進」ということで、「均てん化」という言葉は必ずし も一般にはなじみがないかもしれませんけれども、あくまでもセンターが引っ張るとしても、センタ ーのもっている情報、研究開発の成果を全国に伝えていく役割を担うのではないかと。そういう意味 で言えば人材を育成して、その人材が例えばがんセンターの中にとどまるのではなく、全国のがん拠 点病院に中核的な者として散らばっていくということも含めて、医療の均てん化ということではない かということです。それから3つ目に「政策医療の総合的かつ戦略的な展開」として、政策医療に対す る提言者の役割も期待できるのではないかと。こういう提言がなされておりまして、これを踏まえて この法律が出され、いま独法化に向けての作業をしているところであります。  6頁はそれを踏まえて、私どもとして、この独法化にどういうことを期待するかということで大きく 箱が4つあります。独法化に伴って優秀な人材の獲得ができるであろう、それから外部資金の活用も拡 大できるのではないか、研究成果の実用化の推進もしやすくなるのではないか、臨床研究・高度医療 への柔軟・迅速な対応も取組みが柔軟にできるようになってくるのではないかということですので、 私どもも中期目標について、こういった独法化のメリットを活かすような形でのものを考えたという ことであります。  最後の7頁は繰り返しになりますが、以上のお話したことを総合いたしまして、目指すべき方向、主 な課題ということで整理をしたものです。特に財政基盤につきましては昨年の暮れに予算折衝の中で いろいろ努力をしたところでありますが、本日の議題に即して言いますと、IIのところとIIIのところ で適切な運営のための努力を今後私どもとしても積み重ねていかなければならないと思っております。 よろしくお願いいたします。 ○永井部会長  ご質問、ご意見をお願いします。基本的なことですが、国家公務員総定員法は適用除外になると、 労働基準法は適用されると、そういう理解でよろしいですね。 ○医政局政策医療課長  はい。申し遅れましたが、国立病院機構は実は国家公務員型の独法として発足をし、現在に至って います。国立高度専門医療研究センターは、非公務員型の独法として発足をさせることになっていま す。非公務員型ですので、いまご指摘がありましたように国家公務員の総定員法は外れますし、労働 関係の法律も全面的に適用されるということです。 ○夏目委員  質問ですが、今回、それぞれ6つの独立行政法人として独立するということで、ただ国立高度専門医 療研究センターという名称は、何か横串を、連絡会とか、調整の委員会とか、独立行政法人を横串に 通す委員会とか研究会とか、何かそういうことをイメージして研究センターという全体を総称する名 称を与えているのか、国立高度専門医療研究センターという全体を総称する名称は、わかりやすく、6 つをそれぞれ1つずつ言うのは大変だからこういう総称を作ったのか。そこら辺は、あくまでも6つは それぞれ独法として独立で、全部運営をしていくということで、6つ全体をまとめる機関とか、まとめ る委員会とか、連絡会とか、そういうものはイメージしていないという理解でよろしいですか。 ○医政局政策医療課長  本日、国立高度専門医療研究センターと名前を付けて説明をしていますが、いままでは国立高度専 門医療センターと言っており、これは研究の2文字が付いているのですが、国会に提出された法案が 「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」ということで、1本の法律で6つの 独法をつくったという形になっているので、そういう意味においては一まとまり、1つの概念が付いて いるということです。ただ、いまご指摘のありました、それでは横串を刺すような組織というか委員 会とかは想定されているのかということですが、いまのところそういった組織、委員会は想定をされ ていません。ただ、政策提言機能というところを言われているので、どういう場で政策提言を我々本 省として受け止めるかは、今後の検討課題として残されています。 ○夏目委員  はい、わかりました。 ○祖父江委員  いまご説明いただいて大体理解しましたが、1つ、今後の中期目標を考えていく上で、6センターの 全体の、先ほど政策医療の牽引車という話が出ましたが、大学でも同じ臨床研究をやります。先ほど おっしゃった国立病院機構でも、最近、臨床研究を非常に盛んにやろうとしています。そことの切り 分けというのか、ここの中心課題的なミッションが何かをもう少しご説明いただくといいと思ってい ます。政策提言というか、それは少しあったとは思いますが。 ○医政局政策医療課長  不足があったら補佐に補足してもらいきますが、考え方として、ご指摘のように国立大学、私立大 学と、大学病院があります。ナショナルセンターがあり、国立病院機構の大病院があるわけです。そ れぞれ役割分担があるだろうということですが、政策医療の牽引車といまお話をしましたが、政策医 療とは何かということですが、国として取り組むべき医療が政策医療だと。例えば、がん、心臓病、 先ほど話が少し出ましたがエイズのような国としてやらなければいけないもの、そういう国として行 わなければならない医療があって、そこを目指した研究ですから、臨床ニーズを目指した研究に重点 があるのがこのナショナルセンターだと思います。大学ももちろん同じようなことをやっていますが、 むしろ医学の研究、医学の推進ということで、基礎も踏まえて総合的な研究をやっていらっしゃるの ではないか。  国立病院機構はどちらかというと病院ネットワークですので、大規模臨床試験をやるには非常にふ さわしい場です。したがって、よりこちら側の高度先駆的医療に重点があるとすれば、国立病院機構 ではより大規模スタディーをやるほうが大まかな役割分担に近いのだと思います。ただ、もちろん大 学病院も臨床研究をどんどんおやりになっているし、がんセンターの中でもかなり基礎のところもや っているので、個別に見ていくと重複的なところはあるのだと思いますが、理念的に言うとそういう 区分かと思います。何かありますか。 ○医政局政策医療課長補佐  特に、ありません。 ○猿田部会長代理  確かにいまお話のあった研究で、国立病院機構はジェネラルの臨床研究が大部分です。もう1つ、こ の6つに関しては、もっと専門的になっていると私は思っていたのですが、そういう形でいいのですか ね。あと、大学のほうの研究も、ただ研究しているだけではなくて、少しでも臨床に役立つ、国のい ろいろな経済的なことにも関係する方向に持っていこうという動きにはなってるようですね。 ○医政局政策医療課長  はい。 ○永井部会長  その他、いかがですか。よろしいですか。もしよろしければ、次の議事にまいります。議事(5)です が、「国立高度専門医療研究センターの中期目標(案)について」、審議に先立ち事務局よりご説明 をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  独立行政法人の中期目標について、説明をします。中期目標は厚生労働大臣が策定し、これを法人 に指示することにより、法人が達成すべき業務運営の目標を付与し、法人が中期目標に基づいて中期 計画を作成して業務を遂行するためにあります。また、中期目標期間の終了時に本部会で業務実績の 評価をいただきますが、その際に評価を行うための基準となるものです。なお、中期目標に基づいて 法人が今度定める中期計画(案)については、次回のこの部会でご審議いただく予定になっています。 よろしくお願いします。 ○永井部会長  中期目標(案)について、これは所管課が。 ○医政局政策医療課長  引き続き、政策医療課から中期目標(案)を説明します。最初にお断りを申し上げなければならな いのですが、中期目標については、いま政策評価官室から話がありましたような位置づけですが、法 律的には関係省庁との協議とか、最終的には大臣が決定をするということで、省内外の調整が必ずし も完全に終わっていません。これは実は発足までの間に理事長選考などでかなり時間が制約をされて いるので、いま鋭意やっていますが、省内外の調整が済んだ形としては今日はお示しできていません が、私どものいまの時点の考え方ということでお示しをしているものです。  資料5の一枚紙を見てください。概要を説明します。I「基本的な考え方」にあるように、中期目標 を作るに当たり私どもとしていちばん大事なものと考えたのは、法律の考え方も研究を中心に据えて 今後の運営を考えていくということですので、「研究開発法人として、国内外の産業界、研究機関及 び治験実施医療機関等との連携の推進や、治験等の臨床研究を円滑に実施するための基盤整備等」と いうことで、医療提供と研究ということですが、研究開発法人として特に臨床研究を円滑に実施する のが重大ミッションだというふうに認識をしています。独立行政法人化のメリットを活かすというこ とで「これまでのしがらみにとらわれることなく、センターとしてのミッション」の遂行のためにや っていくべきことを記載していくべきだと、こういう考え方で以下の項目を整理しています。  