10/01/15 第2回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録 第2回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録 【日時】平成22年1月15日(金) 14:00〜16:00 【場所】経済産業省別館 825会議室 【出席委員】(50音順)   飯沼委員、岡部委員、加藤部会長、木田委員、倉田委員、黒岩委員、櫻井委員、澁谷委 員、廣田委員、古木委員、宮崎委員、山川委員 【行政関係出席者】 中尾大臣官房審議官、鈴木健康局総務課長、福島健康局結核感染症課長、 熊本医薬食品局総務課長、森和彦医薬食品局安全対策課長、 鈴木新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、松岡健康局生活衛生課長、佐原大 臣官房企画官、土肥健康局健康対策調整官 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 第2回厚生科学審議会感染症分科会予防 接種部会を開催します。  まず、本日の委員の先生方の出欠状況についてご報告します。今村委員、岩本委員、宇賀 委員、北澤委員、坂谷委員から、欠席のご連絡をいただいています。従いまして、17名中 12名のご出席で、定足数に達していることをご報告します。  続いて、前回欠席されていた先生方をご紹介します。古賀総合法律事務所の弁護士の山川 洋一郎委員です。全国市長会副会長・鳥羽市長の木田久主一委員です。  ここからの議事は加藤部会長にお願いします。 ○加藤部会長 まず事務局より資料の確認をお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 座席表の次に議事次第がありまして、部会 の委員の先生方の名簿です。その次から、資料1「予防接種に関する主要論点について(案)」 で、前回お示ししたものですが、いただいた意見等を基に若干修正を加えています。これは 今日のご議論を基に修正を加え、毎回出させていただきます。上段が緊急に対応が必要と考 えられる事項、下段が議論が必要と考えられる事項です。資料2は、第1回目に先生方から いただいたご指摘、ご質問等について、私どもで補足説明をさせていただく宿題事項です。 資料3、資料4については、資料3は文書編、資料4がパワーポイント編となっています。 先ほど資料1で申しました緊急に対応が必要と考えられる事項について、いろいろな側面か ら深掘りをして、先生方にご議論いただくために用意しました。資料5は、今日ご欠席の北 澤委員から、こういう意見があるということでメモをいただいています。後ほど関係のとこ ろで私から説明させていただきます。青いファイルには前回の第1回目の資料が入っていま すので、必要に応じてご参照ください。今後2回目、3回目と加えていく予定です。 ○加藤部会長 議事に入ります。本日は前回確認したとおり、新型インフルエンザワクチン の予防接種法上の位置づけや緊急時のワクチンの確保体制のあり方といった、緊急に対応が 必要と考えられる事項を中心に、議論をお願いします。併せて前回部会でご指摘いただいた 事項について、事務局より補足的な説明をお願いします。資料についてまとめてお願いしま す。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料1「予防接種に関する主要論点につい て(案)」です。前回ご議論いただいたことを基に、若干の修正を加えたものです。修正点 だけを申し上げます。最初の「緊急に対応が必要と考えられる事項」の2番目と3番目です。 前回は、さらっと「ワクチンの確保、供給について」とのみ書いてありましたが、議論を基 にもう少しブレイクダウンしまして、新型インフルエンザ等の世界的大流行(パンデミック) への対応として、どのようにワクチンを確保したらいいのか、また確保したワクチンを優先 順位を設けて打つ必要がある場合に、どのような方法が考えられるのかということが、具体 的な議論の内容になるのではないかということです。  3つ目の点は、健康被害が起きた場合の救済についてです。あとで資料でご説明しますが、 その際の考え方をどのようにしたらいいのかということを新たに加えています。  下のほうの「議論が必要と考えられる事項」です。これは本格的に議論が必要かと思われ ます。変更したのは上から3つ目の「○」で、前回黒岩委員等からご指摘がありましたが、 予防接種に関する情報提供のあり方についてで、正確に且つ透明性を高く行う必要があると いうことで、項目を加えています。  下から2つ目は「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」です。北澤委員、倉田委員 からご意見がありましたので、少しブレイクダウンしまして、具体的に評価という場合に、 どのようにデータを収集するかという側面と、どのように評価をするかという2つの側面が あると思いますので、それを分けて記載しました。また、そうした制度を運営するための人 員ないし予算のあり方も、議論の俎上に上るのではないかということで、加えています。以 上が資料1の主な変更点です。  資料2です。これは第1回で先生方からいただいたご指摘等に係る補足説明事項です。ま ず、2頁です。これは飯沼委員からのご指摘でしたが、季節性のインフルエンザワクチンに、 実際の効果として感染予防効果があるのか、発病の予防効果があるのか、また入院なり、死 亡といった重症化の予防効果があるのかということで、それについて、どのようなデータが あるのか調べました。  2頁の上が、アメリカの疾病管理・予防センター(CDC)のMMWRという疾病や罹患や死亡に 係る週報に書いてあるデータです。これは廣田委員から、「予防接種に関する検討会」に提 供していただいた資料を基に作成しています。  下のほうは、我が国の研究の結果です。少し古いのですが、平成9年から平成11年にか けて、神谷先生にしていただいたものです。中身についてはかなり似た部分もありますが、 基本的には季節性インフルエンザワクチンの効果については、発病についての相対危険度、 これは下に注書きでありますが、ワクチン接種をしていない人に比べて接種している人の危 険度はどのくらいかということで、例えば老人施設入所者で、死亡の相対危険度は0.2にな っていますが、ワクチン接種をしない場合に比べて、した場合には相対危険度が5分の1に なるということです。逆に言うと、有効率が80%ということになります。  翻って日本のほうですが、下から3つ目の「(2)」で、発病リスクが34〜55%減ります。 これは発病を38度の発熱で捉えるか、39度の発熱で捉えるのかで、若干の差があるという ことですが、あとは死亡リスクを82%減らせるということです。こういうものが内外の知 見であるということですから、基本的に発病、入院、死亡についてはデータがきちんとあり ますが、感染を防止するかについては、可能性はあると思いますが、証明するデータは現在 のところ得られていません。  3頁の「各種ワクチンの状況」です。前回岩本委員から、「我が国でどのようなワクチン が認可されているのか」「法定となっているワクチンとの関係はどうか」とご質問がありま して、資料を用意しました。ワクチンの分類をして、前回もお示しした世界保健機関(WHO) の勧告に基づき、いちばん上のカラムが、すべての地域でやるべきもの、2つ目が限定され た地域でやるべきもの、3つ目が国に予防接種計画がある場合にやるべきもの、4つ目が感 染の危険性が高い集団についてやるべきもの、5番目はそれ以外のものです。  中身を見ていきます。少し色が付いているものは、いわば予防接種法上の定期接種という ことで、法の定めのある接種です。右から2つ目の法律上の位置づけをご覧いただいて、横 棒が書いてあるものについては、現在のところ法律の定めはないものです。  いちばん右に「患者報告数」とあります。括弧をして「(全)」「(小)」「(が)」など、いろ いろと注釈が書いてあります。簡単に申し上げますと、「(全)」は、感染症法に基づいて、 全数報告をしていただき、把握することになっているものです。漏れはあるものと思います が、かなりの程度を把握しています。「(小)」については、小児科の定点が全国に3,000カ 所くらいあるのですが、そこから報告されている年間新規患者数です。これは病気によって も違うかもしれませんが、実際の日本国内の流通から見ると、数分の1ということになりま す。「(が)」については、がん登録等で把握されている数です。見ていただくとおわかりだ と思いますが、一定数把握されているものについても、日本では法で定める接種になってい ないものがあるのではないかということです。  4頁です。3番は櫻井委員から「健康被害の救済と行政不服審査等について、どのような 形になっているか」とありました。4頁の下のところが、予防接種法に基づく、健康被害の 救済の制度です。予防接種法の場合、市町村が事業者となっているので、健康被害を受けら れた方がそちらに申請します。ただし、市町村自身で判断するのは難しいということで、申 達の形で厚生労働省に上がってきます。5頁の上、特に第11条2項ですが、厚生労働省で は、このような認定を行うに当たっては、審議会等の意見を聞かなければならないというこ とで、意見を聞いた上で市町村に対して認定もしくは否認ということでお知らせをして、市 町村で支給、不支給を決定していただきます。ちなみに、5頁の下に、法律で定めのある「疾 病・障害認定審査会」の構造が出ています。全体の中で、感染症予防接種審査分科会があり、 その委員は右側に書いてあります。この予防接種部会でも、6名ほどの委員の先生方が重複 しております。  6頁です。先ほど申し上げた市町村で、例えば不支給の決定がされ、それに不服のある場 合にどうするかです。一般的には行政不服審査法に基づく審査請求になります。市町村が事 業者ですので、その上級庁になると都道府県になり、審査請求をすることになります。都道 府県は厚生労働省に対して、物件の要求、鑑定等のお願いをした上で裁定をしていただき、 最終的に市町村から被害者等に処分を行います。  行政不服審査法の中身については、6頁の下です。この仕組みにもう少し手を入れる必要 があるのではないかというご指摘もいただいています。具体的には、厚生労働省が実質的に 認定等の判断をするので、不服請求が上がってきても、都道府県としては扱いが難しいので はないかということがあります。また、行政不服とは別に、申請において再度の審議を求め る、再申請もあり得ることを付言させていただきます。  4つ目です。これは倉田先生から、「実際に予算なり人員はどうなっているか」とありま した。これはまだ調査中のところもありまして、一部のデータしか出ていませんので、丁寧 に説明させていただきます。  例えば7頁に米国の組織図があります。