09/12/25 第8回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員議事録 会 第8回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員 会 ○日時 平成21年12月25日(金) 17:00〜 ○場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○出席者 【委員】 永井委員長、梅澤委員、高坂委員、佐藤委員、中内委員、中畑委員      西川委員、町野委員、水澤委員、山口委員 【事務局】井本補佐、田邊専門官、秦健一郎 ○議事  1)新規のヒト幹細胞を用いる臨床研究について      2)指針の見直しの論点について      3)その他 ○永井委員長 ただいまより第8回ヒト幹細胞臨床研究指針の見直しに関する専門委員会を始めます。事務 局より、本日の出席の確認をお願いします。 ○事務局 委員の先生方におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、誠にありがとうございます。お手 元の委員名簿をご覧ください。本日は位田委員、澤委員、武藤委員、鹿野委員、本田委員から欠席のご連絡を いただいておりまして、全委員15名のうち10名の委員にご出席をいただいております。過半数を超えており、 本会議は成立していることをご報告申し上げます。 ○永井委員長 配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 議事次第にありますように、議事次第、座席表、委員名簿、資料1と資料2は前回の会議のまとめ で、資料3、資料4が用意してあります。ドッチファイルにまとめています参考資料1から参考資料10、過去の 専門委員会の配付資料は机上にのみご用意致しました。過不足等ございましたら、お知らせください。 ○永井委員長 前回の第7回委員会では、iPS細胞やES細胞を用いた臨床研究の実例をご提示いただき、 意見交換を行いました。今日は、いままでのご意見を踏まえ、iPS細胞、ES細胞を用いる臨床研究を開始する ときに求められる要件について、まとめていきたいと思います。  本日の議論の進め方について、事務局よりご説明をお願いします。 ○事務局 前回の委員会の主な意見について、資料1でまとめております。資料1をご覧ください。前回ご議論 いただいたのは、幹細胞の安全性や副作用に対する配慮についてです。幹細胞の安全性については、最低限 のミニマムリクワイアメントとして、コンタミネーションやサンプルの取り違えを防止することは必要だろうというご 意見があり、さらに、マウスの細胞などのフィーダー細胞が用いられる場合には、ウイルス感染の除外などが必 要になるといったご意見がございました。  また細胞を評価するに当たって、ゲノムの異常やエピジェネティックな異常のチェックが必要であろうとありまし た。未分化な細胞の混入に対しては、さらに高感度なアッセイを用いる必要があるだろうとのご意見がありまし た。  そのほか、安全性の確認については、前臨床研究などについて、しっかり確認する必要があろうと、さらに時 代を追って新しい開発の項目が出てくれば、即時導入していく姿勢が必要だろう、とご意見がありました。また、 ES細胞については、これは表現に問題があればご訂正いただければ助かるのですが、造腫瘍性の心配はほ とんどないのではないかというご意見がありました。  2番目は副作用に対する配慮についてです。しっかりとした研究体制を整え、綿密なミーティングを行うという 研究体制の課題が1つ取り上げられています。さらに、治療で投与したあとの評価は特に重要で、その中で早 期診断が可能な、検出感度のよい方法などを用いる、または細胞を投与する際にはさまざまな投与方法を検討 しておく必要がある。もしくは投与する細胞の分化段階について検討する必要があるのではないかとのご意見 がありました。さらに、さまざまな臨床研究を提示していただきましたので、個々の細胞の特性に応じたさまざま な対応を考慮するといったご意見がありました。  臨床研究を開始するに当たり、さまざまな情報を公開していく必要がある。特に患者さんもしくは患者コミュニ ティー全体に対してのインフォメーションの提示が必要であろう。基礎研究から臨床研究までの段階の、さまざ まなデータを公開していくことが、1つ重要なことではないかといったご意見もありました。  次に株化細胞の問題点です。特にiPS細胞のバンクなどについて、青井参考人から意見をいただいています。 iPS細胞を株化することは、最終的には薬事承認を目指すものである。iPS細胞は、さまざまなクローンでかなり 多様性があり、その特殊性への考慮が必要だ。そのために株化した段階または最終製品の段階での、それぞ れ評価が必要であろうといったご意見がありました。  対象疾患についてですが、新規の細胞を用いて根治療法が難しい疾患を治療する時はコストが高額になるこ とが考えられます。基本原則としては、リスク・ベネフィットを念頭に置き、選択することが当然であり、従来の治 療との安全性の比較をすることは当然必要であろうといったご意見です。  そのほかとしては、ES指針について基礎指針がすでにあるので、臨床で指針を作る場合には一本化する努 力をする必要があるだろうと。海外でGMPに準拠してつくられたES細胞が日本に輸入されるシチュエーション を検討しなければいけないとありました。この点については、これから臨床用ES細胞の樹立指針を作り、日本 でまず対応できるようなものを作って、そのあとに海外で作られたES細胞をどういった形で使用していくか議論 していく必要があるとありました。これは最終的には必ず議論をしていく形で進めていきたいと考えています。  資料2です。これはそれらの意見のまとめを整理したものです。第6回、第7回の意見をまとめています。こ の箇条書きの内容、要件を基にして、新規の幹細胞を用いる臨床研究を開始するときの要件について、本日さ らに検討していただきたいと考えています。  資料3です。現行指針の見直しについて、論点に従ってご議論いただきたいと考えています。特に検討いた だきたい内容については、疑問形式で記載しています。それぞれ検討していただいた結果、意見が集約された 項目については、次回以降の会議では新旧対照表の形で記載させていただきます。最終的には、新旧対照表 を用いて変更内容の確認を再検討していく予定にしています。資料4です。「再生・細胞医療に関わる細胞」と、 次の頁は「ヒト幹細胞を用いる臨床研究の整理」です。ご議論の足掛かりの資料としていただきたいと思います。 ○永井委員長 前回議論のまとめの資料1について、よろしいでしょうか。西川先生、「ES細胞は、造腫瘍性の 心配は、ほとんどない」という表現でよろしいですか。 ○西川委員 要するにテラトーマをつくるかということでいうと、iPS、ESそのものがテラトーマですから、造腫瘍 性の心配がないという表現だと、誤解を招くかもしれません。人の体の中でも、それ自身が増殖する力を持って いると思います。  一方、例えば新しい腫瘍を生むかどうかという話になると、リプログラミングという、エピジェネティックなプロセ スは必要ないですから、エピジェネティックに腫瘍が生成する可能性があるとすれば、ES細胞は造腫瘍性がな いと言えます。だから、かなり誤解を招く可能性はあります。 ○永井委員長 どのような表現がよろしいですか。 ○中畑委員 ES細胞のたくさんの株を調べると、かなりの頻度で染色体異常があることは報告されています。 しかも培養期間が非常に長いと、その染色体異常が集積してくることがわかっています。だから、腫瘍性の心配 がほとんどないという表現は避けるべきで、しっかりとチェックをして使うことになるので、心配は少ないが使用 前にはチェックする必要があるというような、多少注意を喚起するような表現も入れたほうがいいのではないか と思います。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。事務局でそのように修正しておいてください。そのほかにお気づきの点は ございますか。 ○山口委員 幹細胞の安全性についての2行目の部分です。「共培養によるウイルスの感染の除外」とあって、 除くような感じに読めてしまうのですが、フィーダー細胞をきちんと試験をするというような意味があるので、ウイ ルス安全対策が必要という表現のほうがいいのかという気がします。 ○永井委員長 そうですね。これはシンプルに、ウイルス感染の除外は必要であると、そういう表現ですね。ほ かにいかがでしょうか。ご意見がございませんでしたら、とりあえずこのような意見があったということで、ご確認 いただいたことと致します。  次は資料2についてです。事務局からご説明をお願いします。 ○事務局 資料2は、ES細胞やiPS細胞を用いて臨床研究を行うときに求められる要件を箇条書きにしました。 ヒト細胞を投与する臨床研究の最低限の基準となるミニマムリクワイアメント、臨床研究の体制と造腫瘍性を含 む安全性に対する配慮を記載しています。下線が引いてあるところは、これらの新しい細胞を用いる研究を開 始する際に特に追加になる要件と考えています。これらの内容についてご確認いただき、追加、修正をお願い します。了承される要件については、これから先の指針の見直しの際に、記載内容に反映させていくように考え ています。よろしくお願いします。 ○永井委員長 これは指針に書き込む内容であるということですが、いかがでしょうか。 ○山口委員 少し気になるのが、3つ目の○の「安全性に対する配慮」で、安全性の話をしているのに、「投与 する細胞の効用はどういう実験で証明され」と書いてあるのですが、これはproof of conceptの話になってしま うので、安全性の話とは違う気がします。proof of conceptに関しては別のところに書いていただいて、安全性 に関しては、必要とされる場合には造腫瘍性試験などを行うという書き方だと思うのです。 ○永井委員長 有効性について項目を作りましょうか。 ○山口委員 安全性のところに書くのはおかしいので。 ○永井委員長 適切なところに書いておくということでよろしいでしょうか。 ○山口委員 可能な限りproof of conceptを示すことは必要だと思います。 ○中畑委員 造腫瘍性はどうしても問題になるので、そこだけは別にして、可能ないくつかの動物種を用いて、 造腫瘍性を見る安全性試験が必須であるとか、そこはしっかりと別項で明記したほうがいいと思います。 ○永井委員長 別項目にするということですか。 ○中畑委員 この安全性の中で、一行追加して書くべきだと思います。 ○山口委員 前回の議事録にある話と通じるのですが、モニタリングが必要ということを反映させるとすると、 「必要に応じて長期あるいは短期のフォローアップを行うこと」ということが書かれたほうがいいと思います。 ○永井委員長 モニタリングの件ですね。そのほかにお気づきの点はございますか。 ○高坂委員 前々回も申し上げたかもしれませんが、ここにある資料1についても、それぞれの委員会での議 論をただ羅列しているだけなので、根本的な幹細胞の指針の見直しをどこが議論すればいいかという、大本が ないように思うのです。例えばES細胞を使うのか使わないのか、iPS細胞にも同じように議論していいのかと いったところが、今後の我々の議論で非常に大事になってくると思います。  ESの場合には、いま言った安全性の評価は自ずから出てくるし、iPSになったら全然違った議論が出てくるは ずなのです。この指針の見直しでは、iPSあるいはESを両方とも使えるようにするような指針にするのか、それ ともそうでないのかという、根本的なところから議論しておかないと、今後うまく進んでいかないのではないかと いう気がするのですが、いかがでしょうか。 ○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。 ○事務局 前回、まとめていただいた内容と理解しております。例えばiPS細胞については安全性の問題がし っかりと担保できる条件が定められれば、人に投与することは可能であるといった内容で、委員会での了承は 得られたと理解しています。ですから、その時点でiPS細胞については指針に入れていくということで合意して いただいていると考えています。  ES細胞については、倫理的な問題が更に1つあります。他の問題は安全性です。造腫瘍性の問題は少ない かもしれませんが、腫瘤を造る可能性はあります。その2点を解決すれば、今回指針に入れることは大丈夫だ ろうということです。今回の資料は、造腫瘍性、腫瘤を造るということについての配慮を提示しています。これが 明らかになったあとに、倫理の問題についての問題点を明らかにして、対応を考えていきたいと予定しています。 ですから、結論としては、iPS、ESについては、これから指針に組み込んでいこうという方向性で、前回は了承い ただいたと認識しています。 ○西川委員 それでいいのです。認識問題なのですが、ES細胞がiPSと比べて安全性がないとか、高いとか 言えるものでは、私はないと思います。ES細胞とiPS細胞の大きな違いは、1つは倫理的な問題、もう1つは、 大人を治す限りにおいてはES細胞ではalloの細胞を使った治療に限定されるわけです。  いままでのヒト幹細胞指針でも、多くはautoが多いことから考えたときに、例えばもう1つバンキングであると か、違う質の問題を議論しなければならないという意味で、ES細胞はより深い議論が必要であるということです。 ES細胞がiPSより造腫瘍性が高いとか、安全性がないから、ES細胞をしないというわけではないと私は思い ます。 ○山口委員 ES細胞とかiPS細胞を1つのガイドラインの中に全部入れてしまうのか、それぞれ個別でやって しまうのかをご提案なされたのかなと思ったのですが、いまのヒト幹細胞のものはヒト幹細胞で議論をした上で、 ES細胞、iPS細胞についてはいくつかプラスの部分があるのだろうと思います。逆に言うと、そのプラスの部分 を全部入れてしまうと、非常にわかりにくくなるかなというのはあります。これを作った上で、ES細胞、iPS細胞 のプラスアルファしたものを作るほうが、もとの幹細胞の臨床指針はそれで使えると思うのですが、それにプラ スしていくものを見ていって、分けたほうがいいのかなと思ってはいるのです。そういうことではないのでしょうか。 ○永井委員長 具体的にどのように分けるのですか。 ○山口委員 例えばES細胞、iPS細胞は、両方とも長期にわたる培養期間を要します。その点についての安 全性の担保は、プラスアルファのものが求められると思います。あとは未分化細胞があります。造腫瘍性がどこ まであるかというのは、議論になるところだと思うのですが、いくつかのプラスアルファの問題があるものをヒト 幹細胞の中にすべて入れてしまうと、非常に混乱するのではないかという気がします。分けて作ったほうがいい のではないかと思っています。これは私の提案です。 ○中畑委員 分けたほうがいいのか、いままでの指針の中を拡張する形にするか。事務局は資料3で、いまま での指針のどこを改正したらいいかという形で、最初の幹細胞の定義から始まって、議論をしようということで、 資料を出されていると思います。こういう形で、いままでの指針を拡張する形で対応することも可能ではないか と思うのです。というのは、例えばいままでの体性幹細胞にしても、例えばメゼンカイマルステムセルなどは結 構長期に培養していますので、培養期間によって線を引くのも難しいと思います。もちろん種類によって線を引 いて、別の指針にすることも可能ではあるのですが、非常に複雑になるので、できれば1つの指針の中に入れ たほうがすっきりするのではないかという気はします。そういうことであれば、資料3に従って、今回改正される 指針に、この幹細胞はどこまで含めるかという形で議論をしていっていいのではないかと思います。 ○永井委員長 資料3を議論しつつ考えていきましょう。まだご意見がいろいろ出ると思いますが、次回以降で、 まとめていただいて見直しに反映させることにします。続いて、臨床研究を開始する際の倫理的な問題点につ いてですが、事務局よりご説明をお願いします。 ○事務局 先ほどES細胞は倫理的な問題が残っているというお話させていただきました。さまざまな委員から、 長期培養の問題などがあるというご意見もいただきました。新規の「幹細胞を用いる臨床研究の整理」というこ とで、資料4の2頁をご覧ください。現行のヒト幹指針というのは、人の体内に幹細胞を移植、投与するというも のだけを対象にしております。ですが、ES細胞の基礎研究の指針のように、樹立・分配に関する指針が出来上 がっていて、そういった配慮は現行のヒト幹指針には入っていません。そこで、ES細胞やiPS細胞バンクもそう ですが、そういった樹立・分配を想定した臨床研究を行う際には、株化細胞、幹細胞を樹立してから株化、バン ク化され、使われるという問題点が新たに出てきます。  そこで資料4で説明いたします。自己細胞と同種細胞で右と左に分けています。特に同種細胞の多能性幹細 胞であるES細胞、iPS細胞とか、同種のiPS細胞に関しては、ある程度の特別な樹立という部分の指針も必 要なのではないかと考えられるわけです。ですから、これらの細胞に関しては、倫理的な課題も出てきます。ほ かの人に投与するということで、個人情報の問題、インフォームド・コンセントについて、まだまだ議論をしなけれ ばいけません。さらにESの基礎指針との整合性も取る必要があり、また改めて議論が必要と考えています。現 在の使用の指針に関しては、これから議論を進めていきますが、樹立の部分に関してワーキンググループを設 置していろいろと検討し、たたき台をつくった上で、それを本委員会に提出させていただきまして、議論をしてい ただきたいと考えています。 ○永井委員長 内容はおわかりいただけましたか。何かご意見はございますか。 ○中畑委員 確かに樹立については、それに伴ういろいろな問題点があるので、別のワーキンググループで試 案を作って、この委員会に出していただくのも1つのいい方法ではないかと思います。 ○永井委員長 それはどこで検討することになりますか。 ○中畑委員 この下にワーキンググループを作るということですよね。 ○事務局 そうです。永井委員長の名前の下に委員を集めていただいて、必要に応じ本委員会の委員にも入 っていただいて、議論の内容によって文部科学省の関係者などにも加わっていただく形で、集中的に議論をさ せていただきたいと考えています。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。 (異議なし) ○永井委員長 そのように進めます。そのほかに何かございますか。よろしければ次の資料3の説明をお願い します。 ○事務局 それでは現行の指針の内容の見直しを行っていきます。今までの検討で得られた結論を加えなが ら、指針を作っていきたいと考えています。  資料3をご覧ください。「本日検討すべき論点」として、1から5まであります。1つ目は「ヒト幹細胞の定義につ いて」ということで、参考資料1にヒト幹の指針があります。そこの1頁をご確認いただいて、第1章第2項に 「用語の定義」があります。その(1)「ヒト幹細胞」とありまして、「人から採取された細胞または当該細胞の分裂に より生じる細胞であって、多分化能を有し、かつ自己複製能力を維持しているもの、またそれに類する能力を有 することが推定されるもの及びこれらに由来する細胞のうち、別に厚生労働省健康局長が定める細則に規定す る細胞を言う。ただしヒトES細胞及びこれに由来する細胞を除く」とありまして、その下に細則として、対象とな る細胞がすべて述べられています。これらについて、この定義が今後も十分対応し得るものであろうか、もしくは 対象を拡大する必要などがあるのではないか、定義を変えていく必要があるかといったことをご議論いただき たいと思います。  参考資料として、資料4の1頁に、「再生・細胞医療に関わる細胞」とありまして、現在は使われていない細胞 も入っていますが、人に投与することはできないものも含まれていますが、関係しそうな細胞を事務局で羅列し ました。  現行の指針を用いるに当たって、特に問題となっているところが、ヒト幹細胞指針の対象として、幹細胞では なくて、ある程度分化した体細胞も用いられています。いちばん下に角膜の上皮細胞や口腔粘膜の上皮細胞な ど、完全に分化したものも入っているところがあります。また、血液細胞などは、一部はすでにさまざまな形で臨 床応用されて、例えばがんの免疫療法などに用いられています。樹状細胞、単核球、リンパ球などといった細 胞がありますが、そういったものはヒト幹指針の対象となるかどうか、大変難しいところがございます。その境界 をクリアにするように、ご議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○永井委員長 難しい問題ですが、ヒト幹細胞の定義、対象となる細胞の範囲をもう少し明確化できないかと いうことです。  