09/12/25 平成21年12月25日薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年12月25日(金)16:00〜    航空会館702+703会議室 2.出席委員(19名)五十音順    石 井 則 久、 井 部 俊 子、 内 田 恵理子、◎笠 貫   宏、    川 原 信 隆、 許   俊 鋭、 釘 宮 豊 城、 佐 伯 晴 子、    佐 藤 景 二、○勝 呂   徹、 高 谷 節 雄、 土 屋 文 人、    那須野 修 一、 西 島 正 弘、 西 田 輝 夫、 配 島 由 二、     松 岡 厚 子、  宮 村 達 男、 横 井 英 人   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    天 笠 光 雄、 木 下 勝 之、 古 幡   博     3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)    森   和 彦(安全対策課長)    佐 藤 大 作(安全使用推進室長)他 4.備  考    本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今から平成21年度第2回医療機器安全対策部会 を開催いたします。本日の部会は従前の取扱いと同様に公開で行うこととしております。 なお、カメラ撮り等は議事に入る前までとさせていただきます。マスコミ関係者の皆様に おかれましては、御理解と御協力のほどお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、年末の大変お忙しい中お集まりいただき まして、ありがとうございます。本日は定数22名中現在16名の委員に御出席いただいて おりますので定足数に達しております。なお、天笠委員、古幡委員からは御欠席、木下委 員、西島委員、宮村委員からは遅れる、それから、笠貫部会長からも遅れるとの御連絡を いただいております。  また、前回7月に開催いたしました本部会以降、事務局に異動がございましたので御紹 介させていただきます。安全対策課安全使用推進室の佐藤室長でございます。 ○安全使用推進室長 よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせてい ただきます。以下の議事進行は、笠貫部会長が到着されるまで、勝呂部会長代理にお願い したいと思います。よろしくお願いいたします。 ○勝呂部会長代理 よろしくお願いいたします。それでは議事に入らせていただきます。 はじめに事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料といたしまして座席表とその裏 に委員名簿、議事次第、資料一覧を配付させていただいております。資料一覧に資料番号 がふってございますので順に御確認ください。  資料1-1「人工呼吸器呼吸回路おける気道内圧モニター用チューブに係る添付文書の自 主点検等について」、資料1-2「血液浄化療法に用いる血液回路に係る添付文書の改訂指 示等について」、資料1-3「X線診断装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互作用に 係る『使用上の注意』の改訂指示等について」、資料1-4、「『マイラゲル強膜スポンジ』 の長期使用に伴う合併症について(周知依頼)」、資料2-1「医療機器の不具合等報告につ いて(報告)」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「医療機器外国措置報告」、 資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料 3-2「感染症定期報告の報告状況」、参考資料1「人工心肺装置の安全使用について(周知 徹底)」、参考資料2「『エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン』の周知につい て」、参考資料3「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の適正使用等に関する情報提供の徹 底について」、参考資料4「PMDA医療安全情報No.12、止血用圧迫帯(止血用カフ)の誤 接続使用について」、参考資料5「PMDA医療安全情報No.13、ガスボンベの取り違え事 故について」です。  過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。なお、 本日の議題に審議事項はございません。すべて報告事項となっておりますので、よろしく お願いいたします。また、笠貫部会長が到着いたしましたので、今後の議事進行は部会長 にお願いしたいと思います。資料の確認はよろしいでしょうか。 ○笠貫部会長 遅れまして申し訳ございませんでした。本日は審議事項はないとのことで すので報告事項より入らせていただきます。それでは議題(1)につきまして事務局から御 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題(1)「医療機器の市販後安全対策について」を資料1-1〜資料1-4 に基づいて御説明いたします。本年7月に開催いたしました前回の本部会で報告しており ます事項以降に新たに取りました、医療機器の市販後安全対策について、御報告させてい ただきます。  まず、資料1-1「人工呼吸器呼吸回路における気道内圧モニター用チューブに係る添付 文書の自主点検等について」を御覧下さい。1ページ目に、本年8月25日付けで発出い たしました安全対策課長と医療機器審査管理室長の連名通知がございます。この通知は、 各都道府県宛です。3ページには、同じ内容で気道内圧モニター用チューブを扱う各製造 販売業者にあてて通知をしております。  本文の内容について、後ろに付けておりますPMDA医療安全情報で、分かりやすい絵 がございます。そちらで医療関係者向けに注意喚起もしておりますので、6ページを御覧 下さい。また、現物を参考にお回ししますので、手に取りながら御確認いただければと思 います。  資料6ページでは、PMDA医療安全情報のNo.11、2009年8月に「人工呼吸器の取扱 い時の注意について(その2)」というタイトルで公表されているものです。  1の気道内圧チューブ取扱い時の留意点についてとして、中段の絵の上にある文章です が、低圧アラームや高圧アラームが鳴った時は、気道内圧チューブが水分により閉塞して いる可能性がありますと注意喚起をしております。絵の中で人工呼吸器の回路が書かれて おりまして、左下の患者さんから右上の人工呼吸器の本体につながっている真ん中の細い 線、これが気道内圧チューブになります。これは文字通り、気道内圧を測定するためのガ スの流れとは別のチューブとなります。この細いチューブ内に水滴が貯まりますとチュー ブが閉塞され、気道内圧の測定が正しくできずにアラームが鳴り止まないとの事故事例が 報告されているとのことです。このため、下の枠内に記載されている留意点では、気道内 圧チューブの差込口は上に向けること、内部に水分が認められたら速やかに除去するよう に求めております。  2ページの通知の文章にお戻りください。このような気道内圧チューブの注意事項につ いて、記の1の添付文書の「使用上の注意」の欄において、記載がされているかを各製造 販売業者に確認を求めております。具体的には、1)気道内圧チューブに水滴が流入しな いよう、チューブの差込口が常に上になるように設置すること。2)気道内圧チューブに 水滴が見られた場合には速やかに取り除くこと。[水滴でチューブ内が閉塞し、アラーム が誤作動したり、適正な換気が維持されない等の恐れがある。]との旨の記載の確認を依 頼しております。この記載がない場合には、記の2のところに添付文書の改訂をするよう にという指示をしております。  また、参考になりますが、先ほど紹介しましたPMDA医療安全情報では、その他にも、 7ページになりますが、加温加湿器への給水は、給水用のポートを使用してガスポート、 これは呼吸器からのガスを送るいわゆるガスの出入のための入口ですが、そちらからは給 水はしないで専用のポートを使うこと。次の8ページでは、繰り返し報告されている加温 加湿器に関するヒヤリ・ハット事例としての接続時等に注意を要する点などを御紹介して おります。資料1-1は以上になります。  次に資料1-2を御覧ください。「血液浄化療法に用いる血液回路に係る添付文書の改訂 指示等について」です。こちらも1ページ目に、9月24日付けで発出いたしました安全 対策課長と医療機器審査管理室長の連名での都道府県宛の通知がございます。  通知の本文ですが、血液透析、血液濾過、血漿交換等の血液浄化療法において、血液回 路の接続部位が外れたことにより、血液が漏出するなどの事故事例が報告されておりま す。実際に、大量に出血することで患者さんが亡くなる等の事故も報告されております。  この血液回路の接続部位での接続の確実性と標準化を図るため、これまでに日本臨床工 学技士会等の関係団体が作成している指針等では、接続する部位にはルアーロック式(ね じ込み式)とすることが示されております。8ページになりますが、関係学会等が作成し ている指針等の抜粋を引用しております。時間の関係上、一つ目のものだけを御紹介いた しますと、「透析用血液回路の標準化に関する報告書」として平成16年3月に作成され たものでは、血管アクセス等接続部位へルアーロックの設置として、「血管アクセス、機 器、ダイアライザ、ヘパリン等注入ライン、及び動静脈液面調整ラインの接続部等全てル アーロックをする。」となっております。  1ページの通知にお戻りください。本文の3段落目になります。今般、接続部位外れを 防止するために、日本医療器材工業会、これは、血液回路等のプラスチック製医療機器を 扱う医療機器の業界団体ですが、この団体が、血液回路の血液漏出のリスクが高い接続部 位をルアーロック式の製品へ統一化し、スリップイン式(差し込み式)の製品につきまして は、順次ルアーロック式の製品に切り替えていくことになりました。