09/12/25 第1回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録 第1回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録 【日時】平成21年12月25日(金) 9:58〜11:46 【場所】国立感染症研究所戸山研究庁舎 共用第1会議室 【出席委員】(50音順)   飯沼委員、今村委員、岩本委員、宇賀委員、岡部委員、加藤委員、北澤委員   倉田委員、黒岩委員、坂谷委員、櫻井委員、澁谷委員、廣田委員、古木委員   宮崎委員 【行政関係出席者】   足立厚生労働大臣政務官 上田健康局長、中尾大臣官房審議官、鈴木健康局総務課長、福島健康局結核感染症課 長 高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、熊本医薬食品局総務課長、亀井医薬食品局 血液対策課長 鈴木新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、松岡健康局生活衛生課長、佐原大 臣官房企画官、土肥健康局健康対策調整官 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、定刻より若干早いですが、委員 の先生方おそろいですので、ただいまより第1回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 を開催させていただきたいと思います。  委員の皆様方には御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。  私は、新型インフルエンザ対策推進本部次長の鈴木でございます。部会長が選任されるま での間、暫時進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  本日は、委員17名のうち15名の御出席をいただいております。厚生科学審議会令の規 定によりまして、定足数に達しているため会議は成立していることを御報告申し上げます。  まずは、開会に当たりまして、足立厚生労働大臣政務官よりごあいさつを申し上げます。 ○足立大臣政務官 皆様おはようございます。厚生労働大臣政務官の足立信也でございます。 予算の方が最終盤にかかって、ちょっとバタバタしておりまして、私も冒頭のみでございま すけれども、一言ごあいさつを申し上げます。  御案内のように、さきの臨時国会で新型インフルエンザに対する特措法が成立いたしまし て、施行されております。しかしながら、その審議の中でさまざまな問題点が実際に質問さ れましたし、私どもももともと特措法の附則第6条で今後大きな検討が必要であるというこ とは自覚しておりました。そんな中で、まずは特措法という形の今回の新型インフルエンザ、 従来の予防接種法の中での季節性のインフルエンザ、そしてまた、今までの行動計画等も鳥 インフルエンザを想定していた部分がかなり大きくございました。そこでswine fluという 新しいH1N1が入ってきたわけで、これを予防接種法の中でどう位置付けるかという問題 点。それから、審議の中で出てきましたのは、まずは健康被害に対する補償をどうすべきか、 そして、海外の企業にある免責問題を国内あるいは医療機関、医師に対してどういうふうに 広げていくのかというような議論もございました。そしてまた、我々といたしましては、こ こ数年のうちに細胞培養法を中心としてワクチンの製造を半年間で全国民にという目標を 立てておりますけれども、それでも緊急事態においては海外から輸入しなければならないと いう事態が必ず生じるものだと思っております。  そういう過程の中で私たちといたしましては、まずこの新型インフルエンザ(H1N1)特 措法を予防接種法の中にどう位置付けるか、これを第一段階ととらえております。そして、 その後は先ほど申し上げましたさまざまな問題、これは国民的な議論が必要な分野だと私は 思います。その中でこの部会を発足させていただきまして、この部会がその議論のエンジン となって幅広い国民的議論が喚起されて、そして、皆様の合意のもとに、これからワクチン ギャップ20年、日本は遅れているという評価もございますけれども、ここを一気にワクチ ン行政を推進して、予防医療に主眼を置いた医療政策を展開していきたいと、私自身はその ように思っております。  活発な議論をしていただいて、先ほども申しましたけれども、これが国民的議論のエンジ ンとなるように、是非とも皆さん方の御意見、そしてまた、必要な場合は国民議論的なもの もまた一つ形としてつくる必要があるのかもしれませんが、その点につきましては、この議 論の中で発展的にとらえていっていただければいいのではないかと思います。これから国民 の皆さんもかなり注目している分野でございますので、熱心な、そして、活発な議論をお願 いしたいと思います。どうかよろしくお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ありがとうございました。  それでは、第1回の部会でございますので、本日御出席の委員の先生方を50音順で御紹 介申し上げたいと思います。  医療法人雅修会蒲郡深志病院理事長の飯沼委員でございます。  山口県健康福祉部長の今村委員でございます。  東京大学医科学研究所教授の岩本委員でございます。  東京大学大学院法学政治学研究科教授の宇賀委員でございます。  国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部委員でございます。  国立成育医療センター総長の加藤委員でございます。  日経BP社日経メディカル編集委員の北澤委員でございます。  富山県衛生研究所長の倉田委員でございます。  ジャーナリスト・国際医療福祉大学大学院教授の黒岩委員でございます。  独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長の坂谷委員でございます。  学習院大学法学部教授の櫻井委員でございます。  愛知県半田保健所長の澁谷委員でございます。  大阪市立大学大学院医学研究科教授の廣田委員でございます。  全国町村会副会長・山口県和木町長の古木委員でございます。  福岡市立西部療育センター長の宮崎委員でございます。  なお、本日は御欠席でございますけれども、  古賀総合法律事務所弁護士の山川委員  全国市長会副会長・三重県鳥羽市長の木田委員にも御参画をいただいております。  また、第1回目でございますので、事務局につきましても御紹介させていただきます。 (事務局紹介) ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、議事に入ります前に、配付資料 の確認をさせていただきたいと思います。 (配付資料確認) ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 もし乱丁等ございましたら、申し出ていた だければと思います。よろしいでしょか。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。議題1は、部会長の選任ということ ですけれども、その前に、部会について若干御説明させていただきたいと思います。  ただいま御説明しました参考資料をごらんいただきたいと思いますが、参考資料1が厚生 労働省設置法でございまして、この中に第六条の2番目で厚生科学審議会を置くことになっ ております。  参考資料2をごらんいただきますと、厚生科学審議会の中に分科会として、感染症分科会 というものが設置されております。  更に、審議会令の第六条でこの分科会には部会を置くことができるという、更にその下の レベルも規定しているわけですが、参考資料1−2をごらんいただきますと、点線で囲った 予防接種部会は今まではなく、感染症分科会には感染症部会と結核部会しかなかったんです が、今般、予防接種部会をつくりたいということでございます。  資料1ですけれども、先ほど足立政務官からもごあいさついただきましたが、予防接種部 会について、先般のH1N1に係る特措法の審議等において、全般的に予防接種のあり方を 見直すべきだという意見が多数寄せられましたので、今般さまざまな議論をしていただくた めに部会を設置するということで、今日25日が第1回ですけれども、来年の少なくとも1 月、2月で3〜4回程度は実施させていただければと思っております。  以上が、部会設置の趣旨でございます。  それでは、部会長の選任でございますけれども、厚生科学審議会令第6条第3項で、部会 長は委員の互選により選任するということになっておりますが、どなたか御推薦いただけま すか。 ○廣田委員 予防接種に関する検討会においても座長を務められて、一連の経緯にお詳しい 加藤先生にお願いできればと思いますが、いかがでございましょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ありがとうございました。ただいま廣田委 員より加藤委員のお名前を挙げていただきましたけれども、いかがでございましょうか。 (拍手起こる) ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ありがとうございます。それでは、御了承 いただいたということで、加藤委員に部会長をお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○加藤部会長 ただいま御推薦いただきまして、部会長を務めさせていただきます国立成育 医療センター総長の加藤でございます。何とぞよろしくお願いいたします。以後、私が議事 進行をさせていただきます。  先ほど政務官からもお話がございましたけれども、予防接種に関しましては喫緊に解決す べき問題もございますし、数か月後に解決しなければいけないこともございましょう。また、 中・長期的に解決しなければならないこともあると考えております。皆様の御活発な発言を いただき、そして、進行に御協力の上、この会を発展させていただきたいと存じますので、 よろしくお願い申し上げます。  まず、部会長の代理でございます。