10/02/12 第169回中央社会保険医療協議会総会議事録 10/02/12 中央社会保険医療協議会          第169回総会議事録 (1)日時  平成22年2月12日(金) 10:00〜11:00 (2)場所  厚生労働省 講堂 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻里委員 関原健夫委員        白石小百合委員 森田朗委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員        高橋健二委員 伊藤文郎委員        安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員        藤原忠彦専門委員、北村善明専門委員 坂本すが専門委員        住友雅人専門委員        <事務局>        長妻厚生労働大臣 足立大臣政務官 外口保険局長 唐澤審議官        佐藤医療課長 迫井医療課企画官 渡辺保険医療企画調査室長        磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○平成22年度診療報酬改定について        ○その他 (5)議事内容 ○遠藤会長   ただ今より、第169回中央社会保険医療協議会・総会を開催する。  平成22年度診療報酬改定については、本年1月15日に厚生労働大臣より諮問をいただ いたが、本日はこれまでの中医協における議論の成果を踏まえて、答申資料及びこれに添付 する診療報酬点数表等の改正案が提出されている。内容についてはこれまでの議論を踏まえ たものだと思うが、事務局から補足の説明があればお願いする。 ○医療課長  資料総‐1「平成22年度診療報酬改定における主要改定事項について(案)」が、いわゆ る短冊の議論の出来上がりの姿である。一昨日配布した資料に点数を加えたものである。ま た、その際にも話したが、再診料、外来管理加算、地域医療貢献加算については短冊に入っ ていなかったので、それらも加えて完成版としている。詳細についての説明は行わない。  併せて答申書のセットであるが、中医協遠藤会長から長妻大臣宛ての答申書(案)と、点 数入りの短冊を所定の様式に則って記載した答申書本体、別添1がDPCの診断群分類番号 ごとの診断群分類点数表、別添2が機能評価係数、別紙3は厚生労働大臣が指定する病院の 病棟における療養に要する費用の額の算定方法、別紙4は保険医療機関及び保険医療養担当 規則であるが、領収書等の発行に関する部分と後発医薬品を選択しやすくするための対応に 関する部分、そして処方せんの中に医療機関の都道府県番号、点数表番号、医療機関コード を盛り込むように処方せん様式を変更することを示している。別紙5は医科や歯科と同様に 無償で明細書を交付することを追記した保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則、別紙6が明 細書の無償交付と後発医薬品を選択しやすくする対応を盛り込んだ高齢者の医療の確保に 関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準である。別添が先般議 論いただき会長一任となった附帯意見について、会長の指示と議論の内容を踏まえて作成し たものである。資料についての説明は以上である。この内容で良ければ3月上旬の告示を目 指して事務的作業に入る。また附帯意見については、併せて公表するという準備を進めてい る。 ○遠藤会長  事務局から説明があったように、短冊に点数が入ったところが新しい情報である。それか ら、会長預かりになった附帯意見の文言修正が良いかの確認をお願いする。   ○邉見委員  附帯意見の「再診料や外来管理加算、入院基本料等について今後検討する」との記載につ いて確認である。私が前回発言した病院における複数科受診に関して、次々回の改定では大 きなテーマにしていただきたいと考えているが、再診料の記載にそのような意図が含まれて いると理解してよいか。今回の議論では外来財源が決められており、診療側の要望である7 1点以上での再診料統一を重視するために病院側としては泣く泣く強調しなかったという 経緯がある。 ○遠藤会長  邉見委員の主張は理解しており、病院における複数科受診の再診料は重要課題であると認 識している。おそらく各委員も検討課題であるということは理解していると思う。ただし個 別の内容であったので、再診料の検討の中に含ませたつもりである。