09/12/14 第5回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録 第5回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録  日時:平成21年12月14日(月)15:30〜17:45  場所:厚生労働省 低層棟2階 講堂  出席委員:永井座長、土屋委員、鈴木委員、澤委員、木村委員、木下委員、片倉委員、       小澤委員、阿曽沼委員、花井委員、早川委員、前川委員、       武藤委員、毛利委員、森尾委員、大和委員  オブザーバー:       三宅内閣府参事官、山内文部科学省先端医科学研究企画官、       荒木経済産業省生物化学産業課長、       平山(独)医薬品医療機器総合機構上席審議役  行政庁出席者:       高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、木下経済課長、成田審査管理課長、 國枝監視指導・麻薬対策課長、宇津企画官、宿里監視指導室長、 岸本経済課長補佐、山本経済課長補佐、        ○木下経済課長  それでは、定刻になりましたので、第5回再生医療における制度的枠組みに関する検討 会を開催させていただきます。  本日は、暖房をつけておりますが、ちょっと寒く本当に申しわけございません。 余り居心地がよくないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。  本日、欠席の連絡をいただいております委員の方は、伊藤委員、稲垣委員、神山委員で ございます。また、阿曽沼医政局長は所用により欠席となりますので、ご了承いただきた いと思います。それからオブザーバーの文部科学省研究振興局の渡辺研究振興戦略官は所 用により欠席となりますが、山内先端医療科学研究企画官に代理出席いただいております。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。表紙、議事次第がございまして、 それから座席図、それから委員名簿、資料1で「再生・細胞医療における共同での診療に ついてのこれまでの議論の整理」、参考資料1で「21年度措置資料」、参考資料2で「再 生・細胞医療における共同での診療の論点」、参考資料3で「ヒト幹細胞を用いる臨床研 究に関する指針」、参考資料4で「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医 療機器の品質及び安全性の確保について」、参考資料5で「ヒト(自己)由来細胞・組織 加工医薬品等の製造管理・品質管理の考え方について」、参考資料6で「治験薬の製造管 理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)」、参考資料7で「今後のスケジュール」 をお手元に配布しておりますので、ご確認をお願いいたします。よろしゅうございますで しょうか。  それでは、以降の議事進行につきましては、永井座長にお願いしたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○永井座長  では、本日の議事に入りたいと思います。  本検討会は、再生医療といった新しい分野についての制度的な枠組みを検討する場とし て設置されております。21年度は、まず医療機関の間で行われる共同での診療の在り方と いうことで、その条件を示すことになっております。これまでに4回開催いたしました。 CPCの実態、運営上の留意点、それについて委員から4回お話を伺いましたけれども、 これを踏まえて、再生・細胞医療における共同での診療の具体的な要件について検討を行 ってきたところであります。  議題でございますが、次回が今年度の最終回であるということ、したがって、取りまと めになりますので、本日はこれまでの議論を整理して、取りまとめの骨格についてある程 度の合意を得るというところまでいきたいと思います。  では、まず資料1につきまして、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○山本経済課長補佐  それでは、事務局より資料1に基づきまして、これまでの議論の整理についてご説明さ せていただきます。お手元の資料で、前回提出させていただいたものから、前回の会議で の議論等を踏まえて、修正を行っている部分に下線を引いておりますので、主に下線を引 いております部分を中心にご説明をさせていただければと思っております。  それでは、資料に基づきまして説明をさせていただきます。大きく1から9までセクシ ョンをわけて書かせていただいておりまして、まず1と2のところで大きく全体的な整理 をさせていただいております。最初1、「基本的な考え方」の(2)のところで加筆をさせて いただいております。2つ趣旨がございまして、1つ目下線を引いておるところの最初の 部分、「共同での診療は」以降で始まっている部分は、これは従前から出ている部分では ありますが、やはり十分な連携体制の中で実施されることが必要という旨の記載になって おります。そういう中で、これは第1回から議論をいただいていて、今さらのところはあ るんですけれども、ここで「加工」というものの定義を明確にしておく必要性があるので ないかというご指摘をいただいたりもしましたので、これにつきましては、従来から医薬 食品局の通知の中で行政としての定義がございますので、それを用いてはどうかという形 で、今ここで「加工」の定義について追記をさせていただいております。  続きまして、1の(3)のところで、インフォームド・コンセントについてでございますが、 これは前回の会議におきまして、インフォームド・コンセントという言葉は頻繁に今は使 われておりますけれども、やはり医療機関、説明をする側が患者がインフォームド・コン セント時の説明を理解できるよう精いっぱいの努力をするということの旨を記載してはど うかという意見がありましたので、記載させていただいております。  続きまして、2、診療の体制についてでございます。今回、本検討会におきましては、 連携の要件を中心にご議論をいただいておりますけれども、そもそも今回、加工医療機関、 依頼医療機関で実施するものにつきましては、薬事法に基づき有効性、安全性の評価がな されたものではないということですので、これも前回資料を示させていただきましたけれ ども、基本的に様々、各医療機関として個人情報の保護ですとか様々な体制を整えていた だく必要性があろうと思っています。その基本的な部分につきましては、そこに書かせて いただいております「ヒト幹細胞を用いる臨床に関する倫理指針」というのを基本として、 それプラス連携をしてやっていく場合などに追加の要件を、このペーパーでいうところの 3.以降で整理をさせていただくという形をとらせていただいております。  ページをおめくりいただきまして、2ページをご覧いただきますでしょうか。  (2)のところの倫理審査委員会につきましては、当然でございますが、前回と同じで、当 然管理者としての責任、管理体制を明らかにするためにもやはりきちんと倫理審査委員会 を開催し承認を求めていくということが必要だろうということは、前回どおり記載をさせ ていただいております。  続きまして、2ページの3、共同での診療の条件でございます。やはり今回は複数の医 療機関が共同で診療に当たるということでございますので、その診療の条件というのが重 要になってこようと考えています。大きく3つ挙げさせていただいております。1つ目が 倫理審査委員会の開催についてでございます。前回の議論において、依頼医療機関と加工 医療機関はおのおのが個別に倫理審査委員会を設置するということ。そして、お互いそれ ぞれが開催される場合には、相手側のところに行って、実施体制についてきちんと説明を する、そういう十分な相互理解の下に各両方の委員会で了承された上で実施すべきという ご意見がございましたので、記載をさせていただいております。  2つ目のところが、実際に医療を実施する医療関係者間の連携の話でございます。通常、 再生・細胞医療に限らず、一般的にチーム医療という言葉がありますとおり、医療という のは単一、一人の医療従事者だけではなく、複数の連携になって成り立っていると。それ を複数医療機関で連携をしてやる場合でも、そういった連携体制が重要であるということ で、その旨を記載させていただいておりまして、特に具体的には両医療機関の医療関係者 が診療情報を共有し、治療方針やモニタリングを共同で実施する。そして、またその記録 をきちんと保存していくということが必要である。具体的には主治医を中心として、両医 療機関の医師の参加によるカンファレンスの実施などが必要ではないかという旨を記載さ せていただいております。長期的には、治療、移植行為が終った後も長期にわたって、お 互いが連携をしてフォローしていく必要性がある旨を(3)として記載させていただいており ます。  続きまして、2ページの最後、個別の各加工医療機関、依頼医療機関の要件について記 載させていただいております。主に下線中心にご説明させていただきます。めくっていた だいて、3ページでございます。  加工医療機関の要件の中で、この安全性、有効性が未確立な段階ということでございま すので、前回の議論等においても加工のみに特化するというものではなくて、やはり自ら 実際に培養した細胞組織を用いた医療を実施し、十分な評価を行っている医療機関が他の 医療機関と連携していくことが求められるのではないかという旨を記載させていただいて おります。  (6)その他CPCの要件、施設要件、人員要件はほぼ前回ご提示させていただいたものと 変わっておりませんが、その実際の運用、製造・品質管理の在り方については、(6)のとこ ろで書かせていただいております「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準」や、 「ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保につい て」などの既存の通知に求められている内容については、準じて守っていただいて診療を 行っていく必要性があるという旨を記載させていただいております。  ページをおめくりいただきまして、4ページでございます。これは下線部は、依頼医療 機関、加工医療機関。加工医療機関(7)、(8)、依頼医療機関5.の(2)、(3)は同じ表現となって おりますが、品質を確保するということは重要でありますけれども、その技術全体として 有効性、安全性をきちんと評価をしていく必要性があると。それをまず各医療機関におい て、きちんと査読のある学術ある雑誌へ寄稿し、評価を受けるなど、そういった第三者の 評価を受けてホームページに公表するということがまず一義的に重要ではないかと。その 際に単なる症例報告としての効果を示すだけではなくて、他の治療を受けた集団と再生・ 細胞医療を受けた集団の生存期間を比較するなどして、できる限り客観的なデータを示し ていく必要性があるだろうという旨を記載させていただいております。  続きまして、(6)搬送についてでございます。これは依頼と加工、今回複数医療機関がま たがりますので、それらの際に品質を担保していく上で、温度、気圧、様々な条件につい てお互いの医療機関で条件を定め供給しておくことが必要なんだという旨を記載させてい ただいております。  続きまして、7、学会に期待される役割。これは大きくは変更をしておりませんけれど も、やはり検討会でご提案いただいたもの以外でも各技術はそれぞれ個別の要件があろう と思います。こういったことについては各関係学会において、他の再生医療に限らない分 野と同様に評価ですとか、研修、認定等々をしていただくべきではないかということにつ いて、学会の役割を7として書かせていただいております。  続きまして8、有効性や安全性など、治療効果の評価の在り方についてでございます。 先ほど各医療機関がまず評価をするお話で、また関係学会において科学的な評価やデータ の公開等は記載させていただいておりますけれども、それをそのほかの枠組みで評価をし ていく必要性があるのではないかということについて、8で記載させていただいておりま す。(1)のところで、まずは有効性、安全性の評価を経ていないと再生・細胞医療、これは 再生・細胞医療に限った話ではありませんが、まずは研究として有効性、安全性の評価を していただくというのが、世の中一般的にも行われておるところであろうと考えています。  続きまして(2)のところで、そうした結果、研究段階で一定の評価を得たものについては、 米印下は飛ばしていただきますけれども、患者の費用面での負担を軽減できるということ もございますので、先進医療という既に公的に設けられている枠組みの中、大きく評価ル ールといいますけれども、そういう評価ルールの枠組みの中で行政の一定の関与の下で、 有効性、安全性の評価をさらに進めていくべきではないかという旨を記載させていただい ております。(3)として、そういった形で評価を受けたものにつきましては、速やかに治験 や薬事承認、保険導入につなげていくということが必要ではないかという旨を記載させて いただいております。  最後に9、その他といたしまして、本検討会は共同での要件ということを最初に掲げて 先生方にご議論していただいているところでありますけれども、施設要件や先ほどの評価 の話などにつきましては、単一の医療機関で行われている場合についても当てはまる部分 はあろうと思っております。そういったものについては、基本的には複数医療機関に限ら ず単一医療機関でも共通で守らないといけない部分はあるんだろうという旨を、(1)で記載 させていただいております。