09/12/24 平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年12月24日(木) 9:30〜   航空会館702+703会議室 2.出席委員(16名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 稲 田 英 一、 大 戸   斉、    大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 佐 川 公 矯、    嶋   緑 倫、 高 橋 孝 喜、 幕 内 雅 敏、 三 谷 絹 子、    三 村 優美子、 宮 村 達 男、 山 口 一 成    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人5名   欠席委員(6名)五十音順    朝 倉 正 博、○大 石 了 三、 中 村 雅 美、 花 井 十 伍、    山 口 照 英、 吉 澤 浩 司     3.行政機関出席者    高 井 康 行(医薬食品局長)、    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    亀 井 美登里(血液対策課長)、    光 岡 俊 成(血液対策企画官)、他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 ただ今から「平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」 を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととしておりますので、よろしくお願いい たします。山口照英委員から、所用により遅れるとの御連絡をいただいております。また、 朝倉委員、大石委員、中村委員、花井委員、吉澤委員から、それぞれ御欠席との御連絡を いただいております。また、小幡委員が少し遅れているようですが、委員22名中現在の ところ14名の御出席をいただき、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第 9条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。  また本日は、採血事業者で血液事業の担い手として日本赤十字社血液事業本部から、経 営会議委員の田所憲治さん、副本部長の俵国芳さん、副本部長の日野学さん、献血推進課 長の菅原拓男さん、参事の柴田玲子さんにお越しいただいておりますので、どうぞよろし くお願いいたします。  議事に入る前に、本日の合同委員会においては個別品目の承認の可否や、個別品目の安 全対策措置の要否の審議はありませんが、血液事業の運営において、日本赤十字社が調達 する技術の提供企業との利益相反を確認しておく必要性がある観点から、「薬事分科会審 議参加規程」に基づきまして、利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決の参加 については「退室委員及び議決には参加しない委員は、ともになし」ということになって いることを御報告申し上げます。  ここで、カメラの取材を御遠慮させていただきたいと思います。この後の進行について は、池田部会長によろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 先生方、おはようございます。本日は9時30分〜12時30分という若干 長丁場です。12時30分でこの会場はストップということですので、それまでの間に是非 先生方の有益な御討論をお願いしたいと思います。  初めに事務局から、いつものように資料の確認をお願いします。 ○血液対策企画官 資料は、資料1〜資料4-7までです。資料1は、平成22年度献血推 進に関する計画(案)に関する資料です。資料1-1「平成22年度の献血の推進に関する計 画(案)」、資料1-2「平成22年度の献血の推進に関する計画(案)新旧対照表」です。  議題2は、血液製剤の安定供給に関する需給計画(案)についてです。資料2-1「平成22 年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)」、資料2-2「平成22年度の原 料血漿確保目標量(案)について」、資料2-3「平成22年度都道府県別原料血漿確保目標 量(事務局案)について」、資料2-4「平成20年度需給計画の実施状況(報告)」、資料2-5 「平成21年度需給計画の上半期(4月〜9月)の実施状況(報告)」です。参考資料が2-1 〜2-8までございます。参考資料2-1「需給計画の状況」、参考資料2-2「平成22年度需 要見込関連表」、参考資料2-3「血漿分画製剤の自給率の推移」、参考資料2-4「主な血 漿分画製剤の自給率の推移」、参考資料2-5「アルブミン製剤の供給量と自給率」、参考 資料2-6「免疫グロブリン製剤の供給量と自給率」、参考資料2-7「血液凝固第VIII因子製 剤の供給量と国内血漿由来製剤の割合」、参考資料2-8「国産及び輸入アルブミン製剤使 用量等の緊急調査、インフォームド・コンセントに関する緊急調査調査報告」です。  議題3に関連して、資料3-1〜資料3-10がございます。資料3-1「採血基準の見直しに 係るこれまでの経緯」、資料3-2「わが国の採血基準の改正の経緯」、資料3-3「わが国 の採血基準」、資料3-4「採血基準の見直しに係る新旧対照表」、資料3-5「献血推進の あり方に関する検討会報告書」、資料3-6「採血基準の見直しの検討に係るワーキンググ ループ報告書」、資料3-7「採血基準に関する各種論文等一覧表」、資料3-8「採血基準 に関する各種論文」、資料3-9「採血基準に関する各種論文」で、第1回と第2回のワー キンググループの追加提示分です。資料3-10「新採血基準移行への準備について」です。  議題4は、そのほかの報告事項ですが、資料4-1〜資料4-7がございます。資料4-1「供 血者から始まる遡及調査実施状況」、資料4-2「血液製剤に関する報告事項について」、 資料4-3「献血血液におけるHIV陽性率の動向について」、資料4-4「新型インフルエ ンザの国内発生に係る対応について」、資料4-5は、「新型インフルエンザによる血液の 安全性への影響について」、資料4-6「血漿板製剤に対する感染性因子低減化技術導入準 備について」、資料4-7「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」です。以上です。  本日、傍聴用の資料の差し替えが一部あります。資料2-2の一部について1枚、傍聴用 の資料の差し替えがございます。資料の確認は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。先生方には事前にもお送りしましたが、現在の ところで資料について何か不足の点はありませんか。もし足りない資料がありましたら、 事務局に御連絡いただければと思います。よろしいですか。  議事に入りたいと思います。まず議題1「平成22年度の献血の推進に関する計画(案) について」です。御承知のように、血液法の規定によって毎年策定されるものです。委員 の皆様には先ほど申し上げましたが、事前に事務局から資料が送付されておりますが、改 めてこの場で先生方の御意見を伺いたいと思いますし、そのあとパブリックコメントの聴 取を経まして、来年の次回の部会において審議会の答申として取りまとめたいと思ってお ります。資料が非常に多いものですから、事務局にはあらかじめ、なるべく分かりやすい ような御説明をお願いしたいということで、資料も少し手直しをしていただいたこともご ざいます。その辺は是非御説明をよろしくお願いします。事務局から資料1について、説 明をお願いいたします。 ○秋山需給専門官 事務局より、議題1「平成22年度の献血の推進に関する計画(案)に ついて」を御説明いたします。資料1-1を御覧ください。献血の推進に関する計画につい ては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の第10条第1項、同法第9条に 基づく血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針に基づい て、厚生労働大臣が毎年度、翌年度の計画を定めるものとされております。また都道府県 においても、この献血の推進に関する計画を受けまして、毎年度、都道府県献血推進計画 を定めることになっております。  本計画の策定に当たっては、平成21年3月に開催された当部会にお示しした「献血推 進のあり方に関する検討会報告書」の提言について、5月中旬から全国5か所において開 催しました血液関係ブロック会議、あるいは10月に開催しました献血推進運動中央連絡 協議会において議論を重ねてまいりました結果、さらには英国滞在歴による献血制限の緩 和や本日御審議いただく予定の採血基準の見直しの方向性を踏まえまして、平成22年度 の献血の推進に関する計画の素案を作成いたしました。なお、資料1-2は、平成21年度 と平成22年度の新旧対照表となっております。  それでは、本計画案の具体的な内容について御説明申し上げます。第1節「平成22年 度に献血により確保すべき血液の目標量」です。輸血用血液製剤の製造見込みと確保され るべき原料血漿を勘案しまして、平成22年度においては献血により確保すべき血液の目 標量として、全血採血139万L、成分採血63万L、合計202万Lの血液を献血により確 保する必要があるとしております。なお、今回成分採血のうち、血漿成分採血については、 平成22年度における国内血漿由来の分画製剤の供給見込みを踏まえました原料血漿確保 目標量の減少に伴いまして、前年度の37万Lから30万Lに減少しております。この原料 血漿確保目標量の減少の要因については、後ほど議題2において詳しく御説明申し上げた いと思います。  第2節、献血により確保すべき血液の目標量を確保するために必要な措置に関する事項 です。1は、献血に関する普及啓発活動の実施について具体的な措置を定めまして、2は、 献血者が安心して献血できる環境の整備を定めております。  1ページの1「献血に関する普及啓発活動の実施」を御覧ください。1番目に、血液製 剤の安定供給の確保、国内自給の推進とともに、国民に対し治療に必要な血液製剤の確保 が相互扶助と博愛精神による自発的な献血によって支えられていることや、献血製剤の適 正使用が求められていること等を含めて、献血や血液製剤について国民に正確な情報を伝 え、その理解と献血への協力を求めるために、教育及び啓発を行うことが定められていま す。2番目は、住民への献血への参加促進のために、対象となる年齢層や地域の実情に応 じた啓発及び献血推進組織の育成等を行い、献血への意識を高めること。3番目は、献血 者の安全性に配慮し、継続して献血に協力できる環境の整備を行うこととともに、効果的 なキャンペーンを実施すること等によって、一層の理解と協力を呼びかけること。4番目 は、国民に対して、血液製剤が患者への医療に欠くことのできない有限で貴重なものであ ることを含め、献血や血液製剤についての普及啓発を実施し、少子高齢社会等による献血 をめぐる環境の変化や、献血制限等の状況、血液製剤の利用実態等について正確な情報を 伝え、献血者等の意見を踏まえながら、これらの手法等の改善に努めることが必要である こと。また、感染症検査を目的とした献血を行わないよう、平素から様々な手段を用いて 国民に周知徹底をする必要があること。最後は、平成22年1月に予定している英国滞在 歴による献血制限の見直しの実施についての広報や、本日御審議を開始いただく予定の採 血基準の見直しが実施された場合の広報を十分に行い、献血者への協力を求めることが盛 り込まれており、こうしたことを踏まえまして、献血推進のための具体的な施策を実施す ることとしております。  2ページの[1]効果的な普及啓発、献血者募集等の推進については、普及啓発の対象とし て幼少期も含めた若年層、企業や団体、複数回献血者に対して効果的な活動や重点的な献 血者募集を行うこととし、これを「献血構造改革」と位置付けて取組を行うとしています。  「若年層を対象とした対策」として、献血ボランティア組織等との連携の下、若年層の 献血や血液製剤への理解、献血体験の促進に組織的に取り組むこと。国が作成した献血推 進キャラクターを活用するなど、雑誌、放送媒体、インターネット等、様々な広報手段に よる効果的な取組を行うこと。子が幼少期にある親子に対し、血液の大切さや助け合いの 心について、効果的な媒体や血液センター等を活用して啓発を行うとともに、親から子へ 献血の意義を伝えることの重要性を踏まえ、採血所に託児体制を確保するなど、親子が献 血に触れ合う機会を設けること。  高校生や中学生を対象として、献血について解説した教材等を用いて、献血や血液製剤 に関する理解を深めるための普及啓発を行うこと。採血事業者の人材や施設を活用し、 「献血出前講座」や血液センター等での体験学習を積極的に行うこと。そして、本年7月 に「高等学校学習指導要領解説保健体育編」に献血に関する記載が初めて掲載されたこと にかんがみまして、高校生を対象とした取組を積極的に行うこと。学生献血ボランティア とのさらなる連携を図り、大学等における献血の推進を促すこと。また、若年層のみなら ず、年齢別人口に占める献血者の率が低い傾向にある50〜60歳代の層に対しても、相互 扶助の観点からの啓発を行い、献血者の増加を図ることとしております。  「企業等における献血の推進対策」では、献血に協賛する企業や団体を募り、その社会 貢献活動の一つとしての献血の推進を促すこと。「複数回献血者対策」としては、献血に 継続的に協力が得られている複数回献血者の組織化及びサービスの向上、献血の普及啓発 活動への協力を得るための取組。「献血推進キャンペーン等の実施」に際しては、特に必 要性の高い400mL全血採血、成分採血の推進・普及のための献血推進キャンペーンの実施 等を行うこととしております。  そのほか、[2]献血運動推進全国大会の開催等、[3]献血推進運動中央連絡協議会の開催、 [4]献血推進協議会の活用、[5]その他関係者による取組では、官公庁、企業、医療関係団体 等は、その構成員に対して積極的に呼びかけをすること。  2「献血者が安心して献血できる環境の整備」として、国の適切な関与の下での献血に よる健康被害に対する補償のための措置の実施。採血所や移動採血車のなお一層のイメー ジアップを図り、献血者の増加を図ることを挙げております。  4ページの第3節「その他献血の推進に関する重要事項」です。1「献血の推進に際し、 考慮すべき事項」において、[1]血液検査による健康管理サービスの充実、[2]献血者の利便 性の向上、[3]血液製剤の安全性を向上するための対策の推進、[4]採血基準の在り方の検討、 [5]まれな血液型の血液の確保としております。また、2「血液製剤の在庫水準の常時把握 と不足時の的確な対応」、3「災害時等における献血の確保等」、4「献血推進施策の進 捗状況等に関する確認と評価」となっています。  6ページの4の「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価」においては、国、都 道府県及び市町村は、これらの施策の進捗状況、また採血事業者においては献血受入れの 実績について、それぞれ確認して評価をすることにより、次年度の献血推進計画等の参考 とすること。また、国は献血推進運動中央連絡協議会等を活用し、献血の推進及び受入れ に関し、関係者の協力を求める必要性について、民間の献血推進組織等とも認識を共有す ること等を規定して、さらに採血事業者は、献血の受入れに関する実績や体制等について 評価を行い、献血の推進に活用することとしています。  