部会長の代理は、部会長が指名することになってござ いますので、従来よりこの方面にお詳しい岡部委員にお願いいたしたいと存じますので、よ ろしくお願いいたします。では、岡部先生、よろしくお願いいたします。 ○岡部委員 よろしくお願いいたします。 ○加藤部会長 次に、当部会の運営細則を定める必要がございます。運営細則の案につきま して、事務局から御説明をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、資料3をごらんいただけますで しょうか。縦に文字が書いてある「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会運営細則」で すが、先ほど御説明をした審議会令の中で既に部会の運営等は相当定められておりますので、 今般の細則では主として小委員会、後でも御説明しますけれども、この部会の更に下に設置 するものについて詳細を定めております。第1条は小委員会の設置、第2条は構成、第3条 が小委員会の委員長の指名、第4条は小委員会の開催、第5条が会議の公開、第6条が議事 録の公開、第7条は特段の定めがある場合には公開をしないことができるという定めでござ います。第8条が部会の庶務、第9条が雑則ということになっております。詳細については 省略させていただきますが、以上のような構成になっております。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明に関しまして何か御質問・御意見ございますか。よろしゅうございます か。後ほど日本脳炎に関する小委員会の設置につきましては、具体的に御説明をいただける かと存じますが、全体として部会の運営といたしましては、資料3のとおりとしてはいかが かと思います。特別に御質疑ございませんでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○加藤部会長 それでは、部会の運営細則につきましては案のとおり、「案」をとりまして 定めることといたします。  1点、事務局にお尋ねいたしますけれども、本会議におきまして、この部会及び小委員会 に参考人として有識者をお呼びすることを可能にしていただけますか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 勿論、可能でございます。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  それでは、その時々に応じまして、有識者の方々を参考人としてお呼びしていただくこと にいたしたいと存じます。  続きまして、この会議の公開についてでございます。本日の公開の是非について、各委員 の皆様にお諮りいたします。ただいま確定いたしました運営細則第五条には「小委員会の会 議は公開とする。ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがあ る場合又は知的財産権その他個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがあ る場合には、委員長は、会議を非公開とすることができる。2、委員長は、会議における秩 序の維持のため、傍聴人の退場を命ずるなど必要な措置をとることができる」と規定されて ございます。本日の部会は第五条に規定するただし書きには該当しないと考えられますとこ ろから、公開といたしたいと存じますが、よろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○加藤部会長 それでは、本日の部会は公開とさせていただきます。  また、本日の会議の議事録は後日、公開されますので、委員の皆様方にはあらかじめ御承 知置きをお願いいたします。 ○岡部委員 議事録を公開する前に、それぞれが拝見することはできるのでしょうか。委員 が自分の発言に注意するためのチェックはできるのでしょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 多くの場合は、基本的に御発言なさった方 に一応確認をいただいた上で公開をさせていただいております。 ○加藤部会長 各審議会と同等のお取扱いをいただきまして、議事録は基本的には各委員の 先生方にあらかじめ確認という意味でお知らせをいたし、主には「てにをは」だと思います けれども、その部分は直すことは可能であると。大きく直すことは勿論できないということ でございますけれども、そのように取扱いをお願いいたします。  ほかに御意見はよろしゅうございますか。  それでは、議題2に進みます。予防接種制度につきまして、まず事務局から御説明をお願 いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、お手元の資料4をごらんいただ きたいと思いますが、「新型インフルエンザ対策について」ということで、今般のH1N1の インフルエンザについてまとめております。  先生方御承知のとおり、今回のインフルエンザは季節性インフルエンザと似ているところ がありますが、感染力が強いが多くは軽症で回復する、また、治療薬が有効であるというこ とですけれども、基礎疾患があったり、小児の方であったり重症化する可能性が大きいと。 また、国民の多くが免疫を持っていないという特徴がございます。  新型インフルエンザの状況でございますけれども、もともと私どもの考え方は、2ページ の下にグラフがありますが、曲線自体のピークを抑えるということと、なるべくピークを遅 くするという2つの目的で対策をしております。実際にどのような流行になっているかとい うのは、上の囲みに各週ごとの定点当たりの患者の報告数が出ておりますけれども、30以 上であると流行ということですが、12月7〜13日の直近のものですと27.39ということで、 少しピークアウトしている感じです。  また、下のグラフは外来患者数、入院患者数、死亡者数等々でございますけれども、11 月半ばぐらいから少し感染が衰えてきたと見える状況でございます。  私どものインフルエンザ対策のポイントは5点ございますが、1つは、特別に学校・保育 所を中心に感染が起こったりしますので、そういうところで、もし、例えばたくさん患者さ んが出てしまった場合の休校等の対策でございます。もう一つは、重症化した場合にICU が必要になるということがありますから、そういうものが十分確保されているかということ でございます。3つ目のワクチンは後で御説明申し上げます。4つ目のサーベイランスは、 どのくらいの患者さんがどういう時期にどこで起こっているかということを知ることが大 事だということで、的確なサーベイランス。最後は、国民の皆様方にも正確な情報を適宜、 適切に提供して、いわばパニックを防がなければいけないということがありますので、その 透明性の確保が大事だということでございます。  先ほどの3点目のワクチン接種ですけれども、今回のH1N1のワクチンは感染予防の効 果は必ずしも保証されていませんが、死亡や重症化については一定の効果が期待できるとい うことで、我々としては死亡者・重症者を減らしたいということでございます。  優先接種対象者等でございますが、10月19日からこういう対象者の方に順次接種を開始 させていただいているということでございます。合計5,400万人ということでございますが、 これ以外の一般の方々についても、輸入ワクチンの状況等を踏まえて来年にもお示ししたい と思っております。  それでは、ワクチンはどれくらい確保できたのかということですが、国内産で5,400万回 分、輸入産でもし承認されれば9,900万回分ということでございます。接種のスケジュール は下に示してありますとおり、少し黒く色がついているようなところは可能であれば前倒し をお願いするということですが、接種回数を2回から1回にしたり、既に感染しておられる 方を差し引いたりということをさせていただいた上で、現在このような姿になっているとい うことで、高齢者の方も1月半ばぐらいから接種していただけるというつもりでおります。  ワクチン接種のスキームですけれども、通常の予防接種法の対象であれば事業は市町村が 実施主体になりますけれども、今回は国が直接医療機関を受託医療機関として契約させてい ただいて接種しております。具体的には、一旦政府がワクチンの全量を買い上げた上で卸業 者等に売り払って、それを現場に供給していくという、時間がなかったものですから通常と は異なるスキームをとらせていただきました。  その場合の費用でございますけれども、実際に費用負担は通常2回受ける場合は1回目が 3,600円、2回目が2,550円ということになっております。また、生活保護もしくは市町村 民税非課税の世帯については減免ということで、国2分の1、都道府県4分の1、市町村4 分の1の負担ということになってございます。  更に、ワクチンの安全性ですが、今回の場合には、副反応を国に直接FAXで送っていた だくということと、それを評価する仕組みを速やかに対応したということでございます。ま た、予防接種法の法定接種ではありませんけれども、それに準じた救済制度を、先ほど申し 上げた特措法の中でつくらせていただいたということになります。  今申し上げた特別措置法でございますけれども、なぜ今回、特別措置法で手当をする必要 があったかを申し上げますと、現在の予防接種法に基づく臨時接種は接種の努力義務が課さ れております。ですから、ある意味でいうと強い規定でございますけれども、今回のH1N1 はそれほど毒性等が強いものではないということで、努力義務を課す必要はないのではない かということで予防接種法上の法定接種というのは難しいのではないかということで、予算 事業として国が実施いたしましたけれども、健康被害の救済については特別措置法で手当を したということでございます。  特別措置法の中身は大きく2つございまして、1つは、今申し上げた健康被害の救済に係 る措置を整備しました。もう一つは、今般、比較的短期間に大量にワクチンを輸入させてい ただくということですので、輸入企業の損失の補償についての規定、これは我が国だけでは なくて輸入される多くの国で同様の規定が入っております。12月4日施行されまして、「4. 検討規定」の下線部をごらんいただきますと、予防接種のあり方、健康被害の救済のあり方 について、速やかに検討を加えるようにということでございます。  