10/03/15 第5回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録 第5回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録 【日時】平成22年2月19日(火) 15:00〜18:00 【場所】経済産業省別館825会議室(8階) 【出席委員】(50音順) 飯沼委員、今村委員、岡部委員、加藤部会長、北澤委員、倉田委員、黒岩委員、櫻井委員、 廣田委員、古木委員、宮崎委員、山川委員 【行政関係出席者】 足立政務官、上田健康局長、中尾大臣官房審議官、鈴木健康局総務課長、福島健康局結核感 染症課長、高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、熊本医薬食品局総務課長、亀井医薬食 品局血液対策課長、森医薬食品局安全対策課長、鈴木新型インフルエンザ対策推進本部事務 局次長、松岡健康局生活衛生課長、佐原大臣官房企画官、土肥健康局健康対策調整官 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 定刻になりましたので、ただいまより「第 5回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」を開催させていただきます。まず事務局よ り、本日の委員の先生方のご出欠状況について報告をいたします。本日は岩本委員、宇賀委 員、木田委員、坂谷委員、澁谷委員からご欠席の連絡をいただいております。また、倉田委 員は若干遅れる、飯沼委員は途中で一旦抜けてまたお戻りになる、廣田委員は所用で途中で 退席されるということです。したがいまして、17名のうち12名のご出席をいただいており、 定足数に達していることをご報告いたします。ここからは加藤部会長にお願いいたします。 ○加藤部会長 こんにちは。ただいまから議事をお願いするわけですが、年度末に向かって お忙しいところご出席有難うございます。本日は審議にご協力のほど、よろしくお願いいた します。事務局より、本日の資料の確認をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それではお手元の資料を確認させていた だきます。議事次第、テーブルの座席表、それから委員のメンバー表があり、そのあとが資 料になっております。資料1は前回積み残しになった2点についての資料で、これについて はあとで説明いたします。資料2と資料3は本日メインの資料です。資料3が本部会の予防 接種制度見直しについての第一次提言の案。それを少し分かりやすく、短くしたものが資料 2ですが、資料2、資料3ということであとで説明いたします。資料4については説明は特 段申し上げませんが、今回の見直しに関する参考資料ですので、もし論点がそちらにいきま したら説明いたします。以上が資料です。もし乱帳、過不足等がございましたらお知しらせ いただければと思います。 ○加藤部会長 資料についてよろしければ、議事に入ります。本日の議題1は「新型インフ ルエンザ対策として緊急に対応が必要であると考えられる事項について」です。前回の部会 におきましては、「新型インフルエンザ対策として緊急に対応が必要であると考えられる事 項」を一つひとつご議論いただきました。しかしながら、本日にご議論が持ち越された論点 が2つありましたので、資料1として事務局に整理していただきました。それから、これま での議論を踏まえて、資料2と資料3にあるような「予防接種の見直しについて(第一次提 言)」の案も事務局に提示していただきました。事務局より資料1「残された論点について」、 続いて第一次提言(案)について説明していただきます。第一次提言の案につきましては全 文を読み上げていただき、その後各論ごとにご意見をいただき、最終的な第一次提言として とりまとめていただきたいと考えております。資料1の残された論点につきましては、「予 防接種の見直しについて(第一次提言)」の案の中にも含まれている内容ですので、まとめ て議論をしていただくことになるかと思います。それでは事務局からお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料1、2、3を続けて説明いたします。 まず資料1ですが、これは前回までに残された論点についてということで2点説明をしてお ります。  1つ目は、前回までに出てまいりました様々な接種の類型の中で、接種を受けていただく 努力義務、それから接種をお勧めするという行政側の勧奨というものについての関係を少し 分かりやすく整理したほうがいいのではないかということで整理をさせていただきました。 概念が大きく変わったというわけではありません。  資料1の表で「現行の臨時接種」「一類の定期接種」それから「二類の定期接種」、ここま でがいま法律の中にある類型です。この中の「努力義務」と「勧奨」との関係を、接種の目 的等も合わせてご覧いただきますと、現行の臨時接種は、感染力が強くて病原性が極めて強 いということ。一類は病原性が強く、集団として発生やまん延を予防するということで、こ の2つはいずれも「努力義務」、すなわち予防接種を受けていただく義務がかかっておりま すし、「勧奨」、すなわち行政としてお勧めすることにもなっています。翻って、その下、二 類の定期接種はむしろ、個人の発病若しくは重症化の防止ということに重点が置かれており まして、努力義務や勧奨はないということになっております。今回新たな臨時接種というこ とでご議論をいただいてきたものは、現行の臨時接種ほど病原性は強くないが、個人の重症 化等を防止し、医療体制に過度の負担がかかることを防ぐ。これについての法的な関与は、 努力義務をおかけするほどではないけれども勧奨はさせていただくということで、最初の所 が×、2つ目が○ということになろうかと思います。  前回までのご説明では、いちばん上の現行臨時接種、それから一類の定期接種について、 努力義務をいま法律上でもきちんとお願いしているわけですので、「勧奨」はその中に内包 されているのだというご説明を差し上げましたが、下のほうの「新たな臨時接種」でも「勧 奨」というものが明記されるわけですので、現行の臨時接種や一類の定期接種にも明確に「勧 奨」がかかるのだということを位置付けることが適当ではないかと思います。  また、万一健康被害になってしまわれた場合の救済制度の水準ですが、上の2つについて は「努力義務」も「勧奨」もかかっているという水準。二類の定期接種については、両方と もないという、いわば低い水準になっておりますが、今度設ける新たな臨時接種については、 その間の「勧奨」のみを反映した水準でお願いできないかということです。  もう1点は3頁です。前回までの論点の中に、医療機関から報告をいただく、もしくは医 療機関についての調査又はワクチンメーカー等に対して協力を要請するということについ て、円滑な流通なり接種なりを確保するために必要ではないかという論点を我々のほうで提 示いたしました。前回第4回でのご議論ですと、特にメーカーへの協力要請を法律に書き込 む必要はあるのかというご議論もありましたし、法律の規定がなくても、自発的な対応で支 障がなかったのではないかという議論もありました。他方、そのような規定があれば実施主 体も動きやすいというご議論もいただきましたが、今回我々のほうでさまざまな方にもご相 談した結果、この2つ、ワクチンメーカーに対する協力要請をする、医療機関に対する報告 徴収なり調査については、一旦今日第一次提言をいただいたあとで、いわゆる抜本的な見直 しの議論の中で国やメーカーや医療機関の役割分担を議論させていただきますので、その中 で一緒に改めて検討を行うということでいかがかということです。以上が前回積み残しとな っていた2点についてのご説明です。  引き続き資料2について説明いたします。これは資料3、「予防接種制度の見直しについ て(第一次提言)(案)」の概要です。「はじめに」に書いてありますが、今回新型インフル エンザ(A/H1N1)の発生とその対策を契機として、今回の予防接種上の課題、もう1つは昨 今の環境の変化に対応する大きな予防接種全般のあり方というものを議論するということ で予防接種部会の皆様にお集まりいただいているわけですが、特に今回の新型インフルエン ザ(A/H1N1)に係る予防接種の課題、いわゆる前段の部分について一定の結論を得たので、 第一次提言としてとりまとめることにさせていただきたいと思います。  その後は、前々回から用いている3つの課題群で説明しております。1つは、新たな臨時 接種の類型の創設。新たな臨時接種については、現行の法定臨時接種が想定するものほど病 原性は高くないけれども、そういうものについて法律に基づいて接種を勧める必要があると いうことで類型を設ける。具体的な要否を決定する手続き等々につきましては、後段でも申 し上げる抜本的な議論の所の評価や検討組織のあり方とも関係すると思いますので、そこに ついてはさらに検討をいたしたいと思います。  2つ目は公的関与のあり方ですが、これは先ほど「積み残し課題」で申し上げた、努力義 務は課さないが勧奨を行うという類型にしたらと思っております。また次の給付水準も、「努 力義務」も「勧奨」もある一類定期や現行の臨時接種と両方ともない二類定期の、いわば間 の水準に設定したらどうだろうかと思っております。  接種費用の負担については、現行の臨時接種については公費ですが、それほどの緊急性や 公的関与の度合いが高くない一類定期についても、実費の徴収は可能ということですので、 経済的に困窮な方を除いて、基本的には実費の徴収は可能だということにしたいと思います。  2頁目は新型インフルエンザ等の世界的な大流行(パンデミック)への対応です。最初が ワクチンの確保ですが、需給がひっ迫した場合に、ワクチン確保のために通常想定される以 上のリスクを企業が負担するというような場合には、損失補償契約の締結によってそれをカ バーする仕組みが必要ではないかということがあります。2つ目は優先順位付けです。これ はパンデミックの場合ですが、全国的に大流行が起こったというような場合に、適切な接種 機会を確保するということで、国が、疾病だけではなくて対象者を定めることが必要だとい うことです。実際の運用に当たっては、過度に厳格になったり複雑にならないよう、きちん と現場の視点で配慮をすることが必要であろうと思います。最後の供給調整・医療機関に対 する適正な接種実施の確保というのは「積み残し課題」の2点目にありましたとおり、今回 結論というよりはむしろ、抜本的な議論の中で改めて検討するということにしたらと思いま す。  最後に、新型インフルエンザワクチンの定期接種化、定期接種をする場合の対応等ですが、 基本的に新しい臨時接種になった場合に、定期接種化に向けて検討を行うことが必要だろう というのが1点。もう1つは、インフルエンザのみに法律で「高齢者の限定」という規定が ございますので、すべてを除外するというのはなかなか難しいかもしれませんが、少なくと もH1N1も含めて、国民大多数の方に免疫がない、したがって打つ必要があるであろう新 型インフルエンザについては、この「高齢者限定」の規定を外すことでいかがかということ です。ここまでが緊急時の対応です。  3頁目の4は、これから議論が必要と考えられる事項です。これは黒岩委員からもご議論 がありましたが、今後、予防接種本来の目的、基本的な考え方、関係者の役割分担について しっかりと、今回の緊急的な手当てに必ずしもとらわれることなく、抜本的な議論が必要で あるということです。とりあえず6点述べておりますが、ここにこだわることなく、必要が あれば改めて加えることになろうかと思います。  最初の、予防接種法の対象となる疾病、ワクチンのあり方ですが、これも予防接種の位置 付けを明確にした上で、どのような場合にワクチンを接種するのかということをきちんと国 民にもご理解をいただいた上で、具体的にインフルエンザ菌B(Hib)、肺炎球菌、HPV等々 をどのように評価し、どのように位置付けるかについて、きちんと議論をすることが必要で あろうというのが1点です。  2点目が予防接種事業の適正な実施の確保です。先ほど申し上げたような国やメーカー、 それから医療機関等の役割の分担、それから現在の健康被害の救済制度について、例えば認 定方法や不服申立ての方法等いろいろご議論がございましたので、それについてさらにご議 論をいただくということです。  3つ目は、これも黒岩委員からご指摘のあったことですが、情報提供のあり方が重要だと。 予防接種の意義、それから、どうしても一部には生じ得る可能性がある健康被害、その可能 性等の情報について、受けられる方やその保護者の方にどのように正確に、きちんと適時に 伝えていくかについて議論が必要であるということです。  4番目は予防接種の費用です。今回は今のいろいろな類型に対する費用負担の態様を見て 実費徴収可能としたわけですが、そもそも予防接種自体がどういう役割を持って、どういう 特徴があるのかということから、その費用負担のあり方について根本的な議論が必要ではな いか。またこの場合には、地方自治体において実費徴収ということになっておりますが、か なり多くの自治体は負担をしておられるような実態、それから諸外国で、公費もしくは健康 保険で見ているような実態、そういうものも参考に議論をする必要があると思います。  5番目は、予防接種に関する評価検討です。そもそもワクチンの有効性や安全性に関する 調査研究を進めないと、それができない。その上で、諸外国に設けられているような検討組 織をどのように設けるのか。必要性の問題、機能(権能)の問題、構成の問題、それから、 それを支える人員等の問題、実際にどのように情報を収集して評価をするかという問題につ いては、きちんとした議論が必要だろうと思います。  最後はワクチン確保のあり方です。これは研究開発、また生産基盤のあり方をしっかりと 議論することが必要だろうと思います。これら6点について、これからしっかりと議論をし ていただきたいと思っております。  最後に「おわりに」ということで書いてありますが、当面緊急に講ずべき措置については、 立法措置等を講ずることを期待する。そして、いま申し上げた6点を中心に、全般について 抜本的な議論を本部会で引き続きしていくということではないかと思っております。以上が 資料2の概略です。  引き続き資料3について読み上げます。資料3の1頁目の右上の日付の点、それから2 頁目の2パラグラフの、設立以来○回目という所は、今回でまとまればよいのですが、そう でない可能性もあるということで、あえて入れておりません。まとまれば今日の日付等を入 れたいと思います。  「予防接種制度の見直しについて(第一次提言)(案)。平成22年○月○日。厚生科学審 議会感染症分科会予防接種部会。 I.はじめに  本部会は、新型インフルエンザ(A/H1N1)の発生とその対策を契機として、昨年12月に 設置された。  今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)の予防接種事業は、臨時応急的措置として国が実施 主体となり予防接種を行い、健康被害救済等に関する必要な法的措置は「新型インフルエン ザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法(平成21年法律第98号)」(以下 「特別措置法」という。)により講じている(詳細は別添参照)。  今回の予防接種事業に関し、主として以下のような課題が厚生労働省より提示された。 (1) 新型インフルエンザ対策として行う予防接種は、その都度予算を確保する等により行う 予算事業ではなく、本来的には予防接種法に位置付けて、これに基づいて行うべきものであ り、また、健康被害が生じた場合の救済も同法に基づいて行うべきものであること。 (2) 今回の予防接種事業は国が実施主体となって行ったものであるが、地方公共団体にその 事務の位置付けが不明確なまま協力をいただいており、予防接種法上、その位置付けを明確 にすることが必要であること。 (3) 新型インフルエンザ等の感染症が新たに生じた場合、ワクチンの需給がひっ迫する中、 国が一定量のワクチンの確保を図る必要がある。その際、国とワクチン製造販売業者との間 で損失補償に関する契約を締結するために、その都度、新たな特別の立法措置を講じること なく、あらかじめ予防接種法により対応できるよう措置しておくことが必要であること。  本部会は、厚生労働省から提起されたこのような課題を中心に、昨年12月の設置以来○ 回にわたり議論を行ってきたところであるが、新型インフルエンザ対策として緊急に講ずべ き措置について一定の結論を得たので、第一次提言としてとりまとめた。  なお、本部会では今後、新型インフルエンザに係る予防接種だけではなく、昨今の環境の 変化に対応するための予防接種制度全般の見直しも検討することとしている。この制度全般 の見直しの検討では、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)対策の総括も踏まえた上で、 IIIに提示した事項を中心に抜本的に見直していくこととしたい。 II.新型インフルエンザ対策として緊急に講ずべき措置 1.「新たな臨時接種」の類型の創設 (1)「新たな臨時接種」の類型の必要性及び性格  今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に対する予防接種を行うに当たり、国では予防接種 法の「現行の臨時接種」として行うことも検討した。しかし、今回の新型インフルエンザ (A/H1N1)については、ウイルスの病原性や死亡者・重症者の発生による社会経済機能への 影響等が「現行の臨時接種」が想定しているものほどは高くないことから、接種を受ける努 力義務を課す「現行の臨時接種」による対応は適当ではないと考え、臨時応急的措置として 国の予算事業として予防接種を実施した。  しかしながら、こうした事態に係る予防接種について、本来的には、その都度予算を確保 する等により行う予算事業ではなく、予防接種法に恒久的な制度として位置付けた上で実施 されるべきものである。(参考部分は割愛)  今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に係る予防接種や、今後発生する可能性のある別の 新型インフルエンザに係る予防接種を法的に位置付けられた事業として実施できるよう、新 たな臨時接種の類型(以下「新臨時接種(仮称)」という。)を予防接種法に設けるべきであ る。  「新臨時接種(仮称)」の性格は以下のとおり。 ・ 新たな感染症の発生や既知の感染症の病原体の突然変異、あるいは突然の流行拡大のお それ等により、感染症のまん延の危険性が具体的に想定される場合に、一定の公的関与のも と、臨時に予防接種を行うものであること ・ まん延予防上緊急の必要性はあるものの、対象とする疾病に係るウイルスの病原性が「現 行の臨時接種」が想定しているものほど高くはなく、同接種ほどには社会経済に影響を与え るものではないものに対して臨時に予防接種を行うものであること。また、「新臨時接種(仮 称)」の類型を創設した後に、臨時に予防接種を行うに当たっては、 ・ 「新臨時接種(仮称)」と「現行の臨時接種」のいずれを適用するか ・ ウイルス等の病原性に変化等があった場合、接種の類型を「新臨時接種(仮称)」から「現 行の臨時接種」へ、またはその逆の切り替えが必要かどうか、といった専門的判断を要する 事項が生じうることから、適切に対応できるよう専門家の意見聴取を行った上で決定するこ とが必要である。この場合、臨時接種の実施の要否等の決定手続きのあり方は、国の健康危 機管理上重要であることから、感染症対策全般との整合性を見ながら政府全体で広く議論を 行い、今後、本部会において行う「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」に関する議 論の中でも、検討することが必要である。  