II「具体的な項目」ですが、1の「前文及びサービスその他の業務の質の向上に関する事項」という ことで、○がいくつか並んでいますが、1つ目の○にあるように、国際水準の成果を継続して生み出し ていくよう、ということで前文に書いています。昨年末にまとめられた「新成長戦略」、こういった 点を十分認識した中期目標ということを考えています。3点目、患者の視点に立った医療の提供、その 倫理性・透明性を持った臨床研究、といったことも記載をしています。4点目、拠点医療機関との連携、 ネットワーク、患者が正しい情報を入手できるような情報提供、こういったことも重要な事項だと思 っています。5点目、具体的な研究成果について、数値目標の設定は非常に大事であるということです ので、それを中期計画において書いてくれということを要請することにしています。6点目、新成長戦 略との関係で言うと、具体的なアウトカムを出すという意味では、革新的な医薬品、医療技術の研究 開発が必要だということで、治験・臨床研究については数値目標を中期目標そのものの中に記載をし てはどうかということです。  2頁、一方、独法化全体に求められている業務の効率化ですが、弾力的な組織再編、特に医療の提供 をやっていると、医薬品・医療材料の購入費が非常に大きなウエイトを占めるので、こういったもの の適正化、また、最も大きな費用項目は給与ですので、給与水準の見直し、未収金対策、こういった ことでの経営改善も要請をすることとしています。独法の調達に関してさまざまな厳しい目が求めら れていることも踏まえ、競争性・透明性の高い契約といったことも要請をすることにしています。財 務内容についてももちろん改善を図る、ということを要請しています。  「その他」ですが、実は「独立行政法人ガバナンス検討チーム」という検討チームが政府内にでき ており、ここで独法制度全体の議論ではありますが、特にナショナルセンターがモデルケースとして 議論をされています。ここでの要請事項があるので、それを中期目標の中に反映をさせることもやっ ています。下から2番目、特に人事に関しては、年功序列を廃し、能力・実績本位の人材登用、こうい ったことを明示し、新しい形の独法制度に対応した組織づくりをお願いしたいと思っています。  以上が共通的事項としての概要で、分厚いほうに6センターのそれぞれの中期目標(案)そのものを 付けています。長くなりますが、具体的説明は課長補佐の前田からします。 ○医政局政策医療課長補佐  課長補佐の前田です。資料については課長から簡単に案内がありましたが、こちらの分厚いほうの 資料ですが、法人は6つで独立行政法人化するので、中期目標も6つあります。いちばん最初に表面に は、国立がん研究センターの中期目標ということで記載をしておりますが、これは6つ入っているので、 13頁から国立循環器病研究センターの中期目標が始まっており、25頁から国立精神・神経医療研究セ ンター、37頁から国立国際医療研究センター、49頁から国立成育医療研究センター、63頁から国立長 寿医療研究センターという6段構成で資料を作成しています。文章としては同じですが、横並び的に参 考として横表を付けたという構成になっており、基本的な要素を先ほど課長から説明申し上げました が、同じ形になっているので、これはまたいつも通例で国立がん研究センターを例示にして恐縮です が、国立がん研究センターで基本構成を改めて説明したいと思っています。  1頁の表紙をご覧いただいて、左手に先ほどの資料5の一枚紙を置きながら見ていただければと思っ ています。構成としては、前文と、中期目標の期間ということで、期間を定めています。そのあとに 「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」という所で、具体的にどう いうアウトカムを期待するかということで記載をしており、一丁目一番地にまさに研究開発で実績を 上げていただきたいということで、研究・開発に関する事項、特に臨床研究について書いているとい う構成になっています。それに付随して当然医療の提供がありますので、医療の提供に関する事項の 記載をして、均てん化に向けて人材育成や情報発信というところの構成をしています。当然、そうい った研究成果に基づいて専門的な視点から政策提言を行うというところがあるので、政策提言に関す る事項を設け、その他我が国の医療政策の推進ということで、公衆衛生上の重大な危機に対すること とか、国際貢献について協力してほしいという構成になっています。  第3、第4が業務運営の効率化に関する所で、個別の業務について効率化をしていただきたいとか、 センター全体の財務状況の改善ということの記載があり、その他の業務運営に関する所で施設・設備 について計画的にということと、人事の最適化ということで人事のことと、その他の事項ということ でガバナンス検討チームから指摘のセンターの独立性に関する運営というところで記載をしています。  (別紙)という形で用意していますが、これは本文には研究について基盤的なところを記載してお り、具体的な中身については別紙として置いている、という構成で中期目標の作成をしているところ です。  具体的な記載ですが、2頁からがんセンターの具体的な目標という形で示しています。センターとし て大きな目標となるところを前文に記載をしていますが、「国の医療政策と一体となって、研究・開 発及び人材育成に関し、国際水準の成果を継続して生み出していかなくてはならない」ということで、 研究開発の人材育成を大きな目標としているところです。  資料の構成ですが、下線部分は本日、特に強調して説明をしたいという所で、囲みの中で下線部で 引いた文言の趣旨ということで構成としています。  3頁に、第1に「中期目標の期間」という所を設けており、これは通例に準じて5年間という形で取 っています。  国民へのサービスに関してですが、研究・開発に関する事項で臨床研究をいちばん最初に記載して おり、こちらは基盤的な話を中心に記載をしたいというところがあるので、まず研究所と病院といっ たセンターの中でしっかり連携をして、研究所の成果を病院の臨床応用にする、あるいは病院で臨床 的に出てきた問題点を研究所に還元する、という形で連携を取って研究をしていただきたい、という ことで「連携強化」という記載を設けています。  さらに、それはセンターの中だけにとどまらず、当然、他施設との共同というところが臨床研究の 推進に重要かと思っているので、そういった国内外の産業界、研究機関、治験実施医療機関等との連 携ということで、これはセンターがハブになって臨床研究を一層推進していただきたいということで 記載をしています。  病院における研究・開発の推進ですが、そういった治験・臨床研究を推進していく場合に、当然、 リスクの高いというところですので、それこそ高い倫理性・透明性をもって着実に推進をしていただ きたい、というところの記載をしています。  医療の提供に関する事項も、まさにこういう高度先駆的な話ばかりで集中してしまうと、ややもす れば患者に対する視点が欠けるのではないかという指摘もあるので、医療の提供に関する事項の最初 に高度先駆的医療の提供という形で大きな目標を置いていますが、それに付随して当然と言いながら 失いがちな患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供をしっかり志してください、ということで 記載をしています。  人材育成に関する事項ということで、人材の育成をしっかりしてくださいであるとか、医療の均て ん化及び情報の収集ということで、従前、国立病院でも145の病院を用いたネットワークがありますが、 がんや循環器といった個別の疾患についても、当然、そういうネットワーク、他施設と組んで研究を 推進する、あるいは情報を発信するということが重要かと思っておりますので、そういったネットワ ークをしっかり組んでいただきたいということを記載しています。  さらに、がんで例示をして恐縮ですが、正確な情報はどこに頼ればいいかわからないという指摘も あるので、そういった情報発信についても着実に推進をしていただきたいということで記載をしてい ます。  5が政策提言に関する事項、6がその他の医療政策の推進等に関する事項ということで、公衆衛生上 の重大な危機や国際貢献をしっかりしてくださいという記載をしています。  6、7頁から業務運営の効率化に関する事項ということで、これは国時代においては組織を弾力的に 動かすことがなかなか難しいということもあり、そういった硬直的な運営ではなくて弾力的な組織再 編や構築を行っていただきたいという話と、効率的な運営ということで、いちばん大きなものは給与 水準ですし、あるいは共同購入等である効率化、医業未収金の防止ということで、そういったところ で無駄な費用をかけないようにということで項目を出しています。電子化の推進も着実に実施してい ただいて、さらに、今般、入札や契約事務に対する指摘がよくあるので、そういったところのコンプ ライアンス体制はしっかり構築をしてください、ということで記載をしています。  