10/02/04 第56回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録        第56回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 日時 平成22年2月4日(木) 10:00〜 場所 厚生労働省14階第1会議室 ○清家部会長 少し定刻よりも早うございますが、委員の皆様がおそろいですので、ただい まから「第56回雇用保険部会」を開催します。最初に委員の交代がありましたので、紹介 します。労働者代表委員の長谷川委員が辞任され、後任に日本労働組合総連合会総合労働局 長の新谷委員がご就任ですので、よろしくお願いします。一言お願いします。 ○新谷委員 新谷でございます。前任の長谷川同様、よろしくお願いいたします。 ○清家部会長 本日の出欠状況ですが、岩村委員がご欠席です。また、小林委員の代理とし て、全国中小企業団体中央会・菱沼労働政策部副参事がご出席です。なお、本日は資料の関 連で、職業能力開発局総務課の高橋企画官、職業能力開発局能力開発課の小野寺補佐にご出 席をいただいています。よろしくお願いします。  議事に移ります。本日の議題は、「求職者支援制度について」です。求職者支援制度につ いては、昨年9月から当部会において緊急人材育成支援事業についてのご報告をいただいて いました。昨年12月に取りまとめた雇用保険部会においても、当部会において早急に具体 的な検討を進めていくべき旨盛り込んでいるところですので、本格的な議論を進めてまいり たいと考えています。  そこで、資料1「緊急人材育成支援事業関係資料」について事務局からご説明をいただい た後に、資料2「求職者支援制度の創設に係る論点(素案)」について、ご議論をいただき たいと思います。まず事務局から、資料1についてご説明願います。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 資料について説明をします。お手元の資料の確認からお願いし ます。資料1が「PART1:制度の概要」、「PART2:基金訓練関係」、「PART3:訓練・生活 支援給付関係」、「PART4:公共職業訓練関係」、資料2「求職者支援制度の創設に係る論点 (素案)」となっています。  資料1から説明をします。資料1「PART1:制度の概要」の1枚目をご覧ください。これ までも緊急人材育成支援事業についての状況ということで説明しており、重複する所はある かもしれませんが、もう一度制度の全体像、実施状況については直近の数字があるので、そ ういったものを紹介しながら説明をします。  緊急人材育成・就職支援基金についてです。これは平成21年度の補正予算の中で実施が 始まったものです。下の表に3つ制度がありますが、その中の「緊急人材育成支援事業」、 ここを中心に説明をしてきたところです。これらの事業については、上の○にありますが、 雇用保険を受給できない方、非正規離職者や長期失業者の方、これらの方々に対する新たな セーフティネットとして基金を造成し、ハローワークが中心となって、職業訓練、再就職、 生活への支援を総合的に実施するものでした。  その中で1「緊急人材育成支援事業」については、職業訓練と訓練期間中の生活を保障す るという制度で、訓練中、単身者については月10万円、扶養家族を有する方については月 12万円の給付を行うものです。  事業については、昨年7年15日からハローワークで相談・受付を開始し、実際に7月29 日から職業訓練を順次開始しています。  実績ですが、緊急人材育成支援事業を使った訓練については、認定済みの定員が69,436 人。これについては、今後、実施される訓練も含んでいるものです。  訓練の受講申込者数が52,746人、受講者数が19,848人となっています。  給付を受ける方、これは訓練を受けた方すべてが給付を受けるということではありません が、給付を受ける方の数ということで、給付を受ける受給資格の認定件数が20,312件とな っています。  これらの基金については、もともと補正予算でやっているものですので、当然、期限が限 られているということがありましたが、右にあるように、緊急人材育成支援事業については、 平成23年度以降、新たな制度として恒久化していくということですので、今後、その恒久 化についての議論をしていただきたいというところです。  2頁です。いま申し上げた緊急人材育成支援事業の概要ということで、様々な主体が関与 しながらこの事業を行っているわけですが、その全体像を示しているものです。これについ ては、厚生労働省から、左上、中央職業能力開発協会に基金を造成し、訓練認定基準の作成 や事業運営に係る調整、訓練の実施計画の認定、訓練・生活支援給付、各種奨励金の支給決 定等を担わせているところです。  実際に訓練を行っている主体は左下、訓練実施機関ということですが、各種専修学校、教 育訓練企業、職業訓練法人、社会福祉法人、一般の事業主等が実際に訓練を実施するという ことでして、中央職業能力開発協会はこれらの訓練機関が行う訓練の実施計画の認定をして、 また実際に訓練を設置してもらうということで、その設置を奨励するための奨励金の支給を 行っているところです。  また、訓練を設置していただくためにコーディネートをする業務があり、一部委託という ことで委託先団体が真ん中にありますが、委託先団体に訓練のコーディネートをやっていた だくということで、具体的には訓練実施機関の開拓、訓練実施計画の作成支援や申請書等の チェック、キャリア・コンサルティングを委託して実施しているところです。  訓練実施機関がどういうことを行っているかというと、訓練コースとしては、[1]にあるよ うに、左下の訓練コース[1]「再就職に必須のITスキル習得のための訓練(3カ月程度)」、 [2]「新規成長・雇用吸収分野における基礎的能力習得のための訓練(6〜12カ月程度)」と いうものを設定していただいています。  また、これらの訓練実施機関へ訓練の設置を奨励するという奨励金については、訓練コー ス新設に係る初期費用の助成としては100万〜300万円、訓練実施に係る助成としては受講 生1人当たり月額6万〜10万円という仕組みになっています。  右下ですが、求職者については、ハローワークで求職者に対して受講勧奨をしていく。そ の上で求職者が左下の訓練実施機関に受講を申し込む、という流れになります。訓練・生活 支援給付については、左上の中央職業能力開発協会から求職者に訓練・生活支援給付が支払 われる、というスキームになっています。  「PART2:基金訓練関係」の1枚目をお開きください。こちらは基金訓練の内容につい て紹介をします。1つ目です。基金訓練の種類ということで、大きく2つに分かれており、 職業横断的スキルを習得する訓練コース、2つ目としては新規成長・雇用吸収分野等訓練コ ースというふうに分かれています。  1「職業横断的スキル習得訓練コース」については大体3カ月で、文書作成、表計算・図 表作成、プレゼンテーション制作等の職業横断的な情報技術などが不十分な者を対象とした 訓練を実施しています。  2「新規成長・雇用吸収分野等訓練コース」については、医療、介護・福祉、IT、電気設 備、農林水産業等、新規成長分野または雇用吸収の見込まれる分野、その他地域の人材ニー ズがある分野で求められる基本能力習得のために、以下の構成により実施する訓練となって おり、この中に[1][2]があります。  [1]基礎演習コースは6カ月を標準としており、若年者等に配慮して就職に必要な基礎力の 養成、主要な業界、業種に係る短期間の体験等の提供等を内容として、実践的演習に向けた レディネス(職業準備性)の付与、具体的な職業選択に向けた動機付けを支援するというコ ースです。[2]は実践演習コース、3〜6カ月を標準としていますが、こちらは新規成長分野、 雇用吸収分野等における職種について、座学形式、座学と企業実習を組み合わせたいわゆる デュアル形式、事業所における実習形式等により、より実践的な能力の習得を支援するもの です。  4頁、いま紹介したコースがありますが、これのイメージです。左の基礎演習コースと職 業横断的スキル向上のためのコースは、いわば基礎的な能力の習得のための訓練となってい ます。それを踏まえて真ん中の実践演習コースでは、各業界、職種で求められる知識・技能 の習得をしていただくことになっています。  この実践演習コースについては具体的に分野がさらに分かれており、右のほうですが、分 野としては情報通信、情報処理、コンテンツ等、介護・福祉、医療、農業、環境、地域ニー ズとなっています。  もう少し具体的にいうと、介護・福祉においては介護職員基礎研修やホームヘルパーの2 級、医療については医師事務作業補助者、環境についてはリサイクルや第二種電気工事士等 のコースを想定しています。  5頁、同じくイメージですが、基金訓練についてはいくつかコースがありますが、これを 複数回受講することも想定しているというもので、いくつかパターンを例示しているもので す。例えば[1]としては、横断的スキル習得コースをまず3カ月程度行う、そのあと真ん中で すが実践演習コースに移っていただくという場合、その上でさらに公共職業訓練を受ける場 合もあるということです。その他の分野についてもいくつか組合わせを示していますが、基 本的には基礎的なものからより高度な実践的なものに移っていくことを想定しているもの です。  