09/12/09 第1回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録 第1回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録 日 時:平成21年12月9日(水)11:00〜12:41 場 所:厚生労働省省議室 出席者:石井委員、岩瀬委員、大山委員、木間委員、斎藤委員、長沼委員、 西沢委員、本田委員 (古都年金局総務課長)  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回社会保障審議会日本年金機構 評価部会を開催します。  委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠 にありがとうございます。  部会長を選出していただくまでの間、年金局総務課長の古都が議事の進行を務めさせ ていただきたいと存じます。よろしくお願いします。  なお、新たに社会保障審議会の委員、臨時委員に御就任いただいた皆様方には、厚生 労働大臣からの任命状をお手元の封筒に入れさせていただいておりますので、よろしく お願いいたします。  では、部会の開催に当たりまして、最初に、長妻厚生労働大臣からごあいさつを申し 上げたいと存じます。 (長妻厚生労働大臣)  おはようございます。本当にお忙しい中、委員の皆様方にお集まりいただき、かつ、 委員という重責をお引き受けいただきまして、私からも心より感謝を申し上げるところ でございます。  いよいよ日本年金機構が来年1月からということで、もう1カ月を切ったと。本当に 目前に新しい組織の設立というのが迫ってきている中で、今日、第1回の日本年金機構 評価部会を開催させていただき、皆様方から本当に貴重な御指導を末長くいただきたい ということでございます。  私自身は、この日本年金機構、国民の皆様の政府に対する信頼を回復する大きなポイ ントである組織と考えております。言うまでもありませんけれども、年金の記録問題で は、日本国という政府自体の信頼が失墜して、いまだに回復していないと考えておりま す。厚生労働省としても全力でその回復に努めると同時に、やはりこの日本年金機構、 今日は紀陸理事長予定者も来られておりますけれども、紀陸さんを先頭に、この組織が 一丸となって信頼を回復しなければならないということであります。  私は、今まで行政組織というのは、サービスが悪い、感じが悪い、こういうイメージ がつきまとう。むだ遣いが多いというイメージがありましたけれども、この日本年金機 構は、ゆくゆくは、これほどサービスのいい組織というのは日本にはないぐらいの御評 価がいただけるような、日本一のサービスが充実した組織にしていきたいとも考えてお りますし、効率的に仕事を進めて、むだ、浪費というのが余りない組織だなと国民の皆 様にも感じていただくような、本当にそういう、これまでの従来の行政組織、日本年金 機構は国家公務員ではありませんけれども、その行政を担う一翼の組織でございます。 そういう組織として、本当に日本が誇るべき組織として、世界の国の方も視察に訪れて、 そのノウハウを教えてほしいというようになるような組織に生まれ変わってほしいと思 っております。  そのためには多くの皆様のお知恵が必要でございまして、この評価部会がその中核と なる組織であると考えておりますので、今後とも是非皆様方の厳しい御指摘、そして温 かい御助言をいただけますよう、私からも心よりお願いを申し上げまして、あいさつと いたします。どうもありがとうございました。よろしくお願いします。 (古都年金局総務課長)  続きまして、山井大臣政務官からごあいさつを申し上げたいと存じます。 (山井厚生労働大臣政務官)  皆さん、おはようございます。一言だけ申し上げますが、本当に大変お忙しい中、先 生方にはこの評価部会の委員になっていただきまして誠にありがとうございます。本当 に不信が、不安が高まっている日本の年金の年金不安を取り戻せるかどうかの瀬戸際に 今差しかかっております。まさにこの日本年金機構がどういうスタートを切り、どうい う運営になっていくか、これが日本人の老後を大きく左右すると思っておりますので、 日本年金機構の順調な滑り出しなくして、老後不安の解消はないと思っておりますので、 先生方、どうかよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございます。 (古都年金局総務課長)  それでは、続いて、委員の方々の御紹介をさせていただきます。五十音順に御紹介い たします。お手元の委員名簿をごらんください。  はじめに、石井公認会計士事務所所長、石井孝宜様。  ジャーナリスト、岩瀬達哉様。  東京工業大学教授、大山永昭様。  NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事、木間昭子様。  ジェイ・ボンド東短証券株式会社代表取締役社長、斎藤聖美様。  埼玉県志木市長、長沼明様。  株式会社日本総合研究所調査部主任研究員、西沢和彦様。  日本たばこ産業株式会社相談役、本田勝彦様。  また、日本年金機構の役員となる予定の方々に御出席いただいておりますので、御紹 介させていただきます。  紀陸孝理事長予定者でいらっしゃいます。  喜入博理事予定者でいらっしゃいます。  なお、事務方からの出席者につきましては、お手元の座席図のとおりとなっておりま すので、これをもって紹介に代えさせていただきます。  それでは、議事に移らせていただきます。  はじめに、本部会の部会長の選出についてでございます。  社会保障審議会令第6条第1項に基づきまして、本年の8月6日に開催されました社 会保障審議会総会におきまして、本部会が設置されたところでございます。  部会長の選出につきましては、同条第3項におきまして、当該部会に属する社会保障 審議会の委員の互選により選任することが定められております。  本部会には、社会保障審議会の委員が、岩瀬委員、木間委員、本田委員の3名いらっ しゃいます。この委員の方々による互選により選任するということでございますので、 あらかじめ、お三方に御相談いただきまして、本田委員に部会長をお願いするというこ ととなりました。これによって、互選によって本田委員が部会長に選出されたというこ ととさせていただきます。  それでは、これからの議事運営につきましては、本田部会長によろしくお願いをいた します。 (本田委員、部会長席に移動) (本田部会長)  部会長を仰せつかりました本田でございます。委員の皆様の御協力をいただきながら、 この部会の使命を果たすために努力してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上 げます。  それでは、まず、部会長代理を指名させていただきたいと思います。  部会長代理につきましては、社会保障審議会令第6条第5項におきまして、部会長に 事故があるときにその職務を代理するものとして、部会長があらかじめ指名することと されております。これまで社会保険庁改革に熱心に取り組んでこられました大山委員に 部会長代理をお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) (本田部会長)  ありがとうございます。それでは、大山委員、よろしくお願いします。隣の席へ来て ください。 (大山委員、部会長代理席に移動) (本田部会長)  それでは、一言ごあいさつをお願いいたします。 (大山部会長代理)  部会長代理に指名された大山です。しっかり、お手伝いをさせていただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 (本田部会長)  ありがとうございました。それでは、議事に移らせていただきたいと思います。  まず、本部会の位置付けや業務の概要などにつきまして、事務方の方から御説明をお 願いいたします。 (八神大臣官房参事官)  大臣官房参事官の八神と申します。よろしくお願いいたします。  私の方から、本部会の位置付け、業務の概要ということで御説明をいたします。  まず、資料に入ります前に、大きく3つ、評価部会にお願いをしたいと思っておりま す。  1つ目は、日本年金機構の中期目標を御審議いただく。これが1つでございます。  2つ目は、日本年金機構の業績の評価をしていただく。これが2つ目でございます。  3つ目が、評価に基づきまして改善が必要だという場合は、業務改善につきまして御 審議いただく。大きくこの3つでございます。  それでは、資料1に基づきまして、簡単に御説明させていただきます。  1ページおめくりをいただき、「日本年金機構の中期目標、中期計画、年度計画につ いて」でございます。  左側に厚生労働省、右側に日本年金機構となってございますが、厚生労働省の四角の 中に、厚生労働大臣の中期目標という丸がございます。厚生労働大臣が日本年金機構に 対して中期目標をお示しする。この中期目標でございますが、そこから吹き出しで右下 にかかってございます。(1)から(4)となっておりますが、中期目標には、中期目標の期間 3年から5年の間という範囲で中期目標の期間を定める。また、(2)ですが、提供するサ ービスその他の業務の質の向上に関する事項。(3)ですが、業務運営の効率化に関する事 項。(4)業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項。こ ういったものを盛り込んだ中期目標を厚生労働大臣が日本年金機構にお示しすることに なります。その際、この評価部会にお諮りさせていただく、こういうことでございます。  これを受けました日本年金機構、右側の四角でございますが、中期目標に沿いまして 中期計画を定め、また、毎年度の年度計画を定める、こういう仕掛けになってございま す。  日本年金機構につきまして、その業績をこのページの一番下、評価、結果通知、公表 とございますが、中期計画期間のみならず毎年度の実績の評価も行います。