10ページは衆議院の厚生労働委員会の附帯決議でございますけれども、関係のあるとこ ろだけ抜き書きをしておりますが、一でワクチン接種の費用負担のあり方について検討しな さいと。  四では、健康被害救済の給付について次期通常国会の法案提出も視野に入れて検討しなさ いと。  九は、製造業者の損失について政府補償のあり方について検討しなさいということでござ います。  十三で、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザの変異等に対応できるようなワクチンの 開発と医療提供をしっかりしなさいと。  十四では、新型インフルエンザについては国内産で全国民に供給できるように細胞培養法 等しっかり研究開発をしなさいというような御指示をいただいております。  ちょっと飛ばしていただいて、資料6の頭をごらんいただけますでしょうか。これらに関 係して新型インフルエンザ対策については、私どもの論点としては緊急に対応する必要があ るのではないかということが2点ございます。1点は、先ほど予防接種法では今回のH1N1 はなかなか受け止めがたかったということを申し上げましたけれども、そういう新しいイン フルエンザ、必ずしも毒性が強くないものについても予防接種法で受け止められるような仕 掛けが必要ではないかと。位置付けをどうしたらいいのかということでございます。もう一 つは、ワクチンはなまものでして、やはり製造のリスクを伴うものですけれども、更に短期 間で大量につくるということになると、通常以上のリスクを製造業者に負っていただくこと になりますので、そういう場合、ワクチンの確保と供給のあり方についてどう考えたらいい のかということでございまして、この2点がやはり新型インフルエンザ対策関係では、どう しても緊急に対応が必要ではないかと考えられてございます。  以上です。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  ただいま新型インフルエンザ対策につきまして、事務局から御説明がございました。この 件に関しまして、各委員から積極的に御発言・御質問をお願いいたします。どうぞ御自由に 御発言ください。いかがですか。 ○北澤委員 北澤です。質問でもよろしいでしょうか。資料4の「今回のワクチン接種の目 的について」というところですけれども、インフルエンザワクチンは「重症化等の防止につ いては一定の効果が期待」されるけれども、「感染防止の効果は保証されていない」とあり ます。私が質問したいのは、「一定の効果が期待」というのは具体的にどういう意味なのか ということと、今期待されているのだけれども、実際にそれがどうだったのかということに ついては、どうやって検証する予定なのかについてお尋ねしたいと思います。 ○加藤部会長 それは私からお答えしましょうか。そちらでやりますか、どうぞ。 ○結核感染症課長 まず、「一定の効果を期待」というのは、新型インフルエンザワクチン については勿論誰も使用経験がないわけでして、どれくらい効果があるかということはわか っておりませんが、季節性インフルエンザワクチンの経験から見て、1つには、肺炎の減少 を通じて死亡の減少につながる可能性があるということ、それから、発症しても軽症で済む 可能性があるということ、これが季節性インフルエンザワクチンの経験で得られていること でございましたので、新型インフルエンザについても同様の効果が期待できるのではないか と。これをもって一定の効果が期待できるとしておりまして、これが次の目的である死亡者、 重症者の発生をできるだけ減らすということにつながっているわけです。  実際に今後、効果が見られるかどうかということ、効果の検証でございますけれども、事 業として大規模な接種を行っておりますので、非常に精密な研究ということは難しくなりま すけれども、我々は入院サーベイランスあるいは死亡の状況を把握しておりますので、この 動向を見ながらその効果があったかどうかということは検証していきたいと考えておりま す。 ○北澤委員 その結果などについては、わかり次第この部会でも御報告いただけるのでしよ うか。 ○結核感染症課長 順次、報告をしたいと思います。 ○加藤部会長 これは新型ですので、まだはっきりとした結果は出ないと思いますが、いわ ゆる季節性のインフルエンザワクチンの効果につきましては、廣田先生が既に相対危険率と いうところからお述べになっておりまして、海外のデータまたは国内のデータもございます ので、その辺のところを廣田先生、ちょっと御紹介いただけますか。 ○廣田委員 そもそもインフルエンザワクチンというのは、ハイリスク者における重篤な合 併症や死亡を予防するというのが大きな目的になっております。そういう意味からは施設入 所の高齢者で死亡のリスクを0.2まで下げるというようなことが報告されております。  それから、今度の新型ワクチンの件でございますけれども、私どももこの調査については 計画しておりますが、例えば、小児の場合、接種の時期がずれてまいります。年明けに接種 がされることになります。そうすると、既に感染した人がかなり出てまいりますので、非接 種者にそもそもかかりにくい人がかなり入ってくるというようなことがありますので、これ は調査の上でデザインを組む際に、結構難しいことになろうとは思います。ちょうど季節性 インフルエンザワクチンの場合も、交差反応抗体を持っている人が過去の感染等でかなりい ますので、そういった人が非接種群に入っているという、これがインフルエンザワクチンの 有効性を見る場合に難しい問題でございます。そういう意味で、今度の新型ワクチンの効果 の検討についても、かなり腰を据えて取り組まないといけないと思っております。  以上です。 ○加藤部会長 ありがとうございました。北澤さん、よろしゅうございますか。  足立政務官、どうぞ。 ○足立大臣政務官 資料6にあるのですが、我が方で主要論点について打ち合わせをしたと きに、私の方から、これは例えば、BCG等については20年ぐらいかかって本当に効果が あるのかというようなことがありました。それから、天然痘のように撲滅できたものもあり ます。ですから、効果と有効性の評価も主要な論点の一つに加えてほしいと、まさに今、北 澤先生がおっしゃったことを私の方から以前は伝えていたのですが、やはりこの場であるい は参考人をお呼びになったり、臨時委員を加えたりして是非ともやるべきことだと私は思っ ております。 ○加藤部会長 ありがとうございます。  ほかにございますか。 ○飯沼委員 飯沼でございますが、私も今、北澤さんがおっしゃったのと同じページの「今 回のワクチン接種の目的は」の下が余り強調され過ぎますと問題だと思うのです。本当に論 文としてあるのかどうかということを、厚労省の某先生にあったら見せてほしいとお願いし ました。要するに、感染防止は余りできなくて重症化だけだということを強調し過ぎると国 民も不安になりますし、個人的にはウイルス側の性状の変化が主たる要因だと思っています ので、今回のウイルスに対して今回のワクチンがプリベンティブでないということを強調す るには、それだけのデータ、論文が必要ではないかということで依頼してあるのですけれど も、まだお返事をもらっていませんが、そういう論文があったら欲しいとは申し上げており ます。だから、これは余り強調し過ぎると問題があるのではないかと思っています。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  この件に関して、特に事務局から御意見ありませんか。私の判断では、まだこのワクチン は接種して間際でございますので、1年程度経ちませんと、その効果等は論文としては出に くいかなと思いますが。 ○飯沼委員 季節性でもいいんですよ。 ○加藤部会長 季節性の方は、先ほど廣田先生がお話しになったとおりで、廣田先生は難し くお話しされましたので要点を申し上げますと、季節性のインフルエンザはこういうことで ございます。頭の中に1,000人の方がいると仮定してください。その1,000人の方々がイン フルエンザワクチンを接種していなかった。これは高齢者の場合だと思いますが、インフル エンザにかかってしまったときに、死亡してしまったのが800人いましたということでご ざいますが、もしこの1,000人がインフルエンザワクチンを接種していたとすれば、死亡は 200人で済んだということでございます。次のイメージは、全くインフルエンザの予防接種 をせずにいた方が1,000人いましたと仮定します。その方々がすべてインフルエンザにかか ってしまったときに、肺炎等で入院する方々が1,000人になってしまうと想定してください。 もし、彼らがワクチン接種していたとすると、肺炎とうで入院しなくてはならないのは500 人、つまり50%で済みましたということでございます。それから、1,000人の方々がいて、 インフルエンザワクチンをしないでインフルエンザにかかった方が1,000人いたとします。 でも、その1,000人の方々が、もしインフルエンザのワクチンを接種していれば、インフル エンザにかからなかった方々が300人だということで、これは廣田先生が御発表になって おり、もうちょっと難しく書いてあるので私には読みにくいのですが、素人的に読むとそう いうことです。したがいまして、8・5・3という形で覚えておいていただくとわかりやす いかというふうに私はいつも講演しておりますが、季節性の話でよろしいということであれ ば、そういうことでございます。よろしゅうございますか。  ほかにございますか。 ○澁谷委員 澁谷です。今、現場の保健所などでは、どんなことが関心になっているかとい いますと、季節性インフルエンザの予防接種の中に、新型を一緒に打てるような形に今後つ くっていくのかどうか。もし、そうした場合に、例えば、高齢者のみを予防接種の二類とい う形にするのか、つまり、定期接種化をどの範囲でするのかということが非常に重要なポイ ントになるということです。データによれば、通常ですと今ぐらいには季節性のA型が流行 してくる時期ですが、今流行しているのはほとんど新型だというデータのようですけれども、 そうしますと、引き続きこのままずっと春・夏というふうに流行が続いていくということを 考えると、打つタイミングですよね。