10/01/27 平成22年1月27日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成22年1月27日(水)14:00〜17:11 ○場 所:厚生労働省 共用第8会議室                       ○出席者: 委 員  青木委員、生方委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、佐々木委員、      志賀委員、豊田委員、松田委員、山添委員、由田委員、鰐渕委員 参 考 人 残留農薬研究所       佐藤化学部部長      東京都健康安全研究センター 永山残留物質研究科長 事 務 局 塚原大臣官房参事官、俵木基準審査課長、小木課長補佐、工藤課長補佐、猿田課長補佐、      浦上専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1 開 会 2 議 題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・オラキンドックス(飼料添加物及び動物用医薬品)    ・セフキノム(動物用医薬品)    ・アミスルブロム(農薬)    ・ピリフルキナゾン(農薬)    ・イプロベンホス(農薬)    ・フルアクリピリム(農薬)    ・トリルフルアニド(農薬)    ・アセタミプリド(農薬)  (2)報告・確認事項    ・食品中の農薬の残留基準値の設定について    ・カカオ豆に係る農薬の残留基準の整備について 3 閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食 品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中をお集まりいただき、どうもありがとうございます。どうぞよろし くお願いいたします。  本日は、斉藤委員、吉池委員より御欠席なさる旨の御連絡をいただいておりますが、農 薬・動物用医薬品部会の委員15名中13名の御出席をいただいており、部会委員総数の過 半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  なお、尾崎委員より16時半ごろには退席されるという御連絡をいただいております。  本日は参考人として、残留農薬研究所化学部部長の佐藤清先生並びに東京都健康安全研 究センター残留物質研究科長の永山敏廣先生に御出席いただいておりますので、御報告さ せていただきます。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、どうぞ よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 それでは、始めたいと思います。今日は皆さん、お忙しいところを集まっ ていただいてどうもありがとうございます。  初めに、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。配布資料一覧表に、配布させていただいて いる資料を記載させていただいております。  1番目は「オラキンドックス(飼料添加物及び動物用医薬品)」でございます。  資料1−1が「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料1−2が「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」でございます。  2番目が「セフキノム(動物用医薬品)」、以降、3番目の「アミスルブロム(農薬)」、 4番目の「ピリフルキナゾン(農薬)」、5番目の「イプロベンホス(農薬)」、6番目「フ ルアクリピリム(農薬)」、7番目「トリルフルアニド(農薬)」、こちらにつきましても同 様に「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」と、それから本部会の報告(案) を配布させていただいております。  それから、8番目が「アセタミプリド(農薬)」でございます。  8−1としまして「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  8−2は「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」  参考資料といたしまして「パブリックコメント等で寄せられたご意見について」を配布 させていただいております。  それから、資料9が「食品中の農薬の残留基準値の設定について」、資料10が「カカオ 豆に係る農薬の残留基準の整備について」です。  それから、参考資料といたしまして参考資料1が「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別 の農産物・畜産物の摂取量」、参考資料2としまして「食品安全委員会への意見聴取及び食 品健康影響評価結果について」でございます。  また、机上配布資料といたしまして4つございます。食品健康影響評価結果に関する照 会、ほか全部で4つございます。こちらにつきましては、先生方のみの配布とさせていた だいております。  配布資料の不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。おそろいでしょうか。今、追 加資料がございましたけれども、資料は大丈夫ですか。それでは、審議の途中でないこと に気が付きましたら御指摘ください。  本日は、動物用医薬品を2剤、農薬について6剤ということで審議していただくことに なっております。審議に当たりましては、先生方にあらかじめ資料を送りまして御意見を いただいているところでございます。  まず最初に議題1の食品中の残留農薬の基準設定ということで、オラキンドックスにつ いて御審議していただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 そうしましたら、資料1−2に基づきまして御説明させていただきたいと思い ます。「オラキンドックス(案)」でございますけれども、こちらにつきましては先生方に 事前に配布させていただいたものからかなり内容が変わってございます。特に残留の規制 対象について変更させていただいておりまして、本日御議論をいただければと思いますの でよろしくお願いいたします。  まず今般の残留基準の検討でございますけれども、食品中の動物用医薬品等のポジティ ブリスト制度導入時に新たに設定された基準値の見直しにつきまして、食品安全委員会に おいて食品健康影響評価がなされたことを踏まえまして、本部会において御審議をいただ きまして報告を取りまとめるというものでございます。  (1)の「概要」といたしまして、品目名はオラキンドックスです。  (2)の「用途」は、豚の成長促進、豚赤痢及び細菌性下痢症の防止ということでござ いまして、こちらは抗菌剤でございますけれども、通常オラキンドックスとしまして飼料 中に25〜100ppmになるように添加され、4か月齢までの豚に使用されるということでござ います。  我が国におきましては、平成13年に飼料添加物の指定が削除されたということでござい まして、また動物用医薬品及びヒト用医薬品としての承認はなされていないということで ございます。  (3)の「化学名」、それから(4)の「構造式及び物性」につきましては記載のとおり でございます。  2ページ目にまいりまして、2番で「許容一日摂取量(ADI)評価」でございます。 先ほども御説明しましたように、今回の暫定基準の見直しに当たってのオラキンドックス にかかる食品健康影響評価がなされておりまして、以下のように示されているというとこ ろでございます。  なお、今回の報告書(案)より、食品安全委員会の評価を引用している部分につきまし てはゴシックで記載をさせていただいているところでございます。  「(1)JECFAの評価」でございますけれども、JECFAにおきましてはオラキン ドックスには遺伝毒性があると考え、以下のように評価されています。  オラキンドックスは生殖細胞に対する遺伝毒性が示唆されており、哺乳類を用いたさら なる試験データが必要である。オラキンドックスの発がん性については、マウスにおいて 腫瘍発生率が増加したが、良性であったという試験結果が報告されている。このような遺 伝毒性及び発がん性に対する懸念から、オラキンドックスのADIを設定することができ なかったとしております。  しかしながら、オラキンドックスにつきましては家畜に対し、動物用医薬品として適切 に使用される場合の残留、こちらにつきましては食品安全委員会の評価書中において、投 与量の90%以上が投与24時間以内に尿中に排泄された等の記載がございますけれども、 それから現時点における毒性学的な知見からTemporarily acceptable、暫定的に現在の使 用を認めるということが結論づけられておりまして、さらなる試験データが要求されてい るというところでございます。  (2)の「遺伝毒性及び発がん性」につきましては、遺伝毒性のin vitroの試験におい て突然変異を誘導する。それから、in vitro及びin vivo の試験において染色体やDNA の損傷を引き起こす。それから、生殖細胞に変異原性を示す可能性が示唆されることから、 遺伝毒性を有しているものと考えられるということでございます。  発がん性試験におきましては、腫瘍発生の明らかな増加は認められなかったものの、現 時点で評価をした知見からはオラキンドックスが発がん性を有する可能性は否定できない と考えられた。また、ラットを用いた催奇形性試験においても、高用量の投与であります けれども、胎児の奇形発生率が増加したということでございまして、食品健康影響評価と いたしましてはオラキンドックスについては遺伝毒性を有しているものと考えられるほか、 発がん性及び催奇形性を有する可能性も否定できないということで、ADIを設定するこ とが適当でないというふうに結論づけられているところでございます。  3番の「諸外国における使用状況等」につきましては、こちらで調査をいたしました範 囲におきまして、オーストラリアにおいて豚への使用が認められているということでござ います。JECFAにおきましては今、御説明差し上げましたように平成6年に評価をさ れておりますが、ADIは設定されていないということでございます。  4番の「基準値案」でございますけれども、食品安全委員会における評価結果を踏まえ まして、オラキンドックスは食品に含有されるものであってはならないとさせていただき たいということでございます。  3ページ目にまいります。ここからが先にお送りしたところから大きく変わっていると ころでございますけれども、事務局の方で確認をいたしましてJECFAのレポート等を 参照いたしました。その結果、オラキンドックスにつきましては速やかに吸収され、投与 4時間後には70%が親化合物として尿中に排泄される。  それから、2つ目としまして放射性同位体を用いた残留試験において親化合物、代謝物 の割合は不明であるけれども、認められている最高用量の投与群において投与28日後には 筋肉中の総放射活性が8ppb程度になっているということでございます。  これは、表1の28日の一番下、例えば筋肉であれば8ppb、肝臓であれば13.3ppbとい う残留が確認されています。  それから、JECFAのレポートによりますと、図1のような代謝経路でオラキンドッ クスが代謝をされる。この図でいきますと、左上の部分が親化合物であるオラキンドック スでありますけれども、これが動物体内で還元、それから可水分解等を受けまして、最終 的には3-methylquinoxaline-2-carboxylic acid(MQCA)に代謝をされるということ でございます。  それから、4つ目といたしましてこの代謝物、MQCAの筋肉中での残留は表2のとお りであるということで、4ページ目にございますけれども、実際に飼料添加した際の筋肉 中の残留濃度を見ていただきますと、例えば投与25日後の筋肉の残留につきましては4 ppb程度という結果が出ております。  先ほど御説明いたしました総残留の結果と比較をいたしますと、例えば先ほど申し上げ た筋肉でいきますと28日の筋肉は8ppb、それから今、御説明を差し上げましたMQCA のデータを見ると割合的には半分程度はMQCAだという結果でございます。  なお、JECFAの報告、レポートにおきましては総残留のMQCAの占める割合につ いては25%程度という記載がございました。  こういったものを踏まえまして本文に戻りますけれども、事務局といたしましてはMQ CAを分析マーカーとすることが適当であるということ、こちらはJECFAの方が評価 をしているということでございますけれども、こういった評価を踏まえまして報告書の案 としてはMQCAを規制対象物質とするということで、これが指定の分析方法により検出 しないこととするということをもちまして、親化合物等が残留しないということを担保す ることができるのではないかと考えているところでございます。  それから、本剤でございますけれども、5ページ目の別紙に現行基準がございます。暫 定基準としてオーストラリアの残留基準を参考に設定されているものがございますけれど も、今回含有されるものであってはならないとするということに伴いまして、暫定基準は 削除されるということでございます。  最後に、7ページ目の「答申案」をごらんいただければと思います。オラキンドックス については食品に含有されるものであってはならないという食品規格を設定することが適 当であるというふうにさせていただきたいと考えているところでございます。  以上でございます。御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。このものについては遺伝毒性があるとか、その ほかの件についてADIを設定できないということから残留は不検出、検出されてはなら ないということでございますけれども、これはどうでしょうか。MQCAを分析マーカー とするということは、それさえ含まれていなければオラキンドックスそのものは含まれて いてもいいという意味ですか。 ○事務局 オラキンドックスを投与した場合に、恐らく最終的にMQCAになるので、含 まれていいというわけではありませんで、MQCAで管理をすれば安全性は担保できるだ ろうと考えているということです。 ○大野部会長 いかがでしょうか。山添先生、お願いします。 ○山添委員 今、事務局の方からJECFAの元の文章もいただいて読ませていただきま した。これで見ますと、いずれの試験で生体試料中のオラキンドックス由来の物質を調べ たものでも、すべてがN-oxideが還元されたものとして生体の中から検出されているんで す。  ということは、オラキンドックスそのものが生体の中で非常に長くとどまっていること は確率的に非常に低くて、むしろ大半は還元された状態のものが検出される。実際に28 日のときにも、この試算だと半分ぐらいがその値として検出をされているということです ので、この結果も生体の中で残る形としては還元体として残っている可能性を示唆してい ると思うんです。ですから、この還元体をきちんと押さえておけば未変化体はそれより濃 度は低いはずで、しかも検出が難しいものをあえて対象とする必要はない。これを押さえ ておけば、全体として検出される、されないということは判断できるんじゃないかと思い ます。 ○大野部会長 この表1のところで、オラキンドックスを飼料添加して投与した際の組織 中の残留濃度というときに、オラキンドックスに標識しているわけですね。キノリン骨格 というんでしょうか、そこを標識したオラキンドックスを投与してやった方が、誤解がな いですね。ちょっと見たときに、最初の方から続けて読むといいんですけれども、表1と 表2だけ比べるとコールドの投与をして親が8残っていて、また別にMQCAが3残って いると読めちゃうので、この表1に残っているもののかなりの部分はMQCAということ ですね。 ○事務局 御指摘いただきましたように、修正をさせていただきたいと思います。 ○山添委員 ここに14Cと入れていただければいいと思います。 ○大野部会長 そうですね。安全性の問題でADIを設定しない方がいいということでご ざいますけれども、鰐渕先生の方から御意見はございますでしょうか。 ○鰐渕委員 遺伝毒性があって発がん性も否定できないということになれば、当然のこと ながらやはりADIを設定できないことになっておりますので、そのとおりだと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。そうすると、今度はこれの分析の方ですけれども、 何か御意見はございますか。斉藤先生はお休みということですね。ほかに分析に詳しい先 生方がおられますので御意見をいただければと思いますけれども、分析上問題ないでしょ うか。 ○松田委員 今、オラキンドックスの基準値として含有されないという規格が設定された 場合に、それのマーカーがMQCAであるということはどこかに書かれるんでしょうか。 ○大野部会長 食品規格を設定することが適当であると、私はその中に出てくるのかなと 思っていたんですけれども。 ○松田委員 これだとオラキンドックスが不検出なり含有されてはならないと読めるんで すけれども、MQCAに関してどこかに明記しておく必要はないのでしょうか。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 報告書の3ページ目の11行目に、MQCAを規制対象物質とすることとすると いう記載をさせていただいておりまして、実際には試験法を告示するということになると 思うんですが、そのときに分析対象物質についても合わせて明記をするということとさせ ていただくということです。 ○松田委員 そうすると、試験法としてはMQCAの試験法ということになるということ ですね。オラキンドックスは対象としない。 ○事務局 はい。 ○松田委員 わかりました。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに、全体を見渡して御意見がございますでし ょうか。山内先生、お願いします。 ○山内委員 使用と管理についての質問です。1ページに、平成13年に飼料添加物の指定 は削除されているけれども、平成17年のポジティブリスト制度が発足したときに、動物用 医薬品としての暫定基準が設定されている。今回、その動物用医薬品としての基準につい ての検討であり、削除するというか、含まれてはならないものとして決められるというこ とですね。  ただし、1ページに通常、飼料中に何ppmになるように添加されと書いてありますから、 質問は動物用医薬品として現在の使用実態はあるのでございましょうか。それから、歴史 的な私の理解は正しいという理解でいいかという確認をさせてください。 ○大野部会長 お願いいたします。 ○事務局 暫定基準の設定の件につきましては今、御説明をいただいたような形でよろし いかと思います。こちらにつきましては、暫定基準設定の際にオーストラリアに残留基準 が設定されているということを踏まえまして、それを参照して暫定基準を設定させていた だいているということで、ちゃんと確認が取れているわけではありませんけれども、少な くとも残留基準はオーストラリアで現在も設定されていて、使用も恐らく認められている ということでございます。したがいまして、その用途のところで書かせていただいており ます飼料中の添加量等につきましてはオーストラリア、もしくはJECFAの記載を基に 記載させていただいているということでございます。 ○山内委員 ということは、国内での使用実態は。 ○事務局 国内ではございません。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。では、尾崎先生お願いします。 ○尾崎委員 1ページ目の「用途」のところですけれども、通常は「用途」のところの記 述で作用機序が出てくるのですが、ここには見当たりませんので、ほかと比べて書きぶり を少し合わせた方がいいのかなと思いました。 ○大野部会長 これは、作用機序を見たんですけれども、出ていなかったんです。ただ、 ほかのキノロン系の抗菌薬の作用機序だとDNAジャイレースの阻害だとか、そういうこ とになっているんですけれども、そういう証拠がないのでどうかなと思ったんですが、ほ かの先生はいかがですか。そういうところがある程度わかれば書いた方がよろしいかと思 うんですけれども、特にその証拠がなければ書けないので。 ○尾崎委員 私は帰ったら、Pub Medか何かで調べてみます。なければそのままというこ とで。 ○大野部会長 そういうことでよろしいでしょうか。 ○事務局 よろしくお願いします。 ○大野部会長 では、尾崎先生、すみませんが、情報がありましたら追加してくださるよ うお願いします。ほかにございますでしょうか。  それでは、この部会の報告としましては7ページに示されているように、食品中に含有 されるものであってはならないという食品規格を設定することが適当であるということで、 食品規格の中にこのMQCAを分析マーカーとして測るということにさせていただきたい と思いますけれども、御了承いただけますでしょうか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目のセフキノムについての説明をお願いいたします。 ○事務局 そうしましたら、資料2−2に基づきまして御説明をさせていただきたいと思 います。  まず、今回の残留基準の検討でございますけれども、先ほどと同じ暫定基準の見直しと いうことでございます。  1番は「概要」でございますけれども、「品目名」はセフキノム、(2)の「用途」につ きましては牛、豚及び馬の肺炎、乳房炎等の治療でございます。詳細につきましては、以 下に記載のとおりでございます。  (2)の最後でございますけれども、日本を含めて50か国以上で動物用医薬品として承 認をされているということで、我が国においても平成12年に輸入承認を受けているという ことでございます。  「(3)化学名」、「(4)構造式及び物性」につきましては記載のとおりでございます。  2ページ目にまいりまして、「(5)適用方法及び用量」でございます。日本、EU、ニ ュージーランドにおきまして使用が認められておりまして、記載のように設定をされてい るということでございます。いずれも、筋肉に注射をするということで使用をされていま す。  2番は「対象動物における分布、代謝」でございますけれども、牛、豚において投与試 験が行われております。  3パラ目を見ていただければと思いますけれども、まず5日間連続筋肉内投与試験がさ れて排泄、組織中残留濃度が調べられているわけですけれども、全血中濃度につきまして は投与後速やかに上昇し、約1時間後に最高に達したということです。  それから、次のパラグラフでございますけれども、主に尿中に排泄をされ、5回目投与 後、24時間後には平均で投与量の約95%が尿中に排泄された。それから、尿中の主要な排 泄物は未変化の硫酸セフキノムであったということでございます。  3ページ目にまいりまして、組織中の残留が示されております。表2をごらんいただけ ればと思いますけれども、最終投与24時間後の牛のC1、それから48時間後の牛のC2、 ともに同じような結果になっておりまして、一番高いのがやはり下から2番目の注射部位 の筋肉、それから一番上とその次の腎臓、肝臓の順で残留をしているということが確認さ れております。  (2)で「豚における投与試験」でございますけれども、基本的に今、御説明をさせて いただきました牛と同様の結果となっておりまして、例えば表3をごらんいただきますと 表の一番右ですけれども、尿に排泄されている割合が8割程度ということでございます。  続きまして、4ページの表4をごらんいただければと思います。組織への残留につきま しても、牛と同じような傾向が見られたということでございます。若干この表4の下の[2] のところで尿中の硫酸セフキノム、親化合物の割合が違うというような結果が認められて おりますけれども、これについてはここに記載をさせていただいているように、長時間の アルカリ性の環境である尿路に滞留していたというような理由で、基本的には未変化体で あろうというふうにされているところでございます。  3番にまいりまして、「対象動物における残留試験結果」でございます。分析対象化合物 はセフキノム、分析法の概要としましては微生物学的定量法等により残留性が検証されて いるということでございます。  5ページ目にまいりまして、「牛における残留試験」の結果から御説明をさせていただき たいと思います。5日間の連続筋肉内投与をした後、最終投与後4、5、6、7日後に各 組織の残留濃度について検討されているということでございます。常用量、2倍量、とも に測定がされておりますけれども、いずれの結果におきましても検出限界である0.02μ g/g以下ということでございまして、EUやニュージーランドの休薬期間であります5日 におきましても当然検出限界以下という結果になっております。  [2]でございますけれども、泌乳牛において同様の投与が行われまして、乳汁中の残留濃 度についてこちらも微生物学的定量法により試験が行われております。結果といたしまし ては、常用量につきましては0.02もしくは検出限界未満ということでございまして、ニュ ージーランドの休薬期間である12時間後におきましても今、御説明をさせていただいた 0.02ppmもしくはそれ未満という結果でございます。  (3)にまいりまして、「豚における残留試験」でございます。こちらにおきましても同 じように投与されまして、こちらはHPLC法により測定をされているということでござ います。結果につきましては6ページ目にまいりまして、ニュージーランドの48時間とい うのが一番短い休薬期間でございますけれども、いずれもLOQ、定量限界以下という結 果となってございます。定量限界値につきましては、その下の表にございますそれぞれの 値ということでございます。  それから、(4)で「馬における残留試験」でございます。こちらは14日間連続投与試 験が行われておりますけれども、同様に投与後の組織内の残留が見られております。これ につきましては、馬の場合、表9の120時間、EUの休薬期間が4日、96時間ということ になってございますけれども、これの前後、72時間、120時間、いずれを見ましても定量 限界以下という結果でございました。  4番目にまいりまして、食品安全委員会におけるADIの評価でございます。  まず「毒性学的ADI」でございますけれども、遺伝毒性を示さないと考えられる。そ れから、EMEAの評価で化学構造が既知の発がん性物質と関連がない等の理由によりま して、追加の安全係数を加えることによってADIを設定することが可能であるというこ とでございまして、毒性試験で最も用量の低い投与の影響が見られたというものを用いま して、7ページ目にまいりますけれども、90日間の亜急性毒性試験における影響というこ とでございまして、これを採用しておりまして、これに安全係数1,000、種差、個体差、 それから慢性毒性、発がん性試験を欠いていることによる追加の10を適用して、 0.025mg/kg 体重/日というのが設定されているということでございます。  それから、「(2)微生物学的ADI」でございます。セフキノムにつきましては抗生物 質であるということで、微生物学的ADIを2つの方法により算出をしているということ でございます。  まずEUのEMEAの評価でございますけれども、1パラグラフ目にその記載がござい まして、ADIとして0.0038mg/kg体重と評価されております。  それから、VICHのガイドラインに基づく試算も行われておりまして、こちらから算 出されたものがこの式の最後のところですけれども、0.001379と算出されております。  このうちどちらを採用したかということでございますけれども、(2)の一番下でござい ますが、現時点で国際的コンセンサスが得られているVICH算出式を採用するというこ とでございまして、0.0014とまるめまして、こちらを採用しているということでございま す。  (3)の「ADIの設定」につきましては、微生物学的ADIと毒性学的ADIを比較 しまして低い方ということで、微生物学的ADIの0.0014というものを採用しているとい うことが(4)でございます。  8ページ目にまいりまして、使用状況につきましては先ほど御説明いたしましたので省 略をさせていただきます。  なお、FAO/WHOのJECFAにおいては、評価はされていないということでござ います。  6番は「基準値案」でございますけれども、「残留の規制対象」はセフキノム、「基準値 案」につきましては9ページ目の表をごらんいただければと思います。先ほど御説明した 残留試験のデータを基に、一番右側に採用した試験成績を書かせていただいておりますけ れども、これを基に基準値案を設定させていただいているということでございます。現行 の基準値が網掛けになっている部分ですけれども、残留基準の試験の結果を考慮しまして も基本的には同じになっている。  変わっているところは、牛の筋肉から食用部分のところですけれども、こちらは暫定基 準を設定したときに薬事法に基づく定量限界、承認の際の承認の定量限界を採用していた ところですが、今回は右の表にございます残留試験を提出いただいた結果を見ますと、0.02、 検出限界以下だったということを踏まえまして、こちらを採用させていただいているとい うことでございます。  それから、脚注の*1にございますけれども、少々記載を訂正させていただきたいと思 います。牛につきましては、「小腸の値」というところは残留試験の結果を採用しています ので、「残留試験成績を」というふうにしております。  それから、豚とその他の陸棲哺乳類に属する動物の食用部分のところですけれども、こ れにつきましてはこの表にありますように残留試験の結果はございませんが、豚であれば 肝臓、腎臓と同程度の残留が食用部分にも認められるということを想定いたしまして、高 い方の値である豚であれば0.2、その他の陸棲哺乳類も同じように0.2を採用させていた だいていますので、*1に戻りますけれども、「豚及びその他の陸棲哺乳類」というふうに 訂正をさせていただきたいと思います。  それから、*3ですけれども、「その他の陸棲哺乳類に属する動物」ということで、今回 はここには「牛及び豚以外のものをいう」という記載がございますが、今回は先ほど御説 明しました馬の残留データを基に設定をさせていただいているということでございます。  続きまして、10ページにまいりまして、セフキノムの推定摂取量をTMDI試算をさせ ていただいております。その結果、いずれの集団においてもADIの範囲内に収まってい るということでございます。  脚注につきましては、若干先ほどの修正部分等がございますので、修正をさせていただ いてまた御確認をお願いしたいと考えております。  8ページ目に戻りまして、「(3)ADI比」につきましては今、御説明させていただい たとおりでございます。  (4)で今後の取扱いでございますけれども、今回の残留基準の見直しを行うというこ とに伴いまして暫定基準は削除されるということでございます。  答申案といたしましては、11ページにございますような形とさせていただきたいという ことでございます。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、御審議いただきたいと思います。まず最初に化学名とか化学構造とか、その 辺はいかがでしょうか。最初にいただいた資料ではちょっと抜けているところがございま したけれども、今回は修正してあるのでよろしいかと思います。  薬理作用のところはいかがでしょうか。私はちょっと変な感じがしたところがあるんで すけれども、1番の(2)の第2パラグラフで、「本剤の作用機序は細菌の細胞壁を変性さ せ細胞分裂を阻害する」ということですが、こういう言葉はよろしいのでしょうか。「変性 させ」というところが気になったんです。普通、細胞壁の合成を阻害することによってと、 それだけですらっと流していることが多いので、ここまで言っちゃっていいんだろうかと 思ったんです。 ○生方委員 「作用し」だと思います。 ○大野部会長 そうですね。作用し、「細胞分裂を阻害する」というところまで言っちゃっ ていいんですか。 ○生方委員 作用して、増殖を止めることによって結果的に阻害しているということにな りますので。 ○大野部会長 これだと、細胞分裂を直接阻害しているように読めちゃいますよね。 ○生方委員 そうですね。そうじゃないですから。「細胞壁に作用し」ですね。 ○大野部会長 「細胞壁の合成を阻害すること」でいかがでしょうか。ほかによろしいで すか。細菌の細胞壁の合成を阻害することで細菌の増殖を抑え、静菌作用を示すという形 です。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに、この用途とか薬理作用的なところで御意 見はございますでしょうか。  それでは、次の代謝面ではいかがでしょうか。山添先生、御意見はございますでしょう か。 ○山添委員 特にございません。 ○大野部会長 ちょっと気になったところがございまして、2ページ目の「牛における投 与試験」ですね。そこの第2パラグラフの2行目で、細かいところです。その上からいき ますと、「投与回数の増加に比例して投与後のCmaxは高くなった」と書いてありますね。こ の「比例」という言葉が…。 ○山添委員 「増加に伴い」ですね。 ○大野部会長 そうですね。よろしいですか。そのように修正していただければと思いま す。  それから、3ページ目辺りに載っている「豚における投与試験」で排泄とか、そういう ところのデータなんですけれども、有効数字がめちゃくちゃになってしまっているんです。 これはどうしましょうか。元の報告もこの数字になっているんですね。食品安全委員会も この数字になっていて、4けたはちょっと多いなと思ったんですけれども、それはまだし も、表3のところは一体何桁あるんだろう。数えられないですね。  この場でせいぜい3桁かと思うんですけれども、ちょっと無理して4けたくらいに落と すというわけにはいかないんですか。どうでしょうか。報告書はこの数字なんですけれど も。 ○基準審査課長 整理します。食安委はこの数字なんですけれども。 ○事務局 では、4桁くらいですか。 ○大野部会長 4桁でも多い感じはするけれども、でもせいぜい4桁だと思うんです。  では、表3の総排泄量の数字は、せいぜい4桁の数値にしていただけますでしょうか。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 それから、4ページ目の[2]がどうも文章がわかりにくいんですね。投与後 0〜2時間というのが、それから最終投与後と、5回投与しているんだからわかると思う んですけれども、さらっと読むと投与後0〜2時間の排泄というのと、すぐにすっと入っ てこないんですね。  だから、ここのところは[2]の3行目の「投与後」と書いてあるところは「最終投与後」 と「最終」を入れてもらえると。 ○事務局 では、「最終」を入れさせていただきます。 ○大野部会長 それから、その下の4行目のところも「投与後2〜8時間」というのを「最 終投与後」としてくださるとわかりやすいと思います。  それから、その上の2行目のところで「硫酸セフキノムの割合を分析した結果」と書い てあるんですけれども、投与したのは硫酸セフキノムだけれども、定量したのは硫酸セフ キノムではないですよね。だから、これは「硫酸」を取った方がいいと思うんです。体の 中にどんなものが存在しているかわからないですよね。 ○山添委員 確かにわかりにくいですね。 ○大野部会長 1行目の「硫酸」はいいんですけれども、2行目の「硫酸」を取ってくだ さるようお願いします。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 同じように、「硫酸」というのはほかにも付いているんですね。表6にも「硫 酸セフキノム濃度」と書いてあるんです。それから、表7もそうです。それも皆、「硫酸」 というのを取ってほしいんです。  あとは、分析対象物質としてはセフキノムというところで特に私は問題ないと思ってい ます。この辺りで、ほかの先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいでしょう か。  それでは、安全性評価のところで食品安全委員会の考えが引用されていますけれども、 鰐渕先生いかがでしょうか。 ○鰐渕委員 データが非常に少ないですけれども、少なくとも変異原性はないであろうと いうデータが別にありますので、最終的なところでここにも書いてありますように、毒性 学的なADIを設定するに当たって最終不確定なところの10を加えて1,000にするとい う考え方でいいのではないかと思います。  最終的には、またその次の微生物学的ADIの方が更に低くて、そちらを採用するとい うことなので、問題ないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。  では、松田先生お願いします。 ○松田委員 ちょっと前のことになるんですけれども、残留試験のときに力価でやってい る場合と、HPLCですか、質量でやっているところがあるので、質量1mgは力価幾らで すかと質問したら1ですとおっしゃられたので、この場は構わないんですけれども、抗生 物質にはすごく違うものがあるんです。1mgの力価が昔つくったもので1.8とかになって しまうようなものも……。  そういうことは、なるべくならばこの数値を比べるために記載していただければありが たいと思います。 ○大野部会長 それでは、なるべく記載してくださるようお願いいたします。標準品が悪 いということですかね。 ○松田委員 昔つくられたので、昔の1mgは不純物も多かったので低かったですが、生成 が進んで今の1mgは昔の1.8mgくらいの効果があるという状況になっているものもあるん です。 ○大野部会長 わかりました。ほかに御意見はございますか。  では、生方先生お願いします。 ○生方委員 質問ですけれども、この薬剤はヒトに使われているセフォタキシムの、多分 そのデリバティブだと思うんですが、最初に先生がおっしゃいました用途のところで「細 菌の増殖を抑え静菌作用を示す」というふうに書いてあるんですけれども、一般的にセフ ォタキシムは殺菌作用というふうに言われていると思うんです。これで表現はよろしいの でしょうかというのが質問なんです。 ○大野部会長 これは、いかがでしょうか。 ○生方委員 ヒトに使うお薬の場合には、多分殺菌作用というふうに医学の本に書いてあ ると思いますけれども、動物系統だと。 ○山添委員 MICの辺りだと、多分静菌的になっていると思います。 ○大野部会長 この表現でよろしいですか。変えた方がいいですか。どうしましょうか。 ○生方委員 MIC近辺というか、subMICまでは多分静菌的なんです けれども、時間がたてば菌は死滅していくわけですが、そこのところはどういうふうに表 現するのかなとちょっと思ったものですから。 ○大野部会長 おっしゃるとおり定義がちょっとよくわからなくて、静菌というのと殺菌 というものですね。  それでは、そこはできれば生方先生に調べていただいてわかったらコメントをいただけ るとありがたいんですけれども。 ○生方委員 動物とヒトで同じ表現を取るのかというのが一番あれかなと思っているんで すけれども、調べてみます。 ○大野部会長 すみませんが、お願いいたします。  農水の方で、その使い方というのはいかがなんでしょうか。 ○農林水産省 特にヒトと動物で用語を変えるということはないと思いますが、今、見て みたんですけれども、どちらとも明確には記載されていませんでした。もし生方先生の方 でお調べいただいて、適切な用語であればそちらにしていただいて構わないかと思います。 ○大野部会長 わかりました。それでは、生方先生にチェックしてくださるようお願いい たします。  それでは、今は安全性のところまでチェックしていただいて、抗菌作用に関するところ でも若干お話をいただきましたけれども、次の分析対象物質についてもこれでよろしいの ではないかと私は思います。  分析法と食品中分析結果、その辺で御意見ございますでしょうか。  それでは基準値と国際的整合性、そういったところで御意見ございますでしょうか。  変なことに気が付いたんですが、食品安全委員会の報告で5ページの「(3)豚における 残留試験」の1行目に「豚(20頭)」と書いてありますけれども、これは確認していただ きたいんです。私が見た数だと24頭使っているんです。これは食品安全委員会の報告で見 たらそうなっていたのかな。ちょっと違う可能性がありますので、お願いします。 ○事務局 確認いたします。 ○大野部会長 それから、表8のところですけれども、定量限界値としてこういう数値を 書いてあるんですが、この数値でいけば定量限界かということになると思うんですけれど も、報告書そのものだと、例えば脂肪中の含量で72時間後で検出限界以下と書いてありま すが、1例で検出されているんですね。それから、腎臓で96時間で1例検出されているん です。  そういうことで、食品安全委員会の報告とこの数値が違っているんです。ちょっと確認 していただきたいと思います。食品安全委員会の報告の方だと、脂肪中に含まれているの は27なんですけれども、これは定量限界44とやっているので、44以下だからLOQとな ったのかもしれませんが。 ○事務局 こちらの報告書につきましては、定量限界で整理をさせていただいております ので、今、先生がおっしゃったような形で検出限界から定量限界の間のものは定量限界未 満ということで記載をさせていただいております。 ○大野部会長 その定量限界の数値がいいのかなという感じがするんです。報告の方では、 それ以下のところで定量にしているわけですね。 ○事務局 すみません。どの図表になりますでしょうか。 ○大野部会長 文章の中に入っているのかもしれませんけれども、食品安全委員会の報告 の14ページの急性毒性試験の上のところに、例えば「48、72及び120時間後の腎臓から セフキノムは測定されなかったが、96時間後の4例中1例のみが定量限界を上回った」。 それで、40μgとなっているんです。その下のところで、「72時間後の脂肪1例に27μg/kg の残留が認められた以外は、未変化体セフキノムは検出されなかった」と書いてあります ので、そこのところとこれが食い違うんです。ちょっとそれは確認していただければと思 います。 ○事務局 確認いたしますけれども、ここの定量限界を上回ったというところが恐らく検 出限界なんではないかと思います。確認いたします。 ○大野部会長 お願いいたします。 ○山添委員 ちょっと辞書で確認したら、生方先生がおっしゃったのは機序としてはやは り「殺菌的」ですね。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、先ほどのところは「殺菌作用を示す」 という形で修正してくださるようお願いいたします。  あとは、全体を通して御意見がございますでしょうか。  では、豊田先生お願いします。 ○豊田委員 1ページ目のところで確認し忘れちゃったんですけれども、構造のところで す。これは訂正があったのかどうか、私にははっきりしないので、構造の真ん中の6R、 7Rのところですけれども、7が抜けているような気がするんです。7位のところで、水 素のHが抜けているような気がするんです。  Sの隣が6位で、その隣が7位でHにつながっている。こういう具合になっているわけ です。それで、元の方を見ると6R、7Rと書いてありますけれども、ここのところです。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、構造をもう一度確認してくださるよう お願いします。 ○事務局 安全委員会の報告書はHが入っておりますので、修正いたします。 ○大野部会長 では、修正をお願いします。  ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。  では、尾崎先生お願いします。 ○尾崎委員 この案では馬における残留試験のデータはあるんですけれども、安全委員会 の評価書には馬のデータはないんですが、これはよろしいんでしょうか。 ○事務局 こちらにつきましては、取扱いをされているメーカーの方から御提出をいただ いたものでございます。それに基づいて設定をさせていただいているということでござい ます。 ○大野部会長 では、別途情報があってここに入れたということでよろしいですか。  ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。  それでは、ADI比で摂取量の推定量が幼小児で24%が最高だったということですけれ ども、文章表現で修正が幾つかございましたが、それを踏まえた上で12ページに掲載され た答申案の値と、それからこの報告書をこの部会の報告書としてよろしいでしょうか。修 正した上でということですけれども。               (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、動物用医薬品についてはここで終了ということで、次にアミスルブロムにつ いて審議していただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、アミスルブロムにつきまして説明をさせていただきます。お手元の 資料3−1と3−2をごらんください。資料3−2に沿いまして説明をさせていただきま す。  まず1ページ目をごらんください。今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法 に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定要請が農林水産省からなされたことに伴うもので ございます。  1番目の「概要」をごらんください。「品目名」はアミスルブロム、「用途」は殺菌剤に なります。作用機構といたしましては、卵菌類のミトコンドリア内膜状の電子伝達系複合 体に結合して、その活性を阻害することによるものと考えられております。  「化学名」、「構造式及び物性」につきましては、その下に記載をさせていただいており ます。  めくりまして、2ページをごらんください。2番目の「適用病害虫の範囲及び使用方法」 です。本剤につきましては、17.7%アミスルブロムフロアブルにおける適用作物の追加申 請、そして次の3ページにまいりまして0.5%粉剤及び50%顆粒水和剤の新規申請がなさ れております。  めくりまして4ページをごらんください。3番目の「作物残留試験」になりますが、こ ちらは「分析対象の化合物」をアミスルブロム本体としております。  2番目の「作物残留試験結果」につきましては、6ページから7ページの別紙1にまと めて記載をしております。  安全性の評価につきましては、その下の「4.ADI評価」として、食品安全委員会に おける食品健康影響評価の結果を記しております。無毒性量は10mg/kg体重/day、イヌの 慢性毒性試験、1年間強制経口投与によるもので、安全係数を100といたしましてADI は0.1mg/kg体重/dayという結果を回付いただいております。  その次の5.の「諸外国における状況」でございます。国際基準の設定はなされており ません。米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドのいずれの国及び地 域においても基準値は設定されておりません。  次の5ページをごらんください。6.の「基準値案」になります。  (1)の「残留の規制対象」といたしましては、植物代謝試験の結果、代謝物について はいずれも残留量が微量でありましたことから、アミスルブロム親化合物のみとしており ます。食品安全委員会の食品健康影響評価におきましても、アミスルブロム親化合物のみ と設定されております。  (2)の「基準案」につきましては、作物残留試験の結果及び、基準値案をまとめたも のを8ページに別紙2としてお示ししております。大豆、ばれいしょ、トマト、きゅうり、 メロン類果実及びぶどうに現行基準値が設定されております。登録有無の欄に「申」の文 字がありますものが今回の適用拡大申請のあった農産物になります。  3の「暴露評価」におきましては、詳細な暴露評価を9ページの別紙3、推定摂取量の 表にお示ししております。基準値の上限いっぱいまで摂取したと仮定したときの推定摂取 量を理論最大1日摂取量、TMDIとしております。国民平均で1,347.7、幼小児で624.6、 妊婦で1,074.4 、高齢者で1,498.7μg/ヒト/dayという推定結果になっております。 T MDIのADIに対する割合は国民平均で25.3、幼小児で39.5、妊婦で19.3、高齢者で 27.7%となっております。  最後の12ページは、答申案として基準値を置かせていただく食品についてまとめたもの を記載しております。  事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。  まず化学名、構造、薬理作用、適用方法、その辺で御意見はございますでしょうか。  尾崎先生、薬理作用のところはよろしいでしょうか。 ○尾崎委員 小さな文言で、「作用機構としては」というふうに受けて何々であると書いて ありますが、「作用機構は」で「Qiサイトの阻害である」の方がいいと思います。 ○事務局 承知いたしました。訂正をいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。  体内動態の方では、山添先生いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。 ○山添委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。  残留のところでちょっと気になったところがあって、5ページの「残留の規制対象」の ところで「ぶどう、ばれいしょ等を用いた植物代謝試験において、可食部の残留物の大部 分は親化合物であり」というふうに書いてあるんですけれども、必ずしもそうじゃなかっ たんじゃないか。  私の勘違いかもしれません。ちょっと根拠はわからないですね。先に進んで、もし後で 気が付いたらまた報告させてもらいます。  この辺りで何か御意見ございますでしょうか。 ○加藤委員 今のところですけれども、ばれいしょについては今おっしゃったとおりだと 思います。ばれいしょにつきましては、全放射能を表面、茎葉に散布して塊茎部に移行し た量そのものが非常に低くて0.02ppm程度のレベルでして、代謝物の分析はそれほどきれ いにできていない。それで、親化合物よりもむしろデンプン等に取り込まれたもの、それ から植物成分にまで代謝されたもの、そういう代謝物の方が主体であったということにな ります。  ただ、今、申し上げたようにレベルが非常に低いということです。 ○大野部会長 そうすると、この表現ですね。「可食部の残留物の大部分は親化合物であり」 というところの表現はこれでよろしいでしょうか。 ○加藤委員 ですから、ここはちょっと修正が必要です。「代謝試験をやられたぶどう、ト マトにおいては」という追加が必要です。 ○大野部会長 「ばれいしょ」のところを「トマト等は」と言えばいいですか。 ○加藤委員 そうですね。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、先にいってよろしいでしょうか。