6頁、こちらは実績ですが、基金訓練計画のコース数、定員数を示したものです。昨年7 月から開始していますが、7月のコース数は88、定員2,128となっていましたが、右に行 くに従って基本的にコース数、定員数とも毎月増加をしています。12月で言うと、コース 数923コース、定員数が18,606となっています。また、1月は26日現在ですが、614コ ース、定員数13,107となっていて、合計では3,302コース、定員69,436となっています。  7頁、先ほどの実践演習コースは分野があるということで紹介しましたが、こちらはその 分野の内訳も示しているものです。上のほうですが、職業横断スキルについては、IT基礎 がコース数1,734コース、定員33,527、営業・販売・事務がコース数252、定員数5,931、 基礎演習コースがコース数254、定員数5,608、実践演習コース、これはあとで内訳があり ますが、コース数1,062、定員数24,370となっています。実践演習コースのうち下に分野 を示していますが、多いものとしては、左から4番目の介護福祉がコース数246、定員6,229、 いちばん左、ITがコース数221、定員4,916、2つ右ですが医療事務が192コース、4,555 となっています。  8頁、こちらは各コースごとについて、都道府県ごとのコース設定を示しているものです。 細かい説明は省略しますが、ざっと見ていただくと、例えば職業横断スキルの09、栃木県 で言うと、営業・販売・事務コースが0、19の山梨県でも基礎演習コースが0、一部0であ るとかコース設定の少ない分野があります。そういう意味で、増やすという方向で努力して いますが、一部地域偏在があるのが見て取れると思っています。  9頁、今度は基金訓練の応募状況です。コース数、定員数、いちばん右のほうとしては応 募倍率、定員充足率を示しているものです。月ごとに示していますが、基本的には応募倍率、 定員充足率も月を経るに従ってそれなりのものになっていて、合計で見ていただくと、いち ばん下ですが、職業横断的ITスキルが応募倍率1.0倍、充足率75.9%、基礎演習の応募倍 率が0.84倍、定員充足率67.4%、実践演習がトータルで応募倍率1.26倍、定員充足率81.7%、 実践演習の内数ですが、介護系の応募倍率が最も高く1.59倍、充足率90.5%、医療事務系 が1.26倍、充足率85.1%、情報系が1.25倍、充足率85%となっています。  トータルで申し上げますと、いちばん下ですが、応募倍率1.08倍、定員充足率77.3%と なっています。  資料10頁になります。訓練はどのような実施主体がやっているかですが、実施主体別認 定件数および定員数を示しています。実施機関としては、株式会社等、事業主団体、公益法 人、専修学校等ありますが、いちばん多いものとしてはいちばん上の株式会社等ということ で、2,221コース、定員44,450となっています。これは民間教育訓練機関が基本的に株式 会社に該当します。多いものとしては専修学校等ということで、コース数565、定員数13,708 となっています。  11頁になります。こちらは新規の訓練を立ち上げたときの奨励金の実績を示しているも のです。この奨励金については、定員数、訓練期間に応じて決まっております。例えばいち ばん左上ですが、1〜9人について3カ月以上6カ月未満の訓練を設定した場合は1人当た り5万円、右の10〜14人の場合は50万円、15〜19人の場合は75万円、20人以上の場合 は100万円となっており、20人以上の場合で6カ月以上9カ月未満の場合については200 万円という奨励金になっています。  いちばん多いものとしては、20人以上で3カ月以上6カ月未満、奨励金100万円のもの が427件で、件数としては多くなっています。次に多いのは、10〜14人の定員の3カ月以 上6カ月未満です。こちらが奨励金50万円ですが、こちらは136件となっています。その 次に多いのが20人以上の定員で6カ月以上9カ月未満のもので奨励金200万円のものが 98件。定員15〜19人、訓練期間3カ月以上6カ月未満のものが80件となっています。  資料12頁です。「社会的事業者等訓練コースの概要」です。こちらのコースについては、 実質的にまだコースがスタートしてないというものですが、平成22年から実施をしていき たいというもので、別途、1枚紙を挿入しています。このコースの目的としては、新たな雇 用創出分野として期待され、社会貢献ができる働き方の実現に資する社会的事業者等による 訓練を通じて、これらの社会的事業者の担い手を育成するということです。  こちらについては、訓練期間が6カ月〜1年を想定しています。訓練の類型としては、[1] にあるようにワークショップ型、[2]OJT型とあります。ワークショップ型では、正社員で の就業経験が乏しい若年求職者であって、社会的事業や関連分野の企業への就職を目指す方 を対象者としており、訓練修了後に訓練を実施した社会的事業者へ就職することも可として います。  OJT型訓練としては、社会的事業の経営を目指す者を対象とした訓練を想定しているも のです。これについていちばん下のほうですが、訓練の奨励金としては、ハローワークの受 講勧奨を受けた訓練の受講者数に10万円を乗じた額を支給するということ、新規訓練の設 定奨励金として訓練期間と定員数に応じて100〜300万円を支給するというものです。以上 がPART2です。  続いて「PART3:訓練・生活支援給付関係」をお開きください。13頁は、訓練・生活支 援給付の制度概要について説明をしているものです。趣旨としては、雇用保険を受給できな くても安心して職業訓練を受けられるようにするということで、主たる生計者等一定の要件 を満たす受講者には、訓練期間中に給付する、また希望者には貸付を上乗せするということ になっています。  主な要件ですが、以下のいずれにも該当する者ということです。この中では、[1]ハローワ ークのあっせんにより受講するということ、[2]雇用保険を受給できない方であること、[3]原 則として主たる生計者であること、[4]年収が200万円以下であり、かつ世帯全体の年収が 300万円以下であること、[5]世帯全員で保有する金融資産が800万円以下であること、[6]現 在住んでいる土地・建物以外に土地・建物を所有していない者であることとなっています。  受講者に対する給付金・貸付については、単身者については10万円、被扶養者を有する 方については12万円が給付となっており、その他希望する方への貸付については、単身者 が上限5万円、被扶養者を有する方が上限8万円となっています。  14頁です。「訓練・生活支援給付金の受給までの具体的な流れ」となっています。「受講 される人」ということでスタートしていますが、まずはハローワークへ求職申込みを行って いただく、その上でハローワークで職業相談、キャリア・コンサルティングを受ける、それ を経て受講申込みをする。受講申込みは、本人が直接、訓練実施機関に申込みをすることに なっています。その後[4]として受講決定があります。受講決定された方について、ハローワ ークにより受講のあっせんを行います。その上で給付金を受けるについては、受給資格の認 定申請をしていただきます。これはハローワークが窓口となり手続きを行います。[7]は希望 する方ということですが、貸付を希望する方については、「訓練・生活支援資金融資貸付要 件確認書」等の交付を受けることになっています。  15頁ですが、その申請書を提出していただいたら、ハローワーク経由ということになっ ていますが、中央職業能力開発協会により受給資格認定の審査を行います。受給資格の認定 を行った上で、給付金の支給申請をしていただきます。これは訓練を実際に受け始めること になるので、訓練実施機関を経由して中央職業能力開発協会に提出されることになります。 給付金の支給申請については、[12]ですが、中央職業能力開発協会が審査をした上で、[13]の給 付金の支給につながるということになっています。  なお、[12]の下にありますが、出席日数が8割未満の場合は以後の支給が停止される仕組み になっています。[13]の下にありますが、第1回目の給付金の支給は、訓練開始前に受給資格 認定申請をした場合には、訓練開始日からおおむね2〜3週間後に行われます。それ以降に ついては、毎月、支給申請を遅れずに行った場合は、おおむね同じ時期に支給をされるとい う仕組みになっています。  16頁、「訓練・生活支援給付の受給資格認定件数」です。月ごとに示していますが、これ も全体の所ですが、月ごとにおおむね伸びており、12月が6,827件、1月も26日現在で 4,403件となっています。  この内訳ですが、訓練・生活支援給付についてはどのような方に出るかというと、基金で 設定した基金訓練を受講した方のみならず、既存の公共職業訓練を受講した場合にも出る場 合があるので、その内訳を示しています。当初は、いちばん右ですが、公共職業訓練受講者 数のほうが多くなっていましたが、例えば11月以降については基金訓練の受講者に対する 受給資格の認定件数のほうが多くなっており、12月でいくと基金訓練の受講者に対する受 給資格の認定が4,551、公共職業訓練の受講者に対する認定が2,276となっています。  17頁は受給資格認定者の年齢別分布です。各世代が受けている部分はありますが、いち ばん多いのは30〜39歳で合計6,990人、40〜49歳が5,955人、20〜29歳が3,238人、ほ ぼ同様ですが50〜59歳が3,122人となっています。  