10/02/05 第5回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会議事録 第5回 労働政策審議会 職業能力開発分科会 若年労働者部会 議事録 日時:2010年2月5日(金) 13:00〜14:30 場所:厚生労働省 専用第21会議室 出席者:  公益代表委員   清家部会長、小杉委員  労働者代表委員   武山委員、永田委員、花井委員  使用者代表委員   遠藤委員、三浦委員、山野委員  厚生労働省   小野職業能力開発局長、伊藤キャリア形成支援室長、尾田総務課長補佐、山下キャリア 形成支援室長補佐、田中職業安定局若年者雇用対策室長補佐、 議題:   1 第8次勤労青少年福祉対策基本方針(現行方針)の進捗状況等について   2 その他 配付資料:   【資料】     委員名簿     「第8次勤労青少年福祉対策基本方針」に基づく施策進捗状況     平成22年度 若年者対策関連予算案       ジョブ・カード制度       年長フリーター等に対する再チャレンジコース       地域若者サポートステーション事業       若者自立塾事業     子ども・若者育成支援推進法について 【参考資料】     若年労働者部会 開催状況     第8次勤労青少年福祉対策基本方針(概要)     第8次勤労青少年福祉対策基本方針(全文)     勤労青少年福祉法(概要)     勤労青少年福祉法(全文)     職業能力開発分科会 運営規程     職業能力開発分科会 若年労働者部会 運営規程 議事: ●山下キャリア形成支援室長補佐  定刻になりましたので、「第5回労働政策審議会職業能力分科会若年労働者部会」を開催 いたします。開催に当たりまして、職業能力開発局長の小野よりご挨拶を申し上げます。 ●小野職業能力開発局長  お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。担当局長の小野と申しま す。昨年の夏から就任しております。引き続きよろしくお願いします。  この部会自体3年半ぶりということで、前回からかなり間が空いてしまったのですが、今 日は久しぶりの開催ということでお集まりをいただきました。ご承知のとおり、この間、特 に今年の3月の学卒者の雇用状況の就職関係が大変厳しい状況になっております。ニート、 フリーターの問題等、若年者の雇用をめぐる問題、いろいろな課題が山積している状況で、 後ほど説明をさせていただきますが、国としても若年者の雇用対策、職業訓練対策はこの間 さまざまな対策を打ってまいりましたが、まだいろいろ取り組んでいく必要のある課題が山 積している状況です。  現在の第8次勤労青少年福祉対策基本方針ですが、平成22年度で終期を迎えるというこ とで、また今年の夏辺りから、皆様方にも第9次の基本方針策定に向けて、能力開発全般の 在り方と併せてご議論をいただきたいと思っています。本日は、これまでの対策の実施状況、 関連する平成22年度予算案の概要を中心に事務局からご説明をさせていただいて、皆様方 からご意見をいただいて夏以降のご議論につなげていきたいと思っておりますので、忌憚の ないご意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ●山下キャリア形成支援室長補佐  いま局長のご挨拶にもありましたように、直近の開催が平成18年9月ということで3年 半ぶりということになります。この間に改選もございましたので、改めて委員の皆様のご紹 介をさせていただきたいと思います。  公益委員代表として清家委員です。清家委員におかれましては、引き続き部会長をお願い しております。さらに公益代表委員として小杉委員です。なお、所用で欠席している宮本委 員です。公益委員代表につきましては、前回の部会からの変更はございません。  続きまして、労働者代表委員です。花井委員、武山委員、永田委員です。労働者代表委員 につきましては皆様、前回の部会以降、新たに就任をいただいております。  続きまして、使用者代表委員です。三浦委員、遠藤委員、山野委員です。使用者代表委員 につきましては、遠藤委員と三浦委員が前回の部会以降、新たにご就任をいただいておりま す。ここからは清家部会長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ●清家部会長  本日の議題は、お手元の資料のとおり、第8次勤労青少年福祉対策基本方針(現行方針) の進捗状況について、もう1つは、その他ということになっております。現行の方針は来年 度までを期間としておりますが、本日はその進捗状況と、それに関連して若年者に関連する 各種施策につきまして、事務局から簡単にご説明をいただきたいと思います。 ●伊藤キャリア形成支援室長  本若年労働者部会の事務局を仰せつかっております職業能力開発局キャリア形成支援室 室長の伊藤です。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま部会長からお話がありましたように、本日の議題の第8次勤労青少年福祉対策基 本方針の進捗状況等につきまして、お手元の資料に従ってご説明、ご報告を申し上げます。 なお、先ほど来、お話をしておりますように、間隔が空いての本日の部会の開催ということ で、お手元に2つの綴りを準備しております。後ほど時間をかけてこちらの「若年労働者部 会」でご説明したいと思います。その前に、もう1つの綴りで、参考資料をご参照いただき まして、若年労働者部会の位置づけ、また、本日ご報告を申し上げる第8次の基本方針の位 置づけ等について、簡単にご紹介をした上での本資料の説明を申し上げたいと思います。  参考資料の28頁に、職業能力開発分科会の運営規程を示しております。本若年労働者部 会に関しては、この第六条に規程があります。勤労青少年福祉法に規定する勤労青少年福祉 対策基本方針の策定に関する事項、勤労青少年の福祉の増進に関する専門の事項、その他、 若年者の職業能力開発に関する事項を調査、審議のため、本若年労働者部会を置くという規 程が置かれているところです。この規程に基づきまして、この間、この部会において基本方 針の策定等々に係るご審議をいただいてきたところです。  この基本方針の勤労青少年福祉法上の位置づけについては22頁、23頁をお開きください。 勤労青少年福祉法の目的、理念等の規定に続いて、第6条に勤労青少年福祉対策基本方針に 係る規定が置かれております。厚生労働大臣は、勤労青少年の福祉に関する施策の基本とな るべき事項、勤労青少年福祉対策基本方針を定めるものとするとされております。この方針 に定める事項としては、次の第2項にあるように、勤労青少年の職業生活の動向に関する事 項、勤労青少年の福祉の増進について講じようとする施策の基本となるべき事項を定めるこ ととされております。さらに第4項におきまして、厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見 を聴くほか、都道府県知事の意見を求める。方針を定めるに当たって労働政策審議会の意見 を聴くこととされております。この規定に基づきまして、来年度は次の第9次方針の策定に 向けて、この部会を中心にご審議をいただければと考えているところです。  なお、第2項の2号に勤労青少年の福祉の増進という規定があります。その福祉の増進、 福祉の措置に関わる具体的な事項につきましては、24頁から25頁にかけてあります。本法 の第8条以下に、職業指導、職業訓練、教育を受ける勤労青少年に対する配慮、勤労青少年 福祉推進者、余暇の有効活用ということで、一般的に言われている福祉の概念に限定されず に、職業指導、職業訓練、後ほど「キャリア形成」という言葉もご紹介したいと思っており ますが、勤労青少年等を対象とした幅広い支援が本法に基づき求められ、ご審議を今後予定 している基本方針の中にも、そういった内容を盛り込むことを考えているものです。  現在定められている第8次の基本方針につきましては、5頁以下に掲げております。全体 の構成としては、最初の目次にあるように「勤労青少年の職業生活の動向」、第2に「勤労 青少年の福祉の増進に関する基本的施策」。この第2の内容につきましては、後ほど別の資 料で概要をご説明いたします。  第8次の現下の方針策定に当たりましては、本部会におきまして精力的に審議いただき、 この方針が定められたところです。6頁から7頁にかけて、「はじめに」ということで、こ の方針策定に関わる基本的な考え方が示されております。