米国の厚生労働省に当たる連邦保健省(DHHS)の 中に、ワクチン・プログラム室(NVPO)がありまして、当然ここにも人と予算があるのです が、現在調査中です。また、DHHS本体ではなく、本省の付属機関として、疾病管理・予防 センター(CDC)、国立衛生研究所(NIH)、食品医薬品庁(FDA)等々がありまして、そこに もそれぞれ担当の方が別途おられますが、そこも調査中です。  現在のところ情報として収集できたのが、審議会のようなもので、前回もご議論いただい た予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)があります。これは、どのようなワクチンを どのような対象に、どのような頻度で、もしくはタイミングで接種するかについて、決めて いただくものです。この審議会の事務局、審議会の運営に関する、運営費、人件費、スタッ フが、ここに書いているもので、これだけのために専念しているということです。  上のNVACですが、これは米国ですので、連邦と州、省庁間の調整、ワクチンの開発、改 良、安全性の向上等について審議を行うもので、NVPOというワクチン・プログラム室の中 にあるものです。この審議会の運営だけで、費用が105万ドル、人件費が37万ドル、スタ ッフが2.75人ということです。これに加えて本体で実務をやっている方がいます。また資 料が集まり次第、先生方にもご紹介します。  最後に8頁です。これもまだ調査中ですが、英語圏の3カ国、いわばACIPに当たるよう な、例えばカナダでいうNACI、英国でいうJCVIの事務局はどこが務めているのかというこ とだけを少し調べました。カナダの場合は、保健省の下の公衆衛生庁が事務局機能を果たし ています。英国では保健省、オーストラリアは保健・高齢化省ということで、日本でいうと 厚生労働省に当たるようなところが、事務局を務めているのが現状です。また、これについ ては調査をし、先生方にご紹介します。以上が資料2です。  資料3、資料4です。これは先ほど資料1で申し上げました緊急に対応が必要と考えられ る事項について、先生方にご議論をいただくために用意をした資料です。資料3が文書編、 資料4がパワーポイント編です。行き来しながら説明をします。  まず資料3の1頁からです。「新型インフルエンザの予防接種法における位置づけ」です。 今回新型インフルエンザのH1N1型に対する予防接種は、予防接種法という法に基づいて行 った事業ではないので、基本的に国の予算事業として行いました。健康被害の救済、輸入ワ クチンの製造販売業者に対する損失補償は、特別措置法で対応しました。今のままですと、 今回のH1N1をどうするかという論点のほかに、それと同程度の病原性の新型のウイルスが 新たに生じた場合、また特別措置法を新たに作らないと対応できないという状況があります。  論点ですが、基本的にこのような予防接種はかなり広く行っていくわけですし、自治体に もご協力いただくので、本来的には予防接種法に基づいた接種ということで行うべきではな いか。自治体からも、そうした意見をいただいているところです。また、その場合の予防接 種について、重症化の予防の性質を持つ予防接種について、接種の努力義務や救済の給付額、 接種費用をどのようにすべきか。これだけですとわかりにくいかもしれませんので、資料4 のパワーポイント編を使ってご説明します。  資料4の1頁ですが、これは先ほどもご説明をしましたが、今回のH1N1については、予 防接種法に基づく接種ではありませんでした。主には、予防接種法に基づく臨時接種になる と、接種の努力義務がかかってしまいますし、性格上もそれと同じということにはいかない のではないかということで、法律には基づかないけれども、予算事業として実施をする。た だし、健康被害等については、別途手当てをするということにさせていただきました。  2頁です。この図が、いろいろな法律なり予算事業なり、それ以外で、どのような位置づ けで予防接種が行われているかを整理したものです。予防接種法に基づいては、定期と臨時 があり、定期の中に1類と2類があります。また、今回の新型インフルエンザ(H1N1)とい うのがありまして、それ以外の法定ではない任意接種というものがあります。  1番目のカラムを見ていただくと、接種の努力義務の有無が書いてありまして、定期の1 類、臨時接種については努力義務がある、それ以外はないとなっています。  それとの見合いでいくと、下から2つ目の健康被害の場合の救済の給付金額例をご覧くだ さい。死亡の場合についてで、予防接種法に基づいて接種の努力義務のある定期の1類と臨 時接種は、死亡一時金が4,280万円、それがない2類の定期は714万円になっています。ま た、今回の新型インフルエンザの場合には、特別措置法で対応していますが、定期の2類と 同等です。さらには、法定外の予防接種ではPMDAによる医薬品の副作用被害の補償額の714 万円と同等となっています。また、その場合の費用負担の財源は異なっています。  その少し下をご覧ください。もう少し違った整理をすると、予防接種法に基づいては、定 期接種と臨時接種があります。それぞれについて努力義務がある場合とない場合があります。 疾病の分類からすると、1類の疾病、2類の疾病となります。定期接種の場合には、1類に は努力義務がありますが2類にはないということで、それぞれ整理が付いています。臨時接 種の場合には具体的な疾病は指定していませんが、現行はすべて努力義務があります。右の いちばん下隅のもので、臨時接種で努力義務はないものに当たる類型は、現在は法的には定 めはないので、ここの部分にどう対応するかという問題が生じるのではないかということで す。  再び資料3の文書編です。2頁の「新型インフルエンザの世界的な大流行への対応」です。 パンデミックのときにどうするかということです。1つ目は、ワクチンの量をどう確保して いくかの方策です。今回のH1N1でも、そういう部分があったわけですが、パンデミックが 起こるとワクチンの需要が非常に多くなりますが、起こってからワクチンを作っていくわけ ですので、ワクチンの需給が非常に逼迫する場面があります。ただし、まん延を防止するた めには、ワクチンが一定量必要だという状況が生じます。  しかしながら、ワクチンを製造する企業側に立った場合、通常は一定の年限をかけて開発、 製造をしていくわけですが、短期間に開発と製造をしていかなければいけませんので、通常 のレベルを上回るリスクが生じる可能性があります。また、逆にリスクがあるがために、開 発や製造に踏み出せないことがあるのではないかということです。論点としては、そのよう な場合には、何らかの形で公的に通常を上回るリスクに対応する必要があるのではないかと いうことです。パワーポイントでいくと、3頁の上になります。繰り返しになるので説明は 省きます。  資料4の3頁の下です。先ほどはワクチンの確保の必要性でしたが、今度は優先接種等の 考え方で、ワクチン確保のための方策です。ワクチンの需要と供給を考えた場合、需要より も供給が大きいということであれば、ワクチン接種の対象になる方だけを定めておけば、あ とは通常の流通で特段の措置を必要としないということです。右にあるようなパンデミック の場合に、ワクチンは順次出来上がっていくので、1年2年経って通算で見れば、需要と供 給が釣り合うことはあるかもしれませんが、ある時期を見た場合に、需要が供給を上回って いることもあり得るのではないか。その場合に、何らかの形で措置をしないと、ワクチンの 奪い合いになってしまうのではないかということで、3点ほど論点があります。  1つは優先接種対象者をきちんと定めるべきではないか。単にワクチンの接種の対象者だ けではなくて、どのような方からどのような順番で打つのか。これについて、一定の定めが 必要ではないかということです。資料3の3頁のいちばん上ですが、現在の臨時接種では、 国が対象接種を定めて、都道府県が対象者を定めます。優先接種の場合、対象者を全国的に 国が定める仕組みも必要な場合があるのではないかということです。  2つ目の論点です。その場合に接種の対象者を定めるだけではなく、製造や流通に関わる 方に協力していただく仕組みが必要ではないか。今回は自主的にご協力をいただいたところ ですが、そのような仕組みが必要な場合が生じてくるのではないかということです。  3点目は、実際にワクチンを接種していただく現場において、接種の優先順位が確保され るような仕組みを考えるべきではないか。今回のH1N1については、国と医療機関の直接の 委託契約があるので、何らかの形で優先接種のルールに違反しているという場合には、その 委託契約を解除することをしましたが、優先順位が何らかの形で確保される仕組みをどうす ればいいのかということです。このような3つの論点があるのではないかと考えています。  最後になりますが、「健康被害の救済について」です。資料4の最後、5頁、2頁です。現 在、予防接種法では、健康被害の救済の給付レベル、特に死亡について、接種を受ける努力 義務の有無により、その額に差を付けています。端的に言うと、5頁の上にありますが、臨 時接種及び1類の定期接種は努力義務があるわけですが、この場合の死亡一時金は4,280万 円です。逆にそれのない2類疾病の定期接種については、713万5,200円です。  ただし、もし今回H1N1に類するような新しい流行が起こった場合にも対応できる類型を 設けるとしたら、それについても、まず努力義務をどうするかという課題が1つありますし、 もし努力義務を課さないということになりますと、努力義務を課さない通常の2類の定期と 同様の713万円になるのか、それとも定期とは違い、臨時の予防接種を行うわけですので、 ワクチンの有効性及び安全性について、通常の定期接種ほどは情報が積み上げられていない、 伝えられていない側面もあるかもしれません。また、通常の2類の定期よりは、自治体なり 国として、接種を受けるよう勧めがあるかもしれませんので、そういう要素を加味して、そ のような類型を作った場合の救済のレベルをどう考えるかということが、1つの論点として あります。  資料3の3頁のいちばん最後、資料4の5頁ですが、死亡一時金は、努力義務がある場合 には4,280万円、ない場合は713万円となっております。新たな類型についてこのどちらか、 もしくはその間ということに設定するとして、具体的に2類の定期とのバランス、つまり2 類の定期はPMDA法による医薬品の副作用の救済制度の額と同等となっていますので、そ れとのバランスをどう考えていくのかという論点があります。我々から提出させていただい た資料は資料4までですが、資料5をご覧ください。  これは北澤先生からメモとしていただいたものです。論点が2点ほどあります。1点目は、 予防接種の対象となるような疾病をどう決めるかです。今回の緊急に対応が必要とされる事 項ではないかもしれませんが、先生の仰る論点は、病気そのものの性質で、広がりと深刻さ、 もしくは感染のしやすさ、発病のしやすさがポイントになっているのではないかという論点 です。