2010/01/25 第3回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会議事録 第3回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会議事録 1 日時及び場所:平成22年1月25日(月)午後3時〜5時          航空会館702・703会議室 2 出席委員:池田、田中、千葉、藤井、堀田、村川 3 議題 (1)平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果(速報)について (2)平成22年度実施予定の調査方法等について (説明者)  定刻となったので、第3回社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会を開催させていた だく。初めに、本日の委員の出欠状況だが、藤井委員、村川委員が少し遅れているが、こちらに 向かっているということである。  前回の開催が昨年の5月であったので、それ以降に人事異動があった事務局について、紹介さ せていただく。  三輪大臣官房審議官でございます。  古川介護保険計画課長でございます。  水津高齢者支援課長でございます。  千葉認知症・虐待防止対策推進室長でございます。  宇都宮老人保健課長でございます。  それでは、議事に入る前に、お手元の資料について確認をさせていただく。  まず、議事次第、名簿、座席表とあり、資料1−1「平成21年度介護従事者処遇状況等調査の 結果(速報)」である。  資料1−2「平成21年度介護従事者処遇状況調査票の調査項目一覧」。  資料2−1「平成22年度実施予定の調査について」。  資料2−2「介護事業経営影響調査及び介護従事者処遇状況等を調査の実施の概要(案)」につ いて」。  参考資料として、参考資料1「平成21年度介護従事者処遇状況等調査の調査票」。  参考資料2「平成19年介護事業経営概況調査票」。  参考資料3「平成21年介護従事者処遇状況等調査の対象者について」という資料構成である。  資料の不足等があれば、お申し付けいただきますようお願いする。事務局からは以上である。 なお、恐縮であるがが、写真撮影の方は以上とさせていただく。  それでは、以降の進行は、田中座長にお願いする。 (田中座長)  早速であるが、議事次第に沿って進めていく。  議題が2つあるので、1つ目の議題「平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果(速報)に ついて」について、報告を伺って議論する。  では、説明をお願いする。 (説明者)  資料1−1「平成21年度介護従事者処遇状況等調査の結果(速報)」についてごらんいただき たい。今回の速報の前提であるが、今回の集計結果については、昨年12月末までに確定した約5,000 の調査票を集計したものである。したがって、最終的な結果については数値が変動するので、ご 承知おきいただきたい。  今回の速報の集計は、基本的な項目につきまして、単純集計を行っただけというものなので、 その他の項目について、現時点では集計していないが、現在未確定分の調査票の照会作業を行っ ているところであるので、今後これらの分を加えて集計し、最終的な確定データとするとともに、 本日ご議論、ご意見をいただいた内容を踏まえ、クロス集計分析を行うということである。  1ページ「調査の概要」についてである。  承知のことと思うが、介護報酬改定が介護従事者への処遇改善に反映されているか検証を行う ための基礎資料を得ることを目的としておりまして、基本方針として、ここにございます3点。 給与等の実態把握、給与等以外の実態把握、加算の取得状況について、平成21年10月1日現在 で調査を実施した。集計に当たっては、ウエイトバックを行い、全国推計値を算出している。  2ページ、今回の集計対象施設・事業所数であるが、今回の速報値における集計対象の調査対 象に占める割合は、70.5%となっている。最終的な集計数、回収率につきましては、関係各位の ご協力により、8割を超える見込みとなっている。  3ページの「結果の概要について」の1番のところであるが、これは4ページの表も併せてご らんいただければと思うが、平成21年4月から9月までの間で給与等の引き上げをした状況は定 期昇給を実施しているところが43.7%、介護報酬改定を踏まえて引き上げたところが23.4%、介 護報酬改定にかかわらず引き上げたところが21%となっている。  この項目については、複数回答の項目であるので、例えば定期昇給を実施して、更に介護報酬 改定を踏まえて引き上げたという2つ、3つの項目に該当している場合もある。そのため、横の 計は100%になっていない。  この複数回答の状況についても、今後分析が必要かと考えているところである。  続いて、2番であるが、5ページに表がある。平成20年及び平成21年ともに在籍している従 事者について、その平均給与額を出したところ、平成20年の22万2,308円に対し、平成21年が 23万1,366円ということで、9,058円増加している。サービスごとの数字につきましては、下にあ る。  ここで集計しております従事者は、先ほども申したが、平成20年9月及び平成21年9月とも に在籍している者であり、例えば平成21年に新規採用になった方、平成20年度に退職した方に ついては、含まれていない。あくまでも平成21年度とその前年ともに在籍している者の平均給与 額がどうであったかという集計の結果である。参考3として最後につけている資料があるが、こ れが今回の集計の内容を図示したものである。ずっと勤務されているAさんについては対象にな っている。Bさんのように、平成21年で勤務しているが、平成20年の調査時点でもたまたま勤 務していたという方も対象になっている。そしてCさんのような新規採用者については、この集 計には入っていない。一方、Dさん、Eさんのように、調査実施時点に勤務していない方につい ても調査対象とはなっていない。資料に戻っていただき、3ページの3番であるが、これは介護 従事者の職種別の平均給与額を見たものである。職種別に8,102円から12,291円の間と幅がある 結果となっている。4番、給与等以外の処遇改善の状況であるが、多いものとしては、職員の増 員による業務負担の軽減が32.6%、能力や仕事ぶりの評価と配置・処遇への反映が33.8%、昇給 または昇進・昇格要件の明確化が33.8%。このようなところが高くなっている。資料としては、 7ページであるが、ここで言う欄の左から3つの項目を足した数字が今申した数字である。従来 実施しているが、今回更に充実したとか、いずれにしても、今回何らかの改善を実施した、ある いは実施を予定しているというものを集計した数字である。最後に8ページの、「要因の分析につ いて(案)」である。このような形で今回単純集計しているが、これについて本調査、先ほど申し 上げた基本方針を踏まえ、要因分析を行っていきたいと思っているが、この3つの基本方針に基 づき、それぞれ下の分析例にあるような一定のクロス集計を行うことによって、分析をしてはど うか。