ここでまた 評価部会にお諮りをする、こういったことになります。そしてまた、何か改善が必要な 点がございましたら、大臣が業務改善命令を出すということになりますが、これについ ても御審議をいただく、こんな仕掛けになってございます。  3ページでございますが、「日本年金機構に対して第三者の立場からチェックする機 関」ということでございますが、厚生労働大臣から諮問を受けるという形で、この社会 保障審議会評価部会がございますが、そのほか、日本年金機構をチェックするという観 点では、3ページの下の方に運営評議会があり、被保険者、事業主、受給権者、その他 の関係者の意見を機構の業務運営に反映する。こういった仕組みですとか、日本年金機 構の中に非常勤理事がおり、民間企業の経営管理等の識見を機構の業務運営に反映する。 こういった仕組みで各方面からチェックをしていくことになってございます。  1枚おめくりいただきます。「日本年金機構評価部会の業務について」でございます が、どのようなタイミングで審議を行っていったらいいかということで、業務日程の欄 に、まず、中期目標期間開始時とございます。日本年金機構は来年1月からスタートい たしますので、まず、最初の中期目標を機構発足までの間に御審議をいただく。今、そ のタイミングになっているということでございます。  それから、その下でございますが、毎事業年度終了時、実績の報告がまとまりました ら、その報告に向けて評価をしていただく。大体6月から10月ぐらいの間に評価をいた だくということになろうかと存じます。  また、中期目標の期間が3年から5年の幅の間ですが、これが終わりましたときに、 報告がまとまりましたら、これを御評価いただく。  その下、その他必要に応じて行うということで、業務改善命令を行うということにな れば、御審議をいただくということになってございます。  それから、下に注書きがございます。こういった諮問事項のほかに、機構の役員に対 する報酬、退職手当の支給の基準につきまして、大臣からの通知を受けて、この水準が 社会一般の情勢に適合したものであるかどうかということにつきまして意見を言うこと ができる、こんなことになってございます。  評価部会の業務といたしましては、こういったところでございます。  あと、もう一点でございますが、この議事につきましては、社会保障審議会の議事の 運営規則に基づきまして、原則公開で行っていただきます。また、議事録も公開となっ てございます。必要な場合には非公開とすることができますが、原則公開であるという ことを補足させていただきます。  私からの説明は以上でございます。 (本田部会長)  ただいまの御説明につきまして、何か御意見なり御質問等がございましたら、お願い いたします。  御質問、ないようでございますので、それでは、次の議事に移らせていただきます。  今も御説明がありましたけれども、当部会の当面の課題は、日本年金機構の中期目標 案の審議でございますが、本日は、中期目標につきまして自由に意見交換を行うことと いたしまして、本格的審議につきましては、次回、長妻厚生労働大臣より正式な諮問が なされた後に行いたいと思います。  それでは、まず、日本年金機構の業務概要と併せまして、日本年金機構の中期目標に つきまして、事務方より御説明をお願いいたします。 (事務方)  失礼いたします。それでは、私の方から、資料2と資料3につきまして、御説明を差 し上げたいと存じます。  まず、資料2、ページをおめくりいただきまして、2ページ、機構の概要でございま す。正式には日本年金機構(にっぽんねんきんきこう)と読みます。  御案内のとおり、非公務員型の組織ということで、来年1月1日に発足いたします。  業務内容でございますが、公的年金に係る一連の運営業務と書いておりますが、基本 的には、現在、社会保険庁が行っております業務内容のすべてを実質的に引き継ぐとい うことでございます。  コア業務は、適用以下いろいろ書いてございますが、大括りで言いますと4つの事項 からなります。適用の関係、2つ目が徴収の関係、3つ目が相談・裁定・給付の関係、 それから、それらを横断的に管理をする記録管理ということになろうかと思います。ち ょっと分かりにくい言葉ですが、国民目線で言いますと、適用は加入ということになろ うかと思いますし、徴収については保険料納付をいただくということ、相談・給付等に つきましては、年金をお受けいただくということなろうかと思います。当然、この今申 しましたコア業務というものが目標の中心になろうかとは理解をしております。  続きまして、少しページを飛びまして、4ページをご覧いただきたいと思います。内 容の詳細な説明は省略させていただきますが、日本年金機構の基本的な枠組みというも のは、まず、当然ながら、平成19年に成立いたしました日本年金機構法により定められ、 機構法に基づきまして、ここにございます当面の業務運営の基本計画というものが昨年 の7月に閣議決定されております。これは当部会長でございます本田相談役が座長を務 められました年金業務組織・再生会議という有識者会議の議論を経まして、当面の基本 的な枠組みというものが定められております。  更に、この基本計画の枠組みに沿いまして、機構の設立準備を行うということで、ペ ージが飛んで恐縮でございますが、10ページにございます日本年金機構設立委員会とい うものが昨年10月に設置されまして、十数回にわたる議論を重ねていただいておりまし て、基本的には、例えばここに書いています労働条件とか、人の採用の問題、あるいは 組織の骨格作りといったものについて議論をいただき、おおよその形というものが出来 上がりつつあるという状況でございます。  恐縮でございますが、ページお戻りいただきまして、5ページでございます。機構が そもそも目指すものは何かということでございます。先ほど冒頭大臣からもごあいさつ を頂戴いたしましたが、まずもってお客様目線の業務運営をしていくということで、大 きく機構として何を目指すかということを4点整理しております。1点目で、お客様の 視点に立ったサービス提供ということ、2つ目としまして、お客様の御意見を積極的に 反映し、かつ、それをしっかりと情報開示をしていくということでございます。  3点目が、民間企業の経験者、 1,000人規模、正規職員の採用を既にいたしておりま す。こういったことも含めまして、組織風土を変えていくということでございます。  4点目が、この間、一連の社会保険庁の不祥事等を踏まえまして、コンプライアンス の問題を初め、内部統制の確立ということがうたわれてまいりました。内部統制の取組 みというものをしっかりと確立していくということでございます。  今、言いましたこういった基本的な方針は、より詳細には6ページ以下、運営方針、 人事方針という形でまとめてございますが、後ほど御参照いただければと思います。  また、内部統制の関係につきましては、ページ飛びまして9ページでございますけれ ども、右側の箱にございますように、7つの取組みの柱というものを掲げまして、様々 な仕組みの整理というものに取り組んでいるという状況にございます。  続きまして、資料11ページでございますが、組織の構成でございます。組織といたし ましては、本部、9カ所のブロック本部、そして 312の年金事務所という構成としてお ります。現在の社会保険庁組織は、本庁、各都道府県、すなわち47の社会保険事務局、 そして 312の社会保険事務所があるという構造になってございますが、先ほど触れまし た年金業務・組織再生会議における議論なども踏まえまして、できる限り中間の組織は スリム化していくということの議論の流れの中で、47ございます事務局を9つのブロッ ク単位に集約をするとともに、単に数を減らすということではなく、必要な権限を事務 所に委譲する、あるいは本部に吸い上げていくということによって、この中間組織をス リム化するというような設定としております。  それから、現場第一線の年金事務所につきましては、お客様に相対することの混乱を 最大限回避するという観点から、少なくとも発足当初においては 312カ所、今までどお りでスタートするということでございます。  なお、ブロック本部の横に事務センターという吹き出しがございます。これは、従来、 社会保険事務所窓口で行っておりました、必ずしも対面処理をしなくてもいいような申 請処理業務につきまして、効率化を図るために、各県単位の集約を行ってきたものでご ざいます。おおむね県単位の集約は完了しておりますが、今後、将来的には更にこの47 単位の事務センターを広域集約する計画になってございます。  続きまして、ちょっと駆け足で恐縮でございますが、19ページをごらんいただきたい と存じます。  先ほど申しましたとおり、設立委員会におきまして、民間からの採用、社会保険庁か らの移行職員も含めまして、かような採用状況になっているということでございますが、 民間出身の方につきましては、正規職員で 1,127名、准職員、雇用形態としては有期雇 用の形になりますけれども、正規職員に相当するような業務を行う職員として 970名。 そういう意味では、これを合わせますと 2,000名規模の職員の採用内定をしているとい うことでございます。  かつ、正規職員の方につきましては、下の細かい字でございますように、管理職採用 ということで350名程度採用内定をさせていただいておりまして、年金事務所の所長さ んでございますとか、あるいは本部の主要な部長でございますとか、中核を担っていた だくという想定で、経験豊富な管理職の方もこの機構の組織作りに関わっていただくと いうことでございます。  それから、詳細は説明いたしませんが、20ページ以降に機構職員の主な労働条件とい うことで、これは、能力・実績本位の制度設計を図るということで、設立委員会におき まして議論を重ねていただきまして、スリム化すべきはスリム化をし、また、能力・実 績本位ということで、できるだけ年功序列を廃するような給与体系の整備などが既に決 定をされているということでございます。  