なお、当面の措置としては、上記のように、「新臨時接種(仮称)」を設けることが必要で あるが、現在の一類・二類疾病の区分や定期接種・臨時接種という枠組みについては、今後 行われる予防接種制度全般の見直しの中で再度議論すべきである。 (2)接種の必要性に応じた公的関与のあり方  「現行の臨時接種及び一類疾病の定期接種」については、それぞれ、接種目的の達成のた めに高い接種率の確保が必要とされることから、接種対象者に接種を受ける努力義務を課し ている。また、接種対象者にその責務を果たしていただけるよう、行政が接種対象者に対し て接種を受けるよう勧め奨励している。(勧奨)  「二類疾病の定期接種」については、個人の重症化防止に比重を置いて実施するものであ り、高い接種率の確保が社会的に要請されているとまではいえないことから、接種対象者に 接種を受ける努力義務を課しておらず、行政として勧奨を行わないこととしている。  一方、「新臨時接種(仮称)」については、 ・ 極めて病原性が高いウイルス等の流行に対応する「現行の臨時接種」のように、死亡者・ 重症者の大規模な発生を防止し、社会経済機能の維持を図るために、高い接種率を確保する 必要性は認められないことから、接種を受ける努力義務を課す必要はないこと ・ しかしながら、個人の死亡・重症化の防止を通じて医療提供体制への過度の負担や社会 的混乱を回避するため、できるだけ多くの接種対象者に対して接種の意義を徹底し、円滑な 接種を実施することが必要なものであることから、接種を受ける努力義務は課さないものの、 行政が接種を受けるよう勧奨するものとすることが適当である。  この結果、 ・「現行の臨時接種及び一類疾病の定期接種」については、行政による「勧奨」がなされ、 国民に「努力義務」の責務が課される一方で、 ・「新臨時接種(仮称)」については、行政による「勧奨」がなされることから、法律上の公 的関与の度合いについては、前者の方が高いものと考えられる。 (3)健康被害救済の給付水準  現行の制度では、「臨時接種及び一類疾病の定期接種」の給付水準は、「二類疾病の定期接 種」の給付水準よりも高い水準に設定されており、公的関与の度合いに応じて、その水準が 決まっているものといえる。  (2)のとおり、努力義務を課さず勧奨のみを行う「新臨時接種(仮称)」に係る公的関 与の度合いは、 ・ 勧奨し国民に接種を受ける努力義務を課す「臨時接種及び一類疾病の定期接種」よりは 低いものの、 ・ 勧奨もせず努力義務も課さない「二類疾病の定期接種」よりは高い。  したがって、「新臨時接種(仮称)」の健康被害救済の給付水準については、「臨時接種及 び一類疾病の定期接種」と「二類疾病の定期接種」の間の水準とすることが適当である。 (4)接種費用の負担  現行の制度においては、接種を行う緊急性が最も高い臨時接種以外の定期接種について は、実施主体である市町村が費用を支出した上で経済的困窮者を除く被接種者から実費徴収 することが可能となっている。  公的関与の度合いが高い「一類疾病の定期接種」についても実費徴収を可能としているこ ととの均衡を考慮すれば、これよりも公的関与の度合いが低い「新臨時接種(仮称)」につ いては、経済的困窮者を除く被接種者からは実費徴収を可能とすることが適当である。  なお、「新臨時接種(仮称)」が円滑に行われるよう、国及び地方公共団体が適切に費用を 負担することが必要である。 2.新型インフルエンザ等の世界的な大流行(パンデミック)への対応 (1)ワクチンの確保  パンデミック時には、世界中でワクチンの需給がひっ迫することが見込まれることから、 我が国におけるまん延の防止を図るために、国として一定量のワクチンを確保する必要があ る。  一方、ワクチン製造販売業者は、ワクチンを短期間に開発し、大量に製造しなければなら ないため、健康被害の発生に対する損害賠償等のリスクを恐れ、我が国において上市しない おそれがある。  このため、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンについては、国が海外ワクチン 製造販売業者からワクチンを買い上げる際に、損失補償に関する契約を行ったところである。 今後も、ワクチン確保のため、通常想定され企業が負担すべきレベルを上回るリスクについ ては、国がワクチンの買上げをする際にワクチン製造販売業者を相手方とした損失補償に関 する契約を締結することにより、対応できるようにすべきである。  この場合、特別措置法の規定や今回の損失補償に関する契約を締結するまでの経緯を踏 まえて、損失補償契約の要件等を定めるべきである。 (2)接種の優先順位付け  パンデミック時には、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)のように、一時的に十分な量 のワクチンが確保できない事態が生じうると想定されるが、こうした場合、より必要性が高 い者に対し、日本全国で適切に接種機会を確保する必要がある。  このため、国が対象疾病や接種対象者を定め、地方公共団体が予防接種を実施するとい う仕組みを導入することが必要である。ただし、実際の運用にあたっては、過度に厳格・複 雑にならないよう配慮することが必要である。  なお、地域的なまん延の場合には、現行通り都道府県が接種対象者や接種時期について 判断することが適当である。 (3)ワクチンの供給調整・医療機関における適正な接種の実施の確保  ワクチンの供給調整のためのワクチン製造販売業者、ワクチン販社及び卸売販売業者(以 下「ワクチン製造販売・流通業者」という。)への協力要請の必要性や、予防接種事業の実 施に協力いただいている医療機関に対し報告を求めることの必要性についても本部会にお いて議論が行われた。  パンデミック時において、ワクチン製造販売・流通業者及び医療機関の理解を得つつ、 ワクチンの供給が円滑に行われ、また、適正に接種が行われる必要があるということについ ては、意見の一致が見られた。  この件に関しては、予防接種制度全般の見直しの中で、国、ワクチン製造販売・流通業 者、医療機関等の役割や責任分担のあり方を含めて議論する必要があり、本部会において改 めて検討することとしたい。   3.新型インフルエンザワクチンの定期接種化 (1)定期接種化の要件や道筋  新型インフルエンザについては、発生当初は臨時接種により対応することが想定されるが、 緊急に接種を実施する必要性がなくなった後も引き続き、疾病の発生及びまん延を防止する ため、定期的に予防接種を行うことが必要となる場合が想定される。  したがって、こうした場合に定期接種化に向けた検討を行う旨を明確にしておくべきで あるが、更に定期接種とする場合の要件や具体的道筋については、今後、本部会において行 う「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」に関する議論の中でも、検討することが必 要である。 (2)定期接種とした場合の接種対象者  「二類疾病(インフルエンザ)の定期接種」については、平成13年改正法附則第3条の 規定により、高齢者にその対象が当面限定されている。(その他の疾病については、法律で 疾病を規定し、政令で接種対象者を規定している。)。これは、高齢者以外の者(特に子ども) に対する季節性インフルエンザの予防接種の効果が限定的であると判断されたためである。  今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に対するワクチンについては、高齢者以外の者につ いても重症化防止の効果が期待され、実際に接種も行っている。また、同様に、別の新たな 新型インフルエンザが発生した場合にも、国民の大多数に免疫がないことから、高齢者以外 の者に接種を行う必要性について一定の蓋然性がある。  このため、新型インフルエンザワクチンを定期接種すべきと判断された場合において、 法改正を待たず迅速に対応できるよう、高齢者限定規定を新型インフルエンザに限って適用 除外とし、法律上は接種可能となるようにしておくことが必要である(具体的な接種対象者 等は政令で規定)。  なお、実際に高齢者以外の者に今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンの定期接 種を行うかどうかについては、今後の疫学調査の結果などをもとに、更に専門家による議論 が必要である。今後、本部会において行う「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」に 関する議論の中でも、検討することが必要である。 III.議論が必要と考えられる事項  今後、予防接種の目的や基本的な考え方、関係者の役割分担等について、今回の緊急的な 手当てに必ずしもとらわれることなく、抜本的な見直しを議論していくことが必要と考えら れる。主な事項については、以下のとおりであるが、これらに限られるものではなく、今後 の議論の中で、新たな論点が加わることもある。 (1)予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方  国の公衆衛生政策における予防接種の位置付けを明確にした上で、予防接種の対象となる 疾病・ワクチンのあり方を検討すべきである。  具体的には、現在、予防接種法においては、一類疾病(ジフテリア等9疾病)及び二類 疾病(インフルエンザ)が対象疾病とされワクチンの定期接種が行われているが(痘そうを 除く。)、対象となっていない疾病・ワクチン(Hib(インフルエンザ菌B型)、肺炎球菌、 HPV(ヒトパピローマウイルス)、水痘など)をどう評価し、どのような位置付けが可能か といった点について、更に議論が必要である。 (2)予防接種事業の適正な実施の確保  予防接種事業は、実施主体である地方公共団体やワクチンの供給を行っているワクチン製 造販売・流通業者、実際の接種に協力している医療機関などの関係者それぞれが役割を分担 し、継続的に実施しているところである。  また、予防接種については、感染症予防の有力な方法であるが、関係者がいかに注意を 払っても稀に健康被害が生じうる。一方で、基本的には当該感染症にかかっていない健康な 方に接種するものであるために、健康被害は容易には受け容れがたいという特徴を有するこ とも事実である。  今後、予防接種事業の適正かつ円滑な実施を図るため、国、ワクチン製造販売・流通業者、 医療機関(医師)などの関係者の役割分担、また、予防接種により生ずる健康被害の救済制 度、被害認定の方法、不服申し立て等について、更に議論が必要である。 (3)予防接種に関する情報提供のあり方  感染症予防の有力な方法である予防接種の意義や健康被害が生じる可能性等に関する情 報等について、どのように接種対象者やその保護者を中心とした国民の方々に正確かつ適時 に伝えていくかについて、更に議論が必要である。 (4)接種費用の負担のあり方  予防接種については、「現行の臨時接種」を除き、個人の受益的要素があるため、原則と して実費徴収を可能としている(経済的困窮者を除く)が、予防接種の果たす役割や特徴等 を踏まえて、その費用負担のあり方について、更に議論が必要である。  なお、議論の際には、地方公共団体における実費徴収の実態や、諸外国の状況等につい ても参考とすることが必要である。 (5)予防接種に関する評価・検討組織のあり方  予防接種に関する評価を行う上で、ワクチンの有効性、安全性等について、一定の結論を 得るまで一定の年月を要するが、世界的にもこの分野の研究は極めて不足しており、今後、 わが国において調査研究を推進するための体制のあり方について、更に議論が必要である。  評価・検討を行う際、諸外国においては、様々な予防接種施策に関する組織が設けられ ているが、我が国においても、同様の組織を設けるべきか、設ける場合にはその機能(権能)、 構成者、制度運営に当たる人員等の体制、検討の前提となる安全性・有効性等に関する情報 収集・評価の方法といった点について、更に議論が必要である。 (6)ワクチンの確保のあり方  予防接種に必要なワクチンの大部分については従来国産品により確保しているが、今回の 新型インフルエンザ(A/H1N1)のワクチン接種に際しては、国産品のみでは必要量を確保で きる見通しが立たなかったことから輸入することとなった。  今後、国産品と輸入品の役割や評価を踏まえ、我が国においてワクチンの研究開発をど のように促進していくか、また、どのようにしてその生産基盤を確保していくかといった点 について、更に議論が必要である。 IV.おわりに  以上、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行とその対応を踏まえ、IIの「新型イン フルエンザ対策として緊急に講ずべき措置」をとりまとめたので、政府におかれては速やか に立法措置等を講ずることを期待する。  本部会においては、引き続き、予防接種全般の見直しを内容としたIIIの「議論が必要と考 えられる事項」について、今回の緊急的な手当てに制限されることなく、更に抜本的な議論 を重ねていくこととしたい。」以上です。 ○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま読んでいただきました資料3の第一次提 言(案)につきまして、初めから順々に審議をしていただきたいと存じます。II「新型イン フルエンザ対策として緊急に講ずべき措置」につきましては、これまでの部会で議論してま いりました10の論点について記載してあります。量がかなり多うございますので、3つの 大項目ごとにご意見を伺ってまいります。まず、資料3の2頁、「新たな臨時接種の類型の 創設」についてご意見がありましたら伺いたいと存じます。ご意見のある委員の方はご発言 をお願いいたします。  無いようですので、今日途中で退席される可能性のある委員の先生から、ご意見がある ようでしたらお願いいたします。櫻井委員、いかがでしょうか。 ○櫻井委員 1.については特段ございませんけれども、その前の「はじめに」の所の表現で 若干気になっているところがあります。1頁目の文章で「いただく」という言葉が3カ所ぐ らい出てくるのですが、この種の文章で妙にへりくだるのはおかしいのです。1頁の下の(2) に「地方公共団体に協力をいただいており」という言い方があるのですが、地方公共団体の 基本的な任務として住民の生命を確保すること、安全性に配慮することは当然の任務であり まして、それについて、国が自治体に対して「いただく」という表現を使うのは、日本語と してもおかしいし、セオリーとしてもおかしいのでして、これは中立的に「不明確なまま協 力を要請しており」というように書き直していただきたいと思います。大体、地域主権とか 妙なことを政府が言っているのでだんだん勘違いしてくるかなという感じもございまして、 ここはちょっと譲れないということで申し上げたいと思います。 ○加藤部会長 櫻井委員は、1頁の下から5行目、「不明確なまま協力をいただいており」 という所の表現が柔らかすぎるというご意見です。これは「要請しており」と書き換えてい ただきたいということですが、ほかの委員の方で、この意見にご異論はございませんか。よ ろしければ、事務局でそのように書き直していただけますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい。 ○加藤部会長 廣田委員、いかがですか。 ○廣田委員 この部分ではまだございません。 ○加藤部会長 ほかにいかがですか。 ○黒岩委員 まず「はじめに」で1つ抜けていると私が思うことを言います。これはこの会 の第1回目で私が申し上げたことなのですが、そもそも前回の新型インフルエンザ騒動とい うのは、一体なぜああいうことになったのか。「水際作戦」と言って国民的に大騒ぎしたこ とは一体何だったのか。どこに反省があって、それにどういう対応をしようとしているのか、 その辺をまず初めに書いて、それから議論を始めるべきだということを申し上げたのですが、 その点が全く反映されていないというので、この「はじめに」は認めるわけにはいきません。 ○加藤部会長 これは事務局にとって、どうでしょうか。別添の11頁に、最初の回のとき に黒岩委員がお話になったことが書かれていたと思われましたが。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 この書きぶりで十分かどうか、黒岩委員の ご意見を伺いたいのですが、2頁をご覧いただきますと、「なお」と書いてあります。その 中で下のほうに、「見直しの検討では、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)の対策の総括も 踏まえた上で、IIIに提示した事項を中心に抜本的に見直していくこととしたい」となってい ます。ここの部分で言いますと、いわば今後の見直しについて総括をということですが、い まのご趣旨がもし、緊急的な見直しについても今回の総括を踏まえてやるべきだというご議 論であると、もう少し前に同じようなことを繰り返すということになろうかと思いますが、 いかがでしょうか。 ○黒岩委員 私はこの会の冒頭、第1回目で申し上げたと思うのです。どうやって国民の理 解を求めるかということがいちばん大事なことであると私は思います。そのために、あの大 騒動は何だったのか。誰の責任だったのか。誰が責任をとったのか全く分からないままに、 次はこうします、抜本的改正の中で話をしますと言われても、おそらく国民は聞く耳を持た ないと思います。改めてパッチワークをしようというときからその点について触れないと、 「はじめに」は始まらないと思います。 ○加藤部会長 そのご意見に対して、ほかの委員の方々、どなたかご意見がございますか。 ○櫻井委員 「あの大騒動」というのはどういう現象を指しているのか具体的に教えていた だきたいのですが。騒ぎすぎたということですか。 ○加藤部会長 黒岩委員から、何かご意見がございますか。 ○黒岩委員 要するに、いわゆるパンデミックが起きたかのような。宇宙服のようなものを 着て、飛行機を全部止めて中に入って、その防護服であちこちうろうろして、ということで す。そういうことによって、「水際作戦」で止められるのだということです。実はその途中 途中で、「水際作戦」はうまくいっているから日本ではまん延していません、入っていませ んというふうな政府高官の発言もありましたけれども、結果的には全く嘘だったということ ですね。それで、誰がどこでどう間違えてああいうことになったのかということの総括が必 要だということです。 ○加藤部会長 そのことをこの部会で総括することが必要だというご意見ですか。 ○黒岩委員 そうです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 考え方として、新型インフルエンザ対策全 般についての総括というのは我々も必要だと思っていますし、それは絶対にやる必要がある と思います。それからもう1つ。これは予防接種についての検討の文書ですので、今回の予 防接種のやり方についての総括をきちんとする、緊急パッチなり全体なりで、きちんとそこ を踏まえてやるべきだというご趣旨であれば、2頁目の2パラグラフの「本部会は」と書い てある所に、少しくどくなるかもしれませんが、その次のパラグラフに入っている「総括を 踏まえた上で」と繰り返せば、緊急的なところについても踏まえてやるし、全体像の見直し についても踏まえてやるということにはなろうかと思います。いま黒岩先生がおっしゃって いるような検疫の話は我々も必要だと思っていますが、ここでは予防接種の話だけを書いて あります。そうなると、どこに予防接種の見直しの話を入れるかということになると思いま す。 ○加藤部会長 ただいま事務局から説明がありましたが、「はじめに」の最初の第2行目に 「その発生とその対策を契機として」と打ち出してあります。