いま抱えている例としては、免疫細胞治療です。こういうものはヒト幹指針に入るのかどうか。ある種のT細胞 を刺激し、場合によっては増幅して、ヒトに戻すという治療が、ヒト幹指針の対象となるかどうかで、頭の痛いと ころです。定義と範囲について、いかがでしょうか。 ○山口委員 前からお願いをしている件なのですが、「細胞治療」と言ってしまうと、海外ではアメリカでやって いるような治療、ヨーロッパでもがん細胞免疫療法みたいなものがあります。逆に言うと、ヨーロッパでは細胞治 療の中ではいちばん多いのです。このような治療を日本で臨床研究としてやる場合には、エアポケットに陥って しまって、審議がされないようになってしまっているところがあります。できればこういうものを入れていく、「幹細 胞」と書いてしまうと入れにくいのはわかるのですが、審議の対象としたほうがいいのではないかと思います。 ○永井委員長 そうすると、むしろ「幹」を取って範囲が広がって扱いやすくなるということですね。 ○山口委員 範囲が広がります。あとは移植医療に関するものは除外するという形であれば、どこまで審査でき るかというリソースの問題はあると思うのですが、かなり広範なものをカバーできるようになります。 ○永井委員長 その場合には骨髄移植は除くわけですか。 ○山口委員 そうです。移植医療の部分を除けばいいのであろうということです。 ○永井委員長 しかし、何が移植医療で、何が細胞治療かというのは、難しいところもあるのですが。 ○西川委員 ざっくりとイメージだけで言ってしまうと、体外で細胞を増殖させるなり、加工する部分があるかどう かで分かれるのだろうと思います。すなわち移植医療の定義の場合は、フレッシュにそのまま使うけれども、加 工といった場合に、ある細胞を純化することは当然含みません。ただバッフィーコートを取るとか、ある一定の処 理をするということです。それから、試験管の中あるいは体外で一定期間培養するというものが、いわゆる今回 のヒト幹細胞の指針に入ると思います。そこに利用できる細胞というものが、自ずと試験管の中で一定期間増 殖あるいは維持できる細胞ということにもなってしまいます。そういう定義にしてしまうと、リンパ球は全部入って くるという話になります。  もう1つ、リンパ球が問題になるとすると、すでにあれほど行われています。それ自身をもう一度一から管理し 直せるかどうかというのは、私もわかりにくいという感じはします。 ○中畑委員 前回の指針を作るときにも、この問題は議論になりました。リンパ球とか、特に民間療法的なもの 含めて、非常にたくさんの免疫療法は行われています。それをこの指針に入れて、それをもう一度再審査といっ た場合に、ここでいままで作ろうとしている指針と同じレベルでやろうとすると、かなり混乱をきたすのではない かということで、もう少し全体をカバーするような細胞療法的なものを検討するような、別のものの中で扱ったら どうかということになりまして、前回はこの指針からはリンパ球療法のようなものは除いたのです。  実際にその指針が動き出してみると、ほかの細胞療法的なものに関する新しい指針は作られませんでしたの で、その辺は今回改正するこの中にも含めるかどうかは、ここの委員会でもしっかりと議論することになり、私は どちらでもいいと思っています。 ○山口委員 この指針ができたときに、なぜ幹細胞を使った臨床研究だけが厳しい審査を受けなくてはいけな いのか、T-cellとかMSC、DC療法はすでにたくさんやっているのに、幹細胞研究だけが非常に大変な規制が かかっているという不満があったことはたしかなことです。  実際に幹細胞を定義することもこれからは難しくなってくる気がします。細胞治療での危険性の多くは長期間 培養しているところにありますし、もう1つの特徴としては、もし幹細胞そのものが入ると、非常に体内での寿命 が長いところがあると思います。  全体としては、免疫療法なども含めて、既に実施されているからということではなく、全体的に細胞療法に対し て、ミニマムの安全基準を明らかにする必要はあるのではないでしょうか?その上で幹細胞と思われるものは、 特に注意して審査をするとか、そのような形にしていくべきではないかと思います。 ○永井委員長 それは培養するかどうかが1つのポイントということですか。 ○山口委員 細胞治療全般を含め、例えば採取のときとか、最低限の基準があってもいいと思うのです。それ に加えて、長期培養する細胞とか、体内に入ってから長期間増える可能性のある細胞、幹細胞などに関しては、 もう少し厳しい基準を設けることが必要かと思います。 ○西川委員 例えば、いままで出口を決めて指針を考えることはなくて、ある一定の基準に達したものは、審査 から除外されると言ったらおかしいのですが、出口を設けておく。例えば今後もヒト幹に関する委員会があって、 それぞれ審査するものが膨大に増えてきたときに、必ず全部するという話にはならないと思うのです。ですから、 最初の段階で出口を考えておいて、こういうことが要件としてクリアされていれば届出だけでいいとか、そういう 形にしていった中で、現在すでに行われている多くの治療を、1度はチェックするけれども、出口で受けるという 方法はあると思います。 ○中内委員 山口委員が心配しておられるように、例えばT-cellは免疫療法といって行われていますが、最近 はだんだん価格競争に入ってきて、いくつも会社が出てきています。そうすると、かなりひどい設備でやっている ところも出てくるわけです。ですから、ここにミニマムな基準があってもいいのではないかと思います。もちろんち ゃんとやっているところもあって、かなりの数をやっていますので、安全性もかなり確かなものもありますから、そ こは審査がなくてもいいようなシステムも必要かもしれません。いずれにしても、人に投与する以上、最低限の ルールがないと、今後混乱をきたすような気がします。 ○梅澤委員 私も中内委員と全く同意見です。このヒト幹指針において、加工、調製の部分におけるミニマムリ クワイアメントを明示することが指針の中に可能であれば、是非お願いしたいと考えています。ミニマムリクワイ アメントというのは、最低限必要なものを明示することによって、安全性を担保できるということです。 ○永井委員長 委員の先生方は、少し範囲を広げるという方向のようです。そうすると、逆にヒト幹細胞の定義 は要らなくなるかもしれません。ヒト細胞の治療の際に遵守すべきガイドラインということで、あえてヒト幹細胞を 定義する必要もなくなります。 ○山口委員 先ほど西川先生のおっしゃっていた加工の部分ですが、例えばヨーロッパでも、最小限の加工は 除外するとしているのです。その意味は、最小限の加工の場合には、移植医療とかほかのものでカバーしてい るという判断があるのだと思います。ですから、加工には、培養あるいは精製も、AC133陽性細胞だけを精製す るとなると加工に値するのだろうと思います。それでこの間は審査をしたわけです。そういう加工という中に入っ てきたものを入れる形でもいいという気はしています。 ○永井委員長 ヨーロッパはそれで審査をしているわけですか。 ○山口委員 はい。例えば臍帯血移植は除外するけれども、培養したりするものは入ってくるということです。 ○西川委員 EPCはどうなりますか。 ○山口委員 EPCも入っています。 ○永井委員長 がんの免疫療法も入るわけですか。 ○山口委員 入っています。難しいのは、ヨーロッパは医薬品も臨床研究も、すべて中央審査をするので、その 辺が少し違うところだと思います。 ○永井委員長 いかがでしょうか。 ○中畑委員 そこまで広げられればすっきりはしますね。いままで野放しになっていて、みんな気にしていたとこ ろがあるので、非常にすっきりすると思います。  例えば骨髄移植で行われて、あとDLIといってドナーリンパ球輸注療法というのは、ドナーの方からリンパ球 だけを取ってきて、あとで移植をするというのは、この中に含まれないことになりますかね。その辺はヨーロッパ ではどうなっていますか。 ○山口委員 すべてのケースはわかりませんので、そこまで細かくなってくるとわかりません。逆に言えば、その グレーゾーンに相当する部分は、ここの委員会でケース分けをしてもいいと思うのです。 ○西川委員 いま行われているのかわかりませんが、私が知っているケースで言えば、ドイツリウマチ研究所と Chariteでは、自己免疫疾患の患者さんに骨髄移植を行っていたように思います。こういうものは明らかに違っ た意味での骨髄移植になりますから、当然ある程度のミニマムリクワイアメントなり、いろいろなレビューは必要 になっているわけです。  ですから、骨髄だからいいというものではなく、1つの疾患あるいは疾患全体の中で、それぞれの治療がどう いう形に位置づけられるかにかかってくる、あるいはそのレギュレーションにかかってくるような気がします。 ○永井委員長 審査体制が心配ですが、そのときには増員するということですね。 ○西川委員 鹿野先生はおられませんが。 ○梅澤委員 やはり気になるのは、従来一般的に病院の中で行われてきたことが、突然止まったときに、アン ダーグラウンドの方向にいってしまわないかというか、違った方向にいってしまう可能性があります。そうなると、 現実的でないところもあるのかなと感じています。 ○永井委員長 そこはどうなのでしょうか。ヒト幹指針ができたときにも、同じようなことは起こったと思うのです が、すでに行われていたプロジェクトについては、そのまま認めていたわけですね。 ○山口委員 これは1つの考え方かもしれませんけれども、現実に行われているものはやっているけれども、ヒ ト幹で研究を行ってもいいという評価を受けたというものが、もう1つの意味を持ってくるのが、出口だと思うの です。従いまして、現在実施されているものは、逆にヒト幹では評価を受けていないという評価であればと思う のですが、梅澤先生いかがでしょうか。 ○梅澤委員 私はそれでしたらよろしいかと思います。 ○山口委員 西川先生の出口論ですが、だから逆に言うと、ヒト幹でスタートする時点から評価を受けた研究と してやるものは、また1つ別のステータスが出てくると思います。そうすれば、皆さんそこに出してくるという気が しているのです。 ○西川委員 ES細胞とか、クローン法案のときに、多くの一般の方が強く望まれるというか、私たちに対する1 つのアーギュメントとしてくるのは、とにかく包括的なものを作ってほしいということです。