そういう ことで、ばれいしょにつきましては必ずしも親化合物だけではなくてほかのものも入って いるかもしれないけれども、生体内成分に取り込まれてしまったということで、残留の規 制対象としてはこの本体のみでいい。親化合物でいいということですね。 ○加藤委員 レベル自体も非常に低いということです。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、分析法と食物中分析結果、基準値、その辺について御意見はございますでし ょうか。  それでは、国際的整合性も含めて、全体的に御意見がございますでしょうか。  では、佐々木先生お願いします。 ○佐々木委員 8ページの基準値のところなんですが、例えばチンゲンサイの場合はきょ うなを参照していますけれども、同じあぶらな科でもこまつなではなく、きょうなを参照 するというルールになっているんでしょうか。 ○事務局 御説明いたします。特にどの作物を参照するというルールではなくて、その同 じ中で高い残留の方を参照して設定しているというふうに理解していただければと思いま す。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでよろしいでしょうか。 ○佐々木委員 はい。 ○大野部会長 ほかに御意見ございますでしょうか。  では、山内先生お願いします。 ○山内委員 そうすると、ほうれんそうは30ですよね。ほうれんそうとこまつなは似てい るような感じが私はしてしまうんです。チンゲンサイも似ているような感じがするんです けれども、そこはいいんですか。このグループの中で高い方にするということで考えると。 ○事務局 これは農薬登録の方とも関わっているんですけれども、非結球あぶらな科とい うことでまとまった形での登録もありますことから、一応あぶらな科野菜の中での参照と いうことで整理させていただいております。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。ほかの先生、御意見ございますでしょうか。よろし いですか。  それでは、若干小さな修正がございましたけれども、それを踏まえた上でこの答申案、 本文と12ページの答申案と全部含めて御了承いただけますでしょうか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 それでは、了承していただいたことといたします。どうもありがとうござ いました。  それでは、次はピリフルキナゾンについて御説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、ピリフルキナゾンについて説明をさせていただきます。資料4を ごらんください。資料4−2に沿いまして御説明をさせていただきます。  まず1ページをごらんください。今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に 基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定要請が農林水産省からなされたことに伴うも のです。  「1.概要」につきまして御説明いたします。「品目名」はピリフルキナゾン、「用途」 は殺虫剤になります。作用機構は、害虫の摂食行動を制御する神経系または内分泌系に作 用するものと考えられております。  「化学名」、「構造式」につきましては、その下に記載をさせていただいております。  2ページをごらんください。「2.適用病害虫の範囲及び使用方法」でございます。20% 顆粒水和剤について、かんきつ、りんご等の果実類、茶及びばれいしょ、トマト、ピーマ ン等の野菜類を摂食するカメムシ類害虫を適用としております。  3ページをごらんください。3の「作物残留試験」におきましては、「[1]分析対象の化合 物」をピリフルキナゾン及び代謝物Bとしております。定量限界を[2]の「分析法の概要」 にお示ししております。  (2)の「作物残留試験結果」を5ページ及び6ページの別紙1にまとめて記載をして ございます。安全性の評価につきましては、4.のADI評価として食品安全委員会にお ける食品健康影響評価の結果を転記しております。無毒性量は0.5mg/kg体重/day、イヌ の慢性毒性試験、1年間のカプセル経口投与によるもので、安全係数を100といたしまし てADIは0.005mg/kg体重/dayという結果を回付いただいております。  4ページに移りまして、5.の「諸外国における状況」でございます。国際基準は設定 されておりません。また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドの いずれの国及び地域においても、基準値は設定されておりません。  その次の「6.基準値案」をごらんください。  「(1)残留の規制対象」といたしましては、親化合物及び代謝物Bといたしております。 食品安全委員会の食品健康影響評価におきましても、親化合物及び代謝物Bと設定されて おります。  (2)の「基準値案」につきましては、7ページに作物残留試験の結果をまとめました ものをお示ししております。新規申請の農薬でございますので、登録有無の欄に「申」の 文字のあるもののみとなっておりますが、これらが今回申請のあった農産物になります。  (3)の「暴露評価」につきましては、詳細な暴露評価を8ページの別紙3、推定摂取 量の表にお示ししております。基準値の上限いっぱいまで摂取したと仮定したときの推定 摂取量を理論最大1日摂取量TMDI、作物残留試験結果に基づき算定される推定1日摂 取量をEDIとしております。EDIは国民平均の49.4、幼小児で28.1、妊婦で46.1、 高齢者で44.7μg/ヒト/dayという推定結果になっております。  EDIのADIに対する割合は、国民平均で18.5、幼小児で35.6、妊婦で16.6、高齢 者で16.5%となっております。  最後の10ページには、答申案として基準値を置かせていただく農作物についてまとめて 記載しております。今回、残留基準を設置するピリフルキナゾンは、ピリフルキナゾン及 び代謝物Bをピリフルキナゾン含量に換算したものの和とすることを注として記載してお ります。  事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。  まずこの化学構造、化学名、適用方法、薬理作用、その辺で御意見ございますでしょう か。  では、代謝面ではいかがでしょうか。 ○山添委員 比較的早く代謝をされていて、主要代謝物課題としてそれを指標にするとい うのは、骨格のつぶれる前のものとしてその残存で測るのは妥当かなと思います。 ○大野部会長 ちょっと気になったところがあって、あらかじめ山添先生に相談しておい た方がよかったかなと思うんですけれども、向こうから出てきた資料の中でキナゾロンの フェニル環をラベルしたものと、ピリジン環をラベルしたものとで代謝物の残留量が全然 違うんですね。それは……。 ○山添委員 ここでキナゾロン環のところが環が切れて、何か安息香酸の誘導体としてP だったか、Qだったかという代謝物になっていますから、完全に環が切れちゃっているみ たいなんです。ですから、両方の環で切れたものについては半減期がかなり違うというこ とじゃないかと思います。 ○大野部会長 そこが、環が切れていない化合物で単にNに付いたエステルというか、そ こが取れただけで大きく変わっちゃっているんです。一方ではピリジン環をラベルしたも のだと代謝物Bなんですけれども、それが79.37%残っている。TRRですね。それで、 フェニル環の方は12.95%しか残っていないというんです。  この代謝物Bを追跡するということで、安全性評価上は問題ないと思うんですけれども、 このデータがちょっと気になるので後で見ていただけますでしょうか。 ○山添委員 はい。 ○大野部会長 それから、分析対象物質という意味で植物体内に残るものは親化合物以外 には化合物Bが中心である。大部分が親化合物なんですけれども、B化合物で、物によっ ては10%を超えるものもあるというものがございます。それで、ほかのものは非常に少な いのでB化合物を追跡したということはこれでよろしいかと思います。  安全性の面で、鰐渕先生から御意見はございますでしょうか。 ○鰐渕委員 遺伝毒性がありませんので、腫瘍とかを出していますけれども、ADIを設 定できるという形で、これで結構だと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。食物中分析結果、基準値、国際的な整合性も含め て御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、このピリフルキナゾンの部会の報告案として今回出されたものについて特に 修正はなく、この10ページの基準値案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 それでは、ピリフルキナゾンについてはこの案をこの部会の報告とさせて いただきます。どうもありがとうございました。  それでは次の品目、イプロベンホスについて説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬5剤目のイプロベンホスについて説明させていただきます。資 料5−2をごらんください。  本剤にかかる今般の残留基準の検討につきましては、農林水産省より要請がなされた魚 介類への基準値設定と、ポジティブリスト制度の導入時に設定された、いわゆる暫定基準 の見直しが対象となっております。  本剤は有機リン酸系殺菌剤でございまして、いもち病原菌等のリン脂質合成系を阻害す ることにより、細胞膜を損傷させることで殺菌効果を示すと考えられております。また、 本剤はスクミリンゴガイに対しても防除効果を発揮するとのことです。  「化学名」及び「構造式」等につきましては、記載のとおりでございます。  2ページをごらんください。本剤の適用について記載しておりますが、稲への適用とな ってございます。  3ページの3に「作物残留試験」について記載してございます。  分析の対象といたしましては、イプロベンホス親化合物のみになっておりまして、試験 結果といたしましては6ページの別紙1に記載のとおりでございます。  3ページに戻っていただきまして、4番で「魚介類への推定残留量」となっております が、本農薬につきましては魚介類への基準値設定依頼がなされておりますことから検討し てございます。この農薬につきましては、水田においてのみ使用されることから、水田P ECを算出いたしましたところ、4.2ppbという値が算出されました。  また、「生物濃縮係数」でございますが、コイを用いた28日間の取り込み期間を設定し た濃縮性試験が2つの濃度区で実施されておりまして、この分析結果からBCFSSは低濃 度区では14、高濃度区では11と算出されております。  これらの結果から推定残留量を算出してございますが、水田PECとして4.2、BCF として14という数値を採用いたしまして、最終的には推定残留量としておよそ0.29ppmと いう数値を算出してございます。  4ページをごらんください。ADIの評価でございますが、ラットを用いた2年間慢性 毒性/発がん性併合試験の3.54mg/kg体重/dayだったということから、こちらの値を安 全係数100で除しまして、ADIとして0.035mg/kg体重/dayと設定されております。  本剤の「諸外国における状況」でございますが、JMPRにおける評価はなされておら ず、国際基準も設定されておりません。また、米国、カナダ、EU、オーストラリア及び ニュージーランドにおきましても基準値は設定されてございません。イプロベンホスにつ きましては残留の規制対象を親化合物のみと設定する案としております。  「基準値案」の詳細ですが、7ページの別紙2をごらんください。この表の左から3列 目の基準値現行欄の網掛けをしてございますのが、いわゆる暫定基準が設定されているも のとなります。その隣の登録有無の欄に丸が記載されているものが、国内登録のある作物 ということになります。米の基準値につきまして、現行の基準値として暫定基準である 0.2ppmが設定されていますが、今回の暫定基準の見直しに当たり、作物残留試験成績を確 認いたしまして0.2ppmをそのまま本基準とする案といたしました。また、先ほどの推定残 留量から魚介類に対して0.3ppmという値を設定する案とさせていただいております。  これらの基準値案により、推定摂取量を算出いたしましたのが次の別紙3でございます。 TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で5.9%のADI占有率となっております。  最後のページが答申案となりますが、今回暫定基準を本基準とする米と、基準値が新た に設定された魚介類につきまして記載しております。  事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、この化合物の化学名、構造、 適用方法、薬理作用、その辺りで御意見はございますでしょうか。  では、志賀先生お願いします。 ○志賀委員 「用途」のところですけれども、スクミリンゴガイにも防除効果を発揮する でいいようなものですが、通常は作用機作が書かれますね。この場合には何かわからない んでしょうか。資料はないでしょうか。  もしあれば、また本剤はスクミリンゴガイに対しても何々をすることによって防除効果 を発揮するとか、あるいは何々によってとかで、あえて付け加えますとスクミリンゴガイ、 いわゆるジャンボタニシですけれども、これは恐らく魚介類への毒性などから言って殺貝 というんでしょうか、貝を殺すんだろうと思うんですが、物によっては忌避効果で防除剤 にしているようなものもありますね。その辺もありますものですから、もしわかるのなら ば作用機作的なことをちょっと付け加えた方が、ほかとの整合性がいいのではないかと思 いました。 ○事務局 わかりました。抄録の方には、スクミリンゴガイ防除、駆除につきまして作用 機作が記載されてございませんので、今後調べた後、わかりましたら記載させていただき ます。 ○大野部会長 ありがとうございます。これは有機リン系殺虫剤なんだけれども、コリン エステラーゼ阻害で作用しているわけではないというか、そうだとは言い切っていないん ですね。 ○志賀委員 そうですね。だた、この場合には特に本来はいもち病防除剤ですので、たま たまと言ったら変ですけれども、そういう重要な貝にも効いてしまうということで使われ ているのでしょうから、恐らくいもち病菌とは作用機作は違う可能性もある。同じだって いいわけですけれども。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいで しょうか。  それでは、代謝面ではいかがでしょうか。山添先生、よろしいですか。 ○山添委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。  毒性面ではいかがでしょうか。特に問題はございませんか。  ありがとうございます。分析対象物質のところで、残留規制対象はイプロベンホス本体 のみと書いてありますけれども、稲の中では1ページの構造のうちのベンジル基が取れて、 水酸化を受けた代謝物、食品安全委員会の方ではGと言っていますけれども、それとSと Dの間の切れたものですね。そこにCが残っているんです。  それについて、コリンエステラーゼ阻害作用とか、そういうものをそれについては量っ ていないんですけれども、ベンジル基が酸化されたものは特にすぐに飽和されて排泄され ちゃうので毒性学的に問題はないかなと思っているんですけれども、これはジイソプロピ ルリン酸、ジイソプロピルハイドロジェンリン酸というのか、その辺は安全性上問題ない でしょうか。  特にこの硫黄が付いているもの、リン酸にSが付いているものについてはコリンエステ ラーゼ活性の阻害作用を持っていて、それは食品安全委員会の報告で26ページのIC50が 10-3とか10-4とか、そのくらいのレベルなので、残留しているものについてはそれほど懸 念するようなものではないかと思っていますけれども、その硫黄が取れることによって更 に強くなるとか、そういうことは余り考えないでよろしいですか。 ○山添委員 はい。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、そういうことで、残留するものとして代謝物があるけれども、安全性上懸念 されるものではないことから、規制対象物質については親化合物だけでいいということで いきたいと思います。  そのほか、分析法、食物中の分析結果、基準値、魚介類への基準値とか、国際的整合性、 その辺で御意見はございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、全体を通して御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  では、薬理作用のところでもしわかったら追記してくださいというところがございまし たけれども、そこをわかったら修正、若干追加するというところで、この部会の案をこの 部会の報告としてよろしいでしょうか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次ですけれども、フルアクリピリムについての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬6剤目のフルアクリピリムでございます。