いつにするのかというタイミング、そして、ワクチン だと半年ぐらいで効果が切れてくるとすると、次の接種をどうするのかというようなところ を早急に決めていかないと困る、というようなことが今現場では話し合いをされています。 ○加藤部会長 どうもありがとうございます。まさに先ほど政務官がお話しになりましたと おり、そのようなことをこの委員会で取り決めていただきたいというのが政務官の御依頼で あろうかと思いますが、事務局いかがですか。 ○結核感染症課長 今の澁谷委員の御発言ですけれども、確かに、季節性のインフルエンザ につきましては、従来3種類のウイルス、A型が2種類とB型という3価でつくっているこ とが多かったわけでございますが、南半球についてWHOが今回の新型を入れた3価でつく るか、あるいは1価と2価で分けてつくるか。つまり新型とそれ以外の季節性のものと分け てつくるか、いずれかはその国で選ぶとしておりますけれども、北半球としてどういうこと を推奨してくるかはまだ決まっておりません。もちろん、3価でつくるのがいいのか、それ とも1価、2価で分けた方がよいのかという問題はございますし、これについてはやはり接 種のあり方といいますか、定期接種に入れることができるのかできないのか、あるいは接種 を受ける側からしたときに3価を望まれるのか、それとも単独のものを御希望されるのかと いうこともございますし、そういうことも踏まえて少し議論が必要だと考えております。も う一つは、ワクチンの供給量の問題もございますので、そういうことを総合的に勘案して決 めていかなければいけませんし、それぞれをどう位置付けるかという問題と関係してくるも のと理解しております。 ○澁谷委員 そうすると、例えば、WHOのリコメンデーションを待たなければそれが決め られないとか、あるいはそれは各国ごとで決めてもいいとか、そういうタイミングはどうで しょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 通常、北半球向けのワクチンの構成につい ては、2月にWHOがリコメンデーションを出すということでございますけれども、今まで はWHOのリコメンデーションに従って日本としてインフルエンザワクチンの準備を各メ ーカーにお願いしてきたということですので、今年どうするかというのは、まさに先生がお っしゃったように、今の段階で確定的には言いがたいんですけれども、今のH1N1の流行 が季節性と同じように一旦やむのか、やまないのかという話がありますし、通常のインフル エンザシーズンにはやる株が基本的にはH1N1なのか、それとも違うものが混ざるのかと いうところもありますので、今、福島課長からも申し上げましたように、そういうところも 見据えた上で、あとWHOのリコメンデーションもお聞きした上で、WHOとも議論させて いただいた方がいいと思いますが、決めていくということになると思います。けれども、メ ーカー側も準備が必要ですし、自治体側も体制の準備がありますから、早く我々の方も御相 談をしながら決めさせていただいてお知らせしたいと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございました。 ○櫻井委員 ちょっと法的なことでお伺いしたいと思いますが、資料に今回できた特別措置 法の内容の説明があるんですけれども、その中の「輸入企業との契約内容への対応」につい てお伺いしたいんですが、日本語がごたごたしているようなんですけれども、この場合の政 府が補償することを約する契約を締結するということなのですが、この基本的な考え方はど ういうものかということです。まず、それは損害賠償と構成するのか、あるいは損失補償と 構成するのかという点については、どう整理されているのかということ。これは要するに、 メーカーの方に本体的な責任があって、それを政府が補償しますよという言い方だろうと思 いますが、その法的な構成は国民に実質的には回ってくるという話になるのですが、第三者 のための契約と考えるのか、あるいは実質的にはメーカーに本体的な責任があって、それを 補充的に政府が補償すると考えるのかというようなことで、結構厳密な整理が難しいかなと いう気がしています。また、外国企業であるということなので、そこから何か特殊な規律が 国内メーカーの場合と比べてあるのかどうか。そういうことを踏まえまして、契約のひな形 みたいなものは当然お考えなのだと思いますけれども、そういう点については検討状況がど うなっていて、それはある程度出せるものであれば出していただきたいなと思いますが、そ の辺りはいかがですか。 ○加藤部会長 櫻井委員は輸入ワクチンに関してのお話ですか。 ○櫻井委員 そうです。 ○加藤部会長 これはどちらがお答えになりますか。 ○生活衛生課長 まず、法的な側面で特別措置法のことでお答えさせていただきたいと思い ます。  まず、この契約につきましては、基本的に海外メーカーが損害賠償をした場合に、その分 について政府の方で損失補償するといった内容でございます。損失補償ということでござい ます。  外国の企業ということで契約の内容でございますけれども、今回海外のワクチンを購入す るに当たりまして、メーカーに損害賠償が起きたときに政府が損失補償するという契約が購 入に当たっての条件になっておりました。こういった契約の内容につきましては日本だけで はなく、その他ヨーロッパ諸国におきましても、ワクチンを購入する際の統一的な契約の方 式であるといったようなことがございましたので、メーカーからの求めに応じて損失補償す るといった内容のものを行うことにしたわけでございます。  この場合に、わざわざ特別措置法という形でやりましたのは、財政法におきまして、損害 賠償がどれだけの規模になるかというのは事前にはわからないわけですので、そういったも のを担保する上では、あらかじめ予算でこの額を措置しますといった国会での議決なりが必 要でありますが、そういった中であらかじめ予算で損失補償すべき額を確定することはでき ないということでしたので、法律に基づいて契約を結ぶということとさせていただいたもの でございます。  それから、外国企業と国内企業の違いでございますが、国内企業につきましては、従来か ら承認を受けている季節性インフルエンザのワクチンにおいて株を変えただけものでござ いますので、基本的にこれまで使っていた承認の枠内でやっているということでしたので、 これまでと同じ契約の内容で行われたものですが、海外のものにつきましては、まだ国内で は臨床試験、使用経験がなかったものでございますので、外国で承認を受けたものについて 我が国で特例承認をしたワクチンについて、こういった契約を特例的に結ぶといったような 内容にしたものでございます。 ○血液対策課長 追加でございますけれども、契約につきまして私の方から御紹介かたがた、 先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  契約につきましては、今回パンデミックワクチンの購入契約ということで、大変逼迫した 状況の中での契約ということでございました。我が国だけでなく、他国も同様の契約を結ん でいると聞いております。ただ、契約の内容自体につきましては秘密条項になっておりまし て、それを公開することはまかりならんというような次第でございますので、その点につき ましては御理解いただきたいと思っております。  以上でございます。 ○加藤部会長 松岡課長、亀井課長からの御説明がございましたが、よろしゅうございます か。御疑問はあるとは思いますけれども。 ○櫻井委員 企業との関係で秘密なのは当然といいますか、契約の問題ですし、それから、 輸入の話ですので、なかなか通常のルールが使えないのは当たり前のことで、現物が入って くるということが大事であるということはそのとおりですが、政府としての基本的な考え方 がどうなのかというところを伺いたかったということです。  それから、結局メーカーに損害賠償責任があって、それから損失補償しますよという類型 の損失補償というのは、ほかに例があるのか。説明がつけばいいと思うんですけれども、政 策的な色彩の強いもので、お金に色はついていないので、広い意味での政策補償のように考 えていけばいいのかなとは思っております。 ○加藤部会長 ありがとうございました。ちょうど足立政務官がいなくなってしまいました ので、お答えできないと思いますので。  ほかに御質問ございましたら、どうぞ。 ○坂谷委員 坂谷でございます。特別措置法の説明で、国民だけでなく医療従事者にもわか りにくい点が一つございます。今回は、季節性インフルエンザと同程度の病原性であること から、臨時接種としても接種をせずに措置法で対応したんですが、もし来年、病原性が高く なりましたときに、それを新型インフルエンザと呼ぶのかどうかということですね。去年は 臨時接種にも至らなかったのに、今年は臨時接種にするということだと思いますけれども、 ほかのワクチンで定期接種あるいは臨時接種あるいはそれ以外ということで、年によって変 わるようなワクチンはないと理解しておりまして、特別措置法の説明の点線で囲ったところ、 「新型インフルエンザ(H1N1)」と書いてございますけれども、年によって病名を変える というところまではいきませんが、何か病名について工夫が要るのではなかろうかと感じま すが、いかがでございましょうか。 ○結核感染症課長 特別措置法でも単に新型インフルエンザと規定しておりませんで、条文 上は今回の新型インフルエンザ、4月に新型インフルエンザと宣言したものについての法律 ということになっております。新型インフルエンザも性格によってそれぞれだと思われます。 非常に強毒性のものが現れる場合もございましょうし、今回のようなものもございましょう し、そのものに応じて対応すべきだと考えておりますけれども、今回のものについては特別 措置法の中でも特定をしておりますので、今、先生御指摘のところは、別の新型インフルエ ンザが現れた場合は、別の特定ができるような形で対応を考える必要があると認識しており ます。 ○坂谷委員 ありがとうございます。「今回の」というところを強調すべきだと思います。 ○加藤部会長 いろいろと御意見をいただきました。今後の検討に当たりまして、これらの 点を踏まえまして、更に議論を進めていく必要があると存じますので、今後また議論をさせ ていただきたいと存じます。  