それに対して、私はわ りと一つひとつについて、ボトムでやるべきであるという話はしていたのですが、これからは治療ですから、治療 の指針としては、人の細胞を使う限り、ミニマムリクワイアメントはこういうものですということは、どこかでしっか りと出した上で、それをもって規制するかどうかは次の問題として考えればいいのではないかと思います。とり あえずは、まだ始まっていないものに対して、規制なりガイドラインを考えていくけれども、同じミニマムリクワイ アメントは当然すべての細胞を用いる治療が遵守していただくものとして提示するような感じになるのかと思い ます。 ○永井委員長 梅澤先生そういうことで、いかがでしょうか。 ○梅澤委員 全くおっしゃるとおりだと思います。先ほど免疫系の細胞を申し上げましたが、肝臓の細胞をほぐ して細胞移植するというのは、ヨーロッパではすでに産業化されています。私どもの病院でも、先月患者様が海 外で肝細胞の細胞移植を受けているという事実があります。今後も海外に患者が行く可能性もあって、どこかで 現実的なご判断もあったらありがたいと考えています。 ○町野委員 ドイツ辺りは細胞移植まで全部含めて、臓器移植法の改正を行いました。つまり移植法の領域で やっているという考え方なのです。そちらのほうをまだ十分に検討していませんが、いま梅澤委員のお話にあり ましたとおり、臨床研究の術をかけることになってくるわけです。そうすると、これは医療ではなくて臨床研究に すぎないから、非常に危険性をスクリーニングにかけなければいけないという考え方なのですが、皆様方はそ のようなお考えでやられるということであれば。私はそこまで必要か判断が付かないのですが、そこは考えなけ ればなりません。  つまり、移植法というのは現在は臓器移植法しかなくて、非常に限られた分野をやっています。移植というの は、臨床研究ではなく医療のうちの1つだという考え方はできているので、今度は幹細胞以外の細胞治療につ いても、移植法の系列に属するものではなくて臨床研究なのだと。そうしなければ、現在は問題があるというお 考えであるならば、そのことをはっきりさせるべきだろうと思います。 ○西川委員 私も町野先生の意見に賛成です。今後ですが、私は包括的な問題はあまり良としないと言ってき ましたが、今回実際に人を使ったいろいろな臨床研究から、治験に至るまでの部分に関しては、全体を指し示し ておく。例えば臨床研究段階から、最終的にもう少し普及した治療になるまでの全体を構想して考えておく必要 はあると思います。 ○永井委員長 山口先生、ヨーロッパでは研究の種類あるいは内容によっては、審査が簡略化されるとか、何 か手続的な違いはあるのでしょうか。 ○山口委員 先ほどの加工が少ないとか、そのような意味でしょうか。 ○永井委員長 そうですね、培養の期間であるとかですね。 ○山口委員 期間が問題というよりも、例えば投与した細胞が長期にわたって残るのか、短期でなくなってしま うのか、そのような判断は考慮しろとは書いてあります。培養が長期にわたるから特別だという判断はないよう です。精製でも培養でも、修飾をするとか誘導をかけるとか、そのようなものはすべて包括的にはガイドライン の中に書かれています。 ○永井委員長 T細胞などは長期に残る可能性がありますから、簡単な処理であってもきちんと審査をすると。 ○山口委員 はい。先ほど言いましたT細胞での癌細胞免疫療法というのは、審査の対象になっています。 ○中畑委員 いま言われた臓器移植法との関係は、しっかりと議論しなければいけないと思いますが、いまの 肝臓をほぐしてというのもありますし、かなりあちこちで行われている膵島移植も、膵島を取ってきて、それをほ ぐして短期間の培養はしますが、膵島移植はこの指針には掛かっていないです。掛からない形で、いままでいく つかの施設で、移植だからという形で、いままでの指針に掛かっていないと思うのですが、その辺を今回は含 めるのかどうかは、しっかりと議論する必要があると思います。 ○事務局 が組織移植学会から「組織移植のガイドライン」が出されていまして、膵頭移植はそちらで見る形で 整理をされています。その内容は、次回しっかりと準備をした上で、もう一度この内容をご議論いただきたいと 思います。 ○永井委員長 あと幹細胞の定義も少し議論したほうがよろしいですか。 ○事務局 ヒト細胞になってくると、また話が変わるので、それも次回に廻させていただいて。 ○永井委員長 今日はそこまでしなくてもよいということですね。ほかに何か論点はございますか。  資料3をご覧ください。対象疾患について、指針の適用範囲として疾患を限定することが妥当かどうか。ある いは新規の幹細胞、ES、iPS細胞などを人体に投与する際に、対象疾患を限定すべきかどうか。どうでしょうか。 ○山口委員 事務局の意図を聞きたいのですが、この指針の適用範囲というのは、従来の医療行為よりもより 優れていることが期待されるという意味での限定の話でしょうか。それとももっと広い意味で言っているのでしょ うか。 ○事務局 説明が不足で申し訳ございません。3頁をご覧いただきますと、第4に「対象疾患等」とあります。「ヒ ト幹細胞臨床研究の対象は、次に掲げる要件に適合するものに限る」として、(1)から(3)まであります。重篤で生 命を脅かす疾患、身体の機能を著しく損なう疾患または一定程度身体の機能もしくは形態を損なうことにより QOLを著しく損なう疾患であること、現在可能なほかの治療と比較して優れていると予測されるもの、利益が 不利益を上回ると十分に予測されるもの」として、ある程度重篤な疾患をイメージして置いて作られています。  現在の医療、幹細胞を用いる治療もしくは細胞を用いる治療では、こういったものに当てはまらないものが多 数あると認識しています。ですから、この指針の対象範囲として、どのような疾患までをスコープとすべきかとい うことと、前回までいろいろとご議論いただきましたが、新しい細胞を使ったときには、そういった疾患をある程 度制限することが必要であるという議論はあると考えています。ですから、主にその2点について、是非ご議論 をいただきたいと考えています。 ○山口委員 いままでのイメージで、わりと重篤なもので、自己規制をしている部分もあったという、臨床研究の 審査のときもそのようなイメージがあったかと思います。例えば私は美容整形のような治療は賛成できないの ですが、乳がんを切除したときの乳房再建などはあり得るのかなと思ってはいます。そうすると、ここに入りきら ないところに入ってきているかと思うのです。 ○中畑委員 そこはQOLの中に含めようと前回の指針の議論ではなりましたよね。 ○山口委員 わかりました。 ○中畑委員 単なる美容整形的なものはできるだけ除こうと。明らかに1つの乳房を取って、そのあとの再建と いうのは、QOLに関係するのでということで、そのような形で拡大して解釈できるということで、いままで適用さ れています。 ○梅澤委員 そのように適用という形になっているのですが、具体的にヘルニアの審査に関しては、機関内倫 理審査委員会の中で、第4の「対象疾患」の(1)の適用に関して、何度も同じ議論がされてしまいます。すなわち 指針に記載されていると、そこの倫理委員はそこの法令を適正に審査するが故に、ここの委員会に出した申請 者ががっかりするぐらい、何度も同じ質問を受けることがありますので、ここの書きぶりに関しては、先ほどの解 釈の拡大というより、指針の見直しという形で、例えば軟骨、ヘルニア、もし可能であれば乳房再建を含めて、 それが機関内倫理審査委員会の委員も理解できるような書きぶりに見直していただければありがたく存じます。 ○永井委員長 このままだと、ちょっと意図が通じにくいということですか。 ○梅澤委員 文章をそのまま読み上げますと、重篤で生命をおびやかし、人体の機能を著しく損なう疾患、また は一定機能、身体の機能もしくは形態を損なうQOLを著しく損なう疾患ということから、機関内倫理審査委員 会の委員の方々の文字を中心として読んだ場合、文字通りの解釈をしてしまうと考えています。 ○永井委員長 いかがでしょうか。 ○西川委員 もちろんそれでいいのですが、例えばより包括的にいま町野先生がおっしゃったような形まで視野 に入れるとなると、逆に対象の重篤性であるとかそういう問題はある意味では消えるというか。逆に細胞移植な り細胞治療というものが合理性を持つことが担保されるとか、極めて抽象的な表現になっている。  本来もし広く考えていこうとする場合、いますべて除外しようとしているような、たぶん美容整形で細胞を移植 するというものは含まれないと、当たり前のように考えてしまうのですが、そうすると、それ自身が変な意味でい うと、闇に潜るというか、基本的にはどういう細胞が使われるかということは、全くそのレギュレーションもできな くなっていって、医師と個人だけの問題になって、逆に個人がある意味では不利益にさらされる心配もあるわけ ですから、やはりどこまでやるのかというのは1回議論をしたほうがいいかもしれませんね。かなり包括的にま で細胞治療としてやるのか。やはり極めて特殊な限定された細胞治療の臨床研究に限るのかということは、か なり重要な問題かなと急にそういう気がしてきました。 ○中畑委員 包括的なものまで含めるということになれば、その疾患というのももっと包括的な疾患ということに なって、美容整形まで含まれる。もちろん美容整形でも例えば脂胞を吸引してそれを使ってどうこうというのもや られていますので、そういうのまで当然含まれることになると思います。だからどこまで包括的にするかというこ と、そこにかかってくると思います。 ○永井委員長 そうですね。 ○水澤委員 これは今回の見直しの前からそういう問題はあったのだろうと思うのですが、それはどのように解 決されたのかよくわからないのですが、例えばこの3頁の上のほうを見ますと、これは第3項でしょう。「適用範 囲」のところで、一般的に行われている医療行為、即ち既に確立しているようなものは適用外だといって、こうい った除外条件もありますね。ですから、いまいくつか出ていた細胞移植治療というか、そういうのは、こういった 理解でも除外されてきたのかなとも思うのです。だからウワーッとこれ全部入れてしまうとなると、これ大変なこ とになってしまうのではないかなと思うのです。やはり幹細胞が中心になる。 ○西川委員 そうです。私が言っているのは、その出口論は作っておいて、中内先生がおっしゃるところまで踏 み込むとすると、ミニマムリクワイアメントは明らかにこの指針の中で、あらゆるものに適用されるべき1つのミ ニマムリクワイアメントが出される。