単身と扶養者ありということで言うと、合計を見ていただくと単身者が13,726人、扶養 者ありが6,586人ということで、単身者がほぼ倍となっています。  18頁は融資の実績ということで、希望した方に対する貸付をする仕組みについての利用 状況です。これも月とともに件数が増えておりますが、合計で2,397件となっているので、 受給資格の認定件数の約2万件に比べると大体1割の方が貸付の申請をしている状況です。  19頁は、貸付制度の地域ごとの分布です。これは労働金庫に実施していただいているの で、労働金庫ごととなっています。以上がPART3の説明です。  続いて「PART4:公共職業訓練関係」をお開きください。基金訓練のみならず、公共職業 訓練を受けた場合についても給付はなされます。今後、公共職業訓練も念頭に置きながら議 論を進めていただく必要があると思いますので、公共職業訓練の現状について説明をします。  20頁、「離職者訓練(施設内訓練)の概要」です。国は、全国にわたり、離職者が再就職 に必要な技能および知識を習得するために必要な職業訓練を実施し、雇用のセーフティネッ トとしての訓練機会を担保しています。また、都道府県は、地域住民サービスの観点から、 地域の実情に応じた職業訓練を実施しています。国の訓練としては、具体的には雇用・能力 開発機構が実施をしています。また、都道府県も離職者訓練を実施しているという現状にあ ります。  左の雇用・能力開発機構から申し上げますと、訓練期間が標準6カ月となっていますが、 基本的には下の主なコース例にあるように、主にものづくり分野を中心とした訓練を雇用・ 能力開発機構の施設内訓練では実施しています。具体的にはテクニカルオペレーション科、 金属加工科、電気設備科、制御技術科等となっています。また、都道府県については、訓練 期間が標準6カ月〜1年となっていますが、地域の実情に応じた訓練を実施するということ です。これは都道府県ごとに多種多様ということですが、主な例としては、情報ビジネス科、 介護サービス科、ホテル・レストランサービス科、陶磁器製造科、造船溶接技術科等となっ ています。  21頁、「離職者訓練(委託訓練)の概要」となっています。施設内訓練だけということで はなくて、多様な人材ニーズに機動的に対応するために専修学校などの民間教育訓練機関を 活用した委託訓練を実施しています。これはあくまで委託ということですので、公共職業訓 練の1分野として委託訓練を行っているものです。  実施形態ということで概要を示していますが、委託先としては、専修学校・各種学校、大 学・大学院、NPO、事業主、事業主団体等となっています。委託先としては、委託を発注す る元ということですが、これは公共職業訓練ですので、雇用・能力開発機構や都道府県が委 託をする主体となっています。対象者は離職者となっており、受講料は無料となっています。 訓練コースは、例としては、多様な人材ニーズに応えるということでいろいろありますが、 OA事務、経理、情報処理、介護サービス、販売実務等となっています。訓練期間について は標準3カ月とされていますが、実際は訓練によってはもう少し長いものも当然あります。  22頁、離職者訓練の分野別の実施状況と受講者数や就職率を示しているものです。分野 別の実施状況としては、左ですが、農業・林業・鉱業系分野、建設分野、製造、事務、情報、 サービス系、介護となっていますが、受講者数として最も多いものは、情報系の46,853、 事務系が36,305、サービス系が16,186、製造系が12,489、以下、それぞれとなっています。  これらの就職率はそれぞれ違うわけですが、合計の総計で見ていただくと、いちばん下で すが、施設内訓練が74.6%の就職率、委託訓練が68.3%ということで、施設内訓練のほう が若干高い就職率になっています。分野別で見ると、就職率、違いはありますが、介護系の 就職率が高めになっており、合計で見ていただくと、施設内が84.5%、委託の場合でも 72.4%となっています。  23頁、先ほどが就職率でしたが、これに対して応募倍率です。これも合計と実施主体別 にしていますが、合計の総計でいくと、それぞれ合計で1.68倍ということで1倍を超えて いますが、その中でも高いものが事務系の2.04倍、情報系の1.71倍、介護系の1.79倍と いうものが高いとなっています。介護系については、応募倍率も高い、また就職率も先ほど 紹介しましたが高い状況になっています。  24頁は分野別の訓練実施状況ということで、受講指示と受講推薦別となっています。受 講指示は、雇用保険の受給者に対して受講指示をして、雇用保険を受けながら訓練を受けて いただく場合に、ハローワークが受講指示をする。その方以外については受講推薦をする仕 組みになっているので、それごとに示しているものです。これも先ほどの応募倍率とほぼ同 じですが、4つ目の事務系、情報系が受講者数としては多いとなっています。総計で見ると、 受講指示が111,748、受講推薦が19,878ということで、雇用保険受給者に対する受講指示 のほうが多いということになっています。 ○清家部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま資料1に基づいて緊急 人材育成支援事業関係資料をご説明いただいたわけですが、ただいまの説明に関して何かご 意見、ご質問等ありましたら、どなたからでも、よろしくお願いします。 ○遠藤委員 資料の「訓練・生活支援給付関係」について、3点ご質問させていただきたい と思います。先ほど、PART3の18頁ですが、貸付に関しては約1割の方が申請というご説 明がありました。全体では約1割なのですが、月別に見てまいりますと、11月以降、件数 で比較すると1割を超えている状況がありますので、それまでとそれ以降で何か貸付を受け る側に変化があるということであれば、教えていただきたいと思います。それが1点目です。  それから、受給までの流れについて資料の15頁です。出席日数が8割未満の場合は以後 の支給が停止ということなのですが、これは、停止したあとの復活ですとか、ちょっと細か い話なのですが、何らかの事情があって8割の出席が見込まれないような場合の猶予措置の ようなものがあるのかどうか。これが2点目です。  3点目なのですが、訓練・生活支援給付を受ける期間については、たしか最長で2年とい う説明を以前に受けているかと思います。具体的に、公共職業訓練も含めて結構なのですが、 2年ということを想定した場合の受講モデルといいますか、何かそういう組合せのようなも のでイメージできるものがありましたら、教えていただきたいと思います。お願いします。 ○清家部会長 ご質問は3点ありますが、事務局からお答えいただけますか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 1点目の、11月以降の状況の変化についてで すが、特段、運用上の改善等については行っていません。給付の認定自体が伸びたわけで、 事業の周知が非常に進んだということが、まずいちばん大きいのではないかと思っています。  2点目の、出席8割についてクリアできなかった場合の事後措置ですが、基本的には、一 旦支給が止まりますと復活はありません。その旨を十分に周知した上で、きちんと出席して しっかり取り組むようにと誘導しています。  最後の2年間のモデルですが、基本的には、2年最長というところを当初からモデルとし て置いているわけではなくて、最も我々が想定していたのは、先ほど流れ図でもお示しして いたかと思いますが、今回は就業経験が乏しい方が対象者として多いだろうということで、 まずは、就職先の分野の実践力ということではなくて、その前提となるある一定の基礎力を 付けていただくと。ですから、基礎スキルの6カ月か、あるいはITスキルの3カ月を受け ていただいた上で実践の演習のほうに移っていただくという意味で、その実践演習は3〜6 カ月というように置いていますので、最長で1年というのがいちばん理想的なのかなと思っ ています。ただ、基礎を受けたあとに公共職業訓練の1年というパターンもあり得ますので、 これは延長給付の期間とも横並びになっていまして、国としてきちんと支援をするという意 味では、やはり2年が上限と考えた上で、2年としたということです。 ○遠藤委員 2つ目の点に関し、復活はないので、ご留意くださいということなのですが、 先ほど言いましたように、長期にわたる訓練になりますと、体調が自分で管理できないよう な状況に至ることがあるかと思うのです。その辺のところを、当初のお話から今日に至るま での間に改善の余地ということでご検討された経緯があるのかどうか。それから、2年間と いうことで言えば、公共でまた1年という話なのですが、後半の1年間にわたり公共の訓練 を受けた場合、基金訓練と公共訓練で例えば介護という括りでみたときに、基金訓練の演習 の6カ月と公共の1年における介護の訓練との差異といいますか、もう1年間受けること によってもう1段レベルアップするような、訓練の中身の質が変わってくるような、そうい う組合せみたいなものもあり得るのかどうか。もしおわかりになりましたら教えてください。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 1点目の出席要件の部分のお話ですが、当初 想定していなかったものとしては、新型インフルエンザの流行がありました。