第4で財務内容の改善に関する事項ということで、中期目標の期首に対する期末の財務内容の改善を 記載しており、自己収入を増やして、さらに長期固定負債については長期的な視点に立って適正なも のとなるようにしてください、ということで記載をしています。  これだけを見ると財務に対して非常に記載が薄いという感じがしますが、目標は大臣からセンター に対する指示であるので、これは大所を押さえて、それに対する返事としてセンターから大臣に返す という形で中期計画の提出をしていただきますので、その中で予算表、収支計画、資金計画、医療機 器・設備に対する計画を個別に提出していだく形を取るので、目標としては大所で個別・具体的な指 示がないという印象があるかと思いますが、計画と併せてご議論をいただきたいというところです。  その他の業務運営に関する重要事項としては、施設整備に関する事項は計画的な整備ということで 計画に委ねるところが多くありますが、そういった記載にしており、人事の最適化に関する事項は、 大所として年功序列を廃止して、能力・実績本位の人材登用というところが重要かと思っているので、 そういったことを着実にやるために職員の意欲向上であるとか、能力開発をしっかりしてくださいで あるとか、適切な人事評価あるいは人材交流というところをしっかり意識してください、というとこ ろで記載をしています。  8頁に「その他の事項」ということで記載をしていますが、先ほど課長から少し案内がありましたが、 独立行政法人については、独法全体の行く末ということで内閣府でご議論をいただいているところが ありますが、その中で特にナショナルセンターが先行例としての指摘がありましたが、どういったミ ッションを着実に実施していくかというところと、何をやっているかというところを国民に広く周知 するところが重要であろうという指摘がありましたので、ミッションを理解してミッションを実現す るためのアクションプランとして計画をしっかり立てていただきたい、さらにどういったことをやっ ているか、広く国民に説明していただきたいということで書いてあるところと、職員の声を着実に聞 いて、それを反省点というか翌年度の出発点というか、そういったところに着実に生かすというとこ ろがあるので、そういった行く末とか、いまの問題点を把握するために職員の意見というところを非 常に重視してください、というところで記載をしています。  9頁から「重点的な研究・開発の推進」ということで記載をしていますが、「重点的な研究・開発戦 略の考え方」として、がんの基本的な考え方を記載して、数値については計画で作成をしてください、 ということで記載をしています。これは本来こちら側から数値を示すという方法もあるのですが、一 方で研究というところもあるので、自主性というところも大事かと思っているので、計画のほうで各 センターのやりやすいというか、PRをしやすい形で数値を定めてくださいと。何らかの形で数値内容 を設けないと説明が難しいかと思うので、こちら側の要望としては数値を何らかの形で出してくださ いと。あとは、研究の過程の中で出やすいものを数値で、計画でお示しするという形を取りたいと思 っています。  10頁から「具体的な方針」ということで中身を書いていますが、1つは本態解明、実態把握、診断・ 治療の開発、あるいは診断・治療法の中で特にトピックになっているのが「新成長戦略」の中でも指 摘をされていますが、医薬品・医療機器の開発というところがあるので、こういったところ、特に病 院と研究所があるナショナルセンターでは重要な場所かと思っているので、そういったところは診断 ・治療という言葉の中だけではなくて、特出しで記載をしている。さらに、臨床研究の実施件数、治 験についてはその件数というところを着実に伸ばしていただきたいということで数値を設けています。  医療の均てん化に関して、ガイドトラインの作成、教育・研修法の開発、情報発信も単なるあるも のを取り合わせてという形ではないと思うので、医療従事者・患者・国民への啓発というわかりやす い形を検討してください、ということで記載をしています。  以上が国立がん研究センターの中期目標ですが、これと同じ話を、6ナショナルセンターで設けると、 それだけで1時間ぐらい私がしゃべりっ放しという形になってしまうので。この構成は6ナショセンに ついて基本的に同じになっています。そこで、ほかに差がいったいどこにあるのかというところです が、例えば国立国際医療研究センターでありましたら、これはエイズをはじめとする感染症で政策医 療的なところを実施していますが、42頁をお開きください。  例えば、国立国際医療研究センターでしたら、エイズに関して、11年ほど前になりますが、エイズ のクリニカルセンターということで臨床研究開発センターを設け、エイズ医療を着実に実施していた だいていますが、そういったところは国時代から変わらず、独立行政法人化しても着実に実施してい ただきたいというところがあるので、HIVの裁判の和解に基づいて原状回復に向けた医療の取組みでや っていただくとか、エイズに関する診断、治療、研究は着実に実施をしてくださいと特出しで記載を しています。  こういった視点で、例えば、がんでしたら緩和医療をしっかりやってくださいとか、国立精神・神 経医療研究センターでありましたら触法について着実に実施していただきたいとかいうことで、個別 の医療の特出し的なところは記載をしております。  先ほど別紙で「研究の中身」という所で申し上げましたが、研究の中身も基本的な構成は同じにし て、少し特徴を出した記載としている。基本的な数字、事項は似通っており、特に財務や業務の効率 化はほぼ同じであるので、当然、目標の数字も同じ形を取っているというところです。 ○永井部会長  ご質問、ご意見をお願いします。 ○三好委員  基本的な質問なのですが、いま目標の案を議論させていただいていて、これを基に各センターが計 画を作るということなので、中期計画を立てる、という意味から言うと、もう少し具体的なものがな いと、数値目標を設定するにも、何を目指すとか、そのようなところがクリアでないのかなという気 がしました。  私は製薬メーカーで産業界に属している人間ですが、新薬を開発していく上で、臨床研究は非常に 重要なわけです。例えばいまのグローバルに展開している企業ですと、いかに早く新薬を外に出せる かということで、海外を含めて選択していきます。そうすると、早く出すために日本に魅力がなけれ ば、大手の企業はどうしても海外に先にいったりします。そういったところの比較があって、これは ドラッグ・ラグの問題かもしれませんが、どこかが不足していて魅力がない、だから、そこを解消す るために中期目標の中で、こういうセンターを目指す、グローバルな企業が日本から始めましょうと いうような、魅力あるセンターにする、とか、言葉では「世界一の」というのは入っているのですが、 そこはもう少し具体性を入れたほうがはっきりする、数値目標を付けやすいのかなと思います。  目標も、10%と5%で数字があるのですが、どういう意味で、5%、10%なのかというのが、この中 期目標の表現からは、我々企業人からすると、その意味がよく理解できないところがあるので、研究 センターの方はそれですぐに理解されるのかもしれないですが、我々が読むと理解しにくいです。  もう1つは、企業がどうしても海外にいくのは、早期の臨床研究というか、そこでプルーフオブコン セプトをつくっていく優れたセンターがないという事です。企業側もそうなのですが、そこの人材が 非常に不足しているというのは、企業側もセンター側も、同じような認識を持たれているかもしれま せんが、そこの人材育成とか、そこに焦点を当てて早期臨床を入れていただけると、ターゲットがは っきりするという印象を持ちました。 ○夏目委員  いまのご議論に関連するので申し上げます。目標というのは、組織のミッションを実現するために 最も重要なものであって、目標は、いまお話があったような目指すべき方向や内容を、できるだけ具 体的に、明確にしないと、みんなが何を目指したらいいかよくわからないというのではいけないので はないかと思います。  先ほどのご説明では、とりあえず大所を目標にして、具体的な中身は中期計画で書いてもらうのだ ということでしたが、大臣がこのような方向、国がこのような方向で、あなたたちはここまで行きな さい、このぐらいのところは目標として目指しなさいということをまず言って、そこを実現するため の中期計画を、それぞれの機構に作ってもらうという、大きな枠組みは明示しなければいけないので はないかと思います。  目標だから、そう具体的になかなか明確に書けないから、ある面では抽象的な書き方にならざるを 得ないということはわからないわけではないのですが、私は医療の専門的なことはよくわからないの でどうしても経営のことになるのですが、例えば7頁の「財務内容の改善に関する事項」に、いちばん 上のほうは、期首に対して改善を図るということだから、少なくとも改善をしろという意味で若干は 目標になっている気はするのですが、最後の「資産及び負債の管理に関する事項」は、「中・長期的 に適正なものとなるよう努める」とあります。