この業界の取決めを 受けまして、血液回路を扱う製造販売業者に対して、ルアーロック式の製品への統一を図 り、添付文書の改訂等を行うとともに、医療機関への情報提供の徹底を指導するように都 道府県に通知したものでございます。  同様の通知を製造販売業者宛にも発出しており3ページにございます。3ページにはこ の通知では切り替えを進めて添付文書を改訂し、医療機関への情報提供を徹底するように 依頼をしております。  添付文書の改訂の内容ですが、記の1になります。これは、製品がルアーロック式に統 一化されることで、医療機関で購入する医療機器は、必然的に今後ルアーロック式のみと なりますが、ヘパリン等を注入するためのシリンジなど、医療機関側で調製をしたのちに 使用する医療機器は、通常のスリップイン式も医療機関内では使用されております。この ため血液回路に接続する際には、ルアーロックのものを使用するように警告欄への記載を 求めることとし、4ページの上のところになりますが、「1)ヘパリンナトリウムなどの 血液凝固阻止剤を希釈若しくは溶解して持続投与を行う場合には、ルアーロックタイプの 注射筒や注入ラインを使用し、血液回路と接続すること。[注射筒等との接続が外れ、血 液漏れや空気混入の危険性があるため。]」、「2)動脈側回路及び静脈側回路上に輸液等 の持続投与を行う場合には、ルアーロックタイプの輸液セット等を使用し、接続すること。 ただし、接続外れ時に血液漏出等を防止できるアクセスポートを利用する場合は除く。[輸 液セット等との接続が外れ、血液漏れや空気混入の危険性があるため。]」と添付文書に 記載するように求めております。  次に6ページを御覧ください。この血液回路のルアーロック化を進めるに当たりまして は、使用する医療機関側の協力も必要であるため、医政局の総務課との連名で、医療機関 に対する協力を求める通知を都道府県宛に発出しております。本文の4段落目になります が、「ついては、貴管下の医療機関に対して、接続部位がスリップイン式の血液浄化療法 時の血液回路は順次、ルアーロック式に統一されること及び血液浄化療法時の血液回路に 接続する医療機器(例えば、血液凝固阻止剤投与用の注射筒又は輸液セット等)の接続部位 にあっては、ルアーロック式を採用すべき」ということを周知するように依頼しておりま す。  9ページには、血液回路の構成と主な接続部位の絵、次の10ページには、日本医療器 材工業会から医療機関に配布いただいている案内文書を参考に付けております。  現在、各社でこの切り替えを進めているという状況です。流通量や医療機関での使用状 況によりまして、製品によりバラツキはありますが、多くの製品は来年の夏までには切り 替えが完了するという見込みだと聞いております。以上が資料1-2の説明になります。  次に資料1-3を御覧ください。「X線診断装置等と植込み型心臓ペースメーカ等の相互 作用に係る『使用上の注意』の改訂指示等について」です。  1ページ目に9月24日付けの医政局総務課長、医薬食品局安全対策課長と医療機器審 査管理室長の連名通知がございます。各都道府県に対して、X線診断装置等と植込み型心 臓ペースメーカ等の製造販売業者に対する添付文書の改訂等の指導を依頼した通知です。  通知の本文部分になりますが、X線CT装置等と植込み型心臓ペースメーカ及び植込み 型除細動器の相互作用については、平成17年の11月に通知を発出して、相互作用に関す る使用上の注意を添付文書に記載するように指示をしておりました。  今般、X線透視診断装置というX線で透視しながら手術等を行うための装置ですが、こ の装置でも植込み型心臓ペースメーカ等のオーバーセンシングが確認されたことから、相 互作用に関する注意喚起として、パルス状の連続したX線束を照射する機能を有するX線 診断装置、X線透視診断装置、X線発生装置と植込み型心臓ペースメーカ等を扱う製造販 売業者に対して、添付文書の改訂と医療機関及び関係団体への注意の周知を依頼しており ます。  6ページを御覧ください。同様の添付文書の改訂等を依頼する通知を製造販売業者に対 しても発出しております。  具体的な改訂の指示内容ですが、7ページになります。添付文書の「重要な基本的注意」 に相互作用に関する記載を求めております。まず、(1)植込み型心臓ペースメーカについ ては、「本体の植込み部位にパルス状の連続したX線束が照射されるとオーバーセンシン グが起こり、本品のペーシング出力が一時的に抑制される場合があるので、本体の植込み 部位にX線束を照射しないよう十分に注意すること」。  (2)植込み型除細動器では、ペースメーカと同様な表現を記載しております。  (3)X線診断装置等では、「植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の本体の 植込み部位にパルス状の連続したX線束を照射する検査を行う場合、これらの機器に不適 切な動作が発生する可能性がある。検査や処置上やむを得ず、本体の植込み部位にX線束 を照射する場合には、植込み型心臓ペースメーカ又は植込み型除細動器の添付文書の『重 要な基本的注意』の項及び『相互作用』の項等を参照し、適切な処置を行うこと。」とし ております。  続いて、2のところでは相互作用の「併用注意」の項への記載を求めておりますが、こ の内容は少々専門的な表現であることと時間の関係上、簡単にのみ御紹介いたしますと、 本体内部の電子回路にパルス状のX線束が照射されますと影響を受けることがあること、 本体の植込み部位に照射をなるべくしないようにすること、やむを得ず植込み部に照射を する場合には、固定ペーシングモードとするか体外ペーシングをすること等を記載するよ うに求めております。  12ページに、ペースメーカ等の業界団体である日本不整脈デバイス工業会、14ページ に、X線診断装置等の業界団体である日本画像医療システム工業会の医療機関への案内文 を参考に付けております。15ページには、ペースメーカ等を使用している患者向け案内 文書になります。患者がX線検査を受ける前に、医師や診療放射線技師にペースメーカ等 を使用していることを伝えていただくようお願いする文書を業界が作成して配布をして いるという状況になっております。以上が資料の1-3の説明です。  次に資料1-4を御覧ください。「『マイラゲル強膜スポンジ』の長期使用に伴う合併症 について(周知依頼)」です。 表紙をめくっていただき1ページを御覧ください。12月3日付けで安全対策課長から日 本眼科学会宛に発出した通知です。  「マイラゲル」という網膜剥離の手術に使用する医療機器に関する通知なのですが、通 知を御説明する前に、マイラゲルがどういう医療機器かを簡単に御説明いたします。 4ページに付けております参考資料を御覧ください。  まず、網膜剥離という疾病につきましては、網膜剥離とは網膜が網膜色素上皮から剥が れてしまう状態をいいます。中段に眼球を縦に切った絵を記載してありますが、網膜とは カメラでいえばフィルムの役割をする部分ですが、この絵の上側に剥がれた状態の網膜が 記載されております。本来は下側のように眼球の内側の壁についているのですが、これが 剥がれるということで視力障害が起こるというものです。  この網膜剥離の主な治療法といたしまして、下の段に3種類記載しておりますが、一つ 目が冷凍凝固、レーザー凝固により、瘢痕を形成して裂孔を閉鎖する方法、二つ目が硝子 体という眼球内の大部分を占めている透明なゲル上の組織を切除し、内部に空気や特殊な ガスを入れて内側から剥離した網膜を押さえる方法、三つ目が、眼の外側から網膜裂孔に 相当する部分にあて物を当てて眼球をへこませて剥離した網膜を網膜色素上皮と接触さ せる方法がございます。  今回のマイラゲルは、3番目の治療法である強膜バックリング術に使用するスポンジ状 のものです。これを下の絵にありますように、強膜、いわゆる白目の部分ですが、ここに 外側から縫い付けて眼球をへこませることで、剥がれている網膜を接触させる治療に使用 する医療機器です。  2ページを御覧ください。マイラゲルに関する情報を記載しておりますが、販売名が「マ イラゲル強膜スポンジ」、一般的名称が記載されておりまして、次に承認年月日として、 昭和60年5月24日とありますように古い医療機器です。当時の輸入販売業者は、松本医 科器械という会社でして、現在は合併されまして日本ストライカー株式会社として存続し ております。また、合併した平成11年にアールイーメディカル株式会社という眼科の製 品を輸入販売している会社へと承継しており、平成13年12月には販売実績がないとのこ とで承認整理をされております。販売数量は、記録が残っておらず不明ですが、平成9年 初め頃まで販売されており、平成11年に承継を受けたアールイーメディカル社での販売 実績はございません。このように既に10年以上前に販売中止になっている医療機器です が、これが長期間患者さんの眼の中では使用されていることにより劣化が認められ、視力 障害等を起こしているという国内外の文献や学会での報告があり措置を取っったもので あります。  1ページの通知本文にお戻りください。本文の2行目になりますが、昭和60年5月に 株式会社松本医科器械(現、日本ストライカー株式会社)が輸入販売承認を取得しておりま した網膜剥離手術(網膜復位術)に使用するバックル材である「マイラゲル強膜スポンジ」 につきまして、長期間の眼窩への留置に伴い、膨張等の変質が認められ、斜視や複視等の 視力障害の合併症が生じ除去手術が必要となった事例が報告されております。そこで、マ イラゲルの長期使用に伴う合併症及びその対応に関する情報について、会員の先生方への 周知を依頼したというものです。  周知を依頼した内容につきましては、1では、合併症が発生する可能性があること、2 では、診断にはMRIが有効とされ、自覚症状等が認められる場合には、早期に摘出する ことで障害を予防できる可能性があること、3では、マイラゲルの経年的劣化により、も ろくなっていることがあるので、ピンセットでつまんで除去するというよりは、斜視鈎と いう医療機器等で少しづつ押し出すように除去することが有用であること、4では、強膜 と癒着している可能性があることから、十分な注意が必要であること、5では、経験のあ る眼科専門医への紹介等を考慮すること、6では、マイラゲルが使用されていた時期のカ ルテ等が保存されている場合には、カルテ等を調査いただき、使用が確認された患者に対 しましては、可能な限り情報提供をお願いすること、7では、関係企業から、使用状況や 合併症に関する調査の協力依頼がありましたら御協力をお願いしたいこと。