09/12/14 第5回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会議事録 第5回職場における受動喫煙防止対策に関する検討会 議事録 1.日時及び場所   平成21年12月14日(月)10:00〜   中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)共用第7会議室(5F)   (東京都千代田区霞が関1−2−2) 2.出席委員(9名)   ◎相澤 好治(座長)、漆原 肇、沢田 純一、土肥 誠太郎、内藤 恵、中原 富美子、   福島 葉子、三柴 丈典、望月 友美子(50音順、敬称略)   欠席委員(2名)   鍵 直樹、武田 繁夫(敬称略) 3.行政機関出席者   平野 良雄(安全衛生部長)、鈴木 幸雄(労働衛生課長)、亀澤 典子(環境改善室長)、   永田 和博(主任中央労働衛生専門官)、徳田 剛(副主任中央労働衛生専門官) 他 4.議題   1.関係団体等からの意見聴取について    (1)公共交通機関      ・東海旅客鉄道株式会社 竹中 正俊 人事部勤労課長    (2)事業者代表      ・全国中小企業団体中央会 瀬戸 実 理事・事務局長      ・東京商工会議所 矢口 和彦 産業政策第二部労働担当課長   2.その他 5.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○徳田副主任中央労働衛生専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第5回 職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」を開催いたします。本日は、お忙しい中お集 まりいただきましてありがとうございます。本日の検討会は公開で行われ、議事録は厚労省の ホームページで公開されることとなっております。本日は、鍵委員と武田委員より御欠席との 御連絡を頂いております。  続きまして、資料の確認をいたします。今回の資料は、次第に記載しておりますように1の JR東海さんからの資料のみですが、意見聴取団体からの資料ですので、委員のみの配付とさせ ていただいております。落丁等ありましたら、お気付きになり次第事務局にお知らせください。 それでは、座長、お願いします。 ○相澤座長 皆さん、おはようございます。よろしくお願いいたします。  それでは、議題1の「関係団体等からの意見聴取について」ですが、団体によって会員にア ンケートを実施して全体の状況を把握している所から、日常の団体の活動を通じていくつかの 会員・事業場の状況等について把握している所など、状況はさまざまですので、それらを御理 解の上、前回と同様聴取を進めていただくようお願いします。1団体当たり御説明を10分、質 疑応答を20分と時間が限られておりますので、効率的に議論が進むよう御協力をお願いしま す。  初めに、公共交通機関より、東海旅客鉄道株式会社の竹中正俊人事部勤労課長にお越しいた だいておりますので、よろしくお願いします。 ○竹中課長(東海旅客鉄道株式会社) JR東海の人事部勤労課の竹中でございます。よろしく お願いいたします。本日は、公共交通機関における受動喫煙の防止ということですが、主に当 社の分煙化を中心とした受動喫煙防止の取組みについて御説明をしたいと思っております。  私どもは、東海道新幹線を中心として東海地区、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県といった 辺りを中心とした在来線を運行している会社です。御利用のお客様の数で言うと、圧倒的に東 海道新幹線が多いということになりますが、在来線も含めてどのような対策をしているのかに ついて御説明します。  まず、当社が管理をしている駅の中です。駅においても、基本的には社員がおります。駅の 出札、ホーム上で安全を監視する等の社員がおりますが、これらの人たちが働いている状況の 中で、たばこの問題がどうなっているかということです。待合室やコンコース、お客様が列車 を待つ待合室、駅内を移動していただくときに使うコンコースという所がありますが、これは 全面禁煙としております。ホームですが、新幹線と在来線で多少取扱いが違っております。新 幹線ホームにおいては、一部喫煙コーナーを設けて、そこはたばこを吸えることになっており ますが、ほかは禁煙という形になっております。喫煙コーナーは、ホーム上のできるだけ列車 の喫煙号車に近い所に設置をしております。さらに、基本的に駅は閉じられた空間ではなくて、 風が流れたりオープンエアな空間ですので、そういったことも配慮して、喫煙コーナーを何箇 所か設けております。  一方、在来線のホームについては全面禁煙としております。駅内ですと、新幹線のホームで のみ一部たばこが吸えるということになります。そこで働いている、我々は「輸送係」と呼ん でおりますが、列車の安全を確認するような仕事をしている、黄色い線から下がってください と言ったり、列車に出発の合図を出したりするような社員がおります。そもそもそういう社員 が立って列車の監視をしたりする位置も、必ずしも喫煙場所の近くというわけでもありません し、先ほど申し上げたように基本的に煙が滞留しないような状況ですので、受動喫煙という意 味でのリスクはかなり小さいものだろうと思っております。  続きまして、列車内です。列車内については、列車の乗務員、とりわけ「車掌」と言われる 車内を巡回する者と、これは当社の社員ではありませんが、車内販売の係員がおります。これ らの人たちが車内を行き来することになります。こちらも列車内の喫煙・禁煙については新幹 線と在来線で取扱いが異なっております。在来線においては、一部寝台列車の個室を除いて、 当社においてはすべて全面禁煙という形になっております。ですので、ほぼ日常的に受動喫煙 のリスクがあるということではないと考えております。  新幹線ですが、新幹線も列車の車両のタイプによって取扱いが違ってきております。当社の 新幹線の最新型の車両であるN700系という車両があります。少しぼやけた形で写ってしまっ ておりますが、参考資料2に編成図が書いてあります。こちらがN700系の編成図ですが、これ は全席禁煙としております。各号車でお座りいただいているお客様、当然デッキでお立ちのお 客様も含めてですが、おたばこはお吸いになれませんということです。ただし、赤で囲んだ所 に喫煙ルームを設置しております。これは、1編成に4カ所設置しております。3号車、7号車、 10号車、15号車と、それぞれ少し大きさは違いますが、一度に2、3名ぐらいは同時に喫煙が できるようなスペースを設けて、お席ではたばこを吸っていただけないので、喫煙ルームに行 っていただいて、そちらでたばこを吸っていただくという形で対処しております。  この喫煙ルームですが、煙を強制的に吸い込む装置とか、あるいは上のほうに写真がありま すが、入口部分も触るとドアが開くような形で、自動ドアですと通ると開いてしまうというこ とがありますが、なるだけ煙がデッキに漏れ出さないような工夫もしております。