これについて は、診断書等を持ってきていただくことで、特別な取扱いとして、欠席という取扱いをしな いという運用改善を図っています。  もう1つの、介護という同じ分野においてレベルアップをするといったような想定ですが、 1つあり得るのは、ヘルパー2級の研修修了者ということで訓練を終えられて、そのあとに、 介護職員基礎演習ということでさらにレベルアップということも考えられますし、タイミン グが合えば、介護福祉士2年というのも、これは2年になってしまいますので、給付自体は 途中で切れる形になりますが、そこに移られるということも、あり得ると思います。 ○古川委員 基本的なことで、前にご説明があったかもしれないのですが、忘れてしまった ので、教えていただきたいと思います。資料のPART1の1頁の「基金の対象者」ですが、 「雇用保険を受給できない者」というのが上に書いてあって、左のほうに「雇止めにより離 職した非正規労働者等」とあります。この対象になる人というのは、自己都合ではなくて雇 止めにより離職した非正規離職者とか、それによって長期失業者になった者が対象なのでし ょうか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 ここは、代表的な例示というか、そのときに 社会的に非常に大きな問題となっていたものを書いていますが、要件としては、解雇に至っ た経緯というのは特に問うていませんので、ハローワークに求職登録をした方ということで す。 ○古川委員 自己都合も。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 もちろん含まれます。 ○林委員 「複数受講の流れ」というのが5頁にあるのですが、これは、例えば横断的スキ ルを3カ月やって、直ちにこちらに移るということではなく、ここである程度のものをやっ た段階で就職にトライして、しばらくして、やはり難しいということで、間隔があいて次の ステップに行くということは認められているわけでしょうか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 はい、認めています。 ○野川委員 3点質問させていただきたいと思います。1点は、統計資料等が細かく出てい ますが、性別によるものが全くないですね。日本は特に、就労構造にしても、就いている業 種にしても、正規、非正規労働者の区分にしても、男女別の違いが非常に目立つ労働市場で すので、その中でこういう仕組みが性別ごとにどういう機能を果たしているのかということ は、やはり知っておきたいと思うのです。何か傾向がわかりましたら教えていただきたい、 あるいは、今後そういう資料がいただけるのであればご用意いただきたい、というのが1 点です。  2点目は、17頁の「年齢別」です。これも私は非常に興味のあるところです。年齢別の 資料は、受給資格認定者の単身、扶養者という17頁の1つだけなのですが、例えば年齢ご とにどういう受講内容、訓練を受けているのか、あるいは、どういう訓練を受講しようとし ているのかという志願の傾向であるとか、出口、就職状況等について、これもやはり年齢ご との差が日本では非常に大きいと思いますので、そういう傾向がおわかりでしたら、あるい は、今後そういう資料を作っていただけるのであればということです。本当のことを言うと、 性別と年齢との組合せをマトリックスにした形での資料があればもっといいなと私は思い ます。  3点目の質問は、10頁です。実施主体、これは以前に質問して、これを出していただい て大変うれしく存じますが、圧倒的に7割が民間職業訓練機関等を中心とする株式会社等で、 あとは専修学校があって、その他は少ない。このうち、例えば民間職業訓練機関等は、さま ざまなコース、訓練に満遍なく対応しているのか。要するに、そこに、こういうものについ て集中していて、こちらは手薄だというようなことがあるのか、そういうことと、数は少な いですが、ほかのNPOであるとか職業訓練法人であるとか、こういうところが専門的に、 こういう訓練はNPO法人が機能をよく発揮しているというような傾向があるのかどうか。 もしそういうことがわかれば、今後、恒常的な制度をつくったときに、どういうところに委 託していくかということを考える上で大変有益だと思います。恒常的な制度をつくったら、 今後も民間事業者だけがずっとやっていくというのではなくて、多様化を図れればそれに越 したことはないと思うので、そういう観点からも教えていただければと思います。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 まず1点目の性別のデータですが、お出しし ているのは受給の関係だけなのですが、受講者の属性で男女別のものはとっていますので、 それについては、またお出ししたいと思います。年齢別も、同じように受講者の部分でとっ ています。その中で、さらに、それではどういう分野をとか、出口の就職はどうかとか、年 齢と性別のクロス分析ができるかどうか、この辺は、持ち帰らせていただいて、なるべくお 出しできるような形で努力させていただきたいと思います。  最後に、3点目の10頁の「実施機関」の部分ですが、民間訓練機関のコース数が多いと いうのは、まず1つ特徴的なこととして、繰返し設定が非常に多いということがあるかと思 います。つまり、1つの学校さんというか企業さんが、3回も4回も同じような訓練をして いる。これは認定ベースですので、まだスタートしていないものも含めまして、設定を非常 に進めているということが1つあります。専修学校さんと比べると、ある意味フレキシブル に設定ができる体制とか機動力があるのかなということを、感覚的には感じています。分野 としては、パソコン関係とか介護とかの事務系の分野が多いようです。これも、実証データ として整理したものはありませんが、ざっと見たこれまでの感覚で申し上げると、そういっ た分野が多いのかなと思います。  NPO法人についても、1回調べて、どういう分野がということを把握したものがあるの です。いま手元にそれが出てこないのですが、比較的、基礎的なスキルの基礎演習といった 部分を担っていただいていた記憶があります。あと、例えば農業などのちょっと特殊な分野 において取り組まれていたように思います。もしよろしければ、次回、その辺もお示しした いと思います。 ○野川委員 制度設定を検討する上では、先ほど申し上げたことがわりと重要だと私は認識 していますので、できるだけ細かい内容も含めて、できる限りで結構ですが、資料をお示し いただければと思います。よろしくお願いします。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 了解しました。 ○林委員 いまの性別の問題にちょっとかかわるのですが、一応この支給関係については、 世帯の主たる生計者という縛りがあって、13頁によると、かなり幅広く認められているよ うではあるのですが、1所帯1人ということで、主たる生計者という要件から女性等で認定 されないとか、そういう統計等がもし出てきたら教えていただきたいと思います。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 いまの件で申し上げますと、窓口の時点にお いて、いろいろご相談する過程で、そういった要件が当てはまらないというような把握はし ているかと思うのですが、データとしては最終的には認定したものしか手元にないものです から、どこがネックになって落ちているのかという定量的なものというのは、ちょっとお示 ししにくいのです。その辺で性別がどのぐらいネックになっているかというのは、いますぐ お答えできるものがないのですが。 ○林委員 コーディネートなどをしていく段階で、やはりちょっと無理ですよという話が事 前にあって駄目になっているケースというのが、具体的な相談の中であるのかどうかという ような事情だけでも、数字ではなくても、そういう傾向が見られるのかどうかについても、 おわかりになったら、おっしゃっていただければと思います。 ○清家部会長 とりあえず事例等で、何かそのような情報があれば。 ○林委員 事例等で知らせていただければと思います。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 周知の問題ももちろんあったのですが、活用 が進まないというようなご指摘があった中で、先行的にやっていた労働局のハローワークの 職員にいろいろヒアリングをしたときには、そもそも訓練を受講され、こういった給付につ いてのご相談をされる女性の方というのは、やはり母子家庭のお母さんが多いとはお聞きし ていました。そのときに、親御さんと生計を1つにしてしまっているので、主たる生計者と いうところでどうしても受給できないというようなことがネックになっているということ は、情報として聞いたことはあります。 ○新谷委員 いま、統計資料の話が話題になっているわけですが、今後の制度の恒久化を検 討するに当たって、そういった基礎資料が制度設計上重要な要素を持ってくると私も思って いるわけです。  例えば受給者の属性について、いま性別の話も出ていますが、今回の要件になっています 中に、雇用保険が受給できない方を対象にするということがあります。