その後2頁目で、先ほど事務 局からお話になったことが黒岩委員よりもさらっと書いてあるという形になっているよう に思いますが、ほかの委員のご意見はいかがですか。 ○岡部委員 当初の対応あるいは現在の対応についても、私自身で申し上げたいこと、ある いは自身で反省すべき点、あるいは国との話合いの必要性など、いろいろあります。しかし、 大騒動という形で総括してしまうと、では何もしなくてよかったのかというようなことにも なります。この議論をやると、これは本当に全体のパンデミックに対してどういう対応をと ったらいいかという、もう少し別のところでの議論が必要ではないかと私は思います。議論 しなくていいということでは決してなくて、総括することは必要だと思います。しかし、そ の総括がないと、現在の新型インフルエンザ対策のワクチンというオンゴーイングのものに ついて解決する、ということの道筋にはならないので、今の案は了承したいと私は思います。 ○加藤部会長 山川委員、いかがですか。 ○山川委員 今回のことについては「大騒動」という言葉も出ていましたが、それが本当に 実態のない大騒動であったのか、それに本当に問題があったのか、いまひとつよく分かりま せん。岡部委員がおっしゃられたように、総括は必要だと思いますが、おそらく相当客観的 な事実経過の流れ、国際的な状況を踏まえて日本における状況を対比させて、問題があった のか、反省すべき点があったのかという議論は相当複雑、かつ異論のあるところだと思いま す。その議論はこれまでなされていないようなので、この「はじめに」の所に書くのはなか なか難しいことなのかなという感じがいたします。 ○加藤部会長 倉田委員、いかがでしょうか。 ○倉田委員 この予防接種の見直しで、インフルエンザは1つのきっかけです。インフルエ ンザだけを対象にしているわけではないので、いま黒岩委員が言われたことは非常に大事な のです。もしこれにどうしても名前を付けるのだったら、米国も、メキシコも「カリフォル ニア」という言葉を使っていますが、新しいインフルエンザ(AH1N1/カリフォルニア/2009)、 そして、それに関する対応の問題点があるとすれば、どこかにきちんとまとめた資料を付け ておくようにしたらいいのではないでしょうか。予防接種法の見直しはインフルエンザだけ ではなく、ほかのものもみんな絡んでくる話なので、もしこれに付けるなら、検疫がどうだ こうだという話とは別個に資料を付ける。そうでなければ、1回いろいろな資料を出して、 今後こうしたらいいという議論を別な所ですればいいのではないですか。ここにそれをくっ 付けてしまうと、何か突飛もなくインフルエンザの問題だけが浮き上がってきて、ほかのワ クチンの問題がどこかに消えてしまう。それを私は恐れるのです。 ○加藤部会長 北澤委員、いかがでしょうか。 ○北澤委員 委員の先生方の意見に特に異論はありません。黒岩委員の言われた総括という ことについてはどこかでする必要があるとは思います。ただ、この部会の場では、具体的に そういったことについて議論する機会がいままでなかったので、今回の報告書の中にそれを 含めるというのは、いままでの経過からすると、そこまではできないのかなという気がいた します。 ○加藤部会長 黒岩委員が委員会の最初のときに申し述べたとおっしゃっている発言です が、今村委員のご意見はいかがでしょうか。 ○今村委員 いままでの皆さんの意見と一緒でして、議論が十分なされていない中で書く危 険が非常に強いと思うのと、非常に複雑な議論になるような気がしますので、いまここでは 無理なのではないかと思います。 ○加藤部会長 古木委員、いかがですか。 ○古木委員 12月からこれまでに数回部会を行ってまとめ上げたということですので、私 は、これはこれでいいのではないかという思いがいたします。それで、さらに深く考えるこ とについては別の機会でやってもいいのではないかという思いもいたしております。 ○加藤部会長 宮崎委員のご意見を伺います。 ○宮崎委員 今般の新型インフルエンザ対策の反省については、対策推進本部がどこかで別 にやる、と言われたらいいのではないでしょうか。ただ、それがいつ、どこでなされるかが 不明確なので、黒岩委員のモヤモヤは、いつまで経っても解消しないだろうと思います。本 当は、予防接種に関する見直しの総括をしていただきたいと私はずっと思っているのですが、 それは今後の議論に預けたいということでグッと我慢しているところです。 ○加藤部会長 ほとんど全員の委員のご意見を伺いましたので、黒岩委員に改めてご意見を 求めます。 ○黒岩委員 1つ確認をしたいことがあります。厚生労働省にお伺いしますが、あの騒動を 私は大騒動だと思っています。国民は振り回され、騙されたと思っています。それを大騒動 だと思っているのかどうか。そして、なぜああいうことが起きたのかということについて既 に総括をしたのかどうか、総括をする気があるのかどうか、その点だけ確認させてください。 ○加藤部会長 これは部会でありまして、その総括をするか、しないかということと離れる と思いますが、黒岩委員の質問がございましたので、インフルエンザ対策推進本部の次長と してのお答えで結構ですので、お願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 予防接種がどうあるべきかということと、 いまの黒岩先生のご議論は少し大きくなっていると思います。今ちょうど政務官も来られま したが、我々としてあれが大騒動というようにご指摘をされましたけれども、いわば実際に 必要だった対応よりも少し過剰に反応したのか、そうでなかったのかというのは、それこそ 先ほど山川先生がおっしゃったように、そもそもあのときに得ることができた情報は何だっ たのか、我々としてどういう対応を取って、諸外国はどうであったのか、いろいろな転換点 があったとしたら、その時期は適切だったのかということも含めて、きっちりと検証する必 要があると思っています。いまの段階で評価はどうかと言われても、なかなか難しいのです けれども、それはきちんと対策評価をしなければ、やはり今後には活かせないと思っていま す。おっしゃるとおりです。 ○黒岩委員 まだ検証していないということですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 まだ検証しておりません。 ○櫻井委員 私は消費者委員会の委員なものですから、いまのようなお話は、なかなか大変 な問題なのです。いろいろ危険な情報が、危険な問題があるということで、確実でない段階 でそういう疑いがあるという状況が生じたときに、どういう形で情報を出して、なるべく早 くどういうように手を打っていくかというのは、情報行政の1つの問題で、予防接種の話と はまた違った形での対応が必要だし、あまりきちんと議論されていないのと、受けとめ方が どういうように受けとめるかという問題があります。刻々と状況が変わっていくので、その 辺りの専門的な議論自体がなかなかなかったと思われます。  従来の行政のあり方ですと、大体後手後手に回るのが普通で、遅きに失するという事態は 決してめずらしくないし、また、確実な情報を提供しようとするあまりに、適時適切な情報 提供が遅れるということは、むしろ今でも多いと思います。その点で厚労省は最近、ちょっ と前のめりに早く出しすぎというところも確かにあります。たぶん、いちばん要請されてい るのは、その中間あたりということになるのでしょうが、そこはトレーニングがまだ積まれ ていないということと、ノウハウもないだろうと思うのです。そこは広く全般的に、いまの 行政自体の大きな現代的な課題だと思います。ただ、そこは必ずしも今回の問題というより は、たぶん感染症全般にかかわってくる話なので、少なくともそこら辺までは範囲を広げて、 今回の場合、大臣をはじめとする具体的な対応についてどうだったのか、具体的に検証して、 もっといい方法があったのではないかということを考える必要があります。  また、マスコミの反応というのもあって、どんどん情報が勝手に増幅していくこともあり ます。そういうことも全部、官と民の両方の主体の動きを含めた上で検討することが不可欠 と思われます。それから消費者のほうも、生身の人間ですから、必ずしも合理的な対応を取 るとは限りませんので、そこのところの受けとめ方ということも含めて、もうちょっと総括 的に是非、場を設けてやられると、よろしいのではないかと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございました。全委員のご意見を伺いました。座長といたしまし ては、どうもここの部会での提案の「はじめに」の中に、今回の新インフルエンザの感染症 のパンデミックを起こした総括を書き込むことは、無理ではなかろうかというご意見が多か ったようです。先ほども述べましたように、「はじめに」のいちばん最初に、本部会は新型 インフルエンザの発生とその対策を契機として、昨年12月に設置されたところです。  次の頁ですが、黒岩委員がおそらくここは省いたほうがいいのではないかと思われたと、 私個人として思いますのは、ちょうど中央の2の上の所です。「今回の新型インフルエンザ 対策の総括も踏まえた上で」と書いてありますので、この総括を踏まえていないとなると、 この「総括」という所は省いていただきます。省けませんか。それは黒岩委員の意見を代弁 しているのです。 ○黒岩委員 逆ですよ。それでは後退しますよ。総括はまだしていません、総括はこれから しますというように、やはり書いてもらわないといけない。 ○加藤部会長 そういう意味ですね。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 むしろ「踏まえた上で」というのを残した ほうがいいということですね。 ○加藤部会長 そういう意味でよろしいですか、黒岩委員。 ○黒岩委員 はい。 ○加藤部会長 「はい」というお答えでしたので、「はじめに」は、先ほどの櫻井委員から の「いただいて」という所を。 ○生活衛生課長 先ほどの櫻井委員のご意見について、その場で申し上げられなくて申し訳 ございません。先ほどは協力を要請してということでのご指摘がありましたけれども、要請 をして実際に事務を行っていただいておりますので、表現ぶりとしては、こういう形でどう かと思うのです。「地方公共団体が、その事務の位置づけが不明確なまま協力する形となっ ており」といった形でやっているという意味です。 ○櫻井委員 何かいい日本語があれば。もったいないのですが、ちょっと変だと思います。 ○加藤部会長 いまの事務局の言葉もちょっと変ですか。 ○櫻井委員 何か変ではありませんか。 ○生活衛生課長 「地方公共団体は、その事務の位置づけが不明確なまま協力をしており」。 ○櫻井委員 「したところであり」みたいな形ですよね。 ○古木委員 はっきり言って毎日、いろいろな情報が整理されないままに流れてきたのです。 そんな状態です。 ○加藤部会長 古木委員、いかがですか。「不明確なまま協力をしたところであり」と変え るという事務局案ですが、よろしいですか。 ○古木委員 はい。 ○加藤部会長 ほかの委員はいかがですか。よろしいですか。                  (異議なし) ○加藤部会長 「はじめに」は多少の異論もありましたけれども、この部分を変えて「はじ めに」ということにさせていただきたいと存じます。  続いて2頁、新たな臨時接種の類型についてのご意見をいただきます。 ○黒岩委員 1-1の2頁の下の所に、「本来的にはその都度、予算を確保する等により行う 予算事業ではなく、予防接種法に恒久的な制度として位置づけた上で実施されるべきもので ある」と書いてあります。まさにこのとおりだと思うのですが、それならば今回のパッチワ ークということと、全く論理的に矛盾していると思います。パッチワークをするのであるな らば、本体にいじるべきではないと私は考えます。パッチワークの必要性をあえて認めるな らば、それは改めての特別措置法でいいと思います。なぜ、わざわざ予防接種法の改正とい う形で、パッチワークの部分を入れなければいけないのか、私は今回の議論をずっと通じて、 そこが全くわかりませんでした。今はそこまで言うタイミングかどうかは分かりませんが、 今回は予防接種法改正ではなくて、特別措置法をもう1回作るということで、この議論をま とめるべきだと考えます。 ○加藤部会長 ご意見承りました。あえてここで予防接種法を改正せず、特措法でよろしい のではないかというご意見ですが、事務局からお答えになりますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 前回もちょっとご説明したかもしれませ んが、今回のA/H1N1に対する対策がどうなっているかと申し上げると、この中にも書い てありますように、接種事業自体は予算事業としてやりました。その上で健康被害の救済の 部分と、損失補償の契約を結べるというところだけ、特別措置法でやりました。そこで課題 になってくるのが、やはり先ほども申し上げたように、自治体の役割の規定がしっかり書い ていないということです。いわば予算事業ですから、それをきちんと法律に基づいたものと してやる必要があるというのが1点です。  それから、なぜ特別措置法では駄目なのかということに関連しますけれども、特別措置法 というのは、ご存じのとおり1回のみ、その時のみの対応になりますから、もし、また同じ ような病気が起こったとすると、もう一度ゼロから法律を作らなければいけないということ になってしまいます。国家の危機管理ということを考えれば、もちろんそれを適用するかど うかというのは、慎重にデータに基づいて専門家の意見をお聞きして判断しなければいけな いと思いますけれども、そういうことができる仕組みをつくっていくのは必要ではないかと 思います。 ○加藤部会長 「パッチ」という言葉はわかりにくいのですが、パッチを当てておくという ことは、またすぐに似たようなインフルエンザのパンデミックが起きたときに、もう1回特 措法を組まなければならなくなるという意味合いと取ってよろしいのですか。もし、この場 で何らかの法案を出さなければいけない理由づけとして。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 私の説明が悪かったのかもしれません。要 は今のまま何もしなければ、今まさにおっしゃったように、特別措置法というのは1回限り ですから、同じようなものがきたら、またゼロからつくらなければいけないということもあ ります。それ以外にも今回の特別措置法では、いわば緊急避難的に、例えば健康被害の救済 の水準とか決めざるを得なかったところについて、全く手当てができないということになり ます。それから先ほど来申し上げている自治体の役割というのも、規定されないままという ことですから、これでは今年のこれから来るシーズンに対応することは、なかなか難しいと いうことで、とりあえずそこは手当てをさせていただいた上で、抜本的議論というのは必ず させていただきます。その際に今回の手当てをしたからといって、それが支障になって抜本 的な議論について、あることができないということにはならないようにすべきではないかと いうのが、この中の流れです。 ○加藤部会長 特措法についてなので、法律の先生お2人、山川先生は何かご意見はありま すか。 ○山川委員 私は、結論から申し上げれば、予防接種法に緊急のミニマムの改正を加えて、 特別措置法を繰り返して、その都度立法しなければいけないという事態は避けたほうがいい と思います。その上で今回はミニマムの緊急の改正ということにしておいて、黒岩委員がお っしゃっているような、あるいは懸念しておられるような、いろいろな問題については、予 防接種法本体をもう少し時間をかけて、抜本的に検討するというアプローチがよいのではな いかと思っております。 ○加藤部会長 櫻井委員はいかがでしょうか。 ○櫻井委員 別に対立するつもりはないけれども、黒岩さんのおっしゃっていることが論理 的によく理解できなかったのです。論理的に問題があるというようには、全然思いません。 やはり法律制度の中で不完全な部分、欠缺部分があるということを認識されたら、そこにつ いてきちんと対応するのは、ごく普通のことです。しかも、いちいち特措法を作っていくと いうのもアドホックな対応になってしまうのと、その都度国会を通さなければいけないとい うことになり、時間的な制約もあります。それから憲法論として言えば、やはり予算事業で はなくて、法的な正当性のある形でするのが望ましく、命の危険もあり得るわけだから、そ れは憲法論上も通常の法律の形で対応するのが、ごくごく普通の考え方であると思いますの で、何ら問題はないと考えております。 ○加藤部会長 ほかにご意見のおありの方はいらっしゃいますか。黒岩委員のご意見が妥当 であるという意見の方はいらっしゃいますか。 ○黒岩委員 私がずっと言っていることですけれども、抜本改正という議論は正しい方向性 だと思うのです。抜本に議論しましょうと。しかしどういう抜本の議論をするのか。「これ からです、これからです」とは言いながら、なぜ今、そこの本体のところに手を加える必要 があるかというのが、理解できないというところから始まっているのです。  私が思う抜本改正のイメージというのは、ここでも何回も繰り返しましたけれども、シン プルであるべきだということです。今までこの法律の体系が屋上屋を重ねるような感じで、 非常にわかりにくい。例えば、今回も作ろうとしている「努力義務」と「勧奨」と言われて も、よくわからないのです。ですから、もっともっとシンプルにしていくべきで、その方向 性における抜本改革の議論をすべきだと私は考えています。まず、そこについての皆さんの 共通の理解があるのかないのかというところを確認したいとともに、シンプルに持っていき たいと思うからこそ、いま当面ということでやっていることが、さらに複雑にしようとして いることだから、そんなことをする必要はないと思います。法律本体は置いておいて、特措 法を繰り返すということはよくない、だから抜本改正をするのであって、今回はしょうがな い、とりあえず当面と言うのだったら、もう最後の特措法という気持で、特措法でやるべき だと考えます。 ○加藤部会長 議論が深まってきました。岡部委員、何かご意見はありますか。 ○岡部委員 予防接種の実際の現場では、いろいろなルールを決めなくてはいけないので、 予防接種法でどんどん、どんどんルールが決まっていく中で、黒岩委員がおっしゃるように、 複雑な部分が多すぎてしまって、実際的ではないことが随分あります。そういうことを含め て、しかしこれは予防接種法の改正の中で是非、アジェンダの中に入れておいていただいて、 議論を加えるということではいかがでしょうか。私は法律のことはよくわかりませんけれど も、特措法をもう1回作るとなると、また国会を経て何だのということになって、むしろ非 常に複雑になるのではないかという簡単な思いをしているのですが、いかがでしょうか。 ○加藤部会長 ほかに黒岩委員の発言に対して、ご意見のおありの方はいらっしゃいますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いま黒岩委員がおっしゃったことを、文章 でどうなっているかというところだけ、少しご説明します。4頁の(2)のすぐ上の所です。 当面の措置としてはこれを作るけれども、まさにおっしゃったような一類・二類の区別とか、 定期・臨時の区別というのは、黒岩先生からご指摘のあったように、例えば煩雑であったり 固定的であったりという面もあります。ですから、そういう枠組み自体について抜本改正の 中では、きちんと議論すべきであると書いてありますので、我々はそういう認識でおります。 ○山川委員 事務局にご説明願いたい。抜本的検討改正のスケジュールというのを、どうい うように考えておられるのですか。黒岩さんがご心配になっているのも、たぶんそういうこ とだと思うので、そのスケジュール等をご説明いただけませんか。