こうしたこと の周知を依頼しております。  3ページを御覧ください。こちらは販売実績はなかったものの、承継を受けていたアー ルイーメディカル社と過去に販売をしていた松本医科器械の存続会社である日本ストラ イカー社に対して、依頼をした通知です。  内容としては、記の1として、マイラゲルの合併症に係る情報を両社で連携をして、全 国の眼科を標榜する医療機関に対しまして情報提供をすること。これは10年以上経って おり、販売記録が残っていないことと、実際に目に異常がありましたら患者は手術を受け た病院以外の眼科の診療所を受診することも考えられることから、全国の眼科を標榜する すべての医療機関への情報提供を行うように求めたものでございます。  二点目が、文献等の情報から、過去にマイラゲル使用量や摘出手術の報告が多い医療機 関では、使用記録が保管されている医療機関等に対して、マイラゲルの合併症に関する安 全性調査を実施するとともに、使用されていた患者に対する情報提供の協力を求めること を依頼しております。  三点目が、マイラゲルに関する個々の不具合、健康被害の情報について、薬事法に基づ いて報告するということを求めております。  5ページには、日本眼科学会から会員に向けて発出いただきました文書、6ページには 2社が連名で全国の眼科を標榜する医療機関へ配布する文書を参考に付けております。  なお、現在もシリコン製の同様のバックル材が販売されておりますが、それらでは、古い 製品でも同様の問題というのは報告されておりません。また、企業に指示いたしました合 併症の発生数や予後等の安全性調査の結果については、報告を受けましたら本部会にも今 後報告をしたいと考えております。以上で資料1-1〜1-4までの説明は終わりとなります。 ○笠貫部会長 ただ今の資料1-1〜1-4の御報告について、御質問はございますか。四つ のどれからでも結構ですが、御質問があればと思いますが。 ○許委員 3番目のペースメーカですが、1件起こったと最後の方に書いてありますが、 具体的にはどういう機種でどういうことが起こったのですか。12ページに「オーバーセ ンシングが発生する事象が国内にて1例確認された」とありますが。まず、こういう問題 があったのは1例だけかどうか。また、具体的にどういうことがどの機種で起こったのか、 もしお分かりになればお教えください。 ○事務局 日立メディコ社製のX線透視診断装置で撮影しているときに、ペースメーカで オーバーセンシングを起こしたのが1例報告されております。これを受けて当該医療機関 と企業側が検証を行いましたところ、患者で起こったのはその1例ですが、実験的にペー スメーカと除細動器にX線を照射すると、同様にオーバーセンシング発生の事象を確認し たということで、こういった添付文書の改訂につながっております。 ○許委員 ペースメーカを入れた人は、PCIしたり結構いろいろなことはあると思うの です。今までモニターはしていますが、それほどそういうときにそういうトラブルが実際 に多発するとは考えていなかったのですが、これは相当注意しなくてはいけないものです か。 ○笠貫部会長 ペースメーカの方の関係でいくと、オーバーセンシングが一過性なので、 離れればオーバーセンシングはなくなって抑制は取れると思うのです。理論的にはペース メーカだけではなくて、植込み型除細動器のときには、オーバーセンシングでのペースメ ーカからの刺激の抑制というだけではなくて、オーバーセンシングに対して除細動が作動 してしまうという誤作動が起こるのです。ここではペースメーカと植込み型除細動器のと きの対応別に書いてあるのですが、植込み型除細動器のときにはオーバーセンシングを心 拍と判断して除細動が起こることは起こり得ると思います。ほかの場合には透視を終えれ ば元へ戻るということでこれまで余り出ていなかったのかと思うのです。透視の最中のと きの問題だけですから。 ○許委員 そうすると、CRTDなどを入れている患者にPCIを行うときは、Dのファ ンクションをオフにしてやるべきということになるわけですね。 ○笠貫部会長 これは心拍検出機能をオフにすることが書いてあるので、それが必要にな ってくるということです。臨床の現場では大変なことかと思うのですが、ここの所では両 腕を挙上するということでほぼ避けられるということですよね。それが両腕を挙げられな いというときに、今のようなペースメーカの条件まで変えないといけないという二重の注 意喚起ということでよろしいですね。 ○事務局 はい。今、先生から御説明があったとおりです。 ○笠貫部会長 ほかにはございますか。 ○井部委員 本質的なことではないのですが、ペースメーカの一番後ろに付いている「X 線検査を受ける前に、必ず一言」という所の上ですが、「担当の先生に/診療放射線技師 の先生に」と、「先生」をこういうふうに付けなくてはいけないのか。「担当の医師に」 とか「診療放射線技師に」ということでいいのではないかと思います。「先生」が多過ぎ ると思います。 ○事務局 この辺は業界が独自に作成しているものですので、そういった御意見もあるか とは思いますが、これは確かに紙の仕様は主治医がペースメーカを植込んでいる患者さん に、検査を受けるときにはこれを渡しなさいという形で説明する文書ですので、確かに自 分を「先生」と呼ぶみたいなことは抵抗を感じる先生もいらっしゃるかとは思いますが、 そういった意見もあるというのは業界にはお伝えするようにはしています。 ○笠貫部会長 そういう意見があったことをお伝えいただきたいと思います。 ○佐伯委員 今のに関連していたのですが、多分患者さんからなかなかそういうことを言 うチャンスがなかったり、うっかり忘れたりということもあるように思うので、最初に診 察券などを作るときに、診察券情報の中にペースメーカを入れていらっしゃるとか、何か の、例えばワーファリンなどを使っていらっしゃるとか、そのようなものを必ず盛り込ん でおけば、そういう検査をするときには必ずそこにバーコードか何かでも当てれば、きち んとチェックができる体制にしていただく方がいいのかと思うのです。 ○事務局 今の御指摘の点ですが、電子カルテシステム等が導入されている医療機関でき ちんと患者情報が管理されていれば、検査室の医師や放射線技師も、この患者はペースメ ーカを植込んでいるなどの情報を見ることは、当然可能な医療機関もあるかとは思いま す。これはそこで見ていただくのも、当然、医師や放射線技師にはお願いをするわけです が、ミスは大体そういったものを見なかったなどという事故もあるので、患者さんの方か らも先生に一言声をかけていただけると確実に防げるのではないかということで、こうい った文書も業界で用意いただいている状況です。 ○笠貫部会長 将来的には今のアレルギー疾患も含めて、すべての患者さんの情報がきち んと分かるカードができればいいとは思いますが、現時点では患者が最終的にそれを申し 出るというところのチェック、それから、放射線科医、あるいは放射線技師に両面から注 意を喚起するということでよろしいですか。そういうこともこれからさらに何重にもチェ ックをしなくてはいけないという意味では、大事なことを御指摘かと思います。  ほかにはございませんか。ございませんでしたら、次の議題(2)に移ります。事務局か ら御説明をお願いします。 ○事務局 議題(2)の説明に入る前に、本日、木下委員は遅れるとのことでしたが、都合 により欠席という御連絡をいただきましたので、御報告いたします。  議題(2)について、資料2-1〜資料2-4に基づいて「医療機器の不具合等報告について」 御説明いたします。資料2-1を御覧ください。こちらも表紙の裏のページになりますが、 不具合等報告の状況をまとめて報告するということで、薬事法の規定を記載しておりま す。薬事法第77条の4の4の規定に基づいて、当部会に報告をすることとなっておりま す。  次のページには、医療機器の不具合等報告について、平成21年4月1日〜本年9月末 までの6か月間、すなわち平成21年度の上半期に報告を受けた分の件数をまとめたもの です。1)の不具合等報告の件数は、3,128件となっております。前回の部会で報告した 平成20年度の下半期の件数は3,321件で、ほぼ同数の報告となっております。この3,128 件の報告を画像診断用機器など八つの分類に分けておりますが、(3)の処置用・施設用機 器等が1,294件、(4)の生体機能補助・代行機器が1,465件と、この二つに分類される機 器の報告件数が多い状況になっております。国内と海外の報告の内容ですが、国内が2,057 件、海外が1,071件ということで、国内報告の割合が66%となっております。また、今 回は感染症報告が1件ありました。その他外国措置報告として369件、研究報告として2 件、感染症定期報告として29件の報告がありました。また、医療機関からの不具合等報 告については、197件が報告されております。以上、簡単ではありますが、資料2-1につ いての説明です。  続いて、資料2-2「医療機器不具合等報告」を御覧ください。こちらも表紙の裏の見開 きの部分を御覧ください。「医療機器の不具合等報告の集計結果についての注意事項」と して、この不具合報告リスト、ラインリストの見方が記載されております。  1)として、この報告については、医療機器との因果関係が不明なものを含めて製造販 売業者等から報告されたものであること。2)として、報告に関する分類は(1)〜(8)ま での8分類に分類されてあること。順番は、国内・外国の別にして一般的名称の五十音順 に並べております。3)件数は、提出された報告書の件数を示したものであり、同一の症 例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることが あります。