人の出入り の際に多少の煙がデッキ内に流れることもあるものですから、デッキに空気清浄器を設置して いくこともしております。このN700系という車両が最新型でこのような設備を設けており、 我々としてはこれでほぼ分煙化ができているのではないかと考えております。  一方、東海道新幹線には、まだN700系がすべて配備されているわけではありません。その 前のタイプである700系という車両、当社においては300系という車両がまだ残っており、こ れらの車両においては1編成につき4両喫煙車を連結しております。ですので、喫煙車では、 お客様が席にお座りになってたばこを吸われることになります。また、これは我々公共交通機 関だけの話ではないと思いますが、一般のオフィスで働いている人間も、当社には数多くおり ます。それらのオフィスにおいても、分煙の取組みがなされております。これはいわゆる一般 の企業とそれほど大きく変わるところではないかなと思っております。  基本的に、分煙化を進めているということについては、我々としてはお客様のニーズにきち んとお応えするということで、国鉄時代には一部であった禁煙車を徐々に増やしてきて、最終 形の到達として、N700系のような完全な分煙化という形に至っております。我々としては、在 来線はほぼたばこが吸えない状況ですので、新幹線についても今後の対策としてはN700系を 計画的にN700系でないタイプの車両と入替えをしていくと。当然投資を伴うものですが、そ ういったことで進めていきたいと考えております。  参考資料1として、平成19年に弊社とJR西日本さんと共同でプレス発表した資料を付けて おります。N700系の投入計画ということで、平成21年度以降、それまでもそうですが、平成 19年度、平成20年度、平成21年度以降も、当社としては計16編成を投入していくという計 画です。それ以降の部分については、また今後のいろいろな検討ということもありますが、基 本的には老朽化した車両をどんどんN700系に置き換えていくという方針には変わりありませ んので、ある時点ですべてN700系の設備を整えた列車になるものと考えております。今後の 対策としては、N700系の置換えを着実に進めていくことになろうかと当社では考えております。  来年の春時点でのおおよその割合になりますが、N700系が当社保有の新幹線の編成の中に占 める割合としては、ざっと3分の1ぐらいがN700系になっているだろうということです。それ から徐々に取替えを進めていきますので、年々その比率は上がって行くことになろうかと思っ ております。私からの御説明は以上です。 ○相澤座長 どうもありがとうございました。大変詳しく御説明いただきましたが、委員の先 生方から何か御質問等ございますか。 ○沢田委員 今のお話を伺って、お客様、利用者に対しての禁煙、受動喫煙防止に対しての対 策がかなり進んでいるというのは実感しました。今回は、従業員の方々への受動喫煙も大きな 課題として取り上げていますので、御社の従業員の方々の事務所なり仕事場の受動喫煙対策や 禁煙対策はどの程度のものがありますでしょうか。 ○竹中課長 今申し上げた基本的には社内の部分が、我々の会社の一番特徴的な話だと思いま す。従業員の受動喫煙対策というのも、基本的には喫煙車をなくしていくということに尽きる かと思っております。接客的な面もありますので、マスクを着けての接客というのも難しいも のがあると思いますので、お客様のニーズと従業員の受動喫煙対策という両方の面から、新幹 線のN700系への置換えを進めていくというのが対策ということになろうかと思います。  その他の車内以外の、例えば社員の働くオフィスや乗務員の待機スペースといった所は、分 煙が図られております。強制的に外に排気できる所もありますが、ビル等の構造上それが難し い所もあります。少なくとも吸うエリアを定めて、そこでたばこを吸う人は吸ってくださいと いう分煙は進めておりますので、その辺りは一般の企業とそれほど大きな違いはないのかなと 考えております。 ○望月委員 N700系はいつも利用しておりますが、以前は車両が混在していたので、禁煙、禁 煙、禁煙の真ん中の禁煙車両という形で予約をしていたのですが、N700系ではそういうリクエ ストなしに禁煙の席が確保されるということで、非常に使い勝手が良くなったと評価しており ました。ところが、この間使ったときに、たまたま喫煙ルームの隣の車両で話には聞いていた のですが、実際に見ることができまして、デッキ内のたばこの煙がかなり充満していて、喫煙 ルームの中には1人しかお客様がいらっしゃらなかったにも関わらず、おそらく出入りの間に だんだん濃度が蓄積していき、現実に起こっていることです。東京から大阪までの2時間半の 間に、かなり濃度が高くなっているようでした。御社で喫煙ルームの有効性を図る上で環境測 定を実施していらっしゃるのでしょうか。 ○竹中課長 そういう測定をやっているかどうかも含めて、そういうデータは今持ち合わせて おりません。ただ、デッキでのある程度の滞留を考えて、空気清浄器をということで、設備的 には配置をしております。ですので、たばこを吸われるお客様が多い場合に煙があるのかどう か、その辺りがどの程度あるのかという確たる情報は今持ち合わせておりません。 ○望月委員 資料にあります投入金額は、大変大きな投資ですね。1編成に喫煙ルームは4カ 所あるのですか。 ○竹中課長 はい、1編成に4カ所あります。 ○望月委員 そうすると、1編成でこれを割ってみると47、8億円ぐらいになって、1つの設備 に平均12億円ぐらいかかるということでしょうか。 ○竹中課長 いいえ、これは編成全体の投資の金額ですので。 ○望月委員 車両の額なわけですね。 ○竹中課長 そうです。 ○望月委員 その喫煙ルームによるエキストラなコストはどのぐらいになりますか。 ○竹中課長 そこは切り分けては金額を弾いておりませんが、1編成4カ所ですので、それほ どのむちゃくちゃな価格ではないと思っております。そこまで細かなデータは持ち合わせてお りませんが。 ○望月委員 会社にとっては、開発から含めると結構な投資になっていると思うのですが。 ○竹中課長 我々の研究所でも、光触媒による煙の臭い成分の分解みたいなものを研究してい たりはしますが、トータルとしてお客様のニーズにきちんとお応えしていくことが我々の競争 力の源ということもあります。そこはそのためだけということでもなくて、全体が快適に新幹 線を御利用していただくための方策としてやっていることですので、それが特段過大な負担に なっているという認識は、当社としてはありません。 ○望月委員 お客様のニーズというのは、たばこを吸うお客様ですか、吸わないお客様ですか。 ○竹中課長 年々全体としてはたばこを吸わないお客様が増えていらっしゃいますし、N700系 の場合はお席でたばこを吸えないことになりましたが、これに対しても大多数のお客様に御理 解、御支持を得ているものと我々としては考えております。 ○漆原委員 先ほど在来線の所は駅を全面禁煙にされたと伺いましたが、全面禁煙という措置 に対して何か意見が出されているとか、あるいは駅で働いておられる方からどういう話があっ たとか、そういう禁煙化に伴う変化といったところはいかがなものでしょうか。 ○竹中課長 お客様からいろいろな意見は頂戴していると思います。そこは賛否両論あったと 思いますが、どちらかといえば禁煙化を支持するような御意見が多かったかなと考えておりま す。社員のほうからですが、基本的には駅という部分においての受動喫煙は、密閉されたスペ ースがそれほどありませんので、もともとなかったということもありますし、そういったとこ ろで社員からこのことについて意見は上がってきておりませんでした。労働組合からも、この 辺の話について特段要望等はありませんでしたので、社員もその重要性なり意義なりを理解し ているものと考えています。 ○土肥委員 新幹線のホームで喫煙できるということについて、ほかのホームはできないのに、 新幹線ができるというのは、そこだけ喫煙できるようになっている理由は何かあるのでしょう か。 ○竹中課長 新幹線の場合ですと、乗っていらっしゃる時間も長いということもあり、お吸い になる方でも乗るときには禁煙に乗りたいと。その代わり、乗る直前にお吸いになりたいとい う方も結構いらっしゃるようで、その辺りは今後の課題かなと思っております。 ○土肥委員 ホームというのは屋内とお考えでしょうか、屋外とお考えでしょうか。労安法の 中には、屋内という定義が書いてある部分があるのです。通常、在来線のホームは地方に行け ば屋外だと思うのですが、品川駅や東京駅のホームは屋外なのか屋内なのかということについ ては、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか。 ○竹中課長 法的な定義でどちらに該当するかはよくわかりませんが、完全に仕切られたスペ ースではありませんので、その辺りは我々の認識が間違っているのであれば御指摘を頂ければ と思っております。 ○相澤座長 春にN700系が3分の1になるということですが、全面的にN700系に100%なる のはいつぐらいでしょうか。 ○竹中課長 この先々の通し計画はまだ決まっておりませんので、いつ頃というのは申し上げ にくいのですが、現在N700系、N700系でないものも含めて、我々JR東海が保有している編成 が全体で約130編成ぐらいあります。そのうち、来年の春の時点で48編成がN700系になると いうことですので、今後の計画として、平成19年の時点では年に16編成ずつ取り替えていく ことになります。このペースでの取替えを続けていけばということですが、残りの80数編成 を16編成ずつ取り替えていくとなれば、それほど遠くない時期には入れ替わることになるの かなと考えております。  ただ、当社も昨今の景気の影響で業績がかなり厳しくなってきている部分もありますので、 必ずこの先も16編成ずつ入替えができるということではありません。仮にそういう前提を置 くならば、80数編成を16編成ずつ1年でとなると、5年とか6年ということになろうかと思い ます。 ○相澤座長 今のN700系以外の編成で喫煙スペースを作るという可能性はないですか。 ○竹中課長 いろいろと設備上の制約とか、最初から作り込んでいかないと、全体の車両の設 計上難しい部分があります。新幹線というのは、基本的には軽量化をすることで高速化を果た してきた面があります。そういう面では、座席1つの重さからさまざまな部品の重さまで、か なり厳密な管理の上で車両を組み立てているということがありますので、あとからある程度の 重量のものを付加するのは、技術的にも速度を維持する意味でも難しい問題があるかなと考え ております。 ○平野安全衛生部長 例えば、のぞみで東京から新大阪まで2時間40分ぐらいですね。車掌さ んがその間で客室におられる時間は、アバウトで結構ですが、大体どのぐらいの時間おられま すか。 ○竹中課長 時間という尺度ではわかりませんが、東京〜名古屋間でのぞみ号に乗務をしてい る車掌は、車内の巡回を2回以上行いなさいという指導をしております。喫煙号車も、3号車、 10号車、15号車、16号車と少し偏った形になっているのですが、さらに乗務員も基本は1編 成3人車掌が乗っております。それぞれの担当が、大まかに言えば前のほう、真ん中のほう、 後のほうとなっておりますので、一番後ろの車掌が巡回に出るときは、必ず16号車、15号車 を通りますので、それが2回ということになります。1回目は検札が必ず入るでしょうから、 そこで10分もかからないと思いますので、トータルとしては1回が切符の拝見、あとは巡回で 通り過ぎるだけというと、非常にアバウトですが、後ろの車掌、一番喫煙号車に近い所の車掌 で言うと、20分とか25分とか、そんなものではないかと思います。 ○平野安全衛生部長 それは東京〜名古屋の間でということですね。 ○竹中課長 そうですね。 ○平野安全衛生部長 それと、JR東海さんの従業員ではない販売されている方、あの方はずっ と売って回っているのですか。 ○竹中課長 これも、目安としてはそれぞれの担当している範囲を2往復しなさいという指導 があると聞いております。 ○平野安全衛生部長 これも東京〜名古屋間でということですか。 ○竹中課長 彼らは東京から新大阪まで乗務しますので、東京〜新大阪間でということになり ます。ただ、これも混雑の場合には、ひかり号の自由席が1号車から5号車までありますが、 自由席がいっぱいの場合は自由席には行けないということもありますので、時によってばらつ きがあるかと思います。さらには、お客様からの御要望で注文いただいたものをお届けするこ とも、定例の各号車を行き来して物を売ること以外にもありますので、場合によってかなり分 かれてくるのかなということです。 ○三柴委員 お客の方のニーズとの調整等非常に苦心されていることが伺えるのですが、1点 専門分野との兼ね合いでお尋ねしたい。今後N700系に衣替えをしていく過程で、車掌さんと か別会社の販売員さんから、受動喫煙がきついので、できればN700で勤務をさせてもらえな いかという要望があったときに、JRさんとして前向きな対応をされるおつもりがあるかという ことを伺いたいと思います。 ○竹中課長 正直申し上げると、その方にいろいろ特別な状況があれば別ということもあるか もしれませんが、通常の健康体の乗務員であれば、編成も変わることもありますので、そこま での申出にはすぐに応えるのは難しいかなと考えております。 ○望月委員 N700系に興味があるのですが、16編成のうちに4カ所配置すると、その両隣の車 両のお客様を対象にしているわけで、身近な所の方が吸いに来るわけですよね。 ○竹中課長 大体一番近い所に皆さん行かれるのだと思います。 ○望月委員 そうすると、8両分のお客様の便宜を図っているということになって、実際喫煙 率が下がっている中、随分たばこを吸う方が優遇されているのではないでしょうか。もちろん、 8両に全員喫煙者が乗っているということを言っているわけではないのですが。