いま念頭に置いているス ケジュールです。 ○加藤部会長 後で出てくると思うのですが、今どうぞ。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 国会でご議論いただくことですので、いま 我々のほうで断定的に予断を持って申し上げることは難しいと思いますけれども、今回、も しこの臨時緊急的な手当てについて、一定程度の提言をまとめていただければ、それはそれ で立法措置をどうするかということを検討させていただきます。その上で、我々としては引 き続きこの資料の中にありますように、少なくとも6つの点については、まさに黒岩委員の おっしゃっているような目的規定とか、類型の煩雑さをどうするかというところも含めて、 議論をさせていただきたいと思っています。先ほど山川委員もおっしゃったように、少し時 間がかかるというのは、やむを得ないことだと思います。もちろん、この中の先生方にもし っかりご議論いただかなければいけませんし、例えば生産基盤をどうするかという議論にな れば、当然メーカーの方にもおいでいただいて、お話をお聞きしなければいけません。また、 接種を受けられる側の方にも来ていただいて、いろいろな意見も聞かなければいけないとい うことです。そういうことも含めて議論をさせていただきたいので、申し訳ないのですが、 今この段階で、いつの段階でそれをまとめるかというのは、なかなかいわく言い難いのです。 我々としてはここで休んでしまって、1年、2年そのままになるということは是非ないよう に、可及的速やかにやりたいと思います。 ○生活衛生課長 補足させていただきます。この提言をいただきますと、予防接種法の改正 もさせていただくことになります。法案の提出というのは、国会なり、いろいろなご事情は ありますけれども、大体通常のルールとしては3月の半ばといったところが期限となってお りますので、我々としてはそういったことを目指しながらこの法案の作業をやっていくこと になっていきます。実際にそれを踏まえて残された課題については、その後また議論してい ただくということになろうかと思います。議論については時間的にはかなりかかり、何回か 回を重ねていく必要があろうかと思います。このため次の課題を議論ができるように、委員 の皆様方のご意見も伺って、なるべく早く立ち上げる形にしていくのがいいのではないかと 考えています。 ○加藤部会長 ただいま山川委員がご質問になったところは、最後の「議論が必要と考える 事項」に入ってくる可能性がありますので、ごく至近的なお話よりも、もう少しちょっと先 のお話の中で、議論がなされるべきではなかろうかと私は考えます。いまは2〜6頁の中段 まで、ご意見を伺っているところですから。 ○岡部委員 スケールの小さい質問になって申し訳ないのですけれども、3頁から先に、今 回の新たな臨時接種の考え方について「新臨時接種(仮称)」と書いてあるのを、ずっとこ れまで用いられているのですが、これが承認されるとなると「仮称」を取って「新臨時接種」 という言葉が使われるのでしょうか。私が危惧するのは、「新」という言葉はそのときは一 見分かり易くて非常にいいのですけれども、いつまで経っても「新」という言葉になってし まいます。例えば、「新型インフルエンザ」の「新型」もおかしいと思いますし、感染症法 を制定したときの「新感染症法」というのも、結局いつまでも政令・省令の中で生きている から、新感染症法だという言い方がされました。「仮称」を取る場合には、この「新」はき ちんとした類型や文章にしていただきたいと思います。 ○加藤部会長 そうしますと岡部委員は、「新」ではなくて何がいいですか。 ○岡部委員 一類・二類でもいいですけれども、わかりやすくする必要があります。 ○加藤部会長 そのような意見が出ましたが、事務局としてはどうですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 論点は2つあると思うのです。1つは、法 律にどう書くかということです。これは現在でもラベルが貼ってあるわけではなく、法律で は長く書いてあるけれどもというところがありますので、そこはきちんと今回のご議論の趣 旨を踏まえて、法律にきちんと書きます。もう1つは、いわゆる通称として我々が行政行為 なり何なりをするときに何と呼ぶかということです。確かにおっしゃるように、「新」とい うのを今回、とりあえず付けさせていただいたのですけれども、これは新しいという意味で はありません。そこはしっかりした通称を付けるときには、皆さんのご理解をいただけるよ うな形にしたいと思っております。 ○岡部委員 重ねてすみません。4頁の段落の2番目ぐらいですけれども、こういうような ことをやったときに重要な課題であるから、「感染症対策全般との整合性を見ながら、政府 全体で広く議論を行う」と言っています。私この方面は素人でよくわからないのですが、政 府全体で広く議論をすると、かえっていろいろな省庁も全部巻き込んでというような印象も あって、非常に複雑になるのではないでしょうか。この場合の「政府全体」というのは、ど ういう意味合いをおっしゃっているのですか。 ○加藤部会長 事務局、どうぞ。 ○生活衛生課長 「政府全体」というように書かせていただいている趣旨としては、現在の 新型インフルエンザの措置についても、内閣のほうで対策本部を設けております。その中で 専門家の委員会のほうで、いろいろ専門家のご意見をいただいてやるような形をとっていま す。そういったところで専門家のご意見をいただいたり、そういう手続も踏んだりしている ということです。政府の内閣のほうでの決定といった部分がありますので、そういったこと をやっています。片や厚労省の中だけで申し上げますと、例えばこういう審議会でご意見を いただくようなことも考えられます。そういった今の現状を考えますと、政府全体で、いろ いろご議論をいただいて決まっている部分もありますので、その整合性を考え合わせて、整 理をするということが必要だろうという趣旨で書かせていただいております。 ○加藤部会長 そういう趣旨だそうですが、岡部委員はよろしいですか。 ○岡部委員 何かあまりよく分からないのです。 ○加藤部会長 要するに、幅広な意味をとっているということです。幅広の意味合いを入れ ているというように捉えていただきたいということです。ほかの委員のご意見はいかがです か。 ○岡部委員 つまり、具体的には例えば臨時接種の実施の要否の決定の手続をするときに、 政府全体でやるというのは、国会を通さなくてはいけないとか、各省庁間の意見を聞くとか、 そういう意味での全体の政府ですか。それともある政府の代表としての委員会とか、そうい う所で決定されるという意味ですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いまも臨時接種をするときには、厚生労働 大臣が定めることになっておりますので、手続としては厚生労働大臣が定めるということで、 国会で決定するということではありません。ただし臨時接種ですと、例えばいま想定してい る痘瘡とか、今度くる可能性のあるH5の強毒性のトリのようなものになってくると、それ はもちろんワクチンをどうするかということもありますけれども、全体的な感染症対策、例 えば輸送機関をどうするかというところにも絡む可能性がありますので、そこは議論をさせ てもらいますということです。これについて政府全体で決定するとか、国会で決定するとい うことではありません。 ○加藤部会長 このことに関しては後ほど、今日ご多忙中にもかかわらずご出席いただいて いる足立政務官から、最後のところできっとお話が出ると思います。そういう意味で幅広で 書かれているということで、ご理解いただきたいと存じます。 ○北澤委員 3頁の本文の2行目に、「今後発生する可能性のある別の新型インフルエンザ に係る予防接種を」とあるのですけれども、ここは新型インフルエンザに限る必要性はある のでしょうか。 ○加藤部会長 ここは座長提言として、「等」を入れていただきたいと存じますが、いかが でしょうか。要するに訳がわからないけれども、すぐにワクチンが製造できてしまうような 疾病が出てきたときにという意味です。ですからインフルエンザに限らないのかということ ですね。 ○北澤委員 はい。 ○加藤部会長 ここは事務局いかがですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 前回も議論させていただいたと思います。 名称があって、先ほど岡部先生もおっしゃいましたが、いわゆる仮称の新臨時接種ですね。 この仮称の新臨時接種になるものとして、どういうものが想定されるか、どこから指定でき るかという議論を、前回させていただきました。我々が説明したところ、我々はおおむねの 先生方のご了解をいただいたと思っているのです。現行の臨時接種は、一類からも二類から もこられますというようになっていますけれども、いま議論している新しい仮称の臨時接種 については、二類からということでよろしいですねということで、特段のご異論はありませ んでした。「等」を入れることについては、いわゆる本当の新型だけではなく、例えばスペ イン風邪がまた起こってしまったような、再興型というのもあり得ますので、「等」を入れ ることについてはよろしいかと思います。 ○加藤部会長 「等」を入れるということです。事務局、少しきちんとまとめてくださいね。 ○生活衛生課長 申し訳ございません。資料4の1頁に、「予防接種体系図」というのがあ ります。一類疾病、二類疾病、それから現行の臨時接種というようにありますけれども、新 しくいま想定しているのが、オレンジの「新たな臨時接種」です。ここで想定しているのは、 二類疾病の不定期接種ですので、ある意味でインフルエンザが適用されます。その場合に臨 時になるのは、新型のインフルエンザであろうかということですので、「等」とすると、ほ かの疾病も入ってくるという読まれ方ではいかがかと思われます。ですから「インフルエン ザ」としておいたほうがよろしいかと思います。 ○加藤部会長 そういうご意見ですが、北澤委員。 ○北澤委員 私がここを理解していなかっただけなのかもしれないのですけれども、別の可 能性というのがあるのか、ないのかが分からなかったので質問させていただきました。 ○加藤部会長 ここの所は、実は私も少し悩んだ所なのです。全く未知のインフルエンザ以 外の疾病が出てきたときに、また特措法を作らなければいけなくなる可能性も、なきにしも 絶対にあらずということではなかろうかという気もしたのです。事務局、「等」を入れると どうしてもまずいですか。 ○結核感染症課長 申し訳ございません。ここでインフルエンザ以外のものを想定するかど うかということと、感染症法上は新型と再興型を合わせて、「新型インフルエンザ等感染症」 というのが、法律上の1つの言葉になっております。ですから今の所に単に「等」を入れま すと、「新型インフルエンザ等に係る予防接種」というように、非常に広範になってしまい ます。つまりインフルエンザ以外の新興・再興以外のものを入れるかどうかということにな ります。  そこについてこの前のご議論の中では、それはインフルエンザ以外のものはないというご 議論だったと思います。つまり、新臨時でやるべきものについてはということです。従来の インフルエンザ以外の臨時でやるべきものについては、一類定期接種の政令で追加できるわ けですから、その際はそれで行えばよいと考えております。インフルエンザであって、ある いはインフルエンザと同じようなものであって、そこに類型の追加をしなければいけないも のをいま考える必要があるのかというと、現時点ではないと考えております。ここに「等」 と入れてしまいますと、それ以外のものを含む議論をしなければいけなくなりますので、「等」 については入れないほうが、私どもはよろしいのではないかと考えております。 ○黒岩委員 先ほどの話に戻しますけれども、いまの話がまさにそうであるならば、新型イ ンフルエンザに限るのだったら、特措法でいいと思います。 ○櫻井委員 私が申し上げたいのは、厚生労働行政の非常に大きな特徴は、法律は複雑とお っしゃるけれども、こんなにシンプルな法律はないぐらいです。もっと奇々怪々な法律は山 のようにあるのです。厚労行政の問題は、むしろ法律にあまり手を入れていなくて、下のレ ベルの政省令であったり、はっきり言うと通知とか、よくわからないインフォーマルなもの で、行政を非常に複雑に運用しているというところが大問題なのです。これがたぶん伏魔殿 みたいな話なのです。改善が必要なのは、そこをいかにシンプルにしていくかということで す。どうしても官僚組織というのは、たぶん現場が対応できないほどに要求してしまうので、 そこのところを変えるということが視野に入っていませんと、法律に手を付けても、はっき り申し上げてあまり意味がないのです。  シンプルにするというのは私も大賛成ですが、4頁の尚書きの所で、もし本当にちゃんと やる気があるのでしたら。単に尚書きの3行目で「今後行われる予防接種制度全般の見直し」 という所で、制度だけが書いてあるのですが、私のご提案として「今後」の前に一文入れて いただきたいのです。「行政の運用実態も視野に入れ」ぐらいを入れていただくと、今後診 療判決みたいなもの、東京地裁で負けたわけですけれども、それはやはりそういう前近代的 な行政のスタイルが批判されたというように、法律家の目からは見えるということで、1点 申し上げたいと思います。  私はもう退室しなければいけないので、先の話を1点だけ申し上げたいと思います。パン デミックの7頁の2の「3」の3段落目に、「国はワクチン製造販売、流通業者、医療機関 等の役割や責任分担のあり方を含めて議論する」とあります。それは結構ですが、たぶん医 療機関の法的性格というのが、きちんと議論されていないのです。つまり民であるのか公的 性格があるのかという、非常にあやふやな中でやっているわけです。このワクチン関係につ いては、ある種の危機管理ということになりますと、ギリギリ詰めると、実は公用負担みた いなことも入ってくるわけです。災害対策基本法などには、実際にそういう規定があります。  そうすると民間でありつつも、むしろ民間の自発性でやっていただく部分を超えたところ を、どこまで意識して対応するかというところが必要です。まずは民間機関、医療機関、お 医者さんの性格ですね。昔、私が学生時代は「弁護士は商人でない」と言われていましたが、 今はどうか知りません。医療従事者の存在意義というのがどういうものなのかということに ついて、どこまで協力を要請できるのか、あるいは、もっときついことを指示できるのかと いうことが関わってくるのです。そこはタブー視しないで、是非議論していただけるとよろ しいのではないかと思っております。 ○加藤部会長 議論はいいのですけれども、この言葉遣いはどうですか。 ○櫻井委員 ですから「3」のいま申し上げた「役割や責任分担のあり方」の中に、読み込 んでいただきたいということです。文章自体はここにいらっしゃる方が全員証人ですから、 大丈夫だと思います。 ○加藤部会長 要は、櫻井委員が言った中身を理解していただきたいということですね。 ○櫻井委員 医療機関の問題というのはタブーになっていたと思います。 ○加藤部会長 表現としては、これでよろしいですか。 ○櫻井委員 はい。そういうことでお願いします。 ○加藤部会長 いま櫻井委員が4頁の真ん中の段落で、ちょっと入れていただきたいと言っ たことですが、事務局はどうですか。繰り返して言ってください。 ○生活衛生課長 4頁の「2」に、「なお、当面の措置としては」というようにありますが、 「今後行政の運用実態を視野に入れ、今後行われる予防接種制度全般の見直しの中で再度議 論すべきである」ということです。 ○加藤部会長 櫻井委員、よろしいですか。 ○櫻井委員 「行政実態も」だと思います。 ○加藤部会長 私も「も」とメモしてあります。 ○櫻井委員 よろしくお願いします。 ○加藤部会長 6頁の真ん中までの所で、ほかにご意見はありますか。 ○今村委員 6頁の(4)の「接種費用の負担」についてです。こればかり言って申し訳ない のですが、まず地方公共団体が責務を放棄していないことを改めて申し上げた上で申し上げ ます。今から言うことは、こうしてほしいということです。尚書きの所ですけれども、「な お、新臨時接種が円滑に行われるよう、国及び地方公共団体において十分協議をすることが 必要である」というように変えていただけないかという提案です。なぜかというと、先ほど 櫻井委員が1頁で、地方公共団体が「いただいており」という言葉はおかしいと言われたの と、ちょうど裏腹になるような感じです。非常にシステムがはっきりしていなかったために、 確かに協議がなされないうちにいろいろなことが決まってしまいました。そういう意味で適 切に費用を負担するというのは、何が適切かも含めて、きちんと議論をした上で、協議をし た上でこれを決めていただきたいということで、是非ここを変えてほしいと思います。 ○加藤部会長 もう1回お読みいただけますか。 ○今村委員 「国及び地方公共団体において、十分協議をすることが必要である」というよ うに変えていただけませんか。 ○加藤部会長 その意見に対して、古木委員はいかがですか。 ○古木委員 いま書き取り中です。もうちょっと時間をください。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 このパラグラフの趣旨は、やはり適切な費 用負担が国と公共団体であるべきだということです。今村委員のご趣旨は、「十分に協議と いう趣旨を入れてほしい」ということであると思いますが、そこで終わってしまうと、適切 な負担が全くなくなってしまうのです。それをなくすというご趣旨ですか。 ○今村委員 いちばん最初に申し上げましたように、負担をなくすとは申し上げておりませ ん。 ○加藤部会長 その言葉をその中に入れてほしいということですか。 ○今村委員 要するに、適切に費用負担をするという。「適切に費用負担」という言葉は、 適切とは何かという議論をしていない中で、適切に費用負担をするということは、基本的に このままで書いてしまうと、ゼロがないということですね。ですから、そこまではっきり書 かずに、きちんと議論をしてほしいということです。ここにきちんとした議論をするという ことを書いてほしい、協議をするということを書いてほしいということです。 ○加藤部会長 では協議をし、さらに適切なということを書いてはいけないのですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 おそらくご趣旨を文言に落とすとすると、 「国及び地方公共団体が十分に協議をし」、もしくは「協議をした上で適切に費用を負担す ることが必要である」ということでよろしいですか。 ○今村委員 そうですね。折衷案で、それでいいです。 ○加藤部会長 古木委員、いいですか。 ○古木委員 いいです。事務局からもう1回読んでください。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 「なお、新臨時接種(仮称)が円滑に行わ れるよう、国及び地方公共団体が十分に協議をし、適切に費用を負担することが必要である」。 ○加藤部会長 今村委員、よろしいですか。 ○今村委員 国及び地方公共団体において十分協議をし、適切に費用負担をすることが必要 である」と言ったほうが、それらしくなると思いますが、微妙ですね。「が」という。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 わかりました。「国及び地方公共団体にお いて十分に協議を行い、適切に費用を負担することが必要である」でよろしいですか。 ○今村委員 はい、そうしていただけたらと思います。 ○加藤部会長 廣田委員、もうお帰りになるのでどうぞ。 ○廣田委員 4頁の「公的関与のあり方」ですが、文言はこれでいいと思います。