簡単でございますが、年金機構の設立準備の状況、概況につきましては以上でござい まして、引き続きまして、資料3の説明をさせていただきたいと思います。  こちらが今後中期目標を策定いただくに当たりましての論点ということで、事務方に おいて整理をさせていただいたものでございます。これをもとに様々御議論賜ればと思 っています。  まず、そもそも中期目標に盛り込むべき事項につきましては、先ほどの資料1で説明 がございましたように4点ございまして、まず、ここの1で掲げています中期目標の期 間を定めるということ。それから、ちょっと飛びまして、資料3で言いますと、3、4、 5という部分になるんですが、サービスの質の向上の関係、業務運営の効率化に関する ものの関係、5番の業務の公正性、透明性に関する事項というものが、本来、法律上定 めなければならないとされているものでございます。  それを全体として整理をした上で、2というところで年金記録問題への対応という項 を1つ特出しで置かせていただいております。広い意味では、業務運営に関する事項の 一事項ではございますが、国民の信頼回復の観点から、年金記録問題を最重点課題とし て取り組んでいく必要がある。かような観点から、法律事項として定められているもの とは別出し、特出しする形で、2で年金記録問題への対応というものを項目出しをさせ ていただいているというものでございます。  その上で、恐縮でございます、1に戻らせていただきまして、中期目標の期間でござ います。  この中期目標の期間につきましては、もともと法律上、3年から5年の間で定めると いうことが決められております。まず、初期、発足当初における中期目標の期間につき ましては、○で書いてございますように、平成25年度までの4年間というものを、年金 記録問題対応の「国家プロジェクト」の期間と位置付けてございます。そういったこと との整合性を図る観点から、26年3月31日まで。機構発足が1月ですので、年度単位で 言いますと3カ月という期間がございますが、そこを含めた4年3カ月としてはどうか ということでございます。  それから、2の年金記録問題への対応の関係でございます。  今申しましたように、25年度までの期間が国家プロジェクト期間ということでござい ますが、その中でも、当面、22年度、23年度の2年間というのを集中的に予算・人員を 投入するということで取組みを進めたいと考えております。機構におきましても、厚生 労働省と密接に連携をし、当面の最重要課題として取り組むことが必要ではないかとい うことでございます。  具体的な取組み内容につきましては、参考でいろいろ細かく書いてございます。現在、 大臣のもとに年金記録回復委員会という有識者の委員会が設けられておりまして、この 参考で掲げてございますような年金記録問題に係る諸課題につきまして、鋭意御議論い ただいております。こういった御議論、当然その内容を踏まえながら取り組んでいくこ とが必要ではないかということでございます。  続きまして、3の提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項関係でござ います。資料2でも御説明をいたしましたとおり、年金機構におけるコアな業務として、 適用の関係、収納の関係、相談給付の関係というのがございます。そういった立てかけ に沿いまして、(1)から掲げております。  (1)の適用の関係につきましては、当然ながら、制度におきまして加入をしていた だくべき個人あるいは事業所についてしっかりと適用を図っていくということに触れさ せていただいてございます。  それから、(2)の保険料の関係でございますが、当然ながら、制度への信頼の維持 確保、あるいは安定運営という観点から、適切に収納というものを確保していく、向上 していくということが必要であろうと思っておりますが、国民年金保険料につきまして は、現在、納付率の低下傾向というものがございます。まずもってこの低下傾向には歯 止めをかける。しかる後に回復に努めるということが必要ではないかということでござ います。厚生年金保険料についても同様に収納率の向上ということが課題として必要で はないかということで整理をさせていただいております。  それから、(3)の給付の関係でございますが、当然ながら、年金の給付、正確かつ 速やかにお届けするということが最大限の使命であろうかと思っております。そういっ たことについてもしっかりと目標を定めて取り組むことが必要ではないかということで ございます。  ページをおめくりいただきまして、(4)の関係でございます。相談、情報提供等に 関する事項ということで、年金業務に関しましては、年金相談を入り口としまして、年 金受給の手続をとっていただくということでございますが、そういう意味では(3)の 給付と一体の業務ではございますけれども、相談につきまして、分りやすい丁寧な説明 でございますとか、利用しやすい相談体制の整備、あるいは関係者の協力、連携という ことで充実を図っていくということが必要ではないかということ、それから、年金個人 情報の提供を分りやすく効果的に伝えていくということが、先ほどの徴収の関係も含め て必要ではないかということでございます。  それから、(5)でございますが、国民の声を反映させる取組に関する事項というこ とで、資料2でも機構の目指すものとしてサービス向上というものを第一に掲げてござ いましたが、それを宣言だけではなく、当然、具体的にそれをつなげていくための仕組 みをどうしていくのか、あるいはその仕組みがきちんと機能しているのかといったこと をきちんと評価もし、また、国民の皆様にフィードバックをすることが必要ではないか ということでございます。  それから、4番目でございます。業務運営の効率化に関する事項、(1)でございま すが、これは、年金業務・組織再生会議などの議論でも指摘をされておりましたが、業 務の効率化を図るという大前提としまして、きちんとまずは業務の標準化を図ると。そ の上でプロセスをきちんと見直していくというPDCAのサイクルを回していくといっ たようなことで、業務運営の効率化のための標準化を進めることは必要ではないかとい う提起をしてございます。  それから、(1)の2つ目の○でございますが、先ほど、機構の当面の組織構造の中 でも触れましたが、現在、都道府県単位でございます47の事務センターというものの更 なる集約ということをどう進めていくかということでございますとか、当面、現状のま まスタートします年金事務所というものが、地域的なバランスなども含めて適正な配置 として妥当なのかといったことについての見直しも必要ではないかということでのもの でございます。  それから、(2)でございますが、運営費の抑制に関する事項でございます。  まず、人員体制につきましては、全体のスリム化計画というものが既に先ほど申しま した基本計画というもので閣議決定をされておりますので、当然それに従ってやってい くということと、ただ、その一方で、繰返しになりますが、当面、年金記録問題の解決 に集中的に取り組み、注力をするということで、そういった人員については別途検討す るということは基本計画でもともと書かれてございました。そういったことで年金記録 問題の解決を早急、確実にできるということに一方で留意をしなければならないのでは ないかということでございます。  それから、民間組織として、一般管理費でございますとか、人件費以外の一般管理費 でございますとか、業務経費について、可能な範囲での効率化努力ということも一定程 度必要ではないかということでございます。  それから、(3)の外部委託の関係でございますが、もともと、全体としての効率化 という観点から、繰返しになります、基本計画の中で外部委託を積極的に推進するとい うことが定められておりますが、当然それを推進していきつつ、外部委託の推進によっ て業務効率が低下するということがあってはならないということで、その品質維持向上 ということを掲げてございます。  それから、オンラインシステムの関係でございますが、現在、社会保険庁が行ってお り、今後、年金機構において行う業務というものは、相当部分はシステムにより処理を されるということで、このシステムが効率的に業務を処理するということの非常に大き なポイントになるということでございます。  一方で、新しい年金制度の設計というものを今後検討していくことになるわけでござ いますが、そういった検討状況を踏まえながら、必要なシステムの効率化というものも 併せてやっていくことが必要ではないかということでございます。  (5)その他、契約における競争性の確保でございますとか、適正化、透明化を図る ということも当然必要になってくるのではないかということでございます。  それから、最後でございますが、業務運営における公正性、透明性の確保その他の重 要事項ということで、まず(1)で、内部統制システムの構築に関する事項ということ で、コンプライアンス確保でございますとか、リスク管理といったようなことの仕組み の構築について触れております。  また、2つ目の○のところでございますが、年金記録問題の反省に立ちまして、文書 管理というものの徹底ということの視点を盛り込んでおります。  それから、(2)にまいりまして、情報公開ということで、先ほど、国民の声の反映 というところでも同様なことに触れておりますが、それのみならず全体としての機構の 業務運営状況も含めた公開ということが必要ではないかという指摘、また、既に長妻大 臣の御指示のもとに、年金記録問題対応状況を週次単位で情報提供するという取組みを 進めておりますが、機構においても同様にそういった取組みが必要ではないかというこ とでございます。  それから、(3)の人事、人材育成の関係でございますが、これにつきましては、こ れまでいろいろ指摘をされておりました、いわゆる三層構造問題というものを解消すべ く、人事の一体化でございますとか、あるいはきちんと企画業務と現場実務というもの を双方経験をして、マネジメントをしていくというキャリアパターンが必要ではないか ということ。