以上が、平成22年度の献血推進に関する計画素案です。先ほど御案内のあったとおり、 このあと御審議を踏まえまして必要な修正を諮ったあと、パブリックコメントの実施を踏 まえまして、また次回の部会に改めてお諮りする計画です。説明は以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今説明がありましたように、平成22年度 の献血の推進というものに関しての計画の案です。血液の目標量については第2の議案の 安定供給に関する需給計画でも御議論いただきます。そして、目標量を確保するために必 要な措置として、効果的な普及啓発あるいは献血者の募集等の推進などについて細かく御 説明をいただきました。特に若年層、あるいは50歳、60歳代を対象とした対策等、ある いは国も学習指導要領に献血に関する記載をしているという御説明があったわけですが、 この計画について委員の先生方から御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 何かお気付きになった点はございますか。採血の基準、若年層あるいは高齢者の対策とい うことについても、後ほどの議題の採血基準の見直しというところで審議されるわけです が、そのほかについていかがでしょうか。何か献血の推進に関する計画の書き様、この点 の記載はどうなのか。 ○三谷委員 若年層を対象とした啓蒙活動に関してですが、地域の特性に応じて採血所に 託児体制を確保することなどが記載されていますが、これは実際には予算等も付いて実施 されることなのでしょうか。 ○秋山需給専門官 この託児体制の部分ですが、実際に日本赤十字社で、例えば献血ルー ムの移転なり改装ということを計画的に行っていただいております。一部国の補助金もあ りますが、この中で既に今年度も幾つかのルームで、キッズコーナーといった形で設備の 設置を図ることを進めておりまして、これを全国的に展開していただくということです。 もちろん、地域の特性に応じてということですが、こうした取組を予算の付いた格好で行 わせていただくということです。 ○池田部会長 そのほかはいかがですか。 ○大平委員 献血に関する普及啓発活動の実施の中で、医療関係者に関しての普及啓発と いうのが2ページの冒頭に書かれています。特に医学教育や薬学も含めてですが、特段、 今献血と血液製剤の使用実績とか、そういうのを考えますと、医療関係者の方、また医学 教育の中で、献血の推進の在り方とか献血の在り方について何かもう少し書き足して、理 解を得るということを強調したらいかがかなと思いました。 ○池田部会長 ありがとうございました。先ほど、高等学校の学習指導要領にも少し献血 について触れるということでしたが、今の大平委員のお話は特に医療関係者に、医療に携 わっている医師を含めて強調していったらいいのではないかという御意見ですが、ただ今 の大平委員の御提案で、委員の先生方から御意見をいただけますか。 ○稲田委員 医学教育をしていますと、最近の医学生は余り献血をしていないということ がありまして、医学教育でそういった献血の意義を教えることは、将来自分が使う側に回 ったときの意識も当然変わってくるということで、医学教育における献血については、非 常に重要だと感じています。 ○池田部会長 ありがとうございました。部会長は余り意見を言ってはいけないですが、 個人的には非常に大事な御指摘かと思います。 ○佐川委員 私も医学教育に携わっていますが、医学教育の基本になっているのは文科省 が決めた医学教育コアカリキュラムです。その中に輸血の項目がありますが、その中には 献血に関する項は出てきません。それは、個々の大学で個別に教えている状況なので、で きましたら標準的なカリキュラムの中にも、取り入れるべきであるということを明記して おいた方が徹底すると思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。 ○小幡委員 今回、2〜3ページの若年層や教育の分野で、早くからイメージアップをと いうことがかなり書き込まれておりまして、こういう形で献血をしに行こうという気運 を、できるだけ若い層から持っていただきたいということで大変よいと思います。5ペー ジの一番最初の「献血者が安心して献血できる環境の整備」というところで、採血所や移 動採血車のなお一層のイメージアップを図るという、これも大変大事だと思いますが、1 との関係も当然あると思います。若年層で気運を高めることがまず大事で、どういう形で どういう機会で献血できるかというところの機会をいかに広く気軽く、あるいは「1回行 ったら、もう嫌だ」とならないように持っていくかということがとても大事だと思うので、 これは非常に連動する話だと思います。  移動採血車を走らせて集まらなかったとか、確かに効率性との関係でこの辺りはなかな か難しいと思いますが、常にどういう形でやれば一番人が集まるかということの、費用対 効果の分析がとても大事だと思いますので、できるだけ効率的にたくさんの献血者を集め られるような形で、環境の整備ということに広く含まれると思いますが、是非お願いした いと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。大変貴重な御意見だと思います。 ○嶋委員 今後の献血対象者を拡大ということで、若年層と複数の献血者の対策も大事だ と思いますが、このサービスの向上を図るというのがもう少し具体的なメッセージがあっ たらよいと思います。それも一つ検討すべきかと思います。  もう一つは、移動車では、非常にプライバシーに関する質問が多いと思います。何人か いる移動車の狭いところで、そこが排除されないと、少し不正確な問診あるいは参加の意 欲が低下したりするかもしれません。その辺は、何か御検討いただければと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。いずれも、委員の先生方から非常に貴重な御意 見が出されたのではないかと思います。今いただいた御意見をこの推進計画の中に盛り込 んで、最終的に次回のこの部会の中で御報告いただけたらと思います。いずれ、パブリッ クコメントも求めるわけですが、この委員会の中ではいずれも重要な御指摘ではないかと 思いますので、よろしくお願いします。そのほかよろしいですか。もしありませんでした ら、今寄せられた意見をパブリックコメントと加味して、この計画に関して修正をして、 次回の部会にもう一度提出するということでお願いしたいと思います。ありがとうござい ました。  議題2です。これは、先ほどの計画の目標値を設定した根拠も含めて、「平成22年度 の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について」、御議論をお願いしたいと 思います。これについても推進計画と同様に、計画を策定する段階からこの部会で毎年審 議をいたしまして、意見を取りまとめて答申することになっています。事務局から説明を お願いします。 ○秋山需給専門官 議題2「平成22年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計 画)(案)について」御説明いたします。資料2-1を御覧ください。この需給計画は、血液 法第25条の規定に基づきまして、翌年度の血漿分画製剤等の安定供給に関する計画を策 定するものです。1ページは、この計画の対象となる血液製剤をお示ししたものですが、 今般遺伝子組換え型血液凝固第IX因子製剤が承認されまして上市されることに伴い、新た に4に加えられました。4の後ろに「遺伝子組換え型血液凝固第IX因子」と加えられてお ります。なお、3ページの1の原料血漿の種類ごとの標準価格については、3月に開催予 定の当部会において、日本赤十字社の財務状況等を踏まえて改めて御審議いただくことに なりますので、今回は空欄とさせていただいております。2は日本赤十字社から、各国内 製造販売業者への原料血漿の種類ごとの配分予定量です。  2ページの第1「平成22年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量」は、4ペー ジの別表第1に内訳がございます。各製剤ごとの内容です。2ページの第2「平成22年 度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標」は、5ペ ージの別表第2にその内訳をお示ししております。第4「平成22年度に原料血漿から製 造されるべき血液製剤の種類及び量の目標」は、6ページの別表第3に内訳を示している 構成になっております。別表第1〜第3の需要見込量や目標量に関しましては、血液法に 基づく関係製造販売業者からの届出や近年の供給実績を基に、医療事業に対して過不足が 生じることなく、安定的に供給されるよう算出したものです。  2ページの第3「平成22年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」は、平成22年度 が96万Lを計画しております。この目標量の算出の考え方については、資料2-2を御覧 ください。平成22年度の確保目標量案は、平成21年度から4万L減の96万Lとしてお ります。この減少の要因は、まず平成21年度の計画において、平成19年度から実施され ている白血球除去処理によると思われる収量低下に対応するために、製造業者在庫分とし て上乗せを行った3万Lについて、当初危惧された大幅な収量の低下が回避できている現 状にあることから、この3万L上乗せ分も減じていることが挙げられます。また平成20 年度以降、アルブミン製剤供給における国内自給率が低下傾向にあることから、平成22 年度における供給見込量が低下しておりまして、在庫量増による影響ですが、これが生ず る関係から、国内製造販売業者の原料血漿受入れ見込量が抑えられている点から、さらに 1万Lを減じていることが挙げられます。  先ほど、議題1の献血推進計画の血漿成分採血の目標量のところで、37万Lが30万L に減少するという御説明をしたとおりですが、原料血漿確保目標量の極端な減少というの は、献血の現場に深刻な影響を及ぼすおそれがあることから、この影響を最小限にすべく 調整してまいりましたが、現状では平成22年度の原料血漿確保目標量を前年度計画値か ら96万Lに下げざるを得ない状況です。  平成22年度における国内各社の原料血漿受入れ希望量は、凝固因子製剤用が7.7万L 減の68.0万L、その他の分画製剤製造用が2.3万L減の45.2万L。そのうち、その他の 分画製剤製造用については、凝固因子製剤の製造過程から発生する脱クリオ血漿の利用が 可能でありまして、資料2-2の3「原料血漿確保目標量の計算」にありますように、これ による供給可能量である20.2万L、脱クリオ血漿の20.2万Lを差し引きまして、原料血 漿の必要量が93万Lとなる。これに資料2-2の2ページの(2)にありますように、この 必要量の93万L以外に安定的に原料血漿の確保をする必要があるとの観点から、昨年度 までと同様に3万Lの上乗せを行い、これによって平成22年度の原料血漿確保目標量案 として96万Lとしたものです。  3ページの参考1は、原料血漿にかかるこれまでの推移や実績をお示ししたもの。4ペ ージの参考2は、平成22年度の原料血漿確保量をお示しした96万Lとしたときの、各製 剤ごとの製造予定数量をお示しした資料です。  資料2-3は、「平成22年度都道府県別原料血漿確保目標量(事務局案)」です。従来か ら原料血漿の確保については、都道府県別に目標を定めまして御協力をいただいておりま す。これは、全体の確保目標量案の96万Lを各都道府県別に割り当てたものです。計算 の考え方は1にありますように、従来どおりです。  資料2-4は「平成20年度需給計画の実施状況」、資料2-5は「平成21年度需給計画の 上半期(4月〜9月)の実施状況」です。これらの資料については参考資料2-1として、ま ず平成20年度需給計画の計画値が左側に、実績が右側に、その下に平成21年度需給計画 の計画及び上半期の実績、平成22年度需給計画での計画値を並べまして、さらに各年度 における原料血漿の配分計画と実績について、右側にまとめた資料という形でお示しして おります。なお、参考資料2-2〜参考資料2-7は、各製剤の状況を図表などでまとめてお 示ししたものですので、後ほど御参照いただければと思います。  改めて、参考資料2-1を御覧ください。平成20年度、平成21年度のいずれも、国内で の医療需要をほぼ満たす血液製剤が安定的に供給されていますが、代表的な血漿分画製剤 であるアルブミン製剤の国内自給率の欄に御注目ください。アルブミン製剤については、 かつて1980年代前半には、わが国において世界の生産量の3分の1を使用したというこ ともありまして、かなり問題とされていた時期もありました。また、国内自給率も当時は 極めて低い状況でしたが、その後適正使用の推進方策が着実に図られるとともに、国内自 給率も順調に高まりまして、平成19年度にはアルブミン製剤の国内自給率は62.8%に達 しました。しかしながら、参考資料2-1にありますとおり、その国内自給率は平成19年 度の62.8%に対して、平成20年度において60.5%と、3ポイント弱の低下。平成21年 度上半期においては57.8%と、さらに3ポイント近くが低下しているということで、い ずれにしても平成20年度以降、低下傾向に転じているということです。  この低下の要因については、包括医療制度、すなわちDPCの病院において、より安価 な製剤が選択される傾向が強いことから、特に平成20年度以降アルブミン製剤では、国 内血漿由来製剤から、より安価な輸入血漿製剤に採用薬剤を切り替える病院がある。こう した動きが顕在化していることが主なものであると考えております。  こうした状況を踏まえまして、アルブミン製剤については国内需給推進のためのさらな る方策が必要であると認識していますが、特に病院の経営の観点から薬剤が選択されてお りまして、投与製剤にかかる採血国あるいは献血・非献血の別といった情報が、患者に適 切に提供されていないのではないかといった問題意識がございます。  参考資料2-8は、日本輸血・細胞治療学会に御協力いただきまして、アルブミン製剤の 使用状況に関して、医療機関のアンケート調査を行った結果を示したものです。この資料 の13ページの設問3-4の結果にあるとおり、「アルブミン製剤の投与に際して患者又は その家族への説明をし、同意(インフォームド・コンセント)を得ていますか」との問いに ついては、「常に行っている」と「ほぼ行っている」という回答を足しますと、9割以上 が行っている。輸血用の血液製剤に匹敵し得る、かなり高い率で情報提供が行われている 状況です。しかしながら、設問3-5の「採血国について情報提供していますか」、設問 3-6の「献血・非献血の別について情報提供していますか」という問いについては、「全 く行っていない」という医療機関が8割近くにのぼる状況です。  当面、厚生労働省としては、血液製剤使用指針の改正などによりまして、血漿分画製剤 のインフォームド・コンセントのルールという点について検討すること。そして、患者へ の適切な情報提供を行っていただくよう、医療機関や関係機関に対し改めてお願いをす る。例えば通知発出など、こうした方策が必要であるとまずは考えております。  また、この問題の背景には薬価の多重構造の問題。アルブミンについては実際に多重構 造になっておりまして、日赤をはじめ国産のものが輸入製剤に比べて高い、輸入製剤はか なり安いといった薬価の多重構造がございます。この問題や、血漿分画製剤は貴重な献血 由来の血液であるにもかかわらず、実際には価格競争が行われており、結果として薬価が 改定の度に下がり続けているという構造的な問題。