特に、第8次の方針策定に当たっ てのご審議をいただいたポイントとして、7頁の上段、「無業の状態から脱することのでき ない青少年を職業的自立に導くこと」が新たな課題である、いわゆるニート等の若者です。 つい先日、労働力調査に基づくニートの最新の数字が発表されております。平成21年度で 63万人ということで、前年から1万人減といった状況です。  次のパラグラフは、施策の重点に関して、施策について従来の柱であった余暇の有効活用 から、個々人の職業能力開発推進、職業意識形成に関する一層の充実、さらには社会的、基 礎的能力習得から、就労に至るまでのさまざまな支援のための環境整備に重点を置くことが 求められて、いわゆるキャリア形成支援というものが、ご審議をいただくに当たって大変重 要な事項であるということが、「はじめに」で示されております。  「はじめに」の最後の部分は、勤労青少年福祉対策における対象年齢です。それまでの第 7次の基本方針までは30歳未満という捉え方であったわけですが、近年、国、地方公共団 体における若年者対策の対象者は、概ね35歳未満としていることに鑑み、この方針上も35 歳未満という整理をする。この対象年齢については、その後さらに事実上見直しをしている 部分がありまして、これは別の資料でご説明いたします。以上のような考え方の下で、さら に第1以下で具体的な施策について整理をいただき、先ほど局長も触れましたが、本方針は 平成18年度から平成22年度までの5カ年を計画期間として、現在運用がなされていると ころです。  次に本資料ですが、1頁に部会委員の皆様方の名簿をご紹介しております。2頁、「『第8 次勤労青少年福祉対策基本方針』に基づく施策進捗状況」ということで、先ほど参考資料で 示した第8次方針中、基本的施策、具体的な施策について体系的に整理をされているものを、 この資料では左側にそのまま掲げております。それに対応して、この間に展開してきた主な 施策・事業、その実績に関しては、今後次の方針に向けた本格的なご審議をいただく段階で は、施策体系ごとに質的な課題や、その前提となる若者雇用に係る実態等の資料も幅広くお 示ししたいと考えております。それに向けての今日の会議では、主に定量的な実績に絞って の整理をさせていただいているということをご理解、ご容赦をいただければと考えておりま す。  それでは、この表に基づいてポイントとなる事項を簡単にご説明いたします。施策の2 の「職業生活の充実」の中で、最初に職業意識形成のための支援ということで、学校在学中 から社会との関わり、職業人としての在り方などについて、青少年が自ら考えていくことを 導くことが重要であるとして、学校の各段階における職場見学、職業体験、インターンシッ プ等の必要性について掲げられています。これらに関わる主な取組みについて、1つには雇 用・能力開発機構やハローワークの窓口におきまして、キャリア・コンサルタントたる相談 員を配置、巡回の上、若年失業者、フリーターなどに対するキャリア・コンサルティング、 専門的な相談を実施しているところです。いわば延べ数としての件数ですが、平成20年度 で100万人を超えるような相談の実績を上げております。  また、学校在学中のキャリア教育の推進に関わりましては、これまで4つ目、5つ目の「●」 にあるように、労働局、ハローワークが中心となって中高生などを対象とした就職ガイダン ス、あるいは企業人が学校に出向き、実践的なプログラムを展開するキャリア探索プログラ ムの事業を展開しております。例えば、キャリア探索プログラムでは、年間40万人近くの 中高生がこのプログラムを受講している。こういった取組みに加えて、私ども職業能力開発 局で、現在キャリア・コンサルティング研究会という場で、中学、高校段階におけるキャリ ア教育推進の在り方や、これを支えるコンサルタントの能力要件などの在り方について、研 究を行っております。こういった成果は来年度以降の具体的なキャリア教育、担い手、人材 養成のための事業に結び付けていきたいと考えているところです。  (2)就業に向けた自信・意欲獲得のための支援については、とりわけ、働く自信が持てず 働く意欲を十分に持てない青少年を、典型的にはニートということになりますが、こういっ た問題を念頭に置いての集団生活による基本的能力の習得、勤労観の醸成。ボランティア活 動の促進、さらには働くことをめぐるさまざまな悩みを抱えた若者に対するカウンセリング、 専門的な相談支援体制の整備の必要性が謳われています。これらに関わる施策、事業として は、ニート等の若者を対象とした合宿型の支援プログラムを通じた基本的能力習得、働く自 信・意欲の付与のための事業として、平成17年度から若者自立塾事業を展開してきたとこ ろです。この間、2,600名を超えるニートが若者自立塾の支援を受け、6割を超える方が就 労に結び付いているという実績を上げております。この自立塾事業については、事業仕分け 等に基づく見直しを計画しており、これはまた別の資料でご説明をしたいと思います。また、 心の悩みなどに関わる専門的な相談については、この間、ハローワークの窓口において臨床 心理士など、専門家の配置をしての相談サービスを提供してきたところです。後ほど出てく る「地域若者サポートステーション」などでも、ニート、失業者、フリーターといった若者 に対する専門的な相談を実施しております。  次の頁の、若者の働く自信・意欲喚起には、保護者を通じての働きかけ、あるいは国民各 層が一体となってのムーブメントの推進というものが大変重要であるということで、例えば、 若者サポートステーション事業における保護者を対象とした相談会の開催。また、ここにい らっしゃる労使の代表の皆様方にも大変なお力添えをいただき、平成17年度から若者雇用 問題についての国民各層の関心喚起の具体的な取組みを促す契機とするための、若者の人間 力を高める国民運動を推進してきているところです。予算という形では、19年度をもって 一旦廃止の形になっておりますが、現在も厚生労働省のホームページなどを通じて国民運動 に関わる啓発活動、関係者の皆様のご協力をいただき、推進をしているところです。  (3)的確な職業選択・職場定着の支援については、現在と第8次方針が策定された時点で は、雇用環境は随分変わっているわけです。前回の方針策定の時点に当たっても、若者の雇 用に当たりまして学卒時に就職をしても、早期に離職をする青少年の問題等々といったこと が重要な社会的な課題であったわけです。そうした中での学生・生徒から職業人への円滑な 移行支援、トライアル雇用などを通じた第2新卒者、不安定な就労を繰り返す若者の就職機 会の拡大、さらにはワンストップ型での就職支援メニューの拡充・提供といったものの重要 性が掲げられています。  これらに関わる主な対策です。高卒・大卒就職ジョブサポーター、学卒者の就職支援のた めの専門人材について、今般の補正予算などでも拡充を図ることとしているわけです。ハロ ーワークから学校へ訪問することによりまして、学卒就職希望者に対する就職支援の拡充に 努めている。またこの間の雇用対策法の改正によりまして、青少年の雇用機会確保を事業主 の努力義務とする指針を定めているところです。こういった指針を活用しながら、新規学卒 者、第2新卒者等を含めての若者の雇用機会の拡大の取組みを進めているところです。  最初に具体的な施策として、「若年者トライアル雇用事業」ということで、資料にもあり ますように、年間4万人強のフリーター等の若者がこの制度を使い、8割前後の若者がこの 制度によって常用雇用に移行しているところです。若者の就職支援の代表的な窓口としてハ ローワークに加え、都道府県が主体となってのジョブ・カフェがそれぞれの地域に整備をさ れています。ハローワークの紹介窓口も多くの場合、このジョブ・カフェの機能の一部を担 う形で、直近の平成20年度では延べ利用数160万人を超える若者がジョブ・カフェのサー ビスを利用しているところです。  次は「職場定着支援」についてです。より具体的には地域の若者支援団体を活用した職場 定着支援、勤労青少年ホームの機能を活用しての相談、職場定着に資する有効な情報提供 等々の必要性がこの方針の中で謳われております。それに対して、この間、在職者、さらに は若者求職者を対象としたメールによるキャリア・コンサルティングサービス、あるいは、 勤労青少年ホームなどの自治体の施設と連携をしての若者向けのキャリア・コンサルティン グ事業。