資料1−2は、今回の調査項目を一覧表にしたものである。調査として集計できるものが ○印しになっております。○が21年9月の状況がわかるもの。●については、平成20年9月と 21年9月の比較ができるものということで一覧にしているので、議論に当たっての参考にしてい ただければと思う。 (田中座長)  それでは、ただいま説明のあった介護従事者処遇状況等調査の結果(速報)について議論して いく。なお、今回の速報は先ほど説明があったように、今後の分析を行うための一時的な集計で ある。今後更にどのような分析を行うかについて議論する。それについての基礎的な提案が資料 1−1の8ページにまとめられている。これについて委員会のコメントを加えて、厚生労働省の 今後の作業に役に立つようにすることが目的である。  では、説明のあった資料についての質問、意見があればお願いする。 (堀田委員)   5、6ページであるが、平均給与額の変化について、注によると月給の人も日給の人も時間給 の人も全部一緒にして、月当たりの給与を算出したということだと思うが、もしそうだとすれば、 例えば日給の人、時間給の人が、実労働日数であるとか実労働時間数を増減させている場合も含 まれてしまう。つまり、これだけでは日給額、時間給額が増えたのか、日数や時間数が増えたこ とによって手取りが増えたのかは分からないという理解でよいか。また、もし分かるのであれば、 月給、日給や時間給ベースの変化も、補足として教えていただけないか。 (田中座長)  事務局いかがか。 (説明者)  先ほど申し上げたとおり、今回出しているものを単純集計しているものであるので、これ以下 の詳細な数字については、本日持っていない。そういった観点から、こういった分析も必要だと いうことの意見をいただければと思う。 (堀田委員)  確認であるが、これは月給の人も日給の人も時間給の人もまとめてしまっており、日数や時間 数が増えたことによる変化も含まれている数字という理解でよいか。 (説明者)  単純にすべての者が入っている数字でございます。 (堀田委員)  わかりました。 (田中座長)  今回は単純集計であり、それをどのように分析するかについて本日提案いただき、3月までに 分析をすることになる。質問であったが、実際は提案になる。他に何かあるか。 (藤井委員)  まず質問であるが、2ページの調査対象数と集計対象数であるが、そもそも8割になるという ので大変高く優れた調査であると思うが、調査の対象と判断したが、調査票を送ってみたら閉鎖 しており、調査票が返ってきた分もあると思う。実質の回収率と、実質の集計%があった方が、 見る方とすれば、どの程度皆さんが協力してくれたのかというのがわかる。  また、非常に煩雑な調査であるので、調査票に記載された内容が非常に乏しいものもあると思 う。集計の対象から外した分も結構あると思うが、どのような方針でデータをクリーニングした かということによって、今のところ平均だけという話しであるので、ひょっとするとこれからデ ータクリーニングを実施すると、異常値が見つかり、そのデータを外していくというプロセスに なるのか。その辺りを教えていただきたい。 (説明者)  基本的に一定のエラーチェック等はしているので、遅れて出てきたものや、あるいは現在照会 しているもの、その回答待ちのものといったものがあるとしても、集計が不能なものが多いとい う状況にはない。詳細については、後日報告させていただく。 (藤井委員)  個人の給与を書いておられるのが、つじつまが合わないまではいかなかったとしても、先ほど 堀田委員が言ったような観点でおかしいのではないかと、そういうものもある一定の率で生じて いるのではないかと思うが、そこもチェックしているということか。 (説明者)  基本的に返信していただいた中で、すべての項目を書いていなかったりしている票に、一部有 効に回答されているものがあったら、それについては含まれているので、そういう意味では一部 外れているものもあるという状況である。 (藤井委員)  わかりました。 (田中座長)  質問はよろしいか。質問ではなく、この表をどう読むかの分析でも結構である。あるいは、今 後のより細かい分析の仕方についての提案でも結構であるので、意見をお願いする。 (池田委員)  この数字は独り歩きする恐れがある。月給の者と日給の者と時給の者は、性格が違う。特に103 万円パートの場合、103万以内で収めてしまうということがあり、それらを全部積み上げた数字が、 あたかも介護従事職員の給料だ、と独り歩きするのは、非常に危険だ。  本来は月給、日給、時給の違いは区分して公表するべきではなかったか。恐らく傍聴の中にも マスコミの方、ジャーナリストの方が来ていると思うが、きっとこの金額は独り歩きする。かな りの誤解を招くので、マスコミ関係の方への説明はきちんとしていただきたい。  まだ細かく分析していないが、全体で見ると約4%上がっていると読んでよいか。9,058円を22 万2,308円で割ると、約4%程度になる。  介護報酬を3.0%上げて、しかも臨時に介護職員処遇改善交付金が出ていることから、ほとんど 賃金配分率は変わっていないと読めるが、そこはこれからの分析で重要であると思う。賃金配分 率が変わらなければ、給与が20万円の方は、介護報酬を3.0%上げると、6,000円しか上がらない というのは当たり前であるので、その辺りをサービス種類別と規模別で、賃金配分率の変化を読 むといった分析を考えられないか。 (田中座長)  これは回答ではなくてよろしいか。 (池田委員)   構わない。 (田中座長)  労働分配率が分かるような分析をしてはどうかという提案であった。 (堀田委員)  1点目、最初の確認に関連し、池田委員の発言と重なるが、最終的に結果を出す際は、平均給 与額の変化については、改定前後の賃金支給形態が同じ方だけをとりあげて、月給、日給、時間 給額それぞれの変化をあわせてみたほうがよい。恐らく、日給の方、時間給の方については、実 労働日数、労働時間数も変更しており、時間給から日給、時間給から月給になる方もいらっしゃ ると思うので、レートで見るという視点が必要ではないか。  2点目、収支について今回の単純集計では触れられていないが、8ページの中には含まれてい ると思うが、収支を含めた経営状況の変化と給与のレートの変化の関係を見ることができるよう にした方がよいのではないか。  3点目、規模や事業所属性というところに含まれているのかもしれないが、併設サービスなど の状況を含め、法人全体の情報を把握していると思う。事業所単位の属性も重要であるが、法人 全体としての事業の組み合わせ方といった法人単位の属性についても、クロス集計の軸として配 慮いただきたい。  最後に、この数字は非常に注目をされるだろうと思うからこそであるが、今は間に合っていな くて当然であるが、特に給与や収支の数字は、つじつまが合わなさそうな数字も結構多くあるの ではないか。基準を明確にしてデータクリーニングをしていくという作業も併せてお願いしたい。 (田中座長)  事業所別だけではなく、事業者、法人ベースで見ることも重要であるという指摘は大変役に立 つであろう。他にいかがか。 (村川委員)  既に堀田委員、池田委員から、かなり重要な指摘があったが、基本的には、全体としての集計 率が平均70%を超えていることなど、評価できる点も多いわけである。個別の分析を掘り下げて いく上では、先ほど堀田委員から指摘があったが、賃金の支給形態が時給、日給、月給という3 通りもある。これは全部の事業類型についてそうするかどうかということはあるが、特に訪問介 護事業所については、従来からも非常勤スタッフが圧倒的に多いと言われている分野であるので、 これは2区分にするか、3区分にするか。恐らく月給の方は常勤が多いと思われるし、それに次 いで補完的なのか、あるいは基幹的なのか(サービス提供責任者)、そういうお立場の方と、それ から、パートタイム等の方もいるので、少なくとも訪問介護事業などについては、区分した分析 が必要ではないか。全類型も必要かとも思うが、最終的に複雑になり過ぎることもあるので、2 区分程度にするのかどうか。その辺は分析作業の中で考慮してよいのではないかと思う。  既に8ページにいくつかの提案があるが、特に今、人材確保等で大都市周辺の人材確保困難も いわれているので、地域区分等を意図した分析を深めた方がよいのではないか。 (田中座長)  実際に集計してみると、フィージブルではない、あるいは箱の中の数が少な過ぎて、有意義な 統計にならないこともあり得る。しかし、現段階は提案であるので、様々なことをそれぞれの専 門の立場から意見いただければ、可能かどうかについては、事務局が最後に実際に統計を見て決 めていただくしかない。今日は、フィージビリティーは無関係に提案をいただきたい。 (藤井委員)  3点ほどあるが、平均値だけを見ると、多く上げた事業所もあれば、ひょっとしたら下げた事 業所もあるので、分布を見せていただきたい。やはり非常に重要な調査であるので、平均値が変 わったかどうかというのは、意味のある差なのかどうかという意味で、統計的な検定をしなけれ ばいけないかなと。  それに関連して2点目であるが、今回は1円単位まで示しているのですが、余り意味がないと 思うので、有効数字から言うと、誤差率を考えると3けたくらいなのかもしれないが、差し引き の値が出てくるので、上位4けたとか3けたとかになるのではないかと思うので、その辺りは内 部で検討いただきたい。  最後である、給与は1か月分にならした分ということであるが、赤字・黒字という話になると 経営側から見てということになりますと、例えば法定福利はそれほどに違わないが、一定額を超 えていない人に法定福利を払わなくてもよい分があること、退職給与の積立て等も違うので、人 件費ベースで分析した方がいいものと、給与ベースで分析したものがいいものと、それによって 差が出るかもしれない。その点はケースによっては考えた方がよいと思う。 (千葉委員)   ほとんど言われてしまったようなところもあるので、集計の方法について一つ質問であるが、 これからクロス集計とのことである。分析の案が記載されているが、これは二重クロス、三重以 上のクロスというのは考えられるかどうか。  介護報酬単価の関係もあるが、地域区分と規模で、どちらも介護報酬単価が異なり、また経営 状況にも違いあると思われるので、地域かつ規模別集計というのもあるとよい。ただ細かく集計 し過ぎると、サンプル数が減ってしまうため、有効にものを言うには余り建設的な提案ではない かもしれないが、介護報酬の単価に影響を与える要因をコントロールしておくことは、比較をす る上では重要になってくる。 (田中座長)  区分が変わったことによる影響がどうかと理解してよいか。 (千葉委員)  同じ条件で可能な限りそろえ、時点が違うことだけで何が変わったのかを、できるだけ特定で きるようにするべきではないかと思う。 (田中座長)  事務局はできるかどうか検討いただきたい。 (堀田委員)  1点目、8ページに従事者の属性による分析例が書かれているが、資格の取得状況、とりわけ 加算との関係もあり、介護福祉士資格の有無による違いは、見ておいた方がよいのではないか。  2点目、単純集計もこれからなのかと思うが、参考1で配られている調査票の2ページ目であ るが、問2で、給与は全員引き上げたのか、勤続年数、経験年数、資格の保有といった要件を設 けているのかを調査している。行き渡ったかどうかという観点では基礎的な情報なので、これも 事業所や法人属性別に見ていただけるとよいのではないか。  3点目、問3で給与以外の処遇状況、教育研修であるとか、職場環境も調査しているというこ とで、給与や手当の変化と問3で調査している給与引き上げ以外の処遇改善状況の変化の組み合 わせを確認してはどうか。例えば給与を引き上げている事業所ではこれはやっていないとか、給 与を引き上げていればこれもやっているというような対応のタイプについて、因子分析などもし 簡単にできるようであれば、可能であれば実施してはどうかと思う。 (田中座長)  役所の統計は基本的に単純集計かクロス集計かで、余り多変量解析をした統計を見たことがな い。この様な統計では余り見たことはないが、それは可能か。 (説明者)  不可能ではないと思うので、できる限りトライしたい。 (田中座長)  論文として提出するときには単純、クロス集計だけでは採択されないから、学者の立場からの 意見だったかもしれない。 (藤井委員)  今の堀田委員のご発言のような分析をするとなると、少し気になるのが、仮説として分析する ときに、給与を上げたところはどういう事業所で、給与を上げた事業所はよい事業所ではないか という前提があると思うが、調査票をつくっている時点からいろいろ話があったように、もう既 に十分上がっている、すばらしいところは上げようがないという話がある。考え方としては、十 分給与が高い事業所で給与を上げた事業所、上げられなかった事業所、一方、給与が低くて上げ た事業所、上げない事業所という、4つの区分があるかと思う。その辺りをどう処理するかであ るが、単に上げた、下げたということだけに注目していると、きれいな結果は出ないかもしれな いと思うので、その点配慮いただきたい。 (田中座長)  そちらの方が大分やさしい。 (池田委員)  堀田委員と藤井委員の議論に全部つながるが、1つは平均値で見ても仕方がないと私は思って おり、藤井委員がおっしゃったとおり分布を見るのが非常に重要だと思う。分布にするときのた めに1つの考え方として、事業所をいくつか分けてモデル区分したらどうか。  例えば平成20年の9月時点の賃金を調査しているので、そこで賃金が高い事業所、低い事業所 と、ABCDEくらいに分けることは不可能ではないはず。それと実際に、賃金が上がった分布 を見ると傾向が読めるということもあるし、規模別などは簡単にできると思う。  堀田委員がおっしゃったように、給与以外の処遇改善をやっているところを、これもいくつか のパターンに分類をして、それで分布を見てみる。クロス集計というよりも私は分布で見た方が いいと思う。  