受給できないという パターンの中にも、もともと一度も対象となっていなくて受給されなかった方と、受給期間 の期限が来てしまって終わった方がおられると思います。そういった意味で、あとの論点と もかかわってくるわけですが、この制度は一体どのような属性の方を対象にして制度をつく り込んでいくのかといったときに、申し上げたようなさまざまな分析データが必要になるの ではないかと思っています。また、訓練実施機関についても、地域の偏在であるとか、講座 の分析等々についてのデータがあれば、これも今後の制度設計について重要な要素になって くると思いますので、事務局のほうで、現在やっている制度において、どういう統計をとっ ていくのかというところを詰めていただければありがたいと思っている、というのが1点で す。  もう1点は、資料の中で、出口との関係です。14頁から始まる受給までの流れの絵が描 いてあって、最後、[13]の「給付金の支給」で終わっています。これは受給の流れなので、そ ういう資料なのでしょうが、この制度の目的とするところの、職業訓練を積み重ねて労働市 場に戻していくということからいきますと、労働市場に戻すための流れというのがどのよう に構築されているのかというところも、何かあれば教えていただければと思っています。そ の2点です。 ○清家部会長 いま、2点ご質問がありました。最初は基礎資料の整理について、2つ目は 労働市場に戻す流れについてですが。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 これは、新谷委員から各場面においてご指摘 をいただいている件です。今日の部会のご指摘等も踏まえまして、少しきちんと整理をして、 どういう統計を今後ご提示できるのかということと併せまして、以前からご指摘いただいて いる、制度を利用している方々が、本来被保険者ではなかった方なのか、受給切れでこちら の制度に入ってこられた方なのかというような細かい分析についても、今後サンプル調査等 で把握していかなければならないと思っていますが、雇用保険課ともご協力させていただい て、どういった形で、いつぐらいまでに出せるかということを、少し整理させていただきた いと思います。  2つ目の就職までの流れの部分は、確かにここの資料では全く落ちていまして、それも整 理してお出しできればと思いますが、ざっくりとご説明すると、現時点においては、受講し ている間から基本的には実施機関の教育機関のほうに就職支援のお願いをしていまして、キ ャリア・コンサルティングを受ける機会も設けていただいていますので、そういった相談の 中で、当該訓練を受講修了したあとに、さらにレベルアップした訓練を受けたいのか、ある いは求職活動にお入りになりたいのか、個々の把握をさせていただいて、求職活動に移られ るという方については、求人情報なども、訓練期間中からハローワークにご協力を求めまし て、積極的に提示をしていく、あるいは、ハローワークに行くような時間も設定させていた だくという形になっています。  一旦修了する時点におきまして、個々人の状況については、実施機関を通じて都道府県セ ンターのほうで把握していますので、その情報についてもハローワークのほうに提供してい ます。ハローワークのほうでは、個々の方の情報提供を受けた上で、求職活動に移られて就 職を目指すという方については、積極的に来所を促すような取組をするなどということで、 個々に対してのフォローアップをしているという状況です。 ○西馬委員 1つは、これは7月から始められて、まだ期間が半年ちょっとであり、先ほど、 どのように就職に結び付けていくかということでご説明いただいたわけですが、いままでの ところ、これを始められて以降、どれだけの実績で就職された方がいらっしゃるのかという データを、これはその時々の最新版をお示しいただきたいということです。  もう1点は、ちょっと私はわからないのですが、5頁の表で「基金訓練における受講の流 れ」を拝見させていただきますと、公共職業訓練というのは結構出てくるわけです。一方で、 今日ご説明いただきました23頁の「分野別の訓練応募倍率」を拝見させていただきますと、 応募倍率は高くて1.7倍ということになっている。そうしますと、13万人の方が受講され ているという関係で、もともとあった公共職業訓練のキャパの余裕度というのはどれぐらい あって、これで活用されようとしているのか。新たに設けられたのは、6万何人分のコース を設定されたというご説明がありましたが、この全体のキャパとの関係はどう見たらいいの かがわからなくなりました。  もう1つ混乱しましたのは、16頁の「訓練・生活支援給付の受給資格認定件数」をご説 明いただきますと、この中に公共職業訓練受講者が結構いることとの関係で、全体がわから ないので、教えていただければと思っています。  もう1点ありまして、公共職業訓練でいくと、県の方もありますが、2事業でやっている ものが多いと思います。そうしますと、2事業の予算との関係で、今回の新しい事業という のは新しく財源を付けたと理解しているのですが、2事業の中でやっている公共職業訓練を 活用されたときのコストの負担のあり様などは、いまのところ現実問題はどうなっていて、 今後どうしていくのか。いまの現状はどのような分担関係になっているのでしょうか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 前回も若干ご紹介したのですが、就職率につ いては、修了時点において概ね2割です。ただ、これはあくまでも暫定値で、確定値ではな かなかお示しできませんが、一旦どこかで切った上で示さなければいけないと思います。  公共職業訓練でもそうですが、基本的には一定の求職活動期間を経て、就職を評価してい ますので、公式のデータとしては、公共職業訓練と同様に、修了後3カ月の状況でデータと してはお出ししたいと思います。  倍率の件です。これは難しくて、ご指摘のように公共職業訓練の倍率も1倍を上回ってい ます。ただ、この中の1.何倍の中には、雇用保険を受給していない方も入っています。そう いう意味でいうと、実績ベースでいくと、いままでも2割ぐらいの方が、1.3倍の中に含ま れながら運用していますので、基金訓練も含めて、訓練について全体として、数字上で見れ ば、まだまだ足りていないのが実情だと思います。これも一つひとつのコースを見ていくと、 1倍割れのコースもありますので、いかに倍率の高い特定のコースを積極的に設定していく かだと思います。これは公共も含めて同じ課題だと思います。  受給についても、基本的には公共の訓練にお入りになっている方についても、受給してい ただくという制度で運用していますので。ご質問は受給の話でしたか。 ○西馬委員 いや、私が最後にご質問させていただいたのはコストの負担の話です。例えば 民間がやっている新しくできたコースについては、設定費として100万円から300万円の 間で、1人当たり1カ月5〜15万円というような負担を出していると思うのですが、同じ ように、新しく設けたコースではなくて、県の既存の施設を利用するとか、2事業でやって いるものを利用するといったときには、2事業や県のコスト負担で賄っていても、今回新た に3,500億円取っている予算から、1人について5万円渡すというようなやり取りはやって いるのでしょうか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 訓練設定についてということですか。 ○西馬委員 はい。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 公共の部分については、ずっと既存のものと してやっておりますので、そこについては別途の予算措置をしています。そこにお入りにな っている方については、受給自体は基金で面倒を見ているけれども、枠組みとしては既存の ものを活用していただいているので、そこに別途の上乗せの措置はしていないです。 ○坪田委員 2つあります。去年の第47回部会で配られた資料についてですが、緊急人材 育成支援事業ということで、3年間で100万人分の訓練機会を確保、非受給者の合計50万 人という推計が出て、この事業が始まっています。いまの実績をどう評価されているのかと いうことです。  もう1つは、これを恒久化するとすれば、かなり精緻な制度にしなければいけないのだろ うと思いますが、とりあえず緊急で始まりました。その中で上乗せ貸付ですが、現時点では 1割ぐらいなので、返済はまだ始まっていないと思いますが、就職した場合は5割は返還免 除となっています。就職をすれば半分は返さなくてもいいというインセンティブとして考え られるのですが、逆を考えれば、上乗せしておいて、半分を使わないで置いておけば、単身 者であれば訓練中に12万5,000円はもらえるという制度になっています。そこら辺の管理 はどのように考えられているのでしょうか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 いまの実績の評価についてですが、当初は平 成23年度末までに、日本国内としての訓練の受け皿を100万人分ということで考えていま した。その中の35万人分を基金訓練、公共職業訓練で65万人分という考え方に基づいて いました。  先ほど申し上げましたように、公共職業訓練は受給者でなくても受けておられる方はいら っしゃいますので、そことの兼ね合いで、最終的には非受給者、受給者のそれぞれに50万 人分ずつ訓練をと考えていましたので、3年度間で35万人ということで、当初動いていま す。