さらには地域若者サポートステーション事業に関しては、現在、一部のステーショ ンではその事業展開上、勤労青少年ホームの一部を活用することにより勤労青少年福祉対策 とニート等の若者の就職支援というものを総合的に展開をしている。運営団体が施設の指定 管理者として位置づけられた上で、総合的な事業展開をしているような事例も最近少しずつ 出てきているところです。  「職業生活に必要な職業能力開発の推進」に関しては、産業構造の変化等の中で、青少年 自ら職業生活設計について考える志向が高まっている、あるいは必要性が高まっている。こ ういったことを踏まえて、職業能力開発支援のための体制を能力開発施設、事業主等、それ ぞれの立場で構築をした上でキャリア・コンサルティング、専門性を活用した職業生活支援 を行っていくこと。具体的な能力開発機会としては、特に安定した就労を希望するフリータ ーや、若年失業者の方などを主な対象とした仕組みとして、この間日本版デュアルシステム、 実践型人材養成システムを展開し、さらには自発的な職業生活設計に基づく能力開発支援な どを進めてきています。  これらに関わりましては、7頁の機構ハローワークにおけるキャリア・コンサルティング に加えて、後ほど別の資料でも出てきますが、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサ ルティング、訓練の効果的な推進ということが、現下の最重点の課題です。そのためのキャ リア・コンサルタントの養成活用とジョブ・カード講習といった事業に現在積極的に取り組 んでいるところです。また、具体的な訓練事業としては、日本版デュアルシステム、実際、 こちらのほうに掲げています。例えば、委託訓練活用型では平成20年度は3万人を超える 方が受講している。あるいは平成18年度から開始している新規学卒者等を対象とした実践 型人材養成システムに関しても、製造業の分野などを対象として延べ3,800名ほどの方が受 講し、97%の就職率を見ているといった状況です。  企業の中における能力開発支援体制の整備も大変重要ということで、能力開発法に基づく 能力開発推進者などを対象とした講習、能力開発に関わる情報提供等の事業にも取り組んで いるところです。  (5)「労働条件等の整備充実に関する支援」は働く若者の労働条件・安全確保の問題につ いてです。一般的な話になってしまいますが、全国の監督署窓口などにおきまして、労働基 準法、安全衛生法などに基づく説明、相談指導等の取組みを進めているところです。  10頁、能力開発を効果的に推進していく上では勤労青少年、定時制高校で学ぶ勤労青少 年などをはじめ、時間確保ということがその基盤として大変重要ということになっておりま す。こういった観点から、この間、キャリア形成促進助成金につきまして段階的な見直しを 図りながら、労働時間という観点での能力開発の前提基盤を整備するような取組みにも着手 しているところです。  3「自由時間を活用した生活の充実」です。ボランティア活動をはじめとした、社会活動 への参加の促進。お互いに励まし合うという観点での交流の促進。さらにエリアを広げての 国際交流の促進ということでワーキング・ホリデー制度なども活用した、若者のキャリア形 成支援といった重要性が方針の中で謳われているところです。  社会活動参加に関しましては、地域若者サポートステーション事業が、事実上そういった 機能を担い、活動の展開を図っています。加えまして、もともと勤労青少年福祉法に基づく こういったミッションを担う施設、勤労青少年ホームにおけるボランティア活動の推進にも 取り組んでいるところです。  勤労青少年ホームに関しましては、勤労青少年自体の減少ですとか、あるいは、働く若者 をめぐる環境変化の下でホームの数自体も、全盛期には530程あったのですが、直近の数 字で言いますと、409ということで数も減っています。前回の方針の中でも触れられており ますように、ホームごとの活動実績、あるいは、登録者も漸減傾向にあります。  後ほど次の中で、その辺りの背景を補足的に説明したいと思っていますが、こういった勤 労青少年ホームの活動のあり方といったことも次の第9次方針をご審議いただくに当たっ て、1つのポイントになるのかなと思っています。また次の頁にかけまして、ワーキング・ ホリデー制度に関連しました、海外就労経験者に対するキャリア形成支援の取組みについて も掲げさせていただいております。  5の「勤労青少年福祉行政推進のための環境整備」については、それぞれの地域ごとの教 育・安定機関、社会福祉機関などの関係機関のネットワークの構築。いまほど少し触れまし たような大変難しい環境にはあるわけですが、勤労青少年ホームに求められる機能の充実、 そのための関係者等のサポート、対策といったことがこの中に方針として掲げられているわ けです。これに関しても、どうしてもこれらの対策について具体的な措置としては、サポー トステーションの話が中心となって出てくるわけです。サポートステーション事業のもとも との狙いとする若者の自立と支援の観点からのネットワークの構成機関と、勤労青少年福祉 行政推進という観点からの構成機関とネットワークは概ね重なっているということで、現状 では既存の勤労青少年ホームの機能を活用しつつ、事業拡充を図っているサポートステーシ ョン事業によってそれをカバーしている。両々相まってということでの事業展開を図ってい るというのがいまの現状と言えるのではないかと思っております。  6「勤労青少年指導体制の整備等」、7「勤労青少年福祉対策に関する啓発活動の実施」に 関しては、勤労青少年福祉法に基づく「勤労青少年の日」などを活用した関係団体とも連携 をしての啓発活動に私ども厚生労働省としても取り組むとともに、後ほど資料で説明いたし ますが、今年の4月に勤労青少年福祉法とも大変関わりのある内容ですが、「子ども・若者 育成支援推進法」という内閣府主管の法律が新たに施行されることになっております。この スキームの中で勤労青少年を含む子ども・若者の自立支援のための中央及び地域の協議会等 の体制整備。またそれをベースとして、それぞれの自立支援等の担い手の養成のための取組 みに新たに着手をするという計画があります。以上、大変雑ぱくですが、現行の第8次方針 に掲げられた基本的な施策と、それに関わりましてこの間展開してきた主な施策、その実績 等です。  これらの内容と一部重複しますが、関連する主な予算等に関わる資料を15頁以下に掲げ ております。私どもは一般的に若年者対策関連予算ということでまとめ、対外的に説明をし ているものが15頁、16頁です。1つには、フリーター等の正規雇用化プラン、ハローワー クにおける年長フリーター等を重点とした担当者制などを用いた職業紹介、職場定着に関わ る支援、若年者トライアル雇用制度と関連して、正規雇用に年長フリーターを正規雇用に至 った事業主に対する奨励金制度、また若者への職業能力開発機会の提供ということで、ジョ ブ・カード制度、これまで各種業界団体、民間機関と共同で開発したカリキュラムなどを活 用しての資格取得に結び付く比較的長期の訓練コースの拡充、といった事項をここで示して おります。  「ニート等の若者の職業的自立支援の強化」については、後ほどの資料で説明いたします。 さらに学卒者、未就職者に対する就職支援、能力開発支援、学校段階からの職業意識啓発支 援、さらにはその他ということで、先ほども少し資料の中で触れましたが、学校在学中から のキャリア教育推進のための担い手としての専門人材養成のための取組み等々が、今度の予 算に盛り込まれている若年者対策の主要な内容です。以上、申し上げた事業に関して申しま すと、予定額で440億強の規模ということです。その中でさらに主要な事業について、17 頁以下に掲げております。  1つは、能力開発形成機会に恵まれなかった若者を対象としたきめ細かなキャリア・コン サルティング、企業実習をはじめとする実践的な職業訓練、ジョブ・カードの取りまとめを 活用した就職支援の一貫した取組みとしてのジョブ・カード制度を平成20年度からこの仕 組みは発足しておりまして、ここにいらっしゃる皆様方の格別のご支援の下で、このジョ ブ・カードの利用実績は徐々に伸びてきております。再交付を除いた実利用者数といいます か、交付件数で申しますと、平成20年度が約6万5,000人、本年度11月までで9万9,000 万と10万に近づいている状況です。能力形成プログラムはもとより、その他の各種公的な 訓練、さらにはその訓練と直接結び付かない場でも、少しずつ普及が図られています。  