これまでいろいろ出てきたものを見ると、離職率や賃金もばらつきはあるが、実は二極化して いるとか、結構傾向が見られるので、言わば事業所の性格を読むために仮説として事業所をモデ ル的にいくつかに分類して、勿論データに裏打ちされたものしか使ってはいけないが、そういう やり方が必要になってくるのではないだろうか。  個票も非常に重要で、労働者の属性みたいなものを一定程度区分して、その分布を見るという ふうに、ある程度仮説を立ててやらないと、ものすごい量になってしまう。介護保険関係という のは面白いことに、仮説を立てると自然科学と違って結構当たる。そういうことを追加してお願 いしたい。 (田中座長)  この委員会とは直接関係ないが、離職率の統計においては明らかに平均値に意味はなく、低い ところと高いところが両側に分布しているデータは今までの分科会などで出ていた。おっしゃる とおり平均値だけで議論することの怖さは、我々は留意しなければならないと感じる。 (千葉委員)   もともと給与が高い事業所で上げたのか上げていないのかという区分をする、これは非常に賛 成です。 ただ、もともと給与が高い事業所の要因というのは、もう一つ地域性の要因があるの ではないか。例えば大都市部のように、平成20年でも人が集まらないから、やむなく単価を上げ ていたというところもあるでしょう。もともと給与が高いのも、実は地域的に2通り意味がある 可能性があるので、欲張りかもしれないが、もう一つその辺が要因なのかと思う。それも含めて の分布というのは意味があると思っている。 (田中座長)   分布をベースに、と皆さん言っている。是非見ていただきたい。多変量解析まで行くかどうか は、予算とか、データを細かく分けたときの信憑性の話もあるので、難しいかもしれない。  他にいかがか。見ているとだんだん思いついてくるものである。今日だけでなくてもよいか。 もし先生たちが、今晩家に帰りこれもあるなと思いついた場合は、まだ受付可能である。 (堀田委員)  今まで藤井委員と千葉委員と池田委員がおっしゃったこととつながることとして、まずは支出 に占める給与総額の割合で見るのか、職員の平均賃金で見るのか、いずれにしても限界があるが、 給与引き上げについて、これまでの給与が低くとどまっていて、かつそれ以外の処遇も十分でき ていないところで、今回報酬を改定しても給与を引き上げることも難しかったし、その他の処遇 も充実できなかったのはどういう事業所なのか。法人の規模が小さいとか、地域の要因なのか。 もともと厳しい状況で、かつ報酬改定の恩恵も現場に向けられていないというのはどういうとこ ろなのかという問題意識で見ていくというのも、一つあるかと思う。もちろん、これまでも頑張 ってきて、さらに取り組んだ事業所はどういうところかという問題意識を主に見ることもありう る。 (田中座長)  全部の値だけではなくて、問題となっているところだけを少し丁寧に見るという考え方もあり 得る。本日見たところでの提案は、大体そのくらいか。 (池田委員)  今言われたことの裏表となるがちゃんとできているところを個別に見る。つまり、一定の賃金 を払っていって、かつ法人税を払っているという事業所。うまくできているということは、理由 があるというであるので、その様な事業所を抽出して、そこをもう少し詳しく見てみるという、 恐らくそちらの方が生産的なのではないか。問題のあるところと全く問題のないところと両方お 願いできればと思う。 (藤井委員)  今の延長線上になるが、8ページの加算の取得状況というのが1つの項目として立っているが、 一番政策的にうまくいっていたとすれば、いいところが加算を取れていて、収入も上がっていっ て更に強くなっている。いいか悪いかわからないが、今皆さんがおっしゃっている部分が加算と の絡みでどうなっているか。収入増との関係でどうなっているか、という見方もしていただいた 方がいいのではないかと思う。加算を取れなかったところは苦しくて給与を上げられなかったと いうことは、政策的にどう判断するかであるが、そのような分析は必要かと思う。  また、これは調査全体の信頼性という話になるが、規模の小さいところの難しさという話で言 うと、規模が小さくて大変な事業所というのは、そもそもこの調査票を返してこない可能性が高 いと思う。調査票で返ってきたところの規模というものが、全数調査である施設・サービス調査 などと比べてどうなのか。今回の調査は手間がかかるので、そのような事業所からは調査票が返 っていないのではないかと思う。  そうすると、この調査そのもので把握できていない部分があると言ってしまうと、この調査の 意味はどうだったのかということになると思うが、7、8割というかなり高い有効回答率だと思 うので、逆に2割は、本当に規模も小さくて、これも返せないようなところだったりすると、逆 に問題はそこに残っているのかもしれないという気がする。 (田中座長)  今後、残っている回答はまだもう少し増える可能性がある。それを足し合わせた上で、今日伺 った意見の中で実行できそうなものについて分析をしてみるという手順と理解してよろしいか。 (説明者)  はい。 (池田委員)  介護報酬の何%が賃金に回っているのかということが知りたい。人件費率というと、いろいろ なものを含んでしまうため、わけがわからなくなってしまう。これは一応統一した一つの基準で もって賃金というのが出ているわけであるので、その事業所が、介護報酬がいくら入ったかとい うことと、そこから賃金がいくら支出されたかというと、そのパーセンテージで分布をつくると 結構いろんなものが見えてくるのではないかと思う。  もう少しわかりやすく言うと、こういうことがある。私はグループホームの介護報酬の分析を してみたことがある。グループホームの要介護度別の入所者の全国データはあるので、それを使 って、マクロに見たグループホーム、1ユニットの介護報酬はこれだけ入る。その他に当然のこ とながら、食品、居住費というのは入ってくる。当然のことながら、地代だとか、建設費だとか、 そういったものは基本的に家賃で動かすことになる。食費は実費以上のものを取っている。介護 報酬は主に人件費に使えるはずであるという仮説を前提にして、賃金配分率を65%でやってみる と、今の人員配置でも、25万〜26万円払えるわけである。ところが13万円でやっているところ が結構ある。それは何が問題かというと、どうも介護報酬の問題ではない。  個別に調べていくと、地主さんがもうけている。つまり地代、建設費を居住費で賄っていなく、 介護報酬で賄っている。したがって、労働者の賃金がその分食われて下がっているというケース がかなりあるのではないか。介護報酬の責任ではないにも関わらず、何かと介護報酬の責任にさ れるということがあるので、そこのところはきちんと科学的に解明する必要がある。一体事業者 ごとに介護報酬がどの程度賃金に回っているかという一つの形を出して、その分布を見ると随分 面白いものが見えてくるし、そもそも介護報酬の論議に非常に資するものではないかと思う。 (田中座長)  先ほど言ったように、3月ごろまでにこの作業をしていただくので、1、2日ならば、まだ余 裕があると思う。