これを1年度で考えると、最初の35万人を3で割って、年間12万人というのがざっ くりとした数字でした。本来今年度というのは12カ月丸々はありませんでしたから、そこ を1次補正の前に精査をしまして、今年度中には8万人と数を置き直しています。  ただ、それを評価しても、今日お配りしているものにも、「入講者数」ということで出し ていますが、1月途中現在で2万人ぐらいに達している状況です。まだまだ当初の設定に対 して、実績としては十分ではないと思っております。ただ、これは右肩上がりで進んできて いますので、残り年度は2カ月弱ぐらいしかありませんが、最後の最後まで活用いただける ような形で取り組んでいきたいと思っています。  2点目についてですが、返還については、6カ月以内に常用の就職が果たせれば。 ○坪田委員 就職しない場合はどうなりますか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 それは5万円は返さなければいけないです。 貸付が開始された翌月から、利息分の返還が始まっておりまして、終わった時点から元本を 含めてとなります。最終的に6カ月後に就職をしていなければ、当然返還をしていただくこ とになりますので、そこはきちんと管理をさせていただいています。 ○清家部会長 ほかにご質問はございますか。 ○新谷委員 いまほどの論議をお聞きしていて、あったほうがいいと思ったのですが、今後 この制度の恒久化を検討するに当たっては、しっかりとした財政の設計が必要になると思っ ています。今日いただいた資料には、7,000億円の増設された基金があって、半分返納して 3,500億円でいまの基金の事業をやるということで、それぞれの個別の支給基準については、 資料には出てくるのですが、それぞれの項目ごとの現在の執行額がどうなっているかについ ての資料が要ると思います。これも次回はご準備をいただければと思います。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 了解いたしました。 ○清家部会長 ほかによろしゅうございますか。次も関連しますので、戻ってご質問いただ くことは可能ですので、次に進みます。「求職者支援制度の創設に係る論点(案)」について です。事務局から資料2についてご説明をお願いします。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 資料2「求職者支援制度の創設に係る論点(素案)」です。平 成23年度からの恒久化に向け、今後検討をお願いするわけですが、その論点の素案です。  1頁です。I.「位置づけ」で、「給付の位置づけをどのように考えるか」としています。 雇用保険制度における給付というのは、個人に着目した給付となっているので、世帯構成、 所得要件を加味していません。一方、生活保護制度における給付は、世帯に着目した給付に なっています。これを踏まえて、新しい求職者支援制度における給付をどのように位置づけ るかというのが、論点になるのではないかということです。  II.「訓練」です。いまもご議論がありましたように、訓練をどのようなものにするかは 重要な論点だと考えています。[1]「給付の対象となる訓練のあり方についてどのように考え るか」です。現行の緊急人材育成支援事業においては、資料1で説明しましたが、既存の公 共職業訓練、今回の新しく行っている基金訓練の双方を給付の対象となる訓練としています。 そういったことも踏まえ、恒久化する際には、どのような訓練を給付の対象となる訓練とす るかも論点ではないかとしています。  [2]です。「必要となる訓練の量・種類の確保、訓練量について地域差が少なくなるような 実施体制についてどのように考えるか」です。資料1でもお示ししましたが、訓練の地域の 偏在があります。それから、訓練の規模をどう確保しているか。訓練のコースの中身も重要 であるということでしたので、そういったものを確保していくために、実施体制をどのよう に考えるかです。主として、職業能力開発分科会で検討することになりますが、雇用保険部 会として、そこでの議論も踏まえて、これをどのように考えるかを論点としてお示ししてい ます。  III.「給付」です。[1]「対象者についてどのように考えるか」です。現行の緊急人材育成 支援事業については、雇用保険の適用がなかった方、雇用保険の受給が終了した方、自営業 を廃業した方等を、制度の主たる対象者としていますが、恒久化する際には、どのような方 を給付の対象者とするかが論点です。  [2]「給付要件についてどのように考えるか」です。現行の緊急人材育成支援事業における 給付要件は、公共職業安定所長に指示された訓練に8割以上出席していることに加え、世帯 の主たる生計者であること、個人の年収が200万円以下かつ世帯全体の年収が300万円以 下であること、世帯全体で保有する金融資産が800万円以下であること、現在住んでいる 土地・建物以外に土地・建物を所有していない者であることなどとしていることについて、 給付の要件が設定されているわけですが、これをどのように考えるかです。  [3]「給付額についてどのように考えるか」です。現行の緊急人材育成支援事業では、単身 者であれば給付額は1カ月に10万円、被扶養者を有する方は1カ月に12万円となってい ますが、これをどのように考えるかです。  [4]「給付の期間」です。これについて前半で議論がありましたが、現行の緊急人材育成支 援事業については、そもそも暫定措置で実施するとされていましたが、訓練を受講している 期間のうち2年分について給付を支給するということで、最大限で給付は2年分について受 けられます。この給付期間について、恒久化する際にはどのように考えるかです。  IV.「その他」です。[1]「適正な給付のための措置についてどのように考えるか」です。 いまの事業については暫定措置でしたが、恒久化した場合については、多年にわたり繰り返 し受給するような者を防止する措置は、特段設けられていない現行を踏まえ、それをどうす るかです。これは例えば2年間受けたあとに就職をし、また訓練をその後2年間受けるとい ったことを繰り返ししていくと、訓練と給付ばかりを受けることになってしまうので、そう いったことを防止する措置を設ける必要はないかということです。  [2]恒久化していく中では「新たに安定的な財源を確保することが必要となるがどのように 考えるか」です。現行の暫定措置ではなく、恒久化していく中で財源をどのように考えるか です。以上が論点の素案についての説明です。 ○清家部会長 先ほど新谷委員が質問された点は大切だと思うのですが、対象者として、雇 用保険のカバレッジを外れた方を救済しようしているわけなのですが、もともと雇用保険に 加入していなかった非正規のような方と、雇用保険のメンバーだったのだけれども長期に失 業していて、給付を受けられなかった方というのは、訓練のニーズとしては相当性格が違う と思われます。その辺についての当初の設計は、私の印象ですと、非正規雇用問題が重くな ってきて、雇用保険の適用の対象ではない人をどうするのだというので議論が盛り上がって きて、もちろん雇用保険の対象になっていて給付期間の切れた方というのも考えられてはい たのでしょうけれども、最初はもともと雇用保険そのものにカバーされていなかった人を念 頭に置いて考えられていたような気がするのですが、その辺はどのような経緯でしたか。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 緊急人材育成支援事業の制度設計時の経緯ですが、も ともと雇用保険に加入していなかった自営あるいは家族従業者の方、学卒で未就職であった 方、さらにご指摘のありましたように、一旦雇用保険が切れてから久しい長期失業者の方な ど、雇用保険の受給資格のないというところまでの経路はいろいろあると思いますが、その ような方々では、安心して訓練を受けられず、なかなか正規雇用に結び付かないことがあり ました。そのような方を押し並べて基金訓練に誘導して、正規就職に移行していただくとい うことで制度を始めています。  なお、財源に関して、2事業による公共訓練で受け持つ部分、基金事業の一般会計で措置 する部分をどうするかという議論もあったところですが、そこは雇用保険の事業の中にも、 必ずしも雇用保険の受給資格のある方のみならず、一般の方を受け入れている経緯もありま すので、そこは引き続き自然体で、これまでどおり受け入れさせていただくこととし、それ に溢れた雇用保険非受給者については、基本的に基金事業で訓練を提供させていただき、先 ほどもございましたように、結果として3年間で、雇用保険の受給資格のある方、ない方、 それぞれ50万人ずつ、同じ規模の訓練機会を提供できたらというところで設計しています。 ○清家部会長 おっしゃるとおり、いろいろな形で対象になる方はおられて、それらの方に 適切な訓練を提供することだと思うのですが、一昨年来、雇用保険部会に関する議論でいけ ば、非正規の人の問題が出てきて、まず1年以上の見込みを6カ月以上の見込みにして、で きるだけ対象者を広げましょうと。しかし、それでも不十分だということで、今回31日以 上ということで、対象者を広げましょうとやってきました。