続きまして、予防接種制度についてに話題を変えます。予防接種制度の現状等につきまし て、事務局から御説明をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、お手元の資料5をごらんいただ きたいと思います。「予防接種制度について」でございます。  資料はいろいろございますけれども、一番わかりやすいのは2枚目の下の表だと思います。 ちょっと込み入っていますが、少し御説明させていただきます。  「予防接種法の現行体系について」と書いてございますけれども、予防接種法上、現行で はまず病気を2つに分けております。一類疾病と二類疾病です。必ずしも正確ではない面も ありますけれども、大きく言えば一類疾病は基本的には社会防衛的な色彩があるもの。二類 疾病については個人防衛の色合いが強いものということになっております。これは縦の2つ の一部でございます。  それから、横に見ますと、定期接種と臨時接種がございます。定期接種は毎年定常的に行 っていくものでございまして、臨時接種は一類または二類のうちで厚生労働大臣が定める、 あるとき急にはやって、急にやらなければいけないというようなものを想定しております。 後でも御説明申し上げますが、それぞれに中身の規定等々が変わっておりまして、1つは、 接種を受ける努力規定があるかどうかということですが、定期については一類はあるけれど も、二類はないということになります。臨時接種については、あるということになります。  もう一つは、救済に係る給付の額でございますけれども、一類、臨時については約4,300 万円ということになっておりますが、二類については遺族一時金ということで700万円、 生計維持の場合には10年間にわたり遺族年金が毎年240万円と、ちょっと異なったやり方 になっております。  それから、費用の負担関係ですけれども、接種に係る費用はどうなっているかというと、 基本的には定期接種の場合には市町村が支弁することになっておりまして、これを実費徴収 を接種を受ける本人からしていただくことができるとなっております。ただし、先ほどもち ょっと申し上げました、市町村民税非課税のような低所得者については全額公費負担という ことです。  それから、救済給付に係る費用負担については、2分の1が国で、都道府県、市町村がそ れぞれ4分の1ずつということになっています。  臨時接種でございますけれども、接種費用は公費負担で、都道府県が実施した場合は国、 都道府県が2分の1ずつ、市町村が実施した場合には国、都道府県、市町村で3分の1ずつ。 それから、救済給付に係る費用については、国が2分の1、都道府県4分の1、市町村4分 の1と込み入っていますけれども、努力の義務がどうなっているか、実施主体がどうなって いるか、それぞれの性格がどうであるかということによって、少し違った色合いになってい るということになろうかと思います。  3ページは、予防接種ができて以来の主な改正と対象疾病の変遷を示しています。昭和 23年に制定されまして、勿論当時は例えば腸チフスですとか、いわば途上国型の疾病が多 くてそれが対象になっていたわけですけれども、昭和51年に改正されまして、いろいろ対 象疾患が入れ変わったということになります。平成6年には例えば、インフルエンザが除外 されたということですが、平成13年の改正時に一類疾病、二類疾病を分けた上で、インフ ルエンザは高齢者限定ですけれども、再度対象となったということでございます。それから、 平成18年改正のときには結核予防法が吸収されまして、結核予防の接種については予防接 種法の中に入ったということと、法律自体ではありませんけれども、痘そうが政令で加えら れることになったというような大きな変遷がございます。  もう少し細かく見てみますと、昭和23年にはかなりの疾病が入った上で、これは罰則つ きの義務規定が入っているということです。それから、昭和40年にかけては対象疾病の見 直しで、しょう紅熱を削除したり、ポリオを追加したりということで、さまざまな流行の抑 制に大きく貢献しています。  昭和45年に閣議了解で救済制度が始まっております。昭和51年には法的な救済制度を 創設しています。このときに対象疾病として腸チフス、パラチフス、発疹チフス、ペストを 除外して、逆に、風しん、麻しん、日本脳炎を追加しています。それから、必要に応じて政 令で対象疾病を加えられるということにいたしました。このときに接種については義務規定 は残すものの罰則は廃止したということでございます。  次に、平成6年の改定で、インフルエンザを除外したということでございます。そのほか 痘そう、コレラ、ワイル病も同時に除外し、破傷風を追加しました。それから、先ほど残っ ていた義務規定というものを努力規定に変えております。  次に、平成13年の改正ですけれども、これは高齢者のインフルエンザについて再度対象 としたということと、そのときに一類疾病、二類疾病に分けたということ。それから、平成 18年のときに結核を追加したという経過になっております。  5ページ下の表が非常に字が小さくて大変申し訳ないのですが、これはWHO(世界保健 機関)が推奨しているワクチンと日本で行われているワクチンの比較でございます。左側が WHOの推奨でございまして、一番左にワクチンの名前を書いております。次の3つが対象 の年齢層でして、子ども、思春期、成人となっております。一番右が日本でございますが、 「○」というのは日本で法定接種になっているもの、「×」はなっていないものです。  黒で幾つかのグループに分かれていますが、一番上の8つのワクチン群はすべての地域に ついてやりなさいということでWHOが推奨しています。次の3つは限定された地域、おそ らくは流行している地域ということで、例えば、熱帯地域の黄熱病などがありますけれども、 そういう地域性のあるものをやりなさいと。下の5つは、危険性の高い集団についてやりな さいと。最後の3つが、国ごとに予防接種計画があるのであればやりなさいと、それぞれ異 なっております。  一番右の日本との関係を見ていただくと、おそらく熱帯地方だけにはやっているものは日 本でやる必要はないということになると思いますが、議論になり得るのは、例えば一番上の すべての地域でやりなさいと言われているものを日本でやっていない場合、Hibというイ ンフルエンザ菌B、B型肝炎、それから、HPV、これは子宮頸がんにつながるヒトパピロ ーマウイルスです。それから、肺炎球菌の問題もあります。それから、可能性があるのは次 のグループの中のロタウイルス、小児の下痢等を起こします。それから、一番下のおたふく 風邪等が可能性があるとは思います。この辺のところも後で御説明したいと思います。  「予防接種により健康被害が生じた場合の対応のあり方」ということで、これは私どもの 方からも随時申し上げておりますけれども、薬の場合もそうですが、予防接種の場合には副 反応ということで、一定の確率で過失がない場合でも何らかの副反応が起こる可能性がある ということですので、そういう場合の特別な配慮としての救済というのは、やはり不可欠で はないかということでございます。  それでは、どのような制度があるのかということですけれども、予防接種法には先ほど申 し上げたように、昭和51年の改正で法定に救済制度が導入されました。参考で書いてあり ますのは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAと言っておりますけれども、そ こで特に、法定接種ではない任意のワクチン接種に係るような場合に、またPL的なものと して補助制度がございますということです。  給付の内容は細かくは申し上げませんが、医療費に係るようなもの、障害に係るようなも の、死亡に係るようなものという3つのグループがあろうかと思います。具体的な給付額、 一類・二類で特に死亡に係るような支払いの仕方が違うという問題もありますし、それから、 救済の流れが書いてありますけれども、少し煩雑ですのでここは省略させていただきます。  どのような場合に救済されるのかというところが予防接種法による救済、PMDA法によ る救済、今般の特別措置法による救済と違うと思いますが、法定接種である場合には予防接 種法による救済ということになろうと思いますし、この場合には適正目的・適正使用である 場合も何らかの過誤による場合も双方対象になるということですが、任意接種による場合に は、PMDA法に基づいて適正目的・適正使用の場合のみ救済されるということで、それ以 外の場合には救済の対象にならないということでございます。今般の特措法は予防接種法の 救済に準じて定められているということでございます。  給付件数でございますが、上が実際の申請件数と認定件数、認定割合で、ほぼ8割前後救 済されていると。下が内訳でございますけれども、多くは医療費・医療手当だということに なろうかと思います。  損害賠償責任等々の関係でございますが、まず10ページの下のところ、ちょっと長くて 恐縮ですけれども、これは平成6年に健康局が出した通知でございますが、下から5行目に 下線が引いてありますが、これは医師の責任について言及しているものでございます。医師 については、健康被害について賠償責任が生じた場合であっても、その責任は市町村・都道 府県または国が負うと。当該医師は、故意や重大な過失がない限り責任を問われるものでは ないということで、故意や重大な過失があった場合にはおそらく予防接種法で一旦救済した 上で、求償という形で再度求めるということになろうかと思いますが、上のところに国、都 道府県、市町村と医師等の責任関係を文章で整理しております。企業も勿論、任意接種等の 場合を中心にPL法に基づく請求の対象ということはあろうかと思います。  次に、接種費用の負担関係でございます。先ほど申し上げたところで、接種費用は基本的 には市町村の支弁で実費徴収ができる規定になっていて、そのうち低所得者については公費 で払うことになっているということを申し上げました。  それでは、日本以外の諸外国はどうなっているかということですが、調べられた範囲がイ ンフルエンザに係るものだけですので、後ほど広い範囲についても調べたいと思っておりま すけれども、12ページにアメリカ、イギリス、フランス、ドイツの例がございます。真ん 中が通常の季節性のインフルエンザに係る自己負担がどうなっているか。