資料6−2をごらん ください。  本剤にかかる今般の残留基準の検討につきましては、ポジティブリスト制度の導入時に 設定されましたいわゆる暫定基準の見直しとなっております。  本剤は殺虫剤でございます。ミトコンドリアにおける電子伝達系酵素複合体IIIの阻害に よる呼吸阻害作用を示すことで、各種ハダニに対して殺ダニ活性を示すと考えられており ます。  「化学名」及び「構造式」等につきましては、記載のとおりでございます。  2ページにまいります。本剤の適用について記載しておりますが、りんご、なし、かん きつへの適用となってございます。  2ページの3に「作物残留試験」について記載してございます。  「分析対象の化合物」といたしましては、フルアクリピリム親化合物及び代謝物Bとな っております。  試験結果は、5ページの別紙1に記載のとおりでございます。  3ページにお戻りください。次に、ADIの評価でございます。ラットを用いた2年間 慢性毒性発がん性併合試験の5.9mg/kg体重/dayだったことから、こちらの値を安全係数 100で除しまして、ADIとして0.059mg/kg体重/dayと設定されております。  本剤の諸外国における状況でございますが、本剤につきましてはJMPRにおける評価 はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、米国、カナダ、EU、オー ストラリア及びニュージーランドにおきましても、基準値は設定されてございません。  フルアクリピリムにつきましては残留の規制対象を親化合物のみとさせていただければ と思います。  その理由といたしまして、代謝物Bについても作物残留試験が行われておりますが、残 留量で微量であったことを挙げさせていただいております。  基準値案の詳細ですが、6ページの別紙2をごらんください。みかん以外のかんきつ類 につきましては、なつみかんの果実全体を参照いたしました。また、西洋なしにつきまし ては日本なしを参照いたしました。また、マルメロからパッションフルーツまではポジテ ィブリスト制度導入時の登録保留基準を参照した暫定基準が設定されておりますが、今回、 根拠となる作物残留試験のデータ等は提出されませんでしたので、基準値を削除する案と しております。これらの作物につきましては、今後は一律基準により規制されることとな ります。  これらの基準値案により、推定摂取量を算出いたしましたのが次の別紙3でございます。 TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で9.1%のADI占有率となっております。  最後のページが答申案となりますが、今回暫定基準の見直し、本基準に移行するものに つきまして記載しております。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。  まず化学構造、化学名、適用方法、薬理作用、その辺りで御意見がございますでしょう か。  では、志賀先生お願いします。 ○志賀委員 またぞろ「用途」のところで恐縮なのですが、「各種ハダニに対して殺ダニ活 性を示す。」と文章を切りまして、その後「ミトコンドリアにおける〜と考えられている」 という、この後半部分に文章から言うと主語がないんです。それで、安全委員会の方の書 き方は向こうの6ページに「本剤は各種ハダニに対して殺ダニ活性を示す。作用機構は」 という形で始めている。  それで、あえて変えないで同じ文章でいいのならばこのとおりに持ってくるか、あるい は細かいことでそれでいいと思うんですけれども、文章をつなげちゃって「各種ハダニに 対してミトコンドリアにおける〜阻害による呼吸阻害作用によって殺ダニ活性を示す」と 一文にしちゃうという手もあろうかと思いました。 ○事務局 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。 ○大野部会長 そうすると、最初の方はいいと思うんですけれども、後の方を「示すと考 えられている」ということまで入れちゃうと、殺ダニ活性を示すと考えられているという ふうになってちょっとおかしくなってしまうので。 ○志賀委員 ただ、メカニズムだからいいかなと思ったんですけれども、あえて変えなく ても安全委員会のものでよければ、その文と内容は一緒ですから、その方がいいかもしれ ません。 ○大野部会長 そうですね。よろしいんじゃないかと思います。 ○事務局 わかりました。では、食品安全委員会の評価書の記載のとおりに記載を変更さ せていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、代謝面ではいかがでしょうか。 ○山添委員 この化合物は代謝部位が結構多いんですけれども、脂溶性が高いということ もあって、どこか特定できる主要なものが決まっていればいいんですが、なかなか決めら れないということで、多分未変化体を基準にするというのは仕方がないかなと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。私も見て、ここでは代謝物Bも測っていますけれ ども、代謝物Bも特に多いというほどではなく、10%はいっていないですね。10%弱くら いで、普通だったら入れなくてもいいようなものですけれども、それも入れて量ってみた ら5ページのところにありますように、ごく一部を除いてほとんどが親化合物の10分の1 以下くらいなので、そういうことから考えて規制対象物質は本体、親化合物だけでよろし いかと私も思います。よろしいでしょうか。ほかの先生方はいかがですか。  安全性の面ではいかがでしょうか。 ○鰐渕委員 この剤も腫瘍は発生させているんですけれども、メカニズム的に十分検討さ れていて、少なくとも遺伝毒性はないということとかありますので、ADIが設定できる ということで、これでいいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それでは、分析法、分析結果、基準値、それから国際的整合性、その辺りで御意見はご ざいますでしょうか。よろしいですか。  それでは、全体を通して御意見はございますでしょうか。  それでは、若干作用機序のところで食品安全委員会の書き方と同じようにするというこ とで若干追記するところがございましたけれども、それを踏まえてこの報告をこの部会の 報告としてよろしいでしょうか。                 (「異議なし」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次のトリルフルアニドについての御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料7−1と7−2のトリルフルアニドについて御説明いたします。 本日は、資料7−2に基づきまして説明させていただきますので、そちらをごらんくださ い。  農薬トリルフルアニドでございます。今般の残留基準の検討につきましては、関係国か らいわゆるインポートトレランスに基づく基準値設定の要請がなされたことへの対応と、 あとはポジティブリスト制度導入時に設定された暫定基準の見直しとなってございます。  本剤はフェニルスルファミド系の殺菌剤でして、SH基酵素阻害剤として菌の代謝を阻 害することにより作用すると考えられております。  「化学式」、「構造式」等につきましては、記載のとおりでございます。  本剤の適用につきましては2ページに記載しておりますが、これが先ほどお話をしたイ ンポートトレランス要請が韓国のものを参照としてなされておりますので、その韓国にお いての使用方法ということで記載してございます。適用作物は、とうがらしの炭疽病、あ とは高麗人参の灰色かび病への適用となっております。  次に、これらの作物の分析の概要について3番の「作物残留試験結果」のところに示し てございます。  分析の対象は親化合物のトリルフルアニドと、代謝物のDMSTとなっておりまして、 それぞれの作物における分析法の概要、定量限界等について記載してございます。  試験結果については、別紙1にまとめているところでございます。  ADIの評価でございますが、無毒性量といたしましてはラットの2年間の混餌投与、 慢性毒性/発がん性併合試験の3.6mg/kg体重/dayを根拠といたしまして、安全係数100 で除しました0.036mg/kg体重/dayがADIとして設定されております。  本剤の「諸外国における状況」ですが、2002年にJMPRにおける毒性評価が行われて おりましてADIが設定されております。国際基準はりんご等の仁果果実類、ぶどう、ト マトなどに設定されておりまして、このほか米国やEU、オーストラリア、ニュージーラ ンドにおきましてもいろいろな作物に基準値が設定されているところでございます。  これらの状況を踏まえまして、4ページ以降の基準値等についてまとめさせていただい ておりますが、今回残留の規制対象といたしましてはトリルフルアニド本体のみの案とさ せていただいているところでございます。提出がなされました、とうがらしや高麗人参の 作物残留試験ですとか、またはJMPRの基準設定の根拠となったものについても、残留 試験上はTMSTも分析されているのですけれども、りんご等を用いた代謝試験において は主要な残留物は親化合物だったということで、ちょっとぶどうが特殊な結果を示してい るんですが、DMSTそのほか代謝物は微量だったということをまず1つ挙げさせていた だいております。  このほか、後ほど基準値の表をごらんいただければわかるのですが、結構今回は国際基 準を引いておりまして、こちらはJMPRにおける評価では暴露評価対象物質といたしま してはトリルフルアニドと代謝物が含まれて、そちらの和をトリルフルアニドに換算した ものということで評価がされているんですけれども、残留の規制対象は親化合物のみとし ているということから、この国際基準を基本として基準値を設定することを踏まえまして、 残留の規制対象としてはトリルフルアニド本体のみとするという案でお示しさせていただ いております。  なお、食品安全委員会における農産物中の暴露評価対象物質の評価でございますが、こ ちらは親化合物とDMSTということで、JMPRの暴露評価対象物質と同じという結果 になっております。  「基準値案」でございますが、7ページの別紙2をごらんください。左から3列目の基 準値現行の欄に網掛けをしてございますのが、現在暫定基準として設定されている基準値 でございます。このほか、その隣の登録有無の欄にITの文字を記載しておりますのが、 今回インポートトレランス要請のありましたとうがらし、これがその他のなす科野菜に含 まれる。あとは、高麗人参がその他の野菜に含まれるということで、こちらに記載してお ります。  実は、韓国におきましてはDMSTも含んだ形での規制となっておりますため、今回の 検討におきましては韓国の作物残留試験成績における親化合物のデータのみを参照いたし まして、韓国での基準値をそのままではなくて、当方で設定し直しております。  実は、この基準値案は事前に皆様にお配りした資料から変更させていただいているとこ ろなのですが、以前の案では親化合物の作残結果を見て国内作残のときと同じような許容 幅をちょっと考えて設定すると、例えばその他のなす科野菜だと0.61ppmくらいの残留で すと2ppmくらいの基準を置くんですけれども、やはり韓国で代謝物も含めて規制してい る基準値と同じ値では、結果的に緩い規制になってしまうのではないかということも検討 いたしまして、今回なす、その他のなす科野菜につきましては2.0ppmではなく1ppmとい う案、その他の野菜につきましては0.2ppmではなく0.05ppmという基準値案として提示し ているところでございます。  このほか、インポートトレランス要請のあった、今お話をした2つのもの以外の基準値 ですけれども、これはすべて国際基準を参照したものとなっております。今回、ブルーベ リーその他の果実などのように参照する作残データが確認できないものについては、現在 の暫定基準を削除するという案でございますが、これらにつきましては今後は一律基準に より規制するということになります。  これらの基準値案を基に推定摂取量を算出いたしましたのが、8ページの別紙3でござ います。一番下にADI比を記載してございますが、TMDI試算で一番高い幼小児で 59.0%というADIの占有率となっております。  ここで4ページの下の方にお戻りいただきたいのですが、このページの下の部分から5 ページにかけまして、参考としてEDI試算を行った結果を記載しております。といいま すのは、先ほど来、説明しておりますように、今回暴露評価対象物質としてはトリルフル アニドと代謝物が含まれるということでしたので、JMPRにおいてもその代謝物も含め て評価されているSTMRの値がございまして、それから韓国の作残結果もあるというこ とから、そちらを暴露評価の値に用いましてEDI試算を行いました。その結果、幼小児 で10.7%という占有率ということで、参考として記載させていただいております。  最後のページに答申案を記載しておりますが、今回新たに基準を設定したものや、基準 値が変更となるもの、あとは数値は同じでも本基準に移行するものにつきまして記載して おります。  事務局からの説明は以上です。御審議のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、トリルフルアニドについて御 審議をお願いいたします。  では、まず化学名、構造、適用方法、用量、薬理作用について、御意見をお願いいたし ます。 ○尾崎委員 用途のところの1行目の「SH基酵素阻害剤」というのは、いいんでしょう か。「SH基酵素」と言いますか。 ○大野部会長 私もちょっと気になったんですけれども、私が学校で習ったころはそうい う使い方はしなかったなと。 ○尾崎委員 SH基を持つ酵素ですか。それとも……。 ○大野部会長 ただ、これはSH基がその酵素活性にクリティカルな部分にあるものです よね。別のところにあるんだったら阻害してもいいわけですから、そういう意味でSH基 酵素という言葉を使っているのかなと思ったんですけれども、どうでしょうか。  単にこれは「SH基阻害剤として、菌の様々な代謝を阻害する」の方がよろしいですか。 その方がもしよろしければそうしたらと思うんですけれども、その方がよろしいですか。 どうでしょうか。酵素を除いても間違いではないですね。酵素を入れると何となくすっと 入ってこないような感じがします。  とりあえず「SH基阻害剤として」ということで「酵素」を除くというところでいきた いと思いますけれども、よろしいでしょうか。  それでは、そのようにさせていただきます。ほかにございますでしょうか。  それでは、代謝面ではいかがでしょうか。 ○山添委員 この化合物は2種類の標識体を使っていて、いわゆるフェニル基のところの ラベルのものについてはきちんとしたデータがあると思うんです。それで、もう一つ、チ オールを含む、それからハロゲン化の物質を含んでいるもののところ、多分それが作用す る部分だと実際には思うんですけれども、そこのところの半減期についてはかなり遅れて いる部位もあるんです。それは当然、ここがSH基とくっ付いてしまっているので、その たんぱくの代謝回転に従って排泄されてくるので遅れてくるんだろうと思うんです。  それで、これの暴露を考えた場合、例えば植物とか肉の部分について、その部分の放射 能に相当するものがなければそれで問題はないと思うんですが、そこのフェニル14Cじゃ なくてDIC14Cのデータがあるにはあるのですが、完全に読めているのかどうか、ちょ っと遅いので、そこのところを私ももうちょっと詳しく見ておけばよかったかなと思った のは、10ページですけれども、特に植物の体内のところでそういう放射能があるのかどう かのデータがその文面から必ずしもはっきり読めないんです。 ○大野部会長 10ページのところはフェニル基ですか、そちらにラベルしたものでやって いると思うんです。 ○山添委員 10ページの2.の「植物体内運命試験」のところには「14C-トリルフルアニ ド(2種類)」と書いてありますから、両方やっているはずなんです。それで、どちらのデ ータがどちらなのかがちょっと読みにくいなということがあるんですけれども、ともかく 収支としては完全に出てはいるので、トータルの数から量的に見ればほとんど出ていると いうことだろうと思います。  そういうことですので、多分、残っているものはほとんどないので恐らく大丈夫だと思 いますが、そこのところで区別をしてここのところを書いていただいた方がいいのかもし れないです。フェニルと、それからDICですね。 ○大野部会長 これは、食品安全委員会の報告の方ですかね。