このような場合には、同一症例を重複してカウントすることになり、報告件数 がそのまま症例数にはならない場合があります。4)としては、表の右端の欄にある「対 応措置」の項目については、原則として9月30日時点での措置の内容を簡潔に記載して おります。  「回収」と記載したものは、製品を引き上げる「回収(Recall)」又は修理や検査の実施 等を行った「改修(Repair)」の措置を取ったことを意味します。「情報提供」と記したも のは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの 措置を取ったものです。この中には既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされて いるといった場合も含みます。この右端の「対応措置」欄が空欄となっているものについ ては、措置等が情報不足のために検討中であるものなどが該当いたします。  目次を記載したページの次から、表の下にページ番号を付しております。1ページと記 載された表からが、個別の品目ごとのラインリストとなっております。  時間の関係上、ごく簡単にのみ御紹介します。1ページを御覧ください。分類の(1) として、X線装置や超音波装置などの「画像診断用機器」については、11件報告されて おります。  2ページから3ページが分類の(2)として内視鏡や血液分析装置などの「生体監視・臨 床検査機器等」についてで、41件となっております。例えば上の12だと、カプセル型内 視鏡での滞留などといった報告がなされているということです。  分類(3)が4ページ以降38ページまで続きます。4ページですが、インスリンの注入 器やカテーテルなどの「処置用・施設用機器等」です。これらの報告件数は1,294件とな っていて、全体の報告の約41%がこの分類になっております。この中ではインスリンペ ン型注入器の不具合報告が多いことは例年どおりで、ディスプレイの故障やピストン棒の 不具合などの報告が多くなっております。この分類には、様々なカテーテル類や輸液セッ トなど、製品の数も多いことから、毎年、報告件数が多いということになっております。  39ページから92ページまでが、分類(4)として心臓ペースメーカや人工呼吸器などの 「生体機能補助・代行機器」です。こちらは件数としては1,465件となっていて、全体の 約47%となっています。先ほどの分類(3)と分類(4)で、全体の報告件数の約9割を占 めている状況です。不具合報告の多いものとしては、39ページの628から41ページの668 までの植込み型除細動器・ペースメーカリードに関するリードの断線などの国内報告、一 般的名称が異なるため離れておりますが、54ページの下段にある897からも心内膜植込 み型ペースメーカリードに関する不具合として58ページの962まで国内報告が続いてお ります。分類(4)には、体内に留置するペースメーカやステントグラフト、あるいは人工 呼吸器といったリスクが高い医療機器が多く分類されているために、報告件数が多くなっ ておりますが、例年と同様の傾向です。  93ページを御覧ください。93ページからは分類(5)として、手術用の電気メスやドリ ルなどの「治療・鋼製機器等」で76件となっております。97ページは、分類(6)として 「歯科用機器・材料」で17件。98ページは、分類(7)「眼科用機器」で眼内レンズなど の不具合が214件報告されております。101ページが最後の分類となる分類(8)「衛生材 料・家庭用機器等」で、10件の報告となっております。  102ページには、国内の報告件数が50件を超えていた上位5製品を主な不具合の内容 とともに抜き出して掲載してあります。今回、一番件数が多かったのは、ボシュロム・ジ ャパン株式会社の「ハイドロヴュー眼内レンズ」であり、計175件となっております。こ れは植え込みました眼内レンズが時間が経ちカルシウムが沈着したという不具合が、98 ページ中段の1621〜1627まで記載されております。この不具合事象は、旧パッケージの 容器から由来する低分子シリコンが関与している可能性があるとして、現在は包装を変更 しておりますが、古い製品を埋め込んだ患者からの報告が今後も続くこととなっており、 最近の本部会での報告でも件数が多くなっております。前回も187件が報告されておりま した。  102ページですが、二番目に報告が多かったのは、Cook Japan株式会社の大動脈用ステ ントグラフトで、「クックゼニスAAAエンドバスキュラーグラフト」で、「止血弁から の血液漏れ」他で計112件の報告となっております。こちらは、前回の部会でも72件の 国内報告数があったものです。ラインリストでは、62ページの1028から67ページの一 番上の1107までが該当します。これはもともと腹部大動脈瘤の治療というリスクが高い 手技に使用される医療機器であり、血液漏れや血栓症といった合併症の発症するリスクが 高い医療機器です。  102ページの3ですが、三番目に多かったのは、サノフィ・アベンティス株式会社のイ ンスリンペン型注入器である「オプチクリック」です。こちらはディスプレイの故障の疑 いなど、73件です。5ページの66〜71までが該当し、単位設定ダイアルやディスプレイ の故障に関するものが多くなっております。前回の部会での報告件数は251件ありました が、改良した製品が多くなってきていることから件数は減っております。  102ページの4ですが、4番目に多かった製品は、日本メドトロニック株式会社の植込 み型除細動器・ペースメーカリードである 「Sprint フィデリス スクリューインリード」 で、リード断線の疑いなど、国内で58件の報告がありました。前回の部会では、45件の 報告がありました。ラインリストですと、40ページの645〜655までが該当しております。 これは、リードの不良率が他の製品と比べて高いとして、平成19年7月に自主改修です が、クラスIの自主改修が行われました。対象は約5,000本として自主改修がなされてお り、モニタリングが継続されているために報告が多くなっている状況です。  5番目に多かったものは、コスモテック株式会社の大動脈用ステントグラフトで、「パ ワーリンク ステントグラフト システム」です。ラインリストですと、67ページの1108 〜68ページの1129までで、「エンドリーク」などが計57件報告されております。こち らは、前回の報告、部会では4件の報告だけでしたが、昨年2月に承認されて、市販後の 使用成績調査の結果を基に、今回、57件という報告がされております。これも一番多か った製品と同様の腹部大動脈瘤の治療に使用する医療機器で、合併症等の発生リスクが高 い医療機器となっております。  また、今回は感染症報告が1例報告されております。103ページを御覧ください。一般 名が「ヒト自家移植組織」であり、名称は記載しておりませんが、株式会社ジャパン・テ ィッシュ・エンジニアリングの「ジェイス」という製品です。これは重度の熱傷(やけど) の治療に使用する自家培養表皮のシートであり、いわゆる再生医療での人工皮膚になりま す。本品の移植後に敗血症になったという内容の報告ですが、右側の備考欄にも記載され ておりますように、出荷時の検査では無菌性を確認しており、医師の見解も「移植前の菌 と同種であり、ジェイス移植によるとは断定できないが、影響は100%否定することもで きない」ということで、菌は移植前の患者にあった菌と同種ということですが、医療機器 の使用の影響があったかもしれないということで報告がされてきております。資料2-2は 以上です。  資料2-3を御覧ください。「医療機器外国措置報告」です。海外でも同じ製品が製造販 売されているときに海外で取られた措置について、企業は我が国の行政当局にも報告をす るという制度です。こちらも同じく本年4月〜9月末までの分で平成21年度の上半期分 の報告となり、369件あります。海外で措置を取った結果について、おおむね日本におい ても同様の対応を取っているという状況です。  例えば、1ページの上の方の8の例などになりますが、海外では回収(Recall)を行って おりますが、日本では回収対象となったロットの輸入実績がないということで、この海外 措置報告の提出のみで国内での対応は特段取っていませんといったものもあります。こう した海外と国内の措置が異なるときには、対象ロットが輸入されていないなど、そういっ た情報を付記しております。  件数も多く、時間の関係上、こちらも説明は省略させていただき、死亡又は重篤な健康 被害の恐れがあるという分類であるクラスI回収を行ったものについてだけ紹介いたし ます。5ページの一番下の125〜137までや、6ページの140から等、型式や国別の報告 となっておりますので、いろいろな所に出てきておりますが、日本メドトロニック株式会 社の植込み型心臓ペースメーカで「Sigmaシリーズ」と「Kappaシリーズ」について、こ れは特定の時期に製造された製品で、ワイヤ離脱という内部回路ですが、こちらのワイヤ が切れるという不具合が他の時期に製造した製品よりも高い割合で発生するとして、国内 でも5月にクラスI改修(Repair)を行っており、米国、英国、ドイツなどでも改修措置を 取ったという報告になっております。  15ページの366と367になりますが、ジンマー株式会社の電池電源式手術用ドリルで す。これは長期間使用された場合に、先端部が低速ではあるものの意図せずに回転をする といった事例が報告されたため、本年9月に回収を米国と日本が取ったという報告です。 資料2-3の説明は以上です。  続いて、資料2-4「医療機器研究報告」です。医療機器研究報告については、企業が製 造販売している製品に関連した文献、研究報告について、行政当局にも報告をするという 制度であり、こちらも本年4月〜9月末までの間で2件が報告されております。  1件目が、アボット バスキュラー ジャパン株式会社の腸骨動脈用ステント「バスキュ ラーSelfX」という製品に関する文献です。ステント断裂に関する分析の結果、慢性閉塞 動脈へのステント留置が、ステント断裂の危険因子であったという内容の報告です。