(2)につきましては、8番の(2)で、評価療養の話をさせていた だいておりますけれども、いわゆる先進医療というものにつきましては、予防や美容とい うそもそも診療報酬の体系に乗らないものにつきましては枠の外になっておりますので、 そういった予防や美容に再生・細胞医療を行う場合には、特に患者、医師の間においてイ ンフォームド・コンセントの有効性、安全性に関する徹底が必要である旨を記載させてい ただいております。  以上でございます。 ○永井座長  ありがとうございます。  それでは、順を追って、ご議論いただきたいと思います。最初の基本的な考え方のとこ ろですが。はい、どうぞ。 ○早川委員  基本的な考え方に関係すると思うんですが、共同での診療ということで、この中では診 療依頼医療機関というのと、加工医療機関というのが機関としては提示されている。その 作業の要素としては細胞の採取、加工、搬送、それから移植、それから評価と、こういう 要素があるわけです。最初の共同でと言っていたときのそもそも論のときには、今の参考 資料1にございますけれども、依頼医療機関というのが組織等の採取をして、患者さんに 投与する機関であると。加工医療機関というのは、ここではもっぱら加工すると、そうい う医療機関である。そういう振り分けになっていた。ところが、今回の案では、例えば4 ポツの加工医療機関についてということの中の(3)に、少なくとも臨床研究や評価療養にお いては加工に特化することなく、自ら実際にこれを用いた医療を実施し、十分な評価を行 うことが求められるということを言っておりますし、またその4ページのところですけれ ども、(8)のところで、その評価の結果というんでしょうか、診療結果について情報公開し なさいということを言っている。  そうしますと、そもそも最初に分けた加工とか依頼とかという話がかなり薄まってしま っていると思うんですね。ですから、両機関に軽重はあると思うんですけれども、もし似 たような行為というか行動を求めるのであれば、全体の書きぶりをそれぞれの機関はそれ ぞれどうするべきかと話と、加工の際にはどういうことをやるべきかという話、1つは要 素の話ですね。採取とか、加工とか、評価とか、そういう要素の話を分けて書かれたほう がいいんではないかというふうに思いました。これは基本的考え方の中で、どういうスコ ープでやるのかということが、それが第1点です。  それからもう一つは、この中で臨床研究、例えばこの基本的な考え方の中で臨床研究の 段階、応用の段階、企業が加わった段階ということで、臨床研究という言葉が出てきます。 この臨床研究、あるいはもう少し進んだ評価療養を視野でもいいんですが、この臨床研究 というのはどういうところまでスコープを指すのか。今ヒト幹でやっている幹細胞臨床研 究が入るのか、入らないのか。そういうのもちょっと整理して、機関の話と要素の話を整 理されたほうがいいんじゃないかというふうに、全体論としては思いました。 ○山本経済課長補佐  具体的には、どういう記載が考えられますでしょうか。 ○早川委員  具体的には、依頼医療機関というふうに定義しないで、これはかつての定義ではそう言 っていてもよかったと思うんですね。それから、加工医療機関というふうに定義しないで、 これもかつては言っていてもよかったんですが、今回の現行案のようになりますと、複数 の要するに医療機関というものが、いずれにしてもいろんなバリエーションで事に当たっ ていくと、そういうことだと思うんですよね。ですから、この名前のつけ方自体が本当に これでいいのかと。こういうことをやる機関はこういうふうなことを注意すべきだという ふうな書きぶりもあるんではないかと。 ○永井座長  今の点に関して、いかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  すみません、事務局から1点だけ先生のご意見を確認させていただければと思っており まして、(3)のところ、3ページの加工医療機関の要件で、この技術全体の話と個別の症例 の話を少し明確にしてご議論いただければと思っておりまして、最初、今回検討会で先生 方にご議論をお願いさせていただいたのは、個別の症例としては依頼医療機関を受診し、 培養・加工については加工医療機関のほうで実施されるというものを想定して議論をお願 いさせていただいているところがあると思っていますので、この3ページの(3)の件につき ましては、その患者さんの診療を加工医療機関でやらないといけないというよりは、別の 症例については加工医療機関で医療を実際にやっている場合もあるという話と、もう一つ 別の患者さんは依頼医療機関を受診をして、培養・加工だけを加工医療機関でやられる場 合、多分2つ想定されるものがあるんじゃないか。加工医療機関のみにおいて完結される 場合と、依頼医療機関に患者が受診し、加工医療機関に行かずに培養・加工だけが加工医 療機関でやられる場合、多分2パターンあるんだろうと思っていまして、連携の要件で書 かせていただいているのは、実際に患者さんが受診されるのは依頼医療機関のほうのパタ ーンとして記載をさせていただいている。その点はご理解をいただければというふうに思 っております。  以上でございます。 ○早川委員  今の3ページの(3)を見ると、「自ら実際にこれを用いた医療を実施し、十分な評価」と いうふうになっていますね。これは別の製品についてやるような資格を持った機関、そう いう意味ですか。 ○山本経済課長補佐  技術としては同じものですけれども、患者様としては加工医療機関だけに受診されてい る場合を想定しております。 ○早川委員  加工医療機関で、ですから移植も評価もするわけですね。ただ、そこで多少曖昧になっ てしまったということもありますし。 ○山本経済課長補佐  表現の適正化につきましては、少し検討させていただければというふうに思っておりま す。 ○永井座長  確認ですが、今の加工医療機関に患者さんが行って、細胞をとってもらうということも あり得るわけですね。それは、ないという前提ですか。 ○山本経済課長補佐  従前から、今、自医療機関において採取をし、培養・加工もし、戻されている場合はあ ろうと思っております。そういうことをやっておく必要性があるかどうか。他医療機関か らの依頼を受ける場合に、そういう医療を実施しておく必要性があるかどうかを、3ペー ジの(3)で記載をさせていただいている。 ○永井座長  それとは別に、この参考資料1の先ほど早川先生がお触れになった絵のことですが、こ の絵には、加工医療機関で細胞採取を行う可能性がないように読めますが。 ○山本経済課長補佐  なるほど。 ○永井座長  と言いますのは、少量の細胞を採取して培養する場合、初めから培養する施設でとって いただいたほうがいいこともあると思うんです。危険な処置が要らなければ、例えば簡単 な粘膜であれば例えば皮膚からとるか。それを移動する過程で細胞が駄目になるかもしれ ませんですね。これも、かなり状況によって違うような気はするんですけれども。 ○早川委員  これはそもそも論が複数の医療機関において、ある共同をして治療に当たると。そのそ れぞれの分担の仕方、あるいは両方の機関でもやるかもしれないけれども、いずれにして も複数でやるのが1つですね。こういう要素としては、さっきの採取だとか加工だとか、 評価だとかあるわけですけれども、それに関わることをやったところはこうすべきだとい うふうな整理の仕方がいいんだろうというふうに思いますけれども。 ○永井座長  機関の定義を初めに決めないで、こういう作業をする場合にはこういうことを遵守すべ きだというような、そういうまとめ方だと思います。 ○阿曽沼委員  今年度の議論の基本的な考え方は、今回の資料には当然の理解だということで表現はさ れていないのだと思いますが、そもそも共同の診療というのは基本的に医療法の下で共同 診療を行うということが大前提である事を確認しておきます。それからもう一つは、再生 ・細胞医療では医療機関間の中で医工連携がきちんと出来るかが非常に重要な要素で、加 工に関しては工学的なエンジニアリング技術として専門技術が必要で、それを全ての医師 が全て網羅するという事がなかなか難しいので、餅やもちやがお互いに連携をしながら、 安全性を確保しつつ連携をしていくことが前提であります。そんな中で、例えば、依頼医 療機関から細胞加工を依頼された当の患者さんが、加工医療機関に来て細胞を採取すると いうことだって当然あるわけであります。それと同時に、いろいろなパターンが出てくる と思いますので、そこはきちんと整理をしておく必要があると思います。  それから、この事はいつも来年度の議論であるから、今年度は議論しないでほしいとい うふうに言われるんですが、例えば大学の医学部で専門家で細胞培養のプロのドクターが いらっしゃって、細胞加工はきちんとやっていますとします。しかし、その先生は基礎医 学系の医師で診療はしていないとなると、来年の議論でしょうが、その場合はこの大学医 学部は、きちんとしているにも拘らず、加工機関になれないということになってしまいま す。そうするとこの3ページの(3)というのは望ましいことではあるのですが、ある一定の 要件をクリアしたり、もしくは細胞加工プロセスの管理に実績のある医師がいれば、そう いう加工機関として特化したいという機関は、実地に医療を行われていなくても、客観的 に評価ができる事が望ましく、それを認めるというほうが現実的ではないかなと思います。 そのぐらい色々なパターンが出てくるのではないかなと思います。 ○永井座長  3ページの(3)の読み方ですが、少なくとも有効性、安全性が未確立な段階においてはと いうことが書いてあります。これもステージによって随分状況が違うということだと思い ます。ここはかなり初期の段階、ファースト・イン・マンなどを想定しているということ でしょうか。それとももう少し先の段階で、自ら医療を実践している必要があるかどうか、 その点についていかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  一応そこで書かせていただいている未確立な段階、それをどの技術、いろいろと議論は あろうと思いますけれども、前提としているのは比較的初期の未確立の段階のものを想定 しております。 ○阿曽沼委員  その想定ですが、有効性、安全性というものの定義、何をもってこの再生・細胞医療の 有効性と安全性を判断するのか。それが未確立なのか確立しているのかということを、き ちんと色々なステージで共通認識の下にそれらの用語が使われていればいいのですが、再 生・細胞医療分野ではまだ共通認識がされておらず、いろいろな解釈が出来てしまう危険性 がありますので、用語がひとり歩きされることについては非常に疑問を感じます。  例えば何年かたって、この文書の言葉は実はこういう定義でしたと言われても、現場に いる医療者はずっとそこにいるわけでありますから、その辺はきちんと議論をしていただ く必要があるのではないかなと思います。 ○早川委員  これは括弧の中に、臨床研究や評価療養と書いていますね。私は括弧の中を読んで、こ ういうことなんだなと。つまり、臨床研究や評価療養というのは、とりあえず今の前提と しては安全性、有効性は確立していない。逆に言うと治験も全部終って、本当に第三者的 なことも含めて、統計学的なことも含めて、有効性、安全性が評価されるというのが正確 に言えば、有効性、安全性が……で、ここに未確立と書いてある言葉は、やはり未確立な んだろうと思うんですね。括弧して、臨床研究、評価療養というふうに書いていますから、 これはこれで言葉としては分かるんです。言葉としては分かるんですが、このときの臨床 研究というのがもう少しまたスペクトルがあって、ファースト・イン・マンの話も含んで いるのかということもありますし、それから、いわゆるヒト幹でもやっている、そちらは そちらで評価していくわけですが、それも含んでいるのかということも少し明確にしてお いたほうがいいのかなと思っています。 ○山本経済課長補佐  一応ヒト幹指針の対象のものも含めて、事務局としては研究として考えておりますけど、 もしそれで訂正とか必要であればぜひ先生の、この場でご議論をいただければというふう に思っております。 ○前川委員  この問題の背景にあるのは、恐らく依頼医療機関と加工医療機関の間の連携が極めて密 に行われている場合は大きな問題にはならないのですが、依頼医療機関と加工医療機関の 間が余り連絡がなくて、例えば依頼医療機関が加工医療機関へ細胞の加工を下請けに出す というふうな感覚で、両者の間のコミュニケーションが余りなければ、特に初めて行う先 端的な臨床研究の場合は好ましいことではないと思います。言い換えれば、先端的な臨床 研究の場合、例えばファースト・イン・ヒューマンの臨床研究に用いる治療用ヒト細胞の 加工は自施設で行うのが望ましいと思いますが、そうでない場合も依頼医療機関と加工機 関が密に連携して行う必要があると思います。一方、もう少し一般的に行われていて、安 全性も効果もある程度判明して、症例数を増やすことが主眼の臨床研究のような場合には、 実際に加工医療機関へ患者さんが最初から出向いて、例えばアフェレーシスなどで細胞を 採取することが想定されます。依頼医療機関で細胞を採取し、それから加工医療機関に運 ぶよりは効率的であると思われます。したがって、そういう場合は加工医療機関でも医療 行為を行う訳ですから、医師が行う、あるいは監督することが必要になりますし、加工医 療機関は、これはどのような医療に用いられるものであるかを熟知しておくことが必要と 思います。 ○小澤委員  J−TECの小澤でございます。いろんな議論があると思うんですが、この基本的な、 まだ臨床研究であったりというところで安全性が未確立な段階での議論というのは理解を しておるんですけれども、ちょっと先読みで申しわけございませんが、後で搬送の6番の 辺が出てくると、ものすごくこれはハードルが高いなと思っておりまして、企業が受ける ような条件、リクワイアメントになりつつあるなと思っております。  