10/02/03 第165回中央社会保険医療協議会総会議事録 10/02/03 中央社会保険医療協議会          第165回総会議事録 (1)日時  平成22年2月3日(水) 9:00〜15:00 (2)場所  九段会館 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻里委員 関原健夫委員 白石小百合委員        森田 朗委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員        高橋健二委員 伊藤文郎委員        安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員        渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員        藤原忠彦専門委員 北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員        <事務局>        外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官         渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○平成22年度診療報酬改定における個別改定項目について        ○その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  只今より、第165回中央社会保険医療協議会・総会を開催する。本日は平成22年度診療報酬改 定における個別改定項目について議題とする。これまで数回いわゆる短冊の議論をしてきたが、この 議論の中で答申書の附帯意見についても議論をしたいと思っている。これまでも附帯意見の候補とな りうる議論がなされていたが、今後も附帯意見とすべきというような点があればご指摘いただきたい。 いずれ事務局のほうで附帯意見案を取り纏めていただき、皆さんにお諮りしたいと考えている。それ では具体的な審議に入りたい。   ○歯科医療管理官 (中医協資料 総−1 骨子における「四つの視点」関連項目(歯科診療報酬関係)に沿って説明) ○遠藤会長  歯科に関する審議は初めてであり、一括で審議するということである。何かあるか。 ○渡辺委員  歯科の意見書を提出した際は時間が無く、詳細な説明が出来なかったため、今回の具体的な提案を 踏まえて意見を述べさせていただく。  初めに総括的な話であるが、今回の提案は大臣の諮問書に示されている改定の基本方針に則ったも のであると理解している。4つの視点の中の充実が求められる項目として、「歯科医療の充実」が提示 され、また、医療と介護の機能分化、推進連携の中で、在宅歯科医療の推進が盛り込まれている。諮 問書と同時に公表された厚労省の公表資料の中に、医療全体の考え方が記載されており、日本の医療 費は国際的な水準と比較して、対GDP比で非常に低い水準であるが、医療現場の努力によって効率 的で質の高い医療が提供されているという評価が資料の中に記載されている。歯科医療もそれに当て はまるものと考えている。ちなみに、私どもは将来を担う子供たちの健康促進のために、う蝕の予防 に懸命に取り組み、う蝕罹患率も非常に低くなった。また高齢者においては、しっかり噛む事の有用 性から8020運動として80歳で20本の歯を残すことを推進しているが、この目標も20%を超 えているところである。これは健康日本21における各種目標値の中で唯一目標達成している項目で ある。これらは全て生活の質を高め、結果的に健康長寿に寄与するということで意識してきた。しか し、一方で医療経済実態調査の分析の中で明らかになったように、歯科医療費が10年以上にもわた り、概ね2兆5千億円のレベルで推移している状態であり、1診療所あたりの収支差額をみると前回 調査では22%減、10年遡ると約12%減、更に20年遡ると31%減ということになっている。 そのような非常に厳しい状況の中で、国民の皆様方に歯科医療を提供してきた。公聴会の折にも医療 現場の声として歯科医療の充実を図るための第一の項目として、基本診療料をしっかり評価し、引き 上げをお願いしたい、また長年にわたり据え置きになっている技術料も評価していただきたいという 意見があった。私は歯科を代表して意見書を提出した際にも、その要望の一番目に基本診療料の評価 を求めてきた。基本診療料は医科も歯科も同じく、いわゆる基本技術料であると同時に、医院の運営 を支えるホスピタルフィーであるとも認識している。歯科医療の充実のためには安定的に提供できる 医療体制をしっかり確保する必要があることから基本診療料の引き上げを強く要望したい。  在宅歯科医療の推進については、資料の中に明示された内容であるが、非常に重要な点であると認 識しており、その評価をどんどん行っていくべきと考えている。基本的な考え方が記載されているが、 在宅歯科医療で重要な点は、医療の現場が在宅という困難な治療環境であるということである。在宅 と言うのは患者のからだの状態からみても非常に難しい状態である。歯科医療はほとんどが小手術で あり、持ち込んだ機器も狭い家の中で使わなければならず、厳しい治療環境である為、非常に時間が かかり、効率も悪くなるが、その技術料の評価は診療所で行っているケースとほとんど同じ点数であ る。一部評価されているものもあるが、それは限られた項目である。難しい状況の中で実施しなけれ ばならない在宅歯科医療を推進させるためには、このような技術料に対しても評価を行うことが非常 に重要であると考える。今回挙げられているものもそうであるが、今後更にそこを認識していただき、 充実化を図っていただきたいと思う。  2、3pに記載されている内容については、時間制限が一部緩和するところと、新たに入ったとこ ろの両方があるが了承したいと思う。  2p下段に記載されている歯科診療訪問2の算定要件の中に、今までになかった「同一の建物に居 住する」とあるが、以前はその施設等においてという形で居住していても、ある施設に一箇所に集ま って治療するだろうという条件の下で設定されたが、マンションなどの場合は、それぞれの患者の家 に訪問し、毎回機器をセットしなおす作業が必要となる。一箇所に集まっていただき治療を行うこと が出来ないため、そのあたりを考えなければならないと思う。  3p上段に院内掲示とあるが、これは現在でも積極的に行っているし、今後も行っていこうと考え ている。訪問診療の希望があれば積極的に行っていく。  4pの後期高齢者在宅療養、これが後期高齢者制度の廃止に向けてということでこれは了解する。 この場合、先ほども話したがこういった患者は一般の患者と違うので管理のあり方も異なってくるべ きであるという認識である。そのような理解の上、具体的な内容を固めていただきたい。  続いて6pであるが、訪問診療手術に関わる加算である。在宅障害者の医療連携、いわゆる病院歯 科あるいはセンター、あるいは医科、ケアマネージャーとの連携である。改定案の後段を見ると、下 から3行目に患者の紹介を行った場合、文書等の情報提供を添えて評価するとなったということであ る。これは新規の治療依頼の場合は当然であるが、医科の在宅でも、歯科の在宅でも診ているという なかで治療内容の変化、患者の病状の変化に応じて相互に情報提供しながら連携を図るということが 重要であると考えているが、そのような場合にも当てはまるのかの確認をしたい。  また続いて7pの障害者歯科医療、これもまた重要だと思っているので推進をお願いしたいという ことで了解したいと思っている。  続いて11pの後方支援病院の機能評価についてであるが、この施設基準をさらに拡大して、対応 している施設を評価するということは結構なことであると認識している。  続いて15pの患者の視点に立った歯科医療という基本的な考え方に則って提案されているが、こ こで歯科疾患管理について、この算定要件を見ていると全身疾患との関係を情報提供していただきた いという要請だと思う。我々もそういう認識でいきたいと思っている。  それから16pの最後に先ほどの訪問診療と同じように、管理料の内容等について院内掲示に努め ることということであるので、どういうものが適切かということを私共でも考えたい。先ほどの管理 官の説明では算定の要件と発言されたが、要件ではなくて努力をするという表現になっているので確 認したい。  またこの歯科疾患管理、諸々の管理であるが、公聴会の折にも患者の主訴、要望に対して適切に対 応していきたい。しかし治療ルール、算定ルールの中で制限を受けるとやりにくい部分がある。そう いった部分で患者の要望に沿った治療が出来るように改善を要望されていた。患者の視点に立つと正 にそれが重要であると思う。こうした点は今後の重要な課題として検討していただきたい。  続いて17p義歯指導のところである。時に高齢者の義歯指導の患者の場合、痛い場所が転々と変 わり大変難しい。高齢になり口腔粘膜も弱っている、そして残っている歯もないという患者の場合、 非常に義歯の負担が粘膜にかかる。その調整に何回となく費やしている。かつて2005年までは、 この調整料、管理料合わせて月に3回まで算定できたが、だんだん少なくなったり少し増えたりした。 今回、調整料合計としては月に3回算定できるようになっていることは評価したいが、それを超える と40点の再診料しかないなかで時間をかけて患者の求めに応じるという非常に厳しい状態になるこ とを理解いただきたい。今後、調整算定が拡大可能になるように取り計らっていただきたい。  18pのことについては1号側委員からも了解いただいたので、こういった方向で進めていただき たい。  続いて20pからの生活の質に配慮した歯科医療の充実のところで院内にいる技工士の評価に関し て、以前にもそういったことを申し上げたが、院内技工士は偏在している。平均で15%前後である し、偏在しているという状況の中で等しく加算の対象となるということは少ない。この記載されてい る内容と同じような中身のものを、技工所との密接な連携によって患者に提供している診療所につい ての評価についても今後の検討課題として提案したいと思う。あと小児の義歯また口腔内の補助装置 については結構なことだと思っている。この口腔内義歯に関係して24p〜25pに記載がある床副 子について、この中には歯ぎしり装置というものがあり、歯ぎしりする方の歯の負担を軽減して顎関 節症の軽減を図ったりするのに必要なものである。実は床副子という口腔内に入れる義歯とは違うも のであるが、この修理について歯ぎしり装置には修理がない。破折すると新しく作らなければ算定の 対象とならない。しかし新しく作ると患者負担が大変かかる。費用の点からも今後修理が対象として 入ってくるように、これも次々回に向けて検討をお願いしたい。  28p〜29pの歯科固有の技術の評価の見直しのところである。20年、30年間据え置きとな っている技術がたくさんある。しかも日常よく行う技術がその中に含まれている。その一部が今回引 上げの対象となっているところもあるが、さらに強化を進めていただきたい。さて具体的中身で、2 9pに新しい項目としていわゆる歯周疾患のための検査が一つ新設された。学童期の子供の検査であ る。必要な場合には当然このような検査をするわけではあるが、3番の上に記載がある1番、2番に は基本検査や精密検査がある。これは一般の大人の方々を対象としている。学童期の子供の場合はそ れほどの検査は必要ではない。しかしある程度の検査が必要だということでこの検査が入ったと思う。 内容的にはこの大人の検査の一部分が入っていたり、精密検査という非常にシビアな検査の内容も含 まれている。ここは今回これとしても今後学会等の意見も踏まえながら、検討しもう少し的確な検査 内容となるようことをお願いしたい。  続いて、31pに新設された術後の特に口腔内あるいは顎顔面等におけるがん手術等のその後の専 門的な口腔衛生処置ということで入った。これは是非必要な内容であって、この記載のように術後の 肺炎等防止のためにも非常に重要な内容であり、第一歩を踏み出したことは評価できる。  続いて32pの伝達麻酔、浸潤麻酔、圧迫麻酔については点数が引き上がる。これは実は21年ぶ りの評価である。最近患者に麻酔をすることに対してはいろいろチェックをしながら確認した上で行 っていることを踏まえると、更なる引上げが必要と考えている。有床義歯等の内容については了解す る。  35pの歯科診療報酬体系の簡素化では、初診料・再診料の引上げを考えるとなっている。これは 先程申し上げたが、歯科医療の充実という観点からすると、非常に重要な内容として私たちは初・再 診料の引上げをお願いしていたわけである。そういうことで簡素化を図る中で初診料を考えるという ことでなく、もう少し踏み込んだ形で、歯科の基本診療料の適切な評価ということで位置づけを求め たいと思う。そういう中でこのスタディモデルは、これは先程歯科管理官から説明があったが、非常 に重要な、患者にきちんと説明することにも役に立つ内容である。それにはかなりの点数が付いてい る。50点という点数が付いているし、また管理料の中の初診相当時の引き上げのものを2回目に統 一をしてこの初診料に振り分けていくという手法については、私たちの求めている基本診療料の適切 な引上げを求めるということからすると、大変苦渋の選択を迫られているところである。そうしたも のをもってしなければならないのか、引き上げられないのかという非常に苦渋な選択であるが、もっ とも重要な基本診療料という認識の下に、これを踏まえて更に初・再診料の十分な引き上げを強く求 めたい。  この後の矯正等については了解をしたい。最後に新規技術の導入であるが、こうしたレーザー等は 大変高額な機器であるので、それなりの評価をつけていただきたい。特に新規技術の導入をされた場 合に、前回導入された技術がなかなか伸びていない実態がある。そういう技術は内容を十分に精査さ れた上で適切な評価を当初にすることが重要だと思う。そのような理解の下に、新規技術の導入をこ れからも推進していただきたい。長くなったが以上である。   ○遠藤会長  原案に対する全般的評価、個別的評価をしていただいた。原則としては了承するということと受け 止めたいが、確認事項や疑問点、今後の課題としての提案事項があり、最後には初・再診料の十分な 引上げをお願いしたいという要望があった。まず事務局より、疑問点、確認事項について回答いただ き、今後の課題等でコメントできることがあればお願いする。 ○歯科医療管理官  まず、いくつかの質問事項について回答する。  在宅の歯科医療の診療情報提供料の算定については、あくまでも在宅歯科診療料を算定しているこ とを条件にしているので、一般的に訪問診療を行っている患者であれば算定でき、当然病状等の変化 もあるので一律に算定するものでもないという考え方である。16p以降の歯科疾患管理料の算定要 件については、院内掲示は算定要件ではなくて努力義務である。  