右の 欄になりますが、企業による対応としては、添付文書を改訂して、重要な基本的注意に「慢 性閉塞病変に対してのステント留置は、ステント断裂を引き起こすおそれがある」との記 載をして注意喚起をしたということです。  2件目が、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の薬剤溶出型冠動脈ステントであ る「Cypherステント」に関する報告で、ステントフラクチャー(損壊)に関する文献です。 同種のTaxusという製品よりもCypherでの発生が多く見られたことなど、ステント損壊 の要因の分析等を行っているものです。こちらも右欄の企業による対応ですが、引き続き 情報収集に努めることと、情報提供を行うとなっております。ページ番号が無くて恐縮で すが、表紙を含めて3枚目の裏に、参考2として、採用医療機関へ定期的に企業が配布し ているお知らせ文書「Cypherステントに関するお知らせ」というのを付けております。 こういったものを会社は医療機関の主治医に届けており、この中でステント損壊に関する 情報提供を行っています。この例では、最後のページになりますが、枠で囲んだ下段の部 分にステント損壊に関する記述も記載して、情報提供に努めているといった対応を取って おります。以上で議題2の説明はすべて終わりです。 ○笠貫部会長 大変膨大な資料を御説明いただきましたが、何か御質問はございますか。 ○勝呂部会長代理 毎回、非常にたくさんの不具合情報が出るのですが、例えば国内の 102ページに出ている順位を出していただいたものは、非常に参考になると思うのですが、 我々としては見たときにバックグラウンドが分からないのです。というのは、ペースメー カは、あるロットの部分が問題だったというけれども、いったいどのぐらい国内に出荷し たのかということです。例えばペースメーカの入っている人間が、高齢化社会だとかなり 入っていると思うのです。そうすると、自動的にCT、MRIのときの必ずチェックにど のぐらいあるのだという我々の認識を持たなくてはいけないという意味で、どのぐらい使 われているか、私も今までのものをいろいろ調べるのですが、自分の所の整形外科領域だ と、股関節が年間3万3,000件〜5,000件ぐらい、膝だと約5万件〜6万件ぐらいという 統計があるので、それは分かるのですが、ほかの部分はいったいどのぐらいか、こんなに ペースメーカは不具合がいっぱいあって、幾ら入っているのだろう、というのが私のちょ っとした心配で、もしそういう情報の提供があれば、注意をより喚起できるのではないか。 データがなくても、もしそういうのがあればいずれ一緒に出していただければ、というの が私の希望です。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。こちらについては、先ほど御説明したように 過去に自主回収をしている製品ですので、そのときのプレス資料等があるので、次回以降、 こういった問題があった製品で特段の対応を取っているというときには、その資料を参考 に付けるという対応をしたいと思います。 ○井部委員 国内報告数の上位5製品一覧表のただ今の発言の所に関連してですが、ここ に企業名が出されているので、この企業はこうしたことが出されて売上げが落ちるという ことがあるのですか。 ○事務局 同種の製品があるときには、当然、先生方ももしかしたらこれで考慮をして他 製品に切り替えるのはあるかと思うのですが、例えば、2番目と5番目にある大動脈ステ ントなどは、結局、これはいずれの製品でも同じ合併症は起こる状況ですので、この辺に 関しては先生方も避けようがない状況ですし、一番多かったハイドロヴュー眼内レンズに ついては、過去に植え込んだものが今でも出てくるという報告ですので、こちらに関して はむしろそういった問題があることを改めて情報提供するという意味合いも込めて、企業 名も書いております。  あとは、医薬品と決定的に違うのは、医薬品の場合には成分が重要で、一般名が重要で あり、企業名はそれほど重要な情報ではないのですが、医療機器の場合には一般的名称は 非常に幅広くあり、製品が特定されないと、製品共通で危険なものは、当然、一般名だけ で十分ですが、医療機器の場合には薬と違って、製品が特定されないと、使っている先生 方もどの眼内レンズか分からないといったところもあります。製品を特定する必要がある ということで、製品名を書けば、当然、企業名も分かるので、最初から載せているといっ た状況です。 ○笠貫部会長 ほかにはございますか。大動脈、腹部大動脈、これは2と5を合わせると 両方とも腹部大動脈になりますけれども、この辺の所については、許委員、何か御意見は ありますか。 ○許委員 デバイスに関しては、手術の技術、relatedというところがある程度あると思 います。また、それの適用の病態についても、こういうエンドリークの可能性があるわけ で、関連学会が非常に厳格な実施基準を作って、今、進めているわけです。そういうこと で、特にステントグラフトに関しては、今、導入期から数年経ったところで、一般的に広 がったところということで、必ずしもデバイスの責任ですべての不具合が起こっているわ けではないというところがありますので、ある意味では今はラーニングカーブの時期です ので、こういう不具合報告をしっかり情報提供して、デバイスの改良とともに実施、医者 側の技術水準を上げていただくということで、この不具合報告が必ずしもデバイスそのも のの問題ではない。むしろ逆にエンドリークなどの発生に関しては、適用と技術的な問題、 これが大きく関与しているのだということ、これを読む一般の方々、メディアの方々にも 認識していただけると有り難いと思います。 ○笠貫部会長 大動脈瘤に関しては、前回よりまた件数が増えているのは、それだけ普及 をしてきたと。そこでの不具合は不適正使用か、これだけのデータでは分かりませんが、 そういうことを含めて学会でより検討をしていただいているという認識でよろしいです か。 ○許委員 もう一つは、率です。これは母集団がないものですから、多分これは去年から 今年にかけて、恐らく1けたぐらい違っているぐらいの広がりを持っていると思うので、 絶対数では語れないところがあると存じます。また、これが世の中に出ていくときにその 母集団を含めたパーセンテージで参考資料として出していただけると非常に有り難いと 思います。この医療機器に関しましては、普及とともにあるピークを超えて、不具合は必 ず減っていくと思います。そういうことで、今広がるこの時期に、一般の方々あるいはメ ディアの方々が誤解をされないような形でデータを出していただけると有り難いと思い ます。 ○笠貫部会長 これは、先ほど会社の名前が出ていますので全体でどれだけ出ているかと いう数値は出ると思います。先ほど井部委員、勝呂委員からも御指摘があったように、企 業の例数の多いものについては、どれぐらい販売されているのかということを含めてこれ からお書きいただくことは可能ですね。お願いしたいと思います。そのほかにはございま すでしょうか。 ○佐伯委員 77ページの1282番から幾つかブタ心臓弁というのがあります。私は素人で 分からないのですが、健康被害状況がかなり深刻なのかと思うのです。心臓弁というのは、 今このブタ心臓弁がごく一般的に使われるものであるという、先ほどの割合や比率という こととも関係するかと思うのですが、これしか使うことができず、ある一定の確率でこう いうことが起こると解釈すればよろしいのか、あるいは、予定外のと言いましょうか、意 外とこういう被害が多くなってきているということなのか、その辺りを専門の方から教え ていただきたいのですが。 ○許委員 何遍もでしゃばってすみません。私、心臓外科医なものですから。ブタ心臓弁 というのは生体弁に属するわけです。もう一つは、後の方で機械弁というのが出てくると 思いますが、人工物のみで出来た機械弁とブタやウシの組織で作ったような生体弁、両方 あります。全体的な数値から言いますと、今、生体弁の使用頻度は伸びております。それ はどうしてかと申しますと、機械弁の場合はワーファリン等の抗凝固療法を非常にしっか りやらなければいけません。患者さんの年齢が高齢化しておりますので、脳卒中等、脳出 血のリスクなどを考えると抗凝固療法は余りやりたくないというので、最近ではブタ弁を 中心とした生体弁の使用が伸びております。  ここで、全部で10例弱の症例が報告されておりますが、この合併症が植えて直後に起 こったのか、あるいは、植えてから5年後、10年後に起こったのか、どの時期に起こっ たか、こういう面も見ていかなければいけないと思います。それが問題なのと、もう一つ は、人工弁を植えるときに、もともとの病気が、弁膜症の病態が細菌感染による病態であ る場合、例えばここで、1285番にありますように、こういうパンヌス増殖による弁尖の 穿孔とか、あるいはその上の弁尖の破れとか、そういう弁尖の破壊が実際にその弁が弱く て起こったのか、あるいは感染が絡んで起こったのか、これもはっきりさせないと、これ がいいのか悪いのか分からないということです。  ただ、私ども心臓外科医の統計から言いますと、今、生体弁が非常に伸びていますので、 恐らく個々の外科医は、その人工弁が強いか弱いかは別にしまして、全体としてヒトに植 えたときの治療成績が生体弁の方が、特に高齢者にとって優れているという印象がありま して、ブタ弁が最近伸びているという状況になっているかと思います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。そのほかにはございませんでしょうか。それでは、 議題(3)に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 それでは事務局から、議題(3)について御説明いたします。医療機器の感染症 定期報告につきまして、資料3-1、3-2を使って御説明させていただきます。資料は二つ ありますが、3-1が文献の一覧、3-2が各医療機器並びにその使用されている原材料ごと にまとめております資料となっております。  まず、資料3-2を御覧いただけますでしょうか。