実際、当社の場合ですと、この安全性が未確立な段階でありましても、医療機関といい ましょうか、依頼医療機関様からお声がけをいただくこともちょこちょこありまして、ま だやっていないんですけれども、そういったときにさっきの阿曽沼さんの発言を引用する ならば、我々は医療のことは全然分からないんで、来年度の議論のときにここでちょっと 読み方が難しくなるんじゃないかなという気が私も正直いたしましたので、別に(3)はなく てもいいんじゃないかなと思います。これが多分、前回、大和先生の議論でA機関、B医 療機関の中で、Bもそれはある程度精通していることになるだろうというような、そこか ら来ているんじゃないかなという気もした次第でございます。 ○大和委員  1回目の委員会のときに、今年は複数の医療機関での話をしましょうということになり ました。私は、正直に言うと、今年はこれ、来年はこれと明確に分けるよりは、課題の連 続性があるので若干にじんだ議論の方がよろしいのじゃないですかと、ご提案申し上げた んですが、最終的には今年は複数の医療機関の話に限定するということで納得しておりま す。だとするならば、加工医療機関と呼ばれている側も、共同診療をおこなう再生・細胞 治療と同じものを先に経験していただいていることを前提とすべきというのが私の意見で す。 ○永井座長  ステージによって、皆さんの考え方が違うように思います。今回の議論の枠組みは、ま さに臨床研究段階、あるいは先進医療の段階です。この段階の再生医療をどうするかとい うことだと思います。しかし、かなり一般化してきて、そして、ある特定の課題に対して 大規模な臨床研究で明らかにしようという場合は、状況は違うと思います。新しい治療法 を開発して初めて人に使う、あるいはそれをもう少し10例、20例の中で検討しようという ときには、この枠組みのように思いますが、いかがでしょうか。  澤さん。 ○澤委員  この文言で、「自ら実際にこれを用いた医療を実施し」という言葉をよく考えると、そ の加工を依頼されたほうの機関はその近況、ファースト・イン・マンじゃなくて、ある程 度やっていないと、これはできませんよね。だからファースト・イン・マンは、とにかく こういう依頼したりしないということで限定してこういうふうな書き方になってしまって いるとしか読めないんですけれども、今回の議論はそういうことでしたでしょうか。それ とも、もう少し広く今後の展開を考えた、安全性を極めて見越して、どなたかが既にやら れている治療で、ほかの機関がそこに依頼して、臨床試験として他施設でやると。この設 定以外にちょっと考えにくいように見えるんですけど、いかがですか。これは自ら実際に これを用いた医療を実施、既にしているということですよね。ですから、ファースト・イ ン・マンはまずないと。何かある程度やっていたところでやる場合においては、他施設の こういう共同診療での細胞培養の依頼提供を許すという限定にここで全て規定してしまう ように見えるんですけれども。 ○永井座長  ファースト・イン・マンは、自施設で行うということですね。 ○澤委員  自施設だけで行うんです。 ○早川委員  要するに加工医療機関というのと、それから依頼医療機関というのを最初に割とクリア に分けた考え方でスタートしたと思うんですね。そこがいろんな議論の中で、そうではな くて複数の医療機関でやると。その技術要素というか、実際やるべきことはそれぞれいろ んなバリエーションがあるでしょうと。こういう話に今なってきているんだろうと思うん ですね。だから、そこでこの言葉を使わないで、それぞれに従事する機関が、こういうこ とをやる場合にこういう注意をしなさいというふうな書きぶりのほうが、いいんだろうと いうふうに思います。一番大事なのは、もちろんその2つが、あるいはもっとたくさんか もしれませんけど、共同してやるわけですから、連携の重要性とか、そういうことについ てはとにかくうたい過ぎるくらいはうたってもいいんだろうと、そういうことじゃないか と思うんですね。  それから、先生の今おっしゃった加工機関のほうで自ら実際にこれを用いた医療を実施 し、これはむしろ評価療養に属するような話に近いですね。それで私は先ほどこれはファ ースト・イン・マンも含むんですかというふうにお尋ねしたんです。もうちょっと丁寧に 言えば、ファースト・イン・マン的なことをやる場合の要件と、それから、患者さんの範 囲がもうちょっとエクステンドしたときの要件と、さらにもっとエクステンドした要件と いうのは、実は先ほどおっしゃったように、要するにどうやって加工して、どういうハー ドルをその製法上乗り越えなきゃいけないかということも、そのステージによって随分違 うんだろうと思いますし、安全性・有効性評価も、1年も2年もかなり大勢の患者さんを 使ってやっているものが、ファースト・イン・マンあるいは初期段階の臨床研究と同じ評 価でいいのかというのは当然あって、1年もやっているやつはもっときっちり評価して、 幾ら最高のCPCでやっていても、むしろ評価ができていなければ、それは患者さんのた めにはならないですから、だから、そこはそれなりに厳しくすると。ステージによってま た違うだろうと思うので、そこら辺はもうちょっと整理したほうがいいと思います。 ○永井座長  加工医療機関とか依頼医療機関というのを別の言葉で表現できないか。細胞を加工する 場合はとか、患者さんを診療する医療機関はとか、そういう形でいろいろな役割に合うよ うな枠組みをつくるということでしょうか。 ○山本経済課長補佐  今のご指摘のとおりだと思います。最終的に表記の方法になると思っていますので、そ こは少し工夫を次回までにさせていただければと思っております。 ○阿曽沼委員  よろしゅうございますか。  一番客観的かつ分かりやすい文言は、依頼と受託ということだと思うんですね。依頼と 受託という話なんです。ですから、加工を受託するということのほうが分かりやすいので、 万人に客観的に分かりやすい言葉にしておくということも必要だと思います。 ○花井委員  今の議論なんですけれども、結局、共同の診療でというスキームで最初取りまとめよう というところで、先ほどの3ページの上の(3)があるんだと思うんですね。患者の立場から すると、加工する医療機関は技術屋であって、そこには自分の病気が分かっている先生が いないような状況を想定していないんだというのが今回の取りまとめで、その意味におい ては先ほど先生方がある種議論しているのは、来年度にあるスペックを確保すれば、それ はもうスペックの確保をできる機能が培養機関にあれば、それをいわゆるユニバーサルに デリバーできるという話は、この1年目では認めないんだということかどうかということ を明確にした上で、多分これがまとまったと思うんですね。  ですから、その意味では今の段階、つまり共同診療はあくまで共同診療で、2つの医療 機関が両方で患者を診ているにすぎないので、先ほど何度か議論が出ているように、依頼 医療機関と加工医療機関という整理がちょっと不自然なのであって、むしろかなりこれは 限定的ないわゆる運用で、1年目のまとめをしようという整理と理解したんですけれども ね。そういう意味では、僕はその慎重さというのは患者としては賛同なんですが、ただ、 そういう整理にするという合意が今必ずしもなかったようにも思えるんですが、ちょっと そこだけを確認して、やはり限定的に医療行為の中身として、極端に言えば2人の先生に 診てもらっているんだという、そういう整理の限界を策定しようという理解であれば、こ の2ページの(3)の記述というのはしごく当然。ただし、一番最初にこの議論がスタートし たところの議論からすれば、ちょっとそれはかなり萎縮した議論にはなっていると思うん ですね。だから、それがこれまでの取りまとめの中で、やはりこの1年目は医療行為の中 身なんだから、それは受託、委託ということよりも、一緒に診ているんだということが協 調されていると、こういう制度という理解であれば理解はできると思うし、患者からすれ ば、その安心さはそこにあるんじゃないかと思います。 ○永井座長  それをどの辺で線引きするかというところがあります。 ○森尾委員  医科歯科大学の森尾ですが、最初は共同診療でできる枠組みをどうするかという話から 始まったと思うんですね。もし加工機関をまた別途に立てると、そこは診療しなくてもい いということになった場合には、そういうときにはどういう条件の場合にオーケーかとい うことをまた別に決めていくべきじゃないかなというふうに思います。  今の(3)のところでちょっと私も危惧しますのは、やはり最初に加工して投与するときに は自施設でやりましょうということだったと思うんですが、その後に十分な評価を行って いるというふうに書いていますので、どのくらいまでやったら十分なのか。3例目、4例 目になって、じゃ広げていこうかという時点では十分と言えないんじゃないかというよう な解釈も可能で、非常に曖昧な表現になっているので、やはりステージによって何か明確 にできるようなことがあればいいかなというふうに感じます。 ○早川委員  それは、基本的な考え方の(4)のところに、いろんな段階によって上乗せが違ってくるん だということが書かれているんですね。それは基本的に大変大事なことだと思うんですが、 その中身が必ずしも、例えば十分だと言われると、じゃ、どのレベルなら何が十分だとい うことがちょっと不明確だと。先生がおっしゃるように、確かに段階ごとにそれなりの条 件づけが必要なんだろうなというふうに思います。 ○永井座長  ここで大事なのはまず安全性ですね。それから次に有効性になるわけですが、それも目 標とするゴールによって違うと思うんですね。まず、どういう条件ならば有効性が見える のか。例えば10例ぐらいで分かるようなクエスチョンに対しては、きちっとそれは対象群 を置いてやらないといけないですよね。しかし、もっとだんだん難しい問題になってきて、 100例、200例やらないと分らないような問題。しかし10例であるクエスチョンに対しては 答えが出ているということであれば、そのグループは次の100例より難しい問題に対して進 んでいく資格はあるだろうということのように思うんですけども。 ○阿曽沼委員  先生、ちょっと質問よろしゅうございますか。  加工医療機関、依頼医療機関の間で、医療機関同士で共同診療する上での倫理委員会の 設立というのは非常に重要だという議論があって、それは当然必要だと思います。その倫 理委員会というのは、本来であれば、これから行われる再生・細胞医療がある一定の有効 性ときちんとした安全性というものが、その倫理委員会の中で議論されてはじめてゴーサ インが出るわけですね。そして初めて自分のところは加工医療機関であると宣言され、そ して依頼医療機関としてなり得る存在になると認定されわけですね。 ○永井座長  まだ有効性が分らない段階で臨床研究を行う場合には、倫理委員会がゴーサイン。 ○阿曽沼委員  そうですね。そうすると、その倫理委員会での有効性、安全性の評価の在り方が重要と なりますね。倫理委員会で有効性、安全性がきちっと担保できましたということを公表し た段階では、それは未確立ではないということなのか、いやまだ未確立だということなの かどう考えるのでしょうか。。資料のあとの方の議論の中で、評価療養の問題だとか先進 医療の問題ということも出てきますけれども、医療機関が医療機関の中で行っていて、そ もそも医療法の下で行われている医療であるとすれば、それは薬事法の下における治験だ とか、いわゆる薬事承認ということのルールからは外れるものですね。もしくはそこには 医療法の下と薬事法の下の線が引かれる訳です。そこをきちんと整理しないで、いろいろ な議論が入ってくるので、少し分かりにくくなっているんではないかなと思うんです。  だから、この有効性と安全性が未確立ということは何を意味し、しかも医療機関と医療 機関同士が共同診療を医療法の下で行う場合で、何をもって未確立というのか等の定義が 議論されず、共通の認識がないので、議論がなかなか分かりにくなっていると思うんです。 ○永井座長  それはクエスチョンによるんですね。例えばある治療法、薬物が例えば血圧を下げるか というクエスチョンに対しては、割と簡単に出るわけです。しかし、その血圧の薬が寿命 を延ばすかというクエスチョンについては、有効性は確立されていないということは十分 あるわけですね。 ○阿曽沼委員  それは、倫理委員会で議論することなんですよね。 ○永井座長  やはりそういうことも。つまり科学性と倫理性ですから。 ○阿曽沼委員  そうですね。ですから、そこにおける倫理委員会というもの生業が、医療機関と医療機 関の共同診療という枠組みの中できちんと有効性や安全性を確立をしていった場合に、こ の未確立という文言の定義が、ちょっと分かりにくいなという気がしますが。 ○木村委員  1つよろしいですか。  一番最初には、自分の施設の中で開発して、それを臨床応用するというのはやっぱりス テップだと思うんですが、そういう段階からだんだん広がっていって、これを複数でやろ うという。つまり、立場として依頼機関と加工機関とはあるんですけれども、だんだん分 散していってそういう形になるのか、それとも言葉の定義としてはもともと加工機関と依 頼機関というのは別々にあって、それを一緒にしていこうという議論なのかというところ だと思うんですね。ですから、加工専門にやっているところが非常にすばらしいものをつ くっている、これを臨床で応用したいというのはもっと先の話、つまりそれを一緒に結び つけようという話は、今議論しているのは別の話で、むしろ開発の途上で、初期の段階で これを複数に分けてやっていこうという段階だろうと思います。従って、この3ページの (3)というのは非常に重要なポイントだろうというふうに思うんですけれども、いかがでし ょうか。 ○阿曽沼委員  私も、この(3)というのは重要な要素であるという共通の認識は持っておりますけれども、 有効性、安全性が未確立であると定義する問題はきちんと議論が必要と考えます。