来年度の新たな取組みとしては、例えば、業種別キャリア形成支援モデル事業。これまで 労働市場インフラということで、キャリア・コンサルタントの養成、キャリアマップ、評価 シートの開発とそれぞれ進めてきたわけですが、こういったジョブ・カードという切り口で、 業界団体、業種別単位で一体的なインフラ整備の取組みを進めていく支援。委託訓練活用型、 デュアルシステムの推進。その間の生活保障については、いわゆる基金訓練による措置を組 み合わせての展開を図っていく。またハローワークにおけるジョブ・カード制度推進のため の相談体制についても人的措置を図ることとしております。  時間の関係で少し飛ばし飛ばしでご説明申し上げます。ニート等の支援に関しては、19 頁の「地域若者サポートステーション事業」と20頁の「合宿型『若者自立塾』事業」が2 つの主要事業ということで、この間展開してきたところです。サポートステーション事業に 関しては、平成18年度に創設され、その後平成20年度に交付税措置、財政的な新たな措 置も講ずることによって、国と地方公共団体の協働事業という位置づけを明確化した上で、 この間、箇所数の拡大、平成20年度77カ所、平成21年度92カ所、今度の予算案では100 カ所。ニート等支援のある種のユニバーサルサービスとご説明できるぐらいの規模にようや く立ち至っているのかなと思っております。また支援内容としても、アウトリーチといった より踏み込んだ支援に関しては、この間モデル事業を展開してまいりましたが、高校中退者 などを重点としたアウトリーチ(訪問支援)について、より本格的な取組み、100カ所の半 分の50カ所で展開をする。あるいは文科行政と連携して中卒者、高校中退者などを対象と した学び直し支援と就労支援の総合的な展開といった新たな展開をこのサポートステーシ ョン事業において図っていきたいと考えているところです。  「若者自立塾事業」に関しては、先ほども少し触れましたが、この間特に困難な課題を抱 えたニート等の若者の自立支援ということで、一定の実績を上げてきたと私どもは考えてお ります。昨年の事業仕分けの中でその対象となり、効果の検証等々、不十分ではないのかと いうことで、やり方を含め一旦廃止をして徹底的に見直すという方針が示されたところです。 私どもはこういった事業仕分けの中でのご指摘も十分踏まえ、同時にニート等の若者の自立 支援の重要性、その中で、特に困難な課題を抱えた若者に対する合宿型という場を通じての 丁寧な、懇切な自立支援プログラム展開の必要性、両方の観点を踏まえた上で、次の22頁 にわたるわけです。来年度からいわゆる基金訓練スキームを活用した合宿型での自立支援プ ログラム。これまでの自立塾事業そのものということではなく、訓練プログラムにつきまし ても、NPOなどでのOJTといった要素を補強したり、就職支援に関してはハローワークの 関与を強め、就職に向けた実効性を上げていく。こういった抜本的な見直しを図りながら、 来年度は形を変えてのニート等の若者の自立支援の取組みの推進を図っていきたいと考え ております。  資料の23頁、先ほども少し触れましたが、「子ども・若者育成支援推進法」については 先の通常国会で成立した新法で、新年度、今年の4月に施行される予定です。子ども・若者 の自立をめぐりましては、それぞれの年代ごとの発達課題に応じた一貫したサポートが必要 であるという観点。それから言うまでもなく、子ども・若者の育成に関わる支援の専門機関、 あるいは行政分野と大変多岐にわたっているわけです。そういった横の広がりと、年代に応 じた縦の展開と両方の観点から中央と地域のそれぞれで関係機関が一体となって、切れ目の ない支援を展開していく。そのための基盤を作るというのが、この「子ども・若者育成支援 推進法」の基本的な狙いとするところです。内閣府が主管ですが、当然、私ども厚生労働省 も含めての関係省庁がこの推進に参画をすることになっております。この推進のために、こ ちらにあるような推進本部、推進大綱といった全体共通的な仕組みの構築に合わせて、地域 自治体ごとに子ども・若者支援地域協議会という連携の場を設ける。この中に私どもの関係 で申し上げますと、職業的自立支援就業機関ということで、ハローワーク、職業訓練機関、 サポートステーションなどもこれに参画する機関として位置づけがなされております。  こういった関係機関が、子ども・若者育成ということを共通の課題として掲げた上で、具 体的なケース共有までを含めての支援のネットワークを構成していく。現状では、なかなか こういった幅広い支援のネットワークは存在しないということで、私どもがこの間整備を進 めてきたサポートステーション事業のネットワークなどがその1つの核になるのではない かということで、関係方面から期待されているところです。これまでのサポートステーショ ン事業の取組みと、こういった新たな制度スキームが相まって、ニート等の若者はもとより、 それ以外のフリーター、さまざまな課題を抱えた若者の就業自立支援がより効果的に図られ るような中央、地方での連携体制の整備にさらに努めていきたいと考えております。以上、 大変駆け足でございましたが、第8次方針と、それに基づいての現行施策、あるいは来年度 に向けての主要な事業展開の一部についてご紹介を申し上げました。どうぞよろしくお願い いたします。 ●清家部会長  ありがとうございました。ただいま伊藤室長から資料を交えながら、施策の進捗状況等に ついてご説明をいただいたところです。いまのご説明に対するご質問やご意見も含めて、さ らにもう少し幅広く若年者対策に関するご意見等がございましたら、今日は久しぶりですし、 今回初めての機会ですので、積極的にご発言をいただければと思います。どなたからでもど うぞよろしくお願いいたします。 ●小杉委員  口火を切らせていただきます。大変たくさんの事業が展開されて、当初、この中で無業の 話が初めて取り上げられて、キャリア形成支援という視点が入る。この辺が大きな柱だった と思います。それに沿ってかなりたくさんの事業が展開されたなと今実感を持っております。  そこで質問ですが、これまでこの計画に沿って若者自立塾をはじめとしていろいろな事業 を展開されてきましたが、今回の予算編成の過程では、それが十分に理解されなかったこと もあると思うのです。その辺は今後国民みなさんに納得してもらえるような仕組みにしてい くために、十分でなかったことがあるのかどうかということなのですが、その辺はどんなふ うに考えておられるか。私の感覚としてはPDCAのチェックの際、どういうようなものが 十分みんなに理解されるような形で回っていたのかなというところにちょっと疑問を感じ ているところがあります。その辺はどういうふうに考えられているのか教えていただけたら と思います。 ●伊藤キャリア形成支援室長  私のほうから説明を申し上げます。もし補足があれば、ほかの部局からご説明を申し上げ たいと思います。いま小杉委員からご指摘がありましたように、勤労青少年方針に関わる施 策のいくつかが、典型的には先ほど少し具体的に触れました若者自立塾事業ですが、それ以 外に職業安定局が所管しているいくつかの事業、あるいはこの方針には直接位置づけはなさ れておりませんが、文部科学省が所管しているキャリア教育に係る事業など、関連するとい う意味ではかなり幅広い事業が事業仕分けの対象となり、その結果、事業は相当抜本的な見 直しを求められる結論に至り、そのことが今回の予算にも反映されているところです。  そのことに関して、まず1点は、必ずしもこれまで推進をしてきた各事業そのものの必要 性が否定をされたということではなく、事業のやり方の効率性・効果性の問題とか、あるい は事業主体として国が予算措置をし、国が主体となることがふさわしいのか。あるいは地方 公共団体、民間主体となって取り組むことがより効果的というふうに期待をされるのか、と いうふうな観点での仕分け見直しがなされた部分というのはより多いと。決して、若者自立 塾も含めて、若者の自立支援とかキャリア形成支援という施策そのものの必要性が否定され たわけではないと、まず私どもは認識をしているところです。その上で、そうは言ってもそ のような仕分けの中で指摘、評価がなされたことに関しては、私どもとしていろいろ考えな ければいけない部分はあると思っております。  その1つは、事業成果の評価の仕方の問題です。もともとサポートステーション事業とか、 自立塾事業が対象としているニート等といった若者というのは、非常に匿名性の高い、こう いった事業がなければなかなか把握が困難な方々です。