食品安全委員会の報告の10 ページのところに体内運命試験とか出ているのは、先生がおっしゃるように2種類使って いるということですけれども、主要代謝物のDMSTとか、検出されているのは皆フェニ ル基の方の代謝物ですね。 ○山添委員 そうですね。文中に揮発性という表現もあったので、すぐに結合しないもの は出ていってしまっているだろうと思うんです。恐らく、くっ付いてしまったものはたん ぱくとくっ付いてしまっていて、それがゆっくりと出てくるということになっているかと 思うんです。 ○大野部会長 たんぱくに結合して残っているものに関しては安全性上、何か懸念があり ますか。それを経口で食べる分には、その物が更に毒性を現すというのはアレルギー以外 は考えられないと思いますけれども。  とりあえず、この部会の報告として……。 ○山添委員 基本的には多分、切れたら安定な形ではないので、反応しちゃってもっと細 かいものに分解していると思うんです。放射能だけが残っている形になっているので、こ の切れたそのものの形で恐らく残っていることはないと思うんです。  だから、それがそのままの形で毒性を示すとか、そういうことは考えにくい。ごく少量 がくっ付いた形で、それこそSHにくっ付いた形でどれだけあるのかということだけだと 思うんです。 ○大野部会長 ありがとうございます。せっかく測ったんだから、食品安全委員会の報告 の方でそれについてちょっと触れてくれているとありがたいんですけれども。うちの報告 に関しては、それに基づいて何か変更しなくちゃいけないというところはないですね。  分析対象物質という面からいくと、事務局から説明がございましたようにDMSTがそ れなりに植物体内で生成していて残留する。特にりんごやいちご、レタス、大部分が親化 合物なんだけれども、DMSTは最大で15%存在するとか、DMSTが更に代謝された物 とか、そういったものが残っているというものがございます。  ただ、食品安全委員会の方の評価では親化合物、DMSTと両方を暴露評価対象物質と したらいいのではないかというようなことですけれども、今までの国際的な評価の流れで はトリルフルアニドだけだということで、韓国のデータではDMSTが結構ある。両方含 めて評価するということで、どちらを取るかは悩ましいところなんですけれども、このD MSTそのものの考え方として残る量が非常に少なければ分析対象物としなくてもいいし、 残っていたとしても安全性上、懸念がなければ分析対象物としなくてもよろしいのではな いかと思うんです。  このDMSTそのものの安全性上の懸念というか、その辺はいかがですか。何か御意見 はございますでしょうか。 ○加藤委員 1つ教えていただきたいんですけれども、DMSTに関連してこの中をずっ と見てみますと、一番気にかかったことは量の問題はもちろんありますが、それは代謝デ ータを見る限り、いちごも含めて、いちごは洗浄した後のデータでどうも食品安全委員会 の方は主要な残留物は代謝物Bという見方をされてしまっているようですけれども、TR Rの考え方から言うとそうじゃなくて、残留量の7割くらいが親化合物で……。  失礼しました。代謝物BではなくてDMSTですか。そういうところで、そこはちょっ と違うんですけれども、一番気になるのはこのDMSTの毒性として染色体異常、vitro のデータですけれども、それでプラスに出ているんですね。それについての評価が食品安 全委員会でも余りはっきり出されておられない。どちらかというと評価できない、評価し ないということで、議事録に残しておいてくれという御意見があったり、それからJMP R等の評価書を見ていてもそれについては代謝物も含めてgenotoxicityはないという言 い方をしていたり、それをどう見るべきかというのを専門的なお立場から評価する必要が まずあるのではないかという気がしています。 ○大野部会長 そのものの安全性とDMSTの安全性を含めて、鰐渕先生いかがでしょう か。 ○鰐渕委員 今、加藤先生がおっしゃっていた点は非常に気になるところではあるんです けれども、食品安全委員会でなぜそこの部分を完全にしっかりと触れなかったのかという ことはちょっとわからないんですが、量的な面はどうなんだろうという気はいたします。 ○加藤委員 安全委員会で決められたのは、今の点についてはドーズ設定が1用量、1ド ーズだけなのでということで評価をたしかできないというか、しない。対象としないとい う話だったと思うんですけれども、それとは別に今のDMST自体のレベルということで は、代謝試験では確かに非常に少ないんですが、実際の圃場試験で見ますと海外でやられ たもの、JMPRで評価されたものでりんご、ベリー類といったもので見ますと、親化合 物の10%くらいから多いもので親化合物と同レベル、ですから確かにあまり無視はできな いんです。それくらいのレベルが出ていく、検出されているという状況です。  それで、厄介なことは先ほど何回も事務局からお話がありましたように、JMPRでは DMSTは暴露の評価対象にはもちろんするわけですけれども、基準値設定のモニタリン グ等で使う残留の規制対象にはしない。親化合物だけというところで、DMSTを含めて 評価をすることにした場合は残留の規制対象として、その場合は今まで見てきている国際 基準を一切日本としては使わないで、新しくそのデータを基に日本として今までつくられ ている国際基準に相当するものを何かつくらないと国際基準を無視した形になってしまう。  今のところアメリカも、それからオーストラリアもその国際基準を使っているわけです。 ですから、国際的な整合性からいきますとDMSTは除いて親化合物だけで評価して、暴 露評価としてはそれを両方加えたものがデータとしてはきちんとありますので、それで安 全性、ADIの評価ができるのであればそれでいくのが現実的ではないか。それで安全性 は一応担保できるということでよろしいのではないかと判断しています。 ○大野部会長 今、私も見たんですけれども、食品安全委員会の方の27ページの表14に DMSTが染色体異常試験で陽性ということになっていますね。  ただ、その上のin vitroでの小核試験とかいろいろな染色体異常試験をやっていますけ れども、いずれも陰性であった。  とは言っても、この試験系でDMSTができなければその評価にはならないんですけれ ども、この食品安全委員会の報告の9ページを見ますとラットでの代謝の結果が載ってい ます。(5)に「代謝物同定・定量」というのがありますけれども、そこの最後のパラグラ フで「トリルフルアニドのラットにおける主要代謝経路は、S-ジクロロフルオロメチル基 の脱離によるDMSTの生成に続き」、もろもろの代謝物が生成されてくるというふうに考 えられる。  そういうことになると、少なくともラットの体内でこの代謝物が生成している。大体ほ かの動物でも同じようにDMSTが生成して、その先の代謝は進んでいるということにな れば、DMST自身を通しても同じようにvivoで、量の問題もあるかもしれませんけれど も、染色体異常試験とか、そういう意味ではネガティブだというふうに考えてもよろしい のかなと思うんですが、その辺は鰐渕先生いかがですか。 ○鰐渕委員 先生のおっしゃるとおりでいいんじゃないかと思います。 ○大野部会長 それから、先ほどちょっと山添先生ともお話をしたところがあって、DM STの毒性に関して御意見があったかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。 ○山添委員 先ほどDMSTで気にかかるところがあったんですけれども、このスルファ ミド系の一つの共通している毒性というのは、腎臓での析出という問題があるんです。  ところが、毒性の試験の結果、用量を上げたところでもそう出てこないということ。そ れから、代謝の経路でトルエンのベンゼン環のメチル基のところが酸化をされた代謝が主 要なものとして出ているということは、代謝が起きてベンゾイックアシッドになっている わけですね。誘導体です。  そういう経路が存在するということは、少量の暴露の場合はそういう代謝経路によって 代謝がいくから体内に蓄積する可能性はほとんどないと考えていいんじゃないか。その場 合には、この代謝物の毒性をそれほど重要視する必要はないのではないかと私は思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。腎毒性がないと今おっしゃったんですけれども、 一番高い高用量のところでは腎臓の肥大とか、色が変わったとか、そういうものが出てい るというのは食品安全委員会の報告に書いてありますが、一番高いところの用量で、量に 関わることということで毒性だということを山添先生もおっしゃいましたけれども、実際 の暴露レベルでは特に問題にならないような毒性なんじゃないかという考えです。  鰐渕先生、いかがですか。そういうふうに考えてよろしいでしょうか。 ○鰐渕委員 いいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。  それからもう一つ、今回の暴露のレベルとして韓国の基準値をそのまま持ってきている のではなくて、大体その半分にしているというところがありますので、そのDMSTも含 めた基準値を半分に下げているというところもあります。そういう意味で、安全性に関す る配慮はされているかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。そういう形で、分 析対象物質についてはDMSTを外してやる。その代わり、韓国なり、そういうところで DMSTを合わせて基準設定したようなところの値をそのまま持ってくるのではなくて、 それを半分にするなり、そういった配慮をして日本の基準に取り入れるという考えでよろ しいでしょうか。  それでは、またそれについては基準値設定のところで御審議いただくとして先に進めさ せていただきたいと思います。  それでは、分析法と食物中分析結果、基準値、国際的整合性、その辺りについて追加の 御意見があれば伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。  では、豊田先生お願いします。 ○豊田委員 分析方法のところの2ページと3ページです。とうがらしと高麗人参のとこ ろなんですけれども、1行目の一番下で「分液漏斗に移して」と、こういうことまでは今 まで書いていないと思うので、これは取って「転溶し」でいいと思います。「抽出後、ジク ロロメタンに転溶し」ですね。 ○事務局 わかりました。ありがとうございました。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。  それでは、全体を通して御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。  特にございませんようでしたら、今、御指摘のところと作用機序のところで若干の修正 がありましたけれども、その修正を踏まえた上でこの答申案をこの部会の答申としてよろ しいでしょうか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次はアセタミプリドについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 アセタミプリドについて、説明させていただきます。  前回の部会審議後にWTO通報、パブリックコメントを行いました。その経過と、安全 性の評価に関しての意見について関係機関とやり取りをさせていただきました。それと、 追加データの提出がありまして、それを受けて基準値の補足を行いましたので、その説明 をさせていただきます。  資料8−2の77ページです。参考ということで、「これまでの経緯」が書かれておりま す。下の方になりますけれども、平成21年2月3日にこちらの農薬・動物用医薬品部会の 方で審議がされまして、基準値案を了承いただいた形になっております。  その後、2月16日に在京大使館への説明、3月10日にWTO通報、3月19日にパブリ ックコメントを募集いたしまして、後ほど述べますパブリックコメントの意見の中で安全 性の評価に関わってくる内容もございまして、関係機関等とも意見調整を行っておりまし て、22年の年明けに事務連絡等のやり取りをさせていただいて御回答いただいたという 経過になってございます。そして、本日、農薬・動物用医薬品部会の方に出していただい ているという経過のものになります。  それで、参考資料ということで配布をさせていただいているものになりますけれども、 まずパブリックコメント等の経過の部分ですが、在京大使館への説明で寄せられましたコ メントとしては1項目に書いています1件でございます。それから、パブリックコメント で寄せられた意見としては4件、WTO通報に対して寄せられたコメントとして1件とい うことで、ございますが、寄せられた意見につきましては後ろの方に詳細を記載した形に なっております。  1番目は基準値に関する御意見で、アセタミプリドの基準が大幅に強化されるというこ とで輸出に支障を来すという御懸念を示されておりまして、韓国なんですけれども、とう がらしの方の基準を維持してほしいというような御意見をいただきました。  それから、2−1から2−4になりますが、2−3のところは基準値関係ということに なりますけれども、安全性に関する御意見も含めた御意見になってございます。  2−1について、最初の部分では「現行の基準より引き下げることについては評価する」 ということで幾つかの理由を挙げられております。  次のページにいきまして、「イ」は代謝物を含めた評価ということで、こちらは評価する ということです。  「ウ」というところになりまして、基準値の下げ幅がちょっと不十分ではないかという 御指摘がございます。それで、(ア)から(カ)まで幾つかのコメントがございますが、(ア) としては1つは代謝産物の可能性、(イ)としては使用基準の方の管理の問題、(ウ)とし て安全性の評価について安全率を見込むといったような御意見、(エ)の部分で輸出農作物 への配慮といったところの御指摘、(オ)の部分では環境の汚染といったようなところ、そ れから(カ)の部分では中毒への心配というようなことでコメントをいただいております。  2−2です。こちらもパブリックコメントの意見になってきますけれども、数字が並ん だ表の後になりまして6ページのところからがそのコメントになります。基準を設定する に当たって適正な使用という観点が必要だということで、補足意見の中に幾つか書かれて いますけれども、GAPに関する研究の推進ですとか、あるいは相乗・相加作用ですか、 そういったものの研究の推進とか、ミツバチの大量死、それから急性参照用量の利用とい ったようなところ。  次のページにまいりまして、単位面積当たりの使用量といったようなところの観点、そ れからミツバチの死亡とか、そういったようなところです。  それから、6番目として本剤を服用して自殺を図った事例の文献が訳されていますけれ ども、作用機作の面での安全性についての補足意見というものが加えられております。  2−3は基準に関する部分で、こちらの方も米国の方の基準設定の項目の兼ね合いから 考慮いただければというところの御意見になってございます。  2−4です。こちらはパブリックコメントの中の意見ですけれども、一般薬理試験の中 で見られている作用ということで、神経系を介した作用が考えられるということで、散布 上の中毒への御心配との関連で述べられております。  それから、下段のところでは環境中の汚染ということを述べられております。  最後の9ページの一番下はWTO通報におけるものですけれども、こちらは前のページ の2−3とも関連しておりますが、クランベリーの基準値について、基準値のところを置 いて設定を検討いただきたいというような御意見をいただきました。  パブリックコメントの意見としては以上のような状況になっております。 指摘されている安全性に関する御意見の部分といたしましては、来院される患者さんの中 で農薬の散布が疑われるといったものがあるんだけれども、神経作用であるという特性を 踏まえた安全性の評価についてはどうであろうといったようなところ。それから、残留基 準というものの設定が使用量を基に設定されてくるんですけれども、そういったところの 兼ね合いはどうだろうかというところで、食品安全委員会の方と安全性評価の部分につい てはやり取りをさせていただいておりました。それが、先生方の席上の方には置かせてい ただいております机上配布資料でございます。5月28日に「食品健康影響評価に関する照 会について」ということで、こちらの方から食品安全委員会の方に照会をさせていただい たパブリックコメントの意見の内容を抜粋した形で御連絡をさせていただいたことが載っ てございます。12月に返信されてまいりましたが、食品安全委員会の方の健康影響評価の 評価結果との関係をはっきりさせていただきたいという連絡をいただきました。  そして、12月25日に「食品健康影響評価に関する照会について」ということで、こち らの方から食品安全委員会事務局の評価課の方に送らせていただいた照会部分になってご ざいます。照会の内容といたしましては、1.