それから、ワクチンそのものの性質で、どのような効果、安全性、代替手段があるか について、きちんと透明性高く議論をした上で、法に馴染むのか馴染まないのかも含めて、 議論をしたほうがいいのではないかということです。  2点目としては、現在日本で使用中のワクチンについて、継続的に有効性及び安全性の評 価をする仕組みを導入すべきではないか。これは前回のご発言の中にもあったと思います。  また、次の下線部ですが、北澤先生の論点は、安全性の評価で、特に副反応の報告につい て、現在はいくつかのやり方がありますが、医療従事者、特に接種をした医師もしくは医療 機関が報告をすることに限定されてしまうと、そこは難しい負のインセンティブがかかる場 合があるということですので、それに限らず、接種を受けたもの、もしくは保護者がおかし いと思ったら手を挙げるような仕組みも考える必要があるのではないかということです。以 上、資料1から資料5までのご説明です。 ○加藤部会長 予防接種制度についてのご意見を伺います。本日は、喫緊の課題の新型イン フルエンザの対策に関して、すなわち、いまご説明のあった資料3、資料4に関する必要な ことについて、重点的に議論をお願いしますが、その前に第1回の部会で各委員からご指摘 のあったことに対しての事務局からの返答が、資料2です。資料1、資料3の緊急に対応が 必要なことが多少重なりますが、とりあえず資料1、資料2について、ご質問、ご意見をい ただきます。まず資料2についていかがでしょうか。 ○岡部委員 サーベイランス絡みで誤解がないようにというつもりで申し上げます。資料2 の3頁の「各種ワクチンの状況」で、病気の中で、ポリオの患者報告数が2になっています が、これは制度が変わって、ワクチンによる麻痺がこの中で届けられるようになっているの であって、日本はポリオは根絶状態が続いていることを確認のために申し上げます。 ○加藤部会長 これは実際にはポリオの病気ではなくて、ワクチンの副反応によって生じた 報告であるということですね。 ○岡部委員 そこの部分も関係する部分なので。 ○加藤部会長 野生株により発症したものではないということですので、ご確認をお願いし ます。いまのところポリオは発症していないことの確認です。他にいかがですか。 ○澁谷委員 いまの資料2の7、8頁の海外の検討組織の部分です。順次まだ調査をされる ということで、日本ではどうするのかということになると思いますが、いま現在、例えば7 頁に対応するような、この予防接種の審議会のほかに、薬事審でのワクチンのことがありま すが、そのような、いまの日本の予防接種に関する対策として関係している機関や組織の一 覧の図を、順次調査されるときに合わせて、出していただけたらと思います。 ○加藤部会長 ワクチン予防接種に関して、我が国ではどのような委員会、組織があるのか、 その仕組みの一覧表ですね。事務局はよろしゅうございますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい。 ○加藤部会長 他にございますか。 ○櫻井委員 不服審査のところをご説明いただきましたが、例えば5頁に予防接種法の法律 が載っています。この法律自体は昭和23年にできて、救済制度については昭和51年に改正 して導入しています。例えば実際に不支給決定を受けた人が争いたいと思ったとき、第11 条を見ると、「厚生労働大臣が認定したときには市町村長が給付を行う」という書き方にな っています。そうすると、法文の作り方として、何を対象に争ったらいいのかわかりにくい のです。  つまり、問題は厚生労働大臣の認定の部分です。立法論としては、認定を直接争うやり方 もできるということと、これは「市町村長が給付を行う」としか書いていないので、そうす ると、何でこれを争わなければいけないのかということがあります。全体として法律の作り 方がわかりにくいというか、あまり案件がないというのは、そういうところにも原因があっ て、潜在的なニーズがあるにもかかわらず、何だかよくわからないので困って、しょうがな いから裁判にいってしまうかという話になるのだろうと思います。  このようなものは、1つの象徴的な例だと思うのですが、行政事件訴訟法は平成16年に 大改正されて、行政訴訟近時も大きく変わっているので、全然それに対応できていないとい う印象が、厚生労働省の法律に全体にあるので、見直していただいたほうがいいと思います。 教示のあり方とか、その辺もポイントになると思います。コメントです。 ○加藤部会長 健康被害の救済制度に関する法のお話と理解しました。現状がどうなってい るかについて、健康被害救済制度にかかわる分科会があります。その分科会長の岡部先生か ら、どのような仕組みになっているかのお話をお願いします。 ○岡部委員 ここでどのように行われているかということですか。 ○加藤部会長 そうです。いまおっしゃったように、被害を受けた方が市町村に届け出て、 そこから県、国に上がり、分科会で関連性があるかないかの議論をされ、認定をすると、厚 生労働大臣に上申され、そこで厚生労働大臣が正しいか正しくないかの決定をするという手 順ですね。 ○岡部委員 そうです。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 櫻井委員がおっしゃったのは、いまの行政 不服のやり方はやりにくい部分、制度的にうまく仕組まれていない部分があるのではないか ということだと思います。我々もいろいろなご意見をいただいて、今回は緊急に手当てをす るところについては難しいかもしれませんが、それ以外の項目として、このような行政不服 についてどう考えるかというのは、是非広く議論させていただきたいと思います。 ○加藤部会長 櫻井先生としてはどのように思いますか。 ○櫻井委員 法の中身はきちんとしていることは一応前提としますと、一般国民が使うとき に、使い勝手のいい形で、争いたいと思ったときにすぐに争える形になっているか。そうい う点で見ると、法制度が前近代的というか、作り方が古いのです。そうすると、争いたい人 が争わずに泣き寝入りしてしまったり、非常にハードルが高く感じられてしまいます。そう いう点で、相対的に見て、制度が遅れているのではないかという指摘です。是非ご検討いた だきたいと思います。 ○加藤部会長 同じく分科会のメンバーの山川先生はいかがですか。 ○山川委員 付け加えることはありません。 ○加藤部会長 事務局にはその辺のところを明記していただき、今後の勘案事項にしたいと 考えます。 ○廣田委員 資料2のワクチンの有効性のところで相対危険についてご説明いただきまし た。これをわかりやすく言えば言うほどこんがらがっていくので、このくらいのところで理 解するしかないと思います。逆に言えば、例えば喫煙が肺がんのリスクを5倍、10倍上げ る逆と考えていただいて、インフルエンザワクチンは発病リスクを0.3、3分の1くらいに 下げるということです。  そうなると、有効率は70%になるのですが、10年ぐらい前は、ほとんどのメディカルプ ロフェッショナルも100人に打ったら70人がかからないと考えていた時期もあって、ワク チンを打ったけれどもかかったという誤解を生みました。  昨年のいま頃、町田市の高齢者のいる病院だったと思いますが、9割方の患者に接種して いたけれども3人が亡くなったことがありまして、あれは効かないのではないかということ で、キャンペーンを張られそうになったことがあります。あの場合も、90%の接種者の中か ら何人何%が亡くなって、残りの10%の非接種者の中から何人何%亡くなったかという割 合を比較すれば、ワクチンの有効性についての誤解はなくなると考えます。  それから、ここで示してある相対危険は幅がありますが、ワクチンの有効性は、研究する 地域や年によって大きく異なります。例えば流行株とワクチン株の抗原性が非常によくマッ チしたとすると、ワクチンの有効性を調べる絶好の研究環境になるわけですが、そういう年 というのは、前年から流行株の抗原変異があまり起こらなかった年で、そうなると多くの人 がすでに基礎免疫を持っていて、流行の規模は小さいです。せっかく研究環境がいいにもか かわらず、かかる人が少なくて結果が出ないことも起こり得ます。したがって、なかなか安 定しません。  それと、同じ高齢者でも、老人施設入所者と地域在住の高齢者では、また異なります。そ ういうわけでなかなか安定しませんが、多くの研究結果をまとめると、このくらいのところ になるというのが、この表に示してある相対危険です。 ○加藤部会長 この論文を読みましても、難しくて読みにくいわけですが、いまの廣田先生 のご説明でよろしゅうございますか。この科学的知見については、前回ご質問がありました が、いまの廣田先生のお答えでよろしゅうございますね。  順番にいきますが、資料1「予防接種法の対象となる疾病ワクチンのあり方」は、北澤さ んがコメントされて資料5にも入っていますが、この点に関していかがでしょうか。 ○古木委員 これは行政の立場からです。私の町でも、高齢者や受験生に対して、インフル エンザの財政支援をしています。先日、ある新聞を見ましたら、今年は新型インフルエンザ が大流行しましたが、こういった場合、古い型のインフルエンザは新型インフルエンザに淘 汰されて、あまり心配しなくてもいいということが出ていたように思うのです。私は医学的 なことはわからないもので聞くのですが、現実には高齢者や子どもに対して、季節性インフ ルエンザ予防接種に対する支援は続けているわけです。そうすると、新型に対する対応をす れば、季節性インフルエンザへの対応については、無駄になるのではないかと感じているの ですが、その辺は医学的な見知からみたり、法的に捉えたら、どのような考え方で進めれば いいのでしょうか。 ○加藤部会長 新型インフルエンザに対してのご意見ですね。 ○古木委員 はい。新型と季節性と両面です。 ○加藤部会長 複島課長からございますか。 ○結核感染症課長 法的な側面から申し上げますと、予防接種法に基づく予防接種は市町村 長の実施の義務がありまして、そういう意味では、季節性の65歳以上の方に対する実施義 務はあるわけです。確かにご指摘のとおり、現在までのところでいうと、ほぼ新型ですので、 それ以外のものはないわけです。これから冬になってどうなるのかは、ほかの先生にもお聞 きしたほうがいいかとも思いますが、そのような状況下にあって、それも踏まえると、法的 な義務もあるので実施していただくべきものと思っています。 ○古木委員 両面でですね。 ○結核感染症課長 はい。 ○加藤部会長 いま議論が必要と考えられる事項、対象となる疾病、ワクチンのあり方等に ついて、いかがでしょうか。 ○澁谷委員 予防接種法の対象となる疾病を今後新たに考えていくときに、ここに例が挙が っていますが、現状として今かなり市町村の考え方も変わってきて、市町村独自で公費負担 をしているような自治体が増えてきていると思います。