そういう意味では、潜在的な支援対 象者がどのくらいいて、それに対して具体的に私どもが現在、国として事業展開をしている 施策で、このくらいの方を補足したり、そのカバレッジの広さの問題がこの間の議論の中で 俎上の1つに上った。この点に関しては、ニート等の問題をはじめとして、潜在的な支援対 象者がどのくらいいるのか。  例えば、先ほど私から申し上げたニートが63万人。この中にはすべてが職業的自立支援 の支援施策の対象となる方ばかりではなくて、例えば、典型的に言えば、病気で長期入院を していたり、あるいは別の進路が事実上決まっているけれども、統計上はニートとしてカウ ントされていたり、そういった潜在的な支援対象者の分析について、必ずしも十分私どもは 備えができていなかったという点については反省をし、また今後は分析を深めていくべき点 ではないかと思っております。  2点目としては、具体的な事業の支援対象者や、あるいは就労率といった一般的なアウト プット、アウトカムについては当然把握をし、仕分け等々の場面に、あるいは財政当局等に 対しても私どものほうから説明はしているわけですが、例えば時系列の中でのその推移、自 立塾であればこれまで6カ月という定点で把握をしていたわけですが、もっと前の時点とか、 あるいは先にはどうなっているのか。これは物理的な補足の難しさがあるわけですが、そう いった点が十分なされていない。あるいは属性別のアウトカムがどうなっているのか。こう いったところまでの分析に関しては、これまた私どもは反省すべき点として十分でなかった という点があることは認めざるを得ない。  さらにいま小杉委員からご指摘がございましたようにPDCA、そういった評価を具体的 なプログラムや事業の仕組みにどう見直していくかということについてのシステマティッ クな対応というのが不十分であった部分があることは否めないのではないかと思っており ます。  いま申し上げたことは、特にニート対策を念頭に置いて申し上げたことですが、ほかの 仕分けの対象となった関連事業についても、かなりの部分が当てはまるのではないかと思っ ております。したがいまして、今回仕分けや自立塾も含めていろいろな見直しを予定してい るわけですが、そういった見直し後のスキームの中では、いま申し上げたような観点につい て補足の難しさがありますので、世の中から求められていることに対してすべて答えるとい う形での十全な仕組みにいきなり到達ということは難しいかと思います。それこそこの分野 の専門家である小杉委員をはじめ、関係者の皆様方のお知恵もいただきながら、いま申し上 げたような観点での補充を行いつつ事業の実践をし、評価をする。そういう絶えざる循環的 な仕組みを作っていくことが、今後はより強く求められるのだろうと思っているところです。 ●小杉委員  どうもありがとうございました。若干、意見を述べさせていただいてよろしいでしょうか。 非常に的確なまとめだと思います。私も潜在的なものの捉え方とかいうところで、十分理解 が得られなかったかなという気持を持っております。加えていま思っているのは、事業がた くさんあることが問題だったのではないかと思っているのです。数がたくさんあるというこ とと、整理が十分仕切れていないのではないか。例えば、誰がトライアル雇用を利用し、誰 が担当者制支援を受けるのか。そういう仕組みです。例えばイギリスでは非常にわかりやす くて、まず入口で全員を捉えて、その人たちが3カ月間求職活動をして、それでうまくいか なかったときにどうするかというステップを踏んで、その中で対象を分けていくという仕組 みを持っています。  日本の場合、この場合にはいろいろな思いで、いろいろな仕組みができていくと。その仕 組み同士の整理が人にわかるように十分されていたのかどうか。それは厚生労働省だけでは なくて文科省も含めて、場合によっては経産省も含めて同じようなフィールドにみんながそ れぞれの思いで頑張ったという結果だと思うのですが、それを全体としてまとめて整理して 仕組みとして示すことが不十分だったかなと思うのです。そう整理することによって対象の 確定とか、どの部分が欠けていて、どの部分が重複しているかということでもっと効果を説 明できるとか、国と地方の棲み分けとかいう話も、全体の整理がまず必要かなと私自身は思 っております。 ●伊藤キャリア形成支援室長  いま小杉委員がご指摘になったことは全くそのとおりだと思っております。強いて1点付 け加えさせていただくと、制度的な整理というものがもちろん大前提としてあって、よりシ ンプルなわかりやすい仕組みとし、それを国民各層にわかりやすく周知をすることは大変重 要です。  併せてこの間の私どもの事業展開を通じての経験則的に認識をしている課題としては、特 にニート等の若者に関しては外形的な要件、要因だけでは必要な支援というものを明確に仕 分けることができない。専門家による窓口により、いわゆる見立てを通じて初めて支援対象 者にとってのジャストフィットの支援を見出し、結び付けていくことができる点が非常に大 きなポイントの1つではないかと思っております。  そういった意味では、もちろん求職者に対しては、いま申し上げたような観点の機能を持 ち得る窓口としてハローワーク、ジョブ・カフェがある。ニート等を対象としたいま申し上 げたような観点での見立て機能も含めたゲイトウエイ機能を担えるものとしては、現状では 地域若者サポートステーションではないかと思います。そこはかなり熟度が高まってきてい る。そういう意味では、制度的な整理ですので、さらに運用に当たってはおそらくハローワ ークサポートステーションなどを通じた課題の見立てと、そこから的確に専門機関につなげ ていくネットワークの仕組みの二段階で、これは大変難しい課題ですが、段階的に小杉委員 がおっしゃったような方向での仕組みと運用の整理がなされるように、今後この部会でも関 連するさまざまな問題提起もいただきながら整備を進めていきたいと考えております。 ●小杉委員  ありがとうございました。 ●清家部会長  ほかにご意見はいかがでしょうか。 ●遠藤委員  先ほど来、ご説明の中で何度も出てきている若者自立塾事業についてお尋ねします。なか なか就職が困難である若者を対象としているということは、多くの方がご認識されているか と思います。その中で61.2%の就労率ということですが、グループ分けしていくと、就労 する場合に何か傾向的なもので、例えば、雇用形態が有期なのか無期なのかも含めて、どの ようになっているのでしょうか。また就職をされた方と、されない方を見たときに、そこで 差異みたいなものが統計上で何かあるようでしたら教えていただければありがたいです。 ●伊藤キャリア形成支援室長  若者自立塾事業の就労の実績については、累計としては61%です。一部の資料が62%と なっていますが、最新の数字では61%です。経年で見た場合には、雇用情勢悪化の影響も あり、最近は少し下がってきている。直近で言うと50%台という状況です。  傾向等の分析として、まず就労の形態としては大きくは正社員、正社員以外のパート・ア ルバイト等の就労に分かれてくるわけです。6カ月時点での就労の形態としては、正社員以 外での就労というものが多数です。手元に正確な数字はありませんが、大雑把に申し上げま すと7割程度は非正規で正社員以外の就労です。正社員での就労は3割を若干切る程度の水 準に止どまっています。  全体として見た場合、就労に至っている人とそうでない人ではどういう違いがあるのか。 先ほど私のほうで課題の見立てが大変重要であり、かつ困難であるということを申し上げま したが、自立塾の運営者の方々からいろいろ個別の話を伺いますと、就労に結び付かなかっ た方についてはどうなっているのか。引き続き、求職活動を行っている方はもちろんいるの ですが、医療機関に戻っている方も相当数いらっしゃる。そういう意味では自立塾事業、ニ ート等の支援スキームの中で、特に困難な課題を抱えている方、通所型の支援で十分就労に 結び付くことが期待される方について、わざわざ原則3カ月といった非常に濃密な支援スキ ームには誘導していないわけで、特に難しい方を自立塾のターゲットにしているわけです。 そういう難しい方をターゲットにする中で、職業的自立支援のノウハウだけでは、実はなか なか就職に結び付けることはできない、ただ、同時に最初の見立ての時点で仕分けがきちん とできなかったような方が実はかなり多数に上るのではないか、というようなことを個別の ヒアリングの中では私どもは把握しているところです。  