今晩思いついたら、事務局へ伝えていただきたい。 (宇都宮老人保健課長)  いろいろと貴重なご意見ありがとうございます。聞いており、すぐにできそうなものと、相当 知恵を使わないと、できそうのないものといろいろ意見をいただいたが、来週の月曜くらいまで に、こういう分析をした方がいいとか、あるいは今日いただいた意見の中でも、我々の知恵不足 もあると思うが、この質問のこういう項目をこう見立てて集計すれば、こういう分析ができると か、そういう具体的な方法なども教えていただけると我々としては大変ありがたい。次の会議ま で期限があるので、来週月曜日までにその辺の意見をいただければ我々としても対応させていた だきたいと思うので、よろしくお願いする。 (田中座長)  具体的な締め切りが提示された。今日は抽象的にこういう分布を取ったらという意見がたくさ んあったが、加えて、具体的に調査票の問いを伝えていただく提案をすると事務局もやりやすく なると思うので御協力をお願いする。  また思いついたら途中でも結構だが、平成21年度介護従事者処遇状況等調査の集計分析につい ては、本日の皆様方の意見を踏まえて事務局で委員の協力を得ながら作成を進めていただきたい。 それでは、次の議題に移らせていただく。  2つ目の議題は「平成22年度実施予定の調査」について、これについても皆さんから意見を伺 う。まず、事務局から説明をお願いする。 (説明者)  それでは、次に資料2−1について説明する。  「平成22年度実施予定の調査について」ということであり、承知のとおり、平成22年度につ いては、ここにある2つの調査を実施する必要がある。  1点目が、先ほどもあったように介護従事者処遇状況等調査である。これについては、介護報 酬改定の影響等、更には介護職員処遇改善交付金の影響も踏まえた介護従事者の処遇状況の把握 ということで、調査を実施する予定としている。  2点目の介護事業経営概況調査。これは従来から3年に一度、介護報酬改定の前々年に実施し ているもので、これについても来年度実施する必要がある。  そういった観点から、2ページ、この2つの調査を同時に実施することとしてはどうかという ことである。処遇状況調査と経営概況調査を同時に実施することにより、回収率の向上や記入者 負担の軽減、多角的な分析が可能になるといったことが見込まれるので、そのような形で実施す ることとしてはどうかと、提案させていただいている。  3ページの調査設計について、調査実施時期は、決算額による調査内容の把握ということから、 各事業者の決算関係書類がそろう夏頃を目途に調査を実施してはどうか。処遇状況調査について も同時期、同時に実施してはどうか。調査対象については、両調査ともに従前どおりということ で、処遇状況調査の対象は、今回の7サービスの施設・事業所。概況調査は、すべてのものを取 っている。  抽出率であるが、これも基本的には従前の形にしたいと思うが、両調査に重複する、処遇状況 調査の対象となる7サービス分につきましては、平成21年度の処遇状況調査の抽出率を使っては どうか。その他のサービスにつきましては、従前の経営概況調査の抽出率により実施してはどう か。例外としまして、集計対象施設・事業所数が少なくなるところがあるので、それについては 一定の集計数を下回らないよう配慮をすることが必要ではないかと考えている。  4ページ、調査票の作成について、調査票を参考につけているので、参考をごらんいただきな がら聞いていただければと思う。まず施設票のところで問1〜問5のところで、介護報酬への対 応及び収支の状況というものを取っているが、この内の、調査票の2ページであるが、問1〜問 4については、介護職員処遇改善交付金の影響を踏まえた項目に見直して調査をしてはどうか。  4ページ、問5の収支の状況については実際調査を実施している段階で、記入不備や無回答な どが多いこと。更には経営概況調査の調査項目と重複するので、これについては収支の変化とい うものを聞く項目に変更してはどうか。  問6、調査票の5ページの法人の状況については、21年度と同様の調査項目で調査したらどう か。  問7については、介護職員処遇改善交付金の申請等の状況、平成21年度は、「申請する、しな い」を調査していたが、実際状況が変わっているので、申請状況及び申請を行っていない理由の 調査項目に変更してはどうか。  6ページの問8から11は、前回どおり実施してはどうか。  7ページの問11の職員数であるが、今回の調査において、記入不備、無回答が非常に多いとこ ろであったので、ここは既存情報、具体的には介護サービス施設・事業所調査を想定しているが、 こういうものから情報を得ることができるので、これについては離職率とか採用率が得られるよ うな調査項目に変更してはどうか。  従事者票につきましては、変更は行わず、引き続き同じ項目で調査をしてはらどうか。  5ページ、経営概況調査の調査項目であるが、これについては、基本的には記入者負担の軽減 や既存情報から得ることができるとした項目を削除、見直すなどして、実施をしたいと考えてい る。  給与・収支等のところで、集計が実際に行われていない項目については、見直しを行うなど考 えている。  新規項目として併設サービスの事業所番号。これは併設サービスの状況を既存情報とマッチン グして、既存情報のデータを得るために必要であるため、追加したいというものである。  会計期間に関する項目については、決算期間が異なることによる影響把握のために追加したい と考えている。  これは基本方針であるので、この方法で実施することにつきまして、ご議論いただきたい。以 上である。 (田中座長)  ただいまの説明、来年度実施予定の調査について事務局から提案があった。これについての質 問、提案、意見をお願いする。 (堀田委員)  確認であるが、前回の委員会において、労働の実態と経営の実態が結び付くような設計にして はどうかとお伝えしたが、提案の2ページにあるが、処遇状況調査と経営概況調査を同時に実施 するというのは、あくまでも2本の別の調査票を同じ時期に送るという提案なのか。それともこ の調査を合体したものを1本の調査としてなさるという提案なのか。どちらか。 (説明者)  基本的には2つの調査票を同時に送る。 (千葉委員)  相手は同じところか。 (説明者)  同じところである。処遇状況調査の7サービスについては、処遇状況票と経営概況票の2つの 票を同時にお送りして両方の票に記入していただく。 (堀田委員)  1冊の調査票として届くのか。別々の封筒で届くということではないか。 (説明者)  ばらばらではない。調査票は別になるか、一緒になるかというのはこれからのことであるが、 封筒は同じものに入れて同時に届く。 (堀田委員)  この2つの調査が、後で番号を振って突き合わせるとかではなく、確実に結び付けられるよう にすることが非常に重要だと思うので、ばらばらの調査票ではなくて、確実に離れない調査票に した方がよいということが1点目。  それから、3ページにある調査時期であるが、私は経営の方はあまり詳しくないが、処遇状況 調査について、もし今年度実施したものの延長と位置付けて実施するのであれば、時期は変えな い方がよいと思う。