右側が今回の H1N1の新型インフルエンザに係るところがどうなっているのかということでございます。  幾つか論点があろうかと思いますけれども、アメリカの場合はメディケイド、メディケア という公的保険と民間保険に分かれているという特殊性がありますが、季節性の場合には多 くの場合、特に高齢者、60歳以上で切るか65歳以上で切るかはいろいろありますけれども、 無料の場合が多いと。それから、例えば、基礎疾患を有する者が入っていたり、医療関係者 が入っていたりということが国によって違いますと。フランスの場合にはワクチン代は無料 だけれども、接種費用は一定の自己負担があるというような形になっております。例えば、 フランス、ドイツですと、日本で言う健康保険ということだと思いますが、疾病金庫が支払 いを行うということになっております。  一番右の新型インフルエンザについては、通常の季節性インフルエンザ以上に無料になっ ている場合が多いということで、例えば、フランスでは接種費用も無料になっていますし、 ドイツでは受ける人すべてが無料となっているように見受けられますので、通常の季節性よ りも無料の範囲が広いということになろうかと思いますが、ワクチンの場合インフルエンザ ワクチンに限らず健康人に打つというところがありますから、健康人に打つ場合に費用負担 をどう考えたらいいのか。特に接種率をきちんと確保していく上では、どうしたらいいのか というのが今後の論点になろうかと思います。  それから、13ページからはインターネットを中心に調べましたので少し漏れがあるかも しれませんが、英語圏のものだけ少し例を挙げさせていただきました。米国、カナダ、英国、 オーストラリアにおけるワクチン接種に係る検討組織がどうなっているかということでご ざいます。  まず、米国ですが、有名なACIP(Advisory Committee on Immunization  Practices)というもので、これはDHHS(保健・社会福祉省)から委嘱を受けて、DHHS とCDC(疾病管理・予防センター)に助言と提言を行うということで、本メンバーという のが投票権を有する15名、委員会構成が書いてありますけれども、これは主として専門家、 ワクチンを受ける側の立場の方等が入っております。それから、8名の行政担当者、25名 の学会等の方、それから、ワクチンをつくる側の方がメンバーになっていて、都合48名と いうことになっております。  カナダにおいてはNACI(National Advisory Committee on Immunization)とい うのがありまして、これも下にメンバーが書いてありますが、投票権を有する12人のメン バー、主には専門家、地域代表、そのほかに7名の行政担当と11名の協力機関等々の方と いうことですけれども、カナダ、オーストラリアの特徴はそういう科学的な助言をする NACIというもののほかに、CIC(Canadian Immunization Committee)が費用対効 果、連邦・州の間の調整というような実務に係る話はこちらでやっているということで、若 干2つに分かれているところでございます。  イギリスも予防接種に関する合同委員会というものがありまして、ここはワクチンプログ ラムに関する勧告を行って、16名の委員を保健大臣が任命するということになっておりま す。  オーストラリアは先ほどちょっと申し上げましたが、ATAGI(Australian Technical  Advisory Group on Immunization)という科学的な、委員長及び13人のメンバーに なっておりますけれども、専門家、消費者代表等々が入っております。そのほかに、NIC (National Immunization Committee)というもの、これは実施やプログラムの策定、 調整を行うということで、カナダに似た形になっております。  いずれにしましても、こうした組織をつくる場合には、組織の形だけではなくて、権能な り実際に行っていただく上でのさまざまな支援体制をどうするかということも議論になる と思います。  最後に「ワクチンの確保のあり方について」でございます。細かい表で恐縮ですけれども、 各メーカーがどのワクチンをつくっているかというのを今年4月現在の段階で調べたもの でございます。上の4つか5つにかなり集中しているというのがわかるかと思います。  16ページは、日本国内のワクチンの年間の生産額がどう変化してきたかというものが上 のグラフです。1995年と1997年を比べますと2倍以上になっていますが、大きな原因が 黒いところですが、インフルエンザワクチンの生産だということがおわかりいただけるかと 思います。  そのインフルエンザワクチンの製造量の推移ですが、下のグラフをごらんいただきますと、 昭和60〜62年ぐらいまではある程度あったんですが、その後、非常に少なくなってきまし て、平成6年に先ほど申し上げましたが、インフルエンザを法定接種の対象から除外したと いうところで、ほとんどないというような状況になりましたが、その後、少しずつ増えてき まして、特に高齢者のインフルエンザによる死亡等々が問題になってきて、対象疾病に加え た平成13年等を契機に、またどんどん増えてきているということでございます。特にこれ に加えて、今年は新型インフルエンザの市場もありますので、ある意味でいうと日本のワク チン市場の中でインフルエンザ関係が占めるウエートというのが非常に大きいということ になろうかと思います。  先ほどワクチンギャップという話が政務官からもございましたが、どういうワクチンがど の年限で日本なり米国で導入されたかということを示しております。ちょっと見にくいので すが、日本をごらんいただきますと、1985年にB型肝炎を入れましたが、米国は1982年 ですので3年遅れています。1988年に肺炎球菌ワクチン、米国は1977年ということで11 年。MMRは1988年と1971年ですので17年です。例えば、2007年にHib、これはイ ンフルエンザ菌の方ですけれども、これは米国は1987年に入れていますので20年遅いと いうことになります。米国の方では1987年にHibのワクチンが既に入っていますし、ポ リオについては日本は今でも経口の生ワクチンですが、米国では注射をする不活化ワクチン (IPV)が既に1987年に入っております。それから、米国では2000年に小児用の肺炎 球菌の7価ワクチンが入っています。今回の新型インフルエンザでもアメリカではありまし たけれども、鼻から入れる粘膜型のインフルエンザワクチン、生ワクチンが2003年に入っ ています。そのほか2006年にロタウイルスワクチン、子宮頸がんと関係のあるヒトパピロ ーマウイルスのHPVワクチンというものが既に入っているということで、ある意味でいう と日本のワクチン導入は少し遅れている現状にあろうかと思います。  それから、ワクチン市場の規模でございますけれども、全世界で6,600億円。勿論先進国、 途上国等々いろいろありますけれども、途上国は特に熱帯系の疾患でワクチンを多く使うと いう場合もあろうかと思います。日本と米国は600億円と1,650億円ですので、3倍もい っていないということで、人口比から考えると、もしくは医薬品市場の規模から考えると、 それほどワクチンが特に日本で少ないというわけではないように見えますけれども、一般の 医薬品については日本と米国で研究開発費は約3倍ですので、医薬品の市場規模なり人口規 模から考えて、それほど差はないということですが、ワクチンに係る研究開発費については 10倍以上になっていますので、ある意味でいいますと新型のワクチンを開発していく力と いうのが、日本に比べて米国の方が進んでいるという現状にあろうかと思います。  先ほどの附帯決議等々にもありました、細胞培養法等の話が載っておりますけれども、こ れは御承知のように今、インフルエンザワクチンは有精卵でつくっておりますが、もう少し 早く大量につくるためには、細胞培養法という形でつくる必要があるのではないかというこ とで、補正予算案で対応させていただこうと思っております。  こういうことを踏まえまして、資料6をごらんいただきたいと思いますが、先ほど新型イ ンフルエンザ関係は申し上げましたので、「議論が必要と考えられる事項」をこれから御説 明申し上げます。  まずは、先ほど申し上げしたような水痘やインフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌など、 今、予防接種法の接種対象になっていないワクチン、しかしながらWHOも推奨しているし、 かなり多くの先進国では既に実施されているような接種をどう考えていくのかということ があろうかと思います。  それから、健康被害の救済、昭和51年に法定化されましたけれども、国、ワクチンメー カー、医療機関、医師等の責任関係をどう考えていくのかということも議論になろうかと思 います。国会の附帯決議もございます。  それから、接種費用の負担のあり方は先ほども申し上げましたけれども、日本の場合、定 期接種になりますと基本的には市町村支弁で、実費徴収できるということになっていますけ れども、健康人に打つワクチンということで実費徴収というものをどう考えるのか。接種率 を上げていくためにはどうしたらいいのかということを考える必要があろうかと思います。  最後から2番目は、先ほど足立政務官からありましたけれども、やはり予防接種に関する 評価・検討組織のあり方というものもあると思います。評価の仕方といいますのは、北澤委 員からもあったかもしれませんが、ワクチンの場合、医薬品と承認されるもしくは当初接種 する場合には、多くの場合抗体価の上昇で見ておりますが、それが本当に例えば、死亡なり 重症化を予防しているのかをきちんと科学的に評価すべきではないかということがありま すし、そのための検討組織をどう考えていくのかということもございます。  最後はワクチンの確保ということで、研究開発、日本がもし遅れているのであれば、それ を進めるためにはどうしたらいいのか。それから、一定量の生産基盤がないと、例えば短期 間に必要なワクチンを国内でどうしても用意しなければいけないというときに間に合いま せんので、その生産規模の確保をどうしたらいいのか。少しオープンクエスチョンばかりで 申し訳ありませんが、このようなところが議論が必要と考える事項ではないかと思っており ます。  