ただ、先ほど小杉委員のお尋ねに対してお答え申し上げたように、そういった観点につい ての定量的な分析がきちんとできているのかというと、必ずしもそうではないという側面が あることも事実です。したがって、当面これまで自立塾事業で担ってきたような機能を、基 金訓練スキームを活用した別のスキームでということを申し上げたわけです。自立塾事業の 成果検証を含めるとともに、次のスキームが今後立ち上がった場合、そういったスキームの 中でどういう人が就労に結び付いて、どういう人が難しいのか。それを例えば支援対象者の 仕分けに反映すべきなのかどうかという観点も、今後の事業運営には大変重要な点と心得て おりますので、ただいまの指摘も踏まえて、今後の合宿型自立支援の対象者の選定の考え方 とか、あるいは業務統計の捕捉、分析の仕方辺りはさらに工夫をしてみたいと考えておりま す。 ●遠藤委員  どうもご説明ありがとうございました。併せて、仮に就職された場合、就職後の関わり方 としては何かあるのでしょうか。継続的にサポート体制みたいなものが敷かれているのかど うか教えてください。 ●伊藤キャリア形成支援室長  就職のフォローに関しては、自立塾事業の中にはもともとフォローアップというものを事 業の機能として明確に位置づけをしております。就職に至った方、至らない方を含めまして、 継続的なフォローが行われております。具体的に申し上げますと、1つには自立塾のスタッ フから卒塾した方とここでは言っているわけですが、卒塾者に対して電話等により定期的に 連絡をする。保護者の方との相談会、卒塾した保護者の方を含めての相談会等を定期的に行 う。現在、自立塾で支援を受けている方と卒塾者の交流の場を設ける。こういった多面的な フォローを行っております。  これは塾のスタッフからいろいろ聞き取りを行いますと、就職をした方でもやはりもとも と非常に傷つきやすい、繊細な方が多いので、職場の中で悩みを抱えるたびに自立塾のスタ ッフに連絡をして相談をするといった場面が多々あると伺っております。そういった意味で は、自立塾が狭い意味での訓練だけではなくて、フォローアップの効果も果たしている。た だし、残念ながら半年、1年という時間の経過の中では、個別に連絡がなかなか取れなくな るようなことがあることも事実です。こういった世相ですので、主たる連絡手段は携帯電話 になってくるわけですが、携帯電話の番号が変わってしまうとなかなか遠方の方ですと連絡 が取れない。そういったこともありまして、6カ月以降の就労率などについては、私どもも できるだけ把握するように試みてはいるのですが、正確な実績の把握はなかなか難しい点も あります。  新しいスキームの中でも、長いスパンのフォローアップというのは大変この事業の支援対 象者の属性に鑑みた場合には重要だと思っておりますが、運営上の難しさがあってどういう 工夫をすればできるだけ高い補捉率でのフォローアップができるのか、ということも今後の 重要な課題であると思っております。 ●清家部会長  ほかにご意見はありますか。花井委員、どうぞ。 ●花井委員  いくつか質問をしたいと思います。参考資料の22頁の「第1章総則」の目的のところで、 勤労青少年の福祉に関する原理を明らかにするとともに」の「原理」がどういう意味なのか 教えていただければと思います。  2つ目ですが、ここで言う「勤労青少年」は、35歳までのようですが、雇用労働者だけ ではない勤労ですから、働いている青少年すべてを対象にした福祉の向上という捉え方なの か、そこのイメージがつかみ切れません。  それから、今日資料で出てきていない、勤労青少年ホームがどのぐらいの数が利用されて、 具体的にどういうことをやっているのか、それがもしあれば教えていただきたいと思います。  それから、8月、夏ぐらいから計画の見直しをすると説明があったのですが、この基本方 針のサブテーマみたいなものを考えていただけないかと思っております。5年に一度という ことで、その時々の特徴が表われるようなテーマを掲げていたほうが、経年的にいいのでは ないかと。これは要望ですので、是非ご検討いただきたいと思います。  それから、次回、見直しの議論が検討されるときに出てくると思うのですが、今日出され た資料に、施策進捗状況と対比表があります。進捗状況ではないですが、青少年の職業生活 を取り巻く状況などがこの5年間で随分変わってきていると思いますので、次回で結構です ので、是非ともその辺のところの詳細な分析をお願いしたいと思います。以上です。 ●伊藤キャリア形成支援室長  まず、この勤労青少年福祉法の第1条の目的、規程等に関わっての何点かのお尋ねをいた だいたところでございます。この第1条に規定をしている、勤労青少年の福祉に関する原理 ですが、必ずしも今日的な規定ぶりではないなと思うのですが、もともとの立法時の意図と しましては、勤労青少年福祉についての意義、方向、技術的な方向性、事業施策のあり方と いうように言い換えてもいいと思うのですが、そういったものを包括的に指したものと、勤 労青少年福祉に関する原理は、一般的に解されるものです。  よりわかりやすく申し上げますならば、先ほど少し触れさせていただきました、現行方針 の「はじめに」でご整理いただいている、勤労青少年福祉施策展開のターゲットや需要的な 意味がさしずめ、この勤労青少年福祉法第1条で規定をしている勤労青少年福祉に関する原 理に、かなりの程度オーバーラップするものではないかと考えているところです。  また、勤労青少年の対象年齢の問題も含めての捉え方についてもお話がありました。こう いった特定のターゲットに関わっての福祉施策の推進を定めた法律については、年齢等の上 限、下限を定めているようなところもあるわけですが、勤労青少年福祉法にありましては、 年齢等も含めての具体的な定義を置いていないというところに、1つの特徴があると。立法 当時の考え方といたしましては、勤労青少年は一人ひとりの状況、発達の様相が異なり、対 象者を機械的に定めるということについては、実益がないとか、あるいは職業選択、訓練、 余暇活用であったり、フェーズによって、異なった弾力的な取り扱いをしたほうが、施策の 実効が上がるといった考え方が、どうもあったようです。  その上で、時代の変遷の中での勤労青少年福祉対策の対象年齢の大まかな考え方について は、この間、5年に一度この方針をご審議いただき、第8次の方針をご審議いただくに当た りましては、それまでであれば、20代で多くの青少年がクリアしていく発達課題が、社会 環境の変化の中で、30代までキャリーオーバーされていると。こういった現状にあるとい うことを、この部会の中でご審議をいただいた上で、この勤労青少年福祉対策の対象を、そ れまで概ね30歳未満としていたものを、概ね35歳未満とすることが妥当とご判断をいた だいたと我々は理解をしております。  その後、具体的な施策展開については、例えば先ほどご紹介申し上げました、トライアル 雇用もそうですし、私どもが直接所管しておりますサポートステーション事業、自立塾など も、さらに発達課題のキャリーオーバー、あるいは現象としての30代後半の無業者の増加 を捉えて、個別の施策事業について、それまで35歳未満を対象としていたものを、既に40 歳未満とさらに対象年限を広げているものが、かなりございます。ただ、それぞれの施策の 必要性は、それはそれとして、10代後半から39歳まで、同じ勤労青少年という捉え方で、 施策体系を構築することが妥当性があるかというと、別の観点の議論も当然あろうかと思っ ております。この点につきましても、是非、今後の第9次策定に向けたご審議の中で、当然 私どものほうから、先ほどご意見、ご要望がありました勤労青少年をはじめ、若者の職業雇 用、労働をめぐる諸環境変化を示す定量的なデータについては、できるだけのものを分析を し、ご審議いただく材料としてご提供申し上げたいと考えています。そういったものも見極 めていただきながら、是非、その点についてもご審議をいただけるとありがたいなと思いま す。  さらに、方針についてのサブテーマ等の必要性というお話がありました。勤労青少年対策 基本方針の狙いとするところについて、端的に多くの関係者にご理解をいただき、ご賛同い ただく上で、わかりやすい打ち出しメッセージが大変重要であろうということは、全くその とおりであろうと思っております。当然、どのようなサブテーマということについては、先 ほど申し上げた理念、原理、基本的な考え方についてのご審議をいただいた上で具体的には 考える事項ということになってくると思います。