例えば給与で言うと、今回は9月の情報を取っていて、夏ごろの実施となる と9月の情報が取れないということになるので、もし今年度の10月調査との整合性ということを 考えるのであれば、余り時期はずらさない方がよいのではないかと思う。  なお、介護労働安定センターの介護労働実態調査の中身ともかなり重複するので、こちらは毎 年10月〜11月にかけてやっているので、労働実態調査との重なりについても配慮がないと負担が 重なる、あるいは回収率に響いてくるかと思う。 (田中座長)  実施時期を含めて、意見を伺い、その上でお答えいただく。 (千葉委員)  実施時期は9月からずれてしまう。そのときに問題となることは、ちょうど夏ごろというのは ボーナスにかかるので、ボーナスの分をうまくよけないと比較可能なデータでなくなってしまう という可能性があるというのが1つ。  そういう意味では、遅くなると概況調査の集計の問題が出るのであろうが、そこの時点をそろ えるのか、そろえないのかということは検討が必要かと思う。  抽出率については、忘れてしまったので、どちらの調査がどれくらい抽出率が高いのか、低い のかというのは、従前どおりというのはどちらがどちらを包含しているのかよくわからないので 教えていただけるか。 (説明者)  抽出率について説明を忘れたが、資料2−2をごらんいただきたい。別表ということで抽出率 がある。一番左が母集団となる施設・事業所数で、次の欄が前回の経営概況調査の抽出率である。 1番右の欄の処遇状況調査は今年度実施した処遇状況調査と同じ抽出率になっている。  処遇状況調査が当たるところについてはその数字で、それ以外のものについては、前回と同様 に実施したいと思う。 (藤井委員)  3年に1回処遇状況調査も実施するということなのか、それとも次回だけという話をしている のか。概況調査ということであると、たしか9月時点の調査だったと思うが、堀田委員がおっし ゃっていた時期の問題である。定点になるのではないかと思うが、そのやり方の話と、これは前 から不勉強で不思議に思っていたが、抽出率であるが、診療報酬の医療経営実態調査もそうであ るが、根拠があるのか。つまり、誤差率がある一定になるように抽出率を定めるというのが統計 調査ではよくあると思うが、何となく4分の1で、少なそうなのは多く、という感じで実施して いるのですけれども、それはそれで特に大きな問題があるとは思っているわけではないが、これ を機に少しそういうことを考えられてはどうかと思う。 (千葉委員)  確認であるが、概況調査は前回の委員会の際に決算データに変えてはどうか、と聞いた覚えが あるが、これはそれを前提に考えているのか。そうであればどの時点であっても決算書であれば 変わらないと思うが、そこのところを確認したい。 (田中座長)   いくつか質問があったので、お答えいただきたい。 (説明者)  抽出率については、あらかじめ誤差率を求め、それになるよう計算している。  決算の話であるが、確かに前回、そのような議論もしたところであるが、基本的には前年度の 決算額を把握することを考えていることから、この時期に設定しているところである。 (田中座長)  藤井委員より、処遇調査が今後どうなるのかという見通しに関する質問があったが、いかがか。 (説明者)  平成22年度は、処遇状況調査を引き続きやる必要があること、介護報酬改定に向けたプレ調査 である概況調査を実施する必要があること。その2つの必要性の中でそれを2つ別々に実施する よりも、1つにまとめて実施した方が効率的であり、回収率も上がるということで、そういう形 にしている。 (藤井委員)  次回以降実施する、しないというのは、とりあえず言及しないという意味か。 (宇都宮老人保健課長)  次回以降についてはまだ決まっていないが、時期の問題としては、まず1つは、従来から言わ れていたと私はお聞きしているが、概況調査ではなく、介護報酬改定前の実態調査が3月から4 月に実施するということで、9月、10月だと非常に時期が近いということもあり、少し前にした 方がよいのではないかという話。もう一つは、今後に向けて早目にデータを取っておいた方がい いという、その2点の理由から、少し早目にということを考えている。 (宮島老健局長)  ちょっと別々な議論が出てきている。経営概況は、少し早めたらいいのではないかという議論 があったわけである。処遇状況は、堀田委員から意見があったように、1年経ってから実施した 方がよいのではないかということもあり、この問題は決め方なのである。  今日は、経営概況調査を早めた方がいいのではないかという議論に引きずられているというこ とであるが、もう少し事務局の中で検討してもよいが、ここは決めていただくことでよいのでは ないか。 (田中座長)  概況調査を早目に実施しては、と分科会で話したのを覚えている。 (宮島老健局長)  そういう話があったのでということである。 (田中座長)  一方、処遇状況調査の第1回目を10月にした以上、それに引きずられるという側面もある。最 終決定は老健局で行うとして、委員の意見としては、どちらがよいと思われるか。9月なり10月 がよいか、もう少し早く夏の段階で実施した方がよいか。どちらにしてもメリット・デメリット があると思われる。 (堀田委員)  経営概況調査もこの処遇状況調査も、調査時期を変えるのであれば、あと2年間だけというこ とではなく、今後も継続的にそのまま維持しますという前提をもったほうがよい。できれば両方 をセットでまとめた形で10月に実施するということでよいのではないか。 (千葉委員)  私の考え方は、概況調査については年度決算データということなので、調査時点がいかなる時 点であっても、会計年度は既に確定しているので、射程に置くべきは、もう一方の処遇調査が比 較可能かどうかという点になるかと思う。ただし、その場合、それ以外に早く情報がほしいとか、 多分早目に情報が取れた方がいろいろな政策判断の上でも有効かという要素があろうかと思うの で、調査時点を1回目がこう決めたからどうしてもというよりは、この1回目の調査の事項の中 で、季節変動を起こしそうだというものがどれくらい含まれているかによって、処遇調査を変え るべきかどうかということを判断すべきではないかと思う。 (藤井委員)  私も千葉委員のおっしゃるとおりで、季節変動項目がどれくらい影響するのか見ていただき、 役所の方で判断いただければよいことだと思うが、先ほど座長からあったように、一緒に実施す ること及び概況調査を前に持ってくることのメリット・デメリットがあると思う。今はメリット しか書いていないので、一緒に実施するとせっかく8割回収した今回の調査は回収率が下がるの ではないかとか、デメリットもあると思う。それを全体で勘案した上で役所が、こう考えていた だいたというもので、どちらも確かにメリット・デメリットがあると思う。  なお、デメリットになる話であるが、前回人材の委員会の際に、労働法規をどの程度遵守して いる等の話があったが、今回のような調査の中にそういうものを入れ把握できるのであれば把握 してもよいのではないか。 (田中座長)  早めるといっても定期昇給前にすることはないと思う。定期昇給後の時期で、かつ、できる限 り早くという選択肢しかないと思う。どうぞ御意見をお願いする。 (宇都宮老人保健課長)  今いろいろいただいた意見を踏まえ、もう一度事務局で整理して考えさせていただきたいと思 う。 (田中座長)  それ以外の項目はいかがか。 (堀田委員)  まずはこれをセットで実施する意義は非常に大きいと思うので、本当にこれはいい方向である と思う。  その上で、具体的な変更として書かれている提案の4ページ、5ページに当たるところである が、まず4ページの、処遇状況調査の職員数のところで、記入不備や無回答が多いため離職率や 採用率が得られる調査項目に変更してはどうか、とあるが離職率や採用率を調査するためには、 今の処遇状況調査の方式で聞くことが基本になると思うので、どこまで細かく把握するのかとい うことが問題になるのではないか。例えば専従か兼務かは問わないとか、職種をまとめるとかい った議論は必要だが、離職率、採用率を何らか計算するためにはどうしても2時点の職員数は必 要であるので、これは留意していただきたい。  もう一点、5ページの経営概況調査の方で、第3の職員配置と、第4の給与に当たるところで あるが、まず第3の職員配置について、これは先ほど申し上げた離職率のところと同様、職員配 置を全て削除してよいということではなく、どういう区分で必要なのかということを議論してお く必要があるのではないか。  第4の給与であるが、経営概況調査それから経営実態調査で、そもそもここまでものすごく負 荷の高い調査をするのであれば、できればこれに分布でも平均でもよいので、勤続年数に関する 情報が1つ加わるような形で工夫をいただけるとより貴重な情報になるのではないか。特に今回 新設した加算の中で、ここにある常勤・非常勤、それから介護福祉士に加えて勤続年数にも留意 されているので、給与の第4のところでセットで取れるような工夫をしていただけるとよいと思 う。 (田中座長)  各論を大変丁寧に言っていただいた。 (千葉委員)  4ページの処遇調査であるが、問5として収支の状況が書いてありますが、確かにこれは重複 なので、丸々削除してもよいのではないかと思う。概況調査の収支の方がずっと細かいことを計 算ベースで調査するので、変化だけ聞くというので、よいかと思う。 (田中座長)  それは明らかに記入者の負担を軽減することになる。ありがたい意見である。 (堀田委員)  両方の調査ですが、事業所単位で実施していると思うが、事業の組み合わせなり、収支の状況 なり、法人全体としての状況と結び付けていけるような工夫が必要ではないかと思うが、難しい か。 (田中座長)  それは検討いただきたいということか。 (堀田委員)  はい。 (田中座長)  即答を求めるわけではない。 (千葉委員)  細かい部分ですが、概況調査の5ページ。第5として収支と書かれています。現在のところ、 いわゆるP/Lベースの収入と支出の状況を事業活動収入から、特別収支までずっと聞いていら っしゃるというのが、19年度の調査票にあるが、できれば、量が増えてしまうけれども、勘定科 目だけは最低限でいいと思うのですが、貸借対照表の状況と、資金繰りの状況。具体的に言えば、 特に社会福祉施設などでは、借入金の返済の部分というのが大きな資金繰り上のネックになるの で、少なくとも資金収支計算書の設備資金借入金償還金支出の額と、それのベースになっている 貸借対照表上の負債の額とか純資産の構成状態辺りは最低限聞いておくべきではないかと思う。 それがないと、P/Lには出てこないお金のフローがあるので、そこも含めて資金繰りを確保し ておかないと、うまく全体としては回らないということがあり得るので、そこは調査しておくべ きではないかと思う。 (藤井委員)  今、千葉委員のおっしゃったことは、介護事業経営実態調査には入っていたと思うので、どち らに入れるかという仕分けかなと思うのと、今までそれは分析になかったのかもしれないが、表 に出ていない数字なので、是非今後分析していただきたいということと、今の説明資料の5ペー ジの土地の状況、現有建物の状況というところなのですが、既存情報が何か教えていただきたい。  確かに、現有建物の状況というのは、平成12年まで建物に定率方が認められていたので、それ を全部定額法に変換するために設けられた項目だと思う。こういうデータというのは他の調査に なかったと思うので、既存情報というのを教えていただきたい。また、先ほど堀田委員からの御 質問にもあった職員配置。これも既存情報と書いてあるが、介護サービス施設・事業所調査であ ると思うが、そうかどうかを教えていただきたい。 (田中座長)  今の質問にお答えいただけるか。 (説明者)  基本的にここにある既存情報というのは、介護サービス施設・事業所調査を想定しているが、 土地の状況や建物状況については、当該調査では把握していないので、把握していない項目につ いてはこちらの調査で取っていくということになると思う。 (千葉委員)  1つ確認であるが、前回の委員会であったかと思うが、決算書については、今までの調査票一 つひとつの定めた様式の中に書くのではなく、決算書そのものを取り寄せることに代えるとした のは、この概況調査か、それとも実態調査か。 (説明者)  この概況調査について決算書の添付を可能とすることで、実施できればと考えている。 (千葉委員)  そうすると、提出する法人の性格なり、事業内容にもよるかと思うが、大区分科目だけ書いて くる決算書とか、中区分、小区分まで決算書に載せているような事例とか、または勘定科目その ものが、1つの意味を持つものについて揺らぎがある。AとBを含んでいるものと、AとBとC を含んでいるものという、勘定科目の含む範囲がかなり揺らぐ可能性があるので、そこをどう解 消するか。そこをそろえるのは大変な事態になるかと思うので、そこを工夫されると、今後よい のではないか。 (田中座長)  何かお答えになるか。 (説明者)  済みません。この辺についても先ほど説明が漏れていたが、資料2−2のところで、基本的に 概況調査の調査票についてこの4つの種類の調査票でやったらどうかということを先ほど説明を 漏らしていた。基本的にはこの4つ、社会福祉法人会計基準のところですとか、老人保健施設会 計の経理準則、病院関係準則、指定老人訪問看護の事業及び訪問指定看護の事業の会計・経理準 則、この4項目。基本的にこれに沿って出せるところは出していただきたいという。 (千葉委員)  では決算書を出すに当たって、調査票に書いてもらうという形ですね。 (説明者)  基本的にはこれに沿っていただく。 (宇都宮老人保健課長)  提出いただくということでよいが、こういう項目に沿っていないものについては、これに沿っ て書いていただくということである。 (藤井委員)  それでも同じというのは、勘定科目をくくったものを出されるのではないか。勘定科目は小項 目になっていないと提出してはだめと、言わないといけないのではないか。 (宇都宮老人保健課長)  その辺のところは項目を見ながら検討し、お示ししたいと思う。 (田中座長)  費目の中に含まれる中項目、どういう小項目が含まれるか、準則等によって違うので、それら はここで議論する話よりは、極めて実務的である。専門家の意見を伺いながら漏れのないように 調整をお願いする。 (宇都宮老人保健課長)  はい。 (田中座長)  ほかにこの概況調査、処遇調査の同時実施に関する様々な問題についての意見はいかがか。質 問でも結構である。 (堀田委員)  具体的な内容についてということではないが、今後の進め方としてもし可能であればお願いし たいことの1点目として、特に同時実施というとメリットもすごくある分、藤井委員もおっしゃ ったが、結果として一度に多くの調査が届くので、回収率が下がるかもしれないということも考 えて、これまで介護報酬の改定なり議論の中では使われていないような項目は削除するなり、是 非整理していただければと思う。  2点目、たしか給付費分科会の中でも、業界団体の方々などが、同じ調査票で調査をしても相 当違うデータが出る、この調査票で会計担当者がどれだけ正確な情報を記入できるのかといった 指摘も出されていたと記憶している。実務的に、調査票をつくる段階で、処遇状況調査でもあっ たと思うが、回答する立場の方々にどこまで正確に書けるかを含めて意見を伺う場があったほう がよい。  これと関連して、無駄に負担を増やさないという意味では、この処遇状況調査の4ページで言 うと「記入不備や無回答が多いが、変更は行わず、引き続き調査」という従事者票のところにも かかわるが、この記入不備や無回答が多いというのが、どれくらいだったのかということを、で きればしっかりと検討いただくか出してみていただきたい。数値記入が多くなれば多くなるだけ、 とりわけこの部分は負担が多く、またきれいなデータにするのはとても難しいと思う。基礎的な 情報というのはわかった上であるが、調査しても本当にエラーやそもそも無回答が多いというこ とであれば、ここまでの負担を強いてまで、ここからしか得られない情報があるのかということ を含めて、少なくとも内部でこれを継続してやっていく意義があるのかないのかということを議 論していただきたい。 (田中座長)  以前調査していたからといって、これからも調査し続ける必要はないものもあるので、検討し てくださいということである。この調査についても最終提案はこの次のときに出されるのか。3 月に最終提案があると予定してよろしいか。 (宇都宮老人保健課長)  はい。できればそのぐらいにと思っている。  例えば今の従事者票のお話であるが、参考資料の1の10ページと11ページに非常に細かい、 これを書いてもらうことでは、なかなか正確な回答というのが難しいという面もあるが、もしこ の時点で例えばこういう部分は削除した方がいいとか、こういうやり方をすればもっと正確なデ ータが上がってくるのではないかとか、もしそういうものあれば意見をいただきたいと思う。具 体的に、無回答の率がどのくらいというのは、この次までに我々としては調べたいと思う。 (田中座長)  今、課長から説明があったが、参考資料1の10ページ、11ページで、調査項目から落とせるよ うなものは何かあるか。 (堀田委員)  考え方次第であるが、例えば今は1人の人について20年度と21年度と、両方書いてもらって いるが、これを一時点にして、これは2年度目になるわけなので、第1回目の調査と第2回目の 調査で、例えば職種等いろいろな観点から条件をそろえて、同一人物のなかではなく、全体とし てどう変わったかを傾向として見てしまうという手もありうる。どこまで追求するかだ。 (藤井委員)  一人ひとりの給料にどのように反映されているか。反映された人はどういう方なのか、という 分析がこれではないとできないと思うが、今回、報酬を上げたのが人件費にどう反映されたとか、 交付金をどうするのか、という話があるときには必要だと思うが、今度行う交付金の影響はどう なんだという話のときに、そこまで政策的に議論をするためにも必要かどうかということではな いかと思うが、私は堀田委員のおっしゃったとおり、ここまでの分析をしないと議論ができない のかどうなのかというと、こういう個票ベースでなくてもできるのではないかと思う。  このベースで負担がなくて、回収率もいいというのであればこれでいいと思うが、負担がある せいでなかなか正確なデータが得られないということであれば、むしろフィージブルなデータが 得られる方でよいのではないかと思う。 (池田委員)  ほとんど同じ意見であるが、この個票というのは非常に重要だと私は思う。回収率を上げる方 を優先したい。これは給与担当者であれば、簡単に書けるはず。しかし、2年分を書くというの は手間であり、回収率が下がる要因になっているのが非常に強いのではないか。当年度だけであ ったら給与担当者である限り、これは絶対に書けるはず。中身は難しいものではない。  ということであれば、回収率を上げるために、私は、2年度調べるというのをやめていいので はないかと思う。 (田中座長)  一緒にすることの最大のデメリットは調査票が厚く、対象者が恐れて逃げてしまうので、そこ はできるだけ薄くすることで対処するしかないわけである。一緒にすることのメリットは、皆さ んおっしゃっているように捨てがたいので、是非一緒にすべき。  あとはデメリットをいかに小さくするかの話になるので、簡素化を図るという方向で考えたい。  ひとあたり、意見が出尽くしたと考えてよろしいか。 (藤井委員)  今回の処遇調査の結果というのは、今まで民間といいますか、組合等が出しているデータより もちょっと高い数字が出ていると思うが、なぜかという分析を踏まえた上で、民間の結果をどう 読むかによるかと思うが、理由がわかれば次回までに分析していただいた方がよい。役所が人件 費に向かっているのだというのを言いたいがために数字が違うのではないか、と見られても困る と思うので、お願いする。 (田中座長)  それは先ほど来話が出ているようにクロス集計をしたり、分布を取ってみたりすると、より正 確な姿になるはずである。確かに平均値だけ見たら憶測しか言えないし、すべてはファクトでは なく、我々の仮説でしかないので、その点は次回を待つことになる。  第2の議題の平成22年度実施予定の2つの調査を一緒に行って簡素化していくことについて は、この委員会の意見を踏まえて、事務局にて改めて正式な案を作成いただくようにお願いする。 他に何かあるか。  先ほど言ったように、来週月曜日まで、今日見て、細かいところに気が付いたら提示していた だきたい。それは委員の方々にお願いしておく。  それでは、次回の日程について、説明をお願いする。 (説明者)  次回の日程だが、次回は3月3日水曜日を予定している。開催時間、場所につきましては決定 次第お知らせする。  重ねてになるが、先ほど課長から申したように、本日の内容について、何か意見があれば、来 週の月曜日までにいただければと考えているので、よろしくお願いする。  以上である。 (田中座長)  それでは、本日はこれにて閉会する。 照会先 老健局老人保健課 調査係 TEL:03(5253)1111(内3960)