医療機 関が他の医療機関と共同で診療を行う上で、例えば2ページの中で、管理責任体制を明ら かにして倫理委員会の承認を求める必要があるとしています。これは当然だと思います。 その倫理委員会に求められる役割というのは、有効性、安全性に関する情報を集約して当 該技術を実施するとか継続する妥当性を検証するということがあるんですが、この中には 当然この医療が行われて良いのかどうかということが、医療法の下で医療機関の倫理委員 会で当然お墨付きを得ているかが重要となります。そうでなければ患者としては危なくて 心配で、その医療を受けられない訳です。そういう意味で、医療法の範ちゅうにおいて、 この倫理委員会というのが非常に重要な意味を持ちます。そういったものを担保する組織 が倫理委員会であると思いずっと議論を聞いていたんですが、この辺の役割が少し曖昧な 中で、突然未確立であるとかなんとかという様な断定的な文言を書かれると、少し理解が しにくくなるなという意味合いで申し上げました。 ○永井座長  ただ、臨床研究、評価療養の段階のものは、やはりまだ未確立ということで考えていた だいてよろしいと思いますが。 ○大和委員  計画書で10例と記載してあるなら10例施行した後に有効だったかどうかという結果を倫 理委員会に報告します。もしも有効であるなら、その時点で学会発表するなり、論文を書 くなり、何らかの形で第三者の評価を得るようなステップに進むのが当然です。UMINなど のレジストリーへの登録もマストです。必ずこの時点で第三者の評価を受けるステップが 不可避的に発生します。少なくともそれくらいのレベルを、つまり論文発表もしくは学会 発表として第三者の客観的な評価を得るくらいなことはやってしかるべきですし、それで も十分と言えるかどうかは議論があるところでしょう。このレベルのことさえできていな い場合には、やはり未確立という表現は過剰ではないと考えます。 ○阿曽沼委員  私も全く納得します。ですから、医療機関における倫理委員会の役割というものをもう 少し細かく議論して、客観的に分かるようにしておく必要があるんではないかなと思いま す。倫理委員会の中で、例えば論文も発表していない、自ら評価もしていない、学会でオ ーラルでも一切発表もないなど、外部の評価も何もしていないものに関して、倫理委員会 が恣意的にオーケーを出すなんていうことはあってはならないわけですから、そういうこ とのないように倫理委員会の役割というものを、今年度はきちんと議論されるべきなので はないかなと思います。 ○大和委員  倫理委員会に関しては指針がすでに出ているので、わざわざここに詳細を書き込まなく とも、既存の指針を参照するのでよいと思います。 ○鈴木委員  倫理委員会の役割というのは、この2ページ目のところに書いてありますよね。単に倫 理のことだけではなくて、最後のほうは有効性や安全性に関する情報の集約から、技術を 継続する妥当性の検証とか、問題時の対応とか、一連のことをずっとやっていくのが、こ れが倫理委員会というふうに理解しているんですけれども、言葉はだから、本当言うと倫 理委員会という言葉だけでは不十分かもしれないんですけれども、作業の中身として、そ れはこれでいいのではないかなと思いますけれども。 ○木下委員  この話は、共同研究ということで、非常にシンプリファイした考えでいました。加工医 療機関でその細胞又は組織をつくって、その細胞又は組織を使って依頼医療機関は診療行 為や医療行為をするということです。このように実は理解していたのですけれども、加工 医療機関が同時に自分でつくって、なおかつ臨床応用もそこでするというんであれば、3 ページの(3)のように当然まだ初めての段階、C等、有効性も安全性もまだ分かっていない んであるならば、それは当然自分のところでやるべきというのは当たり前だと思います。、 ある程度そういった技術的な面においては細胞やあるいは組織をつくることにおいてはき ちんとできるんだというような施設に、臨床へ応用する依頼機関が細胞の調製をお願いす るということになるとするならば、実際の責任というのはもちろん共同ではありますけれ ども、依頼医療機関がきちっとその臨床評価をして、それを公表することは当然だと思い ます。  それからもう一つ、4ページ目の7番目のところも、またそういった臨床成績を学会等 で評価を受けるんだということも求められているということは、加工医療機関も全く同じ ような、依頼医療機関と同じ臨床的なことを患者に対して投与するんだと、使うんだとい うふうなことを求められているということになります。確かに、そういう場合もあるかも しれませんが、技術的には加工医療機関は、進んでいるわけですから一般の臨床の依頼医 療機関が利用して一緒になってやっていくというのであれば、加工医療機関としてこんな に厳しい要件が必要なのかなと思います。むしろ依頼医療機関が評価を受けることが主で あって、加工医療機関というのも共同研究施設として一緒ですから、加工機関と依頼機関 をあえて分けてこれだけの条件をきつくすることの必要はないように思います。 ○永井座長  これもステージによって各委員がイメージしているところが違うように思いますが。  早川委員、どうぞ。 ○早川委員  結局この依頼医療機関とか、今、永井先生がおっしゃったように加工医療機関だとかい う、つまりこれ自体のことを述べようとするのが目的になってしまうと、今のような整理 になってしまうわけですよね。私の理解では、これは再生医療というものによって、今ま で治療がほかの療法とか、そういうものでなかなか治療がうまくいかないと。再生医療で もって、それをどこかでブレークスルーさせよう、あるいは可能性を見つけようというこ との一つ、それが目的だと思うんですね。ですから、患者さんを救うということが第一の 目的であって、常にその目的を考えて、その中で例えば共同診療という形でアプローチす れば、期待する目標に近づけると。ただ、共同診療というのはあくまで手段だと思うんで すよね。その手段の中で、またそれぞれ複数が絡むとして、複数がそれぞれ絡んだほうが よりベストなアプローチになるようなケースであれば、それはそれなりに認めていきまし ょうという話だと思うんですよ。だから、そういう手段としての、先ほどの技術要素でも いいんですけど、採取とか培養とか加工とか投与とか、そういう技術要素でも、もちろん そういう切り口もありますし、それから機関としての切り口もあると思うんですが、いず れにしても、それぞれ目的に向かっての要素であるという立場で考えれば、そういう書き ぶりにしたほうが私はいいと思うんですね。  倫理の問題も全部そうだと思うんですけれども、倫理だけの目的を言ってしまうと、ま たいろいろ複雑なところに入り込んでしまうので、やっぱり今までにない治療法で患者さ んを救うんだと。それにはファースト・イン・マンのところから始まって、いろんな展開 があって、そのうちの一つで共同診療するという展開もあるだろうと。その中でも、少数 から始まってエクステンドできる場合もあるし、もうやっても期待が持てそうもないこと は明らかでしょうと、そういうものは評価してやめていただくと。それは、やることが目 的じゃなくて、患者さんのためになることが目的なんだから、いつもその視点を失わない というような書きぶりを、手段としての書きぶり、目的に向かってですね。そういう整理 をしていただければ、一個一個の機関がこうあるべきとか、そういうものではないだろう と思うんですけれども。 ○大和委員  実際に再生医療の臨床研究をやっている立場から申し上げると、依頼と加工とすると、 依頼の側に何か知見なり技術なりノウハウなりがあって、それを加工側に伝えて、技術移 転して加工の側でやってもらうというイメージに聞こえがちで、この表現はたしかに良く ないと思います。実際、我々の経験から想定されるのはむしろまったく逆で、加工機関と 呼ばれているほうが先に再生・細胞医療をやっていて非常にうまくいっているので、違う 病院から、うちでも一緒にやらせてもらえませんかと言ってくるようなパターンです。こ のパターンから始まる以外に共同での診療はありえないと考えます。海のものとも山のも のともというレベルの新しい治療技術をある医師が文献などで見つけて、しかしうちの病 院にはCPCがないので、CPCがあるどこかの大学の先生に頼んで、お互いに経験ゼロ だけど始めるというのはちょっと考えにくい。依頼側にCPCがある場合に、加工側のC PCの方がクオリティーが良かったり、コストが安くなるからという理由で加工側に依頼 するするというケースが想定されないわけではないですが、その場合、技術移転はどうす るのかなどいろいろと問題があり、来年議論する形に近いと考えます。今年の委員会では 自分がもっている技術を他の施設におすそ分けするケースが対象だとしてよいと考えます。 ○木下委員  よく分かりました。私も最初は実は同じように考えておりました。当然、自分たちで細 胞をつくって、そして臨床応用しエスタブリッシュされた段階で、初めてほかの医療機関 にもお願いするというのは当然だろうと思っておりました。この書きぶりからいたします とそうは読めなかったのです。実際にやっている先生方が最もふさわしい表現にして、今 先生がおっしゃったことがわかる表現にしていただければ問題ありません。  したがって、仮に、何かあるアイデアがあって細胞調製を依頼したとしても、細胞をつ くったところでも当然、臨床応用的なことも行って、有効であり副作用がなかったら今度 は依頼医療機関にこたえていくという、そこまで厳密な手法をとっていくというのであれ ば、それは最もふさわしいと思います。これは書き方が誤解を招くような表現だったので、 ぜひ改めていただければ良いと思います。 ○永井座長  大和先生がおっしゃったことを踏まえて、もう少しこれを肉づけしていただいてよさそ うですね。考え方は尊重したいということですね。 ○小澤委員  よく分かりました。木下先生の話を聞いて、すごくよく分かりやすいなと思ったんです けど、今の大和先生と話と併せて確かにそういう流れなんだろうなという気はしました。 一方で、責任の問題。共同診療ではあるんですけれども、責任はどっちというようなとこ ろというのはあまり議論されていないような気もして、どうなんでしょうか。共同という、 もやもやとしたきれいな表現でいいのか、それとも患者側からするとやっぱりインターフ ェースをとるのは今回でいう委託側なんじゃないかなと思って私の冒頭の発言になったん ですけれども、今回のこのまとめは比較的その加工、受託側がまず来て、次に委託側の要 件が来ているというところで、何となく私の感触の中では、まず、やっぱり責任の問題も あるので、委託側の話をしっかりして、次に加工側というほうが私は素直じゃないのかな という気がしております。 ○永井座長  基本的な考え方の最初に、どのくらいのステージの医療行為、再生医療について考えて いるかを述べておいていただいたほうがよいかもしれません。最初に一般化だとか普及化 が目的ということになると、考える幅が広過ぎてしまうかもしれません。これはあくまで も初期の開発段階であること、そういう医療を想定しているということを最初に触れてお くのはどうでしょうか。 ○早川委員  さっき大和先生のおっしゃったことは、何となくファースト・イン・マン的なイメージ に聞こえるんですけど、ある種の基礎的な研究をやって、加工もやって、それで、その製 品をどこか共同の診療機関とタイアップして、さらに臨床研究というものをやろうと。そ ういうことに対する複数の機関による一種の研究というか、そういうふうに聞こえたんで すが、そういう意味でしょうか。 ○大和委員  ファースト・イン・マンというのが、本当のことを言うとよく理解できていないのです が、ファースト・イン・マンって、1回限りではないんですか。 ○早川委員  1回限りじゃない。 ○大和委員  1回限りということを言っているつもりではありませんが、例えばアメリカでこういう ふうにやられていますと、論文も出ていますよと、それをまねして日本でやりますみたい な話のときには、例えば日本で僕らが自分でつくった新しい方法とはまたステージが違う じゃないですか。アメリカでどうやっていようと、加工と言っても培養のところは非常に 手作業というか手工芸的な部分、要素が強くて、有機合成でやっているようなNMRで完全で 物質が同定できてという世界とは異なるので、同じことを再現していますと言っても、実 際にそう簡単ではないと思います。  なので、海外でどんなにやられていても、国内でもしも誰かが最初にやるとしたら、そ の人は本当に1例目と思ってやっているのと同じなんです。だから、世界で何例やられて いるかというのは、僕は余り意味がないと思います。そのグループが本当に手を動かして できたかどうかがむしろ重要なんで、それが1例目だろうと、世界で1,001例目だろうと関 係ないと思っています。 ○早川委員  それは、国内的には全くそのとおりだと思います。ところで、この途中で評価療養とい う言葉が出てくるんですよね。評価療養というのは、私は医学者じゃないので正確にこの 言葉の意味するのがどういうことなのかよく分からないんですが、臨床研究というのはい ろんなステージがありますけれども、有効性、安全性が本当にまだ完全には確立していな い状況で、臨床的な研究で安全性、有効性を確かめていく行為だというふうに分かってい るんですが、この評価療養というのは。 ○永井座長  これは少し行政的な言葉で、いわゆる高度医療制度と先進医療制度にのっとった医療の ことを言っているわけですね。 ○山本経済課長補佐  治験も含めて、保険外併用療法を。 ○早川委員  ですから、もしこれもこのスコープの中に入れていると。入れておいていいと思うんで すけど、入れておくとすれば、必ずしも大和先生のようなパターンのみではない複数の機 関における共同診療というのはあるんだろうなと。あるステージとしてはですね。