感染症定期報告の報告状況ということ で、1枚めくっていただきますと表になっておりまして、平成21年4月1日〜9月30日 まで、不具合報告同様に本年度の上半期の報告を集計しております。こちらについて、生 物由来の医療機器の製造販売業者等から報告された感染症定期報告について、報告登録順 に表にして並べたものです。全体で15ページありますが、報告としてはトータル29件受 けております。1ページにあるようなカニューレ等に使うヘパリンに使用しているブタの 腸粘膜ですとか、2ページにありますのは、今、不具合報告の方でもお話のありましたブ タの心臓弁などについて、ブタが原材料ということで報告を頂戴しております。そのほか、 3ページ目にもブタの心臓弁あるいはヘパリンに用いるブタの小腸粘膜、4ページの8番 には、先ほど感染症報告が1例あったということですが、ヒトの自家移植組織と、こうい ったものがそれぞれ使われている原材料ごとに右側にあります文献を報告いただいてお ります。資料3-2では、同一の文献や同一の感染症などがこの15ページにわたりまして、 飛んで出てまいりますので、それぞれ問題となる感染症ごとに文献を整理しまして、まと め直したものを資料3-1として御用意させていただいておりますので、報告されています 文献の概要については、資料3-1で報告を御説明申し上げます。  資料3-1では、全部で6ページまでありますが、一番左に感染症、中ほどにその出典、 右にその文献の概要を記載しております。一番左にあります感染症の名称としましては、 最初がE型肝炎、そのあとインフルエンザとなっておりますが、今回御報告させていただ く分について、15種類の感染症がありまして、文献の概要としては61件取りまとめさせ ていただいております。おおむね、これまでに報告させていただいております感染症、人 獣共通感染症の内容は特に変わってはいませんが、今回、報告状況に変化が見られていま すのが、4月〜9月の報告ということで、インフルエンザ並びに新型インフルエンザの関 連がそれぞれ14件と17件、従来からも報告されています鳥インフルエンザの関係も3件 ありまして、これらを合わせますと34件ということで、報告されております文献の半分 以上がインフルエンザ関連ということになっております。ただ、内容としましては、主に 4月以降、新型インフルエンザの感染の広がりなどについて報告されている文献が中心で すので、特に内容的には大きな問題のあるものではないかと存じます。  これらのインフルエンザ以外の文献も含めまして、本日の部会の委員でもございます宮 村先生、石井先生、内田先生に事前に御検討をいただいております。また、宮村先生と石 井先生のいらっしゃいます国立感染症研究所におきましては、所内で各御専門の担当の部 の先生方にも御検討をお願いしておりますが、今回も、文献の内容としては、医療機器の 安全対策上、新たな措置を講ずる必要のある文献などは見られないということでした。以 上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。この2件につきましては、専門家の石井委員、内 田委員、宮村委員に事前に御覧になっていただいているとのことで、コメントも特にない ということでしたが、何か付け加えることはございませんでしょうか。よろしいですか。 それでは、ほかに御質問はございますか。 ○西島委員 資料3-2の4ページ目の一番下にBSEの話があるのですが、遺伝的な原因 によるBSEが初めて見つかったという御報告だと思うのです。これについて、症例は 2,000例中1例未満ということですが、こういうことが初めて見つかったということで、 今後、何か対策上必要なことをお考えなのでしょうか。 ○笠貫部会長 事務局の方にしますか。あるいは内田委員、宮村委員、石井委員の方でお 答えいただきますか。 ○事務局 事務局の方でまずお話申し上げまして、補足がございましたら、先生方の方か らもお願いしたいと思います。こちらはBSEの発生要因に関する新たな知見ということ になっているかと思います。現在、BSEの対策そのものについては、我が国の医療機器、 医薬品も含めてですが、それらの発生国の原材料の使用の制限や使用する部位の制限など の対策を講じておりますので、今回この文献に指摘されるようなタイプのものが新たに可 能性を指摘されておりますが、医療機器の安全対策として現在のBSE対策を特段変更す る必要には直接的には関連ないという御評価かと思います。 ○笠貫部会長 それでよろしいでしょうか。何か加えることはございますか。 ○西島委員 今後、こういう遺伝子型というものをチェックするようなことが何か必要に も思えるのですが。たとえ例数が少なくてもやはり問題だと思うのですが、いかがでしょ うか。事務局の方にお伺いしたいと思います。 ○事務局 BSEの一般対策としまして、その発生要因やタイプの識別などについては、 今回も御報告しております文献の中にもありますが、そういった報告に対して、BSEの サーベイランス、その分析、評価はやっていく必要があると思います。それらによって、 医療機器に対して使われる原材料に対する新たな安全対策等の措置が必要だということ が出てきた場合には、そういった安全対策措置を、医療機器あるいは医薬品に使用するも のに関しても対応してまいりたいと考えております。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。 ○安全対策課長 こういう知見が具体的なそういうチェックにどう役に立つのかという ところまでにはまだ少し距離があるのかなと思っております。もう少し素人的に考えます と、親牛がCJDでおかしくなってしまって、そういう牛から生まれた子牛に何か遺伝す るみたいな話のところを一つ示した例のように思うのです。そういう場合、遺伝子をいち いち調べる前に、まずそういう系統の牛を大きくして育てようと考えるかどうかというと ころに関して言うと、具体的には、やはりそういうものは余り使われていないのではない かということや、そういうものを排除していくというような、ある意味、遺伝子を調べな くても、親がおかしい子牛はやはり気を付けてチェックをというような話がプラクティカ ルにはむしろ分かりやすくて、そういうセレクションをかけることによって対応できる方 がより簡便かなとも思われるところがありまして、むしろ弧発性のそういう兆候が何もな いのに突然出てくるような、そういうものが遺伝子によってチェックできるというような 話の方がもう一つの切り口としてあるかなと。  ただ、今回の知見はBSEが遺伝するというようなことを一つ示した例だと思われます ので、これが今後具体的なそのスクリーニングにどう役に立つかというところについて は、結構距離があるのではないかと感じているところです。いずれにしましても、こうし た話が具体的な全頭検査というようなところにすぐさま跳ね返ってくるということでは 恐らくないのではないかと考えております。 ○笠貫部会長 加えることはございますか。 ○事務局 一点だけございます。4ページの8番の例です。こちらを御覧いただきまして、 その原産国をオーストラリア・ニュージーランドと記載しております。BSEに関する安 全対策としまして、大原則としましては、BSEの発生国のウシ由来の物は使わないとい うことで、今回のようにオーストラリア・ニュージーランドの物になっております。まず 医療機器に使う物に関しては、BSEの発生していない国の物を使うということが大原則 となっているということを補足して御説明申し上げます。 ○笠貫部会長 西島委員、それでよろしいでしょうか。 ○西島委員 オーストラリアは非発生国でしたか。 ○事務局 そうです。 ○笠貫部会長 8番のように、こうした報告というものに厳しい目で見ながらチェックを 続けていただくということになるかと思います。それでは、最後に議題(4)に移りたいと 思います。事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 議題(4)の「その他」について、参考資料のNo.1〜No.5について御説明いたし ます。まず参考資料No.1、「人工心肺装置の安全使用について(周知徹底)」を御覧くださ い。1ページに、10月8日付けで発出した医政局総務課長と安全対策課長の連名通知が あります。これは各都道府県等にあてて発出した通知で、人工心肺装置を使用する医療機 関への周知を依頼したものです。内容としましては、日本心臓血管外科学会及び日本人工 臓器学会から、人工心肺の取扱いについて注意喚起がなされましたので、その周知を自治 体を通じて医療機関にもお願いするといったようなものです。  2ページ目の別添1を御覧ください。日本心臓血管外科学会からの会員宛の文書です が、人工心肺における安全装置設置基準と人工心肺装置の標準的接続方法及びそれに応じ た安全教育等に関するガイドラインの確認と徹底を依頼しているというものです。  3ページを御覧ください。最近の人工心肺使用中の空気誤送事故の調査結果及びその再 発防止策を受けて、特に注意を要するべき点として抜粋をしております。その中でも下の 枠囲みのところが特に強調した学会としての勧告の部分です。「ポンプシステムを複雑に するのは危険であり、カルディオトミーリザーバ(心内貯血槽)、これはポンプ吸引だけで 操作すべきである。壁吸引が必要なときは人工心肺とは独立したシステムとして、例えば 自己血回収装置などを使用する」という、操作を簡潔にすべきだといったような二点を勧 告しております。  5ページ目の別添2は日本人工臓器学会から会員に宛てた同様の文書、6ページ目の別 添3が2007年4月の日本体外循環技術医学会の文書、7ページは人工心肺における安全 装置設置基準ということで、こうしたところに様々なアラーム付きのモニター類を設置す べきだといったような基準を添付しております。内容も専門的ですし、時間の関係上、説 明は省略いたしますが、こうした関係学会からの注意喚起文書が出されたということで、 医療機関に対して各都道府県等を通じて周知を依頼したのが参考資料No.1になります。  続いて、参考資料No.2を御覧ください。「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライ ン」の周知です。