そういったご審議を通じて狙いとするとこ ろが具体的には明らかになった段階で、それを具体的な方針そのものの中でサブテーマとい う形になるかどうかは、現時点では明確に申し上げられない部分もありますが、端的なメッ セージとして発想する工夫は、私ども事務局としても十分させていただきたいと思っており ます。  勤労青少年ホームに関しましては、まず、設置箇所数で言いますと、平成21年度が全国 で、409箇所という状況です。遡りますと、勤労青少年ホームが一番最初にできたのが昭和 30年代で、それ以降、勤労青少年の数の増大や活動の広がり、定着等の支援のそれぞれの 自治体が、必要性を認識をする中で、当時は国庫補助という財政的な手当も含めて設置拡大 が図られまして、先ほども少し触れましたように、全盛期、具体的には平成2年から平成4 年辺りですが、537箇所という時期がありました。それ以降、環境変化の中で、勤労青少年 ホームの数については、残念ながら漸減をしてきている状況です。  具体的な利用の実績ですが、勤労青少年ホームで継続的に活動する方については、若者が 登録をするという仕組みがあります。直近の実績で申し上げますと、全国の400余りの勤 労青少年ホームに登録をしている勤労青少年の数が、大体8万7,000人ほどです。この傾向 としてどうなっているかということですが、いま手元にある少し古めのデータとしては、8 次方針が策定する直前の平成12年度の数字が手元にあるのですが、同じ登録者数が13万 人ということで、ここ7、8年ぐらいで、半減とまでは言いませんがなり大きく減ってきて いる。また、同じ期間で利用の延べ数を捉えた場合には、平成12年度で430万人ほどの延 べ利用があったのですが、直近のデータでみますと、290万人ということで、こちらのほう もかなり大幅に減少してきている状況です。具体的な活動内容等につきましては、次の部会 で少し詳しいデータを提供したいと思いますが、現状としては余暇ボランティア活動などが 対象です。先ほど申し上げましたように、サポートステーション事業などとの関わりの中で、 職業選択に係る支援も、勤労青少年ホームの活動の中核につけているようなものもあります。 非常に大ざっぱですが、勤労青少年ホームの活動の概要としては、いま申し上げたところで す。 ●花井委員  年齢のことは、35歳がいいか40歳にしたほうがいいかということを言っているのではな くて、いまのホームの設置年数が昭和30年と説明がありました。たぶんこのときは集団就 職で、地方から若い人が出てきて、その人たちが都会で孤立しないようにとか、いろいろあ ったと思うのです。あるいは、働く婦人の家婦人福祉の家もあったと思います。そのときに 貧しくて都会に知っている人がいないといったことを想定した施策のあり方と、いま非常に 就職が厳しい若者たちの、あるいは長時間に追い込まれている若者とか、余暇の捉え方も相 当大きな変化があると思うのです。どうもここで対象にしている勤労青少年は、例えば就職 できなくて困っている人なのか、ワーキングプアになっている人なのか、あるいはフリータ ーももちろん大きな問題なのですが、対象としている青少年のイメージが漠然としていると いう印象です。非常に歴史が長いだけに、このホームの役割、この方針が、すっきりしない なという印象です。 ●清家部会長  勤労青少年の構成が随分変わってきているのではないかということですか。 ●花井委員  抱えている問題も違ってきているのではないか、求めている余暇、余暇のあり方も書いて あるのですが、そういうのも違ってきているのではないかなと思います。そういう意味で、 この青少年のイメージがよくつかめないということです。例えば若者と言ってしまってはい けないのか、勤労青少年という言葉を。法律がそうなっているからと思うのですが、そうい うことを言いたかったということです。 ●伊藤キャリア形成支援室長  この勤労青少年ホーム活動が大変活発だった、あるいは勤労青少年福祉法が制定をされた 当時に、主として念頭に置いていた勤労青少年像として、いま花井委員からご指摘がありま したように、集団就職で、親元を離れて都市部で就職をし、逆に言えば周囲の人間環境から 孤立しがちであると。あるいは自信を失いがち、不安を抱えがちな環境にある勤労青少年と、 同世代の方との交流の場を提供することによって、少し古めいた言葉にはなるのかもしれま せんが、優為な職業人として活躍をしてもらう、そういう素地を提供しようということが、 当時の中心的な考え方であり、ターゲットの設定であったと考えています。その後の社会経 済環境の様変り。次回以降、例えば集団就職という言い方は適当ではないかもしれませんが、 親元を離れての若者の就労の実績、広域移動の実績などについても、少しデータを分析して みたいと思いますが、極めて勤労青少年、若者の像が多様化し、求められる社会的な支援、 機能のあり方も多様化してきている。  前回の第8次の基本方針の中でも、そういった点も大きなターゲットになり、多様な各タ ーゲットについて、ここは勤労青少年福祉法、あるいは勤労青少年福祉対策のターゲットは 対象ではないということではなく、非常に多様な課題を抱える勤労青少年、あるいは若者の 各層の存在を認めながら、共通的な課題としては、キャリア形成の支援という観点では、多 くの若者が何らかの課題、問題を抱えているのだと思います。その中で、とりわけ具体的に 足下の問題を抱えている層としては、不安定就労の状態にある若者であったり、ニート等も あったりということで、前回の方針はその辺りかなりアクセントを置いた取りまとめをいた だき、それを踏まえた形で、今日ご説明を申し上げている、事業展開をしているというのが、 大まかな構造ではないのかと思っております。  ただ、改めて、今回、次の方針をご審議いただくに当たりましては、多様な勤労青少年、 あるいは若者の層をもう1回整理をし直した上で、勤労青少年福祉法体系の下でのターゲッ トをより絞り込んでいく、明確化していくというような考え方ももちろんあろうかと思いま すし、そういう考え方ではなくて、多様性を認めた上で、こういう層にはこういう支援、別 の層には別の支援、というような整理の仕方もあろうかと思っております。せっかく花井委 員からご指摘もいただきましたので、すべて定量的に分析することは難しいかもしれません が、現行での若者像について、キャリア等々での観点での支援のニーズという観点で、どう いう切り分け分類ができるのかというようなことについても、今日いただいたご指摘も踏ま え、事務局のほうで整理を試み、それも材料にした上で、ご審議いただければありがたいな と思っております。 ●清家部会長  いま花井委員が提起された問題は、今後の議論を進める上でも非常に重要なポイントだと 思いますので、そもそも勤労青少年と言いながら、ニートの問題なども扱っているわけです から、ニートの人たちは勤労青少年なのかという話になると、またいいろあると思います。 そういう人も含めて勤労青少年の問題として幅広く扱っていこうということだろうと思い ます。  それから、委員が言われたように、おそらく当初は集団就職等でとにかく忙しく働いてい る方々が、勤労青少年の日というのがそれこそ昔の藪入りの頃に設定されているわけでしょ う。少しでもレクリエーション活動等ができるようにしようと。この中にも書いてあります が、若者のレクリエーション活動などを非常に重視した施策だったわけですが、前回かなり 勤労青少年の問題の捉え方として、レクリエーションの問題もさることながら、むしろキャ リア支援形成のほうがより重要なのではないかという問題意識を、ニート、フリーターなど の増加を受けて出されたのだろうと思うのです。そういう意味で、少し幅広く議論をして、 その中でターゲットを絞るかどうかは別として、花井委員が言われたように、取り巻く状況 が変化をしている中で、どこにポイントがあるかということを、次回以降、少し議論してい ただいて、新しい方針に反映させるということだと理解していますが、そのような理解でよ ろしいですか。ほかに何かございますか。 ●武山委員  私もこういう政策部門から離れていたもので、ましてやはじめて基本方針を説明していた だきまして、ちょっとピントが外れているかもしれませんが、お許しください。2頁目の「職 業生活の充実」のところで、進捗状況がいろいろと書いてありまして、ここを見ますと、ハ ローワークに来た方々を対象に、キャリア形成、若者の自立支援事業などを対象にしている と思うのですが、在学中ならともかくとしまして、一旦卒業して、大学の第二新卒の方々の 就職活動は、たぶんほとんどハローワークには行かないですよね。