実態として、例えばHibワクチン はどの程度公費負担されているか、その辺を調査する予定はあるのでしょうか。 ○加藤部会長 任意のワクチンについて、一部の市町村では全額でなくても公費負担をして いるところはあります。そのことについて、国はそれを捉えられますかということです。い ま発売している定期でないワクチンに関しては、各メーカーがある程度の実績を握っている と想定しています。したがって、厚生労働省にその権限があるかは別として、Hibワクチン に関してどの程度公費負担がなされているか、肺炎球菌ワクチンについてはどの程度なされ ているか、水痘についてはどうかを、もし澁谷委員がお聞きになりたいということであれば、 今後厚生労働省側と検討し、事前に配付するか、参考人としてお呼びして公表していただく かは事務局にお任せしてよろしゅうございますか。 ○結核感染症課長 メーカーを通しても把握できますが、私どものほうでも都道府県を通じ て自治体からの市町村の状況の把握はできます。少し時間は頂戴しますが、把握したいと思 います。 ○加藤部会長 座長としてはそう難しいことではないと考えます。というのは、そんなに種 類がたくさんあるワクチンではありませんので、おそらくメーカー側も協力していただける と思いますので、指示どおりにしていただきたいと思います。もし駄目だということであれ ば、座長から参考人としてお呼びしますが、事務局で対処できますね。 ○結核感染症課長 はい。 ○加藤部会長 ほかにございますか。 ○宮崎委員 いまの件は、メーカーが調べていますし、私もある程度は持っていますので、 すぐに出てくると思います。そんなにたくさんのところが公費負担をしているわけではない ですが、徐々に増えていくことはたしかです。  今後予防接種法の定期接種に入れていく候補の病気があって、それぞれここ数年で、日本 でどれぐらいの疾患、被害、社会的損失があるというのは、データが相当積み重なってきて いて、それがほぼ出揃ってきたので、こういう議論をする時期にきているのではないかと思 います。問題は、これだけたくさんのワクチンをやるとなると、予算もたくさん必要ですの で、これを是非国で手当てしていただければ、海外と日本のワクチンのギャップは一気に縮 まっていくと思います。 ○加藤部会長 この件に関しては、次の議題が喫緊の話題です。これが終わりましてから、 さらに深めた討議をしていく問題だと思います。皆さんのご意見は、そのときにまた十分に お聞きします。次の次の次の会ぐらいから、まず新型インフルエンザワクチンの件を取り上 げて、緊急の話題を片付けてから、ゆっくりと討論していただきます。  次の「○」の「予防接種による健康被害が生じた場合のあり方」についてですが、これに ついては先ほどご意見が出ましたので、櫻井委員の法律そのもの自身の表現が、法律案とし てよいかどうかも考慮する必要があるということは、山川委員も同じであるということです。 これは先ほど議論に出たので、事務局で持ち帰っていただき、十分なご検討をいただきたい と考えます。この件に関してご意見はございますか、よろしいですか。  次の「予防接種に関する情報提供のあり方」です。これは前回黒岩委員からのご発言です が、コメントをいただけますか。 ○黒岩委員 メディアのあり方は非常に大事だということから、この話をしました。正しい 情報がどれだけ伝わっているか、1つの物語が起きたときに、それが全体の中でどのような 位置づけのものでであるか、ということが誰にでもわかるようになっていないと、あらぬ誤 解というか、1つの大きな風評被害にもなるだろうし、違った方向に突き進んでいくことも あり得るということで、防止していかなければいけないという中での情報提供のあり方は大 事だという話をしました。  透明性を確保する、誰でも情報にアクセスできるようにすることについては、前回いらし た方もおおむねそうなのだということをいただきましたが、透明性の確保と言ったときの中 身が実はよくわからないというか、どれだけの情報公開のことを言っているのか、どこまで みんながこれをお知りになっているのか。情報透明性のあり方について海外と比べてみたと きに、その辺の差はどうあるのかということの現実を私は知りたいと思っています。その辺 がないと、言葉だけが踊っていくというか、確かに透明性を確保しますよ、オープンします よというだけだと、結果的に一番肝心なことがたぶんオープンされないのだろうと。情報公 開というのは、当然個人の権利を守らなければいけないという大きな壁が当然出てくると。 そこをうまく見ておかないと、個人の権利を守るという名目によって、いちばん肝心な情報 にたどり着けないという構造が起きていることもあり得る。その辺の現状はどうなっている のかを、欧米等の比較の下で提示していただきたいというのが私の希望です。 ○加藤部会長 黒岩委員のおっしゃる情報提供の中身そのものは、予防接種をしたあとの健 康被害に関することも情報の提供という意味と解釈してよろしいですか。 ○黒岩委員 そうです。 ○加藤部会長 そういうご意見です。特にご異論はないと考えますが、健康被害の認定、岡 部委員が分科会長をされている討論においても、このことはすでに討論がなされております。 これは福島課長からご説明いただいたほうがいいかもしれませんが、従来の黒塗りになって いたのが、かなり透明性を高めた意味でオープンになっていると。議事録に関してですが、 この件に関しては公開にしますと個人情報が出ますので、分科会自身はオープンでは行って おりませんが、議事録はいつでも公開できる状況になっております。福島課長から何かコメ ントはありますか。 ○結核感染症課長 認定のほうで申し上げると、認定以前の全体としての副反応のデータ等 があります。これは私どもも通知で求めておりますし、その数字についてはすでに公表して おります。  個別の認定についてですが、認定の議事については、加藤座長からありましたように自由 な議論ができないということで非公開で行っておりますが、議事概要はホームページで公表 しております。ただ、個別の細かい議事録は個人情報保護の観点、あるいは自由な議論の観 点から、個人情報保護法に基づく開示請求があった場合も、一部制限して開示しています。 できるだけ出せるものは出していきたいと、これは国会でのご指摘もあり、政務三役からの 指示もありまして、できるだけ情報提供していきたいと考えております。  また、実際の認定にあたって、従来どういう理由で認定したのか、あるいは認定しなかっ たのかについても、ご本人への通知をする際に十分に情報提供してこなかったということも ありますので、これについても、いまその内容を改めるということで作業しております。全 体としての海外との比較等については、改めてお示ししたいと思います。 ○加藤部会長 黒岩委員、よろしいですか。 ○黒岩委員 「情報公開」という言葉を同じように共有しているかどうかが、私の中でスト ンと落ちないところがあるのです。いろいろ副反応による被害が起きることはあり得るわけ です。どういう人がどのようにして副反応が起きたのかの情報を正しく理解したり、全体像 の中で把握したいということで、私は例えば研究者が誰でも自分で調べようと思えばいちば んの原点のデータまでたどり着いて、自分独自の研究ができるというぐらいの透明性の話を しているので、その辺のレベルにおける透明性が海外でどうなっているのかということの、 基本的な日本の現実を知りたいわけです。 ○加藤部会長 そういうご意見ですが、これに対して各委員から何かご意見はありますか。 ○櫻井委員 必ずしも考えがまとまっていないのですが、まず予防接種に関する情報提供で 何を最初にイメージするかというと、いまどういう病気があって、それがどういうもので、 どの程度の危険性があって、予防接種をするかしないか。各人が自己決定するわけですが、 そのときの考慮すべき要素が、わかりやすい形で十分に提供されているかどうかが肝だと思 うのです。実際にあとから被害が出て、それがどうなったかというのはあとの話なので、そ れはちゃんとよく検証された形で、一定程度の結論を得たところで詳細に、個人情報のとこ ろだけは除外して発表していただくというのは当たり前のことですね。しかも、それは専門 的な話になってきますので、専門の方が見て、第三者が見てあとからトレースできるような 形でやるというのは当然のことだと思うので、それはそれで前提としてやるというのが当た り前のことですね。  それから、個人に対して不認定の場合に不認定の理由を説明しておく、理由をきちんと提 示しておくというのも当たり前のことで、それをやっていないことはあり得ないので、きち んとやらなければいけないというだけの話なのですが、いまここの部会で議論しなければい けないのはそういうことではなくて、こういういろいろなリスクがありますよと。現時点で は必ずしも確定的なことはよくわからないということも含めて、不確実な情報を与えられた ときに、各人としては決断しなければいけないので、そこは国ないし公的団体の責任の所在 と関連して、どのようにリスクを分散するかという問題であると思うのです。そういう意味 での情報提供のあり方が問題なのであって、議論の論点がずれていると思われます。 ○加藤部会長 私も実はそう思っておりまして、両面ありますね。この中には情報提供のあ り方、幅広に予防接種に関する情報提供のあり方、黒岩委員がおっしゃったのは接種したあ との被害に関しての情報提供、いま櫻井委員がおっしゃったのは北澤委員が資料5で示して いることと同じで、似ているご意見だと感じましたが、なぜ予防接種が必要なのだろうか、 どんな病気が流行っているかと。 例えば、麻疹が流行っているときは報道でも麻疹のことがかなり報道されて、ワクチンが必 要であることは皆さん理解できたと。今度は新型インフルエンザが流行しますと、新型イン フルエンザワクチンが必要であろうということが情報提供されて、皆さんが納得するように なると。それならば、ほかのワクチンに関しては、どのような情報提供をすることによって 皆さんが接種をするようになるのだろうかと。そういう意味で、情報提供はどうあるべきか と、このように私は捉えましたが、感覚的にはそれでよろしいですか。 ○櫻井委員 はい。 ○加藤部会長 これは私も大変貴重なご意見だと思っておりまして、健康被害のことは櫻井 委員がおっしゃったとおりで、これは着々と国も進めていると思います。国としては予防接 種に関する情報の提供、例えばテレビのスポットでときどき出る、「世界でポリオをなくし ましょう」というものや、「AIDSをなくそう」というのが出ます。麻疹のときには「麻疹を なくしましょう」というスポットが少しだけ出ましたが、そういった意味での情報公開、た だ国が決めたワクチンなので予防接種をしましょうということではなくて、どういう理由で この予防接種が必要なのであろうかということの意義を、皆さんに知らしめるような情報提 供が必要なのではないかというご意見だと思われます。 ○岡部委員 基本的な情報がいちばん大切だ、という櫻井委員がおっしゃったことは全くそ のとおりです。私がこの会議の最初に感染症法との関連でも検討していただきたいと言った のはそこの意味で、例えば予防接種で防げる病気でデータが取れるとすると、定期接種だか ら取れる、任意接種だから必要ないといういままでの考え方があるので、ワクチンで予防で きる疾患についてはきちんとしたデータが取れる仕組みにしておくことが必要であるとい うことです。取れるというのは、情報を収集できるということです。  それから、ある疾患のリスクを考えるときには、その病気は早く治ってしまうのか、ある いは合併症があるのか、予後が良いのか悪いのかというところがどうしても必要なのですが、 いま部会長がお話になった麻疹1つ取っても、現在の制度だと麻疹の数はわかりますが、そ の予後、あるいは合併症がどうあるかということは、現行の感染症法の中では情報が取れな いわけです。したがって、予防接種のときに必要なデータが提供できないということがある ので、そういう仕組みの中で必要な情報が取れるということを、今後感染症とのリンクの中 で考えていく必要があるのではないかと思います。そこは定期接種、あるいは任意接種とい うことではなくて、感染症の対策ということで必要ではないかと思いますので、今後の検討 課題にしていただければと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございました。資料2の3頁に「各種ワクチンの状況」とありま すが、ここで患者報告数が厚生労働省から出されております。この中で感染症法の中での結 核が多い、麻疹が多いと。子宮頸がんは別ではありませんがここでは置いておいて、季節性 インフルエンザはご承知のように桁外れに多い、おたふくかぜが多い、水痘が多いという事 実があります。これらのことが果たして情報提供されているかどうかということと、今後の 予防接種の必要性がリンクしてくる可能性があろうかと私は考えます。 ○飯沼委員 いまおっしゃられたことはすべて大事なことですが、私は現場の代表として発 言したいと思います。若いお母さんたちにすべてを説明して予防接種をするということは、 個別接種は特にいま、想像されればわかりますように、現在の小児科のお医者さんの数では とてもやっていけません。したがいまして、若いお母さんたちに教育をすることも大事です し、学校教育で当然入れるべきだと。いまおっしゃられているワクチンプリベンタブルな病 気にはこういうものがあると。これは国民全体でやればこういう効果があるぐらいの話は、 常にしておかないとまずいと思いますので、現場の先生方の時間をお助けする面からも教育 を行政、学校も含めて、特に実際に担当される市町村の人たちはお母さんたちを教育する機 会を、医師会を通じてもどこを通じてもかまいませんが、講師を雇って徹底的に教育しても らうことも、これは本省で予算をつけていただいてもいいことですので、ひとつお願いした いと思います。 ○澁谷委員 いまのそれぞれの発言を聞いていますと、行政機関から情報提供するといった 一方的な話ではなくて、リスクコミュニケーションということだと思います。今回様々なワ クチンの問題が出てきているのは、住民の視点がない部分が問題になっていると思うのです。 行政機関、企業、ワクチンを実際に打たれる住民の皆さんのリスクコミュニケーションの部 分の構築をしていく必要があると思います。そのための情報であろうと思いますので、リス クコミュニケーションは予防接種の分野ではまだまだ足りないなと思います。 ○加藤部会長 少し議論をまとめます。ただいまの情報の件ですが、予防接種を受ける母親 たちに配るガイドラインが日本では作られており、ほぼ母子手帳と同じようなものがありま す。これは財団法人予防接種リサーチセンターという所で作られているもので、ガイドライ ン検討委員会がまとめたもの、すべてのお子さんが生まれた方々、接種を受ける方々に「予 防接種と子どもの健康」というパンフレットを配るシステムになっています。従来はそこに 任意接種の対象疾患に関して特に任意接種のワクチンに関しては入れていなかったのです が、新しいバージョンではそれも詳しく書き込むようになっており、おそらく今年の3月ご ろニューバージョンが出るということですので、果たしてそれを読んでいただけるかどうか が問題であろうかと考えております。  いろいろとご意見をいただきましたが、各委員の方々に資料1の議論が必要と考える事項 について十分お考えいただいて、今後この議論を進める糧にさせていただきたいと思います ので、今後とも積極的なご意見をいただきたいと思います。  時間の都合上、議題2に移ります。これが本日のメインテーマですが、「新型インフルエ ンザ対策として緊急に対応が必要と考えられる事項」です。資料3をお読みいただいてご意 見をいただきたいと思います。わかりやすく申しますと、今回の新型インフルエンザ発症に 対しては、特措法によってすべてがなされたわけですが、今後また同じような疾患が表れて きた場合に、また特措法でやらなければいけないのかどうかということも視野に入れつつ、 資料3に基づいて各委員のご意見を伺いたいと思います。どうぞご自由にご意見をお願いし ます。 ○山川委員 その議論をする前提として、今回特措法でやったと。予防接種法を見ますと、 第6条で「臨時の予防接種」という定めがあって、文面を読む限りではこの臨時接種でやれ たのではないのかなという感じもするのです。おそらく厚生労働省内で議論をされた上でそ うしないと、特別措置法でいくことにしたのだと思いますが、なぜ臨時の予防接種でやらな いで特措法でいったのかのご説明をいただくと、これからの議論の素材が出てくるのではな いかと思いますので、お願いします。 ○加藤部会長 これは、おそらく出たときには特措法になったけれど、いま落ち着いた段階 で振り返ってみたときに、これは臨時でもよかったのではないかと、なぜそのときに臨時に 決められなかったのですかと。 ○山川委員 そこまで言っているわけではないのですが、どういう議論をして。 ○加藤部会長 なぜ、これが臨時にならずに特措法になったかというご質問ですね。 ○山川委員 たぶん理由があることだと思いますので。 ○生活衛生課長 今回の新型インフルエンザについて予防接種法によらずにやったという ことですが、本日の資料4の1頁の下に掲げておりますように、基本的に今回の新型インフ ルエンザの病原性は、季節性インフルエンザと同程度の病原性であるということがありまし て、臨時接種という形で努力義務を課すところまでには至らないのではないかということで、 臨時接種という位置づけでやることはしなかったということです。もう1つ考えられる方法 としては、定期接種でやったらどうかという議論もあり得たわけですが、定期接種でやると なると、平成13年法改正時の附則の3条で高齢者に季節性インフルエンザの定期接種は限 定するという形になっておりますので、そういう意味で若い方やお子さんに接種することは、 予防接種法の定期接種としてやることはできないということがありました。もし仮にそこも 法改正して対応できるようにするとなると時間もかかるということもありましたので、秋ご ろにインフルエンザの流行も迫っている中で、まずは事業として実施をするということで、 予算事業という形で始めたということです。事業を始めながら、事後的ではありますが救済 制度について万全を期するという形で特別措置法を設けて、事業自体は始まっておりますが、 それを遡って措置をするような形を取ったということです。 ○加藤部会長 そういう事実関係ということです。突破口を山川先生が開いてくださったわ けですが、この議論を踏まえ、今後このようなことが起きたときを含めて、今後このような ことが起きたときに、どのような予防接種法の体制を作り上げていこうかということが喫緊 の課題となると思います。 ○木田委員 今回の新型インフルエンザの発生について、市民、国民の側から見て、その印 象も含めて意見を言わせていただきたいと思います。初めに発生したときは、鳥インフルエ ンザの発生が恐れられておりましたので、本当に恐い病気だという状況だったと思うのです。 だから、成田空港で防護服を着て走り回るような状況の中で非常に騒がれた。それがだんだ んと沈静化してきて今があるわけですが、こういうことを考えると、専門家の意見、あるい は国の見通しがはっきりと出されなかった、国民はそれによって判断ができなかったという 状況があったと思います。  そういうことを考えると、こういった事態が起こったときには、より的確な判断、見通し を出していただく必要があると思います。ワクチンにしても、1億5,000万回分程度のワク チンが用意されるわけですが、現状に至っては、国民はお金を出してそれを全部使う状況に はなっていないと思うのです。十分な枠を確保することは大事なことなのですが、現状をし っかりと把握して、どれだけ必要なのかということも十分見極める必要があると思います。 その費用についても、今回低所得者の皆さんに対する国の援助はあったわけですが、それ以 外については各市町村で独自にどれだけ援助するかを決めているような状況で、こういった 国民的に関心の高いものについては、国がある程度国の予算で見るという事態が必要なので はないかと思っております。また、さらに毒性の強いインフルエンザ等の発生も予想されま すので、こういったことに適切かつ迅速に対応できるような体制を整備していく必要がある のではないかと思っております。 ○加藤部会長 その病原性について先ほど述べられましたが、専門的な立場から、倉田委員 は何かご意見はございますか。 ○倉田委員 これは最初、しばらくしたら亜型が違うことがはっきりわかり、非常に軽いと、 諸外国はそのように認識していたわけです。日本は少し騒がしくなってしまったというのは いろいろな理由があると思うのですが、それはそのときの考え方とか判断で、いま言っても しょうがないことです。問題は、今後それを過去の教訓として活かすか活かさないかという ことにあると思うのです。それをやる必要があるということと、その中で私は感染病理の専 門ですから、いつもどれだけ亡くなったのか、どういうプロセスで亡くなったのか、どの病 気に関してもそういうことばかり考えているのですが、日本では150何名亡くなったと。そ の中できちんとした解剖(autopsy)、剖検をされて、本当にインフルエンザかどうかという 検証をされている例は、たぶん1割もないと思うのです。米国では、11月半ばの段階で5,700 例が、そのときにきちんとしたインフルエンザであろうと。それがCDCで把握している症例 は、病理関係の20年来の友人の所で見てきたのですが、140例はどうもインフルエンザら しいと。しかし、100例だけがインフルエンザだとはっきりわかったということで、アメリ カは医療の体制が違いますから。