以上でございます。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  ただいま予防接種制度全般にわたるお話と、今後議論が必要と思われる事項について御説 明がございましたが、この件に関しまして委員の方々から御意見・御質問がございましたら、 どうぞ。 ○岩本委員 質問を含めて3点ほどあるんですが、1つ目は、臨時接種について確認をさせ ていただきたいんですが、現在、臨時接種対象疾患はないということですね。主に臨時接種 は、例えば、痘そうが万が一テロで使われたりとか、そういうときの法律であって、今回の 新型インフルエンザは臨時接種にならなかったので、対象疾患はないということでよろしい でしょうか。 ○結核感染症課長 法律上は、一類疾病及び二類疾病のいずれかが臨時接種の対象になりま すが、現実的には一類の政令で定めております天然痘、痘そうと、多分強毒性の新型が出た 場合はそれも可能性があると思いますけれども、現実的には今のところないということです。 ○岩本委員 あと2点よろしいでしょうか。両方中・長期的な問題を含むと思うんですが、 1点は、予防接種法にどういう疾患を組み入れていくかということは非常に大事な議論だと 思いますけれども、法律以外にいわゆる任意接種としてまとめられているワクチンがあるわ けで、国民の健康を守るためには、ワクチンが使える疾患としてこういうものがあって推奨 されるんだけれども、法律ではこのうちのこれを規定してより公費負担をするとか、あるい は補償をきちんとするとか、どこかの組織なり何らかが国民にわかりやすくワクチンで守れ る病気全体を示して、その中で法律に規定されるようなものも予防接種法として議論してい ただくという、少し広い議論をしていただきたいなという点。  もう一点は、承認の問題と被害救済の問題が出ているんですが、不服申請の問題も非常に 大事な点だと思っておりまして、現在はおそらく救済が外れたときの不服申請がある場合、 裁判の方にいって全然別系統になるようなところは、ある意味少し時間がかかっても国民的 な議論で、本来健康を守るためのワクチンが国の委員会でこれはワクチン被害ではないと認 定されたものに対して不服が出た場合に、それをどういうふうに扱うのかということも、ワ クチン行政の中での大変重要な議論ではないかと。裁判制度そのものが裁判員が入って、か なり様子が変わってきたというのもあると思いますので、その辺ワクチンによる障害という のは、特に高齢者に対するインフルエンザワクチン等が出てきますと、いろいろな状況が起 こってくると思いますので、不服は全部裁判で扱うのかといったような点も大きな議論が必 要だと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございました。岩本委員の2点目、3点目の件に関しましては、 当然この委員会で話し合いがなされて議論がなされ、最終的な結論にまで持っていくという ことが足立政務官のまさに要求されているところと考えますので、今日はその辺のところも 各委員十分頭の中に入れていただきまして、今後の論点としていただきたいと存じます。  ほかに御意見ございますか。 ○岡部委員 1つは「議論が必要と考えられる事項」についての意見というか、お願いです が、現在幾つかの予防接種の対象となっている疾患あるいは対象となっていない疾患を含め て、現在その病気がどういう状況にあるのか、あるいはワクチンが導入されたときにどうい う疫学上の変化が起きているか、これを知るのは非常に指標として重要ですが、現在実際に は、それが感染症法の中の対象疾病に規定されないために、なかなかディジーズ・バードン があらかじめ浮かんでこない。あるいは導入しようとしたものに対して、その効果が評価で きない状態にあります。ですから、これは予防接種に関する部会がようやくできて、そこで 検討できるようになったんですけれども、感染症分科会の中ですから当然そうなるのだとは 思いますが、感染症法とのリンケージでそこのディジーズ・バードンをとっていくというこ とを是非考慮していただければというお願いが1つです。  もう一つは質問ですが、海外での幾つかの仕組みも紹介していただいて、日本との背景 等々も違うと思うのですが、この中で米国、カナダ、あるいは英国、フランス、オーストラ リアが提示されていますが、そこの事務局はどこが担当しているのか、あるいは先ほど支援 体制というものもありましたけれども、そこの予算はどこが出しているのかといったことが もしおわかりでしたら、教えていただきたいと思います。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 最後の点でございますけれども、申し訳あ りません、現段階ではインターネットから引いただけの情報ですので、具体的に支援の体制 を検討する際に、どのような人員なり予算になっているのかということも含めて御提示した いと思います。 ○加藤部会長 ほかにございますか。 ○澁谷委員 この検討する項目のほかに、健康被害の総括的なリサーチといいますか、経年 的なものが必要ではないかと思います。そういうことを国がきちんとする必要があるのでは ないかと思います。それは、BCGの骨髄炎を経験いたしました時、なかなかこれ自身は稀 なものですから、本当にあるのだろうかといろいろ調べたら、何人かの先生はペーパーを出 していらっしゃるのですが、では、国として例えば、この10年間にBCGの制度が変わっ てから増えたのか減ったのか、というコメントは出ていないと思うのです。増えたらしいと いうのは、それらの文献を見ていたら報告例が増えたなと思ったからです。それは勿論、P CRとか検査ができるようになってきたので報告例が増えてきたのかな、というところもあ るのですけれども、そういう評価も含めて、被害を経年的に長いスパンでちゃんと見て、そ れをきちんと把握して国民に知らせるという機能を持つところをどこか決めないといけな いと思うんですね。そういうことも検討事項に挙げていただけたらと思います。 ○加藤部会長 どうもありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○廣田委員 事務局の最後の説明で、予防接種に関する評価というお話が出ましたし、また 冒頭、北澤委員からも出たんですけれども、評価をきちんとするというのは勿論でございま すが、それ以前の問題として、予防接種の有効性に関する論文をきちんと読みこなす研究者、 あるいはいろいろなスタディの質を見極める力を持った研究者が圧倒的に不足しているわ けで、例えば、とんでもない研究が学会で発表されて、それを座長が絶賛するというような ことも実際にやっているわけでございます。その意味から、評価する分野での研究者を育て る、研究体制を強化するということをお願いしたいと思います。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  評価につきましては、抗体価だけの測定でよろしいかどうかということがありましたが、 あくまでも予防でございますので、日本は非常に近代国家になっておりますので、いわゆる 病気そのものが今回のインフルエンザは特別として、水痘等ははやっておりますけれども、 流行していない疾患についての評価というのは非常に難しいわけでございます。しかし、か つて百日咳ワクチンを一時中止したときに百日咳で約5年間に150名亡くなったという事 実もございまして、ワクチンをやめればその効果が評価されるという変な現象が起きており まして、流行している病気に関しては評価はできますが、流行していない病気に対するワク チンの評価というものは非常に難しいと私は考えております。  ほかに御意見ございますか。 ○今村委員 公費負担等にも関係するかもわかりませんけれども、結局ワクチンの中にヒト パピローマウイルスのように基本的に感染症とはいえ、これは少し目的が違うような気がす るんですね。こういうワクチンすべてを一元的に論じる前に、公費負担等について考え、こ れをどういうふうに持っていくか、いわゆる国が責任を持って個人の責任として考えられる ものもするのかどうかという問題などについて、まず根本的なところとしてワクチンの目的 もある程度議論する必要があると思います。特にヒトパピローマウイルスが典型的なものだ と思いますけれども、今後いろいろなワクチンが、最終的には治療や疾患予防などそういう 形のものが増えてくる中で、一元的にワクチン全体を論じるよりも、まず、その辺りも基本 的にはきちんと分けておいた方がいいような気がいたします。 ○加藤部会長 ありがとうございます。  そもそも論として、予防接種の目的というところから入りたいという御意見でございます ね。  ほかにございますか。 ○宮崎委員 先ほど事務局から議論が必要とされる事項の説明がありましたが、これはある 意味では、加藤先生が座長を続けられていた予防接種に関する検討会あるいは倉田先生が座 長をされたワクチン産業ビジョン推進委員会で相当議論してきたことなんですね。しかし、 議論はしたけれども、そこからなかなか進まないというところに非常に現場のもどかしさが あったわけですが、この委員会はそれをブレークスルーできる力を持ち得ると期待してよろ しいのでしょうか。  もう一つ。20年間諸外国と比べてワクチン接種に関する状況が動かなかったことについ て、国はどのように総括しておられるか。初めての会ですので、お聞きしたいと思います。 ○加藤部会長 これは国と申しますと、局長さんが今この中で一番。 ○健康局長 実は私自身も20年以上ワクチンの問題を担当しておりまして、生物製剤課と いうところにもおりまして、ワクチン問題は非常に関心を持ってきておりました。確かに 我々の政策は揺れたところはあるのだろうと思います。その典型が平成6年と平成13年の インフルエンザの問題、これも然りなんですが、その一方で、先ほど事務局からもお話し申 し上げましたけれども、国民のワクチンに対する理解とあわせて、我々も努力が足りなかっ たということがあろうと思います。ですから、今回はそういう点を十分議論していただいて、 我々としては法律の附則にもございますように、不退転の気持ちで今回の大改正に取り組ん でいきたいと、このように考えているところでございます。 ○宮崎委員 ありがとうございます。 ○加藤部会長 今日も足立政務官が直々にお出ででお話しになりましたし、これは厚生労働 大臣のもとにつくられている部会でございますから、従来の検討会と違いまして、より力強 い会であると私自身はとらえています。  ほかに御意見ございますか。 ○倉田委員 資料6にあります「議論が必要と考えられる事項」ですが、日本でも承認に関 する審査、そのほかにもいい施設がだんだんできつつありますから、それはそれとして、こ こに掲げてあるようなことを議論する行政の中に例えば、委員を30名、審査を担当する部 局とは全然別に予防接種部というようなものがあって、専任の詳しい技官も法律家もいると、 もっと対応が違ってくるかなと。そういうものをつくって強力な体制が必要ではないかと思 うんですが、かつて感染症研究所にWHOの視察があったときに、これはどこだ、これはど こだと、あちこち動き回るというようなことで日本の組織的体制が十分にできてはいないこ とに関して文句を言われたということもありまして、今の審査と違う部分のこの問題をきち んと把握しているところがバラバラではなくて1か所に、米国は400人いますけれども、 イギリスは小さな6,000万人の国で30人専任がいますから、日本だとその倍ぐらいいても いいと思うんですけれども、そういうようなことをきちんと常時把握しているところがない と、やはり今後の予防接種の今挙がっているいろいろな問題に対応するためには、体制をつ くるべき時期に来ているのではないかと思います。そういう点も議論したらいかがかと思い ます。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  いろいろと御意見をいただきましたので、今後の検討に当たりましては、これらの点を踏 まえまして進めていく必要があると存じます。 ○櫻井委員 1点よろしいでしょうか。資料6の「議論が必要と考えられる事項」の2つ目 の「○」と4つ目の「○」にかかわるのかと思いますが、先ほど岩本先生がおっしゃったこ とと関連しますけれども、予防接種によって健康被害が生じた場合の対応のあり方としまし て、被害救済の手続に関して項目として是非1つ入れていただきたいと思っております。現 在、行政不服審査法について根本的に考え直すという方向になっておりまして、予防接種の 方で個別的に事案に応じて、おそらく認定をどのように争わせるかという問題になるかと思 いますが、いきなり裁判所に行っても大ごとになってしまうということと、必ずしも専門性 が担保されているのかという問題もあるので、それをある種行政の中でフィードバックでき るような第三者性を持った手続があって、救済できるものは救済するというようなことがあ るとないとでは大違いかなと思われますので、その点についても、検討項目に入れていただ きたいと思います。  以上です。 ○加藤部会長 ありがとうございました。非常に大切な御意見だと存じます。  いろいろ御意見おありかと思いますけれども、これらすべてを踏まえまして今後検討いた してまいりますので、その都度御意見がおありの委員はお述べください。特に、資料6の主 要論点の案につきましては、大体意見を踏まえて見直しを行わせていただくことになってお ります。  また、次の部会におきましては、まずは新型インフルエンザの位置付けや緊急時のワクチ ンの確保体制のあり方などという喫緊の課題について議論を行おうと考えております。  また、予防接種全般に関していただきました御意見等につきましては、本日各委員からい ただきました宿題等も含め、更に今後、十分な議論を進めさせていただきたいと存じます。  続きまして、日本脳炎の小委員会の設置についてに話題を移します。日本脳炎の小委員会 の設置につきまして、事務局から御説明願います。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料7をごらんください。先ほど本部会の 運営細則で小委員会を設置することができる等々定めていただきましたけれども、それに関 係するものとして、日本脳炎に関する個別検討事項がありますので、小委員会の設置をお願 いできればということで案のペーパーを出しております。  趣旨につきましては、日本脳炎ワクチンについてはADEM(急性散在性脳脊髄炎)が出 たということから、平成17年5月以降、積極的な勧奨というのは差し控えてきたところで ございますが、本年2月に新しい乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが承認されたということと、 6月に関係省令の改正を行いましたので、第1期の定期予防接種ワクチンとして使用可能な ものとなっております。したがいまして、このワクチンの勧奨、それから、差し控えていた 時期についてのキャッチアップの問題等々について御議論をいただきたいということで、日 本脳炎に関する小委員会をこの部会の下に設けさせていただければと思います。  具体的には「2 検討事項」に書いてありますけれども、次のシーズン、来年の夏から秋 ということになりますが、ここでの接種、特に勧奨接種をどうするのか、今受けておられな い方の経過措置をどうするか等々の検討を行っていただくということで、結果はこちらの部 会に上がってくるということで、公開で来年1月を目途に第1回を開催させていただければ と思っております。  本部会のメンバーでもあられます6名の先生方、飯沼委員、岩本委員、岡部委員、加藤委 員、廣田委員、宮崎委員に小委員会に入っていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○加藤部会長 ありがとうございました。  ただいまの事務局からの御説明に対しまして、御質問等ございましたら、お受けいたしま す。 ○澁谷委員 是非これは90か月を超えてしまった子どもたちの経過措置をできるようにお 願いしたいと思います。 ○加藤部会長 それは十分にこの委員会で議論がなされると思われます。  ほかに御質問ございますか。では、この日本脳炎の小委員会設置についてお認めいただけ たと考えますが、よろしゅうございますか。反対の方の挙手をお願いします。 (挙手なし) ○加藤部会長 挙手ございませんので、お認めいただいたと考えます。  それでは、ただいま事務局からお話しになったとおりに進行させていただき、小委員会で の検討に当たっては、先ほどいただいた意見に留意しながら進めていきたいと存じます。  準備いたしました議題はこれですべて完了でございます。そのほか事務局から何かござい ましたら、よろしくお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回についてでございますが、来年1月 15日、午後2時からを予定しております。先生方の御都合を伺いながら、また調整させて いただきますが、場所等はまた後ほど御連絡を申し上げます。よろしくお願いいたします。 ○加藤部会長 ありがとうございました。 ○黒岩委員 よろしいでしょうか。しゃべるタイミングを逸していまして申し訳ありません。  こういう予防接種制度を正しいものにしていくために一番大事なことは、さっき局長のお 話にもありましたけれども、国民の理解を得るということが一番大事だと私は思います。日 本が不幸なワクチン後進国になってきたという現状の中において、反省すべき点はきっちり 反省しなければいけない。その中で私は、メディアの役割をしっかりと踏まえなければいけ ないなとつくづく思っております。一つの副作用における死亡事故でもあったときに、過剰 に大騒ぎして危険性ばかりをアピールすることによって結局、ワクチン行政というものをゆ がめてきてしまったのではないかという、メディアも反省に立たなければいけないなと強く 思っております。この轍を踏まないようにするためにどうすればいいかということを我々は 真剣に考えるべきだと思います。  なぜメディアがある種、局所的なことを大きく大きく過大に取り上げてゆがめてしまった のかは、メディアの勉強不足だという御指摘も当然あると思いますが、そこは謙虚に反省し なければいけないと思います。しかし、メディア側の立場からするならば、そういうことを 繰り返さないために一番大事なことは徹底した情報公開、誰でも、いつでも、どこでもアク セスできて、みんなが検証可能になるような透明性を確保してもらわなければ、メディアの 記者は一つ一つの事例の専門家ではありませんから、わかりません。一つの副作用の事例が 起きたときにすぐにアクセスできて、それがどれくらいの分母の中で起きた出来事なのか、 それはよくあることなのか、ないことなのかということを瞬時にみんなが確認できるような 体制がどうしても必要だなと思います。  その上で、きちんとした免責制度というものも必要かなと思っています。メディアという のは、とかく一つの死亡事故、悲しい出来事があると、遺族のところにカメラが行って、泣 き叫ぶ母親の表情などを取り上げると、これはとんでもないことをやったんだな、誰がやっ たんだと、これは国が悪いのか、医者が悪いのかという犯人捜しに一気に行くというところ がどうしてもあります。そういうことを防ぐためにも、やはりきちんとした情報公開を徹底 させると同時に、担当した人たちの免責を保証してあげるということがなければ、正しい新 しいみんなが信頼できる予防接種体制はでき上がってこないと思います。  そういう意味で、情報公開、透明性の確保ということをどこまでやるのかといったことも 是非、この場で議論していきたいと思っています。 ○加藤部会長 ありがとうございました。委員長がまさに言いたいことを言っていただきま して、誠にありがとうございました。  ほかにございますか。もう時間がございませんので、簡単にどうぞ。 ○岡部委員 非常にいい意見を言っていただいたのですが、そのベースになるのがサーベイ ランスの強化であるということを是非、一言付け加えたいと思いますので、よろしくお願い します。 ○加藤部会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。  それでは、本日は閉会でございます。どうも御協力ありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課(03−5253−1111 内線:2077)