「適正」という言葉は、何をもって適正かといったら、 いまでも適正ではないか、いままでだっていい加減なことはしていないのだから適正だと。適正な水 準を目標にしろということは、何をしたら適正になるのか。「適正」という言葉を入れるのは、こう いう目標に関していいのかどうか。6頁の左側に「共同購入等による医薬品医療材料等購入費用の適正 化」とあります。いまも適正でない購入をしているわけではないと思うのです。ですから、少なくと も目標であれば、「適正」をもう少しブレイクダウンして、例えば資産や負債の管理であれば、固定 負債を中・長期的に機構発足時より縮減に努めること、減少しなさいとか、中身を見ていないのでそ れができるかどうかはわからないのですが、適正ということばをもう少し目標に相応しいような表現 にされたほうが、中期計画を作る指示になるわけですから、いいのではないかと思います。みんな適 正なのだという議論になってしまうと、そこで終わってしまい、目標にもならなくなると思います。 ○猿田部会長代理  いま夏目委員からありましたが、大臣からのしっかりとした方針を示されるということとともに、 先ほどありましたように、各6つの研究センターに対して、理事長にかなり裁量権を与えます。いちば ん大切なのは、中期目標を作るときに理事長がしっかりわかって、通達ができている。理事長と大臣 の連携は大丈夫なのでしょうか。というのは、例えば国立病院機構の場合には、いままで全部国立病 院だったものの、そのいちばんの責任者、例えば矢崎先生がしっかりとまとめられましたが、今度の 場合、国立がん研究センターがありますが、がんの場合の研究というのは、例えば財団法人のがん研 究所が力を持っています。その辺りについて、今後、独立行政法人となって大臣以下、理事長がこう いった中期目標をしっかりわかってやってくれるのでしょうか。その辺りが心配です。 ○祖父江委員  いまの件と同じかもしれませんが、確認も含めてです。中期目標というのは、形としては厚生労働 大臣が一方的に上意下達でやりなさいという、命令書のような感じです。国立大学の場合は、目標は 大学が独自に作って、文科省とやり取りする。ですから、現場と文科省が合意の上で目標を設定する というプロセスがあるのですが、この場合は全く一方的な上意下達でやれと。その中で、中期計画で 具体化しなさいという構図になっていると理解していいですか。  その辺はいまの猿田先生の話と一致するのですが、理事長がもらって、少しここは変えたい、ここ はどうかというような、現場の意見や思いがあるのではないかと思うのですが、そこは全く無視して、 厚生労働大臣が一方的にやると理解していいのですか。 ○医政局政策医療課長  いくつかご意見、ご質問をいただきましたので、私から回答できるものは回答させていただきます。  いちばん最後に祖父江先生からご指摘いただいた点ですが、法律論としましては、確かに大臣から の指示で、これでやりなさいという形なのです。ここのご意見を踏まえてということですが。ただ、 現実的には、研究現場、医療現場がありますので、私どもとしても、その現場の意見を無視しても押 し付けるということではうまくいかないこともあるだろうということで、現場を与る現総長、2月から は理事長予定者が決定しましたので、理事長予定者の方とご相談をしながら、現在の形にしたもので ありますので、そういう意味では、いろいろと意見のやり取りはしております。  逆に、ここは中期計画でしっかりと書いていただいてというもののやり取りがあるので、これぐら いの書き方でもわかってくれているという思い込みがあるかもしれませんので、先ほどありましたが、 これだけ見ると適正が何かわからないというご指摘も、私どもも少し思い込みをしていた部分もある のかなと考えたところです。  ただ、例えばいまご指摘のありました7頁の固定負債の残高ですが、悩ましいものがあります。私ど もも、なるべく、読んでまぎれがないものということで、何パーセント減少させるとか、借金を増や してはいけないということであれば、非常に明らかだと思っているのですが、例えば6センターそれぞ れの事情がありまして、先ほどの写真の欄にもありましたが、すでに病院が建っているもの、いま工 事中でもうすぐ建ち上がるもの、あと数年のうちに建て替えをしなければいけないものが、個別に見 ていくとございます。今後建て替えをしなければならないところにつきましては、その時点で、収益 部門については借入れで整理しろということですので、固定負債は増加してしまいます。したがって、 マクロでキャップをはめるのは、個別に見ると難しい点もあります。  ただ、一方で医療現場からすると、いろいろな高額医療機器がどんどん出てきますので、借入れを どんどんやって、この医療機器、あの医療機器というニーズはありますが、ある程度中期的な収益を 見ながら、中期的な収益で減価償却ができる範囲で設備投資をしなければいけないというのが、我々 の考えの基本です。そこの表現が難しくて、「適正なもの」となってしまっていて、いま先生がご指 摘のように、客観的に見ると非常に不明瞭ではないかというご指摘をいただいてしまっているという ことかとお伺いをしています。その点については、今日のご意見を踏まえて、我々も考えられるとこ ろは考えなければいけないと思います。  最初にお話がありましたが、いまのご指摘の話を踏まえれば、治験のスピードをどのように早くす るのか、治験の体制をどこまで充実させるのかというところで、もう少しわかるような目標をという ご意見と伺いましたが、この辺は。 ○医政局政策医療課長補佐  治験の推進に要素として出てくるところと言いますと、4頁ですが、研究の基盤的なところとしまし ては、病院における研究開発の推進で、「倫理性、公明性」という書き方をしてあります。基盤的な ところはそこで書いていただくのかなと思っておりますし、中身については、先ほど数値でご説明し たときに、10、11頁でご案内させていただいたとおり、治験の結果を出してくださいという記載にし ているのですが、これに基づいて計画を作っていただくわけですが、次回のこの部会の場で、計画も 併せてご議論いただきますので、ご提案で恐縮ですが、まだ案の段階でありますので、目標と計画を 比較していただいて、そういった基盤の返事がしっかりと返ってくるようであれば、何を言いたいの かははっきりしているということで、あえて目標に書かないという判断もできるかなと思うのですが、 踏み込みが足りない、かつ把握をする上で着実に、目標で書くべき話というのは、そのセンターの目 標とすべき大きなところで、センターの運営全体を基本的に反映させる記載であり数値という大きな コンセプトがありますので、そういった視点の中で必ず記載をすべきというご議論がありましたら、 そういう意見で大臣にご報告させていただきますが、いかがでしょうか。 ○三好委員  付け加えさせていただくと、たぶん新成長戦略ができていて、そのブレイクダウンのところと関連 してくるのでしょうが、それでこういう方向を目指す、とすると分かりやすい。例えば先ほどの5%の 話ですが、私は全然ぴんとこないのです。何で5%なのかの理由がわかりません。それで、例えば世界 に通用する中核センターを目指すのであれば、ゴールですが、こういうサイズのものがあって、こう いう研究者がいて、だからこのくらいの規模になっているから、毎年このくらいの治験件数をやって いかないと人も育たないし、何もできないという意味で言いました。 ○永井部会長  この書きぶりも、倫理委員会に承認された研究と治験なのです。ですから、治験が5%なのではなく て、カルテを調査するのも含めての5%になりますから、ここはもう少し明確に書いたほうがいいので はないでしょうか。 ○医政局政策医療課長補佐  コンセプト的に、まず治験だけではなくて臨床研究にした理由なのですが、治験として動き始める 前であっても、医師主導治験も治験ですが、そういったニュアンスに近い臨床研究であれば、数とし て評価をしたいと。コンセプト的には、first-in-human的なところを狙いたいと思っています。そち らをより明確にするような形というのが、検討できればなと。 ○永井部会長  ただ、臨床研究というと、疫学的な研究、レジストリやカルテの実態調査まで入りますから、私は そういうものもとても大事だと思うのです。それは両方必要で、なおかつ治験あるいは医師主導臨床 試験等はこのくらい伸びてほしいというように整理したほうがいいと思うのです。この「臨床研究」 という言葉は、立場で概念が随分違うようですので、いわゆるEBM的な臨床研究、レジストリも大変重 要なセンターの使命です。ただ、開発的なことをより強調するのであれば、治験あるいは医師主導臨 床試験、研究というものを、強く書かれたほうがいいと思います。  たぶん企業の方から見ると、数値目標を挙げてもっと開発型を強調してほしいということでしょう か。 ○三好委員  数値目標を立てるという事は、ゴールがあって、意味がある。この中期目標の数字だけでは目指す 方向がはっきりしない、と言う意味で申しました。 ○永井部会長  先ほどご意見があったように、支援組織、人材、情報システム、データベースなど、そういうもの がないと、なかなか治験も走らないのです。