しかし、もう既に50例、100例という形で行われているものは、現段階で見 ても要するに出口を通過したものであるという形で、最終的には認定していくというような形で処理するしかない。  はっきり言うと例えば永井先生が心配されているように、今後永井委員会がずうっとレビューに係わるとなると 大変なことで、それ自身は本当は、鹿野先生がおられませんがああいうきちんとした公的な機関で預けてしま えば、そういう意味ではわりといろいろなことがやりやすくはなるかと。それは出さなくてもいいのか、ミニマムリ クワイアメントとして、ある程度こちらが明示する必要はないのかどうかというのは、一度議論をするとなると、 やはりそこまで必然的にカバーされてしまう。  ○高坂委員 私、事情をよく知らないので教えていただきたいのですが、例えば癌の免疫療法等、これはいま いろいろな大学で既にやられているのですが、これは治療としてもうやっているのか、それともやはり倫理審査 委員会にかかった上でやっているのか、現状ではどちらのケースが多いのでしょうか。倫理審査委員会すらもう かからないで、どんどん先端医療としてやっているのか、どちらなのですか。 ○中畑委員 免疫療法をやっていますが、それは全部大学の倫理委員会にはかかっています。 ○高坂委員 倫理審査委員会にはかかっているということですか。 ○西川委員 私の知っているかぎりでは、TRという形で文科省あるいは厚生労働省の1つの支援を受けて行 われている細胞治療というのがいくつかあって、それは京都大学のも1つそうではないかと思うのですが、それ らは明らかにもう全部倫理委員会、IRBから全部通っていきます。これは私が完全に把握しているわけではな いのですが、一般的に普通の病院で患者さんが治療を受けられるというケースもたくさんあって、それ自身にす べて倫理委員会があって、1例1例行われているかどうかということに関しては、私もたぶんそうではないので はないかなという印象のほうが強いのです。 ○中内委員 確かにあまり広くはないというので大変なのですが、先ほど組織移植のガイドライン、それ私は知 らなかったのですが、そういうガイドラインがいくつもあって、移植をする細胞によってガイドラインが異なるとい うのは、あまり健全な状況とは思わない。ですから、全体の方向性としてはやはり細胞移植に関しては基本的 な最低限のルールがあっていいと思うのです。ここの委員会は幹細胞の専門家の先生が集まっていますので、 この委員会でディスカッションをすることは、ある程度特殊化した、いわゆる幹細胞の再生医療をどうするかとい うことを話し合うということでいいのではないかと思います。厚生労働省全体としては、もう少し統一的な細胞医 療に関するガイドラインを考えるべきではないかと思います。それをこの委員会でやる必要はないかもしれませ ん。 ○永井委員長 何もかもカバーしようとすると大変な話になってしまいます。ですから一度文書を作ってみて、そ れがある程度我々がカバーできる妥当な範囲かどうかということで、継続して議論をしたいと思いますが。今日 の意見を踏まえて事務局で一度作ってみていただけますか。 ○中畑委員 前回もそういう議論になって、結局細胞療法全体をカバーするようなガイドラインを作ったらという 意見があって、リンパ球療法とか免疫療法というのは切離されたのですね。また同じ轍を踏むということがある ので。 ○永井委員長 でも前回、組織細胞移植に近いですよね。 ○中畑委員 それはあくまで学会で出したガイドラインで、要するに厚労省とかこういうところで出したものでは ないです。そういうガイドラインだったら造血細胞移植学会でもいろいろ適用のガイドラインとか、それからこうい う感染症があったときにはどういう対応をするかというのは、それぞれの学会でいろいろなガイドラインを出して いますので、国で作るガイドラインはそれとは少し違うと思います。 ○西川委員 私もお聞きしたいのは、法律的に、例えばこういう指針の中に、そもそも論みたいなものを書くとい うのは、あまりよくないのですか。  例えばもちろんカバーするかどうかは次の問題としますが、そもそも細胞を用いる移植治療というものは、こう こうこういう要件を満たすべきであって、また、そういうこと事態が、さまざまな分野で行われているということも 認識しているというか。そういうことをどこかで明示した上で、いつか必要とあればそういう問題も考えていきま すよというような感じで、しかし、限定的には運用していく。その辺よくわからないのですが、そもそも論ではあま り書かない。 ○高坂委員 そもそも論として、この幹細胞指針が出来たのは中畑委員会で出来たのですが、そのときに、幹 細胞指針というものがある一定の非常に厳しいルールで始まった経緯は、やはり幹細胞というのは多分化能を 持っていて、増殖能を持っていてといったところで、例えば腫瘍性があるのではないかとか、いろいろなことが 危惧されたわけで、こういったものが出来たわけです。  したがってその幹細胞の幹を外すとなると、かなりいままでのものと違った指針になってくると思うのです。で すから例えばいまの癌免疫療法等は、いまはかなりもう一般的な、少し大きな大学であればどこでもやっている ことですから、ある程度医療行為としてやられているところは現状としても外す。ただし、ここで出てきたときに は、例えば細則等で先生がおっしゃった例えば、ここで癌免疫療法は対象としないが、ミニマムリクワイアメント としてこういったものをすることというような細則を付けるとかということで、事足りるのではないかと思うのです。 したがってこれはやはり幹細胞指針なので、そこの大前提というものは、私は外さないほうがいいのではない かなという気がいたします。 ○永井委員長 いかがでしょうか。方向性がだいぶ違うので、これは決めておいたほうがいいと思いますが。 ○中畑委員 いまのはいいアイディアだと思いますが、やはり今回できる指針の中でも、最低限今回出るような ミニマムリクワイアメントは、いまやられている細胞療法も守ってくださいというようなことを、どこかで示唆される ことは非常に大事なことだと思います。 ○事務局 情報提供になるのですが、ほかにも再生医療に関する枠組みの検討会が別にありまして、そちらと の整合性というか、協調路線というか、そういうのでかなり拾い取れるところもあろうかと思うのです。いま高坂 先生がおっしゃられたように、幹細胞の独自性、あるいは高度な分化能を持つものに危険性に特化した集中的 な管理システムの議論と、もっとベースメントな再生医療に関する幅広いブロードな高度設備基準であったりと か、安全管理基準といったものについての議論がもう1つのところでも議論をされているかと思いますので、そ ちらの検討結果ともうまくマッチングさせて、この指針だけですべて網羅するのではなくて、そちらのほうの検討 も随時こちらにもインプットさせていただきながら、両方で見て全体がどうなっているかというのをご覧いただけ れば、たぶん全体が見えてきて、この部分はここでやっているというような形で、俯瞰できるのかなと思います ので、1回事務局に引き取らせていただいて、並行して議論されている委員会の状況も含めて、次回このような 状態での二段階あるいは組み合わせですというお話をさせていただけますでしょうか。それでいかがでしょうか。 ○永井委員長 それでは作業をよろしくお願いいたします。資料3で指針の適用範囲ですが、最初のポツの人 体に移植・投与する臨床研究だけが対象となり得るか。これはいわゆる人工肝臓みたいなことを考えているわ けですね。そういうケースもこの指針の対象になるかどうか。幹細胞を扱うということにはなるわけですが。 ○高坂委員 これもご議論でほかとの整合性を図って次回検討をするための資料を出していただくということで すが、2番も3番も同じことだと思うのです。 ○永井委員長 では2と3は一緒に事務局でたたき台を作っていただくことにしたいと思います。4にまいります。 「ヒト幹細胞の調製について」、第1章の第2ですが、調製と加工の定義を区別すべきか、調製と加工は違うか どうかということですが、これはどのような状況を想定しているのでしょうか。 ○事務局 2頁目の(12)をご覧いただきたいのですが、このヒト幹指針では調製というところがありまして、提供 者から採取されたヒト幹細胞は被験者に移植または投与するために加工をすることをいう、という言葉が書いて あります。紛らわしい内容になっています。また、その下の調製機関のところも同じ意味でかなり紛らわしいとい うふうになっています。その紛らわしいという理由は、参考資料の5として、ヒト由来細胞や組織を加工した医薬 品または医療品の品質及び安全性の確保としまして、そちらのほうの4頁目には、これは医薬品として「加工」 と「製造」と2つの言葉が使われています。こちらの中では加工というのは、4頁目の定義のところにありますが、 細胞組織の加工とは疾患の治療や組織の修復または再建を目的として、細胞組織の人為的な増殖細胞組織 の活性化などを目的として、薬剤処理、生物学的特性解析等々といった項目がありまして、こういった内容は加 工となる。また、その組織の分離、組織の細切、細胞の分離、特定細胞の単離、抗生物質による処理、洗浄、 ガンマ線などによる滅菌、冷凍、解凍などは加工と見なさないというふうな内容が医薬品の指針ではございま す。こういったところに整合性を持たせるほうがよいのかどうかといったところをご検討いただきたいと思います。  先ほど山口委員からありましたが、CD‐133の単離とかいうのは一体どちらに入るのかといったところも是非ご 検討をいただいて、その内容を指針のほうにも反映させていただいて、加工の有る無しでもし分ける必要があ るのでしたら、例えば資料4の2頁目の図に移らせていただきますが、これは自己・同種として先ほど説明いた しましたが、加工のないものと加工のあるものというところでまた分けることがこちらの図ではあります。そういっ たところで、加工のないものがヒト幹指針の対象になるのかならないのか。現行の指針では加工のないものも もちろん入っています。そういったところで、こういった加工という定義とかをどのようにしていくかを、是非ご検 討いただきたいと思います。 ○永井委員長 いかがでしょうか。また難しい問題です。 ○高坂委員 私も以前のヒト幹細胞指針を作るときのことを忘れたのですが、たぶん単純に1つの神経幹細胞 をプレパレーション、そうやって純化してある一群の細胞群にするといったところまでが調製、というふうにたぶ んしたのだろうと思います。いまのCD133ポジティブな細胞を純粋に集めていく。