さらには、わが国の血漿分画製剤の供 給体制の問題もあるかと存じております。今回、需給計画の御審議をお願いしている中で すが、このアルブミン製剤の国内自給率低下の問題について、是非とも御討議いただきた いとお願い申し上げます。需給計画に関しては、以上です。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。平成22年度の需給計画の御説明をお願いしま した。今回、冒頭に説明がありましたように、平成20年度、平成21年度の需給計画の大 まかなところを参考資料2-1として付けてもらいました。先生方が御理解しやすいように ということで、わざわざ作っていただきました。平成22年度は確保目標量を96万Lとす る、その根拠について御説明をいただきました。その計画の中で、特にアルブミンの国内 自給率が非常に下がっているという問題を提起していただきまして、これも含めて需給計 画の考え方、そして先ほど事務局から問題提起がありましたアルブミンの国内自給をどう いうふうに解決していくかの辺りを、委員の先生方から御意見を伺いたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○三村委員 先ほどのアルブミン製剤の件ですが、基本的に流通とか取引の現場で行われ ていることもかなり反映していると思っております。一つの考え方としては、非常に高リ スクであること。それから、あとで、いろいろな形でアフターフォローとか、様々なコス トがかかる可能性がある特別な薬剤については、できるだけ包括払い的な、ある意味から すると全体的にすべて価格交渉を行うという流れではなくて、できるだけ切り離してお願 いしたいという考え方は、基本的にはいろいろな形で提示しましたし、それについての御 理解は少しずつできてきていた感じはします。ただ、現状の中においては先ほどの医療機 関側の御姿勢もあるし、卸し側の販売姿勢もあるかと思いますが、恐らくそれがなかなか 難しい状況が現実だろうと思います。  また、特別薬剤だけ、できるだけ価格交渉の中から別に分けてということの指針もなく はないですが、特にその場合にこの血液製剤を具体的に挙げているわけでもありません。 ですから、非常にこれが問題であるということであるならば、確かに先ほどのインフォー ムド・コンセントの在り方と、ある意味で一種の販売の現場における在り方についての何 か指針みたいなものは、作っていく必要があるかもしれないと考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。佐川委員、 どうぞ。 ○佐川委員 今の問題です。特にアルブミンの自給率が低下している問題について、参考 資料2-8で緊急のアンケート調査がありましたが、それを要約すると三点の重要なところ が出てくるように思います。一つ目は、先ほどから言われました、患者さんに国産か輸入 品かの情報提供が全く行われていない点。二つ目は、献血であるか非献血であるかという ことも提供されていない。三つ目は、今説明の中から抜かれていたのですが、このアンケ ートの2-1にある「アルブミン製剤の採用を決定している部門はどこですか」という設問 に対して、院内の薬剤委員会が圧倒的に多いということです。つまり、ここで決定されて いるわけですから、輸血部門の人たちの意見が必ずしも反映されていないということを示 していると思います。つまり、病院の執行部辺りで決められてしまっているので、いわゆ る血液法等の趣旨が十分伝わらない段階で行われている可能性が強いことを示している ように思います。以上のこの重要なアンケート結果を踏まえまして、私としては二つ提言 したいと思います。  一つ目は、日本輸血・細胞治療学会として2003年に決まった血液法の趣旨、すなわち 血液製剤の国内自給を推進するのだということをもっと徹底させる必要があると思いま す。これは今もやっていますが、引き続きやらなければならない。二つ目は、厚労省及び 行政にお願いしたいことですが、アルブミン製剤を病院の中で選択する立場にある病院長 並びに病院の中の薬剤委員会宛に、この血漿分画製剤、主にアルブミンの国内自給達成と いうことは法律で決まっていて、法律の趣旨を是非理解していただきたい。現在は自給率 が下がっているという危機的状況であることを、国としては憂慮をしているのだというこ と。そういうことであるから血液法はこうなっているのだよということを、もっと病院の 中に周知徹底してほしいということを、病院の中の上の立場の人に、是非行政としてメッ セージを引き続き送っていただきたいのです。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。幕内委員、どうぞ。 ○幕内委員 今、佐川先生からあった点は、一般の病院から見ますと法外なことです。小 泉政権がいかに医療費を削減してきたかという歴史の中で、国や地方公共団体から多額な 補助が出ている組織、大学などは私学助成金とかが出ていまして、かなりの補助が出てい るわけです。ただ、例えば私の所とか済生会とかは、ほとんど自己資金だけでやらなけれ ばならない。あるいは、最近は国立病院機構もそうですが、本部に上納金がある組織にお いては、相当に経済的なことを配慮しないと、病院そのものが立ち行かない状態にあるわ けです。  例えば、アルブミン製剤は田所さんの所で出しているものが値段が一番高いのです。こ れが一番安ければ、当然そうあって然るべきだと思うけれども、安ければみんな使うわけ です。そうすると、それに対して補助金を出すなりなんらかの実質的な対応がなければ、 田所さんの所からアルブミンを買えと言うのは無理です。そういう対策がなされなけれ ば。ただ、憲法の条文のように理想主義だけを掲げているだけでは、公的機関から補助の 極めて少ない、あるいはないような病院は、一番安いのを買うのは当たり前のことです。  もう一つの問題は、採血国をどうして情報提供しなければならないのかというところ が、よく分からないです。国産であればいいのかというと、様々なデータから、例えばH IVにしても日本は急速に患者が増えているわけです。そうすると、ウィンドウ期の率も 高いだろうということが予測される。実質的な数は、なかなか難しい問題がありますが。 そういうことで採血国をインフォームド・コンセントしなければならないのでしょうか。 大体現場にいる医師が、そんなことをしている暇はないし、多くの場合は緊急に使うもの がかなり多いわけですよね。そういう場合は医療秘書に任せられないという問題もあっ て、インフォームド・コンセントを医者以外の人がやるのか、私たちが全部やるのか。医 師の負担がますます増える。そういうことは、お考えになっていただけていないと思いま す。  昔、非献血の問題があったけれども、米国などでは人間牧場があって、きちんとある非 常に値段の高いγーグロブリンがというものを作られているわけですから、そういう現状 においては、むしろ非献血の方が安全であるという可能性もないわけではないです。人間 のやることはみんな同じですから、危険度も余り変わらないかもしれませんが、そういう 問題もあって、ここで取られていることは理想主義は理想主義で構わないけれども、現実 には必ずしも合わないと。病院の状況もいろいろな病院があって、その現状に合っている かどうかも御検討いただかないと、普通の病院の現場では対応できないのではないかと思 います。 ○池田部会長 ありがとうございました。御存じのように、病院長をやっていらっしゃる 立場からすると、今多くの病院が非常に経営危機にあるというのはマスコミの報ずるとこ ろでありますので、病院長の立場あるいは病院を存続させるという立場からすると、そう いう議論は当然出てきて、それをどうオーバーカムしていくかという工夫も必要かと思い ますが、佐川委員どうでしょうか。 ○佐川委員 今の幕内先生の御意見はごもっともなところで、そういう考え方も当然ある と思います。その結果が、こういう数値に表れているのだと私は理解しております。ただ し、私たちは過去の薬害によるHIV感染や肝炎ウイルス感染症というものも基本的には 考えないといけない。そのために法律が整備されたと理解されておりますので、現実問題 と理想問題とをきちんとそれぞれの病院で審議する必要があると思います。その結果、ど うするかということが選ばれるのだと思います。それは全然構わないのですが、その中で 私は、決定する場に十分に法律の趣旨等が伝わっていないのではないかということを申し 上げたいので、それを加味した上で決められるのは、その病院のそれぞれの立場で決めら れていいけれども、選択をするための共通の土俵がまだ準備されていないということを申 し上げたいということです。 ○幕内委員 共通にするなら、実質的なところで国からの補助がないと、そうはならない です。もう一つ重大な問題は、日本発の新しいウイルスが出ないという保証は全然ないわ けで、その辺の見解が非常にずれていると思います。 ○稲田委員 この問題で非常に複雑なのは、一つはそういった血液法は行政・法律といっ た問題と、医療・医学といった問題と、経済の三つが入り組んでいることです。アイディ アとして国内自給率を100%、これは皆さん賛成であろうとは思いますが、医療・医学と いう点から先ほど幕内先生が御指摘になったように、一つは国内産が、あるいは非献血が より安全であるという証拠はないということがあろうと思います。もう一つは、経済的な ものは先ほどから議論されたところですし、現実としてこういった製剤が存在している以 上、それを排除していくのは非常に難しいだろうと感じています。 ○高橋委員 アルブミンの自給率の問題はいろいろな側面があって、今まで解決してきた ことというのは、使用量全体の適正化というのは随分進んだということです。それから、 供給量の確保をどうするか、原料血漿の確保は可能か、あるいは製造プラントはどこまで 確保されているかという議論も繰り返されて、現状のレベルは十分確保可能であるという ことです。  それから、幕内先生が気にされているような価格の問題も、内外価格差のほかに内内価 格差といいますか、国内原料血漿由来のものでも供給ルートによって価格差があるという 問題もありますし、供給ルートが非常に煩雑であるという問題も指摘されてきたところで す。何よりも使用量の適正化に一番大きく影響したと思うのは、従来の出来高払い制から だんだん包括払い制になってきたことが大きいと思います。それで順調に下がってきまし たが、最後になって下げ止まりして反転しつつある。それに関しては、幕内先生がおっし ゃるような御指摘が大きな要因だろうと思います。  しかし、血液の安全性に関する情報の周知、収集ということが、血液法に医療関係者の 責務として課されていることです。その安全性に関わる情報が国外か国内か、献血か非献 血でエビデンスがあるかというと、十分ではないかもしれませんが、従来の佐川先生が御 指摘されたいろいろな問題があった背景には、患者サイドに十分な関連の情報の周知がな されなかったことが大きな要因ですので、その周知は絶対にやるべきだと。幕内先生は法 外だと言われましたが、これは法律の求めるところだと理解しております。  ただ、それが具体的にどういうふうに進むかという点で言えば、幕内先生の御意見とい うのを勘案して、合理的なやり方を進める必要がある。内外価格差に関しては、例えば関 税を増やすとか、国内のものに補助金を付けるというのはWTOが禁じていることは知ら れていることですので、せめて内々価格差、供給体制の一元化を進める。それから、情報 の周知徹底を進めて、その上で患者サイドが「安いものがよろしい。この病院でやっても らいたい」という判断をされればそれでいいことで、今の段階では十分な情報を知らない まま、患者が選択をしていない状態だと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。 ○幕内委員 ちょっと待っていただけますか。血液製剤は、厚生労働省が認可しているわ けでしょう。それを医療現場で、どれを選んでどれを使うかというのは、各医療施設の判 断に任されているわけです。具体的な生産地とか、具体的な企業の名前を挙げたりして、 インフォームド・コンセントを取るというのは、極めて現実的ではないですね。血液製剤 を使うか使わないか、そういうことだけのインフォームド・コンセントであるべきであろ うと思います。そうすると今、高橋先生の言われたことは非常に危険というか、私たちも 働けなくなってしまうわけです。  例えば、ゾロがあります。多少、溶剤が違うことがありますよね。それを全部公開して、 患者に選ばせるのですか。医療現場は、ものすごく混乱します。そんな時間はだれにある のですか。できないことを要求されても困るわけです。一つの薬で20種類、30種類ある わけです。それを厚生労働省が認めたから出ているわけです。厚生労働省が認めたものは、 医療現場の者は基本的に安全だと思って使っているわけです。もし何か情報があれば早く 流していただいて、これは使わない方がいいということがあれば医療現場はそれに従う。 それが原則ではないでしょうか。そうでないと働けないです。そんなことをいちいちやっ ていたら、何時間あっても治療が始まらないです。ですから、医療現場と乖離したことを 言わないでください。 ○大平委員 今、患者サイドの判断というのをなかなか重要視されていないのだなと考え ます。国内自給の問題についてはもともとWHOでいくと、その国の血液については自国 で賄いなさいというような勧告があって、その下にそれがきちんと守られている所、守ら れていない所があって、薬害エイズの問題も、一つの国を越えたリスクというものが偶然 に出てくる可能性というのはあって、そしてまた、それが大きな被害をもたらして、それ はいつ発生するかというリスクはよく分かりませんが、そういった現実があります。  血液製剤の安全性と、そしてまた安定供給の基というのは、ほかの国で何か問題があっ たときに、そこからの輸入が止まった場合、血漿分画製剤でも生産ラインは止まって、一 時患者が混乱したことがあります。そういった問題も含めて、きちんと国内自給を原則と して守っていこうというところで、血液法が生まれたわけです。日本の血液というのは、 献血血液で賄うという方針できちんと決まって、そしてそれを献血者の方たちに訴えて、 今献血推進が盛んに行われているわけです。  今の医療経済の考え方の問題かもしれませんが、私たち被害者でもありますし、患者の 立場から言うと、きちんと血液製剤のリスクの情報とか、そういう問題は伝えていただき たい。これはモラルの問題で、科学的な問題とは離れているかもしれませんが、献血の問 題と、売血の問題というのは、それぞれの考え方としては、倫理的な問題と非倫理的な問 題というところで、私たちはそれなりに患者の判断もあると思います。ですから、そうい った問題もきちんとインフォームド・コンセントの中では入れてほしいということで、そ れが成立してきて、今患者中心の医療と言われるところで、インフォームド・コンセント の重要性は取られていると認識しているのです。  血液製剤のアルブミンの問題については、私たち患者サイドでいろいろと調べました。 国立病院機構の中でも、病院によっては今年になって全部国産の献血の製剤に切り替えま したと。それから、また今年になって輸入製剤にしてしまいましたという報告もありまし た。国の政策の一貫性のなさというのは、そういうところには現実にあると思います。で すから、そういった点で、せっかく国で血液法を定めて、国内の血液を有効に利用して、 献血者の善意に応えようという方針を国で定めたわけですが、それが担保されていないと ころは、幕内委員の言われるようなところも多々あると思うのです。  ただ、医療関係者の方に、医療経済との問題というのは経営の問題としては大切な問題 かもしれませんが、献血者のこと、そしてまた患者のことを考えていただいて、是非国内 自給の方向を、どういった方向できちんと一貫性をもった方向で考えられるかを、是非検 討していただきたいと思います。 ○幕内委員 大平先生が言うと、非常によく分かるのです。それは感覚としてはそうだと 思います。しかし、国とか社会というのは各機関でできているわけですから、厚生労働省 は情報を公開して、危なければ直ちに禁止するという迅速な方向を取っていただければ、 末端の医療機関はそれに従って処置をするということだと思うのです。  それで、国内がきれいで外国のものは汚いというのは間違いです。それから、先ほど申 し上げたように、日本発のウイルスなどが出ないという保証は全然ないわけです。そうす ると、日本が一番汚い国です。それを区別することは、WTOの問題はあるけれども、お かしな話になってしまうわけです。  それから、臓器移植の問題などから考えれば、各国で各々の臓器をきちんと供給してい かないと、国際的には非常に足りません。日本はかつて使い過ぎで薬が足りなかったわけ です。因子製剤も分画製剤も足りなかったわけです。それを患者さんのためには、輸入製 剤であったとしても、それを保障していくことがまず第一に重要で、その次に国内生産を 十分に充実させ、国際的なコンフリクトが起こらないようにしていくことが重要だと思い ます。ですから、余り医者及び末端の医療機関に負担をかけても、それは現実的ではない ということを私は申し上げているわけです。特に救急疾患で輸血はたくさんするわけで す。そういうときに十分なインフォームド・コンセントと言われても、現実の場面は混乱 してしまうわけです。そのようなことはしていられないです。 ○山口(一)委員 歴史的な問題もあって、血液製剤をほかの薬と分けて特別視するという 方向は、今の血液法も含めて、そのような方向でずっとやってきました。その過程の中で、 100%国内自給でいこうという理想をかなりの年数にわたって掲げたわけです。今は議論 としては、その旗を今後も血液製剤、ワクチンもそうだと思いますが、国の安全保障とし て考えるかどうかという非常に大きな問題があるので、ここは簡単に今まで掲げてきた旗 を降ろすのかどうか。実際の運用については、価格の問題とか病院の実情を考えれば、い ろいろとあるかと思いますが、その旗は理想は理想として掲げないと、経済至上主義で簡 単に降ろしてしまうというのは、私は適当ではないのではないかと思います。 ○幕内委員 山口先生、そうおっしゃるけれども、WTOの問題は先生の御意見で越えら れるのでしょうか。 ○山口(一)委員 基本的に血液製剤とワクチンについては、各国の自由裁量というのが世 界の共通だと思います。必ずしも、そこではハーモナイゼーションは必要ないというのが 世界の認識だと私は理解をしています。 ○幕内委員 もしそうだとするならば、厚生労働省サイドで自由にできるのではないです か。 ○山口(一)委員 そこはどこまで自由にやれるかは。 ○幕内委員 私は厚生労働省の役人から、WTOの問題があるから、あることについては できないのだということをお聞きしたことがあるのですが。 ○山口(一)委員 そこの判断は、もちろん非常に政治的な判断も加味されて当然だと思い ますが、基本的には私が申し上げたように、血液製剤とワクチンについては、各国独自の 戦略があって然るべきだと思います。 ○池田部会長 今、非常に重要な問題が議論されていると思います。血液法が制定され、 あるいはWHOの勧告もあり、国内で努力をして国内自給にする。そして安定供給をきち んと確保するということで、今、血液事業が始められています。その線に沿って今まで多 くの方たちが努力をしてきました。その旗を降ろすか降ろさないかというのは、ここの議 論とは違った形でやらなければいけない。一度は先生が言われたように、安全を考えた場 合に、そういう議論はどこかですることがあっても、これは否定はしないわけですが、今 この時点では、わが国の血液事業は血液法に基づいて、あるいはWHOの勧告に基づいて、 安定的に国内で自給することを目標に努力するというところにきていると、私は思いま す。  ただ、現場の医療としては医療経済の面を否定するわけにはいかない。実際にインフォ ームド・コンセントで選択ができる余地がないように、ある病院に入院したら、その病院 は一つの製剤しか置いていないところはたくさんあるわけですから、そこでは患者に選択 はできないわけです。そういう状況があるということを踏まえて、そこをどう打破して国 内自給率をどんどん上げて、我々が考えて目標をセットアップしたわけですから、そこへ 向かっていくかという議論も必要かと思うのですが、いかがでしょうか。 ○小幡委員 今いろいろと議論が錯綜しているようですが、まず国内血が安全ではないと いう話は、そもそも血液法を今後どうしていくかという本質的な問題だと思うので、ここ で今議論するのは難しいというのは、座長のおっしゃったとおりだと思います。その上で 血液法がございますので、幕内委員のおっしゃるように、血液法の実効性を確保するため にほかの国のものを禁止すればいいだろうというのは、WTOとの問題で、少なくとも安 全でないということがはっきりしない以上は、できないということになります。  そうするとどうするかということですが、まず、国内のものの値段を何とか下げてもら う努力をしていただくのが、まず第一の選択として少なくとも必要だと思います。要する に、価格差があるので医療機関が医療経済の問題で、苦しい状況でどうしても国内の方に いかないという構造的な問題があります。  ただ、国内のものの価格下げを進めていただく中で、血液法を実現していくことが必要 です。どうするかということで、そこで医療機関は大変難しいという話がありましたが、 患者さんとの関係でいうと、大平委員がおっしゃったようにきちんと選択したい。法律が あるのですが、医療機関が持っている血液製剤を今は選べないという話がありましたが、 要するに、初めから国内でないものしか置いていないところは、多分インフォームド・コ ンセントをしてくださいと言っても、しないのではないかと思います。つまり選べないわ けですから。そのような状況であるとすると、そこが非常に難しいところです。  いずれにせよ、選択の余地のない状況にしておくのは非常にまずいので、その病院がど のようなものを選んでいるのかを何らかの形で公表させておくことはできますか。ただ、 その場合にも、患者さんは必ずしも血液製剤を使うとは限らないので、入院あるいは病院 を選択するときに、それで選ぶということではないかと思います。その辺りが実務的に一 番難しいかと思います。例えば、医療機関が新たにインフォームド・コンセントをして、 急に国内のものを取ることは現場としては可能でしょうか。 ○池田部会長 現場で仕事をされている方、いかがですか。非常に難しい問題です。国外 の製品を入れていて、一つしかないときに、インフォームド・コンセントを取って、患者 さんから国内由来を使ってくれと言われたときに対応が可能かという御質問です。 ○佐川委員 私は医療現場にいるのでお話します。それはできないです。病院での採用は 病院の執行部が決めます。アルブミンはこれとこれを採用すると決めますので、その中の 選択です。したがって、ほとんどの病院は国内産か輸入産かの1種類だけなので、選択は できません。  私が先ほどから強調していることは、病院が決定をするときに、その決定する人たちに インフォームド・コンセントをしてくださいということです。献血か非献血かを選ぶ立場 の人に、血液法がどうとか、WTOがどうだとか、そのようなインフォームド・コンセン トをしてから、決めさせてくださいと申し上げているわけです。 ○小幡委員 現実的にはそのようなことになってしまうのかもしれませんが、患者さんの 立場からすると、現場はインフォームド・コンセントは大変だという話がありますが、こ れは様々な医療現場でどんなに大変でもやらなければいけないという患者の選択という 話になっていますし、しかも血液法があるということで、特に血液についてはということ でインフォームド・コンセントを要求していくことは、私は筋としてはあると思います。 ○池田部会長 医療機関の責任として情報公開という面から、血液法がある限りは、ここ の施設はこのような血液製剤を用いていますということを、現実問題としては情報提供す ることは可能だと思います。 ○三谷委員 今の小幡先生の御質問ですが、緊急の場合に病院に在庫がないものに関して 対応することは難しいと思います。各施設とも実際に血液製剤を使う際には同意書をいた だきますが、そのときに、血液製剤ごとに、この病院では例えばどのような製剤が入って いるか、国内のものなのか、海外からのものなのか、献血なのか非献血なのかについて、 同意書に一文書いていくような指導を、例えば輸血学会でしていただくと、少なくとも病 院でやっていることの実態は患者さんには見えると思います。 ○池田部会長 今のことは具体的に医療機関として対応が可能だし、患者さんが状況を把 握するという意味でもできます。佐川委員がおっしゃったように、病院がどちらを選択し ているのかということ。佐川委員のお話は、選択するときに選択の責任者が、この血液法 なり、国内自給というポリシーを十分に理解した上で決定しているのかどうか。そこだけ が分かればいいということですね。決定権はもちろん医療機関にあるわけですから、そう いうことだと思います。 ○高橋委員 三谷先生のおっしゃるとおりだと思います。国内と国外の別、献血と非献血 の別を周知徹底するようにというのは、2年ぐらい前から改めて出されていると思いま す。先ほどの参考資料2-8の調査にあるように、インフォームド・コンセント自体は8割 近く取得されているわけです。それに献血と非献血、国内と国外という情報を入れる。そ の選択が自由であるかどうかの議論は難しいと思いますが、少なくとも、この病院であな たに使おうとしているものはどちらであるか。そういうことを明らかにする。それ自体は 医療現場でできないことではないと思います。あらかじめそのような書面を用意して、提 示すればいいだけのことです。  幕内先生がもう一つ言われている価格差の問題、医療経済全体の話は、このテーマに限 らず国の医療政策ということになってしまうので、それは越え難い部分があると思います が、少なくとも情報提供することは実質的に可能だと思います。 ○大平委員 議論としては拡大していっていると思います。ただ、今回の問題というのは、 献血者の方たちにも知ってもらう。国の血液政策の一貫性について、どうやって医療関係 者の方たちに分かっていただくか、そのことが一番重要なのではないかと思うのです。そ れについて、各医療機関でどう判断されるかということで、これについて、輸入のものは 駄目で、国内の献血製剤を使いなさいという義務的な話ではなくて、こういった情報をき ちんと伝えていただいて、それを個々の病院がどのように判断していくか。せめて国の関 係した機関の病院としては、協力してもらってもいいのではないかというところとか、そ ういったことが一番基本のことだろうと思うのです。  ですから、インフォームド・コンセントも方法の在り方としては、病院全体が、うちの 病院は血液製剤についてはこのようなものを入れて、この中に非献血、また献血の血液製 剤もこのような割合で使っていますという表示について、患者は全体としてどのような判 断をするかとか、そのような問題がまず提起されていてもいいのではないかと思うので す。  今回の問題は医療経済の中の一部かもしれませんが、血液製剤をDPCに含んでいいの かどうかとか、そういった議論も血液政策の中の一環としては十分に議論はしていただき たいのですが、今、現実にアルブミン製剤がかなり下降気味というところでは、少しカン フル的な感じでもあるかもしれませんが、病院全体の理解と、患者も含めて社会の理解を 得られるような形を、どのような形で提示していくかに絞られているのではないかと思い ます。 ○幕内委員 議事録にきちんと書いておいてほしいことですが、私も上に「日赤」という 名前が付いているので、多少は言いにくいところはありますが、ともかく日赤の血液製剤 が一番高いのです。私は何年も前から言っているのですが、血液の値段も業者との関係も 無茶苦茶だと申し上げているわけです。日赤自体がもっと営業努力をきちんとやって、ほ かの企業に負けないような安い製剤を国内に供給すべきである。営業努力が足りないとい うことだと思います。 ○池田部会長 今回、参考資料2-1をわざわざ作っていただいたのは、今の流れからいっ て、アルブミンの国内自給率が下がっていくだろうという危機感があって、これをよく理 解していただくために、このような資料を作っていただきました。  先ほどから多くの先生が言われているように、わが国は血液法を定め、安定供給、国内 自給でという目標を大きく掲げています。これは過去の薬害エイズの貴重な経験を経て作 り上げたものですので、今我々のやることは、この方向に向かって努力をする。しかし、 それをやりにくくしている要因が幾つかあるという議論は、先生方からはっきりした形で 承ったのではないかと思います。価格差の問題、どうしてこれだけの価格差が生じるのか を納得できる形で示していただく、あるいはその価格差をなくすように努力をしていただ く方向をもう少し詰めていってもいいだろうということです。  それから、先ほど医学教育、医療関係者に献血の推進をという先生方の熱い意見をいた だきました。この点については、すべての医療関係者、医療機関の先生たちが、この血液 法の趣旨をもう一度理解していただいて、患者さんに情報を提供する方向に努力していた だくことで進めたらいかがかと、先生方の御意見を拝聴して感じました。これは非常に重 要な問題だと思いますが、多くの先生方から非常に活発な御意見をいただきましたので、 この議論はこの辺りにします。  もう一つ、血液凝固因子製剤で、国内血漿由来のもののシェアが減っているかもしれな いという方向がありますが、この辺については嶋先生から御意見はございますか。 ○嶋委員 特に気になったのが、第IX因子製剤の遺伝子組換えが今度初めて出てくる。今 まではそこの自給率が100%だったのが、この算定でいうと58.6%です。かなり遺伝子組 換えの移行を想定され過ぎているような気もするのですが、先ほどのアルブミンと全く状 況が反対で、遺伝子組換えの第IX因子製剤の値段は1.6倍で、単位数で換算すると3倍ぐ らいになるのです。そこまでの価格差もある状況の中で、この算定根拠が気になりました。 ○大戸委員 広い意味で血液製剤に含まれると思うのですが、ほぼ100%輸入という製剤 があります。私たちが患者さんの血液型を判定するときに血球が必要なのですが、それが ほぼ100%、恐らく献血ドナーではない外国からの輸入によるものということです。これ はかなり問題で、患者さんの血液型判定が日本国内の試薬を使ってできないという状況に なっております。また、その患者さんが何らかの免疫的な抗体を持っているときに、それ に合わせた血液を輸血しなくてはいけないのですが、その免疫的な抗体を持っているかど うかを決定する赤血球が何種類か必要なのですが、これもすべて輸入製剤です。そういう わけで、このアルブミン、凝固因子製剤のほかに、もう一つ検査試薬にも目を向けないと、 日本の国内の安全保障という観点からも危うい状況にあります。 ○池田部会長 主に感染症という視点からお話をいただいたのですが、今は免疫学的な問 題点ということで、非常に重要な御意見をいただきました。これについても、今後考えて いくべき問題だと思っています。  本日、先生方から本当にいろいろな御意見をいただいたのですが、実際に向かっていく 方向は一つであるということでは、委員の先生方は皆さん一致していると思います。しか し、幾つかの問題点があることも、これは事実ですので、この血漿分画製剤を取り巻く多 くの問題の具体的な解決方法について、もう少し詳細に、時間をかけて、しかし早急に議 論していただくような機会を、この部会の先生方以外の先生方にも多く参加していただい て、場合によってはそういう機関を設けて審議をしていただいて、その結果をこの部会に 報告していただくという手順を取れたらと思います。