こちらは、1枚めくっていただきまして、裏側に平成21年10月23日 付けで出しました安全対策課から医療機器の業界団体であります各団体にあてた事務連 絡があります。この事務連絡は、医政局総務課長と指導課長が10月22日付けで発出した 通知の周知を関係企業に依頼するというものです。  3ページを御覧ください。これが、医政局が発出いたしました「『エキシマレーザー屈 折矯正手術のガイドライン』の周知について(周知徹底)」という通知になります。エキシ マレーザー屈折矯正手術とは、いわゆるレーシックと呼ばれる近視のレーザー手術です が、医療機器の滅菌処理が不十分になったことなどの衛生管理に問題があったことで感染 性角膜炎の集団発生が起こっていたり、術前のインフォームド・コンセントが不十分であ るといったような事例が見受けられております。  レーシックに関しましては、日本眼科学会が「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイド ライン」というものを作成しており、手術に当たっての安全性確保のための留意点等を示 しております。このため、医政局から各都道府県等に対して当該ガイドラインの内容を周 知することと、苦情等を受けた場合には、必要に応じて、ガイドラインを参考にしながら 医療機関を指導することを依頼した、という医政局の通知になります。  眼科学会のガイドライン自体は4ページに添付しております。適用となる範囲やインフ ォームド・コンセントの必要性、使用する器具の滅菌や術野の消毒の徹底等が記載されて おります。この医政局の通知を関係する医療機器メーカーにも周知いただくように業界団 体に依頼した、というのが1ページに付けました事務連絡となっております。  参考資料No.3、「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の適正使用等に関する情報提供の徹 底について」を御覧ください。こちらも、裏側の1ページ目に、先週の平成21年12月 16日付けで発出いたしました審査管理課長と安全対策課長からコンタクトレンズ関係の 業界団体である日本コンタクトレンズ協会に発出した通知です。こちらは、先週発出して おりますので、先生方へは事前にはお送りできていなかった通知です。これは、同日に国 民生活センターが「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性 能−使用実態調査も踏まえて−」という報告書を公表しております。枚数が非常に多いた め資料からは省略させていただいておりますが、国民生活センターのホームページ等から 入手が可能です。当該ホームページでは、本来、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤、これ は医薬部外品になりますが、その消毒効果のみでは角膜感染症の原因となるアカントアメ ーバという微生物を完全には消毒できないこと、適切な方法でケアを行っていない人はソ フトコンタクトレンズのアカントアメーバ汚染率が高い傾向であったことなどが示され ております。このため、ソフトコンタクトレンズの正しい使用方法・ケア方法を遵守する ことが重要であることからソフトコンタクトレンズ消毒剤の適正使用等に関する呼び掛 けを、既になされてはいるのですが、さらにその強化を依頼したものです。  記の1になりますが、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の使用説明文書及び外箱におい て、[1]レンズ脱着時の手指の洗浄、[2]レンズのこすり洗いの徹底、[3]レンズケースの定期 的な交換、[4]眼とレンズの状態の確認のための定期的な検査の推奨、[5]不適切な使用によ る感染の危険性等、使用者に適正な使用を促すための情報を見やすい位置にわかりやすく 明示する、などの注意喚起を行うよう依頼しております。  記の2では、ソフトコンタクトレンズ使用者に対して、適切な使用方法の教育・啓発を さらに徹底するよう求めております。  2ページは、日本眼科学会等の関係する学会にあてて、ソフトコンタクトレンズ使用者 に対してケア方法を含めたソフトコンタクトレンズの適切な使用方法の教育・啓発の徹底 をお願いした通知となっております。  4ページは、都道府県にあてて、関係するコンタクトレンズや消毒剤の製造販売業者へ の指導を依頼した通知となっております。  続いて、5ページを御覧ください。5ページは、厚生労働省のホームページに掲載して おります注意を呼び掛ける情報です。1の概要の3段目になりますが、「ソフトコンタク トレンズの使用にあたっては、角膜感染症等の発症を防止するために、ソフトコンタクト レンズの正しい使用方法・ケア方法を遵守することが重要である」として注意を呼び掛け ております。2のソフトコンタクトレンズ使用者に特に御注意いただきたい事項ですが、 「特に以下の点に注意して正しい使用方法・ケア方法を遵守してください。こすり洗いを 行わなければ、現在市販されているソフトコンタクトレンズ用消毒剤の効果だけではアカ ントアメーバを消毒することはできません。正しい使用方法でのレンズのこすり洗いを行 う、定期的に眼科を受診するなどを徹底すること悪化すると失明につながるおそれがある 角膜感染症を防ぎましょう。」という呼び掛けをしております。下の枠囲みに記載したと ころが特に遵守いただきたい事項です。  まず消毒剤については、「1)レンズの着脱前に、石けんで手指をしっかり洗浄して下 さい。2)レンズのこすり洗いを指でしっかりと行って下さい(片面20〜30回程度ずつ)。 3)レンズケースは、清潔に保つ必要があります。レンズケースは毎日洗浄して十分に乾 燥して下さい。また、新しいレンズケースに定期的に交換して下さい。4)レンズの洗浄 や保存時には、必ず新しい液を使用し、水道水や井戸水は使用しないで下さい。」として おります。  6ページになりますが、ソフトコンタクトレンズについては、「1)目に異常(痛み、か すみ等)を感じたら速やかに眼科を受診して下さい。2)目に異常を感じていなくても、定 期的に眼科で検査を受けて下さい。3)1日使い捨てや2週間交換レンズ等の使用期限が 定められたレンズは、使用期限を守って、必ず交換して下さい。」とこのように注意を呼 び掛けております。  7ページは、これは既存の資料になりますが、日本コンタクトレンズ協会が配布してお りますリーフレット等の抜粋になります。  こうした資材による情報提供は既になされておりますが、一層強化を依頼したというの がこの通知になります。参考資料No.3は以上です。  続いて、参考資料No.4、PMDA医療安全情報No.12「止血用圧迫帯(止血用カフ)の誤接 続使用について」を御覧ください。これも、表紙の次の1/4と記載されたページに本年9 月に公表されたPMDA医療安全情報のNo.12があります。「止血用圧迫帯(止血用カフ) の誤接続使用について」ということで、誤接続に対する注意を呼び掛けております。今、 先生方のお手元に参考に実物を回しますので、お手に触れながら御確認ください。この 1/4ページの絵を御覧いただきますと、「止血用圧迫帯を圧迫するために空気を注入する 部位には専用の加圧器を使用するべき」と呼び掛けております。ここで通常のシリンジを 使用しまして、薬液を注入するための入口を止血用圧迫帯の空気注入口と間違えますと、 血管内に空気を送ることになってしまいます。実際にそうした医療事故やヒヤリ・ハット 事例の報告があることから、止血用圧迫帯の使用時には専用の加圧器を使うことを呼び掛 けております。  次の2/4ページを御覧ください。次の事故事例は、専用の加圧器を使用しても、下の絵 の真ん中辺りになりますが、カテーテルの挿入口というカテーテルを入れるための入口が あります。こちらは、カテーテルを入れる入口ですので、専用の加圧器であっても、無理 に接続するとつなげることが可能となってしまいます。このため、専用の加圧器を使用し ている場合でも、油断することなく、正しい空気注入口であるかを確認しながら操作して ください、ということを説明しております。  次の3/4ページからは、誤接続対策がとられた止血用圧迫帯の製品の例を紹介しており ます。参考資料No.4は以上です。  最後になりますが、参考資料No.5、「PMDA医療安全情報No.13ガスボンベの取り違 え事故について」を御覧ください。こちらも表紙の次に、1/4ページというところに本年 10月に公表されたPMDA医療安全情報のNo.13があります。「ガスボンベの取り違え事 故について」ということで、ガスボンベの取り違えに関する注意を呼び掛けております。 1では、使用時にはガスの種類をラベルで確認すること、種類の異なるガスボンベを同じ 場所に保管しないこと、工業用のボンベを院内で使用しないことを求めております。この 絵については、酸素は黒色、二酸化炭素は緑色といったように、高圧ガス保安法による規 制によって酸素と二酸化炭素のボンベの色は決められていることを紹介しております。  次のページですが、上の絵では、左側には医療用のガスが描かれています。医療用のガ スには、添付文書が貼付されていること、また、「日本薬局方」といったような表記があ ることを紹介しております。右側の工業用のガスには、「日本薬局方」の表示や添付文書 がないこと、また、ガスを扱う会社には「○○酸素」といったような会社名の企業が見受 けられますが、この「○○酸素」という会社名を見て酸素だと誤認をしないようにと注意 を呼び掛けております。下の絵ですが、ガスボンベの保管場所に異なる種類のボンベを置 きますと、これは事故の元であるということを紹介しております。  次の3/4ページです。工業用の液化炭酸ガス、二酸化炭素のボンベですが、この工業用 のボンベは酸素用のレギュレーターが接続可能であり、酸素と誤認すると重大な事故にな るとして、院内には工業用の二酸化炭素のボンベを置かないということを呼び掛けており ます。  4/4ページでは、誤接続の防止対策としてヨーク形バルブのボンベを採用するように呼 び掛けております。