昔起こっていた、1968年のときはごく当たり前だった細 菌性の肺炎、インフルエンザがどこにあるかはわからないけれど、とにかく細菌性には間違 いないと。インフルエンザも一部所見がある。それが米で今回30%ぐらいあるのです。で すから、日本の解剖例がちゃんと行われていれば違うと思うのですが。日本の医療はしっか りしているのだから、早め早めに対応することにより細菌性肺炎が少ないと考えられる。  このインフルエンザに対するワクチンの考え方は、私は少し違うのですが、先ほどの資料 2にいま使われているワクチンの話が出ました。あれから見たときに、結核は一部薬があり ますし、もちろん抗生物質等の薬がある疾患もありますが、ほとんどにはこのインフルエン ザほどきちんとした対応ができる薬剤はどこにもないのです。ですから、ワクチンというの は非常に強調する必要があるし、今度のものを見ると、インフルエンザの薬はいま市販され ているものが2つと、出てくるのが1つと、もう1つ4月過ぎに承認見込みのものがありま すが、いずれもすばらしい薬です。そういうものがあってどうして騒いだのか、私は少し疑 問に思っています。  もう1つ、このインフルエンザの今のワクチン自体の皮下接種方法では、はっきり言って 感染予防にはならない。これは頻繁に繰り返して打つと、数回打つと同じ亜型が被ってきた ときには感染防御ができますが、そうでない限りはできない。これは世界共通の認識です。 ですから、先ほど部会長が言われたところの、資料1でワクチンの確保のあり方というので すが、有効なワクチン研究開発は現在経鼻投与法でありこの方法を促進すること、研究その ものと、実用化の目前まで来ていると聞いていますが、それが1つです。誤解がないように 言っておきますが、これは米国で使われている鼻にやる生ワクとは違います。あれは子ども と年寄りは打てませんから全然質が違いますが、現在も不活化にいろいろな工夫をして接種 する方法です。  生産基盤の確保ですが、米国はインフルエンザのワクチンの製造所を国内に持っていなか ったのですが、今度の問題で国民との突き上げが強いということで、ノースカロライナに日 本円で450億円の建物だけを建てて、中身はメーカーがやるのですが、インフルワクチンだ けの工場を作りました。そういうやり方もありますから、緊急時に外国に頼るのも結構です が、国内でそれこそ危機管理意識としてそういうものをきちんと用意しておくことは、1つ の考え方だと私は思っていますし、はるかに安くつくと思います。それがワクチン開発の促 進にもつながりますし、緊急時の対応にもつながると。もちろん、いままでの卵から来たも の、誤解のないように言っておきますが、今回米国は日本と同じ卵由来のものだけを使って おります。現在世界各国で問題となったほかのものは一切使っていません。そういうことで すので、それにはFDAの考え方もあり、チェックした結果もあったわけです。そういうもの を、理由や原因を問わないようにきちんと把握していくことが大事なので、事前にいつも把 握できるもの、それが本当の情報なのです。それを世界中からとりうる力を持つことも必要 だと思います。  先ほど来言われている安全性・有効性ですが、これは起こった患者さんの対応の話と品 物、つまりワクチンそのものの品質の問題が非常に大きいです。それをきちんとどれだけや っているかは、緊急時に何があっても前提でやるべきことで、今度のようにインフルエンザ のすばらしい薬がある段階では、拙速にしないで通常のやり方で品質管理をすると。その上 で安全性がどうか、有効性がどうかという評価をすべきであって、起こったあとにどう始末 するかということではないと思うのです。そこが非常に重要だと思っています。 ○黒岩委員 緊急対策を考える上で、もう終わったことはいいではないかという話は、ちょ っと引っかかるのです。 ○倉田委員 いいではないかではなくて、それを教訓にしろと言っているのです。 ○黒岩委員 その教訓の仕方なのですが、そこがいちばん知りたいところで、国民の基本的 な理解がないとこういう話は進まないと。先ほどの情報公開の話にもつながるのですが、問 題が起きたときにはそれをみんなが調べるようになっているのは当たり前でしょうという ことですが、本当に当たり前なのかどうかは私は非常に疑問を持っているところです。  今回は、新型インフルエンザ騒動というか、国民的な大パニックになったわけです。あの 中で情報公開という視点がどこにあったのか、なぜああいうことが起きたのか、振り回され た国民はえらい迷惑を被っただろうし、無駄な税金も使われていただろうし、あれは一体誰 の責任で、その総括をどうしたのか、ということのきちんとした総括がないと、国民は次な る施策に対して理解を持って進むことができないのです。緊急対策は緊急対策で本当にやら なければいけないことだと思うけれど、根本のところは外してはいけないと私は考えます。 ○倉田委員 逆らうわけではないのですが、私は何が起こってどうしたということに触れた つもりは全くないのです。いまのワクチンの問題だけに限って言ったわけで、私の言い方に 抜けていたところがあるかもしれませんが。 ○加藤部会長 これは先ほど山川先生がおっしゃったように、新しく出てきたインフルエン ザという病気、それに対するワクチンの接種について、またこういうことが起きてきたとき に、再び特措法をやらなければならないのかどうかということがまさに議論の本点です。し たがって、資料3の1頁ですが、このようなことが起きたときにまた特措法でやるのか、さ もなければ予防接種法の中に入れて、どのような形で入れていくのか、効果があるかないか、 薬があるかないかということは別に置いておいて、そのようなことをワクチンの接種をする に際して努力義務を課してやるのか、そうすると健康被害救済の額ということも絡まってき ますし、接種費用ということにも絡まってきます。  次の頁を見ますと、先ほど倉田先生がおっしゃったように、ワクチンを確保する必要があ るということになります。そのときに法律がどのような法律になっているかによって、ワク チンメーカーの意欲も変わってくるでしょうし、開発する努力、姿勢も変わってくるであろ うと。それを国がどのように支援していくかということで、論点としては今回のように、特 措法のような形でこれから起きてくるかもしれないものに対して何らかの手段を考えてお く必要があるのではないかと。これは山川先生がおっしゃったとおりのことで、そのことに ついて少しご議論をいただけないでしょうか。もし、またこのようなことが起きたときに、 同じように特措法でやっていくのか、また先ほどから出ている定期接種があって臨時接種に 入らなかった理由がありますし、任意接種という方法もありますし、いろいろあるわけです が、その辺のご議論をお願いしたいと思います。 ○岡部委員 この資料の最初の項目を見ていたときには、これは新型インフルエンザ、ある いはそれに類似したような病気や感染症Xが起きたときに、今後どうするかというだけの議 論ですか。もしかするといまの新型インフルエンザを特措法でやっておいて、来シーズンも このまま突っ走っていくのかどうか、これはこの中の議論には入っていかないのですか。 ○生活衛生課長 本年度、いまの新型インフルエンザについても来シーズンどういう位置づ けでやるか、これを予防接種法に位置づけた形でやっていけるかどうかということも、当然 議論の中に入りますし、それも是非お願いしたいと思います。 ○加藤部会長 そのようなことです。何かご意見はございませんか。 ○廣田委員 例えば、次シーズンには、いまのH1N1のブタ由来のウイルスが季節性ワクチ ンに入る可能性もあるわけですよね。だから、あまり先走っていろいろ議論すると机上の空 論になるかもしれませんので、そこは少し注意しておいたほうがいいと思います。 ○生活衛生課長 そこで申し上げますと、新型インフルエンザの定義としては、厚生労働大 臣が昨年4月に宣言をして、それで新型インフルエンザになっています。それで免疫がつい て終息ということになると新型ではなくなることになりますが、そうなると完全に季節性に なります。そういう状況にまだなっていない場合ですと、相変わらず新型インフルエンザで あるという状況ではあると思います。ただ、感染して免疫がついた人も、その間増えてきて いるという状況になるかもしれません。 ○櫻井委員 宣言の要件はどうなっているのですか。 ○生活衛生課長 感染症法に規定があります。感染症予防法四十四条の2に、手元にないの で次回配らせていただきますが、厚生労働大臣が新型インフルエンザ等感染症が発生したと 認めるときには公表するという形になっています。解除する場合も規定がありまして、四十 四条の2の第3項に、新型インフルエンザについて「国民の大部分が当該感染症に対する免 疫を獲得したこと等により新型インフルエンザ等感染症と認められなくなったときは、速や かにその旨を公表しなければならない」という規定があります。ある意味で、「免疫を獲得 したこと等」ということが1つの要件になっております。 ○櫻井委員 いまの点を含めて議論が拡散しすぎていて、全体のやり方が非常によろしくな いというか、何が議論したいのかということで、制度的な話をしたいのであれば、事務局の ご説明をもっときちんとしていただかないと困ります。感染症法の仕組みもそうだと思いま すが、既知の感染症と未知の感染症があって、今回の予防接種についても予防接種を公的に 実施するかどうかの判断でどの程度の知見が集積されていて、リスクの判断も含めて国とし て、公の政策としてやるかどうかという段階は、現在進行形で進んでいく話ですから、そう いうことを必ずしも想定していないのが現在の仕組みということになりますね。  そうしますと、もう少し具体的に問題提起をきちんとしていただきたいのですが、例えば 予防接種法を現行法で見ますと1類のものと2類のものがあるけれど、1類のほうは政令で 指定することができると。ところが、2類のほうはそういうもがないということですね。法 文にはそのように書いてありますが、そうだとすると2類に入るのではないかというぐらい の毒性のものであって、しかも義務を課すのはどうかと思われるような類型があると。中間 的なものですね。しかも増えていくものなので、だとすると法律に書くのは難しいので、そ こは包括的な定義を置いた上で、政令で指定することができるということをやればよろしい わけで、それはモデルとして感染症法にすでにあるわけです。それをごちゃごちゃおっしゃ っていますが、そういうものが必要だというのであれば、そういう類型を設ければいいだけ のことであって、一定程度事態が進んだのであれば、それは季節性インフルエンザと同じ扱 いにすればいいということで、2類なら2類という形で法律の中に入れ込んでいけばいいだ けのことではないかと思うのです。そういうことを順を追ってやっていけばいいのではない かと思いますが、段取りについてもう少しお考えください。  