1号側もこのような認 識であると考えて良いか。   ○白川委員  邉見委員が何度も主張されていたことは認識しているし、検討することについては我々も そのつもりでいる。会長が発言されたように、再診料の検討の中に含まれていると認識して いる。 ○邉見委員  宜しくお願いする。 ○遠藤会長  他に意見はあるか。 ○渡辺委員  附帯事項と関係がある点であるが、今回、初めて点数の入った答申(案)が出てきたので、 これを了承するにあたり3点ほど意見を述べたい。  初めに総−1の91から92pにかけて記載されている歯科診療報酬体系の簡素化につ いてである。この項目の中で基本診療料である初診料、再診料の包括的評価について記載さ れている。包括される項目は点数が明記されていないが、一つは50点の評価があるスタデ ィモデルであり、これは非常に多くの症例に活用される検査である。さらにもう一点は初診 時の歯科疾患管理料の20点である。ここではこれらが包括された上で、初診料が218点、 再診料が42点と評価されている。これらが十分だとは考えていないが、限られた財源の中 での対応であるので了承するところである。初・再診料はもともと歯科診療における重要な 基本技術料であるとの認識であり、同時に医療機関の運営を支える重要な項目である。今後、 こういった包括化といった認識のもとではなく、歯科における基本診療料がどうあるべきか、 そのあり方について学術的であると同時に臨床的な知見を踏まえて検討することを強く要 望したい。  第2点は、日々の診療でよく用いられており、基本的であると同時に重要な技術であって、 低い評価のままに20年、30年と据え置きになっている項目が多々ある。今後、タイムス タディを実施し、歯科診療の実態に則した評価の検討をお願いしたい。  最後であるが、患者の視点から今後の重要な課題として検討いただきたいことである。患 者の主訴、治療の要望、それらに円滑かつ的確に応じることができるような評価を検討いた だきたい。特に指導管理については再発予防や重症化予防にとって必要不可欠なものである ので、臨床における専門的な立場から患者さんに円滑かつ的確に遅滞なく指導管理が実施で きるように、そうした点を踏まえ診療報酬体系の整備を検討いただきたい。以上3点につい てご検討を十分に行うことを強く要望したい。 ○遠藤会長  次々回改定に向けての要望であった。他に意見はないか。 ○北村専門委員  がん診療連携拠点病院についてであるが、キャンサーボードの開催が評価されることとな っているがこれに看護師など医療関係職種の「参加が望ましい」という表現になっている。 これは今後「参加を原則とする」ことにして欲しい。 ○遠藤会長  今後の要望として承った。 ○坂本専門委員  以前、修文を要望し変更していただいた部分である。より積極的な文言でも良いのではな いか。 ○嘉山委員  キャンサーボードで一番大切なのはチーム医療もそうであるが、基本的な治療方針が最も 大事である。基本的な治療方針が決まった後で看護師等が関わってくることが重要である。 看護師を十分に雇えるような診療報酬になっていれば、絶対に必要とすべきであるが、現時 点ではこの文言で構わない。 ○遠藤会長  北村専門委員、坂本専門委員の主張は理解する。今回はこの文言として、今後の実態調査 の結果も踏まえて議題としていくこととする。 ○邉見委員  ひとつ質問というかお願いである。今回手術が重点項目として評価されている。個々の手 術への点数評価は分かるし、手術全体として1兆円が振り向けられていると言われている。 しかし具体的に1年間にどのくらい上がったのかが分からないので知りたいと関係学会か らの要望がある。 ○遠藤会長  重要な指摘である。外保連試案の評価については3〜5割増で付けることとなっている。 指摘はトータルとしてどのくらい上がったのかということである。これはある程度、明らか にするべきである。ただし、これは手術件数が変わらない等のある仮定の元での話となる。 また、手術以外の今回の重点課題に対してどのくらい評価が上がったのかを試算することも 重要である。この件で意見はあるか。 ○白川委員  確かに今回、例えば医科について入院・入院外ということで財源の配分が決められており、 その中で外来については前回大まかにこのような姿でという配分が示された。入院について はどこまで細かくするかという問題は慎重に検討する必要があるかと思うが、大まかにこう いったところでこういう配分にしたということは、ある程度は明らかにする必要があると思 う。