なお短冊上の内容については今回の形で処理したが、今後の課題や要望については、24年度改定 に向けてのものと理解した。 ○遠藤会長  そのような理解で結構である。今後の中医協の議論の中身ということで私も了解する。渡辺委員、 宜しいか。感謝申し上げる。 ○白川委員  今回の事務局の提案にあったように、在宅、障害者関連に力点を置く事や、技術料についても現状 を調査し新技術の導入に関連して見直すことについて賛成である。また個々の技術の内容については 我々ではよく理解出来ないので、この点については2号側委員の意見を尊重したい。  いくつか意見があるので申し上げる。1点目は基本診療料についてである。初診料、再診料の評価 を上げるということに関し、包括化ということでスタディモデルと歯科疾患管理料の一部を取り込む という方向で宜しいと思うが、趣旨から言えば、包括する内容が初診料のほうが大きいと思うので、 初診料の方を手厚く評価することを中心にすべきと考える。  2点目は16pの歯科疾患管理料についてである。算定要件について少し踏み込んで書いていただ いているので厳し目の運用であると思うが、その一方で16pの2番目に記載のある算定時期につい ては2月以内と少し期間が延びることになる。この時期の延長で算定点数が急増することがないかを 懸念している。この制度を入れてから歯科における患者への説明が丁寧で分かり易くなったと認識し ているが、回数があまりに増えることは好ましくないと思う。また院内掲示の努力義務については、 今回は努力義務でやむを得ないと思うが、厳格な算定と患者への説明の徹底を今後とも進めていただ きたいというのが要望である。  3点目は歯科技工士を院内に配置した場合の加算についてである。この実情についてだいぶ勉強さ せていただき、今回は賛成する。ただ、当然のことであるが加算によってどの程度の効果があったの かということと、どれくらい院内で歯科技工士を雇用する形が増えたのかということを2年間で検証 していただきたいと思うので、検証部会で取り上げて欲しい。 ○遠藤会長  初診料の評価のウエイトを高めるべきであるということ、歯科疾患管理料の算定時期の延長に伴っ て回数が増えることに対しあまり出ないようなことを考えて欲しいこと、また歯科技工士の雇用に対 してどのような影響を与えたかについて検証部会の対象にして欲しいという、3点の意見があった。 事務局として何かコメント出来ることはあるか。 ○歯科医療管理官  歯科技工加算について検証の対象にして欲しいということについては、新しい制度ということもあ るので検討させていただきたいと考える。  歯科疾患管理料については、算定時期について1月以内という制約を2月以内にするということは あるが、それ以外の要件について特段緩和することは一切考えていないということである。 ○遠藤会長  白川委員の発言に対して、渡辺委員よりコメントがあればお願いする。 ○渡辺委員  歯科疾患管理料について算定するために、現在は1月以内に無理にでも管理に入らなければならな かったが、2月以内と余裕が出来ると患者の痛い部分の治療をまず行い、2月以内に状況に応じて管 理に入るということになると思う。よって算定時期の変更によって、算定回数が増えるというより、 むしろ逆に減ることもあると思う。  また院内掲示については、積極的にその内容について検討し協力していきたい。 ○住友専門委員  病院歯科の役割を評価いただきお礼を申し上げたいが、とりわけ14pの地域歯科診療支援病院入 院加算の対象患者の拡大というところで、障害者歯科医療の入院においても算定可能ということは大 変ありがたい。少し専門的立場から意見を言わせていただくと、障害者を大学病院等で受け入れて治 療を行っているが、障害者には集中的に多くの治療を行っている。術中に体動があったりするので、 外来全身麻酔にて日帰り治療を行っている。歯科の場合は治療の部位と麻酔の部位が近いので、挿管 麻酔をする。家庭でのケアが重要なので日帰りは悪いものではないし、入院となると患者の費用負担 も発生してしまう。しかし、遠くから来られている人や治療時間が延びた場合には、入院が必要であ る。これまでは認められていなかったこのような評価については、非常に良いことだと思う。その他 の内容については渡辺委員が述べられたので省略する。   ○歯科医療管理官  先ほどの補足だが、歯科疾患管理料のところで1月以内ということだが、何故月末にしたかという と、ある程度分かりやすくするという側面がある。レセプトは毎月出しているので、審査上でも効率 化されるという視点を考えている。どれくらい増えるかという点については、急激に増えることはな いであろうと考えている。   ○牛丸委員  簡素化された項目があるが、以前の別れていた段階ではそれなりに理屈があったのだと思う。その 理屈が解消されたのか確認したいというのが一点目である。  もう一点は、5pに複雑なものと簡単なものとあるので、この定義を教えて欲しい。 ○歯科医療管理官  5pの訪問歯科衛生指導料は、時間要件等を主旨にしている。あとは、個々の手法内容である。在 宅の訪問指導料であるので、当初は診療料以外のことを想定していたということもあり、以前は集団 的なことを評価していた時期もあった。そのようなことから、簡単なもの、複雑なものという体系に なったというのが実情だと思う。  先ほどの整合性の問題は、そもそも個々の診療行為を診療の実情に応じて対応を行ったので、診療 の実情には影響は無いと思う。   ○牛丸委員  最初の質問は、これまで二つや三つに分かれていた点数を簡素化ということで一つにしている。分 かれていた時には意図があったと思うのだが、それが今の状況では必要ではないという理解で良いの かという質問である。 ○歯科医療管理官  その通りである。 ○安達委員  26pの撮影料である。従来のものをデジタルとアナログに分けるということであるが、改定案と 現行を見比べて、アナログについては従来あったそれぞれの点数を変えないということの確認が一点 目である。  デジタル撮影についてもそれぞれの項目については、従来の点数よりも高い設定になるのか。 ○歯科医療管理官  アナログ撮影については、点数を変えるつもりはない。デジタル撮影については、現行ではデジタ ル化処理加算がついているので、その分を少しだけ引き上げることを考えている。 ○遠藤会長  安達委員よろしいか。他にご質問等あるか。   ○鈴木委員  二点申し上げたい。一点目は、11pの地域歯科診療支援病院という言葉について、全国で300 程度あるとのことだが、私どもの地域ではあまり聞いたことがない。全国の分布状況が分かれば教え ていただきたい。二点目は、5pの歯科衛生士の訪問歯科衛生指導について、文章を見ると、歯科医 療機関からしか歯科の依頼を受けて行けないというように読めるが、実際に歯科衛生士に関しては医 科の医療機関においても口腔ケアであるとか摂食嚥下リハビリとかさらにはNSTなどに関連したチ ーム医療の一員として歯科衛生士の雇用が進んでいると思う。我々も複数雇用しているが、在宅で口 腔ケアが必要な患者がいても、我々のところからは行けない。歯科医師の訪問はないし、歯科衛生士 がいてもとても余力がないといった状況であるので、実際に在宅の方への口腔ケアが提供できないと いうようなことになっている。歯科衛生士に関しては歯科固有の職種というよりは、医科にも共通し た職種になってきているようにも思うので、その辺の縛りを緩和する考えはないか。   ○歯科医療管理官  先ず、地域医療支援病院の歯科の初診料・再診料を取れる病院がどの程度の配置になっているかに ついては、実を言えば私どももその配置を見たことがない。ただ一般的に言えることとしては、歯科 大学付属病院又は医科大学の歯科口腔学科のほとんどは算定している状況であるので、恐らくは県庁 所在地を中心に比較的大きな都市に配置されているのではないかと考えている。  歯科衛生士の訪問指導については、今までは歯科衛生士法の範疇で対応してきたところであるので、 歯科衛生士法では歯科医師の指示の下にということが明示されていることから、こういった体系で評 価してきたということである。ただし、診療実態として今までも、医師からの指示という想定があま りないままにやられてきたことからこのような状況になっていると考えている。医療の提供形態を基 に考えると、今直ぐにではないが今後の課題と認識している。   ○鈴木委員  在宅での口腔ケアは肺炎の予防に関しても非常に有効であり、我々は診療報酬が付かなくてもその ようなことを病院に入院している患者や施設を利用される患者に行っている。そういうことを在宅で も実施できればと思っているので、是非検討をお願いしたい。   ○遠藤会長  そのような実態を踏まえながらの検討ということかと思う。   ○北村委員  ただ今の説明を受けて、後期高齢者のところも簡素化の視点から改定がなされるところは説明でよ く分かったが、例えば簡素化ということでも診療行為そのものについての変化はないと思う。それで も簡素化ということで診療報酬が増額改定されるということであれば、今回の歯科は一番高い改定率 が付けられたのであるから、こういう時こそ私たち支払側、患者側からすれば、以前渡辺委員からは 無理だというお話を伺っているが、レセプトの電子請求に関して直ぐは無理だとしても、方向性につ いても言及はできないものか強く感じる。   ○遠藤会長  ご意見ということであるが、コメントはあるか、歯科医療管理官。   ○歯科医療管理官  確かに歯科においてレセプトを電子請求するというのは、色々と枠組みなどを作っていく上でも直 ぐにはできない。医科の診療所に比べてやや遅くスタートしたというきらいがあるのは事実であり、 相手がある話なのでなかなか簡単にはいかないが、実際に今の初診料に電子化加算が設けられている が、こういったものについては歩調を合わせて対応させていただいて、やれる体制というものの側面 支援が今の時点では精一杯であると思っている。   ○北村委員  患者から見て分かりやすい視点で進めていただきたい。   ○遠藤会長  貴重なご意見として承りたい。   ○邉見委員  この度、病院の歯科医療が評価されたということは住友専門委員と同様、喜んでいる。国の方針で 二次医療圏に一つずつ歯科医療支援拠点病院を作るということで、私どもの病院も県の指導で、経営 的には難しいのではないかと思ったが、今後の高齢化社会あるいは在宅に力を入れるということでや った。しかし、経営的にはもの凄い赤字であった。社会保障審議会の医療部会で九州大学の水田副学 長が「歯科はなぜこんなに安いのか?サボっているのではないかと思い院内を何回も見に行ったが、 いつも患者さんがいて、デンタルチェアは満員で一所懸命働いているが赤字である。他の診療科と比 べて何故こんなに安いのか」「歯科医師会はちゃんと仕事をしているのか、ちゃんと運動しているの か。」と発言し、歯科医師会の常務理事は「やっている」と言われていた。それくらいに今まで評価が 低すぎたのではないかと思う。うちの病院の歯科医師も母校の助教授を呼んで頑張ってくれているが、 経営が悪いのでと、いつも私のところに遠慮がちに来る。もう少し、今後さらにそのようなものを上 げていくべきだと私自身も思っている。よろしくお願いしたい。 ○遠藤会長  様々なご意見をいただいたが、基本的には事務局提案を了承することとしたい。  引き続いて、調剤報酬及び後発医薬品の使用促進について議題としたい。   ○薬剤管理官  総―2をご覧いただきたい。私の方からは、調剤報酬と後発医薬品の使用促進について説明したい。 まず、1p「調剤料の見直し」であるが、投薬期間が延びていることを踏まえ、長期投薬時における 一包化薬調剤料と内服薬調剤料の差をどのように考えるかが一つの課題である。一包化については、 現行の一包化薬調剤料を廃止して、内服薬調剤料に加算として整理する。そうすれば格差も一定の範 囲内に収まるということである。2p、一包化薬は7日毎に89点が算定できることとなっているが、 投薬日数が延びると青天井で延び続けることとなり、一方、内服薬調剤料は22日分以上で一律77 点となっており、この点数設定により長期投薬になると差が出てくる原因となっている。従って、一 包化薬については57日分以上を一律の点数にして、内服薬調剤料については22日分以上の上に3 1日分以上の区分をつくり、その格差の是正を図ることとしている。その関係で一包化加算の方は少 し下げた形になるし、内服薬調剤料は若干、上げた形にして是正する。  2pの下、湯薬の調剤料の見直しであるが、湯薬とは漢方のきざみ生薬のことで、薬草を切って、 切ったものを患者に渡して、患者は家で煎じて漢方を服用するといった古来の漢方の形態の調剤であ るが、現行では何日分調剤しても190点となっているが、投薬日数が増えれば投薬量が多くなり何 度もつくることとなるので手間もかかるということもあり、日数倍数制を導入して手間に応じた点数 設定をしてはどうか。  4p「ハイリスク薬に関する薬学的管理及び指導の充実」ということである。医療法、薬事法の改 正に伴い医薬品安全責任者をおくことと、安全管理の手順を決定することになっている。その中で特 に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が特定されており、安全管理や薬学的管理を綿密に行う こととなっている。安全管理が必要な医薬品として抗悪性腫瘍剤等々記載しているが、これらの医薬 品については服薬状況や副作用を綿密に確認するなど手間のかかることから薬剤服用歴管理指導料に 加算として評価するものである。  5p「調剤基本料の特例の見直し」である。調剤基本料については、基本は40点であるが、受付 回数が月に4,000回超で、かつ、一医療機関から70%を超える場合、いうなれば、大規模な門 前薬局のようなところは効率の良いことから調剤基本料について半額以下の18点という設定になっ ている。現在、全国の保険薬局50,000軒ほどある中で600軒弱程度の薬局が18点を算定し ており、全体の1%強という状況である。そのような状況下、都市部と地方では状況は違うが、特に 地方において病院が一つ、薬局が一つといった地域もあって、そのようなところで4,000回を超 えてしまったことにより基本料が半分以下になり経営的に厳しい状況に陥っているという話も聞いて いる。また、夜間、休日に対応することにより処方せん枚数が増えて18点となってしまうようなケ ースもあり、夜間、休日、在宅の対応をし難いとの声もある。そのような声を踏まえて、時間外や休 日、深夜の処方せん、あるいは在宅の処方せんについては、4,000回の処方せんの受付回数に含 めないとする対応とともに、18点については若干の引き上げをしてはどうか。  6p「後期高齢者薬剤服用歴管理指導料の見直し」については、全体の方針として後期高齢者のみ の点数は見直しをしていくこととなっており、前回の改定で後期高齢者の方は複数受診も多いことか ら薬歴の点数とお薬手帳の点数をまとめて評価することとしたが、後期高齢者以外の患者の見直しに 合わせて別個の評価体系にすることとした。  