それは調製に入っていたと思 うのです。ところがそれをvitroであれ、どこであれ、それを例えばインターフェロンガンマー等で刺激をするとか、 あるいはあるグロースファクターを加えて分化させるとか、そういうところは加工にあるのですよと、たぶんそう いう定義をしたのではないかという記憶があるのですが、中畑先生いかがでしたか。 ○中畑委員 たしかそんな感じだったと思います。 ○高坂委員 もっと端的に言うと、これからはあまり調製と加工というのは、言葉はどうあれ、それほど区別する 必要はないのかな、という気が私はしています。だから採取機関と調製加工機関ですね。 ○西川委員 今回、かなり重要な問題があって、それはiPSを作る限りにおいては、最終産物にさまざまな加工 過程の結果がというか、加工過程に使った物質が残らないにせよ、一度でも遺伝子を導入する点でもう明らか に以前に議論をしたものとは違う。あのときは全くありませんでしたから、違うレベルに達しちゃっていますよね。 それから、この場合、遺伝子も含めての加工というものを念頭に置いて、高坂先生がおっしゃったいままでの部 分でいうと、ほとんど区別なくていいでしょうと、それで培養する。しかし、これからのより加工にという強い意味 を持つものは、このような遺伝子を操作するとか、そういうものを含むという形になるのではないですかね。 ○永井委員長 そこは区別するという形で記載していただきましょうか。 ○中畑委員 そういうことを想定すれば、例えば末梢血とか、ただしCD34陽性細胞だけを採ってきて、その過 程は調製で、それからそこにいろいろな遺伝子を入れて培養して、iPSが出来ると、そこは加工ということになる し、そうすると皮膚を培養して線維芽細胞を樹立するというぐらいまでは、おそらく調製に入るということになるか もしれませんね。そこからiPSを作り出すところが、加工という形の線引きがおそらくできるのではないかと思い ます。 ○山口委員 薬事法のかかるほうでは、加工という場合には、培養行為の中で生きている細胞ですから、当然 刻々変わっていくわけです。そういう行程を経ればやはり加工ということになるのだろうと、考えられると思いま す。ただ薬事法にかかる場合、加工と製造を分けているのは、加工の過程というのはその培養とかインデュー サーをかけるとかそういうのがあるのですが、製造は例えば製剤化とかいうのも含めて薬事法的な用語を使っ ているというような意味合いだと思います。そういう意味では高坂先生が先ほどおっしゃったように、プレパレー ションのところを調製といって、あとさらにそれ以降の長期の培養、あるいは遺伝子改変とかを加工に考えれば、 一応は整理がつくのかなというのはお聞きしていたのです。このヒト幹で製造というのは、言葉としてはあまり相 応しくないのだろうとは思います。  ○西川委員 適当なと言ったら申し訳ないのですが、きちんとアディショナルな言葉を作って定義をして使って いくほうがいいと思います。たぶん本当に重要な問題になるのは、ここに中畑先生がおられますが、遺伝子が変 わっていっていいのかとか、何をもって安全性というのか、やはりいろいろな要件が出てきますから、その加工 の範囲というものを、やはり日本は日本できちんと、加工と言っていいのか操作の範囲というものを、どこかで 明示した指針にする必要があると思います。何かを書いてしまうと、そうでなくていいと思っている人がエクスク ローズしてしまうので、これ結構センシティブな問題だと思います。 ○高坂委員 調製という言葉を例えばESCなどに整合性をとるという場合には、これからは樹立になるわけで すね。 ○西川委員 そうです、樹立ですね。 ○山口委員 ES細胞の場合はそこから取り出してくるだけだからということですか。でも培養されるわけです。  ○西川委員 培養をする場合は明らかに樹立は樹立ですが、もう加工というか操作は必要としません。 ○山口委員 加工にはならない。ES細胞は当然培養しません。例えばフィーダー細胞で培養したりすることは 加工だと思っていたのですが、それはならないわけですか。 ○西川委員 例えば特許の話でいうと面白いのは、英国とEUとで、ES細胞のWeCell特許を認めるかどうか の議論があって、そのときにいちばん重要な議論で、EUは加工をしていないものは一切特許を認めない。だか らES細胞は樹立しただけと言ったらおかしいですが、全く何もしていないため特許を認めないという判断をして いるわけです。イギリスがもう1つ面白いのは、多能性のものは特許を認めないというか、これも不思議な話な のですが、だから、それぞれ違った理由で特許を拒否しています。ただ、EUの判断はいま議論をしているまさに そこで、ES細胞というのはそのものであると。ですから特許としては認められない、という発想になっていたと 思います。 ○梅澤委員 いまの加工調製の議論は、ES細胞、iPS細胞を含めた幹細胞の話をしているのか、ES細胞と iPS細胞の話をしているのか、確認をさせていただけますか。 ○西川委員 加工というのは別の概念であって、即ち梅澤先生が何か遺伝子を入れるなり、何かを入れないと、 必ずそういう細胞は生まれないというケースだけ加工と認められるわけです。ともかくどこかからは採ってきて、 それをただ培養したというのは別に何もしていないと認めるわけです。だから自然の状態である。 ○山口委員 その趣旨ですと、薬事法とはちょっと使い方は違っていると思います。 ○中畑委員 その辺はおそらくここでまた定義をし直すことになると思うのです。ES細胞も普通に考えれば、ほ とんどの人は樹立されたES細胞を使って、そこを出発点として自分の欲しい細胞を加工して作って、それを患 者さんに投与するという経過をとるので、ES細胞をドナーから樹立して、あるいはずっと培養しているES細胞 というのは、それは調製、加工よりも前の段階という具合に促えて、そこを出発点として自分の欲しい細胞を培 養なり遺伝子を入れるなりして作り出したということを加工という具合に捉えるのが、何か自然ではないかとい う気がするのです。全部培養している過程はすべて加工とされてしまうと、その2つを区別できないですよね。 樹立している段階と、樹立した細胞から欲しい細胞を作り出すというところを区別できないということになります ので。 ○梅澤委員 ES、iPSはどれだけ厳しくしてもいいですから、体性幹細胞の加工調製に関しては、ミニマムリク ワイアメントということをもう1回、その方向で是非よろしくお願いいたします。いままでどおり、ならびにミニマム リクワイアメントを明確にすることで。 ○永井委員長 ミニマムリクワイアメントというのを、調製と加工についてどうするかということなのですね。 ○梅澤委員 すみません。 ○町野委員 非常に初歩的な質問で申し訳ないのですが、調製と加工とを区別するということに、一体どういう 効果をもたせようとされているのか、それを確認させていただいて。あるいは薬事法と非常に絡んでいるという 感じはいたしますが、どう違ってくるのかという話ですね。まず区別をしないと具合いが悪いかということから始 めて。 ○事務局 どうもありがとうございます。区別する必要があるというのは、特に細胞調製機関が必要かどうかと いうところにあります。従来使っている細胞調製、CPCとよく言われる細胞を調製する施設があって、特別に必 要かどうか。現行の指針の運用ですと、いま薬事法でいうところの加工という言葉の場合は、特別な施設が必 要であるという整理をしてきます。そういった加工をともなわないものは、特別な施設を使わずにも、例えば手 術室ででもすぐできるようなものであるという整理して分けているところはあります。ですからこの2行目に2つ 目のポツに、それぞれ加工と調製の施設、細胞調製機関の水準が、それぞれ一定のものでよいかどうかという ところで、どうしても分かれる形になります。 ○山口委員 そうするといまの議論は少しずれていると思います。 ○事務局 そうですね。事務局としての要望としては、できるものでしたら薬事法とかに合わせていただいたほ うが整理はしやすいというのと、さらにES、iPSが入って、また新たな規制が必要でしたら、そこにもう1段付け ていただく、3段階ぐらいにしてもらったほうが、むしろ都合がいい印象があるのですが、ご検討をいただければ。 ○永井委員長 いかがですか。 ○山口委員 先ほど中畑先生がおっしゃられましたES細胞を樹立したところを出発点にするというのはわりと 理解しやすいのですね。今度は例えばMSCみたいなものを体外でエクスパンションする。これはエクスパンシ ョンする工程が加工だと我々は理解をしているわけです。ただ同じエクスパンションするだけであっても加工で あろうと。これは別に梅澤先生、規制が強くなる意味ではなくて、加工という概念はそうであろうというふうに考 えていいのか。 ○梅澤委員 加工の概念が違うのだか同じなのか全く理解していませんが、何しろES、iPSはきつくしてもいい ですが、間葉系幹細胞や普通の細胞をES細胞やiPS細胞と同じレベルで読めるようにはしないでくださいとい うのがお願いです。 ○永井委員長 でもそうなると今度、知財に絡んできませんか。エクスパンドの仕方で「これは私の知財だ」とい う人が出てこないかどうか。 ○山口委員 申し訳ございませんが、知財のほうですと分からないのですが、例えばエクスパンションするとい うところで、例えばイニシャルと加工の過程をそう考えると、その加工の過程で、思わぬ望まない変化が起きた 場合を想定しますと、それは評価しないといけないというのが薬事法の観点です。ですからその加工というかそ の培養、製法の工程をやはり評価するというところから、加工という言葉を使ってはいるのですね。 ○永井委員長 そうすると、梅澤先生がご心配になる、いろいろな制約がかかってくる可能性がないでしょうか。 ○梅澤委員 ES 、iPSにおける加工調製の基準が、いままでの従来の細胞に及ばないように、是非お願いい たします。 ○西川委員 たぶんいま事務局がおっしゃっているのは、そういう問題ではなくて、専門に加工する。それが例 えば業者であるケースもあるわけです。いままでだと、CPCが要件になっていて、ある一定の基準を満たす細 胞の処理が行われているということが、この場合加工の要件であったわけです。いま永井委員長がおっしゃる いちばん問題になってくるのは、それを企業がその要件を満たして提供するとなると、これは知財の問題もすぐ に出てきます。  例えばメゼンカイマルステムセルにしても、Osirisなどの会社が知財を持っていますから、では、業としてやっ ていけるのかとかいう話は出てきますから、加工自体は基本的には普通の研究機関でやるという部分を想定し ておかれたらいいのではないか。