それから、能力・実績本位の人材登用、給与体系、更には、それを裏づけ る人事評価制度の導入が必要ではないかということでございます。  それから、最後、個人情報保護につきまして、当然ながら徹底を図っていくことが必 要ではないかということで論点ということで整理をさせていただきました。これはあく まで参考として事務方として整理をさせていただいたものでございますが、これをもと に様々なご指摘を賜れればと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。 (本田部会長)  ありがとうございました。  それでは、ただいまの説明に対しまして、御質問なり御意見等をいただければと思い ます。先ほど申し上げましたように、自由な意見交換ということでありますので、皆さ ん思っておられることがありましたら、できるだけよろしくお願いいたしたいと思いま す。西沢委員。 (西沢委員)  御説明ありがとうございました。  自由に意見を申し上げていいということで、初回ですので、申し上げたいことは幾つ かありますけれども、1つに絞って申し上げますと、論点整理、「日本年金機構中期目 標について(論点)」、資料3の適用事務に関する事項で、適用を促進していくことは もちろん重要だと思います。  ただ、もう一つ、参考資料の方で、下の方のページ番号で54というのがありますけれ ども、54ページに「厚生年金保険・政府管掌健康保険の保険料徴収対策」というところ で、保険料収納率が厚生年金で98.4、政管健保で97.2とありますけれども、これはあく まで社会保険事務所において年度初めにこれだけ徴収しますよという額を決定して、最 終的に徴収できた額ということであって、例えば社会保険事務所に本来いる潜在的な厚 生年金加入者全体からどれだけ取れたかという数字ではないはずなんですね。だからこ そ社会保険庁さんの未適用事業所で10万、あるいは総務省であればもっと大きい数字と いうのが出てくるはずであって、大臣も就任後しばしばおっしゃられているように、現 状把握ということで、本来的に適用しなければいけない事業所は本当はどれぐらいあっ て、どれくらい適用できていないかといったところをまず都道府県なり社会保険事務所 ごとに調べておくべきだと思うんですね。景気が悪いところは、あるいは雇用情勢の悪 化している都道府県などは、本来的な収納率、8割かもしれませんし、7割かもしれな い。でも、東京都のように比較的景気のいいところは9割いっているかもしれませんし、 そのように、せっかく日本年金機構にして新たなスタートを切るということですから、 これからどんどん雇用情勢が悪化して企業収益も厳しくなっていく中で、今、どれくら い被用者の方々を厚生年金と協会けんぽにすくい上げることができていないかといった 現状をまず洗い出して、それがきちんとわかった上で、そこから、日本年金機構の都道 府県ごとの事務所なりがどれだけ底上げできるかといったことをやっていった方がいい と思います。  日本年金機構が発足しまして、注目されますから、こういった収納率の数字をどこの 事務所も上げたいという気持ちはわかりますけれども、そうではなくて、どれくらい被 用者健保、被用者年金、被用者協会けんぽですくい上げることができていないかといっ たことをある程度時間をもって把握して、そこからスタートさせた方がいいと思います し、今後を展望しても、ものすごく適用はアゲインストですね。雇用情勢や企業収益、 あと、保険料率も上げていかなければいけませんので、そこは注目は浴びる数字なんで すけれども、そうした方がいいと思います。  まず、この1点を申し上げておきたいと思います。 (本田部会長)  大臣の方からありますか。 (長妻厚生労働大臣)  そうしましたら、私どもといたしまして、参考の54ページ、この数字だけを見ると、 普通、知らない人は、こんなに高いのかと誤解をしますので、この数字は今後使わない ようにしてください。今後使う数字としては、未適用事業所がどのぐらいあって、実際 の適用率がどのぐらいあって、適用した中でどのぐらい徴収しているのか、その2段階、 3段階の数字を今後出すようにしていきたいと思いますので、事務方の皆さんも総務省 から指摘される未適用事業所の数と、社保庁が推計する数と違っていたりしますので、 いろんな推計の仕方がありますので、未適用事業所を実態把握をすると、どのぐらい適 用すべきところがされていないのか、その数字も併せて出すように現状把握に努めてい きたいと思いますので、事務方の皆さんもよろしくお願いします。 (西沢委員)  ただ、研究者の立場から申し上げますと、収納率の数字自体も社会保険事業年報に過 去ずっと蓄積されているものなので、これがなくなるとまた時系列的に困るので、併用 するとかしていただいた方が。 (長妻厚生労働大臣)  なくなるというか、2段階の数字で、必ずこれだけ出すとあれですよね。知らない人 はこんなに高いから大丈夫だと思ってしまう可能性もありますので。 (西沢委員)  これから悪くなると思うんです。景気や雇用を見ますと。 (長妻厚生労働大臣)  この数字を出すときは、必ず1段階目の適用、未適用事業所がどのぐらいあって、そ の適用率が何%あるという数字と併せて出していくようにいたします。 (本田部会長)  よろしいですか。事務局の方、今の話は適用収納という過程の適用というところはき ちんと調査すべきという話だと私は理解したのですけれども、やっていらっしゃるのか、 どういう状況にあるか、もし御説明があったら。 (渡邉社会保険庁長官)  ただいま大臣からお話がございましたように、私どももこれは通常よくある業務統計 資料としてこういう資料集に出てまいりますけれども、中期目標を考える際にも、ある いはこれまでの年金記録の来し方を考える際にも、まだ形としてしっかり整っていない ので、こうした中期目標の議論あたりが一つの大きな出発点だとは思っておりますが、 厚生年金の保険料の収納率というものと、それ以前、大臣がおっしゃったように、未適 用事業所と言ってしまいますが、それがどういうふうに現状把握して、その解消のため に実際どういうふうな取組がなされているのかをしばしば問われるわけですが、必ずし も十分な説明ができてきているとは認識しておりません。反省もしております。そのこ とと併せて、どんどん適用していった場合に、滞納事業所が増えるではないか、こうい う問題が一方にも指摘されてきた。違う脈絡で指摘されてきたんだと思っております。  したがって、この問題は、まさしくが大臣おっしゃられたように、未適用の状況、滞 納事業所がどれほど増えているのか、減っているのか、長期滞納、短期の滞納、その実 態も含めてそういうものが一つの注目すべき点であり、その上に立って、こうした適用 された事業所の収納率がどうであったか。この三面等価の関係で仕事を見ていくという ことが大変大事であると考えております。  また、滞納の部分につきましては、その部分の保険料は一体どのぐらい滞納になって いるのか、それが全体としてどういう影響を及ぼしているのかということも当然議論に なってくることと思います。そういたしますと、単に現状把握だけではなく、制度論も 絡んでくるような点もございますけれども、大臣の御指示をきっちり踏まえて、そうし た三面をしっかり押さえた指標の開発、あるいは業務運営の目標の立て方、その結果の 評価の仕方というものを考えていくのが大きな課題であると認識しております。 (本田部会長)  それでは、ほかにまだ御意見ありますか。長沼委員、お願いします。 (長沼委員)  最初に、大臣の方から、日本年金機構は、これほどサービスのいい組織はない、日本 一のサービスが充実した組織にしたいというお話がありました。私は社会保険庁ででき なかったサービスを日本年金機構でやれないかと考えています。それを中期目標の中に 折り込められれば、それにこしたことはないと思います。例えば、今、社会保険庁です と、いわゆる年金受給者に対して、年末調整はできていません。扶養控除の関係で、扶 養親族等申告書は出しますが、人的控除以外の生命保険料控除などができていません。 介護保険料控除だとか国民健康保険税の控除はされますが、生命保険料控除など物的控 除がされないので、扶養控除の関係書類だけは出すけれども、結局、最終的には自分で 確定申告しなければいけないことになっています。もちろん不動産所得ですとか、事業 所得がある場合は、確定申告をしなければいけないので別なんですが、給与所得者がそ れぞれ会社で年末調整が行えるのと同様に、日本年金機構になれば、今までは確定申告 しなければならなかった通常の65歳以上の方も、確定申告しないで年末調整がやれるよ うにできないか、と私は考えています。今は介護保険料ですとか、志木市では平成20年 10月から国民健康保険税も一定の要件を満たす人は年金から控除されるようになりまし たし、後期高齢者医療保険料について、大方の後期高齢者の方は年金から特別控除して いるということであります。日本年金機構になったから、今まで社会保険庁ではやれな かったサービスをやれるようにします。その一つは何ですかと言われれば、日本年金機 構では年末調整をやれるようにします、というのを中期目標の一つに入れてはどうかと 考えています。  そのときに、医療費控除だとか生命保険料控除なんかの書類をどういう形で処理する のか。それを全部今、社会保険庁、あるいは日本年金機構に送られてきても、受給者の 数からしてなかなか処理できないではないかという問題もあろうかと思います。そうい うときに、市町村を経由して、例えば志木市の年金受給者の方については、志木市に11 月末か12月の初旬ぐらいまでに生命保険料控除だとかの書類を持ってきてもらえれば、 それについてはやります。ただ、医療費については12月末まで影響してくるので、それ についてはなかなかやり切れないものもありますが、何かそういった形で、日本年金機 構になったら、従来やれなかった新しいサービスがやれないか。それを中期目標に折り 込めないかと考えているのが1点です。  