しかし、 臨時の努力義務と勧奨、定期二類の努力義務なし勧奨なしの中間点。そのリファレンスにな った定期二類の、努力義務なし、勧奨なし、周知のみというのが出てきますが、やはりちょ っと違和感があるのです。季節性もやはり「インフルエンザワクチンを受けましょう」と言 っていますし、今後、新型インフルエンザと季節性が一緒になったときに、「新型ワクチン を受けましょう」と言っていて、その横で「では季節性は打たなくてもいいですか」と聞か れたら、やはり「打ちましょうね」と当然言うでしょう。ですから、リファレンスになった 勧奨なし周知のみというところを、もうちょっと議論をして、わかりやすくしないといけな いと思うのです。(2)のすぐ前の「今後行われる全般の見直しの中で、再度議論すべきであ る」という点、やはり議論を深めないといけないと思います。 ○加藤部会長 議論ではなくて言葉遣いです。議論は本日までに十分果たしてまいりました ので、中身ではなく、ここに書かれている文言についてです。 ○廣田委員 文言はこのままでいいと思います。 ○宮崎委員 ここは私もちょっと違和感のあった所です。つまり定期二類は接種を勧奨して いないと言われるけれども、実際には積極的に勧めていないだけです。定期一類は積極的勧 奨で、定期二類は積極的には勧めないというように、実は私は解釈していたのです。言い方 の問題ではあるのですが、今回こういう整理でみんながスッと納得するかどうかは若干疑問 である、と思ったのです。 ○加藤部会長 私はよくわかるのですが、ほかの委員のご意見はどうでしょうか。事務局案 では、どうしても駄目だという委員はおりますか。中身はよくわかります。よろしいですね。 ○黒岩委員 これくらいの専門家の皆さんでも混乱するぐらい、複雑でわからないというこ とですよ。ですから、今回の本体の改正を入れるということは、そもそも意味がないという ことです。はっきりやめたほうがいいと思います。  それとともに文章、文言ということからするならば、先ほどの所へ戻って申し訳ないので すが、2頁です。大きな2の上の「今回の新型インフルエンザ対策の総括も踏まえた上で」 という所です。先ほどまだ総括をしていないという話がありましたので、そこの文章を変え ていただきたいと思います。「今回の新型インフルエンザ対策の総括をし、その結果も踏ま えた上で」というように変えていただきたいと思います。 ○加藤部会長 ちょっと話題が逸れて2頁に戻りましたが、先ほど私が提言したことになっ てきました。対策の総括を踏まえていないので、「総括を行った上で」ですか。いや、これ では同じことですね。黒岩委員、もう1回言ってください。 ○黒岩委員 「対策の総括をし」。「行って」でもいいですけれども、「総括を行った上で」 でもいいです。「総括をし、その結果も踏まえた上で」です。 ○加藤部会長 事務局、いかがでしょう。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 大筋としてはおっしゃるとおり、やはり総 括は必要ということになると思うのです。しかし文章上で申し訳ないのですけれども、文章 として「総括を行い、その結果を踏まえた上で見直しを検討する」という順番になりますと、 それが終わるまでは一切この検討はできないというように読めてしまうのです。ご趣旨はわ かりますが、そこは少し工夫をさせていただきたいと思います。いま文言を考えます。 ○加藤部会長 その文言を考えるには時間がかかりますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 若干。少しやっていただいている中で考え ていきたいと思います。 ○加藤部会長 では、やっている間に考えるそうですから、6頁の真ん中辺の所までで、ほ かにご意見はありますか。                  (意見なし) ○加藤部会長 ないようですので、6頁まではいま事務局が考えている所を除いて。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 補足でもう1件申し訳ありません。先ほど 今村先生がおっしゃった6頁の尚書きの所です。先ほど私は今村先生がおっしゃる所を、「に おいて」と申し上げましたが、そうすると主語がなくなってしまうので、やはり「が」にさ せていただきたいと思います。 ○加藤部会長 読み直してください。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 「国及び地方公共団体が十分に協議を行い、 適切に費用を負担する」というのが必要です。そうすると主語があります。 ○加藤部会長 「が」を入れて主語にしたということです。 ○今村委員 「費用負担が」が入りますので費用負担を。私はそれを入れないことにしたの で、「において」にしたのです。わかりました。 ○加藤部会長 了解ですか。わかりました。 ○結核感染症課長 いまの黒岩委員からの部分で、2頁の2の直前の所です。「この制度全 般の見直しの検討では、今後行うこととしている今回の新型インフルエンザA/H1N1対策 の総括も踏まえた上で」というようにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○加藤部会長 もう1回言ってください。 ○結核感染症課長 「今後行うこととしている、今回の新型インフルエンザ対策の総括も踏 まえた上で」です。 ○加藤部会長 黒岩委員、いかがでしょう。 ○黒岩委員 今後行うこととしている総括ですか。 ○結核感染症課長 はい、総括です。 ○黒岩委員 「行う」と言ったほうがいいのではないですか。「行うこととしている」とい うのは、どこでしているのですか。こういうように書くのだったら、今後行いますとまず書 いた上で。 ○結核感染症課長 もちろん「今後行う」で結構です。 ○黒岩委員 「今後行う」で1回切らないと駄目です。 ○結核感染症課長 「今後行う今回の新型インフルエンザ対策の総括」。 ○黒岩委員 この「行う新型インフルエンザの総括」と言っても、行うということをまず言 っていないのです。はっきり言うと、総括を行いますと言ってほしいのです。 ○加藤部会長 これは先ほどの議論に戻って、この部会とまた違うところで総括を。 ○黒岩委員 そんなことはないです。ここに文章にはじめに書いてあるのだから。 ○加藤部会長 ですから今、それを修正しているわけです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 アイディアとして、そこに入れるのではな く、例えば「今回の新型インフルエンザ対策について、今後行う総括も踏まえた上で」とい うことにすれば、行うということは明示的に入ると考えますが、いかがでしょうか。 ○黒岩委員 なぜ「総括を行う」という文章にならないのですか。「行おうとしている総括」 という、なぜそういう分かりにくい表現になるのでしょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 そうすると「総括を行う」で切って、2文 にするというご趣旨ですか。 ○黒岩委員 総括を行うという言葉を明記してほしいということです。つまり、今のこの部 会というのは、総括なしにきているわけですよ。これは、はっきり言って国民には理解され ませんよ。やはり厚生労働省はこの部会の検討を基にして、総括を行うとはっきり言わなけ れば次に進めない。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 確認をさせていただきたいと思います。も し黒岩先生がおっしゃっているのが、ワクチンもしくは予防接種に対する総括だけでなく、 先ほどもおっしゃいましたように、検疫やその医療体制など、そのもの全部も含めた総括を 指しておられるとすると、我々の理解ではここは予防接種部会ですので、フォーラムとして はここでない可能性が大きいということです。もちろん、ここでも予防接種についての総括 はすべきだと思いますし、厚労省としてやりますけれども、フォーラムとしてはここではな いということでもよろしいですよね。 ○黒岩委員 それはよろしくないです。一類・二類というように分けて、ややこしい複雑な 制度を作って、さらにそれに屋上屋を重ねようとしていることが、根本的におかしいと言っ ているのです。しかし当面だからパッチワークにさせてくださいと言ったのは、今回起きた ことについては、いままでの法体系では補えなかったから、何とかして当面はパッチワーク にさせてくださいということですよね。そのためには国民のご理解も求めなければいけない のだから、やはりなぜああいう大騒動になったのか、あんな馬鹿げたことをやったのか、非 科学的なことを科学者たちが集まって馬鹿みたいなことをやったのかということについて、 誰かが「ごめんなさい」とか、「こういう、こういうことがありました」と言わないと、次 の議論に進めませんよ、国民は誰も理解しませんよということを言っているのです。 ○加藤部会長 わかりました。黒岩委員が先ほどから主張されている、この部会としてのあ り方についての書きぶりですが、山川委員、何かいいご提案はないでしょうか。 ○山川委員 あまりありません。 ○総務課長(健康局) 黒岩先生がおっしゃっているのは、要するに厚生労働省はちゃんと 総括をせよということを、ここに書けということですね。我々がはっきりさせたかったのは、 この部会で先生方自身が総括をなさるということではなく、厚生労働省はちゃんと総括する、 そういうものも踏まえてこの部会で予防接種のあり方を抜本的に検討するのだという趣旨 を、はっきりするということでよろしいですね。わかりました。では、文章は若干分かれる かもしれませんが、それを踏まえて書かせていただきます。 ○加藤部会長 いま書けますか。 ○総務課長(健康局) いま同時並行で検討させていただきます。 ○加藤部会長 あくまでも私が引っかけておりますのは、予防接種に関する部会ですので、 極めて難しい立場にありますから、これは事務局でいま考えられる限り考えてください。ほ かに6頁の真ん中まででよろしいでしょうか。                  (意見なし) ○加藤部会長 ありがとうございます。そうすると、いま考えている所は1点ですね。あと は解決しましたね。それでは次に進みます。「パンデミックが起きた場合において」という 所で、6頁から7頁の真ん中まででご意見をいただきます。 ○宮崎委員 先ほど議論で、の新しい臨時接種は、結局新型インフルエンザを検討するとい うようにおっしゃったように思いましたが、そうすると7頁の(2)の最後の「なお、地域的 な蔓延の場合は現行どおり都道府県が対象」云々というのは、あまり意味のない文章になる のかと思うのです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 確かにおっしゃるとおりです。これは「パ ンデミック時には」というパラグラフで始まっていますので、それですと2つ目までで本来 は完結すべきだというのは、まさに宮崎先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、ここ だけを読みますと、臨時接種についてはすべて国が対象疾病や接種対象を決めるということ にも感じかねないので、地域的な蔓延の場合には今までどおり、引き続き県が接種対象者や 時期について判断するというそのままですよと記載しています。 ○宮崎委員 新型インフルエンザで地域的流行というのを想定するのですか。先ほど新二類 はこれに限定すると言われたのです。「等」も付けないと言われたでしょ。インフルエンザ で、福岡県だけ対策を取るなどということがあるのでしょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 蓋然性としては非常に低いと思います。い まの予防接種法の6条では、1項と2項に分かれて、それぞれ地域的流行と全国的流行があ ります。地域的流行というのが本当にあり得るのかというのは確かにありますけれども、可 能性としてはやはりあるので、そういう構造はやはり残しておかないといけないと思います。 ○宮崎委員 そうしたら先ほどの「等」ぐらい、残しておいてもいいのではないですか。蓋 然性が低くても新型インフルエンザに限らず、「新型インフルエンザ等」とする。 ○加藤部会長 最初の北澤委員の質問ですよね。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤部会長 それとの整合性はいかがかという宮崎先生のご質問です。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 もし、この「等」でおっしゃる趣旨が、い わゆる再興インフルエンザも入れるという趣旨であれば、それこそ法律の「新型インフルエ ンザ等感染症」という言葉に置き替えることは可能だと思います。法律上はそうなっていま すから。 ○宮崎委員 ですから、その新しい枠組みの中で、地域的流行を想定したものを本当に想定 されているのかと思って、ちょっとびっくりしたのです。 ○加藤部会長 地域的なものをあえて加えた。 ○生活衛生課長 法律では地域単位でやっているものも確かにあるのですけれども、パンデ ミックということで申し上げますと、地域だけで蔓延しているかというと、ご指摘のとおり の点もあります。もしこのパンデミックというところでの状況を想定して、誤解を招くとい うことであれば、「なお」の所は削除するというのが1つの方法だと思います。 ○加藤部会長 ここの項目はパンデミックの項目ですので、やはりちょっと馴染まない感じ が私もいたしておりますから、この尚書き以下を削除ということで、宮崎先生、よろしいで しょうか。 ○宮崎委員 6頁の真ん中の項のタイトルは、「新型インフルエンザ等の世界的大流行」な のです。やはりここは「等」なのです。だから、これが入ったのかなと最初は思っていたの です。ところが、先ほどのところで「等」を取ると言われたのでちょっと混乱が始まったの です。 ○加藤部会長 このパンデミックのときには「新型インフルエンザ等」なのです。最初から、 2番の頭のところを見てください、それは「等」が入っています。 ○宮崎委員 そうなのです。 ○北澤委員 ここのところが、私自身の理解の不十分なところも含めてわかりにくいのは、 パンデミックということは言ってあるのだけれども、パンデミックに対するワクチンの接種 が臨時なのか、それとも今回新たに作る新臨時なのかというのが明確でないので、新型イン フルエンザに限定なのか、そうではないのかというのがわかりにくいということになるので はないかと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○結核感染症課長 それは新型インフルエンザの場合であって、従来型の臨時接種で行う場 合もありますし、ものによっては新臨時で行うこともあります。ですから、そこは直ちに新 型だからどうと決まるものではないということですので、それはどちらにもなり得るという ことです。 ○加藤部会長 それは、本当の臨時になってしまう場合もあるという意味合いを含めている ということですね。 ○結核感染症課長 はい、あり得ます。 ○宮崎委員 本当に一時的のような疾患があれば、別に残しておいて構わないです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 私の説明で前にもあったかも知れません し、部会長もおっしゃっていましたけれども、2頁で始まる1のところと、6頁で始まる2 のところは対象範囲が違います。ですから、最初のほうは「新型インフルエンザ」になって いますし、後ろのほうは「新型インフルエンザ等のパンデミック」になっています。なぜか というと、前段のところは「新しい臨時接種(仮称)」に想定されるような類型の話をして いますし、後段のところは少し幅広いものをやっています。 ○加藤部会長 宮崎委員、それでは原案どおりですね。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤部会長 6頁、7頁でほかにありますか。 ○黒岩委員 7頁の、「接種の優先順位を付ける」という項目です。前回私は、国がそもそ もそういうことの優先順位を決めることについては非常に抵抗があるというお話をしまし た。その議論がここでは全く無視されているわけです。この項目そのものは要らないと思い ます。「日本全国で適切に接種機会を確保する必要がある」まででいいと思います。国が、 わざわざ優先対象者を決めて、それで順番を決めてやる仕組を導入することが必要であると は思わないです。それは前にも言ったけれども、時の政権が万が一そういうことになったと きには、政治生命をかけて国民に理解を求めてやらざるを得ない、というところでギリギリ やるべきであって、初めからこのように国が優先順位を付けることを法律の中に書き込んで しまえば、足りなければ足りないでいいのだということになってしまいます。だから、これ は要らないと思います。 ○加藤部会長 黒岩委員のご意見は、(2)を全部取ってしまうということですね。 ○黒岩委員 最初のフレーズだけ、4行だけはいいかもしれません。 ○加藤部会長 最初のフレーズは、要らない? ○黒岩委員 要る。「このため以下」は要らない。 ○加藤部会長 「このため」以下は要らないという意見が出ましたが。 ○岡部委員 パンデミック対策は、今回のものの以前に新型インフルエンザ対策検討委員会 が行われていて、そのときには実際にワクチンの接種を行うときにどうしようかという議論 を随分行いました。それは専門家委員会ですけれども、ワクチンの生産が最初から間に合え ば、それは理想的にはそうなのですけれども、現実としては一時に十分量が供給されるわけ ではない。それは技術的に無理なのです。  もう1つは、仮に全体で1億本ができたとしても、その一億本が一斉に短期間にできるわ けがない。となれば、医療の世界ではトリアージというのがあって、医療資源が不足してい る時にはリスクの高い人あるいは病気の場合などでも治療の結果が見込める人などを優先 に対象とするという考えがあります。パンデミックワクチンの導入ということを考えた時に、 初期段階ではトリアージの考え方はどうしても入れておかないと、できるだけ多くの人にと いう意味が最初から理想論で伝えられると、結局はすべてに行き渡らなくなるのではないか という議論もしたと思います。したがって、その新型インフルエンザ対策専門家会議では優 先順位を付けるのはやむを得ない、と結論づけ、パブリックコメントも求めました。世界で もそのような順位付けが行われています。私は今でも優先順位の考えは必要であると思いま す。 ○加藤部会長 優先順位の件で黒岩委員から出ましたが、日本医師会のご意見はいかがです か。 ○飯沼委員 いま岡部先生がおっしゃられましたけれども、物のあるときとないときと、そ れから当然初めから量が十分確保されるわけではありませんので、順位をどうするか各論は 別として、総論で順位を付けることは仕方がないと思います。 ○加藤部会長 今村委員はいかがでしょうか。 ○今村委員 私も、優先順位を付けることは致し方ないというより、必要があると思ってい ます。必要な人に優先的に行くために、優先順位を付けることは必要だと思います。 ○加藤部会長 倉田委員はいかがですか。 ○倉田委員 先進諸国では全部、病原体によって違いますが天然痘だったら警察からその他 全部含めてだし、インフルエンザだったら警察はあまり出てきませんが、診療に当たる人を 最優先でやるというのが世界のやり方になっています。日本もそれをやや踏襲したかという 感じです。日本は平等だからそういうのは関係ないという方々もいますし、私の案を言いま すと、そこはどうするかというのは1つの方向を出していかないと混乱するだけだと思いま す。 ○加藤部会長 結論がよくわからないのですが。 ○倉田委員 結論は、優先順位は当然と。 ○加藤部会長 はい、わかりました。この優先順位をどなたにするかということは別として、 一応この優先順位というのはパンデミックのためです。