8p「後発医薬品の使用促進について」である。基本的には後発医薬品の使用促進のための骨子を 書き綴ったものだが、薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直しについては、数量 ベースですることと、直近3ヶ月の医薬品の調剤数量で計算するということである。9pに骨子に記 載していない事で追加をした項目がアスタリスクの二段落目にある。現在、診療報酬の議論とともに 先日まとめていただいた薬価算定基準の見直しに基づいて、個別品目について薬価改定の作業を行っ ている最中である。その中で一部の後発医薬品の薬価が先発医薬品の薬価より高くなるケースがある。 基本的には後発医薬品の使用促進については、薬価の安いものにインセンティブを付けて代替を進め ているわけであるが、過去に後発医薬品の薬価算定の際に先発薬品とさほど変わらない薬価で設定を し、市場実勢価格による改定を行う中で、先発メーカーが扱っている後発医薬品の中に一部みられる。 これらは後発医薬品で間違いないが、診療報酬上のいろいろな評価を加えて使用促進の推進を図る観 点からは若干違うのではないかとのことから、診療報酬上の評価の対象とすることからは先発医薬品 と後発医薬品の薬価が逆転したものについては除外してはどうか。なお、これらの品目については、 これまでも後発医薬品と扱っていたので、若干の経過措置が必要ではないかと考えて、なお書きに記 載している。  9p下、含量違いや類似した別剤形の後発医薬品への変更調剤については詳細な記載を行った。特 に(注1)規格に違いによって、効能・効果、用法・用量が異なる品目については、変更調剤の対象 外とすることを明示した。10pの類似した別剤形についてもどのような範囲で変更調剤が可能であ るかもアスタリスク以下に記載した。ア、イ、ウ、ア、イ、ウとあるが、例えば、アの剤形内での変 更を認めてはどうか。また、10p下、含量規格変更不可や剤形変更不可の場合には、それを記載し 変更不可であることを明示する方法を記載している。  11p、医療機関における後発医薬品を積極的に使用する体制の評価については、後発医薬品使用 体制加算を新設する。要件として入院基本料に対して施設基準を満たす場合に入院初日に加算するこ とを考えている。  最後に保険医療機関及び保険医療療養担当規則等の改正について、骨子でまとめた通りの記載内容 を記載している。   ○遠藤会長  本日提示された案は、これまでいただいたご意見を踏まえて具体的な形で短冊として出てきたもの である。ご意見・ご質問はあるか。   ○三浦委員  概ね今までの論点に沿った改定内容と理解した上で質問をしたい。一点目は後発医薬品の使用促進 についてである。薬局における後発医薬品の調剤を促すために、後発医薬品調剤体制加算の要件を後 発医薬品の処方せんベースでの調剤率30%以上から数量ベースに変更するということであるが、資 料9pの※の1段落目にあるように、1回使用量と薬価基準上の規格単位との差が大きいということ で、経腸成分栄養剤等を分母から除外することになっている。先日の公聴会でも意見があったが、漢 方・エキス製剤に関して、なんとかならないかという意見があった。我々も色々な薬局から要望を聞 いているが、実際に漢方・エキス製剤には後発医薬品がなく、規格単位1gに対して1日量が7g〜 9g、大きいものでは15gというものもあるため、後発医薬品調剤体制加算の要件が数量ベースと なれば、漢方・エキス製剤の処方が多い場合は加算の取得が難しいというようなことも伺っているの で、その点を検討はできないか。要望である。   ○薬剤管理官  漢方・エキス製剤の取り扱いについては、私どもにも問い合わせが来ている。若干説明すると、漢 方・エキス製剤はいわゆる分包品であるが、三浦委員が言われたように基本的にはg単位で薬価がつい ている。実際の1日量は7g〜9gということで、数量のカウント上は薬価の規格単位であるために、 少し大きめに影響が出てくるということである。また、これらの製剤は分類上、先発医薬品でも後発 医薬品でもなく、その他の医薬品という形になっているために、幾ら使っても後発医薬品としてのカ ウントはできない。漢方・エキス製剤は金額ベースでは約1000億円の規模である。元々数量ベー スで30%というのが政府目標になっており、今回はその政府目標をベースに同じ指標で薬局での評 価ができないかというのが提案の中身である。元々の国の30%目標と現行の20%という設定目標 に関して、漢方・エキス製剤についても薬価の規格単位を基に同じ方法で計算しているので、全体と して1000億円程度の薬剤費としてのボリュームがあるために、仮に漢方・エキス製剤を外せば薬 局の場合には分母が変わってくる。そうすると、政府目標に相当する数量30%の設定をもっと引き 上げる必要があるといった議論が出てくるのではないかと思う。  また、後発医薬品調剤体制加算は基本料への加算であるので、例えば漢方・エキス製剤を非常に多 く調剤されている薬局においては、それらを沢山もらう患者の側から見た場合に、後発医薬品に切り 替えるチャンスがないことから、そのような患者が多い中ですべからく基本料にチャージする形は理 解が得られないのではないかと思う。薬局に来られる多くの患者さんが後発医薬品に切り替えられる チャンスがあるから薄く広く調剤基本料で見るというのは理解できるが、もし漢方・エキス製剤を除 外して薬局に来られる少数の患者さんだけが後発医薬品に切り替えられるメリットを享受する可能性 がある場合については、基本料への加算で評価するのは必ずしも適当ではないのではないかと事務局 では考えている。  先程申し上げた漢方・エキス製剤のボリュームの問題と基本料に加算することをどう見るかという 観点から除外は難しいと考えている。   ○三浦委員  おっしゃることは良く分かるが、そのような薬局が実際にあるので、何とかモチベーションを保つ ために今後、何らかの方法がないかご検討いただきたい。  二点目であるが、9pの※の2段落目の新たに付け加えられた部分についてお聞きしたい。平成22 年度薬価改定の結果と記載してあるが、この部分は今回の薬価改定の結果、先発品と後発医薬品の価 格が逆転したということで、改定前には逆転はなかったという意味で良いのか教えていただきたい。   ○薬剤管理官  手元に資料がないが、多くの品目は現在も(改定前においても)逆転している。その点に気づかず に論点として上げなかったことは申し訳ないと思っている。   ○三浦委員  今まで使っていたものが4月以降は後発医薬品ではあるものの、診療報酬上の後発医薬品のリスト から除外することだと理解はするが、診療報酬における後発医薬品とそうではない後発医薬品とはど のような違いであるのか、我々としてはどのように考えればよいのか。また、今までは後発医薬品で あったものが、改定によって先発医薬品のほうが安くなるために、診療報酬上の後発医薬品としてカ ウントしなくなるようなことが今後も有りうるのか教えていただきたい。   ○遠藤会長  重要な観点である。   ○薬剤管理官  今のご指摘はおっしゃるとおりだと私も思っているが、診療報酬上の後発医薬品のリストは、名称 の問題もあろうかと思うが、実際に診療報酬を算定する上で、どの後発医薬品を使った場合に診療報 酬上の評価の対象にするかを特定するために記載しており、評価の対象のリストとご理解いただけれ ばと思う。名称が診療報酬上の後発医薬品となっているのでそのようなご意見を生んでしまうことは 申し訳ないと思っているが、どれが診療報酬上の対象となるか特定をしなければ実際の算定上困る。 診療報酬上の後発医薬品のリストから除外しても、あくまで後発医薬品であると理解しているが、先 発品と価格が逆転したものについては診療報酬上の評価から除外したほうが理解しやすいのではない かということでこのような対応にさせていただいている。なお、薬価の扱いについても三浦委員が言 われた部分は理解できるので、今回の改定以降、先発品と価格が逆転しているような後発医薬品の薬 価のあり方をどうしていくのかについては議論を進めるべきと思っている。   ○三浦委員  関連であるが、例えば患者さんに後発医薬品を勧めるときに後発医薬品のほうが価格は高いといっ た説明は現場ではないと思っている。また、さらに点数を高くするために2点の加算を取るといった 考え方は現場ではないと思っている。今までは後発医薬品を患者に勧めるインセンティブがあったた めにやってきたが、今の現場サイドでは今回このような見直しで数量ベースになるということで一所 懸命にやっている。  各論になるが、同じ段落に次の医薬品としてバルプロ酸ナトリウム、塩酸アンブロキソール等、8 品目の記載があるが、その後に“等”と書かれている。等ということには、その他に品目があるとい う意味か。   ○薬剤管理官  薬価改定の作業は大分進んでいるが、事務局としてはほぼこの8成分で終わると思っている。ただ し、告示まではどうなるか分からない部分も残っているので等と記載している。また当然、どの成分 が該当するかについては例示する必要があるので成分名を記載しているものである。もう一点、これ らの逆転している後発医薬品のシェアは極めて小さく後発医薬品全体の中で1%未満であるので、全 体的な影響から見るとかなり小さいと思っている。   ○三浦委員  話の内容は概ね理解したが、例えばバルプロ酸ナトリウムについては細粒と錠剤とシロップ剤があ り、規格も20%、40%や100mg、200mgといったものがあり、これら全ての規格が除外の対 象となるのか。また、例えば塩酸アンブロキソールについても先発品よりも高い後発医薬品がどれく らいあるのか。先発品よりも価格が低いほうに切り替えるのは良いのか。8成分で実際に除外するもの は何品目あるのか。教えていただきたい。   ○薬剤管理官  今の段階で申し上げると、8成分について、成分ごとに先発品よりも高い後発医薬品は、マルトー ス加乳酸リンゲルが2銘柄、その他の7成分については1銘柄ずつである。事務局としてはあくまで 先発品より高い後発医薬品に対する取り扱いとしており、安いものは従来どおりの扱いである。   ○三浦委員  規格が重要だと考えているので、100mgと200mgがあって200mgだけが先発品よりも高く、 100mgは高くないというようなことを、できれば早い時点で規格も含めて提示していただかないと 現場は大変混乱すると思う。さらに、加算のベースが改定の都度、変更されることも混乱を来たす。 全体からするとほんの僅かと言われたが、一々外したり加えたりする作業が発生するので、早く具体 的に示していただきたい。   ○遠藤会長  要するに、事務局提案は細部がきっちりしていないということで、もし22年度改定で導入すると いうのであれば、細部をしっかりしてからにして欲しいし、あるいは取り敢えずは今回導入せずに2 2年度以降しっかりと議論していくということにしてはどうかというご意見と理解した。事務局に聞 きたいが、今回の改定でやるということであれば、三浦委員がご指摘のように細部についてもある程 度検討しなければならない。それは可能か。   ○薬剤管理官  残っている問題は通知にどれくらい書き込むかのレベルだと思っているが、最終的にどの品目が該 当するかについては薬価告示の際に明示させていただく。その他残っているのは、経過措置期間をど の程度おくのかについてであるが、どの程度薬局の対応が可能であるのか、話しを聞いて決めたいと 思っている。   ○三浦委員  今まで我々は後発医薬品の使用を促進するために一所懸命やってきたが、価格が先発品と逆転する 品目があるというのを今回突然出された。改定前の1月〜3月は関係ないとは書いてあるが、後発医 薬品そのものについて薬価も含めて考え方を整理していただいて、患者も含めて再度しっかりとお知 らせしていただきたいというのが一点。今後の後発医薬品の使用促進に当たってネックになっては困 るので、検討していただきたい。  二点目は、もし、「また、・・・」から下の部分について遠藤会長が言われたように間に合わないの であれば、次の改定時に導入ということであっても、私どもとしては良いと思っている。そうでない 場合においても、ベースについての考え方は今まで通りとして、先発品よりも高い後発医薬品に切り 替えるということを前提にはしていないということであれば、それはそれで良いと思っている。   ○遠藤会長   ご意見承っておく。   ○西澤委員(診療側・全日病)  三浦委員と同じ意見であるが、この問題は病院にも関係するのでお聞きしたい。今回の後発医薬品 の使用促進という大項目の“後発医薬品”というのも診療報酬上の後発医薬品ということか。   ○薬剤管理官  そういう理解でよろしいかと思う。   ○西澤委員  そうであるなら例えば、10pの(3)のイで「先発医薬品又は後発医薬品の一部・・・」とある が、今回の先発医薬品よりも高い後発医薬品はどこに分類されるのか。   ○薬剤管理官  薬価は逆転しているが後発医薬品であることに間違いはないので、その部分の後発医薬品に当たる と思う。例えば、先発医薬品から高い後発医薬品に変更調剤されるということはさすがに現場ではな いと思うが、そのような懸念があれば、当然、留意事項通知に明確に記載して、そのようなことがな いようにさせていただきたいと思う。   ○西澤委員  今の説明だと、定義が二つあるので全ての後発医薬品に関する記載部分に二つ記載していただかな いと現場は混乱すると思う。例えば、11pにある医療機関における入院基本料への加算のところに ついて、この部分の20%以上の項目の中の後発医薬品に、これは該当するのかといったことなど、 全てのところが混乱するので、明確にわかるようにしていただきたい。そういう意味ではこの点は大 きな問題だと思うので、三浦委員が言われたように整理をお願いしたい。  実は私のところに協会けんぽからの案内が来てジェネリック希望カードが送られてきたが、その中 の後発医薬品の定義として、効果・安全性は厚生労働省から先発医薬品と同じであると許可を得たこ とと、しかも安価な薬であると定義している。定義は重要であるので、二つの定義ができてどちらで あるのか、一々迷うことのないようにしていただきたい。基本的には先発医薬品よりも高くなったと いうことが問題なのであって、それを解決すれば全て収まると思うので、そこを含めてよろしくお願 いしたい。   ○遠藤会長  確認すると、事務局案では先発品よりも高い後発医薬品は銘柄としても除外する事を公表するとい うことなので、そういうことでは先発品よりも高い後発医薬品は淘汰されていくことになると理解し たが、よろしいか。   ○薬剤管理官  現状の後発医薬品は6,000〜7,000品目あると思うが、今回、問題になっているのはせい ぜい10品目程度であって、数量シェアも確認したが、全体の後発医薬品の0.51%であった。そ ういうことで極めて限られた部分ではあるが、そういったものの取り扱いをどうするか、特に国民・ 患者に分かりやすい政策をするためにどうしたらよいのかという部分で、この点についての提案をさ せていただいた。