法律でやるか予算事業でやるかどうかという問題ですが、おそらく毒性があまり強くなく て、しかもできれば任意で、やらないよりはやったほうがいいぐらいのソフトな仕組みで行 うということもありえると思うのですが、そうすると予算事業だけで完結的に行うというや り方もないわけではないと思われます。一方で、予防接種はリスクがあって、しかもなるべ くみんながやったほうがいいということを含んでいるということになると、命の収用みたい な危険性も当然あるので、憲法論としては法律に基づいた形でやったほうがよろしいだろう ということは、一般論としては当然言えるのではないかと思います。法律だと言ってもそん なに詳細に書くわけではないので、法律上のものとして実施するにしても、包括的な規定を 設けておけばいいのではないかと思います。  こちらのペーパーで気がついたところで申し上げますと、臨時接種の仕組みなどについて も、対象者の優先順位をどうやってつけていくかという議論については都道府県で判断する ような事柄ではなく、それは日本国として日本国民に対して優先順位をつけるわけですから、 どちらが順番に助かっていくかという非常にクリティカルな状況も想定されるわけですか ら、国がきちんと一定の基準を設けた上で対応していただくことは当然に必要なことです。 そういうものであるとすれば、メーカーならメーカーに対して、民間企業であろうとも要請 をする形で責任を果たしていただくのは当たり前のことで、それが必要なのではないかと思 うのだったら、そのように法律を書けばいいだけのことであって、何か問題があるのであれ ば適宜ご指摘いただければよろしいので、そのようなことではないかと思います。 ○加藤部会長 櫻井委員がおっしゃられたとおりで、段取りが悪いように見えていながら議 論をしていこうというのがこの委員会なのです。段取りとしては、先ほど山川先生がおっし ゃったように、このようなことがまた起きたときに、果たして従来の臨時接種ではいけない のか、第2類の中に入れられないのか、さもなければ予防接種法全体を変えられないのか、 という大きな話になりますと間に合いませんので、とりあえずは新型インフルに対する対応 策を行いたいというのが喫緊の問題です。大きな問題はもう少し経って。 ○櫻井委員 それが大きな問題であって、喫緊で法律を改正されると伺いましたが。 ○結核感染症課長 今般の新型インフルエンザと、それと同様のものが発生した場合に、現 行の予防接種法では穴が開いているわけです。ですから、この穴をまず埋めなければいけな い。これは緊急に次期通常国会に法案を出したいと考えておりまして、その緊急のパッチを 当てる作業を最優先でお願いしたいということです。その上で、予防接種のあり方全体を踏 まえた予防接種法の根本的な見直しについては継続的な議論をしていきたいと考えており ますので、そういう面でテーマを「緊急に対応が必要と考えられる事項」として、新型イン フルエンザ対策と限定してしまっていますが、実際には新型インフルエンザ対策以外でも同 様の、現行の臨時接種でするほどではないけれど、今回の新型インフルエンザと同様なもの が来た場合にどうするのか。また、国の事業でやった場合に、先ほどもご説明しましたが、 都道府県や市町村の位置づけが非常に不明確な中でご協力いただいて、都道府県や市町村に ご迷惑をおかけしてやっていますが、そういうことをいまのうちに手当しておかなければ、 実際の現実的な対応がうまくいかないと。我々が今やっていることをもっとスムーズに対応 できるようにしたいということですので、それに限定したご議論をお願いしたいということ です。 ○櫻井委員 受皿としては、臨時接種的なもので努力義務がないものを作りたいということ ですね。あるいは、2類疾病ではなくて、別の類型をもう1つ設けるかというのもあると思 うのですが、そこの住み分けの話があると。そこからすべてが始まるわけで、あとのお金の 負担をどうするかとか、そういう話になってくるわけですね。 ○結核感染症課長 そこが決まらないと、いろいろな付属物が全部付いてこないわけですね。 ○櫻井委員 だったら、2つぐらい案を出していただいたほうがよろしいと思います。 ○結核感染症課長 先生はどのような案を。 ○櫻井委員 いま申し上げたとおり、2類疾病の臨時接種で努力義務あり、努力義務なしと いうところの類型を設けて対応し得ると考えると。そこは専門家の意見を聞かないとわかり ませんが。もう1つは、3類疾病みたいなものを作って、「指定感染症」というものもあり ましたが、そういう指定の疾病を設けていただいて、臨時に対応していって、やめるという のもあると思いますし、そういうものを作るというのもあるのかもしれません。 ○結核感染症課長 この議論を踏まえて、次回には具体的に。 ○加藤部会長 いまのはとても大切なご意見で、これは必ずノートしておいていただいて、 なるべく繰り返しこの委員会を開くことになっておりますので、十分頭に入れておいていた だいて、事務局も頭を整理していただきたいと思います。 ○結核感染症課長 資料3でご用意した論点がありますが、これをある程度下敷きにして、 このフレームワークが大体今日そういう方向でどうかということであれば、これに基づいて、 もう少し具体的な形で次回お示ししたいと考えております。 ○加藤部会長 いまの櫻井委員のご意見を察すると、できれば事務局で、本当は私がここで 各委員からこんなものもあるというご意見を聞きたかったところですが、全部お答えになっ ておりますので、それと同じような素案を、フレームを提示していただいて、そのフレーム を1つずつ各委員にこれがいいでしょうと。これにするにあたってはそれに付属してくる、 ここに書かれているようなそれは国でやる仕事なのかどうか、都道府県がやる仕事なのかど うか、またはそれに伴う健康被害は当然ついてくるわけですから、どうなるかということも 必然的に決まってくるし、そこでまた優先順位をどうするかということも決まってくるとい うことですので、まずそこの基本的ないくつかの案がありますよということを、本来はここ で各委員に提示していただきたかったというのが私の本音なのですが、まさに櫻井委員に突 かれまして、ほとんどお答えになっておられるので、そうでないご意見はございませんか。 ○宮崎委員 おそらく国も現場もそうだと思うのですが、今回の新型インフルエンザH1N1 と現行のワクチンを天秤にかければ、接種義務を課すほどではないのではないかと。しかし、 非常に流行が大きくなる可能性があって、国際的な供給の問題もありますので、都道府県独 自では対象者を絞ったり、ワクチンを確保することが難しくて、国が関与していかないと、 優先順位も含めて難しかったのではないかということですね。それが現行法に当てはまらな かったので、そこはいま出たようないくつかの案の中のどこかに収まっていく可能性がある。  もう1つは、新型は国民の大部分が免疫を持ったら新型でなくなるということですが、本 来はこれぐらいの病原性の場合は医療的にも社会的にも混乱がなくなったら、あえて新型と 言う必要があるのかどうかという気もするのです。ただ、今年の後半これを季節性と言って しまっていいかどうかということも、これは読みの問題なので難しいのですが、そういう感 じもします。だから、議論をする中でどういうワクチンを作っていくかということも当然出 てきて、H1N1の単独ワクチン混でいくのか3価ワクチンでいくのか、その場合はどう法的 に使っていくのかという技術的な問題も近々、おそらく2月か3月ぐらいで株の問題とかい ろいろ詰められていくと思いますので、法律そのものの問題と、実際どうやってそれを使っ ていくいくかということのすり合わせもちゃんとしておかないと、ワクチンと制度にギャッ プがあっては現場が混乱するのではないかと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございます。先ほど櫻井委員がいくつかの提案をされましたが、 古木委員、何かご提案はございますか。 ○古木委員 言われるとおり、そうしたほうが焦点が合っていると思います。皆さんが1 つの方向に進むのではないかと思います。そのようなまとめ方を提案していただいたら、発 言もしやすくなるし、そのほうがまとまりもいいのではないかと思います。 ○飯沼委員 提案をしていただいてもう1回討議をすると、そのとおりで。 ○澁谷委員 私も、いま季節性が五類疾患ですので、2類の疾病という考え方がそうなのだ ろうなと思いますが、1つ現場で問題になるのは、季節性インフルエンザと新型を2回打た なければいけないかとなると、今後ワクチンの作り方で一緒にできれば、そのほうがいいと 現場は思うと思うのです。そうすると、定期と臨時が一緒に1本のワクチンでできるのかと か、そういう問題にもつながってくるので、従来の定期と臨時のどちらかにというのは難し い仕分けかなと思います。 ○加藤部会長 黒岩委員は、情報公開とまた違う議論になりますが、先ほど櫻井委員がご提 案になったことに関してどのようなご意見をお持ちでしょうか。 ○黒岩委員 基本的にこの場はそのような場だったと思うのですが、私が思っているのは、 緊急対応はまさに必要なのだろうけれど、なぜ緊急と恒久の議論を分けなければいけないの かというところが、自分の中ではストンと落ちていません。構造的問題がそこで見えるのだ ったら、こういう問題は一気に本質的なところまで議論して、早く解決する方向になぜ向か ないのか。  特措法をもう1回やりましょうという大きな流れが基本的にあるというところに対して は、違和感を持ったままです。私は素人でよくわからないのですが、1類疾病、2類疾病と 分けなければいけないというのはどういう意味なのかは、あまりよくわからないところがあ ります。社会的防衛、個人的防衛だと言っても、個人が積み重なってどんどん広まっていっ て、病気もどんどん変質する可能性があるのだったら、そこに明確な線を引く意味が一体ど こにあるのかという点も含めて、本来は議論すべきだと私は思います。しかし、早くまとめ ようというときに私がそういう根本的なことを言うことによって議論の流れが止まるのだ ったら、それは先に進めていただいて。 ○加藤部会長 ありがとうございました。それでは、時間の都合もありますので、資料3 の2〜3頁でご意見があったら伺います。このような世界的な大流行が起きたときにワクチ ンの確保をするための、確保については先ほどご意見が出ました。また、優先順位、健康被 害の救済等について、フレームが決まらないとなかなか意見が出にくいと思いますが、事務 局に次回のテーマを決めていただく必要がありますので、この際いまできる限りご意見があ ったらいただきたいと思います。 ○廣田委員 優先順位をつけるというのは、当然必要なことだろうと思います。ただし、今 回どのようなグループがあるかというところから議論が始まる場面もあったかと思います。 例えば、ある学会が自分たちの分野でのこういう疾患の人に、是非ワクチンを確保してくれ ということです。そういったグループは、本来20年ぐらい前からあらゆる国でこういう人 たちには打ちなさいと言われていたのに放っていたわけです。