パンデミックが起きた場合には、優 先順位を付けておくのは致し方ないことであろうということが大方のご意見だと思います が、そのようにまとめてよろしいでしょうか。 ○古木委員 よろしいと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。黒岩委員のご意見 も十分理解できますが、岡部委員から大体総括していただけたのかと想定いたしますのでよ ろしくお願いいたします。そのほかに7頁の真ん中までのところでいかがでしょうか。下の (3)までのところです。 (特に発言なし) ○加藤部会長 特にご意見がないようですので、そこのところは特に手直しはないと了解さ せていただきまして次に進みます。次は、「新型インフルエンザワクチンの定期接種化」の 部分についてご意見がありましたらお願いいたします。7頁、8頁に目を通していただきま して、ご意見をいただきます。 ○北澤委員 7頁の下から3行目に、また「臨時接種」という言葉が出てくるのですが、こ れがまたわかりにくくて、現行の「臨時接種」、「新臨時接種(仮)」というのがどうなるの かわかりにくいので、もう少しわかりやすくしていただけたらと思います。 ○生活衛生課長 両方あり得ると思われます。 ○加藤部会長 先ほどの議論と同じことなのです。ですから、うんとすごいのが出てきてし まったときと、今回のようなときと両方あるので、書きぶりとなるとこうなります。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 たぶん、「臨時接種又は新臨時接種(仮称) により対応」ということだと思います。 ○加藤部会長 そう書き換えますか。 ○次長 はい。 ○加藤部会長 それでよろしいですか。 ○北澤委員 はい。 ○加藤部会長 いますぐ書き換えてください。ほかにご意見はないでしょうか。 (特に発言なし) ○加藤部会長 このパラグラフは、「又は」というところでただいま事務局が直しておりま すので、そこで直していただくことにいたします。 ○次長 いまのところで「又は」と申し上げましたけれども、そうすると「臨時接種」の「今 の」というのがわかりにくくなってしまうので、「現行の臨時接種又は新臨時接種(仮称)」 ということにさせてもらいます。 ○加藤部会長 それは、いま事務局が知恵を絞って書き直しておりますので、最後に出てま いりますので、そこのところでもう一回念を押してください。 ○宮崎委員 8頁の「対象者」のところですけれども、インフルエンザワクチンには、スプ リットタイプでアジュバントなしから、スプリットタイプでアジュバントあり、全粒子タイ プでアジュバントあり、さらには経鼻生ワクチンもあるというように、いろいろなワクチン がある中で、法律で対象者をあらかじめ決めているほうが変なのです。やはり、そのねじれ は早く解消していくべきだろうと思います。その一里塚としてとりあえず新型インフルエン ザについては高齢者限定を外すという議論ですが、これは定期接種2類の本体のほうも合わ せて検討していかないといけないだろうと思っています。 ○加藤部会長 具体的に言うとどういうことですか。 ○宮崎委員 経鼻生ワクチンだったらどの年齢層に対して接種が勧奨できるかなど、これか らはワクチンの種類によってもっと複雑に考えないといけない時期が来るので、インフルエ ンザだったら高齢者だというような単純な話ではなくなってくるはずなのです。もっと専門 的な議論を踏まえた上で勧奨が出せるようにしておかないといけないと思います。 ○加藤部会長 それは、今後の話ですね。 ○宮崎委員 そうです。 ○加藤部会長 今回のインフルエンザに関しては、臨時から一類に上げるときには高齢者と いう枠を外さなければならないのでこういう表現がしてある。 ○宮崎委員 そうです、そうせざるを得ないのだということです。 ○今村委員 確認ですけれども、7頁のいちばん下の「発生当初は」というところの2つを、 「あるいは」という言い方をされました。結局新型インフルエンザは発生当初はどちらかで やるということですか。要するに臨時接種であって、定期接種でないのはわかりますけれど も。 ○結核感染症課長 もちろん「やらない」という選択肢もありますが、それは病態によりけ りで、極めて軽微なものであれば、です。ただ、一般的にインフルエンザであればかなり広 範に患者が発生するので、いずれか新臨時が行われる可能性は高いだろうと思います。 ○今村委員 そういう意味も含めたら、今は臨時接種は現行と新の2つの枠しかないのです よね。それだけかどうかもわからない中で、「臨時接種という枠を設けている」という書き 方のほうがむしろ適切ではないか。今は2つしかないから、このままでいくと新型インフル エンザは発生当初はどちらかに入れていかなければいけなくなるのです。「あるいは」と書 かれると。根本的な議論をこれからする中で、臨時接種の問題等はまた論じられるはずです から、2つしかないという書き方の中で、「発生当初」と書いて危険はないですか。言って いる意味がわからないですか。 ○加藤部会長 私はよくわかります。 ○今村委員 すみません、日本語がおかしくて。加藤先生言ってあげてください。 ○加藤部会長 皆さんのご意見を。 ○次長 確認させていただきますと、「対応することが想定されるが」というふうに書いて ありますので、もちろんいま結核感染症課長からありましたように、すべてどちらかになる のだということでは必ずしもないと思うのです。こちらになるか、こちらになるということ が考えられるがということです。 ○宮崎委員 任意接種もあり得るのかもしれないです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ええ、そういう可能性も。ただ、新型イン フルエンザで国民に対する免疫がないというような感染症の定義からすると任意というの はないかもしれません。 ○加藤部会長 いまのでよろしいのでしょうか。 ○生活衛生課長 言葉を厳密に言えば、「発生当初は必要があれば」とかというふうに。 ○今村委員 どちらかというとそういう意味ではなく。 ○加藤部会長 今村委員、ごめんなさい。いまのは8頁の。 ○今村委員 7頁の下から3行目です。 ○加藤部会長 わかりました。「発生当初」ですね、先ほどのところですね、「又は」という ところでまた議論をくりかえすのですね。 ○生活衛生課長 今村委員がおっしゃっている趣旨は、要するに「現行臨時あるいは新臨時」 という類型以外に、例えば新しい別の類型のようなものを考える。今後全体の見直しの中で あり得るわけで、そこで「現行の臨時接種又は新臨時接種」と言ってしまうと、この2つ以 外に今後ないような印象を与えるのではないかというご懸念ではないかと思いますが、そう いう理解でよろしいですか。 ○今村委員 そうです。即ち今あるのは定期接種と臨時接種しかないのです。臨時接種に2 つしかないのです。そういう意味だったら臨時と定期という基準で分けて「臨時」と書いた ほうがいろいろな意味でいいのではないかというだけです。現行臨時接種と新臨時接種はか なり詳しく内容をゴチャゴチャ書き込んでいます。そうすると、それ以外のことだってある かもわからないということです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ということは原文どおりで、「現行」と書 いてないからその両方を指すのだという理解でそのままにしようということですね。 ○加藤部会長 そうなりますね。 ○今村委員 結論としてはそうなります。 ○加藤部会長 今村委員の趣旨はよくわかりますが、文言にするとこの原案どおりというこ とになりますけれどもよろしいですか。 ○宮崎委員 全くそのまま。 ○加藤部会長 はい、全くそのまま。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 「現行」は入れないで、「発生当初は臨時 接種による対応する」というそのままにするというのが、たぶん今村委員のご提案かと思い ます。 ○加藤部会長 それでよろしいですか。 ○今村委員 はい。 ○加藤部会長 ほかに定期接種のところでご意見はありますか。 (特に発言なし) ○加藤部会長 特にないようですので先に進ませていただきます。9頁で「議論が必要と考 えられる事項」についてご意見をいただきます。 ○黒岩委員 上から2行目です。「今回の緊急的な手当てに必ずしもとらわれることなく、 抜本的な見直しを議論していくことが必要と考えられる」とありますが、なぜここに「必ず しも」というのが入っているのですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 削ります。 ○加藤部会長 削ってください。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい。 ○加藤部会長 「必ずしもとらわれることなく」を削る。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いや、「必ずしも」を削ります。 ○加藤部会長 すみません、「必ずしも」だけを取る。 ○宮崎委員 10頁の4の費用負担のことなのですが、実際的には定期一類はほぼ無料で接 種されていて、定期二類は1,000円とか2,000円ぐらいの自己負担が多いです。最近は任意 接種で値段の高いワクチンがたくさん登場してきて、実際問題としてお金がないと受けられ ない状況がだんだん顕在化してきています。経済格差が健康に直接影響を与えるような状況 になっています。言ってしまえば、子ども手当の2%ぐらいを注ぎ込めば世界標準に一機に 到達できるのではないかと思うのです。そういうことは制度として、健康が守れる恒久的な システムを、是非これからの議論の中でしていただきたいと要望しておきます。 ○加藤部会長 文言で何か付け加えますか。 ○宮崎委員 いろいろな知恵と工夫が要るだろうと思います。 ○加藤部会長 それは、実際に進めた上で、また議論をしていこうということでよろしいで すか。 ○宮崎委員 そうです。 ○加藤部会長 議論が必要と考える事項について、黒岩委員と宮崎委員から意見が出ました が、ほかにはいかがでしょうか。 ○宮崎委員 予防接種に関する評価検討組織の中で、ここにも書いてありますけれども、情 報収集とか評価というのは人手と時間がかかる部分ですので、これは国立感染症研究所を中 心として、我々としては評価の部分を強化していただきたいと前々から思っていますので、 是非これもきっちり議論していただきたいと思います。 ○加藤部会長 議論でよろしいですか、何か加えますか。 ○宮崎委員 もっと人手の面でも感染研を強化していかないと、本当の意味で国民へのちゃ んとした情報提供ができないです。しかし、いろいろ予算が難しい中ではなかなか厳しいこ ともあると聞いています。ベーシックなデータを積み重ねるのが日本は不得意ですので、こ ういう機会に、きちんとしたナショナルデータを作って発信していけるように強化していた だきたいと思います。 ○加藤部会長 いま岡部先生に意見を求めたいところですが、中心人物ですので意見を言い にくいと思いますし、いろいろ差し支えがあると思います。 ○岡部委員 感染研の名前が出たので、感染研のスタッフとしてお答えしますけれども、予 防接種に関する評価検討組織のあり方で絶対重要なことは全くそのとおりです。宮崎先生が おっしゃるような、そのデータをきちんと常に出していくためには、相当な人手等々が必要 であるということも踏まえて議論しないと進んでいかないのだろうと思います。私は、宮崎 先生にご意見を言っていただいたことに感謝いたします。 ○加藤部会長 感謝だけで、字は入れなくてもいいのですね。 ○岡部委員 それは、ここに字としては入りにくいだろうと思うのです。今後の議論の中で 絶対に必要なことだと提案します。 ○加藤部会長 ありがとうございました。 ○飯沼委員 (6)の後半のところですが、忘れられては困るぐらいにちょろっと書いてあり ます。研究開発のところは、こんな最後に取って付けたような書き方ではなくて、枠を1 つ明確にしていただきたいと思います。ワクチンの確保ではなくて、要するに研究開発のと ころをしっかり入れていただきたい。  もう1つは、今度のワクチンが非常にダブついて余っていることの原因は、重複予約やキ ャンセル、国民がいろいろな所に予約しておいて圧倒的にキャンセルしているわけです。そ ういうことがありますので、国民にワクチンに対するものの考え方、啓蒙のことも次の段階 で議論していただくということで入れていただきたいと思います。 ○加藤部会長 ただいま、研究開発のところを別立てに入れたらいかがかというご意見があ りました。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 (6)は「確保のあり方」という表題になっ ていますが、中身をご覧いただくと、まさに研究開発、生産基盤のところですので、むしろ 題自体を「ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保のあり方」とさせていただきます。 ○加藤部会長 それで、医師会としてはどうでしょうか。 ○飯沼委員 はい、それでいいです。 ○加藤部会長 表題自身を変えて、別立てにはしないことにいたします。 ○黒岩委員 先ほどの議論ですが、接種の優先順位付けを国がやるべきかどうかも議論が必 要と考えられる事項に入れていただきたいと思います。それとともに、前回の新型インフル エンザ騒動といったものに対する総括を、厚生労働省がやってくださって、それを報告する のであるのならばそれを見守りたいと思いますが、それがないのならば今後議論が必要と考 えられる事項の中に総括そのものを入れていただきたいと思います。 ○結核感染症課長 2頁の表現として。 ○加藤部会長 先ほどのところに戻りますね。 ○結核感染症課長 はい、いまのご発言はその部分です。「今後、政府において行うこの制 度全般の見直しの検討では、今後政府において行う今回の新型インフルエンザ対策について の総括も踏まえた上で」と修文をさせていただきたいと思います。これは厚生労働省だけで はありませんで、政府全体で総括を行うことにしておりますので、このような表現にさせて いただきたいと思います。 ○黒岩委員 そんなことがしてあるのですか、どこでしてあるのですか。 ○結核感染症課長 これは内閣府です。この前、既に内閣官房から各省庁が招集され、この 方針が示されておりますので、いま各省庁がこれについての作業をしているところです。 ○黒岩委員 厚生労働省は総括する気がないということですね。 ○結核感染症課長 それは、各省庁それぞれの中で、それぞれの担当部分については行うわ けですが、それを政府がさらにまとめるということです。 ○黒岩委員 それは駄目です、認めません。厚生労働省として総括してください。 ○総務課長(健康局) 厚生労働省がしないという意味ではなくて、ここに厚生労働省と書 きますと、厚生労働省の総括だけ先生方に踏まえていただく部分というのはちょっとおかし いということです。政府において行うというのは、当然厚生労働省も入ります。論理的に入 りますし、実際にやるつもりでおります。この書き方で明確であろうと思いますが、そこは ご確認いただければと思います。 ○黒岩委員 厚生労働省はやる、ほかの政府もみんなでやりましょうでいいではないですか。 ○総務課長(健康局) そういう意味で「政府において」と書かせていただきました。 ○黒岩委員 「厚生労働省」とちゃんと書いてください。 ○山川委員 質問ですが、「政府において行う」という場合に、関係省庁というのは厚労省 のほかにどこがありますか。 ○総務課長(健康局) 基本的に各閣僚をメンバーとしてインフルエンザ対策本部ができて いますので、ほぼ全省庁と言ってもいいと思います。 ○山川委員 中心になるのはどことどこですか。 ○総務課長(健康局) 中心は、内閣官房にインフルエンザ対策室が設けられていて、そこ が音頭を取っています。その中でいちばん比重が重く、中心的な役割をしていかなければい けないのは厚生労働省だということは間違いないところだと思います。 ○黒岩委員 「厚生労働省が総括する」という文言が入らないと、国民は理解できないと思 います。はっきり言っておきます。 ○加藤部会長 そのご意見はご意見としてお聞きいたしまして、ただいまその文言を事務局 で作成したところです。事務局案について、黒岩委員以外にご意見はございますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 「厚生労働省」という文言が明確になけれ ば駄目だとおっしゃる黒岩先生のご意見を踏まえて、こういうふうに改正させていただくの はいかがかというご意見をお伺いします。いまは「今後政府において行う」と書いてありま すが、そこを「今後厚生労働省をはじめ、政府において行う」というふうに書けば、厚生労 働省は明らかに入っていることが明示的になりますので、それでいかがでしょうか。 ○黒岩委員 今後厚生労働省をはじめ政府の中において行う総括の中で」ですか、「総括を 踏まえた上で」ですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 「行う」につながりますので。 ○黒岩委員 それは日本語として、「総括を行う」という表現はできないものなのですか、 そんなに抵抗するものなのですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 文章だけなのです。 ○黒岩委員 文章は、国民にどの言葉がいちばん伝わりやすいかというと、誰が何をすると いうことです。誰がというのは、厚生労働省をはじめ政府でもいいです。「厚生労働省をは じめ政府が、今回のインフルエンザ対策の総括をする」とはっきり書くべきです。それでな いと日本語はわからないです。 ○加藤部会長 主語、述語が。 ○黒岩委員 主語、述語がないとわからないです。逆に、そういうところでこだわって認め ないというと、「ああ、やらないんだな」とみんなが受け取りますよ。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 そういう趣旨ではないです。 ○加藤部会長 3分ほど時間を与えますので考えてください。その3分ぐらいの間で、今後 議論が必要と考えられる事項で何かご意見はございますか。 ○宮崎委員 先ほど飯沼委員から出ていた、ワクチンそのものの開発等々のことについてで すが、せっかくこの会には医薬食品局から局長はじめたくさん出席されておられるので、い ままで医薬食品局が主導されてきた議論、「ワクチン産業ビジョン」も含めて、そういうこ とをこの部会にどのように反映していくかをおっしゃっていただけますか。 ○総務課長(医薬食品局) 先生ご指摘のとおり、ワクチン産業ビジョンを何年か前にまと めましたので、この延長線上で位置づけていきたいと考えております。 ○宮崎委員 この予防接種部会との絡みはどうなるのですか。それはそれで独立してやって いくのか、あの議論をこの中に随時入れ込んでいくのか、そういう方向性を教えてください。 しばらく開かれていないままになっていますので。 ○総務課長(医薬食品局) 今回のご提言の中で、ワクチンの確保のあり方と表題は変わり ましたけれどもきちんと位置づけられましたので、リンクするのは当然のことだと思います。 ○加藤部会長 当然関わってくるというご判断ですか。 ○総務課長(医薬食品局) はい。 ○加藤部会長 ほかに議論を必要とすると考えられる事項についてご意見はありますか。 ○飯沼委員 先ほどのお答えをまだ1つ貰っていません。啓発しなければ駄目だという点に ついてですが、どこかに入れてください。 ○加藤部会長 何頁ですか。 ○飯沼委員 9頁、10頁のどこかです。 ○次長 「情報提供のあり方」というのが(3)にあります。