便宜の図り方 というか、カバーの仕方というと、半数の車両がカバーされているような、アクセスの良さが ここで確保されているわけで、今後仮に喫煙者がどんどん減っていく中、今よりも格段にたば こを吸わない方が多くなった場合に、既存の喫煙ルームはほかのものに改造はできるのでしょ うか。 ○竹中課長 技術的にできるかどうかはよくわかりません。それを会社としてやるかどうかも、 お客様の声を踏まえてということになりますので、この場合でやるとかやらないということは 申し上げにくいことかなと考えます。 ○望月委員 さらに先取りして、先行投資というか投入計画もあるようですが、これが今のた ばこ離れのトレンドと逆行しているような、つまり現状から配置しているように思います。そ うすると、将来に向けて無駄な投資をされているのではないのかなと思うのですが、もしそれ が簡単に、例えばトイレの隣なのでトイレに改造できるとか、あるいは単なる電話のスペース とか、いろいろなものに簡単に改造できるようなものなのか。しかし、おっしゃっていたよう にかなり高性能の喫煙ルームということであれば、いろいろとビルトインしたものもあると思 うので、そう簡単にはいかないと思うのですが、余計なお金になりますね。そういったものは、 会社として綿密に計算して配置していらっしゃるのですか。 ○竹中課長 現状において、全席を禁煙にすることの代わりの措置と言ったら変ですが、喫煙 ルームという、たばこをお吸いになりたい方のニーズにもきちんとお応えはしていきたいとい うことですので、その大きなトレンドが変わらなければ、このままやっていくのかなと思いま す。  技術的には、先ほども申し上げましたが、重量配分は高速化の車両を前提としてかなり計算 してやっておりますので、すぐにこれをトイレにするとか、そういうことは難しいかなと思い ます。トイレですと汚物のタンクを付けなければいけないとか、重量的に少ししんどいものが あるのかなという気もしますし、私は技術屋ではないので細かいところまではわかりませんが、 途中での改造は難しいのかなという気がします。 ○望月委員 大体車両の1編成の寿命はどのぐらいなのですか。 ○竹中課長 10〜15年ぐらいの間で取替えになるのかなと思います。要するに、寿命が来たか らという部分もありますが、高性能な車両をできるだけたくさんのお客様に利用していただけ ると。我々の経営体力の範囲の中で積極的に先行的に投資をするという面もありますので、一 律に何年ということではありませんが、大体それぐらいのスパンです。 ○望月委員 既存の車両は、10年も使っているのですか。 ○竹中課長 300系というのが一番古いタイプなのですが、これが一番最初にデビューしたの が平成4年ですので、そこから少なくとも10数年経っておりますから、初代のものはなくなっ ているということです。一番古い時期のものが何年かというのはデータがありませんが、4、5 年で取り替えるものではありません。10年程度は使い込むことになると思います。 ○鈴木労働衛生課長 先ほどのお話で、駅のホームで、新幹線の場合は一部の喫煙コーナー以 外は禁煙ということですが、コーナーというのはオープンのものですか。 ○竹中課長 コーナーというか、たばこを吸える、灰を入れていただくような設備がありまし て、喫煙コーナーという明示もしておりますが、あの付近ということになります。 ○鈴木労働衛生課長 待合室ですと、透明の区切られた大きな部屋がありますが、そういうタ イプのものは今のところないのですか。 ○竹中課長 当社ではないですね。 ○平野安全衛生部長 JR東日本さんのほうは、閉鎖された空間で喫煙ですね。見たことがある ので。 ○相澤座長 時間が、今日は3団体ありますので、よろしければ。どうもありがとうございま した。  それでは、次に事業者代表から中小企業団体中央会の瀬戸実理事・事務局長にお話いただけ ればと思います。よろしくお願いします。 ○瀬戸理事(中央会) 議事次第には「中小企業団体中央会」と書いてあるかと思いますが、 「全国中小企業団体中央会」でして、その点からお願いをしたいと思います。  私ども中小企業団体中央会は、皆様方はあまり御存じないかもしれませんが、のちほど御説 明される商工会議所、あるいは商工会の支援機関は個別の企業を支援対象としております。私 ども中小企業団体中央会は、いわゆる中小企業の経営者の方々が自発的に組織をし、スケール メリットを追求して共同購買をしたり共同受注をしたりということで、組合という組織を通じ て中小企業振興を図るというところの組織、組合に対しての支援機関です。47都道府県にそれ ぞれその県名を冠した中小企業団体中央会が1つずつあり、私どもはその上部団体ということ です。私ども全国中央会、各都道府県中央会に加盟している組合数は、全国で約3万強で、そ こに加盟されている中小企業者の方は約305万と言われております。組合の種類も、業種的に も製造業、建設業、卸小売業、サービス業と、あらゆる業種にわたっております。過日のこの 検討会の場でも意見を陳述された旅館の組合も私どもの会員になっておりますし、パチンコの 組合もありますが、それらも中央会の会員になっております。したがって、かなり幅広い全業 種網羅型の支援機関です。  本日の検討会に呼んでいただきましたが、それぞれの取組みについては各業界、旅館や、製 造関係ではメッキの組合といった所で、それぞれ取り組まれているということであろうと思い ます。その業界それぞれの取組みをやっているところですが、正直申し上げて、受動喫煙に関 しての調査なり実態的な調査といったものは、私どもは今まで行ったことがありません。それ らの取組みについての要請、あるいは御要望等に関しても批評したことがないということで、 この場において全国的な中小企業全体としての受動喫煙の取組について把握していないとい う状況です。したがって、本検討会においては、中小企業の立場から、是非このような方向で 検討を進めていただければということでお話をさせていただければと思っております。  約400万の中小企業があるわけですが、それぞれ中小企業の事業場や工場においては、それ なりに禁煙あるいは分煙の取組みが、それぞれの事業者の取組みということで進められている かと思います。ただし、これも議論になっているかと思いますが、中小規模の事業者の多い飲 食や旅館、いわゆる不特定多数の方々がお客としていらっしゃるような所では、禁煙あるいは 分煙はまだまだこれからということであろうかと思います。しかし、そういった顧客のニーズ 等に対しても応えていかなければいけない。あるいは、従業員の方の健康という面から考えて もそれらを進めていかなければならないと、経営者の方々はそれぞれお考えになって、経営を 進めているかと思います。したがって、受動喫煙の問題に関して進めていただくに際しては、 これから取り組むべき中小事業者の方々への十分な方法や周知といったところに重きを置い ていただき、即座に一律に事業所に対して分煙あるいは禁煙という法的な規制を課すというこ とではなく、事業所それぞれが取組みを支援していただくという方法で進めていただければと 思っています。  