無関心だったわけです。だか ら、まずそういった推奨されるべき人、打つべき人が、国がどうこう言う前に学会レベル等 できちんと確立されないといけないと思います。それから国が優先順位を、こういう局面に なるとつけるという順番だろうと思います。 ○山川委員 予防接種に関する基本法としては予防接種法があるわけで、よほど特別な場合、 あるいはよほど時間がないときに、今回のような緊急の特別措置法があるのだろうと思いま す。できる限り予防接種に関する問題は予防接種法で、体系的に統一的に扱うのが望ましい のではないかというのが、法律の一般原則だろうと思います。  その関係から、先ほど伺ったことでもあるのですが、第2条の2類疾病のところにインフ ルエンザとするという定めがあるわけです。今回の新型インフルエンザというのも、法文の 解釈としてこのインフルエンザに含まれていると理解してよいのでしょうか。特措法で新型 インフルエンザの定義が出ましたが。 ○結核感染症課長 一応インフルエンザには入ります。 ○山川委員 入るという前提でいいわけですね。わかりました。 ○加藤部会長 健康被害の救済についてはその定義と絡んできますが、よろしいですか。 ○結核感染症課長 健康被害の救済は、そういう意味ではこちらの3つ目にありますが、今 回の新型インフルエンザを予防接種法に位置づけるときにどういう類型に位置づけて、それ がどういう水準に当たるのが妥当かといったことになりますので、そこはまた別にしっかり ご意見をいただいてと思っています。 ○加藤部会長 いかがですか。いま議論していただきたいのは、ワクチンの確保、優先順位、 健康被害についてです。ワクチンの確保については先ほど倉田先生からちょっとお話が出ま したが、この件について何かご意見はありますか。優先順位については、いまご意見があり ました。健康被害についてはいま事務局からご説明がありましたが、この辺を煮詰めておき たいと思います。何かご意見はありますか。次回持越しで、また次も持越しとなると厄介に なりますので、できる範囲でご意見はいまのうちにお願いしたいと思います。 ○宮崎委員 日本は、ワクチンを自国で作れる世界でも数少ない国の1つだろうと思います。 ある程度の手当をすれば、今回ぐらいの流行であれば、遅れはしますが何とかなっていく。 そういう意味では、倉田先生がおっしゃったとおり、現行ワクチンにも満足せず、より良い ワクチンを作りながら国内でなるべく早く作れる体制があれば、そのほうがいいだろうと。 そうすれば、特例でバタバタと認可という問題もだいぶ少なくなってきますので、じっくり 考えて、良いものは入れるし良くないものは入れないという仕分けがもっと冷静にできるだ ろうと思います国民の健康を全体として守る意味でも、もう少し生産基盤を作っていくとい うのはいいのではないかと思います。 ○生活衛生課長 補足させていただきます。2の(1)ですが、特別措置法のもう1つの柱と して、損失補償の話があります。新型インフルエンザのワクチンを確保するために、外国の 政府も同様の契約を結んで損失補償をやったりということがありましたので、我が国として も財政法上の問題をクリアする上で、特別措置法の形で損失補償も契約できるということを しましたが、これはまさに今回限りのものですので、同様の事態が生じてくることも想定さ れるわけです。そういったときに対応できるようにすることが問題になっておりますので、 こういう形で挙げております。 ○加藤部会長 まさにそのとおりで、また振出しに戻っているわけですが、そこから議論が 出発しているということですが、ほかにご意見はございませんか。事務局側から、特に委員 に何かコメントを求めませんか。 ○生活衛生課長 いろいろご意見をいただいているところで、我々の資料も十分ではなかっ た点もありますので、ご意見をいただけないところもありますが、今回の資料3に挙げてい るような事項などについては、ある意味で今回の通常国会に向けて予防接種法に新型インフ ルエンザワクチンなどのことを位置づけていくことが喫緊の課題ですので、そういった要素 といった形で論点となるのではないかと思われる事項を挙げております。今日意見をいただ いているようなことなどをベースに、少し議論できる案を作成させていただくという形で考 えております。また個別にも別途ご意見をいただけば、我々もご用意させていただきたいと 思っておりますので、よろしくお願いします。 ○飯沼委員 全体を見ていて、費用負担のことが抜けているのではないかと思いますが、次 回は是非とも入れてください。 ○加藤部会長 それも実は議論する予定で、資料1でやろうとしたところでしたが、今回も 討議を入れていただきたいと。 ○結核感染症課長 論点としては、資料3の1頁の下から3行目にありますように、今回の ようなものをいま仮に臨時接種として新たな類型として位置づける場合の接種費用、これは 自己負担ないしは減免の問題はどう考えるのかということを挙げておりますので、そういう 観点で整理をしたいと思います。その際に、論点としては定期の1類、2類のように、今回 の国の事業と同様の形にするのか、それとも従来の臨時接種と同じように全部行政が持つの かというのが1つの論点になろうかということです。 ○黒岩委員 特措法という話と恒久法という話は、どちらも視野に入れておきながら議論す べきだと思います。ワクチン確保のためにまた海外から入れるのかというときに、客観的に 見ると、新しいものが起きるたびにバタバタと原理・原則がどこに行ったのかわからないよ うにして、輸入するのだ、輸入するのだと言って、平時に戻ると海外のものはあれなので国 産にするのだということで、どの方針になっているのかということ。海外のものをどんどん 入れていくことが普通になるという発想法だってあると思うのです。そうではなくて、徹底 して国内産でやるのだというなら、それはそれでいいだろうと思うし、そこは議論を同時平 行で頭の隅に置きながら議論する必要があると思います。 ○加藤部会長 これは宮崎先生と若干意見が食い違っていると。議論は結構です。そういう ことを頭に入れつつ。 ○結核感染症課長 特に新型インフルエンザ、強毒性のものを想定し、従来の鶏卵法でで言 うと、国民全体のワクチンを国内で確保するには1年半から2年ぐらいかかります。これを 半年以内で確保できる体制の整備ということで、本年度の予算の第一次補正で基金を作りま したが、5年以内にそういう体制を整備するということで基金を作りました。ただ、この基 金の大部分を今回の新型インフルエンザのワクチンの確保のために使ってしまいまして、い ま二次補正の補正予算案の中でその基金の積み戻しの要求を出しているところです。これに よって、緊急事態であっても、速やかに国内で確保できる体制の整備を進めていくというこ とにしております。 ○健康局総務課長 いま黒岩委員がおっしゃったご指摘はもっともで、基本的には自分の国 でワクチンが作れるのは理想だと思うのです。ただ、現実問題、今回のインフルエンザを見 ても、自分の国だけでは賄えない。これはしっかりとした現実として認識すべきだろうと思 っています。そこで、いま我々の前に横たわっている課題は、今回のような新型インフルエ ンザと同じようなことが、いつ何時起こるかもわからない。そのときに、先ほどからご議論 いただいているように、いちいち特措法を出して国会を通してということでは危機管理に欠 けるだろうと。国民の健康を守りきれない。そうすると、予防接種法の中にいつでも動かせ るような状態でビルトインしておかなければいけない。そのための予防接種法改正を、喫緊 の課題として来週から始まる国会に出さなければならないと思っています。  それをご議論いただく上で、先ほど申し上げたように、現状認識としてすべてのワクチン を国産では賄えないというのが現実ですので、そのときには国民の健康を守るために、海外 からだろうが何だろうが確保すべきものは確保する、海外から確保するために、例えばメー カーに対する損失補償がないと確保できないのではないか、それを法律にどのように位置づ けたらよいだろうか。また、全部の量が確保できればよろしいのですが、今回のように五月 雨的にしか確保できない場合、対象者に優先順位をつけないといけません。今回それを事実 行為として行わせていただいたわけですが、それを法制的な仕組みとして、国の優先順位づ けをどのようにビルトインしたらいいか。それから、これは幸いにしてまだそういう事態に は至っておりませんが、健康被害が生じた場合に、いまのようなスキームで給付水準なり健 康被害の救済の仕方が十分かどうか、これもできる範囲で入れていくべきだと考えておりま す。  そういった、ある意味いつ起きるかわからない新型インフルエンザのようなものに予防接 種法が対応できるようにするための議論が第1課題で、当然それを本格的に議論しようとす ると、1類、2類とか臨時、定期とか、そこのあり方自体の線引きもどうするのだという部 分もあろうと思います。しかし、まず喫緊の課題として最小限の法体制を整備して、その余 の問題は第2ラウンドの議論として引き続きやっていただきたいということです。私どもが 申し上げた第1ラウンドの議論をするための資料がこの資料3で、事務局の準備・説明が行 き届かなくて恐縮ですが、よろしければ資料3についてさらにご議論いただき、もし今日の ところはご議論はこれまでということでしたら、さらにご議論いただくためにそれぞれの論 点について、もう少し具体的な案を事務局として作った方が、議論が進むのではないかと思 っております。 ○加藤部会長 要するに、新型インフルエンザワクチンが、特措法ですが、予防接種法の中 での位置づけがなされていないので、その穴が開いた部分を何とか法案としてまとめて体系 づくりをする、パッチを当てることが目的であると私は理解しておりますので、そのような 基本的なスタンスで、今日各委員がお話になったことを取りまとめ、次回までに参考資料と して事務局から提出していただき、集中的な議論をするということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○加藤部会長 ありがとうございます。以上で本日の議題は終了させていただきます。いろ いろとご意見どうもありがとうございました。事務局から次回の予定についてお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回は1月27日(水)の10時から開催と いうことで、先ほどご意見がありましたように具体的な法策、選択肢等をお示ししたいと思 っております。なお、今日は16時10分から日本脳炎の小委員会も開催しますので、そちら の委員になっておられる先生は少しお残りいただきたいと思います。 ○加藤部会長 どうもありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課(03−5253−1111 内線:2077)