その意味というのは、それでも 雇用保険という労働者としてのセーフティネットの対象から外れる人をできるだけ少なく していきましょうという議論があって、ただしその中で、これとの関連でいけば、それでも そういう対象から漏れてしまう人がいるので、それについては雇用保険ではなくて、一般財 源の中でも何らかの形で救済できないかという問題意識があったと思います。  それとの関連で、こういう事業も出てきていることが、1つの我々の問題意識としてはあ ったと思うのです。もちろん制度の設計としては、そういう方たちだけではなくて、もとも と長年雇用保険の対象にはなっていて、失業期間が長くなってしまって、給付期間が切れて しまったような人も対象になるということなのですが、新谷委員の問題意識もそうだと思い ますけれども、結果として訓練がいろいろと準備されるとしたときに、例えば日雇い派遣な どでずっと働いてきて、何ら訓練の機会のなかったような人たちが必要としている訓練と、 長年どこかでずっと働いてこられて、長期に失業されていて、給付が切れて、訓練を受けよ うとされるような場合は、訓練のニーズが全然違うと思うのです。つまり、長期の失業で受 けられない人というのは、雇用労働者あるいは被保険者として、長い経験がある方です。一 方、もともと雇用保険に入っておられなかった方というのは、そういう経験が全然ない方で すから、この対象になる方の性格は相当違うと思うわけです。もともと非正規で入っていな かった人と、長期失業の結果、この対象になった人です。もちろんいろいろな対象者がいて、 いろいろなプログラムを考えるということあるのですが、この制度を考える際に、一定の限 られた資源を有効に活用するという意味では、ターゲットを絞るほうがいいのか、満遍なく 全部やるほうがいいのかというのは、いちばん基本的な論点のような気もします。 ○坂口雇用保険課長 いま清家部会長からお話があった点は、論点のI.の「位置づけ」に もかかわってくると思います。あるいは訓練の設計をどうするのかにかかわってくると思い ます。ご指摘のあったとおり、1昨年来の当部会のご議論、その兼ね合いで昨年来この部会 でもいろいろとこの問題を取り上げていただいた背景の1つに、雇用保険のカバーできる範 囲がどういったものなのかということで、まずは一義的に、雇用保険の適用範囲から漏れる 人についてどう考えるかということがありました。  その中で、平成21年の法改正時の国会の審議等でも、当時の与野党のそれぞれの立場か ら、そういった問題を含めて審議があったこともたしかです。いまの民主党から、当時の3 野党からも法案が出てきたこともありました。  ただ、もう少し遡って経過論を申し上げますと、民主党の求職者支援法案はもう少し前の 時代から出ていたり、連合でも第2のセーフティネットということで、雇用保険の適用から 漏れる方のみならず、雇用保険の受給期間中に就職できないような方が、そのまま就職でき ないで生活保護のような形にならないことも含めてということで、第2のセーフティネット の中でご議論がされていたこともあります。その両面を見ていくことにはなると思います。  ただ、いま部会長からご指摘のあったとおり、雇用保険の適用の問題になると、昨年部会 報告を取りまとめていただきましたように、短時間、非正規の方に対しての適用範囲という のは、6カ月の雇用見込みから、さらに31日以上ということで広げてきたこともあります ので、適用になっても受給資格には至らない方もおられる中で、雇用保険の適用されない、 あるいは受給できない、雇用保険の受給はしたけれどもと、いま部会長もご指摘のとおり、 就業経験という意味では違いのある層を、今度の給付制度あるいは訓練で、どう再就職に結 び付けていくかということで、いろいろと工夫をしていかなければいけないのは、まさしく ご指摘のとおりです。  今後そういった点を位置づけであったり、訓練給付の設計の中では、念頭に置いてご議論 いただきたいと思いますし、前半でいろいろとご指摘いただいたようなご議論に資するよう なデータを、できる限り準備させていただきます。 ○豊島委員 長期にわたって仕事をしてきて失業した方の仕事に対するモチベーションと、 就職したけれども、1年か2年でやめてしまって、あとは就職先がないからと、長い間アル バイトを続けているような方のモチベーションはちがう、対象になる方にはいろいろな方が おられるのです。いま最後に課長が言われました、訓練でどう仕事に結び付けていくかはそ うなのですが、私は入り口が大事になるような気がするのです。  自分が何をしたいかわからない、何に向いているかもわからない。「こういう訓練のメニ ューがありますが、どれをやりますか」と聞かれて、これがやりたいと言える人がいれば、 その方は簡単に就職に結び付くと思うのです。  その入口でコンサルティングというか、「あなたは何がやりたいのか」というときに、「わ からない。」「あなたはこっちが向いているのではないか。」、などとアドバイスして、就職に 結び付けることが目的なわけですから、そこの入口の窓口の重要さ、そういうものがかなり 出てくると思うのです。  それは普通に働いている人間が窓口の内側にいて、自分の能力、自分の発想を前提にして、 対峙していたら、勘違いになるのではないかという気もしますので、運用の部分がすごく大 事になる気がします。それが1つです。  それと、いまの論点の中で、II.「訓練」の中の[2]で、必要となる訓練の量・種類の確保、 地域差のなくなる実施体制についてどう考えるかというところがあるのですが、能力開発、 職業訓練の需要とそれに対する供給で、需要が100あるのに供給が20しかないというので あれば問題なわけですが、地域の産業の状況とか、訓練需要と供給との関係で、このコース がないのはいけないとか、このコースが少ないというのを、一概に数値だけで比べられるも のではないと思うので、まず地域差が出ている根拠、理由の分析をされて、ここが足りない からここを手当てしなければいけないと思います。例えばこれが国としての施策として必要 であるということと、ここは地方が頑張ってやるべきことだということが、分けられてはっ きりしてくると思いますので、厚生労働省で、国が統一的に最低限ここまでは手当てしなけ ればいけないのに、それができていないので、それができるような実施体制を作り上げるこ とが必要になってくるわけですから、そういった観点での分析なり整理も必要なのだろうと いう気がしています。 ○清家部会長 これはご意見ということでよろしいですか。 ○豊島委員 そうです。 ○西馬委員 先ほどの私の質問と絡むのですが、先ほどからお話がありましたとおり、どう いうものを対象に絞るかはいちばん大事なポイントだとは思います。いまの議論を聞いてい ても、幅広い部分をカバーする必要性が出てくると思います。そうすると、メニューも多種 多様に揃えなければいけなくなります。そうすると、これからそういった舞台装置を用意す るのも大変だと思っています。  その中で、すでにある公共職業訓練、2事業でも県でもやっています。今度新たにこのよ うないろいろなプログラムが出ました。それを一元的に見ながら再調整して、効率よくやっ ていかないと、とんでもないことになってしまうと思っています。  それをすべての県で、同じようなものをパッケージで揃えるというのも、私は無理なこと だと思っています。その辺は、いま空いているような住宅などとも絡めて、地方では用意で きないけれども、ここであれば自分が受けたい教育があるというところでしたら、3カ月な り1年なり、住宅を供給する、宿泊できるところを無償で提供してあげるとか、そのように 全体を一元的に見ながら制度設計していくことは重要だと思っています。それでないと、多 様なニーズに対応するようなプログラムは無理で、やるとすればすごくコストがかかってし まうと思っています。これは意見ですが、今後の検討で大事な視点かと思っています。 ○清家部会長 わかりました。 ○新谷委員 今日は第1回目ですので、制度の根幹にかかわる話を申し上げておきます。現 行の緊急人材育成支援事業については、緊急避難的な制度として、それはそれで意味のある 重要な制度だと思っておりますが、今後これを恒久化することについては、非正規労働者の 方であるとか、長期失業者の方のように、第1のネットというか、雇用保険の受給の網から こぼれてしまった方を恒久的に救う制度を常設することは、非常に重要な意味を持っている と思います。  今日も日経新聞に求職者支援制度についての記事が出ていましたが、こういったことを恒 久化することを政府としても検討を始めていることについては、社会に対するメッセージと いう意味でも、重要性を持っていると思っています。  さて、そのときに制度を設計するに当たって、どのような制度にするか、対象者をどうす るかということを考えるに際しては、いわゆる第1のネットであるしっかりした雇用と、そ れに基づく雇用保険というものがあって、それからこぼれた方を救う第2のネットがあって、 それにこぼれた方が第3のネットである生活保護という制度の中で救済していくという、階 層的な構造を考えたときに、アプローチの仕方としては、第1と第2の間のトランポリンと 政府のほうでも言われていましたが、ここを中心に考えるべきであって、貧困者、困窮者の 方を対象とする第3の階層との関係を重視するものではなくて、それはそれで別の対策とし て考えるべきで、特に第1と第2の関係を重視した制度をとするべきではないかと思ってい ます。  