その中でも主要な課題である、例えば勤務医負担軽減や手術等について、どれくらいの 配分があったかということは、ラフな形でかまわないと思うが国民に知らせる必要があると 思う。   ○遠藤会長  重点課題を中心にラフな形で構わないので、配分が分かるようなものを出していただきた いということである。2号側はいかがか。   ○嘉山委員  邉見委員のご意見は良く分かるが、もしそのような余裕があるのであれば、別のところに エネルギーを注いだほうが良いと思う。何故かと言えば、手術にしても後から技術が固まっ てくることがよくあるので、診療報酬改定後1年間経ったときに、きちっとしたデータを出 していくことが重要である。今まで改定後にきちっとしたデータが出されたのを見たことが ない。そちらに全力を傾けていただいたほうが良いと思う。事務局にそれだけの余力があっ て次年度更に正確なデータを出してもらうという約束の下であるならば、邉見委員が言われ たことをやっていただいて結構であるが、私自身はそこまでやる必要はないと思う。それよ りは来年度にもっと正確なデータを出していただくほうが重要ではないか。   ○安達委員  基本的には嘉山委員と同意見である。恐らく出すことはできるとは思う。しかし、それま での改定作業もそうであるが、どのような部分にどのような配分がされたかについて総枠で 纏めなければならないし、それが事務局の作業としては必須であるので、ある程度の基礎デ ータを持って積み上げておられると思う。積み上げた大枠を出していただくことはそれ程の 労力を使わずにできるだろうと思うが、大事なことは嘉山委員が言われたように、そのこと が1年経って現実にどれくらい有効に使われたかということをしっかり出していただく方 が、考え方としては中医協として大切なことだと思う。   ○邉見委員  私は二つのことを申し上げた。一つは今回どれくらいの配分がなされたのか、例えば手術 やNICUといったところにどう配分されたのか、今まで全く出されていないので、透明性 の観点から出していただきたいということ。二つ目は、嘉山委員や安達委員が言われたよう に、実際に1年後にどれくらいになっているのかが重要だということである。例えば、脳外 科などは脳繁期、脳閑期といった言葉が使われるように忙しいときは脳も忙しいし、暇なと きは脳も暇である。そう言うと嘉山委員に怒られるが。   ○遠藤会長  私も二つのことを言われたと理解している。そこで先ず、実態として1年後にどうなった かを把握することは重要である。ただし、それが分かるのは来年度実績の社会医療診療行為 別調査の結果が出なければならないので、それが出るのは再来年の秋ぐらいになってしまう。 今回の配分の話としてはかなりの時間的ラグができてしまう。それであれば、事務局の作業 量と関連するが先程安達委員が言われたように、元々計算している過程においては、最終的 に改定率の枠に入るようにやっているので、ある程度の基礎データがある筈である。そのよ うなものを纏めることはある程度可能と思うので、二つのことを要求しても可能だとは思う が、最終的には事務局の余力の問題である。   ○北村委員  以前に財源論のところで申し上げたが、項目ごとの主要財源は明確にはなっていないもの の、数字を入れるにあたっての算出根拠は持っておられると思うので、極端な労力が掛から ない範囲内でこれまでの算定根拠で良いので出していただければと思う。   ○邉見委員  最後に一点申し上げる。いつも嘉山委員が言われている今後の優先順位に関係してくる問 題である。どれだけ財源が浮いたかによって今後、次々期改定に向けての優先順位を決める 意味でも財源をある程度知りたい。   ○鈴木委員  重点的に引上げとなった分だけではなく、今回は配分の見直しということもあって全体と しては引下げとなった部分もあるので、そういったところの影響も合わせて医療経済実態調 査の実施に合わせてデータを出していただきたい。   ○安達委員  嘉山委員が言われたように社会医療診療行為別調査はやらなければならないが、できるだ け早く出していただきたい。いつも次年度の議論をするときにぎりぎりに出てくるのでなか なかデータを咀嚼しにくい部分がある。それから、私は事後の検証が重要と申し上げたが、 今回新規の技術を沢山認め、その結果として旧来の技法についての算定が減少する部分も出 てくると思う。そのことについては類推が不可能であるので、事務局の改定の計算に入って いないだろうと思う。それらも含めて正確なデータが次回に向けては必要と思う。   ○遠藤会長  社会医療診療行為別調査をできるだけ早く出すことについては、実は速報値を示す形でか なり早い段階で中医協では利用していることもあるので、そういうスタンスは次の改定に向 けて大事にしたいと考えている。   ○嘉山委員  一つ心配は、我々がこの場で決めた色々な方針があるが、例えば勤務医の負担軽減や看護 師の配置について、薬剤に関する対応、歯科に関する対応等々、それらに基づいて配分をし た結果こういう点数が出てきたわけである。もしもラフにやって、我々が議論した方向性と は異なる結果が出てきた場合には、それを変えることは可能なのか。   ○遠藤会長  それは期中の改定ということか。   ○嘉山委員  点数の付け方は事務局にお任せしたが、その他の方針は我々がここで決めたことである。 結果として点数の決め方が駄目だった場合に、急に点数を変更することは可能であるのか。   ○遠藤会長  医療側がこれは緊急改定が必要ということであれば期中改定も視野に入れながら議論す るということにもなるが、基本的には2年に1回である。 ○勝村委員  先程の邉見委員のご意見に対してであるが、今回の検証についてはできるだけ早く速報値 などを用いて早めに議論を始めたい。もう一つ、今日急に点数が出てきていることに関して はその通りだと思う。点数をすぐに把握するのは難しいので、今後は可能な限り小計のよう なものが出せるのであれば出していただくと、中医協の議論にとっても分かり易い。 ○遠藤会長  この議論は細かいことまで言えばなかなかいろいろな議論がある。大体各委員のご意見を 伺うと、重点課題については、事務局として対応可能なレベルで結構なのでラフな配分を示 していただきたいということであった。事務局いかがか。 ○医療課長  今会長よりお話があった点、また各委員よりいろいろお話があった点については、短期的 な話はせめて重点課題ということになるかと思うが、できる限り早急に準備したい。また中 長期的な話としては、社会医療診療行為別調査は最近少し結果が出るのは早くなってきてい る。前回は7月には出ているので、そうしたものが使えるのであればできるかぎり早くに対 応したい。なお短期的な話に戻るが、4月施行に向けた通知の発出等があるため、この場で ご理解を頂戴するとすれば、まずは4月改定の円滑な実施に向けて、この告示・通知の作業 に全力を傾けたい。その作業が済み次第、重点課題についてやもう少しラフにというご指示 等があったので、できるところから少しずつ対応していきたい。 ○遠藤会長  そのような対応でよろしいかと思う。我々は本日の答申決定でヤマを越す訳であるが、事 務局はこれから円滑な改定の実施に向けて、通知の作成等の準備が4月まで残っている。そ の辺が一段落したくらいで、順次出していただくことで宜しくお願いする。 ○渡辺委員  事務局にお願いする。2月5日にパブリック・コメントの結果を提出いただいた。パブリ ック・コメントは国民の皆様の貴重な意見であるので、諸般の事情で止むを得なかったこと は承知しているが、できるだけ早くこの場に提出いただきたい。ちなみに3,000件以上 のコメントの中で歯科については1,000件を超えるコメントが寄せられている。 ○遠藤会長  パブリック・コメントや公聴会の日程について、時期を早めて欲しいという意見があった ことは私も承知している。できるだけ早められるように、次回改定では配慮していただくよ う事務局には宜しくお願いする。 ○安達委員  最後に一つお願いを申し上げたい。今回は政権交代があって厳しい日程の中で行われ、今 から4月1日のスタートに向けて、膨大な解釈等が本当にぎりぎりに出てくる。従来から医 療現場は大変苦労している。4月1日から逆算して医療現場の作業に時間的な余裕ができる ようにぜひ検討していただきたい。具体的に言えば、もう少し早く答申を出すようにしては どうかということもお願いしたい。現場の皆様だけでなく、我々都道府県の医師会にとって も説明会開催にあたって、事務局は徹夜状態になる。それでもなお後から通知が出て、改定 年は現場に混乱が生じている。できるだけ早く告示が出来るようにとお願いする。   ○遠藤会長  私もその通りだと常々思っている。一方で、改定率が決まらないと点数は決められない。 改定率は12月終りにならないと決まらない。従ってこのとおり集中的な日程となっている。 極端な話をすれば6月改定にずらせればそれなりの対応ができるのかもしれない。重要な問 題だが大きなスキームの変更を伴うものであるというように私は理解している。 ○安達委員  本日は足立政務官がいらっしゃるので、政府におかれても改定率や方針をもう少し早く出 していただけないかということも含めてお願いということである。そのようにご理解いただ きたい。 ○遠藤会長  足立政務官、そのような要望である。