例えば、神奈川県の条例が来年の4月から施行されるということですが、その場においても、 いわゆる不特定多数の集まる所を公共的施設ということでいくつか分類をされて、禁煙あるい は禁煙・分煙の選択ということをされているやにお聞きしております。その場合も中小事業者 への配慮をお取りいただいているとお聞きしております。中小事業者が分煙施設を設置するに 際しても、それなりの設備投資が必要です。中小、いわゆる小規模事業者の方々にそういった 負担がかかるということですので、仮にそういったものを国としても支援していくのだという ことであれば、それなりの補助金や税制面での猶予措置といった面でのサポートをしていただ ければ、進めていくことも簡要ではないかと思っております。中小企業も千差万別ですが、小 規模事業者の方々への配慮といった視点を是非捉えていただいて、検討を進めていただければ と思っております。  簡単ですがそのようなことで、実態的に調査したものがないものですから、誠に申し訳あり ませんが、御報告とさせていただければと思います。よろしくお願いします。 ○相澤座長 どうもありがとうございました。いろいろな業種がありますので、各々について の個別的な対応、あるいは補助金・税制のサポートということもお話がありましたが、いかが でしょうか。 ○福島委員 今お話を伺って、実態調査はまだされていないのでということでお話されており ましたが、方向としては禁煙にいろいろなことが進んでいっている中で、実態調査をされる御 予定はおありでしょうか。 ○瀬戸理事 今のところ、具体的には予定したものはありません。 ○福島委員 税制措置や支援といったことを要望されているということですが、中小の方がど のような状況にあるのかがわかった上で、具体的にそういうことも検討するべきものだと思い ます。是非実態の把握というか、小規模事業者が分煙対策をどのようにされているのかとか、 進んでいない理由は何だと思っておられるかとか、そういったことを把握される必要があるの ではないかと思います。 ○瀬戸理事 具体的に、例えば要望書をもって要望したとか、そういうことではなく、そうい った支援というかサポートが必要ではないかということですので、仮に私どもがそういった国 に対しての御要望をするときには、当然ながらそのバックデータとなるものは捉えなければい けないと思っております。 ○漆原委員 先ほど神奈川の話が出ましたが、事によっては神奈川の中央会さんがやっている かと思うのですが、それに対してどういったアクションを起こしたというか、どういう要望書 を出されたとか、そういったところはいかがでしょうか。 ○瀬戸理事 具体的に神奈川県中央会からどういう活動をし、というところまでは把握してい ないのですが、神奈川県中央会もそういった飲食関係の組合や小規模の事業者を抱えておりま すので、当然ながら一律規制に対しては反対をしたということで運動をしたと聞いております。 その結果、たしか100平方メートル以下の飲食店については3年間の猶予措置が取られたと聞 いております。 ○沢田委員 先ほどのお話をお伺いして、あまりにも組織が大きすぎて、どこから入っていっ たらいいのか非常にわかりにくいのだろうと思います。例えば、今局長さんがおっしゃったよ うに、パチンコ屋さんもあれば旅館もあるということですが、それぞれのトップの方々への取 組みに対する今後の方向性を多少なりとも指導していくというか、中小企業であれば中小企業 なりの取組みが何かしらあってしかるべきだろうと思うのです。町工場であれば町工場の中で も、どこでも吸っていいということではなくて、端のほうに場所を作ることも1つの分煙にな るのかもしれませんし、パチンコ屋さんであれば多少禁煙コーナーを作るとか、換気扇を少し 上げるとか、よくありますね。そういうことも何かしらの取組みとしてはできる。だから、小 さい所であっても何もできないということではなくて、何かをやっていくための指導というか、 そういう部分をやっていかないと、というところはあるのですが、そういうことに対しての今 後の指導的な立場としてはどのようにお考えでしょうか。 ○瀬戸理事 健康面ということで考えれば十分配慮しなければいけないということであろう かと思っております。ただ、私ども中央企業団体中央会も、強制的にはできない面があります ので、そういった注意喚起は厚生労働省さんとも連携を取りながら周知・広報といった面も含 めて、指導といった方向で取り組んでいくのだろうと思っております。 ○沢田委員 以前からこの会をやっていて、我々も一番問題だと思っているのは、大企業、先 ほどのJRさんもそうですが、ああいう所はトップランナー的な形で進んでいる。進まないの は、どうしても小売店、小さい所で、例えばラーメン屋さんでもお客様の要望があれば禁煙に できないと。小さい所がどうしていくかというところが一番の課題ではないかと思われるので す。そういう所がやりやすいような指標なりガイドラインなりを決めていくことが、この会の 重要性だろうと私は認識をしています。先ほどのJRさんはあそこまで進んでいるものですか ら、100点満点ではないにしても、90数点はあげられる状況なわけです。ですから、そこにつ いて中央会さんとしても何らかのアクションを考えていっていただくというのが、これからの 方向性になってくるのかなと考えます。 ○瀬戸理事 そこは十分認識しながらということで。 ○望月委員 今のお話とも関連するのですが、ほかの検討会でも、おそらくこの中央会に所属 していらっしゃる業界の方々が、本音としてはできれば全国一律のほうがやりやすいのではな いかと受け止められる御意見もおっしゃるのです。先ほどおっしゃったように、それぞれそれ なりに少しずつやっているけれど、なかなかうまくいかないところもあると。実態調査もなか なかできるような状況ではない。だからこそ不揃いをなくして、底上げをできるような仕組み を我々はこの中で検討しているのですが、一気にみんながもう少し上のレベルに行けるような 仕組みは、もしかしたらある意味一律の規制かもしれない。その規制のレベルはどういうもの が望ましいのだろうかということを、ずっといろいろな方々の御意見を伺いながら考えてきて いるのです。  一律の規制というと、神奈川の条例で言うと、神奈川県内の厳しい規制だと県境問題が起こ る懸念が示され、また要求されるレベルを体力によっては達成できないかもしれないというと ころで不揃いができるから、一律の規制はやってくれるなということが御意見の背景にあった と思うのです。それができるような仕組みとか規制、指導かもしれませんが、そういうものが あれば、逆に個々の事業所の個別の努力なしに、もっと一気に進められるのではないでしょう か。御意見が、もし一律の規制をしてくれるなと一言でおっしゃっても、その背景はさまざま だろうし、今ここで全国レベルの仕組みを考えている中で、実態として取り残される事業所は いつまでもあると思うのです。