それはよろしいでしょうか。最終的 には、この部会でその報告をいただいて議論をするということですが、詳細に具体的な問 題点を審議していただくことを考えたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○大平委員 大変いいことだと思います。そういう協議の問題とは違うかもしれません が、先ほど部会長から凝固因子製剤の自給率の低下について出されましたが、今後リコン ビナント製剤などが入っていく中で、血液製剤の供給の在り方、製造の在り方について。 今後リコンビナント製剤などは増えていくと思うのですが、第VIII因子などは25%のうち 血漿由来の製剤は落ちていますが、それが何かあったときにリカバーできる問題なのかど うかとか、そういった将来的な展望を考えた作業部会のようなものを作っていただけたら と思います。 ○池田部会長 非常に貴重な御指摘だと思います。第VIII因子製剤のリコンビナントが出た ときも、リコンビナントの方に一気に流れていくことになると、もしそちらで何か問題が あったときに血漿由来のものはリカバーしづらい。やはりある程度供給をバランスよくや っておくことが安定供給という面では大事なので、一気にどちらかに流れる形はとらない 方がいいのではないか、という議論が第VIII因子でありました。ですから、第IX因子あるい はこれからのほかの遺伝子組換えの血漿分画製剤ができたときに、そういう考え方を基本 的にどのように整理したらいいかということも含めて、血漿分画製剤の諸問題について、 少し整理していただくことを事務局にお願いして、進めていただけたらと思います。そし て、なるべく時間を置かないで、この部会にその議論の内容を報告していただいて、また 先生方に御議論いただく形にしたいと思いますのでよろしくお願いします。  本日、原料血漿の各目標量の96万Lと、需要見込み、製造目標量について、事務局案 で大まかなところは暫定的に承認をしていただこうと思いますが、今日の議論を経て、次 回の部会で最終的に、特に原料血漿の配分価格を含めた最終的な了承もありますので、次 回の部会で最終的にお認めいただくということで、テンタティブには大きな目標、確保量 は御承認いただいたことにいたします。非常に重要な問題を提起していただきましたが、 委員の皆さん方の向かっているところは同じなので、具体的にどのような対策がとれるか を、もう少し煮詰めていっていただきたいと思います。ありがとうございました。  次に議題3「採血基準の見直しについて」です。これも重要な問題です。平成20年度 に開催された「献血推進のあり方に関する検討会」で提言された「献血推進のあり方に関 する検討会報告書」を受けて、現行の採血基準を見直そうということです。事務局と日本 赤十字社から説明をお願いします。まず事務局からお願いします。 ○難波江課長補佐 事務局より資料3について御説明いたします。資料3-1です。今般の 「採血基準の見直しに係るこれまでの経緯」です。昨年9月に「献血推進のあり方検討会」 が設置され、その中で採血基準の見直しについて検討することとされました。採血基準に ついては、かなり技術的な検討も必要ということで、ワーキンググループが設置されまし て、本年の1月と2月にワーキンググループで検討され、報告書が取りまとめられました。 その報告書の内容は、本年3月に開催された平成20年度第2回の血液事業部会で報告さ れておりまして、次回の部会において審議することとなっておりました。  資料3-2です。これまでの「わが国の採血基準の改正の経緯」です。一番最初は、昭和 31年に制定され、これは200mL全血を対象とした採血基準でしたが、昭和61年に400mL 全血と、血漿成分採血及び血小板成分採血を追加したときに、新たにいろいろと設けられ まして、その後二度マイナーな改正が行われております。  資料3-3です。これは現在の採血基準と海外の採血基準の資料です。資料3-4です。こ れは献血推進のあり方に関する検討会より提言された見直し案と現行の基準を並べた新 旧対照表です。この資料3-4と資料3-5に基づいて、今回の見直し案を御説明いたします。  資料3-5の検討会報告書の2ページを御覧ください。下線のある部分が、今回検討会よ り改正が提言された箇所です。(1)400mL全血採血基準の下限年齢の見直しについてです。 日赤による献血副作用発生率データ等から判断すると、400mL全血については、17歳男性 への年齢下限拡大は可能であると考えられると報告されております。ただし、献血者の安 全を確保する観点から、採血前後のリスク管理を徹底するなど、献血副作用の防止策を万 全にすることが必要である。特に初回献血者は、複数回献血者と比較して、献血副作用の 発生率が高いとのデータも得られていることから、初回献血時のリスク管理を徹底すべき である。その他の年齢層(16歳男女及び17歳女性)については、引き続き検討を要すると いう結果となっております。  (2)血小板成分献血採血基準の上限年齢の見直しについてです。国内で得られた年齢別 の献血副作用発生率データ等から判断すると、血小板成分献血の上限年齢については、男 性に限り69歳まで拡大可能であると考えられる。ただし、65歳〜69歳の者については、 60歳に達した日から65歳に達した日の前日までの間に採血が行われた者に限るとされて おります。女性については、引き続き検討を要するということです。  (3)採血基準項目における「血液比重又は血色素量」についてです。医学的には「血色 素量(ヘモグロビン)」に統一すべきである。ただし、現状で使用できる検査機器が海外1 社の製品のみであるため、当分の間、採血基準は原則として「血色素量」とするが、危機 管理上「血液比重」で代替することも可とするとされております。  (4)年間総採血量です。「年間総採血量、採血回数、採血間隔」について、現時点では 国内の複数回献血者の血色素量推移データから、400mL全血献血を年4回安全に施行でき ることを担保するエビデンスは得られなかったということです。「男性の血色素量最低 値」については、献血者の安全性を考慮すると、現行の採血基準から0.5g/dL引き上げる ことが妥当であるという結論が得られております。  なお、(3)の血液比重また血色素量について、ここでは「当分の間、採血基準は原則と して血色素量とするが、危機管理上血液比重で代替することも可とする」とありましたが、 その後、状況に変化がありました。当時は1社の製品でしたが、現在もう1社が医療機器 としての承認を取得しておりまして、現在その会社が体外診断薬の承認を申請中です。ま た、ほかの1社が機器の承認を申請中ということです。また、比重法で用いる硫酸銅の製 造が減少して、入手困難な状況になっておりますので、日本赤十字社から、今回の見直し に合わせて、血色素量へ統一いただければという言葉もいただいております。この点につ いては、後ほど日本赤十字社からの報告にも含まれる予定です。  資料3-6がワーキンググループの報告書、資料3-7がワーキンググループでの検討に用 いた論文の一覧、資料3-8と資料3-9がワーキンググループで使った論文一式です。資料 3-10については、日本赤十字社から報告をいただきます。 ○菅原献血推進課長 資料3-10、日本赤十字社の「新採血基準移行への準備について」 の御説明をいたします。  1ページです。先ほどからありますように、平成20年度に「献血推進のあり方に関す る検討会」が設置され、今後の推進方策等について検討され、その報告書として提言され たところです。その骨子としては、一つは「社会や学校の環境変化に対応した献血推進方 策」で、6項目ございます。もう一つが「採血基準の見直し」で、4項目ございます。こ れらの提言を受けまして、今後、国、地方公共団体及び日本赤十字社がどのように事業を 進めていくかについて、短期的にできるもの、あるいは中長期的に対応することが必要な ものに分類した上で、明確な目標を定めた行動計画が示されたところです。今回は新採血 基準移行への準備として、日本赤十字社が取り組んでいる事項並びに今後取り組んでいく 予定である事項について、具体的項目別にその進捗を御報告いたします。  2ページです。1「採血時におけるリスクとその対応策を事前に分かりやすく情報提供」 という部分です。(1)事前説明ということで、一つは初回献血者向けの事前説明用DVD の作製を考えております。内容的には、学校献血会場及び一般会場での事前説明時におい て、ビデオ映像を視聴していただき、特に初回献血者が持っている不安などを払拭し、採 血副作用の防止の一助としたいというものです。内容としては、初回献血者向けに、献血 の手順あるいは献血後の過ごし方等、献血前の事前説明に重点を置いたものとしたいと考 えております。運用開始時期は、採血基準の変更時期に合わせてと考えております。  併せて、日赤のホームページも改修していきたいということです。献血の意義並びに献 血への感謝の気持、安全性確保のための献血時におけるリスク及び採血副作用防止への注 意事項等を、事前に献血者へ情報提供するということで、今年度末ということで検討を進 めております。  3ページです。(2)献血会場の入口において、一つは固定施設における映像配信システ ムの準備を進めております。内容は、献血の意義、感謝並びに安全性確保のための献血時 におけるリスク、あるいは採血副作用防止への注意事項等を、会場に入る前に献血者へ情 報提供をするという目的です。このシステムについては、本年11月から、全国の各赤十 字血液センター及び献血ルーム、採血所に順次導入を開始しており、今年度末までには整 備したいと考えております。参考までに下に導入例として、先行導入したところから二つ の献血ルームを表示しております。このような形で、入口に入る前に視聴できる形で環境 整備をしていきたいと思っております。  情報提供の例ですが、右側にあるとおり、献血基準あるいは手順、現在受付時に配付し ている「お願い」に入っている情報、先般通算1か月に緩和された欧州等滞在歴の制限情 報、在庫情報、その他CM素材やキャンペーン情報等も含めて、非常にフレキシブルに表 示が可能になっている媒体です。  4ページです。タペストリーの作製です。これも先ほどのデジタルサイネージと同じよ うな目的です。全献血会場にこのようなイメージのものを掲示し、感謝の気持を表すとと もに、献血の目的の意識付けを行います。そういうことによって啓発を図っていきたいと 考えています。  5ページです。(3)で、献血の受付の段階です。初回献血者に対して、献血後の過ごし 方等の注意事項を動画等で提供することで、副作用の防止のための注意喚起を行いたいと 考えております。移動献血車においては、再生機器で視聴する方法、献血ルーム等の固定 施設においては、資料に画面イメージがございますが、問診タッチパネルを一部改修し、 視聴していただきます。初回献血者については、特にこの新規画面、これはまだ確定では なくてイメージですが、水分補給、十分な休憩をしていただきたいということを事前に理 解していただきたいと考えています。  それから、当然血液事業統一システム自体の改修も必要になっています。改訂された採 血基準に適合したシステムとしたいと考えております。詳細は後ほど最後のページで御説 明させていただきます。  6ページです。事前検査の段階で、これは先ほど御報告がありましたが、採血基準を血 色素量に統一するということです。欧米では硫酸銅比重液を採血基準の判定に用いている 国は少ないという状況で、判定結果の客観性の向上のためにも、血色素、いわゆるヘモグ ロビンにより判定統一する方向で検討しております。現在、国内で使用できる簡易型ヘモ グロビン測定装置は1機種のみですが、危機管理上の面から、2機種以上の機器について、 評価、追加導入を検討しております。なお、既に全国37の血液センターで、簡易ヘモグ ロビン装置による血色素判定に移行しており、今後、硫酸銅比重液の使用量の低下により、 メーカーの生産中止が予想されることもあり、血色素判定に統一していきたいと考えてお ります。  7ページです。採血後十分に休憩できる環境整備ということです。献血ルームなどにお ける休憩スペースの拡張等です。献血ルーム等の固定施設においては、施設面積、献血者 数、改装計画等の調査を行い、実態を把握した上で、日本赤十字社内に施設基準検討プロ ジェクトを設置しておりまして、その中で、採血室あるいは待合スペース等の標準レイア ウトの検討等を実施し、施設の平準化を図った上で、ガイドラインを策定する予定です。 また、このプロジェクトには、設計に関する外部コンサルタントの意見も反映したいと考 えております。  一方、献血バスについては、機能の充実を図るための変更、車両そのものの改造及び他 の車両、例えば接遇車両等の導入等について検討を中期的な視野で行っていきたいと考え ております。  下の方に「平成21年度以降の環境整備の実例」として、東京都内の二つの献血ルーム を載せています。左側がこの10月にオープンしたakiba:F、右側は12月にリニューア ルオープンした吉祥寺タキオンです。既にこのような環境を考慮した上での整備が進めら れている献血ルームもございます。  8ページです。「採血後の献血者の安全確保にあたる者の確保」です。特に学校献血会 場などにおいては、血液センターの退職者等の献血受入経験者や学生ボランティアをお願 いし、献血者の安全確保あるいは献血に関する説明などを行っていきたいと考えておりま す。  9ページです。先ほどの血液事業統一システムの改修に係る作業日程(予定)です。一番 上のカラムに「英国渡航歴対応」という欄がございます。これは先般運営委員会でも議論、 承認させていただいた、本年1月中に、通算1か月以上に制限を緩和することを踏まえて の統一システムの改修作業で、1月中に完了予定で、引き続いて問診票あるいは採血基準 の見直しに係る改修を行った場合という条件で、スケジューリングしたものです。  問診票と採血基準の同時の改修作業を行った場合については、仮に1月下旬からシステ ムの改修を行った場合、おおむね1年強、平成22年度末までの開発・評価期間を要する ものと考えております。また下の欄ですが、仮に採血基準対応を優先させた場合について は、当然2段階の開発・評価期間になるので、上記の同時対応に比べると、その開発・評 価期間は約4か月延びる状況です。  日本赤十字社としては、採血基準あるいは問診票の改訂に係る献血者の受入業務は、非 常に密接な関係にあります。統一システムも含めてそのような関係にあることと、先に御 説明した各種準備作業期間等も考慮すると、中段にある「問診票・採血基準同時対応」と して、システムの改修を進めさせていただきたいという方向で考えております。以上です。 ○池田部会長 「採血基準の見直しについて」という議題です。お手元の資料3-4を御覧 になると、現行と改正案が載っています。これについては今年の3月に行った血液事業部 会で、献血推進のあり方に関する検討会の報告書を先生方にお目通しいただいたわけです が、それに基づいてこのような現行の採血基準が、左の改正案の方で200mL、400mL全血 採血と、血漿成分と血小板成分採血のそれぞれについて、案が出てきているということで す。それに伴って、ただ今御紹介のあった赤十字としては、血液事業統一システムの改修 作業日程が提示されていますので、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。 ○高橋委員 採血可能年齢ということで、二点ございます。特に初回献血者向けの配慮は、 すごく大事になってくると思います。今、御説明いただきました資料3-10の5ページの 「初回献血者向け映像等の作製」で、2.