だから、 余りアプローチを一元化しないで、いろんなアプローチがあると思うんですよね。それぞ れ患者さんのために必要な要素を、こういう要素であるべきだと。ステージにもよるでし ょうし、いろんな要素を踏まえて、そういう書きぶりにしたほうが私はいいというふうに 思っております。 ○阿曽沼委員  基本的な考え方の中では、再生・細胞医療の一般化、普及化を図ることを目標にしてい ると理解しているのですが、これまでの議論を聞いていると、もう少し的を絞って、ステ ージとしては初期段階のところにターゲットを絞った議論というふうに受け止めたんです。 しかし、むしろこの委員会ができたものの一つの精神の中に、最先端の医療である再生・ 細胞医療というものを速やかに患者の身近な医療にするために、一般普及化を妨げている いろいろな制度的な枠組みをもう少し一般化、普及化を図ることを目的としたものにする 為に、制度的な枠組みの全体を考え直すことがあると思います。今年の議論も来年の議論 も制度的な枠組みを考えるということが重要であるので、この基本的な考え方に書かれて いる、再生・細胞医療の一般化、普及化を図ることが目的云々という文言は、非常に大事 であるというふうに考えます。  それから、もう一つは評価療養制度というものが、有効性、安全性を評価する上で、ま た国がその保険制度を皆保険制度として高度に維持する上で重要であり、当然この評価療 養だとか先進医療、高度医療評価という文言が今年度の議論の中で出てくるのは理解もい たします。しかし、保険適用の枠組みの中に入る過程で、デバイスラグがあったり、ドラ ッグラグがあったり、保険収載されるまでには、それなりの時間がかかる訳であります。 それを何とかしなければいけないという現実もあります。しかも、再生・細胞医療という のは技術革新が日進月歩のスピードで行われていくものであります。そういったデバイス ラグ等のラグを縮めて、医療の現場で実施していくための制度というものを包括的に考え るということも重要であると考えたときに、従来の薬事の制度に囚われて評価療養制度と かという文言が、あたかも出口であるかのように断定的に言い、ここで「べきである」と いうふうに規定するのもいかがなものかと考えています。 ○永井座長  一般化、普及化するためには当然安全性と有効性が速やかに評価されないといけないと いうことだと思います。それが大前提で、それがないままに普及していくということはま ず前提としてあり得ないわけです。ですから、ここで今議論しているのは、一般化、普及 化するために、最低限必要な安全性と有効性をどうやって仕組みとして構築するかという ことだと思います。そこは別に矛盾していないと思います。 ○阿曽沼委員  それは矛盾はありません。当然矛盾はありませんけれども、何かもう少し幅広に議論を この医療法の枠組みの中でしていくことが今年は必要ではないかなと思っています。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。 ○鈴木委員  この検討会の議論している制度的枠組みというのは、結局やっぱり一番その最低限のと ころといいますか、共通のところをつくろうとしているわけで、その評価療養とか先進医 療のほうに入っていくときは、だからそれにさらに上乗せになるといいますか、別な要件 が加わってくるという理解の仕方をしておけばいいのかなと思うんですよね。ですから、 逆に評価療養とか、先進医療に対してはここで考えている議論というのは、その下に入り 込むといいますか、前提となるような枠をまずは考えようということであれば、理解しや すいと思うんですけれども。  ただ、ちょっと言葉が一部混乱しているかなと思うんですね。医療という言葉と、それ から、例えば治療から診療、それから療養、いろいろに使われています。それから臨床研 究。言葉が人によって解釈の仕方が違ってしまうと、例えば医療機関といったら普通の診 療機関とどう違うのかとか、多分違うんだと思うんですけれども、少し明確にしていただ けると分かりやすいし、議論の整理が進んでいくんじゃないかなと思うんですけど、それ は事務局のほうからお願いしたほうがいい。 ○永井座長  まだ有効性が確立されていない医療行為というのは、本当に医療と言えるのかという問 題はあります。 ○阿曽沼委員  そこでちょっと質問なんですが、再生・細胞医療そのものが今までの制度の枠組みの中 で、有効性をどう評価するのか、どういう評価軸で評価をしていくのかということ自体も まだきちんとした議論と整理がない中で、ただ有効性という言葉だけで議論をくくってい くのはどうかと思います。当然有効性と安全性の評価が必要だと思いますが、むしろ今、 再生・細胞医療の有効性、安全性というものの評価軸というものをどうするべきかの議論 していくことが非常に重要で、制度的枠組みの中で重要なポイントだと思います。  毎回言いいますが、合成化合物である薬を不特定多数の人に投与する薬剤の医薬品とし ての有効性の考え方と、自家細胞という、自分の細胞を自分に戻すという再生・細胞医療 のための評価のあり方は根本的に相違します。その評価のあり方に対しある程度合意がな された上で、この有効性なり安全性というものの議論がされていくのならまだしも、それ なしにここで,従来の考え方での言葉が散乱しているということになると、解釈の幅を物す ごく広げてしまいます。 ○永井座長  薬であろうと、細胞医療であろうと、有効性の評価軸というのは常に決まっているわけ です。課題に対して決まるわけですから、どういう問題を設定したかということです。 ○阿曽沼委員  その評価をしていくプロセスというものは、全部一緒なんでしょうか。 ○永井座長  それは、全部一緒です。 ○阿曽沼委員  それでは、再生・細胞医療に関してはこういうプロセスで、この症例で何症例で、こう いうふうなことをやるということについては、例えば角膜、心筋、全てにおいて一緒だと いうことですか。もう全て評価のあり方は確認されていると。 ○永井座長  課題によるわけです。どういう課題を立てるかによります。 ○阿曽沼委員  エンドポイントを決めるということですか。 ○永井座長  そういうことです。何をエンドポイントとするかです。 ○阿曽沼委員  そのエンドポイントについては、例えば各再生・細胞医療のいろいろな分野においては、 我が国では確立をされているというふうに理解していいのですか。 ○大和委員  いや、研究なので、最初にプロトコルを立てるときに、どういう評価項目でやりますか というのは各研究ごとに違います。だから角膜の再生医療だからといって、同じエンドポ イントを採用しているかというと、完全に同じだとは申しません。しかし、普通に眼科学 で考えた時に、同じようなエンドポイントが出てきてしかるべきで、実際に我々のところ でやっているものと、慶応大学でやっているものとではほとんど一致していると認識して います。 ○阿曽沼委員  なるほど。そうですか。 ○片倉委員  今の評価ということについてですけど。私はこの件でいつもお願いしているんですけど、 やはり新しい治療、それとやったことのレビューと報告ですね。それは今回、一応明確に 書いてあると。少なくともやった治療がどうだったかということを開示していくというこ とが、一つの評価の軸だと思って、そこは明確であると私は理解していますけど、それが 一つだとは思います。 ○永井座長  大分議論がいろんな点に及んでいますが、どの論点も相互に関係あると思います。どの 点でも結構ですので、ご発言お願いいたします。 ○澤委員  大体の流れは私もアグリーなんですけど、加工機関について、4の(1)、「加工医療機関 は病院や特定機能病院に限定すべきではなく」という言葉と、先ほどの3ページの(3)の 「自ら実際にこれを用いた医療を実施し」というところで何となく矛盾を感じないわけで もなくて、病院や特定機能に限定すべきでないところで、医療絶対必要なところとはどう いう状況を想定されているんでしたか、ちょっと分かりにくいんですが。 ○岸本経済課長補佐  4の(1)で書いているのは形式的な要件で、特定機能病院だからそれだけでいいじゃない かみたいな発想をするのではなくて、要は3の(3)で書いてあるように、実質的に自分のと ころでもある程度やっていて、いいものだからおすそ分けしていくと。要は、より実質的 なところに着目した要件とすべきなんではないかということを書いているわけで、必ずし も矛盾はしないかなというふうに考えております。 ○永井座長  診療所も想定しているということですね。 ○岸本経済課長補佐  はい。 ○澤委員  診療所でもいいということですか。病院や特定機能に限定すべきじゃなくて。 ○岸本経済課長補佐  要件を満たせば、そういう形式的な、要はベッドが19か20かによって、それだけの基準 で分ける合理性はないんじゃないかということです。 ○澤委員  有床診療所でもいいというような。 ○岸本経済課長補佐  はい。 ○山本経済課長補佐  3ページの(4)等々で要件等を書かせていただいて、(6)まで含めて、こういう実質的な要 件を満たしていることが、逆にベッドの数がどうというよりも重要ではないかとご議論し ていただいてきているというふうに認識しています。 ○澤委員  あと、2ページの3の(1)の倫理委員会のところで真ん中辺りから、「少なくとも相手側 の医療機関の倫理審査委員会を代表できる者」というのは、拡大解釈すると、必ずしも倫 理委員会の委員メンバーでなくてもいいというような読みですか、これは。代表できる者 というのは。 ○山本経済課長補佐  そこもご議論いただいて、構成員でなければならないのかほかの方でもいいのか、まさ にこの場でご議論いただければというふうに思っております。 ○早川委員  あくまで患者さんに資するということを前提にして、それをエクスパンドしていくため に共同診療というシステムを取り込むんだと。そのために必要な要素は、それぞれのA機 関、B機関の役割は、先ほど来言っているように、いろんなバリエーションがきっとある だろうと思うんですね。ですから、この倫理委員会についても本来は、本来の目的から考 えると1つであってもいいわけですよね。必ずここが必要であって、オブザーバーが参加 するかしないとか、そんなことを言わなくても、どなたかおっしゃった、前川先生ですか、 要するに共同で密にして複数の機関が目的を遂げるためにやるということが一番大事なこ とであって、それに一番ふさわしい形をとれればいいということですよね。  ですから、ある意味では1つの倫理機関でもいいはずです。むしろそのほうが密なきち っとした議論ができるような気もしますので、いつもそういう視点でまとめていただけれ ば、もうちょっといいかもしれない。先ほどの加工医療機関云々のところも、それは場合 によってはチームとしてあるところがそういうファンクションをきちんと演じられるんで あれば、それはそれでもいいんだと思います。分けて書いてあるから、いろいろ議論がで てくるのではないかと思いますが。 ○山本経済課長補佐  これは、実は前回の議論で先生方にご議論をいただいた結果を書いておりまして、前回 はむしろ両方というよりは、それぞれ個別の立場できちんと議論すべきではないかという 意見が強かったもので、こういう旨の記載をさせていただいていると思っておりますので、 早川先生からご指摘いただいた中でもう一度ご議論いただければというふうに思っており ます。 ○永井座長  いかがでしょうか。  はい、澤委員。 ○澤委員  恐らく重要なのは責任というところと、お互いの両倫理委員会のコンセンサスというか 合意の下にというのが共同臨床研究の一応項目かなというふうに思いますので、やはり先 ほど早川先生がおっしゃったように、そういうふうな形で表現していただくほうが、これ だと具体的に倫理委員会のだれかが2人で行ってみたいな、何となくこういうイメージに なってしまいますよね。そうでなくて、基本的に重要なのは責任ということについて、も しくは実際の行為について両方の医療機関でコンセンサスを倫理委員会でお互いにとって おくということですよね、一番重要なのは。その意味ですかと思うので、表現としてはや はりそういうふうな表現のほうがいいかなというふうに思います。 ○永井座長  十分な情報交換、それから書類も透明化して、求めに応じて、場合によっては説明に来 ていただけるような体制とするほうが妥当かもしれませんね。ファースト・イン・マンで あれば、十分に説明する必要はあると思います。例えばiPS細胞を初めて臨床で使おう というときには、当事者同士の意見交流が必要だと思います。 ○山本経済課長補佐  事務局から1点。共同で本当に1つの委員会に両方が審査を依頼するという形を認める かどうかについて、ちょっと取りまとめに向けて進めていく上でも、もうちょっと明らか にして、ご議論いただければと思っております。 ○早川委員  私は、そういうケースもあってもいいと思います。 ○大和委員  多分、前回の議事録に残っていると思いますが、倫理委員会は、病院長や学長の諮問委 員会というかたちで召集されます。裁判の被告に立つ時に、もちろん倫理委員会のメンバ ーも被告に立ち得ますが、病院長や学長も被告に立ち得るというのが今の解釈になってい ると文科省からは説明を受けています。そのことがあるので、共同の倫理委員会としたと きに、2人長がいて、それぞれの組織内で問題がなければ全然問題ないし、そういうのが 面倒だと考えるとこういう書きぶりになるということだと思います。 ○阿曽沼委員  前回の議論の中で、この依頼医療機関と加工医療機関に倫理委員会が各々設置され、両 方ともが網羅的にきちっとチェックをするということは必要だとされました。しかし、お のおの固有に倫理委員会を持つのか、もしくは例えば依頼医療機関のそれを他の医療機関 の倫理委員会に依頼をすることも固有に持つということと判断されると考えていいのでし ょうか。  