それから、今もお話がありましたように、国民年金の納付率ですとか、厚生年金保険 料の収納率の中期目標の設定をどうすべきなのかということで、日本経済新聞の平成21 年12月 7日付け朝刊にも出ておりましたけれども、80%の国民年金の納付率というのは 非常に厳しいのかなと考えています。例えば、国民年金、いわゆる第1号被保険者とオ ーバーラップする医療保険というと、一般的には国民健康保険が該当すると思われます。 今の国民健康保険税の収納率も非常に厳しい状況になっていまして、例えば志木市の事 例ですと、現年分と滞納繰越分をあわせると、今、志木市では63%です。県内40市で平 均すると平成20年度における現年分と滞納繰越分の国民健康保険税の収納率は、60%を 切る59.4%という状況であって、埼玉県内の40市だけでみると、たまたまなのかも知れ ませんが、平成20年度における国民年金の現年分の納付率は59.3%で、ほぼ同じぐらい のような状況です。データがそろっていないので、必ずそうだとは言い切れない部分が ありますが、国民健康保険税の収納率を一つの指標として、つまり国民健康保険税の収 納率の現状が国民年金の納付率の目標を設定する上で参考になるのであれば、それを一 つの指標として新たに国民年金の納付率の目標を設定することも検討していいのではな いかと考えています。  厚生年金の場合については、例えば、志木市でも法人市民税があります。平成20年度 の志木市の法人市民税の収納率をみると、現年分は98.7%ですが、現年分と滞納繰越分 をあわせると96.1%です。また、平成20年度の埼玉県の法人県民税の収納率をみると、 現年分は99.5%ですが、現年分と滞納繰越分をあわせると98.8%です。ということで、 これは法人市民税を参考とするのがいいのか、法人県民税を参考とするのがいいのか、 いろいろと検討した方がいいと思います。いずれにしても、厚生年金保険料の収納率の 目標を設定するときに、類似の税で都道府県あるいは市町村で行っているものを一つの 参考としながら、あまり無理のなくて、努力すれば到達できるような目標を掲げるのが いいと思う。  あわせて収納率の向上ということで、以前、平成20年9月29日に開催された第11回社 会保障審議会年金部会で、収納率向上の取組み、収納対策のスキームという資料(「資 料1-7」5ページ)が配付されています。この中で、「市町村からの所得情報の提供」と いうのは現在すでに行われています。しかしながら、「国民健康保険(市町村)との連 携未納者に対する短期の国民健康保険被保険者証の交付など(H20. 4〜)」という項目 については、先に進んでいないと思う。これは厚生労働省から要請があり、志木市も協 力しますということで手を挙げました。しかしながら、その後、協力要請が止まってし まっている。市町村に協力をお願いするものは協力をお願いして、もちろん、協力でき る市町村と協力できない市町村がありますが、協力をお願いしたが、その後事務を精査 した結果、協力要請を継続するのが難しいという場合は、軌道修正すべきだと思う。そ の上で、中期目標の中で、どういう項目について、市町村との連携を強化していくのか、 整理し直したほうがいいと思う。とりあえず、以上です。 (本田部会長)  御意見として、今3点あったと思いますけれども、1つは、今まで社会保険庁になか った国民サービス、新たなサービスを加えたらどうか。その例として年末調整があった と思います。2つ目は、収納率。具体的なことを連動させた方がいいのではないかとい う意見。最後は、まさに市町村等との交流なり、あるいは連携を強めたらどうかという 御意見だったと思います。  それでは、ほかに何か御質問、御意見。斎藤委員。 (斎藤委員)  2人の先生から大変具体的な御意見が出た後で話しづらいんですけれども、中期目標 を作るに当たっての考え方として、3つほど意見を述べさせていただきたいと思います。  まずは、社会保険庁というのは負のスパイラルに入って、それから上がり切れないま ま年金機構にバトンタッチをする形になっておりますので、ちょっと戦術的になります が、年金機構になってこんなに変わったんだというのがすぐに目に見える形にすべきだ と思います。第一の優先順位は年金記録回復ではありますが、それに続くものとして、 戦略的な優先順位を作るということが必要なのではないでしょうか。最も目に見えて効 果的なもの、それに注力をする。ここに幾つものポイントを挙げてありますけれども、 当然組織としては当然すべてをやっていく必要はありますが、とりあえずは優先順位を 考えていただきたいと思います。  それから、もう一つ、社保庁に限らず、競争のない組織が腐敗化するというのはほぼ 避けられない運命だろうと思います。日本年金機構になってもこれは変わらないわけで すから、それを組織としてどうやって解決していくのかという工夫をするべきであろう と思います。国内では競合する組織はございませんけれども、例えば海外と比べてよく やっているのか、やっていないのか、何かそういう視点で中期目標というのを考えられ ないかということを申し上げたいと思います。  3つ目。人材のことです。5番の(3)のところで人事について触れてございますが、 人材、どういう人材を採用して、給与体系などの枠組みをこれから改善していくか、と いうことが重要ということは言うまでもありません。しかし、今いる人材の教育・研修 がさらに重要であろうと思われます。担当者が個人の限られた知識で判断をしたことに よって間違えた情報を与えて、それが年金記録の問題につながっている部分が非常に多 いと思いますので、ぜひ教育・研修に力を入れていただきたいと思います。  以上、3つでございます。 (本田部会長)  ありがとうございました。御意見として承ります。  あと、ほかにございませんか。岩瀬委員、お願いします。 (岩瀬委員)  この部会では、中期目標を決めて、それを大臣に答申をして、それが紀陸理事長予定 者のところにいって具体的な目標が決められるという流れだと思うんですけれども、こ の目標を抽象的に書かざるを得ないと思うんですが、抽象的に書くにしても、さきほど、 西沢先生が言ったような現状把握をするということの上で、大枠こういう形でやってい ただければというふうな案が書けないと、なかなか具体的なものにならないのかなと思 いまして、一つ二つ、次回、本格的な議論をするときまでに、できたらデータをいただ きたいと思うんですが、1つは国民年金の収納対策について、今までどんなことをされ たのか。幾ら保険料を使って収納対策費を使って、具体的にどんなことをされて、結果 的に全然数字が上がらなかったということをまずお教えいただきたいと。そういうこと を把握した上で、中期目標を答申するに当たって、より具体的な有効な案がかけるよう なものができないかなと考えておりますので、それをお願いできないかと。  もう一つは、人事制度、今、斎藤先生もおっしゃっていましたけれども、これは組織 再生会議で議論したことでもあったと思いますが、既に、今の社会保険庁の中の人たち の声を聞くと、今の人事制度は使いにくいという声を聞いておりまして、これは早急に 変えないといけないと思うんですが、この人事制度の問題点がもしあるのであれば、あ るいは評価者が本当にきちんと評価ができているのかどうかということも、中期目標を 作るに当たって議論する材料として次回提供いただけないかなと、これをお願いしたと 思います。  以上でございます。 (本田部会長)  2点目の人事制度なり評価について、私の方からも質問になるんですけれども、設立 委員会の中で、先ほど説明はなかったですけれども、給与体系などが入っていましたね。 そこがどういう形でスタートするのか、どなたか簡単に御説明をお願いします。 (事務方)  資料2、20ページから21ページにかけてでございます。  まず、給与の設定につきましては、ここに掲げていますように、年功序列をできるだ け廃していくということで、ちゃんと等級に連動して給与の階段をきちんと上がってい くというようなことで、公務員の仕組みの中では、下の等級の人が年功によって上の等 級の人と逆転をするという現象があったりするんですけれども、そういったものは解消 していくということでございますとか、賞与における業績評価の幅みたいなものが国家 公務員の仕組みよりもより幅を持たせることによって、より頑張った人に酬いるような 制度にするといったようなことを仕組んでございます。  それから、当然ながらそれを行うために、必要な人事評価というものはやっていかな ければいけないということでございます。これにつきましては、特に昇給昇格において、 きちんと客観的な基準みたいなものを作りまして、例えば人事評価における評価のポイ ントみたいなもの、あるいは経験年数によるポイントというものを数値化いたしまして、 一定の基準に到達すれば次のステップに上がるとか、そういったような客観性、透明性 を図るということを考えてございます。  それから、人事評価そのものにつきましては、社会保険庁以来取り組んできた課題の 一つとして、被評価者へのフィードバックという問題があろうかと思っております。現 在では評価結果、どういう評価になったかという通知は職員にしますけれども、なぜそ うなったのかとか、あるいはどういった点が足りなかった、あるいはどういった点を頑 張ったのかというような上司からのフィードバックというものが低い評価の者に対して はやっているんですけれども、全職員に対してそういうことが必ずしもなされていない という現状がございますが、それについては、フィードバックを徹底することによって、 評価の納得性というものを高めていきたいということ。  それから、あと、全体として使い勝手という話が岩瀬委員からございましたが、全体 としての評価の項目が多過ぎるという声もございますので、簡素にすべきものは簡素に し、ただし、評価として大事な視点というのはしっかりと盛り込んでいくということで 設計を進めているという状況でございます。 (本田部会長)  ありがとうございました。  先ほどの斎藤委員も今の岩瀬委員もどちらも同じ趣旨のご意見であったと思います。 