ニコチンアセチルコリン受容体の影響につ いて、どのような考察、考慮がされたものなのかといったような照会と、それからアセタ ミプリドの代謝産物についてが、2.ADIの設定等で暴露評価対象物質の評価に当たっ て代謝物の残留による評価についてどのように評価されたのかについて教えてくださいと いうことで照会をさせていただいたものになります。  それを受けまして、食品安全委員会から回付をいただきました回答が1月5日付のもの になりますけれども、1の回答につきましては、神経系への作用ということで御回答をい ただいておりますが、急性毒性試験で高用量において作用が認められるけれども、90日間、 亜急性試験では影響は認められていない。それから、食品安全委員会の配布資料として、 パブリックコメントが実施されたときに同様の意見があって、それに対するお答えが食品 安全委員会の方から示されております。食品安全委員会において実施されたパブリックコ メントの結果中、回答4というところで、ADIの設定を行った妥当性のところを述べら れている回答部分になりますけれども、各試験においてNOAELが得られているという ことで、そのNOAELは神経毒性を含め、それ以外の作用も出ていないところでNOA ELも見てADIを設定したというような御回答をいただいたという形になってございま す。  2.の代謝物に関する御回答の部分ですけれども、こちらは多く見られている代謝物が キャベツでIC−0というものになるようなんですが、そちらの御回答をいただいており まして、体内運命試験でも認められているし、動物体内運命試験で認められているもので あるし、遺伝毒性試験でも強い毒性、急性毒性試験でも強い毒性がないと考えられるとの 回答をいただいております。  この他、食品安全委員会の方から説明いただきました内容といたしましては、アセタミ プリドのアセチルコリン受容体への親和性があるのではないか、神経障害との関連性があ るといった指摘についてですが、アセタミプリドと代謝物の残留性、安全性上の問題はな いと判断されるといったようなことが食品委員会において実施されたパブリックコメント の結果公表において出ております。それから、神経発達毒性試験のNOAELとして 10mg/kg/dayとされていますけれども、ADIに基づく管理を行うことで安全性は担保さ れるといったコメントが、同様にホームページに食品安全委員会の回答として載っている ということになってございます。  そのほか、使用量の問題等もコメントをいただいておりますが、こちらにつきましては 農薬取締法に基づく薬効薬害試験等を踏まえて使用基準を定めており、同じ農産物でも品 種、栽培条件、病害虫などによって異なってくるというような実態が反映されたものとい うような連絡を 農林水産省より受けております。  次に、基準値案の変更部分です。先ほどのパブリックコメントの意見の中で、1番目の 韓国と2−3の米国、それから3のWTO通報をしたときの御意見でデータが提出された 部分がございます。その部分を前回の部会報告書の中に盛り込ませていただいたものが今 回の配付資料8−2ということになります。具体的には資料8−2の27ページの[3]のとこ ろで、4%アセタミプリド+5%インドキサカルブ水和剤の、韓国での使用方法のところ を追記させていただいきました。  また、68ページになりますけれども、こちらが海外の作物残留試験の一覧表です。この 中にえんどう、そらまめ、未成熟えんどうといったようなところを追記させていただいた というところです。それから、次の69ページのりんご、いちごというところ、それから 70ページの一番下のところで韓国のとうがらしの作物残留試験の結果を追加させていた だきました。これは、先生方に事前に送らせていただいているものと変わってございませ ん。  71ページ、72ページは、その追加された作物残留試験の結果でもって基準を置かせてい ただいた部分を追記させていただいている部分になりますけれども、えんどう、そらまめ で0.4ppm、その他の野菜で2ppm、マルメロで1ppm、クランベリーが0.6ppmというとこ ろで、作物残留試験と参照した農作物のところを補足させていただいております。  74ページからが摂取量の推計表になってございますけれども、えんどう、そらまめ、ナ ス科野菜、マルメロ、クランベリーで基準値の修正を行いましたが、全体の摂取量につい て前回のものから変動が生じるものとはなってございません。  以上が基準値の変更の部分ですけれども、それを踏まえましてまとめさせていただいた ものが79ページの答申案の表になってございます。  そのほかの部分については、前回の部会報告書の記載からの変更は行っておりません。  以上でございます。御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。基準値を変えたのは、韓国からのコメントに基 づいて変えたところだけですね。 ○事務局 先生方の席上配布資料の最後のところに、基準値の対比表を付けさせていただ いております。事前に送らせていただいたものとほぼ同じなんですけれども、表の中で農 産物があって、基準値案というものがあって、前回の部会案というところが……。 ○基準審査課長 お手元の資料は大丈夫ですか。食品安全委員会の文章の一番後ろです。 ○事務局 食品安全委員会への照会の文書の最後のページにホチキスで留めております。 9ページです。それで、網掛けをした部分が今回提出されたデータに基づいて基準を修正 した部分になります。えんどう、そらまめが0.4ppm、それからナス科野菜のところで2ppm、 マルメロで1ppm、クランベリーで0.6ppmということでございます。  繰り返しになりますが、前回の部会の基準値案から変更になった箇所としては、えんど うまめのところが一律基準から0.4ppm、そらまめで一律基準から0.4ppm、その他のナス科 の野菜のところで前回の部会案は1ppmでしたけれども、基準案は2ppm、マルメロで一律 基準から1ppm、クランベリーで一律基準から0.6ppm、こういった修正を行っております。 ○大野部会長 ありがとうございました。トータルとしてのADI比はそれほど上がって いない。TMDI比でも幼小児で42.3%、EDIでは22.5%ということでございます。い かがでしょうか。先生方から御意見ございますでしょうか。特にこういった形の修正でよ ろしいでしょうか。  特に御意見がないということで、御了承いただいたとしてよろしいですか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、今日御審議していただく項目についてはこれでおしまいということでよろし いですね。 ○事務局 念のためですけれども、基準値のところはこれでいただいたんですけれども、 安全性の評価の部分ですが。 ○大野部会長 安全性のところでただいまコメントがあって、それに対する回答というか、 説明がございましたけれども、これについて御意見はございますでしょうか。  では、お願いします。 ○鰐渕委員 食品安全委員会の方に再度問い合わせてという形で回答を得られているよう ですが、あくまでも出てきたデータ、いわゆる科学的なデータに基づくと大丈夫だという ことでしかなくて、今パブリックコメントで出されているのは、ヒトではこうではないの かという憶測のようなことをもって書いてきているんですけれども、それに対する答えと いうのはなかなか難しい問題だと思うので、我々が持っているデータからしたら、この時 点で十分なNOAELは取っていますよという答えにしかならないように思います。 ○大野部会長 私が思ったのは、ニコチンとか、その辺の毒性というのは大体動物よりも ヒトの方が強く現れますね。  ただ、それによって現れていると思われるような振戦だとか、そういう一般薬理試験で 行動に現れるような毒性、それはこれによってかなり高い用量で出ているんですね。だか ら、もしそこの基準値に基づいて例えばセーフティファクターを100倍入れて、それで評 価したとなると、必ずしもヒトでは十分かどうかという懸念が出てくるんですけれども、 そのデータに基づいて設定しているのではなくて、もっと別の毒性に基づいてADIを設 定していますので、慢性毒性発がん性併合試験ですね。  そのときのデータが、食品安全委員会のもともとの報告がちょっとわからないんですけ れども。 ○鰐渕委員 それは全部含めて、すべての毒性の中でそれぞれの一番低いところで最終的 にADIの設定、NOAELという形になっていると思うので、そこの部分は多分クリア しているんじゃないかと思います。 ○大野部会長 そうですね。私が申し上げたいのは、ニコチンのアセチルコリン受容体に 作用して毒性が出てくるようなものの、特にヒトで毒性が強く出るというのは、そういう 神経系に対する作用に基づいての作用についてはヒトで強く出る可能性がある。  ただ、今回のADIの設定の基準とした最低用量で毒性が現れるところと、その下のN OAELと、その値は神経学的な影響ではなくてより低い別の毒性に基づいて設定してい るので、特にその懸念はないんじゃないかと思ったんですけれども。  では、お願いします。 ○松田委員 食品安全委員会の安全性評価上は問題ないのではないかと思いますけれども、 TMDI試算をするときに平均摂取量をいつもかけますよね。  ところが、平均摂取量というのは国民健康栄養調査なんですけれども、1日のデータで 平均してしまうので0.1gとか、そういうのが果物については置かれるんですが、さあ食べ ましょうというときには大体その100倍以上食べるんですね。なので、急性参照用量があ るようなものについては、特にこの果物みたいなものに高い基準値があると超えてしまう 可能性があるんですね。  それはトータルダイエット資料をつくるときにいつも思うんですけれども、果物は非常 に少ないです。普通、みかんは1個食べますよね。ところが、本当に1房の半分くらいし か入れない感じなんです。そういう計算で行われているというところと、実際に食べる食 生活との乖離があってこのようなパブリックコメントが出てくるのではないかと思います。 ○事務局 部会資料なんですけれども、前回、傍聴席も含めて配らせていただいた資料を、 今回は部会報告書の中に織り込ませていただいておりますけれども、76ページになります。  厚生労働科学研究の方でパラメータの収集に当たってくださっていて、相当数の数が集 まったものについて短期暴露評価を行った結果を付けさせていただいております。  一応、表としては国民全体の表と幼小児の6歳以下ということで表にしてございますけ れども、76ページのもので現時点での短期暴露評価推計というものを参考にさせていただ きながら、今回の基準値設定を行わせていただいた部分があるということで御理解いただ けたと思っております。 ○山内委員 これはどういうふうに読むのか教えていただければと思います。 ○大野部会長 この76ページの表ですね。もう少し詳しく説明していただけますでしょう か。 ○事務局 こちらは短期暴露評価の推計法なんですけれども、文章中の記載の中では厚生 労働科学研究に基づいてという形で記載をさせていただいた部分の算出の仕方です。  この算出表なんですけれども、農作物があって、次のところにMRLがございます。そ れで、次が97.5%タイル消費量ということで、一皮にたくさん食べる方の消費量というこ とになろうかと思います。  それから、その方々の体重の値が次のところで、食品を食べられる部分、可食部の重量 が次のところになっております。変動係数ということで、これは不確実係数になりますけ れども、1個取って食べるときの変動を考慮して、現時点では3という係数を使うことに なっていますが、そちらの係数を乗じて、それを計算して算出パターンが正味重量によっ て変わってまいりますけれども、係数の1から3ということで、短期暴露評価の2が2A、 2Bという形になります。これは、メタミドホスの審議をやらせていただく前のときに算 出の方の資料を配らせていただいておりますけれども、それと同じ算出の方式を取ってお ります。  それで、その短期暴露推計の摂取量の計算をした結果がNESTIというところになる んですけれども、多く摂取する方の摂取量といたしましては、上のばれいしょでいきます と3μg/kg体重/dayになりまして、アセタミプリドに対する急性参照用量acute reference doseがありますので、その比を求めますと3%という形の算出表になっており ます。  以下、ほかの農作物についても現時点で得られている使えるパラメータについての算出 リストをここに付けさせていただいたという算出になってございます。 ○大野部会長 このNESTIというのは何の略でしたか。 ○事務局 national estimated short time intakeでございます。 ○基準審査課長 今、確認いたしておりますけれども、この表を見ていただきますと下の 6歳以下の小児の場合の97.5%タイル消費量のデータもまだ対象作物が非常に少ないん ですけれども、得られているものについて計算をしたところ、この斜め字になっておりま すほうれんそうのところですけれども、子どもの場合には81.6gくらい食べてしまう子ど ももいるので、これで計算すると189μg/kg/dayということで、対ARfDのパーセント が190%になってしまう。  100%を超えてしまうという算定なので、ほうれんそうにこれだけ残留していると子ども がほうれんそうを一度に食べちゃったときにはARfDを超えてしまう。倍ぐらいになっ てしまうということなので、ここについてはほうれんそうのMRLを3ppmということで 基準値を低くしております。これは前回の審議の結果でございますが、前回の御審議の結 果、下の3ppmに置き直していただきました。  そうしますと、子どもが大量にほうれんそうを食べたとしても40%くらいの対ARfD になるということで、急性的な暴露に対する御評価もいただいた上で基準値を見直してい ただいたものでございます。  それで、ここにありますように大人については30種類、子どもについては13種類の作 物についてだけしか今はこの97.5%タイル消費量という数字がないんですが、本来は少な くとも基準のつくられております50、60種類の作物についてこういう97.5%タイルの消 費量、たくさん食べてしまう人が一体どのくらい食べるかという量を全部データベースと して持った上で基準値をかけて、それでも対ARfDが80%を下回るということを確認し ていけるようにしたいということで、今、厚生科学研究では作物の摂取量、たくさん食べ てしまう人がどのぐらい食べているのかというデータを集めておりまして、2万何千人の 消費データを順次集めているのですが、まだこのくらいのデータしか出ていない状況です。  100人くらいのデータがそろった作物について順次つくっていこうということで、余り 少ない人しか食べていないもので、その人のデータでつくってしまっても余り信頼性がな いので、100人くらいの人から摂取量のデータが集まったものについて順次つくっており まして、今後もこのファクターを増やしていきたいと考えています。  それともう一つ問題なのは、可食部重量といいますか、1個当たりの作物の重量がどの ぐらいなのかというのがこの計算式にファクターとして効いてまいりますので、日本で食 べられている、なすとかきゅうりとかは大体1個何グラムなのかというデータベースも今、 同じ研究班でつくっていただいておりまして、そういったデータベースを徐々に整備して いくことでARfDの急性暴露の評価も精度の高いものにしていきたいと考えております。  御指摘いただいている、パブコメでいただいているのはまさに松田先生御指摘のとおり、 この急性暴露で大丈夫かという御指摘なので、現在あります数字を用いましてできる限り のところについてはやって、ほうれんそうについては若干基準値の見直しも行いましたが、 今後更にこの作物を増やしていくことで、より精度の高い短期暴露評価をしていこうとい うことで、できる限りのことはやったんですけれども、まだちょっとデータが不十分な部 分については、今後整備していくということしたいと考えているものでございます。 ○大野部会長 わかりました。確認ですけれども、この95%タイル消費量の差にセーフテ ィファクターとして3倍を掛けている。95%タイル消費量の3倍を取ったときの比率とい うふうに考えてよろしいんですか。 ○事務局 不確実係数のところの3の御指摘の部分かと思いますけれども、算出方式にも よってまいりますが、欄に3の数字が入っているかと思うんですけれども、残留のバラツ キを踏まえた係数です。  それから、先ほど御指摘のNESTIですけれども、national estimated of short time intakeの頭文字であるということです。 ○大野部会長 ありがとうございました。もともとARfDを取るときに100倍のセーフ ティファクターを掛けているということです。それから、それに対する割合で40%、最高 で50%というのがありますが、それぞれでそういう可能性はあるんだけれども、この場合 には例えばほうれんそうとトマトを一緒に食べたとか、そういうことは考えないというこ とですね。そうすると100になっちゃうじゃないか。急性の場合にはですね。そういう考 えの下で大丈夫だろうと。 ○加藤委員 少し補足させてください。  ARfDに対応して今おっしゃったNESTI、ショートターム・インテイクの算出の 場合、今おっしゃったように摂取量の問題では摂取量の分布の一番多いものに近い、最高 に近い97.5%タイルの値を取る。