ですから、それは普段からクオリティーコントロールで あったり、標準的な医療の調査、レジストリにも使っていて、そこからアイディアが出たり、いざ治 験というときに、そこから症例をピックアップしたりという、そういう大きなシステムをまず作って ほしいと思います。 ○本田委員  先ほどの皆さんのご意見にあったように、もう少し具体的に書いてほしいと思います。私自身は、 がん患者ですし、がん対策推進協議会の委員として、またその前のがん対策基本法ができる頃から、 全国の患者さんの声を伺って取材をさせていただいている中で、最近独法化するに当たって、患者さ んの中でも大変不安が起きています。  というのは、特にがんのことで話をさせていただきますが、それまでのがんセンターと、患者さん たちとの意見交換の場がやっとできたり、提案ができたり、情報発信に対して患者の視点をこのよう に入れてほしいというような、いろいろな仕組みができてきているのですが、そういう方向性が今後 どちらにいくのか。もちろんそれが推進される方向にいくことを信じていますが、それをそうだろう と思ん量って書かないのではなくて、逆にきっちりとその方向性を示していただきたいと思っていま す。  これまでの独法化に向けての有識者会議の報告書や独法化に向けてのいろいろな資料では、政策医 療とか、一般のところではされない、なかなか進まない研究を進めていくということが書いてあって、 例えば患者にわかりやすい情報の発信の仕方とか、患者さんたちが惑わないような支援のあり方とい うのは、日本では広く研究が広がっているものではないので、そういうことも情報発信とか、均てん 化という意味の中に、1つの柱として入れていただけないか。例えば5頁の4の「医療の均てん化並び に情報の収集及び発信に関する事項」の中で、情報発信に当たってはサラッと書いてありますが、こ こは大目標としては、このとおりなのかもしれませんが、患者にわかりやすい情報発信をするともう 少しわかりやすく書いて、それも患者支援のあり方に関する研究などを、11頁のそれに当たる具体的 方針の(2)の「均てん化に着目した研究」などの中で、「情報発信手法及び患者支援のあり方に関する 研究」というような形で、そういうものが必要なのだということを具体的に書いていただきたいと思 います。  それに対して、では具体的に何をするのかというのは、新センターで考えていただくことは理解し ているつもりなのですが、そのようなことを項目出ししていただければと思います。  もう1点は、同じような理由で、4頁の「医療の提供に関する事項」です。1つは文言についての懸 念で、「患者・家族に必要な説明」と下線があって、次の下線の「患者自身が治療の選択の自己決定 を行うことができるよう支援する」とあるのですが、まさにそうなのでしょうけれども、最近はどち らかというと、選択肢だけを示して、あとは決めてきてねと。それは自己決定の支援ではないという ことです。医療者とともに決定していけることを支援することを匂わせるような文言にできないか。 これは細かいことです。  その1つ上の「がんに対する医療の標準化を推進するため、最新の科学的根拠に基づいた医療の提供 を行うこと」とありますが、例えばそれを標準化していくためには、臨床指標を図っていく、その指 標を開発していく、それを例えば国立病院機構の矢崎先生は、国立病院機構の中でそういう指標の開 発を進める取組みをされていますが、もちろんこういう高度専門医療をなさる独法でも、そういうこ とは具体的に書いていただいて、目標として掲げていただけないだろうかと感じています。それも4頁 に書くことなのか、10頁や11頁の「具体的な方針」に書くことかはわかりませんが、その2点をご検 討いただければと思います。 ○内山委員  これまでの議論から外れるかもしれませんが、これは目標であって、この中に数値目標をできるだ け入れ、次に、それを実現するための計画が出てくる。地方の大学におりますと、目標や計画に対す る結果の評価が常に気になります。具体的数値がたくさん出てくるのはよいとしても、その数値の根 拠が問題になると思います。先ほども話に出ましたが、理事長には目標と計画を十分に熟知していた だかないとなりません。ここで問題になるのは、アウトカムの評価と、さらに、その先がどうなるか ということだと思います。3年後、5年後の評価により、各センターがどのような影響を受けるのか、 その結果、将来、ナショナルセンターがどのように存続していくのかということがよくわかりません。  それから、世界一のセンターを目指すという心意気はよいと思いますが、具体的に何をもって世界 一とするか。「世界から研究者を呼べるような」という枕詞が付いていますので、研究者がたくさん くればということなのでしょうが、結局、世界から研究者が集まるには、給料、研究費などの研究環 境が大切です。果たして、それだけの研究環境が提供できるか、また、これだけいろいろな項目があ ると、何をもって世界一とするか。もし私どもが現場にいてこのような指示が大臣からきた場合、ど のような基準で、どこと比較してここに数値目標を書きこむかというのは、非常に難しいのではない かと思います。  高い数値目標でやるというのはよいことだとは思うのですが、現場の立場からすると、特にアウト カムとの関係を考えるとき、厳しい状況が予測されると思います。決して、それでトーンダウンして はいけないのですが、事前に、厚労省あるいは大臣、理事長、現場でこれに携わる人たちとの間で十 分な意見交換を行う必要があると考えます。 ○本田委員  いまがんセンターのことばかりのような形で申し上げてしまいましたが、患者さんや国民に向けて の情報の提供はもちろんですが、地方にいる医療者に向けてのもの、例えばガイドラインのエビデン スレベルがどうなっているかなど、がんセンターでは最近そのような情報も、がん対策情報センター を通して発信されていますが、ほかのセンターでは、そのような発信、地方の医療従事者への支援の 視点も少ないと思いますので、そういうことも今後方向性として考えていただけるような具体的な文 言にしていただければと感じています。 ○永井部会長  ただ、そのためには日本人のデータが必要で、そういう意味でも開発研究だけではなくて、評価研 究、レジストリであったり、EBMに資するような研究を、日本人で、センターが中心になって果たして いく必要があると思います。それがあると、実は治験も滑らかに動くのです。 ○三好委員  もう1点、細かい話ですが、2頁の「上記の内容の要点」の世界一のセンターを目指すところで、最 初の「世界から研究者を呼べる」とありますが、研究者だけではなくて、世界から研究を呼べる、と 言うふうに、ここで研究すれば素晴らしい成果が出ると、メッセージが出るとなお良い。細かい話で すが。  もう1つは、人材育成のところはものすごく重要な点です。企業でもそうなのですが、ある程度高度 だったり、分野のない道を走ろうとすると、研究の場、臨床の場が必要になってきて、グローバルに 人材交流出来る仕組みが必要、その辺は本当に大事なポイントだと思います。 ○祖父江委員  先ほど5年後のアウトカムについて少し話が出たのですが、気になるのは、例えば国立大学法人です と、今年は非常に微々たるものだったのですが、順次、運営費交付金に反映させる、統廃合も考える という、1つのアウトカムベースの次のステップをどう考えるかという考え方が、若干見え隠れしてい るのですが、このナショナルセンターについては、このようなことをやって、5年後はどうされるおつ もりなのでしょうか。 ○医政局政策医療課長  大変答えにくいご質問ですが、いま少しお話に出ました交付金、全体の統廃合ということは、制度 全体としまして、独立行政法人をどうするのかということが別途あります。そこの議論は非常に気に なっているところではあるのですが、未だ議論途上ですので、我々として大変先が見にくい状況では あります。  したがって、今日ご説明はしておりませんが、交付金の一律縮減、人件費に対する規制は、他省庁 との協議を十分にしないと落とし込めないところもありまして、最初に申し上げましたが、まだ調整 は必ずしも終わっていませんというのは、そのような点を含んでいます。  ただ、先ほど少し紹介しましたが、独立行政法人ガバナンス検討チームという、政府の中での検討 の場におきましては、ナショナルセンターについては非常に重要な役割を担っているので、こういう 点のガバナンスの改革が望まれるという形で議論していただいておりますので、私どもはこの必要性 は認めていただいているものと認識していますが、それが個別の具体的な項目で、そうは言ってもと いうところは、少し今後の議論に委ねざるを得ないところもあるのかと思います。そういう意味で、 通常といまの状況が違いますのは、この場でのご議論に加えて、別の独法制度全体のところからも、 この中期目標についてご意見が出る可能性があるという点も付け加えておきたいことです。  それから、いまいくつかいただいた点は、大変重要な点をご指摘いただいていると思います。