自助努力だけでは済まない部分に行政の手が差し伸べられて、 進んでいこうと考えるのですが、そのときに本当に具体的にどういったものがあれば意識が変 わり、あるいは多少厳しいかもしれないけれど、それによって従業員の健康が守られるような 仕組みができるとお考えでしょうか。 ○瀬戸理事 それは一律にというお考えもあろうかと思います。そういった際も、再々来申し 上げますが、中小であるがゆえに優遇されるべきではないとは思いますが、それなりの資金力 といった面の脆弱さはあります。そこに是非配慮していただくということで、その辺りのサポ ートも十分にしながら進めていっていただくことが簡要ではないかと思っております。中小の エゴということではなくて、それなりの日々の経営努力をしながらも、なかなかそこまで立ち 行かない面がありますので、分煙施設をいきなり作れと言われても、資金的な面でできないと いうこともあろうかと思いますので、そういった面のサポートも是非お願いできればというこ とかと思います。 ○望月委員 そうすると、財政的支援がセットになれば進められるということですか。 ○瀬戸理事 はい。一概にそれだけとは言えませんが、ある一面ではそういうことがあろうか と思います。 ○鈴木労働衛生課長 飲食・旅館等不特定多数に対するサービスのところは、少し難しい問題 ですので置いておいて、その他の一般的なオフィスとか工場の場合には、むしろ中小はトップ がこの重要性を理解して教育を徹底すれば、一気に全面禁煙も逆に可能なのか。あるいはほん の数名どうしても吸いたい人がいても、空き地というか、外で吸えば分煙のお金もかからない という理解でいいのか。例えば神奈川で例外的なものは認められます。それ以外の所はあまり 困ったということはなかったということで理解していいのか、ちょっとお聞かせいただければ と思います。 ○瀬戸理事 神奈川の場合も必ずしも、私ども、十二分に聞いているわけではありません。要 するに、今課長がおっしゃったような中小企業の経営者というのはトップダウン形式というの が多いわけです。従業員の方の嗜好的な面もあろうかと思いますので、そこら辺も配慮しなが らということであろうかと思います。私自身もたばこを吸わないものですから、他人からの煙 はあまり良いとは思っていません。そういった中で、やはり工場なり事業所なりでは順次、進 めてきていらっしゃるのだろうと思っています。 ○相澤座長 ほかにはいかがでしょうか。前回、ヒアリングさせていただいた飲食店の業種の 方々と中央会との関係というのはかなり緊密な関係なのですか、それとも業種別のいろいろな 組合がありますが。 ○瀬戸理事 折々の会合にも出てきていただくというようなことで、全国旅館生活衛生業同業 組合連合会、私どもの会員ということでありまして、そういった折触がありますということで す。ほかの組合と同じような会員の1つということであります。 ○相澤座長 中小企業の事業主から会費、年会費とかを払っておられるのですか。 ○瀬戸理事 組合費ですね。 ○相澤座長 業種別の組合にもまた払ってもらうという。 ○瀬戸理事 私どもの直接の会員というのは全国組織、例えば全国旅館の組合みたいな所が私 どもの直接の会員です。地域の組合はそれぞれの都道府県中央会の会員ということになってい ます。 ○相澤座長 いかがでしょうか、よろしいですか。どうもありがとうございました。  最後になります、東京商工会議所の矢口和彦様にお願いいたします。産業政策第二部の労働 担当課長でございます。よろしくお願いいたします。 ○矢口課長(東京商工会議所) 商工会議所の矢口と申します。よろしくお願いいたします。  商工会議所は全国の市の単位にございまして、東京商工会議所は東京23区が担当の地域で ございます。全国には515の商工会議所があり、その連合会が日本商工会議所です。  全国515の商工会議所のそれぞれの会員を足しますと、全国に138万という会員がおられま す。東京商工会議所の会員は約8万社でございます。上場企業、大企業さんももちろん商工会 議所の会員になっていただいていますが、率の上で、あるいは数の上では圧倒的に中小企業が 多い団体であります。業種的にはすべての業種に会員になっていただいています。  小さい企業ですと、社長の御自宅と事業所が一緒になっているというような事業所、あるい はほとんど1人でやっておられるような事業所も会員ですし、先ほどお話になっていたJRさん とか日本たばこさんも私どもの会員になっていただいています。日本商工会議所としても、東 京商工会議所としても、受動喫煙の問題について特に調査等はしたことがないものですから、 一般的なお話になることはお許しを頂きたいと思います。この問題に限らずにいろいろな法令 が改正になりましたということであれば、私ども商工会議所として、会員の皆様に周知・PR等 はしていますので、この問題についてもなるべく周知等には心がけていきたいと思っています。  先ほど、神奈川県の条例のお話が出ておりました。神奈川県内にも14、横浜や横須賀、川崎 などに商工会議所があり、この条例の説明会を各商工会議所で開催したと伺っています。また 条例の制定の前、平成20年になると思うのですが、横浜の商工会議所は神奈川県に対して要 望書を出したと聞いています。横浜商工会議所は毎年、県政全般に対して要望書を出しており、 「平成21年神奈川県政への要望」という全般的な要望の中で1項目、特に禁煙が中小企業の経 営を圧迫することがないようにしてほしい。例えば段階的に導入をしたり、完全分煙を容認し たり、あるいは関係団体等と調整をしながら慎重に進めていきたい旨の要望を行ったと聞いて います。  特に事業者の方、お客様と直接接することになる飲食店などの業種では、どうしてもお客様 の要望というものがありますので、なかなか全面禁煙というのはしづらいのかなという気がし ています。飲食店に限らず工場や事務所、こういったところの職場の受動喫煙の防止対策とい うのは早いか遅いか、その速度は別にして、徐々に浸透してきているのかなという気がしてい ます。たばこを吸う方からは「肩身が狭い」ということが言われているところでございます。 ただ、残念ながら飲食店など、お客様を相手にするお仕事の皆様は、どちらかというと従業員 の受動喫煙云々よりもお客様の要望に応えるということにどうしても頭がいってしまって、お 客様優先で考えているという部分は否定できないのかなと考えています。  私ども東京商工会議所として、これから具体的に何を、いつまでに、どうするという計画は ございませんが、対策をした事業所に何か新しい支援策を実施していただけるということであ れば、そういったものも周知をしていきたいと考えています。いずれにしても、一番重要なの は特に小さい企業は経営基盤が弱いわけですので、弱いところに無理に「努力不足だ、何とか しろ」と言ってもあまり事が進まないのではないか。それよりも国民の理解というか、お客様 自身の理解をもっと深めていく努力をしていただくほうが先ではないかという気がしていま す。  あと、小規模の事業所の中にも前向きに努力をしている事業所もありますのでそういったと ころを支援していく。