斎藤委員の方は研修、現在の人の研修に力を入れるということだし、岩瀬さんの方は評 価という観点からではありましたが、結局どこの会社もそうですけれども、仕組みとい うのはあくまでも手段であって、それをどう運用していくかが大切。何れにしろ、実際 の運用の際に意味が問われてくるのだろうと思いますので、その辺よろしくお願いした いという意味ですね。 (岩瀬委員)  そうです。 (本田部会長)  それでは、大臣どうぞ。 (長妻厚生労働大臣)  済みません。今、岩瀬委員からもお話がありましたけれども、皆様方、議論をいただ く過程で、こういう資料や、あるいは現状はどうなっているのかというものを、この場 でも結構でございますし、あるいはメールや電話で担当者の方に言っていただいて、そ れをできる限り我々も次回までに準備をいたしますし、次回までと言わず、途中でも皆 様方に資料をできる限りお渡しするようにいたしますので、是非そういう御要求もして いただければと。そして、資料を事務方から皆さんに出すときは、例えば、岩瀬委員が 資料要求しても、岩瀬委員だけに出すのではなくて、全委員に同時にその資料を出すと いうことで情報共有して、実のある議論をしたいと思いますので、我々もそれを心がけ ていきますので、事務方の皆さんもよろしくお願いします。 (本田部会長)  ありがとうございました。  それでは、ほかに。木間委員、お願いします。 (木間委員)  サービスの質の向上に関して、2点、相談、情報提供と国民の声を反映する取組みに ついて申し上げます。  まず、相談、情報提供についてでありますが、介護保険の分野では、市民がボランテ ィアとして介護の相談を受けたり、情報提供を行ったりしています。情報量が少なく、 交渉力も弱く、更に判断能力が不十分な人たちが利用するものでありますから、市民が 支援しているのです。それらは自発的に行われています。どういう人がそれらを担って いるかというと、定年退職をなさった方や、長年、地域で住民活動を行ってきた方々で あり、東京や埼玉などのほか、各地でそのような活動がみられます。年金に関しては、 まずは国民の信頼回復が大事でありますから、日本年金機構が住民に活動を求めても、 活動するとはいかないかと思いますが、市民との連携を視野に入れた取組みを検討課題 としてもよろしいのではないかと思います。  それから、国民の声を反映する取組みについてでありますが、3点申し上げます。  1つは、苦情相談の中から問題点を見逃さない。それには、まず、苦情相談内容、ま た同じかなどと思わないで丁寧に記録すること。それを読み込んで、分類、整理、検討 する作業が非常に重要であるということです。この作業は、効率化に反するように思わ れるかもしれませんが、こうした作業がなされていれば、逆に長い目で、長い目でもな いですね。少しの期間がたてば効率化にも結び付くことであります。  ここで、3点と言いましたのにそれますが、先ほど斎藤委員が見える形でとおっしゃ いました。大臣がワンストップの現場を訪問なさっておられましたが、年金の相談に来 られた人の中には、年金への対応だけでは解決しない問題をかかえている方もおられる と思います。ワンストップのように関係者が並んでいる必要はないとしても、他の相談 窓口に丁寧に結び付けてあげるということがあったら、日本年金機構も評価されるので はないかなと思いました。  話をもとに戻しまして2つ目でありますが、相談業務には正職員だけではなく有期雇 用の職員や委託先の職員も当たられるようですが、インターネットだけではなくて、国 民の声を直接聞く現場の職員からの提案をどう引き出していくのか。吸い上げるのか。 いろいろな文書を読んでいますと、上からという感じがかなりいたしますので、下から 吸い上げるという仕組みの導入が必要だと思います。相談を受ける職員がパソコンに打 ち込むだけではなくて、その人たちが参加した事例研究会であるとか、情報交換の場が 必要と思います。こういうことを申しておりますのは、私はこれまで消費者問題に関わ ってまいりまして、消費者問題の分野では、通常行っていることだからであります。  3点目は、ある介護事業者の掲げるクレーム対応に関する方針を紹介したいと思いま す。その事業者は10項目の方針を挙げていますが、その一つに、クレーム発生自体の責 任は絶対に追求しないとあります。更に、クレームを報告しなかったとき、指示された 対処を怠ったときは厳重なる追及を行うとあります。これは、問題を潜在化させないた めにも大変重要なことだと思います。以上です。 (本田部会長)  ありがとうございました。今の御意見もよくお聞きいただきたいと思います。ほかに ございませんか。石井委員、お願いいたします。 (石井委員)  申し訳ありません。ほかの委員と異なりまして、私は年金や年金業務の専門家では全 くございませんので、基本的なことの確認をさせていただければと思っております。ま ず最初に、資料1の5ページの設立委員会で議論をされた重要事項骨子案の記載項目と 先ほど御説明いただいた論点を整合させてみましたときに、一つだけ電子申請の推進に 関する事項というのが記載されていないのですが、それはなぜか。また、申し訳ござい ませんが、電子申請の推進に関する事項の意味自体が、私、不慣れでございまして、教 えていただけないだろうかと思っております。  それから、先ほど業務運営の効率化のところで、説明者の側でPDCAサイクルとい う言葉が使われたかと思いますが、先ほどからいろいろ御議論していただいております ことともまさに関連があるかと思いますが、結局、やったことを評価するときにできる 限り定量的に物事を議論していただくということに当然なるんですね。そうしますと、 いろんな項目についてすべてPDCAサイクルを回すような形になるという理解でいい のか。そうだとすると、期限設定というのが必要になりますので、中期計画期間のみな らず単年度評価もいたしますから、そのあたりというのは少しきれいに整理をするとい うか、年次別と内容別でマトリックスのようなものを作っていただけると助かるなとい うことでございます。  そして、それとの関わりで、1月1日設立だと思うんですが、3月末で事業が終わる ということでよろしいとすると、初年度の期間がたった3カ月で評価を行って見えるだ けの変化の議論ができるのか、あるいは評価自体もできるのか、このあたりのところが 正直、委員としては少し心配でございます。このあたりはどういうふうに考えていけば いいかというのを結論が出ているのであればお教えいただきたいし、あるいは、議論す るのであればしていただければということであります。  それから、最後に、全く分かっておりませんので、多分、設立後に一度ぐらいは、本 部ですとかブロック本部ですとかという場所を見学させていただけるのかというのがご ざいまして、それはお願いということでよろしくということでございます。 (本田部会長)  今、3点ほど御質問がありましたけれども、事務局の方でお答えできますか。最後の 3月末の問題というのは、恐らく中期目標はこの3カ月の目標等についてもお書きにな るのではないかと思うのですけれども、それらを含めて、今の3点について、電子申請 の問題と、定量的な計画におけるPDCAサイクル、加えて、3カ月で年度計画として の評価ができるのかという御質問だと思うんですけれども。 (古都年金局総務課長)  最初の電子申請の部分でございます。  この5ページに御参考に付けました骨子というのは、当初7月の段階で日本年金機構 設立委員会の方で一つのイメージを持っていただくということでこのような骨子案を出 させていただいておりまして、本来、中期目標そのものは大臣の方から評価部会の方に お諮りする形になっております。  これについて、決してこの項目にぴったりやったわけでございません。ただ、電子申 請そのものは、確かに現在政府の方でもオンライン利用拡大行動計画ということで推進 しておりますので、社会保険関係の手続もこういったものについて進めているという現 状にございます。ただ、いろいろ言われておりますように、利用率がどうかとか、使い 勝手がいい悪いということもありまして、そういうことは当然見直さなければいかんと いうことで課題としては認識しております。当然、今日御議論があった点についても十 分その意見を踏まえて、電子申請の推進ということも一つのテーマでございますので、 整理をさせていただきたいと思っております。 (事務方)  2点目と3点目のお尋ねに関しましてでございますが、当然、目標設定をして、計画 を作り、それは評価をいただきますということでございますから、当然ながら、ここに 掲げる各項目というものについては、基本的にすべてPDCAというものが当てはまる ということでございます。ただし、当然目標の内容によって、いわゆる定量的な目標設 定が可能なものと、ある程度定性的な評価にならざるを得ない部分というのはあると思 いますので、すべてのものが定量的な形で計画を作れるかどうかというのは、またちょ っと別問題ではないかなと思っております。  それから、3カ月の問題でございますが、法律上はあくまで事業年度というものが各 年の3月末までということでございますので、御指摘のとおり、機構発足当初の最初の 事業年度というのはあくまで22年1月から3月までの3カ月間ということになります。 法律的にも、したがいまして、まず、中期目標を仮に4年3カ月としますと、4年3カ 月の中期計画を作った上で、当初3カ月の年度計画というものを作ることになります。 当然3カ月間のものでございまして、おのずとそこでできるものの限界というのはあろ うかと思いまして、3カ月間で、ものによって、具体的な取組みに着手できるもの、具 体化に向けての準備作業を進めるものということを3カ月という制約を踏まえながら、 具体的な取組みを4年3カ月の中で振り分けていくというイメージになるのかなと思っ ております。 (本田部会長)  あと、現場見学の件は是非御検討をお願いしたい。 (渡邉社会保険庁長官)  前向きに検討させていただきたいと。 (長妻厚生労働大臣)  前向きにではなくて、皆様方がどの場所でも、今度本部になる予定の高井戸の社会保 険業務センター、これについては、いつでも言っていただければ、すべて見ていただく ということと、それ以外の事務局や社会保険事務所についても、内部も含めて、是非、 積極的にごらんをいただきたいと考えておりますので、いつでもごらんをいただけるよ うにいたします。 (本田部会長)  ほかに。西沢委員。 (西沢委員)  一巡して、もう少し申し上げたいことと、長沼委員がおっしゃったこととも関連して、 それともう一つ、2つ申し上げたいんですけれども、年末調整の話がありましたけれど も、確かに今、社会保険庁で所得税なりを源泉徴収して、企業年金か何かを別途もらっ ている方は、年末調整、自分でしているんですよね。多分御高齢の方は相当事務的な負 担があると思うんですね。我々サラリーマンは会社で年末調整してくれますから、確定 申告しなくていいので楽ですけれども、これは社保庁の皆さんの所管とはちょっと違う のかもしれませんが、そういった年金受給者サイドの事務負担、税の用語だと、タック スコンプライアンスコストの一環になると思いますけれども、こういった事務負担がど れくらい発生しているのかといったことも是非調べていただけたらいいと思います。時 間的金銭的にどれくらいコストがかかっているのか。高齢の方が確定申告するのにどれ ぐらい大変かといったことが分かれば、例えばそういったタックスコンプライアンスコ ストを減らすために行政費用が 100億かかるとしても、それで多大な効果が出れば、行 政費用はむしろかかってもいいわけであって、これは中期目標の中に運営経費の抑制と 書いてありますけれども、むしろそういった形で国民側の事務負担なり時間的金銭的負 担が大幅に軽減されるのであれば、そこには重点的に費用を投入するような形もあるか と思います。  ですから、行政サイドの費用を抑制するということも、もちろんそれは重要ですけれ ども、一方で、国民側が負っている時間的金銭的コスト、これは企業についても言えま すけれども、渡邉長官がおっしゃいましたが、例えば滞納したとき、社保庁の職員の方 が来て督促をするとか、そういった応対の時間というのを、彼らにとってみれば、商売 している中で時間的なコストがかかってくるものですので、そういったものを少しでも 時間的金銭的コストを減らしていくといったことが目標だといいと思いますし、そのた めには、金額換算は非常に難しいんですけれども、アメリカなどではやっていますし、 タックスコンプライアンスコストといった算出をして見て、これを抑制していくという こともいいことかと思います。  もう一つは、今回の日本年金機構評価部会という枠組みからちょっとはみ出すのかも しれませんけれども、執行だけでは年金制度の信頼は取り戻せないわけであって、制度 に不備といいますか、問題点があれば、それを直していかないといけないと。ですので、 例えば日本年金機構さんの方からも、むしろ厚生労働省年金局の方に、ここの制度はお かしいだろうと。例えば、どう見ても窓口でお客さんに説明し切れないと。2年間の保 険料の時効の例などありますよね。なんで2年間なんですかと言われたときに、これは 政治家に言われましたからというのではなくて、むしろそういった声を年金局の方に制 度改正の声としてフィードバックすることも非常にいいことだと思いますので、一方的 に厚生労働省からこうしなさいと言われるのではなくて、むしろ厚労省の方に制度改正 をこうしていけということが重要だと思いますし、端的な例で言いますと、廃案になっ た被用者年金一元化等法案がありますよね。あれは、パートタイム労働者の適用拡大を 目指して労働時間週20時間までということを法律に書いたものだったわけですけれども、 あれが廃案になったことによって、パート労働者の方をどこまで厚生年金に入れるかと いった基準が法的にあいまいなものに放置されていると思います。こうした状況の中で 執行をきちんとやりなさい、事業主に説明しなさいと言われても、法がそもそも足腰が 弱い中で、それをきちんとできないわけであって、そういったものはどんどん日本年金 機構の方から年金局長、大臣に早く法改正してくださいとどんどん上げていくべきだと 思います。以上です。 (本田部会長)  ありがとうございました。あと、ほかに。 (大山部会長代理)  今日は1回目なので、私の方からも幾つか申し上げます。最初に、電子申請の話があ ったので、そのことを先に申し上げたいと思います。  電子申請の利用率の話という議論があるのは重々承知していますが、それ以前にもっ と重要なことに目を向けるべきだろうと思います。というのは、電子データで発生源か ら入力されているものと、紙で来たものを入力するときの違いです。紙で入力したとき には、必ずミスが発生します。このミスが発生するということに対してかかっている現 在の費用をもう一回よく考えるべきです。言い方を変えると、今後、今回起きているよ うな年金記録の問題をなくすためには、できる限り電子データで出していただくことが 重要です。オフライン、オンラインは問いません。電子データで出していただくことが 大事で、それを確実に御本人にお返しして確認いただけるようなルーチンをしっかり作 らない限り、どこかでミスが発生します。ましてや年金記録はその量が違います。10件、 20件とかではなく、数億件です。数億件のものを扱っていくには、やはりそれだけのも のを用意しないと難しいのではないかと思います。  利用率の話にちょっと触れます。事業所を初めとするプロの人たちが使っているソフ トウェア、例えばe−Taxですと、税理士さんたちが使っているソフトウェアです。 このソフトとe−Taxで提供している個人向けソフトのインターフェースは全く違い ます。e−Taxがうまくいってきているのは、プロ用のソフトで作った情報をそのま ま国税庁の方が受け入れられるようになっています。そのためにe−Tax側のインタ ーフェースを公開しています。個人の方で、もともと紙ベースで申告をしていた方が電 子化されたときに、その人が便利と思う率は、結構高いと思います。私もその中の一人 ですが、間違いなく紙よりも便利です。  一方、最初から紙でも自ら申告していない人、具体的には税理士さんにお願いしてい る人は、別に個人向けのサイトの操作性等を気にすることはありません。それよりも、 税理士さんが簡単、便利に出せるようになっていればいいとなります。これらのことか ら分かるように、プロ向けと個人向けというのを分けて考える必要があって、今回の電 子申請の議論で利用率が低いと言われているのは、実はどちらかというとプロ用の話を ちゃんと分けずに個人向けを考えてしまうからこういうことが起きているのではないか と私は思っています。  したがって、話をもとに戻しますが、電子申請を推進するということについては、中 期の計画の中にできればそのことをお入れいただきたいと思います。いつも言う話です が、業務の一連の流れの中に紙と電子の混在は避けるべきです。ましてや100年、200年 使う大事なデータは、これからは電子データであって、紙ではないということが時代の 変化であると思います。また、そうするしかないと思っています。  2つ目は、いただいている資料1の1枚めくったところの絵を見ると分りやすいと思 いますが、まず確認で、言うまでもないことですが、日本年金機構と厚生労働省は親子 関係ではないということです。対等な関係でなければならない面が多々あります。もち ろん指揮命令系統の中の一部については、それではガバナンスはきかないからというの がありますが、しかしながら、業務を進める中では、まさしく2つの組織は両輪という 言い方もあるでしょうし、いろんな言い方はあると思いますが、日本年金機構から厚生 労働省に物が言えないとだめということを申し上げたいのです。特にシステムの面から 見ると、先ほど来、長沼委員がおっしゃっているような市町村との連携、あるいはほか の省庁との連携も出てくると思います。こういったときに、厚生労働省を超える話があ ります。このような話は、現場でなければ分からない、あるいはシステムを見ている人 でなければ最適な解は見えないということがあると予想されます。確実に厚生労働省に 上げ、それをさらに大臣にお伝えできるような仕掛けをしっかりつくっておくべきと考 えます。その役目がここの会だと言われればそうかもしれませんが、現場まで知ってい るわけではないことを懸念します。その辺は分からない部分がありますので、御配慮い ただければと思います。  3つ目で終わりにします。年金記録の中で、今日いただいている資料3−2で、この 中にコンピュータ記録と紙台帳の突き合わせの話が書いてあります。これは、私自身も ずっと関与してきたこともあって、かなり調べたことですが、今回のことで予測される 最大の効果は、もし全数チェックをやると、紙で残っている記録の中に、入力されてい なかったものが見つかることです。このような記録が見つかる可能性はありますが、本 来の目的の達成に十分な効果があるかは未だ不明です。  したがって、しっかりとした計画をお作りいただき、手法が確実に機能するかどうか を確認いただきたいと思います。もちろん、世の中に対する約束としてこういうことを やるということになっているわけですから、それはおすすめいただくとしても、その中 でうまく費用対効果を含めて御配慮いただきたいと思います。  特に大きいのは、目視による突き合わせをもしなさるのであれば、大規模な体制、人 員を抱えることになると思います。この方たちの作業の品質を確保するのは非常に難し いため、品質を確保するためのマネジメント体制をしっかりしないと、結局何をやって いたか分からないことにもなりかねませんので、その辺のところを十分な計画をお作り いただいた上でお進めいただきたいと思います。以上です。 (本田部会長)  ありがとうございました。  機構のあり方と現場という御意見が、今、西沢さんからも木間さんからも大山さんか らも出たわけで、どうやって現場の声を吸い上げて整理をするか、ということも含めて、 検討の余地があり得るのではないかという御意見だと思います。 (八神大臣官房参事官)  今の点につきまして、年金機構側からの制度に向けた御提案とかそういう話につきま しては、実は設立委員会の場でも随分御議論をいただきました。私どもの方からも大変 重要なことだと思ってございますので、厚生労働省と日本年金機構の間でそういう現場 実務を踏まえた制度設計などができるような試みといたしまして、定期的に協議をする といった場を作ろうということを御提案申し上げて、是非それはやるようにというふう にいただいておりますので、そういう場を通じて、是非現場からの提案というものをお 伺いし、また実現をさせていくと、こういうことを考えたいと思っています。 (本田部会長)  ありがとうございました。どうぞ岩瀬さん。 (岩瀬委員)  先ほどお願いした点とちょっとダブるんですけれども、この目標を作るということは、 現状はこういう現状なので、目標を定めてよくしていこうということだと思うんですね。 現状をある程度ここに論点整理されている部分に関して、一通り御説明をいただいた上 で議論をした方がいいのかなと思います。ただ頭で考えて、こんな程度でいいんじゃな いかということで決めてしまうと、評価がまた次できなくなるのではないか。だから、 この論点整理について、次回、一通り今の現状と、なぜここを目標にしないといけない のかというところを教えていただければと。もちろん具体的な計画に関しては機構でお 作りになって、そこについて余り評価部会が口出しするのはよくないと思いますので、 そこは自由にやっていただくにしても、まず現状というのを教えていただけないかなと。 先ほどとダブりますけれども、次回よろしくお願いします。 (本田部会長)  今のは、岩瀬さん、次回の委員会で、正式な諮問を出すときに、現状についてはきち んと説明してくれと、こういうふうにおっしゃっているということでよろしいですか。 (岩瀬委員)  そういうことです。 (本田部会長)  では、事務局の方、よろしくお願いします。長沼委員。 (長沼委員)  先ほど西沢委員の方からお話があって、年末調整をやれるようになると、社会的なコ ストの問題もありますし、これが場合によっては日本年金機構、いわゆる歳入庁の方に までつながっていける一つの基礎になるのかなと思います。  それから、電子データ、大山先生もお話しになった電子データの関係、市町村で考え てみると、いわゆる税務署に来た確定申告は、紙ベースのものですと、それを市町村が 住民税を賦課するときに手入力すると、そこにミスが出てくるので、そういった点では 本当に電子データでいただけるようになると、非常にミスが少ないというのは、市町村 の現場でやっていて実感しております。  それで、先ほどもお話があった、サービスの向上ということでは、年金が複雑化して いることによって、なかなか正確な対応ができない要素があると思います。実は、先日 も平成21年9月17日付で、社会保険庁運営部年金保険課から地方社会保険事務局長あて に、「寡婦年金の支給要件における死亡後に口座振替により納付された国民年金保険料 の取扱いについて」という事務連絡で出されました。しかしながら、この事務連絡は、 市町村に届いておりません。この事務連絡は、寡婦年金・死亡一時金という国民年金に 関する内容でありながら市町村にこの通知文がこないと、実際、窓口で寡婦年金・死亡 一時金に関する相談があっても正確な回答ができない。  実はこれまで、市町村職員が利用できる国民年金法のこの条文についてはこう解釈す べきという、地方自治法でいうところの、行政実例のようなものがなかったと認識して います。中期目標の中に、国民年金法ですとか厚生年金保険法のこの条文についてはこ ういう解釈がスタンダードですよという、行政実例のようなものを3年間でまず整備す るというものがいれられないか、と考えています。それをいれることによって、職員の 年金知識が厚みを増し、サービス向上に資するようになると思います。  それから、これは日本年金機構の中期目標には入らないのかなとは思いますが、平成 21年7月から労働保険と社会保険の申告時期が同一になりました。事業主の方からする と、片や社会保険の方は12月分については従業員の分も事業主が負担する分も翌月末に 納付するのに、労働保険の方については、年3回納付という形になっている。中期目標 にいれるのはなかなか難しいにしても、将来的には労働保険と社会保険を同時に納付で きるような方法にしていくとか、そういうこともどこかで検討できないかと考えていま す。以上です。 (本田部会長)  ありがとうございました。石井委員。 (石井委員)  申し訳ありません。私の認識が間違えていたら御指摘いただきたいと思うんですが、 私、税理士でもございまして、先ほど大山部会長代理のお話の中で出てきましたe−T axというのも実務的には関わりを持っています。今日、このフリートーキングでも最 初の最初の議論ということだと思いますので、にもかかわらず非常に大きな話がたくさ ん出ておりまして、実はちょっとびっくりしております。高齢者の方が年金を受給して いて、実は複数箇所から年金を受給している場合の確定申告議論というのが先ほどござ いましたけれども、そういった業務に関して、日本年金機構サイドで何らかの対応をし てサービスの向上をするという考え方は一つあるんですが、片方でe−Taxで一生懸 命使い勝手のいいシステムを作ってきている。これにすごくコストがかかっているわけ ですね。こちら側で新しく作った組織でまた同じようなことのサービスをやるという話 になりますと、非常に大きな目線で見ると二重コストのような話になってしまう。私は、 税の実務もやっている者ですから、e−Taxをこれだけ充実してきて、大山先生から も評価をいただいた。実務家よりも普通の人たちの方が使いやすいという話をしている。 なかなか使えるようになっているよという話になって、やっとそこまできてコストをか けてきたものに対して、違う機構ができたので、こっちでそういうサービスをやります よという形の考え方をもしするのであれば、きちんと整理をしていただいて、できる限 り効率的にやっていただければと思っています。 (本田部会長)  西沢委員。 (西沢委員)  今、石井委員がおっしゃったことは、本当は政治の中で民主党は歳入庁を作るとおっ しゃっていたわけで、出口が今見えていないですよね。どういった形で歳入庁ができて いくか。確かに日本年金機構で例えば年末調整の手続をして、片や税務署ではe−Ta xを作っている。それは保険料の徴収サイドについても実は生じていることであって、 源泉所得税と一緒に厚生年金保険料を取れないか。厚生年金適用事業所の届と一緒に、 例えば源泉徴収義務者の届が兼ねられないかといった事柄、いろんなものが実は今重複 しているわけであって、先進諸外国の中では一緒に取っている国もかなり多くの数に上 っていますから、ただ、それはどういった形に将来行政システムになるか分かりません けれども、重複しているようなものを国民目線で洗い出すと。保険料の徴収にしても、 所得税関係にしても、あるいは市町村の住民税もそうだと思うんですよね。そういった ものを洗い出すということが重要で、そういった情報を受けて政治のサイドとしても歳 入庁と言うのであれば、その構想はどんどん具体化していく必要があると思うんですね。 ですから、これを中期目標に入れるかどうかは別として、そういった形で重複のない行 政サービスを構築していくための情報収集というか、制度設計のための情報収集をして いくというのも日本年金機構としての重要な役割かなという気がしますけれども。 (本田部会長)  御意見として。この部会の難しいところは、制度設計そのものではなく、あくまで現 在の中で年金機構がどうやっていくか、を議論すべき点。もちろん事業運営していく中 で制度の問題も出てくると思います。それをまたどう改善していくかを議論し、また、 時間の経過の中でどんどんよくしていくということですけれども、この部会で歳入庁が どうだとかいう議論は別の問題ではないか。大変口幅ったい言い方ですけれども、でき るだけ現在の中で年金機構がどうやっていくかという点に集中して議論したい。  いずれにしても、時間にもなりましたけれども、今日は大変いろんな御意見をいただ きまして、ありがとうございました。  私の方からもひとつ大臣にお願いですけれども、年金機構というのは国民の大変大事 な、極端な言い方をしますと、政治を超えた、国民生活にとって非常に大事な問題でご ざいますので、1月1日に新しい機構がまさに使命感と誇りを持ってそこに働く人が明 るく元気にやれるような形で是非スタートさせていただきたいし、なおかつ、そういう 中期目標というものを是非お願いをいたしたいと思います。  今日は自由な意見ということでございましたけれども、全委員からいろんな御意見を いただきまして、ありがとうございました。今日出ました意見等を踏まえながら、是非 できれば中期目標の策定に参考にしていただければありがたいと思います。  なお、委員の方々、今日は大変たくさん資料があります。資料等をお読みになったり、 今日の議論等を踏まえて何か御意見がありましたら、できれば今週中ぐらいに事務局の 方へファックスなりで問い合わせいただきたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、次回の日程につきまして、事務方から御説明をいただきたいと思います。 (古都年金局総務課長)  ありがとうございました。次回の日程につきましては、委員の皆様方にいろいろあら かじめお時間をいただいている中から、12月21日月曜日、9時半からを予定させていた だきたいと存じます。それまでにいろいろ先ほど御指摘のあった資料等も準備させてい ただきます。後日、正式な御案内をまた差し上げたいと存じます。 (本田部会長)  それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。委員の皆様には大変な活 発な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。 (連絡先) 厚生労働省年金局総務課 03-5253-1111(内線3314)