そういう多食者の摂取量を取るということですね。  それからもう一つが、残留量ですね。例えばりんごならばりんごの残留量を、今はいろ いろな圃場で数十個、20個とか30個のものを集めて、それをホモゲナイズして飼料とし ての平均的な、個別で1個ずつで見た場合の平均値を残留量として見た場合の一番高いも のをいろいろな評価で使ったりしているんですけれども、圃場間で一番高い数字に更に1 つの圃場の中でもその混成飼料の中の1つずつのばらつきがどれぐらいあるか。それを変 動係数として平均値に対する割合で見ているという意味です。  ですから、多食者が最高に残留しているものを食べるというケースでの摂取量になりま すから、今おっしゃったほうれんそうともう一つの作物を同時に食べるというのは、日本 でそういうケースというのはなかなかないんじゃないかと思います。余りに低い確率にな ってしまう。単純な計算上の今、出ている率は99.97%タイル値摂取量を求めているよう な数字になっていますので、それが更にダブルでかかるということは現実にはまずほとん どないと見ていいんじゃないかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。前に説明を十分受けたはずなんですけれども、ち ょっと忘れているところがありまして、私自身そういうところがありますので説明してい ただいてありがとうございました。  そういうことで、こういった形で対応しているということで、安全性に関しての懸念は 今、存在する安全性試験に基づくデータに基づいては懸念はそれほどないと考えていいだ ろうというところだと思います。それでよろしいですか。                 (委員 異議なし) ○大野部会長 では、そういうことで皆さん了解が得られたと思いますが、事務局として はよろしいですか。 ○基準審査課長 ありがとうございました。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、大分終わりが迫ってきてしまいました けれども、報告事項がございます。それについての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、お手元に配布させていただいております資料9について、報告確認 事項といたしまして説明させていただきます。  農作物への農薬の残留基準につきましては、これまで当部会におきまして一定の合意や 理解の下、提出された作物残留試験成績等に基づいて設定してきたところでございます。 昨年の12月2日に開催されました食品衛生分科会におきまして、そうした残留基準の設定 に当たっての考え方についての御意見がありました。それを受けまして、大野部会長から 当部会において再度確認したいという旨、述べられたところでございますので、今回事務 局におきまして改めて整理を行った次第でございます。  資料9の1ページ目の丸の1つ目は、基準設定の基本的な進め方を記してございます。  その次の2つ目の丸で、基準案を作成する際に考慮する点を挙げてございます。国際基 準、すなわちコーデックス規格が設定されているときは、その基準値を採用することを基 本といたしますけれども、使用された農薬の作物中の残留量は(1)から(4)に示して おりますような要因で変動するということでございまして、それよりも高い基準値を設定 する合理的な必要性が生じる場合もございます。  そうした場合、また国際基準が設定されていないような場合におきましては、提出され た作物残留試験の成績を踏まえまして基準値案を作成することとなります。このとき、評 価対象といたします作物残留試験成績は、定められた使用方法の範囲での最大残留量を評 価できるものであることが必要となっておりまして、現在国内、海外、いずれで実施され た試験につきましても2例、2つの圃場以上のデータを提出してもらっているところであ ります。  1枚めくっていただきまして、2ページ目の1つ目の丸では基準値案を作成する際のポ イントといたしまして、やはり適正な農薬使用を保証するものとすることを記してござい ます。そのため、農薬を使用方法を守って適正に使用していれば、通常超過しない値とし て、1ページ目に示したような(1)から(3)のような要因による残留量のいわゆる揺 らぎのほかに、分析誤差なども考慮いたしまして許容幅、アローアンスを置いて基準値案 を作成する必要が出てまいります。  こうした考え方につきましては、手法はそれぞれ違っておりますけれども、諸外国の基 準値の設定ですとか、国際基準の設定におきましても同様にとられているところでござい ます。  作物残留試験で得られた実測値は、残留分布曲線のこの範囲内にある残留量が無作為に 抽出されたものと言えるかと思うんですけれども、2例の実測値から分布の全体像を科学 的に推定することはほとんど困難でございます。そのため、これまでの経験則に基づきま して、例えば実測値が0.002ppmを超えまして0.005ppm以下であるときは0.02ppmを基準 値案としたり、また例えば実測値が0.025ppmを超えまして0.05ppm以下であるときは 0.2ppmを基準値案とするといったアローアンスの置き方をとってきているところでござ います。  一方、農林水産省におきましては農薬取締法に基づく登録の申請に際して提出を求めま す作物残留試験の例数につきまして、資料9の3ページ目からの別添に示しておりますと おり、主要作物については6例以上、準主要作物については3例以上とする検討を進めて いるところでございます。  なお、主要作物、準主要作物等の区分につきましては6ページ、最後のページをごらん ください。このように、評価対象となる試験の例数が増えますと、残留分布の全体像を科 学的に予測することができるようになり、合理的にアローアンスを抑えつつ、より適切な 基準値の設定が可能となることが期待されます。  なお、1ページ目に示した(1)から(3)のような要因によって作物中の農薬残留と いうのは変動いたしますけれども、農薬の使用方法が一定範囲以内に定められている限り、 作物中の残留分布は一定の曲線を描くと考えられますので、設定される基準値が違うから と言って飲食を介して実際に摂取される量が変わるということはないと考えております。  実際、作物残留検査ですとか、マーケットバスケット調査方式による1日摂取量調査な どによりまして、これまで実際の摂取量の把握に努めてきているところでございますけれ ども、その結果、流通している農作物における残留レベルというものは総じて低く、人の 健康に影響を生じるものではないということが確認されてきております。本日、委員の皆 様のお手元には平成16年度の検査、調査の集計結果を参考までに配布させていただいてお りますので、御参照いただければと存じます。  事務局から、資料9番目の説明をさせていただきました。以上でございます。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。  今、説明がございましたけれども、分科会の方で、今まで日本が主に2例で残留試験を やっていて、それで大丈夫なのかという質問があって、それへの対応ですが、今、農水の 方では例数を増やす方向で進んでいるんだというような御説明がありました。それについ て、ある程度整理をしてこの辺の考え方を皆さんに説明していただきたいと思いましてお 願いしたところです。  この例数を上げるというのは、いつごろこういう実際の規制になるのでしょうか。 ○事務局 資料9の5ページ目に四角囲いで記載しておりますけれども、こちらにつきま しては農林水産省の方でテストガイドライン案を策定いたしまして、更にパブリックコメ ントを行った上でこの提出資料について定めている通知の改正を図る予定であるとのこと です。 ○大野部会長 これからガイドラインをつくるということになると、あと2、3年という ことですか。 ○事務局 すぐに6例の試験成績が提出されて基準値の設定に反映されてくるというわけ では必ずしもないということで、1、2年は少なくともかかってくるのかなと思います。 ○大野部会長 私たちのところにデータが挙がってくるのは、もっと随分先ということに なるんでしょうね。  では、山内先生どうぞ。 ○山内委員 農水省さんは、このパブリックコメントをかけたりした上で通知の御改正は いつの御予定でございますか。 ○農林水産省 具体的な時期についてははっきり申し上げることはできないんですけれど も、作残の例数以外にも作物残留試験の分析方法にかかる話を厚生労働省さんと詰めるこ とがまだ終わっておりませんので、早急に詰めてやりたいとは考えております。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。  山内先生、お願いします。 ○山内委員 机上配布で、2例の作物残留試験成績がこんな状態だったら残留基準値案を このように設定するという一覧の表をつくっていただきまして、私もよくわかりました。 ありがとうございました。  ただ、上から6番目が0.2……。 ○事務局 タイプミスで、0.1でなく0.2でございます。申し訳ございません。 ○山内委員 それと、今日の資料を見ていましても実際の基準値が25ppmとか30ppmもあ るので、これは中の確認というための資料だとは思いますけれども、それも含めて書いて いただいた方がいいのではないかと思います。 ○事務局 ここでは20ppmまでのケースを示しておりますけれども、これより高い場合に ついても考え方としては同様にアローアンスの置き方は行っております。 ○大野部会長 ありがとうございます。時間を過ぎてしまっていて皆さんには申し訳ない んですけれども、残ったものがありますので、そちらについて進んでよろしいでしょうか。  それでは、カカオ豆についての説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、最後になりますが、カカオ豆の残留農薬に係る対応についてでござ います。資料10番の「カカオ豆に係る農薬の残留基準の整備について」をごらんください。  まず初めに、別添の差し替えを会議の冒頭にさせていただきました。6ページから8ペ ージまでに当たるところでございます。誠に失礼いたしました。こちらをごらんいただけ ればと存じます。  まず1枚目をごらんいただきたいと思います。昨年7月24日の当部会におきまして、日 本チョコレート・ココア協会よりポジティブリスト制度におけるカカオ豆の検査部位及び 暫定基準変更の要請がございまして、背景等を説明いただいたところです。その後、事務 局において検査部位等の変更について検討いたしました。本日は、今後の方針等について 御説明をいたしたいと思います。  まず「現状」といたしましては、カカオ豆については本日時点で残留基準値が128の農 薬について、外皮を含む豆全体を検査部位として定められております。資料の6ページか ら8ページに、参考として現時点での基準値のリストをお示ししてございます。  2の「問題」でございますが、カカオ豆につきましては全量を輸入によっておりますが、 ポジティブリスト制度の導入後、基準値を上回る農薬が残留したカカオ豆の輸入事例が頻 発いたしましたため、日本チョコレート・ココア協会において生産国への情報提供、適正 使用に関する啓発活動や船積み前検査の実施依頼などの対応がとられてまいりましたが、 その後も基準値超過事例が発生し、同協会より基準の見直しの要請があったところでござ います。  3の「対応案」といたしまして、まず(1)として「検査部位の見直し」を検討してご ざいます。  最初の丸でございますが、現行の残留基準におきましてはカカオ豆や外皮を含む豆、豆 全体を検査部位としておりますが、カカオ豆の輸入量が最も多い欧州におきましては、2008 年9月のポジティブリスト導入に伴いまして、カカオ豆の検査部位を外皮を取り除いた部 分、ビーンズ・アフター・リムーバルシェルとすることとされたところでございます。  2つ目の丸に移りまして、現在のカカオ豆にかかる残留基準が設定されている128農薬 のうち、3ページの別表1にお示しする26農薬につきましては、欧州各国の基準値を参照 して基準が設定されたものでありますことから、我が国の検査部位も可食部である外皮を 取り除いた豆とすることを検討してございます。  次のページに移っていただきまして2ページでございますが、またこれに合わせまして 別表2にお示しするポジティブリスト制導入時に一律基準までの分析が困難と考えられる 農薬として、それぞれの定量限界に相当する値を基準として設定した70農薬、及び現在個 別の基準値が設定されておらず一律基準が適用されるその他すべての農薬につきましても、 可食部である外皮を取り除いた豆を検査部位とすることを検討してございます。  次の丸でございますが、欧州においては検査部位の明確化に伴いまして、これまでのE U各国基準値の見直しを行っており、我が国が参照した別表1の26農薬のうち、11農薬 については基準値を上方改定、△で上に示しておるものでございます。10農薬については 据え置き、4農薬については下方改定、1農薬については基準値を削除して一律基準であ る0.01ppmを適用することとしてございます。  これを踏まえ、ポジティブリスト制度導入時に参照した基準値よりも低い基準値となっ た5つの農薬につきましては、今般の検査部位の見直しに合わせて当該残留基準値に下方 改定することといたしたいと考えております。  合わせまして(2)でございますが、各国の基準値を参照して設定した基準につきまし ては、順次リスク評価に必要な資料等を収集して食品安全委員会のリスク評価を依頼して いるところでございますが、カカオ豆にかかる残留基準値が設定されている農薬につきま しても、評価に必要な資料の収集を進めていくこととしたいと考えてございます。  事務局からの報告は以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの報告について御質問、御意見はござ いますでしょうか。  日本では、輸入するときは殻は付いているわけですね。それで、業者が検査するときに は皮を取ってから検査すると。 ○事務局 輸入時には殻付きで輸入されます。 ○大野部会長 業者がそれを利用するときには、皮を取って利用しているんですか。 ○事務局 製品にするときには殻は食べられませんので、可食部の中身、ニブと呼ばれる 部分だけを使ってございます。 ○大野部会長 その取り方によって、皮に付いていた農薬がそこにくっ付いてしまうとい うことはないんですか。つぶすわけですね。 ○事務局 つぶして、いわゆる殻と呼ばれるものを飛ばすわけですけれども、工程によっ てどれだけの農薬が移るかという詳細な調査までは、現在のところしてございませんので。 ○事務局 補足させていただきますけれども、7月に協会さんの方からの説明の中にもあ ったと思うんですが、実際の製造時の殻を外すときは加熱工程によって外しているという ことになりまして、今回の皮むきにした場合の検査方法の検討では、実際に加熱して外す 方法にした方がいいのかどうかということも踏まえた上で、加熱するということは往々に して飛んでしまうということになりますので、それよりは加熱しないままむいてなるべく 中身の飛ばない状態での検査ができる方法を検討するということでしていただいた方法と なっておりますので、その辺は実際の製造時に皮をむいたときに中に移染するというのは、 現実的にはそれほどないのではないか、どこまで考慮しなければいけないかというのは思 いますけれども。 ○大野部会長 検査するときと同じような方法で、現場でも皮をむいていると。 ○事務局 現場では違います。 ○基準審査課長 現場ではもっと農薬がなくなる方法で殻を取っているので、この分析法 でといいますか、7月にも御報告させていただいた方法でやった方が、より厳しい評価に なるという理解でございます。 ○大野部会長 わかりました。よろしいでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。最後に今後の手続きとか、事務局から追加 はございますでしょうか。 ○事務局 今日、御審議いただきました動物用医薬品等2剤と農薬6剤につきましては、 一部確認修正をさせていただいた上、部会報告書とさせていただきたいと思います。  それから、今後の手続きでございますけれども、食品衛生分科会にお諮りするというこ とと、動物用医薬品等2剤、それからアセタミプリド以外の農薬5剤についてはパブリッ クコメント、WTO通報等の必要な手続きを進める予定とさせていただいております。  それから、次回の本部会の開催でございますが、3月2日火曜日の午後を予定させてい ただいております。詳細については、追って御連絡を差し上げます。以上です。 ○大野部会長 ありがとうございました。そのほか、何かございますでしょうか。特にご ざいませんでしょうか。  それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。どうも御協力ありがとうご ざいました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2487、2489)