と3.の選択が気に入りません。  私自身は、いろいろと御説明して、「理解した」「キャンセル」の二者択一ではないだ ろうと。「理解して不安はない」という選択と、「理解したけれども不安は残る」という 選択をしっかりと用意して、残った場合にはそれを最後に決定する人、問診者が考慮して、 むしろ400mLにしないで今回は200mLにしましょうとか、是非柔軟に対応していただきた いと思います。もちろん200mLから400mLあるいは成分献血というのは、全体としてはう まく推移してきたわけですが、一方では高校生献血との絡みで、400mLにこだわり過ぎて、 高校生献血が目減りしたという歴史があります。そういうことを考えると、将来的な献血 者の確保も考えて、無理をせずに柔軟に献血者の気持に沿って、400mL、200mLを柔軟に 選択するという在り方であってほしいというのが一つです。  もう一つの血小板成分献血の採血可能年齢の引上げも、少し心配なのは生活習慣病との 関係で、幾つになったら急に警戒すべきということはないのですが、だんだん年齢が上が ってくるので、65歳以降の方に関しては、それより若い方と比べて、このようなチェッ ク項目を例えば年に1回するとか、そういうことをしっかりと提示していただければいい のではないかと思います。そうでないと、不測の事故が起こった場合に、十分な配慮、体 制がとられなかったのだということで問題になるのではないかと危惧します。 ○池田部会長 二つございまして、一つは初回献血が大事なので、その際の考慮を十分に してほしいということです。特に若い方です。もう一つは、血小板採血、成分採血の場合、 今までは男女54歳までだったものを男性は69歳になるということで、当然60歳を過ぎ て、生活習慣病、動脈硬化を基盤にしたような疾患が増えるので、それに対する考慮を十 分にしてほしいということのお二つでした。二つとも重要な問題かと思います。 ○大戸委員 高橋先生と同じ意見なのですが、血小板ドナーを69歳まで上げたいという こと。骨髄バンクのドナー安全委員会をずっとやっていたのですが、骨髄バンクのドナー は55歳までです。なぜもっと年齢を上げないかというと、骨髄バンクのドナー検査で分 かったことは、50歳を超えると急速に何らかの疾患を持つようになってきてしまうので す。心電図異常、血圧、肝機能、コレステロール値が高いなど、いろいろなものが出てき まして、それ以上に上げることは、ドナー安全委員会のほぼ委員の全員が賛成できないと いう立場だったのです。  血小板献血などをするときに、ドナーの方全員に心電図検査を行っていたと思うのです が、最近はほとんど心電図検査は行われなくなっているので、この69歳に上げるときに 何らかの安全対策を施した上でというか、そのような配慮なしでスーッと上げるのは、危 険を伴う可能性があると思っています。 ○池田部会長 ありがとうございます。 ○三谷委員 血小板成分採血の男性の採血可能年齢の引上げの件ですが、括弧書きで65 〜69歳までの方については、60〜65歳の間に献血の経験がある方と書かれていますけれ ども、この文章だけですと、献血が血小板成分献血のことなのか、あるいは200mLの全血 の献血の経験でもいいのか少し分かりにくいので、ここははっきり書いていただかないと 現場が混乱するような気がします。 ○池田部会長 これは成分採血ではなくて、一般的に血小板採血ですね。ですから200cc の献血でもいいという方を含めるという意味でこれは書かれているのですか。今、三谷委 員が言われたのは、60〜65歳の間に献血された方は、65〜69歳までいいですよというこ となのですが、その献血というのは全血の200ccや400ccの献血も含むのか、あるいは血 小板献血だけなのかということです。 ○難波江課長補佐 ワーキングでは、種別を問わず採血をした経験があるということで す。 ○池田部会長 種別を問わず、いかがですか。 ○三谷委員 先ほど来少し議論がありますが、体外循環のリスクがあるかと思いましたの で、これはどちらなのか伺ってみました。 ○池田部会長 ちなみに血漿成分採血は、今は何歳までですか。 ○難波江課長補佐 69歳までです。 ○池田部会長 69歳までですね。血漿成分採血は69歳までということで、血液の処理量 あるいは処理時間としては、そんなに大きく違わないということが一つの根拠になってい るというふうに、このあり方に関する検討会では議論されたと伺っています。 ○高橋委員 初回献血の方ももちろんそうなのですが、善意でどうしても献血したいとい う気持が強い方々が対象なので、むしろそれに対する不安とか、難しいかもしれないとい う要素は、表明されない方の方が多いと思います。特に血小板成分採血で過去に献血歴の ある方であれば尚更、前も大丈夫だったし今日も大丈夫だという気持がすごく強くなると 思いますから、余計ガードをしっかりしてあげないと危ないのではないかと思います。で すから、初回献血の人とはまた別な意味で、その辺のリスク評価をしっかりした方がいい と思っています。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。何かございますか。 年齢を17歳まで下げるということで、一応、この献血のあり方検討会ではデータを基に、 余り問題ないだろうという結果です。  年齢が下がれば、そうでなくても初回の献血は非常にナーバスになる点を特に注意して ほしいという点と、血漿と血小板の採血とどこが違うかはなかなか難しい。処理量と処理 時間はそんなに差がないけれども、血小板と血漿では、血小板の活性化みたいなものを含 めて多少差があるだろうと考えるのは当然なので、そういう面で大戸委員、三谷委員から ありましたように、生活習慣病の方たちのスクリーニングについて、心電図で全部分かる かどうかは分からないと思います。多くの心筋梗塞などは心電図に何も変化がなくてボン と突然起こったりしますので、なかなか難しいと思いますが、その辺も少し工夫してほし いという意見が出たように思います。そのほかいかがでしょうか。  これは仮に赤十字の資料で、問診票と採血基準同時対応でやった場合に、1年ぐらいシ ステムの改修にかかって、実際に決まってから開始までには1年かかるということです か。これはかかり過ぎではないでしょうか。 ○菅原献血推進課長 一応、評価期間も含めて1年ぐらいかかるという状況です。 ○池田部会長 評価期間というのは何ですか。システムの評価ですか。 ○菅原献血推進課長 そうです。システムの評価です。問診票の改訂も含めてになります と、各種プログラムに非常に影響を及ぼしてくるところもありまして。 ○池田部会長 そのシステムの改修と評価だけで1年かかるのですか。 ○田所経営会議委員 今作ったのは、やや複雑にできているところがありまして、一つの ところを直すと、いろいろなところに波及する問題をきちんとチェックしておかないと、 問題が大きくなるということがあります。 ○池田部会長 混乱をすると。 ○田所経営会議委員 かなり慎重に検討する時間を加えてやっています。現在のコンピュ ーターシステムではこういうことには迅速な対応が難しいので、次の世代のコンピュータ についても、もう準備を始めている状況にあります。ただ、現在のコンピュータシステム においては、そういう時間がかからざるを得ない現状がございます。 ○池田部会長 採血基準はいかがでしょうか。私から一つ部会長としての注文は、新しい 基準を採用するときに、その基準がもたらした効果を、どういう形で評価する計画を持っ ているのかを考えていただきたいのです。一つには当然、新しい基準で採血された方たち がどういう対応を示したかもありますし、そういう方たちがその後、例えば16歳に献血 した人が5年後、10年後に献血に対して信用性が出てきているとか。ただ単に増やせば、 その時は献血量は増えるかもしれないけれども、基本的には献血人口を増やすという大き な視点で考えていかなければいけないし、若い人たちが献血に関心を持つことによって、 長い間献血をしてくださる効果を生むというような、新しいことを採用したときのアウト カムを評価し、検討するような仕組みを、この中に入れていただけると有り難いと思いま す。  この採血基準に関してはいかがでしょうか。先生方から御意見を伺って、その案を少し 議論していただき、これも推進計画と同じようにパブリックコメントの聴取も行いますか ら、その手続を経た上で、また次回の部会に改めて提示することでお願いしたいと思いま す。事務局の方はそれでいいですね。パブコメが出て、次の部会でその結果も含めて最終 的に議論していただくということです。そのときにまた先生方に御議論いただけると思い ますので、もし特段、この採血基準の見直しについて御意見がなければ、そのようにお願 いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。  審議事項が三つ終わりましたが、次に議題4の「その他の報告事項」です。たくさん報 告がございます。幾つか重要な報告もございますので、事務局から順に説明をお願いした いと思います。 ○難波江課長補佐 議題4の報告事項について、資料4を基に御説明いたします。御用意 させていただいた資料は、主に本年度3回開催された運営委員会で御審議いただいたもの となっております。資料4-1は「供血者から始まる遡及調査実施状況」です。本年度上半 期、遡及調査の対象とした献血件数は949件です。うち個別NATが陽性となったのが 79件で、すべてHBVです。医療機関に供給された製剤について受血者状況を調査した ところ、陽転事例が上半期はゼロとなっております。  資料4-2は、血液製剤で感染が疑われた事例についての個別の報告一式です。今回は新 規症例の報告はありませんでした。  資料4-3は「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」です。一番下に本年度 上半期の速報値で10万件当たり1.997とあり、昨年度より若干少ない数値となっており ます。3ページは「都道府県別」の状況です。大阪と東京においては陽性件数が減少して おります。特に大阪は上半期で9件となっておりますが、昨年度の同時期に比べて11件 減っている状況です。東京も昨年度の同時期に比べて4件減っております。一方で、茨城、 埼玉などは上半期で既に昨年度の数を上回っている状況です。7ページは1987年からの 献血者における男女別陽性者の年次推移です。一番上が男性で、10万人当たり2.823で 昨年度より若干少ない。一方、女性は一番下で0.354と、昨年度より10万人当たりで見 ると約倍の数になっております。  資料4-4-1について御説明いたします。これは、本年5月に国内発生した新型インフル エンザへの対応についての資料です。本年5月の国内発生を受けて主に二つの対策をすぐ にとらせていただきました。一つが血液製剤の安全性の確保です。もう一つは血液製剤の 安定供給の確保です。安全性の確保については2ページ、3ページに通知を付けておりま すが、献血後7日以内に新型インフルエンザの罹患が確認された、又は疑われた献血者か ら採血した血液は用いない。また医療機関に既に供給されている場合は回収する等の対応 を行っています。この対応は国内発生直後から、予防的な措置として行っているものです が、資料4-5に基づき、実際に今般の新型インフルエンザウイルスが、輸血で伝播するか どうかについて御審議をいただきました。資料4-5の1枚目が文献のレビュー結果になっ ています。これまで季節性、H5N1、今般の新型インフルエンザに関する文献のレビュ ー一覧となっております。  次のページで右側にあるのは、ちょうどアメリカのFDAにおいても同様の議題で11 月に諮問委員会で審議がなされ、その際、FDAから報告された事項としては、これまで 輸血による季節性インフルエンザに感染した事例は報告されておらず、同様に今般の新型 インフルエンザについても、輸血により感染が成立した事例はなく、また無症候状態者の 血液からウイルスは分離されていないという報告が行われています。  次のページを御覧ください。一覧になっているのは、日本赤十社の方で献血後7日以内 に新型インフルエンザと診断された方の96検体についてPCRにかけたところ、いずれ からもウイルスは検出されなかったという結果が示されております。その結果、運営委員 会において、今般の新型インフルエンザが血液を通じて感染する可能性は極めて低い、と いう結論が得られております。しかしながら、各国も引き続き調査を行っているところで あり、当面の間、現在の措置は継続するという結論もいただいております。  資料4-4-1に戻っていただき、続いて安定供給確保の対策について御説明いたします。 5月の国内発生時には兵庫、大阪で献血量が当初計画より20%程度低下する状況が生じ ましたので、5ページ、6ページにあるように都道府県、日本赤十字社に対し、安定供給 の確保をお願いしたところです。また更なる場合に備えて7月の運営委員会においては、 11ページにあるように、(1)官公署・企業等における事業所献血の推進、(2)複数回献 血者への緊急的な呼びかけ、(3)医療機関における適正使用の更なる推進、(4)海外滞在 歴による献血制限の緩和、この四つの方策について御議論いただき、(1)〜(3)の対応に ついては、すぐ開始すべきと御指示いただきまして本年8月より実施しております。(4) については7月の運営委員会で御審議いただいた際には、現時点でのリスク評価を踏まえ て改めて審議するとされました。  それを受けて今月の10日の運営委員会において、資料4-4-2に基づき改めて御審議い ただきました。背景として、わが国初の変異型クロイツフェルトヤコブ病患者が平成17 年2月に確認され、その方が1990年、英国に24日間滞在されていた経歴をお持ちでした ので、予防的かつ暫定的措置として平成17年6月より、同期間に1日でも英国に滞在し た人からの献血は御遠慮いただくという措置をとってきたものですが、今回、改めて御審 議いただいたというものです。  4-4-2の1枚目は、海外で英国滞在歴についてどのような制限がなされているかを示し た表です。アメリカ、カナダで3か月、カナダの中でケベック州だけが1か月以上、その ほかフランス1年、ドイツ、イタリア、豪州が6か月以上となっております。  次のページを御覧ください。これは運営委員会に、CJDサーベイランス委員会の委員 長の山田先生にお越しいただき、現在の発生状況について御発表いただきました。スライ ドの3枚目にありますように、縦棒がBSEになります。線グラフがヒトでのvCJD発 生の推移で、ピークは過ぎているところです。わが国で発生が確認された患者さんが2004 年12月に亡くなっているのですが、それ以降、国内では発生していないとの御発表をい ただいております。  真ん中下に振ってあるページ数で6ページに、広島大学の梯先生が食品安全委員会の研 究班の分担研究として行った、数理モデルを用いた英国渡航に由来するvCJD感染リス クの評価について御発表いただきました。その結果が10ページの下のスライドです。2007 年までに理論的に0.06人が発症するとして、11ページの下に「予測の検証」があります が、実際に2005年に1人発症しています。2007年まで0.06人という期待値と比較する と、もう1人患者が発生する可能性は極めて低いという結果が得られています。その結果、 16ページに「まとめ」がございます。英国渡航に係るvCJDについては感染者がいる 可能性が小さく、もし存在しても感染拡大の可能性が小さいので、献血に起因するvCJ D感染拡大リスクは非常に小さい。英国渡航に由来する新たなvCJD発症者が報告され ない状況が続いているので、その可能性はますます小さくなる。献血条件を少し緩めるだ けで、多くの方が献血可能になるという御発表をいただいております。  