私ど もから特にコメントしなければいけない点ばかりではないと思いますが、ご意見として承らなければ いけない点が多かったと思います。  治験の話についてで、三好さんから「5%増のイメージがわからない」とありましたので、我々も、 国内治験におけるナショナルセンターの治験のウエイトを取れないか調べてみました。正確な数字が 取れなくて、間接的な数字になりますが、いまPMDAに治験届として出されているものが、平成20年度 でいうと524件です。完全には一致しないのですが、現在各ナショナルセンターで行われている治験と いうことで、我々が把握していますのは、例えば国立がんセンターで言いますと、平成20年度は183 件で、その次に多い国立精神・神経センターでは148件の治験が行われています。  こういうところは、治験の数を今後増やせということになりますと、現場的にはいろいろと制約が あります。端的に言いますと、人的、物的な制約と言いますか、研究をされるドクターも非常に多忙 な中で臨床研究を手掛けています。また、治験コーディネーター、CRCの人数も、かなりギリギリのと ころまできています。これから増やすとなると、それでは人を増やすのか、そうなりますと人件費を 増やしていいのか、そうなると最終的な運営全体は一体どうなるのかということに、全部撥ねてきま すので、そういう意味では、今後理事長が全体の経営の判断をされながら、例えば治験の担当の人を 増やしていくということで、5%を上回る治験の実施は可能になってくると思うのですが、現時点では ベースラインとして、いまの体制、すでにここまでやっていることを考えると、ベースラインとして は5%増ぐらいを我々としては示して、さらにその上を各理事長が、全体の体制強化も含めてやってい ただくというのが、現実的な線かなということで、5%、10%と出しているということです。  ちなみに先ほどの数字は、治験届と実際にやっている治験数はリンクしませんので、また違う数字 で言いますと、平成20年度にがんの治験届は105件出ています。例えばがんセンター中央病院で、平 成20年度に治験の新規の契約をしたものは51件と報告を受けましたので、すでにかなりの治験はやれ るところまできています。あとはメーカーのほうの全体の治験が増えるのか減るのかという話も関係 しますし、体制をどこまで強化できるのかという話もありますので、そういう中で、我々としては最 低5%増、各理事長には当然その上を目指していただきたいということが、私どものいまお示ししてい る考え方です。 ○祖父江委員  平成20年度が、例えばがんセンターは183件、精神・神経センターは148件という話がありました。 おそらくこれはメーカー主導の治験の受入数も含めた数ではないかと思います。先ほど来おっしゃっ ているナショナルセンターがやるべき本当の治験というのは、独自のシーズで開発治験をやっていく ところにミッションを絞るべきなのか。  例えば国立病院機構などは下請的なものもどんどんやれということで、それは資金の調達にもなる ということでやっているわけです。そこの目的、目標、ミッションをはっきりしないと、先ほどから 出ているような5%が実際に何に当たるのかという、評価の問題と絡むのではないかと思います。その 辺はいかがですか。 ○医政局政策医療課長補佐  これもまた明確な線引きが難しいところもあるのですが、治験で目指していくところの切分け、国 立病院機構、ナショナルセンター、大学との違いというところでも申し述べさせていただいたとおり で、数の理論は国立病院機構で、新しい高度先駆的なところはナショナルセンターと思っています。 本来絞り込みからすると、まさに少数でやっていくところ、具体的にはPhaseI、PhaseIIがトピック になってくると思います。  すでに数もある程度ある所もあるのですが、まだ基盤的に進んでいない所もあるので、それだけに 特化して数値を設けられるかというと、まだ十分に成熟していないところもあると思います。当然そ ういう治験全体を受け入れているところも、基本的にはその能力として重要なところかと思いますの で、そこが結果として数値としては両睨みになっているところがあります。 ○医政局政策医療課長  我々の説明も歯切れが悪くなってしまうのですが、ここの数値目標をどのような表現で書いたらい いのか。先ほど「5」も話題になりましたが、5よりも、どのような表現で書くのかが、各センターの 総長さんたちとの意見の摺合せが、いちばん難しかったところです。  何を目指すべきかというところは、いま先生方からご指摘いただいたところと、我々がやってほし いところは、ほとんど一致しているのだと思うのですが、そこをどう表現するか。例えば先ほど医師 主導治験という話が出ましたが、医師主導治験と限定すると、そこはなかなか難しいのです。では数 だけを稼げばいいのか。数だけを稼いで外部資金をどんどん持ってこいというと、少し違うのでない か。  いま前田から申しましたが、いまはfirst-in-humanということで、一定の成果を出して、それなら ちゃんと治験でやってみようという、この最初のところというのはすごく大事だと思うのですが、こ この表現が難しかったのと、やはり個々にはめてしまうと。 ○永井部会長  ただ、やはり私は言葉に拘るのですが、臨床研究というのは何でもあるのです。人を対象とした研 究、カルテを調べても臨床研究です。「臨床研究及び治験」ということは実は成り立たなくて、臨床 研究の中の一部が治験なのです。だから、臨床研究の中のどこを強調するか。私は全部やるべきだと 思いますが、その中で、ここのパラグラフではどこを強調するか。おそらく開発型の臨床研究なのだ と思うのですが、そこをまず押さえて、その上でこれについては何パーセントぐらい増やしてほしい という書き方ではないかと思います。  それはあとでご相談でもいいと思うのですが、5%と書くかどうか、そこが難しいですね。5という のが、あまり実体感がないのです。 ○医政局政策医療課長  5か10。 ○和田委員  6頁の第3「業務運営の効率化に関する事項」、7頁の第4の「財務内容の改善に関する事項」の辺 りで、ほかの独立行政法人はほとんどが入っていたと思うのですが、管理運営費用の効率化、削減に 努力せよとあったと思います。その辺が明確でないように思われるのですが、適当なところにお入れ になったらと思いますけれども。 ○医政局政策医療課長  管理運営費用については、他省庁からもご意見をいただいているところでもあり、どのような表現 になるかは検討が必要な部分だと思っております。それと同時に我々が悩ましいのは、独法ガバナン スチームで、ガバナンスの強化と言われていまして、そうしますと臨床部門、研究部門とは別に、運 営体制自体も、例えばコンプライアンスのための室を設けるとか、監事がぽつんといるのではなくて、 監事のためのスタッフを付けたらどうかとか、いろいろな意見をいただいていますので、やや調整が 難しい部分ですので、その点については、また今後調整をしなければいけない点と認識しております。 ○永井部会長  これは総長は大体見ていらっしゃるのですね。この辺なら妥当だというご意見ですか。 ○医政局政策医療課長  先ほどもちょっと話が出ましたように、明確化したほうがいいという私どもの気持ちもある一方で、 あまり細かく縛られると現場が困る、また評価のときに、この項目はちゃんとやったのかと言われて、 明確に実績を示しにくいものについては難しい。また先ほどありましたように、数値目標につきまし ても、例えば論文数も1回議題になりましたが、論文数ということでは、むしろ臨床研究というのはな かなか論文数に結び付きにくいので、そういう目標を立てることがいいのかどうかという点について も、ご意見がありまして、そういうような現場の声を踏まえて、いまの叩き台になっているというこ とです。 ○永井部会長  これは目標ですから、おおよそのところを示して、あと具体的なところは中期計画案ということで 出てくるわけですね。この中に考え方をしっかり盛り込んでおくと。いままでいただいたご意見では、 先ほどの臨床研究のあり方、目標、あるいは成長戦略との兼ね合いというご意見もいただきました。 管理運営のあり方、本田委員のおっしゃられた患者さんへの説明、決定のあり方、地方への情報発信 のあり方、私は日本人のエビデンスの集積、構築、このようなご意見があったかと思います。  そういう大きな目標を与えて、それを具体化してくださいという要望かと思うのですが、そのほか に何かございますか。 ○夏目委員  ガバナンス検討チームから、いろいろと指摘がされたというお話がありました。3頁の「上記の内容 の要点」で指摘されている「風通しの悪さや組織の縦割りの払拭を要請」という趣旨で書いたという ことが、[1]で「センター内の連携強化」となっています。文章としてはこれだけなのですね。「セン ター内の連携強化」という文章で、下には何もなくて、[1]の「研究所と病院等、センター内の連携強 化」という、この目標だけで、ガバナンス検討チームから指摘されたいろいろな問題をなくしてくだ さい、という目標になっているのだと思うのです。  もうちょっと何か書かれたほうがいいのではないかと思います。