資金の面もそうですし、情報提供というか、うまく行っている事例など 御紹介をしていただくということがあれば、もう少し早い速度で進んでいくのではないかと考 えています。ごく簡単ですが以上です。 ○相澤座長 どうもありがとうございました。御質問等、いかがでしょうか。 ○平野安全衛生部長 東商の場合も中小企業が多くて、規模、経営基盤が小さくていろいろ対 応が大変である。その前の中央会のお話にもあったわけです。  ただ、この受動喫煙問題に関して考えてみると、お客様関係は別にして普通の事務所や工場 など、多分一番安くつくのは全面禁煙にすればほとんどお金が要らないわけです。そういう分 野と、お客さんの要望があってなかなかし難いという分野は分けて考えたほうがいいのではな いかと気持を持っているのですが、いかがですか。 ○矢口課長 おっしゃるとおりだと思います。やはり分けないと、すべての業種一律に、すべ ての企業を一律にというのは難しいと思います。 ○平野安全衛生部長 逆に、関係のないところはその会社で決めれば、社長なりが決めればい いということになると思うのです。そういう感じで考えておいたらいいのでしょうか。 ○矢口課長 確か、厚生労働省が調査をした結果でも完全禁煙をしている事業所は29人以下、 一番小さい所が確か割合27%ぐらいと高かったように記憶があります。したがって、事業所の メンバーの皆さんが吸わなければ全面禁煙になってしまうわけですし、逆に全員が吸うのであ ればもしかしたら、それはそれでということなのかもしれません。小さい規模のほうがかえっ てそういう面はやりやすいところがあるかもしれません。 ○鈴木労働衛生課長 今後、また、よりきめ細かい現場の御意見を頂くとか、あるいは何か対 策を充実する際の周知徹底の際、ちょっと参考になればと思います。これまでの労働衛生でも いいですし、例えば化学物質対策でも結構ですが情報を広める、あるいは何か調査をするとい うときのネットワークというのはこの分野においてあるのでしょうか。要するにピラミッド型 というか。あるいは、やはり個々のものは各業態別の組織で下ろしたほうが双方向でやりやす いのか。 ○矢口課長 化学物質については多分、関係ある業種の方と全然関係ない業種の方とがおられ て、業種単位に広めたほうが多分進んだのだろうと思います。ただ、この受動喫煙の話は、ど ちらかというと業種別にしなければならないところはしなければならないでしょうが、全体と してパッと広めなければいけない、集中しなければいけないということであれば、私ども東京 商工会議所は月2回、全会員に機関紙「東商新聞」というものをお送りしています。そういっ たもので周知していくことも可能でございます。 ○鈴木労働衛生課長 これまでに何か、一斉にアンケート調査的なものをされたことというの はありますか。その場合の回収率というのはどのような感じなのでしょうか。 ○矢口課長 私どもは、お願いして会費を頂戴している立場ですので、なかなか無理に「返し てください」と言うのは厳しいところでございます。役員の方はそれなりに回答はいただけま すが、一般の会員企業8万にアンケート調査票を送って、万の単位で返ってくるというのはち ょっと難しいと思います。 ○中原委員 意識なのか、お金なのか、受動喫煙対策が進むのはどちらなのだろうと先ほどの お話からずっと思っていました。やはり、経営者のトップの方たちの意識というのが何をする にも大事なように思っています。その中で、中小企業の方もお金の支援をすれば何とかなると いったところで、やはり意識がないとお金を頂いて、対策を講じていくということもしないの ではないかというように思ったりもします。この受動喫煙対策以外、労働安全衛生への取組み の姿勢なども、商工会議所から見るとどのように会員の皆さんはどのように見ていらっしゃる のでしょうか、経営者の意識というところですが。 ○矢口課長 皆さん、法令の遵守はしようという意識は持っておられます。たまたま、改正さ れたことをよく知らなかったという方がおられるかもしれませんが、知っていてそれを破ると いう経営者の方はほとんどいないと考えています。周知をきちんとしていけばよろしいのでは ないか。あと、意識の問題というのはなかなか1回言ってもわからないので、繰返し繰返しと いうことが必要かなとは思います。 ○中原委員 いざ仕事をしているときに、いろいろな会社の人事の方とお話をして、「労働安 全衛生体制はどうなっていますか」という聞き取り調査をしたことがあったのです。そうする とバラつきがあって、「そんなこと知らなかった」というようなことも案外あったものですか ら、できれば月2回の情報紙ですとか、あらゆる機会を使ってそういうところからの御指導も いただきつつ、受動喫煙についてもいろいろ進行していけるように今お話を聞いて思いました。 ○矢口課長 ある程度の規模の企業になるとそれぞれ担当者の方がいるのです。人事の担当が いたりとか、人事の中身でももう少し細かく分かれていたりとかするわけです。小さい企業に なると、それを全部社長が1人でなさっているのです。いろいろな法令が次々次々に変わって いくと、なかなかそれをすべて社長の頭にインプットするというのが難しいので、私どもとし てもなるべく努力はしているところでございます。この分野だけでなく、いろいろな分野で言 えることですが、あまり小さい企業に過度の負担にならないようにしていただければありがた いなと思っているところではあります。 ○三柴委員 中小企業に大企業と同じスタンダードをそのまま下ろしてくるということに、い ろいろ問題や課題があるということは周知のことかと思います。一方で、例えば法令遵守と言 われたのですが、法令にもさまざまなものがあって、最低基準を定めるものから開発基準とか 先端のこと、快適職場形成のようなことを定めるものまでさまざまである。安全衛生に関して は、広い意味での法令遵守というのはまさに広い意味での経営改善の問題に該当したりすると ころがあります。だから、そもそも「受動喫煙対策にお金がかかるか」という部長の御発言も 含めて、中小企業だからこそ、逆に大企業にできないことが出来ないかという視点で何か対策 を置かないと、かなわないのではないか、ということも考える必要があると思います。現場の 厳しさということも我々、図り知れないところももちろんあると思いますし、そういう厳しい 中だけれども、むしろ経営改善の視点として何か取れないのかなということは悶々と考えてい たのですが、いかがでしょうか。 ○矢口課長 おっしゃるとおり、今いろいろな企業があるわけです。もちろん、大企業より進 んでいる中小企業ももちろんあると思います。全面禁煙にとしてしまっている中小企業もあり ます。ただ、中小企業が全部それができるかというとなかなか難しいのかなと。出来るところ にはまずやっていただいて、皆さん、少しずつ後からついていくという形なのかなと思ってい ます。 ○三柴委員 要するに、バックランナー的なところをどう救うかという問題については、変な 話、産業衛生分野でお話をするともうそこは一律の強制的な措置で、対策するしかないのでは ないかという極端な意見も聞かれるのです。