事務局としては、短冊の中で、この後発医薬品は何を指しているのかということを 明確にさせていただいたものを出し直しして、さらに価格が逆転したものをどう扱うかについて短冊 に全て明示して出し直してご確認いただくというのは作業としては可能である。   ○遠藤会長  後発医薬品の銘柄名が出てくるということか。   ○薬剤管理官  銘柄名というよりは、今の8p以降の短冊で後発医薬品と記載されている部分の全てに“注”なり付 記をして、どちらを指しているのかがわかるようにすることは可能である。   ○三浦委員  現場としてはどれが加算対象からの除外に該当するのかを知りたい。今直ぐにでも後発医薬品を勧 める際に、勧めたにも拘らず4月から高い薬価になったということであっては困るので、できるだけ 早く規格単位を含めた情報を提示していただきたい。   ○遠藤会長  銘柄別に出して欲しいということである。   ○薬剤管理官  薬価を見ればどれが先発医薬品よりも高い後発医薬品であるのかわかるので、敢えて高い後発医薬 品を患者に勧めるということが本当にあるのか。そのようなことがあるとすれば、薬局のあり様とし てとしていかがなものか。そこは疑問である。   ○三浦委員  バルプロ酸ナトリウムについて現行の細粒20%1gの薬価は、後発医薬品が17.80円、先発 医薬品が19.60円であるが、それがひょっとしたら逆転するかもしれないということがあるとい うことと、一方で細粒の後発医薬品には13.30円の品目もある。このような場合はどう理解すれ ば良いのか。   ○薬剤管理官  薬価は1回の改定でそんなに大きく変わるものではない。今回、先発医薬品については22%の追 加引き下げの影響が若干あるが最初に申し上げたように現行でも薬価が逆転しているものが問題なの であって、それらは今回の改定でも同じように逆転しているということであるので、こちらからのお 願いとしては、そういったものはさすがに患者にお勧めしないような形で考えていただけないかと申 し上げている。   ○嘉山委員  会長は調停役ということで取り纏めされないので、私が纏めさせていただく。今の話しを聞いてい ると、現場はリストがないと困るということである。診療報酬から除外するということはもろにお金 に関係することであるので、そのリストを薬局に配れば済むことではないか。ただし、そこには構造 的な大きな問題点がある。私は後発医薬品は先発医薬品よりも安いものだと思っていた。国民もそう 思っていると思う。公共広告機構かどこかでも宣伝している。しかしながら、これは構造的な奇形シ ステムである。なぜかといえば、先発医薬品は全て薬価がコントロールされていて、何年か経つと価 格が下がるということが決まっているが、今分かったが、後発医薬品に関しては野放しである。他は 公定価格であるのに、後発医薬品は公定価格ではないからこのようなとんでもないことが起きるので はないか。これはあなた方が作ったシステムのエラーである。   ○遠藤会長  上市後の薬価算定の方法についてと、何故このような逆転現象が一部の銘柄といえども起きたかと いうことについての説明をしていただきたい。   ○薬剤管理官  改定薬価の決め方の基本は先発医薬も後発医薬品も同じである。市場実勢価格を調べて、それに基 づいて公定価格を決めている。その上で逆転現象が何故生じたのかについてであるが、現在、初めて 後発医薬品が薬価収載される場合には先発医薬品の0.7掛けで薬価を決めており、実情を見ると後 発医薬品メーカーのほうが安く販売するケースが多いために、価格差が開いていく傾向にある。今回 のケースについては、過去に遡ると、後発医薬品の薬価を先発医薬品と同じ価格設定をしていた時期 があり、それから先発医薬品の0.9掛け、0.8掛け、0.7掛けと変わってきた歴史がある。そ の中で過去には後発医薬品でもいわゆる大手の製薬メーカーが扱っているものがあり、その場合に販 売方法も先発医薬品と同じような形になると、結果的に先発医薬品と後発医薬品の薬価が拮抗するよ うな形で、若干後発医薬品が高めのケースが幾つかあるという状況である。そういったことから逆転 現象が起こっている。改定薬価の決め方は基本的には先発医薬品も後発医薬品も同じであるが、強い て挙げれば、これまで後発医薬品のある先発医薬品の薬価が高いのではないかといった議論があって、 先発医薬品について追加の引き下げを行ってきた経緯がある。そのような状況である。   ○嘉山委員  小学生でも分かる論理であるが、政府目標と書いてあるということは、1号側委員の方々もなるべ き医療費を下げて国民負担を軽くしたいというのは当然だと思う。今の薬価の決め方は市場に任せる ということであるが、何故同じ会社が後発医薬品まで作るのか。今説明があったように同じ会社が作 て、同じ宣伝費がかかれば先発品と同じことになる。それは少しおかしいのではないか。やはり後発 医薬品の薬価の決め方を最初から間違っていたのではないか。   ○遠藤会長  事務局の話では、今は初収載時には0.7掛けで算定しており、上市後は傾向として後発医薬品の ほうが投売りといっては申し訳ないが、価格の下落率か高いという傾向があったので、それなりに先 発医薬品よりも低い価格で後発医薬品の価格が推移してきたことが一般的であったった。しかしなが ら、極めて例外的なケースがあるということである。これについては逆転している銘柄名を通知して しまえば誰も買わなくなるので、あっという間に市場から無くなるのではないか。そのように市場メ カニズムが働くことになると思うが。   ○安達委員  今の説明は納得しがたい。後発医薬品は先発医薬品の0.7掛けで収載するという話であったが、 先発品は1品目であるのに対して、後発医薬品は前にも申し上げたように、例えばアムロジピンに関 して言えば、20種類以上ある。後発医薬品間で価格に10倍くらいの差がある。このことを今の後 発品の初期値の0.7掛けでどのように説明されるのか。前回の質問に対しては、それぞれの販売会 社の営業戦略・方針に因るとの説明であった。初期値の0.7掛けではこの違いを説明できないので はないか。   ○遠藤会長  基本的に全ての後発医薬品は同一成分であれば初めて収載されるときには先発医薬品の0.7掛け で各銘柄は同じ薬価である。そこから先は様々な市場の実勢に応じて下がりが早いものとそうでない ものがあって、それは各メーカーの置かれている競争環境であるのか、経営戦略といったことで格差 が出てくるものと私は理解している。薬剤管理官いかがか。   ○薬剤管理官  会長の言われたとおりである。嘉山委員に対して若干私の説明が悪かったかと思うが、先発メーカ ーで後発医薬品を扱っているケースについては、当該成分に関して同じメーカーが先発も後発も扱っ ているのではなく、先発品とは異なる先発メーカーが後発品を扱っているということである。そのよ うな場合に、先発メーカーの売り方と後発メーカーも売り方が異なるために、価格差が生じていると 申し上げたかった。   ○遠藤会長  先発品と後発医薬品の価格差については、ずっと議論になっている問題であるので、22年度改定 以降、議論していくべき事項であると思う。取り敢えず、事務局原案の中に入っていることへの対応 ということで、議論を絞らせていただきたい。ほとんど議論は終わったのではないかと思うが、他に ご意見はあるか。   ○安達委員  三浦委員が発言されないので問題がないのかと思っていたが、私が気になる点は、改定薬価が告示 されて現状の後発医薬品のほうが高いということがあれば、診療所・病院が採用している場合も、調 剤薬局が採用している場合も、先発医薬品のほうが安いので患者に勧める理由が無くなってしまう。 そうなると、加算のカウントもされないし、患者さんにも使われない。しかしながら改定前は先発品 よりも安かったために買い込んである在庫はどのように処理するのか。例えば返品を可能にするのか、 さらに後発医薬品が先発医薬品よりも下がるまで待てというのか、処理については何も触れられてい ないがいかがか。   ○遠藤会長  ありうる話である。   ○薬剤管理官  私どもが申し上げていることは、あくまで保険上使えないということではないので、後発医薬品に 各種ついている加算の部分が、当該後発医薬品を使う場合に算定できないようにさせていただけない かと申し上げているだけである。あくまで保険診療上は当然使えるので、今までインセンティブがあ って使いやすかったことからすれば少し使用が減るかもしれないが、おっしゃるような心配はあまり 無いのではないかと思う。   ○安達委員  保険上使えると言われたが、先発医薬品よりも高いのであれば使えないではないかと私は申し上げ ている。   ○遠藤会長  保険上使えたとしても、実際に患者に勧めることができないということかと思う。そういうことで 在庫はどうするかということであるが、それは経過措置をどうするのかという問題にも絡むのではな いかと思う。おそらく金額的には大したことは無い話だと思うし、ほんの一部の薬局、病院に関係す る話であるとは思うが、反面で奥の深い話ではある。突然出てきたために色々な意見が出てきている と思う。   ○北村委員  若干、混乱をさせるかもしれないが、商品の需給バランスから考えると、高い価格が存在し得るの は供給側も需要側も納得しているからであり、その市場実勢価格がでてきているのである。後発品が 先発品より必ず安くなければならないと言うから問題が起きてくる。従って診療報酬における後発医 薬品のリストから外すことをやめればなんら問題はない。需要と供給双方が納得した市場実勢価格の 結果ではないのか。 ○遠藤会長  当然、そのような意見もあろう。従って、この事務局提案は必要ない。従来どおりに行えば良いと う一方の意見である。 ○安達委員  基本的に北村委員が言うことについては理解した。しかし、価格を公定価格で決定しておいて、先 発品はある時ストンと下げて逆転現象が起きるということは、需給関係以外のファクターがそこに入 ったことであり、そのルールができた後に需給関係がまた構成され、高くなっている後発品の価格が 下がっていくであろうという意味では北村委員の言うとおりである。しかし、価格の変化は需給関係 だけで決めるのではなくて、先発品の価格はルールで変えるのであるから、そこにできる狭間がある と言っている。後発品が先発品よりも必ずしも安くなくても良いではないかとの意見には賛同しかね る。つまり、後発品が先発品よりも優れた機能をもっていることは今までに証明されていない訳であ る。機能が同等かについては議論であり、同等なるものが安いから後発品の推奨が行われている。   ○北村委員  先発品が下がってきて、後発品が上がって薬価が逆転したのは、市場の供給と需要の関係で後発品 の価格が上がっていったからではないか。 ○安達委員  後発品に対する需要は先発品より安いから以外に需要の理由はない。後発品の中で先発品より機能 の優れたものがあれば、北村委員の言うとおりである。値段の逆転もあり得るだろう。しかし、現状 では先発品より後発品の方が安いという唯一の需要理由なので、この逆点現象が起こることはおかし い。 ○北村委員  世の中の事実が全てこのようになるとは決して言っていない。 ○嘉山委員  薬価について詳しくないが、本当に薬価は需給によって決まるのか。公定で決まっているのではな いか。 ○遠藤会長  公定ではあるが、公定価格を決める前に実際に市場実績価格を調査して、実勢価格をベースに公定 価格を決めている。 ○嘉山委員  価格の操作ができるのではないか。需要は別にしても供給についてはコントロールできるのではな いか。 ○遠藤会長  販売についてはメーカーが直接できずに卸が行うとかいろいろと規制がある。 ○嘉山委員  医療機関では、例えば私が週1回しか手術しないとか医療行為を制限することはできないが、薬の 場合はできるのか。 ○遠藤会長  競争も激しい中で、販売戦略上、供給を抑えるようなことはできないと思うが。  これについては、非常に重要な話であるので薬価専門部会にて行ってはどうか。薬価専門部会のな かでは取引形態についての議論があって、総価取引は全てをまとめて取引を行い、何パーセント引き 下げるといった買い方をしているため、個々の薬剤の価値が引き下げ率に反映されない、良い薬剤も 引き下げられてしまうといった問題を議論しており、議論は継続中である。そのような議論の際に話 をしてほしい。  また、いろいろな意見がでているので事務局に一度差し戻すので、もう一度、案を出してもらうこ ととしたい。 ○鈴木委員  10pの処方医に改めて確認することなく、類似した別剤形の後発品の調剤を認める事例として、 当初の議論では、内服薬の錠剤をカプセル剤にする程度あったはずが、かなり幅広い別剤形の例が記 載されており、内服薬はある程度理解はできるものの、外用薬のアの軟膏、クリーム、ローションな どは医師、患者側からも違うという認識をもっているし、特に皮膚科の先生方は拘るところであるこ とから、どれでも良いと言うことはかなり荒っぽい議論であり、日本のきめ細かい医療を損なう恐れ があり、慎重にすすめるべきと考えるが事務局はどのように考えているのか。 ○薬剤管理官  鈴木委員の言うとおり、基材特性をどのように考えるかだと思うが、これを認めるのであれば、留 意事項通知で変更するとしても基材の特性を十分考慮して適切に対応するような内容をかなり細かく 記載して周知することでいかがと思っている。決してどれでも良いといった荒っぽいことを考えてい るわけではない。 ○鈴木委員  このあたりは患者の評価にも関わるところであり、医師も慎重にならざるを得ない。慎重にするあ まりに、剤形変更不可の前に後発品への変更不可に署名をしなければならず、結果的に後発品への使 用促進が阻害されかねないと思うので、これについては問題であり、留意事項だけで片付けるのもい かがかと思う。 ○薬剤管理官  これについては、医師と薬剤師間の話であることから、三浦委員の意見も伺っていただければ思う が、もともと骨子では内服薬を事例として記載していたことは事実である。事務局的には、薬局で取 り扱うものとして内服薬もあれば外用薬もあるので、外用薬であればこのようになると提出させてい ただいた。やはり、軟膏、クリーム、ローションの部分については難しいということであれば、外用 薬のアについては削除することも含めて検討できると考える。但し、医師と薬剤師の話であるので、 ここも含めての話であると思う。 ○三浦委員  軟膏をパウダーに変更するということは薬剤師でなくてもわかることと思うが、これは、先発医薬 品から後発医薬品に変更するという条件があることと、変更する際には患者ときちんと話をすること、 場合によってはドクターと話をして了解得られることもあると思うので、その守備範囲の中で可能で はないかと我々は考える。鈴木委員が言うように現場で勝手に変えるようなことはないと認識してい る。 ○遠藤会長  そのような意見があったということを事務局として踏まえてほしい。 ○邉見委員  鈴木委員と同じ意見である。