ガバナンス検討チームがあれだけ 議論をして、そこがいちばん問題だということ、いままでの欠陥を直していくことをこの1行の記述に よる目標で全部わかるからいいよということなのか、もうちょっと何か書かれたほうが、目標として はきちんと提示していますと言えるのではないかと思うのですが。 ○医政局政策医療課長  私どもの資料の作りが悪かったなと反省をしています。実は8頁の「その他の事項」のガバナンス検 討チームで言われたところで、風通しの悪さや縦割りの弊害ということで言えば、1つはここのところ でして、「問題点の洗出し、改善策の立案、翌年度の年度計画の作成等に資するため、定期的に職員 の意見を聞くように努めること」ということで、今回ガバナンス検討チームの場でナショナルセンタ ーの職員の声が紹介されまして、よその所の情報が入らない、職員の意見がきちんと聞かれていない ということがありましたので、「その他の事項」を新たに追加し、ここで受け止めたところです。  それから、7頁の「人事の最適化に関する事項」で、「年功序列を排し、能力・実績本位の人材登用 などの確立」なども、ガバナンス検討チームの意見を受けて記載したものです。  より組織的な話、例えば独法の中に理事会、執行役員会を置くというようなご提言もいただいてい るのですが、これは組織の見直しのところで反映させることを考えていまして、中期目標には乗りに くいテーマでしたので、中期目標では特に「その他の事項」のところで受け止めてはどうかと整理し ました。説明不足で失礼しました。 ○夏目委員  なかなか目標というのは難しいのですが、これから実際に動き出すと、目標が大事になってくるの です。ですから、目標をどう作ったかで中期計画が評価され、最終的に5年間の実績評価も、その目標 に対してどうだったかということで、ある面では、これがこれからの憲法的な色彩を帯びてくるよう になるので、できるだけ大事な項目は漏れなく入れられたらいいのではないかと思います。先ほど和 田先生からありましたように、いま管理運営費をどう入れるかというのは、なかなか難しいと思いま す。内部統制を監事室をつくって強化しろとか、いろいろな議論が出ているようですから、これから かえって人が増えてしまうことが出てくる気もいたしますし、難しいのはよくわかりますが、項目ぐ らいは入れておいたほうがいいように思います。 ○永井部会長  そういう意味では国際水準の成果を生み出すというのは、すごいように聞こえるのですが、狭い領 域に限れば国際水準なんて、ほとんど研究者はいないでしょうから大したことはないのです。ですか ら、国際水準は当たり前の話で、そこから踏み出して、Made in Japanで世界をリードする成果、ある いは日本で独自に展開できるような成果です。英文誌になれば国際水準になるでしょうから、それで は不十分です。もっと切り開くというような姿勢があってもいいと思います。  そうなると、例えば職員やプロジェクトのあり方も、かなり国際性が求められるように思いますが、 日本で独自に作り上げていくのですが、人材という意味では、世界的な人たちが集まってこないと、 難しいのではないでしょうか。 ○医政局政策医療課長  いまご指摘の点については、やはりナショナルセンターの責務を考えますと、国際水準だけではな くて、世界をリードするというのは、非常に大事な視点だと思っております。実はこれも現センター と意見交換をしたポイントの1つだったのですが、結論的に言いますと、先ほど来お話が出ていますよ うに、具体的成果が出て、世界のリーダーになれたかどうかを評価をすることになりますと、何で評 価をするのか。どうも非常に難しい点に入ってしまいそうだと。そこで、例えば2頁なのですが、がん センターについては、がんセンターの使命として、2頁の「上記内容の要点」のすぐ上にあるように、 「我が国のがん対策の中核機関として日本のみならず世界への貢献を図り、世界をリードしていく責 務がある」というようなことを、前文で謳っています。  前文で謳っているということは、個々の目標数値を立てて、最終的に評価を受けるというところと は、少し違う位置づけかなと思って、前文に表記をさせていただいています。  ほかのセンターについては、いろいろ議論もありまして、同じような、がんセンターのような世界 をリードしていく責務までは書いていないというのが、今日お出ししたものの、少なくとも現状はそ うなっています。 ○永井部会長  多少、センターによって書き分けていると言いますか。 ○医政局政策医療課長補佐  普通は前文の部分は、調整させていただく中で、評価委員会で評価をいただくのは第2の「国民に対 して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」以下ですので、そういう意味では前文 が、全体の5年間でかなえられる話を超えて、長期的なところもあると思いますので、そこはしっかり と意見交換をさせていただいたのですが、それこそ踏み出していこうというところと、部会長からご 指摘いただいたような、まず国際水準からいこうというところとが出てきたというのが、議論の現状 です。 ○永井部会長  いままででも、これらのセンターからは世界をリードする成果は出ていると思うのです。全員が世 界をリードするというのは難しいかもしれませんが、少しは世界をリードする部分、人材が生まれて もいいのではないかと思うのです。 ○内山委員  最初に「世界一のセンターを目指す」とあるので、トップの研究者の集団というイメージがあった のですが、それにしては留学生などについて一切触れていないようです。留学生の招聘はナショナル センターには合わない概念なのでしょうか。いま文科省などは留学生を呼ぶために補助金などを出し ていますが、こちらは厚労省だから馴染まない考えなのか。トップリーダーとして活躍していくため には、アジアの留学生などの教育も大事だと思うのですが。 ○医政局政策医療課長補佐  外国人を対象にと言いますか、国際的な視点というところで言いますと、最初の「研究所との連 携」といったところと、「その他医療政策」の中で、「その特性に応じた国際貢献」ということで、 書いてありまして、その2点になっています。包括的なところで、外国人という項を設けずに記載をし ている現状です。  国際貢献から申し上げますと、いまナショナルセンターの中で、結果として外国人の研究者が来ら れているところは多ございますが、まさしくミッションとしてやっているところと言えば、国立国際 医療センターなどが該当します。国際医療センターに関しては、現にアジアを含めて世界に人を派遣 をして、また受け入れている現状がありますので、41頁に国際協力を前面に出した記載をしていまし て、名前のとおりに、国際協力というところでやっていただきたいというところがあります。  ほかのセンターに関しては、結果として受け入れているという状況ですので、逆に魅力を高めるた めの基盤の整備をいただきたいという記載にとどまっております。 ○祖父江委員  先ほど来出ている、ナショナルセンターはどのようなイメージを目指すのかです。これはあまりい い例ではないかもしれませんが、例えばデューク大学の臨床研究センターというのがあるのですが、 これは循環器が主だそうですが、65カ国に55万人のコホートを維持しているのです。そうすると、先 ほど来のいろいろな治験が、開発治験として持ち込まれてきてという、非常にうまく回転しています。 そのときに、いま話があるように、そこのコホートの人たちも、留学生として受け入れて、どんどん 回転しているというような、非常に国際的なセンターになっていると思います。  話を聞いていて、そういうイメージをしていたのですが、どのような理想形なのかが見えない感じ がしています。永井部会長のおっしゃっている、世界をリードするというところのミッションが、ど の辺を、どのように目指すのかが、見えにくい感じを受けています。これは総論的な話で申し訳ない のですが。  私はこれは目標が大事だと思ったのですが、次の中期計画の中に盛り込まれるのか。だけれども、 イメージとして、がんセンターのイメージ、循環器病センターのイメージというのが、どの辺にある のかなというのをもう一回反芻してみたい感じがします。 ○永井部会長  私も全く同感です。治験を増やすというだけでは難しくて、膨大なコホートを持っていなくてはい けないわけです。例えば私の領域ですと、手術がいいのか、カテーテル治療がいいのかというのは、 日本人でも、まだきちんとした研究はされていないわけです。そういう疫学研究を実施するのは大変 ですが、そういうレジストリを国循が声を掛けて、日本中の症例データを集めているかというと、そ ういうことはしていないわけです。  そういうコホートを国内でまとめていくというリーダーシップが、まずあって、研究所のほうでい ろいろな要素技術があって、それをうまく、あるいは企業と一緒になって開発する、同時に治験が動 いていくという、そういう牽引力、デューク大学ほどではないにしても、ミニデュークぐらいのもの を国循には期待したいと思いますし、がんでも、神経でも、それぞれの役割があるのだと思うのです。  