17ページ以降は、日本赤十字社より御発表いただいた新型インフルエンザが更に蔓延 した場合の赤血球在庫の予測と、英国渡航制限を緩和した場合に期待される献血者数の見 込みです。20ページに英国渡航歴の献血制限を1か月に緩和すると、年間約20万人の献 血者の増が期待されることが示されております。  これらの発表を踏まえて御審議いただいた結果、現在の制限を見直し、新たに同期間に 1か月以上滞在された方からの献血を制限することが妥当、という結論をいただきまし た。今、日赤において、来年1月中の実施に向け準備を進めているところです。  資料4-6です。昨年、運営委員会、安全技術調査会合同委員会において、公開の場で4 回集中的に御審議いただいた、血液製剤に対する感染性因子低減化技術、いわゆる不活化 技術についての日赤からの発表事項です。今月の運営委員会において資料4-6に基づいて 日本赤十字社より報告がなされております。  報告の要旨としては、アモトサレン法及びリボフラビン法の第一世代、第二世代の三つ の技術について、低減化(不活化)効果について、製剤品質への影響について、薬剤の安全 性について、血液事業への影響について、様々な角度から検証した結果、また欧米におけ る臨床試験や導入状況について報告がなされ、日赤としてリボフラビン法第一世代につい て了解が得られれば、幾つかの問題点を詳細に検討するとともに、薬事審査に必要な臨床 試験のための準備を開始したい旨、表明されております。運営委員会での御審議の結果、 血小板の劣化等の懸念もあることから、海外における臨床試験や市販後調査の結果等の情 報を十分収集し、精査した上で、リボフラビン法第一世代の技術の臨床試験の実施に向け た準備を開始するよう、またその他の新たな技術の開発状況についても、引き続き情報収 集するよう結論が出されたところです。 ○血液対策企画官 引き続き資料4-7です。「フィブリノゲン製剤等に関する報告につい て」、既に幾つかの報告については厚生労働省のホームページで公表しているものです。 「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」、これは平成16年12月9日 にフィブリノゲン製剤納入先医療機関を公表していますが、平成19年11月7日付けで追 加調査の件について、これは2週間に1回公表しているもので、11月27日に直近のもの が公表されています。  「C型肝炎訴訟の和解について」ですが、これは11月30日に公表されているものです し、田辺三菱製薬の個人情報開示の請求等についても10月1日に公表されているもので す。「血液凝固因子製剤の納入先医療機関の調査について」も、直近の9月4日に公表さ れているものをここに出しています。  「フィブリノゲン製剤納入医療機関への訪問調査について」は、13ページにあります が、昨年度、実は46の国立病院機構、医療機関について調査を行ったところです。本年 度については国立病院機構の病院のほか、国立高度専門医療センター、労災病院、社会保 険病院、厚生年金病院を加えた15の医療機関について、本年中に訪問調査を行っており ますが、それについての公表の話です。最後はフィブリノゲン製剤等に関する相談窓口に ついての内容です。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。多くの報告事項をお願いしました。遡及調査の 話、血液製剤による感染症の問題、HIV抗体の陽性件数の報告、新型インフルエンザの 国内発生に関わる対応について、そして血小板製剤に対する不活化技術導入の準備につい て、フィブリノゲン製剤に関する報告について、7つほど報告をいただきました。こうい う報告事項ですけれども、委員の先生方、今の報告を聞いて何か御意見、御質問、疑問等 がありましたらお寄せいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○幕内委員 私は2004年のこの会合で、メチレンブルーによる不活化の導入をした方が いいのではないかという提案をしましたが、それからもう5年が経過しているわけです。 ですから患者さん側の立場からすると、不活化導入が非常に遅れたということですかね。 なぜこんなに遅れるのか御説明を願いたいと思います。いろいろな調査ということもある のですが、いろいろな薬があって、それらの同時並行の情報の検討が十分なされているの かということもあります。いろいろ質問がありますので、メモを取って一つ一つお答え願 いたいと思います。  既に承認され、市販後調査の情報もあると言われているビタミンB、リボフラビン法と アモトサレン法については、今更、情報収集が必要なのかという気もするわけです。資料 4-6の最初の書き出しの最後には、これから更に情報収集と書いてあるので、医薬品・医 療機器機構であれば、そういうところで承認されているとなると論文化され、インターネ ットでも各国のFDAやPMDAに相当する機関がデータを公表しているはずです。  資料4-6を見ると、結局、リボフラビン法とアモトサレン法を比較しているわけですが、 アモトサレン法については前臨床試験や臨床試験の結果、フェーズIからフェーズIIIの論 文が出ており、市販後調査の結果も論文があると聞いています。これに対してリボフラビ ン法の有用性、安全性を示す論文が見当たらないのであります。欧州では、リボフラビン 法もアモトサレン法も医療機器としては承認されているので、それは11ページの表8に 出ています。フランス、ドイツ、スイスでは、なぜアモトサレン法だけ記載されているの かというところが質問です。両技術の承認に差があるのではないか。医療機器の承認につ いては、クラス1〜クラス4まであるようですが、リボフラビン法、アモトサレン法の承 認はどのクラスでなされているのか。もし違いがあるとすれば、どのような違いがあるの かを御説明願いたい。  安全が最も優先される血液行政で、先ほども大平委員から、外国で分かった情報は早く 伝えて患者さんの安全を確保すべきだとありました。これは微量で数も少ないと思います が、こういうところは日赤及び厚労省が早急に対策を立てて、患者さんの安全を確保しな ければならないところであるにもかかわらず、ある意味、ちんたらちんたらと言うのか何 と言ったらいいのかわかりませんが、市販後調査の情報があると表に示しておきながら、 5年もかかってまだ結論が出ないという、そういう亀のような遅さというのは一体どこに 原因があるのか。  11ページの表8にイタリア、スペイン、ポルトガルとあり、「一部の血液センターで ルーチンで製造されており、安全性等を確認するため市販後調査が行われている」と。行 われているのであれば資料が出てくるはずですね。それはなぜ開示されないのか。  アモトサレン法でも既に35万例以上の輸血例があると書いてありますが、何か問題に なるような副作用等が報告されているのかどうか。リボフラビン法では使用例が何例あっ て、市販後調査の症例数は各国何例ずつなのでしょうか。2、3の方法があって、しかも 市販後調査の結果まで発表され、そういう方法があるのに、そちらを検討しないのかとい うことです。これから薬事承認の状況、臨床試験の結果、市販後調査の結果を検証するの であれば、アモトサレンの情報も比較し、ビタミンB2に限るのではなく、技術の選択を クールにやるべきであって、その辺の情報の集め方というか取り方というか、その辺が何 となくよく分からないというかフェアでない気がするわけです。きちんと出していただき たいと思います。  患者さんの安全性から言うと、市販後調査の情報が実際に使用した際の安全性を確認で きる最も確かな情報ですから、その辺が出ているものを検証せずに技術の選定を進めるの は、日赤や厚労省の方針として適切ではないのではないか。アモトサレン法は、欧州では クラス3の医療機器として承認されている。ということは、要するにそれからできた薬を 販売してもいいということです。私はそのように認識しています。フランス、ドイツ、ス イスでは不活化した血小板が細菌、ウイルス、原虫、白血球を不活化した血小板として承 認されている。それに対してリボフラビン法はクラス2のCEの認証のみで、フランス、 ドイツ、スイスでは臨床に使用するための、リボフラビン法で不活化した血小板としての 追加承認がいまだないという技術であるわけです。  ですから、そこをなぜ日本は両者の技術を比較しないで、B2だけに走ったのかという のがよく分からない。ともかく、日本では早期に不活化の導入をしなければならない現状 にあるのに、そして既にフランス、ドイツ、スイスでこの血小板が承認されているのに、 その辺の承認が得られていないリボフラビン法を選択するのは、よく理解ができないとい うことです。  6ページには、これら薬事承認の状況、臨床試験の結果、臨床使用の状況を調べるとあ りますが、それならばリボフラビン法とアモトサレン法について同時に並行して検討し、 その結果をクールに発表するべきで、どちらかに偏るような、あるいは誤解を生むような 表を作るのではなく、クールに出していただきたい。以上、12点につきお答えをいただ きたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に質問が多岐にわたっているのですが、今 この場で答えの出ることはございますか。赤十字からコメントはありますか。 ○田所経営会議委員 12点というのは、ちょっとばらばら言われたので、どれがどう12 点か理解できませんでしたが、結論を言うと、アモトサレンとリボフラビンと並行して評 価しろということのように聞こえましたけれども、そういうことですか。 ○幕内委員 先ほど御説明されたことによると、日赤はリボフラビン法を採用する方向で 検討したいという報告でした。それはもう既に結論ありきではないですか。この紙には、 これからいかにも検討していくように書いてあるけれども、両者の意見は一致していない わけです。先に結論があって、その方向に従って進んでいるのではないかと疑わせる方向 ですね。  それから何にもまして、この間、5年間の血液センターの不作為は極めて厳しく指摘さ れるべきことです。それをやっていればVB2だって、今のところ証拠があがっていない ということできているわけですから、アモトサレン法の可能性は十分あるわけでしょう。 過去にもそういう事例があったわけだし、そういう意味でここはきちんとしなければいけ ないと思います。 ○田所経営会議委員 大体、言わんとすることは分かりました。12点を整理していただ けないようですからいいですが、この間、国の運営委員会あるいは合同委員会の中で積み 重ねて審議をしてきて、その間に我々もリボフラビンとアモトサレンの両方を評価してき たわけです。その上でこのような評価を出しているということが一つです。  ECにおける医療機器として、どういうランクのものを取るかについては、恐らくEC 当局とメーカーが相談して、あなたのところは何を取りなさい、という相談に基づいてや っていると我々は解釈しております。それをEC当局と相談なしに、私はこれがしたいか らという話は日本でもあり得ないし、多分ECも同じであろうと思います。それぞれの必 要に応じてやっていると私は解釈します。 ○幕内委員 クラス2とクラス3の違いは何ですか。 ○田所経営会議委員 クラス2とクラス3の違いというのは、恐らく臨床試験のデータも 含めて、必要な医療機器とそうでない機器の違いがあろうかと思っています。 ○幕内委員 では、11ページの表8にはなぜCEマークとしか書いていなくて、クラス がきちんと書いていないのですか。 ○田所経営会議委員 そこまで書く必要があるかどうかというのは。 ○幕内委員 2と3の間には重大な溝があるのでしょう。 ○田所経営会議委員 どういう溝だと解釈されているのですか。 ○幕内委員 2までは、機械会社が機械を申請したということですよ。3は要するに、そ こから出てきた製品を使っていいかどうかということでしょう。私の理解は間違っていま すか。 ○田所経営会議委員 私の理解とは、ちょっと違いますね。 ○幕内委員 2と3というのは重要なことだから、ここの表には書かなければいけないこ とでしょう。それが書かれていなくて、ヨーロッパ中均一にCEマークがマルとしてある わけです。それはかなり違うのではないですか。 ○田所経営会議委員 私の考えではEC当局と相談をされて、どのレベルの申請のための データが必要か相談されて決めたことだと思います。そのもの自体の安全度合いを評価す る判断が加わっているだろうとは思っています。 ○幕内委員 クラス2の承認を受けたとして、その承認で臨床試験を始めていいのです か。 ○田所経営会議委員 当然です。クラス2の試験の上でフランスは臨床試験を行って、製 造承認申請を出して、現在審査中です。 ○幕内委員 クラス2の承認で、プロダクツを臨床試験に使っていいかということです。 機械は臨床に使っていいでしょう。そうでなくて、要するに医療機器と医療製品の問題が あるわけです。特に血液製剤の場合は患者に入るわけだから、そこまでの承認は得ている のですかということを聞いているのです。 ○田所経営会議委員 フランスでは、それに基づいて製造承認申請を出して国の審査を受 け、現在、審査中なわけです。ということは、クラス2をベースにして臨床治験がやれる と、欧州ではそれでやられているということです。 ○池田部会長 その点について事務局から。 ○難波江課長補佐 クラス2、クラス3、いずれにしてもMarket Authorizationという 形でヨーロッパ内で市販することは、いずれも認可されております。ここに書いてありま すとおり、医療機器としての承認又は認証を得て血液製剤が販売できるかというのは、国 によって異なると。国によっては医療機器の認証だけで製剤も販売できる国もあれば、製 剤は別に承認を得ないといけないといった国もあるということです。 ○幕内委員 表8を見ると非常におかしいのは、事務局の方が言ったことは、要するにリ ボフラビン法を中心として今後、検討していきたいと。さらに情報を集めたいということ ですが、この表を見るとリボフラビン法の方は、四つの国で情報収集中となっている。そ れに対してアモトサレン法の方は、既に確立してルーチンに行っているところもいっぱい あるわけです。それだけの差があるのに、それがequivocalに書かれていなくて、何かリ ボフラビン法の方が情報が少ないにもかかわらず、これを採用していきたいという方向性 の決定のプロセスがよく分からない。 ○池田部会長 今の点ですが、この不活化技術というのは非常に大事な点であり、日本の 血液製剤はスクリーニングの精度、感度等で格段に上がっているわけですが、一層求める ために非常に重要な技術としていろいろ言われているわけで、それに取り組むことについ ては、恐らく皆さんのコンセンサスは得ている。今後、どのぐらいのスピードで、どうい う形でやるかの議論が、煮詰まっていかなければいけないだろうと思いますが、その点に ついて少し議論をお願いしたいと思います。大戸先生、何かございますか。 ○大戸委員 この病原体を低減化する技術は、輸血医学を生業としている人たちにとって は世界中で非常に大事な問題です。いつもどの輸血関連学会でも、どこに行ってもこの問 題が一番熱く討議されます。ヨーロッパのベルギーの半分が許可されたということで、ヨ ーロッパに影響力を持ってきたのですが、実はオランダが非常に厳格な二重盲検法でスタ ディを行いました。その詳細な論文はまだ出ていないのですが、その結果は惨澹たるもの だったということです。これは輸血関係者全体に非常に衝撃を与え、それに引き続き英国 を含めてアメリカもそうですが、病原体低減技術に対する失望感が広がっています。  オランダの概要を申しますと、処理をした血小板輸血した患者は、かえって出血する危 険性が高まってしまう危険性があると、治験した人の上のスーパーバイザーが判断したと いうことです。