私は外科であるが、シップ薬を出しますといって、パウダーやらゼリ ーになったら、患者さんはびっくりすると思う。また、疑義解釈というのがあって、院外処方が発達 した現在では、調剤薬局からたくさん問い合わせがあり、勤務医の負担軽減の観点からも外用薬のア は削除していただきたい。 ○鈴木委員  アに関して削除する意見であるが、外用薬のイに関しても喘息の患者さんが使い慣れた薬剤の剤形 が変わることの不安による発作を助長するようなことも考えられる。また、ウに関してもパップ剤な どは個人差があり医師側も慎重に丁寧に患者の話を聞きながら調整している。このまま認めると荒っ ぽい配給制の医療になるのではと懸念する。国民のニーズから考えても外用薬に関しては見送ったほ うが良いのではないかと考える。 ○渡辺委員  歯科で外用薬を使用するケースは稀であるが、口腔内軟膏はまさに口腔専用でないとくっつきが悪 い、すぐに流れてしまうなど同一成分だからといって使えるものではないと思う。 ○遠藤会長  繰り返しになるが、このような意見を踏まえて、事務局にて一度練り直していただきたい。 ○小林委員  後発医薬品調剤体制加算について、数量ベースに変更したこと、数量に応じて段階的に評価するこ と、25%以上、30%以上を重点的に評価すること、これらについては結構なことと思う。一方で、 協会けんぽは後発品に変更した場合に自己負担軽減通知を全国支部で展開しており、体制加算見直し によって加算点数があまりにも高くなると患者が後発品を選択するインセンティブが薄まる恐れもあ るのでバランスのとれた点数設定をお願いしたい。 ○遠藤会長  点数設定上の配慮ということで、そもそも安いことが売りなのに、その売りをなくしてはいけない との意見である。 ○安達委員  9pの下段、含量規格が異なる後発医薬品の調剤を認めるの(注2)についてであるが、一般的に 10mg1錠は5mg2錠より薬価は安い設定になっていると思う。一方、(1)変更調剤後の薬剤料が 変更前と同額又はそれ以下が条件と記載されている。という事は、先発品10mg1錠と書かれてい れば後発品5mg2錠は該当する。では、後発品10mg1錠と書かれていて後発品5mg2錠は高 くなるので該当しないのか。或いは、後発品A10mg1錠と書かれていて薬局には後発品B5mgし かない場合、2錠で安ければ良いのか。いろいろな条件を考えることが可能であり訳がわからない。 そもそもの目的が薬局の在庫管理の負担を軽減することされているので、少し整理して記載していた だきたい。 ○薬剤管理官  安達委員が言うようにあらゆるケースを想定し、結果的に整理して記載するとこのようになった。 先発品でも後発品でも処方せんに書かれたものよりも高くなることはあってはならないことなので、 結果的に「同額又はそれ以下」と整理した。 ○安達委員  一つだけ言うならば、先発品10mg1錠と書かれていて、薬局に後発品10mgと5mgの両方 があった場合、後発品10mg1錠に変更することは今までも可能であったが、後発品5mg2錠に 変更すると後発品10mg1錠より高くなる。後発品を使用することが医療費の削減であり薬剤費の 削減に繋がるというのであれば、安易にこのような記載をするべきでないと意見を付け加える。 ○遠藤会長  調剤については一部意見があり練り直すこととするが、概ね了解が得られたと理解する。 引き続きよろしくお願いしたい。総−3について議題とする。前回、説明をしていただいたので直接 議論を行いたい。1p〜11pまで何かあるか。   ○安達委員  精神病協会からご意見をいただいている内容を申し上げる。まず、入院基本料13:1である。身 体合併症がある患者の治療が困難であることが現実にはあって、総合的な病院でないとできないとし て新設された項目である。算定要件で重症者の割合が4割以上であると記載があるが、そのパーセン テージを上げないと実態に則した稼働が出来ないという意見が1つ。もう一つは身体合併症の合併症 が治癒された場合には、精神科に戻さないと病床がいっぱいになり稼働しにくく、ある程度は平均在 院日数的な条件を付け加えた方が良いのではないか。以上、2点を申し上げる。   ○鈴木委員  精神患者会から伺った内容を申し上げる。入院基本料13:1については安達委員が仰ったと通り で、重症患者の割合を増やしていただきたい。また、平均在院日数の縛りもつけるべきである。また、 慢性期の精神入院医療に係る評価については、5p文中の「統合失調症患者に対して投与する抗精神 薬の種類を・・・」とあるが、「・・非定型向精神薬・・」の間違いではないかとの指摘があった。現 在多くの抗精神薬を使っていることについて外国現状と異なるのではないかという議論があった。こ れを国際的な数に合わせるという意見もあったが、これは諸外国では私的な保険を使っている背景が あるため、服用する薬の種類が少なくなっている。公的保険である我が国では医師の裁量権を侵害す る恐れにもなりかねない。  また、特定入院料である非定型抗精神薬の薬価が高く経営的にはマイナスであり受け入れられない。 非型形抗精神病薬加算の2は引き下げず、新設を上げる対応を期待する。精神療養病棟入院料への重 症度の評価については、精神科も慢性期治療も重要なので評価をしていただきたい。GAFスコアー の導入には重症者の評価というエビデンスはないので、試行的の導入に留めるべきである。  最後に、10pの精神科ディ・ケアの見直しについては「1年以内」の縛りがついているのはどうし てか。入退院を繰り返した場合に最初の入院から通算ではなく、再度入院した場合はその退院日から 起算日とすべきであると考えるが、事務局の見解を伺いたい。   ○安達委員  投薬の種類数については医師の裁量権で判断されるものと考えるが、このような形で出てきたのは 何か経緯があるのか。   ○医療課長  資料6の非定型抗精神病薬は抗精神病薬全部なのか、非定型抗精神病薬だけなのかについては、す べての抗精神病薬を示している。  また、非定型抗精神病薬の1と2の加算については1は上げる方向で考えている。2の点数は従来 通りで考えている。  6pのGAFスコアーについては試行的とは明確には書かないが、これまで検証部会等で議論をし ているので概ね試行的と捉えていただいても結構である。  10p精神科ディ・ケアの見直しについては「1年以内」の縛りについては、メリハリを付けたとい うことである。基本的に点数は現状維持か上げて行く方向であり、その上でさらに1年以内に行われ るものについては加算をするというものである。起算日については再入院した場合は退院日から起算 することになると考えている。  「抗精神病薬の種類」については基本小委員会の議論もあったが、平成16年にとりまとめられた 精神保健医療福祉の改革ビジョンとこれを受けた平成21年の今後の精神医療福祉のあり方等に関す る検討会の中で抗精神病薬の多剤大量投与の改善につい議論され、今般このような形で提案している。   ○勝村委員  6pのところで抗精神病薬の配合剤はあるのか。 ○薬剤管理官 統合失調症の薬剤は手元に資料は無いが、配合剤はないと思う。確認する。   ○遠藤会長  先程の鈴木委員、安達委員の質問に関して何かあるか。   ○医療課長  GAFスコアーは新しい導入である。この基準があまりにも厳しすぎるのであれば検討の余地はあ る。また、平均在院在院日数も必要であるなら考える。   ○遠藤会長  新しいことについては、みなさんにお諮りして検証の対象にし、次年度以降どうするかこれまで検 証部会で決めてきた。精神医療ではこれまで検証してないので皆さんにご検討していただきたい。   ○安達委員  目的をもっての新設であるので、検証の対象にすべきである。   ○遠藤会長 精神医療について他にあるか。なければ概ね了承をえられたものとする。  続いて12pの医療安全対策の推進から31pのケアマネージャーとの連携の評価についてについ てご審議いただく。事務局説明をお願いする。   ○医療課長  (資料−3 12p医療安全対策の推進〜31pケアマネージャーとの連携の評価について資料に 沿って説明)   ○遠藤会長  先ずは12p医療安全対策の推進〜19p医療療養病棟の評価についてご意見、ご質問をいただきた い。   ○鈴木委員  18pの医療療養病棟であるが、現行の区分を1(施設基準20対1)と2(施設基準25対1) に分け、各々9区分で設定されるが、どの様な区分で引き下げを考えているのか。   ○医療課長  医療区分3は基本的には評価を引き上げる。医療区分1は基本的には現行を維持する考えでいる。 しかし、医療区分およびADL区分が低いところは多少は適正化を考えている。   ○鈴木委員  医療区分2または3の患者が8割以上いて、25対1から20対1に看護師を増やして対応すれば 下がることはなく上がると考えればよいか。   ○医療課長  その通りである。   ○嘉山委員  一号側の皆さんにご理解をいただきたいが、医療安全については実施するのが当たりまえであり、 診療報酬点数を付けるのは反対である。しかし、医師不足、看護師不足のなかで専属で行っている。 欧米の60%の人数しかいない状態なので、診療報酬点数を付けることにご理解をいただきたい。  検体検査の充実については迅速で5件までとなっているが、病理医がすくないのでITを活用し診 断をおこなってもらった場合は算定できるのか。   ○医療課長  医療安全についてはご意見であったが、折角なので丁寧に説明する。現行の医療安全対策の加算の 中では要件として看護師、薬剤師、その他の医療有資格者が専従となっている。今般の医療安全対策 加算の2の方は専任になっており、点数は下がるものの緩やかな設定になっている。嘉山委員が仰っ た方向を念頭に入れながら対応をした形になっている。  次に検査の遠隔についてはあまり議論しなかったが、前の改定の時期も含めて遠隔については基本 的な整理は相互の契約や相談によって取り分を決めることになっている。遠隔であろうとなかろうと 点数は同じであり、その中で依頼をした方と依頼をされた側で話しあい、お金のやり取りをしていた だくというような議論がされたと承知している。   ○嘉山委員  医療安全だが、専任にして要件の緩和をする方向性はいいが、医療安全の質が低下することにつな がらないか心配である。リスクマネージャの役割は1.心のケア、2.現場の保全と3.最速の治療 をする、この3つである。専従でないと医療安全の質が低下するのではないか。   ○医療課長  仰るとおりで懸念されることであるが、専従から専任にはするが要件に関しては現行の通りである。 研修や質を担保していただきたい。   ○嘉山委員  医療安全に関しては国民が一番関心を持っているので、実施しているところとそうでないところと では差をつけていただきたい。  遠隔については設備にお金がかかる。WHOが病理の分類を毎年改定しており、私もついていけな い。分類が細分化されておりついていけない。また、その分類によって治療法がことなる。病理医も 少ないので日本においてはITを有効に使うことが重要である。インフラの整備も考えていただきた い。   ○遠藤会長  今後の課題として受け止めていいか。   ○嘉山委員  いろんな方法があると思う。   ○遠藤会長  仰ることはよく分かる。今後、遠隔診断の体制整備の必要性を訴える意見であったと理解した。次 年度以降の議論だと考える。この点についてどの様な議論になっているかお答え願いたい。   ○医療課長  2年半前に経産省・総務省が一緒で、遠隔の要素を医療の中にいれていこうという考えがあたった。 今後インフラの整備を応能することで話しがすすんでおり、今後診療報酬上の評価をどうするかとい うことになった。当時の中医協なり医療課の判断は遠隔にした方が通常のやり方よりもレベルが高く なるとか、質が向上する等がある場合はうわのせしようということであった。しかし、そのような事 実や事例が見あたらなかったので、フェイスtoフェイスで実施している状況と同等であったので、 現状の診療報酬の範囲内ということになった。  コストの判断まではいかなかったが、当時の医療課の判断では遠隔で実施した方がランニングコス トだけを考えた場合には、安価で済むと判断をしていたように記憶している。   ○嘉山委員  これは値段ではなく、お金ではなく、現場の問題である。会長が仰ったように病理医が不足してい るので、別枠で考えなければならない。   ○遠藤会長  旭川医大では実際に行っているので、これらを参考にしながら中医協で対応出来るかの議論になる。   ○北村専門委員  14p医療機器の安全の評価であるが、今までの評価の枠を超えるのか伺いたい。   ○医療課長  現状維持で考えている。   ○西澤委員  医療安全は嘉山委員の仰る通りで、今までのことが後退することがあってはならない。規模が小さ い病院では専任で対応しているところが多く、ここを評価していただいたことは良かったと考えてい る。質を担保される要件が細かく定められているので、しっかり取り組んで参りたい。将来的には中 小病院も専従がおける体制をとらなければならない。それなりの点数の設定をお願いする。   ○勝村委員  現在、医療安全対策加算1を取っているところが、改定以降に2を算定することにならないか。そ ういう懸念はないのか。 ○西澤委員  現在、医療安全対策加算1を取得しているところが2を取ることはありえない。 ○嘉山委員  17pの安全な麻酔管理体制の評価であるが、麻酔科はユニオンをつくっているところもあり、同 じ業務を行っていながら、収入が違うといった現実がある。このような点数を付けても根本的な処遇 改善にはつながらない。ユニオンから派遣された医師の年収は2から3倍である。この処遇改善につ いてどうにかならないか。   ○遠藤会長  Dr.フィーを念頭に置いた発言かとおもうが。麻酔医の処遇改善に直結するような何にがしかの仕 組みは考えられないか。事務局、何か考えはあるか。   ○医療課長  基本小委の中で突っ込んだ議論がなく、こちらから発言し難かったが、麻酔医の問題は、常勤の麻 酔医と非常勤の麻酔医(外部から麻酔をかけにくる場合)のグループがあって、その収入に差がある と仰ったと思う。これが一部の地域では社会問題になっているところもあった。  これを診療報酬でどうするかについては今日、この時点でどうするかは難しく、技術そのものが同 じであれば報酬については基本は同一である。その上で17pをみていただくと、「5名以上」と記載 があるがその前に「常勤」と明確に付けている。また、約束はできないが勤務医の処遇改善に対し何 らかの考慮の余地はあるかも知れない。 ○嘉山委員  17pの安全な麻酔管理体制の評価の算定要件の中に、麻酔科医の処遇改善に繋がるような項目を 入れることは可能か。 ○医療課長  先程言いかけたが、入院時医学管理加算とかハイリスク分娩管理加算の時のように要件の一つに入 れるかどうかということだろうと思う。嘉山委員が言われたような形で文章を整理するかどうかはと もかくとして、他との並びも見たときにできるかどうか急いで検討したい。   ○遠藤会長  そういう検討をしていただくということで整理していただきたい。   ○邉見委員  私も麻酔医であるので一言言わせていただく。麻酔管理体制加算が評価されることは良い。5人以 上ということもまあまあだとは思うが、目的は良くても混乱するということは、7:1看護と同じよ うに3人、4人のところを5人にして、今5人以上のところは兵庫医科大学以外に2つか3つしかな い。そういうことが起こる可能性が十分あると思う。悪徳病院長ではなく悪徳ユニオン経営者という のがいて、このような麻酔科医を集めてあっちこっちに派遣している。それも法外といってはいけな いかもしれないが、通常の3倍、4倍をとって本人には1.5倍、2倍くらい渡すということで、自 治体病院などはそのような方に条例でお金は出せないので、大変なことになっている。そういうこと が地域医療の崩壊の一つの原因で、他の方からすればチーム医療というのは空洞化していくわけであ る。ドクターフィーも大事であるが、チーム医療とかホスピタルが立ち行かなくなるようなものには 一定の制限を加えなければならないのではないかと思う。これは自治体病院協議会でも大きな問題と なっている。ここでは無理で医政局マターかと思うが、是非、その辺のところについて、術前回診を 必ず行い、術後何日目かに診るとすればそこにいなくてはいけなくなる。ちょこっと来て麻酔だけ数 名にかけて帰るということで、本当に患者の手術や命を守れるのか。私は大変問題だと思う。   ○遠藤会長  良く分かった。人数を入れるということで、7:1看護と同じような問題も起きかねないが、その 辺についてどう考えるか。関連で嘉山委員。   ○嘉山委員  簡単に言えば、邉見委員の言われたとおりである。だからこそ、邉見委員のようなすばらしい病院 経営者がドクターフィーを常勤医に出せるようにすればユニオンは無くなる。   ○遠藤会長  今のようなお話はなかなか難しい問題であって、体制を整えるということになると人の数を揃えろ ということになり、そうするとどこかに集中する問題が当然出てくるが、そのような懸念も看護のケ ースであったわけであるので、そのあたりを何か防止できるような考え方が盛り込まれるようであれ ば検討していただきたい。邉見委員、もう少し具体的なお考えはお持ちか。   ○邉見委員  術前24時間は居るとか術後24時間は居るなどの半常勤的な条件でなければ、麻酔の時だけそこ に居るというのでは本当に管理したということにならない。病院の中であればチームとして他に管理 することができるが、外から来る人の場合には何かないといけないのではないか。 ○遠藤会長  なかなか難しい課題ではあるが、何か事務局コメントあるか。 ○医療課長  何度も申し上げているように、この麻酔管理料(II)とは常勤の話である。邉見委員が仰られた常 勤というのは普通の病院ではないと思う。広い意味では常勤とは言えないのではないか。 ○遠藤会長  私は、そのような人に対して麻酔料は払うなということを含めて仰っていると理解している。 ○邉見委員  麻酔管理料(II)を算定というより、(I)も含めて麻酔の在り方についてである。行き過ぎるとマ ネーゲームのようになり、日本の医療にとって良くないのではないか。 ○遠藤会長  了解した。ただそれはいろいろ複雑な問題である。医師の働き方に新しいタイプが出現してきて、 それが規制の体系とかみ合っていないという問題があり、それはすぐには議論できない。ただ5名の 常勤について他の施設から引っ張ってくる形となると受給関係に影響があると仰っている。 ○邉見委員  麻酔医、放射線医、病理医が少ないのが日本の病院医療の一番のアキレス腱である。 ○遠藤会長  そういう懸念があるというご意見であるので、そのような懸念を抑制できるような手当てが考えら れるのであれば検討していただきたい。場合によっては検証の対象としてもいいかもしれない。 ○坂本専門委員  15pの看護必要度の評価が10対1の病院に入ることについてである。現場より評価の記録業務 が多いという声がある。電子カルテが導入されている病院であればよいが、紙で行っているところは 大変ということである。次の改定にかけてこの必要度の在り方と記録の仕方を含めて精選していただ くことをお願いしたい。 ○遠藤会長  現場からそのような声が出ているということなので、実際のやり方については少し改良の余地があ るのではないかというご意見である。事務局としても対応をよろしくお願いする。 ○勝村委員  麻酔のことも非常に医療安全を考える立場から大事である。麻酔管理料(I)の要件について心配 されていると思う。看護基準は割合であるのに対し、これは人数なので目に見える影響はないかもし れないが、麻酔管理料(I)の要件について考えていただくことが可能であれば、今のご意見を踏ま えて行っていただければと思う。 ○医療課長  お応えというより勝村委員のご質問を少し整理させていただく。邉見委員は麻酔管理料(I)のこ とを仰っているのではなくて、管理料の取れない一般的な麻酔料のことを仰っているのであろう。こ の麻酔料の場合は常勤職員である必要はなく、非常勤であり外からお出でになるということなので、 話が異なっている。何度も申し上げるが、麻酔管理料(II)は常勤なので問題ない。麻酔料について どうするかについては今回の基本小委では議論していなかった。むしろ常勤・非常勤をどうのように 考えるのか、麻酔料だけなのか、それ以外についてはどうなのかなどは別の話であろう。 ○勝村委員  その点は了解した。ただ、そもそもの麻酔料の問題が麻酔管理料(I)や(II)を算定するときの 弊害となっている。つまり外からくるグループであるユニオンの存在のようなものが、常勤医を作り にくくしているということではないのか。そうだとすればいずれそれらの点も含めて議論していく必 要があるのではないかと思う。 ○遠藤会長  これができたことによって、唯一弊害があるとすれば、5名を揃えることにより不足する病院がで てくることなので、検証の対象とするという対応とさせていただきたい。それでは19pまでについ ていろいろなご意見があり、事務局に宿題もあったが、基本的にはその他についてはご了承いただい たとさせていただく。  続いて20p〜30pまで何かあるか。 ○鈴木委員  リハビリについて3点ほど伺いたい。まず21pの運動期リハであるが、日本臨床整形外科学会と いうところから要望が出ているのでお伝えする。2点目は運動期リハ(I)の算定要件が入院中の患 者のみとなっているのはどうしてなのか、外していただきたい。また点数は脳血管リハ(II)と合わ せていただきたい。3点目として、改定後の運動期リハ(II)の点数が下がるのかと心配されており、 上げていただきたいという要望をいただいている。  私からも運動期リハ(I)の患者が入院に限ることになったのはどうしてかを質問したい。あと回 復期リハに関しては、私どもの現場や歯科の先生から聞いているが、現在回復期リハビリ病棟の日常 生活機能評価の名称が非常に現場で紛らわしい。普通はBar- thel Index, FIMを用いているが、これ らは日常生活の技術度をみる評価の方法であるので、これと元々の看護分野の日常生活機能評価の名 称が現場で非常に紛らわしいので、できれば回復期リハ看護必要度の名称に変えていただきたい、と いうご意見をお寄せいただいている。3番目に亜急性期のリハビリテーションであるが、一方では回 復期リハビリテーションにおいて、例えば1日に6単位以上などリハビリの密度が濃くなるとそれに 耐えられない患者が出てくる。亜急性期では、リハビリが必要な患者には、そういった期限が過ぎた 患者とか高機能の回復期リハが適さない患者でもそこでリハビリができるような、すなわちリハビリ から漏れる患者がいないようにする必要がある。そのような配慮がされているのか。 ○医療課長  まず1点目の運動期リハ(I)はなぜ入院患者に限定するのかという質問であるが、結論から申し 上げると、これ以外の他のリハビリとの整合性を取ったためである。例えば脳血管疾患リハビリを考 えてみると、高い点数である脳血管疾患(I)は、入院のかなり早い段階からのリハビリを考えてい る。それとの整合性を考えれば運動器であっても入院患者ではないか、ということである。それから 2点目であるが、基本小委のところでお示ししたが、人員配置の基準その他等を考えると、確か一覧 表を作成しマトリックスにしてお示ししたが、ある程度人員配置などを考慮した点数を設定したいと 思っている。3点目のご懸念については、結論を申し上げるとある程度そのような方向性となるので はないか。この点は、医療経済実態調査やその他種々のデータを比較した上で、リハビリの人員配置 基準が緩やかであるので、他のリハビリ点数との均衡を考慮してそのような点数の提案を行おうとし ているということである。  それから、Bar- thel Index, FIMのようなものに関連して、回復期リハ看護必要度のような名称の提 案であるので改めて検討してみたい。もう一つは、期限が過ぎた患者、おそらく標準日数を超えた患 者のことであろうが、前回の診療報酬改定のときに、標準算定日数を超えた場合であっても医師が回 復の必要があると認めた場合にはリハビリが継続できる。また今日の提示でいえば23pの維持期の リハビリテーションで申し上げたように、医師が標準の算定日数を超えて必ずしも回復の見込みがな く、介護保険に移行して欲しいが、そういう場合でも必ずしも地域に充実していないとかその他患者 が認められる場合には、維持期において13単位までのリハビリの提供ということで、当時は暫定的に 制度を作った。それをさらに延長しようということである。   ○鈴木委員  それはそれでよいが、私が申し上げたのは、回復期の入院においては発症から2カ月以内など制約 がある。それを過ぎた患者でも、亜急性期で漏れなくリハビリが受けられるような配慮が含まれた文 章であるのか確認したい。 ○医療課長  文章の中では記載はないが、実態としては鈴木委員の仰る方向で運用されるよう対応していきたい。 ○安達委員  私は整形外科医ではないが、21pについて鈴木委員は了解されたと仰ったが、私は了解できない。 つまりこういうものを2段階を3段階にして、より高度のものを作る。そういうときに上は必ず高い 点数となるが、あとは点数を下げるという設定をされる。ある程度財政中立的な考え方であるのかと 思うが、やっている医療機関にとっては、その点数で器具の減価償却や人員配置、雇用などを考えて 運用している。それが今のご説明だと、人員配置等の要件からして多少は下げてもいいような条件が あるのではないかといわれた。しかしそれであっても人員配置の要件を変えているわけではない。だ ったら今までの点数は何だったのかということとなり今の説明では理解しにくい。もう一つは、医療 経済実態調査のデータもあると仰った。整形が跳ね上がっていたことを仰っているのであろう。その 点については医療経済実態調査のデータの代表性についての疑問をかねてより指摘している。とくに 個々の診療科については、内科以外はたった二桁の数字である。それだけでも代表性は乏しい。整形 外科のデータをみると、過去は今回よりも低かった。それぞれの総医療収入とそれに要した医療経費 の総収入の割合をみると、高かった今回のほうがそれより低かった前回よりも割合が高く、経費がか かっているのが実態である。それが意味することは、ただ単に利用者の多い医療機関がたくさん選定 されただけではないか。そういうことを背景に、何も人員配置基準を変えないまま、上に高い点数を 作ったからといって点数を下げるという考え方は、私は理解できないということを申し上げる。 ○嘉山委員  今のリハビリに関しては、安達委員の意見に反対である。診療科の偏在をみても明らかにリスクが 非常に少ないほうに流れているのは、経済実態が現れていると思う。リハビリについては手間をかけ ると効果が明らかに違うのはエビデンスとして出ている。やはり例えば日本で最高の初台のリハビリ テーションとそうでないところとでは効果が違う。点数で差をつけるのは当然である。鈴木委員が仰 った、整形外科学会から頼まれたことを評価しないでお話になったと思うが、脳卒中リハと骨折など の運動期リハとは全く違う。業務内容が全然違うのでそれを一緒にすることは無理がある。その2つ に関しては、事務局案が健全である。  但し、がんのリハビリについて、坂本専門委員とこの前同じ意見であった。これもむやみやたらと 20分間マッサージしていれば点数が取れるだけでは困るので、中身を教えてくれと申し上げたが、 これも丁寧な表が提出されている。参考―1−1−の1、がん患者に対するリハビリの特性について の○2に「例:骨転移に伴う神経根症状」とある。この神経根は前根か後根か。細かい指摘ではある が、これによってリハビリの効果は全く違う。もし後根であれば緩和医療に入る。前根であれば手術 しなければ治らない。例としては非常に不適切なので外したほうがよい。 ○遠藤会長  事務局には、もう一度精査していただき、最終的なものにおいては修正するなど対応していただき たい。 ○鈴木委員  脳血管、運動期、心臓など疾患別リハが始まって、整形外科医からみればなぜ脳血管より低いのか などの議論が出てきている。さらにがん患者のリハビリが始まってきている。そうするとこれからい ろんなところの団体から疾患別リハを評価してほしいという声が出てくる可能性がある。お互い専門 が違えばどっちが有効だ、あるいは点数が高い、低いという評価が難しくなってくる。そういう意味 では昔あった総合リハというものをまた復活してほしいという声がある。やはり一人の人が、一つの 疾患別リハだけでは割り切れないこともある。例えばがん患者であっても、今回は急性期リハが認め られるということだが緩和ケアの末期もある。その場合がんでみるのか廃用でみるのかなどいろいろ ある。一度整理して総合リハをもう一度作ることを検討する必要があるのではないか。 ○遠藤会長  これは中医協の議論により細分化されていった経緯がある。これは今後の検討の中で、また再統合 ということを考えたらどうかという提案であった。 ○医療課長  基本小委の中で、ほとんどこれに近いものを整理し提示したつもりでいる。その時には総合リハと いうことは伺っていなかったので、基本小委の議論に乗ったものである。ただ、学会の先生方の一部 でそのような声があることは承知している。会長から上手にコメントいただいたが、次々期改定に向 けて、そういう議論があるのであれば準備したい。 ○遠藤会長  そのような形で対応したいということでよろしいか。 ○鈴木委員  承知した。 ○嘉山委員  今の整形のことであるが、やはりちょっと違うのではないか。私も脳卒中リハの結果をみている。 専門家が脳卒中についてきちんと行ったリハビリの効果と若い頃のリハビリとでは全然違う。そこは ただやっているリハではなく、患者に効果があるリハビリをやるべきである。そう言うと鈴木委員は 田舎では専門のリハがいないと言うが、それでひっくるめてしまうと何時まで経っても30年前の医 療を行うことになってしまう。保険点数で推進する方策をつけないと、患者のためにならない。 ○遠藤会長  来年度以降の議論の中で精力的にやりたい。 ○鈴木委員  嘉山委員は誤解している。私が考えている総合リハは、疾患別リハの上位に位置するレベルの高い リハビリのことである。嘉山委員がお望みのもっと効果があるリハビリを集中してやろうというシス テムを作りたいということである。 ○遠藤会長  その事を議論する時期になったら、積極的な発言をお願いする。 ○安達委員  先程の質問について、事務局の見解をお訊きしたい。今2つあるリハの上に高い点数を作る。こう いうことは今までにもよくあった。より高度を作ったときに、必ず下の現行のものは下げることが一 般的にはよく行われる。この考え方の根拠は何か。今までにあったものについてかかる人件費や経費 が変わるわけではないのに、下げることはどういう考え方で行われているのかお訊きしたい。あえて 申し上げれば、医療経済実態調査は根拠がないと申し上げた。それ以外に根拠はあるのか。 ○医療課長  そちらからお応えする。医療経済実態調査は中医協委員の皆さんのご相談に基づきデータを取り、 分析をし、評価をしていただいている。極めて短い時間に限られた予算の範囲内であるので、必ずし も十分ではないかもしれない。刷新会議のように話題にし、これだけで議論が進むのは問題であろう と思うが、医療経済実態調査をどうしていくかというのは事務局だけが決めたわけではない。これま での議論の中でこういったものは参考にしようとして進んできたわけである。それはある程度合意の 上のものであるが、だからといって医療経済実態調査がこのままでよいというわけではない。それか ら整形外科に限るかは別として、客体数が少ないのは承知しているので、単年度だけでなく過去4回 並べて、各診療科はどうなのか、過去4年みたときどうであったかを活用している。最初の話に戻る が、現行の点数を必ずしも下げるということではない。ただ今回は他の疾患別リハや人員配置基準等 を勘案して少し下げる方向で提示させていただいている。 ○遠藤会長  安達委員そのような回答である。 ○安達委員  納得はしていないが、時間がかかるので結構である。 ○遠藤会長  議事運営にご協力ありがとう。 ○西澤委員  31pのケアマネジャーの件である。参考資料を出していただき分かり易くなった。この参考資料 でこの介護支援連携指導料を見ると、ケアマネジャーは以前から担当していたケアマネジャーあるい は患者が選択したケアマネジャーで、この間私が述べたような要件となっている。以前から担当して いたケアマネジャーということは、おそらく入院患者は要介護認定を受けているとつながるので問題 ないが、患者選択の場合にはおそらく要介護認定は受けていない場合と思う。このような時に患者が 選択したケアマネが来るのはよいが、これは医療機関に対する報酬であるので、ケアマネジャーに対 する報酬は介護保険と思う。要介護認定をとっていなければ、万が一申請したときに認定されなかっ た時にはケアマネの収入がないと思うが、いかがか。 ○医療課長  前回もおよそ同じようなご質問をいただいた。結論は西澤委員が仰るとおりである。2つめは、以 前から担当していたケアマネジャーがいない、つまり初めてケアマネジャーを呼んだ場合というのは、 さすがに介護保険では出ないので、これは現状では致し方ない。2つめは、それがそれでまた本当に 要介護認定をされて、介護ケアにつながっていけば良いが、現状ではそうではない。介護保険の対応 にならないので、言ってみればボランティア的な対応にならざるをえないかもしれない。しかし少な くとも医療保険サイドからは、そうしたケースがあるということを分かりつつも、ケアマネジャーの 関与があるような形で調整が行われた場合には、この連携指導料を新設して対応していくという整理 である。 ○西澤委員  承知した。医療機関としては、呼んできてくれればありがたい話である。例えば私の病院にもケア マネジャーがいるが、どこかから要請がきて収入にならないが行ってきますと言われた時に、介護保 険の報酬が安い中で、ケアマネジャーはきつきつの仕事を行っている。なかなか余裕はないのではな いか。そのあたりは老健課と本当に可能かどうかをもう一度検討していただきたい。 ○遠藤会長  事務局よろしく検討いただきたい。 ○伊藤委員  教えていただきたい。参考資料1−1の2の○2に「術前からのリハビリテーションが認められて いるのは呼吸器リハビリテーションのみ。」とあるが、呼吸器リハの場合は、がんと重複して算定でき るということか。 ○医療課長  基本はどちらかと考えている。がんが特出しの形で出ればがんのほうで取っていただくというよう に考えている。 ○安達委員  今のケアマネの件で確認と意見を申上げたい。これを早くやっておかないと、その後のケアプラン が出来ていないがために退院が延びるケースがあるというデータを出していただいている。しかし、 現在は申請してから介護認定が下りるまでに30日強かかっていると思う。そうすると退院の30日 前までにこのプランを策定するという話なのかどうか。その間の病状の変化によってはケアプランも 変わるのではないかといったことも含めてということが一点。もう一点は、従来からある退院時共同 指導料についてであるが、これはケアマネ以外に受ける側の在宅の医師も入ってという議論であるが、 この算定があまり伸びていないのではないかと思っているが、そういうことがあるので、むしろケア マネジャーを中心としてケアプランを作ることを先行させてカバーするということか。併せて、現行 の制度では退院時に申請したとしても、みなし認定で介護サービスを始めて、認定を受けたところに 遡って申請時からの給付が可能であるのか。また、可能であるとすれば、この条件は必要なのか。 ○医療課長  一つ目は、実態がそうだということである。こうやって対応したとしても現状で正式に介護認定が くるまで30日かかるので、平均在院日数等々を考えれば、結果的には退院する頃には未だ正式な認 定と、直ちに介護サービスに繋がらないのではないかということであろうと思う。さらに加えて病状 が変化するのではないかということもおっしゃっていると思う。建前のお答えをすると、それでもな おサービスまでの期間は短縮するだろうというのが一つ、ある程度予後が見通せる状態になったとこ ろで指導料の算定、つまり関与が始まるというように説明させていただいたと思っている。繰り返し になるが、そうであってもできる限り早めにサービスが提供されればということである。  次の退院時共同指導料については、私自身算定している施設や現場を見に行ったことがあるが、安 達委員が言われるように、中々大変であると思う。つまり、受入れ先のクリニックや、主治医であっ た方、患者やその家族、介護系の方も一堂に会して退院の直前にカンファレンス実施されるわけで、 みんなお忙しい中で、そのお忙しい方が退院の直前に集まってカンファレンスをするということが、 早々簡単ではないので、理想の姿ではあるが、中々個々の現場で病院の先生とクリニックの先生が一 堂に会して、患者さんについての評価する、今後の退院後を見通すことは難しいということだろうと 思う。ただし、理想の姿であるので、これはこれでやっていただくとして、安達委員がご自身でフォ ローしていただいたが、そのような複雑で理想の姿の体系とは別に、医師、医療関係職種や施設ケア マネージャーが共同してサービスを行う場合には、新しく作る介護支援連携指導料のほうで算定して いただいてはいかがかという提案である。  3つめは・・・ ○安達委員  3つめは重複するので結構である。ただし、これは検証まで行かないかもしれないが、平成24年 度は同時改定であるので、このような狭間を埋めるようなものを作ったときに、こちらの方が有効な のかどうかということで、今後の取扱いを考えなければならないと思う。何らかのデータを取る方法 があった方がよいのではないか。 ○遠藤会長  おっしゃるとおりである。 ○坂本専門委員  先程のがん患者のリハビリについてであるが、理学療法士や作業療法士がいて行うことにおいて点 数が付くという大変シンプルな発想であるが、個々には大変複雑な患者のリスクが伴っている。食道 がんや頭頚部のがんに対してはがんの専門病院の方に聞いてきたが、理学療法士が来てリハビリをす るだけでなく、チームで手間・ケアがかかっている。大変繊細であると伺ってきた。リスクは大変高 い。そうであれば、質の良いリハビリテーションを行なっていただかなければならないので、どのよ うな状況で行うのがよいかということを要件の中に組み入れていただきたい。それで質の高いリハビ リになっていくのだろうと思う。この中で看護のほうに聞いてきたところ、呼吸訓練だけでなく、呼 吸停止になるのか、嚥下してしまうのか、ドレーンがどのようになっているのか、大変繊細に見なけ ればならないということを言われていた。看護師がどうだということではなく、チームでどの様に関 わっていくのかということを要件に入れて頂きたい。  もう1点、ケアマネジャーの関わりの話で連携の評価というのは参考資料を見ていると、介護保険 との連携では、大変素人的な発想かもしれないが、何故これほどまでに具体的に何をしたら幾らかと いうような点数を付けていかなければならないのか。患者さんがスムーズに連携していけば、それに 対して点数を付けていく方法は何か出来ないものか。今回は無理だと思うが、もう少し成果に応じて 何かをするともっと色々な工夫が出てくると思う。こういうことをしたら点数だけで良いのかと疑問 に思った。 ○遠藤会長  2番目については今後の連携の評価についてどうするかという審議の時の一つの考え方として反映 させて議論を進めて行きたいと思うが、前半について質を担保する要件を具体性を持って厳しくして いった方がよいのではないかという意見であったが、事務局いかがか。 ○医療課長  参考1−1を丁寧に説明しなかったが、3の算定要件にかなり丁寧に記載している。その中で色ん な職種を並べて共同でリハビリテーション計画を作成することと書いてあり、最終的な施設基準の中 でも所定の研修を修了など質の評価についても担保している。方針の時点でこれ以上、かなり細かく はなかなか難しいが、ご意見・ご質問をいただいた趣旨は踏まえているので、その方向で通知を書い たり、運用の場合は利用して参りたい。 ○坂本専門委員  1p、色んなチームが関わるということを記載しておられるので、これで結構だと思うが、実行す る時にもこのようなところを要件にしていただければと思う。計画だけではなく、実施する際に窒息 したり、ドレーンが出血したり、色んなことが食道がんの患者や頭頚部のがんの患者にあるのでそこ にはちゃんと関わらなくてはならないという項目を、当たり前かもしれないが、レベルの高いケアを していくということになれば、それなりの要件を入れてリハビリの点数をつけるよう要望したい。 ○遠藤会長  そのようなご意見があったので配慮しながら検討していきたい。31pまで他に何かあるか。よろ しいか。いくつか宿題やご意見が出たので、要件などの修正があれば修正いただき、点数についての 考えもあったので、点数を決める際の材料としていただきたい。事務局よろしくお願いする。大筋は お認めいただいたと理解する。  本日最後の案件である、明細書発行の推進及び処方せん様式の見直しについて議題とする。事務局 より資料が提出されているので、説明をお願いする。   ○保険医療企画室長  (資料「総−3」32p〜35p、「参考−3」に沿って説明) ○遠藤会長  これまでの議論で合意が形成されていない項目である。意見等あるか。 ○安達委員  日経新聞で一部医療機関は反対しているという記事もタイミングよく出ているが、2号側は本件に ついて反対ではなく、経費などの扱いについて議論が必要と考えている。その議論の前提として実情 等含め意見を述べたい。  病院と個人診療所ではレセコンの機能なども違うので分けて議論すべきである。個人診療所のレセ コンで電算化機能と明細書発行機能は別の機能であり、また、機能を有しているということは、ソフ トを入れれば機能するという意味である。  個人診療所用のレセコン販売会社に確認した。ある会社では新型の電算化機能のあるレセコンには 明細書発行のソフトをつけて販売しているが、旧型の電算化機能の無いレセコンにはソフトは別途つ ける必要があり、ソフト自体は無料であるが保守契約などがあるようである。また別の販売会社では、 新型と旧型両方とも明細書発行のソフトは別途つける必要があり、つける場合には35,000円必 要である。  シェアとしては、個人診療所の約6割のレセコンは新たに明細書発行のソフトを入れる必要があり、 約6割の半分程度は35,000円必要である。  明細書発行機能を有するレセコンということと、そのソフトが入っているレセコンは違うというこ とを認識した上で議論いただきたい。 ○遠藤会長  補足的な情報提供であった。 ○勝村委員  今回提示された資料の内容は、平成18年改定以降のこれまでの議論の流れから自然なものである と考える。5年前の中医協改革で患者の視点を重視するとされ、医療費の透明化という観点から本件 について少しずつ進んできた流れに沿っており、この方向でお願いしたい。  全患者に無料でDPCの内容を含め明細書を発行することが2年ほど前に国立病院から始まって問 題なく順調にきており、その実績に基づく形での発行を多くの医療機関に広げて欲しいと考えている。 33pの「DPCに関する明細書」について、入院中に使用された医薬品、行われた検査について、 その名称を「付記することが望ましいものとする」と記載されておりこれでもよいと思うが、国立病 院の実績を踏まえ、可能であれば付記することを原則とするという記載にしていただきたい。 ○遠藤会長  今の文言修正の要望はあるが、それ以外は原案に賛成されるということで宜しいか。  感謝申し上げる。 ○渡辺委員  33pに、レセプト電子請求が義務づけられている保険医療機関については、以下に掲げる正当な 理由のない限り、全ての患者に対して明細書を無料で発行するとあり、これが大きな方向であると思 う。その正当な理由の考え方にある、費用徴収関係について説明していただきたい。 ○保険医療企画室長  大きな原則は、全員の患者に無料で発行するという2つの要素がある。全ての患者に対応しなくて もよい例外について、(1)発行関係のイのレセコンの改修が必要な場合や、ロの自動入金機の改修が必 要な場合を記載している。また、原則無料とするが、現行同様費用を徴収できる例外についても、先 ほどのイ又はロに該当する場合としている。 ○渡辺委員  承知した。  34p〜35pの明細書発行体制等加算について、前段ではIT化が遅れていると考えられる診療 所を対象としていると記載されているが、〔算定要件〕にはレセプトオンライン請求を行っていること となっており矛盾するように感じるが、考え方を教えていただきたい。 保険医療企画室長  現行の電子化加算について、レセプトオンライン請求を行うという投資を行っている医療機関のI T化の後押しをするという考え方が総論としてあり、今回は、その加算対象を診療所に限定し、明細 書を無料で発行して、その旨を領収証に記載し院内掲示を行っている所の後押しをするという要件を 加えて、明細書発行体制等加算としたという趣旨である。 ○渡辺委員  レセプトオンライン請求を行うことが、必ずしも電子化加算の要件ではないと思うが、いかがか。 ○保険医療企画室長  現在、選択要件の一つになっているということである。 ○渡辺委員  参考−3の資料に、領収証の様式、明細書の様式、レセプト(診療報酬明細書)の様式が掲載され ているが、歯科のレセプトの様式は約380項目あり、これを出すとかえって患者に分かりづらく領 収書の内容のほうが良いように思うが、一号側委員の意見をお尋ねしたい。  また、レセプトには保険証の番号など個人情報が掲載されており、この内容が毎回出て行くことに よるトラブルが危惧されるが、この点についてどのように考えるか。  13pに電子請求を行っている医療機関等の割合で、歯科は0.6%(403/71,334診療 所)でと進んでおらず、日本歯科医師会も新しいソフトを作ってこれから普及させる段階であり、現 時点では厳しい状況である。 ○遠藤会長  歯科について領収書の内容で十分はないかという点と、保険についての個人情報が入っている必要 性について、1号側より意見をお願いする。 ○勝村委員  レセプト様式ではなく、参考−3の資料の3p〜5pに国立病院で現在使用されている診療明細書 が掲載されているが、それには病名などは記載されておらず、発行の実績を積み上げてきているこの ような様式を多くの医療機関に拡大していただきたいと申している。  歯科でもこれと同様の内容の明細書を作成できると考えており、医療費の透明化という観点から中 医協で決めた点数を患者が知ることができるような情報提供について、お願いしているということで ある。 ○保険医療企画室長  事実関係の補足である。現在義務化している明細書の様式は、参考−3の資料の6p〜10pのレ セプト(診療報酬明細書)様式ではなく、レセプト並みの診療行為が分かる様式である。例として、 参考−3の資料の3p〜5pに掲載しており、これが患者に渡されている。 ○嘉山委員  勝村委員の理念や明細書を出すことには大賛成である。ただ、薬害肝炎などが起きた時代はITな どがほとんど無い時代であり、ITが進んだ現在では診療内容の情報はデータとして残っているので、 勝村委員の眼目である薬害を防ぐという点から、明細書を全員に出す必要は無い。  明細書を出すためのインフラ整備については医政局マターであり、費用などを考えるべきである。  個人情報の点については、病名を記載しなくても薬剤名から類推は可能であり、また、現在明細書 を出しているがんセンターなどのナショナルセンターに行く患者は自分がどのような疾患か分かって 言っているので、明細書として個人情報が出される点について納得していると思う。  データを残すためにはなるべくIT化を進め、個人情報や紙代といコストの観点から、必要な人に 明細書を出すようにしたほうがよいと思うし、患者の要望などについて今後検証していただきたい。 ○遠藤会長  薬害の対策の方法は他にもあるという話や、患者の要望などについて検証するのは当然の話である。 冒頭、2号側は基本的に賛成と言われたと思うが、22年度改定に向けて出された事務局原案につい て宜しいかどうかをお聞きしたい。 ○嘉山委員  私はよいと思うが、2点提案がある。1つ目はインフラ整備について診療報酬ではなく医政局マタ ーで対応して欲しいということであり、2つ目は明細書発行体制等加算については、病院も同じよう に紙代などかかるので、診療所だけではなく病院も対象にして欲しい。 ○遠藤会長  インフラ整備については中医協からの意見としてしか扱えないが、算定対象を拡大するという提案 について事務局より何かあるか。 ○保険医療企画室長  現行の電子化加算について、レセプトオンライン請求が義務化された医療機関は算定の対象としな い、すなわち病院のほとんどはレセプトオンライン請求が義務化しているので算定対象となっていな いということ、また財政中立的という観点とIT化が遅れている診療所の底上げという趣旨から、診 療所に限定しているということである。 ○邉見委員  私も原則賛成である。ただ、明細書の内容について薬剤師や医師に質問もくるだろうし、紙等のコ ストもかかる。モンスターペイシェントという患者もおり、それに対応する人も必要になってくる。 よって、現場の負担は病院でも相当重くなるので、診療所と同じような点数をつけてもらわないと苦 しいと思う。 ○西澤委員  明細書を出すことには賛成で、方法論について詰める必要があると考えている。 ○遠藤会長  点数について議論となっているように思うが、そうではないのか。 ○西澤委員  明細書を出すことについて吝かではない。ただ、保険者に明細書を請求すれば出せる状況で請求が 少ない理由や本当に全員必要としているのかという疑問がある。  前回改定でナショナルセンターについては義務化したが、その後あまり議論がなされずに、今回に 至った点については中医協委員として反省しており、1号側委員も同じように感じていると思う。  以前勝村委員にリアルタイムに明細書を出すことが重要と言われ私もそう思っている。一方で、保 険者がきちんと様式を作って出すほうが保管などの観点からよいという考えもあり、今回は明細書発 行義務化の拡大を行った上で、そのような点について検討も行っていきたいと思う。  コストについてはレセコンだけではなく、人件費やプリンター等のハード面の負担もあり、厳しい 経営状況下で会員から経費についての問い合わせもくるので、その点についても議論する必要がある と思う。 ○白川委員  非常に残念な発言という印象である。  法律上医療側の了解が必要な保険者がレセプトの内容を開陳する話と、医療サービスを行った側が その場で明細書を出すという話を混同されては困る。  患者には医療サービスの内容を知る権利があり、発行のために必要なコストを医療側が負担するこ とは当然であると思う。レセコンの状況などについても承知しており、4月から100%実施とは言 っていないが、我々はなるべく早く対応してほしいと考えている。明細書発行体制等加算をいれるの はやむを得ないが、それは診療所に限った話である。 ○西澤委員  私は、今回の流れから今回の内容を入れるのには賛成である。保険者と対立する意味で意見を言っ た訳ではなく、保険者へのレセプト開示請求が少ないのを解消するために、開示してよいレセプトに は最初から印をつけて出せばよかったというような思いを含めて発言した。また、保険者とも国民の 医療の質を上げるための保険者機能という点も話しており、そのような点も踏まえている。  加算がなければ明細書を出さないとは言っていない。ただ、経営も厳しい状況であるので、コスト の観点から配慮いただけないかと申している。  患者へ質の高い医療を提供するという目的は同じであるので、私の言い方が誤解を与えたとしたら お詫びするが、ご理解いただきたい。 ○渡辺委員  医科と歯科でレセコンの状況など異なり、歯科では体制が十分でないということと、歯科について は治療の時内容を言うので領収書の内容で十分であるということから、完全義務化という点について、 私は賛成とは言えない。 ○勝村委員  今回の事務局案では歯科に対して配慮されていると思うが。 ○遠藤会長  今回に提案について、2号側は歯科を除いて基本的に賛成であり、今後深く検討していきたいとい う点について合意は形成されていると思う。この議論についてはもう一回きちんと行った上で、粛々 と実行するという形にしたいと思う。 ○邉見委員  基本的に賛成である。ただ、病院の複数化受診で2つ目の診療科からは診察料が無料であることが 分かると、病院へ行く人が増えるのではないかという懸念がある。留意していただきたい。 ○北村委員  保険者がレセプトを受けて報酬を支払うということと、医療サービスを受けた患者に明細書を出す ことは明らかに違うと思う。 ○西澤委員  明細書発行の義務化の拡大を行うことについては合意しているということを改めて申し上げる。 ○鈴木委員  ナショナルセンターでの明細書発行の義務化について検証しないまま、今回進めるのは無謀だと思 う。明細書はスーパーのレシートは違ってプライバシーの塊であり安易にだしてはいけないし、紙代 や説明する人件費というコストも考える必要がある。慢性疾患で受診される患者に毎回明細書は出す のはぺーパーレスという時代の流れに逆行すると思う。これらの点からあえて強行することについて 理解できない。 ○遠藤会長  反対ということか。 ○鈴木委員  反対ではない。理解できないということである。 ○中島委員  具体的なイメージが見えた議論となり有り難い。今後、行うと決めた上で内容について合意できる よう議論していきたいので、宜しくお願いする。  プライバシーの問題はあるが、あくまで患者本人に属するということを踏まえて考える必要がある。 明細書と領収書は性格が違うので、患者自身にとって難しくても患者自身に管理、責任があると思う。 また説明を求める患者が増えることについて、前向きに対処していく部分である。 ○嘉山委員  ある理念をつきつめると、別の角度からみると毒が出てくると思う。私は全員に発行するという点 に違和感を持っている。不要な患者が明細書をそのあたりに捨ててしまうと、プライバシーがばら撒 かれることになるという問題点もあると思うので、検証が必要と申している。明細書を出すことに賛 成であるが、皆が必要とは思っていないと感じており、全員強制というのは危険であると思う。 ○遠藤会長  検証をするというのは合意されているので、それを前提にして、今回のスキームについて同意でき るかどうかをはっきり言っていただきたい。 ○嘉山委員  全て出すというのはラショナルがなく、駄目であると思う。 ○遠藤会長  全て出すということが駄目ということになると基本的な部分に抵触するが、嘉山委員の意見という ことである。 ○勝村委員  トヨタ記念病院から始まりナショナルセンターで明細書の無料発行を行うようになったが、すべて 原則として明細書を発行し、不要だと申し出る患者には出していないと思う。また私は、中医協で決 める診療の単価を患者や国民に知って欲しいという考えから提案してきた。  ナショナルセンターでの実績について中医協で検証は行っていないが、1回目は多くの人が持ち帰 っており、2回目でも少なく見て8割以上が持ち帰っているのではないかと考えられる報道もされて いる。3〜5年前にも今診療側の言われるような懸念は言われていたが、その後実績が積まれて来て おり、請求した患者のみに明細書を出すほうがむしろ人手がかかり、原則発行としたほうがコストが かからないという話も聞いている。  保険者からレセプト開示を受ける場合には、2から3ヶ月のラグがあり、もらう単位も1ヶ月単位 であること、保険者のところに本人がわざわざ行く必要があることなど、医療機関の窓口でもらう場 合とは分けて考えるべきであると思う。 ○小林(麻)委員  議論の収拾がつかなくなってきているが、基本的なことを申し上げる。  議論の出発点は、患者と医療提供者に情報の非対称性があるということであり、患者と医療提供者 側の情報が同じレベルになることが必要であるということである。  情報を持っているほうが提供し同じレベルにすることが必要で、患者のリテラシーを高めるという のが基本的な考え方である。その場合に提供者側がナビゲートする必要があるが、そこまでは今の時 点では求めてはいない。情報が非対称の世界においては、医療提供者側から情報を出していただきた いというのが、基本的な考え方であると思う。 ○安達委員  プライバシーの点について、保険者がレセプト内容を開示するときに医療側の了解を得る理由は、 患者がその内容を知って闘病意欲が無くなる懸念などがあるためである。明細書を出すとそれと同じ ことが起こる懸念があり、その点については通知の書き方で対応することになると思うので、今後事 務局と詰める必要がある。  レセコンなどについては急速に今後対応が進み、その点について負担するということは白川委員の 言われた通りだと思うが、それは現在のサービスにさらに加わるサービスということになる。先ほど、 白川委員は加算の点数について1点と言われたが、事務局にお尋ねしたい。 ○医療課長  財政中立を前提にすると、およそ1点を超える程度になる。 ○安達委員  承知した。  明細書と領収書は別であるので、両方出すことになる。領収書を出すのに30秒、明細書を出すの に約1分かかり、その分の事務員の手間を時給で考えると1人20円程度、2人いると40円となる。 それに対し、加算は再診料に1月に1回10円となる。 ○遠藤会長  基本的な部分について合意が形成されているか、どうかについて確認させていただきたい。2号側 は基本的に賛成と言われていたと思うが、個々の内容について難しいという意見を出されているので、 2号側の考えを確認させていただきたい。 ○嘉山委員  明細書を出すことに賛成である。ただし、いろいろな問題が出ると現場感覚で感じており、患者に とっても良くないので危惧している。 ○遠藤会長  事務局原案は出ているけれども、22年改定にこの内容を入れることは、現時点では賛成できない ということか。 ○嘉山委員  そのような白黒ではなく、問題があった場合に責任を感じるということである。 ○遠藤会長  承知した。  それでは次回議論させていただき、どうしてもまとまらない場合は公益裁定という形になると思う が、出来るだけ調整していただきたいと思う。 ○安達委員  我々は基本的に賛成であるが、心配な点についてどのように対応するかという議論であると思う。  先ほどの話の続きであるが、新しいサービスとして明細書の発行を行うということについては、個 人診療所の分として了解する。ただし、実際には人件費もかかり、1点は紙代と考えているので、再 診料を3〜5点下げるのと同じとご理解いただきたい。 ○遠藤会長  それでは明細書の発行の件については継続審議とさせていただき、次回に決着をつけたいと思うの で宜しくお願いする。 ○嘉山委員  先ほど公益裁定と言われたが。 ○遠藤会長  裁定ではない。両側から付託を受けて公益案を出すということである。 ○嘉山委員  以前、会長は全会一致と言われたと思うが、規則を読むと投票という方法もある。従って、決め方 として、公益委員に責任を押し付けるよりきちんと投票する方法もあると思う。 ○遠藤会長  もちろん投票という方法はあるが、過去の決定方法としては全員一致で決まらない場合は、両側か ら付託されて公益案を出すという方法を踏襲するかと思っていた。もちろん両側が賛同すれば例えば 多数決で行うという決め方もあるので、全員一致で決まらない場合の決め方についてはその時に確認 させていただく。  本日の議論はこのあたりとさせていただく。次回の日程等について事務局よりお願いする。 ○医療課長  金曜日を予定している。 ○遠藤会長  それでは本日の総会を閉会としたい。 【照会先】  厚生労働省保険局医療課企画法令第1係  代表 03−5253−1111(内3288)