もしくは依頼をすることは出来ないで、、全ての医療機関は独自で専門家を選んで独自 の倫理委員会を個別に設立しなければならないという意味で、この(1)の表現は、固有のも のを設置しと書いてあるのですか。  自分の医療機関ではなかなか再生・細胞医療の専門家が得られないことも想定されます。 専門家にきちんとチェックをしていただきたいという意味の中に、他の医療機関に委託を するということが含まれるのかどうか。これはどういうふうな理解になるのでしょうか。 ○永井座長  これは、前回、それぞれに倫理委員会を設置しようということだったと思いますが。 ○阿曽沼委員  たしか私は別に依頼医療機関もしくは加工医療機関、どちらかが専門の他の医療機関の 倫理委員会に委嘱をするということを可能にする必要があるのではないかと申し上げたと 思いますが、それはノーということになるのでしょうか。 ○永井座長  ステージによると思います。 ○山本経済課長補佐  事務局としてイメージがありましたのは、ご承知の先生方もいらっしゃると思うんです が、臨床研究の倫理指針、ヒト幹ではないほうにつきまして、他の倫理指針の審査の依頼 ということが先般の改正の中で認められておりまして、一義的にはそういったものをイメ ージしておりました。そういう形態ではいけないのかどうかというのを、ここの場でご議 論いただければというふうに思っております。  以上でございます。 ○阿曽沼委員  確かにステージ別に議論をしなければいけないということですが、現在想定できるステ ージが今後も含めて全てのケースを想定できるのかどうか私にはよく分かりませんが、想 定外のステージやケースが起こった段階で、その時点でもう一度議論をして、この委員会 で検討するのか、それともある程度将来を見越して想定した上で、今回の議論の中で取り まとめをしていくのが良いと思います。また、そのステージをどう規定して整理するのか というのをもう少しはっきりしておく必要があると思います。鈴木委員の発言の中でもお っしゃったように、まとめの文章の中には診察とか、診療とか、臨床研究とか、共同研究 とか、いろいろな文言が入ってきますから、ご専門の方々はそれなりに知見と経験によっ て当然の解釈として議論をされたり、文言として書かれるのでしょうが、一般の人にも正 しく理解できるように1度整理をしておく必要があるかなと思っています。 ○大和委員  私の理解では、安全性、有効性が未確定のものに関して、臨床研究であろうとそうでな かろうと、病院には倫理委員会が求められていて、その倫理委員会の要件については一般 的なものと、さらにそういう再生・細胞医療みたいなものに関する上乗せの部分等々が厚 労省からガイドラインとして出ています。現実に共同でやるというのは別に構わないんで すけれども、倫理委員会がないようなところではできないようにガイドラインをつき合わ せると読むべきと私は理解しています。  その上で、つまり2つの病院が独自の倫理委員会を持っているんだけれども、一緒にや る共同診療だからその倫理委員会から選抜メンバーでくっつけて、もう一個別個に立てま しょうというのは、それは自由だと思うんですね。だけど、それより前の前提として、必 ず倫理委員会というものがあって、それが十全にワークしていることが求められていると いうふうに厚労省のガイドラインから読めます。 ○阿曽沼委員  誤解していただきたくないのですが、私は無いということを前提に議論は全くしていま せん。当然必要だと考えています。ただ、その中で医療機関が自ら、再生・細胞医療や必 要な専門的な知見を持った人達がもし集められない場合、むしろきちんとした他の医療機 関の倫理委員会に先ほどの事務局のご判断のように委託できる、委嘱できるという道があ るんですかということを確認したかっただけなんです。 ○永井座長  今回の議論は、共同での診療ということです。まだ有効性、安全性を検証する段階とい うことを考えると、やはりヒト幹指針に従わざるを得ない。そうすると、それぞれの機関 に倫理委員会は必要ということになります。もっと一般化して、加工だけを依頼するとい うステージになると、もっといろいろな角度から検討が必要だと思いますけれども、いか がでしょうか、今回の共同での診療という枠組みでは、それぞれの医療機関に倫理委員会 を求めると。それをどう連携させるかということは、もう少し議論が必要だと思います。  そういうことでよろしいでしょうか。 ○大和委員  実際には、J−TECさんは立派な倫理委員会をおもちですよね。 ○小澤委員  はい。 ○大和委員 なので、たとえこれが来年度の議論に発展して、加工側が本当にこれは病院じゃなくて加 工する企業ですとなったときでも、僕はやっぱりヒトの細胞を扱って臨床に関わることで すので、絶対に倫理委員会というのはあってしかるべしで、むしろより高級なというか、 高級とか低級の定義は難しいですけれども、より高級な倫理委員会があってしかるべし、 それだけの倫理性が求められるというふうに考えておりますし、実際J−TECさんはそ ういうふうにされているというふうに認識しています。 ○小澤委員  ありがとうございます。やはり新しい問題に直面するときがありますので、外部の委員 会に委嘱するということは、その外部の倫理委員会が決めたから、それに全部従うのでは なくて、それを参考にするという立場を当社の経営では採用させていただいています。中 のほかに外にも意見を聞くけど、それはあくまでも参考ですという形をとらせていただい ています。 ○永井座長  そういうことでよろしいでしょうか。ただ、その後の連携ですが、一々顔を出すのかと いうところ、この辺はどうでしょうか。情報を密にして、求めに応じて説明に来ていただ く体制にするというようなことでもよいか。  はい、どうぞ。 ○森尾委員  本当に先ほど澤先生がおっしゃったとおりでありまして、イメージとしては加工機関の 技術を広げていくということになってまいり、あるいは臨床試験を行うということになる と、加工機関が1で、幾つかの依頼機関があるという状況になります。依頼機関の審査に 一回一回顔を出し、また来ていただいてということになると、これは技術的にも相当大変 なことになってきますので、そこら辺についてはある程度「お互いが分かるような形で、 理解できるような形で」というふうな言い方にしておいたほうが現実的じゃないかなとい うふうに思います。 ○花井委員  倫理委員会だけの問題じゃないと思うんですけれども、普通考えますと、加工はしない けれども患者を診ている病院が、あっちの治療法は同じように使えるから先生と相談して、 じゃ。一緒にやりましょうかと始めるわけですね。私どもも、エイズならエイズの患者さ んを抱えている医療機関とそういうCPC持っている医療機関と。そのときに診ている病 院からすれば、自分の医療行為だから、先ほどから出ているように、施設長は自分の施設 の患者に医療行為をするので海千山千を使われたら困るわけだから、普通、倫理委員会は そのCPCがちゃんとしたものかどうかということを、多分求めると思うんですよね。そ うなると、やはりどうしてもCPCは各施設の医療機関に対して、このCPCはこういう クライテリアを全うしていますという説明の資料をつくるのか、何かをしないと絶対その 倫理委員会を通りっこないと思うんですよね。だから、倫理委員会の役割が相対的に大き くなり過ぎているようにも思うんですね、この枠だと。だから、そのためにCPCのクラ イテリアがある程度オーソライズされていれば、それだけがあれば、その倫理委員会も、 ここのCPCはちゃんとしているんだからいいのねというふうな形式的な審査だけで済む わけですけれども、そこの定義づけはどういうふうに今回は整理されているんですか。  つまり、ある程度こういう基準を決めて、こうすることは望ましいというのは決まりま した。さあ、そのとおりになっていますと、だれが言うんですかね。その加工する施設が こういう資料をそろえてきて、これを見ていただければ、厚生労働省がつくった今回の指 針に合致したものなんですと主治医が、例えば僕の主治医が君の細胞をこういうふうに合 致した施設でやるんだよという話をしてインフォームド・コンセントするし、逆にその先 生は自分の施設の倫理委員会にそれを提出しないと、多分その先生の医療行為にゴーサイ ンが絶対出ることはないと思うんですね。そこの整理を、ちょっと教えてください。 ○大和委員  厚労省から出ている「ヒト幹細胞を用いた臨床研究に関する指針」というのがありまし て、それは中の倫理委員会だけでは十分ではなくて、施設の倫理委員会を通った後にその 書類を厚労省にサブミットして、厚労省の中で有識者を集めた委員会があって、そこで審 査があるんですね。その中にCPCのご専門の先生が必ずいらっしゃって、CPCのとこ ろはそこで見たり、あるいは、例えば眼科領域だったら、眼科の先生が入っていて、その 意義に関して議論したりということがあって、一応、今の枠組みでいうと、そこのところ はそこの部分が担保しているという形です。 ○花井委員  そうすると、この倫理委員会に関しては今までの一般的なルールで、もう論点はないと いう理解でよろしいですね。 ○大和委員  きちんと病院としてオーソライズして臨床研究をおこなっているという認識を得るため に、倫理委員会の審査があるということだと考えています。最悪のケースで、現場の医師 が一人で暴走する可能性を否定するために、病院としてやってもいいか、やっちゃいけな いか。あるいはやったとしたら、フォローアップをちゃんとしましょう、それが倫理委員 会の役割です。最初にやるかやらないかを決めるだけではなくて、その後もその役割はず っと続いています。 ○花井委員  ありがとうございました。 ○澤委員  今の議論、非常に重要なんですけれども、本当に倫理委員会が万能で全て科学的な、特 にCPCの基準まで全てをどこまで議論できるかというのも、技術的には倫理性という大 きなものから見たのが倫理委員会であって、そういう意味でヒト幹細胞の臨床研究の指針 の中にそういうのが織り込まれているのが1つ。それは大和先生が今おっしゃった。  それから、あと4ページの7の1にございますように、これから再生医療学会としても、 これはすみません、私はそのガイドラインの委員会の委員長で、代表させていただいてお 話させていただくんですけれども、やはりその辺りのクオリティコントロールは国として しっかりしていく基準を、再生医療学会としてもしっかり示させていただければと。そう いうような基準を照らしながら、施設認定までいくかどうか分からないんですけど、そう いうことをしながら、安全性をやはり統一しながらというか、ある程度基準を設置すべき だろうと。今、ヒト幹細胞の臨床研究指針の中でも、実は委員の先生方の知識の下でやっ ているというのが現状で、必ずしも一般的なレベルで、コンセンサスの中でやられている わけでもないようですので、その辺り、この7の1で書いていただいているところが非常 に重要になってくるかなというふうに思います。 ○永井座長  ということで、よろしいでしょうか。  残った時間、もう一つ大事な点がございまして、5ページの8.です。これについてご意 見いただきたいと思います。「有効性、安全性など、治療効果の評価の在り方について」 ということですが、この(2)に、「研究段階で一定の評価を得たものについては、「先進医 療」等の評価療養の枠組みの中で、行政の一定の関与の下、有効性及び安全性について更 なる評価をしていくべき」とあります。先ほども評価療養という話が出ましたが、いわゆ る混合診療制度ですね。患者さんの負担が少なくなるわけですが、そういう制度の中でと、 かなり明確に書かれていますが、これについてご意見をいただけますでしょうか。 ○大和委員  まず瑣末なことですが、費用面での負担というのは、臨床研究の場合、大学の持ち出し でやっています。「患者の」というのはとったほうがいいと思います。 ○永井座長  いわゆる混合診療制度を活用するということですね。費用負担も軽減できるかどうかと いうのは考え方によっては違うということですね。  はい、どうぞ。 ○鈴木委員  この前、会議の最後のほうで少ししり切れトンボ的な質問をしたんで、これに関係した ことなんですけれども、いわゆる先進医療、いわゆる高度医療と今考えている枠組みとの 関係がどうなんだろうかということをちょっと問いかけて、電話で山本さんと何回か話を させていただいたんですけれども、結局、先ほどちょっと言いましたとおり、今ここで考 えている枠組みというのはこの先進医療の、ある意味では前提となるような最も基盤的な 最低条件を議論しているんだろうというふうに理解しています。  これで見ると、今議論しているこの先に先進医療に入っていかなきゃいけないというふ うに読めちゃうんですけれども、必ずしもそうではないかもしれないという気もします。 どうなんでしょうか。先進医療に必ずこれが発展的に入っていくというよりは、もっと飛 ばしちゃった形だって場合によってはあり得る。すぐ治験申請とか、そういうことという のはないんでしょうか。 ○永井座長  「等の評価療養」ですから、治験も含まれるわけですね。 ○鈴木委員  評価療養というのは、先進医療の中に高度医療と先進医療があって、その中に……。 ○永井座長  その外に治験がありますね。でも、どちらも評価療養であるという枠組みでは同じだと 思います。 ○鈴木委員  分かりました。 ○阿曽沼委員  少しこだわるようになりますが、今回の議論は医療法の下で、医療機関と医療機関の間 で共同診療において一貫した医療の中で再生・細胞医療を実施していくとのガイドライン を議論する訳です。それは研究及び診療を含めてということで考えていく中で、この8番 の項目全体というのは当然議論をしていくべきでありますし、整理をしていく問題だとい うふうには認識しております。  しかし、むしろこの8項の内容は、来年度の議論をする上での橋渡し的な内容の要素が 大きいと思いますので、今年度、医療機関から医療機関にというふうに限定的に議論する のであるならば、ここの8項で全ての文言が、べきである、と断定をして、文章化をする というのはいかがなものかと考えます。  