いま、インターネットで 就職活動をする人がいる。私どもはインターネットを通じて職員を募集するというように、 だいぶ時代が変わってきているのではないかなと思います。そこで、例えばインターネット で検索をするような方々を対象にした、いまやっている事業のPRはどのようなことをやら れているのか。予算を見ますと、そういうのがあまり出てきておりませんので、おわかりに なる程度で結構ですので、ご説明していただければと思います。 ●田中職業安定局若年者雇用対策室長補佐  PRの方法というのはいろいろあると思うのですが、まずは、学校在学中に支援策を知っ ていただくということが重要ですので、ここで紹介しておりますキャリア探索プログラムや 就職ガイダンスなどの場で、卒業後にはこういう支援がありますよということを、まず提供 しております。その後、通常であれば就職するわけですが、就職できなかった方が出てくる 恐れがある。高校生については、ハローワークが学校と連携して就職支援に携わっておりま すので、未就職卒業者を捉えることができ、個別に必要な支援情報を提供できるのですが、 大学生の場合、ご指摘がありましたように、インターネットを中心に、ご自身で活動される 場合がほとんどですので、公的機関がどのように支援をしていくかというところが重要で、 現在、ハローワークのほうから大学に出かけて行って、未内定者の方を把握して、その後、 公的支援につなげるという取組みを強化しているところなのですが、なかなか全員を捉える ことが難しいですので、いまご指摘がありましたように、インターネットで検索できるよう に、厚生労働省ホームページに新卒者向けのページを新たに作りまして、例えば卒業後に就 職できなかった方はこういう支援がありますよということで、周知に努めております。 ●武山委員  インターネットで全部やっていますから、こういうような事業を、大々的にPRしていた だければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。 ●清家部会長  ほかに何かございますか。 ●永田委員  1点教えていただければと思うのですが、先ほど最後にご説明があった、子ども・若者育 成支援推進法が今年の4月に施行ということなのですが、この法律と勤労青少年福祉法の関 係について教えていただきたいと思います。今後、勤労青少年福祉法に基づいて、第9次の 基本計画を策定するときに、この育成支援推進法をどの程度踏まえるのか、あるいはどうい った形で反映させていくのか。そういったところの今後の方向性について少し教えていただ ければと思います。 ●伊藤キャリア形成支援室長  子ども・若者育成支援推進法の対象者ですが、子ども・若者という法律名にも表われてい ますように、0歳から、法律上、子ども・若者の年齢の定義は設けていないのですが、30 代までと、非常に幅広い、生まれてから一般的に一人前として活動するまでの年代の方々を 広く対象としています。  対象者という観点で言いますと、この勤労青少年福祉法に関しまして、先ほど年齢の上限 の話はいたしましたが、基本的には社会に入る、あるいは社会に入る直前の段階からという ことで、対象の年齢層としては、子ども・若者育成支援推進法がより広いということがまず 1つ言えるかと思います。この子ども・若者育成支援推進法の目的ですが、背景、趣旨のと ころにも書かれていますように、1つは子ども・若者のいわゆる健全な育成を図るための社 会環境の整備。この法案の国会での審議の中でも具体的な話としては、有害情報の取扱いを どうするのか、非行の問題など、そういった観点での問題意識はかなり強い。  それに対しまして、勤労青少年福祉法の中では、非行などの問題について主に取り扱うと いうことではなくて、働くあるいは働くことを目指す若者をターゲットとして、そういった 方々の職場社会の中で、より働きやすい、意欲を持って働けるような環境の整備を目指して いくということで、目指すべき環境の着眼点についても違いがあります。  それから、子ども・若者支援地域協議会について触れさせていただきましたが、こういっ たスキームの中で、具体的に支援の対象としていく若者というのは、ここに書かれています ように、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者ということで、典型的には ニート、引きこもりといった若者を念頭においています。ここに掲げていますように、複数 の専門支援機関が総合的なアプローチをすることで、初めて自立に結びつくようなこと。で すから全体として個々の支援対象者についても、子ども・若者育成支援推進法のほうが、よ り自立の難しい若者に、相当焦点を絞った法制度であると言えるかと思います。  先ほど部会長からも、少しご整理賜りましたように、もともとの勤労青少年ということだ けではなくて、前回の方針の中で、そこになかなか立ち入れないニート、フリーターといっ た若者を第8次の方針の中で位置づけをしている。その部分では、この場でのご審議いただ く内容と、子ども・若者育成支援推進法は重なりがある部分があることは間違いないわけで ございまして、例えば子ども・若者育成支援推進法に基づいて、内閣府等で若者の自立をサ ポートする人材の養成のための研修といった取組も予定されています。そういった人材養成 の仕組みを勤労青少年のサポートにどのように活用していくのか。あるいは法に基づく子ど も・若者支援地域協議会の中で、勤労青少年のサポートもテーマの1つに位置づけていただ き、勤労青少年福祉対策の推進上、求められる関係機関のネットワーク機能の一部を、協議 会を活用したり展開をするということが考えられるのかなと。いま申し上げたことも含めま して、今後の勤労青少年福祉推進の中での新たなスキームの活用のあり方、仮説選択肢を、 事務局のほうでアイデアを暖めた上で、今後の審議の中で、またいろいろなご意見をいただ ければありがたいと思います。 ●清家部会長  ほかにご意見はございますか。 ●三浦委員  教えていただきたいのですが、インターンシップでの職業や企業への理解向上について、 特に大学生については成果があったという実績が示されています。インターンシップそのも のの目的ではないので、難しいかもしれませんが、インターンシップを受け入れた企業に就 職をした実績の数値などは捉えられているのですか。 ●田中職業安定局若年者雇用対策室長補佐  インターシップを受け入れていただく際には、事業主に対して、採用活動の一環にしない ようにということでお願いしております。そのため、そのような把握は行っておりません。 大学生は大企業志向が強いのですが、インターンシップを受け入れていただけるのは中小企 業が多く、中小企業の良さがわかるという意味で、非常に効果的だということで、その中で 職業を選択する際に、中小企業にも視野を広げるというような効果があるというようには、 聞いております。 ●清家部会長  ほかによろしいですか。それでは、大体予定とした時間となりましたので、本日の議事は これで終了とさせていただきます。最後に事務局から何かありますか。 ●山下キャリア形成支援室長補佐  本日は貴重なご意見を賜りましてありがとうございました。本日の議論も踏まえながら、 新しい基本方針の策定に向けた課題の整理をさせていただきたいと思っております。  次回の日程ですが、先にお話があったかと思いますが、夏以降の開催ということになりま すので、事務局から改めてご連絡申し上げたいと思っております。以上です。 ●清家部会長  ありがとうございました。本日の部会はこれで終了といたしますが、本日の議事録の署名 委員についてですが、公労使、それぞれの委員から各1名ということですので、私から指名 させていただきます。公益委員は私が署名委員をいたしますが、労働側の委員としては花井 委員にお願いしたいと思います。使用者側の委員としては山野委員に恐縮ですが署名委員を お願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは本日の部会はこれで終 了でございます。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省 職業能力開発局 キャリア形成支援室 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線5372)