そして例えば民事で、妊産婦の方が受動喫煙によ って何か被害を受けた。事件になるなどというのは極端な例が多いから、例えばそういうもの がボンと出てきてしまって、遅れを取っていた人が急に億単位の請求をされるとか、そういう ことというのもあり得なくはないわけです。そこは時代状況、社会認識、さまざまなこととセ ットで起こり得ることです。バックランナーにはバックランナーへの指導というか対策、フロ ントランナーを促進するような対策、それぞれ業界団体としてお考えいただけたらと思います。 経営改善という視点で広くは中小企業のためにもなるのではないかと思います、ピント外れな ことを言ってすみません。 ○矢口課長 特に、子供や妊産婦の方への配慮というのは私も必要だと思います。社会全体と して、そういう配慮がされるようになればよろしいのかなと思います。 ○土肥委員 実態として、小さな飲食店やサービス業で全く受動喫煙防止化されていないとい うところも当然あると思います。そういうところで、まず第一歩目に何かするとしたら、どう いう事柄が具体的に可能だと想像されますか。何もできないことはないと思うのですが、何か できるところのイメージ、できるところはあると思うのです。どのようなことが具体的にでき るのだろうかということが今一歩見えてこないのです。もし、少しでもイメージがあれば。 ○矢口課長 例えば小さい飲食店で、お昼の時間だけ禁煙というのは結構出てきていると思い ます。ところが、夜、お酒を出す時間帯になるとなかなか禁煙と言えないという店主の方が多 い。 ○土肥委員 そうすると、時間分煙ということをごく一般的に推進しようと思えば可能な施策、 そういう考え方をしてもさほど無理なことではないというように思われますか。 ○矢口課長 特に設備にお金がかかるわけではないですよね、時間で分煙するとなると。確か に、前の晩たばこを吸っていれば、翌日のお昼も多少匂いはするかもしれません。空間的に完 全に分煙をするよりは、時間的のほうが費用的な負担は少ないと思います。 ○土肥委員 さらに空間的な意味で、では全くできないのか、少しこういう点の知恵を絞れば、 こういう点があれば、空間的な分煙という意味からも推進できる可能性を持っていらっしゃる という部分は何かございますか。 ○矢口課長 やはり、空間的に分けるにはどうしても費用がかかりますので、その辺、どこま で公的な部分でやるのかは別にして、仮に融資ということであれば融資は、借りたものは返さ なければなりません。助成金のようなもので支援をしていただくということが可能であるなら ば、多少は進む速度は速くなるのではないかと思います。 ○土肥委員 ありがとうございました。 ○相澤座長 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。もし、よろしければこれで終わります。 どうもありがとうございました。  3団体の意見聴取が終了いたしました。全体を通じて何か御意見がありましたらよろしくお 願いいたします。 ○内藤委員 先ほど、福島委員、あるいは望月委員、何人かの委員の先生からお話があったと ころなのですが、実際にこうやって中小企業と目される方々とヒアリングをさせていただいて 思うのは、必ず出てくるのがまず中小企業では経済的に非常に無理がある。あるいは、負担が かかるので経済的な援助をということですが、これは私だけなのかもしれませんが、現段階で 顧客ニーズというのが一体どのぐらいあって、分煙さえもが進まないのかといった実態が多分、 団体のほうでもまだつかんでいないというのが1つ問題なのだろうという気がしました。  それに加えて、先ほど福島委員がおっしゃったように一体どういうものであればできるのか。 具体的な方向性が見えないものですから、施策を考えるとしてもそれに対して一体どのような 対応策が取れるのかということが、あまりに大きな団体が相手なのでまちまち、バラバラであ るということはよく理解しています。なかなか、どこまでのラインであれば、最低基準が立て られるのか。あるいは、どこまでであれば何かのサポートが可能なのかということが見えにく いのです。これらに対しては、何か厚生労働省サイドでの調査・検討といったものも可能なの でしょうか。あるいは、そういった数値が既にあるといったことはございますでしょうか。 ○亀澤環境改善室長 顧客人数がどれほどあるかについて、今私どもでも持ち合わせておりま せん。対策がどうして進まないのかということについては、確か1回目のとき、進んでいない 理由を調査した結果を御報告申し上げたと思います。今のところ、そういうような状況になり ます。 ○内藤委員 今2団体、中小企業団体中央会及び商工会議所からお話を伺って、商工会議所、 あるいは中央会のほうでさえもがそのアンケートとか取りまとめをしていないということに なりますと、現実にそういう対応を考える際に中小企業からの意見の聴取ということはどうい う形で具体化させればよろしいでしょうか。 ○亀澤環境改善室長 実は今回、こうやってお越しいただいて、お話を伺うというのが1つ、 団体なりのお考えを伺う機会というように考えていたところでございます。ただ、2団体とも に業種が非常に多岐にわたっていて、なかなか実際に現状を把握するための調査をしたことが ないということは伺ってはおりました。この先、もし状況を把握するとすれば中小企業団体と しての括りではなくて、少し業種という視点から話を伺う必要があるかと思います。ただ、そ れについては、一番難しそうなのは澤田委員からも御指摘がありましたけれども、顧客が喫煙 をされる可能性のあるような業種、それから前回のときに飲食業、宿泊業に関してお話を伺い ましたが、そういう団体にもう少し必要があればきめ細かに伺うということなのかなと考えて います。 ○内藤委員 ありがとうございました。 ○相澤座長 飲食店でもかなり分煙対策をやっているところもあるわけです。モデルのところ とか、そういったところのお話を聞くというのも1つの方向かと思います。全体的な厳しいお 話でした。いかがでしょうか、もう1度ヒアリングがあるのですね。まとめて御意見を頂けれ ばと思います。もしよろしければ「その他」、事務局から何かございますでしょうか。 ○徳田副主任中央労働衛生専門官 次回以降の検討会の日程ですが、事前に御連絡をさせてい ただいていますけれども、第6回の検討会は年明け1月14日、13時30分から、その次の第7 回検討会については2月15日、10時からそれぞれ開催させていただきます。どうぞよろしく お願いいたします。なお、場所等については現在調整中ですので、後日、別途連絡させていた だきます。以上です。 ○相澤座長 本日の議題は以上です。長時間にわたりありがとうございました。本日の検討会 を終了いたします。今年は最後となりますね。皆さん、良いお年をお迎えください。 ( 了 ) (照会先)  厚生労働省労働基準局安全衛生部  労働衛生課環境改善室  03−5253−1111(内線5506)