ただ、大和先生がおっしゃるように、今年の議論から来年の議論の中で、当然論点とし て出てこなければならないことですし重要ではありますが、もう少し時間をかけて議論を しておく必要があると考えます。この8項は、どうしてもというのなら来年度への論点整 理という項目で記述すべきであって、今年度の議論の結論としてここに明示的に書くこと については私は少し疑問がありますし、私はあえて反対だと考えています。  それと、あともう一点は、先ほど倫理委員会のあり方と、安全性と有効性の問題という ような議論がありましたが、私も納得するところではございますが、むしろ医療機関と医 療機関との間については、8項の(1)でいえば評価を経ていないという文言ですが、倫理委 員会でゴーサインが出て、やるべきだと思っている医師がいて、やっていただきたいと思 っている患者さんがいれば、医療法の中で患者と医療機関の、もしくは医師との契約があ って行われていく医療というものが存在していい訳で、全てこの薬事法に繋がるルールの 下で行われなければいけないというように限定するのはいかがなものかと思います。現行 の保険制度、医療法との枠組みの中でどういう整合性がとれていくのかが、私は100%理解 ができないとこともあり、ここのところの議論は非常に大きい議論ですので、今年度の議 論ではなくて、来年度に向けての議論というふうに整理をいただきたいと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。  しかし、きっちりとその評価が出れば保険診療になっていくと思います。その前段階と しては、この評価療養制度を通らざるを得ないと思いますが、もしそれでないとすると、 どういう状況が考えられるのでしょうか。研究を続けるということでしょうか。 ○阿曽沼委員  例えば速やかに全ての医療行為が保険診療で行われるという理想の形があり、これを追 求していくことは、医師もしくは医療機関としては当然のことだと思いますが、今現在現 実的な問題となっているのは、先ほども言いましたように、ドラッグラグ、デバイスラグ が存在するということです。その承認までの期間で多くの医療者、患者が考え、もしくは 実施してほしいと考える医療行為に関して、どの様に患者さんのために速やかにその再生 ・細胞医療を行っていくかということを考える場合に、一部では有償で、患者さんのご負 担をいただきながら自費医療としてやっていく医療というものも当然あろうかと思います。 そういったニーズにも応える手立てがきちんと議論され整理をされることも重要です。当 然、有効性、安全性というものの評価は必要でありますが、そういうことも理解できるよ うな文言、表現があればいいと思います。 ○永井座長  ですから、保険を併用する場合には先進医療ということになりますね。あるいは評価療 養制度ということだと思いますが。  もちろん、全額私費というような場合を否定するものではないのでしょうが、普及、一 般化ということであれば、保険制度を使いながら行ったほうが、はるかに普及は促進され る。そうなると、どうしても評価療養制度を使わざるを得ないだろう。そのような意味で よろしいんでしょうか。 ○阿曽沼委員  その通りです。 ○永井座長  ですから、「べき」と書くかどうかは別として、この辺の表現については何かもう少し 工夫が必要かもしれません。 ○阿曽沼委員  特に、今年の閣議決定の内容で私の理解が間違いなければ、先進医療の一類型である高 度医療評価制度というものは、多くの医療機関との連携の中で診療所もその対象になった と思います。当然そういった制度を活用していくのは必要だと考えています。  ただ、今年の議論の対象である、医療機関が医療機関の中で医療法の下で行う細胞加工 を、共同診療という枠組みに拡げ、そしてそのガイドラインをつくるという中で、取り立 ててこの8項の内容や議論を「べきである」というふうに断定的に書くことについては、 まだ十分な議論ができていないというふうに考えています。 ○永井座長  ただ、一方できちっとした評価が継続的に行われないと、無制限に拡張して、有効性評 価がきちっと行われない状況が一般化するのは、私は望ましくないと思いますが。 ○阿曽沼委員  それはむしろ7項にある学会に期待される役割の中で、再生・細胞医療という枠組みの 中で、こういったことを活用しながらワークしていくということが今、再生・細胞医療の 中では期待されているのではないかなと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。この辺の書きぶりをどうするかですが。 ○大和委員  私はべき派です。正直言って。これでここだけ曖昧にしてしまうと、じゃ、今まで1年 間何をやっていたのという感じが非常にします。ごく当たり前のことを書いてあるので、 来年度の枠組みに関する検討の中ではまたいろいろ議論が出ると思いますが、今年度の共 同でやる医療の、あるいは下の9番にある単一の医療機関においてという場合でも、これ はよろしいんじゃないかなと思うんですけど。どうして駄目なのかが分かりません。 ○永井座長  ほかの委員の方々、いかがでしょうか。 ○木下委員  新しい医療技術や医療行為が導入されて、一般国民のためにということを考えていくと きには、患者が求めれば全てそれが医療行為になるかというと、そんなことはありません。 やはりサイエンスの世界であり、医学の世界では、いわゆる常識というのがあるはずであ りまして、その意味は安全性、有効性を評価するということがあって初めて医療になると いうのが、これも医療の世界の者にとっては常識であります。そういうステップを踏んで、 一般化されていくのが常識です。そのステップとして我が国には国民健康保険制度があり、 いわゆるアメリカのスタイルとは違います。我が国では国民健康保険制度というものがあ る以上は、一般化される前に、それだけの評価されたものについては先進医療として、評 価療養というふうな仕組みをつくっているわけであります。今後の在り方としては現状の ことに関する詳細については、まだ私も存じ上げませんけれども、今申し上げたとおりの 考え方をこういう公の委員会の場においては明確にしていくというほうが、健全な医療行 為に対して国民は納得するのではないかなと思います。従って、余りこの表現については 違和感は感じません。 ○鈴木委員  僕もこの書きぶりで問題ないと思うんです。今の段階では問題ないと思います。ちょっ と違う角度からですみませんが、4ページに加工医療機関と依頼医療機関に関して、例え ば加工のほうだと(7)、(8)、それから5.のほうですと(2)と(3)。これは評価に関することが2 回ダブって書いてあるんですけれども、むしろこっちの評価のほうに書くべきことなんじ ゃないかという気がするんですけれども。 ○永井座長  論点はどういうことですか。 ○鈴木委員  もう一回、すみません、4ページの上のほうに、(7)、(8)というのがありますね。これは 加工医療機関についてというのでいろいろ要件を並べてた、最後のほうです。それから4 ページの5ポツですと、依頼医療機関についてということで、(2)と(3)が同じことが書かれ ていますよ。これは、内容的には評価に関することのように思うんですけれども、評価に 関する、今議論していた8の項目には、それに対してこれは書かれていないというのは、 何かちょっと書く場所が違うか、あるいは。何か書いても別に構わないとは思うんですけ れども。 ○永井座長  評価について、しっかりまとめておくということで。 ○鈴木委員  言っている意味、分かりますか。 ○永井座長  はい。先ほどの評価療養制度の件はいかがでしょうか。これは、ちょっと今きちっとま とめておきたいのですが。評価療養制度を下にして、継続的に有効性、安全性の評価を続 けていくということですね。続けていくべきであるということ。 ○早川委員  今の鈴木委員の話は、科学的な評価で有効性、安全性はなかったという評価も科学的な 評価としてあるんですね。その8.のところは、さらにそれを本来目指すべきところはこう いうものであると。有効性、安全性が評価されるようなものであってほしいという意味で 8.が書かれてあると思うんですね。それに、ある程度評価して、そこまで至らないものは、 やっぱりそこでストップしていただくというような意味も、これは込めているわけですよ ね。 ○鈴木委員  そういうわけです。 ○永井座長  課題はどんどん次へ行くわけですね。初めはマーカーが下がるかどうか。マーカーは下 がった。それでは、腫瘍のサイズが小さくなるのかという課題に今度行くわけです。そう すると最後は寿命を延ばしたのかどうかということになります。このようにプロジェクト が変わるたびに、先進医療等の制度ではチェックしているわけです。そういうことが必要 ではないかということで、一度ある課題をクリアしたからといって、チェックなしに拡大 していくのは望ましくないということが背景にあるわけです。 ○阿曽沼委員  私が申しあげているのは、基本的に、いわゆる保険制度の下で、こういった段階を踏ん でいくということは重要であるという認識は当然しておりますし、その理解の下での発言 でもあります。それは誤解のないようにしていただきたいと思いますが、ただ、今回、医 療法の中で医療の一環の中で医療機関の責任において行う医療というものに限定した議論 の中で、こういったものを「べきである」という様に、今回のこの取りまとめの文言の中 に限定的に、断定的に書くのではなくて、むしろ今後の議論、もしくは来年度に向けた議 論の中の論点整理として明示をしていく、つまり別項で別の方法で明示をしていくという ことが重要であると申しあげております。もう少し色々な議論が幅広にできるようにして おくことが重要なのではないかという意見です。この中身がいけないとか、いいとかとい う問題ではありません。  それからもう一つは、8番の(1)に関して、有効性、安全性の評価を経ていないというの は、この評価というのはどの評価を指すのかというのがよく分らないので、ここのおける 評価というのは何の評価なのか、だれの評価なのかというのは、少し明示をしていただく と、もう少し違った議論になるのかもしれませんが、この(1)の評価というのはどう理解す ればよいのでしょうか。 ○山本経済課長補佐  そこは8.評価療養の対象でない保険導入されていないもので、一応例示としてはお示し をさせていただいていまして、想定としては一応その記載のものでございます。 ○阿曽沼委員  この評価というのは、例えば医療機関の両方の、いわゆる倫理委員会での評価というこ とではないのですね。ここでいう評価は、評価療養制度、先進医療のいわゆる保険制度の 枠組みの中で評価を受けていないものは、全て研究として実施されるべきだというふうに 断定されるんでしょうか。 ○岸本経済課長補佐  8の(1)で書いてあるのは、(2)のステージの前というぐらいの位置づけでありまして、当 然、医療行為として要は医師免許を持った人が患者に対してやるわけですから、最初は有 効性、安全性が分らないうちは研究という特定のプロトコルの下で、ごくごく少数の患者 さんに実施していただいて、少しずつ座長が言うところの問いというようなところで、一 つずつハードルを越えていくと、徐々にグラデーションみたいなのがついてきて、(2)のほ うへ移行していくというようなそういう考え方を書いているんですが、そういう意味では 自ら実施している研究なり医療行為で、初期の段階の医療行為なんで、だれが評価すると いうのは非常に難しいのですが、それを先進医療のところで評価するという、さらに前の 段階であって、実施するそれぞれの医療機関なり、そういうところで評価して、さらに学 会とか査読のある論文とか、そういうところでそういうのをブラッシュアップしていただ くという、そういう考え方かなとは思っております。 ○阿曽沼委員  そういう判断で言えば、先ほど鈴木委員がおっしゃったように、4ページの(7)とか(8)と か、もしくは5の依頼医療機関における第三者の評価を受けた上でというものの評価を指 すと認識をしてよろしいのでしょうか。もしくは倫理委員会の評価というふうに理解をし ていいのでしょうか。 ○永井座長  これは、具体的に評価療養制度の評価ということですね。 ○阿曽沼委員  いや、それは(2)、(3)にかかってくる評価という言葉であって、(1)というものの評価には かかってこないというふうにこの文では読めますが。 ○永井座長  事務局、いかがでしょうか。 ○山本経済課長補佐  すみません、ちょっとご質問を明確にさせていただければと思っているんですけれども、 先生のご指摘は評価とは8の(1)でいうところの……。 ○阿曽沼委員  私がお聞きしているのは、8項の(1)の評価というのは、だれがどういう段階で、どうい う手法をもって評価をするということを想定していらっしゃるのかということです。それ は共同の診療という枠組みの中でという。今回の今日の議論はここに書いてあります様に、 「再生・細胞医療における共同での診療についてのこれまでの議論の整理」でありますか ら、この8項の(1)について今まで具体的な議論というのはされていないというふうに、私 は認識しております。 ○山本経済課長補佐  すみません、まさにご議論いただければと思っているんですけれども、8の(1)では、例 示で書かせていただいているようなものを受けていないのは研究として実施すべきという、 今の原文で、そうではないというところであれば、ご議論いただいて、ほかの道、どうい うものがあるかちょっとあれですけれども、文章等々を見ていくことは可能だと考えてお ります。 ○阿曽沼委員  あともう一つは、この8項というのは、単純に見れば、医療機関が医療法の下で共同診 療をやるにしても、その枠組みの共同診療の中でも従来の薬事のルールに則るべきと断定 的に表現しているのか、それとも全く違った意味合いなのかということも、少し明確にし ていただきたいと考えます。