たぶんその次に問題になってくるのは、では、その加工をした所と違う所で調 製と加工と、それから実際に治療の実施が違う所で行われ得るかどうかですよね。そういうことの整理がきちん とつく必要があるということですかね。 ○高坂委員 おそらくいままでのヒト幹指針で扱っていたものについては、各機関でCPC、あるいはそれに準ず る設備があれば、調製してやってよろしいということですから、それはそれでよろしいと思うのです。ですから別 にもしiPSとES細胞を扱うのであれば、先ほども出ていましたが、樹立という言葉をあえて使わせていただき ますが、その樹立機関できちんとクオリティを検定したものが、いろいろなところにディストリビュートされて使っ ていくことになるわけですね。  したがってESとiPSに関しては、おそらく樹立機関、あるいはいままでの調製機関、それについては、かなり 限定された機関になってくるわけですね。ですから、決していままでの調製、あるいは加工が厳しくなるというこ とではなくて、iPSとESの場合には、こういう新たな制約がかかってくるよということになると思うので、梅澤先 生、そんなに心配されることはないのではないでしょうか。  ○事務局 少し付け足しというか、まずES、iPSの話は後に置いておいて、それは付加的に後でついてくるもの なのでよいと思うのですが、現状の運用上のところで、もう既にやはり問題となっているのは、この薬事法で言 うところの加工に当たるところと、それがないところと。例えば、いまヒト幹臨床研究で行われていますが、末梢 血の幹細胞をそのまま局注をするとかいった、特に加工のない治療についてCPC(調製施設)というものは特 に必要がないだろうという解釈がなされています。これはどこでも手術室とかある程度清潔が保たれていれば できるような治療です。そういったところで現状問題点が少しございますので、加工の有る無しを分ける意味が あるかどうかというところです。もし、可能でしたら薬事法に合うような内容でやっていただいたほうが、皆さん定 義が通じやすいということは考えています。それでiPS、ESはその後でさらに加えて言葉を作るなり、そういった ものを用いる場合の加工については、さらにある程度レギュレーションを加えていただくことを検討していただき たいと考えております。 ○永井委員長 いかがですか。 ○水澤委員 これまでの理解が正しければ、薬事法のあれでいきますと、ここでいっている調製というのは、もう 加工になるような感じになりますね。培養するだけのものという先ほどのはそうではないのですか。加工の部分 が広がってしまう。 ○事務局 現行の指針ですと、調製も加工も区別がないというふうな整理になっていまして、全部一緒になって しまっていたのですね。それが分ける必要があるであろうというのが提案している内容なのです。つまり加工し たものと加工をしていないものを分ける必要、特に細胞調製施設を使う使わないというところです。 ○水澤委員 ああ、そうか。先ほどの話ですと、結局それを培養するだけでも変化するはずだから、加工ではな いかと言ってしまうと、全部加工になってしまう。 ○事務局 この資料で簡単に説明させていただきます。細胞移植というところが下のほうに「加工無し」とありま す。これは骨随移植とありますが、骨随を血液の補充で使う場合には骨随移植でよろしいと思うのですが、骨 随の細胞をそのまま脳梗塞とかに使ったりすることもあります。こういったものについては、加工もないようなタイ プの幹細胞治療という整理できていました。そういったところについては、CPCとかは特にセルプロセッシング センター、細胞調製施設は必要ないだろうという考えがございまして、今回はそういった提案をしております。  ○山口委員 このときは培養してもいいという考えですか。 ○事務局 培養した場合ですと、その上のほうに入ってしまう。 ○山口委員 培養をすればしたということですね。 ○事務局 はい、そうです。 ○山口委員 そうですね、少しでも培養をすれば入ってしまう。わかりました。 ○事務局 だいぶ混乱させてしまったのですが、町野委員の言われたように、まず定義を分けようというのは、 それで区別をしたいから言葉を別々に定義する必要が出てきたという理解です。  区別をしなくていいのなら同じように一群として扱えばいいのですが、何かの差分を見いだそうとするときに定 義をして分けていく。そのときの1つの契機として、侵襲度あるいは危険度に応じて、あるいは構造設備、ある いは要件というのがたぶん変わる可能性があるところがあって、いま申し上げたようにCPCというのは巨大な 施設ですし、インフラとしてもかなりインパクトが大きいので、これが必要とする施設はどういう工程をする人た ちなのですかというのを明確にした上で、その工程を踏むものについての定義を与え、そういうものについては CPCを要件化しましょうよと、そのようなプロセスを踏まないものについてまで、このような施設を要件化するの かというような、極めて自然な考え方があって、実はいろいろな言葉があってもいいと思います。5項に分類して も7項に分類してもいいのですが、ある一定の要件でハードルを切って分割したほうが、より実情に合った要件 化と内容がマッチするでしょう。  そのときの定義は、まず具体的に合ったものにはめ込めばいいと思っています。たまたま薬事の例として製造 と加工、調製と加工という言葉があったので、例えばそれによって定義して仕分けてみたら、こんなふうに分け られるのではないか。たまさか薬事法とも同じ言葉を使えば、このまま避けられるのではないかということで、事 務局でそういうものを引き合いに出してここで割ったら、実は要件を2つに分けてハードルの高いほうと低いほ うに分けられて、合理的に分けられるかもね、ということで、ご議論をいただこうかということでご提案申し上げ た次第です。混乱させてしまいすみません。 ○山口委員 よくわかりました。だいぶ遠回りしたけれどもご議論があってよかったですね。 ○永井委員長 資料4には調製という言葉は出ていないですよね。調製はどこに入るのですか。資料4は加工 と調製を区別しているのですか。 ○事務局 一般的には調製というのは、薬事でいうところの製造というふうな概念でいきますと、加工有る無し 両方とも調製と。 ○永井委員長 両方が調製。 ○事務局 はい。 ○永井委員長 体から細胞を取り出したらもう調製に入る。 ○事務局 そうです。その加工のないものをあえて言葉を何か付けて分けていただいても、全然それは差し支 えはございません。 ○中内委員 例えば細胞を分離するというのと、培養をするというのと、加工して遺伝子導入、具体的に言えば そういうことですか。要するに細胞を分離だけの場合と、それを培養する場合。それからそれにさらに遺伝子を 導入するとか、そういったものを区別しておけば、あとでそれに対応していろいろなルールを作りやすいというこ とですか。 ○事務局 そういうように細分化して、最も細かい区分で10個とか並べておいて、そのうち何個をくっ付けるの が一括りかというふうな積み上げでも産物の関数としてはいいのかもしれない。要するにどこかでしきい値を入 れると区分けができるところがあったほうがいいでしょうかと、それの具体的ないいところは、分離があって、精 製があって、培養があって遺伝子導入、どこかに切れ目を入れたときに、設置要件として大きく違うところがあ るならば、そこは区別してあげたほうが実情に合うかもしれません。それを3区分にするか、2区分にするかと いうのはありますが、ということだと思います。 ○高坂委員 セルソーターで分けていくというのは、どこに入るのですか。これですと骨髄間葉系幹細胞だとか、 造血幹細胞も加工に入っちゃっているのですけれども。 ○事務局 概念としてはいま先生がおっしゃられたように、何箇所で切るか。1つはCPCを端緒に、例えばそう いったものが必要な部分と必要のない部分で分けたら、2つの区分かなと。そのときには例えば加工と調製と 分けたらいいかなということをちょっと連絡しただけなので、先生のおっしゃる意味は3つ区分でセルソーターが あるところまではここまでとかいうのがあると、より指針としては設立基準とマッチするかもしれないなというの はあります。説明が足りなくてすみません。 ○山口委員 意図はよくわかったのですが。これに全部書き込むのか、それとも仕分けみたいな形で説明した ほうが、後者のほうがわかりやすいような気がしてくるのです。 ○水澤委員 いずれにしてもこういう基準を設けるかどうかを決めて、それから具体的にどうするかを考えれば いいということですかね。 ○永井委員長 とりあえず分けてみて、書いてみないと、どういう問題が出るのかわかりにくいのです。 ○西川委員 最終出口まで考えると、おっしゃるようにかなり重要で、例えばセルソーターにしても機器承認ま で。例えば本当の治験であれば必要になってきますから、かなりクリアな、これで十分クリアで、例えば調製で あっても本当に一般医療になるときに機器承認が必要になってくるということは、当然みんな考えていればいい わけだと思いますけどね。加工はこれでいいのではないですか。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。その次のそれぞれの細胞調製機関の水準は一律でよいか、これはどうい う状況を想定されていますか。 ○事務局 これは先ほど説明をいただいた加工などによる区分の仕方によって、それぞれ調製施設が必要に なるかならないか。まさに町野先生がおっしゃった疑問を感じられたところだと思います。 ○永井委員長 すると加工が有る無しで、CPCの施設を備えておくべきかどうかと、そこに影響が出てくるわけ ですね。どうでしょうか、培養も加工になるわけですね。増殖は加工だと。 ○山口委員 これは定義の仕方だと思うので、ここで議論をしてやればいいのだろうと思います。薬事法をその まま持ってくる必要はないのですが、我々はこれが非常にわかりやすい。むしろCPCの使い方に応じて調製と か考えるのは無理ですか。 ○町野委員 これも的外れで初歩的な質問なのですが、基本的に資料4の2枚目のとおり、加工があるとこれ は反復継続して提供がある。要するに製品化されるということが頭の中にあるわけで、そうすると品質保証が必 要だと、おそらくそういう考えで、CPCみたいなものが必要になってくると、そういう考えですよね。