ただ、それを動かしてあげるためには、相当な研究費、まさに情報技術から、支援体制、コーディ ネータ、SEも必要だと思います。そのような人たちを国が支援してあげないといけないわけで、そう いうものに立った上で、今度は患者さんにどう説明していくかです。特に予防的な治療に入っていく と、患者さんによっては、そういうことを全然価値観の中に認めない方もいらっしゃいますから、そ ういう人たちとどうやって協調して、医療を進めていくかという問題が起こってくるのです。そうい う意味でのリーダーシップです。  いま医学、医療、あるいはサイエンスということも相当変わってきていると思います。どんどん技 術を開発して、統計的にものを言えばわかってくれるはずだという時代ではなくて、それを社会がど うやって受容していくか、それにどう説明していくかという、ポストモダン思想のような問題も、実 は抱えているのです。本田委員がおっしゃっているのは、そういうことではないかと思うのです。そ ういう意味でのリーダーシップということが、センターには課せられていると思うのです。 ○医政局政策医療課長  非常に重要なご指摘をいただいていると思っております。これまで各センターの総長と議論をした 中で出てきた話ということで、反論ではないのですが、例えばデータを取る際にも、日本全国の拠点 病院と連携して、もっと大規模なデータが取れないのか。これはみんなやりたい分野ではあるのです が、多施設共同ということをはっきり謳ったらどうか、それが目標値として固定され、あとで成果を 問われて、実績が出せなかったではないかと言われると、多施設共同の場合は相手方があるので、自 分たちだけで達成できない場合があります。相手方のあるものが目標数値設定の中に入ってきて、実 績を問われると厳しいというご意見があったのも事実です。 ○医政局政策医療課長補佐  まさに課長から出だしのお話があったのですが、そういった意味でレジストリ的なところは、研究 者がいうところのバンクまで持っていけると、素晴らしいところなのですが、そういったところまで は記載が及んでいないところもあります。例えば循環器病センターでしたら、21頁ですが、いまの記 載としては「循環器病の実態把握」という形で、2の「具体的方針」の「疾病に着目した研究」の[2]に ありますが、このぐらいの記載から始めてみようということで、記載をしている状況です。 ○医政局政策医療課長  もう1つは、例えばアジアからの留学生という話が出ましたが、実態を申しますと、大学と違いまし て、基本的には組織として教育部門というものを持っていないのです。したがって、人材養成という ことも書いてありますが、例えばレジデントのような形で、実際に診療なり調剤なりに従事していた だきながら、人材育成していくという、臨床の場における人材育成が中心になります。組織として持 っているのは、国立国際医療センターの看護大学校と、国際協力局だけでして、やはりそのような組 織がないと、学生ではない場合もあるのでしょうけれども、きちんとレクチャーをして、指導をする 人間をつけて、育てるということでは、体制がないと難しいです。そこが、大学と我々のナショナル センターの違いのいちばん大きなところだと思います。国立国際医療センターを除きますと、現場で は苦しい面があるという気がしましたので、その点だけ付け加えさせていただきます。 ○祖父江委員  先ほどの議論に戻るかもしれませんが、日本の中で前向きの大規模なコホートをどう作るかという のは、非常に大きな議論になっています。それをやれる組織はどこかというと、もちろん大学でもや れると思うのですが、私はこの国立ナショナルセンターの大きなミッションではないかという気がし ます。  それをやることによって、先ほど永井先生も言われたように、次の治験、開発に進むことが初めて できるのであって、それがないものだから、非常に右往左往している。むしろそこを軸に置いてしま ったほうが、わかりやすいという感じを持ちました。 ○永井部会長  そうなのです。開発研究というのは、基礎研究から出るというのもありますが、実際はコホートの 臨床的なデータ、疫学研究を見ていてアイデアが出る場合のほうが、私は多いのではないかと思いま す。あるいは疫学研究自体が非常にイノベーティブである可能性もあって、日本はつい開発研究的な ものに重点が置かれているのですが、足もとを固めていくような研究は、非常に大きな基盤だと思う のですが、あまり強調されていないような気がします。 ○本田委員  私は医学者ではないので、患者への情報提供や国民への理解という意味でも、そういう研究がとて も大切になってきていると感じます。そういうものがないから、わかりにくいこととか、理解が広が らないこともたくさんあると思います。がん対策情報センターがつくられるときには、もっとそうい うことに力を入れるためにという目的があったかと思うのですが、財政的、人的、いろいろな制限が あって、少しずつ進んでいるという感じがするのですが、それをほかのセンターでも、いろいろな形 でちゃんと進めていくことを1つの目標にしていただけると、広く国民の求めにも合っているのではな いかと感じます。 ○永井部会長  これは研究者のほうも反省しなくてはいけないと思います。疫学研究でノーベル賞を取った人はい ないので、重要な学術なのに理解している人が少ないのです。とても大事な研究だということを、こ ういうセンターできちんと評価をして、ポジションや環境整備をしていかないといけないと思います。 ○祖父江委員  できないといけないからそれをやらないというのは、ネガティブな発想のような感じがするのです。 ですから、どこかにそういうものを書き込んでいただけると。前文でもいいですが。 ○永井部会長  私がちょっと思ったのは、1頁目の中期目標案の最初のところのIの「基本的な考え方」で、ここに 「治験等の臨床研究を円滑に実施する」と書いてあるのですが、治験もいいのですが、「治験や臨床 疫学研究等の臨床研究」。疫学というと広すぎるので臨床疫学、コホート研究。あるいは「治験やコ ホート研究等の臨床研究を円滑に実施するための基盤整理等を記載」。そのほかにどうでしょうか。  いまだいぶ意見が出ていますが、このあとのまとめ方はどのような手順になるのでしょうか。 ○医政局政策医療課長補佐  簡単にご案内を申し上げますと、本日いただきましたご意見については当然まとめさせていただい て、そのご意見に対して、どのように対応させていただいたかをご説明申し上げる必要があるかと思 っています。さらに、それで次回予定していますが、それに対する計画という形で出てきますので、 今回目標に対していただいたご意見に対して、こうお返しをしている。さらにその目標に対して、こ ういう計画として、5年間各センターは考えているというところをもう一度ご覧いただいて、さらにご 意見をいただきます。  そして、概ねその論点が見えてきましたら、そこの反映なりをお約束なり、そのご意見ということ でちょうだいをして、部会のご意見としてまとめさせていただきます。 ○医政局政策医療課長  私たちがそこまで出しゃ張ってはいけませんが、私たちの受け止めとしては、今日いただいたご意 見を踏まえて、ロジ以外の部分、内容にどこまで反映することができるか、やや難しい点があります が、本来は6センターの理事長予定者が並んで皆さんとご議論するのも、理想形なのかもしれませんが、 我々が6センターの総長の意見も代表して参っておりますので、是非今日いただいたご意見を各理事長 予定者にお伝えし、その意見も踏まえて、もう一度ご議論いただければありがたいと思います。 ○猿田部会長代理  現場のほうに対する意見も、両方を合わせて、うまく連携を取らないといけないと思います。 ○政策評価官室長補佐  次回に中期計画だけの形でご案内させていただいていましたが、そこに中期目標と中期計画を一緒 に出させていただいて、今日受けた意見を踏まえて、今日は特に部会としての意見はまとめないとい う整理でよろしいでしょうか。よろしくお願いします。 ○永井部会長  今日の議事は以上になりますので、連絡事項をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  第2回は2月26日の10時から13時までとなっています。厚生労働省内の専用第21会議室(17階) です。審議案件は、中期目標(案)と中期計画(案)を一緒に審議していただきます。第3回は3月4 日10時から13時で予定しています。お手元に小さな封筒で、第2回、第3回の開催通知、開催案内を 配付しています。これについてはご出席の最終確認をさせていただきたいと思いますので、今日お帰 りのときに事務局にお渡しいただくか、2月24日までにメールかファックスで回答をお願いします。 予備日については、このような審議の状況あるいは省内外の調整の結果、開催するか否かを決めさせ ていただきますので、また改めて委員の皆様にご連絡したいと思います。 ○永井部会長  本日は長時間にわたりありがとうございました。これで終了とします。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)