啓蒙という言葉はどちらかとい うと上から目線なので、むしろ情報提供をワクチンの意義とか、健康被害を生ずる可能性に ついてきちんと受ける方や、その保護者の方にも適宜・適切に伝えていくとなっています。 飯沼先生がおっしゃるのは、これ以外に何か要素を加えたほうがいいというご趣旨でしょう か。 ○飯沼委員 そういう気持でこれは書いたのですね。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 そういうことです。 ○加藤部会長 飯沼先生も当然部会の委員ですから、必要なことはおっしゃっていただきた いと思います。どうしても入れたければ皆さんにお諮りいたします。 ○飯沼委員 (3)で結構ですよ。 ○加藤部会長 あえて入れなくてもよろしいですか。 ○飯沼委員 はい。もうちょっときつく書いてくれると。 ○加藤部会長 このぐらいでよろしいでしょうということで、言葉では表現しておりません が気持は入っているということですがよろしいですか。 ○飯沼委員 はい。 ○倉田委員 先ほど岡部さんがちょっと触れられたのですが、私は昨年3月の厚生科学審議 会で、新型インフルエンザという言葉は世界のどこにもない言葉だからやめるべきだと言い ました。それは訂正されていないままですが、やはり1カ月後にとんでもないことが起きま したが、それもやはり新型でした。出てくる文章はみんな新型になっていて、H5はどこへ 行ったという話になりますが、それもやはり新型だと。  これはおかしくて、日本のメディアの英字新聞も、世界の新聞も、世界の行政も新型イン フルエンザという言葉は一切使っていません。「インフルエンザ(A/H1N1)」です。出所が書 いてあって、最初はスワイン(SWINE)となっていましたが、この間からはカリフォルニア という言葉を使っています。それと年度が書いてあって「2009」です。ほかのも全部そう いう表現になっています。  ですから、これを重ねていくと、次に出たときにまたこれも新型かよと、新型が3つ存在 することになります。たぶん、これはここで決めることではない、感染症部会なり、法律に 関わっている人に使われている言葉ですから、それを今後は何かのチャンスにおいてどこの 株名に関してもきちんとした年号と、どこでとか、H5は香港で1997と必ず書いてありま す。そのようにしていかないと、混乱の極みが必ず来ます。いまは2つだけで走っています からいいですけれども、10年経って、まだ新型かという話になっていますから、この言葉 の使い方をきちんと決めておいたほうがいいです。今の状況は世界とかけ離れていて、科学 的ではないです。 ○加藤部会長 わかりました。それはご意見として伺っておくということでよろしいですか。 ○倉田委員 ここに盛り込む必要はないです。 ○加藤部会長 ほかにはいかがですか、この文体に何か付け加えたい、又は駄目だというこ とはありますか。 ○黒岩委員 先ほど私が言った優先順位の話はどうなったのでしょうか。 ○生活衛生課長 優先順位の話ですけれども、現行におきましても予防接種法第6条第2 項で、「厚生労働大臣が政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる」 という規定があります。臨時接種で厚生労働大臣が方針を示すことはできることになってお ります。ただ、その場合に都道府県から市町村に対しての関係の部分が明確になっていない ところがありますので、そういうところについては必要な規定整備をすることが必要だろう と思います。  その指示の中身としては、先ほど来議論がありますように、優先順位付けというものが、 パンデミックでワクチンの需要が逼迫しているような状況においては、必要な事項ではない かと思われますので、そういうことはしっかり法律でちゃんとできるような手立てはしてお く必要があるだろうと考えておりますし、現状においてもそこは取っかかりがあるものです。 ○加藤部会長 9頁の議論が必要と考えられている事項に(1)から(6)までに縛られているの で、黒岩委員のような意見が出てくると思うのですが、「その他」という項目は作れません か。これから進めていく議論をしていくときに、もっといろいろ出てきます。これだと6 つに縛られてしまうでしょう、「その他」というのは入れられないのですか。 ○生活衛生課長 その他というのは、これは明確になっているものを挙げていまして、9頁 の議論が必要と考えられる事項の4行目において「これらに限られるものでなく」と。 ○加藤部会長 わかりました、了解しました。そこで縛りがかかっているわけですね。 ○生活衛生課長 はい。 ○加藤部会長 黒岩委員がおっしゃったようなことは、これらのものに縛られるものではな いというところに入ってくるでしょうというように読んでいただきたいということですか。 ○生活衛生課長 はい。 ○黒岩委員 その他でその項目を書いてくれるのですか。 ○加藤部会長 今後議論が必要と考えられる事項の中に、黒岩委員が提案されたことが入っ てくるということです。 ○黒岩委員 その文章が入るのですか。 ○加藤部会長 ですから、それがいま事務局から出た案です。 ○黒岩委員 文章はどこですか。 ○生活衛生課長 優先順位付けの問題については、先ほどご議論がありましたように、7頁 にあるようにここの必要性というのはあるだろうと考えておりますし、現状においても法律 上の取っかかりがありますので、そういうものをより整備していくという形は必要ではない かと思われます。 ○黒岩委員 より整備するかどうかも含めて、今後の議論の課題にしてくださいと言ってい るのです。 ○生活衛生課長 今後の議論の課題ということになると、それはまさに今回の改正で法律に そういうことをやる必要があろうかと考えておりますので、議論を先延ばしするということ についてはいかがかと考えております。 ○黒岩委員 何を言っているかさっぱりわかりません。要するに先ほどの話をしたわけでし ょう。 ○加藤部会長 要するに黒岩委員は、この中で優先順位についても1項目挙げてくださいと おっしゃっているのでしょう。 ○黒岩委員 そういうことです。想像以上にこの言葉に厳密にこだわられた形でこの会をま とめようとされているわけですから、それならばということで私は問題提起したわけです。 国が優先順位を決めるということを、法律的にわざわざ書く必要があるのかといったところ です。今回は当面だからということで、そこはそれ以上深く議論はできないけれども、今後 の議論だったら、それはどうあるべきなのか、するべきなのかしないべきなのか、法律で書 くべきなのか書くべきではないのかということも含めて、議論する課題に挙げてほしいと言 っているのです。 ○倉田委員 先ほど私が触れましたが、先進諸国のルールは全部国で決めています。それは、 リスクの高い人、職業上大事な立場にある人たちに優先的に接種するというのは決まってい ます。外すということは、外したらどうするということですか。 ○黒岩委員 先ほど私は言いました。それは、全部法律の条文に入っているのですか。 ○生活衛生課長 法律で、国が都道府県に対して。 ○黒岩委員 海外は全部法律にそう書いてあるのですか。 ○倉田委員 例えば、アメリカの場合はそのまま法律と同じように動きます。 ○黒岩委員 だから日本だって、法律上わざわざ書き込まなくても総理大臣が、要するにそ こはいままでの経験もあるわけだから、それを基にして言えばいいわけであって、それをま さに政治生命をかけてやるという政治家の仕事です。本来はそういうことのないような体制 を整えるということが、健康・安全保障の基本的な考え方でしょう。基本的な考え方の議論 をしないでやっているから、全部辻褄が合わなくなってくるのです。 ○加藤部会長 発言する方は手を挙げたら私が指名しますので、その方がお話をしてくださ い。隣同士でしゃべらないでください。 ○倉田委員 一言で終わります。これは、ワクチンが人口分あれば何も議論の必要はないの です。ただ、ないときの話なので、それは優先順位でやらないとワーッと争いが起きるとい うだけの話です。優先順位を取っ払って誰が決めるかという話です。 ○加藤部会長 いまお話をしているのは、今後議論が必要とされる事項でして、(1)から(6) までを読んでいただくと、いま皆さんはパンデミックとインフルエンザに頭が集中しすぎて しまっているので、そちらの方向に行くかもしれませんが、当然今後議論が必要とされると きに、ある対象のワクチンを接種しなければならないときには、優先順位を付けなければい けないとか、何歳から何歳までにしなければいけないとか、そういう議論になってくるわけ です。そういうことも引っくるめた上で、今後議論が必要とされる事項という中に入ってい るというふうに座長としては考えております。一つ一つをはめていきますと6個では済まな くなる可能性がありますから、そこでひとまとめにしているというところであるとご判断い ただきたい。 ○黒岩委員 反対です。接種の優先順位付けという項目が、そのまま検討会の報告の中にま とまって1つの項目としてあるわけです。ここでは意見がまとまらなかった部分があったわ けです。だから、それは改めて場を設けて、今後の議論の中でしてほしいということです。 それは書いてください。 ○加藤部会長 優先順位を改めて一本立てにしてくださいということですか。 ○黒岩委員 そういうことです。表現のほうはいろいろあるかもしれません。その他という 中であるかもしれません。 ○加藤部会長 ですから私がお話したように、その他はこの中に入っているということです。 ○黒岩委員 その他の中に優先順位付けということも文言として入れてくださいと言って いるのです。 ○生活衛生課長 もしよろしければ、7頁の(2)はそのまま残させていただければと思いま す。9頁の(2)の「予防接種事業の適正な実施の確保」のところにありますが、そこに「予 防接種事業の適正かつ円滑な実施を図るため」とありますが、不服申立ての最後にでも、「接 種の優先順位付けのあり方等について」といったことを入れるというのはいかがでしょうか。 ○加藤部会長 まとめるときには、何行目のどの辺ということをしっかり言ってください。 ○生活衛生課長 (2)の第3パラグラフに「今後」とあります。「今後予防接種事業の適正か つ円滑な実施を図るため」とありまして、それからしばらく飛びまして「被害認定の不服申 立て」とありますが、その後にでも「接種の優先順位付けのあり方等についてさらに議論が 必要である」というのも例えば方法として考えられますけれども。 ○加藤部会長 黒岩委員はそれでいいですか。 ○黒岩委員 はい。 ○加藤部会長 そこに入れる分には、「予防接種事業の適正な実施の確保」というところに 入ってきますね。 ○黒岩委員 はい。 ○加藤部会長 そのように訂正させていただくことで、ほかの委員はご異議ありませんか。 (異議なし) ○加藤部会長 ないようですので、この件はそうさせていただきます。 ○総務課長(健康局) 黒岩委員からご指摘のありました2頁の総括の話ですが、文章を読 み上げさせていただきます。場所は、2「緊急に講ずべき措置」とあるすぐ上のパラグラフ の最後の文章をこのようにしたらいかがかということで、全文読み上げさせていただきます。 「今後厚生労働省をはじめ、政府において今回の新型インフルエンザA-H1N1対策の総括 を行うこととしており、予防接種制度全般の見直しの検討では、これも踏まえた上でIIIに提 示した事項を中心に抜本的に見直していくこととしたい」ということでいかがでしょうか。 ○加藤部会長 もう一回繰り返してください。 ○総務課長(健康局) もう一度読ませていただきます。最後の文章ですが「今後厚生労働 省をはじめ、政府において今回の新型インフルエンザA-H1N1対策の総括を行うこととし ており、予防接種制度全般の見直しの検討では、これも踏まえた上でIIIに提示した事項を中 心に抜本的に見直していくこととしたい」です。 ○黒岩委員 「総括を行うこととしており」というところを、「総括を行い」にしてくださ い。 ○総務課長(健康局) わかりました。 ○加藤部会長 政務官から何か発言がありますか。 ○足立大臣政務官 私は、別に挨拶でどうこうという立場ではなくて、個人的に話をしたい という気がしています。なぜかというと、私の所に手紙、ファクス、メール等で私と事務方 で詰めている、あるいは聞いている内容と違う情報が相当入ってきます。なぜそうなってい るのかと思っていまずっと聞いていました。  事務方に意見を求める、その中で事務方としては言えないことが当然あります。例えば、 来年度予算の審議中に再来年度の予算のことが言えるかということ。いま法改正が必要であ ろうということの中で、次の改正のことについて事務方として言えるかということまで、私 は求められているような気がして、多少言いづらい面があって曖昧になっているような気が します。  そこで私個人の意見を言わせていただきます。抜本改正の時期ということがありました。 それは、2頁の「なお」のパラグラフに入ると思うのですが、まず内閣官房に置いている新 型インフルエンザ対策本部で、本年度中に総括に着手することは決まっております。それか ら、厚生労働省のインフルエンザ対策本部でも、今年度中に着手することは決まっておりま す。これからそれを踏まえて、抜本改革はいつごろ着手するか、時期はいつかということに ついて、「なお」のところでおわかりのように、本部会は去年の12月に設置しました。そ して、皆様方の任期は2年あります。「本部会は」という主語になった以上その2年間でや るべきだと思っています、これが私の考え方です。  それでは、秋の臨時国会なのか、来年の通常国会なのか、その後の臨時国会なのか、3回 チャンスはあるという認識でおります。それぐらい急を要しているというつもりで、これは 初回のときに私の挨拶でも申し上げましたし、上田局長も不退転の決意でという話がありま したが、まさに今回は臨時的なものであって、抜本改正もこのメンバーでやっていくのだと いうつもりでおります。まず、そのことのご理解が必要かと思います。  それから、政府全体ということについて座長から質問がありました。まさに国全体として、 感染症対策全般と考えなければいけない。その中で財務省、総務省、政府全体として、ある いは国と地方のあり方、このことも含めて全般的に議論しなければいけない話だと、そのぐ らい大きな話だと思っています。そういう意味がここに含まれていると私は解釈しています。  最後に、私は皆様方に名前も考えていただきたいのです。いまは「定期」と「臨時」の2 種があるとおっしゃいました。臨時接種は1回もやっておりません。1回もやっていないの に、新たな臨時接種というのは非常に違和感があります。この文章でいくならば「勧奨接種」 と言ってもいいのではないかと思っていますが、その点についてはネーミングも含め、各委 員の方々に考えていただきたいと思います。  今回は臨時接種という形で、新型インフルエンザは臨時接種だろうという想定のもとに7 頁等は動いていますが、今回は臨時接種にしなかったという事実もあります。ですから、い まある分類に当てはめる、それには当てはまらないから設けた。そうだとしたら言葉は慎重 に選ぶべきだと思います、わかりやすく。以上意見を申し上げて、ご苦労さまでしたと言う 前に、それも考えていただきたいと思います。 ○加藤部会長 いま政務官がお話になりましたが、皆様の辞令には平成23年2月何日まで と書いてありますので、その覚悟で皆様臨んでいると考えております。「臨時接種」という 言葉に関しては、だいぶ昔になりますが、日本脳炎について臨時接種という対応でなされて いるという経験があって、それがおそらく言葉として残っているわけで、臨時接種もやがて は定期接種に変わってきたということが事実としてあります。ただ、いま論じている臨時接 種とはちょっと意味が違うような形で使われてきたことは確かです。政務官のおっしゃると おりです。 ○足立大臣政務官 先ほどの黒岩委員の質問のところなのですが、私が冒頭に申し上げたよ うな理由で、黒岩委員もなかなか納得がいかないのだろうと。しかし、いまのは私個人かも しれませんが考え方をお示しすることによって理解をいただきたいという部分と、いまの質 問のところは「本部会」が主語ですから、そこのところは内閣官房の対策本部、厚生労働省 の対策本部も予定にしてあるということと、本部会が主語であるところでは表現が違って当 然であろうと思います。 ○加藤部会長 さすがといいますか、座長が言わなければいけないことを言っていただきま してありがとうございます。議論が必要とされる事項はこれでよろしいですか。 ○黒岩委員 結局先ほどの文面はどうなるのですか。 ○加藤部会長 先ほど読み上げていただいた。 ○黒岩委員 あれでいいのですか、いま政務官がおっしゃったのは章が違いましたけれども。 ○総務課長(健康局) 政務官がいま申し上げたのは、「行うこととしており」でいいので はないかということだと理解しております。 ○加藤部会長 私がちょっと気にしていたのは、「本部会では」という言葉が入っておりま すので、そこで本部会が統括をしなければいけないのかどうかということは、私としては非 常に疑問であるということから発したところです。そういうご質問が出ておりましたので、 かなりディスカッションをしたところです。 ○黒岩委員 これは、本部会が総括するということではなくて。 ○加藤部会長 それでOKですね。 ○黒岩委員 本部会は、国が総括したものを受けて検討するのだと思います。だから、政府 はあくまで先ほどおっしゃったように、主語は「厚生労働省はじめ政府」でいいと思います。 ○加藤部会長 政務官が、今年度中に総括をされるとおっしゃっておりますので、それを受 けてよろしいですね。 ○黒岩委員 はい。 ○加藤部会長 なかなか白熱した議論になってしまいましたが、ほぼ大まかな変更はなかっ たことと考えております。 ○黒岩委員 ちょっと待ってください。「おわりに」のところはやらないのですか。「おわり に」のところで是非言いたいことは、いろいろ皆さんの議論がありましたが、私は基本的に 今回のパッチワークということの必要性は認めますが、本体の改正というところで置くこと については最終的には納得できません。「立法措置等を講ずる」とは書いてありますが、こ れは本体の改正案ということだと思います。私は今回のことも含め、今回のことは特別措置 法をもう一回やると。恥ずかしいけれども、特別措置法をもう一回やるということを主張し たいと思います。 ですから、この検討会のまとめ方としては、立法措置という前に、「予防接種法本体の改正 又は特別措置法等によって立法措置等を講ずることを期待する」ということで、あとは政権 が判断するということだと思います。この予防接種法の話というのは、大変国民の関心が強 い話であります。この話は民主党政権がまさに問われている、「いのち」と掲げた民主党政 権、鳩山政権の本質が問われていると思います。そのときに政治主導というならば、その政 治主導の姿を見せるのが、ここが民主党政権の踏ん張りどころだと思います。  だから私の結論としては、立法措置の中で、本体の法改正とともに、特別措置法というこ とも入れて、あとは政権で判断してくださいと、政治の判断を待つということにしていただ きたいと思います。 ○加藤部会長 はい、わかりました。座長として一言だけ言わせていただきます。ここのと ころは、「新型インフルエンザ対策として緊急に講ずべき措置を取りまとめたので、政府に おかれては速やかに立法措置を講じることを期待する」と。黒岩委員がおっしゃったことは、 さらに先ほど政務官がおっしゃった、今後議論を早く進めて、より早く本質的な予防接種法 というものを変えていただきたいという決意でやってほしいということです。それは議論が 必要と考えられる事項を受けての文言になってくると思いますので、これは少し複雑になっ てくるかと思いますが、そこまで踏み込みますか。 ○黒岩委員 いや、複雑にはならないと思います。「新型インフルエンザ対策として緊急に 講ずべき措置」ですよね。その措置のための立法措置、それは合意しているわけです。 ○加藤部会長 それはいいですね。 ○黒岩委員 その立法の形です。だから、それは本体の法改正にするのか、特別措置法にす るのかという選択肢はここに明記してほしいと。この部会の中では2つの意見が出た。一方 は少数派だったかもしれないけれども、2つの意見が出ていたということだけは明記してほ しいと思います。 ○加藤部会長 後者のほうは、黒岩委員、あまり議論していないのですよ。 ○黒岩委員 何の議論ですか。 ○加藤部会長 新しく本質的な法改正をしましょうということに対する議論です。 ○黒岩委員 いまは本質的な議論の話はしていないですよ、当面の話です。パッチワークの 話です。 ○加藤部会長 していませんので。 ○黒岩委員 パッチワークの話で、パッチワークの話も、要するに予防接種法の改正という ことで提案されているわけですけれども、それも1つの選択肢、もう1つの選択肢は特別措 置法でやるということの選択肢の両論が出ました、というふうにこの部会はまとめていただ きたいと思います。 ○加藤部会長 「特措法を何回も繰り返しやること」ということを書けということですか。 ○黒岩委員 そういうことです。それも選択肢の1つだと書いてください。決めるのは政権 ですから、それを政治主導というのですから。 ○加藤部会長 はい、わかりました。黒岩委員のご意見に対してご意見はありますか。 ○生活衛生課長 繰り返しになって恐縮ですけれども、いろいろご意見もあるところかと思 います。特措法で何度もやるというのはいろいろご意見をいただいたように、その度ごとに やるというのは非常に安定しないことになりますので、今回の経験を活かすのであれば、せ っかくであれば予防接種法の改正ということで考えておりますけれども。 ○黒岩委員 ちょっと待った。決めるのはあなたじゃないんです、決めるのはあなたじゃな い。 ○生活衛生課長 ええ、いや、別に。 ○加藤部会長 黒岩委員ちょっと待って。 ○黒岩委員 それを官僚主導ってみんな言うんですよ。全部シナリオがあったじゃないです か。予防接種法本体の改正という議論の中でしてくださいと。当面のことだからパッチワー クでやってくださいと。類型はこれですよ。時間がないからこれでいってください、いって くださいと。本質的な議論はするべきではないと、いま当面できないからと。後でやります から後でやりますから、その議論だったじゃないですか。それは、全部官僚の書いたシナリ オどおりですよ。それに対して私はおかしい、おかしいと言い続けてきました。それだけ言 ったことを一切無視して、官僚が書いたシナリオどおりにまとめろと言うのですか。それを 官僚主導って言うんですよ。それを引っくり返すのが政治主導のあり方だ。それが民主党政 権の問われていることだと私は思う。そのことをこの部会の最後にまとめてほしいと言って いるんです。 ○加藤部会長 黒岩委員の気持はよくわかります。よくわかりますが、それは9頁のところ の今後議論が必要とされる事項というのは、これがまとまり次第早急にやり始めるのですよ、 早急に。 ○黒岩委員 だから、それは本質的議論ですよ。 ○加藤部会長 本質的議論は、これから先生、やろうとしているんですよ。 ○黒岩委員 だから、私は本質的議論と、当面の話は全部つながった話だということをずっ と言ってきましたよ。 ○加藤部会長 それはよくわかります。 ○黒岩委員 ずうっと言ってきた、毎回言ってきましたよ、それは。 ○加藤部会長 わかります。 ○黒岩委員 そんな中で当面のことをやらなければいけない、ということも了解しました。 了解したけれども、その中で予防接種法全体の改正案という中でやることについて、最後ま で私は抵抗がありました。だから、それを最後に言っているのです。だから、特措法という シナリオがもう一個ありますよ、ということをこの部会の報告としてはまとめてほしいと。 あとは政治が判断してくださいと。その材料を提供する、まとめるのが我々の仕事でしょう。 ○加藤部会長 黒岩委員ちょっと違うのです。特措法を何回も繰り返し繰り返し、特措法特 措法でやるのは今後好ましくないので、こういう方法を採りましょうという議論なのですよ。 ○黒岩委員 それは先生の考え方です。 ○加藤部会長 いや、そうではなくて。だって、国としても国民にとってもすべての人にと ってですよ。 ○黒岩委員 だから、それは先生の考え方であって、それを含めて政治で判断してください と。いいじゃないですか。なんでその最後の最後までここで決め込まなきゃいけないんです か。そのために、我々はいろいろな意見をここで出し合うはずなんでしょう。 ○加藤部会長 そうですよ。 ○黒岩委員 その場でしょう。 ○加藤部会長 今やっているじゃないですか。 ○黒岩委員 だったら、それを残してください、私の言ったことを残してください。 ○加藤部会長 もうちょっと具体的に文章を言ってください。 ○黒岩委員 言いました。 ○加藤部会長 もう一回お願いいたします。 ○黒岩委員 「立法措置等を講ずることを期待する」の前に、「予防接種法改正あるいは特 別措置法など」を入れてほしいです。政府のほうで判断して、やはり特別措置法というのは いやだよなというのであったら、それはそれでいいですよ、それはこの場で決めることでは ない。なんでそこまで全部厚生労働省が決めなきゃいけないんですか。政治主導というのは そういうことではないんですか、足立さん。 ○加藤部会長 ちょっと待って、足立政務官、気持はわかりますが。 ○足立大臣政務官 いやいや、ちょっとタイミングだけ申し上げます。去年の10月に特措 法を出すときに、附則第6条検討というところで、今後の展開を議論して決めました。その 中で、これは当然私と事務方で決めたわけですけれども、その段階で既にこれは2段階でな いと無理だろうと。なぜかというと、抜本改革は、国民的議論を惹起する必要がある、その ぐらい大きな議論にしなければいけない。これを去年の時点から振り返ると、来年3月まで にそれを出すのはまず無理だろう。  しかしながら、WHOが来年度のインフルエンザワクチンの株、今回のH1N1と推奨す るような形になります。そうなると、カリフォルニア株ではない変異のものができた場合に は、やはり法的措置をしておかないと、今年は参議院選挙もあります。そういう中で法的措 置をしておく必要があると思っています。そこの抜本改革は直ちに入っていただくというの が私の政治的判断、昨年10月の時点での判断です。そのことだけは申し上げておきたいと 思います。議論の途中で方向性を決めるような発言はしたくはありませんけれども、私はそ ういうつもりで去年から取り組んでおります。 ○加藤部会長 ということでございます。黒岩案は、文章上にでもそれはつながらないので す、全部変えませんと。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 もう一度確認させていただきます。1つは、 ここは「立法措置」と書いていますので、どちらかを決めうちに必ずしも書いているわけで はありませんが、少なくともいままでの特別措置法に関する国会の議論の中で、国民の意思 として予防接種法の見直しの議論をする中で併せて検討するということを、我々として一定 の支持をいただいています。その中で検討させていただいているということではないかと思 います。  特別措置法については先ほど政務官からもご説明申し上げました。それ自体基本的には1 回限りの法律ですので、そこの上に構築していくというのは基本的には非常に難しい構造に なっています。正直申し上げて、ここでもしこの部会でまとまらなかったことになってしま うと、それはそもそもどちらの方向ということについても、厚生労働省なり政府全体として も方針が定まらないのかということになってしまいます。ご意見があったことは議事録にも きちんと載りますし、我々としてもご説明したことが載ります。今回の場合に「立法措置等」 ということで、先生のご納得をいただくことはできないかということです。 ○黒岩委員 私が言ったとおり書いてください。 ○加藤部会長 いいですか、そこに黒岩委員がおっしゃったことを取り入れるのは若干難し いです。「政府におかれては、速やかに立法措置等を講ずることを期待する」というのは、 この議論を必要とされる事項の前までのところの話でして、黒岩委員がおっしゃっているの はその後で、今後議論が必要とされる事項ということの中に入れておかなければならないの で、もし入れるとすれば「本部会においては引き続き予防接種全般の見直しを内容とした議 論が必要と考えられる事項について、今回の緊急な手当てに制限されることなく、さらに抜 本的な議論を重ね」そして黒岩委員がおっしゃったようなことを入れようと思えば入れられ るかもしれないけれども。 ○黒岩委員 いやいや、そこで特措法はあり得ないですよ。 ○加藤部会長 もちろん特措法はないですよ。 ○黒岩委員 だから、緊急の措置のところでは、特措法という方策もあるでしょうと言って いるのです。本体の改正の中にいろいろな思いが入ったものを入れていくというのは、私は 方向性として間違っているとずっと思っているのです。だから何回も言っているように、も ともとこの法律というのはシンプルにしていくべきです。それを、非常に複雑なほうに向か っていくのを、なんでその改正案の中にごり押ししていかなければいけないのか。そこは誰 も理解できませんよと言っているのです。どうしても複雑であるならば特措法でやればいい のです。 ○加藤部会長 わかりました。 ○山川委員 黒岩委員のご意見は当初からそういうご意見なので、「おわりに」の部分に、 「政府におかれては速やかに立法措置等を講ずることを期待する」の次に一文入れたらいか がかと思うのです。「立法措置については、現行予防接種法の改正をもってなすという意見 が多数であったけれども、少数意見として特別措置法をもって十分ではないかという意見も あった」というふうに書くのはいかがですか。文章は後で修文していただきたいと思います。 ○黒岩委員 私はそれで納得します。 ○加藤部会長 これは、一部の意見をすべて。 ○山川委員 だから「少数意見として」としてということ。 ○加藤部会長 書かないというわけにはいきませんから、ごく少数意見としてそういうこと もあった、ということを書くのも座長としてはやぶさかではありませんけれども、事務局は その辺はよろしいですか。ごく少数意見ですよ。 ○黒岩委員 でも、国民のほうはそちらのほうが多いと思います。ここの中の空気は申し訳 ないけれども、国民とは離れています。痛感しましたよ。 ○加藤部会長 黒岩委員が、十分国民の意見を言っているから大丈夫です。 ○黒岩委員 皆さん恥をかきますよ、このままいったら。私はそれを言っているのです。 ○加藤部会長 だから、それを入れましょう。 ○黒岩委員 入れてください。 ○加藤部会長 入りますね。 ○生活衛生課長 事務局のほうから申し上げますと、先ほど山川委員からご提案があったよ うな内容で、「立法措置については予防接種法改正で行うというのが多数の意見であったが、 特別措置法で行うべきとの意見もあった」という形で一文を入れさせていただく、というの が事務局からのご提案です。 ○加藤部会長 よろしいですか。 ○黒岩委員 はい。 ○岡部委員 会議の運営のやり方なのですけれども、文章のやり取りというのは修正文を耳 で聞いてもなかなか聞いただけでは十分な理解は難しいです。このごろは国際会議でも、文 章の提案についてはスクリーンに写しだし、修正をそこで打ち込んでみんなで見て意見をも らうという方法を随分採っています。 ○加藤部会長 その場で直すのですからね。 ○岡部委員 私は前から申し上げておりますが、なかなか審議会や委員会どこでもそういう ことが採られていないので、できればそういう方法をそろそろ取り入れていただければと思 います。頭の整理に非常に役に立ちます。 ○加藤部会長 例えば、いまの文言を、いまのパワーポイントですと、その場ですぐに直せ ますので、それで皆さんが確認できます。再プリントしなくても。今後は考えてください。 ○飯沼委員 終わる前にお願いがあります。私の所に電話がかかってきて、本日お話をして おくということで申し上げました。加藤先生と岡部先生と小児科の先生がここにおられます。 現場でワクチンを打っている小児科の先生方の意見が集約されていないということであり ます。これはパブリックコメントするのでしょう、しないのですか。 ○生活衛生課長 これはいたしません。本日の報告を受けて、法案をまとめて国会に提出し、 ご審議いただきます。 ○飯沼委員 それなら余計そうですが、小児科学会と小児科医会は、一応話をしておいてい ただいたほうがいいと思います。インフルエンザは内科の先生もおやりになりますが、特に 小児科の先生たちはこのメンバーには。 ○岡部委員 今回はしなくてもいいのではないでしょうか。 ○飯沼委員 でも、ポディションとしてはワクチンを打っていないのです。加藤先生も小児 科だけれども。 ○岡部委員 宮崎千明先生も現役の小児科医です。 ○飯沼委員 そうかそうか。 ○加藤部会長 岡部先生は、予防接種委員会の委員長です。 ○飯沼委員 それでも、学会か医会かどちらかには一言。 ○加藤部会長 学会、医会、小児保健協会というのは三社協というのがあります。日本小児 保健協会というのもきちんと入れていただかないと問題が大きいです。 ○飯沼委員 はい、お願いいたします。 ○加藤部会長 それは連絡事項ですね。 ○結核感染症課長 いまのご発言の趣旨を踏まえて、十分に関係の皆様方にはご説明したい と思います。 ○加藤部会長 たくさん有意義なご意見をいただきまして、可能な限り速やかに修正できる はずですので、事務局のほうから、ただいまいただきました言葉は繰り返し各委員の方にお 話をしておりますので、決定版のほうは委員の皆様に周知すると同時にこれを公表いたしま すが、この場でやりますか。この場でいまの修正のところを再確認して公表いたしますか、 どういたしますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 委員会の先生方が申したことを、いま一語 一句確認していただいた中で。 ○加藤部会長 直したのはいますぐ出るのですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 座長預かりでよければそのままにします し、読み上げたほうがよければやりますが、しばらく時間をいただきたいと思います。 ○加藤部会長 修正したところだけは読めるでしょう。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 わかりました。もし誤解があったら後で加 えてください。 ○加藤部会長 直した最終版ですよ。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いまいただいた中のものですが、1頁には 日付を入れます。「はじめに」の(2)のところで「今回の予防接種事業は」から始まっていま すが、「地方公共団体は、その事務の位置づけが不明確なまま協力をしたところであり」と 変えます。  2頁の2つ目のパラグラフは本日まとめていただきたいということで、「第5回にわたり」 というところで数を入れさせていただきます。  3つ目の「なお」のパラグラフの後段の「この」以下を差し換えて以下の文章に変えさせ ていただきます。「今後厚生労働省をはじめ、政府において今回の新型インフルエンザ A-H1N1対策の総括を行うこととしており、予防接種制度全般の見直しの検討では、これ も踏まえた上で、IIIに提示した事項を中心に抜本的に見直ししていくこととしたい」という ことです。  4頁の(2)の上の「なお」から始まるパラグラフの最後のところの「今後」の前に、「行政 の運用実態も視野に入れ」という文章が入ります。  6頁の(4)の最後の「なお」で始まるパラグラフの途中から、「国及び地方公共団体が十分 に協議を行い、適切に費用を負担することが必要である」ということです。  9頁のIIIのいちばん最初の「今後」で始まるパラグラフの2行目の真ん中ぐらいの「必ず しも」を削除いたします。  (2)「予防接種以外の適正な実施の確保」のところのいちばん最後の「不服申立て等につ いてさらに議論が必要である」になっているのを、「不服申立て」の後に、「優先接種の優先 順位付けのあり方等について」にします。  10頁の(6)の題の「ワクチンの過去のあり方」の「過去のあり方」を削り、「研究開発の 促進と生産基盤の確保のあり方」という題に変えさせていただきます。  IV「おわりに」の第1パラグラフと第2パラグラフの間ということだと思いますが、「立 法措置については、予防接種法の改正をもって行うべきとする意見が多数であったが、特別 措置法の改正により対応すべきとする意見もあった」ということだと思います。  以上間違いがなければそのように改正させていただきます。 ○加藤部会長 座長のメモと一致しておりますけれども、いかがですか、よろしいですね。 ただいまのをもちまして、これは決定版ということにさせていただきたいと思います。これ を、この部会としての公表を行うということでまとめさせていただきます。昨年12月より、 5回にわたって極めて精力的に、本日も時間をオーバーしてご議論いただきましたことを、 座長として心からありがたく思います。引き続き次回以降、本会議では第1次提言のIIIにあ りました、まさに議論が必要と考える事項について、抜本的な議論を進めてまいります。ど うぞよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。本日は、部会員ではございませんでした が、足立政務官には大変貴重なお言葉をいただきまして、座長としては深謝申し上げます。 改めまして足立政務官より一言お願いいたします。 ○足立大臣政務官 皆様お疲れさまでございます。図らずも発言をしてしまいましたが、わ ずか2カ月足らずではありますけれども、真摯なご議論をいただいて本当にありがとうござ います。私といたしましては、接種費用のあり方等について、あるいは救済については、皆 様方がいま結論を出してくださいましたけれども、これから政治の場で折衝をしなければい けないという大きなことがあります。その根拠としても、私は法改正が必要なのだろうなと、 それがあるからこそ折衝ができる、あるいは力をもって行うことができる。予算編成の段階 で相当苦労したことではありますが、そういう思いもあります。  しかし、皆様方のご意見はしっかり受け止めさせていただきました。可能な限り、これか ら本格的な議論がまた始まるわけですから出席いたしたいと思います。先ほど申し上げまし たけれども、事務方としてはなかなか答えられないところが当然あるということを改めて認 識いたしましたので、可能な限り出席いたしたいと思います。皆様方にも、これからが本格 的な議論だという思いをさらに深めていただいて、議論していただきたいと思います。あり がとうございました。 ○加藤部会長 どうもありがとうございました。 ○古木委員 第1次提言がまとまったと理解しています。これを基にして、これから法案が できるだろうと思います。できれば、こういう委員会に参画したものですから、その法案が できたときには、委員の一員ではあってもその法案を見たいのです、結果を見たいのです。 法律としてどんなものができるのか、それをひとつお願いできたらと思っております。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 是非送らせていただきたいと思います。 ○古木委員 よろしくお願いいたします。 ○加藤部会長 事務局から次回の予定をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回は3月中の開催を予定しております けれども、これから日程を調整させていただいて、具体的にお知らせいたします。 ○加藤部会長 本日は遅くまでどうもありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課(03−5253−1111 内線:2077)