ですから、言 葉としてどちらに入れるかというのは、いまのようにどの範囲で品質保証をCPCにかけるかということが前提に なっているということでよろしいですか。 ○事務局 はい。 ○町野委員 わかりました。 ○西川委員 実際に多くの企業は、ここ機関と書いてあるのは若干問題があるかなと。そういう品質保証を、少 なくともどこの機関でも可能になるような機械を開発しているわけですから、そういうものが出来た段階では CPCである理由はないという理解。もちろんそれは当然認可省庁との話合いが必要ですけれども、そういう企 業はたくさんありますから、基本は品質保証がされることが重要だと考えていいのではないかと思います。 ○梅澤委員 そのようなときに、いまのヒト幹の調製機関に当たり、機関内に専用の作業区域を有していること とか、あと機能を有する施設を備えているといったこと。これに関する議論はこちらの委員会で行うのか、もう1 つのほうの委員会で行うのか?。 ○事務局 こちらの委員会でもそれは行っていただくということです。 ○梅澤委員 私1回目か2回目でも申し上げさせていただいたのですが、安全性が担保されるに当たり、機関 内である必要があるかどうかについても、ご議論をしてもいいのでしょうか? ○事務局 そこは誤解があったのでもう一度丁寧に補足させてください。もともとヒト幹指針は、自らやる場合に どういうことを遵守すべきかというのが出発点であったかと思います。  ですから、基本的には全部自前でやるのが原点。どこまで頼めるか、人に出せるかというのは別の議論。例 えば薬事法であるとか、そういった他法令との関係については、ここ自身で議論をすることではないと考えてい ます。別々の枠組み検討会が2年間で着手していくことになっていますので、それについてはこちらでは触れな いつもりでおります。ですから本来、このような行動あるいはこのようなプレパレーションをするときには、こういう 要件が必要だ。こういうときにはこういった施設要件が必要で、こういうのを遵守すべきだというのと組み合わせ て作っていって、うちとしては議論が完結するものとは考えておりますけれども。 ○梅澤委員 それに関する議論はここではしない? ○事務局 はい。 ○梅澤委員 わかりました。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。では、とにかく分けて書いてみていただく。それで少し具体的な例を考えな がら、次回検討させていただくことにしたいと思います。  最後のインフォームド・コンセントについて、第1章の第2、インフォームド・コンセントの表現は理解しやすいか。 説明者は原則医師であるべきか。インフォームド・コンセントの表現の理解しにくい部分というのは、どういうとこ ろでしょうか。 ○事務局 これは4頁に「インフォームド・コンセントの確保」というところがあります。こちらを読み上げさせてい ただきます。  ヒト幹細胞臨床研究は、被験者及び提供者のインフォームド・コンセントが確保された上で実施されなければ ならない。また、インフォームド・コンセントを受ける者は、研究責任者または研究責任者の指示を受けた研究者 であって、原則として医師でなければならないといった、このインホームド・コンセントを受ける者といった表現が わかりやすいものであるかということを、まず議論いただきます。前の委員会で既に何回か意見をいただきまし たが、こういったインフォームド・コンセントを説明する者は原則として医師でなければならないかどうかというこ とも、ここで是非ご議論をいただければと思います。 ○永井委員長 それは以前少し議論をしたことがありますが、コンセントを受けるわけですね。インフォームされ る者とかそういうことではなくて、コンセントを受ける者ですから、おそらくこういう表現しかないのだと思いますが、 町野先生そういうことで、このままでもよろしいように思うのですが、どうですか。 ○町野委員 それは変な言葉だとは思いますけどね。普通だったらコンセントを受けるのであって、インホーム ドが付いているからかえってわからなくなってくる。日本語だったら動意を受けるという表現になるわけですが、 しかし、いままでの用語は全部そうなっていますから、ここを全部変えるかという話だろうと思いますが。 ○佐藤委員 2頁の定義のところですが、(10)があまりにも長いので、少し読んでいてわからないという気がい たします。だからインフォームド・コンセントの定義と、それが有効であるための要件とは、やはりちょっと違うこと かもしれない。だからインフォームド・コンセントの定義としては、もっと短くしておいて、あとのところで必要な要 件を書き足すことも1つあり得るのかなと思うのが1つです。  もう1つは4頁目ですが、この指針は採取も埋め込みのほうも代諾があり得るので、これは被験者及び提供 者となっているのですが、被験者の中には代諾の場合もあり得るという理解でよろしいのでしょうか。そうすると その辺りの整理も少ししなければいけないかなと思いました。 ○高坂委員 いまの代諾の辺りというのは、臨床研究指針の見直しで、かなり明確になっていると思いますね。 16歳以上とそうでないというので、代諾を必要だと、かなりきちんと定義されていますから、ここのところは臨床 研究指針に従っていけばいいのではないかと思います。 ○永井委員長 ほかのガイドラインでも大体こういう書き方になっているわけですか。そんなにわかりにくいとも 思わないのですが、どうでしょうか。 ○西川委員 大体これで通用していると思いますけどね。 ○永井委員長 むしろしっかり定義してあるという感じがします。第1章第5。その説明者は原則医師であるべ きかというところはいかがでしょうか。原則として医師でなければならないと書いてありますが、これも前のとき に議論されたのだと思いますが、いかがです。 ○中畑委員 一応、医療行為を伴うということですので、やはり原則としては医師という。原則ではない場合と いうのは、どういうものを想定されるかというのはちょっと難しいですが、一応そういうこともあり得るかもしれな いということを、原則としてということにたしかしたのではないかと思います。普通は医師がインフォームド・コン セントを受けるということです。 ○永井委員長 研究的な医療行為であるということからでしょうか。 ○水澤委員 私も原則としてということで、この文章でいいかなと思うのですが、何かこれ話題になっているとい うことは、これまでそういうトラブルというか、問題点というか、不都合があったのでしょうか。 ○事務局 これは前回、何回目かは覚えていませんが、この委員会の中で議論というか質問が出たところで、 どうしてこれはこうなったのでしょうかといった経緯を問われたことがありました。その経緯の理由もわからない のですが、そういった流れで今回は念のため確認として提示させていただきました。 ○町野委員 この規定で現場が困らないかということがいちばんまず考えつくのです。私は法律的にいうと、こ うする必要はないと思っております。医師でなければ医行為をしてはならないという規定はありますが、医行為 というのは、それは厚生労働省の方がご存じだろうと思いますが、コンタクトの装着とか、人体に対して直接影 響を与える行為でありまして、インフォームド・コンセント自体というのはそういうものではない。  あるとすれば診療行為のうちの一環として、いろいろやり取りをするのがそうなるというのが、最高裁の判例 の中にあります。そういうことですから、必ずしも医師である必要はないだろうと私は思います。だからどういう研 究で、何をやっているかということを知っている人が説明するのがいちばんいいのはたしかなのです。  ですから医師である必要は私はないとは思いますが、もう1つの考え方というのは、こういう大切なことは医 者でなければやはりやってはいけないのだというような意見があるわけで、生命倫理的に重要な問題をはらむ ものは、やはり医者がやるべきであるという考え方、これは全然医師法とは無関係な議論なのですが、私はそ れが成り立つかどうかは、実は疑問に思っています。  そういうことですから、結局どちらに決めても私は、まあ、いいだろうとは思うのですが、現場が本当に大丈夫 なのかということなのです。直接全部医者が説明しなければいけない。これは原則だということです。原則だと 書けば例外はもちろんあるのですが、いつが例外かはわからないですから、みんなやるという話になる。それで 大丈夫かという話だろうと思います。 ○高坂委員 たぶん位田委員がいらしたら別なことをおっしゃると思うのですが、私も実はここは医師である必 要はないと思うのですが、議論の対象とするのならば主治医である方はやめたほうがいいかどうかという点も、 以前ここの指針を作るときに相当議論をされたことがあります。ただ、主治医の場合にいってしまうと、どうして も強要するのではないかという議論がありますので、医師であってもいいけれども、主治医は外すとか、そういっ たことは、見直しをかける必要はあるかもしれません。 ○永井委員長 おそらくまだ実験的段階で、有効性も安全性もわからないステージにおいては、できるだけ原則 として医師、主治医、あるいは指示を受けた者ということだと思うのです。例えば医薬品、医療機器で治験を行 う場合、あるいは医師主導臨床試験を行う場合、必ずしも医師がインフォームド・コンセントを受けているわけで はないと思います。ですから、これはまだ開発段階の本当に位置づけがわからない医療という意味では、倫理 的に問題をはらんでいるかなという気はするのですが、いずれ状況が落ち着いてきた場合には、私は医師であ る必要はないのではないかなと思うのですが、まだわからないのですね。本当に再生医療というのは、どういう 状況に有効で、何が起こるかわからないという、しばらくの間はこのままでいいように思いますが、いかがでしょ うか。よろしいでしょうか。  そうしましたら、これからの論点は6から10までありますが、次回以降検討を続けていきたいと思います。今 日検討すべき論点1から5までは一通りご議論をいただきましたので、事務局でまた整理をして、次回ご提示 させていただきたいと思います。あと事務局から何かございますか。 ○事務局 本日はお忙しい中、遠方よりご参加いただきましてありがとうございます。次回の日程ですが、平成 22年2月3日17時からの開催を予定しております。詳細につきましては追ってご連絡いたします。 ○永井委員長 本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:医政局研究開発振興課 田邊 03(5253)1111(内線2545)