他にご意見あるか。それではご意見が無いようであ れば、この答申案をもって中医協より答申を行うこととしたい。よろしいか。ありがとう。  それでは事務局には答申書の正本を準備していただきたい。本日は足立政務官がお見えな ので、私から正本を足立政務官にお渡ししたい。    (遠藤会長から足立政務官に正本を手渡し) ○遠藤会長  それでは足立政務官、一言お願いする。   ○足立政務官  厚生労働大臣政務官の足立信也です。答申いただいたことに対し一言ご挨拶申し上げる。  昨年の11月から週2回、1日4時間以上の議論が行われたと伺っており、事務方から今 日はほとんど議論はないと聞いていたが、やはり本日も相当議論が行われた。その中で協議 会の開催時期の役割の話もあったが、税制改正、予算編成過程の中でという今の仕組みのま までは難しい課題ではあると思う。  私は昨年10月の挨拶で現場主義という考え方を大事にしたい、現場からの改革というこ とを申し上げたが、今回の中医協の議論でこれまでと違う点が2点あると思う。  1点目は、現場を預る方々から救急、産科、小児科、外科の現状についてつぶさに聞いた ということであり、2点目は委員の皆様が自ら作成した資料を持ち寄って、中には膨大な量 の資料もあったと思うが、それを基に議論が行われたことである。この2つの点については、 これまでの中医協ではなかなか見られなかったことであると感じている。  今回の一連の議論の中で大きかった点は、厚生労働省あるいは政務三役として、内閣とし ての方針決定の策定にあったと思う。皆様方の議論を参考にしながら、今先ずやらなければ ならない分野はどこか、その分野にはどの程度の財源を集中させなければならないかという ことを検討した。先ほど財源不足の話があったが、今先ずやらなければならないことと、そ うでは無い部分についても最低限手当てをするという基本方針が決められたことが最も大 きな前進であったと思う。  5,700億円という財源を医療の中の単価につけていく診療報酬改定は相当の効果が期 待でき、また世間では医療崩壊と言われているが、私の立場としては崩壊とは言いたくない し、崖っぷちに踏みとどまっていると思う。今回の改定では、産科、小児科、救急、また潜 在的に疲弊が進んでいる外科の部分に一番力を入れる必要があると考えた。また、急性期の 病院だけ診療報酬を手厚くしても、その後方支援あるいは地域医療を守っている診療所の評 価を下げてしまっては地域医療は確保できないと私は当初から考えていたし、政府としても その方針で臨ませていただいた。  最終盤になって、診療報酬の明細書の発行が義務付けられることが決まった。これは長年 に渡って取り組まれてきたことであるが、今の状況を打開するためには医療を提供する側と 受ける側が情報を共有することが絶対欠かせないと思っている。そして、その明細が明らか になることによって、効率化が進み疑問点も解消できるのではないか、医療を共通の情報で しっかり理解できるようになるのではないか、また、世界一と評されたこの国の医療を国民 全員で守っていこうという第一歩となるのではないかと強く思っている。  今日の議論にもあったが、今後検証することが皆様に課せられた使命であり、私共もこの 点についてこれまで同様出来得る限りの資料を集めて議論に供したいと思う。今の危機を打 開するためには、まず医療費を確保することであるが、それと同じように大事なことは医療 や介護の提供体制をしっかりしていくことである。厚生労働省においてもその議論は既に始 まっており、医療費の問題と医療提供体制を車の両輪として、この1年間でしっかり議論す ることを約束申し上げたい。  大臣がお見えになったのでそろそろ終わりにしたいと思うが、いろいろな意見が中医協に 対してあり、私どもの政権の中でもあった。しかしながら私は、ステークホルダーが集まっ て自分の立場でまず考えて協議し、物事を決めていくというこの形でなければ、これからの 日本のあり方は決められないのではないかと認識している。  先ほど委員から体がガタガタになったという話もあったが、皆様方のご努力によってある 一定の成果が得られたことに対して感謝申し上げると共に、私どもは行政の立場としてしっ かり監視、実施し、また足りない点は補っていくことをお約束申し上げて、私からの感謝の 言葉としたい。どうも有難うございました。    (拍手) ○遠藤会長  足立政務官、ありがとうございます。それでは長妻大臣がお見えなので一言いただきたい。 ○長妻厚生労働大臣  皆様大変お疲れ様です。本日は予算委員会がありここにお邪魔できないかと思っていたが、 今、私の出番が終わり駆けつけて来た。