工業用のボンベですと、二酸化炭素でも酸素用のレギュレーターが接 続可能になってしまうのですが、きちんと医療用のものを使えば、形状が異なっていて誤 接続の防止ができますということで、この医療用のヨーク形状のものを使用してください という呼び掛けをしております。以上で、参考資料のNo.1〜5までの説明は終わりとなり ます。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただ今の事務局からの御報告について御質 問はございませんでしょうか。 ○佐伯委員 止血用カフを見せていただいたのですが、すごく不思議に思うのです。とて も単純なことですよね。空気が入ったらいいわけですよね。例えば飛行機に乗っていて、 ふっと降りてきて、それを引っ張ったら膨らむとか、何かもう少し簡単に、ひもを引っ張 ったら膨れるとか、そんなものにすればいいのではないかとも思いました。 ○笠貫部会長 空気を入れるのではなくて自然に開くという、そういうアイディアです が。 ○佐伯委員 ややこしいあんな物を作らなくても、と思いました。それともう一つ、ガス ボンベのことなのです。社名がとてもややこしいということ、これはかなり致命的だと思 うのです。ですから、企業の方にもちょっと御協力いただいて、社名はもう少し小さくと か、区別ができればいい程度の大きさにでもしておいて、むしろ医療用とか工業用とか、 あるいは、そこのところに使っては駄目とか何かを分かりやすく入れていただかなくては いけないのかと思いました。 ○笠貫部会長 いかがでしょうか、株式会社○○酸素というのをそれほど大きく書く意味 がありますかと。この辺の指導は可能なのでしょうか。 ○事務局 医療ガスの方の業界に対しては、我々も当然、これは中身は医薬品であり、医 薬品の企業ですので、我々も指導することは可能です。もともと、先ほども説明しました が、高圧ガス保安法という法律でボンベの色は決まっておりまして、そもそも色が違うと いうのがありますのと、後ろの方で紹介しましたが、現在はヨーク形状という、接続の口 が二酸化炭素用と酸素用でそれぞれ異なるといったような、こういった誤接続防止の形状 にも医療用の方は切り替えておりますので、もちろん、表示をそうやって分かりやすくし てもらうのも当然指導いたしますが、一番いけないのは、工業用の、我々の規制の中にな いボンベを院内に置いているということを絶対にやめてくださいといった呼び掛けをし ているところです。 ○笠貫部会長 工業用のものに対しては、この株式会社の指導はできないのですか。医療 用は可能だということなのですが。 ○事務局 会社が同じであれば、当然、そういったことを伝えることは可能です。 ○許委員 工業用の方は「非医療用」と明記してもらうのはどうですか。工業用といって も、それが置いてあって、医療機関で使っていけないかいいかと一般の人は分からないで すね。工業用の方は、医療に使ってはいけないという記載が大きく書かれていると、病院 がそれを安いから買っていたとしても、普通の人が見て、これはいけないことだというの はすぐ分かるのですが、ここに書いてあるように、単なる酸素ガスとか液化炭酸ガスとか と書いてあっても、これが医療に使うものか使わないものか分かりませんし、もしここに 「工業用」と書いてあっても医療に使っていいものか悪いものか分からない。ですから、 医療に使ってはいけないというような規制をかけたらどうでしょうか。 ○事務局 工業用のものについてどこまで規制がかけられるかというのはあるのですが、 もちろんガスの協会はありますので。今、産業ガスと医療ガスの協会は一つになっており ますので、業界の方とは一度御相談をしたいと思います。 ○笠貫部会長 そうしましたら、今いろいろなアイディアが出ましたので、是非、御検討 いただくようにお伝えいただきたいと思います。本当にこれは単純な取違えになりますの で、何重にもチェックできる、間違いのないようにというようにしていただけたらと思い ます。それ以外にはございますでしょうか。 ○井部委員 この事例は、手術後に手術室から病室に戻る際にボンベを間違えたというこ とです。多分これはナースがやっていると思うのですが、そもそも、こういうところに2 種類のガスを置くということ自体が、病院の管理の問題でもあります。色で識別するのは、 絶対に間違いが起こると思います。緑は何とかで黒は何とかでと。色は当てにならないと 思います。まず置かないということを徹底すべきだと思います。事例が2行しか書いてい ないのでどういう状況だったのかよく分かりませんが、是非とも二度と起こらないような 対策をお願いしたいと思います。 ○事務局 御指摘のとおりかと思いますので、看護協会などとも御相談させていただきな がら、この医療安全情報はそういった現場の看護師さんや医師、もちろん技師などの様々 な医療従事者に是非とも活用いただきたい情報ですので、厚生労働省も、独立行政法人医 薬品医療機器総合機構も、一緒になってこういった情報の周知に努めていきたいと思って おります。 ○釘宮委員 私、この医療ガスについてはずっとフォローしているもので。一番最初に二 酸化炭素と酸素の間違いが起きたのは、十数年前、2か所で起きたわけです。そのために 非常に危険だということが分かりまして、そして平成15年、医療ガス協会から、医療機 関には医療用の二酸化炭素しか入れないでくださいというお願いが出ていたのです。た だ、去年の夏にあったように、それを無視して工業用の炭酸ガスのボンベを入れたり。も ともと、酸素の投与器具ではねじ式のものが多く、ヨーク式のものは少ないのです。ねじ 式のものが炭酸ガスと酸素に両方付くもので、それで誤接続を起こしてしまった。  今、井部先生がおっしゃったように、色は全く頼りにならないというか、皆さん御存じ のように、JIS規格では酸素は緑色なのです。麻酔、医療ガス配管、全部緑色できてい ますから、二酸化炭素のボンベの緑を酸素と誤認しても全く不思議ではない状態です。こ れはJISを作ったときの問題だと思うのですが。  ヨーク式というのは、昔からヨーク式の小型ボンベで、10L以下はみなヨーク式ですが、 ボンベはヨーク式のものが結構あるのですが、医療ガス保安法は昭和26年にできたわけ ですが、そのときからヨーク式はガス化測定になったのですが、ねじ式だけはなっていな かったという状況が続いていたわけです。そのために不幸な事故が起きてしまった。です から、これは是非、PMDA、厚生労働省から、医療機関には医療用のものしか入れては いけないということを業者さんに言っていただければいいと。多分去年起きた病院には、 業者さんは知っていて納入していたと思うのです。業者さんが言っても、もちろん酸素の 投与器具のお金がかかりますので、そういうことがあって入れてくれなかったのだと思う のです。そういうことがありますので、かなり強制力を持って、医療機関では医療用の二 酸化炭素しか入れるなということを言っていただければ、これからは、こういうことが起 きなくて済むと思うのです。不幸な事故が10年以上の間を置いて起きてしまった。是非、 よろしくお願いしたいと思います。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。参考に補足をさせていただきます。本日の資料 に付けておりませんでしたが、参考資料No.5の一番最後のページ、4/4ページの下の枠に、 PMDA医療安全情報No.13に関連した通知が厚生労働省に出ていますということで、医 政局の指導課が、医療ガスを所管しているものですが、平成21年3月3日付けで医政局 指導課から都道府県にあてて、医療機関に向けてガスの取り違えの防止を徹底してくださ いといったような内容を通知しております。この通知の中には、今、先生がおっしゃった ような、そもそも工業用のものを診療する場所に置くなといったようなことも記載されて おります。こういったことの指導、周知を徹底していきたいと思っております。 ○笠貫部会長 よろしいですか。販売しない、あるいは置かない、基本中の基本というと ころをどう徹底できるかということだと思うのですが、これについても、ここに挙げられ たもの以外にもさらに御検討、あるいは周知徹底していただきたいという御指摘だろうと 思います。それ以外にはございますか。この際、徹底した方法をいろいろ挙げていただい て御検討いただいたらと思いますが。 ○佐伯委員 今のボンベの件ですが、日本語の漢字の表記しかないのでしょうか。oxygen とかそういうものはないですか。今後、外国の労働者の方が医療現場を手伝われることも あるかもしれませんし、二重で書いておけばまだましかなとも思うのですが。 ○笠貫部会長 ということも御検討いただくと。 ○事務局 今、むしろ法律では邦文でということで、輸入品であっても英語だけは不可だ というのが現行の規制ですが、今後は国際化を踏まえてそういったこともあるかもしれな い、ということは協会の方とも相談していきたいと思います。  ただ、先生も十分御存じかと思いますが、現在、外国人の看護師さんなどの導入を進め ておりますが、あくまでも日本語能力は当然要件として求めておりますので、その辺の基 本的な、この辺の漢字ぐらいが読めない方には資格を与えないような規制には当然なって いるという認識です。 ○笠貫部会長 そのほかにはございませんでしょうか。それでは、以上で、本日予定して おりました報告事項はすべて終了となります。そのほかには何かございますか。 ○事務局 次回の部会の日程についてですが、例年どおり、次回は平成22年7月ごろを 予定しております。ただ、別途、部会への審議等が必要な事項が生じた場合には、開催予 定が早まることがありますことを御承知おき願います。なお、具体的な日程等につきまし ては、事務局より事前に先生方の御都合をお伺いして決めさせていただきたいと思ってお ります。本日も、年末のお忙しい中御議論いただきまして、ありがとうございました。 ○笠貫部会長 それでは、これで平成21年度第2回医療機器安全対策部会を閉会とさせ ていただきます。さらに医療機器の安全を目指しまして、また来年もよろしくお願いした いと思います。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 飯村(内線2751)