また、これも緊急避難として、今般政府から出されましたが、いまやられている緊急人材 育成支援事業の中で、新卒の方々の厳しい内定状況から、新卒で就職先のない方に対して、 基金訓練で新たにコースを設けるということで、人材育成支援事業に入れるとなっています。 これは緊急避難としてはやむを得ない部分はありますが、これも新卒の方と、これから制度 を設計する対象者はニーズも違うし、長い将来にわたってのキャリア形成を考えたときに、 また違うアプローチで考えたほうがいいと思うので、これについても違う制度として考えた ほうがいいのではないかと思っています。  また、具体的な対象者の給付要件についても、所得の要件、資産の要件等が決められてい るわけですが、これについても、現状の分析の中でどのような要件がいいのかは、十分に論 議をする必要があるのではないかと思っています。とりあえず冒頭に見解を申し上げたいと 思います。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○遠藤委員 いま新谷委員からありましたように、どこをターゲットに議論していくかは大 事なご指摘だと思います。ただ、いろいろな方からご発言がありましたように、どのような 方であったとしても求職者の立場であるのだとすれば、その方々に対して、国を含めてそれ ぞれがどのような形でサポートしていくのかは、もう一方にある大変重要な問題だと思って おります。  ですから、セーフティネットの1、2、3番目ということではなく、この2番目を核とし て考えるのだとしても、その上下あるいは左右をどこまで伸ばしていくのかという議論もし ていく中で、全体像を描きつつ、今般の議論の対象となる制度はこうですというものを、こ の部会として示していくことが、いま不安に思っている方々に対する重要なメッセージであ るのかなと思いました。 ○野川委員 私もいまの点について考えているのですが、この制度の適用対象をどのように 限定するかというのは、大変難しいです。それは先ほど新谷委員がおっしゃったように、中 間的な層になると思います。つまり安定した雇用が享受できていて、十分に社会保険の負担 もできている、それを第1労働市場とすると、いちばん下には生活保護を受けるしかないと いう公的扶助の対象者がいて、その間です。制度的に言えば、雇用保険から漏れているけれ ども、生活保護までいかないというような人たちです。  その人たちに対する制度をクリアに、これはこれとしてターゲットを絞って、上と下に対 する制度とは違うという考え方は、それなりに正しいと思いますが、区切るときの具体的な やり方は難しいと思うのです。  例えば生活保護を受けている方たちでも、ずっと不安定雇用しかなくて、結局厚生年金に 入れなくて年を取ってしまったという人たちは、いま70歳、80歳になっていて、生活保護 で暮らしていますが、そういう人たちは全く別ですが、そうではない人たちです。まだ若い けれども生活保護を受けている人たちです。例えば何らかの病気で、どうしても就職できな くて、この人はしようがないだろうということで生活保護の対象となる、そういう人たちも 治療の効果があって、戻ってくるかもしれない。生活保護を受けていたけれども、打ち切ら れた人です。生活保護を受けたいし、自分では受けられると思っているけれども、いまのご 時世が厳しいので、弾かれている人に対して、あなたは生活保護の対象にはなっていないけ れども、本来は生活保護のほうにいくべき人なのだから、この制度には入れませんと言える かどうかです。そこは非常に難しいです。生活保護を受けていたけれども戻ってこられる立 場になった人をどうするかなども難しいです。  まず初めから制度の限定をするよりは、制度設計の議論の中で、適用対象についてのどの ような限定の仕方があるかを考えながら、やがてそれなりの制度の完結的な枠組みが考えら れていくだろうといったほうがいいのかなと思うのです。  というのは私は特にドイツをやっているのですが、諸外国の例を見ても、先ほど申し上げ た第2労働市場という考え方は、まさにドイツの考え方なのです。ドイツでは上から落ちて くる人たちと、下から上がってくる人たちの両方を、まず第2労働市場で受け止めて、やが ては第1労働市場の方向にいく、あるいは第2労働市場のままでも、それなりの生活ができ るようにしていく。とにかくいちばん下の層をつくらないという役割を果たすような制度設 計になっています。日本はもちろん日本のやり方がありますが、考え方としては、少し幅広 な出発点をもって検討していくというのも、1つの選択肢ではないかと思います。 ○新谷委員 先ほどの発言において言葉足らずの部分があって、誤解を与えたかもしれませ んが、今度の制度設計の基本は求職者であるということです。不幸にして労働市場からこぼ れてしまって、かつ第1のネットである雇用保険の受給からも漏れてしまって、職を求めて いる方々に対して、しっかりとした職業訓練を施すことにより、再び労働市場に戻すための 制度がどうあるべきかということを検討すべきであると思っています。  ですから、それが第3の生活保護の制度からこられる方も、当然対象として考えるべきで すが、第1のネットとの関係、求職者であって、第1のネットにどうやって戻すかを重視し た制度とすべきではないかというのが、私の見解です。 ○豊島委員 同じことだと思うのですが、もともとこの制度は、派遣切り、経済危機だとい うことで、当面3年間という発想で生まれて、とりあえずいま出発して、動いている制度で す。しかし、3年では足りない、そういう方がおられるわけだから、雇用保険が受給できな い方で、長期失業者は100万人で、層としてあるわけだから、恒久化しようということな のですが、本来は緊急の3年間という発想で生まれたものです。  思想として緊急だという認識であるならば、いま新谷委員が言われたように、これを恒久 化する法律を作るとしたら、この最終目的はこの恒久化法がなくなることだと思うのです。 だから、第2のセーフティネットが要らない雇用構造をどうやって作り上げるかが目的なの ですから、そこの目標に向かう設計がまずないと、いけないと思います。それは共通なので しょうけれども、私の言葉で言うと、そのようになるということです。 ○遠藤委員 次回の資料提供をお願いすることになりますが、いま野川先生からご指摘があ りましたように、生活保護でいうと、自立支援プログラムというもので、職に就けるような 形のプログラムが数年間動いています。そこにおける訓練の中身と、どのような実態になっ ているかをご提供いただければと思います。  それから、現行の基金事業として行われているものがあり、次年度から行われようとして いるものとして、先ほどから出てきている新卒者向けのもの、さらには合宿という形のもの も新たなコースとして作るようなことも聞いています。基金事業として次年度新設予定のも のも含めて、どのような中身が用意されているのかについても、データとしてご提供いただ ければと思います。 ○栗田委員 この制度の名前も含めてなのですが、論点の中では求職者支援制度とありまし て、基本的には緊急人材育成支援事業の部分を基本としながらという制度だとすれば、位置 づけというのは、先ほどの論点の議論の中で重要な部分が出てくるので、生活保護なのか、 個人に着目した給付なのか、給付を主体として位置づけられているので、これは位置づけと しては少し変だなと思っております。  そういう意味では、2つ目の大きな柱の中に、訓練というのが主体的にあるのですが、求 職者支援制度ということであれば、本来は訓練以外にもあると思っています。訓練以外で制 度を充実させる部分は、例えば熟練でスキルが高い人も就職が困難で、長期的に就職活動が できていない人には、企業の訪問をする機会などは訓練ではなくて違うものであると思って います。訓練だけではないという視点も入れていただけたらありがたいと思います。 ○清家部会長 わかりました。ただいまの栗田委員のご意見も含めて、対象者、広い意味で のサービスも含めた給付の内容は、できるだけ幅広にとって、ここで議論していき、必要で あれば限定をしていくと。そのような形で何回か議論させていただくとします。今回論点を 出していただきまして、もちろんこれ以外の論点もあれば、各委員からも出していただきた いと思います。  いまのお話にもありましたが、求職者支援制度に関しては、もちろん幅広く議論しますが、 当部会に特に期待されている議論は、求職者支援制度において給付の対象となる訓練に関す る部分も含まれていて、今日はそれを中心にいろいろと議論をしました。特に、いまの資料 2のII.の部分、とりわけ訓練の内容の部分にかかわること、訓練の量・種類等については、 当部会だけではなく、職業能力開発分科会においても議論を進めていただく必要があります ので、そこでの議論を進めていただき、その上で当部会に対して、適宜事務局から状況を報 告していただく形で議論を進めていただきます。その点はご了承いただけますか。 (異議なし) ○清家部会長 そのようにさせていただきます。事務局においても、職業能力開発分科会と の連携をよろしくお願いします。  以上をもちまして、第56回雇用保険部会を終了します。本日の署名委員は、雇用主代表 は塩野委員、労働者代表は豊島委員にお願いします。委員の皆様には、お忙しい中、どうも ありがとうございました。次回の日程については、事務局から改めてご連絡させていただき ます。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)