先ほど答申をいただいたということであり、足立政 務官からもお話申し上げたところである。本当に長期間に亘り遠藤会長はじめ、皆様方の 様々な思いの中で、この集大成が本日出来上がったということである。皆様方の思いを受け たこの答申を、私ども行政の立場としてきちんとその理念を実現していくべく取り組んで参 りたい。今後、皆様方から私どもに直接、あるいは担当課を通じてでも結構であるので、こ の行政運営はこの点にもっとポイントを絞って行うべきである、中医協で答申した趣旨はこ ういうことなのでこの点を改善すべきではないかといったことについて、今後とも忌憚のな いご意見を私どもにぶつけていただければ、我々も改善すべきところは改善していきたいと 考えている。いずれにしても、ネットでプラスというのが10年振りということで、ある意 味では歴史的な作業をしていただいた。後は私ども行政や、現場で働く医師、看護師、ある いは多くのコメディカルの方々を始め、国民の皆様方にもご理解をいただくべく、これから 全力で共に取り組んでいきたいと考えている。私からのご挨拶と皆様に対する感謝の言葉と させていただきたい。どうもありがとうございました。 (拍手) ○遠藤会長  私からも委員の皆様にお礼を申し上げたい。11月以降、週2回、4時間、場合によって は5時間くらいになるような厳しい日程であったが、その間非常に積極的で今までにないよ うな多様な視点からの議論をいただいた。本日、このように答申をすることができたわけで あるが、心より御礼申し上げたい。但し委員の皆様はこれで少しは楽にはなるが、この後の 検証と今後の課題というのが附帯意見に載っているので、速やかに着手することとなる。週 2回という厳しいペースではないが、議論を積極的に行うことになるので、その辺りは覚悟 をしておいていただきたい。  事務局に対しても一言お礼を申し上げたい。例年改定の時期は、事務局は膨大な計算作業 に追われて大変お忙しいわけであるが、特に今回はエビデンスベースで議論するということ で、非常に押し迫った段階からDPCのシミュレーションや地域格差の実態の調査資料など、 その他諸々のものを事務局に次から次へ要請したわけであるが、非常に短い時間に適切な資 料を出していただいた。それによって我々もエビデンスベースの議論ができた。従来から比 べると作業が1.5倍くらいに増えたのではないかと思っているが、そういう意味合いでも 事務局に大変感謝する。それでは本日の答申については以上の通りとしたい。  残りは1月29日の総会で承認いただいた薬価の算定基準と特定保険医療材料の保険償 還価格算定の基準について資料が出されているので事務局より説明をお願いしたい。 ○薬剤管理官  (資料「総−2−1」、「総−2−2」、「総−3−1」、「総−3−2」に沿って説明)  私からは資料の総−2−1、総−2−2、総−3−1、総−3−2の資料に沿ってご説明する。総−2 −1と総−2−2が薬価の関係である。2−2については薬価算定の基準ということで、これまで薬価関 連でかなりご議論をいただき、1月29日の中医協総会で承認いただいた内容について、それを盛り込み 全体としての通知の案文にさせていただいたものである。総−2−2であるが、こちらは手続きの関係で あり、どのような手続きで薬価を収載するのかということについて1月29日に承認いただいた内容を盛 り込んで通知の文案とさせていただいている。 同様に総−3−1が特定保険医療材料の関係の算定の基準の内容であり、これも先ほどと同じように1 月29日の中医協総会で承認いただいた内容を盛り込んだものである。総−3−2であるが、医療機器 の保険適用の手続きの関係の通知の文案であり、1月29日に承認いただいた内容を盛り込んだもので ある。私からは以上である。 ○遠藤会長  これまで議論された内容について、このような形でまとめさせていただいたということで ある。何か質問等はあるか。よろしいか。  私から一言事務局に申し上げたい。課長通知等々をこれから作成することになるかと思う が、その内容については今後開催される中医協のいずれの段階でも結構であるが、報告事項 で良いので明らかにするようにしていただきたい。 本日の総会はこれにて閉会したい。次 回の日程等について事務局よりお願いする。 ○医療課長  次回開催日は未定であるが、3月に開催する方向で準備している。場所、時間等、決定次 第連絡させていただく。 ○遠藤会長  本日の総会はこれにて閉会とする。 【照会先】  厚生労働省保険局医療課企画法令第1係  代表 03−5253−1111(内3288)