医療機関が医療機関に対して細胞加工を委託し、お互いで共 同診療の下でやっていくのは、医療法の下で行われて、それの安全性、有効性を担保する ためのガイドラインをつくりましょうということがこの委員会の目的である訳ですが、こ の8項はそうではないんだと、やはり、医療法の下の共同診療で医療機関と医療機関が再 生・細胞医療をやったとしても、従来の薬事法のルールで薬事法での承認して、治験をし て、評価療養制度の下で先進療養でやりなさいということを、そうすべきだということを ここで断定的に明示されているのではないかと読めるんですが。 ○永井座長  評価療養制度の高度医療は、薬事未承認のものを使えるわけです。そういうルートはま だあるのです。だから薬事を大前提にしないといけないということではないと私は考える のですが。 ○阿曽沼委員  そういう理解で本当によろしいでしょうか。 ○岸本経済課長補佐  座長がおっしゃるとおり、薬事法の承認が必要とされているような、そういう体系の下 にあるものはもちろんそうなんですが、そうじゃないものももちろんあると。それは物に よって多分異なってくるということだと思うんですが、若干来年度の議論の影響も受ける のかもしれませんが、今でも両方あるということだと思います。 ○阿曽沼委員  もう一回確認ですが、8項の(1)において、医療機関が他の医療機関と共同診療で細胞加 工を依頼をするというものに関しての評価は、だれがどのように、どの時点で、どういう 手法でもってやるのかということを明確にしていただきたいということです。それから、 医療法の下であったとしても、例えば先進医療の一類型の高度医療評価制度の枠組みを使 うことも当然あるのだということ等のケースを明記されるのであるならばいいわけですけ れども、そういう具体的なケースを明記せずに大ざっぱに書かれると、解釈に誤解を生む のではないかと思います。 ○永井座長  この8.で言っているのは、まずステージのことを言っています。まず研究という段階が あって、そして次に評価療養の対象になり保険へという、そういう流れを踏まえてほしい ということを言っているわけですね。ですから、研究の次の段階では評価療養制度の下で 評価を受けるわけです。研究の段階については、各施設で評価を受けるわけです。そうい う理解でよろしいですか。 ○早川委員  はい。同じことなんですけれども、日本語の多少、表現の問題があるのかもしれません けれども、2番のような評価を受けていない。2番のようなということは、ある種、公的 な枠組みの中で評価システムというのがあって、その中で評価を受けたものと、1番はそ ういうものはまだ受けていないと。医療法の中では確かに行為として、医療としてはやっ ているんだけれども、ある種の公的な評価システムの中には乗っていない状態のもの、こ れを指しているわけですね。単純に言えばそういうことですね。公的な評価システムに乗 っていないもの、そういうことですよね。 ○森尾委員  有効性、安全性の評価ということなんですけれども、やはり有効性、安全性の評価のな い医療というのは恐らくないわけでありまして、その有効性、安全性を検証するためには やはり特定の疾患に対して基準を設けて有効性、安全性を検証するということがあって初 めて先に進めるということだと思うので、少なくともそういう臨床試験を行っているとい う段階のものであり、それが研究として実施されるべきと、当然のことが書いてあること じゃないかと私は理解しているんですけど、違うのでしょうか。 ○阿曽沼委員  私が少しこだわっているのは、こういった取り決めとか文言の書き振りというのは、や はりきちんと共通の認識下で行われていくべきなんです。評価と一言書いたにしても、だ れがどのように、どういう基準によって評価されたものなのかということが、読んだ全て の人たちがきちんと誤解無く分かるようにはっきりさせておく必要があります。今、委員 がおっしゃったように、当然必要だと私も思っていますが、そういったことをやはりきっ ちり議論をしていただきたいと、もしくははっきりさせていただきたいと思っています。 ○永井座長  この(1)は、評価療養の対象でない再生医療、保険導入されていない再生医療は、まずは 研究として実施されるべきというふうにしたほうが簡単かもしれません。研究段階であれ ば、もう少し融通は利くと思います。各施設での判断、主治医での判断ということに、あ るいは研究の判断ということになっていますが、この評価が各施設で行う評価と、もう少 しその先の保険導入前の評価とを少し混同している点があるかと思います。ただ、そうい う流れの中できちっと研究が済んだ段階であれば、そっちへ持っていくというところが実 は大きな論点になると思います。 ○阿曽沼委員  再度、誤解のないように申しますが、私はやはり当然評価をされて、先進医療や高度医 療評価制度の下で多くの医療が行われることを望みますし、そうあるべきだと思いますけ れども、ここのところの書きぶりについて少し整理をいただきたいと思っています。 ○永井座長  はい。 ○山本経済課長補佐  1点、事務局から確認をさせていただければと思うんですけれども、今、永井座長から お話があったとおりで、評価療養の対象でないもの、公的な評価を受けていないものはま ず研究とすべきということで、今よろしかったでしょうか。 ○永井座長  それは、ただステージのことを述べているにすぎないわけで、研究してはいけないとい うことではないのです。  よろしいでしょうか。 ○早川委員  結局この(1)、(2)というのは、今の公的な、あるいはどういう表現にしろ、評価を受けて いないものは研究は必要であるということは前提だと思うんですね。ただ、研究をずっと 延々といつまでも続けていっても困りますということも中に入っていると思うんですね。 やはりどこかで、それは倫理委員会がするのか、どこがするのか分かりませんが、そこは ちゃんといわば定期的にというか、ある一定の機関の中で評価をして、それで、これ以上 研究を続けるのか、あるいは有望であるならば2番のステージにいきましょうねと、そう いう意味合いをこれは込めている文章でもあるというふうに私は理解しているんですけど。 ○永井座長  初期の研究段階で無効だからといって、もうそれを続けるべきでないというのは研究費 の審査ではあり得ますけれども、実際はどうでしょうか。 ○早川委員  ただ、やっぱりこれは最初に書いてあるように、この冒頭の文句ですね。再生・細胞医 療の一般化、普及化。どういうことで一般化、普及化が図れるかというと、患者さんの役 に立つ。本来は、だから患者に資する再生・細胞医療の一般化と書くべきだと思うんです けれども。目的はですね。つまり、再生・細胞医療をやるのが目的じゃないんで、患者さ んに役立つよう一般化を図る、普及化を図るのが目的。ですから、やっぱりどこかで評価 というのは、もちろん普及を図るために最初、研究というステージがあるわけですけれど も、研究が無制限にというか、そういう意味では全くないと思いますので、そこは8ポツ のような流れの書き方でそういうことを暗に言っているのではないかというふうに、私は 理解していたんですけれども。 ○永井座長  どうぞ。 ○花井委員  8の流れは、患者側の実感としてもよく分かる話で、(2)のステージというのは、やはり この評価というのを今ちょっと混同していると思うんですけれども、ある研究的な医療を 評価する話ではなくて、まさに先進医療として実施されたという、制度がそれを受け入れ たことをまさに評価という文脈の評価だと思うんですね。この段階というのは。社会なの か、ある種の価値観があって、それは論文が100本あったらいいのか、10本でいいのかとか、 患者がどれだけそれを求めているのかとか、そういう複合的なもので社会の中で、それは 保険で診ようね、それからいわゆる先進医療で診ようねという、そういう整理に今、実際 はなっていると思います。そんなにサイエンスとして厳密な評価によってそれが必ず実施 をされているというふうになっていない。ある種、論文の数とか、データの数とパラレル では必ずしもないという部分がこの評価であって、だから実際の問題とすれば、この8の 書きぶりというのは非常に患者の実感に合っていて、つまり、(1)の段階である種これは研 究でやっているんだというところから、(2)の段階に来たときには、もう早くこの治療を受 けたいよねという患者が何人かいるわけですよね。だけど、お金はかかるし、あそこの施 設で研究費で何人しかできないんだよねといううわさを聞いて、じゃ、国のこういういわ ゆる混合診療というか、そういう形で受けられるようになるといいねみたいなのを患者会 が運動し出すという。その患者会の運動というのは、またそれはそれで正しいかどうか別 として、一つの評価になって、それじゃ、それは患者の意見が強いので先進医療として認 めていきましょうというのが今、実際だと思うんですね。その流れを多分、これは書いて いるんだと思うんです。  だから、先生方が議論している厳密な評価、倫理委員会がどうのこうのというのとはち ょっと違う評価で、サイエンスとしての有効性の評価というのはまた別途されるのであっ て、その研究を継続するかどうかは、その研究の専門家が、もしくはその研究費を審査す る側が評価する話とはここの文脈はちょっと違う文脈なんで、そこはちょっと混ぜずに、 これはもう社会として医療制度の中でこういう流れでだんだん実施をされていくんだと。 その段階、段階で評価もよりユニバーサルなものにならざるを得ないんですよという整理 だとすれば、しごく当たり前の3つだというふうに思います。 ○永井座長  木下委員、どうぞ。 ○木下委員  永井先生は厚労省の厚生科学審議会科学技術部会の座長をしておられますが、そこでは、 先端医療、遺伝子医療、再生医療の臨床応用に関する新しい試みに対して、安全性と有効 性というものを厳密に評価しています。そういうのが認められた上で一般化されていく前 の、極めて重要なステップを踏んでいます。これは医療界だけでなく国民が求めているこ とから、このような手順をとっています。新しいものを導入する際には、有効性とか安全 性の評価と、副作用の問題のクリアをしなければなりません。これは避けて通れないもの であるだけに、この細胞医療とか再生医療をまた国の委員会で評価すべきであるというこ とだって、場合によってはあり得る話になってくるわけであります。  そこまで大げさには言わないまでも、医の倫理という点で、真剣に医療者が考え、国民 のために、そういう仕組みをつくってやっているわけでありますだけに、こういう問題に 関しては余り抵抗なくやっていくことのほうが、医療者はもちろんのこと、国民にとって も受け入れられるものではないかと思います。この辺のところの仕組みに関して、保険診 療という我が国の状況を含めて記述されていることは、安全性、有効性を担保するという 仕組みを考えて、この将来の発展のためには一番ふさわしいことだと思います。その考え 方の根本は、永井座長が最初にお話になったような、まだそういうことは確立されていな い段階でのこととしては、やはりそのステップを踏むということが全ての医療行為の大前 提であるということです。その意味でこの検討会を開いて議論しているわけでありますの で、こういったことは、恐らく委員全員が共通のコンセンサスだと思いますだけに、この 方向でやっていただくのが健全だと思います。 ○永井座長  書きぶりについてはもう少し工夫が必要かと思いますが、基本的な考えとしてはそうい う線だということでご了解いただきたいと思います。  時間が過ぎてしまいましたので、さらに次回、議論を続けるということで、事務局から 連絡事項をお願いいたします。 ○木下経済課長  次回の日程は、2月15日月曜日、15時から17時までということで、開催場所等につきま しては、また決まり次第、ご連絡をさせていただきます。 ○永井座長  早川委員から、ご意見。 ○早川委員  ご案内のあった後で恐縮なんですけども、3の(6)のところで、4ページにかけて製造品 質管理の在り方について云々というところがあるんですけれども、これは、もちろんここ に引用されているものも大変フレキシブルだと思うんですが、臨床研究の初期の段階から、 少なくとも医師法に基づく診療という範囲でやることの議論をしているステージとしては、 法律的な意味で、準ずることが必要という規定が厳しいのかなと。踏まえるぐらいで、フ レキシビリティを持っていたほうがいいのかなというふうに、私は個人的に思いますので、 一応問題提起です。 ○永井座長  次回、続けて議論をいただくということでよろしいでしょうか。 ○小澤委員  すみません、ちょっと質問がありまして、事務局の方へですけど。  今年度の活動の中で、海外視察をするというのを年初に宣誓されておりました。進捗状 況を簡単にご説明いただけますでしょうか。 ○宇津企画官  事務局のほうから、お答えいたします。4月の第1回の会議で、小澤委員のご指摘どお り、海外調査をやりますということご説明いたしました。現在までに米国FDA、それか ら、EMEA、そのほかフランス、ドイツ、英国の5ヶ国を調査しました。ヨーロッパのほう では、EMEAがアドバンストセラピーとして、その審査をやる一方で、治験の審査のほうは 各国に分かれています。そういう点を踏まえて調査をやってまいりました。先週にもドイ ツのほうに行っていただいております。大体、海外調査のほうは終りましたので、今後取 りまとめをしていきたいと考えております。 ○永井座長  よろしいでしょうか。  それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 (了)                   (照会先)03-3595-2421(直通)                       03-5253-1111(代表)      医政局経済課 課長補佐 岸本(内線2524)