どちら側にも、どの分野にも属さない全く中立の人たちが、この治験を続 けること自体が危険であると判断したということです。  情報収集は、もちろん遅らせるためにやっているわけではないと思いますが、実は非常 に重要な情報を見逃がしていた可能性が、今回のオランダのスタディで判明しました。そ ういう意味では冷静かつ科学的に評価する作業は、いつも必要なのではないかと思ってい ます。 ○池田部会長 そのオランダの二重盲検試験のデータは、どこかに公表されていないので すか。先生はどうやって入手されたのですか。 ○大戸委員 ヨーロッパとアメリカに友人がたくさんおりまして、その人たちの中から、 まだ公表されていない情報で、ここまでならば知らせることができるということです。 ○池田部会長 どういうデザインで、どういう結論だったのですか。 ○大戸委員 アームが無処理の血小板と、処理技術を施した血小板と、紫外線照射をした もの、その三つのアームでやったのです。2番目のアームのところで血小板の回収率が大 変低かったということで、こちらの何もしないのと比べると有意に血小板効果が落ちたと いうことです。 ○池田部会長 効果は何で見ているのですか。 ○大戸委員 血小板回収率、CCIです。 ○池田部会長 回収率ですか。今、先生は死亡率とおっしゃいませんでしたか。回収率だ けですか。 ○大戸委員 CCIがメインのマーカーだと思います。死亡率のところまでは覚えていま せん。 ○池田部会長 具体的にどなたのデータということはないわけですか。コンプリートして いるわけですよね。 ○大戸委員 スタディ自体は終わっているのだと思います。終わっているというよりも、 途中で「やめなさい」と、スーパーバイザーから命令が来てしまったということです。 ○幕内委員 これは論文でも同じだと思いますが、誰々が語ったというのは最近は論文で も採用されないです。誰々のプライベートなインフォメーションというのは採用されな い。そういうことでなくきちんとしたデータを出して、この優劣の表の中にもう少し細か いところを出して、そしてここで検討してから、どちらの方法に進むべきであるかをやる のが筋であって、総説的にはまだ検討しますよと言っていながら、事務局の方がおっしゃ ったことによると、もうビタミンB2で決まっているということですよね。その辺の意思 決定機構がおかしいのではないか。1か月ぐらい前に論文と参考文献をきちんと出して、 先生方にみんな検討していただき、その結果でどちらにするかということを諮るべきであ って、ここの場に来てこういう論文を出されても、だれも見る暇はありません。みんな忙 しいのですから1か月ぐらい前に出していただいて、その結果で議論したらいいと思いま す。  プライベート・コミュニケーションは参考意見にはならない。科学的根拠に極めて乏し い。エビデンスとしてはレベル5です。そういうことではなく、きちんとした論文、ある いは報告書、実例に基づいて、公的な機関が発表したものをきちんと付けていただきたい と思います。 ○池田部会長 非常に大事な点だと思います。血液事業は赤十字が、ある意味では唯一責 任を持ってやる所ですので、ほかの例えば私企業であれば、そこのポリシーで物を決てめ も、もちろんそれはその企業の責任としてあるわけですけれども、血液事業の場合には国 の責任というか、血液事業部会あるいは運営委員会の委員の先生方の責任にもなるわけで すので、そういう面では、今おっしゃった客観的、科学的な議論の後に、皆さんが納得で きるような形で決められることが必要かと思います。  運営委員会では過去に5回、この点について議論をしたと我々も報告を受けているわけ ですが、確かに本日出された資料4-6を見ると、二つを客観的に比べたデータというより も、一つ一つがばらばらに評価されているということです。そういう面ではもう少し客観 性があっていいのかなという感じは、このレポートを読んで感想を持ちました。それ以外 に先生方、何かございますか。恐らく幕内委員が言われたのは、片や35万人の臨床実績 があると。先生のパーソナル・コミュニケーションは、そのものに対するものですね。 ○大戸委員 アメリカ輸血学会で発表していたと思います。 ○池田部会長 アブストラクトはあるのですか。 ○大戸委員 あります。 ○池田部会長 そういうものと、臨床試験もまだディスクローズされていないものを、な ぜ一つのものに決めるか、そのプロセスが問題だという幕内委員の意見として私は受け取 ったわけですが、先生のおっしゃるのはそういうことですね。 ○山口(一)委員 どんな方法がいいのかという検討は、当然行うべきだと思います。ただ、 その前に、この不活化というのは5年前、10年前から常に議論されていて、ずっと熱い 議論を安全技術調査会でもやっていますし、なかなか結論が出ていないわけです。それは 5年前、10年前に比べて、例えばNATの検査が非常に向上したとか、初流血除去で感 染症が減った、あるいは白血球除去で減ったと。そういういろいろな政策が行われ、4-1 にありますように、今、感染症が起こっていない状況の中で、果たして今、何のためにこ の低減化技術を導入するのか。少なくとも製剤の質については問題が起こってくるだろう し、例えば血小板の寿命の問題で、有効期限も短縮しないといけないかもしれない。そう いうリスクをあえて犯してまで、この技術は本当に早急に入れるべきかどうかの冷静な議 論をすべきではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。資料4-6の13ページですが、これは12月10 日に行われた血液事業部会の5回目の運営委員会だと思いますが、そこで輸血学、毒物学 の専門家、学会代表、メーカー各社等が集まっていろいろ議論しました。そこで血小板製 剤への不活化技術の導入に向けて準備を開始することが、運営委員会では了承されまし た。次に、この部会で日赤より準備状況の報告があった。その報告は、リボフラビン法を 用いた技術を重点的に評価することが表明され、引き続き当該技術について残された課題 の評価を実施することが了承されました。これは赤十字の報告が了承されたという記載 が、この運営委員会の報告として載っているわけです。今、何人かの先生方から、そのプ ロセスについて、もう一度考え直したらどうかという御意見が出たということだと思いま す。 ○高橋委員 山口委員からお話がありましたが、今回決めたのは不活化技術導入準備を開 始するということであって、全面導入するとか、どのように導入するということは決まっ ておりません。基本的にほかのNATの導入とか初流血あるいは保存前白血球除去という 技術と違って、一定のリスクを伴う。少なくとも血液製剤の質の低下を伴うものというこ とが非常にはっきりした。それで不活化というふうに言われていましたが、正確には低減 化であって、この低減化技術を用いれば感染症に万能だということでもない。そういうこ とも明らかになっております。量的な問題でNATのスクリーニングをやめるわけにはい かないとか、そういうことも議論されております。  それを踏まえて、一番質の低下の少ない技術を、強裂な感染症が広がったときの対策の 一環として導入できるように、オプションを準備しておこうというのが、現時点の正確な 結論ではないかと思います。幕内先生が先ほど、導入が5年前から必要なのだと言われま したが、それは正確ではなくて、導入の検討がなされてきたわけで、どのような条件で導 入するか。それも非常に大事な、議論の必要なところだと理解しています。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがですか。よろしいですか。プロ セスの透明性を高めるという御指摘は、これまでこの部会でも出たと思います。とにかく 患者さんを中心に置いて、患者さんのために一番いい仕組みは何かを、透明性を持って議 論するところを忘れずに進めていきたいと思います。  先ほど幾つか幕内先生から御質問が出ましたし、パーソナル・コミュニケーションとい う格好で大戸先生からも非常に重要な情報もディスクローズされました。そういうことも 含めて、私としてはここで何とかということではなく、製剤へのhead to headの comparisonとか、あるいは海外の調査を早急にやっていただく。あるいはそれについて 議論していただくように、運営委員会の方にもう一度戻させていただいて、そして次回の この血液事業部会で報告をしていただきたいと思っております。欧米でもこの問題に関し ては非常にシリアスに考えて、その国、その国で対策を立てているところですし、試験が 行われているところだと思いますので、そういう状況も踏まえながら、幾つかの御疑問、 御意見を基に、もう一度その答えを出すということで、やっていただけたらと思います。 よろしいですか。幕内先生、それでよろしいですか。 ○幕内委員 ですから、かなり皆さんはお忙しいわけだから、しばらく前にキーポイント となる文献はきちんと出していただいて、データを公表するということは大事だと思いま す。それで議論していただかないと、パーソナル・コミュニケーションが出てきたのでは 話になりません。そういうところをきちんとして一定の時間を取り、それからこの会合で 揉んでいただくということ。それはNAT検査で十分だというのだったら、それでいいけ れども、実際は結構な数の感染者が出ています。そういう意味でも不活化は必要かと思い ます。患者さんの気持としては、より正確なものを求めるのでしょうし、日本は潔癖主義 で医療に金がかかり過ぎるという批判も当然あるとは思いますが、なるべく感染者が出な い方向で検討していただきたい。要するに結果で何か文学的な表現で出されては困るし、 明らかな間違いもこの一覧表にはあります。そういうことでは困るのです。 ○田所経営会議委員 どこですか。 ○幕内委員 表1、低減化薬剤で、「毒性を有するとの報告はない」。「極めて高濃度で 遺伝毒性の報告がある」となっています。安全性試験のところです。1992年のMutation Reseachの論文で、Assessment of the genotoxic potential of riboflavin and lumiflavin という論文があると書いてあります。文献検索が不十分ではないでしょうか、田所先生。 ○難波江課長補佐 本議題は報告事項になりますので、引き続きこの件について運営委員 会で御審議いただくということで、御指示いただければと思います。 ○池田部会長 そうですね。先ほど私が申し上げましたように、これは報告事項として報 告いただいたのですが、報告事項とするには幾つか問題点も先生から指摘されましたの で、運営委員会で引き続き今の議論を踏まえて審議をお願いしたい。そして、こちらの方 にもう一度報告をお願いしたいと思います。  私、去年の12月のこの部会でも申し上げたのですが、実験の結果の表記ですけれども、 これは学生のレポートではないので、検体1、検体2、検体3、検体4でただデータを出 して、それで物を言うというのは無理があるのではないか。それを事実として報告するた めには、何検体あって、それがどういうようなところに収まっているかということをやら ないと、検体の番号の1、2、3、4だけで、その値だけ出していると4回しかやらなか ったのかということになるわけです。その辺はデータの出し方をもう少し工夫していただ かないと困ると思います。まさか4回しかやらないで決めたということではないと思うの で、たくさんのデータを収集した結果として、代表的なデータを出したのだったらば、そ れなりのデータの出し方をしていただきたい。これは去年の12月にも申し上げたと思い ますので、よろしくお願いしたいと思います。  そういうことで、運営委員会の方にもう一度御議論いただくということで、事務局とも 相談をして部会に改めて報告を申し上げたいと思います。私の不手際で時間がなくなり、 そのほかの議論ができなくなってしまったのですが、何かこれだけはという御意見が報告 事項に対してございましたら、委員の先生方から御発言をお願いしたいと思います。何か ございますか。 ○田所経営会議委員 先ほど日赤の血液が高いというお話がありました。もともとの薬価 というのは、アルブミン等については同じだったのです。ただ、それを売らんがために値 段を下げて、次の年の改定では、その下げた分を評価してどんどん下がっていってという ことで差が出ている現状があり、それは今後、どういう方針でしていくかという問題なの です。我々としては、競争的なものの中で値段を下げて売らんかなという方針はとってこ なかったので、それは元の決められた価格に近いものできているというのが一つありま す。 ○幕内委員 それは違うよ。 ○田所経営会議委員 まだ私が言っているところです。もう一つ、価格の決め方等につい てはDPCの中に含めるのがいいのかとか、あるいは特殊血液由来製剤であれば、血液製 剤としての特別な危険なりがあり、あるいは献血由来という特性もあるから、全部同じよ うな薬価の中に含めるべきなのかとか、そういう話をこの事業部会としては是非話してい ただきたいので、俺の病院が困るからというだけの議論をされては困るわけです。そうい う大きな議論をしていただければと思います。 ○幕内委員 ほかの会社がもっと安いわけでしょう。日赤だけ一番高いのです。そのこと に対する反省がなくては駄目じゃないか。結局高いけど買ってくれと言っているんだ。一 体何を言っているのですか。独占企業として、血漿のオリジンはドナーから無料で集めて いるわけでしょう。 ○田所経営会議委員 例えば、ではグロブリンは、そういう意味では同じように一番安い のですよ。 ○幕内委員 一番安い物が買われるわけですよ。 ○田所経営会議委員 どのように最初の価格を設定するかという、設定の仕方の問題があ るのです。 ○幕内委員 だけど、ほかの血液製剤はどうなっているの、分画製剤は。 ○田所経営会議委員 同じですよ、それは。 ○幕内委員 全部高いのでしょう、君らの方が。僕らは買うときにきちんと値段を聞いて いるわけ。 ○田所経営会議委員 高いというのは、どういう格好で決められているのかという話です よ。そういう仕組みを問題にしなくちゃ。 ○幕内委員 だから、どの程度の利益があるということ。 ○田所経営会議委員 結果として今、高いか低いかという問題でなくて、どうしてそうな っているかという問題について、きちんとあなたなりの解析をして、全国的にどうしたら いいかということを。 ○幕内委員 企業努力が足りないのですよ、それは。 ○田所経営会議委員 企業努力はしていますよ。 ○池田部会長 分かりました。議論は打ち切ります。 ○幕内委員 企業努力していれば、当然、値段は下がるわけでしょう。値段が高いところ で高止まりしていて、企業努力は十分やっているという議論は通じませんよ、そんなこと は。 ○池田部会長 議論は打ち切ります。議論の中でも内外価格差、内内価格差の話は高橋委 員からも出ました。それからDPCの話も出ました。そういうことも含めてもう一度、そ の問題に対してどうするかということも、先ほど私がお話しましたように、血漿分画製剤 の種々の問題について、きちんとディスカッションする場所を作ろうという提案をしまし た。そこで是非、お互いの考え方を整理したいと思っていますので、よろしくお願いした いと思います。  私の不手際で時間が押してしまって申し訳ないのですが、先生方、お忙しいところ非常 に熱心に御討論いただきました。大事な問題が幾つか出てきたと思いますので、次回の血 液事業部会では、その点を是非もう一度御議論いただきたいと思います。次回の日程です が、これについては平成21年度中に行うということですので、恐らく3月になると思い ますけれども、後日、事務局から日程調整をさせていただきたいと思いますので、よろし くお願いします。本日はありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 難波江(内線2905)